中小製造業が知っておきたい!ChatGPTの使い方と業務活用方法

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回は、中小製造業におけるChatGPTの活用方法をテーマに取り上げます。注目度の高いChatGPTですが、具体的にどんなことができるのか、企業においてどんな使い方があるのかを、具体例も交えてお話しします。

ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIが開発した人工知能(AI)チャットボットで、人との自然な対話が可能です。OpenAIはAI開発研究所で、2015年にサム・アルトマンとTeslaのCEOであるイーロン・マスクが共同設立しました。

ChatGPTは、Transformerと呼ばれる学習モデルを使用した深層強化学習型のAIで、生成系AIとも呼ばれます。人間がAIの回答を評価し、それを元にAIが強化学習を行います。囲碁で人間に勝ったAlphaGoも深層強化学習で有名です。

ChatGPTは、発表されてからわずか40日で1,000万人以上の使用者を獲得し、公開からわずか2か月(2023年2月2日)で月間活動ユーザー数(MAU)1億人を突破しました。これは、インターネットが登場して以来、最も急速に成長したMAUの増加率です。

ChatGPTでできること・できないこと

ChatGPTは、自然言語処理を行うAIで、多言語の文章生成や翻訳などさまざまなことができます。ただし、ChatGPTには得意な分野と苦手な分野があります。ここでは、ChatGPTでできることとできないことを整理しておきます。

できること

以下は、ChatGPTが得意とする分野です。

  • 文章生成と翻訳:ChatGPTは、多言語で文章を生成できます。また、機械翻訳のレベルではありますが、自然な表現で翻訳可能です。
  • 質問応答:ChatGPTは、ユーザーのフリーな質問に対して、対話形式で回答できます。自然言語処理により、より自然な質疑応答が可能です。
  • 文章要約:ChatGPTは、長い文章を要約できます。また、文法的な誤りを修正することや、表現を言い換えることもできます。
  • 校正:ChatGPTは、文章の文法的な誤りを修正できます。
  • 表現の言い換え:ChatGPTは、対象にあわせた言い換えを提供できます。例えば、小学生にもわかる言葉などに言い換えることができます。
  • テキスト分類:ChatGPTは、文章をカテゴリやトピックに分類できます。大量のテキストデータを扱う場合に役立ちます。
  • プログラミング:ChatGPTは、プログラムに関する質問に答えることができます。コードのアイデアや、デバッグのヒントを出すことが可能です。
  • アプリケーションとの統合:ChatGPTはAPIとして利用可能で、他のアプリケーションと組み合わせて使うことができます。 

できないこと

以下は、ChatGPTが苦手な分野です。

  • 経験や感情の理解:ChatGPTは表層的な情報しか処理できないため、人間の感情や経験に対する適切な返答を提供できません。
  • 専門知識:ChatGPTは汎用的な自然言語処理モデルであり、特定分野の高度な専門知識を持ちません。
  • 画像/音声処理:ChatGPTはテキストベースの自然言語処理モデルであり、画像や音声などの非テキストデータを処理することはできません。
  • クリエイティブ性:ChatGPTは自然言語生成を行うAIですが、創造性や感性的な判断は持ちません。
  • 正確性:ChatGPTは訓練データに基づく自然言語処理モデルであるため、回答を誤ることがあります。特にあまり有名でない事実に関しては、誤った情報が提供される可能性があります。
  • 完璧な翻訳:ChatGPTは多言語の文章生成や翻訳ができますが、完全に正確な翻訳を保証することはできません。

ChatGPTの使い方とコツ

ここでは、製造業の現場で担当者が使えるChatGPTの使い方をご紹介します。

製品開発

ChatGPTは製品のアイデア出しや整理を行う際、補助ツールとして活用できます。製品の設計や素材選定にも応用可能です。例えば、ChatGPTに製品の特徴や性能、使用目的を教えることで、より効率的な設計や素材選定を行えます。

マーケティング

ChatGPTは、自社の製品やサービスの広告宣伝活動にも役立ちます。例えば商品サービスの宣伝をしたい場合、宣伝の目的やゴールを伝えることで、宣伝方法や媒体に関するヒントを教えてくれます。

また、ブログ記事やSNSの投稿文、営業資料を生成可能です。SEO対策やアンケートの分析にも活用できます。

カスタマーサポート

自社製品やサービスに関するカスタマーサポートへの応用展開も可能です。チャットボットなどの自動応答で、お客様からの質問に対して回答できます。お客様向けのFAQのネタ出しにも使えます。

ChatGPTは定性データの整理・分類も得意なので、お客様の声の分析にも活用可能です。

生産管理/品質管理

ChatGPTは工場の生産データの解析にも使えます。製品の欠陥率や不良品の原因などをデータ分析し、生産プロセスの改善に役立てられます。生産データの解析にあたっては、センサーで得られた温度や振動データなど、工場内の情報をChatGPT側にインプットする必要があります。データ収集を効率化するために、収集データを自動取得するマクロを組むこともできます。なお、有償版のChatGPTであれば画像データも扱えます。

ChatGPTは文章の自動生成が可能なので、各種マニュアルや手順書などを作る際にも役立ちます。

使い方のコツ

このように、ChatGPTは製造業の各種業務をサポートする便利な機能が揃っていますが、使い方によってはあまり多くの示唆を得られないこともあり、うまく使いこなすにはコツが必要です。

具体的には、質問の仕方を工夫する必要があります。ChatGPTでは、抽象度の高い質問をした場合、回答も一般的なものしか得られません。より具体的な答えを引き出すには、質問の目的や対象、コンセプトなど、前提条件を詳しくインプットする必要があります。

また、ChatGPTから出てきた答えを受け、さらに質問を重ねることで期待する答えに近づけることが可能です。

なお、ChatGPTの回答は間違っていることもあるため、回答をそのまま使うことはおすすめできません。ユーザー自身が回答の正誤を判断できる知識が必要になります。

ChatGPTの活用例

ここでは、業務に応用できるChatGPT活用例を紹介します。実際に質問した内容の回答とChatGPTの回答をスクリーンショットで画像化していますので、ChatGPTを活用する際の参考にしていただければと思います。

【製品開発の活用例】製品開発の素材ネタ出し

製品開発の素材選定を行うにあたり、ChatGPTでそのアイデア出しを行うことができます。そこで、人気商品の開発事例として公開されていた「コクのあるマヨネーズ開発(*1)」のお題にもあった、調味料の素材について、ChatGPTに答えを求めたらどうなるかを試してみました。

*1:https://j-net21.smrj.go.jp/special/popularfoods/2014032601.html

実際の開発現場にどの程度役に立つかは判断が難しいですが、アイデアが浮かばなくて困っている場合の壁打ちとしては使えるのではないでしょうか。

【マーケティング活用例】SEO対策記事

これは、本記事の企画の参考として試しにChatGPTに質問してみたもので、「製造業をターゲットにしたChatGPTの記事のテーマと記事タイトルを書いてもらう」というものです。

ChatGPTに複数候補を挙げてもらい、そこから最適なものをChatGPTに選んでもらうという使い方をしています。また、なぜそれを選んだかの理由もChatGPTに回答してもらいました。

【カスタマーサポートの活用例】不具合対応のFAQネタ出し

不具合対応の想定問答として、マウスを例にChatGPTにネタ出ししてもらったものです。今回の例は簡易的な質問を投げているだけなので、実際にはもう少し情報をインプットして行う必要があります。

逆に、このレベルの質問だと、この程度しか答えが得られないことがわかるので、そのあたりも参考にしてください。

まとめ

今回は中小製造業においてChatGPTを活用する方法について、どのような使い方ができそうか、ChatGPTでできることをご紹介しました。製品の開発からマーケティング、品質管理に至るまで、応用範囲は広いようです。

ただし、具体的な示唆を得るためには、質問の仕方を工夫する必要があります。業務にChatGPTを活用する場合、目的や答えを引き出すために必要な事前情報を整理することが求められます。また、正しい答えが得られるとは限らないため、利用者は正誤を判断できる知識も必要です。

活用の仕方によっては、複数の質問を繰り返し、答えをブラッシュアップさせる必要がある場合もあります。また、内容によっては人間が行う方が効率的な部分もあるため、どの部分にChatGPTを活用し、どこに人間の手を加えるかを探っておくことをおすすめします。

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脱!御用聞 | 製造業の営業×ブランディング3つのステップ

  • 「受注をとりたくて、また値引きしてしまった…」
  • 「納期が厳しいが受けるしかない…」
  • 「今回は苦しいけれど、きっと次につながるはず…」

このような営業結果が続いている場合は、「技術」と「価値」が結びついていない伝え方をしているのが、原因かもしれません。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

企業が抱える3つの課題

①御用聞き・下請け体制を続けている

長年続く大口顧客との契約。非常にありがたいものですが、もし、売上高占有率(構成比率)が20%以上の販売先が1社でもあるようであれば早急な改善が必要です。気候変動や世界情勢による先行きの見えない時代で、ある日突然契約を打ち切られる可能性があります。このようなリスク回避のためにも、御用聞き・下請け体制から提案型の営業スタイルにシフトしていきましょう。

②商談が商品紹介で終わっている

やっと漕ぎ着けた商談でも、顧客に自社商品を魅力的に感じてもらわなければ意味がありません。しかし、商談で自社商品やサービスの紹介で終わっているケースがあります。「買って欲しい」というのはこちらの都合であり、顧客が価値を感じて購入決定するのとは別物です。商談で話している内容が商品紹介だけになっていないか、一度確認してみましょう。

③顧客の真のニーズに触れていない

顧客がほしいのは、「技術」そのものではなく「成果」です。
あくまでも「技術」は手段のひとつです。顧客の本当の目的は、高い技術自体でははく、自社の売上や効率アップだということを忘れてはいけません。 だからこそ、クライアントに本当に響くのは、ビジネスの成果につながる「成果」の提案です。単に製造を請け負う会社としてではなく、自社のブランドから顧客のビジネスを支援するという商談が、一歩進んだこれからの営業のあり方なのです。

営業×ブランディングで解決する3つのステップ

Step.01:既存顧客・休眠顧客へのアプローチ

新規顧客へのアプローチは、既存顧客・休眠顧客に対して5倍のコストがかかると言われています。コストというのは広告などの販促費だけでなく、時間などの人的コストなども含まれます。そこで、効果的なのが既存顧客・休眠顧客へのアプローチです。契約が途切れてしまった既存・休眠顧客に対して伝えていない情報はないでしょうか?まだ伝えていない自社の取り組みや新製品を持ってアポイントを取ることで、取引を再開するきっかけを作ります。

Step.02:事例の言語化・数値化

顧客にとって購入決定の材料となるのが、「事例」です。事例というのは過去に行ってきた案件の中で具体的に引き合いに出すことのできることです。ここでポイントなのが、「言語化」と「数値化」です。まず、技術系企業の場合、自社の技術を当たり前のものと捉えてしまい、端折ってしまいがちな工程もきちんと言語化する習慣をつけましょう。さらに工程において、数値化できるものは徹底的に数字に落とし込みます。そうすることで顧客は、事例からあなたの会社の商品やサービスの効果やメリットを理解しやすくなるのです。

Step.03:顧客のビフォー・アフター

購入決定への意欲をアップさせるために、もう一つできることがあります。それは、Step.02の事例の言語化・数値化と併せて、顧客のビフォー・アフターを伝えることです。顧客のそもそもの悩みは何であるか、またその悩みが解決された顧客はどうなったのか。あなたの会社の商品やサービスの効果やメリットと、顧客にもたらす変化を一連のストーリーとして伝えることができるで、顧客の期待感が増すのです。

裏取りされても慌てない ブランディングで対等な関係を構築する

最後になりますが、営業活動に出る前に、自社のブランドが整えておくこともポイントです。なぜなら営業活動ではアポイントが取れた直後に商談というケースは少ないものです。そのため、相手はアポイント獲得から商談までの間に、あなたの会社や事業の情報、お客様の声などの情報を事前に収集する、「裏取り」をしています。絶対に受注を取りたい商談の前でも、裏取りにも慌てないように日頃からブランディング施策を行うことで、営業活動も効果的に行うことができます。

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わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング

岩手缶詰株式会社と岩手県産株式会社によって製造されるオリジナルブランドの加工品「サヴァ缶」をご存知ですか?食感の良い鯖のオリーブ油づけが、目を惹くパッケージデザインで、わずか7ヶ月で10万缶売れた人気ブランドです。しかしこの人気のブランドというポジションは、技術力だけで勝負に出たのではなく、戦略的なブランドづくりの末に作り上げたものでした。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

技術力 ≠ ブランド力

「ものづくりは得意、でもブランドづくりは苦手」

これは多くの日本企業が共通して抱える悩み事です。質の高い商品やサービスを提供する「ものづくり」に対して自信や誇りを守る企業は多いですが、それを「価値」として広める「ブランドづくり」に対して苦手意識を持つ傾向があります。そのため、技術はあるのに思ったように売れない。という”誤解”が生まれてしまいます。

売れるブランドの正体とは?

ここで共有しておきたいのは技術があるから技術力と売れることは直結しないということです。

•良い商品・サービス ≠ 売れる
•高い技術力 ≠ 売れる

そもそもブランドとは、自社商品の目印に過ぎませんでした。しかし今では「このブランドの商品なら間違いない」という信頼の証として優れた品質やデザインの目印となっています。同じ材料・同じ品質で仕上がった製品でもブランドの信用度によって価格は2倍にも3倍にも変化します。

このように売れるブランドの正体は、顧客からの信頼です。重要なことは高い技術力を保持することではなく、その技術力を持って顧客にとっての価値ある商品・サービスを提供できることなのです。

わずか7ヶ月で10万缶  Ça va?缶(サヴァ缶)のブランド力

2013年の発売以来、1000万缶を製造する人気ブランドとなった Ça va?缶(サヴァ缶)。海外ブランドのような目を惹とパッケージと、「サバのオリーブ油漬け」という組み合わせが話題を呼び、発売以来多くのファンに支持されるブランドとなっています。しかしこのブランドの開発のきっかけは、東日本大震災で被災した漁業者らを支援するべく、漁獲量や単価が安定しているサバを缶詰にして全国に売り込むことでした。

そこで「鯖を水揚げし、缶詰に加工する技術」を、より多くの顧客に支持されるためのブランド開発がされました。

当時、水煮やみそ煮が一般的だった日本のサバの缶詰の市場に対して、オリーブ油漬けという構想に始まり、鯖の缶詰に馴染みがない消費者への確かなニーズを掴むべく、パッケージデザイン・価格や味付けなどを、消費者を対象にした大規模なインタビュー調査が実施されました。このような顧客にとっての価値を生み出す”ブランド視点”を丁寧に追求して言った結果、発売当時、鯖の缶詰の市場平均が200円前後だったのに対して、360円(税抜)という高めの価格設定も払拭し、発売以来人気ブランドとなっている。

企業価値を高める ブランドの持つシナジー(相乗)効果

ブランド力を高めることは、直近の売上拡大への効果と、中・長期的に顧客から信頼を寄せられて支持され続けるという、企業経営における「攻め」と「守り」にシナジー効果をもたらします。

もちろん、商品・サービスを提供するにあたって、技術力は必要です。ですがそれ以上に重要なことは顧客が支持したいと思う価値ある商品やサービスを創り出すことです。

「価値を創り、ブランド力を高め、技術力でファンにする」

ブランディングにおいて優れたデザインやSNSはあくまで価値を伝えるためのツールのひとつです。目まぐるしく変わるこれからの時代において、企業は規模に関わらず、顧客からの信頼を構築していくアクションが求められています。顧客が求める物事の本質を捉えるか否かが、今後の経営の分かれ道です。

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BtoB営業に効果のあるD2Cブランド 相乗効果が上がる”仕組み”とは?

DtoCブランドの立ち上げは、BtoB営業に効果が出てこそ初めて本当の真価を発揮します。今回はBtoBに効果のあるD2Cブランドの考え方についてお話ししていきます。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

2018年以降、「AIが人の仕事を奪う」という旨のセンセーショナルなメッセージが各業界に大きな波紋を呼んでいます。製造業もその業界の1つです。社員の生活を守るためにも、安定した売上を確保に向けて、各社で新しい設備の導入や、商社的機能の強化などを行なっています。他にもDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進める企業も多く目にするようになってきました。

そんな中で、各社の経営課題として議題に上がるのが、『新規顧客開拓』です。確かに新設備や商社的機能の充実は、取引先にとってのメリットであり、企業を選ぶ際の魅力の一つになります。しかし、上記のような事業改革は、費用の面や人材育成などの面で、企業に大きな負荷を与える可能性があります。しかし、従来の営業活動を続けていくだけでは、『新規顧客開拓』を達成までに時間がかかります。

そこで注目したいのが、「顧客が選択したくなる企業価値」とは何か?というポイントです。

これからの時代は、「何を」買うかではなく、「誰から」買うかが問われます。そのため企業は「なぜ我々から買うべきか」と言う明確なメッセージを提示する必要があり、企業が生き残る上での重要な経営課題とも言えるのです。

DtoC単体で稼ぐのではなく、BtoBとのシナジー効果

「顧客が選択したくなる企業価値」を発信する方法としてDtoCブランドの立ち上げという方法があります。なぜならBtoB向けの事業ではビジネスでは発注者・受注者という無言のパワーバランスが発生してしまいますが、DtoCブランドをリリースする上では、インターネットや独自の媒体を利用して、

  • 自社技術の美味しいところ
  • 商品をリリースするに至ったメッセージ

自社の魅力(企業価値)をストレートに、しかも2つ同時に表現することができるからです。

しかしDtoCブランド開発のご相談を受ける中で圧倒的に多いのが、「売れるためのブランティングはどうしたら良いのですか?」または「売れるようにSNSを頑張りたいのですが、どうしたら良いですか?」と言った”見た目”に関することです。良いDtoCブランド商品というのは、顧客の生活にデザイン性や直感的な楽しさを与えるエンターテイメントの側面だけではなく、その機能性を裏付けるBtoB事業で培ってきた”技術力”とのバランスが取れていることです。

DtoCブランドリリースによる社会的信用確立

また、DtoCブランドのリリースは、直近の企業のブランド力を上げるためのものだけではありません。近年、世界各国で掲げられた「SDGs (持続可能な開発目標)」や、環境保全や地球への環境負荷に配慮した「エシカル」というキーワードを目にする機会が多くなったと思います。そこで、私たちはオープンな情報環境において、DtoCブランドというものづくりを通して「新しい価値」をメッセージとして発信していくことができます。それらのメッセージは企業の社会的信用を確立することにもつながります。

「DtoC一般顧客×BtoBビジネス顧客」効果を掛け合わせて提供価値を構築する

しかし、全ての企業で「早速DtoCブランドを立ち上げましょう!」ということではありません。なぜなら、自社のBtoB事業に相乗家効果を与えるものでなくては意味がないからです。だからこそ、DtoCブランドの立ち上げは、リスクを減らした『スモールスタート』で始めましょう。決してプロモーション主体で行うのではなく、本来のBtoB事業やDtoCブランドの開発に関わる人たちが情熱を超えた物づくりに取り組むことによって、より大きな相乗効果を生むことにつながります。

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製造業のための失敗しないD2C入門。D2Cにも種類があるのを知っていますか?

D2Cブランドには大きく分けて2つの型があります。これから話す2つの型の違いは、「顧客が得たい体験」です。この2つの正体を把握しておくことで、D2Cブランド立ち上げの失敗を未然に防ぐことができます。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

D2Cブランドは立ち上げだけでなく運営にも、時間・お金・マンパワーがかかります。だからこそ自社のブランドを長く愛されるブランド育てるための戦略を、始める前に理解しておくことが重要です。

【使い切る】デイリーブランド型D2C

ここで話すデイリーブランドとは、食品や日用品などの使って消えるような、いわゆる「消耗品」を指します。このデイリーブランド型のD2Cビジネスは、商品が顧客の生活の一部となって一人ひとりに何度も購入されることで成立します。

そして、顧客がデイリーブランド型のブランドに求めることは「快適な日常」です。そのため、サブスクリプションしやすい商品設計・商品訴求が重要です。

【デイリーブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 買い続けられる価格設定
  2. 使い続けることで快適な生活を維持できる機能
  3. 買い続けることに面倒がない仕組み

【形が残る】スペシャリティブランド型D2C

ここで話すスペシャリティブランドとは、使用し続けても専門的な形や性能が残るものを指します。多くの製造業が挑戦しているのはこの型です。上記のデイリーブランドとは異なり、使い続けても無くならない性質があります。このカテゴリーでは機能性や耐久性に優れ、一般より高価格な商品が展開されています。

しかし機能性・耐久性に優れて長く使えるということは、言い換えるとなかなか買い換えないということでもあります。つまり、顧客が一度購入したら、次の商品の買い替えまで長く時間がかかるので、回転率が悪いため、ビジネスモデルとして考えたときに、一時的に大きな売り上げを上げられても、継続的な収益があげづらいことから、ブランド立ち上げに苦戦するケースが多いのです。顧客にとっても「特別な買い物をしたい」という願いがあります。そのため、スペシャリティな商品には、長く使ううちに“人に自慢したくなる仕掛け“が必要なのです。

【スペシャリティブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 高価格でも買いたくなるブランドの世界観
  2. 思わず人に話したくなるスペックやデザイン
  3. 顧客との中長期的コミュニケーション

製造業のためのD2Cビジネスブランディング

1人の顧客が連続して購入するデイリーブランド型のサブスクビジネスと異なり、スペシャリティブランド型は1人のコアなファンが次のコアファンを呼び寄せるブランディングが重要です。イメージしやすいのは、あなた自身しよしているお気に入りの品物にまつわる、出会いと現在に至るエピソードです。少し高いかな?と思いながらもワクワクしながら購入した時の気持ち。そして今も気に入って使い続けているシーン。また、その様子を見た友人が「それいいね。」と声をかけてくれたことなどです。

スペシャリティブランド型は、まるで波紋のようにコアな商品をコアなファンが愛用し、コアな仲間が集まってくる仕組みづくりによって、買い替え需要が少ないスペシャリティブランドでも、上記の図のように、常に顧客が途絶えない導線設計をすることが可能になるのです。

まとめ

デイリーブランド型は、継続して購入される価格設定と機能、私して継続して購入したくなる発信時期と内容が重要です。一方スペシャリティブランド型は、使い続けられるスペックとアフターフォローの仕組み、そして長く使い続けたくなる特別感・ブランドの世界観の発信を心がけることが欠かせません。自社商品が、どちらのタイプかを見極めて、顧客に愛される商品設計・商品訴求を考えましょう。

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【D2Cブランド】立ち上げに成功するための「ファンづくり戦略」とは

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

売上拡大、自社の認知度アップなど、さまざまな効果が期待できるD2Cブランドですが、良い商品を作れば必ず成功するわけではありません。D2Cブランドを成功させるために最も重要なことは、高性能なハイスペック機器でもなく、奇抜でおしゃれなデザインではないのです。それは「いかにファンを作るか」ということです。

今回の記事では売上拡大の大きな要因でありながら、中小企業が苦手分野と感じる「ファンづくり」について詳しく解説していきます。

D2Cのビジネスモデルとは

まずD2Cのビジネスモデルについておさらいしておきましょう。D2CとはDirect to Consumerの略で、メーカーが自社で企画・製造した商品を、小売店や代理店、またネットモールといった仲介業者を介さずに、自社ECサイトなどを通して消費者とダイレクトに取引する販売方法を指します。従来の仲介業者を介する場合に比べると、自社のブランディングやコスト削減、さらに継続的な顧客との関係構築などの効果が期待できるため、ここ数年で多くの企業が採用しているビジネスモデルです。

D2Cブランドで成功するためのファンづくり戦略


D2Cブランドでは、小売店やネットモールが行っているお客さんが集まる仕組み、つまり「ファンづくり」の工程も自社で行う必要があります。そのために必要なことは、「顧客視点の段階的誘導」です。

D2Cブランドの立ち上げは、全く無名のブラントを多くの人に知ってもらうことからスタートします。ブランドが認知され、理解され、手に入れたいと思われるためには、顧客の視点を段階的にあげていく接点づくりをします。

①発信時期の設定

D2Cブランドの立ち上げで重要なことは、いかに顧客に認知してもらうことです。「顧客視点の段階的誘導」では、ブランドの認知活動を効果的に行うための「期待感が盛り上がる発信のタイミング」を掴むことが重要です。これのタイミングを有効に使えるか否かは、ブランドの成長を大きく左右します。

  • タイミング1.開発時
  • タイミング2.リリース前
  • タイミング3.リリース後

タイミング1の開発時の発信では、試行錯誤やブランドコンセプトなど「なんだか面白そうなことをやっている」という、様子を覗ける発信が重要です。これは顧客の立場に例えると、行ってみたいお店を窓からチラチラと覗くような感覚に近いでしょう。

そしてタイミング2のブランドリリース前では、開会宣言を行います。タイミング1で興味を示してくれた顧客に対して「これからお祭りが始まります。皆さんで一緒に盛り上がりましょう!」とお店の中に呼び込んでいくイメージです。

タイミング3のリリース後では、顧客への感謝を伝えます。購入した顧客にとって「おかげさまで、たくさんの支持をいただいています」といった内容のメッセージは、自身の選択した物事への安心感や期待感、そしてブランドとの一体感を感じることができます。また、このリリース後の発信はまだ購入していない顧客候補者たちに対しても「自分もその輪に入りたい」という更なる期待感を集めることにつながります。

②顧客像(ペルソナ)の設定

D2Cブランドの成功には、不特定多数のフォロワー獲得以上に熱狂的なファンの育成が重要です。①発信時期の設定を効果的に行うためには顧客像(ペルソナ)の設定が欠かせません。

しかし、こういった顧客像を想定するとき、多くの企業では「ターゲット」を設定することが多いかもしれません。ターゲット設定は、30代男性会社員、40代女性の主婦のように性別や年齢などの属性でセグメンテーションする方法です。

しかしD2Cブランドを成功させるためには、それでは十分ではありません。ニーズをより深くセグメンテーションすることが必要です。そのために行うことは、たった1人のユーザーを設定し、その人物が叶えたいことを徹底的に考えることです。

顧客像を明確することは、より心に響くメッセージや商品開発など、マーケテイング施策が可能になり、自社ブランドの熱狂的なファンを育成することができるのです。

③媒体の設定

顧客像が明確になったら、次にすることはその顧客とつながるための発信活動です。発信活動でのポイントは、ペルソナの読みやすい媒体を選ぶことです。よくSNSをとにかく頑張ればファンが作れると思ってアカウントを開設する企業があります。しかしD2Cブランドを成功させたいなら、自社ブランドのペルソナにとってどの媒体が一番読みやすいのかを考えることが重要です。Twitter、Instagram、ブログなどのSNSだけでなく、紙媒体であるパンフレット、お手紙などさまざまな媒体があります。その中から、ペルソナが自社ブランドを心地よく知れるシーンをイメージしながら選定しましょう。

また、SNSなどのWEB媒体を使用する場合は、投稿時間も重要です。帰りの電車の中で読むのか、休日に読むのかなど、ペルソナの生活シーンを徹底的に想定して発信することでより熱狂的なファン作りにつながります。

④発信の継続

最後にファン作りには継続した発信が重要です。D2Cブランドの成長には、長くブランドを好いてくれるファンの存在が欠かせません。購入するときだけの関係ではなく、リリース前、リリース後、そしてその後の展開を長く発信し続けることで、企業が自社ブランド立ち上げによって望む「売上拡大」「自社の認知度アップ」といった効果を上げるブランディングができるのです。

SNSを始める前の注意点


会社としての発信とブランドとしての発信を1つのアカウントに混同させることはお勧めしません。いわゆる「混ぜるな危険」です。なぜなら会社としての発信とブランドとしての発信を読みたい読者が違います。そのため、1つのアカウントに対してどのペルソナにメッセージを受け取ってもらうのかを設計してから、SNSアカウント立ち上げることが重要です。

D2Cブランドのファンづくりは「会社の信用貯金」

D2Cならではのファン作りを続けることで、自社D2Cブランドの信用を貯金のように増やしていきましょう。この信用貯金は採用活動・新規顧客開拓・地域からの指示・業界へのインパクトなど、企業の価値を向上させるさまざまな効果をもたらします。もちろんD2Cブランドの立ち上げは容易なものではありません。しかし、個人から支持による信用は、これからの社会において重要な会社の資産となります。この記事をお読みのあなたの会社でも会社の資産となる、長く愛されるD2Cブランドを構築していきましょう。

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製造業が自社ブランドを作るなら必ず知っておきたい3つの視点

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業が自社で開発するブランド、いわゆるD2Cブランドの存在は、市場のクラウドファンディングやSNSの持ち上がりよって一般的にも認知度が高まっています。製造業としては、様々な思いから、D2Cブランドの開発に対して何らかの着手をしている企業が多いのではないでしょうか?

例えば、

  • 会社として話題性を作るため
  • 新しい売上の柱を作るため
  • 社員のモチベーションを向上させるため
  • 自社の技術力を高めるため

このように企業によっては様々な理由があると思います。しかし、何となくD2Cブランドを立ち上げてしまうと、上層部の思いとは逆に、話題性を生むことができなかったり、社員のモチベーションを下げてしまう原因にもなります。なぜそのような悲しい結果が生まれてしまうのかというと、そこには製造業が「メーカーとしてのポジション」を築く上で重要な3つの視点が欠けているからです。

今回の記事では、製造業がメーカーとしてのポジションを築く上で重要な3つの視点について、今まで累計1,200点以上の商品を企画・開発してきたブランディングの経験からお話ししていきたいと思います。

1つ目の視点【技術シーズ】

シーズとは「種」を意味します。ビジネスにおいては、企業が新しく開発・提供する特別な技術や材料のことを指します。D2Cブランドをリリースすることは、自社の技術を今まで取引がなかった業界にもアピールする絶好の機会です。ここで重要なことは、業界・社会にとって自社は「〇〇の技術力に優れた企業」とアピールできるシーズに絞ることです。

  • 企業としての技術力

もし自社のアピールすべき技術ポイントが1つに絞れない、シンプルに言い表せないと悩んでしまう場合は、これから取引をしていきたいお客様が求めていて、なおかつ自社が実現可能な技術力について着目すると、D2Cブランドを通してアピールすべきポイントが明確になります。

2つ目の視点【顧客ウォンツ】

ウォンツとは、ある商品・サービスを「欲しい」と顧客が考えている状態を指します。ウォンツの視点において重要なことは、「〇〇できる△△が欲しい」に応えられる企画と規格を考えることです。

  • 目新しい企画
  • スペック
  • デザイン

D2Cブランドでよく起こる失敗ケースとして、技術シーズを伝えたい一心で、製品にあまりに多くの機能を持たせすぎてしまうということがあります。このようなオーバースペックはユーザーが求めるものではありません。企業はメーカーとして、顧客が求めているスペックに向けて技術シーズのチューニングを行いましょう。

また、機能面で顧客ウォンツを満たしていても、デザインという見た目の視点が抜けてしまうと、どんなに良い商品も売れなくなってしまいます。どんな商品であれ、日常使いしてもらえる商品を作るためには、使っていて気持ち良い、持っていて心が踊るような商品を機能・見た目の両方から目指すことが重要です。

3つ目の視点【顧客ニーズ】

ニーズとは、漠然とした「こうだったらいいのにな」という理想に対する感覚です。ニーズは、スペックなどの具体性のあるウォンツとは異なり、心身を伴う「体験」に大きく関わっています。

  • 商品との出会い方
  • 商品の作り手を知ること
  • 使うことで訪れる、自分や相手の幸せな生活
  • 安心できるアフターサービス
  • ファン同士の交流

ウォンツを商品のハード面だとしたら、ニーズは商品のソフト面といっても良いでしょう。そして、時としてニーズは無自覚なことが多いため、もし潜在的な感覚に届く体験を提供することができれば、「まさにこれが欲しかった!」と言われる商品を作ることができるのです。この顧客に対してニーズまでの戦略的な導線構築が、製造業がD2Cブランドの別れ道と言っても過言ではありません。

3つの視点が重なり合うD2Cブランド作りを

顧客が大手ブランドではなく、小さなメーカーのD2Cブランドを選ぶには、技術シーズ・顧客ウォンツ・顧客ニーズの3つの視点が重要です。すでに多くの技術力があるからこそ、ストーリーのある商品を作り続けられる道筋を戦略的に立てていきましょう。顧客が喜ぶ商品、そしてその商品との関係性を築く体験を生み出せるものは、規模が小さくてもブランド力が高いと言えます。

そして顧客が喜ぶ商品を作ることは、期待や信頼を獲得につながり、他業界からのオファーや社内でのポジティブな企業文化の醸造など様々な波及効果を生み出します。自社だけでできないことは、企業同士の技術コラボや、専門家から協力してもらうことで解決できます。ぜひ、3つの視点を取り入れて、顧客から「この商品を自分の生活の中に取り入れたい!」と思われるD2Cブランド商品作りを目指しましょう。

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リーンスタートアップから考える、中小製造業の製品開発

テクノポートの井上です。最近は受託加工を主とする製造業の会社が製品開発を行い、自社製品を販売することも増えてきました。製品開発はしたいけどなかなか良いアイディアが浮かばない、アイディアはあるけどどう製品開発を進めればよいかわからない等、途中で止まってしまうケースも多いのではないでしょうか。今回は製品開発の手法として「リーンスタートアップ」について、製造業の具体的な製品開発の方向性も踏まえ紹介いたします。

リーンスタートアップとは

リーンスタートアップとは、コストをかけずに最低限のサービス・機能を持った試作品を短期間で作成し、顧客の反応を製品開発の中に取り入れ、顧客がより満足できる製品・サービスを開発していくマネジメント手法です。リーンスタートアップは、通常の仮説検証型やPDCAサイクルと同じように見えますが、他との違いは、顧客の声を早い段階で製品開発に反映させることで「顧客不在」のリスクを防ぐことに重視しているという点です。必要最低限のものでまずは市場に投入し、その反応から正確な顧客のニーズを確認、そこから製品開発につなげるという考え方です。じっくり時間をかけて市場調査を行い、満を持してローンチをするよりも、短期間で検証することでコストと顧客不在のリスクを抑えた、スタートアップ向けの手法と言えます。

おおまかな流れは以下のとおりです。

構築

顧客が欲しいものの仮説を立て、製品やサービスのアイデアを形にします。「MVP(minimum viable product)」と呼ばれる必要最低限の機能やデザインを備えた試作品を作成します。

計測

開発した試作品を実際のユーザー、特に新たな製品やサービスを早い段階で受け入れ、他の消費層へ影響を与える「アーリーアダプター」と呼ばれる層へ提供します。

計測ポイント

  • 「ユーザーの抱える課題を解決できているか」
  • 「提供すべき機能が実現できているのか」
  • 「本当にほしいと思える製品か」
  • 「いくらなら欲しいと思うか」

などを検証していきます。

学習

計測されたデータやユーザーの反応から、

  • 「改良すべき点は何か?」
  • 「このまま開発を続けるべきか?」
  • 「方向転換を行うべきか?」

を見極め、顧客に受け入れられるものにしていきます。

この3つを短期間で繰り返し、ユーザーに受け入れられる製品・サービスへと展開させていきます。

リーンスタートアップのメリット

  • MVPにより、余分なコストを削減できる
  • リリースまでの期間を短縮できる
  • フィードバックを早く次に繋げられる(需要次第で市場の変更や撤退も含め検討できる)

リーンスタートアップのデメリット

情報拡散のスピードが近年圧倒的に早まっていることがデメリットになりえます。

例えば、一般消費者の関心が強い商品やサービスの場合、初期段階で消費者の評判が一気に拡散してしまい、その不評を引き継いだままのイメージが確立され、その後の改良した製品においても悪いイメージを払拭できない場合があります。

リーンスタートアップをもとに製品開発の相性を考える

リーンスタートアップは製品開発のプロセスの中に顧客のニーズを組み込むことで、早い段階で需要を見定め生かすことに重きを置いています。昨今では、SNSの台頭や、クラウドファンディングなど、より早くユーザーのニーズをキャッチできる世の中になりました。ものづくり企業が積極的にユーザーの声を聞き、迅速に製品開発を行うチャンスがあるのではと考えています。製品開発ができそうないくつかの可能性について紹介します。

規格製品からのカスタムオーダー化(ニーズの多様化に応えるサービス化)

市場のニーズが多様化する中で、そのニーズを正確に捉えることは困難な時代です。そのため大量生産された既製品では、満足できないケースが増加、セミオーダーでの自分に合った化粧品製作や、テーラーメイド医療と呼ばれるような個人個人に合わせた医療も間近と言われています。オーダーメイドと言っても「金属の金物をオーダーでなんでも作ります」ではなく、より具体的な製品まで照準を絞った形でのオーダー対応が考えられます。

  1. 自分の手の形状に完全に合ったボールペン。
    (金型保管により、何個でも追加オーダー可能なサービス)
  2. 無くしても大丈夫。結婚指輪の型取り保管サービス など

産業用分野のオーダー製品からの規格化(自分がユーザー系1)

製造業では工場の生産効率を上げるために、自動機、専用機、治具等を、内製もしくは外注にて製造することが多いと思います。最終ユーザーが、自社やそれに近い業種のため、ユーザーのニーズを汲み取りやすい領域と言えます。需要の増えそうなものや、良く出る系統を分析し、ニーズの高いものを規格化することで製品化へつなげられる可能性があると考えられます。需要は少ないかも知れませんが、他の業種から参入されるケースは少ないため、競合が少ないのも良い点です。わざわざ大手が入るほどではない市場が眠っているかも知れません。

趣味業界での製品化(自分がユーザー系2)

趣味はオススメです。欲しい人はいくら高くても欲しい、強烈なニーズがあります。個人的な意見ですが、出来れば避けたいのは生活必需品、日用品系です。競合が非常に多く、製品化しても売れる製品はすぐに類似品が出てきます。皆さん使うので、アイディアは集まりますが、製品化となると厳しいのではと思います。

製品開発のきっかけについてですが、社員の皆さんに趣味を深堀りするのはいかがでしょうか?趣味への愛情の深い人がいれば、その人が抱えている困り事やあったらいいなに耳を傾けてみると良いと思います。ユーザーの意見を反映させやすくなります。

  1. 間接キスは過去のモノ!だれが吹いても安心のチタン製抗菌ホイッスル
  2. 金属アレルギーを克服!金管楽器のチタンマウスピース

いかがでしたか?今回はリーンスタートアップと、その考えをもとに製品開発ができそうな方向性について紹介しました。この業界に携わっている人なら一度は自社製品を作りたいと考えている人は多いはずです。参考になれば幸いです。

試作から量産へ!量産移行時に考慮すべき4つのポイント(スタートアップ向け)

テクノポートの井上です。前回に続き、スタートアップ、ベンチャー、個人の方など、ものづくり未経験者の方に読んで頂きたい記事となります。最近、新製品のアイディアをもとに試作モデルを作り、量産化の資金集めにクラウドファンディングの利用を検討している人が増えてきました。今回は、試作から量産へ移行する段階でよく起こる問題と注意点について紹介します。

試作から量産段階に入る際の問題

製品の試作モデルができれば、製品開発の一つのヤマは超えたのかも知れません。しかし、量産工程に進む段階で新たな試練が待っています。この段階では下記のような様々な問題で頓挫する可能性があります。

  • 市場に出したい価格と原価が合わなかった
  • 部品点数が多く、金型の費用が予想より高かった
  • 量産ができない形状だった

量産段階で問題が起きる原因は?

問題を大きく分けると、コストと加工の実現可能性に分けられます。

コストの実現可能性ついて

皆さんが日頃目にする市場に出回っている製品は、非常に安価な原価で作られているものがほとんどです。規模の経済により、安くたくさん作る仕組みがあるためです。100円均一ショップを製造業の方が見ると、「よくこの値段で、この部品点数の製品を作れるな」と驚愕する製品がたくさんあります。

数を多く作れば、製品単体の原価が占めるイニシャルコストの割合は低く済み、また、仕入れる材料費自体も安くなります。そのため、市場に出回っている安価な製品と比較しても価格では勝てないことがほとんどです。スタートアップではユーザーを特定し、ある程度の高単価製品として売り出さなければ、市場で勝負することは難しいと言えます。

加工の実現可能性について

ほとんどの場合で、試作と量産で加工方法が違うということを認識する必要があります。量産の場合、同じものを安く安定して作るために金型を利用した加工方法に切り替わります。

その場合に試作では加工できていても、量産では加工できなかったり、仕様変更が生じる可能性があります。できる限り問題が起きないよう、試作から量産に移行する際の考えるべきポイントをまとめました。

試作から量産に移行する際に考える4つのポイント

1.そもそも量産の必要があるのか?

規模の経済について少しお話しましたが、もちろんたくさん作れば原価は安くなります。ただ、原価は高くなってしまっても価格競争に巻き込まれない、高付加価値製品を少量作るということも選択肢としてはあるはずです。

しかし、リスクもあります。その優位性を継続できるかが問題となります。模倣されて、規模の経済で安い類似品が市場に出回り、製品が負けてしまうようであれば意味がありません。

また、当たり前のことですが、最も利益が出るのは原価を抑えて、高単価かつ大量に売れているときです。新製品投入した初期段階では、新規性と競合の少なさから付加価値が高まり、高単価で売れる可能性があります。しかし、大量に販売するためには、ある程度のイニシャルコストをかけて量産体制を作るというリスクを取る必要がでてきます。リスクをできる限り小さくするためには、生産数と原価の関係性も理解し、本当に量産が必要かどうかを十分検討することが大切になります。

2.生産数と原価の関係性を理解する

では、金型を作るメリットが生まれる最小のボリュームはどれぐらいからでしょうか?作る工法、金型の種類によっても異なりますが、基本的には数千個以上と想定しておくと良いと思います。

まだ、市場で売れるかわからないものを数千個作るというのはリスクが高いため、数百単位で生産を検討するケースがあります。ただ、それではイニシャルとして金型費を償却しようとすると原価が大幅に上がってしまい、販売価格と合わなくなってしまいます。そのため、初回生産ロットが少なくても、金型に関してはそれ以降の量産計画を踏まえた減価償却を考える必要があります。

また、製造業者側の事情もあります。金型を維持管理することを想定すると、初回ロットだけではあまり仕事としての旨味がありません。販売年数を想定しての生産予定数を提示したほうが協力的になって頂けます。

3.最適な加工方法の選定する

製品を量産するための工法は一つではありません。どのような加工方法が量産に適しているか、そのボリューム、形状、材質によっても異なります。広い視点で工法を模索する必要があります。

また、量産の場合は、金型、プレス、射出成形、切削、表面仕上げ、組み立てなど、検討項目がかなり増えて複雑になるため、設計者だけでは検討できないことがほとんどです。製品開発の全体を把握し、コントロールするプロダクトマネジメントと呼ばれる仕事領域が必要になります。

4.量産試作を早い段階で作る

量産段階においても試作が必要となり、初期の試作モデルとの違いは下記の通りです。

試作モデル(デザイン、機能性モデル)
→作りたい製品がまずは形になるかを検討するためのモデル

量産モデル
→原価低減、品質の安定化を目的とし量産を検討するためのモデル

加工方法が異なることが多いため、現状の形状で量産が可能なのか?より量産しやすい形状に変更可能か?量産しやすくするための補助具(治具等)は必要か?など、量産に関しての実現可能性及びそれにかかる費用をじっくり検討する必要があります。

この検討はクラウドファンディングなど資金調達をする前に必ず必要となります。かっこ良いデザインの試作ができたからといって、量産の実現可能性が無ければ資金を集めても失敗となってしまいます。

いかがでしたでしょうか?今回は試作から量産へ移行する段階で、よく起こる問題と注意点について紹介しました。製品開発の際の参考にして頂けたら幸いです。

また、弊社では製品開発支援のための無料工場探索・紹介窓口「モノマド」を運営しています。製品開発でお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

工場探索

ものづくり未経験者から製造業者へ、製品開発の相談をする際の心得

テクノポートの井上です。今回はいつもと趣旨を変えて、スタートアップ、ベンチャー、個人の方など、ものづくり未経験者の方向けに読んで頂きたい記事となります。

「製品のアイディアを思いつき、製品化を考えているけれど、製造業者に問い合わせてもなかなか取り合ってくれない」そのような声を聞くことがあります。相談を受ける製造業者側がどのような考えを持っているのか?また、商談をスムーズに進めるために気をつけるポイントについて紹介します。

製造業者の対応・反応が悪い6つの理由

新製品開発の相談をしても、相談を受ける製造業者側の反応がイマイチな場合が多いのはなぜでしょうか?様々な製造業者にお話を伺い、実際にどのようなことを思っているのかを紹介します。

金額の折り合いがつかないことが多い

試作や金型にかかる費用を知らず、費用の高さに驚いて終了してしまうことがあります。費用の認識の違いから取引に結びつかないことが多いようです。(試作や金型については後ほど詳しく説明します。)

内容がまとまっておらず手間で面倒

図面が無い状態から打ち合わせをし、図面を描き、すり合わせを行うという作業は時間と労力がかかります。いくら相談や打ち合わせは無料と言っても、見えない費用が製造業者側にはかかります。製造業者が通常受けているような図面ありきの案件であれば、見積もり回答を行い、発注書が届けば即スタートとなるため、どちらが仕事しやすいかは一目瞭然かと思います。

製品開発案件に対応していない

会社によっては製品開発案件を受けていない会社もあります。例えば、主に量産向けの設備を保有している会社では、量産用の金型ありきの仕事が主のため、試作開発案件を受けたことが無かったり、対応していない場合があります。

既存の取引企業と比べて信用力が低い

新規で取引をする際には、仕事内容だけでなく相手先の信用力を評価し、取引を行います。個人やスタートアップ企業の場合、ホームページが無い場合も多くどのような相手か知ることができません。そのため、素性の知れない依頼先との取引に消極的になる会社があります。

ビジネスの実現性が低い

取引をするからには、その仕事が将来的に良い仕事になるかどうか実現可能性を見ています。ここで言うビジネスの実現可能性というのは製品が発売され、それが一定期間コンスタントに売れる状態です。依頼者としても、ある程度のボリュームが売れなければ成功とは言えず、作り手としても量産がスタートしてもすぐに生産停止してしまっては意味がありません。

製品開発において、途中で依頼者側が断念するケースも多くあり、また製品化されたとしても、それが売れるかどうかは別問題です。もちろん、製造業者は試作、設計等でも費用を頂きながら行いますが、量産にならなければ利益を確保できないというのが本音です。(※ただし、試作を専門とする会社であれば、試作のみでもビジネスとして成り立ちます)

取引開始まで時間がかかる

図面がある状態と比べると、最初の発注までにかなりの時間を要します。既存のお客様で忙しい場合に、そこにかける時間を避けたいと思っている会社もあります。上記のように、依頼側と製造業者側には温度差があります。仕事を頼もうとしているのになぜ?と思うかも知れませんが、どちらが悪いというわけではなく、お互いの認識のズレの問題です。

相手の事情や考えを把握した上で、どうすればスムーズに商談が進められるか?次に具体的な解決策について紹介します。

相談内容の準備

まずは何を相談したいか?相談する内容についてです。相談する内容によって相手の対応も異なりますので、協力して頂きやすいように出来る限りわかりやすく内容をまとめます。

図面・イラストの準備

モノを作る側としては、文章だけではイメージしづらいものです。手書きでも良いので概要が把握できるものを準備してください。

  • サイズ感
  • 形状
  • 材質

など

製品開発の背景、企画書の準備

「このような製品を作りたい」よりも「このような背景から製品開発を思い立ち、このようなニーズに応える製品を作りたい、将来的にはこのようなことをしたい、どれぐらいの数を作りたい」というように、製作背景や想いが伝わる内容が入っている方が、信用や共感を得られ、製造業者に協力して頂きやすくなります。会社やご自身がどのような人物かも、ある程度わかる説明があるとなお良いです。

依頼、相談したい段階を提示

具体的にどの段階から相談したいのかを提示します。仕様設計、材料選定、加工方法の選定、図面作成など、自分でできないところや、何を相談したいかを提示することが大切です。相談を受ける側として、どう返答してよいか、何をすれば良いかわからない相談もよくあります。

適切な製造業者を探す

相談する内容が決まったら、個人やスタートアップ企業の製品開発案件に対応している、適切な製造業者を探す必要があります。設備、技術的に対応できそうか?開発案件を受ける体制があるか?この2つの視点で探します。流れとしては以下のとおりです。

  1. 自分の頼みたいと考える領域(材質、加工方法など)を決める
  2. 上記の加工領域のキーワードに加え、下記のようなフレーズを加え、複合キーワードにてネットで検索
    試作・1個から・図面無し対応・設計開発・製品開発 など
    検索例:板金加工 図面なし対応
  3. 該当ホームページの内容を確認
    設備紹介を見てもわからないと思うので、製品サンプルや、取り組み事例、強み紹介などを見て、自分の頼みたいものが実現できそうか確認

商談にのぞむ際に覚えておくこと

次に、製造業者と商談をする段階で、事前に認識して頂きたいことが2点あります。

それは試作と金型費用についてです。この2点の認識の違いで、商談が進まなくなることが頻繁に起こります。この2点がどのようなものか、事前に理解した上で商談に望むことが重要です。

試作の重要性について

よくある話が、単価をこれぐらいに抑えたこのような製品をある程度の量、作りたいという要望があります。しかし、どのような製品でも、いきなり量産できるというわけではなく、まずは試作品を作成し、製造上の課題をすべて洗い直した上で、改良を加え、量産工程になります。そのため、概算の価格なら想定はできますが、値段ありきでこのコストに収めて開発、進めるということは出来ません。

試作を作り、量産時の加工方法を決め、初めて量産時の初期費用と1個あたりの製造単価を割り出すことができるからです。また、製品の実現可能性を判断するためにも試作が必要です。量産に入ってしまっては後戻りができないため、試作段階であらゆるリスクへの対応を検討し、量産に踏み切るか否かも検討します。そのため、製品開発において試作がとても重要だということ、そして、そこに十分な費用と時間をかける必要があるということを認識する必要があります。例えば、量産時に@1,000円という話でも、試作1個作るには数十万かかるということもあります。また、様々な段階で試作が必要になります。下記は試作の一例です。

  • 原理試作:既製品なども利用し、機能性面を検討
  • デザイン試作:形状、外観などのデザイン面を検討
  • 量産試作:製品としての仕様や要素を全て備えたモデルで製品同様の材質で製作。量産時の加工しやすさ、組み立てやすさ等を検討

金型費用について

量産段階になると加工方法によっては製造単価を下げるための金型を作る必要があります。金型を作ることによって同じ形の製品を安くたくさん作ることができるようになります。

しかし、金型は形状や、部品点数によって数十万〜数百万というイニシャルコストがかかります。この量産時の金型費用について認識をしておらず、「そんなにかかるとは思わなかった」と開発を断念するケースも多くあります。

いかがでしたでしょうか?

今回はものづくり未経験者から製造業者へ、製品開発の相談をする際の心得について紹介しました。良いビジネスパートナーとしての関係を作るためには相手を知ることが大切です。製品開発の際の参考にして頂けたら幸いです。

また、弊社では製品開発支援のための無料工場探索・紹介窓口「モノマド」を運営しています。製品開発でお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

工場探索

進化していくインクジェット技術。布、食品、電池も印刷可能に。

元メカエンジニアの工業製造業系ライターの馬場です。製造業に関連する気になるニュース、製品、技術などを取り上げていきます。

今回は進化していくインクジェット技術についてです。

好きな形に充電池が作れるようになるインクジェット技術

イタリア人のボルタが、銅と亜鉛を電解液に浸けて電気を発生させる「ボルタ電池」を発明したのが1800年。フランス人のプランテにより鉛蓄電池が発明されたのが1859年。それから160年ほど経った現代では、インクジェット方式により、印刷するような感覚で自由な形に蓄電池が製造できるようになってきました。

株式会社リコー ニュースリリース
世界初、インクジェット技術による二次電池の新たな製造技術を開発
~IoTデバイスやウェアラブルデバイス向けに、自由な形状で電池を製造することが可能に~

この技術では、リチウムイオン二次電池を構成する電極、セパレーターの材料となる、カーボン、セラミック、絶縁材などをインク化。これをインクジェットヘッドから吐出することで、紙に印刷するように自由な形でリチュウムイオン電池が製造できます。

電気で動く物には、当然何らかの電力供給源が必要となります。電池を使う場合、既製品ではサイズや容量も決まっているので、製品もそれに合わせて設計することになります。より小型化、薄型化したいとなると、電池も専用の物を設計しなくてはなりません。例えば、最近ではスマートフォンで写真を撮影するようになったので、小型のデジタルカメラが減ってきましたが、以前はカメラを買い替える度にバッテリーも専用の物に買い替えなくてはいけないということがよくありました。その結果、新しい機種では使うことができない、似たような形の専用バッテリーが増えていくということが起こります。小型、薄型装置の設計において、電源は大きな問題の1つです。

IoTやウェアラブルデバイスが増えている今、このインクジェット方式による二次電池の製造技術があれば、電池に装置を合わせるのではなく、装置に電池を合わせて作る事がより簡単になります。しかも、デジタル印刷なので、何か小さな変更があっても直ぐに対応可能。複雑な形状も容易にできるので、設計の自由度が上がります。実用化については、配線なども含めた全体を印刷できるようにするなど、課題がまだあるようですが、今後注目の技術といえます。

この技術が実用化され、いつの日か個人でも使えるレベルまでになったとしたら、3Dプリンターと合わせて使うことで、バッテリー内蔵型の小型デバイスが家庭でも1個から作れるようになります。家庭でとまでいかなくても、プリントサービスで利用可能になれば、中小製造業、ハードウェアのスタートアップ企業にとっては、チャレンジできる領域が広がるのは間違いありません。早い実用化と普及が望まれます。

布や食品にもインクジェットでプリントができるように

インクジェット方式のプリンターは、オフセット印刷のような版下を使わずに印刷ができて、レーザープリンターなどと比べて構造が単純です。90年代頃から安価な普及タイプのインクジェットプリンターが多く出回り、今ではコピー機能も搭載したインクジェットプリンターが一般家庭でも使用されています。

紙に印刷するだけだったインクジェット印刷も、インクやヘッドが年々改良され、今では色々な方面で使用されています。例えばこちらのTシャツなどの衣類に直接印刷できるプリンター。

株式会社リコー ガーメントプリンター

布へ何かを印刷すると言う場合、印刷したい形状に穴が開けられた版を布に当ててインクをつけるといった方法が、従来は行われていました。年配の方なら、年賀状を家庭で大量に印刷する時に使っていたプリント機をご存じかと思いますが、あれと同じ方法です。版を作る必要があるので、一文字変えるだけでも新しく版を作りなおす必要があり、フルカラーでの印刷というのもできませんでした。このプリンターがあれば、絵でも写真でも簡単に布へ印刷ができます。少量多品種への対応も簡単です。 近年では、粘性の高いUVインクを用いた製品ラベルの印刷にも、インクジェット方式のプリンターが使用されるようになってきました。オリジナルTシャツ、オリジナルラベルといった需要に、即座に対応できるようになっています。

さらに、最近では可食インクを使う事で、食べ物に直接プリントすることもできます。

株式会社サンリュウ フードプリンタ

食べ物にプリントする場合は、単純にインクを食べられる物に変えるだけでなく、インクジェットヘッドも食品に使用できるものに変える必要があります。医薬品にも使用できるレベルのものも出てきているので、錠剤やカプセルに直接識別用のナンバーなどを印刷することもできます。

インクジェット方式は3Dプリンターにも活用されています。マテリアルジェッティング、バインダージェッティングといった3Dプリント技術で、フルカラーの造形も可能です。インクジェット方式は、数ピコリットルといった非常に高い精度で吐出量の制御が可能です。人間の骨や臓器といったもののプリントも研究が進んでいるそうです。いずれは、色々なものが印刷するように自由に作れるようになるかもしれません。

個人的には、食べ物に絵を書くだけでなく、色々な調味料を吹き付けて絵を書いてくれるようなフードプリンタがあったら面白いのではと思っています。絵かと思って食べると味がある。そして場所によって絶妙に味が違う。とりあえず、ケチャップで絵がかけるインクジェットプリンターが実用化されたら、オムライスにケチャップで絵を書くような特別なカフェで需要があるかもしれません。でも、あれは手で書くからいいのか。

コスパのよい特許出願 その2

弁理士の亀山夏樹です。小職は、中小企業200社以上の相談実績があります。今回はコストパフォーマンスのよい特許出願について、これまでのお客様の相談内容を振り返りながら考えていきたいと思います。

1.とある日の特許相談

大昔に、別の弁理士さんに依頼して特許出願を出したことのあるお客様(その1の記事とは別のお客様です)。第1回目の面談では、特許取得がテーマでした。面談では、発明の概要を伺うのですが、弊所では、それ以外のことも把握します。その理由は、無駄な特許をなくすためです。言い換えれば、特許のコストパフォーマンスを向上させるためです。

そこで、弊所の面談では、発明に至った背景はもちろんのこと、これまでのマーケティング活動についてもヒアリングします。そのお客様は、マーケティング活動をしっかりとされている方でしたので、お客様のお話を聞いているかぎり、その発明は市場に受け入れられる可能性が十分にありそうだ、と思いました。さらに、そのお客様の規模からすると、大化けする可能性もあるようです。

2.ところで、ビジネスモデルは?

お客様:だから、このアイデアを特許で防衛したいのです!

かめやま:ところで、このアイデアを使って、どのようなビジネスモデルを考えていますか?

お客様:え・・・!?

かめやま:「誰にどのような形でアイデアを提供し、誰から売り上げを立てるか?といった仕組み」です。一緒に検討しましょうか?

お客様: お願いします。

(数10分後)

かめやま:考えられるパターンは、A~Bの2つの案。ビジネスモデルAであれば、アイデアの要素アが肝になります。ビジネスモデルBであれば、要素イが肝になります。2つをミックスすると、最初にモデルAで回した後、モデルBで回す・・・ということも可能です。

お客様: 驚きました。モデルAのようなものは、取引先からもチラっと言われましたが、モデルBや、2つのモデルのミックスもありえるのですね。

かめやま:そうなんです。大切なことは、ビジネスモデルの肝となる要素を特許でガードするということです。ビジネスモデルAでいくなら、アの特許権をとることが必要なりますし、ビジネスモデルBでいくなら、イの特許権をとることが必要になります。さらに、両にらみで行くのであれば、ア・イの両方を抑える必要があります。逆に言えば、ビジネスモデルAでいくなら、イの特許権をとる必要はありませんよね。

お客様:確かにこれなら、無駄な特許権は減らすことをできますね。

かめやま:特許は投資です。ビジネスモデルを考えながら、肝となる部分(ガードすべき優先度の高い部分)から特許で抑えていく、という観点が重要です。

お客様:これなら無駄な特許は減りますね。

その後・・・

結果的に、ビジネスモデルA・Bの統合案でいくことになったため、それぞれビジネスモデルの肝となる発明ア・イについて特許出願を済ませました。そのお客様は、いくつもの商談が前に進むこととなりましたが、その1つの商談相手は、お客様よりも大きな規模の企業。ですが、先方が欲しがっている商品は、要素アのアイデア。こちらは、すでに特許出願済です。特許出願済の交渉力により、お客様の立場を維持したまま商談に臨めそうです。

3.まとめ

1、特許権や商標権で抑えたいところはどこ?

特許権や商標権で抑えたいところの1つは、ビジネスモデルの収益源。

2、収益源はどこ?

収益源が何になるかはビジネスモデルによっても変わる。

市場浸透の速度もビジネスモデルによっても変わる。

3、自社にとって実現可能なモデルは?

営業活動を通して、どのビジネスモデルが自社にとって望ましいかを検討する。

4、当初の目論見は外れた場合の準備をする

営業活動を通して、出願前の目論見が外れる場合もある。このため、弁理士と適宜情報交換が必要。

5、必要に応じて次の手を打つ。

当てが外れれば、補強のための追加出願をすることも・・・。そうでなくとも、次の一手(アライアンスなど)のための契約やその交渉準備・・・。場合によっては、こちらの交渉力を上げるために別の出願を行うことも。

何かの参考になれば幸いです。

2018年、ものづくりコミュニティ・MAKERS LINKはこうなる!~その2~

こんにちは!会いに行ける町工場社長、栗原です!

今回はいきなり、告知から!

3月3日(金)、世田谷ものづくり学校で開催される「Make Network Party 2018春」のお知らせです。今回のテーマは、~ものを「売る」ノウハウを共有しよう~ということで、私も「おっ!」って思いました。すごく大事なテーマですよね!参加の申し込み方法など、詳しくは主催のMake Network Japanまで。フェイスブックからはこちらを。https://www.facebook.com/events/2002415973363254/

続いて…。

秋葉原のとっても素敵なものづくりのお店が集まる商業施設「2k540」にあるIRONCAFe(アイアンカフェ)。みなさん、もうおなじみですね!こちらで、3月15日(木)に開催のイベント「Slack学ばナイト」のお知らせです。

皆さんはSlackって使ってます?ビジネスシーンでは定番となりつつある(もうなってる?)コミュニケーションツールってことなんですけど…。

いまさら?っていう人も多いと思いますが、私みたいに乗り遅れてる人のための、とっかかりイベントを開催することになりました。軽く飲みながらという気軽なスタイルですので、よかったら、仕事帰りにお立ち寄りくださいませ。

詳しくは、下記のフェイスブックのイベントページをご覧ください。https://www.facebook.com/events/342096779624885/

さてさて、そろそろ本題に…。

前回に続き、MAKERS LINKが今年やっていこうと考えていることをお話していこうと思います。

まずは、おさらいで、MAKERS LINKの3つの事業分野をご紹介。

  1. コミュニティ運営
  2. ものづくりサポート
  3. イベント事業

このうち、前回は3のイベント事業について掘り下げて書かせてもらいました。機械要素技術展への共同出展やそのほかのイベントを計画してますよ!っていうお話で。

で、今回は、MAKERS LINKのメイン事業ともいえる「コミュニティ運営」について。

もちろん、フェイスブックグループ「ものづくりコミュニティ・MAKERS LINK」はこれまで通りです。ものづくりに関わる、関心のある方ならどなたでも参加いただけるよう、なるべく敷居を低く気軽な雰囲気を保って運営していきます。さらにさらに、もっとメンバーが増えていくように頑張っていきたいと思ってますので、皆さんもぜひご参加&お仲間をお誘い、お願いします。

さらには…、今年は新しいコミュニティの立ち上げも計画しています。開かれた場所での楽しい会話から、ビジネスに発展していくケースもけっこうあるのですが、話が進めば、やはり限定された間柄の人たちでより深く、という場も必要になると思うんです。

せっかくMAKERS LINKをきっかけに発展しそうな案件なら、もう少し、MAKERS LINKがフォローできるようになっていればって考えるようになりました。まあ、自分自身が金属加工業なので、そこをベースにした共同体を、まずは立ち上げます。

その名も、COOL MILLINGS!(クールミーリングス・かっこいい加工屋たち)

すでに、ちょいちょいといろんなところに露出はしているので、ああ、聞いたことあるって人もいてくれるかな?

現在のメンバーは、下記のとおり。

  • 有限会社アキモト・パーツ 秋元 勝実
  • 有限会社有木製作所 有木 久治
  • メガワークス株式会社 永井 義昭
  • 有限会社ケイアイエム 栗原 稔(私のもう一つの顔?)
  • マナブデザイン株式会社 高橋 学(デザイナー・アドバイザー)
  • 株式会社NVT 名取 昂志(コミュニティマネージャー)

具体的にどんな活動をしていくかというと、ターミナルQというツールを使って、切削加工の技術情報交換や共同受注等。これだけでは今までもいろんな形のものがあったと思いますが、COOL MILLINGSは新規開発製品の立ち上げにも積極的に関わっていくことを視野に入れています。もちろん、自らも、金属の持つ魅力を前面に押し出した、チョーカッコいい製品も生み出していきます!

COOL MILLINGSの活動が軌道に乗ったあかつきには、加工分野をもっと広げて、どんな案件でも対応できるようなグループに育てられればと思っています。ここに「モノマド」を連携させれば、製造業の最強ネットワークができるんじゃないの?って考えてもいます!

あとですね、コミュニティ事業はいろんな形態や連携が考えられると思うんです。すでに交流のあるMAKE NETWORK JAPANさんやものづくりドットコムさんなどとも、あ、もちろん「ものづくり経革広場」も!それぞれのコミュニティとしての特徴を活かしつつ、良い関係を続けていきたいですね。

ということで、次回も引き続きMAKERS LINKの事業について、その3は、ものづくり支援事業の構想を発表しちゃいます。ものづくりの世界では、なかなか実現できていない(と思われる)新しい試みになる?期待してくださいね!