BtoB製造業のブランドポジショニングで差別化を図る方法と成功の秘訣

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業において競争が激化する現代では、ブランドポジショニングは企業の差別化と成功に欠かせない要素となっています。本記事では、BtoB製造業がブランドポジショニングを活用して差別化を図り、成功を収めるための方法と秘訣について解説します。競合他社との差別化を図りたい方や自社の価値を明確に伝えたいと考えている方は、ぜひお読みください。

ブランドポジショニングとは

ブランドポジショニングとは、市場における自社(ブランド)のポジション(立ち位置)を明確にすることです。たとえば「ハーゲンダッツといえば高級なご褒美アイス」「ガリガリくんといえば安くてガツンと冷たいアイス」というように、ブランド名からイメージや印象が思い浮かびます。このブランドポジショニングは、BtoCの商品やサービスに限らず、BtoB企業単位でもポジショニングを設定することが可能です。市場の中で自社がどのような立場でどのような価値を提供しているかを、顧客に明確に認識してもらうことで、他社との差異化をはかることができるのです。

自社独自の顧客層の明確化

まずは、BtoB製造業のターゲット市場を明確化することが重要です。最も自社の製品やサービスが需要の高い市場、つまり自社の提供する製品やサービスに対して最も価値を高く感じてくれる顧客層は誰(どんな企業)かを特定します。そして、その顧客層のニーズや悩みを理解します。合わせて、市場の特性や競合状況を分析し、自社の強みを最大限に生かせるポイントを切り口に、ポジショニングを構築しましょう。

ブランドアイデンティティの明確化

BtoB製造業のブランドアイデンティティを明確にすることも重要です。自社の理念に始まり、ビジョン、ミッション、バリューなどの世界観を明確に定義し、それを顧客に伝えるブランドストーリーを作り上げましょう。製品やサービスだけでなく、企業の存在意義や提供する価値を強調することで、顧客との共感や信頼を築くことができます。特に近年では、SDGsやサステナブル経営、ウェルビーイングなど企業の在り方を問われる時代の変革期とも言われ、企業の方針を示すことは取引先から選ばれる上でも重要な工程です。

独自性の追求

BtoB製造業市場では競合他社との差異を明確に提示し続けるため、独自性を追求することが必要です。例えば、品質の高さ、技術力の優位性、スピーディな納期対応といったメリットをはじめ、他社と異なる着眼点や、そこから生まれるプロ意識の高いサービスを提供しましょう。自社のアイデンティティを発揮し、顧客にとって魅力的な要素を持つ独自の商品・サービスで他社との差異化を図ることができます。

ブランドコミュニケーションの強化

差異化を図るためには、適切なブランドコミュニケーションを展開することが必要です。自社のブランドメッセージを一貫して伝えるために、広告、宣伝、PRなどの手法を活用しましょう。コーポレートサイトを作っておくだけでなく、今まで以上に顧客との関係を築くために、SNSやブログでの発信などを通したオンラインプレゼンスも重要です。顧客との対話やフィードバックを通じて、ブランドへの関与を高めることができます。

持続的なブランドマネジメント

最後に、ブランドポジショニングが明確になったら、この成功を維持するという考えが欠かせません。そのためには、持続的な”ブランドマネジメント”が必要です。市場の変化や顧客のニーズの変動を定点観測し、ブランド戦略を柔軟に見直すことが重要です。定期的なブランド評価や競合分析を行い、改善の余地や新たなチャンスを見つけ出すことが、BtoB製造業が市場で揺るぎないポジションを確立するのに重要なのです。

まとめ

BtoB製造業のブランドポジショニングは、変化の激しい市場において他社との差異化を明確にし、企業成長のための重要な要素です。自社独自の顧客層の明確化、ブランドアイデンティティの明確化、独自性の追求、ブランドコミュニケーションの強化、持続的なブランドマネジメントが成功の鍵となります。適切なブランドポジショニング戦略を構築し、顧客との関係を深めることで、自社の認知度を高めていきましょう。

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ブランディングに欠かせない3つの条件とは?製造業・中小企業の小さく始める企業ブランディング(コーポレートブランディング)

新規顧客獲得!採用活動の充実!など、昨今企業ブランディングの重要性が今まで以上に高まっています。その理由は、新たな顧客からの受注や、優秀な人材の獲得に向けて、ターゲットから選ばれる企業になるためです。そのために各企業はさまざまな施策を展開しています。では、大手企業のように潤沢な資金や、余剰のあるマンパワーを持たない中小企業は、どのような施策を打つべきでしょう。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

ブランディングで得るべきものは「企業に対する信頼」です。この記事では、小さく始めて大きく信頼を得ていくための企業ブランディングについて、欠かせない3つの条件などを挙げながら解説していきます。

ブランディングに欠かせない3つの条件

企業ブランディングを行う上で、欠かせない3つの条件があります。

【1】経営者の揺るぎない思い
【2】良い商品・サービス
【2】伝達チーム

1つずつ解説していきましょう。

【1】トップの揺るぎない志

企業ブランディングのスタートとなるのは「志」です。ブランディングではその過程の中で、さまざまな情報の中かから自社のあるべき姿を判断していくことの連続です。その上でトップの揺るぎない志が中心にあることは損得勘定ではない、企業の本質的な価値を見出すことができるのです。

【2】良い商品・サービス

弊社にブランディングのご依頼をいただくときに困ることがあります。それは、これと言って特徴もなく、改善も行われていない商品・サービスです。ブランディングで誤解されがちなのが、見た目を良くする=売れるようになるということです。たとえデザインを良くしてもそれは見せかけです。初回は依頼されてもリピートされることはないでしょう。ターゲットが「これは良かった」と思って再度購入したり、人に紹介する。そうした信頼の連鎖こそブランディングでは重要になります。ブランディングの大前提として、良い商品・サービスしかブランドになり得ないのです。

【3】伝達チームを作る

ブランディングをするには「良い商品・サービス」があることが必須条件ですが、逆にいうと業界おいて技術No.1のでなくても、競合他社との差異化は可能です。私がこれまで面談させていただいたクライアントの皆さんは、「志」を持ち、良い商品・サービスのため日々研鑽されている方ばかりでした。しかしそんな「つくる」ことに長けたクライアントの皆様の「伝える」ために割くリソースはつくることの1/10程度でした。つくる力が10だとしても、伝える力が1ではターゲットにその価値を伝達することができないのです。

「つくる」と「伝える」の両輪体制を持つ必要性

景気の良かった時代は、「つくる」ことだけやっていれば良い時代もありました。社会全体の役割分担が自然に形成され、「つくる人」「売る人」「伝える人」がそれぞれ分業し、みんなで協力し合って日本経済を回していました。その名残で、今でも日本には「つくる事」にのみ特化した会社がとても多いのです。

かつてのように、経営資源を「つくる」ことだけに集中させていては、会社が良くなることは難しいのです。つまり、これからは自前の「伝達チーム」を持つことが、企業ブランディングの条件なのです。「つくる」と「伝える」の両輪体制を、自社でしっかりと持つことが、ブランディングの差異化要因をきちんと伝言することにつながっていくのです。

企業ブランドを強くする「フォーカス」

伝える力の強いメッセージには、フォーカス(焦点)が絞られているという共通点があります。ブランディングの導入期に失敗しがちなのが、アイディアをたくさん盛り込んだ「全部のせ企画」です。

例えば、営業部からは「自社サービスをわかりやすく、パッケージングしたキャンペーンを打ち出したい」というアイデア。開発部からは「新しく搭載された機能についてより詳しい情報を」といった実に様々なアイデアが出てきます。もちろんどの部署もブランドの為を思っての発言です。しかし、それらのアイデアを全て採用していった結果、伝える力の弱い「全部のせ企画」が誕生してしまいます。そして、この全部のせ企画の厄介な点が、社内誰からも異議が出ないと言うことです。社内メンバーからすれば自分たちの意見が盛り込まれた満足のいく内容かもしれません。しかし、本来伝えるべきであるターゲットにとって読み取りにくい難解なものになってしまいます。

もし企業ブランドを強くしたいと思っているのであれば、相手が最も受け取りやすい伝え方にフォーカスを絞ることが重要なのです。

「売りたい」という下心が、ブランディングを停滞させる

ブランディングを行うのは、商品やサービスの価値を高め購買意欲を高めることも一つの目的です。しかし「売りたい」「買って欲しい」という下心があることで、先に述べたようなフォーカスの定まらない「全部のせ企画」が生まれます。その結果は皆さんのご想像通り、NGブランディングの完成です。

ブランディングで得るものは「企業に対する信頼」です。信頼があるからこそ依頼され、継続的にビジネスパートナーとして選ばれることはビジネスの原理原則です。経営者は下心を捨て、フォーカスを絞ることを選ぶことが、ターゲットからの「信頼」を獲得する最短ルートなのです。

まとめ

「つくる」ことに長けた製造業だからこそ、「伝える」というもう一つの車輪を持つことで、経営を安定させ長く走らせていくことが可能になります。今回の記事を参考に、まずは現時点で自社がブランディングに欠かせない3つの条件を明確に持っているかをチェックしてみることから始めてみましょう。

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脱!御用聞 | 製造業の営業×ブランディング3つのステップ

  • 「受注をとりたくて、また値引きしてしまった…」
  • 「納期が厳しいが受けるしかない…」
  • 「今回は苦しいけれど、きっと次につながるはず…」

このような営業結果が続いている場合は、「技術」と「価値」が結びついていない伝え方をしているのが、原因かもしれません。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

企業が抱える3つの課題

①御用聞き・下請け体制を続けている

長年続く大口顧客との契約。非常にありがたいものですが、もし、売上高占有率(構成比率)が20%以上の販売先が1社でもあるようであれば早急な改善が必要です。気候変動や世界情勢による先行きの見えない時代で、ある日突然契約を打ち切られる可能性があります。このようなリスク回避のためにも、御用聞き・下請け体制から提案型の営業スタイルにシフトしていきましょう。

②商談が商品紹介で終わっている

やっと漕ぎ着けた商談でも、顧客に自社商品を魅力的に感じてもらわなければ意味がありません。しかし、商談で自社商品やサービスの紹介で終わっているケースがあります。「買って欲しい」というのはこちらの都合であり、顧客が価値を感じて購入決定するのとは別物です。商談で話している内容が商品紹介だけになっていないか、一度確認してみましょう。

③顧客の真のニーズに触れていない

顧客がほしいのは、「技術」そのものではなく「成果」です。
あくまでも「技術」は手段のひとつです。顧客の本当の目的は、高い技術自体でははく、自社の売上や効率アップだということを忘れてはいけません。 だからこそ、クライアントに本当に響くのは、ビジネスの成果につながる「成果」の提案です。単に製造を請け負う会社としてではなく、自社のブランドから顧客のビジネスを支援するという商談が、一歩進んだこれからの営業のあり方なのです。

営業×ブランディングで解決する3つのステップ

Step.01:既存顧客・休眠顧客へのアプローチ

新規顧客へのアプローチは、既存顧客・休眠顧客に対して5倍のコストがかかると言われています。コストというのは広告などの販促費だけでなく、時間などの人的コストなども含まれます。そこで、効果的なのが既存顧客・休眠顧客へのアプローチです。契約が途切れてしまった既存・休眠顧客に対して伝えていない情報はないでしょうか?まだ伝えていない自社の取り組みや新製品を持ってアポイントを取ることで、取引を再開するきっかけを作ります。

Step.02:事例の言語化・数値化

顧客にとって購入決定の材料となるのが、「事例」です。事例というのは過去に行ってきた案件の中で具体的に引き合いに出すことのできることです。ここでポイントなのが、「言語化」と「数値化」です。まず、技術系企業の場合、自社の技術を当たり前のものと捉えてしまい、端折ってしまいがちな工程もきちんと言語化する習慣をつけましょう。さらに工程において、数値化できるものは徹底的に数字に落とし込みます。そうすることで顧客は、事例からあなたの会社の商品やサービスの効果やメリットを理解しやすくなるのです。

Step.03:顧客のビフォー・アフター

購入決定への意欲をアップさせるために、もう一つできることがあります。それは、Step.02の事例の言語化・数値化と併せて、顧客のビフォー・アフターを伝えることです。顧客のそもそもの悩みは何であるか、またその悩みが解決された顧客はどうなったのか。あなたの会社の商品やサービスの効果やメリットと、顧客にもたらす変化を一連のストーリーとして伝えることができるで、顧客の期待感が増すのです。

裏取りされても慌てない ブランディングで対等な関係を構築する

最後になりますが、営業活動に出る前に、自社のブランドが整えておくこともポイントです。なぜなら営業活動ではアポイントが取れた直後に商談というケースは少ないものです。そのため、相手はアポイント獲得から商談までの間に、あなたの会社や事業の情報、お客様の声などの情報を事前に収集する、「裏取り」をしています。絶対に受注を取りたい商談の前でも、裏取りにも慌てないように日頃からブランディング施策を行うことで、営業活動も効果的に行うことができます。

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製造業のポジショニング戦略/差別化を超える3つのポイント

「顧客からもっと選ばれるように、会社の認知活動をしよう!」

と意気込み、WEBサイトの作成や、SNSの立ち上げ、WEB広告の運用などに、思いつくまま費用を投じてしまっていないでしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

こういった活動も効果がないわけではありませんが、実はこれらの認知活動を始める前にやるべき事があります。それは、自社の業界における「ポジション」を定める事です。

顧客は、原材料だけでなく人件費のなどあらゆるコストが高騰する現代において、企業成長を支えてくれるビジネスパートナーを求めています。だからこそ会社の規模に関わらず、自社だけのニッチな領域を見つけ出し、自分たちが最も得意とする市場でシェア1位を目指す、効果的なブランディング戦略を用いる必要があります。

ポジション戦略をするメリット

ポジション戦略をすることのメリットは、競合他社を無くなる事です。自社だけしかいないニッチトップになることで得られるメリットについて詳しく3つの観点からお話しします。

①競合他社との差異が明確になる

競合他社の商品・サービスに目を配ることなく、独自の領域に対してより専門性を深めていくことが可能です。

②購入意欲が高い顧客からの問い合わせ

自社の専門性や、得意領域を明確に提示できるようになると、「○○の△△ならここに聞けば違いない」という、事前に下調べを済ませた顧客から問い合わせが来るようになります。

③顧客満足度が高まる

顧客自身が求めていた商品・サービスが、相談から依頼・納品まで受け続けることができるので、自然と顧客満足度が高まります。

独自ポジショニングを確立する3つのポイント

ニッチな領域を見つけ出すということは、自社が最も役に立つ場所(ポジション)を定めるということです。やり方としては、自社が影響を及ぼす範囲を「どの業界の」→「どの工程の」→「誰にとっての」というように、どんどんとピントを絞っていくイメージです。その上で、やってはいけない3つのポイントをご紹介します。

1.価格だけで勝負しない

価格だけを打ち出すことは、確立しようとしているポジションに競合他社の参入を許す要因になります。

2.技術力だけで勝負しない

技術力だけを打ち出すことも、競合他社の参入を許す要因になります。せっかく築いたポジションも、競合他社が最新の機械装置を導入した事によって、1位をすり替えられてしまうケースもあります。

3.なんでもできますと言わない

差異を明確にすることは、自社でやらない領域を明確にすることでもあります。新しい知識や技術を習得することは長期的にはメリットがありますが、短期的な視点では作業を効率化できず、コストがかさんだり、競合他社に負けてしまうことも考えられます。

技術力×顧客サービスで創る独自ポジション

先にも述べたように、顧客は企業成長を支えてくれるビジネスパートナーを求めています。だからこそ、自分たちの技術に固執することなく、技術に裏付けされた知見を持ってできる顧客サービスが新たな価値を生み出します。ただ作るだけではなく、顧客のビジネスに対して先回りした商品・サービスは技術力一本で勝負してきた中小企業であっても、短期間で技術力だけでなく顧客サービスの比重を増やして、価値を高めていくことは不可能ではありません。自社を客観的に調査し、他者との差異を明確にしたポジショニングによって、自社の強みを最大限に生かすことができるか考えてみましょう。

広域的な広告活動をするよりも、自社のポジションを明確にしてからブランディングや認知活動を集中的に行うことで、短期間で効果を得やすくなります。自社だけのニッチトップ領域を創り、経営に効果的な認知活動を行いましょう。

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わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング

岩手缶詰株式会社と岩手県産株式会社によって製造されるオリジナルブランドの加工品「サヴァ缶」をご存知ですか?食感の良い鯖のオリーブ油づけが、目を惹くパッケージデザインで、わずか7ヶ月で10万缶売れた人気ブランドです。しかしこの人気のブランドというポジションは、技術力だけで勝負に出たのではなく、戦略的なブランドづくりの末に作り上げたものでした。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

技術力 ≠ ブランド力

「ものづくりは得意、でもブランドづくりは苦手」

これは多くの日本企業が共通して抱える悩み事です。質の高い商品やサービスを提供する「ものづくり」に対して自信や誇りを守る企業は多いですが、それを「価値」として広める「ブランドづくり」に対して苦手意識を持つ傾向があります。そのため、技術はあるのに思ったように売れない。という”誤解”が生まれてしまいます。

売れるブランドの正体とは?

ここで共有しておきたいのは技術があるから技術力と売れることは直結しないということです。

•良い商品・サービス ≠ 売れる
•高い技術力 ≠ 売れる

そもそもブランドとは、自社商品の目印に過ぎませんでした。しかし今では「このブランドの商品なら間違いない」という信頼の証として優れた品質やデザインの目印となっています。同じ材料・同じ品質で仕上がった製品でもブランドの信用度によって価格は2倍にも3倍にも変化します。

このように売れるブランドの正体は、顧客からの信頼です。重要なことは高い技術力を保持することではなく、その技術力を持って顧客にとっての価値ある商品・サービスを提供できることなのです。

わずか7ヶ月で10万缶  Ça va?缶(サヴァ缶)のブランド力

2013年の発売以来、1000万缶を製造する人気ブランドとなった Ça va?缶(サヴァ缶)。海外ブランドのような目を惹とパッケージと、「サバのオリーブ油漬け」という組み合わせが話題を呼び、発売以来多くのファンに支持されるブランドとなっています。しかしこのブランドの開発のきっかけは、東日本大震災で被災した漁業者らを支援するべく、漁獲量や単価が安定しているサバを缶詰にして全国に売り込むことでした。

そこで「鯖を水揚げし、缶詰に加工する技術」を、より多くの顧客に支持されるためのブランド開発がされました。

当時、水煮やみそ煮が一般的だった日本のサバの缶詰の市場に対して、オリーブ油漬けという構想に始まり、鯖の缶詰に馴染みがない消費者への確かなニーズを掴むべく、パッケージデザイン・価格や味付けなどを、消費者を対象にした大規模なインタビュー調査が実施されました。このような顧客にとっての価値を生み出す”ブランド視点”を丁寧に追求して言った結果、発売当時、鯖の缶詰の市場平均が200円前後だったのに対して、360円(税抜)という高めの価格設定も払拭し、発売以来人気ブランドとなっている。

企業価値を高める ブランドの持つシナジー(相乗)効果

ブランド力を高めることは、直近の売上拡大への効果と、中・長期的に顧客から信頼を寄せられて支持され続けるという、企業経営における「攻め」と「守り」にシナジー効果をもたらします。

もちろん、商品・サービスを提供するにあたって、技術力は必要です。ですがそれ以上に重要なことは顧客が支持したいと思う価値ある商品やサービスを創り出すことです。

「価値を創り、ブランド力を高め、技術力でファンにする」

ブランディングにおいて優れたデザインやSNSはあくまで価値を伝えるためのツールのひとつです。目まぐるしく変わるこれからの時代において、企業は規模に関わらず、顧客からの信頼を構築していくアクションが求められています。顧客が求める物事の本質を捉えるか否かが、今後の経営の分かれ道です。

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製造業にも効果的な 採用ブランディング

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

「募集を出しているが、良い人材になかなか出会えない」と思いながらも、日々の業務が忙しく、なかなか採用活動を見直せない、という悩みを抱える企業の代表・採用担当者は少なくありません。今回は、自社の魅力を十分に伝え、採用したい人材を獲得するために重要な「採用ブランディング」の重要なポイント、またその手順やポイントについてお話ししていきます。

採用ブランディングとは

まず「採用ブランディング」とは、採用力を強化するために自社の“ブランド力”を高めることです。そして、ブランド力とは「相手から信用される力」です。高い技術や次世代の担い手への思いも発信することで初めて相手から理解されます。だからこそ自社の良い点を新卒者や中途採用希望者から信用される発信を意識的に行なっていく必要があるのです。

なぜ製造業にも採用ブランディングが必要なのか

採用ブランディングの最大の目的は「自社の事業戦略を共に進められる人材の採用」です。しかし、採用活動市場は、依然として求人数に対して民間企業就職希望者数のほうが少ない状況です。 少子高齢化による労働人口の減少、ライフワークバランスの見直しによる価値観は多様化が影響し、通年採用や転職が当たり前のこととなっています。

実際に2023年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の全国の民間企業の求人総数は、70.7万人であるのに対し、学生の民間企業就職希望者数は、44.9万。民間企業就職希望者数に対して、求人総数が25.8万人の超過需要であるという調査結果も出ています。

このような状況において、会社の規模は関係ありません。自社の事業戦略に必要な人材を獲得するために、企業は自社が就職希望者に対して“魅力的な働く場”であることを伝える必要があります。

そのために、「自社の理念や哲学」、「自社の製品やサービスが社会に与える影響」、「社内風土」「キャリアプラン」などを伝え、自社のブランド力を高めることが重要なのです。そしてこれらのメッセージが、自社の求める理想の人材に確実に届くよう、戦略的なタッチポイントを作ることが欠かせません。

製造業が採用ブランディングを行うメリット

製造業が採用ブランディングを行うのには大きく4つのメリットがあります。

  1. 企業規模に関係なく実施可能
  2. 自社が求める候補者を集めやすい
  3. 人材が定着しやすくなる
  4. 機会損失を防ぐ

採用ブランディングは企業の規模感は関係なく、最低限のコストで実施することができます。例えば自社の採用サイトとSNSを駆使するだけでも就職希望者に対するブランド力を高めることが可能です。また、採用活動がスムーズに進むことは、日々の業務に対する負担も減ります。他にも人的リソース管理がしやすくなるので、中期的な事業計画も立てやすくなるため、営業活動における機会損失を防ぐことにもつながります。

採用ブランディング実施方法

採用ブランディングで活用される代表的な発信手段として、採用サイトやSNSの活用が思い浮かぶかと思いますが、それらをスタートする前にやるべきことがあります。

STEP.01 現状の「タッチポイント」をチェック

まずは自社のブランド力の現状を理解するため、就職希望者が自社について調べられる接点「タッチポイント」を確認します。企業のホームページ、採用サイト、S N S、クチコミサイトなどから、現在の自社のイメージを確認します。

STEP.02 「誰に」「どんなメッセージを伝えるか」考える

採用ブランディングでは「自社の事業戦略を共に進められる人材の採用」にメッセージを届けることが重要です。そこで、自社にとってのペルソナ(理想的な人物の詳細)を設定し、その人物が企業で成したい感情的な欲求を言語化します。

【例】

  • 〇〇がしたい!
  • 〇〇と言われたい!
  • 〇〇を思われたい!
  • 〇〇に挑戦してみたい!

これらの感情的欲求を持つペルソナが、入社後活躍しているイメージが持てるかがペルソナ設定の重要なポイントです。

STEP.03 「採用サイト」「SNS」で情報発信

STEP.01.02ができたら、実際に採用サイトやSNSでメッセージを発信します。この際、採用サイトは豪華である必要はありませんが、デザインが企業のイメージに合っているか、就職希望者が見て自社に入社したいと思えるかを確認しましょう。

STEP.04 採用ブランディングについて自社の社員と情報をシェア

採用ブランディングを行うにあたって、自社の社員と情報を共有することも重要です。採用ブランディングでは自社の強み、これからの展望を明確にする作業でもあります。それらの情報を社員と共有することによって、企業風土の醸造にもつながります。

短期的・中期的な視点が重要

採用ブランディングで見落としてはいけないのが”スケジュール”です。採用活動は、今日発信したからといって早速明日から応募が来る、というものではありません。事業計画と照らし合わせて、短期的・中期的な視点で、発信の計画を立てることが重要です。しかし採用ブランディングは、多大なコストをかけなくても、正しい手順で実施することが可能です。ぜひ自社のブランド力を高める採用ブランディングを実践してみてください!

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BtoB営業に効果のあるD2Cブランド 相乗効果が上がる”仕組み”とは?

DtoCブランドの立ち上げは、BtoB営業に効果が出てこそ初めて本当の真価を発揮します。今回はBtoBに効果のあるD2Cブランドの考え方についてお話ししていきます。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

2018年以降、「AIが人の仕事を奪う」という旨のセンセーショナルなメッセージが各業界に大きな波紋を呼んでいます。製造業もその業界の1つです。社員の生活を守るためにも、安定した売上を確保に向けて、各社で新しい設備の導入や、商社的機能の強化などを行なっています。他にもDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進める企業も多く目にするようになってきました。

そんな中で、各社の経営課題として議題に上がるのが、『新規顧客開拓』です。確かに新設備や商社的機能の充実は、取引先にとってのメリットであり、企業を選ぶ際の魅力の一つになります。しかし、上記のような事業改革は、費用の面や人材育成などの面で、企業に大きな負荷を与える可能性があります。しかし、従来の営業活動を続けていくだけでは、『新規顧客開拓』を達成までに時間がかかります。

そこで注目したいのが、「顧客が選択したくなる企業価値」とは何か?というポイントです。

これからの時代は、「何を」買うかではなく、「誰から」買うかが問われます。そのため企業は「なぜ我々から買うべきか」と言う明確なメッセージを提示する必要があり、企業が生き残る上での重要な経営課題とも言えるのです。

DtoC単体で稼ぐのではなく、BtoBとのシナジー効果

「顧客が選択したくなる企業価値」を発信する方法としてDtoCブランドの立ち上げという方法があります。なぜならBtoB向けの事業ではビジネスでは発注者・受注者という無言のパワーバランスが発生してしまいますが、DtoCブランドをリリースする上では、インターネットや独自の媒体を利用して、

  • 自社技術の美味しいところ
  • 商品をリリースするに至ったメッセージ

自社の魅力(企業価値)をストレートに、しかも2つ同時に表現することができるからです。

しかしDtoCブランド開発のご相談を受ける中で圧倒的に多いのが、「売れるためのブランティングはどうしたら良いのですか?」または「売れるようにSNSを頑張りたいのですが、どうしたら良いですか?」と言った”見た目”に関することです。良いDtoCブランド商品というのは、顧客の生活にデザイン性や直感的な楽しさを与えるエンターテイメントの側面だけではなく、その機能性を裏付けるBtoB事業で培ってきた”技術力”とのバランスが取れていることです。

DtoCブランドリリースによる社会的信用確立

また、DtoCブランドのリリースは、直近の企業のブランド力を上げるためのものだけではありません。近年、世界各国で掲げられた「SDGs (持続可能な開発目標)」や、環境保全や地球への環境負荷に配慮した「エシカル」というキーワードを目にする機会が多くなったと思います。そこで、私たちはオープンな情報環境において、DtoCブランドというものづくりを通して「新しい価値」をメッセージとして発信していくことができます。それらのメッセージは企業の社会的信用を確立することにもつながります。

「DtoC一般顧客×BtoBビジネス顧客」効果を掛け合わせて提供価値を構築する

しかし、全ての企業で「早速DtoCブランドを立ち上げましょう!」ということではありません。なぜなら、自社のBtoB事業に相乗家効果を与えるものでなくては意味がないからです。だからこそ、DtoCブランドの立ち上げは、リスクを減らした『スモールスタート』で始めましょう。決してプロモーション主体で行うのではなく、本来のBtoB事業やDtoCブランドの開発に関わる人たちが情熱を超えた物づくりに取り組むことによって、より大きな相乗効果を生むことにつながります。

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BtoB製造業の「ブランディング」 優良顧客獲得には”技術×姿勢”でアピールを最適化

今回は、不安定な状況が続く現代で、企業が利益を確実に上げていく企業価値のアピール方法についてお話ししていきます。原油高が急速に進み、燃料・原材料価格の高騰が続く中で、企業は今まで以上に利益を確保することが求められています。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業にとって、原材料費価格変動は会社の業績に直結します。しかしこの変動のビッグウェーブはいつ訪れるか、もしくは立て続けに訪れる可能性もあります。

  1. コストカットして値上げをせずにやり過ごす。
  2. 原材料費の値上げについて先方に説明する。
  3. 自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる”優良顧客”と繋がる。

いかがでしょうか?もちろん1は現実的ではありません。2も1回目の説明はスムーズに進んでも2回目・3回目の値上げの際に関係が途絶えてしまう可能性もあります。そこで、私たちが今からできる対策として『3自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる”優良顧客”と繋がる。」という考え方があります。

BtoB企業に取っての「優良顧客」とは何か

まず先に「優良顧客」について、ここでの定義をしておきます。

【優良顧客の定義】

  1. 御社の技術を信用して仕事を依頼してくれる。
  2. 長く付き合いができる。
  3. 発注者、受注者が対等な関係と捉えている。
  4. 業界知識やリテラシーがある。

いかがでしょう?多くの人が考える良い会社の定義として、自社の事業だけを伸ばすのではなく、業界に対しての自社ができることを考えられる企業ではないでしょうか?そして、自社でもこういった顧客とつながることが多ければ、経営面でも精神面で安定を獲得できるイメージができますよね。

自社の技術を”15秒”で説明できますか?

「優良顧客」を含め、多くの人は一度に多くの情報を受け付けることができません。会社のアピールを最適化するために、伝える情報を「15秒に厳選する」という方法があります。
15秒というと、約60文字くらい喋ることができます。感覚として短いテレビCMと同じ長さ(番組提供枠のCMは30秒)だと覚えておくと良いでしょう。

製造業では市場ニーズから、技術の横展開をしていった結果「自社の核となる技術」の存在が薄れてしまったり、対応可能な技術の全てを伝えようとするケースがあります。しかし、人が一度に聞き取れる情報、さらには記憶しておける情報はとても少ないのです。伝えるべき情報を厳選し、繰り返し伝える方が、受け取る相手にとって印象に残りやすいのです。

自社の姿勢を”開示”していますか?

この記事を読んでいるあなたは、「価格」や「短納期」だけで自社を選んで欲しくはないと思っているのではないでしょうか?製造業の技術は一朝一夕で獲得できない、”価値あるもの”です。だからこそ「安く買う」を目的にした顧客から目をつけられてしまうことは危険です。

そういった危険な顧客から目をつけられず、「優良顧客」を惹きつけるためには、会社として開示しておかなければいけない情報があります。それは「自社の姿勢」です。

【例】

  • 精度に自信がある
  • 多品種小ロットに自信がある
  • 企画から相談に乗れる

同じ技術カテゴリーの競合他社でも、技術習得にはそれぞれ”背景”があります。そしてその背景は、創業時期・地域・社長の個性などから、1社1社全く違います。

実は、「優良顧客」にとって、同じ技術カテゴリーから自社のパートナーとなる企業を探すのは実は重労働なのです。そこで、あなたの会社が「どのような技術」×「どのような姿勢」であるかを意識的に開示することができれば、「優良顧客」の目に留まりやすい状況を作り出すことができるのです。

”技術×姿勢”でアピールを最適化

「優良顧客」も目まぐるしい時代の変化の中で、自社の成長を支えるパートナーを探しています。その上で、あなたの会社が持つ幅広い技術の中でも「核となる技術」と、その技術を裏付ける「自社の姿勢」を意識的に提示することは必須です。対面でもネット上でも漏れることなく、自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる優良顧客と繋がるアピールの最適化を行いましょう。

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製造業のための失敗しないD2C入門。D2Cにも種類があるのを知っていますか?

D2Cブランドには大きく分けて2つの型があります。これから話す2つの型の違いは、「顧客が得たい体験」です。この2つの正体を把握しておくことで、D2Cブランド立ち上げの失敗を未然に防ぐことができます。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

D2Cブランドは立ち上げだけでなく運営にも、時間・お金・マンパワーがかかります。だからこそ自社のブランドを長く愛されるブランド育てるための戦略を、始める前に理解しておくことが重要です。

【使い切る】デイリーブランド型D2C

ここで話すデイリーブランドとは、食品や日用品などの使って消えるような、いわゆる「消耗品」を指します。このデイリーブランド型のD2Cビジネスは、商品が顧客の生活の一部となって一人ひとりに何度も購入されることで成立します。

そして、顧客がデイリーブランド型のブランドに求めることは「快適な日常」です。そのため、サブスクリプションしやすい商品設計・商品訴求が重要です。

【デイリーブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 買い続けられる価格設定
  2. 使い続けることで快適な生活を維持できる機能
  3. 買い続けることに面倒がない仕組み

【形が残る】スペシャリティブランド型D2C

ここで話すスペシャリティブランドとは、使用し続けても専門的な形や性能が残るものを指します。多くの製造業が挑戦しているのはこの型です。上記のデイリーブランドとは異なり、使い続けても無くならない性質があります。このカテゴリーでは機能性や耐久性に優れ、一般より高価格な商品が展開されています。

しかし機能性・耐久性に優れて長く使えるということは、言い換えるとなかなか買い換えないということでもあります。つまり、顧客が一度購入したら、次の商品の買い替えまで長く時間がかかるので、回転率が悪いため、ビジネスモデルとして考えたときに、一時的に大きな売り上げを上げられても、継続的な収益があげづらいことから、ブランド立ち上げに苦戦するケースが多いのです。顧客にとっても「特別な買い物をしたい」という願いがあります。そのため、スペシャリティな商品には、長く使ううちに“人に自慢したくなる仕掛け“が必要なのです。

【スペシャリティブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 高価格でも買いたくなるブランドの世界観
  2. 思わず人に話したくなるスペックやデザイン
  3. 顧客との中長期的コミュニケーション

製造業のためのD2Cビジネスブランディング

1人の顧客が連続して購入するデイリーブランド型のサブスクビジネスと異なり、スペシャリティブランド型は1人のコアなファンが次のコアファンを呼び寄せるブランディングが重要です。イメージしやすいのは、あなた自身しよしているお気に入りの品物にまつわる、出会いと現在に至るエピソードです。少し高いかな?と思いながらもワクワクしながら購入した時の気持ち。そして今も気に入って使い続けているシーン。また、その様子を見た友人が「それいいね。」と声をかけてくれたことなどです。

スペシャリティブランド型は、まるで波紋のようにコアな商品をコアなファンが愛用し、コアな仲間が集まってくる仕組みづくりによって、買い替え需要が少ないスペシャリティブランドでも、上記の図のように、常に顧客が途絶えない導線設計をすることが可能になるのです。

まとめ

デイリーブランド型は、継続して購入される価格設定と機能、私して継続して購入したくなる発信時期と内容が重要です。一方スペシャリティブランド型は、使い続けられるスペックとアフターフォローの仕組み、そして長く使い続けたくなる特別感・ブランドの世界観の発信を心がけることが欠かせません。自社商品が、どちらのタイプかを見極めて、顧客に愛される商品設計・商品訴求を考えましょう。

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製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由

デザイン性の高いホームページは、新規顧客獲得・休眠顧客との関係復活・採用活動における優秀な人材獲得など、企業にとってさまざまな効果をもたらします。しかし「技術が売り」である製造業にとって、ホームページのデザイン性はどの程度必要なのでしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業のホームページリニュアルの話をすると

  • 「あそこの社長は若いから、見た目にこだわりがあるのだろう」
  • 「うちは、デザインなんて言うのは柄じゃないから必要ないよ」

と言って、デザイン性を高めることに対して敬遠されるケースが多々あります。

しかし本当は、技術がある製造業こそホームページのデザイン性にこだわることが重要です。なぜなら多くのお客さんは心理的にデザイン性の高いページを熱心に閲覧する傾向があります。そこで今回は、ブランディングの視点からホームページのデザイン性と営業力の関係について話をしたいと思います。

なぜホームページにデザイン性が必要なの?

まずこの記事でお話しする「デザイン性が高い」ことに対して3つの定義をお話しします。

  1. 視覚的に好感がもてる
  2. 事業内容とビジュアルに一貫性がある
  3. 事業内容がわかりやすく掲載されている

いかがでしょう?テキストだけで並べると想像が湧かないかもしれませんので、この3つの定義を、営業担当を想像してみましょう。

  • 清潔感のあり、好感の持てる服装や髪型をしている。
  • 商品やサービスに対して過小評価や過大評価をせず、誠実に話してくれる。
  • 自社技術や業界知識についてわかりやすく説明してくれる。

この営業担当にだったら仕事を頼んでみたいと思うのではないでしょうか?製造業のホームページも同じように「話を聞いてみたい」「仕事を依頼したい」と思われる視覚的要素やわかりやすいコンテンツの設計が欠かせないのです。

製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由

製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由は下記の通りです。

  1. 良いビジュアルの一般化
  2. 細部へのこだわり
  3. お客さんの負担を軽減

詳しい内容を一つずつ解説していきます。

1.良いビジュアルの一般化

日本におけるデザインの進化は年々早まっています。私たちは日常的に「かっこいいホームページ」「美しいホームページ」を見慣れています。つまり、皆さんのお客さんにとっても良いデザインは「普通」のものになってきていると言うことです。

飲食店でも、10年ほど前にはたくさんあった少し汚い、言い換えると味のある定食屋や焼き鳥屋なども、ずいぶん減ってきましたよね。現代では綺麗なお店には美味しい料理があると言う考えが一般化してきたのです。企業のホームページでも同じように、良いデザインの会社は良い仕事をしてくれると言う印象を持たれやすいのです。

2.細部へのこだわり

ホームページというのは、日常の業務で表すと大抵が最後のステップになることが多いものです。日々の生産、営業活動、事務作業、人事管理と業務を進めてやっと手をつけられると言う方も多いのではないでしょうか?だからこそホームページのデザイン性は、仕事の最後、細部まで手を抜いていないかと言う判断基準に関わるのです。忙しくてつい後回しにしていることは、いつか大きな歪みを生む可能性があります。日々の生産におけるこだわりを、お客様の目に届くホームページでも同じように表現することが重要です。

3.お客さんの負担を軽減

お客さまは数ある競合他社から、より良い取引先を見つけたいと思っています。しかし、お客さんが口コミや紹介以外で取引先を探す際、「1番手前にある情報」から取引先を精査しなければいけません。その1番手前にある情報とは現代ではホームページなのです。

ホームページのデザイン性によって、皆さんの会社がお客さんの選考から外れてしまうことは、自社にとってもお客さんにとっても機会損失になってしまいます。だからこそ事前にホームページのデザイン性を高めておく必要があるのです。

まとめ

先の話でホームページを営業担当で例えた通り、現代においてホームページは、お客さんが最初に目に入れるあなたの会社の営業担当なのです。

自社のこだわりの技術や、製造に対する思いがお客様の目に留まり、話を聞きたいを思われるデザイン性の高いホームページ制作を心がけましょう。

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【D2Cブランド】立ち上げに成功するための「ファンづくり戦略」とは

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

売上拡大、自社の認知度アップなど、さまざまな効果が期待できるD2Cブランドですが、良い商品を作れば必ず成功するわけではありません。D2Cブランドを成功させるために最も重要なことは、高性能なハイスペック機器でもなく、奇抜でおしゃれなデザインではないのです。それは「いかにファンを作るか」ということです。

今回の記事では売上拡大の大きな要因でありながら、中小企業が苦手分野と感じる「ファンづくり」について詳しく解説していきます。

D2Cのビジネスモデルとは

まずD2Cのビジネスモデルについておさらいしておきましょう。D2CとはDirect to Consumerの略で、メーカーが自社で企画・製造した商品を、小売店や代理店、またネットモールといった仲介業者を介さずに、自社ECサイトなどを通して消費者とダイレクトに取引する販売方法を指します。従来の仲介業者を介する場合に比べると、自社のブランディングやコスト削減、さらに継続的な顧客との関係構築などの効果が期待できるため、ここ数年で多くの企業が採用しているビジネスモデルです。

D2Cブランドで成功するためのファンづくり戦略


D2Cブランドでは、小売店やネットモールが行っているお客さんが集まる仕組み、つまり「ファンづくり」の工程も自社で行う必要があります。そのために必要なことは、「顧客視点の段階的誘導」です。

D2Cブランドの立ち上げは、全く無名のブラントを多くの人に知ってもらうことからスタートします。ブランドが認知され、理解され、手に入れたいと思われるためには、顧客の視点を段階的にあげていく接点づくりをします。

①発信時期の設定

D2Cブランドの立ち上げで重要なことは、いかに顧客に認知してもらうことです。「顧客視点の段階的誘導」では、ブランドの認知活動を効果的に行うための「期待感が盛り上がる発信のタイミング」を掴むことが重要です。これのタイミングを有効に使えるか否かは、ブランドの成長を大きく左右します。

  • タイミング1.開発時
  • タイミング2.リリース前
  • タイミング3.リリース後

タイミング1の開発時の発信では、試行錯誤やブランドコンセプトなど「なんだか面白そうなことをやっている」という、様子を覗ける発信が重要です。これは顧客の立場に例えると、行ってみたいお店を窓からチラチラと覗くような感覚に近いでしょう。

そしてタイミング2のブランドリリース前では、開会宣言を行います。タイミング1で興味を示してくれた顧客に対して「これからお祭りが始まります。皆さんで一緒に盛り上がりましょう!」とお店の中に呼び込んでいくイメージです。

タイミング3のリリース後では、顧客への感謝を伝えます。購入した顧客にとって「おかげさまで、たくさんの支持をいただいています」といった内容のメッセージは、自身の選択した物事への安心感や期待感、そしてブランドとの一体感を感じることができます。また、このリリース後の発信はまだ購入していない顧客候補者たちに対しても「自分もその輪に入りたい」という更なる期待感を集めることにつながります。

②顧客像(ペルソナ)の設定

D2Cブランドの成功には、不特定多数のフォロワー獲得以上に熱狂的なファンの育成が重要です。①発信時期の設定を効果的に行うためには顧客像(ペルソナ)の設定が欠かせません。

しかし、こういった顧客像を想定するとき、多くの企業では「ターゲット」を設定することが多いかもしれません。ターゲット設定は、30代男性会社員、40代女性の主婦のように性別や年齢などの属性でセグメンテーションする方法です。

しかしD2Cブランドを成功させるためには、それでは十分ではありません。ニーズをより深くセグメンテーションすることが必要です。そのために行うことは、たった1人のユーザーを設定し、その人物が叶えたいことを徹底的に考えることです。

顧客像を明確することは、より心に響くメッセージや商品開発など、マーケテイング施策が可能になり、自社ブランドの熱狂的なファンを育成することができるのです。

③媒体の設定

顧客像が明確になったら、次にすることはその顧客とつながるための発信活動です。発信活動でのポイントは、ペルソナの読みやすい媒体を選ぶことです。よくSNSをとにかく頑張ればファンが作れると思ってアカウントを開設する企業があります。しかしD2Cブランドを成功させたいなら、自社ブランドのペルソナにとってどの媒体が一番読みやすいのかを考えることが重要です。Twitter、Instagram、ブログなどのSNSだけでなく、紙媒体であるパンフレット、お手紙などさまざまな媒体があります。その中から、ペルソナが自社ブランドを心地よく知れるシーンをイメージしながら選定しましょう。

また、SNSなどのWEB媒体を使用する場合は、投稿時間も重要です。帰りの電車の中で読むのか、休日に読むのかなど、ペルソナの生活シーンを徹底的に想定して発信することでより熱狂的なファン作りにつながります。

④発信の継続

最後にファン作りには継続した発信が重要です。D2Cブランドの成長には、長くブランドを好いてくれるファンの存在が欠かせません。購入するときだけの関係ではなく、リリース前、リリース後、そしてその後の展開を長く発信し続けることで、企業が自社ブランド立ち上げによって望む「売上拡大」「自社の認知度アップ」といった効果を上げるブランディングができるのです。

SNSを始める前の注意点


会社としての発信とブランドとしての発信を1つのアカウントに混同させることはお勧めしません。いわゆる「混ぜるな危険」です。なぜなら会社としての発信とブランドとしての発信を読みたい読者が違います。そのため、1つのアカウントに対してどのペルソナにメッセージを受け取ってもらうのかを設計してから、SNSアカウント立ち上げることが重要です。

D2Cブランドのファンづくりは「会社の信用貯金」

D2Cならではのファン作りを続けることで、自社D2Cブランドの信用を貯金のように増やしていきましょう。この信用貯金は採用活動・新規顧客開拓・地域からの指示・業界へのインパクトなど、企業の価値を向上させるさまざまな効果をもたらします。もちろんD2Cブランドの立ち上げは容易なものではありません。しかし、個人から支持による信用は、これからの社会において重要な会社の資産となります。この記事をお読みのあなたの会社でも会社の資産となる、長く愛されるD2Cブランドを構築していきましょう。

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製造業が自社ブランドを作るなら必ず知っておきたい3つの視点

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業が自社で開発するブランド、いわゆるD2Cブランドの存在は、市場のクラウドファンディングやSNSの持ち上がりよって一般的にも認知度が高まっています。製造業としては、様々な思いから、D2Cブランドの開発に対して何らかの着手をしている企業が多いのではないでしょうか?

例えば、

  • 会社として話題性を作るため
  • 新しい売上の柱を作るため
  • 社員のモチベーションを向上させるため
  • 自社の技術力を高めるため

このように企業によっては様々な理由があると思います。しかし、何となくD2Cブランドを立ち上げてしまうと、上層部の思いとは逆に、話題性を生むことができなかったり、社員のモチベーションを下げてしまう原因にもなります。なぜそのような悲しい結果が生まれてしまうのかというと、そこには製造業が「メーカーとしてのポジション」を築く上で重要な3つの視点が欠けているからです。

今回の記事では、製造業がメーカーとしてのポジションを築く上で重要な3つの視点について、今まで累計1,200点以上の商品を企画・開発してきたブランディングの経験からお話ししていきたいと思います。

1つ目の視点【技術シーズ】

シーズとは「種」を意味します。ビジネスにおいては、企業が新しく開発・提供する特別な技術や材料のことを指します。D2Cブランドをリリースすることは、自社の技術を今まで取引がなかった業界にもアピールする絶好の機会です。ここで重要なことは、業界・社会にとって自社は「〇〇の技術力に優れた企業」とアピールできるシーズに絞ることです。

  • 企業としての技術力

もし自社のアピールすべき技術ポイントが1つに絞れない、シンプルに言い表せないと悩んでしまう場合は、これから取引をしていきたいお客様が求めていて、なおかつ自社が実現可能な技術力について着目すると、D2Cブランドを通してアピールすべきポイントが明確になります。

2つ目の視点【顧客ウォンツ】

ウォンツとは、ある商品・サービスを「欲しい」と顧客が考えている状態を指します。ウォンツの視点において重要なことは、「〇〇できる△△が欲しい」に応えられる企画と規格を考えることです。

  • 目新しい企画
  • スペック
  • デザイン

D2Cブランドでよく起こる失敗ケースとして、技術シーズを伝えたい一心で、製品にあまりに多くの機能を持たせすぎてしまうということがあります。このようなオーバースペックはユーザーが求めるものではありません。企業はメーカーとして、顧客が求めているスペックに向けて技術シーズのチューニングを行いましょう。

また、機能面で顧客ウォンツを満たしていても、デザインという見た目の視点が抜けてしまうと、どんなに良い商品も売れなくなってしまいます。どんな商品であれ、日常使いしてもらえる商品を作るためには、使っていて気持ち良い、持っていて心が踊るような商品を機能・見た目の両方から目指すことが重要です。

3つ目の視点【顧客ニーズ】

ニーズとは、漠然とした「こうだったらいいのにな」という理想に対する感覚です。ニーズは、スペックなどの具体性のあるウォンツとは異なり、心身を伴う「体験」に大きく関わっています。

  • 商品との出会い方
  • 商品の作り手を知ること
  • 使うことで訪れる、自分や相手の幸せな生活
  • 安心できるアフターサービス
  • ファン同士の交流

ウォンツを商品のハード面だとしたら、ニーズは商品のソフト面といっても良いでしょう。そして、時としてニーズは無自覚なことが多いため、もし潜在的な感覚に届く体験を提供することができれば、「まさにこれが欲しかった!」と言われる商品を作ることができるのです。この顧客に対してニーズまでの戦略的な導線構築が、製造業がD2Cブランドの別れ道と言っても過言ではありません。

3つの視点が重なり合うD2Cブランド作りを

顧客が大手ブランドではなく、小さなメーカーのD2Cブランドを選ぶには、技術シーズ・顧客ウォンツ・顧客ニーズの3つの視点が重要です。すでに多くの技術力があるからこそ、ストーリーのある商品を作り続けられる道筋を戦略的に立てていきましょう。顧客が喜ぶ商品、そしてその商品との関係性を築く体験を生み出せるものは、規模が小さくてもブランド力が高いと言えます。

そして顧客が喜ぶ商品を作ることは、期待や信頼を獲得につながり、他業界からのオファーや社内でのポジティブな企業文化の醸造など様々な波及効果を生み出します。自社だけでできないことは、企業同士の技術コラボや、専門家から協力してもらうことで解決できます。ぜひ、3つの視点を取り入れて、顧客から「この商品を自分の生活の中に取り入れたい!」と思われるD2Cブランド商品作りを目指しましょう。

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町工場プロダクツから踏み出す 町工場ブランド次の一歩

こんにちは。テクノポートの菊地です。2021年10月13日〜15日の3日間、東京ビックサイトで開催された『第92回東京インターナショナル・ギフトショー LIFE×DESIGN』に全国から集まった町工場26社が「町工場プロダクツ」として共同出展していたことはご存知でしょうか?町工場界隈のTwitterは、ギフトショー前から町工場プロダクツの話題で賑わっていました。

ギフトショーの出展を終え、今後の展開が気になる……ということで、町工場プロダクツ実行委員会委員長の眞鍋さんにお話を伺ってきました。

「町工場プロダクツ」とは

町工場プロダクツは、ものづくりコミュニティ「MAKERS LINK」から派生した新たな取り組み。オリジナル製品=プロダクツの開発/発表/販売を通じ町工場が元気になることを目的としています。

発起人はTwitter上で「おやっさん」としても知られている栗原稔さん(株式会社栗原精機 代表取締役社長 MAKERS LINK管理人)です。

実行委員長 眞鍋玲さん

デザイナー。REI DESIGN主宰。
今ギフトショー出展実行委員会委員長。栗原精機・栗原社長より町工場のギフトショー出展とりまとめを引き継ぎ2021年「町工場プロダクツ」を立ち上げる。町工場との協業で、もっと暮らしを楽しく豊かになることを目指し日々活動している。
https://www.reimanabedesign.com/

町工場プロダクツ ギフトショー出展を終えて

ー今回の町工場プロダクツはどれくらいの企業が参加していましたか?

26社ですね。募集をしたらすぐに手が上がった会社さんが20社くらいで、もう少しそのあと増えました。SNSで募集をしたらすぐに手が上がった会社さんが20社程度、コロナ禍もあり悩んだ末に出展を決めた方もおりそのあと徐々に増えていきました。
町工場プロダクツは共同出展なので、1社あたりの費用負担が少ないという出展のハードルの低さ特徴がです。単独出展の場合、法人しか申し込み出来ませんが共同出展では個人事業主も出展できます。一人親方でも町工場プロダクツでなら出展できます。

ー「町工場」の定義も曖昧というか人によって違いますよね。

「町工場」と謳っているのは、ギフトショーを主催しているビジネスガイド社の鈴木美朝さんが生み出した「町工場NOW」という企画エリアの名前からきています。グループ会社をもつような大きな会社の方も、一人親方も「町工場」として参加しています。今は、金属加工の会社さんが多いので若干メカメカしさ目立ちますが、実際は製本やペーパークラフトの会社さんも参加しています。今後も布、革など他の素材でも町工場であればと参加大歓迎と思っております。

ー初めての方も複数回出展したことのある方もいたと思いますが、自社製品を企画〜販売するのに皆がぶつかる壁ってありますか?

多いのが値つけ、価格設定ですね。今回出展する方には「売値を決めてきてください!」と口酸っぱく伝えました。展示会なので上代(売値)だけでなく下代(卸値)もバイヤーさんからは聞かれます。買取だったら〇〇%で、委託だったら〇〇%で、とハッキリ数値を言ってしまうやり方もあるとは思います。ですが私も町工場ブランドの商いに触れていく中で、意思を持って強気に攻めている町工場さんの存在も見かけます。一般的な相場にあわせるべきか下手に出るか強気に出るか、そこは腹の探り合いですよね。

物だけでなくて値段の見せ方も大事だよなと感じていたので、とりあえず売値だけは決めてもらうようにしました。とにかく大事なのは売値です。「いったいこれをいくらで市場にだすのか」を考えて、その値段を聞いたお客さんが「高い!」と思うのか「ちょうど良い」と思うのか、その感覚が一番大事と考えています。事前に相談があったところには率直に「高いと感じます。」と言うこともありました。もちろん手間はよくわかるので……気持ちはわかるのですが……。工法が譲れない場合は仕方ないこともありますし、もうちょっとここ変えたら価格抑えられませんか?みたいなプチアドバイスは言わせていただきました。
値段が決まってないと、出展しても商談ができなくてもったいないので。

ー全国から町工場が集まって、面白いこととかが起きましたか?

アトツギと呼ばれる若手経営者たちの動きには私自身も楽しませていただきました。忙しい合間を縫いつつSNSでじゃんじゃん拡散してくれました。彼らはとにかく早い。


愛知県から出展してくださった製缶メーカーの側島製罐さんは、意図せずギフトショーのタイミングでTwitterやニュースサイトでバズを起こしてしまい商談会会場でもSNSにヒーヒー言いながら楽しそうに商談会をこなしていました。こういうタイミングでチャンスを持ち込んでくるのは若手のパワーですね。

ギフトショーは展示会なので、BtoBではありますがtoCの商材なので今後リアル物販イベントなどを考えるとそう言った拡散力があるとオンライン/オフライン共に面白くなりそうだなと考えます。SNSで話題になっていれば、バイヤーさんの仕入れのきっかけにもなりますしOEMに派生する可能性が生まれます。つまりギフトショーの商談はB to B to Cですね。

ーやっぱり百貨店をはじめ小売店との商談が多いですか?

そうですね。でも中には新規の小売店を開拓したのが1割くらいで、開発案件が9割くらいの会社もありました。商品力がつき、コラボなどの実績がついてくると『この町工場とだったら開発がうまく進められそうだぞ』と見てくださる会社が明らかに増えてきますね。前はもっと、ぼんやりしたコラボというか「一緒に何かできたらいいですね〜」みたいな感じで時間が過ぎることが多かったと思います。今は「これ作れるならお願いしたい」みたいな感じで具体的な商談が多くて嬉しいですね。

ーそこが本願ですよね。

もちろん出展者さんによっては、百貨店さんや小売店に卸すことをメインに商談を進めているところもあります。百貨店側もSDGsなど時代性・ストーリ性のあるものを求めているので、商品開発の小回りが利く町工場ブランドは相性がいいですね。

ー町工場プロダクツをやって発見した町工場のあたらしい顔ってありましたか?

今回2度目の参加となった町工場さんの中には、商談中のふとした瞬間に職人の顔から商売人の顔になっていることに気がつきました。有限会社小沢製作所の小沢さんとかシマワの島口さんは、バイヤーさんとの話っぷりが前回に比べ明らかに流暢になっていました。もともと素質が十分にあったのですがその切り替り代わりに、委員長としては萌えましたね。若いから柔軟性があるのかもしれないですけど、スッと切り替えられて異業種に入っていけたり、わからないことをすぐ調べたりできるのは素晴らしいですよね。課題が見つかれば、解決に切り替えて進む姿が頼もしいなぁと感心しています。

中堅〜ベテラン層の出展社の方々は普段経営者として会社を切り盛りされている方がほとんどですがアウェーでも恐れず楽しもう、と自分を鼓舞して参加してくださっている姿が印象的でした。『いくつになってもチャレンジできる』マインドさえあれば何歳だって『初めての自社製品』にチャレンジし新しい世界に触れられるチャンスがあります。持病や足腰の痛みと戦いながら若手に負けじとなんとか頑張っておられました。

町工場プロダクツ 次の挑戦

ー町工場プロダクツとして、次のステップはもう考えていますか?

次は、せっかくBtoCの商材を作っているので、やっぱり直接お客さんに販売してほしいと考えています。催事やポップアップの引き合いをいくつかいただいており、2022年はリアルイベントを町工場プロダクツでやろうと計画しています。

ー身内とか知り合いじゃない、一般のお客さんの顔が見えてくると、新しいことが見えてきそうですよね。

もちろん大変なこととかもあると思いますけど、販売イベントをやると明らかに嬉しいことがいっぱい発生することが見えています。だって、目の前で自分たちの製品を気に入ってくれたお客さんと出会えて買ってもらう瞬間があるんですよ。すごく「認められたな」って感じられる瞬間です。それを直接体感するって、下請けの企業さんはなかなか経験したことがないので、やっぱりそれを体験してもらいたいです。多少のトラブルもあるかもしれないけど、それはそれで素直に受け止めて勉強してもらうことも大事です。小売店に卸したとき、実際に店頭ではそういうことをやってくれていることを知るのも、作る側として認識しておいたほうがいいと考えています。

ーそうですね。どうやって売られているのかとか、どこをお客さんが気にするのかって店頭じゃないと知れないこともあります。

自社ECを運営されている会社さんもいますが、実際に店頭に立って接客して販売するのとは全然違う空気です。あとは、厳しい経験もしてもらうことも大事かなとも考えます。まだまだ商品力が弱かったり、安定しなかったりするので、そこを体感してもらって、その課題に向き合ってもらいたいというのもあります。嬉しいことも、耳の痛いこともお客さんの生の反応を見て、聞いてほしいと考えています。

ーこれから益々大きくなっていくんですね、町工場プロダクツ。

大きく、というと、たくさんの町工場さんに参加してもらって嬉しい気持ちもありますけど、丁寧にこちらも関わっていきたいですし、育っていって欲しいので展示会なら今の体制なら今くらいの規模が精一杯です。メンバーは固定ではなく入れ替わり立ち替わりで挑戦してもらっても良いと考えています。実行委員会のメンバーも固定ではないです。その代わり、絶やさないことが大事だと思っています。

to C向けのリアルイベントでも、ギフトショーのような大規模展示会でもパッと盛り上がって終わっちゃったとならないようにするつもりです。TwitterやInstagramとかのアカウントを今回から立ち上げたのも、継続していく意思があったので作りました。特に物販イベントを開催したときに、店側からは集客力がと売り上げが求められるので、ちゃんと集客ができるように普段から発信し続けていきます。展示会は自分たちで発信をしなくても来場者がいるので賑わいはどうにか作れます。一方、催事や販売イベントは予算設定もあるので事前から宣伝やファンを大事にしながら実際に来てもらえるようにしていかないとですよね。なんだかひとつのお店みたいです。

私としては『町工場プロダクツ』の見せ方に関し、物産展の雰囲気を目指しました。物産展ってすごく人集まるじゃないですか。私も大好きです。今回のブースはスッキリ見せるというよりは、ガチャガチャっと賑わっている雰囲気が出るようにしたのですがそれを百貨店などの催事場にもそのまま持っていきたいです。物産展って、「寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!」の堅くない感じと、その地域に思い入れのある人が集まる感じがいいですよね。自分や両親、友達の出身地とか、旅行に行った思い出があるとか。そういう場所とか地名の持つ力みたいなのって結構大きいと考えます。それを町工場に置き換えて「これ〇〇県で作っています〜」、「俺も〇〇県出身!」みたいに盛り上がれたら自分の町のアピールにもなりますしね。今後は、よりそういう「物産展感」を強めていきたいと思っています。楽しみにしていてください。

町工場プロダクツ 出展者一覧

今回、各社が掲げた出展テーマと共にご紹介します。(順不同)

町工場 × 愉しむメタル
株式会社栗原精機(埼玉)

町工場 × 缶
側島製罐株式会社(愛知)

町工場 × アウトドア
八王子工材株式会社(東京)

町工場 × スピーカー
株式会社シマワ(東京)

町工場 × アウトドア
有限会社小沢製作所(東京)

町工場 × 茶筒
ハタノ製作所(東京)

町工場 × 昆虫ワールド
有限会社大竹製作所(埼玉)

町工場 × 贈りもの
株式会社三共(埼玉)

町工場 × アート
株式会社積誠庵(静岡)

町工場 × ワクワク♪
株式会社パーツ精工(埼玉)

町工場 × アウトドア
有限会社泉和鉄工所(大阪)

町工場 × Hobby
有限会社山脇バネ製作所(滋賀)

町工場 × ふたりキャンプ
株式会社松長鐵工(宮崎)

町工場 × レーザー
株式会社レーザックス(愛知)

町工場 × かやり
有限会社宮本工業(埼玉)

町工場 × 文具
株式会社藤沢製本(滋賀)

町工場 × コロナ対策
有限会社大高製作所(神奈川)

町工場 × ドリッパー
株式会社エムエスパートナーズ(神奈川)

町工場 × デザイン
Pit-A-Pat(東京)

町工場 × ペーパークラフト
W2SSTUDIO(埼玉)

町工場 × アウトドア
株式会社小沢製作所(東京)

町工場 × ケズリダシ雑貨
斉藤製作所(茨城)

町工場 × デザイン
ECBB株式会社(東京)

町工場 × 自空感
株式会社TEKNIA(愛知)

町工場 × 鉄のロジー
郡山テックブートキャンプ2021
福島県郡山市産業創出課

町工場 × デザイン彫刻
植木製作所(東京)

まとめ

各社さんのことが知りたい、今後が気になるという方は、町工場プロダクツのTwitterアカウントからまずはチェックしてみてください。
@machikoba_pro
コロナ禍を経て、オンラインの繋がりが強まったこともあり、さまざまな取り組みが行われるようになりました。地域や昔からの繋がりから、ぐっと手を伸ばせる相手が広がったと言い換えられるかもしれません。これからの町工場プロダクツをはじめとした、町工場の活躍が楽しみです。

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情報発信が取材に繋がる ハタノ製作所の「広報」を聞く

テクノポートの菊地です。2020年からのコロナ禍を経て、情報発信に積極的に取り組む企業が増えています。その傾向は製造業でも高まっており、ブログやオウンドメディア、SNS、プレスリリースなど様々な手段が用いられています。情報発信の目的は会社や方法によって異なると思いますが、今回は私が「広報」の視点で情報発信に工夫されていると感じていた、「ハタノ製作所」の波田野さんにお話を伺いました。

広報ってどういうこと?という方は、こちらの記事がおすすめです。

ハタノ製作所について

引用:ハタノ製作所Webサイト

ハタノ製作所は、東京都大田区京浜島に拠点を構える2020年10月に創業したばかりの町工場です。TIG溶接を主とした金属加工をおこなっていますが、特筆すべきは従来の溶接工の枠組みに捉われない様々な分野での活動、コラボレーションではないでしょうか。

地域のメディアに留まらず、NHKの首都圏ネットワークや美術手帖など数多くのメディア露出を叶えています。

【主なメディア実績】
NHK総合 首都圏ネットワーク「町工場 若手職人の挑戦」
首都圏ニュース 生活情報
美術手帖  「町工場とクリエイターの協働から生まれる「遊具」とは? 大森のKOCAで「ラウンドテーブル2020」が開催」
「KOCA」Youtubeチャンネル

代表 波田野哲二さん

1986年東京都大田区生まれ。工業高校卒業後、一般企業で5年、大田区の溶接工場で10年勤続を経てハタノ製作所を創業。TIG溶接を主とした金属加工を行い製造業の仕事に加え、デザイナー・アーティスト向けに金属製品の少量受注生産及び工場見学&溶接体験の受け入れを行なっている。デザイナーユニットYOCHIYAと協働し、溶接の繊細さを活かしたプロダクト「SUS 50A」を開発。おおたオープンファクトリーをはじめとした大田観光協会の各種イベントに積極的に協力をしている。町工場の若手職人を集めたコミュニティを作り、自身が主催する「#町工場LT」で要素技術の魅力を伝える活動を行っている。キャッチコピーは「人を繋ぐ溶接工」。
Twitter:@hatano_work

伺ったお話を5つの項目でご紹介していきます!

①広報活動に取り組んだ背景

現代美術家 金子未弥さんとの協働作品  ガードレールを溶接している

ーメディアに取り上げてもらおう、とか広報活動しようと感じたきっかけを教えてください。

実は、「広報をしないと」とか「メディアで取り上げてもらうために何かしよう」という狙いで情報発信に取り組んでいたわけではなくて。もともとは広報しようとかってイメージではなかったんです。

ーそうだったんですね。 Twitterを使ってらっしゃると思うのですが、いつから使っていますか?

2018年ですね。創業するよりも前に、閉鎖的な町工場から他の会社さんがどんなことをやっているのかとかを情報収集するためにTwitterをはじめました。最初は大田区の町工場の人です、みたいな匿名アカウントでしたね。とはいえ見るだけだとつまらないので、アットカマタさんの「おおたオープンファクトリー」とかそういうイベントがありますよとか信頼性のある発信をしながら、他の工場の方はどういうふうに思ってるのかなというのを知りたくて少しずつ交流をしていったというのがはじめです。
もちろんものづくりのことを広く色んな方に知ってほしいという気持ちもありますし、情報発信しないといけないとは思っています。

ー情報収集やコミュニケーションの手段としてTwitterを使っていたんですね。

そうですね。その時はまだ、独立する前だったというのもあって自分の会社の宣伝がしたいというよりは、個人として他の人のお話を聞きたいとか、どんなことをやっているか知りたいという感じでした。

ー先ほどの「広く知って欲しい」というのは製造業の人に限らずですか?

はい。製造業の方向けではなくて一般の方とかクリエイターの方とかに溶接やものづくりについて何か気付いてもらえるような発信の仕方をするように心がけてます。そういう意味では差別化しながら発信しているっていうんですかね。他の人がしないことをやるっていうのがあるので、それがうまくメディアの方々の目に留っているんじゃないかなと思ってます。

ー広報的ですね!波田野さんの投稿ってあまり宣伝ぽさがないですよね。製造業の方同士で専門的な話題で盛り上がったりするのはよく見かけますが、一般の人に知って欲しいというのはなにかきっかけがありましたか?

創業前になるんですけど、おおたオープンファクトリーというイベントに参加して工場見学で一般の方を受け入れたんですね。閉鎖的な町工場が当たり前だと思っていたんですけど、地域の方とか街づくりを学んでいる大学生とか、本当に色んな方が来てくれたんです。その時に僕が溶接しているのを見てた小さい男の子が「お兄さんかっこいい」って言ってくれたのがすごく嬉しくて。もっといろんな人に溶接に限らないんですけど、町工場の人や技術を知って欲しいと思ったんです。

②取材獲得のための工夫

ーいろんな人に知ってもらうためにメディア露出は良い手段だと思います。NHKなど取材を受けてこられてますが、「僕こういうことやってるんですけど、取材しませんか!」とかって連絡したりしてるんですか?

それが全部受け身で…。メディアの方からお声掛けいただいて、という感じですね。

ーうらやましい…。先ほどおっしゃっていた「広く知って欲しい」という情報発信の仕方が広報の要素なので、きっとそれが目に留まるんですね。

別に僕は世界一溶接がうまいわけではないので、その溶接工がどう生き残っていくかと考えたときに、他の人がやらない領域に手を伸ばしていくことと、相見積もりとかで同じ金額とクオリティの時に波田野にやって欲しいよねと思ってもらえるようにならないといけないとずっと思っていて。情報発信していたこととか、クリエイターさんとのものづくりとか色々取り組んできたことが見つけてもらえたり、KOCA(大田区のインキュベーション施設)のインタビューに喜んで出してもらったりとか。

ー差別化、とも言えますね。

あと、町工場さんってお客様の製品を扱っているので機密情報があったり、そもそもテレビとか出たくないと思っていたりする方もいると思うので断っちゃったりするかもしれないですよね。その点、僕は情報発信をするべきだと思ってますし、今のところ機密に触れるものもないので来ていただいた時に見せられるような準備はしてありますね。心構えと言いますか。これからはプレスリリースを書いたりもしていきたいので、勉強しているところです。

③取材やメディア露出で困ったこと

ーときどき、自分の発言が意図しない方向性で取り上げられてしまった、という話を耳にすることもあるのですが、取材を受けたことで困ったり嫌な思いをしたことってありますか?

全然ないんですよ。「幸せ!ボンビーガール」でクレープ食べてたっていじられるとか?笑

すごく皆さん私の気持ちを汲み取ってくれて、丁寧に報道してくれました。放送前も、どういう意図でその発言をしたかを誤解されないように何度も確認してくれたり。やろうとしていること自体がちょっと変わっていることというのもありますし、町工場が衰退しているとかネガティブな業界のイメージがある中で、何かやろうとしている人と取材していただいているので、最終的な着地点が明るい方向になっていて、そこに助けられている部分はあると思います。

④メディア露出をしてよかったこと

SUS 50A: 溶接の技術とビート(溶接跡)の色目の美しさを活かしたステンレス茶筒

ーTVやWebメディアに出てよかったこととか、反響も教えてください。

結構色々あって、まず、妻のご両親がNHK見てくれたんですけどすっごい喜んでくれました。あとは加工をお願いしている町工場の会長の奥様からも「NHK見ましたよ」って言っていただいたりとか。

ーいいですね。嬉しい。

NHKで取材していただいた時は社名とかは出なかったんですけど、名前で検索してくれたみたいで、直接の問い合わせが多かったですね。あと、メディア露出ではないんですけど「波田野さんいつもTwitter見てます!」って言われて驚いたらある企業の「中の人」でした。いや、ありがたいですね。

⑤今後のハタノ製作所

ーこれから出演したいメディアや取り組んでいきたいことはありますか?

そうですね…、一般の人向けに製造業や金属加工で新しく取り組んでいることを取り上げてもらえると嬉しいです。そもそも製造業を盛り上げないといけないし、素晴らしいと思っているイベントの紹介したり、イベントがなくても技術は伝えられるのでそういうのを発信したりはこれからもしていきたいですね。

広報のテーマで言うと、僕は「日本一話しかけやすい町工場の職人」を目指しているので声かけていただければ基本的には断らないようにと思っていたんですよ。ただ、一緒にステンレス茶筒に取り組んでいるクリエイターの方が、世界観とかブランディングとか含めてゆくゆくは世界に届けたいねと企画してくれていて、そういうことも考えると出す部分は選ばないといけないと改めて思いました。

WBSのディレクターの方が書いた本に、例えばバラエティとかに出てしまうと経済番組には呼ばれなくなってしまうと言うようなことが書かれていたのもありますね。Twitterの見せ方も気をつけているんですけど、メディアに出る時も同じようにブランディングとか考えていきたいです。

まとめ

今回は、広報や情報発信についてハタノ製作所の波田野さんにお話を伺いました。他の人がどう考えているか知りたい・情報収集がしたいというスタートや、製造業に関わる人に限らず広くたくさんの人に町工場のことを知って欲しいという気持ちは、PR(パブリックリレーション)そのものでした。製造業への考えやTwitterへの姿勢から趣味など、書ききれないほどたくさんのお話をお聞きしたので、また別の機会にお伝えできたらと思います。

波田野さん、ご協力いただきありがとうございました。

社員の仕事の質が上がる 会社理解度が高まるウェブサイトの作り方

こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

今回は、社員が読み返したくなるサイトは会社を強くするという話をさせていただきます。消費者のライフスタイルの変容が大きい今、受注の件数や内容に変化が続いています。この変化が続くことは中小企業にとって売上の増減が左右されるだけではなく、社員のモチベーションも同時に左右されます。営業スタイルのリアル対面からオンラインへの移行や、生産作業のクオリティやスピードの変革期に伴い、今がウェブサイトを作り直すタイミングなのでは?と感じているならば、まず売上が上げるウェブサイトを目指すのはもちろんです。しかし、その1回目の新規取引を契約すると同時に、継続的な取引をしたくなる会社へとステージアップしておくことが重要です。

ウェブサイト目的は直近の売上増加だけではない

会社のウェブサイトをリニューアルする際に「社外に向けてもっと発信するものにしたい」とおっしゃる経営者の方が多くいらっしゃいます。そんな時私は「どうせでしたら、社外だけでなく社内に対しても影響力のあるウェブサイトの方が良くありませんか?」とお話しをしています。この話をすると、大概の経営者の方は目からうろこが取れたような顔をされますが、実際に担当者と話をするのは社員です。営業担当や製品作業担当が質問を受けた時、目の前の製品についてだけではなく、会社について同じレベル感で語れるとお客様から会社への信頼は強固なものとなります。

社内に対して影響力のあるウェブサイトは、経営者が考える会社にとっての本当のお客様像、そしてそのお客様たちの抱える課題は何であるかを社員たちと共有できる、日々の業務に反映できる強力な財産になるのです。

社員は「本当のお客さん」を知っているか?

経営者の視点からすると、社員が自ら学習してスキルを上げることや、目の前の見積書や設計図だけではなく、1年後や3年後を見込んだ取引を考えるようになって欲しいと考えるものです。しかし、社員にとって自分のスキルが上がる事自体に楽しみを見出すことは、実はなかなか難しいものなのです。「自分が頑張って何になるのだろう?」「課題が増えるのは大変だから嫌だな。」社員にとっての仕事とは、目の前の業務をクリアしていくことになってしまいがちです。

しかし、この負のループから抜け出す有効な方法があります。それは社員が自分のお客さんを知ることです。自分の仕事の目的が明確な場合、その目的に対してスキルを高めることは楽しいことになります。ちょうど中学生が部活の県大会優勝という目的に向けて自主練習やチーム練習に自ら進んで取り組むのと同じです。自分のした仕事が誰のためになるかという目的に対して「やりがい」を感じながらスキルアップする成長のループ生まれます。自社のお客様像とその課題をクリアにしたウェブサイトは、社員育成の観点からも、自分たちの会社の目的を日々目にできるツールとして重要な役割を果たすことができるのです。

社員が読み返したくなるサイトは会社を強くする

この記事を読んでいるあなたが、経営者としてウェブサイトのリニューアルを考えているなら、まず目の前の課題である新規顧客を獲得ができる事は大前提として捉え、一度契約をしたら長く付き合える企業づくりができるウェブサイトを目指しましょう。それは社員が会社に対する理解度、お客様に対する理解度を高め、能動的にスキルアップやお客様との関係構築する力を育てます。ウェブサイト作りは社外への発信だけではなく、社員育成という視点も持つ事で継続的な売り上げの向上を見込める生きた財産となり、会社を強くするカギになる事を覚えておきましょう。

町工場の魅力で経営課題を解決。 製造業の広報PRとは

テクノポートの菊地です。社内では、未経験ですが広報業務を担当しています。今後、モノカクの記事として、日々学びながら実践している広報活動にまつわるアレコレを共有していきたいと思います。

広報とは

そもそも「広報」とは何か。聞いたことはあるし、なんとなくイメージはあるけど正直よくわからないという方が多いのではないでしょうか。人や時代によって異なる用いられ方をすることもあり、一言では説明しがたく、正解はひとつではないと言えるのが正直なところです。

広報の定義

広報」という言葉が日本で使われるようになったのは、戦後GHQが日本へ民主主義を根付かせる目的で行政に「PR=Public Relations(企業や団体が社会や消費者とより良い関係を築くための活動全般のこと)」を伝えたことが始まりとされています。「広報PR」と表記されるのはこのためです。(ちなみにPRの発祥はアメリカの独立戦争と言われており、面白いのですが、今回は割愛します。)広報PRは、Promotion(販売促進)やPress Release(自社の新しい情報をメディアに届ける手段の一つのこと)ではなく、「組織や個人が社会とより良い関係を築いていくために、自らの事業についての活動や方針を広く伝え、共感・理解を得るための活動」と言えるでしょう。

具体的には、主に「社内外の情報収集」→「集めた情報をもとに企画・情報発信」→「企画や情報を活かした取材獲得」を行っていきます。(下表参照)

企業によってはWebサイトの運営やお客様対応なども広報担当者が受け持っていたり、情報の発信先によって部署が細分化していたり、インターネットの発達による変化も含め、その姿は日々多様化しています。また、社内のリソースによって対応できる業務の取捨選択も必要です。

広報の目的

書籍「戦略PR 著:本田哲也」によると、広報の究極の目的は「人々の行動を変えること」とされています。昨今の広報には、社会的な視点や文脈が強く求められるようになってきました。「その商品やサービス、事業は、社会にどんな効果を与えますか?」と。これを踏まえて、次の図をご覧ください。

上記の図は、「PRのピラミッド」と呼ばれるPRの目的構造を図式化したものです。

  1. パブリシティ:情報の露出→取材獲得、新聞や雑誌などメディアでの情報露出
  2. パーセプションチェンジ:認識の変化→パブリシティによるモノの見方・価値観の変化
  3. ビヘイビアチェンジ:行動の変化→認識の変化による行動の変化

例えば、製造業者が採用難の対策として広報活動を導入するとしましょう。この場合に考えられるパブリシティは、

  • 会社について(企業風土や福利厚生など他社と差別化が図れるネタ)
  • 人について(代表や名物社員、若手、女性など募集したい層に合わせたり、こんな人と働きたいと感じさせたりする切り口)
  • 権威について(受賞や官公庁、大手企業との連携など)

などが挙げられます。パブリシティによって、「この会社面白いな」「こんな会社があるのか」「思っていたより、製造業って面白そう」などと思うようになったら、それがパーセプションチェンジです。そして、実際に求人に対して応募されたり、業界での就職希望者が増加したりするとビヘイビアチェンジの達成です。その年に限らず、継続して効果が現れれば大成功と言えるでしょう。

PRのピラミッドの事例としては、サントリーのウイスキーの再興やP&Gがインドで行った「洗濯」への問題提議が有名です。興味のある方は検索していただけたらと思います。

広報と広告の違い

メディアを用いた企業の情報発信というと、広報に限らず広告が挙げられます。似て非なるものですが、混在されがちなので違いを比較しながら紹介します。

広報の特徴

低コストでありながら信頼性が高い反面、情報のコントロールができず(報道の自由・編集権)、必ずメディア露出ができるものではないので、中長期的な視点と時流に合わせた提案をする戦略が必要です。費用対効果の換算が難しいことへの理解も欠かせません。

広告の特徴

費用はかかるが、企業の意向のままの情報発信が確実に行えます。一方、広告やCMは読み飛ばしやスキップされる傾向も高くなっています。

広報で解決できる(かもしれない)製造業の経営課題

まだまだ中小規模の製造業では「広報活動」に取り組んでいる企業は少なく、平成25年の東京都産業労働局の調査ではわずか6.0%とのデータも出ています。(東京都産業労働局 中小企業の宣伝・広報活動に関する実態調査 プレスリリース活動の状況)広報活動でできることは、「選ばれる雰囲気を作る」ことだと思います。

どんな情報を使って目的を達成するかの道のりは、解決したい課題によってまちまちですが、考えられるものをPRのピラミッドの3段階ごとに考えていきましょう。

パブリシティ

→取材が取材を呼び、情報の露出が増えるほど幅広い層の目に触れる機会が増える。Google検索などで自社メディア以外にもヒットするようになるので、企業としての信頼性が高まりブランディングの効果や市場におけるマウントの獲得ができる。

パーセプションチェンジ

→自社を知らなかった人に認知されたり、製造業に興味を持ったりする人が増える。取材を通じて自社や業界の魅力を伝えてもらうことができる。

  • 自社のブランディング、製造業のイメージアップ、関心の向上

ビヘイビアチェンジ

→あの会社に頼もうと選ばれる:新規顧客の開拓 事業提携

  • ここで働きたいと選ばれる:人材難の解消
  • 製造業に関わる人が増えるなど:オープンイノベーション、業界の活性化、事業継承、地域の活性化

見出しで(かもしれない)としたのは、前述したとおり広報活動に確実性がないためです。ただ、町工場を舞台とした小説やドラマがヒットしているように、中小規模の製造業は社会の関心も高く、メディアの方の関心も非常に高いように感じています。私の体験としても、メディアの方に当社の説明をした際、「中小規模の製造業のWebマーケティング支援を…」と伝えても興味を持ってもらえませんでしたが「〇〇の町工場に行って、」と話したときは非常に興味を持って頂いたことが記憶に新しいです。

パブリシティの多い製造業

最後に、より具体的なイメージを持って貰えるように報道実績が多く、ホームページから内容が確認できる製造業の会社をいくつかご紹介します。

自社の技術についてや、代表取材、社員インタビューなど様々な記事が掲載されていますが、最新のパブリシティ情報だけでなく、掲載されている過去の古い記事から数年分も目を通していただくことをお勧めします。いきなりビジネス誌やテレビに出演しているわけでなく、専門誌や業界誌などから少しずつコツコツと露出が増えていると気づくのではないでしょうか。また、どんな内容や切り口で書かれているかを見ると、広報の切り口のヒントが見つかります。最近のメディアの関心や時流を紐解くには最近の記事の研究がおすすめです。

競合となる会社や、似ている会社のホームページにパブリシティ情報(メディア掲載、ニュースなど)があれば併せて研究するとより具体的な広報の切り口が見つかります。

今回は、広報の概要について説明をしました。次回以降は、より具体的に焦点を絞って製造業のための広報活動を伝えていく予定です。今後、実際に製造業の広報に取り組んでいる方からお話を伺う機会も設けたいと考えています。興味を持った方は、広報活動の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

スパイラル〜町工場の奇跡〜のドラマ化を祝し、町工場TVドラマ特集

TV東京で始まる新ドラマ「スパイラル〜町工場の奇跡〜」を祝し、中小製造業で働いている人なら思わず胸が熱くなる、そして明日も頑張ろうと思えるような、町工場が主役のTVドラマを紹介します。

スパイラルー町工場の奇跡ー

テレビ東京にて2019年4月15日(月)夜10時スタート!真山仁の経済小説『ハゲタカ』のスピンオフ作品をドラマ化したものです。

ストーリー
天才的な発明家だった創業者が急逝し倒産危機に陥った下町の町工場を、銀行員から転身した1人の企業再生家が立て直していく軌跡を描く。「日本のモノづくりの魂」を縦軸に、降りかかる難題や金融機関の論理に翻弄されながらも、町工場という“1つの家族”が世界規模で襲いかかってくる巨大ファンド“ハゲタカ”に立ち向かい奮闘する。

引用 ドラマBiz「スパイラル~町工場の奇跡~」

下町ロケット

(C)TBS

TBS系日曜日にて放送。製造業に携わる方であればほとんどの方がご存知かと思います。『下町ロケット』は、池井戸潤による小説およびシリーズです。これを原作にテレビドラマ化・ラジオドラマ化されています。ドラマでは「下町ロケット」「下町ロケット ガウディ計画」「下町ロケット ゴースト」の3作がドラマ化され、その後のストーリとして「下町ロケット ヤタガラス」が2019年の新春スペシャルで放送され、ひとまず完結しました。 日曜の夜はこれを見て明日から頑張ろう!!と仕事に対するやる気を奮い立たせてくれるようなドラマでした。

ストーリー
佃航平(阿部寛)は、宇宙科学開発機構の研究員。そこでは、宇宙に飛ばすロケットに搭載するエンジンを開発していたが、佃が開発したエンジンを搭載したロケットが打ち上げ失敗に終わり、その責任を取らされて退職。その後死んだ父の経営していた中小企業「佃製作所」の社長となり、社員たちと共に奮闘する姿を描いている。

引用 wikiペディア

マチ工場のオンナ

(C)NHK

NHK総合「ドラマ10」枠にて放送。全7回。『町工場の娘 主婦から社長になった2代目の10年戦争』という実在する大田区のダイヤ精機株式会社の奮闘記を元にドラマ化したのが「マチ工場のオンナ」です。

ストーリー
専業主婦として夫・息子と暮らしていた有元光(32歳)は2004年、愛知県の町工場「ダリア精機(株)」を経営する父・泰造がガンの病で余命数日であることを知る。工場を守ると約束して泰造を看取った光だったがが、経営経験はゼロ。頼るつもりだった夫・大は単身赴任で渡米してしまい、工場の幹部社員である勝俣や純三らは新社長の光の方針に猛反発。取引先の銀行からも軽くあしらわれるなど、数々の試練に見舞われる。しかし、光は主婦時代の経験から得た行動力を武器に困難に立ち向かい、徐々に周囲の理解を得ていく。

引用 wikiペディア

陸王

(C)TBS

TBS系日曜劇場で放送。こちらも池井戸潤の作品です。主演、役所広司の演技に涙し、松岡修造の登場に歓喜したのを覚えています。

ストーリー
埼玉県行田市にある足袋製造会社「こはぜ屋」は創業から100年の歴史をもつ老舗だが、近年は業績が低迷し資金繰りに悩んでいる。そんなある日、四代目社長の宮沢紘一はこれまでの足袋製造の技術力を生かし、「裸足感覚」を取り入れたランニングシューズの開発を思いつき、社内にプロジェクトチームを立ち上げる。 会社の存続をかけて異業種に参入した「こはぜ屋」だったが、資金難、人材不足、大手スポーツメーカーの嫌がらせや思わぬトラブルなど様々な試練に直面する。宮沢たちは坂本や飯山の協力や有村や村野の助言を受けて、試行錯誤を続けながらランニングシューズの開発に邁進するのだった。

引用 wikiペディア

下町ボブスレー

(C)NHK

NHK BSプレミアムにて特集ドラマとして放送。全3話。実話に基づくものですので、参画企業をご存知の方も多いと思います。

ストーリー
東京の下町、大田区の町工場を舞台にボブスレーのソリ製作に挑戦した人々の実話を元にしたオリジナルストーリー。どのような競技なのかも正確には知らず、見たこともない競技用ソリの製作を、成り行きと勢いで引き受けてしまった下町の小さな町工場の2代目と、好奇心程度の軽い気持ちでそれに参加した職人たち。そんなメンバーが、ボブスレーで冬季オリンピック出場を本気で狙う女子選手の不屈の情熱に押されて、職人の意地と誇り=モノづくりの心に火をつけられ、「下町ボブスレー」と名付けられたプロジェクトとして、それぞれの持つ技術を結集してソリ製作に挑戦していく。

引用 wikiペディア

さいごに

どのドラマでも中小製造業で働いている方、特に経営者の方なら共感できるような境遇があり、その逆境を必死に乗り越えていく姿に惹かれるものがあります。 日々の仕事に忙殺され、いつの間にか中小製造業で働くやりがいが何かを忘れてしまうこともあると思いますが、そんな時にはぜひ今回ご紹介したドラマを見て頂き、「明日への活力」にしていただけたらと思います。

製造業の調達分野にイノベーションを起こすキャディ株式会社

ものづくり経革広場の徳山です。先日、製造業の調達分野においてイノベーションを起こそうとしている「キャディ株式会社」という会社様とお話をする機会がありました。

AIやIoTの活用によって、製造業のバリューチェーンの様々な分野でイノベーションが起こっています。しかし、調達という分野においては昔ながらの商習慣が根強く、発注者と加工業者の中継ぎを商社が行っているケースが多いことなど、非効率な状況が続いています。商社が間に入ることで調達業務の負担減に繋がるという利点はありますが、発注者にとっては調達コストが高くなりすぎたり、相見積もりが習慣化することで加工業者は受注できるかどうか分からない仕事に対する見積もり業務が増大したり、という弊害が生じてしまっています。

※同社Webサイトより引用

その効率化することができていない調達分野にAIの技術を持ち込むことによりイノベーションを起こそうとしているキャディ株式会社。今回はそんな興味深い取組みを行っている同社のサービス「CADDi(キャディ)」をご紹介します。

発注者と加工会社を自動見積のテクロノジーでつなげる「CADDi」

「CADDi」は、製作したい製品の3DCADデータさえあれば、人手を介さずWeb上で見積額を算出できる画期的なシステムです。現状は板金加工に特化していますが、2019年以降は機械加工品などにも対応していく予定だそうです。

特注板金加工品の3DCADデータを「CADDi」にアップロードすると、瞬時に見積・納期が表示され、そのまま発注することが可能です。

実際に製品を加工するのは、同社が独自に開拓した板金加工業者ネットワークの中から選び出された最適な一社(もしくは複数社)です。従来の商習慣を変えてしまう取組に対し保守的な会社が多い中で、このような先進的なサービスに賛同してもらえる多くの板金加工業者の協力を得ることができているのも、当サービスの大きな強みと言えるのではないでしょうか。

なお、3DCADデータがない場合でも、2D図面データ(dxf、dwg、pdfなど)があれば、同社スタッフがアナログ対応していただけるそうです。外注先をお探しの方は利用してみてください。

※データのアップロード画面(サービスサイトより引用)

加工業者にとって「CADDi」が一つの選択肢になるように

どうしても発注者側の力が強くなってしまう当業界において、同社は加工業者への配慮も忘れていません。「CADDi」では1社当たりに発注する仕事量を会社全体の売上の最大30%程度に抑えるよう調整しているそうです。もちろん一社当たりの仕事量を増やせば、加工業者への影響力が増大し仕事のコントロールがしやすくなりますが、それは発注者側の論理です。加工業者側にとってキャディの仕事へ依存してしまってはリスクが高いし、力関係が対等でなくなってしまうため、敢えて一社当たりの仕事量の調整を行っているそうです。

発注者だけでなく、加工業者の繁栄も考慮しなくてはビジネスモデルが成り立たなくなる、同社のビジネスモデルは絶妙なバランス感覚が求められるのだと感じました。

見積もり業務から開放され本業に専念できる

加工業者にとって「CADDi」を利用する一番のメリットは、煩雑な見積もり業務から開放されることです。山積みになった図面の見積もりを夜遅くまで行ったことのある社長(営業担当の方)はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。当システムが普及すれば加工業者は見積もり業務から開放され本業に専念できるようになるかも知れません。

現状多くの発注者が「CADDi」を利用し発注量は右肩で上がっていて、協力してくれる加工会社を積極的に探しているそうです。工場のキャパにまだ余裕がある板金加工を行っている方は一度コンタクトを取ってみてはいかがでしょうか(弊社にご連絡いただければ担当者の方をご紹介することも可能です^ ^)。

取材先企業情報

社名:キャディ株式会社
代表者:代表取締役 加藤 勇志郎
資本金:7,500万円(資本準備金含む)
従業員:20名

町工場ぶっちゃけ対談 vol.7

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

まずは、大事なお知らせから。前回のブログでも告知しましたが…。平成30年4月13日、大安吉日、合同会社メイカーズリンクを設立いたしました!コミュニティ運営・ものづくりサポート・イベント事業を三本柱に、事業展開していくことになります。どうぞ、皆様、よろしくお願いいたします!

さて、今回は久しぶりに人気シリーズ(?)「町工場ぶっちゃけ対談」をお送りいたします。今回も進行役をダイレクトメールサービス「たより」の後藤天美さんにお願いしました。

町工場といえば、もうおなじみのあの方

ゲストは、町工場といえば、もうおなじみのあの方…、満を持しての登場です!ではでは、お楽しみください!

(ここから、聞き手・執筆は後藤天美さん)

2018年最初の対談を華やかに飾ってくれたのは、声優、司会、歌手としても幅広く活躍されている羽田詩織さん。町工場親善大使としての顔も持つ、今や町工場の社長さんのアイドル的存在!キラキラ笑顔に、おばちゃんだって思わず顔もニヤけちゃいますよねぇ。

対談場所は、前回に引き続き「ものづくりの街」2k540にある、IRONCAFe。鋳造プロダクトに囲まれたギャラリーカフェは、変わらず雰囲気が素敵です。

まずは、詩織さんに栞のプレゼント...おやじギャグか(笑)。ご存知、栗原productsレザーカッターを駆使したあの「和紙の切り絵」の栞デス。女性に人気のこの栞で、詩織さんのココロをつかむなんて、栗原さんやる~~~(*^_^*)

というわけで、毎度のことながら、なんとなくの雑談から対談がスタート!

羽田:この切り絵の栞、以前買ったことがあります。たしか、池袋サンシャインで展示会があったとき!

栗原:あ、そうでした、思い出した。としまものづくりメッセです。2014年の春頃だったかなぁ。あの展示会、物販もできるってことで、一度だけ出展したんですよね。

天美:じゃあ、お二人の出会いは、そこなんですね?

羽田:そうだと思うなぁ。そのころ、ちょうど町工場さんが大好きになり始めたところで、展示会に行けば、きっと素敵なものに出逢えるって思って出かけたんです。そこで初めてお目にかかりましたよね??

栗原:だんだん思い出してきたけど(笑)、たしか、落合さん(※1)からファクショナリーの製品も預かっていて...羽田さん、落合さんに会いに来たんだよね?そういえば(笑)

羽田:はい!金属の削り出しの定規を見て、感激しましたーー!

天美:羽田さん、でもそもそも、声優さんなのに、なんでそんなに町工場が好きになってしまったんですか?

栗原:製造業の家庭に育ったわけでもないんだよね?

羽田:きっかけは『全日本製造業コマ大戦』でしたね。埼玉でキャラクターグッズの打ち合わせの際に、革製品をつくっていらっしゃる、八潮の中村さん(通称:Jさん)(※2)とお会いしまして

天美:Jさん??

栗原:へーーー。意外な人の名前がココで出てきたなぁ

羽田:天美さん、中村さんご存知なんですか??びっくり(笑)その中村さんのお誘いで同友会(中小企業家同友会)っていうところの集まりに出かけて。そこで、緑川さん(通称:おかしら)(※3)とも出会ったんです。

天美:おかしらーーーーー

羽田:緑川さんもご存じなんですか?お二人とも有名人なんですねぇ。

栗原:まぁ、同友会つながりなんだよね(笑)。あぁ、それでコマ大戦につながっていったわけなんだね。

羽田:日本橋三越劇場で発足式のイベントがあるから、司会をやってって、お誘いいただきました。これがきかっけで、ものづくり界の皆さんと、たくさん知り合うことができたんです。

栗原:偶然っていう面もあるけれど、羽田さんの行動力が生んだ必然って思えるね。検索してみると、このイベントは2013年4月に行われてるんだよね。自分がMAKERS LINKを立ち上げたのもほぼ同時期だから、ちょっと運命的なモノを感じてしまいます(笑)

声優という仕事と製造業という仕事

天美:出会いもタイミングも、すべてが必然なんですねー。いいなぁ、そういう出会い。。あ、でも、羽田さんは本業は声優ですよね。いつ頃から、声優の仕事をしたいって思ってたんですか?

羽田:子供のころから憧れていましたー!

天美:あーー、うちの娘も言ってた時期あるなぁ。

羽田:ふふ。そういうの聞くとうれしいですね。私は両親との約束で、大学は行って。在学中にアルバイトしながら養成所に行ってました。大学卒業時に事務所に所属できてなかったので、そのまま就職してOLもやりながら、養成所に通ってましたね。とりあえずお金稼ごうと思って(笑)。

栗原:そうなんだ、どうもアイドルや声優になっているコたちって、どこか危ういカンジを受けるんだけど(^_^;)。羽田さんはちゃんと経験を積んだ大人ってわけだ!

羽田:単純に保険かけてただけですよ(笑)専門学校を卒業しただけで、事務所に所属しただけで『はい、私声優です』って言っても、実際には仕事は来ません。基礎的な技術は当たり前として、そこからは個人の力。セルフプロデュースをして、自分でアピールできないと。待っててもお仕事の方から来てくれない。

天美:うわーーー。大変な世界なんだねぇ。。。

栗原:なんか、製造業も同じだなぁ。自分には技術(技能)があるってだけで満足しちゃって、本当にそれを活かした仕事(社会に貢献できているって意味でだけど)が、できているんだろうかって、思うことあるな。

羽田:う~ん。町工場の皆さんは、まだまだ何かを誰かに伝えるってことが、苦手なのかな?と感じることが多いです。

栗原:BtoBの世界に甘んじているケース大ですね。

羽田:どんな世界だって、最後のお客様はC(個人)ですからね!

天美:伝えるって、本当に難しいですよね。どうやって自分から情報を発信したらよいかも、実はよくわかっていないというか(笑)。伝えてるつもりで、伝わってない、みたいな。

栗原:そういうことも含めてね。やっぱり、自ら発信する力が必要だって思うわけですよ。自分はSNSを使ってコミュニティをつくって、それを実践しているつもりなんだけど。コマ大戦の緑川さんや、隅田の浜野さん(※4)や、下町ボブスレーの皆さんや、他にも各地にたくさんの人がいて、いろんな活動がされていますよね。

羽田:私が初めて工場に足を踏み入れたのは、メタルDIY(※5)という、工場の屋根裏に空いている機械を置いて、一般人向けに金属加工ができるスペースを設けた、横浜の関東精密さんでした。もう、常識をぶち壊されましたーーー!知らないことだらけ!ビッグショック!いつも身近にある、あれもこれも、こんなふうにつくられていたんだ!すごい!!って。

栗原:いわゆる普通の人と、我々のようなものづくりを生業にしてる者って、ずいぶん違うんですよね。本当はすごくつながりがあるのに。

羽田:私には、製造業の言語を翻訳して、一般の方々に伝えることができるのかなって思ってます。町工場さんに行って知った感動を、もっともっと、たくさんの人に伝えたいなって。もう使命なのかもしれない(笑)

えんにち!

栗原:それで羽田さん自身も動き出すわけだ。えんにち!

天美:えんにち!って、お祭りみたいですね。なんか楽しそう。

羽田:そうなんです(*^_^*)。町工場さんを身近に感じてもらうには?、すごさを伝える為には?と考え抜いて、えんにち!のスタイルになりました。製造業は一社で完結しません。その製造過程を疑似体験して欲しくて、他ブースの作品や素材の持ち込みをOKにしています!そして、金属も樹脂も、法人も個人も関係なく出展できて、交流が生まれる。地域の活性化も目指せるでしょうし、逆に地域も関係なく、ボーダーレスなモノづくりを体験できる!「町工場たいけん!」を目指してます!ここでも会場をご提供くださっているニットーの藤澤さんほか、もう名前を挙げきれないほどの町工場の皆さんにご協力いただいていて。本当に感謝しています。

栗原:えんにち!にも参加させていただきましたけど。すごーく楽しかったし、いい経験ができました。一般の人、お子さんやそのご家族と、自分のつくったモノを通して会話が弾んだり、直接製品を買ってもらったり。

町工場やものづくりの話になると、ますます瞳がキラキラして、たくさんの想いをたくさんの笑顔で語ってくれた羽田さん。アイドル、ではなく、一人の「人」としての魅力を存分にうかがい知ることができ、もう私も、すっかりファンになってしまいました。

羽田:何も知らない向こう岸の人を、こっちの製造業の世界へ連れてくる。こんなに面白いんだよ!見てみて!って。私がお話しする「声」を通して、その架け橋になれたら良いなと思ってます。えんにち!には、そのチャレンジの1つ。少しずつでも、ふつうの人と町工場の皆さんとの距離を縮めていけたらうれしいです!

あ、しまった、色紙がない。。とっても失礼ですが、ノートにサインを、なんてお願いも、キラキラ笑顔で応えてくれました。

羽田さんの今後の声優としてのご活躍、また、ものづくり親善大使として、町工場の皆さんの想いがたくさん響くよう、応援してます!!

栗原さんも、羽田さんとのツーショット写真、いつもよりも、表情がとっても柔らかいようにしみじみと思いつつ。。。にやけてるワケではないですよね(笑)次の対談、どこかな、誰かな。お楽しみにしてくださいね!

というわけで、異色対談(?)、いかがでしたか?いつも明るく元気な町工場親善大使、羽田詩織さん!実は、じっくりとお話しするのはこれが初めてでした。ここには書けない裏話もたくさんしてくれましたよ。ほんと楽しい時間でした。

※1 落合孝明さん プロダクトブランド ファクショナリー
※2 中村忠裕さん ジェイクラフトマン
※3 緑川賢司さん 全日本製造業コマ対戦
※4 浜野慶一さん 株式会社浜野製作所
※5 杉田 勇さん メタルDIY

対談の中でも話題となっていた「えんにち!」ですが、次回は、4月28日(土)、横浜市の(株)ニットーの駐車場にて​開催されます。羽田詩織さんに会いに、皆さん、ぜひ、お出かけください!詳しくは、えんにち!ホームページで。

さらに告知は続きます。

今回の対談にも使わせていただいたIRONCAFeでは、今年4月からイベントが目白押しです!

現在開催中の「Spring has come ~バネが来た~」に続き、5/10から「Iron Week “Press”」、5/17から「Iron Week “Sessaku”」、5/24から「NEJI week」など、金属加工をテーマとした展示やグッズ販売、さらにトークショーなどが行われます。

ちなみに、”SESSAKU(切削)”は、私、栗原がメインパーソナリティーを務めさせていただきます。よかったら、足を運んでみてください!詳しくは、IRONCAFe(アイアンカフェ)のFacebookをご覧ください。