
6,000万円 / 74.26平米
丸ノ内線「方南町」駅 徒歩11分
立方体が積み重なったような、カクカクとリズミカルな外観が目を引くすてきな戸建。約52㎡とコンパクトな敷地に、売主の好みと建築家のこだわりがぎゅっと凝縮されています。
この家の全貌を簡単にお伝えすると、1階は車が2台停められるガレージ、2階がリビングと水周り、3階に寝室という構成 ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
幅400mという超横長の敷地の食事付き賃貸住宅が2020年春に完成を予定している。学生を対象としていて、食事と管理人付きなところは、さながら“学生寮”。横長なのは、JR中央線の高架下を敷地としているためだ。騒音や振動も気になりそうなこの立地にJR東日本が住宅をつくるのはなぜなのか? 初の高架下賃貸住宅「中央ラインハウス小金井」の詳細を探ってみた。
商業空間や保育園…高架下スペースは、もはや”遊休地“ではない
「高架下」と聞いてすぐにガード下の居酒屋を連想してしまった私だが、最近の高架下は、とてもそんな枠に収まる空間ではないらしい。
例えば、東急東横線中目黒駅と祐天寺駅の間に2016年11月にオープンした商業施設はその名も「中目黒高架下」。おしゃれなショップやレストランが軒を連ね、行列のできる人気店もあるというし、JR御徒町駅と秋葉原駅の間の高架下に展開する「2k540 アキオカ アルチザン」には、「ものづくり」をテーマに工房やショップ、カフェなどがそろっている。2020年初夏には、JR有楽町駅~新橋駅間の高架下に「日比谷OKUROJI」がオープンを予定。さまざまなスタイルのバーなどが充実した新しい商業空間が誕生することになる。
また、JR東日本が進める「HAPPY CHILD PROJECT」では、子育て支援を通じた沿線活性化事業に取り組んでおり、駅型保育園のバリエーションとして、すでに高架下に複数の保育園を誕生させている。高架下は、すでに鉄道アクセスの良い商業空間やコミュニティ空間としての地位を確立しているのだ。
住居専用の用途地域だったことが高架下住宅誕生につながったそんな高架下スペースに、今度は学生向け賃貸住宅「中央ラインハウス小金井」が建設される。東京都による三鷹・立川間の連続立体交差事業で生じた長大な高架下スペース。中央ラインハウス小金井は、その一部であるJR東小金井駅とJR武蔵小金井駅間のスペースを利用する予定だ。
JR武蔵小金井駅とJR東小金井駅の間の高架下には、すでに「nonowa東小金井」「nonowa武蔵小金井」という商業施設や保育園があるが、住宅はなかった。なぜ、今回、住宅が誕生することになったのだろうか。JR中央線三鷹~立川間エリアの開発を行う株式会社JR中央ラインモール開発本部の関口淳さんに聞いた。
「これまで、中央線三鷹駅~立川駅間の線路高架化にあわせ、当社では、駅周辺部を中心に商業展開を行うほか、子育て支援施設や福祉・医療施設、地域交流を促す施設、広場・公園など沿線にお住まいの方々に対し、日々の暮らしをサポートするさまざまな施設の設置を進めてきました。そのような背景がある中、今回の建設予定地に関しては、大半が住居専用の用途地域(第一種低層住居専用地域)であったことから、都市計画との整合性と当社の使命とする中央線沿線の価値向上につながる計画を検討してきました。その結果、学生向けの住宅という切り口に至ったのです」(関口さん)
住宅を学生向けとしたのは、中央線沿線に大学キャンパスが多く、住んでいる学生も多いこと、また駅からの道が分かりやすく夜道が明るいことで、学生寮に求められる立地条件を満たしているととらえたからだとか。
東京都による三鷹・立川間の連続立体交差事業が行われ、2010年11月に約9kmに及ぶ長大な高架下スペースが生まれたJR中央線。武蔵小金井駅と東小金井駅の間にはすでにショッピングモールや保育園がある(画像提供/JR中央ラインモール)
高架下での生活に問題がないことは保育園が実証済み?!ただ、高架下となると、ついつい気になってしまうのが振動や騒音。果たして住宅にふさわしいものなのだろうか…?
「振動や騒音については、現地を確認した上、高架下で開発した別の物件の状況を踏まえ、日常生活に支障がないと考え計画いたしました。また、今回の計画地の隣地(高架下)には保育園が既に設置されており、問題なく運営されています」(関口さん)
なるほど。住宅として初の試みではあるものの、すでに保育園の園児たちが高架下の空間で生活しているという実績があるわけだ。園児たちは、午後にはお昼寝だってしているはず。赤ちゃんも安眠できる環境と考えると、納得がいく。
なお、この物件の特色は、高架下という立地だけにとどまらない。北山恒、谷内田章夫、木下道郎という3人の建築家がL棟、C棟、H棟、それぞれの設計を担当することで、共用空間と居室のつながりやバランスについてコンセプトの異なるプランを展開。住み手である学生が、他学生とどのようにかかわるか、プライバシーにどの程度こだわるかといった志向に応じて、自分にふさわしいプランを選べるようになっている。
また、中央に位置する専用カフェテリアでは、平日の朝・夕の2回、食事を提供。栄養バランスのとれた食生活をサポートするとともに、異なる棟の学生との交流も促す。カフェテリアに隣接する多目的ホールは、地域住民との交流も視野に入れた運営が予定されている。
L棟のコモンスペース(共用スペース)として、1階にはキッチン、2階にはライブラリーが。それぞれを経由して居室に入るつくりになっており、居室はごくごくコンパクトな空間となっている(画像提供/JR中央ラインモール)
C棟は、外部テラス(アウトサイド・コモン)を共用スペースとすることで、各居室の独立性を確保。居室内には、キッチン、バス(乾燥機付き)、洗濯機、電子レンジなどが備え付けられている(画像提供/JR中央ラインモール)
H棟は、大型ダイニングテーブルのあるラウンジ・コモン、ライブラリーのあるキッチン・コモンを共用スペースとして、中央のキッチン・コモンにつながる廊下から各居室に入るつくり。天井の高さを活かしたロフトも設けられている(画像提供/JR中央ラインモール)
中央に設けられた専用カフェテリアで、朝食と夕食を提供(食事代1万6000円/月・税別)。多目的ホールは地域との交流にも利用される予定だ(画像提供/JR中央ラインモール)
管理人付きの安心感と新築の希少価値、リーズナブルな家賃設定が好評受付を開始した9月は、問い合わせも基本情報の確認といったものが多かったが、それでも9月21日~23日の3連休だけで15件の問い合わせがあったそう。
「大学入学を控えた学生さんの部屋探しが本格化するのは、入試の結果が出る春がピークなので、今は、推薦の合格者や専門学校に入学する学生さんと親御さんが部屋探しに動き出している時期。他物件と比べてびっくりするほどの反応があるわけではないのですが、それでもすでに予約済みの学生さんがいます」(株式会社学生情報センター経営企画部広報室・寺田律子さん)
一番人気は、L棟のAタイプ。10平米強というコンパクトな間取りではあるが、新築で5万円台(共益費別)であることが決め手になっているのではないかとのこと。
「中央線沿線には新築物件が少ないので、新築という点は大いに魅力があるようです。加えて、日勤の管理人が居て安心という面も。自転車で通学できる距離に大学や学校が多い上に、離れた学校に通う学生さんにも、中央線沿線ならではの広域アクセスの良さが評価されています」(寺田さん)
なお、学生も親も、高架下の騒音や振動はさほど気にしていないのだとか。
「『それなりにうるさいんだろうなあ』ぐらいには思っていらっしゃるようですが、それがネックになるということはないようです」(寺田さん)
電車の本数が多い日中、学生は大学に行っていて部屋には居ないという理由もあるのだろう。隣に保育園があるという点で安心する親や学生もいるのではないだろうか。
L棟 Aタイプは、10平米台の空間に家具を効率よく配置。月額賃料5.2万円~5.3万円、共益費1.5万円/月と、周辺よりリーズナブルな家賃設定だ(設備維持費400円/月、入館料[再契約料]12万円/年も必要・以下同様)(画像提供/JR中央ラインモール)
C棟 e4・e’4タイプは、専有面積15.94平米、ロフト面積4.93平米。月額賃料が7万円で、共益費1.5万円/月。最大3.5mの天井高を活かしたロフトがあり、大きめのワークデスクや収納力のある本棚、乾燥機付きのバスルームが特徴(画像提供/JR中央ラインモール)
H棟Aタイプは、10.44平米という専有面積ながらも、4.35平米のロフトを設けたことで、ワークデスクの空間などゆとりを確保。月額賃料5.9万円 ~ 6.2万円、共益費1.5万円/月という設定になっている(画像提供/JR中央ラインモール)
鰻の寝床とは真逆の超横長な敷地という点だけでもユニークな上に、間口が広くて明るい空間は、学生用賃貸住宅の新しい形を提示しているように思える。ここに入居すれば、カフェテリアで朝晩、栄養バランスの整った食事ができるし、ライブラリーにある本を読み漁ったり、ラウンジでほかの学生たちと語らったり、多目的ホールでイベントを開いたりと、実に楽しい学生生活が送れそうな気がする。ああ、あとウン十年、若かったら私も……!
●参考ぐつぐつと煮立つお湯に例えた「地獄めぐり」で有名な温泉地・大分県別府市。この街を盛り上げようと奮闘する池田佳乃子さんは、別府に住みながら夫のいる高円寺にも家を持ち、二拠点生活を送っている。大学入学とともに上京し、企業で働いていた池田さんが別府に戻った理由や、高円寺と別府の意外な共通点などについて伺った。
高円寺での新しいコミュニティを通して得た価値観
JR中央線の高円寺駅と阿佐ヶ谷駅のちょうど真ん中。高円寺駅から高架下をずっと歩いて行った先に開ける芝生広場が印象的な高円寺アパートメントは、JR東日本の社宅をリノベーションした住宅で、50世帯がA棟とB棟に住んでいる。A棟の1階には2つの飲食店と4つの住居兼店舗が並び、目の前の芝生広場では月に数度、住人たちが企画・運営するマルシェなどのイベントが行われている。
池田佳乃子さんの東京での拠点、「高円寺アパートメント101(いちまるいち)」は、店舗と夫である石井航さんの設計事務所を兼ねている住居兼店舗だ。開放的な雰囲気から今では近所の子どもたちの居場所にもなっている。
高円寺アパートメントの芝生広場で住人たちとお花見(写真提供/池田佳乃子さん)
池田さんは大分県別府市生まれの31歳。大学入学とともに上京し、卒業後は映画会社と広告代理店に勤め、29歳のときに結婚。夫の石井さんが設計事務所を開設するタイミングでここに引越してきた。
30歳になったとき、池田さんは「なにかチャレンジングなことをしよう」と思い立った。
池田さんの周りには、建築家や写真家、役者などアーティストとして自分を表現している友人が多く、彼らと日々過ごす中で、自分には何もオリジナリティがないとコンプレックスを感じていた。そんな中、ふと故郷のプロモーションを目にして、別府の人たちが自由に自分を表現していることに気づき、別府であればもっと自分のオリジナリティが出せるのではないかと思い立った。
今までのキャリアの中で映画や広告に携わり、コンテンツを企画することには自信があった。別府の面白い人たちと一緒に、自分のキャリアを生かした新しいコンテンツを生み出すことで、自分らしい表現ができるかもしれない、そうした思いが日に日に募っていった。
お湯のように湧き立つ思いとともに別府へ池田さんに迷いはなかった。夫と住む東京を離れ、別府市と連携してビジネスを支援している「一般社団法人別府市産業連携・協働プラットフォームB-biz LINK」に転職した。B-biz LINKは、2017年別府市の出資により立ち上げられた組織で、池田さんは主に別府でビジネスをする人たちのネットワークを広げ、別府の産業を盛り上げる仕事をしている。こうして念願の別府での仕事が始まり、池田さんは二拠点生活者となった。
別府市の鉄輪温泉。たくさんの旅と引越しのあとでたどりついた(写真提供/池田佳乃子さん)
結婚してから何年も経っていない夫妻に不安はなかったのだろうか。池田さんは別府に移ってから、月に10日ほど東京に出張している。東京2割、別府8割ほどの生活だ。
「周りにはよく寂しくないのか?と聞かれるのですが、高円寺アパートメントに暮らしていることが大きな安心材料になっているのかもしれません。ご近所づきあいが自然とできているので、夫が晩ごはんを一人寂しく食べることもないし、夜な夜な飲み歩く必要もない。むしろ、芝生で遊ぶ子どもたちと触れ合ったり、夕食を持ち寄って住人たちと一緒に食べたり、自宅で営む雑貨屋のお客さんと楽しく会話したりしているので、一人で東京に暮らしているという感覚はあまりないのかもしれません。夫は東京で、私以外に家族の輪を広げているのだと思います。その感覚が心地よくて、安心しています」
(写真提供/池田佳乃子さん)
別府では実家で両親と暮らしている。「二拠点生活になったことで幅広い人たちとコミュニケーションをとるようになったので、自分の中の引き出しが増え、バランス感覚がよくなった気がします」と池田さん。別府と高円寺でコミュニティづくりに携わる中で、共通点があることにも気づいた。「別府と高円寺は似ています。カレー屋さんが多いこと、自由な人が多いこと、あまり周りを気にしていない人が多いこと、銭湯文化が根づいていることとか」と池田さんは分析する。お風呂を通じて人々と交流でき、湯けむりが漂う中で自分を表現できる街、高円寺と別府の両方を心から好きだと思っている。「そういえば、最近高円寺から別府に移住した人がいるんです。やっぱり似ていて住みやすいのかもしれませんね」(池田さん)
鉄輪妄想会議の様子(写真提供/池田佳乃子さん)
湯けむりに囲まれた鉄輪のコワーキングスペース『a side-満寿屋-』別府の中でも無数の湯けむりが立ちのぼる光景で知られ、古くから湯治場として栄えてきた鉄輪(かんなわ)エリアに、2019年4月コワーキングスペース『a side -満寿屋-』がオープンした。鉄輪エリアは別府を代表する温泉地の一つだが、そこに暮らす女将さんたちは鉄輪の未来に危機感を感じていた。それは、後継者不足によって廃業する旅館やお店が多く、空き家が増加していること。女将さんたちはその課題をどのようにしたら解決できるか、自主的に会議を開いて考えていた。池田さんは、そんな熱意のある女将さんたちと出会い、2018年6月に地域の人たちや学生、地元の起業家や不動産などの専門家を交えて、ワークショップ形式の話し合いの場“鉄輪妄想会議”を開いた。その中で、古くから続く湯治文化を現代のライフスタイルに合わせるには、働きながら湯治ができるスタイルを実現することが近道なのではないかという発想が生まれ、このアイデアから“湯治のアップデート”をコンセプトに、元湯治宿だった空き家をコワーキングスペースにリノベーションすることが決まった。
a side -満寿屋-の内部(写真提供/池田佳乃子さん)
築80年の温泉旅館をリノベーションしたコワーキングスペース「a side-満寿屋-」はこうしてできあがった。「来るたび、鉄輪の蒸気によって少しずつ変化を感じることができる空間」をコンセプトにしているというこの場所。利用料金は1日1000円からという都内では破格の価格で、設備は充実している。ソファ席や心を落ち着かせる「ZEN」の部屋があり、プロジェクターやスクリーンは無料で貸し出している。鉄輪には昔と同じように湯治場があり、長期滞在することができる。
2019年9月に行ったワーケーション企画での1コマ(写真提供/池田佳乃子さん)
湯治場とコワーキングスペースの組み合わせの背景には、ワーケーションという働き方を池田さんや仲間たちが知ったことがあった。これが普及すればきっと鉄輪のにぎわいは戻ってくるはずだとみんなで思いついた。実際に、コワーキングスペースができてから、利用者がふえてななめ向かいの飲食店が復活した。今後も空き家会議をして、さらに盛り上げていきたいと池田さんはもちろん、地域のみんなで思っている。今はまだ別府市内から4割、鉄輪6割の利用者だが、もっと外からの人の割合を高め、鉄輪の湯のあたたかさを知ってほしいと考えている。2019年9月には、実験的に鉄輪で8社の都市部の企業のメンバーと一緒にコワーキングスペースを活用したワーケーションを実施した。別府にある大学生を巻き込んだ「イノベーション創出型」という形で、あらたな可能性を見つけることができたという。
二拠点生活だからこそ分かったことがある「東京と別府では情報の粒度とか鮮度が違いますし、東京のさまざまな情報と、別府の実験場としての土壌が上手くブレンドされたら面白いのではないかと感じています。そうした今までに無い網を張るのが、自分の役割だと思っています。将来的には、海外や都会の人たちが交流できる機会をつくることで、別府の中学生や高校生がさまざまな価値観に触れ、キャリアの選択肢を広げられるようになったらいいなと考えています」
池田さんの高円寺の家は、「東京でのつながりをつくる実験の場」でもあり、自宅のリビングをお店にすることで、パブリックとプライベートの境界線を曖昧にしている。「暮らしの境目をなくすとどういう変化が生まれるのかを実験しています。分かったのは、子どもたちが自由に自宅に遊びに来てくれることですね。ここで設計の仕事をしている夫は、子どもたちの保育園に必要な『お迎えカード』を預かって、お母さんが迎えにいけないときのピンチヒッターになっているんですよ」と池田さんは笑う。誰に対しても分け隔てのない夫妻の性格がよく表れているエピソードだ。
池田佳乃子さんご夫妻(写真提供/池田佳乃子さん)
「二拠点生活を始めて、いろんな角度から物事を見られるようになりました。ひとつしか拠点を持たない生活では、価値観が画一的だった気がするんです」と池田さんは二拠点生活のよさを語る。「でも、私には二拠点までですね。その土地で暮らして「おかえり」と言ってもらえることが自分の居心地の良さにつながっているので、2拠点以上の多拠点暮らしは自分には向いていないかもしれません」(池田さん)
それぞれの土地でコミュニティを築いているからこそ分かる“拠点”の大切さ、そして人とのつながりの尊さ。池田さんは別府と高円寺というまるで違うようで実はよく似ている二つの街を、いいお湯の加減のようにバランスよく、しかし精力的に生きていくのだろう。
●取材協力