製造業のECサイト運営についての3つの方法

製造業は、自社製品を開発するだけではなく、どのような商流で販売していくのかが重要です。とはいえ、一口に商流といっても方法はさまざまであり、適切に販売を促進していかなければなりません。今回の記事では、ECサイトの運営を中心に、Webサイトを活用した手法について紹介します。

自社製品の販売方法

自社製品を開発した後、展示会などで現地販売をしたり、商社経由で販売したりなど、さまざまな方法があります。いずれも、販売の商流としては基本であり、今でも定番です。しかし、今回紹介するのは、ECサイトを活用した販売方法です。スマホやパソコンが普及した今、インターネット上で商品の販売を行うことは、受注チャンスを大きく高めると言っても過言ではありません。今回は、自社のwebサイトを使った販売方法について考えていきたいと思います。

ECサイトとは

ECサイトとは、インターネット上で自社製品を販売できるサイトのことです。webサイトで自由に出品でき、ユーザーは24時間どこからでも商品を購入できるのが魅力です。スマホやパソコンの普及に伴い、ECサイトを活用して販売を行う企業は増えてきています。

BtoB向けECサイトとBtoC向けECサイトの違い

一口にECサイトといっても、BtoB向けとBtoC向けとでは大きな違いがあります。

BtoB向けECサイトは、文字通り企業向けに展開するECサイトのことです。商品の受注はもちろんのこと、発注型の手法もあるのが特徴です。自社の製品を販売するだけではなく、仕入れるための発注や在庫・出荷状況などの確認作業を効率化するために、ECサイトを活用するケースもあります。

BtoC向けのECサイトは、個人向けに展開するECサイトです。自社商品を消費ユーザー向けにECサイト上で出品します。BtoB向けのECサイトと比べると、購入率が高いのが特徴です。

ECサイト化する目的

自社サイトをECサイト化する目的は、販売チャンスの向上です。

一般的なECサイトの場合、すでに競合他社も参入しているケースが多いのが現状です。また、ECサイトは利便性を企業の都合で変更することはできないので、選ぶプラットフォームによっては、ユーザーの購買意欲の促進が難しくなることもあります。

しかし、ECサイト化した自社サイトであれば、ユーザー向けにカスタマイズをしたり、ニーズに併せて表示内容を調整したりするなど、さまざまな戦略を練ることができます。

ECサイトに向いている製品、向いていない製品

製造業において、貴重な販売の機会となるECサイトですが、向いている製品と向いていない製品があります。

ECサイトの販売に向いている製品は、10,000円以下のもので、規格品やサイズが小さなものです。一方、ECサイトの販売に向いていない製品は、10万円以上にも及ぶ高額なものや、商品にカスタムが必要なもの、サイズが大きいものです。

仮にECサイトで販売することになった場合は、以下のような方法が選べます。

1、自社サイトにEC機能を付ける

ECサイトで自社製品を販売したい場合、自社サイトにEC機能を付けるといった方法があります。

自社サイトへアクセスしたユーザーを、スムーズに誘導できるのがメリットである一方、初期コストがかかるうえに、工数が多いといったデメリットもあります。また、サーバーの契約によってはでは対応しきれないこともあり、必要に応じてサーバーを引っ越さなければなりません。

そのため、基本的にはあまりおすすめできないのが現状です。

2、ECサイトを別途制作する(サービス利用)

ECサイトは、独自に構築することが可能です。国内で比較的使われているツールは、shopifyやカラーミーショップ、BASEなどです。サイトのデザインはテンプレートを使って簡単につくる方法やの他、デザインエディタでこだわって作ることもできます。

しかし、自社サイトとは別のサイトになるので、管理の手間がかかります。コストや工数もかかるためリソースの確保が必要となることもあるでしょう。

3、ECショッピングモールに出店する

ECサイトで販売する方法として、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピング、モノタロウなど、いわゆるECショッピングモールへの出店も挙げられます。

それぞれの特徴やメリットは以下の通りです。

【Amazon】

  • 出品が簡単
  • 国内外にユーザーが多い
  • 月額固定費が安価
  • FBAの利用が可能

【楽天市場】

  • 流通金額が5兆円
  • インターネット通販全体のシェア25.2%
  • 大規模セール・キャンペーンなどが積極的でリピーターの獲得になりやすい
  • アフィリエイトでの集客も可能

【Yahoo!ショッピング】

  • 初期費用や固定費、売上ロイヤルティが無料
  • ソフトバンクやpaypayユーザーが多く集客できる
  • メルマガの配信費用が無料
  • 画像1枚目のサムネイルを自由に設定できる

【モノタロウ】

  • 工業系の用品に特化
  • 事業者向向けでBtoB向けに対応
  • 商品掲載料が無料

ECサイト化を検討するタイミングについて

ECサイト化を検討するタイミングは、個別対応が増えてきたときです。仕組み化するほうが効率的に業務が回せそうと感じたら、ECサイト化するといいでしょう。具体的には、受注が1週間に2回を超えてきたときが良いタイミングです。

また、前項で触れたAmazonや楽天市場などのショッピングモールは、キャンペーンも行えるので、さらなる集客力向上も期待できます。そのため、ECサイト化する際には、ショッピングモールへの出店も視野に入れていくといいでしょう。

製造業のサイトにおすすめの方法

製造業のECサイトにおすすめの方法は、まず自社サイトなどでPRを進めることです。個別の対応から始め、販売の増加が見込めるようになってからECサイトを検討します。ECサイト作成サービスを活用し、販売機会を増やすことが大切です。

使用するサービスによっては、自社サイトに埋め込むこともできます。自社サイトにアクセスしたユーザーにそのまま購入へと進んでもらうことも可能なので、ECサイトを検討する際には、ぜひ参考にしてみてください。

なお、自社サイトに埋め込む場合は、なるべく工数がかからないところから広げていくような方法がおすすめです。

まとめ

製造業において、ECサイトの活用は販売機会を促進する貴重な施策です。また、別途でECサイトを構築したり、自社サイトに埋め込んだりするなど、さまざまな方法があるので、まずは自社に合った方法を知ることも大切です。

The post 製造業のECサイト運営についての3つの方法 first appeared on モノカク.

製造業のための失敗しないD2C入門。D2Cにも種類があるのを知っていますか?

D2Cブランドには大きく分けて2つの型があります。これから話す2つの型の違いは、「顧客が得たい体験」です。この2つの正体を把握しておくことで、D2Cブランド立ち上げの失敗を未然に防ぐことができます。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

D2Cブランドは立ち上げだけでなく運営にも、時間・お金・マンパワーがかかります。だからこそ自社のブランドを長く愛されるブランド育てるための戦略を、始める前に理解しておくことが重要です。

【使い切る】デイリーブランド型D2C

ここで話すデイリーブランドとは、食品や日用品などの使って消えるような、いわゆる「消耗品」を指します。このデイリーブランド型のD2Cビジネスは、商品が顧客の生活の一部となって一人ひとりに何度も購入されることで成立します。

そして、顧客がデイリーブランド型のブランドに求めることは「快適な日常」です。そのため、サブスクリプションしやすい商品設計・商品訴求が重要です。

【デイリーブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 買い続けられる価格設定
  2. 使い続けることで快適な生活を維持できる機能
  3. 買い続けることに面倒がない仕組み

【形が残る】スペシャリティブランド型D2C

ここで話すスペシャリティブランドとは、使用し続けても専門的な形や性能が残るものを指します。多くの製造業が挑戦しているのはこの型です。上記のデイリーブランドとは異なり、使い続けても無くならない性質があります。このカテゴリーでは機能性や耐久性に優れ、一般より高価格な商品が展開されています。

しかし機能性・耐久性に優れて長く使えるということは、言い換えるとなかなか買い換えないということでもあります。つまり、顧客が一度購入したら、次の商品の買い替えまで長く時間がかかるので、回転率が悪いため、ビジネスモデルとして考えたときに、一時的に大きな売り上げを上げられても、継続的な収益があげづらいことから、ブランド立ち上げに苦戦するケースが多いのです。顧客にとっても「特別な買い物をしたい」という願いがあります。そのため、スペシャリティな商品には、長く使ううちに“人に自慢したくなる仕掛け“が必要なのです。

【スペシャリティブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 高価格でも買いたくなるブランドの世界観
  2. 思わず人に話したくなるスペックやデザイン
  3. 顧客との中長期的コミュニケーション

製造業のためのD2Cビジネスブランディング

1人の顧客が連続して購入するデイリーブランド型のサブスクビジネスと異なり、スペシャリティブランド型は1人のコアなファンが次のコアファンを呼び寄せるブランディングが重要です。イメージしやすいのは、あなた自身しよしているお気に入りの品物にまつわる、出会いと現在に至るエピソードです。少し高いかな?と思いながらもワクワクしながら購入した時の気持ち。そして今も気に入って使い続けているシーン。また、その様子を見た友人が「それいいね。」と声をかけてくれたことなどです。

スペシャリティブランド型は、まるで波紋のようにコアな商品をコアなファンが愛用し、コアな仲間が集まってくる仕組みづくりによって、買い替え需要が少ないスペシャリティブランドでも、上記の図のように、常に顧客が途絶えない導線設計をすることが可能になるのです。

まとめ

デイリーブランド型は、継続して購入される価格設定と機能、私して継続して購入したくなる発信時期と内容が重要です。一方スペシャリティブランド型は、使い続けられるスペックとアフターフォローの仕組み、そして長く使い続けたくなる特別感・ブランドの世界観の発信を心がけることが欠かせません。自社商品が、どちらのタイプかを見極めて、顧客に愛される商品設計・商品訴求を考えましょう。

The post 製造業のための失敗しないD2C入門。D2Cにも種類があるのを知っていますか? first appeared on モノカク.

中小製造業の自社商品マーケティング(販売編)

製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。前回の記事、中小企業の製造業におけるマーケティング(企画編)では、自社製品を開発する際のフレームワークや注意点、外部の考えを取り入れる方法などを解説しました。今回の記事では、自社商品をどのように販売するのかを解説します。

自社商品を販売する3つの方法

自社商品を販売する主な方法を3つ紹介します。

1.自社サイトのEC化

ECサイトとは、簡単にいうとネットショップです。また、eコマース(電子商取引)をおこなうWebサイトの総称でもあります。

Webサイトを利用するため、実店舗は必要ありません。パソコンさえあれば自社の商品を販売でき、低コストかつ低リスクでもある販売方法です。また、Amazonや楽天といった他社のプラットフォームではなく、自社でWebサイトを運用するため、商品訴求のサイト構成やデザインを自社好みに作成可能です。

一方で、SEOやコンテンツマーケティングといった集客の費用や労力が求められます。その他にも在庫管理から発送まで準備したり、システム障害への対応をしたりするなど、自社内での管理や問題解決が必須です。

2.オンラインショップのプラットフォーム

BASE、Amazon、Shopifyなど、有名なプラットフォームの利用も可能です。すでに誰もが認知しているため、集客力が高いという特徴があります。ブランド力がなくても、商品のマーケティングが可能です。また自社サイトでのECサイトと異なり、SEOやコンテンツマーケティングなども必要ありません。

一方で販売は「口コミ」に影響されます。良い口コミが少ないと売上が伸びにくくなるかもしれません。また、出品料をプラットフォームに支払うため、手数料が余分にかかります。

3.代理店販売

代理店販売とは、自社に変わり商売や取引を依頼する販売方法です。

代理店の販売網を利用でき、販路の拡大が見込まれます。自社だけではできない販売戦略も可能でしょう。また、代理店の営業により、自社商品の認知機会が増えます。

一方で数%程度の販売手数料がかかります。また、委託先の能力によっては売り上げが左右されます。

マーケティングも兼ね備えたクラウドファンディング

商品を売るためには、マーケティングが必須です。最近では、マーケティングをしながら商品開発ができるクラウドファンディングもあります。

Makuake

Makuakeは2013年にスタートした、日本のクラウドファンディングの代表的なもののひとつです。Sonyやダイキン、Canonなどの大手企業の利用実績もあります。

Makuakeの特徴は、マーケティングを実施しながら開発を進められる点です。企業が提案したプロジェクトに対してお客さま(賛同者)が意見を提示できます。そのため、顧客のニーズを把握しながらの開発が見込めるのです。

CAMPFIRE

CAMPFIREは、国内最大のクラウドファンディングのひとつです。これまでに6.4万件以上のプロジェクトがあり、企業だけではなく個人やNPO、大学などの活用実績もあります。

CAMPFIREはプロジェクト公開前の審査が必要なく、掲載費も発生しません。また、情報発信による認知度向上も期待できます。たとえば、プロジェクトの内容を企業も顧客もブログやSNSで発信可能です。

自社商品のマーケティングで気を付ける点

自社商品の販売はマーケティングにおいて気を付けるべき点を紹介します。

自社の商品の強みを把握する

見落としをなくさないためにも、思い付く強みを洗い出しましょう。強みの把握は他社との差別化にもつながります。自社の強みを把握できれば、他社との比較も容易です。お互いの強みの把握と比較により、自社だけのメリットがはっきりします。

第三者の意見を取り入れる

自社だけで行き詰る場合は、外部の意見の聞き取りも重要です。どうしても自社の製品を客観的に見れない場合もあるため、多角的な視点が求められます。たとえば、ダイレクトメールによるアンケートや、営業による調査、MakuakeやCAMPFIREなどのクラウドファンディングサイトなど、複数の視点を取り入れましょう。

販売ルートを考える

マーケティング、販売、発送と商品を考え販売し、お客さまに届くまでの一連の導線整備が大切です。どれかひとつでも欠けると、お客さまへのスムーズな商品提供が難しくなってしまいます。可能であれば、複数の販売ルートがあるといいでしょう。

まとめ

中小企業でもできる自社商品の販売手法を紹介しました。近年ではインターネットも活用され、販売経路は広くなっています。また、クラウドファンディングを利用した開発も盛んであり、マーケティングと開発の融合も起こっているのです。自社の商品販売でお悩みの方は、これまでの販売経路や考え方に加えて、インターネットも利用してみてください。

The post 中小製造業の自社商品マーケティング(販売編) first appeared on モノカク.