海外向けWebサイト制作・リニューアルの流れ|BtoB企業向け

テクノポート株式会社の稲垣です。
製造業企業様向けの「海外Webマーケティング」サービスの責任者を務めています。

この記事では、海外向けWebサイト制作・リニューアルの流れを、5つのフェーズに分けて解説します。(以降「Webサイト制作」=「Webサイトリニューアル」という前提で記載します)

 

全体の流れ

全体の流れは、以下の5つに分かれます。

  1. 企画・調査
  2. サイト・コンテンツ制作
  3. デザイン制作
  4. コーディング・開発
  5. テスト・公開

順に解説します。

1. 企画・調査

目的設定

まずは、海外向けWebサイトを制作する目的を整理します。海外向けのWebサイト制作の目的には、主に以下のようなものがあります。

目的 詳細
新市場進出 海外のBtoB市場にアクセスし、新しいビジネスチャンスを探る
国際的な認知度・ブランドイメージ向上 世界中のBtoB企業に対して、自社のブランドやサービスを知ってもらう
多言語対応 異なる言語を話すビジネスパートナーに対応する
グローバルなカスタマーサポート 海外のビジネスパートナーからの問い合わせやサポートを提供する
パートナーシップの強化 海外のビジネスパートナーとの関係を強化し、
共同事業や提携の機会を増やすための情報共有やコミュニケーションを行う

上記の目的設定に従い、必要な調査作業の内容も変わるため、プロジェクトチーム内で明確に認識を共有しておく必要があります。

3C分析

上記の目的の中でも特に製品・技術の販路開拓が目的である場合、3C分析というフレームワークを使えば、サイト制作の方向性がより具体的になります。3C分析とは、企業(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つの要素を分析するフレームワークです。

以下に、精密機械加工および部品製造を行う架空の国内中堅企業が、海外向けのWebサイトを制作する場合の3C分析を行ったと仮定した際に、調査内容と調査結果の例を示します。

3Cの要素 調査内容 具体的な調査項目の例 調査結果の例
Company
(企業)
企業の強み、弱み、
資源、能力などを分析
・企業の技術力や特許情報
・生産能力や設備の状況
・既存の海外取引先や経験
・国内での特許を10件所持
・月産10万個の生産能力
・アジア圏の2カ国に取引先あり
Customer
(顧客)
ターゲットとする顧客のニーズ、
行動、価値観などを分析
・顧客の購買動機やニーズ
・顧客の評価基準
・顧客からのフィードバックや要望
・品質と納期の信頼性を重視
・ISO認証や環境対応が評価基準
・短納期の要望が多い
Competitor
(競合)
競合企業の戦略、強み、弱み、
市場の位置付けなどを分析
・競合企業の製品ラインナップ
・競合企業の市場シェア
・競合企業のマーケティング戦略
・5社の主要競合が存在
・最大の競合は市場シェア30%を占有
・競合はローカルイベントでの展示が活発

上記の表は、調査結果の例を端的にまとめたものになりますが、実際の調査を行う際は、各項目について詳細な調査項目を設け、次のように情報を整理します。以下は、競合調査における主な調査項目をまとめた表です。

項目 調査内容
競合企業の基本情報 ・企業名、所在地、設立年数
・主要な製品・サービスラインナップ
競合企業のWebサイトの特徴 ・デザインやUIの特徴
・サイトの言語対応数や多言語対応の方法
製品・サービスの強み ・製品やサービスの独自性や差別化ポイント
・顧客からの評価やフィードバック
・製品の品質や性能、特許情報
マーケティング戦略 ・Webサイトへの主な集客方法
・SEO対策の状況やランキング
・広告活動やキャンペーンの実施状況

3C分析の具体的な進め方や流れについては、以下の記事で解説しています。

方向性の決定

上記の調査が一通り完了した時点で、海外向けWebサイトの方向性を決定します。3C分析により、競合と比較したときの自社の強み、Webサイトで訴求するべき自社の製品などを議論するための材料がそろうため、その材料をもとに、以下のような項目を明確にします。

決定項目 決定内容の例
製品・技術、および訴求軸 ・独自の加工技術を応用した高品質の精密機械部品製造
・独自の製造工程や特許を活用した耐久性の高い製品
・高い技術力を応用した顧客のニーズに合わせたカスタマイズ製品
Webサイトデザインの方向性 ・日本企業の技術力や品質を前面に打ち出すプロフェッショナルなデザイン
・製品の詳細や技術情報を中心とした定量的な訴求が中心のデザイン
・現地企業のような洗練された雰囲気のあるシンプルでダイナミックなデザイン
集客方法 ・海外SEO対策を強化し、検索エンジンからの流入を中心に集客
・リスティング広告を使用し、特定の市場からの検索エンジン経由の流入で集客
・お役立ち情報や加工事例を活用したコンテンツマーケティングで集客
サイトの種類・制作方法 ・コーポレートサイトを中心に、製品紹介ページや技術情報ページを設ける
・特定の製品群のみを扱う、業界に特化した特設サイトを制作する
・ランディングページにより、特定の製品向けの特設ページを設ける

Webサイト制作のプロセスにおいて、プロジェクトチーム内で意見が割れた場合や、デザインについてなかなか最終判断ができない場合は、このステップで策定した方向性に立ち返り、議論を進めることを推奨します。

Webサイトのデザインについても「海外向けサイトだから外国人に受け入れられやすい現地企業のようなデザイン」が必ずしも正解になるわけではありません。あくまで必要な調査の結果、そのようなデザインがサイト制作の目的の達成には現地企業が適切であると判断した場合、そののようなサイトデザインを採用するイメージです。

また上記に合わせて、必要な調査作業(例:キーワード調査、ドメイン・サーバーの選択)も行います。各作業の詳しい内容については、以下の詳細記事をご参照ください。

2. サイト・コンテンツ制作

次にWebサイトに必要な中身の情報を作成するフェーズです。

サイトマップの作成

サイトマップとは、以下のようなサイトの構造をツリー状に表した図です。ウェブサイト内の全ページの関係や階層を視覚的に理解するために使用されます。

サイトマップを作る際のポイントは、各ページの役割を明確にすることです。上記のサイトマップでは、ページの目的に合わせて以下の4つの分類分けを行っています。

ページの種類 説明
集客用ページ 新しい訪問者をサイトに引き付けることを目的として制作するページです。
SEO対策を行う場合は、検索エンジンからの流入を増加させるために作成し、検索ボリュームが大きめのキーワードで検索結果の上位表示を獲得することを目的にコンテンツを作成します。
また集客したユーザーを、サイト内の他のページに誘導するためのCTA(コール・トゥ・アクション)の設置も行います。
訴求用ページ Webサイトの訪問者に特定のアクション(例:問い合わせ、カタログダウンロード)を取らせることを目的として作成するページです。
製品やサービスの特徴、利点、顧客の声など、訪問者の購買意欲を高める詳細情報を中心にコンテンツを作成します。
集客&訴求用ページ 新しい訪問者を引き付けると同時に、彼らに特定のアクションを取らせることを目的として作成するページです。
SEO対策による集客の要素と、コンバージョン獲得のための要素が組み合わされ、検索ボリュームが中程度のキーワードで集客をしつつ、ページ内でコンバージョンまで完結させるイメージでコンテンツを作成します。
その他のページ 会社の概要、利用規約、プライバシーポリシー、FAQ、お知らせなど、特定の集客や訴求の目的を持たない補足的なページです。

Webサイトの制作の目的に合わせて、上記のようなページの集合体としてサイトマップを作成し、各ページの役割とコンテンツ作成の意図を明確にした状態で、次のワイヤーフレーム、およびコンテンツ作成に移ります。

サイトマップの具体的な作り方については、以下の記事で詳しく解説しています。

ワイヤーフレームの作成

次にWebサイトの各ページの構成(ワイヤーフレーム)を決めます。ワイヤーフレームとは、以下のような各ページのコンテンツの配置を視覚的に整理するための図です。

wireframe

このワイヤーフレームは、各ページカテゴリ(例:Products)に対して1つずつ作成し、中身の文章や画像は同一カテゴリ内で細かく調整するイメージです。

各ページのワイヤーフレームを決定するときには、先のサイトマップで決定した各ページの役割をもとに、目的を達成するために適した構成を作成します。基本的にページの役割、カテゴリごとで一定の型のようなものを基準に、企業の特徴や製品・サービスの強みを考慮し、アレンジを加えた上で、作成します。

文章作成

各ページのワイヤーフレームが作成できたら、ワイヤーフレームに記載する文章を準備します。BtoB企業の海外向けWebサイト制作時に作成する文章の種類と、文章を作る際のポイントは以下の通りです。なお文章作成は、日本語で作成したものを翻訳する流れを想定しています。

文章の種類 文章を作る際のポイント
(サイト全体の)キャッチコピー ・競合企業と比較して自社の独自の価値や強みを強調する
・顧客にとって最も価値のあるポイントを軸に考える
・ターゲットとなる国や市場に特有のニーズがあれば考慮する
(各ページ内の)見出し ・クリアで具体的なメッセージを伝える
・顧客にとって理解しやすく直感的に意味が理解できる内容にする
・SEO対策を考慮し、キーワードが組み込まれているか確認する
説明文章 ・詳細で具体的な情報を簡潔に伝える
・SEO対策を考慮し、キーワードが適切な形で使用されているかを確認する
・専門的な内容やデータを適切に使用して、信頼性を高める
CTA(コール・トゥ・アクション) ・Webサイトの目的に合わせたアクションを促す
・アクションを起こした後の状況が明確に伝わる表現を使用する
・アクションの利点や価値を明確に伝える

これらの文章作成時には、サイト制作側の企業が伝えたいことではなく、顧客が知りたいこと、顧客にとってわかりやすい内容であるかを常に意識し、作成および校閲を行うことが重要です。

Webサイトのコンテンツ作成の方法、事例については以下の記事で詳しく解説しています。

翻訳

次に作成した文章を翻訳します。作成する文章ごとに翻訳時のポイントを以下の表にまとめました。

文章の種類 翻訳時の注意ポイント
(サイト全体の)キャッチコピー ・文化的・言語的な違いを考慮し、メッセージが変わらないようにする
・簡潔さを保ちつつ、意味が正確に伝わるようにする
・専門用語や業界用語の翻訳には特に注意する
(各ページ内の)見出し ・SEO対策的に適切なキーワードが使用されているか確認する
・言語的に適切なフォーマットを採用する(例:大文字、小文字の使い分け)
・簡潔でパッと見て意味が理解できる表現を採用する
説明文章 ・SEO対策的に適切なキーワードが使用されているか確認する
・専門的なキーワードや、解釈が難しい表現の翻訳には特に注意する
・文章の流れや構造が、母語話者にとって自然であることを確認する
CTA(コール・トゥ・アクション) ・アクションの意味やニュアンスが変わらないように注意する
・競合のWebサイトを参照し、よく用いられている表現を洗い出す
・直訳ではなく、母語話者にとって自然かつ効果的な表現を選ぶ

この辺りは、翻訳家、校閲担当の方と意見を交換しながら、言語としての自然さに加えて、マーケティング面(例:SEO対策)でも品質を担保する必要があります。

Webサイトの翻訳における注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。

画像素材の準備

画像を準備する際は、以下のようなものを準備する必要があります。

  • 製品写真:製品の特徴や使用イメージがわかるような写真
  • 企業ロゴ:カラーバージョンやモノクロ、異なるサイズのロゴ
  • スタッフの写真:ポートレートや仕事中のスタッフの写真
  • インフォグラフィック:製品の機能説明や統計を示す図
  • イメージ画像:ヘッダーやセクションの背景、特定の用途に使用するためのイメージ画像
  • アイコン:ソーシャルリンクやサービス機能を示すアイコン

必要に応じて、専門カメラマンや著作権フリーのイラスト画像を利用することができます。デザインが必要な素材については、別途この後のデザイン工程でまとめて依頼することをおすすめします。

Webサイト用の写真素材の準備については、以下の記事で詳しく解説しています。

 

3. デザイン制作

サイト制作に必要な全体像の設計と、各ページに使用するコンテンツの準備ができ次第、デザイン制作を行います。(この辺りの順番は多少前後する場合もあります)

TOPページのデザイン作成

まずサイトの顔とも言えるTOPページのデザイン作成を行います。基本的には、企画・調査段階で策定した方向性をもとに、以下の2つのステップでデザインを作成します。

方向性の共有

どのような方向性でデザインを作成するかを担当のデザイナーと制作チーム間で共有します。この際、共有するべき情報として、以下のようなものが挙げられます。

  • Webサイト制作の目的
  • ターゲットユーザーのイメージ、心理状況
  • 競合企業と比較したときの優位性、訴求ポイント
  • 中心に据える製品、サービスとその特徴
  • 「2. サイト・コンテンツ制作」フェーズで作成した情報一式

この場面でも企画・調査段階で整理しておいた情報を活用できます。またデザイナー側もイメージがしやすいように、言語化できる部分は可能な限り言語化し、制作チーム側の意図を具体的に伝える努力も惜しまないようにします。

デザイン提案・フィードバック

上記の情報をもとにデザイナーからデザイン提案が行われます。

基本的には複数のデザインパターンから1案を採用する形を取ります。デザインの初稿が完成し次第、制作チーム側で修正点を具体化し、デザイナーにフィードバックを行います。フィードバックのポイントは、デザインの作り直しや大幅の方向修正のリスクを減らすためにも、部分的にこまめに挟むことが重要です。

上記のやり取りを複数回繰り返し、最終的なデザインが完成します。デザインの細かな修正を重ねることも重要ですが、大局的には企画・調査フェーズで策定した「Webサイトの目的」に対して、その目的を実現させるために適したデザインであるか、という視点も重要です。

下層ページデザイン作成

TOPページのデザインが完成し次第、下層ページのデザイン作成に移ります。下層ページについては、個別のページごとにオリジナルのデザインを作るのではなく、各ページグループごと(例:Products)において、共通のデザインテンプレートを作成します。基本的な作成の流れは、先に説明した通りです。

またこの段階で、サイト内の共通要素(例:見出し、ボタン、表)のデザインも作成します。この辺りの要素のデザインを決める上でも、企業としてのブランドイメージだけではなく、Webサイトを使用する顧客目線から、わかりやすさ、視認性、操作性を考慮して適した形を実現することが重要です。

海外のWebサイトデザインの特徴やWebデザイン制作時のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

4. コーディング・開発

サイト制作環境の構築

Webサイトの規模や確定したデザインの内容に応じて、適した手法で制作を行います。Webサイトの制作手法は、大別するとCMS(Content Management System)を使用する方法とスクラッチで制作する方法の2種類があります。

CMSを利用する方法

既存のコンテンツ管理システムを使用してWebサイトを構築する方法です。代表的なものとしてはWordPress、Joomla!、Drupalなどのプラットフォームがあります。

この方法の最大の利点は、プログラミング言語の知識がない方でもコンテンツの追加や更新が容易であること、さらにプラグインやテーマを利用して迅速に機能やデザインを追加・変更できる点です。また、多くのCMSは大きなコミュニティを持っており、サポートや情報共有が活発です。一方で、既存のフレームワーク内での作業となるため、特定のカスタマイズが難しい場合があります。

スクラッチで制作する方法

既存のフレームワークやテンプレートを使用せず、ゼロからWebサイトを構築する方法です。

この方法の最大の利点は、任意の機能やデザインを自由に実装できる柔軟性を持つことです。また、必要な機能のみを構築するため、パフォーマンスの最適化が容易で、他のサイトとは異なるオリジナルのデザインや機能を持つサイトを作成できます。しかし、全てをゼロから作成するため、開発に時間がかかることや、長い開発時間や専門的なスキルが必要となるため、コストが高くなる可能性があります。さらに、独自のシステムのため、更新や機能追加に専門的な知識が必要となることも考慮する必要があります。

サイトの規模やセキュリティのレベル、システム開発を伴う場合、要件を満たせるかどうかなどを考慮の上、決定することが必要です。

コーディング実装・システム開発

各ページのデザインカンプを元にコーディングを進めます。

基本的には、まずサイト全体で共通する要素、例えばヘッダーやフッター、ナビゲーションメニューなどのベースとなるテンプレートを作成します。その後、デザインカンプやワイヤーフレームを基に、具体的なページのコーディングを進めていきます。

またシステム開発が伴うコーディングを実装する場合は、制作チーム側でシステムの要件を定義し、システム開発前にエンジニア側と認識を合わせておく必要があります。またこの工程においても、進捗管理用のスプレッドシートなどを活用し、細かく確認のタイミングを設けておくことで、大幅な軌道修正が発生するリスクを回避できます。

その他の必要な設定

上述したコーディング作業と並行して、サイト制作に必要な設定作業を行います。設定作業には、以下のようなものがあります。

セキュリティ対策

SSL証明書の導入やサイトのセキュリティ設定、プラグインの導入を行います。また、データベースのセキュリティ対策もこの段階で行います。セキュリティ対策においては、定期的なセキュリティアップデートを行うこと、パスワードの強度を確保すること、不要なプラグインやモジュールは削除することが重要です。

リダイレクト設定の準備

旧サイトからのリダイレクト設定や、404エラーページの設定を行うための準備作業を行います。多言語サイトのリダイレクト設定準備もこの工程で行います。注意点として、SEOを考慮し、301リダイレクトを使用すること、404ページにはユーザーがサイト内で迷わないナビゲーションを提供することが挙げられます。

アクセス解析環境の準備

Webサイトの訪問者の行動やサイトの利用状況を正確に把握するために、アクセス解析ツールの設置作業を行います。基本的には「Google Analytics」および「Google Search Console」の活用は必須であり、より詳細な分析を行うために、追加の解析ツール(例:ヒートマップ分析ツール)を使用します。

Google Analyticsでは、特定の目標(例:問い合わせフォームの送信)を達成した際のユーザーの行動を追跡するための「コンバージョン設定」も行う必要があります。また海外向けのWebサイトの場合、個人情報保護の観点から各国のデータ保護法規に準拠した対応が必要です。必要に応じて、法律の専門家のアドバイスをもらってプライバシーポリシーの見直しも行います。

 

5. テスト・公開

公開前の確認作業

全てのコーディングが終了したら、改めてサイト全体の動作確認や誤字脱字、レイアウトの崩れ、リンク切れ、フォームの送信確認などのチェックを行います。この工程では、ユーザーにとっての使い勝手や見え方の確認を重点的に行います。

基本的には、制作チーム内で準備されたチェック項目を一つずつ確認する形で進めます。代表的な確認項目と確認内容の例は以下のとおりです。

確認項目 確認内容
レスポンシブデザイン ・各デバイス(スマートフォン、タブレット、PC)での表示確認
・画面サイズを変更した際のレイアウトの崩れ確認
ブラウザの互換性 ・主要ブラウザ(Chrome, Firefox, Safari, Edgeなど)での表示確認
・ブラウザの最新バージョンでの動作確認
言語・翻訳 ・翻訳の正確性や自然さの確認
・文字化けやレイアウト崩れの確認
リンクの動作 ・内部・外部リンクの動作確認
・リンク切れやリダイレクトの確認
フォームの動作 ・必須、任意項目の動作確認
・エラーメッセージの表示確認
・送信後の動作(例:メール送信、完了ページ表示)
ページの読み込み速度 ・各ページの読み込み速度確認(国別のページの読み込み速度確認にはこちらのツールが使えます)
・画像やスクリプトの最適化確認
SEO対策 ・メタタグやalt属性の確認
・サイトマップの存在確認
・構造化マークアップの確認
セキュリティ ・SSLの導入確認
・セキュリティ対策系プラグインの実装確認(例:SiteGuard WP Plugin)
・外部からのフォームのスパム投稿対策
Cookie対応 ・Cookieの使用目的や期間の明示
・ユーザーの同意取得の実装
・海外向けのデータ保護法規(例:GDPR)への対応、プライバシーポリシーの内容確認

サイト公開

上記の確認項目がクリアできた段階で、サイトの公開を行います。サイトの公開方法には、大きく分けて以下の2つがあります。

CMSを使って公開する方法

CMS(Content Management System)を使用してWebサイトを制作した場合の公開方法です。この場合、CMS上で公開設定を行い、Webサイトをインターネット上で公開します。WordPressを用いて制作したWebサイトの詳細な公開方法については、以下の記事で解説しています。

Webサーバーにファイルを配置して公開する方法

直接Webサーバー上にWebサイトのファイルをアップロードすることでサイトを公開する方法です。具体的には、ホスティングサービスを利用してサーバーを準備し、FTPクライアントソフトウェアを使用してローカルのPCからサーバーへWebサイトのファイルをアップロードします。アップロードが完了したら、ブラウザを使用してサイトのURLにアクセスすることで、Webサイトが正しく公開されているかを確認できます。

公開後テスト

基本的には、サイトの公開作業はエンジニアが担当し、公開後のテスト作業は制作チームが担当します。サイト公開時に必要な作業を以下に記載します。

作業項目 作業内容
各種動作確認 ・全ページの表示確認
・リンクやボタンの動作テスト
・フォームの送信テスト
リダイレクト設定 ・旧サイトや旧ページからのリダイレクト設定および動作確認
・404エラーページの表示確認
アクセス解析状況の確認 ・アクセス解析ツールのデータ収集確認
・コンバージョン計測の動作確認
お知らせ ・新サイト公開のお知らせページの公開
・SNSやメールマーケティングでの告知
SEO対策 ・サイトマップの作成と検索エンジン(Google Search Console)への登録
・WordPressの場合 「検索エンジンがサイトをインデックスしないようにする」のチェックが入っていないか確認
・特定のページにおいてnoindexタグの設置がされていないか確認

Webサイト公開後の運営については、以下の記事で解説しています。

 

まとめ

海外向けWebサイト制作・リニューアルの流れを、5つのフェーズに分けて解説しました。

弊社(テクノポート株式会社)は、英語サイトの制作・運用を通して、日本企業の海外販路開拓のサポートを行っています。私たちのサービス内容にご興味のある方は、まずは一度、弊社サービスサイトに目を通していただけると嬉しく思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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英語SEO対策の基礎|クリック率(CTR)の上げ方

テクノポート株式会社の稲垣です。
海外Webマーケティング」サービスの責任者を務めています。

この記事では、英語でSEO対策における「クリック率(CTR)の上げ方」を解説します。

 

クリック率(CTR)とは?

SEO対策におけるクリック率(CTR: Click-Through Rate)とは「検索結果ページに表示されるWebサイトのリンクが、ユーザーによってどれだけクリックされているか」を示す指標です。(「検索結果ページ」とは、こちらのページです)

具体的には「CTR(%)=(クリック数 / 表示回数)× 100」で計算されます。例えば、あるウェブページのリンクが100回検索結果に表示され、そのうち5回クリックされた場合、CTRは5%になります。

クリック率(CTR)の決定要因

クリック率は以下の2つの要因により決定します。

  1. ページの検索順位
  2. ページのタイトル、ディスクリプション

1. ページの検索順位

以下のグラフは、横軸にCTR、縦軸に検索順位をとり、検索順位における平均のCTRを示したものです。(灰色の棒グラフが通常の場合、青色の折れ線グラフは「強調スニペット」ありの場合のCTRです)

Featured snippets CTR

出典:SEO CTR stats to inform your 2023 SEO strategy [SERP trends]

上記のグラフが示す通り、検索順位が高いほど、CTRも高くなることがわかります。原理は単純で、検索結果の上の方に表示されるページほど、ユーザーの目に留まりやすくクリックされやすいためです。

2. ページのタイトル、ディスクリプション

ページのタイトル、ディスクリプションとは、検索結果に表示される以下の表示です。

title, description

タイトルは、基本的に「title(タイトル)タグ」を設定することで、意図的に決定できます。一方、ディスクリプションは「description(ディスクリプション)タグ」の設定がそのまま採用されることもあれば、Googleが検索キーワードによって意図的に表示を変えることもあります。

 

クリック率(CTR)を上げるメリット

Webサイトへのアクセス数が上がる

クリック率が上がる一番大きなメリットは、Webサイトへのアクセスが多く集まることです。ただ一概にクリック率が高ければ高いほど良い、と言い切れないことに注意が必要です。

例えば、”industrial equipments“というキーワードでの検索行動を考えます。このキーワードで検索を行うユーザーの検索意図(検索者が検索によって解決したい課題)は、以下の2つに大別できます。

  1. “industrial equipments”について知りたい
  2. “industrial equipments”が欲しい(”industrial equipments”を扱っている会社を探している)

この場合、前者のユーザーは情報収集が目的であり、貴社のサイトに訪れたとしても、購買行動に結びつく可能性は低いと言えます。一方、後者のユーザーは購買を目的とした検索を行っているため、購買に結びつく可能性が高いユーザーであると言えます。

もし”industrial equipments”の購買を目的としている人にWebサイトを訪れてほしい場合、注力するべきことは、後者のユーザーからのクリック率を上げることです。たとえクリック率が低くとも、後者のユーザーからのクリックが集まっていればOKというイメージです。

そのため、やみくもにクリック率を上げようとするのではなく、ターゲットとするユーザーが抱えている課題を推測し、彼らがクリックしたくなるタイトルを考えることが重要です。

検索順位が上がる

これはあくまで私の予想です。Googleは、クリック率が高い記事ほど検索結果の上位に表示していると考えられます。

なぜなら「クリック率が高いページ=検索者が求めるページ」と解釈できるためです。検索者が求めるページを優先的に上位に表示することで、検索者が満足し、またGoogleを使いたいと思ってもらえる可能性があります。

したがって、このようなアルゴリズムを採用することは、検索者にもGoogle側にもメリットがあります。ただし、タイトルだけが魅力的で、中身に内容がない(検索者を満足させることができない)ページは、一時的に順位は上がっても、すぐに他のページに抜かされると思います。

クリック率(CTR)改善の進め方

私は、以下の5つのステップでクリック率の改善を行います。

  1. ページの選定
  2. キーワードの洗い出し
  3. 原因の仮説を立てる
  4. ページタイトルを変更
  5. 効果検証

STEP 1. ページの選定

まず、クリック率を改善するべきページを選定します。クリック率を改善するべきページとは、以下の3つの条件を満たすページであると考えます。

  1. 対策キーワードでの検索結果が10位以内である(すでに検索結果の1ページ目に表示されている)
  2. 対策キーワードでのクリック率が、その順位における平均のクリック率より低い
  3. クリック率の改善が見込める(指名検索に使用されるキーワードではない)

3の条件については、会社紹介ページ、TOPページなど、ユーザーが貴社を名指しで指名し検索しているキーワードを除くという意味です。これらのページは、タイトルを変えることによるクリック率の向上が見込めないページであるためです。

1と2の条件を満たしているかどうかは、Googleサーチコンソールを使って確認します。Googleサーチコンソールの「検索パフォーマンス」メニューを選択し、任意の期間を選びデータをエクスポート(出力)します。すると以下のような表がダウンロードできます。(キーワードは仮の値を入力しています)

上位のクエリ クリック数 表示回数 CTR 掲載順位
keyword 1 72 7,410 0.97% 6.14
keyword 2 36 130 27.69% 1.25
keyword 3 30 418 7.18% 2.44
keyword 4 20 1,346 1.49% 7.97
keyword 5 18 128 14.06% 1.94
keyword 6 18 94 19.15% 1.68
keyword 7 14 113 12.39% 2.86
keyword 8 12 1,073 1.12% 5.19
keyword 9 11 2,239 0.49% 8.22

この表におけるそれぞれの指標は以下を意味しています。

  • 上位のクエリ:ユーザーが検索に使用したキーワード
  • クリック数:クエリ(1列目)のキーワードが検索された際に、Webサイト内のページがクリックされた回数
  • 表示回数:クエリ(1列目)のキーワードが検索された際に、Webサイト内のページが検索結果に表示された回数
  • CTR:クエリ(1列目)のキーワードが検索された際に、Webサイト内のページがクリックされた確率(クリック数/表示回数×100%)
  • 掲載順位:クエリ(1列目)のキーワードが検索された際の、Webサイト内のページの平均検索順位

この表の中で特に注目すべき数字は、4列目の「CTR」と5列目の「掲載順位」です。ここで先に述べた3つの条件の1と2を確認します。

例えば、2行目の”keyword 1″の4列目の「CTR」と5列目の「掲載順位」を見てみます。このキーワードは、平均検索順位が6.14位であるため、CTRは4%程度が見込める位置にランクインしていると言えます。(先に紹介した検索順位とCTRの相関を示したグラフをご覧ください)

したがって、現在のCTR、0.97%は検索順位から考えると低い数字であると言えます。つまりこのキーワードは、先に紹介した条件1と2を満たすキーワードであると言えます。また、このキーワードが貴社の社名や製品名などの固有名詞ではない場合、3つの条件をすべて満たしたページであると言えます。

この手順で、CTRを改善するべきページを選定します。またこのページの中でも、特に改善の優先度が高いキーワードを「メインキーワード」とします。今回の場合、表示回数が最も多い “keyword 1″をメインキーワードとして設定することが妥当であると言えます。(基本的に表示回数が多いキーワードほど、CTR改善の影響が大きいため、メインキーワードにふさわしいと言えます)

STEP 2. キーワードの洗い出し

次に、1で選定したページにおいて、現在当該のページで検索結果に表示されている他のキーワードを確認します。その際、掲載順位が10以内のキーワードを以下の2種類に大別します。

  1. (検索順位に対して)CTRが低いキーワード
  2. (検索順位に対して)CTRが高いキーワード

具体的には、1のステップで選定したページにフィルターをかけ、もう一度Googleサーチコンソールで上記の表をエクスポート(出力)します。(手順は先ほどと同様で、Googleサーチコンソール内で、ページのフィルターをかけて先ほどと同じ表を出力してください)

すると、先ほどと同じように以下の表が出力されます(キーワードは仮の値を入力しています)。

上位のクエリ クリック数 表示回数 CTR 掲載順位
keyword 1 72 7,410 0.97% 6.14
keyword 1.1 18 281 6.41% 2.8
keyword 1.2 14 280 5% 2.96
keyword 1.3 12 2,573 0.47% 7.48
keyword 1.4 11 2,239 0.49% 8.22
keyword 1.5 6 391 1.53% 3.3
keyword 1.6 6 101 5.94% 2.9
keyword 1.7 5 187 2.67% 6.7
keyword 1.8 5 71 7.04% 5.9

この表における2行目は、先ほどの表と同じキーワードです。この表を見ながら先ほどの分類にしたがってキーワードを大別し、それぞれの分類のキーワードに対して次のような対策を取ります。

  1. (検索順位に対して)CTRが低いキーワード:CTRの改善を行うメインキーワード “keyword 1″と合わせて、対策できる余地がないか検討する
  2. (検索順位に対して)CTRが高いキーワード:CTRの改善を行うメインキーワード “keyword 1″によって、CTRが下がる可能性がないか検討する

前者は、具体的には、3行目の”keyword 1.1″、4行目の”keyword 1.2″、などの(検索順位に対して)CTRが低いキーワードについて、メインキーワード “keyword 1″の対策と合わせてCTRの改善できる余地があるか考慮するという意味です。

後者は、具体的には、最後の行の”keyword 1.8″など、(検索順位に対して)CTRが高いキーワードにについて、メインキーワード “keyword 1″の対策によってCTRが落ちる可能性があるか考慮するという意味です。

このような確認を行う理由は、一つのキーワードだけを意識してCTRの改善を行うと、他のキーワードでCTRが悪化し、ページ全体としてCTRが悪化してしまう可能性があるためです。したがって、CTRの改善を行う際は、上記のようなキーワードも複合的に考慮し、ページ全体としてCTRを上げるためのページタイトルをつけることが重要です。

STEP 3. 原因の仮説を立てる

次に、(検索順位に対して)CTRが低いキーワードについて、現在CTRが低くなっている原因を考えます。この工程では、まず優先的にCTR改善を行うメインキーワードで検索し、検索結果に表示されるページを確認します。

検索結果を見るとよくわかりますが、CTRは他社サイトとの比較によって決定します。

例えば、自社のページに魅力的なタイトルをつけていると思っていても、自社と同じようなタイトルの他社サイトが上位に表示されている場合、そのページはクリックされづらいと言えます。なぜなら、同じようなタイトルのページが2つある場合、単純に検索順位が高いページがクリックされやすいためです。

したがって、自社のページを以下のような観点から確認し、現在のページタイトルの問題点を洗い出します。

  • 独自性のあるタイトルになっているか(上位表示されている他社のページとタイトルが被っていないか?)
  • サイトに訪れてほしいユーザーが求める情報がページ内に含まれていることを暗示できているか?
  • 簡潔でパッと見て意味が理解できるか?

STEP 4. ページタイトルを変更

次に上記で洗い出した課題を元に、改善策を考えます。改善策を考える際の具体的なテクニックは、記事の後半で説明します。

ここで注意するべきことは、タイトルの変更によって、STEP 2で分類分けした2つのキーワードに与える影響です。つまりメインキーワードでは、CTRが改善しそうだが、その他のキーワードでは、CTRが下がってしまいそうな場合、その改善案は優れたものではないと言えます。

同様に、メインキーワードでも、その他のキーワードでもCTRの改善が見込めそうな改善案は、優れたものであると言えます。もちろん、タイトルの変更により全てのキーワードに対するCTRが上がることは考えにくいため、メインキーワードを中心に、特に注力したいキーワードを軸にタイトル改善案を考えます。

ここで考えた改善案を当該のページに設定します。合わせて、Googleサーチコンソールでインデックス登録のリクエストも行いましょう。変更したページタイトルが、早く検索結果に反映させるためです。

STEP 5. 効果検証

変更したページタイトルによって、CTRが上がったのか検証します。

検証のために必要な期間は、約1ヶ月〜3ヶ月程度です。これは検索ボリュームに応じて、データの蓄積速度が変わるため、それまでのデータと比較するために十分なデータが取れるだけの期間が必要になります。

ここで、意図通りCTRが改善しなかった場合、再度STEP 3で洗い出した課題を見直し、別の改善策を実行します。このステップを繰り返すことで、CTRを改善します。

 

英語ページのクリック率(CTR)を上げるタイトル付け方

最後に、英語ページのクリック率を上げるタイトルの付け方を4つ紹介します。

テクニック1. タイトルは検索キーワードから始める

基本的に、ページのタイトルはユーザーの検索キーワードを含めることはもちろんですが、そのキーワードから始まるものをつけたほうがクリック率は上がりやすい傾向があります。

例えば、貴社が精密切削加工(precision cutting)を提供する会社で、精密切削加工のサービス紹介ページにつけるタイトルとして、以下の2つを考えました。

  • Precision Cutting: Upgrade your Products with Our Service
  • Upgrade Your Products with Our Precision Cutting Service

上記の2つのタイトルは、同じようなメッセージを伝えていますが、私の経験則では、前者のタイトルの方がクリック率が高いと言えます。なぜならユーザーは、”precision cutting”という検索キーワードを使用しているため、当該のキーワードがパッと見て入っているページをクリックする可能性が高いと考えられるからです。

実際にこのタイトル変更を行うだけでも、CTRが5%以上改善した事例もあり、再現性が高い改善方法だと思います。

テクニック2. 短縮表現を活用する

ページのタイトルを、簡潔で直感的にわかりやすくするために、短縮表現を使う方法があります。

短縮表現とは、以下のような表現方法です。

種類 方法 具体例
頭文字 各単語の最初の文字だけで表す方法 HVAC: Heating, Ventilation, and Air Conditioning
略語 一部の文字を省略する手法 Information: Info.
Number: No.
記号・数字 文字の代わりに記号や数字を使用する方法 and: &
B to B: B2B
シンプルな表現 シンプルでわかりやすい表現を使う Understanding the Basics of ~: ~ 101, The ABCs of ~
Difference between A and B: A vs. B

このテクニックを使う際に注意することは、対策する検索キーワードに対して省略表現を使用しないことです。Googleにきちんと対策キーワードを伝えるためにも、対策する検索キーワードは正確な表現でタイトルに含めることをおすすめします。

あくまで、これらの表現は、対策する検索キーワード以外の場所で使い、タイトルを簡潔にするためのテクニックとして使う方が安全だと思います。

テクニック3. 主題+副題方式を使う

英語では「:(コロン)」を使うことで、タイトルを主題と副題に分けることができます。

例えば、先ほどの例同様に貴社が精密切削加工(precision cutting)を提供する会社で、精密切削加工のサービス紹介ページにつけるタイトルとして、以下の2つを考えました。

  • Precision Cutting: Upgrade your Products with Our Service
  • Precision Cutting Service for Next-level Quality Products

前者と後者でメッセージは同じですが、前者の方が主題と副題を使用することで、タイトルにメリハリが出ます。(少なくとも私はそう感じます)このようなタイトルとつけることで、ユーザーが直感的にページの意味を理解できると思います。(実際このようなタイトルの付け方はよく見かけます)

テクニック4. 疑問文を使う

特にブログ系のページで有効なテクニックとして、疑問文を使う方法があります。

ここでも、先ほどの例と同様に貴社が精密切削加工(precision cutting)を提供する会社で、今回は、精密切削加工に関する基礎知識をまとめたブログページにつけるタイトルとして、以下の2つを考えました。

  • “What is Precision Cutting? A Beginner’s Guide to the Fundamentals
  • A Beginner’s Guide to Precision Cutting Techniques

こちらも両者のメッセージは同じですが、前者のタイトルはまさに読者の頭の中の疑問がそのままタイトルとして現れているため、ドンピシャな疑問を持つユーザーからのクリック率が上がりやすいと考えられます。実際に、海外のブログ系の記事では上記のような疑問文形式のタイトルのページをよく見かけます。

まとめ

英語SEO対策におけるクリック率の上げ方について解説しました。CTRは一気に全てのページを改善するのではなく、まずは1つのページで取り組んでみることで、感覚がつかめると思います。

SEO対策においては、検索順位に加えてCTRも改善することで、検索からの流入も増え、検索順位の向上も見込めます。時間と労力をかけて作ったページを無駄にしないためにも、CTRも重要な指標の一つとして認識いただければと思います。

弊社(テクノポート株式会社)では、製造業向けの「海外SEO対策コンサルティング」サービスを提供しています。
無料相談」も実施していますので、お気軽ににお声がけいただければ嬉しく思います。

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海外向けWebサイトの分析・改善の進め方【回遊率の改善編】

テクノポート株式会社の稲垣です。
海外Webマーケティング」サービスの責任者を務めています。

この記事では、海外向けWebサイトの「回遊率」の改善手法について、解説します。

 

「回遊率」とは?

「回遊率」とは、Webサイトやアプリ上でユーザーが複数のページまたはスクリーンを訪れる割合を指す指標です。一般的には、1回のセッション(訪問)中にユーザーが2ページ以上を訪れる割合を表します。

回遊率の計算方法は以下の通りです。

回遊率(%) = (2ページ以上を訪れたセッション数 / 全セッション数) × 100

回遊率が高いことは、ユーザーが興味を持って複数ページを見てくれたと解釈できるため、一般的には回遊率は高い方が望ましいと言えます。(1ページ完結型のランディングページや、問い合わせフォームのページは例外です。)

回遊率の逆数として「直帰率」という概念があります。直帰率の定義は、以下の通りです。

直帰率(%) = (1ページのみ訪れたセッション数 / 全セッション数) × 100 (= 100 – 回遊率)

なぜ「回遊率」が重要なのか?

結論、回遊率を改善することが、コンバージョン数(例:問い合わせ数)の改善につながるからです。

一般的に、Webサイトからの獲得できるコンバージョン数は以下の計算式で試算できます。

コンバージョン数 = インプレッション数 × クリック率 × コンバージョン率

回遊率の改善は、この中でもコンバージョン率の改善に影響する指標であるため、回遊率の改善は、コンバージョン数の改善につながります。

Webサイト改善の詳しい考え方は、こちらの記事を参照ください。

改善の進め方

具体的な改善の進め方を解説します。基本的な流れは以下の通りです。

  1. 回遊率を改善するべきページを決める
  2. 回遊先のページを決める
  3. 現状の回遊率を調べる
  4. 離脱の原因を考える(仮説を立てる)
  5. 改善施策を実行する(仮説を検証する)
  6. 施策の効果を検証する

1. 回遊率を改善するべきページを決める

まず、回遊率を改善するべきページを決めます。この工程を行うべき理由は、ページによって回遊してほしい場合とそうでない場合があるためです。

例えば、回遊率を低くするべきページとして、以下のようなものがあります。

  • ランディングページ(流入口と問合せフォームが一体となったページ)
  • お問い合わせフォーム

これらのページにおいては、ページ内でユーザーの行動を完結させることが目的であるため、以下にユーザーを離脱させないか、という視点でページの改善を行います。

回遊率を改善するべきページを見極めるための方法として、以下のような「バブルチャート」を使う方法があります。

このバブルチャートは、横軸にページの視聴回数(=ページビュー数)、縦軸にコンバージョン数(ページを経由して発生したコンバージョンの回数)をとり、サイト内の各ページをプロットしたグラフです。(バブルの大きさは、ページに訪れたアクティブユーザーの数を示します)

このグラフの赤い線の下側に位置するページは、「視聴回数は多いが、コンバージョン率は低いページ」であり、その逆の赤い線の上側に位置するページは「視聴回数は少ないが、コンバージョン率は高いページ」です。

ここで、回遊率を改善するべきページは、前者のページであると言えます。なぜなら前者のページから後者のページへの回遊を強化することで、獲得した視聴回数をより効率的にコンバージョンへつなげることができるためです。

上記のようなグラフを活用し、回遊率を改善するべきページの優先順位を決定し、次項以降の改善施策を実行します。

2. 回遊先のページを決める

1のステップで選定したページに対して、回遊先のページ(当該のページに訪れたユーザーに対して、回遊を促したいページ)を決めます。

回遊先のページを決める上で重要なことは、ページに訪れたユーザーの興味関心に沿ったゴール(回遊先)を設定することです。

例えば「“Rapid Prototyping”について解説するページ」に訪れるユーザーは、次のような興味関心を持っていると想像できます。

  • Rapid Prototypingについて知りたい(=情報収集)
  • Rapid Prototypingができる会社が知りたい(=会社探索)

上記のような興味関心のあるユーザーが、次に興味を持ちそうなページの例としては以下のようなものがあります。

  • Rapid Prototypingサービスのページ(イメージ
  • Rapid Prototypingのホワイトペーパー(お役立ち資料)ダウンロードページ(イメージ
  • Rapid Prototypingと類似の工業技術の解説ページ(イメージ

もしくは先ほどのバブルチャートにおける「視聴回数は少ないが、コンバージョン率は高いページ」の中から、ユーザーの興味関心に近いものを選定する方法もあります。

このように、ページに訪れるユーザー心理状況を先読みし、彼らが次に興味を持つであろうことの中から自社にとって回遊を強化したいページを回遊先に設定します。

3. 現在の回遊率を調べる

1と2のステップで、回遊の経路(起点となるページとゴールとなるページ)が決定します。次に行うことは、この経路における現在の回遊率を調べることです。

具体的には、Google Analytics 4の「探索」という機能を活用します。(詳しい設定方法は割愛します)

こちらの機能を使用しレポートを作成すると、上記のような表を作成できます。

この表は、起点となるページからゴールとなるページへの回遊率(ここでは完了率)を示しており、起点に訪れたユーザーの中で、何人のユーザーがゴールまでたどり着いたかを把握できます。

上記の例では、流入ユーザーの内訳として「デバイスカテゴリ」を設定することで、流入したユーザーが使用するデバイスごとに数字を把握することができます。(これはこの後解説する離脱の原因を考える際にヒントになります)

4. 離脱の原因を考える(仮説を立てる)

次に、定めた経路において離脱が発生する原因を考えます。

原因を考えるために最初にするべきことは、当該のページに訪れたユーザーの気持ちになって、実際にページを操作してみることです。ここで感じたちょっとした違和感、操作性の悪さをもとに、ユーザーの離脱が発生する原因仮説を立てます。

例えば、以下のようなイメージです。

  • リンクの設置場所が不明瞭で気づきにくい
  • 関連製品、情報に関するリンクが設置されていない
  • 欲しい情報にたどり着くまでのスクロール距離が長すぎる

上記のような仮説を立てた次に、仮説の確からしさを「ヒートマップ」を使って検証します。ヒートマップを使用することで、上記の仮説で想定したような行動をユーザーが実際に取っているかを確かめます。(検証項目の名称はツールによって異なります)

原因仮説 ヒートマップにおける検証項目
リンクの設置場所が不明瞭で気づきにくい ・クリックマップ(当該リンク箇所のクリック回数の確認)
・レコーディング(当該リンク周辺におけるユーザーの動きを観察)
関連製品、情報に関するリンクが設置されていない ・熟読マップ(当該箇所を熟読はしたが何もアクションを起こさず離脱しているユーザーがいないか確認)
欲しい情報にたどり着くまでのスクロール距離が長すぎる ・スクロールマップ(当該箇所までたどり着かずに離脱したセッションの割合を確認)

上記のような検証を加えることで、実際に自分が感じた違和感を他のユーザーも同じように感じていないかを確かめることができます。(ただしヒートマップを見ても、実際のユーザーの心理状況まではわからないため、最終的には感覚と経験を元に判断します)

なお各種検証項目については、GA4にて設定を行うことで、同様のデータが取得できます。(以下の例は、GA4にて作成したスクロール率レポートの例です)


これらのレポートは、原因の仮説を持たないまま見始めるとどれだけ時間があっても分析しきれません。そのため、ある程度仮説に目星をつけた状態で、その仮説を検証する目的で使用することをおすすめします。

5. 改善施策を実行する

4で立てた原因仮説を改善するための施策を考えます。

施策は、以下のような情報をある程度収集した状態で考えることをおすすめします。

  • 競合他社のWebサイトの仕様
  • Webマーケティング関連の書籍で紹介された手法
  • 他のページで実施し、効果のあった施策

例えば、4で出てきたような仮説を改善するための施策の例を紹介します。

原因仮説 ヒートマップにおける検証項目
リンクの設置場所が不明瞭で気づきにくい ・クリックできることがわかるような装飾を行う(例:マウスホバーをした際の動きを加える)
関連製品、情報に関するリンクが設置されていない ・当該のページを訪れたユーザーの興味関心に沿ったページのリンクを設置する
・関連製品ページへのリンクを設置する
欲しい情報にたどり着くまでのスクロール距離が長すぎる ・ユーザーが興味を持って読んでくれる情報、ユーザーに優先的に見せたい情報をページの上部に配置させる

上記のような改善施策の中でも実行が容易であり、かつ効果のありそうなものから順に実行していくことをおすすめします。

6. 施策の効果を検証する

最後に、5の施策を実行後に一定期間を置き、効果を検証します。

検証方法は、3のステップで紹介した通りです。加えて、ヒートマップでも検証後のページにおけるユーザーの動きを調査し、こちら側が意図したような動きをするユーザーが増えたか確認します。

この時点で改善が確認できない場合、まず以下の2つの可能性が考えられます。

  1. 原因仮説が間違っていた
  2. 原因仮説は合っていたが、改善施策が間違っていた

1、2の可能性が考えられる場合、再度4または5のステップに戻り、やり直します。

また上記2つ以外の可能性として、そもそもの経路設定(起点とゴールとなるページの設定)に無理がある場合もあります。例えば、リンクを踏んでもらうことをゴールにしていたが、やはりそのページ内で直接コンバージョンしてもらう方が、コンバージョン率の向上が見込めるケースもあります。

上記のような可能性も考え、次の方針を決定し、必要に応じて見切りをつける姿勢も大切だと思います。

海外向けWebサイトの離脱発生要因

最後に、海外向けWebサイトならではの離脱の発生要因を2つ紹介します。

1. 言語による離脱

1つ目は、言語による違和感で離脱が発生するケースです。具体的に以下の2つのパターンに分類できます。説明をわかりやすくするために、英語を例に説明します。

  1. 英語ネイティブが非ネイティブが作った英語サイトを訪れる場合
  2. 英語非ネイティブが英語ネイティブが作った英語サイトを訪れる場合

上記の場合、非ネイティブが作った英語文章に違和感を抱き、コミュニケーションの壁を感じ離脱してしまうパターンです。(日本人が外国企業が作った日本語Webサイトを見たときに抱く違和感と近いです)

後者の場合は、非ネイティブにとってもわかりやすいWebサイトを作ることが必要です。特にグローバルサイト(特定の国に対象を絞らないサイト)において重要です。

上記2つに共通する解決策としては、視覚的、客観的な情報を中心にページを構築することです。製品の写真や仕様を表す数値は、誰が見ても同じように解釈できるため、積極的に活用した方が良いです。

2. アクセス速度による離脱

海外向けのWebサイトでは、サーバーの設置位置によりアクセス速度に差が生じます。

つまり、サーバーの設置位置が遠い地域に住んでいるユーザーがWebサイトにアクセスした場合、近い地域に住むユーザーよりも表示速度が遅れる場合があります。

海外Webサイトのサーバーの選び方、速度が与える影響は、以下の記事で解説していますので興味のある方はご参照ください。

まとめ

今回の記事では、海外向けWebサイトの回遊率の改善の進め方を解説しました。

この記事を含めて、私の執筆する記事ではノウハウの更新に応じて、随時内容を更新するので、定期的に見に来ていただけると幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

弊社では、BtoB企業様向けに「海外向けWebサイトの改善支援」サービスを提供しております。
無料相談」も実施していますので、ご興味のある方はからお気軽にご連絡いただければと思います。

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海外向けGoogleリスティング広告の運用戦略を徹底解説

テクノポートの稲垣です。現在「海外Webマーケティング」のサービス責任者を務めています。

この記事では、海外向けのGoogleリスティング広告の運用戦略について、解説します。

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Google広告を選ぶメリット

まず数ある広告媒体の中でも、個人的にGoogle広告が優れていると思う点を紹介します。

1. 機械学習の精度の高さ

定量的にどこがどう優れているという議論はできませんが、やはりGoogle広告の機械学習の精度は、年々高まっていると感じます。

特に記事後半でも解説する「自動入札戦略」を適用し、一定の期間運用を続けることで、管理者側で細かくチェックをすることなく高い水準でコンバージョンを獲得してくれる印象があります。

この機械学習の精度の高さは、Googleに所属するエンジニアの技術力の高さはもちろん、世界中のGoogleユーザー、Google広告運用者から膨大なデータを集めれることが大きく関係していると考えます。(データ量が多ければ多いほど、学習のスピードも精度も高まるため)

また一昔前まで、無駄クリックが増えることで嫌煙されがちであった「部分一致」によるキーワード入札も、現在では自動入札戦略と組み合わせて使用することで効果が出やすいキーワードとGoogle公式でも推奨されています。

部分一致キーワードでスマート自動入札キャンペーンを促進する

部分一致キーワードは、コンバージョン数の最大化、コンバージョン値の最大化、目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果など、スマート自動入札戦略と組み合わせて使用すると効果的です。

最適化を促進するためにマッチタイプで分割する必要はありません。検索語句ごとにオークションの入札単価が設定され、検索語句の有効性に合わせて入札単価が調整されます。部分一致キーワードを適用すると、機械学習による学習速度が高まるため、成長目標達成に役立つさらに多くのオークションを特定できます。部分一致キーワードの詳細

引用元:スマート自動入札について

2. 圧倒的なシェア

全世界における圧倒的なシェアもGoogleの大きな強みと言えます。

以下のグラフは、2023年4月における世界の検索エンジンのシェアを示したグラフです。

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

一目見てわかるように、Googleのシェアは圧倒的です。すなわち、Google広告を使用することで、Googleを使用する世界中のユーザーに対して広告を配信できます。

また利用者が多いということは、その分他の広告媒体よりデータが集まりやすいと言えます。例えば、自社の製品に対して興味関心のあるユーザに絞って広告を配信を行いたい場合、Google広告を利用することで、競合他社の広告配信結果などのGoogle内に溜まったデータを利用し、短い学習期間で精緻なターゲティングを行えます。

3. 高度な測定・分析が可能

広告の配信結果として得られるデータの観点からも、Google広告は優れていてると言えます。

例えば、以下の「オークション分析」という機能を利用することで、自社が出稿している広告が、競合の広告に対してどれだけの認知(インプレッション)を獲得できているか、というデータを確認できます。(これはYahoo!広告では利用できないデータです)

このデータを活用することで、競合他社の広告と比較した際に、自社の広告の配信状況を客観的に把握できます。

例えば、広告の配信を始めたが思ったよりもクリックが集まらない時に、現在インプレッションを多く獲得している競合の広告の見出し、ディスクリプション、ページの内容を確認し、広告の品質スコアを改善する際の参考として活用できます。

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海外向けGoogle広告配信時の戦略

これまでの運用経験を基に、海外向けにGoogle広告を利用し集客を行う場合のポイントを3つ紹介します。

1. キーワードの精査に最も時間をかける

これはSEO対策のキーワードの選定の記事でも解説しましたが、キーワードの選定に最も時間をかけることをおすすめします。

具体的な手順はその記事で既に解説しているため、ここではキーワードの選定時によくある失敗パターンを紹介します。(なお英語キーワードについての話です)

パターン1:BtoCキーワードを誤って選定

BtoB向けの製品・サービスを扱っている場合、自社製品の英語直訳がBtoC向けの別の製品を表すパターンです。

例えば、日本語「ストレーナー」という単語は、一般的に「プラント業界における配管の中に流れる異物を除去するための濾過装置」としての意味で使用されます。そのため、当該のキーワードを日本のGoogleで検索すると、以下のように、BtoB向けの配管の画像が検索結果として多く表示されます。

引用:ストレーナー – Google 検索

一方、ストレーナーの直訳にあたる英語「Strainer(s)」を、アメリカのGoogleで検索した結果が以下です。

引用:strainer – Google Search

検索結果からわかるように、「Strainer(s)」は家庭用の「こし器」に近い意味で一般的に使われている言葉だと推測できます。日本語の「ストレーナー」にもこのような意味で使用される場合もありますが、単語が持つニュアンスとしては、両者に違いがあることが分かります。

すなわち、日本語キーワードの「ストレーナー」をそのまま英訳し「Strainer(s)」というキーワードで広告出稿を行なってしまった場合、全く意図していない一般家庭のユーザーによって広告がクリックされてしまう可能性が生じます。これは特にカタカナ英語を直訳した際に生じやすいミスだと言えます。

パターン2:日本語にはない別の意味が存在

別のパターンとして、1つの単語が複数の意味を持つ場合にも注意が必要です。

例えば、”ag film”という英語には、以下の2つの解釈が存在します。

  1. Anti Glare Film(アンチグレア(=防眩)フィルム)
  2. Agricutural Film(生分解性プラスチックを使用した農業用フィルム)

一般的に日本語で「AGフィルム」という製品は、前者の「アンチグレアフィルム」という意味で使用されます。したがって後者の「農業用フィルム」という、意味は日本語にはない英語独自の解釈だと言えます。

この場合、仮に”ag film”というキーワードで広告出稿を行うと、日本語の「AGフィルム」を探すユーザーに加えて「農業用フィルム」を探すユーザーからもクリックが発生してしまう可能性が生じます。このようなケースは、今回の例のような略語が製品名に使用される場合、よく起こります。

これらの例で解説したように、英語キーワードの選定は安易な直訳に頼ってしまうと、ターゲット以外のユーザーにも広告がクリックされてしまい広告の費用対効果が悪化する可能性があります。

対策

対策方法は至ってシンプルで「徹底的にニュアンスを調べる」ことに尽きます。

私がよく使用する情報収集の方法は以下です。

  • Google検索:当該のキーワードで上位に表示されるサイトの内容、検索者が求める情報を調べる
  • 画像検索:当該のキーワードで画像検索を行い、上位に表示される画像から単語がもつ一般的なニュアンスを推測する
  • キーワード調査ツール:Ubersuggestなどの、キーワード調査ツールを使用し、特定のWebページが集客しているキーワードの情報を集める
  • Q&Aサイト:redditなどのQ&Aサイトにて、現地の技術者が回答している情報を参照
  • ChatGPT:キーワードのニュアンスの違いをダイレクトに質問

今回紹介した中でも、前者のような場合は、このような情報源を調べていくことで、製品を表す適当なキーワードが見つかります。

一方、後者のような場合、ピンポイントで特定の製品のみを表すキーワードを見つけられないことがあります。そのような場合は、掛け合わせキーワードを中心に選定する、広告見出し、説明文にて意味が一意に伝わるように工夫することで、無駄なクリックを抑えられます。

2. 地域別のデータを活用する

国内のGoogle広告でも同様ですが、特に海外では地域別のデータをうまく活用し、広告運用を行うことが重要です。

例えば、以下はアメリカ全土に向けて広告配信を行った際の、広告のクリック数の分布を示したヒートマップです。(円の大きさがクリック数の多さに比例しています)

こちらのヒートマップからわかるように、1つの広告を配信した場合でも、地域によってクリック数にはばらつきが生じます。また今回の例は「クリック数」でしたが、これは「広告のクリック率」「コンバージョン数(引き合いの数)」「コンバージョン率(引き合いの獲得率)」「クリック単価」「コンバージョン単価」などの指標にも、同じように州によってばらつきが生じます。

この要因について仮説を立て、検証を重ねることで、より広告の費用対効果を高められます。

例えば、ある州において広告のクリック数は多いものの、コンバージョン率が低い(=コンバージョン単価が高い)場合、その州において何かしら顧客が問い合わせをしにくい要因があるのではないかと予想します。(例:アメリカの中でもカリフォルニアにのみ販売拠点があり、ニューヨークに居住するユーザーからはコンバージョン率が低い、など)

このようにデータから予想した仮説をもとに、広告の配信設定を調整し、実施に効果が改善されるかを確かめます。この場合、コンバージョン率が低い州において、一時的に配信地域から除外し、全体のコンバージョン単価が改善するかどうか確かめる、といったイメージです。

3. 自動入札戦略の適用後はすぐに変更しない

これは細かい話ですが、Google広告においてキーワードを入札を機械学習を用いて自動化する「自動入札戦略」というものが存在します。(参照:自動入札戦略とは

この自動入札戦略は、適用後にすぐに効果を発揮するものではなく、適用後に一定の学習期間(約2週間)を経て徐々に精度が高まっていく、という特徴があります。したがって、一度自動入札戦略を適用してから大幅にクリック単価などの数値が上下した場合でも、まずは慌てることなく黙って様子を見る必要があります。

特に海外向けのGoogle広告においては、国内のそれよりもクリック単価が高くなりやすく、自動入札の適用後に急激に単価が上昇してしまうケースがあります。このような場合でも、慌てて戦略を変える前に、まず今が学習期間なのかどうか、ということを冷静に考え必要があります。

クリック単価については、国内よりも競合が多く、物価が高い国(例:アメリカ、ヨーロッパ)に対して広告配信を行う場合、特に高くなる傾向があります。

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まとめ

今回の記事では、海外向けのGoogle広告配信における戦略とポイントを解説しました。

この記事を含めて、私の執筆する記事ではノウハウの更新に応じて、随時内容を更新するので、定期的に見に来ていただけると幸いです。また弊社では、BtoB企業様向けに、海外リスティング広告運用代行サービスを行なっております。海外向け広告の企画設計から、実際の配信準備、配信後のデータ分析、改善提案まで丸ごとお任せいただけます。興味のある方は、無料相談からご連絡いただければと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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【地域別】海外のBtoB企業のランディングページ(LP)15選

テクノポートの稲垣です。現在「海外Webマーケティング事業」の責任者を務めています。

この記事では、世界3地域(ヨーロッパ、北米、アジア)の海外企業のランディングページの特徴を洗い出し、両者の違いを紹介します。

なお当記事におけるランディングページとは、広告出稿による集客を想定した縦に長い1ページから構成されるWebページを指します。

oveseas-landingpage

調査の観点

今回は主に以下の7つの観点からWebサイトの違いを調査します。

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス ランディングページで訴求している製品・サービスの種類
配色 ランディングページの配色
テキストの量 ランディングページ内に使用されている説明テキストの量
レイアウトの特徴 ページレイアウトの特徴
縦の長さ(px) ランディングページの縦方向の長さ(横幅は1,628pxで固定)
CTAの種類 CTA(Call To Action)の種類(例:問い合わせ、見積もり、カタログダウンロード)
その他の特徴 ランディングページのその他の目立った特徴

北米企業のランディングページ

Tourmaline(アメリカ)

出典:Landing page | Tourmaline Enterprises

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス 産業用印刷機器の製造・販売
配色 白が基調、黄緑がアクセントカラー
テキストの量 かなり少ない(説明に必要最小限の量)
レイアウトの特徴 スペースにゆとりがあり余裕がある
縦の長さ(px) 4,973
CTAの種類 問い合わせフォーム(埋め込み)
その他の特徴 ・Facebook Messangerによる自動チャット応答サービスあり

CREAFORM(カナダ)


出典:HandyPROBE Next | Portable CMM

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス 3次元測定用プローブ装置の製造・販売
配色 黒が基調、黄色がアクセントカラー
テキストの量 少ない、見出しだけ読めば大枠が把握できる
レイアウトの特徴 画像、動画、ロゴが使用されており直感的にわかりやすい
縦の長さ(px) 6,248
CTAの種類 問い合わせフォーム(別ページに遷移)
その他の特徴 ・問い合わせフォームがステップ式の入力

AXTONNE


出典:Urethane Casting

 

 

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス ウレタン樹脂の成形
配色 白が基調、水色がアクセントカラー
テキストの量 普通、異なる大きさのテキストがバランスよく使用されている
レイアウトの特徴 画像、動画、テキストの配置に無駄がなくバランスが良い
縦の長さ(px) 5,687
CTAの種類 見積もりを依頼する
その他の特徴 ・見積もりフォームの下に、主な納入先企業のロゴ、受賞歴を掲載(信頼性をアピール)
・チャットによる自動応答サービスあり

PROTOLABS

出典:Injection Molding at Protolabs

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス 射出成形の受託サービス
配色 白と紺が基調、オレンジ色がアクセントカラー
テキストの量 少ない、箇条書きが基本
レイアウトの特徴 テキストが箇条書きで簡潔にまとめられておりわかりやすい
縦の長さ(px) 2,433
CTAの種類 見積もりを依頼する、特定の製品の見積もりを依頼する
その他の特徴 ・見積もり依頼フォームに主な納入企業のロゴを掲載(有名企業が中心)

Fellowes

出典:Aeramax PRO – Cleaner air technology

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス オフィス向け空気清浄機の製造・販売
配色 白が基調、紺色がアクセントカラー
テキストの量 少ない
レイアウトの特徴 動画、画像が大胆に配置されており視覚的にわかりやすい
縦の長さ(px) 4,236
CTAの種類 問い合わせフォーム(埋め込み)
その他の特徴 ・テキストに余分な装飾がなく読みやすい

oveseas-landingpage

ヨーロッパ企業のランディングページ

SCHOTT(ドイツ)

出典:Finding the Perfect Solution | SCHOTT

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス ガラス素材を使った製品開発サービス
配色 白が基調、紺・青色がアクセントカラー
テキストの量 かなり少ない
レイアウトの特徴 動画、画像がページの中心に大胆に配置されている
縦の長さ(px) 6,561
CTAの種類 問い合わせフォーム(埋め込み)
その他の特徴 ・ページ内の各リンクから本体サイトの詳細ページに遷移

BTC Chemical Distribution(ドイツ)

出典:Accelothene / BTC

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス 射出成形用添加物の製造・販売
配色 白が基調、緑色がアクセントカラー
テキストの量 普通
レイアウトの特徴 画像とテキストがバランスよく大胆に配置されている
縦の長さ(px) 3,339
CTAの種類 担当者にメールを送信
その他の特徴 ・問い合わせフォームの代わりに担当者にメールが届く(担当者の名前にリンクが設置されている)

micrometal(ドイツ)

出典:High Volume Photo Chemical Etching – micrometal

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス エッチング加工の受託サービス
配色 白が基調、緑色がアクセントカラー
テキストの量 普通
レイアウトの特徴 画像とテキストがバランスよく大胆に配置されている
縦の長さ(px) 1,628
CTAの種類 なし
その他の特徴 ・セミナー参加を促すポップアップバナーが現れる
・問い合わせボタンがなく、本体サイトへの遷移リンクのみが設置されている

HAVER & BOECKER(ドイツ)

出典:Wire mesh patterns | Haver & Boecker: HAVER & BOECKER OHG: Haver & Boecker

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス 工業用金網の製造・販売
配色 白が基調、紺色がアクセントカラー
テキストの量 普通
レイアウトの特徴 画像とテキストをバランスよく配置、文字が細かい
縦の長さ(px) 3,808
CTAの種類 無料サンプル請求(埋め込み)
その他の特徴 ・ページの中身がコンパクトにまとまっており、問い合わせフォームまでのスクロール距離が短い

ELPRO(スイス)


出典:One-Site Monitoring

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス 工場、倉庫、クリーンルーム用環境測定システム
配色 白が基調、赤色がアクセントカラー
テキストの量 普通
レイアウトの特徴 画像とテキストがバランスよく配置されている
縦の長さ(px) 3,191
CTAの種類 デモを予約する(カレンダーから予約)
問い合わせフォーム(埋め込み)
その他の特徴 ・ページの中身がコンパクトにまとまっており、問い合わせフォームまでのスクロール距離が短い

oveseas-landingpage

アジア企業のランディングページ

FASIVE(中国)


出典:Vacuum Casting – FASIVE

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス 真空注型の受託サービス
配色 白が基調、紺色がアクセントカラー
テキストの量 少ない
レイアウトの特徴 画像、動画がゆとりを持って配置されている
縦の長さ(px) 8,259
CTAの種類 問い合わせフォーム(埋め込み)
その他の特徴 ・ページの中身、デザイン、レイアウトまで北米やヨーロッパ企業のデザインに近い

Creating Rapid(中国)


出典:Low Volume Rapid Prototyping Manufacturer – Creating Rapid

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス 試作品制作の受託サービス
配色 白が基調、オレンジ色がアクセントカラー
テキストの量 少ない
レイアウトの特徴 画像、動画がゆとりを持って配置されている
縦の長さ(px) 7,971
CTAの種類 問い合わせフォーム(埋め込み)
問い合わせフォーム(ポップアップ)
その他の特徴 ・ページの中身、デザイン、レイアウトまで北米やヨーロッパ企業のデザインに近い
・ファーストビュー部分に問い合わせフォーム(埋め込み)が設置されている

ALUPHANT(中国)

出典:CNC Machining Aluminum Parts Manufacturer | Aluphant

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス アルミニウムの機械加工サービス
配色 白が基調、紺色がアクセントカラー
テキストの量 普通
レイアウトの特徴 画像、動画がゆとりを持って配置されている
縦の長さ(px) 16,655
CTAの種類 問い合わせフォーム(ポップアップ)
その他の特徴 ・ページの中身、デザイン、レイアウトまで北米やヨーロッパ企業のデザインに近い
・ページの長さは今回調査したランディングページの中で最長

Trumonytechs(中国)

出典:Liquid Cooling Plates – Trumonytechs

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス 水冷プレートの製造・販売
配色 白が基調、オレンジ色がアクセントカラー
テキストの量 普通
レイアウトの特徴 画像、動画がゆとりを持って配置されている
縦の長さ(px) 5,691
CTAの種類 問い合わせフォーム(埋め込み)
カタログダウンロード(埋め込み)
その他の特徴 ・チャットに自動応答サービスあり

Fine Aluminum(中国)

出典:Aluminum Heat Sink Manufacturer-Fine Aluminum

調査項目 具体的な調査内容
製品・サービス アルミニウム製ヒートシンクの製造・販売
配色 白が基調、紫色がアクセントカラー
テキストの量 普通
レイアウトの特徴 画像、テキストをゆとりを持って配置(空白部分が多い)
縦の長さ(px) 9,158
CTAの種類 問い合わせフォーム(埋め込み)
問い合わせフォーム(ポップアップ)
その他の特徴 ・ページの中身、デザイン、レイアウトまで北米やヨーロッパ企業のデザインに近い
・問い合わせフォームの入力項目がかなり少ない

各地域のランディングページの特徴

デザイン

デザインの印象は、どの国と地域においても大きな違いはないと感じました。

個人的に驚いたのは、中国企業のランディングページが、北米・ヨーロッパ企業のランディングページのデザインに近いデザインを採用している点です。

ほとんどのランディングページはデザインを見ただけでは、中国企業のランディングページとは全くわからない仕上がりです。おそらく北米・ヨーロッパ地域の顧客に向けて制作されているため、顧客がパッと見た時に違和感を抱かないよう(離脱されないよう)に工夫した結果だと予想されます。

縦の長さ

北米・ヨーロッパ企業のランディングページは、情報が最小限に絞り込まれており、縦のスクロール量を極限まで少なくしようという工夫が見られます。(問い合わせフォームまでのスクロール量をなるべく短くするという意図と予想される)

一方、中国企業のランディングページは、ユーザーが知りたい(欲しい)と予想される情報は、ページ内で全て丁寧に解説されており、縦のスクロール量が長い印象があります。

後者のランディングページにおいても、サイドにフローティングメニューとして問い合わせボタンが設置してあったり、ファーストビュー部分、もしくはページの途中に埋め込みフォームがあったりという工夫が見られます。

その他の特徴

国と地域に関わらずAIを利用したチャットサービスを導入しているランディングページが複数確認できました。

またアメリカ企業のランディングページにおいては、見積もり依頼フォームページに納入実績のロゴ、受賞歴が表示されているパターンも発見しました。(フォームの離脱率を減らす対策だと考えます)

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まとめ

今回は、世界各地域のランディングページの違いを調査し、その結果を比較しました。個人的な感覚ではデザインに違いが現れるかと思いましたが、予想していたほどの違いはありませんでした。

特に中国企業のランディングページが北米・ヨーロッパ企業のデザインに近づいている印象があります。調査の結果から得られた知見を、海外向けランディングページ制作時に役立てていただければ幸いです。

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【BtoB企業】アメリカと日本のWebサイトの比較5選(デザイン・仕様の違い)

テクノポートの稲垣です。
現在「海外Webマーケティング事業」の責任者を務めています。

この記事では、アメリカ企業と日本企業のWebサイトの違いを、5つの実例を用いて紹介します。

BtoB企業の海外マーケティングならお任せください

overseas-web-marketing

調査の観点

今回は主に以下の5つの観点からWebサイトの違いを調査します。

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・Webサイトがアピールする重点はどこに置かれているか?(例:製品、サービス、顧客)
・Webサイトにおける製品のアピール方法に違いはあるか?
配色 ・Webサイトのメインカラー、差し色はどうなっているか?
レイアウト・情報量 ・Webサイトに掲載されている情報量、情報のレイアウトの特徴は?
その他 ・上記以外での特徴は?

Webサイトの日米比較5選

今回はBtoB企業のWebサイトを日米の順に、業界別で紹介します。それぞれのWebサイトの特徴を上述した4つの調査項目で評価しました。

1. 半導体企業

1-1. キオクシア(日本)

参照:キオクシア株式会社 ホーム | KIOXIA – Japan (日本語)

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・シンプルで無駄のないデザイン
・テキストベースの説明(画像は必要に応じて適宜使用)
配色 ・白を基調
・メリハリのある色使い
レイアウト・情報量 ・情報が見やすくきれいに整理
・図解も使用し丁寧で分かりやすい
その他 ・法人向けと個人向けの製品でグローバルメニューを区分

1-2. intel(アメリカ)

intel

参照:Intel | Data Center Solutions, IoT, and PC Innovation

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・クールで洗練されたイメージ
・製品の高性能、高速、といった機能を数値で訴求
配色 ・青、グレー、紫、黒系の落ち着いた色
レイアウト・情報量 ・テキストは多いが長文は少なく、シンプルで読みやすい
・各製品の仕様に関する必要なデータがWeb上で可能(カタログダウンロードの必要なし)
その他 ・Webサイトを閲覧開始して数分後にWebサイト評価への協力を求めるポップアップが出現する
・製品同士の比較機能あり

2. 建設機器

2-1. 小松製作所(日本)

参照:小松製作所 – 建設機械のコマツ

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・会社のビジョン(環境保護、教育への貢献)が全面に押し出されている
配色 ・白が基調
・清潔感のある印象
レイアウト・情報量 ・字が大きくシンプルで分かりやすい
・画像も大きさに余裕を持って配置されゆとりがある
その他 ・事業内容のページ構成が全て統一されており非常に見やすい
・製品の詳細情報をクリックすると、カスタマーサポートサイトへ飛ぶ

2-2. CATERPILLAR(アメリカ)

参照:Caterpillar | Caterpillar

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・ダイナミックで力強いイメージ
・製品と同じくらい働く社員の姿が出てくる
配色 ・白が基調
・コーポレートカラーの黄色が差し色
レイアウト・情報量 ・文字は小さく画像が主体
・文字を読まなくても直感的に分かりやすいレイアウト
その他 ・製品の詳細情報をクリックすると、製品情報サイトへ飛ぶ

3. 工作機械

3-1. DMG森精機(日本)

参照:DMG MORI

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・シンプルかつ近未来的な印象
・高性能かつ最先端、というイメージが強く伝わる
配色 ・白と黒が基調
レイアウト・情報量 ・文字は小さく画像が主体
・シンプルで無駄がない
・文字を読まなくても直感的に分かりやすいレイアウト
その他 ・各製品のページ閲覧回数とお気に入り登録数が確認可能
・加工ノウハウ/ナレッジがグローバルメニューの左端に配置されている

3-2. HURCO(アメリカ)

参照:CNC Machines | Machines Tools | Hurco CNC

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・クールで重厚感のあるイメージ
配色 ・黒と水色が基調
・製品情報ページは白が基調
レイアウト・情報量 ・文字は小さく文章による説明が主体
その他 ・ページによって基調となる色が分けられている

4. 産業用ロボット

4-1. ファナック(日本)

参照:ファナック株式会社 (FANUC CORPORATION)

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・分かりやすく柔らかいイメージ
・丸みを帯びたフォント、アイコン図も使用
配色 ・黄色と白が基調
レイアウト・情報量 ・文字による説明は最小限に抑えられている
・どのページも情報が整理されており見やすく分かりやすい
その他 ・画像と同じくらい動画による説明が豊富

4-2. ABB Robotics(アメリカ)

参照:Industrial Robot Supplier and Manufacturer | ABB Robotics

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・全体にスペースにゆとりがあり優雅なイメージ
・アイコン画像が多数使用され、柔らかい印象
配色 ・白が基調
レイアウト・情報量 ・文字による説明が中心
・全体にゆとりがあるため圧迫感は感じない
その他 ・ロボットの製品情報はWebShopにて掲載

5. 医療機器

5-1. オリンパス(日本)

参照:オリンパスグループ企業情報サイト

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・清潔感がありきれいに整理されたイメージ
・安心感を与えるイメージ
配色 ・白と紫が基調
レイアウト・情報量 ・各ページがコンパクトに情報が整理されており見やすい
・文字は少なく説明がシンプルで分かりやすい
その他 ・製品情報は医療従事者向けサイトにて掲載

5-2. Johnson & Johnson(アメリカ)

参照:Homepage | Johnson & Johnson

調査項目 具体的な調査内容
訴求方法 ・情報提供がメイン(製品、サービスが全面に押し出されていない)
・顧客との関係性を大事にしているイメージが伝わる
配色 ・白が基調
レイアウト・情報量 ・情報コラムが圧倒的に多い
その他 ・一般の消費者にも役に立つ情報が豊富

番外編

今回調べた日本企業の中でも、アメリカ法人と日本法人のWebサイトに別々のデザインを導入している企業を2社紹介します。

DMG MORI(アメリカ)

参照:DMG MORI USA – CNC machine tools for all cutting machining applications

日本法人Webサイトとの違い

  • 画像が大胆に配置され、躍動感があるイメージ
  • 情報コラムがアクセスしやすい位置に配置され、一般の消費者も意識したレイアウトを採用
  • 各ページの情報はきれいに整理され、非常に分かりやすい

OLYMPUS America(アメリカ)

参照:Olympus Corporation of the Americas | Olympus

日本法人Webサイトとの違い

  • 画像が大胆に配置され、ダイナミックなイメージ
  • 製品よりも働く人、顧客に焦点が当たっている
  • 文字が大きくシンプルで分かりやすい

調査結果

今回の日米Webサイト比較で得られた知見をまとめます。

日本 アメリカ
訴求方法 ・清潔感がありシンプル
・情報がきれいに整理されており分かりやすい
・製品・企業が中心で、人が登場するシーンはアメリカのWebサイトに比べると少ない
・業界によって訴求の方法に特徴が出る(力強いイメージ、クールで洗練されたイメージ)
・製品に加えて、働く人、顧客の顔写真を使用するサイトが多い
配色 ・白が基調
・コーポレートカラーを差し色として使用
・白が基調
・コーポレートカラーをメインカラーとして大胆に使用するサイトもあり
レイアウト・情報量 ・文字による説明はシンプルに必要最小限に抑えられている ・直感的に分かりやすい説明と、文字による詳細な説明部分が分かれている

まとめ

今回は、アメリカのWebサイトと日本語Webサイトの違いを調査し、その結果を比較しました。個人的な感覚ではもっと違いがあるのかと思いましたが、予想していたほどの明確な特徴の違いはありませんでした。

どちらかというと、日本企業のWebサイトがアメリカのそれに近づいてきている印象があります。調査の結果から得られた知見を、外国語Webサイト制作時に役立てていただければ幸いです。

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英語SEO対策の基礎(リライトの進め方)

テクノポートの稲垣です。現在「海外Webマーケティング事業」の責任者を務めています。この記事では、英語でSEO対策を行う際の「リライト(=公開済みの記事の加筆修正)の進め方」を解説します。

全体像

目的

リライトの主な目的は「既に公開されているページの検索順位を改善する」ことです。したがって、公開したものの「思ったように順位が上がってこないページ」に対して行う施策になります。

なぜ重要か?

一般的に、公開された記事のリライトはあまり重要視されないですが、私は新規のページを公開することと同じくらい価値のある作業だと考えます。

理由は、新規のページを作成するよりも少ない手間で大きな効果が見込めるためです。言い換えると、新規ページを作成し今まで全く対策してこなかったキーワードで上位表示を狙うより、現在ある程度の検索順位に表示されているページに加筆修正を加える方が、手間が少なく、成果が出やすいということです。これは日本語、英語変わらずです。

リライトするかどうかの判断

リライトをするかしないかの判断基準としては、以下のような状況が挙がられます。

  • 検索順位が10位以下が1ヶ月以上続いている
  • ページを公開(=インデックス登録)してから3ヶ月が経過している
  • (検索順位の下降により)オーガニック検索による流入が前月比で1,000件以上減少している
  • キーワードの月平均検索ボリュームが100以上(複数キーワードからリライトするページを選定する場合)

このような基準を設けることで、リライトをするかどうかの判断を迷わず行うことができます。

検索順位が上がらない要因

先にも述べた通り、リライトの主な目的は「検索順位の改善」です。(CTR(=ページのクリック率改善)、CVR(=問い合わせ率)の改善を目的にリライトを行う場合もありますが、この記事での説明は行いません)

すなわち、リライトとは検索順位が上がらない原因を特定し、必要な改善を加えること、とも言えます。したがって、適切なリライトを行うためには、検索順位が上がらない要因を知っておく必要があります。

結論、検索順位が上がらない要因は大きく以下の2つです。

  1. 検索需要に応えていない
  2. 発信者の権威性が足りない

順番に解説します。また最後には、英語サイト特有の検索順位が上がらない要因も解説しています。

1. 検索需要に応えていない

真っ先に考えられる原因はこれです。「検索需要」とは、キーワードを検索するユーザーが「検索結果に求める情報」のことを指します。

例えば「沖縄 4月」と検索するユーザーの検索需要は、以下のようなものが予想されます。

  • 4月の沖縄の気温が知りたい
  • 4月に沖縄を旅行するので、適切な服装が知りたい
  • 4月に沖縄を旅行するので、季節ならではの楽しみ方を知りたい
  • 4月に沖縄を旅行するので、飛行機のチケットを取りたい

実際に検索すると、上記のような検索需要を満たすためのページが検索結果の1ページに表示されています。(検索結果はこちら

「検索需要に応えていない」という言葉には、以下のようなパターンがあります。

1-1. そもそも言及がない

検索需要が予想できたとして、その検索需要に応えるための情報がそもそも記載されていないパターンです。

この場合の改善方法はシンプルで、検索需要に応えるための情報を載せましょう。基本的には、ページの構成を作成する際に、検索需要を列挙しておき、ページ公開時に言及しきれていない情報があれば載せる、という流れで進めましょう。

1-2. 既に言及されている

検索需要に応えるための情報は載せてあるが、既に検索結果の上位サイトで同じような言及がされている場合です。

この場合、既に検索結果の上位サイトが検索需要を満たしている状態です。すなわち、Googleからすると、上位サイトと同じ情報のみが掲載されている貴社のページを検索上位に表示させる理由がない、といった状態です。

この場合の解決策は、上位表示のサイトが満たしていない検索需要を満たしにいくことです。端的に言うと、貴社のページ独自の価値をユーザーに提供することです。

独自の価値と言っても、検索ユーザーが望んでいない情報を追加しても効果はありません。そのため、検索ユーザーの心理状況に対する仮説を立てて検証する、といった地道な改善活動が必要です。

1-3. 言及はあるが価値がない

検索需要に応えるための情報自体は記載されているが、需要に応えるために十分な情報がないパターンです。

例えば、1つの疑問に対して、数行のみの説明をしているページと、具体例、図解、ステップ毎の解説、など工夫を凝らして説明をしているページとでは、後者の方がより検索者の需要が満たされやすいと言えます。

また、定期的にデータを更新する必要があるページに関しては、「情報が古い」と言った要因も当てはまります。

この場合の解決策は、既にある情報を更新することです。例えば、説明に図解を加える、最新情報に更新する、が改善手法として考えられます。

2. 発信者の権威性が足りない

検索順位が上がらないもう一つの大きな要因として、情報発信者の権威性(信頼性)が挙げられます。

ここでいう「権威性」とは、ページに記載されている情報の確実性、発信内容が信頼できるかどうか、を表す指標とも言えます。

近年Googleをはじめとする検索エンジンでは、この「権威性」を検索順位を決定する要因として重要視する傾向が強まっています。(以下は、Googleのページ品質評価者が「権威性」を重視している、と明文化されている箇所です)

品質評価者は、Google が E-A-T と呼ぶ基準をコンテンツが満たしているかを判断するために特別な訓練を受けています。この基準は「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」を意味します。ガイドラインを確認することで、E-A-T の観点からコンテンツを評価して、検討すべき改善点を見つけられるかもしれません。

出典
Google のコア アップデートについてサイト所有者が知っておくべきこと  |  Google 検索セントラル ブログ  |  Google Developers

権威性には、以下の2種類があります。

  • 2-1. サイト単位の権威性
  • 2-2. ページ単位の権威性

順に解説します。

2-1. サイト単位の権威性

サイト単位の権威性とは、ページを公開しているサイトの権威性のことです。

例えば、全く同じ内容を記載しているページが2種類あり、1つは一般の方が運営するブログサイト、もう1つは、政府機関のWebサイトで公開されているとします。その場合、圧倒的に後者の方が検索結果の上位に表示されやすいと言えます。

なぜなら、政府機関のWebサイトはサイト自体の権威性が高く、サイト内に記載されている情報は信頼できる可能性が高いためです。すなわち、どれだけ検索需要を満たす記事を書いても、サイトの信頼性がない状態では、検索結果の上位に表示される難度は上がります。

サイトの権威性は、私の知る限り以下のような要因によって決定されます。

  • 被リンクの質(権威性の高いサイトから被リンクを受けているか)
  • 被リンクの関連性(同じ専門領域の他社サイトから被リンクを受けているか)
  • 被リンクの数(他社サイトから十分な数の被リンクを受けているか)
  • ドメインの種類(信頼できるドメインが使用されているか)

2-2. ページ単位の権威性

ページ自体の権威性のことです。

例えば、全く同じ内容を記載しているページが2種類あり、1つは一般の方が書くブログページ、もう1つは、法律の専門家が執筆、監修を行ったページだとします。その場合、やはり後者の方が検索結果の上位に表示されやすいと言えます。

理由は先ほどと同じく、後者のページの方が、ページ内に記載されている情報の正確性が担保されていると言えるためです。

これらの改善方法は、後半で解説します。

サイトの権威性、ページの権威性は、以下のようなサイトにて数値化することができます。
Free Domain Analysis SEO Tool | Domain Authority Checker – Moz

3. 英語サイト特有の要因

英語サイト特有の検索順位が上がらない要因を2つ紹介します。

3-1. ドメインの種類

英語サイトを作成し、海外向けにSEO対策を行う場合には、サイトのドメインの種類が検索結果に影響を与えます。例えば、日本企業のWebサイトで一般的に使用されている「.co.jp」ドメインは、日本国内の検索結果では上位に表示されやすいですが、国外では上位に表示されにくい特徴があります。海外SEO対策を行う場合は、ターゲットとする国と地域の種類に従って、適切なドメインを選定することが必要です。

詳しくは以下の記事で解説しています。

3-2. 表示速度

英語サイトを制作し、海外向けにサイトを公開する場合、海外からアクセスされた際の表示速度を考慮する必要があります。これは国内も同様ですが、海外の場合、地域によってサイトの表示速度が変わる可能性もあります。したがって、先のドメイン同様に対象とする地域に合わせて適切なサーバーを選択し、表示速度を改善することが求められます。

詳しくは以下の記事で解説しています。

英語ページのリライトの進め方

それでは、本題の英語SEO対策におけるリライトの進め方を解説します。

大きく以下の4つのステップで行います。

  1. 検索順位を確認
  2. 検索順位が上がらない原因を推測
  3. 解決施策を立案・実行
  4. 再び検索順位を計測

順番に解説します。英語SEO対策を行う上で注意するべきことを、重点的に解説しています。

1. 検索順位を確認

まず、現在SEO対策を行っているキーワードにおける、自社サイトの検索順位を確認します。英語サイトを使用した海外SEO対策の場合、海外の検索順位を取得する必要があるため、国ごとの検索順位が取れるツールを使用します。私はUbersuggestというツールを使用し、国ごとの検索順位を追跡しています。

Google公式の「Google Search Console」というツールも、対象の国でフィルターをかけることで、国別の検索順位を把握することができます。

まずこの工程で、対象のページにリライトを行う必要があるのかを判断します。仮に検索順位が上がっていない場合、次のステップに進みます。

2. 検索順位が上がらない原因を推測

検索順位を確認した結果、検索順位が上がっていない場合、原因を推測します。この記事の前半部分の解説した要因の中から、特に検索順位に与える影響が大きく、かつ改善活動が実行しやすい原因を優先的に改善します。英語SEO対策においては、国内以上に原因の候補が増えるため、検索順位の改善活動は難しいです。したがって根気強く、一つ一つ原因に対処していく姿勢が求められます。

また、狙っているキーワード自体が英語SEO対策に適していない可能性もあります。例えば、先ほど紹介した「E-A-T」が重視される分野においては、信頼のおける期間が運営するWebサイトではないと、そもそも上位表示が難しい可能性もあります。

したがって、英語SEO対策を行うキーワードで、自社のサイトで上位に表示される可能性があるのかを見極め、可能性が低いと判断した場合は、キーワードを変えるという施策も必要です。

3. 解決策を立案・実行

先のステップで推測した、検索順位が上がらない要因を改善するための解決策を考えます。

要因の種類 要因 考えられる解決策
検索需要 言及がない ・検索需要を洗い出し、ページに足りない情報を追記する
・足りない内容を補足するための記事リンクを設置する
他社サイトで言及済み ・ページ独自の価値になる情報を追記する
・他社サイトで言及のある内容に、新しい知見、データを追記する
言及はあるが価値がない ・既存ページのコンテンツの説明を工夫する
・ページ内の情報を最新のものに更新する
権威性 サイト単位の権威性 ・サイト全体に対する被リンクを増やすための活動を行う
ページ単位の権威性 ・ページに対する被リンクを増やすための活動を行う
・ページ内に監修者が分かるような記載を加える
英語サイト特有 ドメインの種類 ・国内企業ドメイン「.co.jp」からグローバルドメイン(例:.com)、現地企業ドメイン(例:.co.us)に切り替える
表示速度(国別) ・対象地域に設置されているレンタルサーバーを使用する
・クラウドサーバーを使用し、地域設定を変更する

補足

  • 被リンクの獲得方法については、後日詳細を別記事で解説予定です。
  • 表示速度については、サーバーだけの問題ではなく、サイト内のコーディングにも影響を受けます。各国からの表示速度を測定し、特定の国からの表示速度のみ遅い場合は、上記の改善施策が有効です。

4. 再び検索順位を計測

施策の実行まで行った後は、再度検索順位を測定します。

通常、1ヶ月もあればリライトの結果が検索順位に反映され、再び順位が動かなくなります。ここで検索順位の改善が見られない場合、再び1のステップに立ち返り、改善施策を実行する、という形で一つ一つ原因を潰していきます。

まとめ

英語SEO対策における、リライトの進め方を解説しました。英語SEO対策における特有の原因として、ドメインの種類、国別のサイトの表示速度を紹介しました。

今後の記事でも、海外SEO対策に役立つ情報を発信する予定です。海外SEO対策を任せられる業者をお探しでしたら、お気軽にテクノポート株式会社にお声がけいただければ嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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【実験】サーバーの設置場所・種類がWebサイトの表示速度に与える影響

テクノポートの稲垣です。現在「海外Webマーケティング事業」の責任者を務めています。

英語サイトのサーバー選定を行う上で、個人的に気になっていることを調査しました。

背景

英語サイトを活用して、本格的に海外Webマーケティングを進める際「どのサーバーを選べばいいのかわからない」という疑問が生じると思います。

今回はその疑問に答えを導き出すための実験を行いました。

実験の目的

実験の目的は以下の2つです。

  1. 「サーバーの設置場所」がWebサイトの表示速度に与える影響を調査する
  2. 「サーバーの種類・性能」がWebサイトの表示速度に与える影響を調査する

仮説

今回の記事で検証する仮説は以下の2つです。

  1. サーバーの設置場所とWebサイトの表示場所までの直線距離が近ければ近いほど、Webサイトの表示速度は速くなる(逆も然り)
  2. 国内の共有サーバーに比べて、海外企業が運営するクラウドサーバーのほうが、海外からのWebサイトの表示が早い

実験条件

実験条件を以下にまとめます。

表示速度測定に使用するWebサイト

サイト名 使用しているサーバー プラン サーバー設置場所(インスタンスの位置)
サイトA(日本語サイト) エックスサーバー スタンダード Tokyo, Japan
サイトA(英語サイト) AWS Amazon Lightsail Tokyo, Japan
サイトB(日本語サイト) シン・レンタルサーバー ベーシック Tokyo, Japan
サイトB(英語サイト) AWS Amazon Lightsail Ohaio, USA

補足

  • AWS(Amazon Web Servervices)とは、Amazonが運営するクラウドサーバーサービス
  • 「サーバーの設置場所(インスタンスの位置)」とは、共有サーバー(エックスサーバー、シン・レンタルサーバー)の場合、サーバーのデータセンターが設置されていると思われる場所(国内であることは確かだが、正確な位置は不明)
  • 「サーバーの設置場所(インスタンスの位置)」とは、AWSの場合、インスタンスを起動する「リージョン」のこと(共有サーバーのデータセンターの設置場所と同じような概念)
  • サーバーの契約プランは、それぞれのWebサーバーの最安のもの

表示速度測定ツール、測定項目

表示速度測定ツールには、世界各国からのWebサイトの表示速度を測定できる「WebPageTest」というサイトを使用しました。測定項目は以下の通りです。

項目名 説明
First Byte 表示リクエストの送信後、サーバーから最初の1ビットのデータを送り返すのにかかる時間
Start Render 空白ページから、コンテンツが初めて表示されるまでの時間
FCP(First Contentful Paint) ページの読み込みが開始されてからページ内のコンテンツのいずれかの部分が画面上にレンダリングされるまでの時間
Speed Index ページのファーストビューが見えるまでにかかった時間
LCP(Largest Content Paint) ページの重要なコンテンツが表示されるまでにかかった時間
CLS(Cumulative Layout Shift) 表示されるページコンテンツにおける予期しないレイアウトのずれの量
TBT(Total Blocking Time) タスクの処理時間が50ミリ秒を上回った場合の、コンテンツの初回描画から操作可能になるまでの合計時間
Total Bytes ページの表示に要したデータ量

参照

実験方法

サイトAおよびサイトBを以下の2つの条件で測定し、結果を比較します。

実験1:「サーバーの設置場所」が表示速度に与える影響

サイトA(英語サイト、AWSのインスタンス:Tokyo)および、サイトB(英語サイト、AWSのインスタンス:Ohaio)を、世界6都市から測定する。

実験2:「サーバーの種類」がWebサイトの表示速度に与える影響

サイトA(日本語サイト、エックスサーバー)および、サイトA(英語サイト、AWSのインスタンス:Tokyo)を、世界6都市から測定し比較する。

結果

実験1:「サーバーの設置場所」が表示速度に与える影響

実験1の結果は以下の通りです。

測定に使用したWebサイト1

サイトA(日本語サイト、エックスサーバー:Tokyo)

測定結果

測定場所 直線距離, km First Byte Start Render FCP Speed Index LCP CLS TBT Total Bytes
Tokyo 0.00 0.386 1.6 1.385 5.969 2.047 0.002 0.023 5,819
Sydney 7,881.56 0.892 2.2 2.136 7.155 2.299 0.002 0.009 5,819
London 9,569.05 1.502 2.9 2.746 7.489 3.005 0.001 0.025 5,819
Virginia 10,985.66 1.502 2.9 2.746 7.489 3.005 0.001 0.025 5,819
Cape Town 14,726.41 1.732 3.4 3.22 8.245 3.484 0.002 0.024 5,819
Sao Paulo 18,490.40 1.593 3.2 2.986 7.657 3.255 0.001 0 5,819
直線距離との相関係数 0.90 0.92 0.92 0.88 0.89 -0.47 -0.45

測定に使用したWebサイト2

サイトA(英語サイト、AWSのインスタンス:Tokyo)

測定結果

測定場所 直線距離, km First Byte Start Render FCP Speed Index LCP CLS TBT Total Bytes
Tokyo 0.00 0.295 1.4 1.28 6.59 2.038 0.003 ≥ .017 5,398KB
Sydney 7,881.56 0.773 1.9 1.816 5.283 2.1 0.003 0 5,398KB
London 9,569.05 1.081 2.6 2.487 6.206 2.627 0.119 0.032 5,398KB
Virginia 10,985.66 0.926 2.1 2.04 5.679 2.341 0.109 ≥ .003 5,445KB
Cape Town 14,726.41 1.321 3.2 3.109 6.682 3.169 0.028 0 5,398KB
Sao Paulo 18,490.40 1.299 3 2.874 6.197 2.971 0.078 ≥ .030 5,398KB
直線距離との相関係数 0.95 0.90 0.91 0.00 0.84 0.44 -0.28 0.06

測定に使用したWebサイト3

サイトB(日本語サイト、シン・レンタルサーバー:Tokyo)

測定結果

測定場所 直線距離, km First Byte Start Render FCP Speed Index LCP CLS TBT Total Bytes
Tokyo 0.00 0.22 1.1 0.927 6.297 9.644 0.778 0.196 5,118
Sydney 7,881.56 0.982 1.8 1.7 7.809 10.602 0.778 0.136 5,148
London 9,569.05 1.785 2.9 2.805 8.551 11.832 0.778 0.098 5,141
Virginia 10,985.66 1.21 2 1.944 7.76 11.218 0.003 0.163 5,224
Cape Town 14,726.41 3.217 4.7 4.652 11.459 14.323 0.775 0.107 5,145
Sao Paulo 18,490.40 1.597 2.8 2.725 9.416 12.178 0.778 0.374 5,148
直線距離との相関係数 0.71 0.70 0.71 0.80 0.77 -0.06 0.39 0.31

測定に使用したWebサイト4

サイトB(英語サイト、AWSのインスタンス:Ohaio)

測定結果

測定場所 直線距離, km First Byte Start Render FCP Speed Index LCP CLS TBT Total Bytes
Virginia 419.52 0.589 1.3 1.229 6.407 10.465 0.782 0.139 6,580
London 6,140.33 0.788 1.7 1.667 7.151 11.771 0.782 0.169 6,483
Sao Paulo 8,074.70 0.996 2.2 2.101 7.534 11.49 0.776 0.401 6,481
Tokyo 10,481.26 0.643 1.7 1.629 7.139 11.407 0.782 0.156 6,481
Cape Town 13,259.58 0.963 2.2 2.21 8.343 12.833 0.779 0.118 6,525
Sydney 15,187.03 1.078 2.2 2.201 8.245 12.296 0.779 0.128 6,481
直線距離との相関係数 0.73 0.83 0.86 0.92 0.87 -0.41 -0.15 -0.61

実験2:「サーバーの種類」がWebサイトの表示速度に与える影響

測定に使用したWebサイト

  • サイトA(日本語サイト、エックスサーバー:Tokyo)
  • サイトA(英語サイト、AWSのインスタンス:Tokyo)

測定結果(英語サイトの表示時間 – 日本語サイトの表示時間)

測定場所 直線距離, km First Byte Start Render FCP Speed Index LCP CLS TBT Total Bytes
Tokyo 0.00 -0.091 -0.2 -0.105 0.621 -0.009 0.001 -421
Sydney 7,881.56 -0.119 -0.3 -0.32 -1.872 -0.199 0.001 -0.009 -421
London 9,569.05 -0.421 -0.3 -0.259 -1.283 -0.378 0.118 0.007 -421
Virginia 10,985.66 -0.576 -0.8 -0.706 -1.81 -0.664 0.108 -374
Cape Town 14,726.41 -0.411 -0.2 -0.111 -1.563 -0.315 0.026 -0.024 -421
Sao Paulo 18,490.40 -0.294 -0.2 -0.112 -1.46 -0.284 0.077 -421
平均値 -0.319 -0.333 -0.269 -1.228 -0.308 0.055 -413.167
直線距離との相関係数 -0.53 -0.02 0.02 -0.72 -0.49 0.44 0.06

数字が負の値になっている場合、英語サイト(AWS)の表示速度が、日本語サイト(エックスサーバー)の表示速度より早いことを意味します。

考察

実験1:「サーバーの設置場所」が表示速度に与える影響

サーバーの設置場所と表示速度には、それぞれ以下の関係があると思われます。

項目名 サーバーの設置場所がWebページの表示速度に与える影響
First Byte サーバーの設置場所に大きく依存する(直線距離が近ければ表示速度が早くなる)
Start Render サーバーの設置場所に大きく依存する(直線距離が近ければ表示速度が早くなる)
FCP(First Contentful Paint) サーバーの設置場所に大きく依存する(直線距離が近ければ表示速度が早くなる)
Speed Index サーバーの設置場所に大きく依存する(※AWSのインスタンスがTokyoであるサイトに関しては相関関係が見られない)
LCP(Largest Content Paint) サーバーの設置場所に大きく依存する(直線距離が近ければ表示速度が早くなる)
CLS(Cumulative Layout Shift) サーバーの設置場所に依存しない(直線距離と表示速度に相関は見られない)
TBT(Total Blocking Time) サーバーの設置場所に依存しない(直線距離と表示速度に相関は見られない)
Total Bytes サーバーの設置場所に依存しない(直線距離と表示速度に相関は見られない)

Speed Indexの秒数を除いて、ページの表示速度はWebサーバーの設置場所との直線距離に相関があることがわかります。

実験2:「サーバーの種類」が表示速度に与える影響

サーバーの種類と表示速度には、以下の関係があると思われます。

  • AWSのインスタンスをTokyoに設置した場合、エックスサーバー(Tokyo)よりもWebサイトの表示速度は速くなる(特にSpeedIndexは直線距離が長くなるほど、表示速度の差が大きくなる)
  • 全世界向け英語サイトのサーバーには、国内の共有サーバーよりクラウドサーバーのほうが表示速度が早い可能性が高い(最安プランで比較した場合)

まとめ

英語サイトのサーバーを選定する際に考慮するべき、サーバーの設置場所と種類が、Webサイトの表示速度に与える影響を調査しました。結果を以下にまとめます。

  • Webサイトの表示速度は、サーバーの設置場所からの直線距離に大きく依存する(First Byte、Start Render、FCP(First Contentful Paint)、Speed Index、LCP(Largest Content Paint)は特に大きな影響を受ける)
  • 同じ場所にサーバーが設置されている国内の共有サーバーとAWSクラウドサーバーの最安プランでの表示速度を比較した場合、クラウドサーバーのほうが全ての地域においてWebサイトの表示速度が早い

以上、英語サイトのサーバー選定の参考になれば幸いです。まだまだ調査するべき項目(例:クラウドサーバー vs 海外現地サーバー、クラウドサーバーのインスタンス設置場所による表示速度の違い)はありますので、引き続き調査を行います。

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海外の検索エンジン(世界シェア、国内シェア、地域別、国別)

テクノポートの稲垣です。今回は、世界の検索エンジンを、世界シェア、国内シェア、地域別シェア、国別シェアの4つの切り口で紹介します。

世界シェア

世界全体の検索エンジンシェアTOP10を紹介します。

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

 

順位, 位 検索エンジン シェア, %
1 Google 91.95
2 bing 2.83
3 Yahoo! 1.46
4 Baidu 1.35
5 YANDEX 1.09
6 DuckDuckGo 0.64
7 Sogou 0.12
8 Naver 0.12
9 Ecosia 0.12
10 CocCoc 0.06

1位 Google(シェア91.76% )

基本情報

運営会社 Google LLC(グーグル)
本社 アメリカ(カリフォルニア州)
シェアが高い国(90%以上) ドイツ、イギリス、インド、フランス、イタリア、カナダ、オーストラリア、ブラジル、スペイン、メキシコ、インドネシア
特徴
  • シンプルな検索画面に使いやすさ
  • 独自開発した検索アルゴリズムにより、検索キーワードからユーザーが求める情報を分析し、高精度に検索結果に表示
  • 検索結果にはWebサイトだけではなく、動画(YouTube)、画像、広告などが表示

2位 Bing(シェア2.83% )

基本情報

運営会社 Microsoft(マイクロソフト)
本社 アメリカ(ワシントン州)
シェアが高い国 アメリカ(6.3%)
特徴
  • Microsoft Edgeのデフォルトの検索エンジン
  • 独自の検索アルゴリズムを採用(アメリカのYahoo!は、Bing検索アルゴリズムを使用)
  • Webサイトだけではなく、動画やショッピングなどに特化した検索が可能

参照

3位 Yahoo!(シェア1.46% )

基本情報

運営会社 Yahoo(ヤフー)
本社 アメリカ(ワシントン州)
シェアの高い国 日本(18.29%)
特徴
  • Yahoo!JapanはGoogleの検索アルゴリズムを採用
  • 国内では55歳以上の層を中心に、PCでの検索エンジンとしてのシェアが高い
  • WebサービスのほかにAOLやTechCrunchなどのメディアブランドも運営
  • トップページにさまざまなニュース速報を掲載

参照

4位 Baidu(シェア1.35% )

基本情報

運営会社 百度公司(Baidu, Inc.)
本社 中国(北京市)
シェアの高い国 中国(81.48%)
特徴
  • 中国で最大の検索エンジン
  • 検索結果に表示されるためには所定の条件を満たす必要がある(中国国内のサーバーを利用、中国語のコンテンツを実装)
  • 広告は大きく4種類存在(リスティング広告、アドネットワーク広告、インフィード広告、ブランドリンク広告)

参照

5位 Yandex(シェア1.09% )

基本情報

運営会社 Yandex(ヤンデックス)
本社 ロシア(モスクワ)
シェアの高い国 ロシア(42.67%)
特徴
  • ロシアで最大の検索エンジン
  • MatrixNet」という独自のデータ解析技術を使用した検索アルゴリズムを採用
  • ロシア語の検索に対して精度がよくロシア人ユーザーに使いやすい
  • フリーメールやオンラインストレージ、タクシー配車などさまざまなサービスを提供

参照

6位 DuckDuckGo(シェア0.64% )

基本情報

運営会社 DuckDuckGo(ダックダックゴー)
本社 アメリカ(ペンシルベニア州)
シェアの高い国 アメリカ(2.45%)
特徴 ・利用者のプライバシー保護を重要視した検索エンジン(個人情報や履歴を保存しない)
・検索エンジンに個人のデータが蓄積されないため、検索結果に過去の検索情報は影響を与えない
・検索結果画面は無限スクロール(「結果をさらに表示」をクリックすると下に伸びる仕様)

参照

7位 Sogou(シェア0.12% )

基本情報

運営会社 捜狗(Sogou Inc.)
本社 中国(北京)
シェアの高い国 中国(7.5%)
特徴
  • 中国でBaidu(シェア81.48%)の次に使われている検索エンジン
  • 検索ホーム画面から、中国で一番人気があるSNSアプリ「WeChat / 微信」の中のニュース、コンテンツ、公衆号なども検索できる
  • 「微信」をクリックしてWeChatのニュースなどを検索可能
  • 音声認識によって検索語を入力できる

参照

中国検索シェア2位の「Sogou(捜狗)」とは?~最新の中国検索エンジン市場をご紹介

8位 NAVER(シェア0.12% )

基本情報

運営会社 NAVER(ネイバー)
本社 韓国(京畿道)
シェアの高い国 韓国(17.27%)
特徴
  • 韓国で最も有名な検索エンジン
  • 掲載されているコンテンツは50近くのカテゴリーのいずれかに分類される(例:ブログ、画像)
  • 検索結果は、カテゴリーごとに3〜5個のグループ別に表示される(表示されるカテゴリーは検索者の意図を反映)
  • トップページはニュースや広告などが多く表示される

参照

韓国の検索エンジン”NAVER”徹底解説!韓国の王道WEBマーケティング|ferret

9位 Ecosia(シェア0.12% )

基本情報

運営会社 Ecosia(エコシア)
本社 ドイツ(ベルリン)
シェアの高い国 ドイツ(1.04%)
特徴
  • 広告収益の約80%を植林、森林再生活動に寄付(およそ50回の検索で1本の植林)
  • これまでに「Ecosia」経由で1億本以上の樹木が植樹された
  • 2014年にドイツ初の「Bコーポレーション」に認定(アメリカの非営利団体B Labが運営する認証制度、Bコーポレーションは、企業の透明性や環境へのインパクト等厳しい基準をクリアした企業のみ認定されるもの)

参照

10位 CocCoc(シェア0.09% )

基本情報

運営会社 Cốc Cốc(コック コック)
本社 ベトナム(ハノイ)
シェアの高い国 ベトナム(3.24%)
特徴
  • ベトナム語ユーザー向けの検索エンジン
  • 2013年にベトナム人とロシア人のエンジニアが共同でサービスを立ち上げた
  • ベトナム語の予測変換の精度が高く、ベトナム語特有の文字形式への対応能力が高い

参照

国内シェア

国内の検索エンジンシェアTOP10を紹介します。

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 76.22
2 Yahoo! 18.29
3 bing 4.99
4 DuckDuckGo 0.24
5 Baidu 0.12
6 YANDEX 0.05
7 Ecosia 0.03
8 CocCoc 0.03
9 Naver 0.01
10 Other 0.02

国内シェアの特徴

  • 世界シェアと同じくGoogleが1位(Googleのシェアはヨーロッパ諸国と比べると低い)
  • Yahoo!がシニア層を中心に高いシェアを獲得している(特に50代以上の男性の使用割合が高い)
  • 若い世代はGoogleを使用する割合が高く、今後Googleのシェアが拡大することが予想される

参照

ネット検索で Google を使う人、Yahoo! を使う人の特徴を分析してみた

地域別シェア

世界各地域の検索エンジンシェアTOP5を紹介します。

アジア

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 91.76
2 Baidu 2.94
3 YANDEX 1.59
4 Yahoo! 1.39
5 bing 1.33

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得(人口の多いインドのシェアが高い影響が大きい)
  • 全地域の中でYANDEXのシェアが最も高い
  • 中国はアジアの人口の約34%を占めるが、Baiduが検索エンジンに占める割合はわずか3%程度

ヨーロッパ

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 92.57
2 bing 3.49
3 YANDEX 1.49
4 Yahoo! 0.95
5 DuckDuckGo 0.58

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アジアについでYANDEXのシェアが高い

北アメリカ

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 89.07
2 bing 5.8
3 Yahoo! 2.69
4 DuckDuckGo 2.04
5 Ecosia 0.11

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • bingのシェアは全地域で最も高い
  • アメリカの企業が提供している検索エンジンが多くランクイン

南アメリカ

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 97.08
2 bing 1.82
3 Yahoo! 0.81
4 DuckDuckGo 0.12
5 Ecosia 0.07

特徴

  • 1~5位は北アメリカと同じ順位
  • Googleのシェアが全地域の中で最高

オセアニア

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 93.88
2 bing 4.05
3 DuckDuckGo 0.9
4 Yahoo! 0.84
5 Ecosia 0.18

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • bingのシェアが北アメリカに次いで2番目に高い

アフリカ

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 96.6
2 bing 2.39
3 Yahoo! 0.45
4 Petal Search 0.25
5 DuckDuckGo 0.11

特徴

  • Googleが阿藤的なシェアを獲得
  • 中国企業のHuawayが運営しているPetal Searchがランクイン

国別シェア(GDPの大きさ順)

GDPが大きい国から順に、各国の検索エンジンシェアTOP5を紹介します。(GDPは、2021年にIMF(国際通貨基金)が発表したものを参照)なお、日本はすでに紹介済みであるため、割愛しています。

アメリカ

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 87.69
2 bing 6.3
3 Yahoo! 3.14
4 DuckDuckGo 2.45
5 Ecosia 0.1

特徴

  • Googleが90%近いシェアを占める
  • 日本と比較すると、bingの使用率が6.3%と高い(日本はbingのシェアが4.99%)
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP4を占める

中国

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Baidu 81.48
2 Sogou 7.5
3 bing 5.02
4 Google 2.47
5 Haosou 1.69

特徴

  • Baiduが圧倒的なシェアを獲得
  • TOP2は中国企業が運営の検索エンジン
  • 先進国の中でGoogleのシェアが圧倒的に低い

ドイツ

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 90.81
2 bing 5.37
3 Ecosia 1.04
4 DuckDuckGo 0.99
5 Yahoo! 0.69

特徴

  • ドイツ本社のEcosiaが3位にランクイン
  • Googleのシェアが90%以上
  • bingのシェアも他の先進国と比較すると高い

イギリス

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 92.81
2 bing 4.33
3 Yahoo! 1.51
4 DuckDuckGo 0.83
5 Ecosia 0.32

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP4を占める

インド

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 98.75
2 bing 0.91
3 Yahoo! 0.26
4 DuckDuckGo 0.05
5 Ecosia 0.01

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP4を占める
  • TOP5の検索エンジンはイギリスと同じ

フランス

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 91.16
2 bing 4.5
3 Yahoo! 1.25
4 Ecosia 1.06
5 Qwant 0.98

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • フランス本社のQwantがランクイン(政府機関の公式検索エンジンとして採用されている)

イタリア

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 94.97
2 bing 3.12
3 Yahoo! 1.14
4 DuckDuckGo 0.37
5 Ecosia 0.21

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP4を占める
  • TOP5の検索エンジンはイギリス、インドと同じ

カナダ

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 91.46
2 bing 5.15
3 Yahoo! 1.7
4 DuckDuckGo 1.37
5 Ecosia 0.11

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP4を占める
  • TOP5の検索エンジンはイギリス、インド、イタリアと同じ

韓国

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 77.52
2 Naver 17.27
3 bing 2.25
4 Daum 1.87
5 Yahoo! 0.43

特徴

  • Googleがシェア1位(ヨーロッパ諸国と比べるとシェアは低め)
  • Naverのシェアが高い(GoogleからNaverへ移行するユーザーは増加傾向)
  • 韓国の「株式会社カカオ」が運営する「Daum」がランクイン(Yahoo!と同じポータルサイト型)

ロシア

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 52.15
2 YANDEX 42.67
3 YANDEX RU 2.76
4 Mail.ru 1.17
5 bing 0.54

特徴

  • YANDEXのシェアは世界最高
  • GoogleからYANDEXへ移行するユーザーが増加傾向
  • ロシアの無料の電子メールサービスを提供するMail.ruグループが運営する検索エンジン「Mail.ru」がランクイン

オーストラリア

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 93.9
2 bing 4.07
3 DuckDuckGo 0.91
4 Yahoo! 0.8
5 Ecosia 0.19

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP4を占める

ブラジル

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 97.17
2 bing 1.77
3 Yahoo! 0.84
4 DuckDuckGo 0.12
5 Ecosia 0.04

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP4を占める
  • TOP5の検索エンジンはイギリス、インド、イタリア、カナダと同じ

スペイン

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 97.72
2 bing 1.4
3 Yahoo! 0.37
4 DuckDuckGo 0.36
5 Ecosia 0.08

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP4を占める
  • TOP5の検索エンジンはイギリス、インド、イタリア、カナダ、ブラジルと同じ

メキシコ

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 94.44
2 bing 4.41
3 Yahoo! 0.66
4 DuckDuckGo 0.36
5 Ecosia 0.06

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP4を占める
  • TOP5の検索エンジンはイギリス、インド、イタリア、カナダ、ブラジル、スペインと同じ

インドネシア

Source: StatCounter Global Stats – Search Engine Market Share

順位 検索エンジン シェア, %
1 Google 98.16
2 YANDEX 0.79
3 DuckDuckGo 0.36
4 Yahoo! 0.35
5 bing 0.24

特徴

  • Googleが圧倒的なシェアを獲得
  • アメリカ企業が提供する検索エンジンがTOP5のうち4つを占める
  • 他の先進国と比較するとYANDEXのシェアが高い

まとめ

以下に所感をまとめます。

  • 国内のシェアは、意外にもGoogleが独占している訳ではない(Yahoo!、bingの使用率が他の先進国に比べると高い)
  • Googleは、英語およびスペイン語が母国語の国おいて特にシェアが高い(例:イギリス、インド、カナダ、オーストラリア、スペイン、メキシコ)
  • 独自の検索エンジンを有しており、かつそれらの検索エンジンのシェアが高い国はアジアに多い(例:中国、韓国、ロシア、ベトナム)
  • 新時代の検索エンジンとして、プライバシー保護や環境保存といった独自の価値を提供する検索エンジンが増えてきている(Googleが苦手とする領域で攻める狙いがあるかもしれない)
  • 独自の検索エンジンがシェアを獲得する理由として、その国の言語への対応能力の高さが理由になる場合がある(例:ロシアのYANDEX、ベトナムのCocCoc)

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海外Webマーケティングの本質|基礎・進め方・成功ポイント・事例

テクノポートの稲垣です。
現在「海外Webマーケティング事業」の責任者を務めています。

この記事を一読すると「海外Webマーケティング」に必要な情報が、一通り把握できるように執筆しました。

海外Webマーケティングの基礎

「海外Webマーケティング」とは?

私は外国語W​ebサイトを活用した一連のマーケティング活動」と定義します。国内のWebマーケティングとの違いは「外国語サイトを使用する」という点です。(細かな違いは「国内のWebマーケティングとの違い」で説明しています)

そもそもの「マーケティング」「Webマーケティング」という言葉の定義については、以下の記事をご参照ください。

統計情報

海外Webマーケティングは、中小企業の販路開拓の方法として注目を集めています。

出典:2021年度|ジェトロ海外ビジネス調査 日本企業の海外事業展開に関する アンケート調査

こちらのグラフは、企業の今後3年程度の海外輸出方針に関する意識調査の結果です。2021年度の輸出方針を見ると、75.2%の企業が「さらに拡大を図る」と回答しており、過去最高の数字を記録しています。

出典:2021年度|ジェトロ海外ビジネス調査 日本企業の海外事業展開に関する アンケート調査

こちらは企業の規模別の今後3年程度の海外輸出方針の調査結果です。上のグラフが大企業、下のグラフが中小企業の輸出方針の調査結果です。ここから分かるように、中小企業で特に輸出拡大の傾向が高まっています。(2021年度で75.7%)

このような結果になった要因として、海外進出におけるデジタルの活用が挙げられています。(参照:海外事業拡大意欲は過去最低も、新規進出意欲は衰えず(世界、日本))具体的には以下のような海外販路開拓の方法です。

  • 越境ECを活用したビジネスモデルの構築
  • Zoomなどオンライン会議を活用した商談
  • リモートによる代理店の育成と販売網の強化

海外Webマーケティングもこれらの活動に密接に関わっており、中小企業の海外販路開拓の手法として注目を集めています。

国内のWebマーケティングとの違い

国内のWebマーケティングとの違いを5つ説明します。

1. 市場規模

海外Webマーケティングの最大の特徴は、ターゲットとする市場が大きいことです。例えば、英語サイトを使って全世界向けにWebマーケティングを行う場合、英語話者は日本語話者の10倍以上存在するため、単純計算で国内の10倍以上の潜在顧客を発掘できる可能性があります。

これは言い換えると、海外の競合も多く競争が激しいということでもあります。つまり対象とするターゲット市場の大きさに比例して、競争に勝ち抜く難度も高いと言えます。

2. 言語

海外Webマーケティングは外国語でWebサイトを活用するマーケティング活動であるため、言語が違います。これはWebサイトの表記そのものはもちろん、競合企業の調査時に使用する言語、問い合わせをもらって顧客とやり取りする言語、貿易の実務で使用する言語、全てが外国語になります。

特に3つ目の「海外企業とのやり取り」は、中小企業の輸出ビジネスにおける課題として挙げられることが多いです。実際に、中小企業基盤整備機構が行った調査によると「外国語や貿易実務ができる人材の確保」が輸出における課題として最も多く挙げられています。(参照:平成 28 年度中小企業海外事業 活動実態調査報告書

3. 文化

海外Webマーケティングでは、対象となる地域の文化的な違いが影響することもあります。例えば、外国語サイトのデザインは、日本企業のそれとは異なる特徴があります。一般的に外国、特に欧米企業のWebサイトのデザインは「配色」「画像と文章の配置」「顧客への訴求方法」で日本企業のそれとは異なる特徴を有していることが多いです。

詳しくは以下の記事で解説しています。

他にも宗教的な観点の違いで、問題が発生するおそれもあります。ターゲット地域が明確な場合は、十分に調査を行うことが必要です。

4. 手法

国内と海外では、使われているツールが異なることがあります。検索エンジンを例にとって考えると、2022年5月時点で国内で最も使われている検索エンジンは「Google(シェア76.39%)」です。一方で、世界最多の人口を有する中国ではGoogleではなく「Baidu(シェア84.27%)」が最も使われています。

一般的に、国内でWebマーケティングを行う場合はGoogleを中心に施策を実行することが有効です。一方で、海外Webマーケティングを行う際は、地域によってとるべき手法が異なることを考慮する必要があります。

参照

5. インターネット規制

国によってはインターネットへの接続に規制が設けられていることがあります。

代表的な例を挙げると、中国国内のサーバーを利用して情報発信を行う場合は「ICP(インターネット・コンテンツ・プロバイダー)」と呼ばれるライセンスを取得する必要があります。

これは中国政府がインターネット上での情報検閲を行っていることが関わっており、中国国外にサーバーを設置すると、中国国内ではサイトが表示されない、表示されても表示速度が非常に遅くなる、という問題が発生するおそれがあります。かなり技術的な内容ですが、国によってはこのような規制が設けられていることがあるので、注意が必要です。

海外Webマーケティングにおける課題と対策

中小企業が海外Webマーケティングに取り組む際に、直面することが予想される課題と解決策を3つ紹介します。これらの課題は、中小企業基盤整備機構の調査、および弊社のお客さまの声をもとに選定しました。

1 引き合いの獲得

海外Webマーケティングの目的である「海外のお客さまからの引き合いを獲得する」ことは、思っているより難しいです。特に、中小企業が外国語Webサイトから引き合い獲得を狙う場合は、海外の競合と比較した際の自社の製品・サービスの優位性を明確にしておく必要があります。なぜなら外国企業の立場から考えると、なるべく日本企業には仕事を依頼したくはないはずだからです。

例を用いて説明します。あるフランスの企業が仕事の発注先を探している場合を想定します。彼らの要求を満たすサービスを提供する企業が2つあり、1つはフランス国内、もう1つは遠国の日本にあると仮定します。

仮に2つの企業が全く同じ品質のサービスを同程度の価格で提供しているとします。その場合、おそらくほとんどの企業は発注先として前者のフランスの企業(同じ国内の企業)を選ぶはずです。なぜなら、遠国の日本企業に仕事を依頼するのは、貿易のやり取り、商習慣の違いの壁を乗り越える必要があり、かつ輸送中の事故のリスクをともなうためです。簡潔に言うと、デメリットが大きいです。

解決策「競争優勢性を全面的に訴求する」

したがって、海外の顧客から選ばれるためには、自社を選んでもらう理由が必要になります。言い換えると、海外のお客様が遠国の日本企業である自社に頼まなければいけない理由が必要です。わかりやすい例で言うと、海外の競合企業が解決できない課題に対して、自社の製品・サービスが解決策になる場合です。このような場合は、外国語Webサイトを活用して集客を行い、自社独自の強み、解決できる課題を全面的に訴求することで、引き合いの獲得が見込めます。

したがって、上記の競争優位性が明確でないまま、海外Webマーケティングを行っても、集客はできるが引き合いが来ない、引き合いはくるが受注に繋がらない、という課題に直面する確率が高いと言えます。マーケティングを始めるまでの戦略的な部分の話ですが、とても重要な内容なので最初に書かせていただきました。

2 貿易実務

海外企業との貿易実務を行うための「社内体制が整っていない」「詳しい人材がいない」という課題も発生します。特に中小企業の場合は、社内に貿易業務を行うための専門部署がない場合も多いため、社内の誰かを担当者として任せる必要が生じます。

また、貿易によって発生する料金を負担することが課題になる場合もあります。例えば、国内では輸送費を含めて十分利益が見込める製品が、海外への輸送になると採算が合わなくなってしまいほとんど利益が出ないことも考えられます。価格設定の工夫で解決できる場合は問題ありませんが、輸送コストが課題になり、海外からの取引獲得を諦めなければならない場合もあります。

解決策「外部の支援機関を活用する」

貿易の問題を一番手っ取り早く解決する方法は、外部の支援機関を活用する方法です。海外の貿易実務であれば、ジェトロをはじめ多数の企業が中小企業向けに支援を行っています。これらの企業を活用し専門家から助言をもらいながら、進めていく方法が確実かつ手間のかからない方法だと思います。

コスト面で上記の方法が難しい場合は、自社で全て行うことも方法の一つです。貿易実務を学習する手間と人件費はかかりますが、その分自社にノウハウが蓄積するというプラスの側面もあります。

3 現地の顧客対応

引き合いを獲得し、無事に貿易実務まで終えた後に発生する最後の課題が「現地の顧客対応」です。例えば、海外の企業に製品・部品を納品する場合、現地の顧客から以下のような注文を受ける可能性があります。

  • 製品が故障したため直してほしい
  • 不良品が混じっていたため交換してほしい
  • 製品の使い方がわからないためデモを行ってほしい

全て国内の顧客であればそれほど大きな問題にならないことがほとんどですが、言語も違えば国も違う海外のお客様となると話は別です。中小企業で現地法人があり、そこで対処できる場合は問題ありません。しかし、現地に拠点がない場合はこれらの問題の解決が難しい場合もあります。

解決策「オンライン会議を活用する」

現地法人も海外の代理店もない地域のお客様対応の方法として「オンライン会議を活用する」方法があります。例えば、先の課題の中でも3つ目の「製品の使い方を説明する」ような場合は、日本と海外でオンライン会議を行い、実際に製品を見せながら顧客側で操作を行なってもらうことで、使い方の伝達が可能な場合もあります。

もちろんこの方法が全ての顧客対応で有効とは限らないため、どうしても現地での対応が必要な場合は、現地に代理店、パートナー企業に対応を依頼することが必要になります。

海外Webマーケティングの進め方

海外Webマーケティングの進め方を5つのステップで解説します。国内のWebマーケティングとは別で考える必要がある内容を厚めに解説しています。

STEP-1 目的設定

海外Webマーケティングに取り組む目的を整理します。海外Webマーケティングの目的として考えられるものを列挙します。

  • 海外の顧客を開拓する(全世界 or 特定の地域)
  • 海外の販売代理店を開拓する(全世界 or 特定の地域)
  • 複数地域の中でどの地域から反響が来るのか調査する

これらの目的もさらに細分化すると以下のような要素を考慮する必要があります。

  • 短期的に結果が欲しいのか、中長期的に問い合わせがくる仕組みを構築したいのか(もしくは両方)
  • 製品・サービスの新しい用途を開発したいのか、既存の市場でシェアを取りに行くのか(もしくは両方)
  • 特定の国に注力したいのか、全世界から広く問い合わせが欲しいのか

これらの目的設定によってとるべき手法を選択するため、明確に設定しておくことが必要です。

例えば「アメリカ市場において、現地の競合企業と比較された際に自社の製品・サービスが選ばれ、中長期的に問い合わせがくる仕組みを確立したい」のようなイメージです。

STEP 2 現状分析

1で設定した目的を軸に、現状分析および戦略立案を行います。現状分析で調べることは簡単に言うと「現状なぜ目的が達成されていないのか?」です。外国語サイトをすでに持っている場合は、主に以下の3つの成果が出ない原因を調べます。

  • 認知されていない
  • 認知されているが集客ができていない
  • 集客ができているが問い合わせがこない

成果が出ない原因の分析方法および解決方法は以下の記事で説明しています。

また外国語サイトを現状持っていない場合でも、海外の競合をこの時点でリストアップしておく必要があります。ここでリストアップした競合は次のステップの戦略立案の際に活用します。私が競合をリストアップする際は、海外の検索エンジンで自社の製品・サービスに関連するキーワードを片っ端から検索していく、地道ですが確実な方法を取ります。

STEP-3 戦略立案

2で行った分析により、現状成果が出ていない原因に仮説が立っているはずです。この仮説を検証するため(原因となっている問題を解決するため)の施策を考えます。まず、数ある海外Webマーケティングの手法の中から、自社の目的にあった方法で有効だと思われる手法を選択する必要があります。

例えば、全世界向けに顧客の開拓(新市場の発掘)を行う場合、一般的に外国語Webサイトを活用した「海外SEO対策」との相性が良いです。詳しくは以下の記事で解説しています。

目的を達成できる手法であることはもちろん、自社の許容範囲(例:予算、対応可能な人員)を考慮して、実現可能な選択が必要です。

この段階で、間違っていてもいいので海外の顧客が自社を選ぶ理由を明確にします。この要素がはっきりしていれば、外国語サイトでアピールするポイントも明確になるため、仮説の検証がしやすく、仮説が間違っていた場合でも修正の必要性の判断が容易にできます。

STEP-4 施策の実行

戦略がきちんとまとまり、検証すべき仮説が明確になった次のステップとして施策を実行します。

この段階では特に頭を使う必要はないため、段取りを設定し淡々と工程を進めていきます。また、施策の実行段階になって初めて生じた疑問、思慮を要する事項が発生した場合は、STEP 1で立てた目的に立ち返って判断をすれば大きな問題にならないことがほとんです。

STEP-5 仮説検証・改善

施策の実行が一通り完了した時点から仮説の検証が始まります。要するに、現状分析の際に予想した「成果が出ない原因」と戦略立案の際に立てた「解決するための施策」は想定通りだったのか、という検証が始まります。

私の感覚ですが、多くの場合は仮説が思い通りに立証されることはありません。すなわち、考えてもいなかった原因が存在した、もしくは解決策が問題を解決するために不十分だった、という場合がほとんどです。

そのような場合、継続的な改善活動を行う必要があります。すなわち、成果が出ない原因の仮説とその解決策を見直し、成果が出るまで改善を繰り返すイメージです。言葉にするのは簡単ですが、これが最も難しくかつ担当者の思考能力が求められる作業だと思います。

海外Webマーケティングを成功させるポイント

次に海外Webマーケティングを成功させるポイントを3つ紹介します。国内のWebマーケティングに当てはまるポイントは割愛します。

ポイント1 妥協しない姿勢

個人的に、海外Webマーケティングを進める上で最も重要だと思う工程は「事前準備」です。具体的には以下のような作業です。

  • 仮説の立案:現状の外国語サイトで反響が出ていない原因を洗い出す
  • 解決策の立案:反響を出すための解決策を洗い出す
  • キーワード調査:自社の製品・サービスを表す外国語キーワードの調査、海外の競合サイトが使用しているキーワードの調査

海外Webマーケティングを進める場合、慣れない外国語でこれらの作業をやらなければいけない上に、言語によっては国内より競合が多く準備作業の負荷が大きくなります。必然的にどこかで妥協したくなります。

ただ私は海外Webマーケティングにおいて、これらの作業の質が成功するかどうかを分けると考えます。なぜなら、海外の現地企業との競争に勝つためには、それ相応の戦略と徹底的な準備が必要だからです。

国内のWebマーケティングの場合は、地理的に不利な立場になることは少ないです。一方、海外Webマーケティングの場合、遠国の日本企業というだけで、不利な状況からスタートする場合もあります。したがって、海外の顧客から選ばれる理由を作るためにも、明確な戦略を持って海外Webマーケティングに取り組む姿勢、すなわち「準備を妥協しない」という姿勢が大切です。

ポイント2 粘り強い姿勢

海外Webマーケティングを始めるにあたって、現状成果が出ていない原因は無数に出てきます。例えば以下のようなものです。

  • Webサイトのデザインが外国風じゃないから問い合わせが来ないのじゃないか?
  • 翻訳がぎこちないから問い合わせが来ないのじゃないか?
  • 海外の競合みたいにSNSを使って集客した方が良いんじゃないのか?

これらの要因ももちろん間違いではない場合が多いですが、盲目的にこれらの予想に頼らない方が良いと思います。海外Webマーケティングで成果が出ない原因は、ある程度体系的に整理できるため、まずは構造的に原因を把握することが大切です。

するとほとんどの場合、これらの原因よりももっと本質的な原因が見つかります。例えば、キーワード選定が間違っていた、あるキーワードの検索順位が落ちていた、など集客に直結する原因です。

一見するとこれらの原因の解決の方が、先に挙げたような原因の解決よりも難しいため、後回しになりがちです。ただ成果を出すためには、まず本質的な原因を根気強く解決していく姿勢、すなわち「粘り強い姿勢」が大切です。

ポイント3 思考し続ける姿勢

海外Webマーケティングに本格的に取り組み始めると、ある程度成果が出るタイミングがやってきます。ただ、一度成功した状態を作ったのにもかかわらず、ある時点から急に成果が出なくなることがあります。この一見すると原因不明の不調は、むしろチャンスととらえるべきだと私は思います。

なぜなら、問い合わせがこない原因を突き止め改善することで、現状よりさらに良い状態に改善できる可能性があるからです。当たり前と言えば当たり前ですが、多くの場合、調子が悪くなっても「とりあえず様子を見る」という選択をしてしまいがちであるため、あえて記載しました。

例えば、調子が悪くなった原因として「海外の競合サイトがページを更新し検索順位が落ちてしまった」と判明したとします。これは一見悪いことのように思えますが、同時に以下のような気づきを得るチャンスでもあります。

  • 競合は何を意図してページを更新したのか?(競合の施策の方向性)
  • 競合はどんなキーワードで集客を強化したいのか?(キーワード選定の方向性)
  • 競合はその他に何を改善したのか?(Webサイト全体の方向性)

これらの中で自社でも参考にできるものがあれば、積極的に取り入れていくことで施策を強化できます。したがって、どんな些細な変化にもアンテナを張っておき、何か変化があれば原因をつきとめ改善しようとする姿勢、すなわち「思考し続ける姿勢」が大切です。

海外Webマーケティングを行う上での注意点

海外Webマーケティングを行う上で、頭に入れておくべき注意点を3つ紹介します。私の独断と偏見で選びました。

注意点1 海外の検索エンジン

特に広告を出稿する場合や、中国、ロシアなどの独自の検索エンジンが広く使われている地域向けに海外Webマーケティングを行う場合は、検索エンジンの使用率を必ず確認しましょう。

例えば、以下のグラフが示すように、中国では検索エンジンとしてBaiduが最も多く使われています。(2022年5月時点のデータ)

出展:Search Engine Market Share China | Statcounter Global Stats

したがって、中国市場向けに広告出稿を行う場合は、GoogleではなくBiaiduを使用することで、より多くの潜在顧客に情報発信できることがわかります。国別の検索エンジンの使用率はこちらのサイトで確認できます。

注意点2 翻訳は簡潔に

海外Webマーケティングにおける翻訳を自社で行う場合は、簡潔にわかりやすい翻訳を重視することが大切です。

この主張を説明する前に、ネイティブの翻訳と機械翻訳の違いを考えます。例えば日本語を英語に翻訳する場合、ネイティブが書く英語と我々の書く英語(もしくは機械翻訳の英語)の最大の違いは何かと言うと「文章の読みやすさ」だと考えます。

なぜなら、どちらの翻訳方法も基本的に意味は通じるからです。現に多少ネイティブにとって文章が読みにくい場合でも、彼らが求める情報(製品・サービス)が記載されており、文章の意味が十分伝わる場合は彼らは問い合わせをしてくるからです。(現に弊社のお客さまでも問い合わせは来ています)

だからと言って、ネイティブ翻訳は必要ないかと言われるとそうでもないと思います。なぜならネイティブの書く文章の方が、自然な文法・表現が使われており、ネイティブにとって読みやすいからです。すなわち、ネイティブ翻訳を導入することで「文章が読みにくいから」という理由で、本来くるはずだった問い合わせを失う可能性がなくなるイメージです。

ここで最初の主張に戻ります。我々非ネイティブが翻訳をするときに意識することは「文章が読みにくい」と感じさせないことです。すなわち、できるだけ簡潔にわかりやすい文章を書き「文章が読みにくい」という減点を減らすことです。簡単にできる工夫としては、以下のようものが挙げられます。

  • 箇条書きを使用する
  • 表を使う
  • 長文は短く区切る
  • シンプルな文法・単語を使う

我々日本人も、外国人が書く日本語の文章が読みにくいと感じることがあると思います。逆の立場になったときにも、あの減点をなるべく減らしましょう、という意味です。

注意点3 時間がかかる

海外Webマーケティングで効果が出るまでには、国内よりも時間がかかる場合が多いです。

1つ目の理由は、シンプルに難度が高いからです。一般的に海外Webマーケティングでは、国内よりも競合が多いです。(もちろん市場や言語によって変わります)その分、競争が激しいため、勝ち抜くためにはそれなりの試行錯誤が必要になるためです。

もう1つの理由は、国内のWebマーケティングでは思いもよらない原因で成果が出ない、という現象が起こり得るからです。例えば、以下のような原因です。

  • 外国語キーワードの選定が間違っていた
  • 翻訳が冗長でわかりにくい
  • 海外の顧客が求める情報が載っていない(例:返品対応の方法、取引・配送の流れ、海外拠点情報)

これらの成果が出ない原因は、国内のWebマーケティングでは起きる可能性が低いため、海外Webマーケティングならではの改善ポイントになります。すなわち、これらの改善活動が必要になる場合は、時間がかかる傾向があります。

海外Webマーケティングの成功事例

ここでは弊社が実際に海外Webマーケティングを支援した実例を紹介します。

株式会社メルテック

本社 千葉県流山市
社員数 100名
事業内容 フォトエッチング加工、エンコーダ用スケールの設計、製造、販売
取材記事 英語サイトで「海外の新規顧客開拓」と「製品の需要調査」を実現

株式会社メルテックは、エッチング加工を主事業とする金属薄板加工を行っています。このエッチング加工の技術を用いて製造することができる製品の一つに「エンコーダー用スケール」と呼ばれる部品があります。これに関するキーワードを中心に、海外Webマーケティング支援を行いました。

詳しい施策の内容は割愛しますが、海外SEO対策のみにより、現在では北米、ヨーロッパを中心に世界各国から引き合いが来ています。

詳しくはこちら

まとめ

本記事では「海外Webマーケティングの本質」と題して、私が考える海外SEO対策に関する見解、ノウハウを説明しました。

海外Webマーケティングを任せられる業者をお探しでしたら、お気軽にテクノポート株式会社にお声がけいただければ嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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海外SEO対策の本質|基礎から具体的な進め方

テクノポートの稲垣です。
現在「海外Webマーケティング事業」の責任者を務めています。

この記事では「海外SEO」について、私が持てるノウハウを余すことなく公開しています。

海外SEOの基礎

「海外SEO」とは?

この記事では「海外SEO」を「外国語サイトに施すSEO対策」であると定義して話を進めます。

丁寧に言い換えると「海外で検索が行われた際、自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させるための施策」と言えます。なおこの記事では2022年4月現在、世界の検索エンジンのシェア約92%のGoogleでの英語のSEO対策を解説しています。

参照

Search Engine Market Share Worldwide | Statcounter Global Stats

国内SEOとは何が違う?

結論から言うと、国内であっても海外であっても同じ検索エンジンを使用する場合、本質的な違いはないと考えます。国内でも海外でもSEO対策の本質は「検索者の意図(需要)を満たす情報を提供する」ことだからです。

ただ、検索エンジンのアルゴリズム自体は同じでも、言語や環境の違いによって、サイトを検索結果の上位に表示させるポイントは変わります。今回は私が考える6つの違いを紹介します。

1. 競合サイト

まず競合サイトの数、質が変わります。

例えば、海外のGoogle向けにSEO対策を行う場合、(その言葉の話者の数に比例し)競合サイトの数が増えます。単純計算で、英語話者は世界に約15億人いるため、日本語話者より10倍以上多い、すなわち競合サイトも10倍以上多いと言えます。

これは後ほど説明しますが、良い意味でも悪い意味でも海外SEO対策の重要な観点の一つになります。

参照

Most spoken languages in the world | Statista

2. キーワード選定

言語が変わればキーワード選定のコツも変わります。

特に英語は、日本語では一つの呼び方である言葉に対して、複数の呼び方がつけられることも多々あります。すなわち、盲目的に日本語から機械翻訳を使って翻訳したキーワードでSEO対策をしても、英語話者からすると見当違いなキーワードを選定してしまっている場合があります。

これは海外SEO対策をする上で最も難いため、丁寧かつ根気強い調査が求められます。

3. 検索エンジン

国によって、独自の検索エンジンが使われていることがあります。

有名な例は、中国のBaidu(シェア84.27%)、ロシアのYANDEX(シェア50.4%)韓国のNAVER(シェア17.49%)が挙げられます。これらの検索エンジンでSEO対策を行う場合は、Googleのアルゴリズムが適用されない可能性もあります。(私は詳しくありませんので、これ以上のことは言えません)

参照

4. 表示速度

これはややテクニカルな違いですが、Webサイトの表示速度が国内と海外で変わる可能性があります。

例えば、国内で速い速度で表示されていたWebサイトが、海外からアクセスされると表示速度が落ちることがあります。これは、Webサイトが使用するサーバーの位置によって回線の速度が変わるためです。(国内のサーバーを使っている場合、海外からのアクセスには時間がかかる傾向があります)

Webサイトの表示速度はGoogleが「検索順位を決定する上で重要視する項目の一つである」と公式に発表しているため、海外SEOを進めるにおいて、こちらも考慮する必要があります。

ページの読み込み時間を最適化します。表示の速いサイトはユーザーの満足度を高め、ウェブ全体の質を向上させます(特にインターネット接続速度が遅い場合)。PageSpeed InsightsWebpagetest.org などのツールを使用してページの読み込み速度をテストすることをおすすめします。

(引用:ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン) | Google 検索セントラル  |  ドキュメント  |  Google Developers

具体的な対策は、記事の後半で詳しく解説します。

5. 対象地域

対象とする国によって、SEO対策の施策も変わります。

具体的には、Webサイトのドメインの選び方、および「ターゲティング設定」と呼ばれるWebサイトの対象地域設定が変わります。これは後半で詳しく解説しますが、海外SEOを進める上でとても重要な視点になりますので、必ず考慮する必要があります。

6. 検索エンジンのバージョン

これは頭の片隅入れておく程度で大丈夫ですが、国内と海外の検索エンジンのバージョンが異なる場合があります。

特にGoogleは研究開発を行う本社がアメリカに位置するため、最新のアップデート、実験的なアップデートはアメリカの英語検索が初めに行われるためです。(例:Googleレンズとテキスト検索を組み合わせたmultisearchをGoogleが導入 – 海外SEO情報ブログ

特に大きな問題にならないことがほとんどなので、個人的にはあまり気にしなくてもいいと思います。

海外SEOのメリット

次に海外SEOを行うことのメリットを解説します。国内のSEOとも重複する内容は割愛しています。

1. 市場が大きい

海外SEOを行う最大のメリットは、ターゲットとする市場の大きさです。

先にも述べましたが、英語話者は日本語話者の10倍以上存在します。それは競合が多くなるという負の側面ももたらしますが、一方で国内とは比べ物にならない数の潜在顧客がいることも意味します。

すでに国内に需要が存在する製品・サービスはもちろんですが、国内では需要がないようなニッチな製品・サービスでも、海外に市場を広げることで顧客を獲得できます。海外SEOに本格的に取り組むことにより、(広告を使うより低予算で)この大きな市場に対して自社の製品・サービスをアピールできます。

2. 新市場の発掘が可能

Google広告をはじめとするリスティング広告を外国語サイトに使用する場合、ある程度需要が見込める地域を絞って掲載することが現実的です。そのため、ある地域における需要調査には向いていますが、全くの新規の市場を発掘することには不向きと言えます。

一方、海外SEOはSEOという手法の特性上、対象地域は国外全域になります。例えば、英語サイトでSEO対策を行った場合、世界中に存在する潜在顧客がその英語サイトにアクセスする可能性があります。

すなわち英語サイトにSEO対策を行うことで、世界中の新規顧客の開拓が可能になります。これはSEOという手法ならではのメリットと言えます。

海外SEOのデメリット

次に海外SEOのデメリットを解説します。こちらも国内のSEOとも重複する内容は割愛しています。

1. 競合が多い(難度が高い)

先ほどメリットで「市場が大きい」と説明しましたが、同時に海外SEOは競合が多くSEO対策の難度が高くなります。(※日本語より話者が少ない言語でSEO対策をする場合は当てはまりません)

検索順位は、他の競合サイトと自社サイトの相対評価によって決定されます。したがって、あるキーワードで国内のGoogleで検索結果1位のページをそのまま翻訳し外国語サイトに公開しても、対象の英語キーワードで検索結果1位を取れる可能性は低いです。(国内で一定の反響があるサイトをそのまま英訳しても、国内ほど反響が出ないのはこれが一つの原因です)

すなわち英語サイトでSEO対策を行う場合は、日本国内の検索順位は全て忘れ、一から海外の競合サイトを調査し「上位表示させるためにはどのようなコンテンツが必要なのか」を別途調査する必要があります。そして調査の結果、ほとんどの場合、日本語ページよりもより質の高いコンテンツ(検索者の意図を多く満たすページ)が求められます。

2. コストがかかる

英語サイトの専用のドメイン・サーバーを用意するためのコストがかかります。(現在、日本語サイトのみ持っている場合、もしくは日本語サイトのドメイン配下に英語サイトが格納されている場合)

これは海外SEO対策を本格的に進めるにあたって、ドメイン・サーバーを国内とは別に用意することが有効であるためです。特に国内企業向けドメイン(.co.jp)に英語サイトが格納されている場合、海外からの検索結果に表示される可能性が低くなるため、.comをはじめとするgTLD(Global Top Level Domain)に切り替えることをおすすめします。(詳しくは記事の後半で解説します)

ドメインとサーバーの費用は一般的には、ドメイン費(年額 約1,500円)、サーバー料金(安いもので月額 2,000〜5,000円、高いもので月額 10,000円〜)となります。サイトに予想されるアクセス数、サイトの用途・目的を複合的に考慮して選定することをおすすめします。

海外SEO対策のポイント

それではここから本題の「海外SEO対策のポイント」を4つ解説します。

キーワードの選び方

外国語のキーワード選定の方法は、基本的には言語の違い以外に日本語のそれと大きな違いはありません。ただ外国語のキーワードは日本語話者にとってはなじみのないことが多いため、海外のユーザー、競合他社がどんなキーワードを使っているのかを徹底的に調査する必要があります。

私が普段、英語のSEO対策においてキーワード選定を行う際に意識していることをまとめます。

1. 海外の英語圏の同業他社が使用しているキーワードを調査する

英語圏の企業が使っている製品・サービスの呼び名は正しいであろう、という仮定のもと海外企業のWebサイト(特に英語圏の企業)を重点的に調べ、彼らがサイト上で使用しているキーワードをリストアップします。

リストアップしたキーワードの中から「月間平均検索ボリュームが大きい」かつ「自社の製品・サービスを正確に表すもの」をSEO対策するキーワードとして選定します。特に英語は類語が多いため、日本語では一つの呼び名しかないものに、複数の呼び名が当てられていることもあるので、注意が必要です。

細かな外国語キーワードのニュアンスがわからない場合は、Googleの画像検索をすることで、キーワードがイメージ通りのニュアンスを持っているかを確認できる場合もあります。

2. 問合せに使用されているキーワードを使用する

外国語サイトに問合せが既に来ている場合、問合せの文章に使用されているキーワードをSEO対策のキーワード候補として検討することも重要です。

特に、こちらが意図したキーワードとは別のキーワードを使用したお問合せが来た場合は、両方のキーワードの月間平均検索ボリューム、海外のGoogleでの検索結果をよく調べ、お客さまが使用しているキーワードに合わせた方が良いのかを検討する必要があります。

実際に弊社が海外Webマーケティングを支援させていただいている企業様でも、同様の状況になったことがあります。

3. 海外の競合サイトは専用のツールを使用して調べる

キーワード選定を行う際に海外の競合サイトが使用しているキーワードを調べる必要があります。海外の競合サイトを探す際に一つ注意することは、検索結果の表示の仕方です。というのは、Googleは検索者が使用するGoogleの言語と位置情報によって検索結果の表示を変えるためです。

例えば、同じアメリカのGoogleを使用して検索を行ったとしても、日本から検索を行った場合とアメリカで検索を行った場合では、検索結果が変わります。そのためアメリカの検索結果を調べるためには、専用のツールを用いて仮想的にアメリカから検索を行う必要が生じます。(詳しくは記事の後半「海外SEO対策に使えるツール」で紹介しています)

これは細かいテクニック的な話ですが、キーワード選定の精度を上げるためにも意識しておくべきことだと思います。

コンテンツの作り方

外国語コンテンツ(記事の中身)を作る上で最も重要なのは、文章の質です。まず、外国語話者が読んで誤解を与えない文章(意味が一意に取れる文章)を掲載することが最低限必要です。これができていない場合、誤解を与え、トラブルに発展するおそれがあるためです。

そのほかで私が普段意識していることを以下にまとめます。

1. まずは不自然でなければOK

よく海外SEOの記事で「翻訳は必ず業界に詳しいネイティブに校正してもらいましょう」という記述を見かけます。ただ個人的には、最初の段階でそこまで丁寧にお金をかけて文章を作りこむ必要はないと考えています。

大きな理由は、製品・サービスに価値を感じてもらえれば、細かない言い回しがネイティブのようにできていなくても外国語話者の方は理解し、お問合せをしてくるからです。(より自然な言い回しの方がお問合せが増えるかもしれませんが)

特に国際色豊かな欧米の企業では、普段から英語を母国語としない企業とのやりとりにも慣れており、多少文章がネイティブよりぎこちなかったとしても、問題なくコミュニケーションができます。

またSEO対策に取り組む以上、検索順位が低い場合、一度書いた記事を加筆・修正する可能性が大いにあります。そのためネイティブの校正が必要とした場合、加筆修正が発生するたびに時間とお金がかかってしまうことも考慮する必要があります。

もちろん社内でネイティブ、もしくは母語並みに外国語に堪能な方がいる場合は、チェックしてもらいましょう。

2. 自社で文章作成が難しい場合は外注する

外国語で文章を作成する場合、「翻訳」という工程が加わる分、日本語記事を書くよりも手間がかかります。

そのような場合には、海外のライティングサービスを利用するのもおすすめです。弊社ではWriting Studioのコンテンツ制作サービスを利用し、英語記事の執筆代行を依頼することもあります。

こちらで記事の見出しを作成し、あとはお願いします、という感じです。レスポンスも早く記事の品質も良いため優れたサービスだと思います。

サーバーの選び方

海外SEOを行う場合、サーバーの選び方も上位表示を狙うために重要な項目の一つになります。

特に重要なことは「特定の国と地域で速い速度で表示させたいのか?」それとも「世界中どこからアクセスされても速い速度で表示させたいのか?」ということです。

前者の場合は、対象の国、地域からアクセスされた際に早く表示されるサーバー(例:現地にサーバーを有する会社)と契約することが効果的な対策になります。

一方、後者の場合は、弊社ではクラウドサーバーの一つである「AWS(Amazon Web Services)」使用を推奨しています。AWSとは、ショッピングサイトで有名なAmazonが提供しているクラウド型のWebサービスです。

このサーバーを使用するメリットは「CDN(Content Delivery Network)」と呼ばれる世界中に張り巡らされたネットワーク回線を利用して、世界中のどの地域からアクセスされても高速でWebサイトを表示できる点です。(詳しくはこちら

またAmazonが管理していることもあり、セキュリティのレベルも担保されているため安心して利用できます。

ドメインの選び方

外国語サイトでSEO対策を行う場合、ドメインは大きな意味を持ちます。

まず大前提として、国内企業向けドメイン.co.jp」の配下に外国語サイトを格納している場合、海外SEO対策ではかなり不利になります。これは海外のGoogleで検索が行われた際「.co.jp」ドメインのサイトは検索結果に表示されづらくなることが大きな理由です。詳しくは以下の記事で解説しています。

では「.co.jp」以外のドメインを使用するとして、考えられるのは以下の4パターンです。

1. 全世界用ドメイン

全世界向けドメインを日本語サイトとは別に取得する方法です。

例えば、日本語サイトが国内企業向けドメイン「.co.jp」を使用している場合、外国語サイトでは地域性を持たないジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)である「.com」や「.net」を使用するという方法です。

こちらの方法を採用することで、世界中のどの国と地域から検索された場合でも、検索結果の上位に表示される可能性を高めることができます。(検索者が使用している言語がWebサイトの言語と一致していることが前提です)

一方で、日本語サイトとは別でドメインを取得するための費用が発生します。(年額 1,000〜1,500円程度)

※Googleサーチコンソールの「インターナショナルターゲティング」という機能を使うと、サイトがジェネリックトップレベルドメイン(.com や .org など)を使用している場合でも、どの国を重要視しているかの判断材料となる情報をGoogleに提供することができます。

2. 国別専用ドメイン

特定の国と地域で上位表示を狙う場合に有効な手法です。

例えば、韓国語のWebサイトを作成し、ccTLD(国別コードトップレベルドメイン)と呼ばれる韓国企業が使用できるドメイン「.co.kr」を利用するというイメージです。こうすることで、韓国で検索が行われた際に検索結果の上位に表示されやすくなります。(国別コードトップレベルドメイン一覧はこちら

こちらも先のジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)を取得する場合と同様に、ドメインの取得費用が日本語サイトとは別に発生します。また、こちらのccTLDは現地に法人がないと取得できない場合もあるため、取得自体が難しいケースもあります。

3. サブドメイン

同じ内容のWebサイトを多言語で運営する場合に適した方法です。

例えば、「en.xxxx.com」は英語サイト、「cn.xxxx.com」は中国語サイト、「de.xxxx.com」はドイツ語サイトのように、一つのジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)に対して、複数のサブドメインを作成する方法です。

サブドメインを使用するメリットは、作成したサブドメインごとに最適なサーバーを使い分けることができる点です。例えば、「cn.xxxx.com」というサブドメインで作成した中国語サイトは、中国本土のサーバーを使い、「de.xxxx.com」はドイツ本土のサーバーを使う、といったイメージです。

このように国別にサーバーを契約することで、地域毎にWebサイトの高速化を実現できます。また日本国内のサーバーを使用し中国語のWebサイトを作成した場合、中国政府の検閲によりサイトが表示されなくなったり、表示されたとしても表示速度が極端に遅くなったりする場合があります。そのような国別の規制の影響を受けないようにするためにも、地域ごとにサーバーを契約するのは有効な手段になります。

ただこちらの方法も、サーバーの契約毎に料金が発生する、契約情報の管理が煩雑になるというデメリットはあります。

4. サブディレクトリ

こちらも3のサブドメインと同様に、同じ内容のWebサイトを多言語で運営する場合に適した方法です。

例えば、一つのgTLD「xxxx.com」に対して、英語サイトは「xxxx.com/en」、中国語サイト「xxxx.com/cn」、ドイツ語サイト「xxxx.com/de」といった感じです。

③サブドメインで管理する方法との違いは、すべてのドメインが一つのサーバーに集約される点です。これはすべての多言語サイトが一つのgTLD「xxxx.com」の配下に属しているためです。

この方法のメリットは、複数のサーバーを契約しない分、サーバーの管理費が安く済むことです。一方で、3のサブドメインで国別にサーバーを契約する場合と比較すると、世界各国からアクセスされた際に当該のWebサイトの表示速度が遅くなる可能性が高いです。

海外SEO対策の具体的な進め方

次に海外SEO対策の具体的な進め方を6つのステップに分けて解説します。国内のSEO対策と違いがある部分を中心に解説しています。

1. キーワード候補の洗い出し

まずSEO対策をするキーワード候補を洗い出しスプレッドシートにまとめます。特に英語でSEO対策を行う場合、製品名に複数の名称がないか入念に確認しましょう。

ここでは私がキーワード候補の洗い出しを行う際に、実際に使用しているツールを紹介します。なお主に以下のツールではキーワード候補の「月間平均検索ボリューム」と「関連キーワード」を調査します。

Google広告|キーワードプランナー

Google公式のキーワード調査ツールです。外国語キーワードを調査する場合は「言語」と「地域設定」を対象の言語、地域に合わせて設定するようにしましょう。(画像赤枠部を参照)

また「地域設定」は複数の地域を選択することができるため、例えば以下のようにASEAN地域に絞ってキーワードの「月間平均検索ボリューム」を調べることもできます。(※「キーワード候補」を調べる際は最大10ヶ所指定可能です)

これは例えば東南アジア向けにリスティング広告を出す際に、キーワードの「月間平均検索ボリューム」を調べる時に非常に役に立ちます。

上記の違いを除けば、基本的な使い方は日本語キーワードを調査するときと変わりません。

UberSuggest

こちらのツールも外国語キーワード調査をする際に便利です。

サイドメニューの「キーワード候補」からこちらの画面に入り、「言語」と「ロケーション」を設定することで、対象の言語、地域におけるキーワード調査が可能です。(画像赤枠部を参照)

これらのツールを用いてキーワード候補を洗い出すことに加えて、必ず実際の検索結果を確認しましょう。そうすることで、キーワードが意図した製品・サービスを的確に表しているか?、競合他社は違うキーワードを使っていないか?、の2点を確認することができます。

またUbersuggestには「トラフィック」というメニューがあり、特定のWebサイトのURLを入力することで、そのWebサイトが国別でどのようなキーワードで流入を獲得しているかを調査できます。この機能もキーワード候補を洗い出す上でも、見当違いなキーワードを選ばないためにも役に立つ機能です。

これら2点を確認し、ツールを用いた調査で洗い出せていなかったキーワードがあった場合は、それらのキーワードを再度ツールを使って「月間平均検索ボリューム」と「関連キーワード」を調査しましょう。

2. 対策キーワードの選定

次に「1. キーワード候補の洗い出し」で洗い出したキーワードの中から海外SEO対策を進めるキーワードを選定します。選定基準の例は以下のとおりです。

  • キーワードを使用するユーザーは自社の製品・サービスの顧客を含んでいるか
  • キーワードと自社の製品・サービスは十分に関連性が高いか
  • キーワードを使用するユーザーの検索需要を満たすコンテンツが自社で用意できそうか
  • キーワードの「月平均検索ボリューム」は十分大きいか
  • キーワードはSEO対策で十分に上位表示できる可能性があるか

これらを判断するためには、海外SEO対策を試行錯誤してきた経験による直感と丁寧な調査が必要です。しかもこれらの判断と判断に必要な調査を外国語で行う必要があるため、必然的に難度は高くなります。

よくある失敗パターンとして、「月平均検索ボリューム」が大きいという理由だけでキーワードを選定し海外SEO対策を行った結果、自社の製品・サービスには関心度の薄いユーザーから大量のアクセスが来たが、お問合せの件数は変化しなかった、というケースがあります。

このような失敗を防ぐためには、海外SEO対策を行う目的をキーワード選定の段階から明確にしておくことが必要です。そうすることで、判断軸も明確になり作業自体もスムーズに進みます。

3. 記事の見出しを作る

このステップは海外SEO対策の中でも最もセンスが求められる部分です。基本的な作業は国内SEO対策と同じですが、外国語になる分難度は高くなります。

②までのステップで対策するキーワードが決定しています。次に「キーワードを検索するユーザーがどのような情報、コンテンツを求めているのか?」、仮説を立てます。この仮説をもとに見出しを決定します。

例えば「cmm machines(三次元測定機)」という英語キーワードを使って検索を行うユーザーは、大きく以下のような情報を求めていることが予想されます。

  • 三次元測定機が欲しい(どんな製品があるのか知りたい)
  • 三次元測定機について知りたい(情報収集がしたい)

この中でも前者「どんな製品があるのか知りたい」という検索需要に対しては「三次元測定機の製品一覧」のような製品紹介ページが上位に表示されます。一方、後者の「情報収集がしたい」という検索需要に対しては「三次元測定機についての一般知識」のようなコラム記事が上位に表示されます。

英語キーワードの検索結果を確認する際は、英語の記事が世界で最も多く集まっているアメリカの検索結果を参照することをおすすめします。世界で最も競争が盛んなアメリカの検索結果で上位表示できれば、他の国でも上位表示できるであろう、という判断です。(ただしアメリカ英語とイギリス英語でキーワードが異なる場合は別で調査する必要があります)

次にこれら大きな分類分けをした「検索需要のどれを満たすのか?」を決めます。今回は、後者の「情報収集がしたい」を満たす記事を作成する場合を考えます。この時やるべきことは、キーワードを実際に検索した際に現在上位表示されている記事のコンテンツ(記事の見出し)を全て洗い出し、ユーザーが具体的にどのような情報を求めているのかについて仮説を立てることです。

今回の「三次元測定機」というキーワードの例では、以下のような情報をユーザーが求めているだろうと仮説を立てました。

  • 三次元測定機とは
  • 三次元測定機の特徴
  • 三次元測定機の種類
  • 三次元測定機を使うメリット
  • 三次元測定機を使うデメリット
  • 三次元測定機の機器構成
  • 三次元測定機の測定方法
  • 三次元測定機の選び方
  • 三次元測定機の製造メーカー

最後にこれらの情報の中でどの需要を満たすのか?を決めます。これがそのまま記事の見出しになります。この工程で決定した見出しによって検索順位が決まると言っても過言ではないほど重要な工程です。

もし記事の検索順位が上がってこない場合は、上記で決定した仮説が間違っている、もしくは仮説はあっているが記事に含んでいない、のどちらかになります。まずは仮説で洗い出した見出しを全て含める形に記事を加筆・修正し、それでも検索順位が上がってこない場合は、上記の仮説自体を再度考え直す必要があります。

4. 記事を執筆する

記事の見出しが決まったら執筆に移ります。執筆は自社で行う場合は誤解を招くような表現がないかのチェックだけは必ず行いましょう。可能であればネイティブ、もしくはネイティブ並みに外国語が堪能な方に表現のチェックをしてもらえればより良いと思います。

記事を自社で用意することが難しい場合は、Writing Studioのようなライティング代行サービスを利用することも検討しましょう。実際に頼むときは、「SEO対策で〜というキーワードで上位表示させることを目的とした記事を書きたいです。つきましては構成を作りましたので執筆をお願いします」とだけ伝えて、構成を別ファイルで添付してさえおけば快く引き受けてくれます。

文章が揃い次第、Webサイトへの反映、その他の必要な設定も国内SEO同様に行いましょう。

5. 効果測定

記事をWebサイトで公開後に効果測定を行います。効果測定では主に対策しているキーワードでの検索順位を調査します。

海外SEO対策の場合は、どの国における検索順位を調査するのかを決める必要があります。ターゲット地域が明確に決まっている場合は、その国における検索順位、特にターゲット地域がない場合はアメリカの検索順位を調べておくことをおすすめします。(理由は先ほどと同様です)

検索順位の追跡には、先ほど紹介したUberSuggestが使えます。

6. 加筆・修正

記事の検索順位が上がってこない場合は、加筆・修正を行いましょう。目安としては、3ヶ月経っても低い順位で変動しないようであれば加筆・修正が必要と考えて間違いないと思います。

加筆・修正の手順は「③記事の見出しを作る」を参照してください。

海外SEOの対策の実例

ここでは弊社が実際に海外SEO対策を支援した実例を紹介します。

株式会社メルテック

本社 千葉県流山市
社員数 100名
事業内容 フォトエッチング加工、エンコーダ用スケールの設計、製造、販売
取材記事 英語サイトで「海外の新規顧客開拓」と「製品の需要調査」を実現

株式会社メルテックは、エッチング加工を主事業とする金属薄板加工を行っています。このエッチング加工の技術を用いて製造することができる製品の一つに「エンコーダー用スケール」と呼ばれる部品に関するキーワードを中心にSEO対策を行いました。

以前は広告を使っていましたが、現在ではSEO対策のみで東南アジア、ヨーロッパ、北米の企業を中心に世界各国から問い合わせが来ています。

詳しくはこちら

海外SEO対策に使えるツール

最後に私が普段使用している海外SEO対策に使えるツールを紹介します。

1. Google広告|キーワードプランナー

キーワード調査を行う際に使用します。

海外SEO対策時にキーワードプランナーでは、主に世界全域における月間平均検索ボリューム、関連キーワードを調査するために使用しています。特定の国における場合でも使えるため非常に便利です。

またキーワードプランナーは「WebサイトのURL」を入力するだけで、該当のWebサイトの関連性が高いキーワードを一覧で表示することができます。これは特に競合のWebサイトがどのようなキーワードで流入を獲得しているかを調べる際に役に立つので、積極的に活用されることをおすすめします。

先ほど紹介した「言語」と「地域」の設定を組み合わせることで、かなりの情報を取得することができます。

2. Ubersuggest

こちらのツールはSEO対策全般に非常に役立つツールです。

私が主に使っている機能は以下の3つです。

項目名 用途
ランク追跡 国別にキーワードの検索順位を測定
キーワード候補 キーワードの月間平均検索ボリューム、関連キーワードの調査
海外の検索結果の調査
トラフィック概要 競合他社サイトが獲得している流入時に使用されているキーワードの調査

キーワードプランナーだけでも十分ではありますが、さらに深く抜け漏れがないように調べる意味で使用しています。また海外のGoogleの検索結果が手軽に調べられる点でもとても便利です。

3. Windscribe

このツールは海外のGoogleの検索結果を表示する際に非常に役に立ちます。

このツールはVPN接続と呼ばれる方法で、仮想的に海外からの位置情報を利用してインターネットに接続できます。要は海外の位置情報を利用して検索できるということです。

これは海外の競合サイトを調べる際に使えるため、海外SEO対策では役に立ちます。(もしくは2.Ubersuggestで検索結果を調べる方法でも全く問題ありません)

4. WebPageTest

こちらのサイトはWebサイトの表示速度を測る際に使用できます。

こちらのツールではWebサイトが世界の指定の地域からアクセスされた時の表示速度を計測できます。したがって、アメリカのGoogleでSEO対策をしたいという場合には、アメリカでの表示速度を測定し改善するべきかどうかを判断することができます。

ちなみにGoogle公式の計測ツール「PageSpeed Insights」は世界の4ヶ所(アメリカ:オレゴン、南カリフォルニア、オランダ、台湾)の一番近いロケーションから測定されているそうです。

参照

How does Calibre differ from Google PageSpeed?

まとめ

本記事では「海外SEO対策の本質」と題して、私が考える海外SEO対策に関する見解、ノウハウを説明しました。

まとめると、国内SEO対策と海外SEO対策は本質的には同じですが、言語と環境が変わる分、難度は上がる上に必要なテクニックも変わります。そのため、やるからにはしっかりと時間を投資して取り組むことをおすすめします。

海外SEO対策を任せられる業者をお探しでしたら、お気軽にテクノポート株式会社にお声がけいただければと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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外国語サイトのドメインに「.co.jp」ではなく「.com」を使用するべき理由

テクノポートの稲垣です。この記事は、以下のような課題を抱えている方に読んでいただきたい内容になります。

▶︎英語Webサイトを作るときのドメインは.co.jpのままでよいのか?
▶︎英語Webサイトを作るときのドメインは.comに変えた方がよいのか?
▶︎ドメインが検索結果に与える影響は?

そこで、この記事では以下の内容について解説します。

・.co.jpドメインと.comドメインの違い
・英語Webサイトに使用するべきドメイン
・ドメインが検索結果に与える影響(具体例を用いて解説+考察)

「.co.jp」と「.com」の違い

ドメインとは?

ドメインとは、ホームページのアドレス「http://www.〇〇〇.com」の「〇〇〇.com」の文字列のことを指します。

ドメインとはインターネット上の住所のようなものです。現実の住所に重複したものが存在しないように、ドメインにも重複したものは存在しません。ドメインについての詳しい説明は、以下の記事をご参照ください。

.co.jpドメインの特徴

国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)と呼ばれ、国や地域ごとに2文字のアルファベットが割り当てられるドメインです。ドメインの「co」が「company」、「jp」が「japan」を表します。

こちらのドメインは日本に登記されている会社のみが登録可能であるため、このドメインが使用されているWebサイトは、日本国内の企業のものであるということを示します。(アメリカの企業である場合は「.co.us」になります)

.comドメインの特徴

地域性を持たないジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)と呼ばれます。ちなみに「com」は「commercial」の頭文字を表し、企業や商用サービスのWebサイトで主に使われます。

こちらのドメインは世界中どこからでも取得できるため、ドメインからWebサイトの運営元の国や地域を判断することができないのが特徴です。

※Googleサーチコンソールの「インターナショナルターゲティング」という機能を使うと、サイトがジェネリックトップレベルドメイン(.com や .org など)を使用している場合でも、どの国を重要視しているかの判断材料となる情報をGoogleに提供することができます。

英語サイトに使用するべきドメイン

結論

結論、.comを使用するべきだと考えます。

理由

理由は、.co.jpを使用したWebサイトは国外から検索された際に表示されにくいからです。一方で、.comのドメインは地域性を持たないグローバルドメインであるため、海外から検索されても上位表示が狙えます。

例外として、海外から日本企業を探す際に用いられるキーワード(例:○○○○ Japan)と検索された際には、.co.jpドメインのWebサイトが上位表示される可能性は十分あります。

実例紹介

先ほどの主張(英語サイトには.comを使用するべき)を裏付けるために、実例を紹介します。

検証方法

検証方法 “Photo etching(フォトエッチング)”というキーワードの検索結果を比較
検索する地域 日本、アメリカ
使用するGoogle Google USA
調査項目 日本企業のWebサイト(.co.jpを使用したWebサイトが)検索結果の上位に表示されるか

ちなみに”Photo ethcing(フォトエッチング)”とは、金属を腐食させる溶解加工技術の名称です。

調査結果

日本で検索した場合

検索結果の3、4位に日本企業のWebサイト(.co.jpドメインを使用したWebサイト)が表示されます。

アメリカで検索した場合

検索結果に日本企業のWebサイト(.comドメインを使用したWebサイト)は表示されません。

なお今回の調査では、アメリカからの検索結果を表示させる方法として、こちらのVPNを使用しました。

考察

調査の結果、海外から検索されたとき、co.jpドメインのWebサイトは上位表示されないことがわかりました。

その理由として、Googleは検索ユーザーに最も関連性の高いWebサイトが検索結果として表示されるように努めていることが考えられます。

例えば、アメリカの検索ユーザーが”Photo etching”というキーワードで検索する場合、高い確率でアメリカの企業を求めていることが考えられます。少なくともそれらの検索ユーザーが、日本企業を求めているとは思えません。

つまり、アメリカから検索するユーザーには、アメリカの企業、もしくは「.com」のような地域性を持たないグローバルトップレベルドメインを使用したWebサイトが優先的に検索結果の上位に表示されたと考えられます。

補足

今回の記事の主張は、あくまで「ドメインは検索結果に影響を与える重要な要素の1つである」ということです。

言い換えると、ドメインを正しく選択してさえいれば、国外で検索された際に検索結果の上位で表示される、ということではありません。

国内同様、海外で英語検索されたときに上位表示させるためには、その他にも以下の内容が重要になります。

  • コンテンツの中身
  • ページの表示速度
  • ドメインの権威性(ドメインパワー)
  • ユーザーエクスペリエンス(文章の見やすさ、スマホ閲覧時のレイアウト)

上記の内容をきちんと満たしているのにもかかわらず「なかなか思ったような検索順位が取れない」とお悩みの方は、一度ドメインを見直してみるとよいと思います。

まとめ

本記事では、以下の内容を解説しました。

  • .co.jpドメインと.comドメインの違い:「.co.jp」国内企業のドメイン、「.com」は地域性を持たないグローバルドメイン
  • 英語Webサイトに使用するべきドメイン:「.com」を使用するべき(特定の国を対象にする場合は「インターナショナルターゲティングを設定)
  • ドメインが検索結果に与える影響:アメリカから検索を行うと「.co.jp」のドメインを使用するWebサイトは、検索結果の上位に表示されにくい

以上、英語サイトのドメインを選択する上で、本記事の内容が参考になれば幸いです。

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【BtoB製造業】優れた製造業グローバルサイト5選

フリーランス特許翻訳者であり、技術・理学系ライターとしても活動している太田です。

海外に自社の情報を伝えるには、英語に対応したWebサイトを作るのが効果的です。しかし、日本語のサイトを英語に翻訳するだけでは不十分だということをご存じでしょうか。ここでキーワードとなるのが、「グローバルサイト」です。

今回の記事では、海外に自社の魅力を効果的に伝える手段である「グローバルサイト」について解説し、その事例を5つご紹介します。

グローバルサイトとは?

定義

グローバルサイトは、全世界に向けて自社の情報を発信するためのサイトです。特定の国や地域にこだわらず全世界を対象としている点が特徴であり、多くの場合、英語で作成されています。グローバルサイトでは、自社が大事にしている理念やメッセージを特定の国や地域にこだわらず配信する場合が多いようです。

また、グローバルサイトを最上位のサイトとし、そこから各国や地域向けのサイト、各製品サイトに誘導するケースも多くみられます。

英語サイトとの違い

グローバルサイトと混同されがちなものとして、英語サイトがあげられます。英語サイトは、日本語Webサイトの文章を英語に翻訳しただけのものです。文章内容やサイトデザインなどは、日本語のサイトと基本的に全て同じです。しかし、英語サイトには大きな問題があります。

日本語と英語とでは、文章の調子や記号の使い方などが異なります。そのため、日本語を英語に翻訳しただけの英語サイトは、海外の人にとっては読みづらく違和感があるでしょう。また、日本と海外では好まれるデザインも異なります。例えば、日本ではサイト内に注釈を入れるケースが多くありますが、海外では注釈が嫌がられる場合も多いようです。

以上の点から、英語サイトでは不十分であり、全世界に受け入れられるグローバルサイトを作成する必要があるといえるでしょう。

グローバルサイトを制作するメリット

グローバルサイトは、世界に向けたメッセージを発信する場です。そのため、今は特定の国や地域をターゲットにビジネスをしているが将来的に対象地域を広げていきたい場合、早い段階からグローバルサイトを構築しておくことで、その後の海外展開がスムーズに進む可能性が高くなります。

グローバルサイトは、世界進出に必須のツールなのです。

BtoB製造業のグローバルサイト事例5選

ここからは、BtoB製造業のグローバルサイトを5つご紹介します。

①グローブ・テック

(引用:グローブテック グローバルサイト

グローブ・テックは、産業用に特化した特注コネクタの開発・設計・製造などを行う企業です。

グローバルサイトは白と緑を基調としたスタイリッシュなデザインであり、サイト内のコンテンツや文章は全て海外向けにカスタマイズされています。

②東山フィルム

(引用:東山フィルム グローバルサイト

東山フィルムは、工業用フィルムの開発・加工・生産・販売などを行うフィルム加工メーカーです。グローバルサイトに使用されている写真や図、基本的なデザインは日本語サイトと同じですが、グローバルサイトでは海外向けにサイト内の一部項目を変更するといった工夫がなされています。

③河合電器製作所

(引用:河合電器製作所 グローバルサイト

河合電器製作所は、熱技術に関するコンサルティングや電気ヒーターの開発・設計・製造・販売などを行う企業です。同社のグローバルサイトは、デザインやメニューが日本語サイトから大幅に改変されています。白と黒を基調とした海外向けのスタイリッシュなデザインです。

④中興化成工業

(引用:中興化成工業 グローバルサイト

中興化成工業は、フッ素樹脂を中心とした機能性樹脂加工製品の製造・販売を行う企業です。グローバルサイトのデザインは日本語サイトと同じですが、グローバルサイトでは注目コンテンツの内容が海外向けに変更されています。

⑤ポリプラスチックス

(引用:ポリプラスチックス グローバルサイト

ポリプラスチックスは、各種ポリマーやプラスチックなどの製造・販売を行う企業です。同社のグローバルサイトは、日本語、英語、中国語の3言語で作成されています。サイト内では、自社技術の魅力や事例、理念、全世界での事業展開状況などを発信しています。

まとめ

今回の記事では、グローバルサイトを構築しているBtoB製造業を5社紹介しました。

  1. グローブ・テック
    • 業務内容:産業用に特化した特注コネクタの開発・設計・製造
    • グローバルサイトの特徴:白と緑を基調としたスタイリッシュなデザイン。コンテンツや文章を全て海外向けにカスタマイズ。
  2. 東山フィルム
    • 業務内容:工業用フィルムの開発・加工・生産・販売
    • グローバルサイトの特徴:海外向けにサイト内の一部項目を変更。
  3. 河合電器製作所
    • 業務内容:熱技術に関するコンサルティングや電気ヒーターの開発・設計・製造・販売
    • グローバルサイトの特徴:デザインやメニューを日本語サイトから大幅に改変。白と黒を基調とした海外向けのスタイリッシュなデザインを採用。
  4. 中興化成工業
    • 業務内容:フッ素樹脂を中心とした機能性樹脂加工製品の製造・販売
    • グローバルサイトの特徴:注目コンテンツの内容を海外向けに変更。
  5. ポリプラスチックス
    • 業務内容:各種ポリマーやプラスチックなどの製造・販売
    • グローバルサイトの特徴:日本語、英語、中国語の3言語で作成。自社技術の魅力や事例、理念、全世界での事業展開状況などを発信。

海外展開を視野に入れている場合、グローバルサイトの構築をおすすめします。サイト設計やコンテンツ作成などには時間がかかるので、なるべく早く制作を開始するほうがよいでしょう。海外展開をスムーズに進めるためにも、この機会にグローバルサイトの構築を始めてみてはいかがでしょうか。

【5社を調査】Webページ翻訳の料金相場を比較!

テクノポートの稲垣です。今回は海外Webマーケテイング事業の中でも最も重要な作業の一つであるWebページの翻訳に着目し、Webページの翻訳にかかる料金の相場について調査しました。

今回の記事ではWebページの翻訳サービスを行っている5社の料金体系を紹介します。紹介する内容をご覧いただければ、Webページの翻訳にかかる料金相場を感じて頂けると思います。

Webページ翻訳の注意点

Webページ翻訳の料金相場を比較する前に、Webページ翻訳をする上で注意すべき点を3つ紹介します。業者に翻訳を依頼する前にこれらの点がサービスとして担保されているか、などを判断材料の一つに入れて頂ければと思います。

  1. 「誤字脱字」:スペルミスはないか?誤訳はないか?
  2. 「専門用語」:適切な専門用語が選択されているか?Webページ内で専門用語が統一できているか?
  3. 「分かりやすい文章」:ネイティブにとって読みやすい文章表現になっているか?訴求したいメッセージが伝わる文章になっているか?

料金相場比較で使用する条件

各社で提供する料金相場を分かりやすくするために、下記3つの条件を設定し価格を比較しました。

  1. 翻訳言語:日本語→英語
  2. 翻訳文字数:3000文字(本記事の文字数:2312)
  3. 文章の種類:工業技術

Webページ翻訳の料金比較(5社)

①INETERBOOKS

出典:INTERBOOKS株式会社ホームページ

翻訳料金

  • スタンダードコース 54000円~(1文字あたり18円~、納期:A4用紙1~5ページを3~4日)
  • スピードコース 72000円~(1文字あたり24円~、納期:A4用紙1~5ページを1~2日)

※価格は税別、料金は文章の難易度、レイアウト作業によって変動

特徴

  • 分野ごとに適任の翻訳スタッフが翻訳作業を行う
  • 翻訳した文章に対して、ネイティブと日本人によるクロスチェックを実施

②翻訳会社ブリッジリンク

出典:翻訳会社ブリッジリンクホームページ

翻訳料金

  •  39000円~75000円(1文字あたり13円~25円)

※翻訳料金は、原文のボリューム(文字数、単語数)、納期、分野、仕上げレベル、レイアウト等をベースに計算

特徴

  • 翻訳の使用目的に合った料金設定で依頼可能
  • 専門分野に通じた翻訳エキスパートが翻訳作業を行い、日本人とネイティブスタッフによるチェックと編集を通して品質管理を実施

③ティーベスト

出典:翻訳会社ティーベストホームページ

 翻訳料金

  • 激安スタンダード 30000円~55000円(1文字あたり10円~18.3円、翻訳者:ネイティブ翻訳者1人、納期:約3日)
  • スタンダード 51000円~75000円(1文字あたり17円~25円翻訳者:ネイティブ翻訳者1人+日本人翻訳者1人、納期:約5日)
  • ハイクオリティ 66000円~100000円(1文字あたり22円~33.3円、翻訳者:ネイティブ翻訳者1人+日本人翻訳者2人、納期:約7日)

※上記プランに急ぎで翻訳が必要な場合はスピード翻訳が可能、スピード翻訳には追加料金が発生する場合がある

特徴

  • 提供するプラン全てにネイティブ翻訳者が入る
  • すでに原稿が出来上がっている文章をネイティブチェッカーが修正を行うサービスがある

④Conyac


出典:Conyacホームページ

翻訳料金

  • A. 翻訳 12000円(1文字4円×3000文字、納期:2営業日)
  • B. 翻訳+ダブルチェック 24000円(1文字8円×3000文字、納期:3営業日)
  • C. 翻訳+翻訳指名 18000円(1文字6円×3000文字、納期:2営業日)
  • D. 翻訳+翻訳指名+翻訳手配 24000円(1文字8円×3000文字、納期:2営業日)

※料金支払い体系が「都度払い」と「月額払い」の2種類ある

特徴

  • Conyacのに登録する世界中のフリーランス翻訳者に365日24時間翻訳依頼可能
  • 他の翻訳会社より低価格な料金設定(日本語1文字6円)

⑤エバーグリーントランスレーション株式会社


出典:エバーグリーントランスレーション株式会社ホームページ

翻訳料金

  • 30000円(1文字あたり10円、翻訳のみの場合)

※Webサイトのローカリゼーションを含める場合:トップページ1枚×6000円、コンテンツページ1枚×3000円

特徴

  • 通常の翻訳に加えてSEO対策(検索結果で上位表示するための対策)を含めた調整も依頼可能
  • 翻訳者/翻訳チェッカー、ウェブデザイナー/コーダー、SEOスペシャリストの3チームが協働して翻訳

まとめ

いかがでしたでしょうか。日本語→英語、3000字の工業技術系の翻訳であれば、今回紹介した5社で10,000円~100,000円とかなり料金に差があることが分かると思います。

過去に行った海外の製造業従事者の方へのインタビューでは、専門用語の翻訳精度、コーポレートイメージなどを意識し、業界に通じたネイティブに翻訳を依頼したいと思っていることが多いと分かりました。一方で、自社独自の専門用語は自社で訳して、それ以外の一般的な文章は専門外のネイティブの依頼したいという事業者の方もいるかと思います。

よって、自社のニーズに合致したサービスを提供する翻訳会社を見つけることが重要であると思います。今回紹介した内容が翻訳会社選定の一つの目安として使っていただければ幸いです。

世界の製造業インタビュー①「コロナウイルスの影響は?中国進出企業の今」

テクノポートの稲垣です。今回は世界の製造業インタビュー企画です。本企画の目的は、実際に海外に事業展開している製造業事業者の方にインタビューを行い、日本の中小製造業の世界進出に役立つ情報をお届けすることです。第1回目の今回は、中国の広東省で絞り加工、精密プレス品の製品生産を行う岐阜精器工業の波多野さんにインタビューを行いました。

  • 「中国の人件費は昔と比べてどうか?」
  • 「中国で工場を作るのは、現状良いアイデアか?」
  • 「中国ではいまだに ”Made in Japan” は顧客に響くか?」
  • 「現状コロナウイルスが中国の工場運営に与えている影響は?」

などの質問に対し、現地で働く人の生の声をお届けします!

中国の人件費について

中国の人件費は昔と比べてどうか?

我々が進出した2002年と比べると、約3倍ですね。もちろん中国と言っても土地が広く、最低賃金も場所によって違います。

中国の人件費の上がり方は?

鈍化していると思いますね。東南アジア諸国と比べても、人件費の上がり方にそれほど差はないように感じます。

我々が今工場を経営している地域(広東省)だと、大体ベトナムの人件費と同じくらいだと思います。

中国進出にあたって人件費以外のメリットは?

従業員が確保しやすい事ですね。就職したい若い人間がたくさんいるので、工場の掲示板に張り出せば自然と人が集まりやすいです。

中国人労働者について

何語で中国人労働者とのコミュニケーションをしている?

全て中国語です。英語のコミュニケーションはありませんね。なので、中国国内でビジネスを行うとなると中国語は必須と考えた方が良いと思います。

何割くらいの中国人労働者が英語を話せる?

一人もいませんね。我々の工場には120人前後の中国国籍の人が働いていますが、英語が話せるという人は一人もいません。

経営層レベルでちらほら要る程度で、中間管理職を務める30歳から50歳あたりで英語を話せるのは人はとても少ない印象ですね。

性格的な面で中国人労働者の特徴は?

良い面として「稼ぎたい」という意欲が日本人労働者よりも高いと思います。現在、日本で進められている働き方改革のような気運は中国にはありませんから、どんどん残業してどんどん稼ごうというタイプの労働者が多いです。

一方で、「離職率」が高いという面もあります。忙しく働くことができない会社からは、人が離れていってしまうということもよく起こります。また、自分の望む給料がもらえなかったら、すぐに次の職場に移る人が日本よりも多いですね。上の話と関連したもので言うと、給料によって態度ががらりと変わってしまうということもあります。

労働者間でも、誰がどれだけの給料をもらっているかの情報はなぜかすぐに広まるので、例えば「彼が昇給できて、私が昇給できないのはなぜだ?」みたいな申し出もしょっちゅうありますね。(笑)

中国でのビジネスについて

日本品質を中国工場で実現するための工夫は?

進出した当時は、日本人技術者が中国に行って設計から組み立てまで、手取り足取り教えました。我々は物を作るうえで金型の設計、開発とかが大事になってくるので、技術者の育成に力を入れましたね。

中国国内での協力企業の探し方は?

受け身的な方法としては、「営業メール」をもらうパターンですね。日本では中国企業から来る営業メールはスパム扱いになっているところが多いと思いますけど、我々は、そういったメールに対して従業員にコンタクトを取らせます。その後、実際に工場に行ってもらい、作っているもの、工場の様子などを監査させます。監査の結果、良いものが作れそうだと判断した場合には協力工場の候補として考えるようにしています。

自分たちから探しに行く方法としては、中国国内で開かれる「展示会」が主ですね。

Webから探す時は、「地域名」+「加工方法」という形でHPを見ていく感じです。「地域名」を入力しないと、膨大な量の情報が出てきてしまうんです。先ほども言いましたが、中国と言っても広いので、広東省から北京は海外と同じくらいの感覚なんですよね(笑)

中国で工場を作るのは、まだ間に合うか?

間に合うとは思います。ただし「場所」が重要になりますね。と言うのは、場所によって人件費の上がり方が全然違うからです。例えば、我々が進出している場所は広東省の田舎で日系企業はほとんどいません。よって、人件費の上がり方も遅く、上海のような大都市のそれと比較すると全然安いです。

なので、これから中国への進出を考えるなら人件費の上がらなそうな場所に拠点を設けることが重要だと思います。とは言うものの、中国の田舎でも20年ほど前に比べると3倍くらい人件費は上がっていますが、日本に比べると全然安いですよ。我々の場所で月の最低賃金は4万円/月程度ですから。

中国企業のメールのやり取りの特徴は?

中国の場合、全体的にカジュアルな印象を受けますね。

日本企業はきっちり文章を作るイメージですが、中国企業とのやり取りは一文でOKだったり、「!」を入れてたりします。そういう対応をしても失礼には当たらないんですよね。

もう一つの大きな違いは、中国ではメールを使わないことですね。

日本で言うLINEのようなSNSプラットフォームを企業間のやり取りでも使用します。中国ではWechatというSNSで図面を送って、見積もりをもらうのが当たり前になっています。FAXなんかもってのほかですね。(笑)

日本ブランドについて

日本企業のイメージは?

お客様によく言われるのは、品質と納期についてですね。

我々は生産は中国でやっていますが、あくまでも日系企業の品質を教え込まれた工場なので大丈夫だろう、という感覚で見てもらっていますね。要するに、中国の企業に出すより我々に出した方が安全だろうという感覚だと思います。

中国ではいまだに ”Made in Japan” クオリティーは顧客に響くか?

最近あまりないですね。中国の技術は日本が思っている以上に進展していますからね。なので一昔前の様に、日本企業の家電を使っているからすごい、みたいなことは全くありませんね。

結局、スマートフォン市場も日本の製品はありませんし、家電もサムスンやLGの方が売れているんですよね。強いて言えば、自動車はいまだにトヨタを始めとする日本のブランドが好んで使用されているぐらいですかね。

中国のネット事情について

中国のWebサイトを見る時に特に注意してみる内容は?

中国の工場関係のWebサイトが中心になりますけど、一番見るのは製品の形状、工場内部の様子などの視覚的なイメージが主ですね。言葉が分からないこともあるので。

中国で日本企業のWebサイトを見る際に特に注意してみる内容は?

工場関係を見る時は、どんな加工をしているか写真で判断しています。加えて、その会社が得意としている点をアピールする文面があればそこも読むようにしてます。

中国語HPを作るにあたって、Google翻訳でも十分意味は通じるか?

結論から言うと、ネイティブなり流暢な人が翻訳する必要があると思います。

よく中国企業が片言の日本語でHPを作っているのを見かけますよね。あれと同じような感じになってしまうんですよね。加えて、自分が翻訳した文章とGoogle翻訳で訳したものを比較すると、やはり前者の方が正確だと感じるのも理由の一つですね。

中国のネットで日本企業のサイトがヒットしたことはあるか?

あまりないですね。

中国国内で中国語で検索すると日本語サイトはほぼ引っかからないです。たまに引っかかる海外のWebサイトは、台湾や香港のものくらいですね。

これは直接関係ない話なんですが、お客様とか協力企業とかに我々のHP(日本国内にサーバーがある)を見てもらうと、「なんでこんなに動作が遅いの?」と言われるんですよね。おそらく、中国政府がネット検閲に力を入れている影響もあると思います。

中国のネットを使う上で不自由することは?

Googleが使えたり使えなかったりすることですね。

Googleを使っていて検索できる時もあれば、次のページに行こうとすると急に動けなくなってしまうこともあります。加えて、我々のHPに載せているYoutubeの動画なんかは、全く見れなくなっていますね。

コロナウイルスについて

現状コロナウイルスが中国の工場運営に与えている影響は?

工場の運営にあたっては、政府から大きく2回の指示がありましたね。

1回目は、1月31日から出勤して工場を稼働させる予定が、2月3日まで完全休業してください、と言われたものですね。中国では、1月17日から旧正月(春節)が始まって、それと同時にコロナウイルスが拡大していった影響ですね。

2回目は、先ほどの2月3日から一週間の休業延長命令でしたね。また、一週間後の2月10日から全ての工場が稼働できるわけではなく、中国政府の監査をパスした工場から順に稼働許可が下りるシステムです。監査は主に、工場労働者の体温管理、アルコール消毒の管理度合いなどがチェックされました。我々の工場はOKがもらえて2月10日から工場が稼働しています。

政府の監査に通過する企業の割合は?

実を言うと、我々の工場は運が良かっただけで、まだ工場の運営許可出ていない会社は山ほどあるんですよね。

許可が下りていない割合は地域ごとによって違いますね。それは、大手から順に稼働許可が下りるようになっているからです。我々の工場は田舎町で他の工場が少ないからすんなりOKが出ましたが、例えば、大手企業が集まった深圳などは、中小企業の多くがいまだに稼働許可が下りていないと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。冒頭の4つの質問に対する答えをまとめると、

  • 「中国の人件費は、20程前に比べると約3倍に上昇したが日本に比べるとまだまだ安い。
  • 「中国に工場を作るのは、間に合うが人件費が上がらない場所を選ぶことが重要。
  • Made in Japan が顧客に響くことは、ほとんどない。
  • 「コロナウイルスの影響で、政府からの監査が入り多くの中小企業が稼働休止中。

のようになります。個人的には、日本ブランドが響かなくなっていたり、SNSで企業間のやり取りが行われていたり、中国の技術の発展を感じるインタビューになりました。今回の内容が中国への事業展開に関心のある方の参考になれば幸いです。

次回は、日本の切削部品受託加工技術でフランス進出を果たしたあの方のインタビューをお届けする予定です!

2020年の製造業「カンボジア」

テクノポートの稲垣です。前回の記事では東南アジア最後のフロンティアとして日本企業の注目を集める「ミャンマーの製造業」について紹介しました。今回はそのミャンマーと同じく縫製業が盛んで、2020年のGDP成長率がASEAN最上位と予想されるカンボジアの製造業ついて紹介します。

カンボジアの製造業の最大の特徴は何といっても縫製業(繊維・衣類・履物)です。調査によると製造業のGDP全体の60%以上を縫製業が占めています。今回はカンボジアの製造業を、実際に同国に事業展開を果たした日本企業の紹介を交えて、日本企業の視点から調査しました。

カンボジアの概要

  • 正式名称:カンボジア王国(Kingdom of Cambodia)
  • 首都:プノンペン(Phnom Penh)
  • 首相:フン・セン(1998年11月から)
  • 通貨:リエル(Riel)(1リエル=0.027円 ※2020年2月20日時点)
  • 人口:約1630万人
  • 面積:18万km2(参考:日本の面積38万km2)
  • 公用語:クメール語(カンボジア語)
  • 宗教:仏教(96.4%)イスラム教(2.1%)キリスト教(1.3%)その他(0.3%)
  • 平均寿命:男 62.4歳、女 67.5歳(日本:男 81.2歳、女 87.3歳)

カンボジア経済の特徴

強み

  1. 縫製業:製造業全体の約60%を占める
  2. 炭化水素鉱床:カンボジア領海内に石油・天然ガスを所有(現在調査段階)
  3. 観光業:GDPの約16%を占め、年成長率7%で増加傾向
  4. 若年層人口:国民の50%以上が22歳以下

弱み

  1. インフラ整備不足:電気設備、交通ネットワーク基盤の未整備
  2. 熟練技術者不足:職業訓練不足、高い給与を求める転職などが原因
  3. 貧困:都市部と農村部での格差拡大、人口の35%は1日1ドル以下での生活

カンボジアの産業構造

カンボジアの産業構造を調査します。下の図は2017年のカンボジアのGDPにおけるサービス業(政府の活動、通信、輸送、財政、民間サービス業)、工業(鉱業、製造業、エネルギー産業、建設業)、農業(農業、 漁業、林業)における各部門の割合をしめしたグラフです。


データ引用元:Cambodia GDP – composition by sector | index mundi

グラフから以下のようなことが読み取れます。

  • 産業(鉱業、製造業、エネルギー産業、建築業)の割合は32.8%で近年増加傾向
  • 農業の割合が25.3%でASEANの中ではミャンマーに次いで大きい

▶現状

  • 1998年から2018年までGDPの年成長率約8%の増加を続け、急速に成長している
  • 主要産業として、縫製、軽工業、食料加工、不動産建設、観光業が成長を支えており、産業の多様化が課題

▶今後

  • 2020年現在、低所得国に分類されているが政府は2030年までに中所得国、2050年までに高所得国を目指している
  • インフラ不足や貧困問題による競争力不足に対処するために、IT産業に投資をシフトする見通し

カンボジア製造業全体

次に、カンボジアの製造業全体についてです。下の図は2018年のカンボジアの輸出品目の付加価値額を示したグラフです。


出典:IS CAMBODIA POISED TO BECOME A MAJOR MANUFACTURING HUB? | intouch

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

▶現状

  • 2018年のカンボジアの労働人口割合は84.3%でASEAN諸国で最も高く、製造業従事者の割合は20%(サービス関連業48.2%、農業54.9%)
  • 製造業におけるテクノロジー導入が遅れており、生産効率の低さが原因で世界的な競争力は低い

▶今後

  • アジア開発銀行によると、縫製業の規模は緩やかに縮小し、新興産業として電子部品、自動車部品、自転車、精米、ゴムなどの規模が増加する見通し
  • カンボジア政府は税制優遇など、外資系の投資を積極的に受け入れており縫製業工場のほとんどは外資系企業(台湾28%、中国本土19%、香港17%、韓国13%)

日本企業の進出状況

ここからは、日本企業の視点からカンボジア製造業市場を調査結果です。下の図は1992年から2028年までのカンボジア日本人商工会登録企業数の遷移を示したグラフです。カンボジア日本人商工会(JBAC)とは、日本とカンボジア両国の商工業および経済全般の発展に寄与することで社会貢献を果たすことを目的に設立された組織です。


出典:カンボジア日本人商工会議所2018

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • 2018年の会員数は過去最多の261社, 3団体で発足当初の10社から20倍以上に成長
  • 製造業部会の会員数は64社・団体でJBACの7つの業種別部会(製造業、建築不動産、貿易、運輸、金融保険、商業、サービス)の中で最多

▶現状

  • カンボジア商工業会議所に登録されている日系企業の数も2010年から5年余りの間に10倍以上に増加
  • JETROの調査によると、カンボジアに興味を示す日本企業のパターンは2つあり、1つは新規市場開拓や生産拠点としての検討、2つ目は既にタイ、ベトナム、ミャンマーなどに進出済み企業の2次投資

▶今後

  • カンボジア政府は2025年までの産業開発政策で高度な産業を誘致し、産業構造の転換を図っている
  • 近年は労働賃金の上昇により採算が合わなくなり、同国から撤退する企業も目立つ(2017年時点で20社)

カンボジアに進出した日本企業

次に、実際にカンボジアに進出した日本企業を3社紹介します。

マサカツ鋼材

▶基本情報

  • 本社:大阪府枚方市
  • 従業員数:50名
  • 事業内容:鋼材販売、鋼材加工

▶概要

カンボジアの首都プノンペンにて2017年6月からカンボジア向上を本格稼働。すでにベトナムで実績を上げている鋼材加工をカンボジアでも開始。日本の高い加工技術によって付加価値を高め、競争力を上げるという日本企業の強みを活かした方法で事業を展開。材料の仕入れから製品までの仕事をすべて受けることで競合他社との差別化を実現。

株式会社 スワニー

▶基本情報

  • 本社:香川県東かがわ市
  • 従業員数:104名
  • 事業内容:手袋・鞄の製造販売

▶概要

2012年にカンボジアの経済特区にてカジュアル手袋を生産する新工場を建設。進出の主な理由に、カンボジアは縫製業が盛んであるため、安価な労働力の確保が容易であることを挙げている。加えて近年、中国国内の人件費の高騰が進み人材確保が厳しくなってきたため分散生産を可能にするという狙いもある。

日光金属株式会社

▶基本情報

  • 本社:栃木県矢板市
  • 従業員数:110名
  • 事業内容:自動車用耐熱・耐摩耗鋳造部品製造

▶概要

2013年5月に同社初の海外生産拠点としてカンボジアの首都プノンペンに工場を設立。主な目的は自動車メーカーの海外生産拡大への対応。カンボジアに進出を決めた理由は人件費の安さ首都の発展度合い、まじめで親日的なカンボジア国民の国民性などを挙げている。また、工業団地内は日系企業が多く情報交換ができる過ごしやすい環境が整備されていることなども理由の一つ。

まとめ

今回はカンボジアの製造業と産業構造を日本企業の視点から調査しました。個人的な見解としては、カンボジアでは縫製業をはじめとする労働集約型産業に頼っており、テクノロジーの導入による生産効率の向上には時間がかかると思われます。加えて、熟練技術者の不足が製造業の成長を鈍化させている原因の一つとして考えられます。

日本企業の視点から考えると、近年カンボジアの労働賃金水準は増加傾向にあり、労働賃金のみ削減を目的としたカンボジア進出は以前ほど魅力的ではなくなってきています。しかし、今回紹介した3社の様に明確な戦略と自社独自の強みを持った企業にとっては魅力的な市場であることに変わりわないと言えます。今回の内容がカンボジア進出に関心のある方の参考になれば幸いです。

2020年の製造業「ミャンマー」

テクノポートの稲垣です。前回の記事では世界の貿易拠点として近年注目を集める「タイの製造業」について紹介しました。今回はそのタイに隣接し親日国としても知られるミャンマーの製造業ついて紹介します。

ミャンマーの製造業の最大の特徴は、他のASEAN諸国とは異なり、GDPにおける製造業の割合は増加しており、政府もその流れを後押ししていることです。今回はミャンマーの製造業を、実際に同国に事業展開を果たした日本企業の紹介を交えて、日本企業の視点から調査しました。

ミャンマーの概要

  • 正式名称:ミャンマー連邦共和国(Republic of the Union of Myanmar)
  • 首都:ネーピードー(Nay Pyi Taw)
  • 大統領:ウィン・ミン(2018年3月から)
  • 通貨:チャット(Kyat)(1チャット=0.076円 ※2020年2月12日時点)
  • 人口:約5283万人
  • 面積:67万8500km2(参考:日本の面積38万km2)
  • 公用語:ミャンマー(ビルマ)語
  • 宗教:仏教(85%)キリスト教(4.9%)イスラム教(4%)その他(6.1%)
  • 平均寿命:男 66.6歳、女 69.6歳(日本:男 81.2歳、女 87.3歳)

ミャンマー経済の特徴

強み

  1. 豊富な原材料:鉱物(翡翠、銅、金)、天然ガス、石油
  2. 立地:中国、インド、タイなどの急成長国に近い
  3. 若年人口:国民の27%が14歳以下
  4. 産業ポテンシャル:観光産業と農業の成長可能性

弱み

  1. 宗教問題:多数を占める仏教徒による少数派イスラム教徒の迫害
  2. インフラ整備不足:電気、衛生環境、教育格差など
  3. 自然災害:自然災害が発生する確率が高い(地震、サイクロン、洪水など)

ミャンマーの産業構造

ミャンマーの産業構造を調査します。下の図は2017年から2018年までのミャンマーへのFDI(直接対外投資)における各部門の割合をしめしたグラフです。


出典:Myanmar – What to Watch 2019 | AEC

グラフから以下のようなことが読み取れます。

  • FDIの製造業の占める割合は31%で最も高くミャンマーの経済の主要産業と言える
  • FDIのサービス関連業への割合は低く農業と共に縮小傾向

▶現状

  • 製造業への投資が最も多く、製造業はミャンマー経済をけん引する期待が高い
  • 中国はミャンマー経済に最も多く投資しており、アメリカや日本はミャンマー経済の将来性に期待し投資を増加させている

▶今後

  • 「衣料品産業」と「食品加工産業」が好調で、投資の増加と共に生産を拡大する見通し
  • ミャンマーの「豊富な農産物資源」を効率よく活かすためにテクノロジーの導入が急務の課題となっている

ミャンマー製造業全体

次に、ミャンマーの製造業全体を調査します。下の図は2015年のタイの製造業のGDPにおける各部門の割合を示したグラフです。


出典:Manufacturing Guide 2019 | EUROCHAM MYANMAR

グラフから以下のことが分かります。

  • 産業(製造業含む)のみのGDPは統計開始の2013年から2018年にかけて1.58倍に増加
  • 2017年から2018年において産業(製造業含む)はGDP全体の31.6%を占める(サービス関連業42.2%、農業26.2%)
  • 他のASEAN諸国のGDPにおける製造業の割合は減少する中、ミャンマーではGDPにおける製造業の割合がほぼ一定のまま遷移している

▶現状

  • 「食品加工産業」と「衣料品」の対外需要に支えられ、製造業は2017年から2018年にかけて11%成長
  • 「安価な労働力」と「戦略的な立地」がミャンマー製造業を支えていると言える

▶今後

  • ミャンマー政府はGDPにおける製造業の割合を2013年から2014年の33%から、2030年から2031年にかけて37%に増加させる予定
  • 短期的に重点を置く3つの産業として、1. 労働集約型産業(例:機業、衣料品産業)、2. 一次産品(例:食料品)、3. 従来の製造業(例:繊維産業、縫製業、エレクトロニクス産業)を挙げている
  • 中長期的に重点を置く3つの産業として、1. 自動車部品組み立て産業、2. 先進技術産業(例:先進技術を応用した化学産業)、3. インフラ整備事業(例:道路建設産業)

日本企業の進出状況

ここでは、日本企業の視点からミャンマー製造業市場を調査結果です。下の図は2008年から2020年1月までのミャンマー日本商工業会議所登録企業数の遷移を示したグラフです。ミャンマー日本商工業会議所とは、日本とミャンマー間での商工業及び経済全般の促進及び関係強化を目的に設立された組織です。


データ引用元:ミャンマー日本商工業会議所

グラフから以下の特徴が挙げられます。

  • 2012年から急激に増加し、2020年1月末までで2008年の5倍以上の会員数
  • 工業部会(製造業関連)の会員数は2020年1月までで93社で全体の22.5%を占める

▶現状

  • ミャンマー日本商工会議所によると2019年9月時点で会議所の会員数は401社(うち製造業関連は89社)
  • 2017年時点でミャンマーに進出している日本企業数は438社で第21位

▶今後

  • 自動車部品の手作業を必要とする組み立て作業をミャンマーで行う企業が増加する見込み
  • 縫製業などの労働集約型の産業がミャンマーで工場を建設し生産を行うケースが増加する見通し

ミャンマーに進出した日本企業

次に、実際にミャンマーに進出した日本企業を3社紹介します。

株式会社トーノ精密

▶基本情報

  • 本社:岩手県遠野市
  • 従業員数:68名
  • 事業内容:プラスチック製品、MIM製品、TRI製品

▶概要

2019年12月ミャンマー最大都市のヤンゴン近郊のティラワ経済特区に工場を竣工。樹脂成型部品メーカーとしては初めてティラワに生産拠点を構え、海外調達に頼らざるを得なかった現地日系企業をターゲットとして、ティラワ工業団地内の日系企業向けに部品を供給している。

旭日電気工業

▶基本情報

  • 本社:東京都世田谷区
  • 従業員数:205人
  • 事業内容:電気工事、電気通信工事

▶概要

2019年9月ミャンマー最大都市ヤンゴンに支店を開設し、不動産賃貸業を開始。旭日電気工業は経済成長が進むミャンマーへの進出を考え、2017年から駐在員を派遣し調査を行ってきた。短期的には同国の日本人駐在員に対する賃貸を主事業とし、中長期的には内装や設備工事などの事業を開始する予定。

不二熱学工業株式会社

▶基本情報

  • 本社:大阪府中央区南船場
  • 従業員数:236人
  • 事業内容:空調・給排水衛生・低温設備などの設計・保守管理

▶概要

2013年身近な東南アジア諸国の中でも親日的なミャンマーに進出。同国において日系企業を対象に、空調、衛生、冷凍冷蔵や関連付帯業務などに係る技術を提供。また現地の企業に対し、技術を提供し環境保全に貢献。事業展開以外にも社会貢献の一環として、2014年アジアカップに参加するミャンマー女子サッカーチームに寄付。

まとめ

今回はミャンマー製造業と産業構造を日本企業の視点から調査しました。個人的な見解としては、ミャンマーの製造業は現在成長の過程にあり、今後は他のASEAN諸国と同様にハイテク産業への転換が進んでいくと思います。同時に農業や縫製業などの労働集約型の産業もGDPの大きな割合を占めていることもミャンマー経済の大きな特徴の一つと言えます。

また、ミャンマーに進出を考える日本企業の数は増加しており、今回紹介した3社の様に高い技術力と現地日本企業のネットワークを利用すれば進出のチャンスはあると言えます。

今回の内容がミャンマーに進出に関心のある方の参考になれば幸いです。次回はASEAN製造業シリーズ第6回目としてカンボジアの製造業について紹介する予定です。

2020年の製造業「ミャンマー」

テクノポートの稲垣です。前回の記事では世界の貿易拠点として近年注目を集める「タイの製造業」について紹介しました。今回はそのタイに隣接し親日国としても知られるミャンマーの製造業ついて紹介します。

ミャンマーの製造業の最大の特徴は、他のASEAN諸国とは異なり、GDPにおける製造業の割合は増加しており、政府もその流れを後押ししていることです。今回はミャンマーの製造業を、実際に同国に事業展開を果たした日本企業の紹介を交えて、日本企業の視点から調査しました。

ミャンマーの概要

  • 正式名称:ミャンマー連邦共和国(Republic of the Union of Myanmar)
  • 首都:ネーピードー(Nay Pyi Taw)
  • 大統領:ウィン・ミン(2018年3月から)
  • 通貨:チャット(Kyat)(1チャット=0.076円 ※2020年2月12日時点)
  • 人口:約5283万人
  • 面積:67万8500km2(参考:日本の面積38万km2)
  • 公用語:ミャンマー(ビルマ)語
  • 宗教:仏教(85%)キリスト教(4.9%)イスラム教(4%)その他(6.1%)
  • 平均寿命:男 66.6歳、女 69.6歳(日本:男 81.2歳、女 87.3歳)

ミャンマー経済の特徴

強み

  1. 豊富な原材料:鉱物(翡翠、銅、金)、天然ガス、石油
  2. 立地:中国、インド、タイなどの急成長国に近い
  3. 若年人口:国民の27%が14歳以下
  4. 産業ポテンシャル:観光産業と農業の成長可能性

弱み

  1. 宗教問題:多数を占める仏教徒による少数派イスラム教徒の迫害
  2. インフラ整備不足:電気、衛生環境、教育格差など
  3. 自然災害:自然災害が発生する確率が高い(地震、サイクロン、洪水など)

ミャンマーの産業構造

ミャンマーの産業構造を調査します。下の図は2017年から2018年までのミャンマーへのFDI(直接対外投資)における各部門の割合をしめしたグラフです。


出典:Myanmar – What to Watch 2019 | AEC

グラフから以下のようなことが読み取れます。

  • FDIの製造業の占める割合は31%で最も高くミャンマーの経済の主要産業と言える
  • FDIのサービス関連業への割合は低く農業と共に縮小傾向

▶現状

  • 製造業への投資が最も多く、製造業はミャンマー経済をけん引する期待が高い
  • 中国はミャンマー経済に最も多く投資しており、アメリカや日本はミャンマー経済の将来性に期待し投資を増加させている

▶今後

  • 「衣料品産業」と「食品加工産業」が好調で、投資の増加と共に生産を拡大する見通し
  • ミャンマーの「豊富な農産物資源」を効率よく活かすためにテクノロジーの導入が急務の課題となっている

ミャンマー製造業全体

次に、ミャンマーの製造業全体を調査します。下の図は2015年のタイの製造業のGDPにおける各部門の割合を示したグラフです。


出典:Manufacturing Guide 2019 | EUROCHAM MYANMAR

グラフから以下のことが分かります。

  • 産業(製造業含む)のみのGDPは統計開始の2013年から2018年にかけて1.58倍に増加
  • 2017年から2018年において産業(製造業含む)はGDP全体の31.6%を占める(サービス関連業42.2%、農業26.2%)
  • 他のASEAN諸国のGDPにおける製造業の割合は減少する中、ミャンマーではGDPにおける製造業の割合がほぼ一定のまま遷移している

▶現状

  • 「食品加工産業」と「衣料品」の対外需要に支えられ、製造業は2017年から2018年にかけて11%成長
  • 「安価な労働力」と「戦略的な立地」がミャンマー製造業を支えていると言える

▶今後

  • ミャンマー政府はGDPにおける製造業の割合を2013年から2014年の33%から、2030年から2031年にかけて37%に増加させる予定
  • 短期的に重点を置く3つの産業として、1. 労働集約型産業(例:機業、衣料品産業)、2. 一次産品(例:食料品)、3. 従来の製造業(例:繊維産業、縫製業、エレクトロニクス産業)を挙げている
  • 中長期的に重点を置く3つの産業として、1. 自動車部品組み立て産業、2. 先進技術産業(例:先進技術を応用した化学産業)、3. インフラ整備事業(例:道路建設産業)

日本企業の進出状況

ここでは、日本企業の視点からミャンマー製造業市場を調査結果です。下の図は2008年から2020年1月までのミャンマー日本商工業会議所登録企業数の遷移を示したグラフです。ミャンマー日本商工業会議所とは、日本とミャンマー間での商工業及び経済全般の促進及び関係強化を目的に設立された組織です。


データ引用元:ミャンマー日本商工業会議所

グラフから以下の特徴が挙げられます。

  • 2012年から急激に増加し、2020年1月末までで2008年の5倍以上の会員数
  • 工業部会(製造業関連)の会員数は2020年1月までで93社で全体の22.5%を占める

▶現状

  • ミャンマー日本商工会議所によると2019年9月時点で会議所の会員数は401社(うち製造業関連は89社)
  • 2017年時点でミャンマーに進出している日本企業数は438社で第21位

▶今後

  • 自動車部品の手作業を必要とする組み立て作業をミャンマーで行う企業が増加する見込み
  • 縫製業などの労働集約型の産業がミャンマーで工場を建設し生産を行うケースが増加する見通し

ミャンマーに進出した日本企業

次に、実際にミャンマーに進出した日本企業を3社紹介します。

株式会社トーノ精密

▶基本情報

  • 本社:岩手県遠野市
  • 従業員数:68名
  • 事業内容:プラスチック製品、MIM製品、TRI製品

▶概要

2019年12月ミャンマー最大都市のヤンゴン近郊のティラワ経済特区に工場を竣工。樹脂成型部品メーカーとしては初めてティラワに生産拠点を構え、海外調達に頼らざるを得なかった現地日系企業をターゲットとして、ティラワ工業団地内の日系企業向けに部品を供給している。

旭日電気工業

▶基本情報

  • 本社:東京都世田谷区
  • 従業員数:205人
  • 事業内容:電気工事、電気通信工事

▶概要

2019年9月ミャンマー最大都市ヤンゴンに支店を開設し、不動産賃貸業を開始。旭日電気工業は経済成長が進むミャンマーへの進出を考え、2017年から駐在員を派遣し調査を行ってきた。短期的には同国の日本人駐在員に対する賃貸を主事業とし、中長期的には内装や設備工事などの事業を開始する予定。

不二熱学工業株式会社

▶基本情報

  • 本社:大阪府中央区南船場
  • 従業員数:236人
  • 事業内容:空調・給排水衛生・低温設備などの設計・保守管理

▶概要

2013年身近な東南アジア諸国の中でも親日的なミャンマーに進出。同国において日系企業を対象に、空調、衛生、冷凍冷蔵や関連付帯業務などに係る技術を提供。また現地の企業に対し、技術を提供し環境保全に貢献。事業展開以外にも社会貢献の一環として、2014年アジアカップに参加するミャンマー女子サッカーチームに寄付。

まとめ

今回はミャンマー製造業と産業構造を日本企業の視点から調査しました。個人的な見解としては、ミャンマーの製造業は現在成長の過程にあり、今後は他のASEAN諸国と同様にハイテク産業への転換が進んでいくと思います。同時に農業や縫製業などの労働集約型の産業もGDPの大きな割合を占めていることもミャンマー経済の大きな特徴の一つと言えます。

また、ミャンマーに進出を考える日本企業の数は増加しており、今回紹介した3社の様に高い技術力と現地日本企業のネットワークを利用すれば進出のチャンスはあると言えます。

今回の内容がミャンマーに進出に関心のある方の参考になれば幸いです。次回はASEAN製造業シリーズ第6回目としてカンボジアの製造業について紹介する予定です。

2020年の製造業「タイ」

テクノポートの稲垣です。前回の記事ではASEANのハイテク産業の拠点である「マレーシアの製造業」について紹介しました。今回はASEAN諸国の中でもマレーシアに次ぐGDP増加率(4.1%)で成長するタイの製造業について紹介します。(出典:ASEAN Key Figures 2019

タイの製造業はシンガポールやマレーシアとは異なり、組み立て・製造業務が中心で、近年は研究・技術開発を推進する風潮があります。今回はタイの製造業の主要産業である自動車産業エレクトロニクス産業バイオプラスチック産業の現状と今後について掘り下げていきます。

基本情報

タイの概要

  • 正式名称:タイ王国(KIngdom of Thailand)
  • 首都:バンコク(Bangkok)
  • 首相:プラユット・ジャンオーチャー(2014年8月から)
  • 通貨:バーツ(1バーツ=3.50円 ※2020年2月3日時点)
  • 人口:約6828万人
  • 面積:51万km2(参考:日本の面積38万km2)
  • 公用語:タイ語
  • 宗教:仏教(95%)イスラム教(3.8%)キリスト教(0.5%)ヒンドゥー教(0.1%)その他(0.6%)
  • 平均寿命:男 71.7歳、女 78.3歳

タイ経済の特徴

強み

  1. 地域経済の拠点:東南アジアをはじめ、グローバルな貿易な拠点としての地位
  2. 輸出産業:好調な貿易関連業と豊富な外貨準備高(直ちに利用可能な対外資産のこと)
  3. 豊富な原材料:天然ゴム、米、サトウキビをはじめとする豊富な原材料

弱み

  1. インフラ整備不足:都市部は開発が進んでいるが、農村部ではインフラ整備が進んでいない
  2. 政治的不安定性:低所得者層の支持の支持を集める親軍派と、中間層・上位層支持を集める反軍派の対立による政治的混乱

タイのGDPの変化

タイの製造業の変化をGDPのデータを用いて調査します。GDPとは国内総生産(Gross Domestic Production)の略で一定期間に国内で生み出された付加価値の総額を指します。

まず、タイ全体のGDPの変化を確認します。下の図は1960年から2018年までのタイのGDPと年成長率を示したグラフになります。


データ引用元:GDP growth (annual %) – Thailand | Data – World Bank Data

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • 1998年以降GDPは右肩上がりに増加を続ける
  • GDPの年成長率は1997年~1998年でマイナスに落ちこむが、その後は回復しプラスを維持している
  • GDPの年成長率は、ここ4年では2.5%~5%の範囲で安定している

タイのGDPの現状

  • タイのGDPは世界26位(対象国196カ国)
  • タイ国民一人当たりのGDPは世界84位(対象国196カ国)
  • タイは東南アジアでインドネシアに次ぐ2番目の経済大国

タイのGDPの今後

  • 2019年~2020年のGDPの年成長率は2.8%という予想
  • 米中の貿易摩擦により輸出をはじめとする対外部門に悪影響が生じる可能性が高い
  • 民間消費の増加と公共インフラ整備の実施が2020年のタイ経済に好影響を与える予想

タイの産業構造

次に、タイの産業構造を調査します。下の図は2011年から2017年までのタイの総GDPにおける各部門(上からサービスサービス業、製造業、農業)の割合をしめしたグラフです。


出典:International Monetary Fund

グラフからタイの産業構造について次のような特徴が挙げられます。

  • 製造業と農業の割合が減少傾向で、それぞれ2011年から2017年にかけて3%ほど減少
  • サービス業は統計開始の2011年から上昇傾向で、2011年から2017年にかけて5%ほど増加

タイの産業構造の現状

  • 2016年にタイ政府はタイランド4.0(Thailand 4.0)政策を宣言し、ハイテク産業やサービスに投資を集中させる意向
  • 製造業と(サービス業の中でも)観光業がタイのGDPの増加に大きく貢献している
  • 観光業はタイのGDPの約10%を占め、観光業による収益はタイの輸出利益総額の50%とほぼ等しい計算

タイの産業構造の今後

  • 国の公式計画(2017年~2036年)によると、タイ政府はビジネス環境を改善し、鉄道、空港、道路、インフラ整備を通して長期的な経済の繁栄を目標にしている
  • タイの主要産業であった食品・飲料の生産は減少し、代わりに製造業の拠点として外貨を稼ぐ方針

タイの製造業

タイの製造業全体

ここでは、タイの製造業全体における変化をデータを通して調査します。下の図は2015年のタイの製造業のGDPにおける各部門の割合を示したグラフです。


出典:HONG KONG MEANS BUSINESS

グラフから以下のことが分かります。

  • GDPを占める割合が多い順に、 食品・飲料産業(23%)エレクトロニクス産業(13%)化学産業(9%)自動車産業(7%)ゴム・プラスティック産業(7%)加工・機械設備産業(6%)石油関連産業(6%)繊維・衣服産業(5%)家具産業(5%)その他(19%)

続いて、下の図は2018年のタイの輸出上位10品目を整理した表です。


出典:THAILAND INVESTMENT REVIEW Vol. 29 | No.2 | February 2019

表から以下のことが分かります。

  • 車部品関係の輸出が最も多く、成長率も最大
  • 輸出品目に大きな偏りがなく、多様な分野に渡って輸出が活発

タイの製造業全体の現状

  • 東南アジアの自動車組み立て拠点の中心的存在
  • 鉄鋼業の生産も盛ん(タングステンの生産量世界2位、錫(すず)の生産量世界3位)
  • 世界2番目のコンピューターパーツの輸出額

タイの製造業の今後

  • 専門家の予想によると製造業全体の出荷額は2.0%増加する見通し(2021年は3.4%の増加予想)
  • タイランド4.0(Thailand 4.0)計画をはじめとするハイテク産業、製造業の自動化に向かう動きが活発

自動車産業

タイの主要産業の一つである自動車産業の現状と今後をデータを用いて掘り下げていきます。下の図は2009年から2016年におけるタイの自動車生産台数の遷移を示したグラフです。


出典:THAILAND’S AUTOMOTIVE INDUSTRY THE NEXT-GENERATION | Thailand Board of Investment

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • 2009年から2016年にかけて年平均9.93%成長率で増加
  • 2012年、2013年が製造のピークで近年は緩やかに回復傾向

次に下の図は2009年から2016年におけるタイの自動車生産台数と付加価値額の推移を示したグラフです。


出典:THAILAND’S AUTOMOTIVE INDUSTRY THE NEXT-GENERATION | Thailand Board of Investment

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • 2016年の自動車生産台数の57%は1トントラックが占める
  • タイの自動車輸出台数は2009年から2016年にかけ2.2倍に成長
  • タイの自動車輸出でもたらされる付加価値の総額は2009年から2016年にかけ2.5倍に成長

自動車産業の現状

  • タイの自動車関連産業は東南アジアで最大、世界第12位の規模(2017年)
  • タイで製造される自動車のほとんどは外国企業、特に日本、アメリカ、中国の多種多様なブランドが混在

自動車産業の今後

  • 自動車の生産台数は2019年で2~4%減少し、2020年から2022年にかけて同じようなペースで減少する見通し
  • 自動車関連の輸出は2019年で5~7%減少するが、2020年から2022年にかけて国内の需要と新型モデルの発売に後押しされ回復する見通し
  • 電気自動車の生産台数は2018年(9000台)と比較し、2028年では45倍、2036年には133倍になる予想

エレクトロニクス産業

以前に紹介したシンガポール、マレーシア同様にタイにおいてもエレクトロニクス産業は盛んです。それでは、タイのエレクトロニクス産業の特徴を調べていきましょう。下の図は1989年から2015年にかけてのタイのエレクトロニクス産業関連製品の輸入額と輸出額の遷移を示したグラフです。(縦軸はUS$ billion)


出典:Electrical and electronics manufacturing in Thailand | International Labour Organization

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • 輸入額は1989年から2015年にかけて約12倍に増加し、年平均27.5億US$のペースで増加傾向
  • 輸出額は1989年から2015年にかけて約17倍に増加し、年平均31.2億US$のペースで増加傾向

続いて下の図は2013年から2016年にかけてタイのHDDディスクドライバーの輸出量の変化を示したグラフです。


出典:THAILAND’S SMART ELECTRONICS | Thailand Board of Investment

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • 2013年から2016年にかけて2.17倍に増加(年平均31.5%の成長率で増加)
  • 付加価値に換算すると2013年から2016年にかけて2.27倍に増加

エレクトロニクス産業の現状

  • 近隣諸国(マレーシア、シンガポール、ベトナムなど)が価格競争に参入し、熟練した技術を持つ労働力の不足、労働環境の悪化、労働者の発言力の低下が問題になっている
  • タイのエレクトロニクス産業の中心は組立てと製造業務で、付加価値の高い分野は少ない

エレクトロニクス産業の今後

  • エレクトロニクス産業が生み出す利益は2020年から2024年にかけて年平均成長率2.7%の割合で増加する見通し
  • 国内のエレクトロニクス産業市場は2018年に減少したが、2019年から2020年にかけてタイ経済の回復と同時に緩やかに増加する見通し

バイオプラスチック産業

最後に近年タイで急速な成長を遂げているバイオプラスチック産業について調査していきます。バイオプラスチックとは原料として植物などの再生可能な有機資源を使用することにより、枯渇が危惧され地球温暖化の一因ともされている石油にできるだけ頼らずに持続的に作ることができることから近年注目されている新しいプラスチック素材です。(出典:日本バイオプラスチック協会)下の図は2016年から2019年にかけてのタイにおけるバイオプラスチックレジンの生産量を示したグラフです。


出典:BIOPLASTICS | Thailand Board of Investment

グラフと参考資料より以下のようなことが挙げられます。

  • 輸出量は2016年から2019年にかけて107倍に増加
  • タイのバイオプラスチックレジンの輸出量は2007年には圏外だったが、2019年に世界第3位まで急成長

バイオプラスチック産業の現状

  • タイ政府はバイオプラスチックの研究開発を行うタイ国内と外国企業に対し支援を行い、生産を強化している
  • タイはバイオ関連産業に必要な原材料が豊富なうえ、製品を輸出するための地理的な優位性がある

バイオプラスチック産業の今後

  • タイ政府はバイオプラスチックを使用した梱包を推進するため、2019年から2021年にかけ免税政策を実施
  • タイのプラスチック廃棄管理規定のロードマップ(2018年から2030年)によると2020年までに再利用不可能またはポリスチレンを使用したプラスチックは梱包としての使用が禁止される見通し

まとめ

今回はタイの製造業の現状と今後について主要産業を中心に紹介しました。タイの製造業は他のASEAN諸国と同じようにGDPにおける製造業の割合は減少しているもののハイテク化、自動化の動きが盛んであることが分かります。

また多様な輸出品目をバランスよく有しているため、タイの製造業は今後も世界の貿易拠点の中心的な存在として活躍することが予想できます。今回の内容がタイの進出に関心のある方の参考になれば幸いです。

2020年の製造業「マレーシア」

テクノポートの稲垣です。前回の記事ではASEAN地域の中でいち早く先進国の仲間入りを果たした「シンガポールの製造業」について紹介しました。今回はそのシンガポールとほぼ同じGDPの成長率(2000年から2018年)で急速に発展を遂げているマレーシアの製造業について紹介します。(出典:ASEAN Key FIgures 2019

マレーシアのGDPの37.5%は製造業関連で、製造業は主要産業として経済成長に大きな役割を果たしています。今回はマレーシアの製造業の主要産業であるエレクトロニクス産業石油化学産業家具産業について掘り下げていきます。

基本情報

マレーシアの概要

  • 正式名称:マレーシア
  • 首都:クアラルンプール(Kuala Lumpur)
  • 首相:マハティール・ビン・モハマッド(2018年5月から)
  • 通貨:リンギット(1リンギット=26.85円 ※2020年1月27日時点)
  • 人口:約3200万人
  • 面積:33万km2(参考:日本の面積38万km2)
  • 公用語:マレー語、中国語、タミル語、英語
  • 公式宗教:イスラム教(61%)仏教(20%)キリスト教(9%)ヒンドゥー教(6.0%)儒教・道教(1.0%)
  • 平均寿命:男 72.7歳、女 77.6歳

マレーシアのGDPの変化

基本的な情報としてマレーシア経済をGDPの変化を通して調査します。GDPとは国内総生産(Gross Domestic Production)の略で一定期間に国内で生み出された付加価値の総額を指します。

まず、マレーシア全体のGDPの変化を確認します。下の図は2010年から2017年までのマレーシアの総GDPとGDPの年平均率を示したグラフになります。(1リンギット=26.85円 ※2020年1月27日時点)

データ引用元:eDataBank – Department of Statistics Malaysia Official Portal

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • 基準年の2010年から一貫して増加傾向が続く
  • 成長率は4%から10%の辺りを上下している

マレーシアのGDPの現状

  • 2018年のGDPは世界37位(196カ国中)を記録
  • 2018年の一人当たりのGDPは66位(196カ国中)を記録

マレーシアのGDPの今後

  • 経済の専門家によると、2020年のマレーシアの経済成長は4.3%になる見通し
  • 2020年の経済成長は停滞する見通し(米中貿易摩擦が対外部門に影響)
  • 民間消費は輸出部門の衰弱によって減速する見通し

マレーシアの産業構造

次に、マレーシアの産業構造を調査します。下の図は2018年のマレーシアの総GDPにおける各部門(上からサービス関連産業、製造業、建設産業、鉱業・採石業、農業)の割合をしめした円グラフです。

出典:Malaysia Economic Performance Second Quarter 2018

グラフからマレーシアの産業構造について次のような特徴が挙げられます。

  • 製造業はGDPの23.6%を占め、4.9%の増加率を記録
  • サービス関連業がGDPの55.3%を占め、マレーシアの主要産業と言える
  • 鉱業・採石業と農業はGDPの10%以下で減少傾向

マレーシアの産業構造の現状

  • 消費者の高所得化により卸売業・小売業部門の成長が進んでいる
  • サービス関連業のビジネスサービスは専門サービスによって大きく成長している
  • 製造業は電気機器・光学製品部門に支えられ緩やかに成長している

マレーシアの産業構造の今後

  • 2020年には5466の開発プロジェクトが企画されており、5億6000万リンギット(約150億円)がマレーシアの経済成長と長期的な発展のために投資される予定
  • 今後10年間において、政府は新しい経済領域を開拓し高給な職を創出するとともにマレーシア経済を加速させる予定

マレーシアの製造業

マレーシアの製造業全体

ここでは、マレーシアの製造業全体における変化をデータを通して調査します。下の図は2010年から2017年までのマレーシア製造業のGDPとGDPの年成長率を示したグラフです。(1リンギット=26.85円 ※2020年1月27日時点)


データ引用元:eDataBank – Department of Statistics Malaysia Official Portal

グラフから読み取れることとして以下のようなことが挙げられます。

  • 製造業のGDPは基準年の2010年から一貫して増加傾向が続く
  • 成長率は年によって約4%から11%の間で大きく変動

次に、下に示す図は2010年から2017年までにおけるマレーシアの総GDPにおける製造業の割合を示したグラフです。


データ引用元:eDataBank – Department of Statistics Malaysia Official Portal

グラフから以下のようなことが挙げられます。

  • 総GDPにおける製造業が占める割合は年々減少
  • 基準年の2010年から2017年で約1.2%減少

マレーシア製造業全体の現状

  • 2017年6月時点のマレーシア製造業の主要分野はエレクトロニクス産業(27.6%)、石油・科学・ゴム・プラスティック産業(24.0%)、木材・家具・紙製品・印刷産業(22.4%)
  • マレーシア製造業が直面している問題として、研究・開発のための資金不足が挙げられる

マレーシア製造業全体の今後

  • 製造業分野においては製造効率化、製品の多様化・複雑化に焦点が当てられる予想
  • 今後成長が期待される航空・宇宙産業、医療機器、エレクトロニクス産業、機械加工・機械装置、化学産業の強化が見込まれる

エレクトロニクス産業

前回シンガポールの主要産業の一つとして紹介したエレクトロニクス産業は、マレーシア製造業においても主要産業の役割を果たしています。下の図は2016年と2017年のマレーシアのエレクトロニクス産業の指標(上から輸出額、輸入額、純輸出、付加価値(基準価格)、労働生産性(製造業全体)、労働生産性(エレクトロニクス産業)、労働者数)を示した表です。(1リンギット=26.85円 ※2020年1月27日時点)

出典:A Study on Productivity and Contribution of the … – WayUp.my

表から読み取れることとして以下のようなことが挙げられます。

  • 総貿易額は統計開始の2012年から2020年(予想)までほぼ一定の傾きで増加
  • 輸出は年を重ねるごとに傾きが増加するのに対して、輸入は減少傾向に転じる見通しが立てられている(国内製造設備の強化により)

エレクトロニクス産業の現状

  • マレーシアは現在、世界14位の天然ガス埋蔵量、世界23位の原油を有している
  • マレーシアは一つの区域内で2300万メートルトンの製造設備を有しており、世界で最も大きな液化天然ガスの製造設備と言われている
  • 日本の大手石油化学企業の一つである出光興産は環境にやさしいシンダイオタクティックポリスチレン(SPS)の製造に4億リンギットを投資した

エレクトロニクス産業の今後

  • マレーシアは現在東南アジアで石油化学産業が盛んなインドネシア、タイに代わって2020までに生産設備容量の面で主導的な立ち位置になる見通し
  • マレーシア政府は統合型石油化学産業区域を作り、生産から貿易までを限られた区域で効率的に計画を立てている

石油化学産業

次にマレーシア製造業のGDPの24.0%を占める石油化学産業の現状と今後について調査します。下の図は2012年から2020年(予想)までのマレーシア石油化学製品の貿易収支を示したグラフです。(1リンギット=26.85円 ※2020年1月27日時点)

出典:malaysia petrochemical country report 2018 – Malaysian …

グラフから以下のようなことが挙げられます。

  • 総貿易額は統計開始の2012年から2020年(予想)までほぼ一定の傾きで増加
  • 輸出は念を重ねるごとに傾きが増加するのに対して、輸入は減少傾向に転じる見通しが立てられている(国内製造設備の強化により)

石油化学産業の現状

  • マレーシアは現在、世界14位の天然ガス埋蔵量、世界23位の原油を有している
  • マレーシアは一つの区域内で2300万メートルトンの製造設備を有しており、世界で最も大きな液化天然ガスの製造設備と言われている
  • 日本の大手石油化学企業の一つである出光興産は環境にやさしいシンダイオタクティックポリスチレン(SPS)の製造に4億リンギットを投資した

石油化学産業の今後

  • マレーシアは現在東南アジアで石油化学産業が盛んなインドネシア、タイに代わって2020までに生産設備容量の面で主導的な立ち位置になる見通し
  • マレーシア政府は統合型石油化学産業区域を作り、生産から貿易までを限られた区域で効率的に計画を立てている

家具産業

マレーシアは豊富な森林資源を活かした木材関連産業が盛んです。先ほども紹介したようにマレーシア製造業の22.4%は木材・家具・紙製品・印刷産業が占めています。その中でも家具産業の現状と今後について調査します。下の図は1986年から2015年までの家具の輸出額と年成長率を示したグラフになります。(1リンギット=26.85円 ※2020年1月27日時点)


データ引用元:the malaysian furniture industry – Universiti Putra Malaysia

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • 輸出額は統計開始の1986年から2008年にかけて増加傾向
  • 年成長率は2009年以降0%付近で上下し停滞傾向

また、下の図は1989年から2015年までの家具の輸入額と年成長率を示したグラフになります。(1リンギット=26.85円 ※2020年1月27日時点)

データ引用元:the malaysian furniture industry – Universiti Putra Malaysia

こちらもグラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • 輸出額は2000年から2005年辺りにかけて急激に増加、その後は2010年以降でも増加傾向
  • 年成長率は2009年で大きく減少したが、その後は増加傾向に転じる

マレーシア家具産業の現状

  • マレーシアは世界で南洋材と木材製品の輸出を行っている国の上位10位以内に入る
  • マレーシア国内で生産する(家具を含めた)木材製品の80%以上を輸出している

マレーシア家具産業の今後

  • 国が定める木材産業規定によると、家具産業は2020年に120億リンギット(約3200億円)の輸出額を達成する目標を掲げている
  • マレーシア政府は単純な汎用製品の製造に加えて、デザイン性を兼ね備えたクリエィティブな製品設計に力を入れている

まとめ

今回はマレーシアの製造業の現状と今後について主要産業を中心に紹介しました。マレーシアをはじめ東南アジア各国はGDPにおける製造業の割合は年々減少しています。しかし、マレーシアの製造業自体のGDPは増加を続けています。

そしてマレーシアが保有する天然資源の埋蔵量、製造拠点の立地、豊富な労働資源などを考慮すると、今後もその傾向は続くと予想されます。今回の内容がマレーシアへの進出に関心のある方の参考になれば幸いです。

2020年の製造業「シンガポール」

テクノポートの稲垣です。前回の記事では製造業の拠点候補として近年注目を集める「ASEAN(東南アジア諸国連合)」について紹介しました。今回はそのASEAN地域の中でいち早く先進国の仲間入りを果たしたシンガポールについて紹介します。

結論から申し上げますと、シンガポールのGDPにおける製造業の割合は縮小傾向にあり、主要産業はサービス関連業にシフトしています。(出典:ASEAN Key FIgures 2019

しかし、製造業は依然としてGDPの22%を占め、中でもエレクトロニクス産業、精密工業産業、医療・バイオテクノロジー産業、航空・宇宙産業は世界でもリーダー的なポジションにあります。それではシンガポールの製造業についての現状と今後を掘り下げていきます。

シンガポールの概要

  • 正式名称:シンガポール共和国(Republic of Singapore)
  • 首都:シンガポール
  • 首相:リー・シェンロン(2004年8月から)
  • 大統領:ハリマ・ヤコブ(2017年9月から)
  • 通貨:シンガポールドル(1シンガポールドル=81.76円 ※2020年1月20日時点)
  • 人口:約570万人 面積:724.2km2(参考:東京23区 619km2)
  • 公用語:中国語、マレー語、タミル語、英語
  • 公式宗教:なし(仏教・道教 43.2%、キリスト教 18.8%、イスラム教 14.0%、ヒンドゥー教 5.0%、無宗教 18.5%)
  • 平均寿命:男 80.7歳、女 85.2歳

参照

  1. STATISTICS SINGAPORE
  2. シンガポール基礎データ|外務省
  3. Singapore | Facts, Geography, History, & Points of … – Britannica

シンガポールのGDPの変化

シンガポールの製造業の変化をGDPのデータを用いて調査します。GDPとは国内総生産(Gross Domestic Production)の略で一定期間に国内で生み出された付加価値の総額を指します。

まず、シンガポール全体のGDPの変化を確認します。下の図は2010年から2018年までのシンガポールのGDPを示したグラフになります。

出典:Gross Domestic Product Dashboard – Statistics Singapore

グラフから以下のような特徴が挙げられます。

  • シンガポールのGDPは右肩上がりに増加しており、今後も上昇傾向が予想される
  • 2018年のGDPは前年のそれに比較して3.1%増加している

シンガポールのGDPに関する補足情報(出典:What makes the Singapore economy tick?)として以下のような数字が挙げられます。

  • シンガポールのGDPは現在の市場価値で4兆912億ドルで世界35位
  • 2018年の一人当たりのGDPは6万4579ドルで世界9位

シンガポールの産業構造

次にシンガポールの現在の産業構造を調査します。下の円グラフは2018年のシンガポールにおける各部門の名目付加価値額の割合を示したグラフです。名目付加価値額(Nominal Value Added)とは対象年度内において生産された付加価値の大きさを示す指標です。

出典:Gross Domestic Product Dashboard – Statistics Singapore

グラフから以下のことが読み取れます。

  • 約25%を製造業関連(製造業、建設業、電気・ガス・水道サービス)
  • 70%近くがサービス関連業からなる(卸売り・小売業、輸送・保管、宿泊・飲食サービス、情報・コミュニケーション、金融・保険、ビジネス関連サービス、その他サービス関連)

補足情報して(出典:What makes the Singapore economy tick?)として、シンガポールの産業構造は以下のような特徴が挙げられます。

  • 金融関連業GDPは安定して増加している(企業優先の環境と政治的な安定が理由)
  • 近年特に成長しているのは、医療技術、航空・宇宙産業、クリーンエネルギー、ヘルスケア産業

シンガポールの製造業

シンガポールの製造業全体

ここでは、シンガポールの製造業全体における変化をデータを通して調査します。下の図は1983年から2018年までのシンガポールの製造業における工業生産指数(基準年:2015年)の変化を示したグラフです。工業生産指数とは国内での製造業関連の生産量を基準念を100として指標化したものを指します。

データ引用元: Singapore Department of Statistics

グラフから読み取れることとして以下のような事が挙げられます。

  • 統計を開始した1983年から2007年頃までは右肩上がりに上昇
  • 2007年頃から2009年にかけて一時的に下降
  • 2011年から2018年に至るまでは上昇傾向が継続

以上のようなデータに加え、シンガポールの製造業は、インダストリー4.0を軸に国際的な製造業の拠点として地位を確立しつつあります。下の図はシンガポール政府が推進するスマートインダストリー準備指標の概念図になります。スマートインダストリー準備指標とは工業の自動化・デジタル化の準備の完成度合いを評価する指標です。

出典:Economic Development Board

スマートインダストリー準備指標は工程(Process)、Technology(技術)、Organization(組織)の3本の基本構成要素の下に、8つの柱があります。そして8つの柱が16の区分によって評価される仕組みになります。シンガポール政府は上記のスマートインダストリー準備指標を用いて、インダストリー4.0を実行する準備を国を挙げて包括的に行っています。

また、補足情報(出典:Singapore Top Industry Sectors & Key Activities | EDB)としてシンガポールの製造業全体にいて以下のような特徴が挙げられます。

  • 世界で製造される医薬品トップ10の内5つはシンガポールで生産されている
  • シンガポールのエネルギーと化学の複合集積地帯(ジュロング島:Jurong Island)では世界で5番目に大きな精油の製造をおこなっており、化学工業関連の輸出量は世界トップ10

エレクトロニクス産業

シンガポールの主要産業の一つであるエレクトロニクス産業の現状と今後について見ていきます。下の図は1983年から2018年までのシンガポール国内におけるエレクトロニクス産業の工業生産指数を示したグラフです。

データ引用元: Singapore Department of Statistics

グラフから読み取れることとして以下のようなことが挙げられます。

  • 1998年から2005年までの間、停滞が続くがその後は安定して上昇
  • 2018年では過去最高の工業生産指数125.282を記録

シンガポールのエレクトロニクス産業の現状について、以下のような特徴が挙げられます。

  • 主要な分野は半導体、商用電気機器、情報技術など
  • 2900以上の会社がエレクトロニクス産業に関わっている
  • 幅広いエレクトロニクス産業のバリューチェーンを有しており、研究、開発、設計、製造、流通までサービスを提供している
  • シンガポールのエレクトロニクス産業は900億シンガポールドルのGDPを記録し、製造業全体の1/4以上を占める(2017年)
  • シンガポールは1兆80億シンガポールドル以上の半導体、電気集積回路の輸出を行っており、世界全体の10%を占めている

シンガポールのエレクトロニクス産業の今後について以下のような見通しがされています。

  • シンガポール政府はエレクトロニクス分野のGDPを220億シンガポールドル成長させることを目的として、2020年までに2000以上の新しい職を提供する予定

参照

  1. Electronics Industry in Singapore | EDB
  2. Electronics | Industry Profile | Enterprise Singapore

精密工学産業

次にシンガポールの精密工業産業の現状と今後について調査します。下の図は1996年から2018年までのシンガポール国内における精密工業産業の工業生産指数を示したグラフです。

データ引用元: Singapore Department of Statistics

グラフから読み取れることとして以下のようなことが挙げられます。

  • 2011年から2016年まで停滞が続いたが、2017年で大きく上昇
  • 2018年では過去最高の工業生産指数164.146を記録

シンガポールの精密工業産業の現状について、以下のような特徴が挙げられます。

  • 世界の半導体産業で使用されるワイヤボンダの70%をシンガポールで生産
  • 世界中の冷凍コンプレッサーの10%はシンガポールで生産
  • 世界中の補聴器の30%はシンガポールで生産

そしてシンガポールの精密工業産業の今後について以下のような見通しがされています。

  • ここ数年で自動化による生産効率の改善が盛んになっている
  • 2020年までに140億シンガポールドルの経済的な付加価値と3,000以上の新たな職を作り出すとされている
  • 半導体装置(年平均成長率:7%)、試験測定装置(年平均成長率:9%)、3D造形(年平均成長率:30%)、ロボティクス(年平均成長率:11%)、センサー(年平均成長率:10%)、レーザー・光学機器(年平均成長率:8%)、先進材料(年平均成長率:4.9%)で成長が期待される

参照

  1. Precision Engineering | Industry Profile | Enterprise Singapore
  2. Precision Engineering | EDB
  3. Update on the Precision Engineering Industry Transformation Map (PE ITM)

医薬品・バイオテクノロジー産業

最後にシンガポールで現在急成長産業の一つである医薬品・バイオテクノロジー産業の現状と今後について調査します。下の図は1992年から2018年までのシンガポール国内における医薬品・バイオテクノロジー産業の工業生産指数を示したグラフです。

データ引用元: Singapore Department of Statistics

シンガポールの医薬品・バイオテクノロジー産業の現状について、以下のような特徴が挙げられます。

  • GDP全体の約3%を占める
  • 医薬品製造で160億シンガポールドルの利益を上げ、2000年のそれから3倍以上に成長(2017年)
  • 30を超える医薬品関連のトップ企業が新しい研究開発・製造の拠点としてシンガポールを選んでいる
  • シンガポール政府は医薬品関連企業を援助するための土地開発、インフラ整備にも力を入れている
  • 大学から有望な人材を雇用するために、実地訓練と学問を同時進行で推進する教育システムがある

そしてシンガポールの医薬品・バイオテクノロジー産業の今後について以下のような見通しと計画がされています。

  • 国内の医薬品関連の市場規模は2020年に16億シンガポールドル規模になる見通し(2017年:12.8億シンガポールドル)
  • 研究開発施設に加え商品管理・運用までをシンガポール国内で行える施設を増やす運動が加速する見込み
  • 2020年の研究イノベーション事業計画(出典:RIE2020 Plan)によると190億シンガポールドルが国内のイノベーション産業の強化のために投資される

参照

  1. Overview of the Singapore PharmBio Sector
  2. Singapore – A Strong & Growing Healthcare Industry
  3. RIE2020 Plan – National Research Foundation

まとめ

今回はシンガポールの製造業の現状と今後について主要産業を中心に紹介しました。全体を通して言えることは、シンガポールの製造業は自動化による生産効率改善の動きが盛んであることです。それを可能にしているのは、国を挙げたイノベーション産業への投資と、教育機関と連携して優秀な人材を輩出する努力の賜物であると感じました。

個人的には、今後シンガポールの製造業は付加価値の高い産業だけが残り、単純な部品製造拠点は減少していくと思います。今回の内容が、シンガポールへの進出に関心のある方の参考になれば幸いです。

2020年の製造業「ASEAN」

テクノポートの稲垣です。現在、多くの日本企業が東南アジアへ進出しています。東南アジアの中でもとりわけ注目されているのがASEAN(東南アジア諸国連合)地域です。

2016年の調査によるとASEAN地域に進出している日本企業の数は11,328社(出典:帝国データバンク)であるとされています。この数字からも分かるように、ASEANは日本と同じアジア地域として注目度を高めており、今後もこの傾向は続くことが予想されます。そこで、今回はASEANの製造業をテーマに現状と今後を掘り下げてみたいと思います。

ASEANの基本情報

ASEAN設立の歴史

現在、世界には多くの地域統合組織があります。その中でも、比較的長い歴史を有しているのが今回紹介する「ASEAN(Association of South-East Asian Nations)」です。

1960年代初めに、ASEANの前身となる「東南アジア連合」がマレーシア、タイ、フィリピンによって設立されました。東南アジア連合設立の背景には、当時の東南アジア諸国のほとんどが独立したての新しい国であったことが影響しています。

東南アジア連合の設立に次いで、1963年にマラヤ(Malaya)、フィリピン(Philippins)、インドネシア(Indonesia)の頭文字を組み合わせた「マフィリンド(Maphilindo)」が設立されました。

そして、現在のASEANは1967年8月の「ASEAN設立宣言」に基づき設立されました。ASEAN設立の目的は大きく以下の7つに集約されます。(出典:About ASEAN

  1. 経済成長、社会的・文化的発展の加速
  2. 平和、安定の促進
  3. 協力、相互支援の促進
  4. 貿易、研究機関の相互補助
  5. 農業、貿易効率化のための支援
  6. 東南アジアの研究の促進
  7. 緊密かつ有益な協力関係の維持

ASEAN加盟国

現在の加盟国は10カ国(タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア)です。

出典:ASEAN情報マップ

ASEANの製造業

製造業全体のGDPの変化

ここでは、ASEANの製造業全体の変化をGDPのデータを用いて調査します。GDPとは国内総生産(Gross Domestic Production)の略で一定期間に国内で生み出された付加価値の総額を指します。まず、ASEAN全体のGDPの遷移を確認します。下の図は2000年から2018年までのASEANのGDPと一人当たりのGDPを示したグラフになります。

出典:ASEAN Key FIgures 2019

グラフから分かるように、ASEANのGDPは年々増加しており上昇傾向であることが読み取れます。具体的には、2018年のGDPは2000年のそれと比較すると5倍以上に成長しています。加えて、一人当たりのGDPは2000年の1195ドルから4倍近くの4601ドルまで成長していることが分かります。次に下の図は、ASEANの総GDPにおける3つの主要産業(農業、製造業、サービス関連業)が占める割合の遷移を示したグラフです。

出典:ASEAN Key FIgures 2019

棒グラフの中層にある製造業の割合に注目すると、年々製造業が占める割合は減少していることが分かります。具体的には、2018年の製造業(製造、電気、ガス、水道、鉱業、採掘業)が占める割合は2005年から3.1%減少しています。一方で、サービス関連業(貿易、政治関連事業、通信、情報、交通、金融、経済活動)は年々拡大していることが分かります。以上2つのデータより、ASEANにおける製造業のGDPの遷移を表したものが下のグラフになります。

データ引用元:ASEANStatsDataPortal

先にも述べたように、GDPにおける製造業の割合は年々減少していますが製造業自体のGDPは年々増加していることがこのグラフから読み取れます。

製造業のGDPが増加している2つの要因

ASEANにおける製造業のGDPが増加している要因は大きく2つ考えられます。1つ目はASEAN域内で6億4千万にのぼる消費者の存在です。下の図は1990年から2018年までのASEANの人口と人口増加率を示したグラフです。

出典:ASEAN Key FIgures 2019

ASEAN域内での人口増加率は減少傾向にあるものの、人口は増え続けていることが分かります。また、消費者の数が増加するに従い高所得者の数も増加し、より高価な商品・サービスを求める傾向が増加していることも製造業の発展に貢献していると言えます。2つ目はASEANの安価な労働力が世界中から注目を集めていることです。

世界の製造業の生産拠点として飛躍的な発展を遂げた中国はここ最近、労働賃金の値上げに加え、規制を強化し始めています。よって各国の製造業企業は中国の代替となる生産拠点を探しています。生産拠点の候補としてASEANは低賃金かつグローバルなネットワークを有しているための世界各国の製造業を地域に引き付けています。

業種別の動向

自動車産業

ASEANでは急速な経済発展に伴い、自動車に対する需要も増加しています。下の図は2005年、2010年、2018年におけるASEAN各国内で登録された自動車台数を示したグラフです。

出典:ASEAN Key FIgures 2019

グラフからASEAN各国において自動車の登録台数が年々増加していることが読み取れます。ASEAN全体の登録自動車台数で整理したものが下のグラフになります。

データ引用元:ASEANStatsDataPortal

これらのデータよりASEANの自動車登録台数は年々増加しており、先にも述べた製造業の発展と同じ理由により、これからも上昇傾向が続くことが予想されます。下の図は、2005年から2016年におけるASEAN主要5カ国(インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナム)の自動車生産台数を示したグラフです。

出典:ASEAN情報マップ

2016年におけるASEAN主要5カ国の自動車生産台数は、統計を開始した2005年と比較し2倍近く増加していることが分かります。これらのデータより、ASEAN域内では自動車に対する需要が高まっており、それに従い自動車の生産台数も年々増加していることが分かります。

補足情報(出典:Electrifying times for automotive industry)として、ある調査によると東南アジア地域において

  • 2018年の自動車売上は、2016年から3年連続で6%上昇
  • 2019年の自動車売上台数は、2018年の357万台から427万台に増加

のような予想がされています。また、一部の専門家は中国とアメリカの貿易戦争の影響により、シンガポール、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシアでの販売台数は停滞する見通しであると主張しています。

化学産業

現在、世界の大きな化学工業企業は製造・研究開発の拠点を東南アジアで行っています。World of Chemicals(出典:Rise of the chemical sector)のレポートによると、ASEAN全体の化学工業には以下のような特徴があります。

  • 東南アジアの多くの化学工業工場では自動化とデジタル化が進められ、生産効率の向上が図られている
  • ASEAN諸国の化学工業による環境汚染対策として、先進技術の開発と規制の強化進んでいる

また、それぞれの国別で見ていくと、ASEANの中でも最も成長が著しいシンガポールの化学産業では以下のような特徴が挙げられます。

  • シンガポールはASEANの化学工業の拠点であり、石油化学、特殊化学工業で強みを持つ
  • シンガポールは100を超える先端化学工業企業を有しており、様々な企業が新しい実践的な化学技術の開発に力を入れている

そして、インドネシア、タイ、マレーシアといったASEAN主要国の化学産業には以下のような特徴が挙げられます。

  • インドネシア、マレーシア、タイは安定した市場として化学工業の発展に貢献している
  • マレーシアは世界第2位のパーム油の生産国であり、新しい油脂化学技術の開発に力を入れている
  • タイではバイオプラスティックの開発に注力している
  • インドネシアでは政府の援助不足と産業基盤の未発達により、バイオ化学工業の発達が遅れている

建設用機械産業

ASEAN地域での建設用機械の需要は年々増加しており、世界中の国と地域から企業が参入し競争が激化しています。(出典:ASEAN CONSTRUCTION MACHINERY MARKET

現在、世界中の製造業企業が東南アジアでの操業を考えています。それは先にも述べた、安価な労働力と地域内での需要の増加が主な理由になります。その中でも建設用機械産業は、東南アジア各国でインフラ整備への需要が増加しているため、東南アジアで最も盛んな産業の一つと言えます。

加えて、2019年6月にASEAN内での人、モノ、エネルギーの輸送を強化するためのパイプライン建設プロジェクトを発表し、2019年11月に正式にプロジェクトの合意を発表しました。19のプロジェクトにかかる総額は19億ドルと見積もられており、今後より多くの投資が集まることが予想されます。(出典:Coneecting the region through intitiall pipline of ASEAN infrastructure projects

また、東南アジアでは道路建設用設備の市場がここ数年で大幅に増大しています。その背景には地域内での道路建設の需要が高まっていること、道路建設による物流の改善が求められていることなどが主な理由になります。例えば、ベトナムでは建設業による国の利益が12億ドル(2007年)が128億ドル(2017年)に増加しています。背景には、ベトナムではビルの建設許可が増加したこと、経済の回復、政府の商業・民間建設業に対する援助などの要因が挙げられます。

まとめ

今回は、多くの日本企業が進出し注目度を高めているASEAN地域について紹介しました。ASEANの製造業市場は拡大傾向にあり、個人的な見解として、中国に続く国際的な製造業の拠点として、これから存在感を高めていくだろうと考えています。しかし、ASEAN地域内における製造業のGDP割合は縮小傾向にあり、市場はサービス関連業にシフトしています。

次回はそのシフトを牽引し、ASEAN諸国の中でいち早く先進国となった「シンガポール」について紹介します。今後、ASEAN各国についての詳細記事を随時投稿していく予定ですので、ASEAN地域への進出に少しでも関心のある読者の方に読んでいただければ嬉しく思います。