町工場プロダクツから踏み出す 町工場ブランド次の一歩

こんにちは。テクノポートの菊地です。2021年10月13日〜15日の3日間、東京ビックサイトで開催された『第92回東京インターナショナル・ギフトショー LIFE×DESIGN』に全国から集まった町工場26社が「町工場プロダクツ」として共同出展していたことはご存知でしょうか?町工場界隈のTwitterは、ギフトショー前から町工場プロダクツの話題で賑わっていました。

ギフトショーの出展を終え、今後の展開が気になる……ということで、町工場プロダクツ実行委員会委員長の眞鍋さんにお話を伺ってきました。

「町工場プロダクツ」とは

町工場プロダクツは、ものづくりコミュニティ「MAKERS LINK」から派生した新たな取り組み。オリジナル製品=プロダクツの開発/発表/販売を通じ町工場が元気になることを目的としています。

発起人はTwitter上で「おやっさん」としても知られている栗原稔さん(株式会社栗原精機 代表取締役社長 MAKERS LINK管理人)です。

実行委員長 眞鍋玲さん

デザイナー。REI DESIGN主宰。
今ギフトショー出展実行委員会委員長。栗原精機・栗原社長より町工場のギフトショー出展とりまとめを引き継ぎ2021年「町工場プロダクツ」を立ち上げる。町工場との協業で、もっと暮らしを楽しく豊かになることを目指し日々活動している。
https://www.reimanabedesign.com/

町工場プロダクツ ギフトショー出展を終えて

ー今回の町工場プロダクツはどれくらいの企業が参加していましたか?

26社ですね。募集をしたらすぐに手が上がった会社さんが20社くらいで、もう少しそのあと増えました。SNSで募集をしたらすぐに手が上がった会社さんが20社程度、コロナ禍もあり悩んだ末に出展を決めた方もおりそのあと徐々に増えていきました。
町工場プロダクツは共同出展なので、1社あたりの費用負担が少ないという出展のハードルの低さ特徴がです。単独出展の場合、法人しか申し込み出来ませんが共同出展では個人事業主も出展できます。一人親方でも町工場プロダクツでなら出展できます。

ー「町工場」の定義も曖昧というか人によって違いますよね。

「町工場」と謳っているのは、ギフトショーを主催しているビジネスガイド社の鈴木美朝さんが生み出した「町工場NOW」という企画エリアの名前からきています。グループ会社をもつような大きな会社の方も、一人親方も「町工場」として参加しています。今は、金属加工の会社さんが多いので若干メカメカしさ目立ちますが、実際は製本やペーパークラフトの会社さんも参加しています。今後も布、革など他の素材でも町工場であればと参加大歓迎と思っております。

ー初めての方も複数回出展したことのある方もいたと思いますが、自社製品を企画〜販売するのに皆がぶつかる壁ってありますか?

多いのが値つけ、価格設定ですね。今回出展する方には「売値を決めてきてください!」と口酸っぱく伝えました。展示会なので上代(売値)だけでなく下代(卸値)もバイヤーさんからは聞かれます。買取だったら〇〇%で、委託だったら〇〇%で、とハッキリ数値を言ってしまうやり方もあるとは思います。ですが私も町工場ブランドの商いに触れていく中で、意思を持って強気に攻めている町工場さんの存在も見かけます。一般的な相場にあわせるべきか下手に出るか強気に出るか、そこは腹の探り合いですよね。

物だけでなくて値段の見せ方も大事だよなと感じていたので、とりあえず売値だけは決めてもらうようにしました。とにかく大事なのは売値です。「いったいこれをいくらで市場にだすのか」を考えて、その値段を聞いたお客さんが「高い!」と思うのか「ちょうど良い」と思うのか、その感覚が一番大事と考えています。事前に相談があったところには率直に「高いと感じます。」と言うこともありました。もちろん手間はよくわかるので……気持ちはわかるのですが……。工法が譲れない場合は仕方ないこともありますし、もうちょっとここ変えたら価格抑えられませんか?みたいなプチアドバイスは言わせていただきました。
値段が決まってないと、出展しても商談ができなくてもったいないので。

ー全国から町工場が集まって、面白いこととかが起きましたか?

アトツギと呼ばれる若手経営者たちの動きには私自身も楽しませていただきました。忙しい合間を縫いつつSNSでじゃんじゃん拡散してくれました。彼らはとにかく早い。


愛知県から出展してくださった製缶メーカーの側島製罐さんは、意図せずギフトショーのタイミングでTwitterやニュースサイトでバズを起こしてしまい商談会会場でもSNSにヒーヒー言いながら楽しそうに商談会をこなしていました。こういうタイミングでチャンスを持ち込んでくるのは若手のパワーですね。

ギフトショーは展示会なので、BtoBではありますがtoCの商材なので今後リアル物販イベントなどを考えるとそう言った拡散力があるとオンライン/オフライン共に面白くなりそうだなと考えます。SNSで話題になっていれば、バイヤーさんの仕入れのきっかけにもなりますしOEMに派生する可能性が生まれます。つまりギフトショーの商談はB to B to Cですね。

ーやっぱり百貨店をはじめ小売店との商談が多いですか?

そうですね。でも中には新規の小売店を開拓したのが1割くらいで、開発案件が9割くらいの会社もありました。商品力がつき、コラボなどの実績がついてくると『この町工場とだったら開発がうまく進められそうだぞ』と見てくださる会社が明らかに増えてきますね。前はもっと、ぼんやりしたコラボというか「一緒に何かできたらいいですね〜」みたいな感じで時間が過ぎることが多かったと思います。今は「これ作れるならお願いしたい」みたいな感じで具体的な商談が多くて嬉しいですね。

ーそこが本願ですよね。

もちろん出展者さんによっては、百貨店さんや小売店に卸すことをメインに商談を進めているところもあります。百貨店側もSDGsなど時代性・ストーリ性のあるものを求めているので、商品開発の小回りが利く町工場ブランドは相性がいいですね。

ー町工場プロダクツをやって発見した町工場のあたらしい顔ってありましたか?

今回2度目の参加となった町工場さんの中には、商談中のふとした瞬間に職人の顔から商売人の顔になっていることに気がつきました。有限会社小沢製作所の小沢さんとかシマワの島口さんは、バイヤーさんとの話っぷりが前回に比べ明らかに流暢になっていました。もともと素質が十分にあったのですがその切り替り代わりに、委員長としては萌えましたね。若いから柔軟性があるのかもしれないですけど、スッと切り替えられて異業種に入っていけたり、わからないことをすぐ調べたりできるのは素晴らしいですよね。課題が見つかれば、解決に切り替えて進む姿が頼もしいなぁと感心しています。

中堅〜ベテラン層の出展社の方々は普段経営者として会社を切り盛りされている方がほとんどですがアウェーでも恐れず楽しもう、と自分を鼓舞して参加してくださっている姿が印象的でした。『いくつになってもチャレンジできる』マインドさえあれば何歳だって『初めての自社製品』にチャレンジし新しい世界に触れられるチャンスがあります。持病や足腰の痛みと戦いながら若手に負けじとなんとか頑張っておられました。

町工場プロダクツ 次の挑戦

ー町工場プロダクツとして、次のステップはもう考えていますか?

次は、せっかくBtoCの商材を作っているので、やっぱり直接お客さんに販売してほしいと考えています。催事やポップアップの引き合いをいくつかいただいており、2022年はリアルイベントを町工場プロダクツでやろうと計画しています。

ー身内とか知り合いじゃない、一般のお客さんの顔が見えてくると、新しいことが見えてきそうですよね。

もちろん大変なこととかもあると思いますけど、販売イベントをやると明らかに嬉しいことがいっぱい発生することが見えています。だって、目の前で自分たちの製品を気に入ってくれたお客さんと出会えて買ってもらう瞬間があるんですよ。すごく「認められたな」って感じられる瞬間です。それを直接体感するって、下請けの企業さんはなかなか経験したことがないので、やっぱりそれを体験してもらいたいです。多少のトラブルもあるかもしれないけど、それはそれで素直に受け止めて勉強してもらうことも大事です。小売店に卸したとき、実際に店頭ではそういうことをやってくれていることを知るのも、作る側として認識しておいたほうがいいと考えています。

ーそうですね。どうやって売られているのかとか、どこをお客さんが気にするのかって店頭じゃないと知れないこともあります。

自社ECを運営されている会社さんもいますが、実際に店頭に立って接客して販売するのとは全然違う空気です。あとは、厳しい経験もしてもらうことも大事かなとも考えます。まだまだ商品力が弱かったり、安定しなかったりするので、そこを体感してもらって、その課題に向き合ってもらいたいというのもあります。嬉しいことも、耳の痛いこともお客さんの生の反応を見て、聞いてほしいと考えています。

ーこれから益々大きくなっていくんですね、町工場プロダクツ。

大きく、というと、たくさんの町工場さんに参加してもらって嬉しい気持ちもありますけど、丁寧にこちらも関わっていきたいですし、育っていって欲しいので展示会なら今の体制なら今くらいの規模が精一杯です。メンバーは固定ではなく入れ替わり立ち替わりで挑戦してもらっても良いと考えています。実行委員会のメンバーも固定ではないです。その代わり、絶やさないことが大事だと思っています。

to C向けのリアルイベントでも、ギフトショーのような大規模展示会でもパッと盛り上がって終わっちゃったとならないようにするつもりです。TwitterやInstagramとかのアカウントを今回から立ち上げたのも、継続していく意思があったので作りました。特に物販イベントを開催したときに、店側からは集客力がと売り上げが求められるので、ちゃんと集客ができるように普段から発信し続けていきます。展示会は自分たちで発信をしなくても来場者がいるので賑わいはどうにか作れます。一方、催事や販売イベントは予算設定もあるので事前から宣伝やファンを大事にしながら実際に来てもらえるようにしていかないとですよね。なんだかひとつのお店みたいです。

私としては『町工場プロダクツ』の見せ方に関し、物産展の雰囲気を目指しました。物産展ってすごく人集まるじゃないですか。私も大好きです。今回のブースはスッキリ見せるというよりは、ガチャガチャっと賑わっている雰囲気が出るようにしたのですがそれを百貨店などの催事場にもそのまま持っていきたいです。物産展って、「寄ってらっしゃい!見てらっしゃい!」の堅くない感じと、その地域に思い入れのある人が集まる感じがいいですよね。自分や両親、友達の出身地とか、旅行に行った思い出があるとか。そういう場所とか地名の持つ力みたいなのって結構大きいと考えます。それを町工場に置き換えて「これ〇〇県で作っています〜」、「俺も〇〇県出身!」みたいに盛り上がれたら自分の町のアピールにもなりますしね。今後は、よりそういう「物産展感」を強めていきたいと思っています。楽しみにしていてください。

町工場プロダクツ 出展者一覧

今回、各社が掲げた出展テーマと共にご紹介します。(順不同)

町工場 × 愉しむメタル
株式会社栗原精機(埼玉)

町工場 × 缶
側島製罐株式会社(愛知)

町工場 × アウトドア
八王子工材株式会社(東京)

町工場 × スピーカー
株式会社シマワ(東京)

町工場 × アウトドア
有限会社小沢製作所(東京)

町工場 × 茶筒
ハタノ製作所(東京)

町工場 × 昆虫ワールド
有限会社大竹製作所(埼玉)

町工場 × 贈りもの
株式会社三共(埼玉)

町工場 × アート
株式会社積誠庵(静岡)

町工場 × ワクワク♪
株式会社パーツ精工(埼玉)

町工場 × アウトドア
有限会社泉和鉄工所(大阪)

町工場 × Hobby
有限会社山脇バネ製作所(滋賀)

町工場 × ふたりキャンプ
株式会社松長鐵工(宮崎)

町工場 × レーザー
株式会社レーザックス(愛知)

町工場 × かやり
有限会社宮本工業(埼玉)

町工場 × 文具
株式会社藤沢製本(滋賀)

町工場 × コロナ対策
有限会社大高製作所(神奈川)

町工場 × ドリッパー
株式会社エムエスパートナーズ(神奈川)

町工場 × デザイン
Pit-A-Pat(東京)

町工場 × ペーパークラフト
W2SSTUDIO(埼玉)

町工場 × アウトドア
株式会社小沢製作所(東京)

町工場 × ケズリダシ雑貨
斉藤製作所(茨城)

町工場 × デザイン
ECBB株式会社(東京)

町工場 × 自空感
株式会社TEKNIA(愛知)

町工場 × 鉄のロジー
郡山テックブートキャンプ2021
福島県郡山市産業創出課

町工場 × デザイン彫刻
植木製作所(東京)

まとめ

各社さんのことが知りたい、今後が気になるという方は、町工場プロダクツのTwitterアカウントからまずはチェックしてみてください。
@machikoba_pro
コロナ禍を経て、オンラインの繋がりが強まったこともあり、さまざまな取り組みが行われるようになりました。地域や昔からの繋がりから、ぐっと手を伸ばせる相手が広がったと言い換えられるかもしれません。これからの町工場プロダクツをはじめとした、町工場の活躍が楽しみです。

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トラブルを未然に防ぎたい! 記事外注あるある3選

テクノポートの菊地です。コンテンツマーケティングに取り組む企業が増える中で、ライターさんに記事を外注したものの思ったように進まない、うまくいかないという話をよく耳にします。この記事では、よくある3つの失敗と、予防策をご紹介します。

記事を外注してうまくいかないときのあるある3選

ライターと会社の板挟み

まず一つ目は、ライターの意見と社内の要望が異なってしまい、窓口となる担当者が板挟みになって疲弊してしまうケースです。特に記事作成後の修正時に発生します。特につらいと聞くのは、会社の意向とライターのポリシーがぶつかって、記事が校了しないまたはライターに修正してもらえないパターンです。

例えば、取材やヒアリングをして執筆する記事の場合、話し手が取材慣れしていないことでフランクに話しすぎてしまった部分をそのまま記事化し、ライターからは「お話しされてたことですよね」と言われ、会社からは「どうしてお金を払って書いてもらっているのに要望を聞いてもらえないのか」と言われる場合などがあります。

【対策】

  • 自社のチェック体制・フローを事前にライターに伝えておく
  • 取材の場合などは、取材が終わったタイミングで記事化NGな言動などをメモなどで良いのでライターに渡しておく
  • ライターのSNSなどを確認して日頃の言動や性格を下調べしてから依頼する

思ったような記事ができない

2つ目はなんだか思っていたものと違う…というぼんやりした失敗です。このケースは、大きく2つに分かれます。

1つは、具体的なイメージを共有できていないケースです。記事を受け取った担当者が思う場合は、担当者の方が忙しく、具体的なイメージを持てないまま「ライターにお任せすれば大丈夫だろう」と軽い気持ちで丸投げしている時によく起こります。上司から言われるときは、「コンテンツとかよくわからないから任せる!なんかあったら言ってくれ!」と丸投げされてしまっていたり、相談をしても「よくわからないからいい感じにやって」と放任されていたりする時です。

2つ目は、修正のフローで社内の色々な人が思い思いに修正指示を出した結果、記事そのものが明後日の方向にいくケースです。ライターと担当者の間で合意が取れていても、確認をしたりや決裁権をもつ社内の人物が企画の意図を理解せず細部にこだわる時に起こりがちです。極端な例ですが、高校生の関心を掴むためのコンテンツを作っていたはずが、専門誌に掲載する難しい話になるなどです。

【対策】

  • 他社や他業界のものでよいのでイメージ(文体や雰囲気など)に近いコンテンツのアウトプットを2〜3点ピックアップし、ライター・社内ともに共有しましょう。
    日頃からいいなと思うコンテンツをメモしておく、またWebメディアなどを見るようにするのもおすすめです。
  • 「なんでもいい」「お任せする」は禁止
    企業が予算を確保して行うのになんでもよいということはありえないので、「これがいい」または「こういうのは嫌だ・違う」からでもよいので一つずつ書き出して整理してみましょう。複数のコンテンツからどっちが良いかと考える方法もあります。
  • 社内でイエスマンにならない
    主旨に沿わない意見まで拾い上げない。必要な修正かどうかの線引きをしましょう。そのために、企画の趣旨や読者を明確にして、企画の段階で決裁や根回しをしておくのも安牌です。企画書を添えて説明をしてから修正を依頼できるとベストです。

送られてきた原稿のクオリティが低い

ライターから送られてきた原稿がそのまま掲載できるクオリティではなかったということもしばしば耳にします。事前にその人が書いた記事を確認すれば防ぐことができると思いがちですが、掲載済みの記事は編集や校正の作業がされているため生の原稿そのままであることは稀です。また、自分が書いた文章のセルフチェックには限界があるので第三者がチェックするほうが確実かもしれません。プロのライター同士でも「正しい日本語」の認識が異なることも少なくありません。原稿の校正作業や、複数のライターに依頼する場合の記事ごとの文体の統一は手間と時間がかかります。

【対策】

  • 生の原稿をみせてもらう
    事前にその人が書いた記事を確認すれば防げそうだと思いがちですが、掲載済みの記事は編集や校正の作業がされているため生の原稿そのままであることは稀です。
  • ブログやSNSの文章を見る
    個人で運営しているブログやSNSであれば、第三者の手が加わっていることは少ないので素の文章をみることができます。
  • クラウドソーシングでそのライターの仕事の評価を確認する
    あまり厳しい評価をしていることは見かけませんが、リピートの依頼があるかどうかなどで判断ができます。
  • 校正や編集者を用意する

まとめ

1回目で誰もが100%満足する、そのまま入稿できるような記事が叶うことはほとんどないと思います。要望や求めているポイントをすり合わせながら、一緒に記事を作っていく意識も必要です。事前に依頼したい内容や企画、フローが整理できていると回避できることはたくさんあるのでこちらの記事も参考にして、まずは自分たちの企画や体制を整理してみてください。

また、クラウドソーシングのプラットフォームやSNSは、ライターについての情報収集にも活用できます。ライターとして活躍ていきたい方もいれば、副業として月○円稼ぎたいという目的の一つでライターをしている方、自分の名前を出して有名になりたい方、裏方でいたい方などさまざまです。

コンテンツの依頼でうまくいかなかったことがある方は、次の依頼をする際に余裕があればライターに「こういうことがあって、大変だったんですよね」という話をしてみたり、相手に「困った案件のエピソード」を聞いてみるのもおすすめです。お互いにされたら嫌なことがわかります。

記事を外注する際の参考になれば幸いです。

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ライターを探す?会社に頼む? 記事制作を依頼するなら

テクノポートの菊地です。SEOコンテンツや社員インタビュー、顧客事例などを作りたいときに「社内では作れない」「あるいは質の良い記事が欲しいので外注したい」ということがあるかと思います。依頼前に考えておきたい「依頼内容」についてはこちらで紹介しています。どんな流れで記事制作をするかわからない、漠然としている方は先に依頼内容を整理するのがおすすめです。

今回は技術ライティングサービスを提供するなかで、伺ったあるいは感じた困りごとを、所感も交えながら記事制作の依頼先の選び方、注意点などをご紹介します。

会社に頼むか 個人に頼むか

依頼内容を整理すると、発注するときに必要な条件、つまり外注先に求めたいポイントが見えてくるでしょう。また、連絡のつく時間帯や稼働時間帯、打ち合わせの可否なども検討材料になります。例えば、平日の夜間帯と土日しか対応ができない相手に依頼する場合は、執務時間外に対応をするか、メールやチャット1往復するのに1日かかることを考慮する必要が出てきます。企業によっては、業務委託をする場合の条件(設立して何年以上や法人でないとダメ、手続きに必要な時間など)があるケースも少なくありません。事前に社内で確認しておくと安心です。

簡単に条件別に表にまとめたので、参考にしつつ読み進めてください。

費用 記事本数 品質 納期 執筆以外の業務
制作会社 記事費用+α 10本超も可 安定している
個人 記事費用のみ 個人差あり 個人差あり

出版社や編集プロダクション、制作会社に依頼する


「なにもわからない!」「手一杯でこれ以上業務が増やせない!」「丸投げしたい!」

こんな方には、出版社や編集プロダクションなどにまず依頼するのがおすすめです。マーケティングの企画立案や、SEOキーワードの選定、記事内容の提案なども対応できる企業が大半です。また、チームで対応することが多いため毎月10本、20本とボリュームがある場合も断られてしまうことは少ないでしょう。費用面では、初期費用や月額費用がかかることが多く、定額+記事本数に応じた費用で予算を抑える必要があります。会社ごとに得意な分野があるので、記事に求める効果や専門性などにあった会社を選ぶのがポイントです。

私が記事制作のご相談を受ける際には、依頼内容に加えて困っていることやそれまでに記事作成をしている場合は過去の失敗談、トラブルなども伺うようにしています。これはお客様の社内体制や施策に対しての理解度などを知る手がかりになり、スケジュール組みなどの参考にもなるからです。

いくつかの会社に相談をして、費用面でも提案の内容でも合う会社を見つけて発注するのが安心だといえます。

こんな場合におすすめ

  • よくわからないけど記事を作らなければいけなくなってしまった
  • 毎月複数本の記事を中長期的に継続して作りたい
  • できるだけ社内の工数を減らしたい
  • 企画・戦略の立案から相談したい
  • 編集や校正・校閲が必要
  • 記事内容の専門性が高い

個人に依頼する

個人のライターに依頼する場合は、クラウドソーシングのプラットフォームで探すかSNSや検索エンジンで探す、あるいは紹介してもらうなどの方法があります。かなり泥臭い方法にはなりますが、Webメディアで「こういう記事を書いてほしい」という記事を探して、執筆者の名前があればその人のSNSなどから直接依頼する方法もあります。

クラウドソーシングで探す

圧倒的に価格が抑えられるのが特徴です。予算に合わせて簡単に探すことができます。記事の本数が多い場合や専門性が高いテーマの場合は、依頼したい内容によって複数人探す必要がありますが、1本だけ単発で、または必要なタイミングで都度依頼できます。

SNSやインターネットで探す・募集する

執筆実績や文章などが確認しやすいのが特徴です。大手メディアで執筆しているようなライターの方は、編集プロダクション経由でないと受けていない場合や、多忙でスケジュールが合わないケースも少なくありません。

同じ価格でも成果物の品質がバラバラなので、初めて取り組むような場合は誰に頼んだら良いかの判断が難しい可能性があります。また、編集者が社内にいる場合や別途手配する場合を除いて「納品された記事の修正や確認などで思っていた以上に手間がかかった」という体験談も少なくありません。執筆実績や掲載実績などを確認する際に、納品先での修正や編集があったかなどを聞いてみる、または納品時点での原稿を見せてもらうのも一つの手段です。

こんな場合におすすめ

  • 社内にコンテンツ制作の経験者やノウハウがあり担当者のリソースに余裕がある
  • とにかく単価を抑えたい
  • 単発で依頼したい
  • 特定の人に頼みたい

まとめ

制作会社も個人のライターさんも様々なので、一概に会社に頼めば安心とも、クラウドソーシングはリスキーとも言えないのが正直なところです。名の知れた企業でも納期がルーズだったという話を聞くこともありますし、弊社で以前からお願いしている信頼できるクラウドソーシングのライターさんもいらっしゃいます。条件面で合う・合わないもあれば、文章の好き嫌いや相性などもあるので、求めている成果物のイメージが共有できるかというのも成否のポイントになるでしょう。

特に初めのうちは丁寧な打ち合わせ、擦り合わせを厭わないことが良質な記事へ繋がるのではないでしょうか。

記事作成を外注したい、依頼前に考えたい8つのこと

テクノポートの菊地です。Webを活用した営業・販促販促活動は、2020年から続く新型コロナウイルス感染症の影響もあり、ますます需要が高まっています。弊社でも「メールマガジンを配信したいから文章を書いてほしい」「オウンドメディアの記事作成を外注したい」「社員インタビューを作成したい」など、記事作成のご相談が増えてきています。

文章を書くこととコンテンツ作りは同じだと思うかもしれませんが、実は異なります。

記事作成の外注先を探す前に、まず必要な工程をできる限り細かく考えてみましょう。文章を書く=執筆以外にも考えるべきことはたくさんあります。

依頼前に整理したい8つのこと

なにかを依頼するとき、「業務を具体的にすること」がスムーズに進める秘訣です。夕飯を作ることが調理だけでないように、「記事を書いてほしい」と考えた場合でも、必要なのは「執筆」だけではありません。お客様の体制などによっても異なりますが、弊社では下記のフローをベースに発注内容を整理しています。

①目的・戦略

その記事を作成する目的はなんでしょうか?そもそもどうして記事が必要なのでしょうか?ブランディングやマーケティング、認知向上など曖昧な目的ではなく、ターゲットや主旨をできるだけ明確にしましょう。目的が曖昧だと、企画や記事の方向性を決めることができません。最悪の場合、記事を作成した後に「なんだか違う気がする……」とやり直しが発生することもあります。

マーケティング施策の一つとして、オウンドメディアやメールマガジンの運用などをすることもあると思いますが、カスタマージャーニーマップなどを活用するのもおすすめです。

②企画

企画は大きく、施策全体の企画と記事単位の企画の2つに分かれます。また、企画のためにSEO調査やリサーチなどが必要になる場合もあります。記事単位の企画は、特に具体的に立案すると、外注時の擦り合わせがスムーズになります。例えば「製造業のマーケティングに興味のある人」をターゲットとした場合、初心者から上級者まで含むことができ、さらに製造業に勤めるマーケティング担当の人、兼任の人など、様々な人が考えられます。

この人たち全員の知識と関心に合わせた1本の記事を作るのは、なかなか難しいのではないでしょうか。「マーケティング会社に入社したばかりの人」や「製造業に勤めていて、マーケティングを兼任している営業担当者」のようにターゲットを絞っていくと、ユーザの悩みに沿った記事を企画しやすくなります。

あえて簡単にまとめると、「誰に」「何のために」「何を」伝えたいかです。また、記事の文字数、見出し、リードの有無なども大体でも良いので決めておきましょう。見積もりの金額を明確にするためです。

③構成

構成は記事の概要や方向性、タイトル、見出し、本文概要がわかるものです。依頼者と外注先の意思の擦り合わせをしたり、社内で方向性を決める場合に作成したりすると便利です。手間はかかりますが、記事が出来上がってからのやり直しや大幅な変更のリスクを防いでくれます。自分でブログを書く場合などは別ですが、依頼する・される場合で予算が確保できるのであれば、作成をおすすめしています。

④画像

記事内の写真やイラスト・図はどうしますか?何枚くらい必要ですか?インタビューなどで写真撮影が必要な場合は、誰が撮るのかも考えておきましょう。フリー素材や社内にある画像を使う場合も、画像の選定や取得の作業が必要です。外注する場合は、画像の縦横比率やデータの大きさなども明確にしておくと納品がスムーズになります。フリーの画像サイズが大きくて、納品後にすべてサイズを編集しなければいけないということも避けられます。

⑤執筆

どんな文章のイメージをしていますか?文章と一口に言っても様々です。トンマナ(トーン&マナー)やレギュレーションは決まっているでしょうか?なにも決まっていない状態から記事を作るのは大変なので、こんな雰囲気の記事です、と共有するのがおすすめです。ただ「です・ます調」か「だ・である調」か、だけで依頼することもできますが、見本の記事を見つけておくと、複数のライターさんに外注する場合にも文章の雰囲気のブレが防げます。Webメディアからピックアップしておくと共有する際に便利です。

またタイトルの作成も依頼する場合は、掲載先の表示文字数を確認しておきましょう。PCとスマートフォンで表示できる文字数が違うこともあるので、ユーザに見せるべきキーワードが必ず表示されるようにするためです。
「わかりやすく簡単に解説!・・・」とタイトルが見切れてしまうともったいないですよね。

⑥校正・校閲

文章のチェックは誰が行いますか?クラウドソーシングなどでライターに執筆を依頼をした後に多い悩みが、「誤字脱字などのチェックが面倒くさい」「そのまま掲載できない」というものです。出版社や新聞社などの場合は、書く人と校正する人がそれぞれいます。新聞社では、書く人=記者はスピード重視で、「てにをは」は校正者が修正するので、そこまで注意しないこともあるようです。

ツールなどを使ってもセルフチェックには限界があるので、執筆者以外の確認は原則必要だと考えた方が良いでしょう。また、専門性の求められる記事の場合は、そもそも間違っていないかの確認(校閲作業)も必要になります。

⑦予算

記事作成を考えるときには1本いくら、と予算を考えるケースが大半です。しかし、企画や編集などが必要な場合は、初期費用や企画費やサービス利用料などが別途かかることがあります。依頼したい業務が多いほど、当然費用がかかります。また、取材や打ち合わせを対面で行う場合は、交通費も発生することが多いので考慮しましょう。

⑧スケジュール

仮でも良いので、記事の公開までのスケジュールを作成して伝えましょう。記事作成に至るまで、打ち合わせや調査、取材などの日程もおさえる必要があります。「○日に取材をして記事を書いてください」だけでは、納期がわかりません。また、社内での確認に時間がかかってしまうと、スケジュール通りにいかなくなることも考えられます。

まとめ

「記事作成」と考えたときにおさえておくポイントは意外と多く、自社で行うこととライターに依頼することの線引きは曖昧です。

だからこそ、依頼したい内容を整理しておくと発注後がスムーズになります。「ここまでやってくれるだろう」と一方的に期待し確認せずに依頼をすると、中断になったり追加で費用が発生したりということも少なくありません。弊社では、技術系企業のコンテンツマーケティングを戦略の企画・立案から記事作成、作図・校正までワンストップで支援しています。

製造業SNS担当者のための5分でわかるSNSの仕組み

テクノポートの菊地です。

お客様との接点を増やすために、TwitterやInstagramなどのSNSを使用して情報発信する企業が年々増えています。2020年から続く新型コロナウイルス感染症に関連する社会情勢の変化もあり、個人・企業を問わず、今まで以上にインターネット上で情報を探す需要は高まってきました。

また外出自粛や在宅勤務の推奨など、人と集まることが難しくなったため、コミュニケーションやコミュニティを求める人の増加も考えられます。

この記事では、SNSを始めた、あるいは担当者に指名されてしまった方向けに、SNSマーケティングをおこなうなら知っておきたい仕組みやSNSならではの特徴を紹介します。

「そもそもSNSとは?」を知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

SNSマーケティングの変遷

SNSに限らず、Webマーケティングにも言えることですが、発信する情報がどんな経路で伝わるのか、アルゴリズム(=仕組み)を知っておくと効果的な運用に繋がります。

プライベートで使用するだけであれば、仕組みを知らなくても純粋に楽しむことができますし、正解もありません。しかし、会社の取り組みとして使う際はほとんどの場合、なんらかの目的を達成するための手段としてSNSを使います。

まず、SNSマーケティングの変遷について説明します。

従来のSNSマーケティング

かつてのSNSは若い人の使用が多かったため、企業はSNSを「ターゲティングメディア」として使用していました。企業が自社のSNSアカウントを運用し、情報発信をおこなっても、まっすぐにユーザーに情報が届くようになっていたのです。お金を払って広告を出さなくても、伝えたい情報をそのまま発信できました。

しかしSNSを利用する企業が増えてくると、友人や知人、好きな著名人などの投稿に企業の宣伝がどんどん混ざるようになりました。すると、企業アカウントのフォローがされなくなったり、投稿の閲覧がされなくなったり、企業の宣伝目的の投稿はアルゴリズム上「好まれないコンテンツ」になってしまったのです。

現在・今後のSNSマーケティング

SNSは、Instagramなら画像やハッシュタグ、Twitterならリアルタイムに近いコメントのやりとりなど、それぞれに特徴があります。しかし、共通している点もあります。今、多くのユーザーが共通して重視しているのは「誰が発信したか」です。

Webサイトに掲載する情報は、多くの場合、ユーザーがキーワードで検索してたどり着くため「どんな情報があるか」、情報そのものが重視されるので、この違いを抑えることは重要です。したがって、昨今のSNSマーケティングでは、「人」を媒介してエンドユーザーに情報を届けるのがベーシックな方法だと言えるでしょう。各SNSの特徴と利用しているユーザのコミュニケーションに沿った情報流通を企画すると、効果的なSNSマーケティングが可能になります。

特にここ10年で大きな変化があったのがFacebookです。Facebookは本名での登録が推奨されていて、他のSNSと比べてもプライベートにもっとも近い使い方がされていることが特徴です。また、経営者やフリーランスの方や40代以上のユーザーも多いため、Facebook上に企業アカウントをもっている中小企業やBtoBの会社もたくさんあります。

5年前には、企業アカウントでブログ更新を投稿して「いいね」が100件、200件つくことは珍しくありませんでした。しかし現在のFacebookのアルゴリズムでは、企業アカウントでの発信はほぼユーザーに届かなくなっています。

これは日頃のコメントやリアクション、共有など複数の要素から自分のタイムライン(Facebookでは「ニュースフィード」)に表示されるコンテンツが判断されるようになったからです。毎回コメントやいいねなどをしている場合は別ですが、企業アカウントの投稿はそもそも表示すらされなくなってしまっています。

反面、個々のユーザーの情報が得られているため、広告の精度は非常に高いです。セミナーの集客などでの広告出稿であれば、Facebookがおすすめです。

SNSでの情報の伝わり方

SNSでは、電車の中吊り広告や街頭のポスター、テレビのように不特定多数に情報が伝わることはほぼありません。自分自身や繋がっている人たちが興味のある話題がタイムラインの話題になります。SNSで発信された情報は、クラスタと呼ばれる興味関心の近い集団ごとに拡散が起こります。ある人がいろいろな趣味をもつように、一人の人が所属するクラスタは複数あります。

より多くの人に情報を届けたい場合は、同じネタでもさまざまな切り口で発信する必要があります。

製造業関係者のアカウント実態

製造業関係のアカウントは大きく分けると3パターンに分かれている印象です。

①企業アカウント(bot系、中の人系)

例:テクノポート株式会社


さらに企業アカウントは大まかに2タイプの運用がされています。

  • 情報発信のみのアカウント
  • 他のアカウントとのコミュニケーションや、お知らせ以外の雑談的な投稿もおこなうアカウント

複数人で運用する場合や、会社としてのイメージ作りをしたい、今後担当者が変わる可能性が高いときは、会社の公式アカウントが良いでしょう。弱点としては、人間味を感じさせにくいことや、会社の色を損なわないよう注意が必要なことが挙げられます。特に、会社として与えたいイメージがハッキリしているほど、バランス感覚が求められます。

②本名(または個人がある程度特定できる名前)で企業の人としてのアカウント(フリーランス含む)

例:菊地@テクノポート|PR|技術系Webマーケ

製造業の方だと、代表や後継者の方のアカウントが該当するケースが多いようです。誰であるかがハッキリわかるので、メッセージのやり取りなどもしやすくなります。また個人として使えるので、仕事関連のクラスタ以外にも混ざりやすいでしょう。

ただこの場合、所属を明らかにしているので過激な投稿は控えたほうが賢明です。また、自社のアカウントへの反応やリツイートをするだけだと、「やらされている感」が滲み出てしまうので、楽しみながら使える人が向いているのではないでしょうか。

③プライベート用として匿名で使う人

例:炊飯器ほしい@米好き

元々の知り合いなどを除けば、どこの誰か特定されないので一番自由に使えます。仕事で使うというよりは、ほぼプライベート用です。なかには、会社や知人にバレたくない、副業用という方も見かけます。

企業でSNSを担当する場合の多くは①に該当するかと思います。さらに、社外によく知られている社員がいる場合や、複数人である程度時間をさいて運用できる場合は、②のアカウントも併用すると情報拡散の効果が促進されるでしょう。

まとめ

製造業やBtoBの企業が、SNSを始めてすぐに売り上げをたてることは難しいと思います。いざ、なにか加工を依頼したいというときがきたら、「○○さんがいたな」と思い出して声をかけてもらえるように自社を知ってもらい、「いつか依頼したい」と関係性を深めることが得意なのがSNSです。実際に、TwitterやInstagram経由で受注があったという話も見聞きするようになりました。逆に関係を深めるまで待てない、今すぐ発注してくれるお客さんを集めるのであれば、Webサイトに力を入れたほうが効果的です。

突然、担当に指命されてしまった方は、「誰に、どうなってもらうためのSNS運用なのか」をまず社内で話し合うことをおすすめします。目的が決まると、どのSNSを使うか・どんな使い方をするかが決めていきやすくなるからです。

弊社も4月からSNS運用を改めて始めました。特徴や目的、また業務にかけられるコストを考えた結果、Twitterをメインで使っています

とはいえ、知識だけではもちろんうまくいかず、試行錯誤の真っ最中です。SNS担当の方でもし聞いてみたいこと、困っていることなどがあれば、DMお待ちしています。

製造業SNS担当者のための5分でわかるSNSの仕組み

テクノポートの菊地です。

お客様との接点を増やすために、TwitterやInstagramなどのSNSを使用して情報発信する企業が年々増えています。2020年から続く新型コロナウイルス感染症に関連する社会情勢の変化もあり、個人・企業を問わず、今まで以上にインターネット上で情報を探す需要は高まってきました。

また外出自粛や在宅勤務の推奨など、人と集まることが難しくなったため、コミュニケーションやコミュニティを求める人の増加も考えられます。

この記事では、SNSを始めた、あるいは担当者に指名されてしまった方向けに、SNSマーケティングをおこなうなら知っておきたい仕組みやSNSならではの特徴を紹介します。

「そもそもSNSとは?」を知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

SNSマーケティングの変遷

SNSに限らず、Webマーケティングにも言えることですが、発信する情報がどんな経路で伝わるのか、アルゴリズム(=仕組み)を知っておくと効果的な運用に繋がります。

プライベートで使用するだけであれば、仕組みを知らなくても純粋に楽しむことができますし、正解もありません。しかし、会社の取り組みとして使う際はほとんどの場合、なんらかの目的を達成するための手段としてSNSを使います。

まず、SNSマーケティングの変遷について説明します。

従来のSNSマーケティング

かつてのSNSは若い人の使用が多かったため、企業はSNSを「ターゲティングメディア」として使用していました。企業が自社のSNSアカウントを運用し、情報発信をおこなっても、まっすぐにユーザーに情報が届くようになっていたのです。お金を払って広告を出さなくても、伝えたい情報をそのまま発信できました。

しかしSNSを利用する企業が増えてくると、友人や知人、好きな著名人などの投稿に企業の宣伝がどんどん混ざるようになりました。すると、企業アカウントのフォローがされなくなったり、投稿の閲覧がされなくなったり、企業の宣伝目的の投稿はアルゴリズム上「好まれないコンテンツ」になってしまったのです。

現在・今後のSNSマーケティング

SNSは、Instagramなら画像やハッシュタグ、Twitterならリアルタイムに近いコメントのやりとりなど、それぞれに特徴があります。しかし、共通している点もあります。今、多くのユーザーが共通して重視しているのは「誰が発信したか」です。

Webサイトに掲載する情報は、多くの場合、ユーザーがキーワードで検索してたどり着くため「どんな情報があるか」、情報そのものが重視されるので、この違いを抑えることは重要です。したがって、昨今のSNSマーケティングでは、「人」を媒介してエンドユーザーに情報を届けるのがベーシックな方法だと言えるでしょう。各SNSの特徴と利用しているユーザのコミュニケーションに沿った情報流通を企画すると、効果的なSNSマーケティングが可能になります。

特にここ10年で大きな変化があったのがFacebookです。Facebookは本名での登録が推奨されていて、他のSNSと比べてもプライベートにもっとも近い使い方がされていることが特徴です。また、経営者やフリーランスの方や40代以上のユーザーも多いため、Facebook上に企業アカウントをもっている中小企業やBtoBの会社もたくさんあります。

5年前には、企業アカウントでブログ更新を投稿して「いいね」が100件、200件つくことは珍しくありませんでした。しかし現在のFacebookのアルゴリズムでは、企業アカウントでの発信はほぼユーザーに届かなくなっています。

これは日頃のコメントやリアクション、共有など複数の要素から自分のタイムライン(Facebookでは「ニュースフィード」)に表示されるコンテンツが判断されるようになったからです。毎回コメントやいいねなどをしている場合は別ですが、企業アカウントの投稿はそもそも表示すらされなくなってしまっています。

反面、個々のユーザーの情報が得られているため、広告の精度は非常に高いです。セミナーの集客などでの広告出稿であれば、Facebookがおすすめです。

SNSでの情報の伝わり方

SNSでは、電車の中吊り広告や街頭のポスター、テレビのように不特定多数に情報が伝わることはほぼありません。自分自身や繋がっている人たちが興味のある話題がタイムラインの話題になります。SNSで発信された情報は、クラスタと呼ばれる興味関心の近い集団ごとに拡散が起こります。ある人がいろいろな趣味をもつように、一人の人が所属するクラスタは複数あります。

より多くの人に情報を届けたい場合は、同じネタでもさまざまな切り口で発信する必要があります。

製造業関係者のアカウント実態

製造業関係のアカウントは大きく分けると3パターンに分かれている印象です。

①企業アカウント(bot系、中の人系)

例:テクノポート株式会社


さらに企業アカウントは大まかに2タイプの運用がされています。

  • 情報発信のみのアカウント
  • 他のアカウントとのコミュニケーションや、お知らせ以外の雑談的な投稿もおこなうアカウント

複数人で運用する場合や、会社としてのイメージ作りをしたい、今後担当者が変わる可能性が高いときは、会社の公式アカウントが良いでしょう。弱点としては、人間味を感じさせにくいことや、会社の色を損なわないよう注意が必要なことが挙げられます。特に、会社として与えたいイメージがハッキリしているほど、バランス感覚が求められます。

②本名(または個人がある程度特定できる名前)で企業の人としてのアカウント(フリーランス含む)

例:菊地@テクノポート|PR|技術系Webマーケ

製造業の方だと、代表や後継者の方のアカウントが該当するケースが多いようです。誰であるかがハッキリわかるので、メッセージのやり取りなどもしやすくなります。また個人として使えるので、仕事関連のクラスタ以外にも混ざりやすいでしょう。

ただこの場合、所属を明らかにしているので過激な投稿は控えたほうが賢明です。また、自社のアカウントへの反応やリツイートをするだけだと、「やらされている感」が滲み出てしまうので、楽しみながら使える人が向いているのではないでしょうか。

③プライベート用として匿名で使う人

例:炊飯器ほしい@米好き

元々の知り合いなどを除けば、どこの誰か特定されないので一番自由に使えます。仕事で使うというよりは、ほぼプライベート用です。なかには、会社や知人にバレたくない、副業用という方も見かけます。

企業でSNSを担当する場合の多くは①に該当するかと思います。さらに、社外によく知られている社員がいる場合や、複数人である程度時間をさいて運用できる場合は、②のアカウントも併用すると情報拡散の効果が促進されるでしょう。

まとめ

製造業やBtoBの企業が、SNSを始めてすぐに売り上げをたてることは難しいと思います。いざ、なにか加工を依頼したいというときがきたら、「○○さんがいたな」と思い出して声をかけてもらえるように自社を知ってもらい、「いつか依頼したい」と関係性を深めることが得意なのがSNSです。実際に、TwitterやInstagram経由で受注があったという話も見聞きするようになりました。逆に関係を深めるまで待てない、今すぐ発注してくれるお客さんを集めるのであれば、Webサイトに力を入れたほうが効果的です。

突然、担当に指命されてしまった方は、「誰に、どうなってもらうためのSNS運用なのか」をまず社内で話し合うことをおすすめします。目的が決まると、どのSNSを使うか・どんな使い方をするかが決めていきやすくなるからです。

弊社も4月からSNS運用を改めて始めました。特徴や目的、また業務にかけられるコストを考えた結果、Twitterをメインで使っています

とはいえ、知識だけではもちろんうまくいかず、試行錯誤の真っ最中です。SNS担当の方でもし聞いてみたいこと、困っていることなどがあれば、DMお待ちしています。

ネタがないなんて嘘。プレスリリースのネタ作りとは

テクノポートの菊地です。プレスリリースの書き方や媒体研究の方法をご紹介してきましたが、いざプレスリリースを書いてみよう!と思っても「ネタがない」という壁にぶつかってしまうという話をしばしば耳にします。

プレスリリースのネタがない

果たして本当にネタはないのでしょうか?

広報関係者やメディアの方とお客様の話をすると「それ面白い取り組みですね!」「そういう情報、メディアは探してますよ」と興味を持っていただくことも少なくありません。ネタがない、というよりも自社内の情報と世の中の関心を結びつけて捉えられていないために、情報の価値に気がついていないという印象があります。

自社の持つ情報をそのまま捉えるのではなく、社会にどう関連するのか、何を可能にするのかといった視点をもって社会的な価値を見出していきましょう。今回は社会の関心と自社情報のネタの繋げ方をご紹介します。

2020年秋、社会の関心とは

媒体研究についての記事でも書いたとおり、メディアが求めている情報は世の中の関心につながる情報です。世の中の関心を知るには媒体研究が必要なのですが…それではイタチごっこになってしまうので、「2020年秋の社会の関心」として今年だからこその時流のネタと毎年恒例の季節ネタに分けて説明します。

時流のネタ

今年の話題が何かといえば、ほとんどの方がまず「新型コロナウイルス感染症」を挙げるのではないでしょうか。プレスリリースの一斉配信サービス「PRTIMES」の2020年10月のプレスリリースキーワードランキングでも、1位が「コロナ」、9位が「新型コロナウイルス」です。


テレビや新聞でも、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のための

  • 製品(マスクやフェイスシールド、消毒液など)
  • 取り組み(テレワークの導入、オンラインでの営業活動の強化)

などが3月頃から連日報道されていることからも社会の関心の高さがうかがえるのではないでしょうか。

4位の「テレワーク」、5位の「オンライン」、7位の「DX」も新型コロナウイルス感染症に付随して関心の高まっているキーワードです。

季節ネタ


また、毎年恒例の季節のイベントや祝日に合わせた打ち出し方も「旬」を感じさせることができます。いつかそのうちではなく、今報道する必要を季節に関連づけることで考えてもらうことが可能になります。

  • 10月
    スポーツの日(旧体育の日)
    ハロウィン
  • 11月
    文化の日
    勤労感謝の日
  • 〇〇の秋
    スポーツの秋
    芸術の秋
    紅葉の秋

季節に関係するネタは、前年の同時期の媒体を見ると報道の傾向が掴みやすいのでおすすめです。報道されている媒体と、どんなプレスリリースが配信されていたかを照らし合わせて見てください。

中小製造業にもおすすめのプレスリリースネタ

自社製品の発表

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、下請けがメインだった加工業でも自社ブランド・製品の開発、販売が進みました。Webサイトの新着情報やSNSでの発信に加えて、ぜひプレスリリースでも情報発信をしてみてください。どんな背景があって企画されたのか、他の商品と比べてどんな良さや違いがあるのか、開発エピソードなどに前述した社会の関心や季節性を絡めて作成することで、「商品の宣伝」ではなく「社会課題や世の中の需要に対しての自社なりの提案」という形での発表になります。

山本製作所有限会社 マスクスタンド

コロナウイルス感染予防のため生活必需品になったと言っても過言ではないマスク。山本製作所は外出先で飲食などで外した時に置き場に困ってしまうという悩みを解消する、マスクスタンドを自社製品として開発しました。

プレスリリース

毎日新聞

オンライン活用


コロナ禍で非接触・非対面が推奨されるようになり、訪問営業ができないことでもどかしさを感じた方も多いのではないでしょうか。DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が叫ばれるようになって久しいですが、今までになく急速に取り組みが進んだのが今年の特徴です。

反面、業界や業種によるIT化やデジタル化の格差がやっと表面化してきたとも言われています。コミュニケーションの手段を取っても、FAXが主流の企業や業界もあれば、メール、電話、チャットツールなどさまざまです。IT化の実情やなぜ導入が進まないのかは、メディアからも非常に関心の高いテーマです。

最新のツールを導入したなど大手企業のようなネタでなくても、コロナ禍を契機としたDXの第一歩として

  • Webサイトの制作やリニューアル
  • デジタルツールの導入

などに着手した中小製造業は多いのではないでしょうか。実施に至った背景や、今後の展望を含めることで「コロナに立ち向かう町工場」といった印象を抱かれるようになります。また、実施後の変化を数字で説明できるように記録をしておくと、メディアから問い合わせがあったときの情報として非常に有効です。

イベント・企画の開催、参加

イベントやセミナーを開催するときや、参加するときもプレスリリースを配信するのに適しています。特に、地域のメディアなどを呼びやすいのがイベント系です。

  • 展示会(オンライン含む)への出展
  • 工場見学の実施
  • 地域イベントへの参加
  • 企画への参加、協業

などが挙げられます。

弊社の事例ですが、一般社団法人スマートニッチ応援団との協業・サプライチェーンチャレンジへの参画についてプレスリリースを配信したところ、取材には至らなかったもののメディアからの問い合わせを頂いたり、別の企画のお誘いを頂いたりと反響を感じました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000055603.html

広報活動は広告・宣伝ではないので、自社の情報をダイレクトに届けることは難しいです。メディアの報道を通して情報発信をするためには、情報に社会的な価値や意義を付随させることが欠かせません。
どうしてこの企業や取り組みが報道されているのかという視点をもって、日々の新聞やニュースを見てみると広報視点が育まれます。季節や社会の関心を意識しながら、自社の情報や報道に目を向けていただけたら幸いです。

「ものづくり企業のメディア露出を叶えるには?製造業系Webメディアとの付き合い方」セミナーレポート

テクノポートの菊地です。先日、弊社技術ライティング事業主催「元MONOist編集者が語る!製造業Webメディアとの付き合い方」オンラインセミナーが開催されました。

当日の受講者は技術ライティングサロンの会員(ライター)が多かったのですが、企業の広報担当者にとっても為になる内容でしたので、「企業のメディア露出・取材を叶えるポイント」に絞ってセミナーレポートをお送りします。

元MONOist編集者が語る!製造業Webメディアとの付き合い方

講師紹介

Facet 小林由美様

【経歴】

町工場でのトレースや設計補助、メーカーでの設計製造現場での実務を経験した後、アイティメディア株式会社に入社。「MONOist」の立上げから参画し、月間100万PV以上の業界最大手サイトに成長させるべく尽力した。MONOistの編集記者として約12年間、技術解説記事の企画や執筆の他、広告企画および制作、イベント企画など、幅広く携わる。2019年には3D設計コンサル企業の株式会社プロノハーツにジョインし、広報・マーケティング担当として従事する傍らで、製造業に特化したライティング事業を展開する。2020年独立。

【主な執筆歴】

  • アイティメディア「MONOist」「TechFactory」「キーマンズネット」
  • 日経BP「日経ものづくり」「日経クロステック」
  • メイテック「fabcross」
  • 金森産業「PlaBase」「Chematels」※編集部運営支援

セミナー内容

  • 製造業系Webメディア紹介(特徴別に解説)
  • Webメディアのビジネスの課題
  • 編集の現場が置かれている状況(一般メディアとオウンドメディア)
  • 記事を企画し、公開されるまでのおおよその流れ

【取材をしてもらいたい企業向け】

  • メディアに取材をしてもらうためには?
  • こういうことはしてはいけない

【ライター向け】

  • 外部寄稿者に求められるスキルや資質
  • メディアとのコンタクト(営業)のしかた

製造業系Webメディアとは

工業系、製造業系の記事を取り扱っている大手(月間300万PV〜1000万PV程度の規模)Webメディアを運営元別にご紹介します。

新聞・出版社系メディア

日経クロステック(日経BP)

特徴:有料会員限定の記事が多い。ニュースが多く、旬な企業や最新の技術などを取り上げることが多い

ニュースイッチ(日刊工業新聞)

特徴:20〜40代がターゲット。工業系の業界ニュースを幅広く扱っている。読みやすさを意識して短めの記事が多い

広告系メディア

マイナビニュース(マイナビ)

特徴:ニュース系の記事が中心で時々解説記事。IT、半導体、エレクトロニクス系の記事が多い。

Web専業メディア

MONOist(ITmedia)

特徴:長編の読み物が多い。技術解析や取材記事も充実している。工程と業界でジャンルを作って記事分類している。

EE Times Japan(ITmedia)、EDN Japan(IT media)

特徴:技術的難易度が高め

この他にも、出版系企業以外が運営しているWebメディア(オウンドメディア)などが数多く存在します。各メディアのPV数や読者層はメディアガイド(媒体資料)に掲載されているので、気になるメディアについては「媒体名 メディアガイド」で検索をして調べてみましょう。

企業のメディア露出・取材を叶えるには

企業の広報担当なら誰しもが知りたいメディア露出や取材の獲得について、編集の現場にいた小林さんから、様々な方法が紹介されました。

記者・編集者が求めている情報作り

メディアの記者や編集者は、読者のために記事を作っています。なので、読者が興味を持ちそう、必要だと思ってもらえそうな製品やサービスなどの情報を求めています。製造業系WebメディアはBtoCではなくBtoBを中心としたメディアであるため、派手であることや有名であること、大規模であることなどは取り立てて求められないのだそうです。例えば、

  • 読者の関心を強く引きそうな自社の取り組み(開発体制、人材育成、今であればリモートワークやDXに関する取り組みなど)
  • トークイベントやワークショップのようなイベントの開催

またニュース性の高いメディアであれば、新しいことや未公開であることも取材されやすくなるポイントになります。

プレスリリースでの発表

過去のモノカクの記事でもプレスリリースについて紹介していますが、小林さんもプレスリリースによる情報配信をお勧めしています。また、プレスリリースの作成というとPR会社などに依頼をするイメージもあるようですが、自分たちで用意してもまったく問題ないと小林さんは話していました。有名企業のプレス向けページに掲載されているプレスリリースを参考にしてぜひ書いてみてください。

送り先は、過去の名刺などで記者個人の連絡先などがわかれば一番良いのですが、特定の担当者などがわからない場合はサイトに掲載されている「お問い合わせ」や「プレスリリース送付先」などのフォームまたはメールアドレスでも十分だそうです。特に大手メディアや編集部が機能しているメディアほど公開している窓口からの情報は必ずチェックをしているとのことでした。

発表会の開催

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、発表会はオンラインでの開催がおすすめされました。オンラインの場合は、会場費用もかからず拘束時間も30分程度などで済むため、企業側の負担も少ないため中小規模の製造業でも実施しやすく、拘束時間の短さや移動の必要がないことから記者の参加もしやすいと言われています。発表会を開き、記者を呼ぶことができれば、プレスリリースの配信だけの場合よりも記事化や掲載の可能性が格段と高くなります。

招待方法は2つ。

  1. 自社でSNSを行っている場合は、まず発表会の案内を投稿する。
  2. PR手帳記載の連絡先に連絡するか、各メディアの「情報提供」のメールやフォームからご案内を出す。

展示会での取材

小林さんは、「展示会に出展した時は、記事にしてもらえる&編集記者と知り合いになれるチャンス!取材してもらいやすい環境を積極的に作ろう」と話していました。取材しやすい環境づくりについて、展示会前の事前準備と当日の体制に分けて紹介します。記者、メディア関係者かどうかは「報道」の腕章で判断することができます。

事前準備

自社出展情報をSNS告知、メディアに対しても連絡をします。また展示品は記事に写真が掲載されてもよいものをなるべく用意し、ちょっと目立つ展示物やパネル置いてアイキャッチにします。

当日

突然訪れた記者に対して、しっかり質疑応答できる営業や広報の担当者、代表などを必ずブースに待機させましょう。離席する際も連絡がすぐ取れるようにして、チャンスが来たときにしっかりと対応をします。また、ブースの一歩前に出て取材しやすい空気を作ることも大切です。

せっかくの機会も、準備不足やコミュニケーションの悪さで逃してしまうケースも少なくないようです。広報担当者だけでなく、経営陣や営業担当者などとも取り組むと効果が得られやすいのではないでしょうか。

継続的なコンタクト

最後に心構えとして、記事化に至らなくても継続的なコンタクトの継続が広報活動の成果に繋がるので、腐らずにコツコツとメディアへの情報発信とコンタクトを繰り返すことが肝心です、と小林さん。1回の取材で記事にならなくても、名刺を入手することができれば継続的にコンタクトをとることが可能になります。

一部分ではありますが、今回は「元MONOist編集者が語る!製造業Webメディアとの付き合い方オンラインセミナー」について企業広報の視点からご紹介をしました。技術ライティング事業では今後も、企業のコンテンツ制作に役立つ知識・技術や、製造業の経験のある方のライターとしてのスキルアップ支援に関する内容を中心にオンラインセミナーを多数開催する予定です。当事業やセミナー開催については、Webページ並びにご登録いただければメールマガジンにて、随時お知らせ致します。

ご質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。

メディア露出を実現するには?媒体研究を徹底せよ

テクノポートの菊地です。前回プレスリリースの書き方や配信についてお伝えしました。今回はメディアに自社を取り上げてもらうために欠かせない媒体研究についてです。媒体研究は、大手企業の広報担当者やPR会社の人であれば毎日2時間かけることも珍しくないと言われるほど、広報活動において重要な業務と言われています。新聞や自社に関係のある各種媒体に目を通し、自社に関連する報道や競合他社の報道をクリッピングします。

なぜそこまで時間をかけて行うのかというと、様々な媒体に目を通すことで「世の中の関心・動向」を知り、各媒体や担当者を掘り下げることで「媒体や担当者の関心、特色」を理解することができるからです。この2点を理解することが、報道価値の高い情報づくりの基本となります。とはいえ、実際はそんなに日々時間を割くことができないという方もいらっしゃると思いますので、ターゲットを絞って行う方法をご紹介します。

媒体研究の考え方

自社の情報を伝えたいユーザーがどんなメディアをチェックしているのかを踏まえて、そのメディアに掲載してもらうために、どこ(担当部署・コーナー)の誰(担当者・記者)にアプローチをかければ良いのかを調査します。例えば、ユーザーが経営者であれば、経済やビジネス系、業界に長けたメディアを狙います。toCの自社製品としてアクセサリーを制作したので販売していきたい、という目的であれば、女性誌やファッション誌を狙う場合も考えられます。その上で、選定したメディアのどのコーナーが提供したい情報とマッチしているかを考え、連絡する相手を特定します。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」の「トレたま」が良いのか、「朝日新聞」の「魂の中小企業」が良いのか、具体的に考えることが必要です。

媒体研究の方法

①目的を決める

情報を発信することで、どんな効果を生み出したいのか目的を明確にします。

②ターゲットを考える

①で考えた目的を達成するために、誰にその情報を伝えるべきかを検討します。toBのサービスや製品であれば、経営者なのか、営業担当者なのか、購買担当者なのか、まで具体的に考えましょう。toCであれば、性別や年代だけでなく嗜好やライフスタイル、収入なども考慮していきます。

③媒体を選定する

②のターゲットが情報源としているであろう媒体をピックアップします。
身近にターゲット層がいる場合は、ヒアリングをするのも良いと思います。各媒体のWebサイトに掲載されている特徴やターゲットを参考にすることもできますが大変なので、Web検索やまとめてあるサイトの活用がおすすめです。

国立国会図書館リサーチナビ https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/post-656.php

雑誌広告ドットコム https://www.zasshi-ad.com/

④過去の記事・放送を調べ尽くす

【新聞・雑誌・Webメディア】

過去の記事を読み、提供したい情報に関連する記事やコーナーを探し署名記事で担当者の名前をチェックします。新聞であれば短くても3ヶ月、可能であれば1年分調べると記者の関心などが見えてきます。雑誌の場合は、週刊誌やビジネス誌などであれば数週間、業界誌やファッション誌などは2、3年ほど遡り、季節や時期による傾向なども調べるのが良いと言われています。図書館などで探すこともできますが記事検索ツールを使用すると費用はかかりますが、所要時間が短く済みます。

日経テレコン:https://telecom.nikkei.co.jp/

【テレビ】

テレビ番組の場合は、日頃から視聴をして傾向が掴めていることも多いかもしれません。番組内のコーナーや制作スタッフは番組のWebサイトやWikipediaで調べられる要素も多くあります。検索ツールでは、放送内容がテキストで確認することができます。

テレビでた蔵:https://datazoo.jp/

大変なのはこれから

担当者やコーナーが分かれば、電話をかけて情報提供がしたい旨を伝えたり、郵送で資料を送ったりすることができるようになります。営業で例えるとテレアポができるようになった状態です。営業先のことを知らずに提案するよりも、特徴や業界の動向を踏まえた提案が響くのと同様に、掲載したい媒体についてはしっかりと研究をしてアプローチをすることが欠かせません。メディア露出を狙う場合は、媒体研究をして臨みましょう。

「製造業・エンジニアのための技術ライティングセミナー」開催レポート

テクノポートの菊地です。2020年4月28日に、「技術ライティング事業」のライター陣による「製造業・エンジニアのための技術ライティングセミナー」を開催しました。

技術ライティングを導入したいという企業の方から、技術ライターとして活躍していきたいという個人の方まで、本当にたくさんのご参加を賜りました。日程が合わず…という方もいらしたので、今回は簡単にはなりますが、セミナーレポートをお送りします。

技術ライティング事業紹介

技術ライティング事業とは、製造業の現場経験や工業に関しての知見を持つライターによる技術系企業のためのコンテンツ制作サービスです。過去のモノカクの記事でも紹介されていますので、こちらもご参照ください。

発注者向けの専門的な内容から、学生向けの採用コンテンツまで、用途とターゲットに応じて正しくわかりやすく書きあげられるのが、技術系ライターの強みです。テクノポートがもつ製造業におけるデジタルマーケティングのノウハウと掛け合わせることで、マーケティング戦略からコンテンツ制作まで一気通貫での支援が可能となりました。

講師紹介

馬場吉成

機械設計技術者と特許技術者を合計で16年経験。東京都在住。ライター歴約10年。製造業向け記事、テクノロジー全般を執筆。工業、製造業、最新のテクノロジーについて、元エンジニアで製造の現場を直接知るライターとして、正しい知識と情報で、専門の方から一般の人まで分かりやすく執筆することが得意。

メディア執筆実績:fabcross for エンジニア、リコー 3Dプリンタージャーナル、デイリーポータルZ、他

石川玲子

工学部機械工学科を卒業後、自動車業界や家電業界で機構設計系のエンジニアとして勤務。第二子出産を機にフリーライターとして独立し、工業系に特化したライターとして活動中。

執筆実績:リコー(展示会出展記事)、協和電装(採用ページ)、ミスミグループ、他

書籍執筆実績:図解 ヤバすぎるほど面白い物理の話(宝島社)

第1部 技術ライティングとは

第1部は馬場さんによる「技術ライティング」の説明と必要性についてです。「技術ライティングで製造業を盛り上げます」という熱い想いのもと、国内の(特に中小規模の)製造業が、いかに自社のアピールができていないか、どうしてアピールをする必要があるのか、製造業のアピールの難しさなどについて馬場さんの経験も踏まえて説明がありました。

技術ライティングは、感動を生むような文章ではなく、技術者や就職活動中の学生といったそのコンテンツの読み手のレベルに合わせて専門的な文章を書く技術です。そのためには、基本的な工業的な知識や技術への理解が不可欠です。世に数多くいるライターでは対応ができないからこそ、「技術系ライター」の需要は高まっています。

セミナーに参加できなかった方は、こちらで馬場さんの熱い想いを語っていますので、ご一読頂けたらと思います。

第2部 製造業エンジニアのためのライティング講座

続いて第2部。石川さんによる具体的なライティングのノウハウについてです。講座の内容は大きく分けると、文章を書く上で必要な「目線」「準備」「ルール」の3点です。

文章を書く上で必要な「目線」

文章は「目の前にいない」「知らない人」に「理解してもらう」ためのものだと、石川さんは話し始めます。つまり、「察してもらうことが前提」であったり、「仲間内だけに通じる言い回し」であったり、「意味がない言葉」は文章として通用しないということです。

《例》

  • 情報を省略して表記する
    「港区のショールーム」→「東京都港区〇〇にあるショールーム」
  • 仲間内だけに通じる言い回し
    「リャンテ」→「両面テープ」
  • 意味がない言葉
    「地域と未来に貢献する」→「利益のうち〇%を地元で青少年の育成を行う団体に寄付する」

書き手である自分がわかることは当たり前ですが、「他者目線」をもって書くことが必要です。

文章を書く上で必要な「準備」

「文章を書くのは料理に似ている」と準備の話が始まります。

《文章を書く》ー《料理をする》

  • 対象を確認する:家族4人に
  • 何を書くか決める:カレーを作る
  • 材料をそろえる:カレーの食材を揃える
  • 作業を行う(文章を書く):調理する
  • 提供する(公開するためにチェックを行う):異物の混入がないかを確認し、皿に盛る

特に技術ライティングの場合は、「誰」がターゲットになるのかを抑えることが重要です。同じテーマ(材料)であってもターゲットによって事業や技術に対しての理解度が大きく異なり、理解してもらうための書き方が変わってくるからです。また、何を書くかを明確にして絞ることも準備に欠かせません。あれもこれもと一つの記事に詰め込むんでしまうと、話題が広がりすぎてしまい、伝えたいことが曖昧になってしまいます。

そして、書く内容を決めたら、必要な材料(情報)を揃えます。この準備ができて、やっと「書く」というステップへ進むことができます。

文章を書く上で必要な「ルール」

3分割

文章を書くときの構成やつくりには、様々なものがありますが今回は「3分割」という考え方が紹介されました。

《例》

文章を書くことが苦手な人に多いのが「解釈」だけを取り上げてしまうケースなのだそうです。

これでは、そもそも何の話なのか、だからどうなのか、など話の前後が見えず伝えたいことがわかりません。書き手の意見である「解釈」が突然現れている為です。では、この解釈に至った「事実」と、解釈を受けての「行動(判断)」はなんだったのでしょうか。

3点が揃うことで伝えたいことが、理路整然となり、わかりやすく書き表すことができるようになります。

文章を整える基礎

  1. 短く言い切る(一文を長くせず「。」で区切る)
  2. 語尾をそろえる(「だ、である」または「です、ます」)
  3. 主語は文章のはじめに出す
  4. 修飾語と被修飾語はくっつける
  5. 同じ単語を連用しない
  6. 箇条書きや表も活用し、シンプルに表現する

小学校の時に習ったような覚えがある6つのポイント。この6つを満たすだけでもかなり読みやすく、読み違いの少ない文章になるのではないでしょうか。

各種法令・モラル

公に出す文章なので、各種法令に抵触しないことや社会性をもつことも欠かせません。

《例》

  • 薬事法(NG例:医薬品ではないのに「血圧が下がる」)
  • 景品表示法(NG例:通常価格なのに「特価」)
  • 特定商取引法(NG例:ステルスマーケティング)
  • 著作権法(NG例:コピペ、写真流用、他社ロゴの使用)
  • 雇用機会均等法(NG例:18歳~25歳の男性募集)

法に触れていなくても、差別的な表現やモラル・社会性に欠ける表現は、炎上リスクや企業イメージの低下に繋がります。読み手の主観による部分もありますが、世の中の価値観は急速に変化し、多様化しているので細心の注意を払うとともにアンテナを高く張っていく必要があります。

もっと詳しく知りたいという方は、石川さんの記事をお読みいただけたらと思います。

簡単にはなりますが、2020年4月28日に開催した「製造業・エンジニアのための技術ライティングセミナー」についてご紹介をしました。ありがたいことにご好評を頂けたので、今後も内容を変えつつ、継続してセミナーを開催する予定です。当事業やセミナー開催については、Webページ並びにご登録(ライター希望の方はこちら)いただければメールマガジンにて、随時お知らせ致します。

ご質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。