製造業のためのGA4活用講座 〜運用・設定編〜

こんにちは、テクノポートの渡部です。前回、製造業のためのGA4活用講座 〜戦略編〜でUAからGA4に切り替えについて、どのように変わるのか、同様な戦略を立てて解析を行っていけばいいのかについて解説しました。今回はその戦略に従ってGA4をどのように運用していけばいいのかについて解説します。

GA4の初期設定については、こちらの記事で解説していますので、まだ設定が完了していないという方は、こちらを参考にGA4の設定をしてみてください。

イベントとは?

前回の記事で紹介したように、GA4ではイベント(ユーザーの行動)単位で分析を行う、という仕様に変更となりました。イベントとは、ウェブを閲覧しているユーザーが起こした何らかのアクションのことです。UAではページビュー数や平均ページ滞在時間などざっくりとした情報しか得られなかったのに対して、GA4ではそれらに加えて、ページを最下部までスクロールしたかどうか、設置してある外部へのリンクをクリックしたかどうかなど、より細かなユーザーの行動データを取得できるようになりました。

ウェブの解析で初期設定されている代表的なイベント

UAではこのようなイベントを計測するためには別途設定が必要でしたが、GA4では設定をしなくても計測できるようになっています。解析の際に使用する初期設定されている主なイベントをいくつか紹介します。

page_veiw

UAにおけるページビューにあたるイベント。そのページが読み込まれた回数。作成しているページがどれぐらい見られているかの最も代表的な指標。

session_start

ユーザーがウェブサイトを閲覧開始したときに計測されるイベント。どのユーザーもまずはここからイベントが始まることになる。

first_visit

ユーザーがウェブサイトを期間内に初めて訪問したときに計測されるイベント。先述の「session_start」も一緒に計測される。

user_engagement

これまでにあった平均滞在時間に代わるイベント。UAの場合、そのページと次のページの差分で表示されていたため、ドメイン内の次のページへの遷移がないと0秒になってしまうという欠点があった。一方、GA4はその問題点を解消し、1秒以上表示されると計測を開始し、ブラウザやタブを閉じても差分で計測されるため、実際の時間に近い値が取得できるようになった。値はイベントが起きた単純な数と時間で計測される。page_viewと比較し、乖離が大きい場合は、1秒以上表示されていないpage_viewが多いことになる。

scroll

ユーザーが各ページの最下部まで(基本は90%まで)初めてスクロールしたときに計測されるイベント。90%以外の比率でも計測できるが、Google Tag Managerとの連携設定が必要になる。作成したコンテンツが最後までしっかり閲覧されているかを把握できるようになった。

click

ユーザーが現在のドメインから移動するリンクをクリックしたときに計測されるイベント。UAの場合、他のサイトへのバナーやテキストリンクを設置し、どれくらいクリックされたかを計測するには、その先のUAのデータを見るしかなかったが、GA4ではリンク元のGA4で計測できるようになった。

file_download

ユーザーがファイル(通常の拡張子を持つファイル)に移動するリンクをクリックすると記録されるイベント。サイト内にPDFファイルを設置している場合、閲覧数を計測するには別途設定が必要だったが、GA4では初期設定されているイベントで計測できるようになった。代表的なファイルタイプは下記参照で、他にも一般的なファイルの拡張子は基本的に計測される。

[pdf][xlsx][docx][txt][csv][exe][zip][mov][mp4][mpeg][wmv][midi][mp3][wav]

自社のウェブサイトで必要なデータを取得するためのレポートを作成する

先述したイベント情報はGA4の管理画面から確認することができますが、GA4では探索レポートで作成しておくと、該当のデータを探すことなくすぐに確認できます。カスタムイベントなどでデフォルトで計測できるイベント以外のイベントを設定することもできますが、その設定を反映させるためには別途Google Tag Managerの連携が必要になる場合が多いです。今回は、GA4で設定だけで出力が可能なレポートを紹介します。

記事の質を確認する

自由形式のレポートで作成します。

セグメント

ユーザーセグメントでユーザー:organicを含む

※SEOで集客したユーザーに絞っていますが、全体でもいいと思います。

ディメンション

ページタイトルとスクリーンクラス、イベント名

指標

イベント数

に「ページタイトルとスクリーンクラス」、に「イベント名」、に「イベント数」を設定します。

コンテンツマーケティングをしていると、量産した記事のうち、どの記事の質が良いのかというのはなかなか視覚化しづらいものです。ただPV数が多いという理由だけでその記事の評価をするのではなく、しっかり読まれているかどうか、集客につながっているかどうかなど多角的に評価できるレポートです。

問い合わせをした人がどの様な経路をたどったかレポート

経路データ探索のレポートを作成します。セグメントなどは特に設定しなくても構いません。

に「総ユーザー数」を設定。

一度「最初からやり直す」をクリックし、終点にお問い合わせのページを設定します。

お問い合わせのページにどのページから遷移してきたかが分かるため、コンバージョンにつながる前にどの経路をたどっているのか、また、直にお問い合わせにつながりやすいのはどのページなのかがわかります。

チャネル別評価レポート

自由形式のレポートで作成します。

ディメンション

セッションのデフォルトチャンネル

指標

総ユーザー数、新規ユーザー数、直帰率、セッションあたりの平均エンゲージメント時間、エンゲージメント率

に「セッションのデフォルトチャンネル」、に指標で設定した5つを設定します。

集客チャネル別のユーザー数だけでなく、それぞれの集客チャネルでどのような傾向があるのかを見ることができます。この中にあるエンゲージメントとは、そのページで何らかのアクションがあると「エンゲージメントがあった」と計測されます。直帰率の逆数になるので、どちらか好きな方を参考にしていただく形で構いません。

GA4と上手く付き合ってより詳しいアクセス解析を

GA4のアクセス解析の手法が変わって戸惑っている方も多いかと思いますが、探索レポートを使いこなすことができれば、これまでよりもより詳しくウェブサイトのアクセス解析を行えます。テクノポートでは2023年7月までにGA4への移行作業を円滑に行うための「GA4導入および運用支援のサービス」も行っておりますので、ご用命の方はお気軽にご連絡ください。

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製造業のためのGA4活用講座 〜戦略編〜

テクノポートの徳山です。各方面でアナウンスがあるので皆さんご存知かと思いますが、Googleアナリティクスは、次世代のアナリティクスであるGA4への完全移行が決定しました。既存のGoogleアナリティクスは2023年6月末で使えなくなるため、2023年7月1日までにGA4への切り替えを行う必要があります。

そこで今回は、GA4をBtoB製造業のWebサイトでどのように活用していけばよいのかについて解説します。なお、本記事はGA4活用のための戦略の立て方やKPIの設定方法について解説します。具体的なGA4での設定方法などについては、後日アップ予定の「運用編」の記事をご覧ください。

既存のGoogleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)とGA4の違いを理解しよう

まずは既存のGoogleアナリティクスであるユニバーサルアナリティクス(以下、UA)とGA4の違いについて解説します。

GA4で新たにできるようになったこと

GA4で新たにできるようになったことは以下のとおりです。

  • 同じユーザーがアプリとウェブをまたいだ場合でもデータを計測できるようになった
    →BtoB製造業でアプリの運用を行っている企業はほとんどいないため、恩恵はないと思われます。
  • Googleの機械学習による予測機能蓄積したデータを分析することで、ユーザーの今後の行動を予測し「購入の可能性」「離脱の可能性」「収益予測」が計測できるようになった
    →GA4のAIがどれほどの予測精度が出せるのかについては、現時点においてまだ分からない状況のため、何とも言えないところです。
  • プライバシーを重視したデータ収集として、GA4は国際的なデータ規制を準拠したツールになった
    →こちらはサードパーティCookieの廃止の流れを考慮し、今後はCookieではなく、Googleシグナルという独自の個人認証の方法を採るとのことです。これによりGoogleアナリティクスで表示されるデータの精度が悪くなることが予測されます。

GA4とUAの違い

次に、GA4とUAの違いについて解説します。

分析単位の変更

GA4とUAの最も大きな変更点として、分析単位の変更が挙げられます。UAでは、訪問やページ単位で分析を行っていましたが、GA4ではイベント(ユーザーの行動)単位で分析を行う、という仕様に変更となりました。

これまでUAでは、最初に閲覧したページだけWebページを見てWebサイトを離脱してしまったユーザーをすべて直帰ユーザーとして評価していました。

そのため、以下の1・2どちらのユーザーも直帰ユーザーとして同等に評価するしかありませんでした。

  1. Webページを開いて一瞬で閉じたユーザー
  2. 最後までスクロールして記事をじっくり読み、設置してある動画を10分見て、最終的にWebページ内に設置している資料をダウンロードしたユーザー

しかし、これらのユーザーを同じ評価にすることは間違っているとの考え方から、分析単位の変更が行われました。これに伴い、これまでは重要視していた「直帰率」という指標はデフォルトの設定では見られなくなりました。

GA4は「イベント」単位で計測

前述した理由により、GA4ではユーザーの行動をイベント単位で計測する仕様になりました。UAでもユーザー単位の評価を行うために、クリックやページのスクロールを計測するためのイベントを設定することは可能でしたが、Googleタグマネジャーの導入や測定のためのコードを書くなど、実装難易度が高いというハードルがありました。

GA4では、デフォルトの機能として計測できる「イベント」が多く実装されていたため、ユーザー単位の分析や改善の難易度が大きく下がりました。

その代わり、UAでは何となく計測できていたデータが、GA4では「どのような行動を取ったユーザーを評価すべきか」といった戦略を持ち、GA4内でさまざまな設定を行わないと、改善につながるデータ測定につなげられなくなりました。

GA4の設定を戦略的に行うための流れ

それでは次に、GA4の設定を戦略的に行うためにどのような手順で準備を進めていけばよいのかについて解説していきます。

KGIを決める

まずはKGI(Key Goal Indicator)を決めていきます。KGIとは、ビジネスゴールを定量的に示した指標のことです。どのような指標をKGIに設定すべきかについてですが、BtoB製造業のWebサイトであればほとんどの場合は「コンタクトフォームの送信数」や「資料のダウンロード数」になるのではないでしょうか。

他には、会員登録機能のあるWebサイトであれば「会員登録数」、サービスサイトに送客するためのオウンドメディアを運用している場合では、「オウンドメディアへの送客数」をKGIに設定するのがよいと思います。

KGIを達成するための施策を考える

KGIが決まったら、次にKGI達成のための施策を洗い出していきます。例としては以下のようなものが挙げられます。

  • 質の高い記事を量産しユーザーの満足度を高める
  • KGI達成の貢献度が高い集客チャネルにリソースを集中投下する
  • 導線を整理しユーザビリティを高める

施策案を洗い出したら、施策を評価し実際に実施する施策の選定を行いましょう。評価は以下の視点で行うことをお勧めします。

  • KGI達成に貢献するか
  • 改善によって施策のパフォーマンスが上がるか
  • 効果測定できるかどうか

施策ごとの評価方法やKPIを決める

KPI(Key Performance Indicator)とは、KGIを達成するための重要な業績評価の指標のことです。前ステップで採用された施策を評価するための指標をKPIとして管理していきます。

例えば、「質の高い記事を量産しユーザーの満足度を高める」施策であれば、KPIとして読了率(スクロール率)を設定するのがよいでしょう。また、質の高い記事=集客力の高い記事と定義するのであれば、検索エンジンからの流入数(閲覧開始数)をKPIに設定してもよいと思います。

この後にGA4で設定を行う作業がありますので、GA4で計測できるデータをKPIに設定しましょう。KPIが複雑でGA4を管理する手間がかかりすぎる場合などもあるので、その辺りも注意したうえでKPIの設定を行ってください。

GA4でデータが取れるように設定する

最後に、GA4で欲しいデータを取得できるよう設定していきます。具体的にイベントの内容をセグメント分けして、探索レポートを活用しKPIを視覚的に評価しやすいよう設定していきます。

これらの設定方法に関しては、別記事(運用編)で解説する予定です。

以上、BtoB製造業がGA4を活用するための戦略の立て方についてご紹介しました。テクノポートでは2023年7月までにGA4への移行作業を円滑に行うための「GA4導入および運用支援のサービス」も行っておりますので、ご用命の方はお気軽にご連絡ください。

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