ブランディングに欠かせない3つの条件とは?製造業・中小企業の小さく始める企業ブランディング(コーポレートブランディング)

新規顧客獲得!採用活動の充実!など、昨今企業ブランディングの重要性が今まで以上に高まっています。その理由は、新たな顧客からの受注や、優秀な人材の獲得に向けて、ターゲットから選ばれる企業になるためです。そのために各企業はさまざまな施策を展開しています。では、大手企業のように潤沢な資金や、余剰のあるマンパワーを持たない中小企業は、どのような施策を打つべきでしょう。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

ブランディングで得るべきものは「企業に対する信頼」です。この記事では、小さく始めて大きく信頼を得ていくための企業ブランディングについて、欠かせない3つの条件などを挙げながら解説していきます。

ブランディングに欠かせない3つの条件

企業ブランディングを行う上で、欠かせない3つの条件があります。

【1】経営者の揺るぎない思い
【2】良い商品・サービス
【2】伝達チーム

1つずつ解説していきましょう。

【1】トップの揺るぎない志

企業ブランディングのスタートとなるのは「志」です。ブランディングではその過程の中で、さまざまな情報の中かから自社のあるべき姿を判断していくことの連続です。その上でトップの揺るぎない志が中心にあることは損得勘定ではない、企業の本質的な価値を見出すことができるのです。

【2】良い商品・サービス

弊社にブランディングのご依頼をいただくときに困ることがあります。それは、これと言って特徴もなく、改善も行われていない商品・サービスです。ブランディングで誤解されがちなのが、見た目を良くする=売れるようになるということです。たとえデザインを良くしてもそれは見せかけです。初回は依頼されてもリピートされることはないでしょう。ターゲットが「これは良かった」と思って再度購入したり、人に紹介する。そうした信頼の連鎖こそブランディングでは重要になります。ブランディングの大前提として、良い商品・サービスしかブランドになり得ないのです。

【3】伝達チームを作る

ブランディングをするには「良い商品・サービス」があることが必須条件ですが、逆にいうと業界おいて技術No.1のでなくても、競合他社との差異化は可能です。私がこれまで面談させていただいたクライアントの皆さんは、「志」を持ち、良い商品・サービスのため日々研鑽されている方ばかりでした。しかしそんな「つくる」ことに長けたクライアントの皆様の「伝える」ために割くリソースはつくることの1/10程度でした。つくる力が10だとしても、伝える力が1ではターゲットにその価値を伝達することができないのです。

「つくる」と「伝える」の両輪体制を持つ必要性

景気の良かった時代は、「つくる」ことだけやっていれば良い時代もありました。社会全体の役割分担が自然に形成され、「つくる人」「売る人」「伝える人」がそれぞれ分業し、みんなで協力し合って日本経済を回していました。その名残で、今でも日本には「つくる事」にのみ特化した会社がとても多いのです。

かつてのように、経営資源を「つくる」ことだけに集中させていては、会社が良くなることは難しいのです。つまり、これからは自前の「伝達チーム」を持つことが、企業ブランディングの条件なのです。「つくる」と「伝える」の両輪体制を、自社でしっかりと持つことが、ブランディングの差異化要因をきちんと伝言することにつながっていくのです。

企業ブランドを強くする「フォーカス」

伝える力の強いメッセージには、フォーカス(焦点)が絞られているという共通点があります。ブランディングの導入期に失敗しがちなのが、アイディアをたくさん盛り込んだ「全部のせ企画」です。

例えば、営業部からは「自社サービスをわかりやすく、パッケージングしたキャンペーンを打ち出したい」というアイデア。開発部からは「新しく搭載された機能についてより詳しい情報を」といった実に様々なアイデアが出てきます。もちろんどの部署もブランドの為を思っての発言です。しかし、それらのアイデアを全て採用していった結果、伝える力の弱い「全部のせ企画」が誕生してしまいます。そして、この全部のせ企画の厄介な点が、社内誰からも異議が出ないと言うことです。社内メンバーからすれば自分たちの意見が盛り込まれた満足のいく内容かもしれません。しかし、本来伝えるべきであるターゲットにとって読み取りにくい難解なものになってしまいます。

もし企業ブランドを強くしたいと思っているのであれば、相手が最も受け取りやすい伝え方にフォーカスを絞ることが重要なのです。

「売りたい」という下心が、ブランディングを停滞させる

ブランディングを行うのは、商品やサービスの価値を高め購買意欲を高めることも一つの目的です。しかし「売りたい」「買って欲しい」という下心があることで、先に述べたようなフォーカスの定まらない「全部のせ企画」が生まれます。その結果は皆さんのご想像通り、NGブランディングの完成です。

ブランディングで得るものは「企業に対する信頼」です。信頼があるからこそ依頼され、継続的にビジネスパートナーとして選ばれることはビジネスの原理原則です。経営者は下心を捨て、フォーカスを絞ることを選ぶことが、ターゲットからの「信頼」を獲得する最短ルートなのです。

まとめ

「つくる」ことに長けた製造業だからこそ、「伝える」というもう一つの車輪を持つことで、経営を安定させ長く走らせていくことが可能になります。今回の記事を参考に、まずは現時点で自社がブランディングに欠かせない3つの条件を明確に持っているかをチェックしてみることから始めてみましょう。

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脱!御用聞 | 製造業の営業×ブランディング3つのステップ

  • 「受注をとりたくて、また値引きしてしまった…」
  • 「納期が厳しいが受けるしかない…」
  • 「今回は苦しいけれど、きっと次につながるはず…」

このような営業結果が続いている場合は、「技術」と「価値」が結びついていない伝え方をしているのが、原因かもしれません。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

企業が抱える3つの課題

①御用聞き・下請け体制を続けている

長年続く大口顧客との契約。非常にありがたいものですが、もし、売上高占有率(構成比率)が20%以上の販売先が1社でもあるようであれば早急な改善が必要です。気候変動や世界情勢による先行きの見えない時代で、ある日突然契約を打ち切られる可能性があります。このようなリスク回避のためにも、御用聞き・下請け体制から提案型の営業スタイルにシフトしていきましょう。

②商談が商品紹介で終わっている

やっと漕ぎ着けた商談でも、顧客に自社商品を魅力的に感じてもらわなければ意味がありません。しかし、商談で自社商品やサービスの紹介で終わっているケースがあります。「買って欲しい」というのはこちらの都合であり、顧客が価値を感じて購入決定するのとは別物です。商談で話している内容が商品紹介だけになっていないか、一度確認してみましょう。

③顧客の真のニーズに触れていない

顧客がほしいのは、「技術」そのものではなく「成果」です。
あくまでも「技術」は手段のひとつです。顧客の本当の目的は、高い技術自体でははく、自社の売上や効率アップだということを忘れてはいけません。 だからこそ、クライアントに本当に響くのは、ビジネスの成果につながる「成果」の提案です。単に製造を請け負う会社としてではなく、自社のブランドから顧客のビジネスを支援するという商談が、一歩進んだこれからの営業のあり方なのです。

営業×ブランディングで解決する3つのステップ

Step.01:既存顧客・休眠顧客へのアプローチ

新規顧客へのアプローチは、既存顧客・休眠顧客に対して5倍のコストがかかると言われています。コストというのは広告などの販促費だけでなく、時間などの人的コストなども含まれます。そこで、効果的なのが既存顧客・休眠顧客へのアプローチです。契約が途切れてしまった既存・休眠顧客に対して伝えていない情報はないでしょうか?まだ伝えていない自社の取り組みや新製品を持ってアポイントを取ることで、取引を再開するきっかけを作ります。

Step.02:事例の言語化・数値化

顧客にとって購入決定の材料となるのが、「事例」です。事例というのは過去に行ってきた案件の中で具体的に引き合いに出すことのできることです。ここでポイントなのが、「言語化」と「数値化」です。まず、技術系企業の場合、自社の技術を当たり前のものと捉えてしまい、端折ってしまいがちな工程もきちんと言語化する習慣をつけましょう。さらに工程において、数値化できるものは徹底的に数字に落とし込みます。そうすることで顧客は、事例からあなたの会社の商品やサービスの効果やメリットを理解しやすくなるのです。

Step.03:顧客のビフォー・アフター

購入決定への意欲をアップさせるために、もう一つできることがあります。それは、Step.02の事例の言語化・数値化と併せて、顧客のビフォー・アフターを伝えることです。顧客のそもそもの悩みは何であるか、またその悩みが解決された顧客はどうなったのか。あなたの会社の商品やサービスの効果やメリットと、顧客にもたらす変化を一連のストーリーとして伝えることができるで、顧客の期待感が増すのです。

裏取りされても慌てない ブランディングで対等な関係を構築する

最後になりますが、営業活動に出る前に、自社のブランドが整えておくこともポイントです。なぜなら営業活動ではアポイントが取れた直後に商談というケースは少ないものです。そのため、相手はアポイント獲得から商談までの間に、あなたの会社や事業の情報、お客様の声などの情報を事前に収集する、「裏取り」をしています。絶対に受注を取りたい商談の前でも、裏取りにも慌てないように日頃からブランディング施策を行うことで、営業活動も効果的に行うことができます。

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わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング

岩手缶詰株式会社と岩手県産株式会社によって製造されるオリジナルブランドの加工品「サヴァ缶」をご存知ですか?食感の良い鯖のオリーブ油づけが、目を惹くパッケージデザインで、わずか7ヶ月で10万缶売れた人気ブランドです。しかしこの人気のブランドというポジションは、技術力だけで勝負に出たのではなく、戦略的なブランドづくりの末に作り上げたものでした。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

技術力 ≠ ブランド力

「ものづくりは得意、でもブランドづくりは苦手」

これは多くの日本企業が共通して抱える悩み事です。質の高い商品やサービスを提供する「ものづくり」に対して自信や誇りを守る企業は多いですが、それを「価値」として広める「ブランドづくり」に対して苦手意識を持つ傾向があります。そのため、技術はあるのに思ったように売れない。という”誤解”が生まれてしまいます。

売れるブランドの正体とは?

ここで共有しておきたいのは技術があるから技術力と売れることは直結しないということです。

•良い商品・サービス ≠ 売れる
•高い技術力 ≠ 売れる

そもそもブランドとは、自社商品の目印に過ぎませんでした。しかし今では「このブランドの商品なら間違いない」という信頼の証として優れた品質やデザインの目印となっています。同じ材料・同じ品質で仕上がった製品でもブランドの信用度によって価格は2倍にも3倍にも変化します。

このように売れるブランドの正体は、顧客からの信頼です。重要なことは高い技術力を保持することではなく、その技術力を持って顧客にとっての価値ある商品・サービスを提供できることなのです。

わずか7ヶ月で10万缶  Ça va?缶(サヴァ缶)のブランド力

2013年の発売以来、1000万缶を製造する人気ブランドとなった Ça va?缶(サヴァ缶)。海外ブランドのような目を惹とパッケージと、「サバのオリーブ油漬け」という組み合わせが話題を呼び、発売以来多くのファンに支持されるブランドとなっています。しかしこのブランドの開発のきっかけは、東日本大震災で被災した漁業者らを支援するべく、漁獲量や単価が安定しているサバを缶詰にして全国に売り込むことでした。

そこで「鯖を水揚げし、缶詰に加工する技術」を、より多くの顧客に支持されるためのブランド開発がされました。

当時、水煮やみそ煮が一般的だった日本のサバの缶詰の市場に対して、オリーブ油漬けという構想に始まり、鯖の缶詰に馴染みがない消費者への確かなニーズを掴むべく、パッケージデザイン・価格や味付けなどを、消費者を対象にした大規模なインタビュー調査が実施されました。このような顧客にとっての価値を生み出す”ブランド視点”を丁寧に追求して言った結果、発売当時、鯖の缶詰の市場平均が200円前後だったのに対して、360円(税抜)という高めの価格設定も払拭し、発売以来人気ブランドとなっている。

企業価値を高める ブランドの持つシナジー(相乗)効果

ブランド力を高めることは、直近の売上拡大への効果と、中・長期的に顧客から信頼を寄せられて支持され続けるという、企業経営における「攻め」と「守り」にシナジー効果をもたらします。

もちろん、商品・サービスを提供するにあたって、技術力は必要です。ですがそれ以上に重要なことは顧客が支持したいと思う価値ある商品やサービスを創り出すことです。

「価値を創り、ブランド力を高め、技術力でファンにする」

ブランディングにおいて優れたデザインやSNSはあくまで価値を伝えるためのツールのひとつです。目まぐるしく変わるこれからの時代において、企業は規模に関わらず、顧客からの信頼を構築していくアクションが求められています。顧客が求める物事の本質を捉えるか否かが、今後の経営の分かれ道です。

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BtoB営業に効果のあるD2Cブランド 相乗効果が上がる”仕組み”とは?

DtoCブランドの立ち上げは、BtoB営業に効果が出てこそ初めて本当の真価を発揮します。今回はBtoBに効果のあるD2Cブランドの考え方についてお話ししていきます。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

2018年以降、「AIが人の仕事を奪う」という旨のセンセーショナルなメッセージが各業界に大きな波紋を呼んでいます。製造業もその業界の1つです。社員の生活を守るためにも、安定した売上を確保に向けて、各社で新しい設備の導入や、商社的機能の強化などを行なっています。他にもDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進める企業も多く目にするようになってきました。

そんな中で、各社の経営課題として議題に上がるのが、『新規顧客開拓』です。確かに新設備や商社的機能の充実は、取引先にとってのメリットであり、企業を選ぶ際の魅力の一つになります。しかし、上記のような事業改革は、費用の面や人材育成などの面で、企業に大きな負荷を与える可能性があります。しかし、従来の営業活動を続けていくだけでは、『新規顧客開拓』を達成までに時間がかかります。

そこで注目したいのが、「顧客が選択したくなる企業価値」とは何か?というポイントです。

これからの時代は、「何を」買うかではなく、「誰から」買うかが問われます。そのため企業は「なぜ我々から買うべきか」と言う明確なメッセージを提示する必要があり、企業が生き残る上での重要な経営課題とも言えるのです。

DtoC単体で稼ぐのではなく、BtoBとのシナジー効果

「顧客が選択したくなる企業価値」を発信する方法としてDtoCブランドの立ち上げという方法があります。なぜならBtoB向けの事業ではビジネスでは発注者・受注者という無言のパワーバランスが発生してしまいますが、DtoCブランドをリリースする上では、インターネットや独自の媒体を利用して、

  • 自社技術の美味しいところ
  • 商品をリリースするに至ったメッセージ

自社の魅力(企業価値)をストレートに、しかも2つ同時に表現することができるからです。

しかしDtoCブランド開発のご相談を受ける中で圧倒的に多いのが、「売れるためのブランティングはどうしたら良いのですか?」または「売れるようにSNSを頑張りたいのですが、どうしたら良いですか?」と言った”見た目”に関することです。良いDtoCブランド商品というのは、顧客の生活にデザイン性や直感的な楽しさを与えるエンターテイメントの側面だけではなく、その機能性を裏付けるBtoB事業で培ってきた”技術力”とのバランスが取れていることです。

DtoCブランドリリースによる社会的信用確立

また、DtoCブランドのリリースは、直近の企業のブランド力を上げるためのものだけではありません。近年、世界各国で掲げられた「SDGs (持続可能な開発目標)」や、環境保全や地球への環境負荷に配慮した「エシカル」というキーワードを目にする機会が多くなったと思います。そこで、私たちはオープンな情報環境において、DtoCブランドというものづくりを通して「新しい価値」をメッセージとして発信していくことができます。それらのメッセージは企業の社会的信用を確立することにもつながります。

「DtoC一般顧客×BtoBビジネス顧客」効果を掛け合わせて提供価値を構築する

しかし、全ての企業で「早速DtoCブランドを立ち上げましょう!」ということではありません。なぜなら、自社のBtoB事業に相乗家効果を与えるものでなくては意味がないからです。だからこそ、DtoCブランドの立ち上げは、リスクを減らした『スモールスタート』で始めましょう。決してプロモーション主体で行うのではなく、本来のBtoB事業やDtoCブランドの開発に関わる人たちが情熱を超えた物づくりに取り組むことによって、より大きな相乗効果を生むことにつながります。

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【D2Cブランド】立ち上げに成功するための「ファンづくり戦略」とは

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

売上拡大、自社の認知度アップなど、さまざまな効果が期待できるD2Cブランドですが、良い商品を作れば必ず成功するわけではありません。D2Cブランドを成功させるために最も重要なことは、高性能なハイスペック機器でもなく、奇抜でおしゃれなデザインではないのです。それは「いかにファンを作るか」ということです。

今回の記事では売上拡大の大きな要因でありながら、中小企業が苦手分野と感じる「ファンづくり」について詳しく解説していきます。

D2Cのビジネスモデルとは

まずD2Cのビジネスモデルについておさらいしておきましょう。D2CとはDirect to Consumerの略で、メーカーが自社で企画・製造した商品を、小売店や代理店、またネットモールといった仲介業者を介さずに、自社ECサイトなどを通して消費者とダイレクトに取引する販売方法を指します。従来の仲介業者を介する場合に比べると、自社のブランディングやコスト削減、さらに継続的な顧客との関係構築などの効果が期待できるため、ここ数年で多くの企業が採用しているビジネスモデルです。

D2Cブランドで成功するためのファンづくり戦略


D2Cブランドでは、小売店やネットモールが行っているお客さんが集まる仕組み、つまり「ファンづくり」の工程も自社で行う必要があります。そのために必要なことは、「顧客視点の段階的誘導」です。

D2Cブランドの立ち上げは、全く無名のブラントを多くの人に知ってもらうことからスタートします。ブランドが認知され、理解され、手に入れたいと思われるためには、顧客の視点を段階的にあげていく接点づくりをします。

①発信時期の設定

D2Cブランドの立ち上げで重要なことは、いかに顧客に認知してもらうことです。「顧客視点の段階的誘導」では、ブランドの認知活動を効果的に行うための「期待感が盛り上がる発信のタイミング」を掴むことが重要です。これのタイミングを有効に使えるか否かは、ブランドの成長を大きく左右します。

  • タイミング1.開発時
  • タイミング2.リリース前
  • タイミング3.リリース後

タイミング1の開発時の発信では、試行錯誤やブランドコンセプトなど「なんだか面白そうなことをやっている」という、様子を覗ける発信が重要です。これは顧客の立場に例えると、行ってみたいお店を窓からチラチラと覗くような感覚に近いでしょう。

そしてタイミング2のブランドリリース前では、開会宣言を行います。タイミング1で興味を示してくれた顧客に対して「これからお祭りが始まります。皆さんで一緒に盛り上がりましょう!」とお店の中に呼び込んでいくイメージです。

タイミング3のリリース後では、顧客への感謝を伝えます。購入した顧客にとって「おかげさまで、たくさんの支持をいただいています」といった内容のメッセージは、自身の選択した物事への安心感や期待感、そしてブランドとの一体感を感じることができます。また、このリリース後の発信はまだ購入していない顧客候補者たちに対しても「自分もその輪に入りたい」という更なる期待感を集めることにつながります。

②顧客像(ペルソナ)の設定

D2Cブランドの成功には、不特定多数のフォロワー獲得以上に熱狂的なファンの育成が重要です。①発信時期の設定を効果的に行うためには顧客像(ペルソナ)の設定が欠かせません。

しかし、こういった顧客像を想定するとき、多くの企業では「ターゲット」を設定することが多いかもしれません。ターゲット設定は、30代男性会社員、40代女性の主婦のように性別や年齢などの属性でセグメンテーションする方法です。

しかしD2Cブランドを成功させるためには、それでは十分ではありません。ニーズをより深くセグメンテーションすることが必要です。そのために行うことは、たった1人のユーザーを設定し、その人物が叶えたいことを徹底的に考えることです。

顧客像を明確することは、より心に響くメッセージや商品開発など、マーケテイング施策が可能になり、自社ブランドの熱狂的なファンを育成することができるのです。

③媒体の設定

顧客像が明確になったら、次にすることはその顧客とつながるための発信活動です。発信活動でのポイントは、ペルソナの読みやすい媒体を選ぶことです。よくSNSをとにかく頑張ればファンが作れると思ってアカウントを開設する企業があります。しかしD2Cブランドを成功させたいなら、自社ブランドのペルソナにとってどの媒体が一番読みやすいのかを考えることが重要です。Twitter、Instagram、ブログなどのSNSだけでなく、紙媒体であるパンフレット、お手紙などさまざまな媒体があります。その中から、ペルソナが自社ブランドを心地よく知れるシーンをイメージしながら選定しましょう。

また、SNSなどのWEB媒体を使用する場合は、投稿時間も重要です。帰りの電車の中で読むのか、休日に読むのかなど、ペルソナの生活シーンを徹底的に想定して発信することでより熱狂的なファン作りにつながります。

④発信の継続

最後にファン作りには継続した発信が重要です。D2Cブランドの成長には、長くブランドを好いてくれるファンの存在が欠かせません。購入するときだけの関係ではなく、リリース前、リリース後、そしてその後の展開を長く発信し続けることで、企業が自社ブランド立ち上げによって望む「売上拡大」「自社の認知度アップ」といった効果を上げるブランディングができるのです。

SNSを始める前の注意点


会社としての発信とブランドとしての発信を1つのアカウントに混同させることはお勧めしません。いわゆる「混ぜるな危険」です。なぜなら会社としての発信とブランドとしての発信を読みたい読者が違います。そのため、1つのアカウントに対してどのペルソナにメッセージを受け取ってもらうのかを設計してから、SNSアカウント立ち上げることが重要です。

D2Cブランドのファンづくりは「会社の信用貯金」

D2Cならではのファン作りを続けることで、自社D2Cブランドの信用を貯金のように増やしていきましょう。この信用貯金は採用活動・新規顧客開拓・地域からの指示・業界へのインパクトなど、企業の価値を向上させるさまざまな効果をもたらします。もちろんD2Cブランドの立ち上げは容易なものではありません。しかし、個人から支持による信用は、これからの社会において重要な会社の資産となります。この記事をお読みのあなたの会社でも会社の資産となる、長く愛されるD2Cブランドを構築していきましょう。

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製造業が自社ブランドを作るなら必ず知っておきたい3つの視点

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業が自社で開発するブランド、いわゆるD2Cブランドの存在は、市場のクラウドファンディングやSNSの持ち上がりよって一般的にも認知度が高まっています。製造業としては、様々な思いから、D2Cブランドの開発に対して何らかの着手をしている企業が多いのではないでしょうか?

例えば、

  • 会社として話題性を作るため
  • 新しい売上の柱を作るため
  • 社員のモチベーションを向上させるため
  • 自社の技術力を高めるため

このように企業によっては様々な理由があると思います。しかし、何となくD2Cブランドを立ち上げてしまうと、上層部の思いとは逆に、話題性を生むことができなかったり、社員のモチベーションを下げてしまう原因にもなります。なぜそのような悲しい結果が生まれてしまうのかというと、そこには製造業が「メーカーとしてのポジション」を築く上で重要な3つの視点が欠けているからです。

今回の記事では、製造業がメーカーとしてのポジションを築く上で重要な3つの視点について、今まで累計1,200点以上の商品を企画・開発してきたブランディングの経験からお話ししていきたいと思います。

1つ目の視点【技術シーズ】

シーズとは「種」を意味します。ビジネスにおいては、企業が新しく開発・提供する特別な技術や材料のことを指します。D2Cブランドをリリースすることは、自社の技術を今まで取引がなかった業界にもアピールする絶好の機会です。ここで重要なことは、業界・社会にとって自社は「〇〇の技術力に優れた企業」とアピールできるシーズに絞ることです。

  • 企業としての技術力

もし自社のアピールすべき技術ポイントが1つに絞れない、シンプルに言い表せないと悩んでしまう場合は、これから取引をしていきたいお客様が求めていて、なおかつ自社が実現可能な技術力について着目すると、D2Cブランドを通してアピールすべきポイントが明確になります。

2つ目の視点【顧客ウォンツ】

ウォンツとは、ある商品・サービスを「欲しい」と顧客が考えている状態を指します。ウォンツの視点において重要なことは、「〇〇できる△△が欲しい」に応えられる企画と規格を考えることです。

  • 目新しい企画
  • スペック
  • デザイン

D2Cブランドでよく起こる失敗ケースとして、技術シーズを伝えたい一心で、製品にあまりに多くの機能を持たせすぎてしまうということがあります。このようなオーバースペックはユーザーが求めるものではありません。企業はメーカーとして、顧客が求めているスペックに向けて技術シーズのチューニングを行いましょう。

また、機能面で顧客ウォンツを満たしていても、デザインという見た目の視点が抜けてしまうと、どんなに良い商品も売れなくなってしまいます。どんな商品であれ、日常使いしてもらえる商品を作るためには、使っていて気持ち良い、持っていて心が踊るような商品を機能・見た目の両方から目指すことが重要です。

3つ目の視点【顧客ニーズ】

ニーズとは、漠然とした「こうだったらいいのにな」という理想に対する感覚です。ニーズは、スペックなどの具体性のあるウォンツとは異なり、心身を伴う「体験」に大きく関わっています。

  • 商品との出会い方
  • 商品の作り手を知ること
  • 使うことで訪れる、自分や相手の幸せな生活
  • 安心できるアフターサービス
  • ファン同士の交流

ウォンツを商品のハード面だとしたら、ニーズは商品のソフト面といっても良いでしょう。そして、時としてニーズは無自覚なことが多いため、もし潜在的な感覚に届く体験を提供することができれば、「まさにこれが欲しかった!」と言われる商品を作ることができるのです。この顧客に対してニーズまでの戦略的な導線構築が、製造業がD2Cブランドの別れ道と言っても過言ではありません。

3つの視点が重なり合うD2Cブランド作りを

顧客が大手ブランドではなく、小さなメーカーのD2Cブランドを選ぶには、技術シーズ・顧客ウォンツ・顧客ニーズの3つの視点が重要です。すでに多くの技術力があるからこそ、ストーリーのある商品を作り続けられる道筋を戦略的に立てていきましょう。顧客が喜ぶ商品、そしてその商品との関係性を築く体験を生み出せるものは、規模が小さくてもブランド力が高いと言えます。

そして顧客が喜ぶ商品を作ることは、期待や信頼を獲得につながり、他業界からのオファーや社内でのポジティブな企業文化の醸造など様々な波及効果を生み出します。自社だけでできないことは、企業同士の技術コラボや、専門家から協力してもらうことで解決できます。ぜひ、3つの視点を取り入れて、顧客から「この商品を自分の生活の中に取り入れたい!」と思われるD2Cブランド商品作りを目指しましょう。

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中小企業のリブランディング!自社の強みを売上につなげる3つの分析方法

みなさん、会社の売り上げを増やすためにどのような施策を行っていますか?これは、多くの社長が日々頭を捻っている事だと思います。それでも会社の売り上げを上げる戦略の基本はこの3つしかありません。

  1. 顧客「数」を増やす
  2. 顧客の「リピート」を増やす
  3. 顧客「単価」を上げる

これらは当たり前ではありますが、意識して行っている会社は意外と少ないのです。

こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

おそらく多くの会社が、ホームページを新しくしたり、SNSを開設したりしているのではないでしょうか。他にも、助成金や補助金を活用して新しい機器を導入するなどのさまざまな施策を行っていると思います。もちろん、どれも間違ってはいません。

ただし、施策を行う前に「現状の自社の強み」を理解しておくことで、その効果を最大化することができます。簡単に言うと上記の3つを意識的に攻略していくことができれば、自社の売り上げが自然と上がりやすい環境を構築していくことができると言うことです。

新規顧客獲得のコストは5倍

上記の売り上げを上げる3つの施策から、どれをやりますか?と聞くと、ここで多くの社長は「新規顧客を増やす!」と答えます。しかし、新規顧客・既存顧客からそれぞれ同額の依頼を受けるまでには、新規顧客にかかるコストは5倍と言われています。このコストというのはお金だけでなく時間も含まれます。そのため、新規顧客獲得ばかりに目を向けていると、少ない人数で回している社員や社長がヘトヘトに疲弊してしまいます。

そこで重要なことは、自社の強みを客観視して既存顧客・休眠顧客へ再度アプローチをかけたり、ホームページやSNSなどのブランディングを行うことです。

私はこの方法を「会社を再パッケージする」と呼んでいます。

①沿革を文字に起こす

自社の強みを掘り起こすのに、沿革を一度文字に起こすことが必要です。ここで重要なのが、沿革で書き出されたそれぞれの変革に対して、なぜそれを行ったのかも言語化することです。

ものづくり会社あるあるで、よく自社の技術的な部分、いわゆる「ハード」については理解してスムーズに説明ができても、仕事に対する姿勢を指す「ソフト」を説明するのが苦手な方がいます。ものづくりの仕事は、良い機械があればできるわけではありませんよね。相手のために仕事に向き合い、切磋琢磨したその結果、今のあなたの会社の技術があります。つまり「ソフト」があってこその「ハード」です。沿革を書き出しながら、自社の「ソフト」と「ハード」両方の強みを明文化していきましょう。

②お客様の声を聞く

長く付き合いがあるお客様であればあるほど、「理由なんてないよね」と言い合う取引があります。しかし、長い間他の会社に乗り換えられないのには、必ず理由があります。お客様も気恥ずかしさや、言語化に慣れていないことから、理由を引き出すのは難しいかもしれません。

そういった場合は、先ほどの沿革から導き出した自社の「ソフト」「ハード」の強みをアンケートにまとめ、チェックをしてもらうのも一つの方法です。

ここではお客様から、自社がどのような役割とし必要とされているのかを客観的に知る情報を集めることに注力しましょう。

③SWOT分析

SWOT分析とは、

  1. Strength=強み
  2. Weakness=弱み
  3. Opportunity=機会
  4. Threat=脅威

上記の4つのカテゴリーを視点にして、経営戦略や事業計画の現状分析を行う経営戦略策定方法です。目にしたことがある方や、実践したことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、SWOT分析の難しいところは、自社だけで行う場合、客観視が不十分になり分析する材料が正しく揃えられないことです。

そこで、今回のSWOT分析で行って欲しいことは、先に述べた

  • 沿革から導き出すソフト・ハードの強み
  • お客様の声

という客観的な実績を組み込んだ分析の実施です。この客観的視点が加わることで、自社の存在意義を正しく理解して、既存顧客・休眠顧客・新規顧客に伝えることができるようになるのです。

取引先にとってのかけがえのないパートナー企業へ

こういった話をすると、「そうは言っても取引先が倒産したり、受注量を減らしてきてるんです」という声が上がります。目まぐるしく変化する業界市場の中では、今まで会社の主力としていた商品が一気に必要とされなくなるケースもあります。

そういった場合は、お互いにとって前向きな相談をしてみてはいかがでしょう?

「今後はどのような製品にシフトチェンジしていくのか?」「そのためにうちで協力できることはないか?」「市場の動き的にこういった方向に挑む価値がありそう」といった前向きな相談です。これは、直接あなたの会社の売り上げを爆発的に上げるものではないかもしれませんが、この相談がきっかけで、かけがえのないパートナー企業になれるかもしれません。

ものづくりは1社だけで完結することは不可能です。是非あなたの会社でも自社の強みが伝わるリブランディングを行い、取引先にとってのかけがえのないパートナー企業になっていきましょう。

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今すぐ始めたい失敗しない「自社商品づくり」

新型コロナウイルスの影響で、今までBtoBビジネスだけをやってきた中小企業も、大手企業からの受注が減少しています。その中で、今まで「日々の業務でいっぱいで考える時間がない」と後回しになっていた自社商品づくりに本腰を入れる企業も多いようです。

この流れが起きている理由としてはこれら3つの点が挙げられます。

  • 受注案件に左右されない収入の柱を作れるから

今まで大手の受注に頼ってきた収入では、今回ようなの世界情勢乗せ変化によって経営が左右されてしまう振り幅が大きいものです。しかし自社商品を継続的に販売することができれば、揺るがない新しい収益の柱を作ることができます。

  • 新しい企業との取り組みができるから

今までは下請けとしての取り組みではいて企業と1対1の関係が多くなりがちです。しかし自社商品を開発・販売することになると、自社を起点として商品の販売先やデザイナーなど今まで取り組んだことない新しいカテゴリーの企業との関係を展開することができます。

  • 社員の自主性が上がるから

BtoB向け企業だど、多くが半製品を作り納品するケールが多いかと思います。そのため、多くの社員にとっては自分たちの仕事ぶりの完成形をなかなか近くに感じることができずにいます。そんな自らの「仕事」を「作業」として感じている社員に対して、を自社商品の開発では自分たちが求めるクオリティの限界を自分たちで決めることが重要です。それによって、自分たちで完成させたもの大きな可能性を感じすことができます。

自社商品づくりのつまづきポイント

まさに「自社商品づくり」は自社を成長させる可能性に溢れたものですが、今まで多くのBtoB向け中小企業がチャレンジしては断念している、つまづきの共通項があります。

商品づくりでのつまづき

  • たくさんの人に買ってもらえるデザインを仕上げるのが難しい
  • BtoCで流通させるためのパッケージデザインができない

販売でのつまづき

  • 作ることはできるけれど、どこでどう売っていいのかわからない
  • 地域のイベント止まりになってしまう
  • 知り合いへの告知で終わってしまう
  • たくさんの人に知ってもらいたいけれど、どうしたら認知度が高まるかわからない

これらのつまづきが重なって、多くの企業が自社商品の開発を「また今度考えよう」とずっと後回しにしてきています。

ではなぜこれらのつまずきが生まれるのかというと、今までやったことのない分野まで自分たちでやってしまおうとすることが起因しています。今ままで長くものづくりをしてきたBtoB向け企業にとって品質の良いものづくりは当たり前のようにできますが、多くのBtoB向け企業が自社商品でつまずく2つの共通項があります。

BtoC向け商品づくりの全体の工程は次の章でご説明しますが、1つ目は、コンセプト設定(生産背景/ペルソナ設定)、市場調査、プロダクトデザイン、パッケージデザインという市場に流通させるときの顧客ウケする商品づくりという視点。

そして2つ目は販売場所の確保(リアル/オンライン)、PR施策(プレスリリース/WEBサイト/SNS)の認知活動という視点です。

もしあなたの会社が「自社商品づくり」でつまづいているのなら、この2つの視点を今から急いで養おうとせず、まずはデザイナーやブランディングの専門家と手を組んで、大きくそして素早く飛躍できる手段を取ることがオススメします。

自社商品づくりの大きなステップ

BtoC向け商品づくりの工程にはこのようなステップが必要です。

  1. コンセプト設定(生産背景/ペルソナ設定)
  2. 市場調査
  3. プロダクトデザイン
  4. パッケージデザイン
  5. 生産背景確保
  6. コスト試算
  7. 流通経路確保
  8. 販売場所の確保(リアル/オンライン)
  9. PR施策(プレスリリース/WEBサイト/SNS)
  10. 継続施策(WEBサイト/SNS/シリーズ品開発/口コミ回収etc…)

今だから始められるあなたの会社が成長する「自社商品づくり」

今回お伝えさせていただいた通り、BtoB向けの新規開拓が難しく受注も減少している今だからこそ、自社の収入面でも人材面でも根底を強化する「自社商品づくり」のタイミングだと言えます。

働き方や人とのつながりがより重要になるこれからの時代に向けて、自分たちの仕事に改めて誇りが持てる「自社商品づくり」をしましょう。

中小製造業のための「今さら聞けないIoTって何?」

テクノポートの徳山です。IoTという言葉が世の中に浸透しつつありますが、中には実はあまり理解できていない、、という方もいらっしゃると思います。そんな方のために、IoTについての基礎的な説明から具体事例までご紹介していきます。

IoT(Internet of Things)とは

そもそも言葉の意味が分からないという方もいらっしゃると思うので、概要だけ触れてみたいと思います。

IoTは「モノのインターネット化」と表現され、今まではパソコンやスマートフォンといった機器がインターネットに繋がっていましたが、これからは様々な「モノ」がインターネットに繋がっていくことを意味します。

家電、自動車、工作機械など様々な「モノ」がインターネットと繋がっていくことによって、多くの「便利なこと」が生まれてきます。外から遠隔でエアコンを操作したり、自動車に乗っている時にオススメのレストランをカーナビが教えてくれたり、建設機械が自動的に燃料の残量を教えてくれたり…といった具体です。

しかし、世間で流れているIoT関連のニュースを聞いていても、一般消費者が利用するIoT製品やサービスの話ばかりで、製造業が自社の業務効率改善にどのように結びつければよいかのか分かりづらいと思います。製造業がIoTを活用するためには、まずIoTの基本的な流れを知る必要がありますので、まずはそちらをご説明します。

IoT活用の基本的な流れ

IoTを活用する際の基本的な流れは、下記の通りとなります。

  1. データを取得する(主にセンサ技術)
  2. 収集したデータをクラウドサーバにデータを蓄積する
  3. 蓄積したデータを分析する
  4. 分析したデータをフィードバックする
  5. フィードバックしたデータをもとに次のアクションを起こす

大切なのは問題解決意識を持った上でIoT活用に取り組むことです。データ収集を優先させ意味のないデータを集めたところで問題解決にはつながりません。あくまで、解決したい問題に対し、どのようなデータを収集すればよいかを考えるべきです。

そして、いちばん大事なのは最終的に次のアクションを起こすことです。逆に次のアクションにつながらなければ、データだけ取得しての自己満足となってしまいます(もっと言えば、アクションを起こせても何らかの効果がなければ意味がありません)。

目的と手段を履き違えないように注意しながらIoT活用の構想を練ってみてください。

なぜ近年騒がれるようになってきたのか

少し話は脱線しますが、なぜ近年IoTが騒がれるようになったかというと、上述した「IoT活用の基本的な流れ」を補完する技術が出揃い、普及段階に入ったためです。具体的には下記のような技術が進歩したからと言われています。

  • データを収集するツール(センサ技術など)の発展
  • インターネットやクラウド技術の発展
  • AIなどデータを分析するツールの進化
  • データを収集したり受け取ったりするデバイスが普及(スマホ、タブレットなど)

一昔前だと、IoTを活用するためには莫大なコストが掛かりましたが、技術発展のおかげで安価に導入できるようになりました。そんな背景もあり、最近では行政が中小製造業への支援を積極的に行っており、具体的な活用事例が増えてきました。

中小製造業での活用例

中小製造業への支援が加速

製造業界で大きな問題となっている人材不足問題。その問題解決の一手となるということで、数年前からIoT活用を行政が強く推しています。下記に経済産業省の支援策がまとまっているのでご参照ください。

第四次産業革命に挑戦する中堅・中小製造企業への支援施策

支援施策によると、全国29箇所にスマートものづくり応援隊というものを設置しているので(2018年10月時点)、IoT導入を検討している方は相談してみてはいかがでしょうか。また、IoT活用に関して使える補助金も幅広く「ものづくり補助金」「省エネ補助金」「IT導入補助金」などがあります。

具体的な活用事例

内田染工場 色のデータを蓄積し技術継承へ

職人が暗黙知で行っていた染色作業をデータ化し、社内共有できるようにすることで、作業効率アップにつなげた事例です。

ものづくり補助金を活用し、コンピューターで色を識別して色を自動生成するコンピューターカラーマッチングシステムという機械を導入することで、収集したデータを分析、フィードバック、次のアクションへとつなげることに成功しています。職人でなくても染色作業ができるようになるとういことで、技術伝承にもつながった事例です。職人技をデジタル化するためにIoTを活用するのは非常に意義深い取り組みですね。

オムロン草津事業所 IoTで工具寿命の改善

大手メーカーであるオムロンの事例ですが、中小製造業でも活用できる事例だと思ったの取り上げました。

マシニングセンタでワークを固定する加工用治具に振動センサーを取り付け、そこから取得できる振動データの特徴量を分析し、工具摩耗の予兆をや最適な加工条件を導き出すことに成功した事例です。これにより、工具の摩耗量は20%減で寿命は2倍に、加工時間は40%削減したそうです。データの特徴量を分析することろが難易度が高いところですが、振動センサーなど手に入る道具を組み合わせることで、社内から取得できる情報は色々とありそうです。

日進精機 機械のトラブルを事前に検知

プレス機に音センサーを取り付けて、センサーにプレス音を集音させることで、過去の音とクラウド上で比較することで異常予兆を検知できるという事例です。

約1年間に渡り音を聞き分けるためのデータを取得し続けて、集音の精度を高めたそうです。これにより概ねプレス金型の使用回数を5~10%上げることにつながったとのことです。ちなみにこちらの事例では、制御コンピュータとしてラズベリーパイというツールを使っています。ラズベリーパイは安価で、公開されているソースコードや電子部品などを利用することで簡単にIoTツールを作り出すことができる便利な製品です。詳しくは下記をご覧ください。

Raspberry Pi(ラズベリーパイ)とは?IoT開発ができるラズパイの使い方

自社での活用ノウハウを販売する企業も

自社での活用ノウハウをサービス化し、新規事業として提供を始める中小製造業も増えています。IoT市場は製造業界とIT業界からの新規参入、または両者の共同参入が相次いでおり、その境界がなくなり始めています。

武州工業 自社で開発したシステムを他社へ販売

東京都青梅市でパイプ加工を行っている武州工業は、2016年の早い段階からIoTへの対応を開始しました。受発注や在庫管理のほか、市販の電子機器などを使って工作機械の動作情報などを収集する統合情報管理システムを自社開発し、生産性を約20%向上させました。

2018年5月から、このシステムを「生産性見え太くん」という名称で販売をはじめました。製造業がIT業へ転身した面白い事例として各地のセミナーで紹介されています。

旭鉄工 培ったノウハウを活かし新会社を設立

愛知県碧南市で熱間鍛造などを行っている旭鉄工では、部品生産にかかる時間などをリアルタイムで把握するための新たな仕組みを、光センサーを活用することで構築しました。部品の生産にかかる時間やラインの停止時間といった情報がスマホで分かるようにし、どこに課題があるのかを“見える化”したことで平均でおよそ30%も生産性を向上させ、残業時間も減少しました。

ついには、そのノウハウを活かし「i Smart Technologies株式会社」というIoT製品の販売やコンサルティングを行う会社を立ち上げました。

IT導入補助金でIoT導入を検討してみては

様々な事例をご紹介しましたが、自社での活用法は見出せましたでしょうか?IoT活用のためのツール導入には、IT導入補助金の利用がおすすめです。もうすぐ2019年の受付が開始されますので、挑戦してみてはいかがでしょうか。

昨年より予算は減ってしまいましたが、2019年は補助金の上限額が最大450万円までアップし(補助率1/2)、前回よりも規模感のある投資が可能となりました。当補助金の特長は「申請作業が簡単である」ことです。他の補助金と違い、オンライン上で申請が完了しますし、IT導入支援事業者が手続きを支援してくれます。

IT導入補助金2019に関する詳細は下記Webサイトをご覧ください。情報は随時アップデートされますのでお見逃しなく。

IT導入補助金 2019

行政が推している分野ということもあり、補助金が通る可能性は高いと思います。IT導入支援事業者に認定されている弊社でも相談に乗ることができますので、お気軽にご連絡ください。

売れる製品を企画するなら品質表を使おう

ものづくりドットコムの熊坂です。

ものづくりドットコムの累計利用者数が先週3百万人を超えました。正確には7年前に公開した当時のサービス名称が「ものづくり革新ナビ」でしたから、4年前の名称変更を挟んで通算での実績になります。あっという間のようにも思うし、長かったような気もします。これを通過点として、ますますものづくり関係者に役立つ情報と機能を提供していきますから、バシバシ活用して下さいね。

さてものづくり革新のキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は「QFD」と「品質表」についてお話します。

QFDと品質表ってなんだ?

終戦後の日本製品の品質が最低レベルだったことは以前にも書きました。その後米国から統計的品質管理(SQC)が日本に導入されて、急速に製造品質が向上したわけですが、その次のステップとして設計で品質を保証する仕組みとして1960年代から70年代にかけて、当時山梨大学教授だった赤尾洋二氏らによって考案されたのが品質機能展開(QFD: Quality Function Deployment)です。

我々技術者が製品を企画すると、ついつい技術やスペック先行で考えてしまいます。「最近開発したこの技術を使おう」、「従来にない機能を追加したら売れるに違いない」といった具合です。でもそれって、本当にユーザーが欲しい製品でしょうか?

QFDはお客様の要求を丹念に整理し、製品品質を保証する仕組みであり、その第1工程としてユーザーの要求(VOC:Voice of Customer)から製品仕様の導出に使われる二元表が「品質表」です。ということで品質表はQFDの一部を切り出したものですが、これだけ作成してQFDと呼ぶ人も多数います。分かっていながら、私も敢えてそう呼ぶ場合もあります。

言葉で説明するより、下図の品質表実施例を見ると、構造と機能が大よそ理解できると思います。

図1.品質表の1例(物置)

品質表の作成手順

  1. 初めに左側の「要求品質展開表」(A)部分を作ります。まず思いつくまま製品に対する要望を一つずつ付箋紙に記入したのちにKJ法で整理し、その後で図のようなテンプレートに記入した方が良いでしょう。図では2次までに統合していますが、要求が複雑な商品の場合は3次まで構造化することもあります。
  2. 次に製品の特性や機能を「品質要素」(B)として上部に整理します。まずは思いつくまま挙げて、こちらも2次あるいは3次までに構造化します。典型的にはカタログの「仕様」に相当するものですが、カタログに載っていない品質要素もたくさんあります。
  3. ここまでできたら、左の要求品質項目と上の品質要素の交点となるセルに、両者の関連性を示す記号を記入します(C)。ここでは強い関係性がある場合に◎、中程度の関係性に〇、弱い関係性に△を使っています。左の要求品質項目毎に関連する品質要素が最低でも1つは必要です。横一列すべて空欄の行があるようなら、その要求品質に対応する何らかの品質要素を追加します。
  4. 次に要求品質ごとの「重要度」(D)を設定します。重みづけと言い換えても良いでしょう。本来であれば、ユーザーが評価し、一対比較法で数値化すると精度が高まりますが、かなり煩雑になるため、ここで停滞するくらいであれば、企画担当者がエイヤっと書き込んでも構いません。ただし5段階評価程度では実態に合わないため、最大/最小が20倍以上になるまで差をつけましょう。
  5. さらに競合製品との比較から「企画品質」(E)を検討し、販売時にアピールしたい項目を「セールスポイント」(F)で強調し、これらを掛け合わせて「絶対ウェイト」を計算します。このままでも良いのですが、全ウェイト中の割合を知りたい場合は、各絶対ウェイトを合計ウェイトで割って、「要求品質ウェイト」(G)を計算します。
  6. 次に◎=5、〇=3、△=1として、品質要素列ごとに記号のついたセルとそれに対応する要求品質ウェイトの積を加算してゆくことで、要求品質の重要度(H)を算出します。品質要素ごとに全体との割合を知りたい場合は、各重要度を合計重要度で割って、「品質要素ウェイト」を計算します。

以上の一連作業によって、要求品質の重要度を品質要素重要度に変換し、重要度の高い品質要素を優先して設計する品質(I)を決定することで、ユーザーの要求に合った製品を企画することが可能となります。

品質表の効果

品質表を使うことにより、次のような効果が期待できます。

  • 顧客要求と製品コンセプトと技術特性の関連が明確になる
  • 仕様の決定過程が明確になる
  • 製品仕様に対する関係者の認識が統一される

特に3番目は大切で、会議で決めたはずの仕様が実は納得していないメンバーがいたり、時間経過であやふやとなり、クレームや思い付き、鶴の一声で突然変更されるといった問題を未然に防ぎます。

初回の作業は相当に手間取るものですが、2回目以降は前回との変更点を修正・追加するだけですから圧倒的に時間/労力が減り、状況(要求)変化への素早い対応が可能となります。是非試してみて下さい。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムの登録専門家では、國枝麿さんがこの分野がお得意です。不明の点やご相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問してください。

コスパのよい特許出願 その2

弁理士の亀山夏樹です。小職は、中小企業200社以上の相談実績があります。今回はコストパフォーマンスのよい特許出願について、これまでのお客様の相談内容を振り返りながら考えていきたいと思います。

1.とある日の特許相談

大昔に、別の弁理士さんに依頼して特許出願を出したことのあるお客様(その1の記事とは別のお客様です)。第1回目の面談では、特許取得がテーマでした。面談では、発明の概要を伺うのですが、弊所では、それ以外のことも把握します。その理由は、無駄な特許をなくすためです。言い換えれば、特許のコストパフォーマンスを向上させるためです。

そこで、弊所の面談では、発明に至った背景はもちろんのこと、これまでのマーケティング活動についてもヒアリングします。そのお客様は、マーケティング活動をしっかりとされている方でしたので、お客様のお話を聞いているかぎり、その発明は市場に受け入れられる可能性が十分にありそうだ、と思いました。さらに、そのお客様の規模からすると、大化けする可能性もあるようです。

2.ところで、ビジネスモデルは?

お客様:だから、このアイデアを特許で防衛したいのです!

かめやま:ところで、このアイデアを使って、どのようなビジネスモデルを考えていますか?

お客様:え・・・!?

かめやま:「誰にどのような形でアイデアを提供し、誰から売り上げを立てるか?といった仕組み」です。一緒に検討しましょうか?

お客様: お願いします。

(数10分後)

かめやま:考えられるパターンは、A~Bの2つの案。ビジネスモデルAであれば、アイデアの要素アが肝になります。ビジネスモデルBであれば、要素イが肝になります。2つをミックスすると、最初にモデルAで回した後、モデルBで回す・・・ということも可能です。

お客様: 驚きました。モデルAのようなものは、取引先からもチラっと言われましたが、モデルBや、2つのモデルのミックスもありえるのですね。

かめやま:そうなんです。大切なことは、ビジネスモデルの肝となる要素を特許でガードするということです。ビジネスモデルAでいくなら、アの特許権をとることが必要なりますし、ビジネスモデルBでいくなら、イの特許権をとることが必要になります。さらに、両にらみで行くのであれば、ア・イの両方を抑える必要があります。逆に言えば、ビジネスモデルAでいくなら、イの特許権をとる必要はありませんよね。

お客様:確かにこれなら、無駄な特許権は減らすことをできますね。

かめやま:特許は投資です。ビジネスモデルを考えながら、肝となる部分(ガードすべき優先度の高い部分)から特許で抑えていく、という観点が重要です。

お客様:これなら無駄な特許は減りますね。

その後・・・

結果的に、ビジネスモデルA・Bの統合案でいくことになったため、それぞれビジネスモデルの肝となる発明ア・イについて特許出願を済ませました。そのお客様は、いくつもの商談が前に進むこととなりましたが、その1つの商談相手は、お客様よりも大きな規模の企業。ですが、先方が欲しがっている商品は、要素アのアイデア。こちらは、すでに特許出願済です。特許出願済の交渉力により、お客様の立場を維持したまま商談に臨めそうです。

3.まとめ

1、特許権や商標権で抑えたいところはどこ?

特許権や商標権で抑えたいところの1つは、ビジネスモデルの収益源。

2、収益源はどこ?

収益源が何になるかはビジネスモデルによっても変わる。

市場浸透の速度もビジネスモデルによっても変わる。

3、自社にとって実現可能なモデルは?

営業活動を通して、どのビジネスモデルが自社にとって望ましいかを検討する。

4、当初の目論見は外れた場合の準備をする

営業活動を通して、出願前の目論見が外れる場合もある。このため、弁理士と適宜情報交換が必要。

5、必要に応じて次の手を打つ。

当てが外れれば、補強のための追加出願をすることも・・・。そうでなくとも、次の一手(アライアンスなど)のための契約やその交渉準備・・・。場合によっては、こちらの交渉力を上げるために別の出願を行うことも。

何かの参考になれば幸いです。

MAKERS LINK的、ものづくり製作委員会方式のすすめ その1

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!どんなに暑い夏でも終わりが来るんですね。すっかり秋めいてきた今日この頃…。さあ、仕事もプライベートもなにかと忙しくなりそうな季節です。気合い入れていくぞ!(笑)

ということで、今回は、まず告知を…

前回もお知らせしましたが、10月11日、大阪産業創造館(サンソウカン)さんの「ものづくりビジネスセミナー」に登壇させていただくことになりました。MAKERS LINKの活動についてお話をさせてもらいます。皆さん、よかったら、遊びに来てください!詳しくは、下記の産創館さんのサイトをご覧ください。

【ものづくりビジネスセミナー】
「つながり」でものづくりの可能性を大きく拡大!メイカーズリンクの革命に学ぶ

続いて、報告を…

9月4日から4日間にわたり、東京ビッグサイトで開催された「ギフトショー」に、川口商工会議所の一員として出展をしてきました。いつもの、製造業、ものづくりの世界とは、ぜんぜん違う雰囲気のなか、若干の戸惑いはありましたが、製品、商品を企画販売をされる立場のお客さんがたくさんいらっしゃって、いろいろとお話をさせてもらいました。観点、視点が異なると、同じものを見ても、その価値がまったく違ってくるんだってこと、あらためて認識しました。今後の活動に活かせそうです!

そのギフトショーでは、たくさんの出会いがありましたが、もっともびっくりな人は、実は、同じブース内に立ってた女性だったんです。新光ステンレス研磨さんが手掛ける、アルミ板を使ったタイル「AL-tile(アルタイル)」のデザインを担当された懸谷直弓さん。3年間のOL生活を経ての芸大卒!上野公園に卒業制作の巨大カーソルなるものが展示されているというアーティストなんです!彼女自身が、MAKERS LINKのグループページに自己紹介記事を投稿してますので、ぜひぜひ、チェックしてみてください!

https://www.facebook.com/groups/makerslink/

「AL-tile」は、新しい研磨技術の特長を最大限生かした、美しいタイルです。金属製タイルという新しい分野を開拓していこうという意気込みも素晴らしい!

やっと、本題に…

私、栗原がFacebookで投稿したのを見た方もいらっしゃるかもしれませんが…

「あちこちで言ったり、書いたりしてるので、あ、あれねって思う人も、ちょっとはいるかもですが…。ものづくり製作委員会方式と、MAKERS BANK構想をやる!宣言!いちおう、2年計画で、カタチにしたいって考えています。巻き込まれたい人、歓迎します(^◇^;)」

こちらのブログにも、この構想については書かせてもらってるので、よかったら、下記のバックナンバーを見てみてください。→https://keikakuhiroba-mfi.com/archives/17342

映画のづくりの世界では、主人公を演じる俳優の技量がヒット作になるかどうかの大きなカギになりますね。もちろん、わきを固める役者の存在感も。ものづくりの世界ではどうかな?例えば、製品の良しあしを左右する大きなファクターが、技術力という場合もありますよね。主役の俳優は、メインのパーツを製造する加工屋かもしれない。

素晴らしい原作があって、一流の監督がメガホンをとる、さて、配役は…。この映画のイメージにぴったりな、しかも演技力に申し分のない、そんな俳優を見つけ出さなくては!

今まで世になかった新しい製品のアイデアがあり、才能あふれるデザイナーが商品化を手掛けることに。さて、しかし、コンセプト通りの製品をつくるためには、かなりの技術力を持った加工工場に依頼をしなくては!

ちょっと無理やりかもしれませんが、工程としては同じかな、と。

写真は、悪役紹介の俳優さんたち?いや、どんな難しい役柄でもこなして見せるベテラン俳優のごとく、切削加工の腕に長けた町工場の経営者たち、COOL MILLINGSの面々です。

MAKERS LINKには、たくさんのメンバーがいて、中には、相当の腕を持った加工屋もいたりします。さらに、その中でも気心知れて、地域的にも近いところにいる仲間に絞り込んでグループを組んだのが、チームCOOL MILLINGSです。映画で言うなら、個性派俳優だけを集めた芸能プロダクション?アイドルのような華やかさはありませんが、見た人の心にしみる名作となるべき作品には、欠かせない名優ぞろいです。

つまり…

ものづくりの世界でも、新しいものを生み出していく仕組みとして、映画製作のような方法が有効なんじゃないかと…。どうも、やっぱり、自分の文章の拙さを感じてしまう…。いくつかの実績を積んでいけば、ああ、そういうことだったのね、栗原の言いたいことは…。と伝わる日が来るかと、そのための、2年間と考えて、じわじわとやっていこうと思ってます。ふう…

あ、そうだ、最後にもう一つ、告知。

チームCOOL MILLINGSとして、なんと、渋谷ヒカリエで開催される、ファッション業界の展示会「PLAG IN」に出展します!
合言葉は、

  • GO FASHION!
  • GO COOL MILLINGS!
  • GO METAL PROSECCING!

ギフトショーでも、あれだけの異次元空間だったのに、渋谷?ヒカリエ?ファッション業界?いったいどんな化学反応が起こるのか?予想もつきませんが、まあ、とにかく、アピールしてきますよ!金属の、削り出しの、カッコよさ!

実は、我々の信頼するディレクター役「マナブデザイン」が大きな役割を持った展示会なんです。詳しいことは公式サイトで情報収集してみてください!

http://www.senken-ex.com/plugin/

ものづくり製作委員会方式の記事は、おいおい、書いていこうと思っています。次に原稿書くときは、もうちょっと、頭ン中の整理がついていると思います(汗)

自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する

テクノポートの徳山です。ここ数年、比較的規模の大きいメーカーさんから「自社技術の用途をもっと多方面へ展開していきたいのだがWebマーケティングの力で何かできないか」といったご相談をいただくようになりました。

多くの分野で市場が飽和し、長年使われてきた技術も今までとは違う活用法を見出して行かなければ更なる成長が見込めなくなってきているようです。今回はWebマーケティングの活用によって自社技術の用途開発を行う際の考え方について解説します。

新しいマーケットを切り拓く手段となる「自社技術の用途開発」

用途開発に対する要望が高まっている背景としては、主力としている市場が成熟化し、競合企業が溢れかえるようになったことで、利益の稼ぎにくい市場になってしまっている、ということが挙げられます。

メーカーの戦略としては、既存のマーケット向けに新技術を開発し競合企業との差別化を図る方法もありますが、新技術の開発にコストがかかったり、そもそもマーケット自体が縮小している場合、顧客サイドのニーズがコストダウンに偏ってしまっている場合などもあり、マーケット自体の将来性に見切りをつけることが必要な場合もあります。

そこで自社の技術を別業界(分野)へ積極的に展開し別の用途として使ってもらう「用途開発」を行うことで、新しいマーケットを切り拓いていくことが必要になってきています。

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そして、その「用途開発」を行う手法としてWebマーケティングが大いに活用できるのです。

技術の用途開発とオープンイノベーション

「オープンイノベーション」という言葉をよく耳にするようになりましたが、技術の用途開発を行うための手段の一つとして考えていただいて良いかと思います。今までは技術の用途開発を行う場合は、自社技術だけでは不足してしまう一欠片の技術を外部から調達するといった「インバウンド型」が中心で、その活動は情報をオープンにせず、自社もしくは技術仲介業者などを使って水面下で行われることがほとんどでした。

インバウンド型の場合、課題と解決手段が明確な場合が多く、製品開発に必要な技術を見つけるという目的を達成できる可能性が高いものの、大きなイノベーションには繋がらないことが多いのが特徴でした。しかし、アウトバウンド型の場合は、不特定多数に問いかけることで思いもよらぬ分野の人や企業からの提案を集めることができ、結果として大きなイノベーションに繋がる可能性を秘めているのが特徴です。

Webマーケティングで用途開発を行うということは、不特定多数に自社技術の新たな使い道を問う方法であり、アウトバウンド型となります。よって、Webマーケティングによる技術の用途開発はオープンイノベーションの一手法といっても過言ではないかと思います。

Webマーケティングで用途開発するために考えるべきポイント

Webマーケティングで用途開発を行う場合、ターゲットが不明確な場合が多いので、戦略的に進めないと情報を外部へ公開しただけで何の結果をもたらさない、という最悪な状況を招く場合があります。そうならないために下記のポイントを考慮しながら進める必要があります。

どのような情報を掲載すれば相手に見つけてもらえるか

Webサイトなので当然まずは見てもらえないと何の意味もありません。見てもらうためには検索エンジンでどのようなキーワードで検索した時にWebサイトが上位表示されるかを考えなければなりません。技術に詳しい人、詳しくない人関らず様々な技術者に技術を知ってもらうためには、その技術を様々な切り口から検索されるようにする必要があります。

技術に詳しい人であれば具体的な技術名や、その技術が使われている業界や製品(部材)名でキーワード検索するでしょうし、技術に詳しくない人であれば自身が抱えている技術課題や解決するための機能といったキーワードで検索するでしょう。

自社の技術を様々な分野の技術者に見つけてもらうためにはどのようなキーワードが考えられるのか、社内でブレストしてキーワード候補を広げてみてください。

どのような情報を与えればユーザに思いついてもらえるか

Webサイトを見てもらってもユーザに技術の内容を理解してもらえなかったり、理解したとしてもユーザに活用法を見出してもらえないと意味がありません。

よく小学生にも分かるように説明できているコンテンツが優れている、と言われますが、理解するのが難しい技術を説明する場合は、尚更分かりやすく伝わるようにすることを意識する必要があるでしょう。

ここでは噛み砕いて技術を分かりやすく伝える、という特別なスキルが必要になります。テキストだけでなく動画やイラストなどを使うことも一手です。

どのような方法で用途開発アイディアを取得するか

最後のポイントとしては、どのような方法で用途開発アイディアを得るのかです。具体的な活用法を見出したユーザからの問合せを待っても良いのですが、それには少し時間がかかる場合もあるので、ここではWebの特色を活かすことが必要です。

アクセスデータを分析することで用途仮説を導き出したり、技術資料のダウンロード時に簡易的なアンケートを取得するなど、情報を取得するためのハードルを下げる工夫が必要となります。

Webマーケティングで用途開発を実現するための手順

最後に、用途開発をWebマーケティングという手段で進めるためには何をすればよいか手順をご説明します。

1、技術の棚卸しを行う

自社が持つ技術を棚卸し、どの業界で使われているか、機能はどのようなものか、どのような技術課題を解決できるかといったことを洗い出します。

2、技術を翻訳(分かりやすいコンテンツに変える)する

その技術がどのように呼ばれているか(業界によって違う場合があるので)、どのような機能を持ち、どのような技術課題を解決できるのかを分かりやすく文章、イラスト、動画などのコンテンツを活用し解説します。

3、Webサイトにて情報発信する

2で作成したものを含め、下記のようなコンテンツとしてWebサイト上に公開します。

  • 技術説明資料(公開しづらい情報はダウンロード資料にする)
  • 活用事例
  • 技術コラム
  • 技術用語解説

4、効果検証する

アクセスデータ、問合せの内容、アンケートなどから用途仮説を立て技術を用途展開します。

  • 問い合わせフォームの設置
  • アクセスデータの分析
  • 資料ダウンロードをネタにアンケートを取得

以上、技術の用途開発にお困りの方に少しでも役に立つ情報が提供できていれば幸いです。ぜひWebマーケティングの活用によって貴社技術の可能性を拡げてみてください。

2018年、ものづくりコミュニティ・MAKERS LINKはこうなる!~その3~

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!桜も満開!春爛漫!ですね!って、ほんとはこの原稿を書いてる本日、雪は降るし、真冬のような寒さ…。実感がわいていません!(苦笑)

去年のことですが、目黒川沿いの洒落たカフェでお茶をしてたら、やっぱり突然の雪にびっくり!という経験をしました。そのときに、思い浮かんだのが、来年の桜の咲くころに、このお店を借りて、盛大なパーティーをしたいなってこと。まあ、その思惑通りにはいきませんでしたが、実は、この春、MAKERS LINKは大きな大きな一歩を踏み出すことになりました!詳しいことは、最後のほうに書きますので、順序良く読んでいってください!

では、いつものように告知から

4月15日(土)、埼玉は八潮にて「ワークショップ840」というイベントが開催されます。全国製造業Tシャツコンテスト、ものづくりワークショップ、町工場オリジナルグッズ販売などの企画が盛りだくさん!楽しい催しになりそうです!詳しくは…
https://sato316.wixsite.com/ws840

続いて、おなじみ、IRON CAFe(アイアンカフェ)さんのイベント情報です。4月5日(木)から、バネ製造会社「五光発條株式会社」とのコラボレーションイベント「Spring has come ~バネが来た~」を開催!しゃれか?って感じですが、春だからスプリングというわけですね!
https://www.ironcafe.jp/news
https://www.facebook.com/events/167132014067720/

ものづくりサポート

ということで、ここから本題です!前々回、前回に続き、MAKERS LINKが今年やっていこうと考えていることのお話、その締めくくり。

MAKERS LINKの三つの事業分野。

  1. コミュニティ運営
  2. ものづくりサポート
  3. イベント事業

このうち、3のイベント事業についてと、MAKERS LINKのメイン事業とも言える2のコミュニティ運営について、を2回に分けて詳しく書かせていただきました。よかったら、バックナンバーを探して読んでみてくださいね!

さて、最後に残った「ものづくりサポート」なんですが、具体的にどんなことを考えているのか、やろうとしているのか、まとめてみたいと思います。MAKERS LINKでは、これまでも、ものづくりについての相談事などに無料でお応えするような事業をやってきました。実際、いくつかの案件は、アイデアから商品化までいった事例もあります。

ただ、無料の範囲内では「こんなアイデアがあるんだけど、どうやって作ったらいいの?」というような方に、その道のプロをご紹介する、というくらいのところが限界なんですね。コミュニティには、1,200人を超えるメンバーがいて、それぞれが何かしら、ものづくりに関わりを持っているのですが、これを有効に繋げているかというと、少し、物足りないなという気がしています。

いまのところ、フェイスブックグループでのやり取りが中心なので、もっときちんとした仕組みを作って、本格的なものづくり支援ができるようになったらって思いが強くありました。

もちろん、ものづくりを事業として成り立たせるためには「資金」の話を抜きにはできません。お金がかからないコミュニティとして続けてきたMAKERS LINKが、このハードルを越えるべきかどうか、すごく悩んでのですが、いや、ほんとに考えて考えて、考え抜いて、結論を出しました。

MAKERS Bank構想

それが、MAKERS Bank構想なんです。(今までも、ちょいちょい話しているので、あ、あれね!て人もいるかも)

もう少し、具体的な言葉にすると、ものづくりの世界に映画の制作委員会方式を持ち込むってことになります。例えを映画ににすると分かりやすいんです。新しい映画を作る企画があったとします。映画製作には相当なお金と技術が必要になります。なので、言い出しっぺの熱意だけでは実現できないわけで、制作委員会なるものを組織します。映画製作会社、配給会社などのほか、テレビ局や商品販売の会社などがそのメンバーになります。

公開された映画がヒット作となれば、テレビ局は放映権を持てますし、グッズ販売やそのほかのタイアップの事業などでも大きな利益が出る可能性があるので、その利権を確保するために直接、映画に関係していないような会社も、そこに加わってくるわけです。ただし、映画は必ずしもヒットするとは限らず、失敗に終わることもあります。そのときに、制作会社だけでリスクを背負っていたらたいへんです。制作委員会方式なら、最悪、痛み分けで済むので、思い切って、いい映画を作るぞ!ってことに集中できます。

ものづくりにこの方式を持ち込むと…。

すごくいい製品アイデアを思いついたAさん。さっそく、ものづくりコミュニティ・MAKERS LINKに投げかけます。MAKERS LINKはプロデューサーとして、製造、販売、広報などを担当する企業を選定します。各企業は出資をすることで、この製品がヒットしたときに確実に利益を確保できるように利権を確保します。集まった資金を管理するのが、MAKERS Bankです。

いままで、新製品開発のアイデアが出てきたときに、資金の出所があいまいなケースが多くて、トラブルになったり、せっかくの案件が立ち消えになったり。世に出してみて、残念ながらあまり売れなかったというのなら、反省もできるし、場合によってはあきらめもつきますが、そこにまで到達できないのは悲しすぎますね。

製造業の立場で言えば、少なくともモノを作った対価はいただかなくては、生活が成り立ちません。売れなかったから、作った代金はお支払いできません、というのでは困ってしまいます。

なかなかうまく説明できないのですが、最低限、モノが出来上がる資金は確保して、作った人にはきちんと対価を払えて、宣伝や販売を仕事としてやった人も持ち出しはなく、世に打って出るところまでは、きちんとカタチにしたい。そのうえで、もちろんヒット商品になれば、みんな万歳ですが、残念ながら、失敗作に終わっても、出資したお金のその責任範囲で、それ以上のリスクは負わないような仕組みを作りたいんです。

そんなうまいこといくか!って声が聞こえてきそうですけど、MAKERS Bankが機能すれば…

そこで…、やっぱりこれだけのことをやろうとすると、実体のない任意団体では、無理だという結論に達しまして、すごく考えたんです。考え抜いて、よし!会社を作ろう!と。

4月13日、大安吉日、合同会社メイカーズリンク、設立の予定です!(あくまで予定です)

2018年のMAKERS LINKにご期待ください!

あ、最後にもうひとつ、お知らせしたいことが!MAKERS LINK Tシャツ、作ります!ロゴだけの超シンプルな、白Tシャツですが…


もし、欲しい人いたら、買ってください!
↓ここで(^-^;

https://cdq.shopselect.net/

商品企画の標準プロセス「商品企画七つ道具」

ものづくりドットコムの熊坂です。

2月1日に平成29年度の補正予算が国会で承認され、1000万円×1万件と言われるものづくり補助金交付が決定しましたね。補助金のために設備を買うのは本末転倒ですが、以前から導入したかったものの、資金不足で先延ばしにしていた設備やプロジェクトがあれば非常に良いチャンスです。

申請書の書き方によっても採択確率が変わってきますので、もし自社単独での申請に自信のない方はご相談ください。

さてものづくり革新のキーワードを毎回ひとつずつ紹介しており、今回は「商品企画7つ道具」を取り上げます。

生産から企画へ

戦後の高度成長期を支えたのは統計技術を使った品質管理でした。作れば売れた時代には、生産しながらデータを解析し不良を出さないことが重要だったのです。そこで重宝されたのがQC7つ道具(Q7)で、その後QCサークルで改善活動を進めるにあたって、数値ではない言語情報を整理する必要性が生まれ、考えられたのが新QC7つ道具(N7)でした。

さらに1990年バブルが崩壊してモノ余りの時代になり、高品質&低価格であってもモノが売れにくくなると、どう作るかではなく何を作るか、つまり商品企画の重要性が高まってきました。そんな背景から日科技連主導のプロジェクトで生まれたのが商品企画7つ道具(P7)なのです。

下図1は、1つのヒット商品を生まれるまでに、3,000個の初期アイデアが存在することを示しており、この絞り込みプロセスを効率的に進めることは極めて有益なことに思えます。7つ道具を使えば必ず大ヒットするほど世の中は甘くはありませんが、標準的なツールと手順を参考にすることで成功確率の向上が期待できます。 

図1.成功する新商品開発までの経緯

商品企画7つ道具

商品企画7つ道具の流れと関連を図2に示します。大きくは顧客、利用者の意識を調査し、コンセプトを発想、決定し、最終的に設計仕様としてまとめるというステップで進みます。

図2.商品企画7つ道具の関係性

以下各道具(ツール)を簡単に説明します。

(1)インタビュー調査

P7ではグループインタビューと評価グリッド法が使われます。前者は、テーマに関心の深いユーザーを5~8人程度一室に集め、司会者が気持ちを解きほぐしながら参席者同士の会話を弾ませる事で、案件に対する潜在的な意識と要求を掘り起こします。後者はインタビュアーとユーザーが1対1で面談し、商品サンプルを2つずつペアで提示して、好ましい方とその理由を尋ねることでやはり潜在ニーズを引き出す方法です。

(2)アンケート調査

ユーザーあるいはその候補者に対して予め設定された質問への回答を回収し、統計的な処理によって意識、要求の全体像を知る方法です。 実施形態は多種多様で、目的とする対象や期間、内容によって適切に使い分けます。

(3)ポジショニング分析

アンケートなどで判明した重要な要素を2項目選んで2次元空間を作成し、そこに競合他社や自社の製品、サービスを配置して、それらの兼ね合いで新製品の性格付けを決めます。

(4)アイデア発想法

商品コンセプトを実現するためにはアイデア発想が必要になります。世の中には実にたくさんの発想法があり、P7では「焦点発想法」や「アナロジー発想法」、「チェックリスト発想法」、「シーズ発想法」などを用います。

(5)アイデア選択法

前項で発案した多くのアイデアから、現実的な企画に適したものを絞り込む必要があり、P7では、「重み付け評価法」や「一対比較評価法」が使われます。

(6)コンジョイント分析

コンセプトが絞り込まれてきた時に、多くの組合せを試してみるのは非現実的なために、項目と水準を直交表に当てはめて一部の組合せを抜粋し、統計的にユーザーの反応を分析して、最終的な仕様組み合わせを決定してゆく方法です。

(7)品質表

ここまでに整理した顧客要求を顧客表現のままに整理し、別途整理した品質特性との関連性をマトリクスで明確にする事で、顧客要求の重要度を品質特性の重要度に転換して、顧客要求に応える機能、性能を設計することができる手法です。

日本発で商品企画のために発展してきた品質機能展開(QFD)のキーツールであり、また別項で詳細したいと思います。

商品企画7つ道具利用の実際

7つ道具の説明を見るとなんだか膨大で尻込みしてしまいますね。一遍に全部理解、実践しようとすると確かに手に余りますが、例えばQC7つ道具も毎回全部使わなければいけないわけではなく、必要に応じて効果的なツールを選んで使えば良いわけで、P7も同じです。

ニーズ探索がキモであれば、インタビューやアンケートに力を入れ、コンセプトが大事ならポジション分析をきっちり考え、最終的に品質表で整理すれば良いでしょう。何のツールもそうですが、使っているうちにだんだん習熟して、早くうまく使えるようになってくるものです。

字数の関係で各サブツールは概要しか説明していませんので、詳細は書籍やものづくりドットコムなどで学習してください。

どうでしょう、参考になりましたか?ものづくりドットコムでは、石川朋雄さんがこの分野の専門家です。不明の点や相談はQ&Aコーナーや問い合わせフォームで質問して、実践してください。