わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング

岩手缶詰株式会社と岩手県産株式会社によって製造されるオリジナルブランドの加工品「サヴァ缶」をご存知ですか?食感の良い鯖のオリーブ油づけが、目を惹くパッケージデザインで、わずか7ヶ月で10万缶売れた人気ブランドです。しかしこの人気のブランドというポジションは、技術力だけで勝負に出たのではなく、戦略的なブランドづくりの末に作り上げたものでした。

こんにちは。誇りある技術を持つ企業がシナジーを起こすブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)代表の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

技術力 ≠ ブランド力

「ものづくりは得意、でもブランドづくりは苦手」

これは多くの日本企業が共通して抱える悩み事です。質の高い商品やサービスを提供する「ものづくり」に対して自信や誇りを守る企業は多いですが、それを「価値」として広める「ブランドづくり」に対して苦手意識を持つ傾向があります。そのため、技術はあるのに思ったように売れない。という”誤解”が生まれてしまいます。

売れるブランドの正体とは?

ここで共有しておきたいのは技術があるから技術力と売れることは直結しないということです。

•良い商品・サービス ≠ 売れる
•高い技術力 ≠ 売れる

そもそもブランドとは、自社商品の目印に過ぎませんでした。しかし今では「このブランドの商品なら間違いない」という信頼の証として優れた品質やデザインの目印となっています。同じ材料・同じ品質で仕上がった製品でもブランドの信用度によって価格は2倍にも3倍にも変化します。

このように売れるブランドの正体は、顧客からの信頼です。重要なことは高い技術力を保持することではなく、その技術力を持って顧客にとっての価値ある商品・サービスを提供できることなのです。

わずか7ヶ月で10万缶  Ça va?缶(サヴァ缶)のブランド力

2013年の発売以来、1000万缶を製造する人気ブランドとなった Ça va?缶(サヴァ缶)。海外ブランドのような目を惹とパッケージと、「サバのオリーブ油漬け」という組み合わせが話題を呼び、発売以来多くのファンに支持されるブランドとなっています。しかしこのブランドの開発のきっかけは、東日本大震災で被災した漁業者らを支援するべく、漁獲量や単価が安定しているサバを缶詰にして全国に売り込むことでした。

そこで「鯖を水揚げし、缶詰に加工する技術」を、より多くの顧客に支持されるためのブランド開発がされました。

当時、水煮やみそ煮が一般的だった日本のサバの缶詰の市場に対して、オリーブ油漬けという構想に始まり、鯖の缶詰に馴染みがない消費者への確かなニーズを掴むべく、パッケージデザイン・価格や味付けなどを、消費者を対象にした大規模なインタビュー調査が実施されました。このような顧客にとっての価値を生み出す”ブランド視点”を丁寧に追求して言った結果、発売当時、鯖の缶詰の市場平均が200円前後だったのに対して、360円(税抜)という高めの価格設定も払拭し、発売以来人気ブランドとなっている。

企業価値を高める ブランドの持つシナジー(相乗)効果

ブランド力を高めることは、直近の売上拡大への効果と、中・長期的に顧客から信頼を寄せられて支持され続けるという、企業経営における「攻め」と「守り」にシナジー効果をもたらします。

もちろん、商品・サービスを提供するにあたって、技術力は必要です。ですがそれ以上に重要なことは顧客が支持したいと思う価値ある商品やサービスを創り出すことです。

「価値を創り、ブランド力を高め、技術力でファンにする」

ブランディングにおいて優れたデザインやSNSはあくまで価値を伝えるためのツールのひとつです。目まぐるしく変わるこれからの時代において、企業は規模に関わらず、顧客からの信頼を構築していくアクションが求められています。顧客が求める物事の本質を捉えるか否かが、今後の経営の分かれ道です。

The post わずか7ヶ月で10万缶売れた「サヴァ缶」から読み解く 町工場のブランディング first appeared on モノカク.

中小企業はDtoCをやるべき? BtoCとの違いや事例、成功ポイントを解説

マーコム・サポーターの椎名です。中小企業や個人事業主のマーケティング活動をサポートする傍ら、ライティング活動も行っています。今回はこの数年で日本でもかなり浸透してきたDtoCをテーマにお話しします。中小企業でも取り組む企業が増えていますが、メリットはどのくらいあるのか、BtoCなど他の手法との違いや事例、成功するために何をすればいいのかについて解説していきます。

DtoCとは

DtoC(Direct-to-Consumer)とは、自社で開発・製造した商品を直接消費者へ届けるビジネスモデルのことです。Shopifyなどのデジタルプラットフォームサービスの開始を契機に、2010年ごろ、米国からビジネスが浸透しました。日本でもここ数年で急速に普及しており、食品、雑貨、衣料、化粧品などの日用品を中心に広がっています。「売れるネット広告社」によると、2025年には日本国内で3兆円の市場規模が期待されているとのことです。

BtoCとDtoCの違い

DtoCは自社商品を直接消費者に届けるものですが、従来からあるBtoC(Business to Consumer)やEC/通販と何が異なるのでしょうか?

BtoCは企業と消費者間の取引のことで、通常、商品が消費者へ渡る流通過程でメーカー、卸売業者、小売店と複数の業者が介在します。一方、DtoCは、メーカーが「直接」消費者とつながるビジネスモデルです。流通過程で業者が介在するかどうかがその違いとなります。

また、DtoCはEC/通販とも異なります。よくある疑問として、「DtoCはオンライン通販のことではないのか?」があり、何が違うのかよくわからない方も少なくないようです。EC/通販との違いは、情報発信に関するものです。DtoCでは、企業が自ら情報発信する媒体をもっていますが、EC/通販ではそれがありません。

例えばAmazonや楽天などのECモールでは、自社の商品ページがあり、その中で情報を発信することはできますが、各モールの規定がありその制約を受けてしまいます。DtoCはその点、自社の思う通りに伝えることができるのです。

DtoCは、リアル店舗でダイレクトに消費者とつながるSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)とも混同されがちですが、これも異なるものです。DtoCはオンラインを媒体とします。

なお、DtoCの発展形として、DNVB(Digitally Native Vertical Brand)があります。DNVBも企業と消費者を直接つなぐビジネスモデルですが、サービス提供やサプライチェーンまでを統合しています。このモデルを展開できている企業は日本ではまだ少数派といわれています。

中小企業がDtoCをやるべき理由

DtoCはコロナ禍を機にオンラインによる消費が加速したことで、一段と注目されるようになりました。一方、大企業と違い、潤沢な資金やリソースがない中小企業が安易に手を出すべきなのでしょうか? ここでは、DtoCが注目される背景やメリット・デメリットについて解説します。

DtoCが中小企業で注目される背景

DtoCが注目される背景として、まず、SNSの普及で個人でもブランドづくりが可能になったことがあげられます。また、安価なデジタルプラットフォームが普及し、経験知識が浅くても着手しやすくなったこともあるでしょう。クラウドファンディングによる資金調達もより身近なものとなりました。

このように、従来に比べ、事業化のハードルが下がったことで中小企業でも検討しやすくなっています。また、中小企業庁による「JAPANブランド育成支援等事業」や、各地方自治体による助成プログラム、民間のマーケティング会社により、サポート環境も整備されつつあることも追い風となっています。

DtoCのメリット・デメリット

注目度が高く、気軽に着手しやすい環境となったDtoCですが、実際にどの程度会社に利益をもたらすものでしょうか?DtoCを実施するメリット・デメリットを見てみましょう。

DtoCを実施するメリット・デメリットは以下のようなものがあります。

メリット

  • コスト削減が可能
  • 商品のコンセプトやビジョンを伝えやすい
  • 顧客との関係強化が図れる
  • 幅広いマーケティングが行える(顧客情報の収集が可能)

デメリット

  • 初期の環境構築にコストがかかる
  • 認知喚起・集客に時間がかかる、ノウハウも必要
  • 生産管理・カスタマーサポートなどの業務で体制強化とノウハウ蓄積が必要
  • ブランド乱立:DtoCが市場浸透し、似た領域で複数のブランドがでてしまい、競争激化

DtoCでは、他社にはないユニークな商品展開と、ユーザー体験の提供によりある特定のターゲットが欲しいものを届けられます。大量生産・大量消費のモデルではないため、中小企業でも付加価値がつけやすいです。

一方、Web環境や物流販売システムなど、環境構築にかかる初期コストとリソースは中小企業にとって大きな負担です。マーケティングノウハウなどは大手企業に比べると弱い部分は否めません。

自社ブランドをゼロから立ち上げる場合、認知を得るまでの道のりが長く途中で資金が尽きて挫折するリスクも考えられます。最近はブランドが乱立して、テーマによってはレッドオーシャンになっている領域もあり、一定の認知を得ていない状態で立ち上げが難しいという声もあります。

顧客と直接つながることで、顧客の生の声が届くメリットは大きいです。顧客の声を製品に反映し、共創の世界を確立できたDtoCブランドもいろいろあります。しかしその反面、従来小売店が引き受けていたクレーム対応などに自社で対応しなければならないというリスクもあります。

このように、DtoCでは様々な側面で大きなメリットが得られますが、それがデメリットにつながる危険性もあわせもっているのです。

DtoCの事例

ここでは、国内・海外の代表的なDtoCの事例をご紹介します。いずれも中小・スタートアップの成功事例として参考になるものばかりです。

国内事例

バルクオム(化粧品)

バルクオムは、20代~30代の男性をターゲットに高品質なメンズ化粧品を扱っています。「最も優れた化粧品は何か?」という疑問が、出発点となり2013年に事業化されました。「メンズスキンケア」という新ジャンルを確立させたDtoCのパイオニア的存在です。

パッケージは、従来のメンズスキンケアのイメージを変えるハイセンスなデザイン性の高いもの。Webメディアもそれに合わせ統一感のあるビジュアルとなっており、「男たちの本気のスキンケア」をキャッチフレーズにしています。2020年に木村拓哉の起用で話題となったTV CMの映像を全面に出した演出となっています。

初回70%以上の高い割引に各種特典を付け、定期コースを促す施策を採用。LINE、Facebook、Instagramといった幅広い媒体を活用、デジタル広告とSEOで接点を増やし、チャットサービスなどと組み合わせて醸成を図っています。

COHINA(衣料品)

COHINAは2017に女性2人で立ち上げた衣料品を扱うDtoC。創業者自身の悩みをもとに、「150cm前後の小柄な女性にあう洋服」をコンセプトとして起業したということです。

主な発信媒体はInstagramでフォロワー数23万人。Instagram上で日々ライブ配信を行い、ユーザーとのコミュニケーションが活性化されています。ユーザーの立場である小柄な一般女性を起用し、モデルだけでなく企画から参画させているのが特徴的です。ターゲットであるユーザー自身が自分自身の魅力を発信する内容となっており、それがよい顧客体験の場につながっている模様。初めての購入は送料無料、友達紹介で3,000円割引のクーポンが発行されます。

バルミューダ(家電)

バルミューダは空調やキッチン家電を手掛けている。DCモーター搭載の扇風機やスチームトースターなど、機能性とデザイン性を兼ね備えた製品で話題になっています。同社は機能ではなく体験をコンテンツのストーリーにのせて提供しています。例えばトースターでは、パン屋の焼きたてパンのように美味しいパンを食べられるという「体験」を提供。

オンラインだけでなく店頭でも30日間の返金保証をつけている点がユニークです。

石川鋳造(キッチン用品)

石川鋳造は、鋳鉄鋳物の製造業で、工作機械、水道のバルブや異形管、ロボットや重機の部品などを手掛けている。「お肉がおいしく焼けるフライパン を手掛け、肉の専門店との連携サービスを展開しています。

景気に左右されにくい製品として「お肉がおいしく焼けるフライパン」に着目、DtoCを始めました。2020年には、このフライパンの良さを伝えるためにお肉の専門店と連携して「お肉のサブスク」を立ち上げ。同社のフライパンを持っていないユーザーには無償で貸与するサービスを実施しています。

海外事例

Warby Parker(日用品)

WarbyParkerはメガネを手掛ける先駆的DtoCブランドとして有名な企業です。創業当初はオンラインのみで販売していたが現在はリアル店舗展開も行っています。「家から出ずに試着できる」がキャッチコピーとなっており、無料で5フレームまで試着が可能です。返品も無料。メガネ1本購入に対し、必要な人に1本寄付する「Buy a Pair、Give a Pair」というユニークな取り組みをしています。

サイト上で試着したユーザーのレビューが閲覧可能です。ユーザーのよくある質問である、価格、品質、サービスのテーマ別に閲覧できるようわかりやすい見せ方になっています。

Koala sleep(寝具)

オーストラリアの元ラガーマンが創業したマットレスのDtoC。2017年、日本に上陸しました。メルマガを登録するとお得なセールや割引クーポンが提供されるようになっています。このほか誕生日や季節の行事など、頻繁に割引キャンペーンが実施されています。

FacebookやYouTubeなどを活用し睡眠の大切さを伝えています。「マットレスで飛び跳ねてもワインがこぼれない」という動画が注目を集めていますが、こうしたコンテンツはユーザーを「寝心地を実際に体験してみたい」という気持ちに巧みに誘導していると思われます。また、その寝心地をじっくり試せるようにと全商品に120日保証がついています。

Allbirds(靴)

Allbirdsは靴のDtoCブランドです。素材であるメリノウールの特性を靴産業に活用できないものかと、再生可能エネルギーの専門家と靴用の素材を開発し、創業となりました。環境にやさしいサステナブルな取り組みに力を入れており、それを自社の媒体を使って発信しています。シンプルな設計をコンセプトにしており、靴業界で定着していた派手なロゴや不要な装飾物を一切取り払い、「天然素材を使った世界で最も快適なシューズ」を前面に打ち出しています。

オンライン購入の場合、どうしても靴の履き心地やフィット感に関する不安が残りますが、これを取り払うために、「どれだけ履いても30日間返品可能」という方針を打ち出しています。

DtoCの成功ポイント

ここでは、DtoCを検討するにあたって、どういうことを実践すると成果につながりやすいか、一般的に言われていることや、過去事例でうまくいっている施策などから考察します。

SNSを活用

DtoCではSNSを積極的に活用していきましょう。顧客との接点を増やして、商品を知ってもらう機会を多く作ることが望ましいです。

ただし、ここでいう「商品を知ってもらう」とは、従来のpush型の情報配信のことではありません。宣伝は一定の認知を稼ぐことはできますが、共感を呼びにくく、鬱陶しいと敬遠されてしまう場合もあります。SNSは顧客とのコミュニケーションの場として活用しましょう。

SNSをうまく活用することで、興味をもってもらったユーザーを囲い込み、自社の商品サービスのファンに育てていくことも可能です。

ブランディングに力点・顧客体験を提供

DtoCでは自社で情報発信媒体を持っています。その媒体を使って、イメージやストーリーを継続的に伝えていくようにしましょう。そうすることで、ユーザーの共感を呼び、商品に対するブランド認知を高めることができます。

自社の発信媒体をもっていたとしても、商品の特徴やスペックをただただ伝えるだけではユーザーの共感を呼ぶことは難しいです。大切なのは「商品に対するビジョン」をユーザーと共有すること。その商品があることでどんな未来が実現するのか、ユーザーの生活がどう変わるのかを視覚的に「体験」させるコンテンツが有効です。成功しているDtoCブランドは、商品そのものを売るのではなく、顧客体験の提供を重視しています。

また、商品を開発するきっかけとなった思いや、商品が完成するまでのプロセスをストーリーにのせて語るのもよいでしょう。

独自色を打ち出す

DtoCでは一般消費者に大量に出回っている商品を扱っても訴求しにくいです。どこででも手に入るものをわざわざそのサイトから購入することは通常考えられません。DtoCに出す商品・サービスは、オリジナリティの高いものが求められます。

対象とすべきなのは、一般ユーザーではなく、「尖ったニーズ」をもつ特定セグメントです。成功しているDtoCの事例を見ると、世の中にはなかったが、創業者自身が必要にせまられて「自ら開発した」という商品が目立ちます。規格外の商品を「どうしても欲しい」という層は少数派ですが、世界中の少数派を集めるとボリュームは大きくなります。商圏が限られたリアル店舗では難しくても、オンラインならビジネス機会となります。

また、顧客の声をダイレクトに収集できるので、それを製品に反映することも可能です。顧客をモノづくりの場に参画させることで、生産者と消費者の一体感が強まり、よい循環を生み出します。

DtoC構築のデジタルプラットフォーム

中小企業がDtoCに取り組むにあたり一番のハードルとなるのは、初期の環境構築コストとリソースです。自社で一から構築していたのでは、リリースまでに費用と時間がかかってしまいます。その手間と費用を削減できるのがデジタルプラットフォームです。

ここでは、DtoCを構築するためのデジタルプラットフォームを紹介します。

Shopify

Shopifyは世界175か国で170万以上の店舗に利用されている世界最大級のプラットフォームです。初期費用がかからず、月額費用も29ドルからとなっているため、手軽に利用できます。

マルチの販売チャネルを備えており、FacebookやInstagramなどのSNSからの投稿で販売できます。利用できる決済サービスも豊富で、拡張性も高いため、越境ECにも向いています。またWebサイトのテンプレートは100種類以上あり、ビジュアルを伝える際のデザインの自由度が高いです。

<詳細はこちら>
https://www.shopify.jp/

BASE

BASEは国内ASP型のECサイトプラットフォームです。初期費用、月額費用ともに無料から開始できます。商品が売れた際に、サービス料(3%)と決済手数料(3.36%)がかかる仕組みです。商品が売れるまでは費用が発生しないため、お試し用に適しています。

専門知識がなくても簡単にショップサイトを立ち上げられるよう工夫されている点が特徴で     す。例えば、サイトのデザインでは、パーツを選んでドラッグアンドドロップで簡単に制作できるようになっています。シンプルで機能が絞られているため制約はありますが、初心者にわかりやすいと評判です。

<詳細はこちら>
https://thebase.in/

STORES

STORESは、毎月1万ショップが利用するプラットフォームです。初期費用はかかりません。月額費用がかからないフリープランと、有料プラン(月額2,178円)があります。決済手数料はフリープランが5%、有料プランが3.6%です。プランは途中で変更できるので、立ち上げ初期はフリープランを活用し、ショップの販売が軌道にのったら有料プランに切り替えるというように、ランニングコストを抑えることが可能です。

スマートフォンからでも開設可能で、電話やメールで開設のサポートを受けられます。ただしサイトのHTML編集はできないのでデザインの制約が入ります。

<詳細はこちら>
https://stores.jp/

まとめ

DtoCは、デジタルという手段で自社商品を直接消費者に届けるビジネスモデルです。SNSでユーザーと直接つながる機会が増えたことと、デジタルプラットフォームの普及などで、中小企業でも検討しやすい環境となり、ここ数年、注目を集めています。

実際、中小・スタートアップで成功した事例もたくさんあり、新たな市場セグメントを確立するまでに至ったケースも少なくありません。これは、ある特定のセグメントに向けて「あったらいいのに」というユーザーの心を動かすビジュアルメッセージやユーザー体験の提供により実現したものばかりです。

一方、何もないところから立ち上げるまでの初期コストやリソースは、中小企業にとって大きな負担です。少ないリソースでも、少額から立ち上げることはできますが、認知度が上     がらなかったり、付加価値の高い商品につなげることができずビジネス継続が難しかったりするケースもあります。自社に知見やリソースが少ない場合、外部パートナーの力をうまく活用した方がよいでしょう。

テクノポートは製造業のWebマーケティングを支援する各種コンサルティングサービスをご用意しています。お困りの際は、ぜひご相談ください。

The post 中小企業はDtoCをやるべき? BtoCとの違いや事例、成功ポイントを解説 first appeared on モノカク.

【DtoC】社員を巻き込めない5つの失敗パターン

製造業の新しい売上の活路としても注目を集めるDtoC。売り上げだけでなく社員のモチベーションアップや、顧客との接点を増やすという点でも大きなメリットがあります。こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

本来DtoCブランドを持つことは、顧客や社員を撒き込んで多くのメリットを得ることができるのですが、なぜかその効果がうまく出ないケースがあります。

DtoC 5つの失敗パターン

①社長のトップダウンで作っている

社長が商品化に向けて情熱的に取り組むことは良いことです。しかし、その商品やコンセプトに、社員は魅力を感じているでしょうか?DtoCブランドの運営は、おそらく商品の制作や広報といった実作業は社員がすることでしょう。社員にとってトップダウンで作らされていると感じる商品は、質の低下や発信不足。など様々なマイナス要素が積もります。

②社長が一人で頑張っている

このケースは職人気質の社長に多いのですが、企画から制作までを社員に任せず自分一人で抱え込んでいるパターンです。「制作が楽しくてつい…。」とのめり込んでいると、社員から社長が一人で張り切っているという見方をされてしまい、社員を巻き込むことができません。

③情報が社員に届いていない

社員を巻き込めない1番の要因は、ターゲット・コンセプト・スケジュール・売上目標・参入マーケットといった商品を作るにあたって重要な情報の共有ができていないことです。社員は明確な目標がない状態でプロジェクトを進めることに対して現実味が感じることができず、参加の意欲がわかないのです。

④情報が顧客に届いていない

DtoCブランドに顧客がつかないそもそもの問題は、リーチ数が圧倒的に足りないということです。どんなにいい商品も知られなければ無いものと同じです。多くのDtoCブランドを始めようとする企業では、良い商品が完成したら自然と売れるように考えてしまいがちですが、一般顧客に販売するためには、圧倒的な情報発信が必要なのです。顧客からの反応がないことは、社員のモチベーション低下にもつながるので顧客への情報発信にも気配りをしましょう。

⑤テンションが上がらないデザイン

DtoCを立ち上げるとき必ずしなければならないことがあります。それは、「これはかっこいい商品だ!」と社員に一度印象付けることです。なぜかというと人間は合理的に動けない生き物だからです。どんなに良い技術や機能があっても、デザインや見た目がいまいちでは、社員の心を動かすことができないのです。

やる気があるかわからない若手にこそ情報解禁を

もちろん、大きな金額をかけなくて社員の心を動かす方法はあります。そのためのキーワードは「自分ごと」です。DtoCブランドはその企業の技術を詰め込んだ製品です。だからこそ、社員の心が動く施策が欠かせません。ブランドの立ち上げには社員や顧客に対して必要な情報を共有を心がけ、商品化の段階では技術に見合うだけの心が動く見た目を兼ね備えていくことが必要なのです。

特にデジタルネイティブであるゆとり世代・さとり世代にとっては、情報が目の前に流れてきて当たり前です。自分から情報を獲得しに行く習慣のない世代に向けて、目の前に情報を流し続けるということが重要なのです。ブランドを立ち上げる理由を分かりやすく共有し、企画や制作に参画させることで、プロジェクトを自分ごとにとらえる流れを作ることができます。その結果、社員を巻き込み長期的な売上を見込めるDtoCブランドを育てていきましょう。

DtoCの立ち上げ期に必要なお金をかけない5つの施策

最近よく耳にするDtoCブランドですが、自社の技術を多くの人に知ってもらいながら、年間、数百万から数千万円の売り上げを上げている企業も少なくありません。

こんにちは。企業の「技術」と「想い」を伝えるブランディングC-OILING合同会社(シーオイリング合同会社)の大後 裕子(だいご ひろこ)です。

DtoCの持つ3つの役割

DtoCには大きく分けて3つの役割があります。

  1. 新しい売り上げの柱の構築
  2. 新規顧客への認知度向上
  3. 休眠顧客へのアプローチ

DtoCは新規の一般顧客の獲得に加え、商品リリースのニュースをきっかけに新規顧客への宣伝効果を産むことが可能です。さらにそのニュースを休眠顧客へのアプローチとしても活用することができるのです。このように会社にとって多角的に大きな効果を挙げられる可能性を秘めています。だからこそDtoCを成功に導くためには、まず小さくても確実にスタートを切れることが重要です。そのためには多額のお金をかけずに費用対効果の高い施策を知っていることは成功への確率を大きく左右するのです。

それでは早速、DtoCの立ち上げ期を後押しする お金をかけないでDtoCのスタートを切りやすくする5つの施策についてお話ししていきたいと思います。

①クラウドファンディングを行う

DtoCブランドを立ち上げる際にぜひ活用して欲しい施策の1つはクラウドファウンディングです。最近ではかなり認知度が高くなってきたこのシステムですが、通常のネット通販やECサイトでの買い物とは大きく違う点があります。それは応援購入という点です。顧客はその消費が持つ、ビジョンやバックグラウンドに共感をし、応援の気持ちをこめて購入しています。どんなに高機能でも、どんなにデザインが良くても想いに共感できない商品は購入につながりません。またクラウドファンディングは、製造業にとって今まで行ってこなかった「一般顧客のファンを作る」という流れを経験することもできます。

②SNSを運用する

DtoCブランドの認知度を上げる施策としてSNSの運用は欠かせません。その理由として、企業間であればホームページだけでよかったかもしれません。しかし、購買層である一般顧客が閲覧しやすい媒体に常に新しい情報をリリースする必要があるからです。また常時更新するSNSを自社のホームページとリンクさせることによってWEB上での検索されやすい環境を作ることにもつながります。

③読みもの系コンテンツを制作する

読みもの系コンテンツを制作することは、一般顧客が継続的なファンになっていく効果があります。手段としては自社のホームページ内でブログのように更新することもできますが、もっと気軽に無料のnoteやTwitterなどの媒体を利用することもオススメです。

バックグラウンドやこだわりの裏話などを知ることで、読み手とブランドとの関係をより深いものにすることができるからです。またWEB広告などを検討中の場合も、こういったコンテンツがあることによって、興味本位の検索からファンになる流れを増やすこともできます。

④プレスリリースを打つ

プレスリリースを発行することは、社会的大きな意味を持ちます。先にも述べたようにブランドにはバックグラウンドやビジョンが必要です。その要素を会社としてリリースすることで大きな信頼感を生み出すことができるのです。

新規法人顧客の獲得、休眠既存顧客へのアプローチとしても十分に活用することが可能です。

⑤アンバサダー制度を企画する

DtoCブランドタジ上げ時期は、自社の発信力だけでは拡散できる数に限りがあります。そこで活用して欲しいのはインスタグラムなどに一定のフォロワー数を有するアカウントを持つ人物のアンバサダー制度です。アンバサダー制度はブランドカテゴリーに興味のあるフォロワーたちへ一気に情報を届けることができます。またアンバサダーと一緒にブランドを育てていく過程を、フォロワーたちが追いかけていけることも、ブランドの長期的なファンづくりにおいて魅力的なのです。

DtoCはお金をかけずに売り上げを作る

今回ご紹介した5つの施策は、どれも大きなお金をかけずにできるものばかりだったと思います。

これらの施策は、DtoCブランドの立ち上げを必ず後押しするものになります。ブランドの立ち上げ時には多くのマンパワーを必要です。だからこそ、少ない費用で最大の費用対効果を上げていきましょう。