JR東日本の社宅と寮をリノベーション。“まちのホーム”「リエットガーデン三鷹」

日本では木造であっても、コンクリート造であっても、築30年~40年で建物が取り壊され、建て替えられることが少なくありません。そんななかで、リノベやコンバージョン(用途変更)などで、建物を活かしつつ、再活用する動きが年々、増えてきています。そんなケースのひとつ「リエットガーデン三鷹」をご紹介しましょう。
ファミリー向け賃貸住宅、シェア畑、シェア型賃貸住宅からなる複合施設

「リエットガーデン三鷹」があるのは、東京を背骨のようにまっすぐ走る中央線の「三鷹駅」と「武蔵境駅」から徒歩圏内の住宅街です。目の前にJR東日本の三鷹車両センターがある敷地で、もともとはJR東日本の独身寮と社宅として使われていました。それらの建物と敷地をリノベーションしてできたのが「リエットガーデン三鷹」です。

「リエットガーデン三鷹」のすぐ目の前にあるJR東日本の三鷹車両センター(写真撮影/嘉屋恭子)

「リエットガーデン三鷹」のすぐ目の前にあるJR東日本の三鷹車両センター(写真撮影/嘉屋恭子)

今年3月にファミリー向け賃貸住宅の「アールリエット三鷹」が、7月にシェア型賃貸住宅の「シェアプレイス三鷹」、サポート付きの貸し農園「シェア畑」が完成、過日、内覧会が行われました。

「リエットガーデン三鷹」の一番の特徴は、7200平米の広々とした敷地に2つの建物が建っている点です。駐輪場やバイク置き場など充実した共用施設のほかに、「森の広場」や「食の広場」などがあり、住民が自由に使えるようになっています。ファミリー向け賃貸住宅の「アールリエット三鷹」では、こうした敷地の「ゆとり」を魅力にあげる人が多く満室となっております。

「現在、住宅を開発しようとしたら、ここまでゆとりのある設計ではできないと思います。建物は1981年築ですが、リノベーションしてあって古さを感じさせません。視界に緑がたくさん入り、のびのび過ごしたいというカップル・ファミリーに大変好評で、現在満室稼働中です(取材時点)」と教えてくれたのは、ジェイアール東日本都市開発のオフィス住宅事業部・大竹涼土氏さん。

土地売却ではなくなぜリノベ? その狙いは?

通常、社宅や寮を活用する場合、一度更地にして、敷地面積を最大限活かした賃貸または新築マンションになるのが一般的です。では、なぜ今回はリノベーションという手法だったのでしょうか。

リノベーション前の建物。味わいはあるものの、経年を感じさせるつくり(写真提供/リビタ)

リノベーション前の建物。味わいはあるものの、経年を感じさせるつくり(写真提供/リビタ)

前出の大竹涼土氏によると、「弊社では沿線活性化を目的として、賃貸物件を2026年までに3000戸まで増やしたいと考えています。今回は、敷地や周辺地域との調和を考え、リノベーションだけでなく、独身寮も100戸超のシェアハウスとして活用するのがもっとも最適だと考え、シェアハウスの企画、運営に実績のあるリビタさんと協力し、開発することとなりました」と背景を教えてくれました。

また、企画・デザイン監修を担当したリビタの資産活用事業本部地域連携事業部事業企画第一グループ鈴木佑平さんは、「改修前に敷地を見学したときは草木がうっそうとしていましたが、武蔵野の自然と既存の建物の風合いを活かして、多様な人が多様な過ごし方のできる“まちのホーム”にしていきたいなと思いました」といいます。

かつて独身寮だった建物は1975年築、家族向けの社宅だった建物は1981年築なので、耐震診断および必要な補強をし、建物が持つ独特の味わいを活かしたプランニングを考え、複合施設として蘇ったというわけです。

今回、完成したシェアプレイス三鷹は、112部屋あり、家賃6万4000円~7万5000円(別途共益費1万5000円/水道光熱費・ネット利用料込み)で利用できます。居室の広さは13.5平米ほどで、トイレやシャワーといった水まわり設備は共有のスペースに集約されております。

シェアプレイス三鷹の居室の例。床のフローリングやサッシは既存のものを活用したが、古さを感じさせない(写真撮影/嘉屋恭子)

シェアプレイス三鷹の居室の例。床のフローリングやサッシは既存のものを活用したが、古さを感じさせない(写真撮影/嘉屋恭子)

シェアプレイス三鷹のキッチンとダイニング。調理器具や家電も充実しているほか、カウンター席を設けるなど、“食”をきっかけに住民の交流が生まれる工夫がされている(写真撮影/嘉屋恭子)

シェアプレイス三鷹のキッチンとダイニング。調理器具や家電も充実しているほか、カウンター席を設けるなど、“食”をきっかけに住民の交流が生まれる工夫がされている(写真撮影/嘉屋恭子)

1階には広いシェアラウンジがあり、キッチン、ダイニング、ライブラリー、リラックススペースがあります。その他にもシアタールーム、パントリー、トランクルーム、サイクルガレージなど、充実した施設が魅力です。キッチンには食器や調理道具・家電などもそろっています。また、コイン式のランドリーもあるので洗濯機を用意する必要もなく、見学した人の反響も上々だそう。

リラックススペース(写真撮影/嘉屋恭子)

リラックススペース(写真撮影/嘉屋恭子)

ライブラリースペース。勉強をしたりくつろいだりと、思い思いの過ごし方ができる(写真提供/リビタ)

ライブラリースペース。勉強をしたりくつろいだりと、思い思いの過ごし方ができる(写真提供/リビタ)

シェア畑や広場があることで、地域住民にもひらかれた空間に

「リエットガーデン三鷹」のもう一つの狙いが地域交流です。

「以前は企業の社宅・寮ということもあり、地域に対して閉じられた場所でしたが、今回はシェア畑や食の広場、森の広場を設け、地域に開かれた場所といたしました。」とリビタの鈴木さん。
(株)アグリメディアが運営するサポート付き農園の貸出は現在、3割ほど。今後、シェアプレイスの住民が増え、認知が広がることで、じょじょに利用者も増えていくことでしょう。

敷地の中央にあるサポート付き農園(写真提供/リビタ)

敷地の中央にあるサポート付き農園(写真提供/リビタ)

土をいじることでリエットガーデン三鷹だけでなく、周辺住民との交流が生まれるはず(写真提供/リビタ)

土をいじることでリエットガーデン三鷹だけでなく、周辺住民との交流が生まれるはず(写真提供/リビタ)

また、畑をのぞむようなかたちで「食の広場」があり、緑を眺めながら食事をしたり、おしゃべりをすることができます。こうした共有場所があれば、シェア型賃貸住宅・ファミリー向け賃貸住宅と、普段は別々の棟で暮らしていても、住民同士の自然な交流が生まれ、心地よく過ごせるに違いありません。

シェアプレイス三鷹のダイニングスペースの窓越しに広がる「食の広場」。晴れた日にはキッチンで調理した料理を屋外でも楽しむことができる(写真撮影/嘉屋恭子)

シェアプレイス三鷹のダイニングスペースの窓越しに広がる「食の広場」。晴れた日にはキッチンで調理した料理を屋外でも楽しむことができる(写真撮影/嘉屋恭子)

鈴木さんは「リエットガーデン三鷹を多様なアクティビティの受け皿にしたいですね。広場でマルシェやアコースティックライブ、ヨガなどもできますし、住民や地域の方々とともに、新たな文化・新たな価値を生み出していきたいです」と話します。

既存建物を有効活用して時代に合うカタチとしてリ・デザインし、新しく住む人と今まで地域で暮らしていた人がゆるく、自然に交流できるように工夫する。今後、これまで以上に建物のストックが増えていくなか、これからのまちづくりはこうした「リノベ型」「シェア型」「地域交流」が主流になっていくことでしょう。

●取材協力
リエットガーデン三鷹
シェアプレイス三鷹

インフラツーリズムってどんなもの? 夏休みに体験してみよう

国土交通省が「インフラツーリズム」に力を入れている。ポータルサイトの開設や手引きの作成などを行って、さらに見学者数を倍増させるプロジェクトを始動させた。これによって、インフラツーリズムの件数の増加や内容面の充実が期待できる。夏休みには、涼しげなインフラ施設を見に行くというのはいかがだろう?【今週の住活トピック】
「インフラツーリズム魅力倍増プロジェクト」始動/国土交通省インフラツーリズムとは、ダムや治水施設などを見たり体験したりすること

そもそも「インフラ」とは、インフラストラクチャー(infrastructure)の略で、「産業や生活の基盤として整備される施設」をいう。国土交通省でいうインフラとは、国や地方自治体が管理している道路や橋、トンネル、ダム、下水道、港湾、空港などの施設。ツーリズムとは、地域の風景やイベント、観光施設を見たり体験したりすることなので、「インフラツーリズム」とは、橋やダム、下水道などの施設を見たり体験したりすることだ。

見学者にとっては、普段見られない施設の内部を見学でき、防災や治水、交通システムなどを学べるという魅力がある。かたや国土交通省の狙いは、インフラを観光資源として活用することで、地域経済の活性化や雇用機会の増大につなげられるという点にある。

国土交通省では、2016年にインフラツーリズムを紹介するポータルサイトを開設し、情報発信を行ってきた。インフラの管理者と旅行会社などが調整して実施する民間ツアーも増えつつある。

国土交通省の「インフラツーリズムポータルサイト」

国土交通省の「インフラツーリズムポータルサイト」

実際に、インフラツーリズムで見学者を多く集めている施設もある。埼玉県春日部市の「首都圏外郭放水路」がその事例だ。治水施設として地下に巨大な調圧水槽を擁するが、その荘厳さから「防災地下神殿」と呼ばれている。地下神殿のブランディングを強化する一方、見学会の運営を民間会社に委託し、コースを増やしたり土日祝日にも開催したりして見学者枠を増やした。映画やテレビのロケ地としても使われ、海外からの見学者も多いと話題になっている。

「防災地下神殿」と呼ばれる首都圏外郭放水路(出典/国土交通省「インフラツーリズム有識者懇談会」の資料より転載)

「防災地下神殿」と呼ばれる首都圏外郭放水路(出典/国土交通省「インフラツーリズム有識者懇談会」の資料より転載)

こうした人気のインフラ施設がある一方で、魅力を活かせていない施設も多くあることから、国土交通省では2018年11月に「インフラツーリズム有識者懇談会」を設置し、さらなる拡大に向けて議論を重ね、「インフラツーリズム拡大の手引き(試行版)」を作成するなどの活動を行ってきた。

さらに、2020年に向けた「インフラツーリズムの魅力倍増プロジェクト」の一環として、5カ所のモデル地区を選び、地域との連携や国内外への広報などの社会実験を行うと発表した。

インフラツーリズム魅力倍増プロジェクトのモデル地区(出典/国土交通省)

インフラツーリズム魅力倍増プロジェクトのモデル地区(出典/国土交通省)

夏休みにはインフラツーリズムが数多く開催される!

見逃せないのが、この夏開催される旬のインフラツアー全437件を「インフラツーリズムポータルサイト」に掲載していることだ。

具体的にどんなツアーがあるか、筆者が住む関東地方を例に見てみよう。
まず、施設管理者が行う「現地見学」を見ると、東京都の「国営東京臨海広域防災公園」(江東区)の防災体験施設の見学に始まり、各県の各地のダムのほか、運河・水路、河口堰、治水施設、下水処理場、灯台といった施設が見学できることが分かる。普段は公開されていない内部に入れるのは、興味深いだろう。

さらに「民間主催ツアー」(有料)を見ると、湯西川ダム・川治ダム、川俣ダム、八ッ場ダム、浦山ダムの見学ツアー(カヌーや遊覧船に乗るツアーもある)、首都圏外郭放水路や東京湾アクアライン・海ほたるの海底トンネル、成田国際空港、羽田空港、ネクスコ東日本、第ニ海堡などの見学ツアーが紹介されている。

また、ダム見学では、「ダムカード」(表はダムの写真、裏はダムの形式や貯水池の容量などの基本情報を掲載したカード)を集めるといった楽しみもあるようだ。

ほかの地域にもそれぞれツアーが用意されているので、掲載されているURLなどから詳しい内容を確認するとよいだろう。

ダムといって最も有名なのは、関西電力の黒部ダムだ。筆者も2017年の夏に訪れた。観光・見学をかなり意識しているのだろうが、観光用の放水ではその水量の迫力や虹の美しさは圧巻だった。展望台や遊歩道、観覧船も整備され、観光しやすい環境が整っているのも黒部ダムの特徴だ。周辺の観光スポットと組み合わせて、宿泊しながらの旅行としても楽しめた。

暑い夏こそ、地下やトンネル、水辺などの涼を求めて、家族でインフラツーリズムへの参加を考えてみてはいかがだろう。

●参考
国土交通省「インフラツーリズムポータルサイト」

コーポラ・デラックス

所在地:世田谷区等々力
7,280万円 / 87.72平米
東急大井町線「等々力」駅 徒歩6分

等々力の閑静な住宅街に立つ、6住戸からなるコーポラティブハウスのご紹介。



設計は「K+S Architects」。敷地内の植栽に彩られた遊歩道や建物の印象から、どこか異国情緒漂う雰囲気を感じる物件です。



今回ご紹介するのは、1階と地下1階のメゾネット。メインは地下のLDKにな ... 続き>>>.
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仕立てのいい部屋

所在地:世田谷区上北沢
12万8,000円 / 40.72平米
京王線「上北沢」駅 徒歩1分

天井のコンクリートの質感や塗りの壁など、素材の使い方やスイッチ類のような細部にまでこだわって仕上げられた部屋です。



40㎡の空間をワンルームにして、上げられた天井は2.8m。すっきりとして気持ちのよい空間。濃い色に塗り分けられた入り口部分と、白い壁のコントラストも美しくて。



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90㎡超えのルーフバルコニー【改装素材】

所在地:目黒区大岡山
4,800万円 / 85.52平米
東急大井町線・東急目黒線「大岡山」駅 徒歩6分

合計で約90㎡を超えるルーフバルコニー付きの部屋を、リノベーションしてみませんか?



居室部分を囲むように東側と南側に広がるバルコニー。気持ちよく朝ごはんを食べたり、子どもを遊ばせたり、いろんな楽しみ方があります。



さらにその向こうには、東京工業大学の大きなグラウンドと緑が眺め ... 続き>>>.
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化ける木造レトロ戸建て

所在地:台東区東上野
21万6,000円(税込) / 46平米
山手線「上野」駅 徒歩8分

1階が土間のレトロ戸建てを、店舗や事務所にいかがでしょう。というご提案。



グッとくる雰囲気のこの建物があるのは、台東区東上野。退廃感のある古い建物が多く、独特の雰囲気を感じるエリアです。



特に古い工場を改装した「ゆくい堂」という工務店がオフィスを構える一帯には、グリーンシ ... 続き>>>.
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木で整えたシンプルオフィス【住居使用も可】

所在地:中央区日本橋人形町
24万6,240円(税込) / 44.62平米
日比谷線・都営浅草線「人形町」駅 徒歩2分

床と壁に種類の違う合板を張ったオフィス。正方形の間取りに水回りをまとめ、デスクやソファなどが配置しやすくなっています。おまけに直上は共用の屋上。抜けのある眺望ではありませんが、休憩にはぴったりだと思います。



場所は中央区日本橋人形町。駅からすぐ近くで、周りには「今半」などの老舗 ... 続き>>>.
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どこか懐かしいシェアハウス

所在地:杉並区高円寺南
6万9,000円 / 9.3平米
中央線・東西線「中野」駅 徒歩11分

中野駅前の喧騒から少し離れた静かな住宅街。そこにこの建物はあります。昭和38年に建った、趣のある木造の家。昔は1階に家族が住み、2階部分を下宿として学生や就職して間もない社会人に貸していました。



その後長く空いていたこの家を、2015年の春にシェアハウスとして再生。



まるで時 ... 続き>>>.
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