ミニチュア作家・田中智氏の世界におじゃまします! 1/12サイズの家はキッチンもスイーツもリアル

指に乗せたミニチュアの「とん汁」でブレイク。インスタグラム25万人のフォロワーをもつ、ミニチュア作家の田中智さん。現在は、国内外の個展や本の出版、ミニチュア教室の講師、クラフトメーカーのアドバイザーなど多岐に渡って活躍、世界から注目されている作家さんです。そんな田中さんに、ミニチュアの魅力をうかがいました。
思ったより小さい!1/12サイズだから表現できる世界観

1/12サイズのミニチュアの世界。家具、お皿、カトラリー、シューズ、アクセサリー、パン、ケーキ、観葉植物。実際に見ると、思ったよりも繊細で小さい!「みなさんがよく見る食玩やリカちゃんが1/6サイズ。だから、見慣れない大きさかもしれませんね」。1/12はドールハウスの基本サイズ。「実物の1/12サイズは、ギリギリ表現できるかできないかの小ささ。つくっていて、よくできたスケール感だなと思います。手のひらに置いて見たときに一目で全体像が分かるから、情報量もちょうどいい」。指を入れて撮影しないと、ミニチュアだと分からないリアルさに驚かされます。

「シンプルなものほど難しい」。特に、玉子かけごはんは、拡大して撮影することが前提なので、お米のひと粒ひと粒まで、ディテールにこだわる必要があるので気が抜けない(撮影/香西ジュン)

「シンプルなものほど難しい」。特に、玉子かけごはんは、拡大して撮影することが前提なので、お米のひと粒ひと粒まで、ディテールにこだわる必要があるので気が抜けない(撮影/香西ジュン)

子どものころからモノづくりが大好き

田中さんのモノづくりは子どものころから始まります。「ドラクエとかのゲームに出てくる武器を、自己流で紙粘土でつくり、水彩で着色までしていました」。昔のゲームは3Dではないので、正面は分かりますが、うしろまでは分かりません。「そこを想像しながらつくるのが好きだったんです」と笑いながら教えてくれました。

実際にミニチュアにハマったのは、トラックドライバーをしているころに出合った樹脂粘土。「それが実に衝撃的で。紙粘土でつくった食べ物はパサパサして美味しくなさそうだったのに、樹脂粘土は透け感があるので、食べ物独特の表面加工が自由にできる。素材が変わるとこんなにも美味しそうにできるのかと。ミリ単位のミニチュアは技術的にも難しく、どうやったらよりリアルになるのかと考えながらつくるのが面白くて、目に付いて面白そうなものは何でもつくっていましたね」

「好き嫌いしていたら技術的に上手くならない」と、自分が好きな携帯ゲーム機などの機械、女性が好みそうなケーキやパン、中華や洋食など、ローテーションでジャンルを変え、技術を磨いていった(撮影/香西ジュン)

「好き嫌いしていたら技術的に上手くならない」と、自分が好きな携帯ゲーム機などの機械、女性が好みそうなケーキやパン、中華や洋食など、ローテーションでジャンルを変え、技術を磨いていった(撮影/香西ジュン)

ミニチュアならではのリアル感、SNSでどう見せる?

作品で大切にしてるのは、世界観や雰囲気、説得力。「教室で生徒さんを抱えているので、つくる素材は絞りたい」と、素材は基本的に樹脂粘土「グレイス」を使いますが、布を紙で表現したり、粘土で表現できないときはプラスチックを使ったり。小さな瓶に貼るラベルは、通常の紙をヤスリをかけて薄くします。「完成がすべてで、プロセスは頭の体操」と田中さん。ふふ。子どものころと変わりませんね。ミニチュアのリアル感は、資料や写真、モノをしっかりと見ることも大切ですが、時にデフォルメすることも必要だそうです。
「写真を撮影することが大前提。だから、ミニチュアの顔(正面)や凹凸を意識して、光を当てたときの陰影まで考えながらつくります。いつも自分が撮影しているので、それは自然と身に付きました」

ミニチュアと撮影。そこには、田中さんとSNSの歴史があります。かなり早い段階からSNSに注目して、自分の作品を撮影しては公開。SNSのはしりと言われるHPの掲示板から始まり、ブログ、ツイッター、インスタとメディアを変えながら情報を発信していきます。「HPやブログは自分の認知度を知る手だてはありませんでしたが、ツイッターやインスタはフォロワーの数で自分の認知度が分かる。SNSが流行し始めた3、4年前に公開、1カ月くらいで1万2万と増えていく。そこでようやく、自分がやってきた手応えを感じました」

本当のカフェみたい!(撮影/香西ジュン)

本当のカフェみたい!(撮影/香西ジュン)

瓶についている紙は実際の紙をヤスリで削ってラベルにしてる(撮影/香西ジュン)

瓶についている紙は実際の紙をヤスリで削ってラベルにしてる(撮影/香西ジュン)

ミニチュアのプロセスは本当に試行錯誤。失敗することも多かったと言う。「今でこそ、紙を薄くする、なんて知識がありますが、昔は印刷してみたけど思い通りの色にならなかったと失敗ばかりでした」(撮影/香西ジュン)

ミニチュアのプロセスは本当に試行錯誤。失敗することも多かったと言う。「今でこそ、紙を薄くする、なんて知識がありますが、昔は印刷してみたけど思い通りの色にならなかったと失敗ばかりでした」(撮影/香西ジュン)

「実は、住宅建材会社で仕事をしていました!」

製作期間が1~1年半かかった力作・ドールハウスも、「あくまで小物の背景なんです」と田中さん。緑に囲まれたナチュラルスタイルの家とコンセプトを決めて、インテリア雑誌など10冊以上から研究。実際の主婦のディスプレイなどを参考に、自分なりのアウトプットを導きだし、ドールハウスをつくり込みます。

(撮影/香西ジュン)

(撮影/香西ジュン)

引き違い窓はちゃんとスライドできるし、ルーバー窓の透明のプラスチックは、傷がつくと交換できるようになっています。実は田中さん、以前アルミサッシ会社で働いていたことがあり、サッシを組み立てて住宅で設置する仕事をしていた経歴があります。「ここでちゃんと働こうかと思ったほど、楽しかったんです」と笑う田中さん。だから、ミニチュアも本格的で、通常の建築と同じように柱、壁とつくっていきます。「壁の組み合わせでドールハウスをつくると窓の部分をくり抜くのがとても大変。でも、線の連続だと窓部分が意外と簡単なんです」。建築と同じ方法で組み立てるほうが理にかなっている、というわけです。

家具は、実際のアンティーク家具の図面を1/12サイズに落とし込み、木からパーツをつくって組み立てます。「実際の家具と違うのが、1/12サイズだと0.1ミリの誤差が命とり。本当の家具より精密でないとダメなんです。木目によって歪みが出るので、木の大きさがそろっているものを購入するよう気を使います」

タイル貼りのキッチンに食器、瓶詰め、家電、お皿、気の遠くなるような、小物の数々。実際の職人の技を使った窓に注目!(撮影/香西ジュン)

タイル貼りのキッチンに食器、瓶詰め、家電、お皿、気の遠くなるような、小物の数々。実際の職人の技を使った窓に注目!(撮影/香西ジュン)

(撮影/香西ジュン)

(撮影/香西ジュン)

外壁の塗り壁にモールディング、看板、じょうろ、グリーンにラックと外観も手を抜かない。「もう終わろうかなと思ったら、1回寝かせて次の日に空間をつめる。その『あと一歩』を大切にしました」(撮影/香西ジュン)

外壁の塗り壁にモールディング、看板、じょうろ、グリーンにラックと外観も手を抜かない。「もう終わろうかなと思ったら、1回寝かせて次の日に空間をつめる。その『あと一歩』を大切にしました」(撮影/香西ジュン)

引き出しはすべて開閉するこだわりよう!ブルーグレーの食器棚は代々受け継がれて行くリペイント家具をイメージ(撮影/香西ジュン)

引き出しはすべて開閉するこだわりよう!ブルーグレーの食器棚は代々受け継がれて行くリペイント家具をイメージ(撮影/香西ジュン)

ミニチュアの世界を楽しむ。その市場を広げたい

田中さんがつくる世界観を求めて、地方自治体やさまざまな企業からオファーが殺到。海外でも注目度が高く、現在は台湾のお菓子メーカーのディスプレイ作品を手掛け、台湾での個展が控えていたり、ホビーショーに出展する模型メーカーの新色デモンストレーションに参加したり、多忙を極めていますが、後進の育成にもしっかり力を注ぎます。「ミニチュア教室を通してよりよい作家さんが出てくることも大事です。でも、生徒さんのなかには、つくる以外に、会話を楽しむ方もいれば、集めるのが好きな人もいます。ミニチュアに携わることでどんなカタチであれ楽しんでもらい、その市場を広げていくことも大切ですね」

自分の作品で言えば、「もっと効率的で発展したミニチュアの見せ方も考えていきたいですね。あとは、初期につくったかき氷機や電子レンジ、ゲームファミコンなどをもう一度つくってみたいです。いろいろなノウハウや当初のダメさも分かっているので、クオリティをあげていけるのも、楽しみかな」と田中さん。1/12サイズのミニチュアは、最初は「かわいい!」「すごい!」「インスタ映え!」とそのインパクトの強さに目を奪われますが、じっくりと対象物を見る観察力、素材選びとアプローチを考える思考力と再現力、何より「終わろうかな」と思ったとき「あと一歩」とがんばる粘り強さがあるからこその、このリアル感。そうやって作品を見ると、何だかワクワクしてきます。

生徒さんが趣味としてできるよう道具は100均で手に入りそうなものばかり、5000円くらいですべてそろう。日本のメーカーがクラフト用に出したアイテムを効率よくアレンジして、生徒さんに教えることも(撮影/香西ジュン)

生徒さんが趣味としてできるよう道具は100均で手に入りそうなものばかり、5000円くらいですべてそろう。日本のメーカーがクラフト用に出したアイテムを効率よくアレンジして、生徒さんに教えることも(撮影/香西ジュン)

●取材協力
田中 智(たなか とも)
食べ物や雑貨、植物など身近にあるものを題材にミニチュアを制作。こだわりをもちながらも独創的になりすぎず、見る人の目線を大切にし、共感してもらえるものづくりを心がけている。「nunu’s house」というブランド名で活躍中。大阪市在住。
著書に『田中智のミニチュアワーク』『田中智のミニチュアコレクション』『田中智のミニチュアスタイル』(学研プラス刊)がある。
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団地×リノベ×高円寺

所在地:杉並区高円寺北
13万9,000円 / 52.04平米
中央線「高円寺」駅 徒歩7分

気になるキーワードが並ぶ住まいの紹介です。

場所といい、昔懐かしい建物といい、刷新された室内といい、絶妙なバランス感を気に入ってくれる方も多いのではないでしょうか。



舞台は高円寺、元社宅だったしぶーい団地をテーマに、設計を担当したのはR不動産の馬場正尊率いるOpenA。2棟ある ... 続き>>>.
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「誠品生活」日本1号店、「COREDO室町テラス」に出店

東京・中央区に本年9月27日(金)、商業施設「COREDO(コレド)室町テラス」がグランドオープンする。その2階に、台湾から日本初進出となる「誠品生活日本橋」の出店が決定した。
「誠品生活」は、「Books, and Everything in Between.(本とくらしの間に)」のコンセプトのもと、読書と文化の交流を育む場づくりに注力し発展してきた台湾発の文化情報発信拠点。台湾をはじめ、香港、蘇州、深圳などの国・地域ですでに48店舗展開し、それぞれ異なったテーマでその都市の文化や特色を取り入れた店づくりを行っている。

日本第一号店となる「誠品生活日本橋」では、「くらしと読書のカルチャー・ワンダーランド」をコンセプトに、「誠品書店(書籍ゾーン)」、「文具ゾーン」、「セレクト物販・ワークショップゾーン」、「レストラン・食物販ゾーン」の全4ゾーンで構成(店舗面積約870坪)。日本橋の歴史や暮らしの中で受け継がれてきた文化を「誠品生活」ならではの感性で編集し、創造的で多彩な文化情報を発信していく。

「書籍ゾーン」では、日本語の書籍を中心に、一部中国語を含む外国語書籍も企画展とあわせて取り扱う。ジャンルも文学を軸として、人文、アート、デザイン、ビジネス、旅、料理など、豊富に展開。長さ約30メートルの「文学回廊」コーナーを設け、世界的名作文学を揃える。

「文具ゾーン」では、オリジナル文具をはじめ、書斎にふさわしいアイテムや画材・紙製品など、世界中の文具ブランドからセレクトしたデザイン性の高いものを揃え、文具にまつわる企画展やワークショップも定期的に開催していくという。

なお、店舗の運営は(株)有隣堂が担当。書店の枠にとらわれない文化色豊かな店舗運営を行っていく。

ニュース情報元:三井不動産(株)

福岡「西新」駅直結の新商業施設、全テナントが決定

東京建物(株)と(株)プライムプレイスはこのたび、西新エルモールプラリバ跡地にて開発中のタワーマンション「Brillia Tower 西新」(福岡市早良区)に併設する新商業施設「PRALIVA(プラリバ)」の全テナントを決定した。
同施設は、福岡市営地下鉄「西新」駅徒歩1分(駅直結)に立地する地上4階・地下2階建。2019年夏に開業し、九州初出店を含む36店舗が集結する。全体開業は2021年春で、約40店舗になる予定。

B2FとB1Fは食品を中心としたフロア。京都で人気の老舗ベーカリー「GRANDIR(グランディール)」が九州初出店。ちょい飲みができる「博多とりかわ大臣 プラス」といった、立ち寄ることで日常の食卓に楽しみをプラスできる多彩な店舗構成を予定している。

1Fのメインエントランス横には、憩いの場となるカフェ「プロント」が出店。ステーショナリーやコスメを集約した「プラットインキューブ」や、ペット雑貨「P2DOG&CAT」など、幅広いニーズに寄り添った店舗構成とした。

2Fはサービスやカルチャーを集積させたフロアで、九州初出店のキッズスクール「My Gym」、様々なジャンルの書籍を取り揃える「くまざわ書店」が出店。3Fはワンフロアまるごと「無印良品」で、日々の生活を豊かにするアイテムを揃える。

ニュース情報元:東京建物(株)

群馬「高崎駅」東口エリアで複合再開発、野村不動産など

野村不動産(株)、(株)佐藤総合計画及び(株)都市設計連合の三社で構成する共同企業体は、高崎駅東口栄町地区市街地再開発準備組合と一般業務代行基本契約書を締結し、「高崎駅東口栄町地区第一種市街地再開発事業」の事業化を目指して参画する。計画地は、JR「高崎」駅より徒歩5分に立地する約1.6ha。「高崎」の新たな都市集客施設となるべく複合再開発を行う。

同地区は、高崎市が定める「高崎市都市集客施設基本計画」において、文化都心・商都としての中心性や集積度を高める「創造・文化・発信」の場としての拠点とするべき地区に位置付けられている。このような位置付けを踏まえたうえで、今後は都市計画決定を経て、早期の本組合設立を目指す。

施行区域や施設用途・規模などは、今後、権利者や行政と協議し決定する。優れた立地特性にふさわしい都市機能の充実を図るべく、デベロッパーとして培った街づくりのノウハウを活用し、高崎の個性と魅力を発信する交流拠点となる街づくりを進めるという。

ニュース情報元:野村不動産(株)