
2,180万円(税込) / 69.33平米
小田急線「百合ヶ丘」駅 徒歩17分
公園と低層住宅が眼下に広がるロケーション。坂の上に立つレトロマンションの、1階リノベ済み区画をご紹介します。
南東に開口があり、開放感のある角部屋。朝から昼過ぎまであたたかい日がずっと差し込み、ワイドなLDKを明るく照らしてくれます。
床材は杉の無垢フローリング。さまざまな表 ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
住まい選びなどで重要視される駅からの所要時間。「駅近」とよく耳にするが、「駅近」に対する定義は特にない。そこで、リビン・テクノロジーズ(株)は、「駅近は徒歩何分までか」についてアンケート調査を行った。
調査は2019年5月16日~6月5日、首都圏在住の20歳以上の男女を対象にインターネットで実施。180人より回答を得た。
「駅近」は駅から徒歩何分までですか?では、最も多いのは「徒歩10分」で31.1%。「徒歩5分」が25.0%で続く。「徒歩16分以上」も10.0%いて、アンケート全体の平均は「徒歩8.2分」だった。
住むなら駅から徒歩何分までが許容範囲ですか?では、「10分」が最も多く40.0%。「15分」(23.9%)、「5分」(12.2%)、「16分以上」(7.8%)と続き、平均は「10.2分」だった。駅近=徒歩圏内と考えている人が多いようだ。
駅からどのくらい離れると遠くて住めないと思いますか?では、最も多かったのは「20分」で29.4%。「15分」(17.8%)、「26~30分」(12.8%)、「31~35分」(9.4%)、「10分」(7.2%)と続き、全体の平均は「23.5分」だった。
ニュース情報元:リビン・テクノロジーズ(株)
東武鉄道(株)は、東武スカイツリーライン浅草駅・とうきょうスカイツリー駅間の鉄道高架下において、商業施設と宿泊施設が一体となった高架下複合施設を、2020年春に開業すると発表した。墨田区向島1丁目に立地。延床面積約3,554m2(約1,075坪)の平屋建て(一部、2階建て)。隅田公園と北十間川の親水テラスに囲まれた東武鉄道の高架下にあり、新設される隅田川橋梁歩道橋と合わせ、浅草と東京スカイツリータウン間を楽しみながら歩いて回遊できる施設となる。
コンセプトは「Live to Trip」。近隣の方が旅するように過ごし、観光客には暮らすように滞在して欲しいという思いを込め、下町の魅力が感じられる店舗(飲食・物販・サービス)を誘致する。
また、宿泊施設にはワイズアウル(東京都渋谷区)の運営するホステルが開業。国内外の宿泊需要に対応するほか、カフェラウンジやイベントスペースも併設。にぎわいを創出するコミュニティ型ホステルとなっている。
ニュース情報元:東武鉄道(株)
(株)東京カンテイは6月27日、2019年5月度「中古マンション価格天気図」を発表した。これは、全国47都道府県のファミリータイプ中古マンション流通事例価格を月ごとに集計し、価格変動を「天気マーク」で表示したもの。それによると、5月は「晴」が22から18地域、「雨」が3から1地域に減少。「曇」は10地域で変わらず。「小雨」は2から4地域、「薄日」は10から14地域に増加した。47都道府県のうち前月比価格が下落した地域数は26から19地域に減少。前月の全国的な弱含みは和らいだ。
首都圏は、東京都が前月比±0.0%の横ばい。神奈川県は0.3%、千葉県は0.9%、埼玉県は2.1%それぞれ上昇し、首都圏平均で1.3%の上昇となった。近畿圏は、大阪府が0.2%上昇、兵庫県は1.2%下落、京都府は2.9%上昇。近畿圏平均は1.5%の上昇となった。中部圏は、愛知県で0.3%、岐阜県で2.5%、三重県で2.0%それぞれ下落。静岡県では2.2%上昇し、中部圏平均では0.8%の上昇となった。
地方圏をみると、北海道は前月比1.0%上昇し1,658万円、札幌市は0.1%上昇し1,717万円。青森県は2.9%上昇し1,485万円。県内の事例の過半数を占める青森市で3.4%上昇した影響で、同県の価格が上昇した。宮城県は1.5%上昇し2,013万円、仙台市は1.7%上昇し2,078万円。
広島県では2.6%上昇し2,118万円、広島市は2.1%上昇し2,214万円。福岡県は3.3%上昇し2,013万円、福岡市は2.9%上昇し2,417万円。福岡市では最も事例の多い中央区で6.3%、次いで事例の多い東区で0.6%、博多区で2.1%それぞれ上昇し同市の価格が上昇となった。
ニュース情報元:(株)東京カンテイ
国土交通省はこのたび、2019年3月の「不動産価格指数(住宅)」と、2019年第1四半期の「不動産価格指数(商業用不動産)」を発表した。指数は2010年の平均を100としている。
それによると、3月の全国の住宅総合は前年同月比1.6%増の115.5、52ヶ月連続して前年同月比で上昇した。住宅地は104.2(前年同月比+0.7%)、戸建住宅は103.3(同-0.7%)、マンション(区分所有)は148.6(同+4.6%)。
都道府県別でみると、東京都の住宅総合は126.0(対前年同月比+1.3%)、住宅地は116.0(同-2.8%)、戸建住宅は106.8(同-2.5%)、マンションは148.7(同+5.9%)。大阪府の住宅総合は124.5(同+3.8%)、住宅地は122.5(同+11.3%)、戸建住宅は102.2(同-3.4%)、マンションは155.6(同+4.5%)。
また、第1四半期分の全国の商業用不動産総合は124.2(前年同月比+0.6%)。店舗は144.5(同+4.7%)、オフィスは138.5(同+1.6%)、マンション・アパート(一棟)は136.0(同±0.0%)だった。
ニュース情報元:国土交通省
共働き家庭の増加に伴い、流行している「作り置き料理」。さまざまな家事代行マッチングサービスで探した家政婦さんに、作り置き料理を依頼することも一般的になった。しかし、せっかく頼んだ作り置き料理を「100%おいしく食べきるのは難しい」という声も聞こえるようになった。食べきれずに捨ててしまった。冷蔵しておいたら水っぽくなってしまったり、冷凍保存したものをレンジでチンしたらスカスカになったり――。筆者にも似たような覚えがある。こういった事態はどうしたら防げるのか? 「作り置きブーム」を巻き起こしたフリーランスの家政婦、タサン志麻さんに聞いた。
調理前のオーダー方法も大切
志麻さんによると、どうやら作り置き料理をおいしく食べきるにはいくつかのポイントがあるようだ。まず大切なのは「調理前のオーダー」とのこと。どうやって依頼するのが適切なのか、詳しく聞いてみよう。
――「調理前のオーダー」というのは、家政婦さんに作り置き料理をオーダーするときのことですね。
志麻さん:そうです。“食“ほど好みが分かれるものはありません。外食のときですら、個人の食べたいものや好き嫌いははっきり分かれますよね。食べるものは、相性がすごく出てしまうんです。毎日食べる家庭料理であればなおさらです。相性のよい家政婦さんを見つけるためにも、とにかくつくってもらう前に、家政婦さんとよくコミュニケーションをとるといいと思います。
――コミュニケーションの取り方について、志麻さんはどんなことを心がけていますか。
志麻さん:まず家族構成や生活スタイルをヒアリングします。ただ4人分、という分量だけではなく、食べるリズムについても聞いておきたいですね。例えば4人家族でも「夫が仕事で夜は食べないんです」というご家庭もあります。好き嫌いやアレルギーについても、はっきり要望がある人ははじめに伝えるとよいと思います。
一口に作り置き料理といっても、人によって求めている内容は全く違うんです。品数を重視する人もいれば、「そんなに量はいらないから手の込んだ料理を」という人もいます。また「完成品でなく、最後にちょっとだけ自分で手を加えたい」という方もいます。例えば、作り置きグラタンを冷凍しておくからつくってほしい、でも最後にチーズをかけてオーブンで焼くところは自分でやりたい、とかね。保存方法についても、冷蔵派と冷凍派に好みが分かれますね。
作り置きに向く料理と向かない料理がある――私自身も作り置きを頼んでいたのですが、最後までおいしく食べきるのが難しいときがありました。「3日間は持つ」と言われていたのに、その前に水分が出ておいしくなくなってしまったり、冷凍しておいたものをいざ食べようと温めたらソースが分離してしまったりしたことがあります。
調理法などについて語る志麻さん(写真撮影/富谷瑠美)
志麻さん:作り置きや冷凍保存には、向いている料理とそうではないものがあるんです。例えば私はフレンチ出身ですが、じっくり煮込んで素材の水分を飛ばすフレンチは、冷凍できる料理が多い傾向があります。フランスには、ピカールという冷凍食品スーパーが存在するくらいですから。ワインやコンソメ、クリームソースなどを使ってしっかり煮込む洋食の煮込み料理は冷凍しても状態が変わりにくいのです。
一方で、さっと火を通す和食は、水分が多く素材に残っていることがあり、一般的には保存には適していないといわれています。私の場合は、和洋中なんでもつくりますが、冷凍してもおいしく食べられるものと、冷蔵で2日くらいで食べきっていただくものを交ぜてつくるようにしています。
私は料理の仕事は長いのですが、家政婦になったときにあらためて作り置き料理についてしっかり学ぶ必要性を感じ、いろいろと研究しました。作り置きは特殊です。温めなおしておいしいものは、つくりたてでおいしい料理とは違いますから、つくり手がしっかりと知っておかないといけないことだと思います。
「小分けにラップをしてジップロック」まで頼んでいい――保存についてはいかがでしょうか。つくってもらえるのは助かるのですが、帰宅して数々のお料理がタッパーやお皿にどーんと盛られていると、家族の分をすべて一食ずつ取り分けて、ラップに包んで冷凍するのが意外と大変で……。それくらい自分でやるべきかなとは思うのですが。
ある日筆者が頼んだ作り置き料理。これを小分けにして保存するのはなかなかの手間(写真撮影/富谷瑠美)
志麻さん:私の場合は、例えば「子どもの分のハンバーグをお弁当に入れたいの」と言われたら、その日の晩御飯の分に加えて、子どものお弁当用は小さくつくって、ラップをしてジップロックに入れて冷凍しておく、ということをします。保存するところまでお願いしてしまっていいと思いますよ。
――以前、小分けにして保存するところまでお願いしたことがありました。しかしそのときは「品数をつくるためにギリギリまで調理しているので、冷めないから無理です」と言われてしまいました。
志麻さん:作り置きがブームになって、品数をとにかくたくさん作れるのがいいことだ、といった風潮があるのには違和感があります。つくるほうからすると、数だけを重視するとどうしても手の込んだ料理を敬遠しがちになります。とにかくたくさんつくってほしい、という方ばかりではありませんし、それで余計な手間が増えてしまったり、おいしく食べられなかったりするのでは本末転倒という気がしてしまいますね。
いきなりレンチンせず、先に「解凍」を――最後に、冷凍した作り置きをおいしく食べるコツはありますか。
志麻さん:凍ったまま、レンジでいきなり温めないことですね。レンジで急激に火を入れると、外側だけはやく溶けて煮詰まってしまい、中はまだ冷たい、といった加熱ムラが起こりがち。味も均一ではなくなってしまいます。
――ある作り置き料理のレシピ本には「朝出勤前に、夜の献立を考えて冷凍庫から一食分の作り置き料理を冷蔵庫にうつしておき、帰宅後はオーブントースターでじっくり温めて食べるとおいしく食べられる」と書かれていました。しかし朝は保育園送りに気を取られて解凍を忘れたり、帰宅後は子どもがおなかをすかせていたりと、ついいきなり「レンチン」してしまうことが……。
志麻さん:簡単です、レンジに凍った作り置き料理を入れて、まず「解凍」ボタンで解凍してから「レンジでチン」。がちがちに凍ったものにレンジでがっと火が入ってしまうよりは、そのほうがむらなく温められるのでおいしく食べられますよ。
日本人も、もっと食卓を楽しもう――今日お話を聞いて「作り置きを頼んでいる家政婦さんに、もっといろいろお願いしてもいいのかも」と思うようになりました。
志麻さん:そう思います。忙しいから家政婦を頼んでいるのですから、どんどんコミュニケーションをとって、お願いしたいことは積極的に伝えるとよいと思います。
家政婦マッチングサービスの流行で家政婦さんのチョイスが増えている分、いろいろなスキルの人がいるのも確かです。スキルだけではなく相性も大切なので、自分の要望をなるべく細かく伝え、それをかなえてくれる人が見つかるまで、何人かにお願いして試してみるとよいのではないでしょうか。
日本だとどうしても「一汁三菜が基本」といわれたりしますけれども、私が好きなフランスの食卓は、料理はすごくシンプル。でもみんなで食卓を囲んで話をしながらおいしく食べる、その時間がかけがえのないものなんです。家で食べるお料理をもっと楽しく、もっと簡単につくれるように。そしてそのことで、ご家族で食卓を囲む時間が少しでも長くなるように。私自身も精進していきたいと思っています。
富士山などに散乱するゴミ問題に着目した清掃登山活動で有名な登山家の野口健さんは、東日本大震災やネパールの大地震、熊本地震でも支援活動を行い、熊本の避難所に被災者用のテントを張る「テント村」活動も展開している。
命がけで数々の険しい登山に成功し、被災地での様子を見続けてきた彼は、日本での地震や津波、豪雨などの震災発生時に最大1週間、自分の力で生き延びれば、自衛隊の助けを得られるなど何とか生き延びることができると言う。「自分の命は自分で守る」ために、個人として日ごろからどのような「防災対策」をしておくべきだろうか。経験談をもとに考えを聞いた。
被災者のストレス軽減につながった「テント村」
――2016年4月に熊本地震が発生後、避難所にテント村をつくったきっかけは何ですか?
プライバシーの確保が難しいので、長期間避難所にいると誰でもイライラしてきます。幼い子どもがいると周りに迷惑をかけるし、子どもたちもストレスを感じてしまう。そもそもペットがいるご家庭は避難所に入れません。そんな方たちはやむなく車中泊になりますが、肉体的に辛いですし、エコノミークラス症候群で命に危険が及ぶかもしれない。そんな状況を見て、何ができるかと考えたときに、ヒマラヤ登山でのベースキャンプの経験が役立つと思いました。つまり「テント村」をつくるということです。
陸上競技場の外周に市販のテントを1m間隔で並べる。「これだけでも、避難所で過ごすよりはプライベートを保つことができ、ストレスが軽減します」(野口さん)(写真撮影/片山貴博)
余震が続く中、屋根がある避難所で過ごすと、いつ天井が落ちてくるか分からないため恐怖を感じます。その点、歩いて動けるぐらいの高さがあるテントなら天井が落ちる心配もないし、閉塞感もさほど感じません。車中泊や、避難所のシーツで仕切られた区画で寝るぐらいなら、寝袋で寝る方が快適だし、アウトドアグッズは色が鮮やかなので、気持ちも暗くなりにくいんです。また隣のテントとの間を1m以上空けることができれば、意外と隣の話し声が気にならず、ある程度のプライベート空間を持つことができます。
そうして実際に、陸上競技場のグラウンドの外周にテントを張ったところ、車中泊の方だけでなく、避難所で過ごされていた方も移動して来られ、300人分のテントを張る当初の予定が、その倍の600人弱を収容できる分のテントを張ることになりました。昼間はグラウンドの真ん中で子どもたちが走り回るなど、キャンプ場のような雰囲気になるので、目の前の光景が明るくなりました。
「アウトドア用品は明るい色が多いし、広々としたグラウンドを子どもたちが笑いながら走り回っている光景が目に入ると、元気が出てきます」(野口さん)(写真撮影/片山貴博)
何よりもうれしかったのが、テントを張っていた期間、救急搬送が1人も出なかったことです。「避難所暮らしをしていると体調を崩す人が多いのですが、これはなかなかないことですよ」と医療関係者の方に言われたぐらい、テント村は被災者のストレス軽減につながったと思います。ストレスは人間の健康に及ぼす害が大きいので、災害後は少しでも軽減するよう環境を整えることが大事ですし、何があっても動じない心を養うことも大事だと思います。
―――どうしたら災害後に動じない心を養えますか。
2018年6月23日にタイ王国・チエンラーイ県のタムルアン森林公園内の洞窟で、地元のサッカーチームメンバーのコーチ1人と少年12人が閉じ込められました。残念ながら救出に向かった1人のダイバーは亡くなりましたが、7月10日に全員無事に救出されたニュースは記憶にある方も多いでしょう。電気もなく、水位がどんどん上がっていく不安しかない中で、10日間以上も閉じ込められたら、ノイローゼになったとしても不思議はありません。でも救助に来た救助隊にしがみつくわけでもなく、泣きながらパニックになるわけでもなく、子どもたちが淡々と会話をしていた映像を見たときに、国民性というものもあるかもしれませんが、育ってきた環境の影響も大きいのではと思いました。
タイでは「ボーイスカウト活動」が義務教育なんです。チームワークの重要性や役割分担の中での責任感、リーダーシップやフォロワーシップを自然の中で学んでいます。1つの課題に向けて一致団結して進める能力、総合的な人間力が身についていたからこそ、パニックになる子どもがいなかったのでは、と思うんです。
「自然の中で遊ぶという子どもたちは減少しているように思います」(写真撮影/片山貴博)
だから、幼いころからボーイスカウトに所属して自然の中でさまざまな経験をしたり、家族でキャンプに出かけて楽しみながら役割分担などを行ったりするアウトドア体験は、災害時に役立つと思います。
また、普段から家や会社など自分が過ごすエリアの地盤をハザードマップでチェックし、家族会議を開いて、災害時にどこに避難して、どこで集合するなどの打ち合わせをしておくだけでも、パニック状態に陥りにくいのではないでしょうか。
「プチ・ピンチ」の経験が生き抜く力につながる――環境学校を開催され、子どもたちが自然と触れ合う機会をつくっていらっしゃいますが、災害時に役立つ経験につながることも目的なのでしょうか。
最初は、子どもたちに自然の素晴らしさを知ってもらって、自然環境を守ってもらいたいという考えでした。でも実際に始めると環境を守る以前に、自分の命を危険から守ることができない子どもたちが多いことに驚いたんです。
例えば、シーカヤックの乗り方を教えて転覆したときの脱出方法を練習させますが、実際に足がつく浅瀬で子どもが乗っているカヤックをひっくり返すと、カヤックの底を見せたまま何の動きもしない子どもたちが何人もいました。水中に潜って見てみると、子どもはパドルを握った姿勢のまま固まっているので、急いで引っ張り出しました。地上で練習して知識を身につけたけど、いざ危険な状況になると頭が真っ白になり、動けなくなってしまうんです。それは災害時も登山でも同じで、頭が真っ白になって固まったり、パニックになったり、諦めやすい人ほど、助かる可能性は低くなります。
本文の内容とは別の日に行われた、小笠原での環境学校(写真提供/野口健事務所)
だから自然の中で小さな失敗、怖かった経験、凍える状況などの「プチ・ピンチ」を体験することは大事です。人は死ぬかもしれないという危険に晒されたときに、死を感じた分だけ生きたいと思う、生に対する執着心が大きくなるもの。「絶対におぼれたくない」と思って必死にカヤックから抜け出そうとし、反射神経や自己防衛力などが磨かれるように思います。
それが分かってから「プチ・ピンチ」やチームワークを経験させるために、僕は環境学校に近場の岩登りや富士山に登るといったメニューを取り入れました。最近は危ないからと禁止している学校もありますが、木登りは手軽に「プチ・ピンチ」がつくれる遊びの1つです。アウトドアこそ防災術になると思いますね。
――ご自身のお子さんに経験させている「プチ・ピンチ」は?
環境学校では事故につながるといけないので、「プチ・ピンチ」にとどめていますが、自分の娘には時に死を感じるほどのもっと大きなピンチを経験させています(笑)。
野口さんの講演会や取材現場などに一緒に出向き、父親の話を熱心にノートに記録する娘の絵子さん。富士山の清掃や被災地の支援活動に向かう父の背中を見て育った(写真撮影/片山貴博)
娘の初登山は小学校4年生の時で、冬の八ヶ岳に連れて行きました。マイナス17度という低い気温の猛吹雪で、ほっぺが痛いし、服も濡れて凍えるほど寒いし、精神的にも追い詰められて「もう助からないかも」と彼女は泣きべそをかいていました。僕自身、山頂まで行くのは無理だと思いつつも、「娘に自然を体験させる」というテーマがあったので、「泣いてないでちゃんと岩を掴みなさい。泣いて助かるものは山にないよ」と語りかけていました。山頂から2時間ほど手前にあった山小屋でひと休みしながら、「今日はここまで。山には『していい無理』と『してはいけない無理』がある。ここから先は『してはいけない無理』だから下りるよ」と伝え、下山しました。
ヒマラヤ登山をする野口さんと絵子さん(写真提供/野口健事務所)
(写真提供/野口健事務所)
翌日テレビで、八ヶ岳で遭難して凍死したというニュースが流れました。僕らが撤退した同じ時間帯に登っていたパーティーで、吹雪の中で立ち往生してしまったとのこと。そのニュースを見て僕は、死を身近に感じるような強烈な経験をしてしまった娘がトラウマにならないかと心配しました。親に殺されかけたんですからね。でも彼女は「してはいけない無理だったんだね」と納得していました。「絵子さん(娘さんの名前)は、またパパと山に登りたいですか?どうですか?」と聞くと、「なんでそんなことを聞くの?」と言いながら、「リベンジする」と言いました。そして中学校1年の冬に、一緒に登り切りました。頂上で「やったね!」というと、「パパ、無事に下山するまでが登山だよ」と生意気にも言われてしまいました(笑)。
最近では一緒に15時間以上山道を歩いたり、ヒマラヤに登ったりもしていますが、予定外のことが起こっても彼女は簡単にパニックにならないようになりました。こうした自然環境の中で養われる経験こそ、自身の危機管理能力やメンタル力の向上につながっているように思います。
「よくトラウマにならなかったよね?」と絵子さんに語りかける野口さん。「どうしてもリベンジして登りたかったから」と絵子さんは微笑む(写真撮影/片山貴博)
家にテントを張って寝袋で寝てみる――防災グッズを準備しておくだけではあまり意味がないんですね。
準備することで満足しているだけでは、災害時にいざ使おうと思ってもうまく使えません。防災グッズの1つとしてテントを購入しても、納戸にずっとしまいっぱなしでは、いざというときに組み立てられないでしょう。テント内に細いロープを張ると洗濯物を吊るしたり、ランタンを吊るしたりすることもできますが、知らないとどう道具を使えば快適に過ごせるかも分からない。だから普段から使うことが大事になります。
そもそも「防災」という切り口から入っても、起きるか起こらないか分からないネガティブな状況を考えることは面白くないから、防災意識は定着しないように思います。だったら、趣味や遊びといったアウトドア体験を楽しんで、自ずと防災意識や経験も身についている方が、よっぽどもしものときに役立つと思うんですよね。
テントには不思議な魅力があります。登山での山小屋やテントの中の方が普段の生活よりも、娘がよく喋ってくれるんですよね。親子のコミュニケーションの場にもなっていると思います。また、友人であるレミオロメンの藤巻亮太さんとヒマラヤに3~4年ほど毎年正月に登っていたんですが、テントを張って日本酒を並べて飲むんですよ。二人で「何よりの贅沢だな」と言いながら楽しみました。
そんな楽しいと思えることこそ、継続できます。最初はご自宅の庭や屋上、駐車場などにテントを張って、家族並んで寝袋で寝てみてもいいと思います。1人用の小さなテントならマンションのベランダでも張れるのではないでしょうか。少しずつハードルを上げて、今まで3日間観光地巡りをしていた旅行を、「湖畔で3日間キャンプ」に変えてみてもいいでしょう。
日本人は真面目なので机上で防災知識を学ぼうとしますが、いくらインプットしてもいざというときに実践できなければ意味がありません。可能な限りパニックにならず、適切な判断力を身につけるには経験しかない。自分たちでできる範囲のアウトドアを楽しむことから始めてみてください。
●取材協力