
17万8,000円 / 47.85平米
山手線・南北線・東急目黒線「目黒」駅 徒歩4分
「目黒セントラルスクエア」が目の前。その中にある「森の広場」と名付けられた緑地を部屋やバルコニーから眺められる物件のご紹介です。
建物の角にあたる、変形間取りのワンルーム。キッチンの前には今回カウンターを新設しました。食事や作業用に便利そうです。
クローゼットの前をくつろぎス ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
『「ぼっち」の歩き方』(PHP研究所)などの著書を持ち、一人でいることをこよなく愛する「ぼっちライター」の朝井麻由美さん。そんな彼女に、今回は一人の空間をこの上なく快適にするインテリアについて考えてもらいました。本来、自分の部屋は自由にコーディネートできるものですが、本当に自分の好きなものだけの空間をつくることは案外できていないのではないでしょうか。
以後、朝井さんこだわりの”ぼっち部屋”について、朝井さんの一人称でお届けします。
好きなものを「好き」と言えなかったころのこと
自分の部屋の中は、誰が何と言おうと“自分の城”のはずだ。一人暮らしはもちろん、誰かと暮らしていたとしても、自分の部屋には自分の好きなものだけを敷き詰めていい。けれど、一体どれだけの人が、自分一人だけの、好きなものだけの空間と向き合えているだろうか。私はずいぶん長いこと、それが上手くできなかった。
16歳のころ。私は人生最大級に、自分の好きなものが何なのか、よく分からなくなっていた。高校の教室で女子たちが話していたのは、いつもどこで服を買っているかについて。私は、服はPARCO……じゃなくて、PARCOの脇の細い道を通ったところにある、よく分からない小さな店で買っていた。パーカーが一着だいたい1200円。Tシャツは700円。洗濯するとすぐに、てろてろになる。
うっかり私服の高校に入ってしまったがために、教室内で、毎日のように、ダサい子とおしゃれな子を分けるオーディションが開かれていたようだった。しかし、700円のてろてろTシャツをまとってオーディションに臨む子なんていない。
どうやら、雑誌と似たような服を着ていれば、自信のない自分を晒さなくていいらしいということが分かった。みんなと私は同じです。同じ雑誌を読んで、同じ店で服を買っています。同じだから、おかしなセンスではないです。同じ。同じ。同じ……
誰かが家に来たら恥ずかしいから、無難な部屋になってしまった【画像1】(画像提供/朝井麻由美)
【画像2】(写真撮影/朝井麻由美)
「みんなと同じ」重圧は自分の部屋にまで及んだ。好きだった少女マンガのポスターを、部屋の壁からすべて剥がした。本棚に並ぶイラスト集も、マンガ雑誌も、インテリアも、子どもっぽいものは全部捨ててしまった。「誰かが家に来たら恥ずかしい」と、自分の部屋から多くの“好きなもの”が消え、“無難なもの”を買い集めるようになった。結局、誰かが家に来ることなんて一度もなかったのに、無難なインテリア(全然好みじゃない)は増え続けた。
好きなものを好き、と胸の内を明かして、それがもし他の人とズレていたとしたら、みんなの輪に入れなくなってしまう。そもそも、私の好きなものって、何だっけ。
そして、大学に入り、社会人になり、序列をつけられる教室から解放されたことで、徐々に見つけていった「好きなもの」が私にはある。
狂おしいほど好きな家具があるなぜだか分からないけれど、大人になった私は今、食パンと目玉焼きがものすごく好きなのである。食べ物の食パンではなく、家具のほうの、だ。そんなことを言われても何のことだかさっぱり分からないと思うから、まずはこの写真を見てほしい。
【画像3】食パンと目玉焼きの家具シリーズ(写真撮影/朝井麻由美)
これは神奈川県にある株式会社セルタンがつくっているシリーズで、Amazonや楽天などで食パンの家具を探すと、たいていセルタンのものなのだ。当然であろう。こんな家具をつくろうとするメーカーがそうそうあるわけがない。それも、2~3カ月に1回くらいのペースでどんどん新作が追加されているのだ。このシリーズに、そんなに需要があるのだろうか。
【画像4】食パンと目玉焼きシェアナンバーワン(!?)を誇るセルタン(写真撮影/朝井麻由美)
一人の空間を楽しむインテリアとは、何かもう一度おさらいしておくと、今回のこの記事のテーマは、「一人の空間を最大限に楽しむためのインテリア」である。自分だけの空間を楽しむための答えは一つしかない。純度100%で好きなものに囲まれることだ。インテリア雑誌に載っているようなおしゃれ空間が好きならば、そういうインテリアに囲まれればいいし、ロココ調が好きならロココ調家具に囲まれればいい。私は食パンが好きだから、食パンに囲まれるのが最適解となる。
【画像5】食パン家具シリーズの中には、カビた食パンもある(写真撮影/朝井麻由美)
好きなものに囲まれるだなんて一見当たり前のようだが、これは思っている以上に難しい。100%実現できている人なんて、ほとんどいないのではないかと思う。かつての私のように、「来客があったときに恥ずかしいから」という基準でものを選んだり、あるいは、「この狭いアパートには似合わないから」と断念したり。
とりわけ、いくら好みのインテリアが決まっていても、生活との両立は至難の業。私の部屋は見渡せば、ホームセンターでそれしか選択肢がなかったから買ったテーブルに、大きさだけで決めた座椅子、もらいもののデスク、と理想の部屋からは程遠い。どうしたって、生活するためのインテリアが、理想を邪魔するのだ。
今回は、手っ取り早く理想を体験するために、セルタンへ行って「食パン部屋」をつくってもらうことにした。
【画像6】目玉焼きブランケットが意外と暖かい(写真撮影/セルタン)
バズるけど売れない……売り上げは1割にも満たない食パン家具なんとセルタンでは、たった一人の社員さんが食パンと目玉焼きシリーズの家具をつくり続けているらしい。Twitterアカウント(@cellutane01)を用いた広報の甲斐もあり、「セルタン=食パン家具の会社」と認識されつつあるものの、社内全体から見た食パン商品は1割程度。売り上げに至っては1割を切る。それでも「宣伝になる」、「採用試験を受けに来る学生が増える」という理由でつくり続けている。狂気である。
「食パンにこだわっているのは社内で私くらいなもので……。でも、本当はもっと食パンをつくりたいんです。食パンの家具は定期的にTwitterで拡散されるんですよね。だから、お金にならなくても話題にはなっているから、と社内にアピールをしてどうにか続けています」(同社担当者)
【画像7】食パンのビーズクッションに寝転がってみる(写真撮影/セルタン)
【画像8】すべすべの食パンに埋もれると快適すぎて起き上がれない(写真撮影/セルタン)
自分らしいインテリアの難しさ「インテリアを他人ありきで考えてしまう方は、すごく多いのだと思います。Twitterで見て、いくら食パンをかわいいと思っていただいても、いざ部屋に置くとなると非常にハードルが高い。食パンのソファのツイートが拡散されたときに、売れ行きが伸びるのは食パンではなく(セルタンで扱っている)普通のソファ、なんてこともあります」と担当者は続ける。
【画像9】特大の目玉焼きブランケットは布団代わりになる(写真撮影/セルタン)
好きなものを部屋に置くことも、好きなものを身につけることも、簡単なようで難しい。それを好きである、と多くの人に知られてもいい、これが自分だ、と自信を持てないと、おそらくできない。好きなものに囲まれることは、単にうれしいだけじゃない。きっと、自分という人間を楽しむことでもあるのだ。
【画像10】こんな部屋に住みたい(写真撮影/朝井麻由美)
ことセンスを問われるものに関して、いかに純粋な「好き」よりも、「こう見られたい」がモノ選びに影響しているかを改めて実感した。でも、そういう意味では、もしかしたら私は「食パンインテリアが好き」なのではなく、「食パン好きな人に見られたい」と思っている可能性すらあるのではないだろうか。なんてこった!
●取材協力大阪不動産マーケティング協議会は、このたび会員企業を主な対象に、「第5回近畿圏新築分譲マンション市況アンケート調査」を行った。調査期間は2017年12月28日~2018年2月15日。調査対象企業は、近畿圏で分譲マンション事業に携わるデベロッパー、不動産販売会社、広告代理店、調査会社。有効回答企業数は31サンプル(デベロッパー16社、不動産販売会社1社、広告代理店9社、調査会社5社)。
2017年の新築分譲マンションマーケットを振り返ると、近畿圏全体で「絶好調」と回答した企業は0。「好調」と回答した企業は6.5%。モデルルーム来場が増えたとする企業も同じく6.5%に過ぎなかった。その中、大阪市都心のみは好調と評する割合(絶好調+好調)が全体で83.9%と、8割強の企業が好調と回答している。
「新築分譲マンション」は現状売り時(積極供給)だと思いますか?では、全体では「売り時だと思う」が12.9%、「どちらかといえば売り時だと思う」が74.2%と、売り時という回答が全体で87.1%に達している。売り時とは思う理由は、「低金利」、「消費税率10%増税(2019年10月)前だから」を上げる企業が多い。但し、その比率は30%台であり、売り時とは思うものの、積極的理由付け、強い根拠付けにはやや乏しいと見られる。
2018年の新築分譲マンションマーケットは、どのような市場になると考えますか?では、「まあまあの市場」と見る企業が最も多く、全体で41.9%、デベロッパーでは50.0%。「やや不調な市場」と見る企業は29.0%、「二極化/多極化市場」と見る企業も29.0%だった。デベロッパーにおいては、「やや不調な市場」と見る企業が18.8%、「二極化/多極化市場」と見る企業が31.3%だった。
ニュース情報元:大阪不動産マーケティング協議会
Houzz Japan(株)(東京都渋谷区)は、このほど「2018年版 Houzz キッチン市場調査(日本)」の結果を発表した。対象は過去1年間にキッチンのリフォーム・リノベーションを行った、または現在進行中・今後3ヶ月の間に行う予定の298名。それによると、キッチンをリフォーム・リノベーションした主な理由は、「キッチンの老朽化により、安全面・衛生面で不安になった」(35%)がもっとも多かった。次いで、「最近家を購入し、自分好みにアレンジしたかった 」(32%)、「家族構成やライフスタイルの変化に合わせて」(28%)、「以前のキッチンが気に入らなくなった」(21%)、「ずっと改修したいと思っていて、やっと予算を確保できた」(20%)が続く。
また、リフォーム・リノベーションをしたホームオーナーのうち、52%がレイアウトを変更している。新しいキッチンのレイアウトでもっとも人気があったのは、I型(45%)、続いてII型(29%)、ペニンシュラ型(16%)。34歳以下のホームオーナーにはII型(35%)が人気の一方で、35歳~54歳(47%)と55歳以上(43%)のホームオーナーにはI型が支持されている。
キッチンのリフォーム・リノベーションの平均費用は79万6,700円。しかし、キッチンの広さによって異なり、8m2以上のキッチンの平均費用は71万7,600円、8m2以下のキッチンの平均費用は87万1,400円だった。年齢層別にみると、55歳以上の年齢層ではその金額が跳ね上がり、平均費用は135万4,300円で、35歳未満の平均費用42万5,700円と比べると3倍を超える金額だった。
ニュース情報元:Houzz Japan(株)
(株)千趣会(大阪市)の通信販売事業ベルメゾンは、これから一人暮らしを始める人と、一人暮らしを始めて3年以内の20代男女を対象に、「一人暮らしの準備調査」を行った。
調査期間は2018年2月10日(土)~2月13日(火)。調査対象は全国の20歳代の男女計414名(男性207名、女性207名)。調査方法はインターネット。
それによると、一人暮らしに関して不安に思っていること(複数回答)は、「お金のやりくり」が72.1%と最も高く、特に女性(82.7%)の方が不安に思っていることがわかった。次いで「食生活が変わりそう」(51.0%)、「料理」(50.0%)、「寂しくなりそう」(42.3%)、「掃除」(41.3%)が続く。中でも男性は「洗濯」(42.3%)を不安に思っている人のポイントが「料理」(42.3%)と同位で、全体の3番目に上がった。女性は「防犯」(55.8%)、「寂しくなりそう」(53.8%)のポイントが高かった。
一人暮らしのアイテムを準備する際に不安に思っていること(複数回答)は、「費用がかかる」が87.5%と男女ともに最も高く、次いで「何が必要か分からない」(35.6%)、「適切な費用が分からない」(33.7%)の順。
一人暮らしをしている中で「あるある」と当てはまるもの(複数回答)は、「親のありがたみが分かる」が48.1%と最も高く、次いで「湯ぶねにつからなくなる」(45.8%)、「自炊にはまる」(44.8%)、「趣味を気兼ねなく思いきり楽しめる」(43.5%)と続く。
一人暮らしに必要な家具を購入した際の全体の予算と実際にかかった金額では、当初は67.7%が10万円未満を予算としていたが、実際に10万円未満に収まったのは57.1%。費用面では、予算外の出費があったことが分かる。
ニュース情報元:(株)千趣会
「住まいのホンネQ&A」は、誰もが知りたい住宅に関する様々なQ&Aについて、さくら事務所創業者・会長の長嶋修氏にホンネで回答いただく新連載です。
第1回の質問は「東京五輪前に家を買いたい。選び方のコツはありますか?」。
東京五輪前で住宅価格が高騰しているとも言われていますが、人生設計の上でどうしても”いま”家を買いたいのだ、という人もいるでしょう。
そんな時はどうやって選べばよいのか? 五輪にまつわる住宅の「ウソ・ホント」と共に、長嶋氏に解説いただきます。
本当に「高い」のか? 五輪前、不動産市場の真実
オリンピック前に家を買いたいという理由は何でしょうか?
ちまたではオリンピックまでは不動産価格高騰が続くといった意見や風潮がありますが、そのような事実はほとんど見られません。過去のオリンピック開催と経済・不動産市場の関係を調べると、たしかにオリンピック前後で経済や不動産市場が上下動しています。しかしこうした動きは主に新興国や経済規模の小さい国の場合に限られ、先進国・経済規模の大きい国ではオリンピック前後でそれほどの変化は見られません
例えば2012年のロンドンオリンピックにおいて英国政府は「オリンピックが英国不動産市場に与える影響は、なかった」とするレポートを出しています。以上のことから、2020年東京オリンピックが不動産市場に与える影響は、選手村や競技場ができる都心湾岸地区など一部を除いて、ほとんどないと考えてよいでしょう。それよりは、経済動向や人口動態が不動産市場に与える影響のほうが遥かに大きいと思われます。
まずは不動産市場がすでに3極化していること。そしてその傾向は今後ますます強くなるといった見通しを持っておく必要があります。私のイメージでは現在、不動産市場は以下のような割合で構成されていると考えています。
[1]「価値維持ないしは上昇する:10-15%」
[2]「徐々に価値を下げ続ける:70%」
[3]「無価値あるいはマイナス価値に向かう:15-20%」
「価値維持ないしは上昇」というと都心の超一等立地などをイメージするかもしれませんが、必ずしもそればかりではなく、都市郊外でも地方都市でもこうした立地は存在します。最もボリュームが大きいのは「徐々に価値を下げ続ける(70%)」。国内の多くがこれに当てはまります。問題は下落率で、年率2%ずつなのか4%ずつなのかといったところ。最後は「無価値あるいはマイナス価値」ですが、こうしたところに家を買うといったケースは非常にまれでしょう。
本格的な人口減少、少子化・高齢化社会を迎えるにあたり、この3極化傾向はますます強くなると考えてください。
新築マンションが高騰、中古は「新築との価格差」で人気2012年12月の、民主党から自民党への政権交代以降、アベノミクスや黒田バズーカといった経済政策、また人手不足による人件費上昇や建築コスト高騰で日本の不動産価格はほぼ右肩上がりの上昇を続けてきました。しかしその内訳にはかなりの温度差があります。
2017年12月の首都圏新築マンション市場の平均価格は6019万円(出所:不動産経済研究所「首都圏のマンション市場動向2017年12月度」)と、随分と高くなりましたが、とりわけ都区部は7531万円(同)と、サラリーマンには手の届かないところまで高騰しています。ただしその中身を見ると「都心・駅近・一等立地・大規模・タワー」といったワードに象徴されるような物件の比率が高まり、一方で「郊外・駅遠」といった物件の比率が下がっていることが平均価格を押し上げていることにも注意が必要です。新築マンションの発売戸数はなだらかな減少傾向で、価格高止まりのこの傾向は今後も続き、東京五輪以降もこの傾向は続くでしょう。新築マンションはある意味「ぜいたく品」といった位置づけになりそうです。首都圏以外の他都市でもこうした傾向は同様ですが、首都圏ほど上昇しているわけではありません。
一方で中古マンション市場は好調です。その理由は「新築との価格差」。東京都区部などではその価格差は約2000万円、神奈川県・埼玉県などでは約3000万円以上も。こうなると、良質な中古マンションを買ってリフォーム・リノベーションしたほうが家計にも優しい上、自分の思い通りの間取りや内装にできるといったメリットが浮かび上がってきます。新築マンション価格が高止まりする中で中古マンション価格はそれを追うように、なだらかな上昇を継続するでしょう。
【画像1】(不動産経済研究所/東日本不動産流通機構資料より筆者作成)
ただしその上昇率にもかなりの温度差があり、東京都心3区では政権交代以降60%以上も価格上昇しているのに対し、神奈川県・埼玉県・千葉県の上昇率は20%程度です。
【画像2】(出所:東日本不動産流通機構)
また、駅から求められる距離は年々厳しくなっていることにも注意が必要です。例えば東京都心7区の中古マンションでは、5年前は、駅から1分離れると平米あたり8000円程度下落していましたが、昨年は、駅から1分離れると平米あたり約1万6000円も下落しています。
これは都心に限らずどの地域にも言える全般的な傾向です。
【画像3】(出所:東日本不動産流通機構)
一戸建て市場も2017年から上昇傾向一方で一戸建市場に顕著な兆しは見られませんでしたが、2017年あたりから上昇傾向にあるのが見てとれます。これは、マンション価格が上がりすぎたことによる相対的な割安感や、日銀によるゼロ金利政策から住宅全般が買いやすくなったことなどが主な理由であると思われます。
【画像4】(国土交通省資料より筆者作成)
低金利というのは言うまでもなく家計に優しく、家を買うにはもってこいの状況であるといえます。固定金利にしておけば、後の金利上昇も怖くありません。そうした意味では、低金利の今は買い時と言っていいでしょう。
では金利はいつ上昇するか。正確に時期を読み取ることはできませんが、今後景気が良くなっても悪くなっても金利は上昇します。景気が良くなりインフレ率が高まれば、それに応じて日銀のゼロ金利政策が解除される可能性が高まりますし、景気が悪化し日本国債の信任が失われるようなことがあれば、現行の金利水準を維持することができなくなる可能性が出てきます。いずれにせよ現在のような低金利がいつまでも続くとは思わないほうがいいでしょう。
ところで金利の上昇は、不動産市場には大きな下落圧力です。これは、住宅購入者の購買力が減退するため。3000万円を期間35年、金利1%なら毎月の支払いは約8.5万円で済みますが、3%に上昇すると約11.5万円と、毎月3万円、総額では約1300万円も増えてしまいます。低金利の恩恵を受けていま家を買う人も、こうした事態に陥っても価格が落ちない、落ちにくい立地を選んでおく必要はあります。
オリンピック前の2019年10月には8%から10%への消費増税が控えています。これまでは増税前に駆け込み需要があり、その後反動で市場が落ち込み価格が下がるのがセオリーでした。次もおそらくこうした動きは起こりそうですが、前回より消費税率の上げ幅が少ないこともあり、それ程大きな影響はないものと思われます。価値が落ちない家を買うことに注力しておけば2%程度の消費増税も誤差の範囲といえ、あまり気にする必要はないでしょう。
では具体的にどんな立地を選べばいいのか。またどんな建物なら価値が落ちにくいのかなどについて、次回コラムでお伝えします。
日本人の死因トップである“がん”。2016年の調査によると、全死因に占める割合は28.5%と2位の心疾患15.1%を大きく上回ります(※1)。がん患者の家族・友人を含めると、がんに関係の無い人を見つけるほうが難しいくらい身近な病気。そんながんに関係する人々を無償で支援する場が、英国で1996年に誕生した「マギーズ・キャンサーケアリング・センター」。以来20年余り、英国内外で20カ所以上の『マギーズ・センター』が開設し運営されています。
(※1)「性別にみた死因順位(第10位まで)別 死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」(厚生労働省)
前編ではその成り立ちを、後編では一昨年日本にオープンした『マギーズ東京』での体験をレポートします。
一人の英国人女性Maggieの思いが形に、「自分を取り戻す」ための場所
1988年47歳の時に乳がんを患った、マギー・K・ジェンクス(Maggie Keswick Jencks)。5年後に再発したがんによって死を覚悟せざるを得なかった時、治療の方向性や家族のことなどさまざまな悩みと不安を抱えて病と戦っている最中に「自分を取り戻せる空間とサポートが必要」と実感。入院中の病院敷地内に、後の「マギーズ・センター」のモデルとなる“誰でもがいつでも立ち寄れる”「第二の我が家」をつくったことが始まりです。
【画像1】センターの庭に立つマギーの像。1941年スコットランド生まれ、1995年「マギーズ・センター」オープンの前年に54歳で旅立った。センターの前身である病院内の小屋の前で、春の日を浴び「私たち、ラッキーよね?」と言葉を残して(写真提供/藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ))
マギーが医者からがんの再発で余命数ヶ月と告げられた時「心は打ちのめされているのに、次の患者のために診察室にとどまることはできませんでした」(マギー・K・ジェンクス著)という言葉をのこしています。
病院の診察時間に制限があるのは、日本でも同じ。待ち時間の長さに対して、自分の診察時間の短さに困惑した人は少なくないでしょう。それが、がん告知の現場であることを想像すると……。
医療現場で多くの患者と接してきた、担当のがん専門看護師ローラ・リー(現マギーズ・キャンサーケアリングセンターCEO)を話し相手に、マギーは立ち上がりました。「がん患者や家族、医療者などがんにかかわる人たちが、がんの種類やステージ、治療に関係なく、予約も必要なくいつでも、無料で利用することができる癒やしの『空間』をつくりたい」と。
設立者マギーは造園家、その夫は建築評論家。“空間の力”を知る人によるプロジェクトマギーズ・センターでは、カウンセリングや栄養指導、医療制度などさまざまな専門的支援を無料で受けることができます。のんびりお茶を飲んだり、本を読んだりするなど自分の好きなように過ごしていて良いのです。訪れるだけで癒やされる、“第二の我が家”のような場所にしたいとマギーは考えました。
「美術館のように魅力的であり、教会のようにじっくり考えることができ、病院のように安心でき、家のように帰ってきたいと思える場所」
それを実現するために、マギーは「建築概要」の中に以下のような建築要件を提案しています。
・自然光が入って明るい ・安全な(中)庭があるそして、1996年英国エジンバラにオープンしたマギーズ・センター第一号[Maggie’s Edinburgh]。
【画像2】[Maggie’s Edinburgh](Richard Murphy設計)。赤いスチール、ガラスブロック、石、木とさまざまな素材の調和を試みた個性的な建築(写真提供/藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ))
【画像3】窓を大きくとった明るい室内、インテリアは暖色系のカラフルなファブリックが、宝石のように散りばめられている(写真提供/藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ))
マギーの夫チャールズ(建築評論家)は「マギーズ・センターには二つの要素を求めました。リラックスできる癒やしの要素と、患者が病と闘えるような要素を支援すること。それを病院とは違う雰囲気の環境の中で提供したいのです」と、語っています。
マギーズでは“対話”が最も大切な支援の方法。病を抱える人にとって、心の悩みや不安を口に出して伝えるのは簡単ではありません。まずは、すてきな建物や庭という空間が訪問者を優しく迎えることで、その心を和ませ、おのずと“対話”が生まれる環境をつくるのです。それが“空間の力”であり、ジェンクス夫妻はそのことを熟知した空間づくりの専門家であったことが、マギーズ成功の一つの理由と言えます。
マギーの闘病を支え、話し相手になってきた看護師のローラ・リーCEOは「長年、薄暗いモノクロ色の病院で働いてきた私にとっても新鮮でした。環境や空間の力が人の心を動かし、自分の中にある力を引き出すことをマギーは教えてくれたのです」
著名な建築家が設計、建物の求心力と発信力がマギーズを世界に広げる建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞している、フランク・ゲーリーやザハ・ハディドなどがマギーズ・センターの設計に参加しています。マギーの建築要件を尊重しながらも建築家の英知によって「見てみたい、入ってみたい」気持ちにさせるパワースポットのような建物になっています。
【画像4】Zaha Hadid設計の[Maggie’s Fife] 2006年開設(写真提供/藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ))
炭鉱の町だったことからひらめいたという、ザハらしい彫刻のように真っ黒な外観に対して、室内は曲線を使った真っ白で明るいインテリア。「環境が個人の幸福を高めるのに、どれほど有意義に役立つかをマギーズによって理解しました」と、生前のザハは語っています。
【画像5】三角窓からの光が印象的な室内。違ったタイプの椅子や家具、その日の気分や健康状態でくつろぎ方も変えることができる(写真提供/藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ))
マギーズ・センターの建築は英国内外の建築賞を数々受賞していて、マギーズの活動を世界が知る機会にもなっています。
日本からも建築家・黒川紀章がプロジェクトに参加しているのを知り驚きました。黒川氏が若かりしころ、夫チャールズの本を翻訳した経緯もあったようです。黒川氏は完成前の2007年に亡くなりましたが、その志が形になった素晴らしい建築を見ることができ、日本人として誇らしく感じました。
【画像6】黒川紀章設計の[Maggie’s Swansea] 2011年開設(写真提供/藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ))
【画像7】オープンキッチンはマギーズの中核。大きな窓から庭が望める開放的な空間(写真提供/藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ))
マギーズの利用者が「病院とは違って、温かくて緑や自然が近くにあって“サンクチュアリ”のようよ」と、サンクチュアリ=鳥獣の保護区に例えるように、マギーズは安心して羽を下ろして過ごせる場になっているのです。「いつでも泣きたくなれば、泣くことができる個室もあるしね」とも。
英国に留まらず、海外でのマギーズ第一号が2013年香港に誕生。香港はマギーが幼少期に過ごしたゆかりの地です。
【画像8】Frank Gehry設計の[Maggie’s Hong Kong] 2013年開設(写真提供/藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ))
【画像9】広いリビング&ダイニングスペースからは、中国様式の庭と池が眺められる(写真提供/藤井浩司(ナカサアンドパートナーズ))
「死への恐怖で、生きる喜びを失うべきでない」と、強い意志で活動したマギー。利用者が快適な空間で過ごしながら、対話によって、自分の中にある力を見いだし、自分を取り戻すことがマギーズの目指す支援。
その活動が、東京でも一昨年からスタートしました。後編では『マギーズ東京』を訪問し、その支援を体験させていただいた内容を紹介します。
●取材協力現在、日本の人口は減少の一途。そんななか、地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための取り組みである「タウンマネジメント」が注目されている。その担い手として期待されるのが、宅建業者、いわゆる不動産仲介に携わる人たちである。彼らが本業である“土地や物件の取引”の枠を超える役割を果たすことで、「事業者自身」「街に暮らす人」「街の持続的な発展」、それぞれに寄与できるともいわれている。
果たして、これからの不動産業者はどうあるべきなのか? そのヒントを探るべく、今年1月30日と31日の2日間にわたり、埼玉県宅地建物取引業協会が全宅連不動産総合研究所と共同で開催した「不動産業者のためのタウンマネジメント・スクール」を取材した。
若手からシニアまで、地場の不動産業者がまちづくり・地域の魅力向上について真剣議論テーマを「空き家対策とまちを活性化し地域価値を高める」に据えて開催された2日間のスクールには、埼玉県宅地建物取引業協会の県内16支部に所属し、不動産仲介業や管理業などに携わる人を中心に70人ほどの受講者が参加した。30代40代の若手が中心だったが、70代オーバーの方々も多数見受けられた。
各日8時間にわたる講座では、さまざまな切り口の内容を用意した。不動産学の第一人者で、国の不動産行政の審議会委員なども務める清水千弘(しみず・ちひろ)氏を迎えた基調講演「不動産業のこれから進むべき方向について」、八王子市で賃貸空き室を解消するべく就活セミナーや商店街とのタイアップを企画。学生が街に残りたくなる地域を目指す不動産仲介業者・杉本浩司(すぎもと・こうじ)氏による「地域貢献を通じて空き家・空き室を解消する」など、業界の未来を俯瞰した内容から先進的な街づくりの事例紹介まで、多彩な講師が熱弁をふるった。
【画像1】マサチューセッツ工科大学不動産研究センターの研究員も務める清水千弘氏。不動産市場分析の第一人者からの講義は、地場で不動産業を営む面々にとっては大きな刺激だったようだ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
また、タウンマネジメントの取り組みを肌で感じてもらおうと、現地見学会も実施。リノベーションによる街づくりを行う草加市の宅建業者や、入間市ジョンソンタウンの歴史を継承したエリアのリノベーション、商店街の空き家を改修し、若い事業家に賃貸する千駄木の事例など、いくつかの班に分かれ3カ所に足を運んだ。
その後は、今後の目指すべき姿について思考を深めるべく、全員参加のチームディスカッションへ。発表では、次のような声が聞かれた。
「街の不動産会社は、オーナーや地元の人たちとの付き合いが深く、人脈も豊富です。その強みを活かして、負の資産と考えられがちな物件に価値付けをし、大手が行き届かないところをケアして行けたら」(浦和支部所属)
「10年後の不動産業界では、空き家や高齢者の増加などで、オーナーに対してその解決策を示していくようなコンサル力が必要とされるのではないかと思いました。不動産会社がそこまでやるか、というくらいお客様と地域をつなぐ役割を担っていく必要がある。何もしなければ、時代とともに消滅してしまうでしょう。
お客様に頼られる不動産会社というのが大事だと思いました。あと、横のつながりもより大切になってくる。地域コミュニティや行政との連携強化、他の地域で同じ悩みを抱える同業者との情報交換も一層求められると思います」(川口支部所属)
「これからは市場が縮小して家の借り方や買い方が変わってくる。差別化して闘っていくしかない。例えば、地域を絞ってオーナーまわりをしようという意見が出ました。不動産事業者自らが地域コミュニティをつくる起点になったり、防災ステーションの運営をしたり、とにかく何かを始めていかなければならない」(戸田支部所属)
【画像2】付せんを使い、不動産業の未来について整理しながらディスカッションを重ねた(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
【画像3】チームごとに導き出した結果を発表(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
個人経営型の不動産仲介業者が持続して発展していくには、地域活性への積極的なかかわりが必要だという意見が多く聞かれた。ディスカッションの内容について、清水千弘氏は次のように総括する。
「皆さん自身が、社会的な介在価値や存在意義を問うたディスカッションでした。受け身ではなく、攻めの姿勢が未来をつくり、生き残っていけるのかなと思います。地域活性と不動産業のかかわり方には、教科書となるビジネスモデルがあるわけではありませんが、一人でもスターが誕生すると地域が元気になっていくんですね。
そういう意味では、今回の参加者のなかから、ヒットを積み重ね、ホームランを打てるような方が誕生するのではないかと思います。宅建士は、社会とともにあり、地域の発展がなければ自分も儲からない。そんな気づきの声が聞けたことがうれしいです」(清水氏)
不動産業者が学ぶことで10年後の街を変えることができる2日間のスクールを終えた参加者に感想を聞いてみた。
「カリスマ性のある人や発信力がある人であれば可能かもしれませんが、小規模業者が単体で頑張っても、地域活性にダイレクトにつなげることは難しいのかなと思うところもあります。ただ、木造賃貸アパートを再生している『モクチン企画』のビジネスモデルは取り入れたいと思いました。地域への貢献度が高いだけではなく、材料の仕入れを工夫してコスト削減すれば、儲かる事業に育ちそうな気がしています」(戸田支部所属)
「私は西川口の不動産屋の三代目なのですが、以前は大手不動産会社に所属していました。今回、地場の不動産業者の話を聞いて、違いを感じました。大手だと担当者が割と頻繁に変わりますが、地場だとずっとつながりを持つことができる。それは強みだと思います。ただし、持っている畑を耕さないとダメで、身銭をきって種を蒔くところをどれだけできるか、種を育てられるかどうかだなと。そのうえでも、これまで同業者との交流があまりなかったので、こうしたスクールを通してつながりを持てることで、畑の耕し方の情報共有にもつながると思います。
あと、地場の不動産業者って店舗に入りにくいんですよね。さらに、不動産会社って部屋探しする以外、足を運ばないですよね。それを、お茶のみできるような、入りやすい店づくりをすることで、ちょっと雑談しに立ち寄れる場として活用していただけると、地域コミュニティのハブになっていけるのかなと思います」(川口支部)
本業を軸に、どうやって地域の活性化にかかわっていくか。成功パターンがないからこそ、自分たちの目指すべき方向を模索する参加者たち。しかし、感想を語る表情は極めて明るく、今後の事業の可能性に胸を躍らせているようにも感じられた。
タウンマネジメント・スクールを主宰した埼玉県宅地建物取引業協会の内山俊夫会長は、同イベントの意義を次のように語った。
「開催の趣意は、埼玉県宅地建物取引業協会のグループビジョンでもある『行政と生活者の中心となる』こと。子どもを先生と親だけではなく地域が育てるのと同じように、地域コミュニケーションを高めるうえで“街の大家”である不動産会社の介在価値は高いだろうという発想に端を発しています。
ただ、目先の仕事だけするのではなく、10年後の発展を考えて仕事をする、そうした気づきが大事だと思いました。“負動産”を“富動産”に変えられるのが、地域の不動産業者なのではないでしょうか」(内山氏)
【画像4】「これまでの宅建士は、仲介の仕事がメインだった。これからはそれだけでは淘汰(とうた)されてしまう」と危機感を募らせる内山会長(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
いくらやる気があっても、学びがないと先には進めない。そこで、スクールと題して協会員に学びの機会を提供したかったという。なぜタウンマネジメントに宅建業者なのかといえば、法律関係に詳しく大家さんとの結びつきが深いからだとか。
「単なる仲介ではなく、今ある資産をどう再生させていくか、意識付けがどれくらい深まるか。今回のスクールが、地域のためになりビジネスとしてもつながる、ボランティアではないアプローチを宅建士たちから発信していくきっかけになればと思います」(内山氏)
不動産業のはじまりにあたる江戸時代、大家を中心とした地域のコミュニティが形成された頃から数百年あまり。住まいにまつわるビジネスは、システマチックに進化を遂げてきた。しかし、地域コミュニティが街の活性につながるキーワードとして取り上げられる昨今。スモールビジネスを営む宅建の有資格者たちが、ミクロな地域で社会貢献につながる取り組みが、不動産業界を持続的に発展させる新たなビジネスの種になるのかもしれない。
●取材協力寒い日は窓際がひんやりと感じられませんか? そのうえ、室内外の温度差で結露がひどいと、カーテンが水分を吸ってカビてしまうこともあります。けれども賃貸住宅で窓断熱のリフォームはできない、あるいは持ち家だけど予算の都合で難しい方も多いでしょう。そこで、手軽に取り入れられる断熱アイテム「ハニカムスクリーン」を紹介します。
独特の構造で断熱性を確保!「ハニカムスクリーン」とは
ハニカムスクリーンはブラインドメーカー各社から発売されています。なかでも、種類が豊富な株式会社ニチベイの広報担当者に、ハニカムスクリーンの構造などについて伺いました。
ハニカムスクリーンはエコ意識の高まりによって需要が増えているそうで、徐々に取り扱いが増えていると言います。
【画像1】写真左:ニチベイのハニカムスクリーン「レフィーナ45シングルスタイル」を使った部屋。写真右:ハニカムスクリーンの断面(画像提供/株式会社ニチベイ)
ハニカムスクリーンは断面が六角形のハニカム(蜂の巣)のように広がることが特徴。プリーツ生地がひろがることで二重構造のようになり、立体生地構造の中空層が断熱材のように機能し、暖かさを得られます。ニチベイの「レフィーナ」という製品では、ハニカムが1枚のものと2枚のものがあります。オプションのフレームをスクリーンの左右に取り付けることにより、さらに密閉性を高められるので光漏れも低減できるとのこと。
生地が立体的に広がることで空気層ができるハニカムスクリーン。冬は暖かくても夏は暑いのでは?という疑問もありましたが、夏は外からの暑い日差しを遮るので冷房効率が上がり涼しくなるそうです。
「ハニカムスクリーンなら、冬も夏も室温を安定させて快適に過ごせます。また、昇降コードをハニカム中間層に通す構造のため、スクリーン表面にコードの穴がなく、すっきりとしたデザインです。コード穴からの光漏れもありません」(ニチベイさん)
ただしハニカムスクリーンは窓枠の内側に設置する必要があり、さらにオプションのフレームを取り付けることで最大限の性能を発揮できるそうです。そのため「一般的に壁の穴あけが不可能な賃貸住宅でのDIYによる設置は、難しい場合が多いのでは?」とおっしゃっていました。また、窓の大きさに合わせたサイズ調整が必要なため、既製品ではなくオーダーがおすすめのようです。
自宅でプチ断熱の体験をスタート!ニチベイのショールームでハニカムスクリーンを手にし、賃貸では難しいということを知りました。ただ、「やはり使ってみなければ」という気持ちがあったため、量販店で販売されている既製品のハニカムスクリーンを購入し、自宅に取り付けることにしました。しかし、わが家の窓枠に合うサイズはなく、1台なら小さい、2台なら余るという計算。迷った結果、とりあえず半分をハニカムスクリーンにすることに。幅90cm×長さ180cmのハニカムスクリーンは4500円程度で購入できました。
「ハニカムスクリーンはありますか?」と聞いて、売り場まで案内してもらったところ、店員さんが「ハニカムスクリーンはブラインドなどとくらべて密閉度合いが高くおすすめです」と話してくれました。これは期待できそうな気がします。
【画像2】カーテンを外し、準備を進める(写真撮影/近藤智子)
自宅に帰り、部屋のカーテンを半分外して取り付けます。付属の金具を使って、カーテンレールに取り付けることが可能。簡単に取り付けられるようですが、付属の説明書では十分に理解することができず、ネットで似たような作業をした方のサイトを見て学習。
まず、カーテンを取り除き、そのあとカーテンレールの端にあるキャップをドライバーで外します。そこからフックをかけているランナーを抜きます。スクリーンを設置する金具を取り付けるのに邪魔になるためです。それからカーテンレールにスクリーンを掛けるための金具を止めます。高い位置なのですこし大変でしたが、なんとか取り付けられました。
そして金具にスクリーンの上側をひっかけるようにして設置完了。こうして窓枠の3分の2ほどの面積にハニカムスクリーンが取り付けられました。金具とスクリーンの安定感に不安がありますが、コードをおそるおそる引っ張ると、規則正しい横のラインが特徴的なハニカムスクリーンが目の前に!10分ほどで終わるはずが、思ったより手間がかかってしまいました。ただし、DIYに慣れている人は、もっと簡単に取り付けられるのではないでしょうか。
若干密閉具合が足りないのが気になりますが、これで数日過ごしてみることにしました。
ハニカムスクリーンの窓際はほんのり暖かかった!実は筆者の部屋には雨戸(シャッター)がついており、結露とはあまり縁がありません。ただ、以前雨戸がない部屋に住んでいたときは、飛び出した部分の窓にキノコが生えてしまったことがあり、「東京の湿度は恐い」と震えたことがあります。そんなことを思い出しながら、しばらく雨戸は使わずに過ごすことを決めました。
【画像3】量販店で購入した格安ハニカムスクリーンをなんとか取り付け完了(写真撮影/近藤智子)
比較のために、ハニカムスクリーンを設置する前の3日間も雨戸を使用せずカーテンのみの状態で過ごしました。その結果、なんとなくいつもより寒い……ことが判明。それがハニカムスクリーンに変えたことで、ほんのり熱がこもっているような、暖かさが戻ってきたような気がします。スクリーンの独特な質感や色も、暖かさに影響しているような気がします。
前述したように、設置したハニカムスクリーンはわが家の窓枠にはぴったりしたサイズのものではありません。しかし、実はカーテンも前の部屋で使っているものをそのまま使用していて寸足らずのため、比較するにはもってこいでした。
朝と夜には雨戸の開け閉めをするために窓のほうに近寄ります。その際に、普段カーテンのときはなんとなく冷たくなっているのを感じていましたが、ハニカムスクリーンにしてからは冷たさをさほど感じません。高い断熱性が発揮されているようです。ただ、やはりスクリーンの開け閉めの際の不安定さは依然残ったまま。カーテンレールに取り付けること、すなわち賃貸住宅で壁に穴をあけられないことの限界があることがはっきりしました。
残念ながら、結露は雨戸なしでも発生せず、その部分は確認できませんでした。
一人暮らしにハニカムスクリーンは不向き?ハニカムスクリーンは手ごろに入手できますが、オーダーでない既製品は、サイズの関係で窓枠を密閉できない可能性が高く、不安が残ることが難点です。また、スクリーンは開けると寒くなり、窓も丸出しになってしまうので、日中部屋にいるときには不向きなように感じました。しかし、昼間を過ごさない寝室などには最適なのではないでしょうか。
【画像4】カーテンと違う滑らかな質感もハニカムスクリーンの魅力のひとつ(写真撮影/近藤智子)
そういえば、ニチベイさんでハニカムスクリーンとカーテンについて「特性と好みによって適材適所があるということを、知識としてもっておいていただけるとよいですね」と伺ったことを思い出しました。おそらく筆者の部屋や暮らしにはカーテンのほうが向いているのですが、ハニカムスクリーンは風合いがとてもよく、ほかにも部屋があればぜひ使いたいと思いました。
ハニカムスクリーンといっても、高価なものから手ごろに入手できるもの、オーダーでつくるものなど、さまざまな種類があります。冬も効果がありますが、夏は遮蔽にも効果がありますので、気になった方は試してみるとよいでしょう。
・株式会社ニチベイ