光とスキマ

所在地:杉並区永福
7,180万円 / 77.09平米(建物) 79.36平米(敷地)
井の頭線「永福町」駅 徒歩3分

シュパッ!と水平垂直にスリットが家を貫きます。



面白いことに、1階の洋室と水回りをのぞいて、基本的に扉がありません。一般的な家はリビングと寝室など空間を分ける為に扉を使いますが、この家では"光のスキマ"が扉の代わり。単なる長方形が重なった空間ではなく、貫いた光がそれぞれの空間を ... 続き>>>.
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甘糟りり子さんのエッセイ『鎌倉の家』の舞台、稲村ケ崎のご自宅を訪ねて

作家の甘糟りり子さんが3歳から暮らしたご実家であり、現在は住居兼職場でもある稲村ケ崎のお住まいは、それは鎌倉らしい「ザ・日本家屋」な風情溢れる佇まい。ここを舞台にした甘糟さんのエッセイ『鎌倉の家』(河出書房新社)は、四季折々の鎌倉の魅力や暮らしがまるで映画のワンシーンのように描写されている。是非このご自宅で直接お話を伺いたい、という思いに駆られ稲村ケ崎を訪ねました。合掌造りの高い天井にはいぶされて飴色になった煤竹(すすだけ)と太い梁。漆喰の壁とのコントラストが印象的なリビング兼応接スペース(写真撮影/高木 真)

合掌造りの高い天井にはいぶされて飴色になった煤竹(すすだけ)と太い梁。漆喰の壁とのコントラストが印象的なリビング兼応接スペース(写真撮影/高木 真)

物心ついたころから過ごしてきた鎌倉の日本家屋、都心ではヴィンテージマンションやタワーマンションに

甘糟さんが鎌倉・稲村ケ崎に引越してきたのは、3歳の時。約50年前の鎌倉駅前にはテニスコートが広がり(現・紀伊国屋)お店も少なく、稲村ケ崎も夏場は海の家が出るくらいの広さの砂浜があり、別荘地らしさが残るいまとは全く違う鎌倉だった。「江ノ電で小学校に通っていた時の電車賃は、確か10円だか20円でしたよ」と甘糟さん。

引越し時に建っていたのは、昭和初期に建てられた数寄屋造りの日本家屋。その後中学生の時、豪雪地帯の築250年という合掌造りの民家を解体して運ばれた梁などの部材を使って別棟部分を大改築。さらに出版社にお勤めだったお父様のこだわりで、土蔵の壁をすべて本棚にした書庫を増築。こうして茶室風の華奢な数寄屋造り、太い梁の剛健な合掌造り、耐久性に優れた蔵、という3種の日本建築が一体となった現在の甘糟邸が完成した。

「大学時代までは、この実家から学校にもよく遊んでいた六本木にも通っていました」というが、卒業後は仕事が忙しくなり、都内にも部屋を借りた。「住んだのは、三軒茶屋、中目黒、広尾、狸穴坂、芝浦などでしょうか。平日は都会、週末は鎌倉に戻る生活でした」。

東京での一人暮らしのメインとなったのは、いまは取り壊しになってしまった狸穴坂の外国人仕様アパートメント。丁寧につくられたヴィンテージ感が気に入って、「同じアパートメント内でも引越して、10年以上住みました」。それから気分転換のため、いままでとは逆の芝浦の新しいタワーマンションに。「分不相応に広く、25階で眺めも良かったけれど、1年で蕁麻疹ができちゃって。古い家の方が自分に合っているのかな、と気付きました」。

重厚な梁が印象的な玄関。奥には数寄屋造りの母屋、右手の引き戸を開けるとダイニング&キッチンに続く(写真撮影/高木 真)

重厚な梁が印象的な玄関。奥には数寄屋造りの母屋、右手の引き戸を開けるとダイニング&キッチンに続く(写真撮影/高木 真)

四季ごとの花が咲き誇る庭を眺める母屋。その奥に見える土蔵は、現在浴室と壁一面の書庫になっている(写真撮影/高木 真)

四季ごとの花が咲き誇る庭を眺める母屋。その奥に見える土蔵は、現在浴室と壁一面の書庫になっている(写真撮影/高木 真)

海や自然が身近な鎌倉暮らしの魅力再発見、両親の想いが詰まった家を引き継ぐ

実家に戻り、海辺を拠点に移したのは2007年。海岸線をランニングしたりサーフィンをしたりしているうちに、「やっぱり海沿いはいいなあ」と感じ、思い切った。近くに仕事用の部屋を借りて、そこに通うという形に。悩んでいた不眠症を解消するためには、書く場所と眠る場所は分けた方がいいという医師のアドバイスもあった。

選んだ逗子マリーナは、稲村ケ崎の実家から、車で約15分。部屋数を重視して細かく部屋を分けた物件が多い中、シンプルで広々した間取りが決め手だった。木造の日本家屋である実家とは対照的な白いコンクリート造のリゾートマンション、というバランスも良かったという。

お父様が亡くなったことを機に、逗子を引き払って仕事場も実家に移した。古い日本家屋は本当に手がかかり、取材当日も縁側の木製建具は修理のため職人さん待ちだという。「年中家のどこかを改修している気がします。日本家屋に住むのがこんなに大変だとは」と笑う。

48歳で実家に戻ってから、お風呂、キッチン、耐震補強、和室の畳を板張りに、など少しずつ改修を進めている。「両親と親交が深かった作家の向田邦子さんもお泊りになった日本間も、仕事場にするために板張りにして床暖房を入れました。ちょっと胸が痛みましたが、家具を置くことを考えると畳は不便で」と甘糟さん。

玄関を入って正面の引き戸を開けると、見事な和食器がお出迎え。『鎌倉の家』のお茶碗にまつわるシーンが思い浮かぶ。奥にダイニング、キッチンと続く(写真撮影/高木 真)

玄関を入って正面の引き戸を開けると、見事な和食器がお出迎え。『鎌倉の家』のお茶碗にまつわるシーンが思い浮かぶ。奥にダイニング、キッチンと続く(写真撮影/高木 真)

改修されたキッチンは、引き戸で対面にもクローズドにもできる、木をふんだんに使って落ち着いた雰囲気(写真撮影/高木 真)

改修されたキッチンは、引き戸で対面にもクローズドにもできる、木をふんだんに使って落ち着いた雰囲気(写真撮影/高木 真)

丁寧につくられたものを国籍や時代問わず組み合わせて、四季ごとの変化を楽しむ暮らし

「子どものころは古民家がいいなんて思わないし、東京にいるときも夜な夜な六本木で遊んでいて、私は都会が好きなのだと思っていました」という甘糟さん。「でも、タワーマンションに住んだことから、あれ!?って」。鎌倉に戻って、友人たちには「ネオンがなくて大丈夫!?」と驚かれたが、常にこの実家と行き来してきたので自然な成り行きだったのだ。

いまは「木が呼吸をしている」と感じる伝統的な日本家屋で、四季を通じて咲き誇る庭の草木や花々と暮らす。空間ごとに活けられた花は、庭にあるものかご近所から頂いたもので、めったに買うことはない。春にはこのご自宅で、甘糟さん自身が庭や近所で採れる山うどや明日葉、フキ、茗荷などの野草を料理してふるまう野草の会を開催。お料理の先生は作家であり野草料理家としても活躍していたお母様の幸子さん、というので、間違いない。

「ひと昔前に丁寧につくられたものの方が、余韻とかゆとりがある気がして惹かれます」という甘糟さん。受け継いだ日本家屋に手を入れつつ、最近は南米や沖縄の民芸モノやインドの布、一点モノのガラス作品などを国籍や時代を問わず組み合わせ、ミックステイストのインテリアを楽しんでいる。

手づくりのガラス作品は舩木倭帆さんのもの。しっとりとした日本家屋の佇まいに手づくりのガラスが映える(写真撮影/高木 真)

手づくりのガラス作品は舩木倭帆さんのもの。しっとりとした日本家屋の佇まいに手づくりのガラスが映える(写真撮影/高木 真)

(写真撮影/高木 真)

(写真撮影/高木 真)

庭のシュウメイギク、山うど、水引などがさりげなく、あるがままに活けられインテリアのポイントに。椅子や収納家具は鎌倉の老舗・島屋のオーダー品(写真撮影/高木 真)

庭のシュウメイギク、山うど、水引などがさりげなく、あるがままに活けられインテリアのポイントに。椅子や収納家具は鎌倉の老舗・島屋のオーダー品(写真撮影/高木 真)

50年以上住み慣れた鎌倉は、外食するお店もない時代から、豊かな自然や伝統を残しながら志のある個性的なお店も多い素敵な街に進化。「ものを使い込んだ感じが好きなのは、こういう家に住んだからこその価値観かもしれませんね」という甘糟さんの言葉は、この空間で聴くと実にリアリティがある。ご両親が大切に創り上げたこの日本家屋が、甘糟さんのセンスで彩られて更に進化していくのが楽しみ。兎にも角にも、ため息が出るほど素敵なお住まいでした。

(写真撮影/高木 真)

(写真撮影/高木 真)

鎌倉彫のお盆と鎌倉本社のCa ca oの生チョコでおもてなし頂く。鎌倉のグルメ情報にも詳しい甘糟さんのお薦めはWeb発信中。4月に『鎌倉だから、おいしい。』(集英社)として出版。こちらも要チェックです!

甘糟りり子『鎌倉の家』(河出書房新書)●取材協力
甘糟りり子『鎌倉の家』(河出書房新書)
2020年4月3日発売 甘糟りり子『鎌倉だから、おいしい。』(集英社)

自動車、自転車ではなく、キックボードをシェア? 世界各国で広がる最先端の移動手段

自動車や自転車ならぬ「電動キックボード」のシェアサービスが欧米を中心に広がりを見せている。気軽に利用でき、かつ環境にやさしい移動手段としても注目を集めるこのサービス。仕組みやリスク、日本での普及可能性などについて、乗車した経験や事業者への取材などをもとに考えた。
エコで気軽に利用できる電動キックボード

電動キックボードは、キックボードにバッテリーとモーターが取り付けられた、電気を動力とする乗り物だ。右ハンドルに付いているレバーを押す(親指でレバーを押し込むイメージ)と加速する仕組みが一般的で、ブレーキも付いている。日本で目にすることは少ないが、海外では広がりを見せている。なぜなら、電動キックボードのシェアリングサービスが普及しているからだ。

シェアサービスの利用に際しては、スマートフォンにアプリを入れておく必要がある。アプリを起動すると、周辺で利用可能な電動キックボードが表示される。電動キックボードのハンドル付近には、QRコードが明示されており、同じアプリ上でQRコードをスキャンすれば鍵が外れ、利用可能となる仕組みだ。アメリカ発の「Lime(ライム)」や「Bird(バード)」といったサービス(アプリ)がよく知られている。

気軽に利用できることやタクシーと比較して割安であることなどが評価され、今やサービスは世界中に広がっている。2019年7月、南米ペルーの首都リマを訪問した際に電動キックボードを見つけた際は、「ここまで広がっているのか」と驚いた。当時は、まだそこまで浸透しているわけではなかったようで、ローカルの若者4人組が恐る恐る乗っていたのが印象に残っている。南米だけではない。東南アジアや東アジアでも電動キックボードのシェアサービスが始まっている。日本では見られない、日本人が知らない光景が、世界中に広がっているのだ。

南米ペルー・リマの街角で見かけた電動キックボード。地元の若者らが恐る恐る乗っていた(写真撮影/田中森士)

南米ペルー・リマの街角で見かけた電動キックボード。地元の若者らが恐る恐る乗っていた(写真撮影/田中森士)

実際に使ってみた感想は「便利。そして、楽しい」

実際の使用感はどうなのか。筆者は2019年4月、米国西海岸サンノゼにおいて何度か利用する機会があった。サンノゼには、筆者が専門とするマーケティングのカンファレンス参加のため滞在していたのだが、宿から会場まで1マイル(約1.6キロ)近く離れていた。もちろん歩いても行けるが、カンファレンスの朝は早い。終日みっちりプレゼンを聴講して、へとへと状態で宿に戻ると、時差の関係でそこから日本の仕事がスタート。この生活が会期中続く。少しの時間でも惜しかった。

アプリを開くと周辺で利用可能な電動キックボードが表示される(Limeのサービスページより)

アプリを開くと周辺で利用可能な電動キックボードが表示される(Limeのサービスページより)

選択肢としてはタクシーや配車サービス「Uber(ウーバー)」も当然あるが、利用には距離が短すぎる。そこで電動キックボードが選択肢として浮上する。筆者が利用したのは先に述べた「Lime」というサービス。電動キックボードは街中いたるところに乗り捨ててあり、アプリで探さずとも交差点を見渡せばすぐ目に飛び込んでくる。初乗り1ドル(2020年3月27日時点で、約108円)。そこから利用時間に応じて課金される。10分弱で2ドルちょっと。アプリで「終了」ボタンを押し、道に停めた電動キックボードをスマホで撮影すれば、決済完了となる。

ハンドルの近くにQRコードが表示されている(写真撮影/田中森士)

ハンドルの近くにQRコードが表示されている(写真撮影/田中森士)

「なんと便利な乗り物なのだろう」と率直に感じた。タクシーより安い。所要時間は徒歩の半分以下。そして利用者の多くが口にすることだが「乗っていて楽しい」。公共交通機関で長距離移動したあと、目的地までの「ラストワンマイル」を埋める移動手段は何か、という議論が起こって久しいが、電動キックボードはまさに「ぴったり」の移動手段であると感じる。

無事カンファレンス会場に付き、電動キックボードを停めたところ、それを通りすがりのスーツ姿の男性がおもむろにスキャン。颯爽とダウンタウン方面に消えていった。さすがシリコンバレー。キックボードが人々の生活に深く浸透していることがうかがえる。

米国サンノゼではいたる場所に電動キックボードが置かれており、市民生活に深く浸透していることがうかがえる(写真撮影/田中森士)

米国サンノゼではいたる場所に電動キックボードが置かれており、市民生活に深く浸透していることがうかがえる(写真撮影/田中森士)

日本への普及のハードルは、法律と道路事情

便利な電動キックボードだが、日本で広がる可能性はあるのか。個人的な見解であるが、現時点ではいくつかのハードルがある。ポイントは、法律と道路事情だ。

まず、法律。日本において、電動キックボードは「原動機付自転車」の位置付けとなる。運転する場合、ヘルメットと免許携帯が必須。ナンバー登録が義務付けられており、ナンバープレートの設置も必要だ。バックミラーや方向指示器などの装着も義務で、これらが欠けると法律違反となる。一方、筆者が米国で利用した際、年齢制限はあるものの免許は必要なかった。業界関係者によると、国によってこうしたルールは異なる。18歳以下はヘルメットの着用が必須であったり、歩道の走行が認められていたりと、各国が試行錯誤の末にルールを整備していっているという。シェアサービスとして普及してからまだ2年ほどしか経過していないため、今後も各国が検討を進めていくと考えられる。

続いて道路事情。長距離移動というより先述のとおり「ラストワンマイル」のための交通手段であるため、場合によっては細く、入り組んだ道を走るケースもあるだろう。特に米国などと比較して日本はこうした道が多い。乗車については力を抜き気味に乗るなどのコツも必要で、筆者も最初はバランスを取るのに苦労した。電動キックボードは、米国のように広々とした道であれば非常に使いやすいが、日本では道が入り組んだ場所など、エリアによっては道路事情とマッチしない可能性もある。

広々とした米国サンノゼの通り。米国は日本と比較して道が広い(写真撮影/田中森士)

広々とした米国サンノゼの通り。米国は日本と比較して道が広い(写真撮影/田中森士)

同時に、先述の通り日本では電動キックボードが原付バイクの扱いであるため、当然歩道の走行は禁じられている。車道を走る必要があるが、乗った感想としては自転車と原付バイクの中間のスピード(実際に走行する際は時速15キロ程度であることが多い)であり、現時点では幹線道路など場所によっては交通に混乱をきたす恐れもあると感じる。これらの理由から、日本で導入する場合は利用可能エリアを絞ったほうがいいのかもしれない。

日本で進む実証実験九州大学伊都キャンパスで実施されている実証実験の様子。私有地だが、バス、自動車、バイク、自転車、歩行者が通行。また、信号機、横断歩道が設けられているなど公道に近い環境となっている(モビー社提供)

九州大学伊都キャンパスで実施されている実証実験の様子。私有地だが、バス、自動車、バイク、自転車、歩行者が通行。また、信号機、横断歩道が設けられているなど公道に近い環境となっている(モビー社提供)

仮に電動キックボードが自転車と同じ扱いになれば、普及は一気に進む可能性がある。福岡市は、国に規制緩和を提案。九州大学伊都キャンパス内で実証実験を開始すると発表した(2019年11月~2020年4月で実施)。シェアサービスとしての電動キックボードの公道走行を目指すもので、実証実験の実施事業者は電動キックボードシェアリングサービス「mobby(モビー)」を提供する株式会社mobby ride(以下、モビー社)。福岡市のホームページによると、走行に関するデータを取得し、「安全性や利用ニーズについて検証する」という。

実証実験に参加したモビー社(同社Webサイトを画面キャプチャ)

実証実験に参加したモビー社(同社Webサイトを画面キャプチャ)

実は、海外で電動キックボードの普及が進む半面、規制の動きもある。利用に広がりを見せていたシンガポールでは2019年11月、事故が相次いでいることを受けて事実上禁止となった。筆者が以前、シンガポールで歩道を歩いていたところ、電動キックボードに追い抜かれヒヤッとした経験がある。最大速度は25キロにもなるため、歩行者に接触すれば双方けがにつながりかねない。ちょうど禁止になった直後にシンガポールに滞在していたのだが、どこでも目にしていたキックボードの姿は一切なかった。福岡市が安全性について検証するとしているのは、事故のリスクが背景としてあるとみられる。

一方フランスでも2019年、電動キックボードなどに関する新しい法律が公布された。2人乗りや歩道での走行を禁止するとともに、年齢と最高時速を制限するなどしたものだ。将来的にはライトなどの装備も義務付けられるという。

米国サンフランシスコでも電動キックボード(写真右の車脇)は当たり前の光景だ(写真撮影/田中森士)

米国サンフランシスコでも電動キックボード(写真右の車脇)は当たり前の光景だ(写真撮影/田中森士)

普及が進むと同時に、問題が顕在化した時点で規制が入る――というサイクルが繰り返され、中長期的に見ると世界中でゆるやかに普及が進んでいくと個人的に考える。特に観光地や都市部においては、渋滞緩和や回遊性向上が期待できるため、こうした地域を中心に世界的な潮流としては普及が進むのではないだろうか。

日本での普及には法改正が大前提となるだろう。同時に、自転車と共用の専用レーン設置などの安全対策も不可欠だ。安全を担保しなければ、そもそも法改正はかなわない。

モビー社で電動キックボードシェアサービスのビジネスを担当する安宅秀一氏は、「シェアサービスという形態を取ることで安全性を確保できる」と強調する。車体をサービス事業者が管理することで、個人所有の自転車で起こるような、整備不良や不正改造による事故を防ぐことができる。また、車体に内蔵されたGPSにより、道路環境に応じて利用エリアを限定できる。安宅氏は「われわれのサービスにおいて、電動キックボードは自転車と同じか、それ以上に安全性が高いと考えている。実証実験のフィールドを拡大するなどして、制度を変えるためのデータをできる限り多く集めたい」と話している。

人々のライフスタイルを変える、かつ「ラストワンマイル」を埋めるソリューション。日本で進む実証実験の推移を注意深く見守りたい。

●取材協力
株式会社mobby ride