2020 関東Rookie League Bリーグ日程

2020 関東Rookie League
※日程は4月発表、変更あり。

【Bリーグ】日程&試合結果
第1節
未定
[未定]
鹿島学園高(未定)水戸商高
武南高(未定)暁星高
清水桜が丘高(未定)韮崎高
帝京高(未定)佐野日大高

第2節
未定
[未定]
暁星高(未定)鹿島学園高
水戸商高(未定)韮崎高
佐野日大高(未定)武南高
清水桜が丘高(未定)帝京高

第3節
5月16日
[未定]
韮崎高(11:00)鹿島学園高

5月17日
[佐野日大高G]
暁星高(11:00)佐野日大高

5月23日
[帝京高北千住G]
帝京高(15:00)水戸商高

5月6日
[時之栖]
武南高(12:00予定)清水桜が丘高

第4節
6月7日
[佐野日大高G]
佐野日大高(11:00)鹿島学園高

6月28日
[グリーンフィールド]
韮崎高(11:00)帝京高

未定
[未定]
清水桜が丘高(未定)暁星高

6月14日
[時之栖]
水戸商高(11:00予定)武南高

第5節
7月19日
[鹿島学園高G]
鹿島学園高(11:00)帝京高

7月19日
[佐野日大高G]
佐野日大高(14:00)清水桜が丘高

7月12日
[未定]
武南高(11:00)韮崎高

7月11日
[水戸ツインフィールド]
暁星高(13:30)水戸商高

第6節
8月30日
[未定]
清水桜が丘高(11:00)鹿島学園高

8月16日
[帝京高北千住G]
帝京高(16:00)武南高

8月16日
[水戸ツインフィールド]
水戸商高(10:00)佐野日大高

7月18日
[韮崎中央公園陸上競技場]
韮崎高(未定)暁星高

第7節
9月5日
[時之栖]
鹿島学園高(未定)武南高
水戸商高(未定)清水桜が丘高
帝京高(未定)暁星高
佐野日大高(未定)韮崎高

連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ2020

ゲキサカ記者が取材した高校サッカー&ユースサッカーの試合から、最もチームで評価された選手を“高校マン・オブ・ザ・マッチ“として連載紹介していきます。

■2020年シーズン
20年2月
3166:日章学園MF葭岡遥来(1年)
3165:大津FW半代将都(2年)
3164:大津MF藤井瑛斗(2年)
3163:大津FW坂本充(2年)
3162:長崎総合科学大附MF田中翼(2年)
3161:日章学園DF古賀照也(2年)
3160:創成館GK永田健人(1年)
3159:佐賀東FW吉田陣平(1年)
3158:FC東京U-18MF谷村峻(1年)
3157:三菱養和SCユースDF畑橋拓輝(2年)
3156:高崎経済大附FW関雅宗(2年)
3155:東京VユースMF岩崎壮真(中学3年)
3154:FCトリプレッタユースFW高橋玄(2年)
3153:藤枝明誠FW高野雷我(2年)
3152:藤枝東MF関原耕(2年)

20年1月
3151:専修大北上FW阿部耀仁(2年)
3150:青森山田MF宇野禅斗(1年)

▼関連リンク
高校マン・オブ・ザ・マッチ2008~2010
高校マン・オブ・ザ・マッチ2011
高校マン・オブ・ザ・マッチ2012
高校マン・オブ・ザ・マッチ2013
高校マン・オブ・ザ・マッチ2014
高校マン・オブ・ザ・マッチ2015_1
高校マン・オブ・ザ・マッチ2015_2
高校マン・オブ・ザ・マッチ2016
高校マン・オブ・ザ・マッチ2017
高校マン・オブ・ザ・マッチ2018
高校マン・オブ・ザ・マッチ2019

強豪校の練習施設に潜入取材。名門・滝川二の練習場は昨年完成の人工芝グラウンド

兵庫の名門、滝川二高の練習場は昨年3月に完成した人工芝グラウンド
 高校サッカーの強豪校はどのような環境でトレーニングしているのか。グラウンド、部室、サッカー部寮……。各校の協力によって、高校進学を控えた中学生たちにとっても貴重な情報を教えてもらってきたぞ。第34回は10年度全国高校選手権優勝、06年度全日本ユース(U-18)選手権優勝の名門校、滝川二高(兵庫)のグラウンド、施設を紹介する(3月取材)。

■待望の人工芝グラウンド






 私学の滝川二は兵庫県神戸市西区に位置している。サッカー部は選手権出場20回、インターハイ出場は23回。日本一になった以外にも10年のインターハイで準優勝、98年、02年、03年度の選手権と87年のインターハイ、05年の全日本ユース選手権で3位に入るなど長く兵庫、関西地方の高校サッカーを牽引してきた。昨年3月、瀧川学園100周年記念事業の一環として、校内のグラウンドを全面人工芝と全天候トラックに改修。人工芝グラウンドには表面温度を抑制する「Viu(微雨)システム」 が導入されている。また、グラウンド脇に2階建てのクラブハウス。選手たちは好環境の中でトレーニングしている。

■「怯まず 驕らず 溌剌と」





 創部当時からサッカー部のモットーは「怯まず 驕らず 溌剌と」(ひるまず おごらず はつらつと)。石碑に刻まれた文字はグラウンドに向けられている。その裏面では日本一の偉業が讃えられており、歴史を変えたOB、名将・黒田和生元監督らスタッフの名も。

■偉大な先輩に続く





 滝川二は3度のワールドカップに出場したFW岡崎慎司(現ウエスカ)やFW金崎夢生(現名古屋)、DF加地亮(元G大阪など)ら数々の名手を輩出している。自発的に自分を磨き、鍛え抜いて上のステージへと駆け上がっていった先輩たち。当時には無かった人工芝グラウンドを得た後輩は、好環境の中で個人、チームの力を向上させる。
 
■注目選手も擁する期待の世代






 主将のCB眞古大輔(新3年)や司令塔のMF松本祐満(新3年)をはじめ、FW岩澤秀人(新3年)、GK林憲太郎(新3年)、MF藤田仁朗(新2年)ら今年は攻守にタレントを擁する期待の世代。“裏選手権”で優勝したチームは、「日本一」を目標に立て、それへ向けてピッチ外での姿勢から日本一のチームを目指している。

■新監督の下で成長する








 今年3月1日、滝川二の1期生で鹿島アントラーズの育成組織監督やスカウトを務めた亀谷誠新監督が就任。ゲームでは攻守に渡って溌剌と戦い、主導権を握って兵庫県、全国のライバルを上回る。

(取材・文 吉田太郎)

強豪校の練習施設に潜入取材。2つの人工芝グラウンド有する高川学園の練習場

選手権25回、インターハイ22回出場。山口の名門、高川学園高の練習施設は?
 高校サッカーの強豪校はどのような環境でトレーニングしているのか。グラウンド、部室、サッカー部寮……。各校の協力によって、高校進学を控えた中学生たちにとっても貴重な情報を教えてもらってきたぞ。第33回は多々良学園高時代の05年度と現校名に改称後の07年度の全国高校選手権で4強、インターハイでも2度(99、02年度)の4強を経験している山口の名門校、高川学園高のグラウンド、施設を紹介する。

■校内にサッカー場





 高川学園は山口県防府市大字台道に位置。校内に全面人工芝のサッカー場を有している。サッカー場の人工芝は16年8月にリニューアル。LED照明付きで夜間練習にも対応している。周囲には陸上用のトラックが配置されており、陸上部のほか、柔道部などもランニングで活用している。

■OBはJリーガー、元日本代表







 高川学園は日本代表歴を持つFW高松大樹(元大分など)やDF藏川洋平(元柏など)、FW中原貴之(元仙台など)、GK永石拓海(現C大阪)らを輩出。山口県内外から好選手が集まり、07年に開校された高川学園中との中高一貫指導でも選手を育成している。

■充実の第2人工芝グラウンド






 17年9月、防府市国分寺町の旧校舎を有効活用するために、敷地を人工芝グラウンドに整備。完成した第2人工芝グラウンド(学校から車で20分弱の距離)をサッカー部やラグビー部が活用している。

■大浴場にビーチサッカー用の練習場も






 第2人工芝グラウンドにはビーチサッカー用の練習場も(高川学園はビーチサッカーの全国大会予選にも出場している)。18年4月に同敷地内の志門寮(サッカー部専用)をリニューアル。翌年には大浴場(健児の湯)も新設した。学校隣接の瑠璃山寮(他の運動部と共同)でもサッカー部員は生活している。練習後すぐに食事や入浴ができるという好環境だ。

■目標は全国8強以上





 19年は中国新人大会で優勝し、選手権出場。新主将のMF新山大地(新3年)は「今年は全国ベスト8以上が目標」と宣言した。恵まれた環境の中でさらなる成長を目指す。

■オール・高川で魅力あるチームに




 中高男女計260名の大所帯。多くの媒体でも取り上げられている「部署活動」を通して自律心・人間性の成長を図るとともに、高川学園サッカー部をより魅力のあるチームにしていく。

(取材・文 吉田太郎)

インハイ予選、本大会は?東京都高体連サッカー専門部が6月30日までの行事中止を発表

写真は昨年度のインターハイ東京都予選決勝(國學院久我山高対大成高)
 東京都高等学校体育連盟サッカー専門部は5日、東京都高体連より「6月30日まで東京都高体連主催の行事(大会等)は中止する」との通達を受けましたので、当サッカー専門部の行事は6月30日まで行わないことといたしました、と発表した。なお、7月からの予定については未定。決まり次第、発表するとしている。

 新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、すでに4月開幕予定だった関東大会予選は中止に。例年、東京都は4月末からインターハイの支部予選、5月、6月にかけて同都大会を実施して全国大会の代表2校を決めていた。

 インターハイの男子サッカー競技(群馬)は8月18日に開会式、同19日に1回戦、同25日に正田醤油スタジアム群馬で決勝を行う予定となっている。

“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグの開幕が再延期へ

 日本サッカー協会は3日、4月18日(土)に延期した「高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2020」の開幕をさらに延期することを決定した、と発表した。開幕時期については、新型コロナウイルスの流行状況を考慮し、試合に関わる全ての方々の健康と安全を最優先とした上で、決定次第改めて発表するとしている。

 高校年代最高峰のリーグ戦である「プレミアリーグ」は当初、4月4日(土)と5日(日)にEAST、WESTの開幕節各5試合が集中開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大のために4月18日(第3節)へ、開幕が延期されていた。

人一倍の向上心持つ高川学園FW中山桂吾、サッカー歴短いCF候補は寮の点呼後に照明つけて自主練も

高川学園高FW中山桂吾は立正大淞南高戦で2ゴールを決めるなど決定力を示している
「自分はサッカーを始めたのが小6くらいで、それまで空手をやっていました」という変わり種。だが、FW中山桂吾(新2年)は180cm近い長身とキープ力、得点力によって、山口の名門・高川学園高の最前線で存在感を放ち始めている。

 2月にはBlue Wave winter leagueの長崎総合科学大附高戦で2ゴール。3月下旬に行われた立正大淞南高との練習試合でも2ゴールを決めた。立正大淞南戦の2発はゴール前のこぼれ球に身体を投げ出して決めたものと難易度の高いヘディングシュートを決めたもの。CFの中山はサイドへ流れる癖があるが、江本孝監督から求められているPA幅でのプレーを意識してゴールに結びつけた。

 空手では、福岡県チャンピオンになったこともあるという実力の持ち主。だが、サッカーにより楽しさを覚え、のめり込んでいった。サッカー歴が短いことは確かだが、「下手くそなので」という中山は人一倍の向上心で台頭してきている。

 江本監督によると、午後9時の寮の点呼後にボールを蹴りたいと言ってくるほど。「点呼後時間があるので」と語る中山は主に昨夏、そして現在もグラウンドの照明をつけて自主トレーニングをしているという。

 動きは柔らかく、身体を張ることもできる。「自分が決めてゲームを終わらせたいという気持ちがある」という思いを結果で表現する回数はまだまだ少ないが、1年生ながら全国高校選手権にも出場したCF候補のポテンシャルを大学関係者も評価。今後が楽しみな存在であることは間違いない。
 
 選手権でゴールを決めている長崎総科大附MF別府史雅(新2年)は、ルーヴェン福岡FC(福岡)時代のチームメート。「中学校の時も凄く上手かったし、自分は別府に負けないという思いでこの高校入ってきて、ライバルというか。『全国で当たろう』と言って、(全国では)当たれなかったんですけれども、Blue Waveの時は自分が2ゴールを決めることができた。(別府の目の前で)『やってやったぞ』という気持ちがありました」。今後も向上心を持ち続けて、ライバルを上回るような選手になる。

 まず、目標にしているのはインターハイでの活躍だ。「自分はレワンドフスキとか絶対にゴールを決めて、勝つ選手になりたいので、誰よりも努力をして頑張っています。去年はインターハイに出れていないので、自分が県でも得点王になってインターハイに出て、上位目指して、自分が(全国大会でも)得点王を目指して行ければなと思っています」。県新人戦ではまさかの3回戦敗退。昨年度インターハイ8強の西京高など山口県内にもライバルは多いが、自分のゴールで高川学園を勝たせて、全国で大暴れする。
 
(取材・文 吉田太郎)

立正大淞南の注目株、新2年生CB岩本剛気はどんな相手でも「『かかって来い』という選手になりたい」

立正大淞南高注目の新2年生CB岩本剛気
 山陰の強豪、立正大淞南高(島根)期待の183cmCB岩本剛気(新2年)は、悔しさを滲ませながら「ダメ」という言葉を連発していた。3月下旬の2日間で各2試合の練習試合を行ったが、初日が計8失点。2日目も計7得点を献上してしまった。

 強敵と対峙すると、明らかにスイッチが入る岩本は周囲が驚くようなヘッドや潰しも見せる注目株だ。だが、今回の結果は、DFとして不甲斐ないもの、変化の必要性を突きつけられるものとなった。

「守備の部分が全然ダメで、先輩であろうが声を出して行っていく部分が全然ダメだと思います。(プレー以前に)『絶対にやらせないぞ』という気持ちが無かったと思うので、そこがまずダメ。プレーでは後半から集中力が切れてしまったのでそこを改善していかないとダメです」。反省の弁を連発していた。

 得意とするヘディングや対人守備の部分は強豪相手でも通用する武器になってきている。本人もレベルアップを実感。だが、立正大淞南の先輩DFたちのような気迫がまだまだ足りないと感じている。

 だからこそ、「去年の大迫(武早志)君だったりのように気迫があって、『かかって来い』という選手になりたいです」。自分のところからは絶対に“やらせない”。もちろん、チームとしても前線の運動量など足りない部分がある。だが、岩本はまず自信を持って相手を封じ込むような選手、ゴール前で存在感を放つような選手を目指す。

 日常からより意識高く取り組み、今回、差をつけられた長崎総合科学大附高や高川学園高、岡山学芸館高との距離を縮めること。そして、次回の対戦では必ずリベンジする。「この試合で結果を残せなかったのは残念ですけれども、インターハイは優勝してそこで今年の立正大淞南高校がどういうものか見せて選手権で日本一を獲りたいと思います」。悔しい結果に終わったこの2日間を必ず進化、飛躍のきっかけにする。
 
(取材・文 吉田太郎)

逸材FW中田樹音が岡山学芸館へ転籍。高体連でも連発してプロへ

ファジアーノ岡山U-18から岡山学芸館高へ転籍したゴールハンター、FW中田樹音
 全国大会に出場すれば、間違いなく得点王候補だろう。今年に入って岡山学芸館高(岡山)に加入したばかりのFW中田樹音(新3年)が、立正大淞南高(島根)、高川学園高(山口)との練習試合に出場(高川学園戦は前半のみ)して2戦3発。微妙な判定のオフサイドで2つのシュートがノーゴールとなったものの、名門校相手に十分過ぎるインパクトを残した。

 立正大淞南戦では2シャドーの一角として先発。前半、チームは0-1で折り返したが、その中で中田は中央で強引にDFの前に出る動きを2度、3度と披露していた。そして1トップへポジションを移した後半開始直後に右クロスから難なく同点ゴール。その後もボールを引き出して前を向くと、相手DFが準備するよりも速く仕掛けてシュート、パスへ持ち込んでいた。

 何より、ゴールに向かっていく姿勢、シュートまでのバリエーションの多さが印象的。ストライカー色の濃いFWだ。また、前線での力強いキープや、左足でのサイドチェンジ、個でボールを奪い返して前進するシーンも。もちろん、全てのプレーが成功していた訳ではなく、ボールロストもあったが、飛び込んできたDFをアイディアある動きでいなすなど、判断の速さや正確さも目立っていた。そして、後半17分には、右サイドから会場の人々を唸らせるような左足ミドルをゴール左隅に突き刺して2点目。その後もゴール前へ鋭く入り込む動きで決定機に絡んでいた。

「前(のポジション)やから点を獲らんといけんと意識しているので、1試合1点以上は獲るという目標を持ちながらサッカーをしています」と中田。中学時代に利き足の右足を複雑骨折し、トレーニングし続けたという左足は「(たまにズレるが)左の方がシュートは威力がある」という武器になった。

 約1時間後に開催された高川学園戦はFWとして先発すると、0-1から再び左足ミドルをねじ込み、同点ゴール。さらにPAへ抜け出してGKをかわす動き(シュートを流し込むもオフサイドの判定)も見せた。そして前半終了間際、右スローインをオープンスペースで受けると、対面したDFとの1対1を制してゴールライン際へ切れ込む。最後は折り返したボールのこぼれをMF須賀大貴(新3年)が決めて逆転。チームは練習試合2試合を2連勝で終えた。

 中田は昨年、ファジアーノ岡山U-18の10番を背負ってプリンスリーグ中国に出場し、得点王。Jユースカップでは昨年の2冠王者・名古屋U-18からもゴールを奪っている。「もっと前に進みたい」の思いを持って、在籍していた岡山学芸館高のサッカー部へ転籍。当初は怪我もあってコンディションがまだまだだったようだが、新型コロナウィルス感染拡大による活動休止期間でそれも癒え、本領を発揮し始めている。

 岡山ではトップチームの練習試合にも出場し、海外への短期留学も経験。トップチームの先輩や指導陣からのアドバイスも受ける中、どう動けばどのような現象が起こるのか考えながらプレーするようになったという。本人はテクニックも身体能力も「マジでないです」と苦笑するが、攻撃面については「一番得意やからそこを伸ばしていきたい」というシュートをはじめ、ドリブル、パスも強豪校相手に十分発揮。加えてJアカデミーで磨かれた“考える”力もゴールを量産するための武器になりそうだ。

 岡山学芸館の高原良明監督は「タメも作れるし、仕掛けられるし、パスも出せる。(特に)シュートモーションに入ったら雰囲気ありますよね」と頷く。エース候補の加入はチームメートたちにも刺激を与えている。その中で本人は課題の守備面やハードワークすることを意識して取り組んでいる最中。「点を獲ることも、アシストすることも、パスをすることもできるし、一番好きな選手です」というFWカリム・ベンゼマのような点取り屋を目指す中田は、攻撃面だけでなく、守備、運動量の部分でもチームに貢献する構えだ。

 岡山U-15時代からのチームメートもいる岡山学芸館で、コミュニケーションは着実に向上中。新たな仲間たちと結果を残し、目標を達成する。「まず選手権もインターハイも全国出て、全国出たら色々なスカウトが来るじゃないですか。その人たちに目をつけられるようなプレーをしたいし、そのためにはまず出ないとダメだから、岡山県で全部勝って、優勝して、全国大会でどれだけ自分ができるか試したいです。(個人的には) どこからシュートを打っても点を獲れる選手になりたい」。Jユースから加わった注目ストライカーが、高校サッカーでも輝く。 
 
(取材・文 吉田太郎)

「自分は才能がないので、努力しないと」。長崎総科大附の「大器」GK梶原駿哉は妥協せずに成長求める

長崎総合科学大附高の大型GK梶原駿哉は自分に厳しく、成長を目指す
 地に足をつけて、ひたむきに努力を続け、家族や恩師に恩返しする。長崎総合科学大附高のGK梶原駿哉(新3年)は187cmの大型守護神。昨年、U-16日本代表候補合宿に初選出され、全国高校選手権で強豪のゴールを守った梶原は今年の九州屈指とも言える存在のGKだ。

 大舞台を経験した後に迎えた今年、2月の九州新人戦ではメンタル面での自信が表れているかのような堂々としたプレー。チームは試合終盤の失点によって4位に終わったが、最近の練習試合では1試合に1度、2度ある決定的なシーンでビッグセーブを見せるなど、また成長を感じさせている。

 梶原はこの1、2か月の間に自分を再確認し、全力で努力を続けなければならないことを実感したのだという。新型コロナウィルス感染拡大の影響で地元の大分に戻り、また軽い打撲でトレーニングを休んだ時期があった。「その時(練習復帰後)に全然止められなくなっちゃって。やっぱり自分は才能がないので、努力しないと」。Aチームのゴールを守る回数も、安定感の高いGK石原空(新3年)に譲る回数が多くなっていた。

 九州新人戦で先発出場できていたこともあり、出てしまっていた油断。「自分は出れると思ってしまっていた。甘えたら絶対にダメだと思いました。(休養後に)一気に動けなくなったので、自分は妥協したらダメだと、少しの痛みくらい我慢してやらないといけないと思いました」と語る。

 調子が上がらない期間に家族は優しい言葉をかけてくれたのだという。「『BでもCでも良いから頑張ってくれたら』と言ってくれた時に、絶対にそんな訳なくて『出て欲しい』と思っているだろうし、送り出してくれた親に何で返せるかと言ったらプロで活躍するところを見せるというのが一番だと思う」。注目GKは応援してくれる家族のためにも、誰よりも努力することを決意した。

 九州大会では活躍もしたが、勝負どころで失点してしまっていたことも確か。自分の調子を上げることと同時に、まず取り組んだのが声の部分だ。味方を的確に動かして、より自分が止めやすい状況を作ることを心がけた。強豪との練習試合で失点が減少している理由は、その部分で改善できていることが大きい。味方が声を頼りに動いて最後まで足を伸ばしてくれるからこそ、梶原もギリギリのシュートがより止められるようになっている。

 梶原は「(九州大会は)失点も全部後半の終盤に偏っていました。寄せるというところは最近、小嶺(忠敏)先生からずっと言われていることですし、やっぱり自分だけじゃなくDFも死ぬ気で守ろうとしてくれているので、その分自分が守りやすくなっていると思います」と説明。ただし、満足はしていない。相手にクロスを上げさせないことや、カウンターのリスク管理の部分もより徹底すること。また、自分はまだキックミスが多いため、その数を減らしてよりチームメートから信頼されるGKになる考えだ。

 名将・小嶺忠敏監督の言葉も自分を成長させてくれている。「ディフェンスだったり、ゴール前のところだったり、小嶺先生は一番大事なところを言ってくれます。自分もクロスが一番の強みなんですけれども、最近あんまり出れなくなって『オマエ、そこ出れないと全然使えないぞ』と言ってくれる。甘えちゃいけない。自分の武器はしっかりと出していかないといけない」。アメとムチを使い分ける小嶺監督からは褒められる時もあるが、厳しい言葉をしっかりと受け止めて慢心せずに努力を続けていく。

 昨年、U-16日本代表候補に初招集された後はそれに相応しいプレー、“上手いプレー”をしようとして、逆にミスを増やしてしまっていた。今年も九州を代表するGKという評価はつきまとうだろうが、自分を知り、努力の必要性を認識している梶原の気持ちが揺れることはない。「自分は上手くないからできることを精一杯やって、強く見せるというのが大事」。1年前、半年前から成長していることは間違いない。ただし、“自分はまだまだ”。注目の大器はここからの1年間、自分に厳しく成長することを求め、仲間とともに結果を残し、そして将来プロになって支えてくれた人たちに恩返しする。

(取材・文 吉田太郎)

静学、尚志、昌平、桐光、帝長、興國による“究極”の新リーグ「ULTIMA」発足!

静学、尚志、昌平、桐光、帝長、興國による“究極”の新リーグ「ULTIMA」発足!
 高体連屈指の技巧派チームが、リーグ戦で互いの技を高め合う――。19年度の第98回全国高校サッカー選手権で24年ぶり2回目の優勝を果たした静岡学園高(静岡)をはじめとした6校による新リーグ、「ULTIMA(アルティマ)FOOTBALL LEAGUE」が発足することが分かった。

 同リーグには尚志高(福島)、昌平高(埼玉)、桐光学園高(神奈川)、帝京長岡高(新潟)、静岡学園、興國高(大阪)の計6チームが参加。90分ゲームによる6チーム総当りのリーグ戦を行い、優勝を争う。大会の目的は「テクニックで魅了し、勝負を制するスタイルに拘るチームが互いに競い合い、高め合う事で強化促進に繋がるリーグ戦を実施する」。当初は今年3月に開幕する予定だったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響によって、開幕延期。今後、臨機応変に試合機会を創出することになる模様だ。

 静岡学園は第98回全国高校サッカー選手権で磨き上げたテクニックとインテリジェンスによる攻撃サッカーを貫徹。MF浅倉廉(現拓殖大)、MF小山尚紀(進学希望)、MF松村優太(現鹿島)ら個の質の高さを印象づけ、決勝では青森山田高(青森)に0-2から逆転勝ちするなど、インパクトのある戦いをして日本一に輝いた。

 日常から技術向上に力を入れ、昨年度の全国大会などでその武器を発揮して活躍した強豪校が、オリジナルの6チームとなっている。選手権では帝京長岡がMF谷内田哲平(現京都)ら技術力高い選手たちの繰り出す鮮やかなパスワークで4強入り。同8強の昌平は日本高校選抜MF須藤直輝(新3年)、MF小川優介(新3年)をはじめ、今年もハイレベルな技巧派揃うチームだ。

 また、一昨年度の選手権でパススタイルの印象的なサッカーとFW染野唯月(現鹿島)の活躍によって4強入りし、昨年のインターハイも4強の尚志、FW西川潤(現C大阪)を擁して19年インターハイを制し、今年はより技術力高い選手の多い桐光学園、そして19年度選手権に初出場した新鋭で、今年もFW樺山諒乃介(新3年)、GK田川知樹(新3年)、CB平井駿助(新3年)の横浜FM内定トリオらタレント多数の興國。その6チームによるリーグ戦では、華麗な攻め合いが繰り広げられそうだ。

 優勝チームにはチャンピオンTシャツを贈呈。個人賞も設けられている。将来的にはU-16、U-15のカテゴリーによる大会発足や海外チームを誘致してのカップ戦、或いはULTIMA選抜での海外遠征などのプランも。技術の高いチーム同士の対戦が増える中、これまで以上に際立ったテクニカルな個、チームが生まれるか。昨年末に行われた静岡学園対興國の練習試合をきっかけに、一気に準備が進められた大会のサブタイトルは、「~究極~テクニックで魅了し、勝負を制する」。“究極”を目指した大会が幕を開ける。

岡山学芸館が逆転勝ち。ファインショットのMF須賀は“中国地方ナンバー1FW”の加入も刺激に

前半28分、決勝点を喜ぶ岡山学芸館高MF須賀大貴(右)
[3.29 練習試合 高川学園高 1-3 岡山学芸館高]

 29日、高川学園高(山口)と岡山学芸館高(岡山)が前半をAチーム、後半をBチームが戦う形で練習試合(30分ハーフ)を実施。前半を2-1で終えた岡山学芸館が後半にも1点を加えて3-1で勝利した。

 高川学園は前日、長崎総合科学大附高に0-3から逆転勝ちし、立正大淞南高にも3-0で快勝。この岡山学芸館とのA戦もポゼッションとFW福地優雅(新3年)を筆頭としたプレッシングで先手を打とうとする。

 8分にはMF清水一輝(新3年)の左CKをファーサイドのCB田中誠太郎(新3年)が左足ボレーで合わせて先制点。その後もシュートで終わる形を増やす。一方の岡山学芸館もポゼッションで対抗。FW中田樹音(新3年)が引いてリズムを作ろうとするが、前半半ばまでは全体的に前線へ抜け出す動きが少なく、足元へのパスを狙われて攻め切る前にボールを失ってしまっていた。

 それでも、GK萩原瑠翔(新3年)、MF宗川遼哉(新3年)、MF今田光星(新3年)、MF須賀大貴(新3年)、MF末瀬由太郎(新3年)と全国高校選手権経験者5人を残す岡山学芸館は試合をひっくり返す。25分、今年の全国屈指のストライカーと言えそうな注目FW中田が、ミドルレンジから対角の左足シュートをゴール右隅に決めて同点。さらに須賀のスルーパスから中田が抜け出す動きを見せるなど相手ゴールを脅かすと、28分に勝ち越し点を奪う。

 右サイドでのクイックスローインから中田が1対1を制して一気に前進。エンドライン際から出したラストパスのこぼれを須賀が右足で撃ち抜くと、「パスは得意なのでパスする感覚で蹴った」インステップの素晴らしい一撃がゴール左隅に突き刺さった。

 岡山学芸館はB戦も1-0で終え、6-2で勝った立正大淞南戦に続く勝利。中国地方の名門2校に連勝した。2試合連続ゴールとなる決勝点を決めた須賀は、1月の全国高校選手権も先発出場。東淀川FC(大阪)時代の先輩でもある静岡学園高MF松村優太(現鹿島)と直接対決した。

 須賀にとって松村は特別な存在だ。「(自分は)中学校の時に最初の方めちゃくちゃへたくそでアンカーをやっていました。一個上の試合を見た時に(松村)優太のプレーを見て、そこから攻撃したいなと思って、それがきっかけで、そのおかげで上手くなった」。同じ進路に進むことはできなかったが、須賀も技術を磨き、成長して全国舞台へ。そこで松村と対峙し、彼の速さなどを実感した。

 先輩MFを目標とする須賀にとって、切磋琢磨するライバルが今冬に加入した。この日2試合で3得点の中田は昨年までファジアーノ岡山U-18に所属し、19年プリンスリーグ中国得点王。須賀は「今年は(中田)樹音が来て、切磋琢磨する上で樹音はめちゃくちゃ点を獲るので、点を獲る以外のところでもアピールしないとダメだし、点でも結果を残さないとダメなので(今日)決めれて良かったです」と微笑む。

 ライバルと競い合いながらゴール数を増やしていくか。「やっぱり(中田の)得点力は中国ナンバー1なので、それを活かすプレーをしつつ、自分も結果を残していって2人で点を獲って全国にいきたい」。スピードのある両ワイドやCB高島諒人主将(新3年)のフィード、技巧派のMF宗川と今田など多彩なアシスト役の存在も活かし、勝利のためにゴールを連発する。

(取材・文 吉田太郎)

「上には上がいる」岡山学芸館が怒涛の後半6発でプリンス勢対決快勝。文武両道のCB高島がVヘッド

後半9分、岡山学芸館高CB高島諒人主将が勝ち越しヘッド
[3.29 練習試合 立正大淞南高 2-6 岡山学芸館高]

 29日、立正大淞南高(島根)と岡山学芸館高(岡山)が練習試合(35分ハーフ)で対戦。ともに1月の全国高校選手権出場校で、プリンスリーグ中国に所属する2校の一戦は、岡山学芸館が6-2で快勝している。

 岡山学芸館は新型コロナウィルスの影響による活動停止から、25日に練習を再開したばかり。前半に関しては今年、ファジアーノ岡山U-18から転籍した19年プリンスリーグ中国得点王・FW中田樹音(新3年)がシャドーの位置で推進力のある動きを見せたりしていたものの、得点に結びつけることができなかった。
 
 逆に立正大淞南のクロスなどでゴールを脅かされると30分、FW矢野佑介(新3年)に左足シュートを決められて先制点を献上してしまう。だが、後半開始40秒、DFのマークを外した中田が右SB木下叶貴(新3年)の右グラウンダークロスを難なく合わせて同点。その後もMF末瀬由太郎(新3年)のドリブル突破や後半から出場したMF須賀大貴(新3年)のシュート、そして中田が個でシュートまで持ち込むなど前線のタレントが相手DF陣を苦しめる。

 そして9分、末瀬の左CKをCB高島諒人主将(新3年)が頭で決めて勝ち越し。その高島が「(前半は)前のスピードが遅かったので、そこを速くして行こうと話していました。縦を結構狙うようになって、そこから崩せたという感じですね」と振り返るように、高島の高精度フィードなどから前線のスピードも活かして攻めた岡山学芸館がゴールを連発する。

 12分、須賀のラストパスから末瀬がGKの鼻先でループシュート。3点目を奪うと、直後には右のMF池本康生(新3年)が縦突破から中央へ折り返す。これを須賀が左足ボレーで決めて4点目。そして17分にはキープ力、ゴール方向へ向かう動き、シュートでも違いを生み出していた中田が右サイドから左足ミドルを突き刺して5-1とした。

 立正大淞南はハードな練習を続けてきたことが影響したか、前日の高川学園高戦、長崎総科大附戦に続いて後半に運動量が低下してしまう。MF鈴木暁大(新3年)がドリブルから右足ミドルをゴール右隅に突き刺して1点を返したが、岡山学芸館は34分にも末瀬がカットインからの右足シュートでニアを破り、6-2。岡山学芸館は約1か月ぶりの対外試合だったものの、活動休止期間中にチームから指示されていた自主トレメニューを選手たちがしっかりとこなした成果が出たか、後半も足が止まらなかった。

 岡山学芸館は全国高校選手権1回戦で優勝校の静岡学園高に0-6で敗戦。前半終盤まで相手の攻撃を凌ぎながら勝機を伺っていたが、FKでの失点から6点を奪われた。それでも。高原良明監督は「静学とやらせてもらって、個の高さの重要性を確認させてもらった。相手チームながら見ていて楽しいチームでした」。敗戦は今年のチームの指標になっている。

 静岡学園が見せていたビルドアップでCBが持ち出し、相手選手を引きつける動きは自分たちも取り入れている部分。この日、積極的な持ち出しと左右両足からの好フィードを連発していた高島は「一個上(の岡山学芸館)は強くて僕らは入る余地がなかったという代なのにあれだけやられて、全国の本当のトップレベルとの差を感じたので、中国地方だけで満足していたらダメだなと。練習試合で勝ったりしても自惚れずに、上には上がいるし、あの試合は切り替えが遅かったりして。警戒して僕らは意識してやったのにそれでも上がいたので、切り替えが遅かったらもっと速くして行こうというところもあります」と説明する。選手権優勝校が自分たちの基準。あの敗戦は今年の大きなエネルギーにもなっている。

 全国でのリベンジに燃える選手が多い中、高島は“最後の1年”に懸けている選手だ。進学校の立命館中出身。「大学出て医者になりたいので、大学ではサッカーをやらずに、高校で辞めようと思っています」と決意を口にするDFは、左SB荒井善成(新3年)らとともにスーパーVコースという最上位クラスに在籍し、勉強とサッカーの両立にチャレンジしている。

 スーパーVコースは土曜日や夏休みも授業があるが、サッカーを優先して欠席。遅れを自習して補うなど簡単ではないが、ブレずに大好きなサッカーで全国に出ること、医師になるという2つの夢を叶えることだけを考えている。

 両足のキックに加えてスピードもある高島は、SHからの転向後わずかながら最終ラインの中心選手になりつつある。守備のコーチングや強度の部分を向上させてチームの守備もレベルアップさせること。「ここまで小学校1年生からサッカーをやらせてもらっていた親に恩返しというか、これまで色々な人と携わってきたので恩返しできるように、自分の夢も果たせるように、最後1年頑張りたいです」という高島がチームメートとともに必ず岡山を突破し、先輩の分も全国で大暴れする。 

後半12分、MF末瀬由太郎がループシュートを決めて3-1

(取材・文 吉田太郎)

長崎総科大附の新主将CB藤田和也、仲間とともに自発的な行動を取れるチーム、勝負強いチームへ

長崎総合科学大附高の新主将、CB藤田和也
[3.29 練習試合 長崎総合科学大附高 0-1 高川学園高]

 29日、長崎総合科学大附高(長崎)と高川学園高(山口)が前半をA戦、後半をB戦という形で練習試合(30分ハーフ)を行い、前半は0-0。後半はDF田島黎人(新2年)の決勝点によって高川学園が1-0で勝っている。

 A戦はスピード感、強度の高い攻守の中で30分間を終了。高川学園は24分に右サイドから崩してMF林晴己(新2年)が決定的なシュートを打ち込み、28分にもFW福地優雅(新3年)が相手DFの背後へ抜け出したが、いずれも長崎総科大附GK梶原駿哉(新3年)の好守に阻まれて得点することができなかった。

 長崎総科大附はインターセプトを得意とするDF藤田和也(新3年)と187cmの大型FW吉岡樹生(新3年)が最終ラインの中央でCBコンビを結成。前線から精力的にプレッシングをかけ、中盤ではMF田中翼(新3年)らがボールを拾うなど、守備は安定して無失点で終えた。

 長崎総科大附は今回の練習試合で新2年生のFW牧田陽太(新2年)やFW岩見海斗(新3年)らが奮闘。エース候補のFW国吉シントク(新3年)が離脱中の中、チーム内競争を激しくしている。今年、主将を務める藤田は「新2年生の子とかも特に前線は相手にプレッシャーに行ってくれている。下級生が頑張ってくれている分、自分たち3年生もそういうところで競争を高めていかないとチームも強くならないと思います」とコメント。各選手の競争心が高まってくることを歓迎した。

 藤田は昨年、ボランチのポジションでレギュラーを務めて全国高校選手権も経験。主将となった今年は立場が変わったが、「(主将は)大変ですけれども、周りも気を遣ってというか、みんながリーダーシップを持ってやってくれている」とリーダーシップを持った選手の多さを喜ぶ。

 今年は練習中の私語をなくすこと、また「小嶺先生とかコーチ陣に言われる前に行動すること」を意識しているという。それによって、チームが良い空気感の中でトレーニングできるように心がけている。

 加えて、「今年は小嶺(忠敏)先生も言うように、去年の練習でやっていたこと以上のレベルでやっているので、それに応えられるように、それを試合で活かせるように意識して行こうという話をしています」。藤田はチームメートを鼓舞するようなタイプではない。その中で周囲とコミュニケーションを取りながら、チームがどうすれば好転するのかを考え、課題と感じている試合中の声の回数も増やそうとしている。

 選手権全国大会では後半終了直前の2失点によって丸岡高(福井)に逆転負け。前回の高川学園との練習試合も3-0からひっくり返されている。それだけに、「逆に負けていても逆転できるチームにしていきたいです」ときっぱり。そして、今年の目標については、「今年はメンバ―的にも良い選手がたくさんいるし、選手権では絶対に全国のてっぺんを獲りたいと思っているので、練習をしっかりとして、みんなで声を掛け合いながら一戦一戦大事に戦っていきたいと思っています」と意気込んだ。

 後輩たちのためにプリンスリーグ九州へ昇格することも使命。副主将のMF一宮優斗(新3年)ら他のリーダーたちと声を掛け合いながらチームのレベルを引き上げ、大目標を達成する。 

長崎総合科学大附高の副主将を務めるMF一宮優斗


(取材・文 吉田太郎)

[練習試合]立正大淞南は白星掴めず。2戦連発のFW矢野「甘かったことを認識して、練習から」

後半5分、立正大淞南高FW矢野佑介が先制ゴール
[3.29 練習試合 立正大淞南高 1-1 長崎総合科学大附高]

 29日、立正大淞南高(島根)と長崎総合科学大附高(長崎)が練習試合を行い、1-1で引き分けた。

 前日は2試合で8失点した立正大淞南だが、この試合では素早い奪い返しから仕掛けに持ち込む回数を増やす。そして、MF藤井嵐(新3年)のミドルシュートや、右CKからCB岩本剛気(新2年)が放ったヘディングシュートで相手ゴールを脅かした。

 加えて、守備陣の目を動かすトリッキーなFKで長崎総科大附を揺さぶると後半5分、相手DFの小さなクリアを拾ったFW矢野佑介(新3年)が左足で先制点を叩き出した。直後にもMF鈴木暁大(新3年)が右サイドを突破し、ラストパスを矢野がスライディングシュートで合わせる。

 だが、長崎総科学大附GK梶原駿哉(新3年)の正面。こぼれ球を藤井や期待のMF井川真飛(新2年)が押し込もうとしたが、長崎総科学大附はCB藤田和也(新3年)、右SB小林麗王(新3年)、左SB大石航大(新3年)がカバーしてシュートを打たせない。

 一方の長崎総科大附は前半、推進力のあるMF岩永空潤(新3年)、MF小田晃暉(新3年)の両翼を中心としたサイド攻撃を展開。そして左SB大石のクロスが幾度かゴール前に入る。

 立正大淞南はクロスやDF背後へのボールをGK長野大河(新2年)や岩本が対応していた。だが後半11分、長崎総科大附FW岩見海斗(新3年)のミドルシュートがDFに当たってコースが変わり、そのままゴールイン。セットプレーのキッカーを務めるなどシュート精度と献身性を持つ岩見の一撃で1-1となった。

 この後、互いにシュートコースを消す部分やクロスを上げさせない、DFが必ず相手よりも先にボールを触れるという部分を発揮。特に長崎総科大附は繰り返し仕掛けてくる立正大淞南の攻撃を落ちない運動量、集中力で封じ続ける。このまま最後まで互いに譲らず、ドロー決着となった。

 この日、立正大淞南FW矢野は高川学園高戦でもゴールを決めたが、内容、結果ともに納得していなかった。「自分としては決めるところで決めきれたのは良いんですけれども、競り合いとか球際の部分で甘い部分が出たので反省したいと思います。決定機を外した部分もあったので、2点じゃなくてもっと点数を増やしていきたいと思っています」とコメント。立正大淞南のFW争いは熾烈だが、抜け出しからのシュートを得意とするFWは結果を残し続けて18年度全国高校選手権得点王のOB・FW藤井奨也(現福岡大)のようなストライカーを目指す。
 
 チームとしてはA戦の4試合で1分3敗と苦戦。矢野は「まだまだ自分たちが甘かったことを認識して、練習からしっかりみんなでこの経験を活かしてステップにしていきたいと思っています」と誓った。そして、「個人としても、チームとしても、結果を残せる1年にしたいと思っています」。個人個人が甘さを排除して日常に取り組み、結果に繋げる。

長崎総合科学大附高はFW岩見海斗のゴールで同点に追いついた


(取材・文 吉田太郎)

[練習試合]全国トップレベルの相手との戦いで感じた「あと少し」の必要性。立正大淞南はこだわって目標達成へ

守備能力の高さを印象づけていたMF山田和樹。「あと少し」にこだわって立正大淞南高を楽にする
「全然、まだです」。ジャパンユース プーマ スーパーリーグでJFAアカデミー福島U-18(静岡)や履正社高(大阪)、星稜高(石川)に快勝するなど、まずまずのスタートを切っていた新生・立正大淞南高(島根)だが、1か月強ぶりとなる練習試合となったこの日は2連敗。チームリーダーの一人、MF山田和樹(新3年)は悔しさを滲ませていた。

 立正大淞南は昨年の10番MF山田真夏斗が松本入り。1ボランチを担う山田と左SB松村巧(新3年)が当時からのレギュラーだ。加えて、FW古山兼悟(新3年)、MF藤井嵐(新3年)、MF鈴木暁大(新3年)、MF吉田竜樹(新3年)や新2年生のCB岩本剛気、GK長野大河ら今年も面白い選手たちがいる。

 この日の高川学園高(山口)戦も、長崎総合科学大附高(長崎)戦も中央突破、高速プレスという特長を発揮する時間帯はあった。だが、いずれの試合も後半に前線の運動量を欠いたところや、細かなミスが失点の原因に。また、得点も奪うことができなかった。

 長崎総科大附戦では右サイドから崩し、藤井の強烈な右足ミドルがゴール左隅を襲ったが、年代別日本代表候補歴を持つ相手GK梶原駿哉(新3年)がファインセーブで阻止。藤井は「自分でも『来た!』と思ったけれど、相手のGKが上手かった。(全国レベルを)今日肌で感じました」と語り、全国トップレベル相手でも決められるように「あと少し」のレベルアップの必要性を感じ取っていた。

 この日、鋭い読みを活かしたディフェンスで幾度もボールを奪い取っていた山田も、全国トップレベルとの対戦で「あと少し」の差を学んでいる一人だ。先発した全国高校選手権1回戦の富山一高(富山、インターハイ準優勝校)戦では、終了2分前にクロスから失点。PK戦に持ち込まれ、惜敗した。

 山田は「去年は自分のせいで負けたという感じです。最後の失点も自分がスライディングしていれば防げたと思っているので、そういう気持ちを忘れないで一歩一歩近づいていきたい」。全国トップクラスの相手に勝つために最後の一歩まで緩めずにやり切ること。立正大淞南は知将・南健司監督の下、勝敗を分ける細かな部分を日々学んでいる。その細かな部分の大切さを改めて実感している彼らは、個人個人が意識を高めて「あと少し」をできる集団にしていく。

 この日、山田は印象的な守備を見せていたが、本人は納得していなかった。「まだ最後粘り切るとか、球際の部分で自分の後ろにボールがこぼれたりしたので、そこで自分が抑えられたらチームも楽になる」。山田の兄・CB山田祐樹(現びわこ成蹊スポーツ大)はOBで元主将。山田は自分もチームを引っ張り、こだわって立正大淞南を楽にできるような選手を目指す。

 MF井上健太(福岡大新4年)がいち早く大分内定を決めるなど、立正大淞南OBのJリーガーも年々増えてきている。その中で後輩たちの大目標は、先輩たちがまだ成し遂げられていない全国制覇だ。藤井は「(個人としては)速く仕掛けろといわれている。今のままでは上では通用しない。まだ全然できていない。自分は両足蹴れるのが武器。縦にも中に入ってシュートにも行けるのが武器なので、チームのためにやっていければいい」と誓い、山田は「自分が1ボランチなので自分が2、3人分働けるようにしたい」と力を込めた。高川学園とのB戦は大量得点を奪って勝利。アピールを狙う選手たちと競争しながらチーム力を引き上げ、全国で勝つチームになる。

MF藤井嵐は両足のキック精度などが武器。全国トップレベル相手でも決める力を身につける


(取材・文 吉田太郎)

[練習試合]「なくしても良いから行けと」MF岩永、MF小田の両翼が強みに。好守も光った長崎総科大附が5-0勝利

MF岩永空潤は果敢に仕掛けを連発し、長崎総合科学大附高に勢いをもたらした。パンチのある左足シュートで2ゴールを演出
[3.28 練習試合 長崎総合科学大附高 5-0 立正大淞南高]

 28日、ともに今年1月の全国高校選手権に出場した長崎総合科学大附高(長崎)と立正大淞南高(島根)が練習試合で対戦し、長崎総科大附が5-0で快勝した。

 ともにこの日2試合目。第1試合からの休養時間が立正大淞南より長かったことは確かだが、長崎総科大附が今年のストロングポイントである両翼の攻撃力を活かすなどゴールを連発して強豪対決を制した。

 長崎総科大附の両翼は簡単には止まらない。特に右のMF岩永空潤(新3年)がスピードを活かした縦への仕掛けとカットインから放つ左足シュートで存在感。1-0の前半10分には「(監督の)小嶺(忠敏)さんも『両サイドが持ったらすぐにドリブルして良い』と。『持ったらなくしても良いから行け』と言われているので」という岩永の果敢なカットインシュートが左ポストを叩き、こぼれ球をFW岩見海斗(新3年)が押し込む形で2点目のゴールが生まれた。

 また、35分にも岩永の左足FKがGKの手を弾いて再びポストを叩く。今度はこぼれ球をMF原口玖星(新2年)が押し込んで3-0となった。加えて「相手を一瞬のスピードで抜いたり、テクニック使ったりもできるので、ドリブルは幅広く自信があります」という強力ドリブラー・MF小田晃暉(新3年)も左サイドでチャンスに絡む。

 長崎総科大附はこの試合2得点のFW牧田陽太(新2年)と岩見の2トップが献身的な守備に加えて、攻撃でも相手のDFラインを押し下げる動き。再三セカンドボールを拾っていたMF田中満斎(新3年)と原口が両翼に展開し、岩永は相手DFが2人だろうが3人だろうがどんどん仕掛けていく。ボールをロストする回数も増えていたが、岩永、小田の両翼のアグレッシブな仕掛けはチームに推進力を生み出していた。

 立正大淞南もMF山田和樹(新3年)が鋭い読みを活かした守りで相手の攻撃に蓋をし、GK長野大河(新2年)が好セーブでチームを支えていた。そして、攻撃でもMF吉田竜樹(新3年)のスルーパスからFW矢野佑介(新3年)がシュートへ持ち込んだほか、33分には右サイドから崩してMF{{藤井嵐(新3年)が強烈な右足ミドル。コースを捉えた見事な一撃だったが、長崎総科大附は九州屈指のGK梶原駿哉(新3年)が反応して完璧にはじき出す。

 長崎総科大附はCB藤田和也(新3年)とCB田中翼(新3年)の両DFが的確なカバーリングで要所を締め、梶原も雨中のゲームで隙見せない。また、小林麗王(新3年)と大石航大(新3年)の両SBが攻め上がりから決定機を演出するシーンもあった。長崎総科大附は藤田がCKからゴールを決めるなど、各選手が特長を発揮する形で会心の勝利。「オレと(岩永)空潤が仕掛けるか、仕掛けないかで変わってくるので、積極的に行くようにしています。相手関係なく自分たちはどんどん仕掛けた方が良い。そこから攻撃のリズムが生まれることが多いので仕掛けることは常に意識しています」という小田と岩永の攻撃力は今シーズン、長崎県内外のライバルたちを大いに苦しめそうだ。

 岩永は選手権全国大会も先発出場したが、思うようなプレーをすることができなかったという。今年は「去年から出ているんで、今年は自分がやらないといけないと思っています」と語るように、自覚が高まっている。

「去年は点決めようとか思っていなくて、ただ良いプレーをしようとか、ドリブルしようと思っていて、今年はドリブルもなんですけれども点を取ることを意識してやっています」。相手が人数をかけてマークしてきても強引に仕掛けてシュートへ。高川学園高戦でも1ゴールを決めるなど、強豪相手でも1ランク上のプレーをしていた印象だ。

 小田は九州新人戦では連戦の中で身体が動かず、大会終盤に良いパフォーマンスを継続することができなかったことを反省。春の期間に課題の部分を改善し、武器を磨くだけだ。今年の目標について小田は「全国優勝したいし、個人的にも色々なところから目をつけられたいという思いがあります。抜くだけじゃなくてゴールもしたいし、アシストもしたいし、良いプレーだけじゃなくて数字に残る結果を残したい」と語り、岩永は「自分で点を決めること。小嶺先生に18回目の全国制覇をさせてあげたいと思っています」と意気込んだ。2人は、梶原や藤田ら経験者を残すチームを両サイドからの仕掛けで牽引し、チームに勢いとゴール、そして白星をもたらす。

長崎総科大附は左MF小田晃暉も突破力を備える


(取材・文 吉田太郎)

[練習試合]新2年生FW中山2発。県リーグから上を目指す高川学園が自信となる連勝

2得点を挙げた高川学園高FW中山桂吾(55番)がMF新山大地とハイタッチ
[3.28 練習試合 高川学園高 3-0 立正大淞南高]

 28日、ともに今年1月の全国高校選手権に出場した高川学園高(山口)と立正大淞南高(島根)が練習試合で対戦し、高川学園が3-0で快勝した。

 高川学園が長崎総合科学大附高(長崎)との第1試合に続いて連勝した。だが、前半半ば以降は立正大淞南が高川学園のポゼッションを封鎖。回収力の高いMF山田和樹(新3年)らがボールを奪い、ショートカウンターを連発した。

 23分には中央を打開してFW矢野佑介(新3年)が決定的な右足シュート。その後も突破力を備えたMF鈴木暁大(新3年)が右サイドを強引に打開してからシュート、ラストパスに持ち込む。また、前線でFW古山兼悟(新3年)がボールを収めるなど分厚い攻撃を展開。後半立ち上がりにも鈴木やMF藤井嵐(新3年)、左SB松村巧(新3年)が次々とゴールに迫った。

 だが、CB田中誠太郎(新3年)やCB加藤寛人(新2年)を中心にここを凌いだ高川学園は13分、先制点を奪う。雨の影響もあり、左クロスを相手GKがファンブル。これをFW中山桂吾(新2年)が逃さずに右足でゴールに蹴り込んだ。

 さらに15分、CKの流れから、しなやかなドリブルで存在感を示していたMF林晴己(新2年)が左クロス。中山が難易度の高いヘディングシュートをゴールに決めて2-0とした。

 後半は1か月強ぶりの練習試合だという立正大淞南が失速。逆に攻守両面で良さが出ていた高川学園はチャンスを増やすと、27分にも右SB千々松蓮(新3年)の縦パスでFW福地優雅(新3年)が抜け出す。最後はPAでDFを外してから、慌てずにシュートのこぼれを押し込み、3-0。今年、山口県1部リーグへ降格した高川学園がプリンスリーグ中国勢の立正大淞南に快勝した。

 高川学園は新人戦九州4強の長崎総科大附に0-3から逆転勝ちし、中国地方の強豪・立正大淞南にも快勝。主将のMF新山大地(新3年)は「シーズンが始まってくれば県リーグになってしまったので、こういうレベルの高い相手とできないので今、成長する時期かなと思います。(劣勢になっても)気持ちの部分では負けていなかった」と口にする。

 チームはミスが出ても、各選手の前向きな言葉がけによって引きずることなくプレー。江本孝監督が「戦いどころを知っている」と評する新山を軸に、日頃から意識している周囲への心配りをしながら、一つになって戦った。

 今、何をすることが大事なのか、考え、確認して試合に臨んでいる。一週間前にはリーダー格の選手たちが指導陣に戦術面のトレーニング増加を提案。だが、まずは将来も考えて、技術面などのベース向上に100%の力で取り組むことを求められたという。新山は「一人が100%でやるだけじゃダメだし、全員が100%の意識でやらなければダメ。まず100%でやることにこだわっている」。自分たちの力を日常の練習や山口県での戦いで引き上げて、全国大会で上を目指す。

(取材・文 吉田太郎)

[練習試合]高川学園が0-3から逆転勝ち。がむしゃらさウリのFW福地は“気分転換”を決勝点に繋げる

後半30分、高川学園高はFW福地優雅(左から2人目)が決勝点
[3.28 練習試合 高川学園高 4-3 長崎総合科学大附高]

 28日、ともに今年1月の全国高校選手権に出場した高川学園高(山口)と長崎総合科学大附高(長崎)が練習試合(35分ハーフ)で対戦し、高川学園が4-3で逆転勝ちした。

 前半は長崎総科大附が攻守で強さを示した。9分、FW岩見海斗(新3年)が左サイドからのFKを右足で直接ねじ込んで先制。さらに20分には、スピードに乗ったドリブルが印象的なFW岩永空潤(新3年)がスルーパスで抜け出し、得意の左足でゴールを破る。

 高川学園は、冷静なゲームメークが光るMF新山大地主将(新3年)や高い位置まで持ち出して攻撃に絡むCB田中誠太郎(新3年)を中心にボールを繋いで攻め返そうとする。だが、長崎総科大附は、献身的な動きを見せるFW牧田陽太(新2年)と岩見の2トップを筆頭としたプレッシングで追い込んでボール奪取。そして、素早いサイド攻撃と正確に繋ぐ部分も見せながらゲームを支配した。

 31分にもFW小田晃輝(新3年)のカットインシュートのこぼれを牧田が押し込み、3-0で前半終了。だが後半、ややメンバーを入れ替えた長崎総科大附を高川学園が猛追する。開始50秒、右クロスからFW中山桂吾(新2年)がヘディングシュート。こぼれ球を自ら右足で蹴り込んで1点を返すと、上手くくさびの選手を活用しながら、テンポ良くボールを動かした高川学園が試合の主導権を握り返す。

 そして10分、前線でFW福地優雅(新3年)がボールを受けると、連動した動きで走り込んだMF北健志郎(新2年)が左足シュートを右隅に決めて1点差。そして20分、中央から細かなパスで仕掛けると、最後は左SB奥野奨太(新2年)からのラストパスを受けたMF末永章太郎(新3年)が右足シュートを右隅に決めた。

 勢いの止まらない高川学園はさらに30分、左サイドの末永がグラウンダークロス。中山がニアでDFを引きつけると、後方の福地が左足ボレーで決めて逆転した。福地は「クロスの時は(中山)圭吾の後ろに入ると決めていて、圭吾がスルーしてくれたので、上手くフリーになれた。ごっつあんみたいな感じです」とコメント。江本孝監督は「総附がメンバーを代えてくれたので」と釘を刺した上で、0-3からの逆転勝ちに「ちょっと自信になりますよね」と微笑んでいた。

 決勝点の福地について、江本監督は「がむしゃらさがアイツの良さ。昨年の秋くらいから自分の特長も出てきた。ああいう選手がプレスに来られると嫌だと思います」と評価する。毎試合守備から入ることをテーマにしているというFWのがむしゃらな動きはチームにとって大きい。

 その福地は立正大淞南高(島根)との第2試合でも貴重なゴールを決めて攻守で連勝に貢献した。先発出場した選手権は2試合で無得点。「FWなのに、なかなかシュートも打てず守備だけ頑張っても……とずっと思っていたので、今年はシュートも決定力を主に考えてという意識でやっていました」と説明する。

 今年もなかなかゴール数を増やすことができていなかった。ここで彼は、決めるために自主練などでシュートを打ち続けるのではなく、思考を変えて打たない選択をしてみたのだという。「自分の中では決められない時はとことん決められないと思っていて、何をしてもダメだから、自主練とかあまりせずに、逆にリフレッシュを。それで気分転換をやっていました」。この日は良い意味でリフレッシュして試合に臨み、結果に繋げた。

 福地は「強いチームに0-3で負けていた状況で、後半4点取って逆転できたというのは結構大きな自信になります」。個人、チームとしても自信となった勝利を今後に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

國學院久我山監督として選手権準V。清水恭孝コーチが長野U-15で新たなチャレンジ

長野パルセイロU-15の指導者として新たな一歩を踏み出した清水恭孝コーチ
 第98回全国高校サッカー選手権での指揮を最後に、國學院久我山高(東京)監督を退任した清水恭孝コーチが、AC長野パルセイロU-15のコーチとして新たなスタートを切っている。

 清水コーチは東京都のU-15世代の強豪、ジェファFC監督や國學院久我山のコーチを経て、15年に國學院久我山監督へ就任。就任1年目の第94回全国高校選手権で東京都勢17年ぶりとなる決勝進出(準優勝)を果たし、19年度は東京4冠、関東大会優勝を成し遂げている。選手の技術と判断力向上をこだわって求め、複数のJリーガーも育てている名コーチだ。

 清水コーチは今年2月1日付けで長野U-15のコーチへ転身。「高校サッカーを経験させてもらって、下のカテゴリーでやるべきこと改めてチャレンジしたい」という思いと「Jリーグのトップチームのある組織の中で、自分が経験してきたことを発信できるか。ダイレクターの方や育成部長の方がいる中で、その声を聞きながら経験を伝えていきたい」という考えで、育成思考の強い長野のU-15チームを新天地に決めた。

 長野U-15は昨年のU-17ワールドカップに出場したMF田中聡(現湘南U-18)やMF新井光(現鳥取)を輩出。選手の育つ土壌がある。また、女子サッカーも盛ん。一方で、清水コーチが長野U-15の選手を指導して感じたのは、気持ちの優しい子が多いため、「もっと自信を持って自分を表現して欲しい」ということだ。

 可能性のある選手たちがいることは確か。それだけに、20年超の指導経験を活かして良い意味での「できる」という自信を植え付けながら、「(長野の)外で通用する子、外で自信を持って戦える選手」育成、将来のトップチームの主軸選手育成のためのサポートをする。現在、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、長野のアカデミーは3月末までの予定で活動休止中。清水コーチは4月から、U-13チームを担当する予定だ。

 新体制の下で、新シーズンに臨む國學院久我山の教え子たちにエール。一方、東京を離れた清水コーチにとって、長野は縁もゆかりも無かったという土地だが、“J”での選手育成、活躍がとても楽しみだ。現在47歳の新コーチは、トップチームが「変革の年(Change!)」のスローガンを掲げる長野で「まだまだチャレンジしたい」という指導者人生の新たな一歩を踏み出す。

(取材・文 吉田太郎、写真提供 AC長野パルセイロ)

興國・内野監督「トゥールーズからオファーが出そうだと言われた」。FW樺山とFW杉浦がフランスで高評価

興國高(大阪)のFW樺山諒乃介(左から2人目)とFW杉浦力斗(右端)がトゥールーズのセカンドチームに練習参加。(写真提供=興國高)
 興國高(大阪)のFW樺山諒乃介(新3年、横浜FM内定)とU-18日本代表FW杉浦力斗(新3年)が3月2日から7日までフランス1部・トゥールーズのセカンドチームに練習参加した。

 興國は2月21日からスペイン・フランス遠征。パリSGやエスパニョールの育成組織などと練習試合を行った。当初、2人はトゥールーズのU-19チームに練習参加する予定だったが、2月26日に行われたトゥールーズU-19との練習試合での2人の活躍を見たトゥールーズ首脳陣がセカンドチームでのトレーニングに昇格させることを決定。そのセカンドチームでもポテンシャルの高さを示したという。

 興國の内野智章監督によると、杉浦はクラブから高さに加え、技術面や活動量の多さを評価された模様。一方で、DFの驚異となるプレー、仕掛けの回数が課題となったようだ。より高い評価を獲得したのが樺山の方。横浜FMの承諾を得て練習参加したアタッカーは、技術的&戦術的なスキルレベルの高さや、インテリジェンスの部分もトゥールーズから注目されている。

 内野監督は「(樺山は)トゥールーズからオファーが出そうだと言われたので、慌ててマリノスとすでに契約していると再度伝えた」という。樺山は欧州遠征前に横浜FMから内定を受けているためにオファーは実現しなかったが、実力はフランス1部のクラブも認めるレベルにあることを実証している。

 杉浦は今回の練習参加を振り返り、「トゥールーズの練習に参加して、自分のスピードは世界でも通用する武器だと思った」と分析。そして、外国人選手たちのゴール意欲の強さを目の当たりにしたストライカーは、「この経験を活かして常に外国人とやってるイメージを持ってプレーの一つ一つに駆け引きやったり、まずはゴールを意識するプレーっていうのを考えていこうと思った」と誓った。

 一方、樺山は「トゥールーズに練習参加して通用した事はドリブルや足元の技術です。海外の選手は身長が大きい選手が多いからアジリティとかがあんまり高くなくて緩急を付けたドリブルやターン、フェイントをすると、ついてこれてなくてドリブルで抜けることが多かったです」と振り返る。

 同時にシュートスピードと質の課題を感じて帰国。「これから高いレベルでやっていくためには自分の意見を言ったり、相手に対しての要求が必要になってくると思うから、この経験をしたからこそ、日本人の良くない所を減らしてONとOFFのメリハリを付けれるようになりたいと思います。技術的なところでは自分の武器を外人に負けないようにレベルアップしていきたいと思います」と意気込んだ。

(コメント、写真提供 興國高)

練習から異質。滝川二で1年生から10番のMF藤田仁朗は「情けない」から「やっぱちゃうな」と言われる選手へ

兵庫の名門、滝川二高で1年生から10番を背負うMF藤田仁朗。練習から異質のプレーを見せている
 兵庫の名門で1年生から10番を背負うMFは、トレーニングから目立つ存在だ。MF藤田仁朗(新2年)は、FW岡崎慎司(現ウエスカ)やFW金崎夢生(現名古屋)ら名手を輩出した滝川二高で昨年の選手権予選から10番を背負う注目株。トレーニングでは先輩たち相手に「そこを見ているんだ」「そこへ出すのか」というようなパスを連発したほか、キープ、フィニッシュの部分でも力を発揮するなど、目を引くようなプレーを見せていた。

 自分自身への要求は高い。「トレーニングで100%の力を出せへんと、試合でも100%の力は出せへんと思うし、そんくらい自分では意識高くやろうとは思っています。誰に見られても、『コイツ、やっぱちゃうな』と思われたいし、自分が入ることでリズムとか変えられる選手になりたいので意識しています」。レベルアップを求めるのには理由がある。

 1年生で10番を背負って臨んだ選手権予選は準々決勝敗退。「いくら1年やからと言っても、10番も背負わせてもらったのに、情けないと思うくらい何もできなくて悔しくて、『ここからまた這い上がろう』と思いました」。その悔しさが力となって成長を加速させている。

 怪我で離脱した2か月間にとにかくサッカーを見て、学んだ。昨秋の段階ではボールを受ければ全て自分で何とかしようとしてしまっていたが、プレースタイルも変化。「じっくりとサッカーを見たら、全部『自分が、自分が』ってちゃうなと思って、メッシとか世界の一流選手は自分が持ったら上手いけれど、周りも活かせるから何でもできる。だから、全部『自分が、自分が』じゃないねんなと。だから、周りも活かせる選手になろうと」。その意識変化、シンプルなパスを織り交ぜた動きがチームの良いテンポも生み出し、藤田の決定的なプレーも引き出している。

 前を向いた際のチャンスメークやPA付近のアイディアの豊富さがストロングポイント。だが、まだまだ強さのある選手ではない。トレーニングでもボールを受ける動きを増やし、守備も献身的に取り組んでいるが、チームメートに当たり負けしているシーンも。肉体強化は、これからだ。

 ただし、本職のシャドーの位置でプレーする機会を掴むために、常に首を振って周囲から情報入れようとしてきた成果が出ていることも確か。本人も「ちょっと頭使えるようになってからは、自分に余裕を持てたりしました」と手応えを得ている。よりスピード、強度が上った中でもプレーできるように、目立てるように、今後も意識してレベルアップさせていく。

「自分ではもちろん選手権もインターハイも両方全国出て、一番は点も獲りたいですけれども、『コイツ、なんかちゃうな』というところを見せたい。背もデカくないし、身体もあんまり強くないんで、目にはつきにくいんですけれども、周りと違う異質なプレーやアイディアをたくさん出して、そういうところを今年は全国でも通用できるようにこれからも頑張りたいです」。

 兵庫県選抜でチームメートだった神戸弘陵高MF田中祉同(新2年)が選手権全国大会で決勝点を決めるなど活躍。「凄いと思うんですけれども、凄いじゃなくて『オレもこんくらいやれる』ってところを見せたいと思っています」。今年の滝川二の中盤は大型MF松本祐満(新3年)らも注目だ。中でも、悔しさをバネに自分を成長させてきた異質のMF藤田が「やっぱちゃうな」というプレーを全国でも見せる。

(取材・文 吉田太郎)

滝川二の兵庫県選抜GK林憲太朗、活躍中の関西出身GKたちに負けない存在へ

滝川二高GK林憲太朗も関西の注目守護神。結果でライバルたちを上回るか
 今年2月に興國高(大阪)のGK田川知樹(新3年、大阪市ジュネッスFC出身)が横浜FMに内定。同じく大阪出身の流通経済大柏高(千葉)GK松原颯汰(新3年、RIP ACE SC出身)は1年時に全国高校選手権準優勝を経験し、千葉、湘南の練習に参加している注目GKだ。

 関西出身のGKが活躍する中、兵庫の名門・滝川二高で下級生時からゴールを守る守護神も彼らへのライバル心を持って成長を目指している。GK林憲太朗(新3年、神戸FC出身)は身長180cmほどの田川、松原よりもやや小柄な177cm。だが、林も国体兵庫県選抜のゴールを守った実力派で、チームを勝たせる力を持つGKだ。

 田川とは1年時に開催された関西のGKキャンプで一緒に。また、松原は中学時代に幾度か対戦している間柄だ。「今、興國の田川知樹であったり、松原颯汰だったり関西で一緒だったのでそこを意識しているのもある。結構、刺激を受けています」。同じ関西出身で特別なサイズのない2人。彼らから勇気を得ている部分もあるだろうが、負けたくないという気持ちはそれ以上に大きい。

 1月の“裏選手権”では好守でチームの優勝に貢献。もちろん、先を行くライバルの活躍や、公式戦で結果を出せていないという焦りもある。だが、「この代で、みんなで全国に出てタイトル獲りたいという気持ちが強い。今年は(主将、副主将以外にも)やろうという選手が多い」というGKはチームリーダーの一人として、まずは自分の武器を滝川二のために発揮して、勝利に貢献していく考えだ。

 1対1の強さやシュートストップが特長。加えて、「周りを活かして自分がどのように止めるか。頭を使って守る」ことに注力している。現在、滝川二はポゼッションスタイルへの取り組みを進めているが、林は11対11のトレーニングで状況を見極め、遠くの選手の足元にボールをつけるなど好プレー。元々得意だった訳ではないというが、自ら学び、中尾優輝矢GKコーチのアドバイスを活かして、問題なく対応している。

 林は「高校サッカーでは(青森)山田だったり、流経(流通経済大柏)だったり、前からハメて来るチームがあるので、そこをGKで剥がせるように。バルサで言ったらテア・シュテーゲンだったり、そういうところを見て勉強していっています」。先を見据えて自分の成長のためにも積極的にチャレンジしていく。

 一番の憧れは「小さい頃からカシージャス。やっぱりサイズもあまりない中、キャプテンでチームをまとめるという存在としても良いし、セーブだったりは憧れます」。中尾GKコーチも登録177cmながら、選手権優勝GK。特別なサイズがなくても「できる」ことを証明して、ライバルたちをまずは結果で上回る。

(取材・文 吉田太郎)

新生・滝川二で新たなチャレンジも。裏選手権で大活躍、“普通じゃないCB”目指す眞古大輔

滝川二高のCB眞古大輔主将は“普通じゃないCB”を目指す
 1月の“裏選手権”ではMVP級の活躍をして優勝に貢献。滝川二高(兵庫)のCB眞古大輔主将(新3年)は新たなチャレンジに対して積極的だ。「(3月に就任した)亀谷監督からは今、ビルドアップのプレーを求められているので、両足のキックだったり、一つひとつの精度を高くしていかないといけないと思っています」。CBから相手のプレッシャーを剥がすようなプレーが求められる中、より精度の高いポジショニングとキックなどできることを増やしていく。

 “裏選手権”ではインターセプトから強引に相手のファーストDFを突破して前進する姿が印象的だった。元々FWやボランチを本職としてきたCBは、ボールを奪うだけでなく、DF2人がかりでも止まらないような推進力も特長。眞古は“普通じゃないCB”になることを自分に課している。

「普通のCBだけじゃ上に行くのは厳しいかなと感じて。それは個人の考えなんですけれども、やっぱり自分はFWとかボランチとかやっていたからこそできるプレーがあると思うので、それを全面的に活かしていく。目立つには『普通じゃないCB』が一番かなと思ったので、それを徹底してやっていきたいと思います」。

 “裏選手権”後に開催された兵庫県内の公式戦でも、インターセプトからの攻め上がりや特長の一つである空中戦の強さが通用する回数が増えたという手応えがある。一方で、ノルマとしているセットプレーなどから1試合1点を取ることや、ピンチを作られないという部分はまだまだ。だからこそ、新体制がスタートしたチームの勝利のためにも、自分の強み、そして課題のレベルアップに貪欲に取り組んでいく。

 “裏選手権”と同時期に開催されていた全国高校選手権を見て感じたことがある。「裏選手権でやっているレベルがあって、ここは通用するなというところが個人でもチームでもあったんですけれども、ああいうトーナメントを勝ち抜くという勢いだったり、勢いだけじゃないという部分を選手権を見て、静岡学園や青森山田から『強いチームだな』と感じたので、そういうチームにして行くためにもっとやっていかないといけない」。目標は日本一。そのために自分ができることを全力でやり抜く。

 毎年兵庫県選抜U-18が出場しているガバナーカップが中止。そこに選ばれて青森山田高と対戦し、高校年代を代表するCBであるU-18日本代表DF藤原優大(新3年)と戦いたいという思いがあったが、お預けになった。それでも、「同年代の選手には負けたくないです」という気持ちを持ち続けて成長を目指すだけ。1年後の選手権でライバルたちを上回って輝くためにも、“普通じゃないCB”になる。

(取材・文 吉田太郎)

「怯まず 驕らず 溌剌と」。亀谷新監督就任の滝川二はモットーを表現し、“オール滝二”で頂点まで這い上がる

「怯まず 驕らず 溌剌と」。新生・滝川二高は自分たちのモットーを表現して日本一へ
「怯まず 驕らず 溌剌と」(ひるまず おごらず はつらつと)。新生・滝二は自分たちのモットーを改めて意識し、表現して頂点まで這い上がる――。滝川二高(兵庫)は3度のワールドカップに出場したFW岡崎慎司(ウエスカ)やFW金崎夢生(現名古屋)、DF加地亮(元G大阪など)ら数々のプロサッカー選手を輩出し、06年全日本ユース(U-18)選手権、10年度全国高校選手権でそれぞれ日本一に輝いている名門校だ。今年3月1日に松岡徹前監督(教諭)に代わってOBで外部コーチの亀谷誠氏が新監督に就任。滝川二1期生として2年時冬から3年時にかけて兵庫3冠を達成し、その後鹿島の育成組織監督やスカウト、広州富力(中国)の育成年代の監督などを務めた経歴を持つ新指揮官の下で新たなスタートを切っている。

 ただし、就任当初は新型コロナウィルスの影響によって、サッカー部も活動休止中だった。その中、今月19日に兵庫県が県立学校に対して、週4回を上限とした条件付きで春休みの部活動再開を発表。私学の滝川二もそれに習う形で24日に週4日、1日2時間以内、参加は希望者のみという条件付きでトレーニングを再開した。

 滝川二は過去2年間、兵庫県内で無冠。今年は1月のニューバランスカップ(通称:裏選手権)で履正社高(大阪)や桐光学園高(神奈川)、東海大大阪仰星高(大阪)などを破って優勝したが、直後の県新人戦は3回戦でPK戦の末に敗れている。周囲から結果、内容も求められる中、亀谷新監督はまずGK、CBから相手のプレッシャーを外すような挑戦心のある攻撃と、守備での大きな手法から着手。そして何より、「滝二に脈々と受け継がれてきた『怯まず 驕らず 溌剌と』戦い、主導権を握って行くサッカーをしよう」ということにこだわっていく。

 攻撃も、守備もひたむきに、見る人に溌剌さが伝わるような戦いをして、主導権を握って、勝つ。主将のCB眞古大輔(新3年)は「『怯まず 驕らず 溌剌と』というモットーがあって、それを失いかけていたのがチームとしての現状であって、特に『溌剌と』という部分では最近の滝二ではなかったかなと。今までの滝二は『溌剌と、自分たちでやっているな』と思われていたのが、消極的になっていた」と分析する。

 県内のライバルたちからターゲットにされる中、負けられないという思いが硬さ、消極性に繋がっていたのかもしれない。指導体制が代わったことに関しては驚きもあったというが、選手たちはまず原点を見つめ直して、自分たちから溌剌とプレーする姿を周囲に発信する考えだ。

 チームに大きなポテンシャルがあることは間違いない。亀谷監督が指導したのはまだわずか。それでも、「コーチたちがしっかりとしてくれている。(裏選手権や新人戦の)映像を見てもトレーニングをしているのが分かる。(課題もあるが)ベースはしっかりとあると感じます」と新指揮官は頷く。特に裏選手権を制している今年は、いずれも注目度の高い眞古と司令塔のMF松本祐満(新3年)をはじめ、MF岩澤秀人(新3年)やGK林憲太朗(新3年)といった昨年からの経験者、そして1年時から10番を背負う異質のMF藤田仁朗(新2年)らを擁する期待のチームだ。

 選手たちのモチベーションも高い。活動再開後のトレーニングは亀谷監督の分かりやすいコーチングとムード作り、メリハリのあるメニュー、選手たちの新監督にアピールしようという姿勢が上手くリンク。90分間ほどの練習時間の中で良いプレーがいくつも出るなど、選手たちの吸収・成長が伝わって来る印象だった。

 眞古も「休校明けで、練習無くって僕の中でももう少し練習がグダグダしてしまうところがあるかなと思っていたんですけれども、監督やスタッフのおかげや自分たちの意識もあって、思ったよりも良い練習ができていると感じました」と語り、林は「(亀谷)監督も熱い人で、滝二の現状を変えようとしている熱い気持ちは伝わってくるので、僕らもまず滝二自体を変えないといけない」と強い気持ちでチームを良い方向に変える決意を口にしていた。

 選手たちは裏選手権の優勝で勝つ喜びも知っている。亀谷監督は「それを何回もやろうや!」とメッセージ。そして、OBに向けて「優秀なOBがいるのでグラウンドに来てくれたら嬉しいし、みんなで協力して欲しい」と語り、非常に意欲的な選手、指導陣、OB、関係者を含めた“オール滝二”で、同じ方向を向いて復権を目指していく考えだ。

 今年の目標は日本一。そのための取り組みをする。眞古は、「目標は日本一を立てたので、監督に言われたのは掃除とかしっかりとしろと。サッカーだけじゃなくて、日本一になるにはサッカー以外のところも日本一にと言われているので、そこに関してはしっかりとしていこうと思います」。昨年、人工芝グラウンドが完成し、環境面は飛躍的に向上。新体制で注目される部分もあるが、自分たちを見失うことなく、日々努力を続けるだけだ。そして、OBたちが受け継いできた姿勢をピッチで表現し、今年から“強い滝二”を兵庫、全国で示す。

亀谷誠監督は滝川二の第1期生で3年時にインターハイ、選手権に出場。鹿島育成組織の監督やスカウトの経歴を持つ

選手、指導陣、OB、関係者が“オール滝二”で日本一を目指す


(取材・文 吉田太郎)

日章学園監督退任の早稲田一男氏が新たな挑戦。“ライバル”宮崎日大総監督就任へ

日章学園高監督を退任する早稲田一男氏は宮崎県内のライバル、宮崎日大高の総監督就任へ
 定年のため、日章学園高(宮崎)監督を退任する早稲田一男氏が、同じ宮崎県内のライバル校である宮崎日大高の総監督に就任することが分かった。早ければ、25日にも宮崎日大から発表される模様。日章学園を全国区の強豪に育て上げた名将は、同校から約2kmの位置(宮崎日大第2グラウンド)で練習する精鋭で、新たなチャレンジをすることになった。

 当初、早稲田氏は35年間監督を務めた日章学園での指導を、定年後も継続することを希望。だが叶わず、新天地を探していた。一方、宮崎日大は、以前から日本高校選抜の監督も務めた経歴を持つ早稲田氏の経験、手腕を非常に高く評価。約2か月前に退任の正確な情報を得て、そこからの打診・交渉を経て“宮崎サッカー界のレジェンド”を迎え入れることになった。

 宮崎日大は、現役時代に国見高(長崎)などで活躍した南光太監督が指揮。宮崎日大中との中高一貫指導などによってメキメキと力をつけ、王者・日章学園、鵬翔高の名門2校の対抗勢力になっている。

 過去2年の選手権宮崎県予選とインターハイ宮崎県予選は、全て決勝で早稲田氏率いる日章学園に敗れて準優勝。未だ、全国大会への出場はないものの、2年連続で九州新人戦4強に食い込むなど、その実力は確かだ。

 昨年には人工芝2面の第2グラウンドが完成。環境面は全国クラスと言える。ポテンシャルは十分。そのチームに加わる早稲田氏は、宮崎日大中・高の全カテゴリーを統括しながら、南監督をはじめとした指導陣をサポートすることになるようだ。

 宮崎県出身の早稲田氏は越境入学した帝京高(東京)の主将、エースストライカーとして、77年度の全国高校選手権で優勝。古河電工で活躍後の85年2月に宮崎実高(87年に日章学園高へ改称)の監督に就任した。在任した35年間で、選手権は96年度の初出場を皮切りに15回、インターハイも14回(同校は計15回)出場。いずれも全国8強の最高成績を残している。

 16年には、日本高校選抜監督として欧州遠征。情熱と厳しさ、ユーモア、初見の相手でも別け隔てなく接する心の広さを持つ指導者だ。今月の卒業式で涙とともに別れを告げた日章学園での指導同様に、宮崎日大でも情熱と指導手腕を発揮して勝利へ。もちろん、全国経験者や全中2連覇世代らかつての教え子たちも強力だが、宮崎日大が宮崎の壁を破り、全国で勝ち上がるための力となる。

創部2年目・福大若葉の注目1年生、FW合戸晴矢「プロになるのも1番、優勝するのも1番」に

福大若葉高の練習会場に訪れていたFW合戸晴矢。4月から始まる高校サッカーでのプレーを楽しみにしていた
 創部2年目の福大若葉高(福岡)で「プロになるのも1番、優勝するのも1番、それをやってやる」という野心を持っている。FW合戸晴矢(新1年)は福岡県の街クラブ、ラパシオン出身。福岡県の国体選抜候補にも名を連ねている注目ストライカーだ。

 守備や連続性の部分などの課題があることは確かだが、キープ力や抜け出しの鋭さ、1タッチプレーの巧さはホンモノ。特に杉山公一監督が「(スカウティングに行った際、)格上とやっても必ず点を獲っていた」と説明する得点力は、高校サッカーでも早速発揮されそうだ。

 中学時代は「点獲られてもいいから、オレが決めてやる」という気持ちを持って試合へ。そして、その通りにゴールを奪い続けて注目される存在となった。福岡県内の強豪校・Jクラブユースが獲得を目指す中、「若葉高校から国体に選ばれたりして、福大からプロに行きたいです。ヒガシ、筑陽を倒すと決めた」FWは福大若葉を進路に選んだ。

 創部2年目だが、同期の1年生たちは「凄い」メンバーが集まったと感じている。彼らや先輩とともに福大若葉の歴史を築き上げていく意気込み。そのチームの中で「どんな状況でも点が獲れる」存在になることを誓った。

「強みは裏の抜け出しとか、個人でかわしてGKとの駆け引きでシュート決めたり、一番のウリは裏へ抜け出して一本で勝負を決めることです。憧れはレワンドフスキ選手です。収めて、合わせて、華麗なトラップとかシュートとかポンポン決めるので」とコメント。福岡大との高大一貫指導で力を磨き、即戦力としてプロ入りすることを目指している。

 兄・MF合戸倫太郎も今春、浜松開誠館高(静岡)から福岡大へ進学。3年後に兄とともに福大でプレーするチャンスもある。福大若葉で同校初の国体メンバー入り、初のプロ入り……と大志を抱いてスタートする高校生活。素材感十分のストライカーが福大若葉の「初」を一つでも多く達成して「福岡制覇」や「プロ入り」を果たす。

(取材・文 吉田太郎)

総監督は福岡大・乾監督。創部2年目の福大若葉は高大一貫の取り組みで強化し、福岡4強、その先へ

福大若葉高は系列の福岡大サッカーグラウンドなどでトレーニングを行い、高大一貫での強化を目指す
 他にはないカタチで激戦区・福岡に新風を吹かせる――。福大若葉高(福岡県福岡市)は、19年4月の男女共学化とともに男子サッカー部を創部。系列の名門・福岡大との高大一貫による強化をスタートしている。

 現在、九州大学リーグ1部で3連覇中の福大は、09年の総理大臣杯で大学日本一。天皇杯でJ1チームを撃破した実績を持つほか、日本代表FW永井謙佑(現FC東京)ら約70名ものJリーガーを輩出している全国区の強豪大学だ。19年の共学化へ向けて男子生徒募集を始めた福大若葉と福大が協力し、福大若葉男子サッカー部を強化することを決定。約30年に渡って福大の指揮を執る名将・乾眞寛監督が福大若葉の学校説明会にも出席し、男子サッカー部立ち上げ・強化を中学生たちに伝えていた。

 乾氏は、福大若葉の総監督兼アドバイザーにも就任。また、福大若葉の監督には福大OBで、九州国際大付高(福岡)監督として同校を全国高校選手権やインターハイ出場、プリンスリーグ九州上位へ導いている知将、杉山公一氏(福岡県サッカー協会技術委員長、永井の高校時代の恩師)が迎えられた。杉山監督は九国大付での立場を後進に譲り、新たなチャレンジをすることを決断して2年目。恩師・乾監督やコーチ陣とともに、福大若葉のメリットを活かしながら新天地で強豪を作り上げようとしている。

 乾総監督は「なりふり構わずサッカーだけを強化するのではなく、勉強もできるところを目指している。福大へ推薦で行けるメリットもあります。大学まで見据えてその入口として(福大若葉を)志してもらえればいい」とコメント。サッカーだけ一生懸命になるのではなく、福大の附属校として文武両道の姿勢を貫く構えだ。

 サッカー面において、福大との協力体制はメリットしかない。土日や長期休暇を中心に、トレーニングは学校から自転車で25分の距離にある福大の人工芝サッカーグラウンドを利用。高校生が大学生のGK練習に交ざったり、福大の練習・試合を間近で見る機会も設けられた。

 今年からは、力のある高校生を福大の練習に参加させたり、高大による練習試合を行う予定。将来、指導者を目指す福大生が福大若葉の選手を指導する機会もありそうだ。乾総監督は「(大学生との練習、試合は高校生にとって)どんな1回の練習も上回る経験になります」。九州を中心に実力者が集まっている福大はスピード、質も別格。福大若葉はその中で揉まれながら、個人、チームとしてレベルアップしていく。

「ゴールも、ボールも、ビブスも何もないところからのスタート」(杉山監督)。全てが思うように行くわけではない。ただし、「男子1期生ということもあって、一番最初から作り上げていくサッカー部だから、それが面白そうだと思ったし、さらにやりがいがあると思ったから選びました。練習中に(杉山)監督が言うことをただ聞くだけじゃなくて、しっかりと理解して次に繋げようと思っている」というDF瀬尾竜汰主将(新2年)ら1期生の選手たちは、杉山監督やコーチ陣の指導の下で着実に成長。1年目から長崎総合科学大附高(長崎)や九国大付、高川学園高(山口)、瀬戸内高(広島)などの強豪校と練習試合を行うなど経験を積み、迎えた選手権予選初戦(乾総監督もベンチ入り)では、県大会へ進出した九産大九州高相手にオール1年生で粘り強く戦い、0-2と食い下がった。
 
 創部2年目となる今年は期待のストライカー、FW合戸晴矢(ラパシオン出身)やMF森部圭汰(ルーヴェン福岡出身)、DF山口蓮(ブリジャール福岡出身)、GK小林永和(ブリジャール福岡出身)というU-15県トレセン組やDF渡邊紘己(トナカイFC U-15出身)、MF川上莉央(西南FC出身)といった素材が加入。杉山監督が「人間性が抜群。言ったことをめっちゃ吸収する」という瀬尾やMF藤野日向大、MF落合滉ら新2年は練習から最後の一歩が伸びたり、身体を張ったり、頑張りの利く選手が多く、レベルアップした1、2年生軍団がどこまで勝ち上がることができるか注目だ。

「高校の先生と違う角度で見てアドバイスもできると思う」と語る乾総監督や杉山監督の経験もチーム、選手にとってプラス。それぞれ、福大、九国大付で素材感のある選手を育ててきているだけに、高大7年計画でのJリーガー育成も期待される。

 近年の福岡の戦いは、プレミアリーグ勢の名門・東福岡高が中心。19年度選手権出場校の筑陽学園高、伝統校・東海大福岡高、そして今年の新人戦を制した九国大付を加えた4校が福岡の4強を形成してきた。ここへ来て、飯塚高が急激に台頭してきているが、しっかりとした土台を持つ福大若葉も今後の注目チーム。乾総監督は「(県外から選手を集めなくても、)十分に(福岡)市内の子で(福岡の上位へ)行けます。メイドイン福岡。めちゃくちゃ力みがある訳ではない。でも、ちゃんとやれば行けると確信しています。4強の一角に確実に入るチームで、より先の全国に出るチームにしたい」と力を込めた。

 決して福岡を勝ち抜くことは簡単なことではない。それでも、福大との連係で選手強化ができるシステムは、福岡県内のライバルにはない強みになるだろう。今後マークされることも間違いないが、選手たちの目標はそれを乗り越えて新たな歴史を一つひとつ築き上げて行くこと。瀬尾は「(福大は)一人ひとりの意識とかチームとしてのまとまりが練習を見るだけで分かる。そういうチームをこれから目指していきたい。今年には県大会に出て、福岡でも有名になれるように。杉山監督やコーチの指導の下、全員で頑張っていきたいと思っています」と宣言した。福大と同じエンジ・白のユニフォームに「WAKABA」の文字。そのユニフォームと福大若葉の名をまずは福岡、そして全国に知らしめる。

福大若葉の指揮官に就任した杉山公一監督は元大分FW。指導者としては、九州国際大付高を2度の選手権と1度のインターハイ出場に導いている

福岡大の乾眞寛監督は福大若葉高の総監督兼アドバイザーを兼任することになった


(取材・文 吉田太郎)

練習でゴール連発。ブレイク期待の新2年生、高川学園MF林晴己の目標は「1試合1点」

ゴール連発を期待される高川学園高MF林晴己(新2年)
「足でも、頭でも点を獲れる選手になっていきたいです。今、自分は『アシストよりも得点を獲る選手になれ』と言われているので、1試合1点は必ず獲っていきたい。(山口県1部リーグでは)10点は獲りたいです」。高川学園高(山口)のMF林晴己(新2年)は、ブレイク期待のサイドアタッカーだ。

 取材日は、11対11のトレーニングで躍動した。ドリブルで斜めに持ち込んでから右足で1点目を叩き出すと、カットインからの左足シュートで2点目。さらに左クロスでDFの前に入り込んで3点目を決めた。さらに縦突破でDFを振り切り、MF末永章太郎(新3年)のゴールをアシスト。結果を含めて目立つプレーだった。

 国体山口県選抜の一人。昨年は春先の怪我の影響でインターハイ予選はメンバーに入ることができなかったが、選手権予選は登録メンバー入りして全国大会もベンチで雰囲気を味わった。

 全国3位に入った国体含めて大舞台で活躍することはできなかったが、今年に懸ける意気込みは十分。キープ力優れた長身FW中山桂吾(新2年)やFW福地優雅(新3年)らアタッカー陣には他にも力のある選手がいるが、「自分が点を獲って、3年生に頼らずに自分が見せれるような年にしたいです。(エースと言われるような活躍をして)みんなからそう思われたいですね」と静かに誓った。

 対面の選手の苦手なプレーを見極めて、弱点を突く狡猾さも兼備。相手の隙を逃さず、得点に結びつけていく。江本孝監督も「スピードはないけれど、ボディバランスが良く、簡単に相手を抜き去ることができる。責任感をしっかりと持っている」と期待するMFは、課題の守備や競り合いの部分含めてできることを増やしてシーズンをスタートさせる意気込みだ。

 目標は、憧れの選手というベルギー代表MFエデン・アザールのように得点量産もチャンスメークもできる選手になること。そして、今年は大舞台でゴールを決めて高川学園を勝利へ導く。

(取材・文 吉田太郎)

昨年は国体3位。強敵との対戦や敗戦を成長に繋げてきた注目CB田中誠太郎、今年は高川学園で結果を

中国地方屈指のDF、高川学園高CB田中誠太郎(新3年)
 全国でトップレベルに触れるたびに、新たな課題を見つけて取り組み、大きな存在になってきている。山口の名門、高川学園高のCB田中誠太郎(新3年)は今年の中国地方屈指のDF。昨年からDFリーダーとして高川学園を支え、全国高校選手権出場に貢献している。

 昨年は早生まれ選手として国体少年男子の部にも出場。優勝候補の大阪府を完封するなど、山口県にとって49年ぶりとなる4強、初の3位の立て役者となった。年代別日本代表など各府県のタレントを相手に守備能力の高さを発揮した一方、「攻撃好きです」という田中はCBの位置から見せる豪快な攻撃参加でも存在感を放っていた。

 だが、同じく全国上位を目指した選手権は2回戦で涙。主導権を握りながら0-1で仙台育英高(宮城)に競り負けた試合について、最後に集中力が切れたことが敗因だったと考えている。その部分の改善に加え、取り組んでいるのが肉体強化だ。

「あの選手権で負けてから、自分でももっと力つけるためにウェートトレーニングにも力を入れているんですよ。自分を変えようと」。連日60kgのベンチプレスを10×3セット行うなど筋肉の増量にチャレンジ。現在は身長180cmで体重は72kgと選手権前に比べて3kg増加させた。

 これまでも、悔しい敗戦を成長に繋げてきた。1年時の国体は初戦で大阪府に1-3で逆転負け。大阪府の10番はすでに横浜FM入りを決めている興國高FW樺山諒乃介(新3年)だった。「アイツは1対1凄かったです。こんなヤツいるのかみたいな感じでした」。年代別日本代表にも選ばれていた樺山と対戦したことでトップレベルを知り、そこから1対1で絶対に負けないことや、最後の一歩まで諦めずに身体を張ることを徹底。個をレベルアップさせて全国でも通用するDFになった。

 潰しの部分やカバーリング、攻撃力を強みとする田中はトレーニングでもインターセプトからそのまま攻め上がり、チャンスメーク。参考にしているのは2学年上の大黒柱・CB田近洸貴(現びわこ成蹊スポーツ大)だ。その先輩は攻め上がりからワンツーなどでPAまで持ち込んでゴール、アシストも記録。「僕が高川入った時に田近さんがいたんですけれども、その人がCBからボールを奪って攻めていた。あの人を超えられたら良いCBになれるのかなと自分の中で考えています」という田中は、先輩を超えるような攻撃的なCBを目指す。

 その田中について、江本孝監督は「クレバーで対人に強い。闘争心がかなり出てきた。田中が気合入っている時はチームが良い雰囲気になる」と説明する。以前は自分の世界に入って声が出なくなることもあったようだが、意識して改善。後方からチームを鼓舞して周囲の闘志、集中力を引き上げている。

 注目度が高まってきているが、「注目してもらえることはありがたいし、もっと注目されて力をつけていって、プロにもなりたいと思っていますし、上の世界でやっていきたいです」ときっぱり。強敵との対戦や敗戦を成長に繋げてきたCBが、今年は高川学園で結果を残し、将来の可能性を広げる。

(取材・文 吉田太郎)

ピッチ内外で高川学園を牽引中。MF新山大地が求める「あと一歩」と“パレホのような”パス

山口の名門・高川学園高の新主将、MF新山大地(新3年)
 江本孝監督が「ゲームを作るバランスに長けている」と評するMFは、昨夏に左SBからボランチへコンバートされてからわずかな期間で名門・高川学園高(山口)の柱へ成長。選手権全国大会でも2試合にフル出場した。そのMF新山大地(新3年)は今年、主将としての自覚を持って、ピッチ内外でチームを引っ張っている。

 インターハイと選手権でいずれも2度の4強入りをした実績を持つ高川学園は17年8月、筑波大のパフォーマンス局を参考にして選手を主体とした部署制を導入。各選手は分析部、広報部、生活部、おもてなし部などに属し、サッカー部員として個人の技術や判断力を向上させるだけでなく、ピッチ以外の部分でもやりがいを見つけ、自律心の向上を図っている。

 この活動を通して、各部長を中心に目配り・気配り・心配りする力を身に着けているが、総務部として他のリーダーたちとともに全体を統括する立場にいるのも新山。指揮官は彼について、「もっと非情になっても良いかもしれない」と語る一方で「非常にチーム、人に対して気を配れる」と人間性の部分も高く評価している。

 取材日はピッチで一際多くの声を出し、ゲーム形式のトレーニングではスプリントを繰り返して相手ゴールに迫った。新山が大事にしているのは、「あと一歩」だ。選手権2回戦で仙台育英高(宮城)に0-1、紙一重の差で敗れたことによってその重要性を再確認し、その一歩を意識しながらトレーニングしている。

「その一歩のところが大事。その一歩で当てとけば、入らなかったんじゃないかなとか、決めれたんじゃないかなと。自分としても、去年の夏負けてボランチに変わってそこから成長したと思うんですけれども、全国で戦ってみると、上には上がいるし、いつも意識しているセカンドボールのところでも全然優れなかったと思います。自分が引っ張らないといけないし、誰よりも頑張っている姿勢は出さないといけないし、仲間がプレーしやすい、やりやすい感じで試合も進めていけないといけない」

 前主将のMF内田裕也(→福岡大)は攻守でチームを牽引し、選手権1回戦で決勝点。「キャプテンがチームのために頑張ってくれたからあそこまで行けたんじゃないかと思います」と分析する新山は、CB田中誠太郎(新3年)やGK古屋潤一(新3年)、MF末永章太郎(新3年)、FW福地優雅(新3年)といった全国経験者や、FW中山桂吾(新2年)、MF林晴己(新2年)、MF村上一颯(新2年)ら期待の新2年生たちを擁す高川学園を背中で引っ張っていく覚悟だ。

 憧れはバレンシア(スペイン)で異質のパスセンスを見せている10番、MFダニ・パレホだ。「あの選手のように、ここにパス出すんかみたいな、相手の隙を突く選手になりたい」。新人戦は怪我人の穴を埋めることができずにまさかの3回戦敗退。インターハイ、選手権で同じ轍を踏む訳にはいかない。「今年は全国ベスト8以上が目標」。昨年足りなかった「あと一歩」や“パレホのようなパス”を求めるリーダーが自身もより成長させて、名門を全国ベスト8以上、プリンスリーグ中国昇格へ導く。

(取材・文 吉田太郎)

ピッチ内外で高川学園を牽引中。MF新山大地が求める「あと一歩」と“パレホのような”パス

山口の名門・高川学園高の新主将、MF新山大地(新3年)
 江本孝監督が「ゲームを作るバランスに長けている」と評するMFは、昨夏に左SBからボランチへコンバートされてからわずかな期間で名門・高川学園高(山口)の柱へ成長。選手権全国大会でも2試合にフル出場した。そのMF新山大地(新3年)は今年、主将としての自覚を持って、ピッチ内外でチームを引っ張っている。

 インターハイと選手権でいずれも2度の4強入りをした実績を持つ高川学園は17年8月、筑波大のパフォーマンス局を参考にして選手を主体とした部署制を導入。各選手は分析部、広報部、生活部、おもてなし部などに属し、サッカー部員として個人の技術や判断力を向上させるだけでなく、ピッチ以外の部分でもやりがいを見つけ、自律心の向上を図っている。

 この活動を通して、各部長を中心に目配り・気配り・心配りする力を身に着けているが、総務部として他のリーダーたちとともに全体を統括する立場にいるのも新山。指揮官は彼について、「もっと非情になっても良いかもしれない」と語る一方で「非常にチーム、人に対して気を配れる」と人間性の部分も高く評価している。

 取材日はピッチで一際多くの声を出し、ゲーム形式のトレーニングではスプリントを繰り返して相手ゴールに迫った。新山が大事にしているのは、「あと一歩」だ。選手権2回戦で仙台育英高(宮城)に0-1、紙一重の差で敗れたことによってその重要性を再確認し、その一歩を意識しながらトレーニングしている。

「その一歩のところが大事。その一歩で当てとけば、入らなかったんじゃないかなとか、決めれたんじゃないかなと。自分としても、去年の夏負けてボランチに変わってそこから成長したと思うんですけれども、全国で戦ってみると、上には上がいるし、いつも意識しているセカンドボールのところでも全然優れなかったと思います。自分が引っ張らないといけないし、誰よりも頑張っている姿勢は出さないといけないし、仲間がプレーしやすい、やりやすい感じで試合も進めていけないといけない」

 前主将のMF内田裕也(→福岡大)は攻守でチームを牽引し、選手権1回戦で決勝点。「キャプテンがチームのために頑張ってくれたからあそこまで行けたんじゃないかと思います」と分析する新山は、CB田中誠太郎(新3年)やGK古屋潤一(新3年)、MF末永章太郎(新3年)、FW福地優雅(新3年)といった全国経験者や、FW中山桂吾(新2年)、MF林晴己(新2年)、MF村上一颯(新2年)ら期待の新2年生たちを擁す高川学園を背中で引っ張っていく覚悟だ。

 憧れはバレンシア(スペイン)で異質のパスセンスを見せている10番、MFダニ・パレホだ。「あの選手のように、ここにパス出すんかみたいな、相手の隙を突く選手になりたい」。新人戦は怪我人の穴を埋めることができずにまさかの3回戦敗退。インターハイ、選手権で同じ轍を踏む訳にはいかない。「今年は全国ベスト8以上が目標」。昨年足りなかった「あと一歩」や“パレホのようなパス”を求めるリーダーが自身もより成長させて、名門を全国ベスト8以上、プリンスリーグ中国昇格へ導く。

(取材・文 吉田太郎)

強豪校の練習施設に潜入取材。大阪から日本一、プレミア復帰狙う履正社の練習場は?

履正社高は観客席が併設された人工芝サッカー場でトレーニング
 高校サッカーの強豪校はどのような環境でトレーニングしているのか。グラウンド、部室、サッカー部寮……。各校の協力によって、高校進学を控えた中学生たちにとっても貴重な情報を教えてもらってきたぞ。第32回は13、14年度全国高校選手権8強、15、16年インターハイ8強でかつてプレミアリーグも経験、今年プリンスリーグ関西に復帰した履正社高(大阪)のグラウンド、施設を紹介する。

■練習施設は茨木グラウンド





 履正社高は大阪府豊中市に位置。サッカー部は茨木市の履正社茨木グラウンドでトレーニングをしている。履正社茨木グラウンドは01年竣工。サッカー場はスタンドも併設されており、プレミアリーグも開催されていた。履正社からは今年、U-23日本代表のMF田中駿汰(大阪体育大→札幌)、FW林大地(大阪体育大→鳥栖)、MF牧野寛太(関西大→長野)、DF大迫暁(日本体育大→沼津)とOB4選手が大学を経由してプロ入りしているが、彼らやMF奥井諒(現清水)、FW町野修斗(現北九州)らはこのグラウンドで成長した。

■精鋭たちが技術を磨き、攻めて勝つ






 履正社は1学年の部員が20~30人ほど。強豪としては部員数がそれほど多くないが、これはコーチ陣の指導が行き届くように、また選手やその保護者の顔が見えるように、という理由によって限られた人数で活動している。彼らが技術と判断力を磨き、ボールを大事に攻めてゴールを奪う攻撃スタイル。昨年は大阪府予選で競り負けたが、今年は全国での躍進が期待される世代だ。

■今年も注目選手を擁す





 平野直樹監督は18年に日本高校選抜を率い、デュッセルドルフ国際ユース大会優勝。G大阪や仙台の育成世代を指導した経歴も持つ。経験豊富な指揮官の下、今年もMF赤井瞭太主将(新3年)やMF平岡大陽(新3年)ら将来のプロ入りが期待される選手たちがいる。

■隣のグラウンドには日本一軍団







 履正社のサッカー場の隣には野球場。履正社の野球部は昨年の全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で初の全国制覇を成し遂げている。クラブハウス内の筋トレルームは野球部とともに活用。サッカー部の選手たちは刺激も受けている。サッカー部は練習直後に補食を摂ってから帰宅。体作りにも力を入れている。

■目標はプレミア昇格、日本一







 今年の目標は15年以来となるプレミアリーグ復帰、そしてインターハイ、選手権で過去最高のベスト8を超えて日本一を勝ち取ることだ。赤井は「もっと日本一というところを求めて、全員で高い基準を持ってやっていかないといけないという話はしています」。日常から高い意識を持って取り組み、激戦区・大阪を突破して目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

「プリンスは15点以上」「毎試合1得点1アシスト」。履正社はFW神田、MF井谷が攻撃の中心としてゴールを奪う

履正社高に得点をもたらす存在として期待のFW神田拓海(新3年、左)とMF井谷洸一郎(新3年)
 昨年、履正社高はインターハイ予選、選手権予選ともに大阪府予選準々決勝で惜敗。プリンスリーグ関西昇格こそ果たしたものの、トーナメント戦では勝負どころで決めきれず、激戦区・大阪を突破することができなかった。

 18年に日本高校選抜の指揮も執っている平野直樹監督は、「勝つこと」「勝つためにゴールを奪うこと」を求める。ボールを大事に動かし、中央、サイドから相手の守りを切り崩すスタイルは、あくまでそのための手段。四日市中央工高(三重)のFWとして83年のインターハイ決勝で決勝ゴールを決めている平野監督は、アタッカー陣に対して「良いところで終わるのではなく、スコアを残せるように。そこにはこだわって欲しい」。コンスタントにゴールを積み上げてJFLからJ3、J2、J1へとステップアップしたFW藤本憲明(神戸)のように、ゴールにこだわり続けることを期待した。

 現時点でその役割を担う中心的存在が、FW神田拓海(新3年)とMF井谷洸一郎(新3年)だ。G大阪ジュニアユース出身で憧れの選手にポーランド代表FWロベルト・レワンドフスキの名を挙げる神田は、身長180cmの万能型ストライカー。「頼りがいのあるFW、ここぞの時にみんながやってくれるだろうと思ってくれるようなFWになりたいです」と語るFWは、チャンスをもたらすだけでなく、仕留める部分に課題を持って取り組んでいる。

 一方、井谷はしなやかな身のこなしとテクニックで局面を打開し、ゴールも決めるドリブラー。「周りから頼りにされるとか、信頼されるとか、コイツが持ったらチャンスになる、得点になるということを自分でも意識してやっています」というMFは、ブラジル代表FWネイマールのように遊び心も持ちながら、ここぞのところで決定的な仕事をする存在を目指している。

 取材日のゲーム形式のトレーニングでは井谷がドリブルシュートでゴールをこじ開け、神田も抜け出しや1タッチシュートでゴールを襲うなどそれぞれの強みを発揮していた。井谷は神田について、「身体もあって、ドリブルもできて、スピードもあって、ヘディングもできるオールマイティーな頼れるFWだと思っています」と説明。それに対して、神田は井谷に「ドリブルが凄くて最後1対1になったらだいたい抜いてくれるんで、クロスかシュートまでは行けるんでめっちゃ期待しています」と期待を寄せる。

 今年の履正社は、彼らの他にもいずれも国体大阪府選抜歴を持つFW李晃輝(新3年)とFW宮路峻輔(新2年)や50m走5秒8のFW浅野大生(2年)ら多彩なアタッカーを擁している。その中で結果を残し続ける存在が出現するか。神田は「プリンス(リーグ関西)は15点以上と決めています」と公言し、井谷も「僕は絶対に毎試合1得点1アシストをしたいと思っています」と目標設定。プレミアリーグ復帰や夏冬の大阪制覇、全国大会での躍進へ向けて2人が履正社の攻撃を引っ張り、ゴールを奪う。

(取材・文 吉田太郎)

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:卒業(桐生一高)

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:卒業(桐生一高)
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 机を並べて笑い合った学び舎を、仲間のありがたさを改めて知った寮生活を、本気で流した汗と涙が染み込むグラウンドを、そして何より最高のチームメイトと過ごした日々を、心の中の一番深い所にしっかりと刻み込む。笑顔で語ったシュウゴの言葉が印象深い。「大学生や社会人になったとしても、1年に1回くらいはみんなで集まって、ご飯を食べたりお酒を飲んだりしたいなと思うし、この3年間で、この仲間と築いてきた時間は、自分の今までの人生でも、これからの人生でも、大事なモノになってくると思います」。2019年。桐生一高の3年生たちが全速力で駆け抜けた1年を追った。

 2月10日。空っ風の舞う群馬の冬は寒い。新人戦決勝。相手は県内最大のライバルとして、毎年のようにしのぎを削っている前橋育英高。2点を先制された桐生一は、終盤に投入されたヤマト(若月大和)のチャンスメイクからマタ(眞玉橋綺人)が1点を返したものの、スコアは1-2。新チームになって初めてのタイトルをタイガー軍団に奪われる。

 チームのエースであるヤマトは、前日まで湘南ベルマーレのトルコキャンプに帯同しており、今後も秋口にワールドカップを控えているU-17日本代表の活動で、チームを離脱する可能性が高い。「そういう意味ではアイツ抜きでもやれるようにならないと。全体のレベルアップをしないとキツいですね」と話してくれたのは中村裕幸コーチ。彼をチームにどう組み込み、彼のいないチームをどう構築していくかは、2019年の桐生一にとって最大の命題。結果と内容の両面で、その部分を明確に突き付けられる格好となった。

 4月20日。桜も散り掛けている小平の陽は既に落ちていた。高円宮杯プリンスリーグ関東第3節。前橋育英に3-3で引き分け、横浜F・マリノスユースに0-5と大敗を喫して迎えた3試合目は、優勝候補筆頭のFC東京U-18。この日も2点を先に献上する展開の中、ライチ(須藤礼智)のゴールで追い上げるも1点及ばず。強豪ばかりが相手とはいえ、開幕3戦勝ちなしとスタートダッシュに失敗する。

 チームのキャプテンを託されているのはマル(丸山佑大)。決して多弁なタイプではないが、「本当に凄いなと。自分も合わせてですけど、よくこんなクセの強いヤツらをまとめられるなと思います(笑)」とヤマトも評するように、背中で引っ張っていくタイプのセンターバックは人望も厚い。

 試合後。穏やかに話していたマルが語気を強めたのは、周囲からの評価を口にした時。「今年は“弱い代”って言われていて、個の力がない分、しっかり相手より走ったり、局面の枚数で優位に立つ部分をやってきて、新チームの立ち上げぐらいは全然結果も付いてこなかったですけど、最近ではチームも1つの方向に向かってやっていけてるなと思います」。言葉の端々に仲間に対する愛情と、反骨心が同居する。短い会話だったが、彼がキャプテンを任されている理由が何となくわかった気がした。

 5月5日。ゴールデンウィークの巣鴨にはサッカー好きが集結する。プリンス関東第5節。前節でようやくリーグ初勝利を挙げた桐生一は、アウェイで三菱養和SCユースと対峙。後半にセットプレーから2失点を許すと、PKでもう1点を追加されて0-3と完敗。連勝は叶わなかった。

「家族も来ていたので勝ちたかったですね」と悔しげな表情を浮かべたのはソラ(遠藤青空)。司令塔としてチームのタクトを振るうレフティは東京出身。パスサッカーに憧れ、群馬へと単身乗り込みながら「入学して1週間ぐらいはちょっと寂しくて、ホームシックになった」ものの、今では同じように地元を離れてきた仲間との寮生活を満喫している。

「左足に自信はあります。間に顔を出して、ワンタッチやダイレクトでパスを出したり、ロングボールで裏に出したりするのが特徴です」と自身のスタイルを語りつつ、意識するのはやはりヤマトとの連携。「『パス出すから走っとけ』って言っているので、そこは信頼関係ができていると思っています」。そのエースとは学校から自転車で40分近く掛かる練習場への道のりを共にすることも多いが、少し“不満”があるという。「アイツはずっと自分の話ばっかり。オレの話は全然聞いてくれないんです(笑)」。口を尖らせた姿も実に高校生らしくて微笑ましい。

 7月13日。負けられない戦いはあずまサッカースタジアム。プリンス関東第10節。総体予選はヤマトが代表遠征で不在の間に準決勝で敗退。その大会で優勝し、全国切符を手にした前橋育英とのリターンマッチに向かう。リーグ戦では2連勝と調子も上向き。勢いそのままに挑んだ一戦だったが、ソラの2ゴールで手にしたリードを、2度とも追い付かれてのドロー決着。これで今季の対戦成績は2分け1敗。タイガー軍団の壁は高い。

 この90分間で明らかに際立ったパフォーマンスを発揮したのはタケ(竹下諒)。「今は精神的な部分でディフェンスラインを統率するとか、チームを鼓舞するとかでは、間違いなく唯一無二の存在になっています」と辛口の中村コーチも絶賛したサイドバックは石川県出身。「中学時代に練習試合をしたことがあって、『良いチームだな』と思ったのでセレクションを受けて」縁も所縁もなかった群馬の地で3年間を過ごす決断を下した。

「試合に出ている時に、『こっちに来て良かったな』と思います」と笑った表情にムードメーカーの雰囲気が滲むが、「今後についてもいろいろ相談した中で、サッカーは高校でけじめを付けるという決断を、たぶん彼の中でしたんです。だから、凄く行動と言動に懸けるものが感じられるんですかね」と中村コーチ。高校生とはいえ、やはり表に出る部分だけがすべてではない。この日のタケとの会話の中では、そのことに触れるのは遠慮した。

 8月24日。10時キックオフでも小机のスタンドは汗が噴き出す。プリンス関東第11節。中断明けの初戦は横浜F・マリノスユースとのアウェイゲーム。個でも組織でも世代屈指の難敵を前に次々と失点を重ね、終わってみれば1-4と大敗したが、「『このままじゃダメだ』とわかっていますし、この夏休みで結構良くなってきている実感はあるので、そこをこれからに生かせればいいと思います」と前を向くマルの言葉に希望が灯る。

 唯一のゴールを決めたのは、ベンチスタートだったヤマト。夏休みの期間は1か月近くベルマーレの練習に参加しており、桐生に戻ったのもこの数日前。当然高いレベルでの経験は刺激になるが、複雑な心境は隠せない。「もう高校生活が残り少ないのもわかっているので、1日1日をみんなで楽しく過ごせるのは嬉しいですし、仲間の大切さを感じます。自分のおしゃべりな所とかもいっぱい出せて(笑)、みんなも相手してくれて、居心地の良さはありますね」。

 あるいは誰よりも、何気ない日常の時間を大切にしたいのがヤマトなのかもしれない。「この間寮に泊まった時は、6人ぐらいが1部屋でギュウギュウになりながら、ずっとゲームをやったりして、本当に楽しかったです。最近はずっと味わえていなかったので、そういうことに幸せを感じますね。でも、内緒にしてたのに田野先生にはバレたんですよ。「オマエ泊まってたろ」って(笑)」。

 そんなエースの想いも、もちろんみんな痛いほどによくわかっている。ブラジルで開催されるFIFA U-17ワールドカップの大会期間と選手権予選がバッティングしたため、少なくとも準決勝まで勝ち上がらないと、ヤマトと一緒に戦うことは叶わない。「ヤマトはヤマトでこの先の道があると思っているので、しっかり頑張って欲しいですし、ヤマトがいないにしても、やっぱり桐生第一は桐生第一なので、自分たちはやってきたことをすべてぶつけるだけです」。中学時代から同じチームで6年間を過ごしてきたマルの決意が心に響く。それぞれが、それぞれの想いを抱えて、最後の選手権予選へと心を整えていく。

 10月27日。高崎は真夏を思わせる太陽の光が降り注いでいた。選手権予選2回戦。共愛学園高とのゲームは、ソラがFKで先制点を叩き出すと、マルがヘディングで追加点。後半にも2点を積み上げ、守備陣も相手攻撃陣をシャットアウト。初戦を突破してみせる。

 田野豪一監督が笑いながら、あることを明かす。「アイツがマルにスゲー怒ってたんだけど、キャプテンに言えないチームじゃダメだからさ。『ああ、いいな』と思いました」。アイツとはGKのレオ(塩澤玲央)。寮長を任されているだけあって、いろいろな意味でチームメイトからも頼られている。「自分は誰にでも思ったことを言えるので、それを伝えてチームが変わるならどんどん言いたいですし、あの時はマルに言いたいことがあったので、強く言った感じです」。少し前に寮で見かけた雰囲気とは違い、良い意味での責任感が漂っていた。

「ベンチに入れないメンバーが多い中で、スタメンの11人も変なプレーはできないですし、応援してくださる方もいるので、そういう方への感謝の気持ちも持ちつつ、それに恥じないプレーをしていきたいです」。きっぱり言い切って、爽やかに去っていく。その少し後。マルが「レオに何か言われてましたっけ?いつものことなので、慣れちゃってるのかなあ。ちょっとわからないです(笑)」と口にしていたことは、伏せておいた事実だけ記しておく。

 11月2日。この日の前橋の暖かさも秋の訪れとは程遠い。選手権予選準々決勝。伊勢崎商高とのゲームは接戦に。躍動した下級生の2ゴールで先行し、終盤には追い上げられながらも2-1で辛勝。これで同じ会場の隣のコートで勝利を収めていた前橋育英と、準決勝で再び激突することが決まった。

 試合後。3年生に集まってもらった。話題は世界の舞台で2ゴールを挙げたヤマトに及び、「ユヴェントスが興味か」という一部報道を受け、「“クリロナ”とチームメイトになるんじゃない?」「ヤマトのサインはいらないけど、クリロナのサインは欲しいな」などと話しながら笑い合う。番組の撮影も兼ねており、最後の“締め”を頼むと、みんなからマタが推挙される。それまでほとんど喋っていなかったマタは、頑張ってコメントを紡いだものの、ほぼ全員からNGを食らい、結局マルがきっちり締める結果に。ただ、その一連からマタの立ち位置が透けて見えて面白い。

 センターバックのシュウゴ(青木脩悟)は桐生市出身。ヤマトとは小学校のトレセン時代からボールを蹴り合ってきた。「アイツも昔はまったく技術がなくて、スピードとパワーだけでぶち抜くフォワードだったんですよ(笑) でも、今は正直『ヤマトに負けたくない』って思っても全然敵わないので、小さい頃から一緒にやっている仲間としては率直に凄く嬉しいです」。まっすぐな言葉に、素直な性格がそのまま現れる。

「自分の中学のチームと桐一が繋がっていて、練習をやっている先輩や、檄を飛ばしている中村先生を見てきて『自分もここで上手くなりたいな』と思って入ってきたので、とにかく育英を倒して、決勝にも勝って、全国で桐一の名前を高めたいんです」。並々ならぬチーム愛を口にした後、シュウゴはそっと教えてくれた。「自分は決勝と大学入試の日程が重なっているので、準決勝に全てを懸けて、あとはみんなに託したいなと思います」。おそらくはこの次の試合が、みんなにとっても3年間の集大成になる。勝つか、負けるか。2つに1つの決戦がやってくる。

 11月17日。敷島の雰囲気が引き締まっているのは、冬の入口を感じさせる空気のせいだけではない。選手権予選準決勝。事実上のファイナルとも称される大一番。シーズン4回目にして、最後の対戦が幕を開ける。アップを控えたタイミングで「ちょっと緊張していますね」と笑ったのは、ブラジルからようやく帰ってきたヤマト。4月以降に行われた高体連の県大会に出場するのはこれが初めて。リーグ戦では26番を背負っていたこともあり、“10番”のユニフォームに袖を通すのもこの試合が初めてだ。

 彼らが入学してから、選手権では2度とも予選の決勝まで勝ち上がりながら、2度とも前橋育英に後半アディショナルタイムの失点で苦杯を嘗めてきた。「もうそろそろ“桐生第一の時代”にしないといけないと思っていますし、先輩たちが負けてきた分を取り返す使命も感じています」と言い切ったマルは、こう言葉を続けた。「新チームになった時はヤマトがいない選手権が来るとは思っていなかったですけど、以前のままでアイツがいなかったら負けていたと思うので、自分たちも成長してきていると思います」。10時35分。時計の針が動き出す。

 ヤマトは立ちつくしたまま動けない。レオがピッチに崩れ落ちる。タケは涙が止まらなかった。0-1。後半に負ったビハインドを跳ね返せないまま、残酷なタイムアップの笛が敷島の冷たい空気を切り裂く。「サッカーを始めた頃から夢見てきたものが終わっちゃったっていう寂しさもありますし、力のなさを痛感しました」(マル)「負けるシナリオが頭になかったので、正直負けた時は何も考えられなかったです」(シュウゴ)。前橋育英には最後まで勝つことができず、彼らの選手権は道半ばで終わりを迎えた。

 試合が終わって1時間ほどが経過した頃。スタジアムの外にチームの輪ができる。スタッフからの挨拶が続く中、中村コーチがこらえ切れずに涙声で語り掛けると、選手たちの涙腺も再び緩む。それでも少しずつ、少しずつ、みんなの表情にも笑顔が混じり始める。応援に来てくれたクラスメートや保護者にお礼を伝える。ヤマトの周りではちょっとした“撮影会”が繰り広げられている。

「今年のチームはあまり自分の気持ちを表に出さないというか、試合中も誰かが言ったことに対して自分の思っていることを言える感じじゃなかったんです。でも、選手権が近くなってくると、『相手だけじゃなくて味方にも負けたくない』って、『自分がこのチームで一番輝いて目立ちたい』という想いがあったと思うので、3年間の集大成として、メンタル的にも選手権にピークを持ってこれたかなと思っています」。シュウゴも心の整理を付けていく。

「来週の受験頑張ってね」。声を掛けると、本人も思い出したようにこう返してくれた。「試験終わりにスマホで“速報”を見ることはもうないんですけど、みんなに『ありがとう』ってLINEを送ることもないんですけど、とりあえず頑張ります!」。シュウゴの背中が遠くなる。悔しさと、悲しさと、寂しさと。この日の彼らが感じた想いは、あとから振り返れば一生の宝物になるはずだ。

 マタは関東の強豪大学へ進学する。最後の前橋育英戦は彼の足に当たったボールが、ゴールに吸い込まれた。「準備不足でああなったと思います。あそこで自分がちゃんとクリアしていればああいう結果にならなかったと思うし…」と苦笑いを浮かべる姿は、やはり憎めない。「辛いことも悔しいことも、この28人の3年生と乗り越えられたので、大学でもそういう気持ちを忘れずに、プロサッカー選手を目指したいと思います」。そのキャラクターは大学に行っても、きっと彼を助けてくれるだろう。

 ソラは北陸地方の大学へと進路を決めた。「1年を通してあっという間でした。勝ったり、負けたり、いろいろあったんですけど、やっぱり楽しかったです」。普段はどちらかと言えば控えめなタイプだが、ピッチ上での強気な姿勢がこのチームを牽引してきたことは間違いない。「サッカーをやっている人は誰でも知っているぐらいの選手になることを目標に、これからやっていこうと思っています」。“青空”と書く素敵な名前がサッカー界に知れ渡る日が、今からとにかく楽しみだ。

 タケは社会人チームでサッカーを続けることになった。「1、2年の頃は結構長く感じたんですけど、終わったらあっという間でした(笑) サッカープレイヤーとしても一回り成長できたので良かったです」。結局、夏の日の葛藤は聞かないことにした。自分だけが知っていればいいことも、世の中には数多くある。「プロになることが一番ですけど、自分の置かれた環境でしっかりやって、レベルアップしたいです」。彼もやはりサッカーからはまだまだ離れられそうにない。

 ヤマトは悩んだ末に海外へと飛び出す決断を貫いた。「『3年間みんなありがとう』って感じですね。この仲間との縁は絶対に続くので、それを大切にしながら、プロサッカー選手として常にステップアップを目指して、またどこかでこの仲間とサッカーがしたいです」。誰よりもこの仲間の大切さを知るからこそ、誰よりも先頭を走っていたいと自らを鼓舞し続けていく。「みんな最高です。本当にありがたかったです」。チームメイトの誰もが彼の成功を遠く日本から祈っている。

 レオは中国地方の大学でサッカーを続けながら教員を目指す。「プロになろうとは思っていないので、将来は指導者になるために、体育の教員免許を取りたいんです」。このチームでも努力を積み重ねて、定位置を掴み取った経緯がある。「1、2年生の頃は一番下のカテゴリーでずっとやっていましたし、その中で腐らずやり続けてきたことが、最後の年になって成果として出てきたのは良かったなと思います」。強く願う想いにこそ、意志が宿る。この3年間の経験は、間違いなく指導者としての礎になるはずだ。

 マルも日本一を狙える関東の大学が次なるステージとなる。「チームとしては結果を出せなくて申し訳ない気持ちはありますけど、ここで学んだ3年間を大学でも生かしていきたいです。小さい頃からプロサッカー選手になるのが夢で、お世話になった指導者の方や親にもそれが一番の恩返しになると思うので、それは絶対に叶えたいですね」。長身。端正な顔立ち。確かな人間性。まだまだ伸びしろは十分。マルの名前が大学サッカー界に轟く日も、そう遠い未来の話ではない気がする。

 そして、シュウゴは無事に関西の大学へ合格した。「テストは難しかったです。小論文がまず訳わからなくて。その小論文を見て面接されるんですけど、『ちょっとイジワルするね』とか言われて、『え?』みたいな(笑)」。濃厚だったがゆえに、この3年間を共有してきた仲間への思い入れもまた強い。「これからサッカーをやる子もやらない子もいるんですけど、大学生や社会人になったとしても、1年に1回くらいはみんなで集まって、ご飯を食べたりお酒を飲んだりしたいなと思うし、この3年間で、この仲間と築いてきた時間は、自分の今までの人生でも、これからの人生でも、大事なモノになってくると思います」。

 この言葉に全ては集約されている。時に喜び、時に怒り、時に哀しみ、時に楽しむ。その感情を共有した仲間とは、これからの人生でも数々の思い出を共有することになるだろう。たとえば10年後。たとえば20年後。笑いながらあの日の負けを、みんなで思い出す時が必ず来る。そして、その時を迎えられることこそが、彼らが3年間で積み上げた“卒業”の本当の価値でもある。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

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J練習参加で実感。流経大柏DF藤井海和主将は自分の守備をプロ相手でも「武器」と言えるレベルに

流通経済大柏高のDF藤井海和主将(新3年)はプロでも通用する「守備」を身につける(写真は日本高校選抜合宿)
 自分の守備をプロ相手でも「武器」と言えるレベルにする――。千葉の名門、流通経済大柏高のDF藤井海和主将(新3年)は、1年生で全国高校サッカー選手権決勝を戦った当時から、特に守備能力の高さを評価されてきた。

 今年はU-18日本代表としてスペイン遠征を経験。また、全国高校選手権千葉県予選敗退の下級生ながら、日本高校選抜にも選ばれ、NEXT GENERATION MATCH(2月、対横浜FMユース)では先発出場している。

 世代を代表する守備の名手。だが、プレシーズンの名古屋グランパスへの練習参加を経て藤井は「高校生だったらインターセプトができるシーンが何回もあるけれど、プロでは中々インターセプトが出来なかった。簡単にボールを取られないように工夫してるんだなと感じた。少しの事かもしれないけど、それがとても大事なんだと勉強になった」と分析する。

 戦術眼の高さや万能性も特長だが、彼がプロや世界で戦っていくための生命線はやはり守備。鋭い読みや、ポジショニング、身体の向きの正確さ、そしてボールへの執着心の高さ、「相手が強くなればなるほど燃える」というメンタリティーなどを強みとして、1年時から流経大柏の守備を支えてきた。

 高校生相手であれば、本職のボランチに加え、チーム事情で務めてきたCB、またSBでもボールを奪い取ることができる。だが、現状の力不足を痛感した。藤井は「今回の練習参加をして、自分の守備はまだまだ『武器』と言えるものでは無いと思ったので、武器と言えるぐらいまでにする」と宣言。準備、間合い、強度などによりこだわって、プロのステージでもインターセプトし、“守れる”だけの力を身につける。

 また、藤井は「練習参加をして、体の使い方、パスの強弱、回転、シュートの打ち方、判断のスピードが勉強になった」という。昨年は日本高校選抜候補合宿で落選。今年は自分の強みを発揮して同メンバーに残るなど成長を示していたが、より高いレベルを知り、そこを意識してトレーニングできるようになっている。

 今年、チームとしての目標は選手権V、そして全国3冠。また個人として、2学年上の先輩DF関川郁万(現鹿島)のように「プロになること」を掲げる注目DFが、この1年間を掛けて“ホンモノの”武器を手にして、目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

同じ目標持つ仲間から刺激。ボール奪取力優れた注目ボランチ、履正社MF赤井瞭太主将は「日本で一番になりたい」

履正社高はMF赤井瞭太主将(新3年)も評価の高いボランチだ
 チーム内のライバルから刺激を受けている。履正社高(大阪)の注目MF平岡大陽(新3年)の隣でプレーするMF赤井瞭太主将(新3年)も、評判のボランチだ。昨年は、将来のために股関節を手術した影響でピッチから遠ざかったが、1年時から先発に名を連ねるMFについては平野直樹監督も平岡同等の高評価。「身体もしっかりしているし、当たり前のハードワークを高いアベレージでできる。(復帰すれば、スカウトから声がかかる存在に)なると思う」と頷いた。

 アグレッシブな守備が最大のウリ。攻め上がりからゴール前に割って入って行くこともできる。動きが多すぎるために、大事なところを空けてしまう課題もあったが、「今年は、『ここにいて欲しい』というところに常にいれる選手になっていきたい」。チームリーダーとして気負いすぎるのではなく、より冷静に状況を見極めて自分の力を履正社の勝利に結びつける考えだ。

 赤井の目標はインターハイ、選手権での日本一。そして「今年はプリンスリーグでしっかりと優勝して(後輩たちが)もうひとつ上の高いレベルでできるように」という思いがある。加えて、個人としての目標は高校からプロ入りすることだ。

 ボランチでコンビを組む平岡はすでにJクラブへ練習参加。「平岡選手のマジメな性格も、取り組みもそうですし、プレーのアグレッシブさだったり、攻撃面もそうですし、色々な面が凄く自分の刺激になっていますし、お互い良い関係でできているかなと思っています」。同じくプロを目指すライバルから大いに刺激を受けている。
 
 そして、「基本全部負けたくないんですけれども、ボール奪取だったり、彼も上手いんですけれども、そういう面は自分の特長でもあるので、チーム内だけでなく、日本で一番になりたいと思いますね」と意気込んだ。早く活躍したいという焦りもあったか、新たな軽傷でやや出遅れてしまっているが、シーズン開幕までにじっくりとコンディションを上げて、ピッチでアピールする。

「チームとして結果が出れば自分も注目を浴びると思うので、しっかりとプリンス(リーグ関西)もそうですし、インターハイ、選手権も日本一を目指して、より高いところでチームがプレーできるように頑張っていきたい」。履正社は13、14年度の選手権でベスト8。翌15、16年のインターハイでも全国8強入りしているが、その後全国大会への出場がない。リーダーシップへの評価も高いキャプテンが、チームメートともに白星を重ね、自身の将来も切り開く。

(取材・文 吉田太郎)

履正社はU-23代表MF田中ら4選手が大学経由でJ同時加入。次のプロ候補は新3年生のボランチ・平岡大陽

J練習参加を経験した履正社高MF平岡大陽(新3年)はしなやかさや運動量を特長とするボランチだ
 大阪の強豪・履正社高は今年、現U-23日本代表で昨年12月にA代表デビューも果たしているMF田中駿汰(大阪体育大→札幌)をはじめ、FW林大地(大阪体育大→鳥栖)、MF牧野寛太(関西大→長野)、DF大迫暁(日本体育大→沼津)とOB4選手が大学を経由してJクラブへ加入した。加えて今年は、高校からプロ入り期待のボランチがいる。

 MF平岡大陽(新3年)は身長170cmほどと特別なサイズ感こそないものの、動きがしなやかでプレーの連続性も兼備。また、球際で足が伸びるMFは、相手に振り切られることなく2度、3度と続けてプレッシャーをかけて、ボールを奪い取ってしまう。

 取材日はゲーム形式のトレーニングだったが、カウンターから最前線までスプリントして豪快なゴール。加えて、ミドルレンジからファインショットを叩き込み、また相手のプレッシャーを受けながらでも正確にパスを通すなど、強豪校の中で1ランク上のプレーを見せていた。

 本人は「良くない日もあるんですけれども、良く走って、守備から入ってやれば、自然と攻撃も流れが出てくるのかなと思うので、最近は守備のところを意識していて、より奪い切れるようにしたいです」と語る。攻撃の質の部分はまだ成長の余地があるが、まず守備と運動量にこだわってプレーすることで、自身とチームにリズムを生んでいる。

 1年時の選手権予選を先発ボランチとして経験し、昨年も主力の一人としてプレー。その平岡は今年の2月と3月に湘南への練習参加を経験した。「1回目行った時はスピード感とか身体がついて行かへんのは仕方ないと思うんですけれども、目も追いつかなくて……。ポゼッションとかの時に技術もそうですけれども、なかなか目が追いつかなくて『ヤバいな』と感じて、でもせっかく来たので走ってアピールしようという感じでした」。自身も驚いたというプロからの練習参加の誘い。それは日常から感じている、「(プロになるためには)もっとやらなければならない」という危機感を高めることに繋がった。

 自分の性格を「ビビリ」だという平岡。警戒心が強い一方で、満足して浮かれることもない。「(この性格は)良いところでもあり、悪いところでもあると思います」と微笑むMFは、日常から自分に高いレベルを求めて2度目の練習参加。ここで「目のところは慣れてきて、ちょっとずつ自分プレーとか守備とか出せてきたのかなと思いました」と自身のレベルアップとアピールに成功した。

 G大阪や仙台の育成組織などで指導した経歴を持つ平野直樹監督が、「伸びる要素がある。ボール扱い、献身性、中盤の選手でボールを失わない。(ここぞの場面でのスプリントなど)ゴールを獲るためにどうしたら良いか、実行できる。高いアベレージで仕事ができるので、スタッフからすると使いやすいと思います」と評価するボランチ。特に走る力や、攻撃に転じた際にスプリントする力、ハードワークできる力は湘南からも評価されているようだ。

 G大阪ジュニアユースから履正社、大体大を経てプロ入りした先輩MF田中は、セレッソ大阪西U-15出身の平岡にとって目標の一人になっている。「ユース上がれなくてここに来て、大学経由で代表とかにも入っている。そういう選手がいると、自分もまだまだやって行けるなとか、目標になっています」。自分の目標もプロ、そして日本代表。目標の存在に続けるように、努力をするだけだ。

 湘南への練習参加を経験し、「(これまでよりも)もっとハングリーになっている」と平岡。前評判高い今年の履正社でより自分を突き詰め、チームとしてもプリンスリーグ関西やインターハイ、選手権で結果を残す。

(取材・文 吉田太郎)

Jの2クラブに練習参加。流経大柏GK松原颯汰が将来へ向けて増やしている「武器」

今年の注目GKの一人、流通経済大柏高GK松原颯汰(写真は日本高校選抜選考合宿)
 1年時の選手権で活躍した守護神が、将来のために「武器」を増やしている。GK松原颯汰(新3年)は18年度の全国高校選手権で勝負強さを発揮し、流通経済大柏高(千葉)の決勝進出に貢献。昨年はU-17日本代表に初選出され、今年は日本高校選抜に名を連ねた。

 新型コロナウィルスの影響によって、日本高校選抜の欧州遠征メンバー選考合宿とデュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)出場が中止に。松原は高校選抜の守護神として欧州で経験を積むチャンスがあっただけに、「高校選抜を通して周りの良いところを見たり、自分のプラスになることがあったので、もっと良い選手のプレーを見たり、『自分ができるんだぞ』という場を作りたかったですね」と残念がる。

 それでも、松原は高校選抜の活動が中止となった3月の期間も自主練を続け、J2千葉へ1週間、J1湘南にも3日間の練習参加。「(プロは)スピード感が違ったり、GKの部分で言ったら止まるスピード、寄せスピードとか、クロスに対する強さだったり、シュートストップで伸びるところとか、全てにおいて差を感じたので行って良かった」と頷く。

 Jクラブに練習参加した短い期間でも成長できたという実感がある。「この期間で伸びたと思うのが1対1の部分だったり、そういうところでの自信というのがどんどんついていって、ジェフの時はあまりシュートを止めることができなかったんですけれども、ベルマーレの時は少し止められるようになりました。(かつて湘南に所属していた)秋元陽太選手(現町田)にサイズ的に似ているんで、そういう面でスピードとかもっと上げていった方が良いぞとか、そういう(プロのコーチからの)言葉は本当に行って良かったと思います」。その松原は、課題だった足元の技術が明らかにレベルアップしている。

 松原の身長は180cmほど。シュートを止める力は高体連屈指だが、プロ入りを果たし、ポジションを勝ち取るためにはそれだけでは足りない。サイズに目を瞑っても起用してもらうだけの「何か」が必要だ。新生・流経大柏がよりボールを支配するスタイルに舵を切っている中、松原も攻撃にかかわる回数が増加。本人も認める通り、昨年まで課題となっていた足元だが、彼はこれを新たな「武器」を手にするチャンスに変えつつある。

 当初はポゼッションでのミスが増えてしまっていた。それでも、質、スピードを自分に要求し、常に周囲を見ることを意識する松原は好フィードを連発するなどキックで違いを示すほどになってきている。ピッチ外ではややフワッとしたところがあったことも確か。だが、最高学年となった現在は自分と向き合い、将来を真剣に考える姿も見られるという。その姿勢が成長を加速させているのかもしれない。

 クロスに対する強さなども出てきている印象。ここぞのビッグセーブでチームを勝たせる力も磨きをかけている。Jクラブに練習参加したことで基準を明確にした注目GKがこの1年間、プロのステージで通用する「武器」を増やし、プロ入りと目標の3冠を果たす。

(取材・文 吉田太郎)

【動画】選手権4強・帝京長岡のトレーニング公開!基礎・パス・シュート・ゲーム…

【動画】選手権4強・帝京長岡のトレーニング公開!基礎・パス・シュート・ゲーム…
 第98回全国高校サッカー選手ベスト4・帝京長岡のトレーニングの様子をお届けする。
 基礎練習、パス、シュート、ゲームなど、選手権4強入りをしたトップ校のハイレベルなトレーニングは必見!
(取材日:2019年12月9日)

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【動画】選手権優勝・静岡学園のトレーニング公開!シュート練習・ゲーム・パス回し…

【動画】選手権優勝・静岡学園のトレーニング公開!シュート練習・ゲーム・パス回し…
 第98回全国高校サッカー選手権優勝校・静岡学園のトレーニングの様子をお届け。
 シュート練習、ゲーム、パス回し、ドリブル、リフティングなど、選手権を制したトップ校のハイレベルなトレーニングは必見!
(取材日:2019年11月26日)

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山形内定FW阿部要門は先輩FW染野唯月を目指すのではなく、自分の形、チームで超える

山形内定の尚志高FW阿部要門は先輩たちが残した成績を超えること、またプレミアリーグ復帰をこの1年の目標に掲げた
 偉大な先輩は目標から自分の形、チームで超えたいと思う存在になった。21年シーズンからモンテディオ山形へ加入することが内定した尚志高FW阿部要門(2年)は、3月3日の卒業式で鹿島入りした先輩FW染野唯月からアドバイスを受けたという。

「『細かいところとか、技術とか、自分の苦手なプレーもしっかりとこの一年で克服しないと活躍できないし、すぐに消えてしまう』と辛口に言われました」。染野は2年時の全国高校選手権で得点王を獲得し、日本高校選抜やU-18日本代表で国際試合を経験。複数のJ1クラブに練習参加した上で鹿島入りを決めている。

 染野は「おめでとう」という言葉を掛ける一方、厳しい世界へ飛び込んでくる後輩に対して“愛のある指摘”。阿部はその言葉を受け止めて苦手を克服し、武器を磨きながら1年後に備えるつもりだ。

 その阿部は、サッカーファンから“半端ない”と評された高校ナンバー1ストライカーを結果で上回る意気込みだ。染野は高校2年時の選手権で尚志にとって最高タイとなる4強。昨夏も尚志にとって初となるインターハイ全国4強入りを経験している。阿部はその成績や、全国大会で彼が残した得点数を上回るという目標を掲げている。

 阿部にとって1学年先輩のエースFWは、入学前から知っていた存在であり、憧れだった。だが、「去年、何かの記事で唯月君が目標と言ったんですけれども、(コーチの)小室雅弘さんに結構怒られて、『オマエはプレースタイルが違うんだから、オマエはオマエのやり方で活躍するんだ!!』と言われました」。染野は抜群の決定力に加えてパスセンスも優れ、ゲームメークや決定的なラストパスでも試合を決めることができる選手。経験豊富なコーチの助言を受けた阿部は、自分が染野になるのではなく、前線で攻守に渡ってハードワークし、そのスピードやパワーを活かしてゴールを目指すという自分のプレースタイルで勝利に貢献することを目指している。

「自分は自分」。先輩を意識しすぎることはないが、染野から学んだこともある。特に“ヘリコプター・ヘッド”でゴールを連発した染野の武器をモノにしようとしてきた。阿部は185cmの長身の持ち主だが、中学時代に所属したチームの繋ぐスタイルもあって、ヘディングは全く意識して来なかった部分。「唯月君から盗んでできるようになりました。(染野は)跳ぶタイミングとかキッカーとのタイミングの入り方が速くて、そのおかげで相手よりも速くボールに触れている。ジャンプもトレーニングしてきて、今までゴールポストの上が見えなかったけれど、最近見えるようになった」。昨年のインターハイでは頭でもゴール。学んだ武器も活かして今年の結果に繋げる。

 現在、阿部にとって染野はどのような存在なのか。「超えていきたい存在であって、彼は次のステージに行ってしまって、高校年代で結果を残すことはもうできないので、残された記録というのを自分たちの代でチーム全員として超えて行きたいです」。今年の尚志は、やや染野に頼ってしまっていた昨年から意識を変えてチーム全員で戦うことを掲げている。その中で、阿部は自分の役割をしっかりと果たしながら、チームとしても、個人としても結果で先輩を上回る。

(取材・文 吉田太郎)

尚志FW阿部要門が山形内定会見。「ホーランド選手やルカク選手のように」

山形内定の尚志高FW阿部要門(中央)と山形・高山明泰強化部長(右)、尚志・仲村浩二監督
 山形のホーランド、ルカクになる――。尚志高のFW阿部要門(2年)が16日、福島県郡山市内の同校で行われたモンテディオ山形入団内定記者会見に出席した。会見には阿部のほか、山形の高山明泰強化部長と尚志の仲村浩二監督、阿部の両親が出席。阿部は「子どもの頃からの夢であるプロ選手のキャリアをモンテディオ山形から始められることを心より嬉しく思います。いち早く試合に携われるように頑張りますので、宜しくお願い致します」と意気込みを口にした。

 阿部は昨年のインターハイで3ゴール。185cmの長身と尚志でナンバー1のパワー、スピードを兼ね備えた大型ストライカーだ。尚志入学前から「サイズ感とスピード、パワーは高校生に入っても群を抜くぐらい」(仲村監督)。課題となっていた技術面も試合を重ねる度に精度を上げ、着実にミスを減らしてきている。尚志の仲村監督は阿部について「未完というか、恐ろしい選手になるんじゃないかなという期待がある。(福島県出身の阿部には)福島県から世界に羽ばたくようなプレーヤーになってもらいたいと思います」と期待。尚志からはFW染野唯月(現鹿島)に続いて、2年連続のプロ入りとなる。

 3月3日に21年シーズンからの山形加入内定が発表され、この日仮契約が結ばれた。高校卒業まで1年を残し、かなり早い段階でプロ入りが決まった印象だが、それはJリーグ全体として進路の決まる時期が早まっていること、また山形の熱意が大きかったようだ。

 阿部は昨年9月に初めて山形へ練習参加。山形の高山強化部長は「高校2年生としてはインパクトがあった。(プロ相手に)高校でやっていることと同じようなことができていた。(山形で体格の大きな選手相手でも)フィジカル差を感じさせないプレーを見せていました」とその印象について口にする。

 プロの中に入って、ずば抜けたプレーをしていた訳ではない。また技術面は課題に。それでも、「(持ち味である)力強いプレーをトップチームのプロの選手相手にもしてくれた。課題もまだまだありますけれども、大きな可能性を見せてくれた」(高山強化部長)と高評価を得た。

 山形の動きは早かった。10月末から2度目の練習参加を希望。そして、プレミアリーグでのプレーも確認した山形は「(J1など)他のクラブに狙われる前に」(高山強化部長)、昨年の段階で正式オファーを出したという。「驚いたのと同時に嬉しかったです」と振り返る阿部は、その熱意とチームの雰囲気、サッカースタイルに惹かれ、新天地に早く馴染むことも想定して新シーズン開幕前に山形入りを決断した。

 高山強化部長は「ポジションはFWなので、チームを勝たせる選手になってもらいたいと思います。ゴールという形もそうですし、(その他の面でも)勝たせるという存在になってもらいたいです」と語り、阿部は「ドルトムントのホーランド選手や(インテルの)ルカク選手のように体格を活かしたパワー系のFWになりたい。その中でモンテディオ山形さんで試合に少しずつ携わりながら自分の成長に繋げて、いつかは海外を目指したい」と力を込めた。家族が壮大さと画数から名付けたという「要門(かなと)」の名。欧州でブレイク中のホーランドやルカクのようにスケール大きな選手に成長し、山形を勝たせる。

(取材・文 吉田太郎)

“春のプレ全国大会”船橋招待U-18大会も中止に

船橋招待は中止に。前回大会は京都橘高(左)が優勝した
 第25回船橋招待U-18サッカー大会の開催中止が決まった。運営サイドは16日午前、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、政府から発表された大規模イベント自粛要請や、3月末までイベントなどを原則延期・中止するとの日本サッカー 協会(JFA)の発表を受け、弊大会につきましても開催中止を決定した、と公式発表。そして、「昨今の混乱が一刻も早く収束し、平穏な日常が戻ることを心から願っております」 としている。

 船橋招待U-18サッカー大会は“春のプレ全国大会”とも言えるU-18フェスティバル。今年は1月の全国高校選手権で24年ぶりとなる全国制覇を成し遂げた静岡学園高(静岡)と、日本クラブユース選手権とJユースカップ2冠の名古屋グランパスU-18(愛知)、そしてインターハイ優勝校の桐光学園高(神奈川)、地元の名門・市立船橋高(千葉)、ジェフユナイテッド千葉U-18(千葉)をはじめ、ベガルタ仙台ユース
(宮城)、矢板中央高(栃木)、前橋育英高(群馬)、東京ヴェルディユース(東京)、帝京長岡高(新潟)、京都橘高(京都)、サンフレッチェ広島ユース(広島)、広島皆実高(広島)、徳島ヴォルティスユース(徳島)、東福岡高(福岡)の計15チームが出場する予定だった。

U-17日本代表で「覚醒したな」。短期間で吸収、成長続ける尚志CBチェイス・アンリが次の挑戦へ

アメリカ系の注目CB、尚志高DFチェイス・アンリは努力を続けてより上を目指す
 注目の大器が“覚醒”して来ている。福島の強豪、尚志高のCBチェイス・アンリ(1年)は2月下旬、U-17日本代表に初選出されて「JENESYS青少年サッカー交流大会」に出場。素材感大のDFだが、大会前半は周囲とのレベル差を感じ、悔しさを募らせていた。それでも、尚志の仲村浩二監督が謙虚に取り組む姿勢を評価するDFは、短い期間で急成長。「(短期間で)上手くなって、自分もビックリしている。自信を凄く掴めました」という進化を遂げて、尚志に復帰している。

 自分にはまだまだ大きな伸びしろがある。それをU-17日本代表で実感することができた。合宿当初はチームメートたちやアジアの年代別代表選手の判断力の速さに戸惑ったという。1対1では止めることができても、相手の判断速い動きに遅れを取ってしまっていた。

 また、攻撃面でも苦戦していたが、「(大会の)3日間やられっぱなしで、最後全部吸収してできるようになりました。ポゼッションとかビルドアップが下手だったので、あそこで上手くなったと思います」とアンリ。特に「JENESYS青少年サッカー交流大会」最終日に行われたU-19東ティモール代表との決勝のパフォーマンスは手応えがあったようだ。

 CKから得意のヘディングシュートを決めたほか、好フィードやリーチの長さを活かした守備など存在感あるプレーで優勝に貢献。相手の俊足FWに一度背後を取られたシーンがあったものの、「足元の部分とか縦パスの精度とかあと、ヘディングも合わせられたので良かった。ちょっと嬉しいです。(ゴールは)キッカーも良かったけれど、自分もジャンプすれば(外国人相手でも)行けるなと。スタッフにも『覚醒したな』と言われました」と静かに笑った。

 初の代表活動を経て意識が変わった。新型コロナウィルスの影響下、尚志サッカー部は生徒が関東などへ帰省した際の感染リスクを考慮し、帰省希望者を除いて寮生は寮に残り、自主練習という形を取っている。寮生で自主練に参加中のアンリは、これまで簡単にクリアしていたボールを今後はパスに変える考え。また、自主練習1時間前からストレッチを行ったり、食事面も改善したりするなど、代表活動を経てより成長するために何をしなければいけないのか考え、実行に移している。

 新たな目標へ向かって、全力で取り組んでいく姿勢は評価されている部分。「昔から 周りが上手いと自分も上手くなりたい、努力しないといけないとやってきました。努力すれば、もっと上に行けると思っています」と力を込めた。もちろん、背後の対応や技術面でもまだまだ課題はある。それを意識高く改善して、「もっと上に行く」。

 04年3月24日生まれのアンリは現在15歳。だが、すでにJクラブから練習参加の打診があり、シーズン開幕前にもJリーガー相手にプレーする機会を得る模様だ。U-17代表での活動同様、最初の練習で悔しい思いをするかもしれない。それでも、「次の練習でどんどん吸収して慣れます」と力を込めた。

「自分がプロになるのは当たり前に見えてきて、プロになったら活躍して海外に行きたいですね」とアンリ。この1年で日本一、高校2年生でのプロ入りという2つの大きな目標にチャレンジする。

(取材・文 吉田太郎)

兄は市船で高校選抜も経験。尚志期待のボランチ、MF松尾春希は兄を「超えたいと思います」

尚志高期待のボランチ、MF松尾春希は兄超えも目標
 目標は兄超え、そして日本一だ。MF松尾春希(1年)は19年インターハイで3位に入った尚志高(福島)期待のボランチ。1月の全国高校選手権で登録メンバー30名に名を連ね、新チームではボランチ争いを繰り広げている。バルセロナ五輪予選日本代表の仲村浩二監督も相手の急所を見つける目と精度を認める存在が、新生・尚志で中心選手に成長するか注目だ。

 新型コロナウィルスの影響によって、尚志サッカー部も現在は対外試合などを自粛中。生徒が関東などへ帰省した際の感染リスクを考慮し、帰省希望者を除いて寮生は寮に残り、自主練習という形を取っている。ジェファFC(東京)出身の松尾は寮生活。福島に残り、限られた練習時間の中で自分を磨いている。

 昨年の国体少年男子の部で松尾は福島県選抜のCBとして、今年U-17日本代表に初招集されたDFチェイス・アンリ(尚志高1年)とコンビ。カバーリングや正確なキックが印象的だったが、尚志では本職のボランチとして勝負している。

 現在はトラップ一発で相手の逆を取る動きを課題として取り組み、先輩の中で自分から発信して行くことも意識。そして、「相手のギャップを通すのが楽しい」という松尾はパスワークを特長とする尚志で、得意の縦パスやショートパスをレベルアップさせていく。

 兄のDF松尾勇佑(現関西大1年)は市立船橋高(千葉)時代にU-18日本代表へ選出され、日本高校選抜で欧州遠征も経験した高速SBだ。弟は高体連、Jクラブユースの強豪から誘いがあった中で「パスサッカーが合っているかな、と。(実際に)ダイレクトで繋ぐところだったり、サイドチェンジで変えるところが楽しいです」という理由で尚志へ進学し、その中で着実に成長してきている。

 抜群のスピード、推進力や攻守における1対1の強さが魅力の兄とは「全然(プレースタイルが)違います。お兄ちゃんは縦に行くじゃないですか。(兄のような身体能力はないが、)自分は起点になってパスしたりする」。ポジションは違うものの、2歳上の兄の背中を追って来た。そして、尚志で兄超えへ。高校3年間の成績や先にプロ入りすることでその目標を達成する意気込みだ。

「お兄ちゃんは目標というか超えなければいけないという存在でした。超えたいと思います。(兄は1年時にインターハイで優勝。自分も日本一を)狙っていきたいです」。ピッチで賢いプレーや精度を見せつつあるMFは今年、尚志で印象的な活躍をするつもりだ。

 憧れの存在はドイツ代表MFトニ・クロース。「(コーチの)小室(雅弘)さんが言っていたんですけれども、逆取ることが上手かったり、キックが上手かったりというのがあるので」という松尾が、貪欲に努力を重ねてその存在に近づくような一年にもする。

(取材・文 吉田太郎)

兄は市船で高校選抜も経験。尚志期待のボランチ、MF松尾春希は兄を「超えたいと思います」

尚志高期待のボランチ、MF松尾春希は兄超えも目標
 目標は兄超え、そして日本一だ。MF松尾春希(1年)は19年インターハイで3位に入った尚志高(福島)期待のボランチ。1月の全国高校選手権で登録メンバー30名に名を連ね、新チームではボランチ争いを繰り広げている。バルセロナ五輪予選日本代表の仲村浩二監督も相手の急所を見つける目と精度を認める存在が、新生・尚志で中心選手に成長するか注目だ。

 新型コロナウィルスの影響によって、尚志サッカー部も現在は対外試合などを自粛中。生徒が関東などへ帰省した際の感染リスクを考慮し、帰省希望者を除いて寮生は寮に残り、自主練習という形を取っている。ジェファFC(東京)出身の松尾は寮生活。福島に残り、限られた練習時間の中で自分を磨いている。

 昨年の国体少年男子の部で松尾は福島県選抜のCBとして、今年U-17日本代表に初招集されたDFチェイス・アンリ(尚志高1年)とコンビ。カバーリングや正確なキックが印象的だったが、尚志では本職のボランチとして勝負している。

 現在はトラップ一発で相手の逆を取る動きを課題として取り組み、先輩の中で自分から発信して行くことも意識。そして、「相手のギャップを通すのが楽しい」という松尾はパスワークを特長とする尚志で、得意の縦パスやショートパスをレベルアップさせていく。

 兄のDF松尾勇佑(現関西大1年)は市立船橋高(千葉)時代にU-18日本代表へ選出され、日本高校選抜で欧州遠征も経験した高速SBだ。弟は高体連、Jクラブユースの強豪から誘いがあった中で「パスサッカーが合っているかな、と。(実際に)ダイレクトで繋ぐところだったり、サイドチェンジで変えるところが楽しいです」という理由で尚志へ進学し、その中で着実に成長してきている。

 抜群のスピード、推進力や攻守における1対1の強さが魅力の兄とは「全然(プレースタイルが)違います。お兄ちゃんは縦に行くじゃないですか。(兄のような身体能力はないが、)自分は起点になってパスしたりする」。ポジションは違うものの、2歳上の兄の背中を追って来た。そして、尚志で兄超えへ。高校3年間の成績や先にプロ入りすることでその目標を達成する意気込みだ。

「お兄ちゃんは目標というか超えなければいけないという存在でした。超えたいと思います。(兄は1年時にインターハイで優勝。自分も日本一を)狙っていきたいです。(震災を乗り越えてきた福島の人々も)応援してくれるので期待に応えたいです」。ピッチで賢いプレーや精度を見せつつあるMFは今年、尚志で印象的な活躍をするつもりだ。

 憧れの存在はドイツ代表MFトニ・クロース。「(コーチの)小室(雅弘)さんが言っていたんですけれども、逆取ることが上手かったり、キックが上手かったりというのがあるので」という松尾が、貪欲に努力を重ねてその存在に近づくような一年にもする。

(取材・文 吉田太郎)

日本高校選抜のデュッセルドルフ国際ユース参加中止。47年続いた海外遠征は初の中止へ

日本高校サッカー選抜のデュッセルドルフ国際ユース大会参加中止が発表された
 日本サッカー協会は13日、4月9日からドイツで行われる第58回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会に出場予定だった日本高校サッカー選抜の参加を中止することになった、と発表した。

 全国高等学校体育連盟サッカー専門部が選手の健康を最優先に考えて協議し、参加取りやめを決定。今年はMF古宿理久(青森山田高→横浜FC)やMF山田真夏斗(立正大淞南高→松本)、DF吉田晴稀(帝京長岡高→愛媛)、DF高橋祐翔(米子北高→大分)、MF浅倉廉(静岡学園高→拓殖大)ら第98回全国高校サッカー選手権の大会優秀選手を中心としたメンバーで選考を行っていたが、予定されていた佐賀合宿なども全て中止となっている。

 日本高校サッカー選抜は1973年から海外遠征を実施。当初はアジア、1978年からは欧州遠征を実施してきた。2013年の第51回デュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)で優勝した後は同大会に続けて参加。MF田部井涼(前橋育英高→法政大)やMF宮本優太(流通経済大柏高→流通経済大)らを擁した18年に2度目の優勝を飾っている。

 なお、昨年はFW宮崎純真(山梨学院高→甲府)やFW染野唯月(尚志高→鹿島)、MF武田英寿(青森山田高→浦和)らが出場して10チーム中6位(優勝はディナモ・ザグレブ)。このまま海外遠征が実施されなければ、73年から47年間続いてきた日本高校選抜の海外遠征で初の中止となる。

「力強さ」が魅力。尚志でナンバー1の身体能力と「諦めない心」を持つ男、大型FW阿部要門が山形入り

21年シーズンからのモンテディオ山形が内定した尚志高FW阿部要門
 “福島の雄”尚志でナンバー1の身体能力と「諦めない心」を持つFWが、山形でプロ生活をスタートする。今月3日、モンテディオ山形尚志高(福島)FW阿部要門(2年)が2021シーズンから加入することが内定した、と発表した。阿部は185cmの長身とスピード、パワーを兼ね備えた大型ストライカー。他チームからの評価を聞く前に、いち早く進路を決断している。
 
 新型コロナウィルスの影響下、尚志サッカー部は生徒が関東などへ帰省した際の感染リスクを考慮し、帰省希望者を除いて寮生は寮に残り、自主練習という形を取っている。寮生の阿部も自主練習で課題改善中。その阿部は、山形入りを決断した理由を口にする。

「一番の決め手は早い段階で目をつけてもらって、練習に参加させてもらった時に尚志のOBの山岸祐也選手とかもいて凄く雰囲気も良かった。いざ練習をやってみても、自分は前からどんどんプレスをかけてボールを奪ってシュートというプレーが多いのですが、山形も前からプレスをかけるという意味では、自分に一番合っているチームじゃないかなと思いました」

 阿部は昨秋に山形へ続けて練習参加。「最後まで諦めない心とか、ミスしても切り替えてボールを追うところを買ってもらえたと思います。(強化担当者が)プレミア(リーグ)も色々な試合を見に来てくれていて、その中で話す機会もいっぱいあって、自分のプレーがマッチすると言ってくれましたし、そういった面でも山形が一番良かったと思います」という阿部の下には昨秋の段階でオファーが入り、進路決定に至った。

 阿部は身体能力に恵まれているという家系で、2人の兄はいずれも水戸の育成組織でプレー。そして、阿部自身も「尚志の体力テストで一番でした。満点だったので」と微笑む。体力テストの50m走は1本目で6秒1を記録(6.3秒以内で満点)すると2本目はパスしたように、記録更新は狙わなかったようだが、握力測定で64kgを計測(一般的に17歳の平均値は40kg台前半)するなど、“尚志一の身体能力”に自信を持っている。

 山形サポーターに見てもらいたいところは、その身体能力の高さを活かしたプレーだ。「自分の長所であるスピードとパワーを活かしたドリブルや力強いシュートとか、力強さというところを見てもらいたいです」。相手DFを引きずりながら前進するような豪快なドリブルやパワーショットなどは魅力。また1年後を見据え、課題である細かな技術の改善やプレーの波をなくすための体調管理には、日々意識して取り組んでいる。

 1学年先輩で鹿島入りしたFW染野唯月にいつか追いつき、再び一緒にプレーしたいと考えている。先輩は2年時の選手権で大ブレイクし、3年時はプレミアリーグやインターハイ予選決勝、選手権予選決勝でチームを勝たせるゴール。圧巻の跳躍力に加え、技術力も高い染野とタイプは異なるが、荒削りな部分を含めて面白い素材であることは間違い。昨年のインターハイでは怪我明けの染野に代わって先発し、3得点。今年はさらなる得点量産も期待できる。阿部は「得点という形でしか、(染野の)記録というか活躍を超えることはできないと思うので、今年1年間、自分の得点でチームを勝たせることを目標に1試合1試合頑張っていきたい」と宣言した。

 昨年はどこか先輩に頼ってしまっていたところがあったと自認している。今年はエースストライカーとして、Jクラブへ進む選手として、相応しい活躍をするだけだ。厳しいマークを受けることは覚悟の上。「自分が引っ張っていかないといけない。自覚を持ってプレーしていきたい」という阿部が、1年後にスタートするプロ生活へ向けて貪欲に成長を目指し、高校サッカーで先輩FWに負けないくらいのインパクトを残して尚志から羽ばたく。

(取材・文 吉田太郎)

“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグは開幕2節を延期。4月18日、19日の第3節から実施へ

“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグは4月18日、19日の第3節から開催へ
 日本サッカー協会は13日、「高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2020」について、試合に関わる全ての方々の健康を最優先に考え、4月4日(土)、5日(日)に予定していた第1節と4月11日(土)、12日(日)の第2節を延期し、4月18日(土)、4月19日(日)の第3節より開催することを決定した、と発表した。

 プレミアリーグEAST第3節は4月18日に大宮アルディージャU18(埼玉)対柏レイソルU-18(千葉)とFC東京U-18(東京)対横浜F・マリノスユース(神奈川)、同19日に青森山田高(青森)対横浜FCユース(神奈川)、市立船橋高(千葉)対浦和レッズユース(埼玉)、流通経済大柏高(千葉)対清水エスパルスユース(静岡)が組まれている。

 また、プレミアリーグWEST第3節の5試合は全て4月19日に開催。サンフレッチェ広島ユース(広島)対ジュビロ磐田U-18(静岡)、東福岡高(福岡)対名古屋グランパスU-18(愛知)、サガン鳥栖U-18(佐賀)対セレッソ大阪U-18(大阪)、京都サンガF.C.U-18(京都)対大津高(熊本)、ガンバ大阪ユース(大阪)対ヴィッセル神戸U-18(兵庫)が予定されている。

 なお、延期となった第1節、第2節の代替日は決まり次第発表される予定。プレミアリーグEASTとプレミアリーグWESTの優勝チームが対戦するファイナルは12月13日(日)に開催される予定だ。

【プレミアリーグEAST第3節】
4月18日
[埼玉スタジアム2002 第2グラウンド]
大宮アルディージャU18(11:00)柏レイソルU-18

[東京ガス武蔵野苑多目的グランド(人工芝)]
FC東京U-18(16:00)横浜F・マリノスユース

4月19日
[青森山田高校グラウンド(人工芝)]
青森山田高(11:00)横浜FCユース

[船橋市法典公園(グラスポ) 球技場]
市立船橋高(11:00)浦和レッズユース

[流通経済大柏高グラウンド]
流通経済大柏高(11:00)清水エスパルスユース

【プレミアリーグWEST第3節】
4月19日
[吉田サッカー公園 人工芝グラウンド]
サンフレッチェ広島ユース(11:00)ジュビロ磐田U-18

[東福岡高グラウンド]
東福岡高(11:00)名古屋グランパスU-18

[佐賀市健康運動センターサッカー・ラグビー場(天然芝)]
サガン鳥栖U-18(13:00)セレッソ大阪U-18

[京都サンガF.C. 東城陽グラウンド]
京都サンガF.C.U-18(14:00)大津高

[OFA万博フットボールセンターグラウンドB]
ガンバ大阪ユース(14:00)ヴィッセル神戸U-18




 

強豪校の練習施設に潜入取材。選手権静岡県予選準V、地域貢献も目指す富士市立の練習場は?

富士山を望むグラウンドでトレーニングする富士市立高
 高校サッカーの強豪校はどのような環境でトレーニングしているのか。グラウンド、部室、サッカー部寮……。各校の協力によって、高校進学を控えた中学生たちにとっても貴重な情報を教えてもらってきたぞ。第31回は19年度からプリンスリーグ東海に参入し、選手権静岡県予選で静岡県東部勢として初の決勝進出を果たした富士市立高(静岡)の練習グラウンドを紹介する。

■10年に人工芝化






 富士市立高は、富士山を望む静岡県富士市に位置。2011年に旧・吉原商高から総合探究科、ビジネス探究科、スポーツ探究科(サッカー部の多くが在籍)の3つの探究科への学科改変と校名変更を行った。10年に人工芝サッカーコートと2面のフットサルコート、100m全天候型直走路、夜間照明等を設備された練習施設が完成。富士市立サッカー部のほか、FC Fujiジュニアユース(、4月にジュニアもスタート)、FC Fujiサッカースクール、月2度の多世代交流サッカーもこのグラウンドを活用している。

■判断力を重視。ドリブル、ショートパスで攻め勝つ







 富士市立は旧・吉原商高時代を含めて創部30年目。判断することを重視し、ピッチで判断するための要素として技術力を徹底的に磨いている。同じく富士市立高グラウンドで練習するFC Fujiジュニアユース出身者が多く、中高一貫指導で磨き上げられた技術力の高さは彼らの武器だ。選手権予選でも徹底してドリブル、ショートパスで攻めるスタイルが評価されていた。

■目標は昨年超え






 昨年度はエコパスタジアムで2試合を戦い、選手権全国大会初出場まであと1勝に迫った。今年の目標は昨年超えだ。新チームのリーダー、DF勝又大翔(2年)やMF熊谷武虎(2年)、FW座本柊音(2年)といった経験者を中心に力を積み重ねて、新たな一歩を刻む。

■地域スポーツの拠点に



 
 富士市立高の練習中には隣のフットサルコートでFC Fujiサッカースクールの小学生たちがボールを蹴っていた。そして、富士市立高の練習後にはFC Fujiジュニアユースの選手たちがボールコントロールを重視したトレーニングやミニゲーム。FC FujiジュニアユースやNPO法人富士スポーツクラブ(FC Fujiに加え、ハンドボールクラブ、テニススクール、バスケットボールスクールも活動中)の立ち上げの中心となった富士市立の杉山秀幸監督は「全国大会へ行きたいとかチームを強くしたいという奥にスポーツ文化を根付かせたいというのがある。子どもたちのサッカーをやれる環境を作ってあげたい」と語る。

■地域貢献と静岡制覇へ




 
 富士市立高のコンセプトが地域貢献。学校の充実した施設を活用するなど、スポーツの力で地域を盛り上げるための活動も行っている。その中でサッカー部は、一年一年成長曲線を描き続けて静岡制覇、全国大会出場へ。選手権予選の活躍によって地域が喜んでくれたことを実感したチームは、次のステップへ向けて努力を重ねる。

(取材・文 吉田太郎)

強豪校の練習施設に潜入取材。関西の強豪・神戸弘陵の練習場は18年4月に人工芝化

1月の全国高校選手権ベスト16、神戸弘陵高の練習場
 高校サッカーの強豪校はどのような環境でトレーニングしているのか。グラウンド、部室、サッカー部寮……。各校の協力によって、高校進学を控えた中学生たちにとっても貴重な情報を教えてもらってきたぞ。第30回はプレミアリーグWESTにも在籍した実績を持つ関西の強豪校、神戸弘陵高(兵庫)のグラウンド、施設を紹介する。

■18年に人工芝化






 神戸市北区に位置している神戸弘陵の練習施設は、校内にある第3グラウンド。18年4月に人工芝化されたグラウンドは公式戦も実施できるサッカー専用グラウンドでナイター設備も完備している。観客席は屋根付き。綱登り用のロープなど肉体強化メニュー用の器具も設置されている。

■プレミアリーグや全国舞台で戦ってきた伝統校







 神戸弘陵は16、17年シーズンと2シーズンに渡って高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグに所属。全国高校選手権出場10回の強豪校だ。ボールを大事しながら、試合展開、ボール状況、相手を見て判断するスタイル。なかなか結果の出なかった時期もあるが、OBの谷純一監督をはじめとしたコーチ陣の指導の下、近年は全国大会出場回数を再び増やし、今冬の選手権では2勝した。1月の全日本高校女子選手権で1勝した女子サッカー部は第3グラウンドのほか、フットサルコート2面分の女子サッカーグラウンドでトレーニングしている。

■OBも活躍





神戸弘陵は元日本代表MF奥大介氏やフットサル日本代表歴を持つ加藤竜馬(バルドラール浦安)、現柏の10番MF江坂任を輩出。今春にはCB田平起也がC大阪へ加入した。学校にはU-18日本代表に選出された田平やOBの活躍を讃える横断幕も。

■練習も全力で勝負





練習中のムードは上々。取材日は罰ゲームを懸けたミニゲームで勝者が大喜びしていた。

■努力は裏切らない







「努力は絶対に裏切らない」。19年シーズンはインターハイ予選、プリンスリーグ関西と公式戦で結果が出ずに苦しい時期が続いたが、諦めずに努力し続けてきた結果、選手権出場権を獲得し、J1内定やU-18日本代表、日本高校選抜候補選出という評価を得る選手も出た。3年生たちの姿を見ていた下級生たちは先輩たちのように努力を続けて、目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

滝川二高新監督に亀谷氏。鹿島育成年代などを指導

 高校サッカーの名門、滝川二高(兵庫)は5日、今月1日付けで松岡徹監督が退任し、新たにOBで外部コーチの亀谷誠新監督が就任したことを発表した。亀谷新監督は鹿島アントラーズの育成年代のコーチや、同クラブのスカウトを歴任。広州富力(中国)の育成年代の監督も務めた実績を持つ。

 滝川二は06年に全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会、10年度には全国高校サッカー選手権でそれぞれ優勝。同校OBで元主将の松岡前監督はコーチを経て15年から監督を務め、選手権予選2連覇や選手権8強入りなどを果たしている。

 現在、同校サッカー部は新型コロナウィルスの影響により、3月15日まで活動停止状態。亀谷新監督は、3月16日から本格的な指導にあたる予定だという。

強豪校の練習施設に潜入取材。“華麗なる猛虎”東海大福岡の練習場はミスト機能付き

福岡の伝統校、東海大福岡高の練習施設「松前記念総合グラウンド(タイガーフィールドスタジアム)」
 高校サッカーの強豪校はどのような環境でトレーニングしているのか。グラウンド、部室、サッカー部寮……。各校の協力によって、高校進学を控えた中学生たちにとっても貴重な情報を教えてもらってきたぞ。第29回は旧・東海大五高時代にインターハイ17回、全国高校選手権14回の出場歴を持つ福岡の伝統校、東海大福岡高(福岡)のグラウンド、施設を紹介する。

■練習場は松前記念総合グラウンド






 東海大福岡は福岡県宗像市に位置。練習施設は同校内にある松前記念総合グラウンド(タイガーフィールドスタジアム)だ。東海大福岡高創立50周年記念事業ならびに学校法人東海大学建学75周年記念事業の一環として、16年12月に竣工。800席の観客席や倉庫・更衣室、60m×2レーンの全天候型陸上競技路も兼備された、人工芝サッカー場だ。

■練習を重ね、「繋ぎの超攻撃サッカー」を表現





 素晴らしい環境の下、選手たちは東海大福岡の「繋ぎの超攻撃サッカー」を表現し、公式戦で結果を残すために力を磨いている。全国高校選手権4強など九州屈指の伝統を持つ男子サッカー部に加え、女子サッカー部も台頭中。女子は2度のインターハイ出場。また、今年1月の全日本高校女子選手権では8強入りしている。

■グラウンドにはミスト機能も




 人工芝グラウンドはミスト機能を設備されており、気温が上昇する前に散布することでピッチを冷却。夏場の高温対策が施されている。

■「華麗なる猛虎」






 タイガー軍団・東海大福岡の愛称は「華麗なる猛虎」。判断しながらボールを動かし、個とグループによる崩しからゴールを奪い取る。かつては現日本代表コーチの横内昭展氏や元日本代表GKの岡中勇人氏、C大阪MF藤田直之、広島MF清水航平らを輩出。今春、GK李到炯がJ3の今治FCへ加入した。今年もアタッカー陣を中心に複数のタレントを擁している。

■伝統校復活へ






 選手たちは第2クレーグラウンドも活用。人工芝グラウンドとクレーコートの両方で得られる力を身に着けている。平清孝総監督や大丸忠監督をはじめとするコーチ陣の指導の下、個々、チームの成長を目指して勝利へ。激戦区・福岡を今年こそ突破し、全国舞台に舞い戻る。

(取材・文 吉田太郎)

“ネクスト松木”。20年高校サッカーの注目ルーキー、神村学園MF大迫塁「獲っていきたい」

高校サッカー界のスーパールーキー候補。神村学園高新1年のU-16日本代表MF大迫塁
 第98回全国高校サッカー選手権では青森山田高の1年生レフティー、MF松木玖生が準決勝の決勝ゴールを含む4得点。得点センスの高さや1年生らしからぬ堂々とした立ち振舞いなどが注目された。

 松木とともに日本高校選抜候補に選出されたGK藤井陽登(矢板中央高)ら1年生が活躍した選手権。20年の高校サッカーもルーキーの活躍に注目だ。特に多くの視線を集めそうな新1年生が、鹿児島にいる。神村学園中から神村学園高へ進学するMF大迫塁だ。松木と同じレフティーのMF。昨年のAFC U-16選手権予選にU-15日本代表の中心選手として出場・活躍し、今年2月のU-16日本代表トルコ遠征にも参加している逸材だ。

「(松木)玖生くんは同じポジションで、同じ左利きなので、(中学時代の対戦をきっかけに)お話も何回かさせてもらっているんですけれども、凄い色々なことを教えてもらっています」と語る大迫は、地元・鹿児島で開催された「JENESYS青少年サッカー交流大会」にU-17日本代表の一員として参加した松木のプレーを確認。自身はトルコ遠征で肋骨にヒビが入る負傷をしたために欠場(鹿児島県選抜U-18としてメンバー入り)したが、決勝(U-17日本代表対U-19東ティモール代表)もピッチサイドから松木や同級生のFW福田師王(神村学園中→神村学園高)ら代表選手たちのプレーを見つめ、刺激を受けていた。

 大迫は2月28日の診察で練習復帰のゴーサイン。29日には鹿児島県選抜U-18のウォーミングアップやハーフタイムで他の選手とともにボールを蹴っていた。神村学園高では負傷前からAチームのトレーニングに合流。シャドーのポジションで早くも凄みのあるプレーを見せているという。

 大迫は昨年の国体少年男子の部2回戦で優勝候補の一角、千葉県選抜相手にスルーパス3本で3アシストを記録。1学年、2学年上の選手たち相手に圧巻のパフォーマンスをしてのけ、関係者たちを驚かせた。本人も「(自信があるのは)左足のキックのところでアシストのところや、パスのところです」と語る左足から繰り出すパス、ゲームメーク力は折り紙つき。実際に強みとする部分は高校のトレーニングに入っても通用していると感じている。

 加えて、大迫は高校のルーキーイヤーでゴールにもこだわっていく意気込みだ。神村学園高の有村圭一郎監督は「今年は点を獲れるようにさせてあげたい。(現在よりも)怖い選手に。ゴール前に出ていく回数を増やしたい」と求めていた。

 本人も「中等部の監督からも高校になったら点獲れる選手に、ということでシャドーに置いてもらっている。結果を残せるような選手になりたい。点を獲ったら目に見える結果なので(周囲を)評価しやすいと思う。獲っていきたいです」。もちろん、先輩とのポジション争いを勝ち抜く必要があるが、シャドーの位置で並ぶ可能性のある福田との1年生コンビで「(プリンスリーグ九州は)前半で5点、10点くらい。師王と2人で15点くらい獲れたらと思っています」と高いノルマを設定していた。

 Jアカデミーではなく、神村学園高へ進学したのは多くの選択肢から自身の将来を決めたいという考えがあったから。高校3年間で個人として目指す姿にについて、「2年生までにプロ内定して、特別指定してもらって、2年生から(Jリーグの)試合に出られるようにしたい」と口にした。

 その姿になるためにはまだまだ進化することが必要。「まだ視野が狭い時があったり、自分で行っちゃいすぎるところがあるので、もっと視野を広くできたら近づくと思います。(それだけではなく)アシストとかできるのは分かっているので、結果を残すとか、チームのために走ったりとか、献身性とか持って戦える選手が上まで残っていくと思っています」と力を込めた。

 中学3年時での1年間で成長した部分について、「人間的なところ」とコメント。「キャプテンをしていたんで、全員一緒のクラスだったのをまとめるためにはどうすれば良いかとか、2年の頃は我慢できなくて審判にめっちゃ文句言ったり、相手に無駄に言ったりとか、今はもう自分がコントロールできるようになりました」と微笑む。

 注目される選手だからこそ、ピッチ内外での立ち振舞も見られることになる。「それは父(隆二さん)からもいつも言われている」。松木とはまた異なるタイプのレフティーだが、ピッチ内外で代表選手、注目選手としての振る舞いを忘れず、得点を量産してチームの勝利に貢献していく。

 今年、U-16日本代表としての目標はU-17ワールドカップのアジア最終予選突破。そして神村学園では「選手権とインターハイは優勝目指せるチームだと思う。プリンスもプレミアの参入戦を狙えるチームだと思っている。狙って行きたいです」という目標に本気でチャレンジする。地元・鹿児島開催の国体での日本一も目標。そして、松木のように、全国大会でインパクトのある活躍をしてのけ、先輩たちとともに神村学園にとって初の全国制覇を成し遂げる。

(取材・文 吉田太郎)

公立中学の才能、MF笠置潤は先行く2人のライバルと同じ神村学園へ進学。「自分も代表に入りたい」

笠置潤(姶良市立重富中)は鹿児島県選抜U-18の左SB、ボランチを務めて光るプレー
[2.29 JENESYS青少年交流大会7位・8位決定戦 鹿児島県選抜U-18 9-1 鹿児島ユナイテッドFC U-18 指宿いわさきホテルサッカー場]

 先を行く2人のライバルに追いつく。中学生MF笠置潤(姶良市立重富中)は鹿児島県選抜U-18の左SBとして先発し、後半途中からボランチへ。後半19分、左サイドでのインターセプトで7点目の起点となると、直後には左サイドからのグラウンダークロスで8点目のゴールをアシストした。

 この日は雨上がりでスリッピーなピッチ。得意とする縦パスがズレていたことを反省した笠置だったが、「何か来るかなと思ったらボールが来る」という読みを活かした守備と冷静なボールさばき、タイミングの良い攻撃参加など印象的なプレーを見せていた。

「チームに守備でも攻撃でも貢献できる、チームのために走れる選手になりたい」と語る笠置は、エリートプログラムU-13やナショナルトレセンU-14を経験している実力者。中盤を本職とするが、国体選抜で初めて経験したというSBでも質の高いプレーを続けている。今回の「JENESYS青少年サッカー交流大会」では、U-17日本代表やU-17マレーシア代表、U-19ラオス代表相手に新たな経験を積むことができた。

 笠置は年上の才能たちと戦った「JENESYS青少年サッカー交流大会」について、「楽しかったし、レベルも高くて、自分よりも上手い選手ばかりだったので自分の足りないところとか課題が見つかって、でも通用するところもたくさん見つかったので、日頃の練習から良い部分は伸ばして改善できるところは改善したい」とコメント。意識する2人に追いつくためにも、貪欲にレベルアップを目指す。

 笠置は昨年の国体少年男子の部(U-16の大会)に鹿児島県選抜の一員として先発出場。優勝候補の一角、千葉県選抜との初戦では3アシストを記録したMF大迫塁(神村学園中)、2得点のFW福田師王(神村学園中)とともに中学生トリオで活躍し、逆転勝利に貢献して注目度を一つ高めた。

 大迫はU-16日本代表のエース格。福田も「JENESYS青少年サッカー交流大会」でU-17日本代表に初招集され、年上の年代別日本代表チームで通用することを証明した。ともに国体を戦った2人は、より高いレベルで経験を重ねている。

 その2人に負けたくないという気持ちがある。進路は、鹿児島県内外の強豪から誘いがあった中、練習参加した際に「(現時点では)通用しない」と感じた神村学園への進学を決断。最も成長できる環境として神村学園を選んだ笠置は、神村学園中から同高へ進学するライバル2人とチームメートになった。

 すでに神村学園のAチームに帯同。大迫、福田や先輩たちから盗めるものを盗んで差を縮めていく考えだ。「まだ(日本代表に)呼ばれていないので悔しいんですけれども、高校で一緒になるので、良い部分はどんどん盗んで、代表でも高校でも一緒にやれれば良い。2人とも代表に行っていて自分はまだ行けていないので必死に練習して自分も代表に入りたいです。(神村学園では) 1年目からレギュラーを目指して日本一を獲りたい」。細身で小柄だが、センスとインテリジェンスのある注目株。今年は地元・鹿児島国体を控えるU-16鹿児島県選抜や神村学園で結果を残し、自分も代表でチャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)

鹿児島県選抜U-18のMF桑原が4戦5発!U-17代表から得点も「このままじゃダメ」

後半28分、鹿児島県選抜U-18のMF桑原滉(鹿児島城西高)が左足シュートを決めてハットトリックを達成
[2.29 JENESYS青少年交流大会7位・8位決定戦 鹿児島県選抜U-18 9-1 鹿児島ユナイテッドFC U-18 指宿いわさきホテルサッカー場]

 鹿児島県選抜U-18はMF崎野隼人(鹿児島城西高)とMF桑原滉(鹿児島城西高)の2人がハットトリックを達成。特に桑原はU-17日本代表戦、U-17マレーシア代表戦でもゴールを決め、「JENESYS青少年サッカー交流大会」4試合でチームトップの5得点を叩き出した。

 今大会へ向けて「色々な国の代表が来ているので自分が持っているプレーを出して行こうと思いました」という桑原は、鹿児島県選抜U-18の右サイドや中央で持ち前のテクニックを発揮。「プレッシャーが結構来ていても剥がしたりはできていたかなと思っています」と手応えを口にする。

 鹿児島U-18戦では味方の崩しをゴールに結びつける形で前半16分、後半21分にゴール。そして、後半28分にもPAでDF2人を冷静にかわして左足シュートを決めた。目立つパフォーマンスで大会を終えたが、「このままじゃダメだと思うので、もっと成長して(ライバルたちに)色々な差をつけられるように練習から頑張っていきたいと思っています」と気を引き締めていた。

 所属する鹿児島城西は昨年の九州新人大会を制しているが、桑原が入学後の2年間は宿敵・神村学園高に夏冬の全国大会出場を許し続けている。今回、鹿児島県選抜U-18で神村学園の選手たちとともにプレーして感じたのは彼らとの差。「一緒にプレーしていて神村とかと差を感じるので、そこをチームで共有しながら高めていけたらと思っています」と誓った。

 鹿児島城西の新チームではSBに挑戦中。守備力も高まってきているが特に攻撃面で特長を発揮してチームに貢献していく。「インターハイと選手権があるのでしっかりと優勝して、全国の舞台に最近出ていないので、出れるように頑張りたいです」。今大会で得た経験をチームに還元し、個人、チームでレベルアップして鹿児島タイトルを獲得する。

(取材・文 吉田太郎)

高校選抜候補合宿中止…静岡ヤングサッカーフェスティバルも中止に

高校選抜候補合宿中止…静岡ヤングサッカーフェスティバルも中止に
 日本サッカー協会(JFA)は2日、今月6日から静岡県内で予定していた日本高校サッカー選抜候補選考合宿が中止になったことを発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を最小限に抑える政府の基本方針を受けたもので、期間中に参加を予定されていた第35回静岡県ヤングサッカーフェスティバルも中止になった。

●【特設】高校選手権2019

9発大勝の鹿児島県選抜U-18は4試合の経験を個人、チームの活躍や鹿児島のレベルアップに繋げる

鹿児島県選抜U-18はMF桑原滉(鹿児島城西高、8番)とMF崎野隼人(鹿児島城西高、中央)がともに3得点するなど9-1で大勝
[2.29 JENESYS青少年交流大会7位・8位決定戦 鹿児島県選抜U-18 9-1 鹿児島ユナイテッドFC U-18 指宿いわさきホテルサッカー場]

 貴重な経験を鹿児島のレベルアップに繋げる――。29日、「JENESYS2019 青少年サッカー交流大会」7位・8位決定戦で鹿児島県選抜U-18と鹿児島ユナイテッドFC U-18が対戦。鹿児島県選抜U-18が9-1で大勝し、7位で大会を終えた。

 鹿児島県選抜はグループステージでU-17日本代表やアジアの年代別代表チームと対戦。1勝2敗でグループ4位に終わり、7位・8位決定戦に回ったが、U-17日本代表やアジア相手にも通用したパスワークを発揮して快勝した。

 立ち上がりは鹿児島U-18が勢いのある攻守を見せる。左SB外薗光雅の推進力などを活用して前へ。だが、鹿児島県選抜は7分、良い形で縦パスを受けたFW永吉飛翔(神村学園高)がPAへラストパス。最後は中学生MF武星弥(鹿児島U-15)が右足シュートを右隅に決めた。

 鹿児島県選抜は16分にも唯一の高校3年生、MF濱屋悠哉(神村学園高、日本高校選抜)が左サイドからエンドライン際でDF3人、4人を抜き去ってラストパス。これをMF桑原滉(鹿児島城西高)が難なく決めて2-0とした。

 失点で重心が重くなってしまった鹿児島U-18に対し、鹿児島県選抜は個々の技術力、切り替えの速さで相手との差を生み出す。19分には、コンビネーションでPAへ持ち込んだMF崎野隼人(鹿児島城西高)が、DFのマークを外して左足でゴール。21分にも濱屋のラストパスから崎野が加点する。

 対して鹿児島U-18は、MF岩元愛翔がインターセプトから力強く前に出ていたほか、DF森田成やMF木塲暖太らが正確にパスを繋いで攻め返すシーンもあった。だが、攻め切る前にボールを奪われて押し戻されてしまう。

 鹿児島県選抜は前半35分にも、好フィードを連発していた左利きCB稲田翔真(神村学園高)のロングスルーパスで永吉が抜け出して右足で5点目。後半は鹿児島U-18が再び重心を前に置いてきたことで攻めあぐねる時間帯もあったが、14分に崎野がコントロールシュートで6点目を奪う。

 鹿児島県選抜はさらに19分、攻守で効いていた左SB笠置潤(重富中)のインターセプトから崎野がラストパス。最後は永吉が強シュートを打ち込んで7-0とした。さらに21分には濱屋が左サイドへ展開。笠置のグラウンダークロスをニアの永吉がスルーし、中央の桑原がゴールへ押し込んだ。

 28分にも「(大会序盤に比べると)ミスの数が減ってきて点もたくさん取れて良い形で終われたと思います。足元のある選手が前に揃っているので、渡しても取られないことはみんなで分かっていることなので動きやすいです」という桑原がPAでDF2人をかわして9点目のゴール。このあと、MF川原琉翔(鹿児島城西高)がワンツーからシュートを放つなど10点目を狙った。だが、鹿児島U-18は水際で凌ぐと37分、岩本らがGKにプレッシャーをかける形でミスを誘い、1点を奪い返す。

 鹿児島U-18も相手の大型GKヒル袈依廉(鹿児島城西高、19年U-17日本代表候補)からのゴールで意地を見せたが、鹿児島県選抜が大勝。鹿児島県選抜の大久保毅監督は「(各試合で)全員にチャンスを与えることができて良かった」と語り、その中で一試合一試合成長した選手たちを讃えていた。

 この日先発したCB山下玲(鹿児島城西高)や右SB川路友斗(鹿児島実高)はU-16時代に国体九州ブロック予選メンバー16名に入れなかったプレーヤー。だが、「それをバネに頑張っていた」(大久保監督)ことから国際大会出場のチャンスを得て、奮闘した。今回、鹿児島県選抜に入れなかった選手もこの先逆転するチャンスはいくらでもある。 

 大久保監督は今回、貴重な国際経験を積んだ選手たちへ向けて、「所属チームの監督や関係者、チームメートが快く出してくれた。課題を克服し、通用したところをさらに伸ばすこと。(経験を)自チームに還元して欲しい。ライバルと切磋琢磨して鹿児島のレベルを上げて欲しい」とエール。鹿児島の才能たちは地元開催で出場機会を得た「JENESYS2019 青少年サッカー交流大会」で得た経験を必ず、今年や将来の活躍に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

鹿島、新型コロナの影響でユースの活動中止へ

ユースの活動中止へ
 鹿島アントラーズは1日、新型コロナウイルスの感染予防対策および拡散防止のため、今月2日~15日までの期間、ユースの活動を中止することを発表した。

 なお、Jリーグは先月25日、3月15日までに予定されていた全公式戦の開催を延期することを発表している。

●高円宮杯プレミアリーグ2019特集

高校選抜入り狙う神村学園MF濱屋、急遽参戦決まった国際大会で2戦連発!

鹿児島県選抜U-18MF濱屋悠哉(神村学園高)は2試合連続ゴール
[2.28 JENESYS青少年交流大会GS第3節 鹿児島県選抜U-18 1-2 U-19ラオス代表 指宿いわさきホテルサッカー場]

 自身初の国際大会で貴重な経験を積んでいる。MF濱屋悠哉(神村学園高)は高校3年生として唯一、鹿児島県選抜U-18入り。この日は前半にMF川原琉翔(鹿児島城西高)のループパスを引き出すと、自身のシュートのこぼれ球をゴールへ押し込んで2試合連続ゴールを記録した。

 アジアの年代別代表チーム相手でもキープ力や攻撃力を発揮。アタッカーのポジションからボランチまでこなす万能型はゲームメークの部分でも存在感を放っている。本人は国際大会を初めて経験できたことを喜んでいた。

「外国人選手とやったことがなかった。どういうプレーが良いかちょっとずつ分かってきたので、良かったと思います。日本人選手とやる時は足元で受けてから何とかする自信があるんですけれども、外国人選手はトラップしてからの寄せが速いから、必ず周りを見てからプレーするようにしています」。プレッシャーが速く、深い相手との試合を経験したことで、より判断を速くする必要性を学んだ。

 これは日本高校選抜入りや将来へ向けても貴重な経験だ。昨年、神村学園のエースとしてインターハイや選手権で活躍した濱屋は今月20日に発表された日本高校選抜候補メンバーに選出。現在の24名から欧州遠征メンバーの18名入りを争っている立場だ。3月6日から行われる予定だった静岡合宿がコロナウィルスの影響で中止となり、アピールの機会が一つ減ってしまったが、3月17日から開催される予定の佐賀合宿へ向けて、進路の阪南大や神村学園で準備をしてきた。

 今回、鹿児島県選抜U-18にけが人が出たことなどから、神村学園でトレーニングしていた濱屋に白羽の矢が立ち、「JENESYS青少年サッカー交流大会」開幕前日に急遽、出場が決定。モチベーション高く臨んでいる中で結果も残した。

「JENESYS青少年サッカー交流大会」は残り1日。「まずは今の大会でもっとアピールしてコンディションとかもっと上げていって、高校選抜とかでもっと上げていってもっと結果を残していきたい」。貴重な経験の中で状態を上げて、さらなる活躍を目指す。

(取材・文 吉田太郎)

鹿児島城西の大型GKヒル袈依廉は高校ラストイヤー。「結果を残していかないといけない」

この日、鹿児島県選抜U-18のゲーム主将を務めたGKヒル袈依廉
[2.28 JENESYS青少年交流大会GS第3節 鹿児島県選抜U-18 1-2 U-19ラオス代表 指宿いわさきホテルサッカー場]

 九州の注目GKが3年目のシーズンを迎える。190cm超の長身を持つGKヒル袈依廉(鹿児島城西高)は1年時から注目され、昨年はU-17日本代表候補にも選出されている大型守護神だ。

 今年2月の九州新人大会出場を逃したが、今回の「JENESYS青少年サッカー交流大会」には鹿児島県選抜U-18のチームリーダーの一人として出場。28日のU-17マレーシア代表戦ではPK戦で2本を止めて勝利の立て役者となっている。だが、マレーシア戦では2失点し、この日も不運な失点があったとは言え、U-19ラオス代表に2点を奪われてしまった。

「昨日もマレーシア戦は結果的に勝って、2本止めて勝つことができて自信に繋がったんですけれども、チームとしても、個人としても経験として良いと思うけれど、結果にこだわっていかないといけない。個人としても2失点している。今日のクロスにしてもリスク管理の部分で細かいところで失点している。攻めているプレー中のコーチングとか切り替えの瞬間のコーチングがまだ不十分」と反省していた。

 一方で改善されてきた課題もある。今年の鹿児島城西が繋ぐスタイルにシフトしていることもあり、GKがビルドアップに参加する回数が増加。課題と言われてきた足元の部分に対して精力的に取り組むことができているようだ。

「(昨年まで以上に)トレーニングから周りを見ることや置きどころにこだわることができている。コントロールとかパスの質や、つける位置やロングボールの部分でも試合で成功しているので成長していると思う」。この日ミスがあったように、まだまだ完璧ではない。それでも、高さを活かしたハイボールの処理やシュートストップの部分に加え、武器を作ることを目指してきた成果は徐々に出てきている。

 1年時から公式戦や国体県選抜を経験し、昨年もU-17日本代表候補合宿やナショナルGKキャンプメンバーに選出されている注目株。だが、本人は「自分がメンバー登録や試合に出ている大会はまだ高校に入ってから優勝したことがない」と首を振る。昨年、チームは九州高校新人大会で優勝しているが、ヒルは怪我で欠場。それだけに「自分だけ高いレベルで経験させてもらっている分、還元しないといけない。残りインターハイ、選手権や代表に招集された時は今までの経験を活かして結果を残していかないといけない」と意気込んでいる。

 U-17ワールドカップメンバー入りを争ったGK鈴木彩艶(浦和ユース)やGK野澤大志ブランドン(FC東京)はすでにトップチームでの公式戦のベンチ入りや、トップチーム昇格内定を勝ち取っている。「特にブランドンは中学時代沖縄で近くから育ってきたし、ライバル意識が強いので負けないようにしたい」。まずは自身もプロ入りを勝ち取って並ぶこと。そのために、高校ラストイヤーの今年、大舞台への出場、活躍で評価を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)

代表チーム相手に通用も感じた差。鹿児島県選抜U-18は「ちょっと」を埋めて“個人昇格”、全国制覇へ

鹿児島県選抜U-18MF永吉飛翔(神村学園高)が突破を図る
[2.28 JENESYS青少年交流大会GS第3節 鹿児島県選抜U-18 1-2 U-19ラオス代表 指宿いわさきホテルサッカー場]

「JENESYS2019青少年サッカー交流大会」(鹿児島県指宿市)は大会3日目の28日、グループステージ最終節を行った。グループAの鹿児島県選抜U-18対U-19ラオス代表戦は2-1でラオスが勝利。ラオスはグループ2位で3、4位決定戦へ、鹿児島県選抜はグループ4位で7、8位決定戦へ進んだ。

 鹿児島県選抜は、今大会に出場予定だったFW福田師王(神村学園中)がU-17日本代表へ追加招集されたほか、けが人などが出ていた関係で急遽参戦することになったというMF濵屋悠哉(神村学園高、日本高校選抜)が唯一の高校3年生。その他はGKヒル袈依廉(鹿児島城西高、19年U-17日本代表候補)やMF永吉飛翔(神村学園高)ら高校2年生と高校1年生、そして中学3年生も3人が加わっている。鹿児島サッカーの今後を見据えて各年代から招集されたメンバー構成だ。

 前日の第2節でU-17マレーシア代表を破り、1勝1敗で迎えたこの日は立ち上がりからボールを支配。前半12分に自陣ゴール前での対応が乱れて先制されたが、再びボールを保持すると、PA付近では少ないタッチのパスワークで崩しにかかる。

 そして、永吉が左サイドから切れ込んでクロスを上げ切るなどゴール前のシーンを作り出すと34分、MF川原琉翔(鹿児島城西高)がPAへループパス。濱屋がタイミングの良い抜け出しから右足ループシュートを狙う。これはポストに嫌われたが、こぼれ球を拾った濱屋が自ら右足で決めて1-1とした。

 その後もボール支配は鹿児島県選抜。だが、ミスからピンチを招くシーンもあった鹿児島県選抜はクロスへの守備対応が甘く、後半14分に再び勝ち越されてしまう。鹿児島県選抜はこの後、濱屋や永吉、MF桑原滉(鹿児島城西高)やMF崎野隼人(鹿児島城西高)がシュートを連発。だが、コンビネーションなどで相手の守りを崩しながらもシュートが枠を外れ、またGKの正面を突いてしまう。最後まで2点目を奪えなかった鹿児島県選抜は1-2で試合終了を迎えた。

 Aグループ最下位に終わった鹿児島県選抜だが、彼らにとっては、貴重な国際試合。大久保毅監督は「フィニッシュの精度、ラストパス、守備もちょっとのところでやられてしまう。良い勉強になりました」と語る。

 U-17日本代表との初戦もパスワークで対抗し、相手の守りを崩すようなシーンは作っていたが、結果は1-7。接戦に持ち込むチャンスは十分にあったというだけに、チームはその差を思い知った。「紙一重が大きい、という話をしました。ちょっとしたところの壁が大きいね、と。今回経験した選手たちがチームに伝えて、レベルが上がれば良い」と大久保監督。今秋には地元・鹿児島県で国体も開催されるが、全国タイトルや“個人昇格”を目標とする選手たちは今大会で学んだ“ちょっと”の差を突き詰め、一つ一つのプレーにこだわっていく。

(取材・文 吉田太郎)

静岡準V・富士市立の技巧派ボランチ、MF熊谷「やっていて楽しい、見ていて楽しいサッカーを」

富士市立高の新司令塔候補、MF熊谷武虎
 19年度の選手権静岡県予選で大躍進を果たしたのが、富士市立高だ。静岡県東部地域からは初となる決勝進出。判断する力と個々の技術を磨いてきたチームは決勝で静岡学園高に敗れたものの、インパクト十分の結果を残した。MF熊谷武虎(2年)は選手権予選でもテクニカルなプレーで存在感。新チームの司令塔候補でもある熊谷が、新シーズンへの意気込みなどを語った。

―レギュラー格の一人として選手権予選でできたこと。
「(決勝で対戦した静岡)学園の10番の松村(優太)君が凄いと言われていたので、スピードもあるし、ドリブルも上手いのでそこをあまり抜かれないように、なるべく対応できるようにいうことを心掛けていて、ボール取れるシーンとか対応できるシーンも何個かあったのでそれは良かったと思います」

―決勝はチームとしても、最後まで攻める姿勢を見せていた。
「失点は多くなりましたけれども、失点してもゴールを目指すスタイルというのを貫いたことが一番良かったと思います」

―エコパで2試合経験できた。
「最初はそこまで行けるとはあまり思っていませんでした。今まではベスト4に入ったことがなかったので全国は遠いかなと思っていたんですけれども、決勝まで行けて、あと一歩で全国というところまで行けましたし、学園も全国優勝したので、全国もそんなに遠くないなと思いました」

―静岡学園が全国優勝したことは刺激に。
「ハードな守備とかも自分たちよりも一個上のレベルでやっていて、そういうところが全国でも出ていた。ああいうスタイルのチームや県内のチームが優勝してくれると、そこに勝ちたいなとか自分たちのモチベーションにもなるかなと思います」

―FC Fujiジュニアユースとの中高一貫指導で成長。
「中学の時から一緒にやっているメンバーも多くて、ドリブルの練習とかも多くやっていて、中学の時からやっているからこの選手はこういうプレーがしたいとか、こういうプレーが得意だとかそういうのも分かっているところが多くて、ドリブルとかも磨いてきたので個々の部分や連係の部分でも大きかったかなと思います」

―FC Fujiジュニアユースで身についた部分。
「やっぱりドリブルとか味方がドリブルをしていて取られたボールを拾う予測力だったり、目に見えない部分を中学では身につけることができたと思います。判断力とか予測力とかは身についたと思います」

―中学時代、富士市立をどう見ていた?
「(当初は進路を他校と悩んでいたが、)富士市立に行く人も多いし、今までやってきたメンバーと一緒に全国大会に行ってみたかったし、スタイルとしてもFC Fujiと似ていたので富士市立にしようかなと思いました」

―キャッチフレーズは「今こそ遊びがモノを言う」。
「中学の時から同じようなテーマでずっとやってきて、中学の時にそんなに結果を出せていない。やっと結果に繋がった。サッカーで勝つことも大事ですけれどもやっていて楽しい、見ていて楽しいサッカーをやりたい。ドリブルとか自分のやっていて楽しいことで見ている人が『オオッ』となってくれるような、そういうプレーをしたいので遊びというのは大事になってくるかなと思います」

―個人として、どこを見てもらいたい?
「基本どこでもできるという感じなんですけれども、去年は両サイドをやっていて、今年はボランチをやっています。ボランチでボールを持った時のサイドへのスルーパスや、自分でドリブルで運んでゴールに近づくプレーとか、チャンスを作り出すプレーを特に見てもらいたいです。一番得意なのはボールもらって前を向いて、相手を剥がしていくプレーです」

―憧れの選手は?
「ドリブルの力強さや緩急の付け方、身体の使い方はアザールの動画とか良く見て真似しようかなと思っています」

―将来については?
「大学でサッカーをやって、プロになったらプロで上の方を目指して行きたい」

―今年はチームにとっても大事な年。
「去年は3年生が引っ張ってくれていたので自分だけでベストを尽くそうと思っていたんですけれども、今年はチームの勝利とか周りの2年生とかを引っ張っていかないといけない。個人のためだけじゃなくて、チームのためにできることを増やしていきたいです」

―歴史をさらに塗り替える。
「もう一回あの舞台に立って、決勝でリベンジして、全国に行きたいので、それをモチベーションに頑張っています」

(取材・文 吉田太郎)

静岡で大躍進の富士市立。新エース候補のレフティーFW座本はゴールに加え、「自分でDFを崩せたら良い」

昨年躍進した富士市立高の新エース候補、FW座本柊音
 19年度の選手権静岡県予選で大躍進を果たしたのが、富士市立高だ。静岡県東部地域からは初となる決勝進出。判断する力と個々の技術を徹底的に磨いてきたチームは決勝で静岡学園高に敗れたものの、インパクト十分の結果を残した。FW座本柊音(2年)は、パンチ力のある左足や打開力に優れた新エース候補。その座本が新シーズンへの意気込みなどを語った。

―選手権の反響はどうだった?
「自分たちがあそこの舞台に立てたということは素晴らしいことだと思うし、優勝はできなかったけれども準優勝できたので正直良かったと思っています。自分たちの代では今の感じだと無理ではないので、しっかりと選手権へ向けて頑張っていきたい」

―地元に応援されていると実感した大会に。
「地元の人たちも富士市みんな団結して、他の東部の高校とかも応援動画とか作ってくれていた。色々な人が期待してくれていたので良かったと思います」

―経験者を残しての新シーズン。
「(チームメートには)日頃の練習からしっかりと試合を意識して取り組んで欲しいのと、コーチ陣からのアドバイスとかもしっかりと頭に入れながらプレーして行けたら良いと思っています」

―富士市立はFC Fujiジュニアユースとの中高一貫指導。FC Fujiで学んだことは?
「FC Fujiではドリブルメインで練習してきたので、ゴール前の打開力とかは身についたかなと思っています」

―中学時代、富士市立をどう見ていた?
「FC Fujiの先輩がだいたいここに来ていて、試合とかも見させてもらったんですけれどもみんな上手くて、技術もしっかりとしていたので憧れていました」

―他にも誘いはなかった?
「(あったけれど、)自分は市立で自分のドリブルとか活かしたサッカーがしたいなと思って市立に来ました。自分のサッカーに合っているかなと」

―FC Fujiで遊び心も身についた。
「練習から楽しみながらできているし、試合中も楽しみながらできている」

―中高一貫指導についてはどう感じている?
「この環境に慣れているというのもあるし、やりやすい環境であるのでその面では良かった」

―ここから県選抜に選ばれる選手が増えて来ている。
「自分たちの力もあるんですけれども、先輩たちがプリンス(リーグ東海)まで行ってくれたこともあるし、選手権も決勝まで行ってくれたので、そこでしっかり自分のプレーもできたので良かった」

―今年はどんな存在に?
「去年は3年生が引っ張ってくれたけれど、今年は自分たちの代なので去年のリベンジとしてしっかりと決勝まで行って、しっかり全国大会に行けるように。プリンスリーグも上位に行きたいけれど、まずは残留を目指して頑張りたい」

―個人としてはどのようなプレーを。
「しっかりと点を取ってチームの勝利に貢献することと、自分はドリブルが得意なのでゴール前でしっかりと自分でDFを崩せたら良いと思っています」

―ポジションはFWになる?
「今は右サイドのFWをやっていて、自分左利きなので右サイドからカットインとかカットインするフリをして縦に行ったりとか、そういうのが得意なのでどんどん増やしていきたい」

―左足のパンチ力も。
「自信があります」

―得点の形で多いものは?
「味方が中盤抜けてきて、自分が裏に走ってそれを受けてシュートを打つとか、一枚来たら自分が剥がすとかそういう感じです」

―将来について。
「はっきり決めていないけれど、できれば大学で続けていきたい」

―期待は大きい。
「去年は一個上でも自分でもできない方ではなかった。能力的には全然できると思います」

―目指す姿は?
「自分が良く見るのはブラジルのネイマールとか昔のロビーニョとか見ています」

(取材・文 吉田太郎)

静岡で大躍進の富士市立。国体で日本一も経験したDF勝又「色々な面で成長できた」

富士市立高の新チームリーダー、DF勝又大翔
 19年度の選手権静岡県予選で大躍進を果たしたのが、富士市立高だ。静岡県東部地域からは初となる決勝進出。判断する力と個々の技術を磨いてきたチームは決勝で静岡学園高に敗れたものの、インパクト十分の結果を残した。新チームのリーダー、DF勝又大翔(2年)は静岡県選抜の右SBとして昨年の国体少年男子の部日本一。技術力と対人の強さも備えた勝又が、新シーズンへの意気込みなどを語った。

―初の決勝進出。反響があったのでは?
「(決勝まで)行ったことでより注目されるようになったと思います」

―より周囲から見られている中でのスタート。
「現状は全然という感じです。チームとしても成り立っていないというか、未完成というか、噛み合っていないという感じです。まだ始まったばかりなので焦らず、徐々にチームを作って良い方向に持って行けたら良いと思っています」

―東海大翔洋中からなぜ富士市立へ進学した?
「一番は環境を変えたい、というのがあって考えた時に、一個上に翔洋から来ている先輩がいて、良いよと」

―中学時代からトレセンには選ばれていた?
「最後の方に県トレへ行ったくらいです」

―富士市立で評価された。
「1年の時は最初出ていなくてずっとBチームにいて、夏くらいからAチームでやらせてもらっている感じです」

―ここでチャンスを掴んだ。
「ビックリしています」

―国体を振り返って。
「経験できないようなことを経験できた。これからのサッカー人生で良い経験になりました」

―日本一はどうプラスになっている?
「とてつもない経験だったというか、自分としては色々な面で成長できたと思います」

―静岡県選抜から代表入りした選手たちには負けられない。
「その人たちとできて高いレベルを知れたと言うか、そこまで行けば代表にも選ばれるというレベルを知れたので、そこに向けて頑張っていきたい」

―富士市立でどこが伸びた?
「個人技です。足元の技術が伸びたと思います」

―今年は個人としても注目される。
「もっと去年よりも活躍して、(大学は)より強いところに行ってプロを目指して頑張っていきたい」

―見て欲しいところは?
「ヘディングの強さとか1対1の強さは強いと思っているので見て欲しいです」

―今年はどこでプレーしている?
「3枚の真ん中です。(サイドよりも)真ん中の方が楽しいです。自分、結構上がるのが好きなんですけれども、サイドだと追い込まれてもらったりとかそういう場面が多くて、でも真ん中だと自由にボールを持てたり、常に前を向いた状態で持てる。攻撃の起点も自分から始まることが多いし、真ん中の方がやりがいがあります」

―どんな選手になりたい?
「一番は守備の面でCBなので、そこで自分が無失点に抑えてチームを勝たせる選手になっていきたいと思っています」

(取材・文 吉田太郎)