2018年不動産市場を5つのキーワードで総括 注目は「消費増税」「不動産放棄制度」検討始まる

2018年もあと数日で終わりを迎えます。今年、不動産界隈では、どんな出来事が起こったのか。毎年恒例、5つのキーワードを元に2018年の不動産市場を振り返ってみましょう。今年は以下の5つのキーワードをピックアップしました。

【今年の注目5大キーワード】
キーワード1:免震・制振データ偽装
キーワード2:不動産放棄制度の検討
キーワード3:北海道胆振東部地震
キーワード4:消費増税
キーワード5:不動産テック協会設立

詳しくみていきましょう。

キーワード1:免震・制振データ偽装

タワーマンションなどに多く採用される免震・制振装置のデータが偽装・改ざんされ、市場に衝撃が走りました。仮に物件名が公表されていたら、風評被害によってこうした装置を採用する中古マンションが売れなくなるのではないかといった懸念もありましたが、数年前の免震ゴムデータ偽装事件と同様、マンション名の公表はなく、市場に影響は見られませんでした。データが改ざんされた装置に関しては、2年程度をめどに交換することが約束されていますが、折からの人手不足などから工期が長引いたり、個別物件名が出回ったりすると、その限りではないでしょう。マンション購入時にこうした詳細なデータを確認することは一般的ではありませんし、仮に確認できたとしても偽装を見抜くのは困難です。今後こうした不祥事のないことを祈るばかりです。

キーワード2:不動産放棄制度の検討

「都心」「駅前・駅近」「大規模」「タワー」といったキーワードで想起されるマンションなどは、2012年の民主党から自民党への政権交代以降、価格は上昇の一途をたどってきました。その一方で、空き家や所有者不明の土地などは増大し続けています。

こうした中、不要な土地のみを放棄できる制度(不動産放棄制度)を政府が検討し始め、「骨太の方針」にも盛り込まれました。現在はもし不要な不動産の相続放棄をしたくても、不動産だけを単独で放棄はできません。民法の規定では「所有者のない不動産は国庫に帰属する」といった規定はあるものの、具体的な手続きを定めたルールもありませんでした。これが具体的に法制化されると、その制度の利用者はかなりの数に上ることが予想されます。具体的な制度の詳細は不明ですが、来夏に公表される「空き家調査」(住宅・土地統計調査/総務省)では、全国の空家は1000万戸を超え、空家率は17パーセント程度にのぼると見込まれる中、不要な不動産の処理がある程度進む可能性があります。

キーワード3:北海道胆振東部地震

2018年9月には「北海道胆振東部地震」が発生。最大震度7、規模はマグニチュード6.7と大規模なものでした。ここ数年、大規模な地震や土砂崩れ、水害などが続き、日本はまさに災害列島であると思い起こされると同時に、その対策が模索される1年でした。個人が注意すべきこととしては、まず「建物の耐震性」と、さらには「地盤のゆれやすさ」、そして「土砂災害や浸水可能性」などの検討です。建物の耐震については診断や改修によって対応できますが、そもそもその建物がどのような土地にあるのかということを、強く意識する必要があるでしょう。同時に、こうした災害が起きた際に被害を最小限に食い止めることができるような都市計画の検討と実行が望まれます。

キーワード4:消費増税

2019年10月には8パーセントから10パーセントへの消費増税が予定されています。かつての増税時のように駆け込み需要やその後の大きな落ち込みがないよう、住宅には「住宅ローン減税期間の延長」や「住宅エコポイント」「すまい給付金」の付与などが検討されており、制度詳細いかんでは、増税前後に大きな影響はなさそうです。ただし建築費は高止まりを続けており、建設業などの人手不足は今後さらに加速することから、建築コストが下がる余地は今のところなさそうです。

キーワード5:不動産テック協会設立

IoTやブロックチェーン、AI・VRなどの新技術が注目される中、こうした技術を活用して不動産業界や市場に変革をもたらすべく「不動産テック協会」が11月に設立されました。同協会にはテックベンチャーのほか、大手不動産会社も加わり期待が集まっています。不動産とこうした技術との相性は非常に良く、不動産の未来は明るく楽しいものになるといいですね。

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18年はこの他にも「金融機関による融資データ改ざん」「地面師事件」「欠陥アパート問題」「都心部での児童相談所建設反対運動」など不動産関連の話題に事欠かない1年でした。さらには「EUの金融緩和縮小」「米の利上げ継続」といった方針が打ち出される中、基本的には国際的な協調が望まれる金融政策の中で、日本の金融緩和や低金利政策をいつまで継続できるのかといった大きな課題や、株価の変調も見られます。こうした中で19年の不動産市場がどうなるのか。次回のコラムでお届けします。

s-長嶋修_正方形.jpg長嶋 修  さくら事務所創業者・会長
業界初の個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクション(住宅診断)を行う「さくら事務所」を創業、現会長。不動産購入ノウハウの他、業界・政策提言や社会問題全般にも言及。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演等実績多数。【株式会社さくら事務所】

1日で正月を迎えられる状態に! 時短大掃除のポイントをプロが伝授

暮れも押し迫ってくると、気になりだすのは大掃除のこと。家を整えて気持ちよく正月を迎えたいと思う一方で、年末は仕事も山盛り、忘年会の予定も目白押しで忙しいですよね。そこで忙しい人に向けて1日で大掃除を終えるポイントとコツをプロにきいてきました。
年末の大掃除。時間がないときの“簡単に家の中をスッキリさせるワザ”

「新しい年を迎えるために、大掃除をしてきちんと家を整えたい」。そんな気持ちがありつつも、忙しい年末には大掃除まで手が回らないもの。それに、なんといっても寒くて掃除が辛いですよね。住まい方アドバイザーの近藤典子(こんどう・のりこ)さんによれば、気候的には冬は大掃除に適した季節ではないそう。

「暖かい季節なら、窓を開け放ってお掃除をしても辛くありませんよね。夏場は水気もよく乾きますし、軽装で体を動かせる。それに日も長いので、お掃除のしやすさでいったら、年末のような真冬よりも夏に軍配が上がります」(近藤さん)

とはいえひとつの区切りとして、年が改まる前にお掃除をしておきたい。そんな時に、おさえるべきポイントがあると近藤さんはいいます。

「お掃除は時間をかけて極めようと思えば、とても年末の1日では足りません。でも、忙しくて寒い年末に、全てを完璧にやろうとして消耗しなくてよいのです。年末には日々使う部分ではなく、ついつい後回しにして汚れを溜め込んでしまいがちなお掃除を簡単に効率よく片付けておきましょう。そこで時短でできて、格段に部屋がキレイに見えるポイントをお掃除すると、お正月を気持ちよく過ごせますよ」(近藤さん)

年末にやるべき掃除と、時短でキレイに見える掃除とは? さっそくその方法を教えてもらいましょう。

近藤典子さん 画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

近藤典子さん 画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

来年に持ち越してはいけないアノ汚れを、一気に取り払おう

大掃除というと、換気扇を外して洗ったり、バスルームのカビを徹底的に落としたりといった水回りの掃除に目がいきがちな人も多いのでは? ところが近藤さんによれば、重視するべきポイントは他にあるとのことです。

「水回りの掃除って、別に大掃除じゃなくてもいいと思うんです。料理は日々するものだし、お風呂も入りますよね。だから日常のなかの汚れが気になった頃合いに、休日を使って掃除してもよい。それよりも汚れのなかで一番の強敵は埃(ホコリ)です。埃落としは大掃除の機会にしっかりしておきたいですね」(近藤さん)

大掃除は1年の汚れを落とすだけではなく、来年も気持ちよく暮らしたいという願いを込めて行うもの。ならば知らない間に降り積もり、後々やっかいな汚れに変化してしまう“埃汚れ”こそ落とすべきだと、近藤さんはいいます。

「最初に埃が溜まりだした時は、吹いたら飛んでいくくらい軽いものです。ところがこれに湿気や生活汚れ、油汚れなどがつくと、張り付き現象が起こって、汚れのミルフィーユが形成されます。こうなるとこびりついてなかなか落ちないやっかいな存在に。たとえば油汚れも、油だけならすぐに落ちるんですよ。それに埃が張り付くから落ちにくい汚れになってしまうのです」(近藤さん)

床に溜まった埃は普段の掃除の際に取り去っている人も多いかもしれませんが、上部にも埃は溜まります。天井や棚の上など、家の上方は普段掃除しにくい箇所なので、大掃除でしっかり掃除しましょう。

埃を一掃する大掃除の手順は?

まず埃を落とす前に部屋にあるものをざっと片付けます。ここで気をつけるべきは「片付けることに一生懸命になりすぎない」こと。掃除と片付けは別物と心得ましょう。

「捨てられるものは捨てて、判断に迷うものは大きな袋に入れて自分の部屋に一時置き、年が明けてから徐々に片付ければよいのです。しまい込んでしまうと忘れるので、少し邪魔に思うくらいの目立つ場所に置いてくださいね。また埃を落とす前に窓や網戸を開けて風通しを良くしたら、レースのカーテンを外してソファや机、パソコンなどの埃がついて欲しくないものに掛けて置きます。埃落としが終わったら、そのレースのカーテンを外で叩いて埃だけ落とし、すぐに洗濯。脱水したレースのカーテンならそのままカーテンレールに掛けておけばすぐに乾き、一石二鳥ですよ」(近藤さん)

天井と壁は紙のモップで一気に埃を落とします。家具の表面も紙モップ。照明の電球部分の裏側は化学繊維のモップを使いましょう。
「10畳までぐらいのお部屋なら、ものの5~6分で埃落としが終わりますよ。そうしたら床も埃を集めて取り去ります。順番は上から下に行うこと。埃を取り去った後で拭き掃除をすれば、汚れが絡まらずに楽々と拭けるはずです」(近藤さん)

まず紙のモップと化学繊維のモップで埃をしっかりと落として取り去れば、その後の拭き掃除も楽になる(画像提供/PIXTA)

まず紙のモップと化学繊維のモップで埃をしっかりと落として取り去れば、その後の拭き掃除も楽になる(画像提供/PIXTA)

ココを磨けば、格段に部屋が輝いて見える! その箇所は?

部屋に降り積もった埃をリセットした後は、分かりやすく「部屋がキレイになった」実感を得られる場所を掃除しましょう。その場所とは、ズバリ“窓”なのです。

「窓掃除を難しく考えている人が多いのですが、とても簡単な方法があります。窓がキレイになると部屋が明るくなって、輝いて見えるのでお正月も気持ちよく過ごせますよ。しかも、一手間かけるだけで1年はキレイが長持ちする隠し技もあるんです!」(近藤さん)

近藤さんが窓掃除のために用意するのがストッキング。伝線したり使い古しでOKです。こちらの片足を切って袋をつくりストッキングの残りの部分をそのなかに詰めます。最後に切り口を縛れば、「ストッキングたわし」の出来上がりです。これが、窓を傷つけずに汚れを落とすのに、最適なのだそう。

道具は、このストッキングたわし、スクイージー、雑巾、バケツです。
手順は次のとおり。

1)ストッキングたわしで窓のガラスを円を描くようにこすり、静電気で表面の埃や汚れを取り除く
2)熱めのお湯で雑巾をゆるく絞り窓全体を洗うように拭く
3)窓の水滴をスクイージーで取り除く
※汚れが強い場合は1)と2)の間にストッキングたわしに住居用洗剤かクリームクレンザーをつけてこする

これでお掃除は終わり。とっても簡単なのに思いの外の出来栄えに、気分もアップしますよ。そして最後の仕上げに大切なのが「車の撥水剤を塗る」こと。

「塗るタイプの撥水剤を、窓ガラスの外側にだけ塗っておきます。撥水剤は水を弾いてくれるものですが、実は埃もつかなくなるのです。これで、1年は窓がキレイな状態が続きますよ。一年経ったらまたクリームクレンザーでコーティングを落としてお掃除し、撥水剤を塗りなおしましょう」(近藤さん)

また、網戸の掃除は大きな歯ブラシにも似た「洗車ブラシ」が役に立ちます。窓を閉めた状態で、網戸の目に沿って洗車ブラシでなぞるだけで、目の間に詰まった埃もキレイに取れてしまいます。

「車のボディ用の柔らかい洗車ブラシは毛足が長く、目に入り込んだ埃も簡単に取り除けます。またサッシの溝は掃除機のすき間ノズルに、ストローを貼り付けて一気に吸い取ってしまいましょう」(近藤さん)

憂鬱だった窓掃除が、この方法なら楽にできそうです。しかも、来年一年間、大掃除直後のキレイな状態が続くなら、ぜひ試してみたいですよね。

ストッキングたわしで窓を傷つけずに汚れを落とす(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

ストッキングたわしで窓を傷つけずに汚れを落とす(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

したたる状態の雑巾で洗い拭き(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

したたる状態の雑巾で洗い拭き(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

スクイージーは水や洗剤を切る際に便利(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

スクイージーは水や洗剤を切る際に便利(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

網戸は洗車ブラシでブラッシングするだけ!(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

網戸は洗車ブラシでブラッシングするだけ!(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

サッシはストローをつけたすき間ノズルで(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

サッシはストローをつけたすき間ノズルで(画像提供/近藤典子Home&Life研究所)

大変な労力をかけて大掃除をし、家中をピカピカにしたはよいけれど、そこで忙しい年末の限られた時間や気力を使い果たしてお正月……というのは、よくあるパターン。そんなことを繰り返さないためにも、今年は余力を残しつつ来年のお掃除のやる気を上げられる、“モチベーションアップ系”の時短大掃除にしてみませんか?

●取材協力
近藤典子Home&Life研究所