カーボンニュートラルと中小製造業

テクノポートの小林です。今回は、最近耳にすることが非常に多くなったカーボンニュートラルについて、中小製造業としてどうとらえるべきか、個人的な見解を含め紹介します。

カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルは、炭素中立とも呼ばれ、環境と気候への影響を最小限に抑える目的で、炭素排出量と炭素吸収量を均衡させることを意味します。具体的には、ある組織や個人が生み出す炭素排出量(二酸化炭素や他の温室効果ガスの排出)を減少させ、同時に炭素吸収活動(例:森林の植林や二酸化炭素の吸収に貢献するプロジェクト)を通じて排出量を相殺し、最終的にプラスマイナスゼロの炭素排出状態にすることを指します。カーボンニュートラルを達成することは、気候変動への対処と持続可能な未来への貢献になるとして重要視されています。

カーボンニュートラル

引用元:環境省:脱炭素ポータル https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

よく耳にする言葉としてSDGsがありますが、カーボンニュートラルの概念と取り組みは、SDGsの一部としても位置づけられています。なぜならSDGsの達成には、環境への負荷を減少させ、気候変動を抑制する必要があるためです。

カーボンニュートラルを目指す背景と経緯

気候変動への懸念

20世紀から21世紀にかけて、科学的な研究が進み、地球温暖化と気候変動が深刻な問題であることが明らかになりました。温室効果ガスの排出(特に二酸化炭素)が増加し、気温上昇、極端な気象、海面上昇、生態系への影響などが顕著になりました。これらの現象は、環境、社会、経済への脅威として広く認識され、カーボンニュートラルを目指す必要性が強調されました。

国際的な合意 パリ協定

2015年に国際連合で採択されたパリ協定は、気候変動に対処するための国際的な合意であり、温室効果ガスの排出削減に関する具体的な目標を設定しました。多くの国が、自国の温室効果ガス排出を削減し、最終的にはカーボンニュートラルを達成することに合意しました。この実現に向けて、世界が取り組みを進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げているところです。

日本政府としての目標設定

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

各企業の流れ

これを受け、企業としても単に利益を追求するだけでなく、持続可能性を考慮し、社会的な責任を果たすことが重要という認識を強く持ち、積極的に取り組む企業が増えています。この方針は「企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility, CSR)」や「持続可能な経営(Sustainable Business)」などとして知られています。

この流れは大手企業を中心に進行しており、サプライチェーンの中に組み込まれている中小製造業にも協力要請が徐々に出始めています。

グリーン調達とは

グリーン調達とは、企業などが原材料や部品、資材、サービスなどをサプライヤから調達する際に環境負荷の小さいものを優先的に選ぶ取り組みのことです。このような環境に配慮した調達に積極的に取り組むことで、環境負荷を抑えた製品開発を促すことができ、環境問題の改善につながります。

サプライヤーにとってのグリーン調達

グリーン調達を行うことで、納入先企業の事業戦略や、環境に関する要求に沿った対応が可能になります。そのため、納入先企業から信頼を獲得し、安定的・長期的な事業機会の獲得やリスク回避につなげることができるため、必要な取り組みであるといえます。

さてここで、環境負荷の小さいものとはどのような評価をするのでしょうか?

  • 環境に配慮した原材料
  • リサイクル材
  • 環境負荷の低い生産方法
  • 廃棄物の少ない製法 など

素材の製造工程や、部品加工時の温室効果ガス排出の少ないもの、エネルギー効率の高い製造方法などが考えられます。素材に関する排出量は数値化できるかもしれませんが、部品加工時の数値を想定することは、中小製造業には今まで経験がないことです。サプライヤー企業として、カーボンニュートラルに寄与するためには、現状使っているカーボンの排出量を正しく計算することが必要になります。それができなければ、排出量削減やエネルギー効率向上などの目標を立てることができません。そこで、DX(デジタルトランスフォーメーション)が必須となるわけです。

DXによる現状把握と課題

DXを通じて、企業は現状を把握し、持続可能な戦略の策定と実行に向けて重要な情報を収集し、効率化を実現できます。しかし、そのためにはデータの正確性や信頼制、データ収集のコスト、第三者による透明性と認証などさまざまな問題が存在します。どの範囲をどの程度まで計測すればよいのか、手探りな企業も多いのが現状です。

このテーマを中小製造業としてどうとらえるのか?

このテーマには取り組むことのメリット・デメリットがあり、「今すぐ始めたほうがよい」と断言することはできません。ここではまず、取り組まないことのリスクについて説明します。

今後取り組まないことによるリスク

顧客ロスのリスク:

顧客やパートナー企業は、環境への貢献を重視し、持続可能な企業との取引を優先する傾向が強くなり、サプライチェーンの選定から外れる可能性が出てきます。

競争力の低下:

環境に配慮の低い製品やサービスを提供する企業は、ユーザーからの信頼を失うリスクがあります。環境に対する配慮を欠いた企業は、競争力の低下やブランド価値の減少につながる可能性があります。

エネルギーコストの増加:

カーボン排出を減少させない企業は、エネルギーコストが増加する可能性があります。多くの国や地域が化石燃料に対する税金や規制を導入しており、高炭素のプロセスは高コストにつながります。

人材採用と維持の困難:

カーボンニュートラルを目指さない企業は、環境に配慮のある若い世代の従業員を引き寄せるのが難しくなる恐れがあります。また、既存の従業員が環境に配慮の低いビジネスモデルに不満を抱く可能性も考えられます。

資金調達が難しくなる:

脱炭素化への取り組みを評価基準として重視する金融機関で、低金利融資や特別な融資メニューなどの優遇が受けられない可能性が出てきます。

上記の内容を裏返したものが主なチャンスと言え、取り組むメリットとなります。

先駆けて取り組むことで、企業の行動の指標となりやすく、ノウハウも蓄積できます。中小製造業の方が、大手に比べ取り組む領域が少ないため、スモールスタートができる環境です。その取り組みで蓄積したノウハウをもとに、カーボンニュートラルを企業に導入するための支援サービスなど、新たなビジネスを生み出せるかもしれません。プレス加工業の会社で先駆けて自社のIoTに取り組んだことでノウハウを蓄積し、新事業としてIoTの導入支援サービスを立ち上げた会社もあります。

取り組むデメリット

短期的な観点で見れば、利益を生み出す取り組みではないことが一番のデメリットと言えます。もちろんDXによる見える化やエネルギーコストの削減などで原価低減には寄与できるかもしれませんが、初期段階ではコストが先行します。また、その具体的な進め方も企業によって事情は異なり、明確な手法として確立できているとは言えません。

取り組んだほうがよいのはわかるけれども、「どうすればよいかわからない」もしくは「コストがかかるので明確な要望があるまでは待機」と考える企業は多いと思います。ただ、SDGsよりもより具体的な数値で示されるカーボンニュートラルの取り組みは、製造業にとって必須となる可能性が高いように見えます。この問題に関する準備を少しずつでも進め、リスクを回避し、チャンスとして取り込める組織が求められているのではないでしょうか?

カーボンニュートラルの取り組みを行う中小企業の事例

最後に実際にカーボンニュートラルに取り組む板金企業の事例を紹介します。カーボンニュートラルを一つのチャンスをとらえ実践している企業さまですので、ご参考になれば幸いです。

カーボンニュートラルに取り組む中小製造業参照:https://www.sheetmetal.amada.co.jp/column/challenge/sheetmetal08/

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BtoB自社製品開発:事例研究(板金屋さんが作ったバリ取り機)

テクノポートの小林です。先日、弊社企画のセミナーにて、BtoB自社製品事業を立ち上げ、大きな成果を上げている株式会社エステーリンクの齋藤社長にお話を伺いました。お話の内容をもとに、新規事業成功の秘訣はどこにあるのか、分析と考察を紹介します。

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動画URL:こちら現在準備中です。しばらくお待ちください。
【オンラインセミナー】成功の秘訣は現場にあり!自社製品開発に成功した板金屋が語る裏話

事業紹介

株式会社エステーリンクは、新潟県燕三条にて板金加工及び集塵機の製造を行う会社です。17年ほど前にバリ取り機械「メタルエステ」を開発し、累計台数1600台を販売、現在では会社売上の半分を占めるまでに新規事業として成長させています。同事業を戦略的な視点で成功の要因がどこにあるのかを分析しました。

SWOT分析

SWOT分析は、自社の事業の状況等を、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの項目で整理して、分析する一般的な手法です。

事例分析:SWOT分析

強み

  • 地元地域の強みとなる磨き技術
    スプーンやナイフを磨くような燕三条の磨き屋さんの意見をいただき、研磨効率を高めるための技術を取り入れる。
  • 集塵機で培った集塵技術
    バリ取りには集塵技術も重要で、部屋の中の空気を操る技術を、装置内の空気を操る技術につなげる。
  • フットワークの軽さとコミュニケーション能力
    話があれば全国どこでも飛んでいくフットワークの軽さとコミュニケーション能力
  • 改良のアドバイスをくれる既存顧客の存在
    同業者のネットワークから生まれる顧客と課題を共有し、共に製品開発・改良を続けるファンづくり。
  • バリ取りの課題を熟知している
    板金加工で困るバリ取り工程の課題は、自分たちの抱える課題でもあり、顧客の困っていることは言われずともわかっている。

弱み

  • 営業経験ゼロ
  • 装置を作る制御系の知識ゼロ
  • バリ取り装置メーカーとしての知名度ゼロ
    営業マンはおらず、営業経験もない、自分一人しかいない、設計のノウハウもなく、当然、メーカーとしての知名度もない状態。

機会

  • 自動化の流れ(製造業の人手不足)
    人の手から離れ自動化をさせる流れが増えてきているが、バリ取り工程に関してはまだそこまで普及していない。

脅威

  • 代替品としてのロボットメーカーの参入
    (開発当初の時期ではそこまで脅威とはなっていない)

クロスSWOT分析

事例分析:クロスSWOT分析

クロスSWOT分析は、SWOT分析で利用した4つの項目をそれぞれ掛け合わせることで、選択すべき戦略を明確にしていくことができる手法です。

非常に効果的な事業の仕組みができているように思えますが、この分析は現在の結果に対する分析のため、時系列が抜けています。最初から戦略的にすべてを組んだ上で事業を進めたのではなく、試行錯誤の中で少しずつ戦略を組み立てていったそうです。

提供価値と主な競争優位性については、以下のように想定できます。

提供価値

バリ取り装置によるバリ取り工程の自動化で省力化&コスト低減を実現
(金銭的なメリットもあるが、作業者の「バリ取りは大変」という作業者の負担を軽減もできる)(経営者にも現場作業者にも欲しいと思われる製品)

主な競争優位性

  1. 顧客以上にバリ取りの現場を熟知していること(確固たる自信)
  2. 大手の狙わない市場規模
  3. 地域の技術(燕三条の磨きの技術)を結集した独自の磨きノウハウを構築
  4. 自社の集塵技術をバリ取りに生かす

成功要因の考察

①自分が絶対欲しいと思えるものを作ったこと

一般消費者向けとは異なり、非常に限られた市場で勝負したこと。また、その中で本当に欲しい製品開発を行ったことが成功の秘訣だと考えます。同じ現場にいるユーザーからの賛同を得やすくなり、販売につながります。「そうそう、こういう製品があると助かるよね」という、その装置を導入することで「儲かる」より「助かる」製品開発が成功のヒントかもしれません。

また、齋藤社長のおっしゃっていた「我々はバリ取り現場でのかゆいところがわかる」という表現は、うまく言語化できないけど何となく困っている潜在的なニーズを解き明かし、解決する手段を製品に反映させているのだと感じました。そこまでわかるのは本業の板金事業があるからこそで、板金事業も続けていくとおっしゃっていました。

②必ず成し遂げるという熱意と行動力

熱意と行動力で、顧客を開拓し、協力してくれる仲間を増やし、周りを巻き込む

前述の通り、最初から戦略を立てて製品化をしたかというと、そうではなかったそうです。自社で困っているバリ取り工程を何とかしたい、そのため、売るための機械ではなく、「自社の困った」を解決するために開発した機械だったそうです。

ただ、同業者との話の中から、うちにも欲しいという声が何件か出てくる中で、「これはビジネスになるのでは?」というきっかけから製品化に踏み切ったそうです。

SWOT分析の「弱み」部分に記載しているように、何もノウハウがない状態からスタートした事業で、熱意と気合いでカバーしてきた面も多いとおっしゃっています。事業を走らせながら製品に改良を加え、知識やノウハウを吸収、仲間を増やし、成長させていったと言えます。

③自社の事業に合った展示会への出展

チャンスを逃さない、なんとしても事業を成功させるという覚悟

雑多な展示会に出展するのではなく、顧客が多く存在する展示会への出展が大きなターニングポイントになったとおっしゃっていました。同社の場合は、MF-TOKYO(プレス・板金・フォーミング・自動化・周辺機器)の国際展示会が製品が売れ始める大きなきっかけになったそうです。大きな展示会の出展にはそれなりの費用もかかるため、社長に直談判し、費用を捻出し取り組んだそうです。そのため、出展することで何かしらの成果を上げなければならない挑戦でした。
結果として、数多くの見込み顧客を獲得し、展示会終了後にはすぐに獲得した名刺のほとんどの会社に連絡をとり、訪問のアポを取り、全国どこでも訪問したそうです。

事業を成功させるためには、チャンスを生み出すきっかけと、事業を成功させるという覚悟が必要だと感じました。事業を成功させる自信があるかどうかよりも、「なんとしても成功させてやる」という覚悟と行動がチャンスをつかむのだと考えられます。

アナログな営業がすべてではなく、現在ではアナログとデジタルの両方を駆使し、さまざまな手法で非常に効率的なマーケティング手法を確立しています。

BtoBでの自社製品開発事業の事例分析を紹介しました。自社製品開発というと、一般消費者向けが多いですが、いま働いている現場にこそ、新しい事業の種が眠っているかも知れません。皆さんの新規事業開発の参考にしていただけましたら幸いです。

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ものづくり企業の成長戦略をバリューチェーンから考える

テクノポートの小林です。自社の成長戦略を考えるサプライヤー企業に向けて、バリューチェーン分析の価値を紹介します。

バリューチェーン分析の意義

バリューチェーンは、企業が商品やサービスを創造、開発、製造、販売する過程全体を、一連の活動としてとらえる枠組みです。このアプローチにより、企業は競争力を維持するために内部活動を最適化し、付加価値を創出する方法を理解できます。典型的な目標は、自社の各活動ごとのコストを明確にし、コスト削減戦略に活かすこと。もう一つの目標は、自社の強みと弱みを把握し、差別化戦略に結びつけることです。今回のアプローチは、これまでの手法とは異なります。顧客のバリューチェーンを分析することで、サプライヤー企業としてどのような価値提供が可能かを検討し、自社の成長戦略に組み込む手段です。

3つのアプローチでバリューチェーンを分析し、成長戦略を練る

①川上と川下を広げて提供価値を高める

バリューチェーンの上流や下流に進出し、提供価値を向上させる方法考えられます。

樹脂加工バリューチェーン

射出成形の会社の場合

試作段階からの案件獲得を目指す 量産段階で案件を獲得する場合、仕様変更や量産におけるコスト競争に巻き込まれることがあります。そのため、試作段階から案件を獲得することができれば、仕様の変更や量産へのスムーズな移行、顧客との信頼構築が可能です。また、価格競争にも立ち向かいやすい状態になります。試作系業者との連携を強化するか、試作に関連する設備の内製化に注力することで、この戦略を実行することができます。

試作加工業者の場合

製品の開発をトータルサポート 逆に、試作加工業者は量産を受けていない場合があります。この場合、試作段階で問題なく製品ができても、量産時に形状の不一致が発生することがあります。そのため、製品の開発をトータルでサポートし、付加価値を提供します。量産会社と提携し、試作から量産までのサポートを提供する戦略です。

②選択肢を広げる

現在、自社で行っている加工方法は何かの製品を作る際の手法の一つのはずです。ユーザーが必要な製品に対し、自社の加工方法が適切でない場合もあります。最適な手法を提案してこそ新しい価値提供が生まれるという考えのもと加工の選択肢を増やす戦略です。もちろん自社だけでは不足するものは協力工場のネットワーク構築が必要不可欠です。

樹脂試作切削業者の場合

多様な加工方法を提案 顧客が試作品を作成する場合、樹脂の切削は1つの手法ですが、他にも加工方法が存在します。ユーザーが適切な方法を選ぶ際、最適な加工方法が何かを検討します。そのため、自社での切削以外の加工方法にも知識を広げ、光造形や真空注型などさまざまな加工方法から最適な提案を行うことで、提供価値を高めることができます。ターゲットを製品開発者に設定した場合、自社の提供価値を「最高の切削加工品を提供することを突き詰める」だと、内部資源だけで決めてしまっては、顧客が本当に欲しいものが提供できない場合があります。

③ターゲットを変える

アプローチを切り替えてみましょう。まず、自社のターゲットを変更する方法です。バリューチェーンの中で自社の位置を見直し、顧客のニーズに合わせて適切な戦略を模索します。

材料問屋の場合

従来
材料問屋バリューチェーン
新規材料問屋バリューチェーン

顧客の対象を変える:加工業者→メーカー 通常、材料問屋は加工業者に材料を提供します。しかしこのアプローチでは付加価値の向上が難しく、価格競争に巻き込まれる可能性が高いです。そこで、加工業者が協力するメーカーにアプローチをかけ、材料販売に加えて加工の受託案件を獲得することで、加工業者と連携して付加価値を提供する流れを築くことができます。こうすることで、加工業者は自社の材料を購入し、同時に仕事を獲得するメリットが得られるようになります。ターゲットの変更により、他の材料問屋との差別化を図り、顧客に価値を届ける手法といえるでしょう。

プレス金型業者の場合

従来プレス金型バリューチェーン
新規プレス金型バリューチェーン

顧客の対象を変える:プレス加工業者→メーカー 売り型の金型業者にはプレス加工業者からの依頼が中心です。しかし、プレス加工業者が案件を持ってこない限り、新しい案件が得られません。そのため、メーカーに対して自社の金型でどのような製品を作れるかをPRすることで、メーカーから直接案件を獲得し、プレス加工業者に発注する流れを構築することで商機を広げることができます。この方法は一般的なビジネス拡大の方法とも言えます。

冷間鍛造の2次加工業者の場合

従来
鍛造業者バリューチェーン
新戦略鍛造業者バリューチェーン

顧客の対象を変える:鍛造業者→メーカー 前述した金型業者と同様に、発注元の鍛造業者に依存している状態です。メーカーが求める製品に焦点を当て、ネジやナットに特化したPRを行うことで、製品の上流工程での案件を獲得する戦略です。既存の事業ドメインでは難しいかもしれませんが、協力企業との協力で実現可能です。このケースでは、鍛造品の提供以上に、適切なネジやナットを試作段階から量産段階まで調整する価値があります。鍛造業者は自社の技術に固執することがあるため、他の加工手法を提案することが難しいことも考えられます。そのため、最適な加工手法を提案できることは大きな価値となります。

以上のように、自社の位置を明確にし、戦略の展開に有益な手法を検討することで、新たな価値を創出する可能性が広がります。ご参考にしていただければ幸いです。

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中小企業のWebマーケティングがなかなか進まない理由

テクノポートの小林です。近年、コロナ禍以降はとくに、中小製造業の中にもWebマーケティングを導入する企業が増えてきています。

中小企業の経営者の後継者や営業担当者がWebマーケティングの有用性を感じ「うちの会社にも導入したい!」と思っても、社内からの理解が得られず導入を進められないケースも多く見受けられます。今回は、Webマーケティングの遂行を妨げる要因と、それを乗り越えるための対処法について紹介します。

Webマーケティングの遂行を妨げる要因

中小企業のWebマーケティングを遂行を妨げる要因はなんでしょうか?その要因をしっかり理解することができれば、対策の糸口は見つかるはずです。

デジタルマーケティングへの理解の不足

中小企業の経営者層がデジタルマーケティングに関する知識や理解を持っていない場合、Webマーケティングを効果的に活用することは難しいです。「よくわからないものは取り入れない」、「業界で話題になっていたとしても、うちは独自にやっている」という考えを持っているのかもしれません。

伝統的なマーケティングへの執着

一部の中小企業は、伝統的なマーケティング手法に依存していることがあります。昔ながらの足を使った営業活動に固執し、新しいデジタルマーケティングの重要性に気づいてないのです。もちろん対面での営業も重要な営業手法ですが、他の可能性を否定してしまうことはもったいないことです。

また、「うちの業界は特殊だから」という理由で可能性にフタをしてしまう会社も多く存在します。

予算の制約

中小企業は、大企業に比べてマーケティング予算が限られています。Webマーケティングには広告費や専門的な支援を必要とする場合があり、予算の制約が進展を妨げる要因となることがあります。今まで営業をせずとも仕事を受注できていたため、営業に費用をかけることに消極的な傾向があります。また、見えないWebに関して費用をかけるのにはさらに消極的になる場合があります。「展示会には費用をかけて積極的に出展しているけれど、Webはぜんぜん」というケースも少なくありません。

リソース不足(運用体制)評価体制に問題

Webマーケティングは継続的な取り組みを必要とします。中小企業は従業員数や業務量が限られていることが多く、Webマーケティングに必要なリソースや時間を割く余裕がない場合があります。専属の人間を置くことはできず、どうしても片手間になりがちです。

評価体制に問題

実施者の人事評価も重要な問題です。せっかく成果を出しても実行者への適切な評価が得られず、モチベーションの低下、予算削減などにより思うように進まなくなることがあります。

成果測定の不足

効果測定は、実施したマーケティング活動の成果や効果を測定し、改善策を立てるために重要な要素です。やったことに対する成果を見える化させる仕組みがなければ、社内での評価や賛同を得ることができません。

Webマーケティングを遂行するための4つのポイント

上記の要因を踏まえた上で、遂行するためのポイントを紹介します。

経営者層にWebマーケティングの重要性の理解をいかに得るか?

何よりも大事なことは、ユーザーがどのように新規の会社を探しているかを経営者層に理解してもらうことです。ユーザーの行動心理を理解し、その上で自社がどうあるべきかを考えることで、自然とWebの重要性が理解してもらえるはずです。

そのためには、やはり数字や生の声を利用し、根拠に基づいた説明が効果的です。担当者の気持ちや意見ではなく、客観的な意見と根拠で説明します。例えば下記のようなアンケート調査を利用すると効果的です。

新規開拓

引用元:イントリックス株式会社

情報収集段階の手段として、Webを使うユーザーが圧倒的に多いことが証明されています。

ユーザーの行動心理に合わせ、自然と自社を認知してもらい引き合いを呼び込むことは、ユーザーにストレスを感じさせないユーザーファーストな営業と言えます。

Webマーケティングの効果的な実行手段の構築

重要性を理解してもらったところで次は、「じゃあどうやってやるの?」が経営者層の興味内容です。効果的な手段が提示できなければ、せっかく有用性を理解してもらえても賛同が得られません。

限られた予算の中で、いかに高い効果をあげられるかが課題となります。まずテコ入れすべきはWebサイトです。WebサイトはWebマーケティングの中核です。ユーザーフレンドリーなデザイン、SEO対策、モバイル対応など、Webサイトの最適化を行い、集客力の高いサイト構築が必要となります。

Webマーケティングに知見のある人材が社内にいるケースは少ないため、信頼できるWebマーケティング会社と一緒に進めることをおすすめします。事例などを踏まえて効果が期待できるようなイメージをいかに持たせるかが重要です。

実施効果の見える化:Webマーケティングの運用、評価体制の構築

実施効果をどうやって計測するかが次に知りたいポイントです。やりっぱなしが一番の問題です。以下のポイントを考慮して、適切な運用・評価体制を構築しましょう。

①データ収集と分析:

Web解析ツールやデータ収集手段を活用し、マーケティング活動の成果を定量的に評価します。Webサイトのトラフィック、コンバージョン率、離脱率などの指標を分析し、課題や改善点を洞察します。

②目標とKPIの設定:

マーケティングの目標を明確に設定し、それに基づいたキーパフォーマンスインディケーター(KPI)を定めます。KPIは成果を評価する指標であり、マーケティング活動の進捗状況を把握するための基準となります。

③定期的な評価と改善:

マーケティング活動の評価を定期的に行い、データに基づいた改善策を立てます。効果のある施策を継続し、効果の低い施策を見直すことで、効率的なマーケティング活動を実現します。

④成果の評価だけでなく、実行者への評価や運用体制について:

組織としてWebマーケティングをどう運用するかを議論しておくことも重要です。誰がどのように管理し、時間をどれぐらい費やすべきか、また、その成果に対して仕事としてどのように評価すべきかまでを考えておかなければ、「頑張って成果が出たのに、人事評価とは関係なかった」となると、社員のモチベーションの低下にもつながります。

④だけは担当者としての業務遂行のしやすさや立場を守るためにも重要です。会社組織全体としてWebマーケティングに取り組むことの理解を得ましょう。

Webマーケティング遂行にかかる費用に対しての理解

最後はかかる費用に対しての合意です。費用に関しての捉え方は会社によってまちまちのため、Webマーケティングに関する費用を安いと捉える会社もあれば、高いと捉える会社もあります。一般的な説明の道筋は下記の通りです。

  1. 新規開拓の重要性の理解
  2. そのために何をするか?新規開拓の手法の提示
  3. その中でWebがコストパフォーマンスに優れている点

ただ、それだけだと初めてWebマーケティングに取り組む方の腰は重いかもしれません。価値をどうやって理解してもらうかの話ですので、たとえ話をしてみるのもよいでしょう。

例えば、この業界は単発の新規取引ばかりでは手間ばかりで利益が出ない業態の会社が多いです。そのため、単発取引をいくつか受ける中で、1年間に1社でも継続取引ができる顧客がもしできるとすれば、どれぐらいの費用をかける価値がありますか?

会社や組織を巻き込むためには、論理的な話だけでなく、可能性や期待、ワクワク、情熱も最終的には必要になります。

Webマーケティングの遂行を妨げる要因と、それを乗り越えるための対処法について紹介しました。参考にしていただけましたら幸いです。

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BtoB製造業のブランドポジショニングで差別化を図る方法と成功の秘訣

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業において競争が激化する現代では、ブランドポジショニングは企業の差別化と成功に欠かせない要素となっています。本記事では、BtoB製造業がブランドポジショニングを活用して差別化を図り、成功を収めるための方法と秘訣について解説します。競合他社との差別化を図りたい方や自社の価値を明確に伝えたいと考えている方は、ぜひお読みください。

ブランドポジショニングとは

ブランドポジショニングとは、市場における自社(ブランド)のポジション(立ち位置)を明確にすることです。たとえば「ハーゲンダッツといえば高級なご褒美アイス」「ガリガリくんといえば安くてガツンと冷たいアイス」というように、ブランド名からイメージや印象が思い浮かびます。このブランドポジショニングは、BtoCの商品やサービスに限らず、BtoB企業単位でもポジショニングを設定することが可能です。市場の中で自社がどのような立場でどのような価値を提供しているかを、顧客に明確に認識してもらうことで、他社との差異化をはかることができるのです。

自社独自の顧客層の明確化

まずは、BtoB製造業のターゲット市場を明確化することが重要です。最も自社の製品やサービスが需要の高い市場、つまり自社の提供する製品やサービスに対して最も価値を高く感じてくれる顧客層は誰(どんな企業)かを特定します。そして、その顧客層のニーズや悩みを理解します。合わせて、市場の特性や競合状況を分析し、自社の強みを最大限に生かせるポイントを切り口に、ポジショニングを構築しましょう。

ブランドアイデンティティの明確化

BtoB製造業のブランドアイデンティティを明確にすることも重要です。自社の理念に始まり、ビジョン、ミッション、バリューなどの世界観を明確に定義し、それを顧客に伝えるブランドストーリーを作り上げましょう。製品やサービスだけでなく、企業の存在意義や提供する価値を強調することで、顧客との共感や信頼を築くことができます。特に近年では、SDGsやサステナブル経営、ウェルビーイングなど企業の在り方を問われる時代の変革期とも言われ、企業の方針を示すことは取引先から選ばれる上でも重要な工程です。

独自性の追求

BtoB製造業市場では競合他社との差異を明確に提示し続けるため、独自性を追求することが必要です。例えば、品質の高さ、技術力の優位性、スピーディな納期対応といったメリットをはじめ、他社と異なる着眼点や、そこから生まれるプロ意識の高いサービスを提供しましょう。自社のアイデンティティを発揮し、顧客にとって魅力的な要素を持つ独自の商品・サービスで他社との差異化を図ることができます。

ブランドコミュニケーションの強化

差異化を図るためには、適切なブランドコミュニケーションを展開することが必要です。自社のブランドメッセージを一貫して伝えるために、広告、宣伝、PRなどの手法を活用しましょう。コーポレートサイトを作っておくだけでなく、今まで以上に顧客との関係を築くために、SNSやブログでの発信などを通したオンラインプレゼンスも重要です。顧客との対話やフィードバックを通じて、ブランドへの関与を高めることができます。

持続的なブランドマネジメント

最後に、ブランドポジショニングが明確になったら、この成功を維持するという考えが欠かせません。そのためには、持続的な”ブランドマネジメント”が必要です。市場の変化や顧客のニーズの変動を定点観測し、ブランド戦略を柔軟に見直すことが重要です。定期的なブランド評価や競合分析を行い、改善の余地や新たなチャンスを見つけ出すことが、BtoB製造業が市場で揺るぎないポジションを確立するのに重要なのです。

まとめ

BtoB製造業のブランドポジショニングは、変化の激しい市場において他社との差異化を明確にし、企業成長のための重要な要素です。自社独自の顧客層の明確化、ブランドアイデンティティの明確化、独自性の追求、ブランドコミュニケーションの強化、持続的なブランドマネジメントが成功の鍵となります。適切なブランドポジショニング戦略を構築し、顧客との関係を深めることで、自社の認知度を高めていきましょう。

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中小製造業における新規営業の難しさを考える

テクノポートの小林です。今回は中小製造業の新規営業の難しさについて、業界の構造、技術営業の特徴を踏まえ紹介します。現状を理解することで、自社が行うべき施策の参考になれば幸いです。

中小製造業の新規開拓の必要性について

いまさら説明の必要性はないかもしれませんが、中小規模の製造業の新規開拓の必要性について、念のため説明します。

原価低減協力による利益率低下のリスク軽減

既存顧客との取引においては、原価低減協力により、利益率が低下することがあります。新規顧客の獲得により、顧客数を増やしてリスクを分散することで、原価低減協力のリスクを軽減できます。

現場の思考力向上

決まった仕事を続けると作業化してしまい、現場の思考力が低下することがあります。新しい顧客からの依頼に対応することで、現場のスキル向上や知識の習得が促進されます。また、新しいプロジェクトに取り組むことで、現場のアイデアや創造性の向上が期待できます。

仕事の波の緩和

製造業は仕事の波が激しく、需要の変動に対応する必要があります。新しい顧客を獲得することで、需要の変動リスクを軽減し、収益を安定化させることができます。

イノベーションの創出

新しい市場には、既存のビジネスモデルでは対応できないニーズが存在するため、より効率的かつ柔軟性のあるビジネスモデルが求められます。新規顧客との取引を通じて、新しいビジネスモデルのアイデアを得ることができ、それがイノベーションの創出につながります。

中小製造業の技術営業の難しさ

顧客:下請け構造による問題

顧客との関係性で受託加工という性質上の問題が考えられます。

①立場上、足元を見られやすい

案件を獲得しようとこちらからアプローチをかけても、そもそもメーカー側ではすでに頼んでいる加工業者が存在します。切り替えにはリスクが伴うため、何かしらのメリットでもない限り、新たな加工業者に依頼することはありません。そのため「大幅に安くなるなら考えるよ」程度で終わってしまいやすい現状があります。

②発注のタイミングが捉えづらい

既存業者で加工不可、キャパオーバー、不具合が起こった場合など、新規の加工業者を探すタイミングがイレギュラーで発生します。そのタイミングは密な連絡をとっていない限り、外部から知ることはできません。そのため、付き合いのない会社がそのタイミングを知ることはハードルが非常に高いと言えるでしょう。

③口コミ紹介で広がりづらい

すごく良いサービスを受けたり、良い製品を購入したりした際に、人は誰かに伝えたくなります。特に個人ではその性質が強いと言えます。しかし、ものづくりの業界では、「できれば自社の仕事を優先的に受けてもらいたい」という考えがあります。なぜなら設備的なキャパの限界があり、他の仕事を受けて、自社の仕事を受けてもらえなくなる恐れがあるためです。そのため、一般的な口コミ紹介は広がりにくく、大企業では同じ会社の他部署でさえ情報が共有されていないこともあります。

競合:技術の特性的な問題

自社製品販売と比べ技術は伝えづらい

製品というものは、なにかしらの用途で利用するために設計されています。そのため、利用上のメリット・デメリット、価格など説明する内容を顧客の利用シーンに合わせ提案できます。一方で、技術は用途が限定されず、同じ案件というものはほとんど存在せず、図面ごと、数量、納期によって提供できる価格が異なります。そのため、顧客が求めるものを探りながら、それに合わせたメリットの提供・提案をする必要があります。

他社技術との差別化がしづらい

加工業者の保有する設備は自社オリジナル加工機というものはほとんどなく、汎用性の高い工作機械を使って加工を行っています。そのため、保有する設備は最新式のもの、海外製のハイスペックマシンなどの特徴の機械はあるものの、ほとんど同じような加工機で多くの会社が競い合っています。

また、使い方も、工具や治具、加工条件などにノウハウはあるものの、ユーザーに競争優位性を説明できるような数字で提示することは非常に難しいと言えます。

自社:自社の保有するリソースの問題

技術知識と営業スキルを兼ね備えた営業人材が少ない

欲を言うなら、やはり工場の経験を積んだ営業人材が欲しいところです。単なる御用聞きではなく、図面を理解した上での提案や、やり取りがスムーズになるためです。ただ、そのような人材を新たに雇うことは非常にハードルが高く、社内で工場から営業へ転属させても、営業の向き不向きの問題もあります。

自社の保有する設備以上の案件は受けられない

どんなに良い案件があっても、自社の稼働が目いっぱいでは仕事を受けることはできません。需要があればあるだけ作れば良いというような製品販売側とは違った稼働力という制限があります。

もちろん協力工場との連携でカバーする手段もありますが、協力工場との良好な関係作り、協力工場の稼働状況なども把握する必要があります。

営業と工場とのコミュニケーションに障害が起きやすい

営業側が頑張って案件を獲得しても、工場側では稼働力の問題や、新しい案件への抵抗などから非協力的というケースはありがちなお話です。営業側と工場側の密な協力体制が案件受注率のアップには必要となります。

大手と比べ人手と費用に限りがある

こちらは言わずもがなです。

上記を理解した上で考える営業の成功要因

まず最初に取り組まなければならない課題は、下記の2つにあると考えます。

  • 相手のタイミングをいかに効率よくつかむか
  • 技術を必要とするユーザーにいかに自社を認知させるか

理由として、まずは案件がなければできるかどうか、どのようなメリットが出せるかなど、具体的な検討をすることができないからです。案件を獲得するには営業が必要というお話もありますが、今の時代はWebでも案件の相談を呼び込むことができます。

下記はWebを活用した情報収集から企業選定をしているアンケート事例です。Webを活用した情報収集は、製造業でも例外ではありません。

新規開拓出典:イントリックス社 製品選定時にWebサイトを利用する人が営業・展示会を超えて多数

また、Web活用が受託加工業と相性が良い点があります。主には下記の3点です。

①ユーザーの発注形態に合っている(発注側のタイミングをつかむことができる)

②相手から具体的な相談が来る(立場上の問題を解決)

③低コストで人のリソースに左右されず常に営業(PR)できる

中小製造業の営業活動の難しさについて紹介しました。自社の置かれている状況を理解した上で、自社なりの施策が立てられるよう参考にしていただければ幸いです。

弊社では製造業専門にWebを活用した新規開拓支援をしております。新規開拓についてお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。

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ブランディングに欠かせない3つの条件とは?製造業・中小企業の小さく始める企業ブランディング(コーポレートブランディング)

新規顧客獲得!採用活動の充実!など、昨今企業ブランディングの重要性が今まで以上に高まっています。その理由は、新たな顧客からの受注や、優秀な人材の獲得に向けて、ターゲットから選ばれる企業になるためです。そのために各企業はさまざまな施策を展開しています。では、大手企業のように潤沢な資金や、余剰のあるマンパワーを持たない中小企業は、どのような施策を打つべきでしょう。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

ブランディングで得るべきものは「企業に対する信頼」です。この記事では、小さく始めて大きく信頼を得ていくための企業ブランディングについて、欠かせない3つの条件などを挙げながら解説していきます。

ブランディングに欠かせない3つの条件

企業ブランディングを行う上で、欠かせない3つの条件があります。

【1】経営者の揺るぎない思い
【2】良い商品・サービス
【2】伝達チーム

1つずつ解説していきましょう。

【1】トップの揺るぎない志

企業ブランディングのスタートとなるのは「志」です。ブランディングではその過程の中で、さまざまな情報の中かから自社のあるべき姿を判断していくことの連続です。その上でトップの揺るぎない志が中心にあることは損得勘定ではない、企業の本質的な価値を見出すことができるのです。

【2】良い商品・サービス

弊社にブランディングのご依頼をいただくときに困ることがあります。それは、これと言って特徴もなく、改善も行われていない商品・サービスです。ブランディングで誤解されがちなのが、見た目を良くする=売れるようになるということです。たとえデザインを良くしてもそれは見せかけです。初回は依頼されてもリピートされることはないでしょう。ターゲットが「これは良かった」と思って再度購入したり、人に紹介する。そうした信頼の連鎖こそブランディングでは重要になります。ブランディングの大前提として、良い商品・サービスしかブランドになり得ないのです。

【3】伝達チームを作る

ブランディングをするには「良い商品・サービス」があることが必須条件ですが、逆にいうと業界おいて技術No.1のでなくても、競合他社との差異化は可能です。私がこれまで面談させていただいたクライアントの皆さんは、「志」を持ち、良い商品・サービスのため日々研鑽されている方ばかりでした。しかしそんな「つくる」ことに長けたクライアントの皆様の「伝える」ために割くリソースはつくることの1/10程度でした。つくる力が10だとしても、伝える力が1ではターゲットにその価値を伝達することができないのです。

「つくる」と「伝える」の両輪体制を持つ必要性

景気の良かった時代は、「つくる」ことだけやっていれば良い時代もありました。社会全体の役割分担が自然に形成され、「つくる人」「売る人」「伝える人」がそれぞれ分業し、みんなで協力し合って日本経済を回していました。その名残で、今でも日本には「つくる事」にのみ特化した会社がとても多いのです。

かつてのように、経営資源を「つくる」ことだけに集中させていては、会社が良くなることは難しいのです。つまり、これからは自前の「伝達チーム」を持つことが、企業ブランディングの条件なのです。「つくる」と「伝える」の両輪体制を、自社でしっかりと持つことが、ブランディングの差異化要因をきちんと伝言することにつながっていくのです。

企業ブランドを強くする「フォーカス」

伝える力の強いメッセージには、フォーカス(焦点)が絞られているという共通点があります。ブランディングの導入期に失敗しがちなのが、アイディアをたくさん盛り込んだ「全部のせ企画」です。

例えば、営業部からは「自社サービスをわかりやすく、パッケージングしたキャンペーンを打ち出したい」というアイデア。開発部からは「新しく搭載された機能についてより詳しい情報を」といった実に様々なアイデアが出てきます。もちろんどの部署もブランドの為を思っての発言です。しかし、それらのアイデアを全て採用していった結果、伝える力の弱い「全部のせ企画」が誕生してしまいます。そして、この全部のせ企画の厄介な点が、社内誰からも異議が出ないと言うことです。社内メンバーからすれば自分たちの意見が盛り込まれた満足のいく内容かもしれません。しかし、本来伝えるべきであるターゲットにとって読み取りにくい難解なものになってしまいます。

もし企業ブランドを強くしたいと思っているのであれば、相手が最も受け取りやすい伝え方にフォーカスを絞ることが重要なのです。

「売りたい」という下心が、ブランディングを停滞させる

ブランディングを行うのは、商品やサービスの価値を高め購買意欲を高めることも一つの目的です。しかし「売りたい」「買って欲しい」という下心があることで、先に述べたようなフォーカスの定まらない「全部のせ企画」が生まれます。その結果は皆さんのご想像通り、NGブランディングの完成です。

ブランディングで得るものは「企業に対する信頼」です。信頼があるからこそ依頼され、継続的にビジネスパートナーとして選ばれることはビジネスの原理原則です。経営者は下心を捨て、フォーカスを絞ることを選ぶことが、ターゲットからの「信頼」を獲得する最短ルートなのです。

まとめ

「つくる」ことに長けた製造業だからこそ、「伝える」というもう一つの車輪を持つことで、経営を安定させ長く走らせていくことが可能になります。今回の記事を参考に、まずは現時点で自社がブランディングに欠かせない3つの条件を明確に持っているかをチェックしてみることから始めてみましょう。

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サプライヤー(金属・樹脂加工業など)がホームページ制作する際の戦略の立て方

ホームページ制作において、戦略は非常に重要だと認識されている方は多いでしょう。しかし、「戦略の重要性はわかっても、具体的にどのように戦略を立て、それをホームページに反映させればよいかわからない」というお話をよく伺います。今回は、サプライヤー企業(金属加工や樹脂加工業など)のホームページ制作の際の戦略の立て方について説明します。

戦略策定のための事前準備

今後の戦略を立てるために、まずは自社が置かれている現状の分析が必要です。汎用性の高い3C分析がおすすめです。

3C分析(3C analysis)は、経営戦略やマーケティング戦略の立案において利用されるツールの一つです。3Cは、顧客(Customer)、競合他社(Competitor)、自社(Company)の頭文字を取ったものです。

具体的な活用事例については、下記にて説明しています。

戦略策定のためのおすすめフレームワーク

現状の分析を行った上で自社のとるべき戦略を考えます。その際に活用できるフレームワークとして「アンゾフのマトリクス」があります。

アンゾフのマトリクスとは

アンゾフの事業拡大マトリクスは、市場と製品(サービス)を縦軸と横軸に配置した4つの象限から成るフレームワークです。縦軸は市場を「既存」と「新規」に、横軸は製品(サービス)を「既存」と「新規」に分けています。このマトリクスは、企業の成長戦略を多角的に考えるためのツールであり、経営戦略の検討に広く用いられています。

アンゾフのマトリクス

市場浸透戦略(Market Penetration):既存の市場で既存の製品を提供することに焦点を当てます。市場シェアの拡大や顧客の獲得を通じて、既存の製品の売り上げを増やします。

市場開拓戦略(Market Development):既存の製品を新しい市場に展開します。新しい顧客セグメントや地理的領域に進出し、既存の製品を新たな市場で販売します。

製品開発戦略(Product Development):既存の市場向けに新しい製品やサービスを開発します。既存の顧客に対して新しい選択肢を提供することで、市場の拡大と顧客満足度の向上を図ります。

多角化戦略(Diversification):新しい市場に新しい製品やサービスを導入します。これは最もリスクの高い戦略であり、企業は新しい市場や製品に関する知識や能力を獲得する必要があります。

それぞれの成長戦略は独自のリスクと機会を伴い、企業の状況や目標に応じて適切な戦略を選択することが重要です。

このツールを用い、加工業向けにどのような戦略があるかを説明します。

既存市場×既存サービス

既存の市場でどのように顧客を獲得するかについて組み立てる戦略です。Webマーケティングでは二つの戦略が考えられます。

市場浸透

既存市場に対し自社の認知度を向上させ、さらなる顧客獲得を目指す取り組みです。例えば、ロストワックス鋳造の会社が市場で自社を認知させるために「ロストワックス」というキーワードでSEO対策を打つようなやり方です。Webマーケティングは企業の規模の大きい小さいにかかわらず取り組むことができ、リスクが少なく済みます。

事例:株式会社武杉製作所

差別化集中

既存市場において、特定の狭い市場(特定のターゲット)を対象にし、製品やサービスの差別化によって競争優位性を構築する戦略です。ターゲットや自社の強み、特徴、競争優位性が明確になったときに採用されるべき戦略です。ユーザーに対しての訴求力も高く、付加価値の高い仕事を獲得できる可能性があります。ただし、ターゲット市場が極端に狭すぎると売上に貢献できない場合もあります。

事例:有限会社ユニバーサル

新規市場×既存サービス

保有する資源を活かし、新しい市場を開拓する手法です。

海外市場開拓

国内市場が縮小しているため、多くの企業が海外市場に注目しています。海外進出にはリスクが伴うため、Webマーケティングを活用して海外でPRし、海外の顧客を獲得する手法です。ただし、国内でのWebマーケティングがまだ十分に実施されていない場合、海外へのPRは成果を上げにくい可能性があります。ユーザーの視点に立ち、なぜ海外に仕事を依頼する必要があるのかを明確にすることが重要です。まずは自社の得意分野を見極め、それを確立することが重要です。

一般消費者やデザイン設計事務所などの製造業界以外の開拓

ターゲットを製造業以外に設定し、ユーザーの求めるニーズを定義しサービス提供をする戦略です。行っている事業は同じですが、市場を変えることで新たな需要を取り込むことができます。反面、ものづくりの一般知識がないユーザーとのやり取りは、従来の仕事よりも労力がかかります。その対応力や提供価値を新たに作る必要があります。

例:株式会社富士産業

他工法からの切り替え

自社の加工方法は、既存市場で受託する加工以外に、他の加工方法からの代替の手段になる可能性があります。切り替えの可能性のある製品や課題となる点を見つけ出し、顧客を獲得します。金属から樹脂への切り替えや、切削からプレスへの切り替えなどさまざまです。

既存市場×新サービス

既存市場に対して新しいサービスを提供する戦略です。しかし、受託加工を行っている会社が新サービス、といってもピンとこないかも知れません。例として、製品が出来上がるまでの価値連鎖を作り、自社のサービス提供領域を把握し、その前後や横に広げる余地がないかを考えることで、新たな価値提供ができます。

例えば、射出成形の会社が成形の案件を獲得する際に、量産段階では仕様変更もできないため、価格競争になりやすくなります。そのため、協力工場を活用し、試作段階からの案件を獲得できる仕組みを作ることで、試作から量産へのスムーズな移行ができる価値提供と、早い段階からの案件獲得による競争優位性を築くことができます。

また、試作切削の会社が設計開発部門をターゲットにする際には、切削だけでは最適な加工方法の提案ができません。そのため、協力会社を活用し、サービス提供範囲を広げ、試作の際に光造形や真空注型などの他工法も含めた検討を行うことで、顧客のニーズに応える手法も考えられます。

例:荒川技研株式会社

新規市場×新サービス

こちらの戦略でわかりやすいのは、自社製品を作って、一般消費者向けに販売する手法です。ただし、顧客も従来とは異なり、従来の営業とは異なる販売ノウハウが必要となるため、ハードルが高い戦略です。自社の成長として多角化は重要なテーマであり、意義のある取り組みです。しかし、弊社でもその成功パターンを研究していますが、Web上での効果的な手法はまだ確立できていません。

最後に

Webの利点は、一つの戦略に絞る必要がなく、複数の戦略を同時に進行できることです。継続的かつ多角的に自社をPRすることで、自社の価値を見つけ、適切な顧客を獲得できます。以上の情報が参考になれば幸いです。

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WEBサイト作りで考えるコーポレートブランディング | 生産効率を上げるシンプルな方法

会社のウェブサイトを作り直すタイミングは、会社の生産性を見直す最高のタイミングであることをご存知でしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

経営において、現場・自社がどんなブランディング手段で社員や取引先に伝えていくのかを精査するタイミングなのです。この記事では、ブランディング視点から、企業の生産性を上げるシンプルな方法から、現場・営業活動・採用活動における波及効果についてお伝えします。

生産効率を上げる最も簡単な方法

生産効率を上げる最も簡単な方法は、とてもシンプルです。それは、企業の『判断基準』を設けることです。「自社らしい判断」と言う指標を持つことで、どのような事態になっても、経営層・マネジメント層・現場社員といった職位を超えて、意思決定の迅速化、統制の向上を図ることができます。これらの自社らしさはブランド化され、競合他社との差別化にも大きな効果をもたらします。

現場への影響

企業の判断基準が明確になり、企業の内側がブランド化されていくと、現場ではこのような影響が現れます。

1.目標の明確化

明確な判断基準があると、組織や部署の目標が明確になります。目標が明確であれば、それに向かって取り組むことができるため、生産性や成果が向上する可能性があります。

2.意思決定の迅速化

判断基準が明確であると、意思決定が迅速になります。これは、判断基準に基づいて迅速な判断ができるためです。迅速な意思決定は、ビジネスの成長に不可欠です。

3.説明責任の明確化

明確な判断基準があると、組織や部署の説明責任が明確になります。誰が何を担当しているのか、どのような判断基準に基づいて行動しているのか、などが明確になるため、組織内での情報共有がスムーズになります。

4.統制の向上

判断基準が明確であれば、組織内のプロセスや規律が向上します。判断基準に基づいた行動を徹底することで、誰でも同じレベルで作業を行うことができます。

営業活動への波及

企業の判断基準が明確なことは、社内だけでなく社外にも大きな影響を生み出します。効率的かつ効果的な提案ができ、顧客との信頼関係を構築しやすくなるので、営業活動の生産性を向上することができます。

1.顧客ニーズに合った提案ができる

企業が自社のビジョンや目的を明確にしていると、それに基づいた顧客ニーズの把握がしやすくなります。営業担当者は、そのニーズに合った提案を行うことができるため、顧客満足度を高めることができます。

2.説得力のある営業ができる

企業が明確な基準に基づいて営業活動を行っていると、それに基づく説得力のある営業ができるようになります。営業担当者が自信を持って提案できることで、顧客との信頼関係を築くことができます。

3.質の高い提案ができる

企業が判断基準を明確にしていることで、営業担当者は、提案する商品やサービスの品質基準を把握しています。そのため、より質の高い提案ができるようになり、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。

4.販売促進の効果が高まる

企業が明確な基準に基づいた営業活動を行っていると、顧客が商品やサービスを選択する際の基準となるため、販売促進の効果が高まります。例えば、企業のブランディングが明確になっている場合は、商品やサービスの購買に対する顧客の意識が高まることが期待できます。

採用活動へ波及

採用の時点で自社の判断基準・行動指針を明確に提示することで、採用が決まった後に企業側・求職者側が「なんか違った」と言う不幸なミスマッチを防ぐことができます。その結果、情報公開の時点で、企業の方針にマッチした人材に呼びかけができるようになるので、採用前・採用活動中・採用後の生産効率が向上します。

1.候補者の選別が容易になる

企業の判断基準が明確になることで、採用担当者は求める人物像を明確に理解できます。これにより、求めるスキルや経験、人物像に適合する候補者を簡単に選別することができるようになります。

2.採用プロセスがスムーズに進む

判断基準が明確になることで、採用プロセスをスムーズに進めることができます。選考に必要な情報が整理され、採用担当者は候補者に必要な情報を適切なタイミングで提供することができます。

3.採用担当者の負担が軽減される

判断基準が明確になることで、採用担当者は面接や選考に必要な情報を整理しやすくなります。また、候補者に対して求めるものを明確にすることで、採用担当者が候補者に対する期待や評価を適切に伝えることができ、誤解や不信感を生じさせることがなくなります。

4.適切な人材が採用される

判断基準が明確になることで、企業は求める人材像に合致した候補者を選択することができます。適切な人材が採用されることで、企業は業務効率の向上や経営戦略の推進など、様々な面での成果を期待することができます。

まとめ

コーポレートサイトを作り直すときは、企業のブランディングを見直す絶好のタイミングです。
ただデザインを見直すだけではなく、企業の現場、採用活動、営業活動において生産性を高める企業の「判断基準」を明確に提示してみることで、企業の本質的な生産性の向上を目指しましょう。

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WEBサイト作りで考えるコーポレートブランディング | 生産効率を上げるシンプルな方法

会社のウェブサイトを作り直すタイミングは、会社の生産性を見直す最高のタイミングであることをご存知でしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

経営において、現場・自社がどんなブランディング手段で社員や取引先に伝えていくのかを精査するタイミングなのです。この記事では、ブランディング視点から、企業の生産性を上げるシンプルな方法から、現場・営業活動・採用活動における波及効果についてお伝えします。

生産効率を上げる最も簡単な方法

生産効率を上げる最も簡単な方法は、とてもシンプルです。それは、企業の『判断基準』を設けることです。「自社らしい判断」と言う指標を持つことで、どのような事態になっても、経営層・マネジメント層・現場社員といった職位を超えて、意思決定の迅速化、統制の向上を図ることができます。これらの自社らしさはブランド化され、競合他社との差別化にも大きな効果をもたらします。

現場への影響

企業の判断基準が明確になり、企業の内側がブランド化されていくと、現場ではこのような影響が現れます。

1.目標の明確化

明確な判断基準があると、組織や部署の目標が明確になります。目標が明確であれば、それに向かって取り組むことができるため、生産性や成果が向上する可能性があります。

2.意思決定の迅速化

判断基準が明確であると、意思決定が迅速になります。これは、判断基準に基づいて迅速な判断ができるためです。迅速な意思決定は、ビジネスの成長に不可欠です。

3.説明責任の明確化

明確な判断基準があると、組織や部署の説明責任が明確になります。誰が何を担当しているのか、どのような判断基準に基づいて行動しているのか、などが明確になるため、組織内での情報共有がスムーズになります。

4.統制の向上

判断基準が明確であれば、組織内のプロセスや規律が向上します。判断基準に基づいた行動を徹底することで、誰でも同じレベルで作業を行うことができます。

営業活動への波及

企業の判断基準が明確なことは、社内だけでなく社外にも大きな影響を生み出します。効率的かつ効果的な提案ができ、顧客との信頼関係を構築しやすくなるので、営業活動の生産性を向上することができます。

1.顧客ニーズに合った提案ができる

企業が自社のビジョンや目的を明確にしていると、それに基づいた顧客ニーズの把握がしやすくなります。営業担当者は、そのニーズに合った提案を行うことができるため、顧客満足度を高めることができます。

2.説得力のある営業ができる

企業が明確な基準に基づいて営業活動を行っていると、それに基づく説得力のある営業ができるようになります。営業担当者が自信を持って提案できることで、顧客との信頼関係を築くことができます。

3.質の高い提案ができる

企業が判断基準を明確にしていることで、営業担当者は、提案する商品やサービスの品質基準を把握しています。そのため、より質の高い提案ができるようになり、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。

4.販売促進の効果が高まる

企業が明確な基準に基づいた営業活動を行っていると、顧客が商品やサービスを選択する際の基準となるため、販売促進の効果が高まります。例えば、企業のブランディングが明確になっている場合は、商品やサービスの購買に対する顧客の意識が高まることが期待できます。

採用活動へ波及

採用の時点で自社の判断基準・行動指針を明確に提示することで、採用が決まった後に企業側・求職者側が「なんか違った」と言う不幸なミスマッチを防ぐことができます。その結果、情報公開の時点で、企業の方針にマッチした人材に呼びかけができるようになるので、採用前・採用活動中・採用後の生産効率が向上します。

1.候補者の選別が容易になる

企業の判断基準が明確になることで、採用担当者は求める人物像を明確に理解できます。これにより、求めるスキルや経験、人物像に適合する候補者を簡単に選別することができるようになります。

2.採用プロセスがスムーズに進む

判断基準が明確になることで、採用プロセスをスムーズに進めることができます。選考に必要な情報が整理され、採用担当者は候補者に必要な情報を適切なタイミングで提供することができます。

3.採用担当者の負担が軽減される

判断基準が明確になることで、採用担当者は面接や選考に必要な情報を整理しやすくなります。また、候補者に対して求めるものを明確にすることで、採用担当者が候補者に対する期待や評価を適切に伝えることができ、誤解や不信感を生じさせることがなくなります。

4.適切な人材が採用される

判断基準が明確になることで、企業は求める人材像に合致した候補者を選択することができます。適切な人材が採用されることで、企業は業務効率の向上や経営戦略の推進など、様々な面での成果を期待することができます。

まとめ

コーポレートサイトを作り直すときは、企業のブランディングを見直す絶好のタイミングです。
ただデザインを見直すだけではなく、企業の現場、採用活動、営業活動において生産性を高める企業の「判断基準」を明確に提示してみることで、企業の本質的な生産性の向上を目指しましょう。

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ターゲットを明確に絞ることで、確度の高い問合せを呼び込むことに成功【株式会社モリセ精工】

セラミック材質を中心とした精密加工業を行っている株式会社モリセ精工様のWebマーケティング事例をご紹介します。

会社情報

会社名 株式会社モリセ精工
担当者名 代表取締役 森瀬様
事業内容 精密部品加工
サイトURL http://www.morise.co.jp/
導入サービス Webサイト制作、Webコンサルティング

モリセ精工

出典:株式会社モリセ精工

抱えていた課題

新規顧客は増やしたいと考えていましたが、窓口を叩いての営業が苦手意識をお持ちでした。求められていない会社へ訪問しても、すでに依頼している外注先がいるわけで、結局価格勝負になってしまうからです。

秘匿性の高い部門がお客様なので、なおさらハードルは高いです。また、製品のようなありものを売る商売ではないため、プッシュでの営業は合わないとお考えでした。

実施施策

同社は、精密研磨、研削を得意とする精密部品加工業者です。ホームページを制作にあたり、加工技術、加工設備をPRすることももちろん重要ですが、ターゲットが「研究開発部門」と明確に決まっていたため、ターゲットが求めるものを軸にサイト企画することが重要と捉えました。

例えば、ファーストビューでは、加工内容や技術ではなく、だれがお客様かが伝わるキャッチコピーを作成。キーワード対策、サイト構成は「試作、テスト、試験片、難削材」など、研究開発者が抱える課題に合わせて制作しました。

「研磨加工」「切削加工」「5軸加工」など、保有する設備・技術からキーワードを設定し訴求することもできましたが、ターゲットがぼやけてしまうため、「自社のアピールポイント」よりも、「誰に届けるか」を優先して企画しました。

切削・研磨の領域であれば、より多くの会社がお客様になる可能性がありますが、競合も多く差別化が難しくなります。ターゲットを明確に絞り、それに合わせ、付加価値の高い複合的なサービス提供をしているのが同社の強みであり、ホームページでも打ち出すべきポイントでもありました。

導入効果

  • 問い合わせ増
  • 受注率アップ
  • 狙ったターゲットからの受注獲得

全く来なかったホームページからの問い合わせが、リニューアル後は週2~3件ほどのペースで来ているそうです。受注率は3割程度と以前に比べ大幅に上がり、狙っていた秘匿性の高い大手研究開発部門からの問い合わせも来ており、リニューアルした手応えを強く感じていただいています。

お客様の声はこちら

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製造業の営業活動の課題解決|手法から事例まで徹底解説|モノカク

テクノポートの井上です。製造業にとって新規営業、顧客の開拓は不可欠なものですが、営業が得意な会社は少ないものです。本記事では、製造業における営業活動の課題を解決するための情報を網羅的に解説します。

製造業における新規営業の必要性

原価低減協力による利益率低下のリスク軽減

既存顧客との取引においては、原価低減協力により、利益率が低下することがあります。新規顧客の獲得により、顧客数を増やし、リスクを分散することで、原価低減協力のリスクを軽減することができます。

現場の思考力向上

決まった仕事を続けると作業化してしまい、現場の思考力が低下することがあります。新しい顧客からの依頼に対応することで、現場のスキル向上や知識の習得が促進されます。また、新しいプロジェクトに取り組むことで、現場のアイデアや創造性が向上することが期待できます。

仕事の波の緩和

製造業では、仕事の波が激しく、需要の変動に対応する必要があります。新しい顧客を獲得することで、需要の変動リスクを軽減し、収益を安定化させることができます。

イノベーションの創出

新しい市場では、既存のビジネスモデルでは対応できないニーズが存在するため、より効率的かつ柔軟性のあるビジネスモデルが求められます。新規顧客との取引を通じて、新しいビジネスモデルのアイデアを得ることができ、それがイノベーションの創出につながります。

受託製造業の営業活動が難しい理由

受託加工という業態の特性(タイミング)

受託製造業は、他社の要望に応じて生産を行うため、需要があって初めて仕事を請け負えます。そのため、需要が不安定であることが多く、需要予測が困難であり、生産ラインの調整やスタッフの配置にも影響を与えます。このような業態の特性から、新規顧客開拓に時間がかかることがあります。

自社製品と比べてPRしづらい

受託製造業では、自社が製造する製品よりも、製品の完成品の外観や品質が注目されるため、その製品の良し悪しは、受託先の企業に左右されます。そのため、製品の良し悪しを訴求することが難しく、他社との差別化が困難な場合があります。

営業+技術ができる人が少ない

受託製造業では、製品の外観や品質に加え、製造プロセスに関する技術力が求められます。また、営業と技術を併せ持った人材が少ないことも、営業活動を難しくしています。そのため、受託製造業では、技術力と営業力を併せ持った人材を確保し、トレーニングすることが重要です。

設備稼働力という限界値がある

受託製造業では、製造ラインの稼働率を最大限に保ちながら、生産効率を高めることが求められます。しかし、需要が不安定であることが多く、生産効率を常に最大化することができない場合があります。また、いくら受注案件が多くても、設備の稼働が100%を超えることはないように、稼働力には限界があり、それに合わせ受注案件をコントロール必要があります。

製造業の営業とマーケティングの違いって?

営業と関係性の高いマーケティングというお話も出てくるかと思います。その違いについて少しだけ触れます。

営業は企業と顧客の直接的な関係を築き、技術・製品・サービスを販売することに焦点を置いています。一方で、マーケティングは、市場全体に対して技術・製品・サービスを提供するための企画・戦略を考えることに重点が置かれています。

少しかみ砕いた説明にすると、営業は個別の顧客にどう買ってもらうかの短期的な話で、マーケティングは技術や製品を買ってもらいやすくするには、という仕組みを作る長期的な話です。

両方の役割が重要であり、営業とマーケティングが協力し合いながら、企業のビジネスを成功に導いていくことが求められます。

製造業の営業戦略の立案から実施まで

新規営業を行うためには、戦略の立案が必要になります。主な流れは以下の通りです。

目標設定

まず、企業が達成したい営業目標を明確に設定します。目標は、売上高、利益率、新規顧客獲得数、既存顧客の売上拡大など、企業にとって重要な指標に基づいて設定されます。

市場調査

次に、ターゲット市場に対する調査を行います。市場規模、競合情報、ニーズやトレンドなどを分析し、企業の製品やサービスが市場においてどのように受け入れられるかを把握します。

ターゲット設定:市場調査を元に、企業が取り組むべきターゲットを設定します。ターゲットは、地域、業界、顧客セグメントなど、企業のビジネスモデルや戦略に応じて定められます。

提供価値

ターゲットに対してどのようなメッセージを伝えるかを考えます。企業の製品やサービスがどのような価値を提供するかを明確にし、競合優位性をアピールするためのメッセージを構築します。

営業プラン

営業プランを作成します。プランには、顧客接触数、新規顧客獲得数、売上目標、費用目標、営業活動予算、営業スケジュールなどが含まれます。

実施

営業プランを実施します。新規顧客獲得のためのセールスプロモーション、既存顧客のリレーションシップの維持や拡大のためのアフターサービスなど、各種の営業活動を実施します。

モニタリング・評価

営業プランの成果をモニタリングし、評価します。プランの実施状況を把握し、営業成果が目標に達しているかを検証し、必要に応じてプランの修正や改善を行います。

製造業の新規開拓手法紹介

具体的な営業手段として、現在ではWebや対面を含め様々な手法が存在しています。絶対的な一つの手法はなく、様々なアプローチ手法を組み合わせ、顧客に自社の情報を届けることが必要です。

下記の記事で具体的な営業の種類について紹介しています。

製造業における営業人材の育成

製造業にとって、営業人材の育成は大きなテーマの一つと言えます。どうしても属人的になりがちな業務をいかに組織として取り込んでいくかです。営業人材の育成における課題は以下の通りです。

技術力と営業力のバランスの取れた人材育成

製造業においては、技術力が高く、製品の品質や納期を確保することが重要です。しかし、同時に、営業力も必要不可欠です。製品を提供するだけではなく、顧客とのコミュニケーションやニーズの把握、提案力などが求められます。このため、技術力と営業力のバランスを取った人材の育成が必要です。

営業ノウハウの共有

営業職の中には、年齢や経験に応じて営業ノウハウを持ったベテラン社員がいます。しかし、そのノウハウが個人に独占されてしまうと、他の営業職員に共有されず、組織全体での営業力向上につながらないことがあります。このため、営業ノウハウを共有する仕組みを整える必要があります。

新しい営業手法への対応

デジタル化やSNSなどの発展により、営業手法も大きく変化しています。これに対応するため、従来の営業手法にとらわれず、新しい営業手法を取り入れることが必要です。また、従来の顧客との面談や電話での営業活動から、Web会議などのオンライン化にも対応する必要があります。

組織全体でのマーケティング力の向上

製造業においても、顧客ニーズの変化や市場の変化に対応するためには、マーケティング力が必要です。このため、営業職だけではなく、製造技術や品質管理、製品企画など、組織全体でマーケティング力を向上させることが求められます。組織全体のマーケティング力向上のためには、組織文化の変革や、マーケティングに関する教育研修の充実が必要です。

Webをどう営業に取り入れられるかは非常に重要なテーマ

以下は製造業のユーザーが製品探索をする際に、どのような媒体を利用するかのアンケートデータです。「既存の接点のある企業」や「展示会」を抜いて、Webを利用した情報収集が1位2位となっています。ユーザーがWebで探しているのであれば、受注側もWebでどうアプローチをするかを考えることが営業として重要と言えます。

製造業 製品探索

引用:イントリックス社 製品選定時にWebサイトを利用する人が営業・展示会を超えて多数

営業成功事例紹介

以下の記事では受託加工業者がWebをうまく活用することで顧客を開拓した事例を紹介しています。

製造業における営業の今後の課題

最後に製造業における営業の今後の課題について紹介します。

グローバル市場での競争

グローバル市場での競争が激化し、価格競争が激しくなっているため、顧客からのニーズを正確に把握して、付加価値の高い製品を提供する必要がある。

デジタル技術の活用

インターネットやAIなどのデジタル技術の進化により、製造業における営業のあり方が変化している。これまでのような営業手法だけではなく、デジタル技術を活用した新しい営業手法を取り入れる必要がある。

グローバル化に対応する人材育成

グローバル市場に進出するためには、現地の文化や商習慣に精通した人材が必要である。企業は、グローバル化に対応した人材育成に力を入れる必要がある。

スピード感の重視

顧客からのニーズが急速に変化しているため、スピード感を持った営業活動が求められている。営業活動においては、スピーディな情報収集や対応が必要となる。

顧客との関係構築

製品の提供だけではなく、顧客との信頼関係を築くことが重要である。顧客のニーズに合わせたアフターサービスやフォローアップを行い、長期的な関係を構築することが求められている。

以上のように製造業の営業活動には課題が多くあり、これらの課題に対応するためには、営業戦略の見直しや新しい技術の活用、人材育成などが必要になると言えるでしょう。

参考にしていただけたら幸いです。

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試作~小・中ロットの多種多様な歯車製造で受注拡大【株式会社サイトウ工機】

小・中ロットの歯車製造を得意とする株式会社サイトウ工機のWebマーケティング事例をご紹介します。

会社情報

会社名 株式会社 サイトウ工機
担当者名 代表取締役 齋藤様
事業内容 ホブ盤による特殊歯車製造業
サイトURL http://saitoukouki.com/
導入サービス Webサイト制作、Webコンサルティング

Webマーケティング事例_製造業

出典:株式会社サイトウ工機

抱えていた課題

株式会社はサイトウ工機はホブ盤を使った試作~小中ロットの歯車製造が得意です。今まで営業をほとんど行っておらず、販路を広げるにも飛び込み営業や紹介頂くのにも限界を感じており、ちょうどなにかしようとしていたタイミングでした。

実施施策

コンセプト作り

営業の窓口を担当する齋藤様は歯車に関する豊富な知見と、また大田区中心に幅広い加工ネットワークを持っています。歯車の相談であれば社内外問わず幅広い加工の手法から最適な提案が可能です。また、同社はホブ盤がメインで、小ロットからの製作に強みを発揮するため、「試作〜小ロットからでも対応可能な小回りのきく会社」というコンセプトを設定しました。試作や小ロットの案件には、歯車の知識がない方もユーザーには含まれるため、知らないひとにも伝わるコンテンツ制作を心掛けました。

SEO対策

多種多様な形状や名称を持つ歯車を、名称ごとに切り分けてキーワード対策を行いました。頼む側の探し方を考察した際に、○○歯車という製品キーワードまでは決まっていて、そこから対応会社を検索するケースが多いためです。また、他社では敬遠するような、歯車の交換修理にも対応可能な点も訴求とキーワード対策を行いました。

導入効果

ホームページからの新規の問い合わせがほとんど無い状態から、月5~10件ぐらいの新規案件をコンスタントに呼び込むことに成功し、待っていても仕事の相談が入ってくる営業スタイルが出来上がりました。

また、ここであれば相談に乗ってくれるのでは?という期待感から、歯車だけでない問い合わせも相談が入ってくるようになったそうです。そのため、外注先さんにお願いする案件が増え、大田区の仕事仲間の方も喜んでいただいているそうです。

お客様の声はこちら

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脱!御用聞 | 製造業の営業×ブランディング3つのステップ

  • 「受注をとりたくて、また値引きしてしまった…」
  • 「納期が厳しいが受けるしかない…」
  • 「今回は苦しいけれど、きっと次につながるはず…」

このような営業結果が続いている場合は、「技術」と「価値」が結びついていない伝え方をしているのが、原因かもしれません。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

企業が抱える3つの課題

①御用聞き・下請け体制を続けている

長年続く大口顧客との契約。非常にありがたいものですが、もし、売上高占有率(構成比率)が20%以上の販売先が1社でもあるようであれば早急な改善が必要です。気候変動や世界情勢による先行きの見えない時代で、ある日突然契約を打ち切られる可能性があります。このようなリスク回避のためにも、御用聞き・下請け体制から提案型の営業スタイルにシフトしていきましょう。

②商談が商品紹介で終わっている

やっと漕ぎ着けた商談でも、顧客に自社商品を魅力的に感じてもらわなければ意味がありません。しかし、商談で自社商品やサービスの紹介で終わっているケースがあります。「買って欲しい」というのはこちらの都合であり、顧客が価値を感じて購入決定するのとは別物です。商談で話している内容が商品紹介だけになっていないか、一度確認してみましょう。

③顧客の真のニーズに触れていない

顧客がほしいのは、「技術」そのものではなく「成果」です。
あくまでも「技術」は手段のひとつです。顧客の本当の目的は、高い技術自体でははく、自社の売上や効率アップだということを忘れてはいけません。 だからこそ、クライアントに本当に響くのは、ビジネスの成果につながる「成果」の提案です。単に製造を請け負う会社としてではなく、自社のブランドから顧客のビジネスを支援するという商談が、一歩進んだこれからの営業のあり方なのです。

営業×ブランディングで解決する3つのステップ

Step.01:既存顧客・休眠顧客へのアプローチ

新規顧客へのアプローチは、既存顧客・休眠顧客に対して5倍のコストがかかると言われています。コストというのは広告などの販促費だけでなく、時間などの人的コストなども含まれます。そこで、効果的なのが既存顧客・休眠顧客へのアプローチです。契約が途切れてしまった既存・休眠顧客に対して伝えていない情報はないでしょうか?まだ伝えていない自社の取り組みや新製品を持ってアポイントを取ることで、取引を再開するきっかけを作ります。

Step.02:事例の言語化・数値化

顧客にとって購入決定の材料となるのが、「事例」です。事例というのは過去に行ってきた案件の中で具体的に引き合いに出すことのできることです。ここでポイントなのが、「言語化」と「数値化」です。まず、技術系企業の場合、自社の技術を当たり前のものと捉えてしまい、端折ってしまいがちな工程もきちんと言語化する習慣をつけましょう。さらに工程において、数値化できるものは徹底的に数字に落とし込みます。そうすることで顧客は、事例からあなたの会社の商品やサービスの効果やメリットを理解しやすくなるのです。

Step.03:顧客のビフォー・アフター

購入決定への意欲をアップさせるために、もう一つできることがあります。それは、Step.02の事例の言語化・数値化と併せて、顧客のビフォー・アフターを伝えることです。顧客のそもそもの悩みは何であるか、またその悩みが解決された顧客はどうなったのか。あなたの会社の商品やサービスの効果やメリットと、顧客にもたらす変化を一連のストーリーとして伝えることができるで、顧客の期待感が増すのです。

裏取りされても慌てない ブランディングで対等な関係を構築する

最後になりますが、営業活動に出る前に、自社のブランドが整えておくこともポイントです。なぜなら営業活動ではアポイントが取れた直後に商談というケースは少ないものです。そのため、相手はアポイント獲得から商談までの間に、あなたの会社や事業の情報、お客様の声などの情報を事前に収集する、「裏取り」をしています。絶対に受注を取りたい商談の前でも、裏取りにも慌てないように日頃からブランディング施策を行うことで、営業活動も効果的に行うことができます。

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製造業のポジショニング戦略/差別化を超える3つのポイント

「顧客からもっと選ばれるように、会社の認知活動をしよう!」

と意気込み、WEBサイトの作成や、SNSの立ち上げ、WEB広告の運用などに、思いつくまま費用を投じてしまっていないでしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

こういった活動も効果がないわけではありませんが、実はこれらの認知活動を始める前にやるべき事があります。それは、自社の業界における「ポジション」を定める事です。

顧客は、原材料だけでなく人件費のなどあらゆるコストが高騰する現代において、企業成長を支えてくれるビジネスパートナーを求めています。だからこそ会社の規模に関わらず、自社だけのニッチな領域を見つけ出し、自分たちが最も得意とする市場でシェア1位を目指す、効果的なブランディング戦略を用いる必要があります。

ポジション戦略をするメリット

ポジション戦略をすることのメリットは、競合他社を無くなる事です。自社だけしかいないニッチトップになることで得られるメリットについて詳しく3つの観点からお話しします。

①競合他社との差異が明確になる

競合他社の商品・サービスに目を配ることなく、独自の領域に対してより専門性を深めていくことが可能です。

②購入意欲が高い顧客からの問い合わせ

自社の専門性や、得意領域を明確に提示できるようになると、「○○の△△ならここに聞けば違いない」という、事前に下調べを済ませた顧客から問い合わせが来るようになります。

③顧客満足度が高まる

顧客自身が求めていた商品・サービスが、相談から依頼・納品まで受け続けることができるので、自然と顧客満足度が高まります。

独自ポジショニングを確立する3つのポイント

ニッチな領域を見つけ出すということは、自社が最も役に立つ場所(ポジション)を定めるということです。やり方としては、自社が影響を及ぼす範囲を「どの業界の」→「どの工程の」→「誰にとっての」というように、どんどんとピントを絞っていくイメージです。その上で、やってはいけない3つのポイントをご紹介します。

1.価格だけで勝負しない

価格だけを打ち出すことは、確立しようとしているポジションに競合他社の参入を許す要因になります。

2.技術力だけで勝負しない

技術力だけを打ち出すことも、競合他社の参入を許す要因になります。せっかく築いたポジションも、競合他社が最新の機械装置を導入した事によって、1位をすり替えられてしまうケースもあります。

3.なんでもできますと言わない

差異を明確にすることは、自社でやらない領域を明確にすることでもあります。新しい知識や技術を習得することは長期的にはメリットがありますが、短期的な視点では作業を効率化できず、コストがかさんだり、競合他社に負けてしまうことも考えられます。

技術力×顧客サービスで創る独自ポジション

先にも述べたように、顧客は企業成長を支えてくれるビジネスパートナーを求めています。だからこそ、自分たちの技術に固執することなく、技術に裏付けされた知見を持ってできる顧客サービスが新たな価値を生み出します。ただ作るだけではなく、顧客のビジネスに対して先回りした商品・サービスは技術力一本で勝負してきた中小企業であっても、短期間で技術力だけでなく顧客サービスの比重を増やして、価値を高めていくことは不可能ではありません。自社を客観的に調査し、他者との差異を明確にしたポジショニングによって、自社の強みを最大限に生かすことができるか考えてみましょう。

広域的な広告活動をするよりも、自社のポジションを明確にしてからブランディングや認知活動を集中的に行うことで、短期間で効果を得やすくなります。自社だけのニッチトップ領域を創り、経営に効果的な認知活動を行いましょう。

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製造業が効果的な営業活動を行うためにできること(事例付き)

テクノポートの井上です。今回は製造業者が営業活動を効果的に行うためにできることを紹介します。営業活動とHPは、今では切っても切れない関係となっており、HPをどう営業に活用するかがメインのお話となります。もちろんHP以外にも多くの営業手段はあるので、HPでなければいけないということではありません。ただ、HPは製造業にとって「非常に効率が良い営業手段」であるため、掘り下げて紹介しています。

HPを活用した営業活動の成功事例を紹介

最初にいくつかHPを活用した営業活動の事例を紹介します。

有限会社ユニバーサル(制作日:2021/6)

目的が明確な問い合わせが増加。契約までの話が早く、お互い無駄な時間やエネルギーを使わずに済み、名刺代わりだったWebサイトが強力な営業ツールに急変。

営業 成功事例 ユニバーサル

(参照:有限会社ユニバーサル

株式会社モリセ精工(制作日:2018/12)

全く来なかったHPからの問い合わせが、リニューアル後は週2~3件ほどのペース。受注率は3割程度と以前に比べ大幅に上がり、狙っていた秘匿性の高い大手研究開発部門からの問い合わせも呼び込むことに成功。

営業成功事例 製造業 モリセ精工

(参照:株式会社モリセ精工

株式会社サイトウ工機(制作日:2016/11)

HPからの新規の問い合わせがほとんどない状態から、月5~10件ぐらいの新規案件をコンスタントに呼び込むことに成功。待っていても仕事の相談が入ってくる営業スタイルが完成。

営業成功事例 製造業 サイトウ工機

(参照:株式会社サイトウ工機

共通して言えることは、そこでしかできない特殊な技術を持っている会社はないということです。どのようなユーザーをターゲットにし、何を得意領域とし付加価値を提供するかを定義した結果、新規の問い合わせを呼び込むことに成功しています。

HPを使った営業が製造業と相性が良い理由

製造業とHPの相性が良いと言える根拠を説明します。

仕事が忙しいときにも営業ができる

「忙しいときにこそ種まきを」と言われるように、忙しいときでもHPは営業PRをしてくれます。

呼び込む型の営業スタイルが業界に合っている

自社製品を持たない受注生産がメインの場合、プッシュ型の営業は不向きです。既に頼んでいる業者がいるため、また、タイミングがとりづらいためです。HPならニーズのあるタイミングで向こうから問い合わせをしてくれるため、営業のハードルが格段に下がります。

異業種からの問い合わせも期待できる

HPを活用し、技術をPRすることで、自社の想定しなかった業界や用途で仕事が決まることもあります。

HPを営業として有効活用するための質問集

具体的にHPをどのように活用すればいいか、現状がわからない方も多いかと思います。

これからいくつかのHPに関する、いくつかのYES・NOの質問を投げかけます。NOとなった部分の理由を追及することで、自社のHPをよりよくするための糸口が見つかるはずです。

HPに関する質問

  • HPはありますか?
  • 自社の現在の事業内容に合っていますか?
  • HPからの問い合わせはありますか?
  • 検索キーワードで見られるように対策をしていますか?
  • アクセス状況を閲覧することはできますか?
  • どのようなキーワードで見られているか知ることはできますか?
  • 想定したキーワードの順位は10位以内にきていますか?
  • 他に想定していなかった期待できるキーワードがそこには含まれていますか?
  • 想定したキーワードで10位以内の場合、そこから問い合わせにつながっていますか?
  • 該当するページのコンテンツはユーザーの求める内容に応えられていますか?
  • 問い合わせがどのページから来ているかわかりますか?

問い合わせ対応に関する質問

  • 問い合わせの内容は自社が呼び込みたいこととマッチしていますか?
  • 問い合わせに対し、いつまでに、だれが対応するか決まっていますか?
  • 見積もり提出の前に受信した旨、製作対応可否や、見積もりをいつまでに提出することの連絡ができていますか?
  • 問い合わせ内容の顧客情報、問い合わせ内容の情報の管理はできていますか?
  • 見積もり回答した案件について、可否を最後まで追えていますか?
  • 見積もりNGだった場合にその理由までヒアリングできていますか?
  • 顧客情報を蓄積し、再度アプローチできる仕組みは作れていますか?

いかがでしたでしょうか?できていない部分を知ることができれば、なぜできていないかを考え、次に進めることができます。参考にしていただければ幸いです。どうすればいいかわからない場合には、弊社テクノポートにご相談いただければ、状況に合わせた助言ができます。

これ以降は製造業における現状と営業の必要性についてまとめております。ご存じの方も多い内容かと思いますので、その場合は読み飛ばしてください。

製造業の置かれている現状

  • 新型コロナウイルスの影響による業績低迷
  • 少子高齢化による人手不足による人件費の高騰
  • 加速するデジタルシフト
  • 安い労働力を求めたアジアへの生産拠点シフト
  • 世界情勢の不安定化によるサプライチェーンの寸断

何を機会、脅威と捉えるかは会社次第ではありますが、全体として日本の製造業の置かれている状況にはさまざまな課題があると言えます。

製造業の営業活動の必要性

受託加工という業態の特性(タイミング)

製造業界では、従来から依頼している発注先が存在します。より安価な発注先を探す場合もありますが、通常は特別な理由がない限り、新しい発注先を検討することはありません。新しい発注先を検討するタイミングや理由としては、従来の加工業者が遅れている場合や品質に問題がある場合、ボリュームを対応できない場合、後継者不足、発注リスクの分散などがあります。現在の発注先との関係が常に良好であるわけではないため、そのようなタイミングを見極めることは非常に難しいです。ほとんどの場合、「機会があれば」新しい発注先を検討することになります。

自社製品と比べてPRしづらい

自社製品の場合は、製品の特徴、メリット、デメリット、価格、他社製品との比較など、さまざまな情報を提示することができます。一方でサプライヤーの場合は、お客様から提供された図面に対して、製作可否、納期、コストを提示することが求められます。サプライヤー側から、それらが他社と比較して優位であるかどうかを判断することはできません。そのため、通常の製品販売営業よりも営業活動は困難です。

営業+技術ができる人が少ない

中小製造業の営業活動においては、営業力だけでなく、自社技術の理解も求められます。お客様から提供された図面などを見て、内容や状況を理解し、ある程度の可否判断を下せることは営業のスキルの一つであり、商談時にお客様の信頼を得るうえで重要です。

中小製造業では、こうした技術的な営業は経営者が担当することが多いため、営業という仕事に就いてもすぐに即戦力になることはまずないでしょう。時間をかけて、営業と技術の両方ができる人材を育てる必要がありますが、それには相応の労力とコストがかかります。

設備稼働力というキャパがある

製造業の場合は、保有する設備によって、稼働できる限界があります。そのため、需要があっても必ずしも受注できない場合があります。繁忙期に営業を行い、案件を獲得しても、そもそも製造ができない場合も少なくありません。営業側は、売上や顧客からの信頼などを考慮して、できる限り多くの案件を獲得したいと思っていますが、現場がそうした案件を受け入れない場合もあります。

閑散期に営業を行っても案件を獲得できない場合もある製造業は、仕事の波をコントロールすることが非常に難しい業界です。

営業活動の目的って?

営業活動の目的は、もちろん売上や利益の増加です。しかし、これは短期的な目的であり、あくまで数値化された目標と言えます。会社としての目的はその先にあり、例えば以下のようなことが挙げられます。

リスクの分散

取引がこの先も長く続く保証はないため、業界問わず取引先を増やし、取引先のバラつきを減らすことが重要です。

仕事の波の低減

繁忙期、閑散期に左右されず営業活動ができる仕組みをつくり、仕事の波を抑えることが欠かせません。

利益率の向上

顧客候補を増やし、不当なコスト協力を回避すれば、利益率の高い仕事を追求することができるようになります。

新しいビジネスのきっかけをつかむ

積極的に新しい案件に取り組み、自社事業の可能性を常に模索し、新しいビジネスのきっかけをつくることが重要です。

以上、製造業が営業活動を効果的に行うためにできることについて紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

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わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング

岩手缶詰株式会社と岩手県産株式会社によって製造されるオリジナルブランドの加工品「サヴァ缶」をご存知ですか?食感の良い鯖のオリーブ油づけが、目を惹くパッケージデザインで、わずか7ヶ月で10万缶売れた人気ブランドです。しかしこの人気のブランドというポジションは、技術力だけで勝負に出たのではなく、戦略的なブランドづくりの末に作り上げたものでした。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

技術力 ≠ ブランド力

「ものづくりは得意、でもブランドづくりは苦手」

これは多くの日本企業が共通して抱える悩み事です。質の高い商品やサービスを提供する「ものづくり」に対して自信や誇りを守る企業は多いですが、それを「価値」として広める「ブランドづくり」に対して苦手意識を持つ傾向があります。そのため、技術はあるのに思ったように売れない。という”誤解”が生まれてしまいます。

売れるブランドの正体とは?

ここで共有しておきたいのは技術があるから技術力と売れることは直結しないということです。

•良い商品・サービス ≠ 売れる
•高い技術力 ≠ 売れる

そもそもブランドとは、自社商品の目印に過ぎませんでした。しかし今では「このブランドの商品なら間違いない」という信頼の証として優れた品質やデザインの目印となっています。同じ材料・同じ品質で仕上がった製品でもブランドの信用度によって価格は2倍にも3倍にも変化します。

このように売れるブランドの正体は、顧客からの信頼です。重要なことは高い技術力を保持することではなく、その技術力を持って顧客にとっての価値ある商品・サービスを提供できることなのです。

わずか7ヶ月で10万缶  Ça va?缶(サヴァ缶)のブランド力

2013年の発売以来、1000万缶を製造する人気ブランドとなった Ça va?缶(サヴァ缶)。海外ブランドのような目を惹とパッケージと、「サバのオリーブ油漬け」という組み合わせが話題を呼び、発売以来多くのファンに支持されるブランドとなっています。しかしこのブランドの開発のきっかけは、東日本大震災で被災した漁業者らを支援するべく、漁獲量や単価が安定しているサバを缶詰にして全国に売り込むことでした。

そこで「鯖を水揚げし、缶詰に加工する技術」を、より多くの顧客に支持されるためのブランド開発がされました。

当時、水煮やみそ煮が一般的だった日本のサバの缶詰の市場に対して、オリーブ油漬けという構想に始まり、鯖の缶詰に馴染みがない消費者への確かなニーズを掴むべく、パッケージデザイン・価格や味付けなどを、消費者を対象にした大規模なインタビュー調査が実施されました。このような顧客にとっての価値を生み出す”ブランド視点”を丁寧に追求して言った結果、発売当時、鯖の缶詰の市場平均が200円前後だったのに対して、360円(税抜)という高めの価格設定も払拭し、発売以来人気ブランドとなっている。

企業価値を高める ブランドの持つシナジー(相乗)効果

ブランド力を高めることは、直近の売上拡大への効果と、中・長期的に顧客から信頼を寄せられて支持され続けるという、企業経営における「攻め」と「守り」にシナジー効果をもたらします。

もちろん、商品・サービスを提供するにあたって、技術力は必要です。ですがそれ以上に重要なことは顧客が支持したいと思う価値ある商品やサービスを創り出すことです。

「価値を創り、ブランド力を高め、技術力でファンにする」

ブランディングにおいて優れたデザインやSNSはあくまで価値を伝えるためのツールのひとつです。目まぐるしく変わるこれからの時代において、企業は規模に関わらず、顧客からの信頼を構築していくアクションが求められています。顧客が求める物事の本質を捉えるか否かが、今後の経営の分かれ道です。

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製造業にも効果的な 採用ブランディング

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

「募集を出しているが、良い人材になかなか出会えない」と思いながらも、日々の業務が忙しく、なかなか採用活動を見直せない、という悩みを抱える企業の代表・採用担当者は少なくありません。今回は、自社の魅力を十分に伝え、採用したい人材を獲得するために重要な「採用ブランディング」の重要なポイント、またその手順やポイントについてお話ししていきます。

採用ブランディングとは

まず「採用ブランディング」とは、採用力を強化するために自社の“ブランド力”を高めることです。そして、ブランド力とは「相手から信用される力」です。高い技術や次世代の担い手への思いも発信することで初めて相手から理解されます。だからこそ自社の良い点を新卒者や中途採用希望者から信用される発信を意識的に行なっていく必要があるのです。

なぜ製造業にも採用ブランディングが必要なのか

採用ブランディングの最大の目的は「自社の事業戦略を共に進められる人材の採用」です。しかし、採用活動市場は、依然として求人数に対して民間企業就職希望者数のほうが少ない状況です。 少子高齢化による労働人口の減少、ライフワークバランスの見直しによる価値観は多様化が影響し、通年採用や転職が当たり前のこととなっています。

実際に2023年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の全国の民間企業の求人総数は、70.7万人であるのに対し、学生の民間企業就職希望者数は、44.9万。民間企業就職希望者数に対して、求人総数が25.8万人の超過需要であるという調査結果も出ています。

このような状況において、会社の規模は関係ありません。自社の事業戦略に必要な人材を獲得するために、企業は自社が就職希望者に対して“魅力的な働く場”であることを伝える必要があります。

そのために、「自社の理念や哲学」、「自社の製品やサービスが社会に与える影響」、「社内風土」「キャリアプラン」などを伝え、自社のブランド力を高めることが重要なのです。そしてこれらのメッセージが、自社の求める理想の人材に確実に届くよう、戦略的なタッチポイントを作ることが欠かせません。

製造業が採用ブランディングを行うメリット

製造業が採用ブランディングを行うのには大きく4つのメリットがあります。

  1. 企業規模に関係なく実施可能
  2. 自社が求める候補者を集めやすい
  3. 人材が定着しやすくなる
  4. 機会損失を防ぐ

採用ブランディングは企業の規模感は関係なく、最低限のコストで実施することができます。例えば自社の採用サイトとSNSを駆使するだけでも就職希望者に対するブランド力を高めることが可能です。また、採用活動がスムーズに進むことは、日々の業務に対する負担も減ります。他にも人的リソース管理がしやすくなるので、中期的な事業計画も立てやすくなるため、営業活動における機会損失を防ぐことにもつながります。

採用ブランディング実施方法

採用ブランディングで活用される代表的な発信手段として、採用サイトやSNSの活用が思い浮かぶかと思いますが、それらをスタートする前にやるべきことがあります。

STEP.01 現状の「タッチポイント」をチェック

まずは自社のブランド力の現状を理解するため、就職希望者が自社について調べられる接点「タッチポイント」を確認します。企業のホームページ、採用サイト、S N S、クチコミサイトなどから、現在の自社のイメージを確認します。

STEP.02 「誰に」「どんなメッセージを伝えるか」考える

採用ブランディングでは「自社の事業戦略を共に進められる人材の採用」にメッセージを届けることが重要です。そこで、自社にとってのペルソナ(理想的な人物の詳細)を設定し、その人物が企業で成したい感情的な欲求を言語化します。

【例】

  • 〇〇がしたい!
  • 〇〇と言われたい!
  • 〇〇を思われたい!
  • 〇〇に挑戦してみたい!

これらの感情的欲求を持つペルソナが、入社後活躍しているイメージが持てるかがペルソナ設定の重要なポイントです。

STEP.03 「採用サイト」「SNS」で情報発信

STEP.01.02ができたら、実際に採用サイトやSNSでメッセージを発信します。この際、採用サイトは豪華である必要はありませんが、デザインが企業のイメージに合っているか、就職希望者が見て自社に入社したいと思えるかを確認しましょう。

STEP.04 採用ブランディングについて自社の社員と情報をシェア

採用ブランディングを行うにあたって、自社の社員と情報を共有することも重要です。採用ブランディングでは自社の強み、これからの展望を明確にする作業でもあります。それらの情報を社員と共有することによって、企業風土の醸造にもつながります。

短期的・中期的な視点が重要

採用ブランディングで見落としてはいけないのが”スケジュール”です。採用活動は、今日発信したからといって早速明日から応募が来る、というものではありません。事業計画と照らし合わせて、短期的・中期的な視点で、発信の計画を立てることが重要です。しかし採用ブランディングは、多大なコストをかけなくても、正しい手順で実施することが可能です。ぜひ自社のブランド力を高める採用ブランディングを実践してみてください!

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BtoB営業に効果のあるD2Cブランド 相乗効果が上がる”仕組み”とは?

DtoCブランドの立ち上げは、BtoB営業に効果が出てこそ初めて本当の真価を発揮します。今回はBtoBに効果のあるD2Cブランドの考え方についてお話ししていきます。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

2018年以降、「AIが人の仕事を奪う」という旨のセンセーショナルなメッセージが各業界に大きな波紋を呼んでいます。製造業もその業界の1つです。社員の生活を守るためにも、安定した売上を確保に向けて、各社で新しい設備の導入や、商社的機能の強化などを行なっています。他にもDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進める企業も多く目にするようになってきました。

そんな中で、各社の経営課題として議題に上がるのが、『新規顧客開拓』です。確かに新設備や商社的機能の充実は、取引先にとってのメリットであり、企業を選ぶ際の魅力の一つになります。しかし、上記のような事業改革は、費用の面や人材育成などの面で、企業に大きな負荷を与える可能性があります。しかし、従来の営業活動を続けていくだけでは、『新規顧客開拓』を達成までに時間がかかります。

そこで注目したいのが、「顧客が選択したくなる企業価値」とは何か?というポイントです。

これからの時代は、「何を」買うかではなく、「誰から」買うかが問われます。そのため企業は「なぜ我々から買うべきか」と言う明確なメッセージを提示する必要があり、企業が生き残る上での重要な経営課題とも言えるのです。

DtoC単体で稼ぐのではなく、BtoBとのシナジー効果

「顧客が選択したくなる企業価値」を発信する方法としてDtoCブランドの立ち上げという方法があります。なぜならBtoB向けの事業ではビジネスでは発注者・受注者という無言のパワーバランスが発生してしまいますが、DtoCブランドをリリースする上では、インターネットや独自の媒体を利用して、

  • 自社技術の美味しいところ
  • 商品をリリースするに至ったメッセージ

自社の魅力(企業価値)をストレートに、しかも2つ同時に表現することができるからです。

しかしDtoCブランド開発のご相談を受ける中で圧倒的に多いのが、「売れるためのブランティングはどうしたら良いのですか?」または「売れるようにSNSを頑張りたいのですが、どうしたら良いですか?」と言った”見た目”に関することです。良いDtoCブランド商品というのは、顧客の生活にデザイン性や直感的な楽しさを与えるエンターテイメントの側面だけではなく、その機能性を裏付けるBtoB事業で培ってきた”技術力”とのバランスが取れていることです。

DtoCブランドリリースによる社会的信用確立

また、DtoCブランドのリリースは、直近の企業のブランド力を上げるためのものだけではありません。近年、世界各国で掲げられた「SDGs (持続可能な開発目標)」や、環境保全や地球への環境負荷に配慮した「エシカル」というキーワードを目にする機会が多くなったと思います。そこで、私たちはオープンな情報環境において、DtoCブランドというものづくりを通して「新しい価値」をメッセージとして発信していくことができます。それらのメッセージは企業の社会的信用を確立することにもつながります。

「DtoC一般顧客×BtoBビジネス顧客」効果を掛け合わせて提供価値を構築する

しかし、全ての企業で「早速DtoCブランドを立ち上げましょう!」ということではありません。なぜなら、自社のBtoB事業に相乗家効果を与えるものでなくては意味がないからです。だからこそ、DtoCブランドの立ち上げは、リスクを減らした『スモールスタート』で始めましょう。決してプロモーション主体で行うのではなく、本来のBtoB事業やDtoCブランドの開発に関わる人たちが情熱を超えた物づくりに取り組むことによって、より大きな相乗効果を生むことにつながります。

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製造業の営業手法9選(中小製造業の新規開拓)

コロナ禍を機に、製造業の営業活動はさらに多様化しており、企業の立ち位置や目的によって様々な手法が用いられています。中でも中小製造業(サプライヤー)における営業活動には多くの課題があり、状況に応じて適切な営業手法を選択する必要があります。本記事では、中小製造業の営業活動について、新規開拓を中心にご紹介します。

営業活動・新規開拓・製造業

中小製造業の営業活動が難しい理由

中小製造業における営業活動は、自社製品を持つ企業が行う営業活動に比べて難しいと言われています。その理由は大きく分けると以下の4つが挙げられます。

受託加工という業態の特性(タイミング)

製造業界では、従来から依頼している発注先が存在します。より安価で依頼できる発注先を探すケースはありますが、基本的になにか特別な理由がない限りは、新規発注先を検討することはありません。新規発注先を検討するタイミングや理由としては、従来の加工業者側の納期遅れや品質不備、ボリューム対応不可、後継者不足、発注リスクの分散などが挙げられます。常にコンタクトをとっている訳ではないため、そういったタイミングを見極めて営業することは非常に難しく、ほとんどの場合「機会があれば」で終わってしまいます。

自社製品と比べてPRしづらい

自社製品であれば、製品の特徴やメリットデメリット、価格、他社製品との比較など、様々な提示が可能です。しかし、サプライヤーの場合は基本的にお客様側で用意した図面に対して、製作可否、納期、コストを提示することだけが求められます。それが他社と比較して優位性があるかどうかを、サプライヤー側で判断することはできないため、通常の製品販売営業よりも、営業活動は困難と言えます。

営業+技術ができる人が少ない

中小製造業の営業活動においては、営業力だけではなく、自社技術をある程度理解していなければ商談を進めることはできません。もちろん、最終的な詳細は現場に確認する必要があります。しかし、図面を見て内容や状況を理解し、ある程度の可否判断を下すことは営業にも求められるスキルであり、商談時にお客様の信頼を得るうえで重要なポイントです。

中小製造業では、そういった技術的営業は経営者が担当する場合が多く、営業を採用してもすぐに即戦力にはならないケースがほとんどです。時間をかけて営業+技術ができる人材を育てる必要があり、相応の労力とコストがかかります。

設備稼働力というキャパがある

他の業界のように、需要があればいくらでも販売できるという訳ではなく、製造業の場合は保有設備によって稼働できる限界があります。繁忙期に営業をかけて案件を獲得しても、そもそも製造できないというケースも少なくありません。売上や顧客からの信頼など、受注できる案件はいくらでも獲得したいのが営業側の意向ですが、それを良しとしない現場との問答はよくある話です。

また、閑散時に営業をかけてもなかなか案件を獲得できないこともあり、仕事の波をコントロールすることが非常に難しい業界と言えます。

営業活動の目的って?

営業の目的

営業活動の目的は、もちろん売上や利益を伸ばすことです。しかし、それは短期的な目的であり、あくまで数値化された目標と言えます。会社としての目的はその先にあり、具体的には以下のようなものが挙げられます。

リスクの分散

取引がこの先も常に続く保証はないため、業界問わず取引先を増やしていく必要があります。業界ごとの波を緩和させる仕組みづくりが不可欠です。

仕事の波の低減

仕事の波を抑えるためには、繁忙期、閑散期に左右されず営業活動ができる仕組みづくりが必要です。特に、閑散期に営業をかけても受注のタイミングを逃してしまっている場合が多く、協力企業と連携しキャパシティをコントロールすることが重要です。

利益率向上

顧客候補を増やすことで、自社として関係を持ちたい会社を選択できるようになります。その結果、不当なコスト協力を回避し、利益率の高い仕事を追求することが可能です。また前述同様に、協力企業をうまく活用することで、それぞれの得意分野で付加価値の高い仕事ができるため、利益率向上にもつながります。

あらたなビジネスのきっかけをつかむ

これまでやってきた事業が、形を変えずにこの先何十年も続いていくと思っている経営者はほとんどいません。また、いつか業務は平準化され、さらに自動化されるものも多いでしょう。積極的に新しい案件に取り組むことで、自社事業の可能性を常に模索し、新たな事業のきっかけをつくる取り組みが求められています。

新規営業手法紹介

営業手法

ここからは新規開拓を中心とした営業手法について、以下の9選をご紹介します。

紹介営業

紹介営業は製造業に限らず、どんな業種においても古くから行われてきた営業手法です。ある程度の関係構築があり、自社業務を理解してもらっている場合が多いため、受注から製造、納品にいたるうえで非常に話が早いことがメリットです。一方で、紹介営業は長年にわたり各企業が行ってきた手法のため、昨今ではなかなか広がりを持つことが難しくなっています。また、業種に偏りが生じてしまうこともデメリットと言えます。

飛び込み営業、テレアポなど

飛び込み営業やテレアポは、発注者側の話を直接聞くことができるため、タイミングさえ合えばスピード感を持った受注獲得が可能です。しかし、タイミングを捉えることは非常に難しく、人員や時間といった労力が相当かかるうえ、足元を見られたり冷遇されたりすることも多い手法です。

専門雑誌・新聞などへの広告宣伝

広告宣伝はコストがそれなりにかかりますが、業種をある程度絞ることで、より明確なターゲット層へアプローチできます。また、専門雑誌や新聞といった媒体は、ユーザーからの信頼性も高く、無料で手に入るインターネット情報と比較しても発注にいたる可能性が高い手法です。

展示会出展

展示会出展は、飛び込み営業やテレアポと同様に、発注者の話が直接聞けるため、具体的な商談へと発展する可能性が高い手法です。また、自社が扱うテーマやカテゴリーに興味関心を持つ「見込み顧客」の情報を大量に収集できます。

しかし、出展にはそれなりにコストがかかるうえ、多くの人員・労力が必要になります。また、明確な効果測定をするのが難しいこともデメリットと言えます。

オンライン展示会・商談会

オンラインでの展示会や商談会は、コロナ禍を機に大きく需要を伸ばしています。通常の出展に比べて費用を抑えられることや、顧客情報を収集できること、また距離や天候などの影響がないことなど様々なメリットがあります。

一方で、出展のためのサイト構築など手間と人員がかかるうえに、PR手法としてはまだ確立できていないため、その効果は不明瞭です。

Web広告

Web広告は低コストで始められるうえに、短期間で成果を得やすいという特徴があります。また、ニーズのある企業にピンポイントで配信・リーチできることも大きなメリットです。しかし、長期間成果を挙げ続けるためには継続的な投資や、日々の改善が不可欠です。

HP活用(SEO対策など)

HPを活用した営業は、ニーズのある企業を含め幅広い層に認知してもらえる他、施策が軌道に乗れば継続的なアクセス、問い合わせを獲得できるメリットがあります。また、SEO対策によるアクセスアップは広告と違い、蓄積され続けるため、会社の財産となる点が非常に良いポイントです。他の媒体を見た後にHPを確認するなど、他の施策と組み合わせることで相乗効果が期待できます。

しかし、昨今ではコロナ禍の影響もありWebにおける競合も増加傾向にあるため、より適切な対策、運用ノウハウが求められます。

SNSマーケティング

SNSマーケティングとはその名のとおり、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを活用した営業活動のことです。

SNSマーケティングは情報の伝達、拡散が速いため、つながりのない人にも広く知ってもらうことができます。また、SNS自体は無料で始められるため、低コストでの運用が可能であり、導入に対するハードルが低いことも大きなメリットです。

一方で、業界的に口コミが広がりづらいことや、運用のための情報、人員を確保することが難しいこと、拡散による炎上リスクが伴うことなど、デメリットも存在します。

メールマーケティング

メールマーケティングとは、メールを活用したマーケティング活動のことです。メールマガジンと混同されがちなメールマーケティングですが、メールマガジンとは違い、顧客に対して商品、サービスの利用など明確な行動を起こさせることを目的としており、いわゆる「リードナーチャリング」要素がより強い手法です。

メールマーケティングは低コストで運用可能であり、継続的な顧客接点ができるため、認知度向上に非常に効果があります。また顧客ひとりひとりに合わせた情報配信を行うことで、特別感を演出したアプローチが可能です。しかし、継続して運用していくための情報、人員といったリソースが不足することも多く、顧客動向や情勢など様々な変化に常に対応し続けなくてはいけません。

以上、中小製造業の営業活動について紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

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BtoB製造業の「ブランディング」 優良顧客獲得には”技術×姿勢”でアピールを最適化

今回は、不安定な状況が続く現代で、企業が利益を確実に上げていく企業価値のアピール方法についてお話ししていきます。原油高が急速に進み、燃料・原材料価格の高騰が続く中で、企業は今まで以上に利益を確保することが求められています。こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業にとって、原材料費価格変動は会社の業績に直結します。しかしこの変動のビッグウェーブはいつ訪れるか、もしくは立て続けに訪れる可能性もあります。

  1. コストカットして値上げをせずにやり過ごす。
  2. 原材料費の値上げについて先方に説明する。
  3. 自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる”優良顧客”と繋がる。

いかがでしょうか?もちろん1は現実的ではありません。2も1回目の説明はスムーズに進んでも2回目・3回目の値上げの際に関係が途絶えてしまう可能性もあります。そこで、私たちが今からできる対策として『3自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる”優良顧客”と繋がる。」という考え方があります。

BtoB企業に取っての「優良顧客」とは何か

まず先に「優良顧客」について、ここでの定義をしておきます。

【優良顧客の定義】

  1. 御社の技術を信用して仕事を依頼してくれる。
  2. 長く付き合いができる。
  3. 発注者、受注者が対等な関係と捉えている。
  4. 業界知識やリテラシーがある。

いかがでしょう?多くの人が考える良い会社の定義として、自社の事業だけを伸ばすのではなく、業界に対しての自社ができることを考えられる企業ではないでしょうか?そして、自社でもこういった顧客とつながることが多ければ、経営面でも精神面で安定を獲得できるイメージができますよね。

自社の技術を”15秒”で説明できますか?

「優良顧客」を含め、多くの人は一度に多くの情報を受け付けることができません。会社のアピールを最適化するために、伝える情報を「15秒に厳選する」という方法があります。
15秒というと、約60文字くらい喋ることができます。感覚として短いテレビCMと同じ長さ(番組提供枠のCMは30秒)だと覚えておくと良いでしょう。

製造業では市場ニーズから、技術の横展開をしていった結果「自社の核となる技術」の存在が薄れてしまったり、対応可能な技術の全てを伝えようとするケースがあります。しかし、人が一度に聞き取れる情報、さらには記憶しておける情報はとても少ないのです。伝えるべき情報を厳選し、繰り返し伝える方が、受け取る相手にとって印象に残りやすいのです。

自社の姿勢を”開示”していますか?

この記事を読んでいるあなたは、「価格」や「短納期」だけで自社を選んで欲しくはないと思っているのではないでしょうか?製造業の技術は一朝一夕で獲得できない、”価値あるもの”です。だからこそ「安く買う」を目的にした顧客から目をつけられてしまうことは危険です。

そういった危険な顧客から目をつけられず、「優良顧客」を惹きつけるためには、会社として開示しておかなければいけない情報があります。それは「自社の姿勢」です。

【例】

  • 精度に自信がある
  • 多品種小ロットに自信がある
  • 企画から相談に乗れる

同じ技術カテゴリーの競合他社でも、技術習得にはそれぞれ”背景”があります。そしてその背景は、創業時期・地域・社長の個性などから、1社1社全く違います。

実は、「優良顧客」にとって、同じ技術カテゴリーから自社のパートナーとなる企業を探すのは実は重労働なのです。そこで、あなたの会社が「どのような技術」×「どのような姿勢」であるかを意識的に開示することができれば、「優良顧客」の目に留まりやすい状況を作り出すことができるのです。

”技術×姿勢”でアピールを最適化

「優良顧客」も目まぐるしい時代の変化の中で、自社の成長を支えるパートナーを探しています。その上で、あなたの会社が持つ幅広い技術の中でも「核となる技術」と、その技術を裏付ける「自社の姿勢」を意識的に提示することは必須です。対面でもネット上でも漏れることなく、自社の知識や対応力もトータルで評価してくれる優良顧客と繋がるアピールの最適化を行いましょう。

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製造業Webマーケティング事例8選(事例から学ぶ成功要因)

テクノポートの井上です。今回はBtoB製造業のWebマーケティング成功事例を、メーカーとサプライヤーに分類し8つ紹介します。また、そこから共通する成功要因について説明します。

サプライヤー成功事例

①株式会社富士産業

富士産業 成功事例

地域:東京都
事業内容:非鉄金属鋼材販売
従業員:10名
サイトURL:https://www.fujisanngyo.co.jp/

目的:新事業の製作金物事業での顧客開拓
マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

  • 製作金物事業が大きな売上の柱となる
  • 月30件前後の問い合わせ

成功のポイント

  • ターゲットの明確化:既存のお客様と競合しないようにデザイナーや建築事務所をターゲットに訴求。
  • ニーズと課題の明確化:図面無しからの製作に対応。
  • 提供価値の明確化:ヒアリング内容~簡単な図面作成、見積もり提案という流れで手間はかかるがニーズに応える。製造業者への問い合わせのハードルを下げる。かっこよいデザインではなく親しみやすいデザインを選定。ここなら相談できるかもという期待感を持たせる。

対策キーワード

製作金物2位、真鍮加工1位 など

②荒川技研株式会社

荒川技研 成功事例

地域:埼玉県
事業内容:樹脂試作
従業員:10名
サイトURL: https://a-giken.co.jp

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

  • 問い合わせ数、大幅アップ
  • 異業種からの引き合い獲得
  • 取引社数が大幅増加

成功のポイント

  • ターゲットの領域特化戦略:樹脂試作に特化、試作に関連するキーワード、材質などの切り口で幅広く訴求ポイントを作りコンテンツ化事業領域を切削だけでなく、試作に必要な他工程も含めPRを行う(光造形、真空注型、アルミ鋳物など)

対策キーワード

「樹脂試作」1位、「真空注型」6位など

③有限会社ユニバーサル

ユニバーサル 成功事例

事業内容:試作切削加工
サイトURL:https://universal-tech.jp/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

  • 狙い通りのターゲットユーザーからの問い合わせ獲得
  • 契約につながる問い合わせが急増。名刺代わりだったWebサイトが強力な営業ツールに急変

成功のポイント

  • 差別化集中戦略:研究開発部門にターゲットユーザーを絞り、ユーザーの必要とする情報をコンテンツ化。自社の強みとなるポイントを明確化することで訴求力を向上させる。特に難削材の加工に注力し、他社には真似することが難しい得意領域を確立。

対策キーワード

「ハステロイ加工」2位 「マグネシウム加工」3位

④株式会社共栄精機

共栄精機 成功事例

地域:東京都
事業内容:精密板金加工
従業員:15名

サイトURL:http://www.kyoeiseiki.co.jp/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル

Webマーケティングの成果

Webからの問い合わせが売上の8割

成功のポイント

  • 地域特化戦略:関東近辺に領域を絞ったキーワード対策を行う。
  • 利便性:東京近辺という打ち合わせのしやすさ。
  • レスポンス:最短5分で見積もり返答。
    (外注の表面処理などの費用も概算で組み込む)
  • まるごと加工:板金・切削・溶接・塗装・組み立て

対策キーワード

「東京+精密板金」2位 など

メーカー成功事例

①株式会社スペック・ジャパン(ドイツメーカーの日本法人)

スペック・ジャパン 成功事例

地域:大阪・東京
業種:マグネットポンプメーカー

サイトURL: https://speckjapan.com/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

  • 問い合わせ数、大幅アップ
  • 製品の仕様が決まる前段階からの相談が増加
  • 日本国内での認知度向上

成功のポイント

  • 市場浸透戦略:自社製品にこだわらない業界内でのお役立ち情報の作成。用途は決まっているが仕様が固まっていないような人向けに、役立つコンテンツを提供。
  • 差別化集中戦略:具体的なポンプの名称を調査。その中で検索需要が高いものと自社の得意な領域をすり合わせ、対策すべきキーワードをピックアップし、製品ごとに訴求。

対策キーワード

「水封式真空ポンプ」1位、「マグネットポンプとは」2位、「マグネットポンプ」5位など

②西山工業株式会社

西山工業 成功事例

事業内容:冷熱機器及びその応用製品の開発・製造、プレス板金加工及び金型の設計、基板の設計開発・組立加工

サイトURL:https://www.nishi.co.jp/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

狙いとする製品の開発案件の問い合わせの増加

成功のポイント

冷水機に関するコンテンツを整理して見やすくするとともに、冷水機とは何かという説明や種類に関する説明を追加。主力製品である「冷水機」、「ウォータークーラー」の順位を確固たるものに。

主力製品の販売だけでなく、自社におけるODM関連の商品開発案件を呼び込むため、自社のODMの事例をカテゴリ毎に分けて掲載。ロングテールの対策を行い、「製品名 ODM」などのキーワードで検索順位上位を獲得できるようにページを作成。

対策キーワード

冷水機 2位、ウォータークーラー 5位

③ダイキョーオータ株式会社

ダイキョーオータ 成功事例

事業内容:帽子の製造・販売

サイトURL:http://www.pointskyward.com/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

狙いとする「イベント市場」、「OEM市場」、「ワーク市場」の3つのBtoB市場で問い合わせを呼び込むことに成功

成功のポイント

市場を「イベント市場」、「OEM市場」、「ワーク市場」の3つに分類し、各市場の顧客ニーズの掘り下げ、競合サイト分析を行いWebサイト戦略を固めコンテンツを用意。

④水野鉄工株式会社

水野鉄工 成功事例

地域:大阪・東京
業種:工場自動化用ロボットの製造販売

サイトURL:https://mizuno-tk.jp/

マーケティング施策:Webサイトリニューアル、公開後の分析改善

Webマーケティングの成果

自社の得意な領域の「大物自動搬送」系のお問い合わせをつかむ

成功のポイント

自社の強みとなる「大物ワーク」「ガントリーローダー」「頑丈」を軸にユーザーの持つ課題と解決を紐づけコンテンツとして訴求。

対策キーワード

「大物 自動搬送」1位、「ガントリーローダー」2位

事例から学ぶ成功要因

上記の事例から考察できることについて3つ紹介します。

1、製造業とWebマーケティングは非常に相性が良い

新規案件獲得の難しさは、ユーザーの発注検討のタイミングをつかむことです。どんなにニーズがマッチしていてもタイミングを捕らえられなければ受注にはなりません。

プッシュ型営業のタイミングが取りづらいという課題を、Webマーケティングであれば効率よく捕らえることが可能です。ニーズが発生したタイミングで相手から相談がくるからです。

2、他社との差別化を作り出すことは難しい、まずはできることを明示

特殊な特許技術や真似できない技術を持っている会社はほんの一握りです。ここでご紹介した事例では特殊技術を持つ会社がWebマーケティングに成功しているわけではありません。当たり前の技術を、ターゲットに対する技術の組み合わせや、訴求内容を絞ることで違いを作り成果を上げています

他社と同じ技術や製品を持っていたとしても、しっかりWeb上でPRできている会社が少なければ勝負は十分に可能です。うまくPRしている会社はBtoCの市場に比べ少ないと言えます。

3、戦略と実行手段(Webページ)の紐づけを意識してページ作成

立てた戦略を実行手段(Webページ)にきちんと落とし込むことが重要です。ターゲットや訴求内容、選定するキーワードなどをマッチさせ、どのページから流入させるか、流入から問い合わせまでの導線をイメージする必要があります。

以上、BtoB製造業の成功事例から、考察できる成功要因について紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

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製造業のための失敗しないD2C入門。D2Cにも種類があるのを知っていますか?

D2Cブランドには大きく分けて2つの型があります。これから話す2つの型の違いは、「顧客が得たい体験」です。この2つの正体を把握しておくことで、D2Cブランド立ち上げの失敗を未然に防ぐことができます。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

D2Cブランドは立ち上げだけでなく運営にも、時間・お金・マンパワーがかかります。だからこそ自社のブランドを長く愛されるブランド育てるための戦略を、始める前に理解しておくことが重要です。

【使い切る】デイリーブランド型D2C

ここで話すデイリーブランドとは、食品や日用品などの使って消えるような、いわゆる「消耗品」を指します。このデイリーブランド型のD2Cビジネスは、商品が顧客の生活の一部となって一人ひとりに何度も購入されることで成立します。

そして、顧客がデイリーブランド型のブランドに求めることは「快適な日常」です。そのため、サブスクリプションしやすい商品設計・商品訴求が重要です。

【デイリーブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 買い続けられる価格設定
  2. 使い続けることで快適な生活を維持できる機能
  3. 買い続けることに面倒がない仕組み

【形が残る】スペシャリティブランド型D2C

ここで話すスペシャリティブランドとは、使用し続けても専門的な形や性能が残るものを指します。多くの製造業が挑戦しているのはこの型です。上記のデイリーブランドとは異なり、使い続けても無くならない性質があります。このカテゴリーでは機能性や耐久性に優れ、一般より高価格な商品が展開されています。

しかし機能性・耐久性に優れて長く使えるということは、言い換えるとなかなか買い換えないということでもあります。つまり、顧客が一度購入したら、次の商品の買い替えまで長く時間がかかるので、回転率が悪いため、ビジネスモデルとして考えたときに、一時的に大きな売り上げを上げられても、継続的な収益があげづらいことから、ブランド立ち上げに苦戦するケースが多いのです。顧客にとっても「特別な買い物をしたい」という願いがあります。そのため、スペシャリティな商品には、長く使ううちに“人に自慢したくなる仕掛け“が必要なのです。

【スペシャリティブランド型に必要な商品設計・商品訴求】

  1. 高価格でも買いたくなるブランドの世界観
  2. 思わず人に話したくなるスペックやデザイン
  3. 顧客との中長期的コミュニケーション

製造業のためのD2Cビジネスブランディング

1人の顧客が連続して購入するデイリーブランド型のサブスクビジネスと異なり、スペシャリティブランド型は1人のコアなファンが次のコアファンを呼び寄せるブランディングが重要です。イメージしやすいのは、あなた自身しよしているお気に入りの品物にまつわる、出会いと現在に至るエピソードです。少し高いかな?と思いながらもワクワクしながら購入した時の気持ち。そして今も気に入って使い続けているシーン。また、その様子を見た友人が「それいいね。」と声をかけてくれたことなどです。

スペシャリティブランド型は、まるで波紋のようにコアな商品をコアなファンが愛用し、コアな仲間が集まってくる仕組みづくりによって、買い替え需要が少ないスペシャリティブランドでも、上記の図のように、常に顧客が途絶えない導線設計をすることが可能になるのです。

まとめ

デイリーブランド型は、継続して購入される価格設定と機能、私して継続して購入したくなる発信時期と内容が重要です。一方スペシャリティブランド型は、使い続けられるスペックとアフターフォローの仕組み、そして長く使い続けたくなる特別感・ブランドの世界観の発信を心がけることが欠かせません。自社商品が、どちらのタイプかを見極めて、顧客に愛される商品設計・商品訴求を考えましょう。

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製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由

デザイン性の高いホームページは、新規顧客獲得・休眠顧客との関係復活・採用活動における優秀な人材獲得など、企業にとってさまざまな効果をもたらします。しかし「技術が売り」である製造業にとって、ホームページのデザイン性はどの程度必要なのでしょうか?

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業のホームページリニュアルの話をすると

  • 「あそこの社長は若いから、見た目にこだわりがあるのだろう」
  • 「うちは、デザインなんて言うのは柄じゃないから必要ないよ」

と言って、デザイン性を高めることに対して敬遠されるケースが多々あります。

しかし本当は、技術がある製造業こそホームページのデザイン性にこだわることが重要です。なぜなら多くのお客さんは心理的にデザイン性の高いページを熱心に閲覧する傾向があります。そこで今回は、ブランディングの視点からホームページのデザイン性と営業力の関係について話をしたいと思います。

なぜホームページにデザイン性が必要なの?

まずこの記事でお話しする「デザイン性が高い」ことに対して3つの定義をお話しします。

  1. 視覚的に好感がもてる
  2. 事業内容とビジュアルに一貫性がある
  3. 事業内容がわかりやすく掲載されている

いかがでしょう?テキストだけで並べると想像が湧かないかもしれませんので、この3つの定義を、営業担当を想像してみましょう。

  • 清潔感のあり、好感の持てる服装や髪型をしている。
  • 商品やサービスに対して過小評価や過大評価をせず、誠実に話してくれる。
  • 自社技術や業界知識についてわかりやすく説明してくれる。

この営業担当にだったら仕事を頼んでみたいと思うのではないでしょうか?製造業のホームページも同じように「話を聞いてみたい」「仕事を依頼したい」と思われる視覚的要素やわかりやすいコンテンツの設計が欠かせないのです。

製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由

製造業のホームページにデザイン性が必要な3つの理由は下記の通りです。

  1. 良いビジュアルの一般化
  2. 細部へのこだわり
  3. お客さんの負担を軽減

詳しい内容を一つずつ解説していきます。

1.良いビジュアルの一般化

日本におけるデザインの進化は年々早まっています。私たちは日常的に「かっこいいホームページ」「美しいホームページ」を見慣れています。つまり、皆さんのお客さんにとっても良いデザインは「普通」のものになってきていると言うことです。

飲食店でも、10年ほど前にはたくさんあった少し汚い、言い換えると味のある定食屋や焼き鳥屋なども、ずいぶん減ってきましたよね。現代では綺麗なお店には美味しい料理があると言う考えが一般化してきたのです。企業のホームページでも同じように、良いデザインの会社は良い仕事をしてくれると言う印象を持たれやすいのです。

2.細部へのこだわり

ホームページというのは、日常の業務で表すと大抵が最後のステップになることが多いものです。日々の生産、営業活動、事務作業、人事管理と業務を進めてやっと手をつけられると言う方も多いのではないでしょうか?だからこそホームページのデザイン性は、仕事の最後、細部まで手を抜いていないかと言う判断基準に関わるのです。忙しくてつい後回しにしていることは、いつか大きな歪みを生む可能性があります。日々の生産におけるこだわりを、お客様の目に届くホームページでも同じように表現することが重要です。

3.お客さんの負担を軽減

お客さまは数ある競合他社から、より良い取引先を見つけたいと思っています。しかし、お客さんが口コミや紹介以外で取引先を探す際、「1番手前にある情報」から取引先を精査しなければいけません。その1番手前にある情報とは現代ではホームページなのです。

ホームページのデザイン性によって、皆さんの会社がお客さんの選考から外れてしまうことは、自社にとってもお客さんにとっても機会損失になってしまいます。だからこそ事前にホームページのデザイン性を高めておく必要があるのです。

まとめ

先の話でホームページを営業担当で例えた通り、現代においてホームページは、お客さんが最初に目に入れるあなたの会社の営業担当なのです。

自社のこだわりの技術や、製造に対する思いがお客様の目に留まり、話を聞きたいを思われるデザイン性の高いホームページ制作を心がけましょう。

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【D2Cブランド】立ち上げに成功するための「ファンづくり戦略」とは

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

売上拡大、自社の認知度アップなど、さまざまな効果が期待できるD2Cブランドですが、良い商品を作れば必ず成功するわけではありません。D2Cブランドを成功させるために最も重要なことは、高性能なハイスペック機器でもなく、奇抜でおしゃれなデザインではないのです。それは「いかにファンを作るか」ということです。

今回の記事では売上拡大の大きな要因でありながら、中小企業が苦手分野と感じる「ファンづくり」について詳しく解説していきます。

D2Cのビジネスモデルとは

まずD2Cのビジネスモデルについておさらいしておきましょう。D2CとはDirect to Consumerの略で、メーカーが自社で企画・製造した商品を、小売店や代理店、またネットモールといった仲介業者を介さずに、自社ECサイトなどを通して消費者とダイレクトに取引する販売方法を指します。従来の仲介業者を介する場合に比べると、自社のブランディングやコスト削減、さらに継続的な顧客との関係構築などの効果が期待できるため、ここ数年で多くの企業が採用しているビジネスモデルです。

D2Cブランドで成功するためのファンづくり戦略


D2Cブランドでは、小売店やネットモールが行っているお客さんが集まる仕組み、つまり「ファンづくり」の工程も自社で行う必要があります。そのために必要なことは、「顧客視点の段階的誘導」です。

D2Cブランドの立ち上げは、全く無名のブラントを多くの人に知ってもらうことからスタートします。ブランドが認知され、理解され、手に入れたいと思われるためには、顧客の視点を段階的にあげていく接点づくりをします。

①発信時期の設定

D2Cブランドの立ち上げで重要なことは、いかに顧客に認知してもらうことです。「顧客視点の段階的誘導」では、ブランドの認知活動を効果的に行うための「期待感が盛り上がる発信のタイミング」を掴むことが重要です。これのタイミングを有効に使えるか否かは、ブランドの成長を大きく左右します。

  • タイミング1.開発時
  • タイミング2.リリース前
  • タイミング3.リリース後

タイミング1の開発時の発信では、試行錯誤やブランドコンセプトなど「なんだか面白そうなことをやっている」という、様子を覗ける発信が重要です。これは顧客の立場に例えると、行ってみたいお店を窓からチラチラと覗くような感覚に近いでしょう。

そしてタイミング2のブランドリリース前では、開会宣言を行います。タイミング1で興味を示してくれた顧客に対して「これからお祭りが始まります。皆さんで一緒に盛り上がりましょう!」とお店の中に呼び込んでいくイメージです。

タイミング3のリリース後では、顧客への感謝を伝えます。購入した顧客にとって「おかげさまで、たくさんの支持をいただいています」といった内容のメッセージは、自身の選択した物事への安心感や期待感、そしてブランドとの一体感を感じることができます。また、このリリース後の発信はまだ購入していない顧客候補者たちに対しても「自分もその輪に入りたい」という更なる期待感を集めることにつながります。

②顧客像(ペルソナ)の設定

D2Cブランドの成功には、不特定多数のフォロワー獲得以上に熱狂的なファンの育成が重要です。①発信時期の設定を効果的に行うためには顧客像(ペルソナ)の設定が欠かせません。

しかし、こういった顧客像を想定するとき、多くの企業では「ターゲット」を設定することが多いかもしれません。ターゲット設定は、30代男性会社員、40代女性の主婦のように性別や年齢などの属性でセグメンテーションする方法です。

しかしD2Cブランドを成功させるためには、それでは十分ではありません。ニーズをより深くセグメンテーションすることが必要です。そのために行うことは、たった1人のユーザーを設定し、その人物が叶えたいことを徹底的に考えることです。

顧客像を明確することは、より心に響くメッセージや商品開発など、マーケテイング施策が可能になり、自社ブランドの熱狂的なファンを育成することができるのです。

③媒体の設定

顧客像が明確になったら、次にすることはその顧客とつながるための発信活動です。発信活動でのポイントは、ペルソナの読みやすい媒体を選ぶことです。よくSNSをとにかく頑張ればファンが作れると思ってアカウントを開設する企業があります。しかしD2Cブランドを成功させたいなら、自社ブランドのペルソナにとってどの媒体が一番読みやすいのかを考えることが重要です。Twitter、Instagram、ブログなどのSNSだけでなく、紙媒体であるパンフレット、お手紙などさまざまな媒体があります。その中から、ペルソナが自社ブランドを心地よく知れるシーンをイメージしながら選定しましょう。

また、SNSなどのWEB媒体を使用する場合は、投稿時間も重要です。帰りの電車の中で読むのか、休日に読むのかなど、ペルソナの生活シーンを徹底的に想定して発信することでより熱狂的なファン作りにつながります。

④発信の継続

最後にファン作りには継続した発信が重要です。D2Cブランドの成長には、長くブランドを好いてくれるファンの存在が欠かせません。購入するときだけの関係ではなく、リリース前、リリース後、そしてその後の展開を長く発信し続けることで、企業が自社ブランド立ち上げによって望む「売上拡大」「自社の認知度アップ」といった効果を上げるブランディングができるのです。

SNSを始める前の注意点


会社としての発信とブランドとしての発信を1つのアカウントに混同させることはお勧めしません。いわゆる「混ぜるな危険」です。なぜなら会社としての発信とブランドとしての発信を読みたい読者が違います。そのため、1つのアカウントに対してどのペルソナにメッセージを受け取ってもらうのかを設計してから、SNSアカウント立ち上げることが重要です。

D2Cブランドのファンづくりは「会社の信用貯金」

D2Cならではのファン作りを続けることで、自社D2Cブランドの信用を貯金のように増やしていきましょう。この信用貯金は採用活動・新規顧客開拓・地域からの指示・業界へのインパクトなど、企業の価値を向上させるさまざまな効果をもたらします。もちろんD2Cブランドの立ち上げは容易なものではありません。しかし、個人から支持による信用は、これからの社会において重要な会社の資産となります。この記事をお読みのあなたの会社でも会社の資産となる、長く愛されるD2Cブランドを構築していきましょう。

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DX時代における人的ネットワークを活用した中小製造業の拡販戦術

現役でエンジニアとして働きながら、ライター活動をしているたなかです。今回は動画のまとめ記事で、テーマは「DX時代における人的ネットワークを活用した中小製造業の拡販戦術」です。

自社の製品や技術を多くの人に認知してもらうためには、SNSの活用が必要不可欠。中小製造業が、人的ネットワークを広げるために有用なITサービスを紹介します。

【講師】
熊坂 治
株式会社 産業革新研究所 代表取締役

1979年 パイオニア株式会社へ入社
2009年 早期退職後、品質工学コンサルタントとして活動開始
2011年 (株)産業革新研究所を設立。翌年製造業課題解決Webサービス「ものづくりドットコム」を公開。
企業勤務時代の失敗を基に古今東西の課題解決手法を研究している。

動画はこちらから

おさえておきたい考え方や心構え


中小製造業は「認知度が低く知られていない」という点が不利とされています。大企業と比較して「どのような取り組みをしているのか」第三者にとって分かりにくい部分があるためです。

人的ネットワークを活かした拡販戦術を推進していく上では、「どれだけ多くの人と繋がり、深く関わるか」がポイントです。Webを利用した情報発信は、非常に有用な手段ではありますが、形式的な発信になりがち。それを理解した上で、人との繋がりをベースにしたビジネスを作っていくことが大事なのです。

ITサービスの紹介

人的ネットワーク構築をする上で便利なサービスを5つ紹介します。まずは、直感で良いと思ったものを選んでみるとよいでしょう。

1.Linkers

Linkersは技術パートナーの探索やユーザー開拓など、製造業の課題を解決するためのマッチングサービス。中小製造業が大企業と繋がるための便利なツールです。誰でも無料で利用可能なため、サービスに登録をしてコーディネーターと関係を築くことをおすすめします。

ただし、ひとつのテーマに対して非常に多くの応募が殺到するため、倍率が高い傾向にあります。案件獲得のポイントは、自社のホームページに書いてない情報も含めること。確信のあるものを推薦し、熱量を込めて推薦文を書くことで案件獲得の可能性が高まります。

2.LinkedIn

LinkedInは世界最大のビジネスSNSで、海外でビジネス展開をしていく上で必須のサービスです。日本ではFacebookが主流で、あまり浸透していないのが現状。

自社にしかないサービスや製品があり、海外でも需要が見込めるものであれば、海外の企業からオファーが来る可能性があります。さらに、日本に進出したいが、文化や言語の壁により躊躇している海外企業からコンタクトがあることも。

3.Facebook

世界最大のSNS。原則として本名を使用するため、人と繋がりやすい傾向にあります。友だち申請をする際は、事前にプロフィールをしっかりと作り込んだ上で、丁寧なメッセージを送りましょう。そうすることで、面識がなくても友だちになれる可能性が高くなります。

Facebookは、信頼関係構築のためのSNSであるため、仕事のことばかり投稿しないようにするのがポイント。自分が普段何をしていて、どんなプライベートを送っているのか分かるような投稿を心がけましょう。信頼関係が構築され、お互いにWin-Winの関係にあれば取引が成立しやすくなります。

4.Eight

「名刺の数が多くて管理が大変」と思うことはありませんか?Eightは紙ベースでの管理が不要で、クラウドで名刺の管理ができるサービスです。個人的な発信機能から、人材採用などにも活用できる総合ビジネスツールになりつつあります。

人脈形成ツールとしても活用可能ですが、不特定多数に営業文を送ることは禁止されています。繋がりたい人だけに「なぜ名刺交換をしたいのか」明確な理由を添えて、名刺交換の申請をしましょう。Facebookと異なり、連絡を取りたい相手の氏名が分からなくても、検索できる点がメリットといえます。会社名を検索するだけで相手の所属する部署、社員の名前まで表示されるため便利です。

5.M&Aクラウド

M&Aクラウドは、株式会社M&Aクラウドが提供している会社売買のマッチングサービスです。売り手企業は買い手側のM&A広告を見て、直接売却の打診をできる点が特徴。売り手側は完全無料でサービスを利用できますが、買い手側も比較的安い価格で利用ができます。売り手側のサービス利用料は無料なので、後継者問題に悩んでいる企業は、とりあえず掲載しておくだけでもいいでしょう。

自社に興味を持った買い手企業の方から、事業提携の話を持ち出してくることもあります。良い条件の案件があれば、会社を売却することも可能です。

拡販活動に取り組む上で大事なこと

拡販活動を行う上で、下記の3点を意識して情報発信することがポイントです。

  • どんな事業に取り組んでいるのか
  • 技術をどう活かせられるのか
  • どんな考えを持っているのか

「自社の技術力は低い上に何の特徴もない」という考えでは、興味を持ってくれる企業が現れることはありません。ITサービスを利用して、自社の独自性を発信していくことで、自然と企業から声が掛かるようになるはずです。

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製造業が自社ブランドを作るなら必ず知っておきたい3つの視点

こんにちは。誇りある技術を持つ企業が シナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

製造業が自社で開発するブランド、いわゆるD2Cブランドの存在は、市場のクラウドファンディングやSNSの持ち上がりよって一般的にも認知度が高まっています。製造業としては、様々な思いから、D2Cブランドの開発に対して何らかの着手をしている企業が多いのではないでしょうか?

例えば、

  • 会社として話題性を作るため
  • 新しい売上の柱を作るため
  • 社員のモチベーションを向上させるため
  • 自社の技術力を高めるため

このように企業によっては様々な理由があると思います。しかし、何となくD2Cブランドを立ち上げてしまうと、上層部の思いとは逆に、話題性を生むことができなかったり、社員のモチベーションを下げてしまう原因にもなります。なぜそのような悲しい結果が生まれてしまうのかというと、そこには製造業が「メーカーとしてのポジション」を築く上で重要な3つの視点が欠けているからです。

今回の記事では、製造業がメーカーとしてのポジションを築く上で重要な3つの視点について、今まで累計1,200点以上の商品を企画・開発してきたブランディングの経験からお話ししていきたいと思います。

1つ目の視点【技術シーズ】

シーズとは「種」を意味します。ビジネスにおいては、企業が新しく開発・提供する特別な技術や材料のことを指します。D2Cブランドをリリースすることは、自社の技術を今まで取引がなかった業界にもアピールする絶好の機会です。ここで重要なことは、業界・社会にとって自社は「〇〇の技術力に優れた企業」とアピールできるシーズに絞ることです。

  • 企業としての技術力

もし自社のアピールすべき技術ポイントが1つに絞れない、シンプルに言い表せないと悩んでしまう場合は、これから取引をしていきたいお客様が求めていて、なおかつ自社が実現可能な技術力について着目すると、D2Cブランドを通してアピールすべきポイントが明確になります。

2つ目の視点【顧客ウォンツ】

ウォンツとは、ある商品・サービスを「欲しい」と顧客が考えている状態を指します。ウォンツの視点において重要なことは、「〇〇できる△△が欲しい」に応えられる企画と規格を考えることです。

  • 目新しい企画
  • スペック
  • デザイン

D2Cブランドでよく起こる失敗ケースとして、技術シーズを伝えたい一心で、製品にあまりに多くの機能を持たせすぎてしまうということがあります。このようなオーバースペックはユーザーが求めるものではありません。企業はメーカーとして、顧客が求めているスペックに向けて技術シーズのチューニングを行いましょう。

また、機能面で顧客ウォンツを満たしていても、デザインという見た目の視点が抜けてしまうと、どんなに良い商品も売れなくなってしまいます。どんな商品であれ、日常使いしてもらえる商品を作るためには、使っていて気持ち良い、持っていて心が踊るような商品を機能・見た目の両方から目指すことが重要です。

3つ目の視点【顧客ニーズ】

ニーズとは、漠然とした「こうだったらいいのにな」という理想に対する感覚です。ニーズは、スペックなどの具体性のあるウォンツとは異なり、心身を伴う「体験」に大きく関わっています。

  • 商品との出会い方
  • 商品の作り手を知ること
  • 使うことで訪れる、自分や相手の幸せな生活
  • 安心できるアフターサービス
  • ファン同士の交流

ウォンツを商品のハード面だとしたら、ニーズは商品のソフト面といっても良いでしょう。そして、時としてニーズは無自覚なことが多いため、もし潜在的な感覚に届く体験を提供することができれば、「まさにこれが欲しかった!」と言われる商品を作ることができるのです。この顧客に対してニーズまでの戦略的な導線構築が、製造業がD2Cブランドの別れ道と言っても過言ではありません。

3つの視点が重なり合うD2Cブランド作りを

顧客が大手ブランドではなく、小さなメーカーのD2Cブランドを選ぶには、技術シーズ・顧客ウォンツ・顧客ニーズの3つの視点が重要です。すでに多くの技術力があるからこそ、ストーリーのある商品を作り続けられる道筋を戦略的に立てていきましょう。顧客が喜ぶ商品、そしてその商品との関係性を築く体験を生み出せるものは、規模が小さくてもブランド力が高いと言えます。

そして顧客が喜ぶ商品を作ることは、期待や信頼を獲得につながり、他業界からのオファーや社内でのポジティブな企業文化の醸造など様々な波及効果を生み出します。自社だけでできないことは、企業同士の技術コラボや、専門家から協力してもらうことで解決できます。ぜひ、3つの視点を取り入れて、顧客から「この商品を自分の生活の中に取り入れたい!」と思われるD2Cブランド商品作りを目指しましょう。

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中小企業が取り組むべき売上・事業拡大のための広報活動

機械系エンジニアで製造業・技術系ライターとして活動している竹重です。

今回は、動画のまとめ記事となります。テーマは「中小製造業が取り組むべき売上・事業拡大のための広報活動」についてです。本記事では、広報活動について具体的に知らない方や、これから広報活動を検討している方に、製造業が取り組むべき広報活動のポイントについて紹介します。

【講師】野沢 直人(のざわ なおひと)
株式会社ベンチャー広報 代表取締役

大学卒業後、経営情報サービス会社に入社。マスコミ業界に転じ、ビジネス誌の編集責任者としてベンチャー経営者を500人以上取材。その後、当時無名だった海外留学関連のベンチャー企業に参画し、広報部門をゼロから立ち上げ、毎年100~140件のマスコミ露出を実現。5年で売上10倍という同社の急成長に貢献する。2010年に日本では珍しいベンチャー企業・スタートアップ専門のPR会社として株式会社ベンチャー広報を創業。

動画はこちらから

広報とは何か

広報とはマスコミを活用し、無料で商品・サービス・自社の認知度やブランド力を高める手法のことです。「無料」であることがポイントであり、広告を出すのではなく取材してもらい、報道という形でマスコミに取り上げてもらうことが必要になります。

小さい企業ほどより機動的であるため、コストパフォーマンス的にも広報をやるメリットがあります。また、広報を使うことで、短期間で信用力・ブランド力などお金で買えない価値を得ることもできます。

広報と広告との違い

広報と広告はよく混同しやすいため、ここでは、広報と広告との大きな違いを4つご紹介します。

情報発信方法

まず1つ目に、「情報発信方法」が挙げられます。広告は買い取った広告・CM枠の中で情報発信しますが、広報はメディアの記事・番組という形で情報発信します。

発信する情報の自由度

2つ目に、「発信する情報の自由度」が挙げられます。広告はほぼ100%コントロールできますが、広報はメディアからの情報発信のため、コントロールが難しい傾向にあります。

コスト

3つ目に、「コスト」が挙げられます。広告は広告費・制作費がかかり割高ですが、広報は活動実費のみで比較的割安です。

視聴者の信頼度

4つ目に、「視聴者の信頼度」が挙げられます。広告は手前味噌で信頼性に欠けますが、広報はメディアという第三者が発信する情報なので、信用する人が比較的多いです。

広報の目的

続いて、広報の目的を確認しましょう。広報は、企業や事業の成長を加速させるための活動です。そのため、しっかりと目的に沿った形で広報活動を展開していかなければなりません。

広報の効果

広報は、しっかりと戦略を持って取り組めば、経営のさまざまな面において効果を発揮できます。例えば、以下のような効果が上げられます。

売上拡大

問い合わせが増えるだけでなく、ネット上での指名検索により他社比較を排除することもでき、その質も向上します。また、潜在顧客を増やすだけでなく、その潜在顧客を顕在化させることができ、中長期的な売上貢献が可能となります。

採用力の向上

メディアで話題になると、優秀な社員の採用に繋がります。また、すでに働いている社員のロイヤリティーやモチベーションが上がり、社員の離職率を下げることができます。

ファイナンス

メディアで注目されると、会社自体の信用度が上がり、銀行からお金が借りやすくなる可能性があります。他にも、ベンチャーキャピタルから出資されることもあるでしょう。

広報活動への取り組み方

ここからは、広報活動への取り組み方をご紹介します。

広報専任者が雇えない中での進め方

中小企業では広報専任者を雇えないことが多いため、他の業務と兼任で構いません。(例:営業と兼務など)兼務の具体的な配分としては、自分の持っているリソースの50%、少なくとも30~40%を広報活動に充て、アウトプットしていくのが理想となります。

広報担当者に求められる能力

広報担当はどんな人材でも務まるものではありません。広報担当者には、「企画・アイデア力」「文書作成能力」「コミュニケーション能力」の3つの能力が求められ、バランスよく持っているのが良いとされています。

広報活動を進めるためのSTEP

ここからは、広報活動を進めるための具体的なSTEPをご紹介します。

広報活動を進めるためには、以下6つのSTEPを経る必要がありますが、本記事では、中小企業にとって特に重要なSTEP1とSTEP2について、詳細にご説明します。

  • 【STEP1】過去報道の調査と分析
  • 【STEP2】広報ネタの作り方
  • 【STEP3】プレスリリースなどの資料作成
  • 【STEP4】マスコミに情報提供(電話、メール、訪問)
  • 【STEP5】取材対応
  • 【STEP6】報道・記事化

【STEP1】過去報道の調査と分析

まずは、過去にマスコミが一体何を報道していたのかをしっかりと調べる必要があります。そうすることで、マスコミの興味関心を把握でき、そこに合わせて情報提供すれば、取材しやすくなります。マスコミの興味関心を知るためには、例えば、Googleの「ニュース」タブの検索結果から情報収集すれば良いです。

【STEP2】広報ネタの作り方

次に、マスコミが取材したくなるようなネタを作るためには、マスコミが取材したいと思うニーズを把握することが大切です。

「自分の持っているネタをそのままマスコミに持って行く」というプロダクトアウトの発想ではあまりうまくいかず、逆のマーケットインの発想で「今、マスコミはどんなネタを求めているか?」を提供していくことが求められます。

広報活動の成功の秘訣

ここからは、広報活動をうまく進める上での成功の秘訣をご紹介します。

過去の成功事例

以下は過去にマスコミに取材された切り口であり、マスコミが関心を持つ可能性が高い内容となります。

マスコミは時流に乗るトレンドを意識する傾向があり、新聞や雑誌、テレビなどで情報に精通することも必要です。

  • 技術を他業界に提供し取引先を増やした事例
  • 自社技術を生かしオリジナル商品を企画販売した事例
  • 事業継承・跡継ぎ問題をうまく解決した事例
  • 地域向けのイベントを開催した事例
  • 他業界・他社とコラボレーションした事例

ソーシャルメディアの活用

近年、時流を掴んだり記者とのコネクションを作ったりする手段として、ソーシャルメディアが使われるケースが増えています。また、コロナ禍の影響もあり、記者とのコミュニケーションもますますオンラインに移行してきており、SNS上でのダイレクトメッセージによるやり取りも増えてきています。

メディアの選び方

初めて広報活動を行う際は、小さな成功体験を積むことがとても大事になるため、いきなりマスメディアにいくのではなく、取材してもらえる可能性が高いニッチなメディア(業界紙や専門誌など)から攻めることも一つの手段となります。

また、取材してもらうことによって、取材の受け答えの経験値が上がるなどのメリットも享受できます。

広報ネタの使い分け方

ニッチなメディアである業界専門誌は、ニュースバリューが高くなくとも取り上げてくれます。しかしマスメディアは、特ダネ(世の中で誰も知らないネタ)になり得る、社会的にも影響力があって、ニュースバリューのあるものでないと、取り上げてくれないこともあります。

そのため、小さくニッチなメディアで「信用を積み上げる用のネタ」とマスメディア用に「これぞ特ダネというネタ」を使い分けながら、広報活動をしていくことも一つのやり方です。

これから広報活動への取り組みを考えている製造業の方へ

小さい会社こそ広報活動をやることで、会社の事業拡大・成長に繋げることができます。マスコミから取材してもらうことは簡単ではないですが、もしうまくいけばコストパフォーマンスが良く、経営メリットを享受できます。

できそうだと感じましたら、ぜひチャレンジしてみて下さい。

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中小企業のための海外販路開拓の進め方

製造業のエンジニア兼、Webライターの大城です。

今回は動画のまとめ記事です。テーマは中小企業のための海外販路開拓の進め方について。

コロナ禍で海外展開がうまくいかず困っている方や、これから海外展開を検討している方に、製造業が海外販路開拓を進める方法について紹介します。

【講師】
深野裕之
一般社団法人「グローカルソリューションジャパン」代表理事・認定専門家
NPBトレーディング株式会社 代表取締役

これまでに47ヵ国に新規の販路開拓をしてきた経験と人脈を活かし、これから海外事業を始めたい企業、なかなか海外事業の成果が出ずに悩んでいる企業をサポートしている。

動画はこちらから

海外販路開拓の方法6選

海外販路開拓には次の方法があります。

1.展示会への出展

海外の展示会に出展してみることが王道のパターンです。しかし、コロナ禍の影響で一般の展示会が相次いで中止になり、オンラインで開催される機会が増えてきました。対面では、偶然に商品を見つけ、そこから話が広がる場合がありますが、オンライン展示会は事前に検索されて興味がある企業しか見てくれない分、自社の製品が認知されにくくなってきています。これからはオンライン展示会への出展を意識して、以下を実施しましょう。

  • 自社のマーケットに合致した展示会を選ぶ
  • 直接会うことのできない海外の取引先に直接問い合わせる
  • 商談の準備をする

2.越境ECを使う

越境ECとは、インターネットを活用して日本国内から海外へ向けて商品を販売するEC(電子商取引)のことです。例えば、健康食品を輸出する場合にはいろいろな許認可が必要になるのですが、越境ECではこれらをスキップできるので、海外に自社製品を販売するまでのプロセスが早く済みます。

3.公的機関の活用(オンライン商談会)

JETRO※では、「オンライン商談会」という会が行われており、オンラインで自社に合った商談相手をマッチングする機会を設けています。

※JETRO(日本貿易振興機構)とは、対日投資の促進や中小企業の海外展開の支援を行う独立行政法人です。

4.クラウドファンディング

クラウドファンディングで海外からの出資を募ることで、問い合わせを得る企業が増えています。

5.販路開拓の会社を活用

グローカルソリューションのような販路開拓の会社を活用することで効率的に販路開拓を進めることができます。

6.現地のネットワークの活用

既に販路を持っている会社や、現地で販路開拓会社とパートナーになっている会社から紹介してもらう方法です。

海外販路開拓の具体的な進め方

ここからは海外販路開拓の具体的な方法を紹介します。

まず、「周りの同業者が海外販路開拓をしているから」という理由で直感的に販路開拓を決めてしまうのはおすすめしません。事前に十分な情報収集が必要です。

海外の情報がない中で海外展開を進めていく場合は、国内の実績をもとに「仮説」を立てていくことが重要です。まず、「国内のお客様が自社の何を評価しているのか」を事前に理解し、海外で自社が優位性に立てる部分は何なのか、仮説を立てておきます。

次に、販売店から情報を収集します。販売店は、自社の強みが一番生きる販路を持っていそうな販売店を探します。販売店と商談がうまく話がまとまらなかったときは、「なぜ販売店が自社の商品を売っていこうとしなかったのか」をしっかりヒヤリングすることで、営業しながらリサーチしていくことができます。調査に資本をかける余裕のない中小企業には効率的な調査方法です。

販売店の他にも、自社と競合せず、同じお客様を共有できそうな日本メーカーから情報を得る方法もあります。その企業が取引しているお客様を紹介してもらうことで空振りが少なくなります。

また、思わぬところで、自社の製品が海外で使われる例もあります。
例えば、自社の製品が日本経由で購入されて、中国の工場に行き、現地のどこかの会社がメンテナンスで使用する、というケースです。そのメンテンナンスを行っている会社が分かれば、現地のお客様を紹介してもらうのも有効な手段です。

メーカー・サプライヤーの海外進出戦略

海外販路の進め方や注意するポイントは、メーカーとサプライヤーで異なります。

メーカーの場合、自社を評価してくれるお客様と同じような海外の企業を販売先として持っている販売点を探すことが大事です。

サプライヤーの場合、自社の商品を調達しそうな会社から情報収集をします。調達部に直接「どんなことに困っているのか」をヒヤリングします。

JETROでは、現地にどんな日系企業が進出していて、現地にどんなサプライヤーがいるのかを調べることができます。そこから自社のお客様になり得る会社や、自分たちの業界が飽和しているか、もしくは足りていないのかを調べます。

現地への供給方法としては日本から供給する場合と現地で供給する場合が考えられますが、輸送コストの面から現地での供給を考えたほうがいいでしょう。

現地での供給方法は次の選択肢があります。

  • 自社で工場を出す
  • 委託先を探す
  • 合弁会社を探す

お客様にメリットが出るような技術や加工製品があれば、日本からの供給でもうまく行く可能性がありますが、よりニッチなマーケットに入っていくことが重要です。

日本でできる海外進出情報の集め方

先にお伝えした通り、海外進出において事前の情報収集は欠かせないのですが、どのような情報収集の方法があるのでしょうか。

JETROの短信ニュース

日経新聞や日刊工業新聞にJETROの短信ニュースが掲載されることがありますが、現地の情報が要約されていて読みやすくなっています。

現地のビジネス情報メディア

今はWebの翻訳機能が優秀になっているので、現地の言語を知らなくても違和感なく読めます。できればニュースで言っていることが本当なのかどうか、現地の経営者に聞くことが望ましいのですが、ここまでやるにはある程度人脈を築くことが大事です。

「LinkedIn」の活用

LinkedInはビジネスをする目的でできており、世界で6億人以上のユーザーが使用しているSNSです。使われる頻度の多い英語で情報発信をすることが重要です。LinkedInで海外の経営者や取引先と繋がることができれば、その人が転職したとしてもすぐ連絡が取れます。

これから海外進出をお考えの製造業の方へ

まず、海外展開する前に「日本と海外ではニーズもライバルも全然違う」ことを受け入れる必要があります。
一方で、日本で評価されている技術や製品というのは海外でも十分通じる可能性があるという自信を持ちましょう。

大切なのは、自社の強みをしっかりと把握することです。
そしてニッチで尖ったところだけで勝負する、絶対勝てる自信があるところだけで勝負する、という考え方が大切です。
そのために、Webでの発信を強化して、自分たちが勝てるところはどこなのかを特定しましょう。

「何となく海外に出ていって、メイドインジャパンだから人気が出る」という時代は残念ながらだいぶ前に終わっています。

いかにピンポイントで自分たちが勝てるところで勝負するか、ということが大切です。

販路開拓会社の「グローカルソリューションジャパン」は【的確な戦略】と【販路開拓のアドバイザリ】をできる専門家が揃っています。

海外販路の開拓を自分たちでやるには難しいと感じている方は、お気軽にご相談ください。

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メーカー担当者に聞く、製造業のWebサイトのここを見ています

はじめまして、機械系エンジニアで製造業・技術系ライターとして活動している竹重です。

社会環境の変化でデジタル化が進む中、製造業としてWebサイト上で集客する方法に悩んでいる方も多いのではないでしょうか?最近では、多くの企業で時間や場所に制限のないWebサイトでの集客に力を入れており、その結果、Webサイト上での競争が激化してきています。そこで、本記事では、メーカー担当者が新たな外注先を検討する際に、Webサイトで検索するキーワードや良く見るポイントをご紹介します。

メーカー担当者がインターネットの検索で新たな外注先を決定することが増えている

昨今、インターネットの普及やコロナ禍を契機としたデジタル化の急加速を背景に、メーカー担当者がインターネットの検索で外注先を検討することが増えています。

また、インターネット検索では、対面と比較した場合、同じ時間で得られる情報量が多く、外注先調査の効率性でも注目されています。

インターネットの検索時にどのようなキーワードで探すか

外注先の選定にあたって、どのようなキーワードで検索されるのでしょうか。検索キーワードの代表事例としては、以下の3つが挙げられます。

  • 対象となる製品・設備・製法
  •  拠点
  • 資本金、売上高

また、ここでは例として、「段ボール」の外注先を探索する場合の実例も合わせてご紹介します。

1.対象となる製品、設備、製法

まず1つ目に、「つくり方に関すること」が挙げられます。これは、外注先として対象製品がつくれるかどうかを判断する必要があるためです。

検索例としては、「外注 段ボール」、「外注 段ボール 製紙」、「外注 段ボール ロールtoロール」となります。

2.拠点

2つ目に、「生産もしくは開発拠点」が挙げられます。これは、自社拠点との距離を知ることで、品質管理のしやすさやトラブル対応が十分にできるのかを判断でき、また、輸送コストのおおよそのイメージをつけることもできます。

検索例としては、「外注 段ボール 生産拠点」、「外注 段ボール 開発拠点」となります。実際には「生産拠点」や「開発拠点」のところに「東京」や「大田区」のような具体的な地域名を入れて検索することもあります。

3.資本金、売上高

3つ目に、「会社の業績に関すること」が挙げられます。これは、企業の規模感や事業継続の成否などといったその企業の経営安定性を判断する必要があるためです。

検索例としては、「外注 段ボール 資本金」、「外注 段ボール 売上高」となります。

製造業サイトを見るポイント

キーワード検索してヒットしたWebサイト上で、メーカー担当者はどのような情報を詳細に見にいきたいと思うでしょうか。ここでは、メーカー担当者が製造業サイトを見る際のポイントをご紹介します。

製造業Webサイトを見る際に最初に必ず見るところ

Webサイト上で最初に必ず見るところとしては、「事例紹介ページ」が挙げられます。

事例紹介ページとは、「どのような企業と取引があるのか、具体的にどのような取引をしているのか、何社と取引があるのか」といった情報を紹介しているページです。このページを見れば、実際に取引するに当たっての具体的なイメージが湧き、取引先のメーカーブランドや取引数によっては信頼性を判断する基準にもなります。

製造業Webサイトを見る際にこの情報があると助かるというポイント

Webサイトを見る際にどんな情報があれば、便利でしょうか。

例えば、「取り扱い製品の説明動画や実際に使用している動画」があれば、文章では伝わらない製品の細部や機械動作などが伝わり、具体的なイメージが湧きやすくなります。

この情報が載っていないと土台に上がらないという情報

一方で、製造業のWebサイトとして、最低限掲載しておくべき情報があります。

具体的には、「企業情報」、「製品情報」、「お問い合わせフォーム」が挙げられます。どれも基本情報であり、これら情報が未記載の場合、その企業の概要を知ることができない上、連絡を取ることもできません。

外注先として特に決め手となるポイント

外注先として特に決め手となるポイントは「信頼性があるかどうか」です。

例えば、過去にコンプライアンス違反として、重大な不正や不祥事を起こしていないかどうかなど、タッグパートナーとしてふさわしいかどうかを決めるポイントになります。

実際の事例

ここからは、Webサイトをうまく作り込み、ポイントを押さえた企業を2社紹介します。

株式会社ユニフェイス

株式会社ユニフェイスは製造業における問題解決・コストダウン・品質向上をIoTのチカラで実現する企業です。導入事例をその経緯を交え、具体的かつ詳細に掲載しており、具体的なイメージが非常に湧きやすいWebサイトになっています。また、導入先の会社名も記載しており、信頼性も同時に感じられます。

株式会社ZMP

株式会社ZMPは自動運転技術を活用した車両やバス、物流ロボット、無人フォークリフトなどヒトとモノの移動を便利にするロボットを販売する企業です。導入事例を豊富に掲載しているだけでなく、現場で活用されている様子を動画で視聴でき、具体的な活用シーンがイメージできるWebサイトになっています。また、カテゴリー別検索機能もついており、ユーザー目線の仕様になっているのも特徴的です。

まとめ

社会環境の変化でデジタル化が進む中、メーカー担当者が時間や場所に制限のないWebサイトで外注先を検討することが増えています。

本記事では、Webサイトで外注先を探すときのキーワードやサイトを見るポイントをご紹介しました。

ここで紹介したポイントを抑え、変化する状況をうまく利用したWebサイト制作を進めていきましょう。

【ライタープロフィール】

竹重 剛
職業:機械系エンジニア、製造業・技術系ライター
執筆テーマ:製造業全般

【経歴】
工学系の大学院を卒業後、化学メーカーに就職し、機械系エンジニアとして機械設計や生産技術開発に従事。職種柄、モノづくりの一連のプロセスに関して幅広く精通しており、今後ライターとして、製造業における様々な側面の記事を執筆予定。

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中小企業のリブランディング!自社の強みを売上につなげる3つの分析方法

みなさん、会社の売り上げを増やすためにどのような施策を行っていますか?これは、多くの社長が日々頭を捻っている事だと思います。それでも会社の売り上げを上げる戦略の基本はこの3つしかありません。

  1. 顧客「数」を増やす
  2. 顧客の「リピート」を増やす
  3. 顧客「単価」を上げる

これらは当たり前ではありますが、意識して行っている会社は意外と少ないのです。

こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

おそらく多くの会社が、ホームページを新しくしたり、SNSを開設したりしているのではないでしょうか。他にも、助成金や補助金を活用して新しい機器を導入するなどのさまざまな施策を行っていると思います。もちろん、どれも間違ってはいません。

ただし、施策を行う前に「現状の自社の強み」を理解しておくことで、その効果を最大化することができます。簡単に言うと上記の3つを意識的に攻略していくことができれば、自社の売り上げが自然と上がりやすい環境を構築していくことができると言うことです。

新規顧客獲得のコストは5倍

上記の売り上げを上げる3つの施策から、どれをやりますか?と聞くと、ここで多くの社長は「新規顧客を増やす!」と答えます。しかし、新規顧客・既存顧客からそれぞれ同額の依頼を受けるまでには、新規顧客にかかるコストは5倍と言われています。このコストというのはお金だけでなく時間も含まれます。そのため、新規顧客獲得ばかりに目を向けていると、少ない人数で回している社員や社長がヘトヘトに疲弊してしまいます。

そこで重要なことは、自社の強みを客観視して既存顧客・休眠顧客へ再度アプローチをかけたり、ホームページやSNSなどのブランディングを行うことです。

私はこの方法を「会社を再パッケージする」と呼んでいます。

①沿革を文字に起こす

自社の強みを掘り起こすのに、沿革を一度文字に起こすことが必要です。ここで重要なのが、沿革で書き出されたそれぞれの変革に対して、なぜそれを行ったのかも言語化することです。

ものづくり会社あるあるで、よく自社の技術的な部分、いわゆる「ハード」については理解してスムーズに説明ができても、仕事に対する姿勢を指す「ソフト」を説明するのが苦手な方がいます。ものづくりの仕事は、良い機械があればできるわけではありませんよね。相手のために仕事に向き合い、切磋琢磨したその結果、今のあなたの会社の技術があります。つまり「ソフト」があってこその「ハード」です。沿革を書き出しながら、自社の「ソフト」と「ハード」両方の強みを明文化していきましょう。

②お客様の声を聞く

長く付き合いがあるお客様であればあるほど、「理由なんてないよね」と言い合う取引があります。しかし、長い間他の会社に乗り換えられないのには、必ず理由があります。お客様も気恥ずかしさや、言語化に慣れていないことから、理由を引き出すのは難しいかもしれません。

そういった場合は、先ほどの沿革から導き出した自社の「ソフト」「ハード」の強みをアンケートにまとめ、チェックをしてもらうのも一つの方法です。

ここではお客様から、自社がどのような役割とし必要とされているのかを客観的に知る情報を集めることに注力しましょう。

③SWOT分析

SWOT分析とは、

  1. Strength=強み
  2. Weakness=弱み
  3. Opportunity=機会
  4. Threat=脅威

上記の4つのカテゴリーを視点にして、経営戦略や事業計画の現状分析を行う経営戦略策定方法です。目にしたことがある方や、実践したことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、SWOT分析の難しいところは、自社だけで行う場合、客観視が不十分になり分析する材料が正しく揃えられないことです。

そこで、今回のSWOT分析で行って欲しいことは、先に述べた

  • 沿革から導き出すソフト・ハードの強み
  • お客様の声

という客観的な実績を組み込んだ分析の実施です。この客観的視点が加わることで、自社の存在意義を正しく理解して、既存顧客・休眠顧客・新規顧客に伝えることができるようになるのです。

取引先にとってのかけがえのないパートナー企業へ

こういった話をすると、「そうは言っても取引先が倒産したり、受注量を減らしてきてるんです」という声が上がります。目まぐるしく変化する業界市場の中では、今まで会社の主力としていた商品が一気に必要とされなくなるケースもあります。

そういった場合は、お互いにとって前向きな相談をしてみてはいかがでしょう?

「今後はどのような製品にシフトチェンジしていくのか?」「そのためにうちで協力できることはないか?」「市場の動き的にこういった方向に挑む価値がありそう」といった前向きな相談です。これは、直接あなたの会社の売り上げを爆発的に上げるものではないかもしれませんが、この相談がきっかけで、かけがえのないパートナー企業になれるかもしれません。

ものづくりは1社だけで完結することは不可能です。是非あなたの会社でも自社の強みが伝わるリブランディングを行い、取引先にとってのかけがえのないパートナー企業になっていきましょう。

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製造業デジタルマーケティングのアンケート調査から見えてきた課題

テクノポートの井上です。先日弊社で製造業のお客様向けに「デジタルマーケティングにおける取り組みに関する実態調査」という名目でアンケート調査を行いました。

今回はデジタルマーケティングにおいて、最も多くの方が課題と感じている「戦略の立案」について、原因の考察と解決の手段についてご紹介いたします。

戦略の立案に課題を抱える企業が多い結果に

製造業デジタルマーケティングアンケート

デジタルマーケティングというテーマから、WebやITスキルについての課題が多いかというと、そういうわけではなく、戦略の立案に関する課題が一番多い結果となりました。理由として考えられることは、戦略の企画立案は、受託加工が主の中小製造業では不得意な領域である場合が多いということです。また、外部に協力要請するにしても一般的なWeb制作会社では製造業に知見のある会社は少なく、その結果、戦略の企画立案段階で業務が滞るようになることが考えられます。

Web制作会社との公開後の打ち合わせでは、「コンテンツボリュームをたくさん増やしましょう、そのためには事例をたくさん増やしましょう」というアドバイスのみで、そこまで多くの事例が載せられない製造業者の場合、それ以上の進展がなく終わってしまっているケースも多いと聞きます。

まず、戦略的な話を外部を交えて行うのか、自社で考えるのかが決まっていないことが原因だと考えられます。Webマーケティングを円滑に遂行するためには、自社に何が不足しているのか、外部に委託する際にはどの範囲をフォローしてほしいかを明確にする必要があります。そのためにすべきことは、Webマーケティングの流れと必要となる知識やスキルを理解し、それに対し自社でできる範囲を知ることです。それができれば、後は誰がどのようにやるかを決めていくだけですので、やることの明確化ができるようになります。

Webマーケティングの主な流れ

ここでは、Webマーケティングのおおまかな流れと、必要となるスキル・知識について紹介します。ただ、Webマーケティングというと領域が広くなるので、今回はわかりやすくするためにWebサイト制作の流れに合わせて説明します。

企画立案

Webサイトに問い合わせを呼び込むための戦略を立てます。どのようなターゲットにどのような価値を提供するかを企画し、その後、戦略を成功させるためにWebサイトにどのような形で落とし込んでいくかを決めます。

サイト制作

上記で決定した内容に沿ってサイト制作を行います。

分析

制作・公開したサイトが戦略のもとでうまく機能しているかどうか、アクセスやキーワード、お問い合わせ状況の分析を行います。

更新、改善

分析した内容をもとにどのように改善すればいいかを考え、次の更新につなげていきます。

Webマーケティングに必要な知識・スキル

Webマーケティングにはどのような知識やスキルが必要になるのかも見ていきましょう。

マーケティング知識と企画力

戦略の立案、改善策の考案をするのに必要となるスキルです。よりよい企画を作るためには、所属する業界の知識も必要となります。

SEO知識・広告知識

どのように見てもらうか・知ってもらうかを考えるための集客に関する知識が必要になります。

コンテンツ作成スキル

ページを作るためのコンテンツを作り出すスキルです。最近では執筆代行にて外部に委託することも増えてきているように、コンテンツの作り方にもノウハウがあります。

Web制作スキル

決められた事項にもとづいて、忠実にWebに反映させるITスキルです。

情報分析スキル

Web解析士という資格があるように、Googleアナリティクスなどのアクセスデータをどのように分析し評価をするかという部分にはスキルが必要になります。アクセスデータは見ることはできるけれど、どのように解釈すればよいかわからないという方は多いです。

企画遂行能力

決められたものを期日通りに進めていく、スケジュール管理を含む企画遂行力が必要となります。

コミュニケーション能力、調整力

Webマーケティングは、ほとんどの場合一人ですべてを遂行することはできないため、社内や外部とのやりとりを円滑に行い、周りを巻き込んでいく必要があります。

実行者を決定し、やってみる

「Webマーケティングの主な流れ」を理解した上で、知識・スキルを保有する者を選定し、実行に移します。一人ですべてを受け持つことは難しいため、以下のような役割分担が必要です。

  • マーケティング、SEO知識、情報分析(マーケティングディレクター)
  • コンテンツ作成(製造技術者)
  • Web制作スキル(Webエンジニア)

外部委託する際の注意点

自社では対応が難しく、外部委託する際には、どこまでを求めるかを明確化することをおすすめします。冒頭にあったように、「戦略の立案がボトルネックとなり停滞するケースが多い」というアンケート結果があります。

マーケティング企画立案からの協力が必要な場合に、コンサルティング会社に依頼するケースが最近では増えてきているようです。ただ、コンサルティング会社に依頼する場合、費用もそれなりにかかります。

  • 一般的なWeb制作会社の運営サポート費(数万円)
  • 一般的なコンサルの月額費用(数十万円)

そのような理由で、手前味噌になってしまいますが、製造業専門で業界の知識を保有し、マーケティングが得意な会社ということで、弊社テクノポートにご依頼いただくケースが非常に増えています。以上、デジタルマーケティングにおける、戦略立案に関する課題の原因と解決手法について紹介しました。

参考にしていただければ幸いです。

製造業のデジタルマーケティング実態調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000055603.html

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情報発信が取材に繋がる ハタノ製作所の「広報」を聞く

テクノポートの菊地です。2020年からのコロナ禍を経て、情報発信に積極的に取り組む企業が増えています。その傾向は製造業でも高まっており、ブログやオウンドメディア、SNS、プレスリリースなど様々な手段が用いられています。情報発信の目的は会社や方法によって異なると思いますが、今回は私が「広報」の視点で情報発信に工夫されていると感じていた、「ハタノ製作所」の波田野さんにお話を伺いました。

広報ってどういうこと?という方は、こちらの記事がおすすめです。

ハタノ製作所について

引用:ハタノ製作所Webサイト

ハタノ製作所は、東京都大田区京浜島に拠点を構える2020年10月に創業したばかりの町工場です。TIG溶接を主とした金属加工をおこなっていますが、特筆すべきは従来の溶接工の枠組みに捉われない様々な分野での活動、コラボレーションではないでしょうか。

地域のメディアに留まらず、NHKの首都圏ネットワークや美術手帖など数多くのメディア露出を叶えています。

【主なメディア実績】
NHK総合 首都圏ネットワーク「町工場 若手職人の挑戦」
首都圏ニュース 生活情報
美術手帖  「町工場とクリエイターの協働から生まれる「遊具」とは? 大森のKOCAで「ラウンドテーブル2020」が開催」
「KOCA」Youtubeチャンネル

代表 波田野哲二さん

1986年東京都大田区生まれ。工業高校卒業後、一般企業で5年、大田区の溶接工場で10年勤続を経てハタノ製作所を創業。TIG溶接を主とした金属加工を行い製造業の仕事に加え、デザイナー・アーティスト向けに金属製品の少量受注生産及び工場見学&溶接体験の受け入れを行なっている。デザイナーユニットYOCHIYAと協働し、溶接の繊細さを活かしたプロダクト「SUS 50A」を開発。おおたオープンファクトリーをはじめとした大田観光協会の各種イベントに積極的に協力をしている。町工場の若手職人を集めたコミュニティを作り、自身が主催する「#町工場LT」で要素技術の魅力を伝える活動を行っている。キャッチコピーは「人を繋ぐ溶接工」。
Twitter:@hatano_work

伺ったお話を5つの項目でご紹介していきます!

①広報活動に取り組んだ背景

現代美術家 金子未弥さんとの協働作品  ガードレールを溶接している

ーメディアに取り上げてもらおう、とか広報活動しようと感じたきっかけを教えてください。

実は、「広報をしないと」とか「メディアで取り上げてもらうために何かしよう」という狙いで情報発信に取り組んでいたわけではなくて。もともとは広報しようとかってイメージではなかったんです。

ーそうだったんですね。 Twitterを使ってらっしゃると思うのですが、いつから使っていますか?

2018年ですね。創業するよりも前に、閉鎖的な町工場から他の会社さんがどんなことをやっているのかとかを情報収集するためにTwitterをはじめました。最初は大田区の町工場の人です、みたいな匿名アカウントでしたね。とはいえ見るだけだとつまらないので、アットカマタさんの「おおたオープンファクトリー」とかそういうイベントがありますよとか信頼性のある発信をしながら、他の工場の方はどういうふうに思ってるのかなというのを知りたくて少しずつ交流をしていったというのがはじめです。
もちろんものづくりのことを広く色んな方に知ってほしいという気持ちもありますし、情報発信しないといけないとは思っています。

ー情報収集やコミュニケーションの手段としてTwitterを使っていたんですね。

そうですね。その時はまだ、独立する前だったというのもあって自分の会社の宣伝がしたいというよりは、個人として他の人のお話を聞きたいとか、どんなことをやっているか知りたいという感じでした。

ー先ほどの「広く知って欲しい」というのは製造業の人に限らずですか?

はい。製造業の方向けではなくて一般の方とかクリエイターの方とかに溶接やものづくりについて何か気付いてもらえるような発信の仕方をするように心がけてます。そういう意味では差別化しながら発信しているっていうんですかね。他の人がしないことをやるっていうのがあるので、それがうまくメディアの方々の目に留っているんじゃないかなと思ってます。

ー広報的ですね!波田野さんの投稿ってあまり宣伝ぽさがないですよね。製造業の方同士で専門的な話題で盛り上がったりするのはよく見かけますが、一般の人に知って欲しいというのはなにかきっかけがありましたか?

創業前になるんですけど、おおたオープンファクトリーというイベントに参加して工場見学で一般の方を受け入れたんですね。閉鎖的な町工場が当たり前だと思っていたんですけど、地域の方とか街づくりを学んでいる大学生とか、本当に色んな方が来てくれたんです。その時に僕が溶接しているのを見てた小さい男の子が「お兄さんかっこいい」って言ってくれたのがすごく嬉しくて。もっといろんな人に溶接に限らないんですけど、町工場の人や技術を知って欲しいと思ったんです。

②取材獲得のための工夫

ーいろんな人に知ってもらうためにメディア露出は良い手段だと思います。NHKなど取材を受けてこられてますが、「僕こういうことやってるんですけど、取材しませんか!」とかって連絡したりしてるんですか?

それが全部受け身で…。メディアの方からお声掛けいただいて、という感じですね。

ーうらやましい…。先ほどおっしゃっていた「広く知って欲しい」という情報発信の仕方が広報の要素なので、きっとそれが目に留まるんですね。

別に僕は世界一溶接がうまいわけではないので、その溶接工がどう生き残っていくかと考えたときに、他の人がやらない領域に手を伸ばしていくことと、相見積もりとかで同じ金額とクオリティの時に波田野にやって欲しいよねと思ってもらえるようにならないといけないとずっと思っていて。情報発信していたこととか、クリエイターさんとのものづくりとか色々取り組んできたことが見つけてもらえたり、KOCA(大田区のインキュベーション施設)のインタビューに喜んで出してもらったりとか。

ー差別化、とも言えますね。

あと、町工場さんってお客様の製品を扱っているので機密情報があったり、そもそもテレビとか出たくないと思っていたりする方もいると思うので断っちゃったりするかもしれないですよね。その点、僕は情報発信をするべきだと思ってますし、今のところ機密に触れるものもないので来ていただいた時に見せられるような準備はしてありますね。心構えと言いますか。これからはプレスリリースを書いたりもしていきたいので、勉強しているところです。

③取材やメディア露出で困ったこと

ーときどき、自分の発言が意図しない方向性で取り上げられてしまった、という話を耳にすることもあるのですが、取材を受けたことで困ったり嫌な思いをしたことってありますか?

全然ないんですよ。「幸せ!ボンビーガール」でクレープ食べてたっていじられるとか?笑

すごく皆さん私の気持ちを汲み取ってくれて、丁寧に報道してくれました。放送前も、どういう意図でその発言をしたかを誤解されないように何度も確認してくれたり。やろうとしていること自体がちょっと変わっていることというのもありますし、町工場が衰退しているとかネガティブな業界のイメージがある中で、何かやろうとしている人と取材していただいているので、最終的な着地点が明るい方向になっていて、そこに助けられている部分はあると思います。

④メディア露出をしてよかったこと

SUS 50A: 溶接の技術とビート(溶接跡)の色目の美しさを活かしたステンレス茶筒

ーTVやWebメディアに出てよかったこととか、反響も教えてください。

結構色々あって、まず、妻のご両親がNHK見てくれたんですけどすっごい喜んでくれました。あとは加工をお願いしている町工場の会長の奥様からも「NHK見ましたよ」って言っていただいたりとか。

ーいいですね。嬉しい。

NHKで取材していただいた時は社名とかは出なかったんですけど、名前で検索してくれたみたいで、直接の問い合わせが多かったですね。あと、メディア露出ではないんですけど「波田野さんいつもTwitter見てます!」って言われて驚いたらある企業の「中の人」でした。いや、ありがたいですね。

⑤今後のハタノ製作所

ーこれから出演したいメディアや取り組んでいきたいことはありますか?

そうですね…、一般の人向けに製造業や金属加工で新しく取り組んでいることを取り上げてもらえると嬉しいです。そもそも製造業を盛り上げないといけないし、素晴らしいと思っているイベントの紹介したり、イベントがなくても技術は伝えられるのでそういうのを発信したりはこれからもしていきたいですね。

広報のテーマで言うと、僕は「日本一話しかけやすい町工場の職人」を目指しているので声かけていただければ基本的には断らないようにと思っていたんですよ。ただ、一緒にステンレス茶筒に取り組んでいるクリエイターの方が、世界観とかブランディングとか含めてゆくゆくは世界に届けたいねと企画してくれていて、そういうことも考えると出す部分は選ばないといけないと改めて思いました。

WBSのディレクターの方が書いた本に、例えばバラエティとかに出てしまうと経済番組には呼ばれなくなってしまうと言うようなことが書かれていたのもありますね。Twitterの見せ方も気をつけているんですけど、メディアに出る時も同じようにブランディングとか考えていきたいです。

まとめ

今回は、広報や情報発信についてハタノ製作所の波田野さんにお話を伺いました。他の人がどう考えているか知りたい・情報収集がしたいというスタートや、製造業に関わる人に限らず広くたくさんの人に町工場のことを知って欲しいという気持ちは、PR(パブリックリレーション)そのものでした。製造業への考えやTwitterへの姿勢から趣味など、書ききれないほどたくさんのお話をお聞きしたので、また別の機会にお伝えできたらと思います。

波田野さん、ご協力いただきありがとうございました。

メーカーが新規取引先を探す理由とサプライヤー側の取るべき対応

テクノポートの井上です。Webマーケティングの仕事をしていると、「お問い合わせは増えたけれど、受注になかなか繋がらない」とご相談をいただくことがあります。的はずれな問い合わせであったり、内容は良いけれど受注に至らないなど、受注に繋がらない理由はさまざまです。

今回は、メーカー側の新規発注を探す理由から、サプライヤー側の取るべき対応について紹介いたします。

紹介する内容は、先日オンラインセミナーにてご登壇いただいた、ものづくり商社COSMO ALPHA株式会社の野崎社長のお話をもとにしています。

新規発注先を探す理由

当たり前のことですが、メーカー側の通常の発注形態は決まっており、決まった会社に依頼しています。そのため、こちらからアプローチをかけても「頼んでいるところがあるから、そこよりもコストが安くて品質も良いなら考えるよ」程度で、なかなか検討の土俵にのることはありません。

発注先の切り替えには労力がかかり、そこにはトラブルがつきものです。そのため、何かしらの理由がなければ新規サプライヤーを探すことはありません。ではどのような理由で新規の発注先を探すのか、考えられる理由をいくつか紹介します。

  • コスト削減
  • 高技術・異分野の技術
  • 高品質・安定品質
  • 安定供給
  • 複数購買によるリスク低減
  • 中長期的な継続取引
  • トラブル対応

1、コスト削減

新規で発注先を探す理由として、まず思いつくのはこれではないでしょうか?購買・調達部ではコスト削減目標を掲げています。課員の査定項目のひとつに「コスト削減目標の達成率」も含まれている会社もあるため、既存の発注先に削減を求めるだけでなく、今より安い発注先を常に探しています。

2、高技術・異分野の技術

既存の発注先では対応できない場合に、新規で対応できる発注先を探します。技術的に難しい場合や、新製品開発で今まで利用したことのない材質や加工方法が必要になった場合などが考えられます。

3、高品質・安定品質

高い品質を求められる製品において、既存の発注先でその基準がクリアできない場合も、新たに発注先を探す理由になります。また、従来の製品において何か品質に問題があった際に、その問題が頻繁に起こるような場合も新規で発注先を探すことを検討します。

4、安定供給

納期遅れが頻発する場合に、他社への切り替えを検討します。また、今後の増産に備え既存の発注先だけでは難しい場合も新規発注先を探すことがあります。

5、複数購買によるリスク低減

2社購買にすることで、非常時のリスクを低減させます。2社購買は適正価格による仕入れ目的の印象が強いですが、実際に日本の東と西に購買地域を分けているメーカーもあります。

6、中長期的な継続取引

後継者不足の問題から今まで頼めていた仕事が急に頼めなくなるケースです。長く付き合える発注先を探すことが今後は増えてくると思います。新規の発注先選定の基準として長期安定性という視点が出てきています。

7、トラブル対応

「対応が良くない」「対応が遅い」などの理由で新規の発注先を探すケースをよく聞きます。特にトラブル時の対応によって関係性は大きく変わり、それにより新規を検討することがあるようです。

サプライヤー側が取るべき対応は?

メーカー側の心理がわかったところで、実際にそのような会社から新規で問い合わせがあった場合にどうすればよいか、具体的な手法について紹介します。

依頼の背景を知る

新規取引対応

上記のように、技術的に難しい、納期がない、価格が厳しい、既存の会社がキャパオーバーなど、お客様からの新規依頼にはさまざまな理由が考えられます。その背景をしっかり理解した上で検討・見積もりをしなければ、お客様の要望に合った提案はできません。「既存の取引先には頼めないのでしょうか?」という質問から、なぜ頼めないのかをヒアリングしていきます。

求められるのはスピードではなく対応力

新規問い合わせに求められるのはスピード対応とも言われることがありますが、「見積もりをいかに早く提出するか」を目標にしてしまうと、そこには思わぬ落とし穴があります。

例えば、下記の2つのようなケースを見ると、実は見積もりを早く行うよりも、初期対応をしっかり行う方が受注率が高く、信頼関係を築きやすい傾向があるのです。

相手の求めている情報を必要な場面で的確に提供することこそが「対応力」です。問い合わせをする側の求めるものを読み取り、それに合わせた的確な情報提供をすることで安心を与え、良好な関係を構築していきます。

後追いも大切

お客様にはいつごろ結果を聞かせていただけるかを伺い、期日に結果確認の連絡をします。見積もりを提出するだけして、後追いしていない会社も多いようですが、しっかり返事をもらうことで、情報収集ができます。また、次に繋がる可能性もあるため、後追いは非常に重要です。

お客様の求める要望を満たすことができたかどうか、場合によっては自社ではない方が良い可能性もあります。お客様の課題解決を第一とするならば、自社内の加工技術で解決しようとせず、協力会社も含めた幅広い提案をすることも必要です。他社を紹介し、直接やりとりしていただいた方が良い場合もあります。その一つの案件で終わりということではなく、今後また案件が発生した際に記憶に残れば良いのです。「あの会社なら最善な提案をしてくれるから、相談してみよう」となれば、継続的な関係の構築に繋がるでしょう。

以上、メーカーが新規取引先を探す理由とサプライヤー側の取るべき対応について紹介しました。新規取引の際の参考にしていただければ幸いです。

自社分析のための事業細分化方法(サプライヤー企業向け)

テクノポートの井上です。コロナ禍の影響により、製造業界の営業手法として、Webサイトの活用に注力する企業が非常に増えてきました。しかし、サプライヤー企業の中には、今まで営業に力を入れておらず、いざWebマーケティングに取り組もうとしても自社の強みや打ち出し方がわからないというお話しもよく聞きます。

今回は、自社の特徴を理解し、対策キーワードの選定にも役立つ事業内容の細分化方法について切削加工業者を例に紹介します。

自社の事業内容を細分化する

自社分析を行うためには、いきなり強みや弱みがどこなのかを探すのではなく、自社が持っている経営資源の整理が必要です。整理した内容をもとに、市場や競合と照らし合わせて初めて自社の強みが見えてきます。

まずは「うちの会社ってこんな会社だよね」という現状を理解することが最初のステップです。そのために事業を細分化していきます。下記で考察すべき項目を紹介します。

自社分析 加工業者

加工方法

フライス・旋盤・ワイヤーカット・研削など自社で対応している加工方法を記載します。具体的に、5軸加工機、複合旋盤などをより詳細な情報を記載したほうがよいです。

対応サイズ

マシニングの最大テーブルサイズや高さ、旋盤の最大径・長さなどを挙げます。径によって長さも変わるため、いくつか例をあげるとよいです。

微細加工が得意な会社もありますので、最小径、微細穴寸法などもここに含まれます。例えば、微細穴は細さと深さの比率が重要なので、アスペクト比がどれぐらいかもわかるとよいでしょう。

加工材質

加工材質はとても重要です。探し手が「材質名+加工」というキーワードでよく検索されています。

そのため、対応できる材質を列挙し、特殊な材質での実績がないかも確認するとよいでしょう。普段削っている材質が他社ではあまり取り扱っていないということも稀にあります。

加工製品

完成品を作っているわけではないので、部材名を挙げていきます。例えば、シャフト、フランジ、チャンバー、マニホールドブロックなどの切削で作っているであろうものです。

何に使われているかわからなくても、図面などを見れば部品名は確認できます。自社がどのような製品をよく作っているのかも記載するとよいでしょう。

業界

どのような業界に携わっているかを掲載します。携わっている業界によっても、作る加工製品の傾向や会社の特徴があります。

生産体制

小ロットや試作が得意なのか、それとも量産なのか、量産ならば定義がどれぐらいなのかも記載します。コストメリットが出しやすいボリュームがどれぐらいなのかも具体的にわかるのが望ましいです。

他にも、一貫体制などの切削+表面処理+組み立て等のユニット対応や、切削+溶接などの複合提供などの可否を記載します。

Q・C・D

意外と比較しづらく、PRがしにくいのがQ・C・Dです。高品質・低コスト・短納期対応を掲げている会社は非常に多く、言葉が当たり前になってしまっています。

数値で表すことも難しく、キーワードの選定候補として使いづらいです。ただ、特徴を考えることは大事なので、「高品質」「低コスト」「短納期」の3つで優先順位をつけてもよいでしょう。

地域

取引商圏としてどこを見ているかを記載します。例えば、重量物の場合、近場での取引がメインとなるため、地域を絞ることがあります。

細分化した表をもとに特徴を見出す

事業細分化

以上のような項目で表を作成したら、この表は、自社にどのような特徴があるのかを見つけていきます。

特徴を見出すということは、事業内容を他と比較して違いを見つけることです。そのためには、ユーザーからの視点で意見をもらうことがおすすめです。社内で議論しても比較するための競合他社の情報が少なく、他社との違いを見出だすことはなかなか難しいでしょう。その細かな違いの組み合わせがどのような市場に対して強みとなるか、第3者に意見をもらいながら、PRする方向性を模索する必要があります。

表を見せることによって、「A社さんはこういう加工得意だよね」「この設備持ってる所少ないから助かってるよ」など意見がもらえたり、中には「A社さんこの加工やってたんだ」と気付いてもらえることもあります。

また、弊社のようなものづくり専門でWebマーケティングを行っている会社も、何千社と製造業者を見てきたため、違いを見つけ出すことが得意です。

Web上での市場調査、競合分析

ある程度自社の特徴がわかってきたら、次はWeb上でのキーワード調査から市場分析、競合分析を行い、戦略を組み立て、対策キーワードの選定を行います。

その方法についてこちらで詳しく説明しています。

「製造業WebサイトのSEO 〜対策キーワード選定3つのポイント〜」

サプライヤー企業がWebマーケティングで最初にするべき取り組みについて紹介しました。参考にしていただければ幸いです。

受注率が高いのにはわけがある、Webサイトだけでない営業体制に強み【共栄精機】

テクノポートの井上です。最近、Webサイトからの受注率を高めるために、Webサイトだけでなく営業体制の見直しをする会社が多くなっています。今回はスピード対応に注力することで受注率が高く、リピートも多い会社の事例を紹介します。

会社名:株式会社共栄精機
担当者名:小山 仁社長
事業内容:精密板金を主とした金属加工業
サイトURL:http://www.kyoeiseiki.co.jp/

共栄精機様 Webマーケティング事例

引用:株式会社共栄精機

対応スピードは受注率に直結する

共栄精機は「金属加工のコンビニエンスストアを目指して」を合言葉に、精密板金加工や機械加工といった金属加工を行っている会社です。

同社の強みは「1時間以内にほとんどの見積もり回答ができること」です。金属加工業者へ見積もり依頼を行った場合、即日回答ができることは少なく、際立つ早さだといえます。特に、めっきなどの表面処理を含めた返答が1時間以内に返ってくることはこの業界の人にとっては驚きの速さです。

スピード見積もりを実現させることで、「明日、製品が欲しい」といった、普通の工場なら断るだろう問い合わせでも高確率で受注できるようになりました。そのような案件は大抵の工場は対応できないので、価格勝負にも全くならず、高単価で受注できます。また、無理難題に応えることで、良い信頼関係を構築でき、多くの顧客がリピートで依頼してくれるようになりました。

「時は金なり」と言うように、ビジネスにおいて時間ほど大事なものはありません。お客様の欲しいに迅速に応えることが信頼につながります。

共栄精機様 Webマーケティング事例

引用:株式会社共栄精機

スピード見積もり対応を実現するには

最速5分のスピード見積もり対応を可能にするには2つの秘訣があります。

  • 協力工場含めた値段提示
  • いつでもベストプライスの提示

協力工場含めた値段提示

多種多様な加工品の見積もり依頼が来る中で、どのようにして最速の見積もり回答を可能にできたのか。その理由は、外注先の値段も社内で計算できるようにしたことにあります。

同社の加工案件は、外注する比率が多いため、外注先の見積もり返答待ちの時間が見積もり回答の時間に大きく響いている場合が多々ありました。

この返答待ち時間を省くことが見積もり時間短縮の実現につながると小山社長は考え、外注先に了承を得たうえで、自社内で見積もりができる仕組みを考えて、実現しました。

いつでもベストプライスの提示

「このお客さんは利益もっと取れそう」とかよこしまな考えは持たずにベストの価格を提示しています。ベストな価格というのは値引きできないギリギリのラインです。

たまに、これは相見積もりですと言って来るお客様もいらっしゃいますが、他社がどうとかで値段を下げることはなく、いつもベストな価格提示を行っています。そのため、値引きの話があればお断りしています。

スピード対応というのは、見積もりスピードだけでなく、値段交渉の時間も短縮することがお客様のためであるという考えのもとです。

共栄精機様 Webマーケティング事例

引用:株式会社共栄精機

スピード対応実現のためのハードル

このスピード対応を自社で実現しようとする場合に、いくつかの条件をクリアする必要があります。

協力工場の仕事状況の把握

見積もり対応には納期回答も含まれるため、すぐにとりかかれるかどうかも判断しなければなりません。そのため協力工場の稼働状況を常に把握することや、協力工場との密なコミュニケーションが必要になります。また、リスク回避のためには、同じような加工ができる会社を複数社抱えておく必要もあります。

協力工場の加工見積もり対応

外注先の価格も含めた見積もりの提示をするためには、ある程度の協力工場の値ごろ感を把握し、自社で見積もりする必要があります。

例えば、表面処理なら今までの見積もり価格からある程度予測でき、機械加工なら加工方法とそれに要する時間がわかればある程度見積もり可能です。自社の加工以外の加工知識を広く知る必要もあります。

予測間違いによるリスクの許容

リスクを恐れ、高めの値段設定になると受注を逃す可能性がでてきます。適正価格を追い、ある程度の失敗を許容する必要があります。見積もり経験を積んでいくことで精度は上がっていくでしょう。

価格決定に上司の承認プロセス

せっかく早く見積もりできても承認に時間がかかっては意味がありません。共栄精機の場合は代表自ら見積もりを作成していますが、営業担当が行う場合を考えると、価格の最終決定権を営業担当に移譲しなければ、対応が遅れます。

まとめ

以上のように、スピード対応と一言で言っても、単純に早く動くということではありません。そこにはスピード対応するための仕組みがあり、ここまでできたら自社の強みと言えるようになります。受注率を高めるための取り組みとして参考にしていただけたら幸いです。

社員の仕事の質が上がる 会社理解度が高まるウェブサイトの作り方

こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

今回は、社員が読み返したくなるサイトは会社を強くするという話をさせていただきます。消費者のライフスタイルの変容が大きい今、受注の件数や内容に変化が続いています。この変化が続くことは中小企業にとって売上の増減が左右されるだけではなく、社員のモチベーションも同時に左右されます。営業スタイルのリアル対面からオンラインへの移行や、生産作業のクオリティやスピードの変革期に伴い、今がウェブサイトを作り直すタイミングなのでは?と感じているならば、まず売上が上げるウェブサイトを目指すのはもちろんです。しかし、その1回目の新規取引を契約すると同時に、継続的な取引をしたくなる会社へとステージアップしておくことが重要です。

ウェブサイト目的は直近の売上増加だけではない

会社のウェブサイトをリニューアルする際に「社外に向けてもっと発信するものにしたい」とおっしゃる経営者の方が多くいらっしゃいます。そんな時私は「どうせでしたら、社外だけでなく社内に対しても影響力のあるウェブサイトの方が良くありませんか?」とお話しをしています。この話をすると、大概の経営者の方は目からうろこが取れたような顔をされますが、実際に担当者と話をするのは社員です。営業担当や製品作業担当が質問を受けた時、目の前の製品についてだけではなく、会社について同じレベル感で語れるとお客様から会社への信頼は強固なものとなります。

社内に対して影響力のあるウェブサイトは、経営者が考える会社にとっての本当のお客様像、そしてそのお客様たちの抱える課題は何であるかを社員たちと共有できる、日々の業務に反映できる強力な財産になるのです。

社員は「本当のお客さん」を知っているか?

経営者の視点からすると、社員が自ら学習してスキルを上げることや、目の前の見積書や設計図だけではなく、1年後や3年後を見込んだ取引を考えるようになって欲しいと考えるものです。しかし、社員にとって自分のスキルが上がる事自体に楽しみを見出すことは、実はなかなか難しいものなのです。「自分が頑張って何になるのだろう?」「課題が増えるのは大変だから嫌だな。」社員にとっての仕事とは、目の前の業務をクリアしていくことになってしまいがちです。

しかし、この負のループから抜け出す有効な方法があります。それは社員が自分のお客さんを知ることです。自分の仕事の目的が明確な場合、その目的に対してスキルを高めることは楽しいことになります。ちょうど中学生が部活の県大会優勝という目的に向けて自主練習やチーム練習に自ら進んで取り組むのと同じです。自分のした仕事が誰のためになるかという目的に対して「やりがい」を感じながらスキルアップする成長のループ生まれます。自社のお客様像とその課題をクリアにしたウェブサイトは、社員育成の観点からも、自分たちの会社の目的を日々目にできるツールとして重要な役割を果たすことができるのです。

社員が読み返したくなるサイトは会社を強くする

この記事を読んでいるあなたが、経営者としてウェブサイトのリニューアルを考えているなら、まず目の前の課題である新規顧客を獲得ができる事は大前提として捉え、一度契約をしたら長く付き合える企業づくりができるウェブサイトを目指しましょう。それは社員が会社に対する理解度、お客様に対する理解度を高め、能動的にスキルアップやお客様との関係構築する力を育てます。ウェブサイト作りは社外への発信だけではなく、社員育成という視点も持つ事で継続的な売り上げの向上を見込める生きた財産となり、会社を強くするカギになる事を覚えておきましょう。

受注率向上のために、Webサイトだけでなく営業体制を変革【富士産業】

テクノポートの井上です。Webサイトからの問い合わせは増えたが、受注にはなかなかつながらないことはありませんか?「自社のサービスや商品にマッチしているか」「得意とする仕事か」など、Web上での改善で受注率を上げることができます。

しかし、それだけでは解決できない問題もあり、営業体制自体を見直すケースもあるでしょう。今回は、自社で営業体制の変革を行い、Webサイトの問い合わせから受注につなげることに成功した事例を紹介します。

  • 会社名:株式会社富士産業
  • 担当者名:杉本常務
  • 事業内容:各種非鉄金属材料および加工品の販売
  • サイトURL:https://www.fujisanngyo.co.jp/

営業変革

富士産業 杉本常務

Webサイトでの取り組みを開始

富士産業Webサイト

鋼材販売を行っている富士産業。営業担当の杉本常務は、現状の事業だけでは売上が減少の一途を辿ってしまうことを懸念し、金属加工業に進出することを決めました。

しかし、鋼材を購入する顧客と事業領域がバッティングしてしまうため、他の市場を狙えないかと杉本常務は考えます。その中で目を付けたのが、一般消費者や、建築・設計事務所、デザイナーからの仕事です。

Webサイトの運営やSNSの活用など、積極的にWebマーケティングに取り組むことで、ターゲット顧客を開拓していきました。

Webサイトのリニューアルで直面した問題

Webサイトのリニューアルを行い、狙ったユーザーからの問い合わせは急増しました。しかし、従来のように図面が届いて見積もり、すぐに受注という流れにはなりませんでした。

つまり、問い合わせは増えたものの、必ずしも受注につながるわけではななかったのです。Webサイトの理リニューアルで直面した問題は主に2つ考えられます。

顧客が求める内容の多様化

製造業に精通していない人がターゲットということもあり、依頼される内容は多種多様でした。

「図面がないので写真やポンチ絵から作って欲しい」「金属と皮革を組み合わせた商品を作りたい」など、自社の加工範囲外の依頼や、形や仕様が決まっていない内容の問い合わせが増加。従来のように、決まったものを決まった通りに作るという仕事とはまったく異なりました。

訪問打ち合わせの時間的限界

案件数が急激に増えたため、都度先方にお伺いし打ち合わせをするというスタイルでは時間的に限界がありました。また、仕事にならないような案件もあり、その都度の打ち合わせ対応にはかなりの労力がかかりました。

営業の変革「3つの施策」

Webサイトからの問い合わせを受注につなげるために、営業体制自体も変革せねばと考え、下記3つの施策を立てて行動に移します。

  • 協力会社の開拓
  • イメージ図のスケッチ強化
  • 訪問ではなく来社するスタイルに変更

営業体制で変革した内容を下記で詳しく解説します。

協力会社の開拓

協力工場

ユーザーが求めるものは部品ではなく、完成品が多い傾向にありました。そのため、自社の加工技術だけにこだわらず、異業種を中心とした協力工場ネットワークを構築し、つなぎ合わせのまとめ役になる必要があると考えました。

Webサイトを持っていなくても仕事が来ているような良い技術を持つ会社は、ネットだけでは探せません。工場を探す際は、タウンページと地図を広げ、近くの工場をリストアップし、足を使って探しました。より連携が取りやすいよう、近場の工場に絞りました。

地道な活動により、ガラス、皮革、樹脂など幅広い業種の協力工場を70社ほど開拓するのに成功します。複合素材の製作案件は、同業他社では断ることがほとんどです。今回の体制変革にて、富士産業ではすべて取りまとめての提供が可能となり大きな強みとなりました。

スケッチ力の強化

スケッチ力

案件の中には、作りたい製品が定まっていないケースが多くありました。そのため、イメージ図を作り、お客様が求めるものがどのようなものかを固める必要があると考えました。

求めるものをヒアリングした上で、すばやくスケッチすることを心がけました。「お客様の作りたいものはこういうものですね」と言うようなイメージです。スケッチをお客様と共有することで、作りたいもののイメージが伝わっているという安心感にもつながります。

「少し高かったけど富士産業なら間違いなさそうだからお願いしたいと思った」というように信頼から受注に至ることも増えました。不慣れなスケッチも、改善と数を重ねることで上達しました。

来社での打ち合わせへの切り替え

工場見学

体制変更前までは、企業や工場に訪問して打ち合わせをするのがほとんどでした。体制変更に伴い、打ち合わせを希望する方は来社して頂くように切り替えました。工場を見たいという方も多いので、見学して頂くことが安心感にもつながっています。

実際に欲しい製品に近いサンプルを用意し、手にとって見て頂くことで、より具体的な提案や企画も可能です。さらに、来社のきっかけになる施策として、Webサイトでマンガ紹介を導入しました。サービスや商品紹介を活字で読むのは面倒だが、マンガならとっつきやすいようで、弊社を知って頂くのに役立っています。

Webマーケティングをより効果的なものに

売上向上のためにはWebマーケティングだけでは解決できない問題があります。上記で紹介した株式会社富士産業様のように、営業体制を変えることも受注率を上げる施策として効果的でしょう。マーケティング活動としてWebだけでなく、広い視点で改善を進めることも重要です。

弊社では、実際の営業活動や、営業方針などもの状況もヒアリングさせて頂きながら、お客様とともにWebマーケティングの支援・推進をさせて頂いています。

アフターコロナの製造業(サプライヤー)の営業活動について

テクノポートの井上です。以前、製造業の営業活動について紹介しましたが、コロナ禍以降、営業活動は大きく変わろうとしています。今回は、コロナ禍以降、どのような営業活動が有効になるのかを考察し紹介します。

営業風景

製造業(サプライヤー)の営業の難しい点

自社製品を持つ企業と比べサプライヤー企業の営業は難しいと言われており、その理由は大きく3つ考えられます。

自社製品ではないため差別化が難しい

決まっている図面を正確に作るのがサプライヤーの役目です。

QCD(クオリティ・コスト・デリバリー)の中で、差別化を提案するケースが多くなります。安定した品質や期日内納品は差別化しづらいため、コストで既存の発注先を上回る魅力を出す提案になり、消耗戦ビジネスになりがちです。

もちろんVA・VE提案のように仕様変更の提案が理想ですが、製品の利用用途などの情報を得るには事前に関係構築が必要になります。

営業のタイミングが難しい

製造業界では基本的な発注先は決まっています。既存の発注先に不具合や不満がない限り、新たな発注先に切り替えることはなかなかありません。常により安く、早くて品質が良い発注先を探していますが、切り替え時にはさまざまなリスクもあるため慎重になります。

そのため、サプライヤー側が新規でアプローチをかけても、タイミングが合わず「機会があれば」で終わってしまうことが非常に多いでしょう。

口コミ・紹介で広めるのが難しい

他の業界と異なり、製造業界は口コミでの紹介が難しい傾向にあります。例えば美味しいラーメン屋さんがあって、そのラーメンの美味しさに感動したとします。みんなに知ってもらいたいと、知り合いに教えることも多いのではないでしょうか?

しかし、製造業の場合は同様にはいきません。旋盤加工で安くて技術の高い会社があったとして、多くの仕事がその会社に入ってしまうと、自社の仕事を受けてもらえなくなる可能性が出てきます。そのため、できれば情報は隠しておきたく、良い会社は自社で囲いこむ傾向があります。

営業手法の種類

現状、考えられる営業手法と特徴について紹介します。

営業手法 メリット デメリット
紹介営業
  • 自社の業務を理解してもらっているため話が早い
  • 長年行ってきた手法のため広がりが持てない
  • 業種が偏る
飛び込み営業、テレアポなど
  • 発注者の話が直接聞ける、タイミングが合えば話が早い
  • 労力が相当かかる(時間、人)
  • 発注のタイミングを捉えづらい
  • 足元を見られやすい
専門雑誌・新聞などへの広告宣伝
  • 業種を絞って見てもらうことができる
  • コストがそれなりにかかる
展示会出展
  • 発注者の話が直接聞ける
  • 具体的商談にもなりやすい
  • 顧客情報を収集できる
  • 費用がかかる
  • 人員の動員が必要
オンライン展示会・商談会
  • 通常の出展より低コスト
  • 顧客情報を収集できる
  • PR手法として確立できていないため効果が不明瞭
Web広告
  • ニーズのある企業にピンポイントで知ってもらえる
  • 効果を上げ続けるためには継続した投資が必要
Webサイト活用
(SEO対策)
  • ニーズのある企業も含め幅広く知ってもらえる
  • Webでの競合も増えてきたため、反響を出すためにはそれなりの対策が必要
SNSマーケティング
  • つながりのない人にも広く知ってもらえる
  • 低コスト
  • 業界的に口コミが広がりづらい
  • 継続した発信のできるリソース(人・情報)が不足しがち
メールマーケティング
  • 継続的な顧客接点ができる。認知度向上に効果的
  • 低コスト
  • 継続した発信ができるリソース(人・情報)が不足しがち

Webを活用した営業手法が以前と比べ増加傾向にあります。コロナ禍以降、直接の面談を避ける企業も増えており、従来の営業手法ができないと仰る会社も非常に多いのが現状です。そのため、非接触というキーワードでの営業手法に注力する企業が増えています。

製造業(サプライヤー)の営業活動のポイント

営業活動

サプライヤーの営業活動が難しいポイントを踏まえ考慮した上で、これからの営業活動に必要なことは、「いかにニーズの生まれるタイミングを正確に捉えられるか」と言えます。

営業活動はタイミングが最重要課題

どんなに良い提案ができていもタイミングを逃せば、失注や長期検討で忘れられる可能性が高まります。逆にタイミングさえきっちり押さえていれば、検討候補に入り受注に至るケースが高まります。新規で取引が決まった際に「なぜ弊社に?」という質問をしてみると、「タイミングが良かった」と聞くことは多いかと思います。当然ですが、存在するすべての企業を精査して発注先を決めるわけではありません。

それほどタイミングが重要となるわけですが、それが生じる場面は、既存の発注先での不具合、不満、技術的な対応不可、廃業、キャパオーバーなどさまざまです。

タイミングを掴むには

では、どうすればそのタイミングを掴むことができるのでしょう?タイミングとはニーズが顕在化するタイミングです。しかし、「欲しい」「必要とする」タイミングは今ではない企業がほとんどです。

潜在的ニーズのある企業の顕在化するタイミングを捉えることが課題となります。そのタイミングを捉えるために必要な流れは以下の通りです。

  1. 潜在的なニーズのある企業に対し、自社を知ってもらう
  2. 定期的なアプローチにより、ニーズの掘り起こし、自社の認知度向上を行う
  3. ニーズが顕在化したときに相談をもらう

顕在的なニーズのある企業だけを探そうとすると、すぐに営業先は枯渇してしまいます。さまざまな営業活動にて潜在的なお客様となり得る情報を収集し、その情報をうまく活用し、中長期的なお客様につなげることが重要です。

サプライヤーの場合、自社が欲しいと思うタイミングで都合よく仕事が生まれるわけではありません。お客様が欲しい思えるように想起させ、タイミングがきたときに声をかけてもらう仕組みを作ることがサプライヤーの形態にも合ったやり方と言えます。

デジタルマーケティングという手法

上記のタイミングを効率よく掴むための手法がデジタルマーケティングと言われるものです。デジタルマーケティングとは、わかりやすく言うと情報の蓄積と活用によって顧客を獲得する方法です。さまざまなチャネル(Webサイト、展示会、Eメール、SNSなど)を通して得られるデータを活用することで、売れる仕組みを作ります。デジタルマーケティングの具体的な進め方については別記事で紹介しています。「デジタルマーケティングの進め方」

デジタルマーケティング

名刺交換で終わった企業、単発のお仕事で終わった企業、値段が合わず失注となった企業など、さまざまな顧客接点が作れている中、一度で終わってしまっているケースが多くあります。その情報をどう活用するかで今後の売上は大きく変わってきます。営業として、もちろん目先の商談、受注は最優先です。しかし、同様に中長期的な観点での情報収集とその活用を視野に入れ、仕事を獲得できる仕組みを作ることも重要です。

様々な営業活動により獲得したリードとの関係性を深めることで顧客化していくデジタルマーケティング。「モノカク」を運営するテクノポート株式会社では、技術系企業専門の「デジタルマーケティング」を導入・定着化していくための支援を行っています。ぜひ、参考にしてみてください。

Webサイトを活用し新市場を発見する方法

テクノポートの井上です。ここ最近、Webサイトをマーケティングの武器として活用する企業も増えてきました。Webサイトも制作だけでなく、公開後の運営にも力を入れつつあります。Webサイトの運営の一つの目的として、新しい市場の開拓がテーマになることも少なくないでしょう。

今回はWebサイトを運営する中で、新市場をどのように開拓すればよいか、その考え方について解説します。
Webマーケティング 新市場

キーワードから予測する

Search Consoleの検索クエリを確認する方法です。Search Consoleは、自社へ問い合わせが入る前の需要が見られる有用なツールです。Search Consoleの検索クエリを確認すると、下記のような2つの発見が期待できます。

1. 異分野ターゲットの使用キーワードを発見

狙っていたキーワードと同じ意味でも、業界や分野によって呼ばれ方が異なる場合があります。関連性が高いけれど呼び方が異なるキーワードを、Googleがうまく解釈して検索表示してくれることがあります。このようなキーワードを発見できれば、隣接する市場の開拓につながるでしょう。

2. 想定外のキーワードによるアクセスを発見

これまで想定したことがなかったキーワードによるアクセスを発見することで、未知の分野への市場開拓の可能性が出てきます。特に利用用途の幅広い技術などでは、想定外のキーワードから市場が広がるケースが多々あります。

こうした発見を通じて新しい市場を見出すことで、さらなるアクセスアップの可能性が出てきます。実際の事例を見てみましょう。

事例①:発泡スチロール加工技術の工業分野への応用

発泡スチロールの第一フォーム

引用:第一フォーム株式会社

発泡スチロール加工技術をPRするためのWebサイトを立ち上げた第一フォーム株式会社(神奈川県)は、イベントで使用する企業の文字やロゴオブジェといった、発泡スチロールの加工性と軽さを活かした分野へのPRを中心に行っていました。そんな中、たまたま問い合わせのあった工業系のお客様からのオーダーを受注したことをきっかけに、Search Consoleのデータを見返します。すると、わずかながら工業系のユーザが探しているであろうキーワードを発見できました。

発泡スチロールの工業用途を調べてみると、治具での活用や、EMC測定現場において干渉しない材料として利用されるなど、さまざまな用途が見つかりました。そこで、工業系のユーザからアクセスを獲得するためのページを作成し、アクセスアップを図りました。

事例②:時代によって成長する市場を開拓

吸音パネルのアコースティックアドバンス

引用:アコースティックアドバンス

吸音材を扱っている株式会社アコースティック・アドバンス(埼玉県)は、オフィスや教育現場、飲食店を中心に吸音対策をソリューションとして提供していました。もともと需要の多かったオフィス分野ですが、Search Consoleを念入りに調べてみると、会議室での反響音対策に対する需要が強まっている傾向がみられました。追究してみると、TV会議システムの普及により、会議室内での反響音を気にする会社が増えていることがわかりました。そこで、会議室内でのTV会議システムの音声がクリアになることを訴求し、アクセスアップにつなげることに成功しました。

問い合わせや受注状況から予測する

問い合わせ状況から市場を予測することはとても重要です。お客様がどのようなことに興味を持って問い合わせをしたのか、どのような業界に仕事の需要があるのかがわかるからです。また、受注状況も同様に重要です。問い合わせを多くいただく中で、どのような問い合わせが決まりやすいのかを推測できます。さらに、仕事の決まりやすさから自社の市場との相性を探ったり、自社の強みを見出したりできるようになります。

事例③:ターゲットを絞り込み得意領域を確立

精密板金の共栄精機

引用:株式会社共栄精機

精密板金を得意とする株式会社共栄精機(東京都)は、立地を活かし、小回りのきく便利な加工業者としてPRしていました。以前からWebの反響はありましたが、さらなる問い合わせを呼び込むことを考えた際にヒントとなったのが、受注状況です。

決まりやすい仕事は何かを突き詰めると、「すぐ欲しい人」でした。どこからも断られてしまうような短納期品にも対応することで、受注率は非常に高いものとなりました。また、短納期に応えられるスピードと対応力が同社にあったことがわかりました。普段から当たり前のように対応していたため気づかなかったのですが、受注率を意識したヒアリングから、その強みに気づくことができたのです。

そこで既存の強みに「短納期への訴求」を加えてサイトリニューアルを行ったところ、さらなる問い合わせを呼び込むことに成功しました。やっている内容は変わらずとも、セグメントを行い、必要とするターゲットを絞ってPRすることも、新市場開拓だといえます。

市場、自社、競合から得た情報から予測する

景気がいい業界、自社の仕事状況的に増えている業界、同業の仕事状況などから予測します。ただし、この情報だけだと漠然とした予測になってしまうため、Webを活用して具体的に調査します。調査の際にはキーワードプランナーを利用し、その業界や業種に使われそうな製品・材質等を調べ、自社の対応可能な領域に照準を絞ってページ制作を行います。

事例④:市場で得た情報を市場開拓に着実につなげる

樹脂試作加工の荒川技研

引用:荒川技研株式会社

樹脂試作を得意とする荒川技研株式会社(栃木県)は、常に新しい市場を模索しています。半導体市場が活況と耳にしたときには、半導体で利用される材質や製品を調べ、自社で対応可能なものを模索しました。その結果、テフロン材の需要が高いことがわかり、専用の訴求ページを作成することで問い合わせを呼び込むことに成功しました。

他にも、材料メーカーに問い合わせ、よく出ている材料、伸びている材料をヒアリングすることで需要を予測。伸びそうな材質のページ化を行い、問い合わせを呼び込むことにも成功しています。このように普段入る情報も、Webをうまく活用することでマーケティングが可能になります。

問い合わせにつながる前の需要を調べたり、普段耳にする情報を調査できたりと、Webを活用することでより具体性と根拠を持った市場調査とPRが可能になります。ぜひ、参考にしていただけたら幸いです。

Webサイト制作ーTOPページの役割と構成について

テクノポートの井上です。最近はページ数が多いWebサイトも増えています。制作していくうちに全体の構成が崩れ、まとまりの無いサイトになってしまったというお話も聞きます。それぞれのページの役割をしっかり認識した上で企画構成することが大切です。今回はTOPページの役割と構成について紹介します。

TOPページ3つの役割

TOPページはWebサイト全体の「表紙」であり「目次」のような役割を果たしています。その役割を分解すると下記の3つの役割が挙げられます。

1.何をしている会社かひと目で伝わるようにする

一般的にはTOPページ上部のキャッチ画像部分が該当し、表紙の役割となります。お客様が訪れた際に最初に目に飛び込んでくる画面のため非常に重要な要素です。

マーケティングを目的としたWebサイトの場合、企業のブランドイメージ訴求よりも、製品や技術の訴求がメインです。そのため、訪れるユーザーに伝えるべきものは以下の内容になります。

  • 「何の会社か?」
  • 「どのような特徴があるか?」
  • 「どのようなメリットを顧客に提供できるか?」
  • 「どのようなベネフィットを顧客にもたらすか?」

BtoCの場合にはベネフィットの訴求が良いと言われますが、BtoBの製造業の場合、ベネフィットの訴求というのは抽象的になりがちなので、メリットを訴求することが良いと思います。

表現、記述の仕方は抽象的なものよりも、より具体性なものが好まれます。例えば「交差何μmの精度を実現」「5面加工機にて5m×5m×3mの大物サイズに対応」など、微細や超大物という表現だけでなく、数値を入れることが重要です。

多くの会社が高精度、短納期、高品質をうたう中で、具体性がないWebサイトも多くあります。もちろん全部の製品にその精度やサイズが当てはまるわけではないので、製品サンプルとともに紹介すると良いでしょう。このサンプルの場合にはこれぐらいの精度、というように製品サンプルに添えてPRしたい数値を表すとよりイメージか付きやすくなります。

2.ユーザーの必要とする情報があるページへ、ストレス無く誘導する

目次という役割を考えると、「大見出し・中見出し・小見出し」のように見出しがあり、そこに何が書かれているかがわかる必要があります。Webサイトでも同様に、どのようなページがあり、何が書かれているのか?全体が把握できるようにすることが必要です。

また、ユーザーが欲しいであろう情報、会社として見せたい情報をすり合わせ、求める情報の優先順位によってコンテンツを配置させます。

特にBtoB(製造業)の場合、発注者の知りたい情報は、頼みたい図面の基準に合致している会社がどうかです。そのため、BtoCのようなWebサイトの印象やデザインはそこまで重要な要素ではなく、保有技術、設備、加工サンプル、実績、品質管理体制等の情報を探しています。

該当するような情報を素早く提供(見つけてもらえるように)することが大事です。また、納期までの期間が短く急いでいるユーザーも多いため、問い合わせまでの導線がストレスなくひかれていることも重要です。

3.新着情報やブログなどユーザーにとって新しい情報を提供する

本来なら、できるだけページの上の方に配置します。製造業の場合、展示会、お休みのお知らせ、設備導入などが挙げられますがそこまで新着の情報が無いというケースが多いです。更新がまったくされていないものがTOPページの目立つ所にあるとお客様の評価を下げる可能性があります。更新の頻度により、配置場所を調整します。

TOPページの構成

次にTOPページの構成についてです。構成は色々ありますが、一番オーソドックスな構成を紹介いたします。

ヘッダー

Webサイト全体の共通部分となり、ロゴ、社名、電話番号、お問い合わせバナーなどを配置します。お問い合わせは常に目にはいつ位置に置き、スクロール時にもバナーが追従する形がとれると良いでしょう。最近ではリードを増やすこと目的とし、お問い合わせ前段階のリードも取れるよう資料ダウンロードを配置するケースも増えてきました。

ナビゲーションメニュー

Webサイト全体の共通部分となり、各ページへのリンクが網羅できるものを配置します。スマホの普及により、調整のしやすい上部にナビゲーションを置くタイプが増えています。

ユーザーにとって項目が多くありすぎると見づらくなるため、多くても5~7項目ほどに抑え、項目にマウスオーバーさせることで下の階層が見れるように設計します。

漏れなく、ダブり無くリンクを設け、ユーザーの必要なものがどこにあるかすぐにわかるようにすることが非常に重要です。

メインビジュアル

前述の通り表紙の役目を果たす非常に重要な要素です。伝えたい内容が複数あったり、事業部が複数ある場合など、何枚かをスライドさせたり、動画で伝えるなどの手法もあります。

コンテンツ

ヘッダーやフッターなどのWebサイト全体で共通な要素ではなく、ページによって変わる部分です。誘導したいページへのコンテンツなどを配置します。新着ニュースなどのお知らせもここに配置します。

コンテンツに優先順位をつけ、基本的には上から順に並べていきます。幅広い加工技術があったとしても、ただ並列させるのではなく、強弱をつけることも大事です。ピックアップ技術などで一部抜粋して上部に配置するのも良いです。

フッター

Webサイトの下部に配置するナビゲーションや著作権表示、基本情報(ロゴ・社名・住所・電話・FAX)などを記載することが一般的です。Webサイト全体で共通する要素となります。

いかがでしたでしょうか?今回はWebサイト制作時のTOPページの役割についてご紹介しました。制作関係者全員で共通の認識を持つことが円滑なWebサイト制作の進行に繋がります。ぜひ参考にして頂けたら幸いです。

オンライン展示会の良さを検証「TECHNO-FRONTIER」に参加しました

テクノポートの井上です。展示会に代わる新たな営業手段として、今急速に注目を集めているのがオンライン(バーチャル)展示会です。その先駆けとして、9/8~9/18に「TECHNO-FRONTIER」がオンライン展示会として開催されました。今回は実際に参加した体験をもとにオンライン展示会について考察しました。

従来の展示会とオンライン展示会の違い

展示会の良い点は、多くの会社の製品を手に取って見ることができ、対面での会話ができることだと思います。反面、情報収集に関してはWebを通じた手段の方が、より多くの情報を入手することができます。では、そのメリット、デメリットをオンライン展示会に切り替えた場合に、どのように機能するのでしょうか?

TECHNO-FRONTIERとは

オンライン展示会

引用:TECHNO-FRONTIER バーチャル展示会2020

TECHNO-FRONTIER は、モータ/電源/センサなどの要素技術をはじめ、製品設計に関する幅広い製品・技術の展示と、最新技術動向が学べるシンポジウムが同時開催するオンライン展示会です。毎年、幕張メッセにて開催されていましたが、現状のコロナ禍の影響により、今年はオンラインに切り替わりました。

例年400~500社が出展していたことから比べると、120社程度と今年の出展社は少ないようです。展示会場を押さえ出展準備を計画していたところに、急遽オンラインに切り替えたのですから、仕方ない部分はあると思います。むしろコロナ禍により製造業のPRの場が少ない中、このようなPRの場を迅速に作って頂いたことは大変ありがたいことだと思います。

開催期間が長いのはオンライン展示会の特徴のようです。今回の展示会は9/8~9/18(土日含まず)、本日までの計8日間の開催です。

参加してできること

基本的には以下の2つです。

講演・セミナーの視聴

毎日4コマ(計32コマ)の講演が組まれています。ひとつの講演が30~40分ほどですべて無料で視聴できます。

各出展ブースへの訪問

各ブースへの訪問でできることは下記の内容です。各会社によって、対応項目は若干異なりました。

  • オンライン商談
  • 展示サービスの資料/動画の閲覧
  • 企業情報の閲覧
  • 資料ダウンロード
  • アンケート
  • お問い合わせフォーム
  • お気に入り追加

残念ながら、チャット機能は無く、オンライン商談については、その場で商談できるというものではなく、予約をとって後日という流れでした。

良かった点

  • 移動の手間無し、すぐに参加、何度でも参加できる
  • 気になる講演を選んで、気軽に参加できる
  • 必要な情報のみをじっくり見られる
  • コロナ感染の心配無し

特に講演はこれからはオンラインで良いのでは?と思うぐらい気軽に参加することができました。途中参加、途中退出も可能です。必要なところだけ聞くということもできます。

気になる点

  • 実物を手に取ることができない
  • その場での商談、雑談ができない
  • 臨場感や人が集まっている製品に注目する等、自分の目的以外から気付きを得る機会が少ない

通常の展示会に慣れているせいで、展示会に来たという感じはせず、当たり前ですがWebを閲覧しているという感覚です。通常のHP等の閲覧と何が違うのか?というと少し違いがわからなくなりますが、様々な企業を横断的に閲覧できるという利点があると思います。ただ、その場合に展示会である必要があるのか?技術を横断的に見れるポータルサイトでも良いのでは?という新たな疑問が生まれ、オンライン展示会の立ち位置がまだはっきりしない気がしました。

実物を手にとることができないという点についてはどうしてもクリアにならないと思いますが、下記の2点が満たされていれば、オンライン展示会の優位性が出るのではと考えます。

  1. リアルタイムで情報交換できる(チャット機能等の搭載)
  2. 横断的に技術を調べられる(技術ベースでの検索システムの導入)

最後に

コロナ禍でなかなか展示会に出展しづらい、そもそも展示会が開催されない、出展しても来客が見込めないかもしれないという状況が続いていますが、従来の展示会自体のあり方を考えるタイミングに来ているとも言えます。

例えば、有名な話では2019年の東京モーターショーでは、アウディ、ポルシェ、ボルボ、BMWなど海外ブランドのほぼ撤退しました。SNS等のメディアの台頭により、行かなくても情報を入手できる時代が来ており、費用対効果の面を見直す企業が増えているためです。

反面、オンライン展示会では合理的に感じる一方、出展する側、参加する側、どちらも目的意識を持った参加でないと意味が無いものになります。例えば、参加する側は、目的が無くとも眺めている中で新しい気付きや発見があったり、出展社側も近くのブースに挨拶するところから商談が生まれたり、というような偶発性が無いのがオンラインです。

一長一短がありますので、うまくどちらも組み合わせた展示会が今後は期待されていると思います。以上、オンライン展示会「TECHNO-FRONTIER」に参加しての考察でした。出展社側目線での考察はまたの機会できればと思います。

最後になりますが、今回の様なオンライン展示会にご興味がある方に向けた無料セミナーのご案内です。

セミナータイトル:オンライン展示会で確実に成果を上げる3つの鉄則

~ウィズコロナでも新規顧客を獲得する方法とは?~

日時:2020年9月29日(火)13:30~14:30

セミナー詳細URL:https://keikakuhiroba-mfi.com/archives/seminar/23030

ご興味ある方はお気軽にご参加ください。

プレスリリースを使って、自社情報を広く届ける方法とは

テクノポートの菊地です。東京オリンピックの延期や新型コロナウィルス感染症の影響で開催の見通しが立たない展示会に替わる手段として、Webサイトの活用やオンラインセミナーなどが挙げられますが、一つの案として広報活動の一つである「プレスリリースの配信」を提案したいと思います。

そもそも広報って何?広告と何が違うの?という方はこちら

プレスリリースとは?

プレスリリースとは、企業からマスメディア(テレビ、新聞、Webメディアなど)への情報提供のことをいい、過去の情報ではなく新しい情報を公にする時に用います。マスメディアにニュースとして取り上げてもらいたいときに作成、送付を行うことが多いです。

特徴

自社の新しい情報と言う点では、Webサイトに掲載する新着情報と変わらないように感じるかもしれませんが、 “Webサイトの情報”にユーザーが辿り着くには「検索」が欠かせません。

一方、プレスリリースは自社での発信に留まらず、

  • メディアでの記事化
  • メディアへの転載
  • SNSでのシェア

などが可能です。情報の拡散性が高く、自社のことを知らない人に対しても情報を届けることができます。

メリット

  • 無料で情報発信ができる
  • 情報の拡散性が高く、自社を認知していない人にも情報を届けることができる
  • 配信サービスを使うことで一定の転載枠によるパブリシティが得られる

デメリット

  • 作成したからと言って確実にメディアに掲載されるわけではない
  • メディアの視点で情報が編集されるため、思い通りの記事になるわけではない

プレスリリースの内容

プレスリリースに書くことなんてない、と思ってしまうかもしれませんが、プレスリリースを読んだことはあるでしょうか。
代表的な内容としては下記のようなものが挙げられます。

  • 新しい情報
    新製品の発売、新サービスの開始、イベントの開催、新規事業立ち上げなど
  • 自社でとったデータの発表
    顧客アンケート、事例の公開
  • ○周年

最近、製造業からでは、フェイスシールドやパーテーション、マスクの製作・販売や、オンラインセミナーの開催などがプレスリリースとして配信されていました。

書き方

決まった形はないとも言われていますが、基本的な形をご紹介します。こちらは弊社が業務提携に際して配信したプレスリリースです。

構成

①冒頭

レターヘッドはほぼ定型なので下記の4点を入れます。

  • プレスリリース:報道資料であることを明示する
  • 報道各位:誰宛の文書化を明確にする
  • 発表日:配信日を記載
  • 社名:発信者を明示する

会社ロゴがあればヘッダーに差し込みます。

②見出し

目安としては30文字前後で、前半に読みたくなるような言葉や表現を使用するのがコツです。直接プレスリリースをメディア関係者に渡すような場合を除いては、数千枚のプレスリリースの中から読もうと思ってもらえるかどうかを決めるのが見出しに当たります。特に、配信代行を使ってメールなどで届く場合には見出しがメールの件名になるため、受信トレイで見切れない見出しの前半に重要な言葉をおきましょう。

③リード(前文)

プレスリリースの概要をまとめて記載します。5W1Hを押さえて、簡潔にわかりやすく表現しましょう。ここまでで、プレスリリースで配信する情報に価値があると感じさせられないと、ここから先は読んでもらえないと言っても過言ではありません。

リードの頭は、「製造業が抱えるあらゆる経営課題の解決に挑むテクノポート株式会社(本社:東京都江東区 代表取締役:徳山正康 、以下テクノポート)は、」のように、事業の概要、社名(本社:市区町村まで 代表者)で書き始めるのが一般的です。

④本文

本文には、

  • そのサービスや製品、企画に至った背景
  • サービスや製品の概要
  • 参考となるデータ、情報

などを書きます。項目立てて書いていくと読みやすくなります。

⑤会社概要

会社名、代表者、設立日、資本金 、所在地、Webサイトなどを記載します。その他、会社のビジョンやミッション、事業内容などを記載することもあります。

⑥連絡先

製品やサービスについての問い合わせ先、取材等のメディア関係者の問い合わせ先をそれぞれ記載します。(画像ではサービス問い合わせ先のみ)電話番号、メールアドレス、担当者を明記します。

コツ

簡潔且つ分かりやすく書く

せっかく見てもらえるなら、と1から100までありとあらゆる情報を詰め込みたくなりますが、すっきりと簡潔に書くように心がけます。全体の量としては長くてもA4用紙3枚までを目安にすると良いと思います。また、公に発表するという側面があるので、誰にでもわかるよう表現します。社内で通じる造語や略語も第三者には伝わりません。中学生が読んでもわかるようなイメージです。

ビジュアルで攻める

数多あるプレスリリースの山から、目を惹くプレスリリースを作るには画像が欠かせません。私自身、プレスリリースを作成するときに困るのは自社サービスを視覚的に表現することです。製造業は、ビジュアルで魅せることができる業種なので、ぜひ力を入れてみてください。製品の写真だけでなく、現場の写真や、加工をしている手元など魅力的な写真がたくさん撮れるはずです。

テーマは一つに絞る

複数のネタがある時に、せっかくだから…とまとめて詰め込んではいけません。何を伝えたいプレスリリースなのかがわからなくなってしまいます。

盛らない

アピールをしたいあまり、「業界No1」「業界初」「かつてない」など強調をした文章を使いたくなってしまいますが、根拠のないことを書くと信用を失います。主観ではなく、客観的にみて正確な事実であることが必要です。また、広告ではないので売り込むような表現も控えます。

真似る

色々書きましたが、いざ書いてみようと思うと筆が進まないという方が多いのではないかと思います。私自身、プレスリリースを書くたびにA4用紙をどう編集したら良いものか途方に暮れることも多いです。そんな時は、「プレスリリースの書き方」を調べてはいけません。プレスリリースを調べます。例えば、フェイスシールドの販売をはじめる場合、「プレスリリース フェイスシールド 販売」と検索をします。実際に配信されたプレスリリースが見られるので、具体的なイメージが掴めます。

ちなみにこの方法はネタ探しにも有効です。「板金 プレスリリース」と検索すれば板金に関連したプレスリリースがたくさん出てきます。

配信方法

直接送る

ファックスやメール、持ち込みなど、直接編集部や記者の方に届けます。過去に取材を受けたことがあれば、名刺を探して連絡をとって情報提供をすると良いでしょう。メディアによってプレスリリースなどの情報提供の受け方が異なり、Web上で検索して申込フォームから送る、あるいは電話をかけて確認する、FAX、郵送などがあります。会社宛や編集部宛よりも、担当の部署や担当者宛に送ると目に留まる確率が高くなります。代表電話で断られてしまうこともあるので、マスコミ電話帳などで直通の連絡先を入手するという手段もあります。

配信先は、そのプレスリリースの内容やどの媒体に掲載したいかによっても異なりますが、新聞であれば、経済紙(日本経済新聞や日刊工業新聞他)一般紙(産経新聞、朝日新聞、読売新聞他)、雑誌であれば、ビジネス誌(週刊東洋経済やPRESIDENT他)、業界誌(設備と管理、日経ものづくり他)その他業界新聞やWebメディアなど中心です。地元紙などは比較的掲載されやすいかと思います。

配信代行

配信代行サービスを利用して連絡先を知らないメディアにプレスリリースを配信してもらうこともできます。複数のメディアに一斉配信ができたり、配信代行サービスのSNSに掲載されてより拡散性が高まったりします。配信代行サービスのサイトで情報を探すメディアの方もいますが、一斉配信した情報であるため情報価値が低いと考える方もいるようです。

PRTIMES

1配信30000円〜

業界最大手。上場企業の約4割が利用しており、月間5200万PV。大手から業界紙、専門誌まで数多くのメディアと提携しており、配信先リストを自分で作成することができる。メディア関係者だけでなく、一般ユーザーの閲覧も増加してきている。

@press

1配信30000円〜

プレスリリースの添削や掲載メディアのレポートなども料金に含まれている。業界で唯一FAX送信も料金内に含まれている。
プレスリリースに合わせて配信先を選定してもらえる。

プレスリリースゼロ

無料提携メディアや配信先についての情報が明かされていないため、どのメディアにアプローチをしたのかがわからない。

プレスリリースを作成して、送ったからといって必ず記事化されたり取材されたりするわけではありません。とはいえ、今まで情報が届かなかった相手に対して、アプローチをかけられるというだけでもメリットが得られるのではないでしょうか。
とはいえ、せっかく取り組むのであれば成果を出したいと思いますよね。戦略的に取材を獲得するために欠かせないメディアのニーズの探し方や、媒体の研究についてはまた次回以降にご紹介します。

ものづくり未経験者から製造業者へ、製品開発の相談をする際の心得

テクノポートの井上です。今回はいつもと趣旨を変えて、スタートアップ、ベンチャー、個人の方など、ものづくり未経験者の方向けに読んで頂きたい記事となります。

「製品のアイディアを思いつき、製品化を考えているけれど、製造業者に問い合わせてもなかなか取り合ってくれない」そのような声を聞くことがあります。相談を受ける製造業者側がどのような考えを持っているのか?また、商談をスムーズに進めるために気をつけるポイントについて紹介します。

製造業者の対応・反応が悪い6つの理由

新製品開発の相談をしても、相談を受ける製造業者側の反応がイマイチな場合が多いのはなぜでしょうか?様々な製造業者にお話を伺い、実際にどのようなことを思っているのかを紹介します。

金額の折り合いがつかないことが多い

試作や金型にかかる費用を知らず、費用の高さに驚いて終了してしまうことがあります。費用の認識の違いから取引に結びつかないことが多いようです。(試作や金型については後ほど詳しく説明します。)

内容がまとまっておらず手間で面倒

図面が無い状態から打ち合わせをし、図面を描き、すり合わせを行うという作業は時間と労力がかかります。いくら相談や打ち合わせは無料と言っても、見えない費用が製造業者側にはかかります。製造業者が通常受けているような図面ありきの案件であれば、見積もり回答を行い、発注書が届けば即スタートとなるため、どちらが仕事しやすいかは一目瞭然かと思います。

製品開発案件に対応していない

会社によっては製品開発案件を受けていない会社もあります。例えば、主に量産向けの設備を保有している会社では、量産用の金型ありきの仕事が主のため、試作開発案件を受けたことが無かったり、対応していない場合があります。

既存の取引企業と比べて信用力が低い

新規で取引をする際には、仕事内容だけでなく相手先の信用力を評価し、取引を行います。個人やスタートアップ企業の場合、ホームページが無い場合も多くどのような相手か知ることができません。そのため、素性の知れない依頼先との取引に消極的になる会社があります。

ビジネスの実現性が低い

取引をするからには、その仕事が将来的に良い仕事になるかどうか実現可能性を見ています。ここで言うビジネスの実現可能性というのは製品が発売され、それが一定期間コンスタントに売れる状態です。依頼者としても、ある程度のボリュームが売れなければ成功とは言えず、作り手としても量産がスタートしてもすぐに生産停止してしまっては意味がありません。

製品開発において、途中で依頼者側が断念するケースも多くあり、また製品化されたとしても、それが売れるかどうかは別問題です。もちろん、製造業者は試作、設計等でも費用を頂きながら行いますが、量産にならなければ利益を確保できないというのが本音です。(※ただし、試作を専門とする会社であれば、試作のみでもビジネスとして成り立ちます)

取引開始まで時間がかかる

図面がある状態と比べると、最初の発注までにかなりの時間を要します。既存のお客様で忙しい場合に、そこにかける時間を避けたいと思っている会社もあります。上記のように、依頼側と製造業者側には温度差があります。仕事を頼もうとしているのになぜ?と思うかも知れませんが、どちらが悪いというわけではなく、お互いの認識のズレの問題です。

相手の事情や考えを把握した上で、どうすればスムーズに商談が進められるか?次に具体的な解決策について紹介します。

相談内容の準備

まずは何を相談したいか?相談する内容についてです。相談する内容によって相手の対応も異なりますので、協力して頂きやすいように出来る限りわかりやすく内容をまとめます。

図面・イラストの準備

モノを作る側としては、文章だけではイメージしづらいものです。手書きでも良いので概要が把握できるものを準備してください。

  • サイズ感
  • 形状
  • 材質

など

製品開発の背景、企画書の準備

「このような製品を作りたい」よりも「このような背景から製品開発を思い立ち、このようなニーズに応える製品を作りたい、将来的にはこのようなことをしたい、どれぐらいの数を作りたい」というように、製作背景や想いが伝わる内容が入っている方が、信用や共感を得られ、製造業者に協力して頂きやすくなります。会社やご自身がどのような人物かも、ある程度わかる説明があるとなお良いです。

依頼、相談したい段階を提示

具体的にどの段階から相談したいのかを提示します。仕様設計、材料選定、加工方法の選定、図面作成など、自分でできないところや、何を相談したいかを提示することが大切です。相談を受ける側として、どう返答してよいか、何をすれば良いかわからない相談もよくあります。

適切な製造業者を探す

相談する内容が決まったら、個人やスタートアップ企業の製品開発案件に対応している、適切な製造業者を探す必要があります。設備、技術的に対応できそうか?開発案件を受ける体制があるか?この2つの視点で探します。流れとしては以下のとおりです。

  1. 自分の頼みたいと考える領域(材質、加工方法など)を決める
  2. 上記の加工領域のキーワードに加え、下記のようなフレーズを加え、複合キーワードにてネットで検索
    試作・1個から・図面無し対応・設計開発・製品開発 など
    検索例:板金加工 図面なし対応
  3. 該当ホームページの内容を確認
    設備紹介を見てもわからないと思うので、製品サンプルや、取り組み事例、強み紹介などを見て、自分の頼みたいものが実現できそうか確認

商談にのぞむ際に覚えておくこと

次に、製造業者と商談をする段階で、事前に認識して頂きたいことが2点あります。

それは試作と金型費用についてです。この2点の認識の違いで、商談が進まなくなることが頻繁に起こります。この2点がどのようなものか、事前に理解した上で商談に望むことが重要です。

試作の重要性について

よくある話が、単価をこれぐらいに抑えたこのような製品をある程度の量、作りたいという要望があります。しかし、どのような製品でも、いきなり量産できるというわけではなく、まずは試作品を作成し、製造上の課題をすべて洗い直した上で、改良を加え、量産工程になります。そのため、概算の価格なら想定はできますが、値段ありきでこのコストに収めて開発、進めるということは出来ません。

試作を作り、量産時の加工方法を決め、初めて量産時の初期費用と1個あたりの製造単価を割り出すことができるからです。また、製品の実現可能性を判断するためにも試作が必要です。量産に入ってしまっては後戻りができないため、試作段階であらゆるリスクへの対応を検討し、量産に踏み切るか否かも検討します。そのため、製品開発において試作がとても重要だということ、そして、そこに十分な費用と時間をかける必要があるということを認識する必要があります。例えば、量産時に@1,000円という話でも、試作1個作るには数十万かかるということもあります。また、様々な段階で試作が必要になります。下記は試作の一例です。

  • 原理試作:既製品なども利用し、機能性面を検討
  • デザイン試作:形状、外観などのデザイン面を検討
  • 量産試作:製品としての仕様や要素を全て備えたモデルで製品同様の材質で製作。量産時の加工しやすさ、組み立てやすさ等を検討

金型費用について

量産段階になると加工方法によっては製造単価を下げるための金型を作る必要があります。金型を作ることによって同じ形の製品を安くたくさん作ることができるようになります。

しかし、金型は形状や、部品点数によって数十万〜数百万というイニシャルコストがかかります。この量産時の金型費用について認識をしておらず、「そんなにかかるとは思わなかった」と開発を断念するケースも多くあります。

いかがでしたでしょうか?

今回はものづくり未経験者から製造業者へ、製品開発の相談をする際の心得について紹介しました。良いビジネスパートナーとしての関係を作るためには相手を知ることが大切です。製品開発の際の参考にして頂けたら幸いです。

また、弊社では製品開発支援のための無料工場探索・紹介窓口「モノマド」を運営しています。製品開発でお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

工場探索

オンライン商談は中小製造業の強力な武器になる

テクノポートの井上です。

ZOOMをはじめとしたオンライン商談はコロナの影響もあり、ここ数ヶ月でスタンダードになりつつありますが、お話を伺う限り、まだ積極的に活用している中小製造業の会社は少ないようです。正直わたしもIT業界に身を置いておきながら、対面が良いと思っていて、このような状況になるまで、必要性を感じていないアナログな人間でした。急に背中を押されたような状態です。

ただ利用してみると、思ったより良いと感じる点、やりづらいと感じる点が見えてきて、工夫次第で活用できると思っています。そのオンライン商談ですが、中小製造業の営業の強力な武器になると考えており、今回はその理由について対面型の商談と比較しつつ説明します。

対面型商談について

対面型商談のメリット

  • お客様の課題をより深く知ることができる
  • 製品サンプル等の実物を見て具体的な検討ができる
  • 要件以外の雑談などから他の有益な情報の収集ができる
  • 直接会うことでお互い信頼関係が生まれる

対面型商談のデメリット

  • 商談の場をセッティングするのに時間がかかる
  • 移動に時間がかかる
  • 遠方だと気軽に訪問できない
  • 技術的な検討は社内に一度持ち帰ることが多い

オンライン商談について

オンライン商談のメリット

  • 商談までのリードタイムの短縮ができる
  • 移動時間の有効活用ができる
  • 遠方の顧客と接点を持てる
  • 商談が訪問型より気軽にできる
  • なかなか現場を離れられない工場長などの技術者も商談に参加できる

オンライン商談のデメリット

  • 双方でオンライン利用環境の準備が必要
  • 表情や感情が読み取りづらい
  • 議題以外の話はあまりできず、情報収集しづらい
  • 会うことに比べ気軽な分、関係を築きづらい
  • 用がなければ商談はできない

オンラインだからこそ提供できる価値を考える

上記のようにオンラインのメリットを見て頂くと、とても便利そうに見えます。実際利用してみるとたしかに便利です。ただ、やっぱり対面での商談の方が良いなと思う方も多いはずです。便利というだけでは利用する動機づけは弱いと感じます。

オンラインをうまく活用するためには、対面営業が出来ないから、しょうがなくオンラインを行う、というスタンスではなく、オンラインだからこそお客様に提供できる価値を見出すことが重要だと思います。その具体的な例をいくつか挙げます。

お客様が発注依頼をするまでの時間短縮に貢献

お客様が図面の製作可否を打ち合わせしたい時など、訪問の前にオンラインで簡単な打ち合わせを行うことで、お客様は早い段階で「この会社に依頼できそうか」を考えることができ、頼めそうと判断できれば何社も声をかける必要もなくなります。また、合わないようであれば、すぐに他を探すことができ、時間の無駄を省けます。

訪問のように、お互いの時間をセッティングする必要が無いため、時間が空いていれば、当日すぐにでも打ち合わせすることが可能になります。中小製造業はスピード感、対応力を売りにしている会社も多いため、その強みに磨きがかかるはずです。

より気軽な双方コミュニケーションを可能にする

オンラインをうまく活用することで、メーカーの研究開発部門や、製品開発をしたいベンチャー系企業などの技術的な相談に気軽に乗れるようになります。アイディアベースのものを一度製造側に問いかけることで、アイディアをブラッシュアップしていくケースはよくあります。

社内であれば気軽に話ができますが、社外の人間に相談するのは、ある程度仕様が固まった状態でないと、問い合わせをするハードルが高いです。

オンラインであれば、訪問と違い、相談レベルからの打ち合わせが気軽にできるようになり、問い合わせのハードルを下げられます。また、メール、電話では伝えきれないものがカバーできます。

他にも、商談では無いですが、毎日何度もコンタクトを取るような関係の深いお客様や、自社の複数拠点をオンラインで常に繋くこともできると思います。それにより、まるで同じ社内にいるように複数人、複数回のコンタクトが可能になり、劇的なコミュニケーションの変化が生まれるかも知れません。

営業の「技術に相談する」という宿題を無くす

訪問し商談をする際に、技術者も同行できれば良いですが、なかなか予定が合わず、要件を伺うためにまずは営業だけで訪問するケースも多いと思います。ただ、深い技術の話になると「一度社内に持ち帰って検討します」という場面は少なからずあるのではないでしょうか。オンラインであれば、なかなか現場を離れられない工場長などの技術者を商談の場に参加させることができます。

オンラインでお客様と商談するやり方もありますが、対面商談とオンラインを組み合わせるやり方も考えられます。例えば、営業マンがお客様先に訪問し、対面での商談を行い、技術者はオンラインでつなぐという方法です。これにより、対面商談の良いところに加え、問題解決のスピードが早くなり、また、技術者の移動時間も削れます。

訪問の難しい遠方のお客様との距離を縮める

「オンライン商談のメリット」にも記載はありますが、遠方でなかなか打ち合わせができないお客様とも容易に打ち合わせができるようになります。もしかしたら海外とのやり取りも増えるかもしれません。また、地方で製造業を営む企業にとっては、不利と見なされていたその距離感をぐっと縮めることができるようになります。オンラインで工場見学ができるようにすれば、より自社の理解を深められるようになると思います。

オンライン商談で気をつける点

オンラインと対面の商談の違い

オンラインと対面での商談では、求められるスキルが違うように感じています。どちらの商談でも、必要なスキルとしてコミュニケーション能力がありますが、対面型商談では相手の懐に入るのがうまくお客様に好かれる人が向いている気がします。つまり、雰囲気作りの上手い人です。しかし、オンラインでは議題が決まっており必要なことしか話さないため、目的や論点を明確にして商談を進める能力が重要です。

また、オンラインだとコミュニケーションの伝達力が落ちるので、そのデメリットを払拭する手段としてプレゼンツールを洗練させる(画面共有で見せる資料)などの必要性も出てくると思います。他にもオンライン特有の間(ま)であったり、相槌など、普段より大きめのリアクションを取る必要があったり、対面型と同じとは考えず、オンライン独自のノウハウを構築する必要があると思います。

最後に

コロナ禍によりオンラインを利用せざるを得ない世の中になりました。オンラインツールが昔から無かったわけではありませんが、コロナ以前なら「オンラインでやりましょう」と言っても難色を示すお客様は多かったはずです。それが双方理解される世の中になったため、オンラインが急激に浸透しました。

今後、コロナが収まっても、以前の営業スタイルに戻ることは出来ないかも知れません。対面型商談の劣化版として無理やり取り入れるのではなく、お客様とのやり取りをより円滑かつスピーディに解決できる自社の営業ツールとしてオンラインを取り込んでいく必要があるのではないでしょうか?

コロナ禍における中小製造業が受けられる支援まとめ

テクノポートの井上です。コロナ禍の影響が製造業でも少なからず出てきています。この現状を乗り越えるために、受けられる支援は積極的に活用しようと考える経営者の方は多いと思います。今回は、中小製造業が活用できる支援内容をまとめましたので参考にして頂けたらと思います。

給付金

給付金とは、要件さえ満たせば受給できる支援策です。

持続化給付金

持続化給付金は、対象要件さえ満たせば簡単な手続きで現金がもらえる制度です。感染症拡大により、大きな影響を受けた事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧として頂くため、事業全般に広く使える給付金が支給されます。

  • 給付対象要件
    新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者。
    2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者。
    法人の場合は、
    ①資本金の額又は出資の総額が10億円未満、又は、
    ②上記の定めがない場合、常時使用する従業員の数が2,000人以下である事業者。
    ※2019年に創業した方や売上が一定期間に偏在している方などには特例があります。
  • 給付額
    中小法人等は200万円、個人事業者等は100万円
    ※ただし、昨年1年間の売上からの減少分を上限
    ■売上減少分の計算方法
    前年の総売上(事業収入) – (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)

詳細はこちら

助成金関連

助成金は一定の条件を満たすことで必ず支給されるもので、返済の必要がないお金です。

雇用調整助成金

新型コロナウイルス感染症の影響で、企業が支払う休業手当に対して支給される雇用調整助成金の特例措置が拡充されています。

  • 特例措置対象期間:4月1日〜6月30日
  • 対象事業主:新型コロナウイルス感染症の影響で、最近1か月の売上などが前年同月に比べて5%以上減少している企業
  • 助成率:中小企業では4/5、大企業では2/3(解雇を行わなかった場合、中小企業では9/10、大企業では3/4)(ただし、助成額は1日1人あたり8,330円が上限)
    さらに、労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っている中小企業などに対しては、10/10(つまり全額)を助成

→詳細はこちら

働き方改革推進支援助成金

従来の「働き方改革推進支援助成金」の中に、コロナ対策として、テレワークを推進するための助成金が新たに創設されました。

  • 対象事業主:新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規(※)で導入する中小企業事業主
    ※試行的に導入している事業主も対象
  • 助成対象の取組
    ・テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
    ・就業規則・労使協定等の作成・変更
    ・労務管理担当者に対する研修
    ・労働者に対する研修、周知・啓発
    ・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング 等
  • 主な要件
    ・事業実施期間中に助成対象の取組を行うこと
    ・テレワークを実施した労働者が1人以上いること
    ※少なくとも1人は直接雇用する労働者であることが必要です
  • 助成の対象となる事業の実施期間:令和2年2月17日~5月31日
    支給額:

(厚生労働省HPからの画像引用)

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中小企業人材オンラインスキルアップ支援事業

都内中小企業等が従業員に対して行う、eラーニングを利用した職業訓練(職務や業務に必要な知識や技能の習得と向上、又は資格等に関する訓練)に係る経費を助成されます。こちらは東京都の取り組みのため、東京都内に本社又は主たる事業所があることが条件です。

  • 助成対象となる訓練の要件
    ・中小企業が従業員に対して行う訓練、又は団体がその構成員の従業員に対して、教育機関等が提供するeラーニングを利用して実施するもの
    ・受講者の職業・職務に必要となる知識・技能の習得と向上を目的とする訓練、又は資格の取得を目的とする訓練であること
    ・中小企業又は団体が受講者の受講履歴等を確認できる訓練であること
    教育機関の受講案内と受講に係る経費(受講料等)が一般に公開されていること
  • 助成対象受講者
    ・中小企業が雇用する従業員
    ・団体の場合は、団体を構成する企業のうち都内に本社又は主たる事業所がある中小企業の従業員
    ・常時勤務する事業所の所在地が都内である者
    ※在宅勤務中や自宅待機の場合は、在宅場所を問いません。
  • 助成額:助成対象経費の5分の4
  • 助成限度額:中小企業又は団体が交付申請できる金額は32万円が上限です。
    ※ただし、申請は1回に限ります。

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補助金関連

補助金は期間内に応募し、採択された場合に支給されるものです。助成金と同様に返済義務がありません。以下の3つの補助金は、従来予定されていたものに加え、コロナ対策の特別枠が新たに組み直されたものです。コロナ特別枠として変更となった項目のみ紹介します。

IT導入補助金 特別枠「C類型」

中小企業等が感染症の影響を乗り越えるための、ハードウエア(PC、タブレット端末等)のレンタル等も含めた、ITツールの導入が支援されます。

  • 補助率:2分の1⇒3分の2
  • 対象経費:ハードも対象

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小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>

小規模事業者等が感染症の影響を乗り越えるために、経営計画を策定して取り組む販路開拓の取り組み等が支援されます。

  • 補助上限額:50万円⇒100万円

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ものづくり補助金

中小企業等が感染症の影響を乗り越えるための、新製品・サービス・生産プロセスの改善に必要な設備投資が支援されます。

  • 補助率:2分の1⇒3分の2

→詳細はこちら

その他

コロナ特別貸付等の資金繰り支援

新型コロナウイルス感染症特別貸付は、特別利子補給制度を併用することで実質的な無利子化を実現。さらに、都道府県等による制度融資を活用して、民間金融機関にも実質無利子の融資が拡大されました。

税・社会保険料の納付が猶予/減免

基本的にすべての税・社会保険料を対象に、無担保かつ延滞税なしで1年間納付を猶予。さらに公共料金関係の支払いについても猶予。また、既存の事業用家屋・償却資産への固定資産税も減免されます。

 

以上、コロナ禍において中小製造業が活用できる支援内容をご紹介しました。国だけでなく地方自治体でも独自の支援策を行われていることがありますので、別途各地方自治体の役所にご確認頂くと良いと思います。

弊社テクノポートでは小規模事業者持続化補助金において、HPを活用した販路開拓による申請を行う企業の申請サポートを行っております。リモートワークが進む中で、HPをはじめとしたITツールを活用し、オンラインで顧客接点の獲得や打ち合わせを行う、非接触型の営業活動の需要が高まっております。ご興味持って頂ける方いらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。

新型コロナウイルスの世界的な蔓延の1日も早い終息を願うばかりです。

町工場の魅力で経営課題を解決。 製造業の広報PRとは

テクノポートの菊地です。社内では、未経験ですが広報業務を担当しています。今後、モノカクの記事として、日々学びながら実践している広報活動にまつわるアレコレを共有していきたいと思います。

広報とは

そもそも「広報」とは何か。聞いたことはあるし、なんとなくイメージはあるけど正直よくわからないという方が多いのではないでしょうか。人や時代によって異なる用いられ方をすることもあり、一言では説明しがたく、正解はひとつではないと言えるのが正直なところです。

広報の定義

広報」という言葉が日本で使われるようになったのは、戦後GHQが日本へ民主主義を根付かせる目的で行政に「PR=Public Relations(企業や団体が社会や消費者とより良い関係を築くための活動全般のこと)」を伝えたことが始まりとされています。「広報PR」と表記されるのはこのためです。(ちなみにPRの発祥はアメリカの独立戦争と言われており、面白いのですが、今回は割愛します。)広報PRは、Promotion(販売促進)やPress Release(自社の新しい情報をメディアに届ける手段の一つのこと)ではなく、「組織や個人が社会とより良い関係を築いていくために、自らの事業についての活動や方針を広く伝え、共感・理解を得るための活動」と言えるでしょう。

具体的には、主に「社内外の情報収集」→「集めた情報をもとに企画・情報発信」→「企画や情報を活かした取材獲得」を行っていきます。(下表参照)

企業によってはWebサイトの運営やお客様対応なども広報担当者が受け持っていたり、情報の発信先によって部署が細分化していたり、インターネットの発達による変化も含め、その姿は日々多様化しています。また、社内のリソースによって対応できる業務の取捨選択も必要です。

広報の目的

書籍「戦略PR 著:本田哲也」によると、広報の究極の目的は「人々の行動を変えること」とされています。昨今の広報には、社会的な視点や文脈が強く求められるようになってきました。「その商品やサービス、事業は、社会にどんな効果を与えますか?」と。これを踏まえて、次の図をご覧ください。

上記の図は、「PRのピラミッド」と呼ばれるPRの目的構造を図式化したものです。

  1. パブリシティ:情報の露出→取材獲得、新聞や雑誌などメディアでの情報露出
  2. パーセプションチェンジ:認識の変化→パブリシティによるモノの見方・価値観の変化
  3. ビヘイビアチェンジ:行動の変化→認識の変化による行動の変化

例えば、製造業者が採用難の対策として広報活動を導入するとしましょう。この場合に考えられるパブリシティは、

  • 会社について(企業風土や福利厚生など他社と差別化が図れるネタ)
  • 人について(代表や名物社員、若手、女性など募集したい層に合わせたり、こんな人と働きたいと感じさせたりする切り口)
  • 権威について(受賞や官公庁、大手企業との連携など)

などが挙げられます。パブリシティによって、「この会社面白いな」「こんな会社があるのか」「思っていたより、製造業って面白そう」などと思うようになったら、それがパーセプションチェンジです。そして、実際に求人に対して応募されたり、業界での就職希望者が増加したりするとビヘイビアチェンジの達成です。その年に限らず、継続して効果が現れれば大成功と言えるでしょう。

PRのピラミッドの事例としては、サントリーのウイスキーの再興やP&Gがインドで行った「洗濯」への問題提議が有名です。興味のある方は検索していただけたらと思います。

広報と広告の違い

メディアを用いた企業の情報発信というと、広報に限らず広告が挙げられます。似て非なるものですが、混在されがちなので違いを比較しながら紹介します。

広報の特徴

低コストでありながら信頼性が高い反面、情報のコントロールができず(報道の自由・編集権)、必ずメディア露出ができるものではないので、中長期的な視点と時流に合わせた提案をする戦略が必要です。費用対効果の換算が難しいことへの理解も欠かせません。

広告の特徴

費用はかかるが、企業の意向のままの情報発信が確実に行えます。一方、広告やCMは読み飛ばしやスキップされる傾向も高くなっています。

広報で解決できる(かもしれない)製造業の経営課題

まだまだ中小規模の製造業では「広報活動」に取り組んでいる企業は少なく、平成25年の東京都産業労働局の調査ではわずか6.0%とのデータも出ています。(東京都産業労働局 中小企業の宣伝・広報活動に関する実態調査 プレスリリース活動の状況)広報活動でできることは、「選ばれる雰囲気を作る」ことだと思います。

どんな情報を使って目的を達成するかの道のりは、解決したい課題によってまちまちですが、考えられるものをPRのピラミッドの3段階ごとに考えていきましょう。

パブリシティ

→取材が取材を呼び、情報の露出が増えるほど幅広い層の目に触れる機会が増える。Google検索などで自社メディア以外にもヒットするようになるので、企業としての信頼性が高まりブランディングの効果や市場におけるマウントの獲得ができる。

パーセプションチェンジ

→自社を知らなかった人に認知されたり、製造業に興味を持ったりする人が増える。取材を通じて自社や業界の魅力を伝えてもらうことができる。

  • 自社のブランディング、製造業のイメージアップ、関心の向上

ビヘイビアチェンジ

→あの会社に頼もうと選ばれる:新規顧客の開拓 事業提携

  • ここで働きたいと選ばれる:人材難の解消
  • 製造業に関わる人が増えるなど:オープンイノベーション、業界の活性化、事業継承、地域の活性化

見出しで(かもしれない)としたのは、前述したとおり広報活動に確実性がないためです。ただ、町工場を舞台とした小説やドラマがヒットしているように、中小規模の製造業は社会の関心も高く、メディアの方の関心も非常に高いように感じています。私の体験としても、メディアの方に当社の説明をした際、「中小規模の製造業のWebマーケティング支援を…」と伝えても興味を持ってもらえませんでしたが「〇〇の町工場に行って、」と話したときは非常に興味を持って頂いたことが記憶に新しいです。

パブリシティの多い製造業

最後に、より具体的なイメージを持って貰えるように報道実績が多く、ホームページから内容が確認できる製造業の会社をいくつかご紹介します。

自社の技術についてや、代表取材、社員インタビューなど様々な記事が掲載されていますが、最新のパブリシティ情報だけでなく、掲載されている過去の古い記事から数年分も目を通していただくことをお勧めします。いきなりビジネス誌やテレビに出演しているわけでなく、専門誌や業界誌などから少しずつコツコツと露出が増えていると気づくのではないでしょうか。また、どんな内容や切り口で書かれているかを見ると、広報の切り口のヒントが見つかります。最近のメディアの関心や時流を紐解くには最近の記事の研究がおすすめです。

競合となる会社や、似ている会社のホームページにパブリシティ情報(メディア掲載、ニュースなど)があれば併せて研究するとより具体的な広報の切り口が見つかります。

今回は、広報の概要について説明をしました。次回以降は、より具体的に焦点を絞って製造業のための広報活動を伝えていく予定です。今後、実際に製造業の広報に取り組んでいる方からお話を伺う機会も設けたいと考えています。興味を持った方は、広報活動の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

トラブル時の対応が大変なので外注できない! (協力工場を利用する際の注意点、トラブル対応について)

テクノポートの井上です。今回のテーマは協力工場を利用する際の品質管理、トラブル対応についてです。協力工場は増やしたいけど、トラブル時の対応を結局自社でやらなければいけないため増やせないという話をよく聞きます。では、どうすれば良い関係性を作り、うまく回すことができるか?その方法を考察します。

前回に引き続き、ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポーターの野崎社長(COSMO ALPHA株式会社)にインタビューしました。

トラブル時の手戻りを考えると協力工場に仕事を出しづらい。どうすれば?

解決にはなってませんが、出しづらいことは理解した上で、手間をかけてでも受注体制を広げたいかどうかだと思います。基本的には、全部自社で責任を持つ覚悟で依頼をしています。そうしないと受注側も同じ方向を向いて仕事をしてくれません。

また、同業者だからわかっているだろうと詳細を確認せずに仕事を出していては絶対うまくいきません。例えば、加工業者は表面処理は外注がほとんどなので外注することに抵抗は無いと思います。では逆に、同業種への外注は、勝手がわかっている分、出しやすいはずですが、そうならないのはなぜでしょうか?
恐らく、「同業種だからわかっているだろう」という憶測で仕事が進んでしまい、情報の共有がうまくできていないのではないでしょうか?

事前に、加工にあたっての注意点、懸念事項等の共有ができているかどうかは重要です。場合によっては加工データ自体も渡してしまえば話はもっと早くなります。図面だけ渡して「一から考えて見積もり、加工してね」という頼み方だと失敗すると思います。トラブルは常につきもので、悪気があるものではなく、各会社のルールの上で製品が出来上がっているわけですから、自社のルールと相違が無いか?すり合わせが必要です。

信頼できる会社の見極めかたは?

以前のお話と重複する部分がありますが、品質管理部があるかどうか?なくても専任で検査している人がいるかどうかをまずは確認します。保有設備はネットで見ることができますが、3次元測定を持っているけど、実際はノギスのみの検査など、実態に則していないケースがあるため確認が必要です。

また、普段どれぐらいの精度のものが流れているのか?なにをもってその精度を証明しているか?を確認しています。同じような設備でも、それぞれの会社に特徴がありますので、可能な限り訪問して見せて頂きます。訪問した際には検査している人に直接お話を聞いています。誰がどういう検査していて、どういう製品の提供の仕方をしているか?などです。検査はするけどお客さんに検査表を出していないパターンもあります。基本的に検査表は必須ですので、無いようであればそのような検査体制が作れるかどうかを確認しています。

もちろんこちらから、提供できるものは提供しています。依頼者が大手だと検査標準書というものがあるので、それをベースに検査基準を共有します。

検査基準例

  • 10個以上なら抜き取り1個検査
  • 5個までだったら全数検査
  • 交差はレ点✔で大丈夫など

よくあるトラブルとは?

品質面がほとんどで、言った言わないが一番多いです。工程まで教えて、「ここを注意」と書いても伝わっていないこともありますが。同業者なら、勝手もわかっているため、リスクは回避しやすい気がしますが、実際は逆で実情をちゃんと伝えきれず、「わかっているだろう」になっているのが問題です。同業者からの仕事に積極的でない会社もありますし、プライドのぶつかり合いになってしまうケースもあります。

トラブルの際に、もしくはそうならないように気をつけていることは?

トラブルは起きることが前提として考えており、どこまで抑えられるかがポイントです。先程の「言った言わない」という問題に関しては、日にち、時間も含め、メールや図面に記録を残すようにしています。また、いつ、誰に、何を伝えたかについて常に気を配っています。

外注で製品の加工に失敗した際にどのように対応していますか?

トラブルはあっても失敗で終わらせないようにしています。例えば、材料費が1つ30万ほどする特殊材の支給材を協力工場に出し、打痕がついてきたことがありました。加工賃よりも材料費が高額なため、作り直しも出来ず、困難な状況がありました。

まずは、どのタイミングで、どのようなリスクが発生し、それがこのような結果になったのか原因を追求し、次回以降の改善方法を模索しました。(この場合は梱包・配送時の問題でした。)また、製品に関しては、お客様に現状を伝え、「出来る限りの手直しは行うので、なんとか利用できないか」と相談し、利用して頂くことができました。

品質NGの時点で、外注先のせいにしてしまうこともできますが、それではだれも得はしないため、自社で責任を持って対応しました。そのような姿勢を協力工場にも見せることで信頼関係を築いています。「以前、こんなトラブルあったね」と、共に困難を乗り越えることで仲間になっていくのだと思います。

最後に

以上、野崎社長へのインタビューでした。

協力工場をうまく活用することは、単純に売上が伸ばせるというだけでなく、自社で出来ない加工も含めての対応が可能となりますので、お客様に対して加工対応の幅が広がります。また、依頼側の視点と受注する側の視点、どちらも身につけることができますので、事前にリスクを予測し、より円滑に仕事を受注できるようになる、といったメリットもあると思います。協力工場も含めた円滑な受注体制を築くには手間も時間もかかると思いますが、それに見合う効果はあると思います。

少しでも売上向上のお役立ちができれば幸いです。

既存顧客からの取引拡大のために実践すべき3つのこと

テクノポートの井上です。今回のテーマは既存顧客(メーカー)からの取引拡大方法です。

既存顧客は既に関係性が出来ているからといっても「何か仕事ありませんか?」だけでは獲得できる仕事に限界があります。明確な目的を持ち、顧客の求めるものに対して提案をするためにはどうすればよいか?前回に引き続き、ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポートを行っている野崎社長(COSMO ALPHA株式会社)にインタビューしました。

野崎社長の経歴は以前の記事をご参照ください。協力工場を増やす時の見極めポイントと良い関係の築き方

実際に野崎社長の行っているアプローチの手法をご紹介します。既存の顧客からの受注を増やすために、すべきことは大きく3つあります。

  • 自社と顧客を知り、ターゲットを選定
  • キーマンに会うためのアクションをおこす
  • 一度のキーマンとの面談で、出来る限り話を進める

自社と顧客を知り、ターゲットを選定

相手の会社について、一般公開されている情報を調べます。どのくらいの売上があり、今後どのような業種、業態に進もうとしているのか?また、それは先々伸びそうなものかどうかを考察します。そして、自社の受注状況を調べ、自社にとっての各顧客の重要度を考えます。

また、逆に顧客にとって、自社の重要度を考えます。主要取引先に入っているのか?サプライヤーは何社ぐらいあり、その中で自社はどう思われているのか?自社としては売上が多く重要な顧客だと思っていても、相手にとってのその売上はそれほどの金額ではなく、主要サプライヤーに入っていなかったというケースもよくあります。そのような関係性も考慮した上で、ターゲットの選定のために、その会社の売上規模、業種、業界の伸びしろや、その顧客に納めているサプライヤーが複数存在する場合は、シェア拡大の可能性を模索します。

また、顧客の要望に何で貢献できるか?顧客のやろうとしていることに対して、提案材料を一つ用意します。具体的な提案材料があれば良いですが、無くても、やろうとしていることに対しての、実績や加工技術の強みがあれば大丈夫です。ピンポイントで提案できるような材料はなかなか用意できるものではありません。あくまできっかけを作る目的です。

キーマンに会うためのアクションをおこす

現状の担当の窓口がどのような方なのかは重要です。提案したいものに対し、どこまで関係のある人なのか、あまりわからないということであれば、別のキーマンを紹介してもらう必要があります。窓口が購買の担当さんだけだと、事業の全容が見えてこないので、まずは設計者へのアプローチを図り、そこから事業責任者へアプローチをかけます。具体的な動きかたとしては、図面には設計者の名前が書かれているケースが多いため、「まずは設計者とお話させてもらっても良いですか?」と紹介していただきます。

設計者につないでもらった際には、次に、事業の全容のわかるプロジェクトの部長を紹介してもらっています。設計の方はけっこう垣根の無い方が多いので(あくまで経験上ですが)気軽に上司を紹介頂けるケースが多いです。

一度のキーマンとの面談で、出来る限り話を進める

部長クラスと面談した際には、自社が貢献できそうな内容を提示し、実際にそれに携わる人をその場で紹介してもらうこともあります。一度の面談で、可能であれば図面を頂く所まで進めるのが理想です。

何度も訪問し、関係を構築するということではありません。関係を作って情報を引き出すのではなく、話す材料、キーマンが揃っているのであればむやみに回数を増やさず、短い時間で成果を出すことがお互いにメリットとなります。

そもそも、それまでの顧客とのやりとりで、良好な関係性ができている上で紹介して頂いているわけですから、断られるとしたら、最初の窓口の段階で断られているはずです。ただ、最初の窓口でも新規でアプローチかけるよりは断られる確率はかなり低いと思います。

一番重要なことは踏み込むこと

以上のような流れでアプローチしていますが、一番重要なことは、まずはアクションを起こすことです。顧客をしっかり調べた上でアプローチを行い、相手の反応から、自社との関係性を知り、そこからまた動きを決めます。紹介して提案できるようであればそれは良いですし、かたくなに拒否されるようであれば、そのような現状だということを知る必要があると思います。その場合は、相手が何を求めているのか?何が自社に足りないのかを考えれば良いと思います。

まずは目的をもってアプローチをかけ、断られることを恐れないことが重要だと思います。簡単なことのようですが、実際にそこまで行っている会社は非常に少ないです。

 

以上が野崎社長の実際に行っているアプローチ方法でした。

今後も野崎社長へのインタビューを連載予定です。少しでも売上向上のお役立ちができれば幸いです。

受注率を大きく上げるための問い合わせ対応

テクノポートの井上です。今回は、受注率が大きく変わる問い合わせ後の対応について紹介します。ホームページから新規の問い合わせが入った際の対応フローがしっかり確立されている会社もあれば、窓口となる担当が決まっていなかったり、後追いしていなかったりする会社もあります。そこには受注率を上げるためのポイントや、中長期での見込み顧客獲得のチャンスがあります。どのような対応がお客様に対して望ましいかを考察します。

前回に引き続き、ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポートを行っている野崎社長(COSMO ALPHA株式会社)にインタビューしました。野崎社長の経歴は以前の記事をご参照ください。
協力工場を増やす時の見極めポイントと良い関係の築き方

受注率を上げるために一番重要なことは?

お客様との信頼関係を構築することです。そのためにまず出来ることは、レスポンスを早くすることです。

ホームページの問い合わせフォームから問い合わせが入っても、可否の連絡すらしなかったり、数日後に連絡をする会社もありますが、当日に連絡がなければ、自信がないのかな?苦手なのかなと思われてしまいます。レスポンスを早くするというのは、ただ単にスピード早くするということではなくて、期日を伝え、期日通りに物事を進めることも含まれます。例えば、「製作可否はいつまでに返事します」、「見積もりはいつまでに返事します」というように事前に連絡を入れ、その期日を守って返事をするということです。

相手の求めている情報を必要な場面に的確に提供することが対応力です。当たり前のようでなかなかできていない会社がほとんどの様です。やれるかどうかは意識の問題ですが、それだけでも受注率に差が出ます。

信頼関係を構築するために、問い合わせの対応フローは決まっていますか?

基本的な流れはあります。内容を確認し、まずは電話でヒアリングを行い、そして期日を伝える、という流れです。

電話によるヒアリングはとても重要です。こちらの受注に対する本気度を見せると同時に、お客様の発注に対する本気度を推し量ることができます。

なぜ新規で頼もうと思ったのか、そこには必ず理由があるはずです。技術的に難しい、納期がない、価格が厳しい、既存の会社がキャパオーバーなど、様々な理由が考えられます。その背景をしっかり理解した上で検討、見積もりをしなければお客様の要望に合った提案はできません。既存の取引先には頼めないのでしょうか?という質問から、なぜ頼めないのかをヒアリングしています。

また、加工内容についてもわからない点は積極的に質問し、作業手順書があるのかどうか質問したり、加工時に懸念される点なども伝えたりします。こちらの受注意欲を見せるだけでなく、具体的な懸念事項が挙げられるということは、加工検討の段階に入っているという事なので、頼めそうだという期待感を先方に持って頂けます。

お客様がまず最初に欲しい情報は見積もりではなく、頼めそうかどうかです。それをいち早く電話することで提供できるよう心がけています。

見積もり提出後の後追いについても決まったフローがあるのでしょうか?

見積もりを提出した後、必ず電話しています。いつぐらいに結果を聞かせて頂けるかを伺います。そして、その期日に結果確認の連絡をします。これも基本は電話です。自分の存在を印象づけられるようにしています。

見積もりを提出してそのまま後追いしていない会社も多いようですが、しっかり返事をもらうことで、情報収集もできますし、次に繋がる可能性もあるため非常に重要です。また、協力工場に見積もり依頼している場合は、そちらへの結果連絡も必ず行っています。

あと少し話がそれますが、印象づけという点で、トラブルがあったときにどれだけ素早く解決できるかはとても大切です。「あのトラブルの時には色々と対応してくれたね」と相手の印象に強く残ります。トラブルが無いに越したことはないですが、長年やっていればなにかしら起こるものです。しっかりとした対応をとることができていれば、自社とは関係ないような話も来るようになります。「困った時はこの人」という認識にまでなれば信頼関係は築けていると思います。

顧客接点を増やすために全部の案件に全力で取り組むのは大変では?

見積もりを全部、全力でやっていたら営業は時間が足りませんので、冒頭でお話したような、ヒアリングによる見定めが重要です。真剣に依頼先を探しているお客様かどうかを見極め、真剣に探しているお客様に注力するようにしています。お互いが本気になれるような案件が受注につながりやすいと考えています。

以上、野崎社長へのインタビューでした。受注率を高めるためには、顧客との信頼関係を構築することと、本気度を見極め、確率の高い案件に注力することだということが理解できました。今後も野崎社長へのインタビューを連載予定です。少しでも売上向上のお役立ちができれば幸いです。

協力工場を増やす時の見極めポイントと良い関係の築き方

テクノポートの井上です。今回は、自社の売上を伸ばすために、連携の取れる協力工場をどう増やすかについて紹介します。

協力工場の必要性について

製造業で受注拡大を考える際に、設備の稼働率に限りがあるため、物販小売のようにたくさん売れれば良しというわけにはいきません。受注生産のため、受注には波があり、すべての設備を稼働率100%にキープすることは至難の業です。高い稼働率をキープするために、時には協力工場を利用し、受注の波をコントロールできるようにする必要があります。

また、人手不足の影響でしょうか?発注者側がそれぞれの会社に手配をかける手間を省きたいために、装置や部品一式をまとめて発注したいというニーズも増えています。その場合に、受注側としては、協力工場と連携した一貫生産対応が求められています。

しかし、やみくもに協力工場を増やしても、連携がうまくとれなかったり、品質等のトラブルが起こった際の対応が後手にまわったりと、お客様の信用を落としてしまう可能性があります。そのリスクを懸念して協力工場を積極的に活用していないというお話をよく伺います。信頼できるパートナーとしての協力工場をどう開拓するかが課題となっています。

協力工場の活用を熟知した専門家にインタビュー

円滑に業務を遂行できるかは、その会社の対応力、管理体制、関係性によって大きく異なります。数ある会社の中からパートナーとすべき会社を見つけ出し関係性をどう構築していくか?ものづくり商社兼ものづくりコンサルタントの野崎社長(COSMO ALPHA株式会社)にインタビューしました。

同社は自社工場を持たないため、協力工場と密な連携をとり、お客様からのニーズにいかに迅速に対応するかを突き詰めている会社です。実際に実践している協力工場を見る際のポイントや、関係性の構築方法について詳しくお伺いしました。

野崎社長の紹介

直近10数年で3社の金属部品加工会社に在籍し、加工現場から調達、品質管理、既存取引先への営業活動、新規開拓営業まで一通りの業務を経験。
在籍した会社では、卓越したコミュニケーションスキル、関係構築スキルを生かし、既存取引先からの受注拡大、新規顧客開拓に大きく貢献する。その経験を活かし独立、ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポートを業務とするコスモアルファ株式会社を立ち上げる。

主な実績
精密部品加工会社A 2007年2月~2014年1月
・社内で取り込めない案件等を協力会社で賄うべく、新規開拓、育成を行い、大手メーカーとの直接取引でリーマンショック後の赤字会社を売上2倍にして黒字化までもっていく。
精密部品加工会社B 2014年2月~2015年3月
・在職中新規取引先5社契約、トータル1700万円受注(約10ヶ月で)
精密部品加工会社C 2015年5月~2019年8月
・新規取引先を6社開拓
・入社時に倒産しそうだった状態から3年で売上2倍にして黒字転換させる。

どのような基準で協力工場を見ていますか?

大きくは2つです。

  • レスポンスの良い会社か?
  • 品質、検査体制が整っているか?

レスポンスの遅い会社はお客様を待たせることになるため取引は難しいです。品質、検査体制に関しては、例えば10個の完成品があった際に全数検査しているのか?検査票は普段から添付している会社なのか?検査していることの証明ができるか?などを見ています。検査表は言われなくても出すのが一般的ですが、中には出さない会社もあります。「俺が寸法に入っているといえば入っている」という会社も時にはありました(笑)。

何を使って検査するかも大事です。ノギスだけで良しとするのか、マイクロも使うのか。他に測定具は何を持っていて、普段何を使って測っているかも見ています。3次元測定機も持ってはいるけど使っていない会社も多いですしね。また、改善していく姿勢があるかどうか?も大事ですね。自分の会社はこうだという基準が固まってしまって、柔軟に対応して頂けなさそうな会社もあります。

つなぎとめたい会社への対応は?

見積もりだけで終わるパターンもありますが、つなぎとめておきたい会社さんはあります。そのためにどうするかですが、基本的にはコンタクトを取り続けます。ただ電話するだけでは限界がありますので、そこの会社がやっている業界以外の情報を提供したり、そこに合った仕事を直接紹介したりしています。加工業者同士の仕事は間に入らず直接やってもらってます。そして、どんどん会社と会社を繋げていきます。自分の管轄外であれば、直接やってもらうことも多いです。協力工場も、お客様にも同じスタンスで情報提供や取引を繋いだりしています。

間に入らなくても会社を繋げて継続的な取引になっていくと、質の良い協力会社を持っている会社、という付加価値が弊社にでき、色々な仕事の相談を受けるようになります。そのため、目先にある仕事を取ろうとせず、先を見越して良い会社に良い情報提供をして信用をもらいます。そのように情報提供や、取引をつないだりすることで、協力工場との関係性も仕事が始まる前から作れるようになります。

余談ですが、間に入ることに別の付加価値がつく時もあります。間に入って取りまとめないと仕事が進まないような協力工場がそれにあたります。依頼者側が電話しても現場に入っていて、電話になかなかでなかったり、メール返信が無かったりする場合などです。間に入って、その会社に合ったコンタクト手段で窓口となり仕事を進めます。そうすると依頼者側だけでなく、協力工場側からも喜ばれます。

依頼等の際に協力工場へ配慮していることは?

依頼する際に気をつけていることは、サイズや精度など設備的に合う加工内容かどうかです。逆にそこで依頼者として信頼できるかどうかを見られていると思います。頼む側がわかってる人かどうかは仕事をするにあたり大事なポイントです。そのため、的外れだけは避けるようにしています。

問い合わせメールを送った後、すぐ電話して、見積もりしてもらう前に設備的に合う加工内容かどうかを確認しています。ある程度電話で話を聞いた上で直接見に行くことも多いです。直接見に行ってみないと何が得意かわからないので。

また、やってみないとわからないものもたくさんあります。そんな時は途中でギブアップしてもらいたくないので、形になるまで出来る限りやってもらいます。やり方も教えます。こういうやり方で、こういう精度を出しているというようなところまで踏み込みます。そのため大失敗し大きく損失出したこともありますが(笑)リスクを負いすぎた時もあります。ただ、やりきること、完了させることが大切だと思います。良かったときも、だめだった時でも進捗は報告します。

見積もり出して高かったなら、何をもって高いとしているのかを聞きます。他社でいくらだったという決定価格も聞いて伝えています。

まとめ

以上、野崎社長へのインタビューでした。間に入ることの付加価値を持ち、継続的な取引をするためには、発注側だけでなく、受注側への配慮も非常に重要と感じました。協力工場に依頼するといっても仕事を出してやるというスタンスでは長続きしないということがよくわかります。協力工場への理解を深め、パートナーとして共に仕事を行っているというスタンスが重要と感じました。今後も野崎社長へのインタビューを連載予定です。少しでも売上向上のお役立ちになれば幸いです。

中小製造業の営業力強化に関するお役立ち情報を掲載

テクノポートの井上です。これから何回かに分けて、製造業の営業力強化についての記事掲載していきます。今回は初回ということで、テーマ設定の経緯や、今後掲載するテーマの概要を紹介いたします。

テーマ設定の経緯

なぜ営業力強化というテーマ設定をしたかというと、弊社でホームページの制作・運営支援をさせて頂く中で、新規の引き合いが増えたというお客様が多くいらっしゃいます。ただその後の受注につながっているかというと、受注率は会社によってまちまちです。ホームページにとどまらない領域で問題・課題が見えてくるケースがあります。打ち合わせの中で、受注・失注理由の精査を進めると、広義の意味での営業力(対応力)の差で失注になってしまうケースが多いように感じています。

少しでも多くの受注に繋げれられるような役立つ情報があればと考えテーマ設定をしました。記事については、弊社グループ会社のCOSMO ALPHA株式会社、代表の野崎氏にインタビュー、実際の現場での意見を中心に紹介していきます。同社の事業内容はものづくり商社兼ものづくりコンサルタントです。加工現場経験もあり、営業経験も豊富なため、様々な新規取引先開拓の実績があります。

営業力強化の定義

今回テーマに掲げる営業力強化は、属人的な営業スキルではなく、会社全体として売上を伸ばすための仕組みをどう作っていくか?というマーケティングの領域に近いものと定義しています。それは、営業をしなくても自然と受注ができるような仕組みをつくることが理想と考えているからです。会社全体としてどのような体制で顧客対応をすれば良いかを考察し、紹介していきます。

テーマ一覧

1.問い合わせを頂いてからの対応で取り逃している??
(問い合わせを頂いた後の対応フローについて)

ホームページからの新規の問い合わせが入った際の対応がしっかり確立されている会社もあれば、担当があいまいだったり、その後の経緯を追っていなかったりする会社もあります。そこには受注率を上げるためのポイントや、中・長期での見込み顧客獲得のチャンスがあります。どのような対応が会社にとって、また、顧客にとって望ましいかを考察します。

2.既存顧客のニーズを正確にキャッチできているか?
(既存顧客からの取引拡大方法)

流れてくる図面だけをそのまま作っていると、それがどこで使われているのか?どのように使われているのか?など考える機会が減っていきます。既存のお客様との接点を増やしたり、そこからの取引拡大したりするためにはどうすれば良いかを考察します。

3.取引拡大のために!!
(より良い協力工場を増やすための選定ポイント)

受注の幅を広げるために協力工場をどう増やすか?自社の必要とする協力工場をどのように定義し、どのように増やせばよいかを考察します。

4.トラブル時の対応が大変なので外注できない!
(協力工場を利用する際の品質管理、トラブル対応について)

協力工場は増やしたいけど、増やせないという話をよく聞きます。トラブル時の対応を結局自社でやらなければいけないからです。どうすれば、良い関係性を作ってうまく回すことができるか、その方法を考察します。

5.モノマドをやってみてわかったこと
(個別のニーズを掴む)

協力工場探しの「モノマド」を運営してみて、発注側からの依頼をそのまま流すだけでは、なかなか決まらないことを痛感しています。どこまで、発注側のニーズを理解し、その依頼の背景にまで踏み込んでいけるかが重要だと考えています。発注側へのヒアリングから、ニーズをキャッチする方法について考察します。(モノマドとは

上記のようなテーマを紹介していきます。途中、取材の関係で順番の変更や、タイトル変更があるかもしれませんが、ご了承ください。少しでも受注率向上に寄与できるような情報が提供できればと考えています。

集客力の高いWebサイトをページの役割分担を考慮し企画する

テクノポートの徳山です。集客力の高い製造業のWebサイトを制作するためには、どのようなところに注意して企画を立てたら良いのでしょうか。

今回は「Webサイトの各ページの役割分担」を考慮したWebサイト企画の立て方について解説します。Webサイトを企画する際に行き詰まってしまった方、Webサイトを立ち上げたものの今ひとつ効果が挙がっていない方にご参照いただければ幸いです。

Webサイトの各ページにおける役割とは

Webサイトを企画する時に、各ページの役割に着目したことはありますでしょうか?各ページの役割を意識して企画することで、新規顧客獲得に繋がる集客力の強いWebサイトを作成することができます。

それでは、製造業のWebサイトにとって各ページにおける役割とはどのようなものがあるのでしょうか?順にご説明していきます。

アクセスを獲得するページ(ランディングページ)

まず初めにご説明するのは「アクセスを獲得するためのページ」です。このページは、ユーザが検索エンジンを使いWebサイトを探す際に、最初に辿り着くページとなります。

アクセスを獲得するためには、検索結果の上位に表示される必要があり、SEO対策を施す必要があります。そのため、キーワード調査を行った上でどのようなキーワードでSEO対策するか、検索上位表示させるためにはどのようなページ構成にするか、といった点を考えていく必要があります。対策するキーワードの選定方法に関しては下記記事をご参照ください。

製造業ホームページのSEO 〜対策キーワード選定3つのポイント〜

製造業のWebサイトで言うと、製品紹介、加工事例、技術説明、加工材料紹介などのページがその役割を果たすことが多いです。

ユーザを口説くページ(訴求ページ)

次にご説明するのは「ユーザを口説くためのページ」です。検索エンジンを使いアクセスしたユーザがランディングページに辿り着きますが、ユーザに対し自社の魅力を存分に伝えるために、このページへ誘導する必要があります。

他社のWebサイトと比較検討された際に、口説き文句となるコンテンツを掲載することで、ユーザからの問合せを獲得するのに大きく貢献します。

製造業のWebサイトで言うと、品質の高さ、短納期対応、ソリューション(課題解決)事例、他技術との比較などのページをその役割を果たします。

問合せを獲得するためのページ(クロージングページ)

最後に「問い合わせを獲得するためのページ」です。問合せページを設けることは当たり前のことですが、ユーザが問合せしやすく(問合せしたく)なるよう工夫を施しているWebサイトは意外と少ないものです。

どのようなクロージングページを設けるかで問い合わせするか否かの判断が分かれる場合がありますので、手を抜かないようにしましょう。

製造業のWebサイトで言うと、一般的な問合せページ以外にも、技術相談窓口、資料ダウンロードページ、サンプルテスト依頼ページなどのページがその役割を果たします。また、BtoBの場合は必ず問合せ前に会社紹介ページが見られるので、ここも手を抜かないように注意してください。

各ページが役割を果たせているか効果測定する方法

役割ごとにページを設けた後は、各ページがそれぞれの役割を予定通り果たすことができているのか、効果測定を行う必要があります。ここでは、具体的にどのような効果測定を行っていけば良いのかを解説します。

検索表示回数をチェック

検索表示回数は「Search Console」でチェックします。

Search Consoleで検索表示回数をチェック

検索表示回数が少ないということは、そもそも検索エンジンで自社サイトが表示されていないことを表します。数値が少ない場合は、対策しているキーワードの検索需要が少なすぎることが原因であることが多いので、対策するキーワードの見直しをおすすめします。

ページ別の閲覧開始数をチェック

閲覧開始数は「Google Analytics」でチェックします。

Google Analyticsで閲覧回数をチェック

閲覧開始数が増えないページは、そのページで対策しようと考えていたキーワードでの検索順位が上がっていない可能性が高いです。対策しようと考えていたキーワードの順位と、どのページがランディングページとなっているのかを調べた上で、順位が低いのであればSEO対策を見直す必要があります。SEO対策の方法に関しては下記の記事をご参照ください。

製造業ホームページのためのSEO対策を意識したコンテンツの作り方

直帰率をチェック

直帰率も「Google Analytics」でチェックします(見るページは先ほどと同じです)。

Google Analyticsで直帰率をチェック

直帰率の高いページは、ユーザの期待に応えるコンテンツが不足している可能性があります。また、知識を提供しているぺージの場合は、そのページの情報を見て満足してしまっている可能性があります。この場合は、訴求ページやクロージングページへの導線を見直す必要があるでしょう。

直帰率を下げるためには、ユーザが求めているであろう情報を見直し、コンテンツを増強したり、訴求ページへ誘導しやすいようリンクを設置し直すなど、構成そのものを見直す必要があります。

離脱率をチェック

離脱率もGoogle Analyticsでチェックします。

Google Analyticsで離脱率をチェック

離脱率が高いページは、他社と比較して見劣りするコンテンツがあったり、他社と比較する際に必要不可欠な情報の欠如がある可能性があります。

また、クロージングページである問合せフォームのページの離脱率が高い場合は、問合せフォームの項目自体や、項目の必須・任意設定を見直す必要があります。

ページの役割分担を見直すことで改善活動も行いやすくなる

上述したように、予めページの役割分担を考慮した上でサイト構成を考えていくことで、集客力の高いWebサイトを作成できる可能性が高まるとともに、効果が出ない時にどこをテコ入れすべきかの改善活動が効果的になります。

ぜひ自社のWebサイトを新規制作・リニューアルする際の参考にしていただければと思います。既に自社のWebサイトをお持ちの方は、現在作成しているページがどの役割をはたしているのか、ページの追加を考える時にはどの役割の目的で作るのかの参考にして頂ければと思います。

スパイラル〜町工場の奇跡〜のドラマ化を祝し、町工場TVドラマ特集

TV東京で始まる新ドラマ「スパイラル〜町工場の奇跡〜」を祝し、中小製造業で働いている人なら思わず胸が熱くなる、そして明日も頑張ろうと思えるような、町工場が主役のTVドラマを紹介します。

スパイラルー町工場の奇跡ー

テレビ東京にて2019年4月15日(月)夜10時スタート!真山仁の経済小説『ハゲタカ』のスピンオフ作品をドラマ化したものです。

ストーリー
天才的な発明家だった創業者が急逝し倒産危機に陥った下町の町工場を、銀行員から転身した1人の企業再生家が立て直していく軌跡を描く。「日本のモノづくりの魂」を縦軸に、降りかかる難題や金融機関の論理に翻弄されながらも、町工場という“1つの家族”が世界規模で襲いかかってくる巨大ファンド“ハゲタカ”に立ち向かい奮闘する。

引用 ドラマBiz「スパイラル~町工場の奇跡~」

下町ロケット

(C)TBS

TBS系日曜日にて放送。製造業に携わる方であればほとんどの方がご存知かと思います。『下町ロケット』は、池井戸潤による小説およびシリーズです。これを原作にテレビドラマ化・ラジオドラマ化されています。ドラマでは「下町ロケット」「下町ロケット ガウディ計画」「下町ロケット ゴースト」の3作がドラマ化され、その後のストーリとして「下町ロケット ヤタガラス」が2019年の新春スペシャルで放送され、ひとまず完結しました。 日曜の夜はこれを見て明日から頑張ろう!!と仕事に対するやる気を奮い立たせてくれるようなドラマでした。

ストーリー
佃航平(阿部寛)は、宇宙科学開発機構の研究員。そこでは、宇宙に飛ばすロケットに搭載するエンジンを開発していたが、佃が開発したエンジンを搭載したロケットが打ち上げ失敗に終わり、その責任を取らされて退職。その後死んだ父の経営していた中小企業「佃製作所」の社長となり、社員たちと共に奮闘する姿を描いている。

引用 wikiペディア

マチ工場のオンナ

(C)NHK

NHK総合「ドラマ10」枠にて放送。全7回。『町工場の娘 主婦から社長になった2代目の10年戦争』という実在する大田区のダイヤ精機株式会社の奮闘記を元にドラマ化したのが「マチ工場のオンナ」です。

ストーリー
専業主婦として夫・息子と暮らしていた有元光(32歳)は2004年、愛知県の町工場「ダリア精機(株)」を経営する父・泰造がガンの病で余命数日であることを知る。工場を守ると約束して泰造を看取った光だったがが、経営経験はゼロ。頼るつもりだった夫・大は単身赴任で渡米してしまい、工場の幹部社員である勝俣や純三らは新社長の光の方針に猛反発。取引先の銀行からも軽くあしらわれるなど、数々の試練に見舞われる。しかし、光は主婦時代の経験から得た行動力を武器に困難に立ち向かい、徐々に周囲の理解を得ていく。

引用 wikiペディア

陸王

(C)TBS

TBS系日曜劇場で放送。こちらも池井戸潤の作品です。主演、役所広司の演技に涙し、松岡修造の登場に歓喜したのを覚えています。

ストーリー
埼玉県行田市にある足袋製造会社「こはぜ屋」は創業から100年の歴史をもつ老舗だが、近年は業績が低迷し資金繰りに悩んでいる。そんなある日、四代目社長の宮沢紘一はこれまでの足袋製造の技術力を生かし、「裸足感覚」を取り入れたランニングシューズの開発を思いつき、社内にプロジェクトチームを立ち上げる。 会社の存続をかけて異業種に参入した「こはぜ屋」だったが、資金難、人材不足、大手スポーツメーカーの嫌がらせや思わぬトラブルなど様々な試練に直面する。宮沢たちは坂本や飯山の協力や有村や村野の助言を受けて、試行錯誤を続けながらランニングシューズの開発に邁進するのだった。

引用 wikiペディア

下町ボブスレー

(C)NHK

NHK BSプレミアムにて特集ドラマとして放送。全3話。実話に基づくものですので、参画企業をご存知の方も多いと思います。

ストーリー
東京の下町、大田区の町工場を舞台にボブスレーのソリ製作に挑戦した人々の実話を元にしたオリジナルストーリー。どのような競技なのかも正確には知らず、見たこともない競技用ソリの製作を、成り行きと勢いで引き受けてしまった下町の小さな町工場の2代目と、好奇心程度の軽い気持ちでそれに参加した職人たち。そんなメンバーが、ボブスレーで冬季オリンピック出場を本気で狙う女子選手の不屈の情熱に押されて、職人の意地と誇り=モノづくりの心に火をつけられ、「下町ボブスレー」と名付けられたプロジェクトとして、それぞれの持つ技術を結集してソリ製作に挑戦していく。

引用 wikiペディア

さいごに

どのドラマでも中小製造業で働いている方、特に経営者の方なら共感できるような境遇があり、その逆境を必死に乗り越えていく姿に惹かれるものがあります。 日々の仕事に忙殺され、いつの間にか中小製造業で働くやりがいが何かを忘れてしまうこともあると思いますが、そんな時にはぜひ今回ご紹介したドラマを見て頂き、「明日への活力」にしていただけたらと思います。

製造業の展示会で成果を出すポイント

ものづくり経革広場の井上です。営業活動の一環として出展する会社が多い展示会について、こうすれば反響をもっと上げられるのでは?というポイントをまとめました。

展示会準備編

戦略を立てる

まずは戦略がなければ動き方が決まりません。自社の製品、技術を理解した上で、何をPRしてどのような仕事を獲得したいのか?下記の4つを考え戦略を立てます。

  1. 何の展示会に出すか (展示会検索はこちら
  2. 自社の何をPRしたいか
  3. どのようなお客様に
  4. どのようなメリットを感じて頂きたいか

どの展示会に出展するかによって来場数、来場者の種類、競合の数、出展費用も違います。今回、自社のPRしたいものがどの分野をターゲットとしたいかを想定し、それに合った展示会選びが必要です。例えば製造業の代表的な展示会である機械要素技術展ではものづくり企業ばかりですので、その中でどう差別化を図るかがポイントになります。 逆に、あまり製造業の参加が少ない展示会では、競合を意識するよりもどのような業種・職種のお客様が来るのか?そのお客様に対し何を見て知ってもらいたいのか?展示する物や伝え方を考慮します。 また、異業種の展示会に参加する際には、仮想でターゲットとしたいお客様を作り、利用用途を想定することで訴求内容を考えることが重要です。

訴求方法を考える

戦略が決まったら、それをどのように訴求するかを考えます。どのような製品を展示したらよいか?どのようなフレーズで伝えるか?装飾方法などです。限られたスペースのためあれもこれも出すのではなく、コンセプトに沿った主役を決め少数精鋭で望むほうが伝わります。キャッチコピーについてはこちらをご参考ください

目標を設定する

展示会終了後に振り返りができるように目標を設定し集計しましょう。ターゲットを想定し、アプローチをかけた結果が良かったのか悪かったのか振り返ることが重要です。

数値目標:名刺獲得枚数、商談数、成約数、売上など

展示会は事前告知から始まっている

展示会へ参加する旨の事前告知の目的は2つあります。

  1. なかなか会えない既存のお客様に会う機会が持てる。
    (東京の展示会に地方の会社が出展する場合、都内の顧客に一度にたくさん会えるメリットもあります。)
  2. 新規顧客が事前に情報収集し展示会場に直接訪問して頂ける。

既存のお客様へ招待状を送る場合は、主催者が用意したものをそのまま送るだけでは捨てられやすいため、封筒を工夫したり、招待状だけでなく、どのような内容を展示するかを説明するチラシを同封するなどの方法があります。

新規のお客様へは、ターゲットとしたいお客様が決まっていれば直接メールなり、DM等でアプローチを行います。どのようなメリットが提供できるかを事前に認識してもらうことができれば、展示会中に会いにきてくれる可能性があります。展示会が始まりその場のみで勝負するのではなく、事前にアプローチしたほうが商談の確度の高いお客様見込みを作ることができます。御社に会いに来たと言ってもらえれば大成功です。

展示会期中

会期中は技術者を常駐させる

準備ができていれば、あとは行動だけです。来場するお客様へヒアリングを行い、情報収集します。展示会には営業だけでなく技術者も参加したほうが、より具体的な話まで進みます。来場者も営業ではなく、技術者と話したいというニーズがあり、また、技術者もユーザーと直接話す機会ができ刺激になります。呼び込みについてですが、キャンペーンガールを雇ったり、ノベルティを配ったりすることでたくさんの名刺を獲得する方法があります。名刺は多く獲得できますが、そこから見込み客を精査するのは大変なため、一長一短です。人がフロントに立つと製品が後ろに隠れてしまうことがあります。展示物をまず見てもらいたいため、一歩下がって見守るほうがお客様にじっくり製品を見てもらえるので、個人的にはそのほうが呼び込める気がしています。また、訪れた方にどのタイミングで声をかけるかですが、正解というのはなく個々のお客様によって異なります。常に集中して相手を観察し自分なりのタイミングで声をかけることが必要です。

会期中に頂く名刺ですが、各個人が獲得した名刺を整理するのは大変です。会期中にEightWantedly Peopleなど名刺管理システムを使い、データ化しておくと後々楽になります。

展示会終了後

出来るだけ訪問に繋げる動きを

展示会終了後、獲得した見込み客に対しどこまでアプローチをかけられるかが、顧客獲得の明暗を分けます。せっかく出来た接点を無駄にしないために、できる限り訪問につなげる動きが重要です。先方としては近々に頼むものは無いかも知れませんが、将来の見込みとして、面談まで繋がっていたかどうかで関係性は変わります。面談なんて効率悪いし、案件があれば連絡来ると考えるかも知れませんが、接点の回数を増やすことは関係性を築くためにも重要です。

また、あなたと取引したいという意思も伝わります。展示会中はあまり得意でない仕事もできますと言ってしまうケースはあり、来場者も本当にできるのか疑っている部分もあります。古い考えかも知れませんが取引をしたい意思は、こちらから出向くことでより伝わると思います。

最後に

これからの展示会の成果は社内のフォロー体制で変わる

社内を留守にすること数日間、戻れば通常業務が溜まっており、それを片付けることからスタートするのが展示会後のよくある話です。せっかくお客様と名刺交換しても、しばらくすれば先方の印象も薄れてしまい、その後のクロージングが出来ずに終わってしまうことも多々あります。その大事な時期に、通常業務の負荷も高まっていたら、新規に取り組む力は半減してしまいます。会社全体として情報共有・連携をとりながら展示会後の新規営業・通常業務を同時並行できる体制を作れるかどうかにかかってくると思います。具体的には社内の情報共有の仕組みづくりや、特定の人しか出来ない仕事を減らし、だれでもフォローできる業務体制の構築などです。展示方法はどこの会社も年々レベルアップしてきているため、そこでの差別化は難しくなってきています。今後、展示会でさらなる成果を上げるためには、そのような社内の業務効率化によるフォロー体制の強化がポイントになってくると思います。

ぜひ参考にしていただけたら幸いです。

こちらも参考までに

デザインから入ってはダメ!利用用途から企画するパンフレット

ものづくり経革広場の井上です。今回はHPと同様、販促ツールとして重要なパンフレットの作成手順についてです。展示会では必須のアイテムで、その出来栄えによって会社に対する印象が大きく変わります。そのパンフレットについて、どのような手順で作り込んでいけばよいか?その手順を紹介いたします。

デザインやページ数から入ってはダメ

最初にいきなりデザインやページ数を決める方が多くいらっしゃいますが、それでは目的がずれてしまいます。デザインや、ページ数を先に決めてしまうと、どうしてもそれに合わせた内容や、中身のボリュームを考えなければならず、「この枠にこれは入れられない」「ここにはこれを入れたらキレイだ」など見栄えが中心となってしまい、中身が伝わらない可能性があります。それよりもパンフレットを使って何をしたいかを考えることが先決です。

具体的な作成手順

①用途・目的を考える

リクルート用、営業用など、利用用途によって内容は大きく異なります。営業用であれば、ターゲットを絞ったものなのか、会社の事業内容全体を網羅したものが良いかなど、利用方法によっても載せる内容、見せ方は変わってきます。まずはどのような利用シーン・用途で、主に誰に見てもらうためのものかを考えることからスタートします。

②必要なコンテンツを決める

例えば営業用であれば、お客様先へ訪問した際や、展示会での説明の利用シーンが想定できます。自分が営業で説明する時に、どのようなものが必要かを考え、項目をリストアップします。

③コンテンツを載せる順序を考える

営業では、お客様の興味を持っていただく順番は何かを考え、それに沿った順番で説明するかと思います。パンフレットでも同じ順番で掲載することで、営業が説明せずともパンフレットを順番に見ていただくことで、ある程度の内容を把握していただくことができるようになります。

④コンテンツごとの詳細を決める

載せるコンテンツ・順序が決まってしまえば、あとはコンテンツの中身となる写真・イラスト・文章を考えます。事業内容を載せるだけでなく、特に伝えたいものは何かを考えます。

⑤デザイン・ページ数を決める

上記の流れで考えると、全体のコンテンツボリュームが自然に決まりますので、それを加味してどれぐらいのページ数が必要となるかが決まります。そして、最後がデザインです。もちろん、会社全体としてのテーマカラーや与えたい印象等があると思いますので、それを踏まえデザインコンセプトを決めます。 ここまでがパンフレットの構成部分です。

⑥デザイン制作〜印刷まで

その後のデザイン制作〜印刷までの流れですが、制作会社に構成をもとにデザイン依頼をするか、もしくは自社でデザインをしてネット印刷をすることが可能です。ただ、自社で制作するといっても画像編集ソフト(イラストレーター等)を利用しないと難しいです。そして印刷は失敗してもHPと違い修正ができないため、不安な方は専門業者にお願いしたほうが無難です。

最後に

HPにしっかり情報を載せていればパンフレットはいらないと思う方がいらっしゃるかも知れません。ですが、例えば他部署への回覧でパンフレットが回ったり、他のヒトへ紹介する際にパンフレットを手渡しすることもあります。そのパンフレットを見た後にHPを見る方もいらっしゃいます。そのように手に取れるモノとして残ったほうがきっかけを生み出すこともあるため、HPだけでなく複合的な販促体制をつくることが重要です。また、最近では印刷料金がだいぶ安くなってきていますので、印刷部数を少ない単位で発注し、定期的に中身を編集して再印刷することも低コストで可能となっています。ぜひ、HPだけでなく、パンフレットの見直しも定期的に行ってみてはいかがでしょうか?

コスパのよい特許出願 その2

弁理士の亀山夏樹です。小職は、中小企業200社以上の相談実績があります。今回はコストパフォーマンスのよい特許出願について、これまでのお客様の相談内容を振り返りながら考えていきたいと思います。

1.とある日の特許相談

大昔に、別の弁理士さんに依頼して特許出願を出したことのあるお客様(その1の記事とは別のお客様です)。第1回目の面談では、特許取得がテーマでした。面談では、発明の概要を伺うのですが、弊所では、それ以外のことも把握します。その理由は、無駄な特許をなくすためです。言い換えれば、特許のコストパフォーマンスを向上させるためです。

そこで、弊所の面談では、発明に至った背景はもちろんのこと、これまでのマーケティング活動についてもヒアリングします。そのお客様は、マーケティング活動をしっかりとされている方でしたので、お客様のお話を聞いているかぎり、その発明は市場に受け入れられる可能性が十分にありそうだ、と思いました。さらに、そのお客様の規模からすると、大化けする可能性もあるようです。

2.ところで、ビジネスモデルは?

お客様:だから、このアイデアを特許で防衛したいのです!

かめやま:ところで、このアイデアを使って、どのようなビジネスモデルを考えていますか?

お客様:え・・・!?

かめやま:「誰にどのような形でアイデアを提供し、誰から売り上げを立てるか?といった仕組み」です。一緒に検討しましょうか?

お客様: お願いします。

(数10分後)

かめやま:考えられるパターンは、A~Bの2つの案。ビジネスモデルAであれば、アイデアの要素アが肝になります。ビジネスモデルBであれば、要素イが肝になります。2つをミックスすると、最初にモデルAで回した後、モデルBで回す・・・ということも可能です。

お客様: 驚きました。モデルAのようなものは、取引先からもチラっと言われましたが、モデルBや、2つのモデルのミックスもありえるのですね。

かめやま:そうなんです。大切なことは、ビジネスモデルの肝となる要素を特許でガードするということです。ビジネスモデルAでいくなら、アの特許権をとることが必要なりますし、ビジネスモデルBでいくなら、イの特許権をとることが必要になります。さらに、両にらみで行くのであれば、ア・イの両方を抑える必要があります。逆に言えば、ビジネスモデルAでいくなら、イの特許権をとる必要はありませんよね。

お客様:確かにこれなら、無駄な特許権は減らすことをできますね。

かめやま:特許は投資です。ビジネスモデルを考えながら、肝となる部分(ガードすべき優先度の高い部分)から特許で抑えていく、という観点が重要です。

お客様:これなら無駄な特許は減りますね。

その後・・・

結果的に、ビジネスモデルA・Bの統合案でいくことになったため、それぞれビジネスモデルの肝となる発明ア・イについて特許出願を済ませました。そのお客様は、いくつもの商談が前に進むこととなりましたが、その1つの商談相手は、お客様よりも大きな規模の企業。ですが、先方が欲しがっている商品は、要素アのアイデア。こちらは、すでに特許出願済です。特許出願済の交渉力により、お客様の立場を維持したまま商談に臨めそうです。

3.まとめ

1、特許権や商標権で抑えたいところはどこ?

特許権や商標権で抑えたいところの1つは、ビジネスモデルの収益源。

2、収益源はどこ?

収益源が何になるかはビジネスモデルによっても変わる。

市場浸透の速度もビジネスモデルによっても変わる。

3、自社にとって実現可能なモデルは?

営業活動を通して、どのビジネスモデルが自社にとって望ましいかを検討する。

4、当初の目論見は外れた場合の準備をする

営業活動を通して、出願前の目論見が外れる場合もある。このため、弁理士と適宜情報交換が必要。

5、必要に応じて次の手を打つ。

当てが外れれば、補強のための追加出願をすることも・・・。そうでなくとも、次の一手(アライアンスなど)のための契約やその交渉準備・・・。場合によっては、こちらの交渉力を上げるために別の出願を行うことも。

何かの参考になれば幸いです。

営業活動のコツはアフターフォロー、顧客数を3割アップさせた白根電機産業

ものづくり経革広場の井上です。今回は長年、積極的に営業活動に取り組んでいる白根電機産業に訪問し、どのような営業活動をしているのか、新規開拓のコツなど普段あまり聞けないことを取材してきました。同社はマーケティング大全という本に成功事例としても掲載されている会社です。新規営業の窓口の杉末さんと萩谷さんにお話を伺いました。

会社紹介 白根電機産業株式会社

白根電機産業は東京都品川区にて樹脂切削業を営む会社です。以前にHP制作事例で紹介させて頂いているのでこちらもご参照ください。

積極的に営業活動を始めたきっかけは?

杉末:リストラが世間で多かった十数年前になるのですが、仕事が無くなってからでは遅いと当時の代表が考え、「会社全体として営業活動に取り組もう」と号令をかけたのがきっかけです。号令だけだったので具体策は無く、手探りだったので、既存のお客様からの紹介、電話帳からのアポ電話、飛び込み営業などが主でした。

営業手法はそれから変わりましたか?

杉末:さすがに電話営業等に限界を感じ、2010年ごろから展示会に出るようになりました。最初は信用金庫さんの展示会に無料で出れるからということで出展しました。コンセプトもブレブレで、あるものを何でも展示していたので、自社でできない加工の相談が多かったです。まずは試しにという気持ちだったので失敗しても良かったんですが色々勉強になりました。それから機械要素展や産業交流展に出展しました。

ーその後の展示会でなにか工夫した点はありましたか?

杉末:展示サンプルを絞ったことと、全面に出すサンプルは何が良いか考えました。弊社の場合はアクリル製品が見栄えも良く、光っていたのでそれを全面に出したら結構お客さん来てくれましたね。その時の目線を観察していたんですが、まず製品を見て、そこから一歩下がって上の看板を見るんですね。「なるほどまずはサンプルを見て、それから会社を見るんだとな」と思いました。ちなみにその後の展示会で前面に出すものを塩ビに変えてみたんですが、まったくお客さん来なくなりました(笑い)展示の仕方って大事ですね。

ー展示方法でそんなに反応変わるんですね。その他に取り組んだことはありますか?

杉末:ちょうど展示会で永井さん(テクノポート名古屋営業所長)と出会って、その後にHPのリニューアルをお願いしたのも営業として取り組んだことの一つです。何をしている会社かしっかり明示することで新規の問い合わせが増えました。また、展示会に来る方は図面を持って具体的に頼みたい人と、情報収集している人がいるので、その時は決まらなくても、展示会が終わって何ヶ月後かにHPを見て問い合わせ入れてくるケースがあります。

ずばり!営業活動の成果は?

杉末:営業活動を始める前は継続でお仕事頂けるお客様が20~30社ほどだったのですが、プラスで10社ほど増えました。単発での受注を含めると数えきれないほどですけどね。また、ある一定の新規開拓数を超えると対応力が落ちてしまうため、既存のお客様と新規のお客様のどちらも大事にできるように、出展する展示会も年1件ほどに絞っています。さすがに電話営業や飛び込み営業をしなくてもよい営業スタイルが確立できました。

営業活動のコツって何かありますか?

杉末:展示会でのアフターフォローを徹底しています。あまり言いたくないですが、頂いた名刺にお礼メールを会期中に送ります。それも定形メールではなくその時に話した内容を個別に入れます。展示会が終わってからは電話で後追いを行い、面談します。

ーそこまでするから受注率が違うんですね。会期中にメールって大変ではないですか?

杉末:展示会場にいる自分では無理ですので、社内に連絡し、社長に送ってもらってます。

ー全社的な取り組みなんですね。

杉末:はい、現社長も商社出身ですので、営業手法にこだわっています。また、展示会には営業も製造現場の者も含めて参加するようにしています。なぜ現場の者も必要かというと、お客様は技術の人と話したがっているケースが多いんです。どうしても営業側の説明だと嘘臭く感じてしまうケースもあるので、技術側の者にその場で話してもらうことで信用の度合いが変わってきます。ちなみに製造側は作ってなんぼなので、忙しい時に現場を離れる必要があるのか?という製造側の意見もあるのですが、そこは社長に号令をかけてもらっているのでやりやすいですね。

ーもう一つ気になるのが、見積もりの問い合わせが入った際の対応方法について聞いて良いでしょうか?

杉末:対応可否はできる限りすぐします、電話かメールですね。外注も利用しますが、自分である程度の対応可否の判断はできるので当日には行います。見積もりは翌日までがほとんどです。2日後に返事すると遅いと言うメーカーさんもいらっしゃいます。

ー対応可否の連絡を入れてくれるのはありがたいですね。

杉末:はい、レスポンスが早いと他社検討せずにそのまま決まるケースもあります。逆に時間が経ってしまうと他社検討も入り受注する確率が低下します。

ーレスポンスは受注率にも影響するんですね。ありがとうございます。最後になにか営業のアドバイスあればぜひ!

杉末:そんなに大それたことは言えないですが、めんどくさいと思ったらその仕事はやったほうが良いと考えています。普段のルーチンの仕事は慣れているため楽ですが、新規は大変です。特に立ち上げ当初はお客さん側でも仕様が決まっていないこともあり、ヒアリングを慎重に行い要件を固めていく必要があります。他社では躊躇するような、そのめんどくさいの先に受注が待っていると思っています。どこにでもできそうな相談であれば、他に流れる可能性もありますからね。

ー大事にしたい考えですね。どうしても慣れた方を選んでしまいがちなので、私も胸に刻みたいと思います。

普段はあまり伺うことができない営業活動について詳しく教えて頂き本当にありがとうございました。

その他プチ情報

おすすめの展示会は産業交流展だそうです。機械要素は集客率は高いが最先端を求められることが多いためマッチするものが少ない。産業交流展は差し迫った案件が多いため決まりやすい。また、来客は少ないのでゆっくり話ができる。

今後の営業活動の参考にしていただけたら幸いです。

まだ間に合う!! IT導入補助金を活用したITツールの導入(3次募集中!!)

IT導入補助金とは

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツール(ソフトウェア、クラウド利用費、導入関連経費等)を導入する経費の一部を補助するものです。導入企業の中小企業・小規模事業者等の生産性の向上を図ることを目的としています。IT導入補助金は昨年から始まりましたが、今年は昨年の100億円から予算が大幅に増え、500億円の予算となっています。現在3次募集がスタートしたところですが、まだまだ予算も多く残っているようで、補助金の獲得は十分に期待できます。弊社でも9割を超えるお客様が採択されました。

3次募集要項

  • 補助額 : 1/2以内(上限50万円)
  • 対象 : 従業員数300名以下の中小製造業者
  • 募集期間:2018年9月12日(水) 〜 2018年11月19日(月)

※3次公募は、2週間毎に審査を行い、複数回採択となっております。

補助金対象

  • 社内外HP作成費、1年間のWebサーバー利用料(既存HP更新、改修は対象外)
  • 契約記載の運用開始日から1年分の問合せ&サポート保守費用
  • パッケージソフトの本体価格
  • クラウドサービスの導入・初期費用
  • クラウドサービスにおける契約記載の運用開始(導入)から1年分のサービス利用料・ライセンス・アカウント料金 パッケージソフトのインストールに関する費用
  • ミドルウェアのインストール費用
  • 動作確認費用、ITツール導入に伴う教育・操作指導・事業計画に関わるコンサル費(※関連会社、取引会社への説明会費用などは対象外)

補助金の対象になるかどうかは、導入を検討しているサービスを取り扱う業者がIT導入補助事業社であり、そのサービスがIT導入支援ツールに登録されていることが条件になります。

よく頂くご質問

申請の手間は?

できる限り申請を簡略化する方向性のようです。理由としては50万円の補助金をとるために手間がかかるなら申請をする方が減ってしまいます。また、一社あたりの補助最大額50万円で予算500億円を消費するとなると、10万社に行き渡る計算です。審査する側も大変な労力がかかります。そのために補助支援事業者を立て、申請代行を行う形式とし、さらに書類は郵送ではなくWeb上で申請まで完結する仕組みを採っています。弊社でも申請代行を行っていますが、慣れてしまえば非常に簡単に申請代行できました。

採択される確率は?

相当高い確率での採択が期待できます。弊社でも9割以上で採択されており、ほぼ通ると考えていただいても良いぐらいです。ちなみに、3次募集の期限は11/19までとなっています。1次2次は全体の締め切りを待って採択結果を出していました。しかし、3次は2週間毎に審査を行います。全体を見てその中から採択するというやり方ではなく、条件さえ満たしていれば通るということではないでしょうか?(※あくまで個人的な推測ですが)

採択されなかったらどうなるの?

この質問の意図は通らなくても契約しなければいけないのか?ということだと思いますが、規約上、採択されてから契約したものでないと補助金は出ず、採択前に契約したものは無効です。そのため、通らなくても契約しなければいけないわけではありません。通ればやるという心構えで大丈夫です。また、採択されなかった際に、補助金無しでも導入したいのか、来年度に再度チャレンジを検討すればよいかと思います。

何からスタートすれば

前述の通り、自社で申請スタートすることができません。サービス提供することができるIT導入補助事業者を選定し、補助事業者から招待メールを受け取るところからスタートします。

準備が必要なもの

直近3期前までの下記の赤丸部分の数値が必要となります。2期とありますが正確には3期分必要でした。その他、履歴事項全部証明書は場合によって必要になることがあります。それさえご準備いただければ、特に印鑑等も必要なくWeb上で申請まで進めることができます。

申請の手間がそこまでかからず、非常に採択率の高い補助金ですので、ITツールの利用(HPのリニューアルなど)を検討の際はぜひ活用していただければと思います。

製造業×シェアリングエコノミーの可能性

製造業におけるシェアリングエコノミー普及の可能性

UberやAirbnbなど、シェアリングサービスが爆発的に普及しています。現状では消費者間をマッチングするサービスがほとんどですが、今後は会社間のマッチングを支援するプラットフォームが増えていきそうです。これまでの動向を見ていると、資産価値が高く使用頻度が少ないものがシェアリングエコノミーに巻き込まれる傾向が見受けられます。その傾向から考えると、今後は製造業の設備なども当てはまるかも知れません。

今回のブログでは、今後の製造業におけるシェアリングエコノミーの可能性について探っていきます。

可能性① 製造業でもエンドユーザ同士が結びつく

1つ目の可能性は、製造業でもUberやAirbnbのようにエンドユーザ同士が結びつくサービスが普及する可能性です。具体的には自社の設備や人員を会社間でシェアできるようになる、といったイメージです。

しかし、普及における大きな課題として、各工場が抱える機密情報により工場内に外部の人間が入ることが許されない場合が多いことが挙げられます。シェア用に設備スペースを設けるなどすればよいかも知れませんが、そこまで設備投資を行うほど市場が出来上がっていないのでリスクが大きいのが実情かと思います。

この分野に関しては、新サービスが少しずつ増えていますで後ほどご紹介いたします。

可能性② 工作機械メーカーがシェアリングサービスを始める

カーシェアの分野では、Anycaのようにエンドユーザ同士のカーシェアを支援するプラットフォームもあれば、タイムズのように事業者が所有する車をエンドユーザにシェアする形のサービスもあります。

可能性①で記載した普及のための課題をクリアできない場合、タイムズのように事業者がエンドユーザへサービスを提供する形のほうが製造業では普及しやすいのかも知れません。例えば、工作機械メーカーがシェアリングサービスを始め、各地にシェア工場を開設し時間貸しで機械を利用できるようにする、といった感じです。

これは工作機械メーカーのビジネスモデルが大きく変わるので、業績が堅調なうちは動きがないかも知れません。しかし、あらゆる産業におけるビジネスがストックモデルを目指し始めている背景からも、工作機械メーカーや新規参入者が当サービスを始める可能性は十分に考えられます。

可能性③ オンライン完結でものづくりができるサービス

3Dプリントの分野に特化し、世界各地の工場設備の生産力をシェアしてもらえるサービスを提供しているカブクといった企業がいます。ものづくりを仲介するという意味では従来の商社とやっていることは似ていますが、オンラインでものづくりの発注業務を完結できるように仕組化していることが全く違うところです。

オンライン化により受注業務に人が介在しないことで圧倒的に安くできます。また、オンラインで工場をつなぐことで、空いている工場を探す時間が不要になり圧倒的に早くサービスを提供することが可能になります。IoTやロボティクスが普及する中で、空いている工場の生産力をまとめ(シェアしてもらい)、生産工程の一部をオンライン化することで付加価値を見出すようなサービスは今後増えていきそうです。

製造業向けシェアリングサービスが増え始めている

ここ最近、最もハードルが高いと考えられている可能性①の分野において新規参入業者が増え始めています。どのプラットフォームもまだ参加ユーザは少ないですが、今後の動向に注視していきたいものばかりです。

シェアリングファクトリー(日本特殊陶業株式会社)

工場間で加工設備などをシェアリングできるサービスです。四輪・二輪車向けエンジン点火プラグと排ガスセンサーを扱う日本特殊陶業が新規事業として始めました。

ものづくり補助金などで設備投資を行う機会は増えたが、高機能すぎて使う機会がなかったり、操作できる人員がいなかったり、稼働率がなかなか上がらないという悩みはよく聞くので、そういった悩みを抱える企業の参加者が増えるかも知れません。

エクイップ(Anyble株式会社)

計測器・測定器に特化したシェアリングサービスです。計測器・測定器などを地方自治体が運営する施設でレンタルすることは多いと思いますが、そのような貸し借りを誰でも活用できるようにするプラットフォームです。

製造業では普及に時間がかかる?

様々な可能性について言及してきましたが、製造業のシェアリングエコノミー普及については、各工場が抱える機密情報がクリアできるかどうかが最大の課題となり、数年での普及は難しいと考えられます。

エンドユーザ同士が直接取引できるプラットフォームができたとしても、課題がクリアできない場合は、メルカリのように設備の売買をエンドユーザ同士で直接行うサービスが限界なのかも知れません。

いずれにせよ、製造業においてこの分野は大きな変化をもたらす可能性は非常に高いので、引き続き動向を追っていきたいと思います。

工場の熱中症対策2018

こんにちは、ものづくり経革広場の井上です。最近では温度調節ができている工場が増えてきましたが、暑い工場で働いている方もいらっしゃると思います。熱中症対策に使えそうなアイテムを調べましたのでご紹介します。(2015年に掲載したものから最新の物を追加しました。)

そもそも熱中症とは…

高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調整機能がうまく働かないことにより、体内に熱がたまり、筋肉痛や大量の発汗、さらには吐き気や倦怠感などの症状が現れ、重症になると意識障害などが起こる症状のことです。就寝中など室内など炎天下でなくても発症します。

熱中症予防のポイント

  • 暑さを避けることが大事
  • 適度な水分(ミネラル)補給
  • 十分な睡眠
  • 丈夫なからだづくり

ハイテク技術を使った熱中症対策

この1~2年で急激に増えてきたのが空調服です。

「空調服」とは服に付いた小型ファンで、服の中に外気を取り入れ、体の表面に大量の風を流すことにより、汗を気化させて、涼しく快適に過ごすことができる製品です。小さい頃に風呂上がりに服の中に扇風機の風を入れて涼んだ人も多いと思いますがそのイメージです。

原理的には昔からあったものですが、技術進化によりより軽く、安価に、長時間の利用ができるようになってきています。工場現場などでの利用がメインですが、最近ではおしゃれなデザインや、スリム化されたものが増えてきているため、レジャー関連にも利用者が増えているようです。将来的には酷暑が続く中、温度管理に加えて紫外線対策にもなる為、全身を空調服で覆った状態で出歩くのが普通になるかもしれませんね。近未来のSF映画にあるような世界です。

IoT関連の熱中症対策

社員の健康管理も含めたサービスが近年増えつつあります。

心拍数を計る衣料品(クラボウ)

建設・運送作業者の健康状態を把握し、熱中症にかかるリスクを推定するサービスとして提供しています。専用シャツ「スマートフィット」には電気を通す繊維が使われており、心拍数をシャツに取りつけた小型の通信端末に伝えます。測定した温度などとともにクラウドへ集め、熱中症にかかるリスクを自動解析してくれるというものです。

リストバンドによるバイタルチェックサービス(KDDI)

「+バイタルセンシング」は、作業員が装着するリストバンドによって周囲の温湿度や作業員の脈拍などを測定し、作業員ごとに熱中症の危険度を推定します。危険と判断した場合は、作業員本人や現場作業責任者、作業管理者にアラートを通知します。「+転倒検知」は、作業員が装着するベルトによって加速度などを測定する。作業員が作業中に転倒・転落した場合は、アラートを通知します。

リストバンドによるバイタルチェックサービス(NTTPCコミュニケーションズ)

IoTデバイスのリストバンド型バイタルセンサーを利用し、装着した作業員の脈拍数と現在地の情報をスマートフォン経由でクラウドに送信します。管理者はこの情報を参照することで、各作業員の健康状態などをリアルタイムに把握することができるようになります。

その他 手軽にできる熱中症対策 4アイテム

①クール速乾タオル

100%冷感繊維材質というハイテク技術を用いたクールタオルで、ひんやり感が長時間持続します。

②ネッククーラー

2

価格:1000円未満

水を含ますだけで冷感が長時間持続するネッククーラー。繰り返し使えるのでエコで経済的!ちなみに、首の付け根には太い血管が通っていて、首筋周りを冷やすと効果的に体温を冷やすことが出来ます。

③携帯型(首かけ)扇風機 マイファンモバイル

1

価格:1000円未満

友人が持っているのを実際使ってみました。涼しいのでおすすめです。ただ、動く仕事だと、ひもがくるくるまわったりしたりして、ちょっと使いづらい印象です。じっとしてる仕事なら良いと思います。

④冷感ヘルメットインナー

3

価格:2500円前後

上の2つに比べると少し値は張りますが、ヘルメットや帽子をかぶる必要のある現場が多い工場にはもってこいではないでしょうか?ちなみに、ゴルフの時に帽子の中に入れて使っている方もいらっしゃるようです。

水分(ミネラル)補給について

1.経口補水液

熱中症対策の基本中の基本となるのは、こまめな水分、塩分補給です。麦茶や冷水より、スポーツドリンクなら塩分・糖分を同時に摂取することができます。さらに効果的な水分の摂取方は、経口補水液です。脱水症状の際に水分だけではなく、電解質も多く失われてしまいます。これまでは点滴などで補給をしていましたが、経口補水液なら簡単に水分と電解質を補給することが可能です。どうやら売り切れの店舗が多いようです。

2.塩飴

4

価格:200円前後

言わずと知れた塩飴です。効果のほどは検証できないのでわかりませんが、熱中症の原理的には塩分補給は重要と言われてます。ちなみに、塩飴を袋全部(2~3g)食べてもカップラーメン1個の塩分(5g程度)より少ないので安心してください。ただ、高血圧症の方はご注意下さい。また、食べ過ぎは糖分のとりすぎ、虫歯にご注意が必要です。

熱中症対策・健康管理は会社として

健康管理は個人に任せてしまうと、お金をかけるのを嫌ったり、自分は大丈夫と過信する社員さんが出てくる可能性があります。貴重な人材の急な欠員は仕事にも大きな影響を及ぼします。高齢化も進んでいく中、仕事中の健康管理も非常に重要なテーマになってきていると思います。皆様の会社での暑さ対策、オススメがあればぜひぜひ共有して頂けたらと思います。

それでは夏の後半戦

張り切っていきましょう!!

補足資料

一日の食塩摂取量について
★健康な成人の場合の一日の食塩摂取量:
男性 : 8.0g未満  女性 : 7.0g未満
(2015年4月からの厚生労働省推奨食塩摂取量の目標量)
★高血圧の治療を要する人:
6g以下  (高血圧治療ガイドライン2014年版より)

石油に頼らない!タンパク質素材の時代が近づいている

ものづくり経革広場の井上です。今回は、個人的にとても気になっている「クモの糸」について紹介します。鋼鉄よりも強靭でナイロン以上の柔軟さを兼ね備えている夢の繊維「クモの糸」は世界中が注目しています。山形のベンチャー企業が世界で初めてクモ糸の量産化に成功したという発表があったのが5年前ですが、実用化に向けた取り組みが着々と進んでいるようです。「クモの糸」がどのようなもので、また、どのような活躍が期待されているか調べました。

何がすごい「クモの糸」

「クモの糸」を一言で表すなら、世界で最もタフな繊維です。軽さはF1などに利用されるカーボンファイバーの4割軽く、強度は鋼鉄の4倍、伸縮性はナイロンを上回り、耐熱性は300度を超えます。例えば直径1cmのクモの巣を張れば、飛んでいるジャンボジェットを捕獲できるぐらいの強度だそうです。あらゆる産業に応用可能な素材であり、革新性を挙げればキリがありません。しかし、「クモの糸」を実用化するには課題がありました。

量産・実用化への長年の課題

クモの糸の過程

クモ糸の人工合成は、遺伝子情報の解読が始まった1990年頃から、世界中で研究が進められたそうです。米軍が軍事用に実用化の研究に取り組んだのを始めに、ドイツ、イスラエル、スウェーデン、ロシア、中国、韓国などでも研究が進められたそうですが、2013年頃まで量産化も実用化もできていませんでした。それには2つの問題がありました。

生産コストの問題

クモは縄張り争いや共食いが激しく、蚕のように人工飼育できません。世界の研究者は、遺伝子工学を駆使し、宿主となる生物にクモ糸のタンパク質を作る遺伝子を組み込み、大量に生産させる方法を模索しました。これまで色々な生物でテストが行われたそうですが、いずれの方法も生産コストが高すぎ、生産効率も悪く実用化できていませんでした。 色々な生物の中で微生物を使うことが最も効率的だと考えられていましたが、ここにも大きな問題がありました。クモ糸のように、巨大で複雑な分子構造をもつタンパク質を、微生物に効率よく作らせることは非常に困難だったのです。微量のタンパク質を確保するにも、何億という単位のコストがかかると言われていました。

安全性の問題

繊維を作るためには、微生物から分離・精製したタンパク質を一度溶かし、紡糸する必要があります。しかし、クモの糸のタンパク質は、非常に溶けにくいという問題がありました。唯一溶かせて加工できると言われていたのが、フッ素系の溶媒のHFIPや、HFAcでしたが、人体や自然環境に対して非常に強い毒性をもち、しかもコストが高いため量産には向いていませんでした。

イノベーションにより量産技術を確立

微生物による量産技術の確立

クモの糸でできたドレス
http://www.japanfashion.or.jp/creation/wp-content/uploads/sites/7/2016/04/Spiber.pdf

そのような課題を乗り越えて世界で初めて人工クモ糸繊維の量産基盤技術を確立したのが日本のベンチャー企業 Spiber株式会社(山形県鶴岡市)です。 単純な微生物にもクモ糸のたんぱく質が作れるよう、合成した遺伝子をバクテリアに組み込んで培養し、たんぱく質を生成しています。また、課題であった安全性に関してもクリアした紡績技術を確立し、合成クモ糸の量産を可能にしました。この技術は5年ほど前には確立され、今では他国でも技術が確立され、クモの糸の実用化競争がスタートしています。調べた限りでは下記の2社がありました。

①カリフォルニアのベンチャー企業ボルト・スレッズ
2015年頃 発表し最近までで2億ドルほどの資金調達に成功しています。
https://www.wwdjapan.com/528756

②米国のクレイグ・バイオクラフト
2016年にクモ糸繊維の生産をベトナムで開始したと発表しています。
https://www.digima-news.com/20160318_4216

さらに超える技術

その他にも去年、理化学研究所で、「化学的手法でクモの糸を創る」という発表がありました。クモ糸タンパク質の構造を模倣したポリペプチドの合成する手法で、微生物法よりもより効率的に量産が可能と発表しています。
http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170119_1/

今後の可能性

投入されている金額の大きさからも、クモの糸は様々な利用用途が期待される、未来の素材ということがわかります。 個人的に2つの可能性に注目しています。

①「現代の石油由来の素材時代から、タンパク質素材の時代に変化する可能性」

微生物に異物のタンパク質を作らせる技術は、クモの糸に限らず転用できる可能性があるのだと思います。今は、クモの糸という代替できない超高性能素材のため優先して生産されていますが、微生物による量産技術がさらに発展すればコスト低減により従来の材料の代替品としての利用が期待できると思います。例えば、シロアリの顎はタンパク質と金属の複合素材のようなものでできていて、チタン合金と同じくらいの硬度があるそうです。天然資源に頼っている以上、限りあるものであり、また、供給元との力関係により値段が大きく変動します。もし、将来、無限に安定供給できる資源を確保することができれば、産業構造は大きく変わると思います。材料自体を自社工場(微生物培養)で作ることも可能になるかも知れません。

②「ぶつかっても人が怪我をしないクルマ」

トヨタ Kinetic Seat Concept
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/13490539

2012年からSpiderとトヨタ自動車の協力企業で樹脂部品などを製造する自動車部品メーカーの小島プレス工業が共同で研究開発しているテーマです。「クモの糸は」本来は相反する特徴の「強さ」と「伸び」を併せ持つ素材のため、クルマの構造部材にに利用すれば「ぶつかっても怪我をしない車」ができるのではというアイディアです。これが本当に実現すれば事故で悲しむ人を減らせるようになる素晴らしい技術だと思います。

まとめ

クモの糸というと、現代の工業製品には関係ないと思うかも知れませんが、GFRPやガラス入り樹脂等の高機能樹脂の需要が高まっていることを考えれば、それに代わる材料として、タンパク質由来の材料が台頭してくる可能性は充分あると思います。自動車部品としての代替の研究も進んでいることから、近い将来、クモの糸配合の材料を加工する日が来るかも知れません。今後も注目し、動向を追っていきたいと思います。

ホームページを使って量産品製造の問い合わせを増やす方法

こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。

かつては国内にあった多くの量産品は中国に流れてしまい、国内での受注は特に難しくなってきています。しかし、最近では品質などの問題で中国からの出戻りがあったり、工場が近い国内で作る流れが戻りつつあります。もちろん、量産品に求められるものはコストダウンがメインで薄利多売な仕事となりますが、それでも量産品は安定した受注を見込めるため、魅力的な仕事です。今回はホームページを使って「どのようにして量産品を受注できるか?」について、大手メーカーをターゲットとした場合の一例をまとめました。

1.発注者が製造先を探す理由は何か?

まずは、発注者がどのような理由で製造先を探しているのかについて知る必要があります。 メーカーは既存の製造先を持っているため、新たに量産品の製造先を探す場合は何かしらの理由(ニーズ)が必ずあります。

  • コストダウン:最も大きな理由です。
  • 生産キャパオーバー:既存工場で対応できる量を超えたため、一時的もしくは長期的に助けてくれるとこを求めています。
  • 天災による製造停止:地震や大雨などで、既存工場が可動できなくなったため、一時的な協力を要請したいと考えている。納期優先。
  • 技術的に製造できない:新規部品のため、既存工場の技術力で対応ができない場合です。
  • 品質不良:既存工場の品質が明らかに低く、改善の余地がない場合の転注先を探している場合です。
  • 複数社購買によるリスクヘッジ:これまで1社供給だったものをリスクヘッジのために供給先を増やしておこうという場合です。

ホームページで量産品の受注を狙うには、これらのニーズを満たすための情報を提供することが大切になります。

2.製造先の選定条件

次に、製造先を探す際の選定条件です。先程の理由に追加して、メーカーごとに独自基準を設けているケースがあります。大手メーカーになればなるほど基準は厳しくなりますが、下記に該当する項目があればすべてホームページに掲載してください。

製造技術

当たり前ですが、最も大切なことは図面通りに作れることです。これは試作品ではなく、量産品の製造ラインで作れることが求められます。量産品になると寸法のバラツキが発生するため、如何にバラツキの少ない方法で製造できるかが求められます。

→製品事例(製品写真、寸法、寸法公差、幾何公差など)

生産能力

所定のロットを製造できることは当たり前ですが、今後の生産増加の可能性も含めて、キャパに余裕のあるところを探しています。また、長期的(年単位)に見たときに、生産能力を維持できるのかどうかも注意しています。

→製品事例+月産対応可能個数、生産設備

品質管理

不具合品があると大本の生産ラインが止まる可能性があるため、製造側の製品バラツキの管理方法がきちんとしていることが第一条件になります。また、不具合品が市場に流れた場合、製造工程まで追えることが求められるケースもあります。

そのため、製造側はある製品が「いつ、どのラインで、どのようにして」加工されたかを管理する必要があります。

→品質管理の取り組み、測定設備

生産拠点

東日本大震災で東日本の製造ラインが止まったことから、「複数の拠点を持っていること」を新規取引条件として加えたところもあります。

→拠点ごとの生産体制

コスト

コストは安いことが求められますし、年々値下げ要求が必ず入ります。コストダウンはそのまま利益ダウンに直結しますが、VA・VE提案をしてくことでコストを抑える努力をしていく必要があります。

→VA・VE提案の実績

実績

生産設備、品質管理、製造技術を聞いても新規取引に不安のあるところは「実績」を重視します。

3.メーカーの担当者のメリットとなる情報を掲載

ホームページには、できる限りの情報を出して「量産品を作る能力がある」ことをアピールしてください。2の内容について、該当する部分をそのままアピールしていただいても大丈夫です。量産品の場合、製造先の選定はメーカーの購買が調べるケースがほとんどです。そのため、その購買が最も気にしている内容(自分の評価が上がるポイント)である、コストと安定供給について詳しく記載しておくと、購買の心を掴めます。

また、製造の可否の判定については、設計、生産管理、品質管理部門がメインになってきます。それぞれが気にするポイントは、

  • 設計:期日までに試作品を完成させることとコスト。
  • 生産管理:安定供給とコスト。
  • 品質管理:安定供給とコスト。

となります。量産品の場合、どうしても「コスト」が優先事項にあがりますので、コストを抑える提案や初期の段階で少し高めにもらえる交渉などは必須になります。

まとめ

量産品の新規受注は難しい状況ではありますが、ホームページを使って問い合わせを増やすことは可能です。具体的には、「量産品を作る能力がある」ことをアピールした上で

  • コストが安い
  • 品質管理が徹底している
  • 製造技術力が高い
  • 製品バラツキが少ない
  • 生産能力が高い

など特徴を出すことが求められます。

今回は大手メーカーの考えを中心にしましたが、生産個数が少なくなるとまた別の必要条件が出てきます。ホームページでは貴社がほしい仕事内容に対して、適切な情報掲載が求められます。テクノポートでは製造業のマーケティングのお手伝いもしていますので、いつでもご相談ください。

ホームページで使う配色のポイント

ものづくり経革広場の井上です。今回はホームページをデザインする際の配色のポイントについてご紹介します。これだ!という正解が決まっているわけではないですが、基本的な考え方はありますのでポイントを絞ってご紹介いたします。

まずはじめに考える3つの色

ホームページを作る際にはメインカラーを先に決め、ベースカラー、アクセントカラーの順番で決めていきます。一つのHPを例に紹介します。有限会社宮崎製作所

メインカラー(上記の画像の紫)

メインカラーは、企業のロゴやコンテンツなどに使われる色です。メインカラーは企業の印象を大きく左右するため、色がもたらす効果についても考慮した上で決める必要があります。色がもたらす効果についてはこちらの記事を参照ください。https://keikakuhiroba-mfi.com/archives/13434

ベースカラー(上記の画像の背景色の白)

ベースカラーはホームページの背景となる色です。コンテンツの見やすさに大きく関わってきます。最近では白が一番使用頻度が高くなっています。目立たない色にするほうが写真や文字に集中でき、まとまった仕上がりにできること、また、メインカラーとの相性を考える際に合わせやすいことが理由として挙げられます。

アクセントカラー(上記の画像のオレンジ)

アクセントカラーは強調色とも言われ、メリハリや立体感を出すために部分的に使われる色のことです。 ホームページの印象を引き締めることができます。アクセントカラーは、メインカラーと色相の離れた色を選ぶのが一般的です。例えば、メインカラーが青ならアクセントカラーは赤やオレンジなど、色相の離れた色にすることで色鮮やかになります。同系色で揃えたい場合は濃い色をアクセントカラーとして利用します。

3つの配色方法

補色色相

補色色相(ほしょくしきそう)とは、ある色と色相環上で165~180度隔たりがある色、すなわち対向する位置にある色のことです。
参照:試験に出る色彩用語

色の差が大きいため、ダイナミックな印象やカジュアルな印象を与えることが可能になります。また、補色を少量用いることで、主となる色を強烈に引き立てることもできます。

対照色相

対照色相(たいしょうしきそう)とは、ある色と色相環上で120度から165度の隔たりがある色のことです。先程のHPの紫とオレンジもこれにあたります。
参照:試験に出る色彩用語

補色と色あいが近く、ダイナミックな印象を与えることができます。補色と比べると色の距離は近く、選択肢も多いため、より多彩な印象形成が可能です。ロゴなどでは、補色よりも多く使われる配色です。

有彩色と無彩色

青や赤、黄などの色味を持ったすべての色を有彩色と呼び、白と黒およびそのグラデーション上に位置する灰色などの色味を持たない色を無彩色と呼びます。無彩色単色では無機質で固い印象になりがちですが、色味がないため、どんな有彩色と組み合わせても馴染む特性があります。

配色のポイント

色数はできるだけ少なく

色がまとまりなく感じるのは色数が多い場合だけです。有彩色と無彩色の2色のときにまとまりがないと感じることはありません。3色、4色と多くの色を取り入れようとすると、とたんに配色が複雑になります。つまり、出来る限り色数を抑えることがうまくまとめるポイントです。

色だけで目立たせたり意味を伝えようとしない

色数を増やそうとするのではなく他の方法と併用することが必要です。字を太くする、大きくする、左上に配置するなど他の方法で目立たせることもできます。そして何よりも大事なのは文字情報です。文字がしっかりしていれば、むやみに色付けしなくても、大事な情報は伝わります。

まとめ

配色についてはプロのデザイナーさんでも悩むぐらいに難しいものです。記事を書くにあたり色について調べましたが、本当に奥の深い分野です。また、受け取る人の属する社会や文化によっても色の与える印象は異なります。基本の配色だけは抑えた上で、色だけに頼らず、文字やそのサイズ、太さなどトータルでしっかり伝わる形を作ることが重要だと思います。

製造業の企業ブランドを決定する2大要素について

こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。

製造業にも企業ブランディングの必要性が高まってきました。これまで取引のない企業に対してはホームページや展開会に出展するなどをして、企業ブランドを認知させていきますが、既に取引のある企業に対してはどのようにすればよいでしょうか。ブランドはお客様が貴社に持つイメージそのものです。そのため、お客様との接点となる「製品」と「企業としての対応」の2つを工夫することで、貴社のブランドをある程度操作できるようになります。今回はその2点についてまとめました。

1.製品が与えるブランドイメージ

製品はブランドイメージを相手へ伝えるために最も重要な役割を担います。。精度などが図面値に入っていることは当然のことですが、それ以外にもお客様が見ている点について紹介します。

1-1.きれいな仕上がり

製品をぱっと見てわかるのが仕上がりです。図面通りに製品ができていることは当然ですが、「きれいな仕上がりは=いい仕事している」と思ってもらえます。

例えば、切削加工であれば小さなキズ、打痕、ツールマーク、面取りなども見られています。特に、溶接の場合は美しい溶接痕であることが一種のステータスにもなります。

もちろん仕上げ加工を無駄に追加することで、コストや納期が遅くなったりしては意味がありませんが、コストが同じであれば美しい仕上がりを目指すべきだと私は思います。

「図面値に入っているからいい」ではなく、「なるべくきれいな製品を納品する」ことで「きれいな製品を作る企業」というブランドを作ることができます。

1-2.低い不良率

量産ではいかに気をつけようとも不良品は出てしまいます。自社の中で不良品を発見することができればよいのですが、お客様先で発見され、かつラインを止めてしまった場合は多大な損失を与えてしまいます。

そのため、量産品の場合は1個の出来ではなく、数万個の製品の出来を良くする必要があります。なかなか難しいとは思いますが、不良率が10ppm未満ですとお客様も安心して依頼できます。

不良率の低い製品を提供することで「安心して量産を任せられる企業」というブランドを作ることができます。

1-3.見せる技術力

加工方法がわからない製品や自分では到底出来ない加工を見た時に、技術者は感動します。

例えば、細穴深穴加工、薄肉加工、微細加工などのわかりやすいものや、高精度なプレス加工やはめあいなど見た目ではわからなくても、気づいたときに「えっ?」と思える加工です。

普段の打ち合わせのときに「実はこのようなものを作ってみたんですよ。おもしろくないですか?」といった、ちょっとした会話から自社の技術力をさり気なくPRすることで、「難しい加工もできる企業」というイメージをもっていただけるようになります。

2.企業の対応が与えるブランドイメージ

2-1.過去まで追える品質管理

不良品を出さないことはもちろんですが、不良品が出てしまった時に原因を追求できるように生産行程を再現し、改善できる企業は「安心して任せられる企業」というブランドを作ることができます。

特に、大手メーカーの場合は不良の再発を嫌います。不良品が出た時は、製品がいつ、どこで、どのように加工され、なぜそのような製品が流出してしまったのか、そして今後はどのようにすれば改善できるのかを明確に提案しなければなりません。

逆にそのような管理をすることができれば大手メーカーからも信頼されるブランド力を身につけることができます。

2-2.見積もりよりも安いコスト

コストは企業ブランド決める上で、かなり重要な項目になります。もちろん、実際にコストが安いことは大切ですが、コストを安く感じさせる工夫も大切です。

例えば、ある企業では「見積もりよりも加工時間を短縮できたので、安くしました」ということを通じて自社のブランド力を向上させています。

「安くするための努力をしていることを相手に見せる」ことで、「低価格で依頼できる企業」というブランドを作れます。

2-3.予想よりも早い納期

納期は企業努力である程度調整が可能です。

納期を守ることはもちろんですが、短納期での対応や依頼した納期より少し早めに納品するなどをすることで、企業のイメージを変えることができます。

例えば、実際の加工可能な日よりも1日遅めに伝えて、1日早く納品するれば、加工側の手間は変わりませんが、発注側の印象は良くなります。 また、本当に困っている時に短納期で加工をしてあげることで、お客様の信頼も増します。

また、納期だけではなく、電話対応や見積もりなどに対してレスポンス良く対応していくことで、「仕事が早い企業」というブランドを作ることができます。

2-4.不具合発生時の突発対応

製造をしている以上、不具合の製品が出てしまうことはさけられません。品質管理に気をつけていても、不具合品は必ず出てしまいます。

不具合品は相手先で見つかることが多いので、相手が怒っている状況の中で、原因追求をしていかなければなりません。

このときの対応が「誠実かどうか」で、企業のイメージは大きく変わってきます。対応が良いと「何かあっても安心して頼める企業」となりますが、対応が悪ければ「二度と頼みたくない企業」になってしまいます。

不具合品は出さないに越したことはありませんが、相手の予想を超える対応をするこでピンチをチャンスに変えることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ブランドはお客様のイメージです。既に既存の取引のある企業に対しては「製品」と「企業としての対応」で、自社のイメージは良くも悪くもなります。

これからブランド戦略を立てていこうとお考えの方は参考にしてみてください。

 

半導体業界の構造と好調な要因について

一昨年より半導体業界が忙しいという話をお客様からよく伺います。半導体業界の市場規模も下記の表を見て頂くとわかるように年々拡大傾向です。半導体業界とはどういう業界か?また、なぜ好調なのか?調査しました。

EE Times Japan 記事参照

半導体とは

ご存知の方も多いと思いますが、まずは半導体がどういうものかについてご説明します。物質は電気の通りやすさで、銅のように電気をよく通す「導体」と、ガラスや紙のように電気を通さない「絶縁体」、その中間の性質を持つシリコンなどの「半導体」に分けられます。つまり、「半導体」とは条件によって電気を通したり通さなかったりする物質のことを言います。その特殊な性質が活用され、電子部品材料に利用されています。半導体で作られる電子回路自体を半導体と呼ぶことも増えているようです。

利用用途

半導体はどのような場面で使われているのでしょうか?半導体はPC、ゲーム機、TV、スマートフォン、自動車、家電製品まで幅広い用途で利用されており、情報を記憶する、数値を計算する役目を担っています。

業界構造

一言で半導体業界といっても、様々なメーカーが存在しています。

半導体業界は、設計だけを行う企業、製造だけを行う企業、製造装置を作る企業、検査装置を作る企業、材料を作り供給する企業、これらの複数を1社で行う企業などが互いに関係を保ちながら大きな産業界を構成してます。(Wikipediaより)

中小製造業と特に関わりが深い企業は、半導体の設計開発を行うメーカーではなく、半導体の製造装置メーカーではないでしょうか?装置部品の製造に携わっている企業も多いと思います。その半導体製造装置の多くは数年経つと陳腐化します。回路の縮小化技術を中心に新技術の開発が絶え間なく行われ、技術の世代交代するからです。そのため、一度作れば長く利用できるものではないため技術革新が起きる限り常に新しい設備需要が生まれる業界です。そのため、半導体業界の中で半導体メーカーに次ぐ規模が半導体製造装置メーカーです。

注目したい半導体製造装置メーカー

①東京エレクトロン株式会社
世界シェア90%のコータ/デベロッパをはじめ、主要設備での世界シェアが高い会社です。

②株式会社SCREENホールディングス
洗浄装置で世界シェア50%以上のトップシェアを持っています。

③株式会社ディスコ
シリコンウェハをチップに切り出すダイサ、シリコンウェハを薄く削るグラインダで世界シェア約80%の会社です。

④株式会社アドバンテスト
半導体テスタの大手で、メモリテスタに強い会社です。ちなみにテスタとは電気的な動作確認をするもので一連の半導体製造の後工程に属します。

⑤レーザーテック株式会社
シリコンウェハ上に回路を描く際の「マスク」とマスクの材料である「マスクブランクス」の検査装置の大手です。

半導体業界が好調な理由

2008年のリーマン危機後は、2010年にかけて市場が回復した後、市場規模が約3000億米ドル付近の水準を横ばい状態で推移でしたが、2016年の後半から顕著な上昇局面に入っています。

iPhoneに代表されるスマートフォンの需要拡大だけでなく、最近ではビッグデータやAI、IoTなど新しい技術が実用化され半導体が活用される分野が広まっていることが要因です。自動運転技術、ロボット化など最先端技術には半導体は欠かせないものとなってきています。これから遠くない未来に訪れるであろう「すべてのモノがインターネットにつながる世界」を考えた時に、半導体はすべての業界に関連する可能性があります。

以前のように「半導体は波のある業界」という認識は考え直す必要があるかも知れません。特に前述の半導体製造装置メーカーは最近の半導体の好況の波を受け売上が躍進しています。その半導体製造装置部品を一つのターゲット市場として顧客開拓を検討してみるのも良いかも知れません。

【3ヶ月が勝負】中途採用した社員のフォローについて

こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。

昨年度に引き続き、今年度も人材の採用は厳しい状況にあります。そのようなきびしい状況の中で採用ができたとしても、すぐに辞められてしまっては意味がありません。辞める理由の多くは、入社前後でのギャップ、入社後のフォローが無い、会社に馴染めず自分の居場所を見つけられないなどの給与や待遇でない理由がほとんどです。

継続して働いてもらうためには、入社後のフォローをどの様にしていくかがポイントになります。今回は入社後のフォローについてまとめました。

1.社員研修について

できるだけ早く会社に馴染んでもらうために、はじめの数日は社員研修をしっかりと行ってください。社員研修の良し悪しで、社員のやる気が変わってきます。モチベーションを落とさず、逆に高めるような研修を心がけてください。

1-1.企業理念や価値観の共有

入社前にも伝えていると思いますが、企業理念や価値観を改めて伝える時間をとりましょう。社員もすでにわかっている内容であれば、話も聞きやすいですし、新しい気づきも共有できます。

また、企業理念については、人事担当だけではなく、取締役や社長などの経営層から直接伝えると効果的です。経営者から今後の会社の方針や新しい挑戦などを聞くことで、やる気にも繋がります。言葉だけでなく理念と行動が結びついている事例なども紹介すると効果的です。

1-2.最低限のルールやスキルの説明

管理方法や出退勤など社内の独自ルールを共有しましょう。ファイルの場所や文房具の場所など些細なことでも大切です。

単純なことですが、ルールを知らないと何かする度に誰かに質問しないといけませんし、間違った方法で行うと他の社員から注意されてしまいます。

すると行動の自由度が小さくなり、萎縮してしまいます。もちろんどんどん質問できるタイプの人であれば問題はありませんが、最低限のルールについて説明するだけで会社の居心地は変わってきます。

1-3.目標設定や給与の説明

初めに企業が求める役割について、説明しましょう。 現場の課題や改善してもらいたい問題などを説明することで、自分の役割が明確になり、やる気も向上します。役割を説明したら、次は目標の設定をしましょう。具体的な目標が決まるとやる気も向上します。評価制度が充実している企業であれば、評価に対する給与なども併せて説明すると効果的です。

「自分が何をすれば会社のためになり、自身の評価が上がるか」を知ることで、迷いなく働けるようになります。

2.他の社員とのコミュニケーション

2-1.社員の紹介

中途入社した社員の自己紹介はもちろんですが、同部署や、他部署についても仕事上関係する方たちの紹介はしっかり行いましょう。初めは誰に話しかけていいか分かりませんし、知らない人に話しかけること自体がストレスとなる可能性もあります。初めは先輩社員が一緒に回って、あいさつ回りすることをオススメします。

2-2.早い段階での歓迎会

できるだけ早い段階で歓迎会をしましょう。仕事以外の話をすることで、会社に馴染みやすくなります。 お酒を飲むのが苦手だったり、予定が合わないときはランチ会でも大丈夫です。 要は仕事以外で社員の人と話す場を作ることが大切です。一度でも話したことがあれば、仕事上での相談もしやすくなります。中途採用でもはじめのうちはわからないことだらけです。できるだけ質問しやすい環境を作るためにも、早めの歓迎会をオススメします。

2-3.昼食の有効活用

中途入社した社員が自分から周囲に声をかけるのは難しいので、はじめのうちはランチを誘ってあげましょう。みんなで食事をすることで、会社に馴染みやすくなります。はじめの1週間はローテンションでランチ会をするなど、多く人と強制的に話す場を作っている企業もいます。会話の量を増やすことが会社に馴染んでもらうための近道です。

3.定期的な面談

定期的な面談は必ず行うようにしてください。はじめのうちは思い通りに仕事が進まなかったり、他の人と話づらかったりとストレスを抱えています。中途採用の場合、同期もいないので、社内の人に相談できず、そのストレスを溜め込んでしまう傾向にあります。ストレスが長期間続くとモチベーションが下がったり、最終的には転職を考えるようになります。

ストレスを取り除くためには、定期的に面談をして、抱えている課題や不満点などを共有するようにしてください。話を聞いてもらったり、自分を見てくれている人がいるともうちょっと頑張ろうという気になれます。

まとめ

入社前後でギャップは必ずあります。そのギャップを埋めずに仕事を続けていると会社への不満が高まり、早い段階で辞めてしまう可能性が高くになります。 一日でも早く会社に馴染めるように、はじめの3ヶ月はフォローが必要です。 また、そのようなフォロー体制があることを採用時に説明することで、採用にも良い効果が得られるようになります。

3つの切り口から中小製造業のIoTの活用を考える

今回は、中小製造業の間でも、当たり前のように話題に出る「IoT」についてです。弊社でも「IoTを導入した何かをしたい」という相談を受けたりします。ただ、「我が社でもIoTを使った何かをしよう」となったとしても、漠然としすぎてそこで思考が止まってしまう方も多いのではないでしょうか?そこで、経済産業省が去年の3月に出した「IoTに関する製造業の取り組み」を見て、こんな切り口からテーマを決めていけば良いんじゃないかと思ったことを3つご紹介します。IoTがどのようなものかは、以前掲載した記事をご確認頂けたらと思います。

「IoTの波が中小製造業に与える影響とは」

①⽣産性向上

こちらは一番考えやすいものですが、解決したい課題を決めて取り掛からないとただのデータ集めになってしまいます。細分化すると下記のようなテーマにあたります。

現場改善

人の動き・設備の稼働状況からムダの改善や、人による作業時間のばらつきをなくすような取り組み

工程管理

膨大な製品点数の管理、紙媒体での管理、製造拠点の分散による管理など、管理の難しさが課題となるものを解決する取り組み

品質確保

トレーサビリティの強化や、品質検査のミス予防の取り組み

事務作業効率化

見積もり作業の負荷軽減、現場情報の入力時間の短縮

経営改善

適切な材料在庫の確保、リアルタイムの生産状況の把握 、計画的な設備投資の指標、より精度の高い需要予測をするなどの取り組み

生産性向上という切り口は、工場にある様々な情報をデジタル化し、その情報をもとに業務支援につなげる流れです。ある程度の規模の工場になると管理業務が複雑化していくため、IoTを活用することで生産性向上に繋げられる可能性があります。逆に小規模だとそこまで課題となっていない場合があります。また、この分野に関しては様々なIoT商品が提供されていますので、末尾に掲載する経済産業省の資料を参考にしていただけたらと思います。

②新サービス(新しい価値)の創出

今いちピンと来ませんが、アメリカのあるビジネスレビュー調査によると、欧米では「IoTは何に寄与するか」という問いに対して「新たな収益源」と答えた経営者が約6割に対して、日本では「オペレーションの向上」と答えた経営者が6割だったそうです。IoTを活用する一つの切り口として考えてみる価値はありそうです。ただ、こうすれば良いという正解が見つけづらく、何をすればよいか模索中なところです。

民タク(民泊のタクシー版のようなもの)事業の「Uber」はGPSを活用したIoTによってリアルタイムで需要と供給をマッチングさせることにより、機会損失を減らし利用者のニーズを満たすことに成功しています。製造業に置き換えると、工場すべての設備の稼働状況や、今後の稼働予定をリアルタイムで監視します。そうすることで、顧客の発注を捉えやすくする取り組みです。

他にはハーレーダビットソンがIoTを駆使し、カスタム改造部品を提供するためにスマート工場化した取り組みがあります。顧客のカスタム品の要望と、それに対しどの工程が必要になるかの紐づけをリアルタイムで行い、最短で提供できる仕組みを作りあげました。

もしかしたら、自社は量産ラインを組んでいる会社だから、小ロットものは対応できないと考えている会社の中には、IoTを活用することで、試作・少ロット対応が可能な新しい事業ができる可能性が眠っているかも知れません。

ちなみに新しいサービス自体を作った事例としては旭鉄工という自動車部品を製造するメーカーがあります。自社工場でのIoT化により3億円以上の設備投資削減と、1億円以上の労務費低減を実現し、そのノウハウをサービス化して外部に展開するために「i Smart Technologies株式会社」という会社を作り、サービスを提供しています。

他にも自社内のIoT化ではなく、顧客側のニーズを探るためのIoTの仕組みを作ることができれば、顧客のニーズ調査、需要などリアルタイムでわかったりするかも知れないですね。今後はそのようなサービスも出てくるのではないでしょうか?

③技術継承・人材教育

昨今の人手不足や後継者不足を解決するという目的です。失われていく技術をいかに形として残すか、暗黙知から形式知化する取り組みは今後一層重要度が増すと思います。また、人手不足を解消するためにデジタル化したデータを活用しそれをロボットが代用できるようにする流れも必要になってきています。以前であれば、「技術は見て盗むものだ」という概念のもと、口で教わることなく、見るだけで覚えるという流れがありました。ただ、今はそれでは伝わらず、「動画を見せる」「口で説明」「マニュアルを作る」など様々な手法が存在しています。技術を伝えるというのは非常に難しく、一つ一つの動作にその動作を行う理由が存在します。本質的には、ただ見て同じようにすれば良いというわけではなく、その動作の理由まで理解した上で真似る必要があります。そのためにマニュアルが存在するわけですが、マニュアルを作るのも非常に労力がかかり、やっとの思いで作っても、いつの間にか見なくなっているケースは多いと思います。解決する手段としてはIoTというよりクラウドサービスなどが課題解決には適しているようです。

クラウド型のサービスを二つ紹介いたします。

動画で簡単マニュアル作成 ティーチミー (熟練者のノウハウを形式化)

クラウド見積ソフト TerminalQ  (経営・営業のノウハウを形式化)

まとめ

いかがでしたでしょうか?再度、自社の今後の課題や取り組みたいテーマをしっかり見定め、解決もしくは達成するために何をすればよいか?その手段が結果としてIoTだったという流れが本来の流れだと思います。IoT活用といっても、正確にはIoTではなくクラウドサービスだったり、システムだったりする場合も非常に多いと思います。目的が達成できるならばばIoTでなくても良いと思いますので、まずは今後の課題や自社の取り組むべきテーマから考えてみるのはいかがでしょうか?

具体的な事例は経済産業省が発行している「中小ものづくり企業IoT等活用事例集」を参照して下さい。

また、来週4月18日(水)~20日(金)の予定で「TECHNO-FRONTIER 2018」が幕張メッセで開催されます。話題のAI・IoTをはじめとした次世代技術から、ものづくりの要となる要素技術、開発設計支援技術まで、最新の情報に触れることができる展示会です。詳細はこちらから

サプライヤー確保がマーケティングの課題!?

以前、「協力工場を開拓するために」という記事を書きました。その中で新規で仕事を受けてもらうためには指値が重要というお話をしましたが、それだけでは仕事受けてもらうのが難しなくなってきている様です。

新しいサプライヤーに仕事を受けてもらうのが難しい時代

現在、既存顧客の仕事で目一杯になり、新規で問い合わせを頂いても断っているという会社も多いようです。先日、商社の営業の方にお話を聞いたのですが、「今まで付き合いのない会社にいきなり図面を送っても、見積もりをしてくれる会社は中々ない」と仰っていました。受け手の企業側としても「今は、既存顧客の依頼なら多少の無理も聞けるけど、新規顧客が案件持ってきても対応はできない」という会社も多いようです。関係性がしっかり構築されていないと、見積もりすらしてもらえないというケースが増えてきています。

サプライヤー確保にマーケティング

需要過多に加え、中小製造業の廃業による業者数の減少により、供給が不足しています。人気のあるサプライヤーは、常に仕事が満杯で、なかなか仕事を受けてもらうことができない状態です。当然、サプライヤーをしっかり確保しないことには、製品製造に支障が出てしまいます。現に最近の半導体業界の好景気により、部品供給が半導体に流れ、他業界の機械に使用する予定の部材が不足し、生産が遅れるという事態も出てきています。安定供給するために、サプライヤー確保に本腰を入れている会社が増えてきています。「マーケティング」というと売るための手法になりがちですが、需要過多の現状では、いかに効果的に供給ラインを確保できるかが課題になると思います。

そのサプライヤーを確保するために考えるポイントは大きく分けて二つだと考えています。

  • 既存サプライヤーの把握
  • 新規サプライヤーの開拓

まずは既存のサプライヤーはどのような会社があるのかをしっかり把握し、頼めるものは既存のサプライヤーに頼むことが第一かと思います。その上で足りないものを新規で探すという流れです。

既存のサプライヤーの把握

すでに行っている会社も多くあるとは思いますが、各個人が持っている情報を共有、見える化することが必要です。営業担当や部署ごとに外注情報を持っているため、全体での情報共有が出来ていない、ということをよく聞きます。「持っていたサプライヤー情報を、頭に入れたまま退職していった」みたいなことが起こっている可能性があります。サプライヤー側でも、「発注先の担当が辞めてしまったと同時に仕事が来なくなった」という話を聞くのはこのせいかと思います。これではせっかく関係が出来ていたサプライヤーをあっさり手放している危険性があります。まずは各サプライヤーの情報をリスト化し、共有できるようにすることが重要です。リストを作る目的は、情報共有だけでなく、どのサプライヤーを今後大事にすべきかを選定したり、先々訪れるであろうリスクを回避することにも役立ちます。また、定期的な情報収集、更新をすることで、新しい設備導入による対応領域の拡大や、稼働余力を見つけることができるようになります。情報整理する内容は以下のようなものが考えられます。

  • 業界(自動車、電機、通信機等)
  • 対応加工領域
  • 得意加工
  • 対応ロット数
  • 加工精度
  • 対応材質
  • 保有設備 (新規導入などの定期的なチェックが必要)
  • コストについて
  • 納期対応(今までの実績や納期対応の姿勢について)
  • 品質体制(今までの実績)
  • 後継者の有無(長期的なお付き合いができる会社かどうか?)
  • 加工相談(改善の提案などを積極的に行ってくれる会社か?)
  • 担当者情報
  • 発注担当
  • 今までの発注実績
  • 現状の稼働状況について

新規サプライヤーを開拓するために

上記の既存企業の情報から、新規企業に求めるものがどういう会社かを策定します。そして、アプローチの際に重要なことは、仕事を受けてもらうためには、出来る限りの状況を先方に伝えることです。「そもそも今まで頼んでいる会社があるだろうに新規で探すのはなぜか?」という疑問があるからです。そのため「この図面、この値段、この納期で出来る?」というようなアプローチだけでは、何社にも聞いて回ってるような印象があり、対応して頂くことが難しくなってきています。忙しいサプライヤーは「出来なくはないけど、よくわからない会社からいきなり来られても、そこまで積極的に受けようとは思わない」と考えています。

ちなみに、一番心象が良いと思った手法は直接訪問することです。本当に頼みたいと思っている会社でなければ訪問しないためです。その上で「なぜ新規で探しているか?」「特に何を求めているのか?」「今後の計画について」など状況を説明し、なぜその会社に頼みたいかまで説明することができれば、検討してくれる可能性は高まります。今ある図面だけでなく、サプライヤーを大事にする会社なのか、長期的にお付き合いができそうな会社なのかどうかを、先方は見ています。

まとめ

仕事を受けてもらうのにそこまでする必要あるの?と思う方もいるかも知れませんが、長く良い関係を作れる会社でないと「おたくの仕事はもう受けません」と言われることが無いとも言い切れません。仕事を受けてもらいたいと思うようなサプライヤーは、自社の稼働にも限りがあるため、仕事を選ばざるを得ない状況だからです。

弊社でもうまくつなぎ合わせができるようお手伝いしていますので、お気軽にご相談ください。

「協力工場探しはモノマド」

 

中途採用の面接のコツ

こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。

今回は中途採用の面接で気をつけるべきポイントについてまとめました。面接は求職者を見極めると同時に自社をPRするための絶好の機会です。

面接の工夫次第で採用は変わります。自社に合った人材を採用するためにもぜひ参考にしてください。

面接前の準備

人材に求める条件の「優先順位」を決める

まずは、採用基準を明確にするため、採用したい人物像を設定します。 年齢、スキル、キャリア、コミュニケーション能力など最低限必要な条件は予め決めておきましょう。条件を厳しくすると採用ハードルが高くなるため注意は必要ですが、面接の時に、設定した条件に沿った質問ができるようになるため、採用のブレはなくなります。

また、条件の違う人物を誤って採用することもなくなるため、企業として必要な人材を確実に掴むことができます。

求職者がリラックスできる状況を作る

求職者は必ず緊張しています。緊張していることが悪いわけではありませんが、緊張した状態では本来の姿を見ることはできません。普段の雰囲気を見るためにも、求職者がリラックスできる雰囲気を作ることは大切です。 例えば、お茶やコーヒーを用意する、面接の前に工場見学をしながら少し雑談話するなども効果的です。

あとは、面接者が笑顔でリラックスしていれば、求職者の方もリラックスしてきます。面接の目的は「普段の相手をみる」ことになります。気軽に話せる雰囲気を作り、相手の本心を聞き出してください。

面接で求職者を見極めるポイント

求職者の経験や人柄を見極める質問をする

求職者は採用されたい一心から話を大きくすることもあります。実は企業が求める技術に達しておらず、企業と求職者にギャップが発生し、辞めていくケースも珍しくありません。 面接の際には、具体的な経験内容な何をどこまで出来るのかなどエピソードを交えて答えてもらえるような質問をしてください。 また、技術面だけではなく、人柄についてもそのような質問をすることで、企業に合う人物かどうかを判断できるようになります。

例えば

  1. ◯◯ではどのようなどのような開発に携わったのか
  2. チームリーダーで管理していたときの、部下の人数は何人で、具体的に何を管理していたのか
  3. 趣味はなにか
  4. 休日はどのようのに過ごしているのか

など、仕事面やプライベート面を具体的に聞いてみて下さい。

入社後をイメージできるような企業説明をする

面接は求職者を評価するだけではなく、求職者から評価される場所でもあります。そのため、求職者に自社の魅力も伝えるなければなりません。

求職者は入社後に、どのような仕事をするのかを具体的に知りたいと思っています。 そのため、入社後をイメージできるような説明を心がけてください。 また、工場見学や面接時に先輩社員と話てもらうなどをしても効果的です。

面接で自社をPRするポイント

社長の考え方、経営方針、ビジョンを伝える

中小企業の最大の武器は社長と気軽に話せることです。 面接の時に社長と話して「社長に惹かれて、入社を決めた」という事例も多くあります。 社長の考え、経営方針、ビジョンなどを熱く語り、求職者を口説いてください。

参考記事:【中小企業】社長の情熱が採用を成功させる

求職者の不安を取り除く要因を伝える

求職者は不安を抱えています。特に転職の際は、この企業で本当にやっていけるのか?この企業は将来も存在しているのか?一生を捧げられる企業なのか?など、常に不安を抱えています。

不安の内容は求職者によってことなるため、面接の時に「何に不安を抱えているのか」を直接聞き、正直に答えることが大切です。 求職者が気にしている内容としては、

  • 会社の人とうまくやっていけるか
  • 企業が安定しているのか
  • 将来給料はどれくらいあがるのか

などです。これらの内容については事前に回答を用意しておくことをオススメします。内容に魅力を感じていただければ、採用はうまくいきます。

どんな役割を期待しているか明確に伝える

人は「求められている」ことに対して嬉しく感じます。 大企業では条件だけを見て採用が進みますが、中小企業では「あなたに来てほしい」という情熱を社長が求職者にぶつけることができます。「今の会社がこうで、将来成長するためには君の力が必要なんだ」と言われたら、考えは揺らぎます。

まとめ

採用を成功させるためには、面接でいかに相手を見極め、説得できるかがカギになります。 入社後、すぐに退職されては意味がありません。マッチング精度を高めるための面接を心がけてください。

製造業が忙しさから開放されるために取り組めること

こんにちは、ものづくり経革広場の井上です。

最近どこの企業も忙しそうですね。訪問先の9割以上が忙しいと仰っているぐらいの印象があります。そのため、採用を強化したいというお話をよく聞きます。しかし、数年前から採用難ということもあり、人材採用も簡単ではありません。そこで、今回は採用以外でこの忙しさから脱却するためにできることについて、切削加工系が主になってしまいますが、参考になりそうな事例やシステムを紹介します。

忙しさを解消するために出来ること

利益率を上げる

忙しいけれども思っているより利益が上がっていなかった、ということはよくあると思います。逆に考えると利益さえしっかり出せるならば必要以上に仕事を受け、稼働率を上げ、残業をする必要もないはずです。仕事の中には手間がかかったり材料費が高かったりと利益の薄い仕事もあれば、高利益の仕事もあります。需要過多になりつつある現状ならば、今後付き合っていくべき会社がどこなのかを見直すチャンスがあるのかも知れません。

利益率を高めた取り組みとして、選択と集中を行うことで利益率を向上させた吉原精工様の事例が挙げられます。外注を一切使わずに、自社の設備でできる仕事だけに集中することで余計な業務を減らし、徹底して無駄を省くことで利益を上げています。

詳細はこちら

 

生産効率を上げる

例えば切削加工の仕事を行う場合、同じ時間でも切削の条件や、段取りのスピードなど様々な要因で、一つの製品に対して完成するスピードは異なります。いかに早く正確にものづくりをするにはどうしたらよいか?どの会社でも常にこのテーマを掲げ取り組んでいることと思います。加工効率をアップさせる具体的な手法として、最適な切削条件を理論的に導きだすシミュレーションソフト「切削キャッチャー」を紹介します。

切削加工時の切削条件はメーカーの提示する切削条件と自社の切削ノウハウからある程度のあたりを付けて条件設定をすることがほとんどです。しかし、最初に割り出した条件で加工が問題なくできた場合に、それが本当に最適な条件なのか、より良い条件があるのかを判断する方法がありません。そのため切削条件を割り出す方法は大手メーカーでも中小企業でも同じく経験と勘に頼る暗黙知の領域です。

また、削れた実績ができればあえて新しい条件で挑戦しようとしないのは「サンプルロスをしたくない」という現場の心情があります。その最適な切削条件を理論的に算出し、最大限の加工効率を実現させようとするソフトが「切削キャッチャー」です。もちろん微調整は必要になりますが、根拠あるアタリをつけるところからスタートしますので、最適な条件をいち早く導き出すことができます。テストしたほとんどの企業様で切削条件の見直しと大幅な効率アップに成功しています。

切削キャッチャーの詳細はこちら 

営業効率を上げる

「提案から受注までのスピードを上げる」「見積もりスピードを上げる」「受注率を上げる」など、今まで営業をしてこなかったという企業様も多いため、営業活動の効率化は改善の余地は多分にある領域だと思います。

その際におすすめしたいのが今回ご紹介するクラウド見積もりソフト「TERMINAL-Q」です。会社ごとに独自の敷居値を設定することでクラウド上で簡易見積りの依頼ができるサービスです。

多くの中小製造業では経営者が見積もりを行っています。何十何百という図面の見積もり依頼が来て、辟易している社長さんも多いのではないでしょうか。「TERMINAL-Q」では、その見積もりを外部委託することで出てきた見積もりを微調整、承認、見積もり作成まで一気に仕上げることができるようになります。

このシステムを開発制作した会社は切削加工業を営む会社で、自社の見積もり業務をすべてそのシステムを利用することで、一切ご自身で見積もりを行わなくても済むようになったそうです。また、見積もりの基準ができれば社内の他の人に任せることも出来るようになり経営者の負担を軽減することができるメリットもあります。他にも今までの受注履歴を蓄積することで、前述の利益率を上げるための指標としても活用できるなど様々なメリットが出てきているようです。

TEMINAL-Qの詳細はこちら

今後の業界予測から忙しさからの脱却を考える

  • IoTやロボットを活用する流れ(効率化の追求)
  • 生産人口減少による人手不足
  • 今後の国内生産の減少(特にオリンピック以降の生産需要の減少)

今後の製造業の大きな課題として上記の3つが挙げられると思います。ここからはあくまで個人的な意見ですが、現状のように仕事が多くある状態がずっと続く見込みは少ないため、採用により売上の上限を伸ばすのではなく、内部強化を行うことで利益率の高さを追求することが重要だと考えています。もちろん必要最低限の採用は必要だと思いますし、事業承継も考えなければなりませんので、採用自体が悪いわけではありません。ただ、メーカーに要望され設備や人を拡充したとしても、仕事がなくなった場合の保障をメーカーはしてくれません。仕事が減った時でも耐えられる経営体質を今のうちに作り、起こり得るであろうリスクに備えることが必要な時期だと思っています。そのためには、IoTやロボットを自社でも取り入れ、共存できる形を作ることが必要だと考えています。

どうやって自動化するか?少量生産では不向きでは?といったご意見もあるかと思いますが、どの会社でも考える必要が出てきているのではないでしょうか。先日訪問した会社は1個でも溶接をロボットにて行っていました。手の方が早い気もしましたが、あえて自動化に取り組んでいました。単純作業に落とせるようなものはロボットに移行させ、それを操る管理職的な立場に人材を引き上げていくことが必要です。ロボットが人の仕事を奪うと世間では噂されていますが、うまくロボットを教育・管理する立場を新しく作ることができれば一気に作業効率は上がり、人もロボットも活躍できる職場になるはずです。そのうち作業は人ではなくロボットに教えるのが主業務の仕事が生まれるかも知れません。

今後の予測を元にあくまで理想的なあり方を述べさせていただきました。しかし、記述したような対策を行なっていかなければ「忙しさからの脱却」はなかなかできない時期にきているのではないでしょうか。

【中小企業】社長の情熱が採用を成功させる

こんにちは、ものづくり経革広場の永井です。

中小企業で採用を成功させるためのカギは「社長の情熱」にあります。絶対採用したほうが良い人材に出会った時には、社長が直接説得することで採用の確率は上がります。 大企業ではできない、中小企業の強みを武器にした採用方法をご紹介します。

絶対に採用したほうが良い人材の条件

まずは絶対に採用したほうが良い人材の条件についてです。ターゲットとなる人材は今の企業では自分の力を発揮できなくて、仕事が面白くないと感じている方です。このような考え方の人はなかなか出会うことはありませんが、必ず中小企業で力を発揮してくれます。

1.1人の責任は重たいけれど、仕事の達成感を優先したい人

大企業で働く場合、世界規模の大きなプロジェクトに参加できます。しかし、プロジェクトは細分化され、結局自分がどの仕事を行っているのかわからなくなってしまい、仕事への情熱を失いがちです。

逆に、中小企業の場合、小さなプロジェクトではありますが、自分が中心となりプロジェクトをまとめ上げることができるため、仕事の達成感ややりがいは大きくなります。1人の仕事範囲が広く、責任も重たくなる傾向にありますが、企業への貢献度や自分自身のポジションが明確に見えるため、責任を持って仕事をしている方は多くいます。そのような考えの人は大企業に勤めていても、中小企業へ転職したいと考えていることも多いので、出会ったらぜひ説得してみてください。

2.自分なりのやり方で仕事を進めたいと考えている人

大企業と違い、中小企業は良くも悪くも「お任せ」の部分が多くなります。特に、新しい仕事に対してはフローやチェック方法などが決まっていないことも多くあります。

何も決まっていないからこそ、自分なりの方法やアイディアを出してプロジェクトを成功させなければなりません。責任は重たくなりますが、自分の考えが反映されたプロジェクトが成功したときの達成感は決して大企業では味わえません。

これまでに会社のルールやしきたりに不満感を感じ、思う様に仕事が出来なかったと感じている人は少なくありません。

3.社長や役員に直接提案し、経営に参加したいと考えている人

大企業の場合、社長や役員と直接話せる機会は年に数回程度で、一対一で話すことはほとんどなく、自分の意見も言いにくいのが現状です。

逆に中小企業の場合、ほぼ毎日社長や役員と会う機会があり、意見や質問のしやすい環境があります。やはり企業の経営層と直接話せるメリットは大きく、今後の企業の考え方や方向性を知り、自らの意見がそれに反映されれていくのでは、仕事に対する姿勢も変わってきます。自分が勤めている企業の考え方を深く知ることで、責任感を持って働いてくれます。

まとめ

自分の力を試したい、自分で何かを成し遂げたいと思い中小企業を希望する人はいます。 ただ、そこまでのやる気を持って転職活動をしてる人が多くないのも事実です。 だからこそ、素晴らしい人材に出会ったときには、出来る限りのことをして、採用の確率を上げる必要があります。

中小企業だからできる効果的な採用方法

1.社長が主体となり、採用を行う

中小企業のメリットは、「人材の選定」と「面談」の両方を社長ができることにあります。選定と面談が分かれている場合、社長がほしいと思った人材でも、その前に人事担当が落としてしまっている可能性もあります。社長が応募者全員と会うことは負担になりますが、会社の将来を支えてくれる人に出会うチャンスと思って、ぜひ全員と面談してみてください。

企業説明についても人事担当が説明するのと社長がするとでは、企業の印象は全然違ってきます。社長が話す方が企業の本質や将来性について深く語れるため、企業の魅力を伝えやすくなります。

2.企業の本音を話す

中小企業の採用で見栄をはってはいけません。企業の良いところだけを説明すると、採用後に離職する確率が上がってしまいます。そのため、良いところだけではなく、今の状況を本音で話す必要があります。

会社の職場環境はもちろん、残業についても本音で話すことが大切です。

また、今後改善していく予定であることや、将来の方向性も話すことで、求職者に「将来は成長してく企業」と思ってもらえることは必要です。

魅力的な会社には必ず「経営理念」や「ビジョン」があります。仕事にやる気を持ち、自分で何かをしたいと考えている人は現在の企業の状況よりも、将来どのような方向を目指しているかに重きをおいて採用活動をしています。中小企業の場合、ビジョンを打ち出すのは難しいかもしれませんが、これを機に一度大きなビジョンを掲げてみてください。

3.本当に来てほしいという情熱を伝える

これが一番大切なことですが、人は「求められている」ことに対して嬉しく感じます。 大企業では条件だけを見て採用が進みますが、中小企業では「あなたに来てほしい」という情熱を社長がぶつけることができます。「今の会社がこうで、将来成長するためには君の力が必要なんだ」と言われたら、考えは揺らぎます。 これは中小企業の社長でしかできませんし、これほど効果のある採用方法もありません。

条件は他社よりも悪くても情熱で動いた事例

「なぜスーパーマンは大田区の中小企業を選んだのか|20代女性社長の右腕となるハイスペック人材を採用できた理由」

まとめ

中小企業の採用は年々厳しくなってきています。しかし、自分の力を試したいと思っている人はまだまだいます。「三顧の礼」の様に情熱があれば、優秀な人材も引っ張ってくることはできます。どうしてもこの人を採用したいというときは社長が情熱を持ってその人材を説得してみてください。