ONESTORY

美術館に飾られるような“本物”の器で味わう宴。佐賀と宮城のシェフが仕立てた特別なコース。[USEUM SAGA vol.06/佐賀県佐賀市]

道具は、使われてこそ真価を発揮する。

たとえそれが世界にふたつとない貴重な器であろうと、美術館に展示するのではなく、実際に料理を盛り付け、味わってみてこそ発揮される美しさがあるもの。そんな思いのもと、素晴らしい器で素晴らしい料理を味わう数日間限定のプレミアムレストランがこの『USEUM SAGA』です。

もちろん、器に負けぬ存在感を持つ料理も大切な要素。2021年の初開催から毎回、佐賀県出身の…

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非日常となった美食が、再び日常に寄り添うとき。Destination Restaurants 2025が描く新たな風景[Destination Restaurants 2025/東京都港区]

初夏の東京、麻布台ヒルズの一角に、静かな熱気が満ちていました。

煌びやかな照明に照らされたステージには、選ばれし料理人たちが一堂に会しています。ジャケットに身を包んだその表情には誇りがあふれ、テーブルには各地から集まった食の関係者が静かに見守っている──

この日は「Destination Restaurants 2025」の授賞式。

地方の風土と食文化を讃えるこの舞台は、今年もまた新たな物語…

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壊すによって生まれた節目。真逆を歩む、ふたりの人生。

2025年3月末。あるレストランが、一度、幕を閉じました。「ALTER EGO」です。一度、という表現をした理由は、建物を建て替え、新たにスタートするため。

「ALTER EGO」は、イタリアで活動する「Ristorante TOKUYOSHI」もとい、「BENTOTECA」のオーナーシェフ・徳吉洋二氏が日本で唯一展開するレストラン。「Ristorante TOKUYOSHI」と「BENTOTE…

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壊すによって生まれた節目。真逆を歩む、ふたりの人生。

2025年3月末。あるレストランが、一度、幕を閉じました。「ALTER EGO」です。一度、という表現をした理由は、建物を建て替え、新たにスタートするため。

「ALTER EGO」は、イタリアで活動する「Ristorante TOKUYOSHI」もとい、「BENTOTECA」のオーナーシェフ・徳吉洋二氏が日本で唯一展開するレストラン。「Ristorante TOKUYOSHI」と「BENTOTE…

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シェフによる、シェフのための宴。スターシェフが一堂に会する“あり得ない夜”。[The Chefs Gathering/東京都渋谷区]

とある日曜の夜、渋谷『TRUNK(HOTEL) CAT STREET』のバンケット・キッチン。クラブのように派手に飾られたその場所で、秘密の宴が始まろうとしていました。

まず会場で出迎えるのは100kg超級の本鮪。添えられた『やま幸』の競り札を見るまでもなく、ひと目で最高峰の逸品だと伺えます。煌めくネオンの照明、ガンガンと鳴り響く音楽、ずらりと並ぶドン ペリニヨン。さらに参加者の顔を見ると、さら…

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目から鱗の連続に驚嘆の声が漏れる。あるものをどうクリエイトするか?伊シェフが生み出すローカルガストロノミーの意味するもの。[長野県南木曽町]

イタリア・エミリア・ロマーニャ州の山奥で6年連続星を獲得する名店『daGorini』。オーナーシェフであるジャンルカ・ゴリーニ氏は日本の、いや長野県南木曽町の食材にふれ語ってくれました。

「私の料理は山とともにあります。ですから、常に食材が潤沢にあるというわけではないんです。特に寒い冬の季節はね。だからこそ、自分の料理はシミュレーションができないと作れないわけではなく、リスクを取りながらでも今あ…

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僕らしかできないプラットホーム。それは、持続可能な地域経営。

「YORI は、よりあわせる。いくつもの細い糸を、1本の、太くしなやかな糸にする。YORIは、よりよくする。環境を、地域を、経済を。YORIは、地域からのたより。その地域ならではの味わいを、いちばん引きたつ融合で提供する。YORIはジンであり、絆であり、解決策であり、ストーリーである」(YORI HP より一部抜粋)。

タイトルに置いた「僕ら」とは、この「YORI」を指します。

「目…

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田舎町・南木曽でイタリア人シェフは何を想う。世界が求めるローカルガストロノミーの現在地。[長野県南木曽町]

土地土地の風土や文化、歴史を料理に落とし込み、その地域固有のテロワールを美食として味わう。現在、ローカルガストロノミーという言葉で表現されるある種の文化が日本でも浸透しはじめ、地域固有の食材や保存食、伝統調理などを再解釈する動きは、全国で加速していると思われます。東西南北にのびる日本の地理と海に囲まれた島国を背景に、東北、北陸、九州など、同じ日本とは思えないほどバラエティ豊かな食文化を再認識できる…

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伝統の奄美食材と革新的な薪火調理との邂逅(かいこう)。山海の滋味は新たな境地へ。

2024年は、かつてないほど「田中一村」という名が燦然と輝いた年でした。東京都美術館で開催された「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は来場者28万人以上を記録。知られざる孤高の日本画家に大きな注目が集まりました。一村が中央画壇を離れ、日本画の新境地を開いた地が奄美です。

奄美を舞台にしたランチイベント「Landscape Cuisine Amami」は、田中一村記念美術館のガイドツアーから始まりま…

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鹿沼の表裏。観光の表裏。

栃木県鹿沼市。この地には、ふたつの顔があります。ひとつは、祭りを象徴とした江戸から始まる宿場町。そして、その名残を残す中心地から少し足を延ばすと、あるところから空気が変わることに身体が気付くでしょう。凛とした厳かな世界に包まれ、それはまるで境界線を超えたかのような。はたまた、結界に足を踏み入れたような。そこがもうひとつの顔。約1300年以上続く霊場としての鹿沼です。現在、後者の顔に改めて目を向け、…

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春薫る、三春の余韻。

桜咲く麗らかな春は、味覚も花開く美味の季節。「和光アネックス」地階のグルメサロンでは、そんな情緒を食に込め、新たなお品を展開。パートナーに「和菓子 薫風」(以下、薫風)のつくださちこさんを迎え、同店のどら焼きと羊羹を独自にアレンジ。「桜どら焼き」と「いちご羊羹」として展開します。口に含んだ瞬間、味だけでなく、香りも含めて完成される仕上がりは、季節だけでなく、日本らしさすら覚えるでしょう。

まず、…

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気鋭の若きシェフが3年ぶりに佐賀へ凱旋、人間国宝クラスの器でいただく珠玉のコース「USEUM SAGA REVIVAL」が示したもの。[佐賀県佐賀市]

美術館に飾るような器で佐賀の美食を楽しむガストロノミーイベント「USEUM SAGA(ユージアムサガ)」。400年の歴史を誇る有田焼に代表される佐賀伝統の陶磁器と、佐賀の豊かな自然に育まれた第一級の食材が織りなす数日間限定のプレミアムレストランです。これまで数々の佐賀県出身の料理人とトップシェフがタッグを組んできました。その第1弾は2021年に開催された「arita huis(アリタハウス)」シェ…

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女性シェフとして生きる覚悟。世界の三つ星シェフが悟ったTOKYOの才能。

1月某日。東京都主催「Tokyo Artissense:A Female Chef Collaboration」が開催。仕掛け人は、「OAD世界のトップレストラン」のレビュアーランキングで6年連続1位に君臨する世界一の美食家・浜田岳文氏です。

「タイトルにある、Artissenseは、アルチザン(artisan)とエッセンス(essence)を組み合わせた造語。東京の食文化を示すもののひとつに職…

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日本のケーススタディとなるか。「利島」という循環型社会。

東京は都市だけではありません。それが、11の島々から成る「東京宝島」です。その中のひとつ、「利島」は、都心から南へ約140km離れた人口約300人の島。

海をわたるゆえ、陸のように時刻通りの交通機関は整いません。大西風が吹く日には、定期船の着岸ができず、冬の就航率は、5割程度。しかし、この不便は、「利島」に限った話ではなく、ほか10島も過酷。理屈では同じ東京ですが、別世界。海外からの観光客を魅了…

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食材の宝庫・滋賀県を味わい尽くす、一夜限りの特別なディナー。[SHIGA FINEFOOD DINING・ASTERISCO/東京都中央区]

日本一の湖・琵琶湖を擁する滋賀県。

県の面積の約6分の1を占めるこの琵琶湖により生まれる、東西南北で異なる気候や土壌。そしてその土壌を潤す豊かな水。このような条件により、滋賀の食材は多様性と高い質を併せ持っているのです。その魅力は、数多くの料理人がこぞって滋賀の食材を使用していることからも明らかでしょう。

2025年1月、そんな滋賀県産食材の魅力を伝えるディナーイベントが東京・八重洲のイタリア…

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「大地の力を凝縮した味」東京からやってきた6名の料理人が、宮崎で有機野菜と出合う。[Miyazaki Organic Dining/宮崎県・東京都]

日本有数の有機農業産地である宮崎県。

いまから40年ほど前、まだ世間に有機農業やオーガニックという言葉さえ浸透していない頃から、宮崎県では有機農業への取り組みが始まっていました。

もちろん、現在でもその灯火は変わらずに灯り続けています。

そればかりか、昨年度より「みやざき有機農業拡大加速化事業」として、官民一体となってさらなる輝きを放っているのです。

安心安全で力強く、味わい豊かな宮崎の野…

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いつの時代も答えは自然の中にある。持続可能な1杯からはじまる、地域のロールモデル。

2024年4月。長野県松本エリアにおける観光サービスの高付加価値化を具現するため、「持続可能な観光地域産業研究会」が発足。「明神館」や「ヒカリヤ」など、宿泊業やレストラン業などを運営する「扉ホールディングス」を事務局に置き、民間事業者たちが集結しました。その有志は、「アルピコグループ」、「セイコーエプソン」、「フジアビエーションシステムズ」、「八十二銀行」、「松本信用金庫」、「アスピア」、「ハート…

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熱帯植物園を回遊しながら、バーをホッピングする。沖縄の魅力を深く体感するミクソロジーイベント。

ユニークベニューとは、「ユニーク(特別な)」「ベニュー(会場)」を意味する言葉で、史跡、公園、美術館などを本来の目的とは異なるニーズに沿った会場とすることを指します。

今回、沖縄の魅力を伝える3つの試みのひとつが、このユニークベニュー。会場は、約6万平方メートルの敷地に多種多様な植物が展示される『熱帯ドリームセンター』。園内をガイドとともに巡りながら、各所に用意されたアペリティフと食前酒を味わう…

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歴史を学び、文化を知った上で、いただく。その本質までを深く味わう、進化する琉球料理。

たとえば歴史の授業のようにただ事実だけを伝えられたのでは、ここまで心に響くことはなかったかもしれません。しかし、そこに物語があり、あまつさえその物語の中に自分自身が組み込まれているなら、それは誰にとっても忘れ得ぬ時間となることでしょう。

今回実施された『Landscape Cuisine with Ryukyuan Hospitality』は、つまりそんな時間でした。

先人たちが歩いたその道を…

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沖縄と奄美大島を舞台にしたガストロノミーイベント。ただ通り過ぎるだけでは知り得ない島の本質を伝える試み。

年間平均気温約23度、エメラルドグリーンの海に囲まれた沖縄。そして豊かな自然に囲まれた世界自然遺産の奄美大島。どちらも日本を代表する観光地であることは、疑いようもありません。そしてあまりに素晴らしい環境に満足し、私たちはときどき、ただのんびりと過ごすことで、その旅を謳歌します。

もちろんそれは旅のひとつの形でしょう。しかし沖縄、奄美には、それだけではない素晴らしさが眠っています。独特の文化があり…

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先人のアバンギャルドに対し、自分たちは、今、何ができるか。

「良い道具、良いお点前……、良い茶会とは何か……。近年になればなるほど、価値観は固定され、語弊を恐れずに言えば、現代のお茶の世界に限界を感じていました」。

そう話すのは、「栗林大茶会」にて、茶の湯監修を務めた茶人・武井宗道氏です。

「栗林大茶会の大きな特徴は、ふたつあると思います。まずひとつは、特別名勝・栗林公園(以下、栗林公園)という壮…

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環境問題とも向き合った、和菓子のコンテクスト。

「実は、数年前から和菓子に対して非常に興味を持ちはじめ、色々、個人的に研究していました。とはいえ、公に活動していたわけではありませんし、私自身は洋菓子。なぜ私?という疑問から、栗林大茶会は始まりました」。

そう話すのは、和菓子の監修を務めた「ファロ」シェフパティシエの加藤峰子氏です。イタリアでの生活も長かったこともあり、和菓子を食べる習慣もほぼなくこれまでを過ごしてきた加藤氏は、まずリサーチから…

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茶人ではないから成せた守破離。

特別名勝「栗林公園」(以下、栗林公園)にて行われた「栗林大茶会」には、4人のキーパーソンが存在します。そのひとりが、飲料監修を務めたバーテンダー、南雲主于三氏です。

「茶の湯監修、和菓子監修、空間監修と建築チーム……。栗林大茶会の特徴のひとつとして挙げられるのは、地元の方々との関わりを基本に、県外からの異業種が混在していることだと思います。どんな空間ができあがり、それ…

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儚く消えてなくなった、3つの風景の記録。

「栗林大茶会」は、5つの空間から構成されました。ふたつは、既存の掬月亭と日暮亭から成り、残り3つは、新たに創造された空間。監修には、建築家の永山祐子氏を迎え、三井嶺氏、VUILD/秋吉浩気氏、KASA/コヴァレヴァ・アレクサンドラ氏+佐藤敬氏がそれぞれを手がけます。

「個性やアプローチが全く違う3チーム。このメンバーならば、特別名勝・栗林公園(以下、栗林公園)の自然と文化を尊重し、空間を設計でき…

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[後編]大阪から世界へ。大阪府成長戦略アンバサダーを担うアメリカ人。

2018年、日本初のフードビジネスインキュベーター「OSAKA FOOD LAB」が誕生。食でチャレンジする人を支援する実験場のようなそこは、プロ仕様のキッチンも完備し、「やってみなはれ」の精神が根付く関西で、食に関わる人が活躍するための仕組み作りを行なっています。

主催は「阪急電鉄」、企画・運営は「Office musubi」が担います。そんな「OSAKA FOOD LAB」を代表するシリーズ…

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[前編]レネ・レゼピが認めたOMNIVORE。マット・グールディングが日本の光を観る。

スペイン在住のフードジャーナリスト、マット・グールディングという人物をご存知でしょうか。食に精通している方であれば、耳にしたことがあるかもしれませんが、まだその名を聞いたことがないということであれば、「noma」のレネ・レゼピ氏によるドキュメンタリー「雑食するヒト(原題 OMNIVORE)」の製作総指揮を務めた人物といえばどうでしょうか。更には、それがレネ氏直々の依頼だったといえば、それ以上の裏打…

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堂々たる日本人であるために。日本はもっと素晴らしい。

去る、10月6日から9日。香川県高松市にある「特別名勝 栗林公園」(以下、栗林公園)にて、「Ritsurin Chaji」が開催されました。

各日少人数制で行われたゲストの特徴は、本物の日本文化に触れたいと切望する外国人が多いことでした。アメリカ、セネガル、トルコ、カナダ、コロンビア……。昨今、インターネットやSNSの普及による情報過多の一方、本企画は募集期間も短く、…

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己を超えろ、六根清浄。

11月某日、世界中からジャーナリストやフーディが集ったシークレットイベントが開催。料理を担うのは、麻布十番「秦野よしき」です。そして、舞台となったのは、日本最大の禅寺、京都花園 臨済宗大本山 妙心寺 退蔵院。

「妙心寺」の山内には、46の塔頭があり、その中でも「退蔵院」は、応永11年(1404年)に建立された山内屈指の古刹です。方丈には「退蔵院」開祖である無因宗因禅師(妙心寺第三世)がまつられ、…

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速報!「栗林大茶会」の全貌公開。

特別名勝「栗林公園」で行われる「栗林大茶会」。この壮大な茶会を形成するのは、それぞれの業種の第一線で活躍する面々です。

茶の湯監修には武家茶道・武井宗道氏、和菓子監修には「ファロ」シェフパティシエ・加藤峰子氏、飲料監修にはバーテンダー・南雲主于三氏、空間設計監修には永山祐子氏を迎え、和菓子の分野では、日和制作所、三友堂、夢菓房たから、御菓子司 寳月堂、瀬戸内パウダーラボが参画、空間設計の分野には…

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異国での挑戦。ふたりの日本人シェフが伝えたい、本当の日本の味。

9月某日、マカオにてふたりの日本人シェフがコラボレーションイベントを開催。その人物とは、活動の場を日本からマカオに移した「瑞兆」ヘッドシェフの紀之本義則氏と、東京・表参道に「ラチュレ」を構えるオーナーシェフの室田拓人氏である。

紀之本氏は、山代温泉の名旅館「べにや無何有」など、数々の名店で料理長を務めた経歴を持ち、室田氏は、「レストラン タテル ヨシノ」などで研鑽を積んだ実力派。ともに、ミシュラ…

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五感で感じる季節の情緒。旬と滋養を愉しむ「栗」菓子。[和光アネックス/東京都中央区]

9月から11月に旬を迎える栗。香り高く上品な味わいは、秋の代表的な味覚です。今回は、日本全国より厳選し、長野、山口、茨城、熊本の栗を取り揃えました。

まず、大正12年(1923年)創業の老舗。長野県小布施町で菓子製造をはじめ、レストランや宿泊施設も営む「小布施堂」です。元々は、お茶や塩の問屋、酒造業などを行う商家。栗菓子を製造するようになったのは、昭和30年代ころだと言われています。

今回、ご…

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日本文化の真実、二度とない茶会。特別名勝 栗林公園と茶事を解く、「Ritsurin Chaji」開催。

国の特別名勝にも指定されている香川県高松市の特別名勝「栗林公園」は、「一歩一景」と称されるほど、歩くたび、豊かな景色を堪能でき、日本の美意識が凝縮された庭園として高い評価を得ています。

また、その知名度は国内に留まらず、2011年には、ミシュラン・グリーンガイドにて最高評価の三つ星も獲得。海外からも注目されています。

今回は、日本人はもちろん、外国人の方々にも本当の日本文化を体験していただくた…

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4人の知性が重なり合う、新たな茶の湯の世界。

高松松平家が五代百年をかけて作り上げた世界があります。それは、香川県高松市にある特別名勝「栗林公園」です。75万平方メートルの広さを有し、1世紀にもわたる開発を経て、1745年に静養地及び散策地として完成されました。

日本の自然感と美意識がそこかしこに潜む名勝は、国内では知る人ぞ知る地。むしろ、国外の方が注目されているかもしれません。

この庭園の存在は、日本のさまざまな領域を最終的に一つの国に…

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力強く、澄んだ味わい。滋賀県産食材の魅力を伝える豪華ブッフェイベント、夏の陣。[SHIGA FINEFOOD DINING/東京都港区]

食材の宝庫・滋賀県。

肥沃な土壌、豊かな自然、真摯で妥協なき生産者たち、そして琵琶湖の膨大な水資源。さまざまな要因に支えられた滋賀県産食材の質は高く、近年はプロの料理人たちも滋賀県の食材を積極的に取り入れています。

そんな滋賀県の食材の魅力をさらに知ってもらうため、『Dynamic Kitchen & Bar 響 品川店』を舞台にした限定ブッフェイベント「響×滋賀県 in …

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美食の教養。それは、変人が生きた証。

“文化的に食べる。「うまい」だけではない「美味しい」を追求する。これが本書の美食の再定義です”。

本書とは、「美食の教養」のことを指しています。著者は、世界一の美食家として名高い、浜田岳文氏。

美食の思考法や美食入門、世界の料理総まとめ、一流料理人の仕事など、本書は、第1章から第6章で構成されており、多角的な視点から美食を読み解いています。冒頭の一節は、プロローグでもあ…

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日本の地域に眠る究極のレストラン。すべてが異次元のスタイルの先に、目指すべき理想が。[sowai/岡山県瀬戸内市]

魚礁(そわい)とは、たくさんの魚が集まり、生きた魚が隠れ家や餌場として利用している岩のことを指します。そんな魚たちの楽園ともいえる地形を、ひっそりと店の名に冠した場所があります。岡山県牛窓。この場所を聞いた感度の高い人ならば、あるお店、ある料理人の顔が自然と浮かぶことでしょう。そう、東京広尾から牛窓へと移住&移転をし、瞬く間にほかにはない至高の店を作り上げた『acca』の林冬青氏その人です。ひっそ…

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ローカル線の沿線をまるごと体感する新たな旅体験『沿線まるごとホテル』いよいよ始動。[Satologue/東京都奥多摩町]

ツーリズムの拡大、発展に貢献する取り組みを表彰する「ジャパン・ツーリズム・アワード」。2023年に発表された「第7回 ジャパン・ツーリズム・アワード」では、最高賞である国土交通大臣賞に『沿線まるごとホテル』というプロジェクトが輝きました。

『沿線まるごとホテル』とは、JR青梅線の駅舎をホテルのフロントに、沿線集落の空き家をホテルの客室に、そして地域住民とともに接客、運営を行うという、まさに沿線を…

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世界一の美食家が記録に残したかった、たった一夜だけの料理。

「OAD世界のトップレストラン」のレビュアーランキングで6年連続1位に君臨する世界一の美食家・浜田岳文氏の初となる書籍、「美食の教養 -世界一の美食家が知っていること-」が2024年6月に発刊。加えて、自身が主催するコミュニティ「UMAMIHOLIC」もローンチされ、双方を記念するパーティが開催されました。

ですが、今回フォーカスしたいのは、そのどちらでもなく、この日、たった一夜だけにクリエイシ…

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ペアリング次第で無限に広がる美味しさ。夏の定番、カレーとビール。[和光アネックス/東京都中央区銀座]

暑い季節に無性に食べたくなるのがカレー。実は、カレーの中に入っているスパイスには、夏バテ防止や熱中症予防にもなると言われています。不足しがちな栄養も、カレーであれば、米を含めた炭水化物、肉、野菜など、一度に摂取できるのもポイントです。

また、辛味のあるものであれば、血流が上昇し、体温が一時的に上がり、発汗。汗が蒸発する時に体の表面の熱を奪い、体が冷やされ、涼しく感じるのも特徴です。

ゆえに、夏…

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タブーなき料理とペアリング。最果てのウイスキー『HIGHLAND PARK』が刻む、新たな一歩。[HIGHLAND PARK LIMITED SESSION om AC HOUSE/東京都港区]

スコットランド最北端、大小70の島々からなるオークニー諸島。

強風が吹き荒れ、木々さえも生えないその厳しい環境の中に、1798年から続くウイスキー蒸溜所があります。

その蒸溜所で200年以上も変わらぬ製法でつくられるシングルモルトウイスキー・スコッチウイスキーが『HIGHLAND PARK』です。

過酷な環境が生み出す滑らかな風味、この島独自のピートに由来するアロマティックでフローラルな香り…

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人と自然、共存の難しさ。それでも人は生きてゆく。

2024年5月、第4回となる「The Japan Times Destination Restaurants 2024」の受賞レストランが発表。「日本人が選ぶ、世界の人々のための、日本のレストランリスト」として発足されたそれは、「日本人の視点で、世界の人々に、日本の姿を伝える」をテーマに、日本各地に点在する10店を毎年選出しています。選考者は、3名。第1回から変わらず、辻調理師専門学校 校長、辻調…

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都内初登場の奇跡。幻の芳醇ウィスキーケーキ[和光アネックス/東京都中央区銀座]

長野県・松本にある一軒宿「明神館」。日本の旅館ならではの風格が漂うそこは、一歩を踏み入れるだけで、まるで心が浄化される感覚を覚えるでしょう。

それもそのはず。この一帯は神様が湯治に訪れる場所とも言われており、温泉に浸かれば、神々しい力すら感じる聖地でもあるのです。

松本を中心とした美味は、舌だけでは感じることのできない土地のエスプリが宿り、訪れるゲストを密かに虜にしているのが、この「芳醇ウィス…

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南城、琉球うるま、琉球首里。沖縄3部作を全て見届けた中村孝則が「ダイニングアウト」を説く。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

「DINING OUT RYUKYU-SHURI」が2024年2月10日(土)から12日(月)まで、沖縄県・那覇市の首里城で開催された。今回、料理を担当するのは東京・南麻布の「茶禅華」の川田智也シェフである。ご存知の通り、首里城は2000年にユネスコの世界遺産にも登録され、約450年以上にわたり琉球王朝の中心であり続けた城(グスク)である。そして、記憶に新しいと思うが2019年10月に不慮の火災で…

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精神を受け継ぎながら時代に合わせた琉球文化を。ふたりの文化伝承人が願う、ひとつのこと。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

「琉球王国のおもてなし」をテーマに、『茶禅華』川田智也シェフが腕をふるった『DINING OUT RYUKYU-SHURI』。コースも半ばを過ぎた頃、琉球王朝式のおもてなしとして、歌三線と琉球舞踊のパフォーマンスが披露されました。

それは不思議な瞬間でした。

酒も入り、思い思いに会話を楽しんでいたゲストたちが、まるで申し合わせたように一斉に手を止め、話を止め、息までも止めるように、その演奏と舞…

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自然の恵みが凝縮されたハーブの癒し。[和光アネックス/東京都中央区]

独自の焙煎技術によって、品質や味にこだわった3種のハーブティー。

まずひとつ目は、有機グリーンルイボスティー。素材は、その名の通り、農薬や化学肥料は一切使用していない有機原料。自然の恵みを生かして栽培されているグリーンルイボスです。グリーンルイボスは、一般的な赤いルイボスとは異なり、非発酵の茶葉を100%使用しており、緑茶に近い香りとスッキリと清涼感のある味わいが特徴です。

ふたつ目は、桑の葉…

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意志ある未来は、人間力が切り開く。第二回「新潟ガストロノミーアワード特別版」開催。

「新潟ガストロノミーアワード」は、2023年2月に発足。主な取り組みは、地域の風土、歴史や文化を料理に表現するローカルガストロノミーの理念を体現している県内の飲食店や宿泊施設、特産品などを発掘することにあります。

記念すべき第一回は、発足直後の2023年3月に開催。「ONESTORY」の記事では、最後にこう締めくくらせていただきました。

「生みの苦しみの次なる必須は、継続の力」。

当時、本ア…

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伝統、文化、食材、精神。沖縄の今をシェフに伝えた二人のキーマンが振り返るDINING OUT。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

首里城を舞台に開催された『DINING OUT RYUKYU-SHURI』は、川田シェフが率いる『茶禅華』のオールスタッフが参加し、チームワークを発揮しました。しかしもちろん沖縄で開催するからには、地元の文化や伝統、食材をシェフに伝え得る人物は必要。今回その役割を果たしたのは、沖縄で店を営む2名の人物でした。

ひとりは沖縄伝統料理の店『月桃庵』のシェフ・屋比久保氏。もうひとりはバー『アルケミスト…

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琉球王国の伝統を、和魂漢才の哲学に昇華する『茶禅華』川田智也シェフの挑戦。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

『DINING OUT RYUKYU-SHURI』の終演直後。

まだ晩餐の熱気も冷めやらぬ会場で、川田シェフは今回のイベントを振り返りました。沖縄の食材を使った中国料理。自身の哲学である“和魂漢才”の具現化。いつもの論理的な話の節々に、少しだけやり遂げた達成感と興奮をにじませて、川田シェフは話します。

2018年、「神仏習合」をテーマに国東半島の文化と食材と向き合った『…

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「水がきれい。だから食材の味もきれい」。滋賀県産食材を主役にしたフェア開催。[SHIGA FINEFOOD DINING/東京都港区]

日本最大の湖・琵琶湖を擁する滋賀県は、素晴らしい食材に恵まれた食材王国。琵琶湖の豊かな水資源が育む農産物、その澄んだ水に棲む湖魚、京都の台所としての歴史が育てた畜産物や加工品。そんな素晴らしい食材の数々がいま、注目を集めています。

このほど、そんな滋賀県産食材を思う存分満喫できる限定ビュッフェイベント「響×滋賀県 in SHINAGAWA」が開催されました。舞台は、食材にこだわったワ…

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食べる愉しさ、歓び、そして幸福。愛情を包む。

本当の価値とは何か、本当に大切なものは何か。

2022年、感染症対策を踏まえ、コロナ禍において開催した「DINING OUT KISO-NARAI」のシェフを務めた「傳」の長谷川在佑氏。約2年半の空白の時を経た「DINING OUT」は、その「何か」と向き合う時間となりました。

そして、2024年。長谷川氏は、奇しくも木曽奈良井と同じ長野県塩尻市に拠点を構える「美勢商事」とともに新たな食品開発…

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古都京都・伝説の寿司職人が愛娘に伝えた究極の鮓酢。[和光アネックス/東京都中央区]

「與兵衛の鮓酢」は伝説の寿司職人、辻與兵衛(よへえ)氏が50年の歳月をかけて辿りついた究極の鮓酢(すしず)です。

2017年、73歳で他界した與兵衛氏から鮓酢を引き継いだのは、愛娘の上田佐和子さんです。

「“辻與兵衛の寿司はシャリがうまい”。その昔、辻與兵衛が京都で営む寿司屋に通う、味に厳しい常連のお客様のこの言葉から生まれたのがこの與兵衛の鮓酢です。日本の伝統的な食文…

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現代の文脈で蘇る、滅亡した王国のおもてなしの心。[DINING OUT RYUKYU-SHURI/沖縄県那覇市]

不思議なほどに、静かな夜でした。

それは音がないのではなく、心に波が立つような不協和音のない時間。2月の沖縄の風は優しく、暗闇に浮かび上がる首里城・瑞泉門は厳かに佇む。厨房から漂うスパイスの香りさえも、まるで自然の一部のようにすんなりと受け入れられます。あらゆる要素が、腑に落ちる感覚。これこそが最上級のおもてなしである、と誰もが確信できるような素晴らしい晩餐でした。

2024年2月、沖縄、「首…

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現代美術家・舘鼻則孝が表現する、Rethinkを起点とした伝統産業。

江戸東京の伝統に根差した技術や産品などを新しい視点から磨き上げ、世界へと発信していく「江戸東京きらりプロジェクト」。その活動の一環として、展覧会「江戸東京リシンク展 -旧岩崎邸庭園でみる匠の技と現代アートの融合-」を開催。

ディレクターを務めるのは、国内外を通して活躍する現代美術家の舘鼻則孝氏です。

本展覧会は 2021 年より毎年継続して開催されており、東京都の伝統産業事業者のコラボレーター…

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芸術大学で食を学ぶ。京都芸術大学食文化デザインコース開設。

2024年春。

日本の食文化の、新たな扉が開きます。

京都と東京にキャンパスを構える芸術大学『京都芸術大学』の通信教育部に「食文化デザインコース」が開設されるのです。

これまでにも日本の大学において「食」を軸にした講義はありました。

しかし芸術大学において、完全オンラインで文化・芸術として食を学ぶ学士課程は日本唯一(※)の試みとなります。

このコースで履修した学生が卒業後に得られるのは芸…

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香りを起点に引き立てる野菜の魅力。モダンインド料理のシェフが向き合う、宮崎県産有機野菜。[MIYAZAKI DINING/宮崎県・東京都港区]

宮崎県が日本屈指の有機農業産地であることをご存知でしょうか。

1988年に全国初の「自然生態系農業推進条例」を制定した宮崎県綾町をはじめ、県や市町村が有機農業を促進し、生産者がそれに応える。それは宮崎県が豊かな自然に囲まれ、温暖な気候に恵まれ、そしてその自然を愛する人々が暮らしているからこその結果でしょう。そんな宮崎県で2023年、「みやざき有機農業拡大加速化事業」が始まりました。それは有機農業…

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次代のローカルガストロノミーを担うコンビが共鳴し、美術館に飾るような器に表現を解き放つ。「USEUM SAGA」開催レポート。[佐賀県佐賀市]

400年以上受け継がれる有田焼をはじめ、数々の焼き物の産地を擁する佐賀県。透き通るように白い地肌と華やかな絵付けが印象的な磁器は、伊万里港から各地へ輸出され、世界中の人を魅了してきました。

風土に目を向けると、佐賀がいかに豊かで変化に富んだ環境にあるかがわかります。北を玄界灘、南を有明海に接する大地は、北部の山地、南部の山岳地、東部の平野、西部の丘陵地の4つに大別され、それぞれに特徴のある地質が…

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木曽伝統の発酵食「すんき」、木曽漆器、塩尻ワイン。宿場町・奈良井宿がつなぐ地域の新たな「食」体験

このプロジェクトは、令和5年度観光庁が実施する「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」の実証事業の一環として、「ONESTORY」が事務局となり地域の方と協同して行う取組です。「文化財」をテーマとする実証先として、奈良井宿を起点とする長野県塩尻市の奈良井地域が選定されました。

奈良井宿は、江戸時代に整備された五街道のひとつである中山道(東京・日本橋と京都・三条大橋を結ぶ500kmを超え…

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あたりまえの風景の中に見つけた地域の宝。4つのホテルから広げていく北海道・層雲峡温泉、上川そばの可能性

このプロジェクトは、令和5年度観光庁が実施する「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」の実証事業の一環として、「ONESTORY」が事務局となり地域の方と協同して行う取組です。「温泉その他の地域観光資源」をテーマとする実証先として、北海道上川町の層雲峡温泉が選定されました。

層雲峡温泉は、北海道のほぼ中央、先住民であるアイヌの人々が「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼んでいた原始の雄…

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伝統製法「灰干し」が広げる地域の新たな「食」。和歌山県・和歌の浦で目指す記憶に残る絶景ロケーションダイニング

このプロジェクトは、令和5年度観光庁が実施する「地域の資源を生かした宿泊業等の食の価値向上事業」の実証事業の一環として、「ONESTORY」が事務局となり地域の方と協同して行う取組です。食の価値向上を目指すにあたり「文化財」「自然の風景地」「温泉その他の地域の観光資源」という3つの地域資源に焦点を当て実証先を検討し、「自然の風景地」をテーマとする実証先として、和歌山県和歌の浦地域が選定されました。…

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滋賀の食文化の先には、必ず「比叡山」があった。「ひさご寿し」川西豪志が極める「式庖丁」。[DINING OUT HIEIZAN/滋賀県大津市]

自身の心臓の音すら体内から聞こえるほど、静寂な世界。風や葉の音を除けば、無音。唯一響き渡るのは、刃音。

冬の陽光を映し輝く刀が迷いなく振り下ろされると、その切っ先から溢れる静かな気迫が周囲を圧し、日吉大社「宇佐宮」拝殿は水を打ったように静まり返りました。伝統装束に身を包み、神前で聖なる儀式「式庖丁」を披露したのは、滋賀県近江八幡市「ひさご寿し」料理長の川西豪志氏。寿司職人として、琵琶湖のほとりで…

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