庭にも空にも<駐車場付>

所在地:川崎市宮前区神木本町
14万8,000円 / 53.8平米
東急田園都市線「宮崎台」駅 徒歩18分

木製のサッシを開け放つと、庭とリビングがフラットにつながり、風が通り抜ける心地良さ。屋上のウッドデッキからは空が大きく見えます。



庭にも空にも、そして外へも境界なくつながるこの開け放たれた空間にいると日常の喧騒が遠く離れたところにあるように感じます。



庭でガーデニングや家庭菜 ... 続き>>>.
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地元ビルダーがリノベーションした家

所在地:千葉県柏市新柏
4,490万円 / 77.97平米
東武アーバンパークライン「新柏」駅 徒歩3分

この家のある千葉県柏市にて1977年に創業した「樹楽屋株式会社」。住宅の新築や改修工事を手掛けるビルダーがフルリノベーションしただけあって、意匠と機能がちゃんと考えられた空間に仕上がったマンションの1室のご紹介です。



個人的に気に入ったのはクローク。玄関を挟んでLDKとの逆側に ... 続き>>>.
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レトロに始める。+αな最上階

所在地:渋谷区千駄ヶ谷
14万円 / 33平米
山手線「原宿」駅 徒歩5分

東京R不動産でも何度か紹介したことがあるレトロマンション。今回の募集区画は、ゆとりあるバルコニーとその先に広がる眺望が加わることで、空間にグッと奥行きを感じられる最上階の一室。



原宿駅からはちょうど徒歩5分。通りから少し奥まった、住宅や事務所が立ち並ぶ静かなエリアなので、しっか ... 続き>>>.
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甦る昭和の六畳一間

所在地:品川区荏原
6万7,000円 / 16.56平米
東急目黒線「武蔵小山」駅 徒歩12分

昭和感ただよう木造の古いアパートの一室が、リノベーションされ生まれ変わっています。



天井を抜いて見事に上がった天井高は3mオーバー。六畳一間のコンパクトな空間ながらも、天井が高いだけでこうも違うのかとはっきりとその差が分かるものです。



50年以上この建物を支えている梁は力強く ... 続き>>>.
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まっすぐに海!

所在地:港区海岸
23万5,000円 / 55.03平米
山手線・京浜東北線「浜松町」駅 徒歩9分

東京湾を真正面に捉えた海ビューがたまりません!

これはもう外に出かけるのが惜しくなる部屋です。



細長いリビングダイニングは2方向に視界が開け、ラッキーなことに長手方向が海に面しています。食事をするときも寛いでいるときも、すぐそばに海を感じられる窓がワイドに3つ並びます。



空と ... 続き>>>.
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盛岡市民の生きがい「材木町 よ市」がグルメ天国すぎる! 毎週土曜、100店超の美食をその場でも宅飲みでも。現地の楽しみ方をレポート

たべる、あるく、よりみちするのが大好きな岩手県盛岡市在住のスガワラとアベ。

そんな二人が、毎週土曜に楽しみにしているのが、「材木町 よ市(ざいもくちょう よいち)」(4月~11月開催)。今年で50年目を迎えた、盛岡市民おなじみのイベントです。盛岡駅から徒歩7分、材木町商店街に100店舗以上の露店が並び、たくさんの人でにぎわいます。焼きたてあつあつをその場で味わうのもよし、おつまみなどを買い込んで宅飲みとしゃれこむもよし、と、まさに市民の台所的存在なんです。マルシェのようなおしゃれなイベントともひと味違う、アットホームでのんびりとした雰囲気の中、盛岡ならではの旬の味や人気店の味に出合えますよー!

私たちの土曜日午後のお楽しみを、おしゃべりしながらご案内していきますね。

よ市の常連! 料理家の橋本玲奈さんをゲストに迎えて「よ市」をぶらぶら

今回は兵庫県神戸市出身、盛岡在住の料理家、橋本玲奈(はしもと・れな)さんもご一緒に、材木町よ市をみちくさしながらぶらぶらと。秋の味覚をどっさり買ったあとは、玲奈さんのご自宅におじゃまして夕ご飯にする予定です。

材木町よ市とは

材木町 よ市の風景

4月~11月の毎週土曜に開催。季節の収穫物などの食材や、市内のお店のお惣菜、屋台、雑貨などのお店が並びます。

秋刀魚

玲奈さん)秋刀魚(サンマ)!  一番小さいサイズのは100円、これはお買い得! 三陸海岸が近い盛岡市は新鮮な海の幸が手に入る街。それでも今年は秋刀魚、あんまり見かけないんだよね。「よ市」ぐるっと見てから、帰りに買いましょ!

お豆腐

スガワラ)あ!これ!こないだ来たときに気になったお豆腐だ。もめん豆腐よりもずっしり重たい。いつも「よ市」に来ると、ここの豆腐田楽が食べたくなっちゃうんだよね。田楽を焼いている、おばあちゃんとのおしゃべりにも癒やされるんです。

サランさんのキムチ

玲奈さん)毎週楽しみにしてるサランさんのキムチ。我が家はキャベツキムチの大ファンなの。冷蔵庫にキムチがある!って、テンションあがるよね。

スガワラ)キムチでメンタルマネジメントだ(笑)私は今回はタコキムチに決めたっ。

アベ)大根にしよっかなー、いや、キャベツ? まって白菜? 迷うー!

赤澤タニさんのわたあめ屋さん

玲奈さん)材木町商店街を旭橋側から歩き始めて夕顔瀬橋の方へ。つきあたりまで歩いていくと甘いいにおいが漂ってくるよ。「赤澤タニさんのわたあめ屋さん」は、子ども達に大人気なのはもちろんだけど、大人が食べてもおいしい、ふわっふわのわたあめが100円で買えるの。

おばあちゃんのお野菜

玲奈さん)お、右側にある栗、立派だね。600円であの量!

アベ)おばあちゃんのお野菜、ほかのも美味しそう。ゴーヤとか茗荷(ミョウガ)もある。夏の野菜から秋の野菜に変わっていく時期なんだね。季節の畑の様子が見えるようだよ……。これも「材木町よ市」ならでは。

スガワラ)たまに見たことのない野菜を発見することもあって、「どうやって食べたらいいですか?」って聞いてるよ。やっぱり生産者の方に教わるお料理は、簡単で美味しいのが多い。料理苦手な私でもばっちり!

あつあつグルメと冷たいビールを、音楽と一緒に

焼き牡蠣に並ぶ人たち

玲奈さん)「よ市」の名物、焼き牡蠣は今日も大人気だ……諦めよう……。

スガワラ)うん……。

アベ)絶対食べたい!っていうときは、「よ市」のスタートと同時に並ぶくらいの気合いが必要ね。

玲奈さん)「ベアレン」のビールと焼き牡蠣、最高なんだよね。あ、ビール……飲みたくなってきた……。

ベアレンビール

玲奈さん)よ市に来たら、絶対飲みたい、ベアレンビール。いただきまーす!

スガワラ)わぁ!いい飲みっぷり!

玲奈さん)このプラスチックのリユースカップは、最初に「ビール+カップ」の料金を払って、飲み終わったカップを返すと、カップの代金も返金される仕組み。例えば、小サイズのビールだと最初に500円(ビール+カップ分)を支払い、おかわりは1回ごとに300円。最後にカップを返却すると200円が返金されるんだよ。

アベ)マイジョッキを持って並んでる人もいるね。

玲奈さん)あ!あれは「ジョッキ倶楽部」の人だねえ。ビアパブベアレン材木町の店舗の2階が「部室」なんだって。自分の名前が刻印された世界に一つだけのオリジナルジョッキ。800人以上の部員がいて、ベアレンのお店で登録したらすぐ部員になれるみたい。10枚綴りのチケットもあって、それを使うとジョッキ1杯390円! お値段も嬉しいよねー!わたしもいつかマイジョッキつくりたいなあ。

スガワラ)ベンチや椅子もあちこちに用意してあるし。食べて、飲んで、食べて、飲んで。お祭りほどハイテンションではないんだけど、みんなにこにこ幸せそうに過ごしてるのが、材木町よ市の好きなところだなあ。

百萬堂

玲奈さん)ここ!「百萬堂(ひゃくまんどう)」さん、材木町に来て時間があったらいつものぞくんだ。

スガワラ)わかる! お皿や絵画、雑貨以外にもいろいろなものがぎゅうぎゅうに詰まった店内。びっくりするような掘り出しものがあるのよね……。「よ市」の日以外でも入れるから、ぜひふらりと入ってみてほしい。

かわいいお皿

玲奈さん)「よ市」でもお店を出している、「プラッサッジョ」さん。切り立ての生ハムとワインでまったりしてしまうの~。今日は店内でフリマもやってて嬉しい。このお皿、グラタンにピッタリのサイズ。買おうーっと。

アベ)私、初めて入るお店だったよ。素敵な雰囲気。今度はランチかディナーで来てみたいなあ。

盛岡の風景

お惣菜や旬のお野菜で、飲んで食べての夕ご飯

たくさんの戦利品と一緒に、玲奈さんの家へ移動。さあさあ!夕ご飯ですよ!

たくさんの戦利品

玲奈さん)並べると圧巻!お惣菜とかも買ってきてるからね。食べられるものをつまみながら、飲みながら夕ご飯つくっていきますよ。

スガワラ・アベ)よろしくおねがいしますー!

秋刀魚

玲奈さん)ここ、クチバシみたいに黄色いでしょ。新鮮で美味しい秋刀魚の証拠だよ。シンプルにグリルで塩焼きにしましょ。

スガワラ)ほんとだ! 言われてみれば、鳥のクチバシみたい。全然気づかなかった。焼いちゃうの申し訳ないほどかわいい顔してるね。私、今年、初秋刀魚だよ、やったー!

大きい立派なナス

玲奈さん)大きい立派なナスは、輪切りと角切り二つの切り方で切っていくよ。輪切りの方にトマトソースとチーズ、そして角切りのナスも乗せてオーブンへ。

サランのキムチにごま油をたらして

アベ)岩豆腐とサランのキムチ……だけでも最高なのに、ごま油をたらりなんて!!

玲奈さん)ふふふ!あっというまにできる、「よ市」のごちそうだよ。キムチは期間限定のもあるからいろいろ試してみてね。

ごちそうの数々

玲奈さん)さあ、できたよー!

アベ・スガワラ)ごちそう!!!いただきまーす!

田楽茶屋さんの納豆フライ

玲奈さん)田楽茶屋さんの商品でもう一つおすすめなのが、納豆フライ。めっちゃうまい。「よ市」から帰ってきて、すぐご飯にしたい!っていうときに、ちょっとあっためたらすぐ食べられるから重宝するの。お酒にも合うよ。

ごちそうの数々

スガワラ)こんな土曜日の夕ご飯。幸せ。ちょっとずつ美味しいものが並んで、みんなでおしゃべりしながら。

玲奈さん)そうそう、つくる方もゆるゆるーっと。晩酌もスタートしながら、ね。

アベ)玲奈さんがつくってくれたお料理みてると、盛岡で食べる日々のごはんっていいなあって思う。

玲奈さん)わたしも神戸から引越してきてすぐはびっくりしたよ。産直もいっぱいあるし生産者さんとの距離が近いから、朝に畑で収穫した野菜が夕ご飯には食卓に、っていうことも日常。四季がはっきりしてるから、冬の寒さは堪えるけどね(笑)

でも冬が寒いからこそ保存食をつくる文化があったり、食卓も季節ごとにがらりと並ぶ食材が変わって、旬、っていうのを感じられるよね。

旅行の人も住んでいる人も。毎週土曜は、美味しく楽しく

私たちの土曜日のお楽しみ、「材木町よ市」。いかがでしたか?
期間限定の出店者さんも多く、毎週行っても新しい発見がたくさんあるのです。お酒好きな方は、北上川沿いの木伏緑地や、ノスタルジックな雰囲気の桜山界隈までお散歩して、ゆっくりと飲み直すのもいいですね◎

材木町商店街は「いーはとーぶアベニュー」とも呼ばれており、大きな宮沢賢治の像のほかにも、賢治にちなんだモニュメントが点在しているんです。石座(いしざ)、音座(おんざ)、星座(ほしざ)、絹座(きぬざ)、花座(はなざ)、詩座(うたざ)。探しながら歩いたあとは、注文の多い料理店の出版元「光源社」へ。宮沢賢治の世界に思いを馳せる”みちくさ”もおすすめですよ!

写真・テキスト/菅原茉莉
イラスト/阿部夏希
デザイン/伊瀬谷美貴

●関連サイト
材木町よ市
※2023年は11月25日が最終開催

南青山ワンルーム改装計画

所在地:港区南青山
25万円(税込) / 47.79平米
銀座線・半蔵門線「表参道」駅 徒歩6分

根津美術館のすぐ近くという好立地。四季折々の自然が楽しめる大きな中庭にそってL字型に立つ、古き良きマンションの一室。



用途は事務所。ただし、いわゆる居抜きでの現況引き渡しのためあらかじめご確認ください。



床はフロアシートですが、天井があげられ、壁はところどころ素材を変えたおも ... 続き>>>.
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引き継ぎたいデザイナーズ

所在地:大田区東雪谷
4,970万円 / 64.14平米
東急池上線「石川台」駅 徒歩10分

レトロではなくモダンという言葉がしっくりくる2007年築のデザイナーズマンション。共用部も、吹抜けのある室内もシンプルで質の良いデザインなのが好印象です。



売主さんは新築から16年住まわれ、今回手狭になってきたのでお引越し。きれいにお使いでしたが、経年的な汚れは多少あるので、最 ... 続き>>>.
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東トーキョー、路面店のバトンを受け継いで

所在地:千代田区東神田
35万2,000円(税込) / 53.29平米
総武快速線「馬喰町」駅 徒歩2分

以前は飲食店だったこの物件。調理用の水道やガスは室内まで来ていて、什器を設置すれば使用できる状態ですが、現状はまるでギャラリー。このままギャラリーに使用することもできる、路面店のご紹介です。



室内は既存天井は撤去され、壁と天井は躯体を白く塗装。ざっくりシンプルな内装が好印象。し ... 続き>>>.
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豊かなる質朴

所在地:杉並区上荻
3,670万円 / 47.88平米
中央線「西荻窪」駅 徒歩11分

こじんまりとした避暑地の画廊を訪れた感覚

コンクリートの壁と回廊を想わせる抜け感

厳かにかつ温かみも感じられるセンスのよい空間



写真にある家具をそのまま引き継いでくれる方を希望します。

(雑貨は撤去します)



内装全体の質感、視線の先に続く景色、内装と家具のバランス、、、ため息 ... 続き>>>.
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やっぱり好きです、麻布十番

所在地:港区南麻布
15万円 / 40.35平米
南北線「麻布十番」駅 徒歩6分

インテリア好きなオーナーさんが住んでいた部屋。

少しだけお気に入りのパーツを残してくださいました。

靴収納スチールロッカー、洗面の棚、この部屋を気に入ってくれそうな方に喜んでいただけそうです。



角部屋のワンルームは、窓が多く日当たりもよく。でも明治通り沿いにつき、窓を開ければ車 ... 続き>>>.
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東京を”食べられる森”に! 渋谷や新宿などに農園が続々登場している理由「トーキョーアーバンファーミング(Tokyo Urban Farming)」

「アーバンファーミング」という言葉をご存じでしょうか。一般的には、農地ではなく、都市の空きスペースを利用して行う都市型農業を指し、SDGsの観点やコミュニティ創出の場として、世界的に注目されています。ここ数年、東京都内に鑑賞用のグリーン(植物)だけでなく、ビルの屋上や駅構内などのちょっとしたスペースで小さな畑を見かけるようになっています。その背景では、何が起きているのでしょうか?2023年5月に事例をまとめた書籍も発売されました。「Tokyo Urban Farming」の発起人で書籍を監修した近藤ヒデノリさんに、最新事情やその魅力を教えてもらいました。

都市で農的に暮らす「Urban Farming Life」とは武蔵野大学有明キャンパスの屋上菜園(画像提供/Tokyo Urban Farming)

武蔵野大学有明キャンパスの屋上菜園(画像提供/Tokyo Urban Farming)

最近、都内では、さまざまな場所にコミュニティファームができ、 “農”的体験ができるイベントが開催されています。駅で野菜苗が無料配布されていたり、渋谷や新宿の街中で野菜を育てる小さなファームを目にしたことがあるかもしれません。「Tokyoを食べられる森にしよう!」をテーマに掲げた「Tokyo Urban Farming」は、2021年4月に開設されたオープンプラットフォームで、アーバンファーミングをもっと楽しく、美しく、あたりまえにすることをミッションに、コミュニティファームの設置やイベントの実施、情報発信を通じて都市の再生型ライフスタイルの普及を目指しています。

5月に発売された新刊『Urban Farming Life』を読むと、ビルの谷間で野菜を収穫し、土に触れる人たちの姿が。子どもも大人もとっても楽しそう!

新宿駅東口前にあるSinjuku Farmと運営するJR新宿駅の駅員さん(画像提供/Tokyo Urban Farming)

新宿駅東口前にあるSinjuku Farmと運営するJR新宿駅の駅員さん(画像提供/Tokyo Urban Farming)

金融の街、茅場町のEdible Kayabaenは、子どもたちの食育の場に(画像提供/Tokyo Urban Farming)

金融の街、茅場町のEdible Kayabaenは、子どもたちの食育の場に(画像提供/Tokyo Urban Farming)

世田谷区が所有する遊休地を活かしたタマリバタケ(画像提供/Tokyo Urban Farming)

世田谷区が所有する遊休地を活かしたタマリバタケ(画像提供/Tokyo Urban Farming)

「駅前に畑があったり、オフィスビルの屋上に大きな農園ができたり、少し前だったら想像もしなかった風景が東京に広がっています。田舎では昔から当たり前だったことが都会に入ってきて、ウェルビーイングにつながるものとして定着し始めているのです」(近藤さん)

2023年5月に発売された「Urban Farming Life」(画像提供/Tokyo Urban Farming)

2023年5月に発売された「Urban Farming Life」(画像提供/Tokyo Urban Farming)

東京23区内12の事例とキーパーソン、アーバンファーミングの文化や方法をまとめた1冊(画像提供/Tokyo Urban Farming)

東京23区内12の事例とキーパーソン、アーバンファーミングの文化や方法をまとめた1冊(画像提供/Tokyo Urban Farming)

『Urban Farming Life』の冒頭では、アーバンファーミングを、「農家による野菜生産や販売を目的とした農業ではなく、誰もが自宅や市民農園、コミュニティファーム等で仲間と野菜を育てたり、食べたり、学んだりできる農的ライフスタイル」と定義しています。食べ物を共に育てることを通じて都会の人と人、自然をつなぐほか、生ごみをコンポストで堆肥にするなどと都市を再生する役割も。アーバンファーミングの社会的メリットとして以下が挙げられています。

都市に住む人に農的体験の場を提供気候危機を解決していくための意識変革持続可能な街づくり(コミュニティ・防災や治安の向上)地産地消やフードロス解消アーバンファーミング 6つの役割(画像提供/Tokyo Urban Farming)

アーバンファーミング 6つの役割(画像提供/Tokyo Urban Farming)

住宅街の中にある「たもんじ交流農園」は、地域のコミュニティの場(画像提供/Tokyo Urban Farming)

住宅街の中にある「たもんじ交流農園」は、地域のコミュニティの場(画像提供/Tokyo Urban Farming)

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誰でも収穫して食べてOKな農園も!? 公園の一角やビル屋上などに都市型農園が増加中! 『まちを変える都市型農園』新保奈穂美さんに聞く3事例

ニューヨークやロンドンなど世界で都市型農園が拡大中

さまざまなイベントは、近藤さん自らプロデュースするだけでなく交渉、広報、SNSなどほぼすべてを行っています。広告を手掛ける博報堂が、アーバンファーミングのオープンプラットフォームを自ら立ち上げ、イベントを運営しているのは意外な気もしますが、きっかけを教えてください。

「博報堂には、創造性を研究しているUNIVERSITY of CREATIVITY(以下UoC)という機関があります。僕はサステナブル領域のディレクターをしていますが、UoCが立ち上がったのは、ちょうどコロナの時期。地球環境や社会の状況、都市の課題を調べたり、有識者などとトークセッションをする中で見えてきたのが、アーバンファーミングという再生型のライフスタイルだったんです」

近藤さんは、自宅を「地域共生のいえ」KYODO HOUSEとしてアーバンファーミングや様々な文化活動を実践している(画像提供/Tokyo Urban Farming)

近藤さんは、自宅を「地域共生のいえ」KYODO HOUSEとしてアーバンファーミングや様々な文化活動を実践している(画像提供/Tokyo Urban Farming)

コロナ禍やそれにより普及が進んだリモートワークの影響で、屋外の庭や貸農園で野菜を育てる需要が世界的に高まっていました。近藤さんが感銘を受けたのは、ニューヨークにあるブルックリン・グランジという世界最大の屋上農園。国際展示場の2つの屋上に、サッカー場が2つ入るくらいの広さの農場が広がっています。

「ブルックリンに住んでいたことがあるので、あそこに素敵な農園ができたんだ!と驚きました。もともとドイツにはクラインガルテンという都市型農園がありますし、イギリスのロンドンでも次々と創設されていました。日本でも広がりつつあったので、これから来るんじゃないかと。日本では草の根的な個別の活動が多かったので、博報堂が企業や行政を繋いで大きなうねりにできないかなと思って始めたのがきっかけです」

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コロナ禍のドイツは園芸がブームに。農園でつながりづくり進む

下北沢の駅前や大手町のオフィスビルの屋上にも緑豊かな「のはら」。管理するのは、地元の参加者で構成されたシモキタ園藝部の部員たち(画像提供/Tokyo Urban Farming)

緑豊かな「のはら」。管理するのは、地元の参加者で構成されたシモキタ園藝部の部員たち(画像提供/Tokyo Urban Farming)

「Urban Farming Life」では、行政や企業、大学などが主体となったモデルケースとなる事例がピックアップされています。例えば、小田急線の地下化に伴い空いた敷地を活用した広場「のはら」は、下北沢の駅前に広がる里山の野原のような畑です。レモングラスなどのハーブ類やズッキーニなどの野菜を栽培し、養蜂も行っています。千代田区大手町一丁目にある大手町ビルの屋上にも農園ができました。2022年5月に開設されたThe Edible Park OTEMACHI by growです。巨大ビルの屋上にプランターが並び、ビルの就業者や近隣の人で野菜を育てています。オフィス街で、ウィークデーに土に触れて自然を体感できる場所があるなんて今までは考えられなかったことです。

オフィスビルの屋上にコンテナを並べたThe Edible Park OTEMACHI by grow。木製の棚には植物の種や書籍が並ぶ(画像提供/Tokyo Urban Farming)

オフィスビルの屋上にコンテナを並べたThe Edible Park OTEMACHI by grow。木製の棚には植物の種や書籍が並ぶ(画像提供/Tokyo Urban Farming)

区民農園の隣にある家族向けシェアハウス「青豆ハウス」。地域の人を招いたお祭りも催される(画像提供/Tokyo Urban Farming)

区民農園の隣にある家族向けシェアハウス「青豆ハウス」。地域の人を招いたお祭りも催される(画像提供/Tokyo Urban Farming)

近藤さんが監修する際、意識したのは、今までバラバラに存在していた活動をまとめることで、アーバンファーミングの役割や価値、その魅力を広く伝えることでした。

「取材を進める中で、同じような思いを持っている人が増えていると実感しました。たくさんの仲間に出会えてさらにアーバンファーミングの可能性を感じたし、東京だけでなく、都市とそのライフスタイルを再生型に変えていくバイブルにできればと考えてつくりました。集合住宅での始め方も掲載しているので興味を持った人が真似できるネタ本として使ってもらえたら嬉しいです」

左は、渋谷に4つのコミュニティファームを持つNPOの代表理事小倉崇さん。右は、The Edible Park OTEMACHI by growを運営する三菱地所の担当者。さまざまな人たちがアーバンファーミングで繋がっていく(画像提供/Tokyo Urban Farming)

左は、渋谷に4つのコミュニティファームを持つNPOの代表理事小倉崇さん。右は、The Edible Park OTEMACHI by growを運営する三菱地所の担当者。さまざまな人たちがアーバンファーミングで繋がっていく(画像提供/Tokyo Urban Farming)

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都市に住む人の琴線に触れる粋なデザインを

「Tokyo Urban Farming」のプラットフォームや書籍のデザインは、スタイリッシュで、今までの牧歌的な“農”のイメージとは異なる印象を受けます。

「もちろん、牧歌的な農的表現も素敵だし、美しいと思うんですけど、それだと都会の人たちは、距離を感じちゃうかもしれない。ぼくらは、農家ではないし、農業の専門家でもないから、いかに創造性で農的文化をわくわくさせるものにできるかを意識しています」

「Tokyo Urban Farming」のプラットフォーム(画像提供/Tokyo Urban Farming)

「Tokyo Urban Farming」のプラットフォーム(画像提供/Tokyo Urban Farming)

UoCでは単管パイプとLED照明を用いて陽のあたらない屋内空間でも野菜やハーブを栽培できるMicro Farmを実験している(画像提供/Tokyo Urban Farming)

UoCでは単管パイプとLED照明を用いて陽のあたらない屋内空間でも野菜やハーブを栽培できるMicro Farmを実験している(画像提供/Tokyo Urban Farming)

近藤さんがキーワードに掲げているのは、「粋」という江戸時代の美意識です。

「江戸の人は、粋か野暮かを判断基準にしていたそうです。それを現代の東京でアップデートできないかなと。例えば、ゴミを分別しないのは間違っている! と言われるより、ゴミをちゃんと捨てないのは野暮だよねと言われた方が響くような。そうした現代における粋な美意識を育てていけたらなと思っているんです」

「都市の食と農の未来」をテーマに東京駅でフェス「TOKYO ART FARM」を開催

「Tokyo Urban Farming」は、東京の地場に発する国際芸術祭「東京ビエンナーレ2023|に「TOKYO ART FARM」という名の祭典を企画・プロデュースするなどアートシーンにも活動の場を広げています。

(画像提供/Tokyo Urban Farming)

(画像提供/Tokyo Urban Farming)

不要なスーツケースを活用したMOBILE FARMワークショップも開催(画像提供/Tokyo Urban Farming)

不要なスーツケースを活用したMOBILE FARMワークショップも開催(画像提供/Tokyo Urban Farming)

「テーマは、都市の食と農の未来。野菜を通じたアートの力で人工的な東京駅を、繋がりを生み出す場に変えようと。不要なスーツケースを活用したMOBILE FARMであったり、首都圏の水源の森の間伐材で、東京駅グランルーフ2Fに長さ22mのLONG TABLEを制作したり。11月の3、4日には、そこで、食べられるアート体験を行いました。現代美食家のソウダルアさんのイベントで、22mのテーブルに白い紙をブワーッとひいて、その上に東京野菜から作ったソースや料理が広がる。東京のど真ん中で、そんな50人以上での特別な食のアート体験を2回開催しました」

10月8日には、アーティストの諏訪綾子(food creation主宰)さんなどによるイベントやマルシェ・ワークショップ・トークが夜更けまで行われた(画像提供/Tokyo Urban Farming)

10月8日には、アーティストの諏訪綾子(food creation主宰)さんなどによるイベントやマルシェ・ワークショップ・トークが夜更けまで行われた(画像提供/Tokyo Urban Farming)

アーティストの岩切章悟と大丸東京店VMDチームの協働で古着やプラスチックハンガーなどの廃棄物を活用して制作されたKAKASHI ART(画像提供/Tokyo Urban Farming)

アーティストの岩切章悟と大丸東京店VMDチームの協働で古着やプラスチックハンガーなどの廃棄物を活用して制作されたKAKASHI ART(画像提供/Tokyo Urban Farming)

TODOが廃棄野菜を漉き込んだ和紙によるポップアップ茶室でアートユニット花信風が「再生」をテーマにもてなす「東京野菜茶会」も開催(画像提供/Tokyo Urban Farming)

TODOが廃棄野菜を漉き込んだ和紙によるポップアップ茶室でアートユニット花信風が「再生」をテーマにもてなす「東京野菜茶会」も開催(画像提供/Tokyo Urban Farming)

アーティストの山本愛子さんがN高生と共に野菜から染めてつくった人と自然の共生社会を象徴する旗(画像提供/Tokyo Urban Farming)

アーティストの山本愛子さんがN高生と共に野菜から染めてつくった人と自然の共生社会を象徴する旗(画像提供/Tokyo Urban Farming)

「展覧会のフィナーレとなる11月5日には、15人のダンサーがテーブルの上で躍りました。野菜に扮装したり、キャベツに電極をつないで楽器にしたり、駅という移動の場が、東京の食と農の未来を感じる体験に変わる特別な日になりました」

アーバンファーミングの先にあるポジティブな未来

近藤さんは、自らアーバンファーミングを実践し、活動を続ける中で、「未来をポジティブに捉えられるようになった」といいます。

「物価上昇や、異常気象など明るいニュースがあまりない中で、人生100年時代と言われても、先行きが不安になりますよね。環境問題を身近に感じて、何かしたいと思っても、何をしたらいいかわからない。そんな人が多いのではないでしょうか。活動を通じてたくさんの人に会いましたが、皆、希望的な未来を見ていました。やれることをやらないで未来に臨んでいくと、人生後悔しそうだし、自分に嘘つくことになると思うんです。何もしないでいるよりもやれることをやろうと。そういう風に始める人たちが着実に増えています。アーバンファーミングに関わるとマインドがすごくヘルシーで気持ち良くなります。環境にも良いし、いろんな友達ができるし、幸せへの道なのかなと思います」

活動を通じて消費者から生産者へ(画像提供/Tokyo Urban Farming)

活動を通じて消費者から生産者へ(画像提供/Tokyo Urban Farming)

「The Edible Park OTEMACHI by grow」で開催された「Night Farm」の参加者。DJ HIROの音楽とともに、収穫した野菜を素揚げにして食べたり、ハーブを使ったカクテルが提供された(画像提供/Tokyo Urban Farming)

「The Edible Park OTEMACHI by grow」で開催された「Night Farm」の参加者。DJ HIROの音楽とともに、収穫した野菜を素揚げにして食べたり、ハーブを使ったカクテルが提供された(画像提供/Tokyo Urban Farming)

最後に、「Tokyo Urban Farming」の活動をはじめて2年。今、近藤さんが思う「アーバンファーミング」とは?

「自然農法家の川口由一さんの著書の中に、『命の道・人の道・わが道』という言葉があります。別の言い方をすると、環境問題、人間社会、自分の生き方なんですよね。それらが重なっていくのが、アーバンファーミングだと感じています。もちろん、さまざまな課題を解決するすべての答えがアーバンファーミングにあるかといえば、そんなわけでもないし、そう言うと逆に嘘くさいと思いますが、誰でも入りやすいし、意識を変えるきっかけとしては、すごくいいなと思っています」

2050年までには人類の80%が都市に住むといわれています。大量のゴミを排出する消費型の都市から循環型の都市へ転換するためにも、アーバンファーミングの果たす役割は大きいと感じました。スーパーに並んでいるものを買うのではなく、自分で育てて、収穫し、いただく。命の根源ともなる体験は、社会的メリット以上に人生で大切なものを教えてくれそうです。

●取材協力
株式会社博報堂
「UNIVERSITY of CREATIVITY」サステナビリティフィールドディレクター
近藤ヒデノリさん

首里の丘のハーフスケルトン戸建

所在地:沖縄県那覇市首里崎山町
4,870万円(税込) / 98.19平米(建物) 193.45平米(敷地)
那覇バス首里牧志線・東陽バス城間線「崎山」バス停 徒歩4分

首里の高台から眼下に街並みと海を見晴らす、この気持ちよさそうな屋上の写真一発で、沖縄への移住を決めてもいいんじゃないかと思います。



沖縄好きが高じて自分でも沖縄で宿を経営し、かれこれ10年以上、沖縄の物件探しを続けている僕として、この物件はまさに!太鼓判を押したくなるやつです。 ... 続き>>>.
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吉祥寺の新たな顔になる

所在地:武蔵野市吉祥寺南町
66万円(税込) / 79.33平米
中央線・井の頭線「吉祥寺」駅 徒歩3分

吉祥寺駅西口からわずか徒歩3分!井ノ頭通りから約15m程、一本裏に入った道の角地にある、スケルトンの路面店舗。



ドン・キホーテより駅に近いという好立地にあり、重飲食も可能という、東京R不動産ではなかなかお目にかからない条件かもしれません。



元々イタリアンの店舗が長らく営業され ... 続き>>>.
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小さく豊かに暮らす – ルーバル付き –

所在地:世田谷区下馬
7万3,000円 / 14.54平米
東急東横線「祐天寺」駅 徒歩9分

「小さく豊かに暮らす」をコンセプトにリノベーションされた空間で、ミニマムに暮らしてみませんか?



目玉は、中目黒方面を望むワイドなルーフバルコニー!エレベーターなしの5階という、ネックはあるものの、とても気持ちいい抜けが得られます。



室内はさらっと足裏に心地よい無垢フローリング ... 続き>>>.
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緑道沿いのキッチンスタジオ

所在地:目黒区中根
29万円 / 83.59平米
東急東横線「都立大学」駅 徒歩2分

住居はもちろん店舗や事務所としての利用も可能。広いキッチンを活かして料理教室を開いたり、撮影スタジオとして利用するのも良さそうです。



申込時に詳細を聞いた上でオーナーが最終的な判断をする形になりますが、不特定多数の人の出入りも問題なく、業種の制限も特にないそうです(民泊は不可) ... 続き>>>.
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緑のワンダーランド

所在地:豊島区南大塚
23万円 / 54.67平米
山手線「大塚」駅 徒歩7分

住宅街に突如現れる謎多きカタマリは、緑のワンダーランド!



建物が主なのか植物が主なのか、どちらも負けず劣らずの個性を見せ合い、融合を遂げたアパートです。竣工から早5年、植物はすっかり根付いて迫力を増し、地域でもちょっとした名所になっているようです。



1階から3階まで曲がりくね ... 続き>>>.
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古いけど、気持ちいい!

所在地:中野区弥生町
7万円 / 30平米
丸ノ内線「中野新橋」駅 徒歩3分

1965年築のレトロマンションの3階。窓の外に高い建物がなく、しっかりと空が見える眺望。南側の大きな窓からは、たっぷりと日の光が入ってきます。この点がこの部屋の最大にして唯一の魅力です。



まずは内装の古さとくたびれ感についてご説明。大きいですがかなり前からそこに付いている窓枠、 ... 続き>>>.
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新章開幕 in 南青山の最上階

所在地:港区南青山
16万5,000円(税込) / 29.97平米
銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」駅 徒歩5分

表参道駅から徒歩5分ほど。骨董通りに佇むビルの最上階、ナイスビューな区画に空きが出ました。



約30㎡の小ぶりな空間ですが、部屋が2つあるので作業スペースと応接室(兼会議室)に分けることができます。クローゼットもあるので機材や備品もすっきり収納できそう。個人もしくは2〜3人で使う ... 続き>>>.
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UXデザイナーが自宅マンションリノベの”要求定義”した結果。「絶対に後悔しない家づくり」のプロセス【ビジネスパーソン必見】

UXデザイナーのMさんと夫のRさん。今年から、東京郊外のマンションをリノベーションした新居で暮らし始めました。ユニークなのは、二人の家づくりのアプローチ。夫妻が望む暮らしを住まいに落とし込むための「要求定義」からスタートしたのだとか。

仕事では、ユーザーにとって嬉しい体験を実現するためにどんなシステムが必要なのかを考えていく役割のMさん。IT業界では欠かせない工程である要求定義ですが、理想の住まいを実現するために、どんなプロセスでそれをまとめ、家づくりに活かしていったのでしょうか? 夫妻の要望を受け取り、設計を行った建築家の伯耆原洋太さんを交え、Mさん夫妻にお話を伺いました。

暮らしに最適化した住まいをつくる

デザインエージェンシーに勤め、システム開発に携わるUXデザイナーのMさん。夫は建築ライター・編集者のRさん。夫妻は結婚6年目となる今年、東京の郊外に住宅を購入しました。

駅近に立つ、築40年ほどのマンション。80平米の一室をリノベーションし、二人の生活スタイルや望む暮らしに最適化した空間をつくりあげています。

家の間取図。築年数が経過していたものの新耐震基準に適合する耐震補強工事がなされ、管理状態も良好。広さと眺望の良さにも惹かれたそう(写真撮影/嶋崎征弘)

家の間取図。築年数が経過していたものの新耐震基準に適合する耐震補強工事がなされ、管理状態も良好。広さと眺望の良さにも惹かれたそう(写真撮影/嶋崎征弘)

それまで暮らしていた賃貸マンションでは家事の動線や収納、機能面などで不満を感じる点が多かったといいます。家を買うからには、そうしたストレスの種は全て取り除きたい。「中古マンションリノベ」を選んだのも、二人の生活にフィットする間取りや機能を実現するためでした。

Mさん「まずは、複数のリノベーション専門会社に話を聞きに行きました。でも、こちらで設計担当者を選べなかったり、打ち合わせの回数が決められていたり、使える建材が少なかったりと、思った以上に制約が多くて。特に、設計担当者がどなたになるのか分からないのは不安でした。だったらリノベ会社を介さず、自分たちで見つけた建築家さんに直接お願いしようかと」

二人はまず、Instagramで「建築家」「リノベーション」などのハッシュタグで検索し、さまざまな建築家の作例をチェックしました。気になる人がいれば、noteやブログ、インタビューでの発言までも追い、家づくりに対する姿勢や考え方を含めて吟味。そこまで徹底的にリサーチを重ねたのは、こんな理由からでした。

Rさん「僕は建築ライターという仕事柄もあって、建築家をリスペクトしています。国内外の建築物を見て回るのも好きで、建築を文化として楽しんでいます。しかし、そうした建物に自分が住むとなると、まるでイメージが湧かなくて。

建築家が手掛ける家はその人の『作品』としての側面があるので、ある種の自己表現が入ります。建築家が表現したいことと僕らが求めていることが、本当に合致するのかという心配はありましたね。妻は妻でこだわりが強いタイプなので、こちら側の思いや要望をちゃんと汲み取ってくれる建築家じゃないと、きっと衝突してしまうだろうなと。だから、素敵な空間をつくれることと同じくらい、住まいに対する考え方が合う建築家さんにお願いしたいと思いました」

リビングの壁一面に設置した本棚。「本屋を歩いているような気分」で、気軽に本を手に取れるようになっている。一方、エアコンやテレビの配線、レコーダーなどは吊り戸棚の中へ収納。「見せるもの」と「隠すもの」をしっかり分けている(写真撮影/嶋崎征弘)

リビングの壁一面に設置した本棚。「本屋を歩いているような気分」で、気軽に本を手に取れるようになっている。一方、エアコンやテレビの配線、レコーダーなどは吊り戸棚の中へ収納。「見せるもの」と「隠すもの」をしっかり分けている(写真撮影/嶋崎征弘)

検討に次ぐ検討の末にたどり着いたのが、建築家の伯耆原洋太氏。伯耆原氏は自らリノベーションした自邸に住み、noteなどで住まいと暮らしの関係性や、必要な機能などについて発信していました。生活者の視点に立った住まいづくりの感覚を持っていることが、依頼の決め手になったといいます。

Rさん「伯耆原さんはnoteで『一つ目の自邸が生活の変化に対応しきれなくなった点』や『その経験を次にどう活かしたか』といったことも率直に書かれていました。建築家として表現したいことがありながらも、暮らす人の声にもしっかり耳を傾けてくれる人なんだろうなと。妻にも『この人、どうかな』と提案して、ぜひ相談してみようということになりました」

設計を担当した伯耆原洋太さん。2022年、自ら設計した自邸がリノベーションオブザイヤー最優秀賞に輝く。2023年、大手ゼネコンから独立し、一級建築士事務所「HAMS and,Studio株式会社」を設立(写真撮影/嶋崎征弘)

設計を担当した伯耆原洋太さん。2022年、自ら設計した自邸がリノベーションオブザイヤー最優秀賞に輝く。2023年、大手ゼネコンから独立し、一級建築士事務所「HAMS and,Studio株式会社」を設立(写真撮影/嶋崎征弘)

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「付加価値リノベ」という戦略。建築家が自邸を入魂リノベ、資産価値アップで売却益も
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玄関を入ってすぐのところにある「セカンドリビング」。今後の生活スタイルの変化に合わせて活用できるよう、あえて使用目的を限定せず、空間に余白を持たせるスペースとして設けた(写真撮影/嶋崎征弘)

玄関を入ってすぐのところにある「セカンドリビング」。今後の生活スタイルの変化に合わせて活用できるよう、あえて使用目的を限定せず、空間に余白を持たせるスペースとして設けた(写真撮影/嶋崎征弘)

トイレの前の壁には絵を飾る想定で、3D図面の段階から配置をシミュレーション。現在はMさんの祖母が描いた絵が掛けられていて、トイレに行くたびに眺めているという(写真撮影/嶋崎征弘)

トイレの前の壁には絵を飾る想定で、3D図面の段階から配置をシミュレーション。現在はMさんの祖母が描いた絵が掛けられていて、トイレに行くたびに眺めているという(写真撮影/嶋崎征弘)

洗面所(写真撮影/嶋崎征弘)

洗面所(写真撮影/嶋崎征弘)

キッチン。もともと持っていた家電や一般的な家電のサイズを考慮し、各アイテムがぴったり収まるように計算して棚を設計(写真撮影/嶋崎征弘)

キッチン。もともと持っていた家電や一般的な家電のサイズを考慮し、各アイテムがぴったり収まるように計算して棚を設計(写真撮影/嶋崎征弘)

住まいへの指針や要望を明確化

伯耆原さんに設計を依頼するにあたり、はじめに妻のMさんが着手したのは住まいに対する「要求定義」。要求定義とはシステム開発プロジェクトにおいて、システムを通して何を実現したいのかを分かりやすくまとめていくステップ。プロジェクトの目的を明確に定義することで、手戻りや取りこぼしを防ぐことにもつながります。それはUXデザイナーのMさんが普段、仕事で当たり前にやっていることでもありました。

要求定義にあたっては、まずユーザーのことを徹底的に知る必要があります。家づくりの場合、ユーザーはそこに暮らす人、つまりMさん夫妻です。そのため、Mさんはまず自分たち自身を「リサーチ」し、夫妻が住まいに対して不満に感じていること、建築家にお願いしたいことなどをまとめていきました。

住まいへの要求をまとめた資料の一部(画像提供/Mさん)

住まいへの要求をまとめた資料の一部(画像提供/Mさん)

住まいへの要求をまとめた資料の一部(画像提供/Mさん)

住まいへの要求をまとめた資料の一部(画像提供/Mさん)

Mさん「UXデザインでは人間中心設計、つまりユーザーを中心に置く考え方が根付いています。私が仕事でつくっているシステムのように何千人、何万人が使うものであっても、できるだけ多くの人に話を聞くなどしてリサーチを重ね、ユーザーが使いやすいよう設計していくのが当たり前なんです。

家だって本来はそうあるべきですが、多くの分譲マンションはどちらかというと『限られた敷地をいかに効率よく使って建てるか』が優先されて、暮らす人目線の間取りになっていないような気がします。だから、設計は『私たちのことをできるだけ知ろうとしてくださる方』にお願いしたいと思いました。

その点、伯耆原さんは私たちが前に住んでいた家にも来てくださって、暮らし方をインプットするところから始めてくれたので、とても信頼できる方だなと。こちらとしても、なるべく詳細に私たちの状況をお伝えしようと思い、住まいに求める要望をまとめた資料を共有することにしたんです」

資料には基本方針や自分たちの暮らしについてなるべく具体的に、細部にわたるまで書き出しました。さらには「収納するもの・置くもの」を全て洗い出し、現状の収納状況やモノの量が分かるよう各所の写真も添付。これをたたき台に、伯耆原さんと打ち合わせを重ねたそうです。

かさばるアウターや靴、傘など、外出時に必要なものが過不足なく収まる玄関収納(写真撮影/嶋崎征弘)

かさばるアウターや靴、傘など、外出時に必要なものが過不足なく収まる玄関収納(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

リモートワーク時に集中できるよう、夫妻それぞれの書斎も(写真撮影/嶋崎征弘)

リモートワーク時に集中できるよう、夫妻それぞれの書斎も(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

プロの仕事を信頼し、任せる部分は任せる

ただ、建築家によっては、こうしたやり方を好まないケースがあるかもしれません。当の伯耆原さんは、このような家づくりをどう感じていたのでしょうか?

伯耆原さん「特にやりづらさは感じませんでした。家づくりに対してここまで強いエネルギーを持ってくれているのは設計する側としても有り難いですし、むしろやりやすかったですね。先ほどRさんがおっしゃっていたような建築家の表現が先行してしまう家って、結局は施主さんとのコミュニケーション不足が原因だと思うんです。施主さん側も『相手はプロだから大丈夫だろう』『実績のある建築家だから口出ししづらいな』と、ちゃんと要求を伝えていないケースもあるのではないかと。結果的に、実際に暮らし始めてから不満が出てきてしまう。Mさん、Rさんくらいやりたいことを明確にしてくれると、そうした心配もなくなりますしね」

施主側の積極的な介入を歓迎する一方で「時には、建築家視点の意見やアドバイスを受け入れてもらう姿勢も必要です」と伯耆原さん。間取りから刷新できるリノベーションとはいえ、建物の構造上できないこと、専門家の目から見てオススメできないこともあります。それをゴリ押しされると、かえって使いづらく、ストレスを感じる家になってしまいかねません。

伯耆原「お二人は家づくりに対して強いこだわりがありましたが、同時に建築やデザインに対するリスペクトもお持ちでした。こちらの意見にも耳を傾けてくれるスタンスだったので、僕のほうも単に要望をそのまま聞き入れるのではなく、思うことはしっかり伝えるようにしていました」

Mさん「わたしたちの考えていることをまとめた資料はつくりましたが、私たちとしてもこれを建築家さんに押し付けたいわけではないんです。あくまで『我々としては、いったんこう考えています』というたたき台のようなものであって、これをもとにディスカッションしながら、最終的に良い家になればいいなと考えていました。

そもそも、家づくりの素人である私たちがあまりにガチガチな要求をしてしまったら、伯耆原さんもやりづらいだろうなと。私も普段はクライアントワークをしている側なので、お互いにとって心地よい進め方をしたいという思いはありました。」

全体的な内装デザインは夫妻が好きな映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の世界観をイメージ。伯耆原さんにデザインイメージを伝える「ムードボード」を共有し、認識のズレを防いだ(写真撮影/嶋崎征弘)

全体的な内装デザインは夫妻が好きな映画『グランド・ブダペスト・ホテル』の世界観をイメージ。伯耆原さんにデザインイメージを伝える「ムードボード」を共有し、認識のズレを防いだ(写真撮影/嶋崎征弘)

さらに、もう一つMさんが伯耆原さんとのコミュニケーションで気をつけていたことがあります。それは、施主として伝えるのは「目的」だけ。それを叶えるための「手段」については、プロにお任せするというものです。

Mさん「たとえば『掃除がしやすい家にしたい』という目的と、『床はロボット掃除機+フローリングワイパー程度で掃除できるようにしたい』という最低限の希望だけはお伝えします。でも、具体的なやり方は、基本的に伯耆原さんに考えてもらいました。当たり前ですが、そこはプロのほうがたくさんの引き出しをお持ちですから。それに、伯耆原さんなら細かい部分にも気を配って、私たちの想像を超える提案をしてくれるだろうという安心感もありました」

リビングに面した夫妻の寝室。当初は戸を設ける計画だったが、リビングの広さ感と採光を確保するため伯耆原さんからカーテンで仕切ることを提案。プラン変更にあたっても、密にコミュニケーションをとり、全員が納得する線を探っていった(写真撮影/嶋崎征弘)

リビングに面した夫妻の寝室。当初は戸を設ける計画だったが、リビングの広さ感と採光を確保するため伯耆原さんからカーテンで仕切ることを提案。プラン変更にあたっても、密にコミュニケーションをとり、全員が納得する線を探っていった(写真撮影/嶋崎征弘)

住まいへの要求をあらかじめ整理することで、迷いや後悔がなくなった

家づくりに際し「要求定義」を行うことは、施主側、建築家側にとってどんなメリットがあるのでしょうか? 改めて、双方に伺いました。

伯耆原さん「僕は、今回の家づくりにおける辞書のように捉えています。Mさんがつくってくれた資料は単なる要望リストではなく、ご夫婦の思想や大切にしたいことなどが詰まっていました。設計で悩んだり、建物の構造の問題で要件書の通りにできない箇所があったりした時も、その辞書を引くことで『二人が本当にやりたいこと』を起点に別の手段を考えることができたと思います」

Mさん「住まいに求めることを明確にするためには、『自分たちがしたい暮らし』を見つめ直す必要があります。洗濯をした後に、洋服をどこにどう収納するのか。夏の間に冬用の布団はどこにしまっておくのか。そうした細かい暮らしのシーンを含めて、頭の中で何度もシミュレーションしたんです。『これなら大丈夫』と思えるところまで、徹底的に突き詰めたうえでスタートしているので、迷いや後悔が全くなくて。

逆に理想の暮らしを考えないまま進めていたら、『これでいいのかな?』という思いを抱えたまま何となく完成してしまって、住み始めてからもモヤモヤしていたと思います。正直大変でしたけど、やってよかったですね」

人が家に合わせるのではなく、住む人の暮らしに合わせて家をつくる。そのためには施主を含めた家づくりに関わる全員が、同じゴールや具体像を共有する必要があります。

住まいに対する自分たちの要求を整理することから始める最大のメリットは、最初に施主と建築家の目線を合わせられるだけでなく、度重なる打ち合わせの過程でズレてしまいがちなイメージをその都度すり合わせ、最初から最後までブレのない家づくりが叶う点ではないでしょうか。Mさんたちのような資料をつくるとまではいかなくても、専門家相手でも遠慮せず、自分たちの意志や希望を明確に伝えること。それが後悔のない家づくりの第一歩といえそうです。

●取材協力
Mさん・Rさん夫妻
建築家・伯耆原洋太さん(一級建築士事務所HAMS and, Studio株式会社)
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伝説のDIY可賃貸「吉浦ビル」誕生から10年、入居者をまき込みまちづくりが進行中! 空室率20%から人気物件になった脅威の軌跡とは 福岡市

2013年、時代に先駆け“入居者が好みに合わせて自由にフルカスタマイズ可能な賃貸”で話題を集めてきた福岡県福岡市の「吉浦ビル」。およそ10年の時を経て、どんな変化を果たしているのか! 熊本大学で建築を学ぶ学生たちがリノベーションを学ぶために視察に訪れると聞きつけ、同行させてもらうことに。まるでニューヨークのアーティスティックな住まいのようなカスタム事例との出合い、さらには空間だけに留まらない街や時代に深く斬り込む活動の数々。10年の着実な進化を目の当たりにする時間となった。

始まりは祖父の経営していた老朽化した賃貸ビルを引き継いだこと

リノベーションや不動産に見識のある人たちの間では、全国区でその名を知られる吉浦ビル。その歴史は、中心人物となる吉浦隆紀氏が祖父から老朽化した賃貸ビルを引き継いだことに端を発している。空室率20%、高齢化率40%、滞納金1,000万円以上、最寄りの駅からも40分程度。そんなビルの実情を表す数字を目の前に突きつけられて、正直最初は「モチベーションも0%」だったという吉浦氏。

学生を前に丁寧な案内でひと部屋ずつを案内するオーナー兼社長の吉浦隆紀氏(写真撮影/アポロデザイン)

学生を前に丁寧な案内でひと部屋ずつを案内するオーナー兼社長の吉浦隆紀氏(写真撮影/アポロデザイン)

しかし、直前に留学していたニューヨークでの経験をもとに、「100年を超える建物でも、決してアクセスのよくない物件でも、ニューヨークなら世界中から人が集まり、高い賃貸でも暮らしている」と思い立ち発想を転換。リノベーションという付加価値をつけることで、魅力あふれる賃貸にできないか、と思い至ったそうだ。早速、空き家だった部屋を程よくリノベーションして貸し出すことにするが、実は、このリノベではなかなか入居に至らなかった。そこで、さらに一歩踏み込んで始めてみたのがスケルトン、つまりゼロの状態から入居者の好みにあわせてフルリノベーション可能な賃貸として貸し出すという大胆な施策だ。するとクリエイティブな人たちからの問い合わせが続々と入り始める。

仕組みとしては、オーナー側である吉浦ビルが3年分の家賃程度をリノベーション費として補助。例えば、家賃6万円のお部屋であれば、総額230万円程度の補助額が出るというわけだ。賃貸する側は、補助額内でリノベーションをすることもできるし、もっと手をかけたければそれ以上のお金をかける人たちもいる。貸す側、借りる側でWin-Winの関係が築かれてきた。

視察に訪れた熊本大学の学生たちと吉浦ビルの関係者。写真奥左から管理部の森山幸久さん、真ん中が吉浦隆紀さん、右が森田英介さん(写真撮影/アポロデザイン)

視察に訪れた熊本大学の学生たちと吉浦ビルの関係者。写真奥左から管理部の森山幸久さん、真ん中が吉浦隆紀さん、右が森田英介さん(写真撮影/アポロデザイン)

ただのリノベじゃない!賃貸の概念が覆される個性派すぎる空間

大学生の訪問に併せてこの日は、入居者が暮らす3部屋と1階のテナントが視察を受け入れてくれるという。その入居者さんとの関係の近さにも驚きだったが、扉を開く度に広がる部屋のリノベーションのカスタム具合はさらに衝撃的。

ひと部屋目は、東京在中の映像クリエイターがカスタマイズしたという80年代を彷彿とさせるスペーシーな空間。吉浦ビルの周辺は時に畑も広がっているのどかな地域だが、この部屋はクラブのようでもあり、未来空間のようでもあり樋井川沿いとは思えない尖り具合。部屋の一角には、防音室まで整備されている。

映像クリエイターが手掛けたという80年代の宇宙映画を彷彿とさせる空間。本格的な防音室もあっていろんな楽しみ方ができそう(写真撮影/アポロデザイン)

映像クリエイターが手掛けたという80年代の宇宙映画を彷彿とさせる空間。本格的な防音室もあっていろんな楽しみ方ができそう(写真撮影/アポロデザイン)

別のもうひと部屋は、フードコーディネーターが自身の仕事場としてちょっとしたキッチンスタジオ風に改装した空間。入居者は結婚後に海外移住したそうだが、今も手放すことなくレンタルスタジオとして遠隔で活用中だそう。空間だけじゃなく、使い方のカスタマイズもされている。

レンタルスタジオとしても機能している部屋。撮影時に使いやすいようカスタマイズした工夫が随所に(写真撮影/アポロデザイン)

レンタルスタジオとしても機能している部屋。撮影時に使いやすいようカスタマイズした工夫が随所に(写真撮影/アポロデザイン)

3つめの部屋は、ファッションデザイナーがその拠点とする空間。創作活動だけでなく、お客も訪れるというアトリエ空間は、海外などで仕入れてきたというヴィンテージの什器などが壁一面に自由に取り付けされている。

入居したてのファッションデザイナーのお部屋。音や振動のあるプロ用ミシンを気にせずに使えるのも決め手になったそう(写真撮影/アポロデザイン)

入居したてのファッションデザイナーのお部屋。音や振動のあるプロ用ミシンを気にせずに使えるのも決め手になったそう(写真撮影/アポロデザイン)

ほかにはこんな部屋も(写真提供/樋井川テラス)

ほかにはこんな部屋も(写真提供/樋井川テラス)

(写真提供/樋井川テラス)

(写真提供/樋井川テラス)

この部屋は、室内に庭をつくっているそう!(写真提供/樋井川テラス)

この部屋は、室内に庭をつくっているそう!(写真提供/樋井川テラス)

自然と生まれるコミュニティが空室の心配も解消

建物の1階には住人はもちろん、一般のDIY愛好者もレンタル可能なDIY工房Tekuがある。ここを拠点に家具製作を行っている藤田元輝さんは、カスタム賃貸の吉浦ビルが始まった初期からの入居者だ。住人が自身でDIYをする時に工房を利用するようなときは、相談にのることもあるそう。そもそもマンションのリノベーションとなると、騒音問題が発生しがちだが、吉浦ビルではそうした騒音などにみんなが寛容。むしろ、リノベの相談を通して、自然とコミュニティが広がっているのも大きな魅力のひとつ。BBQなど遊びの時間を共有することもあれば、クリエイティブな住人が多いこともあって、お互いの製作に関するコラボ企画などが進むケースもあるそうだ。

住宅街の1階とは思えないいろんな機材がそろった工房。写真奥左が藤田元輝さん。この工房からオリジナル家具の製作・販売を行っている(写真撮影/アポロデザイン)

住宅街の1階とは思えないいろんな機材がそろった工房。写真奥左が藤田元輝さん。この工房からオリジナル家具の製作・販売を行っている(写真撮影/アポロデザイン)

住人のほとんどが自分の一部のように部屋を気に入っているので、長く住み続けるケースが多いそう。そんなわけで、退去の理由として最も多いのが“寿退去”。どうしても家族が増えて狭くなるから、愛着はあるけれど仕方なく退去するケースが多い。ただ、いわゆる不動産ポータルサイトで募集をかけなくても、空室がでるとすぐに入居者の口コミや、噂を聞きつけた人からの入居希望の問い合わせが入るので、空室率に悩むことはほぼないそう。住民同士はもちろん、吉浦ビルファンによるコミュニティが、この10年で着実に形成されているのが感じられる。

賃貸住宅の経験をもとに、街へ飛び出すカスタム精神

カスタム賃貸や住人同士のコミュニティづくりの成功をもとに、吉浦さんが街の交流を生み出すべく2016年にスタートしたのが「樋井川テラス」の取り組み。商店街の活性化を目指し、樋井川沿いの空き家をリノベーションして“民間の公民館”のような拠点をつくろうというプロジェクトだ。“民間の公民館”は、「カフェや小商いをやってみたい!」という人たちが、安価に場所を借りてチャレンジできる場所になる。

商店街から抜けた住宅街の入り口、樋井川沿いすぐに立つ樋井川テラス(写真提供/樋井川テラス)

商店街から抜けた住宅街の入り口、樋井川沿いすぐに立つ樋井川テラス(写真提供/樋井川テラス)

この場をつくるにあたってこだわったのは、「いきなり投資をしすぎずに小さく始めること」、その上で「ニーズをつかんで寄り添っていくこと」のふたつ。吉浦ビルの賃貸での、「最初からつくり込みすぎるより、カスタマイズを重ねてだんだんとよくしていく」経験がここに活きている。

スタートは小さく始めたが今はスペースも活動も着々と広がっている(写真提供/樋井川テラス)

スタートは小さく始めたが今はスペースも活動も着々と広がっている(写真提供/樋井川テラス)

(写真提供/樋井川テラス)

(写真提供/樋井川テラス)

最初はパラパラだった利用も、今では月に数度のマルシェが定期的に開催されている。特にコロナ禍での需要が高まったそうだが、あえて都会に出るのではなく、地域に根付いたこうした場所が注目されたようだ。

幅広い世代の交流があるのも樋井川テラスの魅力(写真提供/樋井川テラス)

幅広い世代の交流があるのも樋井川テラスの魅力(写真提供/樋井川テラス)

また、樋井川テラスの建物の一角には、オープンデッキのカフェスペースがあるが、実はこれは都市型河川の減災システムの役割も兼ねている。九州大学との研究室のコラボで実現したデッキ部分には、昨今の集中豪雨の際に土壌へ雨水が浸透しやすい素材を使うことで、河川への急な雨水の流入を防ぐ仕組みを兼ねている。その他にも、雨水の流失を抑制する「雨水タンク」を設置し、雨水を活用した「雨庭」も備えられている。九州大学からの話を受けクラウドファンディングによって完成したスペースだが、晴れた日は絶好の休憩スペースとして地域住民に愛されている。7年目を迎え、地域の子どもから、高齢者、そして地域外の人たちも呼び込む、多世代の交流の場として着実に育ってきている。

デッキ部分の下にもしもの災害に備えた機能(写真提供/樋井川テラス)

デッキ部分の下にもしもの災害に備えた機能(写真提供/樋井川テラス)

雨水タンクも各所に置かれている(写真提供/樋井川テラス)

雨水タンクも各所に置かれている(写真提供/樋井川テラス)

今や日本は空き家大国。人口減少の時代、そう遠くない未来に、3件に1件は空き家の時代がやってくるとも言われている。そんな空き家問題に窮する人たちが、吉浦さんの活躍を聞きつけて相談に来ることも多いそう。
空き家をマイナスと捉えてしまうのではなく、この課題に楽しく取り組めないかーー。吉浦さんは、学生や若い人たちを巻き込んで、吉浦ビルや樋井川周辺だけじゃない空き家活用プロジェクトをいくつか推進している。

福岡市を離れ同県内の大牟田市で進む空き家リノベーション。建築を学ぶ学生たちも多くプロジェクトに参加中(写真提供/吉浦ビル)

福岡市を離れ同県内の大牟田市で進む空き家リノベーション。建築を学ぶ学生たちも多くプロジェクトに参加中(写真提供/吉浦ビル)

プロジェクトに学生インターンとして参加していたうちの一人森田英介さんは、卒業後、そのまま吉浦ビルに就職。若い人が自らの思いでプロジェクトを動かしていってほしいと考えた吉浦さんは、敢えて若干22歳の森田さんを株式会社吉浦ビルのCEOに任命してチャレンジの機会を与えている。

この日も建築を学ぶ学生たちを中心に丁寧な案内をしていたが、学校では学べない日本の建物が抱えるリアルな課題を眼の前にして、若い目はさまざまな思いを抱いていたようだ。建物を育てることから始まり、街へ、そして時代が抱える問題にも向き合っていく。10年を経た吉浦ビルの活動は、これからの時代や地域社会にますます必要とされることになりそうだ。

●取材協力
有限会社吉浦ビル
株式会社樋井川村
遊べるカフェ 樋井川テラス

新築・中古マンションの価格は平均年収の10倍以上に上昇?エリア別に詳しく解説

東京カンテイの調査結果によると、2022年のマンションの年収倍率(全国平均)は、新築マンションで9.66倍、築10年の中古マンションで7.27倍になり、いずれも前年度より0.73拡大したという。気になるのは首都圏、特に東京都だ。マンションはどこまで遠くに行くのだろう?

新築マンションで13、中古マンションで5の都道府県で年収倍率が10倍超えに

東京カンテイが算出した都道府県別の年収倍率は、“マンションの買いやすさ”を検証するためのもの。都道府県ごとに「2022年に分譲された新築マンションの平均価格(70平米換算)」と「2022年における築10年の中古マンションの平均価格(70平米換算)」が、平均年収※の何倍に相当するかを割り出したもの。
※内閣府発表の「県民経済計算」を基に平均年収を予測した数値

新築マンションの年収倍率は、全国平均で9.66倍となり、前年から0.73拡大した。最も倍率が高いのは東京都の14.81倍、次いで京都府の13.66倍、最も低いのは徳島県の7.35倍だった。東京カンテイによると、「全国的に平均年収が低下する中でも圏域を問わず高額な物件の供給が続いている」ことが、背景にあるという。

年収倍率が10倍を超えるのは、北から北海道10.98倍、青森県11.26倍、岩手県10.56倍、埼玉県12.38倍、東京都14.81倍、神奈川県12.42倍、石川県11.14倍、静岡県10.70倍、京都府13.66倍、大阪府12.45倍、奈良県10.52倍、鹿児島県10.13倍、沖縄県11.59倍の13都道府県だった。最も倍率の低い徳島県でも、新築マンションを買うには年収の7.35倍が必要という計算になり、新築マンションの価格は全国的に手が届きにくい状況にある。

一方、築10年の中古マンションの年収倍率は、全国平均で7.27倍となり、前年より0.73拡大した。これにより、2008年の集計開始以来で初の7倍台に達した。最も倍率が高いのは東京都の14.49倍、次いで京都府の11.35倍、最も低いのは富山県の4.31倍だった。東京カンテイによると、「全域的に拡大した首都圏や近畿圏がけん引する形で全国平均はさらに押し上がる結果となった」という。

築10年の中古マンションで年収倍率が10倍を超えるのは、北から埼玉県10.87倍、東京都14.49倍、神奈川県10.43倍、京都府11.35倍、大阪府10.45倍の5都府県。中古マンションといえども、都市部では手が届きにくい状況にある。ただし、年収倍率が5倍台以下になるのは、茨城県5.92倍、群馬県5.68倍、新潟県5.31倍、富山県4.31倍、福井県5.94倍、三重県5.42倍、鳥取県5.25倍、島根県5.57倍、山口県5.07倍、徳島県5.92倍、香川県5.05倍、愛媛県5.52倍、佐賀県5.20倍の13県あり、新築マンションよりも価格的に手が届きやすいことは間違いないだろう。

東京都の年収倍率は、新築マンションも中古マンションも14倍台に

新築と中古の年収倍率の開きは、前年も2022年も2.39で変わっていない。全国的に平均年収が前年より下がったのに対して、新築も中古も全国的に価格(70平米換算)が上がったという構図だ。

マンションの最大供給エリアである首都圏に絞って見てみよう。
新築マンションでは、千葉県を除いて1都2県が過去17年間で最高値を記録した。特に埼玉県と神奈川県で、前年より大きく倍率が拡大した。東京都が小幅な拡大だったのは、平均年収が上がっていることも影響している。片や中古マンションでは、首都圏1都3県ともに前年より倍率が拡大した。首都圏全域で中古マンション価格が上昇したということだろう。

特に年収倍率が、新築マンション(14.81倍)と中古マンション(14.49倍)ではほとんど差がない、東京都に注目だ。新築マンションの年収倍率は想定できたが、中古マンションの年収倍率がここまで上がるとは驚きだ。東京都や京都府などでは、マイホームとして買う層だけでなく、投資目的や海外組が買う事例が多いことも影響しているのだろう。

●首都圏の年収倍率
■新築マンション

都道府県2022年2021年年収倍率平均年収
(万円)70平米価格
(万円)年収倍率平均年収
(万円)70平米価格
(万円)埼玉県12.384505.57011.044725.213千葉県9.774814.7019.075034.563東京都14.815788.56114.695708.373神奈川県12.424725.86410.055535.555首都圏12.474956.17411.295255.926

●首都圏の年収倍率
■中古マンション

都道府県2022年2021年年収倍率平均年収
(万円)70平米価格
(万円)年収倍率平均年収
(万円)70平米価格
(万円)埼玉県10.874504.8928.124723.832千葉県8.324814.0006.045033.037東京都14.495788.37313.355707.612神奈川県10.434724.9247.755534.285首都圏11.214955.5478.945254.692出典:東京カンテイ「都道府県別 新築・中古マンション価格の年収倍率 2022」より抜粋して編集部で作成実際に買った人の年収倍率は現実的な範囲

年収倍率だけ見ると、一部の地域を除いて、新築も中古もマンション購入のハードルが高くなったという印象を受ける。上記の年収倍率は、世帯年収(2022年首都圏平均495万円)で計算している。

実際にどの程度の年収倍率でマンションを買っているかに関しては、住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」で見ていこう。長期間固定金利の住宅ローン【フラット35】を利用して住宅を取得した人の世帯年収や年収倍率は、次のようになっている。

●「2022年度フラット35利用者調査」の結果
■新築マンション

年収倍率世帯年収購入価額全国7.2844.2万円4848.4万円首都圏7.8821.6万円5327.7万円近畿圏7.3832.0万円4973.9万円東海圏6.4909.6万円4434.9万円その他地域6.2872.9万円4018.5万円

■中古マンション(築年限定なし)

年収倍率世帯年収購入価額全国5.9621.5万円3156.9万円首都圏6.3637.8万円3518.0万円近畿圏5.7562.0万円2775.6万円東海圏4.8578.7万円2220.7万円その他地域4.9670.8万円2546.6万円出典:住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」より抜粋して筆者作成

実際にマンションを買っている人で見ると、やはり年収倍率は新築マンションで6~7倍、中古マンションで5倍前後と、現実的な範囲で買っている。買った人の世帯年収はそれなりに高いので、世帯年収が500万円を切る世帯では、マンションは遠い存在になっているかもしれない。

さて、“買いやすさ”の指標である年収倍率は上昇が続いている。ここにきて、住宅ローンの長期固定金利が上昇局面に移りつつある。マンションを買おうとしている人には厳しい環境にあるが、こうした時は背伸びをしないで、自分たちの世帯年収に見合う、長期的に無理なく返済できるマンションを探すことをお勧めする。新築マンションやリノベーション済みの中古マンションの性能は、以前より高くなっているという側面もあるので、価格だけでなく、それに見合う住宅性能であるかも見てほしい。

●関連サイト
東京カンテイ「都道府県別 新築・中古マンション価格の年収倍率 2022」
住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」

目を開ければ運河

所在地:江東区塩浜
14万8,000円 / 61.6平米
東西線「木場」駅 徒歩16分

マンションの目の前を流れているのは川ではなく、運河です。



ここは江東区塩浜。周囲には様々な名前を持つ運河が流れ、大きなマンションやビル、工場が立ち並ぶエリア。このマンションが面している運河の名前は「汐見運河(しおみうんが)」。



部屋は南向きで日当たりは良好。運河がよく見えるよ ... 続き>>>.
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もはやワンルームな戸建て

所在地:品川区豊町
18万円 / 52.88平米
都営浅草線・東急大井町線「中延」駅 徒歩4分

のんびりとした住宅街の路地の奥に、こんな戸建てがあるなんて。そんな思いもかけない空間を見てきっと驚くはず。



1階のLD部分がずどん!と2階の天井まで大きく吹き抜ける。天井高は一番高いところで圧巻の6.0m。2階の天井を抜いて梁などの構造をあらわにすることで、空間を縦に拡張。間取 ... 続き>>>.
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小さな村がウラハラに<小商い>

所在地:渋谷区神宮前
12万4,850~12万9,800円(税込) / 16.32~16.98平米
山手線「原宿」駅 徒歩6分

裏原宿の路地裏に眠っていた、小さなアパートが生まれ変わります。

1階に店舗2区画、2階にミニオフィス5区画を構え、路地に面した前庭は町に開いた共用スペースになる予定です(イメージスケッチ参照)。



ご覧の通り、いまはまだ工事中で完成形は見られませんが、前庭は植栽を入れて一息つける ... 続き>>>.
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小さな村がウラハラに<小商い>

所在地:渋谷区神宮前
12万4,850~12万9,800円(税込) / 16.32~16.98平米
山手線「原宿」駅 徒歩6分

裏原宿の路地裏に眠っていた、小さなアパートが生まれ変わります。

1階に店舗2区画、2階にミニオフィス5区画を構え、路地に面した前庭は町に開いた共用スペースになる予定です(イメージスケッチ参照)。



ご覧の通り、いまはまだ工事中で完成形は見られませんが、前庭は植栽を入れて一息つける ... 続き>>>.
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たまらなく、イイ

所在地:港区赤坂
24万円 / 48.6平米
千代田線「乃木坂」駅 徒歩8分

良い素材のポテンシャルを最大限引き出したい。この空間を見て、そんな設計者の意図がひしひしと伝わってきました。特別な調味料はいらないんです。ただ素材を引き立たせるため、ていねいに各所を仕上げていくだけ。



グッドなレトロマンションひしめく赤坂の中でも、高台に立ち、存在感があるこのマ ... 続き>>>.
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ホテルライクな暮らし

所在地:台東区東浅草
2,980万円 / 42.84平米
銀座線・都営浅草線「浅草」駅 徒歩16分

広いワンルームのような形でつくられた、ホテルライクな一室。



特に浴室が大胆なデザインで特徴的。ユニットバスのような窮屈な形ではなく、視界も広がり、気持ちいいバスタイムが過ごせる仕様。部屋の明かりを落としてムーディーな雰囲気を浴室でも楽しんだり、浴室の戸を開けて音楽を聞いたり、自 ... 続き>>>.
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コンビニが撤退危機だった人口減の町に、8年で25の店がオープン。「通るだけのまち」を「行きたいまち」に変えたものとは? 長崎県東彼杵町

自分の暮らすまちで「その地域は人が減っているから、あなたの仕事はもう続けていけないよ」と言われたら、いったいどうするだろう。場所を変える、仕事を変える、撤退する……などいろいろ選択肢はあるけれど、地域に訪れる人を増やそうとする人は、そう多くいないのではないだろうかと思う。

長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)町は旧千綿(ちわた)村と彼杵町が合併してできた、人口約7700人の町。過疎の進む一方だったこのまちに、近年新しいお店が続々とオープンし、活気を取り戻している。8年間で新しいお店が約25店舗オープン。50人以上が移住し、交流拠点「Sorrisoriso(ソリッソリッソ)」は、年約2万7000人が訪れる場所に。
一体ここで何が起きているのだろう?現地を訪れて話を聞いてきた。

(写真撮影/藤本幸一郎)

(写真撮影/藤本幸一郎)

「まちづくりの鍵は自営業者にある」

東彼杵町は、大村湾を望む山に一面にお茶畑が広がる、海と山に囲まれた美しいまち。長崎から観光スポット、ハウステンボスへ向かう通過点にすぎないと言われてきたこのエリアに、近年、若い人たちが集う小さな店がいくつもできている。

その中心が、元JA(農業協同組合)の米倉庫を改修してできたまちの拠点「Sorrisoriso」だ。

まちの拠点「Sorrisoriso」外観。2013年には解体予定だった建物。今は県の「まちづくり景観資産」に登録されている(写真撮影/藤本幸一郎)

まちの拠点「Sorrisoriso」外観。2013年には解体予定だった建物。今は県の「まちづくり景観資産」に登録されている(写真撮影/藤本幸一郎)

Sorrisorisoの内観。中には珈琲店「ツバメコーヒー」と、お隣に地産品として有名なそのぎ茶の試飲ができる体験型のショップ「くじらの髭」が入っている(写真撮影/藤本幸一郎)

Sorrisorisoの内観。中には珈琲店「ツバメコーヒー」と、お隣に地産品として有名なそのぎ茶の試飲ができる体験型のショップ「くじらの髭」が入っている(写真撮影/藤本幸一郎)

今、Sorrisorisoの周囲にはフレンチレストラン「Little Leo(リトル・レオ)」、アンティークと古着の店「Gonuts(ゴーナッツ)」、障がい者がデザイン製作した雑貨やアート作品を販売する「=VOTE(イコールボート)」などの店ができている。

車で数分圏内には、オーガニック食の「海月(くらげ)食堂」、洋食料理人が作る鶏魚介ラーメン専門店「多々樂tatara(タタラ)」、雑貨屋「きょうりゅうと宇宙」などポップで楽しそうな店が、ここ数年の間に続けてオープン。県内外から若い人や、感度の高いお客さんが訪れるエリアになっている。
各店のオーナーはIターン者や地元の若手、Uターン者とさまざま。

元はコインランドリーだった建物に入る「=VOTE」(写真撮影/藤本幸一郎)

元はコインランドリーだった建物に入る「=VOTE」(写真撮影/藤本幸一郎)

アート作品やプロダクトが並ぶ「=VOTE」の店内。VOTE代表の坂井佳代さん(右)(写真撮影/藤本幸一郎)

アート作品やプロダクトが並ぶ「=VOTE」の店内。VOTE代表の坂井佳代さん(右)(写真撮影/藤本幸一郎)

とくに大きな資本が入って再開発が行われたわけではない。

Sorrisorisoを運営する、一般社団法人「東彼杵ひとこともの公社」代表理事の森一峻(もり・かずたか)さんは、地域の活動に取り組む中で、あることに気付いたという。

それは、「まちづくりの鍵は自営業者にある」というもの。

「自営業者にとって、まちに活気があるかどうかは自分の店の経営にダイレクトに影響します。だからまちのことも自分ごととして捉えることができる。同じベクトルをもてる自営業者同士がコミュニティをつくれば、まちの活動が盛んになると思ったのです」

森さん自身が旧千綿村に生まれ育ち、5年半ほど県外で働いた後、24歳でUターンして家業のコンビニエンスストアを継いだ地元の自営業者である。

森さんはLINEグループなどを使って、まちの自営業者同士が支え合うゆるやかなコミュニティをつくり、Sorrisorisoを中心に新しい店を増やす取り組みを始めていった。

フレンチレストラン「Little Leo」店内(筆者撮影)

フレンチレストラン「Little Leo」店内(筆者撮影)

鶏魚介ラーメン専門店「多々樂tatara」の「そのぎ茶つみれラーメン」(写真撮影/藤本幸一郎)

鶏魚介ラーメン専門店「多々樂tatara」の「そのぎ茶つみれラーメン」(写真撮影/藤本幸一郎)

雑貨屋「きょうりゅうと宇宙」、小玉一花さん(筆者撮影)

雑貨屋「きょうりゅうと宇宙」、小玉一花さん(筆者撮影)

新しい店を支援する「パッチワークプロジェクト」

まずはSorrisorisoで、起業したい人が小さく自営業を始めることのできるしくみ「パッチワークプロジェクト」をスタートさせる。

うまくいくかどうかわからない中で店を構えて商売を始めるのはハードルが高いもの。そこで、まずは試験的にSorrisoriso内のスペースを貸して商いを始めてもらい、お客さんがついたら独立してもらう。開業の養成所のような役割を果たす。

さまざまなカラーの店がSorrisorisoに集い、卒業した後もまちを彩る。その様を布のパッチワークに例えた。

「とくにIターンで外から入ってきた人たちには、新しい土地で商売を始めるのは難しいと思うんです。そこで僕たちが間に入って、このエリアへ出店する場合はすべて無償で移住を含めたサポートをします。空き物件を紹介したり、情報発信をしてお客さんとつないだり。名前やロゴを一緒に考えることもあります」(森さん)

一般社団法人東彼杵ひとこともの公社の代表理事、森さん(写真撮影/藤本幸一郎)

一般社団法人東彼杵ひとこともの公社の代表理事、森さん(写真撮影/藤本幸一郎)

筆者が初めてSorrisorisoを訪れたのは、2018年の夏だった。この時は「Tsubame coffee(ツバメコーヒー)」のほかに、古着やアンティークを置く店「Gonuts」がSorrisorisoで営業していた。その後「Gonuts」は独立して近くに店をオープン。

筆者が訪れる以前に、Sorrisorisoで営業していた「海月(くらげ)食堂」や「千綿食堂」はすでに独立していて、海月食堂は近くの元製麺工場を改装してオーガニックカフェレストランをオープン、千綿食堂は駅で営業していて人気があった。

そんなふうに、パッチワークプロジェクトを通して、新しい店がいくつも東彼杵町にできてきたのである。

勢いのあるエリアだという印象が広まると、佐世保市内で営業していた飲食店が、こちらへ移転してくるなどの動きも起こり始めた。

新しいお店ができる過程が自営業者のコミュニティ内で情報共有され、地元で応援する構図がSorrisorisoを中心にできていった。

例えば、フレンチレストラン「Little Leo」が千綿に移転してきた際には、みなで歓迎し、リノベーションを手伝ったのだそうだ。

フレンチレストラン「Little Leo」のリノベーション前、地域の方々や手伝ってくださる方に森さんやレストランオーナーの宮副(みやぞえ)シェフがSorrisorisoにて説明会および交流会を開催した時の様子(写真提供/くじらの髭)

フレンチレストラン「Little Leo」のリノベーション前、地域の方々や手伝ってくださる方に森さんやレストランオーナーの宮副(みやぞえ)シェフがSorrisorisoにて説明会および交流会を開催した時の様子(写真提供/くじらの髭)

地域のみなで空き家のリノベーションを手伝った(写真提供/くじらの髭)

地域のみなで空き家のリノベーションを手伝った(写真提供/くじらの髭)

「Little Leo」オープン前日のパーティー。お手伝いした人や知人を含め大勢が集まり、翌日からのオープンを祝った(写真提供/くじらの髭)

「Little Leo」オープン前日のパーティー。お手伝いした人や知人を含め大勢が集まり、翌日からのオープンを祝った(写真提供/くじらの髭)

地元の自営業者たちがサポートしてくれるとなれば、よそから移住してお店を始める人たちにとっても、どれほど心強いか。

「Iターン者の存在は、閉鎖的な町に刺激を与えてくれるなど、まちに新しい風を吹き込む意味で重要です。ただしそれを迎え入れて活躍する場を用意するUターン者や地元の人たちに関心をもってもらうのも大切。自営業者が集って楽しみながらまちの活動も進めていることで、お店だけでなく、ライターやカメラマンなどクリエイティブな仕事をする人たちも集まってきています」(森さん)

さらに地元の人がお店を新しくオープンするなど、相乗効果が生まれていった。

Sorrisorisoの裏手の道には、お店案内の看板も出ている。それほど店がありそうでない場所に店がある(筆者撮影)

Sorrisorisoの裏手の道には、お店案内の看板も出ている。それほど店がありそうでない場所に店がある(筆者撮影)

閉店勧告を受けた時、後退せずに「攻め」で進んだ

森さんがSorrisorisoを立ち上げたきっかけは、実家のコンビニエンスストア(八反田郷店)を父から引き継いだ翌年、本社から受けた勧告だった。2012年のことである。

「このままでは八反田郷店は閉めるか、ほかのエリアに移すしかない、と本社から宣告されたのです。普通なら店を閉じて後退するところなんでしょうけど、父が始めた地元店をなくすことは考えられなかった。借金背負ってでも前進しようと。翌年、八反田郷店をリニューアルした上に、資金繰りのためさらに新しい店舗を隣の川棚町でも始めて、同時にSorrisorisoをつくる動きを始めました」

この時、森さんが痛感したのは、「自分の店だけでなく、エリア全域が活気づかなければ店の継続は難しい」ということ。

コンビニは、地方ではもはやインフラである。宅配やATM、買い物など生活を支える機能は、それはそれでまちにとって大事。

それでも、森さんは、コンビニのもつ限界も同時に感じてきたと話す。デジタルマーケティングによって絞り切った商品のみを投下する、合理性の極みのようなビジネスと、Sorrisorisoで始めた、地域性や文化的な要素を大事にしながら自営業を支援する展開は、まるで方向性がちがう。

「コンビニも大事ですが、それを目指してよそからお客さんが来るというふうにはなりませんから」

地域性や人、文化を大事にする商いは、効率はよくないかもしれないけれど、持続的に地元の人たちに愛され、土地の個性を発揮する武器、キラーコンテンツにもなりえる。地域性のあるお店を大事にすることが、長い目でみれば、地域の大きな価値になる。

森さんのそうした考え方が、Sorrisorisoをはじめとする展開のベースにある。
Sorrisorisoでも、地元のそのぎ茶を試飲できたり、活版印刷機を展示していたり。地域性や文化を前面に打ち出した展開は、その後開発した「くじら焼き」にも広がっていった。

全国茶品評会で連続日本一となった地産品、そのぎ茶を店内で試飲できる。(写真撮影/藤本幸一郎)

全国茶品評会で連続日本一となった地産品、そのぎ茶を店内で試飲できる。(写真撮影/藤本幸一郎)

森さんには、生まれ育った旧千綿村の原風景がずっと頭にあった。

「昔、千綿の浜はいつも漁師さんたちでにぎわっていました。朝が早いので、昼には漁から戻った人たちが、漁港や浜でわいわい飲んでいて。

僕が8歳の時、浜でゴミを燃やしているところへスプレー缶を投げ入れて、爆発して大やけどしたことがあったんです。この時、浜にいた大人たちがすぐに僕を海に放り込んでくれたおかげで、一命をとりとめました。全身包帯でぐるぐる巻きにされて数カ月入院したのですが、危なかったと言われました。

つまり、浜に人が居たから助かったんです。あの浜の風景が自分にとっては大事。もう当時の方々は亡くなったりしているので、地域に恩送りしたい気持ちが強いんです」

元は浜だった場所が今は小さな魚港になっている(写真撮影/藤本幸一郎)

元は浜だった場所が今は小さな魚港になっている(写真撮影/藤本幸一郎)

コロナの状況下で目を向けた、地元の老舗店

2015年から2020年の5年間は、外から訪れる人の移住支援や、20~40代など若い人たちの新規起業を中心に、自営業者のコミュニティを育ててきた。だが2020年のコロナ禍によって、事態が変化。
地元に古くからある自営業者を応援しようという動きにシフトする。

森さんたちは、ひとこともの公社で運営する「くじらの髭」というウェブサイトで、地元企業30社近くを取材し、情報発信をしていった。取材の過程で、森さん自身も地元の店のことを改めて知ったのだと話す。

「例えば割烹懐石料理を楽しめる、創業96年の栄喜屋さん。美味しい店だとは思っていましたが、大将が若いころ、京都の老舗で修行されたと取材で初めて知って。鰻の炭火焼きのタレを、創業者でオーナーのおばあさんにあたる“おるい”さんが防空壕にまで持ち込んで守り抜いてきたタレであるってことも知ったんです」

そうした諸々を知って初めて「おるいさんのストーリーをアピールした方がいい」「この写真を活用するといいのでは」といったアドバイスをするような関係に。

創業96年の栄喜屋の歴史を感じさせる写真。創業者は、大将の祖母にあたる方で、森ルイさん、通称「おるい」さん(写真提供/くじらの髭)

創業96年の栄喜屋の歴史を感じさせる写真。創業者は、大将の祖母にあたる方で、森ルイさん、通称「おるい」さん(写真提供/くじらの髭)

もう一つ例を挙げると、同じく旅館兼老舗の料亭「若松屋」さん。コロナ禍でくじらカツ弁当を販売することになり、お弁当のパッケージデザインの制作に森さんが入り、地元のデザイナーとつないで、若い人にも訴求しそうなデザインに仕上げたのだそう。これが若松屋のリブランディングにもつながった。

くじらカツ弁当(写真提供/くじらの髭、撮影/小玉大介)

くじらカツ弁当(写真提供/くじらの髭、撮影/小玉大介)

森さんたちと話したのがきっかけで、お店の側でSNSも活用し始め、コロナ禍が落ち着き県外からもお客さんが訪れるようになり、すっかり繁盛しているのだとか。

この時期、こうした老舗料理屋のオーナー同士がSorrisorisoに集まった時のこと。「初めて会った」とお互いが言い合っているのを聞いて森さんは驚いたのだそう。

「何十年もこの小さなまちで同業でやってきて、組合に属していても、会ったことがないんだなって。そういう機会がないんですね。みんなその場で一緒に弁当食べたりして、さっそく仲良くなっていました」

Sorrisorisoのような「まちの拠点」があると、内外から人が集まってくる。外からふわっとやって来る人たちを、森さんたちが適材適所に導く。ただそれだけでなく、元々いたまちのプレイヤーもここを介して知り合い、新たな共同の動きを始めている。地元の民間事業者同士のつながりも強くなり、外の人を受け入れる土壌ができているのだ。

地域の文化に目を向ける さらなる展開の広がり

これまでの取り組みが評価され、2020年には九州電力との協業もスタート。2022年には新たに複合施設「uminoわ」がオープンした。

「uminoわ」外観。コインランドリーをはじめ、喫茶「CHANOKO」、服のお直しをしてくれる縫製場、子どもの遊び場、観光案内所といった機能が内包され、たい焼きならぬ「くじら焼き」を商品開発し、出張販売も行っている(写真撮影/藤本幸一郎)

「uminoわ」外観。コインランドリーをはじめ、喫茶「CHANOKO」、服のお直しをしてくれる縫製場、子どもの遊び場、観光案内所といった機能が内包され、たい焼きならぬ「くじら焼き」を商品開発し、出張販売も行っている(写真撮影/藤本幸一郎)

「くじらの髭」プランニングマネージャーの池田晃三さん(左)と、「CHANOKO(チャノコ)」のストアマネージャー兼ブランドマネージャーでありパティシエの中村雅史さん(右)(写真撮影/藤本幸一郎)

「くじらの髭」プランニングマネージャーの池田晃三さん(左)と、「CHANOKO(チャノコ)」のストアマネージャー兼ブランドマネージャーでありパティシエの中村雅史さん(右)(写真撮影/藤本幸一郎)

「uminoわ」内観(写真撮影/藤本幸一郎)

「uminoわ」内観(写真撮影/藤本幸一郎)

2022年秋には、ひとこともの公社が、「国土交通大臣賞 地域づくり部門」を受賞。

森さんは、今、さらに新たな会社を通して、人と人のつながりを東彼杵町の中だけでなく長崎県全域、ひいては九州に広げようとしている。各地に拠点をもつプレイヤーがつながり合うことで、お互いに協力し合ったり、情報交換したり刺激し合うことができる。

筆者が、全国で行われているさまざまなまちづくりの例を見てきて思うのは、地域に活気を取り戻そうとする行為は、とどのつまり、人と人のつながりを繋ぎ直すことに集約されるのではないかということ。

一度途切れてしまったつながりを地域内でつなぎ直すという意味もあるし、新しく入ってきた人と地元の人をつなぐ、地域をこえて外の人同士がつながり刺激し合う。
Sorrisorisoでの取り組みにはそのすべてが含まれていた。

東彼杵町の「ひとこともの」をつなぐ取り組みは、いまも続いている。

(写真撮影/藤本幸一郎)

(写真撮影/藤本幸一郎)

●取材協力
Sorrisoriso ひがしそのぎの情報サイト「くじらの髭」

小さな村がウラハラに<路面店>

所在地:渋谷区神宮前
41万2,280~51万400円(税込) / 46.75~57.89平米
山手線「原宿」駅 徒歩6分

裏原宿の路地裏に眠っていた、小さなアパートが生まれ変わります。

1階に店舗2区画、2階にミニオフィス5区画を構え、路地に面した前庭は町に開いた共用スペースになる予定です(イメージスケッチ参照)。



ご覧の通り、いまはまだ工事中で完成形は見られませんが、前庭は植栽を入れて一息つける ... 続き>>>.
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マイ・ベスト・ホテルを作ろう!

所在地:港区赤坂
5,880万円(税込) / 42.55平米
千代田線「乃木坂」駅 徒歩2分

乃木坂、六本木、赤坂、青山一丁目の4駅5路線が利用可能な都心の一等地にあるにもかかわらず、視線の先にスッと抜けた眺望が楽しめる、ホテルライクなリノベーション済み物件。



雁行したマンションの角部屋ならではの、L字に開いた大きな窓の恩恵を受けて、LDKの扉を開いた瞬間から屋外の気配 ... 続き>>>.
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欲張ろう、1階で

所在地:調布市国領町
5,180万円 / 66.08平米
京王線「国領」駅 徒歩11分

マンションの1階という条件が、ここまで輝いて見えるのは初めてかもしれません。広い庭がついてきて、その横には平置きの駐車場。そしてなんとペットは3匹まで飼育可能なうえ、1階の区画のみ大型犬が飼えるんです。(大型犬は犬種の制限あり)



所有者が共同でお金を出し合いながら、建物の管理や ... 続き>>>.
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欲張ろう、1階で

所在地:調布市国領町
5,180万円 / 66.08平米
京王線「国領」駅 徒歩11分

マンションの1階という条件が、ここまで輝いて見えるのは初めてかもしれません。広い庭がついてきて、その横には平置きの駐車場。そしてなんとペットは3匹まで飼育可能なうえ、1階の区画のみ大型犬が飼えるんです。(大型犬は犬種の制限あり)



所有者が共同でお金を出し合いながら、建物の管理や ... 続き>>>.
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惹かれるワンルーム

所在地:世田谷区深沢
16万1,000円 / 42.6平米
東急東横線・東急大井町線「自由が丘」駅 バス11分 「東深沢中学校」バス停 徒歩2分

広いルーフバルコニー付きのワンルーム。無骨さと温もりがほどよく組み合わされた内装に、なんだか惹かれます。



室内は2016年にリノベーションされ、水回りもまだまだ清潔。天井は約2.6mと高めです。開放的なワンルームですが、ウォークインクローゼットが付いているので収納も困らなそう。 ... 続き>>>.
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惹かれるワンルーム

所在地:世田谷区深沢
16万1,000円 / 42.6平米
東急東横線・東急大井町線「自由が丘」駅 バス11分 「東深沢中学校」バス停 徒歩2分

広いルーフバルコニー付きのワンルーム。無骨さと温もりがほどよく組み合わされた内装に、なんだか惹かれます。



室内は2016年にリノベーションされ、水回りもまだまだ清潔。天井は約2.6mと高めです。開放的なワンルームですが、ウォークインクローゼットが付いているので収納も困らなそう。 ... 続き>>>.
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西洋の空気感

所在地:武蔵野市中町
6万9,000円 / 14.67平米
中央線「三鷹」駅 徒歩8分

※こちらの物件は女性限定です。



レトロな空気感が漂うすてきな洋館で暮らしてみませんか?



モールディングで装飾された壁や扉が印象的な女性専用アパートメント。輸入材を使い、こだわりのオーナーがつくり上げた空間です。



壁紙ではない塗装の壁に味わいを感じる室内。ドライな質感の壁天井 ... 続き>>>.
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都心の隠れ家

所在地:新宿区荒木町
35万円 / 70.38平米
都営新宿線「曙橋」駅 徒歩5分

★賃料改定★



都心のど真ん中、隠れ家のような戸建てにはぜいたくな気持ちよさが詰まっていました。立地よし、こだわりの建物で、住むも働くも叶えられちゃいます。



物件が位置するのは荒木町。そのすり鉢地形から、都心にありながらも風情ある路地の風景が残る町です。趣のある飲食店も数多く軒 ... 続き>>>.
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本当に松濤ですか?

所在地:渋谷区松濤
1億1,480万円 / 93.4平米
井の頭線「神泉」駅 徒歩9分

東京大学駒場キャンパスの敷地に隣接する集合住宅の一室。リビングの窓に映し出される見事な緑VIEWと、建物の古き良き雰囲気にクラクラきてしまう物件でした。



売主さんもこの素晴らしい眺めと建物の雰囲気を気に入って購入され、2022年にはリノベーション工事を実施。



リノベーションの ... 続き>>>.
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食が中心のビルではじめる小商い

所在地:千代田区神田須田町
18万1,000~21万7,800円(税込) / 15.78~22.29平米
JR線「秋葉原」駅 徒歩5分

2024年2月にオープン予定の食とビジネス機能が融合した新築複合施設。その地下1階にある、物販店舗やギャラリーを併設できる「小商いオフィス」を募集します。



区画内にはシンクやキッチンがあるので、個人的にはお花屋さんなどと相性がいいなと思っています。もちろん、「食」を中心に考えて ... 続き>>>.
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東日本大震災の”復興建築”を巡る。宮城県南三陸町の隈研吾作品や石巻エリア、坂茂設計の駅舎など、今こそ見るべきスポットを建築ライターが紹介

2011年3月11日に発生した東日本大震災。津波によって多くの人命が失われ、街の主要な機能が流されてしまった東北の沿岸地域では、復興が急ピッチで進められました。同時に、惨劇を二度と繰り返さないために、地震が発生したときにどのようにふるまうべきか、教訓を語り継いでいくための取り組みが行われています。
紙媒体やインターネットを通じたアーカイブも充実していますが、やはり現地を訪れてこそ感じ取れることがあるのも確か。特に被害の実態や被災者の生の声を伝える資料をコンテンツとしていかに体験してもらうか、建築家やデザイナーが綿密な計画を練った復興建築を巡ることは、被災地から離れた地域に住む人にとって有効なツアーになるのではないでしょうか。

今回、各地の建築やまち歩きをライフワークにしてきた筆者が、都内からも比較的アクセスしやすい宮城県石巻市を中心に、宮城県の三陸海岸エリアの復興建築をレポートします。前編では三陸海岸の北側、岩手県沿岸部を紹介していますので、合わせてご覧ください。

東日本大震災の”復興建築”を巡る。今こそ見るべき内藤廣・乾久美子・ヨコミゾマコトなどを建築ライターが解説 岩手県陸前高田市・釜石市

海と川、2方向から津波が襲った石巻市

仙台市から電車で1時間、国内有数の水揚げ量を誇る漁港の町として知られる石巻市には、市街地の中心に旧北上川という河川が流れ、川が見える風景が長らく市民の生活とともにありました。しかし東日本大震災時にはこの旧北上川を逆流した津波が市内に流れ込んだことで大きな被害を生み、河岸部分に防潮堤を築くことになります。それでも少しでも川とともにある生活を受け継ぐことを意図してデザインされたのが、大きくゆとりをもたせ広い散歩道として整備された防潮堤でした。一段低い市街地から防潮堤に架け渡すように設計された建築も見られ、市民の憩いの場として川と街をつないでいます。
東日本大震災からの復興にあたっては、防災のために巨大な土木スケールの防潮堤を築くことに対し、古くからの町の風景が失われてしまう葛藤がどの地域にもありました。人命には替えられないと、防潮堤の建設は進められていきましたが、デザインの力によってその間を取り持つ可能性が示されているように感じます。

河岸に整備された散歩道(写真撮影/筆者)

河岸に整備された散歩道(写真撮影/筆者)

防潮堤に設置された東屋は、仮設的で華奢なデザイン。設計は萬代基介建築設計事務所による(写真撮影/筆者)

防潮堤に設置された東屋は、仮設的で華奢なデザイン。設計は萬代基介建築設計事務所による(写真撮影/筆者)

防潮堤と市街地をつなぐブリッジのように建つ、観光情報施設「かわべい」(写真撮影/筆者)

防潮堤と市街地をつなぐブリッジのように建つ、観光情報施設「かわべい」(写真撮影/筆者)

復興が進んだ中心部に対し、痛ましい被害の様子が伺えるのが南の沿岸部側。津波により被災した門脇小学校は、震災遺構として遺され見学ができるようになっています。震災時に発生した津波火災によって黒焦げに焼けた校舎は、見学用のルートが真横に新設され、間近で見ることができます。
少し小高い日和山を背に立つ門脇小学校では、発災時に校舎内にいた児童は迅速に山へ避難し津波を逃れることができました。一方で校庭に集まった住民の多くが津波の被害に合いました。少しの判断の差が生死を分けた現実は、悔やんでも悔やみきれません。その教訓を風化させまいという残された人々の想いが、校舎を取り壊すことなく保存する決断につながっています。ご遺族の言葉も、資料とともに展示されることで画面越しで見るのとは違う切実さを、訪れる人に与えているのではないでしょうか。

石巻市震災遺構門脇小学校の外観。右側に見えるボックス状の回廊が、新設された見学ルート(写真撮影/筆者)

石巻市震災遺構門脇小学校の外観。右側に見えるボックス状の回廊が、新設された見学ルート(写真撮影/筆者)

校舎1階部分。左手側の旧校舎は被災当時のまま残され、通路から見学することができる(写真撮影/筆者)

校舎1階部分。左手側の旧校舎は被災当時のまま残され、通路から見学することができる(写真撮影/筆者)

門脇小学校からさらに南へ向かうと、更地になった海岸部に整備された広大な復興祈念公園が見えてきます。中心に位置するのが「みやぎ東日本大震災大津波伝承館」です。こちらは語り部として活動している被災者のメッセージに加え、津波のメカニズムなど震災を科学的な視点から紹介するコーナーなど、より包括的に震災の記録がアーカイブされた施設となっています。市が運営し、石巻市にフォーカスした門脇小学校と、宮城県が運営する伝承館、さらにその中間には市民により運営されている「伝承施設MEET門脇」があり、それぞれの視点で伝承のための活動が行われています。さらに町の中心部では、津波被害に限定せず、石巻市の歴史や市民の生活そのものを知ってもらう展示がなされた場所も見られました。町の魅力を伝えることで興味をもってもらう、そのうえで津波被害について学ぶことは、ただ単に事実を見せられるのとは違う印象を与えるのだと思います。

復興祈念公園の遠景。防潮堤が海との境界になっている。左手前に見えるのが伝承館で、庇最上部の位置まで津波が達した(写真撮影/筆者)

復興祈念公園の遠景。防潮堤が海との境界になっている。左手前に見えるのが伝承館で、庇最上部の位置まで津波が達した(写真撮影/筆者)

石巻市に限らず、こうした伝承施設は特定のエリアに集中して建てられるケースが多く見受けられます。遠方から訪れた観光客は、そうした施設を順に見て回る人も多いでしょう。そのなかでいかにして被害の実態を記憶にのこるかたちで伝えていくか。官民それぞれの取り組みが重なり合いながら、相互に補い合って伝承している石巻は、町全体で展示デザインがなされているように感じるほど、震災にまつわる豊富な学びのある町でした。

中心部から離れた高台に新設された「マルホンまきあーとテラス」。大小のホールや市立博物館を備えた文化施設の設計は、藤本壮介建築設計事務所によるもの(写真撮影/筆者)

中心部から離れた高台に新設された「マルホンまきあーとテラス」。大小のホールや市立博物館を備えた文化施設の設計は、藤本壮介建築設計事務所によるもの(写真撮影/筆者)

■関連記事:
震災の記憶を次世代に。伝える取り組みや遺構が続々と

新しく整備されたプロムナードで海産物を楽しむ女川

石巻からさらに電車で30分、町の中心部全体が浸水し町の主要な機能が失われてしまった女川町では、中心市街地全体を盛土により嵩上げし、居住区域を高台に移す復興がなされました。これにより防潮堤の高さを制御し、町から海が見える風景が守られました。そして震災後の新たなシンボルとして、世界的建築家の坂茂氏設計による駅舎が建てられました。

長年、建築家としての設計活動と並行して、世界中の災害現場や難民キャンプで仮設住宅など避難用の建築のデザインや施工をボランティア活動として取り組んできた坂氏は、東日本大震災でも東北各地で復興支援活動にあたりました。避難所での生活にプライベートな空間を確保するためのダンボール間仕切りの提供のほか、ここ女川では輸送用コンテナを活用し短期間での施工を可能にした仮設住宅の設計を手掛けています。この仮設住宅設計後も継続的に女川に関わり、近隣の仮設住宅に住む住民への聞き取り調査を行っていた坂氏は、狭い仮設住宅のユニットバスでは望めない、ゆったりくつろげる銭湯が多くの方に望まれていることを知ります。その矢先に、女川駅の設計を依頼された坂氏は、駅舎と温浴施設を一体的にデザインする提案を行いました。災害復興への長年の取り組みあってこそのデザインだったと言えるでしょう。

女川駅全景。白い膜でつくられた大きな屋根が象徴的なデザイン(写真撮影/筆者)

女川駅全景。白い膜でつくられた大きな屋根が象徴的なデザイン(写真撮影/筆者)

女川駅の展望台から海方向を見る。海への見晴らしが維持された(写真撮影/筆者)

女川駅の展望台から海方向を見る。海への見晴らしが維持された(写真撮影/筆者)

「海が見える終着駅」として知られる女川駅からは、駅舎からまっすぐ海へと向かってプロムナードが延び、その両サイドに地産の食材が楽しめる料理屋や土産物屋が並びます。星野リゾートのホテルの設計などで知られる建築家の東利恵氏が手掛けた、シーパルピア女川です。漁港の町らしい木造の家屋が立ち並び、個性のある商店が店を構え、分棟形式の隙間には庭が整備されています。決して多くはない商店を、単純に横並びにするのではなく前後の奥行きをもたせて配置することで、散策しながら買い物を楽しむことができるよう計画されたデザインです。

観光客であふれるシーパルピア女川(写真撮影/筆者)

観光客であふれるシーパルピア女川(写真撮影/筆者)

中・小規模の建屋が雁行するように連なり、隙間の空間を散策できる(写真撮影/筆者)

中・小規模の建屋が雁行するように連なり、隙間の空間を散策できる(写真撮影/筆者)

女川にも、観光客が必ず目にするであろう場所、プロムナードの突き当りに、津波の猛威を示す震災遺構が遺されています。鉄筋コンクリート造の建物が基礎ごと引き抜かれ、横倒しにされた光景がメディアを通じて大きな衝撃を与えた旧女川交番です。被災当時のままの状態で保存され、その周囲を取り囲む回廊が新たに設置されました。回廊に掲げられたパネルには、女川町の震災被害や復興までの歩みが記されています。小さいながらも強いメッセージを発する震災遺構です。

横倒しになった旧女川交番。剥き出しになった杭が津波の威力を伝えている(写真撮影/筆者)

横倒しになった旧女川交番。剥き出しになった杭が津波の威力を伝えている(写真撮影/筆者)

隈研吾氏設計の建築が集まる南三陸町

石巻駅から電車とバスを乗り継ぎ2時間弱、南三陸町も復興建築が集中するエリアです。津波によって線路が流されてしまったため、中心部にある志津川駅はBRT(バス高速輸送システム)の停留所として使われています。

駅の目の前で一際目を引くのが、新国立競技場の設計などで知られる建築家・隈研吾氏設計による「南三陸ポータルセンターアムウェイハウス」。南三陸産の木材を用いたルーバーは平行ではなく放射状に配置され、建物内部に視線が引き込まれるようにデザインされています。アムウェイハウスは被災地の地域コミュニティの再生支援を行う施設として、ここ南三陸を含む東北3県7箇所に設置されています。

隈研吾氏は2013年から継続的に南三陸町の復興計画に携わり、一帯のマスタープランも手掛けています。地元の海産物を楽しめる商店街さんさん市場、駅とメモリアルパークを結ぶ中橋、そしてこのアムウェイハウスです。メモリアルパークには、津波襲来の直前まで避難を呼びかける様が大きく報じられた南三陸旧防災庁舎が震災遺構として遺されており、多くの観光客が日々訪れています。駅から市場へ、メモリアルパークから山方向にある神社へ、2つの軸線の中間に位置するアムウェイハウスには、人の流れを誘発するように穴が設けられています。マスタープランがあってこそ生まれたデザインです。

南三陸ポータルセンターアムウェイハウス。斜めに傾いたいくつもの立体が統合されたデザイン(写真撮影/筆者)

南三陸ポータルセンターアムウェイハウス。斜めに傾いたいくつもの立体が統合されたデザイン(写真撮影/筆者)

南三陸さんさん市場。シンプルな構成により、低コスト化と短納期化を図っている(写真撮影/筆者)

南三陸さんさん市場。シンプルな構成により、低コスト化と短納期化を図っている(写真撮影/筆者)

メモリアルパークから駅方向を見たところ。右手前に鉄骨フレームだけとなった旧防災庁舎が見える(写真撮影/筆者)

メモリアルパークから駅方向を見たところ。右手前に鉄骨フレームだけとなった旧防災庁舎が見える(写真撮影/筆者)

東日本大震災による被害の状況は、発災当時メディアを通じて視覚的なイメージとして発信されていました。その光景はどの町も同じように悲惨なものとして、記憶に焼きつけられているのではないでしょうか。しかし震災から10年以上が経ち、新しいコミュニティが築かれ新たな町として生まれ変わった被災地の現状は、町ごとに、エリアごとに異なる復興が行われ、それぞれの歩みを進めています。その土台としてデザインされた復興建築を巡ることは、東北の今を知るきっかけとして気軽にできる最初の一歩になるのではないかと思っています。

●取材協力
門脇小学校

秘密のオギクボ倉庫基地

所在地:杉並区阿佐谷南
52万5,000円(税込) / 143.67平米
中央線・丸ノ内線「荻窪」駅 徒歩7分

立地も箱もひとクセありの怪しさに、ワクワクが止まりません。

荻窪のなんてことない住宅街、アパート路面のシャッター奥に予期せず隠れていたのは、遊び心をくすぐる楽しげな空間でした!



もともと倉庫で使われていた何もない空間が、途中で入居したデザイン会社さんの手により、秘密基地感いっぱ ... 続き>>>.
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籠めて、秘めて

所在地:新宿区原町
10万円 / 30.88平米
都営大江戸線「牛込柳町」駅 徒歩2分

この部屋がリノベーションされたのは2022年4月のこと。コンクリートの無骨な質感と、キッチンや照明器具、収納部分のインダストリアルなデザインの相性がよく、秘密基地のような雰囲気が漂います。



空間は窓側とキッチン側に分かれていて、合わせて12畳。吊り棚に小物を並べたり、天井に付い ... 続き>>>.
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機動力高く、新宿で住む・働く

所在地:新宿区富久町
10万5,000円 / 29.47平米
丸ノ内線「新宿御苑前」駅 徒歩5分

新宿御苑駅と新宿三丁目駅を最寄りとし、頑張れば新宿駅まで徒歩圏内という好立地にある、住居・事務所のどちらにも使えるリノベーション済みワンルーム。



天井を抜いて鋼製配管、無垢フローリングに白塗装という王道リノベに、キッチン背面に古いレトロビルや駅で使われているような、艶の中に深い ... 続き>>>.
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大正時代の風が吹く

所在地:世田谷区代田
14万円 / 58平米
小田急線・井の頭線「下北沢」駅 徒歩7分

下北沢にほど近い場所にある、大正時代に建築された長屋。古いものを愛する大家さんが、心を込めて修繕しながら今日まで使われています。



もともと下宿として使われていたため、当時お住まいの学生さんたちと一緒に夕飯を食べたり、大家さんが子供の頃には下駄を履いた憧れのお兄さんが住んでいたり ... 続き>>>.
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既存のマンションでもZEH水準にリノベが可能に!?国が推進する省エネ性能「ZEH水準」についても詳しく解説

政府はいま、住宅の省エネ化を加速している。特に新築住宅では、建築する際に求められる省エネ性能の基準を2030年までにZEH水準に引き上げる考えだ。一方で、既存のマンションはその多くが現行の省エネ基準の水準を満たしておらず、それをZEH水準に引き上げるのはハードルが高いと思われてきた。そこへ、積水化学工業とリノベるが協業して、既存マンションのZEH水準リノベーションの提供を始めたというのだ。

【今週の住活トピック】
既存マンションのZEH水準リノベーションを提供開始/積水化学工業・リノベる

ZEH(ゼッチ)水準とは?ZEHとは違うの?

まず、ZEH(ゼッチ)とは何かについて、説明しよう。
ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を略した呼び方で、住宅で消費するエネルギーをゼロ以下にしようというものだ。そのためには、(1)住宅の骨格となる部分を断熱化して、エネルギーを極力使わないようにし、(2)給湯や冷暖房などの設備を高効率化して、エネルギーを効率的に使う。ただし、消費するエネルギーをゼロにするには、(3)太陽光発電設備などでエネルギーを創り、消費したエネルギーを補う必要がある。

ところが、マンションなどの高層住宅では、戸数が多いわりに太陽光発電設備を設置できる屋上の面積が広くないなどの制約がある。そこで政府は、建物の階数が高くなるほど太陽光発電などの再生エネルギーによる削減の基準を緩める形で、ZEH水準を定めている。

政府が定めたマンションのZEHの定義は次の4種類があり、1~3階建ては「ZEH-M」か「Nearly ZEH-M」を、4~5階建ては「ZEH-M Ready」、6階建て以上は「ZEH-M Oriented」を目指すべき水準としている。なお、いずれの場合も、再生エネルギーを除いた状態で、基準一次エネルギー消費量から20%以上削減することが条件となる。

○マンションの4種類のZEH
ZEH-M(ゼッチマンション):再生エネルギーを含めて100%以上を削減する
Nearly ZEH-M(ニアリーゼッチマンション):再生エネルギーを含めて75%以上100%未満を削減する
ZEH-M Ready(ゼッチマンションレディ):再生エネルギーを含めて50%以上75%未満を削減する
ZEH-M Oriented(ゼッチマンションオリエンティッド):再生エネルギーの導入を条件としない

既存のマンションでZEH水準のリノベーションを行う方法は?

今回提供を開始した、積水化学工業とリノベるが協業するZEH水準リノベーションは、住戸で「ZEH Oriented」に適合するようにしている。合わせて、建築物省エネルギー性能表示制度のBELSでは★5,リノベーション協議会の基準ではR1エコ★★の取得もするという。

出典:積水化学工業・リノベるの資料より転載

出典:積水化学工業・リノベるの資料より転載

まず、ZEH化の断熱改修では、積水化学グループの「マルリノ」の断熱特許工法を活用する。「グリーンシティ鷺沼」の事例では、住戸をスケルトンにした状態(上の写真)では、外気温34.6度のときには壁面温度も同程度になっているが、壁面の断熱工事後(内窓設置前=下の写真)では、外気温36.0度のときに31.8度になっている。

○断熱改修前(スケルトン)

断熱改修前(スケルトン)

○断熱改修後(内窓設置前)

断熱改修後(内窓設置前)

出典:積水化学工業・リノベるの資料より転載

さらに、樹脂サッシLow-E複層ガラスの内窓を設置し、高効率のエアコン、エコジョーズ(高効率給湯器)、高断熱浴槽などの設備を設置することで、ZEH水準に適合させる。光熱費削減シミュレーションをしたところ、ZEH水準化によって光熱費が約30%削減できるという。

このZEH水準リノベーションによる追加の費用は、300万円(税抜き)弱。この額は、通常並みに間取り変更や一般的な設備にリノベーションした場合の費用を除き、スケルトンから断熱等級5への断熱工事費用や内窓の設置費用、設備を高効率なものにグレードアップした差額などによる。両社によると、この追加費用による住宅ローン返済額のアップ分は、光熱費の削減分でカバーでき、住宅ローン減税のZEHによる上乗せ分などの支援制度でさらに経済的メリットが見込まれるという。

今後、ZEH水準リノベーションは、区分マンションの買取再販事業、個人向けのリノベーション請負事業、法人向けのリノベーション請負事業の3つのチャネルで展開される予定だ。

カーボンニュートラル実現に向けて、既存住宅の省エネ性能向上に期待

説明してきたように、新築の住宅では法規制により、省エネ基準の適合、さらにはZEH水準への対応が進んでいくと考えられる。一方で、既存の住宅はその時々の省エネ基準に適合しているため、現行の省エネ基準よりも低い性能で建てられているものが多い。そのため、省エネ性能を引き上げる改修を行わないと、新築住宅と既存住宅の省エネ性能の開きが大きくなる一方だ。

カーボンニュートラル社会が実現するためには、既存の住宅の省エネ性能の向上が進むことが必要になる。また、新築と比べて省エネ性能が劣る中古住宅には、買い手がつきにくいという問題も考えられる。

特に、住宅の構造を共有するマンションなどの集合住宅では、一戸建ての改修よりも制約を受けやすい。既存のマンションでもZEH水準化するリノベーションが可能だということなので、こうしたリノベーションが進むことが期待される。

マンションの省エネ性能が高くなると、それ以前より夏は涼しく冬は暖かいといった、快適な室内環境で過ごすことができる。さらに、ヒートショックのリスクが減ったり、結露が解消してカビなどを吸い込む健康被害を抑制する効果もある。中古マンションを改修する際には、ぜひ省エネ性能を引き上げるリノベーションを検討してほしい。

●関連サイト
積水化学工業とリノベるが既存マンションのZEH水準リノベーションを提供開始

秘密のルーバル付きペントハウス【賃貸】

所在地:江東区富岡
8万8,000円 / 17.53平米
東西線・都営大江戸線「門前仲町」駅 徒歩2分

最上階6階にある、ペントハウス。部屋より広い、約44㎡(約27畳)のルーフバルコニーがついています。しかも、周りの目線を隠してくれるウッドデッキ(約20㎡、約12畳)もあります。



階段で6階はなかなかハードルが高いですが、階段を頑張って上ったご褒美にこのルーバルを独り占めできる ... 続き>>>.
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秘密のルーバル付きペントハウス【売買】

所在地:江東区富岡
2,000万円 / 17.53平米
東西線・都営大江戸線「門前仲町」駅 徒歩2分

最上階6階にある、ペントハウス。部屋より広い、約44㎡(約27畳)のルーフバルコニーがついています。しかも、周りの目線を隠してくれるウッドデッキ(約20㎡、約12畳)もあります。



階段で6階はなかなかハードルが高いですが、階段を頑張って上ったご褒美にこのルーバルを独り占めできる ... 続き>>>.
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緑のスペシャリテ

所在地:港区赤坂
24万円 / 66.22平米
千代田線「赤坂」駅 徒歩5分

都会のど真ん中、赤坂でこんなに緑が楽しめる物件に出会えるなんて!



約5.7mとワイドに取られた窓の先は一面緑。バルコニー側は車道に面していないため、しーんと静かで、時折風に揺れる木々の音や、鳥のさえずりが聞こえてきます。



太陽を遮るものもなく、窓辺には木漏れ日がゆらゆらと。心 ... 続き>>>.
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白金台の即戦力

所在地:港区白金台
19万8,000円(税込) / 49.23平米
南北線・都営三田線「白金台」駅 徒歩9分

窓からチラリとのぞく緑、二面の窓から入る爽やかな光。なんの変哲もない内装ですが、いざ、良い事務所はないかな〜と探してみると、なかなかこの気持ちよさはなかったりするんですよね。



プラチナ通り沿いの角地に立つ、古き良きレトロマンション。窓から見える緑の正体は、この通り沿いに立ち並ぶ ... 続き>>>.
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憧れの、あのシーンの

所在地:港区南青山
55万円(税込) / 90.12平米
銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」駅 徒歩10分

約2.8mと開放的な天井の高さに、さらりとした白塗装の壁。優しい色合いのフローリングは土足での利用OKで、90.12㎡というサイズ感もちょうどよく。



建物があるのは港区南青山。オシャレでクリエティブな香りのする立地なのも、ポイント高めではないでしょうか。



以前はネイルサロン兼 ... 続き>>>.
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「一般向け3Dプリンター住宅、水回り完備550万円で販売開始」「大企業が始めたコミュニティ型図書館『まちライブラリー』」【9月人気記事まとめ】

朝晩冷え込むようになり、そろそろセーターの出番でしょうか。SUUMOジャーナルで9月に公開した記事では、「一般向け3Dプリンター住宅、水回り完備550万円で販売開始!」「これが図書館? 全面ガラス張りの開放的な空間。大企業が始めたコミュニティ型図書館『まちライブラリー』」などが人気TOP10入りしました。詳しく紹介します。

1位
一般向け3Dプリンター住宅、水回り完備550万円で販売開始! 44時間30分で施工、シニアに大人気の理由は? 50平米1LDK・二人世帯向け「serendix50」

2位
これが図書館? 全面ガラス張りの開放的な空間。大企業が始めたコミュニティ型図書館「まちライブラリー」を見てきました 西東京市

3位
出没!アド街ック天国、執念の「街リサーチ術」をついに語る。最高の街の見つけ方とは

4位
一人暮らしで買った家具、人気の家具ショップビッグ3とは?家具への意識はどう変化している?

5位
ニューヨーク人情酒場 酒場は人生の交差点、次々去っていく同僚たち…これからどうなる? ブルックリンの寿司ローラーによるレシピも公開!

6位
国土交通省の令和6年度予算要求、住宅施策は何が変わる?施策概要を解説

7位
レトロ商店街を地元の若者達が再生! セレクトショップやオフィスなどでにぎわい生み、鉄道会社とコラボイベントも 埼玉県飯能市・飯能銀座商店街

8位
【梅田駅30分以内】中古マンション価格相場が安い駅ランキング2023年。TOP3に2000万円以下で乗り換え0回の駅も!

9位
パリの暮らしとインテリア[18] 古アパルトマンを自分で設計! イームズや北欧名作チェアなど椅子13脚がアクセント。アートディレクター家族の素敵空間

10位
【渋谷駅30分以内】家賃相場が安い駅ランキング2023年。1位・2位は5万円台の小田急小田原線の駅
※対象記事とランキング集計:2023年9月1日~30日に公開された記事のうち、PV数の多い順

1位
一般向け3Dプリンター住宅、水回り完備550万円で販売開始! 44時間30分で施工、シニアに大人気の理由は? 50平米1LDK・二人世帯向け「serendix50」

一般向け3Dプリンター住宅、水回り完備550万円で販売開始! 48時間で施工、シニアに大人気の理由は? 50平米1LDK・二人世帯向け「serendix50」

(写真提供/セレンディクス)

3Dプリンター住宅が話題になっている中、ついに二人世帯向け一般住宅となる3Dプリンター住宅が完成しました! セレンディクス社(兵庫県西宮市)の「serendix50」です。過去3回にわたり、セレンディクス社の3Dプリンター住宅を紹介してきたSUUMOジャーナル。今回は、代表取締役の小間裕康さんのインタビューに加え、「serendix50」がつくられた愛知県小牧市の工場から、現物をレポート。価格は?住み心地は?気になる疑問をぶつけてきました! 

2位
これが図書館? 全面ガラス張りの開放的な空間。大企業が始めたコミュニティ型図書館「まちライブラリー」を見てきました 西東京市

これが図書館? 全面ガラス張りの開放的な空間。大企業が始めたコミュニティ型図書館「まちライブラリー」を見てきました 西東京市

(写真撮影/田村写真店)

全国に増えている「まちライブラリー」。蔵書や寄贈の本を貸し出す形で、個人がどこでも気軽に始められる図書館のしくみ。まちライブラリーの中でも最大規模の「まちライブラリー@MUFG PARK」を取材しました。運営する一般社団法人まちライブラリーによると、今や登録数は1000件以上にのぼるのだとか。本を介して気軽に人と関わることができるなんて楽しそう! 自宅やお店の一角に本を置くだけなら、自分も始められるかな?なんて夢がふくらみます。

3位
出没!アド街ック天国、執念の「街リサーチ術」をついに語る。最高の街の見つけ方とは

出没!アド街ック天国、執念の「街リサーチ術」をついに語る。最高の街の見つけ方とは

(写真提供/テレビ東京・ハウフルス)

今までのべ1400を超える街を紹介してきた『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系列)のあまり知られていないリサーチ方法を教えてもらいました。それは、数週間も一つの街を徹底的に歩いて駆けずり回るアナログ式のリサーチ! 演出とプロデューサーのおふたりに、「自分にピッタリの街」を見つけるヒントを尋ねると、「人との距離感がちょうど合う街がある」との答えが……アド街のリサーチで見つけた街の魅力をたっぷり語っていただきました。

4位
一人暮らしで買った家具、人気の家具ショップビッグ3とは?家具への意識はどう変化している?

一人暮らしで買った家具、人気の家具ショップビッグ3とは?家具への意識はどう変化している?

(写真/PIXTA)

インテリアに関心を持つ人が増えているなか、一人暮らしの人のインテリア事情が気になる人も多いのでは。クレアスライフが実施した自社が運営するマンションに住んでいる一人暮らし中の男女599人に行ったインテリア・収納に関するアンケートを深掘ります。どこで何を買ったか? 20代・30代が多い一人暮らしの場合は? 意外に知らない実態が明らかに!

5位
ニューヨーク人情酒場 酒場は人生の交差点、次々去っていく同僚たち…これからどうなる? ブルックリンの寿司ローラーによるレシピも公開!

(イラスト/ヤマモトレミ)

漫画家ヤマモトレミさんによる、アメリカのブルックリンにある小さな酒場(レストラン)で起こったいろんな出来事を描いた漫画エッセイ「ニューヨーク人情酒場」の人気連載。レミさんは、2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。趣味で描いていた漫画が思った以上に楽しくなり、2021年に脱サラして本格的に漫画家としての活動を開始し、2022年にアメリカで起業して個人事業主に。漫画業のかたわら、ブルックリンのレストランで週4回“寿司ローラー”(寿司を巻く仕事)をしています。今回は、レミさんの同僚メイビスの故郷の話。ニューヨークで働く人たちがどんな思いでやってきたのか垣間見えます。

6位
国土交通省の令和6年度予算要求、住宅施策は何が変わる?施策概要を解説

国土交通省の令和6年度予算要求、住宅施策は何が変わる?施策概要を解説

(写真/PIXTA)

国土交通省が令和6年度予算の概算要求の概要を公表。まだ要求した段階で決定したものではありませんが、その中から、住宅に関することをピックアップ! 予算をどこに充てる? こども・子育てへの支援内容とは? 住宅のリフォームへの支援策は? 国土交通省がどんなことに力を入れようとしているのかが分かります。

7位
レトロ商店街を地元の若者達が再生! セレクトショップやオフィスなどでにぎわい生み、鉄道会社とコラボイベントも 埼玉県飯能市・飯能銀座商店街

レトロ商店街を地元の若者達が再生! セレクトショップやオフィスなどでにぎわい生み、鉄道会社とコラボイベントも 埼玉県飯能市・飯能銀座商店街

(写真提供/Akinai)

埼玉県飯能市にある「飯能銀座商店街」では、まちづくりユニットAkinaiが、市民や町に関わりたい次世代の人たちを巻き込み、商店街の空き店舗を再生しています。2017年から当時30代だった若者たちがシャッター商店街を盛り上げようと仕掛けをつくり始めました。彼らの拠点は、飯能銀座商店街の中央部にあるシェアスペース「Bookmark」。イベントにも利用でき、興味を持った人やクリエイティブな人々が続々と集まっているそうです。「自分たちが暮らす街に面白い拠点が欲しい。でもそうすれば?」と考えている人は、たくさんのヒントが見つかるインタビューです。

8位
【梅田駅30分以内】中古マンション価格相場が安い駅ランキング2023年。TOP3に2000万円以下で乗り換え0回の駅も!

【梅田駅30分以内】中古マンション価格相場が安い駅ランキング2023年。TOP3に2000万円以下で乗り換え0回の駅も!

(写真/PIXTA)

「SUUMO住みたい街ランキング2023 関西版」で、2年連続で1位に輝いた梅田駅は、ビジネス・商業の拠点としてだけでなく、近年は“暮らす街”としても注目を高めています。梅田駅周辺にあるカップル・ファミリー向け中古マンション(専有面積50平米以上~80平米未満)は、価格相場が5980万円と高額。そこで、便利な梅田にアクセスしやすくて物件価格はリーズナブルな街を調査し、梅田駅まで30分圏内にある、中古マンションの価格相場が安い駅をチェック! 例えば園田駅は、阪急神戸線で大阪梅田駅まで約11分、そこから徒歩で梅田駅まで約8分、所要時間約19分で、乗り換え0回! TOP15までのおすすめポイントを紹介します。

9位
パリの暮らしとインテリア[18] 古アパルトマンを自分で設計! イームズや北欧名作チェアなど椅子13脚がアクセント。アートディレクター家族の素敵空間

パリの暮らしとインテリア[18] 自分で設計しスカンジナビアのこだわり家具を集めたアートディレクター家族のアパルトマン

(写真撮影/Manabu Matsunaga)

フランス・パリで暮らす写真家が、パリの素敵なお宅を撮影する人気連載。今回は、フランス・パリで大人気のおしゃれスポット、北マレ地区とカナル運河のちょうど真ん中に位置するレピュブリック広場(PLACE DE LA REPUBLIQUE)近くのアパルトマンを訪ねました。アートディレクターのフレデリックさんは、自分の思うように改装するために建築の勉強までしたそうです。

10位
【渋谷駅30分以内】家賃相場が安い駅ランキング2023年。1位・2位は5万円台の小田急小田原線の駅

【渋谷駅30分以内】中古マンション価格相場が安い駅ランキング2023年。TOP10は3000万円未満、大田区の駅が多数!

(写真/PIXTA)

渋谷駅は、JR各線をはじめ東急電鉄の東横線・田園都市線、京王井の頭線、東京メトロの銀座線・半蔵門線・副都心線が乗り入れるターミナル駅。渋谷駅の近くに住まいがあれば、渋谷にふらっと出かけやすいのはもちろん、乗り入れ路線を利用して各方面へ向かうのも便利です。そこで、渋谷駅まで30分以内にある駅の家賃相場を調査し、最新のランキングを公開! シングル向け賃貸物件(10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場が安い駅トップ16を紹介します。

9月は、ランキングの記事が4つもランクインしました。ランキング記事は、住んでいる街やこれから住みたいと考えている街の新しい魅力が見つかります。掘り出し物の街はないかな? そんな気持ちで読むと楽しいですよ!

世界の名建築を訪ねて。建物の30%がリサイクル素材! スティーヴン・ホールによる「Cofco Cultural and Health Center(コフコ文化&健康センター)」/中国・上海市

世界中の建築を訪問してきた建築ジャーナリスト淵上正幸が、世界最先端の建築を紹介する連載11回目。今回は、中国・上海市、約7,500平米という広大な敷地に立つ2021年に誕生した住宅街の交流施設「Cofco Cultural and Health Center(コフコ文化&健康センター)」(設計:スティーヴン・ホール・アーキテクツ(Steven Holl Architects))を紹介する。

地域コミュニティに貢献するサステナブル建築

中国の上海にある「コフコ文化&健康センター」は、健康的な生活と文化交流を促進させるために、近隣の大きな住宅コミュニティにグリーンのパブリック・スペースを提供するという社会的使命をもっている。

(c)Aogvision

(c)Aogvision

敷地面積約7,500平米の公園のような大きな敷地に位置する建物は、社会的な“コンデンサー“(建築には社会的行動に影響を与える能力があるというソビエト構成主義理論の考え方)となることを目指しており、上海の浦南運河沿いの周辺住宅地域に対し、近隣コミュニティが待ち焦がれているパブリック・スペースやランドスケープ・エリアとなるよう、近隣住民の期待に応えるべくデザインされた。

浦南運河は、上海の南側にある杭州湾から北側の内陸に10kmほど入ったところを、東西に長く延びる運河である。この運河沿いに位置する「コフコ文化&健康センター」の近隣には、大きなハウジング・ブロックが広範囲にわたって展開している。

“Clocks and Clouds”(時計と雲)に着想を得たデザイン

これらのハウジング・ブロックの建築デザインは、同じような繰り返しのデザインとなっているが、建物の空間はエネルギーに満ち、開放性に富み、全コミュニティの住人をレクリエーションや文化的プログラムへと誘っている。健康願望の達成に励む人たちは、全体の中核施設であるヘルス・センターに足しげく通っている。

スティーヴン・ホール・アーキテクツのポスト・コロナ建築戦略に沿って、建物はグリーン・スペースを取り込み、新鮮な空気と自然光を最大に導入し、オープンなサーキュレーションと広いパブリック・スペースを特徴にしている。

ランドスケープと二つの新しい建物は、哲学者カール・ポパー(オーストリア出身のイギリスの哲学者)の有名な1965年のレクチャー、“Clocks and Clouds”(時計と雲)のコンセプトにより導入された。ランドスケープは時計のような大きな円形となり、中心となるパブリック・スペースを構成し、建物は雲のようなユニークな形態をした開口部と開放性を有している。

薄いグレー色のコンクリートでできた延べ床面積約6,000平米の「文化センター」は、1階のガラス張り透明空間にカフェ、ゲーム&レクリエーション・ルームを擁している。2階へ向けて徐々に上昇していくカーブしたスロープを歩いていくと、見下ろし風景の連続的な変化が楽しめる。これはフランスの著名20世紀建築家、ル・コルビュジエが言った有名な”建築散歩”の好例である。

(c)Aogvision

(c)Aogvision

(c)Aogvision

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同じような薄いグレーのコンクリートをまとっている延床面積約1,500平米の「健康センター」は、中心部にあるランドスケープ・スペースによって建物形態が形成されており、雲のような部分とランドスケープ全体との緊密な関係を助長している。「文化センター」と「健康センター」という二つの建物は共にグリーン・ルーフをもち、上部から見下ろしたり、近隣のアパートメント・ビルから眺めると、緑のランドスケープ・スペースに溶け込んで一体になったように見えて素晴らしい。

建物全体の30%がリサイクル材料!のサステナブル建築

2021年に完成した「コフコ文化&健康センター」は、主なサステイナブル・デザインとして、最大限のグリーンやオープン・スペースを擁し、リサイクル材料を建物全体の30%に使用している。またセントラル冷暖房システムを採用し、CO2モニタリング・システム、蓄熱システム、生活排水&雨水のリサイクルなど、広範囲にわたってサステイナブル・デザインを実現している。ヘルシーな生活と文化交流を促進する二つの建物は、大きな近隣住宅コミュニティに対し、グリーン・パブリック・スペースを提供するなど、多くの地域貢献に役立っている。 

(c)Aogvision

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●関連サイト
Cofco Cultural and Health Center

都会の森を一望

所在地:港区南青山
19万円 / 40.72平米
銀座線「外苑前」駅 徒歩8分

青山霊園の緑の借景を窓一面に楽しめる一室。内装は数年前にリノベーションされ、まるでホテルのようにくつろげる空間に仕上げられています。



もとは出張が多かった所有者さんのセカンドハウスとしてつくられた一室。せっかく改装するのであれば、と、設計士さんに依頼をし、こだわりの空間につくり ... 続き>>>.
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ギャップと電車ビュー

所在地:目黒区三田
26万8,000円 / 65.82平米
山手線「恵比寿」駅 徒歩11分



1974年築の建物を、2006年にスケルトンからフルリノベーション。外観や室内の見た目から築年数の想像はつかず、いい意味でのギャップがある。そんな、ちょっと面白い物件。



内装は木が多く使われて温かみのある印象。山小屋のようなリビングの勾配天井には木の梁を見せ、キッチンまわりに ... 続き>>>.
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キッチンお籠り生活

所在地:世田谷区給田
15万6,000円 / 52.48平米
京王線「千歳烏山」駅 徒歩13分

都心の喧騒に疲れても、ここに帰ってくればホッと一息つけるはず。パートナーやペットと穏やかに暮らしたい方におすすめです。



建物はレトロですが室内は数年前にリノベーションされました。ヒノキのフローリングが香る、2LDKです。



キッチンは、壁付のキッチン+カウンターテーブルという構 ... 続き>>>.
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気取らない部屋【立てるロフト付き】

所在地:練馬区中村南
5万5,000円 / 12.39平米
西武新宿線「鷺ノ宮」駅 徒歩9分

天井は高いところで約4.4m。ロフトも天高60cm〜約2.2mで、十分立てる高さです。ロフトの面積は約5.4㎡あるので、寝室や書斎として使えそう。合板で仕上げた壁やできる限り広くしたキッチンもいい感じです。



鷺ノ宮と都立家政のちょうど間くらいにあるアパート。その2階の部屋が今回 ... 続き>>>.
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陽だまりの中目黒

所在地:目黒区中目黒
30万円 / 64.33平米
日比谷線・東急東横線「中目黒」駅 徒歩13分

なんということでしょう。中目黒でバルコニーが3つ、しかもそのひとつはワイドに広いルーフバルコニーのお部屋です。



中目黒駅から山手通りをまっすぐ歩くこと約12分。小道に1本入ってすぐの場所に、このマンションはあります。目黒川や中目黒公園にほど近く、向かいにあるのは運動場。駅周辺の ... 続き>>>.
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楽しく住もうよ、めいっぱい

所在地:千葉県市川市塩焼
13万8,000円 / 55.92平米
東西線「妙典 」駅 徒歩7分

全3棟、784戸からなる大規模なレジデンス。敷地内に豊富な緑と開けた広場がある気持ちのいい環境で、住人達はのびのびと暮らしているようです。



そんな大規模住宅の一室を2017年にリノベーションし、オーナーが自己使用していました。



リビングとダイニング、小上がりの洋室と和室、それ ... 続き>>>.
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殿の隠れ家

所在地:横浜市西区浅間台
7万5,000円 / 29.52平米
湘南新宿ライン・京浜東北線・東急東横線「横浜」駅 徒歩19分

高台からの爽快な眺め。見晴らしがよく、横浜ランドマークタワーまで一望できる景色。



室内はセンスよくリノベーションされていて、シンプルレトロなデザインが清い感じ。私たちが信頼を置いている仲間の工務店が担当しています。



広くワンルームとなった空間に、無垢のフローリング、白い塗装が ... 続き>>>.
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”シャッター街”と呼ばれた「柳ヶ瀬商店街」が、今ディープなおしゃれスポットに。定期イベント「サンデービルヂングマーケット」等で活気 岐阜県岐阜市

古き良きレトロな雰囲気のアーケード街が広がる、岐阜県岐阜市の「柳ヶ瀬商店街」。数年前まではシャッター街だったが、近年は若者も多く訪れ、活気を取り戻している。「サンデービルヂングマーケット」をはじめとする定期開催のイベントもにぎわっている。仕掛け人である「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」のメンバーに話を聞き、街を歩いた。

「柳ヶ瀬ブルース」で全国的にブレイクするも、時代の流れで衰退

名鉄岐阜駅から徒歩10分ほどで到着する「柳ヶ瀬商店街」は、岐阜県岐阜市にある。天候を気にせずぶらぶらできる昭和生まれのアーケード街があり、本通りの「フローレンス柳ケ瀬」の東西の入口では、頭の上から5体のイタリア彫刻が来客を見守る。これらは、岐阜市と姉妹都市であるイタリア・フィレンツェにちなんだものだそうで、1991(平成3)年のアーケード改装時に設置されたものだそうだ。 

柳ヶ瀬商店街のアーケードの中にある、水路に沿って延びる路地「アクアージュ柳ヶ瀬」。入口は古代イタリアの装飾を模しているといい、円柱もステンドグラスも全てがレトロ(写真撮影/本美安浩)

柳ヶ瀬商店街のアーケードの中にある、水路に沿って延びる路地「アクアージュ柳ヶ瀬」。入口は古代イタリアの装飾を模しているといい、円柱もステンドグラスも全てがレトロ(写真撮影/本美安浩)

柳ヶ瀬エリア一帯は、明治30年ごろから盛り場としてにぎわった。大正時代になると、博覧会ブームで「内国勧業博覧会」などが柳ヶ瀬で開催され、商業の街として大きく発展。呉服店が多数開業してトレンドの地となり、界隈をぶらつく「柳ぶら」という言葉も生まれたという。

戦後、空襲によって焼け野原になるものの、バラック小屋での劇場興行がいち早く再開したことで、娯楽の街として再び繁栄。1960(昭和35)年には県下初の全天候型アーケードが完成し、1966(昭和41)年には美川憲一が歌う歌謡曲「柳ヶ瀬ブルース」が全国的にヒットした。「チャームタマコシ(後のファッションビル『岐阜センサ』)や「岐阜タマコシ(後のファッションビル『岐阜センサPartⅡ』)」、「岐阜近鉄百貨店」「岐阜高島屋(2024年7月末で閉店の予定)」などが建ち、このころには一大繁華街として全国にその名を轟かせていた。

時代は平成に入り、人々の移動手段が公共交通から自動車へ移ると、郊外型モールに客層が流れ、大型商業施設が相次いで撤退。「岐阜高島屋」以外のビルは次々に閉店した。それらの跡地は長年放置され、“シャッター商店街”といわれるようになっていった。

柳ヶ瀬で商売をしていた人たちが自発的にイベントを企画

そんな柳ヶ瀬商店街だが、令和の現在、「サンデービルヂングマーケット実行委員会」としてイベントを企画・運営する組織も立ち上がり、新たな展開を見せている。コロナ禍を経て、出店は140店舗。カフェやギャラリー、アパレルショップなど、若い人たちを取り込んでいる。「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」のクリエイティブディレクターである末永三樹さんと、同社の事務局の福富梢さんにお話を聞いた。

「『柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社』では、柳ヶ瀬を愛するメンバーが、新たな時代を生きる商店街を目指して、ここにしかないモノや空間の創造にチャレンジしています。具体的には、マーケットの企画・運営のほかに『ロイヤル40』や『マルイチビル』などの遊休不動産の再生・運営・管理、公共空間の利活用、柳ヶ瀬のまちの情報発信などを行なっています」(福富さん)

柳ヶ瀬の「Yポーズ」を披露! クリエイティブディレクターで一級建築士、株式会社ミユキデザイン代表取締役でもある末永三樹さん(左)と、同社の事務局の顔でイラストもプロ級の福富梢さん(写真撮影/本美安浩)

柳ヶ瀬の「Yポーズ」を披露! クリエイティブディレクターで一級建築士、株式会社ミユキデザイン代表取締役でもある末永三樹さん(左)と、同社の事務局の顔でイラストもプロ級の福富梢さん(写真撮影/本美安浩)

柳ヶ瀬の街の20年ほどの変遷を目にし、まちづくりに関わってきた末永さんは次のように話す。
「柳ヶ瀬商店街は、今から10年から12年くらい前がどん底でした。全国の多くの商店街と同じように寂れ、ほとんどの店舗のシャッターが閉まった状態。車で気軽に行ける距離に『マーサ』や『モレラ』『イオンモール』といった大型商業施設ができたことや、商店街に関わる人々が高齢化して、新しい人を取り込むことができていないことも要因でした。

もともとこの地域に長く住んでいた人達もいましたが、戦後の復興で柳ヶ瀬が商業地になったことで、敷地をテナントとして人に貸したケースが多く、そこが抜けると次のお店が入らないのです。かつて景気がいい時代があり、当時の家賃は今の13倍で、それが急降下をしたものですから、貸し手と借主側の家賃や広さのマッチングがうまくいかず、そのままになっていたのです」

スナックなどの呑み屋が集まる小柳町周辺は、夜になると明かりが灯るディープな界隈(写真撮影/本美安浩)

スナックなどの呑み屋が集まる小柳町周辺は、夜になると明かりが灯るディープな界隈(写真撮影/本美安浩)

2人が在籍する、「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」の前身としてそれまで存在していたのが、「サンデービルヂングマーケット実行委員会」だ。この実行委員会発足のきっかけは、柳ヶ瀬の街で商売をしていた人々が、「街に新しいお客さんを呼び込もう!」と考えてイベントを始めたことだった。

2010年のオープン後間もなく柳ヶ瀬を代表する和菓子店となった「ツバメヤ」や、古書店「徒然舎」、雑貨店店主など、それまでローカルフリーペーパーを発行していた仲間達が、「ハロー!やながせ」というイベントを企画。街に若者を呼び込み、柳ヶ瀬の魅力を知ってもらおうと、年1回、商店街のアーケード下や空き店舗などを使って、古本市やワークショップ、マルシェなどを開催した。1日だけの開催でなく、1週間、1カ月と続く長期のイベントを企画したこともあった。

商店街にあるおしゃれなコーヒースタンド「coffee stand TIROL」。世界観のある壁の絵を描いたのは、柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社の福富さん!(写真撮影/本美安浩)

商店街にあるおしゃれなコーヒースタンド「coffee stand TIROL」。世界観のある壁の絵を描いたのは、柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社の福富さん!(写真撮影/本美安浩)

「coffee stand TIROL」で一番人気の「杏仁コーヒー(650円)」は、おやつ感覚のドリンク。近年は20代から40代くらいの若い人達も商店街に出店している(写真撮影/本美安浩)

「coffee stand TIROL」で一番人気の「杏仁コーヒー(650円)」は、おやつ感覚のドリンク。近年は20代から40代くらいの若い人達も商店街に出店している(写真撮影/本美安浩)

末永さんは振り返る。
「イベントには集客があり、それなりに手応えがありました。でもみんな本業もあるので大変だったし、継続的にお客さんが来るわけでもない。次第に『誰が何のためにやっているんだっけ?』と思うようになり、負担を感じて、『1回、おこう』という話しになったんです」。
ちなみに「おく」とは、岐阜の方言で「止める」という意味だ。

工事中の目隠しにも、学生がイラストを描いて商店街をにぎやかに(写真撮影/本美安浩)

工事中の目隠しにも、学生がイラストを描いて商店街をにぎやかに(写真撮影/本美安浩)

アーケードの下、商店街に出店できるイベントを立ち上げる

「イベントでは継続するお客さんをつくることはできないとわかったけど、何かしないとヤバい。柳ヶ瀬商店街がどうにもならなくなる前に、何かできないかな?と模索したのが2012年ごろでした」と末永さん。

末永さんの本業は設計事務所を営む建築士なので、店舗再生を手掛けたり、リノベーションしたビルに店舗を招致したりという経験もあった。それでも、商店街再生への案は浮かばなかった。

「商店街再生に関して、すでにそのころ、全国的な動きが始まっていました。参考にしたいイベントの一つに、兵庫県神戸市の公園で行われる『湊川公園手しごと市』があり、そこに視察に行きました。すると、話を聞いた街の再生の専門家に言われたんです。『かっこいい場所やお店をつくれば、人が自然とやってくるような時代ではない。建物のことを考えるのは最後で、まずは街の中で、お客さんがいる場所にお店を出すことを考えないと』って。そこで、私たちには、アーケードがかかっていて雨風が凌げて、人が行き交う場所があるじゃないかと気がつき、もとからいる商店街の人が出店したり、新規参入した人が商店街の中にお店を出したりできるようなイベントをつくろうと考えました」

当時、東海エリアで毎月28日に定期開催していた愛知県名古屋市の「東別院てづくり朝市」を参考に、月1回決まった日に開催して、お客さんに覚えてもらう仕組みをつくることにした。これが「サンデービルヂングマーケット」の始まりだった。

通常、商店街でイベントを行うとなると多くの配慮が必要だが、柳ヶ瀬の商店主たちは当初から歓迎ムードだったという。「岐阜柳ケ瀬商店街振興組合連合会」と連携して運営し、準備が整った。1年目はサンデービルヂングマーケット実行委員会の主導で開催した。

2014年にスタートして、現在は毎月第3日曜日と偶数月の第1日曜日に定期開催しているイベント「サンデービルヂングマーケット」。この日は柳ヶ瀬の街全体に、飲食や物販などの100を超える店舗が並ぶ。「アート&クラフト」「ブック&アンティーク」「スナック&スイーツ」「野菜」「カフェ」「ディッシュ」「キッチンカー」と、カテゴリーもさまざまだ。開催の1カ月前にはホームページで出店者を発表して、来場者の期待感を膨らませている。

「月1回のイベントでも、5000人の来客で1軒が1日30万円売り上げれば、商店主の生計は成り立ちます。ここで新たに出店してみたいという人なら、商店街の空き店舗で、小さくビジネスを始められるのもいいところ。『ハロー!やながせ』では、若い人が柳ヶ瀬でやりたいことを試しました。一方『サンビル(サンデービルヂングマーケットの略、以下同)』では、商店街に新しいお店を呼んで、新しいお客さんをつくることを目標にしたところが違いだと思います」

柳ヶ瀬本通のアーケード(写真撮影/本美安浩)

柳ヶ瀬本通のアーケード(写真撮影/本美安浩)

ちなみに、出店料は通路のブロック6×6マス分の区画で4000円とリーズナブル。
新規出店だけでなく、商店街の既存店が店頭の区画に露店を出したり、この日のために新商品を考案して販売したりするケースもあるという。例えば、オーガニック系雑貨店が、「サンビル」で新たにキャンドル販売を始めた事例などがあった。また、商店主が店の前の区画を新規店に貸しつつ、そのブースの横でセットで販売できるような商品を並べたこともある。区画の貸し手側と借り手側の距離感が近く、相乗効果を生み出している。

「サンデービルヂングマーケット」の様子。コロナ禍以降は規模を分散して月2回開催している(写真提供/柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

「サンデービルヂングマーケット」の様子。コロナ禍以降は規模を分散して月2回開催している(写真提供/柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

ほかにも、同社主催のイベントとしては、毎月第4日曜日に商店街の古道具店や輸入雑貨を取り扱うアンティークショップが出店する「GIFU ANTIQUE ARCADE」を開催。こちらは、柳ヶ瀬商店街の古道具店「古道具mokku mokku」の店主がオーガナイザーとなる蚤の市で、県内外のアンティーク好きが集まる。柳ヶ瀬のレトロでミックスされた雰囲気と合わさって、「サンビル」とは少し異なる客層が目当てにする人気イベントとなっている。

アンティークショップや古道具店が並ぶ「GIFU ANTIQUE ARCADE」(写真提供/柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

アンティークショップや古道具店が並ぶ「GIFU ANTIQUE ARCADE」(写真提供/柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

さらに、11月19日(日)から12月31日(日)にかけては、「柳ケ瀬日常ニナーレ」という、地域のあちこちで体験プログラムやアクティビティに参加できるイベントも開催される。福富さんによると、「今年のコンセプトは『ローカル×ローカル』。商店街のお店のオーナーさんが、自分たちの商品や技術を使って、訪れたお客さんや新たな出店者さんと交流できるようなプログラムを企画している最中です」とのこと。

「柳ヶ瀬があなたの日常になーれ。」の想いを込めて、商店街の店主の技を体験する企画などが用意された「柳ケ瀬日常ニナーレ」。今年は11月19日からスタート(写真提供/柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

「柳ヶ瀬があなたの日常になーれ。」の想いを込めて、商店街の店主の技を体験する企画などが用意された「柳ケ瀬日常ニナーレ」。今年は11月19日からスタート(写真提供/柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

柳ヶ瀬エリアの価値を高めることで、次の世代につなぐ

「新しく何かを始めようという人達が街に集まってくると、街の雰囲気が明るくなります。『柳ヶ瀬で、ずっとイベントを続けたいよね』と、みんなが商店街の未来を語れるようになりました」と末永さん。

柳ヶ瀬の魅力を尋ねると、「世代ごとに惹かれるものがあると思います。30代後半から40代前半なら、かつては周辺に『岐阜パルコ』があったり『センサ』があったりして、親に連れられてきた特別な場所です。そんな柳ヶ瀬なのに、社会に出て一旦離れてから戻ったら、遊びに行く場所がなくなっていました。そして仕事で柳ヶ瀬と関わるようになり、街に出ていろいろな人と話すうちに、柳ヶ瀬の違った良さが見えてきて、また別の愛着が湧きました。今は、柳ヶ瀬に転がっているような地域資源を探して磨いて、光らせているところ。『どうにもならんな』と思われそうなコトやモノを、自分たちで面白くするのが面白いんですよね」と笑う末永さん。それはまるで、「長年かけてジーンズを履きこなしていくような感覚」だという。

一方で20代の福富さんは、「私は柳ヶ瀬が面白いと思って参画した世代なので。最近では、私たちのまちづくりを応援したいという商店主さんもいて、受け入れ態勢もあり、新しく出店する側の人も参入しやすいように思います。私と同年代でギャラリーを経営している知人も、商店街に馴染んで可愛がられています。商売っ気が多すぎない人でもやりくりしていけるような、優しい環境になっています」

末永さんは言う。
「今ではオーナー側の意識も変わりました。テナントの家賃は安くなり、『街も変わってきたし、誰かに貸して使ってもらった方がいい』という声も聞こえてきます。まちづくり会社として目指すところは、柳ヶ瀬エリアの価値が上がることです。商業地として、柳ヶ瀬があることで地価が上がるという状態は必要なこと。その土地を持っている人にメリットがある状況をつくることで、まちを次の世代に繋いでいくことができますから」

若手クリエイター達のアトリエ兼ギャラリーショップである「やながせ倉庫」。カフェや布雑貨、古書店、アクセサリーショップなどが入居している(写真撮影/本美安浩)

若手クリエイター達のアトリエ兼ギャラリーショップである「やながせ倉庫」。カフェや布雑貨、古書店、アクセサリーショップなどが入居している(写真撮影/本美安浩)

若手オーナーは再開発による活性化にも期待

柳ヶ瀬エリアは、南北に走る「長良橋通」や「神田町通」などと、東西に走る「柳ヶ瀬本通」「日ノ出町通」など、いくつかの通りが組み合わさって街が形成されている。「柳ヶ瀬本通商店街」のほか、「ヤナガセ銀天街」や「柳ヶ瀬劇場通北商店街」など、複数の商店街がアーケードでつながる。通りごとに少し雰囲気が違うので、食べ歩きやウインドーショッピングをしながら行き来するのも楽しい。

柳ヶ瀬エリアのマップ(画像提供/柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

柳ヶ瀬エリアのマップ(画像提供/柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社)

現在、岐阜高島屋南側は、「高島屋南地区第一種市街地再開発事業」により再開発が進む。
柳ヶ瀬商店街のほぼ中央にある「日ノ出町通」には映画館やカラオケが入った「CINEXビル」や「日ノ出町ど真ん中広場」があってにぎわっている。老舗の「ロイヤル劇場」も残っていて、現在は昭和の名作シネマを上映する映画館として活用されている。

この人気エリアで、コーヒースタンド「TIROL」や、ファッションのセレクトショップ「phenom」と「phenomerica」を経営している成田満弘さんに、柳ヶ瀬の印象を聞いてみた。

左がカジュアル系衣料中心の「phenom」、右がレディースのコレクションブランドなどをそろえる「phenomerica」、中央が「coffee stand TIROL」とオーナーの成田満弘さん(写真撮影/本美安浩)

左がカジュアル系衣料中心の「phenom」、右がレディースのコレクションブランドなどをそろえる「phenomerica」、中央が「coffee stand TIROL」とオーナーの成田満弘さん(写真撮影/本美安浩)

ユニセックスのカジュアル系衣料を扱うセレクトショップ「phenom」は、カップルも訪れやすい。売れ筋のブランドは「ATON(エイトン)」や「YOKE(ヨーク)」(写真撮影/本美安浩)

ユニセックスのカジュアル系衣料を扱うセレクトショップ「phenom」は、カップルも訪れやすい。売れ筋のブランドは「ATON(エイトン)」や「YOKE(ヨーク)」(写真撮影/本美安浩)

「もともと『サンビル』のイベントに遊びに来ていて、お店を始めるなら、ここにいるようなお客さんに来てほしいなとイメージができたことが、このエリアに出店したきっかけです。

今42歳の自分が18~19歳くらいのころ、セレクトショップへ服を買いに行く時は、名古屋ではなく岐阜に来ていました。岐阜駅周辺の玉宮エリアにショップがあって、人が集まっていたんです。当時、愛知に住んでいた人はそういう人が多いんじゃないかな。30代になってまた岐阜に遊びに来たら、以前通った服屋さんがなくなっていました。そこで、当初は思い出のある玉宮で出店しようかと考えましたが、現在は飲み屋さんが多く雰囲気が違うと思い、柳ヶ瀬もいいかなと思い至りました。

2019年にユニセックスブランド中心の『phenom』を出店し、ここでコーヒーが飲めたらいいなというお客さんの声を聞いて、2020年に『coffee stand TIROL』をつくりました。レディースへの要望も増えていたので、2022年に隣の一軒が空いたタイミングで、レディースのハイブランドを置く『phenomerica』をオープンしました。

柳ヶ瀬にはポテンシャルがあると思いますが、自分のショップも3年、4年経ったばかりで、まだまだ様子見です。でも、再開発には期待しています。ショップの目の前が広場になる予定なので人が集まりそうだとか、高島屋の南側にマンションが建って人が増えるとか……。今後の変化も楽しみにしています」

レディースのハイブランドを扱う『phenomerica』には20代から60代までが来店。「来店するお客さん達は見る目があり、ブランドや価格にこだわらず、モノで判断している印象です」とオーナーの成田さん(写真撮影/本美安浩)

レディースのハイブランドを扱う『phenomerica』には20代から60代までが来店。「来店するお客さん達は見る目があり、ブランドや価格にこだわらず、モノで判断している印象です」とオーナーの成田さん(写真撮影/本美安浩)

筆者が名古屋の情報誌の編集部で新人だったころ(22年前)、東海圏でファッションスナップの場所といえば、岐阜駅周辺は外せなかった。当時は週末になるとおしゃれな人が集まっていたのを覚えている。

今回、柳ヶ瀬に伺ったのは小学1年生の息子の夏休み期間。福富さんにお願いして、取材に息子も同行させていただいた。そこで、アーケード付きの歩行者天国である商店街は、親子連れにも安心して出かけられる場所だと改めて思った。新店だけでなくおすすめの老舗の話も聞き、どちらも行ってみたいと思う。

時代の流れの中、変化に対応してにぎわいをつくりだす柳ヶ瀬。応援の気持ちを込めて、またゆっくり遊びに行きたい。

●取材協力
サンデービルヂングマーケット
柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社
岐阜柳ヶ瀬商店街

池畔の風景と暮らす

所在地:長野県茅野市玉川
1,500万円 / 95.11平米(建物) 1,048平米(敷地)
JR中央本線「富士見」駅 10.8㎞(車約18分)

長野県茅野市にある別荘地内の、池のほとりに立つ戸建。リビングからの美しい眺めが見事でした。



購入当時はまだぼんやり二拠点生活を考えていた売主さんですが、たまたま見に行った際に、この眺めを惚れこんでしまって即決されたのだとか。



当初は別荘として東京と行き来する予定でしたが、次第 ... 続き>>>.
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海に近い団地暮らし

所在地:千葉県千葉市美浜区高洲
8万円 / 48.93平米
京葉線「稲毛海岸」駅 徒歩10分

■賃料が下がりました!■



稲毛海岸駅から10分ほどにある団地群。その一室が、既存を生かしつつ程よくリノベーションされています。



ポイントは、水まわり。古い団地ですが、各所水まわりを新しく変えることによって、築年数を感じさせません。



なかでもキッチンは、既存タイルと調和したレ ... 続き>>>.
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川と緑の水平線

所在地:群馬県前橋市上新田町
3,480万円 / 116.55平米(建物) 201平米(敷地)
JR両毛線「新前橋」駅 バス7分 「下新田入口」バス停 徒歩10分

利根川に対して、真正面に向き合うように建てられた新築の戸建て。どの部屋からも利根川が眺められるのが贅沢なつくり。その川の向こうには緑が繁り、のどかな自然の景色が楽しめます。



1階にはウッドデッキでつくられた広いテラスが。そのデッキをコの字型に囲むように部屋がつくられているので、 ... 続き>>>.
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まるごと共作所【04区画】

所在地:神奈川県川崎市高津区下野毛
3万800円(税込) / 4.8平米
南武線「武蔵新城」駅 徒歩14分

ちょっとした作業ができる小さなアトリエや、個人で製作したものを販売できる場所、事務作業ができる簡単なスペース。そんな場所があったら借りてみたい、という方にピッタリな場所のご提案です。



以前はフォトスタジオ兼住居として使われていたこの建物。リノベーションされて、一棟まるごとシェア ... 続き>>>.
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ペットと暮らす、働く【屋上使用可】

所在地:文京区千石
18万3,000円 / 61.7平米
都営三田線「千石」駅 徒歩9分

■賃料下がりました!■



場所は文京区の千石。静かな住宅街の一角に立つ低層のレトロマンションが、2019年9月にまるっと一棟フルリノベーションされました。



設備や配管等を全てやり直し、断熱、外壁補修、全面防水工事を行い、各住戸の内装を仕上げ生まれ変わっています。



今回の募集は ... 続き>>>.
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社員寮まるごとリノベ

所在地:川崎市高津区二子
11万8,000円 / 44.83平米
東急田園都市線・東急大井町線「高津」駅 徒歩9分

田園都市線・大井町線の高津駅から徒歩9分のリノベーション物件。建物のすぐ脇には用水路が通り、そこに沿って気持ちの良い緑道があります。



エントランス部分は軒裏にも木を使っていて、物件への期待感をかきたてます。共用部のエレベーターホールも、各階違った雰囲気で楽しい感じ。



室内は1 ... 続き>>>.
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社員寮まるごとリノベ

所在地:川崎市高津区二子
11万8,000円 / 44.83平米
東急田園都市線・東急大井町線「高津」駅 徒歩9分

田園都市線・大井町線の高津駅から徒歩9分のリノベーション物件。建物のすぐ脇には用水路が通り、そこに沿って気持ちの良い緑道があります。



エントランス部分は軒裏にも木を使っていて、物件への期待感をかきたてます。共用部のエレベーターホールも、各階違った雰囲気で楽しい感じ。



室内は1 ... 続き>>>.
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モノトーンコーデでいこう

所在地:川崎市中原区北谷町
12万円 / 41.02平米
南武線「平間」駅 徒歩3分

平間駅は昔ながらの商店街がある、比較的のどかなところです。駅から歩くこと3分、住宅街の一角にスタイリッシュかつ重厚なコンクリートのマンションがあります。



オートロックを抜けると素敵な中庭が正面にあって、共用部はホワイトで整えられた、ゆとりのある設計になっています。



今回募集の ... 続き>>>.
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モノトーンコーデでいこう

所在地:川崎市中原区北谷町
12万円 / 41.02平米
南武線「平間」駅 徒歩3分

平間駅は昔ながらの商店街がある、比較的のどかなところです。駅から歩くこと3分、住宅街の一角にスタイリッシュかつ重厚なコンクリートのマンションがあります。



オートロックを抜けると素敵な中庭が正面にあって、共用部はホワイトで整えられた、ゆとりのある設計になっています。



今回募集の ... 続き>>>.
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巣鴨にも遊び心を

所在地:豊島区巣鴨
18万4,800円(税込) / 41.1平米
山手線・都営三田線「巣鴨」駅 徒歩2分



「おばあちゃんの原宿」なんて、チャーミングな愛称で知られる巣鴨。実は山手線で新宿駅まで15分ほど、渋谷駅までは20分ほどで、駅周辺にはたくさんの店が立ち並ぶ便利な街だったりします。



そんな駅すぐ近くのビルの一室を、遊び心あふれるオフィスへリノベーション。



天井を抜いて、壁に ... 続き>>>.
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リビングとつながる庭

所在地:北区田端、北区中里
15万6,000円 / 59.52平米
山手線「駒込」駅 徒歩10分

目玉はリビングの窓から出られる大きなウッドデッキと専用庭。あるとやっぱりうれしい存在です。



休みの日はデッキチェアを置いてのんびりブランチしたり、ペットと戯れたり。夕焼けのきれいな日には、空を眺めて。周りに迷惑がかからないよう配慮は必須ですが、思う存分使い倒しましょう。



駒込 ... 続き>>>.
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広い庭に緑を添えて

所在地:世田谷区上用賀
22万円 / 59.5平米
東急田園都市線「用賀」駅 徒歩9分

<賃料改定>



おそらく知名度は低いのですが、かっこいいんですよこのマンション。



物件は2015年にリノベーションされた部屋。無垢の床に白い壁紙と、クセのない上質なシンプル。



広い庭とバルコニーがついてくるのもうれしいポイントです。植物を育てたりテーブルやイスを置いたり、どう ... 続き>>>.
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【福島県浪江町】失われかけた町が産業の先進地に! 世界課題のトップランナー続々、避難指示解除後の凄み

福島県沿岸部(浜通り)にある双葉郡・浪江町は、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故で町内全域が避難指示区域に指定され、一時町が失われかけました。けれども避難指示区域解除後、エネルギーの地産地消を目指す水素発電などの世界的な課題に挑み、その趣旨に共鳴する企業を誘致する産業団地が動き始め、全国的に注目されています。魅力ある産業・仕事づくりを通して人が集まり「住みたい、住み続けたいまち」づくりに挑戦している浪江町の今をレポートします。

避難指示が一部解除され「新生・浪江町」が動き出した

福島県浜通りに位置する浪江町は、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた上、福島第一原子力発電所事故によって町全域が避難指示区域になり、全町民が避難を余儀なくされました。その後、除染工事や生活に必要なインフラの復旧を進め「夢と希望があふれ住んでいたいまち、住んでみたいまち」を理念に復興計画を一歩一歩進めてきました。

2017年3月31日、約6年ぶりに避難指示区域の一部が解除され、教育施設の開校、店舗・施設の開業など、生活環境が徐々に整ってきました。

買い物や食事、休憩ができる「道の駅なみえ」。無印良品が全国で初めて道の駅に出店(画像提供/浪江町役場産業振興課)

買い物や食事、休憩ができる「道の駅なみえ」。無印良品が全国で初めて道の駅に出店(画像提供/浪江町役場産業振興課)

そして、2022年度から、「浪江駅周辺グランドデザイン基本計画」が進行しています。浪江駅を中心に、国立競技場を設計した建築家・隅研吾さんの設計による未来的なデザインにより交流・商業・住宅機能をコンパクトに集約し、再生可能なエネルギーを活用した環境に配慮したまちづくりが行われる予定です。

けれども浪江町の人口を見ると、震災時が2万1542人(7,671世帯)、2023年8月末日時点で1万5,312人(世帯数6,679人)。避難指示区域一部解除後の居住人口は、2019年4月が193人、2023年8月時点には2,106人(居住世帯1,314世帯)で、Uターンや新規の移住者で多少回復していますが、震災前の10分の1にしか届いておりません。(居住人口と震災前の居住人口については、データがありません)

福島県浪江町内の居住人口の推移(福島県浪江町公式ホームページ「なみえ復興レポート(令和5年9月)」より抜粋)

福島県浪江町内の居住人口の推移(福島県浪江町公式ホームページ「なみえ復興レポート(令和5年9月)」より抜粋)

浪江町が目標としている人口は、2035年までに約8,000人。「福島県12市町村移住支援金」をはじめ、福島県外から浪江町に移住し就業または起業した場合など、複数の支援制度が用意されています。

スマートシティを目指すと同時に産業団地に企業を誘致

人口を増やすためには魅力的な仕事や雇用をつくることがカギになります。浪江町役場産業振興課の児山善文(こやま・よしふみ)さんは製鉄系プラントメーカー、JFEエンジニアリングからの出向で東京から浪江町役場へ赴任。「定年間近になり、これからの時間を大企業組織の一員として働くより、父祖の地(南会津郡下郷町)である福島県の復興に役立ちたい、未曾有の原子力災害という日本の代表的な社会問題解決の最前線でサラリーマン生活を終えたい」と、浪江町から請われたのをきっかけに自ら希望したとのこと。このように社員個人の意思を尊重して仕事を柔軟に選ばせてもらえる会社の自由な風土にも感謝しているそうです。

九転十起の人と呼ばれた京浜工業地帯の父でJFEエンジニアリングの源流である浅野造船所の創業者浅野総一郎像と記念撮影する児山さん(写真提供/ご本人)

九転十起の人と呼ばれた京浜工業地帯の父でJFEエンジニアリングの源流である浅野造船所の創業者浅野総一郎像と記念撮影する児山さん(写真提供/ご本人)

産業振興課には、再生可能エネルギーを推進する係、産業団地を整備し企業誘致して産業の振興と雇用創出を図る係、地場産業による商工・観光事業などを計画する係の3本の柱があります。

「再生可能エネルギーについては、国が推奨する『2050年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにする』という「ゼロカーボンシティ」を宣言し、再生可能なエネルギーのまちづくりに取り組んでいます。さらに持続可能なまちづくりを行うために、自治体や地元企業などと協力しながら地域エネルギー会社を立ち上げる目標があります。

浪江町産業団地は『浪江町藤橋産業団地』『浪江町北産業団地』『浪江町棚塩産業団地』『浪江町南産業団地』の4つの団地があり、既に15社が契約し、10社が稼働し、現在建物建築中の企業もあり、募集中の敷地もあります。さらに、2年後に竣工する予定の14.5ヘクタールの『棚塩RE100産業団地』があり、地域エネルギー会社と受電契約を結んでいただくなど再生エネルギーを100%使っていただける会社を誘致するという大きな目標を掲げて取り組んでいるところです」(児山さん)

なみえ産業団地マップ(出典/産業団地のご案内パンフレット)

なみえ産業団地マップ(出典/産業団地のご案内パンフレット)

『浪江町藤橋産業団地』は、AIの技術開発に取り組む企業や、EVの蓄電池のリユース・リサイクルの普及を目指す企業など4社が稼働。『浪江町棚塩産業団地』にも、再エネルギーをキーワードとする企業、ロボットのテストにおいて世界に類を見ない施設などが稼働しています。

上空から見た浪江町の棚塩産業団地(画像提供/ウッドコア)

上空から見た浪江町の棚塩産業団地(画像提供/ウッドコア)

以降で紹介する『浪江町北産業団地』のバイオマスレジン福島、『浪江町南産業団地』の會澤高圧コンクリート、『浪江町棚塩産業団地』にある福島高度集成材製造センター(FLAM)も含めて、持続可能な社会を創る研究や技術開発を世界に先駆けて行っている企業が続々と集まっているのが特徴です。

「もともと住んでいた方はご家族でUターン、Iターンは単身の方が多いです。未来的な取り組みをしている企業が稼働し始めて、国が設立する研究機関『福島国際研究教育機構(F-REI(エフレイ)』の立地も決まり、これから研究者の方々が100人単位で集まってくることになります。人が増えるから施設が増えるのか、まちがにぎわって人が増えるのか、鶏と卵どちらが先かという議論もありますが、人口も施設も増えてにぎわうまちにしていきたいですし、ずっと住みたいと思っていただけるようなまちづくりを同時に進めていかなければならないと思います」と児山さんは話します。

環境にやさしいライスレジンで地域を支援する「バイオマスレジン」

福島県の相馬ガスグループとバイオマスレジングループが合弁で2021年7月に設立し、『浪江町北産業団地』で2022年よりライスレジンの製造をスタートしたバイオマスレジン福島の田上茂工場長に話を聞きました。

「ライスレジンとはお米由来のバイオマスプラスチックで、砕けたお米や粒の小さいお米など廃棄されるお米でつくったバイオマスプラスチックです。

弊社のライスレジンは石油系のプラスチックに国産のお米を50%または70%混ぜて、樹脂をつくっています。二酸化炭素を吸って酸素を吐く植物からつくっていますので、カーボンニュートラルの意味から言うと50%以上石油系プラスチックの含有量を減らしており、ごみ焼却などで排出される二酸化炭素を50%以上削減できる形になっています。

また、弊社のグループ会社が浪江地区の休耕田を活用して稲作を行い、農地や農業に従事する人を増やすことにも取り組んでいます。現状、ライスレジンを活用してお箸やストロー、弁当箱など約800アイテムほどを製造する原料として提供しています」

ライスレジンとライスレジンからつくられる製品(画像提供/バイオマスレジン福島)

ライスレジンとライスレジンからつくられる製品(画像提供/バイオマスレジン福島)

田上工場長も、農家に行って稲作のお手伝いをすることもあるそうです。

田上工場長のほか、9名の従業員が働く工場(画像提供/バイオマスレジン福島)

田上工場長のほか、9名の従業員が働く工場(画像提供/バイオマスレジン福島)

「私は茨城県筑西市より単身で来ています。地元に帰ったら被災地や原発事故の現実、地元の方のご苦労など、実際に暮らして見て感じたこと、ここで学んだことを発信していかなければと思っています」

田上工場長が撮影、会社から見た海(撮影/田上工場長)

田上工場長が撮影、会社から見た海(撮影/田上工場長)

一方、移住した従業員もいます。石田久留美さん(30代)は、「バイオマスエネルギーや再生可能資源などに非常に興味があり、転職の際に環境問題の改善に携われる仕事に就きたいという思いで転職先を探していました。偶然、福島県内にお米を使ったバイオマスレジンをつくる会社を知り、会社の経営理念などを調べたところ、私が抱えている思いと重なる部分が多く、転職を希望しました。子どもの頃から稲作のお手伝いをするなど田んぼが身近な存在で、休耕田が増えているのを見て淋しさも感じていたことも、ライスレジンに共感する大きな理由でした」と話します。

須賀川出身で、会社の面接を受けるとき初めて浪江町に足を運んだ石田さん。実家から車で片道2時間かかる浪江町で一人暮らしをしながら働くことにお母さんは心配したそうですが、強い意思がありました。

仕事中の石田久留美さん(画像提供/バイオマスレジン福島)

仕事中の石田久留美さん(画像提供/バイオマスレジン福島)

「新しく近代的で建物のデザインも含めてこの工場が大好き。入った瞬間食品工場のようないい香りがして癒やされますし、私は前職で有機溶剤使用していたため、防毒マスクを使用する環境にいましたが、今ではマスク無しで深呼吸しても身体に害がない環境で働けるのがうれしいです。人がしっかり関わって機械を動かしてモノづくりをしている工場だと感じます」

石田さんが好きな夕暮れの請戸川の風景(画像提供/石田 久留美)

石田さんが好きな夕暮れの請戸川の風景(画像提供/石田 久留美)

石田さんは会社から程近い浪江町にある社宅(マンション)住まい。「住居費は会社の補助がありますし、休憩時間に洗濯物を取り込みに家に帰れますし、すごくいい場所に暮らしていると思います。朝晩見る請戸川の景色にも癒やされています」

CO2の削減や石油資源の抑制に貢献する環境にやさしい新素材を製造しながら、フードロスの削減、農業や地域活性化も支援しているバイオマスレジン福島。「経験者や知識のある方はもとより、長い目で見て若い人が浪江町に来て、弊社のような会社で環境に配慮したプラスチックをつくっていることを誇りに思い働いてくれたらうれしい。始まったばかりの会社ですが、30年後、50年後に、会社が成長して『この会社の歴史の1ページを描いたのが私たちだ』と言えることはやはり魅力だと思います」と結んでくれました。

浪江町とイノベーションの共創に取り組む「會澤高圧コンクリート」

次に紹介する『會澤高圧コンクリート株式会社』(本社苫小牧市、社長:會澤祥弘)は国内に20の事業所、13の工場、海外6拠点を展開。浪江町の『南産業団地』に広大な研究開発型生産拠点『福島RDMセンター』を建設し、2023年6月30日にグランドオープンしました。

RDMとは、研究(Research)・開発(Development)・生産(Manufacturing)の3つの機能の略。「同一敷地内に生産棟と研究・開発棟が併存し、試験製造などの成果や課題を研究開発にすぐにフィードバックできるのが同社の特徴です。

低炭素型建築方法を実践したフルPC構造の研究開発棟(画像提供/會澤高圧コンクリート)

低炭素型建築方法を実践したフルPC構造の研究開発棟(画像提供/會澤高圧コンクリート)

「弊社は、コンクリートマテリアルと先端テクノロジーを掛け算して新たな企業価値の創造に取り組む総合コンクリートメーカーです。」と話すのは、デジタル経営本部の佐藤一彦さん。

500cc・1000ccのエンジンドローンと佐藤一彦さん(画像提供/會澤高圧コンクリート)

500cc・1000ccのエンジンドローンと佐藤一彦さん(画像提供/會澤高圧コンクリート)

同社はコンクリートマテリアルの基礎研究に力を入れるとともに、MITやデルフト工科大学など欧米トップ理系大学との産学協力を幅広く展開、バクテリアの代謝機能を使った自己治癒コンクリートを世界で初めて実用量産化するなど、脱炭素スマートマテリアル分野、コンクリート3Dプリンター分野、水素における再生エネルギー分野、デジタルPC建築分野、防災支援インフラメンテ分野、スマート農業陸上養殖分野など6つの研究開発領域をカバーしています。

「コンクリート業界はCO2を多く排出する環境負荷の高い業界ですが、弊社は『脱炭素第一』を経営方針に掲げ、2035年までにサプライチェーンの温室効果ガス排出量を実質ゼロにする『NET ZERO 2035』をコミットメントしました」(佐藤さん)

同社はさらに、浪江町と防災支援協定を結び、同社が開発した1000ccハイブリッドガソリンエンジンを積んだドローンは、大きな地震や台風が来たときに格納庫から自動的に飛び立ち、気象衛星とリンクしながら海岸線や河川の映像をリアルタイムに住民のスマホに提供、命を守る統合システムとしての実装に取り組んでいます。

同社で働く約40名のうち、ほぼ半数が浪江町を含む福島県の相双地域に住む方だそうです。また、グループ全体では複数の女性役員や在宅勤務で育児と両立している女性社員も多く、SDGs への取り組み、SNS向上委員会など女性を中心としたプロジェクトも盛んに行われているとのこと。

女性社員の一人、後藤華蓮さん(22歳)は相双地域の大熊町出身、専門学校で3DCG(コンピューターグラフィックス)を学び、浪江町の新社屋がオープンするときに入社しました。

仕事中の後藤華蓮さん(画像提供/會澤高圧コンクリート)

仕事中の後藤華蓮さん(画像提供/會澤高圧コンクリート)

「地元の大熊町は浪江町と同じく震災後に避難対象区域になりましたが、2022年に一部避難指示が解除されて家族で地元に戻ることができました。そんなときに、會澤高圧コンクリートの求人を見て、被災地の復興に携われたらと思い就職を希望しました。

総務部で工場の出荷製品の管理などを担当しています。初めてのことばかりで大変ですが、明るく雰囲気がいい会社で仕事がしやすいです。浪江町は私が小さいころに見てきた景色とはまた違ってしまいましたが、これからどんどんまちも発展していくと思いますし、自己治癒コンクリートなど、他社ではやっていないと自慢できるような商品をつくる、将来に向けて発展していく会社で長く働いていきたいです」と後藤さん。

遊歩道が整備された請戸川沿いの桜並木(画像提供/會澤高圧コンクリート)

遊歩道が整備された請戸川沿いの桜並木(画像提供/會澤高圧コンクリート)

「浪江町の産業団地で事業を始めた企業は、それぞれに町の復興や脱炭素社会の実現に向けて高い志をお持ちです。浪江町は先進的な技術を持つ企業と建設が決定している福島国際研究教育機構(F-REI)とともに世界に名だたる研究都市になっていくと思います。福島RDMセンターは福島イノベーション構想や地域の構想を具現化する場所です。特に若い世代が共創を通じて刺激を受け、知見を深めていただけたらと思います」と佐藤一彦さんは話しています。

■関連記事:
3Dプリンターでつくったグランピング施設がオープン!「お菓子の家」な形や断熱性が話題 新冠町
※會澤高圧コンクリート社が手掛けた3Dプリンター製グランピング施設

北海道新冠町ディマシオ美術館敷地内にある、コンクリート3Dプリンタによるグランピング施設(画像提供/會澤高圧コンクリート)

北海道新冠町ディマシオ美術館敷地内にある、コンクリート3Dプリンタによるグランピング施設(画像提供/會澤高圧コンクリート)

大断面集成材を生産する国内最大級の工場を運営する「ウッドコア」

次に紹介するのは、『棚塩産業団地』に2021年10月に完成した「福島高度集成材製造センター(FLAM=エフラム事業)」は福島イノベーション・コースト構想に基づく農林水産プロジェクトで、浪江町が建設し、民間企業のウッドコアが管理・運営しています。

工場長の高増幹弥さんはこう話します。
「弊社は、大断面集成材という、住宅などより大きい中・大規模木造建築物をつくる部材を丸太から製材して集成材を生産しています。国内には、柱や梁などの大きな部材を供給する製造過程が少なく、全国でも珍しい業種です。浪江町に工場を建設したのは、木材資源が豊富な福島県に製造拠点をつくることが復興につながり、イノベーション・コースト構想とも合致したからです」

「福島高度集成材製造センター(FLAM)」工場長の高増幹弥さん(右)と光谷貴一さん(左)(画像提供/ウッドコア)

「福島高度集成材製造センター(FLAM)」工場長の高増幹弥さん(右)と光谷貴一さん(左)(画像提供/ウッドコア)

高増さんは、以前の会社で大規模な木造建築物の現場監督をしていましたが、ウッドコアの取り組みを知り、やりがいがある仕事に就きたいと転職し、単身赴任で来ています。

木造施設向けで原木の加工から最終製品加工まで一貫生産できる「福島高度集成材製造センター(FLAM)」は、敷地9ヘクタール、建物は東京ドーム2個分で国内最大級規模の集成材の工場です。

大断面集成材は、屋内運動施設や教育施設、道の駅などに使用され、2025年に大阪で開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場の中心をぐるりと取り囲む大屋根(リング)に「福島高度集成材製造センター(FLAM)」で製造した大断面木造集成材が使われる予定もあり、全国の大型木造建築を手掛ける大手建築会社などが工場見学に訪れています。

日本国際博覧会の大屋根(リング)・完成予想パース(提供:2025年日本国際博覧会協会)

日本国際博覧会の大屋根(リング)・完成予想パース(提供:2025年日本国際博覧会協会)

「多くの建築会社さんや設計事務所さんからいろいろなビッグプロジェクトになるような物件の相談や打ち合わせ、部材を発注していただくなど、遠くから足を運んでいただいています。弊社工場だけではなく他の施設も、浪江町の可能性なども含めて注目されていると感じます。そして弊社は浪江町から委託を受けて管理・運営している形になり、町とも良好な協力関係を築いています」と話す高増さん。自然豊かな環境で、天気の良い休日は趣味のバイクで県内各地へツーリングに出掛けてリフレッシュしているそうです。

現在「福島高度集成材製造センター(FLAM=エフラム事業)」で働いているのは約50名、相双地域を中心に福島県内出身者がほとんどです。

「県外から浪江町(などの避難指示対象地域)に移住すると移住支援金や住宅補助など、いろいろな支援制度があることをホームページで知って、思いきって移住しようと思いました」と話すのは、光谷貴一さん。ホームページの動画でウッドコアを知り、「この仕事をしてみたい」と青森からIターンで浪江町の同社に転職しました。

丸太の検知を実施する高増工場長(右)と光谷貴一さん(左)(画像提供/ウッドコア)

丸太の検知を実施する高増工場長(右)と光谷貴一さん(左)(画像提供/ウッドコア)

「浪江町に来てまだ1カ月未満で全部を知るのはこれからですが、良い環境だと感じます。社宅は工場から車で約3分の所にあり、まだ新しく綺麗です。浪江町にはイオンや道の駅などもあり想像していたより施設が充実していました。車で10分も走れば南相馬市にホームセンターもあり、暮らしに不便は感じません。早く仕事を覚えて、会社の役に立ちたいと思います」と新天地での新しい生活を楽しみにしています。

公園・スポーツ施設の同社施工例(画像提供/ウッドコア)

公園・スポーツ施設の同社施工例(画像提供/ウッドコア)

「昔ながらの製材工場と違って、最新鋭の設備などを備えた近代的な工場です。何よりもこれから将来に向けて注目される建築物の部材をつくれる会社で働くのは非常にやりがいがあり、チャレンジしたい方にとって良い環境だと思います」と高増さんも話しています。

復興へ向けてインフラ設備を着実に整え、ゼロカーボンシティを宣言し、新たなまちづくりにチャレンジしている福島県浪江町。人を増やすには魅力的な産業、働く場所が必要と複数の産業団地を造成し、立地を希望する企業を募集したところ、復興への貢献、ゼロカーボン社会実現への意識が高い、将来性豊かな企業が集結しました。業界をリードする先端のテクノロジー、他にはない商品や研究を生み出す企業が町や企業同士で連携し、これから数年後、数十年後どう進化しているのか、楽しみな町です。

●取材協力
浪江町役場産業振興課
バイオマスレジン福島
會澤高圧コンクリート
ウッドコア

色とりどりの和リノベ

所在地:練馬区富士見台
12万円 / 55.13平米
西武池袋線「練馬高野台」駅 徒歩6分

色の主張が特徴的な和テイストのリノベーション戸建て。それぞれの空間の主張は強めですが、絶妙なバランス感を保っているような不思議な感じ。実際に訪れると、意外としっくりくるかもしれません。



紺色の壁紙が全面に貼られたリビング。周囲は戸建てに囲まれているので、日当たりはほとんどありま ... 続き>>>.
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一橋大卒24歳女子、スナックのママになる。若者も女性も楽しめる「街の社交場」に、全国展開も視野 「スナック水中」東京都国立市

スナックは不思議だ。カフェで初対面の知らない人といきなりおしゃべりすることはないのに、狭い空間、お酒の力、そしてママのアシストで、いつもより社交性2、3割増しの自分が出てくる。
とはいえ、一見さんにはハードルが高いのも事実。担い手と顧客の高齢化、コロナ禍の影響で廃業が相次ぐ業界のなか、「一橋大学を卒業してすぐスナックを引き継いだ」という現在25歳のママがいる(継業時は24歳)。スナックを“おじさん”だけでなく、若者も女性も楽しめる「街の社交場」に――そんな想いで「スナック水中」(東京都国立市)をスタートし、「目指せ!100店舗展開」という野望を持つ彼女にインタビューをした。

スナック=常連の男性客だけの場にするのはもったいない

その、少し毛色の違うスナックは、国立市、南武線谷保駅から徒歩4分にある。その名も「スナック水中」。
「水の中を漂うように楽しんで、明日に向かって再浮上していく場所」という願いを込めたという、ママの坂根千里さん。例えば、うまくいかない事があった時、なんとなく家に帰りたくない時、少しだけ誰かと話したい時――そんな時に気軽に立ち寄れる場所をつくりたいと思ったのだ。
変わっているのは、「スナックは地元の常連の男性客がほとんど」という常識を覆し、遠方からも訪れる方、ふらっと訪れる新規のお客さんも、女性客も多いこと。

取材時には、埼玉在住の常連さん、国立在住数十年の地元の方、たまたまふらっと足を運んだ初めてのお客さんなどでいっぱい(写真撮影/片山貴博)

取材時には、埼玉在住の常連さん、国立在住数十年の地元の方、たまたまふらっと足を運んだ初めてのお客さんなどでいっぱい(写真撮影/片山貴博)

「そもそも、スナックって外から見えず、重い扉を開ける勇気って、なかなかないですよね。通りかかった人がふらっと入りやすく感じてほしいという想いから、外から室内が見える造りに改装しました」
ほかにも、会計システムがよく分からない、ボトルと乾きものしかない、そもそも遊び方が分からない――そんなハードルを解消する店づくりを意識している。

外からみた店内。「当初は、常連さんが嫌がるかなぁと思ったんですが、意外とみんな嫌がらなかったんです」(写真撮影/片山貴博)

外からみた店内。「当初は、常連さんが嫌がるかなぁと思ったんですが、意外とみんな嫌がらなかったんです」(写真撮影/片山貴博)

価格明記のメニュー表。話のきっかけになるよう、スタッフのプロフィールも。「スナック初心者」のための「楽しみ方」ガイドもついている(写真撮影/片山貴博)

価格明記のメニュー表。話のきっかけになるよう、スタッフのプロフィールも。「スナック初心者」のための「楽しみ方」ガイドもついている(写真撮影/片山貴博)

ドリンクやフードメニューにも力を入れている。谷保でとれたての新鮮なミントを使ったモヒート(900円・税込・写真右)が看板のほか、季節限定の「バタフライピーのジンソーダ」(800円・写真左)(写真撮影/片山貴博)

ドリンクやフードメニューにも力を入れている。谷保でとれたての新鮮なミントを使ったモヒート(900円・税込・写真右)が看板のほか、季節限定の「バタフライピーのジンソーダ」(800円・写真左)(写真撮影/片山貴博)

決して即決ではなかった。新卒でスナックを引き継いだ理由

そもそもどうしてスナックを引き継いだのだろう。
「一橋大学を卒業したら、“バリキャリ”になって丸の内あたりで働くイメージでした」という坂根さんがスナックを継いだ経緯は、不思議な縁でもあり、必然でもあった。
大学3年の時、知り会いに連れられて入店した「すなっく・せつこ」(スナック水中の前身)で人生が変わった。そこは70代のママが切り盛りする不思議な空間。昭和歌謡を歌う、見知らぬ人としゃべる、そんな様子を観察しながらお酒を飲む――。
「なんだ、これは。この混沌は!って驚きました。楽しくて自由で、気を遣い過ぎない、カッコつけなくていい、こんな桃源郷が地元にあったんだと感動したんです」

坂根千里さん。東日本大震災後に街の再生や地域のために働く人々に憧れ、大学では都市政策を専攻。海外で旅をして宿主や旅人同士で交流。国立市ではゲストハウスをつくるべく学生団体を立ち上げるなど、もともと街とコミュニティの在り様に興味があった(写真撮影/片山貴博)

坂根千里さん。東日本大震災後に街の再生や地域のために働く人々に憧れ、大学では都市政策を専攻。海外で旅をして宿主や旅人同士で交流。国立市ではゲストハウスをつくるべく学生団体を立ち上げるなど、もともと街とコミュニティの在り様に興味があった(写真撮影/片山貴博)

スナック初体験で、すっかりその楽しさに魅了される坂根さんに、突然ママから「あなた来週から、働いてみない? なんか、楽しそうに飲んでるから」と声をかけられた。それがスタートだ。
それからすっかりスナックの沼に。大学を休学して暮らしたカンボジアでは、屋台を買って即席スナックを始めたこともある。
そしてママから「うちの店を継いでくれない?」という打診を受けた。大学3年生、就職活動を始めだしたころだ。決して即決ではなかった。周囲は絶賛就職活動中。しかし、友人たちが厳しい就職活動のなか疲弊していくのを目の当たりにし、かえって「そんな彼女たちが気持ちを少し打ち明けて、気持ちを軽くできるような、そんな場所をつくりたい」と思うようになったそう。

先代のママ、せつこさんと(写真提供/坂根千里さん)

先代のママ、せつこさんと(写真提供/坂根千里さん)

スナックを縁に、地元知り合いが増え、愛着が増していく

お店の準備資金は、銀行の融資や行政の補助金、さらにはクラウドファンディングで募った。もともと地元でゲストハウスを運営していたこともあり、坂根さんの人となりを知る地域の人々の協力もあった。
「SNSを使ってDMでたくさんお願いしました。スナックでは珍しいでしょう」
さらに、「一橋大学を卒業したばかりの23歳の女の子がスナックを引き継ぐ」――その物語性、話題性からたくさんの取材も受けた。話題になり、遠方から訪れる人も、初めてスナックで遊ぶという人もいた。

都内で働く、埼玉県在住の会社員Tさんは、クラウドファンディングがきっかけに常連さんになった一人。
「メルメガだったかな? 坂根さんの記事を読んで、若い世代が頑張っているのを応援したくなったんです。クラファンきっかけにボトルをキープして、今は月に3、4回来てます。もともと、あまりスナックで飲むタイプではなかったのに(笑)。しかも谷保も、どこ?でした。不思議な縁ですよね」

一方、国立が地元のTさんは、坂根さんがゲストハウスを運営していたころからのお付き合い。料理上手で、ちょっとした惣菜を手土産に店を訪れることもある。「帰っても一人なので、ココで若い子たちとおしゃべりする時間が楽しいんです」

坂根さんはこう話す。
「ほかにも、このあたりに引越してきたけれど、知り合いがまったくいない方が、このスナックでどんどん知り合いができていくのはよく目にします。単身赴任の方は特にそうですね。子どもがいたら子どもを通して地元の知り合いができるんでしょうけど、単身者は帰って寝るだけになりがちじゃないですか。街との接点がない。知り合いが増えればそれだけ街に愛着がわくと思います」

混み始めると席を移動したり、満員時に「あ、もう今日は帰ります」「あ、すみません。ありがとうございます」と、初対面でも少しだけ「近い」コミュニケーションがとれるのもスナックらしさ(写真撮影/片山貴博)

混み始めると席を移動したり、満員時に「あ、もう今日は帰ります」「あ、すみません。ありがとうございます」と、初対面でも少しだけ「近い」コミュニケーションがとれるのもスナックらしさ(写真撮影/片山貴博)

お客さまのカラオケセレクトは昭和歌謡中心(写真撮影/片山貴博)

お客さまのカラオケセレクトは昭和歌謡中心(写真撮影/片山貴博)

力強い味方のスタッフはバックグランドも多様

もちろんすべてがスムーズだったわけではない。新しいお客さんを受け入れていく過程で、先代の常連さんが離れていった例もある。
「社会人経験ゼロのまま、いきなり経営者になったので、本当に手探り状態。今思えば非効率なことばかりしていたような気もします」
ただし、「人にだけは恵まれました。オープン当初から良いスタッフがいっぱい来てくれたんです」と坂根さんは誇らしげだ。
まず21名(店舗14名、バックオフィス専業スタッフ7名)いるスタッフは20代が中心と、ほかのスナックに比べて圧倒的に若い。男女一人ずつのスタッフがカウンターに立つのは、どんなお客さまもウェルカムの証だ。大学生も多いが、さまざまな生業を持つ社会人が副業としてカウンターに立つのも「水中」のユニークさ。いわゆる接客だけでなく、デザイン、SNS運営、PR、財務など、+αの業務も担当してもらうこともある。

例えば取材日にスタッフで入っていたかれんさんは、本業は外資系企業でマーケティングに携わるキャリア女子。「もともと人と話すのが好き。会社の飲み会も好きだったんですけど、スタートアップ企業に転職したら、そういう付き合いがなくなって。スナックで働いてみるのも面白いなぁと思っていたところ、知人の紹介で始めてみました」。以前は埼玉から通っていたが、今は通勤先にも電車1本、スナックにも通いやすい街へと引越したほど。

だいごさんはフリーのデザイナー。名刺やメニューのプロダクトデザインは彼の手によるもの。「在宅で仕事をしているので、基本あまり人と話さない生活。だからココでの時間が気分転換になるんです」

初対面で打ち解けるのが得意なかれんさん(写真左)と、じっくり話を聞くのが得意なだいごさん(写真中央)。スタッフの顔ぶれ、組み合わせで店の雰囲気が変わるのも面白さ(写真撮影/片山貴博)

初対面で打ち解けるのが得意なかれんさん(写真左)と、じっくり話を聞くのが得意なだいごさん(写真中央)。スタッフの顔ぶれ、組み合わせで店の雰囲気が変わるのも面白さ(写真撮影/片山貴博)

メディアやSNSで新規客は増加中。目下の課題は女性客

現在、常連さんは7割、新規のお客様は3割。ほかのスナックと比べると新規客が多い。
撮影時も、「いつもこのあたりをウォーキングするんだけれど、いつも気になってたんだよね。だけどいつも混んでて、今日は入れるかもってのぞいてみました」というスナック好きの新規のお客さんがふらり。

常連さんも増え、ボトルキープの棚がいっぱい(写真撮影/片山貴博)

常連さんも増え、ボトルキープの棚がいっぱい(写真撮影/片山貴博)

初対面だから、知らない者同士だから、かえって弱音を吐けたり、話せてしまうこともある。年代も立場も属性も違う、普段は接点のない人だから、ちょっとしたアドバイスが身に染みることもある。スナック初体験の若者にも女性にもそんな価値を体験してもらいたい。そんな坂根さんの挑戦が、少しずつ実を結びつつある。

さらに坂根さんと出会ったことで「自分もスナックを準備中」と、次なる野望を抱いた20代女子も友人を連れて来店。人が人を呼び、常連さんに。インパクトのあるメディア露出に加え、noteやSNSで坂根さんが普段感じていること、スナック水中の様子、目指すものを絶えず情報発信していることで、坂根さん自身とスナック水中のファンをつくっているのも強みだ。

「とはいえ、本当は当初の目的を考えると、現在は2割程度の女性がもっと増えてほしいなぁと思っています。だって男性だけが疲れて、ちょっと飲みたいと思っているわけじゃないはずでしょう。スナック=男性の夜の社交場のイメージを脱して、女性が一人でお店に入ってきたときに、“はっ、場違いだった“って思わせないようにするためにはどうしたらいいかって、ずっと考えています」

「奥の席は、女性優先席。ココは洗いものをしながら、一番マンツーマンで話せるからなんです」(写真撮影/片山貴博)

「奥の席は、女性優先席。ココは洗いものをしながら、一番マンツーマンで話せるからなんです」(写真撮影/片山貴博)

2号店を計画中。後継者不足の店舗を継ぐモデルを広げたい

そして今後はさらに事業を拡大するつもりだ。
2号店として、国立駅近く、22年続くミュージックバー「NO TRUNKS」を、スナック&ミュージックバーとして受け継ぐプロジェクトを進行中。経営権は坂根さんが引き継ぎ、音楽とお酒を媒体にした社交場へリニューアルする予定。

ミュージックバー「NO TRUNKS」オーナーと坂根さん(写真提供/スナック水中)

ミュージックバー「NO TRUNKS」オーナーと坂根さん(写真提供/スナック水中)

「“お店を引き継いでもらいたい”と、オーナーから打診があったのも、“街に欠かせない場所を残し、新たな人の流れを呼び込む”というスナック水中の事例を知ってのことだったので、うれしかったです。私、間違えていなかったんだなって」

 ゆくゆくは全国のスナック・バーを100店舗承継することを目標としている。
「スナックは全国に10万件 あると言われていて、コンビニより断然多い。それくらい、どの場所でも成り立ちうるビジネスモデルではあるんですね。ですが、今はスナックママの担い手が高齢化していて担い手が減少しているのでお店も減っています。私の役割は、スナックママという職業を始めるハードルを下げながら魅力を発信し、素敵な担い手を増やすこと。スナックがこれからも街に残ることです。
街の価値につながるお店が、後継者がいないことで閉店してしまうのってもったいない。このフォーマットなら、街の社交場が残り、自分でお店をやりたい若者も、既存の財産を再利用してビジネスができるはずでしょう。
スナックの条件は、大きすぎず20席ぐらいが理想的。ふらっと入れる路面店がいいですね。高い家賃の一等地で利益を出すために客数を稼ぐよりも、二等地、三等地でいい。お店そのものの価値を上げて、そのお店目当てでやって来る常連さんとゆっくり関わりたい。そんなふうに考えています」

――バリキャリ女子を目指していたけれど、スナックのママになったという坂根さんだが、自分のやりたいことに頑張った結果が、自分自身だけでなく、周囲の人へ良い影響を及ぼし、さらには社会に還元していってほしい。そう願う坂根さんは、もしかしたら、自分自身が憧れていたバリバリ働く女性の姿なのかもしれない。

実は、現在妊娠8カ月(23年10月時点)。夫と協力し合いながら、本当のママ業とスナックのママ業の両立を目指す。「お店に立てない時期はオンラインスナックなんていうのも計画しています」(写真撮影/片山貴博)

実は、現在妊娠8カ月(23年10月時点)。夫と協力し合いながら、本当のママ業とスナックのママ業の両立を目指す。「お店に立てない時期はオンラインスナックなんていうのも計画しています」(写真撮影/片山貴博)

●取材協力
スナック水中
Instargam

代官山 Spark Joy!

所在地:渋谷区猿楽町
4,180万円(税込) / 32.68平米
東急東横線「代官山」駅 徒歩6分

◆ 価格が下がりました! ◆



代官山、恵比寿、渋谷、中目黒の間という、ファッション、カルチャー、アート、フードを楽しむライフスタイルを送りたい方には間違いのない立地にあるリノベマンション。



ライトグレーを基調とした、表面にざらりとしたもみ殻を使用したマットな質感の壁紙を用いる ... 続き>>>.
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明快、リノベーション

所在地:文京区関口
11万3,000円 / 36.06平米
有楽町線「江戸川橋」駅 徒歩1分

2012年にリノベーションされたこの部屋。白と木を基調としたモダンでナチュラルテイストのシンプルな内装が、一瞬で心を掴んできます。



清潔感に溢れた11.3畳のワンルームは、使い勝手も良さそうで。



コの字のキッチンはカウンターが大きくて料理がしやすそうですし、イスを置けばここで ... 続き>>>.
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クールに見えて人情派

所在地:新宿区細工町
23万4,000円 / 73平米
都営大江戸線「牛込神楽坂」駅 徒歩5分

誤解は禁物です! コンクリートのシュッとした外観からクールなデザイナーズ物件かと思いきや、中に入ると人肌感があると言えばいいのか、格好つけず気楽でこなれたゆるーい雰囲気だったんです。



そんなわけで、キレキレの都会派スマートライフを目指す方にはあしからず。都心にいながらのんびり肩 ... 続き>>>.
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中目黒に漂う気品

所在地:目黒区上目黒
18万1,000円 / 30.53平米
日比谷線・東急東横線「中目黒」駅 徒歩4分



美しく滑らかな素材の表情、モダンながらも温もりを十二分に感じられる空間に心を奪われました。



デザイン監修は、建築家の谷尻誠氏と吉田愛氏が率いる「SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd.」。なかなか普通の住宅では味わえない、気品漂うぜいたくな住み家のご紹介で ... 続き>>>.
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△土間テラスの家【ナリワイ可】

所在地:練馬区北町
20万円 / 91.9平米
東武東上線「東武練馬」駅 徒歩8分

「住まいに+αの暮らしを」というコンセプトのもと、2022年にフルリノベーションされた戸建。住居はもちろん、事務所や店舗、アトリエ使用も相談できます。



設計は、つばめ舎建築設計。設計された別物件を過去にR不動産でも募集させていただいていますが、今回も思わず脱帽でした。



物件が ... 続き>>>.
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ペットも車も諦めない

所在地:大田区田園調布
15万円 / 39.6平米
東急東横線「田園調布」駅 徒歩6分

ベランダがふたつある2DK。日当たり良好でペットが飼えて、月額1万円の駐車場もあります(細則あり)。



田園調布にある緑豊かなマンション。メタセコイアやヒマラヤ杉をはじめ共用部分の植栽が色鮮やかです。周辺は閑静な一軒家が多く、向かいはテニスコート。ボールの弾む軽快な音が聞こえてく ... 続き>>>.
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お待ちかねの街で

所在地:世田谷区若林
6,280万円 / 69.04平米
世田谷線「松陰神社前」駅 徒歩2分

松陰神社前が好きな方に朗報です。駅まで徒歩約2分、小走りすれば1分も夢じゃない!?なんて立地のマンション。



すてきな店であふれる駅前の商店街は、目と鼻の先。でも通りから少し入ったところに立つマンションにつき、静かという好立地に思わず高鳴る胸、ドキドキ。



室内は2013年に、ス ... 続き>>>.
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「東京ビエンナーレ」で市民全員がアーティスト! ゴミ分別をアート化、道路も交流の舞台に、街にもたらしたものとは?

東京ビエンナーレとは、千代田区、中央区、文京区、台東区を中心とする、東京の街を舞台にした芸術祭。国内外からクリエイターが集結し、街に深く入り込み、地域住民の方々と一緒に作り上げていく芸術祭だ。本格的な開催は今年で2回目となり、テーマは「リンケージ つながりをつくる」。東京ビエンナーレの総合ディレクターを務める、東京藝術大学絵画科教授の中村政人さんに、アートが地域にできることは何なのか、お話を伺った。

街で偶然出合うアートで心のスイッチがオンになる

最近は日本各地で芸術祭が開催され、その土地ならではの自然、景色、歴史を活かした著名な作家によるアート作品が置かれている。国内外の観客がアート目的で訪れ、その経済効果は計り知れない。街の活性化にもつながっている。
「それもとても意義のあることだと思いますが、もともと人の多い、東京ビエンナーレは少し目的が違うのかもしれません。もっと日常的で、もっと偶発的です」と、総合ディレクターの中村政人さん。

東京ビエンナーレ総合ディレクターの中村政人さん。アートを介してコミュニティと産業を繋げ、文化や社会を更新する都市創造のしくみをつくる社会派アーティスト。東京藝術大学絵画科教授でもある(写真撮影/片山貴博)

東京ビエンナーレ総合ディレクターの中村政人さん。アートを介してコミュニティと産業を繋げ、文化や社会を更新する都市創造のしくみをつくる社会派アーティスト。東京藝術大学絵画科教授でもある(写真撮影/片山貴博)

というのも、東京ビエンナーレでは、街のあちこちで、アートな仕掛けがあるからだ。
飲食店で出されたおしぼり。広げてみると刺繍がある。実はこれ、日本の文化「おしぼり」を白いキャンパスに見立てて、アーティストの作品を刺繍にしたもの。思わぬ場面でアートに出合うとともに、リユースする「おしぼり」のおもてなし文化を再確認するきっかけになるものだ。

会田誠氏、マイケル・アムターなど25組のアーティストが描いた原画をもとに刺繍を施した。レストランで無地のおしぼりに混ざってランダムに提供され、期間中にいろんな人と出会い、戻ってくる。同じ絵柄の左側の少し小さくなったおしぼりが、何度も洗いを繰り返し、旅をしてきたもの(写真撮影/片山貴博)

会田誠氏、マイケル・アムターなど25組のアーティストが描いた原画をもとに刺繍を施した。レストランで無地のおしぼりに混ざってランダムに提供され、期間中にいろんな人と出会い、戻ってくる。同じ絵柄の左側の少し小さくなったおしぼりが、何度も洗いを繰り返し、旅をしてきたもの(写真撮影/片山貴博)

「アートを美術館で観賞するものと考えている方は多いでしょう。でも、それはあくまでの他人の創作物を見ている。距離があるんです。でも街の中で偶然出会って、『なんだろう? 面白そう』とワクワクする。そんな感情のスイッチが押される。そんな仕掛けが街のいろんな場所にあればいいと思うんです。そうした感情は、大人でも子どもでも内在しているはず。自分自身がアートの当事者になることで、自分の日常に変化が生まれるはずです。東京は不特定多数の多くの人が行き交い、そんな偶然性が期待できる場所じゃないでしょうか」
そのため東京ビエンナーレの会場は、商業施設やホテル、寺院のほか、緑道の仮囲いの中、地下鉄出口からの通路、電車の高架下と、あらゆる場所が舞台だ。

例えば丸の内周辺のストリートやビルのすき間で行われる「Slow Art Collective」によるプロジェクトは、カラフルなロープや紐が結びつき、有機的に広がる作品。これは道行く人が「つくって参加」するもの。
「平日はランチや休憩の合間、仕事帰りに、丸の内で働く会社員が立ち寄ってつくっています。“無心になれるのがいいみたいです。休日は親子連れが多く、特別なイベントもあります」

オーストラリア・メルボルン在住の加藤チャコとディラン・マートレルが主宰する芸術グループ「Slow Art Collective」によるもの。竹やロープなどの自然素材、街で拾い集めた素材を用いた市民参加型のアートプロジェクトだ。写真は東京サンケイビルにて(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

オーストラリア・メルボルン在住の加藤チャコとディラン・マートレルが主宰する芸術グループ「Slow Art Collective」によるもの。竹やロープなどの自然素材、街で拾い集めた素材を用いた市民参加型のアートプロジェクトだ。写真は東京サンケイビルにて(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

丸の内の新国際ビルの裏手、オフォスビルの「すき間」でも展開。近くを通勤している人でも気づかない、都会の中の路地を、アートで誘い込み、アートを目にすることになる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

丸の内の新国際ビルの裏手、オフォスビルの「すき間」でも展開。近くを通勤している人でも気づかない、都会の中の路地を、アートで誘い込み、アートを目にすることになる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

訪れる人が自由に編み込み、自分の作業がそのままアートの一部になる。リリアン編みが得意という近所に暮らす女性が緻密な作品を残して行ったり、たまたま通った男子学生がボランティアスタッフに教えてもらいながら「生まれて初めての三つ編み」に挑戦したり(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

訪れる人が自由に編み込み、自分の作業がそのままアートの一部になる。リリアン編みが得意という近所に暮らす女性が緻密な作品を残して行ったり、たまたま通った男子学生がボランティアスタッフに教えてもらいながら「生まれて初めての三つ編み」に挑戦したり(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

3日間のみ丸の内仲通りで出張型ワークショップが開催され、コンテンポラリーダンスなども披露された。撮影時は土曜日で、小さな子どものいる家族連れも多い。次回開催は10月28日予定(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

3日間のみ丸の内仲通りで出張型ワークショップが開催され、コンテンポラリーダンスなども披露された。撮影時は土曜日で、小さな子どものいる家族連れも多い。次回開催は10月28日予定(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

海外アーティストが東京に暮らしながら制作

東京ビエンナーレでは、プロセスも重視している。立ち上げた構想段階から、当時、千代田区のアート拠点だった「3331 Arts Chiyoda」で、2018年は構想展、2019年は計画展として一般公開されていた。2020年にはコロナ禍に遭い、2020年ー21年として開催をスタート。今年は2回目だ。

海外からもアーティストを公募。街に暮らしながらリサーチ・作品制作をする「アーティスト・イン・レジデンス」を実施した。一定期間、東京で暮らしたからこそのインスピレーション、魅力を自分の作品に投影している。外からアーティストの視点で東京を切り取ることで、地元で暮らす人々が魅力に気づく効果もある。
「正直、生活コストの高い東京なので、条件は厳しかったのに、たくさんの応募をいただきました。最長1カ間暮らしながら、東京の街を歩き、交流し、東京をテーマに創作や活動をしてくれました」

例えば、海外作家ペドロ・カルネイロ・シルヴァ&アーダラン・アラムの「フリーシート」なる作品は、へッドフォンをつけると、その人だけに向けた音楽をその場で奏でてくれるというもの。
「偶然居合わせた人の心の中まで入り込み、その場でしか起こらない感情を共創するようなプロジェクトです。私も体験しましたが、その街の環境音と電子ピアノの音色が体に入り込んでくるのがわかり、何故か目の前の都心の風景に郷里の原風景が脳裏に見えてきたんです。感情がこみ上げてきてきました。サイトスペシフィック(その場所の特性を活かした)な音が他者によって自分の心の中だけに生まれます。アーティスト自身が東京に滞在制作したからこそ実現できたプロジェクトかと思います」

ドロ・カルネイロ・シルヴァ&アーダラン・アラムの「フリーシート」。中央区京橋のアーティゾン美術館前にて(画像提供/東京ビエンナーレ)

ドロ・カルネイロ・シルヴァ&アーダラン・アラムの「フリーシート」。中央区京橋のアーティゾン美術館前にて(画像提供/東京ビエンナーレ)

長い期間、多くの人が関わる、そのプロセスこそが重要

プロセスを重視するため、長い期間に及ぶプロジェクトもある。「超分別ゴミ箱2023」はその代表例だ。テーマは「プラスティックのゴミの分別を極端に進めていったらどうなるか」で、東京都立工芸高等学校の学生やPTAの協力を得て、ゴミの収集、記録を実施。さらにコンビニ3社と、プラスティック容器を製造する企業の協力を得て、商品パッケージを一挙並べた展示は圧巻だ。来場者はここにゴミを持ち込み、分別することもできる。自分が普段利用している商品があちこちに見つかり、「生きることはゴミを出すこと」と否応なく実感することになる。

メイン会場であるエトワール海渡リビング館の1階に展示されている「藤幡正樹:超分別ゴミ箱 2023 プロジェクト」のひとつ。自分たちが普段使いしている商品パッケージがずらりと並んでいることで、「自分が食べた後にでたゴミはどうなる?」と当事者にならざるをえない (写真撮影/片山貴博)

メイン会場であるエトワール海渡リビング館の1階に展示されている「藤幡正樹:超分別ゴミ箱 2023 プロジェクト」のひとつ。自分たちが普段使いしている商品パッケージがずらりと並んでいることで、「自分が食べた後にでたゴミはどうなる?」と当事者にならざるをえない (写真撮影/片山貴博)

東京都立工芸高等学校でのワークショップ自体は夏から開始(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

東京都立工芸高等学校でのワークショップ自体は夏から開始(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

市民がアーティストともに当事者になる

「アート×コミュニティ」も東京ビエンナーレの主な目的だ。
例えば賛助会員は、さまざまな会議やイベントに参加でき、クリエイター、研究者や専門家など、普段接点のない人々との交流も得られる。
ほか、会場の受付、広報やイベントなどサポートのほか、アーティストの作品制作やプロジェクト準備の手伝いもボランティアの手によるものだ。

ボランティアの年齢層は幅広く、さまざまなバックグラウンドを持つ人たち。美術鑑賞が趣味という会社員、街のコミュニティに興味のある社会学を学ぶ学生、まったく縁のない世界だからこそ覗いてみたかったという公務員など。「気分転換、癒されたいという方、経験を通してアートを楽しみたいという方たちがほとんどです。しかしなかには、何度も、それこそ毎週のように参加される方もいて、そうなってくると、もう当事者なんですよね。アーティストや主催者と同じモチベーションに近くなります。協働制作者のような関係なんです」

「Slow Art Collective」のワークショップに参加する正則学園の高校生(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

「Slow Art Collective」のワークショップに参加する正則学園の高校生(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

なかでも天馬船プロジェクトは、最も規模の大きく、関わり方もさまざまだ。
ミニの天馬船一万艘で、常盤橋→日本橋まで日本橋川を流すタイムトライアルのイベントだ。1艘1口1000円の寄付金でミニ天馬船に好きな名前を登録してみるのものも良し、日本橋川を流れるミニ天馬船の眺めを愛でるのもよし、ボランティアとして準備、当日の運営、後片付けなどに関わるのもあり。
「天馬船プロジェクトは、実行委員会から日々の作業まで全てがボランティアの方によって支えられているといっても過言ではありません」
NPO法人、町内会、デベロッパーの担当者――同じ街づくりという同じ分野で違う立場で活動するメンバーがまるで文化祭のようにプロジェクトを盛り上げる経験は、今後の街の未来にも大きな強みになるだろう。参加費用は活動費の助成とともに、河辺の活性化、浄化活動を行う団体への寄付に活用している。

今年の開催は10月29日(日)8時から。写真は去年のプロジェクトの様子。1万のミニチュア和船が流れる様子に、道行く人も足を止める。水運や物流の要だった日本橋川が注目されるきっかけにもなる(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

今年の開催は10月29日(日)8時から。写真は去年のプロジェクトの様子。1万のミニチュア和船が流れる様子に、道行く人も足を止める。水運や物流の要だった日本橋川が注目されるきっかけにもなる(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

「このミニ天馬船にタグを付ける手作業は、地域に暮らす女性たちが手伝いにくれているのですが、おしゃべりしたり、すごく楽しそうですよ」(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

「このミニ天馬船にタグを付ける手作業は、地域に暮らす女性たちが手伝いにくれているのですが、おしゃべりしたり、すごく楽しそうですよ」(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

アートとコミュニティで、社会的課題にアプローチする

アートに触れることで、今直面する社会的課題に気づく契機にもなる。
「コミュニティ・アートやソーシャリー・エンゲイジド・アートと呼んでいますが、美術館という場を飛び出して、観客を巻き込みインタラクティヴな実践を行うことで、社会的な課題に感じることができるはず。見る人が一方的に鑑賞するのではなく、参加者が心を開いて受け止める、その一連のプロセスがアートなんです」
前述の「超分別ゴミ箱2023」では当然、そのゴミの量に圧倒されるだろうし、「天馬船プロジェクト」では、川の汚れ、ゴミの多さに衝撃を受けるだろう。

単発のワークショップだけでなく、それ以前の準備段階からもそれは始まっている。
「そもそも、コミュニティの形成をプロジェクトの主眼とする場合、アイディアや活動そのものを、アートは専門外の参加者が決めていく場合もあります。アーティストが全ての意思決定になるわけではありません。
主導する意思を大切にファシリテートするのがアーティストの役割なんです」

2023年11月3日に神田の路上で開催される「なんだかんだ」。神田錦町の路上を封鎖して道路全面に畳を敷き、「縁日」に。畳があると、のんびり寛いでしまうもの。ワークショップや演劇も開催され、通常では行えないコトが可能になった空間で、普段あまり設定のない人たちとの交流が体験できる。写真は昨年の様子(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

2023年11月3日に神田の路上で開催される「なんだかんだ」。神田錦町の路上を封鎖して道路全面に畳を敷き、「縁日」に。畳があると、のんびり寛いでしまうもの。ワークショップや演劇も開催され、通常では行えないコトが可能になった空間で、普段あまり設定のない人たちとの交流が体験できる。写真は昨年の様子(画像提供/東京ビエンナーレ事務局)

街の歴史をアートで刻み、街の文化を保存する

「歴史と未来」もテーマのひとつ。東京の「記憶」を呼び覚ますことは、未来の可能性を考えることに不可欠だからだ。その舞台となるのが、再開発がどんどん進む東京において、歴史を感じさせてくれる建造物だ。

例えば、もともとは紳士服のディーラーだった海老原商店は関東大震災後の復旧時期に建てられた建物。今年の展示のテーマは「パブローブ:100年分の服」。関東大震災から現在まで100年の間に着られた服を募集し、見るだけでなく「着ることができる」体験型の展示だ。1930年代から2000年代までの服がずらりと並び、本人だけでなく、母や祖母が大切に保管していた服もある。
そして、服にはそれぞれ、その服にまつわる逸話が記されている。その文章をひとつひとつ読むだけで、その服の時代性と、個人個人の物語が浮かび上がってくる。男女雇用機会均等法の黎明期に働きだした女性のスーツ、祖母が祖父のために縫った浴衣、晴れのシーンに特別に誂えたワンピース、曾祖父が戦中に着ていた国民服……。
美術館に飾られているのではなく、実際に袖に手を通すことで、その物語がずっとリアルに感じられる。
職人によって丁寧に縫製されたワンピースは50年以上たった今も現役。ファストファッション中心の廃棄の多いファッション業界を少しだけ見直すきっかけにもなるかもしれない。

一部の展示のみの服を除けば、実際に着ることができる。着たまま街に出かけることもできるので、レトロな街並みと一緒に撮影をする若い世代が多いそうだ(写真撮影/片山貴博)

一部の展示のみの服を除けば、実際に着ることができる。着たまま街に出かけることもできるので、レトロな街並みと一緒に撮影をする若い世代が多いそうだ(写真撮影/片山貴博)

提供してくださった方の祖母が子どものころ、1920年代に着ていた着物、戦中の国民服から、1980年代に大流行していたブルゾンまで(写真撮影/片山貴博)

提供してくださった方の祖母が子どものころ、1920年代に着ていた着物、戦中の国民服から、1980年代に大流行していたブルゾンまで(写真撮影/片山貴博)

千代田区が指定した景観重要建造物である海老原商店(写真撮影/片山貴博)

千代田区が指定した景観重要建造物である海老原商店(写真撮影/片山貴博)

スクラップ&ビルドで変化し続ける東京の街並みのなか、かろうじて残っている歴史的建築物を舞台に、「記憶をつなげる」アートも展開している。
例えば、巨大な顔看板が目立つ「顔のYシャツ」。元は紳士服のオーダー店だが、この看板は60年以上も前から、この神田の街にあるもの。ただ、実はすでに解体が決まっている。

オフィスビルの多い神田の街に突如現れる看板。初代店主の青年時代の似顔絵が元だとか(写真撮影/片山貴博)

オフィスビルの多い神田の街に突如現れる看板。初代店主の青年時代の似顔絵が元だとか(写真撮影/片山貴博)

「目立つでしょう。ここに昔から住んでいる人にとっては、あって当たり前の存在なんですよね。子どものころの思い出に強力に結びついているんです」。取り壊しまでの期間、こうして「誰でも訪れることができる」ギャラリーに。Tシャツやワッペンなどグッズも販売している。実際に使っていた包装紙をモチーフにしたアイテムもおしゃれだ。
古い建物が壊されてしまう流れは止めようもない。しかし、いきなり解体、瓦礫の山になるのではなく、ゆっくり時間をかけて、お別れを言う。そんな猶予を与える役目もあるだろう。

室内は、自分の人生を振り返るような、ひとつずつ言葉を巡るギャラリーに(写真撮影/片山貴博)

室内は、自分の人生を振り返るような、ひとつずつ言葉を巡るギャラリーに(写真撮影/片山貴博)

この「顔」をモチーフにしたTシャツやステッカーなどグッズ化するほか、そっくりコンテストやお面をつけたパーティなども企画(写真撮影/片山貴博)

この「顔」をモチーフにしたTシャツやステッカーなどグッズ化するほか、そっくりコンテストやお面をつけたパーティなども企画(写真撮影/片山貴博)

「とはいえ、“アートに興味がある”人が限定されているのも事実です。ただ、前回ボランティアで参加した方の多くが今回も参加していることから、少しずつ広がっていくんじゃないでしょうか。当初は懐疑的だった協賛企業の方も、実際に利用者の反響を聞いたことで、ぐっと今年は前向きに参加してくださっているケースもあります」
アートは、言葉や年齢を超える力があり、ただ鑑賞する、だけではなく、体験する、参加する行為は、より能動的だ。これらの活動が継続されれば、それだけ街の文化として定着し、アートを媒体としたコミュニティは街の魅力になるだろう。

●取材協力
東京ビエンナーレ

夕付く日に合わせて

所在地:江東区亀戸
8万8,000円 / 37.93平米
都営新宿線「大島」駅 徒歩10分

部屋と同じくらいの広さの、ゆったりとしたルーフバルコニー。リラックスしたり、植物を育てたり、夕日を眺めたり。心地のいい時間を過ごしていただけたら。



部屋は南西向きの角部屋。朝から夕方に日が沈むまで、日照時間がたっぷりと確保されています。



ダイニングの部分はどのように使えるでし ... 続き>>>.
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癖あり物件を攻略せよ

所在地:中野区東中野
16万円 / 60.71平米
都営大江戸線・中央線「東中野」駅 徒歩7分

立地も悪くないし、広い割に良心的な賃料。しかし、いくつかの癖を攻略する必要があるのです。



1つ目はガラス張りの3点ユニット。猫足バスタブがショーケースに飾られているような姿でかわいいのです。トイレも丸見えなので流石に来客時はカーテンを使った方が良さそうですが、普段は開放しておい ... 続き>>>.
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そっと寄り添うように

所在地:渋谷区幡ヶ谷
12万6,000円 / 26.97平米
京王新線「幡ヶ谷」駅 徒歩4分

空へとつながる中庭を中心に、緑に守られているような安心感のある共用部のデザイン。ここで暮らす住人の呼吸が自然と整えられ、植物にも人にも居心地の良さが生まれるよう設計された空間が最大の特徴です。



中長期滞在型のマンションを、豊かな緑に包みこまれた共用部をはじめ、ワークスペース、フ ... 続き>>>.
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ふわり軽やかに

所在地:武蔵野市境
4,600万円 / 80.93平米
中央線・西武多摩川線「武蔵境」駅 徒歩10分

<価格改訂>



なんとのびのび過ごせそうな家なのでしょう。



ワイドなリビングはマンションでは珍しく、南、西、北と三方向に窓があります。一日を通して光や風がよく入り、心地よく軽やかな気分。



そのリビングをぐるっと囲むようにバルコニーがあったり、その先には小さな公園があったりと、 ... 続き>>>.
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竹林を望むデザイナーズ

所在地:大田区北千束
20万円 / 58.73平米
東急目黒線「洗足」駅 徒歩2分

竹がたくさん覆いしげり日陰で涼しげな魅惑の中庭。鳥の鳴き声や川のせせらぎが聴こえてきそうな心地よいデザイナーズ。



一応1LDKという形に属する部屋ですが、大きなL字のワンルームとしても使える、自由さを備えた物件です。取り外しができる可動式の戸、同じく可動式の収納、これらを使い自 ... 続き>>>.
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ニューヨーク人情酒場 酒場の終わりは意外と静かに……「5年続けば奇跡」のNY飲食業界で奮闘した酒場の最後の1日

ニューヨーク人情酒場へようこそ!これは、ブルックリンにある小さな酒場(レストラン)で起こった色んな出来事。
大都会の夜、一杯の酒から始まる人間模様。作者はこのお店で今お寿司を作っているよ。

漫画

恋の終わりは意外と静かに

漫画漫画漫画漫画漫画漫画漫画漫画漫画漫画漫画

人生、どんなドラマチックな出来事も終わる時は意外とあっけなかったりするものです。それがまた虚しさに拍車をかけてきます。

今までいろいろなお店で仕事をしてきましたが、間違いなくこの職場が一番アットホームだったし、同僚との距離も近かったです。英語が第一言語でない人間にとって、日本人以外の人々から本当の意味で対等に扱ってもらえるというのは初めてだったような気がします。それがすごく嬉しかったです。

だからこそビジネスもうまくいってほしかったけど、やっぱり家賃事情など他の州に比べてシビアすぎる面が多く、NYの新規の飲食店は5年以上続けば奇跡といわれています。機材や建物の古さ、業者の杜撰さなど、日本と比べ物にならないほどにコンディションが悪いので、冷蔵庫・冷凍庫の故障や、天井からの雨漏りなどなにか1つでも不具合が出ると業務に長く支障が出ることも。
そんな感じなので、今までいろいろな個人経営のお店で働きましたが、どのお店もオーナーさんの激務ぶりが尋常じゃなく、7日連勤はザラでした。
修理に出したものが戻ってきて即日でまた壊れたり、新品で購入したものが動かなかったり、納品が時間通りに来ないということも日常的に起こるので、オーナーは臨機応変な対応が求められます。結果として、職場の近くに住んでいる人がすごく多かったですね……。

大好きな職場だったからこそ悲しい終わりにはなってしまったけれど、とにかく良い縁に巡り合えたことには心底感謝しています。本当にこのお店で働けてよかったです。
それぞれが違う道を選び、切ないほどにあっけなくバラバラになっていったこのお店。今は、全く様子の違うチャラめなバーに様変わり。諸行無常です。

次回以降、また新たな職探しやNYの生活についての新しいシリーズを始める予定です。お楽しみに!

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。ブルックリンのレストランで週4で寿司ローラーをやっています。

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ノコギリ屋根の家

所在地:横浜市神奈川区片倉
10万7,000円 / 33.22平米
横浜市営地下鉄ブルーライン「片倉町」駅 徒歩5分

住宅街の一角、ジグザグのノコギリ屋根が特徴的な物件をご紹介します。



住戸はメゾネットタイプで上階の屋根が三角形。それが連棟式になっているので、ノコギリ屋根の外観になっています。



室内はコンクリートのパキッとした質感と、木の柔らかい表情がちょうど良い具合に混ざっています。



下 ... 続き>>>.
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アウトドアライフ!【駐車場付】

所在地:世田谷区岡本
25万円 / 70.78平米
東急田園都市線「用賀」駅 徒歩25分

アウトドア好き、車がある、自然を求めていつかは逗子や葉山に住んでみたいかも。



そんな指向性の方に是非見て頂きたい、飛び抜けたメリットと明確なデメリットがはっきりしているこの家は、理想と現実のバランスを差し置いてでも、ここに住みたい!と言ってくれる人が現れるような強い引力を持って ... 続き>>>.
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横からの潤い

所在地:江東区冬木
11万5,000円 / 43.95平米
東西線「門前仲町」駅 徒歩13分

「平久川」の悠然とした流れを、すぐ横に感じながらの生活。



この特等席にある白いレトロマンションが建てられたのは1975年のこと。あと2年で50歳を迎えます。



西、東、南に開口部のあるこの部屋は、窓を開ければ気持ちのいい風が吹き抜けていきます。



内装は年季が入っています。その ... 続き>>>.
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駅近のルーフバルコニー

所在地:新宿区西落合
13万7,000円 / 47.37平米
都営大江戸線「落合南長崎」駅 徒歩1分

駅近のゆったりとしたルーフバルコニーから抜けた景色を眺めて。気持ちのいい風が吹いてきます。



落合南長崎駅から徒歩1分という好立地。都営大江戸線に乗って新宿駅まで13分です。



部屋はシンプルでクセのない内装の2DK。部屋の周りはベランダとバルコニーにぐるりと囲まれていて、日当た ... 続き>>>.
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ノイジーな交錯場【住居】

所在地:横浜市都筑区池辺町
8万4,000円 / 31.5平米
横浜線「鴨居」駅 徒歩9分

JR横浜線「鴨居」駅から少し歩いたところに立つ、建設会社の木材倉庫・加工場・共同住宅が大々的にリノベーションされました。この物件の立つ横浜市都筑区池辺町(いこのべちょう)は中原街道が通り、住宅街のほか、工場・倉庫が多く、物件の徒歩2分のところには「ららぽーと横浜」もあります。第三 ... 続き>>>.
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憎いほどいい物販店舗 in 蔵前【 ウグイスビル 2階区画 】

所在地:台東区蔵前
9万9,000円(税込) / 15.33平米
都営浅草線「蔵前」駅 徒歩3分

1階には「喫茶半月」、「半月焙煎研究所」、古書店「Frobergue」が入居する「ウグイスビル」。その2階の物販店舗区画が空室となり、募集となりました。



国際通りを通るたび、いつも気になっていたビル。

元からある雰囲気を壊すことなく、必要最低限のリノベーション工事をしたのが約3 ... 続き>>>.
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空き家を建築学生らが補修しながら住み継ぐシェアハウス×地域のラウンジに。断熱改修のありがたみも実感!「こずみのANNEX」横浜市金沢区

どの地域も、増える空き家を上手に活用したい思いとは裏腹に、放置されていることが多いのではないでしょうか。国もこの問題をサポートするべく、空き家再生等推進事業や建物改修工事に対する補助金などといった、金銭補助や制度の設立をしています。今回紹介するのは、地域の住民や学生の力を上手に利用して、空き家を新たな拠点として生まれ変わらせたケース。神奈川県横浜市金沢区にある地域のラウンジ×シェアハウス「こずみのANNEX」です。彼らはどのように空き家を街の拠点として蘇らせたのでしょうか。本プロジェクトのキーパーソンである関東学院大学 准教授の酒谷粋将さん、藤原酒谷設計事務所 代表の藤原 真名美さん夫妻を中心にお話を聞きました。

ベッドタウンにある長年放置された空き家を再生

神奈川県横浜市金沢区は、いわゆるベッドタウンと呼ばれる街です。京浜急行電鉄「金沢文庫」駅から徒歩10分ほどの小泉(こずみ)という住宅街の一角にある、築50年の一軒家「こずみのANNEX」。かつては使い道のないまま長年空き家になっていました。2020年から空き家を再生し始めて、現在はコミュニティスペース兼シェアハウスとして地域に開放しています。

住宅街の一角にある築50年ほどの一軒家。元はオーナーの祖父母が住んでいた家(写真撮影/桑田瑞穂)

住宅街の一角にある築50年ほどの一軒家。元はオーナーの祖父母が住んでいた家(写真撮影/桑田瑞穂)

外観はまるで普通の一軒家。しかし塀がなくオープンな敷地は、道路に広い小上がりが面しており、道ゆく人が自由に座ることができるつくりです。例えるならば「誰もが使える縁側」という感じでしょうか。

空き家再生の際に、新たにつくり上げた小上がり。玄関ではなく、ここからふらっと室内に入る人が多いのだとか(写真撮影/桑田瑞穂)

空き家再生の際に、新たにつくり上げた小上がり。玄関ではなく、ここからふらっと室内に入る人が多いのだとか(写真撮影/桑田瑞穂)

靴を脱いで小上がりから家の中に入ると、1階リビング部分はキッチンを中心としたコミュニティスペースが広がります。そのほかにも1つの居室と、洗面所にシャワースペース、そして2階は2つの居室があります。私たちが訪れたこの日は、これまで活動を共にしてきた小泉町内会の方々が中心となったグループがスペースを使用中。来たるイベントに向けた試食会を実施していました。

特徴的なのは、3つの居室それぞれに、地域の学生3名が住んでいること。彼らはこの家に住みながら補修をし続けているのです。
「こずみのANNEX」プロジェクトを推進する、関東学院大学 建築・環境学部 建築・環境学科 准教授の酒谷粋将さんは「家の修復に終わりはありません。いつまでも直し続け、模索をするのがコンセプトです」と話します。

関東学院大学 准教授の酒谷粋将さんと藤原酒谷設計事務所 代表の藤原 真名美さん夫妻(写真撮影/桑田瑞穂)

関東学院大学 准教授の酒谷粋将さんと藤原酒谷設計事務所 代表の藤原 真名美さん夫妻(写真撮影/桑田瑞穂)

家のオーナーは、金沢文庫エリアで不動産賃貸業を営む、フードコーディネーターの平野健太郎さん。かつては関東学院大学を中心とした、多数の学生が下宿をしていたエリア。しかし学生の減少、居住者の高齢化による人口減少の影響で、このエリアに空き家が増えていることに課題を感じていました。なかでも、放置されている一戸建の空き家をどうしていくか考えあぐねていたそうです。

2019年4月のこと。平野さんがオーナーであるコンセプトハウス「八景市場」に、酒谷さんと藤原さんは一家で引越してきました。すぐに意気投合した3人。すると平野さんから酒谷さん・藤原さんに「空き家があるんだけど、何かいい活用ができないか?」という相談をもらいました。

「これは学生にとって壮大な実験ができるかもしれない」そう思った酒谷さんは、自身の研究室に所属する学生と藤原さんが代表を務める設計事務所との連携のもと、空き家を改装するプロジェクトを開始しました。

ゼミ生たちを中心に、毎年テーマを変えて補強と補修をする

2020年10月から空き家改装のプレ期として、まずは躯体の補修作業を開始します。何しろ築50年の家ですから、耐震補強をしなくては安全に過ごせません。運営メンバーや学生が解体及び改修作業に臨むほか、小泉町内会の住民の方々を交えたワークショップを定期開催することで、作業を進めていきます。

梁の補強をした1階のコミュニティスペース部分。貸出をしていない時間帯は、学生の居間としても使用される(写真撮影/桑田瑞穂)

梁の補強をした1階のコミュニティスペース部分。貸出をしていない時間帯は、学生の居間としても使用される(写真撮影/桑田瑞穂)

「もちろん、大きな梁の補修などは、専門の工事業者に依頼しましたが、それ以外のできることは運営メンバーや地域の住民の方々と一緒に自分たちの手で行いましたね」(酒谷さん)

耐震補強後は2023年の現在に至るまで、毎年運営メンバーらによる話し合いの中でどこをどんな形で改修するのかテーマを設定して遂行していきます。
2021年には、それまで壁だった場所に、新たに窓を設置するワークショップを実施するほか、1階・2階にあった部屋の個室の壁や扉、押し入れなどを改修。翌22年のテーマは、主に1階リビングの床の張り替え作業。さらに古い家ゆえこれまで設置されていなかった、断熱材を追加導入しました。

かつて居住した学生による落書き(写真撮影/桑田瑞穂)

かつて居住した学生による落書き(写真撮影/桑田瑞穂)

23年度は家の中から飛び出し、主に外構部や庭部分の改修をテーマとしました。小上がりや、植物用をつるすための藤棚を作成、さらに庭の土を掘り起こし、菜園用に仕立て直す作業を行っているそう。訪れた日も、ちょうど居住する学生が庭いじりの真っ最中でした。

さて、この改修作業。いったいどうやって費用を工面したのでしょうか。酒谷さんは、「あらゆる面から資金を調達した」と話します。

一見なんてことのない窓も、壁に穴を開けて窓を設置するところから全て運営メンバーが自ら行った(写真撮影/桑田瑞穂)

一見なんてことのない窓も、壁に穴を開けて窓を設置するところから全て運営メンバーが自ら行った(写真撮影/桑田瑞穂)

2階にあるベランダで朝ごはんを食べる時間が至福なのだそう(写真撮影/桑田瑞穂)

2階にあるベランダで朝ごはんを食べる時間が至福なのだそう(写真撮影/桑田瑞穂)

まずは、オーナーである平野さんの自己資金、そして金沢区空き家等を活用した地域の「茶の間」支援事業補助金、なにより横浜市による、ヨコハマ市民まち普請事業令和3年度の申請にて採択されたことが大きいそうです。

「運営メンバーで何度も練習を重ねてプレゼンテーションに挑み、無事審査を通過することができました。おかげで500万円の資金をいただけたため、とても助けられています」(酒谷さん)

ヨコハマ市民まち普請事業を採択された証(写真撮影/桑田瑞穂)

ヨコハマ市民まち普請事業を採択された証(写真撮影/桑田瑞穂)

2階の居住スペース。ここに住む学生いわく、天井を抜いて空間の広さを優先したらしい(写真撮影/桑田瑞穂)

2階の居住スペース。ここに住む学生いわく、天井を抜いて空間の広さを優先したらしい(写真撮影/桑田瑞穂)

もちろん、オープンしてからの費用や運営面も課題です。しかしそこは、居住者の家賃と、1階リビング部分のコミュニティスペース利用料にてまかないます。
3つの居住スペースは、同大学の学生が居住しています。一部屋の家賃は30,000円ですが、3人のうち1人は5000円家賃を安く設定。家賃負担が少ない代わりに、この家の家守として共用部の管理を担っているのです。このように日常の運営管理面も安心して維持されています。
利用者が支払う家賃はオーナーさんの収入。共用部の使用料は運営資金に充てられます。

補修しながら暮らす、生きるか死ぬか実験の毎日

一見すると酒谷さん、藤原さんはボランティアのようにも見えます。しかし二人は「その代わりに、この場所を自分たちを含めた運営メンバー全体で、地域活動の拠点や様々な研究の対象として大いに利用させてもらっているのだから損はない」と話します。

例えば建築の温熱環境が専門の、同大学山口研究室との協働で取り組んだ「空き家の断熱改修」に関する研究。断熱材があるかないかによって、どの程度室内の快適さが変わるのかといった実験を行いました。入居する同大学院1年生の飯濱由樹さんは、

「実験途中に入居開始したのですが、まだ断熱材も入っていませんでした。とにかく寒くて、そしてとんでもなく暑かった。ただのボロい屋根のある家だけの場所に住んでいる感じでしたね。家に住んでいるのに、冬は寝る時にシュラフにくるまらないと寝れない。まるで山籠りをしているかのよう。生命維持するのが大変でした(笑)」と当時を振り返ります。

断熱材導入に取り組んでいた際は、室温を常に計測して経過観察していた(写真撮影/桑田瑞穂)

断熱材導入に取り組んでいた際は、室温を常に計測して経過観察していた(写真撮影/桑田瑞穂)

断熱材を設置してからは、保温性が増し、現在はシュラフを脱して寝られるようになりました。その時に断熱材のありがたみを身をもって実感したそうです。夏場は、屋根の内側にどんな素材を仕込むと一番遮熱の即効性があるのか、といった遮熱の実験にもトライしたそう。

現在、飯濱さんが居住している部屋。歴代居住する学生たちが内装もDIYしてきたので、快適な室内に。余裕でくつろげる(写真撮影/桑田瑞穂)

現在、飯濱さんが居住している部屋。歴代居住する学生たちが内装もDIYしてきたので、快適な室内に。余裕でくつろげる(写真撮影/桑田瑞穂)

「グラスウールを詰めたり、打ち水をしたりと手軽にできて最も環境改善の効果があるのは何か?と体をはって実験しましたね」(酒谷さん)

まるで、サバイバルゲームのような日々だが、それでも学生たちにとって、この暮らしはとても楽しいのだと口をそろえて話します。

「必死に生活しているように見えるかもですが、この生活を気に入っています。先生や研究室のメンバーがここに、ふらっと訪れてくるから、学校に行かずともすぐに悩みや疑問が解消できるんです。家を直す過程で悩んだこと、授業のこと、就職活動のことなどあらゆる聞きたいことが聞けるのは嬉しいです」(飯濱さん)

この秋学期に卒業した長橋佳穂さんも、この家の面白さを語ります。

「座学で建築の勉強をし、模型の作成や図面を設計しても、実際に体を使って創作する経験はめったにありません。だからこそ、この場を使って家を補修できることは貴重な経験なのです」

酒谷さんも長橋さんの言葉に同意します。

「私も学生の頃、たくさん図面は描いたけれど、実は具体的なモノを扱い、手を動かす機会はほとんどなかったのです。いろんな工具や器具に触れてみることで、図面で起こしたことがどのようにして形になるのか、初めてわかるようになりましたね。今の自分にも大いに学びがあります」

地域に開かれるようになった現在とこれから

2020年の改修作業後、地域住民との接点も少しずつ増えていきました。はじめはオーナー平野さんが運営するコンセプトハウス「八景市場」でのマルシェやワークショップなどを通じて、「こずみのANNEX」のことを知ってもらいました。また、「こずみのANNEX」も町内会に加入してからは、地域の高齢者の方、若い夫婦と子どもたちにも訪れてもらえるように。

シェアスペースでは、朝から近所の高齢者グループの人たちが次々と顔を出し、わいわいと地域の食事会のリハーサル(写真撮影/桑田瑞穂)

シェアスペースでは、朝から近所の高齢者グループの人たちが次々と顔を出し、わいわいと地域の食事会のリハーサル(写真撮影/桑田瑞穂)

歩いて5分ほどの場所に、藤原さんと酒谷さんが主宰する建築事務所を設置したことも功を奏しました。

「私たちが近所で暮らして、仕事して、いつでも顔や姿を見せられるのが良い関係を育めているのだと感じます。これがもっと離れた距離で暮らしていたら活動に対しての理解度が随分違ったように思いますね。私たち家族も、学生も、あの場所をリビングや遊び、実験の場代わりにしている。
ゆるやかに地域の人が出入りし、第二の我が家のように使ってくれて、なんとなく人のつながりができていく経験がいいなと感じています」(藤原さん)

酒谷研究室の学生と、酒谷さん藤原さん一家が集った一枚。彼らにとって1階のシェアスペースは、リビングのような場所だそう (画像提供/酒谷さん、藤原さん)

酒谷研究室の学生と、酒谷さん藤原さん一家が集った一枚。彼らにとって1階のシェアスペースは、リビングのような場所だそう (画像提供/酒谷さん、藤原さん)

建物の使い道が、学生たち用の居住がメインだと、いつか卒業を迎え、仕組みが途切れないか心配になります。しかし、今後ここを継続させるために、地域との関わりに強い関心を持つ学生が必ず住み続けることを念頭に入れているそうです。そうすることでオーナー及び居住する学生、街の人との関係性が途切れないといいます。
「例えば建築を学ぶ学生に限らず、街の活動を通じて知り合った学生がここに住むというのも選択肢の一つです。この活動に興味を持った人ならいつでも参画してほしいなと思います」(酒谷さん)

誰か一人が無理をするのではなく、街に関わりたい人、関わる人がみんなで支え合う。こうして有機的な活用ができるのがこれからの空き家活用の理想なのかもしれません。

●取材協力
・こずみのアネックス
・関東学院大学建築・環境学部酒谷研究室
・藤原酒谷設計事務所

みんなの小さな宇宙

所在地:横浜市西区西戸部町
6万円 / 22平米
相鉄線「西横浜」駅 徒歩16分

野毛山動物園から少し歩いた普通の住宅地。普通といっても、ここは横浜。坂を上ったり、下ったりは当たり前で、ここはさらに道が狭く、見通しも悪かったりする、そんなところ。



そんな住宅地に“小さな宇宙”を見つけてしまいました。



そこは、外でもあるし、中でもある。自分の居場所でもあるし ... 続き>>>.
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集中、集中。

所在地:港区高輪
11万9,000円(税込) / 21.75平米
山手線「品川」駅 徒歩9分

落ち着きのある内装のコンパクトなオフィスが、品川駅徒歩9分の所にあります。



天井は抜いて、かなり暗めのグレーで塗装。窓に向かって3本のライティングレールが設置してあります。



北側の壁には、これまた暗い色味のネイビーのアクセントクロス。写真では分かりにくいですが、その他の壁には ... 続き>>>.
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キラリと光る原石

所在地:目黒区上目黒
22万円(税込) / 48.6平米
日比谷線・東急東横線「中目黒」駅 徒歩5分

中目黒駅から歩くこと約5分。目黒川沿いを少し入った通りに立つ建物の3階。店舗としても事務所としても利用可能な、キラリと光る原石を発見してしまいました。



路面区画にこだわらないという方にとっては、駅からの近さ、内装の雰囲気、現実的な賃料と、なかなか見かけないバランス感の物件かもし ... 続き>>>.
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圧倒的日当たりの部屋

所在地:世田谷区等々力
16万円 / 59平米
東急大井町線「等々力」駅 徒歩2分

芸術家のアトリエみたいな広くて開放的なワンルーム。これだけ光を浴びるお部屋にいれば、ちょっとやそっとの悩みはどうでも良くなりそうです。



間取りは潔いワンルーム。約26.5畳の広々空間と大きな窓の組み合わせは開放感があります。向かいに見えるのは区民館。植栽が多くて目に優しい外観で ... 続き>>>.
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省エネ先進県・鳥取、中古住宅の省エネ性能を資産価値として評価! 「築22年以上の住宅も価値がゼロにならない」評価法を来年4月スタート

住宅は築22年以上になると価値がゼロになる――。そんな古い慣習を日本からなくしてしまうかも知れない委員会が今、鳥取県で開かれています。その名は「鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会」。高気密・高断熱の住宅価値が高まる評価プログラムづくりを目的にしたもので、別に古い慣習を打ち破ってやろうという、血気盛んな人々の集まりではありません。鳥取県が、県民の豊かで健康な暮らしのために、設置した委員会です。

始まりは国の基準より高い高断熱・高気密の住宅促進から

同委員会を紹介する前に、まずは鳥取県がこれまでに取り組んできた住宅に関する施策について説明しておく必要があります。

令和2年(2020年)から、鳥取県は「とっとり健康省エネ住宅普及促進事業」をスタートさせました。独自に国の基準より高い、家の「断熱」と「気密」の性能基準「NE-ST」を設け、NE-STを満たす家づくりを推奨・助成するという事業です。

■関連記事:
「日本の省エネ基準では健康的に過ごせない」!? 山形と鳥取が断熱性能に力を入れる理由

ちなみに「寒い北海道や東北地方でもない鳥取県がなぜそこまで?」と思う人もいるかもしれませんが、同県のシンボルである大山(だいせん)にスキー場があるように、冬になれば雪が積もる地域です。そして2014年時点(※)では、冬季の死亡増加率割合が全国の都道府県でワースト16位だったのです。

※慶応大学の伊香賀教授が、厚生労働省の2014年人口動態統計に基づいて月平均死亡者数を比較し、冬季(12月~3月)死亡増加率を算出(出典/慶應義塾大学 伊香賀研究室提供資料)

だいせんホワイトリゾート(写真/PIXTA)

だいせんホワイトリゾート(写真/PIXTA)

死因のすべてが、冬に多いヒートショックによって引き起こされる心疾患や脳血管疾患等とはいいませんが、少なくとも家の断熱・気密性能を高めれば、こうした疾患を防ぎやすくなります。

こうして始まった新築住宅へのNE-STの認定制度。「国の基準より高い」と述べましたが、ではどれくらい高いのかというと、下記表のとおりです。

(出典/鳥取県庁公式ホームページ「とりネット」)

(出典/鳥取県庁公式ホームページ「とりネット」)

※断熱性能(UA値):建物内の熱が外部に逃げる割合を示す指標。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネ性能が高い
※気密性能(C値):建物の床面積当たりの隙間面積を示す指標。値が小さいほど気密性が高い
※ZEHは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略。断熱化による省エネと太陽光発電などの創エネにより、年間の一次消費エネルギー量の収支をプラスマイナス「ゼロ」にする住宅をいう

令和2年7月からNE-ST認定住宅の助成が始まりましたが、鳥取県住宅政策課企画担当の槇原章二さんによれば「初年度である令和2年(2020年)度は、新築の木造一戸建てにおけるNE-ST認定住宅の割合は約14%でした。それが令和4年度(2022年4月~2023年3月)には約31%まで伸びています」。つまり、施主の3人に1人はNE-STを建てたことになります。

またNE-STを建てるには県に登録された工務店等に依頼しなければなりませんが、「現在は県内の住宅供給者の約8割がNE-STの登録事業者です」(槇原さん)。要するに、認定されていない事業者を探すほうが難しいほどになっています。

新築だけでなく既存住宅に対しても認定&補助金制度を拡充

もちろん、住宅は新築ばかりではありません。既存住宅に対してもNE-ST同様の高断熱・高気密化のリフォームを促す「とっとり健康省エネ住宅改修支援事業補助金」制度が令和4年(2022年)7月から始まりました。

こちらは、上記「NE-ST」の「T-G1」基準同等の断熱リフォームを行った既存住宅を「Re NE-ST」認定住宅として助成するだけでなく、住宅の一部のみ「T-G1」基準同等の断熱リフォーム(ゾーン改修)を施したり、国の省エネ基準をクリアする断熱リフォーム(国省エネ基準改修)を行った場合のみでも、県が助成してくれる制度です。

工事費および補助金額の高い順に“「Re NE-ST」>ゾーン改修>国省エネ基準改修”となる(出典/鳥取県庁住宅政策課)

工事費および補助金額の高い順に“「Re NE-ST」>ゾーン改修>国省エネ基準改修”となる(出典/鳥取県庁住宅政策課)

「住宅全体をRe NE-ST基準まで引き上げるには、やはり家全体を改修すると費用がそれなりにかかります。そこで、予算やライフスタイルに応じた省エネ改修がしやすいようにしました」(槇原さん)

例えば「子育てを終えて今は夫婦2人で暮らしているので、2階はあまり使っていない」といった場合などは、老後の快適な暮らしを考えて、普段生活をする1階だけRe NE-ST基準まで改修して費用を抑える「ゾーン改修」を選ぶことができます。

さらに賃貸住宅についても、NE-STの基準を満たせば、新築・改修を問わず賃貸住宅のオーナーに対して助成が施されます。

「健康的な暮らし」の好サイクルを「古い慣習」が阻んでいた!?

確かに、こうやっていけば鳥取県民が豊かで健康的に暮らせそうです。とはいっても、新築でもリフォームでも、性能の高い家を建てようとするとそれなりに費用はかさみます。施主にとっては、この先の暮らしに“投資”することになります。

ところが現状の建物の評価方法では、木造住宅の場合、築22年で価値がゼロになってしまいます。税法上の木造住宅の減価償却年数が22年なのですが、この数字が建物の評価にも慣習的に使われるようになったためだといわれています。

つまり、せっかくお金をかけて快適な自宅を建てた(あるいはリフォームした)としても、22年たてば何もしていない住宅と価値が同じだと評価されてしまうのです。これでは費用のかかるNE-STを建てたり、Re NE-ST改修を行おうという意欲を削ぎかねません。

「従来の建物の評価方法は、築年数と床面積で評価され、性能や改修が評価されにくかったのですが、例えばアメリカでは、改修などの投資が資産価値に反映されます。」(槇原さん)

国土交通省「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル平成25年度報告書」より。アメリカでは住宅投資額の累計(グラフの赤い折れ線グラフ)と住宅資産額(青い棒グラフ)が比例しているのに対し、日本では比例していないことが一目瞭然。アメリカと日本の差額を国土交通省は「失われた500兆円」と表現している(出典/国土交通省「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル 平成25年度報告書(案)」)

国土交通省「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル平成25年度報告書」より。アメリカでは住宅投資額の累計(グラフの赤い折れ線グラフ)と住宅資産額(青い棒グラフ)が比例しているのに対し、日本では比例していないことが一目瞭然。アメリカと日本の差額を国土交通省は「失われた500兆円」と表現している(出典/国土交通省「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル 平成25年度報告書(案)」)

上記の国土交通省がまとめた報告書「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル平成25年度報告書」の資料では、アメリカでは「大規模なリフォーム投資も住宅投資・資産額に反映」されているのに対し、日本はリフォームしてもそれが「住宅投資・資産額に織り込まれ難い」と指摘しています。

「これでは、何をやっても築22年で価値がゼロになる住宅を建てるために、多くの人が35年ローンを組んでいることになってしまいます」(槇原さん)

費用をかけただけ住宅の価値を高める「鳥取県版評価法」

NE-ST/Re NE-STを推進したい鳥取県としては、こうした現状の評価方法を何とか変えられないかと考えるのは当然の流れ。そこで集められたのが冒頭の、「鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会」というわけです。

(写真提供/鳥取県)

(写真提供/鳥取県)

委員長には、NE-ST基準の設定以来携わっている慶応義塾大学の伊香賀俊治教授が就任。また優良住宅部品(BL部品)認定事業や、住宅の部品・部材等の評価・試験などを行っているベターリビング住宅・建築評価センターの斉藤卓三氏といった面々が加わっています。

なかでも注目したいのは、鳥取県宅地建物取引業協会長の長谷川義明氏と全日本不動産協会鳥取県本部長の細砂修二氏というように、実際に住宅の売買を担う不動産業界の大手2団体からも参画を得ていることです。せっかく評価プログラムを作成しても、それを使ってもらわなければ意味がありません。その点、大手2団体が委員会として推進していく立場であることは、大きな意味を持っているといえます。

同委員会が鳥取県とともに目指すのは、下記のような独自の「鳥取県版評価法」です。

従来評価法と鳥取県版評価法の比較

鳥取県版では、従来は評価されにくかったリフォームや住宅の性能についても評価できるようにしようと考えている

上記表内にある「目標使用年数」とは、従来の減価償却年数に変わるものと捉えるとわかりやすいでしょう。例えば木造(木造軸組工法)の場合、旧耐震基準で建てられた住宅の躯体の目標使用年数を40年とし、新耐震基準なら50年、2000年耐震基準(※)なら60年、という具合に、耐震性の高い住宅は資産価値が高いことを示す「目標使用年数」を定めていくのです。

※2000年耐震基準とは、阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことから、特に木造軸組工法に関して厳しい基準を設けた耐震基準のこと。現行の耐震基準とよく呼ばれている。

従来評価法と鳥取県版評価法の経年による評価の違いのイメージ

上記は、従来の評価法なら22年で価値がゼロになるが、新築時に性能の高い住宅を建てれば60年で価値がゼロになることを示す。またリフォームやインスペクション(建築士や住宅診断士などの専門家が、住宅の劣化レベルなどを診断すること)によってはさらに価値が長く残る(出典/鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会(第1回)資料)

上記は、従来の評価法なら22年で価値がゼロになるが、新築時に性能の高い住宅を建てれば60年で価値がゼロになることを示す。またリフォームやインスペクション(建築士や住宅診断士などの専門家が、住宅の劣化レベルなどを診断すること)によってはさらに価値が長く残る(出典/鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会(第1回)資料)

また上記を見れば、住宅の性能を高める投資(初期投資費用やリフォーム費用)を行うほど、資産の“延命”が図られることがわかると思います。

下記を見れば「お金をかけて性能・品質のよい家を建てると、資産価値が高まる」ことがよりイメージしやすいでしょう。

評価のイメージ(築12年の木造住宅(木造軸組工法)の場合)

上記表のように、水まわり設備や電気設備なども評価の対象だ。また台所設備に表の普及品より性能の高い高級品を備えていると、住宅の価値に反映される仕組みになっている(出典/鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会(第1回)資料)

上記表のように、水まわり設備や電気設備なども評価の対象だ。また台所設備に表の普及品より性能の高い高級品を備えていると、住宅の価値に反映される仕組みになっている(出典/鳥取県版住宅性能等評価指針策定検討委員会(第1回)資料)

上記表内の「残存年数」とは、「目標年数(目標使用年数)」から築年数を引いた数字になります。例に取り上げられているのは、2000年耐震基準で建てられた築12年の木造住宅ですから、目標使用年数60年-築年数12年=48年が「残存年数」となります。

また「グレード補正率」とは、グレードの高い装備の場合は価値が高いと評価されるようにした指標で、例えば表内では壁に普及品のビニルクロスが使用されているので、グレード補正率は100%ですが、高級な壁クロスの場合は割増しするなどして、その価値の高さが評価額に反映されるようになります。

ちなみに、実際にある住宅を鳥取県でシミュレーションしてみたところ、下記のように実勢価格と大きなズレはないものの、微妙な差がありました。

実勢価格との差額

いずれも仕様は中級品とし、リフォーム履歴はなしとしてシミュレーションした場合

この差額について槇原さんはこう話します。「実際に取引される価格は建物だけでなく、周囲環境など立地の条件や、これまでの販売実績などから建物価格が算出されるでしょから、鳥取県版評価法よりも高かったり、低かったりしているのだと思います」

別の見方をすれば、現状は築22年以上の建物の価値はゼロ、あとは立地と、ここならこれくらいで売れるだろうという、買い手と売り手の間に立つ不動産会社の“長年の経験値”から価値が決まっているということ。ですから売り手も買い手も、本当にこの金額が適正なのか、判断しようがありません。

しかし鳥取県版評価法を使うと、しっかりと建物の価値を売り手/買い手が理解した上で、立地条件を考慮して、両者も納得の、少なくとも売り手としてはわが家の価値を把握した上で売りに出すことができます。

今後の鳥取県版評価法を定める流れとしては、建築や不動産などの関係団体と鳥取県でコンソーシアムを組織し、実務者によるワーキングを開催して、そこで評価の指針や評価プログラムなどを詰めていきます。それを元に今度は先の委員会に諮り、最終的にコンソーシアムが定めていくというイメージです。

また、こうした鳥取県版評価法を実際に不動産会社に使ってもらえるよう、なるべく簡単に操作できる評価システムを用意しなければなりませんが、それは一般社団法人建物評価研究機構の「THK住宅査定システム」をベースに同機構と県及び関係団体の協働により製作します。

県民が健康に暮らすようになれば鳥取県は実入りが増える!?

こうして見てくると、鳥取県の取り組みは、国が行っても不思議ではない内容です。確かに県民のために性能の高い住宅を普及させたい、そのためには性能の高い住宅をきちんと評価できる仕組みが必要だ、というのはわかりますが、だからといって、なぜ鳥取県がここまで行うのでしょうか。

「まず1つは、NE-ST/Re NE-STが普及することで地場産業が活性化するため、県としては税収の増加につながります。リフォームでいうと、従来は100万~200万円のリフォーム費用が多いイメージでしたが、Re NE-ST認定住宅の平均工事費はだいたい2000万円くらいです。昨年から始まったばかりなので、まだ事例件数は10件ほどですが、こういった大規模なリフォームにより市場が拡大してきていることは大きいと思います」(槇原さん)

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

しかも、新築と比べてリフォームに携わる事業者は県内企業が多いので、より地場産業の活性化につながりやすいそうです。それに、高断熱・高気密の住宅で多くの県民が暮らせるようになれば、長い目でみると医療費の削減にも繋がるのではないでしょうか。

「また、空き家問題の解消にもなるのではないかと期待しています。現在は、子どもが成長して家を離れても、たいていは夫婦2人であまり使わない2階を抱えたまま、最後まで暮らします。なぜなら従来の評価方法では、たとえNE-ST認定住宅だったとしても思うような金額にならないので、移り住むことは難しいからです」(槇原さん)

しかし、鳥取県版評価法によって資産価値が高まれば、自宅の売却益を元手に老後の2人の生活に合った住宅に移り住むことができるかもしれません。

「一方の買い手としては、新築住宅はハードルが高いといった若い世代が考えられます。これから子育てなどでお金がかかるため、なるべく出費を抑えたい彼らが、NE-STの中古住宅の購入や、中古住宅を買ってRe NE-STするなら、と考えてくれるかもしれません」(槇原さん)

そんな風に、ライフステージに応じた住み替えが進んで行くのでは、と槇原さんは期待しています。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

「さらに、こうして住宅の寿命が延びることで、解体による廃棄物の抑制につながれば、SDGsでもあると思います」(槇原さん)

こうした鳥取県の取り組みに対し、既に全国の工務店などから問い合わせが多数あるそうです。「やはり性能の高い住宅をつくっている事業者は、自分たちの仕事をしっかりと評価してほしいと思っているのではないでしょうか」(槇原さん)

なかには「指針にはこんなことを盛り込んでほしい」など、メッセージを寄せる工務店もあるのだとか。これを機に各地で工務店レベルからのボトムアップが起これば、他県でも鳥取県同様の施策が行われるかもしれません。「他県で鳥取県版評価法を使いたい場合は、建物評価研究機構のシステムが使用できます」(槇原さん)。そうなれば、全国から「築22年以上だから価値はゼロになる」という古い慣習が消える日も近いのではないでしょうか。

鳥取県では来年の4月から鳥取県版評価法の運用を開始する予定。果たして古い慣習の消滅が始まるのでしょうか? 期待を込めて注目しましょう。

●取材協力
鳥取県
●関連サイト
鳥取県建築物環境総合性能評価システム「CASBEEとっとり」

大好きなパン屋と猫足と

所在地:大田区北千束
8万7,000円 / 22平米
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素直に気持ちいいと思える明るさと、ほっと落ち着ける内装。タイミング悪く外壁の改修工事中でしたが、養生シートや足場が取り払われたら広い空も楽しめるリノベ物件です。



オーナーから聞いた話によると、若手の大工さんがリノベーションを手掛けたとのこと。1Kの室内は、足裏に伝わる無垢フロ ... 続き>>>.
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ここに庭があるだけで

所在地:渋谷区代々木
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都心にもかかわらず専用の庭を望める、大きなL字のワンルーム。



初台駅から徒歩7分、参宮橋駅からは5分と都心のいいとこ取りな立地で庭を持てるというのがこの部屋の嬉しいポイント。



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グッドマンションは突然に

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いつか募集に出ないかなと、待つこと数年。ついにご紹介できる機会がやって参りました。久しぶりにこの ... 続き>>>.
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走れ!高円寺

所在地:杉並区高円寺北
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窓の外に広がる、高円寺の街を一望できる清々しい眺望!



部屋は東向き。日の光が朝からたっぷりの部屋に入ってきて、すっきりとした目覚めを迎えられることは容易に想像がつきます。



間取りを見ると和室を寝室にするイメージが湧きますが、朝の目覚めを考えると洋室のほうにベッドを置くのもアリ ... 続き>>>.
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