昨今の人手不足の影響で採用に力を入れている会社が多いですが、採用したは良いけれどなかなか定着しないという話もよく聞きます。その際に「定着させるためには?」「離職率を下げるには?」という話が出てきます。ただ、それを課題にすると、「辞めさせないためにはどうすればよいか」という考えになりがちです。雇用側の立場ではなく、働く側の立場で考えると何か見えてくるものがあるのではないでしょうか?働く側の心理を理解するために、「長く働きたいと思う職場は何か?」に対して、働く側の目線で課題設定し、実際にどのような会社が長く働きたいと思えるかを考えてみました。
ずっと働きたいと思う職場 8つの理由
①仕事にやりがいを感じる
だれかに感謝されたり、社会貢献性のある仕事だったり、ものづくり自体が好きだったり、やりがいというのは人それぞれだと思います。「それは自分が本当にやりたい仕事ですか?」と言われて「はい、そうです」と答えられる人は少ないと思います。ただ、与えられた環境の中で最大限のパフォーマンスを見せることでやりがいを感じる方も少なくないと思います。このやりがいを働く原動力としている人も多いはずです。
②給料が高い
単純な理由ですが、人が生活するためにはとても重要なことです。多いのに越したことはありません。そのため、「他社と比べて多くもらえているから」という理由だけでずっと働きたいと思う人もいらっしゃると思います。
③適正な評価制度と給与体系がある
皆さんご存知の通り、人には承認欲求があります。社長や上司に自分の仕事が適正に評価され、それに見合った給料を得られれば人は満足感を得られ、モチベーションの持続につながると思います。、しかし、その評価が社長や上司の感覚で評価され、給料が上がったりするような基準だったらどうでしょう?人が主観で行う評価というのは数値化できない感覚値が大きいため、基準がないのと同じです。好き嫌いが入ってしまう可能性もあります。また、働く側も上司が見ているところでは頑張って、見えないところではサボるかも知れません。適正な評価制度と給与体系を設け、両者でそれを共有することで常に公正な姿勢を見せることが必要だと思います。
④キャリアプランが明確に見える
③とも繋がりますが、自分が5年後、10年後にどうなっているか?どうなっていたいか?をイメージできるかどうかがとても大事だと思います。手に職をつけていきたいのか、それとも管理職として仕事の幅を広げていきたいのか?そのためには何をしなければいけないのか?ゴールまでのステップアップの道筋がイメージできるかどうかです。逆に、これがイメージできなければ、現状に満足していたとしても離職する原因になります。面談の際には、現状についてだけでなく、将来のキャリアアップについての設計を一緒に策定し共有することが重要です。
⑤会社の方針や方向性がはっきりとしていて、それに共感できる
自分たちがどこに向かっていて、そのために自分は何をやっているのかが分からなければ、会社としての連帯感は生まれず、自分が何のためにこの仕事をしているのかも見えなくなってきます。会社の方向性が分かり、それに共感できたならば、自然とそこには連帯感や責任感が生まれ、モチベーションを持続させる原動力になると思います。大手と比べ、中小製造業ではこの一体感を感じやすいのではないでしょうか?
⑥円滑なコミュニケーションが取れる
仕事をするにあたり、技術職でもなんでもコミュニケーションは必須です。それがうまくとれない職場では、次第に不協和が生まれ、仕事にも影響を及ぼすと思います。また、相談できる仲間や上司がいるかどうかも大事です。
⑦働きやすい労働環境
残業が無く基本定時できっちり帰れたり、フレキシブルな勤務形態が増えてきたりしている中、自分のライフスタイルに合った働き方を重視する人も増えてきています。
⑧福利厚生が充実している
最近では育児・介護・健康・自己啓発など様々な項目での福利厚生があります。長く働く理由の主がこれということはあまり無いと思いますが、一つの指標として考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?いろいろな項目がありましたが、中小製造業で今後重要になるのは、上記の③、④だと個人的に思います。なぜなら、その分野にあまり手をつけておらず、大手と比べ評価制度や給与体系、キャリアプランが不明瞭な会社が多いためです。人材についてそこまで困っていなかったため、必要無かったというのが理由かと思います。ただ、そこを整備していかないことには人を定着させ一緒にがんばる仲間を増やしていくことは難しくなってきています。給与、福利厚生、職場環境などで大手と競うことは難しいですが、この領域は改善できるが可能性が高いと思います。そうは言っても適正な評価制度を作るというのは簡単そうで非常に難しいので、まずは自社の評価基準、給与体系等がどうなのか?第3者に客観的な意見を聞いてみるのも良いかも知れません。
今後、中小企業に合った具体的な人事評価制度や事例がありましたらご紹介します。