“国体ウォッチャー”森田氏が選ぶ「国体で印象に残る活躍、将来性示した11傑」

森田氏が「インパクトは大会No.1」と評した中学生MF大迫塁(鹿児島県/神村学園中)
 第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の部は10月3日に決勝が行われ、静岡県が8年ぶり21回目の優勝を飾りました。U-16年代の都道府県選抜チーム24チームが熱戦を繰り広げた国体少年男子の部。例年と同じく各地の国体ブロック予選に足を運び、本大会でも全日程を取材をした“国体ウォッチャー”森田将義氏に、同大会で印象的なプレーを見せた11人を紹介してもらいます。

森田将義氏「各地域の予選を勝ち抜いた24もの選抜チームが見られる国体は、代表クラスの選手から掘り出し物と言える逸材までチェックでき、その代のカラーが見える大会です。前年度のベスト8が全て早期敗退し、山口県が49年ぶり、香川県が初のベスト4入りを果たすなど波乱が相次いだ大会で印象に残った選手や、将来性を感じた選手をピックアップしました。これからU-18年代を賑わせる選手ばかりだと思うので、普段のリーグ戦などで是非プレーをチェックしてみてください」

以下、森田氏が選ぶ国体11傑

GK松原快晟(香川県/カマタマーレ讃岐U-15、中学3年)
「初戦から3試合連続でクリーンシートを続け、香川県初の4強入りに貢献した守護神。長所である精度の高い左足キックはもちろん、年上でも遠慮なく飛ばす強気かつ正確なコーチングでチームに貢献。準決勝敗退後は『来年も本国体に出て、ベスト4以上を目指したい』と雪辱を誓った」

DF菊地脩太(静岡県/清水エスパルスユース、1年)
「スラリとしたスタイルの良さが目を惹くCBだが、注目すべきは背後へのボールに対する処理だ。準々決勝の東京戦では速さで上回る相手FWに対し、『足の速さでは絶対に勝てないので予測で上回ってやるしかないと思っていた』と上手く先回りし、長所を上手く消していたことが印象的だった」

DFチェイス・アンリ(福島県/尚志高1年)
「初戦敗退で終わったが、残したインパクトの強さは大会でも屈指。187cmの高身長を活かした競り合いの強さに加え、対面する相手にかわされてもリーチの長さを活かしてピンチを防ぐなど高い身体能力を活かした守備を披露し、将来性を感じさせた」

DF諏訪間幸成(神奈川県/横浜F・マリノスユース、1年)
「全日本プロレスで活躍する父親譲りの肉体を活かした守備が光るCB。182cmの身長ながらも、身のこなしがスムーズで『背後へのボールへの対応やカバーリングはできる』と胸を張る。高校に入ってからはプレーの落ち着きが増し、ビルドアップの安定感が向上。更なる飛躍の予感が漂う」

DF西村岳(広島県/サンフレッチェ広島ユース、1年)
「本職はボランチの選手だが、長短のパスを巧みに使い分ける左足キックを買われ、3バックの中央でプレー。自陣でのパス回しで攻撃のリズムを作りつつ、両サイドへの大きな展開を入れてゲームをコントロール。苦しい時間帯に見せた落ち着いた声掛けも優勝チームに欠かせなかった」

MF藤原健介(静岡県/ジュビロ磐田U-18、1年)
「自身の長所として挙げる正確なキックで攻撃のリズムを作るとともに、セットプレーからゴールを量産した実力派のボランチ。上手さが目立つ選手ではあるが、セカンドボールの回収や相手ゴール前への飛び出しなど地味ながら汗をかく仕事での貢献度も高かった」

MF森本凜(広島県/瀬戸内高2年)
「走力を活かしたスペースへの飛び出しと高い位置からの守備でチームに活力を加えるアグレッシブなMF。瀬戸内高では右SBでの起用が増えているが、本職であるトップ下を任された今大会では2試合で先制点を奪い、チームに勢いをもたらした」

MF大迫塁(鹿児島県/神村学園中、中学3年)
「数少ない中学3年生の出場選手だが、残したインパクトは大会No.1。日本代表の柴崎岳に憧れる左利きの司令塔で巧みな動きでフリーとなってボールを引き出し、決定機を何本も生み出した。センスの高さは、大久保毅監督が『僕が見えている所じゃない所が見えている』と評するほど」

FW野澤零温(東京都/FC東京U-18、1年)
「一瞬の速さとゴール前での嗅覚に優れた”ザ・点取り屋”。『東京の10番なので色んな人に見られて期待されると思うので、期待に応えるために結果を示さなければならない』と意気込んだ今大会は前線からの守備でショートカウンターの急先鋒となりつつ、2試合で3ゴールを奪った」

FW河野孝汰(山口県/レノファ山口U-18、1年)
「すでにトップチームで2種登録されている実力は本物だ。『チームが苦しい時に自分がおさめて攻撃の時間を作るのが自分の役目』との言葉が示す通り、フィジカルの強さを活かしたボールキープが光る点取り屋。初戦の愛知県戦では冷静なフィニッシュワークで2得点をマークした」

FW千葉寛汰(静岡県/清水エスパルスユース1年)
「大会に入るまでは国体選抜での活動で点が獲れず苦しんできたが、いざ蓋を開けると初戦から4試合連続ゴール。通算8得点をマークし、得点王となった。村下和之監督が『彼の点を獲る感覚はずば抜けている』と称賛する働きで、山口国体以来8年ぶりとなる優勝に大きく貢献した」


執筆者紹介:森田将義(もりた・まさよし)
1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。ゲキサカの他、エル・ゴラッソ、サッカーダイジェストなどに寄稿している。


●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

2年連続国体出場の広島県FW菅野主将「来年は優勝してもらえるように」

広島県FW菅野翔斗主将(広島ユース)は後輩たちに日本一を期待した。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 広島県は開始直後の前半5分、WB田部健斗(広島皆実高、1年)が左サイドからラストパス。これをFW菅野翔斗主将(広島ユース、2年)がかかとでゴールへ流し込もうとする。GKの意表を突くシュートだったが、菅野は「入ったと思ったけれどGKが触りました」。静岡県GK大畑神唯(JFAアカデミー福島U-18、1年)が指先で触ったボールはゴールライン手前にこぼれ、押し込むことができなかった。

 菅野はDFラインの背後へ抜け出すなどチャンスに絡み、後半16分には右CKから決定的なヘディングシュート。ファーサイドで合わせた一撃はゴールを捉えたが、再びGK大畑に阻まれて得点することができなかった。

 03年早生まれの菅野は2年連続の国体出場。硬さもあって力を出しきれずに初戦敗退した昨年の経験から、今年はチームメートを緊張させないような声がけをし、良いムードで大会に入った。

 そして、主将として「一つの目標に向かって共通意識を持って向かっていくこと」を意識しながらチームを牽引。自身も全力で最後までやり切る「広島スタイル」を表現して準優勝に貢献した。

 菅野は広島県の後輩たちへ向けて「(最近3年間で2度準優勝と)悔しい思いをしているので広島は。来年は優勝してもらえるようにしたい。最後、決め切る力をつけて、相手にペースが渡っても、しっかり守り切る力をつけてもらいたい」とメッセージ。自身もこの日決めきれなかったことを反省し、決定力向上を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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広島県が決勝でも示した最後まで全力でやり切るということ。岩成監督「一番、彼らが見せたんじゃないかと思います」

広島県は敗れたものの、「広島スタイル」を最後まで表現した。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

「1回戦よりも2戦目、2戦目よりも3戦目とずっと良くなってきて、最終的に(決勝で最も)見せてくれたことに満足しています。良くやったなと思いますね。それで勝てたら良かったですけれども。広島のサッカーを貫けた」。広島県の岩成智和監督(広島ユース)は0-1で惜敗した決勝後、清々しい表情を見せていた。

 戦うたびに内容を向上させてきた広島県は、決勝でもひたむきに、またアグレッシブに走って戦う「広島スタイル」を表現。前半からセカンドボールの攻防で優位に立ち、MF藤野和樹(広島ユース、1年)、MF池田柚生(広島ユース)、1年)の展開からサイド攻撃を繰り出した。

 MF森本凜(瀬戸内高2年)とMF棚田遼(広島ユース、1年)が繰り返し相手DFの背後に飛び出したほか、両WBがかなり高い位置取りから仕掛けるなどチャンスの数を増加。攻守に渡ってアグレッシブに戦い、静岡県に圧力をかけ続けたが、前半に先制点を奪うことができなかった。

 すると後半、前に出てきた静岡県に対し、広島県は疲れからかミスによるボールロストが目立つようになってしまう。相手GKの好セーブもあって得点を奪えなかった広島県は後半20分にセットプレーから失点。だが、2回戦の大分県戦で後半アディショナルタイムに追いついてPK戦で勝利している広島県は、諦めない。

 1人、2人ではなく、全員が全力で自分たちのやるべきことを継続。そして、残り時間が10分を切ってから森本やDF香取潤(広島ユース、1年)が決定的なシュートを放った。だが、ポストに阻まれるなど1点を奪うことができず、準優勝。それでも、最後まで全力で戦い抜いた姿勢を岩成監督も評価していた。

「本当に、最後まで全力でやり続けるというところが凄いポイントなんですけれども、それを一人ではなく、全員でやるというところ。それを日本で、この国体でも一番彼らが見せたんじゃないかと思います」

 16年大会で広島県を日本一に導いた岩成監督は4年間で3度決勝進出。今回限りで退任することになっている指揮官は「4年やって3回決勝来れたのは自分としても嬉しいですね。間違っていなかったんだなと。広島のやりたいこと、広島県にしかできないことが伝わったし、表現してくれた。また、新しい世代と新しいスタッフが(進化させる形で)作っていってくれたらいい」。被爆から復旧・復興してきた歴史を持つ広島県が、全国決勝でも示した「広島スタイル」。選手たちは学んだことを所属チームに帰っても継続し、それをチームメートや後輩たちに伝える。

(取材・文 吉田太郎)
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感謝の気持ち持って戦った選手と変わらぬサッカー文化…。「サッカー王国」静岡県がU-16化後初の単独日本一!

8年ぶりの優勝を果たした静岡県は村下和之監督(沼津西高)を胴上げ。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 感謝の気持ちを持って戦った選手やコーチングスタッフ、そして王国のサッカー文化を支え続けた関係者全員で勝ち取った単独Vだ。

 かつて、静岡県はジュニア年代からの精力的な強化を中学年代、高校年代の結果に繋げてきた。国体少年男子に臨む県選抜は高校世代のスター選手たちで構成され、4連覇や7年連続の決勝進出などの快挙。サッカー王国・静岡の評価を不動なものとしてきた。

 国体少年男子がU-18年代の大会だった05年までに最多19回の日本一。だが、他の都道府県がレベルアップする中、06年のU-16化以降の優勝は11年大会の1度だけで、それも千葉県との同点優勝だった。

 静岡県は近年の国体でも随所に巧さを見せるものの、勝負強さを欠くなど、早期敗退の連続。選手権の代表校は4年連続で初戦敗退を喫している。清水ユースや磐田U-18がプレミアリーグで奮闘し、高体連からもJリーグで活躍する選手が出てきているが、サッカー王国の名に相応しい活躍はできていなかった。

 国体での単独優勝は静岡県の悲願の一つに。その中で迎えた今大会、50年連続出場の静岡県は技術面に加えてボールを奪う、ゴールを奪うことを強調して戦った。そして、エースFW千葉寛汰(清水ユース)の活躍や交代出場選手の奮闘もあり、優勝候補の佐賀県と東京都、開催地の茨城県、勢いに乗る山口県を相次いで撃破。そして決勝では最近4年間で3度目決勝進出の強敵・広島県を破って堂々の単独Vを成し遂げた。

 2日の準決勝で山口県に6-1で大勝。復活Vを懸けた決勝へ向けて、村下和之監督(沼津西高)が選手たちに問いかけたのは感謝の気持ちを持つことだったという。「オレたちは目標の直前まで来たと。だけど、ここで、ただ“勝ちたい”とかじゃなくて、感謝の気持ちを持って。チームの仲間や自チームのスタッフ、選手、そして保護者の方、学校の関係者の方、そういう人たちに君たちは支えられてきたんだと。そこをしっかりと忘れないで、今日のゲームしっかりと楽しもう」。感謝の気持ちを持ってファイナルの舞台に立った選手たちは仲間や家族のために身体を張って戦った。

 決勝は前半、広島県ペースで進んだ。5分に静岡県は左クロスから決定的なシュートを打たれたが、GK大畑神唯(JFAアカデミー福島U-18、1年)が指先で止めると、DFが必死のクリア。その後もゴール前のシーンは明らかに広島県の方が多かったが、静岡県は身体を投げ出してシュートをブロックするなど、得点を許さない。

 静岡県が大会を通して続けてきたのは、前からボールを奪いに行くこと、ゴールを奪いに行くこと。後半も怯まずに前に出る静岡県は、相手のロングボールの精度を乱して流れを引き寄せる。そしてチャンスの数を増やして迎えた20分、MF藤原健介(磐田U-18、1年)の左CKからCB菊地脩太(清水ユース、1年)が先制ゴール。その後、反撃する広島県のシュートがポストを叩くシーンが2度あった。だが、「最後、ゴールラインを割るまでやり続けろと言っていました。最後の最後までやってくれました」(村下監督)という静岡県が守り切り、1-0で勝利。王国・静岡県のユニフォームを着て戦うことを楽しみ、感謝の思いを全力プレーで表現した静岡県が19年国体を制した。

 8年ぶりの国体制覇を果たした後、村下監督は「僕らはかつて、王国と呼ばれてきました。それは結果が出ていたから。でも、静岡のサッカーを支える文化というのは、今でも王国と呼ばれるものがあると思っています」。育成年代からの継続した強化や各チームの選手、指導者の情熱と協力体勢、また他県では味合うことのできないほどのサッカーの報道量、サッカーファンの厳しい目……。復活Vは静岡県の変わらぬサッカー文化の上に成し遂げられたものでもあったようだ。

 村下監督らコーチ陣の下、勝ち続けること、「上手いだけじゃなくて、タフで、逞しくて、チームのために働ける」選手になることを意識してきた静岡県は国体での目標を達成。村下監督は「明日から自チームに帰りますが、彼らの成長が見られれば嬉しい」。Jリーグや世界を目指す選手たちは所属チームに国体優勝の経験を伝え、自身と仲間たちの目標達成、静岡県の強さとサッカー文化を継続させるためにも努力を続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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技術と万能性発揮したMF東廉主将が中心選手として静岡県を日本一へ導く

その万能性で静岡県の優勝に貢献したMF東廉主将(清水ユース)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 静岡県の村下和之監督はU-16日本代表のMF東廉主将(清水ユース、2年)に対して、「オマエが中心だ」と声がけしてきたという。指揮官の「やってもらわないといけない」という期待に対し、主将は見事に応え、中心選手として静岡県を日本一へ導いた。

 東は、主に4-2-3-1システムのトップ下として先発出場。スキルと相手の隙を狙う目を持つMFは、ゴール前の崩しにかかわり、佐賀県との初戦で先制点。準決勝までの全試合で得点に絡んでいる。

 チームに欠かせなかったのはその万能性だ。静岡県にはベンチにも実力派の選手が揃っていたが、選手交代する上で重視されたのが東のポジション。トップ下から試合終盤にボランチ、あるいはボランチとして先発し、トップ下へ移る東のポジション変更が後半でもチーム力を維持する要因となっていた。

「トップ下というポジションでは自分が絡んでゴールすることを意識していて、自分がボランチに入る時は守備の安定とかバランスを意識してやっていました」と東。決勝でも後半20分の先制後はボランチとして献身的なディフェンスを続けて勝利に貢献した。

 東は「みんなフル出場している選手もいる。自分が率先して走ろうと思っていました。(優勝は)本当に目標にしていたので嬉しいです」。リーダーとして全国制覇を果たした東はこの経験を清水ユースでの活躍に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
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「最後まで諦めずに、身体を張って守れました」。GK大畑神唯、静岡県救う“神セーブ”

好セーブで静岡県を救ったGK大畑神唯(JFAアカデミー福島U-18)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 “神セーブ”で静岡県を救った。広島県は前半5分、左サイドからのラストパスに走り込んだFW菅野翔斗(広島ユース2年)がかかとでコースを変える。意表を突く形のシュートがゴール方向へ向かったが、懸命に手を伸ばしたGK大畑神唯(JFAアカデミー福島U-18、1年)が指先でボールをはたいてゴールからかき出す。

 大畑は「あれは身体が動いたというか、最後まで諦めずに身体を張って守れました。(触ったのは)指先です。手には触れられて外に出せた」。守護神の執念のセーブが相手の先制機と試合の流れが傾くことを阻んだ。

 大畑は後半にも菅野の決定的なヘッドを横っ飛びでストップ。押し込まれる展開の中でゴールを守り抜き、決勝戦を無失点で終えた。「無失点に僕は一番こだわっている」という守護神が全国決勝で目標を達成。佐賀県との初戦でPKを止めたほか、毎試合安定したプレーを見せるなど、静岡県のゴールを守り続けた大畑は、静岡県復活の立て役者となった。

 夢は世界一のGKになることだ。大畑は今後へ向けて「この全国制覇というのはまだ通過点なので、チームに戻って仲間に色々と刺激を与えたりして、またチームで全国制覇できるようにまた明日からトレーニングしていきたい。世界一のGKになることが夢です。日々のトレーニングを全力でやることが一番大切だと思うので、気を抜かずにやっていきたいと思います」と宣言。一つ一つ課題を改善して夢の実現を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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「最後まで諦めずに、身体を張って守れました」。GK大畑神唯、静岡県救う“神セーブ”

好セーブで静岡県を救ったGK大畑神唯(JFAアカデミー福島U-18)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 “神セーブ”で静岡県を救った。広島県は前半5分、左サイドからのラストパスに走り込んだFW菅野翔斗(広島ユース2年)がかかとでコースを変える。意表を突く形のシュートがゴール方向へ向かったが、懸命に手を伸ばしたGK大畑神唯(JFAアカデミー福島U-18、1年)が指先でボールをはたいてゴールからかき出す。

 大畑は「あれは身体が動いたというか、最後まで諦めずに身体を張って守れました。(触ったのは)指先です。手には触れられて外に出せた」。守護神の執念のセーブが相手の先制機と試合の流れが傾くことを阻んだ。

 大畑は後半にも菅野の決定的なヘッドを横っ飛びでストップ。押し込まれる展開の中でゴールを守り抜き、決勝戦を無失点で終えた。「無失点に僕は一番こだわっている」という守護神が全国決勝で目標を達成。佐賀県との初戦でPKを止めたほか、毎試合安定したプレーを見せるなど、静岡県のゴールを守り続けた大畑は、静岡県復活の立て役者となった。

 夢は世界一のGKになることだ。大畑は今後へ向けて「この全国制覇というのはまだ通過点なので、チームに戻って仲間に色々と刺激を与えたりして、またチームで全国制覇できるようにまた明日からトレーニングしていきたい。世界一のGKになることが夢です。日々のトレーニングを全力でやることが一番大切だと思うので、気を抜かずにやっていきたいと思います」と宣言。一つ一つ課題を改善して夢の実現を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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出場“計3分”も、静岡県に欠かせなかったGK福井レオナルド明。「綺麗な円を保つというところで大きな活躍ができた」

サポート役として静岡県を支えたGK福井レオナルド明(清水ユース)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

「チームが一丸にならないと、どの試合も勝てないと思う。誰か一人が外れると綺麗な円ができないので、自分は綺麗な円を保つというところで大きな活躍ができたと思います」。

 静岡県のGK福井レオナルド明(清水ユース、1年)が、今回の国体で出場したのは2回戦の後半アディショナルタイムからの出場と準決勝の3分間のみ。だが、福井は清々しい表情で優勝を喜び、記念撮影では仲間たちの前に寝そべって周囲を笑顔にしていた。

 もちろん、試合に出られない悔しさはあった。183cmの長身GKはピッチに立つ準備を黙々と継続。ピッチに立って静岡の優勝に貢献したいという思いが強かった。正守護神のGK大畑神唯(JFAアカデミー福島U-18、1年)の活躍が続く中で福井に活躍の場はなかなか訪れなかったが、彼は不貞腐らず、チームの和の重要性を理解して行動。与えられた場所で、自分の役割を全うした。

「この経験、ベンチで見れたものというのは凄くデカイし、貴重な経験になったと思います。やっぱり出れないということは一番悔しいんですけれども、この悔しさをバネに高く跳んで、自分の夢はヨーロッパへ行ってトッププレーヤーになることなので、頑張りたいです」。憧れのGKはドイツ代表GKマヌエル・ノイアー。国体の経験を糧にして必ず、世界へ羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)
●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

MF熊取谷一星は静岡県の10番として日本一も、「個人としては課題が多く残った大会」

静岡県の10番として全国制覇を果たしたMF熊取谷一星(浜松開誠館高)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 静岡県の10番として国体制覇。だが、歓喜の優勝後、MF熊取谷一星(浜松開誠館高2年)は複雑な表情を見せていた。

「この大会を通して、チームとしてはみんなが力を合わせて優勝を獲れたので良かったと思います。でも、個人としては課題が多く残った大会でした」。U-16日本代表候補の熊取谷はより、チームを勝たせる活躍をしたいという思いがあった。 

 決勝では緩急を活かしたドリブルやコンビネーションで左サイド攻略を狙うなど攻撃の牽引役となっていた。1回戦と準々決勝では先制点に絡み、交代出場だった準決勝では個人技で左サイドを突破してゴールも決めた。

 だが、決勝は0-0の後半12分に途中交代。勝負どころでピッチに居続けることができなかった。残った課題について、熊取谷は「最後のシュートやクロスの質が足りなかったと思います」と反省。感じた課題をこれから改善してチームでの活躍を目指す。
 
 所属する浜松開誠館高は昨年度、悲願の選手権初出場。熊取谷は1年生ながらチームの10番を背負った。今年は連覇に挑戦。「まず選手権という大会がある。そこで静岡のチャンピオンになって、もう一度全国制覇できるように頑張りたいです」。静岡の10番から開誠館の10番に戻る熊取谷。課題の残った国体から成長した姿を選手権やこの先のステージで示す。

(取材・文 吉田太郎)
●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

静岡県の復活Vに貢献の左SB鈴木登偉、選手権で藤枝東を「まずは静岡県で一番のチームに」

静岡県の左SBとして好守と左足クロスを発揮したDF鈴木登偉(藤枝東高)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 サッカー王国・静岡県の復活Vに貢献した左SBは、名門・藤枝東高を静岡制覇、全国上位へと導く。

 藤枝東で左SBを務めるDF鈴木登偉(2年)は、静岡県の左SBとして国体で初戦から全試合に先発出場。対人守備の強さや左足クロスを武器に静岡県にとって8年ぶりとなる決勝進出に貢献した。

 そして、決勝では0-0の後半20分に左足クロスでCKを獲得。そのCKからCB菊地脩太(清水ユース、1年)が決勝点を奪った。守備面でもゴール前で身体を張った守備。最後まで諦めずに相手に身体を寄せるなど、チームメートとともに我慢強くゴールを守り続けて優勝を勝ち取った。

 鈴木は決勝点に繋がった左足クロスについて、「クロスは一つの武器なので、それがCKになったのは、ラッキーと言えばラッキーですけれども、あわよくばアシストしたかったです」と微笑。そして、「今日は、対人は結構行かれてしまったので、そこは反省して、キックは良かったのでそこは続けていきたいです」と力を込めた。
 
 静岡県は国体少年男子の部がU-18大会だった時代に優勝19回。だが、06年のU-16大会移行後は優勝1回(11年)、それも千葉県との同時優勝だった。だが、今回は堂々の単独V。「チームとして団結して優勝したのは素直に嬉しかったです」と喜んだ鈴木はこの後、選手権優勝4回、同出場25回の名門・藤枝東の4年ぶりとなる選手権出場、そして全国での活躍に貢献することを誓った。

「選手権で活躍したいんで、まずは静岡県で一番のチームになって、それでまた全国で輝けるように頑張っていきたいです」。国体で得た経験も力に、まずは選手権予選突破を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

[国体]決勝・3位決定戦写真特集

(写真協力=高校サッカー年鑑)
第74回国民体育大会
「いきいき茨城ゆめ国体」


【3位決定戦】
(10月3日)
[北海浜多目的球技場]
山口県 1-0 香川県
U-16日本代表FW河野が右足決勝弾! 山口県が3位入賞、香川県は不発に終わる(8枚)

【決勝】
(10月3日)
[県立カシマサッカースタジアム]
静岡県 1-0 広島県
サッカー王国復活!!静岡県が広島県との激闘制して8年ぶり優勝(20枚)
静岡県は国体少年男子のU-16大会移行後、初の単独優勝(20枚)
優勝キャプテンとなった静岡県のU-16代表MF東廉(8枚)
得点王に輝いた静岡県FW千葉寛汰「今大会だけで終わりたくない」(8枚)
静岡県MF藤原健介がCKから決勝アシスト「それもサッカーの面白さ」(8枚)
優勝ゴールの静岡県DF菊地脩太「たまたま自分だった」(12枚)
最後まで1点遠く…広島県は3年ぶり2回目の優勝叶わず(20枚)
得点ランク2位タイの広島県FW棚田遼は不発に(4枚)
準優勝の広島県をけん引した主将FW菅野翔斗(8枚)



●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

[国体]決勝・3位決定戦写真特集

(写真協力=高校サッカー年鑑)
第74回国民体育大会
「いきいき茨城ゆめ国体」


【3位決定戦】
(10月3日)
[北海浜多目的球技場]
山口県 1-0 香川県
U-16日本代表FW河野が右足決勝弾! 山口県が3位入賞、香川県は不発に終わる(8枚)

【決勝】
(10月3日)
[県立カシマサッカースタジアム]
静岡県 1-0 広島県
サッカー王国復活!!静岡県が広島県との激闘制して8年ぶり優勝(20枚)
静岡県は国体少年男子のU-16大会移行後、初の単独優勝(20枚)
優勝キャプテンとなった静岡県のU-16代表MF東廉(8枚)
得点王に輝いた静岡県FW千葉寛汰「今大会だけで終わりたくない」(8枚)
静岡県MF藤原健介がCKから決勝アシスト「それもサッカーの面白さ」(8枚)
優勝ゴールの静岡県DF菊地脩太「たまたま自分だった」(12枚)
最後まで1点遠く…広島県は3年ぶり2回目の優勝叶わず(20枚)
得点ランク2位タイの広島県FW棚田遼は不発に(4枚)
準優勝の広島県をけん引した主将FW菅野翔斗(8枚)



●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

緊張解けた大会中盤から静岡県に勢いもたらしたMF金子星太。「自分の持ち味」ハードワークを徹底的に磨く

ハードワークで静岡県の優勝に貢献したMF金子星太(清水ユース)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 試合を重ねるごとに持ち味を出す回数、時間を増やしていた。静岡県のMF金子星太(清水ユース、1年)は「緊張した」という初戦、2回戦と持ち味を発揮することができなかったというが、東京都との強豪対決となった準々決勝で先制点を決めると、準決勝でも交代出場でゴール。右サイドで運動量多くプレーしたMFは、チームを勢いづける活躍で優勝に貢献した。

 決勝でも右MFとして先発。キープ力を発揮したほか、右サイドからゴール前に飛び込む動きでチャンスにも絡んだ。ハードワークする持ち味を発揮し、後半31分までプレー。本人は「点を決めた3回戦(準々決勝)くらいから身体が軽くなって、自分の思うようなプレーができるようになって、3回戦から活躍できたんじゃないかと思います」と納得の表情を見せていた。

「常に高い目標を持って」という金子の今後の目標は、所属する清水ユースの激しいメンバー争いを勝ち抜き、日本代表に入っていくことだ。国体で日本一に輝き、自信を得たMFも、次の目標達成のためにやらなければならないことがまだまだある。

「ハードワークが自分の持ち味なんですけれども、(国体で)後半の最後まで続かない試合が多かったので、そこまで続ける体力と守備のところでも貢献できるようになっていきたいです」。自分の武器を全国トップの戦いでも違いを出せるくらいのものにすること。そのために、タレントの多いチームの中で自分自身を徹底的に磨き上げる。 

(取材・文 吉田太郎)
●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

緊張解けた大会中盤から静岡県に勢いもたらしたMF金子星太。「自分の持ち味」ハードワークを徹底的に磨く

ハードワークで静岡県の優勝に貢献したMF金子星太(清水ユース)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 試合を重ねるごとに持ち味を出す回数、時間を増やしていた。静岡県のMF金子星太(清水ユース、1年)は「緊張した」という初戦、2回戦と持ち味を発揮することができなかったというが、東京都との強豪対決となった準々決勝で先制点を決めると、準決勝でも交代出場でゴール。右サイドで運動量多くプレーしたMFは、チームを勢いづける活躍で優勝に貢献した。

 決勝でも右MFとして先発。キープ力を発揮したほか、右サイドからゴール前に飛び込む動きでチャンスにも絡んだ。ハードワークする持ち味を発揮し、後半31分までプレー。本人は「点を決めた3回戦(準々決勝)くらいから身体が軽くなって、自分の思うようなプレーができるようになって、3回戦から活躍できたんじゃないかと思います」と納得の表情を見せていた。

「常に高い目標を持って」という金子の今後の目標は、所属する清水ユースの激しいメンバー争いを勝ち抜き、日本代表に入っていくことだ。国体で日本一に輝き、自信を得たMFも、次の目標達成のためにやらなければならないことがまだまだある。

「ハードワークが自分の持ち味なんですけれども、(国体で)後半の最後まで続かない試合が多かったので、そこまで続ける体力と守備のところでも貢献できるようになっていきたいです」。自分の武器を全国トップの戦いでも違いを出せるくらいのものにすること。そのために、タレントの多いチームの中で自分自身を徹底的に磨き上げる。 

(取材・文 吉田太郎)
●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

日本一・静岡県のヘディンガー、CB田端琉聖は武器を「もっとチームで磨き上げていきたい」

静岡県の最終ラインで跳ね返す強さを発揮したCB田端琉聖(清水ユース)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 全国大会のファイナルで見事に完封勝利。静岡県の最終ラインの柱として奮闘したCB田端琉聖(清水ユース、1年)はチームメートへの感謝を口にした。「(CB菊地)脩太、(左SB鈴木)登偉くん、(GK大畑)神唯、(右SB勝又)大翔くんに感謝しています」。優勝決定の瞬間、強く拳を握りしめると、その後はチームメートたちと抱擁を繰り返していた。

 鋭い読みでDFラインを支えたU-16日本代表候補CB菊地脩太(清水ユース、1年)らのサポートを受けていたことは確かだが、田端も随所で特長を発揮していた印象だ。182cmの長身を活かしたヘッドで強敵のCFに競り勝って相手の起点を潰すことと同時に、チームを盛り上げることにも成功。決勝ではピンチも作られていたが、対人守備で強さを見せ、ゴール前でも粘り強く守って無失点勝利に貢献した。

 田端は決勝について、「前半は守る時間帯が凄く多くて、5試合という連戦の中で凄くハードだったんですけれども、全員で声を出し合って守りきれたことが今大会の大きな成長だったと思います」と胸を張る。

 チーム全員で勝ち取った優勝。個人としても、試合を重ねるごとに良さを表現していた。ただし、全国舞台で課題に感じた部分もあったようだ。「自分としては、ヘディングの部分でもっと前に返すことだったり、セットプレーで得点とかを狙いたかったんで、そういうところはもっとチームで磨き上げていきたいと思いました」と成長を誓っていた。

 将来の目標は日本代表だ。「プロサッカー選手になって、日本代表で活躍するという目標へ向かって頑張っていきたいと思っています」。高い目標を実現するためにも、国体で感じた課題と向き合い、強みを世界で通用する武器に変える。

(取材・文 吉田太郎)
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日本一・静岡県のヘディンガー、CB田端琉聖は武器を「もっとチームで磨き上げていきたい」

静岡県の最終ラインで跳ね返す強さを発揮したCB田端琉聖(清水ユース)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 全国大会のファイナルで見事に完封勝利。静岡県の最終ラインの柱として奮闘したCB田端琉聖(清水ユース、1年)はチームメートへの感謝を口にした。「(CB菊地)脩太、(左SB鈴木)登偉くん、(GK大畑)神唯、(右SB勝又)大翔くんに感謝しています」。優勝決定の瞬間、強く拳を握りしめると、その後はチームメートたちと抱擁を繰り返していた。

 鋭い読みでDFラインを支えたU-16日本代表候補CB菊地脩太(清水ユース、1年)らのサポートを受けていたことは確かだが、田端も随所で特長を発揮していた印象だ。182cmの長身を活かしたヘッドで強敵のCFに競り勝って相手の起点を潰すことと同時に、チームを盛り上げることにも成功。決勝ではピンチも作られていたが、対人守備で強さを見せ、ゴール前でも粘り強く守って無失点勝利に貢献した。

 田端は決勝について、「前半は守る時間帯が凄く多くて、5試合という連戦の中で凄くハードだったんですけれども、全員で声を出し合って守りきれたことが今大会の大きな成長だったと思います」と胸を張る。

 チーム全員で勝ち取った優勝。個人としても、試合を重ねるごとに良さを表現していた。ただし、全国舞台で課題に感じた部分もあったようだ。「自分としては、ヘディングの部分でもっと前に返すことだったり、セットプレーで得点とかを狙いたかったんで、そういうところはもっとチームで磨き上げていきたいと思いました」と成長を誓っていた。

 将来の目標は日本代表だ。「プロサッカー選手になって、日本代表で活躍するという目標へ向かって頑張っていきたいと思っています」。高い目標を実現するためにも、国体で感じた課題と向き合い、強みを世界で通用する武器に変える。

(取材・文 吉田太郎)
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左足キックなど印象的な動きも「もっと」という思い。静岡県MF鈴木奎吾「大きな舞台で活躍できるような選手に」

静岡県のレフティーボランチ、MF鈴木奎吾(清水ユース)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 U-16世代は全国的に見ても、キックで存在感を示すことのできる選手は決して多くない。その中で、静岡県のMF鈴木奎吾(清水ユース、1年)はキックが印象的な選手の一人だった。

 左足から繰り出すミドルレンジのパスやプレースキック。セットプレーを重視した静岡県の村下和之監督も鈴木、MF藤原健介(磐田U-18、1年)の両キッカーへの信頼感を口にしていた。

 静岡県の先発ボランチを務めた鈴木は、キックに加えて相手のプレッシャーをいなす巧さも随所で発揮。ただし、本人は「チームとして優勝できたことはとても嬉しいんですけれども、個人的には大きな舞台でゴールに絡んだり、自分はスルーパスなどでアシストやゴールの起点になることが特長なので、そのプレーがあまり出せなかったことは悔しいです」と首を振っていた。

 印象的なプレーもしていたが、18年U-15日本代表のボランチが感じていたのは「もっとできる」「もっとやらなければならない」という思い。だからこそ、日本一になったことに満足することなく、成長することを目指していく。

「こういった大きな舞台で活躍できるような選手になって、左足でゲームを作っていく選手になりたいです。1年生でどんどん試合に絡んで、最終的にはエスパルスのトップチームに昇格して、そこでも中心的な存在になりたいです」。全国大会で感じた課題は日常の練習で克服するだけ。妥協することなく自分を磨いて、目標を達成する。
 
(取材・文 吉田太郎)
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優勝の嬉しさと悔しさと…。静岡県MF本保奏希「学んだことをこれから活かしてやっていきたい」

静岡県MF本保奏希(JFAアカデミー福島U-18)が中盤でボールを繋ぐ。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 決勝は試合終了間際からの途中出場。それでも、国体全5試合に出場した静岡県MF本保奏希(JFAアカデミー福島U-18、1年)は、限られた時間内でチームから求められるハードワークする部分やボールを奪う部分を発揮した。

 もちろん、レギュラーとして優勝できなかった悔しさはある。「僕は途中出場が多くて出場機会が少なくて……。チームとしては優勝という形で終われて嬉しかったんですけれども、個人的には課題もたくさんあって、これからこういう舞台で(常に先発として)試合に出られるようにこの大会で学んだことをこれから活かしてやっていきたいです」。優勝の喜びと同時に味わった悔しさを今後にぶつける意気込みだ。

 出場した際に、自分の持ち味を発揮できたことは今後への自信となりそうだ。先発出場した東京都戦では中盤から一気にドリブルで前へ出て、チャンスの起点となるシーンがあった。また、ボールを奪いに行く守備については「(村下)監督からアグレッシブな守備というところを求められていたので、そこはしっかりと出すことができて、少しでもチームに貢献することができたかなと思っています」と実感していた。

 今後はJ内定選手や年代別日本代表選手の名が並ぶJFAアカデミー福島U-18で先輩やコーチ陣から吸収しながら成長を目指していく。「自分に何が足りないのかしっかりと理解して、これから自分も直していって、こういう大会でまた今度は自分がスタメンで出られるように頑張っていきたいです」。悔しさをエネルギーに変えて、静岡県のチームメートたち以上の飛躍を遂げる。
 
(取材・文 吉田太郎)
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静岡東部の市立高校、富士市立から国体日本一。DF勝又大翔「優勝できて良かった」

静岡県の右SBとして優勝に貢献した勝又大翔(富士市立高2年)(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 静岡県東部地区の新鋭、富士市立高に所属するDF勝又大翔(2年)も静岡県の優勝に貢献した。国体では右SBとして全5試合で先発フル出場。右サイドから攻め上がってクロスまで持ち込んでいたほか、相手の股間を通すドリブルにチャレンジし、ヘディングの強さを発揮するなど、清水ユースや磐田U-18、JFAアカデミー福島U-18、藤枝東、静岡学園といった知名度のあるチームの選手たちに負けない働きを見せた。

 勝又は「チームではCBでここではSB。難しかったですけれども、優勝できて良かったです。上がれるところは結構上がったと思うので、最後のクロスの精度があまり良くなかったですけれども、そこは発揮できたと思います」と笑顔を見せる。富士市立は今年、プリンスリーグ東海に昇格したばかりの新鋭。ショートパスやドリブルを多用したサッカーを特長とするチームで磨かれた武器も勝又は発揮していた。

 11年に吉原商高から校名の変わった富士市立だけでなく、飛龍高(旧沼津学園高)などの強豪を含めても静岡県東部地区の高校から国体日本一に輝いたのは異例の快挙。勝又は「自分が(富士市立で)一番というのは嬉しいです」と喜んでいた。

 今後は選手権予選が控える。「選手権とかでチームの中心となって、できるように、自分が引っ張って行けたら良いと思っています」。日本一を自信に、次はチームの歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)
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U-16日本代表FW河野が右足決勝弾! 山口県が3位入賞、香川県は不発に終わる(8枚)

山口県が3位入賞
 第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の3位決定戦が3日に行われた。山口県は香川県に1-0で勝利。3位入賞を果たした。

(写真協力=高校サッカー年鑑)

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「明日から本当に成長していけるように」。静学MF清水和馬は優勝の余韻に浸らず、次へ

静岡県のMF清水和馬(静岡学園高)は優勝の余韻に浸らず、次のステージでの活躍を目指す。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 優勝の余韻に浸るつもりはない。静岡県のMF清水和馬(1年)は、名門・静岡学園高で1年生ながら先発も経験している期待の星だ。一瞬の判断の速さやテクニック、負けん気の強さなどが光るMFは今回の国体で2試合に先発し、茨城県戦では先制アシストも記録した。

 だが、今大会を通じて納得するパフォーマンスができた訳ではない。チームから求められる守備のタスクを全うするなど、優勝に貢献したことは間違いないが、決勝も出場時間を伸ばすことができなかった。

 それだけに、「チームは優勝したんですけれども、個人としては通用した部分と通用しなかった部分では通用しなかった部分の方が多かったので、それを自分のチームに帰って、明日から本当に成長していけるように、これから頑張っていきたいです」。すぐにでも自分をレベルアップさせてトップレベルの相手でも活躍する選手になる。

 幸い、リベンジする舞台がすぐに訪れる。選手権予選が間もなくスタート。清水は「チームでもレギュラーの座を確立できている訳ではないので、本当にチームに帰って偉そうにしていたらポジションはないと思うので、チームに帰って一番ひたむきに努力をして、この全国優勝という経験を糧にしてレベルアップしていきたいと思っています」と誓った。

 国体に続く全国2冠へ。本気でそれを目指せるだけのポテンシャルが、チームにも清水にもある。静岡学園で主将を務めた兄・MF清水綾馬(現専修大、元U-15日本代表候補)が立てなかった舞台で勝ち上がるためにも、清水は日本一に輝いた経験を発進しながら、自身は下から貪欲に上を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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投入直前のゴールで「チームのために走り回る」。静岡県FW杉本大雅の次の目標は沼津U18から初の代表入り

静岡県FW杉本大雅(沼津U18)はチームのために走り回って優勝に貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 投入1分前の後半20分に静岡県は先制点。準決勝で見事なゴールを決めているFW杉本大雅(沼津U18、2年)は、「自分が絶対に決めるんだ」という思いから「まずは守備から。チームのために走り回る」ということへの比重を高めてピッチに入った。

 今大会、出場時間は限られたものの、エネルギッシュな動きで相手にプレッシングをかけ続けてきたFWはカシマスタジアムでの決勝も変わらずにハードワーク。途中出場から約15分間、フルスロットルで走り続けて1-0の勝利に貢献した杉本は、「チームのことを第一に考えてプレーして、優勝できて良かったです」と胸を張った。

 出場時間の中で印象的なプレーを見せていた杉本だが、本人は結果について満足していない。「個人としては、もっと点が欲しかった。チームに帰ってそこから磨いていきたいです」。シュート練習をより重ねて結果を残す選手になる。

 今後の目標について、「年代別の代表とか入るために毎日、差を詰められるように人よりも努力していきたいです」と宣言。創設2年目の沼津U18から初の日本一を果たしたFWは、同クラブにとって初の年代別日本代表の座も狙う。

(取材・文 吉田太郎)
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「それもサッカーの面白さ」。静岡県はMF藤原健介の高精度CKから決勝点!

静岡県のMF藤原健介(磐田U-18)は決勝点をアシストした。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 流れの中からも効果的なパスを配球していた印象だが、得点に結びつけることがきていなかった。それでも、静岡県のU-16日本代表候補MF藤原健介(磐田U-18、1年)は交代直前にストロングポイントである右足のプレースキックで大仕事。決勝点を演出して見せた。

 後半20分、左CKのキッカーを担当した藤原は、ニアサイドに位置する相手の“ストーン”の選手を越えるキックを狙う。「菊地(脩太)とかに『“ストーン”の後ろ』ということは話していたので、そこに上手く入れて良かったです」。ボールは狙い通りに相手DFの頭上を越え、落下地点に走り込んだCB菊地脩太(清水ユース、1年)が右足ダイレクトで優勝ゴールをゴールに突き刺した。

 サッカーでは、流れの中で得点することができなくても、相手に押し込まれていても、セットプレー一発で勝敗が決まることもある。藤原は「それも『サッカーの面白さ』だと思うので、自分の特長であるプレースキックというのをもっと磨きをかけて、チームのストロングポイントというか、セットプレーで相手から怖がられるようなキックにしたいです」と語った。

 磐田U-18で存在感を放ちつつあるボランチは、プレースキックだけでなく、スルーパスやPAまで潜り込んでのシュートも特長。この日はスルーパスをDFにギリギリでカットされたり、シュートをわずかに枠左へ外すシーンもあっただけに、自分をより磨いて、より決定的な仕事をする選手になって、目標とするステージへステップアップしていく。

(取材・文 吉田太郎)
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誕生日だった準決勝でゴール決め、決勝も勝って日本一。静岡県MF松田隼風「今まで以上に上手いプレーヤーに」

MF静岡県MF松田隼風(JFAアカデミー福島U-18)は交代出場で優勝に貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 勝負どころの後半12分に投入され、優勝の瞬間をピッチで味わった静岡県MF松田隼風(JFAアカデミー福島U-18、1年)は「素直に嬉しかったです。優勝の瞬間は嬉しかったです」と微笑んだ。

 切れのあるドリブルや、コンビネーションからのシュートなどでチームに貢献。その松田は今大会、先発こそ準決勝・山口県戦の1試合に終わったものの、その試合でFW千葉寛汰(清水ユース)、1年)とのワンツーから決めたゴールは鮮烈だった。

 準決勝が16回目の誕生日だった松田にとっては「バースデーゴール」。チームのラッキーボーイ的な存在にもなっていたMFは「個人的にはスタメンは1試合しかなかったんですけれどもチームで全力で戦って勝てたので個人というよりはチームでできたことが嬉しいです」と仲間たちと勝ち取ったこの日の優勝を何よりも喜んでいた。

 今後は優勝の経験をチームに持ち帰って、また成長を目指すだけ。「国体の優勝の経験を自チームでも活かして、今まで以上に上手いプレーヤーになりたいと思っています」という松田がテクニック、判断力を磨いて、大舞台でより活躍する選手になる。

(取材・文 吉田太郎)
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2位の2倍、計8発で得点王!静岡県FW千葉寛汰は決勝不発も「成長できる部分を神様が与えてくれた」

静岡県のU-16日本代表FW千葉寛汰(清水ユース)が大会得点王に輝いた。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 19年国体少年男子の部の“得点王”には、静岡県のU-16日本代表FW千葉寛汰(清水ユース、1年)が輝いた。初戦から4戦連発で、計8得点。優勝チーム・静岡県のエースストライカーは2位に4得点差をつけて堂々のトップスコアラーとなった。

 特にゴール前での落ち着きやポジショニング、抜け出すスピードなどを発揮してゴールを連発。準決勝ではハイプレスで相手GKからボールを奪い取るビッグプレーもあった。加えて、ポストプレーやチャンスメークする力も巧み。対戦相手の脅威になり続けていた。

 ただし、決勝戦では無得点。右サイドでの切り返しから放った左足シュートやこぼれ球に反応したシーンがあったが、厳しいマークの中で結果を残すことができなかった。それでも、素直に反省し、前向きに捉えられるのが彼の良さ。この日見つけた“宿題”が世代屈指のストライカーを貪欲に成長させそうだ。

「最後の最後に良い課題が残ったなと思います。獲れたにこしたことはないですけれども、獲れなかったからこそもっともっと突き詰めてやれると思うし、本当に成長できる部分を神様が与えてくれたと思うので、ラッキーだと思ってまた練習頑張りたいですね」

 今回の国体で「千葉寛汰」の名を知ったサッカーファンも多くいるだろう。「色々な人が見て下さっているのは分かっていましたし、本当に注目されている大会だったので、結果を出すことができて本当に良かったと思いますけれども、これからだと思います」と千葉。日本代表、世界を見据えるFWは今後も注目される中で得点を取り続ける意気込みだ。

「継続しなければ意味がないですし、今大会だけ結果を出した選手で終わりたくない。本当に継続が一番大事かなと思います」。“良い終わり方”をした千葉は今後も日々継続して、進化を遂げて、国体から世界へ羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)
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[MOM2989]静岡県DF菊地脩太(清水ユース、1年)_仲間に感謝の優勝ゴール

後半20分、静岡県CB菊地脩太(清水ユース、左端)が決勝ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 全国大会決勝で殊勲の決勝ゴール。U-16日本代表候補CB菊地脩太(清水ユース、1年)が、静岡県を8年ぶりとなる全国制覇へ導くゴールを決めた。

 この日、静岡県はなかなかセカンドボールを拾うことができず、広島県に主導権を握られる展開になっていた。シャドーの位置から飛び出してくる相手に決定機を作られたシーンも、セットプレーからポスト直撃のシュートを打たれた場面もある。だが、菊地やGK大畑神唯(JFAアカデミー福島U-18、1年)がゴールラインを割るまで諦めずに守り続けたことが後半の決勝点に繋がった。

 後半20分、静岡県は左SB鈴木登偉(藤枝東高2年)のクロスで左CKを獲得。そして、MF藤原健介(磐田U-18、1年)が右足でボールを蹴り込むと、中央へ到達したボールに走り込んだ菊地が右足ダイレクトでゴールに蹴り込んだ。コーナー方向に駆け出した菊地は歓喜の雄叫び。背番号3が値千金のゴールを叩き出した。

「結果としては自分が決めたことになっているんですけれども、自分のゴールと言うよりもみんなで守り抜いてたまたま自分だったというだけですね」と菊地。優勝ゴールは、チームメート全員の力が結集して決まった1点であることを強調した。

 その1点を守った静岡県が1-0で勝利。決勝を無失点で終えたことを喜んだ菊地だが、悔しさも残る大会だったという。準々決勝の東京都戦ではU-16日本代表のFW野澤零温(FC東京U-18、1年)、山口県との準決勝もU-16日本代表FW河野孝汰(山口U-18、1年)といずれも注目エースに1ゴールを許しているからだ。

 対戦相手のエースを止める存在になること。読みの速さと身のこなしなど、今回の国体で屈指のCBであることを示した菊地は「ヘディングのところだったり、自分のところでシャットアウトするところだったり、隙をなくすことにこだわっていきたい」という目標を持って、今後も日々努力を続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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U-16日本代表FW河野が今季4点目となる決勝弾! 山口県が香川県を破り、3位決定戦を制す

(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子3位決定戦 山口県1-0香川県 北海浜多目的球技場]

 第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の3位決定戦が3日に行われた。山口県は香川県に1-0で勝利。3位入賞を果たした。

 山口県は49年ぶりの準々決勝進出も、準決勝では静岡県に1-6で大敗。しかし気持ちを切り替えて香川県との最後の戦いに挑んだ。両者ともに敵陣に迫るがゴールが奪いない時間が続くと、前半28分に山口県が先制に成功する。

 山口県はMF末永章太郎(高川学園高)のパスからFW林陸也(山口U-18)がドリブルで運び、最後はU-16日本代表FW河野孝汰(山口U-18)にパス。河野は冷静にボールを収めると、シュートを放ってゴールに決め切った。

 後半に折り返し、山口県は河野がシュートを2本、香川県もDF田尾佳祐(讃岐U-18)がシュート2本を放つがスコアは動かず。試合はそのまま終了し、山口県が1-0で逃げ切った。

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サッカー王国・静岡県が復活V!国体少年男子のU-16大会移行後、初の単独V!

静岡県が8年ぶりV。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.3 国体少年男子決勝 静岡県 1-0 広島県 カシマ]

 サッカー王国・静岡県が復活V! 3日、第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の部決勝が行われ、静岡県と広島県が激突。静岡県が1-0で勝ち、8年ぶり21回目の優勝を果たした。静岡県は06年に国体少年男子の部がU-16での大会に移行されてから初となる単独V。参加24チームの頂点に立ち、サッカー王国復活を果たした。

 前年まで歴代最多の優勝回数20回を誇る静岡県は4-5-1システム。GK大畑神唯(JFAアカデミー福島U-18、1年)、4バックは右SB勝又大翔(富士市立高2年)、U-16日本代表候補CB菊地脩太(清水ユース、1年)、CB田端琉聖(清水ユース、1年)、左SB鈴木登偉(藤枝東高2年)。中盤はU-16日本代表候補MF藤原健介(磐田U-18、1年)と鈴木奎吾(清水ユース、1年)のダブルボランチで右MF金子星太(清水ユース、1年)、左MFがU-16日本代表候補MF熊取谷一星(浜松開誠館高2年)。トップ下にU-16日本代表のMF東廉主将(清水ユース、2年)が入り、1トップは今大会4戦連発、計8得点のU-16日本代表FW千葉寛汰(清水ユース、1年)が務めた。

 一方、3年ぶり2回目の優勝を狙う広島県は3-6-1システム。GKは波多野崇史(広島ユース、1年)で3バックは西村岳(広島ユース、1年)を中央に右が豊田将大(広島ユース、1年)、左が香取潤(広島ユース、1年)。中盤は藤野和樹(広島ユース、1年)と池田柚生(広島ユース)、1年)のダブルボランチで右WBが光廣健利(広島ユース、1年)、左WBが田部健斗(広島皆実高1年)。2シャドーは今大会4得点の棚田遼(広島ユース、1年)と森本凜(瀬戸内高2年)で、菅野翔斗主将(広島ユース、2年)が1トップに構えた。

 アグレッシブな攻守とボールを奪う、ゴールを奪うことを強調した戦いをして勝ち上がってきた両チームによるファイナル。前半はセカンドボールを支配した広島県がピッチを広く使った攻撃で押し込んだ。

 3分には藤野がDFライン背後に入れた左足浮き球パスに森本が反応。5分には左ハイサイドを取った田部にボールが入り、ラストパスに飛び込んだ菅野がかかとでコースを変える。これがゴール方向に向かったが、静岡県GK大畑がかき出して得点とはならず。だが、広島県が敵陣で試合を進める時間を増やしていた。

 広島県は23分、右サイドをコンビネーションで崩し、エンドライン際へ切れ込んだ森本のクロスがゴール前を横切る。菊地や田端が相手の抜け出してくる選手に対応した静岡県も反撃。24分には千葉が切り返しから左足シュートを放ち、33分には敵陣でのインターセプトから藤原がスルーパスを狙った。前半終了間際にも左アーリークロスから東がチャンスを迎える。

 ともに5連戦の5試合目。体力的に厳しい戦いとなったが、互いに前へ出てゴールを目指し合う。そして、いずれもサイド攻撃や敵陣でのインターセプトからあわやのシーンを作り出す。だが、諦めずに足を伸ばしてくる相手DFの存在も影響したか、シュート精度を欠いて得点することができない。

 静岡県は後半12分、熊取谷に代えてMF松田隼風(JFAアカデミー福島U-18、1年)を投入する。その静岡県は20分、鈴木の左クロスで左CKを獲得。これを藤原が右足で入れると、中央へ抜けたボールを菊地が合わせて先制点を奪った。

 静岡県は21分、藤原に代えてFW杉本大雅(沼津U18、2年)を投入。広島県も田部に代えてMF入江大雅(広島皆実高、1年)をピッチに送り出す。すると26分、広島県は左FK後の混戦から森本が右足シュート。だが、DFをかすめたボールは右ポストを弾いて外側に外れてしまう。

 静岡県は30分、金子に代えてMF清水和馬(静岡学園高1年)を投入。広島県は33分に左FKからファーサイドの香取が決定的なシュートを放ったが、ボールは右ポストを弾いて再び外側へ外れてしまう。静岡県は35分、鈴木奎に代えてMF本保奏希(JFAアカデミー福島U-18、1年)をピッチへ。“逆転の広島”は最後まで諦めずに攻め続けたが、守りきった静岡県がU-16年代日本一に輝いた。

(取材・文 吉田太郎)
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[国体]準決勝写真特集

(写真協力=高校サッカー年鑑)
第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」
サッカー競技【少年男子】


【準決勝】
(10月2日)
[新浜緑地多目的球技場]
静岡県 6-1 山口県
静岡県が圧巻の6ゴール!“サッカー王国”がタイトルに王手
得点力抜群のエースが全試合得点中!静岡県FW千葉寛汰はポストプレーでも貢献
静岡県MF松田隼風がうれしい“バースデーゴール”奪取
静岡県の注目ボランチ、MF藤原健介がセカンドボール回収など持ち味発揮
静岡県の主将、U-16日本代表MF東廉が攻守で存在感
“ゴン中山”のアドバイス受けて成長中…静岡県FW杉本大雅が今大会初ゴール
最後まで諦めず全力で…山口県は49年ぶりベスト4も決勝届かず3位決定戦へ
山口県のU-16日本代表FW河野孝汰が意地のファインゴール
山口県CB田中誠太郎、最終ラインから果敢に攻撃参加
攻め上がって自らシュートも…山口県SB吉田光が強烈ミドル放つ
豊富な運動量、ドリブルで違いみせた山口県MF末永章太郎


広島県 2-0 香川県
広島県が3年ぶり優勝に王手! 2発快勝でいざ決勝戦
広島県MF西村岳、3バック中央に君臨する“背番号10”
攻撃の中心にこの男あり…広島県FW棚田遼が大怪我乗り越え決勝へ
広島県MF森本凜が2試合連続の先制弾! 泥臭くゴールネット揺らす
圧巻の1G1A! DF豊田将大が広島県を決勝に導く
“台風の目”香川県は準決勝で敗退…初の4強入りも2被弾で沈む
富永拓斗は香川県のパスの起点に、コンビネーションから前線へ
香川県の左SB田尾佳祐、冴えわたるカバーリング
U-15日本代表の香川県GK松原快晟、PKピンチもビッグセーブ



●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

成年男子はPK戦決着!流経大主体の茨城県が開催地V!

[10.3 国体成年男子決勝 福井県 1-1茨城県 カシマ]
 
 茨城県が開催地V! 3日、第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技成年男子の部決勝が行われ、連覇を狙う福井県と地元・茨城県が対戦。1-1で突入したPK戦の末、茨城県が3-1で勝ち、96年以来23年ぶりの優勝を果たした。

 福井県は元浦和のCB橋本真人をはじめGK植田峻佑やFW山田雄太ら16選手全て福井ユナイテッドFC(北信越1部)所属。一方の茨城県は右SB宮本優太やMF菊地泰智ら流通経済大の選手中心のメンバー構成で地元Vを目指した。

 試合は身体の向きとポジショニングを意識しながら、1タッチのパスなどを正確に繋ぐ茨城県が主導権を握る。前半16分には自らのクロスのこぼれ球を拾ったMF佐藤響が斜めに切れ込んでラストパス。これをMF山口大輝が左足ダイレクトで決めてリードを奪った。

 茨城県は21分にも巧みに抜け出した菊地が左足シュートを狙う。精度の高い攻撃と高い位置での奪い返しに成功していた茨城県は主導権を離さない。一方の福井県は山田のポストプレーや左SB木村健佑のクロスなどから反撃。後半5分にはPAでターンしたMF吉田旭陽の左足シュートがゴールを捉えたが、茨城県はGK高井悠貴がファインセーブで阻止する。

 福井県は直後にも左CKから橋本が決定的なヘディングシュートを放ったが、ボールはクロスバー上方へ。茨城県も福井県GK植田の好守に阻まれるなど追加点を奪うことができない。

 拮抗した展開の中で福井県は幾度かカウンター攻撃。23分にはそのカウンターで獲得したCKから同点に追いついた。木村健の左CKをMF福田航太がDFと競りながら右隅にねじ込んで1-1。その後、互いにサイド攻撃からチャンスを作ったが、ゴール前の精度を欠いたり、相手の身体を張った守りにブロックされたりするなど勝ち越すことができなかった。

 試合は1-1のまま延長戦に突入。福井県はその前半1分、山田のキープからMF石塚功志が決定機を迎えたが、茨城県SB宮本が身体を投げ出してシュートブロック。茨城県もFW満田誠がカットインからシュートへ持ち込むシーンなどがあったものの、仕留めることができない。

 延長戦でもスコアは動かず、タイトルの行方はPK戦に委ねられた。先攻・福井県の2人目、3人目のシュートが立て続けに枠外へ。一方、茨城県は宮本、CB伊藤敦樹、菊地が成功する。最後は福井県4人目のシュートを読み切った茨城県GK高井がストップ。この瞬間、茨城県の開催地Vが決まった。

(取材・文 吉田太郎)
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成年男子はPK戦決着!流経大主体の茨城県が開催地V!

[10.3 国体成年男子決勝 福井県 1-1茨城県 カシマ]
 
 茨城県が開催地V! 3日、第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技成年男子の部決勝が行われ、連覇を狙う福井県と地元・茨城県が対戦。1-1で突入したPK戦の末、茨城県が3-1で勝ち、96年以来23年ぶりの優勝を果たした。

 福井県は元浦和のCB橋本真人をはじめGK植田峻佑やFW山田雄太ら16選手全て福井ユナイテッドFC(北信越1部)所属。一方の茨城県は右SB宮本優太やMF菊地泰智ら流通経済大の選手中心のメンバー構成で地元Vを目指した。

 試合は身体の向きとポジショニングを意識しながら、1タッチのパスなどを正確に繋ぐ茨城県が主導権を握る。前半16分には自らのクロスのこぼれ球を拾ったMF佐藤響が斜めに切れ込んでラストパス。これをMF山口大輝が左足ダイレクトで決めてリードを奪った。

 茨城県は21分にも巧みに抜け出した菊地が左足シュートを狙う。精度の高い攻撃と高い位置での奪い返しに成功していた茨城県は主導権を離さない。一方の福井県は山田のポストプレーや左SB木村健佑のクロスなどから反撃。後半5分にはPAでターンしたMF吉田旭陽の左足シュートがゴールを捉えたが、茨城県はGK高井悠貴がファインセーブで阻止する。

 福井県は直後にも左CKから橋本が決定的なヘディングシュートを放ったが、ボールはクロスバー上方へ。茨城県も福井県GK植田の好守に阻まれるなど追加点を奪うことができない。

 拮抗した展開の中で福井県は幾度かカウンター攻撃。23分にはそのカウンターで獲得したCKから同点に追いついた。木村健の左CKをMF福田航太がDFと競りながら右隅にねじ込んで1-1。その後、互いにサイド攻撃からチャンスを作ったが、ゴール前の精度を欠いたり、相手の身体を張った守りにブロックされたりするなど勝ち越すことができなかった。

 試合は1-1のまま延長戦に突入。福井県はその前半1分、山田のキープからMF石塚功志が決定機を迎えたが、茨城県SB宮本が身体を投げ出してシュートブロック。茨城県もFW満田誠がカットインからシュートへ持ち込むシーンなどがあったものの、仕留めることができない。

 延長戦でもスコアは動かず、タイトルの行方はPK戦に委ねられた。先攻・福井県の2人目、3人目のシュートが立て続けに枠外へ。一方、茨城県は宮本、CB伊藤敦樹、菊地が成功する。最後は福井県4人目のシュートを読み切った茨城県GK高井がストップ。この瞬間、茨城県の開催地Vが決まった。

(取材・文 吉田太郎)
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山口県は49年ぶりの準決勝で敗退も気迫の戦い。3位決定戦でも積み上げて地元へ

中盤での鋭いドリブルなど山口県を引っ張ったMF末永章太郎(高川学園高)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.2 国体少年男子準決勝 静岡県 6-1 山口県 新浜緑地多目的球技場]

 49年ぶりに準々決勝を突破した進出した山口県だったが、準決勝は立ち上がりにミスから失点。ボールを奪いきれずに主導権を握られたチームはセットプレーとワンツーによって守りを崩されるなど前半だけで3点を奪われてしまった。

 愛知県、大阪府、そして岡山県との激闘を続けてきたチームは疲労の色も見えた。だが、選手たちの声は絶えない。後半は気持ちが全面に伝わってくるような戦い。特にエネルギッシュな攻守でチームを牽引したMF末永章太郎(高川学園高2年)は「後半は全然みんな勢いがあって、3点差を追いつこうと」と振り返る。

 PKによって4点目を奪われた後の13分、鮮やかなパスワークからU-16日本代表のエースFW河野孝汰(山口U-18、1年)がマークを外して左足で追撃ゴール。その後も各選手たちが運動量を上げ、右SB吉田光(山口U-18)が攻め上がりから強烈なミドルシュートを狙ったり、CBから前線に移った田中誠太郎(高川学園高2年)がパワフルな突破を繰り出すなど、点差を感じさせないような戦いを見せていた。
 
 結果は1-6で完敗。末永は「全然球際のところとか静岡の人にも勝てなかった。まだまだ」と首を振る。それでも、今大会は準々決勝のヒーロー・GK徳若碧都(高川学園高1年)やMF柳井敦志(山口U-18、2年)を中心とした粘り強い守りとエース河野の活躍などで歴史を変えた。

 ここまでの戦いについては、松井大輔監督(西京高)も「(ベスト4は)U-16になってから初めて。選手たちの力だと思います」と賞賛。そして、3日の3位決定戦へ向けて「『しっかりと積み上げて山口に帰ろう』と。それぞれの所属先で一人ひとりがサッカー選手として次に繋がる終わり方ができれば良い。できるだけたくさん次に繋がる要素の得られる試合にしたい」と期待した。

 末永は「全国のこういった上手い人たち、日本代表の人たちとやれて、プレッシャーの中で自分の良さを出すということを学びました。(3位決定戦は)全員で気持ちを切り替えて、新たな歴史を残したいです」ともう1勝して国体を終えることを誓った。

(取材・文 吉田太郎)
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「一番小さい県でも、これだけできると見せよう」。香川県は惜敗も、初の4強の経験を次世代へ

好守を連発した香川県のU-15日本代表GK松原快晟。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.2 国体少年男子準決勝 広島県 2-0 香川県 新浜緑地多目的球技場]

 今大会無失点で初の4強入りを果たした香川県は、準決勝でもU-15日本代表GK松原快晟(讃岐U-15)が前半29分にPKをストップ。微妙な判定で与えたPKによる失点を防いた松原は、直後にもビッグセーブを見せてチームを盛り上げる。

 だが、広島県はこれまでの対戦相手以上に攻撃のテンポが速く、奪い返しの部分も強烈。守勢の展開が続く中でも各選手が守備のタスクを全うしようとしていたが、集中力を維持するのは簡単ではなかった。

 松原は「前半でPK1本止めれて、次に1本良いセーブできて…でも自分の中で集中力が切れてしまった」と悔しがったように、セットプレーから悔しい2失点。石田英之監督(讃岐U-18)はその後何度も押し込まれながらも追加点を与えなかったことについて「最後まで粘り強く守っていたのはチームの良さだと思う」と頷いていたが、快進撃は準決勝でストップした。

 それでも、香川県の歴史を変えたことは間違いない。石田監督は「一番小さい県でも、これだけできると見せようと話していた」という。立ち上がりから前に出てボールを奪い切るなど入りの良さと組織的な守備。そして、「チーム競技なので年上だからといって一歩引いてしまうとやりづらい。一番うしろから見えているのでリーダーシップを持ってやらないといけない」という中学生GK松原がリーダーシップを持ってチームを支え続けた。

 加えて。勝負どころでFW岩佐麟太郎(讃岐U-18、1年)やFW川田脩斗(讃岐U-18、2年)、MF富永拓斗(讃岐U-18、1年)、FW小山聖也(讃岐U-18、1年)が貴重なゴールを決めるなど堂々の戦いを見せた。これが香川県の次世代や四国の他県の選手たちに勇気を与えたことは間違いないだろう。

 松原は「来年とかあるので、下の代や四国にも良い刺激になったと思います」と語った一方、「きょうの試合以外は良かったと思うけれども、最後のちょっとしたところで勝敗が変わってしまう、修正しなければいけない」。来年の目標は今年超えだ。まずは3日に開催される山口県との3位決定戦に全力を尽くすこと。勝って、さらなる自信と経験を香川に持ち帰る。

(取材・文 吉田太郎)
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[MOM2988]広島県DF西村岳(広島ユース、1年)_自身初の日本一へ。3バックの中央で君臨する10番

広島県の10番DF西村岳(広島ユース)が決勝進出に貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.2 国体少年男子準決勝 広島県 2-0 香川県 新浜緑地多目的球技場]

 3年前の優勝時同様、広島県の3バックの中央には背番号10のレフティーが構えている。当時はMF登録の鈴直樹(広島ユース→青山学院大)がその左足で攻撃のタクトを振るっていたが、今年は同タイプの西村岳(広島ユース、1年)がゲームをコントロール。存在感のある動きでチームの決勝進出に貢献した。

 この日は、「どんな時間帯も締めてやらせないことは共通している」という通り、守備面では鋭い読みを活かしたカバーリングなど隙を見せることなく、香川県をシュート1本に封じた。また、攻撃面では得意の左足で相手の背後のスペースへ配球。攻守両面で前へ出て来ようとする相手を裏返し、その勢いを止めた。

「自分は、本当はボランチの選手なんですけれども、キックが持ち味であのポジションをやらせてもらっているので、チームが辛い時に自分のキックで裏返したり、自分の持ち味でチームを助けられれば良いと思っています」と西村。冷静な視点でフィールドを見渡す特長も持つ10番は、狙い通りのプレーでチームを助けていた。

 ボランチから最終ラインに転向した当初は、好きな攻撃をする回数が減ることを懸念していたという。それでも、現在は「半年くらいバックになってきて狙うタイミングとか分かってきて、守備の楽しさとか分かってきた。与えられた場所と時間で戦えたら良いと思っています」。岩成智和監督(広島ユース)も「本当はあのポジションではないけれど、普通にこなしてゲームをコントロールしたりしてくれている」と感謝していたが、DFの楽しさを知った西村は、新境地で結果も出してきている。

 中学卒業時、横浜FMジュニアユースからユースチームに昇格することができず、声を掛けてくれた広島へ。「親元を離れてやってみたいと思いましたし、自分の決定した意志に誇りを持てた」という西村は、ひたむきにやり続ける「広島スタイル」の中で新たな学びを得て、プレーヤーとしての幅を広げるなど自分の選択を成功に繋げてきている。

 そして、国体で活躍し、自身初の日本一まであと1勝。「静岡は千葉寛汰選手がいて凄く点を決めているので、自分がそれを止めれれば良いし、自分は全国1位を取ったことがない。マリノスの時は小学生の時2位で、ジュニアユースでは3位だったので、自分の中では1位を経験したことがないので、このチーム全員で優勝できれば良いなと思います」。10番は仲間たち全員とあと1勝を果たして、“日本一の景色”を見る。

(取材・文 吉田太郎)
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全治9か月の大怪我乗り越えて躍動する広島県FW棚田、兄超えまであと1勝

広島県のFW棚田遼(広島ユース)は決勝進出に大きく貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.2 国体少年男子準決勝 広島県 2-0 香川県 新浜緑地多目的球技場]

 大怪我から復活したアタッカーが広島県を牽引している。3-6-1システムのシャドーの位置に入っているMF棚田遼(広島ユース、1年)は昨年12月、左膝に全治9か月の重傷を負った。2か月間入院し、今年2月頃から少しずつリハビリ。そして今夏にようやく練習に加わるようになった棚田は9月2日に実戦復帰を果たし、「目標」の国体メンバーに滑り込んだ。

「ここに合わせてリハビリとか頑張ってきた」棚田は今大会の国体で4試合連続ゴール。2回戦では後半アディショナルタイムに劇的な同点ゴールを決め、前日の準々決勝では2得点1アシストの活躍を見せた。

 そして、この日も序盤から香川県の高いDFラインの背後へ抜け出す動きを連発。16分には右サイドから決定機を演出し、前半29分にPKを蹴るチャンスが巡ってきた。だが、GK松原快晟(讃岐U-15)の動きを深読みしすぎたというPKは止められ、直後の決定機も再び松原に止められてしまう。それでも、この日はチームメートたちが挽回。棚田のシュートで得たCKから先制点を奪い、後半にも1点を加えて2-0で勝った。

 棚田はリハビリの期間について、「走りの期間が凄く長くてメンタル的にも凄い辛かった」と振り返る。それでも、目標とする舞台に立ち、攻撃力やハードワークする力を発揮。4得点については「守備が頑張ってくれて最後自分に繋げてくれるのがあるので、みんなのお陰」と謙遜していたが、その動きの量や技術力がチャンスを生み出していることも確かだ。

 2歳上の兄、FW棚田颯(広島ユース、3年)は2年前の国体で準優勝。棚田は兄が当時記録した1得点を上回る得点数を叩き出している。「兄は準優勝していて、自分は絶対にその結果を抜かしたかったし、兄の得点を抜かしたかった。(決勝は)自分がFWを引っ張っていって自分の点で勝てるようにしたい」と棚田。長期離脱から復活を遂げた背番号7は、決勝で再びゴールを決めて、チームの結果でも兄を超える。

(取材・文 吉田太郎)
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攻守にアクションし続けた広島県が3年ぶりVに王手!歴史変えた香川県の進撃はストップ

後半8分、広島県はDF豊田将大(広島ユース、右端)が貴重な追加点。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.2 国体少年男子準決勝 広島県 2-0 香川県 新浜緑地多目的球技場]

 攻守にアクションし続けた広島県が決勝進出! 第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の部は2日に準決勝を行い、3年ぶりの優勝を狙う広島県と初の4強入りを果たした香川県が対戦。広島県が2-0で勝ち、決勝(対静岡県、10月3日)進出を決めた。

 今大会、“台風の目”となっていた香川県を広島県が止めた。これまで、前半の入りの良さで優位に立ち、無失点で勝ち上がってきた香川県だが、この日は広島県を凌駕することができない。広島県はMF棚田遼(広島ユース、1年)やMF森本凜(瀬戸内高2年)が相手の高いDFラインの背後へ抜け出す動きを連発。DFラインからの正確なキックやサイドチェンジで揺さぶり、相手の得意とする前からのディフェンスを出させなかった。

 29分には右サイド後方からのサイドチェンジを受けた左WB田部健斗(広島皆実高1年)が、DFと競りながらPAに入ったところでファウルを受けてPKを獲得。今大会4得点の棚田がキッカーを務めたが、右足シュートは香川県のU-15日本代表GK松原快晟(讃岐U-15、中学3年)が読み切ってストップする。

 広島県は32分にもこぼれ球に反応した棚田の決定的な右足シュートが枠を捉えたが、香川県GK松原が再びビッグセーブ。DF陣が最後まで一歩を出して寄せる部分や、組織的に守る部分など香川県は磨かれてきた部分を初の準決勝でも発揮した。

 だが、広島県は棚田のシュートで得た左CKを得点に結びつける。前半33分、右WB光廣健利(広島ユース、1年)の左CKをファーサイドのDF豊田将大(広島ユース、1年)が中央へ折り返す。これを準々決勝先制点の森本が、右足で決めて広島がリードを奪った。

 先発11人中9人が讃岐U-18に所属する香川県は、MF富永拓斗(讃岐U-18、1年)がFW岩佐麟太郎(讃岐U-18、1年)らとのパス交換から前へ。また10番FW小山聖也(讃岐U-18、1年)がドリブルで相手の守りをこじ開けようとする。そして、後半5分には敵陣でのインターセプトからMF浅田彗潤(讃岐U-18、1年)が左足ミドルを撃ち込んだ。

 スコアは1点差。十分に対抗することができていた印象の香川県だったが、広島県はわずかなところで差を生み出してくる。後半8分には再び光廣の左CKから今度はDF豊田が頭でゴールへねじ込んで2-0。貴重な追加点を奪い取った。

 ともにこの日が4試合目。ひたむきに最後までやり続ける「広島スタイル」もどこかでペースが落ちることが予想された。だが、広島県の運動量は落ちない。攻撃面では3バックの中央でゲームメークするDF西村岳(広島ユース、1年)やMF池田柚生(広島ユース、1年)の配球から左DF{香取潤}}(広島ユース、1年)らがアクションをかけて前へ。また、守備面でもハードワーク光るMF藤野和樹(広島ユース、1年)やFW菅野翔斗主将(広島ユース、2年)、森本、棚田の前線3人をはじめ、献身的に走り続けていた。

 加えて、交代選手たちも役割を全う。岩成智和監督(広島ユース)が「自分、よく言っているのは『動かされたら、絶対に持たない』と。『自分の意志で動け』って。守備も、攻撃もこの4年間貫いているけれど、『アクションサッカー。自分たちから何か仕掛ける、それが広島だよ』って言って。そうすれば気持ちよく走りますよね。これを最後までそれを貫きたいですね」と説明していたが、攻守に渡って自分たちの意志で動き続けた広島県は最後まで主導権を渡さなかった。

 香川県は左SB田尾佳祐(讃岐U-18、1年)のカバーリングやMF川田脩斗(讃岐U-18、2年)の献身的なランニングなど粘り強く戦い、交代出場のFW佐々木浩汰(高松東高)が相手の背後を狙う動きも見せていたが、GK波多野崇史(広島ユース、1年)の守る広島県ゴールに放ったシュートは1本。堂々の内容で勝利した広島県がこの4年間で3度目となる決勝進出を果たした。

 広島県の岩成監督は「みんな、日に日に良くなっていきます。優勝よりもその先が目標だから。こういう経験値って凄い」と語っていた。タフな4連戦を16人という限られた人数で戦っているが、強敵との連戦の中でU-16の選手たちは着実に進化。また、広島県の代表という責任、優勝への思いがそれを加速させている。

 棚田は決勝へ向けて「静岡は一人ひとり上手いチームだけど、自分たちも広島のサッカーやっていれば勝てると思う」。決勝でも「広島スタイル」を貫き、アグレッシブに走り続けて国体タイトルを勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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[MOM2987]静岡県MF藤原健介(磐田U-18、1年)_注目ボランチ、自信持つ技術面含めて良さ存分に発揮

注目ボランチ、静岡県MF藤原健介(磐田U-18)が快勝に貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.2 国体少年男子準決勝 静岡県 6-1 山口県 新浜緑地多目的球技場]

 先発復帰した静岡県MF藤原健介(磐田U-18、1年)が期待に応えるパフォーマンスで快勝に貢献した。

 1年生ながら磐田U-18で先発出場を続けるU-16日本代表候補ボランチは、2回戦の茨城県戦で自分のプレーを全て出すことができず、前日の準々決勝・東京都戦はベンチスタート。だが、後半からの途中出場で攻撃にリズムを作った藤原は先発復帰したこの日も、「プレミアリーグでも1年生ですけれども、そこだけは上の学年に負けたくないと思っている」という技術面や自信を持っているプレースキック、セカンドボールの回収など特長を発揮した。

 プレースキックは立ち上がりから連続で味方に合わせることに成功。前半11分には右CKでFW杉本大雅(沼津U18)のゴールをアシストした。「自分の長所はキックなので、1本目を蹴った時にGKが前に出ると認識して、2本目、3本目はGKが出ないところに落として、2本目で入ったのでそれは良かったです」。ゴールシーンの他にもピンポイントのキックを見せて相手の脅威となっていた。

 後半には絶妙なスルーパスでFW千葉寛汰(清水ユース)のPK奪取を演出し、ポスト直撃のコントロールショットも放った。加えて、藤原はボールを奪う、ゴールを奪うことを強調するチームの中で、ダブルボランチを組むMF東廉(清水ユース)とともにハードワークを継続。「前半のワンブレイクの時に『2ボランチがもっと前に絡んで行け』と言われていたので、自分から前に出ていきました」。ボックストゥボックスで仕事をするMFは技術面以外の部分での奮闘も光った。

 静岡県の村下和之監督(沼津西高)も「(前日に先発を外れ、)彼も思うところがあったかもしれません。でも、『オマエがボールを動かしてとか、ボールを拾ってといったところは凄く信用しているよ』と話をして、彼は表現してくれたので良かったなと思っています。セットプレーも『きょうはセットプレーで獲るぞ』と話していましたので、ゴールも獲れましたし、彼は表現してくれたなと思っています」と自分の良さを発揮した藤原を高く評価していた。

 今回の国体でジュビロ磐田U-18から静岡県選抜に選ばれているのは藤原一人。「選ばれていないジュビロの仲間のためにも、静岡代表なのでここで結果を出せれば良いかなと思っています。(アピールして年代別日本代表に定着するためにも)決勝で結果を残したい」と静かに闘志を燃やしている。

 磐田はクラブの寮からトップチームの練習を見学することができる。藤原はそこでMF中村俊輔(現横浜FC)の視野の広さなどを見て刺激を受けてきた。将来の目標は中村のように日本代表で活躍すること。強みを伸ばすことはもちろん、課題に挙げている守備面で自分からスイッチを入れてボールを奪いに行く部分などもレベルアップさせて、目標とする場所に近づく。

(取材・文 吉田太郎)
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沼津U18から初の国体選手。「ゴンさんと居残りでシュート練習」で力磨く静岡県FW杉本が1ゴール

静岡県FW杉本大雅(沼津U18)は1ゴールを記録。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.2 国体少年男子準決勝 静岡県 6-1 山口県 新浜緑地多目的球技場]

 設立2年目のアスルクラロ沼津U18から初の国体静岡県選抜選手だ。沼津U18の一期生でもあるFW杉本大雅(2年)は、前線での献身的な動きに加え、ゴールも決めて静岡県の勝利に貢献した。

 序盤から先制点に繋がる積極プレス。その杉本は前半11分、MF藤原健介(磐田U-18)の右CKを頭で合わせてゴールを破った。「ミニ国(国体東海ブロック予選)の時もセットプレーで決めているので狙い通りでした。ニアでしっかりと合わせられた」と杉本。今大会初ゴールを決めた杉本は後半にも惜しいシュートを放つなど、後半12分に交代するまで存在感のある動きを見せた。

 シュートは今年からアシスタントコーチ的な立場でU18チームを指導するFW中山雅史(沼津)にアドバイスを受けながら磨いたものだ。「週3日くらい、ゴンさんと居残りでシュート練習をやったりしているので、色々アドバイスもらっている」。その成果をゴールで示した。

 目標の日本一まであと1勝だ。「静岡を日本一にすることを大事に。チームを代表してきているので、チームに帰った時も経験を伝えたい」と杉本。全国制覇を果たし、その経験を自身とチームメートのレベルアップに繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
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6発!ゴールとボール奪うことを強調して戦う静岡県が山口県の進撃止めて決勝へ!

前半25分、静岡県はMF松田隼風(JFAアカデミー福島U-18)が決めて3-0。松田はバースデーゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.2 国体少年男子準決勝 静岡県 6-1 山口県 新浜緑地多目的球技場]

 ボールを奪う、ゴールを奪う力で差をつける静岡県が決勝進出! 第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の部は2日に準決勝を行い、通算21回目、国体のU-16化以降初となる単独優勝を狙う静岡県と49年ぶりの4強入りを果たした山口県が激突。6-1で静岡県が勝ち、広島県との決勝(10月3日)へ進出した。

 試合は開始1分にいきなり動いた。静岡県は前線から思い切ってプレッシャーをかけると、U-16日本代表FW千葉寛汰(清水ユース、1年)が相手GKからインターセプト。そして、無人のゴールに右足シュートを流し込んだ。立ち上がりのビッグプレーで静岡県が先制した。

 千葉は得点ランキング首位を独走する7得点目。「最初から積極的に行った結果が得点に繋がったと思います」というエースのゴールで静岡県は勢いを増した。「自分も点が欲しかったんですけれども、守備をずっと続けていれば自分にもこぼれてくると思って走りました」というFW杉本大雅(沼津U18、2年)をはじめ、前線からボールを奪いに行くディフェンスを継続。山口県を飲み込もうとする。

 そして11分、静岡県はMF藤原健介(磐田U-18、1年)の右CKに身体を投げ出して飛び込んだ杉本が合わせて2-0。さらに25分には、千葉とのワンツーで抜け出したMF松田隼風(JFAアカデミー福島U-18、1年)が左足でバースデーゴールを決めた。

 毎年のように技術レベルの高さを印象づけている静岡県だが、近年は試合を優位に進めながら惜敗するなど結果が出ていなかった。その時には感じられなかったようなボールを奪いに行く迫力や、ゴールへ向かう姿勢が進撃の原動力になっている。村下和之監督(沼津西高)が強調するのも、「(将来のプロや世界を見据えて)ボールをどんどん奪って、それをまた走って攻撃に繋げられる選手にならないといけない」という部分だ。

「(もちろんボールを動かす部分にも注力しているが、) 何よりもゴールを奪うというところ、ボールを奪うというところを意識しようと。サッカーの根本的なところを静岡としても大事にしなければいけないんだと。まず、自分たちができるのはアグレッシブな守備からボールを奪って、それを攻撃に繋げようとか、切り替えを日本一速くしようとか、子どもたちが一生懸命走り回ってくれるので、そういうところがまたゲームに上手く出ているなと思っています」。V候補の大阪府を破るなど快進撃を続けてきた山口県の勢いを上回った静岡県が前半で3点をリードした。

 だが、山口県も諦めずに3点を奪い返しに行く。運動量の多さとボランチの位置から繰り出すドリブルが光るMF末永章太郎(高川学園高2年)やハードワークを続けるMF柳井敦志主将(山口U-18、2年)、CBの位置からスプリントして攻め上がる田中誠太郎(高川学園高2年)を中心に前へ出て真っ向勝負。それに対して静岡県は7分、藤原のスルーパスで抜け出した千葉がPKを獲得し、それを右足で決めて4-0とする。

 山口県は14分、右サイドからのパスワークでボールを受けたU-16日本代表FW河野孝汰(山口U-18、1年)がDFをかわして左足シュート。1点を奪い返す。山口県は静岡県MF藤原にポスト直撃のシュートを放たれるシーンもあったが、逆に右SB吉田光(山口U-18、2年)が強烈な右足ミドルを打ち返すなど、諦めない姿勢を持って戦い続けた。

 だが、静岡県の守りは中盤で存在感を放つU-16日本代表MF東廉主将(清水ユース、2年)や高さを発揮するCB田端琉聖(清水ユース、1年)、CB菊地脩太(清水ユース、1年)を中心に堅い。そして、交代選手が意欲的なプレーを見せる静岡県は31分、左サイドから縦に仕掛けたMF熊取谷一星(浜松開誠館高2年)が左足でゴール。アディショナルタイムにも東のラストパスからMF金子星太(清水ユース、1年)が決めて6-1で快勝した。

 静岡県は前日サブだった藤原やMF清水和馬(静岡学園高1年)、松田、杉本が攻守に奮闘。ベンチスタートの選手も短い出場時間で結果を残すなど、総合力の高さを示している。千葉は「チームは試合を重ねるごとに良くなっていますし、みんなが自信を持ってやれて結果も出ている。だからこそ、こういう見ていてワクワクするようなサッカーができていると思います」と胸を張った。

 ただし、満足感はない。静岡県が目指しているのは国体のU-16化以降初となる単独優勝だけだ。藤原は「まだ何も成し遂げていないので、最後まで集中して勝利を勝ち取りたいです」と宣言。あと1試合、最高の準備をして、王国・静岡がタイトルを奪還する。

(取材・文 吉田太郎)
●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

[国体成年男子]開催地優勝かそれとも連覇か…決勝は茨城県vs福井県に!:準決勝結果

 2日、第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技成年男子の準決勝が行われ、福井県と茨城県が決勝進出した。

 福井県はDF木村魁人(福井ユナイテッドFC)の決勝点により神奈川県に3-2で競り勝って連覇に王手。開催地・茨城県は終盤に1点を返されたものの2-1で逃げ切り、開催地優勝に大きく前進した。

 なお、決勝は県立カシマサッカースタジアムで午前11時のキックオフを予定している。

【準決勝】
(10月2日)
[北海浜多目的球技場]
鹿児島県 1-2 茨城県
[鹿]根本凌(66分)
[茨]山口大輝(7分)、佐々木旭(53分)


福井県 3-2 神奈川県
[福]山田雄太(21分)、蔵田岬平(56分)、木村魁人(62分)
[神]大戸航平(24分)、西川公基(45分)


【3位決定戦】
(10月3日)
[北海浜多目的球技場]
神奈川県 11:00 鹿児島県

【決勝】
(10月3日)
[県立カシマサッカースタジアム]
福井県 11:00 茨城県


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[国体女子]三重県が連覇達成!開催地・茨城県は終盤追いつくもPK戦で散る

 第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技女子は2日に決勝を行い、三重県が優勝した。

 前回女王の三重県は開催地・茨城県と対戦。後半10分にMF杉田亜未(伊賀FCくノ一)が先制点を挙げたが、終了間際にPKを与えてしまうと、1-1で突入した10分ハーフの延長戦で勝ち越しゴールを奪えずPK戦に突入した。そのPK戦では先攻の茨城県が2本失敗したのに対し、三重県は4人全員が成功。PK4-2で連覇を達成した。

 なお、3位決定戦は前回準優勝の岡山県が3-1で埼玉県を破り、3位に輝いた。

【決勝】
(10月2日)
[ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]
三重県 1-1(PK4-2)茨城県
[三]杉田亜未(45分)
[茨]広瀬桜(69分)

【3位決定戦】
(10月2日)
[ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]
埼玉県 1-3 岡山県
[埼]井之川茉優(52分)
[岡]入口菜之花(11分)、田島光代(25分)、竹ノ谷好美(67分)


●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

[国体少年男子]決勝は静岡県vs広島県!! U-16代表FW千葉は得点ランク独走:準決勝結果

静岡県が決勝進出(写真協力=高校サッカー年鑑)
 第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技の少年男子準決勝が2日に行われ、静岡県と広島県の決勝進出が決まった。

 静岡県は、得点ランクトップのU-16日本代表FW千葉寛汰(清水ユース1年)が2ゴールを記録するなどゴールラッシュ。山口県を6-1で退け、2011年大会以来8年ぶり21回目の優勝に王手をかけた。

 香川県と対戦した広島県は、MF森本凜(瀬戸内高2年)とDF豊田将大(広島ユース1年)の得点により完封勝ち。2年ぶりの決勝進出を果たし、3年ぶり2度目の優勝まであと1勝とした。

 なお、決勝および3位決定戦は明日3日の午後1時半キックオフを予定している。

【準決勝】
(10月2日)
[新浜緑地多目的球技場]
静岡県 6-1 山口県
[静]千葉寛汰2(2分、43分)、杉本大雅(11分)、松田隼風(25分)、熊取谷一星(66分)、金子星太(70分+3)
[山]河野孝汰(49分)


広島県 2-0 香川県
[広]森本凜(33分)、豊田将大(43
分)


【3位決定戦】
(10月3日)
[北海浜多目的球技場]
山口県 13:30 香川県

【決勝】
(10月3日)
[県立カシマサッカースタジアム]
静岡県 13:30 広島県


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[国体]準々決勝写真特集

(写真協力=高校サッカー年鑑)
第74回国民体育大会
「いきいき茨城ゆめ国体」


【準々決勝】
(10月1日)
[北海浜多目的球技場]
東京都 1-3 静岡県
FC東京U-18主体の東京都はベスト8敗退
首都・東京都は5位終戦
東京都のU-16日本代表FW野澤零温が追撃弾
U-15日本代表MF梶浦勇輝、東京都の攻撃の起点に
東京都CB小林慶太が決定的なシュートをブロック
静岡県DF菊地脩太がゴール前に立ちはだかる
鈴木奎吾の左足キックは秀逸
静岡県MF金子星太が“狙い通り”の先制点
静岡県が7年ぶり準決勝進出
静岡のU-16日本代表FW千葉寛汰が得点王争い独走


富山県 0-6 広島県
富山県は無念の準々決勝敗退
スタイル貫いた広島県がベスト4へ
広島県の守護神GK波多野崇史が攻守の起点に
広島県MF西村岳は3バックの中央起用
広島県MF高柳英二郎は交代出場で豪快5点目
個の突破力見せた広島県FW菅野翔斗が3点目
広島県FW山根留偉がPKダメ押し弾! 兄は金沢FW
タフネス発揮の広島県MF森本凜が先制弾
広島県FW棚田遼は今大会4点目
“一番走っている男”広島県MF藤野和樹


[新浜緑地多目的球技場]
山口県 0-0 (PK8-7) 岡山県
PK戦は山口県に軍配、岡山県はベスト4行き逃す

香川県 2-0 鹿児島県
香川県が初の4強進出


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東京都のエースの速さ消した静岡県CB菊地。次は山口県の注目FWを「止めます!」

静岡県CB菊地脩太(清水ユース、右)は東京都FW野澤零温(FC東京U-18)とのマッチアップで好守連発
[10.1 国体少年男子準々決勝 東京都 1-3 静岡県 北海浜多目的球技場]

 3-1で強敵・東京都を撃破。静岡県の攻撃のヒーローは2得点のFW千葉寛汰(清水ユース、1年)だったが、守備面では特にCB菊地脩太(清水ユース、1年)の動きが印象的だった。

 この日はU-16日本代表候補合宿でともにプレーした経験があるという東京都FW野澤零温(FC東京U-18、1年)と対峙。前半にはクロスから決定的なヘディングシュートを放たれ、後半にはゴール前の混戦から1ゴールを許した。それでも鋭い読みと身のこなしによって、多くの時間帯で野澤のスピードに対応。相手エースの良さを消した菊地の貢献度は大きかった。

「足の速さでは絶対に勝てないので予測で上回ってやるしかないと思っていた」と菊地。日常から清水ユースの強力攻撃陣を相手にトレーニングを重ねている菊地は、「そこをどう止めるか練習から意識してやっている。それが繋がっている」と成長を実感していた。

 準決勝の対戦相手は山口県。その前線にはこちらもU-16日本代表のFW河野孝汰(山口U-18、1年)がいる。だが、菊地は「止めます」と宣言。再び注目FWの前に立ちはだかり、静岡県を8年ぶりの決勝へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
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東京都のエースの速さ消した静岡県CB菊地。次は山口県の注目FWを「止めます!」

静岡県CB菊地脩太(清水ユース、右)は東京都FW野澤零温(FC東京U-18)とのマッチアップで好守連発
[10.1 国体少年男子準々決勝 東京都 1-3 静岡県 北海浜多目的球技場]

 3-1で強敵・東京都を撃破。静岡県の攻撃のヒーローは2得点のFW千葉寛汰(清水ユース、1年)だったが、守備面では特にCB菊地脩太(清水ユース、1年)の動きが印象的だった。

 この日はU-16日本代表候補合宿でともにプレーした経験があるという東京都FW野澤零温(FC東京U-18、1年)と対峙。前半にはクロスから決定的なヘディングシュートを放たれ、後半にはゴール前の混戦から1ゴールを許した。それでも鋭い読みと身のこなしによって、多くの時間帯で野澤のスピードに対応。相手エースの良さを消した菊地の貢献度は大きかった。

「足の速さでは絶対に勝てないので予測で上回ってやるしかないと思っていた」と菊地。日常から清水ユースの強力攻撃陣を相手にトレーニングを重ねている菊地は、「そこをどう止めるか練習から意識してやっている。それが繋がっている」と成長を実感していた。

 準決勝の対戦相手は山口県。その前線にはこちらもU-16日本代表のFW河野孝汰(山口U-18、1年)がいる。だが、菊地は「止めます」と宣言。再び注目FWの前に立ちはだかり、静岡県を8年ぶりの決勝へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
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広島県は2年生MF森本が1G1A!優勝に貢献し、選手権出場狙う瀬戸内にも良い影響もたらす

エネルギッシュな動きと巧さも見せた広島県MF森本凜(瀬戸内高)
[10.1 国体少年男子準々決勝 富山県 0-6 広島県 北海浜多目的球技場]

 丸刈りの背番号2が広島県を勢いづけた。前半21分、MF森本凜(瀬戸内高2年)は「目が合った」というMF棚田遼(広島ユース)のスルーパスに反応。飛び出したGKを「抜いたら点に繋がる」とかわして、左足でボールをゴールに流し込んだ。

 さらに前半終了間際、右サイドを突破したFW菅野翔斗(広島ユース)の折り返しを受けると、DFとGKを引きつけて左の棚田へパス。これをフリーで受けた棚田が右足で2点目を叩き出した。

 序盤から森本の前線でのハードワーク、タフネスぶりが光っていた。本人も「最後まで走り切って切り替えとか速くしていくこと」と自分の役割を理解してプレーしている。一方でボールコントロールの巧さやスルーパスも兼備。岩成智和監督(広島ユース)も「ちょっとずつ良くなってきた」と評価するMFは、ハードワークでチームを勢いづける役割だけでなく、崩しの質も高めている。

 所属する瀬戸内高は昨年度の選手権で全国4強。今年も期待される一方、なかなか良い結果が出ていない。その中で、「去年のように選手権に行けたらいい」と語る森本が、広島県の国体制覇に貢献して瀬戸内にも良い影響をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
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広島県は2年生MF森本が1G1A!優勝に貢献し、選手権出場狙う瀬戸内にも良い影響もたらす

エネルギッシュな動きと巧さも見せた広島県MF森本凜(瀬戸内高)
[10.1 国体少年男子準々決勝 富山県 0-6 広島県 北海浜多目的球技場]

 丸刈りの背番号2が広島県を勢いづけた。前半21分、MF森本凜(瀬戸内高2年)は「目が合った」というMF棚田遼(広島ユース)のスルーパスに反応。飛び出したGKを「抜いたら点に繋がる」とかわして、左足でボールをゴールに流し込んだ。

 さらに前半終了間際、右サイドを突破したFW菅野翔斗(広島ユース)の折り返しを受けると、DFとGKを引きつけて左の棚田へパス。これをフリーで受けた棚田が右足で2点目を叩き出した。

 序盤から森本の前線でのハードワーク、タフネスぶりが光っていた。本人も「最後まで走り切って切り替えとか速くしていくこと」と自分の役割を理解してプレーしている。一方でボールコントロールの巧さやスルーパスも兼備。岩成智和監督(広島ユース)も「ちょっとずつ良くなってきた」と評価するMFは、ハードワークでチームを勢いづける役割だけでなく、崩しの質も高めている。

 所属する瀬戸内高は昨年度の選手権で全国4強。今年も期待される一方、なかなか良い結果が出ていない。その中で、「去年のように選手権に行けたらいい」と語る森本が、広島県の国体制覇に貢献して瀬戸内にも良い影響をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
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[MOM2986]広島県MF藤野和樹(広島ユース、1年)_「広島スタイル」支えるハードワーク

広島県をハードワークで支えるMF藤野和樹(広島ユース)。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.1 国体少年男子準々決勝 富山県 0-6 広島県 北海浜多目的球技場]

「あのハードワーク、運動量はピカイチ。覚醒していくかな」。広島県の岩成智和監督(広島ユース)はチームで“一番走っている男”MF藤野和樹(広島ユース、1年)について、そのような言葉で表現した。

 この日、藤野は切り替えの速さと強度のある守りで富山県の速攻を封鎖。「自分は攻撃よりも守備の方が目立てると思っている」と言い切るボランチは、出足の良い守備を続けて富山県に攻撃機会を与えず、完封勝利に大きく貢献した。

 一方、「パスは得意な方」という藤野はスルーパスでゴールを演出するシーンも。ボランチの位置でコンビを組む技巧派MF池田柚生(広島ユース)をサポートしながら、後半はボールに絡む回数も増やして納得の快勝で試合を終えた。

 チームのテーマは最後までにひたむきにやり切る「広島スタイル」。「そのためには運動量が必要。自分は切り替えを速くして、負けていても逆転できるための『はじめの一手』くらいになれれば」という藤野は、「広島スタイル」を表現するためにハードワークし続ける考えだ。

 目標とする姿は明確だ。「運動量は一昨年の(影山)兼三君がめっちゃ走っていたので、自分もそれを超えるくらい走って優勝に貢献できるようにしたい」。2年前の国体準優勝メンバーで、現在はユースチームをその献身性で支えるFW影山兼三(3年)以上に走って、仲間の良さを引き出す。

 将来はトップチームのMF青山敏弘のように浮き球パスを操り、運動量多くゴール前にも入っていけるような選手になることが目標。期待のボランチはまず目の前の戦いで優勝に貢献し、アピールを続けてユースチームでチャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)
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自分たちだからこそ表現できる「広島スタイル」。70分間ひたむきに戦い続けた広島県が難敵に6-0快勝!

前半21分、MF森本凜(瀬戸内高2年)の先制点を喜ぶ広島県の選手たち。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[10.1 国体少年男子準々決勝 富山県 0-6 広島県 北海浜多目的球技場]

「広島スタイル」を貫く――。第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の部は1日に準々決勝を行い、広島県が富山県に6-0で快勝。広島県は2日の準決勝で香川県と戦う。

 試合中、広島県の岩成智和監督(広島ユース)から選手たちへ向けて、幾度も「俺らしかできないことがあるやろ!」「俺らしかできんことをやり続けろ!」という声が飛んでいた。それは僅差の状況でも、点差が開いてからも一貫。「全力で、ひたむきにやり続ける」(岩成監督)という「広島スタイル」をやり通した広島県が、難敵・富山県を圧倒して2年ぶりの準決勝進出を果たした。

 富山県の先発はインターハイ準優勝メンバーのMF中川晟(1年)をはじめとした富山一高の7選手とキャプテンのMF宮下史吹(2年)ら富山U-18の4選手による11名。前日の初戦では前評判の高かった青森県を1-0で破って20年ぶり、国体のU-16化以降は初となるベスト8に駒を進めてきていた。

 対して、広島県はキャプテンのFW菅野翔斗(2年)ら広島ユースの9選手とMF森本凜(瀬戸内高2年)、左WB田部健斗(広島皆実高1年)が先発出場。2回戦では後半アディショナルタイムにMF棚田遼(広島ユース、1年)が劇的な同点ゴールを決め、PK戦の末に勝ち上がってきていた。

 ともに3バックを活用する両チームの戦いは個々の技術力高い広島県がボールを握って攻めたが、守備意識の高い富山県の守りは分厚く、ゴール前へのクロスを着実に跳ね返していく。それでも、3バックの中央に入ったDF西村岳(広島ユース、1年)やMF池田柚生(広島ユース、1年)を中心にショートパス、サイドチェンジを活用しながら攻める広島県は、富山県の守りにできたズレを的確についてゴールを連発した。

 前半21分、広島県は池田とのパス交換で前を向いた棚田が相手3バックのギャップを突くスルーパス。右サイドから斜めに走り込んだ森本がGKをかわして左足でゴールを破った。「2年生なので自分が決めて、試合を決めようと思って試合に臨みました。棚田遼と目が合って抜けることができたので点に繋がったと思います」という森本の先制点。早生まれの2年生MFが広島県を勢いづけた。

 先制された富山県は26分、FW大井優太郎(富山一高、1年)とMF杉本和真(富山一高、1年)の2人でカウンター攻撃を完結させようとしたが、広島県はGK波多野崇史(広島ユース、1年)が大きく飛び出してクリア。富山県は幾度か速攻にチャレンジしようとしていたが、MF藤野和樹(広島ユース、1年)をはじめ攻守の切り替え速い広島県の前にボールを奪われ、攻め切ることができない。杉本がロングスローを投じるシーンもあったものの、それもわずか。CKがゼロに終わるなど、青森県を仕留めたセットプレーの数を増やすことができなかった。

 一方の広島県は前半34分、菅野が右サイドを個で突破。中央でボールを受けた森本がDFを引きつけて左前方へ流すと、最後は棚田がニアに豪快な右足シュートを突き刺した。さらに後半1分、広島県は藤野のスルーパスから菅野が加点する。

 点差を広げた広島県は森本、棚田、菅野の前線3人による崩しや田部の飛び出し、池田のサイドチェンジ、そして切り替えの速い守備など良いところが多く出るゲームに。DF香取潤(広島ユース、1年)とDF豊田将大(広島ユース、1年)の両ストッパーも隙を見せずに守り続ける。

 そして後半16分、左クロスのこぼれ球を棚田が左足で決めて4点目。28分には右WB光廣健利(広島ユース、1年)の左クロスを交代出場MF高柳英二郎(広島ユース、1年)が豪快に決めて5点目を奪う。富山県も左WB富田脩平(富山一高2年)らが身体を張って戦い、交代出場のMF里見龍太郎(富山U-18、2年)中心にボールを繋いで攻め返していたが、FW辻功平(富山一高1年)の右足ボレーがGKの正面を突くなど得点を奪うことはできず。対して、最後までひたむきに走り続けた広島県は、アディショナルタイムに交代出場FW山根留偉(如水館高2年)が自ら獲得したPKを右足で決めてゴールラッシュを締めた。

 広島県は16年大会で選抜チーム大会移行後初となる国体制覇。続く17年大会も準優勝している。この数年間で明確な「広島スタイル」が確立され、それを継承。ベースにある「広島スタイル」が試合を通しての攻守におけるハードワークや切り替えの速さ、激しさ、運動量に繋がり、大分県戦のような「諦めない強さ」も生み出している。

 第二次世界大戦での被爆から復旧・復興を果たした広島県。岩成監督らコーチ陣は選手たちにその歴史を改めて説き語り、「悲しい過去をみんなの喜びに変えよう」「見た人が感動するようなサッカーをしよう」と広島県だからこそできることをチーム全員で表現しようとしている。

 森本は「切り替えを速くして球際とか強く行ったりして、(ボールを)取られた瞬間蹴らせないようにする。(この試合では)最後まで自分もできたと思います」と胸を張った。そして、「この勢いで決勝まで行って優勝できたらいい」。広島県は目の前の一戦一戦で全力を出し切り、人々の心を動かすようなサッカーを貫いて再び、頂点に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集