
17万円 / 66.85平米
東急大井町線「尾山台」駅 徒歩7分
バルコニーからは街並みの広がる眺望がどかーんと抜けていてとにかく気持ちいいんです。
間取りは2LDK。12.5畳のリビングダイニングはワイドスパンの窓のおかげで開放感があります。家で過ごすことが多い昨今、日常にこの眺望があるだけで幸福度が上がるはずです。和室と洋室、どちらの部屋 ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
2012年の民主党から自民党への政権交代以降、一貫して上昇を続け、2017年をピークに高原状態にあった地価は新型コロナウイルスで様相が一変しました。
新型コロナウイルス影響で先行き不透明な地価
国土交通省が8月29日発表した7月1日時点の基準地価は、全国平均(全用途)の変動率が前年比マイナス0.6%と、2017年以来3年ぶりの下落。商業地はマイナス0.3%と5年ぶりに下落に転じ、昨年、28年ぶりに上昇した地方圏の商業地は再び下落に転じました。住宅地はマイナス0.7%と下落幅を拡大させています。下落地点数の割合は60.1%と2年ぶりに半数を超え、新型コロナウイルスの影響に伴う外出自粛や在宅勤務の普及を要因に不動産取引が鈍り、オフィスやホテル、店舗の需要も急失速する中、先行きの不透明感が反映された格好です。
経済停滞が長期化すれば、回復を続けてきた地価が下落へと転換しそうですが、その内訳をみると異なった様相も見えてきます。とりわけマイホームの世界は、新築中古・マンション戸建てともにさしたる影響はないどころか、足元では活況を呈していると言っていいでしょう。分野別に現状を探ってみます。
インバウンド需要が激減した商業地新型コロナの影響が最も大きかった分野で、大きな地価押し上げ要因となっていたインバウンド需要が今年に入って激減し、不透明感が強まっています。訪日外国人客がほぼ消滅したことに加え、緊急事態宣言などの外出自粛や店舗への休業要請で国内の経済活動も大幅に停滞しました。
かつてホテルや商業施設用の不動産取引が活況だった地方の観光地や、東京の銀座や新宿、大阪の道頓堀付近など、繁華街エリアにおいて値下がりが目立ちます。金沢市の繁華街の、ある地点は前年の19.6%の上昇から4.5%の下落に。岐阜県高山市の奥飛騨温泉郷は観光客減が響きマイナス9.3%と下落率が最大。道頓堀に近く、多くの訪日客が訪れる大阪市中央区の地価変動率はマイナス4.5%。前年は商業地で全国3位のプラス45.2%でした。いずれも観光客向けの店舗やホテル需要が弱まったことが響いています。3大都市圏の商業地はプラス0.7%となんとか上昇を維持したものの、伸びは鈍化。東京、大阪で上昇幅が縮小し、名古屋は8年ぶりに下落に転じています。
最高価格は東京都中央区の「明治屋銀座ビル」で、1平方メートル当たり4100万円。最も上昇率が大きかったのは住宅地、商業地とも、リゾート開発が活発な沖縄県宮古島市でプラス30%を超えています。地域別では地方圏と名古屋圏の下げが大きい一方、札幌、仙台、広島、福岡の底堅さも目立ちます。三大都市圏より高利回りを求めた投資マネーが流れ込み再開発が進んでいるためです。
(画像/PIXTA)
リモートワークも増えるオフィス街大手町・丸の内といったオフィス街には取り立てて変動がありません。一部企業がオフィス床を減少させるとのアナウンスもありますが、、その動きは限りなく限定的です。というのも、リモートワークで生産性が低下した企業も多く、またソーシャルディスタンスを保つには一定の床面積が必要となるからです。なにより多くのオフィス賃貸契約は、3~5年問といった長期契約のものが多く、期間中に解約すると違約金が発生するパターンが多いのです。渋谷区のオフィス空室率が3%台前半とやや高まったのは、機動的に動けるIT系企業が集積していたため。それでもオフィス市場の好不調を占う5%には程遠く、大手町・丸の内や虎ノ門・新宿といったオフィス街には何ら変化がないのです。変化が訪れるとしてもずいぶんと先の話になりそうです。
息を吹き返してきた?住宅地東京、大阪、名古屋の3大都市圏の住宅地はすべてマイナスとなり、東京、大阪が下落したのは7年ぶり、名古屋は8年ぶりです。地方圏は住宅地がマイナス0.9%と下落幅が拡大。札幌、仙台、広島、福岡の4市は住宅地がプラス3.6%、商業地がプラス6.1%といずれも上昇を維持したものの、伸び率は縮小しています。
しかし最も元気なのがこのセクター。一時期半減した新築・中古一戸建て市場もすっかり息を吹き返し、在庫を減らしつつ順調に取引がなされているどころか、緊急事態宣言中のマイナスを補って余りある勢いといっていいでしょう。8月の首都圏中古マンション取引件数は前年同月比プラス18.2%、平均価格は同プラス5.3%と絶好調。とりわけ都心3区(千代田区・中央区・港区)の中古マンション成約平米単価は過去最高を更新し、引き続き在庫が減少し底堅い。新築・中古戸建ても同様です。新築マンションの発売戸数は前年同月比8.2%減も都区部以外は大幅増、契約率も68.5%とまずまずです。
(資料/東日本不動産流通機構)
下落率の大きい災害地域昨年の台風19号で浸水被害を受けた長野市の地点はマイナス13.1%、福島県郡山市の地点はマイナス12.6%と大幅に下落。付近の丘陵が土砂災害警戒区域に指定された東京都日野市の地点がマイナス18.4%と、全国住宅地では下落率ナンバーワンでした。
■まとめ
今回は90年バブルやリーマンショック前のバブルとその崩壊とは異なります。日米欧の同時金融緩和、とりわけ日米は無制限金融緩和を行うことで、金融システムが崩壊することを阻止したためです。一時1万6000円台をつけた日経平均株価も現在は2万3000円台と、すっかりコロナ前の水準に戻っています。とりわけマイホームの世界は、継続されるであろう日米欧の同時金融緩和を受けた超低金利といった追い風を受け、当面は好調を継続しそうです。
あなた(あるいは、あなたの夫)は、“イクメン”ですか? 積水ハウスが独自の指標を用いて、都道府県の“イクメン”力をランキングした。イクメンの重要な指標に、男性の家事育児参加や育休取得などを挙げているが、どういった関係があるのだろう。【今週の住活トピック】
「イクメン白書 2020」 を公表/積水ハウスイクメンランキングで意外(?)にも九州勢がTOP3を独占
積水ハウスでは、「イクメン力」の指標として (1)妻が評価する夫のイクメン度(2)夫の育休取得日数 (3)夫の家事・育児時間 (4)夫の家事・育児参加幸福感の4つの指標を設け、ポイント算出により都道府県ランキングを作成した。
その結果、1位に佐賀県、2位に熊本県、3位に福岡県と九州勢がTOP3を独占した。東京都は38位、大阪府は44位で、大都市はイクメン力が低い結果となった。また、最下位の47位は、「かかあ天下」で知られる群馬県だった。
九州男児といえば家事育児には保守的なイメージがあるが、佐賀県と熊本県は「妻が評価する夫のイクメン度」指標が、福岡県は「夫の家事・育児時間」指標が特に高いことが、ランキングを押し上げる要因になっている。
男性の育休取得が家事育児の幸福度を上げる?この調査で全員に、夫が家事や育児を行うことに幸せを感じるかを聞いたところ、男性は 78.4%が「幸せを感じる」、女性は 64.1%が「夫は家事・育児に幸せを感じている」と回答した。妻が思うよりも、夫のほうが家事や育児に幸せを感じているのかもしれない。
家事育児の幸福度は、夫の育児休暇(以下、育休)の取得によっても変わるようだ。育休を取得していない男性は幸福度が69.3%だったのに対して、育休取得ありの男性では幸福度が80.4%まで上がり、さらに1カ月以上育休を取得した男性では90.9%と極めて高い比率にまで上がった。
男性の家事・育児幸福度(育休取得別)(出典:積水ハウス「イクメン白書 2020」)
育休を取得する男性は増加傾向にあるが、実はこの調査の「夫の育休取得日数」1位は東京都の9.4日(全国平均4.1日)だった。東京都は大企業が多いので、こうした制度が整っている職場が多いと推測できる。
一方で、男性の育休取得の義務化を検討する動きがあるなか、日本・東京商工会議所の「多様な人材の活躍に関する調査」結果を見ると、中小企業では「男性社員の育児休業取得の義務化」に反対との回答(反対:22.3%+どちらかというと反対:48.6%)が70.9%で、特に運輸業(81.5%)、建設業(74.6%)、介護・看護業(74.5%)といった人手不足感の強い業種において反対が多かった。
男性の育休の取得は家族の意向だけでなく、育休制度が整っていたり取得事例が多くて取りやすかったりといった、職場の環境が大きく影響してくる。調査結果では、育休取得によって幸せを感じる比率が高くなっているが、職場の環境によってその育休取得の機会が増えていかないとしたら、なんとも残念なことだ。
男性の家事や育児のスキルの有無も幸福度に影響大そうはいっても、家事や育児をどうやったらよいか分からない、妻のやり方と違って互いにストレスが溜まるといったこともあるだろう。調査結果でも、男性の家事・育児のスキルの有無が幸福度に大きく影響していることが分かった。
男性には自身の、女性には夫の、家事や育児のスキルの有無を聞いたところ、自身や夫が家事・育児に幸せを感じるかを聞いた項目で、「幸せを感じる」層(6650 人)と「幸せを感じない」層(2750 人)では大きな違いが見られた。
「幸せを感じる層」では、男性の家事スキルありが 57.6%、育児スキルありが58.7%だったのに対して、「幸せを感じない層」では、男性の家事スキルありは 26.9%、育児スキルありは23.3%で、両者には大きな開きがあった。
男性の家事スキルの有無/男性の育児スキルの有無 (出典:積水ハウス「イクメン白書 2020」)
夫の家事・育児のスキル向上には、妻の協力も必要だ。どちらかが几帳面すぎたり大雑把すぎたりすると、同じようにやることを難しく感じたり、ストレスを感じたりすることもある。二人でよく話し合って歩み寄り、互いにやりやすい“我が家流スタイル”をつくることで、夫の家事・育児参加率を上げることも大切だろう。
さて、「イクメン」と呼ばれてうれしいのは、そのほうが体裁がよいからではなく、家事育児をすることに幸せを感じられるからだろう。「そのためには、家事育児にできるだけ多く時間を取って、そのスキルを身に着けることが大切だ」と調査結果は語っている。一生に幾度もない子育ての機会だ。家族全員で幸せを感じられる時間を過ごしてほしい。
2020年春先、新型コロナウイルスの感染拡大で卒業式や結婚式など花が欠かせないイベントの中止が相次ぎ、多くの花が出荷できず廃棄され、半年以上経つ今も業務用花の需要低迷は続いています。その過程で、まだ綺麗なのに捨てられる花(フラワーロス)をなくそうと、花業界はさまざまな取り組みを開始しました。今回は、コロナ禍以前からフラワーロスの解決に積極的に取り組んできた株式会社BOTANICの上甲友規(じょうこう ともき)さんに話を聞きました。
イベントの中止で花の需要が低下、大量のフラワーロスが発生
まだ食べられるのに廃棄される食品「食品ロス」の量は年間612万トンも発生しています(2017年度、農林水産省発表、2020年4月現在)。食品ロスは2012年から国が削減に取り組み数値を公表していますが、「フラワーロス」は正確なデータがありません。「食品ロス」ほど、身近に感じている人は少ないのではないでしょうか。
「フラワーロスのとらえ方はさまざまで、統一された定義はありませんが、大きく分けて3つあります。ひとつは店舗にディスプレイしていた花がお客様の手に渡らず残ってしまったもの、結婚式などのイベントの装飾花で朝にディスプレイしてイベントが終了すると家には飾れてもお店で売ることはできない花、そして生産者のもとで供給過多になり出荷されずに捨てられる花があります」と話すのは、BOTANICの上甲友規(じょうこうともき)さん。まだ十分に愛でることができる綺麗な花が燃えるゴミとして捨てられる現実は、想像するだけで心が痛みます。
株式会社BOTANICの代表取締役 上甲友規さん(写真提供/BOTANIC)
コロナの影響で卒業式、送別会など花が欠かせない各種イベントが中止・延期・縮小され、花が出荷されず大量の花が廃棄される「フラワーロス」「ロスフラワー」がニュースになりました。
コロナ禍になる以前から、この問題は注目されており、農林水産省は2020年3月6日、花の消費拡大を目指し、花業界を支援するため、家庭や職場で花を飾り、花の購入促進を広く呼びかける「花いっぱいプロジェクト」をスタートし、趣旨に賛同する地方自治体、企業、全国の団体などが協力。フローリストらによるフラワーロスを減らすプロジェクトも始まり、花のある暮らしの提案を続けています。
「コロナ禍以降、花を贈るといった個人消費の需要は増えていますが、イベントの減少で花業界全体が低迷し、今後どうしたらいいかと不安を抱えている生産農家は少なくありません」と上甲さん。フラワーロスをなくすには、一時的な支援ではなく、根本的な改善が必要です。
提携農園から新鮮な花と新聞が直接届く花のサブスク(定期便)都内に3店舗あるフラワーショップ「Ex. Flower Shop & Laboratory(イクス、フラワーショップ アンド ラボラトリー)」の自然光が入る明るい店内(写真提供/BOTANIC)
「BOTANICは花屋の流通の複雑さ、大量な廃棄ロス、マーケティングのやり方、働く側の労働環境など、花屋の業界全体にある課題を解決したいと2014年に立ち上げた会社です。“花き業界をアップデートする”をミッションに自分たちが描く理想の花き業界をつくりたいという想いがあります」
その継続的な課題の解決のために、BOTANIC が提供するサービスのひとつが、花のサブスクリプションサービスです。
2017年にBOTANICが開始した花のサブスクリプションサービスの「霽れと褻(ハレトケ)」。生産者が旬の花を開花状況を見ながら収穫する(写真提供/BOTANIC)
花のサブスクリプションサービス(サブスク)は、あらかじめ契約して定額料金を支払った顧客に旬の新鮮な花を定期的に届けるシステムで、顧客は、ポスト投函や手渡し、宅配ボックスなどを通じて受け取ります。
「サブスクが今までの店舗で販売するスタイルと違うのは、売れた分だけ仕入れること。お店は選択肢を多くして一定以上の在庫を抱えていないと成り立ちませんが、オンラインで注文を受け、注文があった分だけ提携農園で花を切り取り、採れたてを顧客に出荷できるのが大きいです」(上甲さん)
つまり、花のサブスクリプションサービスによって「店舗でのフラワーロス」と「生産者のもとでのフラワーロス」を削減することができます。
「霽れと褻(ハレトケ)」は、花と新聞が届く定期宅配便。顧客はどんな花が届くか分からない楽しみもある(写真提供/BOTANIC)
タブロイド判の8ページの新聞は、写真や絵を使って分かりやすい記事が満載で、保存しておきたくなるような内容(写真提供/BOTANIC)
「霽れと褻(ハレトケ)」は、花とともに、その花にまつわるストーリーなどを掲載した新聞を配達しているのが特徴です。花を飾ることプラス、届いた花の名前や特徴、生産者に取材した花のストーリー、お手入れ方法、飾り方のコツなどを網羅した新聞が届くことで、知識欲が満たされ、花への興味が深まります。
その重要なカギになるのが生産者です。同社は、全国各地の100近くの花農家と会って、信頼できる花農家と提携。「安定供給ができるか、花の美しさや日持ちといった品質、配送に耐えられるか、などを見極めて提携しています。コロナ禍が続いて、生産者の方も、自らオンラインで花を販売したり、弊社の取り組みに対してさらに前向きに受け取っていただけるようになり、意識が変わってきたと感じます」
オンライン販売では生産者との交流が重要。花の新聞も直接生産者に会って話を聞いてまとめている(写真提供/BOTANIC)
タイムロス、フラワーロスをなくしブーケにして届けるサービス国内の花農家は約8万1000戸あります。花が開花するまでは、種を蒔いてから約3カ月~6カ月、胡蝶蘭などのように3年以上かかる花もあります。花農家が時間をかけて育てた花は、農協などの出荷団体がまとめて、市場を通して花屋に届くルートが一般的で、通常4~5日かかります。
花きが消費者に届くまでの主な流通ルート。市場経由率は76%、市場外取引は24%(2017年)(出典:農林水産省「花きの現状について」2019年12月)
BOTANICは2019年、花の流通経路を見直したサービス「Lifft(リフト)」を開始しました。これは「花のサブスクリプションサービスの延長上にあるサービスで、提携農家です。オンラインで注文を受けてから採花した花を直接仕入れて、ブーケにして届けています。フラワーロスとタイムロスがなく、流通コストや人件費、実店舗の家賃などを削減でき、価格を抑えて新鮮な花を届けることができます」
フローリストが束ねたブーケを花が傷まない工夫をした専用ボックスで届ける「Lifft(リフト)」(写真提供/BOTANIC)
廃棄ロスをなくす未来の花屋を目指すコンセプトショップ2020年2月、BOTANICは、さらにフラワーロスゼロを目指し、クラウドファンディングで支援を呼びかけ、花・植物・人が交わるサスティナブルな施設「Lifft Concept Shop(リフトコンセプトショップ)」がオープンしました。
ショップには植物相談デスク、イートインスペースを併設。花農家から仕入れて3日間以内の花のみを販売し、4日以上経つ花はビル内のカフェで活用しています。また、Web(Zoom)でコンセプトショップを見ながら無料で花選びの相談ができるコンシェルジュサービスも開始しました。
Lifft Concept Shopのショールーム(写真提供/BOTANIC)
「個人消費や、花を飾る習慣が少しずつ増えた実感があります。今後も、このような活動を通じて、花の需要と供給のギャップをなくすよう取り組んでいきたいと思います」(上甲さん)
日常に花を取り入れフラワーロスを低減。花を飾るお手入れのコツは?花の魅力について上甲さんに聞きました。「花の魅力はいつか枯れてしまうこと。五分咲き、八分咲き、十分咲きと開花して、首が垂れて変化していく、その時々に味があり、生きていると感じられます。お花は贈り物のイメージがありますが、自分自身の気分がいいときも元気が出ないときも一輪からでも気軽にお花を買っておうちで楽しんでほしいですね。
お花を選ぶときは、お花屋さんとコミュニケーションをとって、教えてもらうのがいいと思います。花瓶は
家にあるコップでもOK。短くて4、5日、毎日水を変えて、茎を斜めに切ってお手入れをすると1週間以上持ちます」というアドバイスも。
一般社団法人花の国日本協議会(2020年)によると、新型コロナウイルス感染予防対策として自宅で過ごす時間が長くなってから、「花やグリーンを飾りたい」という気持ちになった人が90%、そのうち、とても飾りたくなった人が65%、また実際に花を飾る頻度が増えた人が56%いることが分かりました。
また、「花の取り扱い方法や飾り方が分からない」という人は 30~40 代女性で 7 割以上、花を飾りたい気持ちがあっても知識のなさがハードルを上げてしまっていることも分かりました。花もし素敵に花を飾れたら、もっと花を身近に置きたいと思うのではないでしょうか。花き業界6団体と花き文化団体3団体から成る「日本花き振興協議会」では、花を飾り馴れていない花初心者のための特設サイト「はじめて花屋」を開設。コンテンツのひとつ「#花のABC」では、初めて花を飾る人のための基礎知識を紹介しています。
花の初心者を対象に、これだけは知っておきたい基礎知識を分かりやすく動画などでまとめたサイト「#花のABC」
初めて花と暮らすときに知っておきたい7つの基礎知識筆者も「STAY HOME」の呼びかけ以来、週1回の花のサブスクを契約し、常におうちに生花がある生活をしています。リビングや玄関に飾るのもいいですが、テレワークのときパソコンの脇に花を飾るのも和みますし、花の香りや自然の色に癒やしとパワーをもらっています。
花のサブスクは、忙しくて花を買いに行く時間がない人にもうってつけですし、生花は鉢植えに比べて気軽にさまざまな種類が楽しめるのも魅力です。
筆者が契約している花の定期便で届いた花の一例。1回500円(送料別途)のリーズナブルなコースでも、暮らしと気持ちに与える影響は大きい(撮影/佐藤由紀子)
コロナ禍の影響で注目されるようになったフラワーロスは、潜在的にある問題です。ネットショッピングが急増して、花もリアル店舗からオンラインへ移行・開始する業者が増え、捨てられるはずの花をリサイクルして商品化する取り組みも始まっています。フラワーロス問題へ前向きに取り組むことで、花農家や花業界の未来が変わりつつあると感じます。
業務用花に比べればささやかですが、一人ひとりが花を暮らしに取り入れることが、フラワーロスの削減につながります。そして、消費者は品質のいい花が安く買えるようになり、ムダなごみの量も減らせるメリットもあります。サブスクリプションやオンライン購入などを利用して、気軽に試してみてはいかがでしょうか。
●取材協力工房の扉をあけると、漆のつんとしたにおい。ラジオの音だけが響くなか、所狭しと並んだうつわに囲まれ、若い職人さんが黙々とハケを動かしている。
工房を案内してくれた職人さんが口を開いた。
「ここは塗り場といって、毎日、200個から300個の漆器を塗り上げているんです」
1日300個、気が遠くなるような数だ。漆器ってこうしてひとつひとつ、手塗りされているんだな。「そういえば、塗るのに使っているハケって、何の毛でできているんですか?」ふと浮かんだ疑問を口にすると、職人さんはよくぞ聞いてくれた、という顔をして、うれしそうに答えてくれる……。
職人自ら、工房を案内してくれる/漆琳堂(写真撮影/Rui Izuchi)
こんにちは、RENEW事務局長の森一貴です。
「RENEW(リニュー)」とは、福井県丹南エリアを舞台に開催される、ものづくりを“見て・知って・体験する”体感型マーケット。普段立ち入ることのできない産地の工房・企業が一斉開放され、来場者は自由に工房見学やワークショップを楽しむことができます。2020年の開催日程は10月9日(金)から11日(日)の3日間。
RENEWのイメージ・赤丸がはためく総合案内所(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
2015年に始まり5年の歳月を経たRENEWは、出展者約80社・来場者約3万人を数える、日本最大級のものづくりイベントに成長しました。今回はRENEWがどのようにして生まれ広がってきたのか、事務局の立場からお伝えしたいと思います。
工房を一斉開放し、ものづくりに触れる福井県の中央部に位置する福井県丹南エリア(鯖江市・越前市・越前町)は、日本でも有数のものづくりの産地。越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼、眼鏡、繊維の計7つの地場産業が、端から端まで車で約40分という狭い圏内に集まっています。
このエリアで年に一度だけ開催されるのが、ものづくりを“見て・知って・体験する”体感型マーケット「RENEW(リニュー)」です。
RENEW期間中は約80の工房や事業所を一斉開放。2m以上もある和紙の大紙を漉く(すく)現場に立ち会ったり、うずたかく積まれた木地のサンプルに圧倒されたり、眼鏡職人に手ほどきを受けながら自分オリジナルの眼鏡をつくったりと、ものづくりの産地ならではの体験ができます。
漆器の木地を手掛ける木工所。サンプルが所狭しと並ぶ/井上徳木工(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
RENEWは2020年で6回目を迎えます。この5年の間に、丹南エリアの産地には新たな店舗やギャラリーが20店舗以上もオープン。さらに通年で工房見学を楽しめる施設も開設され、就職者・移住者も増加するなど、この町の景色は着実に変わってきています。
2019年にオープンした、福井のグッドプロダクトを扱うスーベニアショップ「SAVA!STORE」(写真提供/TSUGI)
1701年創業の漆器メーカー「関坂漆器」の倉庫を改装したセレクトショップ/ataW(写真提供/ataW)
しかし、RENEWもはじめから成功を予期していた訳ではありません。2015年当時、RENEWはまだ始まったばかりの、小さな地方イベントにすぎませんでした。
待っていても、スーパーマンは来ない。合言葉は「ないならつくる」RENEWが生まれたのは、鯖江市東部にある「河和田(かわだ)」という町。
三方を山に囲まれた中山間地域・河和田(写真撮影/instagram : @cityflaneurs)
河和田は人口約4000人と小規模な地区ながら、200近い漆器の工房を抱える越前漆器の里です。この町では「河和田アートキャンプ」というアートプロジェクトの卒業生を中心に、2010年ごろより徐々に移住して職人になる人が増えてきたそうです。
その移住者第一号が、RENEWの発起人。大阪府出身で、現在デザイン事務所・TSUGI(ツギ)の代表およびRENEWディレクターを務める新山直広さんです。
デザイン事務所TSUGIのメンバー。新山さんは左から三番目(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
新山さんは、移住してきた職人の友人とよく話していたことがあったと言います。
「僕たちの仕事は、30年、50年後も残っているのだろうか」
越前漆器の売上はここ数十年、右肩下がりが続いています。当時、新山さんは鯖江市役所に勤めており、越前漆器の産業調査に取り組んでいました。その一環で東京を訪れた際、よく知る職人さんの漆器がワゴンセールで叩き売りされているのを見た新山さんは、愕然とします。
「もたもたしていたら、本当に産業がなくなるかもしれない」
そこで新山さんたちは、2013年に若手移住者によるサークル「TSUGI」を結成。自分たちで漆器をつくって河和田の食を楽しむ「ふくいフードキャラバン」など、自分たちなりの取り組みを始めていました。
福井新聞社と実施した、ふくいフードキャラバン「かわだ くらしの晩餐会」の様子(写真提供/TSUGI)
その過程で思いついたのが、「工房を開放する」というアイデア。
漆器や眼鏡の工房が集積するのがこの町の強み。ならば実際に産地に来てもらい、職人と出会ってもらえば、ものづくりの価値は必ず伝わると新山さんは考えたのです。
そんな中で新山さんが出会ったのは、同じ河和田地区にある谷口眼鏡の社長であり、現RENEW実行委員長・谷口康彦さんでした。谷口さんは当時、河和田地区の区長会長。いわば村長としての目線で、「河和田をどうにかしなくては」と考えていたと言います。
谷口眼鏡の工場にて。右側が谷口さん(写真提供/谷口眼鏡)
出会った二人はすぐに意気投合。その時の合言葉は「ないならつくる」。早速谷口さんが地元の有志に声をかけ、新山さんのアイデアを伝える場を設けました。
その最初の会議のことを、新山さんはこう振り返ります。
「待っていても、スーパーマンは来ない。欲しい未来は自分でつくるしかないんです。そう確信していたけど、やっぱり緊張しました。みんな下を向いて腕組みをしていて、本当に冷や汗がとまらなかったです」
第一回目のRENEW出展者会議(写真提供/RENEW実行委員会)
会議風景。打ち合わせは深夜まで続くことも(写真提供/RENEW実行委員会)
「とはいえ、まずは一回やってみようよ」と、谷口さんが地域の人たちに声をかけてくれたことで開催が決定。手探りでパンフレットや看板、垂れ幕などをがむしゃらに準備し、なんとか2015年10月31日、第一回目の開催にこぎつけました。
しかしその「まずは一回」が、町を大きく変えることになりました。2015年のRENEW当日、来場者がひっきりなしに訪れ、普段は静かな河和田の町が人で溢れ返ったのです。
全国から来場者が集った/ろくろ舎(写真撮影/Rui Izuchi)
来場者の多くが立ち寄った総合案内所の様子(写真撮影/Rui Izuchi)
初年度のRENEWのなかで、「忘れられないシーンがある」という新山さん。
「『この時期は忙しいんだよ』と、最後まで出展を渋っていた眼鏡の職人さんがいたんです。なんとか説得して参加してもらったのですが、打ち上げの時にその職人さんは、目に涙を浮かべながら『新山くん、本当にやってよかったよ、ありがとう』と伝えてくれたんです」
話を聞くと、彼の工房に眼鏡が大好きな青年がやってきたのだそう。東京から来たその青年にとっては、職人さんのありふれた作業のひとつひとつが新鮮で驚きに満ちたもの。職人さんの話を熱心に聞き、質問してくれたのが、本当にうれしかったと言うのです。
河和田地区にある眼鏡の工房/ハヤカワメガネ(写真撮影/Rui Izuchi)
新山さんは「その話を聞いたとき、RENEWをやった意義があったなと、心の底から思えたんです」と、当時を振り返ります。
第一回目のRENEWは出展者21社、来場者約1200人。近年の来場者数から比べれば、少ない人数です。しかし、そこで事務局側も出展者側も全員が同じ景色を共有できたことが、後々の変化につながったのかもしれません。
その後、2017年には中川政七商店とコラボレーションした「RENEW×大日本市鯖江博覧会」を開催。越前市など河和田地区以外の地区を初めて巻き込み、4日間で約4万2000人の来場者が訪れました。
2017年の様子。中川政七商店の担当者は、半年以上福井に通い詰めた(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
これを足がかりに、RENEWは市町村の枠組みを超え、7産業を巻き込むイベントに発展。2019年には、グッドデザイン賞や総務省ふるさとづくり大賞の受賞といった機会にも恵まれました。
和紙の原料を混ぜる様子/やなせ和紙(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
蒔絵師の工房。小物づくりワークショップなどを実施/駒本蒔絵(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
「前を向こう」。変わり続ける町の覚悟しかし2020年、RENEWを待ち受けていたのが新型コロナウイルスでした。株式会社和えるが6月に発表したレポートが報じたのは、このままの状況が続くと「伝統産業の4割が年内に廃業の危機」という現実。
RENEWも開催が危ぶまれる状況ではあったものの、イベント名を「Re:RENEW2020」に変更し、7月10日に開催を決断する宣言文を発表しました。
「くたばってたまるか」、強いキャッチコピーと新しいイベント名には、コロナ禍での開催に向けて、「更に新しく変わっていこう」という覚悟が込められています。
もちろんRENEW実行委員会は、何度も中止を考えました。それでも開催へと踏み切った思いを、実行委員長の谷口さんはこう話します。
「今年は間違いなく、こうした産業観光イベントのほとんどが中止になりますよね。RENEWも、中止になっても止むを得ない状況だとは思います。……でも、その中でファイティングポーズをとり続けることがRENEWの役割だと思うんです。全国がコロナで打撃を受けているなかで、この町に対しても、日本全国の産地に対しても、“前を向こう”というメッセージを伝えていきたいんです」
谷口さんはRENEWを通じ「持続可能な地域づくり」を目指す(写真撮影/Rui Izuchi)
コロナウイルスへの対応を考えると、今年の開催は例年に比べ、圧倒的に難易度の高い準備が必要であることは明らか。しかしその「前を向こう」という覚悟が、今年のRENEWを支えているのです。
更に「前を向こう」というメッセージに呼応して、内容にも大きな変化が生まれています。
今年は工房見学やワークショップを楽しめるRENEWに加え、“作り手”、“伝え手”、“使い手”を繋ぐマーケット「ててて往来市 TeTeTe All Right Market」の同時開催が決定。またオンラインでも「RENEW TV」や「オンラインRENEWストア」の実施が決まっています。
ててて往来市のイメージ。うるしの里会館の軒下で開催される(写真提供/ててて協働組合)
また、商品開発プロジェクト「RENEW LABORATORY」や、福井のものづくりを学ぶメディア「産地の赤本」といった新たな企画を次々に立ち上げ、準備を進めてきました。
RENEW LABORATORY。井上徳木工×堀内康広によるプロジェクト(写真提供/RENEW実行委員会)
加えて今年から、RENEWと産地のサポーターチーム「あかまる隊」を創設。県内外から約30名が集い、職人さんたちとの飲み会を企画したり、独自に動画配信を行ったりと、これまでのRENEWでは想像もできなかった景色が生まれています。
あかまる隊による訪問取材の様子(写真提供/RENEW実行委員会)
産地やRENEWを取り巻く環境はこの半年で、ものすごいスピードで変化してきました。新山さんはこの状況を「不謹慎かもしれないけれど、実は、少しワクワクしているんです」と述べます。
「町が変化するためには、危機感が重要だと僕はずっと思ってきました。それが今、産地の全員が同じ危機感を共有しています。これはものすごいチャンスなんです。今年はもしかしたら、産地の人々がもっと創造性をもって新たなプロダクトやサービスをつくっていくための、ひとつの元年になるかもしれません」
共につくろう、変わりつづけるものづくりのまちをRENEW実行委員会の幹部メンバー(写真提供/RENEW実行委員会)
職人たちが暮らす、ものづくりの町・福井県丹南エリア。
この町にあるのは、「つくる」という文化なのだと感じます。それはモノをつくることだけではなく、仕事や暮らし、人間関係、町、そして文化までをもつくりつづけていく、変わりつづける文化です。
2020年10月9日(金)~11日(日)の3日間にわたって開催される、「Re:RENEW2020」。前を向く産地の姿を、ぜひ見にきてください。
●取材協力工房の扉をあけると、漆のつんとしたにおい。ラジオの音だけが響くなか、所狭しと並んだうつわに囲まれ、若い職人さんが黙々とハケを動かしている。
工房を案内してくれた職人さんが口を開いた。
「ここは塗り場といって、毎日、200個から300個の漆器を塗り上げているんです」
1日300個、気が遠くなるような数だ。漆器ってこうしてひとつひとつ、手塗りされているんだな。「そういえば、塗るのに使っているハケって、何の毛でできているんですか?」ふと浮かんだ疑問を口にすると、職人さんはよくぞ聞いてくれた、という顔をして、うれしそうに答えてくれる……。
職人自ら、工房を案内してくれる/漆琳堂(写真撮影/Rui Izuchi)
こんにちは、RENEW事務局長の森一貴です。
「RENEW(リニュー)」とは、福井県丹南エリアを舞台に開催される、ものづくりを“見て・知って・体験する”体感型マーケット。普段立ち入ることのできない産地の工房・企業が一斉開放され、来場者は自由に工房見学やワークショップを楽しむことができます。2020年の開催日程は10月9日(金)から11日(日)の3日間。
RENEWのイメージ・赤丸がはためく総合案内所(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
2015年に始まり5年の歳月を経たRENEWは、出展者約80社・来場者約3万人を数える、日本最大級のものづくりイベントに成長しました。今回はRENEWがどのようにして生まれ広がってきたのか、事務局の立場からお伝えしたいと思います。
工房を一斉開放し、ものづくりに触れる福井県の中央部に位置する福井県丹南エリア(鯖江市・越前市・越前町)は、日本でも有数のものづくりの産地。越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼、眼鏡、繊維の計7つの地場産業が、端から端まで車で約40分という狭い圏内に集まっています。
このエリアで年に一度だけ開催されるのが、ものづくりを“見て・知って・体験する”体感型マーケット「RENEW(リニュー)」です。
RENEW期間中は約80の工房や事業所を一斉開放。2m以上もある和紙の大紙を漉く(すく)現場に立ち会ったり、うずたかく積まれた木地のサンプルに圧倒されたり、眼鏡職人に手ほどきを受けながら自分オリジナルの眼鏡をつくったりと、ものづくりの産地ならではの体験ができます。
漆器の木地を手掛ける木工所。サンプルが所狭しと並ぶ/井上徳木工(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
RENEWは2020年で6回目を迎えます。この5年の間に、丹南エリアの産地には新たな店舗やギャラリーが20店舗以上もオープン。さらに通年で工房見学を楽しめる施設も開設され、就職者・移住者も増加するなど、この町の景色は着実に変わってきています。
2019年にオープンした、福井のグッドプロダクトを扱うスーベニアショップ「SAVA!STORE」(写真撮影/森一貴)
1701年創業の漆器メーカー「関坂漆器」の倉庫を改装したセレクトショップ/ataW(写真撮影/森一貴)
しかし、RENEWもはじめから成功を予期していた訳ではありません。2015年当時、RENEWはまだ始まったばかりの、小さな地方イベントにすぎませんでした。
待っていても、スーパーマンは来ない。合言葉は「ないならつくる」RENEWが生まれたのは、鯖江市東部にある「河和田(かわだ)」という町。
三方を山に囲まれた中山間地域・河和田(写真撮影/instagram : @cityflaneurs)
河和田は人口約4000人と小規模な地区ながら、200近い漆器の工房を抱える越前漆器の里です。この町では「河和田アートキャンプ」というアートプロジェクトの卒業生を中心に、2010年ごろより徐々に移住して職人になる人が増えてきたそうです。
その移住者第一号が、RENEWの発起人。大阪府出身で、現在デザイン事務所・TSUGI(ツギ)の代表およびRENEWディレクターを務める新山直広さんです。
デザイン事務所TSUGIのメンバー。新山さんは左から三番目(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
新山さんは、移住してきた職人の友人とよく話していたことがあったと言います。
「僕たちの仕事は、30年、50年後も残っているのだろうか」
越前漆器の売上はここ数十年、右肩下がりが続いています。当時、新山さんは鯖江市役所に勤めており、越前漆器の産業調査に取り組んでいました。その一環で東京を訪れた際、よく知る職人さんの漆器がワゴンセールで叩き売りされているのを見た新山さんは、愕然とします。
「もたもたしていたら、本当に産業がなくなるかもしれない」
そこで新山さんたちは、2013年に若手移住者によるサークル「TSUGI」を結成。自分たちで漆器をつくって河和田の食を楽しむ「ふくいフードキャラバン」など、自分たちなりの取り組みを始めていました。
福井新聞社と実施した、ふくいフードキャラバン「かわだ くらしの晩餐会」の様子
その過程で思いついたのが、「工房を開放する」というアイデア(写真撮影/森一貴)
漆器や眼鏡の工房が集積するのがこの町の強み。ならば実際に産地に来てもらい、職人と出会ってもらえば、ものづくりの価値は必ず伝わると新山さんは考えたのです。
そんな中で新山さんが出会ったのは、同じ河和田地区にある谷口眼鏡の社長であり、現RENEW実行委員長・谷口康彦さんでした。谷口さんは当時、河和田地区の区長会長。いわば村長としての目線で、「河和田をどうにかしなくては」と考えていたと言います。
谷口眼鏡の工場にて。右側が谷口さん(写真撮影/森一貴)
出会った二人はすぐに意気投合。その時の合言葉は「ないならつくる」。早速谷口さんが地元の有志に声をかけ、新山さんのアイデアを伝える場を設けました。
その最初の会議のことを、新山さんはこう振り返ります。
「待っていても、スーパーマンは来ない。欲しい未来は自分でつくるしかないんです。そう確信していたけど、やっぱり緊張しました。みんな下を向いて腕組みをしていて、本当に冷や汗がとまらなかったです」
第一回目のRENEW出展者会議(写真撮影/森一貴)
会議風景。打ち合わせは深夜まで続くことも(写真撮影/森一貴)
「とはいえ、まずは一回やってみようよ」と、谷口さんが地域の人たちに声をかけてくれたことで開催が決定。手探りでパンフレットや看板、垂れ幕などをがむしゃらに準備し、なんとか2015年10月31日、第一回目の開催にこぎつけました。
しかしその「まずは一回」が、町を大きく変えることになりました。2015年のRENEW当日、来場者がひっきりなしに訪れ、普段は静かな河和田の町が人で溢れ返ったのです。
全国から来場者が集った/ろくろ舎(写真撮影/Rui Izuchi)
来場者の多くが立ち寄った総合案内所の様子(写真撮影/Rui Izuchi)
初年度のRENEWのなかで、「忘れられないシーンがある」という新山さん。
「『この時期は忙しいんだよ』と、最後まで出展を渋っていた眼鏡の職人さんがいたんです。なんとか説得して参加してもらったのですが、打ち上げの時にその職人さんは、目に涙を浮かべながら『新山くん、本当にやってよかったよ、ありがとう』と伝えてくれたんです」
話を聞くと、彼の工房に眼鏡が大好きな青年がやってきたのだそう。東京から来たその青年にとっては、職人さんのありふれた作業のひとつひとつが新鮮で驚きに満ちたもの。職人さんの話を熱心に聞き、質問してくれたのが、本当にうれしかったと言うのです。
河和田地区にある眼鏡の工房/ハヤカワメガネ(写真撮影/Rui Izuchi)
新山さんは「その話を聞いたとき、RENEWをやった意義があったなと、心の底から思えたんです」と、当時を振り返ります。
第一回目のRENEWは出展者21社、来場者約1200人。近年の来場者数から比べれば、少ない人数です。しかし、そこで事務局側も出展者側も全員が同じ景色を共有できたことが、後々の変化につながったのかもしれません。
その後、2017年には中川政七商店とコラボレーションした「RENEW×大日本市鯖江博覧会」を開催。越前市など河和田地区以外の地区を初めて巻き込み、4日間で約4万2000人の来場者が訪れました。
2017年の様子。中川政七商店の担当者は、半年以上福井に通い詰めた(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
これを足がかりに、RENEWは市町村の枠組みを超え、7産業を巻き込むイベントに発展。2019年には、グッドデザイン賞や総務省ふるさとづくり大賞の受賞といった機会にも恵まれました。
和紙の原料を混ぜる様子/やなせ和紙(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
蒔絵師の工房。小物づくりワークショップなどを実施/駒本蒔絵(写真撮影/TOMART:PhotoWorks)
「前を向こう」。変わり続ける町の覚悟しかし2020年、RENEWを待ち受けていたのが新型コロナウイルスでした。株式会社和えるが6月に発表したレポートが報じたのは、このままの状況が続くと「伝統産業の4割が年内に廃業の危機」という現実。
RENEWも開催が危ぶまれる状況ではあったものの、イベント名を「Re:RENEW2020」に変更し、7月10日に開催を決断する宣言文を発表しました。
「くたばってたまるか」、強いキャッチコピーと新しいイベント名には、コロナ禍での開催に向けて、「更に新しく変わっていこう」という覚悟が込められています。
もちろんRENEW実行委員会は、何度も中止を考えました。それでも開催へと踏み切った思いを、実行委員長の谷口さんはこう話します。
「今年は間違いなく、こうした産業観光イベントのほとんどが中止になりますよね。RENEWも、中止になっても止むを得ない状況だとは思います。……でも、その中でファイティングポーズをとり続けることがRENEWの役割だと思うんです。全国がコロナで打撃を受けているなかで、この町に対しても、日本全国の産地に対しても、“前を向こう”というメッセージを伝えていきたいんです」
谷口さんはRENEWを通じ「持続可能な地域づくり」を目指す(写真撮影/Rui Izuchi)
コロナウイルスへの対応を考えると、今年の開催は例年に比べ、圧倒的に難易度の高い準備が必要であることは明らか。しかしその「前を向こう」という覚悟が、今年のRENEWを支えているのです。
更に「前を向こう」というメッセージに呼応して、内容にも大きな変化が生まれています。
今年は工房見学やワークショップを楽しめるRENEWに加え、“作り手”、“伝え手”、“使い手”を繋ぐマーケット「ててて往来市 TeTeTe All Right Market」の同時開催が決定。またオンラインでも「RENEW TV」や「オンラインRENEWストア」の実施が決まっています。
ててて往来市のイメージ。うるしの里会館の軒下で開催される(写真撮影/森一貴)
また、商品開発プロジェクト「RENEW LABORATORY」や、福井のものづくりを学ぶメディア「産地の赤本」といった新たな企画を次々に立ち上げ、準備を進めてきました。
RENEW LABORATORY。井上徳木工×堀内康広によるプロジェクト(写真撮影/森一貴)
加えて今年から、RENEWと産地のサポーターチーム「あかまる隊」を創設。県内外から約30名が集い、職人さんたちとの飲み会を企画したり、独自に動画配信を行ったりと、これまでのRENEWでは想像もできなかった景色が生まれています。
あかまる隊による訪問取材の様子(写真撮影/森一貴)
産地やRENEWを取り巻く環境はこの半年で、ものすごいスピードで変化してきました。新山さんはこの状況を「不謹慎かもしれないけれど、実は、少しワクワクしているんです」と述べます。
「町が変化するためには、危機感が重要だと僕はずっと思ってきました。それが今、産地の全員が同じ危機感を共有しています。これはものすごいチャンスなんです。今年はもしかしたら、産地の人々がもっと創造性をもって新たなプロダクトやサービスをつくっていくための、ひとつの元年になるかもしれません」
共につくろう、変わりつづけるものづくりのまちを職人たちが暮らす、ものづくりの町・福井県丹南エリア(写真撮影/森一貴)
この町にあるのは、「つくる」という文化なのだと感じます。それはモノをつくることだけではなく、仕事や暮らし、人間関係、町、そして文化までをもつくりつづけていく、変わりつづける文化です。
2020年10月9日(金)~11日(日)の3日間にわたって開催される、「Re:RENEW2020」。前を向く産地の姿を、ぜひ見にきてください。
●取材協力リフォーム成功の秘訣(ひけつ)は、自分たちの暮らしに合ったプランや設備を選ぶこと。
今回はプランと設備に分けて、先輩500人が「とても満足」と答えたものをランキングでご紹介。
実際に使ったからこそわかるリアルな口コミを参考に、わが家にぴったりなリフォームを探ってみよう。
プランの満足度ランキングTOP5
第1位 対面キッチン(満足度67%)
(画像提供/PIXTA)
リビングに向いたキッチン 家族と会話がしやすい
壁側ではなくリビングやダイニングに向いたキッチンのこと。料理をしながら家族と会話ができたり、テレビを見たりすることができる。リビングとの一体感があり開放感も高い。
対面キッチンにしたら調理しながら部屋を見渡せるようになり、小さな子どもの様子がわかるのがうれしい。泣き出したときもすぐに駆けつけられます。(男性・36歳・一戸建て)テレビを見たり、夫と会話したりしながら料理できるのが楽しいです。同じ空間にいるから片付けも孤独感を感じず、家族と過ごす時間が増えました。(女性・60歳・一戸建て)以前は壁付けキッチンで別の部屋で料理をしていたけど、リビング一体の対面キッチンにしてから配膳がすごくラクに。家族も手伝いやすいです。(女性・55歳・一戸建て)壁付けから対面キッチンにしたら、リビングに光が入るようになり空間が明るくなりました。手元も見やすくなったので料理もしやすく一石二鳥。(女性・65歳・一戸建て)第2位 部屋を広くした(満足度59%)
(画像提供/PIXTA)
壁や廊下をなくして部屋を拡大 開放感のあるスムーズな動線に
隣接する個室や廊下などの間仕切り壁を取り払い、リビングやダイニング、部屋などの空間を広くするリフォーム。開放感が増して、明るさも確保できるため、快適性が向上する。
個室をなくして広いLDKにしたら家族が自然と集まるように。読書をしたり、PCをしたりと、各自が自由に過ごせてだんらんの時間が増えました。(男性・44歳・マンション)リビングを広くしてコーナーに机とイスを設置。PC作業をしたり、物を書いたりできるように。リモートワークが始まって予想以上に大活躍!(女性・31歳・一戸建て)和室とLDKの柱やふすまを取り払い、一続きの空間にしました。部屋全体が明るくなり、開放感たっぷり。狭くて暗いLDKが快適になりました。(女性・59歳・マンション)活用できてなかった二つの部屋をつなげて、寝室+セカンドリビングに。寝室でテレビを見ながらくつろげ、収納も増やしたので快適になりました。(男性・57歳・マンション)第3位 大きな玄関収納(満足度55%)
(画像提供/PIXTA)
玄関に大型収納をつくり外で使う物もすっきり収める
シューズクロークやウォークインの収納など、玄関を広げて大きな収納を設置すれば、家族の靴から外で使う雑多な物まで収納できる。土間スペースをつくるのも人気。
玄関収納を大きくしたので、家族全員の靴だけでなく、普段着のコート類やレインウェア、ペットの散歩用品なども収納できるのがうれしい。(男性・40歳・マンション)以前は収納しきれない靴を部屋の中の棚に収めていましたが、玄関収納を大きくしたことで全て収めることが可能に。居室内の棚を撤去できました。(男性・37歳・マンション)玄関に広い土間収納をつくりました。アウトドア用品やガーデニンググッズなど、部屋に持ち込みたくない汚れた物をそのまま収納できて便利です。(男性・61歳・一戸建て)靴が多いので玄関に箱を置いて並べていましたが見た目が残念……。そこで壁面収納にしてお気に入りのスニーカーを飾ったら、来客の反応も上々です。(女性・49歳・一戸建て)第4位 大きな衣類収納(満足度51%)
(画像提供/PIXTA)
大型クロゼットを設置 家族の衣類をまとめてイン
衣類や掃除道具などをまとめて収納できる大きなファミリークロゼットや、ウォークインクロゼットのこと。家の物を一カ所にしまうことができ、家事の効率化にもつながる。
使いにくかった押入れをクロゼットにリフォーム。衣類をたくさん掛けることができ、棚も自由につくれたので収納力が抜群にアップしました。(女性・54歳・一戸建て)寝室とリビングの間に大型のクロゼットを設置。両方からすぐに出入りでき、遅く帰った際に、先に寝ている夫を起こさずに着替えられます。(女性・45歳・一戸建て)ファミリークロゼットに家族の衣類を全て収納しています。洗濯物をしまう際に家族それぞれの収納に戻す必要がなく、家事がラクになりました。(女性・56歳・一戸建て)衣類や下着やタオルなどを全部収納できるクロゼットをつくりました。おかげで古いたんすを処分することができ、部屋が広くなりました。(男性・62歳・マンション)第5位 インナーテラス(満足度49%)
(画像提供/PIXTA)
外につながる半屋外空間 多彩な用途で使用できる
家の中や半屋外の空間につくったテラス。リビングなどが明るく開放的な空間になり、室内にいながら光や風も感じられる。部屋干しやガーデニングなど、多彩な使い方ができる。
中庭につながるインナーテラスを設置。冬は暖かい室内で外の光を感じられて、夏は風が入って涼しい。鳥の声を聞きながら飲むコーヒーは最高。(男性・58歳・一戸建て)リビングに面したインナーテラスで、柔らかな日差しを浴びながらゆったり過ごすのが幸せ。鉢植えを使って簡単なガーデニングも楽しめます。(女性・69歳・一戸建て)インナーテラスを部屋干しで使っています。急な雨でも洗濯物がぬれないし、蚊が多い地域ですが、蚊に刺されずに洗濯物が干せて快適です。(男性・37歳・一戸建て)花粉症のため常にリビングに室内干しで、物干し竿や洗濯物が邪魔でした。インナーテラスは洗濯物を干しても気にならず、花粉症対策も万全です。(女性・68歳・一戸建て)水まわり設備の満足度ランキングTOP10第1位 お湯が冷めにくい浴槽(満足度69%)
(画像提供/PIXTA)
保温性を高めたバスタブ 追いだきが少なくて経済的
二重構造のバスタブや風呂フタなどで保温性を高めた浴槽。お湯が冷めにくく、追いだきが減って経済的。JISの規定では4時間後の温度低下が2.5℃以内が基準。
以前のお風呂に比べるとお湯が冷めにくく、追いだきせずに、すぐ入れるのがうれしい。2時間くらい後でもそのまま入れます。(男性・32歳・一戸建て)夏の夜にお風呂に入れなかったときに、翌朝でもあまり冷たくなっていないから、ぬるい状態でそのままお風呂に入れます。(男性・58歳・一戸建て)うちは家族で入浴時間が違うので、お湯が冷めにくい浴槽は追いだきが少なくていいから省エネにつながっています。(女性・67歳・マンション)追いだきしなくても温かく入れるから、誰かがお風呂に入った後に急いで入る必要がなくて、気持ちにゆとりがもてました。(女性・58歳・一戸建て)第2位 タンクレストイレ(満足度67%)
(画像提供/PIXTA)
手洗い用タンクがなくトイレ空間がすっきり
これまでは便器の後ろに設置されていた、手洗い用のタンクがないトイレのこと。タンクがない分、空間を広く使える上に、掃除がラクになるというメリットもある。
タンクがないから見た目がスマートだし、空間の圧迫感がありません。これまでよりもトイレで落ち着けるようになりました。(女性・38歳・一戸建て)後ろの蛇口やタンクを掃除したり、水跳ねを拭いたりするのが面倒でしたが、今はタンクがないから掃除が減ってすごくラクです。(女性・49歳・一戸建て)以前は連続して水を流す際にタンクに水が貯まるのを待っていました。タンクレストイレは水道直結だからすぐに水が出て便利。(女性・36歳・一戸建て)タンクレストイレは溝のないスタイリッシュなデザインだから、わが家のトイレがホテルのようにおしゃれな空間になりました。(男性・37歳・マンション)第3位 静音レンジフード(満足度65%)
(画像提供/PIXTA)
動作音が静かで会話やテレビを邪魔しない
ファンを天井裏に設置するなど、特殊な設計によって、動作音を低減させたレンジフード。会話やテレビを邪魔しないため、オープンキッチンで大活躍。
今までのレンジフードに比べてびっくりするくらい音が静かです。キッチンで作動していてもテレビの音がしっかり聞こえます。(女性・39歳・マンション)音が静かなのはもちろんのこと、ライトがつくので鍋やフライパンなどの手元がよく見えて格段に使いやすくなりました。(女性・55歳・マンション)炒め物中にレンジフードを作動させても音が静かだから家族と会話できます。「うるさい」と言われることがなくなりました(笑)。(女性・58歳・一戸建て)「弱モード」だと、ほとんど気付かないくらい音が静かです。IHと連動してスイッチが入るので、切り忘れもなくて安心。(男性・62歳・一戸建て)第4位 オート開閉の便座(満足度64%)
(画像提供/PIXTA)
近づくとフタが自動で開閉「衛生的」と注目度UP
便器に近づくと自動でフタが開き、離れると閉まるオート開閉式の便座。トイレに触れずに用を足すことができ衛生的で、新しい生活様式の中で注目度が増している。
トイレのフタを触らなくていいから、家族や友人など、多くの人が使っても衛生的です。このご時世には安心感がありますね。(男性・35歳・マンション)自動開閉式だとキレイにトイレが使えるし、ニオイが充満しにくいのがうれしい。以前よりトイレが清潔になり、満足しています。(男性・61歳・一戸建て)屈んで便座を開閉しないので、腰への負担が少なくてラクです。70歳近くになって使いはじめてバリアフリーだと気付きました。(女性・68歳・一戸建て)トイレに近づくと自動で光がともってフタが開きます。夜中にトイレを使うときに眩しくなり過ぎず、目に優しいのが助かります。(男性・53歳・マンション)第5位 引き出し式の収納(満足度61%)
(画像提供/PIXTA)
一目瞭然で整理しやすく立ったまま取り出しやすい
引き出し収納は、奥に収納した物が一目でわかりやすく、物が取り出しやすい。スライドで棚が出てきたり、空間を小分けできたりと内部の工夫も多い。
以前はシンク下の収納が観音開きで、かがんで取り出すのが不便だったけど、今は上から引き出せるから姿勢がラクです。(男性・39歳・一戸建て)引き出し内が二段に分かれていて自動で中の棚が出てきます。こまごましたキッチンツールや調理器具が収まり整理しやすい。(女性・61歳・一戸建て)第6位 自動洗浄レンジフード(満足度59%)
(画像提供/PIXTA)
自動で洗浄してくれるから苦手な掃除をしなくていい
油のギトギト汚れが不快など、「苦手な掃除」の上位に入るレンジフードを自動洗浄。スイッチ一つで洗浄するタイプや、ファンのないタイプがある。
以前はガス台に乗って狭いレンジフードに手を伸ばして掃除していましたが、今はお湯を入れてボタンを押すだけで超簡単。(女性・61歳・一戸建て)ファンの掃除が必要ないレンジフードを採用。年に1回、外側のパーツを洗うだけなので格段にラクになりました。(女性・39歳・マンション)第7位 浴室暖房乾燥機(満足度58%)
(画像提供/PIXTA)
浴室や洗面室を暖房・換気 室内干しでも大活躍!
浴室や洗面室に暖房乾燥機を設置し、寒い季節に浴室内を暖かくしたり、入浴後に乾燥や換気したりできる。室内干しはもちろん、冬場のヒートショック対策にも効果的。
雨の日は洗濯物をつるして乾燥モードにすればよく乾く!乾燥機に入らない大物のシーツも竿を2本使って干せます。(女性・51歳・一戸建て)寒い日に浴室を先に暖めておけるのがありがたく、入浴が快適に。乾燥効果が高いのでカビやぬめりの防止にもなります。(女性・58歳・一戸建て)同率第7位 ひんやりしにくい床(満足度58%)
(画像提供/PIXTA)
断熱性の高い浴室の床 冬のお風呂が快適に
クッション層で断熱性を高めた浴室の床。床裏からの冷気が伝わりにくく、冬場でも足元がひんやりとしない。浴室の床でも室内に近い温度を実現。
寒い日でもお風呂の床の冷たさを感じず、浴室用のスリッパが必要なくなりました。柔らかいから床にひざをついても平気。(男性・60歳・一戸建て)冬の寒い時期の入浴の際の一歩目が冷たくないのがビックリ!水はけが良くて乾きやすいので、カビにくいのもうれしい。(女性・51歳・一戸建て)第9位 IHクッキングヒーター(満足度54%)
(画像提供/PIXTA)
火を使わない調理器 熱効率が高く掃除しやすい
電気で加熱をする電磁調理器。火が出ない分、安全性が高く、天板(てんばん)がフラットなため掃除がしやすい。熱効率が高いのでお湯が沸くのも早い。
思ったよりも火力が強くて、さまざまな料理も問題なし。火を使わないので、子どものお手伝いも安心して任せられます。(男性・39歳・一戸建て)五徳(ごとく)がなくてフラットだから、サッと拭くだけでキレイになります。火を使わないので部屋が暑くならないのもうれしい。(女性・56歳・一戸建て)第10位 ステンレスの作業台(満足度53%)
(画像提供/PIXTA)
クールな質感でサビにくくて機能的
耐水性や耐熱性、耐汚染性に優れていて、サビや汚れに強いステンレスのキッチン作業台。クールな質感やデザインも特徴で、どんなインテリアにも映える。
傷がつきにくく掃除も簡単で、耐久性が高いから長く使えそう。汚れを気にせず使えるから大ざっぱな私にぴったりです。(女性・61歳・一戸建て)業務用のようなオールステンレスのキッチンに。武骨なデザインがビンテージ風のインテリアにマッチしています。(男性・39歳・マンション)今回は実際のリフォーム経験者が「このプランにして良かった!」「この設備を選んで正解!」という声を集めてみた。どんな風に暮らしが改善したのか、どのように暮らし心地が変わったのか、リアルな口コミだからこそ参考になる。自分たちの暮らしに照らし合わせてリフォームプランと設備を考えてみよう。
構成・取材・文/藤井たかの
ランキングおよび口コミ:過去2年以内にプラン変更やキッチン・トイレ・バスのリフォームを行った、500人を対象にWEBアンケート調査(2020年6月実施)。40人以上が採用したプラン変更のリフォームに関して「とても満足」、50人以上が採用した設備に関して「とても満足」と答えた割合が多い順にランキング(リクルート住まいカンパニー調べ 調査協力/ディーアンドエム)私たちが住むドイツの農園の営みについて寄稿した前回、ベルリンのコミュニティ農園「プリンツェシンネン庭園」について紹介した。実はその活気あふれる庭園は、もともと荒廃した墓地だったというのだ。日本の嫌悪施設のひとつである墓地が、ドイツのライフスタイルの変化と共に、どのように役割を変化させていったのか。これからの都市での生活やコミュニティ形成において、魅力的でユニークな公共空間の活用事例として、ご紹介したいと思う。
東京ドームの約1.6個分?都市型農園は、まるで巨大な市民公園
プリンツェシンネン庭園は、ベルリンのノイケルン地区ヘルマン通り(Hermannstrasse)駅から徒歩1~2分で、ふらりと立ち寄れる場所にあるコミュニティ農園。農地面積は、7.5ha。基本的に誰でも参加でき、自然に触れ合いながら時間を過ごし、知らない人との共同作業を楽しめる都市の公園のような場所だ。アーバンファーミング(都市型農園)とも言われ、ドイツにはなじみのある光景だ。
さて実際に取材時、農園を利用している人の声を聞いてみた。「野菜を育てることや、知らない人と一緒に作業する点が気に入ってます」、 「近所に住んでいますが、公園のように気軽に足を運べるのがいい。毎日変わる畑の様子を見るのは子どもにとっても面白い」など、暮らしの一部になっているようだ。またこの庭園には、近所の小学校や幼稚園の子どもたちが農作業を体験できる専用プランターも設置されている。
大通りに面しているプリンツェシンネン庭園。庭園の中に入ると、街の喧騒を忘れてしまうほどの、緑と静寂に包まれる (写真撮影/Shinji Minegishi)
自宅で植物を育てることはできるが、「収穫する」体験ができるのはここならではの醍醐味。「子どもの時から、自分が食べるものに関心を持つことは大事なこと」と、利用者のリサ(Lisa)さんは語る(写真撮影/Shinji Minegishi)
まず注目したいのは、人々が気軽に農作業を共同で行える場所が、ベルリンのど真ん中にあるということだ。これを日本の首都東京で例えると、中野駅あるいは下北沢駅から歩いて1~2分の場所に、誰でも参加できる面積7.5ha(東京ドーム約1.6個分)のコミュニティ農園がある、ということになる。さすがに東京で似たような例はないだろう。
なぜ、そうしたことがベルリンでは実現できたのだろう? 取材に応じてくれたプリンツェシンネン庭園の広報担当ハンナ・ブルックハルト(Hanna Burckhardt)さんから興味深い話を聞けた。なんと、プリンツェシンネン庭園はかつて、墓地であったということだ。
撮影当日は、畑で共同作業をする日。入れ替わり立ち替わり、20名以上のメンバーが農作業に参加していた。水やり、土おこし、草むしりや収穫などの作業を分担し、終始活気が感じられた(写真撮影/Shinji Minegishi)
土葬から火葬へ~ライフスタイルの変化による墓地の荒廃ここでドイツにおける墓地事情について見てみよう。ベルリンの街を散歩していると、都市中央部でもドイツ語でフリードホフ(Friedhof)と呼ばれる墓地を、多く見つけることができる。試しにGoogle Mapsでベルリンの都市部、東京の山手線に相当するリングバーン圏内で「Friedhof」を検索、加えて東京の山手線圏内で「墓地」を検索してみてほしい。東京の検索結果よりも、ベルリンでは墓地がより多く点在していることが視覚的に分かるだろう。
これはヨーロッパ全土におけるキリスト教教会による過去の都市管理のなごりでもあるのだろうが、ベルリンにおける人々の居住区と墓地の距離感は、東京における距離感よりもはるかに近いようだ。例えば、ドイツ人同士のカップルにデートコースを尋ねたら、「今日は一緒に墓地を散歩した。あそこの墓地、とても綺麗なの。行ってみたら?」って答える人も少なくない。また、緑が多く静かで気持ちいい墓地の散歩コースを楽しむドイツ人家族も少なくない。
こうした墓地との距離感は、日本人にとって多少、驚きかもしれない。そこで、今回の記事においてドイツの墓地風景を紹介するため、私たちはベルリン出身の大女優/歌手、マレーネ・ディートリヒのお墓があるシェーネベルク第3市営墓地を訪れた。この墓地は、ベルリンの山手線、リングバーンのブンデスプラッツ(Bundesplatz)駅から徒歩6分、居住区と密接して立地する墓地だ。
日本でいう地下鉄・JRの2本の線が交差する大きな駅から徒歩6分。おしゃれなカフェも隣接する閑静な住宅地に、緑地として静かにたたずんでいる(撮影/Shinji Minegishi)
十分に手入れが行き届いた公営墓地。撮影当日も2名の庭師が水やりや落ち葉拾いなどの作業をしていた (撮影/Shinji Minegishi)
「ここは、この子とよく来るお気に入りの散歩コース」と話してくれた女性。ここ以外にも家族でゆっくり散歩に行くという、ベルリンのお気に入りの墓地も教えてくれた(写真撮影/Shinji Minegishi)
緑が多いドイツの墓地では、墓地を自由に走りまわる野生のリスに出会うことも(撮影/Shinji Minegishi)
1930年のドイツ映画『嘆きの天使』で一世を風靡、第二次世界大戦ではナチス党に反発してドイツを去り、アメリカ市民となりハリウッドで女優兼歌手として活躍。波乱万丈な人生を送ったマレーネ・ディートリヒの遺骸は、彼女の故郷ベルリンの墓地に眠っていた。
さて、欧米における典型的なお葬式として、個人の遺骸を棺に納めて土に埋める土葬のシーンを、数々の欧米映画で見た人は多いだろう。過去、宗教上(キリスト教、特にカトリック)の理由からヨーロッパでは土葬が一般的だった。しかし現在ヨーロッパでは、葬儀方法において、土葬から火葬へのシフトが進みつつあるのだ。
特にドイツではそのシフトは急速で、ある土葬/火葬率の比較統計では1960年代、土葬90%、火葬10%であったのに対して、火葬率が急増、2009年には土葬49%に対して火葬が51%と火葬が逆転、2019年時点では火葬が70%、土葬が30%となっている。「個人の遺骸を棺に納めて土に埋める土葬のシーン」は、もう“旧式の文化”となりつつある。実際に私たちがマレーネ・ディートリヒのお墓参りをしたシェーネベルク第3市営墓地にも、ウルネ(Urne、日本の“骨壺”に相当)だけを納めた火葬用の墓もあった。
さて、土葬から火葬への葬儀方法の変化はなぜ、加速しているのか? 火葬して墓地を利用する場合、長期の埋葬に耐えうる高価な棺を買う必要もなく、墓地の利用面積も少ないため遺族にとって経済的。また、墓地を利用しないドイツ人も増えている。これらはドイツ人の教会離れ、キリスト教離脱者の増加とシンクロしている。教会離れの原因のひとつには、キリスト教信者ならば払わなければならない教会税の負担がある。良し悪しは別として、ドイツ人も日本人も、人々が“合理的”に生きざるを得ない世界に生きている。
こうして昨今、利用者の減少にともなう墓地の空き地化/荒廃、墓地の運営者にとって墓地区画の維持コストの負担が、ドイツ全土で問題となっているのである。
ベルリンの名誉墓碑(Ehrengrab)とされるマレーネ・ディートリヒが土葬されているお墓。その近くには写真家のヘルムート・ニュートンのお墓も(撮影/Shinji Minegishi)
ウルネ(骨壺)が納められている、れんが造りの建物。扉はなく、自由に入ってお参りをすることができる(撮影/Shinji Minegishi)
かつては墓地だったプリンツェシンネン庭園ここで、プリンツェシンネン庭園の広報担当ハンナさんの話に戻ろう。彼女の話によると、この庭園が造られた背景には、墓地荒廃問題に悩む教会と、都市部に緑地を造りたいという庭園創始者であるロバート・シャウ(Robert Shaw)さんの願いとの幸せな出会いがあったということだ。
1865年、教会が墓地としての利用を目的に、ベルリンの、当時まだ発展していない地域の農地であったこの土地を購入した。しかし2000年代に入り、この教会でも、墓地利用者の減少に伴う墓地荒廃が問題となっていた。
いまやベルリンの人気地区となったノイケルンのこの土地は、商業目的での利用が認められておらず、デパートやオフィスなどが建設できないという制約もあった。そのため、学校や緑地など、非営利の公共空間として運営維持する必要があり、土地の活用に教会は頭を悩ませていた。
一方ロバートさんは、2009年から別の場所で、「アーバンファーミング」コンセプトの市民公園のような農園を運営していた。当時はベルリン中心部の農業に適さない空き地を使っており、プランターのみで農作業をしていた。当時から、空き地活用の新しいアイデアとして、メディアでも注目を集めていた。すでに数千人規模の利用者がいたにも関わらず、土地の契約は2019年末までで、その後予定されている土地の再開発に伴い、契約更新ができないという苦境に立たされていた。
創始者のロバート・シャウ(Robert Shaw)さん。都市の真ん中で、農作業を通してお互いに教えあったり助け合ったりしながら、自然と人が共存できる場所をつくりたかったと語る(撮影/Shinji Minegishi)
2017年、こうした両者が出会い、ロバートさんの市民庭園を現在の場所へ誘致することが決まった。2019年末に移転が行われ、敷地は6000平方mから7.5haに拡大された。移転後、農作業に関する専門知識を持った大学の研究者もパートナーとして加わり、ともに協力して土の質を調べた。このことによって、地植えも可能となった。土壌を汚さないよう使用する農薬なども限定している。
さて、この農園利用者は特に参加費用を支払う必要もない。いったいこの庭園はどのように収益を得ているのだろうか? 「私たちは非営利団体であり、行政支援は受けていません」とハンナさんは答えた。
主な収入源は、屋上農園を設置したいというオフィスビルや、コミュニティ形成を目的とした都市内/外の農園を設置/運営する際のサポート費用から来ているという。農園を設置した後の維持管理には専門知識も必要なため、2週間に一度訪問し、農園所有者にコンサルティングを実施する。
庭園の17名のメンバーはフルタイムの社員ではなく、コンサルティング、広報活動や農園運営などの仕事をワークシェアしている。
7.5haの敷地全体の完成は2035年を目指している。「農地拡大のスピードと、コミュニティーの広がるスピードの歩調をあわせてこそ、サスティナブルな開発ができる」、というハンナさんの言葉が印象的だ(撮影/Shinji Minegishi)
大量生産をする必要がないため、栽培する品種には多様性を楽しめる工夫している。現在はトマトだけでも17種類を育てているという(撮影/Shinji Minegishi)
撮影当日は、フランスからのインターン生も農作業に参加していた。一般の参加者とも談笑しながら作業を楽しんでいる(撮影/Shinji Minegishi)
プリンツェシンネン庭園のサービスについて尋ねた。
「現時点では、売店、カフェ、野外ワークショップスペースなどを提供しています。今後、採れた野菜を調理したランチの提供も予定しています。
そのほか、使われていない墓石を使ってオブジェを制作する芸術家や、リサイクル・マテリアルで編み物をしている人、本当にいろんな人々、アーティストが活動しています」(ハンナさん)
売店では、ガーデニングに関するグッズや、この庭園で有機栽培された野菜の苗や、プランター栽培で用いられるオーガニック堆肥が配合された土も販売されている(写真撮影/Shinji Minegishi)
農作業を手伝いながら、空きスペースでリサイクル素材を使って機織りをしているテキスタイルアーティスト(写真撮影/Shinji Minegishi)
使われなくなった墓石は、石畳用の石として再利用されるのが一般的。新しい使い道を模索する、一般公開のワークショップも開催されている(写真撮影/Shinji Minegishi)
墓地から農園へ。プリンツェシンネン庭園の目指すものハンナさんは、スウェーデンとオーストリアで、人間生態学(Human ecology)を学んだ。大学のケーススタディでこの庭園を取材する機会があり、人間と自然、社会のつながりのあり方を発信する場として魅力を感じ、広報担当となった。
「こういった空間で得られる経験や人間関係が、これから社会における豊かさのひとつかもれしれない」と語るハンナさん(写真撮影/Shinji Minegishi)
「この庭園は、わざわざ商業的な広告や宣伝をして、より多くの人々に活動に参加してもらう場所ではありません。口コミで存在を知って、自然と近所の人が集まればいい。コミュニティというものは、自然につくられるものだと思うのです。厳しいルールを設けず、時間や場所、作業と農作物をオープンにシェアできればいい、と考えています。
共同作業の日に収穫した野菜は、参加者が持って帰っていいことになっています。農作業に参加せず、野菜だけを取っていく人もいないわけではありません。公共の場所である以上、ある程度はそうしたことも起こるでしょう。しかし、たいていの場合、欲張る人はいないし、みんな必要な分だけ、少しずつ分け合って持ち帰っています。
こういった作業で得られる充足感と喜びを感じ、自律的に畑を運営できるコミュニティが形成できればいいのです。そのための機会と場所を提供し、サポートをするのが、社会における私たちの役目だと考えています」
厳密な作業シフトもなく、自由に作業に参加したり、休憩したり、おしゃべりをしたりしている。まるで公園で過ごすように思い思いの時間を楽しんでいる(写真撮影/Shinji Minegishi)
「ここで取れた野菜は、一緒に農作業をした人と分け合います。農作業の日にぜひ一緒に作業しましょう!」と書かれた看板(写真撮影/Shinji Minegishi)
墓地から農園としての土地再生というアイデアを実現したプリンツェシンネン庭園。創始者が11年前にアーバンファーミングを始めたとき、「なんて、おかしなアイデアだ」と言う人も少なく無かった、とハンナさんは語った。思えば、かつて農地であった土地が、都市部の拡大、墓地の荒廃という歴史を経て、再び農地に戻ったのである。今や、この墓地は、暗く荒れた、悲しい雰囲気の漂う場所ではない。
お墓に供えられる美しい切り花もある。一方では、お墓で新たに育てられた野菜が小さな花をつけている。手入れされ、人でにぎわい花咲く農園の様子を見た墓地参拝者たちにとっても、プリンツェシンネン庭園の誘致は素敵なアイデアであったようだ。
(写真撮影/Shinji Minegishi)
(文/Masataka Koduka)
●取材協力