
3,880万円 / 58.79平米
副都心線「西早稲田」駅 徒歩5分
2014年にスケルトンからフルリノベーションされた部屋。青と白で塗り分けられた室内は、使いやすさと気持ちよさにあふれています。
元はいくつかの部屋に小分けだった室内が、現オーナー夫妻によってどどーんと大きなワンルームに変更されています。窓からの自然光や風が気持ち良く、広々とした ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
新型コロナウイルスは学校教育やビジネスだけでなくさまざまな分野にも影響を与えています。各地方自治体が補助金などの独自の支援策を行っているなか、横浜市はコロナ収束後の地域社会を見据えながら、インターネットを活用したコミュニティづくりにいち早く乗り出しています。
おたがいハマとは? コロナ禍に際して緊急オープン
新型コロナウイルスの影響で、人に会う機会が激減し、オンライン飲み会などでさみしさを紛らわせている人も多いのではないでしょうか。緊急事態宣言が解除されても、これまでとは違った暮らし方が余儀なくされることでしょう。
そんな、リアルな人のつながりが希薄になっていくかもしれない今、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えてもともとある地域のコミュニティ活動を促進したり、今後の新しいコミュニティ形成を担うことを目的としたプラットフォーム「おたがいハマ」がこの5月より運営をスタートさせました。
おたがいハマWEBサイト
おたがいハマとは、横浜の市民や企業、大学、行政が連携し、共創、参加型の取り組みを広げていこうとするWEBサイト。横浜市内外のコロナウイルス関連情報の発信、働き方、暮らし方の変化に対応するためのアクション(後述の横浜市内の飲食店のコロナ対策やテイクアウト情報などを紹介する「#横浜おうち飯店」プロジェクトなど)や、オンライントークイベントなどをこれまで開催してきました。リアルで出会えないからこそ、オンラインで支え合う。「ネット上のサードプレイス」を謳った取り組みです。
ネットがメインではあるものの、横浜市民や横浜市がこれまで培ってきた人と人のつながり=関係資本を活かし、コロナ後の“市民発意型”アクションにつなげていくためのコミュニティづくりを心がけています。
おたがいハマをスタートさせたのは、ウェブマガジン「ヨコハマ経済新聞」などを運営するNPO法人「横浜コミュニティデザイン・ラボ」と、横浜市内で複数の「リビングラボ」という市民活動をサポートする一般社団法人「YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス」。コロナ禍にいち早く反応し、5月1日には同2団体と横浜市との間で正式に協定が締結され、市民の自発的な活動に行政がいち早く参画を表明したことも話題となりました。
横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹さんは、いまこそ民間と行政がタッグを組み公共性の高い情報を市民に届けることが不可欠だと語ります。
「5月15日に横浜市が新型コロナウイルスに対する5000億円の補正予算を成立させたのですが、こういう情報を知らない市民に適切に情報を届けたいということと、横浜市内の飲食店や小規模事業者が、コロナ禍でいろんな工夫をしたりしているのですが、そうした情報を発信したり、人と人をつなげる場が欲しいよね、ということでおたがいハマが立ち上がりました」(杉浦さん)
コロナ後のコミュニケーションを準備する「ハマのお店を応援する!」というコンセプトのもと、横浜市内の飲食店のコロナ対策やテイクアウト情報などを紹介する「#横浜おうち飯店」プロジェクトは、観光客の激減で打撃を受けている中華街などの飲食店の支援にひと役買っています。また、コロナ禍に立ち向かう横浜市内の事業者、行政マン、市民活動家をリレー形式で紹介する「おたがいハマトーク」は、5月1日のオープンより、平日毎日、お昼時に配信されています。
オンラインイベントの様子(画像提供/おたがいハマ)
(画像提供/おたがいハマ)
おたがいハマに準備段階から関わり、上述のトークイベントの配信や、Facebookグループの運営をはじめとしたプロジェクト・マネジメント全般を統括する編集者・ライターの小林野渉(のあ)さんは、京急線の高架下の複合施設「Tinys Yokohama Hinodecho」で“コミュニティ・ビルダー”や、簡易宿泊所(ドヤ)が立ち並ぶ福祉の町と変貌した寿町にある「ことぶき協働スペース」のまちづくりスタッフとしてとして活動するなど、地域を巻き込んだプロジェクトの広報やマネジメントを得意としています。そんな小林さんがジョインすることで、おたがいハマはWEBプラットフォームの枠を超えて、横浜市民の助け合いのためのメディアとして動き出しています。
「横浜に拠点のあるメディア、行政、大学など日々、いろいろな方がこのプロジェクトに参加表明してくれるんですが、当然、編集者やデザイナー、もしくは“傾聴”というスキルを持った方などバリエーション豊かな市民がいます。例えば横浜市金沢区でテイクアウトのアプリをつくるデザイナーがいるんですが、金沢区で活動するNPOや商店街の人は知らなかったりする。近所にいるのにお互い知らなかった人をトークで一緒にしてあげると、新しいことが始まると思うんです」(小林さん)
メディアに登場しないけれど地道に活動している市民とその拠点が「見える化」することはとても大切です。意外に身近にいる、新しい仲間との出会いや、同じ地域に暮らしているがゆえの課題を共有する事業者との助け合いを後押しします。こうした目に見えないつながりは、ウィズコロナの今だけでなく、アフターコロナでこそ真価を発揮することでしょう。
横浜ならではのコミュニティ資源それにしてもなぜ、横浜で民間と行政が連携し、おたがいハマのようなプラットフォームを迅速にスタートすることができたのでしょうか? 横浜市政策局共創推進課の関口昌幸さんはこう語ります。
「横浜市では数年前から、地域課題や政策課題を市内の各地域ごとに議論し、事業モデルをつくる“共創ラボ”や”リビングラボ”という活動を支援してきました。おたがいハマの発起人でもあるYOKOHAMAリビングラボサポートオフィスとともに取り組んでいて、市内に15ほどのリビングラボがあります。そこに加えて杉浦さんの横浜コミュニティデザイン・ラボと市の三者連携でおたがいハマが生まれたんです」(関口さん)
左から杉浦裕樹さん、関口昌幸さん
小林野渉さん
企業が大学やNPOなどと協働しオープンイノベーションに取り組む事例は多々ありますが、そこに市民がジョインして一緒に活動しようという取り組みを「リビングラボ」といいます。関口さんが言うように、横浜には複数のリビングラボがあって、それぞれの地域課題を市民目線で解決していこうという流れができつつあります。横浜って地元愛が強いイメージがありますが、地元を愛する市民が多いからこそ、仕事から帰ったら寝るだけ、ではなく、日ごろから関わり合う地域コミュニティが活発です。まさに、学校でも職場でもない、“サードコミュニティ”に複数所属しているのが横浜市民の強みなのかもしれません。杉浦さんは話します。
「横浜で20年以上、コミュニティデザインの活動をしていますが、横浜って、観光資源もいろいろあるけれど、コミュニティ資源が豊かな印象があります。横浜にはNPOが今1500~1600ぐらいあるんですよ。そこにSDGsの流行もあって、企業が市民やNPOとタッグを組み地域課題に取り組む流れが自然と育まれてきました。こういう横浜ならではの土台があるからこそ、おたがいハマのような取り組みもできるのだと思います」(杉浦さん)
ネット上のサードプレイスを目指しておたがいハマでは横浜市民同士の横のつながりで生まれた活動を広く市民に発信し、応援しています。例えば最近だと、戸塚リビングラボのメンバーである介護事業者の方が、まさに「おたがいハマ」の精神で、サービス付き高齢者住宅にランチやディナーを届けるプロジェクトが始まりました。また、高齢化が激しい横浜・寿町の住人と関わる医療や介護事業者に、就労継続支援B型事業所の通所者やアルコールなどの依存症患者らがつくったガウン(防護服)を配布するプロジェクト「寿DIYの会」もスタート。ガウンは作業賃を支払った仕事として制作しており、現在の工賃は時給250円。今後は工賃の増額を目指しています。寿DIYの会ではガウンの材料費・作業費向上も含め、広く寄付金を募り、グッズの販売もしています。
普段であれば、介護福祉施設や工務店、工場、商店主など多様な事業者同士の接点はなかなかありません。しかし、お互いのスキルや得意なところを持ち合えば、いろんな課題が解決していくはず。距離的に近いからこそ、つながったほうがいい人たちはたくさんいる。おたがいハマは、異なる立場にいる人たちをつなぐ、目に見えない地道で、でも大切な“ネット上のサードプレイス”になりつつあるのです。
戸塚リビングラボの活動の様子(画像提供/一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス)
寿DIYの会の取り組み(画像提供/寿DIYの会)
おたがいハマは横浜市もメンバーに加わっていますが、決して行政主導のプロジェクトではありません。あくまで広報協力や人や事業者の紹介、バックアップの立場にとどまっています。「意義のある取り組みだから、もっとお金を投入すればいいのに」「横浜市、何もやってないじゃん!」という意見もあるかもしれませんが、むしろ行政の事業でないからこそボトムアップで有機的な活動が生まれるので、後方支援に徹した方がいいこともあります。関口さんはこう語ります。
「新型コロナの問題に関して、東京都がシビックテックを使って感染者数を見える化するサイトをつくって話題になりました。もちろん、行政による情報開示は大事なのですが、どうしても自治体からの情報発信って一方的になりがちです。でも、今の時期に大事なのって、市民と一緒にコロナ禍に立ち向かうんだというメッセージ、思想なんじゃないでしょうか。まちをつくるのは市民であり、行政はそれを最大限サポートする。なぜなら私たち市の職員も、横浜市民としてできることをしたいからです」(関口さん)
行政による必要な資金面での支援は、先に紹介したようにさまざまな分野ですでに行われています。予算を使い議会にかけるような事業にしてしまっては、市民の自発性やボランティア精神に頼ったプロジェクトは、瞬く間に萎んでしまうでしょう。行政セクターだろうが民間だろうが、それぞれの立場でできることをシェアし、一歩前に踏み出して支え合う、そんなことが自然とできる人が多いのも、横浜ならではだなぁと羨ましくなります。
5月1日に正式にスタートして、まだ1カ月半にもかかわらず、おたがいハマトークはすでに31回目を迎えています(※6月10日現在)。現在は地元の大学の学生がファシリテーターとなってトークイベントを回すなど、関わる人がどんどん増えてきている印象があります。
コロナウイルス感染症で学んだことは、ネット上でのコミュニケーションを加速して業務を効率化する、ということだけではありません。ネット上だけで互いの信頼関係を醸成することは難しい。リアルで会ったときに、見知らぬ人同士ではなく、少しの信頼感を持ち寄って話せること。その関係資本を積み上げていくこと。アフターコロナに向けて、行政、民間、個人の区別なく、今僕たちが準備しなければならないことのヒントが、おたがいハマには詰まっています。今後もおたがいハマの活動に注目していきましょう!
●取材協力住居は、生活の安全や安心の根幹となるもの。しかし、高齢者や母子家庭、身寄りがなかったり障害を持っていたりといったさまざまな理由で、住まいを探すことが難しい「住宅困窮者」が存在する。神奈川県座間市にあるNPO法人「ワンエイド」は、そうした住宅困窮者の相談支援や生活サポートを行い、不動産会社「プライム」と連携し、物件が借りられるようオーナーや不動産会社との交渉や、必要に応じて適切な行政窓口にもつないで問題の解決までをサポートしている。NPOと不動産会社が表裏一体となって活動しているのはどうしてなのか。運営する理事長松本篝(かがり)さん、石塚惠さんに聞くとともに、「断らない相談支援」を掲げ、住宅や生活困窮者の自立支援事業に力を注いでいる座間市役所の関係者ら「チーム座間」の皆さんにも、お話をうかがった。
※本記事の撮影は2020年2月に行っています
私は大丈夫、と思っていてもどうなるか分からない
松本さんはワンエイドの理事長、石塚さんはプライムの代表を務めている。高校の同級生だったふたりはともに不動産業界で長く勤務していたが、物件の仲介業務の中で、本当に住宅に困っているにもかかわらず、高齢者や母子家庭であるなどが理由でオーナーに敬遠されてしまい断らざるを得ないケースが数多くあることに胸を痛めてきたという。住宅困窮者の力になりたいとワンエイドを立ち上げ、住まいに関する相談にのっていたが、NPOの活動範囲内ではカバーできない、最終的に入居ができるまでの実務の面に対応するため、不動産会社も設立した。「困っている人を助けたいという福祉の目線と、不動産業務の間には温度差がある。その真ん中をつなげたかった」と松本さんは話す。
NPO法人ワンエイド理事長の松本篝さん(上)とプライムの代表 石塚惠さん(左)
困窮者たちが物件のオーナーから契約を断られるケースは、「100人いたら100通り」だという。天涯孤独の高齢者であれば亡くなった後の荷物の整理が大家の負担になり、障害者であれば近隣トラブルを懸念されたりといったことも。一般的な不動産会社では、そのフォローをどうしたらいいかが認知されていないため入居のハードルはあがってしまう。ワンエイドでは、ただ困窮者に物件を仲介するだけでなく、オーナーに安心して貸し出してもらえるよう、高齢者などの見守りやゴミ屋敷の掃除などのサポート業務も引き受けている。
不動産の仲介や管理を行うプライムと、住宅困窮者の相談や見守りなど入居者のサポートを行うワンエイドは座間市の県道沿いの隣同士。互いに行き来しながら、相談者の問題解決に取り組んでいる(写真撮影/片山貴博)
50代である松本さんは、子育てを経て現在は親の介護の真っ最中だ。自身の家庭という小さな社会の中で起きる、子どもや親を取り巻く問題や悩みは、置き換えれば、世の中の課題でもある。ワンエイドの相談越しに知ったのは、高齢で配偶者と死別し年金の受給額が減ったことにより住み替えせざるを得なくなったり、病気などで困窮に陥り家賃が払えなくなるといったことは、誰にでも起きうるということ。「私は大丈夫、と思っていてもどうなるか分からないし他人事ではない」(松本さん)
住まいの相談はひと月に約300件寄せられる。1度の電話相談で解決するわけではないため、非常に多忙だが、石塚さんは「成約率は決して高くはない」と明かす。つまり、仲介手数料を中心に生業を立てている不動産業としては、儲けにはなりにくい取り組みということ。一方で、不動産業界にいた経験から、オーナーの気持ちもよく分かるそう。大家にとって物件は、大切な収入源。住宅困窮者とオーナーのどちらかの目線に偏ることなく、双方の立場の尊重を大切にしているという。
ワンエイドでは松本さん、石塚さんのほか3人のスタッフが交代で相談にあたっており、高齢者など入居後の生活にもサポートが必要な人に対してはその相談にも乗っている(写真撮影/片山貴博)
実際に行われている相談はとにかくケースバイケースで難しいものも多い。身だしなみは普通でスマートフォンを所有していても、通信料を支払えず無料Wi-Fiスポットに行って使用している貧困世帯というように、周囲からは困窮の様子が分からず、行政からのサポートが何も受けられていない人もいる。ほかには、障害者に対する偏見もある。例えば、障害者手帳を取得した相談者と、障害の等級に該当していても手帳を取得していない相談者では、実は手帳がない人の方が入居審査に通りやすい傾向にある。住宅困窮者とオーナーが相互に理解しあい、物件を契約できるようになるまでの問題解決はどれも複雑だ。そのため「ワンエイドが双方の結び役になれればと思う。住まいの相談の中には、生活するうえでのさまざまなほかの問題が見えてくる」(松本さん)。貧困からくる空腹が暴力の問題を生むなど、問題は連鎖する。それらの問題解決の一助のためワンエイドでは、企業や一般の方から食品の寄付を募り、生活に困っている世帯にお渡しするフードバンク事業なども行っている。ふたりを頼って、遠く関西や国外からも、相談が舞い込むこともあるという。
賞味期限月で分類してある事務所内の食品庫。企業や一般の方から協力をいただいて必要な人にお渡ししている(写真撮影/片山貴博)
座間市役所内と地域をワンストップで連携する「チーム座間」住まいの相談から見えた住宅困窮者の周辺の問題解決に取り組むワンエイドには、行政からも協力の依頼が寄せられる。ふたりは、座間市の困窮者支援会議にも参加している。
行政といえば、組織の構成は「縦割り」になっている。困ったことがあり相談に行っても、担当窓口が分からなかったり、部署が違うと担当者間でも他部署の制度や状況が分からなかったりなどで、たらい回しにされたりすることが多いのが実態だ。座間市は市役所内の部署を横断しワンストップで連携。市役所内で「つなぐシート」を用い、相談をうけた部署に該当するものでなくても担当となる部署に相談内容をつなげ、そこから相談者が本当に困っていることを探って支援や課題解決にあたる独自の取り組みを行っている。連携するメンバーは社会福祉協議会や弁護士、ハローワーク、そしてワンエイドのような民間団体や生協など幅広く、協力しあう「チーム座間」は、他自治体からも注目されている。
チーム座間のメンバー。官民一体となったこの取り組みは全国でもまだ少なく視察に訪れる自治体も多いそう(写真撮影/片山貴博)
座間市が生活困窮者の自立支援制度を始めたのは2015年。家計改善の助言や、引きこもりの人の就労支援など、多岐にわたる相談を受け付けている。ワンエイドとは、住宅困窮者の根底にある問題解決のため2016年からつながった。
チーム座間は普段から相談者に連携して対応するほか、月に1度集まり、よりスムーズに解決していくために必要な仕組みづくりも整えている(写真撮影/片山貴博)
この取り組みの中心となる福祉部生活援護課の林星一課長は「例えば就労支援では、なんでもかんでも仕事しなさいということでなく、健康などさまざまな観点からそのひとに寄り添っていく支援が必要」と説明する。お金の相談に来た人から、本人も自覚できていなかった、なぜそうなったかの根本原因にあたる困りごとが顕在化することもあるという。
ある市民の保険料の滞納相談に応対した介護保険課からの連絡で、持ち家を悪徳金融業者にだまし取られそうになっていることが判明。チーム座間のメンバーである神奈川総合法律事務所の西川治弁護士が確認し、債務整理と家計相談に乗ることで、持ち家を残すことができたことも。行政がひととおりの滞納相談の対応で終わっていたら、家は残すことができなかったようなケースだ。「滞納相談に応対した職員からの連絡があと1週間遅かったら危なかった。普段から連携できていたから間に合った」(西川弁護士)
西川治弁護士(左)と福祉部生活援護課の林星一課長(右)
大学進学のために市営住宅に住んでいた児童相談所出身の未成年は、保証人になっていた親族が入院して収入がなくなり、退去を迫られた。引越し費用や学費は手元にあっても未成年であるため契約ができなかったが、社会福祉協議会やワンエイドのフォローのもと本人名義で入居でき、進学がかなったという珍しいケースもあったという。
座間市の生活困窮者自立支援制度は、困っているひとを、いかに相談につなげられるかという仕組みと支援対策、就職支援に加え、居住支援が大きな柱となる。「住まいは生活の基本。家というハードとともに、住み続けるというソフトの部分が必要で、それは生活支援そのもの」と林課長。それらは支援対象者が地域で孤立しないことや、地域自体の協力が不可欠であり、ワンエイドをはじめとするひとたちの尽力があってのものだ。
都市部建築住宅課課長 松尾直樹さん(最左)、福祉部生活援護課 自立サポート担当主任 武藤清哉さん(左から2番目)。公営住宅を担当する都市部と生活保護等の福祉を行う福祉部が連携することも行政では異例で、居住の支援に関するさまざまな取り組みを考えるきっかけにもなっている(写真撮影/片山貴博)
正反対のふたりだからこそ、成し遂げられたこと松本さんたちが困窮者とオーナー双方にそこまで親身に、精力的に活動できるのはなぜなのだろうか。松本さんはその理由を、「私も石塚も好きなことをしているだけ。困った人がいたら放っておけない、そもそもおせっかいなだけなんです。正反対な二人だけどその思いは一緒です」と話す。
二人三脚の石塚さんと、性格は真逆とのこと。明るい松本さんは実は慎重派、石塚さんは行動派。「自分が100個考えても思いつかない1個を彼女は考えつく。そこがすごい」(松本さん)
不動産業に長く携わってきたふたり。石塚さんは所属する地域の不動産業界団体では副支部長を務め居住支援の取り組みについて発信している(写真撮影/片山貴博)
今、新型コロナウイルスの影響で、ネットカフェが休業要請を受け、それらを住居代わりにしていた人が多く相談に来ているという。当たり前のように過ごしている自分の家、それをなくすことは、仕事だけでなく、周囲の人間関係など社会とのつながりすべてを失うことになりかねない。政府からは「住居確保給付金」に関しての要件を緩和するなど、さまざまな対応策が発表されているが、それらが周知され、問題に応じたサポートが届けられるには、多くの助けが必要だ。かつては地域社会の中で解決していた問題も、その関係性が希薄な中、福祉と地域社会、不動産業の間に入り、関係する人と制度をつないでいく、ワンエイドおよびチーム座間のような境界を越えた存在がますます必要になっていくだろう。問題を抱えた人に対し、断らずに不動産業を行うプライムの運営について、「始めたころはなかなか理解を得られなかったのですが、最近では協力してくれる同業者の方も増えました。とてもありがたいです」(石塚さん)。事例を伝えることで、住宅困窮者の存在をプラスにとらえてもらえるよう二人で講演依頼を引き受けているという。現在、スタッフも感染予防のため出社は交互とするなどし、雇用を守りつつも最大限答えていこうと活動を続けている。このような取り組みが、松本さん、石塚さんら個人の強い思いで支えられていることに、とにかく頭が下がる思いだ。彼女らの活動を注目し応援するとともに、我々の日常では心が及ばない住宅困窮者への理解と協力を、まだまだすすめていかなければならない。
●取材協力梅雨に入ると、住宅内にカビが発生しやすくなることを受けて、リンナイがカビに関する意識調査を行い、合わせて「カビ対策知識テスト」を公開した。カビに悩んでいる人は約8割もいるのに、カビ対策知識テスト合格者は約3割しかいないという結果だったという。早速、テストに挑戦してみよう。【今週の住活トピック】
「『カビ』に関する意識調査」を公表/リンナイあなたも挑戦!カビ専門家による「カビ対策知識テスト」
では、リンナイが公開したテストに挑戦して、あなたのカビ対策知識力を判定してみよう。
次の文で正しいと思うものは〇、間違っていると思うものは×と答えよう。
■「カビ対策知識テスト」(カビ専門家・矢口貴志先生監修)より抜粋
1.湿度と温度の2つの条件がそろうとカビはどこでも生育する
2.浴室のカビ対策として入浴後に水を全てふき取る方が良い
3.浴室のカビ掃除は天井が最も重要である
4.エアコンのカビ対策としてはフィルターを定期的に掃除すれば十分
5.カビは氷点下では生きられないため、冷凍庫では発生しない
6.カビは水分を好むがダニは水分を好まないためカビとダニは同時には発生しない
正解は、「1.×、2.〇、3.○、4.×、5.○、6.×」だ。実際のテストはこの倍の12問あり、9問以上正解が「カビ対策優等生」、5問~8問正解が「合格点」になっている。筆者は合格点だったが、自信をもって回答できた設問は少なかった。意外に難しいという印象だ。
カビの悩みは「掃除」。でも、カビ対策のカギも「掃除」リンナイの調査によると、「カビに悩まされている」という人は77.5%(「とても悩まされている)13.2%、「やや悩まされている」64.3%)もいた。カビが気になる季節は、「夏(梅雨)」に集中していて、69.6%を占めた。
カビに関する悩みは、「掃除をするのが大変」(80.8%)、「水回りが汚くなる」(60.9%)、「嫌なにおいがする」(43.7%)が上位に。カビは掃除してもなかなか取り切れず、油断するとすぐ発生するので、ストレスが溜まることだろう。
テストの監修をした矢口先生によると、「カビは、湿度(60%以上)、気温(20~30℃が最適)、栄養分(食べカス・人のアカなど)の3つの条件が揃うと発生しやすくなる」という。湿度と気温の条件がそろう梅雨時期に繁殖しやすいカビ対策は、栄養分を取り除くことが重要なので「一層掃除に力を入れ、カビが目についたらすぐにカビ取り剤を使用して、取り除いた方がよい」と助言している。
また、梅雨入り前の比較的乾燥している時期に、「浴室などの水まわりをきちんと掃除しておくと、梅雨時のカビが発生しにくい」ということなので、乾燥した日に水まわりの掃除を頑張ってみてはいかがだろう。
カビ対策は「水を取り除き、乾燥させる」「栄養源のホコリや石鹸カスを取り除く」カビに悩む場所を聞くと、ダントツで「浴室内」(84.4%)で、4位の「キッチン」(23.7%)、5位の「洗面所」(22.5%)、6位の「トイレ」(17.8%)と水まわりがやはり上位に挙がる。
カビに悩む場所(出典/リンナイ「『カビ』に関する意識調査」のリリースより転載)
浴室の掃除は、「水を取り除く」のが原則。入浴後に水をふき取る一方、換気扇を長くかけて乾燥させることもポイント。また、いくら床や浴槽を掃除しても、掃除しない天井からカビの胞子が降ってくることでカビは発生するというので、「浴室の天井の掃除」も重要だという。
また、石鹸カスはカビの栄養源になるので、石鹸カスを取り除き、黒カビやピンクの汚れ(ロドトルラというカビ)はカビ取り剤で取り除くようにしよう。矢口先生によると、水回りのゴムパッキンのピンクの汚れをカビと認識しない人が多いが、固いブラシなどでこするとかえってパッキンを傷つけてしまい、その傷にカビが侵入しやすくなるので、カビ取り剤を使うようにということだ。
しまった! 筆者はピンクの汚れをブラシでゴシゴシ取っていた。これからは気を付けるようにしよう。
次に、悩み場所として2番手に上がった「エアコン」(42.6%)だが、フィルターにホコリが溜まらないようにこまめに(矢口先生の推奨は2週間に1度程度)掃除することはもちろんのこと。加えて、エアコンを冷房で使用すると、内部は湿気でカビが生えやすくなるので、送風機能を使って乾燥させる必要がある。冷房の後には送風と、習慣化しておきたい。
カビ対策では、換気・通風も大切。浴室の換気扇も活用をでは、カビ予防として具体的にどんなことを行っているのだろうか? 調査結果では、「こまめに掃除する」(43.5%)を抑えて、「換気をする」(77.0%)、「部屋の通気性をよくする」(54.7%)と換気や通気が上位になった。
カビの予防として行っていること(出典/リンナイ「『カビ』に関する意識調査」のリリースより転載)
浴室の換気扇について聞くと、「入浴後の数時間だけ使う」が半数の49.3%だった。24時間換気で「常につけっぱなしにする」が28.9%いる一方、「浴室の換気扇は使わない」も15.6%いる。どのように使うのがよいのだろう?
浴室換気扇の使い方(出典/リンナイ「『カビ』に関する意識調査」のリリースより転載)
矢口先生によると、24時間換気機能の付いている換気扇なら、「入浴後は強力に換気し、その後は常につけっぱなしにしておくのがいい」という。排水溝に水が溜まっていたり、外部から湿気が入り込むことがあるからだそうだ。
筆者の家の浴室暖房乾燥機には24時間換気機能は付いていないが、浴室の換気だけでなく、花粉時や梅雨時に衣類の乾燥としても使っている。衣類乾燥を使うと、高温と湿気でカビが増えるのではないかと心配していたが、衣類乾燥機能は浴室内の気温が45℃程度になるので、カビは発生しにくいのだという。
また、「風通しのいい場所はカビが生えにくい」というので、通風は効果があるようだ。湿気のこもりやすい場所は、換気扇や扇風機を活用して空気の流れを起こすことで換気を行い、エアコンや除湿器で湿度を下げるのが効果的だという。
さて、換気については、ダイキン工業が「上手な換気の方法」を公開している。エアコンを使うと除湿はできるが、室内の空気を冷たくして部屋に戻すので、室内の空気を入れ替えることはできない。新型コロナウイルスの感染予防策として室内の換気が重要視されているので、24時間換気機能を使ったり、窓を開けて空気の通り道をつくる必要がある。
〇ダイキン工業「上手な換気の方法」
梅雨時は外の湿気が多いから窓を開けない、エアコンをかけているから窓を開けないといったことは、感染予防としては望ましくない。コロナ下の今は、定期的に窓を開けて風を通すようにしよう。
気の合う仲間で毎月集まり飲み会を行い、ついでに資金を積み立て、旅行や事業に役立てる「模合(もあい)」という文化が沖縄では一般的です。「同級生模合」や「経営者模合」など、家族や親戚といった血の繋がりに縛られず、自由なメンバーで互いの親睦を深める模合の魅力について、実践者に伺いました。連載名:全国に広がるサードコミュニティ
自宅や学校、職場でもなく、はたまた自治会や青年会など地域にもともとある団体でもない。加入も退会もしやすくて、地域のしがらみが比較的少ない「第三のコミュニティ」のありかを、『ローカルメディアのつくりかた』などの著書で知られる編集者の影山裕樹さんが探ります。飲み会で親睦を深め、ついでにお金を集める
みなさん、「模合(もあい)」って聞いたことありますか? あのイースター島にあるモアイではありません。もちろん、渋谷の駅前の待ち合わせスポットはモヤイ像ですから、それも違います。実はこの「模合」、沖縄では一般的に行われている文化なんです。沖縄に住んでいる方なら知らない人はいないでしょうし、沖縄出身の人と親しい方なら名前くらいは聞いたことがあるでしょう。
模合とは、ひと言で言うならば、古くからある「庶民金融」。毎月、メンバーでお金を出し合って資金を積み立て、半年に一回、ないしは一年に一回、「親」が回ってきたら、そのお金を総取りできます。月一で集金するついでに「飲み会」を行うのが一般的。飲み代は積み立てるお金とは別に支払うのが基本だそうです。
構成メンバーはさまざまで、高校や大学の同級生同士だったり、社長さん同士で意気投合して始めることもあるそうです。主婦の方が集まってやる模合もあって、その場合はランチタイムに集まってお茶を飲みながら開催するそう。庶民金融と言っても、実質はメンバー同士の親睦を深める「部活」のようなものなのです。
模合のいいところは、商店街だとか親戚だとか、地縁や血縁にとらわれず、気の合う仲間うちで気軽に始められるところ。聞くところによると、上京した沖縄出身者同士で、東京で開催される模合もあるそうで、それくらい一般的なのです。今回は、沖縄で実際に模合をされているお二方にお話を伺いました。
経営者どうしでつながるメリットとは?大城さんが参加する経営者模合の様子(写真提供/大城さん)
まず一人目は、沖縄本島の南部・南城市で、海の見えるカフェ「Cafeやぶさち」を経営する大城直輝さん。彼は二つの模合に参加していて、一つは同級生模合、もう一つが経営者模合です。沖縄の人は一つだけでなく複数の模合に参加している人も多いと言います。
「高校の同級生模合は6人メンバーがいて、月5000円支払います。『親』が半年に1度回ってきて、5人分2万5000円を取っていく。たまに仲間が友達を連れてきて参加することもあります。同級生って付き合いは長いけどなかなか合わないじゃないですか。それぞれ仕事があったり、結婚して子どもができたりすると家族の時間もあって。強制的に会うことになるので、模合メンバーの結束感はかなり強いです」(大城さん)
一方、経営者模合についてはどのように運営されているのでしょうか。
「『志尽塾』と名付けました。30代、40代の若手経営者で集まっています。僕は今44歳で、30代からやっているから10年くらい続けています。システムとしては年間払いにしています。年1万円で、今メンバーは8人。毎回那覇市内のホテルを借りて、講師を呼んでセミナーをしてもらった後、懇親会をしています」(大城さん)
模合といってもその形態はさまざまなんですね。金額はそれほど大きくないですが、資金は基本的には講師の謝礼に使っているそう。いわゆる有志が行う勉強会といったかたちです。しかし、経営者同士の模合にはもっとビジネスの匂いがするものもあります。
「ひと昔前の50代60代の社長さんたちの模合だと、月に10万円とか20万円という話も聞いたことあります。例えば人数が10名で20万だと、200万ですよね。『親』になったときに200万入るわけです。それで資金繰りする人もいたと聞いています(笑)」(大城さん)
大城さん。「Cafeやぶさち」エントランスにて
イメージとしては貯金をする感覚。決して少なくないお金を積み立てて、さらに飲み会の料金は別払い。原則参加が必須で、どうしても来れない場合でもお金は支払わなければなりません。意外に縛りが強い集まりの印象があります。経営者なんて特に忙しいのに、毎月会って飲み会をするのってハードモードですよね。なぜそこまでしてやりたいと思うのか……疑問をぶつけました。
「『志尽塾』は、毎月第二月曜日にやることになっています。講師の方にレクチャーしてもらうだけでなく、メンバーがそれぞれ3分間スピーチをすることにしていて、そこで今月の会社の経営状況がだいたい分かるんですね。いわば月1朝礼みたいなもので、お互いにその月の事業活動を進めるにあたってアドバイスをする。『最近、コロナでどう?』とか」(大城さん)
確かに、コンサルタントにお金を払って経営のアドバイスしてもらうより、実際の経営者同士で互いにメンタリングする機会があると、毎月のビジネスのリズムが生まれてくるし、お互いの事業についての知識も深まるので、何かあったときすぐに助けてもらえます。
「例えばうちのカフェを結婚式の会場として使ってもらったり。デザイナーのメンバーはロゴをつくってくれたり。沖縄って、ビジネスするうえでは横のつながりがものすごく大事なんですよ。模合はお互いのつながりをとっても大切にします。互いに仕事を発注しあい、親睦を深めながら経済を回せるのが模合のいいところですね」(大城さん)
沖縄県外から移住した人のセーフティネットとしてもう一人は、那覇市で「浮島ブルーイング」というクラフトビールのお店を経営する由利充翠さん。実は由利さんは沖縄出身ではなく、名古屋出身で大学入学のときに沖縄にやってきて、卒業後も沖縄に根づき商売を始めた人。県外出身者でも参加できるんですね。
由利さんが経営する「浮島ブルーイング」にて(写真提供/由利さん)
「大学は寮だったんですけど、実は当時の模合のメンバーは全員、県外出身者なんですよ。韓国からの留学生もいて。学生時代から、みんなで韓国に遊びにいくくらい仲が良かったので、だったら旅行のお金の積み立てのために模合やろっか、となって始めたんです」(由利さん)
毎月第二金曜日開催で、月3000円。それを2年続けると7万円くらいになるので、そのお金で韓国に旅行に行ったり、大学卒業後に沖縄を出て行った仲間に会いにいくための旅行資金にあてたりしているのだそうです。
県外出身者は沖縄に親戚もいないし、同級生のつながりもないため、沖縄のコミュニティに入り込むのがなかなか難しい。どうやら、「よそ者」が、県内で新しく仲間をつくるうえで模合はうまく機能しているようなのです。
由利さんたちの同級生模合の様子(写真提供/由利さん)
「僕は大学卒業後も沖縄で暮らしているので、とても役に立っています。お店が移転する前の商店街でも先輩たちの模合があって、参加させてもらっていました。模合に参加すると確実にコミュニケーションを取る機会が増えます。同級生模合でも最近、コロナウイルスの影響でうちが配送もままならない状況で悩んでいた時に、メンバーの一人がわざわざお店までビールを買いに来てくれて。今はリアルでは会えないけれど、血もつながってないのに、家族とか親戚の次くらいに強いつながりを感じます」(由利さん)
“無尽”の一つとしての模合沖縄の模合のような庶民金融は、かつて全国にありました。それらは「無尽(むじん)」と呼ばれ、庶民金融としてのみならず、中小企業金融としての側面も大きかったそうです。それが金融制度の近代化にともない、次第に淘汰されていきます。いまとなっては都市部ではほとんど開催されることはないですが、岐阜県や山梨県の一部ではいまだに続いているところもあるそうです。
そんななか、沖縄では廃れることなく根付いており、ひとつは金融・投資としての機能を果たしてきました。倒産寸前に郷里に帰り、模合を起こして資金調達する事業者もいたそうで、確かに短期的な資金繰りに困ったときに模合のつながりが役立つこともありました。一方で、不払いによる「模合崩れ」により、訴訟に発展するトラブルもかつては多かったそうです。
それでも模合が現在も市民に愛される理由は、相互扶助・親睦の役割が大きいからでしょう。文具店で「模合帳」が普通に売られていたり、模合専用のアプリがリリースされていたり、飲食店がTwitterなどで「模合にご利用ください!」などの宣伝を行っている様子を見れば明らか。今では沖縄の模合は気の合う仲間とつながりを深める「第三のコミュニティ」として、よりカジュアルに機能しているのかもしれません。
(写真/PIXTA)
現在はLINEやFacebookなどで、飲み会以外の日も頻繁にやりとりができる時代です。お二人に話を聞いて思ったのは、コロナウイルスの影響で実際に会えないにもかかわらず、「強いつながり」があって、それが実際にお互いを支え合うものになっているということ。家族とか親戚とか、同じ会社の社員だとか、そういった既存のコミュニティとは別の、地縁も血縁もないつながりにもかかわらず、お互いを大切に思える関係が育まれるのが模合のユニークなところなんです。
先日、沖縄県知事の玉城デニー氏が記者会見で「3密」の条件が重なる模合を控えるよう促したように、現状、リアルに飲み会を開催するのは難しいですが、「これまで毎月、何年も会い続けてきた」という事実は変わりません。家族や親戚と同じくらい強い結びつきが“関係資本”として蓄積しているからこそ、会えなくても互いに連絡を取り合い、支え合うことができるのだと思います。
実はこの連載が「サードプレイス」ではなく「サードコミュニティ」と謳っている理由はここにあります。コロナウイルスの蔓延によって、たとえリアルに会えなくても、人と人の目に見えないつながりを持っていることの重要性に気づき始めた人は多いのではないでしょうか。
時代の変遷によって淘汰された無尽ではありますが、もしかしたら今こそ模合や無尽のようなあり方が、私たちの生活にとって重要なセーフティネットの一つになりうるのかもしれません。