天を彩る誓い。三和酒類の決意。

「宇佐神宮」の「上宮」にて行われた、「iichiko彩天」カクテル御奉納の儀。御鎮座1300年を迎える節目に、「三和酒類」もまた、節目を迎える。

三和酒類「宇佐神宮」御鎮座1300年に迎えた、「三和酒類」の節目。

「いいちこ」、はたまた「iichiko」と聞き、お酒を嗜んでいる人であれば、知らない人はいないでしょう。それほどまでに社会に認知されていることは、偉業と呼ぶにふさわしい。

加えて、昭和54年(1979年)の誕生以来、実にユニークな広告も話題に欠かせない。ブランドと直結しないビジュアルとコピーは、まるで世間へのテーゼのよう。当時、時代を先ゆく、いや、先ゆき過ぎたそれは、今見ても心に響くものがあります。

そんな画期を創出した主は、「三和酒類」。そして令和7年(2025年)、新たな戦いに挑む。日本伝統の麹のうまみを最大限に表現した本格麦焼酎「iichiko彩天」を誕生させ、世界を目指します。

その祈願のために訪れたのは、御鎮座1300年を迎える「宇佐神宮」。共に節目を迎える両者は、過去にない御奉納へと結実してゆきます。

今回、その御奉納を祝し、「三和酒類」の面々と限られた人のみ参列。後者は証人となるべく、企業理念や哲学を学ぶだけでなく、精神を清めるため、事前プログラムを経て当日に臨みます。

「いいちこ日田蒸留所」、「辛島 虚空乃蔵」を巡り、酒造りや利き酒、地産地消の料理とのマリアージュなどを体験し、酒造りだけでなく、風土や食文化の知見も深めます。

今回、注視した行程は、「宇佐神宮」に向かう前、「両子寺」からの時間。御奉納祭に向け、五感を研ぎ澄まします。
 

今回のプログラムは、2日。まず1日目、最初に向かった先は、「いいちこ日田蒸留所」。ここで酒造りのこだわりや製造工程などを学ぶ。

上記、酒造りを学んだ後、「いいちこ」の全麹常圧蒸留原酒、全麹減圧蒸留原酒、長期熟成貯蔵酒の利き酒やブレンドを体験。

「辛島 虚空乃蔵」は、識る、感じる、愉しむといった3つの体験を通して酒造りの文化や発酵の魅力を満喫できる施設。

レクチャーを受けながら、「和香牡丹 輪秦ff 第1楽章」、「和香牡丹 輪秦f 第3楽章」、「和香牡丹 輪秦f 第4楽章」と味噌麹焼き3品、柚子胡椒をマリアージュ。

「辛島 虚空乃蔵」の敷地内には、日本酒とクラフトビールの醸造場も併設。多種多様なお酒だけでなく、厳選された地元の名品も揃う。

三和酒類身息心(しんそくしん)を整え、仏の世界から神の世界へ。

「両子寺」での体験の主は、座禅。では、座禅の目指すものは何か。それは、意識を集中させることです。

現代社会においては、マルチタスクのような身のこなしが美徳とされてしまいますが、果たしてそれが正しいのか。座禅はその真逆。ひとつのことに集中し、今ここに决する。その手法が呼吸です。

かのスティーブ・ジョブス氏もまた、禅の思想に触れ、その哲学を自身の生活と仕事に取り入れ、ビジョンと革新的なアイデアを追求し続けたひとり。

散漫となる意識を呼吸に集中し、身息心(しんそくしん)を整える。ゆっくりと口から息を吐き、ゆっくりと鼻から息を吸う。しかし、その反復は、簡単ではない。字のごとく、自の心が研ぎ澄まされてゆく。

実は、「両子寺」は「宇佐神宮」との関係が深く、寺の名はそれに由来しています。「宇佐八幡」には、5人の子がおり、その中の2番目と3番目は、大葉枝、小葉枝という男女の双子の神様。その双子は、「宇佐八幡」からこの地に下りたと伝えられ、山は「両子山」と呼ばれるようになり、その山にある寺ゆえ、「両子寺」に。

江戸時代には、「六郷満山」を統括する寺となり、「宇佐神宮」の庇護を受けながら、国東半島では「両子寺」を中心に神仏習合の信仰と寺院文化が発展。「六郷満山仏教文化」として根付いていったのです。

心身を整え、歴史を学び、一同は、仏の世界から神の世界へ。「宇佐神宮」に向かいます。
 

2日目に向かった先は、「両子寺」。「無明橋」を渡ってすぐ、国東半島最大の石造仁王像が出迎える。

1300年前から続く山岳修行を今に伝える法嗣の寺田豪淳師より、歴史や文化などの教えを請い、境内にて座禅を行う。手の仕草は、頭を天へ突き上げるような姿勢を保つと指導。

参列者に振る舞われた食事は、大分県宇佐市出身の「生活工房とうがらし」代表であり、「かみや塾」主宰の神谷よしえさんのおにぎり。「ごはんはエール」をモットーに、にぎりびととしても活動。

三和酒類鈴の音のごとく、清く鳴り響くシェイカー音。カクテル御奉納の儀。

全国には4万社以上あると言われている「八幡社」。その総本宮でもある「宇佐神宮」の始まりは、奈良時代まで遡ります。現在の場所に社殿を建立し、八幡大神を祀った神亀2年(725年)から数え、令和7年(2025年)、御鎮座1300年を迎えます。そんな「宇佐神宮」は、「三和酒類」にとって特別な存在でもあります。なぜなら、昭和53年(1978年)、創業20周年を迎える節目に本格麦焼酎「いいちこ」の命名披露を行った地だったのです。

「上宮」へ。清く凛と静寂な空気の中、「iichiko彩天」の祈願奉納祭が始まります。太鼓の音が鳴り響き、起立。「宇佐神宮」の古儀、二拝四拍手一拝。着座の時間においても、程よい緊張感が身体中を巡る。刹那、先ほど体験した座禅のような感覚が蘇る。ゆっくりと口から息を吐き、ゆっくりと鼻から息を吸う。体内から心音が響き、血液の循環すら感じる。身息心を整え、その時を待つ。

今回、特異な点は、カクテル御奉納という儀であること。シェイカーを振るのは、一般社団法人日本バーテンダー協会 会長であり、「BAR HIGH FIVE」の上野秀嗣氏。その音は、まるで鈴の音のごとく、場を清め、邪気を払うようです。

宮司の小野崇之氏もまた、「バーテンダーの方がシェイカーを振る音が、これほどまでに神々しいものか」という言葉を残しています。

そして、「本年は初物尽くし、100年に一度のことばかりでした。カクテルを御奉納いただくことは、宇佐神宮始まって以来。iichiko彩天が世界に向けて発信され、皆様方に親しまれるお酒になりますよう、衷心より祈念を致しております」と続け、滞りなく御神事を終えました。
 

「三和酒類」を始め、限られた関係者やメディアのみ、祈願奉納祭の参列が許された「iichiko彩天」カクテル御奉納の儀。

「宇佐神宮」の神々しい世界に「iichiko彩天」が同居した瞬間、参列者は大きな感動を覚えたに違いない。

今回、御奉納されたカクテルは3種。左より、一般社団法人日本バーテンダー協会 九州本部 本部長であり、「Twins BAR」の山下和弘氏、一般社団法人日本バーテンダー協会 会長であり、「BAR HIGH FIVE」の上野秀嗣氏、一般社団法人日本バーテンダー協会 関西本部 本部長であり、「Bar, K」の松葉道彦氏。

上記3名を代表し、シェイカーを振るのは、上野氏。静まり返る凛とした空気の中、シェイカーの音が清く鳴り響く。

御奉納されたカクテル3種。iichiko彩天、コアントロー、フレッシュレモンジュースを合わせた「白麹麗人(ホワイト麹レディ)」」、iichiko彩天、宇佐神宮ワイン、グレナデンシロップを合わせた「神麹」、iichiko彩天、ブルーキュラソー、フレッシュレモンジュース、ブラックサンブーカを合わせた「天空の麹」。

「宇佐神宮」御鎮座1300年の想いと共に、今回行われたカクテル御奉納の儀がいかに特別なものだったかを語る、宮司の小野崇之氏。「カクテルを御奉納することは、宇佐神宮始まって以来のこと。歴史に残る機会となりました」と話す。

御奉納の儀の後には、総務大臣表彰など、数々の賞を受賞する「DRUM TAO」の演目を「能楽殿」にて鑑賞。和太鼓を中心とした日本文化漂うパフォーマンスは、世界でも高く評価され、その活動スタイルには、iichiko彩天とも親和性を感じる。背景に描かれた佐藤高越画伯の「松樹の図」も圧巻。

最後は、御奉納された「白麹麗人(ホワイト麹レディ)」、「神麹」、「天空の麹」を参列者一同で杯を交わし、それに合わせた料理も用意。宇佐イノシシ、宇佐味一ねぎ、大分米仕上牛、国東のワタリガニなど、地元食材を使用した品々が会場を彩る。手がけたのは、大分県竹田市出身の「トモ・クローバー」の大久保智尚氏。

三和酒類運命の連鎖。カクテル御奉納の意義。

今回、ひとつの疑問が生まれました。なぜ、「iichiko彩天」の御奉納だけではなく、カクテルの御奉納だったのか。これには、世界をキーワードにした「iichiko彩天」ならでは理由が潜んでいました。

実は、「三和酒類」が世界を目指し始めたのは、平成25年(2013年)。今回が初めてではありませんでした。しかし、良い結果を得ることができず、徹底的に市場調査。まず、米国を中心に浮き彫りになったことは、食文化の違いでした。

例えば日本の場合、飲食店において、食事と焼酎などの蒸留酒を楽しむことは一般的ですが、米国の場合、食事と合わせることはほぼなく、大きくスピリッツという市場展開はバー。加えて、日本の國酒でもある本格焼酎の認知度も低い。レストラン市場からバー市場へシフトする必要がある仮説を立てたのです。

そこから、バーテンダーや関係者にヒアリングを重ねます。「パシフィック・カクテル・ヘブン」のケビン・ディードリッチ氏やバーコンサルタントのジャクウォス・ベズイデンハウト氏などは、そのメンバーの一員。バー業界のトップランナーたちと協議し、「iichiko彩天」の骨格を形成していきました。

そこで、まずひとつ、大きな舵を切ります。アルコール度数です。一般的な焼酎の場合、度数は、20度〜25度が主流ですが、カクテルとして使用するのであれば、他の素材に負けてしまう。つまり、ウォッカ、ジン、テキーラ、ラムといった世界の蒸留酒と肩を並べる必要があったのです。「iichiko彩天」の度数は、43度。これは戦うための決断ではなく、勝つための決断ではないでしょうか。

しかし、ただ度数を上げれば良いわけではありません。日本の酒税法上、45度を超えると焼酎でなくなってしまいます。あえて、この度数に設定したのは、冒頭における、「日本伝統の麹のうまみを最大限に表現した本格焼酎」に対する、並並ならぬ想いも感じられます。あくまでも、焼酎として世界と勝負することに、「三和酒類」の意義があるのです。

「iichiko彩天」は米国市場での発売以降、ニューヨークやサンフランシスコ、ロサンゼルスなどで活躍するバーテンダーから支持されるだけなく、BARのアカデミー賞と称される「Tales of the cocktail(2020年)」では、アジアの伝統的蒸留酒として初となるトップ10入りを果たします。そして、世界三大スピリッツコンペティション、英国「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション(IWSC)(2022年)」ではトロフィー受賞、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(2025年)」ではダブルゴールド受賞。そして、世界最大の蒸留酒品評会、米国の「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SFWSC)(2025年)」では、3年連続で最高金賞を獲得した銘柄のみ贈られるプラチナ賞も受賞。ようやく世界への扉を開いたのです。同時に、多くの専門家たちからも絶賛の声も寄せられました。

「アルコール自体が造り手の意図を反映している ※一部抜粋」ジョージ・ハリソン氏(ライター・IWSCスピリッツ審査会委員)

「iichiko彩天はアメリカ人にも好まれる。常にトップ3に入る人気メニュー ※一部抜粋」キャメロン・ウィンケルマン氏(Manhatta ヘッドバーテンダー)

「麹由来の旨味やアロマなどが生む複雑なレイヤーの豊かさは、カクテル作りに新たな風を起こすだろう ※一部抜粋」アダム・バーシック氏(シャングリ・ラ ホテル シンガポールOrigin Barバーテンダー)

日本展開より一足早く、世界に羽ばたいた「iichiko彩天」は、いわば、カクテル用焼酎スピリッツ。カクテル御奉納に結実した背景には、このような物語があったのです。そして、今回を皮切りに、さらなる高みを目指します。

「世界四大スピリッツと並ぶ焼酎の場を作りたい。そして、iichiko 彩天と共に、大分県宇佐市の文化を含め、世界に広めていきたい。それを、今日、この場からスタートさせることを誓います」と、御奉納を終えた「三和酒類」代表取締役社長の西 和紀氏は話します。

「宇佐神宮」にて行われた「いいちこ」の命名披露から約47年後、「宇佐神宮」御鎮座1300年の節目に行われた「iichiko彩天」カクテル御奉納の儀。まるで導かれるように重なり合った運命の連鎖。

天=世界に新たな彩りを加える本格焼酎。「iichiko彩天」の名にはそんな想いが込められています。
狼煙は上がった。本格的に天を彩るのはこれからだ。
 

美しいボトルデザインは、和服姿の日本女性をイメージ。世界のスピリッツとバックバー並んだ景色においても、日本の美が際立つ。

「iichiko彩天を通して、焼酎の文化に、これまでの割る(÷)文化だけでなく、掛ける(×)文化という新たな価値の創造に挑戦していきます」と「三和酒類」代表取締役社長の西 和紀氏。

Text:YUICHI KURAMOCHI

【掲載のお知らせ】旅行アプリ「NEWT(ニュート)」にて藍染坐忘が紹介されました!

【メディア掲載のお知らせ】

海外旅行・国内旅行のツアーやホテル予約はNEWT(ニュート)で紹介されました。 

NEWTは旅行者向けにスポット情報を分かりやすく発信している
注目度の高い旅行アプリで、多くのユーザーが利用しています。

今回の記事では、札幌駅周辺の観光スポットの魅力を紹介する中で
藍染坐忘についても取り上げていただきました。
ぜひご覧ください!

掲載記事はこちら
【2025年最新】札幌駅周辺・徒歩圏内のおすすめ観光スポット14選!
▶https://newt.net/jpn/sapporo/mag-26540770226



今後も地域の魅力とともに、より良いサービスを届けられるよう努めて参ります。

The post 【掲載のお知らせ】旅行アプリ「NEWT(ニュート)」にて藍染坐忘が紹介されました! first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

2025年度 年末年始休業のお知らせ

平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。誠に勝手ながら
下記期間を年末年始休業とさせていただきます。

2025年12月30日(火) ~ 2026年1月4日(日)まで

12月29日(月)は正午12:00で業務終了となります。
12月29日(月)は当日出荷は行なっておりません。

※ 2026年1月5日(月)より、通常業務を開始します。
※ 休暇中のお問合せにつきましては、2026年1月5日(月) 以降に対応させていただきます。

大変ご迷惑をお掛けいたしますが、 何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

The post 2025年度 年末年始休業のお知らせ first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

藍染手ぬぐいで感じる日本の美 暮らしを彩る伝統のデザインと使い方

藍染坐忘の手ぬぐいラインナップ一覧

日本の伝統を感じながら、日常に上質な彩りを添える「藍染手ぬぐい」
天然藍の深く澄んだ青は、どんな空間や装いにも穏やかな落ち着きをもたらします。
しかし「使い方がわからない」「色落ちが心配」といった声も多く聞かれます。
手ぬぐいは古くから生活の中で親しまれてきた実用品でありながら、
現代ではインテリアやファッション小物としても楽しめる万能アイテムです。

この記事では、藍染手ぬぐいの魅力やデザインの意味、
日常に活かす使い方、そして長く愛用するためのお手入れ方法までを丁寧に紹介します。

読み進めるうちに、伝統と実用性を兼ね備えた“育てる布”としての魅力に気づき、
あなたの暮らしに寄り添う一枚が見つかるはずです。
藍の美しさとともに、毎日を少し特別にしてみませんか。

藍染手ぬぐいが選ばれる理由と、暮らしに取り入れる価値

洗われている藍染手ぬぐい

藍染手ぬぐいは、天然藍ならではの深みある色合いや職人の手仕事による温かみが魅力です。
伝統工芸品として、日常に上質なアクセントを加え、丁寧な暮らしを演出できます。

ここでは選ばれる理由と暮らしへの取り入れ方を紹介します。

天然藍ならではの染めの魅力と品質

藍染の魅力は、天然藍が生み出す奥深い「青の階調」にあります。
化学染料には出せない、やわらかな濃淡と透明感が特徴で、
見る角度や光の当たり方で微妙に表情を変えます。

これは職人が温度や空気、染め重ねの回数を丁寧に調整することで生まれるもので、
一枚ごとに異なる個性が宿ります。

藍には抗菌・防臭効果があり、使うほどに風合いが増すため、日常使いにも最適です。
自然素材と手仕事が生み出すこの質感は、
量産品では得られない“育てる美しさ”を感じさせてくれます。

なぜ手ぬぐいが「上質な暮らし」にふさわしいのか

手ぬぐいは、古くから日本の暮らしに根付いた万能布として重宝されてきました。
薄手で乾きが早く、吸水性に優れているため、タオルよりも衛生的で扱いやすい点が魅力です。
さらに、畳めばコンパクトになるので持ち運びにも便利です。
“使う・洗う・干す”のサイクルが美しく成立する布だからこそ、
丁寧な暮らしを好む女性たちに選ばれています。

藍染で染め上げられた手ぬぐいは、機能性に加えて「使うたびに心が落ち着く上質感」をもたらします。

伝統工芸品としての手ぬぐいがもたらす“丁寧な暮らし”

藍染手ぬぐいは、単なる実用品ではなく”文化を受け継ぐ布”です。
藍の染料は自然発酵によって作られ、職人がその日の気温や湿度を感じ取りながら染め上げます。
この手間と感性の積み重ねが、一枚の手ぬぐいに「温もり」や「時間の記憶」を宿らせるのです。
毎日の生活で使うたびに、手仕事のやさしさや日本の美意識を感じられるのが魅力です。
暮らしの中に伝統工芸を取り入れることは
“丁寧に生きる”という心の豊かさを育むことにつながります。

藍染手ぬぐいのデザインと素材を知る

藍染手ぬぐいのデザイン一覧

藍染手ぬぐいの魅力は、色合いの美しさだけではありません。
日本の伝統文様や職人の感性が息づくデザイン、そして素材がもたらす使い心地の良さにこそ
長く愛される理由があります。

ここでは、柄や紋様に込められた意味や、
素材・染め工程がどのように日常使いに影響するのかを詳しく見ていきます。

柄・色・紋様がもつ意味を暮らしに活かす

日本の藍染手ぬぐいには、古くから伝わる文様が数多くあります。
それぞれに「幸運」「長寿」「魔除け」などの意味が込められており、
使う人の心を穏やかにしたり、贈り物としての気持ちをより深く伝えたりします。
たとえば「麻の葉」模様は丈夫に真っすぐ育つ麻の性質から「健やかな成長」を願う柄で、
出産祝いや子どもの成長を願う贈り物にぴったりです。
「青海波」は穏やかな波が続くことから「平穏な暮らし」を象徴し、
日々の暮らしに落ち着きをもたらします。

素材や染めの工程が日常使いにどう影響するか

藍染手ぬぐいの魅力は、見た目の美しさだけでなく、
使うほどに変化する素材の風合いにもあります。
藍染には綿などの天然素材が使われることが多く、
通気性や吸水性に優れ、手ざわりがやさしいのが特徴です。

化学繊維にはない自然なぬくもりがあり、日常使いの中で肌に触れるたびに心地よさを感じられます。

染めの工程にも職人の技が息づいています。
藍の液に布を何度も浸し、空気にさらして酸化させることで、深みのある色が生まれます。
回数を重ねるほどに濃くなり、光の加減で青から藍へと微妙に変化する色味は、
機械染めでは決して出せません。

薄手・切りっぱなしという手ぬぐいならではの特長を理解する

手ぬぐいには「端を縫わない」という特徴があります。
一見「ほどけてしまいそう」と感じる方もいますが、使っていくうちにほつれが自然に止まり、
かえって乾きやすく清潔に保てます。
縫い目がないことで、肌に当たる感触もやわらかく、
乾燥後のパリッとした質感も手ぬぐいならではの心地よさです。

日常使いで楽しむ藍染手ぬぐいの活用アイデア

藍染手ぬぐいの風呂敷

薄手で軽く、使い方次第で拭く・包む・敷くなど多彩に活用できるのが手ぬぐいの魅力です。
インテリアやファブリックとしても空間に溶け込み、
季節やシーンに応じて暮らしに彩りを添えられます。
ここでは具体的な活用アイデアを紹介します。

拭く・包む・敷く…毎日の家事にこそ映える使い方

藍染手ぬぐいは、日々の家事の中でこそ真価を発揮します。
吸水性が高く、洗ってもすぐ乾くため、台所や洗面所での布巾やタオル代わりに最適です。
見た目にも清潔感があり、料理をするたび、手を拭くたびに藍の色合いが
暮らしに穏やかな彩りを添えてくれます。

また、包む道具としても優秀です。
お弁当を包む、瓶や食器を包んで持ち運ぶなど、用途は多彩です。
布としての柔軟さがあり、物の形に沿ってきれいに結べるのも魅力のひとつです。
さらに、食卓で器の下に敷くだけでも和の趣が生まれ、日常に上質な雰囲気を演出できます。

インテリアやファブリックとして暮らしに溶け込ませる方法

藍染手ぬぐいは「使う道具」であると同時に「飾る布」としても楽しめます。
お気に入りの柄を額装して壁に掛ければ、
手軽に和のアクセントを取り入れられます。
季節に合わせて柄を変えれば、模様替えのように空間の印象を変えることもできます。

テーブルランナーや棚の目隠し布としてもおすすめです。
特に木製家具や陶器との相性が良く、自然素材のインテリアにしっとりと馴染みます。
光の加減で藍の濃淡が変わることで、
同じ布でも時間帯によって違う表情を見せてくれるのも魅力です。

季節やシーンに応じて変える手ぬぐいの取り入れ方

藍染手ぬぐいは一年を通して使える万能な布ですが、
季節やシーンごとに使い方を変えることで、より豊かに楽しむことができます。

春は桜や草花柄を選び、玄関や食卓に春の息吹を添えるように飾ります。
夏は涼しげな幾何学模様を浴衣や扇子と合わせると、風情のある演出に。
秋冬には深い藍色が映えるため、
暖色の小物と組み合わせて温かみを感じさせる空間づくりに向いています。

このように、手ぬぐいを「季節を感じる小道具」として使うことで、
暮らしにリズムが生まれます。日々の風景に静かな変化を与えてくれる存在です。

藍染手ぬぐいのお手入れと長く愛用するためのポイント

切りっぱなしの手ぬぐいの画像

藍染ならではの色落ちや風合いを守るには、
正しい洗濯や収納方法が大切です。
日常の扱い方や保管の工夫で、使い込むほど味わいが増す“育てる手ぬぐい”を楽しめます。
ここでは長く愛用するためのポイントを解説します。

洗濯・色落ち・乾燥…藍染ならではのケア方法

藍染手ぬぐいは天然藍で染められているため、
最初のうちは多少の色落ちが見られることがあります。

洗う際は単独で手洗いするか、ネットに入れて弱水流で洗うのが安心です。
洗剤は中性洗剤を使うと、染めの色合いを保ちやすくなります。

乾かすときは直射日光を避け、風通しの良い場所で陰干しすると色あせを防げます。
また、手ぬぐいは乾きやすい素材なので、湿ったまま放置せずに早めに乾かすことが大切です。

こうしたケアを続けることで、藍の深い色合いと柔らかな風合いを長く楽しめます。

収納・取り扱いで気をつけたいこと

手ぬぐいは薄手で軽く、切りっぱなしの端が特徴です。

そのため、折り方や収納方法によってはシワやほつれが生じやすくなります。
使用後は軽くたたんで、通気性のある箱や布袋に入れて保管すると安心です。

使い込むほど味わいが出る“育てる手ぬぐい”の楽しみ方

藍染手ぬぐいは使い込むほどに柔らかくなり、
色味も少しずつ落ち着いて味わい深く変化していきます。
この変化を楽しむのが「育てる手ぬぐい」の醍醐味です。

毎日の暮らしで拭く、包む、敷くといったシーンで手ぬぐいを使い続けることで、
手に馴染み、布の表情も豊かになります。
時にはプレゼントとして渡した手ぬぐいも、相手の生活の中で育っていくことで、
贈った価値がより一層感じられるでしょう。

藍染坐忘で販売中の手ぬぐいラインナップ

藍染坐忘の手ぬぐいは、贈り物や日常使いに最適で、
使うほどに愛着が深まるアイテムです。
その美しい藍色と丁寧な手仕事を、ぜひ手に取ってご覧ください。
ここでは藍染坐忘で人気の手ぬぐいTOP3をお知らせいたします。

第一位 藍染てぬぐい 和〜麻の葉模様〜

藍染てぬぐい 和〜麻の葉模様〜の画像

https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=15551707

今、人気上昇中の伝統和柄(麻の葉模様)を、天然藍染てぬぐいにデザインしました。

和の装いには勿論、どんな洋服にも馴染む天然ブルーのお色味はカジュアルな装いにもピッタリです。

第二位 藍染てぬぐい 〜みだれ雪〜

藍染てぬぐい〜みだれ雪〜の画像

https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=94149290

北海道の山奥。今日も白雪が吹き荒んでいます。

雪深い北国の厳しさと美しさを手ぬぐいに表現しました。

第三位 藍染手ぬぐい〜みずたま〜

藍染てぬぐい〜みずたま〜の画像

https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=94149299

人気のドット柄。頭に巻いたり、首に巻いたり、

ファッション用途にも重宝する手ぬぐいです。

まとめ

藍染手ぬぐいは、日常の中に日本の美意識と伝統の技をそっと取り入れられる存在です。
天然藍の深い色合いは、時とともに味わいを増し、拭う・包む・飾るといった
さまざまな使い方で暮らしに彩りを添えます。

職人の丁寧な染めによって生まれる一枚は、使うほどに手になじみ、長く愛用できるのも魅力です。

現代の暮らしにも自然に溶け込む藍染手ぬぐいは、
エシカルでサステナブルな日用品としても注目されています。
贈り物としても、自分の暮らしを豊かにするアイテムとしても、藍染の美しさを感じながら、
毎日を少し特別な時間に変えてみませんか。

藍染坐忘では、そんな思いを形にした手ぬぐいが揃っています。

The post 藍染手ぬぐいで感じる日本の美 暮らしを彩る伝統のデザインと使い方 first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

도쿠시마 徳島県観光資料


도쿠시마현 관광 정보(徳島県観光情報)[PDF/10M]
매력 톡톡 도쿠시마(徳島県観光ガイド)[PDF/7M]
TOKUSHIMA여행 안내(徳島県観光ガイド)[PDF/29MB]
직접 보고 느끼자!도쿠시마(徳島県観光ガイド)[PDF/6MB]
서울출발 직항편 도쿠시마(Easter Jet 韓国直行便案内)[PDF/2MB]
【온천・단체 대상】숙박 시설 정보(温泉・団体向け徳島宿泊施設)[PDF/6MB]
【온천 외・단체 대상】숙박 시설 정보(ホテル・団体向け徳島宿泊施設)[PDF/10MB]
【소인원 대상】숙박 시설 정보(少人数向け徳島宿泊施設)[PDF/5MB]
【단체 대상】음식점 정보(団体向け飲食施設)[PDF/5MB]
도쿠시마현 골프장 안내①(徳島県ゴルフ場案内①)[PDF/2MB]
도쿠시마현 골프장 안내②(徳島県ゴルフ案場内②)[PDF/3MB]
도쿠시마역 앞 카페 지도(徳島駅前カフェマップ)[PDF/622KB]
도쿠시마역 앞 라멘 지도(徳島駅前ラーメンマップ)[PDF/381KB]
TOKUSHIMA BUS PASS[PDF/1.7MB]
도쿠시마아와오도리공항 VISIT JAPAN WEB 완전 도입![Instagram]

藍染Tシャツの魅力|天然藍の深い色合いと唯一無二の模様・デザイン

藍染Tシャツの画像

藍染Tシャツは、日本の伝統技法を受け継ぎながら、現代のファッションにも自然に溶け込む唯一無二の魅力を持っています。

色合いや模様がひとつひとつ異なるため、他人と被らないオリジナル感を楽しみたい方や、天然素材で染められたTシャツを探している方にぴったりです。
藍染の洋服を扱うのは難しそうと感じる方も多いですが、天然藍ならではの深みや経年変化を理解することで、選び方や楽しみ方の幅が広がります。

この記事では、藍染Tシャツの特徴や模様デザインの魅力、購入時に確認したい品質ポイント、日常での着こなしや洗濯・お手入れの方法、さらには初心者でも楽しめる体験やワークショップのポイントまで幅広く紹介します。

読み終えるころには、藍染Tシャツを安心して選び、長く楽しむための知識とコツが身につき、自分らしいファッションやギフト選びに活かせるようになります。

藍染Tシャツの魅力と天然藍が生む特徴

ボーダーの藍染Tシャツの画像

藍染Tシャツは、藍ならではの深みある色合いと独特の風合いが魅力です。

「藍染の洋服を生活に取り入れるのは難しそう」と感じる方も多いですが、原料や染料の特徴を知ることで、Tシャツ選びの視点やコーディネートの幅が広がります。

天然藍ならではの経年変化と深み

天然藍で染めたTシャツは、着用や洗濯を重ねるほどに味わいと深みが増す経年変化を楽しめます。

単なる色落ちではなく、時間の経過とともに育っていくような風合いの変化が魅力です。
化学染料では得られない微妙な色の変化は、Tシャツを長く愛用する楽しみになります。

普段着としても使いやすく、オリジナルの模様やデザインとの組み合わせによって世界に一枚だけの藍染Tシャツを気軽に取り入れることができます。

藍染Tシャツの模様とデザインの魅力

様々な模様の藍染Tシャツの画像

藍染Tシャツの魅力は、色合いだけでなく、絞りや手染めによる唯一無二の模様デザインにもあります。
オリジナルのデザインで他人と被らない楽しみ方を知ることで、毎日のコーディネートにも個性が加わります。

代表的な絞りや手染めの技法と個性の出し方

藍染Tシャツの魅力は様々な絞りや手染めの技法にあります。
染液への浸け時間や絞りの強さによって模様の濃淡や形が変わるため、同じデザインが二度とできないのが魅力です。

手作業の味わいを活かした選び方のポイント

手染めの藍染Tシャツには、微妙な色ムラや模様の揺らぎがあり、それが手仕事ならではの味わいとなります。
均一ではない色ムラや模様こそ、手仕事ならではの表情です。
着るたびに風合いが増し、愛着が深まります。

購入時は、「どんな風合いが自分の好みか」「模様の配置や濃淡に個性があるか」を意識して選ぶと、長く愛用できる一枚が見つかります。

購入前に確認したい藍染Tシャツの品質と選び方

濃淡のある藍染Tシャツの画像

藍染Tシャツを購入する際は、素材・染料・職人の技術に注目することが大切です。
天然藍を使った本格的なTシャツかどうかを見極めることで、色落ちや着心地にも差が出ます。

ここでは、購入時にチェックしておきたいポイントを紹介します。

素材や縫製のチェックポイント

藍染Tシャツは、素材と縫製の品質がそのまま耐久性に直結します。

コットンやオーガニックコットンなど、天然繊維は藍染との相性が良く、発色も美しくなります。
縫い目が丁寧でほつれがないか、糸の色が染料と調和しているかなども確認しましょう。

高品質な素材を使ったTシャツほど、藍の風合いが長く保たれます。

天然藍の産地や職人表示の見極め方

徳島県のタデ藍や、すくもを使った藍染は、伝統的な本藍染めの証です。
職人の名前やブランドの理念が明示されているかどうかも、信頼できる藍染商品の見極めポイントです。

サイズやデザインバリエーションの確認方法

藍染Tシャツは、1点ごとに微妙な違いがあるため、サイズ感やデザインの確認が重要です。
オンライン購入では、身幅・肩幅・着丈のほか、染めの濃淡や模様の位置もチェックしましょう。

特に手染めの場合は、商品写真が実物と多少異なる場合もあるため、返品・交換ポリシーを確認しておくと安心です。

藍染Tシャツを長く楽しむための着こなしとコーディネート

藍染カットソーの画像


天然藍の深い色合いは、カジュアルからきれいめまで幅広くコーディネートできます。しかし「どう着回せばいいかわからない」と悩む方も多いでしょう。

ここからは、色合わせや季節ごとの素材選び、レイヤリングの工夫など、日常で藍染Tシャツを長く楽しむコツを紹介します。

カジュアルからきれいめまでの着回し例

藍染Tシャツは、ジーンズやチノパンと合わせたカジュアルスタイルはもちろん、スラックスやスカートと合わせて大人のきれいめコーデにもぴったりです。
濃淡の違う藍を重ねることで奥行きが生まれ、シンプルな服装にも深みを加えられます。

色合わせで個性を引き立てるコツ

藍色はベージュ・ホワイト・グレーなどの淡色と相性が良く、自然素材の温かみを引き立てる色です。
アクセサリーやバッグなどの小物をナチュラルカラーでまとめると、藍染Tシャツの深い色合いや模様、デザインがより映えます。

季節ごとの素材選びやレイヤリングの工夫

春夏はコットン素材の藍染Tシャツを1枚で爽やかに、秋冬はシャツやカーディガンと重ねて温かみを演出しましょう。
レイヤリングで藍の色味をさりげなくのぞかせることで、コーデ全体に統一感と奥行きが生まれます。
素材や組み合わせを工夫することで、一年を通して藍染Tシャツを楽しめます

藍染Tシャツの洗濯とお手入れで色落ちを防ぐ方法

白Tシャツと藍染したTシャツの画像


天然藍で染められたTシャツは、正しいお手入れで長持ちします。
初心者は洗濯や色止めの方法に不安を感じるかもしれませんが、基本を押さえれば安心です。
ここでは、購入直後の初回ケアや日常の洗濯のポイント、色移りやシミへの応急処置を解説します。

購入直後の初回ケアの方法

天然藍Tシャツを長く楽しむためには、最初の水通しが大切です。
ぬるま湯で軽く手洗いし、陰干しすることで染料が落ち着き、色落ちを防げます。
このひと手間で、着用後のトラブルを防ぐことができます。

日常の洗濯で守るべき洗剤や温度の選び方

藍染Tシャツは、中性洗剤とぬるま湯を使ってやさしく洗うのが基本です。
洗濯機を使用する場合は、ネットに入れ「手洗いコース」を選ぶと安心です。
高温や漂白剤は避け、陰干しすることで、藍色の鮮やかさを長くキープできます。

色移りやシミへの応急処置と回復方法

濡れた状態で放置すると、他の衣類に色移りすることがあります。
もし色がついた場合は、すぐに冷水で軽くたたき洗いし、自然乾燥を行いましょう。
軽い色落ちは「藍が生きている証」であり、自然素材ならではの魅力として楽しむのもおすすめです。

ギフトに最適な藍染Tシャツの選び方と演出

藍染ギフトの画像

藍染Tシャツは日本らしい文化と自然素材の魅力が詰まった特別なギフトになります。

しかし、素材やサイズ、包装の工夫を知らないと贈り物としての価値が十分に伝わらないかもしれません。
ここでは、喜ばれる選び方や特別感を演出する方法を解説します。

素材とサイズの選定基準

ギフト用に藍染Tシャツを選ぶ場合、相手の体型や好みに合ったサイズであるかをまず確認しましょう。

特に子供や年配の方に贈る場合は、柔らかく扱いやすい素材を選ぶと安心です。素材とサイズの確認で、喜ばれるギフトになります。

包装で特別感を出す方法

藍染Tシャツは、ギフト包装などの丁寧な包装・梱包でさらに特別感を演出できます。
ギフト用のラッピングや手書きのメッセージカードを添えると、贈る相手に心のこもった印象を与えられます。
オリジナル性と手作り感を活かす工夫が、記念品としての価値を高めます。


サステナブルな藍染Tシャツを選ぶ理由

藍染Tシャツが並んでいる画像


天然藍を使った藍染Tシャツは、環境にやさしく、長く使えるサステナブルなファッションです。

ここでは、天然藍の栽培工程や環境価値、職人支援につながる選び方を紹介します。

天然藍栽培とすくもの伝統的工程の環境価値

藍染の原料である蓼藍やすくもは、染料の発酵工程も自然の力を活かして行われることが多いため、環境負荷が少なくエコフレンドリーです。

藍染を選ぶことは、自然の力を活かした日本の伝統技法を未来へつなぐことにもなります。

製品を長く使うことによる環境貢献

藍染Tシャツは丈夫で経年変化を楽しめるため、長く着用することで廃棄を減らし、環境への負担を抑えられます。

お気に入りの一枚を大切に育てることが、ファッションを通じたサステナブルな選択につながります。

職人支援やフェアな流通を確認するポイント

藍染Tシャツを選ぶ際には、生産地や職人の技法・取り組みを知ることも大切です。

フェアトレードや地域の工房支援を行うブランドを選ぶことで、購入が社会貢献にもつながります。

藍染坐忘のブルーリメイクサービス〜藍でよみがえる一枚〜

藍染坐忘の看板の画像


お気に入りのTシャツを、もう一度着たくなる一枚に。
札幌の天然藍染工房「藍染坐忘」では、長く愛用してきたTシャツを藍の力で染め直し、新たな命を吹き込む「ブルーリメイク」サービスを行っています。

自然の恵みで染め上げるJAPAN BLUEが、衣類を美しく蘇らせます。

天然藍で染め直す、サステナブルな選択

お気に入りのTシャツを捨てずに、藍で染め直す。
それは、衣類を長く大切に使うという“サステナブルな選択”です。

天然藍には生地を強くし、抗菌・防臭・UVカットなどの機能もあり、肌にもやさしい天然の力が宿っています。

使い込むほどに深みを増す藍の色合いは、着るたびに味わいが変化していきます。

リメイクの流れ

1.染めたいTシャツを工房へお持ち込み、または郵送でお送りください。
担当職人が状態を確認し、料金と納期をご案内します。

2.ご希望の濃度や仕上がりをヒアリング後、丁寧に染め上げます。

3.染め上がったTシャツを工房にてお受け取り、または発送でお届けします。

※綿・麻・絹・ウール等の天然由来の素材と藍染は相性がよく、とても綺麗に染まりますが、アクリル・ポリエステル・ナイロン等の化学合成繊維は染まりが悪く、ご希望の風合いにならない場合や染まらない場合が多くあります。
また、生地の種類によっては、縮み等が発生する場合がございます。

上記を予めご確認の上オーダー下さい。
★他、サイト内注文書に記載されている注意事項をよくお読み頂いた上でご注文下さい。
https://www.zaboblue.com/service.html

世界にひとつの、あなただけの藍色に

Tシャツの生地や織り方、元の色によって、仕上がる藍の表情は一枚ごとに異なります。

濃紺から淡い空色まで、藍の深さが織りなす自然なグラデーションは、まさに一点もの。
使い込むほどに柔らかくなり、日々の装いに自然に馴染んでいきます。

新しい服を買う代わりに、思い出のTシャツを藍で蘇らせる。
それが、藍染坐忘のブルーリメイクです。

あなたのTシャツに、藍の命を吹き込みませんか。
札幌の工房「藍染坐忘」が、一枚一枚、手仕事で丁寧に染め上げます。

まとめ

藍染Tシャツは、天然藍と手仕事の温もりが生み出す唯一無二の模様が魅力です。深い藍色と模様の個性、長く使うほど増す風合いは、他の服にはない特別な存在になります。
色落ちやお手入れも正しい方法を守れば長持ちし、普段着としてもコーディネートしやすいのが特徴です。

そして、藍染坐忘の「ブルーリメイク」サービスを活用すれば、お気に入りのTシャツを藍で染め直し、再び日常に蘇らせることができます。
新しい服を買う代わりに、大切な一枚を育て続ける。そんなサステナブルな選択が、藍染の魅力をより深く感じさせてくれます。

藍染Tシャツは、ファッションを楽しむ方にも、ギフトを重視する方にも、長く愛用できる特別な一枚です。
藍染Tシャツを通して、あなたの暮らしに“藍のぬくもり”を取り入れてみませんか。

The post 藍染Tシャツの魅力|天然藍の深い色合いと唯一無二の模様・デザイン first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

過去を読み解くデザイン。

デザイナー・猿山修氏の代表作ともいえる「自在鉤」。今回は、合計6種の自在鉤を中心に展示を行う。

Re Gallery SCEARN人の命よりも、はるかに長く生き続けるものであるために。

「30年ほど前、旅先で休憩を取ろうと車を停めた場所に、役目を終えた大量の番線があり、少しそれを眺めていました。よく見ると、中には面白い形に曲がっているものもあり、なぜかとても美しく見えました」。

「Re Gallery SCEARN」における第一回目の展示は、「ギュメレイアウトスタジオ」主宰のデザイナー・猿山修氏による作品。数多く作風がある中、今回は、自在鉤(じざいかぎ)に特化した稀有なキュレーションを行います。そして、その「自在鉤の原点とは何か」という問いに対する答えが冒頭になります。

番線とは、なまし鉄線などとも呼ばれ、主に工事現場の足場材の結束などに使用される鉄線のことを指します。当時の猿山氏は、舞台美術に関わる一方、古物を扱っており、その修復の際には経年変化したものの方が相性も良く、例えば、タンスの取っ手やフックなどを作る材料に活かしました。そして、その番線を使って自在鉤を作ったのが始まりです。

「自在鉤は、昔からある道具で、様々なものを吊り下げるために使用されていました。その多くは囲炉裏に鍋ややかん、鉄瓶などを吊るし、上下させることで火加減を調整することを目的としたものでした。天井高のある古民家で吊るすため、長いものは3m近くあるものもあり、素材は、竹や木、縄を編んだものなど、耐久性に優れたものが多くありました。中には、オイルランプ用に作られたものがあり、囲炉裏で使うものに比べ細く繊細。暮らしに浸透していた時期が短いせいか、数が少なく、今では骨董屋でもすっかり見なくなりましたが、その佇まいに惹かれました」。

舞台美術を手がける傍、プロダクトデザインの仕事に携わるようになり、のちにそれが逆転。

今回、展示される自在鉤は、その原型を再解釈し、吊るすものも様々に展開。当時のような灯火はもちろん、香炉や花入れなど、暮らしに必要な道具という視点から、暮らしを豊かにする視点もあわせ持つ。しかし、そこに猿山氏の個性の押し売りはなく、あくまでも匿名性の高いデザインに徹するということは、特筆すべき点でもあります。

「最初から、参考にすべきは同時代のものではないと感じることが多くありました」。最初とは、「ギュメレイアウトスタジオ」設立時のこと。当時は、古陶磁などを扱う「さる山」も運営しており、一貫した思想が伺えます。そして、今日に至るまで、それを守りながらデザインに携わっているのです。

「私は、はるか昔から大事に残されてきたものに惹かれます。例えば、100年前のものであれば、多くの人の手から手へ受け継がれてきたことは容易に想像できます。その事実は偶然ではなく、必ず理由があるはずです。品質、使い勝手、デザイン……。それを読み解き、作品に活かす。そういった表現を心がけています」。

例えば、当時はどんな暮らしをしていたのか。これはどうしてこんな形をしているのか。工学者であり大学教授でもあったヘンリー・ペトロスキー作の「どうしてフォークは4本なのか?」は、その好例。形だけ模しても意味はなく、理由を理解するからこそ、ものは奥行きを増す。「あまりに不十分な説明が多い世の中、本当の理由が消えてはいけない」と猿山氏は言葉を続けます。

「自在鉤は、全て国内で生産され、栃木、愛知、大阪、山口など、吊るすものによって適材適所で制作しています。職人たちもまた、骨董や古物にまつわる文化、歴史などに造詣が深く、形あるものに宿る理由を見出すことを信念としています。

古道具を見たり、触ったり、使ったりしてわかるのは、欠けてしまったけれど、直されて残され続けているものの使い勝手が一番良いということ。だから、壊れても捨てられずに大事にされていたのかもしれません。私にとって、そういったものとの対峙は、もの作りやデザインにおける本質を享受する、学びの時間でもあるのです」。

言葉こそ発せずとも、そのものは、猿山氏に雄弁に語りかけてくるのかもしれません。

直して残す。つまり、選ばれ続けなければいけない。しかし、これは猿山氏のような作り手だけの問題ではありません。使い手の道徳も必須。今、存在する価値あるものは、今、そして次に所持する人次第で、後世に残し続けることもできれば、この世から姿を消してしまう可能性も孕んでいるのです。

「ものの命は人の命よりも長く、生み出される時の環境負荷も大きい。だから、容易にものを生み出すべきではないと考えています」。

古きものを愛する、猿山氏らしい言葉です。

猿山氏の屋号でもある「ギュメレイアウトスタジオ」の「ギュメ」とは、フランス語で二重鉤括弧の意味を持ちます。つまり、引用符。数百年、険しい時代を生き抜いてきたものたちが残り続けた理由を読み解き、そこから導き出した解を引用し、再解釈したデザインこそ、猿山氏の作品の核なのかもしれません。その耳馴染みのない屋号にもまた、理由は潜んでいたのです。

美しいものが正しく生まれ、正しく残り、100年後、時空を超えて、生き続けることを願って。宙に浮く、美しい自在鉤を眺めながら、そんな浪漫に想いを馳せることもまた一興。

「見届けることは叶いませんが、そんなもの作りをこれからも続けていきたい」。
 

多彩な草花を活けることが楽しめる「自在鉤」。花入のデザインを引き立てるよう、先端のフックが小さいのが特徴。似ているようで繊細に異なるデザインもまた、猿山氏らしい。

今回、唯一、自在鉤以外で展示する「茶香炉」。徐々に焙煎される芳醇な香りは、心身を整える。

もの作りだけでなく、近年は書画も手がける「ギュメレイアウトスタジオ」主宰のデザイナー・猿山修氏。

Text:YUICHI KURAMOCHI
 

「Re Gallery SCEARN」
TEL:03-6433-5201
住所:東京都北青山3-13-7 2F
営業時間:11:00〜19:00
定休日:月曜(祝日の場合は営業)
※1Fは、「SCEARN」ウェアを展開
公式HP:https://scearn.com/


 

[ギャラリーのご案内]
展示内容:宙と香 猿山 修
期間:2025年10月31日(金)より
※10月31日(金)11:00〜14:00 猿山氏在廊予定

 

日本の美を再解釈。 Re Gallery SCEARN

Re Gallery SCEARN日本の才能をキュレーション。

2025年10月31日(金)、東京・北青山に「Re Gallery SCEARN」が誕生します。

本ギャラリーは、デイリーラグジュアリーブランド「SCEARN」が手がける国内初の旗艦店「SCEARN AOYAMA」2階に併設されるギャラリースペースです。ともに、日本の伝統美をモダンに再解釈、世界から見た日本の魅力、日本が受け継いできた伝統や技術という3つのコンセプトを大切にしています。

ギャラリーでは、衣・食・住をはじめ、多角的に発信するスペースとして、作品の展示や販売はもちろん、体験型としてのコミュニケーションも重視。「SCEARN」のコンセプトの一つである「hear the scent(=聞香)」のエッセンスも取り入れ、各種イベントなども行う予定です。

一歩足を踏み入れれば、天井の高さによる開放感と全てが漸次的に繋がる心地良さを感じるでしょう。日本庭園が持つ余白の美を体現した真っ白な空間に身を委ねれば、自然と五感が凛と研ぎ澄まされ、自身と向き合う心の対話さえ芽生えるかもしれません。例えるならば、禅の世界ともいうべきか。滞在時間の長さに比例し、心身が浄化されるような感覚は、都会の喧騒とは無縁の世界が形成されています。

物質的な豊かさではなく、心に感動を与える本質的な豊かさこそ、古来より宿る日本特有の美学。日本の伝統、文化、技術を見直し、普遍の価値を創出してゆきます。

「Re Gallery SCEARN」
TEL:03-6433-5201
住所:東京都北青山3-13-7 2F
営業時間:11:00〜19:00
定休日:月曜(祝日の場合は営業)
※1Fは、「SCEARN」ウェアを展開
公式HP:https://scearn.com/


 

[ギャラリーのご案内]
展示内容:宙と香 猿山 修
期間:2025年10月31日(金)より

古き良き日本の美を再解釈し、独創的なプロダクトを造り上げるギュメレイアウトスタジオ主宰のデザイナー・猿山修氏の作品をキュレーション。今回は、数多くある作品の中でも、猿山氏の代表作ともいえる自在鉤に特化するという、大胆かつ稀有な内容になります。確かな職人技が成された自在鉤からは、心地良い緊張感が漂い、ただ吊るされているだけでも存在感を放ち、香炉、花入、キャンドルなど、吊るすものによって様々な表情を魅せてくれるでしょう。猿山氏の作品との対峙。それは、現代において、何か失ってしまった、大切な日本の美に気づきを与えてくれるに違いありません。
※猿山氏のインタビュー(下記)も合わせてお楽しみください。


 

[イベントのご案内]

香道直心流師範「藤乃香」の高野香聖氏が誘う、香りの世界を体験いただけるイベントを開催いたします。日本古来から受け継がれる「香りを聞く」という所作は、私たちの五感を開き、「今ここ」に心を集中させる感覚を研ぎ澄ませてくれるでしょう。

和菓子職人「いすゞ」主宰・井口いすゞ氏と愉しむ和菓子作りのイベントを開催いたします。「SCEARN」が表現する2025-26 Autumn/Winter Collectionのテーマ「包む」「捻る」「結ぶ」からインスピレーションを得て、伝統の意匠をアレンジしたオリジナルの和菓子を、月替わりで制作し、ご提供させていただきます。


※体験内容は、予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。
詳しくは、店舗または予約サイトにてご確認ください。

 

MARUNI-JEANS Niigata POP UP STORE開催

MARUNI-JEANS Niigata POP UP STORE開催

長野県と新潟県境にある妙高高原の麓にある「MARUNI-JEANS」にて
「quadro × sot」のポップアップストアを開催いたします。

大自然をバックに冬は大雪が積もるエリアの中でオリジナルDENIMを製作する、こだわりや歴史のあるMARUNI-JEANS.CO。
この機会に是非お越しください。

■期間:2025年10月17日(金) PM15:00より開催~ 2026年1月11日(日)PM15:00迄
※ quadroは2025年12月7日(日)までの開催となります

■開催店舗:MARUNI-JEANS.CO
http://www.maruni-jeans.com/

sot(ソット)公式サイト | オンラインストア

〒944-0028 新潟県妙高市姫川原206-5
0255-72-6104

贈り物に最適な藍染のれん|職人技が光る一枚の魅力と選び方

藍染のれん

藍染のれんは、日本の伝統と職人技が息づく特別な一枚です。
深みのある藍色と和の風合いは、店舗や住まいを彩るだけでなく、結婚・長寿・開業祝いなどの贈答品としても人気があります。
本記事では、藍染のれんが贈り物として選ばれる理由やシーン別の活用法、濃淡や縫製など質感の見極め方、海外ギフトで喜ばれるポイント、お手入れ・保管方法を丁寧に解説。
藍染坐忘の職人が仕立てる上質なのれんも紹介し、贈る相手にふさわしい一枚の選び方をお届けします。

藍染のれんが贈り物として選ばれる理由

藍染のれんの贈り物

藍染のれんは、日本の伝統的な職人技が息づく布で、贈答品としても特別な存在感を放ちます。
藍染は古くから“清め”や“魔除け”の意味を持ち、日常生活のさまざまな場面で大切にされてきました。特にのれんは、商家の入口を彩る「顔」として重視され、落ち着いた藍色は信頼感や品格の象徴とされてきました。
現代でも、店舗の装飾はもちろん、住宅の玄関やリビング、和室の間仕切りなど、空間に和の彩りを添えるアイテムとして重宝されています。

ここでは、藍色の象徴性や和の風合い、職人技による一点物の価値を紹介します。

藍色に込められた意味と贈り物としての魅力


藍色は、日本の伝統文化や人々の暮らしに深く根ざした特別な色です。
古来より藍は防虫・抗菌効果があることから、衣類や暖簾など生活の様々な場面で重宝されてきました。その深く落ち着いた色合いは、清潔感や誠実さ、凛とした品格を象徴し、日本人の美意識と強く結びついています。
贈答品として藍染のれんを選ぶことは、単なる装飾品を贈るのではなく、こうした文化や心を一緒に届けることでもあります。
特に藍色は「魔除け」や「厄除け」の意味も持ち、結婚祝いや開業祝い、新築祝いなど、人生の節目を彩る贈り物としても喜ばれてきました。
さらに藍染の魅力は、長く使うほどに色に深みが増し、時間の経過とともに味わいが育っていく点にもあります。
贈った瞬間の美しさだけでなく、年月を重ねて変化する風合いも楽しめるため、贈る側の想いを長く伝え続ける贈り物になるのです。

藍染のれんが醸し出す風合いと空間の彩り


藍染のれんは、自然素材の生地と手作業による染めによって生まれる独特の風合いが魅力です。手に触れたときに感じる柔らかな質感、光を透かしたときに見える藍色の揺らぎは、既製品にはない深みがあります。


この和の雰囲気は、モダンな空間にも調和しやすく、飲食店や和雑貨店だけでなく、洋風住宅の玄関やリビングにも自然に馴染みます。空間を引き締めつつ、優しく包み込むような存在感が贈り物としての特別感をより引き立てます。

職人の手仕事が生み出す一点物の価値


藍染のれんは、すべて職人による手仕事で一枚一枚丁寧に仕上げられています。
一点一点が異なる表情を持つことで、贈る相手に「世界にひとつだけ」の特別感を届けられます。

大量生産品にはないぬくもりと奥行きが、受け取った人の記憶に長く残る贈り物となり、贈答品としての印象をより深めます。

シーン別に見る藍染のれんの贈り方と選び方のポイント

藍染のれん

記念日やお祝いの場では、特別感のある贈り物が喜ばれます。
藍染のれんは結婚祝いや長寿祝い、新築や開業祝いなど、様々なシーンで印象を高めることが可能です。ここからは、用途に合わせたデザインや選び方のポイントを解説します。

結婚祝いにふさわしいデザインと選び方


結婚祝いに藍染のれんを贈る際は、新しい門出を彩るにふさわしい色合いや柄、デザインを意識することが大切です。明るく落ち着いた藍色は、清潔感と品格を兼ね備え、玄関やリビングなど家庭の空間に自然と調和します。藍色は縁起の良い色としても知られており、夫婦の末永い幸せを願う贈り物として最適です。また、名前や記念日を入れたオリジナルデザインにすることで、世界にひとつだけの特別な贈り物になり、長く大切に飾ってもらえるでしょう。


さらに、最近では和柄にモダンなデザインを組み合わせることで、洋風住宅にも自然に馴染むスタイルが人気です。飾る場所を選ばず、インテリアとしても楽しめるため、実用性と記念性を兼ね備えた贈り物として喜ばれます。

長寿祝いで選ぶ藍色と柄のポイント


長寿祝いに藍染のれんを贈る際は、色味と柄選びにこだわることで、より特別感のある贈り物になります。深みのある藍色は、落ち着きと品格を感じさせる色として年配の方にも好まれやすく、濃淡や柔らかなムラ模様が加わることで、表情豊かで趣のある一枚に仕上がります。


また、鶴亀や七宝、麻の葉といった縁起の良い伝統柄を取り入れると、長寿や繁栄、健やかな日々への願いを自然に表現でき、贈り物としての意味がさらに深まります。

新築・開業祝いに映える藍染のれん


新築祝いや開業祝いでは、贈る相手の空間に合わせたデザインを選ぶことが、のれんをより印象的に活かす鍵となります。玄関や店先に深い藍色ののれんを掛けると、空間全体が引き締まり、凛とした品格と落ち着きが生まれます。
特に新しい門出を祝う場では、藍色の存在感が店舗や住まいの「顔」として、訪れる人に上質な印象を与えてくれます。

また、ロゴや屋号をあしらったオーダーのれんも人気が高く、店舗のブランディングを強めるだけでなく、記念品としても長く飾っていただけます。
デザインやサイズ、設置場所をしっかり考慮することで、贈り物としてのれんが空間に自然と溶け込み、特別な節目をより印象深いものにしてくれるでしょう。

藍染のれんの質感と仕立てが贈り物の価値を高める理由

様々な藍染の布

藍染のれんは見た目だけでなく、手触りや縫製の丁寧さも贈り物の価値を左右します。
手に取った瞬間に伝わる布の柔らかさや、光を透かしたときの藍色の表情の変化は、工業製品にはない深みです。
縫製の仕上がりや生地の厚みを確認すると、長く美しく使える一枚を選びやすくなります。

濃淡やムラが生む藍染のれんの表情と魅力


藍染は、染めの回数や布の浸し方、染料との時間の重ね方によって、独特の濃淡やムラが生まれます。そのため、同じのれんであっても一枚一枚に異なる表情が宿り、世界にひとつだけののれんになります。

深く染め上げられた藍は重厚感を、淡い部分は柔らかさと軽やかさを感じさせ、光の当たり方や見る角度によっても印象が変化します。

こうした藍染特有の表情を理解して選ぶことで、贈る相手の好みや空間によりフィットした一枚を見つけることができ、贈り物としての価値が一層高まります。

縫製や仕立てが左右する使い心地と耐久性


のれんの縫製や仕立ては、長く美しく使うための大切な要素です。
端の始末や縫い目の丁寧さによって、ほつれにくさや型崩れのしにくさが大きく変わります。
特に藍染のれんは天然素材を使用していることが多いため、生地の特性を活かした仕立てが重要になります。
手に取ったときに感じる生地の厚みや縫製の精度は、耐久性と使い心地を見極める大きなポイントです。縫い目がしっかりとしていれば毎日の開け閉めにも耐え、長期間掛けても美しい形を保ちやすくなります。
また、仕立てが丁寧なのれんは、シワになりにくく扱いやすいため、日常使いでもストレスを感じません。


見た目の美しさはもちろん、細部まで丁寧に仕立てられているかどうかが、贈り物としての価値や長く愛用できる一枚かどうかを左右します。贈る際にはデザインだけでなく、こうした仕立ての質にも注目すると、より満足度の高い贈り物を選ぶことができます。

贈る相手に合わせた丈や幅の決め方


贈る相手の玄関や店先に合わせた丈や幅の調整は、藍染のれんを最も活かすポイントです。
サイズが合っていると、空間全体に馴染みやすく、飾るだけで和の雰囲気を引き立てます。
事前に設置場所を確認しておくことで、贈った後もすぐに使ってもらいやすくなります。

贈る前に設置場所の寸法や雰囲気を把握しておくと、相手が届いてすぐに飾ることができ、贈り物としての満足度も高まります。
サイズ選びにひと手間かけることで、贈る相手の暮らしやお店により深く馴染む、心のこもった一枚になります。

海外ギフトで差がつく!藍染のれんの選び方と魅力

藍染のれんの生地

海外の方への贈り物としても藍染のれんは注目されています。
ジャパンブルーの深い色合いはインテリアとして人気が高く、壁に掛けるだけで一気に和の空気を演出できます。
柄の意味や藍染の背景を説明したカードを添えると、文化的な価値も伝えられ、印象的な贈り物になります。軽量で折りたたみやすいため、海外発送や旅行のお土産にも最適です。

ジャパンブルーが伝える日本文化としての魅力


藍染の深い青色、いわゆる「ジャパンブルー」は、日本の風土と職人の手仕事から生まれた伝統色として、海外でも高い人気を誇ります。自然由来の染料による澄んだ藍色は、見る人に清涼感と静けさを与え、日本独自の美意識や精神性を象徴する色として知られています。


藍染のれんを贈ることは、単なるインテリアギフトではなく、日本の伝統美や手仕事の価値をそのまま届ける特別な贈り物です。
また、色や柄に込められた意味を簡単に添えることで、贈られた側も文化体験として楽しむことができ、より印象深いプレゼントになります。

外国人に好まれる色合いや柄の傾向


海外の方には、深みのある落ち着いた藍色や、シンプルなトーンのデザインが特に好まれる傾向があります。派手すぎず上品な色合いは、どんなインテリアにも自然に溶け込み、飾るだけで空間に洗練された印象を与えます。

また、桜や波、竹など日本の自然や伝統をモチーフにした柄も人気です。複雑すぎないデザインは、海外の住宅や店舗のスタイルとも調和しやすく、「日本らしさ」を程よく感じられる点が魅力です。

こうした色や柄を選ぶことで、異文化の空間にも馴染みやすく、贈り物としても長く愛用してもらえる一枚になります。

持ち運びやすさとインテリアとしての実用性


藍染のれんは軽くて折りたたみやすく、持ち運びやすいのが大きな魅力です。コンパクトに畳めるため、海外への発送や旅行先への持参もスムーズ。贈り物としても荷物になりにくく、受け取った方が気軽に受け取れるのも嬉しいポイントです。

さらに、のれんは壁や玄関、部屋の仕切りなどに掛けるだけで空間の雰囲気を一変させ、和の趣を手軽に演出できます。特別な工事や設置を必要とせず、吊るすだけでインテリアのアクセントになるため、海外の住宅や店舗でも取り入れやすいアイテムです。

贈った後も安心|藍染のれんのお手入れ・保管方法

藍染をする職人

藍染のれんは適切なお手入れで長く美しい状態を保てます。
日常の扱い方や色落ち対策、収納時の注意点を押さえることで、贈った相手が末永く楽しめる贈り物になります。
ここでは、簡単にできるお手入れと保管のポイントを紹介します。

家庭でできる色落ち対策と洗い方の手順


藍染のれんを長く美しく保つためには、最初のお手入れがとても重要です。購入後の初回は、軽く水洗いをして余分な染料を落としましょう。このひと手間で、後々の色移りや色落ちを大きく防ぐことができます。


洗う際は中性洗剤を使用し、ぬるま湯で優しく短時間の手洗いが基本です。ゴシゴシこすらず、押し洗いするようにすると生地を傷めずに汚れを落とせます。洗い終えたあとは直射日光を避け、風通しのよい場所で陰干しすることで、藍の色味や風合いを長く保てます。丁寧なケアを続けることで、使い込むほどに深まる藍染ならではの美しさを楽しめます。

日常的な扱いで長持ちさせるための注意点


藍染のれんを日常的に美しく保つには、ちょっとした心配りが大切です。
直射日光が長時間当たる場所や、高温多湿の環境に掛け続けると、色あせやカビの原因になることがあります。
特に夏場や湿気の多い季節は、風通しの良い場所に掛け替えるなど、設置環境を意識すると安心です。
また、埃が気になるときは強くこすらず、柔らかい布で軽くはたく程度に留めることで、藍の色と風合いを長く楽しめます。

日々のちょっとした配慮が、のれんの深い藍色を何年も美しく保つ秘訣です。

長期保管時の湿気対策と収納のポイント


藍染のれんを長く美しく保つには、収納時の湿気対策が欠かせません。
長期保管の際は、ビニール袋など密閉性の高い素材ではなく、通気性のある布袋や和紙包みを使用すると湿気がこもらず安心です。
押し込むように畳むのではなく、ふんわりと空気を含ませるように折りたたむことで、シワや色ムラ、変色を防げます。

さらに、湿気の少ない風通しの良い日光に当たらない場所に保管し、年に一度は袋から出して空気に触れさせると、藍色の深みを損なわずに長期間楽しむことができます。

藍染の深みを暮らしに 〜藍染坐忘のれんラインナップ〜

藍染坐忘ののれんは、すべて自社工房の職人によって一点一点染め上げ、仕立てています。深みのある藍色と丁寧な縫製が織りなす上質な佇まいは、空間を引き締めるだけでなく、贈り物としても特別な印象を与えます。
ここでは、藍染坐忘で販売しているのれんのラインナップをご紹介します。

【 麻のれん -月見-  (小・大) 】

麻のれん

丹念に藍染をした天然麻で仕立てた、風情たっぷりの「麻のれん」できました。
藍染師が自慢の技術で染め上げたお月見紋様は、日本の心を映しだしたよう。
お店に飾ったり、玄関やキッチン、トイレに和藍の趣をプラス。
素材:天然麻100%

サイズ:(小) 幅76cm × 高さ100cm
    (大) 幅76cm × 高さ150cm

のれんのサイズ比較写真

麻のれん-月見-(小)のご購入はこちら⇩
https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=99790596

麻のれん-月見-(大)のご購入はこちら⇩
https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=99791105

【 麻のれん -濃淡- (小・大) 】

麻のれん



丹念に藍染をした天然麻で仕立てた、風情たっぷりの「麻のれん」。
濃淡〜グラデーション〜は、静かな空間に爽やかな風を運んでくれます。
お店に飾ったり、玄関やキッチン、トイレに和藍の趣をプラス。


サイズ:(小) 幅76cm × 高さ100cm
    (大) 幅76cm × 高さ150cm

天然藍・北海道の純水使用。化学染料は一切使っておりません。

※写真は「小サイズ」です。
※手染めの為、藍色の濃さ等、写真のイメージと若干異なる場合があります。ご了承ください。

のれんのサイズ比較画像

【のれんサイズ】
丈100cmの「小」丈150cmの「大」の2サイズご用意。
・のれんとしてちょうどいい丈の「小」サイズ
・足元を見せつつ。目隠しもしっかりできる「大」サイズ

幅は76cmで、一般的なドアの規格にちょうどいいサイズです。


麻のれん-濃淡-(小)のご購入はこちら⇩
https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=99791847

麻のれん-濃淡-(大)のご購入はこちら⇩
https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=99791979

まとめ

藍染のれんは、深みのある藍色と職人の丁寧な手仕事が織りなす、特別な一枚です。
空間を彩るインテリアとしてはもちろん、結婚・長寿・開業祝いなどの贈答品としても高い人気を誇ります。


藍色には清めや魔除けの意味が込められ、長く使うほどに色合いと風合いが深まるのも魅力のひとつです。贈る相手やシーンに合わせて色や柄、サイズ、仕立てを選ぶことで、世界にひとつだけの贈り物に仕上がります。


また、海外の方にも喜ばれるジャパンブルーの美しさは、日本文化を伝える贈り物としてもおすすめです。丁寧なお手入れと適切な保管を心がければ、藍染のれんは年月を重ねるごとに表情を増し、暮らしや空間に上質な彩りを与え続けてくれます。


伝統の技と深い藍色の魅力を、ぜひ大切な人への贈り物やご自身の空間に取り入れてみてはいかがでしょうか。

The post 贈り物に最適な藍染のれん|職人技が光る一枚の魅力と選び方 first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

Australia・Sydney開催イベントに出展。exhibiting at Sydney, Australia on September 27-28,会期終了いたしました。

おかげので盛況にて終了いたしました。

今後の出展等ご支援ご鞭撻の程よろしくお願いします。

関係各位様,出展各社様に厚く御礼申し上げます。

日ごろ大変お世話になります。この度オーストラリア・シドニーにて9月27.28日に開催するジャパン酒フェスティバルに出展いたします。近年のオーストラリアでの日本酒人気を受け、より多くの方が国内外の様々な日本酒と出会うための機会創出、および認知拡大を目的とした、世界でも有数の日本酒の試飲販売を軸とした、日本文化の祭典です。日本産酒類に限らず、日本食品や日本製品、観光商材をはじめとした幅広い日本文化の伝達を目指します。今回は新井商工会議所・海外販路開拓支援事業・経済産業省・日本商工会議所の支援を受けて妙高市より6事業所が出展いたします。

何卒よろしく御願いいたします。

詳しくはこちらをご覧ください。

SYDNEY – Sake Festival

Thank you for your continued support. We will be exhibiting at the Japan Sake Festival, which will be held in Sydney, Australia on September 27th and 28th. With the recent popularity of sake in Australia, this is a Japanese culture festival centered around the world’s leading sake tasting sales, with the aim of creating opportunities for more people to meet a variety of sakes both domestically and internationally, and increasing awareness. We aim to communicate a wide range of Japanese culture, not just Japanese liquors, but also Japanese food, Japanese products, and tourist products. This time, six offices from Myoko City will be exhibiting with support from the Arai Chamber of Commerce and Industry, the Overseas Sales Development Support Project, the Ministry of Economy, Trade and Industry, and the Japan Chamber of Commerce and Industry.

Thank you for your cooperation.

Australian Sake Festival 2025

Date: Saturday, September 27th and Sunday, September 28th, 2025

Venue Carriageworks

245 Wilson St, Eveleigh NSW 2015, Australia

For more information, please see here.

Sake Festival SYDNEY – Sake Festival

藍色とは?藍・藍染の歴史と文化、職人が今も守る日本の伝統芸術と魅力

藍で染めたストール

藍色は「ジャパンブルー」とも呼ばれ、日本文化を象徴する色として古くから親しまれてきました。
私たちの暮らしに深く根づき、衣服や工芸品にとどまらず、生活を守る知恵や健康にまつわる効能とも結びついています。
しかし「藍色とはどんな色を指すのか」「なぜ日本人に愛され続けてきたのか」と疑問を抱く方も少なくありません。

この記事では、藍・藍染の歴史を古代から江戸時代、徳島の職人文化まで辿り、さらに藍を建てる独自の技法や薬効、防虫・抗菌作用といった暮らしへの役立ちまでを詳しく解説します。
読み進めることで、藍色が単なる色ではなく、日本人の感性や生活を形づくってきた大切な文化であることが理解でき、現代の暮らしやファッション、インテリアに取り入れるヒントも得られるでしょう。

色とはどのような色で日本文化に根付いたのか

藍の生地

藍色は「青」と「紺」の間に位置する深みのある色で、時代を超えて日本人の美意識に影響を与えてきました。
ここでは、その色の範囲や文化的な背景を探りながら、なぜ日本文化の象徴となったのかを紐解きます。

藍色の色の範囲と日本人の感性に与えた影響

藍色は「青」と「紺」の中間に位置する色で、明るい水色に近いものから深い濃紺まで幅広く表現されます。古来より日本人は、この細やかな色の違いを感じ取り、それぞれに名前を付けてきました。
例えば「浅葱色(あさぎいろ)」や「勝色(かちいろ)」など、藍の濃淡によって呼び分けられています。

藍色は単に色として美しいだけでなく、精神性や暮らしにも影響を与えてきました。
清潔さや誠実さを象徴する色として扱われ、また落ち着いた雰囲気を持つため、衣服や生活道具の染色に多用されてきたのです。


【藍色の種類と特徴】

色名色の特徴日本文化での意味
浅葱色明るい緑がかった青新鮮さ・若々しさ
藍色標準的な深い青誠実・清潔
勝色黒に近い濃藍武士の縁起色
紺色非常に深い藍格調高さ・重厚感


こうした色の幅は、日本人の感性を豊かに育み、現在のファッションやデザインにも受け継がれています。

藍色が庶民や武士に愛された理由

藍色は古代から生活に浸透し、特に江戸時代には庶民や武士の衣服に欠かせない存在でした。
その理由のひとつが、防虫や消臭といった実用的な効能です。洗濯や防腐の技術が限られていた時代において、藍で染められた布は清潔さを長く保つことができました。

また、江戸幕府による奢侈禁止令で華やかな色が制限されたため、藍染の落ち着いた色合いが庶民の間で広まりました。
一方、武士にとっては「勝色」が縁起の良い色として鎧や装束に取り入れられ、精神的な支えにもなっていたのです。

このように藍色は、実用性と精神性を兼ね備えた色として人々に深く根付いたといえます。

藍と藍染の歴史を古代から現代まで辿る

藍の原料を入れた藁

藍染は古代から庶民や武士の衣服に使われ、江戸時代には生活の必需品として全国に広がりました。
藍色の変遷をたどることで、日本の歴史や文化とどのように結びついてきたのかが見えてきます。

古代から江戸時代までの藍の利用と文化的背景

藍の利用は古代にまでさかのぼり、布や紙の染色に使われただけでなく、防虫や薬効の面でも重宝されました。
奈良時代の正倉院にも藍染の裂布が収められており、その歴史の古さを物語っています。

江戸時代になると、藍染は爆発的に普及しました。
華美な色が制限された時代に、落ち着いた藍色が庶民の衣服に適していたことが大きな要因です。
また、武士の間では「勝色」が縁起担ぎとして使われ、藍色は社会全体に浸透していきました。

藍染の広がりは単なる流行ではなく、実用性と文化性を兼ね備えていたからこそ、多くの人々に長く愛されたのです。

徳島を中心に発展した藍染の技術と職人の役割

徳島は江戸時代から藍の一大産地として知られ、「阿波藍」の名で全国に流通しました。
吉野川流域の肥沃な土地が藍の栽培に適していたこと、さらに流通の便が良かったことが背景にあります。

ここでは職人たちが藍を発酵させて「藍を建てる」技術を磨き、深みのある色合いを安定して出せるように工夫を重ねました。
藍師と呼ばれる職人は、温度や湿度、微生物の働きを感覚でとらえながら管理し、その技は代々受け継がれています。

藍を建てる作業は単なる染料づくりではなく、自然と人が調和して初めて成り立つ伝統技術といえます。
現在でも徳島の藍染職人は国内外から注目を集めており、地域文化を支える大切な存在です。

現代に残る藍染文化と工芸品の価値

現代においても藍染は工芸品やファッション、インテリアに生かされ続けています。
藍の持つ深みのある青は、化学染料では表現できない独特の風合いを持ちます。
そのため国内外のデザイナーから高く評価されています。


【藍染文化の今とこれから】

観点現代での活用価値
工芸品ハンカチや暖簾など生活道具日常に取り入れやすい
ファッションジーンズ、和装小物、アート作品世界的に評価が高い
サステナブル天然染料として再注目環境に優しい選択肢


現代に残る藍染は単なる伝統工芸ではなく、持続可能なライフスタイルに合致する価値を持っているといえるでしょう。

藍を建てる職人の技と伝統の継承

藍染をする職人

藍染に欠かせないのが「藍を建てる」という独自の発酵技法で、職人の経験と知恵が凝縮されています。ここでは、その工程とこだわりに触れ、現代に受け継がれる伝統の価値を紹介します。

藍を建てる工程と職人のこだわり

「藍を建てる」とは、乾燥させて発酵させた藍の原料(すくも)を甕に仕込み、染料として使える状態にすることを指します。
水、灰汁(あく)、ふすま、日本酒などを加え、微生物の働きを活性化させながら発酵を進めていきます。

この工程は科学的に説明できますが、実際には職人の経験と勘が仕上がりを左右します。
温度や湿度のわずかな変化に応じて材料を足したり休ませたりする繊細な管理が必要です。

藍を建てる作業は、単に染料を作る行為ではなく、自然と職人が共同で色を育てる営みと言えます。
そのこだわりが、深く美しい藍色を生み出してきました。

職人技が生み出す染色の深みと色合い

藍染の魅力は、一度の染色ではなく何度も布を浸しては空気に触れさせる工程で色を重ねていく点にあります。
回数を増やすことで青は濃くなり、光の角度や生地の質感によって豊かな表情を見せるのが特徴です。


【藍染が持つ色の深み】

染めの回数色の変化特徴
1〜2回薄い水色に近い爽やかで軽やかな印象
3〜5回鮮やかな青日常着や浴衣に多用
6回以上深い紺色や黒に近い武士の鎧下や勝負服に使用


このように、職人の手による染め重ねが藍色に奥行きを与え、唯一無二の美しさを生み出しています。それは化学染料では決して再現できない、日本の伝統美といえるでしょう。

藍の薬効や暮らしへの役立ち

藍の原料

藍は色を楽しむだけでなく、古くから薬効や生活に役立つ効能が知られてきました。
防虫や抗菌、消臭といった機能を通じて、現代の健康志向やサステナブルな暮らしにも結びついています。

消臭、防虫、抗菌など生活に生きる効能

藍は単なる染料ではなく、昔から暮らしの知恵としても役立ってきました。
藍に含まれる成分「インディゴ」や「トリプタンスリン」には抗菌作用があり、布に染め込むことで雑菌の繁殖を抑える効果があります。


【藍染の効能と生活への利用】

効能具体例生活での役割
消臭汗や体臭の抑制衣服や寝具に活用
防虫虫を寄せつけにくい赤ん坊の産着や農作業着
抗菌菌の増殖を防ぐ包帯や肌着に利用
保温・涼感繊維の特性と染めの効果四季を通じて快適に着用可能


このように、藍染は実用性と健康を兼ね備えた生活文化として、日本人の暮らしに根付いてきました。

健康や自然志向の視点から見た藍の魅力

現代では、藍が持つ自然素材としての魅力が改めて注目されています。
化学染料にはない安心感や環境へのやさしさが評価され、サステナブルなライフスタイルを求める人々に支持されています。

さらに、藍の色には心理的な効果もあるとされます。
藍色は心を落ち着かせ、集中力を高める色として知られ、瞑想やリラックスの場に取り入れられることもあります。

また、伝統的に藍には解熱や解毒に使われた記録もあり、古くから薬草としての一面を持っていました。科学的にすべてが解明されているわけではありませんが、「自然から生まれた藍を身近に取り入れること」自体が心身の健康を支える要素になっています。

藍染の芸術性と文化的価値

藍染めした生地

藍染は単なる染色技法にとどまらず、日本の美意識を映し出す芸術品として評価されています。
ここでは、伝統文化に根ざした藍染の魅力と、現代のファッションやインテリアでの新たな活用について見ていきます。

藍染が表現する日本の美意識と芸術品としての魅力

藍染は単なる布の染色にとどまらず、日本人の美意識を映し出す芸術品として高く評価されてきました。
深みのある藍色は、四季折々の自然や移ろいを象徴する色として、絵画や工芸品の中にも取り入れられています。

特に江戸時代には、藍染の濃淡を巧みに使った「かすり」や「絞り染め」が広まり、柄そのものが芸術的な価値を持つ表現へと発展しました。
藍色の濃淡によって浮かび上がる模様は、単純な色の美しさを超え、時間を経ても褪せない奥ゆかしさを宿しています。

さらに、現代では海外からも「ジャパンブルー」と呼ばれ、日本独自の美的感覚を伝えるシンボルとして注目されています。
藍染の作品に触れることで、単なる視覚的な美しさだけでなく、日本文化の精神性や自然観を感じ取ることができます。

ファッションやインテリアへの現代的な応用

藍染は伝統を守りつつ、現代のライフスタイルにも取り入れられています。
特にファッションやインテリアの分野では、その独特の色合いと質感が新しい魅力として再評価されています。


藍染の現代的な活用のポイント

・ファッションアイテム
藍染のTシャツやデニム、ストールは一点ものの表情を持ち、自然素材の風合いと相まって長く愛用できる

・インテリア雑貨
クッションカバーやテーブルクロスに藍色を取り入れることで、空間に落ち着きと和の雰囲気を演出できる。

・工芸品やアート
藍染のパネルや小物は、現代的な住宅やギャラリーでも映え、伝統工芸とアートの境界を越える存在として人気。


このように、藍染は古来の美意識を受け継ぎながらも、現代の暮らしを豊かに彩るデザイン要素として発展し続けています。

まとめ

藍色とは、自然由来の染料から生まれる深い青であり、日本人の生活や文化に長く根付いてきた色です。古代から薬効や暮らしに役立ち、江戸時代には庶民や武士の衣服に広く用いられました。
徳島を中心とした職人たちが藍を建てる技を磨き、今もなお伝統を守り続けています。

藍染は美しい色合いだけでなく、抗菌や防虫などの効能を持つ実用性、さらに芸術品としての価値を兼ね備えています。
現代ではファッションやインテリアにも取り入れられ、サステナブルな暮らしを支える素材として注目されています。
藍色の魅力を知ることで、伝統文化に触れるだけでなく、日々の生活をより豊かにできるでしょう。

The post 藍色とは?藍・藍染の歴史と文化、職人が今も守る日本の伝統芸術と魅力 first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

藍で染める魅力を徹底解説!藍染めの方法・体験・歴史を知って深く楽しむ

藍のストール

日本の伝統文化として知られる藍染めは、深みのある青色と自然素材ならではの温かみが魅力です。
古くから暮らしの中に根付いてきた染めの技術ですが、初めて知る方にとっては「どのように布を藍で染めるのか」「難しそうで自分にはできないのではないか」と感じることも多いでしょう。

本記事では、藍染めの基本的な意味や方法から始まり、歴史や体験の仕方まで幅広く紹介します。
読んだ後には藍染めの奥深さを知ると同時に、自分でも挑戦してみたいという気持ちになれるはずです。
藍で染める楽しさに触れることで、暮らしに新しい彩りを取り入れるきっかけとなるのではないでしょうか。

藍で染めるとはどんな意味を持つのか

藍染をしている画像

藍染めは単に布を青く染めるだけでなく、日本の暮らしや文化に深く結びついてきた伝統的な技法です。ここでは藍で染めることの基本的な意味や特徴を知り、なぜ人々を魅了し続けているのかを解説します。

藍染めの定義と基本的な考え方

藍染めとは、藍という植物を使って布や糸を青色に染める技法のことを指します。
単に染める行為ではなく、自然の力を活かした色づけという点に大きな特徴があります。
藍の葉を発酵させて染料をつくり、繰り返し布を浸すことで鮮やかな青が浮かび上がります。
この青は時間の経過とともに色合いを変え、使う人の暮らしと共に育っていくのが魅力です。

藍で染めることで生まれる色の特徴

藍染めの最大の魅力は、「ジャパンブルー」と呼ばれる深い青色です。
この色は光の当たり方や染め重ねる回数によって濃淡が変わり、一つとして同じ色がありません。
藍の青は抗菌性や防虫効果を持つとされ、昔から衣類や生活布に重宝されてきました。
自然素材ならではの優しさがあるため、肌にも心地よく寄り添います。

生葉染めとの違いをわかりやすく解説

藍染めには「発酵させた藍で染める方法」と「生の葉を使って染める方法」があります。
特に違いが大きいのは色合いで、発酵させた藍染めは深みのある濃い青が特徴です。
一方、生葉染めは淡い水色や緑がかったブルーが出やすく、軽やかな印象になります。

表にすると以下のように整理できます。

染め方色の特徴手間向いている用途
藍染め(発酵)深い藍色、濃淡が豊か発酵や管理が必要衣類、長く使う雑貨
生葉染め淡い水色や緑がかった色比較的手軽夏の小物、体験用

こうした違いを理解することで、自分の目的に合った染め方を選ぶことができます。

植物としての藍の魅力

植物の藍の写真

藍染めを語るには、まず藍そのものを知ることが欠かせません。
染料となる藍の植物には種類ごとの特徴があり、そこから独特の色合いが生まれます。
ここからは植物としての藍の姿に注目していきましょう。

藍の種類と特徴

藍とひとことで言っても、世界にはいくつかの種類があります。
日本で代表的なのは「タデ藍(蓼藍)」で、古くから染料用に栽培されてきました。
ほかにもインドではインド藍、中国では馬藍など、地域ごとに使われる藍植物は異なります。
タデ藍は一年草で、日本の気候でも育てやすく、昔から各地で広く栽培されてきました。
品種によって染め上がる色の深さや発色の持続性が異なるのも特徴です。

藍から染料が生まれるまでの流れ

藍は葉そのものでは染料になりません。
まずは葉を収穫し、発酵させることで「蒅(すくも)」と呼ばれる染料原料にします。
この蒅に灰汁(あく) を足し、藍が染めに使える状態になります。
植物が持つ成分を人の知恵と技で引き出す工程こそが、藍染めの奥深さです。
こうした工程を経ることで、布に鮮やかな青を映し出せるようになります。

日本各地で育てられてきた藍の歴史

日本では古くから藍の栽培が盛んで、特に徳島県は江戸時代から有名な産地でした。
「阿波藍」と呼ばれる徳島の藍は、全国に広まり多くの人に愛されました。
藍の栽培と染めは、農業と工芸が結びついた生活文化の一部であり、地域の経済を支える大切な産業でもあったのです。
今でも徳島を中心に藍作りが受け継がれ、日本の伝統を未来につなげています。

藍染めの歴史を知る

藍の原料

藍染めは古代から人々の生活に取り入れられ、時代ごとに異なる役割を果たしてきました。
歴史を知ることで、藍が単なる染め物ではなく文化的価値を持つ存在であることが見えてきます。

古代から続く藍染めの起源

藍染めの歴史は非常に古く、世界各地で紀元前の時代から利用されていました。
エジプトやインドの遺跡からも藍染めの痕跡が見つかっており、「人類最古の染料」と呼ばれるほど長い歴史を持ちます。
自然由来の染料である藍は、鮮やかさだけでなく防虫効果もあったため、衣服や生活布に重宝されてきました。

日本文化における藍染めとジャパンブルー

日本で藍染めが広まったのは奈良時代以降といわれています。
特に江戸時代には広く庶民の間で利用され、その独特の青色は「ジャパンブルー」と呼ばれるようになりました。藍の青は清潔さや誠実さの象徴とされ、武士の衣装から農民の作業着まで幅広く愛されました。現代でもその美しさは日本文化を象徴する色として世界に知られています。

世界で親しまれる藍染めの広がり

藍染めは日本だけでなく、インドの「インディゴブルー」や中国の藍布など、世界中で独自の発展を遂げています。
交易を通じて広がった藍染めは、国ごとに異なる模様や技法を生み出し、多様な文化を彩ってきました。同じ藍から生まれる色でも、地域によって個性が現れるのが魅力です。

藍で染める方法を初心者向けに紹介

藍染をしている画像

初めて藍染めに挑戦してみたいと思っても、どのように始めれば良いか迷う方も多いでしょう。
ここでは道具の準備から布を染める基本的な流れまで、初心者にも取り入れやすい方法を紹介します。

藍染めを始めるために必要なもの

藍染めを体験する際には、基本的な道具をそろえることが大切です。

藍染めに必要なもの

  • 布やTシャツなどの染めたい素材
  • 藍染め用の染料(蒅や藍染めキット)
  • バケツや容器
  • 手袋やエプロン
  • 模様を作るための輪ゴムや板

初心者の方は、藍染めキットを利用すると手軽に始められるため安心です。

布を染める基本的な流れ

藍染めの基本は「布を浸す→空気に触れさせる→再び浸す」を繰り返すことです。
浸すたびに青の濃さが増し、深みのある色に仕上がります。
一度で理想の色が出なくても、何度も重ねることで鮮やかな発色が得られるのが藍染めの特徴です。

家庭でも取り入れやすい簡単なやり方

家庭で手軽に楽しむには、藍染めキットがおすすめです。
染料がすでに準備されているため、難しい発酵作業を省いて始められます。
ハンカチやバッグなど小物から挑戦すると失敗が少なく、初心者でも楽しく取り組めます。

藍染めを深める伝統的な技法

様々ながらの藍染てぬぐい

藍染めの魅力は、染め方や表現の幅広さにもあります。
絞り染めや板締め染めなどの技法を知ることで、世界にひとつしかない模様を楽しむことができます。ここではその代表的な方法を見ていきましょう。

絞り染めの模様づくり

絞り染めは布を縛ったり折ったりして模様を生み出す技法です。
部分的に染料が入りにくくなることで、独特の柄が浮かび上がります。
円形や波模様など、簡単な工夫で世界にひとつのデザインを作ることができます。

板締め染めなどの多彩な表現方法

板締め染めは布を板で挟み、染料が浸透しない部分を作って模様を出す方法です。
直線的な文様や幾何学模様が特徴で、シンプルながらも力強い印象を与えます。
日本らしい整然とした美しさを感じられる技法として人気があります。

模様をきれいに出すための工夫

模様を美しく仕上げるためには、布をきちんと折る・しっかりと固定することが重要です。
染料に浸す時間や回数を工夫すると、濃淡の違いで立体感ある模様を表現できます。
少しの工夫で仕上がりが大きく変わるのが、藍染めならではの奥深さです。

藍染めを体験する楽しみ方

染師の手

知識として学ぶだけでなく、実際に体験してみることで藍染めの魅力はさらに深まります。
旅行先の教室や家庭で使えるキットなど、初心者でも気軽に触れられる機会をご紹介します。

観光で参加できる藍染め体験教室

日本各地には、藍染めを体験できる工房や施設があります。
観光とあわせて訪れることで、旅の思い出として自分だけの藍染め作品を持ち帰れます。
実際に染めてみると、藍の深い魅力を肌で感じられるのが体験の醍醐味です。

※藍染坐忘の体験では、仕上がり商品を後日郵送でお送りする形となります。

家庭で楽しめる藍染めキットの活用

市販されている藍染めキットは、初心者でも扱いやすいように工夫されています。
必要な道具が一式そろっており、自宅で手軽に染めを楽しめます。
家族や友人と一緒に楽しめる趣味としても人気です。

親子や自由研究にぴったりの体験方法

藍染めは親子で楽しめる創作活動にも適しています。
布にゴムで模様を作って染めるだけでも、子どもが喜ぶ作品が完成します。
夏休みの自由研究や学校の課題にも最適で、学びながら伝統文化に触れられるのが魅力です。

藍で染めることが暮らしを豊かにする理由

藍染のTシャツ

藍染めは日常生活に取り入れることで、ファッションや雑貨に独自の彩りを与えてくれます。
自然素材を使ったサステナブルな染め方は、環境にも優しく長く愛用できる魅力があります。

ファッションや雑貨で楽しむ藍の色

藍染めは洋服や小物にもよく映えます。Tシャツやストール、バッグなどに取り入れると、シンプルなデザインでも存在感が生まれます。
自然な青色は年齢や性別を問わず誰にでも似合うのが魅力です。

自然と人をつなぐサステナブルな染め方

藍染めは植物を活かした天然の染め方です。
合成染料と違い、自然にやさしい工程で布を染められます。
環境を意識したライフスタイルを実践する人に選ばれている染め方でもあります。

長く愛用できるものづくりの魅力

藍染めの布は使うほどに味わいが増していきます。
色合いの変化を楽しみながら長く使えるため、大量生産の品にはない魅力があります。
時間をかけて育てるように愛用できるのが、藍で染める魅力のひとつです。

まとめ

藍で染めることは、古代から続く歴史や文化を背景に、深みのある美しい藍染めを楽しむ魅力的な体験です。植物としての藍の特徴や、初心者でも取り入れやすい藍染の方法、さらには観光や家庭での藍染め体験など、多彩な楽しみ方が存在します。
伝統的な技法やジャパンブルーと呼ばれる色の価値を知ることで、より一層藍染めの奥深さを感じられるでしょう。

最も大切なのは、藍で染める過程そのものが暮らしに豊かさをもたらしてくれる点です。
環境にも優しく、長く愛用できる藍染めは、手に取る人の思いを深めるものづくりです。
知識を得た今こそ、実際に藍染めを体験してみることで、その美しさと温かさを自分の生活に取り入れてみませんか。

The post 藍で染める魅力を徹底解説!藍染めの方法・体験・歴史を知って深く楽しむ first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

徳島県インバウンド等受入環境整備促進事業補助金について

徳島県インバウンド等受入環境整備促進事業補助金

徳島県へのインバウンド観光客等の利便性を向上するため、受入環境整備にご利用いただける、補助制度をご紹介いたします。

1 補助対象事業者

徳島県内で営業を行う以下の事業者が対象となります。
(1)飲食店
食品衛生法の許可を受けて営業を行っている店舗
徳島県が実施する「EAT UP TOKUSHIMA JAPAN」の「外国語メニューがある飲食店検索サイト」に掲載されている店舗
(2)宿泊施設
旅館業法の許可を受け、又は住宅宿泊事業法の届出をして営業を行っている施設
(3)免税店
輸出物品販売場の許可を受けて営業を行っている店舗
(4)観光施設
文化施設、歴史施設、娯楽施設等を管理する者
(5)タクシー事業者
道路運送法によりタクシー業を行っている者
(6)バス事業者
道路運送法によりバス事業を行っている者
(7)鉄道事業者
鉄道事業法又は軌道法により鉄道事業を行っている者
(8)航空旅客ターミナル運営者
航空旅客ターミナルを運営する者

2 補助対象事業

補助対象事業者が徳島県内で行う以下の事業が対象となります。
(1)多言語対応
(2)無料Wi-Fi導入
(3)キャッシュレス決済機器の導入
(4)コンセント・USBポートの設置(バス事業者、鉄道事業者、航空旅客ターミナル運営者が対象)

3 補助率・補助上限額

補助率:多言語対応は3分の2以内
その他は2分の1以内
補助上限額:50万円(バス・鉄道事業者は100万円、航空旅客ターミナル運営者は300万円)

4 募集期間

令和7年9月1日(月曜日)から令和8年1月30日(金曜日)まで

5 交付要綱・交付要領

6 申請様式・記入例

7 その他各種様式(事業変更、実績報告、請求書)・記入例

8 提出方法

(1)メールによる申請

全ての必要書類を添付して、次の宛先までメールを送付してください。
メール support@tokushima-kankou.or.jp

(2)FAXによる申請

全ての必要書類が揃った状態で、次の宛先までFAXを送信してください。
FAX 088-677-3131

(3)郵送による申請

全ての必要書類が揃った状態で、次の宛先まで郵送してください。
〒770-8570 徳島市万代町1-1
(一財)徳島県観光協会 観光・コンベンション振興課
徳島県インバウンド等受入環境整備促進事業補助金 担当者

9 お問い合わせ先

(一財)徳島県観光協会 観光・コンベンション振興課
〒770-8570 徳島市万代町1-1 Tel 088-624-5140 Fax 088-677-3131
メール support@tokushima-kankou.or.jp

注意事項

  • 国、県、市町村等、他の助成事業との重複は、認められません。
  • 予算額に達した場合は、期間中であっても助成事業を終了する場合があります。

徳島県免税店登録・導入促進補助金について

徳島県免税店登録・導入促進補助金

徳島県へのインバウンド観光客の利便性を向上するため、免税店登録・導入にご利用いただける、補助制度をご紹介いたします。

1 補助対象事業者

徳島県内の以下の事業者が対象となります。
(1)輸出物品販売場(免税店)の許可を得て営業を行っている事業者
(2)輸出物品販売場(免税店)の申請をして営業を行っている事業者

2 補助対象経費

補助対象事業者が、免税店登録・導入のために実施する事業で、次の経費が対象となります。
(1)免税電子手続機器等の導入経費
(2)免税対応に係る通信回線の開設や配線整備
(3)免税店販売開始のための専用アプリ登録費
(4)特殊梱包に必要な段ボール箱や袋
(5)免税対応を告知するための経費(ポップや案内看板等)
(6)その他新規免税店環境整備に必要と認められる経費

3 補助率・補助上限額

補助率:2分の1以内
補助上限額:10万円

4 募集期間

令和7年9月1日(月曜日)から令和8年1月30日(金曜日)まで

5 交付要綱・交付要領

6 申請様式・記入例

7 その他各種様式(事業変更、実績報告、請求書)・記入例

8 提出方法

(1)メールによる申請

全ての必要書類を添付して、次の宛先までメールを送付してください。
メール support@tokushima-kankou.or.jp

(2)FAXによる申請

全ての必要書類が揃った状態で、次の宛先までFAXを送信してください。
FAX 088-677-3131

(3)郵送による申請

全ての必要書類が揃った状態で、次の宛先まで郵送してください。
〒770-8570 徳島市万代町1-1 徳島県庁5F
(一財)徳島県観光協会 観光・コンベンション振興課
徳島県免税店登録・導入促進事業補助金 担当者

9 お問い合わせ先

(一財)徳島県観光協会 観光・コンベンション振興課
〒770-8570 徳島市万代町1-1 Tel 088-624-5140 Fax 088-677-3131
メール support@tokushima-kankou.or.jp

注意事項

・国、県、市町村等による他の助成事業との重複は、認められません。
・予算額に達した場合は、期間中であっても助成事業を終了する場合があります。

ご参考

免税店になるには(観光庁ホームページ)

訪日インセンティブツアーおもてなし支援

訪日インセンティブツアーおもてなし支援

徳島県における訪日インセンティブツアーの開催を促進するために、その主催者及び参加者を対象とした支援制度についてご紹介いたします。

条件

企業等が主催する報奨・研修・社員慰労・招待旅行等、及びそれに準ずる旅行。
また、行程に社内イベント(講演会、表彰式、貸切パーティー、社内会議、各種セミナー、研修、チームビルディング等)の要素を含むもの。

対象

海外の参加者を含むインセンティブツアーの主催者又は主催者から委託を受けた者。

要件

次の要件を全て満たすインセンティブツアーが対象です。
①海外からの参加者が30名以上
②徳島県内の宿泊施設で1泊以上

支援内容

下記より1つの支援をお選びください。

  • 阿波おどりの特別公演 ※
  • 徳島県名産品の提供
  • 空港・港湾でのお出迎え

※「阿波おどりの特別公演」を選択する場合は、海外からの参加者が50名以上であること。

対象期間

令和7年9月1日(月曜日)から令和8年3月31日(火曜日)まで

申請の流れ

【申請(実施30日前までに提出)】
・訪日インセンティブツアーおもてなし支援申請書
・開催概要(趣旨、実施内容が明記されたもの)又は行程表
・参加者名簿(参加者の氏名と、海外参加者は出発地または所在地の国名の記載が必須)
【審査・承諾】
実施可否を決定して申請者へ通知
【おもてなし実施】

実施要綱

訪日インセンティブツアーおもてなし支援 実施要綱

申請様式

【支援申込書】
・訪日インセンティブツアーおもてなし支援申込書【様式第1号】(PDFファイル)
・訪日インセンティブツアーおもてなし支援申込書【様式第1号】(Excelファイル)
【申請内容変更届出書】
・訪日インセンティブツアーおもてなし支援申請内容変更届出書【様式第4号】(PDFファイル)
・訪日インセンティブツアーおもてなし支援申請内容変更届出書【様式第4号】(Wordファイル)

提出方法

(1)メールによる申請

全ての必要書類を添付して、次の宛先までメールを送付してください。
メール conv@tokushima-kankou.or.jp

(2)FAXによる申請

全ての必要書類が揃った状態で、次の宛先までFAXを送信してください。
FAX 088-677-3131
(3)郵送による申請

全ての必要書類が揃った状態で、次の宛先まで郵送してください。
〒770-8570 徳島市万代町1-1 徳島県庁5F
(一財)徳島県観光協会 観光・コンベンション振興課
訪日インセンティブツアーおもてなし支援 担当者

お問い合わせ先

(一財)徳島県観光協会 観光・コンベンション振興課
〒770-8570 徳島市万代町1-1 Tel 088-652-8814 Fax 088-677-3131
メール conv@tokushima-kankou.or.jp

注意事項

予算額に達した場合は、期間中であっても支援を終了する場合があります。

8月28日・駐車場改修工事完了いたしました!

日ごろ大変お世話になります。

8月28日駐車場改修工事完了いたしました!
本日は朝からライン引きなど行いました!
おかげ様で駐車スペース・サイズを見直して
とても駐車しやすくなりました。
大型バイクなども大歓迎です!
消雪配管や融雪センサーなど設置して
今から冬の備えです!

皆さまのご来店心よりお待ちしております。

工事風景動画にてご覧くださいませ。
https://youtu.be/–KLE-Be9-Q?feature=shared

藍染ってなに?体験で歴史と伝統工芸の魅力がわかる|ジャパンブルーが今、人気な理由

藍染商品を並べた画像

藍染(あいぞめ)は、深みのある青が美しい日本の伝統工芸です。

近年では、その美しさだけでなく、自然由来の染料として環境に配慮された点でも注目を集めており、
「ジャパンブルー」として世界からも高い評価を受けています。

しかし、名前は知っていても「どうやって作られているのか」「なぜ青いのか」「どんな歴史があるのか」など、
詳しいことまでは知らないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、藍染の基本的な意味から始まり、江戸時代に発展した歴史、実際に体験できる藍染の工程、
そして藍染坐忘のような施設で体験できる魅力についても詳しくご紹介します。

また、Tシャツやのれんなど、日常に取り入れやすい藍染商品にも触れ、伝統と現代のつながりを感じていただける内容になっています。
読み終える頃には、藍染の奥深さとその価値を知り、「自分も体験してみたい」と感じていただけるはずです。

藍染ってなにかを初心者にもわかりやすく解説

藍染坐忘での藍染作業の画像


藍染に興味はあるけれど、「どういう仕組みで染まるの?」「他の染め物と何が違うの?」という疑問を持っていませんか?
ここでは、藍染の基本的な意味や魅力について、初めての方でも理解できるようにわかりやすく紹介します。

藍染の基本的な意味と魅力

藍染(あいぞめ)とは、天然の藍の葉を使って布を青く染める技法のことです。日本では古くから親しまれてきた伝統工芸のひとつで、「自然の力で染め上げる」独自の美しさと深みのある色合いが特徴です。

染料には「藍」と呼ばれる植物が使われ、これは「タデ藍」という種類の植物から作られます。
葉を発酵させて「すくも」という原料を作り、水と石灰、灰汁(あく)を加えて「藍建て」と呼ばれる発酵液を作ることで、
染色が可能になります。
この工程には、高度な技術と職人の感覚が必要とされます。

藍染の魅力は、なんといってもその色合いにあります。
深い藍色から淡い水色まで、染める回数や素材によって多様な青が生まれます。
この色は「時間が経つほどに風合いが増す」という特徴があり、使い込むほどに味わいが深くなるため、長年にわたって多くの人々に愛されてきました。

また、藍染は見た目の美しさだけでなく、防虫・抗菌・消臭といった自然由来の機能性も備えており、昔から日常生活に密着してきました。
例えば、農作業着やふんどし、のれんなど、さまざまな生活用品に藍染が使われていたのです。

現代では、藍染は「手仕事のぬくもり」を感じられるアートとしても評価されており、
ファッションやインテリアにも幅広く活用されています。
手ぬぐいやTシャツ、スカーフなど、シンプルな日用品にさりげなく取り入れることで、日常に伝統の美を取り込むことができます。

ジャパンブルーと呼ばれる理由と日本文化への影響

藍染が「ジャパンブルー」と称されるようになった背景には、
日本の歴史と深く結びついた独特の青の文化があります。
この言葉は明治時代、来日した西洋人が日本人の衣類や街中に広がる藍色の光景に驚き、そう呼んだのが始まりと言われています。

江戸時代には、武士や町人、農民など、身分を問わず藍染の衣服が広く普及していました。
特に庶民の間では「藍四十八色」と言われるほど多彩な色味があり、濃淡の違いを楽しむ文化が根付いていました。

藍は単なる染料ではなく、日本人の美意識や精神性にも深く関わっています。
例えば、藍の色は「清潔」「誠実」「忍耐」などのイメージと重なり、武士道の精神や日本人の価値観とも結びつけられてきました。

さらに、藍染は歌舞伎や浮世絵などの伝統芸能にも影響を与え、文化そのものの表現手段としても発展しました。
現代でも、着物や浴衣、暖簾などの和のアイテムに藍色が用いられることで、日本らしさや上品さが表現されています。

つまり藍染は、色という枠を超えて「日本文化の象徴」としての役割を担ってきた存在なのです。

藍染の歴史を紐解き江戸から現代までの流れを理解する

藍の画像

藍染は一時の流行ではなく、長い歴史のなかで日本人の暮らしと共に受け継がれてきました。
ここからは、藍染がどのように日本文化に根づいていったのか、その背景と現在までの流れをたどっていきます。

日本における藍染の起源と江戸時代の隆盛

藍染は日本で古くから親しまれてきた染色技法であり、その起源は奈良時代にまでさかのぼるとされています。
当時は中国や朝鮮半島から伝わった技術をもとに、貴族や僧侶の装束として藍色が用いられていました。
その後、平安時代を経て、鎌倉・室町時代には武士階級の衣服にも取り入れられ、徐々に庶民の生活にも広がっていきました。

江戸時代に入ると、藍染は庶民文化の中核を担う存在へと成長します。背景には、藍を栽培するための農地が広がり、原料としての「すくも」(藍の葉を発酵させたもの)の生産が盛んになったことが挙げられます。徳島県の阿波藍が特に有名で、全国に流通するほど高品質な藍として知られていました。

さらに江戸幕府が華美な衣服を禁じる倹約令を出したことで、地味でありながらも深みのある藍色が、庶民の間で支持を集めます。木綿と相性の良い藍染は、農民や町人の着物、手ぬぐい、風呂敷などに幅広く用いられました。

この時代、藍染は単なる染色技術ではなく、日本人の生活や美意識と密接に結びついた文化として根付きました。
型紙や防染糊(のり)を使った高度な技術もこの頃に発展し、現在に受け継がれる伝統工芸の礎となっています。

近代以降の変遷と現代に蘇る伝統工芸としての復興

明治時代以降、藍染は大きな変化を迎えました。西洋文化の流入とともに、化学染料が急速に普及し、自然素材を用いた伝統的な藍染は次第に姿を消していきました。
特に戦後の高度経済成長期には、大量生産・低価格を重視した衣料品の需要が高まり、時間と手間がかかる藍染は非効率な技術として扱われることもありました。

しかし、近年ではその評価が一変しています。環境への配慮やサステナビリティの観点から、自然由来の染料を使う藍染は、再び注目を集めるようになりました。
化学染料では再現できない深みのある青や、使い込むほどに変化する風合いが、「唯一無二の価値」として国内外から高い評価を受けているのです。

また、藍染は単なる染色技術にとどまらず、日本の伝統工芸のひとつとして見直されています。
職人たちの手仕事に対する尊敬の念が高まり、若い世代の間でも藍染に魅力を感じ、修行を志す人が増えています。行政や地域団体の支援を受け、藍染工房を中心としたまちづくりや観光資源としての活用も進んでいます。

現代における藍染の復興は、「古き良き文化の再評価」であり、「未来に続く価値の創造」でもあります

「藍染体験」で初心者が得られるメリットとは

染めている写真

ただ見るだけでなく、自分の手で染めてみることでわかることがあります。
ここでは、藍染体験を通じて得られる気づきや楽しさ、初心者だからこそ感じられる魅力について紹介します。

実際に手を動かすことで学ぶ藍染の作り方

藍染の体験では、まず染めるための布(弊社ではストール)を準備し、
模様をつけるための折り方や縛り方を選びます。これを「絞り染め(しぼりぞめ)」と呼び、模様の出し方によってまったく違う印象の作品に仕上がります。

その後、藍の液に布を何度か浸けては引き上げ、空気に触れさせて酸化させます。この酸化の過程で、はじめて布が美しい藍色へと変化します。この「色の変化」を自分の目で見られるのは、体験ならではの感動ポイントです。

実際に手を動かすことで、「どのくらいの時間染めるとどれくらいの濃さになるのか」「空気に触れさせる時間で何が変わるのか」といった体験を通した理解が得られます。単なる見学では得られないリアルな発見があり、学びが深まります。

初心者でもしっかりサポートされる環境があれば、専門知識がなくても染色の基本を体感しながら覚えることができます。まさに、「知る」から「できる」へとつながる学びが得られるのが、藍染体験の醍醐味です。

色味や技法を自分で選べる楽しさと学び

選べる布の種類や形、模様の付け方によって、仕上がりはまったく異なります。自分の感性で決める楽しさは、既製品では味わえない特別なものです。

また、同じ手順を踏んでも、温度や湿度、布の素材などによって仕上がりが微妙に変わるため、まさに一期一会の体験といえます。
この不確実さが「もっと知りたい」という気持ちを刺激し、体験をきっかけに藍染の奥深さに惹かれる方も少なくありません。

藍染体験を通じることで、「自分だけの作品を作る喜び」と「日本の伝統を学ぶ満足感」の両方を得ることができます。

藍染と伝統工芸の関係性を見極める

藍染は「工芸品」としての一面も持ち、日本の職人文化の中で磨かれてきました。
その背景を知ることで、1枚の染め布に込められた想いや技術の奥深さが見えてきます。

家庭用と本格的工房での違い

藍染は、自宅でも体験できる身近な手仕事でありながら、長い歴史と高度な技術に裏打ちされた伝統工芸でもあります。
最近では藍染キットなどが手軽に入手でき、家庭での染色も人気を集めていますが、本格的な工房で行われる藍染とは、工程や仕上がりに大きな違いがあります。

家庭用藍染では、発酵工程を省いた簡易染料が使われることが多く、色味も安定している一方、深みや色の変化が出にくい傾向があります。工程も簡略化されており、準備や後処理も比較的手軽です。初心者にとっては入りやすい方法であり、藍染の雰囲気を味わうには十分でしょう。

一方、伝統的な工房で行われる藍染は、「天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)」と呼ばれる製法が用いられます。
これは、天然の藍の葉を発酵させて染料をつくる、日本独自の高度な技法です。
発酵の管理には経験と勘が必要で、職人の手で毎日手入れが行われます。

布の素材や気温、湿度などによって色の出方が変化するため、職人の知識と技術によって、
ひとつひとつが異なる唯一無二の作品に仕上がります。

このように、家庭用と本格工房での藍染には、それぞれ異なる特徴と魅力があります。
本物の藍染の魅力に触れたい方や、より深く学びたい方は、ぜひ工房での体験をおすすめします。

伝統技術を支える職人とその技の継承

藍染という伝統工芸が現代まで息づいているのは、職人たちの存在があるからこそです。
彼らは、代々受け継がれてきた染めの技術や知識を守りながら、
現代のニーズにも応えるべく進化を続けています。

職人の仕事は、染料の管理から布の選定、染めの回数や時間の調整に至るまで、すべてが経験と感覚に基づく繊細な作業です。同じ染料でも、天候や湿度によって染まり方が異なるため、
経験に裏打ちされた判断力が求められます。

また、後継者育成にも力を入れており、多くの工房では若手への技術指導や体験プログラムを設けています。
こうした教育の場を通じて、藍染の伝統技術は未来へと受け継がれていくのです。

技術だけでなく、藍に対する敬意や美意識も一緒に継承されている点が、職人文化の奥深さです。
手作業だからこそ生まれる“にじみ”や“むら”は、機械には出せない味となり、多くのファンを惹きつけています。

藍染めの商品ラインナップ

藍染のストールの写真

日常に取り入れられる藍染アイテムには、Tシャツやのれん、小物など多彩なラインナップがあります。ここでは、代表的な製品とその魅力を紹介しながら、生活の中で藍染を楽しむ方法を探ります。

Tシャツや手ぬぐいなど定番アイテムの特徴

藍染の魅力を日常に取り入れたい方には、Tシャツや手ぬぐいなどの定番アイテムがおすすめです。
これらのアイテムは、実用性とデザイン性のバランスがとれているため、初心者でも気軽に手に取りやすいのが特徴です。

Tシャツは、シンプルなデザインでも藍染の独特な色味と風合いが引き立ち、一枚でコーディネートの主役になる存在感を持ちます。使い込むほどに色が落ち着き、個性ある風合いへと変化していくのも楽しみのひとつです。

手ぬぐいは、日常使いはもちろん、ギフトとしても人気があります。和のテイストを残しつつ、現代的なデザインが施された手ぬぐいは、インテリアとしても活用できるアイテムです。

藍染の色味は季節や光の当たり方によっても印象が変わるため、身につける人のライフスタイルや好みに応じた楽しみ方ができます

藍染坐忘の人気アイテムをご紹介

・藍亜麻100% 大判ストール(ストライプ柄)

藍亜麻100%大判ストール(ストライプ柄)の画像

https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=169798777

柔らかな麻生地に藍染を施したストールは、春から夏のスタイリングに溶け込みながら、UV対策にも使える万能アイテムです。自然な藍色が落ち着きを与えます。

・オーガニックコットン Tシャツ

オーガニックコットンTシャツの画像

https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=167140073

肌に優しいオーガニックコットンを用い、藍染の深みを生かしたTシャツは、カジュアルながら上質感もある一枚です。性別を問わず着やすく、ペアで楽しむ方も。

藍染手ぬぐい

藍染手ぬぐいの写真

https://zaboblue.shop-pro.jp/?pid=155517072

当店オリジナルの柄でそれぞれ染め抜いた、こだわりの手ぬぐいです。

(写真は「麻の葉模様」です。)
お好みの柄をぜひ見つけてみてください。プレゼントにもおすすめの、人気商品です。

使うたびに感じられる藍染のぬくもりは、量産品にはない特別な存在感を放ちます。自分用としてはもちろん、大切な人への贈り物としても喜ばれる逸品です。

藍染坐忘での体験が特別な理由

染め師の写真

藍染体験はどこでもできるものではありません。
ここからは、藍染坐忘がなぜ選ばれるのか、その特別さやこだわりを知ることで、体験への期待がきっと高まるはずです。

藍染坐忘独自のプログラムと染め師のこだわり

藍染坐忘の体験が他と大きく違う点は、単なる「藍染体験」ではなく、伝統工芸としての藍染を肌で感じられる特別なプログラムが用意されていることです。

使用する藍は、天然の「すくも藍(藍の葉を発酵させてつくる染料)」を灰汁発酵建てという手法で仕込み、職人が毎日手入れしている本物の藍液。
これは現代では希少で、染料そのものが「生きている」ため、日々微妙に状態が変わるのが特徴です。

染めのプロセスも、染師の指導のもとで布を折り、縛り、染め上げ、空気にさらして酸化させる一連の流れを体験できます。
特にこの「酸化」によって藍色が浮かび上がる瞬間は、
参加者から「まるで魔法のよう」と驚きの声が上がるほど。化学染料では決して再現できない、藍の奥深さと美しさを実感できる時間です。

初心者でも安心して参加できるサポート体制

藍染に興味はあっても、「不器用だからうまく染められるか不安」「伝統工芸って難しそう」と思っている方も多いのではないでしょうか。
藍染坐忘では、まったくの初心者でも安心して参加できるような丁寧なサポート体制が整えられています。

体験前には、道具の使い方や染める際の注意点を染師が丁寧にレクチャー。特に、布のたたみ方や絞りの強さなど、完成後の模様に大きく影響するポイントは、一人ひとりの手元を見ながら個別にアドバイスしてくれるので安心です。

染色の工程では、染めの回数や空気へのさらし方を自分で調整しながら好みの色合いに仕上げていくため、「どんな仕上がりになるか不安」といった声にも寄り添える内容になっています。途中で不安な点があれば、その場で職人がフォローに入るなどサポート体制が万全です。

手ぶらで参加可能なため、旅行や観光のついでに気軽に体験できる点も大きな魅力です。
特に遠方から訪れる方にとっては、道具や素材を一から準備する必要がなく、ストレスなく文化に触れることができます。

藍染に関するよくある質問に答える

藍染液の写真

初めて藍染を体験する方にとって、不安や疑問はつきものです。
ここでは「失敗しないコツ」や「色落ち対策」など、よくある質問に丁寧にお答えしていきます。

初めてでも失敗しないコツは何ですか

初めて藍染に挑戦する方にとって、「うまく染められるか」「ムラにならないか」などの不安はつきものです。
ですが、いくつかの基本的なポイントを押さえることで、初回でも美しく染めることは可能です。

まず大切なのは、布をしっかり湿らせてから染めること
布が乾いたままだと藍液の浸透が不均一になり、ムラができやすくなります。次に、折り方や縛り方をしっかり決めることが模様の仕上がりを左右します。模様を出したい部分を強く縛ると白く残り、ゆるく縛るとぼんやりとしたグラデーションになります。

また、染めの際に重要なのが空気との接触=酸化です。
染液に浸した布は、空気にさらすことで酸化し、鮮やかな藍色に変化します。複数回染める場合は、毎回しっかり空気に触れさせてから次の染めに進むことで、より深い色合いが出ます。

初心者でもこれらの点を意識するだけで、満足のいく仕上がりを目指せます。藍染坐忘では職人が個別に丁寧に指導するので、不安な方も安心して取り組めます。

色止めや色落ち防止の方法はあるのか

藍染をしたあとの色落ちについて気になる方は多いです。
天然藍で染めた布は、洗濯や摩擦で色落ちする可能性がありますが、いくつかの工夫で防ぐことができます。

藍染の色落ちを防ぐためには、まず染めたあとの「水洗い」と「乾燥」が大切な工程になります。染め終わった後に水でしっかりとすすぎ、余分な藍をしっかり洗い流すことで色移りを減らすことができます。
その後は陰干しがおすすめです。直射日光は色を褪せさせてしまうため、
風通しの良い場所で陰干しすることで、藍の発色を美しく保てます

さらに、定期的にぬるま湯での手洗いを心がけることも色落ち防止には有効です。
洗剤を使う場合は、蛍光剤や漂白剤を含まない中性洗剤を選びましょう。

藍染と化学染料の違いは?

藍染には「天然染料」を使った方法と、「化学染料」を使った簡易的な方法があります。
どちらも藍色に染めることは可能ですが、染め上がりの深さや風合い、色の経年変化には大きな違いがあります。

天然の藍染は、藍の葉を発酵させて作る「すくも藍」を使い、自然の力で布を染め上げる伝統的な技法です。
染料そのものが「生きている」と言われるように、日々状態が変わるため扱いは難しいですが、
染めるたびに唯一無二の表情が生まれるのが大きな魅力です。
また、藍には防虫・抗菌・消臭といった天然の効果があるとも言われています。

一方で、化学染料を使った藍染は、手軽で発色が安定しやすい点が特徴です。
短時間で鮮やかな色に染まるため、ワークショップなどでは多く使われていますが、色の深みや変化、肌ざわりなどにおいては天然藍には及びません。

藍染坐忘では、本物の天然藍と昔ながらの技法にこだわって染めを行っているため、伝統工芸としての藍染の魅力を深く体感したい方にはおすすめです。

まとめ

藍染は、日本の伝統工芸として長い歴史を持ち、その美しい色合いから「ジャパンブルー」とも称される染色技法です。
この記事では、藍染の基本や歴史、体験の魅力、商品展開、そして初心者の疑問まで幅広く解説しました。

藍染の魅力は、自然素材を使った奥深い色味や、自分の手で染め上げる体験を通してその文化を身近に感じられることにあります。
特に藍染体験は、単なるものづくりにとどまらず、日本文化の一端に触れる貴重な機会となるでしょう。

もし、この記事を読んで藍染に興味を持たれたなら、ぜひ藍染坐忘の体験に足を運んでみてください。
初心者でも安心して参加できる丁寧なサポートと、職人の技を間近で学べる環境が、きっとあなたの感性を刺激してくれるはずです。

The post 藍染ってなに?体験で歴史と伝統工芸の魅力がわかる|ジャパンブルーが今、人気な理由 first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

神戸淡路鳴門自動車道 鳴門北IC~淡路島南IC(上り線)交通規制のお知らせ

年末年始における分離車線規制について

大鳴門橋(上り線)で終日1車線規制を実施します

JB 本四高速では、神戸淡路鳴門自動車道鳴門北IC ~ 淡路島南IC(上り線)間において、大型伸縮装置の交換工事に伴う終日(24時間・土日祝を含む)1車線規制を実施します。
連休等の混雑期は特に渋滞する可能性がありますので、出発前には最新の交通情報をご確認のうえ、ゆとりをもってお出かけいただきますようお願いいたします。
お客様にはご不便・ご迷惑をおかけいたしますが、工事へのご理解とご協力をお願いいたします。

実施する期間

2025年9月16日(火) ~ 2026年7月31日(金)
※年末年始・GW は、終日1車線規制は行いません。
※天候や工事の進捗状況により、期間が変更になる場合があります。

昼夜連続車線規制(淡路島南IC~鳴門北IC 間(上り線))
①【走行車線規制(1 車線走行)】 2025 年 9 月16 日(火)~ 2025 年 9 月下旬
②【追越車線規制(1 車線走行)】 2025 年 9 月下旬 ~ 2025 年12 月下旬
③【分離車線規制(2 車線走行)】 2025 年12 月下旬 ~ 2026 年 1 月上旬 ※1
④【走行車線規制(1 車線走行)】 2026 年 1 月上旬 ~ 2026 年 4 月下旬
⑤【分離車線規制(2 車線走行)】 2026 年 4 月下旬 ~ 2026 年5 月上旬 ※1
⑥【追越車線規制(1 車線走行)】 2026 年 5 月上旬 ~ 2026 年7 月31 日(金)
※1 年末年始・GW は、2 車線(走行車線及び追越車線)での通行を確保し車線規制を実施します。

実施する区間

E28 神戸淡路鳴門自動車道 鳴門北IC~淡路島南IC 間(上り線)

※詳しくはこちらをご参照ください。
E28 神戸淡路鳴門自動車道 鳴門北IC~淡路島南IC間(下り線)大型伸縮装置交換工事に伴う終日1車線規制のお知らせ【JB 本四高速ホームページ内】

お問い合わせ先

【道路交通情報に関するお問い合わせ先】
公益財団法人 日本道路交通情報センター(JARTIC)
TEL:050-3369-6772 携帯短縮 #8011
HP:日本道路交通情報センターホームページ

【工事に関するお問い合わせ先】
本州四国連絡高速道路 鳴門管理センター(9時00分~17時30分 ※土日祝を除く)
TEL:088-687-2166
HP:JB 本四高速ホームページ

令和7年度 徳島観光すいすい(貸切バス料金)助成事業

令和7年度 徳島観光すいすい(貸切バス料金)助成事業

徳島県への観光誘客を促進するため、旅行会社が造成する企画旅行商品にご利用いただける、助成制度をご紹介いたします。

助成要件

①助成の対象となる旅⾏商品は、令和7年4月1日(火)から令和8年3月10日(火)までの間(宿泊⽇基準)に、徳島県内での宿泊(令和7年8月12日(火)から同月15日(金)の宿泊を除く)および県内観光地2ヶ所以上(うち1ヶ所は別表2で指定する観光地または別表3に定める観光地域づくり法人(DMO)が主催する本県で行われる体験)の観光を伴う、貸切バスを利用する「募集型・受注型企画旅⾏商品」(教育旅行を含む)であること。巡拝旅行においては、四国霊場札所以外に県内観光地2ヶ所(うち1ヶ所は別表で指定する観光地)の観光を伴う旅⾏商品であること。
②募集型企画旅⾏商品については、募集に際してパンフレットを作成するかホームページに掲載すること。
③受注型企画旅⾏商品については、⾏程表および旅行業法上作成義務のある旅行代金が分かる契約書面等を作成すること。
④アンケートに回答すること。
⑤企画旅行は原則として添乗員が同行し、バス1台当たりの構成員が20⼈以上(添乗員等除く)であること。但し、発地が北海道・東北・九州・沖縄地方である場合は、10⼈以上(添乗員等除く)でも可とする。
⑥1人当たりの宿泊料金が1泊4,000円以上であること。

助成対象 助成金額(上限)
【基本助成】 3万円×県内での宿泊日数×台数
【加算①】
宿泊エリア以外での2ヶ所以上の観光を伴う周遊型旅行商品
2万円×台数
(宿泊日数による加算はなし)
【加算②】
徳島阿波おどり空港の利用を伴う旅行商品
往路利用:2万円×台数
復路利用:4万円×台数
往復利用:6万円×台数
(宿泊日数による加算はなし)

実施要綱

申請様式

提出方法

令和7年度より申請書類の押印を省略いたします。これにより、メールおよびFAXでのご提出が可能となりました。
※発行責任者名および連絡先電話番号は、必ずご記入をお願いいたします。

提出・お問い合わせ先

(一財)徳島県観光協会 観光・コンベンション振興課
〒770-8570 徳島市万代町1-1 Tel 088-624-5140 Fax 088-677-3131
メール tourism@tokushima-kankou.or.jp

注意事項

  • 徳島県による他の助成事業との重複は、認められません。
  • 予算額に達した場合は、期間中であっても助成事業を終了する場合があります。
  • 募集型旅行商品において、催行日程が複数月にわたる場合は、月ごとに申請書を分けてご作成ください。

その他の助成制度について

徳島県への旅行商品を造成する場合等にご利用いただける、その他の助成制度をご紹介いたします。
各制度の詳細については、それぞれの窓口へ直接ご確認ください。

インバウンド向け助成事業

徳島県観光スポーツ文化部 観光誘客課(徳島県庁ホームページへ)
徳島県観光誘客課 インバウンド推進担当 TEL:088-621-2335 E-mail:inbound@mail.pref.tokushima.lg.jp

徳島阿波おどり空港 「団体旅行助成事業」「個人旅行助成事業」等

「助成制度及び各種申請について」(徳島阿波おどり空港ホームページへ)
徳島県観光誘客課 プロジェクト推進担当 TEL:088-621-2702 E-mail:kankouyuukyakuka@pref.tokushima.lg.jp

イーストとくしま「周遊観光」推進事業助成金制度

「イーストとくしま「周遊観光」推進事業助成金制度」(イーストとくしまホームページへ)
イーストとくしま観光推進機構 TEL:088-678-2811 E-mail:info@east-tokushima.jp

鳴門周遊バスツアー助成事業

「鳴門周遊バスツアー助成事業」(鳴門市うずしお観光協会ホームページへ)
鳴門市うずしお観光協会 TEL:088-684-1731 E-mail:info@naruto-kankou.jp

鳴門市レンタカー利用者宿泊助成制度

「鳴門市レンタカー利用者宿泊助成制度について」(鳴門市役所ホームページへ)
鳴門市産業振興部 観光振興課 TEL:088-684-1157 E-mail:kankoshinko@city.naruto.i-tokushima.jp

東京からやってきたシェフが、暮らすように過ごした佐賀。やがて見えてくるこの土地の本質。[シェフ・イン・レジデンスSAGA/佐賀県]

Chef in Residence SAGA長期滞在することで見える土地の本質。

2025年初春。
佐賀県で実施された「シェフ・イン・レジデンスSAGA」。
それはその名の通り、シェフが佐賀県に長期間滞在し、常時とは異なる環境で過ごしながら、佐賀の食材や料理に触れる試み。選ばれた料理人が土地に溶け込み、生産者と語り、食材と向き合う時間です。

第4回となる今回、その役割を担ったのは六本木のモダンインド料理『ニルヴァーナ・ニューヨーク』の引地翔悟シェフ。より良い食材を探し、日本全国を飛び回る引地シェフをして、1週間にわたる産地滞在ははじめての経験です。

「実は佐賀県については、よく知らないんです。時間の許す限り、佐賀を見て回りたい」

誠実で真摯で向上心に満ちた若きシェフは、そう意気込みを語りました。

やがて時間の経過とともに変化していくそのまなざし。佐賀で出会った生産者との交流、そしてシェフが感じた「シェフ・イン・レジデンス」の本当の価値とは?

スパイスで食材の持ち味を引き出すモダンインド料理を軸とする引地シェフ。今回の滞在を通し、新たな視点で佐賀県産食材の魅力を伝える。

Chef in Residence SAGA生産者との深い交流により見えてくる、知られざる物語。

「これまでの産地訪問は食材を見て、その説明を受ける、いわば商談に近いような形でした。しかし時間に余裕がある今回は、じっくりと時間をかけて語り合うことができました。それこそ“なぜこの仕事をはじめたのか?”という生産者の方の人生まで。そこに込められた思いを知り、こだわりを知り、物語を知ることで、食材に対する理解がいっそう深まりました」

そう話す引地シェフ。

たとえば『はしま海苔』の橋間勝由さんの漁船に乗せてもらって上陸した“牡蠣礁”は、有明海の固有種であるスミノエガキが積み重なってできた島。
スミノエガキは、住之江地区に多く生息することから名付けられた天然の牡蠣で、一般に流通するマガキの2倍近いサイズがあり、甘みが強くえぐ味が少ないのが特徴です。
しかし放って置くとどんどん重なり海を侵食していってしまうのだといいます。塩の干満のタイミングをはからないと採ることも難しく、海苔漁師にとってはむしろ「邪魔者」の扱い。船上で生産者から聞くそんなストーリー。

「これほど素晴らしい牡蠣が、地元では違った目線で受け止められている。試食するだけではわからない食材への理解が、料理のアイデアにもつながります」
 

天然の牡蠣が積み重なって自然とできあがる牡蠣礁。料理人にとっては宝の山だが、地元の海苔漁師のとっては悩みの種にもなっている。

スミノエガキはこの大きさ。しかし大味ではなく、甘みも十分。加熱しても縮みにくいため、料理にも使いやすいという。

海から戻り、意見を交わす橋間さんと引地シェフ。橋間さんは採ったばかりのスミノエガキを蒸して試食させてくれた。

Chef in Residence SAGA景色、料理、出会い。滞在中のすべての時間が宝物。

出会いはさらに数多くありました。

フルーツトマトの甘さだけでなく、ロジカルな思考で水害に強い栽培方法も独自に生み出した『アグリッシュ』の吉田章記さん、唐津焼の伝統的な素材や技法をベースに新たな造形美を探求する気鋭の陶芸家・濱崎快素さん、自然と共存するように当地で最適な方法を模索し、驚くほどおいしいパクチーをつくる『江口農園』の江口竜左さん、引地シェフに「これほど香り豊かな牛肉は初めて」といわしめた長期肥育ホルスタイン・白富牛の吉原龍樹さん、秘めたポテンシャルでシェフの好奇心を刺激した未知の食材・エミューを育てる『きやまファーム』の高枝さん、地元に根づき、地元の味の根幹を支える『丸秀醤油』の秀島健介さん、そして引地シェフが「あの人は天才」と惚れ込んだお茶の名人『あはひの』の松尾俊一さん。

さまざまな出会いがあり、じっくり語り合うことで見えてくるそれぞれの物語。その中で、引地シェフのまなざしも、少しずつ変化してきました。

他者を尊重し、生産者に敬意を払う元来の性格から、これまでは「プロである生産者に自分が何かをいうのはおこがましい」と、食材に注文をつけることは自重していたという引地シェフ。しかし、コミュニケーションを重ね、じっくりと向き合ううちに、その姿勢が変わり始めたのです。

商業施設やホテルのレストランでは、生牡蠣の使用が禁止されている店も多い。殻を剥き、加熱した上で出荷してもらえれば使いやすい。オペレーションの中で取り扱いが難しいお茶は、ティーバッグにして販売してはどうか。

シェフからの生産者への進言。それは根底に生産者への揺るがぬ敬意があり、そして時間をかけて互いに信頼関係を築いたから生まれたもの。

「熱意ある生産者たちに、こちらも全力でぶつからなければ失礼になる」

そんな思いが胸の奥から湧いてきたのです。

さらに長期の滞在は、生産者との交流以外にも収穫をもたらしました。
滞在していたホテル『和多屋別荘』の小原嘉元社長の勧めで体験した、香りを調合する「創香体験」。

実は引地シェフは大学で心理学を学び、香りがもたらす効果を研究していました。食とも密接な関係がある分野ではありますが、早くから修業をはじめる人も多い料理人の世界にあって、厨房に立つスタートが遅かったことは引地シェフの中である種のコンプレックスのようになっていました。
しかしここで香りと食の融合「フレグランス・ガストロノミー」の可能性に触れたことで、自身の歩んできた道がひとつに結実したように感じられたといいます。

生産者訪問の合間に食べた現地の食事も、現地を案内してくれた県庁職員をはじめたとした生産者以外の方々との交流も、そして見聞きし肌で感じた佐賀の風景も、すべてが滞在の大きな収穫として、引地シェフの心に刻まれました。

白富牛の吉原龍樹さんとともに。食材そのものだけではなく、その向き合い方もまた、引地シェフの大きな刺激となった。

白富牛をその場でステーキに。ミルキーな香りがシェフを驚かせた。

『江口農園』の江口竜左さんは武雄のパクチー栽培の先駆者のひとり。つくりはじめた当初は手探りで、試行錯誤を繰り返したという。

江口さんのパクチーはみずみずしく、柔らかいのにしっかりと食感もあるという素晴らしい逸品。

独自に考案した方法でトマトを栽培する『アグリッシュ』の吉田章記さんを訪ねた一幕。トマトの味だけではなく、その背景にある物語まで話は広がる。

佐賀県は日本を代表する陶磁器の産地。自然と共存するかのような濱崎快素さんのアトリエで存在感のある陶板に一目ぼれした引地シェフ。作家のもとを訪ね、器のインプットをすることも料理のインスピレーションに繋がる。

Chef in Residence SAGA滞在を締めくくるシェフの決断、最後の晩餐。

「野菜、魚介、肉、お茶、調味料。すべての食材がハイレベルで揃う。実際に来てみて印象が大きく変わりました」

そう振り返った引地シェフ。
従来の「シェフ・イン・レジデンス」は、こうしてシェフに佐賀の食材を深く知ってもらい、その魅力を広く伝えてもらうことが目的でした。

しかし今回、深く佐賀を感じ、生産者と交流した引地シェフには、強い希望がありました。それは滞在の最後に、生産者の方々を招いて自身の料理を振る舞う晩餐を開くこと。
今回佐賀で出会った食材を、その生産者自身に食べてもらう特別なディナー。厨房の横に即席のダイニングをつくり、調理工程を眺め、話をしながら料理が完成する一夜限りのシェフズテーブルです。

「普段の僕の料理を出すのでは意味がありません。いつもの料理を、今回の食材に置き換えるだけなら失敗はないし、恥をかくこともありません。しかし今回、それでは不誠実だと思ったんです」

引地シェフは言います。

「生産者から食材という最後のバトンを受け取った。その食材に対して僕はこう思いました、みんなはどう思いますか? そうして話し合うことで、みんなで一歩前に進める。そのために、僕は食材から感じたままの料理を作ることにしました」 

それは誇りをかけて食材と向き合う生産者の熱意が、シェフに移ったような熱量でした。

佐賀の食材を、シェフの思いのままに表現した晩餐は大きな拍手とともに終了しました。
引地シェフはゲストたちを見送った後、深夜までかけてキッチンを隅々までぴかぴかに磨き上げました。

「お世話になった場所だから、来たとき以上に綺麗にして帰る。そうして“シェフってかっこいい”と思ってもらうことも、シェフインレジデンスの意義だと思います」

そんなシェフの姿勢もまた、佐賀県の生産者たちが心を開いてくれた理由なのかもしれません。

「料理は、料理人の手だけで完成するものではない」そう引地シェフは話します。
生産者が食材を育て、料理人が受け取り、食べる人がその味を記憶する。すべてのプロセスが繋がり、それがひとつの物語となる。

そんな事実を改めて示した晩餐と、「シェフ・イン・レジデンスSAGA」。
一週間の滞在がひとりの料理人のまなざしを変え、そしてそのまなざしが食の未来を変えていく。そんな大きな循環が、まさに動き始めたのです。
 

佐賀で出合ったすべての食材を使って仕上げたコース。完成度そのものよりも、シェフがその食材に何を感じたのかを正直に込めた料理が並んだ。

スミノエガキはゆっくりと火を入れ、その水を煮詰めたスープで仕立てた豆のカレーを合わせた一品に。豆の甘みと牡蠣の甘みがつながる味わいを目指した。

白富牛の香りをまとわせたビリヤニ。個体差があり、肉主体のレストランでは使い道が限られる白富牛を活かす引地シェフの答え。写真奥は、佐賀のはったい粉で作ったナン。何度も発酵具合を調整しながら仕上げた。

黒米で仕立てたキールと松尾さんのほうじ茶でつくったチャイ。チャイは厨房の片隅で常に沸かし続け、ほのかなスパイス香がディナー中に常に漂う演出に。

生産者の皆さまを招いてのディナーは、引地シェフたっての希望。滞在の疲れも見せず、フルコースのディナーを仕上げた。

東京からやってきたシェフが、暮らすように過ごした佐賀。やがて見えてくるこの土地の本質。[シェフ・イン・レジデンスSAGA/佐賀県]

Chef in Residence SAGA長期滞在することで見える土地の本質。

2025年初春。
佐賀県で実施された「シェフ・イン・レジデンスSAGA」。
それはその名の通り、シェフが佐賀県に長期間滞在し、常時とは異なる環境で過ごしながら、佐賀の食材や料理に触れる試み。選ばれた料理人が土地に溶け込み、生産者と語り、食材と向き合う時間です。

第4回となる今回、その役割を担ったのは六本木のモダンインド料理『ニルヴァーナ・ニューヨーク』の引地翔悟シェフ。より良い食材を探し、日本全国を飛び回る引地シェフをして、1週間にわたる産地滞在ははじめての経験です。

「実は佐賀県については、よく知らないんです。時間の許す限り、佐賀を見て回りたい」

誠実で真摯で向上心に満ちた若きシェフは、そう意気込みを語りました。

やがて時間の経過とともに変化していくそのまなざし。佐賀で出会った生産者との交流、そしてシェフが感じた「シェフ・イン・レジデンス」の本当の価値とは?

スパイスで食材の持ち味を引き出すモダンインド料理を軸とする引地シェフ。今回の滞在を通し、新たな視点で佐賀県産食材の魅力を伝える。

Chef in Residence SAGA生産者との深い交流により見えてくる、知られざる物語。

「これまでの産地訪問は食材を見て、その説明を受ける、いわば商談に近いような形でした。しかし時間に余裕がある今回は、じっくりと時間をかけて語り合うことができました。それこそ“なぜこの仕事をはじめたのか?”という生産者の方の人生まで。そこに込められた思いを知り、こだわりを知り、物語を知ることで、食材に対する理解がいっそう深まりました」

そう話す引地シェフ。

たとえば『はしま海苔』の橋間勝由さんの漁船に乗せてもらって上陸した“牡蠣礁”は、有明海の固有種であるスミノエガキが積み重なってできた島。
スミノエガキは、住之江地区に多く生息することから名付けられた天然の牡蠣で、一般に流通するマガキの2倍近いサイズがあり、甘みが強くえぐ味が少ないのが特徴です。
しかし放って置くとどんどん重なり海を侵食していってしまうのだといいます。塩の干満のタイミングをはからないと採ることも難しく、海苔漁師にとってはむしろ「邪魔者」の扱い。船上で生産者から聞くそんなストーリー。

「これほど素晴らしい牡蠣が、地元では違った目線で受け止められている。試食するだけではわからない食材への理解が、料理のアイデアにもつながります」
 

天然の牡蠣が積み重なって自然とできあがる牡蠣礁。料理人にとっては宝の山だが、地元の海苔漁師のとっては悩みの種にもなっている。

スミノエガキはこの大きさ。しかし大味ではなく、甘みも十分。加熱しても縮みにくいため、料理にも使いやすいという。

海から戻り、意見を交わす橋間さんと引地シェフ。橋間さんは採ったばかりのスミノエガキを蒸して試食させてくれた。

Chef in Residence SAGA景色、料理、出会い。滞在中のすべての時間が宝物。

出会いはさらに数多くありました。

フルーツトマトの甘さだけでなく、ロジカルな思考で水害に強い栽培方法も独自に生み出した『アグリッシュ』の吉田章記さん、唐津焼の伝統的な素材や技法をベースに新たな造形美を探求する気鋭の陶芸家・濱崎快素さん、自然と共存するように当地で最適な方法を模索し、驚くほどおいしいパクチーをつくる『江口農園』の江口竜左さん、引地シェフに「これほど香り豊かな牛肉は初めて」といわしめた長期肥育ホルスタイン・白富牛の吉原龍樹さん、秘めたポテンシャルでシェフの好奇心を刺激した未知の食材・エミューを育てる『きやまファーム』の高枝さん、地元に根づき、地元の味の根幹を支える『丸秀醤油』の秀島健介さん、そして引地シェフが「あの人は天才」と惚れ込んだお茶の名人『あはひの』の松尾俊一さん。

さまざまな出会いがあり、じっくり語り合うことで見えてくるそれぞれの物語。その中で、引地シェフのまなざしも、少しずつ変化してきました。

他者を尊重し、生産者に敬意を払う元来の性格から、これまでは「プロである生産者に自分が何かをいうのはおこがましい」と、食材に注文をつけることは自重していたという引地シェフ。しかし、コミュニケーションを重ね、じっくりと向き合ううちに、その姿勢が変わり始めたのです。

商業施設やホテルのレストランでは、生牡蠣の使用が禁止されている店も多い。殻を剥き、加熱した上で出荷してもらえれば使いやすい。オペレーションの中で取り扱いが難しいお茶は、ティーバッグにして販売してはどうか。

シェフからの生産者への進言。それは根底に生産者への揺るがぬ敬意があり、そして時間をかけて互いに信頼関係を築いたから生まれたもの。

「熱意ある生産者たちに、こちらも全力でぶつからなければ失礼になる」

そんな思いが胸の奥から湧いてきたのです。

さらに長期の滞在は、生産者との交流以外にも収穫をもたらしました。
滞在していたホテル『和多屋別荘』の小原嘉元社長の勧めで体験した、香りを調合する「創香体験」。

実は引地シェフは大学で心理学を学び、香りがもたらす効果を研究していました。食とも密接な関係がある分野ではありますが、早くから修業をはじめる人も多い料理人の世界にあって、厨房に立つスタートが遅かったことは引地シェフの中である種のコンプレックスのようになっていました。
しかしここで香りと食の融合「フレグランス・ガストロノミー」の可能性に触れたことで、自身の歩んできた道がひとつに結実したように感じられたといいます。

生産者訪問の合間に食べた現地の食事も、現地を案内してくれた県庁職員をはじめたとした生産者以外の方々との交流も、そして見聞きし肌で感じた佐賀の風景も、すべてが滞在の大きな収穫として、引地シェフの心に刻まれました。

白富牛の吉原龍樹さんとともに。食材そのものだけではなく、その向き合い方もまた、引地シェフの大きな刺激となった。

白富牛をその場でステーキに。ミルキーな香りがシェフを驚かせた。

『江口農園』の江口竜左さんは武雄のパクチー栽培の先駆者のひとり。つくりはじめた当初は手探りで、試行錯誤を繰り返したという。

江口さんのパクチーはみずみずしく、柔らかいのにしっかりと食感もあるという素晴らしい逸品。

独自に考案した方法でトマトを栽培する『アグリッシュ』の吉田章記さんを訪ねた一幕。トマトの味だけではなく、その背景にある物語まで話は広がる。

佐賀県は日本を代表する陶磁器の産地。自然と共存するかのような濱崎快素さんのアトリエで存在感のある陶板に一目ぼれした引地シェフ。作家のもとを訪ね、器のインプットをすることも料理のインスピレーションに繋がる。

Chef in Residence SAGA滞在を締めくくるシェフの決断、最後の晩餐。

「野菜、魚介、肉、お茶、調味料。すべての食材がハイレベルで揃う。実際に来てみて印象が大きく変わりました」

そう振り返った引地シェフ。
従来の「シェフ・イン・レジデンス」は、こうしてシェフに佐賀の食材を深く知ってもらい、その魅力を広く伝えてもらうことが目的でした。

しかし今回、深く佐賀を感じ、生産者と交流した引地シェフには、強い希望がありました。それは滞在の最後に、生産者の方々を招いて自身の料理を振る舞う晩餐を開くこと。
今回佐賀で出会った食材を、その生産者自身に食べてもらう特別なディナー。厨房の横に即席のダイニングをつくり、調理工程を眺め、話をしながら料理が完成する一夜限りのシェフズテーブルです。

「普段の僕の料理を出すのでは意味がありません。いつもの料理を、今回の食材に置き換えるだけなら失敗はないし、恥をかくこともありません。しかし今回、それでは不誠実だと思ったんです」

引地シェフは言います。

「生産者から食材という最後のバトンを受け取った。その食材に対して僕はこう思いました、みんなはどう思いますか? そうして話し合うことで、みんなで一歩前に進める。そのために、僕は食材から感じたままの料理を作ることにしました」 

それは誇りをかけて食材と向き合う生産者の熱意が、シェフに移ったような熱量でした。

佐賀の食材を、シェフの思いのままに表現した晩餐は大きな拍手とともに終了しました。
引地シェフはゲストたちを見送った後、深夜までかけてキッチンを隅々までぴかぴかに磨き上げました。

「お世話になった場所だから、来たとき以上に綺麗にして帰る。そうして“シェフってかっこいい”と思ってもらうことも、シェフインレジデンスの意義だと思います」

そんなシェフの姿勢もまた、佐賀県の生産者たちが心を開いてくれた理由なのかもしれません。

「料理は、料理人の手だけで完成するものではない」そう引地シェフは話します。
生産者が食材を育て、料理人が受け取り、食べる人がその味を記憶する。すべてのプロセスが繋がり、それがひとつの物語となる。

そんな事実を改めて示した晩餐と、「シェフ・イン・レジデンスSAGA」。
一週間の滞在がひとりの料理人のまなざしを変え、そしてそのまなざしが食の未来を変えていく。そんな大きな循環が、まさに動き始めたのです。
 

佐賀で出合ったすべての食材を使って仕上げたコース。完成度そのものよりも、シェフがその食材に何を感じたのかを正直に込めた料理が並んだ。

スミノエガキはゆっくりと火を入れ、その水を煮詰めたスープで仕立てた豆のカレーを合わせた一品に。豆の甘みと牡蠣の甘みがつながる味わいを目指した。

白富牛の香りをまとわせたビリヤニ。個体差があり、肉主体のレストランでは使い道が限られる白富牛を活かす引地シェフの答え。写真奥は、佐賀のはったい粉で作ったナン。何度も発酵具合を調整しながら仕上げた。

黒米で仕立てたキールと松尾さんのほうじ茶でつくったチャイ。チャイは厨房の片隅で常に沸かし続け、ほのかなスパイス香がディナー中に常に漂う演出に。

生産者の皆さまを招いてのディナーは、引地シェフたっての希望。滞在の疲れも見せず、フルコースのディナーを仕上げた。

2025年度 夏季休業のお知らせ

平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。誠に勝手ながら

下記期間を夏季休業とさせていただきます。

2025年8月13日(水) ~ 2025年8月17日(日)まで

※ 2025年8月18日(月)より、通常業務を開始します。

※ 休暇中のお問合せにつきましては、2025年8月18日(月) 以降に対応させていただきます。

大変ご迷惑をお掛けいたしますが、 何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

The post 2025年度 夏季休業のお知らせ first appeared on 藍染坐忘 AIZOMEZABO.

Tokushima Tourism Information 徳島観光資料 เอกสารการท่องเที่ยวจังหวัดโทคุชิมะ


Please download the documents for your reference.

・徳島県観光オススメเอกสารนำเสนอการท่องเที่ยวจังหวัดโทกุชิมะ สำหรับประเทศไทย
・徳島県観光パンフレット(春・夏)โบรชัวร์ท่องเที่ยวจังหวัดโทคุชิมะ (ฤดูใบไม้ผลิ ฤดูร้อน)
・徳島県観光パンフレット(秋・冬)โบรชัวร์ท่องเที่ยวจังหวัดโทคุชิมะ (ฤดูใบไม้เปลี่ยนสี ฤดูหนาว)
・徳島宿泊施設案内 Tokushima Accommodation (English)
・徳島飲食施設案内 Tokushima Restaurant Information (English)
・宿泊助成金 เงินสนับสนุนค่าที่พัก
・ファムツアー助成金 เงินสนับสนุนแฟมทริป

にし阿波観光体験割引キャンペーン予約開始!


四国の秘境・にし阿波で、心に残る特別な体験をしませんか?
地元の自然や文化、人とのふれあいが楽しめる体験コンテンツが、通常価格から最大50%割引で楽しめるお得なキャンペーンを実施します!
藍染体験、ラフティング、イチゴ狩りなど、お得に体験できるコンテンツが盛りだくさん♪
皆さんのお越しをお待ちしています!!

1.割引対象期間

第1期:令和7年8月1日(金)から令和7年8月31日(日)まで
第2期:令和7年12月1日(月)から令和8年2月28日(土)まで

2.予約期間

第1期:令和7年7月1日(火)から令和7年8月31日(日)まで
第2期:令和7年7月1日(火)から令和8年2月28日(土)まで
※予算上限に達した場合、その時点をもって販売を終了します。

3.キャンペーン内容

(1)割引額  最大50%OFF
一人あたりの割引上限 宿泊を伴わないもの(体験のみ):2,000円
宿泊を伴うもの(体験+宿泊) :5,000円
(2)割引対象
(一社)そらの郷が販売する体験コンテンツであり、体験日が割引対象期間となるもの。
事前にオンラインで予約申込をしていること。(当日予約が可能なものもございます。)
<体験可能なコンテンツ例>
〇藍染体験、日帰り温泉、ラフティング、SUP、いちご狩り、田舎暮らし体験など
〇にし阿波周遊バス(※)チケットと体験コンテンツがセットになったプランもあります。
(※) 「大阪・関西万博」や「瀬戸内国際芸術祭2025」に集う多くの国内外の観光客を「にし阿波」に誘客するため、本年8月に運行予定の香川県内と「にし阿波」を繋ぐ広域観光周遊バス
※詳細は「にし阿波~剣山・吉野川観光圏」体験予約サイトにてご確認ください。
※各事業者によっては、キャンペーンの対象となっていないプランやまだ予約を開始していないプランもあります。

4.主催及びお問い合わせ先

一般社団法人そらの郷 TEL:0883-87-8988
徳島県西部総合県民局地域創生観光部(三好)
にし阿波観光戦略担当 TEL:0883-76-0367
にし阿波観光体験割引キャンペーンについて

チェアマンとして生きた12年の奇跡。中村孝則のクロニクル

長年にわたり、「BEST RESTAURANTS」のチェアマンを務めた中村孝則氏。アイコンとなった着物を初めて着用したのは2016年。以降、ドレスコードにおいても日本文化をアピールしてきた。

BEST RESTAURANTS美食家ではなかった、中村孝則の過去。

「BEST RESTAURANTS」史上最長レベル、12年もの間、チェアマンを務めた中村孝則氏。その奇跡をたどる前に思う。

中村孝則とは何者なのか。

昨今においては、美食家として認知されていますが、以前より中村氏を知る人であれば、やや違和感を感じたのではないでしょうか。やはり、中村氏といえば、代表とされる領域はファッション。そのほかであれば、旅やシガー。総合的にはラグジュアリーの世界で活動していました。ワインやカクテルなども触れてはきましたが、「食は避けてきた領域」と自身も振り返ります。事実、過去のプロフィールには、食に関する記載は一切ない。

「当時、メディアといえば、雑誌が主流。書き手であれば、ファッション、車、デザイン、映画、音楽など、ジャンルごとに分断されていました。もちろん、食もそう。媒体においても、それぞれのスタッフを抱え、クレジットを見れば、誰がどこに深く入り込んでいるのかも一目瞭然。そんな時代でした」。

つまり、ファッションに携わっている人間が急にレストランに携われることはなく、それぞれの専門領域が絶対領域だった時代。中村氏は、いつ食と接点を持つようになったのか。それは、某媒体の連載でした。

「懐石料理を1年間学んで、読者に伝えてほしいという依頼をいただきました。最初は、お断りさせていただきました。自分は素人なので。そうしたら、素人の視点から学んでほしい企画なので、是非と背中を押され、お引き受けさせていただいたのが、食と接点を持った始まりだったと思います」。

これは、2006年の出来事。なぜ中村氏だったのか? その解はわかりませんが、茶道、剣道を嗜んでいた知見も多分にあったのではないかと推測。この連載では、ごはんを炊く、味噌汁を作る、出汁を引く、はたまた包丁の使い方などを、料理人より指南いただくというもの。まさに、道を極める道の世界。そして、1年後、新たな依頼が舞い込みます。

「今度は、様々なレストランでスペシャリテを学ぶ連載の依頼をいただきました。結果、100店くらいは訪れたかもしれません」。

この話までであれば美談。食に携わっていなかった中村氏にとって、各店からは無下にされることも少なくなく、「お前に何がわかるんだ。直接的な言葉はなくとも、そう感じることも多かったです」と話します。

連載は10年以上続き、それはまるで修業のよう。そんな時、突如、一本の連絡が。「BEST RESTAURANTS」のチェアマン就任依頼です。「BEST RESTAURANTS」は2002年に創設された、ロンドン発祥のレストランランキング。

「突然、BEST RESTAURANTSの本部からメールが届きました。THE WORLD’S 50 BEST RESTAURANTS (以下、THE WORLD’S 50)に加え、2013年にASIA’S 50 BEST RESTAURANTS(以下、ASIA’S 50)が立ち上がったタイミングでした」。

実は、中村氏の前に、もうひとり、チェアマンを務めた人物がいます。レストランジャーナリスト、犬飼裕美子さんです。2007年より2013年まで務め、周知の通り、2014年以降は、中村氏が担ってきました。

犬飼さんにおいては、現在、注視される地方に既に目を向け、地方素材の普及に努める料理人を選定する農林水産省料理人顕彰制度審査委員としても活動するなど、食に携わる第一人者でした。おそらく、日本で初めてレストランジャーナリストを公言した人物ではないでしょうか。そして、何を隠そう、中村氏と親交が深かった数少ない、食の専門家でした。

「自分が初めてBEST RESTAURANTSに関わったのは、2013年にゲストとして参加した時です。当時より、賛否両論の多いアワードだということは、理解していましたが、チェアマン就任後、まさかここまでとは……と思うようなことの連続でした」。

中村氏が初めて携わった2014年「ASIA’S 50」のカタログ。当時は、現在のような華やかなイベントではなく、雑誌の企画だったことに歴史を覚える。

BEST RESTAURANTS公正を欠く賞。最大のデタラメ。

これは、日本のメディアにおいて、中村氏が「BEST RESTAURANTS」の取材に応じた時に掲載された言葉です。

声の主は、フランス料理の巨匠、故・ジョエル・ロブション氏。そのほか、レストラン評論家、フランソワ・シモン氏は、世界規模のレストラン比較は不可能。直ちにやめるか、変わるべきと批判していました。

「その批判は、今も消えたわけではないと思っています。しかし、長年携わることによって見えてきたもの。それは、ナンセンスから生まれる価値もあるということです」。

当時、「BEST RESTAURANTS」の主催者でもある「RESTAURANT MAGAZINE」編集長、ウィリアム・ドゥリュー氏もまた、このナンセンスという言葉を起用し、「BEST RESTAURANTS」を肯定。「多種のジャンルを同じ土俵で論じることはできない」と言うシモン氏に対し、「その考えがナンセンス。食の発展に貢献できるはず」と反論。そして、ドリュー氏は中村氏とも共通項があり、元ファッション誌「ARENA」出身。余所者への強い風当たりは世界共通なのか!?

「BEST RESTAURANTSは、RESTAURANT MAGAZINEの企画からスタートしました。それが本ではなく、アワードになり、イベントになり。開催当初は小ぢんまりとした地味なものでしたが、それが徐々に変化し、進化し、現在のようにエンターテインメント性も高くなりました」。

なぜそこまで一大行事に成長できたのでしょうか。それは、ビジネスモデルとしても成長できたからといっても過言ではありません。オフィシャルHP を覗けば、OUR PARTNERSに連なる企業の多さにも驚く。一大行事は一大ビジネスとなり、出る杭は打たれる。因果関係があるかは分からずとも、某メーカーの非買運動や類似アワードもローンチするような現象も。様々な角度から、「BEST RESTAURANTS」は、注目を集めていきました。

そんな「BEST RESTAURANTS」に中村氏が初めてチェアマンとして携わったのは、2014年に発足された「ASIA’S 50」の時でした。

「厳密には、2013年にASIA’S 50は発足していますが、既存集計をアジア向けに抜粋したもののため、本格的な発足は2014年。2013年は、NARISAWAが1位を獲得。2位は、日本料理 龍吟でした。ですが、2014年の1位は、Nahm(タイ・バンコク)。2位がNARISAWA。日本料理 龍吟は5位でした」。

そのほかでは、15位「石川」、22位「Quintessence」、25位「L’Effervescence」、34位「TAKAZAWA」(現・TAKAZAWA PRIVATE RESERVE NISEKO)、38位「すきやばし次郎」、41位「さわ田」、42位「HAJIME」、43位「鮨 さいとう」が名を連ね、現在のランキングとも変化を感じます。

「変化があるのは当然のこと。それがBEST RESTAURANTSの特性でもあります。理由は、ジャーナリスト、シェフ、フーディの3部門から構成される審査員は、毎年25%入れ替わるため、その個性に左右されることも多分にあります。そして、料理のテクニックだけでなく、BEST RESTAURANTSでは、ジョイフルも大切な要素とされています」。

だからこそ、批判され、だからこそ、面白い。これこそがナンセンス。(審査の仕組みも含め、過去にレポートした2022年「ASIA’S 50」の記事も合わせてご覧ください)

当時、中村氏においては、この結果に対する批判が集中。その内容は様々ありましたが、主には、「NARISAWA」の降格。「ASIA’S 50であれば、日本が1位ではないのはおかしいだろ!」など、厳しい声が寄せられました。しかし、その状況から中村氏を救ったのは、成澤由浩氏でした。冒頭、レストランのスペシャリテを学ぶ連載において、実は「NARISAWA」にも訪れていた中村氏。多くのレストランで辛酸を舐めてきましたが、そんな中、暖かく迎えてくれた数少ないシェフが成澤氏だったのです。

「成澤さんには、レストランのことを色々教わりました。中でも一番思い出に残っていることは、2011年、パリのメゾン・エ・オブジェに参加させてもらったことです。成澤さんは料理を、自分は茶事を実演し、日本の食文化をプレゼンテーションするという企画でした。滞在中は、名だたるレストランも案内いただき、本場の味に感動したことは、今でも鮮明に覚えています」。

旧知の仲だからこそ、厳しくも優しい存在。「NARISAWA」は、2009年より、実に16年連続受賞。

「そんなレストランは見たことがありません。日本の誇りです」。

結果論にはなりますが、ある意味、1位を獲得するよりも偉業を成しているのが「NARISAWA」なのかもしれません。

「THE WORLD’S 50」と「ASIA’S 50」の双方において、常にランクインしている「NARISAWA」。※写真は、2022年「THE WORLD’S 50」

中村氏のSNSにも必ず登場する成澤氏とのツーショット写真。ふたりの関係を知れば、毎回の投稿に感慨を覚える。※写真は、2016年「ASIA’S 50」

BEST RESTAURANTS無名だったレストランのランクイン。そして、1位奪還。

これまでの通り、中村氏は、多くの苦労を重ねてきた時代が長く、華やかな「BEST RESTAURANTS」の舞台とは裏腹に、その道は実に険しいものでした。振り返れば、シェフとの信頼関係が強固になったのは、ここ数年なのかもしれません。

そんな中村氏がチェアマン任期中、特に印象に残っている出来事がふたつあると言います。まずひとつは、「La Maison de la Nature Goh」(以下、Goh)の芽吹き。

「Gohがランクインしたのは、2016年のASIA’S 50の時でした。会場に集まるシェフや自分も含め、誰も知らないレストランがランクインしていることを知りました。一体誰なんだ!?と現場は騒然としましたが、これこそがBEST RESTAURANTSの真髄。発掘も大きなテーマになっているからです」。

当時、31位を獲得した「Goh」は、今では「ASIA’S 50」の常連。不動の人気を博しており、現在においては、同じく「BEST RESTAURANTS」の常連、「Gaggan」とともに、「GohGan」としても活動しています。

そしてもうひとつ。「傳」です。

「ASIA’S 50では、2013年のNARISAWA以降、ずっと1位を獲得することができませんでした。これは、チェアマンとして、重く受け止めておりました。ですが、2022年、遂に傳が奪還してくれました。悲願を達成でき、本当に嬉しかったです」。

「傳」においては、「Goh」同様、2016年に初ランクインし、当時は37位。

ここで素朴な疑問が生まれます。日本チームすら知らなかった「Goh」は誰が投票したのか? それは、海外からの票。噂によれば、当時、「傳」においても、同一人物からの支持があったと聞く。

「この現象もまた、BEST RESTAURANTSならでは」。

また、「傳」長谷川在佑氏においては、「中村さんがチェアマンのうちに1位を獲らせてあげたかった」という言葉を残しています。

食の素人だった中村孝則は、もういない。名実ともに、食の専門家となり、食は専門領域。美食家を名乗ることに対し、異論を述べる人はいなくなりました。

初めて「Goh」と「傳」がランクインした2016年「ASIA’S 50」は、タイ・バンコクにて開催。振り返れば、日本にとってはエポック的な年となった。

2020年「ASIA’S 50」では、新型コロナウイルス感染拡大を受け、急遽、オンラインストリームによるバーチャルイベントとして開催。「傳」は3位。1位は「オデット」(シンガポール)だった。

2022年も、尚続く、コロナ禍。バンコク、マカオ、東京の3都市にて同時中継された「ASIA’S 50」。会場を熱狂させた最大のトピックは、日本にアジアNo.1の座をもたらした「傳」。

BEST RESTAURANTS時代と生きた「BEST RESTAURANTS」の痕跡。

「BEST RESTAURANTS」を語る上で欠かせない存在、それはフーディではないでしょうか。しかし、その言葉が市民権を得たのはいつからか。記憶を手繰り寄せると、2014年に公開された映画「Foodies」(邦題:99分,世界美味めぐり)の影響は大きかったのではと考えます。

その内容は、5人の美食家が世界中のレストランを目的に旅をするというものであり、巡ったレストランは全29店舗。日本においても、「鮨さいとう」、「都寿司」、「傳」、「菊乃井」が登場します。本編によると、当時、世界に109軒ある三ツ星レストランを制覇したフーディも。「Maaemo」(オスロ)においては、「新世代のジャーナリスト」とも語っています。

この映画には、なぜ中村氏にチェアマンの依頼が来たのかというヒントが潜んでいると考えます。そのキーワードは、世界。

「今思えば、当時の食の専門家の方々は、日本の食の専門家だったのだと思います。景気が良い時もあったため、海外取材も果敢でしたが、食に特化した海外企画はありませんでした。風景、ホテル、アート、各ショップなど、観光全般のものがほとんどのため、レストランにおいても、特集の中のひとつ。ゆえに、必ずしも、食の専門家がそのスタッフの一員になれたわけではありません。むしろ、各ジャンルをスタイルとしてまとめられる人が重宝されていました」。

中村氏においては、重宝される類。加えて、様々な国の大使館より親善大使も任命されていたため、世界との接点が多かったのです。「BEST RESTAURANTS」は、日本のベストレストランではありません。世界のベストレストランゆえ、海外の知見は必須。

そして、時代という文脈に沿って、フーディに話を戻せば、その存在に追い風を与えたのはSNSの普及ではないでしょうか。テレビ、新聞、雑誌、ラジオなど、マスメディアが情報を支配していた時代は過ぎ去り、視聴者や読者ではなく、フォロワーを対象に個が発信力と影響力を持つ時代は一気に加速。

そしてもうひとつ。不景気です。近年においては、コロナ禍も手伝い、高所得者と低所得者をより二極化させました。では、それがレストランとどんな関係があるのか。

「世界においては先んじて生じていたことですが、例えばスペイン。美食の町として世界中から愛されていますが、スペイン人が皆、レストランを楽しめるわけではありません。ことさらグランメゾンにおいては顕著に現れ、2011年、惜しまれつつ閉店してしまった「エル・ブジ」に訪れることができた生活者はごくわずかだったでしょう。だからこそ、世界のゲストをターゲットに置くのです」。

これは、レストランという文化を守る術でもあり、世界中からゲストが訪れなければ、名店がこの世から消える。そんな危惧も孕んでいます。

世界から一足遅く、日本にもその現象は訪れ、中村氏がチェアマンを務めた12年の間に、日本のレストランも日本人ゲストだけだった時代から、見渡せば半分以上は外国人ゲストという景色も当たり前に。

その結果、次に生まれた現象が、予約困難。「BEST RESTAURANTS」においては、投票したくとも、レストランに行けないからできないという現象も生まれたのではと推測します。

そして、フーディも二極化され、そんな予約困難店のプラチナチケットに重きを置く人間もいれば、レストランに寄与するために活動する人間も。

まさに激動の12年。時に波乱を巻き起こしてきた「BEST RESTAURANTS」の視点から読み解くと、その急成長が物語る通り、全てが味方してくれたのかもしれません。

中村氏がチェアマンを務めた最後の「BEST RESTAURANTS」は、2025年「THE WORLD’S 50」。1位は「Maido」(ペルー・リマ)が獲得し、日本勢の最高位は、7位の「SEZANNE」。次ぐ21位は「NARISAWA」。

BEST RESTAURANTS「BEST RESTAURANTS」への期待。そして、次なるチェアマンは誰か。

中村氏が任期中、「BEST RESTAURANTS」が進化した点もありましたが、改善できなかった点や叶わなかった夢も。進化した点は、やはり規模の拡大。改善できなかった点は、いくつかありますが、その一部について話します。

「BEST RESTAURANTSの仕組みには、いくつか乗り越えたい課題もあります。それは、マネタイズ。例えば、チェアマンやシェフ、関係者が会場に足を運ぶ渡航費や宿泊費は、基本的に自費になります。国や地域によっては、支援くださるところもございますが、開催地によって様々。もっと人を呼びたい気持ちはありますが、心苦しく思っております」。

映画「Foodies」よろしく、当時、稀有だったレストランを目的に旅をするスタイルは、現代において幅広く浸透。ガストロノミーツーリズムという言葉の誕生は、その好例ではないでしょうか。つまり、旅と食は、消費動向と直結しており、2024年の訪日外国人旅行消費額は、8兆1,257億円(国土交通省 観光庁の調査結果より)。そのうち、飲食費は21.5%を占める。ゆえに、国内のレストラン需要が伸びれば、この消費額は、さらに伸びる可能性を秘めているのです。

中村氏が話してくれた、支援している国や地域は、この可能性を理解しているから。そして、叶わなかった夢は、日本開催。

「これはいつか実現してほしいです。しかし、成立させるには、レストランや食に関係する業界に限らず、国、行政、県、地域、そして、民間企業など、多くの方々のご支援も必要とされます。一筋縄にはいかないとは思いますが、いつかそんな日を迎えられることを願っています」。

12年という年月をゆっくりと振り返る中村氏。その全てを語り尽くすことはできませんが、やはり気になることは、次のチェアマンについて。しかし、チェアマンは、本部が独断で決めるため、その時を迎えるまで分かりません。では、チェアマンにはどんな能力が必要とされるのか。

「ひとつは、コミュニケーション能力ではないでしょうか。日本のレストランを一丸とさせることはもちろん、各国のチェアマンとの交流も大切な任務。そして、現実的には自己資金力も必要です。BEST RESTAURANTSは、日本のレストランだけを対象にしていないため、世界中のレストランを体験しなければいけません。食費、渡航費、宿泊費は、想像を超えることもあるため、その覚悟を持たなければいけません。それ以外ですと……、強靭な体力と胃袋ですかね(笑)」。

2026年の「BEST RESTAURANTS」には、トレードマークでもある着物姿の中村孝則はもういない。

冒頭に戻りたい。中村孝則とは何者なのか。

12年の奇跡から浮かび上がった正体は、複雑なものではありませんでした。中村孝則は美食家である前に、努力家だったのです。

そして、言わずもがな、中村氏が日本のレストラン界にもたらした功績は、計り知れない。


Photographs:BEST RESTAURANTS
Text:YUICHI KURAMOCHI

お待たせいたしました! WPチノパン・ネービー色・杢グレー素材。入荷のお知らせ。

日頃お世話になります。好評のWPチノパンの追加色と追加素材・入荷のご案内です。

大変打込みの良い素材と信頼の日本製です。

☆追加入荷・ネービー・サイズW28-36インチ 

詳しくはこちらをご覧くださいませ。ご予約可能です。 MARUNI JEANS マルニ チノパン 6104WP(ネービー) レギュラーストレート : マルニジーンズ – 通販 – Yahoo!ショッピング

☆追加入荷・杢グレー・トラウザー・サイズW28-36インチ。

詳しくはこちらをご覧くださいませ。ご予約可能です。MARUNI JEANS マルニ6104MG(杢グレー)・トラウザーパンツ : マルニジーンズ – 通販 – Yahoo!ショッピング

☆カーキーベージュ色

ご注文ページこちらからマルニ チノパン 6104WP(Kベージュ) レギュラーストレート : マルニジーンズ – 通販 – Yahoo!ショッピング

☆モデル身長183cm 着用サイズW31インチです。何卒よろしくお願い申し上げます。

にし阿波観光体験割引キャンペーンの実施について


四国の秘境・にし阿波で、心に残る特別な体験をしませんか?
地元の自然や文化、人とのふれあいが楽しめる体験コンテンツが、通常価格から最大50%割引で楽しめるお得なキャンペーンを実施します!
藍染体験、ラフティング、イチゴ狩りなど、お得に体験できるコンテンツが盛りだくさん♪
皆さんのお越しをお待ちしています!!

1.割引対象期間

第1期:令和7年8月1日(金)から令和7年8月31日(日)まで
第2期:令和7年12月1日(月)から令和8年2月28日(土)まで

2.予約期間

第1期:令和7年7月1日(火)から令和7年8月31日(日)まで ※好評につき受付終了しました
第2期:令和7年7月1日(火)から令和8年2月28日(土)まで
※予算上限に達した場合、その時点をもって販売を終了します。

3.キャンペーン内容

(1)割引額  最大50%OFF
一人あたりの割引上限 宿泊を伴わないもの(体験のみ):2,000円
宿泊を伴うもの(体験+宿泊) :5,000円
(2)割引対象
(一社)そらの郷が販売する体験コンテンツであり、体験日が割引対象期間となるもの。
事前にオンラインで予約申込をしていること。(当日予約が可能なものもございます。)
<体験可能なコンテンツ例>
〇藍染体験、日帰り温泉、ラフティング、SUP、いちご狩り、田舎暮らし体験など
〇にし阿波周遊バス(※)チケットと体験コンテンツがセットになったプランもあります。
(※) 「大阪・関西万博」や「瀬戸内国際芸術祭2025」に集う多くの国内外の観光客を「にし阿波」に誘客するため、本年8月に運行予定の香川県内と「にし阿波」を繋ぐ広域観光周遊バス
※詳細は「にし阿波~剣山・吉野川観光圏」体験予約サイトにてご確認ください。
※各事業者によっては、キャンペーンの対象となっていないプランやまだ予約を開始していないプランもあります。

4.主催及びお問い合わせ先

一般社団法人そらの郷 TEL:0883-87-8988
徳島県西部総合県民局地域創生観光部(三好)
にし阿波観光戦略担当 TEL:0883-76-0367
にし阿波観光体験割引キャンペーンについて

美術館に飾られるような“本物”の器で味わう宴。佐賀と宮城のシェフが仕立てた特別なコース。[USEUM SAGA vol.06/佐賀県佐賀市]

USEUM SAGA名シェフの料理と佐賀県自慢の陶磁器が互いを引き立てる。

道具は、使われてこそ真価を発揮する。

たとえそれが世界にふたつとない貴重な器であろうと、美術館に展示するのではなく、実際に料理を盛り付け、味わってみてこそ発揮される美しさがあるもの。そんな思いのもと、素晴らしい器で素晴らしい料理を味わう数日間限定のプレミアムレストランがこの『USEUM SAGA』です。

もちろん、器に負けぬ存在感を持つ料理も大切な要素。2021年の初開催から毎回、佐賀県出身の気鋭の料理人と、全国各地で名を馳せるトップシェフがタッグを組み、この日のための特別な料理を仕立ててきました。

第6回目となる今回は、地元シェフは佐賀県で『shokudo欅』を営む寺田功氏、久枝氏の夫妻、ゲストシェフには宮城県仙台市で中国料理『松石』を営む松石翼氏・晶子氏の夫妻が厨房に立ちました。佐賀と仙台、およそ1500kmも離れた土地で生きる二組は、果たしてどのように思いを連ね、どのような料理を完成させたのでしょうか。

6回目となる『USEUM SAGA』。地元シェフと全国のトップシェフによるコラボで、毎回想像以上の化学反応が生まれる。

会場となったのは佐賀県庁にもほど近い『パークテラス』内の『La Pause』。

佐賀市に店を構える『shokudo欅』の寺田功シェフ。松石シェフとSNSでコミュニケーションを取りながら、ひとつのコースをつくりあげた。

『松石』松石翼氏。偶然にも寺田シェフと同じ調理師学校出身、経歴や経験にも共通項が多く「不思議な縁を感じます」と話した。

USEUM SAGA二人のシェフが織りなす、佐賀と東北食材の宴。

コースは松石氏によるスープで幕を開けました。

器は今右衛門窯、柿右衛門窯という磁器の歴史を築いてきた名門の逸品。佐賀の黒鮑と仙台のフカヒレという両県の食材を取り入れた、松石氏の心意気が伝わるようなオープニングです。

さらに象徴的だったのは2品目の前菜6種盛り合わせ。寺田氏と松石氏が3種ずつを仕上げ、盛り合わせました。食材のチョイスは、佐賀の寺田氏が東北の食材、宮城の松石氏が佐賀の食材。事前にこうしよう、と打ち合わせたのではなく、偶然この食材になったという二人の料理。それぞれが自身の拠点に誇りを持ちつつ、相手の地元に敬意を払う。そんな思いが交錯した結果の一皿だったのでしょう。2品目にしてすでに、その高い物語性にゲストは引き込まれていきました。

佐賀県産の牡蠣を両シェフそれぞれの手法で仕上げた料理、互いのスペシャリテをぶつけ合うような一幕、個性の異なる両者の料理で交互に盛り上げるような展開、両女将が眼の前で握る山形県産米と佐賀県産海苔のおにぎり。二組がタッグを組んだ意味、異なるバックグラウンドを持つ二人のシェフが織りなす奥深く、新しい料理のアプローチ、ともに夫婦で店を営む二組が醸す温かく穏やかな雰囲気、そして料理と互いに引き立て合う人間国宝の作、新進気鋭の作家による器、佐賀の名だたる人気窯元の名品。『USEUM SAGA』の舞台で生まれたコラボレーションは、後に語り継がれるような美味となってゲストを驚かせました。

互いの故郷の食材と料理に敬意を払いながら両シェフ3種ずつ仕立てた前菜6種盛り合わせ。器は井上萬二窯、柿右衛門窯、健太郎窯、古川マアヤの作。

佐賀県産竹崎牡蠣。同じ食材を両シェフそれぞれのアプローチで活かした一皿。器は気鋭の人気作家である徳島あや作。

寺田氏が手掛けた焼き物は、宮城県産のホッキ貝に、佐賀県産のアスパラガスをあわせた一品。器は中里太郎右衛門陶房。

松石氏の蒸し物は、佐賀県産の桜鯛を仙台のセリとともに。器は徳島あや作。

山形県産の金華豚に佐賀県産の黒ニンニクや柑橘を合わせた肉料理。器は人間国宝・十四代今泉今右衛門。

USEUM SAGA二人のシェフの心と、地元佐賀に残したもの。

「仙台空港に降り立ったとき、佐賀と似ていると思ったんです。もちろん気候は違いますが、そこに海があり、山があり、平野があり、多様な食材がある。まず感じたのは、そんな地形と食材の親和性でした」

寺田氏は、そう振り返ります。

そして寺田氏の仙台訪問から準備期間の数ヶ月。両シェフがまず行ったのは、互いの宝物を自慢しあうような、佐賀と東北の食材の紹介でした。

ライブ感ある調理を持ち味とする松石氏と、低温調理をはじめとした丁寧な下拵えで料理を組み上げる寺田氏。それぞれ得意は異なりますが、あえて細かい取り決めをするのではなく、食材の理解を深めた後は、持てる技術を出し尽くすような構成に決めました。

それは「自分の全力を相手が打ち返してくれる」という信頼の証。結果、全10品のコースは、土地の個性、シェフの持ち味が活かされながら、コースとしての統一感も失われないバランスの良い内容となりました。

「はじめて訪れた佐賀ですが、第二の故郷のような思い。表面だけを見て終わるのではなく、実際に深く関わり、現地の人や器、食材に触れることで初めて違いに気づき、学びが得られると感じました」

そう話す松石氏。日頃から古伊万里や有田の器も使用していますが、「料理を盛り付けた瞬間に輝くような不思議な体験。レベルが違うと感じました」と改めて器の持つ力にも心を動かされた様子でした。

地元で迎えた寺田氏も「今回の縁をきっかけに、今後も佐賀や宮城の食材・人とのつながりが広がる可能性を感じています」と手応えを語ります。

1500kmの距離を食材と器で繋いだ『USEUM SAGA』。遠く離れた二人の交流は、佐賀と宮城の食の未来の大きな一歩となるかもしれません。

提供はランチ1回、ディナー2回の計3回。各回大盛況で幕を下ろした。

蒸し魚に温めた油をかけて仕上げる松石氏。中国料理ならではの臨場感が会場を湧かせた。

寺田氏がゲストの前でホッキ貝を焼き上げる一幕。会場は香ばしい磯の香りに包まれた。

寺田久枝氏(手前)、松石晶子氏(奥)の二人が「縁を結ぶ」の意味を込めて握ったおむすび。交流を象徴するような心温まるシーン。

終演の挨拶にたった両夫妻。「今回のイベントで殻を破った感覚」(松石氏)、「普段にはないプレッシャーもあったが、新たな刺激となった」(寺田氏)と振り返った。

1976年長崎県長崎市生まれ。高校卒業後、上京し武蔵野調理師専門学校に入学しフランス料理を学ぶ。卒業後、東京ステーションホテルに5年勤務。その後、渡仏しフランス各地をまわりながら研鑽を積む。帰国後、27歳で佐賀県唐津市に『欅』をオープン。2019年、佐賀県佐賀市に移転し『shokudo欅』を開く。

1982年山形県生まれ。高校卒業後、上京し武蔵野調理師専門学校に通う。卒業後は仙台のホテルにて17年間、中華料理の研鑽を積む。2020年から仙台市内の中華料理店の名店で修業し、2022年、仙台に自身の名を冠した『松石』をオープン。


PhotographHIDEKI MIZUTA

도쿠시마 徳島県観光資料


【온천・단체 대상】숙박 시설 정보(温泉・団体向け徳島宿泊施設)[PDF/6MB]
【온천 외・단체 대상】숙박 시설 정보(ホテル・団体向け徳島宿泊施設)[PDF/10MB]
【소인원 대상】숙박 시설 정보(少人数向け徳島宿泊施設)[PDF/5MB]
【단체 대상】음식점 정보(団体向け飲食施設)[PDF/5MB]
도쿠시마현 골프장 안내①(徳島県ゴルフ場案内①)[PDF/2MB]
도쿠시마현 골프장 안내②(徳島県ゴルフ案場内②)[PDF/3MB]
도쿠시마역 앞 카페 지도(徳島駅前カフェマップ)[PDF/622KB]
도쿠시마역 앞 라멘 지도(徳島駅前ラーメンマップ)[PDF/381KB]

徳島県観光資料[PDF/30MB]
徳島県貸切バス案内[PDF/533KB]

非日常となった美食が、再び日常に寄り添うとき。Destination Restaurants 2025が描く新たな風景[Destination Restaurants 2025/東京都港区]

日常のすぐ隣に生まれる食の旅。

初夏の東京、麻布台ヒルズの一角に、静かな熱気が満ちていました。

煌びやかな照明に照らされたステージには、選ばれし料理人たちが一堂に会しています。ジャケットに身を包んだその表情には誇りがあふれ、テーブルには各地から集まった食の関係者が静かに見守っている──

この日は「Destination Restaurants 2025」の授賞式。

地方の風土と食文化を讃えるこの舞台は、今年もまた新たな物語を迎え入れていました。

2021年、日本でもっとも歴史ある英字新聞『The Japan Times』により生まれたこの賞が掲げる理念は明快です。東京23区と政令指定都市を除く地域を対象に、料理人たちが土地の恵みと真摯に向き合い、文化や風景までをも料理に昇華する営みに光を当てること。それは単なるグルメガイドではなく、美味しさの先に広がる物語であり、地域が紡いできた歴史の蓄積です。

選考を担うのは、食文化の第一線を走る3名の審査員。世界の料理教育に貢献し続ける食育の旗手・辻調グループ代表の辻芳樹氏、食とライフスタイルを横断する独自の審美眼で知られるビジネスプロデューサー本田直之氏、そして世界の美食を食べ歩く美食家・浜田岳文氏。3名が日本各地に点在する候補店に赴き、その味のみならず地域の空気や歴史・文化まで感じながら厳正に審査します。

創設当初は「やがて候補が尽きるのでは」と危ぶむ声もあったこの賞。しかし蓋を開けてみれば、むしろ年を重ねるごとに候補は増え続け、審査員たちにうれしい悲鳴をあげさせています。料理人たちの挑戦は、いまや地方の風土に新たな光を当て、埋もれていた食や食文化を次々と掘り起こしているのです。

壇上の受賞者たち。写真左から『ファームレストラン クオーレ(北海道白糠町)』漆崎雄哉氏、『オステリア シンチェリータ(山形県南陽市)』原田誠氏、『ノンナ ニェッタ(茨城県つくば市)』川村憲二氏、『レストランKAM(埼玉県川口市)』本岡将氏、『ひまわり食堂2(富山県富山市)』田中穂積氏、『オーベルジュ オーフ(石川県小松市)』糸井章太氏、『くるますし(愛媛県松山市)』高平康司氏、『日本料理 別府 廣門(大分県別府市)』廣門泰三氏、『センティウ(鹿児島県鹿屋市)』内田康彦氏。『田舎の大鵬(京都府綾部市)』渡辺幸樹氏は欠席のため映像でコメントを寄せた。

審査員である学校法人辻料理学館理事長、辻調グループ代表辻芳樹氏。

同じく審査員を務めるレバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長・本田直之氏。

同じく審査員を務める株式会社アクセス・オール・エリア代表取締役・浜田岳文氏。

授賞式では受賞シェフたちの手によるフィンガーフードも提供され、会場を盛り上げた。

料理人たちが紡ぐ土地の物語

今回、「The Destination Restaurant of the year」に輝いた富山市『ひまわり食堂2』は、その象徴ともいえる存在です。

田中穂積シェフが作り出す料理は、富山の山々、川、海が育む食材と真摯に向き合いながら生み出されます。旬の野菜、近海の魚、地元料理人たちとのチームワークが、派手ではないもののアイデアが詰まった皿の上で静かに主張をする。そんな料理こそが『ひまわり食堂2』の持ち味です。

北海道白糠町の『ファームレストラン クオーレ』では、併設のめん羊牧場で育った新鮮な羊を使用し、土から食卓までの循環を体現しています。窓の外は北海道の雄大な自然。ここでは過ごす時間が単なる食体験ではなく、生きた営みの延長として存在しています。あるいは京都府綾部市の『田舎の大鵬』では、鶏を締めるところからゲスト自身が体験するコースで、食と命への向き合い方を考えさせます。

それぞれの店が内包する、そこだけの物語。そのためだけに足を運ぶ価値を感じさせる唯一無二の名店たちです。

さらに5回目を迎えるにあたり、少しずつ変化も見えてきました。

たとえば選出された店の顔ぶれに、地方の奥地だけでなく都市近郊やベッドタウンのレストランの名も散見されること。『ノンナ ニェッタ』(茨城県つくば市)、『レストランKAM』(埼玉県川口市)など、いずれも都市生活と地元の素材をつなぐ舞台となっています。そこにあるのは、気軽に足を伸ばせる距離の中に特別な体験を用意される新たな美食の形。食を起点に、人々の行動半径は確かに広がっています。それは、一度は「食を目的とした旅」という非日常になった食が、再び日常の延長線上に戻ってきたことを示唆しているようです。

壇上で受賞の喜びを語る『ひまわり食堂2』の田中穂積氏。

『ひまわり食堂2』の料理の一例。田中氏のアイデアやユーモア、食材に対する真摯な思いが皿の上に結実されている。

左上:『茶路めん羊牧場』に併設された『ファームレストラン クオーレ』。飼育から調理まで一貫して行うことで、内臓など新鮮でなければ食べられない部位まで味わえる。
右上:『田舎の大鵬』は1日1組限定。ゲスト自ら鶏を絞めるという鮮烈な体験から始まるコースには「食とは命をいただくこと」というメッセージが込められている。
右下:手打ちパスタをはじめ、チーズや生ハムにいたるまで自家製にこだわる『ノンナ ニェッタ』。つくば市の住宅街で、伝統的なイタリアの味に触れられる。
左下:『レストランKAM』は、店主・本岡将氏が祖父の古民家を利用してオープンしたファーム・レストラン。自家菜園の野菜を、南仏仕込みの技術で調理する。

食がつなぐ地域の未来と営み。

この『Destination Restaurants』によって光を当てられることで今、地方のレストランは単なる観光資源にとどまらず、地域の文化や経済の再生装置としての役割を強めつつあります。

消えかけた在来食材の復活、新たな生産者との出会い、そして若き料理人たちの挑戦。土地ごとに次々と新たな物語が紡ぎ出されています。

愛媛県松山市の『くるますし』は、瀬戸内の豊かな海の恵みと職人の研ぎ澄まされた技が響き合い、大分県別府市の『日本料理 別府 廣門』では、湯の町の静謐な空気感と繊細な和の美意識が一皿に凝縮されます。山形県南陽市、3室だけのオーベルジュ『オステリア シンチェリータ』は食を軸にした宿泊で、より濃厚な地元文化との接触を提供します。石川県小松市の『オーベルジュ オーフ』もまた、加賀の伝統と現代の感性を重ね合わせた一皿で、北陸の新たな美食文化を紡いでいます。さらに鹿児島県鹿屋市の『センティウ』では、南九州の力強い食材がイタリア料理の技法と交わり、ここでしか味わえない表現が生まれています。

料理とは、単に空腹を満たすものではなく、作り手の哲学と土地の息遣いに触れる行為でもあります。遠くの地へ旅でも、少し足を伸ばした日常でも、日本のどこかには心揺さぶる食の物語が待っているかもしれません。

その一皿の向こうに広がる物語が、これからの食の未来を照らしてくれるに違いありません。

老舗『くるますし』を現在守るのは、銀座『鮨よしたけ』で江戸前寿司を学んだ2代目。愛媛県産を中心に瀬戸内海や太平洋で揚がる四国の魚介類をおまかせコースで。

『日本料理 別府 廣門』の店主・廣門泰三は『柏屋 大阪千里山』で料理の道に入り、蕎麦打ちの名人として名高い高橋邦弘に師事。その後『銀座しのはら』で2番手を務めた経歴の持ち主。

3室のみのオーベルジュ温泉旅館『オステリア シンチェリータ』。山形牛をはじめ、土地で育った食材で作る料理で注目を集める。

廃校になった元小学校舎を利用した全国的にも珍しいフレンチのオーベルジュ『オーベルジュ オーフ』。地元食材と地元酒蔵の酒や糀などを組み合わせた料理が登場する。

鹿児島県南部、大隅半島の中程に位置する鹿屋市のイタリアン『センティウ』。使用食材の9割が大隅半島産という地域密着型の美食を提供。

歴代の「The Destination Restaurant of the year」受賞シェフたちも会場にかけつけた。中心の田中氏を祝うのは左から『L’évo』谷口英司氏、『Villa Aida』小林寛司氏、『HAGI』萩春朋氏、『ELEZO ESPRIT』佐々木章太氏。


Text:NATSUKI SHIGIHARA

徳島県立渦の道 橋梁修繕・塗装工事の実施について

渦の道

徳島県立渦の道では現在、展望室の安全確保のため、橋梁修繕工事及び塗装工事を行っています。

工事を行うにあたり、展望室内外部に足場を設置しており、一部の景観が見づらくなっています。

太平洋側・瀬戸内側に分けて工事を行うなど、配慮して工事を進めていただきますので、

お客様にはご不便をおかけしますが、ご理解のうえご見学くださいますようお願い申し上げます。

【工事期間】令和7年12月10日まで(予定)

【工事場所】渦の道展望室(淡路島側)

お問合せ

徳島県立渦の道

Tel:088-683-6262 HP:https://www.uzunomichi.jp/

徳島県立渦の道 橋梁修繕・塗装工事の実施について

渦の道

徳島県立渦の道では現在、展望室の安全確保のため、橋梁修繕工事及び塗装工事を行っています。

工事を行うにあたり、展望室内外部に足場を設置しており、一部の景観が見づらくなっています。

太平洋側・瀬戸内側に分けて工事を行うなど、配慮して工事を進めていただきますので、

お客様にはご不便をおかけしますが、ご理解のうえご見学くださいますようお願い申し上げます。

【工事期間】令和7年12月10日まで(予定)

【工事場所】渦の道展望室(淡路島側)

お問合せ

徳島県立渦の道

Tel:088-683-6262 HP:https://www.uzunomichi.jp/

人気のチノパン本日より発売いたします。

日ごろ大変お世話になります。

暫く生産中止していた人気商品の再販決定!

Cold Mercerised West Point 通称ウェポンチノ。

カーキー ベージュ色。

サイズW28.29.30.31.32.33.34.36インチ

年齢や性別問わずジェンダー対応にてご着用頂けます。

6月24日より発売予定です。

大変打込みの良い素材と信頼の日本製。

こちらからご予約できますので是非とも宜しく御願いいたします。

ご注文ページこちらからマルニ チノパン 6104WP(Kベージュ) レギュラーストレート : マルニジーンズ – 通販 – Yahoo!ショッピング

☆モデル身長183cm 着用サイズW31インチです。

7.5ozヘビーボディプリントTシャツ(プラグ柄)

  • 着やすさと丈夫さを兼ね備えた7.5ozオリジナル(丸胴)ボディ
  • ボディ:14番単糸度詰め天竺(7.5oz)
  • ネック:30/2度詰めフライス
  • バック+フロントプリント
  • ワンウォッシュ済み

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
L-F 62.0 36.0 82.0 82.0 17.0
XS 64.0 42.0 89.0 89.0 18.0
S 67.0 44.0 95.0 95.0 19.0
M 70.0 46.0 99.0 99.0 20.0
L 72.0 49.0 106.0 106.0 21.0
XL 74.0 52.0 113.0 113.0 22.0
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

ANAで四国&瀬戸芸をまるごと楽しもう!商品発売中!

瀬戸内の島々を舞台に、3年に1度開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」が今年春・夏・秋会期で開催されます。
ANAは、航空券+ホテル+作品鑑賞パスポートをセットにした商品を発売しています。
また、瀬戸内国際芸術祭だけでなく、徳島県を含む四国をまるごと楽しんでいただけるクーポンをご用意!

利用空港限定で10,000円割引の周遊クーポンを配布中です。
是非、ANAを利用して四国の旅をお楽しみください!!

 

詳細・お申し込み

ANAで行くアート巡り 瀬戸内国際芸術祭2025

旅行企画・実施

全日本空輸株式会社(ANA)

マルニオリジナルゴアブーツのソール張り替え!

日ごろ大変お世話になります。

好評の万能型ゴアブーツのソール張り替えです。

非常に耐久性があるブーツですが…つい履き過ぎて

ソール張り替えをいたしました。

生産工場での純正ソールの交換。大変仕上がりが良く、馴染んだレザーの質感などやはり良いものは修理しながらご使用されると嬉しいですね!ご愛顧のほどよろしくお願いします。

サドルレザーカードウォレット

  • 渋なめしのサドルレザーを使用 。
    植物タンニンでじっくり鞣した革に、たっぷりとオイルを染み込ませた後、絞り仕上げを施しています。
  • 味わいのある「しわ」が特徴 。仕上げの工程で自然に生まれるしわが、革の表情を豊かにしています。使い込むほどに味が増す一点ものの風合いです。
  • オイルが抜けていくことで、徐々にグレーがかったスミクロのような、落ち着いた色合いへと変化します。
  • 希少な天然のシニュウ糸を使い、手作業で丁寧に縫い上げています。強度と風合いを兼ね備えた、こだわりの仕立てです。 
  • 紙幣入れ付きで、カードポケットは6枚分。コンパクトながら実用性もしっかり確保しています。

サイズスペック

  • 縦 約9cm
  • 横(内) 約22.5cm
  • 横(外) 約24cm

素材

  • 牛革

生産国

  • 日本

7.5ozヘビーボディプリントTシャツ(ピストンウィング柄)

  • 着やすさと丈夫さを兼ね備えた7.5ozオリジナル(丸胴)ボディ
  • ボディ:14番単糸度詰め天竺(7.5oz)
  • ネック:30/2度詰めフライス
  • バック+フロントプリント
  • ワンウォッシュ済み

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
L-F 62.0 36.0 82.0 82.0 17.0
XS 64.0 42.0 89.0 89.0 18.0
S 67.0 44.0 95.0 95.0 19.0
M 70.0 46.0 99.0 99.0 20.0
L 72.0 49.0 106.0 106.0 21.0
XL 74.0 52.0 113.0 113.0 22.0
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

壊すによって生まれた節目。真逆を歩む、ふたりの人生。

「ALTER EGO」建て替えにともない、「最初に壊すのは自分たちで」と一撃を打つ、オーナー・徳吉洋二氏と「傳」長谷川在佑氏。

ALTER EGO×傳徳吉洋二の挑戦。見届け人は長谷川在佑。

2025年3月末。あるレストランが、一度、幕を閉じました。「ALTER EGO」です。一度、という表現をした理由は、建物を建て替え、新たにスタートするため。

「ALTER EGO」は、イタリアで活動する「Ristorante TOKUYOSHI」もとい、「BENTOTECA」のオーナーシェフ・徳吉洋二氏が日本で唯一展開するレストラン。「Ristorante TOKUYOSHI」と「BENTOTECA」に関しては、後ほど触れるとし、まずはこの業態での「ALTER EGO」営業最終日、別れを惜しむのではなく、次への期待に胸膨らむゲストたちを招きます。

カウンターの中には、「ALTER EGO」のシェフ・平山秀行氏をはじめ、徳吉氏も来日。そして、「傳」オーナーシェフ・長谷川在佑氏の姿も。なぜなら、ここは、元「傳」。遡ること2019年、「ALTER EGO」は、「傳」から継ぎ、この場をスタートさせたのです。

「だから、長谷川さんには、この建物の最後を見届けて欲しかった」と徳吉氏。

現「傳」は、ここから移転した場であり、そこは、元「ル・ゴロワ」だったということを知る人は少なくない。

「ル・ゴロワは、女将さんとずっと通い続けていた大好きなレストランでした。誕生日や記念日など、たくさんの思い出があります。そんなル・ゴロワが移転しまうと伺い。この場が誰かに渡り、万が一、なくなってしまったら……。であれば、自分が継ぎたい。そう思ったんです」と長谷川氏。

ゆえに、ドアには、「ル・ゴロワ」の刻印が未だ残されたまま。店名を冠した傳サラダも「ル・ゴロワ」へのオマージュだ。そんな継ぎ方も長谷川氏なりの流儀なのかもしれない。

「自分以外にもル・ゴロワを愛していたお客様はいらっしゃいます。そんな方々が想いを寄せる足跡を無くしてはいけない」。

空間においても、当時の面影を残しながら、約9年、同じ時を重ね続けています。

「ALTER EGO」においても同様の想いで継がれてきましたが、今回は、様々な理由により建て替え。であれば、「ふたりで最初に壊す」というのが、徳吉氏と長谷川氏が再会したもうひとつの理由でした。

継いでもらう場だけでなく、継ぐ場も経験した長谷川氏。そして、本場イタリアにおいて、日本人で初めて星を獲得した「Ristorante TOKUYOSHI」から「BENTOTECA」への急転向と「ALTER EGO」建て替えという大勝負。その間には、世界中を恐怖に陥れたコロナ禍……。

過去の点が線になり、壊すによって生まれた節目。それは、奇しくも、ふたりがこれからの人生を考える大きな機会となりました。

「傳」の挨拶代わりのスナック。味噌漬けにしたフォアグラ、ビネガーでしっかりと締めた鰯、ブラッドオレンジのジャムを忍ばせた最中鰯と相性の良いオレンジをジャムにすることで、フォアグラとも調和。イタリアと日本の融合を彷彿とさせる品。

石鯛 生ハム お造り。「ALTER EGO」オープン当初のスペシャリテをアレンジ。当時は鮪中トロを使用していたが、今回は「サスエ前田魚店」より、回遊の石鯛を寝かせ、さっと醤油にくぐらせたものと合わせる。擦りたての18ヶ月熟成の黒豚の生ハムとともに。

フルーツかぶ ズワイガニ。糖度の高いかぶと合わせるパンナコッタは、ズワイガニのほぐし身、鰹節を効かせた酢ゼリー、マリネしたかぶ、ディルオイルなどを合わせたもの。本来はドルチェだが、今回は冷菜として供す。

「傳」のスペシャリテ、傳タッキー。今回の中身は、餅米に自家製ドライトマト、アンチョビ、オレガノ、水牛モッツァレラなど、イタリアンのテイストに。

金目鯛 チーマディラーパ。上記の石鯛同様、金目鯛も「サスエ前田魚店」より。チーマディラーパとは、イタリア野菜のことであり、日本の菜花に似た野菜。それをピューレ状にし、鰹出汁と合わせて擦り流しの仕立てで。鰹出汁で優しく火入れした金目鯛をスープとミントオイルとともに。

ホワイトアスパラガス ルッコラ。炭火で焼いてから出汁醤油に浸した香川のホワイトアスパラガスのお浸しの上にルッコラを覆う。胡麻風味の白和えや文旦も加え、最後に生ハムを添えて。

眠り鹿 ふきのとう。福岡の本州鹿のロースを炭焼きに。そして、鹿のフォン、炭火で炙ったほぐした芽キャベツ、ふきのとう味噌を合わせる。皿の上部には、ピンクレディという品種のりんごを使ったスパイシーなジャムを添える。

土鍋ご飯 オッソブーコ。延岡のサフランで香りをつけた土鍋ご飯に牛骨髄で炒めた筍を加える。オッソブーコとは、ミラノの郷土料理で仔牛のスネ肉の煮込み。地元では、サフランのリゾットと一緒に食べる料理だが、今回は土鍋ご飯でサフランリゾットを表現。

2年熟成からすみ 赤葉玉ねぎ 締めのスパゲッティーニ。徳吉氏が家で作るパスタを今回メニューに採用。サッと炒めた赤葉玉ねぎを使ったアーリオオーリオに仕立て、「ALTER EGO」で仕込んだ2年熟成からすみをたっぷりと削り、レモンゼスト、パセリを合わせる。

苺 桜。甘味には、ナポリの伝統菓子ババを。ブリオッシュ生地に酒粕のシロップをたっぷりと含ませ、埼玉「矢島農園」のあまりんという苺、桜ゼリー、煎茶の香りをつけたミルクジェラート、ホワイトチョコカスタードを合わせる。最後に「新政酒造」の貴醸酒 陽乃鳥をかけていただく。

この日、徳吉氏や「ALTER EGO」のシェフ・平山秀行氏、ソムリエ・松本時宙氏のほか、「傳」からは長谷川氏以外にも女将さんやスタッフもキッチンやサービスに立つ。息のあった両チームは、心地良いグルーヴを店内に生む。

ALTER EGO×傳「ファインダイニングの幕引き。勝負に出るなら今しかない」徳吉

「Ristorante TOKUYOSHI」は、順風満帆。それを一気に覆したのがコロナ禍のパンデミックでした。イタリアにおいては、死者が3万人を超え、世界第3位。EU加盟国では最多という状況。街はロックダウンし、自体は急速に変化しました。当時、徳吉氏はレストランを改装しばかりとう状況もあり、頭を抱える日々でしが、「医療従事者が本気で戦っている姿を見て、自分は自分にできることで本気になりたい」という意志が芽生えたと、当時を振り返ります。

そこで、医療従事者へ食事=弁当を提供する活動を開始。これが、「BENTOTECA」のはじまりです。

「Ristorante TOKUYOSHI」の徳吉氏は、「料理に対しても、レストランに対しても、エゴが強かった」と語るも、目に見えないウイルスには手も足も出ず。しかし、「BENTOTECA」を通し、レストランの語源でもあるレストレのごとく、食べ手を豊かにする料理、求められる料理の喜びを知ることになりました。

「その時です。ファインダイニングという存在について、改めて考えるきっかけになったのは。このまま続けることによって、どこを目指すのか。続けることによって、自分は何が残せるのか」。

当時、徳吉氏は40代半ば。イタリアでは、50歳になるシェフはレジェンド扱いされることも少なくなく、「そのステージへの拒否反応もありました。レジェンドとは、言わば、頂点。崇められる一方、もう成長はないとも捉えられるのが嫌だった」と言います。

ゆえに、レジェンドは、シェフからブランドになることも多い。その結果、必ずしもキッチンにいない現象が生まれ、店舗を拡大する方向へと舵を取る。

一方、「そうでない文化が日本」だと、徳吉氏は分析します。

「日本のレストランは独特の文化だと思います。例えば、カウンターのみの小さい坪数、席数という形態は、イタリアはもちろん、世界でも稀有なスタイルではないでしょうか。だから、料理以外に、人との関係が強い。食べに行くだけでなく、会いに行くという行為が生まれる」。

ワンオペやご夫婦で営んでいるレストランは、最たるものだと思います。著名レストランにおいても、店舗拡大しているところは極めて少ない。それほどまでに、日本ではレストラン=シェフという存在が絶対なのかもしれません。

「傳」においても同様。あの空間は、長谷川在佑という存在があって成立するため、「傳」という名だけが一人歩きすることはないでしょう。

前出、これまでになかった料理の喜びを知った徳吉氏は、もうひとつ、才能を開花させました。ビジネスです。

「コロナ禍を経て、一番になる必要はない。頂点に立つ必要もない。そんな考えになりました。勝負に出るなら今しかない。そこで、BENTOTECAに転換する決断をしました」。

「BENTOTECA」の料理は、基本的に和食。特徴は、イタリアで作られた日本の食材を起用しているところです。シグネチャーメニューは、牛タンのカツサンド。そのほか、牛骨髄と塩辛のブルスケッタ、マグロの赤身、中とろ、そして、鳩や鴨を使用したメイン……。和食と言えど、「Ristorante TOKUYOSHI」の感性は宿ります。ですが、最初から順調だったわけではありません。

「業態変更してからは、8人しかゲストが来ない日もありました。そこから改善に改善を重ね、今では、Ristorante TOKUYOSHIの売り上げ3倍。ウエイティングリストが600人を超えることもあります」。

それだけではありません。そのカツサンドを専門にした「Katsusanderia isola」、「Katsusanderia sidewalk kitchenもオープン。勢いは止まらず、現在は、「Pan」、「Piccolo Pan(3店舗)、「Mogoと、「BENTOTECA」を含め、ミラノに8店舗展開。独自の手法で店舗拡大を実現させました。

「思考を切り替え、一気に世界が広がりました。Ristorante TOKUYOSHI の時は、このレストランとイタリア料理のことしか頭にありませんでした。イタリアで日本の食材を使う考えもありませんでしたし、ミラノで和食をやるというイメージもありませんでした。ですが、コロナ禍を経て、自分は日本人として、この場に何が残せるのか。そう考えた時、日本の文化だと思ったんです。ALTER EGOにおいては、その逆を考えており、仔牛、チェダーチーズ、ラディッキオなど、日本で作られたイタリアの食材を起用したいと考えています。改めて、イタリア料理を日本で表現する意義を追求したいと思います」。

2020年5月。コロナ禍、医療従事者に食事を届ける活動を開始。当時、「社会貢献が目的ではありませんでした。ただ、本気の人を本気で支援したかった、僕なりの本気で応えたかっただけなんです」という言葉を残している。

全て資金は持ち出しだったが、続けるに連れ、食材を支援してくれる生産者も現れ、輪が広がっていった。当時、「経営的には苦しいですが、将来のスキルになればそれでいい。時にプライドを捨て、リスクを恐れず新たな挑戦をすることや環境に順応する能力も必要。今の努力は、きっと将来返ってくると信じています」と話していた徳吉氏。その言葉通り、努力は報われ、現代において飛躍的に進化。ビジネスという新たなスキルも身に付けた。

ALTER EGO×傳「料理に興味を持てなくなったら、未練なく辞める」長谷川

長谷川氏は、店舗拡大に取り組む徳吉氏とは、真逆の人生を歩んでいると言えるのではないでしょうか。しかし、「1店舗だけでは限界がある」という実情は、長年の課題であり、その意識は常に持つ。

「長くやらせていただくと、ありがたいことにお客様が増えていきます。ですが、席数は限られており、何とかしたいとは常に考えています」。

以前の場で約9年、今の場で約9年。未だ、「傳」は多店舗展開の予定はない。しかし、それを補う手法として生まれたのが、盟友「Florilege」のオーナーシェフ、川手寛康氏と始めた「デンクシフロリ」です。2020年に開業し、現在はバンコクにも展開しています。

「傳を多店舗展開する考えはありません。ですので、イズムを継いだメンバーによる多店舗展開という手法を自分は選択しました」。

ゆえに、今後、もし「傳」から巣立つ弟子などが生まれれば、その可能性は、より広がるのかもしれません。

「BENTOTECA」も然り、「デンクシフロリ」もまた、コロナ禍に活動。ふたりは、「あの時にどんな行動を起こし、どんな決断をしたか。それが今に繋がっている」と話します。

日本においては、自粛要請の期間が長く、営業するか否かは、レストランに委ねられていました。この二者択一に大きく意見が割れた現象も勃発しましたが、「傳」は営業を選択。「本当にお客様に助けられました」と語り、当時のお客様との関係は今なお続く。

「あの時、営業する決断をして、本当に良かった」。

国は違えど、そんな難局を経て、現在も第一線で活躍し続ける長谷川氏もまた、徳吉氏と同世代。現在、40代後半に差し掛かり、人生を振り返ることもしばしば。そして、「シェフをいつまで続けるのか」という難問と向き合うこともあると言います。

最近においては、2025年2月末。「コートドール」のオーナーシェフ、斉須政雄氏が長い歴史に幕を下ろしました。御年74歳の出来事です。「傳」においても、最後の場をイメージすることはあるのか。

「正直、今はわかりません。ここに居続けるのか、それとも、また移転するのか。ただ、これに関しては、ご縁だと思っています」。

一見、計画性のない発言のようにも受け取れますが、過去の場を紐解くと、これが長谷川在佑たる所以かと思わずはいられない事実も。修行時代の「うを徳」は神楽坂、独立し、開業した「傳」は神保町。そして、移転した現在の場は、神宮前。運命のいたずらか。全てにおいて、「神」が付く。(「デンクシフロリ」においても、神宮前)

「お客様、スタッフ、家族、皆様のおかげで、ここまで来ることができたと感じています。自分の意志も大事ですが、自分の場合、大きな選択の時には誰かに導いていただいたような気がします。自分以外の誰かに身を任せるということは、これからも大事にしたいと思っています」。

この言葉を伺い、この場=現「傳」に宿る何かを感じざるを得ない。なぜなら、「ル・ゴロワ」の大塚ご夫妻もまた、当時の常連、脚本家の倉本聰氏によって、導かれるように富良野へ。50代半ばの決断であり、現在、シェフの健一氏は、御年60歳を優に超える。本人の確認は得ていませんが、シェフ人生として、富良野を最後の場に選んだのではないでしょうか。

そう考えると、長谷川氏に「最後の場をイメージすることはあるのか」と問いたのは時期早々だったかもしれません。しかし、前出の回答の後、ふたつ、明確な答えを述べてくれました。

「最後の場は、どこになるか分かりませんが、確実に言えることは、東京であるということ。自分も女将さんも東京生まれ、東京育ち。最後も生まれ育った故郷で料理を作り続けていると思います。そして、もうひとつ、引退について。これは、いつか分かりませんが、年齢に関係なく、料理に興味を持てなくなった時は、最後だと思っています。その時は、未練なく辞められると思います」。

もちろん、そんな日が来ないことを願って。

2020年8月、「デンクシフロリ」開業に向け、工事のチェックに訪れた長谷川氏と川手氏。当時、「実は、一緒にお店をやれたらいいねという話は、10年以上前からしていて。でも、そのタイミングはいつまでにやるとかそういうことは決めていなくて、自然に身を任せながら良きタイミングが訪れた時にと思っていました」とふたりは話す。身をまかせることやご縁は、長谷川氏にとって一貫していたことが伺える。

ALTER EGO×傳場が生む、社会との交錯。

久々に元「傳」のキッチンで料理をした長谷川氏。

「ここに立つと色々なことを思い出しますね。頭に浮かぶのは、なぜか苦い思い出ばかりですが(笑)」。

やはり、この場は、今なお、長谷川氏にとって大事な場。キッチンに立ち、改めて、それを確信したのはないでしょうか。当時を振り返り、「神宮前に移った後も、次に譲ることなく、持て余していた時間もあった」と言います。なぜなら、自身が「ル・ゴロワ」を継いだ理由と同様、この場を無くしてしまいそうな人には継いでほしくなかったから。その時に、徳吉氏が名乗りを上げたのです。

「徳吉さんならと思い、ぜひ、継いでいただきました。それに、自分もまた還ることができる。今度は、お客さんとして」。

しかし、ひとつ素朴な疑問が浮かびます。そんな大事な場を、なぜ建て替えてしまうのか。いや、建て替えることができたのか。ここにも、徳吉氏のビジネス思考の選択と決断がありました。

レストランの多くは賃貸物件。この場もそうでした。しかし、今回、徳吉氏は、持ち主と協議し、物件を購入。だから、建て替えることができたのです。

「賃貸契約は、大体3〜5年。その多くが更新されるとは思いますが、約束されているわけではありません。多額を投じ、改装しても、更新されない可能性もあります。その不安を無くしたい気持ちは常にありました」。

購入の決断は、この場に根ざすということも意味します。ゆえに、長い将来を考え、建て替えを行う。

「場がなくなっても、人はいる。それに、自分にとっての大事な場を、徳吉さんがずっと守ってくれることは、この上なく嬉しい」と長谷川氏。

そして、新生「ALTER EGO」を皮切りに、徳吉氏の構想はもっと壮大に膨らむ。

「日本でもっと多店舗展開したいと思っています。それは、ALTER EGOのようなレストランに限らず、例えば、ミラノで展開しているカツサンド専門店かもしれません。お店を作ることによって、人の流れを生んだり、街の風景になったり。それが結果として、文化になったり。そんな活動を日本でしていきたい」。

良い店作りから、良い街作り、文化作りまで、視野を広げた徳吉氏は、レストランの意義を社会レベルで見定めています。さぁ、勝負はこれからだ。

古巣のキッチンに立つ長谷川氏。見る人が見れば、グリラーに貼られたステッカーも懐かしい。

長きにわたり、「傳」から継いだ場で活動してきた「ALTER EGO」。「色々な思い出が走馬灯のように頭をめぐる」と徳吉氏。

ALTER EGO×傳「自分だけの芯を持つこと」長谷川

星、トック、ランキング……。徳吉氏と長谷川氏は、数々の名声を受け、世界から評価されているシェフです。これは、誰もが納得する、紛れもない事実と言って良いでしょう。

しかし、数や順位は、落ちる時もある。そこに執着せず、自分らしくいるためには、どうすれば良いのか。「それは芯を持つこと」。

「レストランという見える場がある一方、見えない場に重きを置かれてしまうこともあると感じています。その最たるものが、スマートフォン、ソーシャルネットワークなどではないでしょうか。検索すれば、簡単に調べられるため、誰かと比べてしまう現象が生まれていると感じています。しかし、そこで勝負しても意味がない。本質はそこにない」と長谷川氏。

他所が星を獲った、あそこは何位だった。例え、耳を塞いでも、目を瞑っても、情報が流入してしまう現代において、知ることによって、無意識に比べてしまうのかもしれません。実体の見えない声は、大きさを増し、その現象は大袈裟ではなく、恐怖や狂気、時に暴力にもなる。これは、メディアにおいても、問題視すべきことだと強く認識します。そして、徳吉氏もまた、言葉を続けます。

「自分だけの点を持たなければいけない。それは誰も踏み入れることができない絶対領域。それがオリジナリティにつながる」。

長谷川氏は「芯」、徳吉氏は「点」という表現をしましたが、見解は同様。「それを持つことができれば、何があってもブレずに強くなる」とふたり。

言わんとしていることは理解できますが、難易度マックス。「これを若いシェフたちにも持って欲しい」と、さらにふたりは言います。

「最初は、誰かと比べたり、競争したり、勝負したりということも良い経験になるかもしれません。しかし、意志がないと流される。その先にある自分を見つけなければ、長く続けることはできないと思います。例え、レストランを開業できたとしても、そこがゴールではない。料理の技術を磨くことも大事ですが、人間力を磨いてほしい」と長谷川氏。

長谷川氏もまた、人間力を磨いた経験を持つ。「うを徳」の修行時代です。何が印象に残っていたかと聞くと、「靴並べや掃除、挨拶など」という回答が。「今、振り返ると、うを徳では、料理のことはもちろんですが、人として生きる上で大事なことを育ててもらったような気がします」。

そして、「うを徳」から独立する際、ある人との出会いもまた、「人生の指針になっている」と言う。故・中村勘三郎氏(当時・中村勘九郎)からいただいた言葉です。

「おにいちゃんは、ここで修行したんだから、型はできている。自信を持って好きなことをやりな。歌舞伎と一緒。型があるから、型破り。型がないと形無し」。

型破りの好例は、傳タッキーではないでしょうか。「当時は、日本料理の方々にたくさん批判されました」。周囲に飲まれ、辞めていたら駄作となっていたかもしれませんが、続けることによって、今は名作に。「行動次第で、失敗となるか、経験となるか、意味が違ってくる」。その行動を貫ける源は何か。芯です。

「食材との向き合い方も然り、ただ仕入れるだけか、収穫まで経験するか。例えば、同じ山菜も命が生まれる山中の場を知るか知らないかで扱い方も変わります」。

また、「傳」の魚は、多くの名シェフから絶大な信頼を得る前田尚毅氏率いる「サスエ前田魚店」のもの。鮮度にこだわる前田氏は、寝かせる魚を好みませんが、長谷川氏は、敢えて、それを行います。

「鮮度が良いのはわかりますが、それは地元のお店で食べる方がより美味しい。東京で前田さんの魚を食べる意義を見出したい」。

それができるのもまた、芯があるから。

「人生も折り返し地点。自分が教わってきたことを、今度は自分が傳(つた)える番。そんなことにも尽力したいと思っています」。

リリース当時は、批判もあったと言う傳タッキー。今では「傳」のシグネチャーメニューとなり、秘傳の愛情スパイスは、多くの人を虜にしている。「諦めてしまうから失敗になる。何事も諦めなければ達成できる」と長谷川氏。

平山氏の奥で盛り上がる「傳」チーム。「自分が教わってきたことを、今度は自分が傳(つた)える番」と話す長谷川氏が、まず最初に傳える対象となるのはスタッフ。ゲストの名前は必ず覚え、元気良く呼ぶ姿やきめ細やかなサービス、ハキハキとしたスタッフ同士の声がけ……。常に笑顔が絶えない「傳」には、ルールと自由が程よく混在し、独自の心地良さを作り上げる。「うちのスタッフには、他所では見ることができない世界を見せてあげたい」。傳タッキーよろしく、長谷川氏はスタッフにも秘傳の愛情スパイスを注ぐ。

ALTER EGO×傳「癌が人生を変えてくれた」徳吉

徳吉氏を大きく変えた出来事、それは、これまで綴ってきたよう、コロナ禍における出来事でした。しかし、それが一番ではありません。

2018年に宣告された、癌です。

「舌癌だったため、シェフとしても生きられない。そう思いました。その時に思ったんです。もし自分が死んだら、何が残せるのか」。

この経験が、徳吉氏を大きく変えました。

舌癌においては、早期発見だったため、舌の一部を切除するにとどまり、味覚にも影響なし。今も無事に料理と向き合うことができています。

「自分がいなくなった時のことを考え始めたのがきかっけで、レストランを変化しました。コロナ禍だけであれば、カツサンド屋でなく、パスタ屋を展開していたかもしれません」。

これまでの自分に執着せず、前述、「自分だけの点」を探し出せたのは、癌がきかっけ。変化したのは、レストランでなく、徳吉氏自身だったのです。

「ALTER EGO」とは、分身という意味を持ちますが、そのほかにも、別人格、もうひとりの自我という意味も持ちます。今の徳吉氏こそ、まさに「ALTER EGO」のよう。

そして、長谷川氏と同様の質問を徳吉氏にも問いてみました。最後の場をイメージすることはあるのか。

「イタリアです。ただ、シェフじゃない可能性もありますけどね」。

さらりと驚愕の発言を出せることもまた、「自分だけの点」があるからこそ。

徳吉氏と長谷川氏が言う「自分だけの点」と「自分だけの芯」における、「点」と「芯」とは、具体的に何なのか。

「これを言い当てられたら、もっと成長できるんですけどね」と長谷川氏。

「もう少し時間をかけて探したい」と徳吉氏。

ふたりは、まだ言語化に至りませんでした。いや、もしかしたら、本当はその言葉を持っているのかもしれないと疑うのは勘繰り過ぎか。

「僕たちは、感覚的なところがありますからね(笑)」と、ふたり。

いつか、その解を聞いてみたい。

「ALTER EGO」最終日には、「傳」からは長谷川氏以外にも多くのスタッフが参画。再オーオプンは、2025年7月予定。神保町に新たな風景が生む。

「Ristorante TOKUYOSHIを続けていたら、自分は何も残すことができなかったかもしれない」と徳吉氏。「君子は日に三転すではありませんが、目指すゴールは変わっても良い。止まらないことが大事」と長谷川氏。多くの経験から練り出されたふたりの言葉は、重く、深い。


Photographs:KENTA YOSHIZAWA
Text:YUICHI KURAMOCHI

シェフによる、シェフのための宴。スターシェフが一堂に会する“あり得ない夜”。[The Chefs Gathering/東京都渋谷区]

ホテルのバンケットキッチンが、クラブに。

とある日曜の夜、渋谷『TRUNK(HOTEL) CAT STREET』のバンケット・キッチン。クラブのように派手に飾られたその場所で、秘密の宴が始まろうとしていました。

まず会場で出迎えるのは100kg超級の本鮪。添えられた『やま幸』の競り札を見るまでもなく、ひと目で最高峰の逸品だと伺えます。煌めくネオンの照明、ガンガンと鳴り響く音楽、ずらりと並ぶドン ペリニヨン。さらに参加者の顔を見ると、さらなる驚きが待っています。それは日本を代表する、文字通りのトップシェフの面々。

あり得ない宴。奇跡の夜。

この『The Chefs Gathering』を知る人の多くは、そう語ります。

2017年に初開催された、シェフによる、シェフのための宴。5回目となる『The Chefs Gathering 2025』が、幕を開けました。

会場で参加者を出迎えた塩釜の巨大な本鮪。

仕掛け人の本田氏、『TRUNK(HOTEL)』の野尻氏の挨拶で幕を開けた。

開始直後からボルテージは最高潮。シェフ同士の交流で賑わう。

協賛はドン ペリニヨン。ドリンクサーブはドリンクディレクターの大越基裕氏が担当した。

自ら料理し、振る舞うシェフのためのイベント。

この『The Chefs Gathering』には基本的に、ただのゲストはいません。シェフたちは自ら料理をつくり、他のシェフたちに振る舞うのです。

バンケットキッチンのそこかしこに、無造作に並べられる完成した料理。皿が足りなければバットに盛られ、できたそばから手渡しで。それほどラフな雰囲気ではあっても、集うのはトップシェフたち。笑い合い、語り合い、ふざけ合いながらも、一度包丁を持てば一切の妥協なく自身の技術を料理に込めるのです。

『フロリレージュ』の川手寛康氏は、広島産のモリーユ茸に鰯を合わせ、シェフたちを驚かせました。パリからやってきた『Pages』の手島竜司氏はバジルオイルで仕上げたウフマヨ。ミラノ帰りの徳吉洋二氏は、イタリアの生ハムと鮪を合わせた一品を仕上げます。『鮨しゅんじ』の橋場俊治氏は、『やま幸』の山口幸隆社長が捌いたばかりの鮪を次々と握ります。『里山十帖』の桑木野恵子氏は、『cenci』の坂本健氏とコラボするために、地元新潟の山菜を摘んできました。

この日は“お金をもらってゲストに料理を提供する”という日常とは離れた、いわば遊びの時間。そして参加者の誰もが「本気で遊ぶ」ことの意義と楽しさを存分にわかっていたのです。

DJは美食家としても知られる音楽プロデューサーFPMこと田中知之氏。

鮪の解体は『やま幸』の山口社長自らの手で。

『フロリレージュ』川手氏の「モリーユ茸のイワシファルス」。

初参加となった『食堂とだか』戸高雄平氏と『天ぷら元吉』元吉和仁氏の合作「湯葉甘納豆チーズ 桜の香り」。

『鮨しゅんじ』橋場氏と、福岡『鮨 唐島』の唐島裕氏のタッグで生まれた握り。

それぞれの思いを胸に、料理と向き合うシェフたち。

「食べることで思いを分かち合う大切な時間」と能田耕太郎氏がいえば、『ブリアンツァ』の奥野義幸氏も「若いシェフにとって厨房で働くこと以外の経験を積むことも大切。今日ほど貴重な体験はない」とその思いを語ります。その言葉の通り『鳥しき』の池川義輝氏が鶏を焼く様子を、若手シェフたちが食い入るように見つめています。

郷土の誇りを胸にやってきたシェフたちもいます。

福島『丸新』の熊倉誠氏は「スターシェフに胸を借りる気持ち。その体験を持ち帰り地元に貢献したい」と謙遜しますが、持参した東北の食材の素晴らしさを自信を持って紹介していました。湯布院『ENOWA』のTashi Gyamtso氏も、朝収穫したばかりのアスパラガスを持って飛行機に乗りました。富山『レヴォ』の谷口英司氏も「富山の魅力を伝えるのも今日の使命。これを機に地方にも目を向けてもらえたら」と思いを語ります。

こうして、それぞれのシェフが、それぞれの思いを胸にしながら、美食と音楽と混沌の夜は続きました。

『丸新』熊倉氏がつくったのは「ブロッコリー見立て豆腐」「えんどう豆スリ流し」「ホタルイカと花わさび」の3品。

富山『ひまわり食堂2』の田中穂積氏の「豚バラとファラフェル キャロットラペ ミント添え」。

山形『OSTERIA SINCERITA』の原田誠氏の「馬肉ロースと根菜サラダのブーケ仕立て」。

『蕎麦おさめ』の納剣児氏は「クリームチーズの味噌漬け」に揚げ蕎麦チップをあわせた。

能田耕太郎氏がつくった「マグロとモルタデッラのピアディーナ」。

限界を定めぬ突飛な発想こそ、食の未来を拓く。

この「あり得ない夜」を現実のものとした背景には、ひとりの美食家の存在がありました。

その名は本田直之氏。

今回の40数名の参加シェフは、すべて本田氏の直接スカウト。つまりどの場所であろうと、本田氏が直接店を訪れ、料理を食べ、シェフと話し、今回の参加を願ったのです。

「同じジャンルのシェフ同士の繋がりはあっても、その垣根を乗り越えた繋がりはなかなかありませんでした。それはもったいないなと思ったんです」と本田氏。

その状況をなんとか打開できないか、と考えた末に生まれたのがこの「The Chefs Gathering」でした。その思いに「TRUNK(HOTEL)」代表取締役社長の野尻佳孝氏が共感し、現在の形になったのだといいます。

「どのジャンルにおいても業界を越えた繋がりがないと、広がりは生まれにくい。異なる技能を持つ人同士の親交からは、想像もつかないおもしろいことが起こるもの」そんな期待を胸に、本田氏は持てる知識と経験をフル稼働して、この「The Chefs Gathering」を開くのです。

これはシェフによる、シェフのための宴。

このような飛び抜けた発想から、日本の食の未来は築かれていくのかもしれません。

自身を「食の応援団」と語る本田氏(左)。思いを同じにする野尻氏(右)とともに。


Text:NATSUKI SHIGIHARA
Movie:NAOKI TOMITA

目から鱗の連続に驚嘆の声が漏れる。あるものをどうクリエイトするか?伊シェフが生み出すローカルガストロノミーの意味するもの。[長野県南木曽町]

囲炉裏でイワナを焼く南木曽の高橋渓流を訪れ、薪火でイワナをこんがりと焼くジャンルカ・ゴリーニ氏。イワナの身はもちろん、しっかりと焼くことで頭や骨から極上のスープを抽出する。

ローカルガストロノミーイベント「Cook The Forest 〜森を食べる〜」 。イタリア人シェフは南木曽町をどう表現したのか。

イタリア・エミリア・ロマーニャ州の山奥で6年連続星を獲得する名店『daGorini』。オーナーシェフであるジャンルカ・ゴリーニ氏は日本の、いや長野県南木曽町の食材にふれ語ってくれました。

「私の料理は山とともにあります。ですから、常に食材が潤沢にあるというわけではないんです。特に寒い冬の季節はね。だからこそ、自分の料理はシミュレーションができないと作れないわけではなく、リスクを取りながらでも今ある食材をクリエイティブしていきます。要は常に自分に対して、眼の前の食材を『ジャンルカだったら、どう使うんだ?』と自問する。するともうひとりの自分が奮い立ってきます。常に山と向き合い、あるものをクリエイトする。だからかな、似た環境の南木曽町にとても惹かれたんだ。やっぱり、自問して、『ジャンルカだったら、南木曽町でどんな料理を生み出すか。』答えはこうだ、ひとつひとつ生産者と向き合い成長しながらチャレンジする。ミスター岡部からローカルガストロノミーイベント「Cook The Forest 〜森を食べる〜」のオファーが届いた際に、真冬だからこそ受けたいと思ったんです」

そうなのです。さる2月下旬に長野県南部の南木曽町に降り立ち、すぐさま食材視察を3日連続、その後の試作をさらに3日、そのまま東京へと舞台を移し開かれたイベントこそが、今回ご紹介するガストロノミーイベント「Cook The Forest 〜森を食べる〜」。前回の記事では、ジャンルカ・ゴリーニ氏が巡った南木曽町の生産者とのふれあいをレポートしましたが、今回はいよいよ本番。意欲的なガストロノミーイベントで南木曽の食材がどうクリエイトされたのかに迫ります。

冒頭のジャンルカ・ゴリーニ氏のコメントは、視察後の談話より。南木曽で日常食べられている山菜いたどりや、木曽伝統の漬物すんき、糀味噌など、日本人でもどこか古臭いと感じられる郷土食材を連続で味わい、それをどう感じたかという質問の答えなのです。雪の残る山の町・南木曽町。食材乏しい、冬の南木曽町をイタリア人シェフ・ジャンルカ・ゴリーニ氏は、どう自らの料理へと昇華するのか。その意欲的なチャンレンジをレポートします。

フォレストゲート代官山日本食品総合研究所『調理室』で3日間開催されたローカルガストロノミーイベント「Cook The Forest 〜森を食べる〜」。食に感度の高い面々が全国から集まった。

客前で1品目を準備するジャンルカ・ゴリーニ氏。最終仕上げをゲストの目前で披露していく。

1品目「森のサラダ」。見た目はシンプルなサラダに見えるが、食べ進むうちにおこぎやスイバなど南木曽町ならではの野菜が顔を出す。わかめや海苔といったミネラル豊富な海の食材。これらも実は山の恵みであることを教えてくれる。

桜の花の塩漬けを大根のピクルスに忍ばせる。真冬のサラダと思いきや山菜の苦みや桜の香りなどで、春の到来を予感させるサラダに仕上げた。

2品目「森の魚」。親子でニジマスを養鱒する生産者植松氏にリスペクトを払った森の魚の皿では、ニジマスの身の上にぷりぷりのいくらをあしらう。捌いた後の頭や骨もソースに活用。

木曽駒ヶ岳の清流を利用する養鱒場が『いぶき養鱒場』。清冽な水の恩恵により驚くほど澄んだ味わいのニジマスなどを育んでいる。

“森”を冠したコースの構成に、南木曽への感謝が込められる。

まずはメニューに目を落とすと、すべての料理には“森”という言葉が冠されています。森のサラダ、森のスープ、森のラビオリ、森の肉……。

“森”とは、すなわち面積の94%が森林に覆われる南木曽町を意味するのでしょう。

期待に胸を弾ませながら、運ばれてきた最初の料理は「森のサラダ」です。

南木曽町のダイバーシティを表現したという一皿。ルッコラ、レタス、わさび菜、せりなどのほかに、春を告げる木曽地方の山菜おこぎ(南木曽の人々が親しんで呼ぶ“おこぎ”は、長野県南部地方特有の呼び名で、正式には「うこぎ」)、秋にとれた大根のピクルス、桜の塩漬け、雑草扱いされるスイバ(酸葉)、海のアクセントとして伊勢湾のわかめとのりなどがたっぷりと。

本店『daGorini』でも必ずフレッシュなサラダから始まるという1皿目は、まさにジャンルカ・ゴリーニ氏の原体験なのだといいます。

「私の祖父は家の前に畑を持ち、たくさん野菜を作っていたんだ。私も手伝いをしていましたが、よく勝手に畑に入り、そのまま野菜を味わい怒られていました。今ではその経験がいい思い出なのですが、その時からです。私は手間ひまかけて作ったとれたての野菜の美味しさを知っているのです。それは南木曽町でもそうでした。冬だから何にもないよと悔しがる生産者さん。でもですね、その後、必ずでもこれならある、いまはこれしかないと、どんどん見たこともない、山菜や野菜の保存食などが出てくるのです」

その体験をまさに一皿のサラダとして供してくれたのです。伊勢湾のわかめとのりが入っているのにも理由がありました。

94%が森林の南木曽町には木曽川が流れます。森を形成する腐葉土が木曽川を伝い200kmの旅をして伊勢湾の栄養に。魚種豊富な伊勢湾の恵みは、森のお陰で育まれる。海のものは山で作られる。そんな森の豊かさとともにそこに生きる生活の知恵、自然の循環、森の大切さを表現してくれたのです。

その後の森の魚は、ニジマスの一皿。木曽駒ヶ岳で育まれる水の美しさに驚いたと、ジャンルカ・ゴリーニ氏は表現します。親子で養鱒経営する『いぶき養鱒場』植松さんの仕事ぶりをそれこそがトラディションだと敬意を示し、料理も循環をテーマにニジマスの身といくらの醤油漬けをあわせます。さらに頭や骨からエキスを丁寧に抽出し白いソースに。ソースの酸味には、未成熟で形の不揃いだったいちごを使ったと笑います。本来であれば処分される骨や頭、未成熟で不揃いのいちごと、美味しさの理由の中に、食材へのリスペクトが自然と込められているのです。

森のスープに使用するキノコの試作風景。キノコのキャラクターを引き出すため、それぞれに異なる火入れや調理を施していく。

スタッフの理解を深めながら進む森のスープの試作風景。

4品目「森のスープ」。食膳に運ばれた瞬間、南木曽町の山の香りが立ち込めた。

5品目「森のリゾット」。あえて日本米を使用しリゾットにチャレンジ。完全無農薬のイセヒカリを使用。何度もトライした逸品。ヤギのチーズに、干し柿やどぶろくでアクセントを加えた。

7品目「森の肉」。森の肉には鹿肉を用意。味噌玉製法で作るパンチのある糀味噌を

まだまだ続く、Made in 南木曽のスペシャルプレート。

その後の森の貝では、またもや伊勢湾産のサザエをアレンジ。南木曽の3種の芋を合わせて、テクスチャーの違いで来場者を驚かせます。

続く白眉の森のスープは、テーマがウォーキングインザ・フォレスト(森の散歩)。木地師の里『木地屋やまと』の木の器に盛られた一杯は、まさに南木曽の森に佇んでいるような錯覚を覚える香りが立ち込めたのです。

「とにかく圧倒的に種類が多くて、それぞれにキャラクターがある。その個性をそれぞれ際立たせたいと思ったら森になったよ」とジャンルカ・ゴリーニ氏。

圧倒的な数とキャラクターと絶賛したのは南木曽のキノコだったのです。

ただし、それらをひとつの鍋でスープにしたわけではありません。

御岳ぶなしめじは蒸し。舞茸は味噌で。えのきは薪で香りをつけて、なめこはフライパンで焼き付けます。なかでも彼が特段、興味を持ったのはこうたけ(香茸)、地元では松茸以上に争奪戦だという広葉樹林に群生する香り豊かなキノコはあえて姿を見せず。秋に取ったものを乾燥させたこうたけで、丁寧に出汁を取ったのです。

仕上げにレモンとかやの実、チップにしたヒノキをあしらった森のスープは、驚くほどの香りと存在感で参加者を魅了したのです。

イタリア料理のプリモピアットであるパスタやリゾットは、日本人がどちらも大好きだよと聞いたので、ラビオリとリゾットの両方を提供。リゾットには放牧ヤギのチーズに柿やどぶろく、ラビオリには24時間かけて生み出すイワナのスープと、それぞれに生産者の顔が浮かぶ料理が並びました。

メインの森の肉。鹿のテンダーロインのステーキを糀味噌で味わった際に、うすうす気がついていた疑念は、確信へと変わりました。

そう、ジャンルカ・ゴリーニ氏は、今回の“森”を冠したコースの中に、南木曽で出会った生産者のすべての食材を料理に落としこんでいたのです。

左より今回のイベントの発起人でホテル「Zenagi」を運営する岡部統行氏(南木曽「ウェルネス農泊」推進協議会の代表も務める)、シェフの招聘に尽力した世界ナンバーワンフーディー・浜田岳文氏、シェフ・ジャンルカ・ゴリーニ氏

有志でチームに参加した最年少。長野県松本市出身で、辻調理師専門学校フランス校の卒業生・吉川瑠香氏はイベント後感動で思わず涙。

テロワールを生かした独創的な“田舎料理”を生み出し、世界から注目を集めている『daGorini』のジャンルカ・ゴリーニ氏。

長野県を中心に、東京山梨などから有志で今回のイベントに参加した料理人たち。

イタリア人の視点で見た南木曽町。そこに眠る土地のポテンシャルとは?

コースを食べ終えると、ある不思議な感覚に襲われました。

「南木曽の町には珍しい食材があるよのディスプレイだけにとどまらず、きちんと料理として積み上げている。シンプルにではなく、彼のクリエイティブできっちり手をかける。それが彼の感性であり、イタリアの伝統で日本人にはフレッシュなアプローチとなる。鹿に添えた味噌がその代表例。こういう会の場合、味噌を使いたい料理人は多いが、大量生産のどうでもいい味噌では意味がない。ジャンルカはクセの強い地元の糀味噌をジビエに合わせた発想が素晴らしいですよね。まさに、がっかり感の対局。日本にあるのに日本人が思いつかなかったことが悔しいですよね。たった1週間の滞在で食材が持つ個性を描き分けている。風味、テクスチャーとちゃんと向き合う、思考の深さが垣間見えました」とこの会に同席した、世界ナンバー1フーディーの浜田岳文氏は、食後にそう評してくれました。

そうなのです。食後に沸き起こった不思議な感情とは、悔しさにも似た驚きなのです。日本に根付いた伝統食や保存食。すぐ目の前にあるはずなのに、それを古臭いという固定概念で切り捨て、ガストロノミーイベントでなど、到底使うこともない。真新しいものには飛びつく我々の興味関心も、土地に根付いた伝統食にはどこか感覚が錆びついてしまう。それを全く違う土地から来たジャンルカ・ゴリーニ氏は、数日で軽々と飛び越え、日本人では思いも浮かばぬ調理法で森のコースに仕上げてしまったのです。

「訪れた生産者の食材は全員ほぼ使っている。簡単ではないけど、アイデアが浮かぶではなくて、顔を見て感情を感じて皿を作りました。パスタのカペレッティは、どのスープにするかずっと迷っていた。でも囲炉裏のイワナを見て、ストックにしたいと。もしくは、生産者の女性がふるまってくれたすんきの味噌汁。優しい酸味はグラニテにしたいと。木曽れんこんの甘さと粘りもデザートになるなと。出会ったみんなの顔を思い浮かべて、だんだんイメージができてきた。ナーバスにはならないで山にあるもので考える。南木曽を回った際の生産者のエモーションからアンサーがでてくる。そう自分を信じていたんだ。明日は南木曽に戻り、生産者さんのディナー会でフィニッシュだ。どんな顔をしてくれるかとても楽しみです。グラッツェ!」

イタリアの山の町から訪れたシェフ・ジャンルカ・ゴリーニ氏。

驚きと感動と、料理への情熱、山への感謝、生産者へのリスペクト……

ローカルガストロノミーとは、どれだけ地方を理解できるかに尽きるのでしょう。

それを約1週間の滞在で、誰よりも深く、誰よりも濃く、誰よりも熱く表現した今回の「Cook The Forest 〜森を食べる〜」。

ジャンルカ・ゴリーニ氏が描いた皿の数々は、数日の幻のように2度と味わうことができないのかもしれません。

ただし、終わりではないのです。怒涛のごとく彼と数日をともにした有志の日本人シェフたちは、またそれぞれの調理場へ、日常へと還るのです。きっと今後の彼らの料理には、その影響が描かれていくのではないでしょうか?

それこそがジャンルカ・ゴリーニ氏が言うところの、エモーショナルな瞬間なのでしょう。このイベントが残した軌跡は、きっとそんな波紋となり、広がっていくことを期待せずにはいられません。

東京でのイベントを終えた翌日、南木曽町へ戻り、お世話になった生産者を招待した特別ディナーが振る舞われた。

自らの作った食材がジャンルカ・ゴリーニ氏の調理により、スペシャルディナーとして供される。一堂、驚きと喜びが交錯し、楽しい宴となった。

住所:長野県木曽郡南木曽町田立222
https://zen-resorts.com/
南木曽「ウェルネス農泊」推進協議会
https://nagiso-wellness-tourism-council.com/


Photographs:TOMOHIRO MATSUNAGA
TextTAKETOSHI ONISHI

2025年5月5日マルニ創業記念日。

2025年5月5日マルニ創業記念日。

1972年より上越市高田本町商店街で創業。

おかげさまで53年を迎えました。

お客様、お取引先各位様、社員に感謝して

これからもご指導ご鞭撻のほど

何卒よろしくお願いします。

本日、にいがた経済新聞様より記事掲載頂きました。

7.5ozヘビーボディプリントTシャツ(ロゴデザイン柄)

    HoppingShowerテツ氏によるアイアンハートのデザインロゴ柄

  • 着やすさと丈夫さを兼ね備えた7.5ozオリジナル(丸胴)ボディ ※レディースのみ脇はハギ合わせになります。
  • ボディ:14番単糸度詰め天竺(7.5oz)
  • ネック:30/2度詰めフライス
  • バック+フロントプリント
  • ワンウォッシュ済み

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
L-F 63.0 38.0 82.0 82.0 16.0
XS 64.0 42.0 90.0 90.0 18.0
S 67.0 44.0 96.0 96.0 19.0
M 70.0 46.0 102.0 102.0 20.0
L 72.0 49.0 108.0 108.0 21.0
XL 74.0 52.0 114.0 114.0 22.0
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください。

素材

  • 綿:100%

毘沙門天ジーンズ入荷!

お待たせ致しました!
毘沙門天ジーンズ入荷いたしました。
GWに間に合って良かったです♪
天然水仕込みの洗い加工で仕上げます。
ご来店よろしくお願いします。

営業時間
9:30-18:00
4/30定休日・5/7定休日
Sorry for keeping you waiting!
Bishamonten jeans now in stock.
I’m glad it was in time for Golden Week ♪
Finished with washing processing, which is made with natural water from Myoko.
Online shopping page
https://store.shopping.yahoo.co.jp/maruni-jeans/a5dea5eba5.html?X=5
Please come and visit us.

Opening hours
9:30-18:00
Closed on 4/30 and closed on 5/7
For more information, please click here.
https://maruni-jeans.com/news/3876/

鳴門公園(渦の道)GW期間 臨時駐車場のご案内


ゴールデンウィークには例年、鳴門公園に沢山のお客さまがお越しになります。
特に5/3から5/6の4日間は、交通集中により渋滞が鳴門北IC付近まで延びる恐れがあります。
鳴門公園にお越しの際は、鳴門ICから鳴門スカイラインを経由するルートも是非ご検討ください。
亀浦港埠頭用地に臨時駐車場を設けてシャトルバスを運行し、鳴門公園まで送迎いたします。
鳴門公園有料駐車場が満車となりましたら、こちらの無料臨時駐車場をご利用ください。

実施期間

2025年5月3日(土) ~6日(火)まで(計4日間)
9時00分~18時00分 ※臨時駐車場からの最終発車時間は17時00分

運行区間

臨時駐車場 ~ うずしお汽船前 ~ 千畳敷 ~ 第一駐車場前 ~ うずしお汽船前 ~臨時駐車場

臨時駐車場の駐車台数

約400台
※ 各観潮船・大塚国際美術館をご利用のお客様は、各施設の専用駐車場をご利用ください。

料金

臨時駐車場・シャトルバスともに無料です。

渋滞予測・交通情報について

本四高速渋滞予測

ゴールデンウィーク期間の高速道路における渋滞予測について

日本道路交通情報センター

日本道路交通情報センターJARTIC
※トップページより「四国」を選択し、「高速(四国)全域」をご参照ください。

公共交通機関について

●大阪⇔徳島

JR四国バス

阪神バス

●京都⇔徳島

京阪バス

●徳島駅⇔鳴門駅⇔鳴門公園

徳島バス株式会社

平日ダイヤ
休日ダイヤ

GW期間は渦の道・エディの営業時間を延長いたします

渦の道・エディ

実施期間・営業時間

2025年4月29日(火)~5月6日(火)

渦の道 8時00分~19時00分(最終入館18時30分)
エディ 8時00分~18時00分(最終入館17時30分)

渦の道HP

渦の道HPからのお知らせ

 

ダブルフロントデニムショーツ

サイズスペック

  ウエスト 前ぐり 後ぐり ワタリ 裾巾 股下
W30 79.0 23.0 37.0 31.5 26.0 19.0
W32 84.0 24.0 38.0 33.1 27.0 19.0
W34 89.0 25.0 39.0 34.7 28.0 20.0
W36 94.0 26.0 40.0 36.3 29.0 20.0
W38 99.0 26.0 40.0 37.1 29.0 20.0
W40 104.0 26.0 40.0 37.9 29.5 20.0
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。
  • ワンウォッシュ済み

素材

  • 綿:100%

生産国

  • 日本

マドラスチェック半袖ワークシャツ

商品詳細

  • 5ozのマドラスチェック生地で作った半袖ワークシャツ
  • 【IHSH-418】マドラスチェック半袖ウエスタンシャツと同じ素材です
  • シャトル織機で織り上げた特徴ある生地
  • チェック柄を織ることができるシャトル織機は日本国内に数台しかなく、非常に価値ある素材です
  • 転売不可Proxy is prohibited

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
S 70.0 43.0 109.0 104.0 24.5
M 71.5 45.0 113.0 108.0 25.5
L 73.0 47.0 117.0 112.0 26.5
XL 74.5 49.0 121.0 116.0 27.5
XXL 76.0 51.0 125.0 120.0 28.5
XXXL 77.5 53.0 129.0 124.0 29.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • コットン:100%

生産国

  • 日本

インディゴオックスフォードセルビッチ半袖シャツ

商品詳細

  • シャトル織機を使って織り上げた価値ある生地
  • 経糸は40番糸2本の引き揃え、緯糸は10番1本のオックスフォード地でヒッコリー柄、ピンストライプ柄を表現
  • 色の濃い部分はロープ染のインディゴ糸
  • 生地は5ozと、アイアンハートでは比較的軽め
  • 前立て裏、カフス裏は赤耳使いの仕様
  • ワンウォッシュ済

素材

  • 綿 100%

生産国

  • 日本

マルニ店舗2FにてFAIR開催のお知らせ!

日ごろ大変お世話になりまして誠にありがとうございます。下記の日程にてsot &quadro Pop up Fair 開催いたします。

ブランドご紹介

開催日程 2025年4月19日より

quadro6/9まで開催 。sot 6/29まで開催。

徳島県観光協会の一部の電話の不通について

(一財)徳島県観光協会の088-624-5113(アスティとくしま内)の電話回線につきまして、本日4月15日(火)は留守番電話となっております。

お急ぎの方はお手数をおかけしますが088-621-3050または090-6880-7270にお電話いただけますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

マドラスチェック半袖ウエスタンシャツ

商品詳細

  • 5ozのマドラスチェック生地で作った半袖ウエスタンシャツ
  • 【IHSH-419】マドラスチェック半袖ワークシャツと同じ素材です
  • シャトル織機で織り上げた特徴ある生地
  • チェック柄を織ることができるシャトル織機は日本国内に数台しかなく、非常に価値ある素材です
  • 転売不可Proxy is prohibited

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
XS 68.5 41.0 105.0 102.0 23.0
S 70.0 43.0 109.0 106.0 24.0
M 71.5 45.0 113.0 110.0 25.0
L 73.0 47.0 117.0 114.0 26.0
XL 74.5 49.0 121.0 118.0 27.0
XXL 76.0 51.0 125.0 122.0 28.0
XXXL 77.5 53.0 129.0 126.0 29.0
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • コットン:100%

生産国

  • 日本

僕らしかできないプラットホーム。それは、持続可能な地域経営。

名無しの蒸留所「NO NAME DISTILLERY」として、サステナブルジン「YORI」を開発・製造。代表の小口潤氏を中心にプロジェクトチームを形成。

NO NAME DISTILLERYよりあわせる先に見える世界。

「YORI は、よりあわせる。いくつもの細い糸を、1本の、太くしなやかな糸にする。YORIは、よりよくする。環境を、地域を、経済を。YORIは、地域からのたより。その地域ならではの味わいを、いちばん引きたつ融合で提供する。YORIはジンであり、絆であり、解決策であり、ストーリーである」(YORI HP より一部抜粋)。

タイトルに置いた「僕ら」とは、この「YORI」を指します。

「目的は、良い酒造りだけではなく、良い地域作り」。そう話すのは、「NO NAME DISTILLERY」代表・小口潤氏です。

「NO NAME DISTILLERY」とは、その名の通り、名無しの蒸留所。日本の地域素材を活用した社会課題循環型サステナブルジンを開発・製造するプロジェクトです。現在、北海道上川、静岡県富士、広島県大崎上島、愛知県岡崎、千葉県柏の計5地域より、5品をラインアップ。

「YORIの決まりごとはひとつ。ひとつの品に対し、ひとつの地域とパートナーシップを結び、価値を持たないものをメインボタニカルに置くこと」。

例えば、北海道上川では、3種の松の葉や酒粕などを使用。松は、剪定のため、切り落とされた残葉を活かします。広島県大崎上島では、オリーブかす、ポンカンなどを使用。オリーブオイルを製造する過程に出た搾りかすや雹(ひょう)の被害にあって流通できなかったポンカンの木などを活かします。それ以外にも、地元大学とも連携し、そこで育てた植物の起用や愛知県岡崎では、八丁味噌、しめ縄!?なども。

どれも個性的ですが、それは奇をてらったものではなく、もともと地域にあったもの。名無しの蒸留所ゆえ、これらは、KAMIKAWA、FUJI、OSAKIKAMIJIMAなど、地域名で呼称されていることも「YORI」の個性。そんな産地への想いはエチケットにも表れ、ブランド名「YORI」より上に地域名を冠しています。

そして、特筆すべきは、廃棄されるものとはいえ、素材は基本的に買い取っているということ。「処分するものだから、無償でどうぞって言ってくださる方々がほとんどなのですが、それでは社会課題循環型サステナブルにはならないので」。まず、ここで地域に利益を生みます。

「YORIは、地域のプラットホーム。YORIをよりあわせることにより、関係人口、関心人口を増やしていきたいと考えています」。

例えるならば、「YORI」は、地域を引き立てる名バイプレイヤー。主役=地域>脇役=「YORI」の関係なのです。

また、「香りを引き立てるため、あえて味の個性が前に出ない醸造アルコールをベースに採用しています」と話すよう、香り=地域>味=「YORI」の関係によって、「YORI」の特性も構築されます。

加えて、バーテンダーのようなクリエイティビティやテクニックがなくとも、水、ソーダ、トニックなど、割りものとして楽しめるゆえ、地域のあらゆる店舗、あらゆる人が作っても高品質な味を約束。

「技術がないと美味しくならないのでは、地域に根ざすことができませんから」。そして、それを定着させることによって「地域の地酒のような存在になってもらえたら」。これが小口氏の理想。

よりあわせることによって、理想を現実に。そんな活動を、今この瞬間も続けているのです。

各地の生産者は、「YORI」には欠かせない存在。「YORIは、地域の皆さまと一緒に作るブランドです」と小口氏。

四季や土壌、各地の表情が豊かな日本だからこそ、個性的な植物が育つ。素材が生まれた地を訪れれば、より一層、「YORI」は味わい深くなる。

北海道のど真ん中、「神々の遊ぶ庭」と言われる大雪山国立公園に位置する上川町。その厳しい自然で育った3種の松を、一番香りが引き立つバランスで融合。「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」2024年スピリッツ部門にて、ブロンズを受賞。

北に富士山、南に駿河湾を臨む、静岡県富士。その温暖な気候で育った数種の柑橘を中心にほうじ茶などをブレンド。「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」2024年スピリッツ部門にて、シルバーを受賞。

NO NAME DISTILLERYアイディアよりも必要な能力。

実は、小口氏の本業は、地域の事業コンサルタントなどを主に活動する「Connec.t」代表。現在、「YORI」は、ふるさと納税の返礼品にも選定されるほか、流通や取り扱い店舗も増えつつあり、これは、「Connec.t」として活動してきた知識と経験が大きく作用しているといっても過言ではありません。

そのほか、「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」や「日本産酒類の発展・振興を考えるビジネスコンテスト」など、数々の賞も受賞。現在は、広尾にて実店舗「COYORI」も構える。

つまり、結果的に、「Connec.t」と「NO NAME DISTILLERY」は運命共同体。「Connec.t」小口氏の頭脳を持って、「NO NAME DISTILLERY」小口氏の思想をカタチにしているのです。

「実を言うと、ジンを作りたくて、作ったわけじゃなくて。どうすれば地域を循環させる経済を生み出せるか。どうすれば地域に利益を生み出せるか。その仕組み作りを考えた時、ジンであればできると思ったのがきっかけでした」。

そんな本音をさらけ出してしまう小口氏の言葉に嘘はない。

また、「YORI」をきっかけに、様々な活動にもつながる。そのひとつ、某所にて、耕作放棄地の活用事業もこれから始まるという。植物のアップサイクルから、地のアップサイクルへ。これは、小口氏も予想しなかった展開でした。

「ジンに必要なジュニパーベリーは、日本の生産がほぼないのが現状です。これは、気候によるものが大きいのですが、どこか育成に適した地があるのではと調べています。もし実現できれば、それもまた、地域と一緒に取り組むことができればと考えています。それ以外ですと……」。ここから先は、まだ構想段階のため、御内密。ただ、それが実現できたあかつき、もとい、よりあわせることができたあかつき、「YORI」の世界は一気に拡張するでしょう。

そんな小口氏が何より長けている点。それは、「YORI」というアイディアや創造力以上に、実現できる能力を備えていたことにあると考えます。

実際、良いアイディアを持ち合わせている人は少なくない。しかし、それを実現できる能力がある人は、ごくわずか。アイディアは、実現できる能力を兼ねて、初めて活きる。但し、それに伴い、責任を負う覚悟も必要とされます。

小口氏は、毎回産地に足を運び、人に出会い、地を学ぶ。ゆえに、「YORI」は、各地域によって、オートクチュールされるため、同じフォーマットはない。それはまるで冒険のようだ。

「まだまだ課題も多く、全てにおいて一筋縄にはいきません。ただ、地域に対して、生産者さんに対して、そして、YORIに対して、正直に向き合いたい。今後、YORIがよりあわせることによってどんな世界が広がるのか……。自分自身も楽しみ」。

何を隠そう、小口氏もまた、「YORI」によりあわせてもらっているひとりなのかもしれない。

TEL:070-8315-0902
住所:東京都渋谷区広尾5-14-4 広尾SKビル 2F
公式 Instagram

マルニ謹製和柄ベルト入荷!

商品入荷いたしました!

マルニオリジナル 和柄ベルト’25のご紹介です。

厳選した国産の和柄生地を使用したマルニオリジナル和柄ベルトの新作が入荷しました。
バックルはダブルピンタイプで、サイズは調整可能なフリーサイズです。
ジーンズとの相性も良く、気軽に和柄スタイルをお楽しみ頂けます。
ギフトにも大変オススメです。

幅4cm×長さ130cm(バックル先端より剣先までの長さ) 調節可能26穴
生産国:日本
素材:合皮
柄:1,桜、2,菊、3,マルチ、4,うさぎ、5,波
※生地の取り位置によって、柄の出方が異なりますのでご了承下さい。

通販ページこちらからご覧くださいませ。

「ジェントリ」で徳島県が紹介されました!

WEBメディア「GENTRY(ジェントリ)」で徳島県おすすめドライブデートコースが紹介されました。
徳島駅をスタートし、東部エリアを巡るコースとなっています。
記事内でご紹介されている藍住町バラ園は春の5月中旬頃、秋の11月下旬頃のバラの見頃に合わせてバラまつりを開催しております。
徳島県を観光する際には、ぜひ参考にご覧ください。

「GENTRY(ジェントリ)」紹介ページ

【徳島県ドライブデート】320種のバラ園から琥珀色の徳島ラーメンまで堪能する旅

田舎町・南木曽でイタリア人シェフは何を想う。世界が求めるローカルガストロノミーの現在地。[長野県南木曽町]

今回のイベントのために集まったチームジャンルカ・ジャパンの面々。およそ10日間でジャンルカ氏を中心にひとつに。

ローカルガストロノミーイベント「Cook The Forest 〜森を食べる〜」 担当シェフは、世界を魅了する気鋭のイタリア人シェフ。

土地土地の風土や文化、歴史を料理に落とし込み、その地域固有のテロワールを美食として味わう。現在、ローカルガストロノミーという言葉で表現されるある種の文化が日本でも浸透しはじめ、地域固有の食材や保存食、伝統調理などを再解釈する動きは、全国で加速していると思われます。東西南北にのびる日本の地理と海に囲まれた島国を背景に、東北、北陸、九州など、同じ日本とは思えないほどバラエティ豊かな食文化を再認識できるのも、日本のローカルガストロノミーの最大特徴ではないでしょうか。我々、ONESTORYでも幾度となく各地で表現されるローカルガストロノミーの雄や熱意あるイベントを紹介してきましたが、雪の残る今年2月、ある意欲的なイベントが開催されました。

場所は長野県・南木曽町。

面積の94%が森林に覆われた美しい森の町という表現もできるのですが、中山道の宿場町として古い町並みを残すこの場所は、なかなかにアクセスも容易でなく、人里離れた田舎の町でもあるのです。海がなく、雪に覆われたかつての宿場町。1年でも特に食材の乏しいこの季節に、この地を訪れ、地域と食材、そこにまつわる人々を巡ったのはジャンルカ・ゴリーニ氏。なんとイタリア・エミリア・ロマーニャ州で6年連続星を獲得する世界的なシェフだったのです。

ONESTORYでは、ジャンルカ氏の南木曽視察の取材に同行し、さらにはその後、東京で開催されたお披露目イベントまでを密着。2回にわたり、世界で称賛を集めるシェフが見た南木曽と、ローカルガストロノミーの現在地をレポートさせていただきます。

左は長野県・南木曽の山、右はイタリア北東部・エミリア・ロマーニャの山。国は違えど、面積の大半が森に囲まれるという酷似した環境。

左より今回のイベントの発起人でホテル「Zenagi」を運営する岡部統行氏(南木曽「ウェルネス農泊」推進協議会の代表も務める)、シェフ・ジャンルカ・ゴリーニ氏、シェフの招聘に尽力した世界ナンバーワンフーディー・浜田岳文氏。

有志で参加した料理人が集い、チームジャンルカ・ジャパンを結成!

AM8:00。

1時間に1本ほどしかない中央本線から南木曽駅に降り立ったジャンルカ氏。あまりに自然豊かな南木曽までの車窓の風景の感想を聞いてみると

「僕の故郷にとても似ていて、とても落ち着いたよ。空気も澄んでいて、いい場所だね。素晴らしい出会いがありそうだ」と笑うのです。

そうなのです、彼の店『daGorini』のあるイタリア北東部・エミリア・ロマーニャ州の田舎町も南木曽同様、森林に囲まれた山の町。独創的な田舎料理とも評されるジャンルカシェフは、多様なキノコやジビエ、淡水魚を用いた料理で世界中から訪れるゲストを魅了しているのです。

南木曽駅からまずは役場に向かい、今回のポップアップイベントチームの顔合わせへ。今回、ジャンルカ氏は、イタリアから単身で日本へ、そのまま南木曽町へと直行し、日本人の有志の料理人とともに即席チームを作るのです。

以下、有志で参加した料理人。
長野県木曽郡木祖村『base』オーナーシェフ・神出達樹氏。
長野県飯田市『BISTRO Freres』オーナーシェフ・久保田春樹氏。
山梨県北杜市有機農家『restauro terra』(元『アル・ケッチャーノ』料理人)杉浦秀幸氏。
長野県松本市出身で、辻調理師専門学校フランス校の卒業生・吉川瑠香氏。
東京都千代田区紀尾井町『MAZ』料理人・藤森祐太氏。
長崎県出身で、『Zenagi』のサポートシェフ・中尾恵氏。

職場もジャンルも立場も違う6名の有志の料理人がジャンルカ氏とともに料理がしたいと集まり、言葉の壁を乗り越え、短時間でチームを目指します。予定では南木曽町での生産者や食材視察を3日間、その後料理の試作を3日間、そのまま東京へと舞台を移し3日間のイベントへ。さらに再び南木曽町へと戻り生産者ディナーという強行軍。限られた時間、限られた食材、限られたメンバーという制約の中、南木曽町をいかに感じ、どう表現するのか。

それこそが今回のガストロノミーイベント「Cook The Forest 〜森を食べる〜」。

イベントの主催は南木曽で1日1組限定の宿を運営する『Zenagi』であり、究極のプライベート体験を提案する同宿ならでは試みなのです。(地域の食材の生産者や観光業者で作る、南木曽「ウェルネス農泊」推進協議会との共催)

それぞれ背景の違う料理人がジャンルカ氏のために集結。ともに南木曽での視察を重ね、料理を作り、自然と魅力あるチームが形作られた。

標高の高いエリアはまだまだ雪が残る2月の南木曽町。撮影はヤギのチーズを製造販売する『MAUKA LANI GOAT FARM』の農場にて。

大妻籠宿の『旅籠つたむらや』の伊藤兼彦さんは、どぶろくや蜂蜜やキウイなども生産する。ジャンルカ氏もすぐに意気投合。伊藤さんの物づくりへのパッションを高く評価。

『みなとや農園』で百合根を熱心に見つめるジャンルカ氏。

収穫量が極端に減る冬の畑で熱心に『みなとや農園』の西尾美佐緒さんの話を聞くジャンルカ氏。常に水と土についてを気にしていた。

なにもないは嘘。冬の大地にこそクリエイティブは眠っていた!

役場での顔合わせを終えるとジャンルカ氏は、チーム皆と同じバンに乗り込み、早速、南木曽町が織りなす森が育む生産者を朝から晩まで巡っていったのです。

まず訪れたのは無農薬で自然米や自然野菜を作る農家『みなとや農園』の西尾美佐緒さん。特に印象的だったのは、生産者・西尾さんの話に耳を傾け、水の性質、土の状況など、なにもない冬の畑を熱心に見つめるジャンルカ氏の姿でした。

「なにもないって感じるだろうけど、すでに春の息吹はたくさんある。在来種のきそれんこんには驚いたよ。畑でかじったけど、甘いんだ。すぐに使いたいアイデアがいくつも浮かんだ。固有の野菜や山菜、お米も気になるものだらけだよ」とジャンルカ氏。

その後も郷土の山菜・イタドリの食文化を伝承する『広瀬いたんどり会』、山麓でヤギを飼育しヤギのチーズを作る『MAUKA LANI GOAT FARM』、どぶろくを製造する『旅籠つたむらや』、中央アルプスの清冽な水でレインボートラウトを養殖する『息吹養鱒場』、イワナを養殖する『高橋渓流』、木曽の地酒を守り続ける『杉の森酒造』、天然醸造で糀味噌を作る『小池糀店』、木曽伝統の漬物すんきを広める『木曽すんき研究会』など、時間の許す限り生産者を周るのですが、ジャンルカ氏の希望は、南木曽ならではの発酵文化や伝統食、水が育む森の食材ばかり。

そこには豪華な食材もなければ、色とりどりのハーブや野菜もごくわずか。まさに真冬の雪山や閑散とした畑が生む、南木曽の住民が普段味わう食文化が中心だったのです。


冬の南木曽の食材を知り、いよいよ氏のクリエイティブが本領発揮。

「いやー、最高に刺激的な視察だった。求めているものは見つかった気がするし、予定にないサプライズもたくさんあった。はじめての日本でまだ都市には行けてないけど、ずっと来たかった日本で、南木曽は想像以上だった。そして僕の故郷に似ていた。なにもないように思われるけど非常にクリエイティブな場所だった」とジャンルカ氏。

イタリアでも同様に山を理解し、そこにあるものを使い料理を作る。それは季節に寄り添うことでもあるとジャンルカ氏は笑いました。だからこそ地元の人が大切に守り育てる食文化に興味があったとも。食材が乏しい冬こそ、料理人の真価は問われる、だからこそこのプロジェクトを受けたんだと話してくれました。

次回の記事では、いよいよ試作を終えたシェフ・ジャンルカ×南木曽食材、即席チームジャンルカ・ジャパンが躍動したローカルガストロノミーイベント「Cook The Forest 〜森を食べる〜」の全貌を紹介。フーディーを魅了した驚きの料理の中に、ジャンルカ氏が表現する南木曽の豊かさを感じていただきます。

『みなとや農園』西尾美佐緒さんの野菜作りの精神に感銘を受けるジャンルカ氏。

南木曽の山麓でヤギのチーズを作る『MAUKA LANI GOAT FARM

すんき、イタドリ、麹など、冬の南木曽の保存食に興味津々。どう料理に使われるのか?

住所:長野県木曽郡南木曽町田立222
https://zen-resorts.com/
南木曽「ウェルネス農泊」推進協議会
https://nagiso-wellness-tourism-council.com/



Photographs:TOMOHIRO MATSUNAGA
TextTAKETOSHI ONISHI

店頭にて利用可能!妙高市ふるさと納税。

日ごろ大変お世話になります。

新潟県妙高市へのふるさと納税の返礼品として、マルニジーンズの店頭で使用できる返礼ポイントをご利用いただけます。

返礼ポイントは、店舗にて全てのマルニオリジナル商品やアフターサービス代金をお支払いの際にお使いいただけます。お支払後、残ったポイントは次回のお支払にご利用頂けます。(有効期限1年)。

下記バナーにリンクされている「ふるさとリンク」の公式サイトにて、寄付申込と決済を簡単・スムーズな操作で行えます。同サイトでは、詳しいメリットや操作説明の動画もご覧いただけます。

↓詳しくはこちらをご覧くださいませ。

ふるさとリンクこちらから寄付も可能です。

是非とも地域貢献とともにご利用頂ければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

店頭にてご使用可能なふるさと納税開始いたしました。

日頃大変お世話になっております。

新潟県妙高市へのふるさと納税の返礼品として、マルニジーンズの店頭で使用できる返礼ポイントをご利用いただけます。

返礼ポイントは、店舗にて全てのマルニオリジナル商品やアフターサービス代金をお支払いの際にお使いいただけます。お支払後、残ったポイントは次回のお支払にご利用頂けます。(有効期限1年)。

下記バナーにリンクされている「ふるさとリンク」の公式サイトにて、寄付申込と決済を簡単・スムーズな操作で行えます。同サイトでは、詳しいメリットや操作説明の動画もご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧くださいませ。ふるさとリンク

是非とも地域貢献とともにご利用頂ければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

伝統の奄美食材と革新的な薪火調理との邂逅(かいこう)。山海の滋味は新たな境地へ。

豊かな自然に魅せられた画家・田中一村の眼差しを感じながら。

2024年は、かつてないほど「田中一村」という名が燦然と輝いた年でした。東京都美術館で開催された「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は来場者28万人以上を記録。知られざる孤高の日本画家に大きな注目が集まりました。一村が中央画壇を離れ、日本画の新境地を開いた地が奄美です。

奄美を舞台にしたランチイベント「Landscape Cuisine Amami」は、田中一村記念美術館のガイドツアーから始まりました。一村の作品や資料を多数所蔵する同美術館では、作品約80点が常設展示されています。美術館スタッフによる案内の中で特に詳しく解説された作品がありました。五色エビとシマイセエビ、ウマヅラハギなどをコラージュした「海老と熱帯魚」です。この作品は、これからいただくスペシャルランチと深い関わりがあると言います。

ランチコースを監修するのは薪火料理を得意とする米国人シェフ、タイラー・バージズ氏。2019年の「DINING OUT WAJIMA」に参加したのをきっかけに日本に惚れ込んで移住し、2022年にオープンさせた横浜の薪火レストラン「SMOKE DOOR」で腕を振るうトップシェフです。たびたび来島して食材の生産者を訪ね、島の伝統調理法などのリサーチを重ねていた彼は、これらの絵から大きなインスピレーションを受け、新しい料理を生み出すエネルギーを得たそうです。奄美の豊かな自然を徹底的に見つめ続けた一村の眼差しに共鳴し、表現者として掻き立てられるものがあったのでしょう。ゲストの期待もふくらみます。

ランチの会場はオーシャンビューのホテル「THIDA MOON」。まずはその2階に併設された大島紬美術館を見学します。泥染めと草木染めを何度も行い、緻密なかすり模様が特徴の大島紬は、世界三大織物にも数えられる高級織物。奄美に移住した一村は、大島紬の染色工として働き、蓄えができたら画材を買って絵を描くという生活を繰り返していました。この美術館では、大島紬の製作工程について知識を深められると共に、一村の作品を忠実に模してデザインした着物や帯を鑑賞することができます。

田中一村記念美術館にて、作品について解説に耳を傾ける。時代を超えて愛される一村の芸術性にしばし浸る。

大島紬美術館を見学。複雑で手間のかかる製作工程について詳しく知ることができ、田中一村の絵がデザインされた貴重な着物をつぶさに鑑賞できる。

海から山から、多彩な料理でめくるめく登場する奄美食材。

ホテルのテラスから庭に降り立ち、アダンの木に覆われたトンネルを抜けると、目に飛び込んで来るのは一面の大海原。ウェルカムドリンクでいよいよランチの幕開きです。

フィンガーフードは田中一村の「海老と熱帯魚」にインスパイアされた「伊勢海老と熱帯魚」。熾火で乾燥させたカンパーニュを蘇轍味噌と南国魚の出汁で風味付けし、薪でさっと焼いた伊勢海老をたっぷりのせた一品。海老の豊かな甘みが広がります。

20数名のゲストは、芭蕉とバナナの葉やアダンの実などで彩られた屋外の特設テーブルにつきました。正面では、海を背景にしたタイラー氏が、いくつもの火種を巧みにコントロールしています。そして彼の元でキビキビと動くのは、島内のラグジュアリーホテル・レストランから集まった料理人やサービスマンたちです。

ほどなくエディブルフラワーに彩られた華やかな一皿がやってきました。奄美の海で獲れた夜光貝の前菜です。鮑よりも硬い夜光貝の身は、地元ではできるだけ薄造りにした刺身で食べられています。タイラー氏はあえて身ではなく比較的やわらかい貝柱を使い、ローゼルをはじめとする島に咲く花で作ったソースを合わせました。一村が色とりどりの花を描いた作品「奄美の郷に褄紅蝶」のイメージからタイラー氏は着想したと言います。

さて、夜光貝の身は一体どこにいったのでしょう? 実は、この皿に身もしっかりと盛り込まれています。身は薪火の遠火で1週間かけて加熱・脱水し、鰹節のような“節”に仕上げました。それを削り、ソースにたっぷりと使っているのです。身の姿は見えなくなったものの、その旨みは凝縮され、華やかなソースの香りと一体となって再構築されています。

ペアリングのアルコールドリンクは、奄美特産の黒糖焼酎を独自に燻製し、フレッシュな島のレモンと合わせたレモンサワーです。黒糖焼酎を飲み慣れた地元のゲストからも、「黒糖焼酎にこんな美味しさもあったのか」と驚きの声があがります。

続いて、奄美でもポピュラーな食材、島豚の料理がやってきました。バラ肉で作った塩豚を、皮目をカリリと焼き上げて野菜や油ぞうめんと合わせた一品。田芋のクレープにくるんでいただきます。塩豚のうまみと塩味、黒糖の甘味、ゴーヤの苦味、きび酢や島特産の柑橘であるツノカガヤキを使った三杯酢の酸味からなる島の五味が表現されています。

「THIDA MOON」のプライベートビーチでのウェルカムドリンクで、スペシャルランチは幕を開けた。

一村の作品「海老と熱帯魚」にインスパイアされたウェルカムフィンガーフード。あらためて伊勢海老という食材の美味しさに気付かされる。

大小のグリル、地中などを駆使し、熾火を操って料理するタイラー氏。

夜光貝の身から作った“節”と花のソースで、夜光貝の貝柱をいただく。ペアリングはスモークした黒糖焼酎をベースにしたレモンサワー。

五味とさまざまな食感が織りなす味わいが楽しい塩豚のクレープ仕立て。ペアリングは昆布出汁を取った黒糖焼酎のお燗。縁には椎茸塩が添えられている。

島民にとって馴染みの食材も、想像を超えた新たな表情を見せる。

「限られた食材を活かすための創意工夫を凝らす文化が、島に広く根付いていることに感銘を受けました」と、タイラー氏は奄美での気づきについて話します。

奄美は長く薩摩藩に仕えながら、琉球王朝をはじめとするアジア諸国と盛んに交流を行ってきました。その歴史的背景は、島の伝統的な食文化にも色濃く反映されています。代表的な郷土料理である鶏飯(けいはん)はそのひとつ。ほぐした鶏肉と錦糸卵、パパイヤの漬物、柑橘などを白いご飯の上にのせ、鶏ガラスープをかけていただく料理です。戦後は一般家庭でも日常的に食べられるようになりましたが、かつては庶民は口にできない特別なおもてなし料理でした。物資が限られている離島では、卵を産む鶏は貴重な家畜。その鶏肉を惜しげもなく使った鶏飯は、島にやってくる薩摩藩の役人をもてなすための料理だったのです。

豚肉も貴重でした。正月に潰した豚は塩漬けの塩豚にして、次の正月までもつように少しずつ塩抜きしながら大切に使われていたと言います。黒糖を使った角煮や野菜との炊き合わせは、ハレの日には欠かせない伝統料理として今も島に息づいています。

タイラー氏は浅めに塩漬けした豚肉の大きな塊を、地中で蒸し焼きにします。土の中で数時間をかけて焼くことでじっくりと火を入れると同時に燻煙し、大地のミネラルも取り込むのが狙いです。豚本来の滋味が閉じ込められた厚切りの肉をパパイヤやパッションフルーツなどの島の野菜や果物で作ったラビゴットソースと共にいただきます。奄美の豊かな自然の恵みが凝縮された一皿となりました。

肉が貴重だった一方で、魚介には不自由しないほど恵まれていました。海に行けば多種多様な味のいい魚や貝が手に入ることから、島民はタンパク源の多くを海の幸に頼ってきました。いつでも得られることから、島では魚介は新鮮なものを生食することが重視され、その結果として保存食としての利用はさほど進まなかったのではないかとタイラー氏は分析します。夜光貝の“節”には、そのような島の食文化への新たな提案になればとの思いも込められていたのです。

「とにかくいい野菜を作りたい」

「新鮮で上質な魚を届けたい」

島の農家や漁師と交流する中で、タイラー氏は彼らの商売よりもプロとしての仕事を重んじる職人気質の姿勢に驚かされたと言います。

特産のマコモダケを何十年にもわたり作り続ける生産者が会場で披露してくれたエピソードが印象的です。古くから奄美で栽培されてきた田芋。その収穫後の畑にマコモダケを植えることで元気に育ちます。そのうえ、マコモ菌が土壌を活性化し、田芋を病気から守ってくれるとのこと。持続可能な農業としてさらに研究を続けていくと力強く語りました。自然を相手にした気の遠くなるような取り組みに頭が下がります。

そのマコモダケは深く塩漬けした豚の出汁でマリネされ、マコモダケ本来の甘くやさしい風味を堪能できる一皿となりました。

熾火によって絶妙なタイミングで仕上げの火入れが施された料理が次々と供される。

昆布とバナナの葉にくるんで浜辺の地中で焼き上げた塩豚は、とろけるほどにじっくりグリルした島人参と共に。ペアリングには塩豚を浸した黒糖焼酎で作ったブラッディメアリー。

マコモダケを塩豚の出汁でマリネ。マコモダケの食材としての表情の豊かさに驚かされる。ペアリングは、地元のAMAMI BREWERYの「奄美島ばななヴァイツェン」。

おもてなしの象徴である鶏飯を現代的に解釈する。

食事には焼き海老飯が用意されました。これは、先述の鶏飯の鶏肉を島特産の車海老に置き換え、鶏出汁に海老から取った出汁も合わせたスープをかけていただく一品。

「鶏飯が生まれた時代とは社会環境も変わり、鶏肉は身近な食材となりました。現代ならどんなおもてなしができるかと考えた場合、私はこの島だからこそ手に入る新鮮で美味しい食材として車海老にたどり着きました。鶏飯の心意気を受け継ぎながら、現代版鶏飯として再解釈した料理として楽しんでいただければ」とタイラー氏は話します。

薪火でさっと焼き上げた車海老を鶏出汁で炊き込んだごはんは、なんとも海老の香ばしさが漂う芳醇な味わい。スープをかけることで、その豊かな風味はさらに花開く。鶏飯を食べ慣れているゲストも目から鱗が落ちる新鮮な食体験となりました。

薪火料理と聞くと豪快なバーベキューをイメージする人も多いでしょう。ところが、タイラー氏が実践する薪火料理は、薪から作った適切な熾火を様々な炉や庫内で食材に火入れしていく、極めて繊細な調理法であることがわかります。

その真骨頂が現れていたのがデザートです。島特産のパイナップルから甘味だけでなくしっかりとした酸味もある品種を選び、薪火の遠火で丸ごと熱していきます。黒糖と島ラムで風味付けしながら全体に満遍なく火を通すこと丸2日間、鮮やかなオレンジ色のパイナップルは飴色の小さな塊に濃縮されました。

しっとりと極上のセミドライパイナップルを地豆(ピーナッツ)で作ったフローズンマシュマロと一緒にいただきます。

熱帯の日光と潮風を浴びながら大地のエネルギーを吸い上げて育ったパイナップルは、原始的かつ繊細な熾火調理によって、自然の恵みそのもののスイーツへと昇華しています。

ランチコースの充実ぶりは、ゲストたちの笑顔が何よりも雄弁に語っています。

コースを締めくくり、あらためて奄美食材のポテンシャルの高さを感じたとタイラー氏。「奄美には、食の豊かさに加えて、島民がより良い未来の食を望む意欲的な地域性があります。日本の他の有名観光地に比べて食に関してあまり色がついていない分、伸びしろも大きい。“伝統と革新が共存する食の島”として発展していくだろうと期待しています」。

奄美の深く豊かな自然は、年間を通じて豊富な降水の賜物でもあります。イベントの最中、強い日差しを遮ってくれていた雲は、スタッフ全員が勢揃いして挨拶した大団円をしおに急激に厚くなりました。海山に一斉に降り出した恵みの雨は、爽やかな閉会の合図となりました。

海老飯は、特産の車海老をふんだんに入れて炊き上げられた。

鶏飯から着想を得て、現代版の解釈とアレンジを加えた海老飯。

デザート用のパイナップルの調理前と調理後の変化をプレゼンテーション。薪火調理のマジックに驚く。

じっくりと熾火でグリルしたパイナップルのデザート。パイナップルの持ち味が上品に濃縮された逸品。

「SMOKE DOOR」スタッフと島の料理人・サービスマンで結成されたチーム奄美によって、珠玉のランチコースが展開された。

令和6年度高付加価値なインバウンド観光地づくり事業
主催:沖縄・奄美共同検討委員会
場所:鹿児島県奄美市
企画:ONESTORY
協力:大島紬美術館、田中一村記念美術館、日本航空
運営:Auberge Tebiro 1732、THE SCENE、THIDA MOON、伝泊「2 waters」、FISH_AMAMI

伝統の奄美食材と革新的な薪火調理との邂逅(かいこう)。山海の滋味は新たな境地へ。

豊かな自然に魅せられた画家・田中一村の眼差しを感じながら。

2024年は、かつてないほど「田中一村」という名が燦然と輝いた年でした。東京都美術館で開催された「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は来場者28万人以上を記録。知られざる孤高の日本画家に大きな注目が集まりました。一村が中央画壇を離れ、日本画の新境地を開いた地が奄美です。

奄美を舞台にしたランチイベント「Landscape Cuisine Amami」は、田中一村記念美術館のガイドツアーから始まりました。一村の作品や資料を多数所蔵する同美術館では、作品約80点が常設展示されています。美術館スタッフによる案内の中で特に詳しく解説された作品がありました。五色エビとシマイセエビ、ウマヅラハギなどをコラージュした「海老と熱帯魚」です。この作品は、これからいただくスペシャルランチと深い関わりがあると言います。

ランチコースを監修するのは薪火料理を得意とする米国人シェフ、タイラー・バージズ氏。2019年の「DINING OUT WAJIMA」に参加したのをきっかけに日本に惚れ込んで移住し、2022年にオープンさせた横浜の薪火レストラン「SMOKE DOOR」で腕を振るうトップシェフです。たびたび来島して食材の生産者を訪ね、島の伝統調理法などのリサーチを重ねていた彼は、これらの絵から大きなインスピレーションを受け、新しい料理を生み出すエネルギーを得たそうです。奄美の豊かな自然を徹底的に見つめ続けた一村の眼差しに共鳴し、表現者として掻き立てられるものがあったのでしょう。ゲストの期待もふくらみます。

ランチの会場はオーシャンビューのホテル「THIDA MOON」。まずはその2階に併設された大島紬美術館を見学します。泥染めと草木染めを何度も行い、緻密なかすり模様が特徴の大島紬は、世界三大織物にも数えられる高級織物。奄美に移住した一村は、大島紬の染色工として働き、蓄えができたら画材を買って絵を描くという生活を繰り返していました。この美術館では、大島紬の製作工程について知識を深められると共に、一村の作品を忠実に模してデザインした着物や帯を鑑賞することができます。

田中一村記念美術館にて、作品について解説に耳を傾ける。時代を超えて愛される一村の芸術性にしばし浸る。

大島紬美術館を見学。複雑で手間のかかる製作工程について詳しく知ることができ、田中一村の絵がデザインされた貴重な着物をつぶさに鑑賞できる。

海から山から、多彩な料理でめくるめく登場する奄美食材。

ホテルのテラスから庭に降り立ち、アダンの木に覆われたトンネルを抜けると、目に飛び込んで来るのは一面の大海原。ウェルカムドリンクでいよいよランチの幕開きです。

フィンガーフードは田中一村の「海老と熱帯魚」にインスパイアされた「伊勢海老と熱帯魚」。熾火で乾燥させたカンパーニュを蘇轍味噌と南国魚の出汁で風味付けし、薪でさっと焼いた伊勢海老をたっぷりのせた一品。海老の豊かな甘みが広がります。

20数名のゲストは、芭蕉とバナナの葉やアダンの実などで彩られた屋外の特設テーブルにつきました。正面では、海を背景にしたタイラー氏が、いくつもの火種を巧みにコントロールしています。そして彼の元でキビキビと動くのは、島内のラグジュアリーホテル・レストランから集まった料理人やサービスマンたちです。

ほどなくエディブルフラワーに彩られた華やかな一皿がやってきました。奄美の海で獲れた夜光貝の前菜です。鮑よりも硬い夜光貝の身は、地元ではできるだけ薄造りにした刺身で食べられています。タイラー氏はあえて身ではなく比較的やわらかい貝柱を使い、ローゼルをはじめとする島に咲く花で作ったソースを合わせました。一村が色とりどりの花を描いた作品「奄美の郷に褄紅蝶」のイメージからタイラー氏は着想したと言います。

さて、夜光貝の身は一体どこにいったのでしょう? 実は、この皿に身もしっかりと盛り込まれています。身は薪火の遠火で1週間かけて加熱・脱水し、鰹節のような“節”に仕上げました。それを削り、ソースにたっぷりと使っているのです。身の姿は見えなくなったものの、その旨みは凝縮され、華やかなソースの香りと一体となって再構築されています。

ペアリングのアルコールドリンクは、奄美特産の黒糖焼酎を独自に燻製し、フレッシュな島のレモンと合わせたレモンサワーです。黒糖焼酎を飲み慣れた地元のゲストからも、「黒糖焼酎にこんな美味しさもあったのか」と驚きの声があがります。

続いて、奄美でもポピュラーな食材、島豚の料理がやってきました。バラ肉で作った塩豚を、皮目をカリリと焼き上げて野菜や油ぞうめんと合わせた一品。田芋のクレープにくるんでいただきます。塩豚のうまみと塩味、黒糖の甘味、ゴーヤの苦味、きび酢や島特産の柑橘であるツノカガヤキを使った三杯酢の酸味からなる島の五味が表現されています。

「THIDA MOON」のプライベートビーチでのウェルカムドリンクで、スペシャルランチは幕を開けた。

一村の作品「海老と熱帯魚」にインスパイアされたウェルカムフィンガーフード。あらためて伊勢海老という食材の美味しさに気付かされる。

大小のグリル、地中などを駆使し、熾火を操って料理するタイラー氏。

夜光貝の身から作った“節”と花のソースで、夜光貝の貝柱をいただく。ペアリングはスモークした黒糖焼酎をベースにしたレモンサワー。

五味とさまざまな食感が織りなす味わいが楽しい塩豚のクレープ仕立て。ペアリングは昆布出汁を取った黒糖焼酎のお燗。縁には椎茸塩が添えられている。

島民にとって馴染みの食材も、想像を超えた新たな表情を見せる。

「限られた食材を活かすための創意工夫を凝らす文化が、島に広く根付いていることに感銘を受けました」と、タイラー氏は奄美での気づきについて話します。

奄美は長く薩摩藩に仕えながら、琉球王朝をはじめとするアジア諸国と盛んに交流を行ってきました。その歴史的背景は、島の伝統的な食文化にも色濃く反映されています。代表的な郷土料理である鶏飯(けいはん)はそのひとつ。ほぐした鶏肉と錦糸卵、パパイヤの漬物、柑橘などを白いご飯の上にのせ、鶏ガラスープをかけていただく料理です。戦後は一般家庭でも日常的に食べられるようになりましたが、かつては庶民は口にできない特別なおもてなし料理でした。物資が限られている離島では、卵を産む鶏は貴重な家畜。その鶏肉を惜しげもなく使った鶏飯は、島にやってくる薩摩藩の役人をもてなすための料理だったのです。

豚肉も貴重でした。正月に潰した豚は塩漬けの塩豚にして、次の正月までもつように少しずつ塩抜きしながら大切に使われていたと言います。黒糖を使った角煮や野菜との炊き合わせは、ハレの日には欠かせない伝統料理として今も島に息づいています。

タイラー氏は浅めに塩漬けした豚肉の大きな塊を、地中で蒸し焼きにします。土の中で数時間をかけて焼くことでじっくりと火を入れると同時に燻煙し、大地のミネラルも取り込むのが狙いです。豚本来の滋味が閉じ込められた厚切りの肉をパパイヤやパッションフルーツなどの島の野菜や果物で作ったラビゴットソースと共にいただきます。奄美の豊かな自然の恵みが凝縮された一皿となりました。

肉が貴重だった一方で、魚介には不自由しないほど恵まれていました。海に行けば多種多様な味のいい魚や貝が手に入ることから、島民はタンパク源の多くを海の幸に頼ってきました。いつでも得られることから、島では魚介は新鮮なものを生食することが重視され、その結果として保存食としての利用はさほど進まなかったのではないかとタイラー氏は分析します。夜光貝の“節”には、そのような島の食文化への新たな提案になればとの思いも込められていたのです。

「とにかくいい野菜を作りたい」

「新鮮で上質な魚を届けたい」

島の農家や漁師と交流する中で、タイラー氏は彼らの商売よりもプロとしての仕事を重んじる職人気質の姿勢に驚かされたと言います。

特産のマコモダケを何十年にもわたり作り続ける生産者が会場で披露してくれたエピソードが印象的です。古くから奄美で栽培されてきた田芋。その収穫後の畑にマコモダケを植えることで元気に育ちます。そのうえ、マコモ菌が土壌を活性化し、田芋を病気から守ってくれるとのこと。持続可能な農業としてさらに研究を続けていくと力強く語りました。自然を相手にした気の遠くなるような取り組みに頭が下がります。

そのマコモダケは深く塩漬けした豚の出汁でマリネされ、マコモダケ本来の甘くやさしい風味を堪能できる一皿となりました。

熾火によって絶妙なタイミングで仕上げの火入れが施された料理が次々と供される。

昆布とバナナの葉にくるんで浜辺の地中で焼き上げた塩豚は、とろけるほどにじっくりグリルした島人参と共に。ペアリングには塩豚を浸した黒糖焼酎で作ったブラッディメアリー。

マコモダケを塩豚の出汁でマリネ。マコモダケの食材としての表情の豊かさに驚かされる。ペアリングは、地元のAMAMI BREWERYの「奄美島ばななヴァイツェン」。

おもてなしの象徴である鶏飯を現代的に解釈する。

食事には焼き海老飯が用意されました。これは、先述の鶏飯の鶏肉を島特産の車海老に置き換え、鶏出汁に海老から取った出汁も合わせたスープをかけていただく一品。

「鶏飯が生まれた時代とは社会環境も変わり、鶏肉は身近な食材となりました。現代ならどんなおもてなしができるかと考えた場合、私はこの島だからこそ手に入る新鮮で美味しい食材として車海老にたどり着きました。鶏飯の心意気を受け継ぎながら、現代版鶏飯として再解釈した料理として楽しんでいただければ」とタイラー氏は話します。

薪火でさっと焼き上げた車海老を鶏出汁で炊き込んだごはんは、なんとも海老の香ばしさが漂う芳醇な味わい。スープをかけることで、その豊かな風味はさらに花開く。鶏飯を食べ慣れているゲストも目から鱗が落ちる新鮮な食体験となりました。

薪火料理と聞くと豪快なバーベキューをイメージする人も多いでしょう。ところが、タイラー氏が実践する薪火料理は、薪から作った適切な熾火を様々な炉や庫内で食材に火入れしていく、極めて繊細な調理法であることがわかります。

その真骨頂が現れていたのがデザートです。島特産のパイナップルから甘味だけでなくしっかりとした酸味もある品種を選び、薪火の遠火で丸ごと熱していきます。黒糖と島ラムで風味付けしながら全体に満遍なく火を通すこと丸2日間、鮮やかなオレンジ色のパイナップルは飴色の小さな塊に濃縮されました。

しっとりと極上のセミドライパイナップルを地豆(ピーナッツ)で作ったフローズンマシュマロと一緒にいただきます。

熱帯の日光と潮風を浴びながら大地のエネルギーを吸い上げて育ったパイナップルは、原始的かつ繊細な熾火調理によって、自然の恵みそのもののスイーツへと昇華しています。

ランチコースの充実ぶりは、ゲストたちの笑顔が何よりも雄弁に語っています。

コースを締めくくり、あらためて奄美食材のポテンシャルの高さを感じたとタイラー氏。「奄美には、食の豊かさに加えて、島民がより良い未来の食を望む意欲的な地域性があります。日本の他の有名観光地に比べて食に関してあまり色がついていない分、伸びしろも大きい。“伝統と革新が共存する食の島”として発展していくだろうと期待しています」。

奄美の深く豊かな自然は、年間を通じて豊富な降水の賜物でもあります。イベントの最中、強い日差しを遮ってくれていた雲は、スタッフ全員が勢揃いして挨拶した大団円をしおに急激に厚くなりました。海山に一斉に降り出した恵みの雨は、爽やかな閉会の合図となりました。

海老飯は、特産の車海老をふんだんに入れて炊き上げられた。

鶏飯から着想を得て、現代版の解釈とアレンジを加えた海老飯。

デザート用のパイナップルの調理前と調理後の変化をプレゼンテーション。薪火調理のマジックに驚く。

じっくりと熾火でグリルしたパイナップルのデザート。パイナップルの持ち味が上品に濃縮された逸品。

「SMOKE DOOR」スタッフと島の料理人・サービスマンで結成されたチーム奄美によって、珠玉のランチコースが展開された。

令和6年度高付加価値なインバウンド観光地づくり事業
主催:沖縄・奄美共同検討委員会
場所:鹿児島県奄美市
企画:ONESTORY
協力:大島紬美術館、田中一村記念美術館、日本航空
運営:Auberge Tebiro 1732、THE SCENE、THIDA MOON、伝泊「2 waters」、FISH_AMAMI

鹿沼の表裏。観光の表裏。

ふたつの水源からの流れが合流する「大芦川」。川底がえるほどの透明度などから「関東一の清流」とも言われる

栃木県鹿沼市ふたつの顔から地を読み解く。

栃木県鹿沼市。この地には、ふたつの顔があります。ひとつは、祭りを象徴とした江戸から始まる宿場町。そして、その名残を残す中心地から少し足を延ばすと、あるところから空気が変わることに身体が気付くでしょう。凛とした厳かな世界に包まれ、それはまるで境界線を超えたかのような。はたまた、結界に足を踏み入れたような。そこがもうひとつの顔。約1300年以上続く霊場としての鹿沼です。現在、後者の顔に改めて目を向け、この地を正しく後世に継ぐ活動が始まりました。

この地とは、多くの山々が連なる、西北鹿沼。北へ向かうと日光につながります。日光は古来より神仏が宿る霊場として多くの信仰を集めており、特に「男体山」は特別視されていました。日本独自の山岳信仰である修験が盛んに実施されたことは、そんな背景が手伝います。日光山開祖である勝道上人が「男体山」に登る前、修行していた地が「深山巴の宿」。約3ヵ年の歳月を過ごしたという言い伝えが残る修験道場跡(鹿沼市草久辺り)は、「日光発祥の地」とも呼ばれています。

そして、この霊場の歴史に欠かせない存在が「古峯神社」です。現在は、「俗塵を離れて身を清め、心安らかに鎮めて大神様の御神徳を賜ることができるよう」に一般も宿泊することが可能。翌朝、黎明に行われる一番祈祷を受けて下山する慣わしは創始以来行われており、「古峯神社」の特色でもあります。祈願後、神に備えた食事をともにいただく儀式、直会(なおらい)は、身を清めた神事から日常に戻るためのもの。この一連を体験する時間は、心身が浄化されるだけでなく、人が生きることの意義すら問われているように感じるでしょう。

「古峯神社」には、数多くの天狗にまつわる品が展示され、その多くは、大天狗と烏天狗が対になったもの。

西北鹿沼一帯は、「石裂山」や「夕日岳」など、多くの山々によって形成される。刻一刻と表情を変える絶景が、ここでは日常に存在する。

栃木県鹿沼市霊場を守る、ふたつの石原。

宿泊という意味では、「石原邸」も欠かせない。そして、訪れる前に知っておきたい背景があります。

前述、「古峯神社」を信仰するグループ「講」は全国に存在。歴史的には関東圏から東北にかけて広がっており、「遠野物語拾遺」の中にも記載が残されています。古くは、旅自体が困難であったため、「講」は代表者が参拝に訪れていました。さらに、入峰修行をしていた日光山門の行者たちが入峰するには手続きがあり、霊場を守る世話人、「前鬼」と呼ばれる一族の家に一泊してから赴くという一連の流れを経なければいけません。その一族こそが、「前鬼」石原隼人。

「石原邸」と石原隼人の関係がある記述はどこにもありませんが、築150年の古民家を守り続ける「石原邸」は、現代における世話人として、この地に根ざしています。まるで「堆肥のような建築」は、宿泊施設や飲食施設として、今後稼働していく予定であり、山の中外を結ぶハブになる可能性も秘めています。

そのほか、「石原邸」のように、地に根ざした場が、少しずつ芽吹いていますが、この地の大きな特徴は、開発に頼らなかったことではないでしょうか。

「大芦川」を中心にいくつもの尾根が重なり合い、その水によって、この地は生かされてきました。現在、日本では、高齢化や人口減少が進み、今まで手入れされてきた森林や農地の維持が難しくなってきたところも少なくありません。気候変動の要因もありますが、荒廃した地による水資源の課題は、時を増すごとに深刻な自体に。美しい水と暮らしの関係が保たれていることは当たり前ではないのです。

そして、今後、この地を価値化していくには、数多の選択を繰り返し、それを正しい道へと導くためには、より一層、地域の意志が必要とされると考えます。

築150年ほどの古民家をリノベーションした「石原邸」。開業前よりグッドデザイン賞も受賞。

里山との共生を図り、再生された農家住宅の「石原邸」には、歴史の面影が残り、時空を超えた邂逅体験を堪能できるだろう。

鹿沼は食材も豊か。全国一の品質を誇るいちご、全国的に見ても広大な面積によって栽培されている韮、そして、鹿沼在来こんにゃくや……。かつて、全国一位だった大麻の産地は、その肥沃の地により、今なお多くの恵みを育んでいる。鹿沼には、「かぬまブランド推進協議会」という鹿沼の特産品をPRする体制も整える。モノだけでなく、体験や自然などに注目し、新たな「かぬまブランド」の創出にも励む。

栃木県鹿沼市未登録の遺産価値を見出す。

世界には、1223件の世界遺産が記載(2024年8月現在)されており、そのうち、日本は26件。ユネスコ無形文化遺産は、568件の記載(2023年2月現在)がされており、日本は23件。「今宮神社の屋台行事」は、後者に登録されており、400年の時を超え、鹿沼彫刻屋台が織りなす勇壮優美、豪華絢爛な時代絵巻は圧巻です。

そのほか、発光路妙見神社祭り当番の受け渡しの儀式「発光路の強飯式」は、国指定重要無形民俗文化財に指定。両者はあくまで一例ですが、鹿沼には世界に誇る文化が多く潜んでいます。

西北鹿沼においては、このような指定、認定、登録されたものはありませんが、これを卑下する必要はありません。なぜなら、国内外から評価されるべき遺産価値はこれだけではないと考えるからです。

選考する委員会や団体、組織すら、足を運んだことがない地、知られざる地においても、遺産価値は備わり、誰かの評価軸ではなく、地域の評価軸で崇める地こそ、旅をしても訪れたい地となるのではないでしょうか。

西北鹿沼には、それを感じるのです。

そして、西北鹿沼に限らず、今こそ、各地域が未登録の遺産価値を見出さなければいけない局面を迎えているのかもしれません。

山と川に囲まれた環境の中で体験できるレクリエーション活動を満喫できる「自然体験センター」も。

約200種の花々が咲く広大なガーデン「花農場あわの」。レストランも併設し、パスタやハーブティー、自家果樹園のスイーツも楽しめる。

自分を見つめ直し、より良く生きる旅をwell-bingというのならば、過去にここで修行をしてきたものたち、信仰のために訪れた人たちもまた同じ思いだったはず。霊場としての鹿沼は、1300年も前からwell-beingを提供してきた地域なのかもしれない。

栃木県鹿沼市現代における修行。難問の解は他所に委ねてはいけない。

この地と出会った時、ある言葉が脳裏を過ぎりました。芸術家・池田満寿夫が所縁のある長野県塩尻市に向けた「山中に学ぶ」という書です。木曽漆器が有名なこの地は、四方を山々に囲まれ、冬場は雪が険しく、それによって保存食も生まれ、暮らしも産業も、全て山とともにありました。

山とともに生きる地の知恵。これは、鹿沼においても同様、もとい、西北鹿沼においても同様だと考えます。そして、暮らしが営まれているからこそ、今なお、それが途切れることなく、正しく時を重ねているのかもしれません。

しかし、自然との共存は、そう甘くはなく、課題も多い。その最たる例が「富士山」ではないでしょうか。

「富士山」は、言わずと知れた観光地であり、日本のシンボル。国内だけでなく、世界中から登山客が訪れるため、山が痛まないよう、進路を変えるなど、工夫を行うが、それでも来訪者の人数には敵わない。

そんな「富士山」が、近年で自然を取り戻した時期がありました。コロナ禍です。

過去を遡っても、あれほど長期間にわたって入山されなかったことはなかったのではないでしょうか。皮肉にも、人が介在しないことによって、「富士山」は本来の姿に還ることができたのかもしれません。

極端な比較対象だったかもしれませんが、伝えたいことは、どの地域にも許容できる範囲があるということ。それを超えると、疲弊してしまう危惧が孕んでいるのです。

西北鹿沼の美しい里山文化は、決して無くしてはいけない。それを伝えたい、知ってほしい。しかし、多くの人が訪れるほどの許容もなければ、それによって生態系すら崩れてしまう恐れもある。正しく時を重ねてきた暮らしはどうなるのか。

理想と現実は必ずしも比例せず、これは観光の表裏とでも言うべきか。

この難問の解は、各地域によって異なるため、何かを言い切るのは難しい。だからこそ、ひとつだけ、分かることがあります。

答えを他所に委ねてはいけないということです。

先人たちもまた、自ら答えを導き出し、地を発展させ、郷土を育んできたのではないでしょうか。未来を見据えることも大切ですが、過去を振り返ることもまた、地を価値化させる上で、大切な行為。答えはすぐには見つからないと思いますが、思考の歩みを止めてはならない。

この地の文脈になぞれば、それは現代における修行なのかもしれません。

春薫る、三春の余韻。

春に向けて「和菓子 薫風」のつくださちこさんが開発した桜どら焼き。「和光アネックス」地階のグルメサロンにて展開。

WAKO ANNEX季節と出会う、春の和菓子。「和菓子 薫風」つくださちこ開発商品が初展開。

桜咲く麗らかな春は、味覚も花開く美味の季節。「和光アネックス」地階のグルメサロンでは、そんな情緒を食に込め、新たなお品を展開。パートナーに「和菓子 薫風」(以下、薫風)のつくださちこさんを迎え、同店のどら焼きと羊羹を独自にアレンジ。「桜どら焼き」と「いちご羊羹」として展開します。口に含んだ瞬間、味だけでなく、香りも含めて完成される仕上がりは、季節だけでなく、日本らしさすら覚えるでしょう。

まず、どら焼きにおいては、北海道産大納言小豆のつぶ餡を使用。一枚一枚手焼きするそれは、「薫風」の定番商品です。

「今回は、それに桜葉の塩漬けを刻んだものを加え、桜どら焼きとして和光アネックスのオリジナル商品として考案しました。甘味だけでなく塩味もあり、桜の爽やかな香りも含め、お楽しみください」とつくださん。

そして、羊羹。こちらにおいても、「薫風」の定番商品であり、手亡豆の白餡にグリーンピスタチオを効かせたものに、今回は、福岡の名品、あまおうを加えます。

「いちご羊羹として展開するいちごは、福岡の大木ベリーさんのあまおうを使用しています。自然環境農法を取り入れ、丁寧に栽培されているため、美味しいはもちろん、安心、安全なことも特徴です。大きさや熟れ具合、形を厳選し、こだわり抜いた高品質のあまおうをご堪能ください」。

あまおうには、フランボワーズを合わせているため、甘味と酸味が絶妙に調和。加えて、餡にはカルダモンなどのスパイスも効かせているため、複雑な味のレイヤーを楽しめるでしょう。

そんなふたつを開発するにあたり、つくださんがこだわった点は、和菓子単体の味わいだけでなく、ペアリングとしての相乗効果。ここでの特筆すべき点は、「薫風」においては、和菓子と日本酒のマリアージュに対し、今回は、ハーブティーとのマリアージュ。

「桜どら焼きには、エキナセアティーを。桜葉の香りとエキナセアの清涼感が後口をすっきりとまとめてくれ、もう一口、そしてもう一口と、運びたくなる味わいに。そして、いちご羊羹には、桑の葉茶を。いちごを加熱した時の熟した味わいが桑の葉の爽やかな味と香りが香ばしい味わいに寄り添ってくれます」。

今回の味わいは、初春、仲春、晩春と、三春を通してお楽しみいただけるでしょう。ぜひ、春のお供に。

<INFORMATION>
今回、ご紹介させていただきました「桜どら焼き」と「いちご羊羹」は、「和光アネックス」地階のグルメサロンにて、2025年3月20日より4月中旬頃までの期間限定で展開いたします。※限定品のため在庫がなくなり次第、販売を終了させていただきます。お早めにお求めください。

「春爛漫のこの時季。桜やいちごの香り豊かな和菓子とハーブティーのマリアージュをおたのしみください」/「和菓子 薫風」つくださちこ

春らしい味わいと香りを堪能できる「桜どら焼き」には、草木のほのかな香りが心地良い「エキナセアティー」とマリアージュ。

ほんのり甘い味わいが特徴の「桑の葉茶」が「いちご羊羹」の甘さと好相性。双方を合わせることによって、心身も癒される。

「価値のある新しいものを日本に紹介してきた和光さんとともに、世界の方へ和菓子を紹介する機会をご一緒させていただき、とても楽しみです」と「和菓子 薫風」つくださちこさん。

※今回、ご紹介した商品は、『和光アネックス』地階のグルメサロンにて、購入可能になります。
※『和光アネックス』地階のグルメサロンでは、今回の商品をはじめ、全国各地からセレクトした商品をご用意しております。和光オンラインストアでは、その一部商品のみご案内となります。

住所:東京都中央区銀座4丁目4-8 MAP
www.wako.co.jp


Photographs:JIRO OTANI
(Supported by WAKO)

気鋭の若きシェフが3年ぶりに佐賀へ凱旋、人間国宝クラスの器でいただく珠玉のコース「USEUM SAGA REVIVAL」が示したもの。[佐賀県佐賀市]

USEUM SAGA REVIVAL「USEUM SAGA」第1弾出演シェフが3年ぶりに佐賀に凱旋。

美術館に飾るような器で佐賀の美食を楽しむガストロノミーイベント「USEUM SAGA(ユージアムサガ)」。400年の歴史を誇る有田焼に代表される佐賀伝統の陶磁器と、佐賀の豊かな自然に育まれた第一級の食材が織りなす数日間限定のプレミアムレストランです。これまで数々の佐賀県出身の料理人とトップシェフがタッグを組んできました。その第1弾は2021年に開催された「arita huis(アリタハウス)」シェフ・増永琉聖氏×東京・代官山のフレンチ「abysse」のシェフ・目黒浩太郎氏のコンビ。二人三脚でフルコースを合作しました。

「USEUM SAGA」には、将来を嘱望される県内の料理人が県外の実力派シェフと協働することで、料理人としての濃密な成長を促すという側面もあります。類まれな実力が認められ若くしてヘッドシェフに抜擢された増永氏は、当時まだ23歳。目黒氏のイベント参加は、憧れの同氏と組ませてほしいという増永氏のたっての希望で実現したものでした。

「USEUM SAGA」のコンセプトを高度に表現し、見事に大役を果たした増永氏は、一つところに安住せず、果敢にキャリア形成していきます。福岡のフュージョン料理店「nishimura takahito restaurant」のヘッドシェフとして研鑽を積み、一旦レストランを離れて福岡のパン業界を牽引する「パンストック」でパンの研究に打ち込んできました。

そんな彼が佐賀に凱旋する「USEUM SAGA REVIVAL」が、12月8日・9日に、佐賀市の「ARKSカフェ」にて開催されました。「USEUM SAGA」以降、料理人としての技術と感性を磨き続けてきた増永氏、今の佐賀への想いを形にする舞台です。

ドリンクサービスで料理に華を添えるのは、日本酒業界のカリスマ・千葉麻里絵氏の店「EUREKA!」で店長を務める園田静香氏。日本酒をはじめとするドリンクのプロフェッショナルです。福岡県大牟田市の出身で、佐賀は幼少時から両親に連れられ遊びにきていた思い出の地です。

シェフを務める増永琉聖氏。独自の感性で佐賀の食材と器のマリアージュの表現に挑む。

ドリンクサービスを統括する園田静香氏。アルコールとノンアルコールを合わせて8種、他に日本酒と焼酎を用意した。

「USEUM SAGA REVIVAL」の舞台は佐賀県庁北側の「ARKSカフェ」。

佐賀ゆかりの調度品やオブジェなどで装飾された空間。箸やスプーンも佐賀の木工作家が作ったもの

カニの濃厚な旨味とかぶのやさしい甘味を調和させた「セコガニ 戸矢かぶ」。カニの甲羅型の器は李荘窯業所製。

USEUM SAGA REVIVALあふれる佐賀食材への思いが16皿構成の大作に。

増永氏と園田氏は、この日のために佐賀食材に関するリサーチと試作を重ねてきました。

佐賀は北を玄界灘、南を有明海に接し、北部は山地、南部は山岳地、東部は平野、西部は丘陵地と、特徴的な地質の大地で形成されています。カニやイカ、青物、牡蠣といった非常に多様な魚介に恵まれ、上質な海苔の養殖でも知られています。温暖な気候はみかんやイチゴなどの果物を育み、様々な野菜や穀物が栽培に適した地質の土壌から産み出されています。古来米に恵まれたことから日本酒醸造も盛んで、焼酎に加えて日本酒と焼酎の銘酒が両方揃う点も九州では特異です。まさに食材の宝庫と言えるでしょう。

宴は、温かいウェルカムドリンクでスタートしました。佐賀名産のみかん「天草」で風味付けした「純米酒粕焼酎天山マスク」のお湯割りです。ノンアルコールには「天草」を使った葛湯が用意されました。

料理の幕開けを飾ったのは、ズワイガニのメスである「セコガニ」と、佐賀県有田町で古くから栽培されてきた「戸矢かぶ」を使ったアミューズ。カニの甲羅を正確に再現した李荘窯業所製の磁器に盛られました。カニの旨みとかぶの甘味、爽やかなユズの香りが見事な調和を見せています。

このカニとかぶには増永氏の多大な思い入れがありました。3年前の「USEUM SAGA」で増永氏が一品目に出したのも、やはりカニとかぶの組み合わせだったのです。あえて同じ食材を使うことで、自身の足跡を見つめ、成長の証を示そうとする真摯さが伝わってきます。

以降、コースは全16品におよびました。リサーチを通してあらためて佐賀食材にふれる中で、各生産者が入魂する素材たちに感動し、レシピのアイデアがあふれ出ました。コースとしては非常に多い16品は、それでも泣く泣く絞った16品。増永氏の熱量と半端ではない仕事量が結集しています。

生、炒め、長時間ローストと3種の火入れのキャベツをまとめて揚げたコロッケ風の「キャベツ」。器は224porcelain製。手に取って味わえるようにと、佐賀特産の名尾手すき和紙が敷かれている。

左/ウェルカムドリンクには佐賀みかん「天草」と「純米酒粕焼酎天山マスク」を合わせたお湯割りが。穏やかな酸味と甘味が食欲をかき立てる。
右/続いて、多久市で醸されている日本酒「東鶴 純米 冬支度」を使ったソルティドッグ。コクのある日本酒にレモンの酸味と粗塩の塩味、ミントの香りをプラス。

鰹出汁、ニンニクとネギから取ったオイルを使って低温火入れした椎茸を香ばしく焼き上げた「しいたけ」。椎茸をバターで炒めて乾燥させたパウダーがまぶされている。
器は人間国宝の十四代今泉今右衛門作。

左/トマトをトマト出汁と梅酢で浅漬け風に仕上げた「トマト」。澄んだガスパチョのジュレがかけられた、なんとも涼やかな一皿。器は人間国宝である井上萬二作。
右/焼きナスに目の前で出汁がたっぷりとかけられた「ナス」。鶏をベースに牛、豚、納豆やキムチ、酒粕などの発酵食品でとられた風味豊かな出汁が香ばしく、甘味が引き出されたナスと見事に調和。器は李荘窯業所製。

口直しとして、佐賀名産の神崎そうめんも登場した。器は今右衛門窯製。

USEUM SAGA REVIVAL実は世に稀な人間国宝作の生活食器で食する悦楽。

「USEUM SAGA」という名の由来は、美術館(MUSEUM)に飾るような器を、実際に食器として用いて(USE)料理を味わえることから。

一般的に人間国宝のような著名な陶芸家は壺やオブジェなどの大作を手がけることが多くなるため、料理皿のような生活食器の作品はほとんど作られることがないそうです。よって人間国宝クラスの皿で実際に料理をいただくことは極めて貴重な機会になります。「USEUM SAGA」では人間国宝に揃いの食器を特別に作ってもらい、惜しげもなく使われます。

たとえば、「しいたけ」の十四代今泉今右衛門をご覧ください。実際に手に取って眺めてみると、精緻な絵柄、精彩な発色に心を奪われます。そこには、増永氏の色彩感覚や空間構成によって器の魅力を引き出され、生活用具としての機能美がプラスされた効果も多大に影響しています。陶芸家と料理人の競演でもあるのです。

増永氏は今回のプロジェクトを通じて、佐賀食材に特有の“力強さ”を感じたと話します。

「トマトが甘くておいしい。でも甘いだけでなく非常にトマトらしい。ナスはナスらしい。風味や食感などいろんな要素がからんでいますが、確固たる存在感があります。僕はそんな佐賀食材で料理をすると、とてもしっくりくるという感覚があるんです。一つひとつの素材はすでに完成されたもの。僕の仕事はその持ち味を壊さずに寄り添うことです。料理の本質をあらためて見つめる機会になりました」

園田さんも新たなチャレンジに確かな手応えを感じたようです。

「佐賀は馴染み深い土地ですが、単に佐賀産の材料を使ったドリンクになってしまわないか? 私にできることは一体何か? と悩みました。それが、増永さんの料理を試食して一気に解消されました。増永さんは素材の本質的な魅力を捉えて、意外な手法で放出させます。ここにクミンを使って抜け感を出してきたか……とか感心しきり。そして、私は増永さんの料理と一緒においしく、楽しくなるドリンクを作ればいいんだと視界がクリアになりました。私にとっても活動の幅を広げる大切な体験となりました」

「USEUM SAGA」第1弾を企画するにあたり増永氏に白羽の矢を立てた理由を、事務局が明かしてくれました。

料理が好きでおばあちゃん子だった増永氏は、幼少の時から台所に立つおばあちゃんのかたわらで調理の様子を見守り、質問しながらレシピを書き留めてきたそうです。その時間の積み重ねが料理人への道へと導いたのです。佐賀の暮らしの中で、大切な人においしいもの食べさせてあげたい。増永氏の料理人としての土台は、ピュアな思いから形づくられてきました。「USEUM SAGA」はそんな増永氏の料理人としてのスタンスに共鳴しました。

増永氏は、業種業態の異なる店を数店舗展開したいと話します。

「店それぞれの名物で前菜からメイン、デザートまで一つのコースができあがる。自分がどこかでコースを全部作らなくても、そんなふうにおいしいコースを提供できるといいな。夢を少しずつ叶えていきたいですね」と増永氏は静かに話します。

彼はこれから何度も佐賀に立ち帰り、リバイバルを重ねながらより大きな料理人になっていくことでしょう。

未来ある料理人の成長の舞台「USEUM SAGA REVIVAL」第2弾では、誰が腕を振るうのでしょう? 参加者たちは満足感に浸ると共に、次回への期待を膨らませたはずです。

「鯖」は、乳白色の素地に鮮やかな色絵が施された柿右衛門の皿で登場。鯖の刺身に卵黄を使ったソースとピリ辛の醬(ジャン)を合わせている。分葱油と削ったカシューナッツがアクセント。

メインは佐賀県で盛んに飼養されている「みつせ鶏」のロースト。皮目は肉醤を塗って香ばしく焼き上げ、身の方はニラのペーストを塗って瑞々しく仕上げている。器は李荘窯業所製。

〆の食事はイノシシを煮込んだ「カレー」。今回のコースで出た野菜の切れ端の出汁でじっくり煮込まれたスパイスカレーを、キャロットラペとたくさんのパクチーと共に。器は中里太郎右衛門陶房製。

左/マリネしたデコポンとブランマンジェをデコポンのジャムと共に。デコポンの力強い風味を堪能できる。
右/餅米と甘酒で作ったアイスクリーム。甘酒で作ったクランブルのトッピング、甘酒のキャラメルソースと甘酒づくし。

キッチン、ホール共に普段はそれぞれ別の店で活動している仲間たちが結集。全員20代のフレッシュなチームが醸し出す自然体なムードも印象的だった。

1998年佐賀県佐賀市生まれ。佐賀県立牛津高校を卒業後、2016年「オーグードゥジュールメルヴェイユ博多」に勤務。小岸明寛シェフ(太良町出身)のもとで研鑽を積み、2018年、「arita huis」(佐賀)に勤務、2020年よりヘッドシェフを務める。その後、福岡のイノベーティブレストラン「nishimura takahito restaurant」のヘッドシェフに抜擢される。2024年7月に同店を退職し、一旦レストランを離れ、福岡のパン業界を牽引する「パンストック」に勤務。

1995年福岡県大牟田市生まれ。中村調理製菓専門学校(福岡)卒業後、東京都内のレストランに勤務。日本酒業界のカリスマ・千葉麻里絵氏の日本酒アプローチに惹かれ、「GEM by moto」(東京)に入社。千葉氏が考案する口内調味や日本酒ペアリングのスキルを学ぶ。その後、千葉氏の独立とともに「EUREKA!」(東京)立ち上げに参加。同店の店長として従事。


PhotographHIDEKI MIZUTA
TextTAKASHI WATANABE

気鋭の若きシェフが3年ぶりに佐賀へ凱旋、人間国宝クラスの器でいただく珠玉のコース「USEUM SAGA REVIVAL」が示したもの。[佐賀県佐賀市]

USEUM SAGA REVIVAL「USEUM SAGA」第1弾出演シェフが3年ぶりに佐賀に凱旋。

美術館に飾るような器で佐賀の美食を楽しむガストロノミーイベント「USEUM SAGA(ユージアムサガ)」。400年の歴史を誇る有田焼に代表される佐賀伝統の陶磁器と、佐賀の豊かな自然に育まれた第一級の食材が織りなす数日間限定のプレミアムレストランです。これまで数々の佐賀県出身の料理人とトップシェフがタッグを組んできました。その第1弾は2021年に開催された「arita huis(アリタハウス)」シェフ・増永琉聖氏×東京・代官山のフレンチ「abysse」のシェフ・目黒浩太郎氏のコンビ。二人三脚でフルコースを合作しました。

「USEUM SAGA」には、将来を嘱望される県内の料理人が県外の実力派シェフと協働することで、料理人としての濃密な成長を促すという側面もあります。類まれな実力が認められ若くしてヘッドシェフに抜擢された増永氏は、当時まだ23歳。目黒氏のイベント参加は、憧れの同氏と組ませてほしいという増永氏のたっての希望で実現したものでした。

「USEUM SAGA」のコンセプトを高度に表現し、見事に大役を果たした増永氏は、一つところに安住せず、果敢にキャリア形成していきます。福岡のフュージョン料理店「nishimura takahito restaurant」のヘッドシェフとして研鑽を積み、一旦レストランを離れて福岡のパン業界を牽引する「パンストック」でパンの研究に打ち込んできました。

そんな彼が佐賀に凱旋する「USEUM SAGA REVIVAL」が、12月8日・9日に、佐賀市の「ARKSカフェ」にて開催されました。「USEUM SAGA」以降、料理人としての技術と感性を磨き続けてきた増永氏、今の佐賀への想いを形にする舞台です。

ドリンクサービスで料理に華を添えるのは、日本酒業界のカリスマ・千葉麻里絵氏の店「EUREKA!」で店長を務める園田静香氏。日本酒をはじめとするドリンクのプロフェッショナルです。福岡県大牟田市の出身で、佐賀は幼少時から両親に連れられ遊びにきていた思い出の地です。

シェフを務める増永琉聖氏。独自の感性で佐賀の食材と器のマリアージュの表現に挑む。

ドリンクサービスを統括する園田静香氏。アルコールとノンアルコールを合わせて8種、他に日本酒と焼酎を用意した。

「USEUM SAGA REVIVAL」の舞台は佐賀県庁北側の「ARKSカフェ」。

佐賀ゆかりの調度品やオブジェなどで装飾された空間。箸やスプーンも佐賀の木工作家が作ったもの

カニの濃厚な旨味とかぶのやさしい甘味を調和させた「セコガニ 戸矢かぶ」。カニの甲羅型の器は李荘窯業所製。

USEUM SAGA REVIVALあふれる佐賀食材への思いが16皿構成の大作に。

増永氏と園田氏は、この日のために佐賀食材に関するリサーチと試作を重ねてきました。

佐賀は北を玄界灘、南を有明海に接し、北部は山地、南部は山岳地、東部は平野、西部は丘陵地と、特徴的な地質の大地で形成されています。カニやイカ、青物、牡蠣といった非常に多様な魚介に恵まれ、上質な海苔の養殖でも知られています。温暖な気候はみかんやイチゴなどの果物を育み、様々な野菜や穀物が栽培に適した地質の土壌から産み出されています。古来米に恵まれたことから日本酒醸造も盛んで、焼酎に加えて日本酒と焼酎の銘酒が両方揃う点も九州では特異です。まさに食材の宝庫と言えるでしょう。

宴は、温かいウェルカムドリンクでスタートしました。佐賀名産のみかん「天草」で風味付けした「純米酒粕焼酎天山マスク」のお湯割りです。ノンアルコールには「天草」を使った葛湯が用意されました。

料理の幕開けを飾ったのは、ズワイガニのメスである「セコガニ」と、佐賀県有田町で古くから栽培されてきた「戸矢かぶ」を使ったアミューズ。カニの甲羅を正確に再現した李荘窯業所製の磁器に盛られました。カニの旨みとかぶの甘味、爽やかなユズの香りが見事な調和を見せています。

このカニとかぶには増永氏の多大な思い入れがありました。3年前の「USEUM SAGA」で増永氏が一品目に出したのも、やはりカニとかぶの組み合わせだったのです。あえて同じ食材を使うことで、自身の足跡を見つめ、成長の証を示そうとする真摯さが伝わってきます。

以降、コースは全16品におよびました。リサーチを通してあらためて佐賀食材にふれる中で、各生産者が入魂する素材たちに感動し、レシピのアイデアがあふれ出ました。コースとしては非常に多い16品は、それでも泣く泣く絞った16品。増永氏の熱量と半端ではない仕事量が結集しています。

生、炒め、長時間ローストと3種の火入れのキャベツをまとめて揚げたコロッケ風の「キャベツ」。器は224porcelain製。手に取って味わえるようにと、佐賀特産の名尾手すき和紙が敷かれている。

左/ウェルカムドリンクには佐賀みかん「天草」と「純米酒粕焼酎天山マスク」を合わせたお湯割りが。穏やかな酸味と甘味が食欲をかき立てる。
右/続いて、多久市で醸されている日本酒「東鶴 純米 冬支度」を使ったソルティドッグ。コクのある日本酒にレモンの酸味と粗塩の塩味、ミントの香りをプラス。

鰹出汁、ニンニクとネギから取ったオイルを使って低温火入れした椎茸を香ばしく焼き上げた「しいたけ」。椎茸をバターで炒めて乾燥させたパウダーがまぶされている。
器は人間国宝の十四代今泉今右衛門作。

左/トマトをトマト出汁と梅酢で浅漬け風に仕上げた「トマト」。澄んだガスパチョのジュレがかけられた、なんとも涼やかな一皿。器は人間国宝である井上萬二作。
右/焼きナスに目の前で出汁がたっぷりとかけられた「ナス」。鶏をベースに牛、豚、納豆やキムチ、酒粕などの発酵食品でとられた風味豊かな出汁が香ばしく、甘味が引き出されたナスと見事に調和。器は李荘窯業所製。

口直しとして、佐賀名産の神崎そうめんも登場した。器は今右衛門窯製。

USEUM SAGA REVIVAL実は世に稀な人間国宝作の生活食器で食する悦楽。

「USEUM SAGA」という名の由来は、美術館(MUSEUM)に飾るような器を、実際に食器として用いて(USE)料理を味わえることから。

一般的に人間国宝のような著名な陶芸家は壺やオブジェなどの大作を手がけることが多くなるため、料理皿のような生活食器の作品はほとんど作られることがないそうです。よって人間国宝クラスの皿で実際に料理をいただくことは極めて貴重な機会になります。「USEUM SAGA」では人間国宝に揃いの食器を特別に作ってもらい、惜しげもなく使われます。

たとえば、「しいたけ」の十四代今泉今右衛門をご覧ください。実際に手に取って眺めてみると、精緻な絵柄、精彩な発色に心を奪われます。そこには、増永氏の色彩感覚や空間構成によって器の魅力を引き出され、生活用具としての機能美がプラスされた効果も多大に影響しています。陶芸家と料理人の競演でもあるのです。

増永氏は今回のプロジェクトを通じて、佐賀食材に特有の“力強さ”を感じたと話します。

「トマトが甘くておいしい。でも甘いだけでなく非常にトマトらしい。ナスはナスらしい。風味や食感などいろんな要素がからんでいますが、確固たる存在感があります。僕はそんな佐賀食材で料理をすると、とてもしっくりくるという感覚があるんです。一つひとつの素材はすでに完成されたもの。僕の仕事はその持ち味を壊さずに寄り添うことです。料理の本質をあらためて見つめる機会になりました」

園田さんも新たなチャレンジに確かな手応えを感じたようです。

「佐賀は馴染み深い土地ですが、単に佐賀産の材料を使ったドリンクになってしまわないか? 私にできることは一体何か? と悩みました。それが、増永さんの料理を試食して一気に解消されました。増永さんは素材の本質的な魅力を捉えて、意外な手法で放出させます。ここにクミンを使って抜け感を出してきたか……とか感心しきり。そして、私は増永さんの料理と一緒においしく、楽しくなるドリンクを作ればいいんだと視界がクリアになりました。私にとっても活動の幅を広げる大切な体験となりました」

「USEUM SAGA」第1弾を企画するにあたり増永氏に白羽の矢を立てた理由を、事務局が明かしてくれました。

料理が好きでおばあちゃん子だった増永氏は、幼少の時から台所に立つおばあちゃんのかたわらで調理の様子を見守り、質問しながらレシピを書き留めてきたそうです。その時間の積み重ねが料理人への道へと導いたのです。佐賀の暮らしの中で、大切な人においしいもの食べさせてあげたい。増永氏の料理人としての土台は、ピュアな思いから形づくられてきました。「USEUM SAGA」はそんな増永氏の料理人としてのスタンスに共鳴しました。

増永氏は、業種業態の異なる店を数店舗展開したいと話します。

「店それぞれの名物で前菜からメイン、デザートまで一つのコースができあがる。自分がどこかでコースを全部作らなくても、そんなふうにおいしいコースを提供できるといいな。夢を少しずつ叶えていきたいですね」と増永氏は静かに話します。

彼はこれから何度も佐賀に立ち帰り、リバイバルを重ねながらより大きな料理人になっていくことでしょう。

未来ある料理人の成長の舞台「USEUM SAGA REVIVAL」第2弾では、誰が腕を振るうのでしょう? 参加者たちは満足感に浸ると共に、次回への期待を膨らませたはずです。

「鯖」は、乳白色の素地に鮮やかな色絵が施された柿右衛門の皿で登場。鯖の刺身に卵黄を使ったソースとピリ辛の醬(ジャン)を合わせている。分葱油と削ったカシューナッツがアクセント。

メインは佐賀県で盛んに飼養されている「みつせ鶏」のロースト。皮目は肉醤を塗って香ばしく焼き上げ、身の方はニラのペーストを塗って瑞々しく仕上げている。器は李荘窯業所製。

〆の食事はイノシシを煮込んだ「カレー」。今回のコースで出た野菜の切れ端の出汁でじっくり煮込まれたスパイスカレーを、キャロットラペとたくさんのパクチーと共に。器は中里太郎右衛門陶房製。

左/マリネしたデコポンとブランマンジェをデコポンのジャムと共に。デコポンの力強い風味を堪能できる。
右/餅米と甘酒で作ったアイスクリーム。甘酒で作ったクランブルのトッピング、甘酒のキャラメルソースと甘酒づくし。

キッチン、ホール共に普段はそれぞれ別の店で活動している仲間たちが結集。全員20代のフレッシュなチームが醸し出す自然体なムードも印象的だった。

1998年佐賀県佐賀市生まれ。佐賀県立牛津高校を卒業後、2016年「オーグードゥジュールメルヴェイユ博多」に勤務。小岸明寛シェフ(太良町出身)のもとで研鑽を積み、2018年、「arita huis」(佐賀)に勤務、2020年よりヘッドシェフを務める。その後、福岡のイノベーティブレストラン「nishimura takahito restaurant」のヘッドシェフに抜擢される。2024年7月に同店を退職し、一旦レストランを離れ、福岡のパン業界を牽引する「パンストック」に勤務。

1995年福岡県大牟田市生まれ。中村調理製菓専門学校(福岡)卒業後、東京都内のレストランに勤務。日本酒業界のカリスマ・千葉麻里絵氏の日本酒アプローチに惹かれ、「GEM by moto」(東京)に入社。千葉氏が考案する口内調味や日本酒ペアリングのスキルを学ぶ。その後、千葉氏の独立とともに「EUREKA!」(東京)立ち上げに参加。同店の店長として従事。


PhotographHIDEKI MIZUTA
TextTAKASHI WATANABE

栃木レザーベルト 錫プレートバックルタイプ

アイアンの定番ベルトに錫バックル製が仲間入り!

  • ウェッジレザーズの平尾氏の手による職人仕立て!
  • 皮は栃木レザーのミシバクロップを採用。上質なステアハイドです
  • バックルは肉厚なベルトに相性抜群な真鍮製のヘビーバックル仕様です
  • ベルト幅は4.5cmに広げています
  • 剣先はスクエアカットにしています
  • バックルの留め金具を廃し、シニュウ糸の手縫いで留めています
  • 旧タイプのベルトは、ベルトの裏にもオイルを入れて色を濃くしてましたが、それが時にジーンズに色移りするなどのトラブルを招くこともあったため、今回はオイルつけ、色つけをしてません
  • ホールの個数を7個から5個に。ホールの形は、ピンが寝やすいように梨型に改善しました

  • 真鍮プレートの【IHB-09】はこちらから

【ステアハイド】

  • 生後6ヶ月に去勢された革製品の為に育てられた牛の皮革のこと。
  • 丈夫な上に、使えば使うほど味が出やすいので、ベルト製品に非常に適した素材です。

生産国

  • 日本

21oz黒鎧デニムビッグダッフルバッグ

IHE-24のLサイズ版登場!!

  • 黒鎧デニムを使用したダッフルバッグ
  • 糸の芯までしっかり染める『反応染め』で、ブラックの深さを出した『純ブラック』を再現
  • 持ち手部分は4mm厚のイタリア・ワルピエール社のブッテーロレザーを使用
  • 3泊4日の旅行に最適な容量です
  • ※ショルダーベルトは付属しておりません

令和7年度関川水系 遊漁券発売中

マルニジーンズ店舗にて関川水系遊漁券販売開始しています。

「渓流釣遊漁証」をお求め頂き、安全で楽しいシーズンをお過ごし下さいますようご案内申し上げます。

  1. 遊漁期間:令和6年3月1日(金)から9月30日(月)
  2. 遊漁場所:関川水系全域
  3. 種類及び価格 (1) 渓流年間遊漁証:¥6,000 (2)渓流日釣券¥1,5 00    ※現場購入の場合は各500円が加算されます。
  4. ※アユ券は別券です。(日釣り券:¥2,000 年券:¥6,000 投網:¥12,000です。
  5. 渓流年間遊漁証・渓流日釣券にてキャッチ&リリース区間での釣りが可能です。

詳しくは関川水系漁業協同組合

女性シェフとして生きる覚悟。世界の三つ星シェフが悟ったTOKYOの才能。

「Tokyo Artissense:A Female Chef Collaboration」と題し、東京を代表する3名の女性シェフがコラボレーション。そのゲストには、世界で活躍する三つ星シェフとジャーナリストが今宵のために来日。企画監修は、世界一の美食家、浜田岳文氏が担う。

Tokyo Artissense東京から世界へ。仕掛け人は、世界一の美食家。

1月某日。東京都主催「Tokyo Artissense:A Female Chef Collaboration」が開催。仕掛け人は、「OAD世界のトップレストラン」のレビュアーランキングで6年連続1位に君臨する世界一の美食家・浜田岳文氏です。

タイトルにある、Artissenseは、アルチザン(artisan)とエッセンス(essence)を組み合わせた造語。東京の食文化を示すもののひとつに職人技があると考え、今回は、3名の女性シェフを通して、それを堪能いただければと思っております」。

3名の女性シェフとは、「été」オーナーシェフ・庄司夏子氏、「純麦」オーナーシェフ・矢嶋純氏、「FARO」シェフパティシエ・加藤峰子氏です。

庄司氏は、「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」(現「レクテ」)、「フロリレージュ」を経て開業。「アジアのベストレストラン50」にて、2020年にはベストベイストリーシェフ賞、2022年には最優秀女性シェフ賞を受賞。矢嶋氏は、「麺処ほん田」を経て、ミシュランビブグルマンの人気女将として名を馳せ、開業。加藤氏は、2018年より「FARO」のシェフパティシエを務め、「アジアのベストレストラン50」にて、2024年にベストベイストリーシェフ賞を受賞。

3者、異なる道を歩んでいますが、一流と形容すべき活躍ぶりは、共通している点。

「今回のテーマは、食を通して、東京を世界に発信し、実際に東京に来てもらうこと。世界中のゲストは、日本の食を求め、旅をしています。それは、様々な統計から見ても間違いありません。その最たる地域が東京。それぞれ異なるバックグラウンドを歩んできた3名は、東京の多様性も体現していると思います」と浜田氏。

その多様性を味わうゲストは、世界中から招集されたシェフとジャーナリスト。まず、シェフの面々は、イギリス・カートメル「ランクリム」をはじめ、世界中に10店舗を経営するシェフ、サイモン・ローガン氏、デンマーク・コペンハーゲン「ヨーネア」のオーナーシェフ、エリック・ヴィルドガルド氏、イタリア・セニガッリア「ウリアッシ」のシェフ、マウロ・ウリアッシ氏。彼らの共通項は、ミシュラン三つ星を獲得しているということ。

そして、ジャーナリストにおいては、ドイツ・ベルリンで活動し、「世界のベストレストラン50」のチェアーも務めるロレイン・ハイスト氏、ヨルダン・アンマン出身の作家であり、写真家、そしてフード&トラベルライターからコンサルタントまで務めるリーン・アル・ザベン氏などです。

人選は、浜田氏。世界中のシェフやジャーナリストたちとコミュニティを持つ世界一の美食家のオーガナイズであれば、異論なし。

今宵、東京で活動する女性シェフ3名の才能が開く。

今回のコースにおける前半3品を担った「été」オーナーシェフ・庄司夏子氏。「2020アジアのベストレストラン50」においてベストベイストリーシェフ賞、2022年「ベスト女性シェフ賞」などを受賞する実力派。今回は、母校の生徒も連れ、育成にも力を入れる。

ミシュランビブグルマンの人気店女将として名を馳せたラーメン職人であり、ラーメン割烹スタイルで話題を呼ぶ、完全予約制「純麦」オーナーシェフ・矢嶋純氏は、今回のコースでは、中盤2品を担当。

2024年「アジアのベストレストラン50」において、「ベストベイストリーシェフ賞」を受賞したイノベーティブイタリアンレストラン「FARO」シェフパティシエ・加藤峰子氏。今回のコースでは最後の2品を担当。

本企画の監修を担った世界No.1フーディー、浜田岳文氏。2024年には、自身初となる著書「美食の教養 ―世界一の美食家が知っていることー」も出版し、話題に。

食を通して、東京を世界に発信すべく、今回招かれたゲストは、世界で活躍する三つ星シェフとジャーナリストたち。

Tokyo Artissense一夜限りの幻のコース。世界の一流が日本の一流に舌鼓を奏でる。

供された料理は、コース仕立て。前半は庄司氏、中盤に矢嶋氏、最後に加藤氏が腕を振るいます。

計7品で構成された1品目は、「étéシグネチャー ウニのタルト」。塩味とスパイスの双方がウニの旨みを引き立て、それを、手で一口。皆、ウンウンと首を縦に振り、口元を緩め、笑みを浮かべ、隣同士、胸高鳴る期待が確信に変わったようにアイコンタクトを送り合います。

2品目は、「ポメロフラワー」。くり抜いたレモンの中には、カツオ、バジル、ヘーゼルナッツのタルタル、そして、ガスパチョソースを忍ばせ、素材の味を堪能したのち、ソースと混ぜ、いただくもの。蓋の見立てには、黄色ズッキーニと柑橘の粒をひとつ一つ並べ、まるでアートのよう。食だけでなく、ファッションやアートにも造詣が深い庄司氏の美意識が漂うプレゼンテーションです。

3品目は一転。「伊勢海老のパイ包み焼き」。「クラシックな料理もお楽しみいただければ」と庄司シェフは話すも、らしさは光る。一般的には、ビスクやアメリケーヌのソースを添えますが、ゆずで香りを効かせることによって、日本らしさも演出。もちろん、伊勢海老の火入れも抜群。そして、庄司氏のパートにおいては、カツオ、伊勢海老は、東京湾で獲れたものだということも特筆すべき点。新鮮で質の高い食材は地方という印象を覆すだけでなく、本イベントのタイトルに採用されるよう、TOKYOのポテンシャルの高さも再発見させました。

次ぐ、4品目からは、矢嶋氏。「純麦」スタイル同様、「ラーメン」と「かき氷」を供します。

「ラーメン」のスープの出汁は、東京しゃもを使用。「良い野性味を感じられる仕上がりになりました」と矢嶋シェフが話す通り、コクの中に力強さを感じ、それを纏った太めの麺は、すする度、旨みが増倍していくよう。東京Xのチャーシューもまた、一杯の完成度を高める重要なファクター。パイ包みからラーメンという斬新な流れも、違和感ではなく、サプライズと化し、既存のレストランではありえないコースに。前述、浜田氏の言う「東京の多様性」を感じる妙であり、これがTOKYOの面白いところ。

5品目、季節の柑橘を活かした「かき氷」には、酒粕を合わせ、NIPPONの文化も漂う味わいに。ここからコースはデセールへとグラデーションしてゆきます。

6品目からは加藤氏。「薔薇と檜とアーモンド」は、国産の自然農法の薔薇と在来種のオーガニックのイタリアのアーモンド、そして、東京で栽培されたいちごの華やかなデザート。

最後、7品目は、「イタリアで食後酒として飲むアマーロという数十種類の薬草をアルコールに漬け込み、砂糖を加えて作られた苦みが心地良いお酒にヒントを得た」と言う、「日本の里山の恵 花のタルト」。植物性の原材料でできたタルト生地の上には、アグロフォレストリーで育てられたバニラで華やかに香り付けした豆乳クリーム。さらに、その上に約20種のハーブや花々が彩ります。しかし、加藤氏の料理は、ただ華やかなものではありません。

「世界的に見ても森林問題は大きな課題ですが、日本においては、生態系や森を守るには間伐が必須だと考えます。1年で生育する野菜と異なり、木は成長に時間がかかります。数十年と生きた木を味わい、香る体験は、疲弊してしまっている森林と向き合う良い機会になるのではと。身体に取り込むことによって、内発的な感情が芽生えてもらえたら」。

この先、里山の景色は、果たして残っているのだろうか。タルトの食後、盛り付けられた余白も手伝い、そんな問いが胸に刺さる。

3人のコースは、ただ美味しいだけでなく、食を通して、社会と交わるきっかけにもなりました。そして、それを、強く、美しく、たくましい、TOKYOの女性シェフが織り成したことも、紛れも無い事実として、改めて、ここに記しておきたいと思います。

1品目、庄司氏の名刺がわりに相応しいスターター「étéシグネチャー ウニのタルト」。フルーツタルトから始まったレストランの起源にちなんだ料理。

庄司氏の感性が冴え渡る2品目、「ポメロフラワー」。スライスしたズッキーニと柑橘の粒をあしらった蓋の中身には、東京湾のカツオにバジルとヘーゼルナッツのタルタル、ガスパチョソースを忍ばせる。

3品目、「伊勢海老のパイ包み焼き」。刺身でも食べれる東京湾の伊勢海老をムースで包み、味と食感にレイヤーを演出。フィユタージュ(パイ生地)で包んだ中は、ミキュイ(半生)で焼き上げることによって、風味も豊かな味わいに。伊勢海老の殻で作ったソースに多摩地域のゆずで香り付けしたソースも特徴。

4品目は、矢嶋氏の「ラーメン」。東京しゃもとTOKYO-X豚骨のスープを乾物の和出汁と割り、ダブルスープに。焼豚は藁焼き。尾崎牛の牛脂も使用。麺は、山口県産せときららというパン用の強力粉をメインに、北海道産の小麦数種類ともち小麦などを使用した自家製麺の手揉み中太麺。

5品目は、季節の柑橘と酒粕を中心に作られた「かき氷」。今回の柑橘には、金柑と紅まどんな、紅姫を採用。味と色の濃い酒粕は、鍋島より。

6品目は、加藤氏が「檜の幹を使用し、森の中にいるような味わいを作りたかった」と話す「薔薇と檜とアーモンド」。加藤氏が目指すべき料理は、「普遍」。「体に木を取り入れることによって、少しでも環境問題に関心を持っていただければ。こうした件ともシェフとして何ができるのか、向き合い続けたい」と続ける。

最後の品は、「日本の里山の恵 花のタルト」。「食事の最後に官能的な瞬間を香りや食感で表現しました」と加藤氏。本作においても、環境問題へのメッセージは込められ、「50年後にこの里山の景色は、はたして残っているだろうか?」と問いかける。その余韻も含め、加藤氏の料理は構築されるのかもしれない。

Tokyo Artissense「Fantastic!」「Amazing!」、そして「Perfect!」その感動が、今宵の成果を物語る。

サイモン氏は言います、「Fantastic!」。マウロ氏は言います、「Amazing!」。

「それぞれ、スタイルと個性が異なる3人のシェフで構成されたコースというのが非常に面白かったです。そして、これほどまでに高いクオリティを、こんなに若い女性が表現していることに驚きました。特に、矢嶋氏のラーメンのスープの風味が印象的でした」とサイモン氏。

ラーメンは、世界的にも確立した市民権を得た料理であり、本場日本のラーメンは、海外シェフからも人気を博しています。だが、「純麦」は住所非公開のため、外国人がたどり着くには、困難と思われますが、「その数は少なくない」と矢嶋氏は言います。そのエピソードに、美味しいものを食べたいという、海外からのフーディーの貪欲な探究心を感じます。

そして、エリック氏も矢嶋氏を支持。「ヨーロッパのかき氷は、もっとガリガリ。こんなにふわふわの食感は初めて。そして、冷たさを感じさせない技術も素晴らしい」と話します。

マウロ氏においては、加藤氏のデザートを絶賛。また、「イタリアにも優秀な女性シェフがいますが、そのメンバーが集う機会は、まずありません。そういった意味でも、このように女性がフォーカスされたプレゼンテーションは、大きな意義があると思いました」と、自国との違いも述べました。

また、ジャーナリストの女性2名からも、様々な意見が。

中東を中心に活動しているリーン氏は、「私の地域では、女性シェフが全くいませんでしたが、最近、少しずつ増えてきました。今回の3名のように素晴らしい女性シェフが、中東でも活躍できる場ができると良いと思っています。女性の料理は、やはりプレゼンテーションが美しい。今回は、étéシグネチャー ウニのタルトと薔薇と檜とアーモンドが印象に残っています」と話します。

また、「女性ならでは、という表現はしたくありませんが、やはり女性の料理は繊細」とロレイン氏も続けます。特に、庄司氏の「伊勢海老のパイ包み焼き」を高く評価し、「構築されたレシピと味の繊細さをソースに感じた」と話します。

パイ包み焼きといえば、フランス料理の定番。しっかりとしたソースに重厚感のある味わいがイメージとしてありますが、庄司氏のソースは、別物。前述、伊勢海老の殻をじっくり煮込んで旨味を凝縮するも、重すぎず、ゆずをアクセントに。加えて、そのゆずは奥多摩産を使用しているため、伊勢海老同様、TOKYOをテーマにした切り口も採用され、味だけでなく、文脈として料理を組み立てる緻密さにも、質の高さを伺います。

「女性シェフ、というキーワードは、自分のレストラン選びのひとつでもあります。私の地域(ドイツ ベルリン)でも、女性シェフの活躍は、まだ少ない。評価においても、過去、二つ星まで獲得したレストランはありましたが、まだまだこれから。大切なことは、女性シェフも男性シェフと同じように料理できることを認識することではないでしょうか」。

そして、ロレイン氏の評価は、料理だけに留まりませんでした。今回、コース提供前には、生田流箏(琴)奏者・十七絃奏者・作曲家・編曲家の明日佳氏やDJ・ピアニスト・作曲家の野崎良太(Jazztronik)氏を招き、日本音楽のライブも演出。食後には、女性シェフ3名のトークセッションも行われ、コースや料理の解説だけでなく、各々の哲学などについてなど、様々な議論も行われました。

「海外でフードイベントを開催する際、料理を提供するだけに留まるものが多いです。今回のように、文化体験や、なぜこのような料理になったのか、この味にした理由などを理解できる機会は、非常に珍しく、少人数制という規模感も日本らしいと思いました」。

音を聞き、料理を味わい、言葉でそれを理解する。イベント全体を体験したロレイン氏は、最後にこんな言葉を残してくれました。

「完璧という言葉を使うのは好きではありませんが、完璧なイベントでした。It’s Perfect!」。

「それぞれ全く違う個性をひとつのコースにまとめたのがユニークだった」と話すサイモン・ローガン氏が特に印象的だった料理は、矢嶋氏の「ラーメン」。

「東京にもこんなに良質な食材があることにびっくりしました」と、エリック氏。そして、「ヨーロッパには、こんなにふわふわしたかき氷はありません」と、矢嶋氏の「かき氷」を高評価。

「イタリアでは、まず女性シェフ同士がコラボレーションすることは、なかなかなく、そう言う意味でも今回のイベントは素晴らしい企画でした。特に加藤氏の料理は、味もコンセプトも素晴らしかった」とマウロ氏。

「中東では、女性シェフがまだまだ多くありません、今回のようなイベントを通して、女性シェフが活躍できる場が増えることは、素晴らしい」と、リーン氏。また、料理においては、「庄司氏のétéシグネチャー ウニのタルトと加藤氏の薔薇と檜とアーモンドに、女性らしい感性と繊細さを感じた」と話す。

「トークセッションがあったことによって、料理の味だけでなく、コンセプトや想いなどを咀嚼して理解できたのが良かったです。女性は、チームを構築することにも長けていると思っており、キッチンの仕事も美しかった」とロレイン氏。料理においては、庄司氏の「伊勢海老のパイ包み焼き」を高評価。

コースが始まる前にはライブも開催。生田流箏(琴)奏者・十七絃奏者・作曲家・編曲家の明日佳氏やDJ・ピアニスト・作曲家の野崎良太(Jazztronik)氏が、繊細な音を奏でる。

コース中盤には、石川県の酒蔵「車多酒造」の「五凛 凛粋」が供され、復興支援も。供される器は、堀口切子氏の江戸切子。細部にわたり、東京らしい演出を施す。

コース後のトークセッションでは、「生産者の丁寧な仕事により、東京の食材が世界に誇れるものであることを再認識」「女性シェフが活躍できる場の拡張について」「東京の食材の香り高さ」「森林保護の重要性についての言及」「昨今のSNS事情の良し悪し」「東京でお店を営む意義」など、様々な切り口で議論が交わされた。

Tokyo Artissense女性シェフのこれから。TOKYOのこれから。

食を通して、東京を世界へ発信することを目的とした一夜の表現として浜田氏が着目したことは、繰り返しですが、女性シェフと多様性。

「女性シェフと言っても、様々なスタイルがあります。今回は、全く異なる3名の女性シェフにお願いをさせていただきました。その理由は、ロールモデルの可能性を示したかったからです」と浜田氏。

今回、浜田氏の口からは、バックグラウンド、という言葉が多く出ていました。それを紐解くならば、スタイルがシェフとしての現在であれば、バックグラウンドは人としての過去とでも言うべきか。確かに、庄司氏、矢嶋氏、加藤氏は、スタイルだけでなく、バックグラウンドも全く異なります。

「今回の3名は、女性シェフではありますが、女性だから云々というわけではありません。実力と能力があるからこそ、活躍されています。ですが、本来はもっと多くの女性シェフが活躍できるはず。それは本人たちの問題ではなく、その場が少ないという問題を感じています」。

レストランを営んでいる以上、極端に例えるならば、料理を食べてもらう接点は、ゲストのみ。しかし、今回のように、海外で活躍する三つ星シェフやジャーナリストと接点を持つことによって、何か新しいものが生まれる可能性や新たな筋道ができる可能性を秘めている。

接点という意味では、驚くべき事実も。今回、3名のシェフのうち、日本と接点があったのは1名、マウロ氏のみ。ほか2名は、初来日でした。

「海のそばのレストランや魚介を使う料理をしているシェフもいるため、ぜひ東京の食材も体験して欲しかった。エリック氏においては、日本のエッセンスを採用したあん肝料理を提供していますが、日本であん肝を食べたことないので、ぜひ食べていただき、今後に活かして欲しいとも思いました」。

インターネットやSNS、情報過多の時代、その特徴を得ることは難しくなく、高い技術を持ってすれば調理できてしまうこともありますが、体験にまさるものなし。後日、浜田氏のアテンドのもと、日本のあん肝を食し、エリック氏が感動したことは言うまでもありません。ただ、趣旨を伝えるだけでなく、招いた相手においてもプラスになる配慮は、浜田氏らしいホスト。

そんな様々も含めた場作りやきかっけ作りが、今後、浜田氏がレストラン界に寄与する力点なのかもしれません。

「若い才能に触れてもらえる機会は非常に嬉しい。今回のように知っていただけるような企画を実施したり、女性がシェフとして続けていきたいという場を作ったり、キャリアパスのお手伝いもできればと考えています」。

女性シェフという点では、浜田氏が愛するひとりに、イタリアの北東・フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州「ラルジネ・ア・ヴェンコ」のシェフ、アントニア・クリュグマン氏という人物がいます。

「彼女にも深いバックグラウンドがある。そして、彼女と今回の3名の女性シェフの共通点は、強い意志」。

今後、女性シェフが活躍できる域を拡張するためには、当事者だけでは解決しない。周囲も含め、その意志を示すことによって、女性シェフだけでなく、TOKYOの未来が変わるのだと考えます。

女性のアワード、それに触れない星、そして、ランキング、トック。女性をフォーカスするのが良いのか、はたまた、そうでないものを平等と捉えるべきか。別の角度からは、体力、人生の節目、労働環境。飲食業に限った話ではありませんが、様々な要因が含まれるため、一筋縄にはいきません。

ただ、ひとつわかることがあるとするならば、TOKYOには、女性シェフの才能がまだまだあるということ。今回、浜田氏は、それを証明しました。

世界が度肝を抜くTOKYOのレストランシーンの本領発揮は、これからだ。

今回の会場となった空間は、「Shibuya Sakura Stage SHIBUYAタワー 」38Fにあるグリルダイニング&ミュージックバー「STEREO」。高層階から望むパノラミックな絶景は、まさに東京を象徴するような世界が広がる。


Photographs:AKIHIDE MISHIMA Styrism Inc.(FOOD)
TextYUICHI KURAMOCHI

日本のケーススタディとなるか。「利島」という循環型社会。

伊豆七島のひとつ、「利島」。島の約8割の土地が椿の木に覆われており、その資源を活用し、世界基準のブランドを目指す。

TOKYO TREASURE ISLANDSこの地で生きる覚悟。「利島」という謎の島を知る。

東京は都市だけではありません。それが、11の島々から成る「東京宝島」です。その中のひとつ、「利島」は、都心から南へ約140km離れた人口約300人の島。

海をわたるゆえ、陸のように時刻通りの交通機関は整いません。大西風が吹く日には、定期船の着岸ができず、冬の就航率は、5割程度。しかし、この不便は、「利島」に限った話ではなく、ほか10島も過酷。理屈では同じ東京ですが、別世界。海外からの観光客を魅了する東京もあれば、ここもまた東京。本当の東京を知る人は、日本人ですら、いや、都民ですら少ないでしょう。

そんな「利島」は、山そのものが島であり、その象徴が「宮塚山」です。そして、この特異なかたちから、かつて、航海する人々にとって絶好の目印にもなり、航海の安全を祈る、神が宿る「神奈備(かんなび)」として崇められていたと伝わります。そのせいか、山や森林を神域とした昔ながらの古い信仰が「利島」には今なお残り、「宮塚山」そのものを御神体に、原生林に囲まれた「阿豆佐和気命本宮(あずさわけのみこと)」、「大山小山神社(おおやまこやま)」、「下上神社(おりのぼり)」の3つの神社が存在しています。そして、島民は親しみを込め、それぞれを「一番神様」、「二番神様」、「三番神様」と呼んでいます。

そのほかにも、「利島」の魅力は、様々ありますが、敢えてフォーカスするのならば、椿。その数は、約20万本。島のほとんどを埋め尽くし、最盛期を迎える冬には、島全体を赤く染めるほど咲き誇ります。

しかし、そもそも、なぜ、これほどまでに「利島」には椿が多いのか。それは、多くが人の手によって植林されたからです。

理由はいくつか挙げられますが、まずひとつは、防風林として。離島ゆえ、周囲に遮るものがなく、風速10mを超える強風が1年の1/3ほど発生するため、暮らしを守る役割です。

では、なぜ、それが椿だったのか。肉厚な葉は潮風にも強く、傷付きにくく、艶やかな表面は例え火山が噴火したとしても、葉に灰が積もりにくいなどの特性を備えているからです。また、玄武岩地質もまた、椿の生育に適しており、その約50%を構成する二酸化ケイ素は、植物の成長促進やストレス低減、病害虫への耐久性にも優れており、それらの要因から、利島の椿は、化学農薬も不要なのです。

理だけでなく、地にもかなった人の知恵。

そんな島の資源、椿との暮らしこそ、この地の持続可能な循環を生んでいるのです。

「利島」は、東京(本島)から南に約140km離れた場所に位置。周囲は約8km、面積は4.12k㎡という、小さな島。

二番神様と呼ばれる「大山小山神社」は、一番神様の「阿豆佐和気命本宮」からほど近くに。三番神様「下上神社」には、「阿豆佐和気命本宮」の妃も祀られ、信仰を辿る山廻りをすれば、「利島」の神秘に触れることができるに違いない。

TOKYO TREASURE ISLANDS人の手で変えた環境を人の手で価値化。

「利島」の椿を活かしたもの、それは椿油です。その歴史は長く、江戸時代より、年貢として椿油を納めていたという歴史的背景もあります。

現在、島の8合目(それより上は自然林)まで広がる椿山には、全て所有者が存在する農地であり、農家が育てています。収穫した椿の実は、島に1箇所ある製油所(利島農協が指定管理運営)にそれを持ち込み、重量に応じて農協が買い取るというケースが主になります。

椿は生育が遅く、植えてから実を安定的に付けるようになるまで15年〜20年かかるため、農業生産に向いているかいないかでいえば、後者になります。加えて、花が咲いてから実を収穫できるまで約1年。春から夏にかけては雑草を刈り、枝を間引き……。自然物のため、生育の確約はなく、台風などの被害もあります。安定的な収穫が難しいゆえ、収入が不安定になることも。では、なぜ「利島」はそれでも椿にこだわるのでしょうか。

椿は、「利島」の宝だから。

そこで「利島」は、椿のブランディングに取り組みます。その代表が、「神代椿」。

人の手で椿を植林し、自然環境を変えた資源を、人の手で価値化させたのです。ここに大きな意義があると考えます。

椿山からは、「大島」の絶景も望む。「利島」の日常は、同じ東京とは思えないほど、非日常が広がるが、同時に、どちらが別世界なのかという素朴な問いも心の中に沸き起こるだろう。

「利島」では完熟して落ちた実(種)を拾うため、それが大きく成長する夏に下草を刈り、綺麗な林床に仕上げる。この作業を地元では「シタッパライ」と呼ぶ。

集めた枝や落ち葉、古い実を野焼きすることもまた、古くから受け継がれている収穫作業の一環。

夏が終わり秋に入ると実(種)が完熟し、林床に落ち、地にも絶景を形成する。椿農家はそれをひとつ一つ丁寧に拾い上げる。この根気が必要とされる作業を地元では「トリッピロイ」と呼ぶ。

実(種)は、各自宅の軒先などで乾燥させたのち、島内にある椿油製油センターへ持ち込む。

「利島」の椿油は、ヤブツバキの種を100%使用。椿実の収穫から搾油、商品梱包まで、全てを島内で行う。まさに、メイド・イン・利島の逸品。

日本で唯一「COSMOS ORGANIC」認証取得した数量限定のプレミアムオイル「神代椿―雫―」(左)は、利島全体のわずか10%の藪椿からしか精製できない貴重な椿油(2011年時点)。そのほか、椿種子の一番搾り油のみを、色・香り・質感を大切に残し、濾過脱酸した椿油「神代椿―金」(中央)と椿種子の一番搾り油を濾過脱酸、更に精製し無色透明でサラッと仕上げた椿油「神代椿―銀―」(右)も揃える。

TOKYO TREASURE ISLANDSオンリーワンとナンバーワンを確立させたブランド作り。

「神代椿」を通して行われた「利島」の椿のブランディングの手法として着眼したことは、「COSMOS」認証でした。これは、オーガニックコスメの世界統一の認証基準であり、「COSMOS ORGANIC」と「COSMOS NATURAL」の2種に分類されます。2019年、「利島」の椿油(島全体の10%の椿から精製した椿油)は、前者を取得しました。

取得するためには、「内容成分の95%から100%が自然由来の成分であること」や「植物原料の95%〜100%が有機農法、遺伝子組み換えしていない農法によって作られた原料でなければならない」など、多くの厳正な項目をクリアしなければいけません。

「利島」は、認証取得に向け、生産者と園地ごとの収穫量の記録管理をはじめ、新たな苗の育成、選定した母樹の記録、そのデータから解析する苗が良く育つ母樹をトレースするなど、トレーサビリティ管理を徹底。

また、認証基準のひとつでもある「製品に使われているすべての成分、原料は、環境に悪影響を与えない生分解性のものでなければならない」においては、椿油の搾り粕を再利用。その一例として、肥料に使用できるよう、テスト製造を行い、環境負荷の少ない農園作りも目指します。

しかし、これらは取得までの道のりのごくごく一部。この場で全てを語り尽くせるほど容易ではありません。そんな「COSMOS」認証の困難の極みは、この事実を知れば、より伝わりやすいかもしれません。

「利島の椿油は、日本で唯一、COSMOS認証を取得」。

加えて、利島は、椿油の生産量日本一(生産量の変動によって異なる場合もあり)。つまり、オンリーワンとナンバーワンの双方を確立させたのです。

椿油の循環型生産に向けた活動のひとつとして、搾り粕の再利用にも取り組む。肥料として使用できるよう、テスト製造を行い、環境負荷の少ない農園作りを目指す。

TOKYO TREASURE ISLANDS各地域が抱える問題の打開策を「利島」に見る。

この「利島」のモデルケースには、いくつかのポイントがあると考えます。

ひとつは、前述、人の手で椿を植林し、自然環境を変えた資源を、人の手で価値化させたこと。

例えば、昨今においては、森林問題と直面している地域は少なくありません。特に針葉樹は、椿のように防風林に活用すべく植林されたものもあれば、建築資材として植林されたものなど、日本国土に多くあります。

しかし、その利用は減少し、数十年放置されることによって樹々は生い茂り、大地まで光が届かず、生態系の影響や自然災害の危険性も。これは、天災だけでなく、人災による被害も関わっているのではないでしょうか。

人の手で変えてしまった自然環境は、人の手で始末する責任が伴うと考えます。その始末の仕方を、「利島」は、循環型社会として取り入れ、適正に行われているのです。これが、自然に人が介在する意義。

そして、もうひとつは、世界基準を目指したブランド作り。国内だけでなく、国外に向けたゴールを設定することによって、逆に国内がついてくる仕組みは、「利島」で例えるならば、椿油のブランド作りだけでなく、今後、「利島」のブランド作りにも、大きく作用してゆくと考えます。

一方、「利島」に限らず、地方が抱える問題のひとつとして注視すべきは、高齢化、Uターン、Iターンなど、人の課題も。全てが一筋縄では解決しないもの、ことばかりですが、「利島」のモデルケースは、他県や他地域がその土地にある資産を価値化するためのヒントがあるのではないでしょうか。

そして、「利島」のモデルケースは、東京宝島のモデルケースという域を超え、日本のケーススタディと呼ぶに相応しい事例なのかもしれません。

椿は「利島」の命であり、椿油はこの島とともに生きる島民の覚悟の証なのです。

落ちた椿が地に広がる光景もまた、儚くも美しい。摘まれた実は椿油となり、そうでない実は土に還り、次の実へ繋ぐ栄養となる。

アイアンハートX シモンズビルト プレーリーホースハイドカレッジジャケット

商品詳細

  • 1.1〜1.2mm厚の ヨーロピアン・プレーリー・ホースハイド(馬革)を使ったレザージャケット
  • イタリアでクロム鞣しをしています
  • 裏地はダンディーの Halley Stevenson製 100% コットンを使用
  • ユニバーサル社製のメインジッパー。レザーの引き手付き
  • 丸編みニットの襟・カフ・裾
  • コットン裏地付きのハンドウォーマーポケット
  • スナップボタン付き内ポケット
  • シングルニードルステッチ構造
  • 転売不可Proxy is prohibited

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
S 65.3 47.2 50.0 40.9 62.5
M 66.3 48.5 53.6 44.5 65.3
L 66.8 50.0 55.9 47.2 68.6
XL

67.1

50.8 58.4 48.8 68.8
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • ホースハイド

生産国

  • スコットランド

アイアンハートX シモンズビルド プレーリーホースハイドカレッジジャケット

商品詳細

  • 転売不可Proxy is prohibited

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈 袖口巾開 袖口巾閉
XS 62.0 44.0 106.0 101.0 65.0 14.0 11.0
S 64.0 46.0 110.0 105.0 66.5 14.5 11.5
M 66.0 48.0 114.0 109.0 68.0 15.0 12.0
L 68.0 50.0 118.0 113.0 69.5 15.5 12.5
XL 70.0 52.0 122.0 117.0 71.0 16.0 13.0
XXL 72.0 54.0 126.0 121.0 0.0 16.5 13.5
  • 普段のアイアンハート製品よりハーフサイズから1サイズ大きめの作りとなっております。
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。予めご了承ください。

素材

  • ホースハイド

生産国

  • 日本

レザースクエアウエストバッグ

商品詳細

  • ライディング時はもちろん、街歩きの際にも用途は幅広いバッグです!
  • iPad(11インチ)も入る大きさのウエストバッグ
  • 前面側ポケットは、iPhoneや手帳など小物を入れるのに便利です!
  • ウェストバックとしても良し、肩にかけショルダーバッグにしても良しの大きさです。
  •  
  • 各ファスナーにはグローブをしたままでも開閉しやすいよう 長めの革タブ付きに。
  •  
  • ベルト調整部分はダブルリング仕様でかんたんに長さ調節が可能です。
  •  
  • 開口部が大きいため、使い勝手がとても良いです。
  •  
  • 牛革を使用しているため、経年変化を楽しめます

素材

  • 牛革

生産国

  • 日本

21oz セルビッチストレッチスーパースリムストレート 

21ozセルビッチにストレッチが登場!

  • 21ozのセルビッチのヨコ糸にストレッチ糸を織り込んだアイアンハート2021年を代表するデニムを使った555(スーパースリムストレート)シルエットのジーンズ
  • 見た目はまんま21ozセルビッチデニム。ただし、すわったりしゃがんだりすると横方向に感じる伸びが細めのシルエットを可能にします。
  • ワンウォッシュ済み

555はミディアムハイライズスーパースリムカット!

  • 634(ストレート)と比べ、股上を深くし、ももから裾まで一気に細くしたスーパースリム!

555ーSST: サイズスペック

  ウエスト 前ぐり 後ぐり ワタリ ヒザ巾 裾巾 股下
W28 73.5 21.0 33.5 28.0 18.0 16.5 91.0
W29 76.0 21.5 34.0 28.8 18.5 17.0 91.0
W30 78.5 22.0 34.5 29.6 19.0 17.5 91.0
W31 81.0 22.5 35.0 30.4 19.5 18.0 91.0
W32 83.5 23.0 35.5 31.2 20.0 18.5 91.0
W33 86.0 23.5 36.0 32.0 20.5 19.0 91.0
W34 88.5 24.0 36.5 32.8 21.0 19.5 91.0
W36 93.5 25.0 37.5 34.4 22.0 20.5 91.0
W38 98.5 26.0 38.5 36.0 23.0 21.5 91.0
W40 103.5 27.0 39.5 37.6 24.0 22.5 91.0
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます。
  • 前ぐり、後ぐりはベルト巾を含みません。

素材

  • 綿:98% ポリウレタン:2%

阿波ナビ サーバーメンテナンスの実施について

いつも阿波ナビをご覧いただき、ありがとうございます。

標記の件について、以下の日時にサーバーのメンテナンス作業を実施いたします。

作業中に数分程度のダウンタイムが発生して、一時的に閲覧不可となる場合がございます。

ご不便をおかけしますが、ご理解・ご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。

阿波ナビ サーバーメンテナンス

実施日時 2025年2月18日(火)20:00~21:00

食材の宝庫・滋賀県を味わい尽くす、一夜限りの特別なディナー。[SHIGA FINEFOOD DINING・ASTERISCO/東京都中央区]

SHIGA FINEFOOD DINING・ASTERISCO滋賀の豊かな食材が織りなす美食の夕べ

日本一の湖・琵琶湖を擁する滋賀県。

県の面積の約6分の1を占めるこの琵琶湖により生まれる、東西南北で異なる気候や土壌。そしてその土壌を潤す豊かな水。このような条件により、滋賀の食材は多様性と高い質を併せ持っているのです。その魅力は、数多くの料理人がこぞって滋賀の食材を使用していることからも明らかでしょう。

2025年1月、そんな滋賀県産食材の魅力を伝えるディナーイベントが東京・八重洲のイタリアンレストラン『ASTERISCO』にて開催されました。

この『ASTERISCO』は、農業機械のトップメーカー『ヤンマー』を母体とするレストラン。その『ヤンマー』創業者である山岡孫吉氏が滋賀県出身である縁から、このイベントの実現に至りました。

豊かな自然の恵みを受けた食材の宝庫・滋賀県。 今回の特別なディナーは、その魅力を最大限に引き出した珠玉のフルコースとなりました。

東京駅八重洲口のヤンマービル内にある『ASTERISCO』。店名はイタリア語で“米印(アステリスク)”を意味し、米料理をテーマにしたイタリアンが味わえる

イベントは終始なごやかな雰囲気。滋賀県庁職員や生産者も訪れ、マイクを握って滋賀の食材の魅力をPRした

SHIGA FINEFOOD DINING・ASTERISCO滋賀の食材をふんだんに使用したフルコース

ディナーの指揮を執ったのは、『ASTERISCO』の菅原槙也シェフ。

菅原シェフは滋賀の食材と向き合い、料理を考案する中で、その魅力の深さを実感したと語ります。「さまざまな野菜、琵琶湖の魚や肉、そして米。どれも個性が際立ち、試食してすぐに料理のイメージが浮かびました」

そう語る菅原シェフのコースは、琵琶湖固有種の淡水魚・ホンモロコから始まりました。米粉をつけてしっかりと揚げ切り、酢漬けにしたホンモロコは、柔らかい身と淡白な味わいが特徴。琵琶湖だけに棲息する固有魚での幕開けは、これから始まるディナーの特別感を予感させます。

続く料理は近江黒鶏と滋賀産直野菜のインボルティーニ、そして菅原シェフのスペシャリテであるトリュフリゾットを、滋賀県産米きらみずきで仕立てた特別バージョン。パスタはおうみ海老とよもぎを練り込んだニョッキ、肉料理は和牛と国産牛をかけ合わせて生まれたげんさん牛のグリル。

野菜、米、魚、鶏、海老、牛と、滋賀県の魅力を存分に味わい尽くす構成です。

もちろんどの料理にもシェフの思いが詰まっていますが、とくに印象深いのはやはりスペシャリテであるリゾット。

「きらみずきは、粒が大きくふっくらとした米。食べやすい味や口当たりを活かすため水分量に細心の注意を払いました。香り高いトリュフや米を食べて育った鶏が産むホワイト卵との相性も秀逸」と菅原シェフも自信をのぞかせます。

デザートは、滋賀県の苺と比叡ゆばのモンブラン仕立て。比叡山延暦寺御用達のゆばをデザートに仕立てることで、自然の豊かさだけでなく、食文化の奥深さまでも伝えました。

さらにペアリングドリンクには、「近江麦酒 糀エール」や、飯米で仕込んだふくよかな味わいの純米酒「里ノ猋」、濾過しない濁りワイン「ヒトミワイナリー」のソワフルージュ、「かたぎ古香園」のほうじ茶が選ばれ、滋賀の風土を体感できる組み合わせとなりました。

琵琶湖ホンモロコと米粉パンのブルスケッタ。身質の良い淡水魚を丁寧に揚げることで骨まで柔らかく味わえる

近江黒鶏と滋賀産直野菜のインボルティーニ きんたろうしいたけのマリネサラダを添えて。力強い鶏と肉厚のしいたけが互いに存在感を放つ一皿

滋賀県産きらみずきとホワイト卵のトリュフリゾット。滋賀県産米きらみずきの魅力を引き出すシェフの技量が光る

おうみ海老とよもぎを練り込んだニョッキ 味こがね蕪ソース。よもぎの風味と海老の旨味を練り込んだニョッキと、ほのかに甘い蕪のソースがベストマッチ

近江げんさん牛のグリル ルッコラと赤ワインのソース 伊吹大根を添えて。赤身の濃厚な旨味と柔らかさを併せ持つ牛肉をダイレクトに味わえる一品。独特の甘みと辛味がある伊吹大根がアクセント

比叡ゆばと苺のモンブラン仕立て。ゆばをパイのように使ったデザート。滋賀県産のマスカットベリーAを使った摘果ブドウのジェラートとともに

食事を引き立てたドリンクもすべて滋賀産。改めて滋賀の食の奥深さを物語るラインナップ

SHIGA FINEFOOD DINING・ASTERISCO料理と食材に込められた、それぞれの思い

ディナーは、ただ美味を堪能するだけの場ではなく、食材の背景にある物語や生産者の思いを知る機会でもありました。

ホールスタッフが料理や食材の説明を丁寧に行うことで、滋賀の食材や食文化を知ったゲストたち。その知識によりゲストたちは五感を研ぎ澄ませ、一皿をより深く堪能することができたのです。 琵琶湖の恵み、肥沃な大地に育まれた野菜、そして滋賀の風土が生んだ肉や米。これらの食材を通して、滋賀という土地の豊かさがより広く、深く伝わる時間となりました。

『ASTERISCO』の大西健也マネージャーは、準備にあたりシェフとともに滋賀県の生産者のもとを訪ね、生産の現場を視察しました。そんな大西氏は「現地視察でお会いした生産者の方々は、皆パワフルで人柄の良い方々ばかり。 そんな生産者がつくる食材をゲストに伝える橋渡しとしての使命を感じます」と語りました。

菅原シェフも「生産者の方がひとつひとつの食材を大切にし、丁寧に向き合っていることがわかる味でした。初めて出会う食材も多く、これからももっと産地を訪ねて理解を深めていきたい」と決意をにじませます。

生産者の努力と情熱、それを最大限に引き出す料理人の技、そしてそれを伝える場としてのレストラン。それぞれが繋がることで、滋賀の食材の価値が一層際立ちます。

マネージャーの大西氏。ソムリエでもある大西氏は、ヒトミワイナリーへの思い入れも深い

食材への理解、生産者への敬意、料理の技術。すべて併せ持つ菅原シェフのクリエイションが光る

ともに滋賀県を訪れ、生産者と話した菅原氏と大西氏。ふたりをはじめとした店舗スタッフのチームワークも、今回の成功の要因

SHIGA FINEFOOD DINING・ASTERISCOディナーの余韻のなかで新たな発表も

イベントの余韻も冷めやらぬなか、2つのうれしいニュースが発表されました。

ひとつは、『ASTERISCO』にて2025年2月1日〜2月28日まで、滋賀食材フェアが実施されること。今回の特別なディナーで証明された滋賀の食材のクオリティを、菅原シェフ謹製の特別メニューで誰でも味わうことができます。

もうひとつの発表は滋賀の食材の新たな発信として、ヤンマーが手掛ける海苔弁専門店『八重八』で、新たな海苔弁が発売されること。

この海苔弁には今回のディナーでも使用された滋賀県産米きらみずきを採用。ふっくらとした食感と上品な甘さが特徴のこの米を主役に据え、滋賀県の発酵食品を取り入れた多彩なおかずが添えられています。

このニュースからもわかるように、この日の特別なディナーは、料理を食べる瞬間だけで完結するイベントではありませんでした。食材と向き合い、その背景にあるストーリーを感じ、その産地に思いを馳せる。 滋賀の自然が生んだ恵みは、東京という大都市のレストランで新たな輝きを放ち、この日の体験が訪れたゲストの記憶に深く刻み込まれました。そしてゲストの心に滋賀という地への興味を呼び覚ます機会となったことでしょう。

『ASTERISCO』での滋賀食材フェアメニューの一例。今回のディナーでも登場した厳選素材が登場

滋賀県産きらみずきを使用した海苔弁。消費期限わずか4時間というこだわりの品

東京都中央区八重洲2-1-1 YANMAR TOKYO2F
03-3277-6606
https://la-brianza.com/asterisco/

東京都中央区八重洲2-1-1 YANMAR TOKYO B1F
03-3277-6888
https://www.yanmarmarche.com/food/restaurant/yaehachi/


Photographs:JIRO OTANI
Text:NATSUKI SIGIHARA

「大地の力を凝縮した味」東京からやってきた6名の料理人が、宮崎で有機野菜と出合う。[Miyazaki Organic Dining/宮崎県・東京都]

Miyazaki Organic Diningトップシェフの監修のもと、地元ホテルと料理人がゲストを迎える。

日本有数の有機農業産地である宮崎県。

いまから40年ほど前、まだ世間に有機農業やオーガニックという言葉さえ浸透していない頃から、宮崎県では有機農業への取り組みが始まっていました。

もちろん、現在でもその灯火は変わらずに灯り続けています。

そればかりか、昨年度より「みやざき有機農業拡大加速化事業」として、官民一体となってさらなる輝きを放っているのです。

安心安全で力強く、味わい豊かな宮崎の野菜。

そんな逸品をプロの料理人も放っておくわけがありません。

そこで今回は東京で厨房に立つ6名の料理人が、宮崎県の産地を訪れ野菜を視察し、そしてその経験を元に料理を考案する「Miyazaki Organic Dining」が開催される運びとなりました。

それぞれレストランを率いる実力派シェフたちは、宮崎県で何を見つめ、何を学び、どのような料理を仕立てるのでしょうか?

いつの時代も答えは自然の中にある。持続可能な1杯からはじまる、地域のロールモデル。

信州の薬草文化の再発見と再編集、地域資源の活用とサステナビリティ、信州の自然資源の体感。「松本産業研究会」主導のもと、この3つの視点によって、ボタニカルドリンクを開発。

Botanical Drink産学官が連携。松本のこれからを考える。

2024年4月。長野県松本エリアにおける観光サービスの高付加価値化を具現するため、「持続可能な観光地域産業研究会」が発足。「明神館」や「ヒカリヤ」など、宿泊業やレストラン業などを運営する「扉ホールディングス」を事務局に置き、民間事業者たちが集結しました。その有志は、「アルピコグループ」、「セイコーエプソン」、「フジアビエーションシステムズ」、「八十二銀行」、「松本信用金庫」、「アスピア」、「ハートビートプラン」、「ALPSCITY Lab」、「信州未来づくりカンパニー」、「山荷葉」、「フジドリームエアラインズ」など、地域の先駆的な取り組みを行っている企業。オブザーバーとして、「環境省中部山岳国立公園管理事務所」、「松本市」、「松本観光コンベンション協会」も参画します。特筆すべきは、産学官が連携する異業種の組織だということ。

委員長を務めるのは、「扉ホールディングス」代表取締役の齊藤忠政氏です。

「高付加価値化とは、松本高山地域に通底する価値を向上させることです。ビジネスにおいては、富裕層向けに限定したものではなく、広義に捉え、商品、サービスに独自の価値を加えることで、顧客に高い価値を感じてもらい、結果、双方の単価を向上させるための活動であると捉えております」。

商品、サービスのうち、今回は商品にフォーカス。松本エリアに特化した「松本産業研究会」として、まず、地域の資産でもある山を見直すところから始まりました。

「信州は、薬草の宝庫ともいわれ、県下各地に500種を超える薬草が自生しています。薬用植物を中心とする民間薬や漢方薬は、長い経験の積み重ねによって築きあげられた生活の知恵でもあり、それを生かした商品開発を目指しました」と「扉ホールディングス」代表取締役の齊藤忠政氏。

Botanical Drink過去を遡ることによって導き出した、里山文化。

「商品開発をするにあたり、観光の前に、まずは地域のあるべき姿を考えることから始めました。シンポジウムなどを開催し、行き着いた答えのひとつが、山でした」。

議論のテーマは、オリジンの追求。例えば、他の都府県を見ても、産業、催事、伝統、文化など、素晴らしい資産があります。そして、現代においては、その既存に付加価値を付ける。言葉にすると当たり前のことかもしれませんが、それを実際に行えている地域がどのくらいあるでしょうか。地域のあるべき姿を探し当てるだけでなく、様々な根本を見直すことにも注力します。

「sightseeingという見る観光から、昨今ではsightdoingという体験する観光にシフトし、これからは、sightbeingという、自分を見つめ直す旅、すなわち、人生を豊かにする旅が大切なのではと考えています」と齊藤氏。

この意図は、立場を変えれば、より理解できるかもしれません。例えば、国内外を問わず、どこか旅をしたとします。都市としても成熟し、観光スポットや名店、名物を巡る旅がsightseeing、sightdoingだとすれば、sightbeingは、観光の概念から少し外れた冒険とも言うべきか。齊藤氏の言葉を借りるならば、「非日常」ではなく「異日常」。時に地元民と出会い、時に彼らがこよなく愛する物事に触れる旅は、本質的な地域の文脈に沿った旅を堪能できるでしょう。予定は未定ゆえ、予期せぬ出来事が舞い込むかもしれませんが、そのハプニングはサプライズと化し、その地で過ごした時間は、深く記憶に刻まれるのではないでしょうか。そして、結果として、人生の豊かさにも繋がる。

訪れる人にどうすれば感動を与えられるのか。前述、山から導き出された松本の価値は、里山文化でした。

古来より、里山の暮らしは、自然と共生し、生活の知恵を活かすことにあります。農機具や衣服は、全て自然界のものを工夫し、自ら手で作り、役目を終えたものは、また自然に返る。食材がない時期に備え、発酵という手法も生まれました。それらは、里山文化において、ごく自然なこと。必要なものは、全て自然の中にあるのです。

ある意味、何不自由ない現代では得ることのできない、豊かさと言い換えられるでしょう。

これからの松本を考える時、未来を紐解くのではなく、過去を遡る手法によって得たそれは、彼らの原点であり、故郷の追憶。その資源を再編集することによって商品化したものがボタニカルドリンクでした。

上高地や北アルプス、美ヶ原高原など、雄大な自然環境に恵まれる松本。大起伏山地や複数の内陸盆地、そして、低地、丘陵地、山間地、高原……、多才な地形が松本をはじめ、信州の里山を形成。

Botanical Drink地の利から生まれた、ボタニカルドリンク。

今回、「ONESTORY」は、ボタニカルドリンクの開発をサポート。パートナーとして協力を仰いだ人物は、東京都調布市のレストラン「Maruta」の外山博之氏です。外山氏は、「Maruta」だけでなく、様々な名店のペアリングやドリンク開発にも従事。ソムリエ、バーテンダー、マネージャー、ディレクター……。多彩な活動をする外山氏の肩書きをひと言で表すのは難しい。しかし、より自然に、より地に向き合う姿を見ると、全てにおいて共通する植物と飲料を組み合わせた、ボタニカルドリンク研究家と仮称すべきか。もともと「Maruta」は植物と共にあるレストランであり、その母体は「株式会社グリーン・ワイズ」という植物を主軸にランドスケープデザインなどを通して環境共生を理念とする企業のため、前出の遍歴を経ての外山氏の現在は必然だったのもしれません。つまり、本プロジェクトの適任者だと考えます。

外山氏は、松本の地を知るところからスタートします。

「地元の方々にご案内いただき、山に入り、その地の生態を観察するとことから始めました」と外山氏。様々な知識を得て、レシピのパズルに植物のピースを埋めていきますが、それを考案する前より採用したかった植物があります。カラマツとニセアカシアです。両者に共通していることは、植林や生育阻害など、問題視されている植物だということ。しかし、松本をはじめとした東信地区では、昔からニセアカシアを天ぷらにして食べる暮らしがあり、自然と人の共生習慣が備わっていた地。「松本の人々は、既に行動変容を起こしてきていたのです。これは地域が誇るべき文化。そんな気づきにもなればと」と外山氏。

「ボタニカルドリンクは、植物と共存するものでありたいと考えました。西東京を拠点にしていても、温暖化を感じることは多々あり、例えば、本来10月に咲く金木犀が2月に狂い咲きしたり。秋刀魚の不漁はニュースになりますが、金木犀が2回咲いたことはニュースにはなりません。生き物に携わる身としては、どちらも同じ。環境問題は、あまりにもスケールが大き過ぎるため、ボタニカルドリンクは、そこと向き合うためのものではなく、あくまでも、楽しんでいただくものとしています。飲むことで松本という地を知っていただければと思います」。

ゆえに、背景は忍ばせる程度。味覚では得ることのできない情報は、会話を通して交流を深める。そんな人と人とのコミュニケーションもまた、旅の醍醐味となるでしょう。

考案されたボタニカルカクテルは、「ORGANAIZE」、「RELAX」、「AWAKENING」と名付けられた3種。

森の香り、清涼感のある酸味が特徴の「ORGANAIZE」は、カラマツなどの人工林の間伐材や山間部の豊かな水源によって自生・栽培された葉ワサビを起用。まさに森を飲むドリンク。最後に針葉樹を炙り、液体に浸すことによって香りも広がります。

「RELAX」には、侵略的外来種ワースト100に指定されているニセアカシアを起用。そのほか、クロモジ、ダンコウバイなども含み、「ORGANAIZE」同様、その枝を炙り、液体に浸すことで、爽やかな優しい香りが立ち上がります。

苦味による爽快感が心地良い「AWAKENING」は、地域で容易に見られるシソ科の植物を起用。そのほか、キハダやリンドウも含み、苦味のある爽快感は、その名の通り、心身を覚醒してくれたに違いありません。

「今回、自分がこのプロジェクトに参画したいと思った一番の理由は、齊藤社長の熱意と地域への愛。齊藤社長は、松本の自然と人の営みが持つ地域の価値に気付いている。それを繋ぐ活動も既にしている。自分は、こういう地元を愛している人と関わりたい。なぜなら、自分にできることは限られているから。自分がどんなに良いドリンクを開発しても、それに価値を纏わせることまではできない。松本の人間ではない自分の言葉は、説得力に欠けるから。これは地元の人にしかできないこと。それが価値。逆も然り、だから自分は西調布を語ることができる。今回、地元の皆様から多くのことを学びました。その感動を、次は、お客様に伝えていただきたいと思います」。

「山、森、植物。自然と技術を掛け合わせることで共存が生まれます。ひとり一人の意識をほんの少し変えるだけで、出会わなかった人と人が出会うだけで、想像以上に可能性が広がる。そんな行動変容が地域を成長させていくのではと考えます」と「Maruta」の外山博之氏。

ヒマラヤ杉、ドイツトウヒ、アカマツなどを使用した「ORGANAIZE」。長野県では、林業目的で造林されたカラマツなどの人工林の材価低迷により、間伐が進まない課題を抱えており、この状況を県外や海外のゲストに伝える手段として、「森を飲むドリンク」を考案。間伐材を利用し、「木を飲む」という新たな価値を提案する。また、山間部の豊かな水源を背景に自生・栽培が広がる葉わさびを用い、自然資源の貴重さを伝える。

ニセアカシア、クロモジ、ダンコウバイなどを使用した「RELAX」。長野県ではニセアカシアを食べる習慣が昔からあり、自然と共存する食生活が育まれてきた地。このような背景から、食を通じて松本の自然の豊かさを未来に繋ぐ利用価値を見出すドリンクを考案。また、植生環境の保全のため、クロモジのみを採取するのではなく、クスノキ科の植物を満遍なく使用しているのも特徴。

キハダ、ヒメジソ、カキドオシ、エゴマ、リンドウなどを使用した「AWAKENING」。長野県木曽地域の伝統薬「百草丸」の主成分であるキハダを中心に考案。松本の豊かな自然環境を表現するため、地域で容易に見られるシソ科の植物を使用。さらに、近年減少傾向にある長野県の県花・リンドウも含む。リンドウは古くから健胃薬として用いられており、山に自生する種が切り花用に改良されたのが始まりとされる。

会場には、採取した実際の植物や仕込んだ原液も展示。炙る作業などは自身で行い、体験としての価値も高める。

Botanical Drink地域の頭脳を結実すれば、山は動く。

1月某日、前述3種のボタニカルドリンクのプロトタイプ発表会を実施。「持続可能な観光地域産業研究会」の有志同様、ジャンルを問わず、志の高い企業や人々が集いました。齊藤氏の挨拶に始まり、外山氏の解説を主に会が進む中、そのマイクを積極的に外山氏が地元の人々に回しているのが印象的でした。例えば、外山氏に山を案内したポインターすみれさんは、植物と香りのスペシャリスト。

「AWAKENINGには、シソ科の植物が採用されていますが、同科にナギナタコウジュという植物があります。アイヌの人たちは、それを神の宿る野草として、風邪を引いた時に煮出してお茶にしたり、おかゆに入れたりして食べていたそうです。こぼれ種で育つため、アイヌの人たちは、種が落ちてから食べていたとも言われています。花が咲く頃から種ができるまで、香りも変化します。それぞれの良さがありますが、それを知ってからは花の時期に少し摘んで残し、種が落ちた後にまた摘む、少し多く摘んでも根は残すなど、採取への配慮をするようになりました。それが自然と人の共生」とすみれさん。

そして、「柳沢林業」代表・原薫さんも、「先日、山を歩いていたら、どこからか甘い香りが。調べると鷹の爪でした。別名、芋の木と呼ばれているんですよ」と続く。

外山氏も「どれも自分も知らない情報! これは有益なことをお聞きしました」と興奮。

「今回の取り組みは、もともと松本にあるものを新たなかたちで表現するという、無理のない活動。県外からのお客様はもちろん、地元の人にも知っていただきたいし、楽しんいただきたい」と原さん、すみれさん。

ボタニカルドリンクをきかっけに、いつしか山を学ぶ時間に。議論も活発になり、会場は熱気に包まれていました。このグルーヴを生むことが外山氏の思惑であり、地域の人々を当事者にした理由。

「自分よりも、植物に詳しい人は身近にいる。同じ地元でも、意外に相手を知らないことも少なくない。互いが持つ高い能力を地元の中で繋ぎたかった。自分が離れても構築される地域内のコミュニケーションを生みたかった」と外山氏。

また、山、植物以外の松本の資産として、注目されたのが水。松本には市内に約20箇所の井戸があり、湧き水を楽しむことができる町として、国が「名水」と選定するほど。水質やテクスチャーの違いもあり、地元の人々でも好みが分かれるほど多様性に富んでいます。それが、ひとつの町に集約されているということは、日本全国、いや、世界中から見ても稀有な資源。

「ミネラル、マグネシウム、鉄分など、成分や濃度が違うだけで味わいも異なります。これを機会に、松本の水にも注目いただければと思います。そして、私たちの研究も、今後、本プロジェクトに寄与できればと考えます」とは、「国立法人 信州大学」アドミ二ストレーション本部 学術研究・産学官連携推進機構 准教授の鳥山香織さん(博士/工学 認定URA)。

研究とは、浄水技術を指します。不純物だけでなく、具体的な成分のみを取り除くこともでき、既に酒蔵などで採用されている事例も。さらに、世界レベルで見れば、開発途上国の汚染された水に浄水技術を取り入れ、命を守る活動もしています。

そんな豊かな水が育んだ松本の文化のひとつが、バーです。

「ノンアルコールドリンクの可能性を感じました。そして、カクテルとしても展開できるポテンシャルもある。松本の自然を活用し、仕上げる一杯は、松本で飲む意義もあると思います。豊かな香りが印象的なため、ワイングラスで提供し、ゆっくりと味わっていただきたい。そんなイメージが膨らみました」と、松本のバーを代表する「メインバーコート」林 幸一氏は総括。林氏は、BAR組合名誉会長も務め、今回のアドバイザーとしても尽力いただいた人物でもあります。

ボタニカルドリンクの個性は、香り。香りは、人の記憶を手繰り寄せる力がある。

同じ地域から様々な業種の企業や人々が集結。ボタニカルドリンクの発表会をきっかけに、異業種コミュニケーションも育まれた。

「苦味や酸味などの個性を香りが調和させ、ひとつの作品として仕上がっている。春の野菜や山菜などの植物の苦味は、私たちの体に冬の間に溜まった老廃物や毒素を排出してくれる働きがあるそうです。理由がわかれば、それも愛おしい」とポインターすみれさん。味だけでなく、生体を知ることによって、深みが増す。

「例えば、RELAXに含まれるクロモジは、山間部に生え、日向だけでなく日陰も必要。植物が生息している地にはちゃんと理由がある。湿地、乾燥、標高、日向、日陰。私たちは、地域の特性を推定する指標植物としても観察しています」と「柳沢林業」代表の原薫さん。

「地域の資源をいかに高付加価値化できるか。私たちが研究している浄水技術もコラボレーションしていきたい」と「国立法人 信州大学」アドミ二ストレーション本部 学術研究・産学官連携推進機構 准教授の鳥山香織さん。

「味の個性、香りの個性は、山の個性。ボタニカルドリンクを提供できるお店が増えると、松本の個性にもつながり、新たな側面から地域をアプローチできると思います」と「メインバーコート」の林 幸一氏。一方、「生産や流通の仕組みも今後の課題」と、次の段階の論点も述べる。

Botanical Drink香りの追憶が松本への再訪を誘う。

「メインバーコート」林氏の言葉の通り、ボタニカルドリンクの特徴は香りであり、外山氏が一番こだわったところ。液体そのものも然り、仕上げに植物を炙るひと手間は、より深い香りを引き立たせるためです。

「自分自身、この香りを吸い込んだ時、山で遊んでいた子供のころを思い出し、懐かしい気持ちになりました」と齊藤氏。

香りの特徴は、風景を想像させることではないでしょうか。味であれば、回想は皿の上に止まりますが、香りは風景を描くような。

「今回、自分のレシピでボタニカルドリンクを開発しましたが、柳澤林業さんのお話にもあったように、松本の山には、もっと活用できる植物がたくさん生息しています。それは季節によっても変わります。そして、林業、大学、バー、ホテルなど、今日、出会った人たちでも十分展開できるプロフェッショナルが揃っています。一業種ではできないことも、他業種が協業すればできる。松本には山や水だけでなく、人もまた資源」と外山氏。

「自然と自然、人と人、そして、自然と人。今、松本に必要なことは、繋ぎ直しだと考えます。里山の繋ぎ直し、観光の繋ぎ直し、地域の繋ぎ直し。今回は、ボタニカルという視点から繋ぎ直したいと思っております」と齊藤氏。

自然と人の繋ぎ直しによって生まれたボタニカルドリンクは、自然>人の関係。つまり、ワインやビールのように、人力によるど真ん中の味ではなく、自然を優先したもの。ゆえに、「好みが分かれるとも思います」と言葉を続けます。そして、「植物は人間よりも早く地球に存在していた生き物ですから」と、植物への敬意を外山氏も補足します。

自然次第のため、ボタニカルドリンクに完成はありません。香りや味の変化は、環境の変化。「ボタニカルドリンクは未完だから面白い、だから、可能性を感じる」と齊藤氏。

「山の中でボタニカルドリンクを飲む会もやってみたいです。食材を摘んで、その場で作って、飲む。手足を動かし、山の香り、風の香り、土の香りを感じながら。そこには至れり尽くせりのサービスはありませんが、何ものにも変えがたい体験となると思います」と外山氏。

植物の命が生まれた地で味わうそれは、きっと記憶に深く刻まれるでしょう。そして、いつの日か、その記憶を手繰り寄せるきっかけとなるのが、やはり香り。それが国内なのか国外なのか、何処で山の香りを感じた時、ふと蘇る追憶によって、松本への再訪、いや、再会できることを願って。

冒頭に戻り、改めて問いたい。「持続可能」の概念とは何か。

古き時代より現代に受け継がれてきたものが持続可能の好例と美化されることもありますが、そんな生易しいものではないと思います。なぜなら、様々な難局を乗り越え、時代に耐えて生き残ったもののみが、現代において存在を残していると考えるからです。

それらも理解した上で足元に特化したボタニカルドリンクは、里山文化同様、暮らしの知恵と工夫によって、無理なく持続できる環境と体制を整備。自然との共生含め、十分な可能性を秘めている。

「今後、ボタニカルドリンクを育ててゆき、様々なところでお楽しみいただける場作りも拡張していきたいと考えています」と齊藤氏。

産学官の連携、過去を遡ることによって導き出した価値、地域の繋ぎ直し……。そんな松本のアクションは、新たな地域のロールモデルになるかもしれない。

意志と覚悟、そして愛。そんな想いが不可能を可能にし、山を動かすのだろう。

会場となったのは、「ヒカリヤ」。蔵屋敷の母屋と旧文庫蔵は、 国の登録有形文化財に指定され、持続可能なシンボル的存在。一歩足を踏み入れれば、齊藤氏の言葉の通り、「異日常」が形成される。


Photographs:KOH AKAZAWA
Text:YUICHI KURAMOCHI

ドライブパス+にし阿波体験予約で ¥1,000クーポンプレゼント!!

概要

好評開催中の高速道路が乗り放題でお得になる『四国まるごとドライブパス』『四国周遊ドライブパス』と、にし阿波(美馬市・三好市・つるぎ町・東みよし町)の体験プログラムが最大半額になる『にし阿波阿波体験割引キャンペーン』を組み合わせた、更にお得なキャンペーンを実施中🎉

『四国まるごとドライブパス』または『四国周遊ドライブパス』と『にし阿波阿波体験割引キャンペーン』の両方にお申込みして、吉野川ハイウェイオアシスへお立寄りいただくと、その場で使える1000円クーポンをプレゼント🎁

🚗ドライブパスでにし阿波へ🚙
\にし阿波体験割引キャンペーン合同企画/
期間 2025年1月6日(月)~2月28日(金)
※クーポン券のご利用は2月28日(金)まで
※先着100名様にプレゼントします

吉野川ハイウェイオアシスでは、旅の休憩にぴったりな大浴場「美濃田の湯」や「お食事処つむぎ」「MOG-BOX(もぐぼっくす)」、四国のお土産がいろいろ揃う「お土産ショップ」、子どもたちが思いっきり身体を動かせる「レインボーオアシスパーク」や屋内遊具施設「すくすくの森」など、ご家族みんなでお楽しみいただけます😊

🌈吉野川ハイウェイオアシス🌈
所在地 東みよし町足代1650
アクセス 徳島自動車道 吉野川SICすぐ
※一般道からもご利用いただけます
☎0883-79-5858

【お問い合わせ】
NEXCO西日本四国支社 ☎087-823-2111
そらの郷 ☎0883-87-8988
徳島県西部総合県民局 ☎0883-76-0368

にし阿波体験割引キャンペーンの詳細はこちら↓

1.割引対象期間

第1期:令和6年9月1日(日)から令和6年9月30日(月)まで
第2期:令和7年1月1日(水)から令和7年2月28日(金)まで

2.予約期間

第1期:令和6年8月1日(木)から令和6年9月30日(月)まで
第2期:令和6年8月1日(木)から令和7年2月28日(金)まで
※予算上限に達した場合、その時点をもって販売を終了します。

3.キャンペーン内容

(1)割引額  最大50%OFF(一人あたり割引上限2,000円)
(2)割引対象
(一社)そらの郷が販売する体験コンテンツであり、体験日が割引対象期間となるもの。
<体験可能なコンテンツ例>
日帰り温泉、剣山登山リフト、ラフティング、SUP、藍染体験、いちご狩り、田舎暮らし体験など
※詳細は「にし阿波~剣山・吉野川観光圏」体験予約サイトにてご確認ください。
※各事業者によっては、キャンペーンの対象となっていないプランや
まだ予約を開始していないプランもあります。

体験予約はこちらから

4.主催及びお問い合わせ先

一般社団法人そらの郷0883-87-8988
徳島県西部総合県民局地域創生観光部(三好)
にし阿波観光戦略担当0883-76-0368

熱帯植物園を回遊しながら、バーをホッピングする。沖縄の魅力を深く体感するミクソロジーイベント。

熱帯植物園を食前酒を楽しむバーに見立てたユニークベニュー。

ユニークベニューとは、「ユニーク(特別な)」「ベニュー(会場)」を意味する言葉で、史跡、公園、美術館などを本来の目的とは異なるニーズに沿った会場とすることを指します。

今回、沖縄の魅力を伝える3つの試みのひとつが、このユニークベニュー。会場は、約6万平方メートルの敷地に多種多様な植物が展示される『熱帯ドリームセンター』。園内をガイドとともに巡りながら、各所に用意されたアペリティフと食前酒を味わうという趣向です。

ドリンクの監修は那覇のミクソロジーバー『アルケミスト』を手がける中村智明氏。クラシックのコンペティションやフレアバーテンディングのカクテルコンペティションで18もの賞を受賞する実力派です。料理監修は大阪の名店『AUBE』『Chi-Fu』『Az/ビーフン東』のシェフ東浩司氏。そして実際の調理やドリンクのサーブは、『ハレクラニ沖縄』『沖縄かりゆしビーチリゾート オーシャンスパ』『ホテルモントレ沖縄スパ&リゾート』『オリエンタルホテル沖縄リゾート&スパ』『ヒルトン沖縄 瀬底リゾート』といった沖縄を代表するホテルの精鋭たちが担当します。

植物園を舞台にした、かつてないミクソロジーイベントは、どのようなものとなったのでしょうか?

沖縄海洋博公園内に位置し、『美ら海水族館』に隣接する熱帯ドリームセンター。熱帯、亜熱帯の花々が咲き乱れる楽園。

世界に約3万種が存在するといわれるラン。同じランでも見た目も香りも特徴も大きく異なる。

ドリンク監修の中村智明氏(左)と料理監修の東浩司氏(右)。もともと面識があったというふたりの連携が、かつてないペアリングを生み出した。

植物をテーマにした5種のカクテルとフィンガーフード。

それは原始の森の中を回遊しながらバーをはしごするような、不思議な体験でした。

「散歩をしながらカクテルを飲まれる前提。だから最初のインパクトと、少し時間が経ってからくる風味が変化するように、“香りの層”があるドリンクを目指しました」とドリンク監修の中村氏が話す通り、歩きながら、体験しながらだからこそ楽しめる特別な時間。

『熱帯ドリームセンター』は、多種多様な2000株以上のランを中心に、さまざまな植物が展示される施設。その中の5箇所にカウンターが設けられ、ゲストは園内を進みながら、要所でカクテルとフィンガーフードを楽しみます。

ウェルカムドリンクは白ワインをベースに、花草果実のエッセンスを加えたカクテル。草花に囲まれたこの会場にぴったりの一杯です。

展示されるランの不思議な生態の話を聞きながら歩みを進めると、先の温室に準備されていたのは、花束に見立てたマグロスモークとハーブ、そして試験管に入ったハイビスカスティーベースのカクテル。続く果樹温室では野菜で仕立てたヴィーガンタコスと、月桃の香りを添えたテキーラベースのドリンク。

人の気配がなく、ミステリアスな夜の植物園。進むごとに現れる想像を越えたカクテルとフード。ただバーに座ってグラスを傾けるよりもずっと能動的な時間が、しっかりと胸に刻まれます。

続いては蓮の浮いた池を眺めながら、ヤギ肉の唐揚げとヤギのヨーグルトを合わせた泡盛。最後のデザートにはアップルバナナのジーマーミ豆腐と、アップルバナナを使った泡盛カクテル。

ここまで、およそ1時間の行程。この体験を胸に、ゲストは各々のホテルやレストランでのディナーに向かうという想定です。「花」「草」「根」「果実」をテーマにしたフードとカクテルの組み合わせは、会場の環境とも見事なペアリングとなり、またとない体験になりました。そして何より、ただ観光するだけではなく、食事を通して深く体験することで、より身近に沖縄という地を感じることができたことでしょう。

「草」「花」「根」「果実」のテーマで考えた今回のフードとドリンク。白ワインにランのフレーバーを加えたウェルカムドリンクは、それらの要素すべてが感じられつつ、炭酸ですっきりと仕上げられた。

木に吊り下げられた試験管のなかに、ドリンクとフードが入る。自然の果実を摘んで口に運ぶような原始的な行為が、本能を刺激する。

ガイドの案内とともに園内を進む。閉園時間の後の『熱帯ドリームセンター』は今回のゲストのためだけの貸し切り。

演出や盛り付けに驚きを隠せないゲストたち。こうした工夫、アイデアにより沖縄の食のPRに新たな可能性を見出す。

ミステリアスな夜の植物園とカクテルとフード。その特別な時間は、進むごとにさらなる期待を高まらせる。

各ホテルのスタッフによるサービスと連携もイベント成功の要因。厳しい条件のなかで、各スタッフがプロフェッショナリズムを発揮した。

4時間じっくり煮込んでから、現場で揚げたヤギ肉と、ヤギのヨーグルトを加えた泡盛のカクテル。同じ素材にすることで風味を合わせ、一体感を生む。

順路に沿って進むごとに、このようなバーエリアが出現する。歩きながらホッピングするという新たな感覚が新鮮。

アイデア次第でさらなる進化を遂げるこれからの沖縄のカクテル。

「伝統的な沖縄料理を少しだけ違う角度から見てみる。地元の人にも驚きや発見がある料理を考えました」と東氏。

「たとえば沖縄の定番であるタコライスも、季節の野菜を取り入れるなど少しのアレンジを加えることでまだまだ大きな可能性があります」と言います。

那覇を拠点に活躍する中村氏も同様の意見です。

「国内外の観光客が増えている中で、沖縄のカクテルはまだまだスタンダードなものが中心。県産の素材に焦点をあて、その魅力を伝えていくことがこれからは必要になってくると思います」

その思惑通り、県産の素材、沖縄の伝統を踏まえた上で、別の角度から魅力を引き出した両氏。花束に見立てた盛り付けやフードとドリンクを逆転させた演出、ペアリングでも寄り添うもの、隙間を埋めるもの、味を補完しあうものなど、さまざまなアイデアで、ゲストを驚かせました。

しかし二人にはもうひとつ、大切にしていたことがありました。

それは、今日という日が「特別な一夜」ではなく、これからも続けられること。特別な機材や素材、中村氏や東氏がいなくとも地元スタッフが一丸となって再現できること。

そのためのレシピやオペレーションを考案し、そして沖縄の未来を描く思いをホテルのスタッフたちと共有してきたのです。

「身近で、当たり前だと思っていたものが、宝物だったという感覚。勉強になりましたし、大きな自信も生まれました」

名門ホテルから参加した若手スタッフはそう振り返りました。

沖縄のホテルでは、ディナーの前に回遊するバーが楽しめる。そんなシーンが当たり前になる日も、遠くないのかもしれません。

初の試みに少々戸惑いながらも、手際よく料理を仕上げるスタッフたち。所属ホテルの垣根を越えた交流が生まれたのも、今回の収穫のひとつ。

火の使用不可、限られたスペースなどの条件は、最適化されたホテルの厨房とは別世界。参加したホテルの料理人たちにも、さまざまな学びがあったという。

花束に見立てた沖縄県産マグロのスモークとハーブ。下部のハイビスカスとローゼルのカクテルは、ドレッシングのように料理に重ねるイメージで考案された。

沖縄名物のタコライスをモチーフに、クレープにフーチバーやドラゴンフルーツをあわせた一品。メキシコをルーツとするタコスに合わせ、カクテルはテキーラベースに月桃の香りや生胡椒をあわせた。

最後の一品、アップルバナナのジーマーミ豆腐と、固体にしたアップルバナナのカクテルは、「飲むフードと食べるカクテル」。役割を逆転させる意外性と、味わいと香りの調和が見事。

令和6年度高付加価値なインバウンド観光地づくり事業
主催:沖縄・奄美共同検討委員会
場所:沖縄県本部町
企画:ONESTORY
協力:沖縄県ホテル協会、沖縄美ら島財団、前田産業ホテルズ
運営:沖縄かりゆしビーチリゾートオーシャンスパ、オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ、
   ハレクラニ沖縄、ヒルトン沖縄瀬底リゾート、ホテルモントレ沖縄スパ&リゾート

歴史を学び、文化を知った上で、いただく。その本質までを深く味わう、進化する琉球料理。

歴史という、進行形で紡がれる物語に自らも参加する。

たとえば歴史の授業のようにただ事実だけを伝えられたのでは、ここまで心に響くことはなかったかもしれません。しかし、そこに物語があり、あまつさえその物語の中に自分自身が組み込まれているなら、それは誰にとっても忘れ得ぬ時間となることでしょう。

今回実施された『Landscape Cuisine with Ryukyuan Hospitality』は、つまりそんな時間でした。

先人たちが歩いたその道をたどり、まさに再興の途にある首里城の現場を見学し、琉球王国の歴史を学び、そして伝統料理の必然性を身をもって知った上で、その伝統からさらに進化した料理を味わう。時空を超えて紡がれる物語に、「食べる」という行為を通して参加する。

そんな沖縄の魅力を味わい尽くす特別なキュイジーヌのはじまりです。

首里城からの眺め。冬の沖縄は夏に比べて観光客が少なく、気候も過ごしやすい。歴史や文化をじっくり巡るにはちょうど良い季節。

御嶽(うたき)とよばれる琉球王国の聖地。そこに込められた意味を知れば、その不思議な存在感も腑に落ちる。

首里城を歩きながら学ぶ、いまは亡き琉球王国。

ツアーは首里城からはじまりました。

ゲストの前に登場したのは、琉球史研究家の上里隆史氏。かつてこの地に生きた人々の息遣いまで聞こえるような臨場感のある解説が持ち味です。

首里城を歩きながら、上里氏の声が響きます。

いまは亡き琉球王国。日本と中国という大国に挟まれながら存続し得た小さな島国の秘密。両国の使者を心尽くしで迎え、この地の魅力を伝えたおもてなしの心。歓迎の席で振る舞われた泡盛や宮廷料理、そして琉球音楽と舞踊。

実際に舞台となった場所を歩きながら聞く解説に、当時の様子がありありと目に浮かびます。やがてツアーは、2019年の火事により失われた首里城正殿が再興されている現場へ。やんばるの木が使われていること、県内の若手職人が中心となって作業にあたっていること、そしてこの焼失を通して老若男女の沖縄県民の心がひとつになりつつあること。語られる言葉のひとつひとつが、心に染み込んできます。

続いては場所を移し、『角萬漆器』へ。ここは創業120年を越える、琉球漆器最古の老舗です。

琉球王朝時代から、愛される琉球漆器。中国から伝わった漆器の技法が温暖な気候と合わさり、発色鮮やかできらびやかな装飾が施される独特な漆器として発展してきました。賓客をもてなす食器としてだけでなく、琉球王国が日本や中国と貿易する際の重要な交易品でもありました。

ゲストを前にそう説明するのは、角萬漆器の六代目・嘉手納豪氏。嘉手納氏の案内で向かった工房では、熟練の職人がまさに琉球漆器を仕上げている最中でした。

王国を支え、使用されていた伝統が、いまも変わらずに存在し、生み出されていること。過去から流れてきた時間が、未来に向かって途絶えずに続いていること。その重みを感じてみれば、琉球漆器がいっそう鮮やかに見えてきます。

琉球史研究家の上里隆史氏。琉球王国に関する著書も多い上里氏が、奥深い琉球王国の文化や伝統を、平易な言葉でわかりやすく解説してくれた。

石の積み方、石碑の文字、湧き水のいわれや各建築物の様式まで、問われた内容に即座に回答する上里氏の知識量に驚く参加者たち。

現在の首里城の再興は、その作業工程を見学できるスタイル。これを通して、沖縄県民の多くが、首里城の存在を改めて強く感じているという。

今からおよそ600年前におこり、450年間にわたり存在した琉球王国。首里城公園には在りし日を偲ばせる遺構も数多く残されている。

『角萬漆器』6代目の嘉手納豪氏。県内きっての老舗であり、琉球漆器の文化を今に伝える重責も担っている。

鮮やかな朱の発色と、精緻な装飾が琉球漆器の特徴。とくに模様が立体的に浮き出る堆錦の技法は『角萬漆器』の真骨頂。

『角萬漆器』の一階はショップ。食器のほかアクセサリーなどの現代的な漆器も販売されている。

漆器の制作現場は、見ているだけで息が詰まるような精密な作業。熟練の職人の技術が垣間見える。

『角萬漆器』に併設されたカフェにて、しばしの休息。漆器でいただくお茶と茶菓子は格別。

使者を迎え、もてなすためだけに発展した琉球古典音楽。

次の目的地は那覇市内にある『福州園』。ここは那覇市と中国福建省福州市の友好都市締結10周年を記念して1992年に完成した中国式庭園。

比較的新しい名所ではありますが、この『福州園』がある那覇市久米というエリアは600年ほど前から福建省からの移住者が住み始めた地。中国との縁が深いこの地で、中国の伝統を忠実に再現した庭園を歩くことは、ひとしおの感慨をもたらします。

さらにこの場所にはレセプションイベントも用意されていました。

園内の一角に準備されたテーブルに着くと、登場したのは国指定重要無形文化財である琉球古典音楽の担い手、山内昌也氏。 山内氏の歌三線と、ひとりの踊り手で織りなす琉球王国式のもてなしです。

山内氏の奏でる音楽は、陽気な沖縄民謡のイメージとは異なり、どこか物悲しく、静謐で神聖な雰囲気。沖縄県立芸術大学音楽学部長でもある山内氏が、後に教えてくれました。

「琉球古典音楽というのは、首里城の中でだけ、海外からの使者を歓待、歓迎するために上演されていました。その琉球王国が明治12年に滅亡し、首里城で演奏されていた方々が食べるために各地を回って演奏していく中で変わってきたものが、現在の沖縄民謡の基礎になっています」

つまり、この日演奏された音楽は、完全にゲストを歓迎するためだけに生まれた芸能ということ。しかし、伝統的な音楽をそのまま現代に再現しているわけではありません。実はかつて琉球古典音楽は、大勢の演奏、踊り手によって上演されるのが一般的でした。

それを歌三線ひとり、踊り手ひとりという現代に合ったスタイルに変えたのがこの山内氏。

「さまざまな文化を取り入れて発展してきたのが琉球王国。時代に沿ったスタイルに変えていくことも、また自然なことだと思います」

沖縄と中国の親交を象徴する『福州園』。園内には中国から取り寄せた建材で織りなすさまざまな景観があり、見飽きることがない。

異国情緒があるのに、どこか懐かしさも感じさせる園内の風景。庭園全体がひとつのアート作品のような美しさを持っている。

円卓に用意された泡盛は、カラカラ(酒器)トチブグヮー(おちょこ)と呼ばれる伝統的な器で少しずつ味わう。

琉球古典音楽師範の山内氏。伝統的な音楽を守りながら、現代にふさわしい姿で伝えていく道を追求している。

山内氏が考案した歌三線ひとりと踊り手ひとりの上演は、それ自体がグッドデザイン賞を受賞するなど、国内外で高く評価されている。

県内と県外。ふたつの視点で見つめた、“今あるべき”琉球料理。

半日かけて伝統、文化を体験してきたツアー。ただの座学ではなく、実際に見て、触れて、聞いてきたからこそ、ゲストたちはまるで在りし日の琉球王国に旅したような気分で、その伝統を身近に感じてきました。

そしてその一日の集大成が、『ノボテル沖縄那覇』でのディナーです。

料理を担うのは福岡『Goh』で世界的評価を確立したシェフ福山剛氏と、『ノボテル沖縄那覇』の総料理長、前川守晃氏。ふたりで話し合いながら新たに解釈した琉球宮廷料理がテーマのコースです。

「琉球料理はおそらく、中国だけでなく、アジア各国などさまざまな文化を取り入れながら進化してきた料理。これからもいろいろな人がアレンジして、さらに進化していけば良いと思います」

豪放磊落な福山氏はそう話しますが、言葉の節々には今回の監修にあたって、さまざまな琉球料理を敬意をもって学び、体験してきたことが伺えます。

一方の前川氏はもう少し複雑です。実は前川氏は「琉球料理伝承人」という伝統的な琉球料理を守り、伝えていく役割も担う人物。その上で、前川氏は言います。

「私たち料理人の務めは、基礎を踏まえ、本質を守った上で進化した料理を提供し、より多くの人に琉球料理を知ってもらうこと。今回は福山シェフという世界的なシェフとご一緒させて頂きながら、その思いと真摯に向き合って料理をつくっていきたい」

そんなふたりが考案した料理は、まさに進化した琉球伝統料理と呼ぶにふさわしい内容。琉球漆器の器には、伝統的な琉球料理が盛り付けられます。しかし、たとえば田芋の煮物であるドゥルワカシーは、フリットにしてトリュフのソースとともに。ヤギはコンソメスープ、夜光貝はリゾット、ゆし豆腐はなんとカレー。それぞれがただの創作料理ではなく“進化した琉球料理”と感じられるのは、ふたりのシェフが伝統の本質を理解し、変えてはいけない部分を決して変えていないから。泡盛のエキスパートである『比嘉邸』バーテンダー・比嘉康二氏のドリンクも、料理と響き合います。

そんな料理とドリンクの質そのものもさることながら、半日かけて歴史を学ぶことで助走してきたゲストにとって、この時間はより感慨深いものだったことでしょう。おいしい料理、素晴らしい空間という横軸に、歴史という縦軸が加わることで感じる深み。この試みはきっと、これから沖縄の魅力をより深く、強く伝えるための強い武器となることでしょう。

福山氏(左)と前川氏(右)。前川氏は福山氏とのコラボで得た学びについて「シンプルかつ洗練された料理、メリハリある段取りとホスピタリティ、料理の丁寧さ、味と香りのバランスなど、挙げればきりがありません」と振り返る。

沖縄における泡盛のエキスパートである『比嘉邸』の比嘉氏。今回は料理との調和を考えながら、さまざまなドリンクを考案した。

前菜の盛り合わせは琉球王国の宮廷料理に使われた「東道盆(トゥンダーブン)」に盛り付け。ハーブを加えた泡盛とともに。

冬トリュフのピューレと削ったトリュフを乗せた田芋のドゥルワカシーのフリット。ドリンクは揚げ物に合わせ、爽快感のあるハイボール。

コンソメで炊いた美ら山羊に島人参、島牛蒡をあわせたスープ。玄米緑茶にフーチバー(よもぎ)をあわせたドリンクはノンアルコール。

福山氏の『Goh』のスペシャリテを沖縄県産食材でアレンジした夜光貝の肝とあおさの赤米リゾット。ドリンクは濃厚な料理に合わせ、酒精強化ワインのようなニュアンスを泡盛で表現。

やんばるアグー豚の煮込み料理。豚の脂身の濃度に合わせ、洗練された甘い香りを持つ泡盛「The MIZUHO」をチョイスした。

からしな、ゆし豆腐を使ったカレーは前川氏が「もっとも印象深い料理」と振り返る一品。県内産豆の深煎りコーヒーを加えたコーヒー泡盛とともに。

デザートは炊いた黒豆に黒糖寒天、黒糖アイス、黒糖ラム。沖縄の名産である黒糖を上質な菓子に仕立てた。

300年ほど前に中国の福州から琉球に伝わったという伝統菓子、きっぱんと冬瓜漬け。凝縮感のある古酒の泡盛とともに。

令和6年度高付加価値なインバウンド観光地づくり事業
主催:沖縄・奄美共同検討委員会
場所:沖縄県那覇市
企画:ONESTORY
協力:沖縄県調理師会、角萬漆器、ノボテル沖縄那覇

沖縄と奄美大島を舞台にしたガストロノミーイベント。ただ通り過ぎるだけでは知り得ない島の本質を伝える試み。

トップシェフの監修のもと、地元ホテルと料理人がゲストを迎える。

年間平均気温約23度、エメラルドグリーンの海に囲まれた沖縄。そして豊かな自然に囲まれた世界自然遺産の奄美大島。どちらも日本を代表する観光地であることは、疑いようもありません。そしてあまりに素晴らしい環境に満足し、私たちはときどき、ただのんびりと過ごすことで、その旅を謳歌します。

もちろんそれは旅のひとつの形でしょう。しかし沖縄、奄美には、それだけではない素晴らしさが眠っています。独特の文化があり、伝統があり、植生があり、食べ物があります。ただ「遊ぶ」だけでは知り得ない本当の島。学び、感じ、体験することで初めてわかる本当の魅力。

この度、そんな島の魅力を伝えるための、3つのガストロノミーイベントが行われました。観光庁による「高付加価値なインバウンド観光地づくりモデル観光地」に選ばれる沖縄・奄美エリア。島の潜在的な価値をいっそう高め、広めるため、トップシェフの監修のもと、現地のホテルや料理人が一丸となり、より深く、より進化した今の味を伝えるイベントが開催されたのです。参加者たちは食を通して、ただ通り過ぎるだけでは知り得ないリアルな島を体感しました。今回は旅行関係者などを招いた実証試験の形でしたが、そう遠くないうちに皆様に体験いただけるものとなるでしょう。

では3つのイベントがどのようなものだったのか、内容を振り返ってみましょう。

1月23日校外学習にてジーンズの雪晒し!

おかげさまで1月23日晴天の中で新井北小学校校外学習にて児童48名で雪晒しです!元気で熱心な児童に圧倒されました!当日は新潟日報・上越ケーブルTV・有線放送etc取材して頂きました。
新しい試みとして雪の中に埋めての雪下ジーンズ。春まで待ち遠しいです!

何卒よろしくお願いします。

☆当日の様子はこちらから動画でご覧頂けます。

【予約】9ozコットンリネンワークシャツ

商品詳細

  • 9ozのカツラギ織の生地を使ったコットンリネンワークシャツ!
  • 表面がドライタッチで肌離れがよいので、肉厚でありながら夏の強い日差しを避けるのにもご利用いただけます
  • 転売不可Proxy is prohibited

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
XS 68.5 40.0 103.0 98.0 61.0
S 70.0 42.0 107.0 102.0 61.0
M 71.5 44.0 111.0 106.0 62.5
L 73.0 46.0 115.0 110.0 64.0
XL 74.5 48.0 119.0 114.0 65.5
XXL 76.0 50.0 123.0 118.0 67.0
XXXL 77.5 52.0 127.0 122.0 68.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • コットン:90% , リネン:10%

納期

  • 3月

9ozコットンリネンワークシャツ

商品詳細

  • 9ozのカツラギ織の記事を使ったコットンリネンワークシャツ!
  • 表面がドライタッチで肌離れがよいので、肉厚でありながら夏の強い日差しを避けるのにもご利用いただけます
  • 転売不可Proxy is prohibited

サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈
XS 68.5 40.0 103.0 98.0 61.0
S 70.0 42.0 107.0 102.0 61.0
M 71.5 44.0 111.0 106.0 62.5
L 73.0 46.0 115.0 110.0 64.0
XL 74.5 48.0 119.0 114.0 65.5
XXL 76.0 50.0 123.0 118.0 67.0
XXXL 77.5 52.0 127.0 122.0 68.5
  • 商品により若干の誤差が出る場合がございます。

素材

  • コットン:90% , リネン:10%

納期

  • 3月

サーバーメンテナンスのお知らせ。1月24-27日の期間。

サーバーメンテナンスのお知らせ。

日頃お世話になります。

2025年1月24日(金)〜27日(月)の間はサイトへの

サーバーメンテナンスの為、アクセスやメールでの

ご連絡が一時的に出来ない状況になります。

大変ご迷惑をおかけいたしますが

何卒よろしくお願いします。

サーバーメンテナンスのお知らせ。1月24-27日の期間。

サーバーメンテナンスのお知らせ。

日頃お世話になります。

2025年1月24日(金)〜27日(月)の間はサイトへの

サーバーメンテナンスの為、アクセスやメールでの

ご連絡が一時的に出来ない状況になります。

大変ご迷惑をおかけいたしますが

何卒よろしくお願いします。

定休日・営業時間のお知らせ

日ごろ大変お世話になります。

営業時間と定休日のお知らせです。

何卒よろしくお願いします。

☆営業時間:9:30-18:00

※12月30日17:00閉店となります。

新年初売2026年1月2日 9:30開店。

大変恐れ入りますが何卒よろしくお願いします。

2026年1月-2026年5月:全国百貨店/催事・イベント出展のおしらせ。

日頃大変お世話になり誠にありがとうございます。
下記の催事出展予定となります。

皆様のご来場心よりお待ちしております。

・1月4-6日 JR名古屋高島屋

・1月14-20日 鹿児島山形屋

・1月29-2月4日東武宇都宮

・2月18-24日 富山大和

・3月10-16日宮崎山形屋

・3月25-31日横浜高島屋

・4月8-14日新潟伊勢丹

・4月22-28日新宿高島屋

・5月6-12日香林坊大和

・5月20-26日上大岡京急

今後の催事・Pop Up等の催行につきましては確定次第に随時掲載させて頂きます。
宜しくお願い申し上げます。

2024年12月28日よりデニムの雪晒し始めました。

2024年12月28日より雪晒し始めました! 妙高名物、降り頻る雪の中で唯一無二のデニムの風合いを追求した自然環境を生かして ご提供させて頂きます。 手間を惜しまずに仕上げています。

見学・体験・メディア関係各位様、

お問い合わせページよりご連絡下さい。https://maruni-jeans.com/contact/

よろしくお願いします。

先人のアバンギャルドに対し、自分たちは、今、何ができるか。

「一歩一景と称されるほど、美しい風景も然り、栗林大茶会を振り返ると、自分は、スタッフやお客様の顔の風景が心に浮かびます。これも自分にとって大事な一景」と話す、茶の湯監修を務めた茶人・武井宗道氏。

NEW STYLE of TEA PARTY固定化されてしまった茶の湯の世界への疑問。

「良い道具、良いお点前……、良い茶会とは何か……。近年になればなるほど、価値観は固定され、語弊を恐れずに言えば、現代のお茶の世界に限界を感じていました」。

そう話すのは、「栗林大茶会」にて、茶の湯監修を務めた茶人・武井宗道氏です。

「栗林大茶会の大きな特徴は、ふたつあると思います。まずひとつは、特別名勝・栗林公園(以下、栗林公園)という壮大な舞台で行われるということ。もうひとつは、異業種で構成されているということ」。

今回、掲げたテーマは、守破離。参画した監修者は、武井氏のほか、和菓子監修には「ファロ」シェフパティシエの加藤峰子氏、飲料監修にはバーテンダーの南雲主于三氏、空間設計監修には、建築家の永山祐子氏を迎えます。一見、接点がないように見えますが、全員に共通していることは「一流」であるということ。多彩な感性の共鳴は、むしろ同業で構成されるチーム以上の成果を発揮することは言うまでもありません。

「今までにない茶会ができると思いました。お茶の侘び寂び、精神性と向き合う時、いつも400年前はどうだったんだろうと、必ず振り返ります。当時、茶の湯は最先端であり、そこで様々な情報が交わされていました。つまり、茶会から革新が生まれていたのです」。

小さな空間から生まれたそれらは、大きな時代の波をも凌駕する、カウンターカルチャーと形容するに相応しい情報基地であり、文化の交差点。

「茶の湯は、職人さんが作った道具とそれを使う亭主の関係で成り立ちます。監修者の皆は、それぞれの業種において、作り手であり使い手であったことが好相性だったと思います。良い作り手は、オーダーを超えるものを作りますから。そして、想像を超えるものができた時、想像を超える使い方をするのが茶の湯の文化。栗林大茶会では、それが毎日進化していったと思います」。

「良い茶道具を持つよりも、茶道具の使い方を研究したい。自分の体と道具を一体化させ、風景となるのが理想」と話す通り、流れるような所作は、「栗林公園」の一景に溶け込む。

NEW STYLE of TEA PARTY何となく良い茶会だった。それが理想的な茶会。

「栗林大茶会」の世界は、その名の通り、壮大な茶会となりました。「栗林公園」という約23万坪の敷地面積も然り、永山氏監修のもと点在した空間は、三井嶺氏、VUILD/秋吉浩気、KASA/コヴァレヴァ・アレクサンドラ + 佐藤敬が手がけました。松の木を横倒し屋根に見立てた「臥松庵」、巨大な純白の掛け軸が特徴の「露庵」、池に浮かぶ「泳月庵」は、風景の中にまた風景を形成し、特異ですが、自然に馴染む一景を創り上げました。

そこに南雲氏のカクテルや加藤氏の和菓子が加わり、味や香りが体験に奥行きを与えます。

また、前述の監修者以外に武井氏が招集したのが、日本らしいwell-beingをwelll-downと捉え、探求しているアートコレクティブ「Ochill」と芸術として工芸作品を扱う「B-OWND(ビーオウンド)」でした。

武井氏は、三井氏が手がけた「臥松庵」でも亭主を務め、薄茶を供しましたが、その空間とともに稀有な体験を引き立てたのが、「B-OWND」の器でした。強烈に強い主張を放つそれらは、ある種、薄茶と合わせることでバランスが取られ、ゲストも興味津々、興奮状態。

「B-OWNDはギャラリーでも骨董屋でもありません。派手な作品が多いですが、経験に裏打ちされた技術によって創作された器は、全て素晴らしい。お茶の世界では、社会的な地位と名誉だけでは満足できず、現代との比較ではなく、歴史上の人物と比較してしまう傾向にあります。ゆえに、先人たちが持っていたものを手に入れたい欲求が芽生え、道具屋も人を選んでそれを売る。しかし、B-OWNDは、既存で価値化されているものを収集するのではなく、現代における新しい価値を作り、広げようとしています。実際のお客様もお茶の世界にはいない人たちが多いですが、茶道具としても面白い。千利休の時代も、朝鮮から持ってきた何でもないものに価値を付けました。既に誰かが良いと判断したものに目を向けるだけでなく、まだ光が当たっていないものに価値を見出す審美眼が大事だと思っております」。

「いつの時代もイノベーションを起こした人たちは、芸術性も高い」とは、「ファロ」加藤氏の言葉。「栗林大茶会」には、そんなエッセンスとメッセージが多分に込められていました。

また、「日暮亭」にて行われた「Ochill」の体験も驚愕。それは吸うお茶です。

「吸うと言っても、液体を吸うわけではありません。お茶の煙を吸う茶会になります。液体を体に取り入れるわけではないのですが、飲んだ時と同じような満足度は、なんとも言えない不思議な感覚。Ochillは、コンセプチュアルな表現が目立ちますが、地に足ついた物事の捉え方をしており、そのプレゼンテーションも圧巻。彼らの研究は、新しい茶の湯の可能性を見出したと思います」。

お茶はもちろん、カクテル、和菓子、建築、器……。全てに作り手がおり、それまでに費やした長い月日があります。様々が交錯する無限の方程式で組み合わさったかたちが「栗林大茶会」なのです。

「栗林大茶会の構想を練る時、かつて豊臣秀吉と千利休が開いた北野大茶湯を想像しました。茶碗を持って来さえすれば誰でもが参加できた茶会でしたが、そのような自由な楽しみを感じていただければと思いました。当時、抹茶は高級品だったため、手に入らない人は、焦がし(小麦粉を炒ったもの)を用いて茶会を開いていました。そうした背景を見ると、抹茶だけにこだわる必要すらないのかもしれません。いつの時代にも、答えは過去にあるのだと思います」。

改めて、「栗林大茶会」を振り返ると、どんな茶会だったのでしょうか。

「良い茶会は、良い道具を使えば成り立つわけではないと思っております。それよりも、良い使い手にならなければいけません。それは道具と体を一体化させることにあると思います。そうすることによって全てが風景になります。道具や掛け軸、お茶やお菓子などの詳細が記憶に残ってしまうようであれば、それは亭主として一体化できなかったということ。全てを忘れてしまうほど、楽しんでもらえるような茶会こそ、理想的。栗林大茶会も、何となく良い茶会だったと思ってくれたら、この上なく嬉しく思います」。

上記写真含め、「臥松庵」で使用された器や茶道具の主は、「B-OWND」のもの。斬新なデザインは、まるでアート。

「日暮亭」にて行われた「Ochill」の吸うお茶の仕組みは、このように行われる。活字では言い表せない不思議な体験。

炭の熱によってお茶の中を煙を通り、それを吸う。まるで科学のような新たな茶の湯の体験。

NEW STYLE of TEA PARTY茶人は無能であれ。大切にしたかったことはフレーム作り。

「今回、茶の湯監修として携わらせていただきましたが、自分の茶会にはしたくありませんでした」。

そこで大切にしたかったことがフレーム作り。

「何が起こるか、わからないのが茶会。ましてや、大所帯から成る栗林大茶会においては、臨機応変に対応できるかどうかも非常に重要なポイントでした。そんな時、フレームが崩れないようにするのが自分の仕事。これは規模の大小に関わらず、自分が大切にしていることです」。

武井氏の言う、フレーム作りとは何か? そこには、歴史を遡り、考察した、深い想いが込められていました。

「昔の茶室は、いわゆる田舎屋。大工さんに全てをお願いしたいけれど、お金がなかったので、フレームまでしか頼めず、農民たちは、自分たちで土壁を作っていました。だから、土壁にはその土地の個性がありました。今回の考え方も同じです。栗林大茶会に関わっていただいた香川の方々が壁を作ってくれたことで、命が吹き込まれたと思っています」。

言わば、フレームは線であり、壁は面。存在の大きな面を地元に委ねることによって、「自分の存在を感じないことが一番」と言葉を続けます。

「以前、千利休の茶の湯を知るべく、多くの茶書を読み調べしたのですが、最も刺激を受けたものが山上宗二記でした。その中に、“茶の湯者は無能であれ”という言葉があります。人間はどこまでいっても無能であり、初心であるにも関わらず、自身を有能だと勘違いし、何かを悟ったなどと思うことは、とても嘆かわしいこと。お茶ができることと、何も知らない人の差など、人生においては無いと言って良いでしょう。むしろ、何も知らないでいることを尊ばねば、その先はないとも思うのです。栗林大茶会に携わっていただいた方々は、分野の違いが互いを引き立て合い、利己主義ではなく利他主義の世界を無意識に作り上げていました。それが心地良かったです。お茶は流儀ではなく、心」。

「栗林大茶会」の次なる目標は、「百歩百景」と武井氏。

「栗林公園を称する言葉、一歩一景になぞるならば、栗林大茶会を進化させ、百歩百景の大茶会を目指したい。そして、今後、栗林大茶会が文化になるのならば、今回がその一歩から生まれた一景」。

先人たちのアバンギャルドな茶会に対し、「栗林大茶会」はそれに近づけたのか。はたまた、100年後から見た栗林大茶会は、アバンギャルドだったと思われるのだろうか。

武井氏の言葉を振り返る。「いつの時代にも、答えは過去にある」。

「栗林大茶会」もまた、いつの日か誰かの答えを見出させる過去になれることを願う。

会場:特別名勝「栗林公園」
住所:香川県高松市栗林町1-20-16
期間:2024年10月15日(火)〜10月22日(火)
時間:9:00〜/13:30〜
料金:33,000円(和菓子・飲料×5セット・呈茶体験)
主催:ONESTORY
共催:香川県
後援:公益社団法人 香川県観光協会
協力:株式会社ナイスタウン、フリット(翻訳サービス)


Photographs:SHINGO NITTA
Text:YUICHI KURAMOCHI

環境問題とも向き合った、和菓子のコンテクスト。

自身の作るお菓子に合わせてドリンクを選んでもらう側から、今回はお茶に合わせて和菓子を作る側へ。「ソムリエのような気持ちで和菓子作りをしました」と話す、和菓子の監修を務めた「ファロ」シェフパティシエの加藤峰子氏。

NEW STYLE of TEA PARTYなぜ私? そんな疑問から始まった「栗林大茶会」。

「実は、数年前から和菓子に対して非常に興味を持ちはじめ、色々、個人的に研究していました。とはいえ、公に活動していたわけではありませんし、私自身は洋菓子。なぜ私?という疑問から、栗林大茶会は始まりました」。

そう話すのは、和菓子の監修を務めた「ファロ」シェフパティシエの加藤峰子氏です。イタリアでの生活も長かったこともあり、和菓子を食べる習慣もほぼなくこれまでを過ごしてきた加藤氏は、まずリサーチから始めます。

「まず、人に会い、店に足を運び、文献を読み、その上でコンテクストを構築していこうと思いました。様々得た情報の中で、作り手からの目線で感じたことは、洋菓子よりも和菓子の制作工程がはるかに多いということ。貴重な素材が使われているものもありましたが、それが数百円で販売されていたり……。外国の友人にも和菓子を食べる頻度を伺いましたが、来日しても、ほとんど食べないという意見もありました。それを受け、自分なりに思ったことは、海外だと、豆はお肉の付け合わせや煮込み料理に使用されることが多く、味付けも塩胡椒やオリーブオイルなどがほとんど。甘い豆を食べる文化がありません。最初から最後まで一定な味ということにも、少し単調な印象があるのかもしれません」。

今回、参画した和菓子屋は、「日和制作所」、「三友堂」、夢菓房たから」、「御菓子司 寳月堂」、「瀬戸内パウダーラボ」の5店。

「今回は、栗林大茶会という、ちょっと遊び心のある試み。そこで、皆さんには、まず何をやりたいかを伺いました。私は、そこにほんの一手間を加えるという手順で進めていきました」。

全てにおいて共通していることは、ゼロからの開発をするわけではないこと。なぜなら、「続かないものや再現できないものを作っても意味がないから」。

加藤氏は、「栗林大茶会」が終わった後も、そのレシピを各店のものにしたかったのです。

「今後もお店としても展開できるもの作りをしたかった。私は、そっと門を叩いて、そっと門を出るだけ。ただ、出た後に何かを残したかった」。

「露庵」では、「夢菓房 たから」と共に、練り切りを提供。生地にはライムの皮、中の白餡は檜チップと共に炊き、香りを纏わせ、ラズベリーのパウダーで色付け。ほうじ茶とも好相性。

「泳月庵」では、「寳月堂」と共に、生落雁(サワーチェリーのピューレ)、琥珀糖(金木犀、エルダーフラワーシロップ)を、「瀬戸内パウダーラボ」と共においり(レモン果汁パウダー)の吹き寄せを提供。船上からの景色を楽しみながら、つまんで食べられる和菓子をイメージして吹寄にまとめた。

NEW STYLE of TEA PARTY合わせられる側から、合わせる側へ。

これは、加藤氏が「栗林大茶会」における、自身の仕事を表現した言葉です。

「いつもは、私のお菓子に対して、ソムリエがペアリングしてくれます。つまり、合わせられる側にいるのです。ですが、今回の主は、あくまでも茶会。お茶に合わせてお菓子を作りました」。

そこでひとつキーワードとなったのが香りです。和菓子の世界では、香りはお茶の妨げになることがあるため、あまり採用されませんが、バラ、ライム、ラズベリーなどを利かせたそれらは、和菓子の「和」の比重と「菓子」の比重を程良いバランスに整合。また、臭覚の香りではなく、味覚の香りの構築は、加藤氏ならではと言ってよいでしょう。ゆえに、お茶を濁さず、香りを楽しめる茶会の一助となりました。

「和菓子は非常に文化的で、厳格な世界だと思っております。ですが、世界的に見て考えた時、もう少し多様性があっても良いのではないかと考えました。例えば、お茶だけでなく、珈琲やカクテルと合わせる和菓子があっても良いのではと」。

型を崩さず、味の広がりを表現できたのは、前述の5店の確固たる基盤があったからこそ。例えば、和三盆糖のお干菓子には、ほんの一滴、オーブオイルを垂らし、「通常ではお干菓子と合わせない濃茶とのペアリングだったため、全てグリーンノートで合わせたら、爽やかな森になるんじゃないかなと」。

味覚の風景から想像するアイディアは、加藤氏の類稀なる感性によるものであり、これもまた一景。味の記憶は皿の上に留まりますが、香りの記憶は風景として残るでしょう。

「願わくば、お客様の人生の中で、その一景を覚えていてほしい」。

「日暮亭」では、「三友堂」と共に、「錦玉羹」を提供。味にはアールグレイを効かせ、ローズウォーターと赤紫蘇のマイクロハーブを添えて。糖分を抑えたのも特徴。

「掬月亭」では、「日和制作所」と共に、和三盆糖のお干菓子を提供。その場で型抜きした出来立ては、鮮度を感じる食感。オリーブの葉、ライムの皮を効かせ、食べる直前に香川「オキオリーブオイル」を垂らし、提供。

「臥松庵」 では、「夢菓房 たから」と共に、ごま餅を提供。お餅は香川県の庵治石をイメージし、黒ゴマを含ませ、白餡には香川県オリジナル品種 温州みかん 小原紅早生のピールを使用。

NEW STYLE of TEA PARTY和菓子を通して対峙する、日本の環境問題。

今回、印象的だった和菓子の香りに、ヒノキがあります。これは、「栗林大茶会」だけでなく、「Ritsurin Chaji」にも採用された技法です。日本の伝統的な香りでもあり、和菓子との好相性も理由のひとつですが、実は、より深い想いが込められているのです。

「昨今、様々な環境問題がありますが、中でも放置林に注視しています。主には人工林のため、人間の問題です。木造建築からコンクリート建築になる時代背景などもあるとは思いますが、植生が荒れることによって、温暖化にも繋がり、生態系が崩れる恐れもあります。雨や台風時の災害リスクも大きくなりますし、大きな危機を迎えていると感じています」。

育てる時代から、整える時代へ向かわねばならない一方、国有林や保護区などになると、容易に伐採もできないため、一筋縄にはいきません。加藤氏は、ヒノキの香りを取り入れることによって、その問題を皆で対峙したいと考えたのです。

「木は偉大な生き物。木のセカンドライフとして、尊厳ある関わり方をシェフとして、人として、行いたいと思いました。お茶も自然も含め、日本の資産は素晴らしい。その魅力を伝えることは、私たち日本人のためにもなります。今回のように、イノベーションマインドを持っている人たちと地域の人たちが交わり、ほんの少しクールに魅せてあげるだけで、グローバル化された世界の中でも際立った表現もできることがわかりました」。

その輪を拡張し、強固にするためには、地方自治体、県、さらには国による関係構築も必須なのかもしれません。

「3年後、10年後、50年後の世界ではなく、私が死を迎えたあとのことまで考えたい。和菓子には、日本人が尊いと思う全てが込められていると思うから」。

「栗林大茶会」の前に開催された「Ritsurin Chaji」の和菓子も加藤氏が担う。「夢菓房 たから」と共に「露庵」で提供した練り切りを用意。(撮影:MIKUTO TANAKA)

会場:特別名勝「栗林公園」
住所:香川県高松市栗林町1-20-16
期間:2024年10月15日(火)〜10月22日(火)
時間:9:00〜/13:30〜
料金:33,000円(和菓子・飲料×5セット・呈茶体験)
主催:ONESTORY
共催:香川県
後援:公益社団法人 香川県観光協会
協力:株式会社ナイスタウン、フリット(翻訳サービス)


Photographs:SHINGO NITTA
Text:YUICHI KURAMOCHI

2026年新年初売りのご案内。

日頃大変お世話になり誠にありがとうございます。

※年末営業は12月30日17時までとなります。

12月31日・1月1日は定休日となります。

2026年新年初売り1月2日9:30より開催いたします。

恒例の新年開運福袋をご用意しています。

サイズM. L. XL.XXL 販売価格22,000円税込。

お年始の縁起物の為、現金支払いのみの対応となります。

1月2日.3日.4日のみ営業時間9:30-17:00となります。5日より平常通り9:30-18:00。

宜しくお願い申し上げます。

2025年初売りのご案内。

日頃大変お世話になり誠にありがとうございます。

2025年新年初売り1月2日10:00より開催いたします。

恒例の新年開運福袋をご用意しています。

サイズM. L. XL 販売価格22,000円税込。

お年始の縁起物の為、現金支払いのみの対応となります。

宜しくお願い申し上げます。

茶人ではないから成せた守破離。

「栗林大茶会を通して、お茶の幅を持たせたかった。カフェインの量や液体の量のバランス、和菓子との相性、そして建築や風景と共に過ごす体験を含め、総合的な満足度をどう高められるかを熟考しました」と、飲料監修を務めたバーテンダー、南雲主于三氏。

NEW STYLE of TEA PARTY異業種が交錯することによって生まれたお茶の可能性。

特別名勝「栗林公園」(以下、栗林公園)にて行われた「栗林大茶会」には、4人のキーパーソンが存在します。そのひとりが、飲料監修を務めたバーテンダー、南雲主于三氏です。

「茶の湯監修、和菓子監修、空間監修と建築チーム……。栗林大茶会の特徴のひとつとして挙げられるのは、地元の方々との関わりを基本に、県外からの異業種が混在していることだと思います。どんな空間ができあがり、それをどの順番で巡回し、どんなお菓子が供されるのか。構成されるピースが多いため、各所と緻密に確認しながら構成していきました」。

南雲氏をはじめ、皆が表現したかったのは、お茶の新しい価値化。目指すテーマは、守破離。

「まず、伝統的なものを守ること。そして、型を崩さず、それを破ること。さらに、そこから離れ、独自の世界を確立すること。僕は、茶人でありません。しかし、これまでもお茶の可能性を追求すべく、カクテルをはじめとした様々な新しい挑戦をしてきました。その見地が今回は活かせたと思います。そして、異業種が交わることで、自分も想像しなかったような体験を生み出すことができたと思いました」。

想像しなかったような体験として挙げられるのは、空間と器の存在が大きかったでしょう。空間設計の監修には、世界を舞台に活躍する永山祐子氏を迎え、三井嶺氏、VUILD/秋吉浩気(以下、VUILD)、KASA/コヴァレヴァ・アレクサンドラ + 佐藤敬(以下、KASA)が参画。3つの世界を創造しました。

「臥松庵」と名付けられた三井氏の設計は、横倒しされた一本の松が屋根に見立てられた野点。亭主は、茶の湯監修を務める武家茶道・武井宗道氏が担い、薄茶を供しますが、その器は、もはやアートと呼ぶに相応しい「B-OWND(ビーオウンド)」の工芸作品。一見奇抜のように見えますが、不自然と自然が絶妙な世界を形成し、南雲氏が言う、想像もしなかった世界の好例と言えるでしょう。

「三井さんの臥松庵、KASAの露庵、VUILDの泳月庵。全てに共通するのは、この広大な敷地面積の中から、たった1点の場所を見つける着眼点の凄さ。自分の役目は、場が生まれたことによって、そこで何を飲んだら心地良いか。自分が作りたいものではなく、空間と風景と器が合わさった時、どんなものを供したら全てのバランスが整うのかを考えました」。

ここまでは、守破離の破と離。しかし、これらの体験が生きるのは、地元の老舗料亭「二蝶」代表・山本亘氏の「守」があってこそ。「山本さんが亭主を務める掬月亭がなければ何も成立しません」と南雲氏も話します。

とはいえ、山本氏の見立てにおいても古典だけではありません。中でも、イサム・ノグチがデザインした和紙の装飾や流政之の器の起用は、香川が持つ高い芸術性を漂わせ、モダンなエッセンスも加味されていました。

「お茶は最先端の文化。ただ嗜むだけでなく、歴史や文化、さらには、芸術やセンスも必要だと思います。栗林大茶会では、そこまで難しいことはしませんでしたが、そういった知見を学ぶことによって、より高度なコミュニケーションが取れると思います」。

「栗林大茶会」に供したドリンクは、日本全国より、原材料を厳選。三井嶺氏が手がけた「臥松庵」では、京都「出島園」のさみどり 麗、さみどり葵とさみどり奏をブレンドした薄茶を用意。

KASAが手がけた「露庵」では、福岡「星野製茶園」の伝統本玉露 ほしの秘園、ほうじ茶 香駿、「中国茶専門店GUDDI」の 極品桂花茶を用意。

VUILDが手がけた「泳月庵」では、阿波晩茶、香川「川鶴酒造」のさぬきオリーブ酵母仕込みの純米生原酒のカクテルと地元のバーテンダーが3日かけて作り上げた阿波晩茶のモクテルを用意。

「Ochill」が亭主を務めた「日暮亭」では、深煎りのほうじ茶を漬け込んだポートワインを用意。ポートワインを口に含んでの茶香は、心地良い苦みを纏わせ、より深い上質な味わいへと誘う。

「二蝶」代表・山本亘氏が亭主を務めた「掬月亭」では、斬新な見立てでゲストを魅了。流政之の器やイサム・ノグチの装飾など、香川にゆかりのあるものから、気鋭の作家、桑田卓郎の器まで、貴重な作品が続々と登場。

NEW STYLE of TEA PARTY完全じゃないから面白い。不完全の美学。

「栗林大茶会は、過去と未来をつなぐものだと考えています」。

昔と比べ、これほどまでに世界が変わった現代において、もし、当時の茶人がお茶を表現したらどんな世界を作り上げるのか……。もしかしたら、もっと最先端の技術を取り入れるのか……。と、南雲氏はそんなことを想像しているのです。

「今回、建築や器、カクテルなどの視点からお茶の新しい価値化を目指しましたが、例えば、音楽や映像などを取り入れても面白いかもしれません。さらには、VRも。現実と非現実を交錯させることもできますし、テクノロジーの進化によって、過去と現在の世界をつなぐこともできるかもしれません。そんな時に、どんなドリンクを提供できるのか!? 想像しただけでもワクワクします」。

一歩一景とは、「栗林公園」を表現する言葉。一歩歩くごとに、その風景が様変わりすることを意味しますが、南雲氏が表現したい風景は、歩くだけでは見ることのできない風景。見える景色もあれば、見えない景色もまたあり。

「自分は、味覚で風景を作りたかった」と南雲氏。

今回、それは成せたのか? 完璧を求めればまだまだできることがあったに違いありませんが、不完全の美こそ、「栗林大茶会」なのかもしれません。それはなぜか。かのイサム・ノグチが残した言葉に「栗林大茶会」を見出したいと思います。

「完璧じゃないから面白い」。

会場:特別名勝「栗林公園」
住所:香川県高松市栗林町1-20-16
期間:2024年10月15日(火)〜10月22日(火)
時間:9:00〜/13:30〜
料金:33,000円(和菓子・飲料×5セット・呈茶体験)
主催:ONESTORY
共催:香川県
後援:公益社団法人 香川県観光協会
協力:株式会社ナイスタウン、フリット(翻訳サービス)


Photographs:SHINGO NITTA
Text:YUICHI KURAMOCHI

儚く消えてなくなった、3つの風景の記録。

三井嶺氏が手がけた「臥松庵」。一見、シンプルな設計に見えるも、若松を横に倒して屋根に見立てるなど、大胆な発想も取り入れる。

NEW STYLE of TEA PARTY建築家・永山祐子が招集した、新進気鋭の3チーム。

「栗林大茶会」は、5つの空間から構成されました。ふたつは、既存の掬月亭と日暮亭から成り、残り3つは、新たに創造された空間。監修には、建築家の永山祐子氏を迎え、三井嶺氏、VUILD/秋吉浩気氏、KASA/コヴァレヴァ・アレクサンドラ氏+佐藤敬氏がそれぞれを手がけます。

「個性やアプローチが全く違う3チーム。このメンバーならば、特別名勝・栗林公園(以下、栗林公園)の自然と文化を尊重し、空間を設計できると思いました。それぞれがどのようにこの壮大な環境と共鳴するのか、私自身も楽しみでした」。

そう永山氏が話す通り、場所選びも空間設計も、三者三様、全く異なるアプローチ。突如現れた3つの空間は、栗林公園に新たな一景を生み、心地良い時間を育んでいました。

コヴァレヴァ・アレクサンドラ氏と佐藤敬氏から成るユニット、KASAが手がけた「露庵」では、自然の樹々に包まれるような場所選びが妙。「そこに既に空間があり、ほんの少し建築的な操作を加えただけ」とふたり。

NEW STYLE of TEA PARTY景色だけでなく、生態系と一体化した三井嶺の建築野点席。

「栗林公園は、園内全てが見どころ。場所を選定するのが難しかったです」と、「臥松庵」を手がけた三井嶺氏は話します。選んだ場所は、西湖の湖畔でした。

「ここは、道が細く、地には根がはびこり、足元の悪さもあって、自然と歩みがゆっくりとなる落ち着いた環境。その時間の流れ方が、露地の奥にある茶室へと歩を進めていくときと似ているという印象を抱きました。場所が決まれば、あとは囲いさえあれば大丈夫。風景に溶け込むような、そして、茶の湯を楽しむお客様の意識に溶け込むような設えがあれば十分で、建築の存在は不要だと考え、景色に溶け込むように木を一本だけ使って野点の空間を作ることにしました。木は公園にたくさんある。ゆえに、映えない」。

その言葉に反した「映える」空間の覆いには、若松を採用。最初は生け花のように立てられて風景に溶け込んでいた若松が、茶席の始まりのタイミングでダイナミックに横倒しにされることで、茶にふさわしい木陰の空間を構築します。

松は、寿命が500年〜1000年と言われています。本来であれば、もっと長く生きられた植物を大地から切り離し、人間が空間を作ることに意義はあるのか。「臥松庵」には、命と向き合うメッセージも強く感じました。

「物事には必ず際(きわ)があり、それは自分自身が表現するテーマでもあります。生の際、死の際、朽ちる際、枯れる際……。そこと向き合いたい」。

「栗林大茶会」の開催期間は、8日間。その間、若松は、日毎、老いていきます。そして、その老いに比例し、風景に変化が生まれました。若松が止まり木となり、野鳥が羽を休める場になったのです。

それは、松の命をいただき、人間(=三井氏)が空間を作ることに意義があったのか、という問いに対し、「栗林公園」に住まう住人が答えを見出してくれたかのようでした。

「栗林公園」の生命体と一体化した「臥松庵」は、この瞬間、本当の意味で、風景になれたのかもしれません。

横から見た「臥松庵」。床、柱、若松というミニマルな設計ながら、茶の湯の世界が見事に形成されているのは、三井氏自身も茶を嗜む経験値が高いゆえ。

屋根となる若松は、立った状態から、柱のハンドルを回すことによって横に倒れる仕組み。このプロセスも含め、「臥松庵」の世界は完成する。

NEW STYLE of TEA PARTY歩まずとも、湖上から生んだ一景に想いを馳せる。

場という視点では、「栗林公園」の一歩一景の概念から逸脱したのがVUILD/秋吉浩気氏です。

「陸の景色だけでなく、水辺からの景色も美しいのが栗林公園の特徴だと思っています。実際、南湖には和船も出ており、古地図を調べると昔は北湖にも屋根付きの船が周遊し、現代における商工奨励館の方から殿様が掬月亭に向かったという文献も残されています。その風景を再現したかった」。

選んだ地、もとい水辺は、北湖。金属製のフレームや透明の床から成る「泳月庵」は、自然素材でないため、一見、異質になるかと思いきや、風景に馴染む。それは、デザイン設計の妙かもしれません。

「かつては、高松松平家の歴代藩主も楽しまれており、その厳格な世界は一番大切にしたいと思いました」。

しかし、「泳月庵」は、これが完成形ではありませんでした。

「本来は船として周遊したかったのですが、様々な事情があり、断念せざるを得ませんでした。いつかまた、船からの一景を作りたいと思います。そして、月明かりの下、湖上に映り込んだ月を愛でながら、夜茶会にも挑戦してみたいです」。

VUILD/秋吉浩気氏が手がけた、北湖に浮かぶ「泳月庵」。遠くから見れば見るほど、一番風景に馴染んでいた建築空間。

水上から見る景色をゆっくりと愛でながらお茶に興ずるゲスト。

NEW STYLE of TEA PARTY内外をつなぎ、時をゆらぐ、一筆書きの風景。

「栗林公園は、松の奥には紫雲山を抱え、景色に高低差があり、広大な敷地ですが、歩く度にその風景を変え、とても豊かな体験を生み出しています。いくつもの風景が響き合い、例えば木々が暗がりをつくり、そこに流れる水に奥の真っ赤な橋が反射して、そこにやわらかな光が落ちる。ハッとするような風景が現象のように立ち現れては消え、とても美しい」と、KASA/コヴァレヴァ・アレクサンドラ氏。

「栗林公園を車で目指した時、既に街から紫雲山が見えるのですが、そこから見る山の雰囲気と園内からのものとで印象が驚くほど違う。つまり、同じものでも関係の持ち方次第で、見え方が変わるのだと感じました。そんな体験から、シークエンスな体験空間を作れないかと考えました」とKASA/佐藤敬氏。

KASAが選んだ場所は、「皐月亭」の裏手。何の変哲もない場所ですが、特に人通りが多いのが特徴。「来園者が普段気に留めないような場所」とふたり。しかし、目の前にはコヴァレヴァ氏が美しいと語った水辺があり、佐藤氏が語ったシークエンスな場でもある。ふたりにとっては好条件でした。

「露庵」と名付けられた空間は、横に伸びた白い床に、縦に伸びた白い布。白い布は、まるで巨大な掛け軸のようですが、共にキャンバスのような許容も感じます。ゲストの前にはサヌカイトの黒石をテーブルに見立て、凛とした空気を漂わせます。

「サヌカイトは、表裏でテクスチャーが違っていたり、切断面が緩やかなものや荒々しいものなど、様々なものを配しました」と佐藤氏。白い床も手伝い、墨が宙に浮いているような印象を抱きますが、実は一筆書きのように配置。「例えば、止めのところは曲線が綺麗なものを、線のところは真っ直ぐなものを、最後の払いは荒々しいものをなど、置く場所の順番も緻密に計算しています」と言葉を続けます。

「ここは何の変哲もない場所ですが、大きなムクロジの木があったところも惹かれたところです。それが自然の屋根を作り上げ、垂れた枝葉を潜るように入ることによって、にじり口の役割も果たしてくれます。既に空間があったところに、私たちが少しだけ建築的な操作を加えただけ」とコヴァレヴァ氏。

風が吹けば、縦に伸びた白が揺らぎ、晴れた日には、縦横の白に木漏れ日を映す。陽の傾きで、水辺に空間が映り込み、立体的な風景となる。それはまるで、ここだけに流れる時間が存在するかのようだ。

「自分たちの力だけでなく、自然の力も借りて新たな風景を作りたかった」とふたり。

改めて、この立地のことを思い出したい。

ここは、何の変哲もない場所ですが、特に人通りが多いのが特徴だ。

「露庵」の誕生後、「来園者が普段気に留めないような場所」が「来園者が最も気に留めるような場所」になったことは言うまでもない。

水辺に映る「露庵」の風景も美しい。白と黒の世界は、日本的で凛とした空気を醸し出す。

テーブルには、讃岐地方の石「サヌカイト」を平井石産より拝借。白に配されたそれらは、まるで墨のような役割も担い、書を彷彿とさせる。

NEW STYLE of TEA PARTY続けることによって文化になる。次の準備はできている。

「香川の皆様や栗林公園の皆様のおかげで、栗林大茶会は、多くの反響を得ることができたと思います。しかし、これを1回だけで終わらせたくありません。続けることによって文化は生まれ、地に根付くと思うからです。建築的な視点で考えると、今回の3つの空間をアーカイブし、それ以外に、毎年、空間=一景を増やしていければ、より壮大な大茶会を創造できると思います」と永山氏。

「栗林大茶会」は、期間限定ゆえ、「臥松庵」も泳月庵」も「露庵」も、今、その姿はありません。有り続ける景色も一景ですが、無くなる景色もまた一景。儚く消えてなくなった、3つの風景は、参加者だけでなく、通りすがりの来園者でさえ、その記憶に深く刻まれたに違いありません。

次の準備はできている。

会場:特別名勝「栗林公園」
住所:香川県高松市栗林町1-20-16
期間:2024年10月15日(火)〜10月22日(火)
時間:9:00〜/13:30〜
料金:33,000円(和菓子・飲料×5セット・呈茶体験)
主催:ONESTORY
共催:香川県
後援:公益社団法人 香川県観光協会
協力:株式会社ナイスタウン、フリット(翻訳サービス)


Photographs:SHINGO NITTA
Text:YUICHI KURAMOCHI