技術ブランディングとは|製造業が技術ブランドを確立する手法を解説

テクノポートの徳山です。技術ブランディングは、部品や部材を提供しているサプライヤー企業において、大きな可能性を秘めている手法の一つです。今回の記事では、製造業が自社の技術ブランドを確立するメリット、推進方法、成功事例について解説します。

技術ブランディングとは

技術ブランディングとは、完成された製品をブランディングするのではなく、製品に使われている部材や技術をブランディングすることで、技術の価値を高める手法のことです。

ブランディングされた技術を使用して作られた製品は、エンドユーザーに選ばれやすくなったり、高い価格で購入してもらえたりする可能性が高くなるため、メーカーは積極的にその技術を使うようになります。

エンドユーザーがその部材や技術を直接購入するわけではありませんが、その部材や技術が搭載されているからという理由で製品を購入してもらうのを目指すことが技術ブランディングの目的と言えます。

技術ブランディングのメリット

製造業が技術ブランドを確立することで享受できるメリットは以下のとおりです。

第一想起してもらえる

自社技術を購入してもらえる可能性のある顧客の社内において、何らかの技術課題が発生した際に、解決手段となる技術として一番に想起してもらうことができます。

第一想起してもらえれば、競合他社より優位に立ち、いち早く見込顧客との接点を持つことができ、優位に商談を進められるようになり、営業効率が高まります。

技術の利用用途が広がる

「技術ブランド」という分かりやすく多くの人に興味を持ってもらえるような形式で技術を広めることによって、さまざまな分野の技術者へ技術を認知してもらえる可能性が高まります。

より多くの技術者へ技術を広めることができれば、技術の利用用途が広がり、さまざまな製品に技術を利用してもらう機会を増やすことができます。技術を活用してもらえる市場が増えれば増えるほど、大きな収益を挙げることが可能となります。

技術を高く買ってもらえる

技術ブランドとしての良いイメージが定着すると、同様の機能を持った競合技術よりも高く技術を買ってもらえる可能性が高まります。これは同じような機能を持つ技術であっても、技術ブランディングにより高められた情緒的価値を価格へ転嫁することができるためです。

また、エンドユーザーへ技術ブランドを広めることができれば、エンドユーザーから「この技術が搭載されているから購入する」「この技術を使ってほしい」という逆指名をもらえる可能性があります。そうなると、取引先としては少々値段が高くても採用せざるを得ない状況となるため、技術を採用してもらえる可能性が高まります。

製品を販売するメーカーとしても、技術のブランド力を利用することで販売価格を上げられるメリットがあります。

技術ブランディングの進め方

技術ブランディングを推進するためには「認知度を高める活動」と「技術の利用用途を広げる活動」の二つが重要となります。

マーケティング活動により技術の認知度を高める

技術の認知度を高めることによって、「〇〇と言ったら△△」と第一想起してもらえる技術ブランドとなることを目指します。具体的には以下の方法が考えられます。

ブランドアイデンティティーの明確化

ブランドアイデンティティーとは、エンドユーザーに伝えたいメッセージや価値観などをまとめた、ブランドの特徴や個性を伝えるためのイメージのことを指します。具体的には、ロゴ、カラー、コピー、パッケージなどの要素を統一することで、エンドユーザーの印象に残りやすいイメージを作り上げます。

広報活動

エンドユーザーが一般消費者の場合は、マス広告(TVCM、新聞、雑誌など)、企業の場合は研究成果の発表(論文、プレスリリースなど)、Webサイトによる情報発信、展示会への出展などが挙げられます。

製品の普及

技術ブランドの場合、製品が普及するに伴い、そこに搭載されている技術の知名度も自然と広まります。そのため、より多くの製品に技術を採用してもらうことで、製品の普及に伴い技術の知名度も向上させることができます。製品の普及を直接コントロールすることはできませんが、製品や製品のパッケージにロゴやコピーを掲載してもらうなどといった取り組みは必須となります。

あくまで直接取引する相手ではなく、エンドユーザーへの認知度を広めることが技術ブランディングにおいては重要となりますので、注意が必要です。その結果、エンドユーザー側から逆指名を獲得し技術を採用してもらうことにつながり、少々値段が高くても技術を買ってもらえるようになります。

用途開拓を目的としたコンテンツを準備する

技術の利用用途が増えることで、技術を使ってもらう機会が増え、技術が搭載された製品が売れるほどに技術の情報が広まっていきます。情報が広まると技術の認知度が高まり、新たな利用用途が見つかる、といった具合に、技術ブランディングでは利用用途の広がりと技術の認知度向上の好循環を生み出すことが重要です。

好循環を生み出すためには、技術を利用してもらう用途を広げることが重要であり、利用用途を広げるにはさまざまな分野の人に用途を見出してもらう必要があります。

技術の用途は、自社内で用途仮説を立てる方法と、他者に技術の存在を知ってもらい用途を見つけてもらう方法の二つがあります。
二つの手法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

他者に用途を見出してもらうためには、誰にでも分かりやすく技術のことを伝える必要があります。技術を採用してくれる企業(技術者)が、その技術に対する知識をどの程度有しているかが分からない状況でコンテンツを作る必要があるため、知識がなくても理解できるようなレベル感を目指しましょう。

技術を分かりやすく伝えているコンテンツの事例

図解や動画などを駆使し、技術の詳細や利用用途を分かりやすく伝えているコンテンツの事例をいくつかご紹介します。

【図解】デクセリアルズが運営するTECH TIMES

TECH TIMESでは、接着・粘着・熱伝導・光学設計などの基礎知識を豊富な図解・イラストを用い、初心者エンジニアへも分かりやすく技術を伝えています。

デクセリアルズが運営するTECH TIMES出典:デクセリアルズ株式会社

【動画】トヨタ自動車の水素エンジンと車載用液体水素システム

水素エンジンの動きや液体水素システムについて、CGを用いた動画を使って分かりやすく技術の情報を伝えています(出典:トヨタ自動車株式会社(YouTubeチャンネル))。

【マンガ】富士産業の燻し加工技術

金属を経年劣化した風合いに見せる「燻し加工技術」について、マンガというコンテンツを使い、技術の特徴やその用途を分かりやすく伝えている事例です。

富士産業出典:株式会社富士産業

【アプリケーション事例】村田製作所の製品・ソリューション

同社の製品やソリューションのアプリケーションをさまざまな用途から探索することが可能です。かなり細かく用途が分類・整理されているのが特徴です。

村田製作所のアプリケーション事例出典:株式会社村田製作所

【導入事例】シャープのプラズマクラスター技術

オフィス、工場、学校、公共機関など、さまざまな場所でプラズマクラスター技術が使われていることを伝えるための導入事例コンテンツです。

出典:シャープ株式会社

技術ブランディングの成功事例

最後に、技術ブランディングに成功した事例をいくつかご紹介します。

シャープ(プラズマクラスター)

プラズマクラスター
出典:シャープ株式会社

プラズマクラスターは、シャープ株式会社が開発した空気清浄技術です。プラズマという状態にあるイオン化した水素分子(H+、OH-)を発生させることで、微生物や有害物質を取り除く仕組みです。空気中に存在する微小なウイルスや細菌、花粉、カビ菌などの微生物や有害物質を取り除くことができる技術です。

プラズマクラスターは、空気中に浮遊する微粒子だけでなく、家具や床などの表面に付着する微生物や有害物質にも効果があることから、さまざまな用途で利用されています。

利用用途

空気清浄機、冷蔵庫、エアコン、自動車など

認知度向上の施策

一般消費者向けにマス広告(TVCM、雑誌、新聞など)を展開した他、企業向けには研究成果の積極的な発表(さまざまな研究機関との共同研究や、学術論文の発表)を行いました。
製品にプラズマクラスターのロゴを掲載することで、技術が搭載されていることをPRしました。これらの施策によって一般消費者およびビジネスユーザーへの認知拡大を図りました。

インテル(マイクロプロセッサー)


出典:インテル株式会社

インテルのマイクロプロセッサー(CPU)は多くのパーソナルコンピュータに搭載されており、主要な特徴は、高速性と省電力性です。また、インテルのマイクロプロセッサー技術は、安定性と信頼性が高いことでも知られています。インテルは、高品質のチップを生産するために、多くの工程で厳密な品質管理を行っています。これにより、デバイスの故障率を低く抑えることができます。

利用用途

パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、サーバなど

認知度向上の施策

1990年代初頭から展開したインテル・インサイド(Intel Inside)キャンペーンを実施することで、一般消費者への認知度向上を計りました。当キャンペーンでは、TVCMを使った広報活動の他、インテルのロゴと「Intel Inside」の文字をPCの製品パッケージに掲載することにより、製品の中にインテルのプロセッサーが搭載されていることを消費者に認知させました。

デュポン(テフロン加工)


出典:デュポン株式会社

テフロン加工技術はアメリカのデュポン社(現在はダウ・デュポン社)が開発した技術です。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)という非常に滑らかで耐腐食性が高い樹脂を、金属やプラスチックの表面に塗ることで、その表面を滑らかで耐腐食性が高いものにする技術です。テフロン加工は、非常に低い摩擦係数を持つことから、摩擦が起こる部分に使用されます。また、耐腐食性が高いため、化学工業や医療器具などの分野でも広く使用されています。

利用用途

調理器具、衣料品、自動車部品、医療機器、建材など

認知度向上の施策

デュポン社はテフロン加工技術の認知度を高めるために、テフロン加工技術をライセンス提供という手法で一般解放し、さまざまな企業がその技術を利用できるようにしました。それにより、さまざまな企業が当技術を利用した製品開発を実施し、多くの商品がリリースされました。その結果、一般消費者のテフロン加工に対する認知度は飛躍的に上がり、技術を開発したデュポン社の名前より知名度の高い技術となりました。

以上、製造業が技術ブランドを確立するための手法について解説いたしました。技術ブランディングを成功させるためには「認知度を高める活動」と「利用用途を広める活動」の両方が必要になることをご理解いただけましたでしょうか。テクノポートでは、製造業が有する技術の利用用途を広げるためのWebマーケティング支援を得意としています。技術ブランディングの一端としてWebマーケティングを検討されている方は、お気軽にご相談いただければ幸いです。

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製造業の用途開発事例を徹底解析

テクノポートの永井です。今回は製造業の用途開発の事例を解説していきたいと思います。

製造業の用途開発とは

製造業の用途開発とは、自社技術の新しい使用用途を見つけることです。「ある分野の一般的な技術が、別の分野では貴重な技術であった」ということはよくあります。自社技術をより広い分野に展開することで、過当競争からの脱出や売上の上昇などにつながっていきます。

しかし、用途開発は容易なことではありません。用途開発には継続した探索と技術開発が必要になるため、ぎりぎりのリソースで運営している中小企業にとっては非常に難しい問題になってきます。

今回は用途開発に成功した企業の事例を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事

用途開発事例

めっきの新しい活用方法の発見

高木特殊工業は愛知県で4種類(無電解ニッケル、PTEF、セラミック、クロム)のめっきを行っています。その中でPTFEめっきは潤滑性、耐摩耗性に優れためっきで、潤滑油を使えない場所での摩擦力軽減対策として使用されてきました。

Webサイトからの問い合わせがきっかけとなり、PTFEめっきの新たな用途として、ボルトのかじり防止に役立つ可能性が出てきました。ボルトとナットで部材を固定するときに、ボルトのネジ部にナットを適切に挿入しないと、ナットがかじってうまく回転してくれません。それを解決するためにボルトにPTFEめっきを施すことで、ナットが滑りやすくなり、かじりが抑えられることがわかりました。

このような用途でPTFEめっきを使った経験はなく、既存技術の新たな使用用途につながりました。

コーティングを使った新商品の開発

デンソーは紫外線を特殊な波長に変換するコーティング技術を傘に応用することで、「若返る日傘」を試作。

もともとは自動車のフロントガラスや窓ガラスにコーティング用に開発したものですが、自動車に適用させるには耐久年数に問題があったり、変換効率が高くなかったりするなど技術的な問題を抱えていたところ、別の用途で活用できることが判明。それが日傘へのコーティングだったそうです。

このコーティングを通すと紫外線は赤色光に変換され、その赤色光は肌を傷めずに修復を促進する効果があるそうです。その機能を傘に付加することで、「若返る日傘」の開発に挑戦しています。

塗装技術の用途を公募

  • 企業名:株式会社グリムファクトリー
  • 参考サイトhttps://grimfactory.co.jp/is-not-painting
  • 内容:新技術の用途を見つけるためにクラウドファンディングを利用

独自で開発した「剥がれないデジタルカラー塗装印刷」の用途をクラウドファンディングで公募。金属塗装への応用や医療、屋外塗装などといった開発段階の案件も集まり、想定していなかった用途が見つかりました。さらに、用途開発を継続するため、Webサイトに情報を公開するとともに「剥がれない印刷」でSEO対策を行い、技術の認知度を高めています。

ポストイット|考え続けることで5年前の技術が大ヒット商品へ

ポストイットの話は有名ですね。研究者は強力な接着剤の開発をしているときに、「薄くつくが、すぐに剥がれる」という逆の性質を持つ接着剤を発見します。その研究者は弱い接借財の使用用途を見つけるために考え続けますが、アイデアが生まれるまで5年かかってしまいます。きっかけは聖歌隊の讃美歌集。ページに挟んでいた栞が何回も落ちることから、「くっついたらいいのに」というのを思いつき、弱い接着剤の使用用途をひらめいたそうです。

つまり、技術の用途開発は一朝一夕でできるわけではなく、考え続けることが大切であるという良い例です。

既存技術応用|カラーフィルム技術からヘルスケア領域に参入

富士フイルムのメイン事業はカラーフィルム事業だったのですが、デジタルカメラの登場により、需要が激減。そんな中、決定したのがヘルスケア領域への参入です。全くつながりがないと思う2つの領域ですが、実はコア技術に共通点があります。それは「高機能材料」と「3次元構造」です。カラーフィルムは高機能材料を3次元的に層を重ねる技術が必要になるため、富士フイルムは高いレベルの「高機能材料を3次元構造化できる技術」を持っていました。そして、ヘルスケアにもその技術を求める分野、例えば美容液を肌に浸透させるマイクロニードルなどがあることに気づき、ヘルスケア領域への参入を決めたそうです。

今ある技術がどこに使われる可能性があるのかを調査し、その上で「やれそう」「やるべき」「やりたい」の順で検討し、妥当性があればやってみる価値はあるという例になります。

アクリル加工技術でSEOすることで長期的に用途開発を継続

岸本工業は、東京都大田区にあるプラスチック加工を専門にしている企業です。技術開発の中で高精度板厚加工技術である「フルフラット」を確立したのですが、その使用用途に困っていました。

当時は誰も知らない新しい技術であったため、Webを使った広報に力を入れました。具体的には「アクリル加工」でのSEO対策です。

このフルフラット加工は、研磨なしでアクリルの透明性が保てるため、アクリル加工に需要があると考えて実施しました。実際アクリル加工での問い合わせは増えたのですが、アクリルに特化させたことで技術の使用用途を絞りすぎてしまった点もありました。

そのため、サイトをリニューアルし「治具製作」というキーワードでのSEO対策も追加。これにより、研究者などこれまでつながりがなかったところからの問い合わせが増えました。

技術の使用用途を限定的にし、Webを使ってSEO対策をすることで成功した事例です。

SEO対策を中心に別分野に参入

アコースティック・アドバンスは、後付けで壁にはる吸音パネルを製造している企業です。吸音パネルの利用先はいろいろと想定はできるのですが、自社の製品がどの分野にあっているか曖昧な部分がありました。そこでWebサイトを制作し、実際の問い合わせ内容やアクセスデータの解析を行うことでターゲットを明確にし、Webサイトを改善していく手法を使いました。

結果、幼稚園や高齢者向け運動施設など、需要が少ないと思っていたところにも多くの需要があることが判明し、取引につながりました。

時代に合わせたターゲティングで売上を確保

  • 企業名:第一フォーム株式会社
  • 参考サイトhttps://www.daiichi-foam.co.jp/
  • 内容:時代に合わせてターゲットを変えることで、売上を確保

第一フォームは発泡スチロールの加工を得意としている企業で、展示会やイベントなどで使われる立体的なロゴやアートなどを手掛けていました。しかし、コロナ禍でイベントの開催が減るなど仕事が激減しました。

発泡スチロールを思い通りの形に加工することは得意だったため、電波の測定台などの治具や工業製品の緩衝材の領域に参入することで成功しました。

参入のきっかけはWebサイトの解析です。Webサイトを解析すれば、どういった検索キーワードに需要があり、自社サイトがどういったキーワードで調べられているのかもわかります。

そういった調査を行うことで工業製品に需要があると判断し、参入を決めました。ただ、もともと仕事の伝手があったわけではないため、集客もWebサイトで行っています。今では全国から問い合わせがある状況になっています。

Twitterを使って使用用途を公募|米袋の新しい使い方

シコーは大阪で米袋を製造している企業です。米袋には閑散期があり、その閑散期を埋めるための対策を常に検討してきました。ある時、Twitterを使って米袋の使用用途アイデアを募集したところ、50個以上のアイデアが集まる結果となりました。それにより「米袋のニーズはある」と確信が得られ、機織作家のmusubi氏と組むことで米袋の新しい用途の開発に成功しました。

一般の人からアイデアを募集し、クリエーターに製品をデザインしてもらった良い例だと言えます。

まとめ

各社の例を見ると、用途開発は一筋縄ではいかないことがわかるかと思います。社内で検討することはもちろん、社外の人の協力やWebサイトを使うなど、あらゆる手段を駆使してアイデアを出し続けることが大切です。

テクノポートはWebサイトを使った用途開発支援を行っていますので、用途開発にお困りでしたらいつでもご相談ください。

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技術転用/技術展開とは?問題点・解決手法・事例

テクノポートの井上です。製造業社が成長するために、自社の持つ技術を他の市場へ展開することは非常に大きなテーマだと言えます。その理由は、新しい技術を開発するよりも、既存技術を活かし新市場を開拓するほうがリスクが少なく取り組めるからです。ただ、そうは言ってもなかなかうまくいかない企業が多いのが現状です。今回は自社の保有する技術の転用や展開について、Webを活用することの有用性について紹介します。

技術転用・技術展開・用途開発とは

言葉の定義が曖昧なため、はじめに言葉の定義をします。

技術転用とは

技術転用とは、技術を保有する企業が、その技術を別の産業や分野に転用することを指します。これにより、新たな産業や製品の開発や改善が促進され、経済的な効果をもたらす可能性があります。

用途開発とは

技術の用途開発とは、技術を保有する企業が、その技術を活用して新たな用途を開発することを指します。新たな用途の開発により、社会にとって有益な製品やサービスが生まれることもあります。

技術展開とは

技術展開とは、技術を保有する企業が、その技術を他の企業や研究者に提供することを指します。これにより、技術を持っている側が収益を得ることができ、技術を受け入れる側は本来であれば開発しなければならなかった技術を簡単に入手することができます。技術展開により、技術の進化が促進され、経済的なメリットが生まれることが期待されます。

以上のように若干のニュアンスの違いはありますが、ほぼほぼの同義と捉えてよいと言えます。

そのため、これ以降は「技術転用」という言葉に統一し説明をします。

技術転用を成功させるためには?

技術転用を成功させるためには、技術シーズと市場ニーズをどう合致させるかが議論の中心になります。

技術シーズと顧客ニーズ

しかし、実際はなかなかうまくいっていない企業がほとんどです。ではなぜうまくいかないのでしょうか?主に以下のような原因が考えられます。

  • ターゲットの特定に時間がかかる
  • 市場調査に時間とコストがかかる
  • 特定したターゲットの有用性評価に時間がかかる
  • ユーザーヒアリングや試作に時間とコストがかかる

この原因をわかりやすく言うと、「自社で用途を見つけることに注力している」と言えます。ユーザーの用途を想定し、提供価値、他社との差別化を行うことが用途開発で、そのための戦略策定に時間をかけすぎている状態です。

用途展開、技術転用の課題

もちろん、差別化集中の戦略は勝つためには重要な戦略ですが、実行までに時間がかかり過ぎたり、集中したポイントが間違っていた場合に補正がしづらかったりといった難点があります。

どんなに優れた研究者や製品開発者でも、自社で考えるのには限界があるということを認識しましょう。オープンイノベーションなどを活用する時代の流れも、スピード、効率化だけでなく、自社では思いつかないイノベーションの期待もあり、トレンドになっているはずです。

それができる土壌が、簡単に膨大な情報が手に入るWebという手段により実現されているのだと考えます。

これからの時代は「自社以外に発見してもらう」ことが重要な時代と言えます。技術は知ってもらわなければ価値が生まれません。ユーザーを特定せず、機能軸を訴求することで、幅広くユーザーに認知させる戦略を同時進行で行う必要があります。

これからの技途展開、技術転用

技術転用をWebで行うメリットと従来との比較

自社以外に発見してもらう戦略としては、Web活用がおすすめです。従来の技術転用との比較は下記の通りです。

従来の技術転用手法の問題点

  • 用途開発とマーケティングが切り分けられている
  • ニーズの発掘に時間とコストがかかる
  • 自社で見つけられる範囲は顕在化したニーズがほとんどで、想像を超える用途の発見にはつながりにくい
  • 明確化させたターゲットが誤りだった場合の軌道修正が難しい
  • 細かな需要をスピーディにとらえられない
  • 顧客ニーズの多様化/複雑化
  • 製品ライフサイクルの短命化

Webによる技術転用マーケティングのメリット

  • ニーズの発掘と顧客獲得が同時進行ができる
  • スモールスタートできる
  • 自社で定義できない用途が呼び込める
  • ターゲットを特定しないのでリスクは最小限
  • 細かなニーズをスピーディにとらえられる

特に筆者が伝えたいことは、技術転用の用途定義と顧客開拓がWebであれば、同時進行できる点が良いということです。従来だと、用途定義を行いターゲットを明確化した後に、どう売り込むかが次のステップでした。その点、Webでマーケティングを行えば「このような用途で使えますか」という相談を呼び込み、実現可能であればそのまま商談につなげることができます。可能性を多く呼び込む中で、需要のある領域をカテゴリ化して差別化集中のコンテンツを新たに作ることもできます。

Webによる技術転用マーケティングのデメリット

主に考えられるデメリットは二つです。

1.技術流出の危険性は?

目的はMFTのF(機能性、提供価値)をユーザーに理解してもらうことです。どのように求める機能を実現しているかについては、そこまで細かに掲載する必要はありません。

webマーケティングのデメリットは

2.競合が同じようにWebマーケティングを仕掛ける可能性は?

Webマーケティングでは先行者メリットが大きいと言えます。以下の3つの理由があります。

  1. SEO対策(グーグル検索での上位対策)において先行者のほうが有利
  2. その領域での実績やノウハウを先に蓄積できる
    (実績があるところにユーザーは頼みたい)
  3. 先行者の方が先にブランディングができる(○○といえば△△製作所)

今回は、技術転用をWebで行う有用性について紹介しました。実際にWebを活用した事例や手法については、別記事にて紹介しています。参考にしていただけたら幸いです。

事例参考記事

手法参考記事

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Fタームの活用方法を紹介(技術の用途開発に役立てる)

テクノポートの井上です。今回は、技術の用途開発を行う際に役立つ、特許情報プラットフォームのFタームについて紹介します。

自社の技術の活用用途を見出す際に技術、機能、市場用途を体系化するMFTフレームワークという手法があります。ただ、手法はわかっても、そこに記述すべきアイデアが思い浮かばないという方は多いのではないでしょうか?今回は、そのアイデア出しのヒントとなるFタームの使い方について紹介します。

特許情報プラットフォームとは

特許情報プラットフォームは、独立行政法人工業所有権情報・研修館が運営する特許、実用新案、意匠及び商標等の産業財産権関連の工業所有権公報等を無料で検索・照会可能なデータベースです。言わば知の集合体で、この情報をうまく活用することで、様々な情報を得ることができます。しかし、問題なのは情報量が膨大かつ、記載内容が難解であることです。うまく活用するためには、使い方の工夫が必要になります。

自社の用途開発に役立つヒントを得ることが今回の目的です。自社の技術に近い一つひとつの論文を見ればより詳細な分析はできますが、時間がかかるため、もう少し手軽な方法としてFタームを活用します。

Fタームとは

Fターム(File Forming Term)とは、特許審査のための先行技術調査をスピーディーに行う目的で開発された特許分類です。具体的には、FIを所定の技術分野ごとにあらゆる技術観点(目的や用途、構造など)から細区分したものとなっています。

FIで規定されるすべての技術分野は、一定の技術範囲ごとに区分されており、区分ごとに複数のFタームが設定されています。この区分されている技術範囲は「テーマ」と呼ばれています。

引用元:https://www.tokkyo.ai/wiki/fiftermipc/

このFタームをうまく活用することで、機能性・市場要求・用途などのヒントが得られます。

Fタームの活用手順

ここからは実際の使い方について説明します。例として塗装に関する用途開発をしたい場合の探し方を紹介します。

①テーマコード一覧情報で自社の技術の該当しそうなFタームを探す

下記のサイトでFタームの一覧が掲載されています。

Fターム一覧

引用元:https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/bunrui/fi/themecode.html

PDFがたくさん並んでいますが、一つずつ見るのは大変です。少し下の部分に全テーマ文のテーマコード表がエクセルで取得できるリンクがあるので、そこからエクセルをダウンロードして、テキスト検索をします。

「金属に対する塗装」という区分があり、「4D075」に統合となっているため、「4D075」を確認することで、自社の技術は「4D075」「流動性材料の適用方法、塗布方法」が該当しそうだとわかります。

②特許・実用新案分類照会(PMGS)にてFターム検索

利用サイト
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

引用元:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

次に、Fタームをクリック、Fタームリストにて分類に先程の「4D075」を入力して照会ボタンをクリックします。

③照会された分類を確認

「照会」をクリックすると、下に照合された内容が表示されます。

用途開発照合Fターム

引用元:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

Fタームは多様な技術観点(目的、用途、構造、材料、製法、処理操作方法、制御手段等)から細区分しています。

この一つひとつを確認することで、不足していた部分や用途などを考察することが可能になります。

詳しく項目を見たい場合は右側の「開く」をクリックすると、詳細が確認できます。例えば「用途」をクリックすると、用途が一覧で表示されます。ここに入っている内容は特許登録されている情報に紐づけされてできていますので、これが用途のすべてではありませんが、ヒントを得るという目的としては大いに利用が可能です。

用途展開

引用元:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

技術と市場用途を紐づけるためには、機能性を定義して考察することが重要です。その機能性の分類を知るためのヒントが記載されています。

参考にしていただければ幸いです。

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技術マーケティングの推進方法|フレームワークと事例から学ぶ

テクノポートの徳山です。弊社では「技術をマーケティングする」を理念に、数多くの製造業の技術マーケティングの支援を行っています。今回はその経験を基に、技術マーケティングに必要と思われる考え方、推進方法(フレームワーク)、事例を紹介いたします。

技術マーケティングとは

技術マーケティングとは、自社の技術をさまざまな分野の技術者へ周知させ、さまざまな反応を得ながら、顧客への提供価値を見直したり新たな利用用途を発見することで、最終的に技術の利用領域を最大化させるための活動のことをいいます。

一般的にマーケティングの目的は「売れる仕組みを作ること」と言われます。しかし、技術マーケティングの目的は「技術を売る」ことだけではなく、技術に対する市場の評価を得ることで「技術の新たな用途を開拓する」ことも大きな目的となります。技術と市場とが常に対話し続ける状況を作り出すことで「技術に対する有益な情報が自動的に入ってくる仕組みを作ること」が技術マーケティングの目的であるとも言い換えられます。

さらには、発見した新たな用途をきっかけに更なる技術や新事業開発につながることを見据え活動することができれば、営業・マーケティング面だけでなく、経営全体に良い影響を与えることができるでしょう。そのためには、技術マーケティングにより入手できる有益な情報を会社全体で活かす体制を構築できるかがカギとなります。

技術マーケティングを推進する意義

同じ技術を同じ市場へ提供し続けると、競合企業の参入が増え、相対的に技術の価値が下がってしまう「技術のコモディティ化」が起こります。そのような技術の価値低下状態から脱するために、技術を改良し技術の価値を上げ続けることは重要な施策ですが、顧客が求める要求以上に機能を高めたとしても、オーバースペックとなり技術の提供価格を上げるのが難しくなります。また、既存市場自体が縮小傾向に陥っている場合はなおさらのことです。

技術マーケティング

そこで、技術の改良と並行して技術の新たな用途を探索し「技術を高く買ってくれる市場」を探索する必要があります。同じ技術でも、市場が異なるだけで思いも寄らぬ高値で技術を買ってもらえることは珍しくありません(もちろんその市場に合わせた技術改良が必要な場合も多いですが)。

技術マーケティングで実現できること

技術マーケティングを推進することにより期待できる効果として、以下が挙げられます。

顧客に技術の価値が伝わりやすくなる

技術者ほど、相手に技術の内容を伝える際に機能やスペックを中心に伝えてしまいがちです。しかし、それらを顧客側の提供価値に言い換えられないと、技術の優位性を相手に正しく伝えることができません。技術マーケティングを推進する中で、見込顧客と対話の機会を増やすことで以下のようなことを理解できるようになります。

  • 相手が抱えている技術課題が何なのか
  • それを解決することで具体的にどのような価値が生まれるのか
  • 自社技術であればなぜその課題を解決できるのか

上記を理解したうえで相手の立場にたった伝え方ができれば、技術の価値が伝わりやすくなります。技術マーケティングの活動の中で技術に対する市場の声を拾い続けることで、メッセージを言語化することにつながります。

メッセージを言語化する際に気をつけるポイントについては、以下の記事をご覧ください。

さまざまな分野の技術者へ技術を認知してもらうことができる

一般的なマーケティング理論では、ターゲットの設定を前提に活動を行うことがほとんどです。しかし「新たな用途開発」を目的に技術マーケティングを行う場合、現状想定していないターゲットを発掘していくことが目的となります。そのため、一般的なマーケティング理論のもと活動を推進したとしても、技術マーケティングの真骨頂である「技術の新たな用途開発」にはつながりにくいと考えられます。

技術マーケティングでは、満遍なくさまざまな分野の技術者へ技術を認知させていくことが前提の手法となるため、思いも寄らぬ用途の発見につながることが期待できます。

この際に技術情報の漏洩を危惧することが多いですが、Webなどで技術情報を発信する場合においても情報開示の範囲や開示方法に注意すれば、問題なく技術マーケティングを推進することは可能です。

情報漏洩の防止について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

発見した新たな用途をきっかけに更なる技術や新事業開発につながる

技術マーケティングにより発見した用途アイディアを活かし、顧客開拓だけではなく、技術のさらなる開発や新事業開発に活かすことができれば、営業・マーケティング部門におけるメリットに留まらず、会社全体のメリットへと発展させていくことができます。

そのためには、会社全体で技術マーケティングに取り組む姿勢が必要です。技術マーケティングを成功させるには、営業・マーケティング部門だけではなく、研究・開発部門の協力が必要不可欠となります。組織の壁などを作らずに自由にコミュニケーションを取れる風土作りなども重要となります。

技術者がマーケティング活動に参加するメリットについては以下の記事もご覧ください。

MFTフレームワークの活用

技術マーケティングを推進するうえで弊社が活用をおすすめしているフレームワークが、MFTフレームワークです。MFTとは、Market(市場)、Function(機能)、Technology(技術)の略で、市場と技術の間にある機能に着目することで、技術の活用が可能な市場を幅広く検討することを目指すためのフレームワークです。

MFTフレームワーク活用のメリット

MFTフレームワークを活用することの最大のメリットは、製造業が陥りがちなプロダクトアウト思考から脱却することです。プロダクトアウトと対比の考え方としてマーケットインがありますが、両者は「どちらのほうが重要」などと比較するものではなく、どちらかの思考に偏らずバランス感覚を保つことが重要です。市場のニーズがあったとしても、それが自社の持つ技術の優位性と関連付かなければ意味がありませんし、いくら機能やスペックが優れた技術でも、それに対する市場のニーズがなければ意味がありません。

製造業の場合、比較的プロダクトアウト思考に偏っているケースが多いため、MFTフレームワークを活用することで、自然とマーケットイン思考も取り入れることができるようになります。

また、詳細は後述しますが、MFTフレームワークによって技術を要素分解することで、Webなどを活用して情報発信する際の切り口が多様化し、さまざまな分野の技術者へ技術を知ってもらう機会を増やすことができるのも大きなメリットです。

技術者が技術課題を解決するために、インターネットで情報探索する際の切り口はさまざまです。現在使用している技術の類似技術が存在しないかという切り口で情報探索する技術者もいれば、自身が抱えている技術課題を切り口に情報探索する技術者など、技術者が抱えているバックグラウンドによって大きく変わります。MFTフレームワークで技術を要素分解し、さまざまな切り口で情報発信を行うことで、技術者が情報探索する際に技術を認知してもらいやすくなります。

MFTフレームワークの使い方

MFTフレームワークは、Technology(技術)側からでもMarket(市場)側からでも、どちらから情報をまとめても大丈夫です。自社が取り組みやすいほうからまとめていきましょう。

MFTフレームワークの使用例(ガラスコーティング技術の場合)

MFTフレームワーク

Technology側からまとめていく場合は、まず技術が持つ機能や効能を考えていきます。技術が持つ機能や特性は複数ある場合が多いと思いますので、なるべく細かく洗い出しましょう。次に、洗い出した機能から想定される市場を考えていきます。市場ごとに求められる機能は異なりますので、着目した機能によって想定される市場は変わってくるでしょうから、機能ごとに想定される市場を考えていきます。

MFTフレームワークをまとめるときには、社内のどのメンバーに参加してもらうかが大事です。特定の事業部だけで考えるのではなく、情報がなるべく偏らないように各部署のメンバーに参加してもらいましょう。営業部であればMarket(市場)寄りの情報を持っていますし、技術部であればTechnology(技術)寄りの情報を持っているものです。

MFTフレームワークについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

Webを活用した技術マーケティングの推進方法

技術マーケティングを推進するにあたり、最も効率的な方法がWeb活用であると弊社は考えています。その理由は、先述した技術マーケティングの目的である「技術に対する有益な情報が自動的に入ってくる仕組みを作ること」を実現するにあたり、最適な手段であると考えているためです。

以下より、具体的な進め方について解説していきます。

技術マーケティングの推進方法

①技術の棚卸し(MFTフレームワークなどを活用)

初めに行うことは「MFTフレームワーク」などを使用して、自社の技術を整理することです。技術探索時に使用する検索キーワードは技術者の属性により異なりますが、MFTフレームワークを活用し技術を要素分解したうえで情報発信を行うことで、さまざまな分野の技術者に見てもらえる可能性が高まります。

②Webコンテンツを企画する

次に、MFTで分解した各要素をWebコンテンツとして情報発信できるよう企画を考えていきます。その際にキーワードプランナーなどの検索需要を調査できるツールを使い、各キーワードの検索需要を調査したうえで企画を進めていくと、より効率的です。情報発信するWebコンテンツごとに、どのような検索キーワードで対策するかを決めておきましょう。

検索キーワードの選定方法については以下の記事をご参照ください。

③Webコンテンツを制作する

コンテンツ制作時の最大のポイントは「異業界(分野)の技術者へわかりやすく技術を伝えること」です。技術を知ってもらった技術者へ技術課題解決や新たな製品開発のアイデアへと結びつけてもらうことで、新たな用途提案がしてもらえるようになります。また、技術者が検索した際にWebページが検索上位表示していないと、見てもらえる機会を失ってしまうため、SEO対策を考慮してWebコンテンツを制作していきましょう。

SEO対策に強いWebコンテンツの作り方については以下の記事をご覧ください。

④アクセス・問い合わせ分析

Webサイトからの情報発信を続けていると、さまざまな情報(アクセスデータや問い合わせ)が入ってくるようになります。これらの情報を活かし、新たなトピックを見つけたり、Webコンテンツのさらなる拡充を行います。アクセス・問い合わせ分析はマーケティング担当だけで行うのではなく、問い合わせの対応を行っている営業担当とも連携して行いましょう。商談を行った見込顧客がどのような技術課題を抱え、どのようなニーズを持っているのかを聞き出すことができれば、技術マーケティングの活動に非常に役立ちます。

具体的なアクセス分析の方法については以下の記事をご覧ください。

技術マーケティングの実践事例

技術マーケティングを実践し、技術の新たな用途開拓に成功した2社の事例をご紹介します。

事例1.NISSHA(摩擦・せん断力センサー)

NISSHA株式会社が開発した摩擦・せん断力センサーは、3軸方向にかかる力を測ることができる力覚センサーです。技術開発時は摩擦分布の測定機能に着目し、滑りにくい自動車タイヤの開発を想定し開発されましたが、それ以外で市場性のある用途を見い出せずにいました。

そんな状況下で当センサーの新たな用途を見出すべく、Webを活用した技術マーケティングを開始しました。摩擦・せん断力センサーを技術面、機能面、用途面と、あらゆる角度からコンテンツ化して掲載したところ、「ワーク間の滑りを見える化」できる機能に対し、さまざまな分野の企業から引き合いを獲得することができました。

引き合いの中でも、ロボット分野でロボットアームの把持制御に活用できるのではないかという引き合いに注目し、市場性が高いロボット分野での技術開発を本格化させる方針を立てることになりました。さらに問い合わせ内容を分析した結果、ロボット分野では「摩擦・せん断力センサー」を「触覚センサー」と呼ぶことが分かったため、この言葉を使った技術コラムを執筆することで、さらなる問い合わせ獲得につなげることができました。

事例2.リソー技研(超音波はんだ技術)

株式会社リソー技研が開発した超音波はんだ技術は、接合時に超音波技術を活用することで通常のはんだ付けでは難しい異素材同士の接合や、簡単かつ強力に接合ができるといった機能を持つ技術です。

Webを活用した技術マーケティングを開始した直後は、マーケティング開始時点では「ガラスと金属といった異素材を接合できる機能」と「誰でも簡単に強力接合できる機能」に着目しスタートしました。

しかし、アクセス分析を行っていくと、「アルミ」に関するランディングキーワードが多いことに気付きました。調査を行ったところ、融点の低いアルミを溶接やろう付けなどで接合しようとすると母材が溶けてしまうという問題があることが分かりました。

そこで、新たなWebコンテンツとして、アルミの接合技術に危機意識を持っているユーザー向けに制作した課題解決型のコンテンツや、溶接やろう付けの代替手段を探しているユーザー向けに制作した比較型のコンテンツを制作したところ、同じような技術課題を抱えているユーザーからの問い合わせを多く獲得することに成功しました。

技術マーケティングについて、ご理解いただけましたでしょうか?テクノポートでは数多くの技術系企業の技術マーケティングを支援した実績がございます。技術マーケティングでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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