日本の企業が進めるオープンイノベーションのプラットフォーム4選

こんにちは、テクノポートの渡部です。以前より大手企業を中心に取り組みが行われている、オープンイノベーションという活動があります。有名なところだとトヨタのオープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」や、KDDIの「KDDI LABO」などこれまで技術情報を外部に出したがらなかった大手企業も積極的に取り組む動きが広がっています。

そもそもオープンイノベーションとは?

モノカクでも以前に紹介したことがありますが、

簡単に言うと、自社の技術リソースだけに頼らず他社の技術や提案を取り入れることによって、新たな価値や製品を生み出そうとする取り組みのことです。自社だけで取り組むよりも外部から技術を調達した方が開発コストが安くなったり、全く新しい製品が生まれたりと、様々なメリットがあります。

オープンイノベーションのプラットフォーム

上記のように、オープンイノベーションは様々なメリットがあるので、現在ではその動きを促進するためのプラットフォームがいくつも運営されています。オープンイノベーションで自社の技術を売り込みたいと考えている企業は、最初はプラットフォームを活用していくことお勧めします。

プラットフォームの運営方針にはそれぞれ違いがあり、完全に情報をオープンにして募集する場合と、一部(もしくは全て)の情報をクローズドな状態で募集する場合があり、自社の技術情報をどれだけ開示できるかを考慮した上でプラットフォームを選んでください。

プラットフォームを活用するメリットとして、ある程度の提案があらかじめ見込めるので、確実に何等かの手ごたえを関ることができる点です。逆にデメリットとして、プラットフォームによっては料金がかかることと、関係のない海千山千の提案を精査する必要があります。ただし、全然別角度からの提案がオープンイノベーションに繋がることもあり得るので、これについては一長一短とも言えます。

情報をオープンにして募集するプラットフォーム

プラットフォームにおいて企業からの案件がオープンに公開されていて、案件に対して誰でも問い合わせや意見ができる環境になっているプラットフォームです。企業名もオープンにしている案件もあれば、「国内大手電機メーカー」の様にぼかしている案件もあります。

テクロス

ナインシグマ・ホールディングス株式会社が運営するプラットフォームで、同社はオープンイノベーションの草分け的存在です。大手メーカーと中小ものづくり企業をマッチングさせるというキャッチコピーで、主に国内のマッチングを促進しています。また、運営会社のホームページには国内だけでなく、グローバルに対応した案件もあります。

アウバ

アウバは、累計登録社数は15,000社、これまでにつながった企業は22,000社と国内最大級のオープンイノベーションプラットフォームです。募集中の案件には、知名度の高い一部上場の企業が数多く並んでおり、活発にオープンイノベーションを促進しています。

ある程度のクローズドな環境で募集するプラットフォーム

上記の様に、情報をオープンにして募集する場合、自社の技術をわかりやすく開示する必要があり、Web上にその情報を公開することになるので、自社の技術流出を懸念する方もいらっしゃるかもしれません。そのような企業の場合は、ある程度のクローズドな環境でのオープンイノベーションの形があります。

案件の内容はWeb上に公開されるわけではなく、プラットフォームを運営している会社のコーディネーターが、マッチングする可能性のある技術者にだけ情報を開示していく方法です。そのため、近しい技術のイノベーションは促進できますが、思いもよらないようなイノベーションは発生しづらいかもしれません。

リンカーズ

提携した全国のコーディネーターの知見によって、案件に最適な企業をマッチングしてくれるサービスです。大手が発注先を探すために発足したサービスですが、そのネットワークを活用して、オープンイノベーションも行っています。

ジェグテック

最後に政府機関が運営しているプラットフォームも紹介します。主に関東での活動になりますが、中小機構が中心に運営しているプラットフォームで、案件の発信元が省庁や県・市町村の事もあるのが他のプラットフォームと違うとことです。

自社ですべてをやろうとしない事

上記の様なプラットフォームを活用すると、自社の技術が他社から見るとどの様に写っているのかが見えてきます。政府機関もオープンイノベーションを推進していますので、自社の技術を売り込みたいと考えている企業は、一度挑戦してみてはいかがでしょうか?

課題別IoTツール・サービス事例集4:取得したデータを活用したい

こんにちは、製造業のDXに注目する岩手在住IT系ライターの宮田文机です。

工場のIoT化に役立つツール・サービスを事例付きで紹介してきた本連載も今回でいったん最終回。第1回「センサの選定・設置」、第2回「通信環境の構築」、第3回「低コストなIoTの実現」につづいて、いよいよ”データを生かす”フェーズで役立つツール・サービスをご紹介します。

データは「加工」しなければ使えない

IoTの目的は工場から収集したデータを生産性向上や異常検出、育成などに生かすことにあります。そのため、収集したデータは使える形に加工しなければなりません。生データを目的に合わせて分類・整理・抽出することで、本当に有用な情報が見えてきます。また、センサから得たデータを勤怠データや基幹システムから得たデータとかけ合わせて分析することで見えてくる事実も少なくありません。そこで役立つのがいわゆるBI(Business Intelligence)ツールです。

BIツールは“企業の膨大なデータを集約・分析し、わかりやすく表示するツール”と定義されます。データ集計・分析ツールとしてもっともポピュラーなのはMicrosoft Excelですが、BIツールはより大量のデータを多様な形式で表示・出力することが可能です。

例えばERPに集約された受注データや勤怠データと、IoTによって取得した工場の稼働データをダッシュボード上で一覧することで、幅広い視点から生産計画の最適化に取り組めるようになります。

ただし、もちろんランプやアラートでワークの状態や機器の故障を知らせるような現場ですぐに使えるシステムも立派なIoTによる見える化ではあります。大事なのは、“何を見える化するか”ということなのです。

それでは、データの集計・加工に使えるツールを事例とともに見ていきましょう。

事例1:世界的に有名で使いやすい、Tableau

おそらく世界的に最も有名なBIツールで、データの取り込み・加工からOLAP分析、サーバーやオンラインでの共有など基本的な機能をすべて揃えています。一般的に、ITシステムに不慣れな方でも使いやすい使用感を持っており、比較的誰でもすぐに使えるようになるといわれています。

画面はシンプルに構成されており、ドラッグ&ドロップで基本的な操作は進められます。一度無料トライアル版を使ってみるとその使用感が伝わるかもしれません。

【活用事例】

それまでデータ活用文化のなかったタイヤメーカーに導入。データ活用推進チームを組織し、Tableauに取り込んだデータに日々触れることでExcel入力や会議にかかっていた工数を大幅に削減できるように。

事例2:表現の多様さに定評のある、MotionBoard

生産ラインの稼働状況をリアルタイムで反映できる純国産のBIダッシュボードツールです。「ダッシュボード」はBIツールにおいて“様々なデータをひとまとめにして表示する管理画面”のことを意味します。

各種データベースやExcel、CSVのデータまで取り込むことができ、グラフや地図、サンキーダイヤグラムなど多様な形式で表現してくれます。表現の多様さに定評のあるBIツールであり、プログラミング知識はないが多角的な視点からデータ分析に取り組みたいという方は重宝するでしょう。

【活用事例】

多品種少量生産が基本の工作機械メーカーにおいて、工場内の部材の位置や数量、滞留時間を見える化。ビジュアルで直観的に状況を把握できるダッシュボードを開発することで生産のボトルネックを解明した。

事例3:機能の豊富なWebベースBI、Yellowfin

2003年に誕生したクラウド型BIダッシュボードツールで、iPhone・Android用のモバイルアプリもリリースされています。アクションボタンによるワークフローの作成やAIによる分析など、痒いところに手が届く機能がその特徴といえるでしょう。

その代わり、レポートやダッシュボードの表現力は他の製品に比べてやや制限されていると言われています。ほかにもプレゼン作成を助けるストーリーボード機能や、分析内容を見ながら施策に投票する採択機能などがあります。

【活用事例】

工場の見取り図を画像としてYellowfinに取り込み、設備の震動データと連携させることで故障の予兆発生をビジュアル化。ブロードキャスト機能で自動アラートを設定し、予知保全の効率化を進めた。

事例4:製造業に特化したIoTプラットフォーム、Orizuru

データ収集のためのゲートウェイからデータの一元管理、ダッシュボード機能まで備えたIoTプラットフォームです。製造業に特化しており、CNCやPLC、ロボットやセンサーから取得したデータをダッシュボードに収集して一覧できるのがそのポイントといえるでしょう。

工場での利用が前提となっているため、早期導入を助けるテンプレートや3DCADデータの表示といった機能が搭載されています。

【活用事例】

NCデータとセンサから得られた温度・振動などのデータをOrizuruで統合。AIによるデータ解析を実施することで穴あけ加工時の位置ずれといった問題の予測精度を高めた。

まとめ

データを使う、という視点で役立つ情報・ツールについてご紹介しました。本連載のこれまでの記事も合わせて参照すれば、それぞれで扱われている悩みの解決法だけでなく、IoT導入の流れ・注意点についても把握できるはずです。

自社のIoT導入の目的と照らし合わせつつ、ぜひご一読ください!

課題別IoTツール・サービス事例集3:IoT導入にかかるコストを抑えたい

こんにちは、製造業のDXに注目する岩手在住IT系ライターの宮田文机です。

IoT導入にあたって気になるのがどのくらいの導入コストがかかるのか。平成28年に行われた総務省の調査によると従業員100名以上の製造業に従事する企業がIoTに支出したコストは前年度売上高比で3%未満がもっとも多く、3%~5%未満がその後に続きます。

自社のIoT化に当たってコストを抑えるために意識すべきこと、そしてそのために役立つかもしれない4つのツール・サービスをご紹介します。

IoT導入にかかるコストとは? 抑える手段は?

IoTの導入・運用で必要となるコストとしては以下のようなものが挙げられます。

  • センサー・アクチュエータといった機器の購入コスト
  • 通信回線にかかるコスト
  • クラウド・サーバーにかかるコスト
  • 開発・運用にかかる人的コスト
  • システムの構築・運用・保守などにかかる外注コスト

デバイスや通信料金の発達・低価格化により徐々に導入のハードルは下がってきていますが、それでも数百~数億円の費用が提示されることは珍しくありません。中小規模の工場ではとても負担しきれないことも少なくないでしょう。

そこでIoT化に取り組むために覚えておいていただきたいのが「助成金・補助金の活用」と「身の丈IoT」です。まずはIT導入補助金など国、自治体、非営利法人が運用する助成金・補助金の中で利用できるものはないか探しましょう。実際の導入の段階で知っておくべきなのが「身の丈に合った範囲でも十分IoT化は始められる」ということ。ITや通信の知識がなくても今は情報が充実していますし、ベンダーに相談するだけなら多くの場合費用はかかりません。

ここからは低コストで身の丈IoTを実現するために役立つかもしれないツールをご紹介していきます。

事例1:IoT自作の基本ツール、Raspberry Pi・Arduino

IoTをDIYで実現する事例で最もポピュラーなのが、イギリスのラズベリー財団がコンピューター教育用に販売した小型コンピューターRaspberry Pi(ラズパイ)やイタリアで開発されたマイコンボードArduinoを活用したものです。いずれも数千円代と安価ながらセンサーとの接続や機器の制御などIoTで実現したいことが一通り実現可能。プログラミングの知識は必要になりますが、書籍やWeb記事、動画など資料が充実してきているためゼロからでも始められる環境は整っています。

【活用事例】

自動車部品における製造ラインの稼働状況をスマートフォンやPCから確認できるシステムを市販のセンサーとRaspberry Piで確立。生産性の向上や発展させた同システムの事業化に成功した。

事例2:IoT導入の基本システムが一気に手に入る、10万円IoTキット

ものづくりとIoTの融合を目指すIVI(Industrial Value Chain Initiative))が提案するIoTの実験用デモ機が「10万円IoTキット」です。前述のRaspberry PiやmicroSDカード、ICカードリーダ、ICカード、電流センサー、環境&モーションセンサーなどがまとめて提供され、その名の通り10万円弱でIoTシステムを構築することができます。IVIのサイトでその構成は公開されているため確認しつつ自分で取り揃えることも可能ですし、地域セミナーなどでデモを見たうえで提供を受けることもできます。

【活用事例】

交代制による24時間稼働を強みとするプラスチック製品工場の夜間の稼働状況を可視化。稼働率が低くなる原因特定に貢献し、結果として生産性向上を実現した。

事例3:初期費用0円、現場の声が反映されたIoT GO

自社工場のIoT化に成功した久野金属工業株式会社(詳しくは「IoT導入事例ファイル1: 中小企業5社のスマホを使ったIoT」)が株式会社マイクロリンクと開発したIoTクラウドサービス「IoT GO」です。初期費用0円、月額料金も1設備一日300円程度(工事費別)と安価に設定されているのがポイント。現場への浸透がIoT化の成功のカギといっても過言ではないため、自社工場で実際に導入した経験が反映されているというのは信頼のおけるポイントです。

【活用事例】

自動車のプレス加工部品を主力製品とする久野金属工業の装置のオン・オフ/サイクルタイムを計測。最大52%の生産性向上と売上に対する使用電力量の14.5%削減に貢献した。

事例4:IoT導入~クラウドとの連携までがまとめられたDegu IoTエントリーパック

誰でも簡単に簡単にIoTセンシングを行いクラウドと連携させられる世界の実現を目指すオープンソースプロジェクトDegu(デグー)の初心者向けパッケージです。

その内容はセンシングデータを送信するためのマイコンボード、データ通信を中継するゲートウェイ、照度センサー・加速度センサー・温湿度センサーなど6種類のセンサーセットの3つ。定価41,500円(税別)で、データのセンシング~クラウドへの集積までを簡単にスタートできるパッケージとなっています。ある程度道具が用意された状態から自作IoTに着手したい方には非常に魅力的に映るでしょう。

【活用事例】

果物を栽培するビニルハウスの湿度・温度・土壌の水分状況などをセンシング。機械学習でベストな水分量を把握し、適切な散水を行える状況を整えた。

まとめ

IoTの導入コストを抑えたいという方に向けて4種類のツールをご紹介しました。

前述の通り、まずは身の丈から始めることで安価にIoTを始めることは可能です。そこで理解を深めたうえで工場全体のDXに着手すれば、結果として目標達成につなげられる可能性も高まるはず。「ITは苦手だから……」と尻込みせず、まずはできそうなことから着手してみてください。

課題別IoTツール・サービス事例集1:センサの選び方・使い方がわからない

こんにちは、盛岡在住IT系ライターの宮田文机です。2020年4月まで『IoT導入事例ファイル』と題し、スマホ・ビーコン・ロボットなど活用ツールもしくはデータ活用・ノウハウ共有・品質管理・新ビジネス創出など目的別に、参考にしたいIoT/AI導入事例をご紹介してきました。

IoT導入に着手しようというとき、まず立ちはだかるのが“自社にノウハウがない”という壁です。データの取得、見える化、制御、AIによる自動化といったスマートファクトリー化の各フェーズに、自社に合った機器の選定やシステム構築といったハードルが存在します。そこで本シリーズでは、IoT化の各段階でよくある課題にあったツール・サービスをフラットな目線からまとめて解説いたします。

初回のテーマは「センサの選び方・使い方がわからない」。機器からのデータ収集に欠かせないセンサの導入・活用をサポートしてくれるツール・サービスをご紹介します。

センサの選び方・使い方はセンサ万別?

IoTのスタート地点は工場からのデータ収集です。

データを取得するには人間でいう五感の役割を果たすセンサを設置しなければなりません。しかし、センサの選別はなかなか骨が折れる作業。そもそも温度センサ、振動センサ、光センサ、画像センサ、加速度センサなどセンサ自体にさまざまな種類が存在し、そのなかでも価格や仕様、機能に差異があるからです。

またセンサから得たデータを活用するには、情報を集約するためのシステムを構築する必要も生じます。

そこでベンダー・サービスの力を借りる機会が訪れます。各ベンダーがパッケージソリューションやコンサルティングを提供していますが、そのなかでも「センサの選定・設置・情報収集」のフェーズで役立つ例を見ていきましょう。

事例1:センシングに長けたIoTプラットフォーム「FASTIO」

エコモット株式会社のFASTIOは、IoTデータの収集・管理に強みを持つIoTプラットフォームです。IoTへの注目の高まりとともに多くのベンダーがIoTプラットフォームを提供し始めました。そのなかでも「FASTIO」はセンシング(センサによる情報の計測・数値化)に長けており、2,000種類以上のラインナップから最適なセンサを選び、シームレスにデータの収集を始めることができます。

【活用事例】

機器に設置した振動センサーからデータを収集し、モバイルネットワークを通してクラウドサーバー上に保存。機械の劣化診断やメンテナンスに生かすことを可能にした。

事例2:さまざまな機器・センサをつなげられる汎用型情報収集装置「Σ軍師」

株式会社KMCのΣ軍師は、さまざまな機器・センサからデータを収集することができる汎用型の情報収集装置です。古い機械やメーカーの異なる設備、後付けの振動センサー・過負荷センサーなどからも情報を収集し、工場内すべての加工機をネットワーク化できるのがその大きな特徴。同メーカーの情報管理ツール「電子カルテ」と連携させればよりデータ活用は捗ることになるといいます。

【活用事例】

金型プレス加工を主とする工場において生産設備の稼働状況データを機器の種類を問わずに取得。生産管理システムで用いるデータの収集を容易にした。

事例3:センサの選定フェーズからサポートが受けられる「予知保全導入支援サービス」

株式会社マクニカはIoTサポートと定常的に設備の異常状態を把握し、メンテナンスを行う「予知保全導入支援サービス」を合わせたソリューションを展開しています。同サービスは機器に適したセンサの選定サポートに始まり、その後の稼働状況の監視やデータ分析、AIアルゴリズムの構築まで一気通貫で行います。

【活用事例】

油圧ポンプの故障を事前に予測するシステムを構築したい、という要望を受けて最適なセンサの選定からシステム構築までサポート。突発故障の予防による生産性向上に寄与した。

事例4:データの可視化環境がそのまま提供される「NEC IoT センサデータ可視化サービス」

NECソリューションイノベータが提供する「NEC IoT センサデータ可視化サービス」は、温度・湿度・気圧・UV・加速度・照度・地磁気の7種類のデータを取得できるマルチセンサーと電流センサーを用いて、作業場内の環境・稼働状況を見える化できるサービスです。ハードウェア・ソフトウェアから回線までまとめて提供される手軽さがポイントです。

【活用事例】

なし(2020年4月1日開始のサービスのため)

まとめ

IoTのスタート段階であるセンサの選定・設置フェーズで悩んでいる方に向けて、4つのツール・サービスをご紹介しました。センサの選定・設置はIoTの初めの一歩です。試行錯誤はつきものですが、各種サポートを活用することでスムーズに導入を進められるかもしれません。今回紹介したもの以外にも自社に適したものはないか、壁にぶつかった際はぜひ探してみてください。

テレワークで導入が進むテレビ会議ツール5選

こんにちは、テクノポートの渡部です。コロナウイルス感染拡大防止の影響で、打ち合わせをテレビ会議でということも多くなってきたのではないでしょうか?本日は急速に広がりを見せているテレビ会議のツール5選をご紹介します。

Zoom

引用元:Zoomホームページ

今いろんなところで騒がれているテレビ会議界の筆頭。ビデオ会議のサービスとして存在しているだけあって、テレビ会議ならではの機能がすべて詰まっています。現在の状況も踏まえ、弊社でもお客様のサポートの会議に使用しています。

アカウント

  • 会議を作る際には必要だが、招待を受けての参加には不要

参加最大人数

  • 100人(101人以上のテレビ会議を作る場合は、別途料金が必要)

有料でできる事

  • 複数人の制限時間撤廃(無料版は40分まで)、テレビ会議の録画をクラウドに保存など、2,000円/月

Chatwork/Slack

ビジネスチャットツールの2大巨頭もテレビ会議をの機能を有しています。基本には文字やファイルを介するシステムの中の補足として「テレビ会議もできる」という立ち位置です。

アカウント

  • テレビ会議に参加する人全員必要

参加最大人数

  • Chatwork:14人
  • Slack:15人

有料でできる事

  • 複数人でのテレビ電話が可能に(参加するすべての人の有料プランが必要)
  • Chatork:400円/月、Slack:850円/月

Facebook

SNSであるFacebookもメッセンジャーの中でテレビ会議のシステムを有しています。有料プランはありませんが、プライベートも含め、お互い知っている中で、少人数であればこれでも十分な場合もあります。

アカウント

  • テレビ会議に参加する人全員必要

参加最大人数

  • 6人

有料でできる事

  • 有料プランはありません。

Skype

インターネットを介した電話から派生したサービスです。Zoom同様、50人という多人数でのテレビ会議が可能ですが、アカウント作成が必要。有料アカウントでテレビ会議の機能も広がりますが、基本的にインターネットを利用した電話から派生したサービスなので、有料にすることで電話関連の機能は上がりますが、そのついでにテレビ会議の機能も上がるといったイメージです。

アカウント

  • テレビ会議に参加する人全員必要

参加最大人数

  • 50人

有料でできる事

  • 参加最大人数が250人まで拡張(参加するすべての人の有料プランが必要)540円/月

Google Meet

googleアカウントに付随しているサービス。3月上旬にコロナウイルスの影響を受けて無料アクセスの拡張のニュースが発表され、有料プランの機能が拡張したということです。また4月上旬にはGoogle Hangoutから、Google Meetに名称変更が行われました。そして4月30日(木)には、すべてのgoogleアカウントのユーザーに最大250人参加できる大規模会議、ドメイン内で最大10万人の視聴者に向けたライブストリーミングといった機能が解放されました。ただし現状を鑑みての措置ですので、2020年9月30日までの期間限定です。

アカウント

  • テレビ会議に参加する人全員必要(googleのアカウントがあればOK)

参加最大人数

  • 250人(9月30日までの期間限定)、通常は10人まで

有料でできる事

  • 参加最大人数が100人~250人まで拡張(参加するすべての人の有料プランが必要)680円/月。(9月30日までは無料)

中でも一番のオススメのツールはどれ?

5つ挙げてみましたが、圧倒的に「Zoom」がおススメです。理由として大きくは3つ

  1. 参加するだけであればアカウントも不要
  2. 1つでも有料アカウントがあれば、100人まで参加可能
  3. テレビ会議に必要な機能が詰まっている

4月30日のニュースが出た影響で次点でGooleMeetになりました。確かにアカウントは必要ですが、googleのアカウントであれば持っている人も多いため、気軽に利用できるようになりました。

必要なものは?

ノートパソコン、もしくはipadなどのタブレット

以上です。ノートパソコンのスピーカーがマイク兼用になるので、マイクを別途購入する必要はないと思います。また、最近のノートパソコンのモデルであればカメラがついているもの多いので、カメラを別途買わずとも大丈夫です。デスクトップのPCしかない場合は、マイクは買わないと通話ができないので必要になりますが、画面共有の状態で話すことがほとんどなので、カメラは必須ではありません。

後はネット環境という事にはなりますが、通常のWifi環境さえあれば特に問題なく会話ができます。特別高速な回線が必要ということではありません。

詳しい使い方については公式に動画がありますので、こちらも参考にしてください。 これを機に社内外問わず、テレビ会議を様々なところに取り入れてみてください。

テレワークで導入が進むテレビ会議ツール5選

こんにちは、テクノポートの渡部です。コロナウイルス感染拡大防止の影響で、打ち合わせをテレビ会議でということも多くなってきたのではないでしょうか?本日は急速に広がりを見せているテレビ会議のツール5選をご紹介します。

Zoom

引用元:Zoomホームページ

今いろんなところで騒がれているテレビ会議界の筆頭。他のテレビ会議のツールは付属サービスとしてテレビ会議もあるといった立ち位置ですが、Zoomはテレビ会議のサービスに特化しているだけあって、テレビ会議ならではの機能がすべて詰まっています。弊社でもお客様のサポートの会議に使用しているツールです。

アカウント

  • 会議URLを作る際には必要だが、招待を受けての参加には不要

参加最大人数

  • 100人(101人以上のテレビ会議を作る場合は、別途料金が必要)

有料でできる事

  • 複数人の制限時間撤廃(無料版は40分まで)、テレビ会議の録画をクラウドに保存など、2,000円/月

Chatwork/Slack

ビジネスチャットツールの2大巨頭もテレビ会議の機能を有しています。基本には文字やファイルを介するシステムの中の補足として「テレビ会議もできる」という立ち位置です。

アカウント

  • テレビ会議に参加する人全員必要

参加最大人数

  • Chatwork:14人
  • Slack:15人

有料でできる事

  • 複数人でのテレビ電話が可能に(参加するすべての人の有料プランが必要)
  • Chatork:400円/月、Slack:850円/月

Facebook

SNSであるFacebookもメッセンジャーの中でテレビ会議のシステムを有しています。有料プランはありませんが、プライベートも含め、お互い知っている中で、かつ少人数であればこれでも十分な場合もあります。

アカウント

  • テレビ会議に参加する人全員必要

参加最大人数

  • 6人

有料でできる事

  • 有料プランはありません。

Skype

インターネットを介した電話から派生したサービスです。Zoom同様、50人という多人数でのテレビ会議が可能ですが、アカウント作成が必要。有料アカウントでテレビ会議の機能も広がりますが、基本的にインターネットを利用した電話から派生したサービスなので、有料にすることで電話関連の機能は上がりますが、そのついでにテレビ会議の機能も上がるといったイメージです。

アカウント

  • テレビ会議に参加する人全員必要

参加最大人数

  • 50人

有料でできる事

  • 参加最大人数が250人まで拡張(参加するすべての人の有料プランが必要)540円/月

Google Meet

googleアカウントに付随しているサービス。3月上旬にコロナウイルスの影響を受けて、通常は有料のプレミアムユーザーのみが利用できるサービスが、通常の有料会員でも利用できる様になりました。また4月上旬にはGoogle Hangoutから、Google Meetに名称変更が行われました。そして4月30日(木)には、すべてのgoogleアカウントのユーザーに最大250人参加できる大規模会議、ドメイン内で最大10万人の視聴者に向けたライブストリーミングといった機能が解放されました。ただし現状を鑑みての措置ですので、2020年9月30日までの期間限定です。

アカウント

  • テレビ会議に参加する人全員必要(googleのアカウントがあればOK)

参加最大人数

  • 250人(9月30日までの期間限定)、通常は10人まで

有料でできる事

  • 参加最大人数が100人~250人まで拡張(参加するすべての人の有料プランが必要)680円/月。(9月30日までは無料)

中でも一番のオススメのツールはどれ?

5つ挙げてみましたが、圧倒的に「Zoom」がおススメです。理由として大きくは3つ

  1. 参加するだけであればアカウントも不要
  2. 1つでも有料アカウントがあれば、100人まで参加可能
  3. テレビ会議に必要な機能が詰まっている

4月30日のニュースが出た影響で次点がGoogleMeetになりました。アカウントは必要ですが、googleのアカウントであれば持っている人も多いため、気軽に利用できるようになりました。

必要なものは?

ノートパソコン、もしくはipadなどのタブレット。

以上です。ノートパソコンであれば、スピーカーがマイク兼用になるので、マイクを別途購入する必要はないと思います。また、最近のノートパソコンのモデルは、カメラがついているもの多いので、カメラを別途買わずとも大丈夫です。デスクトップのPCしかない場合は、マイクは買わないと通話ができないので必要になりますが、画面共有の状態で話すことがほとんどなので、カメラは必須ではありません。

後はネット環境という事にはなりますが、通常のWi-fi環境さえあれば特に問題なく会話ができます。特別高速な回線が必要ということではありません。

詳しい使い方については公式に動画がありますので、こちらも参考にしてください。 これを機に社内外問わず、テレビ会議を様々なところに取り入れてみてください。

業務改善プランナーの必要性

テクノポートの徳山です。前回「クラウドワークスと中小企業のクラウドソーシング活用を推進」という記事の中で、業務改善プランナーという役割を見出し、取組みを始めていく旨をお伝えしました。その続きとして、今回は中小企業にとってなぜ業務改善プランナーが必要なのかについてお伝えしたいと思います。

経営活動において「負の解消」を行うことの重要性

企業を経営していくためには様々な活動を行わなければなりません。その活動を大きく分けると「新規事業開発やマーケティングなど、業務拡大を狙う足し算となる活動」と「業務改善や働き方改革など、現在の負を解消していく活動」に分けられます。

今までテクノポートではWebマーケティング事業を中心に「足し算となる活動」ばかりに目を向けて支援を行ってきました。しかし、クラウドワークスさんとの取組みを行う過程で様々な企業から話を伺っていると、現実的には「負を解消する活動」に問題を抱えている企業が多いことに気付きました。

多くの経営者が「足し算となる活動」には積極的になりますが「負を解消する活動」にはなかなか目が行きません。私も小さな企業の経営者なので気持ちは分かります。普通の経営者であれば「足し算となる活動」のほうが面白いと感じるので、それに関連した活動を中心に行いがちです。経営者なので業務拡大を考えるのは当たり前の話ですが、どこかで「負を解消する活動」を行う機能を付けなければいつか企業経営が行き詰まってしまいます。

それなりの規模の企業であれば、幹部社員がそこを担ってくれますが、そのような存在の居ない小規模企業では負がどんどん積もっていく状態になってしまいます。

一般的なコンサル業は「足し算となる活動」の支援ばかり

そんな経営者を相手にしているからか、世の中一般のコンサル業と呼ばれる人たちが中小企業に対し行っている支援は、新規事業立ち上げや販促戦略の立案など、どちらかというと「足し算となる活動」の支援ばかりです。しかし、前述したように小規模企業では、圧倒的に「負を解消する活動」を行うための機能が欠けており、いざ「足し算となる活動」を始めても、土台が弱いので途中で行き詰まってしまうことが多いのではないかと感じています。

「足し算となる活動」はやはり花形ですし、魅力的に映りますが、この活動の大きなデメリットは失敗するリスクが大きいということです。新規事業立上げにおいても何本かに1本当たればいいという考えが一般的です。ゆえにそれなりの体力がないと成功に当たる前に力尽きてしまう、ということになります。

これに対し「負を解消する活動」のメリットはやればやっただけの成果が確実に出るところだと思います。「足し算となる活動」を成功させるよりも難易度は随分と低い場合が多いです。ですので、小規模企業が行うべき順番としては「負を解消する活動」をしっかり行い土台を固めた後に「足し算となる活動」を行うことなのではないでしょうか。

副業支援サービスも「足し算となる活動」に特化したものばかり

多くの会社で副業が解禁される中、様々な副業支援サービスがローンチされています。現状、ベンチャー企業に向けたサービスが多いということもあり、新規事業開発の支援など、「足し算となる活動」を支援する案件ばかりです。そのため、今まではコンサル業に依頼していた仕事を副業者に依頼する流れも増えてくると思います。ベンチャー企業であれば創業してからの期間が短く、負の要素が溜まっていないのでそれで良いと思いますが、小規模企業にとって使いこなすことのできるサービスがどれほどあるでしょうか。

そこで、弊社が行う事業(業務改善プランナー)は、他のサービスが狙っていない領域である「小規模企業の負の解消」に絞ったサービスを展開していきたいと考えています。体力のない会社に対し業務拡大を支援することは非常に難易度が高いことです。副業者が手弁当で支援するなら別ですが、そのような関係では長続きしないでしょう。逆に、やればやっただけ成果の出る「負の解消の支援」であれば、比較的難易度も低いです。大企業の仕事のやり方や業務フローを知っている人であれば十分に成果を出すことができると思います。

今後、ますます副業者が増えてきますが、それを使う企業側の要求が高すぎるとミスマッチが起き、副業したくてもできない人が増えていきます。そのような人たちに小規模企業の業務改善プランナーを担ってもらえたら嬉しいです。今回の活動を通じて副業者の方々へ小規模企業の業務改善という働き方を一つの選択肢として与えていくと共に、土台を固めた小規模企業が次のステップとして「足し算となる活動」に思う存分取り組める世の中を創っていければと思います。

IoT導入事例ファイル5:情報やノウハウの共有・継承にIoTが貢献する4社の事例

こんにちは、AI・IoTに注目する盛岡在住ライターの宮田文机です。

製造業界の目下の課題として挙げられるのが人材不足ではないでしょうか? 経済産業省によると国内における製造業の従業員数は1997年から2017年までの20年で約20%も減少しています(「2019年度版ものづくり白書」経済産業省)。特に従業員数が300人以下のいわゆる中小企業における人手不足は長期化しているとのこと。

さらに団塊の世代の引退がその傾向に追い打ちをかけます。熟練技能者・技術者の雇用延長によってなんとか現場が成り立っているものの、その状況は長くは続かないだろうと焦りを覚える方も少なくないのではないでしょうか?

IoTを導入し、情報共有をスムーズにしたり、熟練技能者の持つ技能を形式知化したりすることでそういった状況に歯止めをかけることが出来るかもしれません。

本記事ではIoTを情報・ノウハウの共有に活用する方法を具体的な例を用いて解説いたします。

事例1:ベテランの見積もり作成ノウハウを形式知化した株式会社IBUKI

株式会社IBUKIは山形県西村山郡にて射出成型用の金型の設計・製造やプラスチック成型品の施策・量産に従事する60名規模の中小企業です。個別受注にて毎回違った形状の製品を製造することが多い金型製造。そのため見積もりには長年の経験と知識が必要であり、2016年時点で工場長一人しか対応できず業務の偏りが生じていました。

そこでノウハウを工場長だけが持つ「暗黙知」から、誰もが参照できる「形式知」にする取り組みが開始されたのです。その際導入されたのが、熟練者のノウハウを学習し見積もりを自動作成してくれるAI。形状や納期などのキーワードで検索すればAIが指定キーワードに関連する過去の見積もり資料を提示してくれ、さらに細かく製品仕様や金型仕様といった情報を入力することで、10年近く現場経験を積んだベテラン技能者と同等の精度で見積もりを出してくれます。

結果として以前は半日以上かかっていた見積もりに伴う実績収集の時間は30分程度に短縮され、若手社員や営業社員でも見積もりを作成できるようになるなど大きなメリットが得られました。

事例2:高難度な塗装技術をロボットに再現させる株式会社ヒバラコーポレーション

茨城県那珂郡東海村で原子力・火力・水力発電関連機器や鉄道車両関連機器などの塗装に従事するヒバラコーポレーション。40名規模ながら遠隔地における塗装業務のコンサルティングサービスを展開し、地域未来牽引企業に認定されるなど大きな存在感を発揮しています。

その活躍を支えるのが自社開発の生産管理システム「HYPAX(ハイパックス)」。93年に代表取締役に就任した小田倉久視(おだくら・ひさみ)社長は元SEであり、ITの活用に積極的な姿勢を持っていました。そこでまず取り組んだのが紙の資料のデジタル化。社内にIT活用の気風が浸透したところでいよいよ熟練工の技術をデータ化、ロボットに再現させる「HYPAX」を導入し、同時にセンサーを用いて工場を遠隔監視するシステム開発に着手しました。

その結果、わずかな気温や湿度の差に左右され、習得に時間がかかる高度な塗装技術を、ロボットに再現させることが可能になり、生産性は30%近く増加したそうです。さらに再現した技術を他社に提供する新たなビジネスの機会の創出にもつながりました。

事例3:どこでも見れる映像で教育を効率化した株式会社小林製作所

小林製作所は石川県白山市にて100名近くの規模で板金加工・塗装・組立てなどを行う企業です。人件費が抑えられるアジアに発注が向く傾向のある板金加工。そのため多品種大量生産や短納期対応など技術力で独自性を発揮することが不可欠となっています。しかし、高度なノウハウはなかなか言葉では伝わりませんし、教えるたびに熟練者の時間が割かれるのは非効率です。

そこで同社が導入したのがIoTで技術を伝承するシステムでした。まずは事務所や工場などに約200台のウェブカメラを設置、製造に関する映像や画像をすべて保存し、検索できるようにします。その内容は部品に貼りつけられたバーコードに紐づけられており、その内容を読み込むことで製造過程の映像や画像を見ることができるのです。早送りやスロー再生も自在なうえ、ポイントについてコメントを書き込むことも可能な同システム。ノウハウを簡単に引き出せることで作業時間は約15%短縮できたということです。

同社が取得する作業内容や品目などについてのデータは作業工程を適切に振り分け、製造を効率化することにも役立っています。

事例4:他社と連携し情報の管理体制を見直した株式会社エー・アイ・エス

株式会社エー・アイ・エスは東京都江戸川区で精密板金加工を行う中小企業。従業員は16名程度と今回紹介する中でも最も人数の少ない工場となっています。規模が足りずIT投資をしたくてもなかなかできないという状況の同社でしたが、異なる町工場が3社連携する「つながる町工場プロジェクト」に参加したことで、工場のIoT化が進展していったといいます。

そこで取り組んだ課題のひとつが情報の一元管理による共有。以前同社では案件情報の管理ツールが統一されておらず、Excel・Accessなど登録場所がバラバラになってしまい二重登録が発生するなど非効率の温床となっていました。そこで導入したのが情報連携ツール「Contexer(コンテキサー)」。製品の着手・完了情報や写真などをスマホやタブレットといった手持ちの端末から登録することで一元管理できる同システムは情報の整理を仕組化し、案件ごとの情報の呼び出しを容易にしました。

さらに3Dモデルと結びつけることで、新人工員が組立て順序を確認しながらものづくりに取り組む際にも役立っているそうです。

まとめ

AI・IoTによりスマートファクトリー化を推し進めることでノウハウ継承や情報共有を容易にした4社の事例をご紹介しました。
人手不足や後継者問題が叫ばれて久しい製造業界ですが、現在もGDPの2割弱を占める日本の基幹産業であり、発展し続けることが求められています。

そのために情報の共有を促進するIoTは大いに活用できるはずです。

クラウドワークスと中小企業のクラウドソーシング活用を推進

テクノポートの徳山です。先日、株式会社クラウドワークスとの業務提携を発表させていただきました。業務提携の内容としては、まだまだ活用が広まっていない中小企業へのクラウドソーシング活用を広めていくための事業を行う、というものです。今回はその詳細についてご紹介したいと思います。

クラウドワークス×テクノポート

【参照】プレスリリース:中小企業の生産性向上を阻害するのは、「隠れ業務」 ~他社の“総合職”が中小企業の成長を支援!テクノポート株式会社と業務提携し、「クラウドワークス業務改善プログラム」を開始~

業務提携の背景

弊社はクラウドソーシング黎明期から積極的にクラウドソーシングを活用し、大きな業務変革に成功していました。その取組みに関してクラウドワークスさんにも評価していただき、数年前から中小企業のクラウドソーシング活用を広めるためのセミナーを共催してきました。

また、弊社もこれまで地方自治体主催のセミナーや、企業の勉強会などで積極的にクラウドソーシング活用に関するお話をさせていただいていました。

しかし、何年経っても一向に中小企業のクラウドソーシング活用が広まる気配がありません。スタートアップ企業では当たり前のように活用されているクラウドソーシングがなぜ中小企業では進まないのか、そんなことを疑問に感じていた頃、同じ悩みを抱えていたクラウドワークスさんからご連絡をいただき、その原因について議論を行うようになりました。

中小企業がクラウドソーシングを活用しない理由

議論を重ねた結果、中小企業の内部にクラウドソーシング活用を進めるための人材が居ないのではないかという話になりました。そこで、弊社のクライアントの中からモニター企業を募集し、実際に企業内部に入り込んで活用推進のためのコンサルティングを行ってみることになりました。

実際にコンサルティングを進めた結果、自社の課題をクラウドソーシングで解消できるという発想そのものがないことが分かりました。なぜなら課題の原因やそれに対する改善策を整理できていない状況があったからです。そんな状態では、クラウドソーシングを使えば自社の課題を解決できると頭の中で結びつくはずがありません。また、中小製造業の多くが図面をFAXでやり取りする文化が残っているなど、IT化が遅れておりオンライン上のやりとりに極端に慣れていない、という原因も浮かび上がってきました。

上記のような活用を阻害する要因が見えてきたので、我々は長期間に渡りモニター企業へのコンサルティングを続けることにしました。

クラウドソーシングを活用するためのフローを構築

弊社から派遣した人員(以下、業務改善プランナーと呼ぶ)がモニター企業へ何度か訪問による打合せを行い、業務改善に繋がる業務を洗い出し、実際に業務の一部をクラウドソーシングした結果、一定の成果を挙げられるようになりました。

以下は、クラウドワークス社のプレスリリース文からの引用(モニター企業の声)となります。

業務改善プランナーの方と共に、持っている業務を一つひとつ付箋で書き出し可視化。そこから相談の上、実はこれまで月に4〜5時間ほど費やし、全体の業務を圧迫していたことが判明した仕入伝票入力をクラウドソーシングで発注することにしました。外部化することにより作業時間が30分に短縮されただけでなく、原価率の算出時など経営視点で必要な数値処理の提出が速くなり、会社全体での生産性向上に貢献しています。最初は「外部の人に頼むべき業務は特にない」と思っていましたが、今は営業の見積書作成など、他にも外部化できる仕事のイメージが湧いてきています。

プレスリリースの中には導入事例は1件しか掲載されていませんが、他のモニター企業でも成果が出てきたので、本格的に事業化していこうという話になり、今回の事業提携に至りました。

具体的にどのようなサービスなのか

サービス提供が始まったものの、まだまだテストマーケティング段階でサービスを紹介するWebページを作成していないため、サービスの詳細をこちらでご紹介します。

サービスの流れ

下記の流れでサービス提供を行う予定です。

  1. 中小企業の課題をヒアリング
  2. ヒアリング内容をもとに最適な業務改善プランナーを選出
  3. プランナーのヒアリングにより経営課題と社内業務の全体像を把握
  4. 社員が注力するべき業務を整理した上で、潜在的に成長を阻害している業務課題を見える化
  5. クラウドワークスを活用した適切な課題解決の方法を検討・提案
  6. クラウドワークスでのワーカー集客・発注サポート
  7. 業務改善の成果が表れるまで継続的な支援を実施、内製化を図る

業務改善プランナーには副業者を積極活用

企業内で発生する経営課題は多種多様です。そこで、プランナーには副業者を積極活用していく予定です。最近、大企業でも副業解禁を行う会社が増え、時間は限られますが優秀な人材を活用できる機会が増えてきました。経理系の課題であれば経理の仕事を行っている人材を、IT系の課題であればIT系の会社に勤めている人材を派遣することで、専門性の高いサービスを提供することができます。

プランナーが業務課題を整理した後に発生する、ルーティンで回せる業務をクラウドワーカーへ発注する、という流れです。小難しい前工程に副業者を活用するというところが当事業の最大のポイントとなっています。

最終的に内製化することが目的

業務改善プランナーの最終目標は「クライアント企業へクラウドソーシングを自社だけで活用できるようになってもらうこと」です。だらだらとプランナーへの報酬が発生してしまっては、クラウドソーシング活用の最大のメリットであるコスト削減のメリットを享受することができないからです。

今回のプロジェクトに参加してくれている副業者の多くが、安定収益よりも自身の経験値を高める、というところにニーズがあるので、内製化が完了したら別のクライアント先へどんどん派遣していく予定です。

クラウドソーシングは様々な用途で活用可能です。弊社Webサイトにも活用法に関してご紹介していますのでご覧ください。

関係者すべてがハッピーになる取組みを目指す

今回の取組みが広がれば多くの中小企業の経営課題が解決されるきっかけになると思います。副業者としても、大企業で培ったスキルを中小企業支援という社会的意義が大きいステージで活かすことができる、という充実感があるのではないでしょうか。

そして、これでクラウドソーシング活用が中小企業にも広がり、プラットフォーム内での取引量が増えればクラウドワークスの収益も向上します。弊社は副業者を派遣する際の手数料収入を得ることができますので、うまく回していけば関係者すべてがハッピーになる素晴らしい取組みになると考えています。

とは言え、今まで活用が広まらなかった中小企業へのクラウドソーシング活用を広めるには相当に泥臭い活動が必要になってくると思いますので、引き続きクラウドワークスさんと力を合わせ粘り強く取り組んでいく所存です。

最後に、今回業務改善プランナーとしてモニター企業のコンサルティングを行ってくれた伊藤さんがnoteで体験談を語ってくれているので、そちらをご紹介します。

伊藤さんのような志を持ったプランナーがたくさん集まったら素晴らしい取組みに発展しそうです。伊藤さんを派遣してほしいという方がいらっしゃれば是非ご連絡ください。

当事業に興味がある方は、下記のフォームからお問合せいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
https://forms.gle/cMpKH1VKBbBcdmbN6

IoT導入事例ファイル4:ロボットとの組み合わせで効果を発揮する5社のIoT事例

こんにちは。2020年も製造業におけるIoTの可能性に注目する岩手在住ライターの宮田文机です。

今、世界の製造業でロボット導入がどんどん進んでいます。国際ロボット連盟(IFR)によると、2021年まで年平均14%の割合で世界の産業用ロボット販売台数は増加するとのこと。日本も例外ではありません。2015年2月に政府が「ロボット新戦略」を打ち出すなど、積極的なロボットとの協働が推奨され続けています。

生産性向上や働き方改革につながるユニークなIoT導入事例を紹介する本連載。第4回ではロボット×IoTで成果を生んでいる企業の事例を5つご紹介します。

ロボットとIoTの組み合わせがもたらすものとは?

まずはロボットとIoTそれぞれの役割についておさらいしたうえで、組み合わせのメリットを押さえておきましょう。

ロボットは人間の作業を部分的に代行してくれる存在。ものづくりの現場では垂直多関節・双腕・装着型といったタイプのロボットがピッキングや組立て、検査などの工程で利用されています。2013年12月に日本の導入規制が緩和され、人間と同じ空間で作業することが可能になったこともあり、普及は進み続けています。

一方、IoTはInternet of Things(モノのインターネット)の略であり、工場やライン、機械といったさまざまなモノをインターネットにつなぐことで人間にメリットをもたらします。現在人間と全く同じように考え行動できるロボットは存在しません。そのため、ロボットに作業を代行させるためには適切なデータを与える必要があります。その際、機械や製品からデータを取得できるIoTが力を発揮するのです。

事例1:ロボットをIoTでモニタリングする株式会社大日製作所

兵庫県高砂市の工場で航空機・ロボット部品の製造を行う株式会社大日製作所。60名規模の中小企業であり、積極的にロボット・IoTの活用に取り組んでいます。

同社の取り組みのひとつがロボットによる製造の自動化。多関節ロボットがワークを工作機械に脱着する仕組みを整えました。そこで通常ネックとなるのが機械の異常や誤作動。しかし、Raspberry Piによる設備稼働データの取得により機械をモニタリングすることで、無人下においてロボットを稼働させながら、異常の察知のみならずデータ解析による仕組みの改善を行うことを可能にしました。

ロボットには人間のような対応力や思考力がないため、異常への対応や改善活動を行うことは難しいのではないかと懸念している方は多いのではないでしょうか。その弱点の補強にIoTは大きな威力を発揮してくれます。

事例2:ロボットと画像認識をかけあわせた株式会社北斗

群馬県伊勢崎市で精密金属プレス加工や金型設計製作を行う株式会社北斗。60名規模ながら経済産業省から地域未来牽引企業に選定されるなど先進的な取り組みが認められています。

同社は事務製品に用いられる薄型金属部品のプレスラインにおける検査・搬送工程にロボットを導入しました。そこで用いられたIoT技術がカメラによる加工対象商品の形状スキャンです。ロボットは画像認識により起動し、その画像を処理することで良品・不良品の判定も行います。産官学で技術検討を行い必要な機能に絞ってロボットを導入することでコストが大幅に抑えられ、同工程の労働生産性は16倍に高まったといいます。

また、検査工程をロボットに置き換えることでヒューマンエラーを排除でき、流出不良の抑制にもつながりました。ロボットの得意な作業を検討して導入を進めることで、効果とコストの両面でメリットが得られます。

事例3:IoTにより職場巡回ロボットを生み出した兵庫ベンダ工業株式会社

兵庫県を拠点に鉄鋼・非鉄金属製品の製造・加工や土木・機械・電子回路の設計を行う兵庫ベンダ工業株式会社。姫路市に5つの工場を抱えつつ、東京在住の技術者とのテレワークや離島の若者受け入れといった地域にとらわれない活動を行っています。

同社がロボットに代行させるのは、職場環境の見回り・安全衛生パトロール。ROS(Robot Operating System:ロボット開発で広く用いられるオープンソースソフトウェア)を使って制御を行い、センサーやカメラといったIoT機器で精密な自立移動を実現しています。開発されたロボットは自社の職場管理だけでなく、他業種での応用も進められているとのこと。

同ロボットは神奈川大学と協働で須磨海浜水族園で行われたコミュニケーション誘発実験にて、導入前に機能検証がなされたそうです。職場のコミュニケーション促進にも意外にロボットは効果を発揮する場面があるということでしょう。

事例4:IoTでロボットの精密動作を実現するカワノ株式会社

神戸で婦人靴の製造販売に携わる280名規模のカワノ株式会社。ハンドメイドならではの履き心地の良い靴の製造にまい進する企業です。

同社は革靴の製造工程のうち甲革と中底の接着において大量の有機溶剤を用いるため、職人の健康面に負担がかかるという課題にロボットを用いて対処しました。靴のデザイン・サイズの多様さに加え天然皮革由来の個体差もあり、困難とされていた接着の自動化。そこで威力を発揮したのが3Dカメラによる甲革の形状データ計測です。手に入れたデータを元にロボットが動作するシステムが構築されました。

従来は難しかった精密な作業もIoTの力を用いることで再現可能になることがあります。IoT×ロボットで伝統技能のデータ化・継承が試みられる場合もあるようです。

事例5:ロボットのフル活用をIoTで支援するオークマ株式会社

最後に取り上げる愛知県丹羽郡に本社工場を構えNC装置やFA製品を製造するオークマ株式会社の事例です。数千人規模の大企業ですが、IoTを用いて人間とロボットの協働を実現する好例と言えるため、本記事でご紹介いたします。

同社はロボットをフル活用し、素材の投入や加工後の部品の取り出し、切削液の補給や加工時の切りくずの回収までを代行させています。ロボットの稼働状況はIoTによる「見える化」システムで把握。エラーの発生状況や工程の進捗、素材・完成品の場所などが工場内の大型モニターでいつでも把握でき、人間はロボットをよりうまく働かせる方法をデータを元に考えることができます。

同システムにより1日24時間・週7日間の工場のフル稼働が可能になり、大きく生産性が高められているということです。IoTを用いることでロボットのフル活用を実現できている例といえるでしょう。

まとめ

ロボット×IoTの事例についてご紹介しました。ロボットに作業を代行させることで生産性が何倍にもアップした例は枚挙にいとまがありません。

その可能性を広げる技術としてIoTは、他にはない威力を発揮してくれます。

IoTの4つ発展段階「可視」、「検出・診断」、「予測」、「 対策」

明けましておめでとうございます、マスターブラックベルトの津吉です。今年も宜しくお願いいたします。

冬本番を迎え、私が住む北国では下の写真のように川がすっかり凍ってしまいました。今回は凍った川の“譬え話”を混ぜながら、IIoT(Industrial Internet of Things)やスマートファクトリーについて考えてみたいと思います。

凍った川を渡れますか?

ところで、もし「凍った川の上を歩いて渡れ」と言われたら、皆さんはどうしますか?平均水深は50センチです。川を渡れるかどうかは、この街に長く住んでいれば“経験と勘”だけで判断できるでしょう。経験がなくても、平均水深がたったの50センチなら思い切って川を渡ってみるかもしれません。(データを扱わない“ものづくり”の現場を想像してみて下さい)

しかし用心深い皆さんは川のデータを求めるはずです。そこで「1月の最大水深は5メートル、平均は50センチ、平均的な氷の厚さは10センチ」という情報を得ました。川を渡ってみますか?(過去のデータだけに頼る“ものづくり”の現場を想像してみて下さい)

更に用心深い皆さんは、過去のデータではなく、今の氷の状態を聞くでしょう。そこで「今日の氷の厚さは平均12センチ。12センチもあるのできっと大丈夫」という情報を得ました。川を渡ってみますか?(平均値だけでものごとを判断する“ものづくり”の現場を想像してみて下さい)

氷が割れて冷たい川に落ちる確率(リスク)を5%以下にしたい皆さんは、川全体の平均値ではなく、今現在立っているこの場所の氷の厚さを、歩を進めるごとに知りたいはずです。そこで

  • 氷厚センサー
  • 水深センサー
  • 水温センサー
  • 水流センサー

を手に入れました。川を渡ってみますか?(経常利益を少なくとも5%確保したい“ものづくり”の現場が、IIoT機器を手に入れたところを想像してみて下さい)

スマートファクトリーの発展段階

“ものづくり”の現場は、経験や勘、過去のデータや平均値という束縛から離れて、リアルタイムデータを手にするところからスマートファクトリーが始まります。しかしスマートファクトリーはリアルタイムデータだけではありません。スマートファクトリーには4つの要素と4つの発展段階があります。

スマートファクトリーの4つの要素

  1. 人の意思
  2. スマートファクトリー・システム
  3. 人の知恵や知識、経験
  4. 人の改善努力

スマートファクトリーの4つの発展段階:

  1. 可視(何が起こっているのか)
  2. 検出・診断(何故起こったのか)
  3. 予測(何が起こるのか)
  4. 対策(何をすれば良いのか)

スマートファクトリーの発展段階がAIと共に進むにつれて、人の知恵や知識、経験を使って「ものを見る」ことが少なくなっていきます。しかし一方で、

  • 目標と計画を立てる「人の意思」
  • 取得した情報を使った「行動への意思決定」
  • “ものづくり”を改善しようとする「人の改善努力」

は変わらないどころか、ますます重要になっていきます。「スマートファクトリーやAIが導入されると仕事がなくなる」とよく言われますが、実際はこれまでとは異なる「意思決定と行動」という、機械では置き換えることができない人の能力に重心が移るだけです。

IIoTを導入した場合の川を渡る判断

凍った川の例に戻れば、「川を渡る」という目標を設定したものの、各種センサーを手に入れただけではまだ第1段階の「可視」に過ぎません。センサーから得た情報を(AIではなく)自分の頭で分析しながら、一歩一歩進まなければなりません。

そこで、危険の検出と診断を行ってくれる機能をシステムに追加しました(第2段階)。しかし警報を聞いた時はすでに遅く、避難を始めた瞬間に氷のヒビが一斉に広がり、冷たい川に転落してしまうかもしれません。

そこで、氷が割れる危険な状態を前もって予測する機能をシステムに追加しました(第3段階)。しかし危険な状態を予測してから、一体どちらの方向にどのくらいの速さで避難すれば良いのでしょうか。まだ経験と勘が頼りです。

そこで、「どちらの方向にどのくらいの速さで今歩けば良いのか」、最適な行動(対策)を教えてくれる機能をシステムに追加しました(第4段階)。ここまで改善すれば、凍った川に転落する確率を最小限に抑えることができます。

IIoTとスマートファクトリーの導入

凍った川を安全に渡るだけでもこれだけ改善努力が必要になりますが、その価値は十分あります。これは不良品質を改善しながら(前回の記事を参照のこと)数パーセントの利益を確保しようと努力する“ものづくり”も同様です。

もし皆さんがIIoTやスマートファクトリーの導入をお考えでしたら、新年を迎えた今、その計画を実行に移してみませんか?

IoTの4つ発展段階「可視」、「検出・診断」、「予測」、「 対策」

明けましておめでとうございます、マスターブラックベルトの津吉です。今年も宜しくお願いいたします。

冬本番を迎え、私が住む北国では下の写真のように川がすっかり凍ってしまいました。今回は凍った川の“譬え話”を混ぜながら、IIoT(Industrial Internet of Things)やスマートファクトリーについて考えてみたいと思います。

凍った川を渡れますか?

ところで、もし「凍った川の上を歩いて渡れ」と言われたら、皆さんはどうしますか?平均水深は50センチです。川を渡れるかどうかは、この街に長く住んでいれば“経験と勘”だけで判断できるでしょう。経験がなくても、平均水深がたったの50センチなら思い切って川を渡ってみるかもしれません。(データを扱わない“ものづくり”の現場を想像してみて下さい)

しかし用心深い皆さんは川のデータを求めるはずです。そこで「1月の最大水深は5メートル、平均は50センチ、平均的な氷の厚さは10センチ」という情報を得ました。川を渡ってみますか?(過去のデータだけに頼る“ものづくり”の現場を想像してみて下さい)

更に用心深い皆さんは、過去のデータではなく、今の氷の状態を聞くでしょう。そこで「今日の氷の厚さは平均12センチ。12センチもあるのできっと大丈夫」という情報を得ました。川を渡ってみますか?(平均値だけでものごとを判断する“ものづくり”の現場を想像してみて下さい)

氷が割れて冷たい川に落ちる確率(リスク)を5%以下にしたい皆さんは、川全体の平均値ではなく、今現在立っているこの場所の氷の厚さを、歩を進めるごとに知りたいはずです。そこで

  • 氷厚センサー
  • 水深センサー
  • 水温センサー
  • 水流センサー

を手に入れました。川を渡ってみますか?(経常利益を少なくとも5%確保したい“ものづくり”の現場が、IIoT機器を手に入れたところを想像してみて下さい)

スマートファクトリーの発展段階

“ものづくり”の現場は、経験や勘、過去のデータや平均値という束縛から離れて、リアルタイムデータを手にするところからスマートファクトリーが始まります。しかしスマートファクトリーはリアルタイムデータだけではありません。スマートファクトリーには4つの要素と4つの発展段階があります。

スマートファクトリーの4つの要素

  1. 人の意思
  2. スマートファクトリー・システム
  3. 人の知恵や知識、経験
  4. 人の改善努力

スマートファクトリーの4つの発展段階:

  1. 可視(何が起こっているのか)
  2. 検出・診断(何故起こったのか)
  3. 予測(何が起こるのか)
  4. 対策(何をすれば良いのか)

スマートファクトリーの発展段階がAIと共に進むにつれて、人の知恵や知識、経験を使って「ものを見る」ことが少なくなっていきます。しかし一方で、

  • 目標と計画を立てる「人の意思」
  • 取得した情報を使った「行動への意思決定」
  • “ものづくり”を改善しようとする「人の改善努力」

は変わらないどころか、ますます重要になっていきます。「スマートファクトリーやAIが導入されると仕事がなくなる」とよく言われますが、実際はこれまでとは異なる「意思決定と行動」という、機械では置き換えることができない人の能力に重心が移るだけです。

IIoTを導入した場合の川を渡る判断

凍った川の例に戻れば、「川を渡る」という目標を設定したものの、各種センサーを手に入れただけではまだ第1段階の「可視」に過ぎません。センサーから得た情報を(AIではなく)自分の頭で分析しながら、一歩一歩進まなければなりません。

そこで、危険の検出と診断を行ってくれる機能をシステムに追加しました(第2段階)。しかし警報を聞いた時はすでに遅く、避難を始めた瞬間に氷のヒビが一斉に広がり、冷たい川に転落してしまうかもしれません。

そこで、氷が割れる危険な状態を前もって予測する機能をシステムに追加しました(第3段階)。しかし危険な状態を予測してから、一体どちらの方向にどのくらいの速さで避難すれば良いのでしょうか。まだ経験と勘が頼りです。

そこで、「どちらの方向にどのくらいの速さで今歩けば良いのか」、最適な行動(対策)を教えてくれる機能をシステムに追加しました(第4段階)。ここまで改善すれば、凍った川に転落する確率を最小限に抑えることができます。

IIoTとスマートファクトリーの導入

凍った川を安全に渡るだけでもこれだけ改善努力が必要になりますが、その価値は十分あります。これは不良品質を改善しながら(前回の記事を参照のこと)数パーセントの利益を確保しようと努力する“ものづくり”も同様です。

もし皆さんがIIoTやスマートファクトリーの導入をお考えでしたら、新年を迎えた今、その計画を実行に移してみませんか?

IoT導入事例ファイル3: 安価にIoT化を実現できるビーコンと4社の事例

こんにちは、AI・IoTの活用事例を集めている盛岡在住ライターの宮田文机です。2019年ももう終わりですね。今年は、AI・IoT元年といわれた2017年から2年経ち、本格的に導入を検討する企業が大きく増加した年といえるでしょう。他社に乗り遅れないため工場のIoT化を推し進めたいという需要もどんどん高まっているのではないでしょうか?

中小企業に役立つAI・IoTの導入事例を紹介するこの連載。第三回となる今回は「ビーコン(Beacon)」を使った工場のIoT化事例をご紹介します。

誰もが知るツールとはいえないため、まずはその基礎知識をご説明しましょう。

ビーコン(Beacon)とは?

ビーコン(Beacon)は“Bluetoothの無線通信技術を利用した位置特定・情報通信技術”です。消費電力が非常に小さいBLE(Bluetooth Low Energy)が開発され、2013年にApple社が独自のBLEであるiBeaconがリリースされてから大きく注目を集めました。ビーコン発信機と受信機が通信することで、発信機の位置を特定したり情報を送信したりすることが可能です。しかも数百円~数千円と非常に安価に手に入れることができ、ほとんどの場合BLEが用いられているため少ない電力で使えます。

位置情報を特定する技術としてGPSを思い浮かべる方もいるでしょう。GPSは通信に人工衛星を用いますが、ビーコンは手のひらサイズの機械で位置情報をやりとりします。そのため情報通信が出来る範囲は数メートルから数百メートルと狭くなりますが、その分省電力・安価で正確に位置情報を把握することが出来ます。さらに発信機と受信機のやり取りで完結するため地下や屋内でもスムーズに通信を行わせることが可能です。

ビーコンは商業施設でのキャンペーン通知や雪崩時の捜索などさまざまな用途で用いられています。そして、製造業の現場でも生産性向上やムダの削減に大きく貢献しています。

実際の事例を見てみましょう。

事例1:台車の位置情報を把握しムダを削減した株式会社三松

建築部品や精密加工機械部品など幅広い機械装置の組立てを行う九州の株式会社三松。同社が課題として抱えていたのが、“台車の紛失問題”。顧客企業に組み立てた製品を納品する際に用いた台車が返ってこない事態が多数起こっていたのです。また見つからない台車を探す時間も生産性を下げる要因となっていました。

そこで導入したのが「ビーコンで各台車の位置情報を把握するシステム」。台車にビーコンを取り付けることで工場内マップ上で各台車の位置を一覧することを可能にしました。台車の紛失問題が解決されただけでなく、探す時間が不要になったことで業務効率が改善され、年間約3%の工数削減につながったといいます。

事例2:織機の稼働状況を可視化した丸井織物株式会社

石川県能登町の繊維メーカー丸井織物は積極的なIoT活用により、コストを押さえつつ幅広いニーズに応えることを可能にしています。丸井織物が活用するのが前述のiBeacon。織機にセンサーを取り付けることで、職員がiPod touchを近づけた際に稼働情報を読み取れるようにしました。その結果、不具合が起きても簡単に原因を特定し記録をすることができるようになったということです。

センサーは後付けでメーターや動きから情報を取得できるため、旧式の機械にも対応可能。メンテナンスの精度向上や生産性アップにつながっているということです。

事例3:位置情報で進捗や工数把握を実現したケーアイ工業

静岡県富士市にて金属加工に携わる60名規模のケーアイ工業株式会社。同社はビーコンで作業指示書の位置情報を得ることで工場の進捗や正確な工数まで把握できるようにしました。

その仕組みは製品・部品とともに作業指示書が工場内を移動することで成り立っています。作業指示書の位置が移動するということは、その前の工作機械による作業が完了したということです。すなわち、移動したということは作業が進んだということであり、各移動の間の時間を計測すれば正確な工数も把握することができます。結果としてデータを基にカイゼンの議論が行えるようになり、作業者の意識も高まったそうです。

事例4:出荷の効率をビーコンタグで高めたネスレ日本

最後はネスカフェやキットカットで知られるネスレ日本の事例です。ここでビーコンは製品の積み込みを行うトラックの位置情報・ステータスを可視化し、出荷の効率を高める役割を発揮しました。

ドライバーがトラックの待機場に到達した段階で行き先、車体ナンバーやドライバーの連絡先といった情報がビーコンタグに登録されドライバーに手渡されます。ビーコンタグを使えば、それらの情報とともに位置がわかるため「どこ行きのトラックがいつどこにいるか」工場側で簡単に把握できるように。次に来るトラックの行き先に合わせて出荷準備を行い、ベストなタイミングでドライバーを呼び出す仕組みが整いました。

同社の計測によると、システム導入以前/以後でトラックドライバーの拘束時間に約30%の違いが生じたそうです。

まとめ

製造現場のIoT化を安価に実現できるビーコンの概要と活用事例についてご紹介しました。

モノの位置情報を把握できる機能だけでも多様な活用法があり、記事中で紹介したように進捗把握や効率アップにつなげることができます。これまであまり目を向けてこなかった方も、ビーコンを使ってムダや非効率を改善できないか一度考えてみてください。

ビジネスチャットの導入で社内コミュニケーションを高速化する

社内コミュニケーションのスピードUPの重要性

ものづくり経革広場の徳山です。AIやIoTの普及により様々な業界のビジネス環境が激変していくことが考えられる中、以前のブログでも触れたように、社内コミュニケーションのスピードUPがとても重要になってくると考えています。特に新規顧客獲得において、顧客とのレスポンスをスピーディに行うことに直結する社内コミュニケーションの高速化については、最も重要な要素と言っても過言ではないと思います。

スピードUPするために何をするか

社内コミュニケーションのスピードをUPするためにどのような方法が考えられるでしょうか。真っ先に思いつくのが組織の変革かと思います。情報伝達のしやすい組織体制に変えることや、現場へ権限を委譲することなどが挙げられますが、いずれも根付くのに時間がかかりそうです。

そこで、今回オススメしたいのは「ビジネスチャット」の導入です。上述した組織の変革に比べ、お手軽に導入できるし何よりも即効性があると考えているからです。私は普段から様々な中小企業の社長と会話をしていますが、ほとんどの会社がメールを社内コミュニケーションのツールとして使用していると認識しています。しかし、チャットのほうが確実にコミュニケーションのスピードが早くなるので、古い慣習のないIT系の会社やベンチャー企業ではコミュニケーションの方法はメールからチャットへと移行しています。

ビジネスチャットとは

チャットといえばLINEやFacebookのメッセージ機能を思い浮かべればイメージは湧くと思いますが、これらのサービスだとプライベートで利用している方も多いのでビジネスには活用しづらく、社内で使うツールとして取り入れるのは難しいと思われるでしょう。今回オススメしているビジネスチャットは、仕事におけるコミュニケーションに特化したチャットのことで、社員間でメッセージを送ることはもちろん、部門内やプロジェクトチーム内で情報を共有したり、タスクやプロジェクトの管理ができるものまであります。

メールと違い、会話の流れを掴みやすい画面設計になっていたり、過去のメッセージやアップしたファイルなどを検索して見つけやすい、などのメリットがあります。

チャットの方が社内コミュニケーションが早くなる理由

メールに比べ、チャットの方がコミュニケーションが早くなる理由は下記のようなものが挙げられます。

  • メールだと「お世話になっております」などの前置きや、「よろしくお願いいたします」などの後書きを書かなければならない文化が定着しており、送信に時間がかかってしまう。
  • メールだと送信後のメッセージの削除や編集が効かなかったり、宛先を間違うリスクがあるので、送信に慎重になってしまう。
  • チャットだとPCだけでなく、タブレットやモバイルなどからも操作がしやすく、場所を選ばずレスが可能。
  • プライベートでLINEをはじめとしたチャットツールが普及しており、社員の多くが既に操作に慣れていることが多い。

ビジネスチャット導入の流れ

次に、ビジネスチャットをどのような流れで導入していけばよいのかを考えていきます。中途半端に終わってしまわないように自社に合った手順で導入していく必要があります。ここではオススメの手順をご紹介します。

STEP1 社内、部門別に導入

まずは社内にビジネスチャットを定着させるために、小規模な会社であれば社内全体、中〜大規模の会社は部門ごとに使ってみましょう。個人間のメッセージのやり取りと部門内での情報共有を目的に使ってみるとよいでしょう。

ここでのポイントは、中途半端にならないよう強制的に使用させることです。最初のうちはメールの方が慣れているので、使いづらいのは当たり前です。ルールとして、社内でのコミュニケーションにはチャットを使うことを徹底してください。

STEP2 プロジェクトごとに導入

次にプロジェクトごとにグループを作り、本格的に業務でのコミュニケーションをチャットベースで進めていきましょう。STEP1で社員全員がチャットの使い方に慣れていればすんなりと受け入れられることでしょう。

弊社では主要顧客ごとにグループを作ることで、その顧客とのやり取りを社内で共有したり、何か新しいことを始める際にグループを作り、その進捗を共有したり、アイディアをブレストしたり、といった使い方をしています。

STEP3 顧客や取引先を巻き込む

ビジネスチャットでは社外ユーザとのメッセージ送受信や、グループ内に社外ユーザを加えることもできます。顧客や取引先を巻き込んだグループを作成することで、社内と顧客(取引先)間でのコミュニケーションスピードを飛躍的にUPすることができます。

弊社でもご理解いただけるお客様に限りこの方法を行っており、お客様のほとんどがビジネスチャットを使うのは初めてにも関わらず、すぐに慣れてしまいメールは全く使わなくなってしまいます。

ビジネスチャットツールの紹介

ビジネスチャットと一言で言っても様々な会社がサービスを提供しています。具体的にどのようなサービスがあるのか、主要なものを取り上げてご紹介いたします。

弊社で利用しているサービスです。シンプルな操作画面で初心者でもすぐに使いこなせるのが特徴です。タスク機能が便利で、自身が抱えるタスクの忘備録にすることはもちろん、他メンバーにタスクを振ることもできます。無料アカウントで利用できますので、まずはアカウント登録して使い始めてみることをオススメします。

最近TVCMでも宣伝を始めたサービスです。プロジェクト管理機能に優れているので、システム開発を行っているようなIT系の会社を中心に利用者が多いサービスです。聞いた話ではコマ大戦の実行委員の皆さまがSlackを使って会を運営しているそうです。

皆様ご存知「LINE」のビジネス版です。LINEでお馴染みの未読・既読がひと目で分かるので、開封したか(目を通したかどうか)がすぐに分かります。社員の方が操作に慣れている可能性が高く社内に浸透しやすい、というメリットがあるかと思います。

補足:スピードUP以外のメリットも

弊社ではビジネスチャットを導入して7年近くになりますが、導入成果として社内でのコミュニケーションが早くなり、仕事の進行スピードが上がったことはもちろんのこと、会議よりも個々の意見が出やすくなったり、タスク管理で仕事の効率が上がったり、など様々なメリットを享受することができました。

ご紹介したサービスごとに料金体系は異なるものの、いずれも投資金額としては大したものではありません。費用対効果は間違いなく得られるツールだと思いますので、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。