“元日新国立”の主役となった神戸FW藤本「持ってると思います」

「ノリアキ」を意味する『Nポーズ』を見せるヴィッセル神戸FW藤本憲明
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 “開幕男”で“鹿島キラー”。ヴィッセル神戸に悲願の初タイトルをもたらしたのは、昨年ブレイクを果たした遅咲きストライカーだった。「持ってます。持ってると思います」。FW藤本憲明は大勢の報道陣に囲まれながら、自らの「ラッキーボーイ」っぷりを誇った。

 舞台装置は十分に整っていた。元日決勝は新国立競技場のこけら落とし。対戦相手は今季2試合3ゴールを挙げてきた鹿島アントラーズ。これまでJFL、J3、J2、J1全カテゴリの開幕戦でゴールを記録してきた“開幕男”が、2020年の幕開けを告げる天皇杯決勝で輝きを放った。

 まずは前半18分、左サイドでボールをかっさらったFWルーカス・ポドルスキが強烈な左足シュートを放つと、GKクォン・スンテが弾いたボールがゴール前の混戦にぶつかり、そのままゴールネットに吸い込まれた。ボールは誰に当たったか微妙だったが、場内にコールされたのは混戦内にいた藤本の名。その時点で、記念すべき新国立第1号ゴールとなった。

 ところが後にこの得点はオウンゴールに訂正され、第1号ゴールは幻に。それでも前半38分、藤本はMF西大伍の右クロスがDF犬飼智也のクリアミスを誘ったのを見逃さず、軌道が変わったボールをワンタッチで押し込んだ。VARチェックこそ入ったが、今度こそ正真正銘のゴール。新国立での初得点は逃したものの、栄えある最初の得点者となった。

 前半のうちに2点をリードした神戸は後半、相手のシステム変更によって一気に劣勢を強いられた。それでも守備陣がしぶとく耐え続け、一度もゴールを許すことなく試合終了の笛。「ゼロで終わってくれたGK含めたDF陣に感謝したい」(藤本)。途中交代していた背番号9は真っ先にピッチ内の仲間たちに駆け寄り、歓喜の輪に加わった。

 大舞台で2点に絡んだ藤本だが、いずれも捉え方次第ではラッキーゴール。自身も試合後の場内インタビューで「ラッキーボーイです!」と高らかに宣言した。しかし、そうしたゴールセンスもストライカーにおいては重要な資質。試合後の囲み取材では「持ってます。持ってると思います。ただああいうところに走り込んだり、そういう場所にいることが重要」と矜恃も見せた。

 近畿大を卒業した2012年に当時JFLの佐川印刷SCで社会人キャリアをスタートし、4年間は社業との兼務生活を続けていた苦労人。そこから2年連続でのJ3得点王に輝いた鹿児島ユナイテッドFC、自身の活躍でJ1昇格に導いた大分トリニータと一歩一歩ステップアップしてきたが、成り上がりの秘訣は「何とかなる精神」と悲壮感はない。

 この日も、人生のターニングポイントを報道陣に問われて「全部です」と即答。「ステップアップしてきたところが全てがターニングポイントで、自分にとって大事なところ。これというところはない。日々自分がレベルアップして、努力してきたことが結果につながった」と自らの苦労話を誇るでもなく、目の前の環境に腐らず向き合い続けてきた姿勢を表現していた。

 何よりそうした真摯な取り組み方こそが、藤本を現在の立場に導いたのであろう。「これからもそういうことを続けて、もっともっと選手としてレベルアップしていきたい」。来季はAFCチャンピオンズリーグで初のアジア挑戦も決定。プロ生活4年目を最高の形で終えた30歳はなおも進化を遂げていく。

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

「初出場初優勝」「ドリブルの技術を全国で」興國の金沢内定コンビ、MF田路と右SB高安が選手権での勝利と活躍誓う

注目の初出場校・興國高の金沢内定コンビ、MF田路耀介主将(右)と右SB高安孝幸
 注目の初出場校が、初優勝へ向けて大一番からスタートを切る。第98回全国高校サッカー選手権は1月2日に2回戦が行われる。大阪の初出場校・興國高は前評判の高い昌平高(埼玉)と初戦。攻撃的なスタイル同士、撃ち合い必至の強豪対決を制し、勢いに乗る。

 興國はいずれもツエーゲン金沢入りを決めているMF田路耀介主将(3年)と右SB高安孝幸(3年)をはじめ、1年後のJ1クラブ加入が有力視されているGK田川知樹(2年)とエースFW樺山諒乃介(2年)、またU-17日本代表FW杉浦力斗(2年)や大会トップクラスのMF湯谷杏吏(2年)、CB平井駿助(2年)ら攻守にタレント揃う“最強クラス”の初出場校だ。

 選手たちは、12月30日の開会式で選手権の雰囲気を体感。他地域の注目選手たちの姿を見つけ、彼らとの対戦へ思いを馳せていた。金沢ですでにJ2デビューしている高安と長期の練習参加を経験している田路だけでなく、タレント揃いの2年生はJリーグクラブに練習参加している選手が多く、リラックスした表情。まずは注目の初戦へ、必勝を誓った。

 田路は「自分たちも注目されているという気持ちがあるので、その中でも緊張せずに自分たちが楽しんで、初戦勝てば勢いに乗って上に行けると思うので、まずは初戦を大事にしてしっかりと勝ちたいと思います」と宣言。高安は「(注目されていることを考えずに)目の前の一戦をしっかりと勝たないと。1回戦で負けたら話にならないので、しっかりと勝ちたいです」と言い切った。

 目標は初出場初優勝だ。特に守備面での貢献度が大きい田路は「個人としては色々な人が見ている中でしっかり結果を出せるようにしたいですし、チームとしては初出場初優勝を目指して頑張りたいと思います」と目標を掲げ、高速SB高安も「チームで一丸となって優勝を目指して、個人としては興國で学んだ1対1とかドリブルの技術を全国で見せつけられたら良いと思っています」と優勝のために自分の武器を存分に発揮することを誓った。近年、立て続けにJリーガーを輩出している“育成チーム”興國が、初の選手権でインパクトを残す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

素晴らしい雰囲気の中で…タイトル逃した鹿島、FW伊藤翔「優勝して感極まりたかった」

鹿島アントラーズFW伊藤翔
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 思ったような前半とはいかなかった。後半は反撃に出たものの、ゴールは生まれなかった。鹿島アントラーズFW伊藤翔は「前半の2点は重かった」と振り返った。

 序盤から神戸にリズムを握られ、前半18分にオウンゴールで先制点を献上すると、同38分には追加点を奪われてしまう。「前半はボールを持てなかった。相手のシステムに対する対策もやってきた中で、なかなかうまくいかないシーンが多かった」。鹿島がフィニッシュまで持ち込む場面は限られ、伊藤はシュートゼロで前半を終える。

 後半途中にシステム変更して流れを引き寄せ、ゴールに迫る。伊藤自身もシュートまで持ち込む場面を作り出したが、神戸守備を攻略し切れずに0-2の完封負けを喫した。「システムを変えて自分たちの力を出せたけど、前半の2点が重かった」。

 “新”国立競技場のこけら落としとなった一戦には5万7000人を超える観客が詰め掛けた。「昨日の練習から素晴らしい雰囲気だと感じていた」という伊藤は、「今日はあれだけ多くのお客さんも来て、雰囲気的には選手として感極まるものがあった」と続けつつ、「でも、優勝して感極まりたかった」と声を落とした。

(取材・文 折戸岳彦)

●第99回天皇杯特設ページ

「完敗です」…相手を称えたDF町田浩樹が示した覚悟「鹿島というチームを体現していける選手に」

鹿島アントラーズDF町田浩樹
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 開口一番、出てきた言葉は「完敗です」。0-2の完封負けを喫した鹿島アントラーズDF町田浩樹は悔しさを滲ませた。

 序盤から神戸に主導権を握られる。3-4-3のシステムを採用する相手に対し、鹿島のシステムは4-4-2。「どうしてもズレが出てきてしまう組み合わせなので、そこをいかに無くしていくかだった」が、前半18分にオウンゴールで先制点を献上すると、同38分には追加点を奪取されてしまった。

 後半途中からシステムを変更したことで、「マークがはっきりして、高い位置でボールを取れるので、攻撃もしやすくなった」と流れを引き寄せた。しかし、神戸守備を崩し切ることができずに0-2で敗れて、タイトルを逃した。

「完敗です。相手を称えるしかない。前半に相手の攻撃にうまく対応できなかった。それに尽きると思う」

 下部組織から16年にトップチームに昇格して4年目。3年間でリーグ戦10試合出場だったが、今季は22試合に出場と飛躍の1年となった。「CBとSBを両方やって、シーズンを通して戦えたことは自分にとって収穫だし、いろいろなタイプの選手と対峙して成長できたと思う」。自身の成長を実感しながらも、「でも、それをタイトルに結び付けられなかった」と唇を噛むと、視線を上へと向けた。

「今は上の人に引っ張ってもらっている感覚なので、もっともっと自分が引っ張って行く存在にならないといけない。来季は監督も変わり、選手も変わっていく中で、鹿島というチームを体現していける選手になっていかないといけない」

 先頭に立って常勝軍団をけん引していく――。強い覚悟を持って新シーズンに向けて走り出す。

(取材・文 折戸岳彦)

●第99回天皇杯特設ページ

初の新国立…内田篤人「ベンチにヒーターが入っていた。ありがたかった」

こけら落としを迎えた新国立競技場
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 生まれ変わった国立競技場で行われた第99回天皇杯決勝。初めて利用した鹿島アントラーズDF内田篤人は「ベンチにヒーターが入っていた。ありがたかった」と独自の視点で新スタジアムを振り返った。

 2020年の東京五輪に向けて建設された新国立競技場はこの日がこけら落とし。ベンチ入りした内田の出場機会は最後まで訪れなかったが、ウォーミングアップや表彰式で真新しいピッチを踏みしめた。

 芝生については「国際Aマッチという感じの芝。海外っぽいっちゃ海外っぽいけど、国際Aマッチって感じの芝。感覚でね」と独特の表現。それでも「これだけ綺麗にボールが転がってくれて、河川敷でサッカーやるわけじゃないんだし、これで文句言っていてもしょうがない。これ以上の環境はない」と高評価だったようだ。

 その反面、客席との距離感は「遠い」ときっぱり。「シャルケは65000人でサッカー専用。やっぱりそういうのを考えると、サッカー専用がいい」と自身の経験を踏まえて語る。とはいえ、東京五輪では陸上競技でも使用される会場。「でもサッカー専用じゃないからしょうがない。文句は言えないでしょ。陸上で使うんだし、オリンピックのためなんだから」と理解も示した。

 また「風呂がちっちゃかった。4〜5人でいっぱい」と選手ならではの感想も。そこで出てきたのは浴槽は大きくないが、小さな個別浴槽が並んでいる等々力競技場の浴室の話題。「いいなあって思ったのはフロンターレ。個別で水風呂もあって、交代浴ができるようになっている」と称えていた。

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

“奇策”3バック変更も…退任の鹿島・大岩監督「充実した2年半」

今季限りで退任する鹿島の大岩剛監督
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 記者会見場に姿を見せた指揮官の目は赤く、光るものがにじんでいた。今季限りでの退任が発表されていた鹿島アントラーズ大岩剛監督は「残念な結果だが、選手たちには『最後までしっかり戦ってくれたことに感謝している』という話をしてきた。私は退任するが、またすぐ鹿島アントラーズは試合が始まる。しっかり来季に向けて頑張ってほしいと伝えた」と、試合後のロッカールームで選手にかけた言葉を明かした。

 4-4-2の鹿島と3-4-3の神戸。ポジションのミスマッチもあり、前半は神戸ペースで進み、ミスも絡んで2失点した。後半からはシステムを神戸と同じ3-4-3に変更。「立ち位置を変えて、サイドに人を増やして、サイドで数的優位をつくるという形で得点を狙った」と、これまでほとんど試していないシステムで賭けに出た。試合の流れは変わったが、守りを固める神戸を崩し切れず、「最後の得点を決めるボックスの中でのアイデアが欲しかった」と悔やんだ。

 17年のシーズン途中にコーチから昇格し、約2年半。昨季はクラブ悲願のACL制覇を成し遂げたが、今季は2年ぶりの無冠に終わった。「鹿島という大きなクラブで指揮を執るのは大きなプレッシャーを感じたし、その責任を果たす強い気持ちでやってきた。今年1年は選手の出入りも多く、この2年半はずっと試合数も多くて、チームビルディングに苦労したが、これは僕のキャリアで大きなポイントになると思っている」。そう振り返ると、自身の今後にも言及した。

「監督に求められる戦術面、チームを作っていく上でのオーガニゼーション、チームビルディングには自信を持っているし、次の仕事がどうなるか分からないが、絶対に生かす自信もある。自分ではまだまだ若いと思っているので、この経験を生かせる仕事ができればと思うし、また監督をやりたいと感じさせられる表彰式だった。非常に充実した2年半だった」。悔しい思いで見つめた表彰式を次のキャリアへの糧にするつもりだ。

(取材・文 西山紘平)

●第99回天皇杯特設ページ

@bookfun155 分野研究家

インドアサッカーは普通のサッカーと同じボールを使って、壁も使って行われる競技である。 #フットサル#サッカー#ユニフォーム#グラデーション#カスタマイズ#高品質#着心地#保障#ロンヨン

Posted in 未分類

古巣下してタイトル獲得…MF西大伍「いろいろな経験をさせてもらった」

ヴィッセル神戸MF西大伍
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 対戦相手は昨季まで在籍した常勝・鹿島だった。クラブに初タイトルをもたらしたヴィッセル神戸MF西大伍は古巣に感謝を示しつつ、喜びを噛み締めていた。

「フォーメーションだったりを考えると、こちらが主導権を握る展開になると思っていた」。その言葉どおり、序盤からリズムをつかんだ神戸は前半18分にオウンゴールで先制。さらに同38分には右サイドでボールを受けた西がゴール前に弾道の低いクロスを供給すると、DF犬飼智也に触れたボールをFW藤本憲明が押し込んでチーム2点目が生まれた。

「クリアされてもおかしくないクロスだった」と苦笑しつつ、「うまく僕の前が空いていた。あまり右にボールが来なかったので、来たらチャンスにしたいと思っていた」との思いを実行して、ゴールを導いた。

 後半途中に鹿島がシステム変更すると、その後は押し込まれる展開となったが、粘り強い守備でしのぎ切って2-0の完封勝利。クラブ初タイトルを獲得した。「ピッチに立っている選手でいうと、神戸の方がタイトルを取ってきた選手はもしかしたら多いかもしれなかったので、落ち着いてやれたというのは、どっちかというとこっちだったのかなと思う」。

 昨季まで在籍した鹿島には、「僕がこういう舞台でプレーできているのは鹿島でいろいろな経験をさせてもらったおかげ」と感謝を示しつつ、常勝と言われる古巣を下しての初タイトルに「良かった」と喜びを表した。

(取材・文 折戸岳彦)

●第99回天皇杯特設ページ

昌平イチオシの166cmボランチ小川優介、注目対決へ「物怖じしないように挑戦できたら」

昌平高の技巧派ボランチMF小川優介
 第98回全国高校サッカー選手権は1月2日に2回戦が行われる。ともに激戦区の予選で特長の技術力などを発揮して優勝した昌平高(埼玉)と興國高(大阪)との一戦は、2回戦の注目カード。昌平のコーチ陣から今、イチオシというほどの評価と期待を受けているのが166cm、55kgの小柄なボランチ、MF小川優介(2年)だ。ボランチの位置から繰り出すテクニカルなドリブルと相手の逆を突くパス、判断力に注目の2年生MFが、選手権への意気込みなどを語った。

―去年と比べて自信が増してきている。
「はい。でも、新人戦の頃はチームに迷惑をかけていたというか、自分の長所のドリブルとか出せていなくて。でも、夏休みの期間に入って、インターハイとか出れなくて、自分たちで『こうしよう』みたいに意識とか高くしてやってきてから、ドリブルとかも自信を持ってできるようになりました」

―どう変化した?
「守備の切り替えを速くしようとか、守備は全員が意識していたことなので、まずは守備から。あとは自分の長所であるドリブルは意識していました」

―余裕が出てきた。
「余裕を持ってできたのと、自信ですね」

―1年時のニューバランスカップ(U-16)では目立っていたと思うが(青森山田高との決勝で2得点)、自信を持てていなかった。
「自分の学年でやっている時は自信を持ってやっていたんですけれども、トップに入っちゃうと周りも上手くて、他の人たちに任せたりしちゃう部分があった。パスすれば味方がやってくれるだろうというのがありました」

―いつ頃、自分の中でスイッチが入った?
「インターハイとか負けてヤバいなと。自分、本当に何もしていなかったので」

―予選のパフォーマンスは?
「選手権も全然。正直、良かったところは一個もなかったというか、反省点しかなくて、ドリブルも会場とかで緊張しちゃって全然出せなかったし、守備はみんなで意識していたのでできていたんですけれども、そんなに良いイメージはないです」

―今、凄く高い評価をされているけれど、予選後に良くなった。
「選手権予選が終わって、全国があるということで意識付けもできているし、悪いところはないと思います」

―選手権が間もなく始まる。
「全国という舞台が初めてなので、本当に楽しめたらなというのと、こういう舞台で輝くことが来年にも繋がると思うし、自分の長所を活かせたら良いと思います」

―華奢だが、大きな選手にも負けない。
「(周囲からは)デカイ相手に当たられると思っちゃうんですけれども、自分は身体当てられないでドリブルしていったりとかするのが得意なので、そんなに身体の大きさとか気にしないでプレーしています」

―針谷選手(岳晃、現磐田)や原田選手(虹輝、現川崎F)という先輩のようなボランチに。
「全然2人とかには及ばないので。でも、少しでも2人に近づけるように頑張ろうと思います」

―足りないところ。
「キック力とかない部分があるので、2人はシュートもパスもできていたという感じだったので、練習で補っていければなと思っています」

―全国大会ではどのようなところを見てもらいたい?
「ドリブルです。あと、(小見)洋太の抜け出しが上手いし、ロングボールはこのところ意識しているところなので、そこは見て欲しいです」

―どういう選手になりたい?
「昌平の先輩で山下君(勇希、現東洋大)。本当にドリブルも上手くて、パスの出すところ、スルーパスとか見ているところが良いなと思って見ています」

―個人的な目標。
「自分は得点を獲るタイプではあまりないので、アシストで結果を残せたらと思います」

―興國との初戦は注目カード。
「注目選手もいるので楽しみだし、物怖じしないように挑戦できたらなと思います」

―目標は全国制覇。
「日本一は常に狙っているんで、獲れたらなと思います」

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

「これまでの貢献も考え…」ドルトムントが24歳MFバイグルのポルトガル王者移籍を許可

MFユリアン・バイグルがベンフィカへ移籍
 ドルトムントは1日、MFユリアン・バイグル(24)の希望を受け入れ、ポルトガル王者ベンフィカへの移籍を許可したことを発表した。クラブ公式サイトによると、メディカルチェックで問題がなければ正式契約となる。

 スポーツディレクターを務めるミヒャエル・ツォルク氏は「ユリアンが移籍希望を申し出たため、これまでのクラブへの尽力も考えて合意した」と説明。「彼の今後の活躍を心から祈っている」とエールを送っている。

 バイグルは19歳だった2015年夏に1860ミュンヘンから加入した。ドルトムントでは公式戦通算171試合に出場し、4ゴールを記録。クラブとの契約は1年半残っていたが、新天地でのプレーを選んだ。

 クラブ公式サイトを通じて「この素晴らしいクラブで最高の時間が過ごせたことをチームメート、クラブの職員、そしてすべてのファンに感謝したい。ボルシア・ドルトムントのことは一生、僕の心に残り続けるだろう」と感謝のメッセージを送っている。

●ブンデスリーガ2019-20特集
●ポルトガル・リーグ2019-20特集

V逸見つめたDF内田篤人「アントラーズらしさでぶつかっていくのか、変えていくのか」

DF内田篤人と大岩剛監督
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 鹿島アントラーズが国内カップ戦決勝で敗れたのは2006年のナビスコカップ以来13シーズンぶり。ベンチで敗戦を見つめていた鹿島アントラーズDF内田篤人は「一つの理由じゃない。システム上の問題もあるし、個人が場慣れしているかどうかもある。決勝だったり、大舞台をね」と敗因を語った。

 フォーメーションのミスマッチがあった前半に2点を奪われ、後半はシステム変更で食い下がったものの得点は奪えず。Jリーグ最多20冠という勝負強さを誇ってきた鹿島にふさわしくないファイナルの戦いぶりだった。この結果により、鹿島は4冠を追いかけた2019シーズンを無冠で終える形となった。

 負傷者の続出、主力の海外流出、ACLを含めた過密日程—。理由を一つ一つ挙げていけばキリがなく、複合的な要因もある。「日程の問題で鹿島の怪我人が多かったというのもある」(内田)。天皇杯に敗れたことで鹿島は今月28日のACLプレーオフ参戦が決定。来季に向けては1か月足らずのオフシーズンしかないという異例のスケジュールも待ち受けている。

 ただ、そうした選手のやり繰りは過去の鹿島が得意としてきたところでもある。内田も「俺が17で入ってからタイトルを取れない無冠の時期もあったし、それでどうこうとかはない。主力選手が出て行って…という新しいチームの波というか。俺も海外に出て行ったけど、今回も(主力選手が)出て行って、来季も出ていく(選手がいる)かもしれない」と振り返る。

 それでも変わりゆくサッカー界の中で、内田自身もさまざまな選択肢に頭を巡らせている。「(神戸のように)こういうふうにお金をかけていい選手を連れてくれば勝てるという流れが仮に出てきたら、アントラーズらしさでぶつかっていくのか、ちょっとずつ変えていくのか。まあ選手の俺の判断じゃなくて、上の判断だけど」と言葉を選びながら口にした。

 また内田自身は今季、第5節磐田戦での負傷によってリーグ戦10試合の出場にとどまった。「去年は肉離れとか自滅が多かったけど、今季のアレは打撲というか接触なので。自滅がなくなったのはちょっと希望がある。手術してから5か月かな、離れずに練習できているのがプラスなので、個人的にはやらなきゃと思っている」。来季は自身がピッチに立ち、タイトルに導いていく覚悟を見せた。

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

クラブ創設25年目で初タイトル…神戸フィンク監督「歴史的な瞬間を一生忘れない」

神戸のトルステン・フィンク監督
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 今季途中からチームを指揮し、ヴィッセル神戸に初タイトルをもたらしたトルステン・フィンク監督は試合後の記者会見で「このクラブは25年目になるが、初タイトルを取れたことを誇りに思っている。神戸の街にとってもいいことだと思う。新国立競技場での初の公式戦。歴史的な瞬間を私は一生忘れないと思う」と喜びを表現した。

「前半がすごく良かった。我々の思うようなプレーの形もできたし、いい時間で点を取れたのが大きかった」。前半18分にオウンゴールで先制すると、同38分にFW藤本憲明が追加点。3トップの中央で抜擢した藤本は2得点に絡む活躍を見せた。

 その起用の意図について「藤本は相手の裏のスペースを狙える。特に彼は鹿島相手に何度も点を取っているので、今日も期待できると思った」と説明。大分に所属していた今季J1開幕戦で鹿島から2ゴールを奪い、今夏の神戸移籍後も第33節の鹿島戦で1ゴールを決めていた“鹿島キラー”の活躍に目を細めた。

(取材・文 西山紘平)

●第99回天皇杯特設ページ

ACL初出場の神戸、広州恒大らと同居するG組に決定…鹿島は今月28日のPO出場へ

天皇杯で初優勝を飾った神戸
 日本サッカー協会(JFA)は1日、ヴィッセル神戸が同日に天皇杯優勝を果たしたことを受け、2020年シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループリーグ出場権を獲得したことを発表した。ACL初出場の神戸は水原三星(韓国)、広州恒大(中国)、ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)と同じグループGに入る。

 また、天皇杯準優勝となった鹿島アントラーズは国内リーグ3位チームとして、プレーオフから出場。プレーオフは今月28日に行われる。

以下、ACL出場決定チーム(東地区)

[グループE]
北京国安(中国)
チェンライ・ユナイテッド(タイ)
東地区プレーオフ4勝者
東地区プレーオフ1勝者

[グループF]
蔚山現代(韓国)
上海申花(中国)
パース・グローリー(豪州)
東地区プレーオフ3勝者

[グループG]
神戸(日本)
水原三星(韓国)
広州恒大(中国)
ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)

[グループH]
シドニーFC(豪州)
横浜FM(日本)
全北現代(韓国)
東地区プレーオフ2勝者

※東地区プレーオフ出場チーム
1:FCソウル(韓国)対[ケダ(マレーシア)対和富大埔(香港)の勝者]
2:上海上港(中国)対[ブリーラム・ユナイテッド(タイ)対 ホーチミン・シティ(ベトナム)の勝者]
3:FC東京(日本)対【ポートFC(タイ)対[セレス・ネグロス(フィリピン)対 シャン・ユナイテッド(ミャンマー)]の勝者】
4:鹿島(日本)対【メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)対[タンピネス・ローバース(シンガポール)対バリ・ユナイテッド(インドネシア)]の勝者】

●ACL2020特設ページ

沼津のベテランDF尾崎が契約更新

沼津DF尾崎瑛一郎が契約更新
 アスルクラロ沼津は1日、DF尾崎瑛一郎(35)と2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 尾崎は2014年から沼津に所属。2019年シーズンはJ3リーグ戦23試合に出場し、3得点をマークした。

 クラブ公式サイトを通じて「2019年シーズン、チーム、何より私自身も不甲斐ない結果でクラブ、チームの力になれませんでした」と振り返り、「これまでも高い志、情熱、責任感を持ってやってきましたが、それ以上のものを自身が持ってやらなければならないと思っています。このクラブ、地域の人間として誇りと責任を持って自分の力を全力でこのクラブ、選手に、そしてクラブを支えるスポンサー企業様、ファン、サポーターの皆さんに注ぎます」と2020年シーズンに向けて意気込んだ。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

2失点に関与の鹿島DF犬飼「2点目は個人的なミス」

2失点に絡んでしまった鹿島DF犬飼智也
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 退任する指揮官にタイトルをプレゼントすることはできなかった。天皇杯準決勝前に大岩剛監督の今季限りでの退任を発表していた鹿島アントラーズ。DF犬飼智也は「最後に(大岩)剛さんと一緒にタイトルを取りたかった。そこが一番悔いが残る」と唇を噛んだ。

 不運も、自身のミスもあり、2失点に絡んでしまった。前半18分、神戸FWルーカス・ポドルスキのキックをGKが弾くと、ボールはゴール前でFW藤本憲明をマークしていた犬飼に当たって跳ね返り、ゴールマウスに吸い込まれた。

 当初は藤本の得点とアナウンスされたが、その後、オウンゴールに訂正。さらに前半38分には神戸MF西大伍のクロスを犬飼がクリアミスし、こぼれ球を藤本に押し込まれた。

「1点目はイレギュラーだったけど、2点目は個人的なミス」。そう振り返る犬飼は「(西から)ああいうボールが来るのは分かっていたけど、右足を出すか、左足を出すか、迷った部分もあった。どちらにしてもしっかり当てて、セーフティーにクリアしないといけなかった」と悔やんだ。

「自分は鹿島のセンターバックなので、今日のようなミスはなくさないといけない。もっと堂々と、(大岩)剛さんが言っていたようなセンターバックにならないといけない」。現役時代にセンターバックだった大岩監督からは「監督と選手というより、同じセンターバックとしていろいろ教えてもらった」のだという。

「センターバックとしての立ち振る舞いは常々言われていた。どんなときでも、今日のようなミスをしたあとでも、センターバックとしての立ち振る舞いを忘れてはいけないと」。“常勝軍団”のレギュラーを任されながら無冠に終わり、「自分の力不足」と責任を背負う犬飼は「今日タイトルを取ることが理想だったけど、これからの成長を見せることで(大岩)剛さんに教わったことを表現していきたい」と誓った。

(取材・文 西山紘平)

●第99回天皇杯特設ページ

チームの成長を実感するポドルスキ「今日で終わりではない。今日から始まる」

ヴィッセル神戸FWルーカス・ポドルスキ
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 クラブ創設25年目で初タイトルを獲得した。17年からヴィッセル神戸に加入したFWルーカス・ポドルスキは「自分にとっても、クラブにとっても素晴らしい日になった」と白い歯を見せた。

 3トップの一角に入ったポドルスキは積極的な姿勢を示した。前半18分には左サイドをえぐって送ったクロスが、先制点となるオウンゴールを誘発。同28分にはDF大崎玲央、MF酒井高徳との鮮やかな連係からポドルスキ自身がネットを揺らすも、これはオフサイドの判定に取り消される。しかし、両チーム最多タイとなる3本のシュートを放つなど、ピッチを後にする後半アディショナルタイムまでチームに勝利をもたらすゴールを貪欲に狙い続けた。

 チームは2-0の勝利を収め、初タイトルを獲得する。“新”国立競技場のこけら落とし。スタジアムには5万7000人を超える観客が詰め掛けた。「クラブにとっての初タイトル。素晴らしいスタジアムで、素晴らしい雰囲気の中で、素晴らしい新年のスタートが切れたと思う」。

 在籍3年目を迎え、チームの成長も実感している。「何を求めていくかしっかりと定まっていなかった中で、徐々に自分たちの形、自分たちのサッカーが見えてきた。そこはクラブとして成長したところだと思うけど、今日で終わりではないし、今日から始まると思う。これから、今まで自分たちがやってきた真価が分かると思うよ」。来季は初のACLにも臨む。アジアの舞台、そしてJの舞台でチームの真価を見せ付ける。

(取材・文 折戸岳彦)

●第99回天皇杯特設ページ

「最後は優勝して終わりたい」。昨年度ベスト8、J内定トリオ擁する帝京長岡が日本一に挑戦

帝京長岡のJ内定トリオ。(左から)京都内定MF谷内田哲平、町田内定FW晴山岬、愛媛内定DF吉田晴稀
 昨年度ベスト8の帝京長岡高がきょう2日、熊本国府高(熊本)との2回戦から登場する。京都サンガF.C.内定の主将MF谷内田哲平(3年)、FC町田ゼルビア内定のU-18日本代表FW晴山岬(3年)、愛媛FC内定DF吉田晴稀(3年)ら前回大会で躍動したタレントたちが選手権の舞台に“帰還”。あれから一年。高校最後の大会で昨年度のベスト8を超え、日本一に挑戦する。

 魅惑の攻撃サッカーで一年前の選手権を席巻した。センスあふれるパスでゲームを作る司令塔・谷内田を中心としたテクニカルかつ連動したアタックで華麗に崩せば、晴山は初戦・高知西戦(○6-0)でハットトリックを達成するなど、前回大会4得点。2回戦・旭川実戦(○2-2PK17-16)はのべ38人が蹴った高校サッカー史に残る最長のPK戦でGK猪越優惟(3年)がヒーローになった。3回戦・長崎総附戦(○2-1)では注目レフティーMF田中克幸(3年)が決勝点をマーク。主力が最高学年に上がった今大会は経験値を生かし、まずは最高成績のベスト8を超え、歴史を塗り替える。

「去年はベスト8まで進めて、そこで多少の注目はされたものの、準々決勝で勝てなかったのはそれまでの実力だった。今年はそれを超えて、優勝できる可能性があるチームだと思っています。まずは昨年の結果を超えて、今年は日本一を獲れるようにしたい」(晴山)

 勝ち上がれば、準々決勝は昨年尚志に0-1で敗れた同会場・等々力陸上競技場で行われる。「準々決勝は去年と同じ会場。ベスト8までのイメージはできているので、まずは準々決勝まで進んで、その先も勝っていけたら」(谷内田)

 全国トップクラスの技術で魅せる攻撃が注目される一方で、守備を率いるのは愛媛内定DF吉田だ。昨年度はスピードを武器に右サイドバックで存在感を示したが、今年はDFリーダーとしてセンターバックを担う。「去年の借りを返すために一年間やってきた。攻撃が特長のチームですが、自分自身は守備面をしっかりとして、安定した戦いができるようにしたい」(吉田)

 スタメンの半数以上は帝京長岡のグラウンドでトレーニングする長岡JYFC出身の選手だ。さらに谷内田や晴山、MF矢尾板岳斗(3年)らは幼稚園時代からのチームメイト。今大会は3年間、6年間、あるいはそれ以上に渡ってプレーしてきた仲間との集大成となる。「これが最後の大会なので、最後くらいは優勝して終わりたい」(晴山)。

 熊本国府高(熊本)戦はきょう2日、ニッパツ三ツ沢球技場で14時10分キックオフ予定。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

ドイツ帰りの価値を示した酒井高徳「神戸にとっても自分にとっても初タイトル」

自身初のタイトルを獲得したDF酒井高徳
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 ドイツ帰りのこの男の存在も大きかった。天皇杯優勝でクラブ初のタイトルを獲得したヴィッセル神戸。今夏、ハンブルガーSVから7年半ぶりのJリーグ復帰を果たしたDF酒井高徳は加入半年でタイトルを獲得し、「神戸にとっても自分にとっても初のタイトル」と喜びをかみ締めた。

 その類まれなコミュニケーション能力で自身の経験をチームメイトに伝え、ピッチ上のパフォーマンスでもチームを牽引してきた。その存在についてトルステン・フィンク監督が「(酒井は)ドイツ語ができるので、ダイレクトでコミュニケーションを取れるのが大きい」と指摘すれば、左サイドで縦関係を組んだFW古橋亨梧も「しゃべってくれるので後ろを気にせず前に行けるし、後ろからの声で止まったり、だんだんそれが感覚でできるようになった」と感謝する。

 12年からドイツでプレーしてきた酒井は神戸復帰を発表する前から「20歳でドイツに来たけど、移籍する前も新潟で試合に出ていたとはいえ、それほど活躍していたわけではなかった。Jリーグに残したものがないと思っているし、Jリーグで活躍していなかった自分がいるからこそ、Jリーグでも活躍したいという気持ちは持っている」と、その思いを打ち明けていた。

 日本復帰は簡単な決断ではなかったが、Jリーグで活躍する、神戸でタイトルを獲得するという新たなチャレンジを求め、7年半ぶりに帰ってきた。「去年は個人的にいいサッカー人生を歩めなかった。求めていた目標を今日一つ叶えられたことは個人的にもうれしく思うし、これを大事にして来季も戦っていきたい」。ドイツでの最後のシーズンは1部昇格を逃した戦犯扱いされ、最終節でブーイングを浴びる経験もした。酸いも甘いも知り尽くした28歳にとって初めての戴冠。2020年を最高の形でスタートさせた。

(取材・文 西山紘平)

●第99回天皇杯特設ページ

ドイツ帰りの価値を示した酒井高徳「神戸にとっても自分にとっても初タイトル」

自身初のタイトルを獲得したDF酒井高徳
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 ドイツ帰りのこの男の存在も大きかった。天皇杯優勝でクラブ初のタイトルを獲得したヴィッセル神戸。今夏、ハンブルガーSVから7年半ぶりのJリーグ復帰を果たしたDF酒井高徳は加入半年でタイトルを獲得し、「神戸にとっても自分にとっても初のタイトル」と喜びをかみ締めた。

 その類まれなコミュニケーション能力で自身の経験をチームメイトに伝え、ピッチ上のパフォーマンスでもチームを牽引してきた。その存在についてトルステン・フィンク監督が「(酒井は)ドイツ語ができるので、ダイレクトでコミュニケーションを取れるのが大きい」と指摘すれば、左サイドで縦関係を組んだFW古橋亨梧も「しゃべってくれるので後ろを気にせず前に行けるし、後ろからの声で止まったり、だんだんそれが感覚でできるようになった」と感謝する。

 12年からドイツでプレーしてきた酒井は神戸復帰を発表する前から「20歳でドイツに来たけど、移籍する前も新潟で試合に出ていたとはいえ、それほど活躍していたわけではなかった。Jリーグに残したものがないと思っているし、Jリーグで活躍していなかった自分がいるからこそ、Jリーグでも活躍したいという気持ちは持っている」と、その思いを打ち明けていた。

 日本復帰は簡単な決断ではなかったが、Jリーグで活躍する、神戸でタイトルを獲得するという新たなチャレンジを求め、7年半ぶりに帰ってきた。「去年は個人的にいいサッカー人生を歩めなかった。求めていた目標を今日一つ叶えられたことは個人的にもうれしく思うし、これを大事にして来季も戦っていきたい」。ドイツでの最後のシーズンは1部昇格を逃した戦犯扱いされ、最終節でブーイングを浴びる経験もした。酸いも甘いも知り尽くした28歳にとって初めての戴冠。2020年を最高の形でスタートさせた。

(取材・文 西山紘平)

●第99回天皇杯特設ページ

今夏加入で“初タイトル”の神戸GK飯倉「優勝とか考えている余裕はなかった」

天皇杯制覇に貢献したヴィッセル神戸GK飯倉大樹
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 ヴィッセル神戸にとって初タイトルとなった天皇杯優勝は、GK飯倉大樹にとっても自身初のタイトルとなった。それでも元日決勝の一戦を振り返った守護神は「そんなに自分に余裕がなかった」と苦笑い気味に振り返った。

 長年にわたって横浜FMの正守護神を担ってきた飯倉だが、タイトルとは縁がなかった。在籍中に唯一獲得したのは2013年の天皇杯のみ。そのシーズンはGK榎本哲也が主力を務めており、ベンチにもGK六反勇治が入っていたため、決勝戦のメンバーにも入っていなかった。

 今季は序盤こそ横浜FMで出場を重ねていたものの、第5節からはGK朴一圭にレギュラーを奪われた。今夏から出場機会を求めて今夏から神戸に活躍の場を移したところで、古巣の横浜FMが15年ぶりのタイトルを獲得。またしても優勝を体験できずにいたが、最後の最後で悲願の初戴冠に至った。

 それでも飯倉は「後半の45分間がハードすぎて、優勝とか考えている余裕はなかった」とあっさり振り返った。この日の神戸は前半に2点を奪ったものの、後半は鹿島がシステムを変えた影響もあって防戦一方の展開。圧力のある攻撃をまともに受ける形となり、ゴールを守る飯倉は気が気じゃなかったようだ。

「これがタイトルを取ることなのかもしれない。すげえうれしいけど、終わってみたら泣かなかったし。『強え鹿島、やべえ点取られたら持っていかれるぞ』とばかり考えていた。考えている暇はなかったし、終わった後に何かをした記憶がない」。らしい表現で初優勝の味を噛み締めた。

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

今夏加入で“初タイトル”の神戸GK飯倉「優勝とか考えている余裕はなかった」

天皇杯制覇に貢献したヴィッセル神戸GK飯倉大樹
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 ヴィッセル神戸にとって初タイトルとなった天皇杯優勝は、GK飯倉大樹にとっても自身初のタイトルとなった。それでも元日決勝の一戦を振り返った守護神は「そんなに自分に余裕がなかった」と苦笑い気味に振り返った。

 長年にわたって横浜FMの正守護神を担ってきた飯倉だが、タイトルとは縁がなかった。在籍中に唯一獲得したのは2013年の天皇杯のみ。そのシーズンはGK榎本哲也が主力を務めており、ベンチにもGK六反勇治が入っていたため、決勝戦のメンバーにも入っていなかった。

 今季は序盤こそ横浜FMで出場を重ねていたものの、第5節からはGK朴一圭にレギュラーを奪われた。今夏から出場機会を求めて今夏から神戸に活躍の場を移したところで、古巣の横浜FMが15年ぶりのタイトルを獲得。またしても優勝を体験できずにいたが、最後の最後で悲願の初戴冠に至った。

 それでも飯倉は「後半の45分間がハードすぎて、優勝とか考えている余裕はなかった」とあっさり振り返った。この日の神戸は前半に2点を奪ったものの、後半は鹿島がシステムを変えた影響もあって防戦一方の展開。圧力のある攻撃をまともに受ける形となり、ゴールを守る飯倉は気が気じゃなかったようだ。

「これがタイトルを取ることなのかもしれない。すげえうれしいけど、終わってみたら泣かなかったし。『強え鹿島、やべえ点取られたら持っていかれるぞ』とばかり考えていた。考えている暇はなかったし、終わった後に何かをした記憶がない」。らしい表現で初優勝の味を噛み締めた。

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

[J内定高校生の声_20]鹿島加入の“半端ない”FW染野唯月「チームを勝たせるFWになりたい」

鹿島アントラーズ内定の尚志高FW染野唯月
 ゲキサカでは2020年にプロ入りする高校生選手たちをインタビュー。第20回は鹿島アントラーズ内定の尚志高FW染野唯月(3年)だ。

 1年前の全国高校サッカー選手権で大会得点王を獲得。特に準決勝・青森山田高戦でのハットトリックで日本中にその名を知らしめたストライカーだ。“半端ない”“大迫2世”等高い評価を得て迎えた19年度は日本高校選抜、U-18日本代表にも選出。抜群の得点感覚に加え、パス能力も非常に高い染野が鹿島入りを決めた理由や、プロ入り後の意気込み、欠場する選手権、仲間へのエールなどを語った。

―鹿島入りの感想を教えて下さい。
「自分が今までジュニア、ジュニアユースにいたチームなので、素直に帰れて嬉しいという気持ちがあります」

―オファーを受けた時の心境。
「自分がこんなに強いアントラーズからオファーをもらえることなんて思ってもいなかったことなので、ビックリしました」

―多くのクラブから誘いがあった中で、鹿島入りした決め手は?
「色々なチームの練習参加をした時に、環境を含め、練習の質もどこよりも高いなというのは感じていて、その上で自分がいたチームというのがありましたし、帰りたいという気持ちやレベルアップしたいという気持ちもあったので決めました」

―帰るという気持ちと挑戦するという気持ち。
「アントラーズというチームは層の厚さも含めてやっぱり強いと思う。そこでチャレンジして(ポジションを)勝ち取っていけば自ずと日本代表に近づいていけると思うので、そういう先を見据えたところも考えていたし、決めた理由もそこにあります」

―見ていた立場から加入する立場へ。
「最初は憧れという視線で見ていたんですけれども、入るとなると自分はここでやるという実感がありますし、これからチームメートなんですけれどもライバルとここでやって行くという覚悟に変わっていった」

―練習参加した時の印象を。
「楽しいですし、練習の強度もあるし、切磋琢磨して全員が優勝を狙いながら練習に取り組んでいるところを感じられたのは凄く良かったです。アントラーズならではの練習などを味わえたことは嬉しかった」

―雰囲気が違う。
「やっぱりアントラーズは優勝を狙い続けて優勝争いを常にやっているチームだと思うので、そういうところは日々の練習でも自分たちは優勝を狙うという環境の中に置かれているので、そこの雰囲気は他のチームとちょっと違ったと思います」

―印象的だった選手は?
「伊藤翔選手は同じFWとして練習参加した時に声もかけてくれて、プロでの歩み方を教えてもらえたので、凄く勉強になりました」

―自分に期待されている部分。
「FWとして点を決めるというところは一番期待されているところですし、自分の武器はシュートであったり、パスであったりというところ。それは自分が自信を持っているところですし、期待してもらっていいかなと思います」

―有能なパサーでもある。他のFWと違う才能がある。
「元々自分はボランチをやっていて、視野の広さを持っていると思う。パスや状況判断というところを自分の中では持っているので、それは他の選手と違うのかなと思います」

―スルーパスでも沸かすことができる。
「自分はキックが得意なのでシュートもそうですし、パスもそうですし、色々なところからチャンスを作れる選手にならなくちゃいけないし、これからなっていきたいと思っています」

―ここからが勝負。どんなFWに?
「自分の中では自分だけの理想というのがあって、何でもできるというのは最終的には必要だと思うんですけれども、勝たせられるFWはなかなかいないと思うので、大事なところで点を決めてチームを勝たせるFWになりたいですし、メンタルの部分であったり、色々な部分で一流になれたらいい」

―課題は?
「守備の部分と言いたいところなんですけれども、(それよりも)怪我のところ、身体のケアというところは今年プレミアリーグで1年間戦って試合に出場できなかった時間が他の選手よりも多かった。身体のコンディションというところはプロに行っても一年間通して色々な大会があるので、そういうところはまだまだ課題だったのかなと思います」

―プロでも「半端ない」と言われたい?
「自分の中では言われたいというのはあるんですけれども、プロの世界に行ったらそう上手く行かないと思うので、コツコツと自分の中で一つずつでも成長していきながら最終的にはそう言われる選手になりたい」

―プロ1年目の目標。
「まずはメンバーに入るというのも大事なんですけれども、チームに溶け込んでしっかりと自分の良いところをアピールしながら、Jリーグ、ACLもそうですけれども、途中からでも試合に関われるようにしていきたいと思っています」

―尚志で学んだ3年間について。
「サッカーのことも多かったんですけれども、ピッチ外のことも学ぶことは多くて、『学校の人だったり周りから感謝されるような選手になれ』と言われていて、そういうところはプロに行ってもサポーターがいてというところは一緒だと思う。『周りから応援される選手になりたい』と自分で思っているし、そういうところは学んできたことかなと思います」

―仲間の存在。
「自分が代表とかでいなくても、帰ってきた時に『こういうことがあったんだよ』というチーム状況などを伝えてくれたり、戦術の部分を伝えてくれたり、気にかけてくれるというのは自分にとってもありがたいことだと思っているので、仲間がいてサッカーができるという大切さというのは高校に入って改めて実感しています」

―常に笑っていたり、フザケたりしている印象がある。
「確かにそうなのかなと思います」

―素が出てしまう?
「素が出てしまう感じです」

―自分の性格を分析すると?
「色々な人と仲良くして、自分は笑うのが好きなので、楽しいことをするのが好きなので、サッカーに置き換えた時も『楽しくサッカーしたい』というのが一番。楽しくサッカーしつつ、自分の中では負けず嫌いのところ、負けたくないという気持ちがあるのかなと思います」

―ちょっかいをかけるのはムード作り?
「自分はちょっかいをかけたり、かけられたり半々ですね」

―居心地が良い。
「それが自分の中のベストです」

―サッカー以外ではどのように過ごしている?
「自分は出かけるよりは寝たり。オフの日は一回サッカーを忘れたいという人なので、なるべくサッカーを考えずどこかに出かけたりしますね」

―どこへ。
「友達とご飯に行ったりくらいですね」

―趣味は?
「最近は結構、漫画とかアニメとか見ますね」

―今、推しの漫画は?
「みんな知っていると思うんですけれども、『鬼滅の刃』(集英社)という漫画が、アニメもあるので」

―どういうところがいい?
「感動系が好きなんで、戦いもあるんですけれどもその中にも感動があるというところ」

―試合前とか必ず聞く音楽は?
「洋楽は聞きますね。これ聞かないと、というのはないんですけれども洋楽は試合前に聞いています」

―音楽を聞いてテンションを上げる。
「テンポの速い洋楽が結構あるんで、試合前とかはテンション上げるために聞いています」

―例えば?
「ジャスティン・ビーバーとか聞きますね」

―ゴールラッシュはそこから生まれている。
「そうですね」

―選手権予選を振り返ると?
「自分が試合に出れる時間は少なかったんですけれども、その中でチームを勝たせたいという気持ちがありました。決勝含めて自分が点を獲って勝たせられたことは素直に嬉しいですけれども、県大会は本当に難しい戦いだったので、そこをチーム全体で勝てたことは大きな成長になったと思っています」

―全国大会は自分の決断で登録を外れる。その理由は?
「今後を考えた時にここで無理をしてしまったら影響してしまうのかなと思ったので、メンバーを外れるか外れないかと言った時に自分がいることでチームがプラスになるというのはスタッフからも言われていたんですけれども、何か自分の心の中に(他の)3年生にちょっとでも経験をさせてあげたいというのがあったので、決断してメンバーを外れました」

―一緒にやってきた仲間のために身を引いた。
「そうですね」

―それが自分やチームのために最優先であると。
「悔いはないですし、怪我をして出れないというのは悔しいですけれども、それ以上に今後のためというのがあったので、自分の決断に悔いはないです」

―見る側に回る選手権は想像できないと思うが?
「想像はしたくでもできないというのがちょっとあるんですけれども、サポートできる部分は多くあるので、自分はベンチ外として応援で助けられれば良いかなと思います」

―尚志高校の全国制覇のためにできること。
「やっぱり去年経験したことを伝えられるのは自分だけかなと思っているので、雰囲気だったり、こういう時にこういうことをしたら良いんじゃないかということを伝えられると思う。練習を見ることしかできないんですけれども、練習からそういうところを考えて先を見据えて言うようにしています」

―診断で疲労骨折と聞いた時の心境は。
「正直、無理してやっていたのは事実なので、『やっぱり、そうだよな』と思いました」

―ショックだったと思うが。
「揺らいだというか、そういうところはあったんですけれども、感情的にはなりませんでした」

―選手権を戦う仲間たちへのエールを。
「まずは徳島市立との初戦で、何が何でも勝って、初戦が一番難しいので、そういうところへの難しさは伝えていきたいですし、そこでどう波に乗れるかというのが大事だと思うので、勝ってもらいたいですし、自分たちが目標としている全国制覇を勝ち取ってもらえれば良い」

―山内大空選手や阿部要門選手、FWの選手に期待すること。
「FWが点を獲ることによって周りも励みになりますし、それをすれば自分も気持ち的に波に乗れるというのは去年経験しているので分かっている。自分が点を獲るんだという強い気持ちでやって欲しい」

―鹿島での目標、その先の目標。
「まずはアントラーズでスタメンを勝ち取って、試合に出続けるというのは自分の中での入ってからの目標なので、それは達成したいかなと思っています。今後、その先に関して自分はヨーロッパでサッカーをしたいとずっと思っていたので、ヨーロッパへ行って活躍してワールドカップに出るというのが最終的な目標です」

―鹿島サポーターに見て欲しいところ。
「ファンの人達には自分が点を獲ってチームの勝利に貢献するということを期待してくれていると思っているので、そういうところで期待通りに自分が応えられれば良いと思っています」

―鹿島サポーターへ向けてメッセージを。
「尚志高校から加入する染野唯月です。来年(2020年)からはどこにもいない強いFWになるので、応援宜しくお願いします!」

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

負傷押して花道飾ったFWビジャ「決勝に来るまでが自分の戦いだった」

天皇杯制覇で花道を飾ったヴィッセル神戸FWダビド・ビジャ
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 スペイン代表の最多得点記録を持つ世界屈指のストライカーが日本で花道を飾った。FWダビド・ビジャは現役ラストマッチとなった天皇杯決勝戦の試合後、「クリスマスを天皇杯のために使ったので、今から家族のために僕の時間を捧げたい」とほっとした様子で話した。

 後半アディショナルタイム、背番号7のユニフォームがピッチサイドに現れると、優勝を目前にした神戸サポーターはひときわ大きな歓声を送った。プレータイムは3分足らず。残念ながらボールが回ってくるシーンはなかったが、クラブ初タイトルの歓喜をピッチ上で味わった。

 引退に花を添える起用ではあったが、その演出は自身の努力で掴み取ったものだった。ビジャによれば、引退セレモニーが行われた12月7日のJ1第34節磐田戦で「全治4週間という大きな怪我をしてしまった」。この日まで約3週間。「自分の中では大変な時期を過ごした」と振り返る。

「ここの決勝に来るまでが自分の戦いだったし、ここに来ることができたが実際はギリギリだった」。引退目前でのアクシデントを乗り越えた先に訪れた歓喜。38歳のレジェンドは「なんとかピッチに立って優勝で終えられたことを満足している」と感慨を語った。

 日本での通算成績は28試合13得点。味方を活かすスプリントも怠らず、現役引退を控えているとは思えないパフォーマンスだった。また第17節の名古屋戦で決めた1点目は2019年のベストゴールにも選出され、人々の記憶に残るようなプレーも随所に見せた。

「日本サッカーはどのチームもボールを持ってプレーすることに時間をとるし、選手はテクニックがあるのでボールを持つことを優先したサッカーをしている。その中で自分たちができることを行ってきた。1年間やってきて、日本サッカーの質には驚いている」。試合後にはそうした日本サッカーへのイメージも語った。

 今後はスペイン・マドリードの自宅で生活しながら、自身がオーナーを務めるアメリカ・ニューヨークのクラブ『クイーンズボロFC』や、自身のメソッドを共有するアカデミー組織『DV7』の経営者として活動する。新たなミッションに取り組むビジャは「まだまだサッカーの仕事をし続けていこうと思っているよ」と目を輝かせた。

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

負傷押して花道飾ったFWビジャ「決勝に来るまでが自分の戦いだった」

天皇杯制覇で花道を飾ったヴィッセル神戸FWダビド・ビジャ
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 スペイン代表の最多得点記録を持つ世界屈指のストライカーが日本で花道を飾った。FWダビド・ビジャは現役ラストマッチとなった天皇杯決勝戦の試合後、「クリスマスを天皇杯のために使ったので、今から家族のために僕の時間を捧げたい」とほっとした様子で話した。

 後半アディショナルタイム、背番号7のユニフォームがピッチサイドに現れると、優勝を目前にした神戸サポーターはひときわ大きな歓声を送った。プレータイムは約3分間。残念ながらボールが回ってくるシーンはなかったが、クラブ初タイトルの歓喜をピッチ上で味わった。

 引退に花を添える起用ではあったが、その演出は自身の努力で掴み取ったものだった。ビジャによれば、引退セレモニーが行われた12月7日のJ1第34節磐田戦で「全治4週間という大きな怪我をしてしまった」。この日まで約3週間。「自分の中では大変な時期を過ごした」と振り返る。

「ここの決勝に来るまでが自分の戦いだったし、ここに来ることができたが実際はギリギリだった」。引退目前でのアクシデントを乗り越えた先に訪れた歓喜。38歳のレジェンドは「なんとかピッチに立って優勝で終えられたことを満足している」と感慨を語った。

 日本での通算成績は28試合13得点。味方を活かすスプリントも怠らず、現役引退を控えているとは思えないパフォーマンスだった。また第17節の名古屋戦で決めた1点目は2019年のベストゴールにも選出され、人々の記憶に残るようなプレーも随所に見せた。

「日本サッカーはどのチームもボールを持ってプレーすることに時間をとるし、選手はテクニックがあるのでボールを持つことを優先したサッカーをしている。その中で自分たちができることを行ってきた。1年間やってきて、日本サッカーの質には驚いている」。試合後にはそうした日本サッカーへのイメージも語った。

 今後はスペイン・マドリードの自宅で生活しながら、自身がオーナーを務めるアメリカ・ニューヨークのクラブ『クイーンズボロFC』や、自身のメソッドを共有するアカデミー組織『DV7』の経営者として活動する。新たなミッションに取り組むビジャは「まだまだサッカーの仕事をし続けていこうと思っているよ」と目を輝かせた。

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

京都がブラジル武者修行から2選手の復帰を発表

 京都サンガF.C.は1日、ロンドリーナEC(ブラジル)に期限付き移籍していたMF荻野広大(22)、ロンドリーナEC sub 19(ブラジル/U-19チーム)に期限付き移籍していたDF江川慶城(19)が2020年シーズンより復帰することを発表した。

 荻野は京都復帰にあたり、「2020シーズンから復帰することになりました。覚悟と責任を持って、京都のためにプレーします。応援よろしくお願いします」とコメントしている。

 また、江川も「ブラジルでの経験を生かし、新スタジアムで沢山の皆さんと勝利の喜びを分かち合い、チームのJ1昇格に向けて全力を尽くします。今年一年、応援どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶した。

以下、クラブ発表プロフィール

●MF荻野広大
(おぎの・こうた)
■生年月日
1997年5月2日(22歳)
■身長/体重
182cm/73kg
■出身地
京都府
■経歴
京都U-15-京都U-18-京都-讃岐-京都-讃岐-京都-テゲバジャーロ宮崎-京都-ロンドリーナEC(ブラジル)
■出場記録
リーグ通算:13試合0得点
カップ通算:0試合0得点
天皇杯通算:4試合0得点

●DF江川慶城
(えがわ・げんき)
■生年月日
2000年4月2日(19歳)
■身長/体重
181cm/70kg
■出身地
滋賀県
■経歴
京都U-15-京都U-18-京都-ロンドリーナEC sub 19(ブラジル)

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

京都がブラジル武者修行から2選手の復帰を発表

 京都サンガF.C.は1日、ロンドリーナEC(ブラジル)に期限付き移籍していたMF荻野広大(22)、ロンドリーナEC sub 19(ブラジル/U-19チーム)に期限付き移籍していたDF江川慶城(19)が2020年シーズンより復帰することを発表した。

 荻野は京都復帰にあたり、「2020シーズンから復帰することになりました。覚悟と責任を持って、京都のためにプレーします。応援よろしくお願いします」とコメントしている。

 また、江川も「ブラジルでの経験を生かし、新スタジアムで沢山の皆さんと勝利の喜びを分かち合い、チームのJ1昇格に向けて全力を尽くします。今年一年、応援どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶した。

以下、クラブ発表プロフィール

●MF荻野広大
(おぎの・こうた)
■生年月日
1997年5月2日(22歳)
■身長/体重
182cm/73kg
■出身地
京都府
■経歴
京都U-15-京都U-18-京都-讃岐-京都-讃岐-京都-テゲバジャーロ宮崎-京都-ロンドリーナEC(ブラジル)
■出場記録
リーグ通算:13試合0得点
カップ通算:0試合0得点
天皇杯通算:4試合0得点

●DF江川慶城
(えがわ・げんき)
■生年月日
2000年4月2日(19歳)
■身長/体重
181cm/70kg
■出身地
滋賀県
■経歴
京都U-15-京都U-18-京都-ロンドリーナEC sub 19(ブラジル)

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

神戸に悲願のタイトルもたらしたイニエスタのさらなる野心「来季はまず…」

MFアンドレス・イニエスタがFWダビド・ビジャ、家族と記念撮影
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 新国立競技場で令和初の天皇杯を掲げた。クラブ初のタイトルを獲得したヴィッセル神戸。表彰式で高円宮妃久子さまから天皇杯を授与されたMFアンドレス・イニエスタは「とても喜んでいる。個人としてもクラブとしても特別な日だと思う」と柔和な笑みを浮かべた。

 昨夏の電撃加入から1年半。今季前半戦には公式戦9連敗を喫し、2度の監督交代もあった。「1年間、このタイトルを取るために頑張ってきた。クラブのためにも、神戸の街にとっても特別な日にできて喜んでいる」。今季限りで現役を引退する盟友のFWダビド・ビジャも後半アディショナルタイムから途中出場。最高の花道となり、「いい形で終えられることを喜んでいる」と満足げに言った。

 ACLにも参戦する来季に向け、「いいシーズンにしたい」と早くも意気込みを口にした。「来季はまずJリーグで強いチームでいることが大事。Jリーグで活躍できれば、カップ戦やACLでも活躍が伴ってくると思っている」。そう持論を展開すると、バルセロナやスペイン代表で数々のタイトルを勝ち取ってきたレジェンドは「来季に向けて休んで、リフレッシュして、新たなモチベーションで強化を続けていきたい」とその野心を隠さなかった。

(取材・文 西山紘平)

●第99回天皇杯特設ページ

2月8日に埼玉スタで激突…富士ゼロックスの対戦カードが横浜FMvs神戸に決定

ゼロックスの対戦カードが決定
 Jリーグは1日、同日に行われた天皇杯決勝の結果を受け、2020年シーズンの『富士ゼロックススーパーカップ』の対戦カードが横浜F・マリノス (J1王者)対ヴィッセル神戸(天皇杯王者)に決定したことを発表した。

 Jリーグの2020年シーズン開幕を告げる同大会は、2月8日に埼玉スタジアムで開催。日本テレビ系全国ネットにて生中継される予定となっている。

2月8日(土)
横浜FM 13:35 神戸 [埼玉]

●第99回天皇杯特設ページ
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

初の選手権挑戦を終えた愛工大名電、宮口監督「自分たちの色は出せた」

初出場の愛工大名電高は初戦で涙を飲んだ(写真協力=高校サッカー年鑑)
[12.31 選手権1回戦 愛工大名電0-1筑陽学園 NACK]

 創部51年目で初めて選手権の舞台に立った愛工大名電高(愛知)は0-1で敗れ、大会から姿を消した。総体では全国出場歴があるが、選手権出場はサッカー部の新たな歴史。就任7年目の宮口典久監督は「これが目標や憧れだったところから、今後はしっかりと目指すべき場所になってくると思う」と力を込めた。

 宮口監督は昨夏、選手たちの能力をより引き出すために「日本一のハイプレス」を目標に掲げ、戦術を変えた。「彼らが持っているものが何かを考えた。今の代は素直で走れる」。その戦い方がハマった。勢いに乗って全国への道を切り拓き、冬の檜舞台に向けて準備した。

 選手にハードワークを求める分、ともに闘ってきた。指揮官はタッチライン際に立ち、試合中に腹から声を張り続ける。雨天の試合でもベンチには座らず、雨に濡れながら定位置で指示を出すという“願掛け”も。「座った時にやられることが多かったので、今年はこのスタイルのほうが彼らに合うのかな、という気がしただけです」と笑った。

 全国でも最後まで選手とともにファイトし、0-1で試合終了を告げる笛が鳴ると、小さく拍手を送る姿があった。「らしさは出せたんじゃないかな。彼らは自分たちの色は出せたと思う。勝負は2分の1なので胸を張ってほしい」(宮口監督)。

 福岡県の絶対王者・東福岡高をも抑えた筑陽学園高の堅守に跳ね返された。寄せが速く、強度の高いディフェンスに阻まれ、ゴールはこじ開けられなかった。県予選決勝で全4点に絡んだFW平井碧(3年)は「この悔しさをぶつける場所がないけど……目標に向かうことは学べた」と声を詰まらせながら言葉を紡ぎ、「先生たちは自分たちのたった80分のために人生を賭けてくれた」と感謝した。

 キャプテンを務めるDF鈴木郁人(3年)はうまく試合に入り、チームに落ち着きをもたらした。「鈴木がいないと空中分解する」と宮口監督が絶大の信頼を置く精神的支柱。「最高の舞台だからこそ、いつも通りのプレーを心がけました」と初の大舞台でも冷静沈着に、1対1で的確な対応を続けた。最終ラインは一人抜かれてもすぐにもう一人がカバーし、窮地を凌いだ。

 新たな扉を開いたチームの挑戦は終わり、後輩たちに引き継がれる。この日、GK安原哲平(2年)は強烈なロングフィードを全国の舞台でも披露した。そのキックで何度もスタジアムをざわつかせ、鋭い反応と身体能力を生かしたビッグセーブも見せた。スタメン唯一の2年生に託されたミッションは一つ。「僕が全国に出た経験を生かして2年生をまとめて、この舞台に帰ってこれたら」と一年後の帰還を誓った。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

川崎Fがチョン・ソンリョン&L・ダミアンの契約更新、ジェジエウの完全移籍を発表

川崎Fの3選手が2020年もプレーへ
 川崎フロンターレは1日、GKチョン・ソンリョン(34)、FWレアンドロ・ダミアン(30)と今季の契約について合意したことを発表した。また、パラナ・クラブ(ブラジル)から期限付き移籍していたDFジェジエウ(25)が完全移籍することも発表している。

 チョン・ソンリョンは2019年シーズンのJ1リーグ戦で27試合に出場。クラブ公式サイトを通じ、「再び川崎フロンターレで一緒に戦えてとても光栄です。 昨年はリーグタイトル3連覇を達成出来ず残念でした。個人的にも悔しい年でした。いい準備をして2020年には様々なタイトルに挑戦する強い覚悟で臨みたいです。そして一つでも多くの結果を勝ち取り、喜びをみんなと分かち合いたいです」とコメントした。

 L・ダミアンは2019年シーズンに完全移籍し、J1リーグ戦23試合で9得点を記録。新シーズンを迎えるにあたり、「日本での2年目のプレー、1年目に比べ、より良い年になると思っています!とても意欲的な気持ちです。仲間と力を合わせ、たくさんのタイトルを獲得できるよう頑張ります」と意気込みを語った。

 同じく2019年から川崎Fでプレーしているジェジエウは、J1リーグ戦15試合に出場。新シーズンに向け、「川崎フロンターレの一員としてまた一緒に戦える事にすごく嬉しく思います。また、サポーターの皆さんにはいつも感謝の気持ちでいっぱいです。とにかく一つでも多くのタイトルを獲って、サポーターの皆さんにも喜んでいただきたいと思います。自分が出来る事を最大限ピッチの中で表現しますので楽しみにしていてください。必ず良いシーズンになると信じています」と誓った。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

「新たな歴史を刻みたい」山口がポルトガル1部から24歳FWをレンタルで獲得

山口がFWイウリをレンタルで獲得
 レノファ山口FCは1日、ポルティモネンセ(ポルトガル1部)に所属するFWイウリ(24)が期限付移籍で加入することを発表した。移籍期間は2020年12月31日までとなっている。

 イウリはブラジル出身で1995年生まれの24歳。母国ブラジルやウクライナ、UAE、サウジアラビアのクラブを渡り歩き、2019年にポルティモネンセへ加入した。今季リーグ戦では7試合に出場し、1ゴール1アシストを記録している。

 山口加入にあたり、クラブ公式サイト上で「レノファ山口FCの一員になれたことを嬉しく思います。目標を達成して、新たな歴史を刻みたいと思います。応援よろしくおねがいします」とコメントしている。

以下、クラブ発表プロフィール

●FWイウリ
(Iury)
■生年月日
1995年9月6日(24歳)
■身長/体重
185cm/74kg
■出身地
ブラジル
■経歴
アバイー(ブラジル)-ゾリャ(ウクライナ)-アルナスル (UAE)-アルフェイハ(サウジアラビア)-ポルティモネンセ (ポルトガル)

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

神戸の天皇杯初Vにスペイン紙も注目「イニエスタの神話は日本でも続く」「ビジャは偉大なチャンピオンとしてサッカーに別れを告げた」

今季限りで現役を引退するFWダビド・ビジャ
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 天皇杯決勝が1日に新国立競技場で行われ、ヴィッセル神戸は鹿島アントラーズを2-0で下し、大会初優勝を飾った。

 ファイナルの舞台も初めてだった神戸は前半18分、FWルーカス・ポドルスキのクロスから相手のオウンゴールで先制。同38分には右サイドのMF西大伍のクロスを起点にFW藤本憲明が決める。2-0のまま終盤を迎えると、後半アディショナルタイム2分に今季限りでの現役引退を表明しているFWダビド・ビジャがポドルスキとの交代でピッチへ。そのまま逃げ切った神戸がクラブ史上初のタイトルを獲得した。

 現役ラストゲームで有終の美を飾ったビジャに、スペイン『ムンド・デポルティボ』も注目している。「彼は負傷により、ここ数週間で完全に回復することはできなかった」とコンディションに触れ、それでも最後はピッチ上で優勝の瞬間を迎えた元スペイン代表ストライカーについて「偉大なチャンピオンとしてサッカーに別れを告げることができた」と言及。また、神戸加入2年目でクラブに初タイトルをもたらしたMFアンドレス・イニエスタにも「アンドレス・イニエスタの神話は日本でも永遠に続くだろう」と称賛の言葉を送った。

●第99回天皇杯特設ページ

神戸vs鹿島 試合記録

【天皇杯決勝】(国立)
神戸 2-0(前半2-0)鹿島


<得点者>
[神]オウンゴール(18分)、藤本憲明(38分)

<警告>
[神]ダンクレー(58分)
[鹿]レオ・シルバ(77分)

観衆:57,597人
主審:佐藤隆治
副審:山内宏志、三原純
神戸が“新国立こけら落とし”で悲願の初タイトル! 天皇杯制して来季アジア挑戦へ
新国立第1号はオウンゴールに訂正…神戸FW藤本憲明が“正真正銘”追加点!!
神戸に悲願のタイトルもたらしたイニエスタのさらなる野心「来季はまず…」
負傷押して花道飾ったFWビジャ「決勝に来るまでが自分の戦いだった」
今夏加入で“初タイトル”の神戸GK飯倉「優勝とか考えている余裕はなかった」
ドイツ帰りの価値を示した酒井高徳「神戸にとっても自分にとっても初タイトル」
チームの成長を実感するポドルスキ「今日で終わりではない。今日から始まる」
2失点に関与の鹿島DF犬飼「2点目は個人的なミス」
V逸見つめたDF内田篤人「アントラーズらしさでぶつかっていくのか、変えていくのか」
クラブ創設25年目で初タイトル…神戸フィンク監督「歴史的な瞬間を一生忘れない」
古巣下してタイトル獲得…MF西大伍「いろいろな経験をさせてもらった」
“奇策”3バック変更も…退任の鹿島・大岩監督「充実した2年半」
初の新国立…内田篤人「ベンチにヒーターが入っていた。ありがたかった」
素晴らしい雰囲気の中で…タイトル逃した鹿島、FW伊藤翔「優勝して感極まりたかった」
“元日新国立”の主役となった神戸FW藤本「持ってると思います」
“剛さんとの3年間”に声震わせたMF三竿「ずっと僕を評価してくれた」
付け焼き刃の3バックも効力発揮…MF永木「それだけが収穫」


<出場メンバー>
[ヴィッセル神戸]
先発
GK 18 飯倉大樹
DF 4 トーマス・フェルマーレン
DF 25 大崎玲央
DF 33 ダンクレー
MF 5 山口蛍
MF 8 アンドレス・イニエスタ
(88分→MF 35 安井拓也)
MF 22 西大伍
MF 24 酒井高徳
FW 9 藤本憲明
(78分→FW 21 田中順也)
FW 10 ルーカス・ポドルスキ
(90分+2→FW 7 ダビド・ビジャ)
FW 16 古橋亨梧
控え
GK 1 前川黛也
DF 3 渡部博文
MF 27 郷家友太
FW 13 小川慶治朗
監督
トルステン・フィンク

[鹿島アントラーズ]
先発
GK 1 クォン・スンテ
DF 6 永木亮太
DF 27 ブエノ
DF 28 町田浩樹
DF 39 犬飼智也
MF 4 レオ・シルバ
MF 20 三竿健斗
MF 30 名古新太郎
(53分→DF 16 山本脩斗)
MF 41 白崎凌兵
(46分→MF 8 土居聖真)
FW 15 伊藤翔
(72分→MF 13 中村充孝)
FW 18 セルジーニョ
控え
GK 21 曽ヶ端準
DF 2 内田篤人
DF 33 関川郁万
FW 34 有馬幸太郎
監督
大岩剛

神戸が“新国立こけら落とし”で悲願の初タイトル! 天皇杯制して来季アジア挑戦へ

神戸は天皇杯優勝でクラブ初のタイトルを獲得した
[1.1 天皇杯決勝 神戸2-0鹿島 国立]

 第99回天皇杯は1月1日、生まれ変わった国立競技場で決勝戦を行い、鹿島アントラーズを2-0で破ったヴィッセル神戸が初優勝を飾った。“鹿島キラー”で“開幕男”のFW藤本憲明が新国立のこけら落としで2点に絡む大仕事。ビッグネームの補強を続けてきた神戸が悲願の初タイトルを獲得し、来季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場を決めた。

 ホーム扱いの神戸は大型補強の象徴となっているMFアンドレス・イニエスタ、FWルーカス・ポドルスキを先発起用。これまでJFL、J3、J2、J1全カテゴリの開幕戦でゴールを決めてきた“開幕男”藤本も抜擢した。この日が現役生活ラストマッチとなるFWダビド・ビジャはベンチに控えた。

 一方の鹿島はJリーグ最多記録を更新する主要タイトル21冠目がかかった一戦。この日限りで退任が決まっている大岩剛監督は攻撃の中核を担ってきたFW土居聖真をベンチに回し、右サイドハーフ起用が続いていたFWセルジーニョを2トップの一角で起用した。[スタメン&布陣はコチラ]

 試合は序盤こそ鹿島が押し込む展開が続いたが、3バックを巧みに使って攻撃を組み立てる神戸が次第に主導権を握った。前半13分、DF西大伍の縦パスからFW古橋亨梧が右サイドを駆け上がり、クロスに合わせた藤本のダイレクトシュートは枠外。それでも5分後にスコアを動かした。

 前半18分、左サイドでタメをつくったポドルスキがボールを奪われたが、すぐさまDF酒井高徳が奪い返して攻撃を再開。酒井が縦に切り返したところをポドルスキがキープし、角度のない位置からシュートを狙うと、GKクォン・スンテが弾いたボールが鹿島DFに当たってゴールマウスに吸い込まれた。当初はボールに詰めた藤本のゴールが記録されていたが、後半途中にオウンゴールに訂正された。

 鹿島は前半26分、MF永木亮太のFKからセルジーニョがボレーシュートを狙ったが、強烈なシュートはわずかにクロスバーの上。神戸は28分、果敢な持ち上がりを見せたDF大崎玲央が左サイドにループ気味のパスを送り、酒井の折り返しをポドルスキがダイレクトで叩き込むも、酒井がオフサイドポジションにいたとしてゴールは取り消された。

 それでも神戸は前半38分、右サイドを駆け上がった西がグラウンダーでのアーリークロスを送り込むと鹿島DF犬飼智也がクリアミス。軌道が変わったボールを藤本がワンタッチで流し込んでリードを2点に広げた。藤本は今季J1開幕戦で当時大分の選手として鹿島から2ゴールを奪っており、今夏の神戸移籍後も第33節鹿島戦で1ゴール。これで3戦4発とし、“鹿島キラー”っぷりを見せつけた。

 2点のビハインドを負った鹿島は後半開始時、MF白崎凌兵に代わって土居を投入。システムを3-4-2-1に変更し、今季これまで一度も採用していない奇策に打って出た。そこからロングボールを有効に使って一方的に押し込む流れをつくると、8分には負傷したMF名古新太郎に代わってDF山本脩斗を送り込んだ。

 すると鹿島はさらに勢いを増していき、後半12分には土居と三竿が立て続けに決定的なシュート。一方の神戸はMF山口蛍が決死のブロックを見せたが、なかなか陣形を取り戻せない。もっとも、鹿島も攻撃の最終局面で精度の高いプレーを見せられず、2点ビハインドのまま時間が過ぎていった。

 神戸は後半33分、新国立最初の得点者となった藤本に代わってFW田中順也を投入。36分には酒井のアウトサイドスルーパスにポドルスキが抜け出し、折り返しに田中が合わせたが、シュートはクォン・スンテの正面に飛んだ。後半アディショナルタイムにはビジャも投入。最後は余裕の試合運びを見せた神戸が悲願の初タイトルを獲得した。一方の鹿島は今季無冠に終わった。

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

京都FWエスクデロが栃木に完全移籍「対戦する時は暖かいブーイングで迎えてください」

京都FWエスクデロ競飛王が栃木に完全移籍
 栃木SCは1日、京都サンガF.C.のFWエスクデロ競飛王(31)が完全移籍で加入することを発表した。

 エスクデロは2016年に京都へ加入し、2018年7月に蔚山現代(韓国)へ期限付き移籍。復帰した2019年シーズンはJ2リーグ戦12試合、天皇杯1試合に出場した。

 栃木のクラブ公式サイトを通じ、「僕は栃木SCの今までの最高順位である9位を大きく更新する為に来ました。栃木SCの皆さま、僕と共にJ1を目指しましょう」とコメントしている。

 また、京都に対しては「京都のサポーター、スポンサー、スタッフ、4年間共に戦ったチームメイト達にありがとうございましたと伝えたいです。同じカテゴリーで対戦する事にはなるんですが、その時は暖かいブーイングで迎えてください。4年間悔しい事の方が多かったですが、京都で過ごした4年は一生忘れません。いろんな人に助けられて本当に幸せでした。ありがとうございました」と感謝を述べた。

以下、クラブ発表プロフィール

●FWエスクデロ競飛王
(ESCUDERO Sergio)
■生年月日
1988年9月1日(31歳)
■身長/体重
171cm/75kg
■出生地
スペイン
■経歴
浦和Jrユース-浦和ユース-浦和-FCソウル(韓国)-浦和-FCソウル(韓国)-江蘇蘇寧(中国)-京都-蔚山現代(韓国)-京都
■出場歴
リーグ通算:167試合12得点
カップ通算:22試合3得点
天皇杯通算:8試合3得点
ACL:1試合
J1昇格プレーオフ:1試合

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

新国立第1号はオウンゴールに訂正…神戸FW藤本憲明が“正真正銘”追加点!!

2点目を決めたFW藤本憲明がMF西大伍と抱き合って喜ぶ
[1.1 天皇杯決勝 神戸-鹿島 国立]

 第99回天皇杯決勝が1月1日、新国立競技場のこけら落としで開催され、初タイトルを目指すヴィッセル神戸とJ最多20冠の鹿島アントラーズが激突した。

 試合が動いたのは前半18分。PA内左で仕掛けたMF酒井高徳が縦に切り返したところをFWルーカス・ポドルスキがかっさらい、角度のない位置から左足でシュート。GKクォン・スンテが弾いたボールが目の前の選手に当たって跳ね返り、ゴールネットに吸い込まれた。

 FW藤本憲明か、そのマークに付いていたDF犬飼智也に当たったか、微妙な場面だったが、アナウンスはオウンゴールではなく、藤本のゴール。記念すべき新国立第1号ゴールに思われたが、その後、オウンゴールに訂正された。

 それでも前半38分、MF西大伍の右クロスを犬飼がクリアミス。ゴール前にこぼれてきたボールを藤本が押し込み、追加点を奪った。今度こそ正真正銘のゴール。今季J1開幕戦で当時は大分の選手として鹿島から2ゴールを奪い、今夏の神戸移籍後も第33節の鹿島戦で1ゴールを決めていた“鹿島キラー”が新国立の第2号ゴールを記録した。

●第99回天皇杯特設ページ

立正大淞南MF山田真夏斗は無念の初戦敗退。「苦しかったけれど、楽しかった」3年間の経験をプロの世界で活かす

立正大淞南高MF山田真夏斗は高校3年間で学んだこと、経験をプロの世界で活かすことを誓った
[12.31 選手権1回戦 富山一高 2-2(PK4-3) 立正大淞南高 浦和駒場]

「自分がチームを勝たせられなかったのは本当に悔しいですし、応援して下さった人にも本当に申し訳ない気持ちです」。チームを勝たせることはできなかった。だが、立正大淞南高MF山田真夏斗(3年/松本内定)はこのゲームの中心的存在になっていた。

 異質の瞬間視野の広さと長短自在のパスを操る山田真は、自分のところでボールを持ちすぎて潰されないように、受けてから速くパス出しすることを意識。周りを活かしながら、最後の局面でのスルーパスやゴール前に入り込んでいく動きを狙っていた。

 前半32分には左サイドからのFKでは、「速いボールで中に上げればと。“事故“狙いだったんですけれども、誰かが触ってくれればと」という理由でライナー性のクロスボール。これが富山一高のクリアミスを誘い、先制点を演出した。

 後半立ち上がりには右サイドからのグラウンダークロスを左足ダイレクトで合わせ、16分には中央から斜めのスルーパスで決定機を演出した。後半27分の勝ち越しゴールも、彼の縦パスのこぼれを味方が奪い返してから生まれたモノ。押し込まれる時間帯が増える中で落ちてボールを受けたり、「ボールを触る回数を増やしたかった」とプレスバックしてボールを奪いに行くなど、何とかしようという姿勢が見られた。

 チームは2度リードし、後半は体力が低下する中でも良く踏ん張っていた。それでも、PK戦に持ち込まれてしまう。暴風が吹き荒れる中でスタートしたPK戦。3人目の山田真がセットしたボールは、助走体勢に入ってから1度2度と風で動いてしまう。風も気になっていたという中で蹴ったシュートはGK中村純四郎(3年)に完全に読まれてしまい、失敗。山田真はシュートスピードを欠いたことを反省し、「自分が外して自分のせいでチームを負けさせてしまったので今は悔しいです」と唇を噛んだ。

 山田真は地元・滋賀を離れて過ごした立正大淞南での3年間について、「苦しかったけれど、楽しかった3年間です。練習もそうですし、メンタル的にもそうですし仲間がいたからここまで来れた3年間でした。(これから進む世界は)もっと厳しいシビアな世界ですし、この淞南高校で学んだ3年間というのは、必ずプロになっても活きてくると思うので、(監督の)南先生はじめコーチ陣に言われたことは忠実に守ってプロでもやっていきたい」とコメント。学んだことを必ずプロのステージで活かす。

 南監督は「彼にはプロに行って期待しか無い」とエール。山田真は「この3年間やってきたことを評価されてプロに行くので、伸ばしながら山雅の監督の下でしっかり理解して、すぐにチームに馴染めるように、自分のストロングポイントを出し続けられれば良いと思います」。、これから、野心を持ってプロの世界に飛び込むMFは、自分のサッカー人生を全力で全うして立正大淞南のコーチ陣や仲間たちに恩返しする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

岡山、チームトップ18得点のFWイ・ヨンジェと契約更新

岡山FWイ・ヨンジェが契約更新
 ファジアーノ岡山は1日、FWイ・ヨンジェ(28)と2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 イ・ヨンジェは京都から2018年に岡山へ加入。2019年シーズンはJ2リーグ戦42試合でチームトップの18得点を挙げ、天皇杯では1試合に出場した。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

岡山、チームトップ18得点のFWイ・ヨンジェと契約更新

岡山FWイ・ヨンジェが契約更新
 ファジアーノ岡山は1日、FWイ・ヨンジェ(28)と2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 イ・ヨンジェは京都から2018年に岡山へ加入。2019年シーズンはJ2リーグ戦42試合でチームトップの18得点を挙げ、天皇杯では1試合に出場した。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

神戸vs鹿島 スタメン発表

神戸vs鹿島 スタメン発表
[1.1 天皇杯決勝](国立)
※14:35開始
主審:佐藤隆治
副審:山内宏志、三原純
<出場メンバー>
[ヴィッセル神戸]
先発
GK 18 飯倉大樹
DF 4 トーマス・フェルマーレン
DF 25 大崎玲央
DF 33 ダンクレー
MF 5 山口蛍
MF 8 アンドレス・イニエスタ
MF 22 西大伍
MF 24 酒井高徳
FW 9 藤本憲明
FW 10 ルーカス・ポドルスキ
FW 16 古橋亨梧
控え
GK 1 前川黛也
DF 3 渡部博文
MF 27 郷家友太
MF 35 安井拓也
FW 13 小川慶治朗
FW 21 田中順也
FW 7 ダビド・ビジャ
監督
トルステン・フィンク

[鹿島アントラーズ]
先発
GK 1 クォン・スンテ
DF 6 永木亮太
DF 27 ブエノ
DF 28 町田浩樹
DF 39 犬飼智也
MF 4 レオ・シルバ
MF 20 三竿健斗
MF 30 名古新太郎
MF 41 白崎凌兵
FW 15 伊藤翔
FW 18 セルジーニョ
控え
GK 21 曽ヶ端準
DF 16 山本脩斗
DF 2 内田篤人
DF 33 関川郁万
MF 13 中村充孝
MF 8 土居聖真
FW 34 有馬幸太郎
監督
大岩剛

●[天皇杯]決勝 テキスト速報

神戸vs鹿島 スタメン発表

[1.1 天皇杯決勝](国立)
※14:35開始
主審:佐藤隆治
副審:山内宏志、三原純
<出場メンバー>
[ヴィッセル神戸]
先発
GK 18 飯倉大樹
DF 4 トーマス・フェルマーレン
DF 25 大崎玲央
DF 33 ダンクレー
MF 5 山口蛍
MF 8 アンドレス・イニエスタ
MF 22 西大伍
MF 24 酒井高徳
FW 9 藤本憲明
FW 10 ルーカス・ポドルスキ
FW 16 古橋亨梧
控え
GK 1 前川黛也
DF 3 渡部博文
MF 27 郷家友太
MF 35 安井拓也
FW 13 小川慶治朗
FW 21 田中順也
FW 7 ダビド・ビジャ
監督
トルステン・フィンク

[鹿島アントラーズ]
先発
GK 1 クォン・スンテ
DF 6 永木亮太
DF 27 ブエノ
DF 28 町田浩樹
DF 39 犬飼智也
MF 4 レオ・シルバ
MF 20 三竿健斗
MF 30 名古新太郎
MF 41 白崎凌兵
FW 15 伊藤翔
FW 18 セルジーニョ
控え
GK 21 曽ヶ端準
DF 16 山本脩斗
DF 2 内田篤人
DF 33 関川郁万
MF 13 中村充孝
MF 8 土居聖真
FW 34 有馬幸太郎
監督
大岩剛

●[天皇杯]決勝 テキスト速報

新国立の初代王者へ…天皇杯決勝のスタメン発表! 現役引退FWビジャはベンチスタート

新国立の初代王者へ…天皇杯決勝のスタメン発表! 現役引退FWビジャはベンチスタート
 第99回天皇杯は1月1日、新国立競技場のこけら落としで決勝戦を行う。令和初の頂点に立つのはJ最多20冠の名門鹿島アントラーズか、それとも初タイトルに期待が高まるヴィッセル神戸か—。元日午後2時35分のキックオフを前にスターティングメンバーが発表された。

 神戸は初のカップ戦決勝。21日の準決勝清水戦から2人を入れ替え、FW藤本憲明、FWルーカス・ポドルスキが先発入りした。注目のMFアンドレス・イニエスタもスタメン。この日が現役引退となるFWダビド・ビジャはベンチスタートとなった。

 一方の鹿島は3シーズンにわたって指揮を執ってきた大岩剛監督のラストゲーム。21日に行われた準決勝長崎戦から2人を入れ替え、GKクォン・スンテとMF名古新太郎が新たに入った。

[ヴィッセル神戸]
▼先発
GK 18 飯倉大樹
DF 4 トーマス・フェルマーレン
DF 22 西大伍
DF 25 大崎玲央
DF 33 ダンクレー
MF 5 山口蛍
MF 8 アンドレス・イニエスタ(Cap)
MF 24 酒井高徳
FW 9 藤本憲明
FW 10 ルーカス・ポドルスキ
FW 16 古橋亨梧
▼控え
GK 1 前川黛也
DF 3 渡部博文
MF 27 郷家友太
MF 35 安井拓也
FW 13 小川慶治朗
FW 21 田中順也
FW 7 ダビド・ビジャ
▼監督
トルステン・フィンク

<出場メンバー>
[鹿島アントラーズ]
▼先発
GK 1 クォン・スンテ
DF 6 永木亮太(Cap)
DF 27 ブエノ
DF 28 町田浩樹
DF 39 犬飼智也
MF 4 レオ・シルバ
MF 20 三竿健斗
MF 30 名古新太郎
MF 41 白崎凌兵
FW 15 伊藤翔
FW 18 セルジーニョ
▼控え
GK 21 曽ヶ端準
DF 16 山本脩斗
DF 2 内田篤人
DF 33 関川郁万
MF 13 中村充孝
FW 8 土居聖真
FW 34 有馬幸太郎
▼監督
大岩剛

(取材・文 竹内達也)
●第99回天皇杯特設ページ

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:空色の将(都立東久留米総合高・下田将太郎)

(写真協力=高校サッカー年鑑)
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 幼い頃から憧れてきた舞台へ、別れを告げる瞬間が近付いてくる。1人で歩くことはできず、チームメイトの野崎稜凱に背負われて、ようやく大きな声援を送り続けてくれた空色のスタンドの前へ辿り着き、感謝の気持ちを伝え始めたが、少しずつ言葉が途切れていく。「そんなに泣くと思っていなかったんですけど、みんなの顔を見ていたら『終わっちゃうんだなあ』って」。都立東久留米総合高の230人をまとめる主将。下田将太郎の3年間は涙と共に、“2度目”の西が丘でその幕が降りた。

 キッカケは父親の存在だった。「お父さんが久留米高校出身ということもあって、小学生の頃からずっと久留総の試合を見に行っていました。今となっては笑い話ですけど、『オマエが久留総でプレーするようにずっと仕向けてきた』みたいな感じのことを言っていましたね(笑)」。水色ではなく“空色”と呼ばれるユニフォームを纏った高校生たちは、下田少年にとって尊敬の対象以外の何物でもなかった。

 特に覚えているのは、東京高校サッカー界の聖地と呼ばれるスタジアムで躍動する姿。「自分が小学生の頃に見ていた東久留米総合は凄く強くて、本当に憧れの気持ちもありましたし、特に西が丘で試合がある時はずっと見に行っていたので、空色のユニフォームを着て西が丘に立つことが本当に夢でした」。父親が秘めた思惑は、息子の未来を導く。『空色のユニフォームを着て、西が丘へ』。2017年4月。下田は桜舞う季節の校門をくぐり、東久留米総合高校へと入学する。

 200人を超える部員を擁したチームの中で、下田は2年時からレギュラーを掴んだものの、自身が描いていたような青写真は実現を見ない。2次トーナメント初戦敗退を突き付けられた総体予選に続き、選手権予選でもベスト16で同じ都立勢の国分寺高に0-1と競り負けると、その国分寺が西が丘のピッチまで辿り着いてしまう。かつては毎年のようにベスト4以上まで勝ち上がっていた東久留米総合だったが、聖地を経験することのないまま、下田たちにとっての高校ラストイヤーがやってくる。

 春先は快調そのもの。シーズン最初のトーナメントに当たる関東大会予選では、接戦を制しながら粘り強く勝ち上がり、準決勝でも夏の全国総体へ出場することになる大成高相手に、2度のビハインドを跳ね返しての逆転勝利を収め、本大会への進出権を獲得。ゴールを決める活躍を見せた下田も試合後に、「なんか『ああ、勝っちゃった。これで関東大会出場かあ』みたいな。でも、素直にメチャクチャ嬉しかったですね」と満面の笑顔。最高のスタートを切ったはずだった。

 ところが、2つ勝てば全国というシードをもらった総体予選では、初戦で駒澤大高に0-3とまさかの完敗。リーグ戦でもなかなか勝ち星を得られず、チームのバイオリズムは下降線を辿っていく。「『やはり粘りだけではダメだな』というシーズンを過ごしていた中で、その粘りすらも徐々になくなってきてしまって…」と明かすのは加藤悠監督。下田が掲げた目標は日々の向こう側に霞んでいく。

 大きな不安を抱えながら迎えた選手権予選。初戦で目白研心高を1-0と下し、次の西が丘を懸けた準々決勝で対峙したのは前回王者の国士舘高。前半から相手の圧力は強く、下田とセンターバックのパートナーを組む岩田蓮太を中心に、相手の攻撃を1つずつ凌いでいくと、後半1分にフォワードの松山翔哉がゴールまで30メートル近い距離からミドルシュートをゴールへ流し込み、劣勢の東久留米総合が先制点を挙げる。

 このまま負ける訳にはいかない国士舘のラッシュにも、「ウチはどのチームよりも技術が低い方なので、『気持ちの面で絶対に負けるな』ということは加藤先生にも3年間通して言われてきたことで、その気持ちがしっかり出せたので、ゴール前の攻防でうまく体を投げ出せたかなというのはありますね」と振り返る空色の主将。粘って、粘って、時間を潰し続けた東久留米総合のイレブンの耳に、タイムアップのホイッスルが届く。最後の最後で掴んだ『空色のユニフォームを着て、西が丘へ』。万感の想いが下田を覆い尽くす。

「この2年間は西が丘に行けなかったので、自分たちの代で行けるのは本当に嬉しいし、今まで関わって来てくれた人に感謝したいなと思います。西が丘で戦うということは、本当に東京都の高校生が目指す所だと思うので、負けてしまったチームの想いとか、そういうものを持って、責任感を感じて戦わなきゃいけないなというのはありますし、気持ちを前面に出して東久留米総合のサッカーをして、しっかり勝ち切ることができればいいなと感じます」。準備は整った。聖地が彼らを待っている。

 11月10日。味の素フィールド西が丘。良く晴れた青空の下、空色のユニフォームを纏った11人がピッチに歩みを進めていく。もちろん先頭にはキャプテンマークを巻いた下田の姿があった。「なんか正直『もっと緊張するかな』と思っていたんですけど、ワクワクの方が強くて」。ふとスタンドを見れば、空色の仲間たちが声を張り上げている。覚悟は決まった。小学生の頃から憧れ続けたこのピッチ。戦うしかない。楽しむしかない。

 準決勝ということもあってか、東久留米総合も関東一高も慎重なゲーム運び。ほとんどお互いにチャンスのないまま、時間が経過していく。ただ、この展開はある程度織り込み済み。「0-0で進めていけたらいいと思っていたので、押し込まれるシーンもあったんですけど、みんながハードワークして、しっかり抑えられたことで、ゲームが落ち着いた部分はありますね」と下田。夢の舞台を噛み締めながら、冷静に最後尾からチームを鼓舞する5番の背中が大きく見える。

 スコアレスで迎えた延長後半5分。ロングカウンターから歓喜の瞬間が訪れる。決めたのはまたも松山。実は殊勲のストライカーと何度も衝突してきた経緯を下田が明かす。「『もっと守備の部分で行けるだろ』という部分があって、自分もかなり厳しめに言ってきたんですけど、前はメッチャムカついてました(笑) それでも最近は本当にしっかり走ってくれるようになって、チームのために大事な試合で結果を残してくれて、本当に言い続けてきて良かったなと思います」。主将としての責任感が、このゴールを呼び込んだと言っても良いかもしれない。聖地を司る女神は東久留米総合に微笑んだ。

 11月16日。駒沢陸上競技場。決勝も東海大高輪台高に押し込まれ続けるが、戦い方にブレはない。下田の脳裏に父親からのメッセージが繰り返される。「『ここまで来たらもう楽しんで、勝っても負けても自分が思う存分やってくればいいよ』って言葉をもらったので、心置きなくやれたなって感じです」。後半のアディショナルタイム。コーナーキックに舞った岩田の頭がボールを相手ゴールにねじ込むと、ほとんど同時にタイムアップのホイッスルが吹き鳴らされる。

 何と4試合続けての1-0。驚異的な勝負強さを発揮し、8年ぶりの東京制覇を手繰り寄せた東久留米総合。「良い時もあれば、凄く悪い時もあって、結構山あり谷ありって感じでした。でも、最後の最後でこういう大舞台で、凄い応援の中でプレーできて、3年間頑張ってきて良かったなと思いますね」と胸を張る下田が誇らしげに笑う。西が丘を超え、駒沢を超えた先には、全国の猛者たちが手ぐすねを引いて待ち受けている。

 12月31日。空色のユニフォームを白のセカンドジャージに着替えた東久留米総合のイレブンは、“2度目”となる西が丘に帰ってきた。抽選の結果、全国大会の初戦で草津東高と対峙する舞台は、1か月半ぶりとなる聖地に定まっていた。圧倒的な空色がスタンドを包む中、下田を先頭に11人がピッチへと歩みを進めていく。

「2回も立てると思っていなかったので、凄く感慨深かったというか、ちょっと整列の時に興奮して泣きそうになっていたんですけど、そのぐらい“西が丘”は特別な場所ですね」。夢にまで見た晴れ舞台への帰還。しかも、そのステージは選手権という高校生にとって最高のそれ。だが、下田にとっての“2度目”は信じられないような事態に見舞われることとなる。

 前半8分。ピッチサイドに現れた第4の審判員が“5”と記された交替ボードを掲げ、鈴木亜藍が慌ててセンターバックの位置へと駆け出していく頃、既に下田の姿はグラウンド上のどこにもなかった。

「渡邉颯太くんが少しボールを流したので、届くと思ってスライディングしたら、思ったよりも渡邉くんの足が出てきて、そのまま巻き込まれちゃったみたいな感じで、『やっちゃったな』というふうに思ったんですけど、まあ、しょうがないかなと思いますね」。

 相手フォワードと競り合った際に、巻き込まれた右足が悲鳴を上げる。うずくまったまま、起き上がれない。その時間、まだ開始4分。ようやくピッチの外に出て、トレーナーと相談しながら少しだけ歩いてみるものの、自らの状況を悟る。「力が入らなかったので、『もう無理かな』と思いました」。下田にとって“2度目”の西が丘は、わずか8分間で負傷退場という形のピリオドが打たれた。

 羅針盤を失ったチームは荒れる。前半だけで3失点。ボランチの足立真がチームメイトの想いを代弁する。「将太郎という精神的な柱がいなくなっちゃったので、たぶん自分たちが思っていなくても『どうしよう』というのはあったはずです」。攻守に精彩を欠いて帰ってきたハーフタイム。交替を余儀なくされた主将も、言わずにいられなかった。「『もう下を向かないで、楽しんでやろう』と。『このまま終わったらもったいない』と」。

 後半13分。この日も松山がゴールネットを揺らす。「将太郎はいつも僕に怒っていましたけど、いなくなったらいなくなったで『頼もしい人がいないな』みたいな感じでした。やっぱり将太郎の存在はかなり大きかったんだなと思います」と口にしたストライカーが一仕事。1-3。スタジアムの空気が変わる。

 24分。今度は松山に続いて、柳田晃陽が得点を奪う。「ハーフタイムにもう一度スタンドを見て、出られなくて悔しい人たちがいるので、出ている自分がこんなプレーをしていて申し訳ないなと思って、気持ちを入れ直しました」と話すフォワードの一撃。もはや西が丘は完全に東久留米総合の“ホーム”となる。「『コレ、逆転まで行けるんじゃないか』と思って、ベンチでも興奮していました」と下田。その雰囲気は、明らかにあった。

 試合終了の瞬間、白いユニフォームがピッチに崩れ落ちる。ファイナルスコアは2-4。東久留米総合の冒険は、“2度目”の西が丘で終幕を迎えたが、誰よりも悔しいはずの下田は、苦楽を共にしてきた仲間の雄姿が何より嬉しかった。「この全国の舞台に来られただけでも自分たちとしては誇らしいことですし、最後の最後で自分たちの力は出せたので、本当に悔いはないなと思います」。帰ってきた仲間を笑顔で迎え、痛む右足を引きずりながら、主将として最後の仕事となる整列と挨拶に向かう。

 1人で歩くことはできず、チームメイトの野崎稜凱に背負われて、ようやく大きな声援を送り続けてくれた空色のスタンドの前へ辿り着き、感謝の気持ちを伝え始めたが、少しずつ言葉が途切れていく。「『みんなのおかげで全国に出られた』と、『本当にこの出た選手たちがしっかり頑張ってくれたので、自分自身悔いはない』と話して、後は感謝の気持ちを伝えて。そんなに泣くと思っていなかったんですけど、みんなの顔を見ていたら『終わっちゃうんだなあ』って」。西が丘を目指し、西が丘で終わった3年間が、滲んだ視界の先にある仲間の顔に重なった。

 加藤監督に付き添われ、右足を固定された下田が取材エリアへやってくる。用意された椅子に座った表情は、思っていたよりすっきりしているように見えた。「『オレがいなくてもこんなにできちゃうんだ』みたいな(笑) まあそれは冗談ですけど、本当に良い試合だったなと思います」。報道陣を笑わせる余裕が、何とも空色の主将らしい。

 父親への感謝も口を衝く。「お父さんは今日もゴール裏で写真を撮っていました。もう計画的な“犯行”だったと思うんですけど(笑)、やっぱり久留総に来て良かったなと、素直に3年間が終わってみても思いますね」。ゴール裏で見守っていた“先輩”も、同じ空色の意志を受け継ぎ、2度までも西が丘へ連れてきてくれた“後輩”に、きっと最大限の感謝を抱いていることだろう。

 最後に聞いてみた。「3年間、楽しかった?」。一瞬考えて、想いを吐き出す。「うーん、まあ、今となっては良い3年間と言えるかもしれないですけど、かなり厳しくて辛い3年間でもありました。でも、良い仲間に巡り合えたので、やっぱり良い3年間だったんじゃないかなと思います」。そう言い切った下田は、濃密な3年間を過ごした仲間の元へ消えていった。

 戦いの終わった西が丘の上空には、冬の澄み切った綺麗な青空が続いていた。水色ではなく“空色”と呼ばれてきた東久留米総合のユニフォームと、どこまでも青い空が瞼の裏で結び付き、ふとスタンドの仲間を前に、言葉を絞り出した下田の涙の意味を想う。心に刻まれた今日は、明日の自分を形作る。毅然とした態度で“空色の将”を務め切った18歳の青年の未来には間違いなく、あの空と同じくらいに無限の可能性が広がっている。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

▼関連リンク
●【特設】高校選手権2019
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:空色の将(都立東久留米総合高・下田将太郎)

(写真協力=高校サッカー年鑑)
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 幼い頃から憧れてきた舞台へ、別れを告げる瞬間が近付いてくる。1人で歩くことはできず、チームメイトの野崎稜凱に背負われて、ようやく大きな声援を送り続けてくれた空色のスタンドの前へ辿り着き、感謝の気持ちを伝え始めたが、少しずつ言葉が途切れていく。「そんなに泣くと思っていなかったんですけど、みんなの顔を見ていたら『終わっちゃうんだなあ』って」。都立東久留米総合高の230人をまとめる主将。下田将太郎の3年間は涙と共に、“2度目”の西が丘でその幕が降りた。

 キッカケは父親の存在だった。「お父さんが久留米高校出身ということもあって、小学生の頃からずっと久留総の試合を見に行っていました。今となっては笑い話ですけど、『オマエが久留総でプレーするようにずっと仕向けてきた』みたいな感じのことを言っていましたね(笑)」。水色ではなく“空色”と呼ばれるユニフォームを纏った高校生たちは、下田少年にとって尊敬の対象以外の何物でもなかった。

 特に覚えているのは、東京高校サッカー界の聖地と呼ばれるスタジアムで躍動する姿。「自分が小学生の頃に見ていた東久留米総合は凄く強くて、本当に憧れの気持ちもありましたし、特に西が丘で試合がある時はずっと見に行っていたので、空色のユニフォームを着て西が丘に立つことが本当に夢でした」。父親が秘めた思惑は、息子の未来を導く。『空色のユニフォームを着て、西が丘へ』。2017年4月。下田は桜舞う季節の校門をくぐり、東久留米総合高校へと入学する。

 200人を超える部員を擁したチームの中で、下田は2年時からレギュラーを掴んだものの、自身が描いていたような青写真は実現を見ない。2次トーナメント初戦敗退を突き付けられた総体予選に続き、選手権予選でもベスト16で同じ都立勢の国分寺高に0-1と競り負けると、その国分寺が西が丘のピッチまで辿り着いてしまう。かつては毎年のようにベスト4以上まで勝ち上がっていた東久留米総合だったが、聖地を経験することのないまま、下田たちにとっての高校ラストイヤーがやってくる。

 春先は快調そのもの。シーズン最初のトーナメントに当たる関東大会予選では、接戦を制しながら粘り強く勝ち上がり、準決勝でも夏の全国総体へ出場することになる大成高相手に、2度のビハインドを跳ね返しての逆転勝利を収め、本大会への進出権を獲得。ゴールを決める活躍を見せた下田も試合後に、「なんか『ああ、勝っちゃった。これで関東大会出場かあ』みたいな。でも、素直にメチャクチャ嬉しかったですね」と満面の笑顔。最高のスタートを切ったはずだった。

 ところが、2つ勝てば全国というシードをもらった総体予選では、初戦で駒澤大高に0-3とまさかの完敗。リーグ戦でもなかなか勝ち星を得られず、チームのバイオリズムは下降線を辿っていく。「『やはり粘りだけではダメだな』というシーズンを過ごしていた中で、その粘りすらも徐々になくなってきてしまって…」と明かすのは加藤悠監督。下田が掲げた目標は日々の向こう側に霞んでいく。

 大きな不安を抱えながら迎えた選手権予選。初戦で目白研心高を1-0と下し、次の西が丘を懸けた準々決勝で対峙したのは前回王者の国士舘高。前半から相手の圧力は強く、下田とセンターバックのパートナーを組む岩田蓮太を中心に、相手の攻撃を1つずつ凌いでいくと、後半1分にフォワードの松山翔哉がゴールまで30メートル近い距離からミドルシュートをゴールへ流し込み、劣勢の東久留米総合が先制点を挙げる。

 このまま負ける訳にはいかない国士舘のラッシュにも、「ウチはどのチームよりも技術が低い方なので、『気持ちの面で絶対に負けるな』ということは加藤先生にも3年間通して言われてきたことで、その気持ちがしっかり出せたので、ゴール前の攻防でうまく体を投げ出せたかなというのはありますね」と振り返る空色の主将。粘って、粘って、時間を潰し続けた東久留米総合のイレブンの耳に、タイムアップのホイッスルが届く。最後の最後で掴んだ『空色のユニフォームを着て、西が丘へ』。万感の想いが下田を覆い尽くす。

「この2年間は西が丘に行けなかったので、自分たちの代で行けるのは本当に嬉しいし、今まで関わって来てくれた人に感謝したいなと思います。西が丘で戦うということは、本当に東京都の高校生が目指す所だと思うので、負けてしまったチームの想いとか、そういうものを持って、責任感を感じて戦わなきゃいけないなというのはありますし、気持ちを前面に出して東久留米総合のサッカーをして、しっかり勝ち切ることができればいいなと感じます」。準備は整った。聖地が彼らを待っている。

 11月10日。味の素フィールド西が丘。良く晴れた青空の下、空色のユニフォームを纏った11人がピッチに歩みを進めていく。もちろん先頭にはキャプテンマークを巻いた下田の姿があった。「なんか正直『もっと緊張するかな』と思っていたんですけど、ワクワクの方が強くて」。ふとスタンドを見れば、空色の仲間たちが声を張り上げている。覚悟は決まった。小学生の頃から憧れ続けたこのピッチ。戦うしかない。楽しむしかない。

 準決勝ということもあってか、東久留米総合も関東一高も慎重なゲーム運び。ほとんどお互いにチャンスのないまま、時間が経過していく。ただ、この展開はある程度織り込み済み。「0-0で進めていけたらいいと思っていたので、押し込まれるシーンもあったんですけど、みんながハードワークして、しっかり抑えられたことで、ゲームが落ち着いた部分はありますね」と下田。夢の舞台を噛み締めながら、冷静に最後尾からチームを鼓舞する5番の背中が大きく見える。

 スコアレスで迎えた延長後半5分。ロングカウンターから歓喜の瞬間が訪れる。決めたのはまたも松山。実は殊勲のストライカーと何度も衝突してきた経緯を下田が明かす。「『もっと守備の部分で行けるだろ』という部分があって、自分もかなり厳しめに言ってきたんですけど、前はメッチャムカついてました(笑) それでも最近は本当にしっかり走ってくれるようになって、チームのために大事な試合で結果を残してくれて、本当に言い続けてきて良かったなと思います」。主将としての責任感が、このゴールを呼び込んだと言っても良いかもしれない。聖地を司る女神は東久留米総合に微笑んだ。

 11月16日。駒沢陸上競技場。決勝も東海大高輪台高に押し込まれ続けるが、戦い方にブレはない。下田の脳裏に父親からのメッセージが繰り返される。「『ここまで来たらもう楽しんで、勝っても負けても自分が思う存分やってくればいいよ』って言葉をもらったので、心置きなくやれたなって感じです」。後半のアディショナルタイム。コーナーキックに舞った岩田の頭がボールを相手ゴールにねじ込むと、ほとんど同時にタイムアップのホイッスルが吹き鳴らされる。

 何と4試合続けての1-0。驚異的な勝負強さを発揮し、8年ぶりの東京制覇を手繰り寄せた東久留米総合。「良い時もあれば、凄く悪い時もあって、結構山あり谷ありって感じでした。でも、最後の最後でこういう大舞台で、凄い応援の中でプレーできて、3年間頑張ってきて良かったなと思いますね」と胸を張る下田が誇らしげに笑う。西が丘を超え、駒沢を超えた先には、全国の猛者たちが手ぐすねを引いて待ち受けている。

 12月31日。空色のユニフォームを白のセカンドジャージに着替えた東久留米総合のイレブンは、“2度目”となる西が丘に帰ってきた。抽選の結果、全国大会の初戦で草津東高と対峙する舞台は、1か月半ぶりとなる聖地に定まっていた。圧倒的な空色がスタンドを包む中、下田を先頭に11人がピッチへと歩みを進めていく。

「2回も立てると思っていなかったので、凄く感慨深かったというか、ちょっと整列の時に興奮して泣きそうになっていたんですけど、そのぐらい“西が丘”は特別な場所ですね」。夢にまで見た晴れ舞台への帰還。しかも、そのステージは選手権という高校生にとって最高のそれ。だが、下田にとっての“2度目”は信じられないような事態に見舞われることとなる。

 前半8分。ピッチサイドに現れた第4の審判員が“5”と記された交替ボードを掲げ、鈴木亜藍が慌ててセンターバックの位置へと駆け出していく頃、既に下田の姿はグラウンド上のどこにもなかった。

「渡邉颯太くんが少しボールを流したので、届くと思ってスライディングしたら、思ったよりも渡邉くんの足が出てきて、そのまま巻き込まれちゃったみたいな感じで、『やっちゃったな』というふうに思ったんですけど、まあ、しょうがないかなと思いますね」。

 相手フォワードと競り合った際に、巻き込まれた右足が悲鳴を上げる。うずくまったまま、起き上がれない。その時間、まだ開始4分。ようやくピッチの外に出て、トレーナーと相談しながら少しだけ歩いてみるものの、自らの状況を悟る。「力が入らなかったので、『もう無理かな』と思いました」。下田にとって“2度目”の西が丘は、わずか8分間で負傷退場という形のピリオドが打たれた。

 羅針盤を失ったチームは荒れる。前半だけで3失点。ボランチの足立真がチームメイトの想いを代弁する。「将太郎という精神的な柱がいなくなっちゃったので、たぶん自分たちが思っていなくても『どうしよう』というのはあったはずです」。攻守に精彩を欠いて帰ってきたハーフタイム。交替を余儀なくされた主将も、言わずにいられなかった。「『もう下を向かないで、楽しんでやろう』と。『このまま終わったらもったいない』と」。

 後半13分。この日も松山がゴールネットを揺らす。「将太郎はいつも僕に怒っていましたけど、いなくなったらいなくなったで『頼もしい人がいないな』みたいな感じでした。やっぱり将太郎の存在はかなり大きかったんだなと思います」と口にしたストライカーが一仕事。1-3。スタジアムの空気が変わる。

 24分。今度は松山に続いて、柳田晃陽が得点を奪う。「ハーフタイムにもう一度スタンドを見て、出られなくて悔しい人たちがいるので、出ている自分がこんなプレーをしていて申し訳ないなと思って、気持ちを入れ直しました」と話すフォワードの一撃。もはや西が丘は完全に東久留米総合の“ホーム”となる。「『コレ、逆転まで行けるんじゃないか』と思って、ベンチでも興奮していました」と下田。その雰囲気は、明らかにあった。

 試合終了の瞬間、白いユニフォームがピッチに崩れ落ちる。ファイナルスコアは2-4。東久留米総合の冒険は、“2度目”の西が丘で終幕を迎えたが、誰よりも悔しいはずの下田は、苦楽を共にしてきた仲間の雄姿が何より嬉しかった。「この全国の舞台に来られただけでも自分たちとしては誇らしいことですし、最後の最後で自分たちの力は出せたので、本当に悔いはないなと思います」。帰ってきた仲間を笑顔で迎え、痛む右足を引きずりながら、主将として最後の仕事となる整列と挨拶に向かう。

 1人で歩くことはできず、チームメイトの野崎稜凱に背負われて、ようやく大きな声援を送り続けてくれた空色のスタンドの前へ辿り着き、感謝の気持ちを伝え始めたが、少しずつ言葉が途切れていく。「『みんなのおかげで全国に出られた』と、『本当にこの出た選手たちがしっかり頑張ってくれたので、自分自身悔いはない』と話して、後は感謝の気持ちを伝えて。そんなに泣くと思っていなかったんですけど、みんなの顔を見ていたら『終わっちゃうんだなあ』って」。西が丘を目指し、西が丘で終わった3年間が、滲んだ視界の先にある仲間の顔に重なった。

 加藤監督に付き添われ、右足を固定された下田が取材エリアへやってくる。用意された椅子に座った表情は、思っていたよりすっきりしているように見えた。「『オレがいなくてもこんなにできちゃうんだ』みたいな(笑) まあそれは冗談ですけど、本当に良い試合だったなと思います」。報道陣を笑わせる余裕が、何とも空色の主将らしい。

 父親への感謝も口を衝く。「お父さんは今日もゴール裏で写真を撮っていました。もう計画的な“犯行”だったと思うんですけど(笑)、やっぱり久留総に来て良かったなと、素直に3年間が終わってみても思いますね」。ゴール裏で見守っていた“先輩”も、同じ空色の意志を受け継ぎ、2度までも西が丘へ連れてきてくれた“後輩”に、きっと最大限の感謝を抱いていることだろう。

 最後に聞いてみた。「3年間、楽しかった?」。一瞬考えて、想いを吐き出す。「うーん、まあ、今となっては良い3年間と言えるかもしれないですけど、かなり厳しくて辛い3年間でもありました。でも、良い仲間に巡り合えたので、やっぱり良い3年間だったんじゃないかなと思います」。そう言い切った下田は、濃密な3年間を過ごした仲間の元へ消えていった。

 戦いの終わった西が丘の上空には、冬の澄み切った綺麗な青空が続いていた。水色ではなく“空色”と呼ばれてきた東久留米総合のユニフォームと、どこまでも青い空が瞼の裏で結び付き、ふとスタンドの仲間を前に、言葉を絞り出した下田の涙の意味を想う。心に刻まれた今日は、明日の自分を形作る。毅然とした態度で“空色の将”を務め切った18歳の青年の未来には間違いなく、あの空と同じくらいに無限の可能性が広がっている。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

▼関連リンク
●【特設】高校選手権2019
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史

ブレイク中FWトラオレの「信じがたい」フィジカルの秘密…バルサ退団は「クラブと誤解があった」

ウォルバーハンプトンで活躍するFWアダマ・トラオレ
 ウォルバーハンプトンの元バルセロナFWアダマ・トラオレがスペインのテレビ番組『フゴネス』のインタビューに応じ、自身の身体能力や将来のキャリアについて語った。スペイン『ムンド・デポルティボ』が伝えている。

 スペインとマリの国籍を持つトラオレは、バルセロナの下部組織から2013年にトップチームデビュー。2015年にアストン・ビラ、2016年にミドルズブラへ移籍し、2018年に現所属のウォルバーハンプトンと5年契約を結んだ。

 加入1年目の昨季はプレミアリーグ29試合で1ゴール1アシストに終わったが、今季はここまで19試合の出場で4ゴール4アシストを記録。2連覇中の王者マンチェスター・シティとの2試合で3ゴール1アシストの活躍を見せるなど、ビッグクラブも注目する存在となっている。

 インタビューでフィジカル面の成長について問われたトラオレは「僕はウェイトをしない。信じがたいことだけど、僕はウェイトをしていないんだ。(フィジカルは)遺伝的なものだよ」と、天性のものだと打ち明けている。

 また、バルセロナ育ちのトラオレは「レアル・マドリーからオファーがあったら?」という質問に「マドリーに行かなければならないなら、マドリーに行くよ」と答え、ライバルクラブへの扉は閉じていないようだ。2015年のバルセロナ退団については「バルセロナとの誤解があったんだ。僕の移籍は最良のものではなかった」と振り返っている。

 トラオレは「どうしてスペインに戻らないと思える?」と将来的なスペイン復帰を示唆しつつ、「でも僕はイングランドで最高の1人になることを約束している」と、プレミアリーグでの成功を優先させると語った。

●リーガ・エスパニョーラ2019-20特集
●プレミアリーグ2019-20特集
●初月無料!!プレミアリーグはDAZNで独占配信中

【動画】ウイイレ2020「まやげか会」準決勝 かつぴーやVSレバ【ノーカット映像】

【動画】ウイイレ2020「まやげか会」準決勝 かつぴーやVSレバ【ノーカット映像】
 プロゲーマーのMayageka(まやげか)が主催した「まやげか会」(共催:ゲキサカFC)が2019年12月22日に講談社で開催された。『eFootball ウイニングイレブン2020』(ウイイレ2020)を使用したミニトーナメントではウイイレ猛者たちが激闘を繰り広げた。

 延長・PK戦なしで2試合を行い、合計スコアで勝敗を決めるレギュレーション(2試合合計が同点の場合はゴールデンゴール方式で3試合目を行う)。準決勝では、ともにJeSUプロライセンスを持ち、WESGの日本代表にも選ばれているかつぴーやとレバの両者が激突した。

★ゲキサカYouTubeチャンネル登録はこちらから

「とても嬉しく思います」栃木FW榊が契約更新

栃木FW榊翔太が契約更新
 栃木SCは1日、FW榊翔太(26)と2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 榊は2019年シーズンのJ2リーグ戦で14試合に出場し、1得点をマーク。クラブ公式サイトを通じ、「新年明けましておめでとうございます。今年も栃木SCでプレー出来ることをとても嬉しく思います。チームの為に、応援してくれる皆さんの為に全力で戦います。熱い応援を宜しくお願いします!」とコメントしている。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

「とても嬉しく思います」栃木FW榊が契約更新

栃木FW榊翔太が契約更新
 栃木SCは1日、FW榊翔太(26)と2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 榊は2019年シーズンのJ2リーグ戦で14試合に出場し、1得点をマーク。クラブ公式サイトを通じ、「新年明けましておめでとうございます。今年も栃木SCでプレー出来ることをとても嬉しく思います。チームの為に、応援してくれる皆さんの為に全力で戦います。熱い応援を宜しくお願いします!」とコメントしている。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

横浜FM、JリーグMVP&得点王のFW仲川と契約更新

横浜FMのFW仲川輝人が契約更新
 横浜F・マリノスは1日、FW仲川輝人(27)が2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 仲川は2019年シーズンのJ1リーグ戦で33試合に出場。15ゴールを挙げて得点王に輝き、チームの15年ぶりのリーグ優勝に貢献した。シーズン終了後にはJリーグ最優秀選手賞を受賞。また、同年12月にはE-1選手権に出場する日本代表に初選出され、A代表初キャップを刻むなど、飛躍の1年となった。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

横浜FM、JリーグMVP&得点王のFW仲川と契約更新

横浜FMのFW仲川輝人が契約更新
 横浜F・マリノスは1日、FW仲川輝人(27)が2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 仲川は2019年シーズンのJ1リーグ戦で33試合に出場。15ゴールを挙げて得点王に輝き、チームの15年ぶりのリーグ優勝に貢献した。シーズン終了後にはJリーグ最優秀選手賞を受賞。また、同年12月にはE-1選手権に出場する日本代表に初選出され、A代表初キャップを刻むなど、飛躍の1年となった。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

40歳の元代表MF稲本が相模原と契約更新! プロ24年目のシーズンへ

相模原MF稲本潤一(右)が契約更新
 SC相模原は1日、元日本代表MF稲本潤一(40)と2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 稲本は2019年に札幌を離れ、相模原に完全移籍。同年6月15日に行われたJ3第12節・G大阪U-23戦でゴールを決め、J3最年長得点記録を39歳8か月28日に更新した。同シーズンはリーグ戦9試合に出場している。

 プロ24年目のシーズンに向け、クラブ公式サイトを通じて「2020年も相模原でプレーする事になりました。昨年の経験を生かし、サポーターに一つでも多く勝利を届けれるよう頑張ります!今年もよろしくお願いします」とコメントした。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

広島が生え抜きMF川辺との契約更新を発表

広島MF川辺駿が契約更新
 サンフレッチェ広島は1日、MF川辺駿(24)と2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 広島県出身の川辺は広島ユースから2014年にトップチームへ昇格。2015年から2017年まで磐田に期限付き移籍し、広島復帰2年目となった2019年シーズンはJ1リーグ戦34試合で3得点を記録した。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

体現した“中央突破”“切り替えゼロ秒”。立正大淞南MF石橋主将「チームとして『本当に成長したな』と感じられた1点」

敗戦に涙した立正大淞南高MF石橋克之主将だが、この1年間、そして高校3年間を体現するプレー
[12.31 選手権1回戦 富山一高 2-2(PK4-3) 立正大淞南高 浦和駒場]

 PK戦5人目、失敗すれば後攻・立正大淞南高(島根)の敗退が決まる場面でMF石橋克之主将(3年)が右足を振り抜く。次の瞬間、乾いた音とともにボールは背番号10の目の前を横切って外側へと外れて行った。「(ポストに当たる)音鳴った瞬間は、『入ってくれ』という祈りがあったんですけれども……」。石橋は突っ伏すようにピッチへ倒れ込むと、仰向けの状態となって両手で目を覆っていた。

「自分が3年間やってきたことの『甘さ』というのが出たのかなと今、思っています」

 インターハイ準優勝校の富山一高(富山)相手に2度リードを奪い、運動量が落ちて押し込まれた試合終盤も身体を張って良く守っていた。強敵相手に好ゲームを演じたが、残念過ぎる敗退。ただし、立正大淞南の南健司監督はPK戦での敗退について全く問題視しなかった。

「攻撃のできる回数は想定通り。決めるところで決めてくれた。守備も決定的な場面がたくさんあったんですけれども、身体を張って良くやってくれたと思います。さっき生徒に『駆け抜けるような高校生活を歩んできて、これからもそれを続けてくれ』という話をしました。内容云々よりも良くやったと思います。何かに活かしてくれれば良いと思います」と選手たちを労った。

 PK戦で失敗した石橋は試合後、敗退の責任を背負って涙。そして、自身の高校3年間の「甘さ」が出たことについて、悔やんでも悔やみきれない様子だった。だが、彼はこの試合で、仲間たちとともに立正大淞南の3年間で学んできたことを表現している。

 1-1の後半27分、立正大淞南はDFラインから連続での縦パスで中央突破を試みる。MF山田真夏斗(3年/松本内定)の縦パスは相手DFに阻まれてしまったが、その瞬間に石橋が相手との距離を詰めてクリアをチャージ。このこぼれ球を拾ったFW伴木翔(3年)が、強引に仕掛けて右足シュートをゴール左隅に突き刺した。石橋は立正大淞南の伝統である“切り替えゼロ秒”“高速プレス”を体現。同じく伝統の“中央突破”からのゴールを仲間たちとともにもたらした。

 石橋は「あそこ簡単に蹴らせてしまうと、ピンチになる。でも、ブロックできれば凄くチャンスになるという話をされていましたし、そこが相手も一番嫌がることだと思っていました。自分があそこの距離を詰めれたことは本当に、去年負けてからこの1年間の成長が見れたと思いますし、それでゴールを決められたというのは、チームとして『本当に成長したな』と感じられた1点でした」と頷いた。

 石橋は昨年もレギュラーとして選手権を経験。キャプテンを務めた1年間で自身も、個性派揃う立正大淞南も成長させてきた。やるべきことを瞬時に体現した石橋に、伴木が呼応して生まれたゴール。彼ら含めてピッチ、ベンチ、そしてチームを後押しし続けたスタンドの選手たち全員で奪った1点だった。

 PK戦で敗れ、大目標とする全国制覇に手が届かなかったことは確か。だが、石橋をはじめとした3年生は「駆け抜けるような高校生活」で培った力をしっかりと大舞台で表現し、後輩たちの目にその姿を焼き付けて次のステージへのスタートを切った。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

天皇杯ファイナルを控える神戸のポドルスキ「皆が決勝の話をしたがるが…」

神戸FWルーカス・ポドルスキが天皇杯決勝に向けてコメント
 新国立競技場のこけら落としとなる天皇杯決勝が1日に行われ、ヴィッセル神戸鹿島アントラーズがタイトルを懸けて対戦する。大会公式ツイッター(@jfa_tennouhai)が14時35分のキックオフを前に、両チームの選手のコメントを紹介した。

 鹿島をけん引するMF永木亮太は「今週はしっかりといいトレーニングができていますし、神戸の対策もしっかりできています。決勝戦は、勝つか負けるかの2択しかない。自分たちが勝つことだけを意識してプレーをしていきたいです」と自信を示している。

 プロ4年目の鹿島DF町田浩樹は「国立には、小さいころに試合を見に行ったことがあります。様々な歴史のある場所でこけら落としとなる試合なので、そこでプレーができると思うと気持ちが高ぶります」と、新国立競技場での大一番に向けて心境を語った。

 また、2019年夏にハンブルガーSVから神戸に完全移籍したDF酒井高徳は「シーズン最後に向けて、良い形になってきました。チームの完成度は高くなってきていると感じます」と元日決戦を前に手応えを感じている様子だ。「皆の頑張りもあって、決勝に来ることができました。人生2回目の決勝。今回はタイトルを取れたらと思います」と力を込めた。

 2014年のブラジルW杯優勝など、これまで数々の大舞台を経験してきた元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキは「皆が決勝の話をしたがりますが、ピッチの中に入って、試合を楽しめば(おのずと)良い結果がついてきます」と自然体を強調。「もちろん決勝なので、特別なものがありますが、いつもと同じように、戦う気持ちや姿勢を見せ、全てを出し切るだけです」と頼もしく語った。

 令和となって初めて迎える天皇杯決勝。過去5度の優勝を誇る鹿島は、勝利すれば大会歴代単独3位の優勝回数となる。一方、神戸は初のファイナル進出。勝てばクラブとしても初のタイトル獲得となる。

●第99回天皇杯特設ページ

栃木の34歳DF菅が契約更新「より高い場所を」

栃木DF菅和範が契約更新
 栃木SCは1日、DF菅和範(34)と2020年シーズンの契約を更新したことを発表した。

 菅は2008年に岐阜でプロキャリアを始め、2012年から栃木でプレー。2019年シーズンはJ2リーグ戦9試合、天皇杯1試合に出場した。

 クラブ公式サイトを通じて「2020年、日本そして栃木県がスポーツで盛り上がる年です!栃木県内のスポーツ界、そして栃木SCを愛するすべての皆さん、より高い場所を目指し共に戦っていきましょう!!」とコメントしている。

★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

メッシが“イメトレ”で見ていた選手は? 偶然居合わせ女性が撮影してバズる

母国での休暇中にトレーニングを行っているFWリオネル・メッシ
 バルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが自分のプレーを見ながらトレーニングを行う様子が公開され、ファンやメディアの間で大きな話題となっている。スペイン『ラ・バングアルディア』が伝えた。

 リーガ・エスパニョーラは現在中断期間。母国アルゼンチンのロサリオで家族と休暇を過ごしているメッシは、今月2日のチーム合流に向けてトレーニングを行っていた。

 大きな反響を呼んだのは、ジムで偶然メッシと居合わせた地元の女性が12月30日に投稿した写真だ。そこに写されていたのは、自身のゴールシーンの映像を眺めながらルームランナーで走るバルセロナのスターの後ろ姿だった。

 その写真を掲載した女性のツイートは「メッシがメッシを見ている」として瞬く間にファンやメディアの間で話題となり、1月1日時点で約2万8000件のリツイートと約23万5000件のいいねが付けられている。

 バルセロナの2020年最初の公式戦は4日に行われ、リーガ第19節でエスパニョールとアウェーで対戦。その後、10日にサウジアラビアで開催されるスペイン・スーパーカップでアトレティコ・マドリーと戦う予定となっている。

●リーガ・エスパニョーラ2019-20特集
●久保建英の試合はDAZNで!!いまなら初月無料!!

メッシが“イメトレ”で見ていた選手は? 偶然居合わせ女性が撮影してバズる

母国での休暇中にトレーニングを行っているFWリオネル・メッシ
 バルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが自分のプレーを見ながらトレーニングを行う様子が公開され、ファンやメディアの間で大きな話題となっている。スペイン『ラ・バングアルディア』が伝えた。

 リーガ・エスパニョーラは現在中断期間。母国アルゼンチンのロサリオで家族と休暇を過ごしているメッシは、今月2日のチーム合流に向けてトレーニングを行っていた。

 大きな反響を呼んだのは、ジムで偶然メッシと居合わせた地元の女性が12月30日に投稿した写真だ。そこに写されていたのは、自身のゴールシーンの映像を眺めながらルームランナーで走るバルセロナのスターの後ろ姿だった。

 その写真を掲載した女性のツイートは「メッシがメッシを見ている」として瞬く間にファンやメディアの間で話題となり、1月1日時点で約2万8000件のリツイートと約23万5000件のいいねが付けられている。

 バルセロナの2020年最初の公式戦は4日に行われ、リーガ第19節でエスパニョールとアウェーで対戦。その後、10日にサウジアラビアで開催されるスペイン・スーパーカップでアトレティコ・マドリーと戦う予定となっている。

●リーガ・エスパニョーラ2019-20特集
●久保建英の試合はDAZNで!!いまなら初月無料!!

1月21日開幕 デフフットサルの欧州チャンピオンズリーグに日本代表の松本、鎌塚、設楽が参戦へ

日本人で初めてデフフットサルの欧州CLに参戦することが決まった松本弘(中央)
 昨年11月、スイスで行われたデフフットサルのワールドカップ(W杯)に出場していた日本代表の松本弘(メルカリ)がスイスの強豪クラブ、ユナイテッドD.C(デフクラブ)からオファーを受け、21日に開幕する、ヨーロッパのクラブで最高峰の戦いとされるデフフットサルの欧州チャンピオンズリーグに参戦することが1日、明らかになった。さらにユナイテッドD.C.と松本の話し合いにより、イタリアで武者修行の経験がある24歳の鎌塚剛史(大東文化大)、27歳の設楽武秀(中外製薬)も同じクラブで練習生のような形で帯同し、実力が認められれば試合にも出場する。

 出発を控え、松本はインタビューに応じた。

「34歳でオファーをいただけることはなかなかない。欧州のデフのクラブがやっていることも知りたいですし、向こうにあって日本にないもの、日本にあって向こうにないものを情報としてつかんできたいです」

 現地時間の昨年11月16日、W杯を終えた数日後にFacebookを通してユナイテッドD.C.の監督から直接連絡が来た。スイスはW杯で準優勝した強豪国で、ユナイテッドD.C.にはスイス代表の主力が中核をなす。W杯で、日本代表はスイスのライバル、ポーランドと対戦。4-5で敗れたが、その試合で2ゴールを決めた松本の活躍がクラブの関係者の目に留まった。

 松本はW杯を終えた後はフットサルではなく、サッカーに専念して2年後のデフリンピックを目指しているため、日本を拠点に活動したい希望を伝え、クラブ側は了承。松本は1月の欧州チャンピオンズリーグと6月のスイスの国内大会限定で現地に行き、クラブの一員として戦う。松本は渡航費だけ自ら支払い、チームに帯同中の滞在費をクラブが支払うという。

 1月21日にイタリアで開幕する欧州CLはスイスやW杯を制したスペインなど20カ国から24クラブが参加。4か国6グループに分かれてグループリーグが行われ、その後、順位決定戦と進んでいく。ユナイテッドD.Cは前回優勝のドルフィンズ(イスラエル)と同組に入った。25日に決勝が行われる。

「目標を優勝に定めていたW杯で日本は10位に終わりました。日本はこの4年間で成長しましたが、周りの国の戦術的な幅が広がったことに驚きました。たとえば、4年前にも対戦したロシア代表も、ドリブルだけしか特徴がなかった選手が、ゲームをうまくコントロールできる選手になっていた。これから日本代表を強化していく上で、他国の動向、特にヨーロッパがどう変化しているか、ということを常にウォッチしないといけない、と痛感しました。
 そこで将来、日本代表を背負うであろう、鎌塚と設楽のこともクラブ側に話をさせてもらいました。大会だけでも欧州で試合に出られるのであれば、その経験はプラスになるし、今後の日本代表の男子だけでなく女子選手のことも考えて、そのつながりを持っておきたい、と考えたからです」

インタビューに応じた松本弘

 福岡生まれの松本は、生まれつき難聴だったが、小学1年生の頃、盛り上がっていたJリーグの影響でサッカーをはじめた。耳のことでいじめられる経験もしたが、それでもJリーガーになることを夢見てボールを蹴っていると、高校生ぐらいのお兄さん選手たちが「入りなよ」と誘ってくれた。その後、父の転勤もあって上京。ろう学校に入り、手話を覚え、デフサッカー日本代表の存在を知った。2005年にはじめて練習会に参加し、2008年から日本代表に選ばれ続けてきた。

「サッカーをはじめた頃、『サッカーで影響を受けた僕が、プロになることでどんな影響を(周りに)与えられるんだろう』と考えていた。東京に来て、その夢はあきらめましたが、デフの日本代表をめざしている間に新しい目標が出来ました」

 サッカーに魅せられ、サッカーで救われた松本は、目標は変わっても「一流になりたい」という部分だけはブレずに過ごしてきた。その結果、欧州最高峰の舞台で勝負する場を与えられた。

「僕は(ユナイテッドD.C.の)助っ人として行くので、結果を残してきたい。力を出せなかったら日本人の次のチャンスはなくなってしまいますから。その戦いをしながら、ヨーロッパの内情も学んで、日本の今後のデフサッカー、フットサルの発展に尽くしたいんです」

 スイスのW杯で日本代表は渡航費、滞在費を含めて選手は推定50万円ほど自己負担をしたが、今回、スイスのクラブは滞在費を払ってくれる。その差はどうやって生まれるのか。松本は若い鎌塚や設楽を引き連れて、欧州の風に吹かれながら、本場の文化も吸収してくる。

【スイスW杯男子日本代表の戦績】
≪予選≫
〇5-2ブラジル 宗澤、松本、東海林2、土屋
●4-5ポーランド 松本2、吉野、設楽
●1-2ロシア 吉岡

≪決勝ラウンド≫
11月13日 △5-5(PK3-1)アルゼンチン 東海林3、野寺、仲井
11月15日 ●4-5イタリア 鎌塚3、仲井

【W杯男子日本代表】
GK1千葉駿介(千葉・MARE PARADA)
GK12折橋正紀(埼玉・AVANOL/SORDO)
★FP3設楽武秀(埼玉・スプリズ)
FP4土屋祐輝(千葉・MARE PARADA)
FP5船越弘幸(大阪・Gypsy futsal club)
FP6上井一輝(和歌山・LIGAR.F.C)
FP7東海林直広(埼玉・AVANSOL/さいたま)
FP8吉野勇樹(埼玉・AVANSOL/SORDO、REPLO TOKYO)
★FP9鎌塚剛史(千葉・トルエーラ柏)
★FP10松本弘(埼玉・AVANSOL/SORDO、REPLO TOKYO)
FP11野寺風吹(茨城・筑波大学蹴球部、VELDADEIRO/W.F.)
FP13宗澤麟太郎(埼玉・AVANSOL/SORDO)
FP14吉岡成哲(埼玉・AVANSOL/SORDO)
FP15仲井健人(埼玉・AVANSOL/SORDO、REPLO TOKYO)

【注】戦績にある名前は得点者、数字はゴール数、★が今回ユナイテッドD.C.に参戦する選手

(取材・文 林健太郎)

●デフ/障がい者サッカー特集ページ
●日本障がい者サッカー連盟(JIFF)のページはこちら

「あ、決まるかも」。DF吉藤の投じた“手応えあり”のロングスローから、富山一は同点ゴール

富山一高DF吉藤廉はロングスローで同点ゴールを演出
[12.31 選手権1回戦 富山一高 2-2(PK4-3) 立正大淞南高 浦和駒場]
 
「あの時は投げた瞬間に『あ、決まるかも』と思いました」

 0-1の後半18分、富山一高は右サイドからDF吉藤廉(3年)がロングスロー。「『飛んで、結構良いところに落ちるんじゃないか』と投げた瞬間にイメージできました」という手応え十分のロングスローは、ライナー性の軌道を描いてニアポストまで到達。立正大淞南高のDFが競りながら難しい体勢で頭に当てるが、ボールはゴール方向に飛んでそのまま右隅に吸い込まれた。

 富山一は右ストッパーの吉藤、左ストッパーのDF丸山以祐(3年)がいずれも距離の出るロングスローを投じることができる。追い風となった後半は、このロングスローで陣地を挽回。立正大淞南高は相手のロングスローの度に帰陣を強いられ、MF高木俊希(3年)を中心とした富山一の配球にも体力を削り取られていた。

 立正大淞南の南健司監督は、ロングスローを組み込んだ戦術の有効性を口にしていた。「改めて凄い戦術というか、狙ったところにボールを放り込める物凄いプレー。(後半に)押し込まれたのは風プラスロングスロー」と分析。富山にとっては思うような守備ができない試合だったが、“相手が処理しづらい”武器を最大限に活用して難敵を押し込み、ゴールに繋げた。

 吉藤はセカンドチームにいた昨年、善本洋輔コーチの提案でロングスローをチーム戦術に組み込むために投げ始めたのだという。普段のトレーニングでは全く投げず、実戦のみ。ただし、1年間、模索しながら投げ続けてきた結果、体全体でボールを飛ばす投げ方、タイミングがしっくり来るものになった。「今シーズンは距離も出ている」というロングスロー。この日の後半は、追い風の中でベストなものを飛ばすことができ、その一投がチームを救った。

 吉藤は自分たちの強みである守備で課題が残ったことを反省。身体を張った守りでチームを支える中心選手は、2回戦でより守備を安定させ、ロングスローで再びチャンスに絡む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

「あ、決まるかも」。DF吉藤の投じた“手応えあり”のロングスローから、富山一は同点ゴール

富山一高DF吉藤廉はロングスローで同点ゴールを演出
[12.31 選手権1回戦 富山一高 2-2(PK4-3) 立正大淞南高 浦和駒場]
 
「あの時は投げた瞬間に『あ、決まるかも』と思いました」

 0-1の後半18分、富山一高は右サイドからDF吉藤廉(3年)がロングスロー。「『飛んで、結構良いところに落ちるんじゃないか』と投げた瞬間にイメージできました」という手応え十分のロングスローは、ライナー性の軌道を描いてニアポストまで到達。立正大淞南高のDFが競りながら難しい体勢で頭に当てるが、ボールはゴール方向に飛んでそのまま右隅に吸い込まれた。

 富山一は右ストッパーの吉藤、左ストッパーのDF丸山以祐(3年)がいずれも距離の出るロングスローを投じることができる。追い風となった後半は、このロングスローで陣地を挽回。立正大淞南高は相手のロングスローの度に帰陣を強いられ、MF高木俊希(3年)を中心とした富山一の配球にも体力を削り取られていた。

 立正大淞南の南健司監督は、ロングスローを組み込んだ戦術の有効性を口にしていた。「改めて凄い戦術というか、狙ったところにボールを放り込める物凄いプレー。(後半に)押し込まれたのは風プラスロングスロー」と分析。富山にとっては思うような守備ができない試合だったが、“相手が処理しづらい”武器を最大限に活用して難敵を押し込み、ゴールに繋げた。

 吉藤はセカンドチームにいた昨年、善本洋輔コーチの提案でロングスローをチーム戦術に組み込むために投げ始めたのだという。普段のトレーニングでは全く投げず、実戦のみ。ただし、1年間、模索しながら投げ続けてきた結果、体全体でボールを飛ばす投げ方、タイミングがしっくり来るものになった。「今シーズンは距離も出ている」というロングスロー。この日の後半は、追い風の中でベストなものを飛ばすことができ、その一投がチームを救った。

 吉藤は自分たちの強みである守備で課題が残ったことを反省。身体を張った守りでチームを支える中心選手は、2回戦でより守備を安定させ、ロングスローで再びチャンスに絡む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

大手前高松の全国初ゴールはMF谷本将虎「僕が歴史に残るのはホンマに嬉しい」

決勝ゴールを挙げた大手前高松高MF谷本将虎(写真協力『高校サッカー年鑑』)
[12.31 全国高校選手権1回戦 帝京大可児高0-1大手前高松高 オリプリ]

 大手前高松高の栄えある全国大会初ゴールはスピード自慢のMF谷本将虎(3年)が掴み取った。そのことを報道陣に問われると「これは歴史に残るんですかね?僕が歴史に残るのはホンマに嬉しいです」と満面の笑み。本格強化10年目。これから名門への道を歩んでいこうとしている同校初の偉業には喜びを隠し切れなかった。

 向かい風となって迎えた後半12分、起点となったのは同じFCコーマラントで中学時代を過ごしたMF滝平昂也(3年)のロングスローだった。50m級の大遠投がゴール前を襲うと、相手GKがかろうじて触れたボールがクロスバーにヒット。この跳ね返りにいち早く詰めた谷本がダイレクトで流し込んだ。

 このホットラインについて、ロングスローでアシストした滝平は次のように語る。「僕は左サイドハーフで、谷本くんが右サイドハーフをしていて、斜めのボールは常に狙っていた。阿吽の呼吸というかやっぱり分かっているので。僕があそこに投げたら谷本くんが来るだろうという予測はついていると思う」。

 一方の谷本も「狙った通りですね」と声を揃える。その上で「投げてくれた滝平くんがおらんかったら、あの点はなかったので」と全面的に感謝を語っていた。

 また谷本はこの場面以外にも相手のビルドアップを奪ってゴールに突進するシーン、後方からのフィードに抜けてクロスをあげるシーンなど、アバウトなボールに飛び込むスキルで非凡なものを見せていた。「常にそういう場面は狙うようにしていて、点を取れたらよし。ファウルをもらえてもよし」(谷本)。得点の場面でもそうしたセンスが存分に表れていた。

 谷本のゴールが決勝点となり、大手前高松は全国初勝利を達成。香川県勢でも7年ぶりの白星となった。また谷本や滝平をはじめ中心選手を占める、同校のパスサッカーに共鳴して集まったFCコーマラント出身者にとっても初の全国大会で成し得た偉業。谷本は「こういうところで一緒に出られて嬉しいし、香川県代表として勝てたことも嬉しい」と喜びを語った。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

風に悩まされた帝京大可児「準備はしていたが、結果できずに投げられ放題」

前半にチャンスを導いていた帝京大可児高MF横井内壮(写真協力『高校サッカー年鑑』)
[12.31 全国高校選手権1回戦 帝京大可児高0-1大手前高松高 オリプリ]

 前半は横から吹きつけてきていたはずの強風は、後半に入ると激しい向かい風となって立ちはだかった。岐阜県予選を35得点0失点という圧倒的な成績で勝ち抜き、2年ぶり6回目の全国大会に挑んだ帝京大可児高だったが、天にも見放される形で大会を去ることとなった。

 細かいパス回しでボールを保持する伝統のスタイルに加え、DF神戸政宗(3年)のロングスローという力技も持ち合わせる今年度の帝京大可児。しかし、大会初戦のゼットエーオリプリスタジアムは2試合目に入ると強風が吹き荒れ、ボールをセットするのにも難しいコンディションとなり、自然と相手のミスを誘発するハイボールに委ねる選択が続いてしまった。

「ウチの戦い方はボールを大事にしながら飛び道具のロングスローをオプションで1年間戦ってきたけど、ロングスローの攻撃が中心になってしまい、単調な攻めになってしまった」。前半をそう分析していたという仲井正剛監督は「下のボールで動かしながらロングスローもたまにやるほうが良かった。初戦で固くなっているところでリスクを犯したくない気持ちになってしまった」と振り返った。

 後半は修正に取り組もうとしたが、今度は風向きが大きく変わって向かい風となった。その時間帯に相手の風に乗せた50m級のロングスローがゴール前を襲い、運命を分ける先制点を献上。指揮官は「1点取られてからは縦に速くなってしまったり、相手も少し余裕があるから焦りなく守れるので、ちょっとずらせなかったり、シュートブロックされたりというのがあった」と失点までの試合運びに課題を見出した。

 実は前回出場した2017年度大会でも強風の影響が色濃く出た3回戦で上田西高に0-5で大敗。「風という部分の準備は2年前もやられた部分があったけど、クリアが前の飛ばないところで作り直して…というところまで準備はしていたが、結果できずに(ロングスローを)投げられ放題になってしまった」。風向きの面ではたしかに不運もあったが、予測はできていただけに対応の拙さを悔やむしかなかった。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

Jクラブも関心寄せた大分MF重見、悔しさを胸に次のステージへ「早くからプロに声がかかるように」

ボールを運ぶ大分高MF重見柾斗(写真協力『高校サッカー年鑑』)
[12.31 選手権1回戦 矢板中央高2-2(PK6-5)大分高 オリプリ]

 Jクラブからの関心も寄せられていた大分高MF重見柾斗(3年)の冬は、年越しを迎える前に幕を閉じた。「もっとボールに関わる回数を増やしたかった」。プロ入りを逃した悔しさ、そして最後の大舞台で感じた無念は次のステージで晴らすつもりだ。

 左右の足から自在に散らされる長短のパス、絶え間ない動き出しで相手選手の逆を取る身のこなし、素早くスペースに潜り込んでいくドリブル——。湘南ベルマーレやV・ファーレン長崎のスカウトから熱視線を送られていたという能力は全国の舞台でもしっかりと表現されていた。

 圧巻だったのは1-2で迎えた後半27分、中盤のやや敵陣寄りでボールを受けると相手守備陣を引きつけながらスルスルと突破したシーンだ。「ドリブルはずっと狙っていて、一人ちぎって数的優位をつくるイメージをしていた」。最後はFW大神颯汰(3年)へのスルーパスをしっかり通し、チームを救う同点ゴールをアシストした。

 しかし、自身が成功させたPK戦ではわずかに及ばず。大津高を相手に豪快なミドルシュートを決めた前回大会2回戦に続き、またしてもPK戦で涙をのんだ。「良い時間帯で2点目を取り返せていたので、3点目を取れなかった甘さが出た」。それでも背番号6は失敗したチームメートを責めるのではなく、80分間で決着をつけられなかった自らの出来にも矢印を向けた。

 全国大会で鮮烈なパフォーマンスを発揮した昨年度からの1年間、Jクラブへの練習参加も経て「高校では味わえないスピード、判断の速さ。経験させてもらったことが成長につながった」と手応えも感じてきた。ただ、スカウトに言われた「プロの選手はコミュニケーションでも自分から話しかけたり、メンタル的にも違う」という苦い忠告も胸に残った。

 高校3年間で育て上げてきた武器、そしてなおも残る課題は次のステージで前向きなものとしていく構えだ。九州の私立大に進学予定の重見は「高校から(プロに)行けなかった悔しさを忘れず、大学で1年目から試合に関わって、結果を残して、早くからプロに声がかかるようにしていきたい」と決意を示した。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

大分は気迫の同点劇も2年連続PK戦に泣く…指揮官「流れを変えられず悔しい」

同点ゴールを挙げた大分高FW大神颯汰(写真協力『高校サッカー年鑑』)
[12.31 選手権1回戦 矢板中央高2-2(PK6-5)大分高 オリプリ]

 前回大会の2回戦では同じ九州の名門・大津高に2-2と迫ったが、最後はPK戦で敗れ去った大分高。今回は関東を代表する強豪・矢板中央高を相手に同じく2-2で前後半を終えるも、またしてもPK戦の壁が立ちはだかった。就任3年目の小野正和監督は「3年間の集大成でもう少し上を目指していきたかったが残念だった」と肩を落とした。

 前半と後半の立ち上がりに1点ずつを失い、一時は2点のビハインド。それでも「食いついてきた時にダイレクトで剥がせるのがウチのスタイル」という武器を活かして同点に持ち込んだ。得点を奪ったのはいずれも途中起用のFW森山悠太(3年)、FW大神颯汰(3年)。選手層の厚さも含め、全国の舞台で戦えるところは十分に見せつけた。

 それでも7人目までもつれ込んだPK戦では惜しくも敗れた。スコアは昨年の2-4から大きく進歩した5-6。それもキッカー順を選手たちが決める中、昨年失敗したFW永松恭聖(3年)が1人目でキックを成功させるなど成長の跡も見られた。指揮官も「去年の悔しさで『一番に行きます』ということだった」と頼もしさも口にした。

 しかし、PK戦は残酷にも結果が問われるもの。「練習はしてきたが、なかなかこの流れを変えられなくて悔しい」と2年連続のPK敗戦を悔やんだ小野監督は「チャンスがあっただけに決定力が勝敗を分けたと思う」と80分間で勝ちきれなかった課題も指摘した。

 一方、この日は付属校の大分中時代に現在の3年生らと共にサッカー部でプレーし、現在は脳腫瘍で闘病中の大竹志之介くんもスタンド応援席で観戦。指揮官は「大竹くんのぶんまで頑張ろうということで絆ができていったと思う。そういったことは大竹くんにも伝わったのかなと思う」と前向きに語った。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校選手権2019

大手前高松が全国初出場初勝利で香川県勢7年ぶり悲願達成! 帝京大可児は初戦敗退(8枚)

全国初勝利勝利を喜ぶ大手前高松高の川上暢之監督
 第98回全国高校サッカー選手権は31日、各地で1回戦を行い、ゼットエーオリプリスタジアムの第2試合は大手前高松高(香川)が帝京大可児高(岐阜)を1-0で下した。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

●【特設】高校選手権2019

矢板中央がPK制して初戦突破! 大分は“シンちゃん”が見守る中で激闘同点劇(8枚)

獅子奮迅の活躍を見せていた矢板中央高のボランチMF靏見拳士朗(3年、写真右)
 第98回全国高校サッカー選手権は31日、各地で1回戦を行い、ゼットエーオリプリスタジアムの第1試合は矢板中央高(栃木)が大分高(大分)を2-2で迎えたPK戦の末に6-5で下した。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

●【特設】高校選手権2019

[1月1日 今日のバースデー]

Happy New Year!

Japan
MF久保田和音(鹿島、1997)*優れた判断力と正確なパスで攻撃を組み立てるMF。
DFイ・サンミン(長崎、1998、韓国)*蔚山現代から期限付き移籍していた188cmの長身CB。世代別代表経験を持つ。
DF半田陸(山形、2002)*U-16日本代表の主将としてアジアチャンピオンに導いた頼れるホープ。トップチームでも出場を重ねている。

World
FWパオロ・ゲレーロ(インテルナシオナル、1984、ペルー)*ドーピング違反で長期の出場停止処分を受けていたが、滑り込みでロシアW杯に出場したペルーの伝説的ストライカー。
MFジャック・ウィルシャー(ウエスト・ハム、1992、イングランド)*足もとの技術が高く、抜群のパスセンスを誇るMF。

Former
FWリベリーノ(元コリンチャンスほか、1946、ブラジル)*元ブラジル代表のFKの名手。
DF鈴木政一(元ヤマハほか、1955)*現役時代はヤマハ発動機でプレ-。2018年途中に新潟の監督を退任した。
DF柳下正明(元ヤマハほか、1960)*浜名高時代に高校選手権、東京農業大時代にワールドユースに出場した。引退後は指導者を務め、2017年から金沢の監督。
DFリリアン・テュラム(元ユベントスほか、1972、フランス)*身体能力を生かしてタイトな守備を持ち味としたDF。フランス代表通算142試合は歴代最多。

Others
高橋源一郎(作家、1951)
廣木隆一(映画監督、1954)
大友康平(歌手、1956)
役所広司(俳優、1956)
塚本晋也(映画監督、1960)
ジミー大西(芸人、1964)
増田明美(マラソン、1964)
草場道輝(漫画家、1971)
尾田栄一郎(漫画家、1975)
庄司智春(品川庄司:芸人、1976)
堂本光一(KinKi Kids:ミュージシャン、1979)
箕輪はるか(ハリセンボン:芸人、1980)

※Jリーガーは2019シーズンの所属クラブ

先発8人残る龍谷は雪辱へ…「指導部」所属MF石橋啓士が一矢報いる「また来年戻ってきたい」

一矢報いたMF石橋啓士(2年)(写真協力=高校サッカー年鑑)
[12.31 選手権1回戦 専修大北上3-1龍谷 NACK]

 前半の失点が重くのしかかった。2年連続の選手権出場を果たした龍谷高(佐賀)だったが、今年度は初戦を突破できなかった。堅守を破られて風下の前半に3失点すると、風上に立った後半は押し返したが、反撃は及ばず。ただし、スタメンは1年生が4人、2年生が4人という若いチーム。ピッチに立った主力8人はこの経験を生かし、一年後のリベンジに向かう。

 技ありのコントロールショットで一矢報いたMF石橋啓士(2年)は「チームに足りないもの、自分の課題に取り組んで、また来年ここに戻ってきたい。次はいい結果を残せるように来年も頑張ります」と凛とした佇まいで言い、雪辱を誓った。チームのためにプレスバックを怠らず、ハードワークを完遂。スプリントを繰り返して相手の隙を狙い、チャンスを仕留めた。

 後半27分だった。隙を突いて右サイドから中にポジションを取ると、MF大石遼馬(2年)のスルーパスを引き出す。抜け出した石橋は右足トラップから左足に持ち替え、ゴール右隅に突き刺した。利き足ではない左足の巧みなゴール。「左足」はこの選手権に向けて、県予選後に練習を積んできた、努力の賜物だった。

 成長を実感している場はピッチ外にもある。龍谷を率いる元Jリーガーの太田恵介監督は今年、サッカー部の中に7つの「部」を設け、1、2年生がそれぞれ所属している。石橋の「指導部」には約10人が所属し、サッカースクールのコーチを手伝って子どもたちに指導。視覚に障害を持った盲学校の生徒にブラインドサッカーを教える機会もあり、地域と関わりながら貴重な経験を積んできた。

「子どもや目が見えない方には説明が伝わりにくいので、話し方はそこで学びました。コミュニケーションをとることが大事なので、やり方を工夫します。人間性が磨かれて、コミュニケーション能力が高くなったと思います」(石橋)。ピッチ外の活動を通しても選手たちが成長を遂げる龍谷は一年後、さらに逞しくなって選手権の舞台に帰ってくるはずだ。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019