製造業がSNSで販促と求人を同時に実現する方法

製造メーカーに勤務する傍ら、製造業・技術系ライターとして活動している森野 真です。国立高専機械工学科卒。機械設計や生産管理など、製造業で10年以上の実務経験があり、現場を知る人間ならではの執筆を得意としています。

本記事は動画のまとめ記事で、テーマは「製造業がSNSで販促と求人を同時に実現する方法」です。

近年、製造業においてもSNSマーケティングを活用した販促活動に注目が集まっています。また、SNSを求人活動に取り入れる動きも活発化しており、今後SNSは各企業にとって必須のツールとなっていくことが予想されます。

【講師】
栗原 稔
株式会社栗原精機 代表取締役社長

【経歴】
埼玉県川口市を拠点に、精密高精度な金属切削加工部品業の工場を営む。2010年に始めたTwitterでは5,000人を超えるフォロワーを獲得(2022年5月18日時点)。Facebookグループ「ものづくりコミュニティ・MAKERS LINK」を主宰。61歳の現在もSNSを活用し日本の中小製造業を盛り上げる活動に積極的に取り組み続けている。

動画はこちらから

SNSの基礎知識

SNSとは?

SNSとは「ソーシャルネットワーキングサービス」の略で、TwitterやInstagramのように、登録者間で繋がりや交流を楽しむ「コミュニティ型サービス」のことです。

「ソーシャルメディア」という言葉と混同されがちですが、ソーシャルメディアはSNSを含むさらに広いくくりの言葉で、「誰もが情報を発信・受信できるオンラインコンテンツの総称」という意味で使われます。

SNSの他にもブログやYoutube、掲示板、口コミサイトなどが、このソーシャルメディアに含まれます。

日本の「5大SNS」

現在、日本の5大SNSと呼ばれているものは以下の5つです。

  • LINE
  • Twitter
  • Instagram
  • Facebook
  • TikTok

LINEはアクティブユーザーだけで9,000万人と段違いのユーザー数であり、すべての年代で日常的に利用されています。

またFacebookは2,600万人とやや少ない印象ですが、海外ユーザーを含めると20億人が利用中のため、海外アプローチを検討している場合は非常に有効なツールといえます。

SNSマーケティングを活用した販促活動

SNSマーケティングの需要

世代別のアンケート結果によると、「企業から情報を受け取る最適な手段」として30代以上の多くの人が「企業発行のメールマガジン」、「企業のWebサイト」と回答しています。

一方で、20代の多くの人が「企業の公式SNS」と回答しており、今後はSNSから情報を得ることがさらに主流になると予想されます。

SNSマーケティングのメリット

・認知度向上と見込み顧客の獲得
SNSは自動的におすすめ表示してくれるため「拡散力」が強く、自社を知らない人にもリーチすることができます。また、SNSがきっかけとなり、その他の企業活動に対するアプローチが増加していくケースもあり、間接的な受注アップへと繋がっていきます。

・既存顧客との関係性強化
SNSは顧客と直接コミュニケーションをとることができるサービスです。いいねやシェア、コメントなど、利用者との交流を通じて自社のファンになってもらい、他サービスや新製品に対する興味関心を促すことも可能です。

・低コストで運用可能
ほとんどのSNSが無料ではじめられるため、初期費用を抑えることができます。また、比較的低コストで広告を打つことも可能です。

SNSマーケティングのデメリット

・炎上の危険性
SNSは拡散力が強いため、不用意な発言で炎上してしまうと企業の信用・信頼を失う危険性があります。

・運用工数(人手)がかかる
発信する情報や運用方法を試行錯誤するための時間・労力がそれなりに必要となります。SNS運用の効果を感じられるまでに半年〜1年以上かかるケースも多く、成果を出すためには担当者の地道な継続が不可欠です。

SNSの運用5ステップ

【ステップ1】目的を明確にする

まず、なぜSNSを利用するのか、目的を明確にします。「新規顧客獲得」や「企業のブランディング」など、得たい成果を具体的にイメージすることが大切です。

【ステップ2】運用環境を整える

前項でも解説したように、SNS運用には注意すべき点もあり、導入にあたってあらかじめ社内環境を整えておく必要があります。具体的には以下の4つが挙げられます。

  • 運用ルールの策定、周知
  • 社内の協力体制
  • 担当者のメンタルケア体制
  • 運用状況、担当者の監視体制

【ステップ3】運用担当者の選定

「SNSマーケティングの運命は担当者で決まる」と言っても過言ではありません。そのため、担当者の選定には十分な検討が必要です。担当者には以下のような素質が求められます。

  • 企業理念や自社サービスを理解している
  • SNSの基本的な知識を身につけている
  • コミュニケーション能力が高い
  • リスクマネジメントの意識が高い

【ステップ4】SNSの選定

自社の目的に合わせたSNSを選択します。例として以下のような目的・ツールがありますが、可能であれば複数運用することをおすすめします。

  • ブランディング:Twitter、Facebook、Instagram
  • 販売促進、店舗情報の発信:Instagram、LINE、Twitter、Facebook
  • お客様サポート:LINE、Twitter

【ステップ5】数値目標の設定

SNSは中長期的な運用が不可欠なため、数値目標を定めてモチベーションを維持することが重要です。

まず売上高やお問い合わせ件数、契約数など具体的なゴール地点・目標を設定します。その上でフォロワー数、いいねの数、コメント数、インプレッション数など、ゴール到達のためのプロセスを数値で設定していくと良いでしょう。

ただし、運用初期は非常に小さな目標で構いません。とにかく継続して運用することがなによりも重要な目標だからです。

SNS運用のポイント

不用意な発言にはとにかく気をつける

個人として発言したいことがあっても、「会社として運用している」という意識を持つことが大切です。炎上を避けるためにも、社会的な問題には口出しし過ぎないように気を付けましょう。

一方で、あまりに無関心でいるのもキャラクターとしての魅力に欠けてしまうため、さじ加減が重要といえます。

社内の協力体制を整える

製造業においては、SNSを仕事に活用するという認識が薄いため、経営者(担当者)がSNSに時間を費やすことに対して社内理解を深める必要があります。

SNSが実際に会社の業績を左右していることがわかるように、日頃から業績報告などを通じて社内に共有することが重要です。

SNSを活用した求人活動

求人活動におけるSNS活用の背景

今は「生涯1社で働く」という時代ではないため、採用しても合わなければすぐに離職されてしまいます。そのため、求人活動における「採用のミスマッチ」を防ぐことが非常に重要となります。

近年、特に若年層の求職者の多くが、SNSを活用して事前に企業の情報を得ています。経営者の思想や社内の雰囲気など、情報の有無によって企業に対する印象も大きく変わります。

また、SNSから採用に至る場合、他の媒体からの採用と比較しても、会社・経営者に対する理解度が高い状態で入社してもらえるため、あらゆる面で「即戦力」となることが期待できます。

求人にSNSを活用するコツ

SNSマーケティングの効果を実感するには、ある程度運用期間やフォロワー数が必要です。そのため、まずは継続して運用していく中で、会社のイメージアップに取り組むことが重要です。

仕事に関わる写真や動画を日々公開することで、会社の雰囲気を伝えていきます。また、経営者のキャラクターを作り上げ「この人の下で仕事がしたい」と感じてもらえるような発信を心掛けると良いでしょう。

このように会社の内情を日頃から拡散しておき、頃合いをみて求人情報を小出しに発信していくことが有効です。フォロワーとの交流が増えるにつれて、発信した情報を拡散してもらえる可能性も高くなり、成果は飛躍的に上がっていきます。

これからSNSマーケティングを始める方に

今後、SNSは製造業の企業にとっても「会社を将来まで繋げていく重要なツール」になっていきます。まずは難しく考えず、経営者が目的意識を持って運用に挑戦することが大切です。

また、長期的な継続が必須であるため、「SNSはマーケティングツールとして有益なもの」という共通理解の下、会社全体で取り組む姿勢が必要です。

そしてなにより、SNSは楽しく運用していくことが継続への近道です。経営者が自ら情報を発信し、沢山の人との繋がりを「楽しい」と感じること、それをそのまま表現することが多くの共感を生んでいきます。

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Googleで求人情報だけを検索可能に|Googleしごと検索

こんにはテクノポートの永井です。

企業の採用活動が難しくなる中、ついにGoogleが求人検索サービスを日本でリリースしました。リクナビやマイナビなどの求人サイトへの登録や求人検索エンジンであるindeedなどに加えて、Googleも求人業界に参加です。

もちろんGoogleで求人が検索できるようになったからといって、これまでの方法が廃れるわけではありませんが、新しい情報としてGoogleしごと検索についての情報を共有します。

1.Googleしごと検索(Google for jobs)とは

Googleしごと検索(Google for jobs)はGoogleを使って求人情報のみを検索するサービスです。Googleの画像検索、動画検索、ニュース検索と同列のイメージです。アメリカでは2017年から導入されていたサービスで、2019年1月に満を持して日本にリリースされました。

求職者はGoogleで検索する際に、希望条件にプラスして「求人」を入れることで、検索画面の下に求人情報が出てくるようになります。求人以外にも、バイト、パート、正社員などの雇用形態も対象になります。また、Googleしごと検索専用のページに移動すると、住んでいるところからの距離やその他の条件での検索も可能です。

検索結果として表示されるのは文字情報だけで、画像は出てこないため採用条件を比較しやすくなっています。

2.Googleしごと検索に掲載するには?

では、どのようにすれば掲載されるのでしょうか。基本的にはホームページや画像検索と同じで、「Googleが自動で読み取って、勝手に掲載される」ことになります。ただし、Googleの基準に合わせることで検索されやすくすることは可能です。

例えば、ホームページであればサイトマップを送信したり、画像であればaltタグに名前を入れるのと同様に、しごと検索では「構造化データ」を作ります。構造化データはサイトには表示されない情報で、Googleが読み取るためのメタタグの一種で、下記の情報を設定できます。

実際には、

“hiringOrganization”: {
“@type”: “Organization”,
“name”: “MagsRUs Wheel Company”,
“sameAs”: “http://www.magsruswheelcompany.com”
}

のような記述が必要になりますが、Googleが提供している「構造化データ マークアップ支援ツール」を使うことで比較的簡単に作ることができます。

さらに、「Indexing API」という支援ツールを使えば求人情報をすぐにGoogleしごと検索に表示させたり、削除することも可能です。

手順としては

  1. 採用ページを作る
  2. 構造化データ マークアップ支援ツールで構造化データを作り、htmlに入れる。
  3. Indexing APIを使いGoogleに知らせる

になります。

【参考】

3.求職者はどのように応募してくるのか

Googleしごと検索はindeedとは違い直接応募をすることはできず、情報が掲載されているサイトにリンクをしています。そのため、応募する方法は従来と同じで、

  1. 自社のホームページや採用ページから応募してくる。
  2. 求人情報を検索しているサイト(リクナビ、マイナビ、dodaなど)から応募してくる。

のどちらかになります。大手求人サイトはGoogleしごと検索に対応しているようなので、求人サイトに掲載していれば問題はありません。

4.Googleしごと検索は中小製造業にとって有利に働くのか?

Googleしごと検索がリリースされたことで、求人情報を多くの人に見てもらえる可能性が高くなったことは確かです。

しかし、Googleしごと検索で探しやすくなった情報は、職種、地域、採用条件など他社と比較されやすい条件の情報であるため、独自の良さを知ってもらうという点については難しいと言えます。

例えば、リクナビやマイナビなどの求人サイトは採用条件以外に、画像を使うことで企業の雰囲気や仕事内容など自社の強みを伝えることができますが、Googleしごと検索ではそれができません。この点は仕事のやりがいなどを強みとしている企業にとっては使いづらいかもしれません。

まとめ

Googleしごと検索が使えるようになったことで、自社の採用情報がより多くの人に見てもらえるようになりました。ただし、機能は限定的で文字情報だけです。求職者にとっては求める職種を条件で比較しやすくなることは良いことかもしれませんが、Googleしごと検索では給与や年間休日以外の企業の良さを伝えることは難しい状況です。

今回の変化によって採用しやすくなるわけではありませんが、自社の採用を告知するための無料の手段が一つ増えたことは歓迎すべき点です。せっかく使えるようになったわけですから、文字情報だけで自社をPRできるようにGoogleしごと検索対策をしていきましょう。