広島県予選は王者・広島皆実や広島国泰寺、広島県工、如水館、沼田などが決勝T進出

 第99回全国高校サッカー選手権広島県予選は6日、1次トーナメント決勝を行った。

 連覇を狙う広島皆実高は広陵高に7-0で快勝。また、広島国泰寺高広島県工高如水館高、沼田高などが決勝トーナメント進出を決めている。

 新人戦の上位4校、瀬戸内高広島国際学院高、安古市高、広島観音高は決勝トーナメントから登場。決勝トーナメントは10月25日に開幕し、決勝は11月15日に開催される。

【広島】
[1次T決勝]
広島県工高 2-1 崇徳高
山陽高 4-0 呉港高
広陵高 0-7 広島皆実高
広島翔洋高 4-1 海田高
呉高専 0-3 五日市高
広島工大高 5-0 広島城北高
尾道高 2-0 祗園北高
沼田高 3-0 安芸南高
福山誠之館高 1-4 広島新庄高
如水館高 7-0 高陽東高
広島井口高 0-8 福山葦陽高
広島国泰寺高 12-1 賀茂高

[決勝T1回戦]
瀬戸内高 - 広島県工高
山陽高 - 広島皆実高
広島翔洋高 - 五日市高
広島工大高 - 広島観音高
安古市高 - 尾道高
沼田高 - 広島新庄高
如水館高 - 福山葦陽高
広島国泰寺高 - 広島国際学院高
●【特設】高校選手権2020

東京学館新潟や長岡向陵などが新潟3回戦へ

 第99回全国高校サッカー選手権新潟県予選は8月29日と30日に1、2回戦を行った。

 全国出場歴を持つ東京学館新潟高や長岡向陵高、巻高などが2回戦突破。前回の全国3位・帝京長岡高や前回予選準優勝の日本文理高、昨年度インターハイ8強・北越高、5年ぶりの全国を狙う新潟明訓高などは3回戦から登場する。

【新潟】
[2回戦]
新潟向陽高 3-0 上越総合技術高
新発田高 8-0 小千谷西高
新潟青陵高 1-10 中越高
長岡向陵高 12-0 三条商高
加茂農林高 0-13 新潟江南高
巻総合高 3-0 津南中等教育学校
長岡商高 0-2 十日町高
長岡大手高 7-0 新潟北高
敬和学園高 3-1 三条高
東京学館新潟高 10-0 柏崎高
新発田商高 0-5 新津高
上越高 3-0 加茂高
小千谷高 0-0(PK1-4)新潟東高
新潟高 1-0 県央工高
新発田中央高 1-5 開志国際高
巻高 4-1 柏崎工高
佐渡高 0-6 新潟南高
新潟一高 1-1(PK3-4)長岡高専
見附高 0-18 長岡高
新発田南高 2-0 三条東高
村上高 0-12 加茂暁星高
新潟商高 3-1 五泉高
新津工高 0-5 新潟産大附高
長岡工高 0-2 村上桜ヶ丘高

[1回戦]
新井高 2-5 新潟向陽高
小出高 0-4 新潟青陵高
津南中等教育学校 4-2 高田商高
栃尾高 0-10 長岡商高
直江津中等教育学校 1-5 柏崎高
万代高 2-3 加茂高
新津南高 0-8 小千谷高
長岡農高 0-2 新発田中央高
豊栄高 1-2 長岡高専
六日町高 0-2 見附高
十日町総合高 0-9 五泉高
村上桜ヶ丘高 5-0 関根学園高

●【特設】高校選手権2020

[選手権]秋田県予選主な日程

第99回全国高校サッカー選手権
【秋田】

[2020年全国選手権予選]
[決勝](10月24日)
[準決勝](10月22日)
[準々決勝](10月11日)
[3回戦]
[2回戦][1回戦]
[19年選手権予選]
[過去の全国選手権出場校]
45回=秋田商高、13回=西目高(西目農高)、3回=明桜高(秋田経法大付高)、1回=男鹿海洋高(船川水産)、秋田西高、新屋高
[全国選手権主な成績]
優勝=秋田商高2(57、66年度)
準優勝=秋田商高(55年度)
4強=秋田商高3(60、85、86年度)
[過去10年の代表校と決勝成績]
19年:秋田商高 3-0 西目高
└全国大会成績:初戦敗退
18年:秋田商高 1-0 明桜高
└全国大会成績:8強
17年:秋田商高 3-0 新屋高
└全国大会成績:初戦敗退
16年:秋田商高 3-2 西目高
└全国大会成績:初戦敗退
15年:秋田商高 1-0 西目高
└全国大会成績:初戦敗退
14年:新屋高 1-1(PK5-3)西目高
└全国大会成績:初戦敗退
13年:秋田商高 2-0 秋田南高
└全国大会成績:初戦敗退
12年:西目高 0-0(PK4-2)新屋高
└全国大会成績:初戦敗退
11年:西目高 1-0 秋田商高
└全国大会成績:初戦敗退
10年:秋田商高 2-1 西目高
└全国大会成績:初戦敗退
●【特設】高校選手権2020

[選手権]九州地域各県予選日程・結果

第99回全国高校サッカー選手権

■予選主な日程、試合結果
【福岡】
└2次予選出場校出揃う
【佐賀】
└組み合わせ決定。9月27日開幕!
【長崎】
└札幌内定FW中島擁する国見、総附、創成館、日大中心か
【熊本】
└注目世代の大津が奪冠果たすか
【大分】
└組み合わせ決定。10月24日開幕
【宮崎】
└新生・日章学園と鵬翔、宮崎日大などの争い注目
【鹿児島】
└注目ルーキー加入の神村、城西、鹿実などが代表狙う
【沖縄】
└伝統校・那覇西中心の戦いか


●【特設】高校選手権2020

[選手権]中国・四国地域各県予選日程・結果

第99回全国高校サッカー選手権

■予選主な日程、試合結果
【鳥取】
└米子北が11連覇に挑戦
【島根】
└立正大淞南と大社中心の戦いか
【岡山】
└9月13日開幕!
【広島】
└9月6日、皆実、広島国泰寺などが決勝T進出
【山口】
└高川、西京などが代表権争う
【香川】
└9月11日、組み合わせ決定
【徳島】
└昨冬8強の徳島市立が連覇狙う
【愛媛】
└8月22日、南宇和敗退
【高知】
└前回王者・高知などが全国目指す

●【特設】高校選手権2020

[選手権]関西地域各府県予選日程・結果

第99回全国高校サッカー選手権

■予選主な日程、試合結果
【滋賀】
└4連覇狙う草津東、近江、綾羽、野洲などが争う
【京都】
└強力FW陣の京都橘に東山などが挑む
【大阪】
└全国屈指の激戦区。勝ち上がるのは?
【兵庫】
└復活期す滝川二、神戸弘陵、三田学園など力
【奈良】
└9月9日、組み合わせ決定!
【和歌山】
└初芝橋本など強豪校が頂点見据える


●【特設】高校選手権2020

[選手権]北信越・東海地域各県予選日程・結果

第99回全国高校サッカー選手権

■予選主な日程、試合結果
【長野】
└11月7日決勝!
【新潟】
└ベスト32決定!
【富山】
└組み合わせ決定。9月27日開幕!
【石川】
└奪還狙う星稜、前回王者・鵬学園中心の戦いに
【福井】
└組み合わせ決定。丸岡、福井商などが2回戦から
【静岡】
└前回日本一・静学の進撃を止めるのは?
【愛知】
└群雄割拠。勝ち抜くのは?
【岐阜】
└帝京大可児がリード。各務原などが追う
【三重】
└連覇狙う四中工中心の戦いか


●【特設】高校選手権2020

[選手権]関東地域各都県予選日程・結果

第99回全国高校サッカー選手権

■予選主な日程、試合結果
【茨城】
└明秀日立、鹿島学園は5回戦から登場
【栃木】
└組み合わせ決定。矢板中央は4回戦から登場
【群馬】
└前橋育英、桐生一が同ブロック!3回戦で激突も!
【埼玉】
└須藤、小見ら注目世代の昌平がリードか
【千葉】
└流経大柏と市船の2強に食い込むのは?
【東京A】
└11月14日決勝!
【東京B】
└11月14日決勝!
【神奈川】
└組み合わせ決定!決勝Tは10月18日開幕
【山梨】
└組み合わせ決定。日大明誠、山梨学院など3回戦から


●【特設】高校選手権2020

[選手権]北海道・東北地域各県予選日程・結果

第99回全国高校サッカー選手権

■予選主な日程、試合結果
【北海道】
└10月25日、決勝
【青森】
└9月11日、組み合わせ決定!
【岩手】
└盛岡商、専修大北上、遠野などが全国争う
【宮城】
└仙台育英、聖和学園中心の戦いか
【秋田】
└秋田商が6連覇に挑戦
【山形】
└羽黒、山形中央、日大山形などが全国争う
【福島】
└阿部、アンリ注目の尚志中心の戦いに

●【特設】高校選手権2020

旧友の活躍も刺激に。札幌内定FW中島大嘉は成長続け、「最後に選手権に出て国見町の人たちに恩返ししたい」

北海道コンサドーレ札幌加入内定のFW中島大嘉は今冬、国見高を全国で輝かせる
 プロ入りを決めた大型ストライカーが今年、国見高(長崎)を復活させる。FW中島大嘉(3年)は1日、北海道コンサドーレ札幌新加入会見に出席。今冬、高校生活最後の選手権を控える中島は、「国見町は国見高校サッカー部が活躍すれば元気になると思う。札幌で試合に出て活躍するのも一つだと思うんですけれども、最後に選手権に出て国見町の人たちに恩返ししたい」と力を込めた。

 国見出身の両親を持つ中島は、大阪の強豪・街クラブRIP ACE SCに所属していた中学3年時に誘いを受け、国見での挑戦を決意した。「もう一回、青と黄色のユニフォームを。最近(全国に)出れていないというのは知っていたので、自分が入って自分が連れて行ったら『格好良いな』と思ってそこが大きかった」。両親の元を離れ、長崎の祖父母の家から国見へ通学。両親を知る国見町の人々から気にかけてもらいながら、選手権出場・プロ入りへのスタートを切った。

 188cmの長身と50m走5秒台の快足。素材感十分のFWの闘志に火をつけたのは、中学時代の仲間たちの活躍だ。18年度全国高校選手権で流通経済大柏高(千葉)のGK松原颯汰が1年生守護神としてブレイク。ビッグセーブを見せるなど準決勝までの4試合を1失点で凌ぎ、決勝進出した。国見に入学した際、「3年連続で選手権出て、3年連続得点王になると思っていたんですけれども」という中島は、「1年の時に颯汰が決勝に出ているのを見て、『ちょっとヤバいな』と感じて」と振り返る。

 また、同じくRIP ACEから興國高(大阪)へ進学したFW樺山諒乃介(3年)が今年2月に横浜FM加入内定。「カバが色々話題になっていて、色々な人に聞いても、『カバ、ヤバいな』となっていて、意識しているところがあって、マリノス決まったりした時も自分は刺激をもらっていました。あと、自分は(G大阪でブレイク中のFW)唐山翔自も小学校の時から知っているので、評価されているのは悔しかったですし、自分のモチベーションになりました」。旧知の選手たちの活躍が彼の進化を後押しした。

 中島は木藤健太監督ら国見コーチ陣の熱心な指導を受ける中でプレーヤーとしても、人間としても成長。木藤監督は「3年生になってから、彼の意識が非常に変わってきました」と頷く。中島は今年3月にJ1クラブへ練習参加。そこでプロという目標がより現実的なものになった。そして、新型コロナウイルスの影響による活動自粛期間に自分について考え、不足していたことを改善。7月の練習試合では高さとスピードを存分に発揮して活躍し、札幌入りに繋げた。

 その中島は札幌でスケールアップし、チームに戻ってくることを考えている。この日、札幌の竹林京介強化部長は中島を特別強化指定選手として申請中であることを明言。学校と相談した上で可能であれば、札幌に帯同する模様だ。

 国見の木藤監督も「早い段階で札幌に行って、プロのスピードに慣れることが彼の成長のために一番良いのではないか」とコメント。そして、「学校との話し合いになってくるんですけれども、可能な限り札幌でプレーをさせたいと考えています」と加えた。
 
 札幌への合流が認められれば、中島にとっては現在意識しているオフ・ザ・ボールの動きをより向上させるなど、J1クラブでより自分のストロングポイントを活かす術を身につけるチャンス。一方で、国見から一時離れることになる。今年、国見はプリンスリーグ九州へ復帰。今月5日には20年限定のスーパープリンスリーグ九州開幕を控えている。そして、10年度以来遠ざかっている選手権出場が何よりも重要。史上最多(首都圏開催移行後)となる7度目の全国制覇を本気で目指している。

 一時離脱となれば、コミュニケーション面の不安が出てくるが、中島はそれを補って余りあるほどに成長して帰ってくることを誓う。「帰ってきた時に『オマエ、誰や』と言われるくらいのレベルになって帰ってきたいなと思っています。国見が上に行くために、自分が大きく成長して全国に行けたら、行ったことが良かったと思えると思うので、今はしっかりと責任感を持ってやろうと思います」と力を込めた。

 もちろん、国見でも成長できる面がある。木藤監督は「高校生で未熟なところがまだあると思いますので、(残り半年間、国見にいる期間は)プロでやっていくためのメンタル面というところではサポートができるのではないかと考えております」。プロになること、国見を復活させることを目指して大阪から長崎の名門へ進学。プロ入りの目標を叶えた大型ストライカーは、国見の青と黄色のユニフォームを選手権で輝かせるため、日々貪欲に成長を続ける。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2020シーズンJリーグ特集ページ
●2020年Jリーグ移籍情報
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

磐城、湯本など17校が福島3回戦へ

 第99回全国高校サッカー選手権福島県大会1次大会が22日から29日まで行われた。安積高、湯本高磐城高、二本松工高、相馬高、小高産業技術高、福島西高、清陵情報高、会津工高、東日大昌平高、郡山北工高、磐城桜が丘高、白河旭高、本宮高、福島成蹊高、葵高、相馬東高の17校が2次大会(3回戦)進出を決めた。

 大会6連覇中の尚志高聖光学院高帝京安積高学法石川高など11校を加えた28校で2次大会は争われる。


▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

創部2年目の福大若葉など24校が福岡1次予選突破!

 第99回全国高校サッカー選手権福岡県予選は20日から30日まで第1次予選を行い、24校が新たに第2次予選進出を決めた。

 創部2年目の注目校、福大若葉高が初の1次予選突破を決めたほか、全国出場歴を持つ伝習館高や福岡大大濠高豊国学園高などが2次予選進出。一方で県1部リーグ勢の八幡高は誠修高に、また武蔵台高は三潴高にそれぞれ敗れている。

 1次予選を免除されている新人戦優勝校・九州国際大付高と同準優勝校・飯塚高、連覇を狙う筑陽学園高、2年ぶりの奪冠を目指す東福岡高、伝統校・東海大福岡高、希望が丘高、筑紫台高、高稜高を加えた32校が、10月17日から2次予選を戦う。

【福岡】
[1次予選決勝]※勝者が2次予選へ
修猷館高 1-2 八幡工高
北筑高 0-0(PK7-6)福岡高
北九州高 2-0 稲築志耕館高
嘉穂東高 4-1 九州産高
折尾愛真高 1-2 近大福岡高
福岡講倫館高 3-1 南筑高
伝習館高 2-1 八幡南高
福岡大大濠高 5-0 八女工高
春日高 1-0 八女高
星琳高 5-0 福岡常葉高
筑紫高 5-0 須恵高
新宮高 2-1 育徳館高
誠修高 3-1 八幡高
三潴高 1-0 武蔵台高
小倉東高 5-0 福岡西陵高
八女学院高 2-3 常磐高
福翔高 3-0 福島高
福大若葉高 3-2 筑前高
中間高 0-2 直方高
小郡高 0-3 福岡魁誠高
筑紫丘高 6-0 博多高
豊国学園高 2-1 福岡一高
柏陵高 2-1 青豊高
九産大九州高 1-0 博多工高
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

16校が青森県1次予選突破。伝統校・五戸は青森工に敗れる

 第99回全国高校サッカー選手権青森県予選は24日から30日まで1次予選を行った。青森北高、黒石高・黒石商高、東奥義塾高、青森工高、三沢高、弘前高、弘前実高、田名部高、八戸工高、弘前南高、八戸工大一高、五所川原工高、青森西高、青森高、八戸北高、八戸西高の16校が2次予選進出。選手権出場14回の伝統校、五戸高は青森工にPK戦で敗れ、1次予選敗退となった。

 昨年度選手権全国2位の青森山田高と同青森県予選準優勝の八戸学院野辺地西高、八戸高、三本木農高、三沢商高、十和田工高、八戸学院光星高、青森南高は1次予選免除。2次予選は10月17日に1回戦を行い、決勝戦は11月8日にカクヒロアスレチックスタジアムで開催される。


▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

愛媛予選は松山商などが2回戦へ。古豪・南宇和は今治工に敗れる

 第99回全国高校サッカー選手権愛媛県予選は23日までに1回戦が終了した。7年ぶりの全国を目指す松山商高は宇和島水産高に13-0で勝った。一方でかつて日本一にも輝いた歴史を持つ南宇和高が延長戦の末、今治工高に1-2で敗れている。

 2回戦は9月19日と20日に開催され、宇和島東高済美高などが登場。第1シードの今治東中等教育学校と第2シードの今治西高、第3シードの松山北高、第4シードの松山工高はいずれも3回戦(10月10、17日)から登場する。

【愛媛】
[1回戦](8月18、20、22、23日)
松山商高 13-0 宇和島水産高
今治工高 2-1(延長)南宇和高
松山中央高 1-2 野村高
内子高 2-5(延長)伊予高
三島高 2-3(延長)小松高
新居浜西高 2-1 東温高
北宇和高 0-1 松山東高
川之江高 4-1 新居浜商高
吉田高 6-0 丹原高
松山南高 2-1 西条高
松山城南高 0-15 大洲高
伊予農高 10-0 土居高
宇和島南高 7-0 宇和高
大洲農高 0-9 新居浜工高
●【特設】高校選手権2020

愛媛県予選が開幕。小松、新居浜工などが2回戦へ

 第99回全国高校サッカー選手権愛媛県予選が18日に開幕した。

 愛媛県予選は例年実施されていた地区予選を行わず、参加全42校によるトーナメント戦で優勝を争う。18日と20日に1回戦計6試合が行われ、小松高や新居浜工高などが2回戦へ進出している。

 1回戦残り8試合は8月22日と23日に開催される予定だ。前回王者で第1シードの今治東中等教育学校と第2シードの今治西高、第3シードの松山北高、第4シードの松山工高はいずれも3回戦(10月10、17日)から登場。決勝は11月14日にニンジニアスタジアムで行われる予定となっている。

【愛媛】
[1回戦](8月18、20、22、23日)
松山商高 - 宇和島水産高
今治工高 - 南宇和高
松山中央高 - 野村高
内子高 2-5(延長)伊予高
三島高 2-3(延長)小松高
新居浜西高 2-1 東温高
北宇和高 - 松山東高
川之江高 4-1 新居浜商高
吉田高 - 丹原高
松山南高 - 西条高
松山城南高 - 大洲高
伊予農高 10-0 土居高
宇和島南高 - 宇和高
大洲農高 0-9 新居浜工高
●【特設】高校選手権2020

J内定選手としてチーム勝たせた先輩のように。川崎F内定の静岡学園DF田邉秀斗は再び全国制覇に挑戦

13日、川崎フロンターレとの仮契約前に静岡学園高のトレーニングに参加したDF田邉秀斗
 “半端ないSB”となって、選手権連覇を果たしてプロへ――。13日、静岡学園高DF田邉秀斗(3年)の川崎フロンターレ加入内定が発表された。U-18日本代表の注目DFは進路が決まり、今後の目標を自身のレベルアップと選手権連覇へ定めている。

「選手権は(昨年の)3年生の先輩方のおかげで優勝という景色を見せてもらったんですけれども、今年は自分が3年生の先輩たちの姿を思い出して、自分たちが連れて行ってあげたい。全国優勝します。自分は、静学の中でも中心選手として引っ張っていかないといけないというのがありますね」

 昨年、田邉は右SBとして選手権全6試合に先発フル出場。対人の強さやビルドアップでも力を発揮し、名門・静岡学園にとって24年ぶりとなる全国制覇に貢献した。今年は立場が変わり、チームリーダーとして臨む舞台。中心選手としての自覚を持つDFはチームメートに日本一の景色を見せることを誓った。

 川口修監督も田邉にプロ内定選手としての活躍を求める。昨年は同じくJリーグクラブ加入内定を決めたMF松村優太(現鹿島)に「オマエがやることはチームを勝たせること。(結果で)アントラーズに恩返ししなさい」とメッセージ。その松村は強い責任感を持ってチームを背中で牽引し、静岡県予選でMVPの活躍を見せて選手権出場へ導いた。そして、全国大会でも準決勝で決勝点を決めるなど奮闘し、チームの日本一に貢献している。

 川口監督はこの日、川崎Fとの仮契約と取材対応を終えた田邉に対してもメッセージ。1年前に静岡学園を選手権優勝へ導いた松村を例に出して、彼のように、チームの先頭に立ってプレーすること、そして結果を残すことを求めていた。

 すでに田邉には意識変化が見られるという。川口監督は「ここ最近グッと伸びている。(3年生はこの時期に成長するが)彼は普通の2倍くらい伸びている」と頷く。この日の午前には約2時間のトレーニング。そこでもゲーム形式のメニューなどで存在感ある動きを見せていた。今後も成長曲線を描き続け、静岡学園を選手権やスーパープリンスリーグ東海で勝たせることができるか注目だ。

 田邉の母・久見子さんによると、「(中学3年に上がる前くらいから)サッカーに対してしっかりするようになったと思います」。それまでは、サッカーに対して本気とは言えないような姿勢だったという。だが、奈良YMCAジュニアユース時代にサッカーへ取り組み方が変化し、静岡学園での3年間でプレーヤーとしても、人間的としてもより大人になってきている。

 成長はまだまだこれから。今後はこれまで以上に注目される中でのプレーとなるが、本人は「プレッシャーを受けることもプロに入ると常にそういう状況の中で揉まれると思うので、プロでのリハーサルの気持ち」と全く動じていない。

 むしろ「(高校サッカーでは“半端ない”と)言われたいですね。アイツがボールを持ったら、絶対にクロスを上げられるとか、縦に行かれるというくらいの(相手にとって)恐怖感のあるSBになりたいです」と田邉。松村は昨年、選手権予選、選手権全国大会と明らかに凄みが増し、1対1では止まらないような存在になっていた。前日12日のルヴァンカップでプロ初ゴールを決めた先輩MFのように、田邉は静岡学園で再び結果を残して、川崎Fへ加入する。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

選手権は通常開催へ! 高体連・蔵森技術委員長「選手たちは是非頑張って欲しい」

第99回全国高校サッカー選手権は通常開催を目指す。前回大会は静岡学園高が24年ぶりとなる全国制覇(写真協力=高校サッカー年鑑)
 頑張ろう高校生! 新型コロナウイルスによって、多くの人命が失われ、経済、文化、そしてスポーツも大きな影響を受けた。サッカー界も大会の中止が相次ぎ、チーム練習もストップ。だが、緊急事態宣言が解除され、少しずつ日常が戻り始めている。Jリーグは6月27日にJ2とJ3、7月4日にはJ1が再開予定。高校サッカーでは、第99回全国高校サッカー選手権の開催の可否について気になるところだ。ゲキサカでは、(公財)全国高等学校体育連盟サッカー専門部の蔵森紀昭技術委員長(成城学園中学校高等学校)にインタビューを実施。蔵森委員長は、同大会を主催する (公財)全国高等学校体育連盟、(公財)日本サッカー協会、日本テレビ・民間放送43社を中心に選手権の通常開催へ向けた話し合い、準備をしていることを明かし、高校生プレーヤーたちへエールを送った。

以下、蔵森技術委員長インタビュー

―インターハイや甲子園、文化部の全国大会が中止となっている状況ですが、現状、全国高校サッカー選手権開催について、高体連サッカー専門部はどのように考えられていますか?
「現在は、通常通り開催するということを前提に準備をしています。もちろん、これからの情勢によって最悪の事態が起こることも我々は想定していますが、そうならないように色々な段階的な部分も考えながら、基本的には開催するという方向性でいます。これは個人的な考えになるのですが、選手たちの立場に立った時に皆さん引退という言葉を使われるけれど、アマチュアスポーツに引退はありません。受験などによってサッカーをちょっとお休みするという発想はあって良いと思いますが、これで引退ではなくて、サッカーは未来に繋がっているという認識をして欲しいです。ただし、高校サッカーの節目は当然あるので、そういう意味では選手たちにとって良い節目を作ってあげたいです。そのために、この選手権を何が何でも開催して、『区切りをつけられない』『節目を迎えられない』という選手たちを何とかしてあげたいなと思っています」

―選手権開催へ向けた会議はいつ頃から行われていたのでしょうか?
「コロナ禍が大きくなってきた時に、我々運営側としてはまず前回の第98回大会を無事に終えることができて良かったという思いがありました。日本高校選抜欧州遠征の活動が中止になってしまったことは非常に残念でしたが・・・。2月下旬頃には、日本の経済活動や学校の多くに影響が出ていましたが、あと1か月感染拡大が早かったら第98回大会は予期せぬ形で巻き込まれていたかもしれないと。3月に入り、日本中の学校の活動などが止まった際に、インターハイとセットで選手権のことも我々は話を進めてきました。インターハイについては、どうしても全種目という動きがある中で、中止という決断に。色々なイベントがなくなるにつれて、我々の選手権開催への使命感は強くなっていきました。具体的に言うと、高体連の役員だけでなく、JFA、日本テレビ、スポンサー関連と関係各所の方々とすでに3回、4回とリモートの会議を実施させてもらっています」

―何としても選手権だけは死守しようと。
「そうですね。その使命感は皆さんが持たれています。大会に関わっている皆さんから凄く熱のこもった話があったり、会議中に涙される方がいらっしゃったり、それくらい皆さんがこの第99回選手権に懸ける思いを持っているということが伝わってきました」

―開催へ向けての不安、否定的な意見もあったのでしょうか?
「それはありません。もちろん、心配事は尽きないですが、どうやったら開催できるのか、という議論です。お金がかかることもあります。ただし、皆さん前向きに、何かを捨ててでも対処して、試合の環境を守ろうと。楽観的な前向きではなく、細心の注意を払いながら、どうすれば開催できるのかを常に突き詰めている状況です」

―現在、開催への障壁となっている部分は何でしょうか?
「一言で言わせてもらうと、温度差です。これは、我々が開催したいと思っている熱と、もちろん開催へ向けて応援してくれるけれど、世間の方々との温度差があります。加えて、全国でも地域によって感染のレベルやコロナに対する警戒の温度差があると思います。首都圏開催をしようとしている地域が一番厳しい状況にありますから。皆さんにどう納得してもらいながら、どう開催していくのか。温度差のある中でどう我々の熱を伝えて行くかというところは凄く障壁があるかなと思います」

―予選を含めて、開催期間中に高校生の中で感染者が出ないことを全力で目指していく。
「Jリーグなどが再開し、スポーツ界はここからの数か月間で色々な経験を積んでいくと思います。それを見て、プロスポーツでできることと我々ができること、そういったところを履き違えないようにしながら、上手く選手権に繋げていきたいという思いがあります」

―決して、ウイルスを甘く見ている訳ではない。
「我々は感染者1人2人出しても何とかやれれば良いなんて考えは全くありません。安全にどうやって開催していくか。矛盾していると思われるでしょうけれど、その中でどの辺りを通って行けば良いのか。状況が変わればどんどん変化させなければいけなくなるので、我々がやるべきことは、いくつものルートを今のうちに準備しておくという作業になるかと思います」

―想定外のことが起こらないように、万全の準備をしておく。
「当然、不安視される声がいくつもあるかと思います。状況によってしっかりと対応策を示すということがプレーしている選手、チームに安心して大会に臨んでもらうために必要です」

(公財)全国高等学校体育連盟サッカー専門部の蔵森紀昭技術委員長(成城学園中学校高等学校)が第99回全国高校サッカー選手権通常開催への準備を進めていることを明かした。(写真は2020年1月。写真協力=高校サッカー年鑑)

―高体連として、選手権予選、全国大会を行う上でコロナウイルス感染予防への取り組み、指示として考えていることがあれば。
「これをやっておけば完璧ですという具体的な策はありません。現状はチーム、選手の取り組みの中で、(手洗い・うがいなどの予防策を)習慣化して身につけてもらいたいです」

―第2波が起こった時の対応も簡単なことではない。
「全国大会だけであれば、冬なのでまだ先のことというイメージですが、そこへたどり着くための都道府県予選があります。加盟チームをたくさん抱えている都道府県は、予選の中でもかなりの時間を割くことになる。実際、タイムリミットはかなり迫っています。JFA含めて色々な協力を仰ぎながらスケジュールの確保に動いている状況です。我々が一番頭を悩ませているのは、大会を実施している途中でプレーヤーに感染者が出たり、代表校に全国大会直前で感染者が出てしまったりした時の対応です。その基準をどうするか。大会を開催していく上での土台となる対応策を現在、練っているところです」

―感染した選手を責任で押し潰す訳にはいかない。
「濃厚接触者が出たチームの扱いなどがプレッシャーになりすぎると、それを隠してしまい、クラスターを起こしてしまうような状況になってしまうかもしれません。それは絶対に避けなければいけない。参加するチーム含めて理解してもらいながら、考え方を統一してもらう必要性があると思います。非常に難しい問題です」

―開催を求める声が現場以外からあることも確か。
「これだけ色々な競技や大会が中止となっている中で、『何とか選手権が開催できる方向に持っていって欲しい』や『できるだけの協力をするよ』と言って頂いている方々が多いので、これこそ選手権の価値なのかもしれません。皆さんが認めてくれているのかなというところを我々は実感しているところです」

―高体連だけで実施することはできない。日本サッカー協会をはじめ、サッカー界全体やそれ以上のサポートも必要。
「この時期だからこそ、サッカー界は縦と横の繋がりが本当に素晴らしいなと改めて感じています。『高体連主催だから』と他人事のように言っている団体はなくて、会議、それ以外の場でも前向きに考えて細かいアドバイスをくれています。他の競技との違いというところで、サッカー界にはリーグ戦文化があります。インターハイがなくなった時に、サッカーは選手権もあるし、他競技にはないようなリーグ戦も残っていると。このリーグ戦はJFA主導でやって来たものに高体連や中体連、クラブユース連盟など色々な団体が一緒にスケジュールを調整しながらやってきたことでここまで成長して来ている。お互いが協力しながら作り上げたものがあるので、リーグ戦に対して我々は他団体同様に強い思いを持っていますし、他の団体も選手権に対して同じ思いを持って頂いている。ある意味、サッカー界は恵まれていると感じています。イベント会社さんが高校生のために合同トライアウトの企画を出して下さったり、節目の大会を行えるようにグラウンドを提供してくれる施設などがあります。サッカーに携わる方々が、高体連だけでなく、クラブユース、ジュニアユース、ジュニアと色々なカテゴリーのことを考えて行動してくれています。この状況の中、アイディアは色々なスポーツで出ていますが、実行に移せているのはサッカーが早いなという思いがあります。サッカー界では良くプレーヤーズファーストと言いますけれども、今回の色々な行動はこの理念を皆さんが持ってくれているからこそ。そのことを選手や指導者の方々も実感しているのではないでしょうか」

―高校生たちの将来を守ってくれている。
「今、高校で輝いているけど、小さな頃から知ってくれている方って多いんですよね。地元の方たちや指導者の方たちが長い目で選手を見続けてくれている。選手の成長のために、本当に縦と横の関係で色々な方が協力してくれていると感じます」

―インターハイが中止となった中でも、来年の日本高校サッカー選抜欧州遠征実施へ向けた動きがあるようですが?
「高校選抜は選手権が一つの大きな土台になっていますが、全国で開催されているリーグ戦やインターハイ、また代表活動などを我々技術委員がチェックして情報を共有しています。それが今年は全てストップしているので、私のところにも情報が入ってきていない状況です。ドイツのデュッセルドルフとも連絡を取り合っていますけれども、(日本高校サッカー選抜が毎年参加している)デュッセルドルフ国際ユース大会も実施する前提で準備を始めていて、日本高校サッカー選抜チームはすでに招待を受けているので、参加する予定でいます。そのためにも高校選抜編成の準備をしなければいけません。現在は材料がないので、全国のプレーヤーは横一線に並んでいます。これから行われる各都道府県予選でも、『こんな選手がいるぞ』という情報を集めながらピックアップしていくという考えです。逆に、選手の皆さんはどこでどうやって見られているか分からないので、『我こそは』という思いで素晴らしいパフォーマンスを見せて欲しい。そこから名前が上がってくる可能性は十分にあると思って頂きたいです」

何よりも大事なことは、新型コロナウイルスの感染が拡大しないこと。全国の高校生たちが一緒に乗り越えて、今冬も熱い戦いを繰り広げる。(写真協力=高校サッカー年鑑)

―日本代表がワールドカップでトロフィーを掲げるために高体連としても何ができるかを常に考えられています。この情勢で改めて考えさせられたこともあると思うのですが?
「縦と横のつながりという意味では、我々も高校サッカー選手権をより盛大に価値のある大会にしていきたいという思いを常に持ち続けています。決勝戦にあれだけのお客さんが来て盛り上げて頂ける、注目して頂ける大会だとしても我々は全然満足していません。もっとやれることはないかという欲を持っています。我々も先を見ています。選手権の舞台に立った選手たちが、最終的に日本代表のユニフォームを着て、ワールドカップでトロフィーを掲げてもらいたい。そこに繋げるためにはもっともっと、レベルを上げていかなければいけないという危機感に近い思いが強いです。日本のサッカーは確かに進化していると思いますが、世界のサッカーも同時に進化を続けています。世界との差を縮めるためには、育成年代の試合環境の質の向上が必要です。つまり、選手権の改革も急務だということです。トーナメントの大会におけるジャイアントキリングは確かに魅力的です。しかし、その裏側には大差がついてしまう試合がたくさん存在します。そういった試合を減らし、拮抗した試合を増やしていく必要があります。そのためには、上位リーグに所属するチームに対して予選をシードしたり免除したりする。そして、そこにリーグ戦を入れていくといったスケジュールの調整が必要だと思います。チームや選手にとっては、毎週気が抜けない公式戦が続くというわけです。年間スケジュールが過密となり、オフシーズンや暑熱の問題が叫ばれています。そのような問題も含めて、1年365日をデザインする必要があります。トーナメントとリーグ戦の両立が、日本代表が強くなるための一番の近道なんじゃないかと考えています」

―最後に、このような状況でも頑張っている高校生選手たち、そのご家族へのメッセージをお願いします。
「我々も最大限努力しながら準備していきます。それは全国の選手たちが同じような目線でしっかりと準備して頂いているという思いがあるからこそ。ですから、同じ思いを持って、諦めずにトレーニングを積んでいきましょう。もちろん、全国大会のステージに立てる選手は限られています。まだまだ思うような状況ではないかもしれませんが、諦めずにチャレンジして欲しい。今年はインターハイが中止になりました。悔しい思いをしている他競技のプレーヤーやクラスメートたちのためにもユニフォームを着て、その子たちの分も存分にプレーしてやるんだという思いを持って準備をして欲しいです。我々はしっかりと舞台を整えて、応援して下さっている皆さん含めて喜んでもらえるような、感動してもらえるような選手権にしたいと思います。そのためには選手の力が必要です。個人個人の思いを持って、是非頑張って欲しいと思っています」

高校生たちの将来を守り、さらに充実したものにすること。選手権は進化を目指し続ける。(写真協力=高校サッカー年鑑)

(取材・構成 吉田太郎、協力=全国高等学校体育連盟サッカー専門部)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2020

ゲキサカ読者が選ぶ選手権MVPは静岡学園MF小山尚紀!「試合に出られなくても信じてやり続けようと」

ゲキサカ読者が選ぶ選手権MVPに選出された静岡学園高MF小山尚紀
 ゲキサカ読者が選ぶ第98回全国高校サッカー選手権のMVP「GEKISAKA AWARD 2019 WINTER 高校生部門」に静岡学園高(静岡)MF小山尚紀(3年)が選ばれた。

 小山は、選手権で24年ぶりとなる全国制覇を果たした静岡学園の左サイドや中央で抜群のテクニックを発揮。狭いスペースを攻略するドリブルなど“一番静学らしい選手”という評価も得ていた。初戦から3試合連続ゴールを決めてチームを勢いづけると、準決勝では後半終了間際に決勝点をアシスト。決勝でも個人技で決勝点に繋がるFKを獲得するなど魅せ続けて、多くの票を得た。

 今回の企画は大会期間中に『ゲキサカアプリ』を使って実施。最も多くのクラップ(拍手=投票)を集めた選手を表彰するもので、小山にはゲキサカオリジナルトロフィーが授与された。

 小山は選手権で優秀選手に選出されたが、大学受験のために日本高校選抜の選考合宿を辞退。今年は受験勉強に専念するという。将来のプロ入りも期待されるテクニシャンにMVPの感想や選手権でのプレー、また静岡学園の3年間で取り組んできたこと、そして今後について聞いた。

―選手権MVPの感想を。
「選手権での頑張りが、そういう形で認められたのは嬉しいと思います」

―サッカー関係者ではなく、読者から選ばれてのMVPはまた価値があるのでは?
「一般の方から選んで頂いて、自分のプレーを認めて頂いたというのは凄く嬉しく感じます」

―選手権のパフォーマンスを振り返ると。
「チームとしては初戦から良い入りができて、決勝まで継続してやることができたので良かったんですけれども、個人的には最初の方は良かったんですけれども、途中からは調子が上がらなくて、そんなに満足の行くような出来ではなかったと思います」

―準決勝の決勝アシストなど随所で仕事をしていた印象だが?
「でも目に見える結果、ゴールを取れなかったのは少し反省かなと思っています」

―自分のテクニックで出せた部分は?
「対人という面では中学の頃からもそうですし、高校に入ってからもたくさんやってきたので、ボールを取られないという部分や1対1で勝つという部分で、良いところがあったんじゃないかなと思います」

―一番“静学らしい”選手という評価も聞くが?
「そう言われることは非常に嬉しいんですけれども、僕自身はそうは思わないんで、僕以外にもそういう上手い選手はいっぱいいますし、その中でも他人からそういうふうに思われるのは嬉しいかなと思います」

―プレーしていて楽しさを感じていた?
「全国大会という舞台でお客さんもたくさん入っていて、相手のレベルも凄く高くて、凄く良い環境の中でやれたということは僕にとって凄く楽しい時間でした」

―このメンバーで、このサッカーで日本一を獲りたいと話していた。
「僕も最初優勝は狙っていたんですけれども、現実味はそんなになかったので。それでも、自分たちのスタイルを信じてやり続けていたら結果は出るかなと。それは上手く結果として結びついたのは良かったです」

―初戦で手応えを得た。
「初戦で持ち味である攻撃力を発揮できて、立ち上がり硬くなっちゃったんですけれども、守備の切り替えなどで圧倒できたので、この調子で行けば行けるのかなと思っていました」

―4得点取っているけれど、ベストゴールは?
「(3回戦の)今治東戦の1点目は非常に記憶に残っています」

―どういうところが?
「立ち上がり、凄く早い時間帯だったんですけれども、相手は凄くアグレッシブに来ていて、難しい展開になるかなと思っていたところで最初に点が取れたという点で凄く良かったかなと思っています」

―埼スタの雰囲気は?
「あんなに多くのお客さんに見守られることはこれまでなくて、その中でプレーできたというのは凄く楽しかったです」

―決勝では青森山田をテクニックで上回った。
「相手は一人ひとりの個の能力が凄く高くて、フィジカル面で圧倒されることはあったんですけれども、特に後半は自分たちの良さをどんどん出して行って、それが結果に結びついたのは凄く良かったと思っています」

―0-2の時の心境は?
「0-2になった時はこのまま大量失点もありえるかなと思っていたんですけれども、みんなで集まった時に、『いや、まだ全然やれるぞ』というふうに声がけはしていたので、前半に1点返せれば何とかなるかなと思っていました」

―0-2から逆転優勝をやり遂げた。
「0-2でリードされて凄く苦しい時間帯だったんですけれども、前半は特に。途中から自分たちの持ち味が出せ始めたら、凄くボールも回るようになって、楽しいなと思っていたので、今までやってきた結果で凄く嬉しかったと思っています」

―自分の個人技で5万人の観衆が沸くのはどんな感じ?
「5万人以上の方々が来てくれて、凄く緊張もしたんですけれども、それ以上に自分たちのスタイルをこの人たちに見せたいというのがあったので、できたのかなと思っています」

―優勝してからの反響。
「新聞でも何度か静岡学園優勝と載っていたりして、そういうものを見て、凄いことをやってのけたんだなと思いました」

―地元の友だちは?
「やっぱり『テレビで見ていたよ』とか、小学校の友だちからも連絡が来たりして非常に嬉しかったです」

―特に家族は喜んでくれたと思う。
「選手権で優勝したいと思って静岡学園に来たので、それで目標がかなったので凄く喜んでくれました」

―家族に恩返しすることができた。
「今まで勝てなかったし、苦しい時期もあったので、それが一番最後に一番良い結果が出たのは凄く嬉しかったです」

―静学の3年間を振り返ると?
「凄く辛かったというのが大きくて、1、2年生の時はほとんど試合に絡めずに3年生の時も出たり出なかったりという時期がありましたし、インターハイでは(静岡県予選)決勝で負けちゃって全国大会に出られなかったので、非常に苦しい時期というのがいっぱいあったんですけれども、その中でも最後まで努力し続けて良い結果が得られたのは凄く良かったです」

―2年間何を一番努力してきた?
「自分の武器はドリブルだと思っているので、そこは曲げずに一生懸命やっていこうと思っていたのはあって、それプラスシュート練習であったり、他の守備であったり苦手な部分をしっかりと補ってこれたなと思っています」

―試合に出れなかったのがメンタル的にキツかった。
「やっぱりそれは一番キツかったです」

―やり続けられた要因は?
「僕自身は滋賀県から来ていて、高校3年間サッカーに打ち込もうと決めてこっちに来たので、やっぱりどんなに勝てなかったり、試合に出られなくても信じてやり続けようと思っていました」

―大会優秀選手。個人としても評価された。
「僕自身はそんなに良いプレーだったのかなと思うんですけれども、チームがみんな足元もあって良いサッカーができた中だったので、僕も良い結果が出せたのではないかなと思います」

―高校選抜を辞退。行きたい気持ちはなかった?
「メンバーが発表された時は知り合いもいましたし、楽しそうだなと思ったんですけれども、自分には自分のすること(受験勉強)があったので良いかなと」

―後輩たちへのメッセージを。
「優勝したチーム、日本一のチームということでここから見られると思うんですけれども、静岡県はレベルの高い高校が多いので、まずは静岡県を勝ち抜くことを第一の目標にして、その中で自分たちのスタイルを出しながらもう一度全国への挑戦権を取れるように頑張って欲しいです」

―小山選手のように上手くなりたい小学生たちへ。
「僕は小さい時から凄くドリブルが好きだったので、ドリブルばっかりやっていたんです。楽しくやっていたのが、一番ここまでやれた理由かなと思っています」

―特別な身体能力がなくても、諦めずにテクニックを磨き続けると花が開くという証明に。
「他の選手のことは分からないですけれども、僕は身体能力がないので、その中でも負けたくないという気持ちがあったので、『じゃあ、どうする』となった時に『テクニックを磨くしかないな』と思って、それが出せたのは良かったかなと思います」

―静学の仲間たちの存在。
「凄く僕たちの学年は仲が良くて、苦しい時に声を掛けてくれる仲間もいましたし、練習でもみんなが声を掛け合って良い雰囲気でできていることが多かったので、仲間には助けられたなと思います」

―特に仲の良かった選手は?
「カズ、井堀(二昭)は仲良かったかなと思います。同じクラスでしたし、同じ出られない時期を一緒に味わった仲間ですし、一緒に切磋琢磨してやり合えたと思います」

―静学の仲間たちとまた一緒にサッカーしたい気持ちも。
「毎日の練習が凄くレベルの高い人たちとできて、楽しかったですし、また成長して高校の仲間に自分の成長した姿を見せたいなと思います」

―将来をどう考えている?
「まず第一は、プロサッカー選手を目指して頑張りたいなと思います」

―最後に読者へのメッセージをお願いします。
「選手権終わって、みんなの支えもあってこういう賞を受賞できて、非常に嬉しく思います。皆さんが投票してくれたことに非常に感謝しています。今後も自分らしくブレずに頑張っていきたいなと思っています」



(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:家族の日常(昌平高・柳澤直成)

昌平高CB柳澤直成。(写真協力=高校サッカー年鑑)
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 この3年間の、いや、それよりもっと以前からの日々を思い出すと、もう涙をこらえることはできなかった。「母は自分よりも1時間ぐらい早く、4時半ぐらいに起きながら毎日弁当を作ってくれて、この会場には来れませんでしたけど、テレビの前で応援してくれたと思いますし、妹はみんなのためにご飯を作ってくれたりして、本当に素晴らしい妹ですし、お父さんもこの大会期間中も毎日LINEで声を掛けてくれたり、自分に期待してくれていたので、本当に大好きな家族の目の前で、全力で戦えて良かったです」。父、母、妹、そして直成。柳澤家にとってこの3年間は、最高の“日常”だったのかもしれない。

「試合を見に行った時に、それぞれの選手の特徴を生かしている印象があって、その環境でやってみたかったのと、自分が中3の年にインターハイで3位だったということで、選手権で全国を狙うにも良いチームだと思ったんです」。15歳の夏。埼玉県で存在感を高めていた昌平高校への進学を、直成は決断した。

 家からは電車で約1時間半。普段は朝の5時半に起き、通学電車に揺られていくが、直成の在籍していた選抜アスリートコースには、週2回の“0限”があったため、その日は5時に起きる必要があった。さらに、朝練が7時スタートに設定された夏休みは、4時起きで電車もほぼ始発。ということは、昼食用の弁当を作る母はそれより早く起きなくてはいけない。

「1年生の夏休みが一番お母さんに負担を掛けていたんじゃないかなと思います。ふざけてだとは思うんですけど、『え?明日も7時?』みたいなことは言いながら(笑)、嫌な顔を一切せずに自分のためにいろいろとしてくれていましたね」という直成の言葉を、父が補足する。「妻もその頃に弁当を作るのが『一番キツかった』って言ってましたね(笑)」。

 登校に1時間半掛かるということは、言うまでもなく下校にも1時間半が掛かる。母は夜遅くに練習から帰ってくる息子の食事や風呂を用意し、就寝しても起きるのは朝の4時近く。あくる日も弁当を作り、学校へと送り出す。実は8年前に大病を患ったこともあり、自身も無理はできず、周囲も無理はさせたくない。いろいろな意味で今まで以上に、家族がお互いにサポートし合う“3年間”がスタートした。

 2017年度の昌平も全国上位を狙える実力を誇っており、すぐに1年生がAチームに入れるような選手層ではない。「チームメイトがお父さんの顔を覚えたりしていました。『今日もいるじゃん」みたいな(笑)」と直成が笑ったように、入学時から息子の練習試合はほとんど観戦してきたという父も、「1年生だけの公式戦にはスタメンじゃなくても途中から出たりしていたので、とりあえず最初はそんなもんかなと思ってました」と当時を振り返る。

 転機は1年の冬に訪れる。所属していたカテゴリーでも前目のポジションで使われなくなっており、薄々は感じていた。「森田(光哉)先生から『オマエのリーダーシップやコミュニケーション能力は、後ろから発信することで確実にチームに良い影響をもたらすことができる』という話もしてもらったので、そこで真剣にやろうと思いました」。アタッカーからセンターバックへのコンバートを受け入れる。

 2年時は着実にステップを踏んだ時期。ベスト4となった全国総体の登録メンバーには入れなかったものの、帯同を命じられた直後の遠征から帰ってくると、Aチームのメンバー入りを果たす。それまでBチームでも定位置を掴んでいた訳ではなかったが、いわば“抜擢”に近い形。「その時は『怒られないようにやろう』と思っていました」と直成も率直な気持ちを明かす。

 その年の選手権予選は信じられない形で幕を閉じる。一方的に押し込んでいた浦和南高との決勝はまさかの逆転負け。冬の全国にはあと一歩届かなかった。その光景をベンチで見守っていたことで、感情は揺り動かされる。「先輩たちが埼スタで崩れ落ちている所や、浦和南の選手が表彰台の上で凄く喜んでいる姿を見て、『高校3年間の集大成として、来年は絶対に選手権には行かなきゃな』と思いました」。決意は定まった。片道1時間半の通学も、いよいよ最後の1年に差し掛かっていく。

 2019年はケガから始まった。Bチームの一員として参加した年始のニューバランスカップで、以前から抱えていた足首の痛みが悪化。このまま練習を続けていても、マイナスアピールになるだけだと感じた直成は、家族とも相談の上、しっかり休むことを決断した。その間にチームは4試合で25得点無失点と、圧倒的な成績で新人戦の県制覇を達成。「複雑な気持ちでしたね。『これって試合出れるのかな?』って。スタンドから見ていました」。焦りがなかったと言ったら嘘になる。

 ところが、自信を持って挑んだ関東大会予選も総体予選も揃って2回戦で敗退。特に全国出場の懸かった総体予選は、正智深谷高に0-3と完敗を喫するなど、守備陣の立て直しは急務だった。その2週間後に控えていたリーグ戦。相手はまたも正智深谷。早々に訪れたリベンジの機会を前に、直成は練習である“異変”に気付く。

「正智戦に向けて紅白戦をやった時に、自分はメンバーがスタメンとサブでミックスされていたものだと思っていたんですけど、よくよく自分のチームを見たら、ボランチが柴ちゃん(柴圭汰)と(小川)優介で、隣にテル(西澤寧晟)がいて、前に(小見)洋太とレギュラーばかりで、『ん?そういうことなの?』って。『チャンスが来たのかな。やるしかないな』ってその時に初めて思いましたね」。

 結果から言えば、直成は“持って”いた。2-0と総体予選の雪辱を果たしたゲームで、予想通りのスタメン起用に無失点という結果で応えたばかりか、2ゴールまでマークしてしまい、主役の座をかっさらう。「『たぶん今週は試合に出るんだ』って話をクラスメイトにしたら『マジで?』『点取ったらジュース何本でもおごってやるよ』みたいな。『無理だよ』と返していたんですけど、試合が終わって月曜日に学校行ったら、みんなオレの所に来て『オマエやったな!』みたいな(笑) みんなからも期待されていたんですかね」。以降のスタメンリストには常に直成の名前が書き込まれていくようになる。

 やっと掴んだ定位置。手放したいはずがない。自然と自主練の量も増え、遅い日は帰宅が夜の10時を過ぎることも。そこから夕飯、風呂、ストレッチ。就寝は11時近くなる。「ストレッチに時間が掛かるので、何回もお父さんに『お母さん寝れないから早くして』みたいに言われて、『わかってるんだけど、そうも行かないんだよ』みたいな」。身体のケアを最優先にしつつ、母もスムーズに就寝できるようにルーティンの順番を入れ替えることもあったそうだ。

 父は母の想いをこう代弁する。「子供が好きなことをやっていて、それをサポートするのはむしろ楽しかったはずです。ただ、実際に『体力的にキツそうだな』というのがあったので、そこは負担を掛けないように周りがサポートしながら。でも、直成だけとか妻だけとか娘だけとかじゃなくて、『みんながうまく周りのことをいろいろ考えていこうね』というような感じではいましたね」。

 直成がAチームの試合に出始めた頃から、妹にも変化が訪れる。「いつも昌平って試合前に相手の分析のスカウティングレポートをもらうんですけど、妹が『それ、貸して』って(笑) で、コピーしたものを試合会場に持って行って試合を見て。最後の方は『まだ今週のもらってないの?』とか言ってました(笑)」。

「娘の今のクラスの担任がサッカー部の顧問なのかな。たぶんクラスの男子のサッカー部の子よりも、サッカーは一番見ていると。『まあ、そうだよな』って。今年の昌平の試合はほとんど来ていますから」という父の言葉に、直成も笑いながらこう続ける。「父から話を聞く限りでは『あ、今絞ってる』とか、「今、ライン上げてる」とか言ってるみたいです(笑)」。

 とはいえ、休日の大半に兄のサッカーへ付き合う中学生の妹も、おそらくはそう多くない。「他にも自分自身に充てたい時間もあったはずなのに、家族のためにそういう時間へ充ててくれたことは感謝しています」と直成も素直な想いを口にする。週末の柳澤家が“サッカー”を中心に回っていたことは間違いない。

 選手権予選は満身創痍だった。太もも裏の肉離れに始まり、シュートブロック時に足首を捻挫。さらに“あばら”も傷めてしまい、息をするだけで激痛が走る。「とりあえず病院で肋間筋の肉離れというのがわかって、監督に電話したら『最後の大会だからやれる準備はやれ。最後の判断はオレがする。人間は最初からできないと決めつけるとやらないから。オマエなら行けるだろ』みたいな感じで言われて、『やるしかねえな』って思いましたね」。

 だからこそ、決勝で勝利のホイッスルを聞いた瞬間は、嬉しさと同時に安堵の想いが強かった。「最初はとりあえずホッとしました。実は決勝でもまた痛めたんですよ(笑) 高校まで全然ケガはなかったんですけどね…」。埼玉スタジアム2002のスタンドには家族の姿もあった。「決勝は妻も来ていました。『全国凄いね。行っちゃったよ』みたいに言っていて。やっぱり選手権は反響が凄いですよね。会社に行けば『テレビ見たよ』ってなりますし、とりあえず1つ結果が出て良かったねというのがありました」と父も嬉しそうにその日を思い出す。しかし、この決勝は母にとって直成の“高校サッカー”をスタジアムで見届ける最後の試合となる。

 1月2日。高校選手権2回戦。興國高と対峙する浦和駒場スタジアムの会場に母の姿はなかった。「この年末はちょっと、妻もあまり無理はできない感じで、相当調子が悪かったんです」と父が明かしたように、体調が思わしくない状況が続いていたため、現地観戦は断念せざるを得なかった。「去年から考えたら、まさか自分がここに立っているとは思っていなかったので、小さい頃からテレビで見ていた選手権に出ているのは、少し不思議な気持ちもありました」。父のため。母のため。妹のため。そして、自分のため。憧れの選手権のピッチに4番を背負った直成が歩みを進めていく。

 大会屈指の好カードと目されていた2回戦は2-0の快勝。翌日に行われた3回戦の國學院久我山高戦も、後半アディショナルタイムの決勝点で1-0と劇的な勝利。父と妹はスタンドで、母は自宅のテレビの前で2つの白星を見届ける。次の相手は高校年代最強の呼び声高い青森山田高。3年間の集大成をぶつける舞台がやってくる。

 今でもそのシーンは思い出すという。1月5日。高校選手権準々決勝。「自分の判断ミスというか、クリアミスもあって、キーパーとしっかりコミュニケーションが取れていれば、防げた失点じゃないかなとは思います」。0-1とビハインドを追い掛けていた19分。自陣のエリア内で直成が蹴ったボールは相手に渡り、そのままゴールネットへ叩き込まれてしまう。さらに1点を追加され、青森山田が3点のアドバンテージを握って最初の40分間が終了する。

 後半に入ると、昌平の意地と反発力が炸裂する。9分に1点を返し、35分にも1点差に迫るゴールを記録。最強の相手を土俵際まで追い詰めたが、最後はわずかに1点及ばずタイムアップの笛を聞く。「頑張りましたね。よくあそこまで行きました。欲を言えば『もうちょっと先にも行けたんじゃないかな』と思いますけど、高校生活が終わるだけで、まだまだ先がありますからね」。スタンドから息子の雄姿を見つめていた父は、晴れ晴れとした想いの中に身を置いていた。直成と柳澤家の“3年間”は、こうしてフィナーレを迎えた。

「県予選からずっと大変でしたね。全国もさらに大変でしたし、興國、國學院久我山、青森山田と誰もが知っている素晴らしいチームと試合ができたことは、本当に自分の中で一生の宝物です。地元の友達も『応援してるよ』って言ってくれたり、実際に応援しに来てくれたりして、もう思う存分楽しめました」。時折笑顔も浮かべながらミックスゾーンで試合を振り返る直成には、やり切った者だけが味わうことのできる充足感も漂っていた。だが、最後に家族への想いを問われると、一瞬逡巡したような表情を見せながら、ようやく絞り出した声がだんだん続かなくなっていく。

 この3年間の、いや、それよりもっと以前からの日々を思い出すと、もう涙をこらえることはできなかった。「母は自分よりも1時間ぐらい早く、4時半ぐらいに起きながら毎日弁当を作ってくれて、この会場には来れませんでしたけど、テレビの前で応援してくれたと思いますし、妹はみんなのためにご飯を作ってくれたりして、本当に素晴らしい妹ですし、お父さんもこの大会期間中も毎日LINEで声を掛けてくれたり、自分に期待してくれていたので、本当に大好きな家族の目の前で、全力で戦えて良かったです」。母に、父に、妹に、家族に早く会いたかった。

 ようやく家に着き、部屋のドアを開けると、そこにはいつもの笑顔が待っていた。この3年間の、いや、今までのすべてにありったけの感謝を伝えようと思っていたが、先に言葉が溢れたのは母の方だった。「一目散に駆け寄りましたね。そこで『よく頑張ったね』ということと、『自慢の息子だ』ということを言ってくれて。その後で『3年間、毎日本当にありがとう』としっかり言葉で伝えました」。直成の想いはもう、十分過ぎるほどに伝わっていた。それはスタジアムで自分の姿を見て欲しかったけれど、その言葉は胸に、そっとしまった。

「山田戦が終わって、電話したら妻は号泣していました。また直成が凄い泣きっぷりでテレビに映っていましたからね。ちょっと時間を置いて電話したら、録画したのを見てまた泣いているという(笑)」。父の自然な軽やかさは、家族を良い意味で力強く支えている。そんな彼は“娘”への感謝をこう語る。「この1か月、本当に妻の調子が悪かった時の、娘の働きには感謝していますね。普段そんなに積極的に料理をする子でもなかったんですけど、『その気になればそんなにできるのね』『こんなことまでちゃんとできるんだ』みたいな」。息子と同様に、しっかり成長している娘の姿がたまらなく嬉しかった。

 ふと、父があることを教えてくれた。「アイツ、最近『昌平のマネージャーになる』とか言い出してるんだよあ」。直成がその言葉を引き取る。「なんか妹が自分の代のマネージャーと仲良くなって、『待ってるよ』とか言われたみたいで。そう言えばついに『選手権の決勝見に行こう』って言われたので、たぶん行くと思います(笑)」。どうやら柳澤家と昌平高校の“縁”には、もう少し続きがありそうだ。

 母の体調はだいぶ回復し、少しずつ柳澤家には日常が戻って来つつある。「ちょっと前に妻と話していて、『直成はプレーなら首を振って周りを見てとかできているのに、普段の生活でできないね』って。だから、『サッカーでできているんだから、普段の生活でもできるだろ』って。そういう言い方に変えようって(笑)」。父の投げた直球に、直成は苦笑するしかない。「最近言われました。『ピッチでできるなら、家でもやれよ』って(笑) でも、『ピッチと普段は繋がるよ』とか言われますけど、どうなんですかね(笑)」。

 妹は来年に高校受験が控えている。直成は大学でもサッカー部に入るつもりだという。そして、父と母には子供の成長を見守りつつ、大好きなJリーグのチームを応援する日々が待っている。確かにこの3年間は特別なようでいて、これからも続いていく毎日の中の一コマであったとも言えるだろう。ただ、彼らは毎日の中の一コマが持つ幸せの意味を、強く強く実感している。「まだまだこれからですよ。いろいろなことがありますからね」。父の言葉は、家族のみんなが抱えている想いを過不足なく表現していた気がした。

 父、母、妹、そして直成。柳澤家にとってこの3年間は、最高の“日常”だったのかもしれない。それゆえに、きっとこの先にはまだまだ新たな“家族の日常”が、優しく柔らかく、彼らを包んでいくことを願ってやまない。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

▼関連リンク
●【特設】高校選手権2019
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:はじまりのおわり(青森山田高・佐藤史騎、古宿理久、浦川流輝亜)

左から青森山田高のGK佐藤史騎、MF古宿理久、MF浦川流輝亜。(写真協力=高校サッカー年鑑)
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 ピッチに入る直前。手を繋いでいるエスコートキッズも、横の“お兄さん”を見ながら一礼するのが微笑ましい。佐藤史騎は前から2番目。浦川流輝亜は前から5番目。そして、古宿理久は後ろから2番目。濃密な日々を共に過ごした最高の仲間たちと、待ち焦がれた舞台へ歩みを進めていく。「中学生の頃から一緒にやってきて、3人で一緒に高校に入って、『山田で日本一を獲ろう』という話をしてきましたし、それを叶えるのはもうこの最後の試合だけなので、悔いの残らないように自分たちらしいサッカーをしたいと思います」。古宿が決意を明かす。シブキ。リク。ルキア。横浜FCのジュニアユースから数えて6年。長い時間を共有してきた3人で挑む、最後の1試合が幕を開ける。

 最初に青森の地へとやってきたのは浦川だ。横浜FCのジュニアユースから、ユースへの昇格が有力視されていた中学3年生の夏。「昇格を一番に考えていたんですけど、その発表がある1週間ぐらい前に、お父さんに『オマエどうするんだ?』と言われて、自分は『ユースに上がりたい』って答えたんですけど、そこに明確な理由があまりなかったので、お父さんに『逃げてるんじゃないか?』と言われたんです」。

 改めて1週間考えに考え、結論を出す。「自分を変えたい」とかねてから思っており、そのためには厳しい環境に身を置くべきだと決意した。2つ上の兄が進学し、環境面も含めた話を聞いていた経緯も後押しする。中学3年生の夏。そこからの“3年半”を見据えた浦川は、青森山田中学へと編入する道を選んだ。

 古宿は失意の中にいた。「もうユースへの昇格は切られていたんです」。プロを見据え、横浜FCのジュニアユースへと入団したものの、中学3年生の夏にユースへの昇格が叶わないことを告げられる。言い表せないようなショックに襲われながらも、次の進むべき道を決めなければならない。

「高校サッカーのチームを考えた時に、まず単純に強くなりたいと思ったんです。それに高卒でプロになりたいと。その中で日本一を獲れるような高校に行けば、プロにも注目されるんじゃないかなって。だから、『高体連で一番強いチームに行こう』と思いました」。一足先にその地を踏んでいた浦川からも助言をもらいながら、セレクションでの合格を勝ち獲る。古宿も青森山田高校へと進学する道を選んだ。

 佐藤もキャリアの岐路に立っていた。中学3年生の夏。横浜FCのユースへと昇格する道は、既に閉ざされていた。本人の表現を借りれば「“やらかして”しまって、練習に参加していない時期もあった」経験から、親に迷惑を掛けてしまったという自責の念が、15歳の柔らかな心を苛む。

「親に自分が出ている試合を見せてあげられていなくて、試合に出ている姿を見せることで恩返ししたい気持ちが強かったんです」。その前の年の高校選手権。横浜FCのホームスタジアムでもあるニッパツ三ツ沢球技場で見た、廣末陸(現FC町田ゼルビア)がとにかく眩しく映った。「親は『どこでもいい』と言ってくれたんですけど、自分で『行きたい』と言って決めました」。佐藤も青森山田高校へと進学する道を選んだ。

 彼らが入学した2017年は、郷家友太(現ヴィッセル神戸)や中村駿太(現モンテディオ山形)、浦川の兄に当たる流樺(現専修大)らを擁し、冬の全国連覇を狙っていた年。すぐさま1年生にトップチームでの出番が回ってくるような状況ではない。「思い出したくないですね(笑) 人生でこれから生きていく中でも、たぶん一番キツいことだと思います」と浦川も苦笑しながら振り返る“雪中サッカー”に鍛えられつつ、来たる日を夢見て目の前のトレーニングに取り組んでいく。

 ただ、2年生になっても大きく立ち位置は変わらない。3人の主戦場はセカンドチームが所属するプリンスリーグ東北であり、そこでも浦川こそスタメン起用が多かったものの、古宿と佐藤はバックアッパーが常。12月の最終節で浦川と古宿に訪れたプレミアリーグデビューは、前者が26分、後者は1分あまりの途中出場。「高1、高2は何もできなくて、自分としても悔しい時期が多かったです」という古宿の言葉は、そのまま3人の心情を現していると言っていいだろう。

 2019年。青森の地で過ごすラストイヤー。春先のサニックス杯でようやくトップチームの一員として揃って同じピッチに立った3人は、そのままプレミアリーグEAST開幕戦のスタメンにも名を連ねる。浦川はベンチから、佐藤と古宿はスタンドから見つめていた3か月前の高校選手権決勝と同じカード。流通経済大柏高との一戦ということもあって、否が応でも気合が入る。

 浦川が持ち前のハードワークを武器に、左サイドでの上下動を繰り返せば、古宿は終盤に「自分がゴールを決めたくらい嬉しかったです」と笑う完璧なスルーパスで、チームの2点目をアシスト。佐藤も安定感のあるセービングでゴールに鍵を掛け、無失点に力強く貢献する。

1 0人のレギュラーが前年から入れ替わり、「『プレミアは全敗するんじゃないか』と思われていたようなチーム」(黒田剛監督)は宿敵相手に2-0と完勝を収め、その指揮官も「武器のないチームだけれども、これだけ地道にやれば何とか結果は付いてくるかな」と一定の評価を下す。そして、結果的に佐藤、古宿、浦川の3人は順位の確定していた最終節を除く17試合にいずれもスタメン出場を果たし、2年ぶりのリーグ制覇を完全な主力選手として味わうこととなる。

「寮生活も一緒で、クラスも一緒で、本当にずっと一緒なので、もう特別な感じはないですね」と浦川が口にした3人のキャラクターも、実にそれぞれで興味深い。「シブキは日本で一番面白いヤツです。さすがに黒田監督には誰もノリで関われないんですけど、アイツはメッチャ行くんですよ。でも、やっぱり監督もキャラをわかっているので受け入れていて、『ああ、スゲーな』って(笑)」(浦川)「シブキはワチャワチャしていますし、普通にヤバいキャラですからね。取材の時は猫カブッてるだけです(笑)」(古宿)。それを伝え聞き、「アイツら言いますね。猫カブってないですよ。いいヤツなんで、自分」と笑った佐藤は圧倒的な明るさが持ち味だ。

「リクは中学校の頃は正直あまり絡んでいなかったんですけど、高校になって絡む機会が増えてわかったのは、嫌なことでもちゃんとできるヤツですね。筋トレとかも頑張っていて、自分は筋トレ嫌いなので(笑)、自分もそういう所は見習っていきたいです」(佐藤)「リクは静かで冷静なタイプだと思うんですけど、ふざける時は結構ふざけるので、真面目なタイプでもないと思いますね。やっぱり表で猫をカブるタイプです(笑)」(浦川)。掴み所がないと言えばないようにも思えるが、芯の強さは言葉の端々に滲み出る。各々の個性が強い今年のチームの中で、古宿の落ち着きは異彩を放っている。

「ルキアは凄く賢いなと思いますし、『人に負けたくない』という気持ちが強くて、自分が持っていないものを持っているので、もっと真似していきたいなと思います。とにかく頭の良さはうらやましいですね」(佐藤)「ルキアはハードワークできますし、チームのために頑張れる選手なので、逆にあのポジションがルキアじゃなかったらと考えたら、やっぱり必要な選手だなと思います」(古宿)。献身的に努力を積み重ねられるのが浦川の長所。だからこそ、チームの誰からも信頼されている。ニコニコ笑った顔も可愛らしく、ある意味でマスコット的な存在と言ってもいいかもしれない。

 高校入学から彼らを見守ってきた正木昌宣コーチは、笑いながらこう分析する。「上手くバランスが取れていますよね。目立つのが好きなシブキがいて、黙々と核になってやり続けるリクがいて、最後まで献身的にやってくれるルキアがいて。まあ“はっちゃけるヤツ”と“ちょっとカッコつけるヤツ”と“努力を厭わないヤツ”の3人って感じかな」。三者三様のキャラクターが、それぞれをより魅力的に引き立たせる。

 全国総体は3回戦敗退を強いられたものの、前述したリーグ戦は2位以下を大きく引き離しての優勝を成し遂げ、勢いそのままに名古屋グランパスU-18とのファイナルも制し、年間王者の称号を獲得した青森山田。まさに高校年代最強チームという立ち位置で、選手権を迎える。目指すは史上9校目となる大会連覇。最激戦区と目されるブロックに組み込まれながら、米子北高、富山一高、昌平高と次々に襲い掛かる難敵を退け、今年度も埼玉スタジアム2002へ帰還する。

 準決勝の相手は帝京長岡高。序盤から押し込まれる展開の中で、6番の絶妙なスルーパスを起点に先制点が生まれる。「芝が結構長かったので、強めに出しても止まるかなというイメージで計算通りです。メッチャ気持ち良かったです」と満面の笑みを浮かべた古宿は、2点目に繋がるクロスも繰り出すなど、いつも以上に攻撃面でその能力を発揮する。

 後半25分にスタジアムを沸かせたのは1番を背負った守護神。1対1で抜け出された絶体絶命のピンチに、信じられないようなビッグセーブで失点を回避する。「ずっと『絶対止める』という気持ちでいたので、あのセービングができて良かったと思います。無意識にガッツポーズが出てしまいましたね」。佐藤による執念の好守がチームを乗せる。

 8番を付けたレフティも、90分間フル出場で攻守に奮闘し続ける。「アイツは『僕は黒子です』って言える子で、それを1年からずっとやってきて、良い意味でずっと変わらなかったのが凄いなと。今のルキアは本当にチームになくてはならない存在です」。正木コーチがその真価を笑顔で説く。終盤に1点は返されたものの、2-1で逃げ切りに成功。とうとう連覇に王手を懸けた。

 泣いても笑っても、あと1試合。勝っても負けても、青森山田での試合は次が最後。それはすなわち、3人で戦うラストゲームでもある。「やっぱり中学からの仲なので凄く思い入れもありますし、入ってきた時も『3人で選手権を目指そう』と話していたので、最後は勝って、笑って終わりたいと思います」(浦川)「横浜FCから3人でやってきていますし、3年目は一緒に出たいとずっと思ってきて、最後の試合となると悲しい気持ちもありますけど、決勝を楽しみたいですね」(佐藤)「中学生の頃から一緒にやってきて、3人で一緒に高校に入って、『山田で日本一を獲ろう』という話をしてきましたし、それを叶えるのはもうこの最後の試合だけなので、悔いの残らないように自分たちらしいサッカーをしたいと思います」(古宿)。6年間の集大成。絶対に負けられない。絶対に負けたくない。

 1月13日。高校選手権決勝。シブキは前から2番目。ルキアは前から5番目。そして、リクは後ろから2番目。濃密な日々を共に過ごした最高の仲間たちと、待ち焦がれた舞台へ歩みを進めていく。長い時間を共有してきた3人で挑む、最後の1試合が幕を開ける。

 3度の短いホイッスルが陽の傾き始めた青空へ吸い込まれ、いつもの緑を相手に譲った白いユニフォームの選手たちがピッチへ崩れ落ちる。2点を先制した青森山田は、その後に2点を奪い返した静岡学園高に追い付かれると、後半40分に逆転ゴールを許し、試合はそのままタイムアップを迎えた。

 大の字に倒れた佐藤は動けない。「正直信じられない気持ちで、チームが負けたという現実を受け止め切れなくて…」。交替でベンチに下がっていた浦川は茫然と立ちつくす。「最後までピッチに立ちたかった想いもありましたし、試合に出ている選手よりも凄く悔しかったです」。ようやく3人で戦えた最後の冬には、大会史上に残る逆転劇を演じられての準優勝という結末が待っていた。

 浦川はなかなか頭の中を切り替えることができない。「終わった瞬間は親への感謝が凄く強かったですけど、自分自身あまり納得の行くプレーもできなくて、本当に何とも言えない気持ちでした」。佐藤も涙が止まらない。「そういうキャラでもないですし、みんなの前で泣きたくはなかったですけど、応援してくれた親とかスタッフのことを考えたら、『もっと良いプレーができたんじゃないか』とか、『ここでこうすればもっと自分が貢献できたんじゃないか』とか、いろいろ頭をよぎって涙が出てきてしまいました」。

 一方で古宿は晴れ晴れとした顔をしていた。「人としての成長もそうですし、プレーの中でも自分が中心となってやっていこうという想いが強く芽生えたので、この1年間は自分の人生でも大事な年だったと思います」。決勝に向けた前日練習後。正木コーチが古宿について話していた言葉を思い出す。「アイツは明らかに新チームになった瞬間から『自分がチームの核になるんだ』という雰囲気が凄く出ていて、自信が持てるようになってきたからなのかもしれないですけど、『人間ってこうも変わるんだ』というぐらい劇的に変わったと思います」。一見クールな横顔が覆い隠している芯の強さは、最後の試合後にも垣間見えた。

 その古宿は、横浜FCへプロ選手として帰還することが決まっている。そのことについて尋ねた時、2人はこのように想いを語っていた。「嬉しさもあれば、もちろん悔しさもあって、自分も大学を経由してプロになりたい気持ちが一層増しましたし、そういう面では良いライバルですね」(佐藤)「もうそれはアイツが努力して掴み取ったことなので、凄いことだと思いますし、これからシブキと自分は大学に進むんですけど、そこでプロを目指して、また一緒のピッチでできればなと思いますね」(浦川)。

 その想いは“リク”も十分にわかっている。4年後。彼らが同じステージに立とうとした時には、圧倒的な差を見せ付けられる自分でありたいと願うと同時に、やはり彼らともう一度ボールを追い掛けたい気持ちも隠せない。「プロになれたのは自分の努力の結果だとは思うんですけど、今回はたまたま自分が報われただけなので、シブキとルキアにも大学を卒業してから絶対にプロになって欲しいですし、また一緒にサッカーができたらいいなと思っています」。

 5万6千人を飲み込んでいた埼玉スタジアム2002は、もう暗闇と静寂に包まれていた。“3年間”を2度積み重ねた“6年間”は、長かったのだろうか。それとも短かったのだろうか。横浜の地と、雪深い青森の地で、勝利という同じ目的に向かい、成長という同じ目的を共有した時間は、3人にとってかけがえのない思い出として、これからも心の片隅に息衝いていくはずだ。

 その大事な大事な宝物を携えて、春からはそれぞれが選んだ新たな道を歩み出す。シブキ。リク。ルキア。3人にとってこの“おわり”は、4年後に胸を張って再会するための未来へと続く“はじまり”でもある。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

▼関連リンク
●【特設】高校選手権2019
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史

[選手権]決勝写真特集

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
【決勝】
(1月13日日)
[埼玉スタジアム2002]
青森山田 2-3 静岡学園
絶対王者・青森山田が逆転負けで連覇を逃す(28枚)
決勝戦のオープニングゴールを挙げた青森山田DF藤原優大(8枚)
逆転負けを悔やむ青森山田DF箱崎拓「ツメの甘さが最後に出た」(4枚)
「サッカー人生で一番悔しい」青森山田MF武田英寿は連覇逸に涙(24枚)
静学スタイル結実!!王者・青森山田に大逆転勝利で24年ぶり優勝(20枚)
令和初Vへ…大勢の応援団が駆けつけた静岡学園&青森山田(16枚)
大会得点王に輝いた静岡学園FW岩本悠輝(4枚)
静岡学園の2年生GK野知滉平「もう一度この景色を」(4枚)
全国の舞台で成長を実感…静学屈指のテクニシャンMF浅倉廉(8枚)
「触るだけのボールを蹴ることができた」静岡学園MF井堀二昭が自画自賛の決勝アシスト(8枚)
静学キャプテンDF阿部健人、卒業後はアメリカで「MLSを目指す」(12枚)
鹿島での活躍を誓う静岡学園MF松村優太「自分がタイトルに貢献できれば」(12枚)
今大会初スタメンで大仕事! 静岡学園FW加納大「一発やってやろうと」(16枚)
逃さなかった絶対王者の隙…静岡学園DF中谷颯辰が優勝導く2ゴール!!(12枚)
24年ぶりの優勝に笑顔弾ける静岡学園の選手たち(28枚)
応援マネ・森七菜さんがガッツポーズを向ける先には…(8枚)



●【特設】高校選手権2019

[選手権]決勝写真特集

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
【決勝】
(1月13日日)
[埼玉スタジアム2002]
青森山田 2-3 静岡学園
絶対王者・青森山田が逆転負けで連覇を逃す(28枚)
決勝戦のオープニングゴールを挙げた青森山田DF藤原優大(8枚)
逆転負けを悔やむ青森山田DF箱崎拓「ツメの甘さが最後に出た」(4枚)
「サッカー人生で一番悔しい」青森山田MF武田英寿は連覇逸に涙(24枚)
静学スタイル結実!!王者・青森山田に大逆転勝利で24年ぶり優勝(20枚)
令和初Vへ…大勢の応援団が駆けつけた静岡学園&青森山田(16枚)
大会得点王に輝いた静岡学園FW岩本悠輝(4枚)
静岡学園の2年生GK野知滉平「もう一度この景色を」(4枚)
全国の舞台で成長を実感…静学屈指のテクニシャンMF浅倉廉(8枚)
「触るだけのボールを蹴ることができた」静岡学園MF井堀二昭が自画自賛の決勝アシスト(8枚)
静学キャプテンDF阿部健人、卒業後はアメリカで「MLSを目指す」(12枚)
鹿島での活躍を誓う静岡学園MF松村優太「自分がタイトルに貢献できれば」(12枚)
今大会初スタメンで大仕事! 静岡学園FW加納大「一発やってやろうと」(16枚)
逃さなかった絶対王者の隙…静岡学園DF中谷颯辰が優勝導く2ゴール!!(12枚)
24年ぶりの優勝に笑顔弾ける静岡学園の選手たち(28枚)
応援マネ・森七菜さんがガッツポーズを向ける先には…(8枚)



●【特設】高校選手権2019

目標とされる存在となった青森山田。彼らを選手権決勝まで勝ち上がらせた力、決勝で欠けていた力

前王者となった青森山田高の選手たちだが、敗れても真摯な態度。(写真協力=高校サッカー年鑑)
[1.13 選手権決勝 青森山田高 2-3 静岡学園高 埼玉]

「絶対王者」「ラスボス」「高校サッカーで一番のチーム」「打倒・青森山田」「青森山田と戦いたい」……。今回の選手権、最も戦いたい相手として前回大会優勝校・青森山田高の名を挙げる選手はとても多かった。

 今回を含めた最近5大会の選手権で4強以上4度、うち3度が決勝進出。青森山田は19年のプレミアリーグファイナルを制し、2度目となる「高校年代真の日本一」に輝いている。プレミアリーグでは、Jクラブのアカデミーチームや強豪校相手に毎年のように優勝争い。ポゼッション型やカウンター型のチームなど、どのような相手に対しても上回ることができる総合力の高さが最大の強みだ。

 中でも、「ゴールを隠す(シュートコースを消す)」「走らせない(相手選手が加速できないように守る)」「(PAへ)侵入させない」など青森山田が使うキーワードは近年、全国の強豪校からも耳にすることが増えた印象だ。青森山田は現在、高校サッカーのスタンダードを高め、全国各地の高校から最も目標とされる存在になっている。

 その青森山田は、今回の選手権で史上10度目(通算9校目)となる2連覇に挑戦。“死のブロック”と評される組み合わせに入ったが、米子北高(鳥取)、富山一高(富山)、昌平高(埼玉)、帝京長岡高(新潟)といずれも日本一を掲げて選手権に臨んできた強敵を打ち倒して決勝まで勝ち上がってきた。

 そして、決勝戦でも得意のセットプレーからU-17日本代表CB藤原優大(2年)が先制ヘッドを叩き込み、ショートカウンターからU-18日本代表MF武田英寿主将(3年/浦和内定)がPKを獲得。そのPKを自ら決め、前半33分までに2点を先取した。前半はテクニカルな静岡学園に対して高い位置で守備ブロックを構築し、その鋭いプレッシングで相手のビルドアップを封殺。5-0で制した16年度大会決勝のように、快勝の予感も漂わせるような戦いで試合を進めていた。

 だが、前半終了間際にクリアミスから失点。すると、後半もチャンスの数を多く作られた訳ではなかったが、21分に相手のファインゴールで追いつかれてしまう。そして40分、得意とするセットプレーで逆にゴールを破られて2-3で逆転負け。黒田剛監督は「この敗戦は徹底できなかった。徹底することでこれまでの青森山田の勝利があった」と指摘する。

 特に1点目と3点目は、普段徹底していることを実行していれば防げた失点だった。この日も相手のクロスやセットプレーを跳ね返す部分、ゴールを隠す守備、切り替えの速い攻守などを徹底していたが、それを90分間やり通すことができず。黒田監督も「平常心でやってきたことを(どんな状況でも)出せるのが強いチームだと思う。トレーニングでずっとすり込んできたものが、こういう局面で一瞬の判断を奪ってしまうということも全国大会決勝というステージの怖さ」と分析していた。

 昨年度の選手権日本一メンバーから残った主力は武田のみ。そのチームがプレミアリーグを制し、選手権ではライバルたちからターゲットとされる中で決勝に戻ってきた。非常に難しいノルマを彼らは徹底する力で実現。決勝戦では敗れたものの、黒田監督はその成長を認める。そして、「優勝したチームに比べながら、彼らは自分たちで力の無さを自覚しながら日々成長を遂げてきた。ここまで伸びるんだな、ここまで人間って変われるんだな、サッカー選手って変われるんだなと私自身も見せてもらった。本当に1年間通して力以上のものと言ったらおかしいかもしれませんけれども、最高の一年間を過ごしてくれた」と讃えていた。

 そして、黒田監督は武田やMF古宿理久(3年/横浜FC内定)といった3年生たちへの労いの言葉をかけると同時に、「優勝と準優勝の違いというものをもう一度青森に帰って意識するとともに、来年度の強化に繋げていきたい」と語っていた。また、武田は後輩たちへ向けて「来年は絶対に優勝して欲しい」とエール。静岡学園が優勝の表彰を受ける際、青森山田の各選手はその喜ぶ姿を毅然とした態度で目に焼き付けていた。この悔しい敗戦は必ず力に。来季のチームリーダーとなる藤原や右SB内田陽介(2年)、MF松木玖生(1年)をはじめ、1、2年生たちはどんな状況でも徹底できる力と、ライバルたちのマークを乗り越える心技体を身に着けて、また一年後の選手権ファイナルに戻ってくる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

青森山田の3年間に達成感も…MF古宿理久は横浜FCへ「絶対に結果を残したい」

青森山田の司令塔MF古宿理久(3年/横浜FC内定)(写真協力=高校サッカー年鑑)
[1.13 選手権決勝 青森山田高 2-3 静岡学園高 埼玉]
 
 青森山田高の司令塔が正確無比なプレースキックで先制点を演出した。前半11分、左後方で獲得したFKをMF古宿理久(3年/横浜FC内定)が右足で蹴り込む。約40mの位置から放った回転のかかったキックはゴール前で落下し、DF藤原優大(2年)の先制ヘッドを演出した。

「イメージ通りです。キーパーの前に速くて落ちるボールを入れるイメージで蹴った」。広い視野から質の高いキックを繰り出すだけではなく、前半は出足鋭いプレスで中盤を制したが、2点リードを覆されての衝撃的な逆転負け。「今までやってきた中で一番うまいチームだった」と敗戦を受け止めた。

 横浜FC Jrユース出身の古宿はユース昇格を逃し、青森山田で3年間研鑽を積んできた。連覇を逃す幕切れになったとはいえ、目標だった高卒プロ入りを決めるなど意義の深いシーズン。「自分としてもこの一年で成長できたし、達成感はあります。人としてもそうですし、プレーの中でも自分が中心になってやっていくという自覚が芽生えた。この一年間は自分の人生の中でも大事な年だった」と軌跡を噛みしめた。

 3年間の経験を提げ、いよいよ横浜FCでプロ生活のスタートを切る。中学時代の同期MF斉藤光毅は18シーズンからトップの試合に出場しているだけに「自分もやれないことはない。目指すよりは超えていくことを意識したい」と意気込み、「出場した試合では絶対に結果を残したい」と覚悟をにじませた。

(取材・文 佐藤亜希子)
●【特設】高校選手権2019

「自分の責任」決勝点悔やむ青森山田の守護神・佐藤は大学で“勝たせられるGK”に

青森山田の守護神GK佐藤史騎(写真協力=高校サッカー年鑑)
[1.13 選手権決勝 青森山田高 2-3 静岡学園高 埼玉]

 静岡学園から見れば劇的な大逆転優勝。青森山田高(青森)の立場からすると、衝撃的な敗戦だった。静岡学園の選手が表彰台に昇る中、整列していた青森山田の中で、GK佐藤史騎(3年)とDF神田悠成(3年)は顔を上げられないほど涙に暮れていた。

 青森山田の守護神は決勝点の場面を悔やんだ。2-2で迎えた