リフォーム経験者の約8割「複数業者を比較するべきだった」

(株)アイアンドシー・クルーズはこのほど、リフォームの検討・実施に関するアンケート調査を実施した。調査は全国の35歳~70歳、住宅リフォーム経験のある男女を対象に、2018年10月29日~10月31日の期間、インターネットで行った。有効回答数は240。

それによると、40.6%が「住宅リフォームの経験がある」と回答した。また、実施したリフォームにかけた費用は「100万円~300万円」が最も多く33%。次いで「50万円未満」「50万円~100万円」がどちらも20%。「300万円~500万円」12.5%、「500万円~1,000万円」10%と続く。「1,000万円以上」という回答も4.2%あった。

リフォーム業者を決める際にどのようなことが不安でしたか?では、46.7%の方が「金額が妥当かわからない」と回答している。2位は「工事内容が適切かわからない」26.3%、3位は「信頼できる業者かわからない」25%と続く。

リフォーム工事の依頼先を決める際に、複数業者からの見積もり内容を比較(相見積もり)することは、悪質な業者と契約してしまうトラブルを回避する方法のひとつとして、国民生活センター等でも推奨されている。実際にリフォームをした方も、78.3%が「複数業者を比較するべきだった」と回答している。

「複数業者を比較するべきだった」と回答した理由には、「相場が分からないので言われた額が妥当かどうか不安だった」(50代男性)、「家を建てたときのハウスメーカー1社しか検討しなかったので、もしかしたら相場よりずっと高価格だったのかもしれない」(40代男性)など、1社からの見積もりだけでは金額の妥当性が判断できないというものが多くあった。

ニュース情報元:(株)アイアンドシー・クルーズ

イケア初の東京都心型店舗、原宿駅前に出店決定

イケア・ジャパン(株)は15日、イケア初となる東京都心型店舗を、原宿に出店すると発表した。開業は2020年春を予定している。場所はJR「原宿駅」徒歩1分、東京メトロ千代田線「明治神宮前〈原宿〉駅」徒歩1分という駅前の好立地。NTT都市開発(株)が2017年3月より開発中の複合ビル「原宿駅前プロジェクト」(渋谷区神宮前1丁目)の中に位置する。

今回の店舗は、より多くの方にイケアでの買い物体験を楽しんでもらうための同社初となる都心型店舗。都心部での生活のニーズは今後も大きくなることが見込まれていることから、オンラインショッピングなどにも力を入れていく考えだ。

同社代表取締役社長のヘレン・フォン・ライス氏は、「東京都心部での出店を通し、より多くの日本の消費者の皆さまに、イケアを体験していただけることを大変うれしく思います。日々の暮らしのお悩みや、ニーズにお応えできる商品や解決策を、インスピレーションあふれる環境でご提供できますことを楽しみにしております。」とコメントしている。

ニュース情報元:イケア・ジャパン(株)

虎ノ門一・二丁目地区、再開発組合の設立認可

東京都はこのほど、都市再開発法第11条第1項の規定に基づき、虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発組合の設立を認可した。
今回の組合設立認可により、地下鉄日比谷線虎ノ門新駅(仮称)整備と一体となって、周辺の広場空間と立体的に連続する広場を整備し、交通結節機能強化とにぎわいの創出を図る。また、業務、商業、文化・交流機能や生活・業務支援機能などの多様な機能を導入するほか、防災対応力強化も行い、国際的なビジネス・交流拠点の形成を図る。

施行地区は港区虎ノ門一丁目及び虎ノ門二丁目各地内、約2.2ヘクタール。総事業費は約2,126億円。A-1街区(約236,420m2)に地上49階・地下4階、A-2街区(約8,780m2)に地上4階・地下3階、A-3街区(約7,900m2)に地上12階・地下1階の複合ビルを建設する。用途は事務所、店舗、ホテル、ビジネス発信拠点、住宅など。

2019年3月に権利変換計画認可、同年10月に工事着手、2023年2月に建物竣工の予定。

ニュース情報元:東京都

平井五丁目地区、再開発組合の設立認可

東京都はこのほど、都市再開発法第11条第1項の規定に基づき、平井五丁目地区市街地再開発組合の設立を認可した。同事業の施行地区は、江戸川区平井五丁目地内の約0.7ヘクタール。地上31階・地下1階からなる複合ビル(用途:住宅、店舗、保育所、駐車場等)を建設する。商業機能の更新と都市型住宅等の整備を行うとともに、地域の防災活動に貢献する施設を配置し、安心・安全と賑わいのある新たな生活拠点を創出する。

住宅は多様なタイプを供給予定。子育て支援施設や地域貢献用集会室の整備を行い、様々な世代の交流を促す。総事業費は約198億円。2019年11月に権利変換計画認可、2020年4月より工事着手、建物竣工は2023年8月を予定している。

ニュース情報元:東京都

首都圏マンション新規発売戸数、2カ月連続の増加

(株)不動産経済研究所は15日、2018年10月度・首都圏「マンション市場動向」を発表した。それによると、10月の新規発売戸数は2,895戸、対前年同月(2,817戸)比2.8%増で2カ月連続の増加となった。地域別発売戸数は、東京都区部1,462戸(全体比50.5%、前年同月比14.6%増)、都下271戸(同9.4%、24.1%減)、神奈川県448戸(同15.5%、28.1%減)、埼玉県439戸(同15.2%、6.6%増)、千葉県275戸(同9.5%、84.6%増)。東京都のシェアは59.9%だった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,955戸で、月間契約率は67.5%。前月の66.5%に比べて1.0ポイントアップ、前年同月の60.7%に比べて6.8ポイントアップした。1戸当り平均価格、1m2当り単価は、5,946万円、88.9万円。2018年9月は5,137万円、80.0万円だたので、前月比総額では809万円(15.7%)のアップ、m2単価は8.9万円(11.1%)アップしている。

地域別平均価格、1m2当り分譲単価は、東京都区部6,984万円、112.0万円。都下5,476万円、78.4万円。神奈川県5,450万円、73.5万円。埼玉県4,135万円、59.5万円。千葉県4,587万円、64.0万円。

即日完売物件はなし。【フラット35】登録物件戸数は2,781戸だった。なお、2018年11月の発売戸数は3,500戸の見込み。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

近畿圏マンション市場、月間契約率77.7%と好調

(株)不動産経済研究所は15日、2018年10月度・近畿圏「マンション市場動向」を発表した。10月の新規発売戸数は1,775戸、対前年同月(1,465戸)比310戸、21.2%増、対前月(1,859戸)比84戸、4.5%減となった。 地域別発売戸数は、大阪市部810戸(全体比45.6%、前年同月比47.0%増)、大阪府下483戸(同27.2%、85.1%増)、神戸市部171戸(同9.6%、25.7%減)、兵庫県下92戸(同5.2%、58.6%減)、京都市部66戸(同3.7%、44.5%減)、奈良県79戸(同4.5%、3,850.0%増)、滋賀県28戸(同1.6%、47.2%減)、和歌山県46戸(同2.6%、666.7%増)、京都府下での発売はなかった。

新規発売戸数に対する契約戸数は1,379戸で、月間契約率は77.7%と好調。前月の72.8%に比べて4.9ポイントのアップ、前年同月の74.2%に比べて3.5ポイントアップした。

1戸当り平均価格、1m2当り単価は、3,657万円、68.7万円。前年同月比は戸当り価格は2カ月連続のダウン、m2単価は2カ月ぶりのアップ。2018年9月は4,043万円、63.6万円だったので、前月比総額では386万円(9.5%)のダウン、m2単価は5.1万円(8.0%)のアップ。

地域別平均価格、1m2当りの分譲単価は、大阪市部3,126万円、82.0万円。大阪府下4,232万円、60.6万円。神戸市部4,391万円、76.6万円。兵庫県下4,229万円、56.9万円。京都市部2,948万円、72.7万円。奈良県3,284万円、50.8万円。滋賀県4,817万円、62.2万円。和歌山県4,054万円、57.0万円。

即日完売物件は224戸(全体の12.6%)、【フラット35】登録物件戸数は935戸(同52.7%)だった。なお、2018年11月の発売戸数は1,600戸程度の見込み。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

分譲マンション賃料、東京都は直近1年間で最高値

(株)東京カンテイは14日、2018年10月の「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移」を発表した。それによると、10月の首都圏・分譲マンション賃料は、前月比+3.0%の2,846円/m2と引き続き上昇した。都県別でみると、東京都は23区内からの事例増加に伴い+1.0%の3,370円/m2と上昇し、直近1年間での最高値を更新した。神奈川県は+0.4%の2,121円/m2で小幅ながらプラスに転じた。埼玉県では+3.0%の1,701円/m2と比較的大きく上昇。一方、千葉県では平均築年数が進んだことから、-0.4%の1,563円/m2と再び下落した。

近畿圏では主要エリアが横ばい~弱含みとなり、前月比-0.1%の1,805円/m2と僅かに弱含み。大阪府では築古物件からの事例が増加して平均築年数が18.6年→20.4年と進み、-4.7%の2,009円/m2と大幅な下落。一方、兵庫県では横ばいの1,632円/m2に留まった。

中部圏は前月比+0.9%の1,755円/m2、愛知県は+1.1%の1,795円/m2と引き続き上昇した。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

あたたかな光

所在地:杉並区西荻北
2,490万円 / 46.39平米
中央線「西荻窪」駅 徒歩5分

柔らかな光が室内に、スーッと伸びてくる。南向きのあたたかな部屋です。



内装は今回の募集のためにフルリフォームされています。ブラウンのキッチンタイルや床の色など、女性が好みそうな甘めの印象。苦目のコーヒーよりも、アールグレイが似合いそうです。



LDKと寝室が廊下で振り分けられて ... 続き>>>.
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料理家のキッチンと朝ごはん[1]後編 調理実習台が主役。道具・器は長く使えるいいものだけを集めた

スタイリングもこなす料理研究家として、雑誌や書籍でさまざまなお菓子のレシピを提案している桑原奈津子さん。前回は、定番の朝ごはんとそのつくり方についてお聞きしました。今回は、桑原家のキッチンと、愛用している調理道具や器について、お話を伺います。【連載】料理家のキッチンと朝ごはん
料理研究家やフードコーディネーターといった料理のプロは、どんなキッチンで、どんな朝ごはんをつくって食べているのでしょうか? かれらが朝ごはんをつくる様子を拝見しながら、美味しいレシピを生み出すプロならではのキッチン収納の秘密を、片づけのプロ、ライフオーガナイザーが探ります。築55年の戸建をリノベーション。月日を経て味わいを増すキッチン

「工場や学校っぽい雰囲気が好き」だという桑原さん。キッチンツールや家具なども、無駄な装飾を省いた業務用のものが好みだそうです。けれども、桑原さん宅のキッチンは「業務用」という言葉からイメージされる無骨さとは無縁の、あたたかみのある雰囲気。

窓枠には、自家製の梅干しやフルーツのシロップ、空き瓶や保存容器などをディスプレイするように並べて収納。インテリアとしてキッチンになじんでいます(写真撮影/嶋崎征弘)

窓枠には、自家製の梅干しやフルーツのシロップ、空き瓶や保存容器などをディスプレイするように並べて収納。インテリアとしてキッチンになじんでいます(写真撮影/嶋崎征弘)

あたたかな日が差し込むダイニングスペースには、雑種のキップル(左)、ハチワレ猫の小鉄(右)、黒猫のクロ(出演拒否)のふかふかベッドが仲良く並んでいました(写真撮影/嶋崎征弘)

あたたかな日が差し込むダイニングスペースには、雑種のキップル(左)、ハチワレ猫の小鉄(右)、黒猫のクロ(出演拒否)のふかふかベッドが仲良く並んでいました(写真撮影/嶋崎征弘)

12年前にリノベーションした築55年の一戸建ての窓枠や柱などを、当時のまま残していることが、ぬくもりを感じさせる一因のようです。そこに、てらいのないスタイリングを得意とする桑原さんの手が加わることで、甘すぎないけれども穏やかでほっとする、独自の世界観が築き上げられていました。

「クリナップ」の調理実習台。大勢で使うことを前提でデザインされたシンクは、手前からでも横からでも洗い物ができる仕様。作業台下の収納スペース奥側にはボウルなどの調理道具、手前には「無印良品」の密閉ボックスを並べ、小麦粉や砂糖のストックを収納(写真撮影/嶋崎征弘)(写真撮影/嶋崎征弘)

「クリナップ」の調理実習台。大勢で使うことを前提でデザインされたシンクは、手前からでも横からでも洗い物ができる仕様。作業台下の収納スペース奥側にはボウルなどの調理道具、手前には「無印良品」の密閉ボックスを並べ、小麦粉や砂糖のストックを収納(写真撮影/嶋崎征弘)

桑原家の家具やキッチンツールの大半は、素材がステンレスもしくは木、色は白でそろえられています。すべてのものを同じタイミングで集めたわけではないのに、素材感や色が統一されているから、ものを出しっぱなしにした「オープン収納」を取り入れていても、キッチン全体がすっきりと、まとまって見えます。

ステンレス製キッチンと調和する、淡いグレーの背面カウンターは「校庭にあった水飲み場のイメージ。小石を混ぜて固めたセメントを、職人さんが手作業で研ぎ上げてくれました」。使い込むほど味の出る素材です(写真撮影/嶋崎征弘)

ステンレス製キッチンと調和する、淡いグレーの背面カウンターは「校庭にあった水飲み場のイメージ。小石を混ぜて固めたセメントを、職人さんが手作業で研ぎ上げてくれました」。使い込むほど味の出る素材です(写真撮影/嶋崎征弘)

「調理台にも背面カウンターにも引き出しが少ないので、新たに引き出し付きのワゴンを買い足しました。仕事場っぽい雰囲気にしたかったので、家具より工具入れが合うのではないかと思って、ネットで探しました。キッチンまわりの細々としたものを整理するのにとても便利ですよ」

「トラスコ」の「エースワゴン」にスパイスやカトラリー、トングなどを収納。同行のカメラマンさんいわく、「フォトスタジオでもよく使われているスチールワゴンです。ぼくもほしい」そうです(写真撮影/嶋崎征弘)

「トラスコ」の「エースワゴン」にスパイスやカトラリー、トングなどを収納。同行のカメラマンさんいわく、「フォトスタジオでもよく使われているスチールワゴンです。ぼくもほしい」そうです(写真撮影/嶋崎征弘)

最初にリノベーションを行ったのは12年前ですが、その後も少しずつ手を加え続けている桑原家。「収納スペースの中に取り付ける予定だった固定式の棚板は、あえて2年ほど設置しなかったんです。実際に使ってみて、ここだと確信できてから取り付けを依頼しました」。3年前には、本格的な修繕工事も実施。当時予算の都合などもあり、建築家と相談のうえ後回しにしていた外壁や屋根などに手を加えたそうです。

ウォールナットのダイニングテーブルは190 x 100cm。テーブルに合わせた6脚のチェアはすべてデザイン違い。アメリカの工場用の照明は、アンティークショップで見つけたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

ウォールナットのダイニングテーブルは190 x 100cm。テーブルに合わせた6脚のチェアはすべてデザイン違い。アメリカの工場用の照明は、アンティークショップで見つけたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニングテーブル背面に置いた白い飾り棚は、桑原さんが大学生のときに買ったもの。「薬棚のようなたたずまいが気に入っています」。前面がガラス扉なので、美しいコーヒーカップやティーポットなどを飾りながら収納(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニングテーブル背面に置いた白い飾り棚は、桑原さんが大学生のときに買ったもの。「薬棚のようなたたずまいが気に入っています」。前面がガラス扉なので、美しいコーヒーカップやティーポットなどを飾りながら収納(写真撮影/嶋崎征弘)

気に入ったものを長く大切に使うことで、自然と生まれた”統一感”

前回、桑原さんが朝ごはんをつくる際に使用したキッチンツール一式はこちら。「気に入ったものは長く使うほうです。ゆで卵をつぶすのに使ったザル、野菜の水切りに使ったサラダスピナーは、わたしの実家で使っていたものを譲り受けました。20~30年以上前のものなので、残念ながらメーカーや商品名は分かりません……」

画像の上、2本は「ウェンガー」のブレッドナイフとスナックナイフ。右のゴムベラは、継ぎ目のない一体型を愛用。中央の小さなボウルは調味料や食材をちょこっと入れるのに便利なので、たくさん持っているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

画像の上、2本は「ウェンガー」のブレッドナイフとスナックナイフ。右のゴムベラは、継ぎ目のない一体型を愛用。中央の小さなボウルは調味料や食材をちょこっと入れるのに便利なので、たくさん持っているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

朝ごはんに合わせる水出しコーヒーは多めにつくって、冷蔵庫にストックしているとのことでしたが、「紅茶も多めに淹れて、冷蔵庫にストックしています。水出しコーヒーと同じように、アイスで飲みたいときはそのまま、ホットで飲みたいときは電子レンジで温めればいいだけなので手軽ですよ」。

コーヒーは「KINTO」のジャグに、紅茶は「HARIO」のティーサーバーにストック。コーヒーはストックを切らさないようジャグを2本使い、「1本がなくなりそうになったら、もう1本つくるようにしています」(写真撮影/嶋崎征弘)

コーヒーは「KINTO」のジャグに、紅茶は「HARIO」のティーサーバーにストック。コーヒーはストックを切らさないようジャグを2本使い、「1本がなくなりそうになったら、もう1本つくるようにしています」(写真撮影/嶋崎征弘)

水出しコーヒーは「iwaki」のウォータードリップサーバーで抽出しています。「サーバーの大きさが400mlちょっとなので、1本のジャグに2回分入れています。1回の抽出に4時間、2回だと8時間。時間はかかりますが、放っておくだけでできるので手間はかかりません」

お取り寄せしているコーヒー豆を、その都度「Bodum」のグラインダーで挽いて水出ししているそうです。時間をかけて抽出するため、苦みやエグみの少ない、さっぱりとまろやかなコーヒーが淹れられます(写真撮影/嶋崎征弘)

お取り寄せしているコーヒー豆を、その都度「Bodum」のグラインダーで挽いて水出ししているそうです。時間をかけて抽出するため、苦みやエグみの少ない、さっぱりとまろやかなコーヒーが淹れられます(写真撮影/嶋崎征弘)

「業務用」のキッチンツールのなかにも、桑原さんのお気に入りアイテムがあるそうです。例えば、あちこちで少しずつ集めたステンレスのメジャーカップは「計量するだけでなく、水分の多いものをすくったり、小さなボウル代わりに使ったり。多用途に使えるので便利です。無駄のないデザインで、見た目がシンプルなところも気に入っています」

お気に入りのメジャーカップの奥にあるスケールも業務用。「感度が高いので計量スピードが早く、精度も高いんですよ。業務用なので丈夫で、とても古いものですがまだまだ現役。壊れる気配はありません」(写真撮影/嶋崎征弘)

お気に入りのメジャーカップの奥にあるスケールも業務用。「感度が高いので計量スピードが早く、精度も高いんですよ。業務用なので丈夫で、とても古いものですがまだまだ現役。壊れる気配はありません」(写真撮影/嶋崎征弘)

砂糖・塩を入れている容器も業務用です。ステンレスふたの内側にある凸部分を本体ケースにひっかけると、ふたを開けたままにできるというスグレモノ(写真撮影/嶋崎征弘)

砂糖・塩を入れている容器も業務用です。ステンレスふたの内側にある凸部分を本体ケースにひっかけると、ふたを開けたままにできるというスグレモノ(写真撮影/嶋崎征弘)

工場や学校っぽい雰囲気が好きだとは言っても、「実用的なもの」ばかりではない桑原さんのキッチン。トースターの上に置かれた木製トングは、「はさみ型なのでトーストしたパンをはさみやすいんですよ。トングでトースターから取り出したパンは、木製トレーの上に置くと、溝にパンくずが落ちて散らからない仕組みなんです。かわいらしくて、いいでしょう(笑)」と、おちゃめに語ってくれました。

トーストだけでなく、お菓子やサラダをはさむのにも使いやすいという木製トング。よくあるステンレス製のトングよりあたたかみがあるので、テーブルにそのまま出してもスタイリングの邪魔になりません(写真撮影/嶋崎征弘)

トーストだけでなく、お菓子やサラダをはさむのにも使いやすいという木製トング。よくあるステンレス製のトングよりあたたかみがあるので、テーブルにそのまま出してもスタイリングの邪魔になりません(写真撮影/嶋崎征弘)

大好きな器を大事に収めるために設計した、天井まである大型収納

料理研究家という職業柄、桑原さんはたくさんの食器やグラス、スタイリング小物などをお持ちです。にもかかわらず、そういったものが出しっぱなしになっていないのは、シンク横に造り付けた大型タワー収納のおかげ。よく使う食器や調理道具はシンクのすぐ横の棚にまとめ、あまり使わない雑貨類は上の棚に保管しているそうです。

使用頻度の低いお菓子の型や木製トレーなどは、左側の棚に。スタイリング用に保管しておきたい小物のほか、あまり使わないホットプレートやたこ焼き機などは上段に収納。明確にゾーニングされていました(写真撮影/嶋崎征弘)

使用頻度の低いお菓子の型や木製トレーなどは、左側の棚に。スタイリング用に保管しておきたい小物のほか、あまり使わないホットプレートやたこ焼き機などは上段に収納。明確にゾーニングされていました(写真撮影/嶋崎征弘)

冷蔵庫のサイズに合わせて造り付けているため、収納スペースの奥行きは約70cmと深めです。奥行きが深いと食器棚としては扱いづらいものなのですが、桑原さんは手前に使用頻度の高いもの、奥側に使用頻度の低いものを収めることで、使い勝手をよくしていました。収めるものの高さに合わせて、棚板の幅が微調整されていることも、ものの探しやすさ、出し入れしやすさに直結しています。

グラス、マグ、平皿、小鉢、汁椀など、ジャンルごとにざっくり分類。お皿は似たサイズごとに重ねて収納しています。ココットや小さいグラスなど、こまごましたものはプラスチックのかごにまとめて取り出しやすく(写真撮影/嶋崎征弘) 

グラス、マグ、平皿、小鉢、汁椀など、ジャンルごとにざっくり分類。お皿は似たサイズごとに重ねて収納しています。ココットや小さいグラスなど、こまごましたものはプラスチックのかごにまとめて取り出しやすく(写真撮影/嶋崎征弘) 

「収納スペースがいっぱいなので、以前ほど食器を買わなくなりました。最近はお気に入りのショップに出かけても、見るだけのことが多いです。今使っているものが割れたり、欠けたりしたら、その分は買っていいことにしているんですが、食器って意外と丈夫で長持ちするんですよね(笑)。うちにあるものは、気がつくとどれも長いこと使っているものばかり。使い込むうちに愛着が増すように感じます」

「食器はまとめてそろえず、一枚ずつ集めてもいい」という桑原さん。おすすめは、「お皿なら、白い陶器のもの。磁器よりもあたたかみがあり、使うほどに味がでます。パスタでもカレーでも、おでんでも煮物でも、フルーツでも合いますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

「食器はまとめてそろえず、一枚ずつ集めてもいい」という桑原さん。おすすめは、「お皿なら、白い陶器のもの。磁器よりもあたたかみがあり、使うほどに味がでます。パスタでもカレーでも、おでんでも煮物でも、フルーツでも合いますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

グラスのおすすめは、「うすはりほど薄くないシンプルなタンブラーや、背の低いロックグラスのようなタイプが使いやすいと思います。ビールでもワインでも、お茶でもジュースでも、違和感なく使えます」(写真撮影/嶋崎征弘)

グラスのおすすめは、「うすはりほど薄くないシンプルなタンブラーや、背の低いロックグラスのようなタイプが使いやすいと思います。ビールでもワインでも、お茶でもジュースでも、違和感なく使えます」(写真撮影/嶋崎征弘)

よいものを長く大切に使いたいという想いが深い桑原さん。お母様から譲り受けたもの、大学生のころに買ったもの、アンティークショップで出合ったもの。桑原さんのキッチンには、時間をかけて集めたお気に入りがあふれていました。そのアプローチは、何年にもわたって手をかけ続ける家づくり、キッチンづくりにも表れています。

桑原さんのキッチンや愛用品を拝見し、そのお話を聞くにつれ、改めて「家づくりは急がなくていい」「いきなりゴールを目指さなくていい」のだと感じました。少しずつ積み重ねながら、時とともに味わいを増していく桑原家。ここから紡ぎ出される、素朴ながらも研ぎ澄まされたおいしいお菓子のレシピを、これからも楽しみにしています。

●前編はこちら
料理家のキッチンと朝ごはん[1]前編 オープン収納で取り出しやすく。桑原奈津子さんのサンドイッチレシピ●取材協力
桑原奈津子さん
広島市生まれ。幼少期をベルギーで過ごす。大学卒業後、カフェのベーカリー・キッチンを経て、大手製粉会社に入社。製菓・製パンメーカーへの試作・商品化に数多く携わる。その後、外資系の加工でん粉メーカーで研究職に従事。2004年独立、フリーの料理家に。著書に『小麦粉なしでかんたん、やさしい。お菓子とパン』(主婦と生活社)、『いっぴきとにひき』(大福書林)など多数。
>HP >Twitter >Instagram

料理家のキッチンと朝ごはん[1]後編 調理実習台が主役。道具・器は長く使えるいいものだけを集めた

スタイリングもこなす料理研究家として、雑誌や書籍でさまざまなお菓子のレシピを提案している桑原奈津子さん。前回は、定番の朝ごはんとそのつくり方についてお聞きしました。今回は、桑原家のキッチンと、愛用している調理道具や器について、お話を伺います。【連載】料理家のキッチンと朝ごはん
料理研究家やフードコーディネーターといった料理のプロは、どんなキッチンで、どんな朝ごはんをつくって食べているのでしょうか? かれらが朝ごはんをつくる様子を拝見しながら、美味しいレシピを生み出すプロならではのキッチン収納の秘密を、片づけのプロ、ライフオーガナイザーが探ります。築55年の戸建をリノベーション。月日を経て味わいを増すキッチン

「工場や学校っぽい雰囲気が好き」だという桑原さん。キッチンツールや家具なども、無駄な装飾を省いた業務用のものが好みだそうです。けれども、桑原さん宅のキッチンは「業務用」という言葉からイメージされる無骨さとは無縁の、あたたかみのある雰囲気。

窓枠には、自家製の梅干しやフルーツのシロップ、空き瓶や保存容器などをディスプレイするように並べて収納。インテリアとしてキッチンになじんでいます(写真撮影/嶋崎征弘)

窓枠には、自家製の梅干しやフルーツのシロップ、空き瓶や保存容器などをディスプレイするように並べて収納。インテリアとしてキッチンになじんでいます(写真撮影/嶋崎征弘)

あたたかな日が差し込むダイニングスペースには、雑種のキップル(左)、ハチワレ猫の小鉄(右)、黒猫のクロ(出演拒否)のふかふかベッドが仲良く並んでいました(写真撮影/嶋崎征弘)

あたたかな日が差し込むダイニングスペースには、雑種のキップル(左)、ハチワレ猫の小鉄(右)、黒猫のクロ(出演拒否)のふかふかベッドが仲良く並んでいました(写真撮影/嶋崎征弘)

12年前にリノベーションした築55年の一戸建ての窓枠や柱などを、当時のまま残していることが、ぬくもりを感じさせる一因のようです。そこに、てらいのないスタイリングを得意とする桑原さんの手が加わることで、甘すぎないけれども穏やかでほっとする、独自の世界観が築き上げられていました。

「クリナップ」の調理実習台。大勢で使うことを前提でデザインされたシンクは、手前からでも横からでも洗い物ができる仕様。作業台下の収納スペース奥側にはボウルなどの調理道具、手前には「無印良品」の密閉ボックスを並べ、小麦粉や砂糖のストックを収納(写真撮影/嶋崎征弘)(写真撮影/嶋崎征弘)

「クリナップ」の調理実習台。大勢で使うことを前提でデザインされたシンクは、手前からでも横からでも洗い物ができる仕様。作業台下の収納スペース奥側にはボウルなどの調理道具、手前には「無印良品」の密閉ボックスを並べ、小麦粉や砂糖のストックを収納(写真撮影/嶋崎征弘)

桑原家の家具やキッチンツールの大半は、素材がステンレスもしくは木、色は白でそろえられています。すべてのものを同じタイミングで集めたわけではないのに、素材感や色が統一されているから、ものを出しっぱなしにした「オープン収納」を取り入れていても、キッチン全体がすっきりと、まとまって見えます。

ステンレス製キッチンと調和する、淡いグレーの背面カウンターは「校庭にあった水飲み場のイメージ。小石を混ぜて固めたセメントを、職人さんが手作業で研ぎ上げてくれました」。使い込むほど味の出る素材です(写真撮影/嶋崎征弘)

ステンレス製キッチンと調和する、淡いグレーの背面カウンターは「校庭にあった水飲み場のイメージ。小石を混ぜて固めたセメントを、職人さんが手作業で研ぎ上げてくれました」。使い込むほど味の出る素材です(写真撮影/嶋崎征弘)

「調理台にも背面カウンターにも引き出しが少ないので、新たに引き出し付きのワゴンを買い足しました。仕事場っぽい雰囲気にしたかったので、家具より工具入れが合うのではないかと思って、ネットで探しました。キッチンまわりの細々としたものを整理するのにとても便利ですよ」

「トラスコ」の「エースワゴン」にスパイスやカトラリー、トングなどを収納。同行のカメラマンさんいわく、「フォトスタジオでもよく使われているスチールワゴンです。ぼくもほしい」そうです(写真撮影/嶋崎征弘)

「トラスコ」の「エースワゴン」にスパイスやカトラリー、トングなどを収納。同行のカメラマンさんいわく、「フォトスタジオでもよく使われているスチールワゴンです。ぼくもほしい」そうです(写真撮影/嶋崎征弘)

最初にリノベーションを行ったのは12年前ですが、その後も少しずつ手を加え続けている桑原家。「収納スペースの中に取り付ける予定だった固定式の棚板は、あえて2年ほど設置しなかったんです。実際に使ってみて、ここだと確信できてから取り付けを依頼しました」。3年前には、本格的な修繕工事も実施。当時予算の都合などもあり、建築家と相談のうえ後回しにしていた外壁や屋根などに手を加えたそうです。

ウォールナットのダイニングテーブルは190 x 100cm。テーブルに合わせた6脚のチェアはすべてデザイン違い。アメリカの工場用の照明は、アンティークショップで見つけたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

ウォールナットのダイニングテーブルは190 x 100cm。テーブルに合わせた6脚のチェアはすべてデザイン違い。アメリカの工場用の照明は、アンティークショップで見つけたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニングテーブル背面に置いた白い飾り棚は、桑原さんが大学生のときに買ったもの。「薬棚のようなたたずまいが気に入っています」。前面がガラス扉なので、美しいコーヒーカップやティーポットなどを飾りながら収納(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニングテーブル背面に置いた白い飾り棚は、桑原さんが大学生のときに買ったもの。「薬棚のようなたたずまいが気に入っています」。前面がガラス扉なので、美しいコーヒーカップやティーポットなどを飾りながら収納(写真撮影/嶋崎征弘)

気に入ったものを長く大切に使うことで、自然と生まれた”統一感”

前回、桑原さんが朝ごはんをつくる際に使用したキッチンツール一式はこちら。「気に入ったものは長く使うほうです。ゆで卵をつぶすのに使ったザル、野菜の水切りに使ったサラダスピナーは、わたしの実家で使っていたものを譲り受けました。20~30年以上前のものなので、残念ながらメーカーや商品名は分かりません……」

画像の上、2本は「ウェンガー」のブレッドナイフとスナックナイフ。右のゴムベラは、継ぎ目のない一体型を愛用。中央の小さなボウルは調味料や食材をちょこっと入れるのに便利なので、たくさん持っているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

画像の上、2本は「ウェンガー」のブレッドナイフとスナックナイフ。右のゴムベラは、継ぎ目のない一体型を愛用。中央の小さなボウルは調味料や食材をちょこっと入れるのに便利なので、たくさん持っているそうです(写真撮影/嶋崎征弘)

朝ごはんに合わせる水出しコーヒーは多めにつくって、冷蔵庫にストックしているとのことでしたが、「紅茶も多めに淹れて、冷蔵庫にストックしています。水出しコーヒーと同じように、アイスで飲みたいときはそのまま、ホットで飲みたいときは電子レンジで温めればいいだけなので手軽ですよ」。

コーヒーは「KINTO」のジャグに、紅茶は「HARIO」のティーサーバーにストック。コーヒーはストックを切らさないようジャグを2本使い、「1本がなくなりそうになったら、もう1本つくるようにしています」(写真撮影/嶋崎征弘)

コーヒーは「KINTO」のジャグに、紅茶は「HARIO」のティーサーバーにストック。コーヒーはストックを切らさないようジャグを2本使い、「1本がなくなりそうになったら、もう1本つくるようにしています」(写真撮影/嶋崎征弘)

水出しコーヒーは「iwaki」のウォータードリップサーバーで抽出しています。「サーバーの大きさが400mlちょっとなので、1本のジャグに2回分入れています。1回の抽出に4時間、2回だと8時間。時間はかかりますが、放っておくだけでできるので手間はかかりません」

お取り寄せしているコーヒー豆を、その都度「Bodum」のグラインダーで挽いて水出ししているそうです。時間をかけて抽出するため、苦みやエグみの少ない、さっぱりとまろやかなコーヒーが淹れられます(写真撮影/嶋崎征弘)

お取り寄せしているコーヒー豆を、その都度「Bodum」のグラインダーで挽いて水出ししているそうです。時間をかけて抽出するため、苦みやエグみの少ない、さっぱりとまろやかなコーヒーが淹れられます(写真撮影/嶋崎征弘)

「業務用」のキッチンツールのなかにも、桑原さんのお気に入りアイテムがあるそうです。例えば、あちこちで少しずつ集めたステンレスのメジャーカップは「計量するだけでなく、水分の多いものをすくったり、小さなボウル代わりに使ったり。多用途に使えるので便利です。無駄のないデザインで、見た目がシンプルなところも気に入っています」

お気に入りのメジャーカップの奥にあるスケールも業務用。「感度が高いので計量スピードが早く、精度も高いんですよ。業務用なので丈夫で、とても古いものですがまだまだ現役。壊れる気配はありません」(写真撮影/嶋崎征弘)

お気に入りのメジャーカップの奥にあるスケールも業務用。「感度が高いので計量スピードが早く、精度も高いんですよ。業務用なので丈夫で、とても古いものですがまだまだ現役。壊れる気配はありません」(写真撮影/嶋崎征弘)

砂糖・塩を入れている容器も業務用です。ステンレスふたの内側にある凸部分を本体ケースにひっかけると、ふたを開けたままにできるというスグレモノ(写真撮影/嶋崎征弘)

砂糖・塩を入れている容器も業務用です。ステンレスふたの内側にある凸部分を本体ケースにひっかけると、ふたを開けたままにできるというスグレモノ(写真撮影/嶋崎征弘)

工場や学校っぽい雰囲気が好きだとは言っても、「実用的なもの」ばかりではない桑原さんのキッチン。トースターの上に置かれた木製トングは、「はさみ型なのでトーストしたパンをはさみやすいんですよ。トングでトースターから取り出したパンは、木製トレーの上に置くと、溝にパンくずが落ちて散らからない仕組みなんです。かわいらしくて、いいでしょう(笑)」と、おちゃめに語ってくれました。

トーストだけでなく、お菓子やサラダをはさむのにも使いやすいという木製トング。よくあるステンレス製のトングよりあたたかみがあるので、テーブルにそのまま出してもスタイリングの邪魔になりません(写真撮影/嶋崎征弘)

トーストだけでなく、お菓子やサラダをはさむのにも使いやすいという木製トング。よくあるステンレス製のトングよりあたたかみがあるので、テーブルにそのまま出してもスタイリングの邪魔になりません(写真撮影/嶋崎征弘)

大好きな器を大事に収めるために設計した、天井まである大型収納

料理研究家という職業柄、桑原さんはたくさんの食器やグラス、スタイリング小物などをお持ちです。にもかかわらず、そういったものが出しっぱなしになっていないのは、シンク横に造り付けた大型タワー収納のおかげ。よく使う食器や調理道具はシンクのすぐ横の棚にまとめ、あまり使わない雑貨類は上の棚に保管しているそうです。

使用頻度の低いお菓子の型や木製トレーなどは、左側の棚に。スタイリング用に保管しておきたい小物のほか、あまり使わないホットプレートやたこ焼き機などは上段に収納。明確にゾーニングされていました(写真撮影/嶋崎征弘)

使用頻度の低いお菓子の型や木製トレーなどは、左側の棚に。スタイリング用に保管しておきたい小物のほか、あまり使わないホットプレートやたこ焼き機などは上段に収納。明確にゾーニングされていました(写真撮影/嶋崎征弘)

冷蔵庫のサイズに合わせて造り付けているため、収納スペースの奥行きは約70cmと深めです。奥行きが深いと食器棚としては扱いづらいものなのですが、桑原さんは手前に使用頻度の高いもの、奥側に使用頻度の低いものを収めることで、使い勝手をよくしていました。収めるものの高さに合わせて、棚板の幅が微調整されていることも、ものの探しやすさ、出し入れしやすさに直結しています。

グラス、マグ、平皿、小鉢、汁椀など、ジャンルごとにざっくり分類。お皿は似たサイズごとに重ねて収納しています。ココットや小さいグラスなど、こまごましたものはプラスチックのかごにまとめて取り出しやすく(写真撮影/嶋崎征弘) 

グラス、マグ、平皿、小鉢、汁椀など、ジャンルごとにざっくり分類。お皿は似たサイズごとに重ねて収納しています。ココットや小さいグラスなど、こまごましたものはプラスチックのかごにまとめて取り出しやすく(写真撮影/嶋崎征弘) 

「収納スペースがいっぱいなので、以前ほど食器を買わなくなりました。最近はお気に入りのショップに出かけても、見るだけのことが多いです。今使っているものが割れたり、欠けたりしたら、その分は買っていいことにしているんですが、食器って意外と丈夫で長持ちするんですよね(笑)。うちにあるものは、気がつくとどれも長いこと使っているものばかり。使い込むうちに愛着が増すように感じます」

「食器はまとめてそろえず、一枚ずつ集めてもいい」という桑原さん。おすすめは、「お皿なら、白い陶器のもの。磁器よりもあたたかみがあり、使うほどに味がでます。パスタでもカレーでも、おでんでも煮物でも、フルーツでも合いますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

「食器はまとめてそろえず、一枚ずつ集めてもいい」という桑原さん。おすすめは、「お皿なら、白い陶器のもの。磁器よりもあたたかみがあり、使うほどに味がでます。パスタでもカレーでも、おでんでも煮物でも、フルーツでも合いますよ」(写真撮影/嶋崎征弘)

グラスのおすすめは、「うすはりほど薄くないシンプルなタンブラーや、背の低いロックグラスのようなタイプが使いやすいと思います。ビールでもワインでも、お茶でもジュースでも、違和感なく使えます」(写真撮影/嶋崎征弘)

グラスのおすすめは、「うすはりほど薄くないシンプルなタンブラーや、背の低いロックグラスのようなタイプが使いやすいと思います。ビールでもワインでも、お茶でもジュースでも、違和感なく使えます」(写真撮影/嶋崎征弘)

よいものを長く大切に使いたいという想いが深い桑原さん。お母様から譲り受けたもの、大学生のころに買ったもの、アンティークショップで出合ったもの。桑原さんのキッチンには、時間をかけて集めたお気に入りがあふれていました。そのアプローチは、何年にもわたって手をかけ続ける家づくり、キッチンづくりにも表れています。

桑原さんのキッチンや愛用品を拝見し、そのお話を聞くにつれ、改めて「家づくりは急がなくていい」「いきなりゴールを目指さなくていい」のだと感じました。少しずつ積み重ねながら、時とともに味わいを増していく桑原家。ここから紡ぎ出される、素朴ながらも研ぎ澄まされたおいしいお菓子のレシピを、これからも楽しみにしています。

●前編はこちら
料理家のキッチンと朝ごはん[1]前編 オープン収納で取り出しやすく。桑原奈津子さんのサンドイッチレシピ●取材協力
桑原奈津子さん
広島市生まれ。幼少期をベルギーで過ごす。大学卒業後、カフェのベーカリー・キッチンを経て、大手製粉会社に入社。製菓・製パンメーカーへの試作・商品化に数多く携わる。その後、外資系の加工でん粉メーカーで研究職に従事。2004年独立、フリーの料理家に。著書に『小麦粉なしでかんたん、やさしい。お菓子とパン』(主婦と生活社)、『いっぴきとにひき』(大福書林)など多数。
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