
11万5,500円(税込) / 34平米
都営新宿線「浜町」駅 徒歩3分
東日本橋の細い路地裏にひっそりと立つ、ピンク色のレトロな建物。
倉庫として使われていたため、何もなくシンプルですが、建物全体の印象や渋いディテールが魅力的です。
ひっそりしたアジトのような雰囲気。何に使えるかはわからないのですが「誰か使ってほしいなあ。」と思っています。
基 ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
宇都宮駅から車で10分、住宅街のなかに、昨年5月にオープンした民間運営の「もみじ図書館」。手掛けたのは、空間プロデュースを手掛ける「ビルススタジオ」だ。
店舗や住宅の設計業務だけでなく、「ひとクセあるけど面白い!」そんな不動産物件も紹介する同社が、なぜ自分たちで図書館をつくったのか、その狙いを伺った。
誰でも自由に使える「もみじ図書館」は街の共用部
住宅街のなか、通りかかっても見落としそうな場所に「もみじ図書館」はある。築50年の賃貸アパート1階の2部屋をぶち抜き、リノベーションされたものだ。
木枠のガラスの引き戸を開ければ、まるでお洒落なカフェ。本棚が迷路のように組まれ、籠もるような読書空間に。ゆったりソファやアンティークなチェアが置かれ、のんびり過ごせる。向こう側に小さな中庭があり、暖かくなればテラスで読書も楽しそうだ。壁の一面は黒板仕様で、ミーティングもできる。
基本的に開いている時間は10時から19時まで。それ以外の時間でも事前予約で貸し切り可能(1時間1000円) 。火曜日や木曜日にはスタッフによるカフェ営業なども(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
もみじ図書館があるカトレア荘。現在、1階は飲食・物販などのテナントを募集中。このもみじ図書館を共用部として、テイクアウト品のイートスペースや打ち合わせラウンジなどに使える(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
本は主に地域住民によって寄贈されたもの。貸し出しは行っていないが、だれもが自由に入室でき、読書はもちろん、おしゃべりも飲食の持ち込みもOK。Wi-Fiもあるのでワーキングスペースとしても使える。
「地域の人がふらっと立ち寄れる“共用部”をつくりたかったんです」と、ビルススタジオ不動産企画部の中村純さん。
取材当日も、「こんな場所あるんだ~」と初めて立ち寄ったカップルや、「ちょっと卒園式の打ち合わせをしたくって」と幼稚園のお迎え帰りに過ごしていたママと子どもたちと遭遇。午後から夕方にかけては、中高生たちが勉強やゲームをしに遊びに来るそうだ。
キッチン付きで飲食店の営業許可も取っているので、貸し切りで1日だけカフェ営業や、独立前のテストキッチン、イベント開催も可能。「僕たちスタッフも、モーニングでコーヒーを淹れたり、夜の図書館営業をしていたりします」(中村さん)
ラインナップは、文学全集、哲学書、レアな建築専門誌、絵本、紙芝居、児童文学、ミステリー文庫、エッセイなんでもあり(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
オープンな洒落たキッチン。レトロなレコードプレイヤーなどは大家さんから寄贈されたもの(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
喫茶営業中は、エアロプレスで淹れた美味しいコーヒーも飲める(有料) (写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
中庭に面したウッドデッキのテラス。春になればイスを出して外読書も気持ちいい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
広さは18坪。中庭に面し、やわらかな日差しが差し込む、気持ちのいい空間だ。足場板を本棚に活用し、スペースを小分けに。自分だけの特等席を見つける楽しみも(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
(画像提供/ビルススタジオ)
デモンストレーションのはずが「自分たちでやりたくなりました」「実は最初から、図書館ありき、ではなかったんです」と中村さん。
「もともと僕らは空間プロデュースが本業。さらに、普通の検索サイトなら一番にはじかれるような、古かったり、駅から遠かったりする、でも魅力的な物件をマッチングしています。ただ、リノベーションできるといってもみなさん、どうもイメージが湧かないようで、一目で良さが分かる空間を自分たちでつくってみようと考えました。そこで、倉庫として借りていた部屋と隣の空き室を合わせて、改修できないか大家さんにお願いしたのがきっかけです」
そこで、設計担当がイメージしたパースがこれ。
(写真提供/ビルススタジオ)
「ガラスの入り口、向こう側に小さい庭があって、すごくいいねって話になったんです。本当は改修して、いいなと言ってくれる人にお店を任せようと思っていたんですけど、自分たちでやってみたい! と、社内プロジェクトとなりました。どうせなら、地域の人が気軽に集まれる、のんびり過ごせるような場所がいい。そして、この場所がこの物件の価値、さらに街の価値につながればいいなと考えました。いわば社会的な”実験“です」
そこで、どんな場所がいいかと考えた結果が、「図書館」だった。「このあたりは住宅街で、たくさんの蔵書を“捨てるのもしのびないし、誰かが活用してくれるなら”と寄贈してくれる方がたくさんいました。図書館なら、ふらっと立ち寄れるし、ずっと誰かがいる必要もないので、僕たちが運営しやすいメリットもあります」
工事の様子。「スタッフで約5カ月かけて少しずつDIYしました」(写真提供/ビルススタジオ)
不動産や建築を身近に感じてもらう「場」としての機能もビルススタジオのスタッフが1日店主になるイベントも定期的に開催している。
例えば「夜のMET不動産部~スナック純」。中村さんが、普段の仕事のなかで、共有したい不動産や建築の小さなあれこれを、お酒を飲みながら語る場所。「不動産ってどうしても難しくて、とっつきにくい話題だったりするじゃないですか。でも、お酒を媒体にしておしゃべりすることで、興味を持ってもらったり、なにかしらの気づきを持ってもらえたらいいなって思ってはじめました」
また、ケーキ好きな男性スタッフによる、毎週水曜日のモーニングは常連さんも多いとか。「彼のつくるケーキがけっこう美味しいと評判で。その間はお店番と同時に彼は建築士の試験の勉強をしていたりします」。そのほか、女性スタッフによる「ゴジカラとしょかん」は、隔週金曜日に開催。お酒を飲みながらゆっくり読書する。明かりの灯った図書館に、会社帰りに吸い寄せられる人も。
「物件探しやリノベーションって、どうしてもある程度ニーズや条件が明確になってからの話になってしまうのですが、そんなビジネスの手前で、それぞれの好きなもの、関係性をつくるうえで、こうした場は有効だなと思っています」
(写真提供/ビルススタジオ)
中村さん店主の「スナック純」。「最初は人がいっぱい集まりすぎて、パーティーみたになってしまって(笑)。ゆっくり話せなかったので、今は当日告知にしています」(写真提供/ビルススタジオ)
スタッフが各自で看板やメニューをつくって、オーナー気分を味わう。「お客さんが常連になったり、常連さんから仕事を依頼されたりしています」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
自分たちの生活圏を楽しくする――それが最初の動機そもそも、もみじ図書館がある一画のすぐ近く、市役所へと抜ける「もみじ通り」は、かつては80店舗ほどの商店が軒を連ねる生活に密着した商店街だった。しかし、他の商店街の例にもれず、郊外の大型モール進出の影響で次々と閉店し、2003年には商店会が解散。シャッターが目立つ通りに。
しかし、2011年にカフェ食堂「FAR EAST KITCHEN」「dough-doughnuts」がオープンするなどし、人通りが少しずつ増加。「もみじ図書館」の試みも注目を浴び、地域活性化や街づくりの一環として媒体に取り上げられることも増えたそう。しかし、それには戸惑いも。
「正直、街づくりをしている感覚はあまりなくって(笑)。『FAR EAST KITCHEN』も、もとはといえば、ウチの代表の塩田が、自分の事務所をもみじ通りでリノベ工事をしているうちに、“美味しいランチのお店が近所にあったらいいな”と、たまたま知り合ったシェフの藤田さんに、近所に来ないか誘ったのが経緯だとか。『dough-doughnuts』の店主の石田さんも、もとは他のエリアでの出店を考えていたのに、気付けは近所に開店といった感じで(笑)。基本的には、自分たちの200m圏内で、おいしいお店が近所にあったらいいなぁがスタート地点なんです」
地元客で常ににぎわう人気カフェ「FAR EAST KITCHEN」。地元野菜のサラダ、季節のスープ、選べるデザートなど、組み合わせを選べるランチが定番(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
もみじ通りにあるショップの駐車場は共通で。手書きの案内板が味わい深い(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
物件マッチングの課題も、活気を生み出すことで乗り越えたいただしネックもある。空き物件はあっても、借主を募集している物件は少ないということだ。
「大家さんの高齢化などで、人に貸すのが面倒なんですよね。『FAR EAST KITCHEN』さんのときは、これがいいなと思った空き家に手紙を投函してお願いし、『dough-doughnuts』さんのときは、名刺代わりにドーナツを持参しました。ただ、こうしたお店に人気が出て、人通りが増えてくれば、貸してくれる大家さんが増えてくるはず。その橋渡しをするのが僕たちの仕事です」
ほかにも、北欧や東欧の雑貨や洋服を扱うお店「SoPo LUCA」のオーナーさんは塩田代表の友人、身体に優しい惣菜店「ソザイソウザイ」の店主さんは「FAR EAST KITCHEN」の常連さん。人が人を呼び、ゆるやかにつながっている。ややエリアを広ければ、本格コーヒー店、パン屋さんも新しくオープン。シェアオフィスも登場している。さらにこうした環境に惹かれて、この界隈に暮らす人たちが増えるなど、街が変わりつつある。以前のようなにぎわいからは、まだまだ遠くても、だ。
遠方から買い求める人もいるほど、今や、宇都宮の人気店となった「dough-doughnuts」。カフェとテイクアウト専門の2カ所ある
もみじ通り。ドーナツショップ「dough-doughnuts」のカフェの隣には、「まじめなソザイとまじめにつくったソウザイ」をコンセプトにした「ソザイソウザイ」が(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
「今は、長い社会実験の途中。僕たちの仕事は設計だけじゃない。気持ちのいい場所、環境づくりから関わった方がいいと思うから、あれこれやっています。やっぱり、歩いて楽しい街がいいですから。今後は、夜に食事できるスナックみたいなのができたらいいなぁって思っています」。挑戦はまだ続いている。
今回お話を伺った、ビルススタジオ不動産企画部の中村純さん。「自信をもって、これが正解と分かっているわけではなくて、いつも試行錯誤。でも僕たちだからこそできることがあると、危機感も感じつつ、挑戦しています」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
●取材協力近年、気候変動リスクが高まる中で、想定外の「激甚災害」が相次いでいます。2019年に発生した台風15号や台風19号が猛威を振るったのは記憶に新しいところ。また2018年には「西日本豪雨」「北海道胆振東部地震」、2017年「九州北部豪雨」、2015年「関東・東北豪雨」、2014年「広島土砂災害」など、自然災害が頻発してきました。
標高の高い内陸部にも浸水の可能性がある?!
「浸水」や「洪水」というと、「江東5区大規模水害対策協議会」を協力して設置している墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区や、海沿いの低地などがイメージされますが、浸水可能性のある地域は標高の高い内陸部にも存在します。そして、そうした地域にも一戸建てやマンション、アパートなどが当たり前に建設されています。
例えば、東京内陸部にある世田谷区の標高は25~50m程度と高いのですが、起伏が非常に激しく、ハザードマップを見ると、浸水可能性のある地域が多数存在します。
東京など都市部の場合、雨水の排水処理能力は1時間あたり50~60mm程度を想定していますが、それを超えて処理しきれない分は路上にあふれ出します。昨今のいわゆる「ゲリラ豪雨」と呼ばれる大雨は、時間当たりの雨量が100mmを超えることが少なくありません。こうした排水能力を超えた大雨に見舞われた際、排水路から雨水・下水があふれ出します。その結果、たとえ標高は高くても周辺の土地に比べて相対的に低い所に水が集中します。
東京・港区といえば、芸能人も多く住む、セレブに人気の街です。しかし、北西一帯の高台地と呼ばれるエリアにも、古川(金杉川)があり起伏に富んだ地形となっており、「後背低地」となっているところでは、地下水位が高く、周辺地より標高も低いため、排水性が悪く洪水などの水害を被りやすい地域もあります。地盤分類上も「谷底低地2、3」とされる地盤の軟弱層が3m以上の、比較的軟弱で地盤沈下の恐れがあり、地震動に弱いところもあります。有名な住宅地と呼ばれる地域でも、ハザードマップで2mの浸水が想定されているところは少なくありません。
不動産価格に反映されていない浸水リスク不思議なことに、浸水可能性のある地域は、そうでないところと比べて、地価(不動産価格)に大きな違いが出ていません。その理由は、「多くの人がハザードマップなどの災害関連情報に無頓着だから」です。
宅地建物取引業法において、現状、不動産の売買・賃貸時に浸水想定区域などについて説明する義務はありません。情報開示の姿勢は取引現場によってまちまちです。浸水リスクが不動産価格に反映されたり、金融機関の担保評価に影響を与えていることはほとんどありません。
(写真/PIXTA)
浸水リスクと同じく、「活断層の所在」や「地盤」「土地高低差」「液状化の可能性」「建物の耐震性能」なども物件価格に反映されていません。「自治体の防災意識」や「コミュニティの成熟度」も同様です。
不動産広告にもこうした項目は入っていませんし、売買契約書や重要事項説明書にも記載はありません。私たちは、日本の不動産市場はこの程度の成熟度で、発展途上の段階であることを、知っておく必要があります。
楽天損害保険は2020年から、住宅火災や水害、風災に備える火災保険で、国内損保で初めて、水害リスクに応じた保険料率の見直しを行うと発表しました。ハザードマップで洪水可能性などを考慮し、高台等にある契約者の保険料は基準より1割近く下げる一方、床上浸水のリスクが高い川沿いや埋め立て地等に住む契約者の保険料は3~4割高くします。こうした動きは今後広がっていくでしょう。
私たちは自ら水害をはじめとする土地のリスクを調べ、それに応じた対策を行う必要があります。今のところは浸水可能性のあるエリアとそうでないエリアの間で、価格差は見られませんが、やがては安全性に応じて天地ほどの差が開く可能性が高いでしょう。
「土地の履歴書」ともいえる「地名」には、しばしば地域の歴史が刻まれています。例えば「池」や「川」「河」「滝」「堤」「谷」「沼」「深」「沢」「江」「浦」「津」「浮」「湊」「沖」「潮」「洗」「渋」「清」「渡」「沼」など、漢字に「サンズイ」が入っており、水をイメージさせるものは低地で、かつては文字どおり川や沼・池・湿地帯だった可能性があります。例えば渋谷駅周辺は、舗装された道路の下に川が流れており低地です。
内陸部でも「崎」の地名がつくところには、縄文時代など海面が高かった時代に、海と陸地の境目だった地域もあり、地盤が強いところと弱いところが入り組んでいる可能性があります。東日本大震災の津波被害で一躍注目を浴びた宮城県仙台市の「浪分(なみわけ)神社」は、1611年の三陸地震による大津波が引いた場所という言い伝えが残っています。
ほかにも「クボ」のつく地名は文字どおり窪地です。周辺に流れる川に過去、氾濫で水害に見舞われていないか注意が必要です。
目黒区には現在暗渠になっている蛇崩川(じゃくずれがわ)という河川がありますが、ここには大水で崖が崩れ、そこから大蛇が出てきたという伝説が残されています。大阪市梅田は「埋田」から転じたとされ、「梅」は「埋める」に通ずるようです。
(写真/PIXTA)
地名は「音」(読み方)で意味が分かる場合もあります。椿はツバケル(崩れる)で崩壊した土地を意味し、「桜」が「裂ける」を意味することもあります。
注意したいのは、近年になって地名が変更されたところです。戦後の高度経済成長期以降に開発された大規模宅地などでは、旧地名から「〇〇野」「〇〇が丘」「〇〇台」「〇〇ニュータウン」といった地名に変更されている場合があります。
東日本大震災に伴う津波に関し「津波は神社の前で止まる」とテレビで話題になったことがあります。福島県相馬市の津(つのみつ)神社には「津波が来たら神社に逃げれば助かる」という言い伝えがあり、近隣の人たちは、小さいころからその伝承を聞いて育ったそうです。実際3・11の東日本大震災の津波の際にはその教えに従い、神社に避難した50人ほどが助かりました。
地域にある法務局に行くと、該当地の「登記事項証明書」を一通600円で、土地所有者でなくても取得できます。そこには「田」「畑」「宅地」といった土地の用途区分が書かれています。現在は宅地に見える土地でも、過去をさかのぼれば田んぼだったかもしれず、そうなると地盤は軟らかい可能性が高くなります。
地元の図書館に赴けば、地域の歴史が刻まれた書籍が置いてあることが多く、それらを参照するのも有用かもしれません。また多くの自治体が地名の由来などについて、ホームページで紹介しています。
IPCC (気候変動に関する政府間パネル)第5次報告書によれば、地球の温暖化傾向は明白であり、陸域と海上を合わせた世界の平均気温は、1880年から2012年の期間に0・85度上昇したそうです。
世界気象機関は、80年代以降の世界の気温を10年単位で見ると、常に気温上昇の傾向が見られ、「この傾向は続くと予想される」と警告しています。
気象庁によれば、温暖化が最悪のシナリオで進行した場合、21世紀末に世界での台風発生総数は30%程度減少するものの、日本の南海上からハワイ付近およびメキシコの西海上にかけて猛烈な熱帯低気圧の出現頻度が増加する可能性が高いと予測しています。文字どおり「想定外」の、さらなる頻度や規模の風水害が来るとみたほうがいいでしょう。
“自分の人生で通勤ほどムダな時間はない”。そう考えて、職住近接の都心暮らしから、現在は湘南暮らしのテレワーカー(リモートワーカー)となった勝見彩乃さん。
現在は、1歳児のママでもある勝見さんに、その経緯、子育てと仕事の両立、生活の変化など、テレワーク(リモートワーク)だからこそ実現した暮らしについてお話を伺った。
結婚を機に働き方を見つめなおす。その結果が「テレワーク」だった
テレワーク歴3年の勝見さん。夫も別会社のテレワーカーだ。
もともと「通勤時間はなるべく短く」がモットーで、常に都心暮らし。職場も住まいも新橋で、歩いて通勤という時期もあったそう。「地方出身で、大学もつくば。いつも交通手段は自転車か車だったので、満員電車が苦手なんです」
テレワークを決めたきっかけは、結婚。プライベートを充実させたい。仕事のパフォーマンスは上げたい。それを両立させるため、夫婦で話し合った結果だった。「結婚すると、今後のキャリアとかライフスタイルとかについて考えるじゃないですか。自分のキャリアを形成していくうえで、効率的に成果を出すのに一番邪魔で削りやすいものってなんだろう、それは通勤時間じゃない? だったら、リモートで働くのが一番じゃないかって結論になったんです」
そこで、転職活動はテレワークをできることが第一条件。結果、「リモートワークを当たり前にする」をミッションとし全メンバーがテレワーカーという企業「キャスター」に出会う。
転職後は、企業の一員として人事や広報を統括する業務に携わる傍ら、副業でスタートアップ企業のための採用サポートにも関わっている。夫もほぼ同時期に転職し、エンジニアとして会社に所属しつつ、フリーランスで業務を請け負うテレワーカーになった。
勝見彩乃さん(35歳)。大学3年生のときにインターンをしていた、求人メディアのベンチャー企業に卒業後就職。その後、ソフトウェア、インターネットメディア企業などで、主に人事・採用に携わる(写真撮影/片山貴博)
海の近くにマンション購入。一部をおうちオフィスにテレワーク当初は、中央区晴海在住。もともと、前の職場に30分以内で通えることを理由に選んだ都心エリアだ。「ただ、リモートで働くなら、高い家賃を払ってまで東京都心にこだわる理由はないし、もっと自由に住む場所を選びたいと思うようになりました。家賃がもったいないし、資産としてマイホームを買うきっかけにもなりました」
購入したのは、湘南エリアの新築マンション。「夫婦ともサーフィンやSUP(スタンドアップパドル)
などマリンスポーツが好き。海へ気軽に行ける立地は魅力でした。また、フルリモートとはいえ、週に1度は東京都内に足を運ぶ業務もあるので、通勤圏でもある、このあたりが現実的でした」
新居を構えると、一部屋は夫の書斎に。リビングには作業用デスクをオーダーし、キッチンカウンター下はホワイトボードを張るなど、おうちオフィス仕様とした。
作業デスク、チェアはハンドメイドやクラフト作品のマーケットサイト『minne』で見つけたお気に入り作家さんにオーダー(写真撮影/片山貴博)
キッチン下のカウンターにはシール式のホワイトボードを貼って、自分の考えをまとめる場に。「書く場所の広さは思考の広がりに比例すると思って、できるだけ広く取りたかったんです」(写真撮影/片山貴博)
辻堂西海岸にある自転車・SUP専門店「FAVUS」でのツーリングに参加した1コマ。江の島もすぐ。「マンションの屋上からは海が見えます」(写真提供/FAVUS)
ママになって、テレワークのメリットを再確認そしてマンションの契約後、引越し前のタイミングで妊娠が判明、出産。「リモートワークは、育児を想定した選択ではありませんでしたが、限られた時間のなか、子どもとの時間を捻出するのは、通勤時間がないリモートワークが理にかなっています」
実は「なるべく仕事のブランクをつくりたくない」と、子どもが生後4カ月のときには仕事復帰。保育園の4月入園までの半年間は、自宅で育児をしながらのテレワークだったそう。「とはいえ、子どもが寝ている間など合間の時間を見つけて、1日4時間程度でしたけれど。本格復帰の前に育児しながらの仕事に覚悟をちゃんと持っておきたかったんです」
Web会議などまとまった時間が必要な場合は、会社から月3万円を上限にベビーシッター費の半額を助成してもらえる制度があり、そちらも活用することも。「プロの手を借りる。これは良かったです。私も育児に本当に慣れない時期で、”こうやって楽しませるんだ”とか、“こんなふうに刺激を与えて泣き止ませるのね”と、プロの技を教えもらったのは、とても心強かったです」
また、夫は育児休暇を取ったわけでないが、自宅でテレワークをしていたため、否応なく育児の当事者に。新生児時期の大変な時期の新米ママの伴走者でもいてくれた。「『僕がお世話しているから、寝ていたら?』と声をかけてくれたり、体力的にも精神的にも心強かったです。育児とテレワークは父親にも母親にもプラスばかり。小泉進次郎さんが育休を取って、テレワークをするということにも注目しています」
現在は子どもを近くの保育園に預けて、帰宅したら、朝の8時半には仕事開始。17時に子どもを迎えに行って、食事、お風呂をすませ、子どもを寝かしつけた21時から、また仕事をすることも。「子どもと一緒に寝落ちしてしまうこともあります(笑)」
1歳7カ月の娘さんと。「発熱などでお迎えの電話があっても、在宅なのですぐに迎えに行けます」(写真撮影/片山貴博)
組織の一員だからこそ実現できることもあるとはいえ、もっと仕事の自由度を上げるなら、「フリーランス」や「自分で独立してビジネス立ち上げ」という選択もあるのでは?
「もちろん、先のことは分かりませんが、今は会社の中で、自分がやりたいことを実現できていると思うので完全フリーランスは考えていません。同じミッションを共有している仲間がいることは心強いし、きっと会社が好きなんですよね(笑)。また、1人でできることには限られているし、組織だからこそ実現できることも多いでしょう。組織なら、経験がないことでも挑戦させてもらえる余地があります」
とはいえ、テレワークはフリーランス同様、過程ではなく成果で評価されるため、シビアさもある。誰でもテレワーカーになれるのだろうか?
「私も普通の会社員でしたよ。ただ成果を重視する働き方にコミットできる人、ある程度オンラインでのツールを使いこなせることは必要かと思います」
Web上のコミュニケーションに慣れるにつれ、プライベートにも変化が。
「今いる場所にこだわらなくなり、沖縄やアメリカにいる友人とZoom(Web会議室)でおしゃべりしたり、新しい仕事の相談に乗ってもらったり。会社の同僚ともオンラインランチ、オンライン飲み会と称して、つながっています」
社内に「オンライン飲み会部」という部活があり、ZoomというWeb会議ツールを使って不定期で飲み会を実施している これは2020年1月に実施した際に撮影したスクリーンショット(写真提供/本人)
旅行しながら仕事をする「ワーケーション」も実践済みだ。訪れた場所は、奄美大島、北海道、五島列島など。特に五島列島では自治体主催のプログラムに参加。土・日は家族で観光、月・火は子どもを地域の保育園に預けて、ホテルのコワーキングスペースで仕事をした。「これなら旅行のハードルがぐっと下がるでしょう。とても楽しかったです」
五島列島での風景。オフシーズンにリモートワーカーを招く取り組みで、参加費にタクシーチケットが含まれるので、運転免許を持っていない方でもOK (写真提供/一般社団法人 みつめる旅)
茨城県水戸市を中心に1カ月ほどワーケーションをしたことも。「日立駅にある海の見えるカフェで仕事をしていました」
世の中には、あくまでも人対人の対面のやり取りにこだわりたい人がいるのも事実だ。しかし、技術の進化、副業の奨励などに伴い、暮らす街、働き方は今後もっと自由になるだろう。夫婦ともテレワーカー、フリーランスと会社員の二足のわらじ、という勝見さんは、まさにその実現者。「仕事する場所を選ばないなら、どこに住んだっていい。もっと田舎でも、海外でも。二拠点もありです」と、将来の選択肢は広がる一方。これからが楽しみだ。
最近時々耳にする「関係人口」。移住でも観光でもなく、日常生活圏や通勤圏以外の特定の地域と継続的かつ多様な関わりを持つ人たちのことだ。その実態は、十分に把握されていなかったが、国土交通省が三大都市圏の関係人口について実態調査を行った結果、18歳以上の居住者の23.2%に当たる約1080万人(推計値)が特定の地域を訪問している関係人口だという。詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「地域との関わりについてのアンケート」調査結果を公表/国土交通省地域産品の購入や趣味の満喫、地域の人との交流などのために特定地域を訪れる人たち
あなたは「関係人口」についてご存じだろうか?よく分からないという人が多いだろう。
この調査でも、「特に聞いたこともないし、よくわからない」という回答が73.2%もおり、4人に3人は分かっていないことになる。
日常生活圏や通勤圏以外の地域に、移住したり(定住人口)、観光したり(交流人口)するのではなく、何らかの形でかかわっている「関係人口」は、三大都市圏居住者のうちの24.1%いることが実態調査で分かった。うち、1.9%は「ふるさと納税」などでその地域を訪問しないで関わっていて、残りの23.2%がその地域を訪問している。
国土交通省では、特定の地域に“訪問して”関わっている人を「関係人口(訪問系)」と呼び、さらにその地域での過ごし方によって、次の4つに分類している。
■関係人口(訪問系)の定義
日常生活圏、通勤圏、業務上の支社・営業所訪問等以外に定期的・継続的に関わりがある地域があり、かつ、訪問している人(地縁・血縁先の訪問(帰省を含む)を主な目的としている人を除く)
■関係人口(訪問系)の大分類
【直接寄与型】(3.0%):産業の創出、地域づくりプロジェクトの企画・運営、協力、地域づくり・ボランティア活動への参加等
【就労型】(3.9%):地域においてテレワークや副業の実施、地元企業等における労働、農林水産業への従事
【参加・交流型】(5.8%):地域の人との交流やイベント、体験プログラム等に参加
【趣味・消費型】(10.5%):地縁・血縁先以外で、地域での飲食や趣味活動等を実施(他の活動をしていない)
具体的に特定の地域でどのような関わり方をしているかというと、「地域ならではの飲食や買い物(地場産品の購入など)」、「自分の趣味や地域の環境を楽しむ」活動を行う人が多く、次いで、「地域の人との交流や人脈づくり」、「祭りや地域体験プログラム」への参加をしている人が多い。
関係人口(訪問系)は関わり先でどう過ごしているのか(出典:「地域との関わりについてのアンケート」(国土交通省、令和元年9月実施)を掲載した資料より転載)
地縁のある地域や好印象を感じる特定地域に、年に1回以上短期間で継続的に訪問関わり先に訪問する頻度を見ると、「年に1回程度~数回」という人が多いのだが、「就労型」や「直接寄与型」では、「月に数回」や「月に10回以上」などが多いのが特徴だ。
関係人口(訪問系)の関係先への訪問頻度(出典:「地域との関わりについてのアンケート」(国土交通省、令和元年9月実施)を掲載した資料より転載)
関係先での滞在期間については、半日や丸一日の「日帰り」や「1泊2日程度」が多く、長くても「2~4日泊程度」といった結果になっている。
では、継続的に関わりを持つ特定の地域を訪問するようになったきっかけは、どういったことなのだろう?
かつて居住したり通学通勤したことがあったり、仕事で訪れたことがあったり、親戚や知人が住んでいたり、観光などで訪れたりなど、やはり「地縁や血縁がある地域」である場合が多い。一方で、その地域に憧れがあったり、何らかのツールで得た情報で興味が湧いたりといった、興味や好感など情緒的な動機付けによる場合もあった。
関係人口(訪問系)が地域を訪問したきっかけ(出典:「地域との関わりについてのアンケート」(国土交通省、令和元年9月実施)を掲載した資料より転載)
政府は、関係人口を増やして地域の活性化につなげたい政府が関係人口に力を入れる背景には、地方圏で人口減少・高齢化によって、地域づくりの担い手不足という課題に直面していることがある。地域によっては、地域外から変化を生み出す多様な人材が入っている事例もあり、「関係人口」を増やすことで地域づくりに参画する人材を生み出すことを期待している。
そのため、総務省では関係人口を創出する地方公共団体の事業を支援する取り組みをしており、「関係人口ポータルサイト」をつくって普及に努めている。
ちなみに、筆者は居住している自治体の姉妹都市にふるさと納税をする形で、特定地域と関わってる。が、特定地域を継続的に訪問することはしていない。もっぱら一度も行ったことがない地域に観光目的で訪問している。ただ、筆者が大好きな浮世絵師・葛飾北斎と深く関わりのある長野県小布施町で、地域活性化に関わる人に会い興味を覚えた。北斎の足跡を訪ねて小布施に通う、ということも面白いなと思い始めている。
多世代の交流を育み、地域に開かれた“コミュニティ賃貸”として、オーナーの浦和への想いを形にした「コミューンときわ」。中庭が人々の暮らしを繋ぎ、また、令和生まれの新築でも住戸のDIYが可能というのも特徴だ。2020年2月に開かれたお披露目会に参加し、オーナーや入居者に話を伺った。
コンセプトは「夢ある人が集い、コミュニティをつくり、地域と共生する」
JR京浜東北線「北浦和」駅から徒歩10分ほど。活気ある「北浦和西口商店街(ふれあい通り)」を抜けた先の住宅街に「コミューンときわ」は立地している。道路沿いには、NPO法人クッキープロジェクトが運営するカフェや、ガラス張りで街に開かれたSOHO型の住まいが並び、道行く人々の目を引く。
自然にコミュニティが形づくられていくよう、コミュニティデザインを「まめくらし」が監修。「まめくらし」は、「青豆ハウス」や「高円寺アパートメント」など街に開かれた賃貸を手がけてきた会社だ。代表取締役の青木純さんが「子どもだけでなく親も一緒に来られるために目的を限定しない場所を」とアドバイスした中庭をはじめ、ラウンジや水回り常設の屋上菜園など、住民同士の交流やくつろぎの場となる共用部が充実。日々どこかしらで井戸端会議が開かれそうだ。
運営もしっかり考えられている。“ご近所づきあいに興味があって入居しても、どうすればいいか分からない”という住人が出ないよう、平日は、住人同士の間をつなぐ「コミューン・パートナー」が常駐。日常の関係性づくりやより暮らしを楽しむサポートをしてくれる。
芝生が敷かれた中庭。住民が多目的に使用できるほか、イベントスペースとしても運営予定だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
ヨーロッパで多く見受けられる中庭を持つ集合住宅。「コミューンときわ」が異なるのは、中庭に面しているのが窓ではなく共用廊下で、アクションを取りやすいことだ。玄関と中庭が接しているため、買い物に出る際に中庭での会話や遊びに参加したり、中庭で会話が弾んだ流れで誰かの家に移動したりと、自然と交流が生まれそうなこのつくりは、長屋のような雰囲気を感じる。
家賃は周辺相場よりもやや高めの設定だ。それでも、多世帯交流などから生まれる豊かなライフスタイルが、「コミューンときわ」ならではの価値につながっていくことだろう。
浦和の文化と人とをつないで地域活性へコミュニティづくりは「コミューンときわ」内にとどまらず、地域とも連携していきたいと、オーナーである株式会社エステート常盤・代表取締役の船本義之さんは言う。「commune」はフランス語で共同体という意味。オーナーである株式会社エステート常盤・代表取締役の船本義之さんの「豊かな暮らしを育み、ひとつの街のようなつながりをつくりたい」という想いから名付けられた。
名曲『神田川』の時代から、分譲の住まい自体の質は高くなってはいるものの、賃貸物件をめぐる環境づくりやあり方が時代に追いついていないと感じていた船本さん。賃貸というものの形態は、ライフテージの変化に合わせて暮らしやすいからこそ、もっといい住環境を提供したいと、入居者同士がつながったり、部屋を自分らしくアレンジしたりできるようにした。
お披露目会の様子(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
浦和は「鎌倉文士に浦和画家」と称され、古くから文化が根付く街。浦和で20年ほど暮らしてきた船本さんは、「浦和にはいろいろな活動をしている人がいて、文化的なポテンシャルが高い人も多く住んでいる。しかしみんな皆、東京を見ていて、横のつながりがない」と感じていた。周りに多彩な人がいることを知る機会があれば、暮らしがもっと豊かになり、地域が活性化するのではないかと、多世代や地域の交流の場として「コミューンときわ」を計画。文化が産業の“人里資本主義”を掲げ、浦和が持つ人材のネストを目指している。
船本さんは、入居希望者全員と面接を行い、コミュニティづくりへの想いを共有していくという。プライバシーとコミュニティとのバランスをとりながら「ドアに鍵をかけなくてもいいような関係性が築かれていけば」と「コミューンときわ」のこれからに期待を寄せる。
セミオーダーから一点モノへ、サポートを受けながら自分好みの空間に「コミューンときわ」には、多世代が暮らせるよう、1Rから2LDK、SOHO型まで幅広い55戸の住戸が用意されている。どの住戸も窓が大きく、オープンなつくりで開放的だ。そして特徴的なのが、各住戸の表情が異なること。
内装は空間デザイン会社の夏水組がトータルコーディネートを行った。それぞれ「Urban Vintage(アーバンヴィンテージ)」「Innocent Green(イノセントグリーン)」「Ellison Natural(エリソンナチュラル)」「Casual Taste(カジュアルテイスト)」の4つのテイストが用意されている。
「Ellison Natural(エリソンナチュラル)」の内装で、一人暮らしを想定した住戸(28.12平米)。1階は専用庭付き(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
「Urban Vintage(アーバンヴィンテージ)」の内装で、土間が大きく取られたカップル/ファミリー向け住戸(55.08平米)(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
共用廊下に面した開口が広いのがコミュニティ賃貸ならでは(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
クロスやタイルはデザイン性の高いものから好みの柄を選ぶことができる。ヘリンボーンの床などPanasonicの建材を使用(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
選択肢が多いことは、入居者にとってうれしい一方、オーナー視点では施工コストがかさみ、デメリットになりそうだ。夏水組・代表取締役の坂田夏水さんに伺うと「建具や壁紙などモノのコストは変わらず、増えるのは現場管理コストのみ」だそう。その分、夏水組が見積もりを判断し、VE(バリューエンジニアリング=機能を維持しつつ、コストを削減すること)につなげたという。
参考として展示された夏水組セレクションの壁紙のバリエーション。好みの柄を張ってカスタマイズできる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
お披露目会に出店した「Decor Interior Tokyo」。この日は、夏水組デザインのタイルや、ニトムズのインテリアマスキングテープなど売れ筋アイテムをそろえた(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
インテリア好きな入居者にとってうれしいのが、夏水組がプロデュースするインテリアショップ「Decor Interior Tokyo」と連携していること。幅広い商品の中から、壁紙やDIYアイテムをスタッフと一緒に選んでもらったり、施工のアドバイスを受けたりすることができるのは心強い。
未知数の「コミューンときわ」入居の決め手は「単純におもしろそう」お披露目会では、さっそくお手伝いをする入居者の姿があった。「北浦和」駅の近くにあるクラフトビールバー「BEER HUNTING URAWA」オーナーの小林健太さんは、自慢のビールで来客をおもてなし。小林さんが参加する浦和の街をおもしろくしようという活動で開いた「うらわ横串ミーティング」での船本さんや青木さんとのトークイベントをきっかけに「コミューンときわ」に興味を持った。
入居の理由を尋ねると「単純に、おもしろそうだから」と小林さん。このシンプルな答えこそが、“まだよく分からないけど、とにかくおもしろそうな何かが生まれそう”という「コミューンときわ」の魅力を物語っている。
直井薫子さんと小林健太さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
お披露目会の看板を描いていたのは、「コミューンときわ」のSOHO型住宅でデザインオフィスを構え、職住近接を実践する直井薫子さん。東日本大震災をきっかけに、地元である埼玉のことを考えるようになり、東京から引越してきた。
以前住んでいた東京・葛飾では、ローカルメディアに携わるなど、地域に対してデザインができることは何かを考え、実践してきた。「埼玉でデザイナーといえば直井と言われるように」と、地域に根ざしたデザイナーを目指している。入居して間もないが、すでに映画のイベントを企画。今後は本屋のイベントや、アートやデザインに関連したコミュニティづくりを行っていきたいと語ってくれた。
笑顔が素敵なこのお二人と仲良くなれるだけでも、入居する価値を感じる。ハード面だけでなく、住人やそこから生まれるつながりが核となり、コミュニティの輪が広がっていくことだろう。
直井さんが、お披露目会の看板を描く様子。「コミューンときわ」には入居者それぞれが得意分野を活かせる場がある(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
住人同士や地域とのコミュニティづくり、そして部屋のアレンジやのサポート体制が整ったマンション。近年、自分らしい住まいを手に入れようと思ったら、物件を購入してリノベーションをするのが流行りのように思われるが、この新しい賃貸物件では、気軽に住み方のバリエーションを広げられる。
時間を掛けて、じっくり街がつくりあげられていく「コミューンときわ」。興味を持ったら、現地を訪れてみてはいかがだろうか。
●取材協力都道府県の枠を超えて、全国の高校に進学する「地域みらい留学」というネットワークがある。都会にはない広大な自然、その地域特有の文化にふれながら、充実した3年間を送るというものだ。最近では、少人数教育、親元を離れての寮生活、独自のカリキュラムに魅せられ、都会から進学する生徒たちが増えている。
今回は、その制度を利用し、神奈川県の高校から島根県立津和野高校に再入学、卒業後は、東京大学に進学した鈴木元太さんにインタビュー。きっかけをはじめ、島根の3年間で彼が得たこと、未来につながる糧など、あれこれお話を伺った。
「この地域への留学を選んだきっかけは?」と聞かれれば、やはり高校1年のときの震災ボランティアだったと振り返る鈴木さん。「ここまで復興していないなんて」「まだまだ手付かずなんだ」とリアルな現場を目の当たりに。その後、何度も被災地に足を運んだ。
そんななか、最も印象的だったのは、同世代の高校生たちが、自分たちの街のために奮闘している姿だった。「例えば、高校生カフェをしたり、大阪の物産展で販売しようと地元の商品を自分たちで仕入れをしたり、街を舞台にファッションショーをしたり、街の大人たちを巻き込みながら行動している様子を見て、高校生でも地域や社会に働きかけることができるんだと思ったんです」
そうして「学校を休んで何度も被災地を訪れる生活」をしているうち、通っていた神奈川県の進学校での留年が決定。もう一度1年からやり始めるという選択もあったが、「大学受験のための高校生活にしたくない。もっと地域や社会にリアルに関わるような学びがしたい」と、「地域みらい留学」実践校である島根県の津和野高校に再入学した。
津和野高校のうしろには津和野城跡がある(画像提供/鈴木さん)
津和野町(画像提供/鈴木さん)
昨年、島根県立津和野高校卒業。現在東京大学1年生の鈴木元太さん。幼少期を北海道で過ごす。「島根への留学は僕の意思。両親は僕の選択を尊重し、応援してくれました」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
親や先生以外の大人が身近に。田舎だからこその距離感が新鮮「前の高校と一番違うことは、とにかく関わる大人が多いこと」だった。
例えば、地域の人たちが先生役、指導役になって、高校生たちが興味を持ちそうなテーマで、より実践的に学べるカリキュラムを1年間通して設けている。そのコースは20以上。「例えばドローン入門だったり、津和野の建築や食だったり、空き店舗をなんとかしようだったり、何でもあり。今では、“T-プラン”と名付けられ、猫カフェやアイドル入門といったものもあります。生徒のほうから提案もできます」
津和野高校の1学年の生徒数は60人程度と少人数。地域の人たちと生徒たちがお互いに顔と名前が分かる環境で、交流を深めていく。大人と生徒との距離感がとても近いのが都会との大きな違いだ。
鈴木さんと一緒にいるのは高校魅力化コーディネーターの、通称「うっしー」こと、牛木さん(画像提供/鈴木さん)
「竹林を守る」活動を通して得られた体験が、将来への座標に鈴木さんが高校生活で積極的に取り組んだのが「竹林」だ。
まちに入り込んでフィールドワークをする地域系部活動「グローカルラボ」の一環として、地域の行事に参加して地域の人たちと顔見知りになったり、自分たちが借りた畑で作物を育てるために地元の農家さんたちの協力を得るなか、鈴木さんは「津和野では放置した竹林が増えており、景観や生態系に悪影響を及ぼす危険がある」ということを知る。「どうにかならないかなと思い、学校と地域を結ぶ高校魅力化コーディネーターにお願いし、竹林の持ち主の方や役場の方に会って、話を聞きました」
その後、たけのこを掘る企画を立ち上げたり、竹を割って器にしたタケノコご飯をしたり、小学生と竹馬をつくるワークショップをしたりと、「鈴木くんといえば竹」と高校でも一目置かれる存在になったそう。
「とにかく、”こんなことを考えているんだけど……”と相談したら、”だったら、この人に話を聞けばいいんじゃない。連絡してみよう”とか、“じゃあ、私が車を出そう”と、いろんな大人たちが協力してくれました。普通の高校生じゃ、なかなか会えないような人と話す機会が得られて、視野が広がりました。また、自分で考えて動けば、誰かが応えてくれる。竹には興味がない同級生も、ごはんづくりなら、と参加してくれたり、子ども好きな友人は小学生向けの教室を手伝ってくれたり、そのコミュニケーションの在り様がとても楽しかった。それはこれからのやりたいことにつながっています」
竹林保全活動の様子(画像提供/鈴木さん)
竹を器にしたタケノコご飯(画像提供/鈴木さん)
竹林保全の活動の報告会。中学生から80代の方まで幅広い年代の54名が集まり、これからの高校生と地域の大人の関わりを話し合った。鈴木さんの活動は津和野高校の1、2年生に引き継がれる(画像提供/鈴木さん)
もし津和野に行かなかったら、今の自分はいなかった「もっと地域に関わる学びをしたい」と、現在は、推薦入試で東京大学の理科1類(工学部建築学科に進学予定)に入学した鈴木さん。学力に加え、神奈川県の高校時代から続けてきた衛星を使った画像分析の研究(北海道大学と共同)、さらに津和野高校での竹林の保全活動が評価されたのだ。
「神奈川県で在籍していた高校は進学校で、僕は高校受験で燃え尽き症候群になってしまったんです。そのままそこで高校生活を続けて、学ぶモチベーションを保てたかどうか分かりません。当時の僕の将来のビジョンは“グローバルに働く”“サイエンスで問題を解決”など、どこかふわふわしたものでした。でも津和野での経験で、課題は目の前にあるし、それを解決していくには自分が動くべきだという意識が芽生えました。そこにあるのは圧倒的なリアリティでした」
行動力、決断力、周囲の人を巻き込む人たらし力(?)のある鈴木さん。漠然と自分が進みたい道の輪郭がクリアになっていったものの、目の前にある“大学進学”に対しては不安で仕方がなかったそうだ。
「そもそも、津和野には、都会のような受験特化の進学塾はありません。四年制の大学の進学率も3~4割です。大学進学にはセンター試験対策の受験勉強も必要ですが、それを独学でするのは、正直、強い意志が必要でした。情報格差もあります」
そうした不安を持っていた鈴木さんは、東京大学ではいわゆる非進学校出身のメンバーによるサークルUTFRに加入。過疎地の高校生に対し、情報提供や進学サポートをする活動を行っている。取材日の週末も、友人の大学生たちと津和野に帰り、母校を訪問、ワークショップを開く予定だ。
「都会では当たり前なことが田舎では難しいことは多々あります。でも、地元の人たちは気づいていないだけで、田舎だからこその強みもたくさんありますから」
自ら考え、自ら行動する。津和野で培った行動原理を卒業後も実践し続ける鈴木さん。今後の活躍が楽しみだ。
「卒業後も津和野に関わり続けたい」。その鈴木さんの想いを形にした在校生対象のワークショップ(写真提供/鈴木さん)
次回は、この「地域みらい留学」を主宰する一般財団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」に取材。立ち上げの背景、現状と今後の展開について話を伺う予定だ。
●取材協力私はフランスのパリに暮らすフォトグラファーです。パリのお宅を撮影するたびに、スタイルを持った独自のイン テリアにいつも驚かされています。 今回はモンマルトルにあるアーチストのための集合住宅<Les fusains(レ・フザン)>に住むファブリスさん(夫)とベアトリスさん(妻)のアトリエ兼住居に訪れました。
特殊集合住宅<Les fusains/レ・フザン>をまずは紹介
レ・フザンはパリ18区モンマルトルの丘の麓、モンマルトル墓地近くのトゥルラク通り22番地に位置するアーティストの街です。1900年から着工され、1906年からアーティストのためのアトリエ&住居としてレンタルされ始めました。街といっても入り口はアパルトマンの扉をくぐって入ります。そこから先は迷路のような小道になっていて車は入ることができません。
一見普通のパリのアパルトマンですがこの建物の後ろに迷路のような小道があり、両脇に43世帯のアトリエ&住居が建てられています(写真撮影/Manabu Matsunaga)
レ・フザンはパブロ・ピカソやモディリアーニらが住んでいたアトリエ兼住宅バトー・ラヴォワール(洗濯船)のように、多くの有名な画家や彫刻家の住居や、仕事場であった場所として知られています。オーギュスト・ルノワールはここでワークショップを行い、アンドレ・ドランは1906年に、ジョルジュ・ジュバンは1912年に、ピエール・ボナールは1913年からここに住み作品をつくり出しています。このような芸術家が集まる集合住宅(街)としては、とても古い歴史を持ちます。
それが今もなお受け継がれ、アーティストに愛される街なのです。
急斜面の道路から建物の中に入ると、右手はアパルトマンタイプの背の高い建物があり、小道が迷路のように入り組む両脇には一軒家が連なります。古き良き時代のパリにタイムスリップしたような気分になるのは、パリでは珍しい一軒家がたくさんあるからでしょう。大小含めた40世帯が集まるレ・フザンは全てアトリエと居住スペースが備わっているため、住民たちの交流がとても密だとか。今回訪れたのは冬だったので「今は草木たちが静かだけれど、春から夏にかけては花が咲き乱れ葉が茂りパリではなくカンパーニュのような場所になるの」とベアトリスさん。その時期は皆が外でアペリティフをしたり、夕食を食べたり、道というより庭の感覚で過ごしているそうです。
レ・フザンに入って右手にある大きなガラス窓のあるアパルトマン。大きなガラス窓はアーティストが自然光で作品を仕上げるためにとても大切。全てのアトリエがそんな工夫がなされているといいます(写真撮影/Manabu Matsunaga)
一軒家の連なる道には全ての家の前にはテーブルと椅子が用意されていて、家の一部として機能していることが伺えます。お隣とテーブル越しに楽しい会話やひとときを過ごす社交場にもなっています(写真撮影/Manabu Matsunaga)
小道や壁、いたるところに作品が置かれているアートスペース彫刻や壁画などが置かれた小道は、前は誰もが入ってこれる場所でもあったそう。「作品を色々な人に見てもらうのはアーティストとしてとてもうれしいこと、しかし作品が盗まれる事件が起きるようになり住人しか入ってこれないようになってしまった」とファブリスさんは少し残念そうだった。その作品は過去に住んでいたアーティストが置いていった物、そして今の住人の作品が入り混じって置かれ時代が交差した興味深いアートスペースになっています。もうひとつ興味をそそるのが、アーティスト、画家であったり彫刻家であったり、そんな人たちの仕事場であるということはとても魅力的です。個性的で、ここから作品が生まれてくることを想像するとワクワクした気分になります。
新旧含めた作品、主に彫刻が置かれている小道。「まるで旅をしているような迷路でしょう?」と、壁の前でレ・フザンの良さを語るおふたり(写真撮影/Manabu Matsunaga)
レ・フザン内で2軒目のアトリエへ引越しお二人は10年前に今のアトリエに引越して来ました。その前も同じレ・フザン内にある60平米のアトリエ兼住居に住んでいました。「90平米のアトリエが空いたというので、すぐに引越しを決めました。北向だけれど光の入り具合もよかったし、やはり広い方が作品をつくりやすいと思ったからです」と、ファブリスさん。
住み慣れたレ・フザン内での引越しは、なんの苦労もなかったと語ります。彼らがやったことは、壁の白いペンキを塗り直し、階段をワインレッドに塗っただけだそう。1階は小さなキッチン、サロンとアトリエが一室になった自然光いっぱいのスペース。2階は寝室とアトリエから吹抜けになった浴室があります。浴室というより、部屋の中に風呂桶が置かれた個性的なつくりになっています。
天井まで5、6mはあるアトリエのガラス窓。その続きにサロンが配置されています。サロンの天井部分が2階の浴室ルームに(写真撮影/Manabu Matsunaga)
2階の浴室ルームからアトリエを見下ろすことができます(写真撮影/Manabu Matsunaga)
1階のサロン部分の上が浴槽の置かれた部屋。アトリエから吹抜けになっているので光いっぱいのスペースになっています。浴槽は黒に自分たちで塗りました。タンスは田舎の家から持って来た年代物(写真撮影/Manabu Matsunaga)
朝はベッドの中で朝食をとるのがお二人の日課。和ダンスは友達から譲り受けたもの(写真撮影/Manabu Matsunaga)
両親からの影響で、アートに興味を持ち、旅好きになったファブリスさん一家はもともと芸術家一家で、お父さんはテレビの番組制作に携わっていたり、ユネスコの仕事で20回以上日本を訪れたことのある親日家でもあったそうです。日本の武道の本を書く際に三島由紀夫をインタビューしたこともあるとか。お母さんは写真家で、マン・レイのミューズであり写真のモデルとしても交流があったそうです。そんな環境の中、彼は自然にアートの世界に入り込み、小さいときはいつでも絵を描いていたといいます。今では、絵や写真や映画のシナリオを仕事にしているマルチアーティストです。
ベアトリスさんは芸術専攻の歴史家でした。最初は文学が大好きでしたが、父が建築家であった影響で次第にアートに興味を持つようになりました。そのセンスを買われ10年間Youji Yamamotoのプレスとして働きます。Youji Yamamotoのことはジム・ジャームッシュ監督の映画『ミステリー・トレイン』で知り、非常に興味を持ったとのことでした。その後、化粧品メーカーの立ち上げなどに参加したり、日本文化を伝えるギャラリーに在籍していました。
ファブリスさんのお母様をモデルにしてマン・レイが撮った写真がサロンの一角に飾られています(写真撮影/Manabu Matsunaga)
ベアトリスさんの家族が所有していた古い家具と宝石入れ。「旅で見つけて来たものを飾ることで自分らしいコーナーになる」とか(写真撮影/Manabu Matsunaga)
(写真撮影/Manabu Matsunaga)
旅をして見つけたものを飾るのが彼らのスタイルをつくり出すそんなお二人の共通の趣味は旅行。数年前1年かけて世界旅行に南米から出発し、その年は冬を体験することなく過ごしたそうです。「今でも1年に2、3回は遠くに旅に出ます。旅で色々な文化、人、景色、匂い、物に触れることが人生の大きなポイントだと私たちは考えているからです」とベアトリスさん。確かに部屋のいたるところに日本をはじめインド、メキシコ、さまざまな国のオブジェが飾られています。
それらと同じ空間に家族代々使われてきた家具が置かれ、このミックス具合が彼らの独自のスタイルをつくり出しています。そして、家族のものといえば、実は有名食器ブランド「アスティエ・ド・ヴィラット」もそう。
創立者の一人イヴァン・ペリコーリは、実はファブリスさんの弟。彼らが日々使う食器は、ほとんどがアスティエ・ド・ヴィラットのものです。
家族から受け継いだものと旅で見つけてきたものがミックスされたシュミネ(暖炉)の周りに置かれている(写真撮影/Manabu Matsunaga)
日本で人気のアスティエ・ド・ヴィラットの食器をこんなにたくさん持っているなんて贅沢です(写真撮影/Manabu Matsunaga)
旅で出会ったオブジェだけでなく、家族代々受け継いできた家具を飾り、家族のつくった食器で食事をし、家族がモデルになったオリジナルプリントも飾る。それがマン・レイのオリジナルプリントだったり、家族の食器がアスティエ・ド・ヴィラットだったり。それでもお二人にとってはとても身近な物。
ファミリーを大切にし、好きなものしか所有しない、という信念のもとで自分たちのスタイルをつくり上げる。これは新しいボヘミアンのスタイルかもしれません。
(文・松永麻衣子)
2020年が始まってはや1カ月が経ちました。SUUMOジャーナルで1月に公開した記事では、2020年の住まい動向を分析した「2020年の不動産市場を読み解く3つのキーワードを発表!」「テレワークが住まいを変える!?2020年の住まいトレンドは『職住融合』」などが人気でした。TOP10の記事を詳しく紹介します。
2020年1月の人気記事ランキングTOP10はこちら!
1位 2020年の不動産市場を読み解く3つのキーワードを発表!
2位 テレワーク導入に900社が理解示さず。流山市の民間シェアオフィスが挑む高い壁
3位 意外に高い平成世代の持ち家志向、住宅ローン選びでは…
4位 日本に居ながら留学生活? 多国籍シェアハウスのリアルな住み心地を聞いてみた
5位 テレワークが住まいを変える!?2020年の住まいトレンドは「職住融合」
6位 “子育てに人気の街”弊害も。テレワークが変える郊外の子育て
7位 “暖房をつけても寒い”は家に問題が! 解決策は「住まいの温活」
8位 「リノベ・オブ・ザ・イヤー2019」に見るリノベーション最新事情。“断熱性能”など4つのキーワード
9位 お墓は必要? 将来どうする? 漫画で「墓活(はかかつ)」を考えよう
10位 テレワークが変えた暮らし[6]湘南で見つけた新しい生き方。「サーフィンを楽しむ70歳になりたい」
※対象記事:2020年1月1日~2020年1月31日までに公開された記事
※集計期間:2020年1月1日~2020年1月31日のPV数の多い順
1位 2020年の不動産市場を読み解く3つのキーワードを発表!
(写真/PIXTA)
1月の恒例企画、さくら事務所会長の長嶋修氏による新年の不動産市場についての予測は「さらなる災害リスク」「不動産価格のピーク感」「政治の動き」がキーワードです。2019年に相次いだ自然災害や、消費増税の影響が、不動産にどうでるかを解説しています。
2位 テレワーク導入に900社が理解示さず。流山市の民間シェアオフィスが挑む高い壁
(写真/Pexels)
テレワークが推進されてはいるものの、企業における導入率はわずか19.0%。テレワーク定着のためのシェアオフィスを運営する尾崎えり子さんは、営業先の企業から「ママなんてバイトで満足でしょ」などと言われたこともあったといいます。その奮闘と成果を伺うと、日本の厳しい現状も見えてきました。
3位 意外に高い平成世代の持ち家志向、住宅ローン選びでは…
(写真/PIXTA)
生活価値観や住まいについて「平成世代」「ロスジェネ世代」「バブル世代」に区分して比較。住宅ローン返済への不安が強い平成世代は、団体信用生命保険加入時にがん保障などの特約を手厚くしている傾向が顕著です。近年はプラスできる特約も多彩になっており、将来の不安解消へ向けた対策をしっかり行っている様子がうかがえました。
4位 日本に居ながら留学生活? 多国籍シェアハウスのリアルな住み心地を聞いてみた
(写真提供/ボーダレスハウス)
日本に居ながら、異文化に触れることができ、語学力が向上すると注目を集めている多国籍シェアハウスの魅力や実態を、実際に住んでいる日本人、外国人の経験から紹介します。生活に根付いた生きた語学を互いに教えあえるだけでなく、多文化に触れることで将来の夢も広がっているようです。
5位 テレワークが住まいを変える!?2020年の住まいトレンドは「職住融合」
住まい・飲食・雇用などの新たな兆しを見出すリクルートホールディングスによる「2020年のトレンド予測」の「住まい領域」では、家や街なかなどの「オフィス化」が進み、職場に縛られず住む街を選ぶことも進むと予想。DIYやリノベーションで自宅に快適なワークスペースをつくる動きや、実例にもふれています。
6位 “子育てに人気の街”弊害も。テレワークが変える郊外の子育て
(写真/片山貴博)
2位にランクインした流山市の事例の続編です。子育てに人気の街であるがゆえに難しい仕事と家庭の両立を、テレワークでどう解決したか。また地域のコミュニティに参加することで実現した豊かな子育てや、子どものキャリア教育につながる取り組みも紹介しています。
7位 “暖房をつけても寒い”は家に問題が! 解決策は「住まいの温活」
(写真/PIXTA)
暖房による光熱費が気になる季節ならではのトピック。屋内の暖房の熱を逃さない「家の温活」はどうしたらいいのか。戸建てとマンションのそれぞれの断熱リフォームや手軽なDIYの方法、これから家を買うときのチェック方法まで紹介しています。
8位 「リノベ・オブ・ザ・イヤー2019」に見るリノベーション最新事情。“断熱性能”など4つのキーワード
(写真提供/株式会社大城)
1年を代表するさまざまなリノベーション作品の受賞作から見えてきた最新事情を紹介。今回は住宅性能を向上させるリノベ事例に大きな注目が集まりました。リノベというと、デザインなどの見た目に注目が集まりがちですが、新築以上の機能性を追求した実例から、リノベの世界の転換期を感じることができます。
9位 お墓は必要? 将来どうする? 漫画で「墓活(はかかつ)」を考えよう
(画像提供/140B)
少子化や人口減少の進む現代日本では、生きている間に住む家と同じく亡くなった後の住まいであるお墓の在り方も、多様化が進んでいます。お墓にまつわる諸問題や疑問を取り上げた「まんが 墓活」著者にインタビューし、作品への思いや印象に残ったお墓について聞きました。
10位 テレワークが変えた暮らし[6]湘南で見つけた新しい生き方。「サーフィンを楽しむ70歳になりたい」
(写真撮影/片山貴博)
勤務先のテレワーク導入で湘南に引越した女性の事例。通勤や出社にかけていた時間やお金を、サーフィンや家庭菜園といった趣味ややりたいことに費やすうちに、人生設計までも変わりました。現在は会社務めを辞め、フリーの翻訳家として充実した生活を送っています。
2020年の住まいのトレンドがどうなるのかの予測や最新動向をチェックした記事は、1月ならではの結果と言えそう。また、暦の上では春とはいえ、まだまだ厳しい寒さが続く季節。家の断熱がDIYでもかなうなら、今からでもチェック、実践する価値がありそうです。
家の中の細部まで自分たちのこだわりを反映できるのはリフォームの魅力の一つ。今回は、住まい手の個性を表す家をつくるための三つのセオリーを紹介。
壁や床、建具やパーツを選ぶときの参考にしてみよう。
空間を構成しているアイテムは、家具やファブリックなどのほかに、床、壁、天井、建具が含まれる。家具などのインテリアアイテムは賃貸住宅でも手軽に変えられるが、壁や床、建具、パーツは、リフォームでないと交換することが難しい空間要素だ。
中でも、面積の大きい壁や床、建具にこだわることは個性の演出により効果的で、パーツなどの細部にまで厳選することで、より自分好みの空間を完成できる。例えば、同じ床材でも仕上げによって表情を変えられ、パーツの組み合わせ方でインテリアスタイルを強調することもできる。今回は、家の個性をつくる空間要素のうち、素材、仕上げ、パーツの三つについて選ぶときのポイントを解説しよう。
(画像提供/PIXTA)
壁や床、天井など室内空間に用いる素材には、むく材や珪藻土、タイル、石などの自然素材と、ステンレスや鉄、プラスチック、ガラスなどの人工素材がある。素材によって、やわらかみやあたたかさ、硬さや冷たさなど、見た目の印象や手触りに特徴がある。色や柄にこだわることも大事だが、素材がもつ特徴を把握した上で、希望するイメージに合うものを選びたい。
THEORY2:「仕上げ」~素材の活かし方を知る~(画像提供/PIXTA)
仕上げとは、床や壁などの素材の表面に施す塗装や装飾のこと。同じ床材でも、仕上げ方法により色や質感は変わる。例えば、同じ種類のむく材を床に使った場合、色みを活かす無塗装か好みの色でペイントするかにより空間に与えるイメージは全く異なる。また、壁に珪藻土などを使う場合、コテの使い方により洋風にも和風にもなる。素材を選ぶ際には、仕上げ方法も併せて検討しよう。
THEORY3:「パーツ」~空間のバランスを考える~(画像提供/PIXTA)
パーツにこだわることで、より統一感のある空間コーディネートに仕上がる。ドアノブやスイッチプレート、造作収納の取っ手やフックなどは、用いられている素材と、曲線や直線などのフォルムでテイストが決まる。
パーツの色は、壁や天井、ドアの色になじませる方法と、空間のアクセントとなる色にする方法がある。どちらにするかは、家具やファブリックとのバランスで決めよう。
家の個性をつくりだすための三つのポイントを見てきた。それぞれのセオリーを踏まえた上で、「素材」「仕上げ」「パーツ」全ての細部にまでこだわりきると、家の中にも自分らしさを表現することができる。
構成・文/山南アオ
場所や時間にとらわれない柔軟な働き方“テレワーク(リモートワーク)“。その普及によって、働く場所も多様化している。今回は、自宅の一部にワークスペースを設ける「家なかオフィス化」のヒントが詰まったアイデアの数々を、リノベーション事例などを通して紹介したい。
【ヒント1】リビング内にワークスペースを設ける
自宅の中にワークスペースを設ける際、家の中のどこにスペースを確保するかは大問題。その選択肢のひとつがリビングだ。リビングなら、家族の様子を見ながら、あるいは家族の気配を感じながら仕事ができる。ただその一方で、仕事に集中しにくいというデメリットもあるようだ。その解消法も併せて紹介しよう。
【G-FLAT/兵庫県神戸市垂水区Fさん】
室内窓に面して2つのデスクが並ぶワークスペースは、夫婦が同時に作業することもできる。デスクは複数のモニターを置いてもスペースに余裕がある(写真提供/G-FLAT)
ワークスペースの背中側。可動棚のある本棚やプリンターも手が届く距離にあり、効率的に仕事が進められる(写真提供/G-FLAT)
一戸建ての1階に、リビングとつながるワークスペースを設けた例。リビングとワークスペースとの間は大きな窓のある間仕切り壁で隔てている。2つのデスクを窓に向けて置くことで、窓を通して家族の気配を感じ取り、リビングの様子を確認できるワークスペースが実現した。
このような間取りにしたのは、妻が在宅のイラストレーターであり、夫も自宅でデザイン系の作業をすることがあるから。子どもが2歳と幼く、子どもが寝ている間や機嫌の良いときにしか仕事ができない妻にとって、ふと顔を上げればリビングに居る子どもの様子が確認できるのは理想的。以前の賃貸マンションでは、一室をワークスペースとしていたため、集中こそできるものの、他の部屋の様子は分からなかった。なお、集中したいときは、小窓のロールスクリーンを下ろしてワークスペースに“こもる”ことも可能だ。
【リビタ/東京都武蔵野市Oさん】
67.20平米・2LDKのマンションのリビングの玄関側を小部屋に仕立ててワークスペースに。フリーランスで働く妻にとって自宅内のワークスペースはかねてからの念願だった(写真提供/リビタ)
リビング越しに窓の外の景色が見えるほどに開放的な点には大満足。ガラス窓を開けるとリビングにいる家族と会話も可能。集中したいときには窓とカーテンを閉めれば完全な個室にすることもできる(写真提供/リビタ)
リビングの一角にガラス張りの小部屋を設けてワークスペースとした例。フリーランスで活動している妻のワークスペースをつくる際、当時5歳と2歳だった子どもたちのリビングでの様子を視界に入れながら仕事ができるようにと、ガラス張りにした。夫のテレワーク時にも利用するなど、夫婦でともに活用しつつ、子どもが小学生になったときに子ども部屋に転用することも想定している。
オフィスやカフェなどよりも落ち着く上、周囲に気を遣わずに電話ができるし、ガラス部分のカーテンを閉めれば、ダイニングテーブルやコーナー机などよりも集中できるテレワーク環境となる。
【リビタ/東京都杉並区Tさん】
96.55平米の3LDKのマンションを、「小学校のような家」というコンセプトのもとにリノベーション。このワークスペースは「図工室」という位置づけだ(写真提供/リビタ)
LDKや廊下との間を腰高のパーテーションでゆるやかに区切ったワークスペースの例。定期的にテレワークのある夫、アクセサリー製作の仕事をする妻、大学生の長女と中学生の長男(ともにリノベーション当時)の4人がそれぞれに必要なスペースを確保しようとしたとき、完全に区切ると1人分のスペースが非常に狭くなることから、LDの一部をゆるやかに隔てることで夫婦のワークスペースを確保した。
夫は月に2回ほどのテレワーク時、妻は週2日ほどアトリエに出勤する以外の時間、このワークスペースで仕事をしているが、リノベーション計画当初に意図した通りに、広々とした開放感を味わっているという。その副産物として家族のコミュニケーションも増え、そういった意味でも“風通し”が良くなっているのだとか。
【ヒント2】仕事スペースと生活スペースを分けてメリハリをオン・オフを明確に切り替えたいという人には、ワークスペースを生活空間から完全に分離するのが効果的。いわゆる“SOHO”(Small Office/Home Office)だ。仕事中はそこに“こもる”ことで、仕事や作業に没頭できるようになる。
【ブルースタジオ/東京都練馬区Nさん】
80.30平米・2LDKの一室をワークスペースとライブラリーに分割。コンパクトなワークスペースなだけに、仕事に必要な機器や資料はすべて手に届く範囲にある(撮影/Sayaka Terada[ZODIAC])
LDKからワークスペースへとつながる廊下の壁面を若草色に。ブルー基調のリビングからこの”森”を通って移動することで、アタマが仕事モードになる(撮影/Sayaka Terada[ZODIAC])
マンションの2LDKの洋室の片方を蔵書のライブラリーとワークスペースに分割して使っている例。それぞれのスペースは狭いが、その分、機能を集中させることができ、ワークスペースと生活空間がきっちり分離されている。そのため、フリーランスのデザイナーとして自宅で仕事をするNさんにとっても、オン・オフのメリハリの利いたワークスタイルが可能になっているが、その一方で、両スペースを行き来する際の切り替えという課題も。そこで、生活空間のテーマカラーをブルーとし、ワークスペースへと続く壁の色を自社のテーマカラーである若草色に彩ることで、ワークスペースに向かう際は、常に若草色の“森”を抜ける気分になるのだとか。色彩的な効果を利用して気分を変えているのだ。
趣味と仕事がほぼ連動しているNさんにとって、この部屋での暮らしは至って快適なのだそう。リビングから “森”を通ってワークスペースに向かい、思う存分“こもる”ことができるのは、SOHOスタイルならではの楽しみなのかもしれない。
【ヒント3】狭いスペースを利用してワークスペースを確保限られた空間のなかでワークスペースを確保するためには、デッドスペースやちょっとした隙間を利用することもある。特にマンションでは、空間の有効活用は切実な問題だ。
【リノベる。/神奈川県鎌倉市T さん】
夜、リビングで夫婦の片方がくつろいでいるときに、もうひとりがワークスペースにこもったりして交互に使っている(写真提供/リノベる。)
80.19平米・2LDKのマンションの玄関と寝室の間のスペースを利用。LD側の窓とバルコニー側の窓を開けると家中に風が通り、家全体が気持ちの良い空間となる(画像提供/リノベる。)
リビングから寝室へ向かう廊下の脇に秘密基地のような書斎を設けてワークスペースとしている例。限られた広さを有効に使って夫婦それぞれが持っていた蔵書を収納しながら集中できるスペースをつくるために、玄関と寝室の間の小さな空間を利用した。このアイデアは、「採光が良く風通しが良い家なので、気分に合わせて家の中のいろいろなところで過ごせるようにしたい」というそもそもの家づくりのコンセプトにも合致していた。
会社員の夫は在宅での作業やオンラインミーティングなどのときに、同じく会社員の妻は個人的なスタディースペースとしてこの書斎を利用。壁の色のトーンを落としたことで、集中できる空間になっている上、本やPC類がちょうど手の届く範囲に収まっているため、使い勝手も良いのだとか。入り口に扉を付けて個室にするようなことはせず、こもりながらも家族の雰囲気を感じ取れるようにしている。リビングやダイニングで仕事をすることもあり、「仕事は必ずここで」と限定していないところもT家流だ。
【ヒント4】事業者が提案するワークスペースもUR賃貸住宅やハウスメーカーなども、自宅内にワークスペースを設けるプランを提案している。
【MUJI×UR/団地リノベーションプロジェクト】
玄関(左)から土間を介して右の多目的スペースに上がれる。玄関脇には可動棚のある収納スペースも(写真提供/MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト)
玄関からもキッチンからも入れる2way方式なので、動線も効率的だ(画像提供/MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト)
株式会社MUJI HOUSEとUR都市機構が愛知県名古屋市の相生山団地で提案しているプラン。玄関土間から直接、多目的スペースに上がれるようになっている。納戸や趣味スペースとしても利用可能だ。
【セキスイハイム/パパママ個室】
夫婦それぞれに個別のスペースが設けられているので、夫婦が同じ時間に作業する場合でも、自分だけの空間が確保できる(写真提供/積水化学工業)
主寝室との間にウォークインクローゼットを挟んでいることで、より一層、作業に集中できる空間に(画像提供/積水化学工業)
セキスイハイムが提案している注文住宅のプランの一つ。主寝室のウォークインクローゼットの奥に書斎と洗面台付きのメイクアップコーナーが設けてある。夫婦それぞれに自分専用の空間があることで、自宅で作業をする時間が重なった際や、忙しい朝の身支度の際にも、お互いに気を遣わずに済む上、動線上にあるウォークインクローゼットに物がしまえるので、すっきりとした空間での作業が可能だ。
【ヒント5】お手軽なDIYでもワークスペースがつくれるこれまでに紹介した大掛かりなリノベーションなどをしなくても、自宅の中にワークスペースを設けることは可能だ。
例えば、広いリビングをパーテーションで仕切れば、仕切りの中をワークスペースとすることができる。パーテーション越しに家族の気配を感じ取りつつ、作業や仕事に集中できそうだ。
パーテーションは1万5000円くらいから入手可能だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
また、リビングの一角にデッドスペースがあれば、そのスペースちょうどのサイズにテーブル天板をカットし、伸縮式の脚をつけてスペースにはめ込むことで、作業コーナーが出来上がる。
必要な費用は8000円程度。テーブル天板や伸縮式の脚などは、ホームセンターなどで入手可能だ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)
フリーランスなどの在宅ワーカーや会社員がテレワークに際して導入し、大いに役立っている「家なかオフィス」。DIYなどの手段も含めれば、「家なかオフィス」実現への道は決して遠くない。まずはDIYでできる範囲で着手しつつ、近い将来のリノベーション、注文建築なども視野に入れながら、今から快適なワークスペースの計画を練ってはいかがだろうか?
●関連記事学生用マンションでひとり暮らしをする人は、「駅」の近さより通学する「学校」の近くであることが決め手になる。そんな調査結果を学生情報センターが発表した。通学の『時短』を重視する傾向は、学生にも及んでいるようだ。調査結果を詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」の結果を発表/学生情報センター学生も通学の『時短』を重視する!?
まず、「今の部屋に決めた理由」(複数回答)を聞いた上位の結果を見よう。
1000人以上の学生が「学校から近い」と「バス・トイレ別」を決め手にしたことが分かる。
1位:「学校から近い」(1170人)
2位:「バス・トイレ別」(1080人)
3位:「駅から近い」(763人)
4位:「セキュリティ」(760人)
立地については、駅から近くても通学するのに学校から遠い、というのは敬遠されるということだろう。通学でも『時短』重視の傾向がうかがえる結果だ。
また、「今の住まいの満足度」(単一回答)を聞くと、72.4%の学生が満足(「大変満足」24.5%+「ある程度満足」47.9%)と回答した。一方、「今の住まいにいつまで住むか」(単一回答)を聞くと、75.0%の学生が「卒業するまで」と回答した。「満足」あるいは「普通」と感じている学生が多いからだろうが、新しい部屋探しには時間も費用もかかることもあって、積極的に住み替えを考えてはいないという状況がうかがえる。
「今の住まいの満足度」(左)と「今の住まいにいつまで住むか」(右)(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」より転載)
オススメは駅より学校の近さ。ただし地域差も…次に、後輩にアドバイスするという想定で「部屋を選ぶときの重視項目」を聞いた結果を見ていこう。
部屋を選ぶときに重視すべき後輩へのアドバイス(複数回答)1.全国(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」より転載)
後輩に重視すべきとする三大項目は、「学校の近く」(61.3%)、「スーパーの近く」(59.9%)、「駅の近く」(51.9%)だ。「スーパー」のほうが「コンビニ」より品ぞろえが多いから、より重視すべしということか。
ただしこれが地域によって、少し変わってくる。
部屋を選ぶときに重視すべき後輩へのアドバイス(複数回答)2.東京都と東京都を除く全国との比較(出典/学生情報センター「ナジックひとり暮らし学生 実態調査2020」より転載)
同社の本社が京都にあることから、回答した学生が最も多いのは京都府(18.2%)で、次いで東京都(17.4%)になるのだが、東京都の学生とそれ以外の府県の学生で比較すると、順位や重視度が変わってくる。
「学校の近く」が1位であることに違いはないが、2位は東京以外の学生では「スーパーの近く」が僅差で続くのに対し、東京都の学生では「駅の近く」が逆転して2位に上がる。また、東京都の学生は「通学に乗り換えがない」が27.0%で6位に上昇(東京都以外は16.2%で9位)するのも、注目したい点だ。
通勤通学時間帯には、車内の混雑度や駅間移動の混雑度が激しく、ストレスがたまりやすい東京都ならではの観点といってよいだろう。
イマドキの学生は「無料Wi-Fi」「宅配ボックス」「オートロック」が必需品?次に「家賃が多少高くなっても部屋に欲しい設備・サービス」(複数回答)を見ていこう。
ダントツの「バス・トイレ別」は別格として、「無料Wi-Fi」「宅配ボックス」「オートロック」が上位に来るのがイマドキの学生らしい。
1位:「バス・トイレ別」63.3%
2位:「無料Wi-Fiサービス」40.7%
3位:「宅配ボックス」37.8%
4位:「オートロック」36.3%
5位:「大きな収納スペース」36.2%
6位:「独立洗面化粧台」33.8%
特に、「宅配ボックス」は2年前の同じ調査の6位から3位に浮上しており、2年前に筆者が「無料Wi-Fi」「宅配ボックス」「オートロック」が新三種の神器になると予測した通りになってきた。
さていよいよ、合格発表を受けて学生が新居を探すシーズンになってくる。部屋探しで重視するポイントは人それぞれだろうが、先輩の意見はどれだけ参考になるだろうか?