1968年長野県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。新聞社にカメラマンとして入社。1991年独立。アジアを多く旅し作品を制作。2000~2002年渡米(N.Y.)。写真制作のほか、ノンフィクション・小説執筆など活動は多岐に渡る。東京工芸大学芸術学部写真学科教授、ニッコールクラブ顧問。著書に「ASIAN JAPANESE」「DAYS ASIA」「days new york」「旅をすること」「メモワール」「kemonomichi」「ニッポンの奇祭」「見知らぬ記憶」。
この広い倉庫に移ってからも、「5分で帰らせない」対策は続きます。店内に設けたコーヒーショップ『POT a cup of coffee』が、それです。
「極端な話、植物って別に普段なくてもいいものじゃないですか。でもコーヒーはごくごく日常的なものだし、せっかく広いのでコーヒーでも1杯、飲めるといいかな、と」と宅二郎氏。
2018年5月26日、27日。開山1300年の節目を迎える「六郷満山」の地・国東を舞台にした「DINING OUT KUNISAKI with LEXUS」は、訪れたゲスト、参加したスタッフの双方に素晴らしい記憶を残しながら、盛大な拍手とともに閉幕しました。その成功の立役者のひとつは、やはり川田智也シェフが仕立てた料理の数々。「和魂漢才」のテーマのもと、地元の食材を中華の技法で調理する、その日、その場所でしか味わえない料理です。
2018年5月26日、27日に開催された『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』。巨石に囲まれる神秘的な土地・国東を舞台にした幻のレストランは、盛大な拍手とともに大成功のうちに幕を下ろしました。国東の自然と歴史、開催を支えた約70名の地元スタッフの存在、そして南麻布『茶禅華』川田智也シェフの料理。どれひとつ欠けても、ここまでの成功には至らなかったことでしょう。
数年前から使われているキャッチフレーズは「お盆、正月、大宴会」。誰もが故郷に戻るお盆やお正月に、おじいちゃんおばあちゃんや子供たち、お酒を飲む人も飲まない人も、みんなで集まってワイワイやる――つまりそんな宴会の拡大版が、「大宴会 in 南会津」なのです。「地元を盛り上げたい」という思いで集まったボランティアスタッフの、手作りのもてなしもまた、のんびりとした雰囲気にぴったりです。
発起人である五十嵐氏が、田島町で『CAFE JI*MAMA』をオープンさせたのは2007年、つまり初回の「大宴会 in 南会津」が開催される3年前です。営業が始まって危機感を覚えたのは、都会であれば町がにぎわうはずの土曜日や日曜日、祝日に、逆に町が静かになってしまうことでした。町に人の動きをつくるには、カフェを作るだけでは足りないのかもしれない。何かしらイベントを立ち上げたい、そのための横のつながりが欲しい――そう思っていた丁度その時、『CAFE JI*MAMA』に現れたのが、「大宴会 in 会津」のもうひとりの発起人、県職員の東海林氏です。「“地域を盛り上げたい”という彼のストレートな熱い思いに、まんまと焚きつけられた所はあります(笑)」と五十嵐氏。こうして「大宴会 in 会津」は動き始めることになります。
当時の開催は9月。その半年後、あの震災がやってきます。
盛り上がり、つながり始めた地域の動き。でも震災後に起きた情報の錯綜(さくそう)と不安による分断の中で、それは危うい状況に追い込まれていきます。そんな中で迷いながらも、五十嵐氏が「大宴会 in 南会津」開催に踏み切ったのは、せっかく始まった動きが「失われてほしくない」と思ったからだといいます。
気持ちいいほど晴れ上がった「大宴会 in 会津」当日。自然の中で子供たちが笑顔で遊ぶ姿に、五十嵐氏は「ホッとした」と言います。地域はまだまだつながっている。つながっていける。そして2018年、大宴会は9年目を迎えます。
子供も大人も楽しめる、地元ならではのワークショップのおかげでファミリーで参加する人も多い。
三澤氏。現在は奥会津の三島町でゲストハウス「ソコカシコ」を営み、町の求心力となっている。
福島県南会津郡どこにも似ていない「南会津」を愛することに、地域の未来がある。
初回の「大宴会 in 南会津」が掲げたのは、「この地域らしい夢のある未来」です。言い換えれば、この地域で暮らす楽しさや豊かさを再発見すること。「フェスティバル」と名乗るからにはメインは音楽ですが、それ以外の部分には「南会津らしさ」が満載です。
更に注目に値することは、「大宴会 in 南会津」に関わる人たちが、それぞれの場所でそれぞれに新たな活動を始めていること。すでに五十嵐氏の話に出た、南会津発の地ビールを誕生させた「ビアフリッジ」、かつて運営側のボランティアとして参加していた人たちが、ワークショップや飲食の出店者として戻ってくることも少なくありません。三澤氏も昨年、奥会津の三島町で「人が集まりつながる場所」として、ゲストハウスをオープンさせています。五十嵐氏はいいます。
「1年に一度、それぞれに活動している人が一堂に会し、情報を共有し、楽しむ場所が『大宴会 in 南会津』。そういう形が定着してきていることを感じます。そこでつながった人を訪ねて、また人が動く。『大宴会 in 南会津』はそういう縁づくりの場所なんです」と言います。
誰かが動けば何かが変わり、それがまた別の人を動かしてゆく。南会津の小さな『CAFE JI*MAMA』から始まったその物語は、まだまだ続いていきそうです。小さなコミュニティだからこそ生まれる親密さ、そこに生きることの喜びと幸せ。「大宴会 in 南会津」に足を運ぶことは、その生き方に触れることなのです。あなたの幸せの在り方が、変わるきっかけになるかもしれません。
1年に一度、それぞれに活動をしている人が一堂に会し、情報を共有し、楽しむ場所が「大宴会 in 会津」。
そうしたコミュニティの中で、ローカルフェス「大宴会 in 南会津」が誕生してゆくのですが――これは後に譲るとして。『CAFE JI*MAMA』ではそれと同時進行しながら、もうひとつの企画が育っています。それが「まねぶ会」。“地元・南会津で暮らす楽しさを発見すること”という、「大宴会 in 南会津」と同じコンセプトで始まった勉強会です。
「『大宴会 in 南会津』を始めてみて、地元の文化や歴史、生活について、まだまだ知らないことがたくさんあるんだなと感じました。そういうことを勉強する場を作れば、これまでとは別の人とつながるきっかけにもなり、参加した方がお友達を連れてきてくれることで、輪もどんどん広がってゆきますよね」
厨房に立つのは外苑前『傳』の長谷川在佑氏。ミシュランの2つ星獲得、2018年度のアジアのベストレストラン50では2位にランクインなど、その勢いはとどまるところを知りません。2015年には「DINING OUT NIHONDAIRA」を大成功に導いたことも記憶に新しいところ。いま世界がもっとも注目する日本料理の料理人といっても過言ではないでしょう。
続いての料理は「蒸し魚と野菜のフリット」。『DINING OUT NIHONDAIRA』以来縁の深い静岡県駿河湾産の鰆を「Function 4」のハイキャセロール(両手鍋)に専用スチーマーをセットして蒸し上げ、静岡県産コシアブラの素揚げを添えます。保温性の高いハイキャセロールとスチーマーのコンビネーションで魚の旨みを逃さずに留め、油の温度を均一に保つソースパンは野菜をカラッと香ばしく仕上げます。味自体はあっさりとしていつつ、噛むごとに広がるふくよかな味わいは、まさに素材本来の味です。