東京で一人暮らしするならどの駅がお得? 家賃相場を紹介!【2017年SUUMO賃貸ランキングまとめ】

1月から3月は春からの新生活や異動などにあわせて部屋探しをする人が増えてくる季節。賃貸物件の部屋探しのオンシーズンです。部屋探しではどこに住むかのエリア選びと、家賃は重要なポイントと言えるでしょう。そこで、SUUMOに掲載されている賃貸物件の情報をもとに家賃相場などを紹介している「【連載】SUUMO賃貸ランキング 」で2017年に公開した記事のなかから人気の記事を紹介します!
山手線の内側・京浜東北線・東急田園都市線で家賃が安い駅は?

●穴場発見!山手線内側で家賃が安い駅ランキング TOP10駅
(2017年7月19日掲載)

穴場発見!山手線内側で家賃が安い駅ランキング TOP10駅

(写真/PIXTA)

1位 雑司が谷(東京メトロ副都心線/豊島区) 7.8万円
1位 田端(JR山手線/北区) 7.8万円縦長の環状に駅が連なるJR山手線の内側ほど都心部であるため家賃が高く、外側に行くほど安いのが相場になっているのだ。では、都内でも家賃が高めといわれる「JR山手線の内側」のなかでも、比較的リーズナブルに住むならどこがいいのだろう?そして最も家賃相場が安かった駅は、東京メトロ副都心線・雑司が谷駅とJR山手線・田端駅で、家賃相場は共に7.8万円だ。1位の東京メトロ副都心線・雑司が谷駅の地下ホームから地上へ向かうと、出口のすぐ前に3位にランクインした都電荒川線の鬼子母神前駅がある。

●ビジネス街とベッドタウンを結ぶ! JR京浜東北線の家賃相場が安い駅ランキング
(2017年10月26日掲載)

人気の街も沿線に! JR京浜東北線の家賃相場が安い駅ランキング

(写真/PIXTA)

1位 磯子駅(神奈川県横浜市磯子区) 5.5万円最も安かったのは磯子(いそご)駅の家賃相場5.5万円。横浜市磯子区に位置し、駅東側は海に面した工業地帯、駅西側には住宅地が広がっている。駅の周辺に区役所や玩具店「トイザらス」、小学校もあって、暮らしやすそうな街並みだが、社宅や分譲住宅が多いのか市場に出ている賃貸住宅の供給数は290戸台(今回調査時点のSUUMO掲載物件数、以下同)。家賃相場は安いものの、住まいを探すときの選択肢は比較的少ない。2位~4位は1位の磯子駅と同様に物件数1000戸以下だが、5位の南浦和駅は1200戸以上の物件がそろっている。ちなみに今回の調査で最も高かった家賃相場は、東京都千代田区にある有楽町駅の12.1万円。1位~7位の駅ならば、有楽町駅の半額以下で住めてしまう。

●人気路線も5万円台で住めちゃう! 東急田園都市線の家賃相場が安い駅ランキング
(2017年11月22日掲載)

人気路線も5万円台で住めちゃう! 東急田園都市線の家賃相場が安い駅ランキング

(写真/PIXTA)

1位 すずかけ台(東京都町田市) 5.3万円東急田園都市線の沿線で、最も家賃相場が安かったのは東京都町田市・すずかけ台駅。駅舎のすぐ東側は神奈川県横浜市で、東京工業大学のキャンパスが広がっている。そのさらに東側には東名高速が通り、横浜町田インターも近いので車の便も良好だ。ちなみにすずかけ台駅から4位・南町田駅までは1駅で、歩いても20分弱。南町田駅の駅前にはニトリやケーズデンキ、スーパーなど大型店舗が点在している。5位以下は家賃相場が6万円台に突入する。家賃相場が共に6.1万円の6位・青葉台駅と田奈駅は隣り合っており、田奈駅は各駅停車駅だが青葉台駅には急行・準急も停車。田奈駅周辺は田畑も多いのどかな地域なのに対して、青葉台駅は駅前にグルメやファッション、雑貨のショップが入ったショッピングセンター「青葉台東急スクエア」群が広がっている。同じ家賃相場で場所も1駅しか違わないが、利便性をとるなら青葉台駅寄りに住むほうがよさそうだ。住みたい街ランキング常連「吉祥寺」から15分、「表参道」から30分以内で家賃相場が安い駅は?

●人気の吉祥寺まで15分圏内!家賃相場が安い駅ランキング
(2017年4月7日掲載)

人気の吉祥寺まで15分圏内!家賃相場が安い駅ランキング

(写真/PIXTA)

1位 西国分寺 5.63万円(JR中央線/東京都国分寺市/約15分)そして最も家賃相場が安かったのは、吉祥寺からJR中央線で下り方面に6駅目の西国分寺駅。JR中央線のほか武蔵野線も乗り入れており、埼玉県の浦和・川口方面にもアクセスしやすい。2位は西国分寺駅から吉祥寺方面へ1駅目の国分寺駅。3位~5位も同じくJR中央線の駅がランクイン。トップ5の駅は都内の西側、いわゆる東京市部に位置し、23区内に比べると緑が多く静かな街並みで、住宅地として支持されている。また隣接し合う3位~5位の駅周辺には大学のキャンパスも点在しており、学生が住む街としても人気があることから家賃相場も低めに抑えられている。

●『東京タラレバ娘』の舞台・表参道から30分以内の家賃相場安い駅
(2017年1月17日掲載)

『東京タラレバ娘』の舞台・表参道から30分以内の家賃相場安い駅

(写真/PIXTA)

1位 和泉多摩川 6.14万円(小田急線/東京都狛江市/約28分/乗り換え回数:1回)表参道駅は東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線の3線が乗り入れており、JR各線に接続する渋谷駅までは1駅。そのため各方面にアクセスしやすい便利な駅だが、ランキングを見るとTOP5すべてが小田急小田原線小田急線の駅というラインナップになった。1位の和泉多摩川(いずみたまがわ)駅は東京都狛江市にあるが、駅近くの多摩川を渡ると神奈川県というロケーション。都内でありつつも自然を感じられる環境で、静かな住宅地として人気がある。3位の向ヶ丘遊園駅は急行停車駅。表参道駅まで乗り換えなしで約23分という近さでありながら、家賃相場は6万円台前半に収まっている。みんなが選んだ穴場な街、ここ数年で人気がでたと思う街の家賃相場は?

●2017年版 みんなが選んだ「穴場だと思う街」の家賃相場は?
(2017年5月30日掲載)

2017年版 みんなが選んだ「穴場だと思う街」の家賃相場は?

(写真/PIXTA)

1位(77点) 北千住(JR常磐線)/7.43万円1位の北千住駅は東京都足立区に位置し、JRや東京メトロ、東武線など5路線が乗り入れておりアクセスの利便性がピカイチ。2位は東京都北区の赤羽駅。2011年に誕生したエキナカ施設「エキュート赤羽」があり、2014年には駅直結の商業施設も誕生するなど施設が充実している。3位~7位にはJR山手線の駅がランクイン。JR山手線沿線の家賃相場は、都内でも決して安いほうではない。環状に結ばれた駅のうち、渋谷駅や品川駅、有楽町駅といった南側に位置する駅の家賃相場が特に高いのだが、今回ランクインした駅はすべて北側に位置している。

●発表!「この2~3年で人気が高まったと思う街ランキング」トップ10の街の家賃相場。お得な街はどこ?
(2017年6月19日掲載)

発表!「この2~3年で人気が高まったと思う街ランキング」トップ10の街の家賃相場。お得な街はどこ?

(写真/PIXTA)

1位 武蔵小杉 7.64万円(東急東横線/神奈川県川崎市)近年、人気が上昇したと考える人が最も多かった駅は、東急東横線ほか4路線・武蔵小杉駅。家賃相場は7.64万円と、近隣相場と比べて少々お高めだ。2位は東京メトロ有楽町線・ゆりかもめ 豊洲駅。新しく整備された街並みと都心オフィス街へのアクセスのよさから人気が高く、家賃相場は10.75万円と都内でも高い部類。2020年をめどに現在も再開発が進行中で、今後も人気が高まると予想される。ランキングトップ10を見てみると、大半は都内の駅。そのなかで異色といえるのが、千葉県流山市に位置する8位のつくばエクスプレス・流山おおたかの森駅だろう。

住みたいと思っていた駅が予算をオーバーするというときなど、少し視点を変えると新しい街との出会いがあるかもしれません。ここで紹介した記事からヒントを得て、ぜひ自分にあった住まいを探してみてください。

※家賃相場についての調査概要はリンク先記事をご覧ください
※家賃相場は随時更新のため変動の可能性があります

代々木上原で家賃7万円。“普通の家賃”で都心に暮らす2組に話を聞いた

都心住まいにあこがれても、「家賃が高そう」と、都心で暮らすことを考えたことすらない人も多いのではないでしょうか。でも、探してみると意外に平均的な家賃で住める物件もあります。そこで、実際に都心にお住まいのかたに「意外と都心で暮らせるよ!」という体験談と部屋探しのアドバイスをうかがいました。

※平均的な家賃…一人暮らし世帯7万1000円、3人以上世帯11万円(出典:リクルート住まいカンパニー/2016年賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査【首都圏版】)
※都心…ここでは千代田区、品川区、渋谷区、新宿区、中央区、文京区、港区の7区を指します

「代々木上原」家賃7万円、一人暮らしのHさん

代々木上原に住むヘアメイクアーティストHさんは表参道のサロンに勤務する富山県出身の32歳。彼女の部屋のお家賃は、6.7万円にプラス0.3万円の管理費の計7万円。駅徒歩10分、代々木上原は坂が多いのですが、それほど気にはならないそうです。

Hさんは、下北沢の2DKでルームシェアをしたあと、2年後の更新タイミングで引越しをすることに。そのタイミングで出合ったのが、この代々木上原の物件です。すでに4年住み、つい先日2回目の更新を終えました。5年目に突入していることからも、なかなか気に入っている様子がうかがえます。

「渋谷駅まで、徒歩20分程度の距離なのに、わりと落ち着いた雰囲気です。緑も多くて静かな環境。物件探しのときは更新期限が迫っていて時間がなくあせっていたのですが、友人が紹介してくれた不動産屋さんが親切で、運よく気に入った物件が見つかりました」(Hさん、以下同)

引越しに当たってHさんが出した条件は「仕事で通う表参道に近い」「日当たりがよい」「建物がしっかりしていそうな『鉄筋・鉄骨』で、木造はNG」の3つが主なもの。ユニットバスで一口コンロ、洗濯機も外置き(ベランダ)ですが、それは仕方がないことと割り切っており、6.7万円と管理費3000円でこの物件なら文句はないと満足しているそうです。

【画像1】Hさんが勤務する表参道(写真/PIXTA)

【画像1】Hさんが勤務する表参道(写真/PIXTA)

築年数は30年と古めですが、リノベーションが施され、内装は白で統一されています。白熱灯の間接照明は特にお気に入りだそうです。これまでご近所づきあいや家そのものに関しては特にトラブルはありませんでしたが、一度だけねずみがはいってきた痕跡を見つけたことがあったそうです。直接遭遇はしませんでしたが、すぐに駆除業者を呼んで消毒と予防をしました。その後は痕跡もみつかりませんし、遭遇もしていませんが、怖い思い出になっているそうです。

「収納もたっぷりあります。3畳分あるロフトは、部屋とは区別してメイクの練習などのアトリエとして使っています。希望していた日当たりも3面採光で気持ちがいいです!」

今でも十分都心といえますが、“THE都心”への憧れの気持ちは尽きることがないようで「もっと都心に住みたい!」というHさん。表参道まで自転車通勤できる快適な毎日を過ごせているようです。

「北参道」家賃11万円、家族4人で暮らすNさん

副都心線北参道駅から徒歩7分、11万円の物件にお住まいのNさん(36歳)。ご主人と保育園に通うお子さま2人の4人で暮らしています。フリーのスタイリストとして働いていて、ご主人も同じ業界。昼間はお子さんを保育園に預けています。7階建ての3階にあるお住まいは1LDKで、広さは60m2弱、築年数は30年。住んで3年目とのこと。

以前は代々木にお住まいだったNさん、引越したきっかけは、「駐輪場」でした。「大きな地震があったときに駐輪場の屋根が壊れたのですが、大家さんは修復してくれず、駐輪場そのものがなくなることに。子育て世代の私たちに自転車は必須ですから、引越すしかありませんでした」(Nさん、以下同)

そのタイミングでNさんが2人目のお子さんを出産。上のお子さまを連れて遠方のご実家へと長期帰省している間にご主人があっという間に物件を決め、Nさん不在の間にお一人で引越し作業を敢行。その際、ご主人が決めた条件は「家賃」「間取り」「直感」という3つだったそう。「新居の要望を言う余裕もなかったのですが、なんとなく代々木の20万円の部屋と同じくらいのところを探してくれると思い込んでいました」

数カ月後、実家から帰ってきて新居にはじめて入ったHさん。外観に気になるところはないし、室内もリノベーションされていてきれいでした……が、「洗濯機は外置き、代々木の部屋にあった独立洗面台がないことに驚きました」

最初は憤ったものの、だんだんと慣れてきたそう。また、以前から9万円も家賃が下がったために、生活にはずいぶん余裕が出たといいます。「二人とも自営業(フリー)で、生活にあまりお金をかけるのは不安なので、ちょうどよいのかもしれません。今は不自由を感じなくなりました」

部屋数が少ないため、親子・夫婦喧嘩したときなども顔を合わせねばなりません。しかたなく一緒の布団で寝ることになるので、家族の距離が近くなり、以前よりもよりあたたかな生活ができているようです。

ところで、Nさんの部屋はどうして11万円という破格なのでしょうか。

不動産屋さんで20万円以下の物件を探していて11万円の部屋を見つけたご主人は、当初やはりすこし心配になったそう。実は、このお部屋は地方にお住まいのご高齢の方が、もともと投資用に購入した部屋。ただ、そこまで家賃収入に執着がなく家賃を安く設定しているとのこと。また、「住みやすいように」と床の張り替えなど、積極的にリフォームもしてくれるそうで、とてもいい大家さんに出会えたようです。

Nさんのマンションは管理員さんも古くから住んでいるご近所さんも親切だといいます。「いまだに回覧板があったり、ものをもらったりあげたりする」ような、古きよきご近所づきあいをしているそうです。

都心暮らしの一番のメリットは職場や目的地まで距離が近いこと。ネットショッピングでより生活が便利に

Hさんは都心暮らしについて「職場から近いのがいちばんです。自転車も使え、移動時間が短いし、タクシーを使っても安いです」とよさを教えてくれます。

Nさんは、もともとは都心で暮らすことを不便に感じていたようです。いちばん近いドラッグストアが人通りの多い竹下通りにあるなど、日常の生活に向かないと思っていたからです。ただ、いまはネットで日用品から食品までなんでも買えます。もともとは職場まで徒歩や自転車でいけることから都心に住み始めましたが、「都心でより便利に安く暮らせる時代が来た」とNさんは思っているそうです。

「どんな場所でも『住めば都』。意外とどこでも変わらない生活ができます。買い物するお店がなくても、ネットで探せます。それに、このあたりはタクシーの1メーター410円でどこでもいけますし、カーシェアリングを利用すれば子どもがいても移動が楽です。ママ友もたくさんいますが、みんな子育てに仕事にと、パワフルなのが都心。空気もみなさんが思っているほど悪くないですよ」(Nさん)

また、都心は意外と子どもを遊ばせやすいとも感じているそうです。「歩いていける国立競技場には子どもが自転車の練習をできる場所がありますし、代々木公園や新宿御苑も近いです。ただ、小さな公園など、家の近所に遊ぶ場所がないのがすこし不便かもしれません」(Nさん)

都心に普通の値段で住む 家探しのコツとは?

Hさんは「お部屋探しのコツは不動産屋さんと仲よくなること。不動産屋さんはやっぱり最新の情報をもっていて、仲よくなっておけばいち早く教えてくれます」と言います。

また、「妥協できる点とできない点を決め、優先順位をつけておきました。例えば私は同じユニットバスでも許せるタイプのものと許せないタイプのものがあったので、そういう細かいところまで決めて、たくさん見たほうがよいです。探せばあるので、あきらめない。よくばってもよいと思いますし、焦点を決めて探してみてください」とアドバイスしてくれました。

数年後にはお子さまの小学校入学に合わせて、勉強部屋確保のためにも引越そうと思っているNさん。ご夫婦での開業も予定されているそうですが、またこの近くに住むことになりそうです。都心の暮らしやすさを知っているからこそ、また都心へと引越したくなるのかもしれません。

探すのが難しいと思われがちな「都心の手ごろな部屋」。自分の譲れない条件を絞れば、希望の家賃に収まる物件は見つかりそうです。また、場所によっては静かな生活を送ることもできますし、ネットショッピングがより便利になり、日常生活にお金がかかり過ぎたり、日用品を買うお店がなくて不便ということも以前よりなくなってきたように感じます。都心に憧れをもっているかたは、都心暮らしを検討してみてもよいかもしれません。

無駄な内見を回避!VRゴーグルで様々なスポットを見学できる「Warp」開始

あるはずのないものが、目の前に本当にあるかのように感じられるVR(仮想現実)の世界。そんな最新技術が不動産業界にも進出! VRを活用したシステムを開発しているOneStone株式会社(埼玉県所沢市)が、VRを使って物件の見学ができるサービス「Warp」を2017年12月4日に始動させた。スマホとVRゴーグルを組み合わせることで、誰でも簡単にVR見学ができるサービスだ。146477_sub01

この「Warp」をいち早く不動産仲介店舗での接客ツールとして活用している株式会社大興不動産(宮崎県宮崎市)には、続々と驚きと喜びの声が届いている。
地方への転勤・転居など、遠方での部屋探しは、なかなか実際の物件を見られないことも。そんな時にありがちなのが、「実物を見てがっかり」という体験。けれど「Warp」を利用したVR内見を実施している大興不動産では、そんな心配はもうない。「Warp」を利用した顧客からは「わざわざ見に行かなくてもいいですね」と利便性を評価するコメントが寄せられている。実際の内見をせずにVR見学のみで成約を決断する人も毎月着実に増えているという。

開発会社のワンストーンの担当者は、VRの一番のメリットを「写真では分からない雰囲気が体感できるという点」だと太鼓判を押している。部屋の広さや質感も、画像よりも圧倒的に高い精度で体感できるそう。それなら確かに、「写真では良かったけど、実際に見たらイメージと違った」といった残念な体験を減らし、効率よく物件が探せそうだ。

146477_sub02

ワンストーンの「Warp」を体験するためのシステムは非常にシンプル。
(1)VRで見学してみたいスポットをWebから選んで申し込み
(2)自宅に無料でダンボール製のVR用ゴーグルが届く
(3)専用アプリをスマホにインストールし、ゴーグルにセット
(4)さまざまなスポットをVRで確認できる

146477_sub03

見学できるスポットは、Warpの加盟企業に関する場所。開発会社のワンストーンは、今後は加盟店を増やし全国のさまざまなスポットをVR化したいと意気込んでいる。近い将来には転居先、旅行先、結婚式場、デート先などの大事な行き先を選定する際、忙しくて時間が無くても、Warpを使って効率的に自分に合った場所やプランを見つけられるかもしれない。

なお、加盟に必要な料金は、月額5,000円(税別)からWarpの基本システムが利用でき、プラス5,000円(税別)でVR用の特設サイトを自動で構築する機能を利用できる。

無駄な内見を回避!VRゴーグルで様々なスポットを見学できる「Warp」開始

あるはずのないものが、目の前に本当にあるかのように感じられるVR(仮想現実)の世界。そんな最新技術が不動産業界にも進出! VRを活用したシステムを開発しているOneStone株式会社(埼玉県所沢市)が、VRを使って物件の見学ができるサービス「Warp」を2017年12月4日に始動させた。スマホとVRゴーグルを組み合わせることで、誰でも簡単にVR見学ができるサービスだ。146477_sub01

この「Warp」をいち早く不動産仲介店舗での接客ツールとして活用している株式会社大興不動産(宮崎県宮崎市)には、続々と驚きと喜びの声が届いている。
地方への転勤・転居など、遠方での部屋探しは、なかなか実際の物件を見られないことも。そんな時にありがちなのが、「実物を見てがっかり」という体験。けれど「Warp」を利用したVR内見を実施している大興不動産では、そんな心配はもうない。「Warp」を利用した顧客からは「わざわざ見に行かなくてもいいですね」と利便性を評価するコメントが寄せられている。実際の内見をせずにVR見学のみで成約を決断する人も毎月着実に増えているという。

開発会社のワンストーンの担当者は、VRの一番のメリットを「写真では分からない雰囲気が体感できるという点」だと太鼓判を押している。部屋の広さや質感も、画像よりも圧倒的に高い精度で体感できるそう。それなら確かに、「写真では良かったけど、実際に見たらイメージと違った」といった残念な体験を減らし、効率よく物件が探せそうだ。

146477_sub02

ワンストーンの「Warp」を体験するためのシステムは非常にシンプル。
(1)VRで見学してみたいスポットをWebから選んで申し込み
(2)自宅に無料でダンボール製のVR用ゴーグルが届く
(3)専用アプリをスマホにインストールし、ゴーグルにセット
(4)さまざまなスポットをVRで確認できる

146477_sub03

見学できるスポットは、Warpの加盟企業に関する場所。開発会社のワンストーンは、今後は加盟店を増やし全国のさまざまなスポットをVR化したいと意気込んでいる。近い将来には転居先、旅行先、結婚式場、デート先などの大事な行き先を選定する際、忙しくて時間が無くても、Warpを使って効率的に自分に合った場所やプランを見つけられるかもしれない。

なお、加盟に必要な料金は、月額5,000円(税別)からWarpの基本システムが利用でき、プラス5,000円(税別)でVR用の特設サイトを自動で構築する機能を利用できる。

一人住まいの引越し、近隣への挨拶は不要が7割超!なぜ?

引越しの挨拶は「必要ない」という回答が7割超に達したという調査結果を、FJネクストが発表した。調査対象は、首都圏のワンルームに単身入居している20代・30代の社会人。彼らはなぜ、挨拶は不要と考えているのだろう?【今週の住活トピック】
「『ひとり住まいの安心・安全意識』アンケート」結果を発表/FJネクスト引越しの挨拶、不要は約7割、していないは約8割

引越しの挨拶は必要かどうかを聞いたところ、「必要」は26.3%、「必要ない」は73.8%という回答だった。男女別や20代・30代別に見ても、それほど大きな開きは見られなかった。

では実際に、今の住まいに入居したときに引越しの挨拶をしたかどうか聞いたところ、「した」は21.8%、「していない」は78.3%という回答となり、挨拶していない割合は8割近くにまで達した。引越しの挨拶は減少傾向にあると思ってはいたが、これほどまで少ないとは驚きだ。

実際に挨拶した人に、挨拶をした部屋を聞いたところ、「隣の部屋」(86.2%)が最多で、次いで「下の部屋」(35.6%)となった。部屋が何階か、ワンフロアはどんな部屋配置かなどによって、挨拶する部屋も変わるだろうが、興味深いのは男女別で違いが見られたことだ。男性のほうが「隣の部屋」を重視するのに対し、女性のほうが「下の部屋」を重視する傾向がうかがえる。女性は、階下に伝わる生活音のトラブルを未然に防ぎたいということだろう。

【画像1】Q.現在の住まいに入居されたとき、引越しの挨拶はしましたか(出典/FJネクスト「『ひとり住まいの安心・安全意識』アンケート)より転載)

【画像1】Q.現在の住まいに入居されたとき、引越しの挨拶はしましたか(出典/FJネクスト「『ひとり住まいの安心・安全意識』アンケート)より転載)

挨拶しないのは、防犯のため?

この調査では、引越しの挨拶を必要・不必要とする理由をフリーコメントで聞いている。
引越しの挨拶を「必要」とする理由としては、マナーや礼儀のほかに、助け合いやトラブル予防といった声が多かったという。一方、「必要ない」とする理由は、男女で違いがあった。男性がプライバシー重視、他人に干渉されたくないといった声が多いのに対して、女性は犯罪やトラブルから身を守るという声が多かったという。

女性が防犯を重視する傾向は、ほかの調査項目でも見られた。
部屋を決める際に、「家賃」と「セキュリティー」のどちらを重視するかを聞いたところ、男性のほうが「家賃重視派」(79.5%)が多くなり、女性のほうが「セキュリティー重視派」(38.5%)が多くなる傾向があった。

【画像2】Q.お部屋選びで、部屋仕様や立地条件が同等な場合、あなたはセキュリティーと家賃のどちらを重視しますか(出典/FJネクスト「『ひとり住まいの安心・安全意識』アンケート)より転載)

【画像2】Q.お部屋選びで、部屋仕様や立地条件が同等な場合、あなたはセキュリティーと家賃のどちらを重視しますか(出典/FJネクスト「『ひとり住まいの安心・安全意識』アンケート)より転載)

また、欠かせないセキュリティー設備として評価が高かった、“セキュリティー三種の神器”ともいえるものは「モニター付インターホン」「ドアチェーン」「オートロック」だった。いずれも男性より女性のニーズが高いのだが、特に男女差が大きかったのは「ドアチェーン」だ。室内に押し入られる不安が、女性で特に強いということだろう。

本当に挨拶しないほうが、防犯に役立つ?

「引越しの挨拶」は、単に引越しの際の話にとどまらず、以降の近所づきあいの入り口となるものだ。つまり、挨拶をしない根底には、近所づきあいをしたくないという気持ちがあるのだろう。一人暮らしの男性が挨拶不要とする理由として挙げたのは、まさしくこれだ。

一方、一人暮らしの女性は、一人で暮らすからこその強い不安も加わって、近所づきあいを遠ざけている。引越しの挨拶を不必要とする理由として、具体的に次のようなコメントが紹介されている。
「女性なので一人で住んでいることを知られたくない」
「以前、挨拶した人にしつこくされたので」
「どんな人が住んでいるか分からないので怖い」

「女性の一人暮らしであることを知られたくない」という気持ちはよく分かる。だからといって、近所づきあいを遠ざけるのが防犯に役立つといえるのだろうか?

犯罪者への調査によると、侵入者が犯行をあきらめる最大の要素は「声をかけられた」だ(都市防犯研究センターのサイトより)。セキュリティーシステムや防犯カメラよりも、人の目のほうを気にする犯罪者は多い。近所付き合いが防犯効果につながると言われる由縁だ。

どんな人が住んでいるか分からないままで暮らすより、分かっていたほうが、トラブルに気をつけたり、何かあったときに助けを求めたりできるという考え方もあるだろう。

また、近隣に不快な思いをさせられた場合は、管理会社に相談して適切な対処を求めるのがよい。放置せずにきちんと対処してくれる管理会社かどうかも、住まい選びには重要なカギになる。

実は一戸建ての場合、侵入を防ぐために周囲に高い塀をめぐらすと、かえって敷地内の犯行を容易にする可能性があると言われている。敷地や周辺環境との関係性を把握して、適切な外構を設計するというのが防犯設計上のポイントになる。近所づきあいも同じようなことが言えるのではないか。

郊外団地の手狭な間取りが大変身!? 2つの住戸をつなげるリノベプラン「ニコイチ」とは

郊外の古い団地をリノベーションで再生し、若い世代を呼び込もうとする動きがある。そんななか、大阪府堺市茶山台(ちゃやまだい)団地でユニークな団地が登場した。2戸をつなぎ合わせて1戸の住居にリノベーションした賃貸「ニコイチ」。デザイナーズマンションのような90m2の住戸が家賃約8万円とあって、昨年行われた募集ではなんと平均で定員の7倍の申込者があったという。
玄関やリビングがふたつある、斬新な住空間

茶山台団地は昭和40年代に建てられた総戸数941戸の団地だが、その中に「ニコイチ」住戸が誕生し、大人気を博している。
「ニコイチ」は単に専有面積が2倍に広がるだけでなく、間取りやデザインもこれまでの団地とは全く違う、斬新な住空間に変身させているのが特徴だ。
例えば2016年度の事例では、従来の45m2から2倍の90m2に広がった空間を大胆にV字に間仕切りしたり、土間風リビングを設けたり。何よりもともと2戸の住戸だった特徴を活かして、玄関やリビングがふたつある斬新な住空間を実現しているのが「ニコイチ」ならでは。いずれもこれまでの団地のイメージを一新する住まいだ。

この取り組みを手がけた大阪府住宅供給公社の川原光憲(かわはら・みつのり)さんは「少子高齢化により、茶山台団地のある泉北ニュータウンでも人口減が進み空き家問題が深刻化しています。そこで大阪府や堺市と連携し、泉北ニュータウン全体の再生を目指すなかで、外部から若いカップルやファミリーに移り住んでもらうのが重要だと考えました。しかし若い子育て世代にとって、茶山台団地の45m2の住戸はやはり手狭です。そこで2つの住戸をつなぎ合わせて大きな住戸にしようというアイデアが浮かび上がったんです」という。

V字型間仕切りや土間風リビングなど建築家が腕をふるった4プラン

“魅力的で新しい団地”を実現するために、リノベーションプラン(設計・施工)を外部へ求める方法を採用した。

「ふたつの隣り合う住戸をつなぎ合わせるため、二戸の間に共用の階段部分があり壁の一部が抜けないなど、どうしても間取りに制限がかかります。かえってそのことで建築家の方たちが腕をふるってくださり、非常に面白い発想が生まれました。入居者募集では若い世代を中心に応募が殺到し、昨年は平均の募集倍率7倍を記録する人気を得ました」(川原さん)
昨年は6住戸、4プランを募集した。その4プランを紹介しよう。

プラン1:バーチカルブラインドのある家

広げたり畳んだりできるバーチカルブラインド(※)で空間を仕切ったプラン。メインリビングとセカンドリビングがあるので、アイデア次第でさまざまな使い方ができる。
※縦に細長い帯状の布を並べてひもでつなぎ、窓の内側などに上からつるして日よけや目隠しにするブラインド

【画像1】バーチカルブラインドのある家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

【画像1】バーチカルブラインドのある家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

プラン2:ふたつのリビングを持つ贅沢な家

V字型の間仕切りが独創的な間取りで、土間空間のようなふたつのリビングを配置。

【画像2】ふたつのリビングを持つ贅沢な家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

【画像2】ふたつのリビングを持つ贅沢な家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

プラン3:ウッドバルコニーと機能的なキッチンスペースのある開放的な家

2戸をウッドバルコニーでつないでいる。土間空間にパントリーのあるキッチンも特徴。

【画像3】ウッドバルコニーと機能的なキッチンスペースのある開放的な家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

【画像3】ウッドバルコニーと機能的なキッチンスペースのある開放的な家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

プラン4:来客者も招きやすいおもてなし空間のある家

広々としたキッチンスペース、小上がりの和室などを配し、床は上質な吉野スギの無垢のフローリングを使用。階段室とホールをつなぐフリースペースがあり、ゲストを招きやすい。

【画像4】来客者も招きやすいおもてなし空間のある家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

【画像4】来客者も招きやすいおもてなし空間のある家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

半分は生活スペースに、半分はゆとりの空間に

今年、プラン1に入居した、ご夫婦ふたり暮らしのKさんに話を聞いた。

――応募の動機は何でしたか?

「団地に興味があり応募しました。以前、兵庫県の団地に住んでいたことがあったのですが、子どもから高齢者までさまざまな世代の人が仲良く、マンションより住民同士の距離が近い感じがしたので、そこが魅力でした」

――ニコイチの住み心地はどうですか?

「90m2と専有面積が広いのでとても快適です。一般的なマンションでは8万円の家賃でこんなに広い部屋は無理。郊外の団地なので駅から徒歩15分かかりますが、その点は特に気になりません」

――ふたつのリビングをどう利用していますか?

「半分を生活スペースに、半分はゆとりの部屋と考えています。今後、子どもができたら子ども部屋にしてもいいですし、趣味の部屋にしてもいい。使い方はこれから生活していくなかで決まっていくと思います」

――団地のコミュニティーが好きということでしたが、茶山台団地はどうですか?

「毎月住民が集まって団地について話し合う機会があり、若い人たちも参加しているのに驚きました。イベントもいろいろあるようなので楽しみです。やはりマンションよりも住民同士がつながりを大事にしている気がします」

来年1月に9プランの募集を開始。縁側付き、サンルーム付きなど遊び心いっぱい

少子高齢化や空き家問題など社会の課題にアプローチする視点から生まれたニコイチは、その取り組みが評価され、「2017年度グッドデザイン賞」を受賞した。
大阪府住宅供給公社では、今年度は茶山台団地(大阪府堺市)と香里三井C団地(大阪府寝屋川市)の2団地で、合わせて10住戸、9プランの入居者を2018年1月から募集する。
「サンルームがある家」「通り庭がある家」「ガレージがある家」など、それぞれ特徴が異なり、遊び心あふれるプランだ。

【画像5】サンルームがある家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

【画像5】サンルームがある家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

【画像6】ガレージがある家(画像提供/大阪府住宅供給公社)

【画像6】ガレージがある家(画像提供/大阪府住宅供給公社)


外観は昭和の面影が残る団地だが、中に入ればまるでデザイナーズマンションのような住空間。ほかでは出合うことができない個性的な間取りやデザインは、ふたつの住戸をつなぎ合わせたからこそ生まれたものだ。ふたつのリビングをどう使おうか、V字にカットされた空間にはどんなインテリアがいいか、などと考えるだけでわくわくする。それが家賃8万円なのだから、賃貸を考えるときの新しい選択肢になりそうだ。

●取材協力
・大阪府住宅供給公社 ニコイチ

名古屋駅から30分圏内! 家賃相場が安い駅ランキング

東海道新幹線をはじめとするJR各線と、名古屋市営地下鉄、あおなみ線が乗り入れる中部エリア屈指の巨大ターミナル駅・名古屋駅。駅周辺には高層ビルが林立し、ビジネスや観光の拠点として多くの人でにぎわっている。そんな名古屋駅まで、30分以内で行けちゃう家賃相場が安い駅を調査してみた。●名古屋駅まで30分以内にある家賃相場が安い駅TOP15駅
順位/駅名/家賃相場(主な路線/所在地/名古屋駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 島氏永 2.8万円(名鉄名古屋本線/愛知県一宮市・稲沢市/約23分/2回)
2位 穂積 3.2万円(JR東海道本線/岐阜県瑞穂市/約26分/0回)
3位 西岐阜 3.4万円(JR東海道本線/岐阜県岐阜市/約23分/0回)
4位 高蔵寺 3.6万円(JR中央本線/愛知県春日井市/約26分/0回)
4位 国府宮 3.6万円(名鉄名古屋本線/愛知県稲沢市/約19分/1回)
4位 笠松 3.6万円(名鉄名古屋本線/岐阜県羽島郡/約29分/1回)
7位 観音寺 3.7万円(名鉄尾西線/愛知県一宮市/約27分/2回)
8位 稲沢 3.8万円(JR東海道本線/愛知県稲沢市/約11分/0回)
8位 八事日赤 3.8万円(名古屋市営地下鉄名城線/愛知県名古屋市/約29分/2回)
10位 平針 3.9万円(名古屋市営地下鉄鶴舞線/愛知県名古屋市/約29分/1回)
10位 植田 3.9万円(名古屋市営地下鉄鶴舞線/愛知県名古屋市/約26分/1回)
12位 大山寺 4.0万円(名鉄犬山線/愛知県岩倉市/約22分/3回)
12位 丸ノ内 4.0万円(名鉄名古屋本線/愛知県清須市/約24分/2回)
12位 八事 4.0万円(名古屋市営地下鉄名城線/愛知県名古屋市/約22分/1回)
12位 塩釜口 4.0万円(名古屋市営地下鉄鶴舞線/愛知県名古屋市/約24分/1回)

名古屋駅の30分圏内まで選択肢を広げると2万円台から住める!

家賃相場が最も安かったのは名鉄名古屋本線・島氏永(しまうじなが)駅。上り線ホームは一宮(いちのみや)市、下り線ホームは稲沢(いなざわ)市に位置している。もともとあった島駅と氏永駅が統合され、1つの駅になったことが一風変わった駅名の由来だ。現在は無人駅で一日の利用客はさほど多くなく、駅周辺は田園や一戸建て住宅が広がる静かな環境。SUUMO掲載の賃貸物件数は50件以下(今回の調査時点。以下同)で選択肢が豊富とは言いがたいが、名古屋駅から約23分の立地で家賃相場が2.8万円というのは魅力的だろう。

これまで調査してきた東京近郊の家賃相場に比べると、1位の2万円台という家賃相場が破格値に感じられる。一方で、名古屋駅は6.4万円という家賃相場だったので、東京近郊と比べてもそこまで安くはない。しかし名古屋駅の30分圏内まで選択肢を広げると、だいぶ家賃相場が下がることがランキングから見て取れる。ランクインした15駅のうち最も高い家賃相場でもジャスト4万円だった。

家賃相場が4万円だったのは4駅あり、そのうち名古屋市営地下鉄鶴舞線・塩釜口(しおがまぐち)駅は名城大学天白キャンパスの最寄駅。学生向けの賃貸物件が多いためか、こちらはランクインした15駅中で最も多い、1000件以上の賃貸物件がSUUMOにも掲載されている。駅周辺にはコスパのいい飲食店や居酒屋がそろい、夜でも人通りが少なくない。ファミリー層よりは若者におすすめの街と言えるかもしれない。

【画像1】名城大学(写真/PIXTA)

【画像1】名城大学(写真/PIXTA)

県外や市外にも目を向けると穴場の駅が見つかるかも

名古屋駅は愛知県内でも西側に寄ったロケーションのため、電車に30分も乗ると隣県へ出ることができる。トップ15駅のなかでも3駅は、お隣・岐阜県の駅がランクインしている。

そのうち2位のJR東海道本線・穂積(ほづみ)駅は岐阜県瑞穂市に位置。駅周辺には幼稚園や小中学校が複数点在し、子育て世代の住民も少なくない様子。郵便局や市役所、スーパーなど日々の生活に必要な施設も駅周辺にそろっている。また、名古屋駅まで乗り換えせずに行けるだけでなく、岐阜県の繁華街・岐阜駅まで電車で2駅。愛知と岐阜、両県の都市部に出やすいため、休日のおでかけも楽しめそうだ。

ランキング中で名古屋駅からの所要時間が最も短かった駅も見てみよう。それは8位のJR東海道本線・稲沢駅。名古屋駅からは3駅・約11分の近さで、家賃相場は3.8万円。駅前の再開発が進行し、大規模マンションや大型ショッピングセンター「リーフウォーク稲沢」が誕生している。

【画像2】岐阜駅(写真/PIXTA)

【画像2】岐阜駅(写真/PIXTA)

名古屋駅を基点に住まい探しをするとき、ついつい基点駅がある名古屋市内に注目してしまいがち。しかし家賃相場が同じ8位の稲沢駅と八事日赤(やごとにっせき)駅を見比べると、名古屋市内の八事日赤駅よりも名古屋市外にある稲沢駅のほうが、名古屋駅からの所要時間も乗り換え回数も少ない。

また、2位の穂積駅のように、県をまたいではいても乗り換えせずに30分以内で名古屋駅まで行ける駅もある。住所表記にこだわりすぎず、路線図や地図で位置関係を確認しながら住まいのエリア決めをすることが、お得な物件探しのコツかもしれない。

●調査概要
【調査対象駅】名古屋駅から乗車30分圏内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10m2以上、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【調査期間】2017年7⽉1⽇~2017年9⽉30⽇
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出。(随時更新のため、物件数は変動の可能性があります)

名古屋駅から30分圏内! 家賃相場が安い駅ランキング

東海道新幹線をはじめとするJR各線と、名古屋市営地下鉄、あおなみ線が乗り入れる中部エリア屈指の巨大ターミナル駅・名古屋駅。駅周辺には高層ビルが林立し、ビジネスや観光の拠点として多くの人でにぎわっている。そんな名古屋駅まで、30分以内で行けちゃう家賃相場が安い駅を調査してみた。●名古屋駅まで30分以内にある家賃相場が安い駅TOP15駅
順位/駅名/家賃相場(主な路線/所在地/名古屋駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 島氏永 2.8万円(名鉄名古屋本線/愛知県一宮市・稲沢市/約23分/2回)
2位 穂積 3.2万円(JR東海道本線/岐阜県瑞穂市/約26分/0回)
3位 西岐阜 3.4万円(JR東海道本線/岐阜県岐阜市/約23分/0回)
4位 高蔵寺 3.6万円(JR中央本線/愛知県春日井市/約26分/0回)
4位 国府宮 3.6万円(名鉄名古屋本線/愛知県稲沢市/約19分/1回)
4位 笠松 3.6万円(名鉄名古屋本線/岐阜県羽島郡/約29分/1回)
7位 観音寺 3.7万円(名鉄尾西線/愛知県一宮市/約27分/2回)
8位 稲沢 3.8万円(JR東海道本線/愛知県稲沢市/約11分/0回)
8位 八事日赤 3.8万円(名古屋市営地下鉄名城線/愛知県名古屋市/約29分/2回)
10位 平針 3.9万円(名古屋市営地下鉄鶴舞線/愛知県名古屋市/約29分/1回)
10位 植田 3.9万円(名古屋市営地下鉄鶴舞線/愛知県名古屋市/約26分/1回)
12位 大山寺 4.0万円(名鉄犬山線/愛知県岩倉市/約22分/3回)
12位 丸ノ内 4.0万円(名鉄名古屋本線/愛知県清須市/約24分/2回)
12位 八事 4.0万円(名古屋市営地下鉄名城線/愛知県名古屋市/約22分/1回)
12位 塩釜口 4.0万円(名古屋市営地下鉄鶴舞線/愛知県名古屋市/約24分/1回)

名古屋駅の30分圏内まで選択肢を広げると2万円台から住める!

家賃相場が最も安かったのは名鉄名古屋本線・島氏永(しまうじなが)駅。上り線ホームは一宮(いちのみや)市、下り線ホームは稲沢(いなざわ)市に位置している。もともとあった島駅と氏永駅が統合され、1つの駅になったことが一風変わった駅名の由来だ。現在は無人駅で一日の利用客はさほど多くなく、駅周辺は田園や一戸建て住宅が広がる静かな環境。SUUMO掲載の賃貸物件数は50件以下(今回の調査時点。以下同)で選択肢が豊富とは言いがたいが、名古屋駅から約23分の立地で家賃相場が2.8万円というのは魅力的だろう。

これまで調査してきた東京近郊の家賃相場に比べると、1位の2万円台という家賃相場が破格値に感じられる。一方で、名古屋駅は6.4万円という家賃相場だったので、東京近郊と比べてもそこまで安くはない。しかし名古屋駅の30分圏内まで選択肢を広げると、だいぶ家賃相場が下がることがランキングから見て取れる。ランクインした15駅のうち最も高い家賃相場でもジャスト4万円だった。

家賃相場が4万円だったのは4駅あり、そのうち名古屋市営地下鉄鶴舞線・塩釜口(しおがまぐち)駅は名城大学天白キャンパスの最寄駅。学生向けの賃貸物件が多いためか、こちらはランクインした15駅中で最も多い、1000件以上の賃貸物件がSUUMOにも掲載されている。駅周辺にはコスパのいい飲食店や居酒屋がそろい、夜でも人通りが少なくない。ファミリー層よりは若者におすすめの街と言えるかもしれない。

【画像1】名城大学(写真/PIXTA)

【画像1】名城大学(写真/PIXTA)

県外や市外にも目を向けると穴場の駅が見つかるかも

名古屋駅は愛知県内でも西側に寄ったロケーションのため、電車に30分も乗ると隣県へ出ることができる。トップ15駅のなかでも3駅は、お隣・岐阜県の駅がランクインしている。

そのうち2位のJR東海道本線・穂積(ほづみ)駅は岐阜県瑞穂市に位置。駅周辺には幼稚園や小中学校が複数点在し、子育て世代の住民も少なくない様子。郵便局や市役所、スーパーなど日々の生活に必要な施設も駅周辺にそろっている。また、名古屋駅まで乗り換えせずに行けるだけでなく、岐阜県の繁華街・岐阜駅まで電車で2駅。愛知と岐阜、両県の都市部に出やすいため、休日のおでかけも楽しめそうだ。

ランキング中で名古屋駅からの所要時間が最も短かった駅も見てみよう。それは8位のJR東海道本線・稲沢駅。名古屋駅からは3駅・約11分の近さで、家賃相場は3.8万円。駅前の再開発が進行し、大規模マンションや大型ショッピングセンター「リーフウォーク稲沢」が誕生している。

【画像2】岐阜駅(写真/PIXTA)

【画像2】岐阜駅(写真/PIXTA)

名古屋駅を基点に住まい探しをするとき、ついつい基点駅がある名古屋市内に注目してしまいがち。しかし家賃相場が同じ8位の稲沢駅と八事日赤(やごとにっせき)駅を見比べると、名古屋市内の八事日赤駅よりも名古屋市外にある稲沢駅のほうが、名古屋駅からの所要時間も乗り換え回数も少ない。

また、2位の穂積駅のように、県をまたいではいても乗り換えせずに30分以内で名古屋駅まで行ける駅もある。住所表記にこだわりすぎず、路線図や地図で位置関係を確認しながら住まいのエリア決めをすることが、お得な物件探しのコツかもしれない。

●調査概要
【調査対象駅】名古屋駅から乗車30分圏内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10m2以上、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【調査期間】2017年7⽉1⽇~2017年9⽉30⽇
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出。(随時更新のため、物件数は変動の可能性があります)

エンジニアとライターの二足のわらじで働く自分が、ギークハウスを選んで良かったこと

人によってさまざまな形のある「暮らし方」。どうしてその暮らし方を選択したのか、実際満足できているのか?今回は、平日は都内の会社でエンジニアとして働きながら、副業で人気サイト「デイリーポータル Z」などでライターをされているmegayaさんに、最近引越して、暮らしているというシェアハウス「ギークハウス」での生活について語っていただきました。
日々の生活に刺激が欲しかったから「ギークハウス」へ引越した

本業でエンジニアとして働きながら、副業でライターをしているmegayaと申します。
仕事柄、パソコンさえあればどこでも仕事ができるので一人でいる時間が多く、一人でいるのは好き(特に漫画喫茶の狭い個室で自堕落に一人で過ごすのが大好き)なのですが、2カ月前に一人暮らしをしていた下赤塚から離れ、「ギークハウス」というシェアハウスに引越しました。

一人でいるのが好きなのに、なぜわざわざ他人と一緒に住むシェアハウスに引越したのかと言うと、20代後半になって生活に刺激がなくなり、毎日を無駄に過ごしているように感じたからです。神奈川県から都内に引越してきて4年近くがたち、徐々に何事にも「まあいいか」「しかたないか」と思うことが多くなっているように感じていました。今日頑張らなくてもいいか、疲れているから明日でもいいか、と毎日やるべきことを先延ばしにしていて、自分自身の中で何かを毎日あきらめて捨てているような感覚でした。

仕事もこなしているはいるものの、なんとなくやっているだけで、家でもあまり集中して作業ができず、だらだらと無駄に長い時間をかけて徹夜で作業をし、時間をただただ無駄に……。

そんな日々を変えたいという思いがあり、自分の生活習慣を変えざるを得ない状況を無理やりつくりだそうと思いました。そして、いろいろと調べて、考えた結果として、「ギークハウス」へ引越すことに決めました。一人でいるのは好きであるけれど、その時間を減らして他人と一緒に住む環境に自分の身を置けば、なんとなく過ごしている日々からも脱却できるのではないか、と考えたのです。

そもそも「ギークハウス」とは?

「ギークハウス」というものを全く知らない人も多いと思うので、簡単に紹介すると「エンジニアやクリエイターといった技術系の人たちのための住居」をコンセプトとして運営しているシェアハウスです。

【画像1】「ギークハウス」は、ネットやパソコンが好きなギークたちが集まるシェアハウス。画像はギークハウス入居者募集情報サイトのスクリーンショットより

【画像1】「ギークハウス」は、ネットやパソコンが好きなギークたちが集まるシェアハウス。画像はギークハウス入居者募集情報サイトのスクリーンショットより

僕が今いるギークハウスは「下宿方式」というもので、それぞれに個室の部屋があります。部屋を出た廊下には共有の冷蔵庫や洗濯機が置いてあり、トイレや風呂は共有。各部屋にはベッドや収納、作業ができるパソコン台が備え付けられているため、自分の家具は何も持っていなくても生活することができました。

【画像2】冷蔵庫や洗濯機は共有のものが備え付けられている(撮影/megaya)

【画像2】冷蔵庫や洗濯機は共有のものが備え付けられている(撮影/megaya)

ただ、自分の部屋があると言っても、もちろん壁を隔てた両隣には誰かがいて、当然多少の生活音は聞こえてくることがあります。そういった音は気になるのでは? と思う人もいると思いますが、ギークハウスにはエンジニアやクリエイターといった技術系の人たちが比較的多く住んでいて、黙々と作業する人が多いのか、意外と静かでした。隣の部屋に誰かがいるはずなのに気配がまったくしないので「本当に生きているのか?」と心配になるくらいです。

全国にさまざまなギークハウスがあり、それぞれが自由に運営しています。家賃は主要駅から近いにもかかわらず安い場合が多く、都心の主要駅まで徒歩10分以内でも、だいたい4万~10万円ほど。さらにインターネット環境がしっかりしており、家賃にそれらの料金も含まれているというのもうれしい点。僕が住んでいる場所も駅から徒歩5分以内で家賃は5万円。あと、ささいなことですが、家に誰かがいるのでAmazonなどのネット通販で頼んだものをほぼ必ず受け取ってもらえるという点も、個人的にはうれしいところです。

【画像3】大体家に誰かがいるので、荷物を代わりに受け取ってもらえるのがうれしい(撮影/megaya)

【画像3】大体家に誰かがいるので、荷物を代わりに受け取ってもらえるのがうれしい(撮影/megaya)

その他にも、ギークハウスでは作業をする人のために「作業部屋」が用意されていたり、他のギークハウスの人たちと交流するイベントがあったりするので、エンジニアなどのITにかかわる職種の人間にとっては住むメリットが多いのでは、と思っています。

引越した最大のメリットは「身軽に行動できる」ようになったこと

引越して良かった点としては、まず、家での作業に集中できるようになったのがかなり大きいと思います。

個人的に仕事をするときには、人がいる場所のほうが集中できるので、カフェなどに行くことが多いのですが(心理学でも「社会的促進」という言葉があり「他人がいることで課題などの成績が高まる」とされているそうです)、ギークハウスは人の気配を感じられるので、一人暮らししていたときよりも集中できる環境だと思っています。

もちろん、他人と住んでいるので冷蔵庫や洗濯機など共同で使わなければいけないものがあり、すべて自由に使うことができないというデメリットはあります。お風呂が入りたい時間に入れなかったり、タイミングによっては洗濯機がなかなか使えない場合もあったり……。ただ、これには個人的に良い面もあって、例えば、一人暮らしのときに「後でやろう」と思っていた雑事を、ギークハウスに住むうちに「やれるうちにやろう」というように考えるようになりました。僕は問題を後回しにしてしまう悪い癖があるのですが、そんな癖も生活環境の変化によって改善してきているように感じます。

ここまで聞くと「シェアハウスとそれほど変わらないのではないか?」と思う人もいるかもしれませんが、シェアハウスとの一番の違いは住む「テーマ」が決まっている部分だと思います。

通常のシェアハウスであると多種多様な人間が住んでいるかと思いますが、ギークハウスは、エンジニアやクリエイターといった技術系の人たちのための住居という軸があり、そのため住んでいる人間同士の最低限の安心感と信頼感がある気がします。「他人と一緒に住む」という環境の中で、同業種の人間が住んでいるという安心感はかなり大きいのではないでしょうか。

そして、住んでみて分かった自分にとっての最大のメリットは、身軽に生活ができるという点。
冒頭で書いたように僕はエンジニアという仕事のほかにライターもしており、土日はどこかに取材などに行くことが多く、家にいる時間は必然的に短くなります。だから、部屋は最小限で良いし、ものもほとんどいらない。そうなると今いるギークハウスは、洗濯機や風呂などの共同スペースの掃除も管理人がしてくれるし、家賃も安く、家具も常備されているのでかなり身軽なんです。
ギークハウスという家に住んでいるというより、ギークハウスという東京の拠点地があるようなイメージのほうが近いのかもしれないと思います。

身軽に暮らしたいエンジニアの方におすすめしたい

エンジニアがギークハウスに住むメリットはかなりあるのでは、と思います。似通った目的意識がある人同士が住んでいるので、安心感と信頼感はあり、また、他人がいる環境というのは、自分が怠けないように追い込む場所としても最適かもしれないと暮らしてみて思いました。僕はエンジニアとしてもライターとしてもまだまだなので、ギークハウスに住んで自分を追い込み、これらの仕事を両立させつつ、生活するサイクルをしばらく続けたいと思っています。

他人と一緒に住むのは向き不向きはあるので、もちろん万人におすすめというわけには行かないですが、黙々と作業するのが好きな人や、身軽なので出張などが多い人にも向いているかもしれません。

参考にしたい「理想の新婚部屋」はどれ? ライフスタイルに合わせた4つの間取りを紹介

結婚情報誌「ゼクシィ」編集部とデベロッパーの伊藤忠都市開発が共同で、新婚夫婦向けの「理想の新婚部屋」を4タイプ提案している。新婚といっても、人それぞれ新婚生活の過ごし方が異なるため、理想の部屋も変わるのだという。実際にどんな間取りが提案されているのか?詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「ゼクシィ」と「伊藤忠都市開発」の共同企画『理想の新婚部屋』4タイプの人気投票を受付開始/リクルートマーケティングパートナーズ・伊藤忠都市開発どの「理想の新婚部屋」が好み?ライフスタイルで間取り・内装は大違い!

「理想の新婚部屋」を4タイプ用意したのは、ゼクシィ編集部が花嫁285人に調査し、新婚夫婦のライフスタイルを分析した結果、大きく4タイプあることが分かったから。伊藤忠都市開発のマンションのモデルルームなども参考にして、両者で検討してそれぞれの理想の空間を具体化していったという。

新婚部屋の基本は、バルコニー付きの50m2の空間だ。ライフスタイルに応じて、間取りや内装を大胆に変えて次のような図面で表現している。詳しい間取り説明は、『ゼクシィ』首都圏版 1 月号や「理想の新婚部屋投票サイト」に掲載されているが、ここでは筆者の各間取りに対する印象を述べてみたい。

●Aタイプ
【画像1】いつだってラブラブでいたい『恋人夫婦のルームロマンス』(出典/リクルートマーケティングパートナーズ・伊藤忠都市開発のプレスリリースから転載)

【画像1】いつだってラブラブでいたい『恋人夫婦のルームロマンス』(出典/リクルートマーケティングパートナーズ・伊藤忠都市開発のプレスリリースから転載)

Aタイプは、いつでも二人でいたい、互いの存在を感じていたい夫婦向けの間取りだ。メインルームは大きなベッドを置いたリビング兼寝室。ソファに座ったりベッドの上でごろごろしながらテレビや映画の視聴ができる。バスルームが大きいのも特徴で、これなら二人一緒に入ることも可能だ。玄関に2人の思い出を飾れるメモリアルコーナーを用意するといった工夫も。

この間取りの場合、来訪者の居場所があまりないので、基本的に二人だけの時間を楽しみたい夫婦向きだろう。独立したダイニングスペースがなく、リビングのソファがそれを兼ねるので、普段は互いに仕事が忙しくて一緒にじっくり食事をする機会が少ない夫婦という想定だろうか。

互いが視界に入ることの多い間取りなので、違うことをしていても相手の存在を感じられるが、一方で室内から気持ちを解放したいと思うことも。そのとき生きてくるのが、中央のガラス張りの中庭空間なのだろう。非日常世界がどこにいても見えることで、気持ちがリセットできるのかもしれない。

●Bタイプ
【画像2】程よい距離感で、ゆる~く一つが心地よい『猫っぽカップルの気まま暮らし』(出典/リクルートマーケティングパートナーズ・伊藤忠都市開発のプレスリリースから転載)

【画像2】程よい距離感で、ゆる~く一つが心地よい『猫っぽカップルの気まま暮らし』(出典/リクルートマーケティングパートナーズ・伊藤忠都市開発のプレスリリースから転載)

Bタイプは、間仕切りのない開放的な空間で、室内での行き来がしやすい。相手がどこにいるか自然と感じられるようになっているが、壁に向いた読書や趣味のための小さなカウンターも複数用意されているので、一人で集中作業をする場所も確保できている。

この間取りの大きな特徴は、平面の図面では分かりにくいのだが、室内空間の高低差を活用している点だ。ダイニングと一体のキッチンは、土台を下に敷いてここだけ高くしている。周囲が見渡せる工夫だ。ベッドはロフトに配置(ハシゴで移動)していて、その下は収納などの閉じた空間として使えるようになっている。ただし、高低差を活用するには天井の高さが必要。天井が低いと逆に圧迫感が生じてしまうからだ。

ほとんどの時間は相手の行動を見ながら、離れたり一緒に行動したりといった選択ができる間取りなので、ゆる~くつながっていたい夫婦向き、あるいは開放的な間取りが好きな夫婦向きといえるだろう。

●Cタイプ
【画像3】ふたりもいいけど、ひとり時間も大事『七夕カップルの愛ある家庭内週末婚』(出典/リクルートマーケティングパートナーズ・伊藤忠都市開発のプレスリリースから転載)

【画像3】ふたりもいいけど、ひとり時間も大事『七夕カップルの愛ある家庭内週末婚』(出典/リクルートマーケティングパートナーズ・伊藤忠都市開発のプレスリリースから転載)

Cタイプは、玄関から入るとまずそれぞれの収納付き個室に入る間取りだ。夫婦といえども自分の時間を大事にしたい、睡眠をしっかりとりたいといった夫婦向きだろう。

来訪者の動線も、必ずどちらかの個室を通ることになる。一方で、LDKのスペースもしっかり確保している。くつろぎ空間として、そのままソファとしてもベッドとしても使える「デイベッド」を据え、ごろごろしたりうたたねしたりしながら夫婦二人の時間を楽しむこともできる。

「七夕カップル」とはうまく名付けたものだ。互いが個室にいる時間が長くならないように、夫婦一緒の時間はラブラブでいたいという愛の強さがあってこそ生きる間取りか?

●Dタイプ
【画像4】みんな集まれ!カップルから家族になっていく『カジュアル夫婦のお家フェス』(出典/リクルートマーケティングパートナーズ・伊藤忠都市開発のプレスリリースから転載)

【画像4】みんな集まれ!カップルから家族になっていく『カジュアル夫婦のお家フェス』(出典/リクルートマーケティングパートナーズ・伊藤忠都市開発のプレスリリースから転載)

Dタイプは、必要なプライベート空間をコンパクトに集約し、バルコニーと一体にしてLDK空間を活用できるようにした間取りだ。

大きなキッチンカウンターを囲むダイニング空間とグニャグニャソファを置いた「ふわモコスペース」と名付けたリビング空間を独立して確保している。機能分けをしたLDKは来訪者を迎えるハレの時間も、夫婦で過ごす日常のケの時間も、常に使われる空間となる。

玄関からLDKへの動線も兼ねる広い廊下的な空間は、子どもの遊び場になる「キッズランド」として提案されている。子どもと大人のパブリック空間を分けるという発想のようだが、来訪者の荷物置き場や夫婦の収納置き場になってしまう危険性も感じる。

ホームパーティー好きの夫婦、あるいはパブリックとプライベートなど機能をしっかり分けたい夫婦向きと言えるだろう。

人気投票の結果で理想の新婚部屋が実現する?

通常のマンションでは、できるだけ多くの人に買ってもらうために、万人受けする間取りや内装が採用されることが多い。今回提案された4タイプの間取りは、新婚夫婦に限らず、ライフスタイルが確立している夫婦に合うように、かなり大胆な間取りとなっている。

50m2という制約があるので、LDKも寝室も収納も水まわりも広く……ということはできない。どこを重視してどこを妥協するかメリハリをつけた結果が、個性的な間取りを生んでいる。こうした間取りの考え方は、これからリフォームする人や家を建てる人にも、参考になる点があるだろう。

提案する4タイプについて、人気投票が2018年1月31日まで行われている。その結果を受けて、実際にその間取りが伊藤忠都市開発の新築マンションで採用されるという。実現した部屋も見てみたいものだ。

●理想の新婚部屋人気投票サイト
https://www.e-uketsuke.jp/itochu-shinkon/

まるでジブリの世界 「中庭アパルトメント」の美と機能【名物賃貸におじゃまします(1)】

日本のマンションはどうして似たようなデザイン、構造なんだろう。そう考えている人は案外多いのではないでしょうか。しかし、よく探してみれば日本にも、そんな先入観を吹き飛ばす個性的な集合住宅が見つかります。その一つが、中庭をデザインのカギにした集合住宅。今、静かな人気を集めています。【連載】名物賃貸におじゃまします
斬新なデザインや仕掛けをしている賃貸住宅=名物賃貸を毎月紹介する連載です。一見するだけでは分からない中庭の効果

東京・中央線の高円寺駅界隈(杉並区)は、商店街と静かな住宅地がほどよく混在する街。中央線沿線はもともと作家、漫画家、演劇関係者などが多く住むエリアと言われていますが、高円寺も例外ではなく、庶民的なにぎわいと文化の香りのする街です。

この街に中庭を特色とする集合住宅があると聞き、訪ねてみました。設計したのは、地元の建築家で、アトリエボーヌ(ATELIER BEAUNE/丸山保博建築研究所)を経営する丸山保博さん。丸山さんは「中庭アパルトメント」と名付けた中庭を配置した集合住宅をいくつも設計、2004年には、杉並「まち」デザイン賞を受賞しています。

代表的な作品の一つが、「カーサ・デ・アトリオ」。建物脇の通路を通って中へ進んでみましょう。

ありました! そう、これが中庭アパルトメント!

【画像1】「カーサ・デ・アトリオ」の中庭。上部からの光が明るく、開放感がある(写真撮影/織田孝一)

【画像1】「カーサ・デ・アトリオ」の中庭。上部からの光が明るく、開放感がある(写真撮影/織田孝一)

石畳の通路、その両側には植栽、そして全10部屋すべてがこの中庭に面しています。つまり住民が各部屋に出入りするときは、必ずこの中庭を通ることになります。

中庭の上部の屋根部分が円形に空けられ、光が十分に入るため、想像していたよりずっと明るく、開放的な感じです。円形の開口部、らせん階段、ゆるやかにカーブする通路など、曲線を用いたデザインがこの建物に優しい雰囲気を与えています。

基本的には南ヨーロッパの印象を受けますが、輸入してきたような違和感はまったくなく、とても自然。シンプルなデザイン、落ち着いた色彩、植栽、ディテールに取り入れた和のテイストなどがそう感じさせるのでしょう。

しかし丸山さんは、中庭は鑑賞のためのものだけではないと語ります。その機能として、次の3点を挙げます。

「まず、アプローチの機能。従来の日本の賃貸住宅は部屋を一列に並べ、入り口に沿って廊下が付くのが通常のパターンでした。この廊下は北側の場合が多く、暗いのが普通。この廊下を廃し、中庭から直接各部屋に入る方式にすれば、部屋は明るく、開放的になります。部屋を広くできますし、中庭はそれぞれの部屋の庭としても意識されるため、住民は気持ちの面でも広さを感じられます」(丸山さん)。中庭はまた、災害時の避難経路にもなります。

第2に、住民同士が中庭で自然に出会い、言葉を交わすといったコミュニティ機能。現代では、隣人がどんな人なのかまったく知らないほうがいいという人も多いでしょう。しかし、意外と人はゆるやかなつながりを求めることもあるもの。中庭はプライバシーを侵すほど近くなく、かといって完全な孤立にもならない、“ほどよい距離感”を、住む人々に与えてくれるようです。

また中庭という半公共スペースは、他者の目が適度にあるため防犯面でも役立ちます。「カーサ・デ・アトリオ」のオーナーである渡邊さんも、「ここは立地が三方を家に囲まれていたため、外側に部屋の出入りのための廊下や階段を付けるのは防犯上も良くないと思っていました」と振り返ります。

第3は主に、施主側に対するメリットです。「土地の形状にもよりますが、外廊下をつくらないことで建設費が下がります。また中庭が付加価値になり、賃料を高めに設定でき、利回りの点でも有利です」と丸山さんは話してくれました。

しかし、筆者は中庭アパルトメントの魅力は何より、中庭を核とした空間全体が、外界とはちょっと異なる雰囲気をもっていることだと思います。ある居住者は丸山さんに「(中に入ると)空気が変わりますね」と、感想をもらしたそうです。街の喧騒が入らず静かで、外部環境の変化の影響も受けにくい。そんなこともあって、日常生活の場であるのに、異世界に入るようなトキメキがあるのです。

また、建物に関しては素材の力も見逃せません。丸山さんは造形の魅力を最終的に伝えるのは素材だと考え、漆喰、石、土などの自然素材を駆使します(丸山さんは2008年、2009年と連続して、日本漆喰協会作品賞を受賞しています)。そのことで年月がたっても(むしろたつほどに)美しい建物を生み出しています。

【画像2】多くの場合、中庭から上階の部屋へはらせん階段などで入る。曲線や植栽のおかげで自然に抱かれて暮らす感覚もある(写真撮影/織田孝一)

【画像2】多くの場合、中庭から上階の部屋へはらせん階段などで入る。曲線や植栽のおかげで自然に抱かれて暮らす感覚もある(写真撮影/織田孝一)

ヨーロッパの「共同体を支える空間」に学ぶ

建築誌に取り上げられるなど、今は人気の中庭アパルトメントですが、最初はなかなか理解を得られませんでした。丸山さんが初めて中庭のある建築を提案したのは、やはり高円寺にある集合住宅「パラシオ・デ・ヒロ」ですが、当時、不動産会社の担当者からは、これではプライバシーが守れない、入居する人はいない、と反対されたそうです。

しかしオーナーの理解もあり、反対を押し切って建てた中庭付きの「パラシオ・デ・ヒロ」は、2000年に竣工するとすぐ満室に。以後、丸山さんの手法は評判を高めていきます。現在は、丸山さんの設計した集合住宅は高円寺エリアのほか、京都市北区、神奈川県逗子市などにも建てられ、いずれも人気物件となっています。

【画像3】初めて中庭を設けた「パラシオ・デ・ヒロ」。向かって左の通路を通って中庭に入る。外観も美しく、都市景観にも貢献している(写真撮影/織田孝一)

【画像3】初めて中庭を設けた「パラシオ・デ・ヒロ」。向かって左の通路を通って中庭に入る。外観も美しく、都市景観にも貢献している(写真撮影/織田孝一)

では、他に類を見ない丸山さんの発想はどこから生まれたのでしょうか。

丸山さんは高校生のとき、アンコールワットの本を見て建築に興味をもったそう。その後、日本大学理工学部建築学科に進み、卒業後は木村傳建築設計事務所に勤務します。しかし仕事のプレッシャーや人間関係に悩み、仕事ができなくなるような状態に。

「それを克服しようと哲学書を読むなど、試行錯誤しました。やがて、人間の感性や価値観の違いを理解するために、名建築と言われるものを片っ端から見ることを決意しました」

建築を巡る旅は、自分の建築事務所を持ってからも続き、海外へも足を運んだそう。そこで知ったのが、ヨーロッパの広場のある村や街であり、中庭のある建築でした。

「明治以降に日本に入ってきた西洋建築と言えば、駅や官庁など公共建築に多く見られるモニュメンタルなものを思い浮かべることが多いと思いますが、もう一つ、共同体から生まれ、その生活を支えてきた素朴な建築があります」

例えば、映画『ローマの休日』を観ると、グレゴリー・ペック演じる新聞記者が住む庶民的なアパートが出てきます。これがまさに中庭のある集合住宅で、あちらではごく普通に見られるものだそうです。

丸山さんが設計する集合住宅に影響を与えたのは、この共同体を支える建築でした。丸山さんの建築は、ヨーロッパ的な集合住宅を再現することによって、日本の共同体意識を再生しているという見方もできるでしょう。

【画像4】「中庭アパルトメント」という領域を切り開いた丸山保博さん。設計した逗子の集合住宅の模型を手に(写真撮影/織田孝一)

【画像4】「中庭アパルトメント」という領域を切り開いた丸山保博さん。設計した逗子の集合住宅の模型を手に(写真撮影/織田孝一)

生活そのものが楽しみになる空間

「カーサ・デ・アトリオ」のオーナーである渡邊さんは、「入居者さんが出入りに中庭を通る感じがとても良いと思いました。この中庭とデザインのおかげか、あまり空室になったことがありません」とのこと。

居住者の方々も、ここでの生活を楽しんでいるようです。「休日に中庭で歯を磨いている人がいたり、1階にお住まいの方が2階で中庭を眺めていたり……。特に女性の入居者さんには、『まるでジブリ(の作品に出てくる場所)みたいですよね』と言われたことがあります」(渡邊さん)。

確かにここは、『魔女の宅急便』を彷彿させる空間ですね。外界とはちょっと違う世界を感じ、それが日々の生活を楽しむことにもなっている。これが中庭のある建物のすばらしさなのかもしれません。

●取材協力
・アトリエボーヌ 丸山保博建築研究所
・「カーサ・デ・アトリオ」オーナー 渡邊さん

リノベや畑、餅つきも! 注目の若手大家さんが活躍する賃貸物件 マンション編

自分の住んでいる賃貸の大家さんの顔って知っていますか? 管理には別の会社が入っていることが多いので、なかなか大家さん本人と知り合う機会は少ないですよね。でも実は、全国各地に“思い”をもって大家業をやっている方々がいるのです。今回は若い世代の大家さんが中心になって管理する、すてきな賃貸マンションをご紹介します。
ユニークな賃貸物件をプロデュース 若者大家さんのニューウェーブ

賃貸の部屋を借りるということは、マンションというコミュニティの一員になることでもあります。そして大家さんこそ、その建物の持ち主であり、住人たちのつながりの中心にいる存在なのです。管理会社に委託するか、自身で管理するかは大家さんによって違いますが、住人が心地よく暮らせるように、日々メンテナンスに気を配ってくれています。

一般的にはそんな“縁の下の力持ち”的な存在の大家さんですが、近ごろは住環境を整える以上のユニークな活動を行い、新しいセンスで大家業を営む人が増えています。そんな“大家さんのニューウェーブ”として、今回は千葉の「あかぎハイツ」、そして神奈川の「パークハイム渋谷」の大家さんを取材しました。

千葉県の稔台にある、レトロかわいいマンションの大家さん一家

千葉県松戸市にある「あかぎハイツ」の大家さんは、一家で大家業を営まれています。物件は新京成電鉄みのり台駅から徒歩5分。築43年、茶色と白のツートンカラーがレトロかわいいマンションです。その外観に似合うように整えられたエントランスの植栽など、端々にセンスの良さを感じさせます。

社長の博信さんは先代が「あかぎハイツ」を建てたときから、このマンションに住んでいます。3代目にあたる千鶴さん芳博さんは、ここで生まれ育っているのだそう。現在は、お父さんが社長業と修理やお掃除、お姉さんは事務、弟さんがリノベーション、お嫁さんは広報と、役割分担しながら、一家全員住み込みで管理をしています。

【画像1】昔は1階でお父さんの博信さんがスーパーを経営していたそう。今はおしゃれな本屋さんや、アンティークショップ、レトロなスナックがテナントとして入っています(写真撮影/蜂谷智子)

【画像1】昔は1階でお父さんの博信さんがスーパーを経営していたそう。今はおしゃれな本屋さんや、アンティークショップ、レトロなスナックがテナントとして入っています(写真撮影/蜂谷智子)

【画像2】左からお姉さんの千鶴さん、お父さんの博信さん、弟の芳博さん、お嫁さんの真樹子さん。一家で大家業を営んでいます(写真撮影/蜂谷智子)

【画像2】左からお姉さんの千鶴さん、お父さんの博信さん、弟の芳博さん、お嫁さんの真樹子さん。一家で大家業を営んでいます(写真撮影/蜂谷智子)

大家の息子が勝手に始めた⁉︎ セルフリノベーションが、物件の魅力に

なかでも長男の芳博さんはDIYの達人で、自らリノベーションした部屋が評判を呼んでいます。

「以前から空室を自分でリノベーションしてみたいと思っていたのですが、施工の経験がありませんでした。そこでまずは始めてみようと、オーナーである父には内緒で、自室のリノベーションをしてしまったのです。やってみたらうまくできて、空室だったほかの部屋もリノベーションすることにしました」(芳博さん)

お父さんの博信さんは、初めは自室を勝手にセルフリノベーションしたことに対して「何ということをしてくれたんだ!」と、怒り心頭だったそう。ところが芳博さんがリノベーションを手がけた空き部屋に、すぐに入居者が決まったことで考えを改めたといいます。

しかも芳博さんがリノベーションした部屋は、入居者の満足度が高いのも特徴。「大家さん自らリノベーションしてくれた部屋が、自分好みでうれしい!」(30代・夫婦)「住み手の意見をとり入れながら手直ししてくれるので、心地よく暮らせる」(40代・女性)など、評判は上々です。

「大家が自分でリノベーションすれば、入居者のニーズに柔軟に対応できますし、費用も抑えられます。それは賃料にも反映されるので、手ごろな価格で心地よく住めるようになり、賃貸で入居する人にもプラスだと分かったのです。結果的にフリーランスのデザイナーやアーティストなど、今までにない層の人が入居してくれるようになりました」(博信さん)

【画像3】芳博さんが最初にリノベーションした自室。カフェのような内装がすてき。デザインのアドバイスは妻の真樹子さん(写真撮影/蜂谷智子)

【画像3】芳博さんが最初にリノベーションした自室。カフェのような内装がすてき。デザインのアドバイスは妻の真樹子さん(写真撮影/蜂谷智子)

リノベのネクストステップは、ほっこりとした地域コミュニティづくり

リノベーションした部屋がいくつかの媒体で取り上げられるようになり、有名な賃貸物件になった「あかぎハイツ」。ところがすでに芳博さんは「リノベーションでアピールするフェーズは終わった」と考えているそう。これから大家さん一家が取り組んでいきたいのは、住人が長く住みたくなるような“つながりづくり”だと言います。

「毎年マーケットや花火見物、そして餅つきなどをやっています。またエントランスに季節感を出すようなアレンジも、工夫しています。基本は日々を大切にして、たまに自分たちが好きなことを、無理のない範囲でイベントにする。それを住人の方や地域の方が楽しんでくれたらよいですね」(赤城家のみなさん)

「あかぎハイツ」は大家さん家族が醸し出すハーモニーが、そのまま物件の魅力となっています。まるで大きなサザエさんの家のようで、エントランスに入った瞬間にホッとしそうなマンションです。

【画像4】お父さんの博信さんがお餅好きなこともあって、毎年開かれる餅つき大会。「人はおいしい食べ物があればつながれる」と博信さん。1階でスーパーを経営していたときからのポリシーかもしれません(画像提供/赤城真樹子さん)

【画像4】お父さんの博信さんがお餅好きなこともあって、毎年開かれる餅つき大会。「人はおいしい食べ物があればつながれる」と博信さん。1階でスーパーを経営していたときからのポリシーかもしれません(画像提供/赤城真樹子さん)

【画像5】1階にテナントに入っている、smokebooksは清澄白河にもお店があるおしゃれな本屋さん(画像提供/赤城真樹子さん)

【画像5】1階にテナントに入っている、smokebooksは清澄白河にもお店があるおしゃれな本屋さん(画像提供/赤城真樹子さん)

きっかけは東日本大震災――脱サラで2代目大家さんになった兄弟

神奈川県相模大野駅から徒歩2分の「パークハイム渋谷」は、児童公園の脇にあります。築23年、駅近の近代的なマンションといった風情です。ここに、ユニークな兄弟大家さんが住んでいます。それが渋谷洋平さん・純平さん兄弟。お父さんの仕事を継いで大家さんになる前は、ふたりとも会社勤めをしていました。

「大きな転機は東日本大震災です。当時は印刷会社の会社員だったのですが、震災当日に家に帰れなかったのです。家族が不安なときに一緒にいてあげられないことに疑問を感じて、働き方を変えようと思いました。そこで家業の大家を継ぐことに心を決めたのです。賃貸物件を暮らしのより良い舞台とするために開催されている『大家の学校』の存在を知り、その主催者の青木純さんに出会ったことから、“大家業”に新鮮な可能性を感じたことも理由のひとつです。このマンションを起点に新しい暮らし方や働き方を提案してみたいと思いました」(洋平さん)

大家業を継ぐにあたって、洋平さんは弟の純平さんを誘いました。飲食業界で働き、かねてから自然と共存する暮らしや地域活動に興味があった純平さんは、心強いパートナーになると考えたのです。こうして兄弟大家さんが誕生しました。

【画像6】商業施設が充実した相模大野駅から徒歩2分。隣に児童公園がある、立地に恵まれたマンションです(写真撮影/蜂谷智子)

【画像6】商業施設が充実した相模大野駅から徒歩2分。隣に児童公園がある、立地に恵まれたマンションです(写真撮影/蜂谷智子)

【画像7】左から渋谷純平さん(弟)渋谷洋平さん(兄)。4歳違いの兄弟で協力して大家業を営んでいます(写真撮影/蜂谷智子)

【画像7】左から渋谷純平さん(弟)渋谷洋平さん(兄)。4歳違いの兄弟で協力して大家業を営んでいます(写真撮影/蜂谷智子)

“顔が見える大家さん”がいることが、住人の安心感に

兄弟それぞれに家庭を持ち、自分たちが管理する「パークハイム渋谷」に住んでいます。大家業を継ぐなら、そこに住んだほうがよいとアドバイスしたのは、お父さんの三吉(さんきち)さん。洋平さん純平さん兄弟の所属する有限会社ミフミの社長です。

「掃除をするときなど、住人の方に出会ったらなるべく顔を見て挨拶するようにしています。また日ごろのメンテナンスの活動とは別に、リノベーションのワークショップを行うなど、新しい試みもしています」(純平さん)

リノベーションのワークショップは床貼りをテーマに、「大家さんと一緒につくろう。住まいを楽しむはじめの一歩」と銘打って、「パークハイム渋谷」の空室で行われました。住人だけでなく一般からも参加者を募り、ワークショップは盛況。でも洋平さんいわく、当初はふたりとも「大家として顔が知られることが、批判やクレームにつながるのではないか」という怖さもあったそう。

しかし、兄弟の心配は杞憂(きゆう)でした。住人のコメントを聞くと、「インターホンの調子が悪いとき、速やかに対応してくださいました」(19歳・女性)「近からず、遠からず笑顔で接してくださる大家さんです」(70代・女性)「同じマンションに大家さんが住んでいるので、食べ物のおすそ分けをするなど、交流があります。大規模マンションと違って、大家さんの顔が見えるのがうれしいです」(60代・男性)など、大家さんとつながりがあることが、安心感になっているのです。

【画像8】KUMIKI PROJECT株式会社とコラボレーションして行ったワークショップの風景(画像提供/渋谷純平さん)

【画像8】KUMIKI PROJECT株式会社とコラボレーションして行ったワークショップの風景(画像提供/渋谷純平さん)

都会と郊外の良さをミックスした、相模大野らしい暮らしを提案

渋谷さん兄弟は今、新しい暮らし方を提案するための、新たなプロジェクトを計画しています。それが、畑の活用。「パークハイム渋谷」の近くにある実家所有の畑を、地域の人やマンションの住人との交流の場にしようとしているのです。

取材時には、相模女子大学で教鞭(きょうべん)を取る依田真美(よだ まみ)さんや、ポートランドで農と食のガイドをしている篠原杏子(しのはら きょうこ)さんも視察に来ていました。依田さんによれば、渋谷さんの畑のような“都会のなかの田舎”的な場所には、日常に豊かさを生み出す可能性があるとのこと。指導をする学生たちとこの畑を耕し「手を使ってつくる」経験をシェアすることを、考えているそうです。

「僕たちは都会の要素もありながら、豊かな自然が残っている相模大野が大好きなのです。依田先生にもご協力いただきながら、この畑を利用して地域の良さを残す活動をしたいと考えています。それが地域一帯の価値につながり、ひいてはマンションの価値にもつながっていけばうれしいですね」(純平さん)

渋谷さんたちの新しい活動に関しては、まずは地域の大学などと連携して行う予定。住人には活動をお知らせしつつ、気が向いたときに参加してもらうスタンスです。程よい距離を保ちながら心地よい暮らしを提案していくのが、渋谷兄弟のスタイルのようです。

【画像9】渋谷さんの実家所有の畑にて、渋谷さん一家と、相模女子大学准教授の依田真美さん(右から2人目)、農と食のガイドである篠原杏子さん(左から1人目)(写真撮影/蜂谷智子)

【画像9】渋谷さんの実家所有の畑にて、渋谷さん一家と、相模女子大学准教授の依田真美さん(右から2人目)、農と食のガイドである篠原杏子さん(左から1人目)(写真撮影/蜂谷智子)

【画像10】なんと実家ではヤギも飼っている。雑草を食べてくれるヤギのイチロウは大人しい性格(写真撮影/蜂谷智子)

【画像10】なんと実家ではヤギも飼っている。雑草を食べてくれるヤギのイチロウは大人しい性格(写真撮影/蜂谷智子)

今回紹介した物件は、どちらも大家さんが同じマンションに居住していました。だからこそ、自分自身の暮らしをつくることの延長線上で、さまざまなアイデアが湧いてくるのでしょう。

個性的な大家さんと同じ屋根の下に住まう物件なら、マンションに帰ったときに大家族の一員のような感覚になれそうです。これから賃貸で部屋を探すときは、部屋のスペックだけでなく大家さんの個性にも、注目してみてはどうでしょうか。もしかしたら、新しいライフスタイルを得られるような、楽しい賃貸物件に出合えるかもしれません。

●取材協力
・あかぎハイツ
・パークハイム渋谷

初優勝なるか!? 川崎フロンターレのホームスタジアムがある「武蔵小杉」ってどんな街?

神奈川県川崎市をホームタウンにしているプロサッカークラブ『川崎フロンターレ』(以下フロンターレ)。1999年のJリーグ加盟以降着々と力をつけ、近年では優勝争い常連の強豪となり、今夜(11月29日)悲願の初優勝に望みを繋ぐ試合が控えている。そんなフロンターレのホームスタジアム『等々力陸上競技場』の最寄駅は武蔵小杉駅。20年ほど前から街の再開発が進み、関東の『住みたい街ランキング2017』では堂々の6位にランクインしている(SUUMO関東 住みたい街ランキング2017)。

そんな人気の街がホームタウンともなれば、引越したいと考えるサポーターも多いことだろう。そこで今回は川崎生まれ川崎育ち、生粋のフロンターレサポーターであるSさんに街の情報を教えてもらいながら、武蔵小杉を探索してみたいと思う。

再開発が続く東口エリア

武蔵小杉駅にはJR南武線、横須賀線、湘南新宿ラインのほかに東急東横線、目黒線が発着し、新宿や東京へも20分圏内だ。ここまで交通利便性が高いと、おのずと人の行き来も多くなる。しかも、取材日はフロンターレのホームゲームが行われるとあって駅前はチームカラーである『サックスブルー』に身を包んだ人であふれかえっていた。

【画像1】Sさんが一番好きなのは中村憲剛選手(写真撮影/小野洋平)

【画像1】Sさんが一番好きなのは中村憲剛選手(写真撮影/小野洋平)

もちろん、サポーター歴15年のSさんもその1人。身の回りの私物はフロンターレグッズでそろえている。

それでは、街探索キックオフ。まずは再開発エリアである東口から案内していただこう。

【画像2】東口のタワーマンション群。今後も数棟の建設が予定されている(写真撮影/小野洋平)

【画像2】東口のタワーマンション群。今後も数棟の建設が予定されている(写真撮影/小野洋平)

東口にはタワーマンションが立ち並び、また『東急スクエア』、『ららテラス武蔵小杉』、『グランツリー武蔵小杉』などの大型商業施設も多い。さらに大病院もあり、2019年には新たな小学校の開校も控えている。進化する街、武蔵小杉の勢いが最も感じられるエリアだ。

Sさんによれば、そんな街の変化とともにフロンターレも強くなっていったそうだ。

「今ではJ1の強豪チームになりましたが、昔はJ2の時代もありました。2003年シーズンなんて勝ち点『1』が足りずにJ1に昇格できなかった。この苦い経験が、今の強さにつながっているんだと思います。ちなみに、私もその時の悔しさがきっかけでフロンターレのサポーターになったんですよね」

【画像3】オシャレなお店が増えたという高架下(写真撮影/小野洋平)

【画像3】オシャレなお店が増えたという高架下(写真撮影/小野洋平)

住民やサポーターが集まる西口エリア

一方、西口はガラっと雰囲気が変わる。こちらは飲食店や個人経営のお店が多く、昔ながらの地域の結びつきが感じられるエリアだ。フロンターレのフラッグも目立ち、「おらが街のチーム」として地元に愛されていることがよく分かる。ちなみに、フロンターレはJリーグが調査する『地域貢献度ランキング』にて6年連続1位を誇っている。

「フロンターレの選手って地域との距離が近いんですよ。新年には商店街を挨拶回りし、クリスマスには街の小児科を訪れたり。小学校にもフロンターレの算数ドリルがありますからね。他チームと比べて、地元の人のサポーターの割合が多いのも地域に根付いている証拠です」

西口には、フロンターレのオフィシャルショップもある。試合前に限らず、新しいグッズが出ていないかついチェックしてしまうのがサポーターの性なのだとか。

スタジアムに続く北口エリア

続いては北口。こちらには、スタジアム行きのバス停がある。

【画像4】バスに並ぶサポーターの列(写真撮影/小野洋平)

【画像4】バスに並ぶサポーターの列(写真撮影/小野洋平)

ご覧のとおり、試合当日は混雑必至だが、徒歩でも15分ほどでスタジアムには着くそうだ。また隣の新丸子駅も徒歩圏内ということで街はフロンターレ一色。なお、等々力陸上競技場まで歩く場合は、道の狭い場所や交通量の多い道もあるのでご注意を。

【画像5】美容室にはJ1の順位表やチームへのメッセージが書かれたボードが(写真撮影/小野洋平)

【画像5】美容室にはJ1の順位表やチームへのメッセージが書かれたボードが(写真撮影/小野洋平)

Sさん、ホームの試合には必ず足を運ぶという。アウェイでも、休みがあれば新潟や札幌までも遠征に行くそうだ。チームを追いかけることが、全国を旅するいいきっかけになっている。

「基本的に試合日程に合わせて予定を決めるんですよ。だから試合の年間スケジュールが発表される時期になると同時に、私の1年間の予定も決まるんですよね(笑)。来年はV・ファーレン長崎がJ1に上がってくるので、今から長崎観光が楽しみです」

等々力陸上競技場の周りの様子

最後にホームスタジアム「等々力陸上競技場」にも足を運んでみた。ファン、サポーター、住民の署名運動が実を結び、2015年に改修工事を終えたばかりだ。

【画像6】スタジアムの背後に武蔵小杉駅前のタワーマンションが立つ(写真撮影/小野洋平)

【画像6】スタジアムの背後に武蔵小杉駅前のタワーマンションが立つ(写真撮影/小野洋平)

スタジアムが位置する等々力緑地内には、スポーツ施設やミュージアムなども併設されている。また、すぐ近くには多摩川も流れており、自然環境は申し分ない。

【画像7】試合の日にはグルメブース「フロンパーク」が登場(写真撮影/小野洋平)

【画像7】試合の日にはグルメブース「フロンパーク」が登場(写真撮影/小野洋平)

周辺は住宅街になっていて、試合前の「フロンパーク」は多くの地元民でにぎわっている。サポーターでなくても、試合の日はお祭り感覚でスタジアムを訪れる人が多いのかもしれない。

武蔵小杉駅と近辺の家賃相場は?

さて、そんな武蔵小杉の気になる家賃相場を見ていこう。一人暮らし用賃貸物件(駅徒歩10分圏内、20~30m2のワンルーム・1K・1SK)の相場は8.8万円。等々力陸上競技場のある川崎市中原区の家賃相場7.5万円と比較すると、やや割高感がある。

では、武蔵小杉駅までアクセスの良い、沿線の街まで範囲を広げてみるとどうか。武蔵小杉駅まで15分以内の、家賃相場が安い駅を見てみよう。

●武蔵小杉駅まで15分以内の家賃相場が安い駅ランキング(TOP10)
1位 宿河原(JR南武線)/14分/6.4万円
2位 白楽(東急東横線)/14分/6.5万円
3位 妙蓮寺(東急東横線)/12分/6.8万円
3位 久地(JR南武線)/12分/6.8万円
5位 高田(神奈川)(横浜市営地下鉄グリーンライン)/14分/6.9万円
5位 保土ケ谷(JR横須賀線・JR湘南新宿ライン)/15分/6.9万円
7位 日吉本町(横浜市営地下鉄グリーンライン)/12分/7.0万円
8位 津田山(JR南武線)/10分/7.1万円
9位 新川崎(JR横須賀線・JR湘南新宿ライン)/3分/7.2万円
10位 日吉(神奈川)(東急東横線/横浜市営地下鉄グリーンライン)/2分/7.3万円
10位 平間(JR南武線)/3分/7.3万円
10位 綱島(東急東横線)/5分/7.3万円
10位 菊名(JR横浜線/東急東横線)/8分/7.3万円
10位 大倉山(神奈川)(東急東横線)/8分/7.3万円

Sさん曰く、トップ5は住宅街で街中はさほど栄えていないという。狙い目は、同率10位にランクインした5つの駅。適度ににぎわいがあり、住環境も良好だという。また、15分以内で安さを求めるならば南武線、7万を超えても街並みや交通条件を求めるならば東横線がオススメとのことだ。

ちなみに、川崎の“地元っこ”が実家を出て一人暮らしをする際、武蔵小杉エリアは人気で、武蔵小杉徒歩圏の新丸子を選ぶ人も多い様子。Sさんも現在実家暮らしだが、一人暮らしをするなら利便性の面から武蔵小杉エリアに住みたいそう。

というわけで武蔵小杉の情報をまとめると

・JR、東急線が利用できるので交通利便性が高い
・東口は整備された道路、大型商業施設が点在している
・再開発された新しい街という印象だが、地元の人同士の結びつきも強い
・試合当日の南武線改札や北口はサポーターで混雑する
・スタジアムまでは徒歩で行けるが、狭い道や交通量の多い道もある
・フロンターレ推しのお店や飲食店が数多く存在
・等々力陸上競技場周辺には、豊かな自然環境と住宅街が広がる

もとより、武蔵小杉の交通利便性や整った住環境はよく知られるところ。加えて、強豪チームのホームタウンであるという側面は、サポーターではない筆者にとっても魅力的に映った。チームの存在が地元に根付いていることもあり、試合の度にお祭りムードに包まれ街全体が大いに盛り上がる。いまや“タワーマンションの街”という印象が強い武蔵小杉だが、街の「地元感」や、にぎやかな雰囲気が好きな人も楽しく暮らせる街といえるかもしれない。

品川勤務者が朝快適に通勤できる路線はどこ? 路線の「混雑率」と「遅延状況」から探ってみた

日々、ビジネスパーソンのストレスとなる朝の通勤ラッシュ。もう少し快適に通勤したい……と考える人も多いだろう。では、どの路線が快適に通勤できるのか。勤務地によって答えは変わってくるが、今回は新駅開設やリニア中央新幹線のターミナル駅として注目を集め、周辺の開発も進む「品川駅」に通うビジネスパーソンを想定して、路線の「混雑率」と「遅延状況」から快適に通勤できる路線を探ってみたい。
品川駅へ快適に通勤できる路線はどこか?

品川駅に快適に通勤できる路線はどこか? まずは電車の「混雑率」から探ってみたい。「混雑率」については、国土交通省が毎年データを公表しており、そこからどの路線が混雑しているのか知ることができる。品川駅に乗り入れている路線は、JRの東海道線、山手線、京浜東北線、横須賀線(総武線快速線)と、京浜急行電鉄。(今回は特別急行列車である成田エクスプレスと、新幹線は除外)
それぞれの路線の混雑率は以下のとおり。

【JR】
・東海道線 川崎 → 品川 混雑率 184%(7:39~8:39)
・山手線
-外回り 上野 → 御徒町 混雑率 159%(7:40~8:40)
-内回り 新大久保 → 新宿 混雑率 165%(7:40~8:40)
・京浜東北線 大井町 → 品川 混雑率 182%(7:34~8:34)
・横須賀線(総武快速線)武蔵小杉 → 西大井 混雑率 191%( 7:26~8:26)

【大手民鉄】
・京浜急行電鉄 戸部 → 横浜 混雑率 145%(7:30~8:30)

※混雑率は最混雑時間帯1時間の平均
平成28年 国土交通省発表 混雑率データ より引用

このデータを見ると、品川駅に乗り入れる路線のうち、最も混雑率が少ないのは「京浜急行電鉄」ということが分かる。しかも、最も混雑するのは戸部駅から横浜駅の区間。すなわち、横浜駅から品川駅の最混雑時間帯の混雑率は、145%よりも低いということだ。ちなみに、混雑率の目安は

・100% 定員乗車(座席につくか、吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる)。
・150% 広げて楽に新聞を読める。
・180% 折りたたむなど無理をすれば新聞を読める。
・200% 体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める。
・250% 電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせない。

と定められており、145%であればある程度快適に通勤できそうだ。

各路線の「遅延状況」はどうか?

快適に通勤するために、混雑率とともに見ておきたいのが、「遅延状況」。通常は快適に通勤することができても、頻繁に遅延するようであれば快適とはいえない。遅延によって突発的な混雑も発生し、ストレスとなる。
この「遅延状況」についても、国土交通省が2016年4月に公開した「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(案)」内の、「遅延対策ワーキング・グループ最終取りまとめ」において、首都圏11事業者51路線の平成25年11月の平日20日間における遅延証明書の発行状況が公表されている。

各路線の遅延証明書の発行状況は以下のとおり。

【JR】
・東海道線 東京~湯河原 80%
・山手線 全線 90%
・京浜東北線 大宮~大船 85%
・横須賀線・総武快速線(大船~東京~稲毛) 85%

【大手民鉄】
・京浜急行電鉄 品川~横浜 10%

国土交通省 遅延対策ワーキング・グループ報告資料より。

JRの各路線が全て80%を超えているのに対して、京浜急行電鉄は10%と大幅に低い。この遅延証明書の発行状況から見ても、混雑率同様に「京浜急行電鉄」が最も快適な路線といえそうだ。

実際どうなのか? 朝の京浜急行に乗ってみた

「混雑率」と「遅延状況」、それぞれデータ上では品川勤務者が品川駅まで快適に通勤できそうなのが「京浜急行電鉄」という結果になったが、実際のところはどうなのだろう? 「遅延状況」について体感するのは難しいが、混雑率については、実際に確かめることができるだろう。ということで、今回は、普段JRの逗子駅から東京駅まで通勤をしている編集部員に、朝のラッシュの時間帯に逗子駅から徒歩5分程度のところにある、京浜急行電鉄の新逗子駅から品川駅まで電車に乗ってもらい、混雑の状況について聞いてみた。

「毎朝逗子駅からJR横須賀線で東京駅まで通勤する際に、品川駅も通過するのですが、その時の混み具合に比べると余裕があるように感じました。混雑率のデータでも、武蔵小杉から西大井が191%とあるように、本当にぎゅうぎゅう詰めで隣の人と密着するくらいなのですが、京浜急行電鉄ではさすがにラッシュ時なので人は多いものの、隣の人と触れることなく、スマートフォンでニュースのチェックも快適にすることもできました」

とのこと。実際の声を聞いてみても、品川まで通勤する場合、京浜急行電鉄を使うとある程度は快適に通うことができそうだ。

「住みたい街ランキング」にランクインする京浜急行電鉄の街と相場

品川駅へ行くには、京浜急行電鉄が他の路線と比較して快適に通勤できそうだということが分かったところで、路線内では、どの街(駅)が人気なのだろうか。SUUMOが毎年発表している「住みたい街ランキング2017(関東版)」で上位100位にランクインした駅を見てみた。

・横浜駅(3位)
・京急蒲田(※蒲田駅が75位。京急蒲田までは歩いて約12分と徒歩圏内のため含んだ)
・上大岡(88位)
※品川駅(5位)は除く

住みたい街ランキングのトップ100位にランクインした駅のなかで、京浜急行電鉄を使えるのは「横浜駅(3位)」、「京急蒲田(※蒲田駅が75位)」、「上大岡(88位)」の3駅。気になる家賃相場について、SUUMOの家賃相場で確認した。
検索条件を「アパート」「駅徒歩1分~5分」「築年数0年~5年」を指定したところ、ワンルームでは横浜が「6.6万円」、京急蒲田が「7.3万円」、上大岡駅が「6.3万」。都内の物件と比較して割安な6万円台から物件があるというのはうれしい。しかも、通勤は比較的快適。気になった品川勤務の方は一度街に行って雰囲気を見てみるのもいいかもしれない。

【画像1】横浜駅の家賃相場(条件は「アパート」、「駅徒歩1分~5分」、「築年数0年~5年」を指定)画像は2017年10月11日時点のSUUMOの家賃相場データのスクリーンショットより

【画像1】横浜駅の家賃相場(条件は「アパート」、「駅徒歩1分~5分」、「築年数0年~5年」を指定)画像は2017年10月11日時点のSUUMOの家賃相場データのスクリーンショットより

【画像2】京急蒲田駅の家賃相場(条件は「アパート」、「駅徒歩1分~5分」、「築年数0年~5年」を指定)画像は2017年10月11日時点のSUUMOの家賃相場データのスクリーンショットより

【画像2】京急蒲田駅の家賃相場(条件は「アパート」、「駅徒歩1分~5分」、「築年数0年~5年」を指定)画像は2017年10月11日時点のSUUMOの家賃相場データのスクリーンショットより

【画像3】上大岡駅の家賃相場(条件は「アパート」、「駅徒歩1分~5分」、「築年数0年~5年」を指定)画像は2017年11月16日時点のSUUMOの家賃相場データのスクリーンショットより

【画像3】上大岡駅の家賃相場(条件は「アパート」、「駅徒歩1分~5分」、「築年数0年~5年」を指定)画像は2017年11月16日時点のSUUMOの家賃相場データのスクリーンショットより

今回は「品川」に通うビジネスパーソンを想定して、快適な路線を「混雑率」と「遅延状況」から見た結果、「京浜急行電鉄」が最も快適に通勤できそうだという結果になった。毎朝の通勤ラッシュはかなりのストレスだが、ここが快適になれば、日々の生活の満足度もかなり高まるかもしれない。引越し前には、住む街の雰囲気とともにこういった「混雑率」などのデータを確認したり、実際に通勤に使う電車に乗ってみたりすることで、混み具合を確認しておくのがよいだろう。

他人にとっては非常識!? 「バルコニー」はトラブルの種だらけ 賃貸管理のプロに聞く[8]

共用部なのに、ついつい「自由に使っていい場所」と思ってしまいがちなのがバルコニー。以前この連載で、「避難通路なので邪魔になるところに物を置いてはいけない」という話をしましたが、それ以外にもバルコニーの使い方がトラブルの元になるケースがいっぱいです。実際に発生したクレームの事例から、ご近所トラブルを未然に防ぐ方法を学びましょう。【連載】賃貸管理のプロに聞く
賃貸仲介・管理の現場に20年以上携わっているプロが、賃貸物件に住む人から相談の多い事例と解決方法をご紹介する連載です使うも使わないも自由じゃないの? バルコニーの盲点とは

バルコニーは「頻繁に出る」という人と「全く出ない」という人にはっきり分かれます。まずは、「全く出ない」タイプの入居者さんのお部屋で実際に起こったトラブル事例をご紹介します。

台風で大雨が降った日のこと、管理会社の24時間コールセンターに一本の電話がかかってきました。窓から雨の様子を見ようとしたら、バルコニーに大量の水がたまって今にも部屋の床の高さまで届きそうな状況とのこと。このまま水が部屋に入ってきてしまったら大変です。排水不良が起こっていることは間違いないので、急いで建築図面を調べました。すると、そのマンションのバルコニーには、排水ドレン(雨水などを排水する管や溝のこと)が全部屋になく、同じフロアに2カ所だけあることが分かりました。該当するお部屋の方にお電話しましたがつながらなかったため、空室だった隣の部屋から覗いてみることにしました。

なんと、ものすごい量の枯葉とほこりが絡み合って排水ドレンをふさいでいたのです。取り急ぎ、持って行った傘を隔壁版の隙間から突っ込み、柄(え)の部分で詰まっているものをかき出しました。すると、ゴーッ! と勢いよく、そのフロアのバルコニー全体にたまっていた水が流れ出し、床上浸水を防ぐことができました。

翌日、排水ドレンのある部屋の方とお話をすると、バルコニーには入居してから一度も出たことがなく、まさかそんなに枯葉やゴミがたまるとは思っていなかったとのことで、大変驚いていらっしゃいました。

ここまでひどいケースは滅多にありませんが、バルコニーの掃除を怠っている人がいると、雨が降ったときに水がたまり、ゴミやタバコの吸い殻がプカプカと流れてくる、という苦情が時折出てきます。自分の部屋のベランダやバルコニーに排水ドレンがある方は、ときどき掃除をするようにしてくださいね。

晴れた日には布団を干したい! でも、まさかのクレームが……!

天気のいい日は「バルコニーに布団を干したい!」という方が多いはず。また、限られたバルコニースペースなので、物干し竿だけでなく、バルコニーの手すり部分を使って、布団を干すという方もいると思います。でも、これが原因でクレームになることがあるのです。

あるとき、「上の部屋の方の布団の干し方が我慢ならない」という内容の電話がかかってきました。「まずは写真を見てほしい」と言われたので見てみると、なんと上階から垂れ下がった毛布が柄もはっきり分かる状態で写っていました。上階の方は毛布を太陽にたくさん当てたいがために、ぎりぎりまで垂らしていたのでしょう。

すぐに上の方にお話をしました。最初はピンと来ていないようでしたが、写真をお見せしたら納得され、下の方に謝罪して事態は収まりました。

干し方に関していうと、布団たたきによる音やほこりもクレームになります。最近では「布団をたたいても意味がない」という説もあり、「布団をたたく」という行為は、人によって常識が大きく違うようです。引越したばかりのときは、周りに住んでいる人の布団の干し方をチェックしてから行うのが無難だと思います。

その他、布団干し自体が禁止されていたり、禁止とまでは行かなくても非常識な行為であると思っている人が多い地域や物件もあります。私の経験では、港区や目黒区などいわゆるおしゃれなエリアに多いルールや慣習のようです。他のエリアから引越してきて布団を干したら、大家さんや近隣の方から「みっともない!」とクレームを言われたという話しも時々聞きます。

布団だけではありません。洗濯物についても過去に一度だけですが「派手な色のTシャツを外から見えるように干すなんて、お宅の管理しているマンションの住人は何を考えているのか!」と、近隣にお住まいの方から怒られたこともあります。

私たち管理会社は、そういった特殊なルールがある賃貸物件に入居する方には事前に説明するようにしています。しかし、説明を受けた本人以外のご家族が、悪気なく布団を干してしまうケースもあります。入居規則はご家族全員で共有するようにしてくださいね。

タバコの煙に、ゴキブリも!? ほかにもあるクレーム事例

ほかには、タバコに関するクレームも多いです。煙の臭いが洗濯物や布団につく、煙が換気口から室内に入ってきて迷惑、タバコの吸い殻が隣のバルコニーから転がってくるなど、パターンはさまざま。喫煙者は、隣のバルコニーに洗濯物や布団が干されてないか、赤ちゃんがいるご家族ではないかなどに気を配っておいたほうが無難です。お隣と顔を合わせたときに、「バルコニーでタバコを吸うことがありますが、何か気になることがあれば言ってくださいね」などと声をかけておくのもご近所トラブルを防ぐいい方法です。

【画像1】バルコニーでタバコを吸う男性(イラスト/藤井昌子)

【画像1】バルコニーでタバコを吸う男性(イラスト/藤井昌子)

その他には、バルコニーに出しているペットの鳥かごから羽が飛んで来て汚いというクレームや、上階の人が植物の水やりをする度に、その水が下階に垂れて迷惑している、などのクレームもきます。段ボールを捨てるのが面倒でバルコニーにためている人がいたときは、段ボールが雨で湿ってゴキブリが大量発生したことも。

引越しのときに処分しきれなかった家具などの不要物を、バルコニーにぎっしり置いていたご家族は、「これではいざと言うときに非難はしごが使えない! 命の危険があるのになんて非常識な家族なんだ!」と上階の方に言われ、引越し早々にもかかわらず、気まずくなって早々に退去されてしまったこともあります。

これまでクレームになりうる事例を挙げてきましたが、クレームを言った方が神経質になりすぎているケースももちろんあります。困ったことがあるときは、ぜひ私たち管理会社に相談してくださいね。

「バルコニーの広さが気に入ってお部屋を決めた」と言われると、私たち管理会社や大家さんはうれしいものですが、実はバルコニーはクレームになりやすい場所です。

それは、バルコニーを大切な空間として使う方もいれば、ごみや不要物の置き場と考える方もいるように、きっと感覚の違いが現れやすい場所だからなのでしょう。「自分の常識と他人の常識は違う」という意識をもつことが、ご近所トラブルを防ぐ第一歩だと、管理会社の仕事をするなかで日々感じています。

谷 尚子谷 尚子 賃貸住宅での暮らし応援団
独立系の賃貸管理会社ハウスメイトパートナーズに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。●「賃貸管理のプロに聞く」記事一覧
・賃貸管理のプロに聞く[1] 入居後のトラブルで一番多い「騒音」問題の解決方法とは
・賃貸管理のプロに聞く[2] 一人暮らしの女性必見!「のぞき・ストーカー・痴漢被害」を防ぐ方法とは
・賃貸管理のプロに聞く[3] 意外と多い「漏水」被害。被害者、加害者になったらどうする?
・賃貸管理のプロに聞く[4] こっそり飼育は必ずバレる! ペットクレームあるある&解決法
・賃貸管理のプロに聞く[5] 火事になってからでは遅い! 賃貸暮らしの人に必要な防災の知識とは
・賃貸管理のプロに聞く[6] 誰もが避けたい「ご近所トラブル」。発生にはお決まりのタイミングが!?
・賃貸管理のプロに聞く[7] 住人の“暗黙ルール”を見極めよ! 駐輪場でのトラブルを防ぐコツとは

「旧耐震」って危ないの? それでも住みたいならどう選ぶ?

「少しでも賃料が安い物件に住みたい」あるいは「かっこいいリノベーションマンションに住みたい」……。そんなとき、候補に挙がるのが築年数を経た中古マンションだ。しかし、大型地震が頻発している昨今、いわゆる「旧耐震」の物件に不安に感じる人も多いだろう。そこで、耐震制度そのものの解説から、旧耐震物件に住みたい場合はどう選んだらよいかを、碓井建築オフィス代表で一級建築士の碓井民朗(うすい・たみお)さんに聞いてみた。
そもそも「新耐震」と「旧耐震」って、どういうこと?

中古マンションを選ぶときの基準として、新耐震か旧耐震であるかはよく取り沙汰される。だが、そもそも旧耐震・新耐震とはいったい何かについて、一般人の知識は曖昧であることも多い。

「耐震基準というのは、建物が地震の震動に耐えうる能力を定めるものです。1919年に日本で最初の建築法規である『市街地建築物法』が制定されますが、最初は木造のみの基準でした。関東大震災の次の年の1924年に同法が規則改正され、耐震基準が導入されました。その後1950年に同法が廃止され、あらたに『建築基準法』が制定され、その中で耐震性に関する基準ができたのです。

その後も大きな地震があるたびに見直されています。例えば1968年の十勝沖地震を経て1971年に建築基準法の改正があり、鉄筋コンクリート造の柱の帯筋が強化されました。さらに1978年の宮城県沖地震を経て1981年6月に大きな『耐震基準』の改正がありました」(碓井氏)

なかでも大幅な改正が行われたのが、1981年6月1日。耐震設計法が抜本的に見直された。
「現在では1981年以前の基準を『旧耐震』、以後の設計法を『新耐震』と呼んでいます」(同)
「旧耐震」では、震度5程度の地震に耐えられることが基準だったが、「新耐震」では、建物の倒壊を回避するだけでなく、建物内の人命が重要視され、比較的よく起きる中程度の地震では軽度なひび割れ程度、まれに起きる震度6~7程度の大きな地震でも崩壊・倒壊しないことが求められている。

「注意したいのは、新耐震かどうかの判断は建物が完成した『竣工年』ではないということです。特にマンションは完成まで時間がかかるので、1982年に完成したマンションでも、建築確認済証の交付日が1981年6月1日以前であれば旧耐震になります。中古マンションや中古住宅を購入する場合は、不動産販売会社や自治体で確認する必要があります」(同)

耐震改修工事の実施率はわずか5.9%、なぜ進まない?

これだけ大きな問題なのに耐震補強工事はあまり進められていない。2013年に東京都が発表した「マンション実態調査(※1)」では、都内にある旧耐震基準の分譲マンションのうち耐震診断を行った物件は17.1%、実際に耐震改修工事の実施率は5.9%となっている。

つまり8割以上のマンションではマンションの耐震診断すら行っていないということだ。その理由についても聞いてみた。

「耐震補強工事は実は難しいのです。1階のピロティ部分(※2)を補強しただけで耐震工事をしたと言っている場合がありますが、『耐震補強工事』は全ての階を行わないと効果はないと思います。住戸のバルコニー側や廊下側の外壁には『筋かい』(※3)が最低限必要になりますが、技術的には可能でも実際には無理です。『筋かい』を入れるとなると住戸内での生活が不自由になりますし、大変な工事費の負担になります」と碓井氏。

耐震診断自体に費用がかかるうえ、不適格という結果が出れば耐震工事にどれだけ費用がかかるか分からない。結果的に耐震診断も実施しないという結論になる場合が多いようだ。

旧耐震物件に住むなら? 中古マンションの選び方

しかし旧耐震のマンションは、都心からのアクセスに恵まれた立地が多い。新築マンションでは手が届かない場合でも、中古マンションだからこそ住めることもあるはずだ。どうしても住みたいと思う際のアドバイスを聞いてみた。

「どうしても旧耐震のマンションを選ぶ必要があるならば、私は『壁式構造』(※4)のものをすすめます。壁全体で建物を支えているので強度が『ラーメン構造』(※4)よりも高いです。阪神・淡路大震災でも、5階建て(高さ地上15m)以下の『壁式構造』については被害が少なく、また、少数の被災事例も、地盤の関係で沈下や傾斜が生じたもので、建物の壁等の破損はほとんどなかったと言われています」(同)

立地についてはどこをチェックすべきだろうか。
「築年数を経た建物であれば、より地盤がしっかりしていることが重要視されます。国土交通省による国土地盤情報検索サイト(KuniJiban)や行政が公開している液状化予測図等を確認しておくのも重要ではないでしょうか」と碓井氏。

中古マンションの購入を検討する場合、やはり「旧耐震であるか新耐震であるか」ということが、大きなチェックポイントであることが分かった。併せて立地条件や構造など、さまざまな条件を照らし合わせることも大切だ。住まいは資産としてはもちろん、人の暮らしや命を預かるものなので、冷静に判断する必要があるだろう。

●取材協力 
・碓井建築オフィス●参考資料と注釈
(※1)マンション実態調査(東京都)
(※2)1階部分を柱だけで構成した吹放しの空間
(※3)建物の構造を強固にするために、柱と柱との間に斜めに入れる部材。
(※4)鉄筋コンクリート造には「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類の形式がある。「ラーメン構造」とは、柱と梁により構成されている構造。一方、「壁式構造」とは、柱がなく、壁梁や壁により、支えられる構造であり、通常は5階建てで地上15m以下までの建物に採用される。

おとり広告は改善された? 違反の143社、抜き打ち調査の結果は

住まいさがしには物件情報の比較検討が不可欠だが、その際、じゃまになるのが「おとり広告」。条件のよい架空物件やすでに成約済の物件を広告し、問合せがあれば来店させ、別の物件を勧める、というものだ。
従来から不動産公正取引協議会(以下、公取協)と不動産ポータルサイトが協力しておとり広告の排除に取り組んでいる。その一環として今年4月から7月にかけて賃貸広告の一斉調査が実施された。先ごろその概要が公表されたのでご紹介したい。

不動産ポータルサイトに掲載の143社を抜き打ち調査

おとり広告は、住宅を探している一般消費者にとってだけでなく、不動産事業者にとっても迷惑な存在だ。他社がありもしない物件や、成約済の人気物件をいつまでも広告しては、消費者はそのおとり広告につられて問い合わせをしてしまう。不動産業界では、おとり広告をなくすべく、多くの取り組みがなされている。

例えば、今年1月より首都圏公取協から厳重警告・違約金の措置を受けた不動産事業者は、SUUMO、LIFUL HOME’S、at homeなど主要な不動産ポータルサイトへの広告掲載ができなくなった。公取協と不動産ポータルサイトが連携して「おとり広告」排除に取り組んでいるのだ(参照/「おとり広告の排除へ。借りられない物件はなぜ広告される? 3つのワケとその対策」)。

スタートからもうすぐ1年。参加するポータルサイトも10サイトまで広がり、違反事業者への制裁効果はより強力なものとなっている。また8月からは近畿地区公取協でも同様の取り組みが始まり、現在6サイトが参加している(参照/「おとり広告はなぜ生まれる? 首都圏に続き近畿でも対策強化へ」)。

これに加えて新たな施策として実施されたのが今回の調査だ。「おとり広告ではないのか」といった指摘が入る前に能動的に物件が成約済か否かを確認する、いわば抜き打ち調査だ。
調査対象となったのは、過去に公取協から厳重警告・違約金の措置などを受けた事業者。「おとり広告」など違反広告をしていた可能性が高い事業者を対象として行われ、143社、929物件が対象となった。

違反事業者の業態は改善されたのか

今回の調査の目的の一つに「過去に違反した事業者の是正状況の確認」がある。公取協から厳重警告・違約金の措置を受け、不動産ポータルサイトへの広告掲載をストップさせられた事業者も、掲載停止期間が過ぎれば、再び広告掲載が可能になる(もっとも、掲載再開にあたっては、業態の改善状況や経営状態など、各不動産ポータルサイトの審査基準をクリアする必要がある。掲載停止期間が満了すれば自動的に広告掲載が可能になるわけではない)。

となると、もうおとり広告は掲載していないのかが気になるところだ。抜き打ちの広告調査により、そのチェックをするのも今回の調査の目的である。

おとり広告をやる事業者など、ずーっと広告掲載を認めなければいいではないか、と考える人もいるかもしれないが、そうとも言い切れないだろう。故意におとり物件を掲載するような事業者は論外だが、中には従業員数が少ないのに多数の物件を掲載していたため、成約済物件の削除が追い付かなかったというケースもある。人員を増員するなどチェック体制が整えば広告掲載が再開されてもよいだろう。家を借りる側にとっても、なるべく多くの選択肢の中から物件を選べることが望ましいからだ。

違反物件の割合は8.3%【画像1】調査物件数及び違反物件数と、調査事業者数及び違反事業者数(出典/首都圏公取協)

【画像1】調査物件数及び違反物件数と、調査事業者数及び違反事業者数(出典/首都圏公取協)

さて、気になる調査結果は、上の表の通りだ。929物件の調査に対し、78物件に「おとり広告」の違反が認められた。ランダムに物件を選んだ抜き打ち調査であることを考えれば、違反が8.3%に留まったことは広告の適正化が進みつつあることの現れという見方ができるかもしれない。

一方、今回調査対象となったのが、過去に公取協から注意を受けたことがある事業者なのであれば、より適正な物件情報の掲載・更新を、と考える人もいるだろう。人によって評価がわかれるところだろうと思う。

不動産広告の適正化をより一層進めていく

今後、おとり広告の排除に向けて、どのような対策がとられていくのか。首都圏公取協の事務局長の佐藤友宏さんにお話しを伺った。

【画像2】首都圏公取協の事務局長、佐藤友宏さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】首都圏公取協の事務局長、佐藤友宏さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

―― 公取協と不動産ポータルサイトが協力して物件調査を行うのは初めての試みですね。
そうです。私ども公取協でも従来から抜き打ち調査も含めた違反広告の調査を行っています。しかし、公取協の職員による調査だけでは、調査件数に限界もあります。今回、「ポータルサイト広告適正化部会」参加の5社の協力を得て、より多くの物件について一斉に調査できたことは、調査の網羅性を高めるという意味でも大きな意義があったと思っています。

―― 規約違反の可能性が高い事業者を調査対象としたとのことですが。
過去に表示規約違反による措置をうけたことがある事業者を中心に、調査を行いました。「ポータルサイト広告適正化部会」に参加する5社(※)が運営するサイトに広告掲載していた143社の物件から、ランダムに929物件を抽出して調査しました。

※アットホーム株式会社、株式会社CHINTAI、株式会社マイナビ、株式会社LIFULL、株式会社リクルート住まいカンパニー の5社

―― 32社、78件に違反が認められました。
おおむね改善に向けて努力して頂いていると考えていますが、残念ながら、まだ改善が不十分な事業者もあるようです。違反が認められた32社については、その内容に応じて一定の措置を講じていきます。特に悪質なものは事情聴取の対象とします。

―― 事情聴取の対象となった場合には行政にも報告されると聞いています。
都や県の宅建業法の所管課、景品表示法(※1)の所管課に加え、消費者庁、対象事業者が所属する会員団体へも、事業者名および違反内容を報告しています。極端に悪質なものがあれば、行政の方からも措置命令(※2)や監督処分がくだることも考えられます。

実際、8月には、おとり広告を理由に、県から景品表示法に基づく措置命令を受けた事業者もいます。

※1 「不当景品類及び不当表示防止法」。おとり広告など不当表示について規制している。

※2 不当表示の是正や再発防止等を命ずる行政処分のこと。消費者庁または都道府県からその企業名や違法行為の詳細が公表されるので、企業の信頼が大きく失われる要因になる。命令に従わない者には、罰則(2年以下の懲役又は300万円以下の罰金)もある。

―― 行政、公取協、不動産ポータルサイト、それぞれの立場から広告の適正化を図っていく、ということですね。今後もこういった調査を行っていくのでしょうか。
おとり広告の調査は、いろいろ難しい面も多々ありますが、管理会社などの協力も得ながら、今後も継続的に調査を行っていきたいと考えています。

おとり広告0の実現を目指して

不動産事業者、その従事者の方々の努力により、成約済物件などおとり広告が広告されることは以前と比べ減少しているのだと思う。大部分の事業者は日々、真面目に業務に取り組み、物件情報の更新にも力を入れている。今回の調査のような能動的な調査がある種の抑止力となり、おとり広告はさらに減っていくだろう。

とはいえ、まだ0となったわけではない。おとり広告が、多くの不動産広告の中から、自社の店舗に来てもらうために行われることを考えれば、相場よりも明らかに安すぎる家賃の物件については、一定の注意を払うことも必要だろう。

おとり広告を行う事業者の存在は、まっとうな事業者にとっても迷惑な存在だ。事業者間の公正な競争を害し、業界の信用を損なうからだ。おとり広告がなくなり、一般消費者も真面目な不動産事業者も安心できる日がくることを期待したい。

●取材協力
・首都圏不動産公正取引協議会

光熱費を抑えられ、一年中快適! 「エコな賃貸住宅」の今に迫る

地球温暖化が世界的な問題になっている中、国土交通省と環境省は合同でCO2(二酸化炭素)を削減する省CO2賃貸住宅を増やすために補助金制度を設けて推進している。このようなエコな賃貸住宅は、地球にやさしいだけでなく、入居者の暮らしにもメリットがあるようだ。省CO2賃貸住宅を手がける積水ハウスと、建て主であるオーナーに話を聞いた。
CO2を削減するエコな賃貸住宅とは?

温暖化の原因となる温室効果ガスにはCO2やメタン、フロン類などさまざまあるが、なかでもCO2は石油をはじめとした化石燃料の使用が急増したことで増加し、温暖化への影響が最も大きいと言われている。

このCO2を削減する賃貸住宅、つまり省CO2賃貸住宅が、今回取り上げる「エコな賃貸住宅」だ。具体的には高性能な断熱材や高断熱の窓、電力消費の少ないエアコンや照明、高効率な給湯器などを備え、使用するエネルギーを抑えることで省CO2を実現する。

家電の省エネマークのように、省CO2住宅かどうかを第三者機関が評価する制度「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」があり、今回訪れた埼玉県の「グリーンガーデン稲荷山」も、省CO2住宅として認証された賃貸住宅だ。

【画像1】「グリーンガーデン稲荷山」のエントランスのドアには、省CO2住宅として認められた賃貸住宅を示すステッカーが貼られている(写真撮影/籠島康弘)

【画像1】「グリーンガーデン稲荷山」のエントランスのドアには、省CO2住宅として認められた賃貸住宅を示すステッカーが貼られている(写真撮影/籠島康弘)

グリーンガーデン稲荷山が竣工したのは2017年1月。18戸ある約45m2の1LDKはすぐに満室になったという。自分の住む部屋が「地球にやさしい」ことは入居者にとって誇らしいことではあるが、それだけで入居を決めるとは思えない。入居者のメリットはどんなところにあるのだろう。

光熱費が抑えられ、一年中快適に過ごせる

グリーンガーデン稲荷山の最寄駅は都心へのアクセスが良く、それゆえ競合する賃貸住宅も多い。しかし「入居希望者に省CO2であるメリットを伝えると、すぐに入居が決まります」と、グリーンガーデン稲荷山の管理を担当する積和不動産関東の佐野友洋さんは言う。

【画像2】「グリーンガーデン稲荷山」の一室。照明はLEDのダウンライト、エアコンや給湯器は省エネタイプを採用。また断熱窓や高断熱の壁や床が使用されている(写真提供/積水ハウス)

【画像2】「グリーンガーデン稲荷山」の一室。照明はLEDのダウンライト、エアコンや給湯器は省エネタイプを採用。また断熱窓や高断熱の壁や床が使用されている(写真提供/積水ハウス)

魅力としてまず、断熱性能を高めたことで光熱費を抑えられることが挙げられる。竣工して1年未満のため、平均の光熱費は算出できないそうだが「同規模の省CO2ではない一般的な賃貸住宅と比べると、抑えられていると思います」と、グリーンガーデン稲荷山を手がけた積水ハウス・永井秀人さんは言う。

実際、オーナーの横田さんは入居者の一人から「エアコンの効きがよくてビックリしました」と聞いたことがあるそうだ。断熱性や気密性が高いゆえ、約45m2の広さでもエアコン1台で、さほどフル回転しなくても快適な温度を保てるようだ。

また断熱性能が高いと、そもそもエアコンを使う頻度が減り、自然の風や太陽の恩恵を受ける時間が長くなる。断熱窓は冬なら日差しによる温かさを外に逃さず、逆に夏は日差しによる熱を遮る。風や太陽の気持ちよさを享受できるのも、省CO2賃貸住宅の入居者ならではないだろうか。

断熱性能が高いと結露も少なくなる。結露が少なければカビも生えにくいから、健康的に過ごすことができる。このように省CO2賃貸住宅は、光熱費の削減効果や健康的な暮らしを入居者にもたらしてくれるのだ。

なんとかできるうちに、温暖化対策に少しでも役立ちたい

一方建てる側のオーナーからすれば、省CO2化は一般的な賃貸住宅よりも建築費用がかかる。それでもグリーンガーデン稲荷山のオーナー・横田豊三郎さんはなぜ建てることにしたのだろう。

【画像3】「グリーンガーデン稲荷山」の夜景。室内だけでなく外構など共用部の照明もLED照明だ。「地域に溶け込むよう、温かみのある明かりを選びました」とオーナーの横田さん(写真提供/積水ハウス)

【画像3】「グリーンガーデン稲荷山」の夜景。室内だけでなく外構など共用部の照明もLED照明だ。「地域に溶け込むよう、温かみのある明かりを選びました」とオーナーの横田さん(写真提供/積水ハウス)

「自分たちで食べる程度の田畑を持っているのですが、種をまく時期や収穫時期が昔とずれてきているなど、温暖化の影響を実感していました」と横田さん。「自然災害のニュースも最近は増えてきたと感じています。なんとかできるうちに、一人ひとりが考えたり行動したりすることが必要なのだと思います」(横田さん)

【画像4】緑あふれるエントランスは、横田さん夫婦が自ら「どんな在来の木を植えようか」と散歩をしながら調べ、植栽(写真撮影/籠島康弘)

【画像4】緑あふれるエントランスは、横田さん夫婦が自ら「どんな在来の木を植えようか」と散歩をしながら調べ、植栽(写真撮影/籠島康弘)


また地元に愛着のある横田さんは、「地域の気候に合った自生種を外構に植栽するという『5本の樹』計画の提案も魅力的でした。これなら昆虫や鳥の生態系を守ることができるでしょうから」と話す。

現状、省CO2賃貸住宅の知名度は低いが、光熱費が削減できて一年中快適に暮らせると認知さえされれば、入居希望者はもっと増えるはずだ。そうなれば、省CO2賃貸住宅を建てるオーナーが増え、環境にも地域にもやさしい街が増えていくのではないだろうか。

●取材協力
・積水ハウス
・積和不動産
・横田豊三郎さん

お城のワーキングスペース付き! シェアハウスで始める田舎暮らし入門

地方へのIターンを検討している人にとって、その街が自分に合っているのか、どんな住まいを構えるべきか、仕事は見つけられるのかなど、不安要素はたくさんあります。思い切って引越したものの、「こんなはずじゃなかった!」とならないために用意された、移住希望者を対象とした田舎暮らし入門用シェアハウス(お城のワークスペース付き!)を見学してきました。
鳥取県大山町にある、移住希望者向けの田舎暮らし入門シェアハウス

本格的な移住の前に、田舎暮らしの生活体験ができるのは、海と山に恵まれた鳥取県大山町(だいせんちょう)にある「のまど間」というシェアハウス。1984年に建てられ、空き家になっていた民家を利用したそうです。中は7つの住居スペースと、お風呂やキッチンなどの共有スペースが用意されており、体一つで田舎暮らしを始めることができます。

【画像1】この地域に多い瓦屋根の立派な民家を利用したシェアハウス「のまど間」(写真撮影/玉置豊)

【画像1】この地域に多い瓦屋根の立派な民家を利用したシェアハウス「のまど間」(写真撮影/玉置豊)

【画像2】移住希望者向けの土間があるシェアハウスということで、「ノマド」+「土間」=「のまど間」(写真撮影/玉置豊)

【画像2】移住希望者向けの土間があるシェアハウスということで、「ノマド」+「土間」=「のまど間」(写真撮影/玉置豊)

このシェアハウスを管理するのは、兵庫県から「地域おこし協力隊」という制度を利用して移住してきた薮田佳奈さん。ご自身の移住経験から、本格的な引越しの前に、お試しで気軽に住める場所の必要性を痛感したそうです。

「田舎暮らしはイメージと違うところも多く、実際に住んでみないと分からないことだらけです。例えばこの大山町のなかでも、集落によって雰囲気や習慣が違ったり、生活の利便性が違ったりすることもあります。逆に住んでみることで不安が払しょくされたり、条件の良い住まいを地元の方から紹介してもらえたりすることも。

また、住んでみた結果、ここじゃなかったと確認できることも大切です。いきなり腹をくくって移住というよりも、移住する前にまずは滞在していただき、『本当にこの町に住みたい!』と思った上で住まい探しができるような場所が必要だと実感しました。

そこで、地域おこし協力隊の仲間や町役場、町の大工さん、地域の人たちなど、いろんな方にご協力いただき、『のまど間』を立ち上げました。そして地域おこし協力隊の任期を終えた今も、ここの運営をさせてもらっています。『のまど間』は地域と移住希望者を結ぶ交流の場でもあり、地元の人がふらっと来ることも多いので、たとえ知り合いがいなくてもつながりがすぐにできますよ!」

【画像3】「のまど間」を管理する薮田佳奈さん(写真撮影/玉置豊)

【画像3】「のまど間」を管理する薮田佳奈さん(写真撮影/玉置豊)

【画像4】キッチンには近所の方から差し入れされた野菜がたくさんありました(写真撮影/玉置豊)

【画像4】キッチンには近所の方から差し入れされた野菜がたくさんありました(写真撮影/玉置豊)

冷蔵庫や洗濯機など、生活に必要な家電も用意されているシェアハウスなら、例えば今住んでいる住居をそのままにしておき、身一つで気軽に大山町へ来ることも可能です。そしてこの町が気に入ったら本格的に家探しをすればいいので、「こんなはずじゃなかった……」という失敗は少なくなりそうですね。

【画像5】家賃は2万円~3.5万円+共益費1.5万円でインターネットや駐車場も利用可能(写真撮影/玉置豊)

【画像5】家賃は2万円~3.5万円+共益費1.5万円でインターネットや駐車場も利用可能(写真撮影/玉置豊)

まるでお城のような共用ワーキングスペースも完備!

「のまど間」の魅力はこれだけではありません。なんと住居のすぐ隣に、まるでお城のような共用ワーキングスペースが完備されていて、住人は無料で使うことができるのです。ここにパソコンを持参すれば、快適な環境で集中して仕事をすることができるため、家だと遊んでしまって仕事ができないという人にはうれしいですね。Wi-Fi環境がととのっているほか、オプションとなりますが印刷機やプロジェクター、コーヒーマシンなども利用できます。2階にはミーティングルームもあるので、地域の人たちを巻き込んだ大規模プロジェクトもスムーズに進められそうです。

【画像6】だいせん城とも呼ばれているワーキングスペース(写真撮影/玉置豊)

【画像6】だいせん城とも呼ばれているワーキングスペース(写真撮影/玉置豊)

【画像7】「のまど間」の住人なら無料で利用可能(写真撮影/玉置豊)

【画像7】「のまど間」の住人なら無料で利用可能(写真撮影/玉置豊)

【画像8】天守閣にあるミーティングルーム(写真撮影/玉置豊)

【画像8】天守閣にあるミーティングルーム(写真撮影/玉置豊)

この建物は、「のまど間」にかつて住んでいたお城好きの大工さんが、自分の城として趣味で建てたもの。2005年に建設された築浅のお城です。内装などはオフィスとして利用しやすいようにリフォームされており、遊び心たっぷりで刺激を受けまくります。

このワーキングスペースは住人以外も1回800円(初回は500円)で利用可能となっており、「のまど間」を経て大山に移り住んだ人が、集中して仕事をしたいときにくることもあるとか。私もここでちょっと原稿を書いてみたのですが、お城のパワーなのかいつも以上にはかどった気がします。

【画像9】ここで仕事をしていれば、天下が獲れるかもしれません(写真撮影/玉置豊)

【画像9】ここで仕事をしていれば、天下が獲れるかもしれません(写真撮影/玉置豊)

【画像10】地下には隠れ家のような多目的ルームも。スクリーンが常設されているのでイベントやプレゼンなどの利用に便利(写真撮影/玉置豊)

【画像10】地下には隠れ家のような多目的ルームも。スクリーンが常設されているのでイベントやプレゼンなどの利用に便利(写真撮影/玉置豊)

大自然に囲まれた大山町にある、お城みたいなワーキングスペース付きのシェアハウス。どこか田舎への移住を考えている方で、ちょっと変わった生活をしてみたいという人には、まさにうってつけの場所なのではないでしょうか。

●取材協力
・のまど間

人気路線も5万円台で住めちゃう! 東急田園都市線の家賃相場が安い駅ランキング

東京都渋谷区・渋谷駅~神奈川県大和市・中央林間駅の全27駅を結ぶ東急田園都市線。渋谷駅から先は東京メトロ半蔵門線と相互直通運転しており、表参道や大手町といった都心部へアクセスするのが楽ちんなのも魅力だ。東急電鉄が住宅地開発を進めてきた地区を通る路線だけあって、沿線には落ち着いた住宅地として愛されるエリアがいっぱい。住むならどこがいいのか迷うところだけど、家賃相場は決め手のひとつ。そこで、沿線の家賃相場を調査してみた。●東急田園都市線 家賃相場が安い駅ランキング(TOP15駅)
順位/駅名(所在地)/家賃相場(中央値)
1位 すずかけ台(東京都町田市) 5.3万円
2位 中央林間(神奈川県大和市) 5.5万円
3位 つきみ野(神奈川県大和市) 5.8万円
4位 南町田(東京都町田市) 5.9万円
5位 藤が丘(神奈川県横浜市) 6万円
6位 青葉台(神奈川県横浜市) 6.1万円
6位 田奈(神奈川県横浜市) 6.1万円
8位 江田(神奈川県横浜市) 6.2万円
9位 市が尾(神奈川県横浜市) 6.3万円
9位 つくし野(東京都町田市) 6.3万円
11位 たまプラーザ(神奈川県横浜市) 6.5万円
12位 鷺沼(神奈川県川崎市) 6.6万円
12位 長津田(神奈川県横浜市) 6.6万円
14位 宮崎台(神奈川県川崎市) 6.9万円
14位 あざみ野(神奈川県横浜市) 6.9万円

再開発が進行している注目の駅も5万円台から住める!?

東急田園都市線の沿線で、最も家賃相場が安かったのは東京都町田市・すずかけ台駅。駅舎のすぐ東側は神奈川県横浜市で、東京工業大学のキャンパスが広がっている。そのさらに東側には東名高速が通り、横浜町田インターも近いので車の便も良好だ。住宅街は主に駅の西側。駅から西へ徒歩5分ほどの場所にはアスレチックやハーブガーデンを備えた「南つくし野やなぎ公園」があり、毎月第2・4土曜には地元の農家や菓子店、ハム・ソーセージ店などが出店する朝市が開かれてにぎわう。

ちなみにすずかけ台駅から4位・南町田駅までは1駅で、歩いても20分弱。南町田駅の駅前にはニトリやケーズデンキ、スーパーなど大型店舗が点在している。すずかけ台駅周辺は家賃が安いもののスーパーがないのが難点だが、買い物はお隣の南町田駅方面まで足を延ばすのも一案だ。

また、南町田駅は駅前の再開発が発表されている。2017年2月に閉鎖されたショッピングモールの跡地に、商業施設や公園、住宅地などの建設を計画。2019年度には開業予定というから楽しみだ。再開発で街の人気が上昇すると空き物件の減少も考えられるので、今のうちに好みの物件を見つけて住んでしまうのもいいだろう。

【画像1】横浜町田インター(写真/PIXTA)

【画像1】横浜町田インター(写真/PIXTA)

家賃相場が同じだとしても、意外と環境には差があることが判明

5位以下は家賃相場が6万円台に突入する。家賃相場が共に6.1万円の6位・青葉台駅と田奈駅は隣り合っており、田奈駅は各駅停車駅だが青葉台駅には急行・準急も停車。田奈駅周辺は田畑も多いのどかな地域なのに対して、青葉台駅は駅前にグルメやファッション、雑貨のショップが入ったショッピングセンター「青葉台東急スクエア」群が広がっている。同じ家賃相場で場所も1駅しか違わないが、利便性をとるなら青葉台駅寄りに住むほうがよさそうだ。

トップ15を見ると家賃相場が同じ駅はほかにもあり、12位の鷺沼駅と長津田駅も同じ6.6万円。両駅共に急行・準急の停車駅で、駅周辺の商業施設も充実している。都心の渋谷駅に近いのは鷺沼駅で、長津田駅と比べると急行停車駅で4駅分、乗車時間なら急行で約14分間の短縮になる。ならば鷺沼駅に住むほうが便利なようにも思えるが、長津田駅は田園都市線を含め3路線が使えるという利点がある。交通の便や街の雰囲気をみて、自分に合った駅を選びたいものだ。

【画像2】鷺沼駅(写真/PIXTA)

【画像2】鷺沼駅(写真/PIXTA)

住まい探しの際、確かに家賃相場は選択基準のひとつになる。しかし「同じ家賃相場ならどこに住んでもいいだろう」と考えるのは早計だ。急行停車駅か各駅停車駅か、駅周辺の商業施設の充実度、乗り換え路線の有無……と、家賃相場が同じだとしても意外と環境に差がある様子。価格帯で絞り込んだ後も、比較検討をするのが納得いく住まい選びのコツと言えるだろう。

●調査概要
【調査対象駅】東急田園都市線の全27駅
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10m2以上、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【調査期間】2017年7⽉1⽇~2017年9⽉30⽇
【家賃の算出⽅法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む⽉額賃料から中央値を算出。(随時更新のため、物件数は変動の可能性があります)