ゲキサカ選出インカレMVPは3冠明治大の司令塔、「自分でも意識ある」“タイトル請負人”中村健人

ゲキサカ選出インカレMVPは3冠明治大の司令塔、「自分でも意識ある」“タイトル請負人”中村健人
 ゲキサカ読者が選ぶ第68回大学選手権(インカレ)のMVP「GEKISAKA AWARD 2019 WINTER 大学生部門」を明治大のMF中村健人(4年=東福岡高/鹿児島入団)が受賞した。

 今回の企画は大会期間中に『ゲキサカアプリ』を使って実施。最も多くのクラップ(拍手=投票)を集めた選手を表彰するもので、中村にはゲキサカオリジナルトロフィーとキリンビバレッジ商品が授与された。

 昨季、大学タイトルを総なめにした歴史的なシーズンを送った明大の司令塔として活躍。初戦から準決勝まですべてでアシストを記録するなど、大学集大成の大会で大暴れした。

 高校時代は名門・東福岡高の主将として夏冬2冠を達成。卒業後はJ3の鹿児島ユナイテッドFCでプロキャリアをスタートさせる“タイトル請負人”に話を聞いた。


■最強明治の司令塔としてインカレ制覇に導く
―ほとんどの大学が“打倒明治”を掲げる中でのインカレになりました。
「簡単な試合が一個もありませんでした。リーグ戦、総理大臣杯を取ってのインカレ挑戦でしたが、周りが思っている以上に厳しい戦いを強いられた印象があります」

―インカレ初戦の前日には主将の佐藤亮が怪我をするアクシデントに見舞われました。
「チームとしては痛いアクシデントだったけど、逆に周りの選手が佐藤亮をピッチに立たせようという思いで頑張れたと思います。佐藤亮も自分の出来ることを全うしてくれた。そこはお互いの信頼関係が深まったんじゃないかなと思います」

―そんな中で中村選手は初戦から3試合連続でアシストを記録して決勝まで導きました。
「割とリラックスして試合に臨めていたと思います。準決勝の関西学院大戦では途中から佐藤亮が復帰して、決勝前の試合で想定していたメンバーで戦えたことも大きかった。初の3失点で反省も多い試合でしたが、決勝にいいイメージを持ち込めたと思います」

―決勝は延長戦にまでもつれる試合になった。
「桐蔭横浜大さんは本当に強かったけど、自分的には楽しかった印象が強いです。4年生の集大成の試合が、自分でもレベルが高いなという試合になった。正直、延長戦になったら自分たちの練習量、取り組んできた姿勢は一番だと分かっていたので、慌てることはなかった。失点してもどこかで追いつくだろうと、心の中にありました」

―明治大の選手たちは練習の強度に自信を持っている。
「部員が60人と少ない中で、みんなで寮生活をして、朝6時から練習をして、その時間から強度の高い練習をしてきているという意識が自分たちを強くしている。それが試合でも自然と出てくる。入学した最初のころ、2、3週間は筋肉痛になるくらい高校とは強度が違った。一年生のころはついて行くので必死でした。でもこれら全部の経験がインカレ優勝まで繋がったんじゃないかなと思います」

(写真協力『高校サッカー年鑑』)


■東福岡10番、2冠主将中村健人
―高校時代はインターハイ、選手権の2冠。選手権では“トリックFK”を決めたことで注目度の高い中での明治大進学となった。
「高校の時はパサーだったけど、大学に来て強度の高い守備などいろいろな個人の成長がみられたんじゃないかなと思っています。中村健人という名前があってこそ人に見てもらえることがあるので、自分の中ではプラスに感じていました。プレーヤーとして褒めてもらうためにやっていたわけではないけど、そう言ってくれるまで自分で考えて練習したり試合に取り組んだりする貴重な時間だったと思います」

―育成年代の黄金ルートを歩んできた中村選手。毎年Jリーガーを輩出する東福岡の強さ、明治の強さをどこに感じるか?
「東福岡はサイド攻撃を徹底していて、そのスタイルがあることが強さだと思っています。その中で今年の明治同様に自主性がある選手が多かったなと思います。明治は監督の指導もあると思うけど、みんなサッカーだけでなく私生活も考えて行動している。そういう選手たちが60人揃って生活することで、よりレベルの高い選手になれるんだと思っています」

―今年の明治は学年間の意見交換が活発になるなど、いろいろな改革があったと聞きました。
「上下関係については、サッカーの時は関係ないけど、私生活の部分では多少の厳しさが必要だという考えは分かります。親しき中にも礼儀ありといいますけど、どれだけ仲が良くても守るべきラインはあると思う。自分はもともと気にするようなタイプではないですが、60人全員をまとめるという意味では規律があったほうがいいんじゃないかなと思います。そういう意味では昨年はいい距離感を保ちながら生活出来ていたんじゃないかなと思います」

―改めて大学サッカーを経験して良かったこと。
「自分のとって苦しい思いもした4年間でしたが、大学4年の最後で就職するか、プロに行くかという選手の葛藤をより身近に見ることができた。そういう風にならなかった選手の気持ちは自分なりに分かろうとしている。プロに行った選手が苦労している現実もある。ずっと身近でみれたことが大学に来て良かったことなんじゃないかなと思います」



■これからはプロ選手中村健人に
―いよいよ学生生活が終わり、プロサッカー選手としての生活が始まります。
「仕事としてサッカーをするとになるので、無駄な時間を作りたくない。直近のことで言うと、開幕戦から試合に出られるような取り組み、姿勢を練習から見せていきたい。背番号の7番もチームの期待を感じるので頑張りたいです」

―J3からのスタートになった。
「それはそんなに気にしていません。自分が(J2に)上げたいという気持ちもありますし、プロのサッカー選手として生活をスタートさせることにワクワクしています。J3でもJ2でも自分がしっかりしていれば活躍できる。意識は下げずに、むしろ上がり続けるように取り組んでいきたいと思います」

―一年目の目標はありますか?
「大まかな目標は立てますが、あまり遠すぎる目標は立てないようにしています。直近の一か月後、3か月後とか、タイトルを取るという目標じゃなくて、よりいいチームにする、自分のこういうところを伸ばすというところにフォーカスするようにしています。でも得点などプロの舞台では結果が求められると思う。そこは意識していけたらいいなと思います」

―ただ中村選手と言えば、“タイトル請負人”“持っている男”ですよね。
「自分でもそういう意識はあります。プロに行ってもタイトルが取れるように意識して取り組みたい。でもタイトルだけを意識するんじゃなくて、チームメイトとの交流でいろんなことを吸収していきたい。そして人の心を動かせるような選手になりたいと思います」


(構成 児玉幸洋)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

22歳。22番。22日。“22”に彩られた小野寺健也の明治大ラストゲーム。

インカレ決勝で先発したDF小野寺健也
 交代で下がったベンチから少し前に出て、タイムアップの瞬間を待ち侘びる。短くホイッスルが3回吹き鳴らされると、自然と最高の仲間たちと熱い抱擁を交わしていた。「自分では正直“持っている”のかなと思う部分もあったんですけど、本当に『今までやってきたことが報われたのかな』って思って、嬉しかったですね」。22歳。22番。22日。3つの“22”に彩られたDF小野寺健也(4年=日大藤沢高)の明治大でのラストゲームは、日本一という最高の形で締め括られた。

 12月22日。桐蔭横浜大と対峙するインカレ決勝。準々決勝、準決勝とベンチスタートだった小野寺には、確かな予感があった。「自分自身前回のパフォーマンスが良くて、正直たぶん出ると思っていたんです」。スタメンが発表されると、やはり11人の中に選ばれる。大学最後の試合が日本一を懸けたファイナルの舞台。ただ、1年前までの彼を考えれば、今の立ち位置は誰もが予想し得なかったかもしれない。

 日大藤沢高2年時には、憧れの高校選手権で全国4強まで躍進し、埼玉スタジアム2002のピッチに立つ。鳴り物入りで明大に入学したが、自身の描いていたイメージと現実はなかなか一致しない。「特に1年の頃は仕事も凄くキツいし、先輩も怖いし、『何だよコレ?』って思っていました」と率直にその頃を振り返る小野寺。2年になっても、3年になっても、主戦場はIリーグ。なかなかトップチームが戦う関東1部リーグに出場することは叶わない。

「正直、無理だと思っていました。試合に出ることもイメージできなかったですし、『サッカーやっていけるのかな…』って。みんなが活躍するのを見て、『置いていかれているんじゃないか…』という不安もありました」。一向に変化の訪れない自身の立場に、心が折れそうになったこともあったが、先輩たちの背中が何とか小野寺を繋ぎ止める。

「やっぱり自分も苦しい時期の中で、その時々の4年生の姿を見てきて、自分で『無理だ』と言って投げ出す選手も自分は今まで1回も見てきていないですし、明治はIリーグが終わろうと最後まで4年生は引退しないですし、本当に歴代の4年生、歴代の明治の先輩の姿が自分の中には残っているので、『あの人たちは妥協していなかったな』と、『自分も信じて後輩のためにやらなきゃいけないな』という想いが自分を奮い立たせていましたね」

 2019年がやってくる。4年生たちにとっての大学ラストイヤー。小野寺もようやくゴールデンウイークに開催されたゲームで念願のリーグ戦デビューを果たしたが、以降の公式戦では出たり出なかったりを繰り返す日々。「川上(優樹・4年=矢板中央高/群馬内定)が4番で、瑶大(佐藤瑶大・3年=駒澤大高)が3番を付けていて、『ああ、ちょっとカッコイイな』って思った部分もあったんですけどね(笑)」と正直に明かす小野寺の背番号は22。「傍から見たら出遅れの選手って感じですよね」と笑ったものの、その大きな数字があまり気に入っていた訳ではなかった。

 そんな彼が一躍スポットライトを浴びたのは9月の総理大臣杯。同じポジションを争っている佐藤瑶大が負傷したため、ファイナルの出場機会が巡ってくる。すると、まさかの決勝点を叩き出したのが小野寺。しかも、そのゴールは大学入学以降のトップチームにおける公式戦初ゴールだった。

 まさに“持っている”としか言えないような強運の持ち主。とはいえ、何も積み重ねていない人間に運は巡ってこない。「自分は『サッカーをやめたい』と言ったことも一度もないですし、これまでの指導者の方にもそういう部分はたぶん見て戴いてきて、ヘタクソなりに諦めずにやってきたので、そこは自分の1つの武器だと思っているんです」。

 リーグ終盤は定位置を勝ち獲り、インカレの初戦もスタメンフル出場を果たしたものの、前述したように準々決勝と準決勝はベンチスタートからの途中出場。しかし、決勝のスタメンに名を連ねるという小野寺の確かな予感は的中する。「中村健人(4年=東福岡高/鹿児島内定)からも「なんか毎回決勝は出るよね」みたいなことを言われました(笑)」。今年2度目となる日本一の懸かったファイナル。ラストゲームのピッチへ、22番が歩みを進めていく。

「勝っても負けても、どっちにしても最後の1試合だったので、自分としては『今日しっかり勝って、歴史に名を刻みたいな』という想いで戦いました」と話す小野寺は、高い集中力で相手の攻撃の芽を摘んでいく。前半35分にはMFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)のスルーパスに抜け出したFW松本幹太(3年=東京Vユース)へ食らい付き、きっちりカット。後半開始早々にも松本のラストパスを引き出したMF神垣陸(3年=尚志高)に素早く寄せて、エリア内への侵入を許さない。

 明治大が押し気味に進めながら、桐蔭横浜大も粘り強く対抗し、試合は0-0のまま延長戦に入る。彼らに残された時間は30分のみ。正真正銘、最後の30分に向かう円陣の中ではこんな言葉が飛び交っていたという。「『まだ明治でもうちょっとサッカーできるぞ』みたいな声掛けをしていたので、本当にみんなも前向きに捉えていましたし、4年生はそういうモチベーションでしたけど、下級生も『やった!まだ4年生とサッカーできる!』と思っていてくれたと信じたいですね(笑)」。

 先に失点を許しながら、FW佐藤亮(4年=FC東京U-18/北九州内定)とDF蓮川壮大(3年=FC東京U-18)の連続ゴールで逆転に成功した明治大。延長後半5分。「ちょっと足が攣りそうになったので、監督の栗田さんに一声掛けた」小野寺は交替を命じられると、短い抱擁ののち、佐藤瑶大がピッチへ駆け出していく。「1年間ライバルとして戦って来ましたし、お互い出たり出なかったりしながら、バチバチやってきた部分もあると思うので、あそこは彼に任せました。正直普段はあまり話さないんですけど、ああいう所でお互い心が通じるものがあったのかなと思っています」(小野寺)。1つ下の後輩に後を託す。

 交替で下がったベンチから少し前に出て、タイムアップの瞬間を待ち侘びる。短くホイッスルが3回吹き鳴らされると、自然と最高の仲間たちと熱い抱擁を交わしていた。「自分では正直“持っている”のかなと思う部分もあったんですけど、本当に『今までやってきたことが報われたのかな』って思って、嬉しかったですね」。小野寺も含めた4年生にとってのラストゲームは、日本一という最高の形で締め括られた。

 それに気付いたのは11月のことだったという。「僕は11月が誕生日で、『22歳になったのか』と思った時に『ああ、22番じゃん』って。しかも、今年のチームは始動の時から『12月22日に一番良いチームであろう』ということをずっと言ってきたので、いろいろ22に縁を感じているんです」。

 4年間のラストゲームを振り返り、確かな手応えを口にする。「今日が4年間の中で一番良いパフォーマンスだったかなって思っていて、いろいろな人から『オマエ、今日は今までと全然違ったぞ』って(笑) 榎本(達也)GKコーチからも『下級生の頃から考えたら信じられないよ』と言われましたし、自分としても今日はやられた覚えはなくて、凄く頭も働いていましたし、なんかもう、個人としてもチームとしても、一番強いチームになれたのかなと思っています」。そう語り終えた瞬間、22番の22歳に眩しい笑顔の花が咲いた。

 3つの“22”に彩られた日に勝ち獲った日本一。「試合に出て行くにつれて、この22番という番号が凄く良い番号だなと思えてきて」。最初は何とも思わなかった背番号は、4年間の月日を正しく積み上げてきた小野寺へ、サッカーの神様が周到に用意していた“ささやかな悪戯”だったのかもしれない。

(取材・文 土屋雅史)

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

日本一逃すも桐蔭横浜大に欠かせなかった3年生の力…橘田「また戻ってこられれば」鳥海「明確な目標ができた」

日本一逃すも桐蔭横浜大に欠かせなかった3年生の力…橘田「また戻ってこられれば」鳥海「明確な目標ができた」
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 桐蔭横浜大のスタメンには3年生が7人並んでいる。「3年生が本当によくやってくれている」。以前からMFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)がことあるごとに話していた言葉だ。日本一にはあと一歩届かなかったが、躍進には間違いなく3年生の力があった。

 チームの心臓と言われるMF橘田健人(3年=神村学園高)は試合後、涙をこらえることが出来なかった。先制点を決めた直後に自らのプレーでPKを献上。ポイントだと考えていたMF安部柊斗(4年=FC東京U-18/FC東京内定)との“心臓対決”では、「全部で負けてしまった」。

「個人的には(安部を)一番意識していたので、そこで勝てなかったことが一番悔しいです。勝てなかった大きな原因はそこにあると思っているので、あと1年で少しでも近づけるように、そして越えることを目指してやっていきたい。来年、自分たちが中心に引っ張って、また(インカレ決勝に)戻ってこられればいいかなと思います」

 背番号10を背負うのも3年生、MF鳥海芳樹(3年=桐光学園高)だった。初戦の常葉大戦では1ゴールでチームを勝利に導いたものの、準々決勝以降では得点に絡むことが出来なかった。

 来季は中心選手としてさらに輝く。「3年生が中心で出ているチームだったので、その分優勝できなかったことで4年生にすごく申し訳ない気持ちがありました」と反省した鳥海だが、「ポジティブに捉えるとすれば優勝という明確な目標ができた。そこに向けて、1日1日を練習に励むだけだと思います」と気合を入れ直していた。

(取材・文 児玉幸洋)
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日本一逃すも桐蔭横浜大に欠かせなかった3年生の力…橘田「また戻ってこられれば」鳥海「明確な目標ができた」

日本一逃すも桐蔭横浜大に欠かせなかった3年生の力…橘田「また戻ってこられれば」鳥海「明確な目標ができた」
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 桐蔭横浜大のスタメンには3年生が7人並んでいる。「3年生が本当によくやってくれている」。以前からMFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)がことあるごとに話していた言葉だ。日本一にはあと一歩届かなかったが、躍進には間違いなく3年生の力があった。

 チームの心臓と言われるMF橘田健人(3年=神村学園高)は試合後、涙をこらえることが出来なかった。先制点を決めた直後に自らのプレーでPKを献上。ポイントだと考えていたMF安部柊斗(4年=FC東京U-18/FC東京内定)との“心臓対決”では、「全部で負けてしまった」。

「個人的には(安部を)一番意識していたので、そこで勝てなかったことが一番悔しいです。勝てなかった大きな原因はそこにあると思っているので、あと1年で少しでも近づけるように、そして越えることを目指してやっていきたい。来年、自分たちが中心に引っ張って、また(インカレ決勝に)戻ってこられればいいかなと思います」

 背番号10を背負うのも3年生、MF鳥海芳樹(3年=桐光学園高)だった。初戦の常葉大戦では1ゴールでチームを勝利に導いたものの、準々決勝以降では得点に絡むことが出来なかった。

 来季は中心選手としてさらに輝く。「3年生が中心で出ているチームだったので、その分優勝できなかったことで4年生にすごく申し訳ない気持ちがありました」と反省した鳥海だが、「ポジティブに捉えるとすれば優勝という明確な目標ができた。そこに向けて、1日1日を練習に励むだけだと思います」と気合を入れ直していた。

(取材・文 児玉幸洋)
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10年来の戦友とともに優勝の瞬間を…FC東京内定の明治大MF安部柊斗「真っ先に亮のところへ」

優勝の瞬間を迎えた明治大MF安部柊斗(4年)
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 数々のタイトル獲得に貢献し、そしてインカレでも全試合フル出場で3冠達成の原動力に。中盤でボールを奪い取り、攻撃の起点としてパスを繰り出すダブルボランチの一角。明治大の心臓部として活躍したのがMF安部柊斗(4年=FC東京U-18)だ。

 今季3冠を懸けて挑んだインカレ決勝でも安部はフル稼働。安定感のあるボール奪取と、狙いすました前線へのパスで明大の攻守を牽引する。後半3分には自らPA左角に入り込み、無回転気味の右足シュートを放ち、GKに阻まれたがチャンスをつくる。その10分後には右足で切り返して、利き足とは逆の左足シュートで再びゴールを脅かした。

 直接得点に関わることはなかったものの、延長戦も含めた120分間を走り抜いた。3-1で勝利が決定した瞬間には、まだ体力が有り余っているかのように笑顔で駆けていく。その先にいたのはFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)。FC東京U-15むさしに加入した中学生のときから10年間をずっとともに過ごした戦友だ。

 2人はこれまでタイトル獲得の瞬間をともにピッチ上で迎えたことはなかった。大学3年次には総理大臣杯で優勝。しかし安部はピッチにいたが、佐藤は決勝前日に体調不良で離脱していた。さらに今年の大臣杯では連覇を達成するも、安部が大怪我を負って途中交代に。今季リーグ戦での優勝時も安部はフル出場だったが、佐藤は後半45分に交代となっていた。

 佐藤はインカレ直前に負傷しており、準決勝で復活を遂げる。そして決勝の舞台で2人はともに先発出場し、120分間を戦い抜いた。大学サッカー最後の舞台で、3冠達成という最高の瞬間を、2人はようやくともにピッチの上で味わう。そのとき安部は笑顔で佐藤のもとに駆けていった。

 安部は「インカレは最後まで一緒にピッチに立てたので、真っ先に亮のところに行きました。本当に嬉しかったですね。2人でピッチに立てて」と笑顔。その後、佐藤にも聞くと「優勝した瞬間に安部が僕のところに飛びついてくれて。ものすごく嬉しかったです」とはにかんだ。互いに褒め合うことはあまりなく、言葉を交わさずとも高め合える関係と佐藤は明かす。しかし最後には安部が駆け付けてきてくれた。「こいつとやってきてよかったなって個人的に思います」とクールに喜びを表現していた。

(取材・文 石川祐介)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

夢見たインカレは悔しい幕切れも…桐蔭横浜大MFイサカ・ゼイン、川崎Fでも成長を信じて

川崎フロンターレ内定のMFイサカ・ゼイン
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 桐蔭横浜大のMFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)は言い訳をせず、敗れた責任を受け止めた。イサカとMF鳥海芳樹(3年=桐光学園高)の両翼を封じるため、明治大はミラーゲームとなる4-4-2の布陣で守備を構えてきた。

 相手の警戒を上回ることはできず、ドリブル突破やスルーパスでチャンスメイクする回数は限られた。「今年一悪かったくらいの出来だった。自分が勝たせられなかったという不甲斐なさと仲間への申し訳なさしかない」と、エースは自ら責任を背負った。

 桐蔭横浜大は今季、リーグ戦最高順位の2位に大躍進した。その攻撃の中心に君臨したイサカは通算10ゴール9アシストを記録し、アシスト王に輝いた。初出場を果たしたインカレもチーム一丸となって勝ち上がり、たどり着いた決勝戦。試合を通して明治大の破壊力ある攻撃に押し込まれたが、守備陣が体を張り続け、延長戦まで持ち込んだ。

 延長前半にDF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)が先制ゴールを奪うまで奮闘したが、最後は1-3で敗れた。初出場からの躍進で新たな歴史を刻んだが、優勝には届かず。「みんなが凄く頑張ってくれて、ここまで連れて来てくれたにも関わらず、この大会を通して貢献できなかった申し訳なさしかない」と声を落とした。

 悔しい幕切れにはなったが、今シーズンは川崎フロンターレへの加入内定が発表され、重圧と責任感が増す中で活躍を続けてきた。「こうやって一年生の時から夢見た舞台(インカレ)でできるようになった。それくらい数年で成長できる。それを信じて一日一日、もっとビッグな選手になれるように頑張っていくしかない」。進化を遂げた4年間を財産に、イサカ・ゼインは次なるチャレンジに向かう。

(取材・文 佐藤亜希子)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

「4年生からすべてを教わった」桐蔭横浜大の2年生GK早坂勇希、圧巻の好守連発で大会ベストGKに

桐蔭横浜大の守護神、GK早坂勇希(2年=川崎F U-18)
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 延長戦の末に1-3で明治大に敗れた桐蔭横浜大だが、初出場ながら決勝の舞台に立ち、準優勝となった。好セーブ連発で大会ベストGKにも輝いたGK早坂勇希(2年=川崎F U-18)は「4年生から本当にすべてを教わりました」と、その口調ぶりからも大きな成長を見せている。

 今季“最強”と名高い明大相手にした桐横大。猛攻撃に遭うと早坂の存在感がより一層際だった。前半32分には明大MF森下龍矢(4年=磐田U-18/鳥栖内定)に右サイドの突破を許すも、早坂はPA右に向けて勢いよく飛び出し、果敢にシュートコースを防いでみせる。後半3分には、MF安部柊斗(4年=FC東京U-18/FC東京内定)にPA右角から無回転気味の鋭いシュートを打たれるが、早坂は横っ飛びではじき返した。

 安部のシュートから3分後にはMF中村健人(4年=東福岡高/鹿児島内定)に左足ミドルを打たれるも、再び早坂が鋭い反応からスーパーセーブ。同19分の中村のゴール隅を狙ったFKも、またしても早坂が阻んでみせた。

 早坂が最後の砦となってチーム一丸で堅守を固めた結果、明大相手に90分間を無失点で乗り切った。延長戦では3失点を喫したが、その守り切る姿にスタンドからは大きな歓声が飛び交い続けた。準優勝に終わったことには悔しさもにじませつつ、早坂は試合後に「最後勝って終わりたかったっていうのもありますけど、本当にやり切ったというか、全力を出し切った結果なので、本当に胸を張りたいなと思います」と語っている。

 2年生ながらベストGKを受賞。自身の成長にはGK陣の支えがあったことを明かす。「(コーチの三浦)和真さんを始め、(児玉)潤くん、(井上)大地くん、もちろん新人戦で戦ってくれた(北村海)チディだったり、GK陣全員が質の高い練習をしてくれていますし、そこで切磋琢磨できている。評価されたのは非常に嬉しいですし、それだけの練習はしているんだぞっていう自信にもなりました」。成長の手応えを掴んだからこそ、今季の悔しさもあり、そして来年への奮起につながっている。

「これだけ1年間試合に出させてもらって、4年生の思いを引き継がなきゃいけない立場なので、来シーズンはもっと強いチームを作らないといけない。目標はただひとつ。インカレ優勝、日本一を取ることなので。4年生のおかげでここの舞台に立てたっていうことは非常に大きいので、また来シーズン頭から日本一ということを掲げて戦っていきたいです」

 一方で、安武亨監督はその成長に目を細める。4年生が大半を占めるチームの中で唯一の2年生メンバーとしてさまざまなことを吸収した早坂。その結果のベストGK受賞ということに「選手だから悔しくて当たり前ですけど、おれはすっごく嬉しいです」と強調。この1年間で大きな成長を遂げた守護神の、来季からの活躍に期待を込めていた。

(取材・文 石川祐介)
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明治大で花開いたFC東京内定DF中村帆高も感慨「監督を胴上げしたかった」

FC東京に加入するDF中村帆高(4年=日大藤沢高)
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

「試合が始まる前に感極まる部分もあった。何としても監督を胴上げしたかった」――。今大会は全4試合に先発して攻守に躍動し、筑波大との2回戦では決勝ゴールをマーク。DF中村帆高(4年=日大藤沢高)は“最強明治”の欠かせない戦力として、インカレ制覇に貢献した。

 15年度に明治大の指揮官に就任した栗田大輔監督にポテンシャルを見込まれると、著しい成長を遂げ、チームとともに花開いたシーズンだった。総理大臣杯、リーグ戦に続いてインカレを制し、“3冠”を達成。全日本大学選抜の一員としてユニバーシアード大会で金メダルを獲得する経験も積んだ。

 決勝は相手の両翼MFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)とMF鳥海芳樹(3年=桐光学園高)を封じるため、3-5-2ではなく、4-4-2の布陣で守備を構築。右サイドバックを担った中村は守備から試合に入ると、102分までプレーした鳥海をシュート0本に抑え、タスクを遂行した。そして迎えた歓喜の瞬間。栗田監督を胴上げするという念願も叶い、感慨深げに語った。

「今年一年、嬉しいこともたくさんあったし、勝ち続けるからこそ生まれるプレッシャーもあった。そういうプレッシャーにも負けず、仲間とやってきた結果が出た。大学4年間で積み上げたものが報われたかなと思います」

 紫紺軍団で花開いた中村は来季FC東京に加入し、青赤のユニフォームを纏って戦う。「自分の活躍で明治大の関係者も喜んでくれると思うし、恩返しもできると思う。自分だけのサッカー人生じゃない」と覚悟を口にした。厳しい世界に飛び込む不安もあるが、「この4年間で培ったものを信じる」という礎を築いたからこそ、次のステージも駆け上がっていけるはずだ。

(取材・文 佐藤亜希子)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

22歳誕生日に有終インカレ制覇! 横浜FC内定MF瀬古樹「明治に感謝を伝えたい」

ボランチの一角を担うMF瀬古樹(4年=三菱養和SCユース/横浜FC)
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

「サッカーをやってきて嬉し涙というのは初めてです。明治に入って本当に良かった」。120分間フル出場したボランチのMF瀬古樹(4年=三菱養和SCユース/横浜FC)は試合終了を告げる笛が鳴ると、ピッチに蹲って泣き崩れた。

 怒涛の猛攻をかけた後半は相手のシュート数を0本に抑え、明治大が10本を浴びせるワンサイドゲームだった。中盤でパスを配給し、攻守をつないだ瀬古は同17分、波状攻撃から左足で強烈なシュートを打ったが、惜しくも左ポストを直撃。「今日は僕の日じゃないかなと思った」と振り返ったが、0-0で突入した延長戦にも見せ場が待っていた。

 延長前半は失点から2点を奪って逆転に成功し、迎えた延長後半6分だった。右サイドに流れた瀬古は相手を剥がしてクロスを上げ、MF森下龍矢(4年=磐田U-18/鳥栖内定)のゴールを導いた。勝利を決定付ける3点目。シーズン最後のゴールを演出し、大学サッカー生活を最高の形で締めくくった。

 12月22日は22歳の誕生日だった。特別な日にインカレ制覇を成し遂げ、有終の美を飾った男は「僕の誕生日はどうでもよくて。明治に感謝している分、最後の一試合で自分たちが歴史に名を刻んで、明治に感謝を伝えたいと思っていた。今日はそれが達成できてよかった」と感慨に浸った。

 タイトルを“総ナメ”にした大学サッカーの経験を提げ、新シーズンは横浜FCの一員として、J1のステージに挑む。「これから始まるプロの世界で良い経験を積みながら、自分と向き合って、チームで欠かせない存在になりたい」と次のステージへの意欲を燃やした。

(取材・文 佐藤亜希子)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

インカレ得点王は準決勝ハットの明治大FW佐藤凌我「来季はリーグ得点王」

FW佐藤凌我は4得点で大会得点王に
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 今大会の得点王には通算4得点を決めた明治大のFW佐藤凌我(3年=東福岡高)が輝いた。ただ準決勝でハットトリックを決めたストライカーも、決勝は無得点。スコアレスの後半27分に交代させたれたとあって、「大事なところで取り切れる力がなかったということ」とまずは反省の言葉を並べた。

 来季は課題の決定力を克服することで更なる得点の量産が期待される。来季の目標については、「今季(佐藤)亮さんがチームのためにあれだけ得点を取ったのに、リーグ得点王を逃してしまった。自分は亮さんがやり残した得点王を目指してやりたい」と力強く宣言。

 また来季は大学全タイトルを獲得した今季のチームと比較されることになるが、「受け身にならずに、今年やってきた明治のサッカーを継承して、さらに自分たちの色に変えながら勝っていければいい」と前向きな主張をすると、最終学年でプロ入りへのアピールも並行して行っていかないといけないだけに、「おごることなく、さらにレベルアップ出来るように頑張っていきたい」と話した。

(取材・文 児玉幸洋)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

殊勲のPK獲得&V弾アシスト!明治大10番FW小柏剛「来年は絶対に自分が」

FW小柏剛が躍動した
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 途中出場の明治大FW小柏剛(3年=大宮ユース)がピッチを駆け回った。後半27分からの登場は、相手をさらに疲弊させるのに十分な一手となった。そして1点を先制されて迎えた延長前半5分、MF森下龍矢(4年=磐田U-18)のシュートがポストに当たって跳ね返ると、小柏が詰めてPKを獲得。これをFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)が決めて試合が振り出しに戻る。

 さらに延長前半8分、今度は後ろから追い越したDF蓮川壮大(3年=FC東京U-18)に絶妙なスルーパスを通す。PK奪取について、「上手く体をいれることができた。相手の足も見えたので、取れるかなと思った」と狙い通りにプレーだったことを明かすと、「自分が出ることで違いを作ることがチームとしての狙いだった。だから仕掛けることを常に意識していました」と笑顔で話した。

 3年生で与えられた背番号10。かけられている期待は誰の目にも明らかだ。しかし今季のリーグ戦は16試合に出場しながら3得点。7得点した昨季をし下回ってしまった。もちろん「不甲斐ないものだった」と納得がいっているわけはない。来季はいよいよ最終学年。終始笑顔だった小柏も「来年は最上級生なので、絶対に自分が引っ張っていかないといけない。このままじゃいけないと思うので、しっかりやっていきたい」と表情を引き締めた。

(取材・文 児玉幸洋)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

歓喜の先制点、攻守に大奮闘…V逸も桐蔭横浜大主将DF眞鍋「楽しかった」「後悔はない」

DF眞鍋旭輝は「楽しかったので、後悔はないです」と話した
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 大学サッカーを戦い切った男は、清々しさを感じさせた。桐蔭横浜大の主将DF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)は「明治が強かったし、楽しかったので、後悔はないです」と涙ではなく充実の汗をぬぐった。

 今季の完全王者を目指す相手を土俵際まで追い詰めた。スコアレスで突入した延長前半2分にはセットプレーのこぼれ球を入れ直したFW滝沢昂司(4年=桐生一高)のシュート性のボールをコースを変えて流し込み、待望の先制点を奪う。

 しかし直後にMF橘田健人(3年=神村学園高)が与えたPKから崩れて3失点。120分を戦った準決勝から疲労が残る中で中2日。さらに言えば過密日程の中で行った4試合を同じ先発メンバーで戦っていた桐蔭横浜大に延長戦でのビハインドを跳ね返す力は残っていなかった。

 それでも意地は示した。自軍の5倍のシュート数を浴びた中で、GK早坂勇希(2年=川崎F U-18)を中心とした守備陣が体を張り続けた。「あれだけ早坂がスーパーセーブを見せてくれると、CB2枚も負けないぞという気持ちになった。ベストDF獲得もチームが頑張ってくれたからだと思っています」。

 昨年までは残留争いを戦い切るのが精いっぱいだった桐蔭横浜大だが、今季のリーグ戦は最高順位の2位に大躍進。初出場を果たしたインカレでも準優勝という堂々とした成績を残した。スタメンの4年生は3人だったことからも分かる通り、来年度以降も十分に楽しみを残している。

 桐蔭横浜大サッカー部の歴史に新たな一ページを記した主将も、「来年も今の3年生が中心。4年になると難しい時期も来ると思うけど、そこをどう乗り越えるかだけど、頑張ってほしい」。そして試合後にロッカールームでも「3年生は後悔している選手が多くて、泣いている選手が多かったけど、もっと胸を張って頑張ってほしいと言葉にしました」と夢の続きを託したことを明かした。

(取材・文 児玉幸洋)
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東福岡で選手権優勝、そして明治大でインカレ優勝…再び有終の美を飾ったMF中村健人は来季Jの舞台へ

明治大MF中村健人(4年=東福岡高)
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 東福岡高で高校選手権優勝という頂点にたどり着いたMF中村健人(4年=東福岡高/鹿児島内定)は、明治大という最高の試練に挑み、そして“最強”の一員となった。

 栗田大輔監督は11月のプロ内定会見時に「“東福岡の10番”から“明治の中村健人”になった」と語っていた。東福岡では10番を背負ってキャプテンとして高校選手権を制覇。しかし中村はそこでピークを迎えることなく、飽くなき向上心で明大に入学。大学4年間でさらなる成長を見せた。その変化はプレー面で表れている。インカレ決勝という大舞台にも臆せずに挑むと、FW佐藤亮(4年=FC東京U-18)と並ぶこの試合最多のシュート4本を放ち、相手ゴールを脅かし続けた。

 自身の特徴をキック精度やパスと語ってきた中村。その長所をより生かすために「まずシュートから狙わないと相手も食いつかないし、味方もスペースが空かない。そういう意味ではまず自分がシュート意識を持つことが大事」と、この試合でも積極的にボールを打つことを意識した。前線と中盤をつなげるトップ下という役割を担った今シーズン。総理大臣杯、リーグ戦、そしてインカレとタイトルを獲得することでより一層自信が形作られていった。

 大学生活で得たものも大きい。大学入学後はレベルや強度の高さに驚きつつも、「それは自分が求めてきたもの」と成長のために試練として受け入れた。「寮生活も厳しいですし、1、2年生の仕事も大変なところはありましたけど、4年間を振り返ってみて成長しているなって。そういう意味では来てよかった」とその軌跡を振り返る。「すぐにプロに行くよりは、一度大学に経由することでいい経験ができたんじゃないかなって思います」と歩んできた道のりを語る様子は、どこか誇らしげにも見えた。

 高校選手権優勝とインカレ優勝の違いはあるか。答えのない質問にも中村はよどみなく反応する。

「高校のときも嬉しかったし、色々感動することがありました。明治は60人という少人数で、全員が同じ方向を向いてサッカーをするような大学だし、人間性がまず求められる大学でもあります。そういった組織の中で、最後まで応援組も含めて優勝に向けて自分たちがやるべきことをやって、それをした上での優勝。達成感とはまたちょっと違う感覚はありますね」

 高校、大学と経て、ひと回りふた回りも成長を遂げた中村は、来季から鹿児島ユナイテッドFCでJリーガーになる。鹿児島は今季J2リーグで21位に終わり、来季から舞台を再びJ3リーグに移す。降格については「それでも自分なりに鹿児島のサッカーに惹かれて入ることを決めているので、鹿児島に貢献したい」と語る。「J3に落ちて、よりやりがいを感じるじゃないですけど。自分が入って鹿児島にいい流れができたり、変わればいいなって思います」。数々の試練を乗り越えて栄光を手にしてきた。東福岡、明治大、そして今度はJリーガーとして、新たな“中村健人”がスタートする。

(取材・文 石川祐介)
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インカレMVPは明治大3年生DF蓮川壮大「兄の分までプロになって活躍したい」

MVPはDF蓮川壮大が獲得した
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場] 

 インカレMVPは“意外性の男”が獲得した。主将FW佐藤亮(4年=FC東京U-18)がPKを決めて同点に追いついた直後の延長前半8分、FW小柏剛(3年=大宮ユース)のスルーパスに反応したDF蓮川壮大(3年=FC東京U-18)がエリア内に侵入。前に出たGK早坂勇希(2年=川崎F U-18)の脇を抜くシュートを蹴り込み、逆転弾を決めた。

 何でお前がそこに。チームメイトも苦笑いのDF蓮川のポジショニングだったが、蓮川自身は「(左MFの)森下さんが相手にマークされているので、森下さんが外を取ったら内に入るパターンを練習していた」と胸を張って堂々と回答。「森下さんの警戒が大きかったと思います」と笑みをこぼした。

 リーグ優勝を目前にした中での怪我だった。10月20日の専修大戦で蓮川は前半21分に負傷交代。右足首の負傷で離脱を余儀なくされた。11月24日のリーグ最終戦でようやくベンチ入りメンバーに復帰したが、出場は叶わず。インカレ初戦の2回戦の中京大戦も出番がなかったことから、準々決勝の筑波大戦が復帰戦となっていた。

 ただそこから決勝までの3試合はフル出場。決勝では120分を戦い切り、ヒーローにまでなった。怪我の影響については、「足首の痛みはある」と正直に認めるも、「最後のインカレというところで、アドレナリンを出して頑張りました」と威勢よく話した。

 兄のメンタルサポートにも感謝する。蓮川の兄、早稲田大のFW蓮川雄大は、プロ入りを目指すために今季は1年留年してシーズンに臨んでいた。度重なる怪我を乗り越えてアピールを続けていたが、今年6月に再び右膝靭帯を断裂して手術。FC東京U-18時代から有望視された逸材だったが、プロの道を断念せざるを得なくなった。

 今でも週に2、3回は会っているという仲良し兄弟。今大会中も無料通信アプリ『LINE』を通じて、頻繁に連絡を取り合っていたという。ただ普段はサッカーについて熱くメッセージをくれる兄から、この日の決勝前は「頑張って勝ってこい」という短い言葉が送られてきたのみだった。そのことで逆に気合が入ったようだ。

「兄はいつも支えてくれている。兄の分まで頑張りたいし、兄の分までプロになって活躍したいという思いがあります。来年またゼロからのスタートだと思うし、今年以上結果を残すのは難しい年になると思うけど、今年も最初にタイトルをすべて取ることを達成するぞと言った中で、達成できた。まずは東京都の天皇杯予選に向けてしっかりと準備していきたいです」

【表彰一覧】

■優勝
明治大学(10年ぶり3回目)

■準優勝
桐蔭横浜大学

■第3位
関西学院大学・中央大学

■最優秀選手(MVP)
明治大DF蓮川壮大(3年=FC東京U-18)

■ベストFW
明治大FW佐藤亮(4年=FC東京U-18)

■ベストMF
明治大MF安部柊斗(4年=FC東京U-18/FC東京内定)

■ベストDF
桐蔭横浜大DF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)

■ベストGK
桐蔭横浜大GK早坂勇希(2年=川崎F U-18)

■フェアプレー賞
該当校なし

(取材・文 児玉幸洋)
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“最強明治”の主将FW佐藤亮「4年間で一番楽しかった」負傷明けインカレ初先発でベストFW賞

“最強明治”の主将FW佐藤亮(4年=FC東京U-18)
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 明治大が大学サッカー選手権(インカレ)を制し、同校史上初めて同一年度大学全タイトル獲得した。チームは年度初めに12月22日のインカレ決勝にピークを持っていこうと目標を掲げ、その過程に総理大臣杯、リーグ戦などの戴冠があった。

 “最強明治”の主将FW佐藤亮(4年=FC東京U-18)は通過点のタイトルに満足することなく、「インカレを獲ったら初めて喜べると思う」と取材陣に話してきた。延長戦に及んだ痺れる決勝を勝利で飾り、「僕はこの4年間で一番楽しかった試合でした。この試合ができたことは財産です」と胸を張った。

 0-0のまま突入した延長前半2分に桐蔭横浜大主将のDF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)に先制ゴールを許したが、すぐさま明治大もPKのチャンスを獲得。佐藤自らが左足でGKの逆を突き、同点PK弾をマーク。その2分後にはDF蓮川壮大(3年=FC東京U-18)が逆転ゴールを奪う痺れる展開となり、選手としての喜びを感じながらプレーした。

「今年のどの試合よりも今日の試合が一番迫力があったし、見ている人も面白かったんじゃないかというのは、やっている僕たちも感じた」。試合中には思わず、マッチアップした眞鍋と「楽しいね」という言葉をかわしたという。

 関東リーグMVPのキャプテンは大会直前に負傷離脱という憂き目にあった。インカレ初戦を翌日に控えた13日の練習で右足首を痛め、離脱を余儀なくされた。2試合はサポート役に回ると、復帰した準決勝・関西学院大戦は途中出場でゴールを挙げた。

「誰が出ても同じサッカーができることを、今大会でも発揮できた。自分が戻るまでチームがつないでくれたのが優勝の要因だと思う」

 決勝の前日練習はサブ組だったが、蓋を開けてみれば今大会初のスタメン起用。「栗田監督にこの采配を的中させてあげたいという気持ちがあった」。120分間の死闘にフル出場してチームを牽引し、口火を切る同点PK弾をマーク。大会ベストFWに輝いた。

 大学4年間の終着点には最高の景色が待っていた。「ロッカールームに帰った瞬間に仲間の顔が見えて、仲間が喜んでる姿を見たときに本当に嬉しかった。この仲間とやれてよかったし、自分がキャプテンをできてよかったと思いました」。大学サッカー史に残る“最強明治”の主将として飾った有終の美。こみ上げてくる感情は涙になって溢れた。

(取材・文 佐藤亜希子)
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[MOM677]明治大MF森下龍矢(4年)_「心の奥の魂が叫ぶ」優勝決定ダメ押し弾

明治大MF森下龍矢(4年)
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]

[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 明治大の優勝を決定づけるダメ押し弾は“魂”のこもったものになった。2-1で迎えた延長後半7分、MF森下龍矢(4年=磐田U-18/鳥栖内定)は右サイドからのクロスをジャンピングボレー。ゴールに流し込み、そしてその魂を涙に変えた。

 リーグ戦、総理大臣杯とタイトルを獲得した明大は3冠目前の決勝で桐蔭横浜大に大苦戦。0-0のまま延長戦に突入すると、延長前半2分に失点を喫してしまう。

 しかし明大はその失点で魂に火をつけた。「『つーか、これからっしょ』という合言葉があるんです。やられたらやり返すじゃないですけど、やられないと火がつかないのが1年生のときから僕たちの代の特徴で。佐藤亮がその火蓋を切りました」。失点から4分後に明大はPKを獲得し、主将のFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)が同点に戻す。さらにその2分後にはDF蓮川壮大(3年=FC東京U-18)がPA左から逆転弾を流し込んだ。

 そして2-1で迎えた延長後半7分に森下が優勝を決定づける。右サイドの佐藤亮がMF瀬古樹(4年=三菱養和SCユース)にボールを渡し、瀬古が右足でファーサイドにクロス。その瞬間は「無我夢中」。森下は最初ヘディングを狙ったが、相手選手とかぶっていたため瞬時に体が反応。「あの籠の中に球を入れることだけを考えていた」と体勢を崩しながらも、利き足でもない左足でボレーを放ち、ゴールに突き刺した。

 それを「心の奥の魂が叫ぶゴール」と森下は表現した。得点直後には涙が頬を伝う。「初めてです。仲間のためにゴールを取ることしか考えていなかったので、重圧から解き放たれたというか、喜びとは違う何かの感情が湧きあがりました」。森下の得点シーンは決して華麗ではなかった。しかし観る者すべての心を震わせる、まさしく“魂のゴール”となった。

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(取材・文 石川祐介)
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明治大が10年ぶり3度目のインカレ制覇で“3冠”達成! 延長突入から佐藤亮、蓮川、森下が逆転3連弾

明治大が10年ぶりのインカレ制覇
[12.22 インカレ決勝 明治大3-1(延長)桐蔭横浜大 浦和駒場]

 第68回全日本大学サッカー選手権(インカレ)は22日、浦和駒場スタジアムで決勝戦を行い、明治大(関東1)と桐蔭横浜大(関東2)が対戦。0-0のまま延長戦に突入すると、明大が3-1で接戦を制し、10年ぶり3度目の優勝を手にした。明大はリーグ戦、総理大臣杯に続く3冠を達成している。

 明大は、2回戦で中京大(○3-0)、準々決勝で筑波大(○1-0)、準決勝で関西学院大(7-3)を下して決勝進出。準決勝まで攻撃を牽引したFW狩土名禅(3年=桐生一高)が先発からはずれ、負傷から復帰したFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)が決勝の舞台でスタメン入りした。また、DF小野寺健也(4年=日大藤沢高)が先発入りしている。

 リーグ2位でインカレ初出場を達成した桐横大は、2回戦で常葉大(○1-0)、準々決勝で法政大(○2-1)、準決勝で中央大(○3-1/延長)を破る快進撃。メンバーは準決勝から変更なく、両サイドには攻撃を牽引する右MFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)、左MF鳥海芳樹(3年=桐光学園高)が起用されている。

 両者拮抗状態が続く。明大は前半2分、MF森下龍矢(4年=磐田U-18/鳥栖内定)が右足シュートを放つが、GK早坂勇希(2年=川崎U-18)のセーブに遭う。一方、桐横大も同11分、MFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)がPA手前から右足シュートを放ち、ゴールを狙う。

 桐横大は前半29分、DF岩下航(3年=前橋育英高)の縦パスを受けたFW松本幹太(3年=東京Vユース)が左サイドの深い位置まで入り込んで、折り返すも味方に合わず。明大は同32分、森下が左サイドから相手守備陣の裏に抜けるが、GK早坂の飛び出しによって阻まれた。

 中盤では明大MF安部柊斗(4年=FC東京U-18/FC東京内定)とMF瀬古樹(4年=三菱養和SCユース/横浜FC)、桐横大MF橘田健人(3年=神村学園高)とMF神垣陸(3年=尚志高)が激しく競り合い、ボールの支配権を狙う。膠着した試合展開のまま、前半は0-0で折り返した。

 後半に入ると、明大が少しずつアクセルを踏む。前半2分、安部のパスを受けた森下が左サイドからクロスを上げるが、MF中村健人(4年=東福岡高/鹿児島内定)が合わせるもミートせず。同3分には左サイドでボールを拾った安部がPA左角から右足シュートも鋭い弾道もGK早坂にセーブされ、6分にも中村健が中盤から左足シュートを放つが、またしても早坂に阻まれた。

 桐横大は防戦一方。後半17分にはDF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)が佐藤亮を抑え切ると、直後の瀬古の左足シュートはゴール左ポスト直撃。中村健のFKは早坂が横っ飛びではじき飛ばした。

 仕掛ける明大と守る桐横大という構図は最後まで大きく変わらず。明大は後半アディショナルタイム2分過ぎに右サイドからカットインして左足シュートを放つが、ゴール上にはずれる。そして試合は0-0のまま、延長戦に突入した。

 耐え続けた桐横大だが、延長戦スタートからのチャンスを逃さない。右サイドからのFKはFW狩土名禅(3年=桐生一高)にはじかれるが、ファーサイドに流れたところをFW滝沢昂司(4年=桐生一高)が折り返す。最後は眞鍋がワンタッチで流し込み、待望の先制点を挙げた。

 しかし明大もすかさず反撃。延長前半5分のチャンスからPKを獲得し、佐藤亮がPKをゴール右隅に決める。1-1に追いつくと、その3分後にはFW小柏剛(3年=大宮ユース)のスルーパスからDF蓮川壮大(3年=FC東京U-18)がPA左に入り込み、冷静にシュートを決め切り、2-1と逆転に成功した。

 明大は延長後半6分に追加点。佐藤亮からパスを受けた瀬古が右サイドからクロスを上げると、ファーサイドの森下が左足ボレーでゴールに突き刺す。3-1で大きく勝利に近づくゴールとなった。

 桐横大は終盤まで攻め気を捨てずに仕掛けるが、明大がしっかりと締めて試合終了。3-1で“最強”明大が10年ぶりの頂点に到達した。

(取材・文 石川祐介)
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明治大3冠か、桐蔭横浜大が新人戦とW優勝か…22日運命の決戦!試合後には豪華J内定34選手参加サイン会実施

明治大と桐蔭横浜大が頂上決戦!
 第68回全日本大学サッカー選手権(インカレ)の決勝、明治大(関東1)対桐蔭横阪大(関東2)の一戦が22日に浦和駒場スタジアムで行われる。キックオフは13時。当日券は1000円(前売り800円)で販売されるが、中学生以下は無料。また埼玉県在住、または埼玉県内に通学・通勤している人も入場無料となる。

 今季大学タイトルを総なめ、今季公式戦は40戦35勝2分3敗と圧倒的な成績を残す明治大が、同校史上初の“3冠”(総理大臣杯、リーグ戦、インカレ)の獲得に挑む一戦。

 しかし対する桐蔭横浜大は決勝前に行われる3連覇中の新人戦の決勝(対駒澤大)にも進出。目標としていたW優勝へ可能性を残していることから、今季最後の“下剋上”へと機運を高めている。

 インカレ決勝後には恒例となっている「Jクラブ内定者サイン会」が実施される。決勝進出クラブからの参加はないが、それでも総勢34名の参加が決定。ただしイベント参加には、今年から当日10時30分から入場ゲート付近で配布される整理券(先着100名)が必要になる。サインを書いてもらうのに必要な色紙、ノートや応援グッズなども各自で用意する。

 サイン会参加選手は以下の通り。

立正大学
人見拓哉(FC琉球)
中塩大貴(ヴァンフォーレ甲府)
藤森亮志(AC長野パルセイロ)

法政大学
紺野和也(FC東京)
松澤彰(カターレ富山)
森俊貴(栃木SC)
末木裕也(カターレ富山)
下澤悠太(ブラウブリッツ秋田)

中央大学
三ツ田啓希(松本山雅FC)
安部崇士(徳島ヴォルティス)
加藤陸次樹(ツエーゲン金沢)
野口竜彦(ファジアーノ岡山)

筑波大学
三笘薫(川崎フロンターレ)
阿部航斗(アルビレックス新潟)
山川哲史(ヴィッセル神戸)
高嶺朋樹(北海道コンサドーレ札幌)

順天堂大学
旗手怜央(川崎フロンターレ)
浮田健誠(レノファ山口FC)
村松航太(ギラヴァンツ北九州)

駒澤大学
星キョーワァン(横浜FC)
高橋潤哉(モンテディオ山形)

流通経済大学
オビ・パウエル・オビンナ(横浜F・マリノス)
本村武揚(ジェフユナイテッド千葉)

東洋大学
松本健太(柏レイソル)
坪川潤之(AC長野パルセイロ)

国士舘大学
明本考浩(栃木SC)
住吉ジェラニレショーン(水戸ホーリーホック)

関東学院大学
見木友哉(ジェフユナイテッド千葉)
薩川淳貴(カマタマーレ讃岐)

拓殖大学
池田廉(FC琉球)

産業能率大学
吉田伊吹(AC長野パルセイロ)
新井泰貴(ガイナーレ鳥取)

日本大学
金子拓郎(北海道コンサドーレ札幌)
舘幸希(湘南ベルマーレ)

※諸事情により、予告なく直前の変更がある場合あり

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桐横大の2年生守護神・GK早坂勇希がチーム救う好セーブ、願いはひとつ「4年生の努力を証明したい」

桐蔭横浜大GK早坂勇希(2年=川崎F U-18)
[12.19 インカレ準決勝 桐蔭横浜大3-1(延長)中央大 NACK5]

 インカレ初出場で躍進を続ける桐蔭横浜大。3、4年生主体の中でひとり活躍する下級生がGK早坂勇希(2年=川崎F U-18)だ。

 準決勝では守備陣の奮闘もあり、前半は被シュート0本。しかし徐々に中大の攻撃に遭うと、1-0で迎えた後半終了間際に痛恨の失点を食らった。延長前半に途中出場の4年生MF中井朗人(4年=興國高)とFW國場龍之介(4年=神村学園高)が2得点を奪い、再び3-1とリード。すると延長後半6分、中大FW加藤陸次樹(4年=広島ユース/金沢内定)に強烈なシュートを打たれるが、早坂はスーパーセーブでボールをはじいてみせた。

 直後にもピンチを迎えるが、DF浅野嵩人(3年=瀬戸内高)が体を張ってスーパーブロック。桐横大がチーム全体で守り切り、初出場で初の決勝進出を果たした。

 スーパーセーブで相手の勢いを封じた早坂は「あれだけの攻められ方をしていたので、難しい試合でした」と振り返る。後半終了間際の失点に「フィールドの選手が戦ってくれている中で、90分間で試合を終わらせたかったなという思いはある」と悔しさを語りつつも、「あの失点で落ちなかったというか、下を誰も向かずにベンチ含めて全員がいい声かけをしていたので、この勝利に結びついたのかなって思います」とチームの勝利を強調した。

 川崎F U-18時代には2017年度クラブユース選手権4強まで進出し、U-18日本代表候補にも選ばれた。桐横大入学初年度の昨年度は全日本大学サッカー新人戦で優勝を果たし、着実に成長を続ける若き守護神。しかしチームの中ではまだ2年生であり、頼れる上級生への感謝は計り知れない。

「僕は2年生一人しか入っていないですけど、本当に助けられている。ついていっているだけっていうのは正直ありますし、だからこそ日本一という結果を、そういう結果で恩返ししないといけない」

「桐蔭が歴史を変えてきている、桐蔭すげーなって言われますけど、それは4年生があれだけの努力と準備と、あれだけのモチベーションで4年間やってくれているからこそ。4年生のためにも優勝して、4年生の努力を証明したい」

 延長後半の自身のスーパープレーには「それまでにあれだけの走行距離を走ってコースを切っているCBがいる。僕のビッグセーブはみんなのおかげ」とあくまで謙虚。しかし優勝への思いは、たとえ“最強”明治大相手だとしても抑えられない。「決勝に行ったっていう実感はまだないですけど、ここまで来たら気持ちが強いところが勝つ。相手は明治ですが、目の前の相手に勝てばいいだけなので」と力強く意気込んでいる。

(取材・文 石川祐介)
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都リーグから初のインカレ出場…激動の4年間を経験した立正大から3選手がJの舞台へ

左からDF中塩大貴(甲府内定)、MF藤森亮志(長野内定)、FW人見拓哉(琉球内定)
[12.16 インカレ準々決勝 関西学院大1-0(延長)立正大 川口]

 2016年度まで都1部リーグに所属していた立正大だが、同年に関東2部リーグへの昇格を達成。18年度にはリーグ2位で関東1部リーグへと到達する。今年度は初の1部ながら堅守からの一点集中カウンターで戦い抜き、夏には総理大臣杯に出場。そしてリーグを3位で終えてインカレ初出場権も掴んでみせた。インカレでも快進撃は続き、2回戦で新潟医療福祉大に勝利。だが準々決勝、関西学院大との延長戦で0-1と敗戦。激動の一年間を終えた。

 関東1部で今季得点王に輝いたFW人見拓哉(4年=矢板中央高/琉球内定)だが、今大会は不発に終わった。この試合では最前線で攻撃を牽引。しかしなかなかチャンスを生み出せず、一度ゴールネットを揺らしたもののオフサイドの判定に。「チームを勝たせられなかったところは悔しい」と唇を噛んだ。

 自身の役割は「チームを勝たせる得点」と語る。「きついときこそ取れる選手じゃないとこの先も通用していかない」。今季大躍進のストライカーは「これから先もっともっと厳しい戦いが多いと思う。自分の甘さというか、弱さが出たというか。もっと成長していかないといけない」と来季からのプロの舞台に向け、さらなる成長を誓った。

 DF中塩大貴(4年=浦和ユース/甲府内定)は自身も激動の一年となった。チームの主将として初の1部リーグを戦いながら、ヴァンフォーレ甲府の加入も内定。しかしシーズン終盤には不調に陥り、先発からはずれてしまった。インカレ2回戦では途中出場から決勝点をアシスト。準々決勝でも終盤に途中出場し、精度の高いロングフィードで起点となったが「チームを助けられなかった」と肩を落とした。

 苦しいシーズンを「完全に課題が浮き彫りになった」と振り返る。「うまくいかないときにどうできるか。自分で考える力、修正する力、それを評価してもらう力というところで学ぶことは多かった」と総括。「最後にスタメンを勝ち取れなかったところはすごく勉強になったし、改善をしていかないといけない」と前を向いた。

 大学最高峰の舞台にまで登り詰めた4年間。中塩は「やればそれだけ上に行けるというのはすごく感じました」と語る。それはプレー面でもあり、「チームとしてピッチ外のところを整備する、みんなでチームをつくる。この2つが合わさったからいい結果につながった」と目に見えない部分の力も強調した。

 2列目からの鋭い突破でチャンスをつくったMF藤森亮志(4年=上田西高/長野内定)は「まだやれたんじゃないか」とほんの少しの後悔を見せる。上田西高から入学した初年度は「同学年に市船とか浦和ユースとか。ついていけないんじゃないかってくらいレベルが高くて」と驚きの連続だったというが、藤森はチームの昇格とともに着実にレベルアップ。「最後はこういう形で試合に出られた。一番成長できたところかなって思います」と自分を褒め称えた。

 当初は就職も視野に入れていたが、AC長野パルセイロからの誘いを受けてプロ入りを決断。まずはチームのJ2昇格を狙いつつ、周りの人たちへの感謝は忘れない。「サポーターの人たちの感謝の気持ちを忘れずに、試合に出ることも目標ですけど、そういう気持ちも忘れずにいきたい」。怒涛の4年間でかけがえのない経験を得た立正大。幾度も昇格を成し遂げた4年生たちの中から、3選手がプロという新たな舞台に挑戦する。

(取材・文 石川祐介)
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「やってきた努力は間違いじゃなかった」中央大FW小山駿が後半45分の同点オーバーヘッドキック

オーバーヘッドキックで同点弾を挙げた中央大FW小山駿(4年/中央)
[12.19 インカレ準決勝 桐蔭横浜大3-1(延長)中央大 NACK5]

 スタジアムが歓喜に揺れた。中央大FW小山駿(4年=帝京三高)は試合終了間際、豪快なオーバーヘッドキックを放ち、ゴールに突き刺す。劇的な同点弾となり、劣勢だった試合を振り出しに戻した。

 準々決勝でも2得点を挙げていた小山はベンチスタートも「絶対に出番が来る」とそのときを待っていた。中大は前半21分に失点。チャンスはつくるものの、なかなか追いつくことができない展開に後半10分、佐藤健監督は「ちょっと停滞していたので、そこのところは懸けました」と満を持して小山を投入した。

 だが、投入直後にアクシデント。競り合いでジャンプした小山は着地した瞬間に足をひねってしまい、その場に倒れる。苦痛で表情をゆがめる様子に周囲も心配そうに見守るが、なんとか立ち上がってプレーを続行した。「めちゃくちゃ痛かったです」と小山。しかし「逆に気持ちが入りました」とそれがスイッチになったようだった。

 そして、後半45分に小山が試合を大きく動かす。中大は敵陣内でボールをクリアさせず、粘りの中でMF小野智史(4年=佐野日大高)がPA右の深い位置に抜け出して右足クロス。ファーサイドの小山は少し後退しながら難しい体勢になるが、そのまま右足を振り上げ、ドンピシャのオーバーヘッドキックでボールを叩き込んだ。

「今シーズンは苦しかった」と一年間を振り返る。リーグ戦では7試合先発で6試合は途中出場。しかし最後のシーズンで得点を挙げることはできなかった。支えてくれたのはチームメートであり、主将のMF宮城和也(4年=興國高)。「インカレで大逆転するぞって毎日一緒に欠かさず筋トレとかシュート練をしてきました」。そして小山は最高の舞台で光り輝く。インカレ準々決勝では2得点を挙げ、準決勝でも1得点。「やってきた努力は間違いじゃなかった」と強調した。

 劇的得点に会場は沸き立つ。小山も「勝ったって思った。これは勝つパターン」とその瞬間を思い出す。「そしたらダメでした」。中大は延長戦で2失点を食らい、惜しくも1-3で敗戦となった。

 卒業後は関東1部リーグの日立ビルシステムサッカー部で競技を続ける。「悔しいですけど、悔いがないといえば嘘になりますけど」と思いを語るが、その表情は晴れやかだ。「サッカーは楽しいと思えました。次のステップでもまた頑張りたいなって気持ちが出ましたね」。最高のオーバーヘッドキックで、自身の大学サッカーを締めくくった。

(取材・文 石川祐介)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

[MOM676]桐蔭横浜大MF中井朗人(4年)_新人戦優勝から2年、仲間とともに約束の決勝へ

桐蔭横浜大MF中井朗人(4年)
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]

[12.19 インカレ準決勝 桐蔭横浜大3-1(延長)中央大 NACK5]

 延長戦までもつれ込んだ準決勝。桐蔭横浜大は1-1で迎えた延長前半4分、途中出場のMF中井朗人(4年=興國高)が勝ち越しヘッドを叩き込む。「ベンチが多かった」と大学サッカーを振り返る男が、桐横大の勝利を呼び寄せる値千金のゴールを決めた。

 中井は後半29分に投入される。役割は2つ。中央大FW加藤陸次樹(4年=広島ユース)がボールを収めていたため、そこを封印すること。もうひとつはセカンドボールを拾い、試合を落ち着かせること。安武亨監督は「彼は落ち着いている選手」と評価しており、「ちょっとゲームを落ち着けたいという意図がありました。気持ちも強いし、4年生に託した」と中井をピッチに送った。

 役割をこなす中井だったが、桐横大は0-1で迎えた後半45分にまさかの失点を喫する。一瞬焦りもあったものの、「まだ負けたわけではなかったので、すぐ頭を切り替えた」と持ち前の冷静さを発揮。試合は延長戦となり、そしてそのときはやってきた。

 桐横大は延長前半4分、DF岩下航(3年=前橋育英高)のパスを受けたDF中村響(4年=前橋育英高)が絶妙なクロス。中井の前には敵味方一人ずついたが、弧を描いたボールは2選手を通り越して中井のもとへ。「ボールがめっちゃよかった。ほとんど見ていなかったんですけど、当たって入っていたくらいの感じ」。ドンピシャヘッドを叩き込み、仲間とともに喜びを爆発させた。その勢いで6分後にも追加点。初出場の桐横大が決勝に駒を進めた。

 指揮官も「本当にサブで我慢し続けて、それでも頑張り続けていた子たちが最後活躍してくれた」と目を細める。中井は「いつぶりの得点かな」と宙を見た。トップチームではなかなか出番を掴めないまま4年間が経過。リーグ戦でベンチ入りはするが、なかなか出番は来ず。得点もアシストもできなかった。

 そんな中井が得点に歓喜していた場面を覚えている。2017年12月24日、浦和駒場スタジアムでインカレ決勝が始まる直前。隣接のレッズハートフルフィールド駒場では、1、2年生主体の第1回全日本大学サッカー新人戦の決勝戦が行われていた。

 桐横大は慶應義塾大と対戦。先発の中井は先制点をアシストし、さらにダメ押しの3点目を決めていた。桐横大は栄えある初代王者となったが、会場には応援スタンドもない。静かに喜ぶ中井たちの横を、駒場スタジアムへインカレ決勝を観に行く人たちが通り過ぎていった。「おれらの年は絶対駒場スタジアムでやろう」。その思いが絆を深め、そして今季の躍進へとつながっていく。

 決勝戦ではいよいよ浦和駒場スタジアムへ。中井は4年間を振り返りつつ、ともに歩んできた仲間への思いを明かす。「上手くいくことばかりではなかったですけど、いい仲間とブレることなく、ずっと日本一という目標に向かってサッカーができました。人のためになろうとしたときが一番力が出せるというか、そう思っています。最後は楽しくやりきって勝ちたいですね」。仲間とともに、仲間のために。その思いの結晶が今日の勝利を形作った。

2017年12月24日、第1回全日本大学サッカー新人戦で優勝した桐横大


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(取材・文 石川祐介)
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[MOM676]桐蔭横浜大MF中井朗人(4年)_新人戦優勝から2年、仲間とともに約束の決勝へ

桐蔭横浜大MF中井朗人(4年)
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]

[12.19 インカレ準決勝 桐蔭横浜大3-1(延長)中央大 NACK5]

 延長戦までもつれ込んだ準決勝。桐蔭横浜大は1-1で迎えた延長前半4分、途中出場のMF中井朗人(4年=興國高)が勝ち越しヘッドを叩き込む。「ベンチが多かった」と大学サッカーを振り返る男が、桐横大の勝利を呼び寄せる値千金のゴールを決めた。

 中井は後半29分に投入される。役割は2つ。中央大FW加藤陸次樹(4年=広島ユース)がボールを収めていたため、そこを封印すること。もうひとつはセカンドボールを拾い、試合を落ち着かせること。安武亨監督は「彼は落ち着いている選手」と評価しており、「ちょっとゲームを落ち着けたいという意図がありました。気持ちも強いし、4年生に託した」と中井をピッチに送った。

 役割をこなす中井だったが、桐横大は0-1で迎えた後半45分にまさかの失点を喫する。一瞬焦りもあったものの、「まだ負けたわけではなかったので、すぐ頭を切り替えた」と持ち前の冷静さを発揮。試合は延長戦となり、そしてそのときはやってきた。

 桐横大は延長前半4分、DF岩下航(3年=前橋育英高)のパスを受けたDF中村響(4年=前橋育英高)が絶妙なクロス。中井の前には敵味方一人ずついたが、弧を描いたボールは2選手を通り越して中井のもとへ。「ボールがめっちゃよかった。ほとんど見ていなかったんですけど、当たって入っていたくらいの感じ」。ドンピシャヘッドを叩き込み、仲間とともに喜びを爆発させた。その勢いで6分後にも追加点。初出場の桐横大が決勝に駒を進めた。

 指揮官も「本当にサブで我慢し続けて、それでも頑張り続けていた子たちが最後活躍してくれた」と目を細める。中井は「いつぶりの得点かな」と宙を見た。トップチームではなかなか出番を掴めないまま4年間が経過。リーグ戦でベンチ入りはするが、なかなか出番は来ず。得点もアシストもできなかった。

 そんな中井が得点に歓喜していた場面を覚えている。2017年12月24日、浦和駒場スタジアムでインカレ決勝が始まる直前。隣接のレッズハートフルフィールド駒場では、1、2年生主体の第1回全日本大学サッカー新人戦の決勝戦が行われていた。

 桐横大は慶應義塾大と対戦。先発の中井は先制点をアシストし、さらにダメ押しの3点目を決めていた。桐横大は栄えある初代王者となったが、会場には応援スタンドもない。静かに喜ぶ中井たちの横を、駒場スタジアムへインカレ決勝を観に行く人たちが通り過ぎていった。「おれらの年は絶対駒場スタジアムでやろう」。その思いが絆を深め、そして今季の躍進へとつながっていく。

 決勝戦ではいよいよ浦和駒場スタジアムへ。中井は4年間を振り返りつつ、ともに歩んできた仲間への思いを明かす。「上手くいくことばかりではなかったですけど、いい仲間とブレることなく、ずっと日本一という目標に向かってサッカーができました。人のためになろうとしたときが一番力が出せるというか、そう思っています。最後は楽しくやりきって勝ちたいですね」。仲間とともに、仲間のために。その思いの結晶が今日の勝利を形作った。

2017年12月24日、第1回全日本大学サッカー新人戦で優勝した桐横大


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(取材・文 石川祐介)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

3冠王手明治大、MF瀬古樹はバースデー決勝へ「しっかりとあと1試合を戦いたい」

MF瀬古樹が人生初のバースデーマッチに臨む
[12.19 大学選手権準決勝 明治大7-3関西学院大 駒場]

 12月22日、明治大(関東1)が史上最強を証明する舞台にいよいよ立つ。同日、自身の22回目の誕生日を迎えるMF瀬古樹(4年=三菱養和SCユース/横浜FC)は「運命というか、この時期に試合を出来ること自体がそうそうない。しっかりとあと1試合、明治のために戦いたいなと思います」と気合十分に話した。

 3失点はボランチとしても反省があるという。「僕と安部がボールを持たされている時間が長かった。いつものようなテンポは正直出せなかった」と話すと、「修正して決勝に臨まないと、足をすくわれてしまう」を気を引き締める。

 決勝の相手である桐蔭横浜大は今季リーグ開幕戦と最終節で対戦。1勝1分だが、いずれも接戦だったと振り返る。ただ瀬古は、「相手がどこであろうと自分たちのサッカーをすることに変わりはない」と強調すると、「今年のシーズン当初に監督からインカレ最後の日に笑って終われるチームであろうと言われた。それを達成するところまで来たので、悔いを残さないように、今日出た課題をあと2日間でしっかりと修正して臨みたい」と力を込めた。
 
(取材・文 児玉幸洋)

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3冠王手明治大、MF瀬古樹はバースデー決勝へ「しっかりとあと1試合を戦いたい」

MF瀬古樹が人生初のバースデーマッチに臨む
[12.19 大学選手権準決勝 明治大7-3関西学院大 駒場]

 12月22日、明治大(関東1)が史上最強を証明する舞台にいよいよ立つ。同日、自身の22回目の誕生日を迎えるMF瀬古樹(4年=三菱養和SCユース/横浜FC)は「運命というか、この時期に試合を出来ること自体がそうそうない。しっかりとあと1試合、明治のために戦いたいなと思います」と気合十分に話した。

 3失点はボランチとしても反省があるという。「僕と安部がボールを持たされている時間が長かった。いつものようなテンポは正直出せなかった」と話すと、「修正して決勝に臨まないと、足をすくわれてしまう」を気を引き締める。

 決勝の相手である桐蔭横浜大は今季リーグ開幕戦と最終節で対戦。1勝1分だが、いずれも接戦だったと振り返る。ただ瀬古は、「相手がどこであろうと自分たちのサッカーをすることに変わりはない」と強調すると、「今年のシーズン当初に監督からインカレ最後の日に笑って終われるチームであろうと言われた。それを達成するところまで来たので、悔いを残さないように、今日出た課題をあと2日間でしっかりと修正して臨みたい」と力を込めた。
 
(取材・文 児玉幸洋)

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7発大勝よりも3失点反省の明治大…3年生のミスを4年生がカバー

得点したDF佐藤瑶大だったが、この日はそれよりも失点を反省していた
[12.19 大学選手権準決勝 明治大7-3関西学院大 駒場]

 予想外の大味ゲームになった。先制点を奪われた明治大(関東1)はその後の今季最多7得点で逆転勝ちを飾ったが、ゲーム運びにはやや不満が残った。

 DF佐藤瑶大(3年=駒澤大高)は「甘さが出てしまった」と振り返る。前半41分にMF中村健人(4年=東福岡高)のFKを合わせて逆転弾を決めていた佐藤瑶だが、後半2分に自らの対応のミスから失点に絡んでしまう。

 その後、3-3と同点にされたところで、DF常本佳吾(3年=横浜FMユース)と一緒に先輩DF川上優樹(4年=矢板中央高)、DF小野寺健也(4年=日大藤沢高)と交代。試合後は「自分のゴールよりも失点のほうに目を向けないといけない」と猛省した。

「(今季は怪我の影響で)優勝の瞬間のピッチに立てていない。今年のチームには何も貢献出来ていないと思っている。今日のミスで決勝に出られるかは分からないけど、出られる準備だけは常にしたいなと思います」

 ただ先輩たちが後輩のミスをカバーした。代わりに出た川上、小野寺をセンターにした4バックへのシステム変更で守備を落ち着かせると、小野寺は後半35分にMF中村健人(4年=東福岡高鹿児島内定)のFKのこぼれ球に詰めて、チーム5点目を奪った。

 ヘディングが得意で、足での得点は「記憶にない」とにんまりとした小野寺も、「まずは(自分たちが出てから)ゼロで抑えられたのが大きかった」と胸を張る。レギュラーCBの3枚が3年生ということもあり、「4年としての意地があった。ここで失点したら俺と川上の4年間の積み重ねがなくなってしまうと思った」とホッとした様子で話した。
 
(取材・文 児玉幸洋)

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7発大勝よりも3失点反省の明治大…3年生のミスを4年生がカバー

得点したDF佐藤瑶大だったが、この日はそれよりも失点を反省していた
[12.19 大学選手権準決勝 明治大7-3関西学院大 駒場]

 予想外の大味ゲームになった。先制点を奪われた明治大(関東1)はその後の今季最多7得点で逆転勝ちを飾ったが、ゲーム運びにはやや不満が残った。

 DF佐藤瑶大(3年=駒澤大高)は「甘さが出てしまった」と振り返る。前半41分にMF中村健人(4年=東福岡高)のFKを合わせて逆転弾を決めていた佐藤瑶だが、後半2分に自らの対応のミスから失点に絡んでしまう。

 その後、3-3と同点にされたところで、DF常本佳吾(3年=横浜FMユース)と一緒に先輩DF川上優樹(4年=矢板中央高)、DF小野寺健也(4年=日大藤沢高)と交代。試合後は「自分のゴールよりも失点のほうに目を向けないといけない」と猛省した。

「(今季は怪我の影響で)優勝の瞬間のピッチに立てていない。今年のチームには何も貢献出来ていないと思っている。今日のミスで決勝に出られるかは分からないけど、出られる準備だけは常にしたいなと思います」

 ただ先輩たちが後輩のミスをカバーした。代わりに出た川上、小野寺をセンターにした4バックへのシステム変更で守備を落ち着かせると、小野寺は後半35分にMF中村健人(4年=東福岡高鹿児島内定)のFKのこぼれ球に詰めて、チーム5点目を奪った。

 ヘディングが得意で、足での得点は「記憶にない」とにんまりとした小野寺も、「まずは(自分たちが出てから)ゼロで抑えられたのが大きかった」と胸を張る。レギュラーCBの3枚が3年生ということもあり、「4年としての意地があった。ここで失点したら俺と川上の4年間の積み重ねがなくなってしまうと思った」とホッとした様子で話した。
 
(取材・文 児玉幸洋)

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驚異の回復力で関東MVP明治大FW佐藤亮が復活ゴール!「チームが繋いでくれた」

怪我から復帰したFW佐藤亮がゴールネットを揺らした
[12.19 大学選手権準決勝 明治大7-3関西学院大 駒場]

 明治大のベンチに背番号11が帰ってきた。今大会初めてベンチ入りしたFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)は、後半32分にハットトリックを決めていたFW佐藤凌我との交代でピッチに登場。すると、同35分、MF森下龍矢(4年=磐田U-18/鳥栖内定)のラストパスから左足で蹴り込んで、復活をアピール。直後の同36分には佐藤亮のシュートのこぼれ球がFW小柏剛(3年=大宮ユース)のゴールに繋がった。

「チームがここまで繋いでくれたので、こうして試合に出ることができて、得点もできた。みんなが繋いでくれた分、自分が結果を残して優勝したい。関西学院大学さんの分まで、しっかりと優勝していい報告ができればいいなと思います」

「2試合出られなかったけど、ピッチに立ちたいなとはずっと思っていた。応援している中で仲間が一生懸命戦っていたり、一緒に応援している仲間が声を張っているのをみて、改めてこの組織は素晴らしいなと感じることができた。今日はチームのためになりたいという思いが強かったので、それを証明できて良かったと思います」

 関東リーグMVPを悪夢が襲ったのは、インカレ初戦を翌日に控えた13日の練習。右足首を捻挫してしまい、離脱を余儀なくされた。しかし診断の結果、大会全休という最悪の事態は回避できることが判明。トレーナーと懸命のリハビリを重ねると、18日になってようやく全体練習に復帰することが出来た。

 当初は決勝での復帰が考えられていたが、練習での動きも良かったことで、栗田大輔監督も準決勝でのベンチ入りを決断。「怪我のこともあったので、起用はギリギリまで我慢しましたけど、決勝にもつながるので絶対に使いたかった」と準決勝での復帰の理由を語ると、「そこで点が取れるというのは、彼の持っているスター性だと思います」と目を細めた。

 明治大史上初、同一年度大学全タイトル獲得までいよいよあと1つに迫った。決勝の相手は桐蔭横浜大に決定。関東1位と2位の対決は頂上決戦に相応しい好カードになった。「スタメンで出られるなら一番いいけど、たとえサブでも自分がやるべきことは変わらない。チームが優勝することがすべて。与えられた役割をこなすことに専念したいと思います」。〝最強明治”の主将が、歴史に名を残すべく、最終決戦に臨む。
 
(取材・文 児玉幸洋)

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

[MOM675]明治大FW佐藤凌我(3年)_課題の決定力克服のハットトリック

[MOM675]明治大FW佐藤凌我(3年)_課題の決定力克服のハットトリック
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]
[12.19 大学選手権準決勝 明治大7-3関西学院大 駒場]

 1点ずつ返していけば、何も恐れることはない。前半25分に先制点を決められた明治大(関東1)だったが、その後積み重ねた得点は今季最多の「7」。ついに今季の大学タイトル全てを獲得する3冠に王手をかけた。

 チームに勇気を与えたのは、背番号20だった。前半31分、MF中村帆高(4年=日大藤沢高/FC東京内定)の右クロスを受けたMF森下龍矢(4年=磐田U-18/鳥栖内定)のコントロールが大きくなったところを拾ったFW佐藤凌我(3年=東福岡高)が反転シュートを蹴り込んで、この日唯一のビハインドを跳ね返す。

 さらに前半終了間際にも森下のシュートのこぼれ球を押し込んで追加点を奪うと、まさかの同点に追い付かれて迎えた後半16分にはFW小柏剛(3年=大宮ユース)の落としを左足で蹴り込み、大学入学後初のハットトリックを達成。この得点が決勝点にもなった。

「運動量もあるし、体も張れる。でも決定力に課題がある」。これが栗田大輔監督の佐藤凌我への評価だ。昨年の総理大臣杯決勝など印象的なゴールも決めているが、シーズンを通して安定的な結果を残すことができていない。今季のリーグ戦は16試合に出場しながら2得点。好調なチームの中で、終盤はベンチ入りメンバーから外れることもあった。

 小柏や狩土名禅(3年=桐生一高)といった同世代のFWと違って、自身には特長がないとも話す。その分、運動量で上回って、ゴール前での決定機を増やしていきたいという。「今季を通して得点に課題があったけど、この大会に向けて準備をしてきたつもりだったので、得点を奪えたことは良かったのかなと思います」。ハットトリックで得点ランキング単独トップにも浮上。実力派のラッキーボーイが初の3冠を目指す明治大の勢いを加速させる。
 
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(取材・文 児玉幸洋)

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

インカレ初出場・桐蔭横浜大が決勝戦へ! 中央大との延長接戦で終盤怒涛の2連弾

インカレ初出場・桐蔭横浜大が決勝戦に進出
[12.19 インカレ準決勝 桐蔭横浜大3-1(延長)中央大 NACK5]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準決勝が19日に行われ、NACK5スタジアム大宮では桐蔭横浜大(関東2)と中央大(関東3)が対戦。初出場の桐横大が延長戦の末に、3-1で勝利した。決勝戦は22日に浦和駒場スタジアムで行われ、明治大(関東1)と桐横大が対戦する。

 桐横大は4-4-2の布陣で、自慢の両翼には左MF鳥海芳樹(3年=桐光学園高)と右MFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)を配置。一方、中大は4-1-4-1の布陣も、MF大久保智明(3年=東京Vユース/2021年浦和加入内定)が怪我で、MF中村亮太朗(4年=新潟明訓高/甲府内定)が累積警告でメンバー外となった。

 先に均衡を破ったのは桐横大。前半21分、左サイドのMF橘田健人(3年=神村学園高)のクロスを、ファーサイドのFW下村司(4年=市立船橋高)が折り返し、最後はDF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)が押し込んだ。

 中大は0-1となっても劣勢にはならず。前半24分にはMF小野智史(4年=佐野日大高)からFW本間椋(3年=昌平高)を経由してFW高窪健人(3年=浦和南高)と連係が続く。また同37分にも細かいパスワークから右サイドの本間がクロスを上げ、ゴールに迫った。しかし決定力に欠いてしまい、そのまま前半を0-1で折り返す。中大は前半の良い時間帯で追いつくことができず、佐藤健監督も「そこで取れなかったのがきつかった」と悔しさをにじませた。

 中大は後半10分に高窪に代え、準々決勝で2得点を挙げたFW小山駿(4年=帝京三高)を投入。さらに同21分には右サイドバックのDF荒木遼太(1年=興國高)を下げてセンターバックのDF三ッ田啓希(4年=西武文理高/松本内定)し、守備時はアンカーの小野が下がって5バックを形成。ここまで戦い抜いたやり方で、同点弾を狙っていった。

 一方、桐横大も次々とカードを切り、後半29分にはMF神垣陸(3年=尚志高)に代わってMF中井朗人(4年=興國高)が、同33分にはFW下村司(4年=市立船橋高)に代えてFW國場龍之介(4年=神村学園高)が投入される。そして42分にはMF鳥海芳樹(3年=桐光学園高)が下がり、DF中村響(4年=前橋育英高)が出場した。

 徐々に相手ゴールを脅かす中大だが、時間は刻々と過ぎていき、とうとう90分が経過。しかし試合終了かと思われた後半45分、中大は起死回生の展開を迎える。PA内で混戦となるもパスをつなぎ、抜け出した小野がPA右からクロスを上げる。するとファーサイドに流れたボールを、小山がターンしながらオーバーヘッドキック。ジャストミートした弾道はゴール左隅に突き刺さった。

 ギリギリの同点劇に沸き立つスタジアム。そのまま1-1で後半も終了し、試合は延長戦に入る。しかしここから桐横大が怒涛の攻撃。延長前半4分、左サイドの中村がクロスを上げ、PA中央の中井が豪快ヘッドを叩き込む。さらに同10分にはFW滝沢昂司(4年=桐生一高)からのクロスを中村がPA左で折り返し、最後は國場が右足で決め切った。

 桐横大は3-1で延長後半に折り返すと、中大の猛反撃を受ける。しかし延長後半6分にはGK早坂勇希(2年=川崎F U-18)が2度のスーパーセーブでゴールを守り切り、試合はそのまま終了。初出場の桐横大が決勝戦へと駒を進めた。

 中大は7年ぶりのインカレ出場で4強進出。佐藤監督は今年1年間を振り返り、「だんだん後期に向かってチームが力をつけてきた」と語る。「その結果としてインカレに出られたということは、来年に必ずつながる」と選手たちをねぎらっていた。

 桐横大の安武亨監督は後半終了間際に追いつかれたことにも動揺はせず。「(中大の)気持ちの強いところ、球際の強さ、頑張りというところに、最後押し込まれちゃったかなって思います。そういうこともある。最初から90分で勝てるような甘い試合とは思っていないので、覚悟はしていた」と失点場面に言及。「失点しても同点になっただけ。そんなにバタバタはしていなかった」とメンタル面での強さも強調した。

 決勝の相手はリーグ戦、総理大臣杯と2冠を達成し、そしてインカレ準決勝を7-3という強さで勝ち進んだ明大。安武監督は「強いですね7-3って何ですか(笑)」と驚きつつ、「誰が出てきても、同じクオリティでサッカーできますし、先発の予想もつかないですし、本当に強いチーム」と対戦相手を称賛。しかし桐横大も今季はリーグ戦2位と躍進を遂げ、インカレ初出場を成し遂げた。「どんな先発で来ても、自分たちのサッカーができれば。結果として勝てたら最高だと思います」とこの1年間で培った自信を見せつける構えだ。

(取材・文 石川祐介)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

明治大が7発大勝で3冠王手!決勝は桐蔭横浜大と関東1位2位対決に

明治大が7発大勝で3冠王手!決勝は桐蔭横浜大と関東1位2位対決に
 第68回全日本大学サッカー選手権(インカレ)の準決勝が19日に行われ、明治大(関東1)と桐蔭横浜大(関東2)が決勝に勝ち上がった。決勝は22日13時に浦和駒場スタジアムでキックオフする。

 明大対関西学院大(関西2)は壮絶な打ち合いとなった。前半25分に関学大がMF山本悠樹(4年=草津東高/G大阪内定)のロングパスで裏を取ったMF安羅修雅(2年=履正社高)のゴールで先制。

 しかし明大は前半31分にFW佐藤凌我(3年=東福岡高)のゴールで同点に追いつくと、同41分にDF佐藤瑶大(3年=駒澤大高)、同アディショナルタイム2分に佐藤凌我が再び得点して、一気にリードを奪った。

 だが関学大は全く諦めていなかった。後半開始から2枚替え。FW山見大登(2年=大阪学院高)とFW木村勇大(1年=大阪桐蔭高)を投入して流れを引き寄せに行くと、後半2分にその木村が得点。同9分にはFW中村匡克(3年=洛北高)が得点して、何と試合が振り出しに戻る。

 ただ明大の強さはここからだった。DF川上優樹(4年=矢板中央高)とDF小野寺健也(4年=日大藤沢高)を同時投入して守備の安定化を図ったことで落ち着きを取り戻すと、同16分にMF森下龍矢(4年=磐田U-18/鳥栖内定)の突破から佐藤凌我のハットトリックとなるゴールで勝ち越しに成功。

 止まらない明大は同25分にMF中村健人(4年=東福岡高/鹿児島内定)のFKのこぼれ球を小野寺が蹴り込んで5点目。同35分には初戦の前日の負傷によってリハビリを続け、今大会初出場を途中出場で飾っていたエースFW佐藤亮(4年=FC東京U-18)も得点。同36分には佐藤亮のゴールをアシストしていたFW小柏剛(3年=大宮ユース)にも得点が生まれ、終わってみれば7-3の大勝劇となった。

 明大はこれで総理大臣杯、関東リーグ戦1部を合わせた3冠に王手。栗田大輔監督も「ここまで来たら獲りにいきます」と気合十分。8年ぶり6回目となる決勝で、“最強”を証明する。

 もう一試合は桐蔭横浜大が前半21分に主将DF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)の得点によって先制。しかしこのまま1-0で逃げ切るかと思われた後半45分に中大はFW小山駿(4年=帝京三高)が起死回生の同点弾を決めて延長戦にもつれ込む。

 しかし延長戦に入ると、延長前半4分に途中出場のMF中井朗人(4年=興國高)が頭で勝ち越し点を決めると、同10分にFW國場龍之介(4年=神村学園高)が加点し、3-1で勝利した。


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これが“桐横大のイニエスタ”橘田健人の超絶6人抜きドリブルだ!(14枚)

エリア手前でボールを持ったMF橘田健人(3年=神村学園高)がドリブルを開始
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われ、桐蔭横浜大(関東2)が法政大(関東4)を2-1で下した。19日の準決勝では中央大とNACK5スタジアムで対戦する。

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

これが“桐横大のイニエスタ”橘田健人の超絶6人抜きドリブルだ!(14枚)

エリア手前でボールを持ったMF橘田健人(3年=神村学園高)がドリブルを開始
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われ、桐蔭横浜大(関東2)が法政大(関東4)を2-1で下した。19日の準決勝では中央大とNACK5スタジアムで対戦する。

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初出場・桐蔭横浜大旋風!前回王者法大も撃破(24枚)

初出場の桐蔭横浜大が4強進出
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われ、桐蔭横浜大(関東2)が法政大(関東4)を2-1で下した。19日の準決勝では中央大とNACK5スタジアムで対戦する。

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桐蔭横浜大の先制点は“待望”セットプレー!遠藤「フリーだったので決めるだけでした」(5枚)

桐蔭横浜大は前半16分に先制
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われ、桐蔭横浜大(関東2)が法政大(関東4)を2-1で下した。19日の準決勝では中央大とNACK5スタジアムで対戦する。

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自分の情けなさを痛感した…法政大GK中野「あいつ凄いねって言われるように」(5枚)

GK中野小次郎(3年=徳島ユース/札幌内定)はベンチ前で泣き崩れた
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われ、桐蔭横浜大(関東2)が法政大(関東4)を2-1で下した。19日の準決勝では中央大とNACK5スタジアムで対戦する。

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法大MF紺野がみせた“4年間の成長”「悔しいですけど、しっかり受け止めて」

法大MF紺野がみせた“4年間の成長”「悔しいですけど、しっかり受け止めて」
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

「早く並べ!」。敗戦を受け止めきれず、うつむき加減で歩く仲間の姿に耐えかねたMF紺野和也(4年=武南高/FC東京内定)が整列を促す声をあげる。そこに涙はない。そこに法政大の4年間での成長がみえた。

 高校時代からプレーヤーとして注目を集めることも多かった紺野だが、性格は寡黙で物静かなタイプ。ただ最終学年になった今季は、積極的にチームを引っ張る姿が見られたという。今月4日に行われた同大のJリーグクラブ内定選手記者会見でも、長山一也監督は紺野の人間的な成長、精神的な成長だとして目を細めていた。

 来年からプロの舞台で活躍する。明確な目標が立っていることが影響していることは間違いないだろう。「悔しいですけど、しっかり受け止めて、成長していきたい」としっかりとした口調で話した紺野。「法政はタイトルを取らないといけないチーム。残り1週間もないですけど、後輩たちには気持ち面、技術面の両方を伝えながら引退したいと思います」と話す表情は最後まで凛々しかった。

(取材・文 児玉幸洋)

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夢の準決勝双子兄弟対決ならず…法大主将DF加藤は号泣「申し訳ないです」

DF加藤威吹樹は涙をこらえることが出来なかった
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 悔しさを押し隠すことができない。法政大(関東4)の主将DF加藤威吹樹(いぶき、4年=広島ユース)は、額を地面にこすりつけながら嗚咽を漏らした。

「日本一を後輩たちに見させてあげたかった。夏も含めて自分は何もできなかったので、今回は本当に頑張りたかった。守備で隙を作ってしまったのは自分の責任。応援してくれたみんなにすごく申し訳なかったなと思います」

 サッカーを始めてから所属したすべてのチームで主将を任されてきた。だが自分が主将になった世代で日本一を経験できていない不甲斐なさがあったという。

 一昨年の総理大臣杯、昨年のインカレで日本一を経験。そのメンバーが多く残る今季で、自身の世代でのタイトル奪取に大きな希望を持って臨んでいたが、最後まで頂には届かなかった。

 楽しみにしていた準決勝にも届かなかった。準決勝にたどり着けば、中央大と対戦する可能性がある。同大には双子の弟・陸次樹(むつき、4年=広島ユース/金沢内定)が在籍。インカレ前の会見に登壇した2人は、お互いに対戦希望を公言していた。

 奇しくも中大は4強進出を決めた。「申し訳ないですね。本当にやりたかった」とポツリ、ポツリと話した威吹樹。「やっぱりムツと同じ舞台に立ちたい。この大会が終わって、どこかしら話がくればいいなと思っている。練習参加に行って、そのまま決まればいいなと思います」。兄弟対決は次のステージで必ず成し遂げる。

(取材・文 児玉幸洋)

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新潟から新潟へ。加藤潤と阿部航斗が築いた10年間の絆。

GK阿部航斗(左)とDF加藤潤
 こみ上げてくる涙は、もう押しとどめることができなかった。「『ああ、もう終わりか』と。『大学サッカー終わったな』と思って…」(加藤)。「凄く応援してくれていた仲間の泣いている顔だったり、悔しがっている顔を見たら、自然と…」(阿部)。アルビレックス新潟のジュニアユースで出会って、ちょうど10年。DF加藤潤(4年=新潟明訓高)とGK阿部航斗(4年=新潟U-18)が挑んだ最後の“共闘”は、西が丘のステージでその幕が下りた。

 揃ってレギュラーとして全国3位を経験するなど、アルビレックス新潟ジュニアユースで充実した3年間を過ごした加藤と阿部。ところが、後者はユースへと昇格したものの、前者は県内の強豪校である新潟明訓高へと進学する。白鳥をあしらったエンブレムの元、FIFA U-17ワールドカップにも出場するなど、世代屈指のGKとして成長を続けた阿部。そして新潟明訓の絶対的なキャプテンとして、3年時はチームを夏冬と共に全国へ導いた加藤。別々の道でお互いに研鑽を積んだ両者は、筑波大で再会を果たす。

「まさか一緒になるとは思っていなかったんですよ。アイツはアルビに行って、普通にそのままプロに行くのかなと思っていたら、筑波に来るって聞いて『マジか!』ってビックリして」(加藤)。新潟で生まれ育った2人は、筑波の地でプロというステージを目指すべく、新たな4年間をスタートさせる。

 1年時から出場機会を獲得していた2人だったが、少しずつ立場に違いが現れていく。インカレでスーパーセーブを連発し、1年生ながらベストGK賞を獲得するなど、大学サッカー界でも名前を知られていくようになった阿部に対し、ケガも少なくなかった加藤はなかなか思ったような力を発揮できない時期が続く。ただ、高校時代から卓越していた彼の人間性は、確実に周囲の認める所となっていった。

 最高学年となった2019年。選手たちでの話し合いを経て、加藤はキャプテンへ就任することになる。根っからのリーダー気質。大役にも躊躇はなかった。ただ、自分の中で決めていたことを阿部に打診する。「一緒にいた時間の長い航斗ならいろいろわかってくれると思ったので、僕がキャプテンになるって決まった時に、一番にアイツに『副キャプテンをやって欲しい』ということを伝えました。『やるよ』って言ってくれたのは嬉しかったですね」。

 チーム屈指のムードメーカーコンビで組まれたキャプテンと副キャプテン。しかし、リーグ戦の開幕を前にした練習試合で加藤をアクシデントが襲う。左ヒザの半月板損傷。「キャプテンになって『やってやるぞ』って気持ちを込めてシーズンに入ったのにケガしちゃって、もう半年はプレーできないって確定したんです」。その心情は察して余りある。

 チームを率いる小井土正亮監督も当時を振り返る。「前期は棒に振るような形になって、一番へこんでいるのがアイツだったけど、それでもキャプテンだからということで、気は張ってやらなきゃいけないのに、体が動かないみたいな。本当にもどかしそうな感じでしたね」。

 とはいえ、キャプテンでもあり、ムードメーカーとしての立場は誰よりも自分が一番理解していた。「いつも元気な俺がいきなり落ち込んでいたりしたら、『あからさまだろ』みたいな感じじゃないですか。それは自分的にも嫌だし、キャプテンとしても自分のことで一喜一憂するような姿勢を見せたくなかったし、そこは気を付けていた所ですね」。割り切って、できることを1つ1つ積み重ねていく。

「彼の性格上、周りにはあまり暗い姿を見せなかったですけど、やっぱり苦しかったと思うんですよね。それでもチームのために良い影響を与えたり、声掛けをしてくれたので、特に4年生を中心に『潤のために戦おう』という気持ちは強かったと思います」と明かした阿部が、前期の試合ではキャプテンマークを巻き続けた。あえて口にしなくても、『潤のために』という気持ちを一番強く持っていたことは言うまでもないだろう。

 後期に入ると、今度はアルビレックス新潟への“帰還”を勝ち獲っていた阿部の立ち位置が変わる。正守護神の座には同じ4年生のGK大川圭為(4年=浦和ユース/新潟シンガポール内定)が就き、ベンチから試合を見つめることになった。「アイツも試合に出れないことを面白い感じの話にして言いますけど、絶対悔しいとは思いますし、難しい所はあるんだろうなって思っていました」と加藤は盟友の心情を推し量る。だが、その加藤のこれまでを見てきた盟友に迷いはなかった。

「試合に出られなくてもできることはありますし、外から声を掛けたり、鼓舞することを頑張っていこうと考えていました。例えば試合に出ていない組の練習試合だったら、潤や自分たちが盛り上げたり、中心となっていくことで底上げというか、チームの層も厚くしていけるんじゃないかなと思っていたので、潤とは凄く支え合って頑張ってこれたかなと思います」。チームのために。仲間のために。キャプテンと副キャプテンの腹は決まっていた。

 迎えたインカレの初戦。びわこ成蹊スポーツ大戦のスタメンリストには、阿部の名前が書きこまれていた。「今年の後期からは大川が出て、その間も阿部がどういう態度を取るかなと思ったら、本当にチームのことを考えて、テクニカルエリアで自分より前に出て、一生懸命声を出してくれたり、アイツが一番盛り上げてくれて。だから、インカレはもうパフォーマンス云々より、阿部で行こうと思っていたんです」(小井土監督)。

「約2、3か月ぶりぐらいの公式戦で、正直こんなに試合に出れない時期が続いたのは入学した当初以来だったので、『どうなるんだろうな』って思いながらも、凄く試合が楽しみでした」(阿部)。延長戦までもつれ込んだゲームは、加藤と阿部と4年間を共に過ごしてきたDF山川哲史(4年=神戸U-18/神戸内定)が決勝ゴール。「凄く良い出来で、チームを救ってくれましたね」と小井土監督も言及するパフォーマンスで、阿部も勝利に貢献する。

 出場機会を得られなかった加藤も、帰ってきた守護神に特別な想いを抱いていた。「一緒にベンチにいたので、アイツの苦しさもわかります。僕も出れない時期をわかるので。だから、『アイツみたいに毎日の積み重ねをああいうふうに頑張ってやっていたら、しっかり結果で現れるんだな』と改めて感じさせられました。『よくアイツは戻ってきたな』って感覚も僕の中でありますね」。チームのために。仲間のために。その場所がピッチでも、ベンチでも。たとえスタンドでも。

 後半39分に阿部の守るゴールが破られ、0-0の均衡が崩れる。総理大臣杯王者であり、関東王者でもある絶対的な優勝候補との準々決勝。明治大へ必死に食らい付いていたものの、終盤に先制点を許す。「『どうにか1点取ってくれ』という想いと、『このまま終わっちゃうのかなあ』という感じで見ていました」(加藤)。時計の針は残酷に進んでいく。

 タイムアップの瞬間を加藤はアップエリアで、阿部はピッチの中で迎えた。違う場所にいた2人は、お互いにしばらくその場から動くことができない。整列が終わり、応援してくれた仲間の元へ向かうと、こみ上げてくる涙は、もう押しとどめることができなかった。「『ああ、もう終わりか』と。『大学サッカー終わったな』と思って…」(加藤)「凄く応援してくれていた仲間の泣いている顔だったり、悔しがっている顔を見たら、自然と…」(阿部)。アルビレックス新潟のジュニアユースで出会って、ちょうど10年。加藤と阿部が挑んだ最後の“共闘”は、西が丘のステージでその幕が下りた。

 卒業後、加藤は社会人として、阿部はプロサッカー選手として、再び新潟の地へと舞い戻る。

「潤とは縁があるというか、切っても切れない関係というか、凄く楽しい4年間でした。あまりどういう関係かとかは考えたことがないですけど(笑)、2人とも明るい性格というのもありますし、キャプテンと副キャプテンですけど、みんなに指示する時もあれば、2人でバカをやる時もあるような関係かなと。これからもたぶん僕を見に来てくれると思うので、試合に出て頑張りたいと思います」(阿部)

「『新潟に帰っても週末は会うか』みたいな話はしていて、これからはアイツを応援する立場なので、普通に頑張って欲しいです。僕がビッグスワンに行って、航斗を見て、『こういうプレーはどうだった?』みたいな話をするのが、これからの僕に一番できることなのかなと。結局いつも一緒なんですよね」(加藤)

 新潟で生まれ、新潟で育ち、そして新潟へ帰る2人の青年には、きっと雪深き山々の向こう側から降り注ぎ、ビッグスワンを明るく照らす朝陽のような輝かしい明日が待っている。

(取材・文 土屋雅史)

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「今日の悔しい気持ちを捨てずにJの舞台で」金沢に加入する大体大MF西田恵の決意

来季はJ2金沢でプレーするMF西田恵(4年=関大北陽高)
[12.16 インカレ準々決勝 中央大6-1大阪体育大 AGF]

 悔し涙とともに幕を閉じた。関西王者・大阪体育大は準々決勝で敗退。ツエーゲン金沢内定のMF西田恵(4年=関大北陽高)はゲームキャプテンとして責任を背負い、「体大にきてから今日みたいに大差で負けたのは初めてだった。奮い立たせる声をかけて、前向きにさせられるプレーができたらよかった」と唇をかんだ。

 右サイドハーフを担い、序盤からFW林大地(4年=履正社高)らに鋭いクロスを配給してチャンスを導いたが、早い時間帯に2失点。反撃に出た後半立ち上がりはエリア内を突破して惜しいシュートを打ったが、相手GKのセーブに遭った。ドリブル突破も中央大の堅守に阻まれ、反撃は及ばなかった。

「ゴール前の精度はレベルアップしていかないと金沢でも通用しないと思う」と課題を口にした西田。対戦相手の中央大は来季金沢で同期となるFW加藤陸次樹(4年)を擁した。大学ラストゲームは6失点。勝つために前に出た結果には納得しているが、ここで敗退するつもりはなかっただけに「自分の力不足を感じます」と悔しさをにじませた。

 札幌内定の同期DF田中駿汰や鳥栖内定の林らは入学当初からAチームだったが、西田は一般入試で入った立場。ランメニューが主体のチームからスタートし、プロ内定まで這い上がった。「それに苦はなかったし、松尾元太さん、福島充コーチからいろんなことを教えてもらった」という4年間は、支えてもらった人たちへの感謝に満ちている。

 大学生活最後の試合を終え、来月にはキャンプがスタートする。「思った終わり方にはできなかったですが、幸運にもサッカーを続けさせてもらえる身なので。今日の悔しい気持ちを捨てずに、責任を持ってJの舞台で戦っていきたい」と決意を口にした。

(取材・文 佐藤亜希子)
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インカレはクローザー役で貢献、松本内定DF三ッ田は中央大に経験還元へ

中央大DF三ッ田啓希(4年=西武文理高)は来季、J2松本でプレーする
[12.16 インカレ準々決勝 中央大6-1大阪体育大 AGF]

 今年4月に松本山雅FCへの来季加入内定が発表された中央大DF三ッ田啓希(4年=西武文理高)はインカレでクローザー役を担う。「求められているタスクは後ろの守備を安定させること」。2回戦、準々決勝はいずれも途中出場で試合に入り、持ち味を発揮している。

 大阪体育大が後半18分にFWアフラギ・マハディ(4年=清明学院高)を投入すると、そのわずか1分後、佐藤健監督は「プラン通りだった」と三ッ田を投入した。相手の勢いを消す狙いをもった起用は2回戦も同様。ただし、大勝したゲームだったとはいえ、後半44分の失点は反省材料。「もっともっとできる」と次戦に向けて気を引き締めた。

 DF渡辺剛(FC東京)やDF上島拓巳(柏レイソル)といった先輩の存在もあり、3年次まで関東2部リーグの出場はなく、1部に昇格した4年次はシーズンを通して松本の練習に参加してきた。高いステージで凌ぎを削ってきたからこそ、「1対1の質を上げていきたい。フィジカルやスピードのある選手にも対応し続ける持久力をつける」という課題が見えている。

 インカレ開幕の約2週間前に中央大の練習に合流した。大学サッカー生活を締めくくる大会。限られた出場時間の中でも187cmの高さとフィジカルを生かしたヘディングでハイボールを跳ね返し、対人守備でも強さを発揮。プロの強度やスピードに慣れ、徐々に感覚をつかんできただけに、Jクラブで積んできた経験をチームに還元しようとしている。

(取材・文 佐藤亜希子)
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しかしそこには馬場がいる…1か月前に出番掴んだ関学大の新守護神、120分間完封で勝利に貢献

関西学院大GK馬場裕斗(3年=加古川北高)
[12.16 インカレ準々決勝 関西学院大1-0(延長)立正大 川口]

 120分間で被シュートは8本。関西学院大GK馬場裕斗(3年=加古川北高)は約2時間に及ぶ緊張の中で冷静さを保ち続け、一度もゴールネットを揺らすことなく試合を終えた。

 立正大はインカレ初出場も侮れず、今季関東リーグ戦16ゴールで得点王に輝いたFW人見拓哉(4年=矢板中央高/琉球内定)を筆頭に高い攻撃力を誇るチーム。堅守からの一点集中カウンターは驚異的で、この試合でも何度も関学大を苦しめる。

 後半3分、左サイドのMF武田夏輝(4年=清水ユース)にクロスを上げられ、PA中央の人見にはヘディングでゴール前にパスを通される。そして、ゴール目前のMF平松昇(3年=清水ユース)にヘディングシュートを打たれる大ピンチ。しかしそこには馬場。抜群の反応でスーパーセーブを見せ、ゴールを守り切った。

 さらに後半12分にも大ピンチ。中盤のMF山本悠樹(4年=草津東高)が人見にボールを奪われ、最前線のMF藤森亮志(4年=上田西高/長野内定)に縦パスを入れられる。大黒柱のボールロストに虚を突かれた守備陣は裏に抜けられて大ピンチ。しかしそこには再び馬場。一瞬で前に飛び出してシュートコースを防ぎ、藤森のシュートを遮った。

 187cmの高身長とは裏腹に反応スピードは抜群。高橋宏次郎コーチも「シュートストップにおいてはずっと力はあった。能力はすごく高い」と太鼓判のGKだが、出番が回ってきたのは今年の11月だった。Aチームに入ったのは7月でそこからはスタンドからの応援が続き、リーグ戦終盤の2試合で抜擢。そこで結果を出してインカレ2回戦、準々決勝と出場機会を掴んでみせた。

 大学に入り、環境も整ったことでポテンシャルが少しずつ開花。そして何よりもチャンスを掴んだ大きな要因としてメンタル面を強調する。「中学も高校も強くなくて、自分が失敗するとけっこう重く捉えていました。GKなんで失敗したら失点につながりますけど、その失敗したメンタルを次に持ち越したらまた同じことが起こる」。実際に14日のインカレ2回戦で全国デビューを果たした馬場は前半2失点。しかし「前の試合もそんなに良くなかったんですけど、開き直ってこの試合に入れた」と気持ちを切り替えた準々決勝での120分間で、完封勝利を達成した。

 頼れる守護神が一番後ろにいればチームは全力で攻撃ができる。次戦は今季の関東リーグや総理大臣杯を制し、最強と名高い明治大。その全力を出さなければいけない相手だ。「またこういう押し込まれる展開になるかもしれないんですけど」と明大戦を予想する馬場。しかし、延長戦を制したことで「勢いが自分たちにはあるし、この試合を無失点に抑えられたっていう自信もある。そういう面ではやられる相手ではない」。圧倒的な攻撃力を誇る明大は関学大のゴールに何度も迫るかもしれない。しかしそこには馬場がいる。そう簡単にゴールは割らせない。

(取材・文 石川祐介)
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G大阪内定の関学大MF山本悠樹、4年間夢見た“日本一”まであと2勝「苦しい中で結果を残すのは自分」

MF山本悠樹(4年=草津東高/G大阪内定)
[12.16 インカレ準々決勝 関西学院大1-0(延長)立正大 川口]

 関西学院大立正大との延長戦を制し、インカレベスト4に進出。それは関西学生選手権、総理大臣杯、関西学生リーグ、インカレの4冠を果たした2015年度大会以来のことになる。MF山本悠樹(4年=草津東高/G大阪内定)はその翌年に入学。1年次は8強、2年次は出場なし、3年次も8強と準々決勝の壁を乗り越えられずに迎えた最後のインカレで、ようやく4強にたどり着いた。

 今季リーグ戦11得点7アシストと素晴らしい数字を残した一方で、中盤で圧倒的な存在感を発揮するというよりは淡々と簡単そうにプレーする印象。山本は常に冷静さを失わず、相手の意表を突くパスで攻撃を組み立てる。この試合でも前線に待ち構える下級生たちに向けて、長短高低さまざまなバリエーションで配球。それだけではなく、0-0で迎えた延長前半終了間際には、GKの好セーブに遭うも鋭いシュートを枠内に飛ばす。直後には右サイドから軽やかなステップで相手選手たちをかわし、PA右に入り込んで決定機をつくった。

 この試合では堅守を誇る立正大相手に“山本悠樹”という存在を知られていることもあり、持ち味を100%発揮はできなかった。「平均点もあげられない。自分の出来に関してはまったく」と評す。「相手の守備をはがしたり、そこから正確なクロスを上げられたリとかできたんですけど、もっと回数は増やせた。簡単なミスとかカウンター食らって危ないシーンをつくってしまったのは反省。この2日間しっかり準備したい」。次戦の“最強”明治大との対戦に気持ちを切り替えていた。

 “日本一”を目指してここまでやってきた。1年次はインカレ8強で終わったものの、得点を挙げるなどの活躍を見せ、スーパールーキーとして活躍。当時の山本は「今はプロを目指すというより、まずは関学で日本一になりたいという考えになっている。その日本一のために結果を残し続けたい」と語っている。しかしそこから3年間で全国のタイトルとは縁遠く。一方でG大阪加入という道をつくり、あとはラストイヤーの最後の舞台で頂点を目指すのみとなっていた。

 この試合のスタメンに4年生は山本を含めて2人で、あとは3年生3人、2年生4人、1年生2人とチームは若い。試合を決したのも途中出場のMF山下諒(2年=G大阪ユース)だった。「若いチームなんですけど、頼もしさは感じます」。だが、頂点を目指す思いは誰よりも強い。「インカレって4年生の思いがすごくある。最後準決勝とか決勝になってきて、苦しい中で誰が結果を残すのかってなったら、やっぱり4年生である自分自身がやらないといけない」。頂点まであと2勝。4年間待ち望んだその景色を見るために、必ずこのチャンスを掴んでみせる。

(取材・文 石川祐介)
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「駿汰につなげ」「駿汰ともっと一緒にやりたかった」大体大は田中の“合流”叶わず

ベスト8で敗退となった大阪体育大
[12.16 インカレ準々決勝 中央大6-1大阪体育大 AGF]

「何が何でも駿汰につなげ 何が何でも駿汰につなげ」――。スタンドの応援団がこの試合で取り入れたというチャントがAGFフィールドに響いた。しかし、E-1選手権が開催されている韓国に吉報は届けられなかった。

 大阪体育大はここで勝って仲間を迎え、頂点に向かうシナリオだった。2年連続の関西制覇に大きく貢献し、リーグMVPに輝いた札幌内定MF田中駿汰は日の丸を背負い、E-1選手権を戦っている。帰国当日の19日に控える準決勝からインカレに出場できるはずだったが、“合流”は叶わず、敗退となった。

 前半の2失点は重かったが、反撃に出た後半立ち上がりは背後のスペースを狙って連続でチャンスをつくった。FW林大地(4年=履正社高/鳥栖内定)が鋭いターンで相手DFをかわすと、スピードに乗って突破し、決定的なシュート。後半13分にもMF西田恵(4年=関大北陽高/金沢内定)がPA内右からシュートを放ったが、いずれも相手の好守に阻まれた。

 次の一点を争う中、後半23分に再びセットプレーから3点目を献上。システムを変更して攻撃に比重を置いたが、前がかりになった裏のスペースを使われて失点を重ねた。終わってみれば5点差がついたが、勝つために、点を取るために前に出た結果だった。松尾元太監督は「駿汰の想いを果たしてあげられなかった。やりきれないです」と声を落とした。

 ツエーゲン金沢加入が内定している西田は「駿汰は『頼むぞ』とか、そういう言葉をかけるタイプじゃないけど、気持ちは伝わっていた」と言葉に悔しさをにじませた。

「あいつがいないから負けたと言われるのも嫌だったし、駿汰ともっと一緒にやりたかった。負けてしまったのは申し訳ないし、悔しい」と唇を噛んだ西田。A代表での活躍を願いつつ、「体大で最後に一緒にできなかった分、一緒にどこかでまた対戦できたら」と次のステージでの再会を目標に掲げた。

(取材・文 佐藤亜希子)
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前年王者法政大、今季は天皇杯躍進も無冠で終戦…「まだ甘さがある」

王者法政大は8強で姿を消した
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 法政大(関東4)は準々決勝で桐蔭横浜大(関東2)に1-2で敗れた。2年前は総理大臣杯、昨年は大学選手権(インカレ)で日本一になっていた法大。今季も天皇杯で16強に進出するなど話題を集めたが、無冠で終戦した。

 期待を集めたシーズン。下級生のころからレギュラーとして経験を積んできた選手が多く、MF紺野和也(4年=武南高/FC東京内定)を筆頭に、現時点でプロ内定選手は5人。さらに主将DF加藤威吹樹(4年=広島ユース)やMF大西遼太郎(4年=磐田U-18)も続く可能性がある、今年の4年生は近年稀に見るタレント揃いの世代だった。

 今夏、一学年下の大エース上田綺世が鹿島での活動に専念するために退部することになっても、総理大臣杯、天皇杯とインパクトのある結果を残してきた。長山一也監督は「強くなるための方向性を示してくれた重要な学年だった。2回の日本一を経験していますし、天皇杯でもいいパフォーマンスをみせた。そこは素晴らしかったと思う」と感謝を語る。

 ただし下級生にはもう一段上のパフォーマンスを求める。「3年生以下にもプロになれる選手は何人かいると思うけど、プロで活躍する選手を僕らは作ろうと思っている。そのためには強いメンタリティを持っていないと結果を出せない。この大会にむけた準備はどうだったのか。まだ甘さがある」と反省を促すとともに、悔しさをバネにする成長を期待していた。

(取材・文 児玉幸洋)

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

“桐横大のイニエスタ”橘田が6人抜き圧巻ドリブル「シュートが決まらないのは僕らしい」

6人ドリブル。最後はGKを外してシュートを打った橘田だったが…
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 思わず唸ってしまった。桐蔭横浜大は前半21分、ペナルティーエリア右手前でボールを持ったMF橘田健人(3年=神村学園高)がドリブルを開始。いきなり2人の間をすり抜けると、エリア内に侵入しながら一人、また一人とかわしていく。最後は6人目、前に出ていたGKを外すと、ゴール方向に流し込んだ。

 本人が「GKを抜いた瞬間に詰まってしまった」と振り返ったように、シュートに力がなかったことで、カバーに入ったDF宮部大己(3年=法政二高)のスライディングブロックにかき出されてしまった。ただ、敵、味方にかかわらず、思わず感嘆の声があがる圧巻のパフォーマンス。“桐横大のイニエスタ”は「決めればインカレベストゴールでしたね。でもシュートが決まらないのが僕らしい」と笑った。

(取材・文 児玉幸洋)

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桐蔭横浜大“待望”セットプレーから先制点!得点した遠藤は浦和Yの先輩松澤と対決「彰くんの分も頑張りたい」

DF遠藤凌がCKを合わせて先制点を奪った
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 桐蔭横浜大の先制点は、待望のセットプレーから生まれた。前半16分、右サイドで得たCKをレフティーのFW下村司(4年=市立船橋高)が蹴ると、フリーで走り込んだDF遠藤凌(3年=浦和ユース)が頭で合わせて、得点は決まった。

 今季はリーグ3位の38得点を決めた桐蔭横浜大だが、セットプレーからの得点に課題があったという。“セットプレー”のキーマンである遠藤の得点も、後期リーグ開幕の順天堂大戦以来、遠ざかっていた。

 ただ対策を怠っていたわけではなく、GKコーチを中心に多くのバリエーションを用意して、試合に臨んでいたという。遠藤が「ボールが良かったので、触るだけでした」と振り返ったゴール。安武亨監督も「新しいセットプレーを実践してくれて、結果を出してくれた・GKコーチも喜んでいるでしょう」と笑顔だった。

 また得点した遠藤にとって、この日の法政大のスタメンには、浦和ユースの一学年先輩であるFW松澤彰(4年/富山内定)がいた。通っていた高校も同じで、当時から可愛がってもらっていたという。「ヘディングで負けていた部分もあった。もっと強くならないといけないなと思いました」と対戦を振り返ると、「試合後に握手した時に『頑張れ』と言ってくれた。彰くんの分も頑張りたい」と力を込めた。

(取材・文 児玉幸洋)

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[MOM672]中央大DF松本大輔(3年)_J内定のエース封じ&炸裂2発! 闘莉王に憧れたCBの輝き

攻守に渡る活躍を見せたDF松本大輔(3年=帝京三高)がMOM
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]

[12.16 インカレ準々決勝 中央大6-1大阪体育大 AGF]

 関西王者を粉砕したゲームで攻守に魅せた。中央大DF松本大輔(3年=帝京三高)がセットプレーから2ゴール。1-0で迎えた前半19分、MF高岸憲伸(2年=星稜高)が右CKを蹴り込むと、ニアサイドに入った183cmの松本が高い打点から強烈ヘッドで叩き込み、2-0に突き放した。

 終わってみれば圧勝劇となったが、次の1点を与えていれば流れが変わった可能性もあっただけに、勝利を決定付ける3点目が大きかった。迎えたチャンスは後半23分、MF中村亮太朗(4年=新潟明訓高/甲府内定)が左CKを蹴り入れると、再びニアサイドに入った松本が右足ダイレクトで押し込んだ。

 練習してきたセットプレーの形からチームの2点目、3点目を奪取。殊勲のゴールで勝利に結び付けたセンターバックは本職の任務もきっちりと遂行し、J内定のエースを90分間無失点に抑えてみせた。

 対峙したのはサガン鳥栖内定のストライカーFW林大地(4年=履正社高)。背後のスペースを狙われる時間帯もあったが、「内定者を止めれば」という気迫を持って1対1に対応。林のスピードと巧みな体使いに手を焼く場面もあったが、持ち前のフィジカルを生かして激しく寄せれば、ハイボールを跳ね返し、エースを無得点に封じた。

 センターバック一筋。長年憧れてきた存在は田中マルクス闘莉王氏だという。38歳の“闘将”は今季限りで現役を引退したが、「ずっとプレーを見てきた」という理想像だ。J内定者がひしめくチームに身を置く松本は来季のプロ入りを目指す。この一年間はヘディングと対人守備という武器に磨きをかけ、インカレの輝きにつなげた。

「武器がないと生き残れないとプロに入った人たちから聞いて、意識して磨いてきた」と松本。同じポジションの先輩、松本山雅FC内定のDF三ッ田啓希(4年=西武文理高)も「大輔は今日、自分が見てきた中で一番いいパフォーマンスをしていた」と活躍を称えていた。

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(取材・文 佐藤亜希子)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

[MOM674]桐蔭横浜大DF岩下航(3年)_チャンスは突然に

後半10分にDF岩下航がチーム2点目を奪った
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 後半10分、DF岩下航(3年=前橋育英高)は自軍の攻撃がGK中野小次郎(3年=徳島ユース)にキャッチされたことで、左SBのポジションに戻ろうとしていた。

 だがチャンスは突然やってきた。中野のスローを受けたMF末木裕也(4年=甲府U-18)のバックパスが岩下の足元に入る。「ビックリした」と振り返る岩下が、落ち着いて前をみると、中野のポジションがずれていたことで、ゴールががら空きなのが分かった。「あとは決めるだけでした」。ゴールネットに突き刺すと、無我夢中でベンチ方向に走り、歓喜の輪の中心を作った。

 直前のプレーでモヤモヤ感があった。1点リードで折り返した直後の後半2分、桐蔭横浜大はMF神垣陸(3年=尚志高)が豪快なミドルシュートを決めたかに思われたが、岩下が関与したプレーがオフサイドと判定されて、主審と副審の協議の末にゴールが取り消しとなっていた。

 ただ岩下は引きずってはいけないと、気持ちの切り替えを心掛けていたという。そこで生まれた“取り直し”のゴール。「オフサイドになったときは気持ちが切れるかなと思ったけど、みんなで声を掛け合って、逆に一個ギアを上げていこうと話をしていた。そこで点が決まったので、気持ちが上がりました」と満面の笑みで答えた。

 全国の舞台は前橋育英高時代にも経験。しかし高校最後の大会だった高校選手権では決勝で青森山田高に大敗を喫した苦い経験を持つ。ただ当時は翌年リベンジ優勝を飾ることになる2年生メンバーが中心だったが、その中で岩下は背番号11をつけて、3年生部員としてしっかりと結果を残した。

 また高校時代はSHを主戦場としていた岩下だが、大学1年の夏にSBに転向。「最初は何も出来なかった」と振り返るが、元MFの攻撃力をそのままに、守備力を向上させたSBへと進化を遂げている。

 この日は大学屈指のMF紺野和也(4年=武南高/FC東京内定)と対峙。紺野がベンチスタートだったために、「後半のきつい時間帯で出てくるのかなと思った」というが、最後までしっかりと走り切って、紺野に決定的な仕事をさせなかった。

 大学入学当初は遠い目標だったという「日本一」まであと2つと迫った。「今年は4年生が頑張ってくれて、日本一が取れるんじゃないかという雰囲気にもなっている。今もほぼ4年生のために戦っているようなものです」。その意思統一がされているからか、“幻のゴール”も含め、ここまでの得点はすべて3年生が決めている。「まだベスト4なので油断できない。次も気を引き締めて頑張りたいなと思います」。この快進撃は決して奇跡なんかではない。初出場校は地に足をつけながら、頂点を目指している。

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(取材・文 児玉幸洋)

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

[MOM674]桐蔭横浜大DF岩下航(3年)_チャンスは突然に

後半10分にDF岩下航がチーム2点目を奪った
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 後半10分、DF岩下航(3年=前橋育英高)は自軍の攻撃がGK中野小次郎(3年=徳島ユース)にキャッチされたことで、左SBのポジションに戻ろうとしていた。

 だがチャンスは突然やってきた。中野のスローを受けたMF末木裕也(4年=甲府U-18)のバックパスが岩下の足元に入る。「ビックリした」と振り返る岩下が、落ち着いて前をみると、中野のポジションがずれていたことで、ゴールががら空きなのが分かった。「あとは決めるだけでした」。ゴールネットに突き刺すと、無我夢中でベンチ方向に走り、歓喜の輪の中心を作った。

 直前のプレーでモヤモヤ感があった。1点リードで折り返した直後の後半2分、桐蔭横浜大はMF神垣陸(3年=尚志高)が豪快なミドルシュートを決めたかに思われたが、岩下が関与したプレーがオフサイドと判定されて、主審と副審の協議の末にゴールが取り消しとなっていた。

 ただ岩下は引きずってはいけないと、気持ちの切り替えを心掛けていたという。そこで生まれた“取り直し”のゴール。「オフサイドになったときは気持ちが切れるかなと思ったけど、みんなで声を掛け合って、逆に一個ギアを上げていこうと話をしていた。そこで点が決まったので、気持ちが上がりました」と満面の笑みで答えた。

 全国の舞台は前橋育英高時代にも経験。しかし高校最後の大会だった高校選手権では決勝で青森山田高に大敗を喫した苦い経験を持つ。ただ当時は翌年リベンジ優勝を飾ることになる2年生メンバーが中心だったが、その中で岩下は背番号11をつけて、3年生部員としてしっかりと結果を残した。

 また高校時代はSHを主戦場としていた岩下だが、大学1年の夏にSBに転向。「最初は何も出来なかった」と振り返るが、元MFの攻撃力をそのままに、守備力を向上させたSBへと進化を遂げている。

 この日は大学屈指のMF紺野和也(4年=武南高/FC東京内定)と対峙。紺野がベンチスタートだったために、「後半のきつい時間帯で出てくるのかなと思った」というが、最後までしっかりと走り切って、紺野に決定的な仕事をさせなかった。

 大学入学当初は遠い目標だったという「日本一」まであと2つと迫った。「今年は4年生が頑張ってくれて、日本一が取れるんじゃないかという雰囲気にもなっている。今もほぼ4年生のために戦っているようなものです」。その意思統一がされているからか、“幻のゴール”も含め、ここまでの得点はすべて3年生が決めている。「まだベスト4なので油断できない。次も気を引き締めて頑張りたいなと思います」。この快進撃は決して奇跡なんかではない。初出場校は地に足をつけながら、頂点を目指している。

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(取材・文 児玉幸洋)

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[MOM673]関西学院大MF山下諒(2年)_J3最年少出場記録を更新した男、久々の出番で決勝点

関西学院大MF山下諒(2年)
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]

[12.16 インカレ準々決勝 関西学院大1-0(延長)立正大 川口]

 勝敗を決める男が言うセリフ――「今日は決められる気がしていた」。この試合では関西学院大MF山下諒(2年=G大阪ユース)がその言葉を吐いた。山下は後半33分から途中出場。そして延長後半4分に決勝弾を決め切った。

 互いに3-4-2-1という布陣を敷き、個と個のぶつかり合いとなったミラーゲーム。前線の選手を生かすため、攻撃のスイッチを入れるパスを出す選手として、山下は後半33分に投入される。「ベンチでアップしているときから今日点決められるわっていう気がしていた。決めてやろうっていう気持ちを強く持っていて、自分の出番来た決めたろって思ってた」。もちろん自身の役割はしっかりとこなしつつ、山下は勝敗を決する決意を固めていた。

 そしてその瞬間はやってきた。延長後半4分、FW山見大登(2年=大阪学院高)の縦パスをFW木村勇大(1年=大阪桐蔭高)がPAライン付近でキープ。右横にパスを出すと、待ち構えた山下が左足のアウトサイドでトラップしつつ、右足のつま先で押し込んだ。

 中盤にはガンバ大阪内定のMF山本悠樹(4年=草津東高)という絶対的存在がいる関学大。そのボランチというポジションは特に激戦区で、山下は1年次の出場はなし。2年次の今年はようやく先発2試合、途中出場2試合と出番を掴み始めているところだ。「Aチームでの公式戦という舞台では得点は取っていないし、試合に出たのも久しぶりだったので。本当に嬉しかったっていうただ素直な気持ち」とゴールの瞬間を振り返る。

 そんな山下だが、G大阪ユース時代にG大阪U-23としてJ3リーグを経験している。2016年5月8日、J3第8節・藤枝MYFC戦(○2-0)の後半41分に途中出場。16歳8か月15日で当時のJ3最年少出場記録を更新していた。その記録は4か月後に塗り替えられ、その後も上書きは続いている。「たまたま自分が行けたっていう感じ」とかつての名誉ある記録を遠慮がちに語った。

 そのG大阪で来季からプレーする山本は、山下を「特に諒は僕のプレーに対して気の利くポジショニングを取ってくれている」と評価する。「中盤の選手全員なんですけど」とフラットな見方を強調しつつも、「運動量もあって、最後はゴール前に入って今日の結果を残したので、あいつの良さがすごく出た試合。みんなレベルが高い中で今日は諒の良さが出た」と千金弾の後輩を褒め称えた。

 山下の決勝弾で関学大は頂点まであと2勝に。2015年度大会以来の優勝に大きく近づいた。「チーム全体で日本一を取ることが目標」と力強く語る山下。自身については「そこに対して何かしら貢献できたらなって思っています」。しかし謙虚な姿勢は崩さずとも、周囲の評価は高まっている。その躍動をきっとまたすぐ目にすることになるだろう。

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(取材・文 石川祐介)
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[MOM673]関西学院大MF山下諒(2年)_J3最年少出場記録を更新した男、久々の出番で決勝点

関西学院大MF山下諒(2年)
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[12.16 インカレ準々決勝 関西学院大1-0(延長)立正大 川口]

 勝敗を決める男が言うセリフ――「今日は決められる気がしていた」。この試合では関西学院大MF山下諒(2年=G大阪ユース)がその言葉を吐いた。山下は後半33分から途中出場。そして延長後半4分に決勝弾を決め切った。

 互いに3-4-2-1という布陣を敷き、個と個のぶつかり合いとなったミラーゲーム。前線の選手を生かすため、攻撃のスイッチを入れるパスを出す選手として、山下は後半33分に投入される。「ベンチでアップしているときから今日点決められるわっていう気がしていた。決めてやろうっていう気持ちを強く持っていて、自分の出番来た決めたろって思ってた」。もちろん自身の役割はしっかりとこなしつつ、山下は勝敗を決する決意を固めていた。

 そしてその瞬間はやってきた。延長後半4分、FW山見大登(2年=大阪学院高)の縦パスをFW木村勇大(1年=大阪桐蔭高)がPAライン付近でキープ。右横にパスを出すと、待ち構えた山下が左足のアウトサイドでトラップしつつ、右足のつま先で押し込んだ。

 中盤にはガンバ大阪内定のMF山本悠樹(4年=草津東高)という絶対的存在がいる関学大。そのボランチというポジションは特に激戦区で、山下は1年次の出場はなし。2年次の今年はようやく先発2試合、途中出場2試合と出番を掴み始めているところだ。「Aチームでの公式戦という舞台では得点は取っていないし、試合に出たのも久しぶりだったので。本当に嬉しかったっていうただ素直な気持ち」とゴールの瞬間を振り返る。

 そんな山下だが、G大阪ユース時代にG大阪U-23としてJ3リーグを経験している。2016年5月8日、J3第8節・藤枝MYFC戦(○2-0)の後半41分に途中出場。16歳8か月15日で当時のJ3最年少出場記録を更新していた。その記録は4か月後に塗り替えられ、その後も上書きは続いている。「たまたま自分が行けたっていう感じ」とかつての名誉ある記録を遠慮がちに語った。

 そのG大阪で来季からプレーする山本は、山下を「特に諒は僕のプレーに対して気の利くポジショニングを取ってくれている」と評価する。「中盤の選手全員なんですけど」とフラットな見方を強調しつつも、「運動量もあって、最後はゴール前に入って今日の結果を残したので、あいつの良さがすごく出た試合。みんなレベルが高い中で今日は諒の良さが出た」と千金弾の後輩を褒め称えた。

 山下の決勝弾で関学大は頂点まであと2勝に。2015年度大会以来の優勝に大きく近づいた。「チーム全体で日本一を取ることが目標」と力強く語る山下。自身については「そこに対して何かしら貢献できたらなって思っています」。しかし謙虚な姿勢は崩さずとも、周囲の評価は高まっている。その躍動をきっとまたすぐ目にすることになるだろう。

★KIRINは大学サッカーで活躍するすべての選手を応援しています! KIRINインカレ応援企画として、ゲキサカMOMを獲得した選手全員に「キリンビバレッジ商品」をプレゼント。さらにKIRINゲキサカアワードMVPに選ばれた選手にはトロフィーとキリンビバレッジ商品をプレゼントします。詳細はこちらをチェック。

(取材・文 石川祐介)
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“風間サッカー”ベースの桐蔭横浜大が前年覇者法政大を撃破!初出場初優勝へあと2つ

桐蔭横浜大が4強に勝ち上がった
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われ、桐蔭横浜大(関東2)が法政大(関東4)を2-1で下した。19日の準決勝では中央大とNACK5スタジアムで対戦する。

 前回王者相手にも自分たちの戦い方は変えない。安武亨監督は「相手に合わせることは考えていない。そもそも、合わせられないですし」と謙遜したものの、「勝っても負けても自分たちがやりたいことを貫いた方が納得できる。だから崩すつもりもありません」と堂々と話した。

 先制点はセットプレーから決まった。桐横大は前半16分、右サイドでCKを獲得すると、FW下村司(4年=市立船橋高)が蹴り入れる。これがフリーで走り込んでいたDF遠藤凌(3年=浦和ユース)の頭にピタリ。是が非でも欲しかった先制点を手にする。

 勢いのままに前半を折り返した桐横大は後半2分、MF神垣陸(3年=尚志高)が豪快なミドルシュートを突き刺して追加点を奪った。かに思えたが、直前にDF岩下航(3年=前橋育英高)とMFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)が入れ替わってボールを受けたプレーがオフサイドと判定されたために、ゴールが取り消しとなる。

 しかし集中力を切らさなかった桐横大は後半10分、相手GK中野小次郎(3年=徳島ユース/札幌内定)のスローを受けたMF末木裕也(4年=甲府U-18/富山内定)のバックパスを見逃さなかった岩下がカット。そのまま右足でゴールに突き刺し、正真正銘の2点目を奪った。

 ただ簡単に負けるわけにいかない法大も、後半開始から途中投入されていたMF紺野和也(4年=武南高/FC東京内定)、後半9分からの出場となったMF長谷川元希(3年=大宮ユース)、同29分から投入されたFW佐藤大樹(2年=札幌U-18)ら交代選手を中心に積極的にゴール前に顔を出す場面を作っていく。すると同33分、エリア内で佐藤がDF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)に倒されてPKを獲得。これを佐藤自らが沈めて、1点差に詰め寄った。

 だが桐横大はその後も守りを固めるわけではなく、そして最後まで自分たちの形を崩すことなく、さらにダメ押し点までもを狙いに行く。後半45分のFW滝沢昂司(4年=桐生一高)のクロスをFW國場龍之介(4年=神村学園高)が合わせたヘディングシュートは惜しくも枠上に外れてしまったが、気持ちよくい勝ち切ってみせた。

 桐横大は1998年にサッカー部の本格強化を開始。当時の監督は川崎フロンターレや名古屋グランパスで監督を務めた風間八宏氏だった。2004年にコーチであった八城修氏(現総監督)が監督に昇格。そして2018年より安武監督がチームを引き継いだ。

 風間サッカーを理想に掲げる通り、パスサッカーで観客を魅了するサッカーを構築。そのうえで安武監督は守備戦術などで「独自の色」を加えながらチームを作ってきた。その結果、13年に1部昇格してからは残留争いをするのが精いっぱいだったチームを過去最高の2位に引き上げ、初のインカレ出場へと導いた。

 安武監督は「ベースを作ってくれたのは風間さんであり、八城総監督。そこに守備の所はサボらないという直向きさであったり、ちょっとした自分の色を反映させたいと思っています。そこに今年は勝負強さがついて、少し歯車があってきたのかなという感じです」と急成長の要因を語る。

 初出場初優勝の快挙まであと2つ。大きな目標としてはインカレ決勝と同日に開催される新人戦(1、2年生チームの大会)とのWタイトルの獲得。新人戦は現在2連覇中で、今年もグループリーグに勝ち残っていることもあり、大いに可能性が残っている。

 接戦を勝ち切ることで成績を向上させた今季のリーグ戦だったが、黒星を喫したのは順天堂大、法政大、中央大、明治大の4校。順大はインカレに出ていないが、順番に行けば3校にリベンジするチャンスがある。その意味でも法大へのリベンジをまずは達成。次なるターゲットは中央大だ。「中大さんも戦うチームなので、次も死闘になると思うけど、とにかく頑張ります」(安武監督)。自分たちのサッカーを最後まで信じることで、頂点まで駆け上がる。

(取材・文 児玉幸洋)

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“風間サッカー”ベースの桐蔭横浜大が前年覇者法政大を撃破!初出場初優勝へあと2つ

桐蔭横浜大が4強に勝ち上がった
[12.16 大学選手権準々決勝 桐蔭横浜大2-1法政大 柏の葉]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われ、桐蔭横浜大(関東2)が法政大(関東4)を2-1で下した。19日の準決勝では中央大とNACK5スタジアムで対戦する。

 前回王者相手にも自分たちの戦い方は変えない。安武亨監督は「相手に合わせることは考えていない。そもそも、合わせられないですし」と謙遜したものの、「勝っても負けても自分たちがやりたいことを貫いた方が納得できる。だから崩すつもりもありません」と堂々と話した。

 先制点はセットプレーから決まった。桐横大は前半16分、右サイドでCKを獲得すると、FW下村司(4年=市立船橋高)が蹴り入れる。これがフリーで走り込んでいたDF遠藤凌(3年=浦和ユース)の頭にピタリ。是が非でも欲しかった先制点を手にする。

 勢いのままに前半を折り返した桐横大は後半2分、MF神垣陸(3年=尚志高)が豪快なミドルシュートを突き刺して追加点を奪った。かに思えたが、直前にDF岩下航(3年=前橋育英高)とMFイサカ・ゼイン(4年=桐光学園高/川崎F内定)が入れ替わってボールを受けたプレーがオフサイドと判定されたために、ゴールが取り消しとなる。

 しかし集中力を切らさなかった桐横大は後半10分、相手GK中野小次郎(3年=徳島ユース/札幌内定)のスローを受けたMF末木裕也(4年=甲府U-18/富山内定)のバックパスを見逃さなかった岩下がカット。そのまま右足でゴールに突き刺し、正真正銘の2点目を奪った。

 ただ簡単に負けるわけにいかない法大も、後半開始から途中投入されていたMF紺野和也(4年=武南高/FC東京内定)、後半9分からの出場となったMF長谷川元希(3年=大宮ユース)、同29分から投入されたFW佐藤大樹(2年=札幌U-18)ら交代選手を中心に積極的にゴール前に顔を出す場面を作っていく。すると同33分、エリア内で佐藤がDF眞鍋旭輝(4年=大津高/山口内定)に倒されてPKを獲得。これを佐藤自らが沈めて、1点差に詰め寄った。

 だが桐横大はその後も守りを固めるわけではなく、そして最後まで自分たちの形を崩すことなく、さらにダメ押し点までもを狙いに行く。後半45分のFW滝沢昂司(4年=桐生一高)のクロスをFW國場龍之介(4年=神村学園高)が合わせたヘディングシュートは惜しくも枠上に外れてしまったが、気持ちよくい勝ち切ってみせた。

 桐横大は1998年にサッカー部の本格強化を開始。当時の監督は川崎フロンターレや名古屋グランパスで監督を務めた風間八宏氏だった。2004年にコーチであった八城修氏(現総監督)が監督に昇格。そして2018年より安武監督がチームを引き継いだ。

 風間サッカーを理想に掲げる通り、パスサッカーで観客を魅了するサッカーを構築。そのうえで安武監督は守備戦術などで「独自の色」を加えながらチームを作ってきた。その結果、13年に1部昇格してからは残留争いをするのが精いっぱいだったチームを過去最高の2位に引き上げ、初のインカレ出場へと導いた。

 安武監督は「ベースを作ってくれたのは風間さんであり、八城総監督。そこに守備の所はサボらないという直向きさであったり、ちょっとした自分の色を反映させたいと思っています。そこに今年は勝負強さがついて、少し歯車があってきたのかなという感じです」と急成長の要因を語る。

 初出場初優勝の快挙まであと2つ。大きな目標としてはインカレ決勝と同日に開催される新人戦(1、2年生チームの大会)とのWタイトルの獲得。新人戦は現在2連覇中で、今年もグループリーグに勝ち残っていることもあり、大いに可能性が残っている。

 接戦を勝ち切ることで成績を向上させた今季のリーグ戦だったが、黒星を喫したのは順天堂大、法政大、中央大、明治大の4校。順大はインカレに出ていないが、順番に行けば3校にリベンジするチャンスがある。その意味でも法大へのリベンジをまずは達成。次なるターゲットは中央大だ。「中大さんも戦うチームなので、次も死闘になると思うけど、とにかく頑張ります」(安武監督)。自分たちのサッカーを最後まで信じることで、頂点まで駆け上がる。

(取材・文 児玉幸洋)

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「明治は強い。その一言に尽きる」…勝者を称える筑波大指揮官

筑波大は準々決勝で姿を消すことに
[12.16 インカレ準々決勝 明治大1-0筑波大 味フィ西]

 やるべきことはやった。しかし、勝利には手が届かなかった。筑波大を率いる小井土正亮監督は「明治さんを褒めるしかない」と、勝者を称えた。

 試合開始から押し込まれる展開となった。守備陣は自陣に釘付けとなり、攻撃に移ろうとも、素早く攻守を切り替える明治大のプレッシャーにさらされ、最前線のFW和田育(1年=阪南大高)を目掛けたロングボールも相手に打ち返された。粘り強く相手攻撃をはね返し続けて失点こそしなかったが、前半のシュート数はゼロに終わった。

 だが、それも想定内だったと指揮官は振り返る。「やれることは限られていた。それを皆でそろえてやれるかどうか。その一点だった。あれだけ押し込まれるのも想定内。シュートを1本も打っていなくてもいいんだというくらいのゲームプランだった」。

 失点をしのぎ、少ないチャンスを生かしてゴールを奪う――。プラン通りに試合を進めようとするチームに最大のチャンスが訪れる。後半9分、左サイドからMF知久航介(3年=國學院久我山高)が前線に送ったボールをMF加藤匠人(2年=柏U-18)が落とすと、走り込んだ和田がDF川上優樹(4年=矢板中央高)のファウルを誘ってPKを獲得。ここで先制すれば、まさにプラン通りとなったが、キッカーを務めたMF高嶺朋樹(4年=札幌U-18)のシュートはGK加藤大智(4年=名古屋U18)に弾き出されてしまった。

 後半17分には“ジョーカー”として温存していたMF三笘薫(4年=川崎F U-18)をピッチへと送り込み、勝負を賭けた。だが、スコアを動かしたのは明治大。同39分、MF中村健人(4年=東福岡高)のクロスをDF中村帆高(4年=日大藤沢高)にヘディングで決められ、筑波大は0-1の完封負けを喫した。

「やれることはすべてやった」。そう思えるからこそ、対戦相手の強さを素直に認められた。「いやー強い。その一言に尽きると思う。明治が強かった」と。現在の大学サッカー界をリードする明治大の強さを「ダントツ」と表現した小井土監督だが、当然、このまま黙っているつもりはない。「来季は目の色を変えてやらないといけない」と新チームを率い、打倒・明治を誓う。

(取材・文 折戸岳彦)
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「明治は強い。その一言に尽きる」…勝者を称える筑波大指揮官

筑波大は準々決勝で姿を消すことに
[12.16 インカレ準々決勝 明治大1-0筑波大 味フィ西]

 やるべきことはやった。しかし、勝利には手が届かなかった。筑波大を率いる小井土正亮監督は「明治さんを褒めるしかない」と、勝者を称えた。

 試合開始から押し込まれる展開となった。守備陣は自陣に釘付けとなり、攻撃に移ろうとも、素早く攻守を切り替える明治大のプレッシャーにさらされ、最前線のFW和田育(1年=阪南大高)を目掛けたロングボールも相手に打ち返された。粘り強く相手攻撃をはね返し続けて失点こそしなかったが、前半のシュート数はゼロに終わった。

 だが、それも想定内だったと指揮官は振り返る。「やれることは限られていた。それを皆でそろえてやれるかどうか。その一点だった。あれだけ押し込まれるのも想定内。シュートを1本も打っていなくてもいいんだというくらいのゲームプランだった」。

 失点をしのぎ、少ないチャンスを生かしてゴールを奪う――。プラン通りに試合を進めようとするチームに最大のチャンスが訪れる。後半9分、左サイドからMF知久航介(3年=國學院久我山高)が前線に送ったボールをMF加藤匠人(2年=柏U-18)が落とすと、走り込んだ和田がDF川上優樹(4年=矢板中央高)のファウルを誘ってPKを獲得。ここで先制すれば、まさにプラン通りとなったが、キッカーを務めたMF高嶺朋樹(4年=札幌U-18)のシュートはGK加藤大智(4年=名古屋U18)に弾き出されてしまった。

 後半17分には“ジョーカー”として温存していたMF三笘薫(4年=川崎F U-18)をピッチへと送り込み、勝負を賭けた。だが、スコアを動かしたのは明治大。同39分、MF中村健人(4年=東福岡高)のクロスをDF中村帆高(4年=日大藤沢高)にヘディングで決められ、筑波大は0-1の完封負けを喫した。

「やれることはすべてやった」。そう思えるからこそ、対戦相手の強さを素直に認められた。「いやー強い。その一言に尽きると思う。明治が強かった」と。現在の大学サッカー界をリードする明治大の強さを「ダントツ」と表現した小井土監督だが、当然、このまま黙っているつもりはない。「来季は目の色を変えてやらないといけない」と新チームを率い、打倒・明治を誓う。

(取材・文 折戸岳彦)
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明大も認める“超危険人物”…三笘封じのシステム変更、J内定者も「やっぱり怖かった」「3人がかりで止める選手」

明治大の激しいケアに遭った筑波大MF三笘薫
[12.16 インカレ準々決勝 明治大1-0筑波大 味フィ西]

 誰もが能力の高さを認める。それは、総理大臣杯と関東リーグを制した明治大も変わらない。U-22日本代表に名を連ね、来季から川崎Fに加入する筑波大MF三笘薫(4年=川崎F U-18)を警戒するからこそ、明治大はいつもと違う姿で試合に臨んでいた。

 普段は3-2-3-2を採用する明治大だが、この日は4-4-2でスタート。狙いはズバリ三笘封じ。筑波大の左サイドに入るであろう三笘を「常本(佳吾)と(中村)帆高でケア」(栗田大輔監督)しようとした。初戦では最終ラインの中央に入っていた「対人に強い」DF常本佳吾(3年=横浜FMユース)を右サイドハーフに置き、右SBの位置に入るFC東京内定DF中村帆高(4年=日大藤沢高)とともに監視役とし、三笘から自由を奪い取ろうとしていた。

 実際には、“ジョーカー”の役割を与えられた三笘はベンチスタートとなったが、明治大が最大限の警戒を示していたことが分かる。そして後半11分に3-2-3-2にシステム変更後、同17分に三笘がピッチに送り込まれると、「佐藤瑶大を右、蓮川(壮大)を左に置いていたが、出てきた瞬間に2人の位置を変えた」(栗田監督)と選手の配置を変えたほど、徹底して三笘を封じ込もうとした。それだけ、相手にとって危険な人物だった。

 明治大の複数人の選手に囲まれ、持ち味を存分に発揮することはできなかった。しかし三笘は、厳しい監視下に置かれながらも鋭い突破でボールを運ぶ場面も作り出した。

 右SBの位置で三笘と対峙した中村帆高は「彼が出てきた時間帯はこっちがずっと押し込んでいたけど、やっぱりあいつにボールが入るとゴール前まで行かれた。一人で流れを変えられるし、3人がかりで止めるような選手」と素直に能力の高さを認める。そして、GK加藤大智(4年=名古屋U18/愛媛内定)も「大学サッカーの中では別格というか、三笘対策があって、今日のフォーメーションを組んだくらいだし、逆にベンチに控えている怖さもあった。数人でつぶすことはできたけど、やっぱり怖かった」と苦笑したほどだ。

 今季、“最強”ともいえる明大から最大限の注意を払われ、J内定者からも称賛された男は、「大学サッカー界のスター」から「Jリーグのスター」となるべく、プロの世界へと飛び込む。

(取材・文 折戸岳彦)
●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

導き出した答えはズバリ右…明治大GK加藤大智、PKストップは「完璧だった」

PKをストップした明治大GK加藤大智を仲間が祝福
[12.16 インカレ準々決勝 明治大1-0筑波大 味フィ西]

 絶体絶命の危機を迎えた。しかし、守護神がチームを救う。明治大GK加藤大智(4年=名古屋U18/愛媛内定)は「完璧でしたね」と白い歯を見せた。

 序盤から押し込む時間帯が続いた。守備に重心を置いた筑波大が攻め込んでくる機会は限られたが、加藤は高い集中力を保った。「筑波大はいつもと違い、縦に速い攻撃を仕掛けてきた。本当にウチをリスペクトしてくれて、勝ちに来たと思ったので、こっちも負けられないと集中力が増した」。攻め込みながらもスコアを動かせずに後半を迎えると、最大の危機が訪れる。

 後半9分、PA内に侵入したFW和田育(1年=阪南大高)をDF川上優樹(4年=矢板中央高)が倒してしまい、PKを献上。「笛が鳴った瞬間に頭を切り替えた」という加藤は、一度水を飲みに行って「気持ちを落ち着かせた」。そして、キッカーを務めたMF高嶺朋樹(4年=札幌U-18)がボールを置き直すなど、時間を使ったこともあり、「時間をかけてくれたので集中しやすくなった」と神経を研ぎ澄ませた。

 ボールから離れていくキッカー。ここから動きを見極めた。「ボールを置いてからの助走の角度、目線、助走し始めてからの入り方」などを観察し、導き出さした答えはズバリ右。高嶺が蹴り出したボールを右に飛んで弾き出してゴールを守り抜いた。守護神の奮闘に応えるように、チームは後半39分に決勝点を奪い、1-0の完封勝利を収めて準々決勝へと駒を進めた。

 今季は総理大臣杯、関東リーグを制し、圧倒的な強さを誇っているが、インカレで優勝を逃せば、「最後に負けたら明大の年ではなかった。強かったけど、インカレを取ったのは他のチームだよねとなってしまう」と感じている。『19年は明大の年だった』『19年の明大は強かった』となるよう、「自分たちの力を出し切って優勝したい」と頂点だけを見据える。

(取材・文 折戸岳彦)
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関学大が緊迫の120分間を制しインカレ4強へ! 初出場・立正大は堅守フル発揮も1点に泣く

関西学院大が延長戦を制して4強へ
[12.16 インカレ準々決勝 関西学院大1-0(延長)立正大 川口]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の準々決勝が16日に行われた。川口市青木町公園総合運動場陸上競技場では関西学院大(関西2)と立正大(関東3)が対戦し、均衡が崩れることなく90分間が過ぎる。試合は延長戦に突入すると、関学大が延長後半4分に決勝点を挙げ、1-0で勝利。優勝した2015年度大会以来となる4年ぶりの4強入りを果たした。

 ともに3-4-2-1の布陣を敷くミラーゲームとなったこの試合。関学大の高橋宏次郎コーチは「立正大学さんのプレスの圧力とか球際の鋭さとか、そういうところに対応できなくて苦しい展開が続いた」と、立正大の杉田守監督は「立ち上がりは固さもあって、押し込まれる時間帯もあった」と互いにやりにくさを残しながら、前半は0-0で折り返した。

 後半は少しずつ両者が持ち味を発揮する。関学大は後半5分、FW林部晃己(3年=C大阪U-18)がPA左角付近で2度の切り返しから右足シュートを放ち、GK三森哲太(4年=札幌U-18)の正面に。立正大もその2分後、左サイドのMF武田夏輝(4年=清水ユース)のクロスをFW人見拓哉(4年=矢板中央高/琉球内定)がヘディングでゴール前に送ると、ラストはMF平松昇(3年=清水ユース)がヘディングシュート。しかしGK馬場裕斗(3年=加古川北高)のスーパーセーブに遭った。

 関学大は後半11分にFW山田剛綺(1年=京都橘高)に代えてFW木村勇大(1年=大阪桐蔭高)を投入。立正大はその1分後、人見がMF山本悠樹(4年=草津東高/G大阪内定)からボールを奪い、鋭い縦パスを最前線へ。反応したMF梅村豪(3年=清水ユース)が意表を突くワンタッチシュートを放つが、馬場の2度目のスーパーセーブに阻まれた。

 関学大は後半22分、今季リーグ戦11得点のFW山見大登(2年=大阪学院高)を投入する。その直後、山見は左サイドから2人を鮮やかにかわし、さらに平松のファウルも誘発。持ち味を発揮し、関学大に勢いがつくかと思われた。

 しかし、立正大も後半26分にMF藤森亮志(4年=上田西高/長野内定)に代えて今季5得点を記録したFW見原慧(4年=新潟西高)を出場させる。関学大は同33分にMF渡邉英祐(2年=金光大阪高)に代えてMF山下諒(2年=G大阪ユース)を投入した。

 交代カードを駆使し、どうにか流れを引き寄せたい両者。関学大は山見投入で勢いをつけたかったが「想定外。逆に相手の圧力に押し込まれてしまった」(高橋コーチ)。立正大は後半38分にMF鈴木康孝(3年=矢板中央高)が中盤右サイドからアーリークロスを放ち、ファーサイドの見原が強烈ヘッド。しかし、わずかにクロスバーをかすめて逸れていく。結局90分間では決着がつかず、延長戦に突入する。

 立正大は延長前半7分にDF今村晃(4年=市立船橋高)に代えてDF中塩大貴(4年=浦和ユース/甲府内定)を、平松に代えてFW小川大智(3年=狭山ヶ丘高)を出場させる。関学大は同12分に山本が鋭い右足シュートを放つが、三森が好セーブ。山本はその直後にも右サイドから軽やかなドリブルでPA右に進入するが、相手の固い守備に遭った。

 息をのむ展開が続き、大きな声援が飛び交う両チームのスタンド。そして延長後半4分、関学大に待望の先制点が入る。山見から縦パスを受けた木村がPAライン付近でボールキープ。そして横パスに山下が反応し、右足でゴールに流し込んだ。

 待望の得点を挙げた関学大は、残り時間で冷静に試合を運んで試合終了。120分間の超接戦を制し、ベスト4進出を決めた。

 立正大は死闘の末の敗北。杉田監督は「慣れてきてからは我々の良さも出て、逆に決定機もつくっていけただけに非常に残念な試合」と肩を落とす。「リーグでは決めていた選手が決定機をなかなかモノにできなかった。全国の難しさであり、我々の、立正大学の経験のなさ。初めて出場した大会ということなのかなと思います」と全国大会での、負けたら終了のトーナメントという厳しさを思い知っていた。

 しかし関東1部に初昇格でリーグ戦3位に入り、初のインカレでも自分たちの戦いを貫き通した立正大。2回戦では新潟医療福祉大に完封勝利し、この試合でも最後の1失点まで堅守を保ち続けた。指揮官は「リーグを上がってきたひとつの要因がしっかり守備をするというところ。全国大会でもそういうゲームができた。全国でもやっていける自信はつけられたかなと思います。新たな課題と良かった守備をさらに磨きながら、来年一年間を積み上げて、この舞台でまた発揮できたら。そういう戦いがまた始まるかなと思います」と激戦の一年を締めくくった。

 一方で、関学大は次戦に進む。高橋コーチは苦しんだ戦いに「しっかり耐えるっていう面では成長できた」と選手たちをねぎらいつつ、「僕らは日本一を取るぞっていう風にスタートしたので、特にやることは変えずに、次の試合をやるだけ」と冷静さも。しかし、その相手は関東リーグ制覇、総理大臣杯制覇と今季“最強”と名高い明治大。「間違いなく一番強い大学」と認めながらも、「僕らも僕らでひとつひとつ積み上げてきたと思っているので、そこはバチバチやり合いたい」と真っ向勝負で挑む構えを見せた。

(取材・文 石川祐介)
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大学最後の試合は“ジョーカー”として…筑波大MF三笘薫「まだできたんじゃないか」

筑波大MF三笘薫
[12.16 インカレ準々決勝 明治大1-0筑波大 味フィ西]

 試合終了のホイッスルが吹かれる。大学サッカーが終わりを迎えた瞬間だった。筑波大MF三笘薫(4年=川崎F U-18/川崎F内定)はセンターサークル内で腰に手を当て、空を見上げていた。

 大学生活最後となった試合。託されたのは“ジョーカー”という役割だった。総理大臣杯と関東リーグを制した明治大に対し、筑波大はまず守ることを選択。そして、「逆の立場ならスーパーサブで三笘が出てくるのはすごく嫌だと思う」(小井土正亮監督)と勝負所で“切り札”となる三笘を投入しようとしていた。

 序盤から明治大に主導権を握られ、圧倒的に攻め込まれる。だが、筑波大は耐えた。そして、「少しずつ間延びしてきた」(小井土監督)という後半17分、MF小林幹(2年=FC東京U-18)に代わって三笘がピッチへと送り込まれる。劣勢の中、投入されることになったが、「流れを変える意味でも、僕のプレーで引き寄せられればと思っていた」と自らの力で流れを引き寄せようとした。

 実際に魅せた。後半24分にはハーフウェーライン付近でボールを受けるとドリブルを開始。寄せてくる相手選手を次々とかわしてPA内まで持ち込むなど持ち味を披露した。しかし、三笘を警戒する明治大は一人抜かれれば、二人目、三人目がチャレンジしてくる。スピードに乗った突破は、その壁をすべて打ち破れずにゴールを生み出すことはできなかった。

「PA内まで行ってからが勝負。そこまで行ったのが良いことではない。そこで味方を使うなり、シュートに持っていくとかしないと。最後のプレーのクオリティを上げないといけない」

 後半39分にゴールを献上したチームは、追い付くことができず。0-1のまま試合終了を迎えた。試合終了直後、空を見上げていた三笘が思ったのは「終わったなという率直な気持ち」、そして「まだできたんじゃないか」「もっと、やらないといけない」ということだった。

 筑波大で「長所を磨くことができた」と確かな成長を遂げ、「いろいろな人の支えられていると心から分かった」と周囲の支えに改めて気付いた。サッカー選手としての道は続いていく。今後は川崎Fでプロとなる男は、「ここで成長したことをプロの舞台で発揮したいし、感謝の気持ちをピッチ上で表現したい」と新たな歩みを始める。

(取材・文 折戸岳彦)
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[MOM671]明治大MF中村帆高(4年)_「時が止まった」…“ゾーン”に入った男が価値ある決勝弾

決勝点を奪った明治大MF中村帆高
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by KIRIN]

[12.16 インカレ準々決勝 明治大1-0筑波大 味フィ西]

 やけにボールがゆっくりと自身へと向かってくる。周囲の状況を確認できたし、GKの位置もしっかりと見えた。明治大MF中村帆高(4年=日大藤沢高)がヘディングで合わせたボールは、ループ気味にゴールマウスへと向かった――。

 明治大は序盤から完全に主導権を握った。ゴールだけが生まれなかったが、チームに焦りはない。「今年のチームは点が入らないからといって焦ることはない。相手がどこであろうと、最初に失点しても、取り返せばいいというメンタリティがある」。総理大臣杯、関東リーグを制して自信を手にするチームは、ピッチ上で自分たちがすべき仕事をこなし続けた。

 すると、試合終盤の後半39分、中村が試合を動かす貴重な得点を生み出す。左サイドからMF中村健人(4年=東福岡高)が蹴り込んだクロスはファーサイドの中村の元へ。ここで、いつもと違う感覚、“ゾーン”に入ったような感覚に陥ったという。「何か、めっちゃ時が止まって、コースが見えた。ボールがめっちゃ、ゆっくり来た」。あとはゴールに向かうコースにボールを乗せるだけ。ヘディングで合わせたボールは、誰にも触れられることはなく、ゴールマウスへと収まった。

「左サイドからクロスを上げてくれると信じていた。森下(龍矢)が突破したときや、健人が入ってからは自分も一発に賭けようと狙いを定めていた。あれは健人のボールがほとんどだと思うけど、良いタイミングで入っていけたと思う」

 この日は右SBの位置でスタートし、後半11分のシステム変更を機に右サイドハーフに入った。サイドの選手だが、「常日頃から自分がチームを勝たせたい思いが強い」との意欲を持っている。そして、奪った勝負を決める一撃。ゴールが決まったことを確認した中村は雄たけびを上げる。「あんなに喜ぶと思っていなかった。あんなに喜んだことはない。今のところ生涯最高のゴールです」と歓喜を爆発させた。

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(取材・文 折戸岳彦)
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互いをリスペクトした激戦…“普段着”身にまとった明治大、筑波大下し3冠へあと2つ

決勝点を奪った明治大MF中村帆高(2番)
[12.16 インカレ準々決勝 明治大1-0筑波大 味フィ西]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は16日、準々決勝を各地で行い、味の素フィールド西が丘では明治大(関東1)と筑波大(関東6)が対戦。前半をスコアレスで折り返した試合は、後半39分にMF中村帆高(4年=日大藤沢高/FC東京内定)が決勝点を記録した明治大が1-0の完封勝利を収めた。準決勝へと駒を進めた明治大は、19日に関西学院大(関西2)と対戦する。

 明治大の並びがいつもとは違う。3-2-3-2という“普段着”ではなく、この日は4-4-2でスタート。栗田大輔監督は、筑波大の左サイドに入るであろうU-22日本代表MF三笘薫(4年=川崎F U-18/川崎F内定)を「常本(佳吾)と帆高でケア」しようと、初戦は最終ライン中央に入ったDF常本佳吾(3年=横浜FMユース)を右サイドハーフに起用した。しかし、筑波大のスターティングメンバ―に三笘の名前はなかった。「逆の立場ならスーパーサブで三笘が出てくるのはすごく嫌だと思う」(小井土正亮監督)と、三笘を“切り札”としてベンチに温存。試合前から両チームがお互いをリスペクトし、ともに“普段着”を身にまとわずにスタートした試合。序盤から圧倒的に主導権を握ったのは関東リーグ、総理大臣杯を制し、インカレで3冠を狙う明治大だった。

 ボランチに入るMF安部柊斗(4年=FC東京U-18/FC東京内定)とMF瀬古樹(4年=三菱養和SCユース/横浜FC内定)が積極的にボールに絡んでリズムを作り、MF森下龍矢(4年=磐田U-18/鳥栖内定)がスピードに乗った突破で左サイドを切り裂く。さらに前線から激しくプレッシャーをかけ、高い位置でのボール奪取を幾度となく成功させるなど、ワンサイドゲームに。しかし、ゴールは生まれない。DF山川哲史(4年=神戸U-18/神戸内定)、DF角田涼太朗(2年=前橋育英高)、DF森侑里(1年=大宮ユース)の3バックを中心とした筑波大守備陣が体を張り、明治大の攻撃をはね返し続けた。

 その中でも明治大はチャンスを作る。前半32分には右サイドの常本からボールを受けたFW佐藤凌我(3年=東福岡高)が鋭いターンからフィニッシュに持ち込むが、山川の体を投げ出したブロックに遭ってネットを揺らすには至らず。同40分には常本、森下とつないだボールからDF蓮川壮大(3年=FC東京U-18)が狙うも、枠を捉え切れなかった。一方的な展開となった前半。筑波大のシュートはゼロに終わったが、小井土監督が「それでもいいんだというつもりでゲームプランを組んだ」と語ったように明治の攻撃に耐え、わずかな隙を突いてゴールを奪おうとしていた。

 攻撃の手段は、最前線に入ったFW和田育(1年=阪南大高)を目掛けてロングボールを蹴り込むカウンター。和田はとにかく走った。タッチラインを割るかというボールにも全力で走り込み、何とかマイボールにして攻撃につなげようと奮闘。そして、その和田の頑張りが実を結ぶ。後半9分、MF知久航介(3年=國學院久我山高)が前線に放り込んだボールをMF加藤匠人(2年=柏U-18)が落とすと、そこに走り込んだのが和田。PA内で仕掛けた鋭い突破はDF川上優樹(4年=矢板中央高)のファウルを誘い、劣勢だった筑波大がPKを獲得した。千載一遇のチャンスとなったが、キッカーを務めたMF高嶺朋樹(4年=札幌U-18/札幌内定)のシュートはGK加藤大智(4年=名古屋U18/愛媛内定)に弾き出されてしまった。

 この直後、明治大の栗田監督が動く。前半11分、川上に代えてMF中村健人(4年=東福岡高)を投入。中村健人をトップ下に置き、「ここが勝負所」と“普段着”の3-2-3-2にシステムを変更した。すると、筑波大ベンチも動く。「少し間延びしてきた」とスペースが生まれ始めた同17分、“切り札”となる三笘をピッチへと送り込んだ。

 試合の流れをがっちりとつかんだのは明治大だった。後半15分に佐藤凌我、同17分に瀬古、同20分に中村帆高、同21分にFW狩土名禅(3年=桐生一高)がフィニッシュまで持ち込み、ゴールを脅かす。筑波大も同24分に三笘が独力でハーフウェーライン付近からPA内までボールを運ぶなど、何とかゴールに迫ろうとするが、同39分、ついに明治大がスコアを動かす。左サイドでボールを受けた中村健人が鋭いクロスを送ると、ボールはファーサイドの中村帆高へ。GK阿部航斗(4年=新潟U-18)の動きを見極めたループ気味のヘディングシュートは鮮やかにネットを揺らし、決勝点となるゴールが生まれた。

 “普段着”を身にまとわせて勝負を決めた栗田監督は、「筑波大学さんとウチのプライドがぶつかり合った、大学サッカーを象徴するような、素晴らしいゲームだった」とお互いをリスペクトした熱戦を振り返る。「一歩間違えれば我々が負けていたかもしれないが、今日はウチに勝利が転がってきた」。厳しい戦いとなったが、1-0の完封勝利を収めたチームは、3冠への階段をまた一段上った。

(取材・文 折戸岳彦)
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勢いに乗る中大、6発大暴れで4強!! 大体大はE-1出場MF田中駿汰の“帰還”待てず敗退

中央大が6発で快勝し、4強進出を決めた
[12.16 インカレ準々決勝 中央大6-1大阪体育大 AGF]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は16日、準々決勝を行い、AGFフィールドでは中央大(関東5)と大阪体育大(関西1)が対戦した。前半2点を先行した中大は後半も攻撃の手を緩めず、6-1で快勝。19日の準決勝では桐蔭横浜大(関東2)と対戦する。

 関東1部昇格1年目の中大は7年ぶりのインカレで初戦を制し、勢いそのままに関西王者を打ち破った。中大は4-1-4-1、大体大は4-4-2の布陣でスタートすると、早い時間帯に2ゴールを奪った中大が試合を支配した。08年度以来の優勝まであと2勝とし、「最初から狙うのはファイナルと伝えていた」と佐藤健監督。終わってみれば圧巻のゴールショーとなったが、佐藤監督は「1点目を取ったことで落ち着いて進められた」と振り返った。

 前半12分、ヴァンフォーレ甲府内定のMF中村亮太朗(4年=新潟明訓高)がクロスを入れ、FW高窪健人(3年=浦和南高)が頭で叩き込んだ。幸先の良い先制ゴールを奪った中大はさらに19分、右CKをMF高岸憲伸(2年=星稜高)が蹴り込むと、ニアサイドのDF松本大輔(3年=帝京三高)が高い打点から頭で合わせ、2-0に突き放した。

 大体大は背後のスペースを突いて攻め込み、後半立ち上がりに連続でチャンスをつくる。後半12分、裏に抜け出したサガン鳥栖内定FW林大地(4年=履正社高)が鋭いターンで相手DFをかわし、中央を突破。決定的な形でシュートを打ったが、GK坪井湧也(2年=神戸U-18)がビッグセーブ。後半13分にもツエーゲン金沢加入内定MF西田恵(4年=関大北陽高)がPA内右からシュートを打ったが、距離を詰めたGK坪井がセーブした。

 続々と交代カードを切り、大体大がFWアフラギ・マハディ(4年=清明学院高)を投入すれば、中大は松本山雅FC内定DF三ッ田啓希(4年=西武文理高)を投入。互いに次の一点を目指すなか、中大が再びセットプレーの好機を仕留めた。後半23分、中村が左CKを蹴り入れると、再びニアサイドの松本が右足で合わせ、勝利を決定付けた。

 大体大は後ろを3枚に変更して攻撃に比重を置いたが、前がかりになった裏のスペースを使われてしまう。後半35分、中大は2021シーズン東京ヴェルディ加入内定のDF深澤大輝(3年=東京Vユース)が攻め上がってアーリークロスを配給。MF小山駿(4年=帝京三高)が冷静に流し込み、4-0に突き放した。

 後半44分、大体大はFKの流れからMF野寄和哉(1年=東福岡高)が狙い、マハディが一点を返したが、反撃はここまで。中大は後半アディショナルタイム1分にFW鈴木翔太(1年=静岡学園高)がPKを沈め、ダメ押しの5点目。勢いは止まらず、同4分にも鈴木の突破から小山がワンタッチで押し込み、6-1で締めくくった。

 大体大はA代表に選出され、E-1選手権に出場中の北海道コンサドーレ札幌内定MF田中駿汰の“帰還”を待てなかった。田中は帰国当日の19日に控える準決勝からインカレに出場できるはずだったが、惜しくも敗退。スタンドからは「何が何でも駿汰につなげ」という応援の声が響いていた。

(取材・文 佐藤亜希子)
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インカレ4強は明大、関学大、中大、桐横大! 前回王者・法大は無念の敗戦:準々決勝

法政大は準々決勝敗退
 第68回全日本大学サッカー選手権(インカレ)の準々決勝が16日に開催された。前回王者の法政大(関東4)は桐蔭横浜大(関東2)と対戦し、1-2で敗退した。

 先制は桐横大。前半16分、FW下村司(4年=市立船橋高)の右CKをDF遠藤凌(3年=浦和ユース)が頭で合わせてゴールネットを揺らす。1-0で前半を折り返すと、後半15分にはDF岩下航(3年=前橋育英高)が追加点を奪い、2-0と点差を広げた。

 法大は後半33分にPKを獲得し、FW佐藤大樹(2年=札幌U-18)が得点を決めるが、試合はそのまま終了。昨季王者の法大が準々決勝で姿を消すことになった。

 明治大(関東1)は筑波大(関東6)と対戦し、1-0で勝利。後半39分、MF中村健人(4年=東福岡高/鹿児島内定)のクロスをDF中村帆高(4年=日大藤沢高/FC東京内定)が頭で沈めた。試合はそのまま終了し、リーグ戦や総理大臣杯を制覇してきた今季“最強”と名高い明大が4強入りを果たした。

 関西学院大(関西2)と立正大(関東3)の対戦は、拮抗状態が続いて延長戦に突入。それでもなかなか均衡が崩れないでいると、延長後半4分に決勝点が入る。途中出場のMF山下諒(2年=G大阪ユース)がシュートを放ち、ゴールを決めた。関学大は優勝した第64回大会以来となる4年ぶりのベスト4進出となった。

 中央大(関東5)は大阪体育大(関西1)に6-1で大勝。90分間が過ぎたところで4-1と大差が開いていたが、後半アディショナルタイム1分過ぎにFW鈴木翔太(1年=静岡学園高)が、さらに4分後にはFW小山駿(4年=帝京三高)が追加点を奪い、大量得点で準々決勝突破を決めた。

 準決勝は19日に開催。桐横大は中大と、明大は関学大と対戦する。

準々決勝の結果は以下のとおり
【準々決勝】
(12月16日)
[AGFフィールド]
中央大 6-1 大阪体育大
[中]高窪健人(12分)、松本大輔2(19分、68分)、小山駿2(79分、90分+5)、鈴木翔太(90分+1)
[大]アフラギ・マハディ(89分)


[味の素フィールド西が丘]
明治大 1-0 筑波大
[明]中村帆高(84分)

[川口市青木町公園総合運動場陸上競技場]
関西学院大 1-0 (延長) 立正大
[関]山下諒(109分)

[柏の葉公園総合競技場]
桐蔭横浜大 2-1 法政大
[桐]遠藤凌(16分)、岩下航(55分)
[法]佐藤大樹(78分)


●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

ユニバで意気投合…G大阪内定関学大MF山本&名古屋内定東園大MF児玉、心待ちにしていた「楽しかった」対戦(10枚)

ユニバ代表で今夏金メダルを獲得したスMF山本悠樹(左、4年=草津東高/G大阪内定)とMF児玉駿斗(3年=中央学院高/名古屋内定)
[12.14 大学選手権2回戦 関西学院大4-2東海学園大 浦安]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の2回戦が14日に行われ、浦安市運動公園陸上競技場の第2試合では関西学院大(関西2)が東海学園大(東海1)を4-2で下した。

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

東海学園大神谷ツインズがラストマッチ…ホットラインで1得点(10枚)

神谷ツインズが大学ラストマッチを終えた
[12.14 大学選手権2回戦 関西学院大4-2東海学園大 浦安]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の2回戦が14日に行われ、浦安市運動公園陸上競技場の第2試合では関西学院大(関西2)が東海学園大(東海1)を4-2で下した。

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

愛知のタレント軍団・東海学園大、2回戦で敗れる(15枚)

東海王者・東海学園大は2回戦で姿を消す
[12.14 大学選手権2回戦 関西学院大4-2東海学園大 浦安]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の2回戦が14日に行われ、浦安市運動公園陸上競技場の第2試合では関西学院大(関西2)が東海学園大(東海1)を4-2で下した。

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

関西学院大が藤井2発などで打ち合い制し初戦を突破(16枚)

仲間と共に勝利を喜びあう関西学院大
[12.14 大学選手権2回戦 関西学院大4-2東海学園大 浦安]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)の2回戦が14日に行われ、浦安市運動公園陸上競技場の第2試合では関西学院大(関西2)が東海学園大(東海1)を4-2で下した。

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

新潟医福大ラストマッチのFW矢村、2年間の入団内定終え新潟でプロ生活スタートへ(6枚)

医福大の攻撃を牽引するFW矢村健(4年=市立船橋高/新潟内定)
[12.14 大学選手権2回戦 新潟医療福祉大0-1立正大 浦安]

 第68回全日本大学サッカー選手権大会の2回戦が14日に行われ、立正大(関東3)が新潟医療福祉大(北信越1)を1-0で退け、初戦を突破した。

●第68回全日本大学選手権(インカレ)特集

「もう2人で一緒にできないんだと思ったら…」涙の東園大神谷ツインズ、ラストマッチでホットライン開通

兄のDF神谷凱士(左)と弟のFW神谷椋士
[12.14 大学選手権2回戦 関西学院大4-2東海学園大 浦安]

 生まれてから22年、全ての時間を共にしてきたと言っても大げさではない。一緒に始めたサッカー。一緒にプレーできない日が来るとは考えもしなかった神谷ツインズが、“ラストマッチ”を戦い終えた。

 試合終了の瞬間、弟のFW神谷椋士(りょうと)の頭に真っ先に浮かんだのは、「もう2人で一緒にサッカーができないんだ」という想いだったという。兄のDF神谷凱士(かいと)も同じ。2人の頬を自然と涙が伝っていた。

 ただサッカーの神様は“ラストマッチ”にしっかりとプレゼントを用意していた。前半7分、凱士がDFラインから蹴ったロングボールに椋士が反応。裏に抜け出した椋士が落ち着いて沈めた。

 これまで何度あっただろうか。精度の高さを誇る兄のキックを信じて、爆発的なスピードを持つ弟がスペースに抜ける。試合には勝つことができなかったが、神谷ツインズの真骨頂ともいうべきホットラインを開通させる意地をみせた。

「凱士からいいボールが来たので、自分があと決めるだけだった。これまでもでも同じような形が何回かあったけど外していて。あいつには申し訳ないことをしていた。こういう全国の舞台で決めることができて、アシストがつけれたのは良かったと思います」

「あそこは椋士しか走れないと分かっていて、これまで何回もああいうシーンがあった。最後の最後でこういうホットラインが決まったのは、嬉しいですし、椋士もどこか行ければいいなと思います」

 二卵性の双子。そのため体格や特長、サッカーのプレースタイルも異なる。幼少期は椋士の方が大きかったという身長も、小学校に入ってからは逆転。今では10cmの差がある。ポジションも中学時代まではともに攻撃的だったが、高校に入ると凱士がボランチに転向。さらに大学に進むと、凱士は安原成泰監督の勧めもあり、DFに転向した。

 ただこの転向が凱士の運命を変える。当初は戸惑いもあったというが、SBやCBと複数のポジションを経験することで幅を広げた。さらに左足からの精度の高いキックは最終ラインに入ることで、より希少性を増した。今では「DFへの転向がなければ、プロになれたかどうかも分からない。本当に安原さんには感謝しかないです」と話すことが出来る。

 そして最も大きな違いは卒業後の進路で出た。現時点では凱士だけが夢のプロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせる権利を得ている。今春、スカウトが集結するデンソーチャレンジに東海選抜の一員として参加すると、チームは6位という成績だったが、大会ベストイレブンを獲得。個人として強烈なインパクトを残した。

 注目DFには複数のクラブが注目しており、サガン鳥栖や京都サンガF.C.からも話を貰っていたという。そんな中で凱士はJ1の強豪・川崎フロンターレへの入団を決めた。練習参加は10月。練習を離れるときにオファーを貰い、よりレベルの高い環境でやりたい凱士の考えも一致したため、入団はすぐに決まった。

 しかしそのことで今大会は今までにないプレッシャーを感じながらのプレーになったという。「実際すごいプレッシャーがあった。変なプレーが出来ないという今までに感じたことのない重圧がありました」。そんな中で頑張ってくれたのが、椋士を含めた4年生だった。「4年生が初戦で僕以上に頑張ってくれたので、気持ちが楽になった。2回戦は自分らしいサッカーが出来たかなと思います」とここでも“ツインズ”への感謝を語った。

 一方で椋士は卒業後の進路が決まらないままでいる。プロ志望で今大会での最終アピールを目指していたが、夢が叶うかどうかは分からない。それでもまだ夢は諦めたくないという。2人で切磋琢磨してきらからこそ今がある。今後は互いに活躍の場を変えるかもしれないが、サッカーを続ける限り、意識し合える関係性を変えるつもりはない。

(取材・文 児玉幸洋)

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