農口尚彦、85歳。3年ぶりの復活に酒造りの神様は何を思う。[農口尚彦研究所/石川県小松市]

「伝説の杜氏が復活する」。 そんなニュースで日本酒業界が沸き立ち、日本酒ファンが喜びの声をあげたのが2017年6月のことでした。それからおよそ半年、醪造りの最終段階を迎えた石川県小松市の酒蔵に、農口尚彦氏の姿はありました。そう、酒造りの神様とも称される、日本酒界のレジェンドともいうべき人物。その農口氏が、自らの名を冠した『農口尚彦研究所』の杜氏として、実に3年ぶりに日本酒造りの現場に戻ってきたので...

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経験や知識ではない。農口氏が求めたのは情熱を持った蔵人。[農口尚彦研究所/石川県小松市]

『農口尚彦研究所』として新設された酒蔵は、小松市の観音下町(かながそまち)という地区にありました。無論、この場所を決めるにあたり最も重視したのは、酒造りに適した地下水が汲み上げられること。ボーリング調査なども行い、徹底的に水質をチェック、農口氏も納得したうえで決定したといいます。 のどかな田んぼを背景にする真新しい酒蔵は、農口氏のこれまでの人生を振り返るギャラリーとテイスティングルームを併設(い...

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「生かすも麹、殺すも麹」。麹室に緊張が走る。[農口尚彦研究所/石川県小松市]

12月某日。取材班は光栄にも完成したばかりの酒蔵で、仕込みの現場を見せてもらうことができました。それは、ちょうど2本目のタンクが醪造りの最終段階を迎え、第2段となる品目の仕込みが始まって間もないタイミング。農口氏が最も神経をすり減らすという「麹造り」の現場です。そこで取材班が目の当たりにしたのは、とても85歳とは思えない、農口氏の英気に漲った眼光でした。 今回の記事を制作するにあたり、想定してい...

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芦ノ湖の冬を彩る迫力の水上花火。[節分祭奉祝花火大会/神奈川県足柄下郡]

風光明媚な景色が魅力で、天気が良ければ富士山も望める場所に位置する芦ノ湖には一風変わった行事があります。芦ノ湖畔にある箱根神社では毎年2月3日に節分祭がありダイナミックな豆まきが行われるのです。水上スキーで逃げる鬼を水上スキーで神職が追いかけながら豆を打ちます。 そんなユニークな箱根神社節分祭の前夜祭(前日、2月2日)に芦ノ湖冬景色花火として開催されているのが『節分祭奉祝花火大会』です。打上場所...

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ONESTORY密着企画、第二弾!日本酒の神、農口尚彦85歳、命がけの酒造り記録。[農口尚彦研究所/石川県小松市]

2017年11月11日。日本酒の製造場移転許可の申請がおりた翌日、まだ完成したばかりの蔵で、まさに“初仕込み”が行われていました。緊迫感溢れるその現場に、その杜氏の姿はありました。 酒造りの神様、農口尚彦。 現代の名工であり、過去に連続12回を含む全27回の全国新酒鑑評会での金賞受賞を果たした、まさに日本酒界のレジェンドともいえる人物です。 農口氏といえば、2015年を...

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“七本槍”の料理人が新たな『HAKKO』を切り拓く。[7Spears/滋賀県長浜市]

「このソース、独特の香りでまろやかな酸味と甘みがあるね」「魚の旨味がよく引き出されていて美味しい」。あるディナーでゲストがそう褒めた料理に使われているのは、なんと「ふなずし」。知っている人は分かると思いますが、強烈な匂いを放つ、塩漬けしたフナをご飯と一緒に漬け込んで発酵させた滋賀県名物の熟鮓(なれずし)です。「7Spears」と名付けられたプロジェクトの成果発表会とも言えるこのディナーのテーマは「...

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和紙の歴史の復刻と、新たなおもてなしの提案。[珈琲フィルター 立花/岐阜県美濃市]

馥郁(ふくいく)たる香りを漂わせる一杯のコーヒー。すっかり日常に溶け込んだ嗜好品で、味や香り、豆の産地、ブレンドなどに一家言持つ方も多いはずです。 ですが、それを漉し出す「珈琲フィルター」にまでこだわる人となると、なかなかいないのではないでしょうか? 『珈琲フィルター 立花(たちばな)』は、そんな本質にこだわる人々から熱烈に支持されている、100%天然繊維の珈琲フィルターです。保存や殺菌のための...

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素材のすべてを生かし、実現した新しい形の地方ブランド[FIL/熊本県阿蘇郡]

阿蘇外輪山の北側に位置する熊本県の南小国町は、黒川温泉などの温泉郷で知られています。自然に囲まれた田園風景が広がるこの町で、2017年の夏に突如オープンしたのがインテリア・ライフスタイルブランド『FIL』の旗艦店『FIL STORE』です。この新ブランドを立ち上げたのは、南小国町で林業に携わっている穴井俊輔氏。前編では『FIL』が誕生した経緯などを話してもらいました。『FIL』は穴井氏が代表取締役...

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伝統文化とマタギの歴史が息づく、里山の“かくれ里”。[阿仁根子/秋田県北秋田市]

秋田県北秋田市に位置する「阿仁根子」。以前、講演で訪れた際、大館市役所で働く若いアメリカ人が秋田の伝統文化に詳しく「いい場所がある」と車で案内してくれました。阿仁根子は四方を里山に囲まれたすり鉢状の地形で、集落の先には道もなく、行き止まりになっている。集落に通じる唯一の道は、全長575.8mの小さな「根子トンネル」のみ。神秘的なそのトンネルの先に家々が点在します。集落といっても20軒ほどしかなく、...

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本屋は新しい人、もの、思考に出会える場所。[BOOKS AND PRINTS/静岡県浜松市]

『BOOKS AND PRINTS』を紐解く上で、まず知っておきたいのが写真家・若木信吾氏がなぜ「浜松」で「本屋」をオープンしたかということ。それを知るにはまず若木氏自身について説明する必要があります。若木氏の故郷はもちろんこの静岡県浜松市。中心地からは車で20~30分かかる郊外にある実家で18歳まで過ごしました。高校時代は自転車で1時間以上かけて市内の学校に通学。『BOOKS AND PRINT...

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興味の入り口になれる本屋。お店自体が“本”のような存在に。[BOOKS AND PRINTS/静岡県浜松市]

本屋としての『BOOKS AND PRINTS』を見た時、人によっては全然面白くないという人もいるかもしれません。ですが、はじめは取っつきにくくても、どこかに入り口を見出してもらうことが、『BOOKS AND PRINTS』の最大の役割なのかもしれません。新村氏がそうであったように、それがイベントでも、スタッフとの会話でも、音楽チャートでも、1杯ずつ丁寧にハンドドリップで淹れるコーヒーでも、築50...

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雑誌を眺めているように楽しい、カルチャースポットでありたい。[BOOKS AND PRINTS/静岡県浜松市]

雑誌、広告をはじめとした様々な媒体で活躍するだけでなく、木村拓哉、浅野忠信といった俳優を撮り続け、自ら手がける写真集も継続的にリリースする写真家・若木信吾氏。そんな若木氏が、写真家として多方面で話題になる一方、2010年4月に故郷である静岡県浜松市にオープンした本屋が、ここ『BOOKS AND PRINTS』でした。 若木氏といえば、これまでに『Takuji』(光琳社出版)、『葬送』(young...

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人と人がつながり、新しい世界が生まれていく本屋の形。[BOOKS AND PRINTS/静岡県浜松市]

「本屋が本だけを売っている時代は昔のこと」。そう若木氏が話すように、現在店長を務める新村 亮氏が『BOOKS AND PRINTS』のスタッフとして働くようになったきっかけも「本」ではありませんでした。もともと新村氏は工場勤めの会社員だったそうですが、福利厚生など恵まれた環境にあったものの「人生このままの仕事でいいのか」と思い直し、退職。そんな時、幼なじみでもあった前店長から同店で開催するイベント...

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歴史情緒溢れる町並を舞台に開催された『DINING OUT』。地元の人達と一体になり創り上げた幻の饗宴を2人のキーマンが振り返る。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月末、江戸・明治の町並みを残す愛媛県内子町を舞台に『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』は開催されました。 生蝋や製紙といった産業に支えられ、古くから職人の町として栄えた内子町。往時の面影を色濃く残す古風な街並みは、やがて四国で初めてとなる国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されます。そんな町の中で地域の人々は伝統芸能に親しみ、また多彩なお祭りを大切に継承する...

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『DINING OUT』を陰で支えたプレミアムビール。シャンパンボトルに詰められた特別な「ヱビス マイスター ザ・ロイヤルリーフ」[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月、愛媛県喜多郡内子町で行われた『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』。伝統的建造物が建ち並ぶ町の路上を舞台に、大阪のミシュラン2つ星店『La Cime』のシェフ・高田裕介氏が腕を振るったこのイベントは、大盛況のうちに幕を下ろしました。雨上がりの路地で、ライトアップされた重厚な建物を眺めながら、地元食材の料理を味わう。それはまるで奇跡のような晩餐でした。その成功...

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裸木が空に描く美しき模様。自然と並木道の共演が織り成す圧巻のドライブロード。[メタセコイア並木/滋賀県高島市]

滋賀県と福井県に跨がる『野坂山地』を背景に整然と並び、開けた空に向かって大きく枝を伸ばす500本もの「メタセコイア」。昭和初期開業の歴史あるスキー場や、近年、農業公園や温泉施設が設置されたことで賑やかさを増している『マキノ高原』に続く道で出会える景色が話題を集めています。1981年、マキノ町果樹生産組合が県道の整備の一環として苗木を植えたことにより始まった並木道は、手入れや延伸を加えながら、現在で...

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ひしめく化学プラントや重機を照らす無数の光。人工美の極みがここに。[四日市コンビナート/三重県四日市市]

日本で5本の指に数えられる工場夜景の名所であり、その規模と美しさから、愛好家の間でも聖地と賞賛されている『四日市コンビナート』は、1960年より近代化の先駆けとして稼働してきた大規模工場地帯です。第1(塩浜地区)、第2(午起地区)、第3(霞ヶ浦地区)と、3つのコンビナートで構成され、過去には公害が起きるなど、社会に波紋を広げましたが、近年では市民をはじめ事業者や行政の努力により、良好な環境を取り戻...

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天に架かる橋か、それとも昇龍か。幻のように儚い、白砂青松の雪化粧。[天橋立/京都府宮津市]

全長約3.6km、日本海の『宮津湾』と内海の『阿蘇海』を隔てるように存在し、白砂青松(はくしゃせいしょう)の佇まいから、古代より理想の風景として人々の憧憬の的であった『天橋立(あまのはしだて)』。対岸をつなぐように砂が堆積し形成された「砂州」と呼ばれる地形には大小約8,000本もの松が自生し、幾千年もの歳月を経て自然が作り出した神秘的な造形は、「天に架かる橋」や、龍が空に舞い上がる様を表す「飛龍観...

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『楽農研究所』菊地義一氏。失敗を恐れぬ行動力で、地元農業の未来を拓く。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月に開催された『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』。伝統的建造物が連なる内子町を舞台に、大阪の二つ星店『La Cime』の高田裕介シェフが腕を振るったこのイベントは、大盛況で幕を下ろしました。山間の小さな町が、歓声に包まれたひととき。その成功の裏には、数多くの地元スタッフの協力がありました。ではこの幻のような晩餐は、地元スタッフの心にどんなことを伝え、どんな変...

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「宿泊」を超えた、あたたかなもてなしに包まれて。[小とりの宿/長野県長野市]

ひとり旅に出たくなったら、あなたはどんな宿を選びますか? 誰とも話さずに済むビジネスホテルだったり、高級な温泉宿だったり、ゲストハウスだったり。じっくり考え事をしたい時にはひとりで気楽に過ごせる宿もいいでしょう。でもせっかくの旅なら、ただ泊まって帰るだけの宿よりも、その先の日常に何か変化を起こすような、新しい出会いのある宿の方がワクワクしませんか? そんな宿が、長野県長野市にあります。『小とりの宿...

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震災を乗り越えた町に溢れる光は、優しく、力強い。[光に出会う旅/宮城県]

約8分間にわたり宮城県の四季や風習を伝えるこの動画のテーマは、「光」。朝の太陽、夕日、草花の生命、人々の躍動や笑顔。全てが動画の中でそれぞれの「光」を放っています。しかし、なぜ「光」なのでしょうか。 ご存知のように、2011年の東日本大震災で宮城県は大きな被害を受けました。自然だけでなく、文化も歴史も同様です。ともすれば被災地から明るさが失われそうになる中、闇の中を探るように少しずつ歩みを進めな...

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『五十崎社中』齋藤宏之。和紙の町・内子の名をやがて世界に轟かせるために。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月、愛媛県喜多郡内子町で行われた『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』。歴史と文化の町・内子を舞台に、大阪の名店『La Cime』の高田裕介シェフが腕を振るったこのイベントは、見事大成功で幕を下ろしました。伝統的建造物が連なる内子町の路上に、たった2夜だけ生まれた幻のようなレストラン。その素晴らしいひとときは、参加したゲストはもちろん、開催を支えた地元スタッフの...

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人間の自意識の始まりの行為を古代人の感覚で追体験する。[江之浦測候所/神奈川県小田原市]

現代美術作家の杉本博司氏が設立した小田原文化財団が、神奈川県小田原市の江之浦地区に『江之浦測候所』をオープン。構想10年、工事10年という歳月をかけて完成したのは、人類とアートの起源に立ち返ったという、壮大なスケールによって造られた施設でした。 箱根外輪山を背にして相模湾を望む小高い丘。四季折々の変化を肌で感じられるこの場所は、もともとはミカン畑だったそうです。その土地は1万1,500坪あり、現...

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原点にして最新。料理と車をつなぐ「本能」とは何か。[LEXUS LS“INSTINCT”by DINING OUT/静岡県富士宮市]

フルモデルチェンジを果たした「LEXUS」のフラッグシップセダン、新型「LS」の登場に伴い、去る2017年11月21日に「LEXUS LS“INSTINCT”by DINING OUT」が開催されました。テーマは、その名の通り、「本能(INSTINCT)」の開放。スタイルは、何と日中に行うバーベキュー!? 舞台となるのは、富士山を目の前に迎えた標高約650mの静岡県朝霧高...

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『Café&Bar 奏』高田武志。内子町の日常を伝える、自然体のおもてなし。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月、愛媛県喜多郡内子町で行われた『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』。大盛況の内に幕を閉じたこのイベントは、開催地である内子町に、少なからぬ足跡を残しました。半年に及ぶ準備期間を経てたどり着いた、2夜限りのプレミアムな野外レストラン。その稀有なる経験は、開催を支えた地元スタッフにどのような心境の変化を及ぼしたのでしょうか。キッチンスタッフの中心メンバーとして活...

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「ニセコは冬が繁忙期というけれど、僕は夏が一番忙しい」by菅谷伸一。[マッカリーナ/北海道真狩村]

今回の冬の取材記事の前に、まずは、夏のおさらいから。取材班がひと皿のブロッコリーの虜になった記録がここに――。 力強い。そしてなんとも勇ましい。それは今まで食べてきたブロッコリーとは、明らかに別次元の美味でした。 皿の上に盛られたのは、ブロッコリーのみ。それをまずは何もつけずにかじった瞬間の感想が、上記です。 「旨いでしょ」と、ひと言つぶやき、微笑むのはシェフの菅谷伸一氏。そして羊蹄山のふもと...

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冬は猟師であり、夏は農家。それこそが、厳しい真狩村でフランス料理をやるという決意。[マッカリーナ/北海道真狩村]

2017年7月、我々『ONESTORY』取材班は、夏の北海道で、とあるシェフを取材しました。そして2017年11月、半年後に再びそのシェフを取材するためだけに、今度は冬の北海道を訪れました。その発端はシェフ・菅谷伸一氏の「夏と冬では全く別、それが『マッカリーナ』なんだよ。今度は冬に来るといいさ」というひと言でした。 そうして冬に訪れた北海道の真狩村で待っていたのは、夏とは別物のレストラン『マッカ...

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幻想的な冬の真狩村で、ただ黙々と獲物と対峙する。[マッカリーナ/北海道真狩村]

ここからは、いよいよ冬の取材記事の始まりです。 今回、事前に菅谷伸一氏に指定されたのは、夜明け前の朝6時過ぎ、店の勝手口での集合でした。そして用意しておくのは長靴、汚れてもいい防寒着、手袋、帽子。 「とにかく寒いからね。この前なんて沼みたいな場所に落ちたから、大変だったんだよ。そんなこともあるから気をつけて」と菅谷氏。 どう気をつけるかもわからぬまま、真っ暗な夜道を車で走るものの、前夜からの雪...

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冬の料理もやはりマッカリーナ。ポロネギと羆(ひぐま)にテーブルがどよめく。[マッカリーナ/北海道真狩村]

夏のブロッコリーに感動し、真狩村でのみ生み出せるその世界観に驚いていましたが、いやはやどうして、冬の『マッカリーナ』もまたこの地の冬を見事に体現しているのです。 「鹿はダメだったけど、羆のヒレ食べてみる? しっかり5週間寝かせてあるから、柔らかさに驚くと思うよ」と菅谷氏。 夜のコースの撮影の初めに菅谷氏はそう確認し、その日の別のゲストにも本日は珍しい羆が食べられることを告げました。決して、鹿がと...

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累々と築かれた石垣が激動の時代を偲ばせる「天空の城」。[竹田城跡/兵庫県朝来市]

廃城より400年以上経ってもなお、当時の面影を残す『竹田城跡』。標高353.7mの『古城山(こじょうざん)』の山頂に位置し、虎が臥せているように見えることから「虎臥城(こがじょう・とらふすじょう)」とも呼ばれています。天守台と本丸を中心に、縄張りは東西約100m、南北約400mと、現存する山城の中では国内屈指の規模であり、その堂々とした佇まいから、「天空の城」、「日本のマチュピチュ」とも呼ばれ、近...

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LEXUSが提案する「ドライビングプログラム」で、内子がもっと好きになる。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月、愛媛県喜多郡内子町で行われた『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』は、大盛況で幕を下ろしました。料理、会場、演出、サービス。どれひとつ欠けても成功は成し得ない『DINING OUT』。豊かな内子の食材と、高田裕介シェフの技、歴史ある内子座で行われたレセプション、伝統的建造物を臨む会場、そして地域住民の協力。すべてがピタリと合致したからこそ、素晴らしい結果に結...

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たゆたう水の音に耳を傾けながら見上げる、国宝唯一の「正統天守閣」。[松江城/島根県松江市]

千鳥が羽を広げたように見える見事な屋根から、「千鳥城」とも呼ばれる国宝『松江城』。1611年、松江開府の祖とされる堀尾吉晴(よしはる)公により築城され、その後明治時代初期までは松平氏を主として、出雲地方の政治経済の中枢を担いました。築城時から遺されている珍しい桐製の階段や、2mにも及ぶ木製の鯱鉾(しゃちほこ)、最も頑丈な石組みとされる「牛蒡積み」の石垣など見所が多く、国宝の中では唯一の「正統天守閣...

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謎多き古墳の歴史に思いを馳せ、巡る。大小44基の古墳群。[百舌鳥古墳群/大阪府堺市]

高位者や権力者の墓として、古代、特に3世紀半ばから7世紀頃まで築造された古墳。墳丘長486m、総面積464,123㎡と日本最大の規模である『仁徳天皇陵古墳』を中心に、大小の古墳が集中する『百舌鳥(もず)古墳群』には、44基の古墳が現存しています。仁徳天皇陵古墳の陪塚(大型の古墳に埋葬された首長の親族や臣下を埋葬し、副葬品を納める小規模な古墳)も含め、そのほとんどが宮内庁や大阪府堺市の管理下に置かれ...

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伝統的な町並みを舞台に繰り広げられた幻の饗宴『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』 スペシャルムービー公開。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』(2017年10月開催)の感動を、スペシャルムービーとフォトギャラリーでお届けします。 伝統的建造物群保存地区の歴史情緒溢れる町並みに突如出現した幻の野外レストラン。今回のテーマは、『Life is Art(ライフ イズ アート)』。内子町にしか存在しない、芸術的かつ先進的な生活の営みを感じる空間で開催されたプレミア...

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万葉歌人も魅了された不思議な美しさ。伝承や神話が遺される神の山々。[大和三山/奈良県橿原市]

太古より神聖な地として崇められ、今も様々な史跡が遺される飛鳥地方。奈良盆地の南部に位置するこの場所にあって、歴史の変遷を見守り続けてきたのが、『大和三山』と呼ばれる『香久(かぐ)山』、『畝傍(うねび)山』、『耳成(みみなし)山』です。3つの山は三角形を描くように位置し、その中心にはかつて日本最初の都とされた『藤原京』が置かれるなど、重要な条件が揃っていた場所だと伝えられています。 見る場所によっ...

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「DINING OUT」を通して生まれた新たな内子名物。「銀寄栗のエクレア」販売中。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月に行われた「DINING OUT UCHIKO with LEXUS」。歴史の香りが漂う伝統的建造物群保存地区の路上での実施という挑戦的な試みでしたが、見事大盛況の内に幕を下ろしました。しかし今回の挑戦は、そればかりではありません。イベント終了後も町の残る名物の創出。そんな壮大なプランが、着々と進められていたのです。 ただ一時の盛り上がりで終わらず、イベントをきっかけに地域活動が...

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リアルな暮らしに寄り添う、「等身大の欲しいもの」をセレクト。[ラボラトリオ/長野県松本市]

長野県松本市と聞いて何を思い浮かべるでしょう? 松本といえば、そう国宝・松本城。城下町として江戸時代には全国各地から腕利きの職人が集まり、また戦後には柳 宗悦が唱えた民藝運動の舞台ともなり、松本は今や全国のクラフトマンや作家が創作活動を展開する、工芸の町として広く知られるようになりました。その地でキリスト教の一派、シェーカー教徒が生み出した生活用具、オーバルボックスを作る作家が井藤昌志氏です。今...

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会社員から木工作家へ。東京から故郷へ。そして松本で運命と出会う。[ラボラトリオ/長野県松本市]

「東京はものや人が溢れているけど、生活のリズムが合わないなと思いはじめたのがきっかけでした。それで、漠然と田舎で過ごしたいと思うようになり……」 自らの東京での暮らしをそう振り返るのは『ラボラトリオ』の店主・井藤昌志氏。井藤氏といえば、キリスト教の一派であるシェーカー教徒が作っていたオーバルボックスを手がける木工作家として知られています。ですが、実は大学は、美術学校で...

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三が日に贅沢な花火を。[ツインリンクもてぎ 花火と音の祭典 “New Year Fes” ~音とキレイがいっぱい~/栃木県芳賀郡]

年明け早々の1月2日(火)、国内屈指のレース場である栃木県のツインリンクもてぎで行われるのが「花火と音の祭典 “New Year Fes”~音とキレイがいっぱい~」です。ツインリンクもてぎの立地と広々としたレース場の形状を十分に生かした構成は、まさにエンターテインメント花火といえるでしょう。年明け早々にこれほどの規模で花火を楽しめる所はそうそうありません。新年を祝うかのよう...

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アート×ホステルという斬新さ。展覧会の中に泊まる。[KYOTO ART HOSTEL kumagusuku(クマグスク)/京都府京都市]

アートという無限の想像力を羽ばたかせてくれるきっかけと、旅という非日常の空間――そんな2つを融合させたのが、『KYOTO ART HOSTEL kumagusuku(クマグスク)』です。 「アート」×「ホステル」という斬新な発想から誕生。人種や民族を超えて共通する「神を感じる感覚」を主題に、現代におけるコモンセンス(共通感覚)としての「神」の表現を試みる現代美術家・矢津吉隆 (やづ・...

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「農園×レジャー」「農作物×ファッション」という新発想。[大野農園/福島県石川郡]

春はお花見、夏はビアガーデン。お洒落なチラシに導かれて訪れてみたら、会場は農園! 入り口では屋号が書かれた都会的なデザインの看板に、鋏(はさみ)のマークが目立っています。『大野農園』は、福島県阿武隈地域・石川町で1975年に創業した農家。主に栽培しているのは桃、梨、リンゴです。毎年全国8,000人を超えるリピーターから支持されている理由は、果実の大きさと甘さにあります。基準値を大きく超える糖度と「...

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音楽プロデューサー石井AQ氏が語る「野山に解き放たれた鬼才の食祭空間」[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

内子を旅した。 愛媛は南予地方の山に囲まれて独自の文化を残す町だと言う。そこで、大阪『La Cime』の高田シェフが『DINING OUT』に挑むらしい。テーマは「Life is Art」。 さて、愛媛に飛ぶぞ。 …という出鼻に吹きつける風、この時期珍しい2週続けての台風である。たしかに、自然との取り組みもテーマとして抱えるドキュメンタリーイベントではあるのだが、おい自然、いきなり...

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純白の大絶壁、切り立った峰。険しい道の果てに出会う絶景。[大山/鳥取県西伯郡]

「東の富士山、西の大山(だいせん)」と称され、標高1,709mと中国地方の最高峰を誇る『大山 (だいせん)』。『富士山』と同じ火山でありながらその構造は大いに異なり、古期の成層火山と新たに生まれた鐘状火山から成る複成火山ならではの、緩急の激しい山容が魅力です。西日本にありながら積雪量が多い山としても知られ、冬季には樹氷に雲海、雪の風紋(スカブラ)にブロッケン現象など、冬山らしい絶景に出会えるチャン...

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列を成した奇岩が朝焼けに染まる。連綿と続く自然の営みが造り上げた光景。[橋杭岩/和歌山県東牟婁郡]

『紀伊半島』に位置する和歌山県串本町の海岸から『紀伊大島』の間約850mにわたり、大小約40の岩が一列に並ぶ光景が、橋の杭のように見えることから名づけられた『橋杭岩(はしくいいわ)』。国の名勝、天然記念物にも指定されている奇岩群は、1400万年ほど前に起こった火成活動でマグマが噴出し、それが冷えて固まったことによりできた岩脈に由来するとされています。その後少しずつ海に浸蝕され、硬質の部分だけが残っ...

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急峻な山の斜面に広がるみかん畑と海岸線が美しい、日本のアマルフィ。[有田/和歌山県有田市]

和歌山県北西部に位置する有田市。西は紀伊水道に面し、県中央を東西に有田川が流れ、気候は温暖で海、山、川の豊かな自然に恵まれています。果樹王国・和歌山の中でも有名なブランド「有田みかん」で知られる日本屈指のみかんの生産地。皆さんは「ありたみかん」と思っているかも知れませんが、正しくは「ありだみかん」です。急峻な山の斜面に広がるみかん畑の眺めは壮観で、見応えがあります。 有田にはみかん畑以外にも、ま...

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『オーベルジュ内子』後藤俊輔。新たに生まれた絆が、次の一歩の足がかりとなる。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月に行われた『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』。その開催を支えたのは、数多くの地元スタッフの存在えでした。料理人やパティシエ、ホテルやカフェの従業員といった仕事を持つ地元スタッフたちが、半年に及ぶ準備期間を経て臨んだ2夜限りの野外レストラン。その体験は彼らにどんな記憶を残し、そしてこの先に続くどんな指針を示したのでしょうか。そこでイベントを陰で支えた地元スタ...

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伝統建築を体感し、地域の物語と人に出会う旅。[伝泊・奄美/鹿児島県奄美群島]

伝統建築。確かな技術と歴史の深みに裏打ちされた、多くの価値をはらんでいる存在です。多種多様な文化と歴史を誇る日本には、各地にこういった伝統建築が豊富に残されており、その土地ならではの暮らしの知恵や、気候風土との共生の秘訣を伝えてくれます。 ですが、それらはただ自然に残ったのではなく、価値と希少性を見出した人々の努力の賜物。奄美の伝統的な建築様式にのっとって造られた建物をリフォームした宿、今回ご紹...

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「こころ.くら」オーナー大西啓介の『DINING OUT』。あの晩餐が地元に残したもの、変えたこと。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月に行われ、大盛況の内に幕を閉じた『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』。その成功の裏には、数々の地元スタッフの尽力がありました。およそ半年間の準備を経て、たった2夜で幻のように消えた野外レストラン。その体験は地元にどんな記憶を残し、そしてこの先に続くどんな指針を示したのでしょうか。そこで地元・内子町に住む5人のキーマンたちに、日頃の仕事や内子町への思い、『DI...

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工芸品でも飾らず使う。一生使い続けたい「漆器」との出合い。[山本英明/福井県鯖江市、赤木明登/石川県輪島市]

国内外を問わず活躍するアートディレクター、平林奈緒美氏。デザイナーとして海外経験も豊かな平林氏が推奨する日本の逸品、それは伝統工芸品でもある「漆器」です。その審美眼は、世界を見たからこその感覚か。今回の「漆器」然り、平林氏の愛すべきモノを信じる心は、全てが一貫しています。それは、「無名性が高いデザインであること」です。「これは、福井県鯖江市の作家、山本英明さんが手がけた漆器です。基本的に、モノを選...

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いわば日本のバロック建築!? 東洋文化研究家アレックス・カーが見た内子町の建造物。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

2017年10月28日、29日に行われた『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』。舞台となったのは、江戸、明治の面影を残す内子町にある重要伝統的建造物群保存地区内の路上でした。歴史と文化の香りが漂う内子町そのものが、プレミアムな晩餐に彩りを添えたのです。そんな歴史的町並みの中での開催を「とても意義のあること」と讃えるのは、ホストを務めた東洋文化研究家アレックス・カー氏。「路上に...

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伝統的な町並みを舞台にした幻の野外レストラン。特別番組「奇跡の晩餐」12/2(土)ついに放送。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

愛媛県内子町で開催された『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』(2017年10月開催)の準備段階から密着したドキュメンタリー番組『LEXUS presents 奇跡の晩餐 ダイニングアウト物語 ~愛媛 内子篇~』が12/2(土)22時からBS-JAPANで放送されます。 ▶『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』の開催模様はこちらから 番組では『DIN...

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山から海へ。デッキを吹き抜ける風がゲストの思い思いの時間を作る。[レピアーノ/静岡県伊東市]

1日1組限定と聞いてはいたものの、実際に『レピアーノ』に訪れてみると「思いのほかこぢんまりとした宿」というのが第一印象でした。伊東市八幡野地区は伊豆高原の別荘地の一角にあるのですが、『レピアーノ』はその雰囲気にしっくりと溶け込んでいました。 といっても、別荘バブルの時代を感じさせる建物とは一線を画していることは間違いありません。妙な言い回しですが、別荘地という場所になじみながらも、そこだけ空気が...

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1日1組限定のオーベルジュ。それはまるで「シェフつきの貸別荘」。[レピアーノ/静岡県伊東市]

料理の基本は何よりも美味しいこと。その上で大切になる食材選びですが、加藤氏は必ずしも地元絶対主義ではありません。例えば牛肉は、自身がレストランのオーナーシェフを務めていた時代に付き合いのあった、秋田の精肉店より秋田錦牛を仕入れています。 「伊豆にも銘柄牛はあるのですが、どうしても仕入れが安定しなくて。だから互いをよく知っているなじみの精肉店に頼むことにしました」と加藤氏は言います。 その一方で、...

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立ち上る炎が春を呼ぶ。1,500haの草原を舞台に行われる伝統行事。[野火の祭典/山口県美祢市]

日本最大のカルスト台地『秋吉台』が静かに春の訪れを待つ2月中旬、草原に火を放つ「山焼き」が行われます。1,500haもの広大な草原を舞台に、草花や景観の維持のため、約650年前から伝統的に実施されてきた野焼きは日本最大規模を誇り、山口県を代表する季節の風物詩です。近年では午前中と夜の2回に分けて行われ、地元の方やボランティアなど約800人が参加。サイレンを合図に一斉に放たれる火は瞬く間に帯状の炎と...

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夢を追いかけるのに年齢は関係ない。62歳にして手にした夢の館。[レピアーノ/静岡県伊東市]

『レピアーノ』の店主・加藤明子氏と待ち合わせをしたのは、伊豆高原にある「伊豆ぐらんぱる公園」という施設。電話した際、加藤氏が「そこに直売所がありますから、待ち合わせがてら野菜を買おうかと思っています」と言ったことから決めた場所でした。 電話口の落ち着いた口調からは優しい人柄がにじみ出ており、加藤氏がそれなりの年齢を重ねた人だと感じ取ることができました。 取材班が待ち合わせの直売所に行くと、加藤...

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世界遺産、「日本三景」のひとつ。国内屈指の景勝地を白く染める、瀬戸内に降る雪。[厳島(宮島)/広島県廿日市市]

古くより神の島として崇められ、数々の伝説や景勝地が今に伝わる『厳島(宮島)』。鮮烈な朱塗りの本殿や回廊、大鳥居が、潮の満ち引きにより多彩な表情を見せる国宝『厳島神社』を中心とした美しい景色は、いわずと知れた「日本三景」のひとつであり、名だたる武将が和歌に詠み、多くの浮世絵にも描かれるなど、長く人々を魅了し続けてきました。また厳島神社の背後にそびえる『弥山(みせん)』には、多くの史跡や原始林が遺され...

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雲海に浮かぶ難攻不落の城塞に、在りし日の兵たちの鼓動を感じる。[備中松山城/岡山県高梁市]

国内で天守閣が現存する12の城のうち、唯一山の上にある『備中松山城』。岡山県高梁市の北側にそびえる標高480mの『臥牛山(がぎゅうざん)』の全域に築かれ、鎌倉時代から戦国時代にかけては城塞として、江戸時代には備中松山のシンボルとして、政治、軍事、通商の拠点となっていました。最古の記録によると築造されたのは1240年、現存の天守閣などは1683年に修築されたと伝えられています。近代では1941年(昭...

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遠回りをしたからこそ、1日1組に全身全霊をかけてもてなす。[レピアーノ/静岡県伊東市]

2012年に1日1組限定のオーベルジュとしてオープンした『レピアーノ』。そのオーナーである加藤明子氏がこの宿をオープンした当時、すでに60歳を過ぎていました。 周辺が別荘地であり、そして一時代を築いたペンションの街であること。裏方のスタッフはいるものの、1日1組限定でゲストをもてなすのは基本的に加藤氏ひとりであること。そう聞けば、よくある定年退職後のセカンドライフを楽しむために、自身の趣味を兼ね...

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雄大な白銀の富士のふもとで楽しむ。[河口湖冬花火/山梨県南都留郡]

1/13から2/18までの毎週土曜日と日曜日、そして2/23(富士山の日)の合計13回にわたり山梨県の河口湖で開催される「河口湖冬花火」は天気が良ければ雄大な富士山をバックに花火を鑑賞する事が出来ます。河口湖畔の大池公園がメイン会場、そして畳岩と八木崎公園の計三ヶ所からの打ち上げとなります。メイン会場で花火の迫力を間近に楽しむもよし、宿泊先の露天風呂などからお湯に浸かりながらゆったりと観るもよし、...

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いつでも帰ることのできる「村」がここにある。[シェアビレッジ/秋田県南秋田郡・香川県三豊市]

「シェアビレッジ」。聞き慣れない言葉です。それは、地方の小さな町にある古民家を「村」に見立て、みんなで年貢(会費)を負担して「村民」になり、シェアしようという取り組み。「村」は現在、秋田県五城目町の「町村」と香川県三豊市の「仁尾」に2か所あります。「村民」になると、村に「里帰り」して古民家での暮らしを体験したり、「一揆」と呼ばれるお祭りで村民同士の交流を楽しんだりできます。シェアビレッジはkeda...

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『傳』長谷川在佑氏が浜松の食材をメインにプレミアムディナーを開催。[静岡県浜松市]

頬を撫でる風も少し肌寒く冬への足音が聞こえ始めた、霜降の時期。2017年10月23日と24日の2日間限定で、ある意欲的な食のイベントが催されました。場所は外苑前の『傳』。イベントの厨房を任されたのは、もちろん『傳』の主、長谷川在佑氏です。 2017年はワールドベストレストラン50でも45位にランクイン、その後もさまざまな各国シェフとコラボレーションディナーを催したり、食のイベントでは引っ張りだこ...

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国宝の城を舞台とした初の現代アートフェス。[HIKONE ART CASTLE 2017/滋賀県彦根市]

彦根城。姫路城、松本城、犬山城、松江城と並ぶ全国に5つしかない国宝に認定された城で、関ヶ原の合戦の前哨戦を耐え抜いた大津城から移築されました。その歴史は、築城されたと伝わる1607年から数えて今年で410年目。大きな節目を祝う『国宝・彦根城築城410年祭』の一環として開催されているのが、この『HIKONE ART CASTLE 2017』です。 現代的なアートセンスで国宝の城を”ハッ...

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全てが白銀に包まれる。霊峰がもたらす自然の厳しさと美しさ。[剣山/徳島県三好市]

近畿以西では2番目の標高1,955mを誇りながら、比較的登りやすい山として多くの登山客で賑わう『剣山(つるぎさん)』。古くより霊峰として知られ、複数の寺社仏閣が点在する他、修験道の修行場とされる難所は登山コースのひとつにもなっています。剣山の名前の由来のひとつが安徳天皇ゆかりの剣とされ、その昔、屋島の合戦に敗れた平家が安徳天皇とともに落ち延び、源氏の滅亡を祈願して宝剣を納めたとされる「刀掛の松」も...

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轟き響く強風にうねる霧。生命を宿した「白い龍」さながらの姿は圧巻。[肱川(ひじかわ)あらし/愛媛県大洲市]

愛媛県南伊予地方を流れる一級河川『肱川(ひじかわ)』の中流、その両岸に形成された大洲(おおず)盆地より瀬戸内海の伊予湾へ、強風が霧を伴い吹き降りる……まるで生命を宿したようにゆったりとうねるその姿から「白い龍」とも呼ばれる「肱川あらし」は、10月頃から翌年の3月頃まで、海と陸の気温差によって地表が冷え込んだ晴天の朝にのみ発生するという、この地方の秋冬の風物詩です。特に1...

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雪景色に宿る静寂と儚さ。約400年受け継がれてきた侘び寂びの境地。[栗林公園/香川県高松市]

高松藩主・松平家の下屋敷として完成してから、約400年。雅趣(がしゅ)に富んだ景観を損なうことなく、現代に受け継がれてきた大名庭園。1875年に県立公園として一般公開を開始し、1953年には国の特別名勝に指定されました。広大な敷地に池や山を構築し、園内を散策しながら移りゆく景観を楽しむ「池泉回遊式」で造られた庭園は、歩みを進めるごとに風景が変わることから、「一歩一景」の魅力があるといわれています。...

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ヒトサラ編集長・小西克博氏が体験した、静謐なディナーという贅沢。[DINING OUT UCHIKO with LEXUS/愛媛県内子町]

あれは一夜限りの幻だったのだろうかーー 内子町から戻った翌日、東京で『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』を振り返ってみたとき、そんな思いが頭を過った。 思えば嵐の日だった。飛行機も飛ばないかもしれない。台風はすでに四国の南海上にあって、高知県は暴風雨だ。ただ不思議なことに、四国の高い山々に遮られた愛媛県側は比較的穏やかで、伊丹空港に戻る可能性も半分あるという条件を付けられ...

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豊かな大地は心地良い。ワクワクを感じられる道具。[FIELD GOOD/新潟県三条市]

シャベル、移植こて。誰もが耳にしたことのある名前で、誰もが手に取って使ったことのある道具ではないでしょうか。そのシンプルながらも洗練されたフォルムには、多くの知恵と技術が詰まっています。何気なく手に取って、先端を土に挿してすくう。一連の動作をスムーズに行えて、小さな子どもやお年寄りでも楽々こなすことのできる不思議。デザイン・力学・使い勝手など、すべてにおいて考え抜かれた技術の結晶だからです。 「昔...

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和歌に詠まれ、浮世絵にも描かれた奇跡の景勝地。[三保の松原/静岡県静岡市]

静岡県静岡市清水・三保半島の東側に広がる「三保の松原」。ここは総延長7km、海浜には約3万本もの松が生い茂り、白波の立つ駿河湾を挟んで伊豆半島や富士山が望める景勝地です。古くは平安時代から数多くの和歌、俳句に詠まれ、歌川広重の『六十余州名所図会』「駿河 三保のまつ原」の浮世絵や屏風絵にも描かれるほど。日本屈指といえる名勝であり、天女が舞い降りて羽衣を松にかけたという「羽衣伝説」の舞台にもなっていま...

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チョコレートの“美味しい”と“愉しい”を発信!  [USHIO CHOCOLATL/広島県尾道市]

「チョコレート」と聞いて、あなたは一体どんなイメージを思い浮かべるでしょうか? 甘いミルクの味? それとも華やかな花やフルーツのようなフレーバー? 口当たり良くまろやかなそれらは、しかし、本当のカカオの味を表現しているとは言えないかもしれません。 そんなありふれたチョコレートのイメージを塗り替えてくれるのが、USHIO CHOCOLATL(ウシオチョコラトル)です。原料のカカオの風味を大切に、農...

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「住む」を自由にする、旅する建築。隈 研吾氏&スノーピークの『住箱』。[モバイルハウス『住箱-JYUBAKO-』/東京都中央区]

「旅をするように暮らしたい」。これは誰もが憧れるフレーズであり、それをテーマとしたノスタルジックな物語や歌も世に溢れています。ですが、実際に住まいを移動させて窓の外に日々新しい景色を映せる人となると、滅多にいないのではないでしょうか。 そんな夢のある暮らしを実現させてくれるのが、モバイルハウス『住箱-JYUBAKO-』です。「“住む”を自由にする、旅する建築」をコンセプトに、温かみのある木製のト...

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社会的意義のある仕事が人と人をつなぎ、町づくりにも影響を与える。[ReBuilding Center JAPAN/長野県諏訪市]

東京・新宿から特急を利用すれば2時間30分ほどで到着する長野県諏訪市。昨年秋、JR上諏訪駅から徒歩約10分の場所に、古材の販売などを行う『ReBuilding Center JAPAN』がオープンしました。仕掛けたのは、空間デザイナーとして活躍してきた東野唯史(あずの ただふみ)氏。後編では拠点を置く諏訪とのつながりなどについて話してもらいました。(前編はこちら)長野県諏訪市は諏訪湖や諏訪大社で知...

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修業経験ゼロ、手本もなし。圧倒的にユニークな『とおの屋 要(よう)』の料理。[とおの屋 要(よう)/岩手県遠野市]

今や地方の飲食店が地産食材を使うことは当たり前。裏を返せば、「地産地消」という謳い文句だけでは、全国各地から人が集まる店にはなり得ない時代に突入しています。ある種の成熟ですが、その分、店にとってのハードルが上がったのも事実。地産食材、プラスαの魅力や価値が求められるからです。 地方レストランの増殖と淘汰が繰り返される2011年、これまでにないスタイルの店が、岩手県遠野市で食通の目を引...

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遠野発、世界へ。土から生まれる「どぶろくナチュール」。[とおの屋 要(よう)/岩手県遠野市]

どぶろく醸造所『醸し田屋』の醸造施設は、『とおの屋 要(よう)』の裏手にあります。「ここが?」と思うような小屋の中、ホーローの発酵槽をはじめ、必要最低限の設備だけを整えた醸造所の印象はミニマムで、プリミティブ。年間100石(1升瓶約10,000本)ものどぶろくが醸造される場所とは、にわかには信じられません。3年前から都内の飲食店とも取引し、2016年からスペインや香港への輸出も始めています。しかも...

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自家製発酵料理×自家醸造どぶろく。『要(よう)』でしか味わえない遠野キュイジーヌ。[とおの屋 要(よう)/岩手県遠野市]

「和食ではない。でもフレンチやイタリアンベースでもない料理は唯一無二」。東京の飲食店や酒販店、ワイン関係者までもが声を揃えてそう絶賛する店が岩手県遠野市にありました。店主の佐々木要太郎氏は、神話の町・遠野に初めてできた『民宿 とおの』の4代目。高校卒業後、飲食とは全く関係のない職に従事し、久方ぶりに帰った故郷・遠野で「何かできることはないか」と始めたのが、自家栽培米を使ったどぶろく醸造でした。「遠...

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料理、どぶろく醸造、米の栽培。全てを自らの手で。[とおの屋 要(よう)/岩手県遠野市]

佐々木要太郎氏の肩書は、ひとつでは表せません。オーベルジュ『とおの屋 要(よう)』のオーナーシェフであり、どぶろく醸造所『醸し田屋』当主。『醸し田屋』は米作りから自分たちの手で行う「ドメーヌ蔵」ゆえ、佐々木氏は原料米「遠野1号」の栽培農家でもあります。『とおの屋 要(よう)』の空間づくり、家具、調度品選びも、全て自分自身で手がけています。驚くべきは、その全てをほぼ独学し、自分で得た知識と感性を頼り...

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大地の営みによる有機的な造形美に、自然の尊さを感じる。[四国カルスト/高知県高岡郡]

雨水の浸食を受け多様に変形した岩石や、ドリーネと呼ばれるすり鉢状のくぼみが点在するカルスト地形。そこには自然が造り上げた有機的な美しさがあり、何度でも足を運びたくなる、不思議な魅力があります。 高知県と愛媛県の県境、東西約25kmにわたって広がる『四国カルスト』は、山口県の『秋吉台』、福岡県の『平尾台』と並ぶ日本三大カルストとして知られており、春から秋にかけては高山植物が群生し、放牧される牛を間...

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『DINING OUT』初の試み、内子町の新しい特産品販売開始![銀寄栗のエクレア/愛媛県内子町]

2017年10月28日(土)、29日(日)に2夜限りで開催された『DINING OUT UCHIKO with LEXUS』。大成功のうちに幕を閉じたイベントの裏側では『DINING OUT』初の試みが併行して進められていました。 今回、内子町での『DINING OUT』開催にあたりイベントの半年前から地元の有志数十名が集まり結成された「DINING OUT UCHIKO実行委員会」。その中でも...

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宝石のように美しく、花のように可憐な「霧氷」が見せる白銀の世界。[雲仙岳/長崎県雲仙市、島原市、南島原市]

島原半島中央部にそびえる20以上の火山群から成る『雲仙岳』。「三峰五岳の雲仙岳」ともいわれ、主峰である『普賢岳』や、1990年の普賢岳の噴火により誕生した『平成新山』を間近に望むことができる『国見岳』など、個性の異なる山々は、全国の登山者を魅了しています。春夏秋冬、様々な表情を見せる山々で、とりわけ1月から2月に見頃を迎えるのが、零下数度の風によって吹きつけられた霧や雲が、木の幹や枝に凍りついてで...

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昇龍のように雄大で、咲き誇る華のように壮麗な氷結の芸術。[古閑の滝/熊本県阿蘇市]

滝から流れ落ちる水が冷風によって凍りつき、ふたつとない造形美を見せる「氷瀑」。阿蘇外輪山の東部、カルデラの内側に突き出たような形の『妻子ヶ鼻』の北岸に位置する『古閑(こが)の滝』は、主に1月から3月の間、ダイナミックな氷瀑が見られることで知られています。落差約100mの女滝と、落差約80mの男滝のふたつがありますが、滝の水量自体はさほど多くなく、夏場は何の変哲もない“普通”...

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己の料理の在り方を突き詰めたどりついた、 「クラウドするレストラン」。[アコルドゥ/奈良県奈良市]

奈良県奈良市OVERVIEW

「『アコルドゥ』とは単に場所や店の名前でなくその概念、世界観の総称です。その入口であり、出口である『アコルドゥ』は、どこからでもその世界に思いを馳せることができます」。店のホームページを開くと、オーナーシェフ川島 宙(ひろし)氏のメッセージとしてそう書かれています。正直、それだけでは取材班の「?」は拭えません。

「『アコルドゥ』はクラウドのように、いつでも、どこにいても取り出すことができる存在なんです」。取材中、川島氏から出てきたそんな言葉にも我々は疑問を禁じ得ませんでした。しかし、店へと足を運び、生産者を訪ね、厨房を覗き、料理を目の当たりにして味わうと、その言葉の真意がしだいにわかってきたのです。

『アコルドゥ』とは、いわばこの店の料理を食べることで得られる、シェフの川島氏が思い浮かべるイメージという共有物。そこで得られた共有物は、いつでもどこでも記憶の中から引っ張り出せるのです。
 
2014年3月、建物の老朽化で一旦は閉店。2016年12月に東大寺の旧境内という厳粛たる地に再オープンを果たした新生『アコルドゥ』。シェフ・川島氏が語る「クラウド」とは? そして、彼が考える料理の概念とは? 古都奈良が誇る名店を取材してきました。

〒630-8208 奈良県奈良市水門町70−1−3−1 MAP
電話:0742-77-2525
http://www.akordu.com/

自治都市として繁栄し、住民のプライドに守られた環濠集落。[今井町/奈良県橿原市]

一向宗の布教拠点として、天文年間(1532~1555年)に本願寺の今井兵部(ひょうぶ)によって称念寺が建てられ、その後、寺内町(じないちょう)に発展した奈良県橿原市今井町。この町は野武士や盗賊、他宗派、大名からの攻撃を避けるため、周辺に濠と土居(土の垣)を巡らせた「環濠集落」で、東西約600m、南北約310mの地区内には、約500棟もの伝統的建造物が現存、1993年(平成5年)には「重要伝統的建造...

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自治都市として繁栄し、住民のプライドに守られた環濠集落。[今井町/奈良県橿原市]

一向宗の布教拠点として、天文年間(1532~1555年)に本願寺の今井兵部(ひょうぶ)によって称念寺が建てられ、その後、寺内町(じないちょう)に発展した奈良県橿原市今井町。この町は野武士や盗賊、他宗派、大名からの攻撃を避けるため、周辺に濠と土居(土の垣)を巡らせた「環濠集落」で、東西約600m、南北約310mの地区内には、約500棟もの伝統的建造物が現存、1993年(平成5年)には「重要伝統的建造...

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「暮らしの中の贅沢」。それが『LOOPWHEELER』。[LOOPWHEELER/和歌山県和歌山市]

世界的に活躍するインテリアデザイナー、Wonderwall片山正通氏。彼の暮らしは、いつも「モノ」で溢れています。アート、ファッション、音楽、本、音楽CD、洋服……。その中でも特に片山氏が愛用するmade in japanのアイテムは、『LOOPWHEELER(ループウィラー)』のスウェットです。片山氏が「暮らしの中の贅沢」と呼ぶそのスウェット。愛用の理由は、着心地の良...

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「暮らしの中の贅沢」。それが『LOOPWHEELER』。[LOOPWHEELER/和歌山県和歌山市]

世界的に活躍するインテリアデザイナー、Wonderwall片山正通氏。彼の暮らしは、いつも「モノ」で溢れています。アート、ファッション、音楽、本、音楽CD、洋服……。その中でも特に片山氏が愛用するmade in japanのアイテムは、『LOOPWHEELER(ループウィラー)』のスウェットです。片山氏が「暮らしの中の贅沢」と呼ぶそのスウェット。愛用の理由は、着心地の良...

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