美大生のための伝説のアパート、DIYし放題で“住み継ぐ”

美術大学(美大)や美術系学科のキャンパスが集まる東京都町田市。多摩美術大学、東京造形大学、東京工科大学などに通う多くの美大生が生活しているこの町に、約15年にわたり歴代の美大生らが住み継いできたアパートがある。DIYし放題で現状復帰も不要という一風変わったこの物件では、どんな暮らしが営まれているのだろうか?
芸術を学ぶ学生を支えたい。元コーヒーショップ店主の思い

町田駅からJR横浜線で4駅。相原駅から歩くこと5分、黄色い外壁が特徴的な大きなアパートが現れた。ここが美大生の受け継ぐ“伝説のアパート”「アップル&サムシングエルス」だ。

建物外観。黄色い壁が目立つので、遠くからでもすぐに分かる(撮影/片山貴博)

建物外観。黄色い壁が目立つので、遠くからでもすぐに分かる(撮影/片山貴博)

特徴的なデザインの門(撮影/片山貴博)

特徴的なデザインの門(撮影/片山貴博)

きれいに整えられた中庭。管理ルールは定めておらず、入居者が自主的に手入れしている。部屋の扉の色は、入居者が変わる度に自分の好きな色に塗り替えている(撮影/片山貴博)

きれいに整えられた中庭。管理ルールは定めておらず、入居者が自主的に手入れしている。部屋の扉の色は、入居者が変わる度に自分の好きな色に塗り替えている(撮影/片山貴博)

「アップル&サムシングエルス」は、全31部屋の4階建てアパート。1部屋の広さは33平米前後で、家賃は5万5000円~7万5000円。広さの割にリーズナブルな価格設定が魅力的だ。

現オーナーの青木さんは、近隣のコーヒー専門店「パペルブルグ」の元店主。「造形美の宿る作品が好き」と話す青木さんの親しみやすい人柄に惹かれ、多くの美大生が集った。学生の作品を店内に飾ることもあったという。

次第に、「もっと美大生のためになることをしたい」と考えるようになった青木さんは、賃貸物件の経営を思い立つ。そうして生まれたのが、ここ。建物全体のデザインは近隣5大学の学生によるコンペを実施し、上位3組のアイデアを採用し、今から15年前に建てられた。

この物件の最大の特徴は、「DIYし放題」。ほとんどの賃貸物件はDIY禁止か、DIY可でも現状復帰が求められるなか、ここは入居者が自分の好きなように部屋を変えることができ、退去時に元に戻す必要もない。

入居待ちの一室。壁の絵や棚、小上がりスペースなどはかつての入居者である美大生が制作したもの。小上がりは床下収納にもなっていて、そのまま使える(撮影/片山貴博)

入居待ちの一室。壁の絵や棚、小上がりスペースなどはかつての入居者である美大生が制作したもの。小上がりは床下収納にもなっていて、そのまま使える(撮影/片山貴博)

洗面台やキッチン周りのタイルは、前の入居者が塗装したまま残されていた(撮影/片山貴博)

洗面台やキッチン周りのタイルは、前の入居者が塗装したまま残されていた(撮影/片山貴博)

(撮影/片山貴博)

(撮影/片山貴博)

「DIYし放題・現状復帰不要」というルールを設けた理由を、青木さんに聞いた。

「普通の賃貸の部屋より、気に入った空間で過ごしたほうが、感性が養われるでしょ。学生には、『イタズラじゃなきゃ何してもいいよ』と言っています。壁に絵を描いても、ビスを打ってもいい。事前に言ってくれれば、必要な道具を貸します。僕自身もDIYをするので、ペンキや電動のこぎり、材木が家にあるんです」

気さくな青木さんは、入居者との交流も深い。取材中にすれ違った人は全員、笑顔で青木さんと挨拶を交わしていた。多くの学生は卒業と同時に退去するが、その後も多くの卒業生たちとLINEや年賀状で連絡を取り合っている。卒業後の活動報告を兼ねて、作品や関わった商品などを送ってくれる人もいるそうだ 。青木さんと歴代の美大生との間の絆がうかがえる。

「この部屋に住めて幸せ」空間から得たインスピレーションが創作に活きた入居者のショウさん。東京造形大学で映像を専攻している3年生(撮影/片山貴博)

入居者のショウさん。東京造形大学で映像を専攻している3年生(撮影/片山貴博)

入居者にも話を聞いてみよう。4階の部屋に住むショウさんは、もともと近隣の家賃3万円の物件に住んでいたが、老朽化に伴い退去を要請されてしまった。そこで一緒に暮らしていたルームメイトがインターネットでこの物件を見つけ、約1年前に2人で引越してきた。1学年上のルームメイトは先に退去したため、現在はショウさんの一人暮らし。

4階まで階段を登らなくてはならないのが少し辛いところではあるが、この部屋は33平米で家賃6万円。都内ではほぼあり得ない好条件だ。

「白が好きなので、壁も床も真っ白なこの部屋がとても気に入っています」と話すショウさん。この部屋に引越してきてから、自身の気持ちが大きく変化したと話す。

「前の部屋はすごく古く、家に帰ってもあまり楽しくありませんでした。友達が来てくれても、少し恥ずかしくて。でも、今は好きな部屋に住んでいるので幸せです。友達を呼んで話すのが楽しいし、広いので機材や好きなものをたくさん置けるんです」

入居の決め手になったという、白い棚。過去の入居者がDIYで取り付けた当時は真っ赤だったが、その後別の入居者が白く塗り替えた(撮影/片山貴博)

入居の決め手になったという、白い棚。過去の入居者がDIYで取り付けた当時は真っ赤だったが、その後別の入居者が白く塗り替えた(撮影/片山貴博)

棚の中はキャラクターのフィギュアや書籍など、ショウさんの好きなもので埋め尽くされている。写真の絵画は「大学の先輩が描いた絵をもらった」(撮影/片山貴博)

棚の中はキャラクターのフィギュアや書籍など、ショウさんの好きなもので埋め尽くされている。写真の絵画は「大学の先輩が描いた絵をもらった」(撮影/片山貴博)

棚の上にはショウさんの飼い猫がいた。「アップル&サムシングエルス」は全室ペットOKだ(撮影/片山貴博)

棚の上にはショウさんの飼い猫がいた。「アップル&サムシングエルス」は全室ペットOKだ(撮影/片山貴博)

前の入居者が白く塗った床。一般的な賃貸物件にはなかなかない、独特の風合いがある(撮影/片山貴博)

前の入居者が白く塗った床。一般的な賃貸物件にはなかなかない、独特の風合いがある(撮影/片山貴博)

この部屋の中で、ショウさん自身がDIYを施した場所はまだないという。青木さんによると、DIYによって部屋を大きく変えて暮らす入居者もいれば、ショウさんのように前の内装が気に入り、そのままの状態で暮らすケースもあるそう。

ショウさんは、「この部屋がきっかけになってつくった作品がある」と、自身の制作した映像を見せてくれた。大学の教授から高い評価を受けたそうだ。

「映像作品のアイデアは、この部屋にいたからこそ浮かんだもの。撮影もこの部屋で、白い壁や自然光を利用して行いました。もし他の部屋に住んでいたら、この作品はつくれなかったと思います」

「身体表現」をテーマに制作した映像作品を解説するショウさん。白い空間の中にいる黒い衣装を着たダンサーが、頭を抱えたり、ベッドに寝そべったりしている。男女の関係性の中で生まれる感情の変化を表現した(撮影/片山貴博)

「身体表現」をテーマに制作した映像作品を解説するショウさん。白い空間の中にいる黒い衣装を着たダンサーが、頭を抱えたり、ベッドに寝そべったりしている。男女の関係性の中で生まれる感情の変化を表現した(撮影/片山貴博)

ショウさんがこの部屋で描いた絵画。「絵は専門外です」と謙遜するが、さすがのクオリティだ(撮影/片山貴博)

ショウさんがこの部屋で描いた絵画。「絵は専門外です」と謙遜するが、さすがのクオリティだ(撮影/片山貴博)

まさに現オーナーの青木さんが言った「気に入った空間で過ごしたほうが、感性が養われるでしょ」という言葉のとおり。きっとこれまでも多くの美大生が、それぞれの部屋からインスピレーションを得て、創作活動に邁進してきたのだろう。

「この部屋で暮らせて、今すごく幸せです」と笑顔で話すショウさんの表情は、実にのびのびとしている。白い背景と柔らかい日差しの中で、創作に打ち込んでいる姿が目に浮かんだ。

一般的に、賃貸物件は住む人を選ばないよう画一的なつくりになりがちだ。しかし、美大生たちがここで豊かな時間を過ごしているのは、あえて「住む人を選ぶ」部屋にしたからなのだろう。現オーナーの青木さんは、美大生が輝くために必要な環境を知っている。「DIYし放題・現状復帰不要」の物件が長年住み継がれている理由が分かった気がした。

大きくゆったりと

所在地:杉並区南荻窪
20万5,000円 / 121.5平米
中央線「荻窪」駅 徒歩15分

もとは別だった1階と2階を、ドカンとつなげてメゾネットにした部屋。ファミリーで暮らすイメージが湧きます。1階からご紹介します。



リビングダイニングの広さは19畳、ゆったりと使えます。南向きで日当たりがよく、ぽかぽかと過ごしやすそうな空間。ちょっと天井が高いのも好きです。



窓の ... 続き>>>.
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チャンスに変える【シェアオフィス】

所在地:目黒区下目黒
7万1,500~26万4,000円(税込) / 16.57~66.28平米
山手線「目黒」駅 徒歩15分

目黒通り沿いの角地に立つ、築浅ビルの路面メゾネット区画を昨年改修したばかりのこちらのオフィス。長年アメリカで実務経験を積んだ現テナントの建築家が、ニューヨークのソーホー地区のスタジオをイメージして設計しました。



募集は1階東側4つの固定席。貸主が前述の建築設計事務所なので、模型 ... 続き>>>.
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緑とやすらぐ原宿オフィス

所在地:渋谷区神宮前
23万1,000円(税込) / 42.19平米
千代田線「明治神宮前<原宿>」駅 徒歩4分

表参道から南に少し入った閑静な住宅街。緑に囲まれた心やすらぐ空間で、りりしいビルの雰囲気にもほれぼれします。



室内から見える緑は敷地内の庭と、向かいの大きなリハビリ施設のもので、さまざまな種類の植物が植えられています。建物はリハビリ施設よりも高い位置にあり建物の間には緑もあるの ... 続き>>>.
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鳥居と木々の緑に癒やされる

所在地:渋谷区東
18万円 / 46.44平米
山手線「渋谷」駅 徒歩9分

バルコニーの先は「金王八幡宮」の鳥居ビュー。参道のちょうど正面に位置するため、抜けもあり、春になれば木々の緑が色濃くなり、癒やされること間違いなしのナイスな位置の部屋です。



間取りは3、4人の事務所や二人暮らしにもフィットしそうな1LDK。



リビングと洋室は北西向きの開口部か ... 続き>>>.
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愛おしいレトロビル

所在地:渋谷区神宮前
14万8,500円(税込) / 37.37平米
銀座線「外苑前」駅 徒歩8分

キラー通り沿いに、小さなビルがちょこんと立ちます。白い外壁と青いタイルのコントラストがきれいで、色づいた街路樹ともマッチしているように感じます。共用部や室内にもレトロなおもむきが残されていて、愛おしく思いました。



募集区画は3階、2〜3人で使えるワンルームオフィスです。内装は青 ... 続き>>>.
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まちも部屋も楽しむ最上階

所在地:杉並区西荻北
12万8,000円 / 42.75平米
中央線「西荻窪」駅 徒歩12分

ポカポカ光が入る最上階の角部屋をフルリノベーション。窓からは爽快な青空が広がります。こだわりの室内で、気持ちのいい毎日が送れそうです。



2020年12月にリノベーションされた室内には、グループサイト「toolbox」のアイテムをふんだんに使用。水回りにはモザイクタイルを施したり ... 続き>>>.
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ワイルド、でも懐かしいアジト

所在地:新宿区揚場町
30万8,000円(税込) / 89.09平米
東西線「飯田橋」駅 徒歩3分

天井高は最高で2.9m。ごつっとワイルドな天井にスマートな直線の照明が映えます。最大6人程度、こもって仕事するクリエイティブ系に向いています。2020年12月にフルリノベーションしたばかりです。



26畳のメインスペースは、モルタルの部分をぐるりと囲む小上がりと、天井から下がる直 ... 続き>>>.
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スマートオフィスが上原に!

所在地:渋谷区上原
34万1,000円(税込) / 65.2平米
小田急線・千代田線「代々木上原」駅 徒歩9分

上原にありそうでなさそうな、待望のオフィスかもしれません!



住居仕様のマンションオフィスとは違って、生活感を出さずにシャキッと背筋が伸びそうなスマート空間。バスルームや洗面所など無駄な設備が省かれ、下足使用も可能なモルタル床が来客にも親切です。



デスクを並べるメインスペースと ... 続き>>>.
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建築家が愛したみどりの家

所在地:世田谷区代田
12万4,000円 / 40平米
小田急線「梅ヶ丘」駅 徒歩5分

ツタが絡まり雰囲気のある建物。



丹下健三の下で働いていた建築家のオーナーが、設計を手がけ40年前に建てた物件。今は娘さんたちが跡を継ぎ、大切に手を入れながらその姿を残しています。



室内は南向きに大きく開いた窓が印象的。目の前が抜けているので、日がたっぷり入り気持ちいいです。壁 ... 続き>>>.
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2021年、住宅取得やリフォームの支援制度はどうなる?ポイントを解説

コロナ禍で日本の経済が落ち込んでいる。その回復のために、住宅の取得やリフォームを行う場合の、ポイント制度の創設や減税の拡充などの政策が公表されている。それを受けて、住宅生産団体連合会(住団連)では、その支援策を分かりやすくまとめたリーフレットを作成、同会のホームページから閲覧やダウンロードできるようにして普及に努めている。リーフレットで紹介されている支援策について紹介しよう。【今週の住活トピック】
リーフレット「「住まいづくりを応援する支援策」を掲載/住宅生産団体連合会グリーン住宅ポイント制度の創設

まず目玉となるのが、創設された「グリーン住宅ポイント制度」だ。新築住宅の建築や購入、中古住宅の購入、住宅のリフォーム工事などで、30万ポイント(1ポイント=1円相当)を基本に、最大の場合で100万ポイントまでもらえる制度だ。

制度の詳細は、すでに筆者の記事「コロナ禍で『グリーン住宅ポイント制度』を創設!気になる条件とポイントを解説」で説明しているので、こちらを参照してほしい。

かつての住宅エコポイントの違いは、さまざまな政策課題をカバーしようとしている点で、地方移住や災害リスクの高い地域からの移転、中古住宅購入時の性能向上リフォームなどを推進する内容なども盛り込まれている。どういった場合にポイントがもらえるかは、一度目を通しておいたほうがよいだろう。

住宅に関する減税制度も拡充される!

新しい制度ではないが、すでに用意されている消費税増税緩和策の減税制度が拡充される。その中で、リーフレットに掲載されている以下の3つの制度について紹介しよう。

○住宅ローン減税の控除期間を3年間延長
○すまい給付金
○贈与税の非課税枠の拡充

(1)住宅ローン減税の控除期間が13年間に

「住宅ローン減税」とは、住宅ローンの年末残高(上限4000万円※)の1%を10年間控除するもの。消費税が10%に増税された際に、住宅の工事費用や建物の取得費用(土地は非課税)が2%上がることの緩和策として、控除期間が10年だった住宅ローン減税の期間を3年間延長し、13年間にする制度が導入された。

3年間延長されるのは、A. 住宅ローンの年末残高(上限4000万円※)の1%、B.建物価格(上限4000万円※)の2%(3分割して1年ずつ控除)のいずれか小さい額が控除される。※ただし、認定住宅の場合は上限5000万円

住宅ローン減税の3年間延長については、新型コロナウイルスの感染拡大で商品の納品遅れや工事の遅れが発生したため、2020年4月の緊急経済対策として、マイホームを建築する場合は2020年9月末、新築・中古住宅の購入やリフォームの場合は2020年11月末までに契約をしたうえで、2021年12月末までに入居すれば適用が受けられるように延長されていた。

2021年度税制改正大綱では、これをさらに延長し、マイホームを建築する場合は2020年10月~2021年9月末、新築・中古住宅の購入やリフォームの場合は2020年12月~2021年11月末までに契約をしたうえで、2022年12月末までに入居すれば、控除期間13年間の適用が受けられることになる。

加えて、これまで住宅の床面積が50平米以上という条件を緩和し、合計所得が1000万円以下であれば床面積を40平米以上であれば適用されるように拡充する案も予定されている。

(2)すまい給付金
「すまい給付金」とは、新築住宅または中古再販住宅(売主が事業者でリフォームしたものを販売する中古住宅※)を取得する際に最大50万円が支給される制度。住宅ローン減税では恩恵を受けにくい、現金で住宅を取得した人や所得が低く所得税などの納税額が少ない人をカバーするものなので、所得の額などによって段階的に給付額が変わる制度となっている。
※個人が売主の中古住宅を購入する場合では、消費税が課税されないので対象外となる。
こちらはさらなる延長等がないので、2021年12月末までに入居する場合が対象となる。

(3)贈与税の非課税枠の拡充
父母や祖父母から子や孫に、住宅取得の資金として贈与した場合、一定の額までが非課税となる制度。消費税増税の緩和策として、非課税枠は2500万円または3000万円(良質な住宅の場合)に引き上げられ、契約した時期が2020年4月~2021年3月までは1000万円または1500万円、2021年4月~12月までは700万円または1200万円と、段階的に非課税枠が小さくなるようになっていた。

2021年度税制改正大綱では、2021年4月~12月までに契約した場合も、1000万円または1500万円に拡充される(ただし、2021年1月以降12月末までの贈与について)ことになる。

加えて、住宅の床面積の下限を50平米以上から40平米以上に引き下げる(贈与を受ける人の合計所得が1000万円以下の場合)という拡充案も予定されている。

断熱リフォームやZEH(Net Zero Energy House)補助金制度も

また、リーフレットには、経済対策として2020年度3次補正予算に盛り込まれている、「既存住宅における断熱リフォーム・ZEH化支援事業」による補助金も紹介している。ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、簡単に言えば発電や蓄電の設備を搭載した省エネ住宅のことだ。住宅の断熱性能の向上に加え、省エネ設備で消費するエネルギーを抑え、太陽光発電システムなどを使って再生可能エネルギーを創ることで、年間エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指している。

・中古一戸建ての断熱リフォーム
 120万円/戸を上限に断熱リフォーム費用の1/3を補助
・中古マンションの断熱リフォーム
 15万円/戸を上限に断熱リフォーム費用の1/3を補助
・一戸建てのZEH化(新築・改修)
 60万円/戸を補助
※その他、別途設備等への補助あり

さらに詳しい情報はリーフレットでご確認いただきたいが、拡充案については国会で予算案や税制改正案が成立する前提となっている。

さて、こうして見ていくと、2021年はポイント制度や減税、補助金等の豊富な支援制度があることが分かる。住宅購入やリフォームを考えている人にとっては、決して購入環境が悪いわけではないことは、知っておいてほしい。

魅力が凝縮された家

所在地:世田谷区野毛
8,400万円 / 92.47平米
東急大井町線「等々力」駅 徒歩13分

180°遮るものがない眺望、約33㎡の広々としたルーバル、こだわりのある内装、家族も住める面積、しかもペット飼育可能。この先こんな物件に出会える機会はあるのだろうか?と思わせられるくらいに、魅力が詰まったお部屋のご紹介です。



多摩川が10万年以上の歳月をかけて武蔵野台地を削り取 ... 続き>>>.
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坂上の重鎮

所在地:目黒区目黒
15万3,000円 / 47.3平米
山手線「目黒」駅 徒歩5分

目黒の坂上、最上階物件です。爽快な眺望はもちろん、建物自体にも魅力があるマンションだと思います。外観に刻まれたレリーフや、共用部分の堂々とした階段が特に印象的。



目黒駅からもほど近いこの場所は、レトロで個性的なマンションが数多く立ち並ぶエリア。東京R不動産でご紹介することがとて ... 続き>>>.
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六義園の移ろいを感じて

所在地:文京区本駒込
12万5,000円 / 42平米
山手線「駒込」駅 徒歩3分

◆賃料下がりました◆ 



山手線駒込駅から歩いて3分。リビングの先にまるで森のような、自然の移ろいを身近に感じられる「六義園」がある、レトロマンション。角部屋につき、2面ある開口のどちらからも緑に守られるような、安心感のある部屋です。



1972年築と、築年数は結構経ってます。け ... 続き>>>.
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「ただいま」を神楽坂に

所在地:新宿区矢来町
14万5,000円 / 49.59平米
東西線「神楽坂」駅 徒歩4分

神楽坂駅から徒歩4分ほど、駅前の通りから一本入ったところにひっそりとあるマンション、2階の部屋をご紹介。ここでほっこり、ふたり暮らしはいかがでしょう?



間取りは2DK。ゆったりめのダイニングは、南側の個室への動線を除いても、ダイニングテーブルが置ける大きさです。しっかりとしたソ ... 続き>>>.
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暖かい地方の家は“無断熱”でいい? 実は鹿児島県は冬季死亡増加率ワースト6!

夏は涼しく冬は暖かい。そんな快適な暮らしに欠かすことのできない「断熱」。今や、“家づくり”を考える人たちが最も重要視すると言っても過言ではないが、実は地域によってその意識はさまざま。今回は、南国・鹿児島から、その重要性を訴え、断熱の輪を広げる株式会社大城の大城仁さんにお話を伺った。
南国だって冬は寒い!「冬季死亡増加率上位県」鹿児島のこれまでの実態

“南国”として知られる鹿児島県が、冬季死亡増加率ワースト6位(※1)だという事実を、一体どれだけの方がご存じだろうか。

※1:厚生労働省:人口動態統計(2014年)都道府県別・死因別・月別グラフ参照

※1:厚生労働省:人口動態統計(2014年)都道府県別・死因別・月別グラフ参照

“南国”と言われる鹿児島県(写真/PIXTA)

“南国”と言われる鹿児島県(写真/PIXTA)

確かに、年間の平均気温は他県と比べると若干高めであるが、実は冬場の最低気温は関東や関西と変わらず、厳しい寒さをみせる。
暖かい部屋から寒い部屋への移動など急激な温度差により、血圧が大きく変動することで起きる脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを防ぐための手段として重要視されているのが、外気温からの影響を最小限に抑える「断熱」であるが、鹿児島県には必要ない、そんな間違った常識が生み出した悲劇こそが、先に述べた結果なのだ。
ここ数年、全国で断熱の重要性が認知されるようになってきているが、「鹿児島は南国という意識を強く持っている人も多いこともあって、その重要性を感じていない人も少なくありません」と大城さん。
断熱とはその名の通り、“熱を断つ”こと。つまり、外の冷気だけでなく、夏の熱気を遮断することも忘れてはいけない。
近年の新築住宅でこそ、“高断熱高気密”はもはや当たり前となっているが、築年数の古い既存住宅では未だに断熱不足や無断熱のものが多い。賃貸住宅に関してはその比率はさらに高いのが現状だ。

経験から学んだ、性能向上の重要性

これまでリノベーションは、デザイン性重視の風潮が強く、 “いかにカッコよく仕上げるか”を競い合う傾向にあった。しかし、大城さんが着目したのは『断熱リノベーション』だった。

(写真提供/大城さん)

(写真提供/大城さん)

『断熱リノベーション』とはその名の通り断熱性能を上げるリノベーションのことで、室内の温度を一定に保つ効果が期待できる。その他にも、省エネや遮音などさまざまなメリットがあるのだ。
「私自身も、無断熱のRCマンションで生活していました。同じ家で生活しているのに、妻や子どもたちが寝ている南向きの部屋と、私が寝ている北向きの部屋では明らかに温度が違いました。寒さの厳しい冬場になると、私だけ厚着をし、布団も一枚多くかぶらないと寝られないくらい過酷な状況。同じ家に暮らしながら何故こんなにも環境が違うのだろう?と疑問を持ったのがそもそもの始まりです。デザイン性だけではなく断熱性能を向上させることで、もっと快適な暮らしが出来るのではないか?と、断熱の重要性に気づかされました」と当時を振り返る。

学びから実践へ

「断熱」の重要性に着目した大城さんが、さまざまな学びの場を探して出合ったのが「エネルギーまちづくり社」が開催する『エコリノベーションプロフェッショナルスクール』だった。

(写真提供/エネルギーまちづくり社)

(写真提供/エネルギーまちづくり社)

これはエネルギーまちづくり社の代表取締役である竹内昌義さんと、スタジオA建築設計事務所代表の内山章さんら講師のもと、3日間という短い時間で熱の基本や、断熱リノベーションの進め方を学ぶ実践型ワークショップを行うというもの。ここでの経験が現在の活動へと繋がる大きなきっかけとなった。
このワークショップは、学びを学びで終えず、「全国各地で断熱の正しい知識を広めていこう」という趣旨だったこともあり、鹿児島に戻った大城さんは一例目となる『鹿児島断熱賃貸~エコリノベ実証実験プロジェクト~』に施工業者として参加することとなった。対象となったのは築37年のRCマンション『ルクール西千石』。このマンションを所有するのは鹿児島市にある日本ガス株式会社。省エネと住環境の向上の実現を目指しタッグを組んだ。

(写真提供/大城さん)

(写真提供/大城さん)

断熱施工で最も重要なポイントは、熱がどのように伝わるかをしっかりと把握した上でその熱を断つこと、一番熱損失が大きいのは壁や天井ではなく、実は窓だという。

(写真提供/大城さん)

(写真提供/大城さん)

今回はRC造の共同住宅であったため、残念ながら窓の交換はできなかったが、樹脂枠を用いた内窓、または木製枠の内窓を設置することで、断熱性と遮音性を高めた。
日本ではアルミ製、スチール製の窓枠を採用していることが多く、金属は樹脂や木に比べ熱伝導率が高いため断熱性が低いことが問題だ。
次に重要となるのは、外気に面する天井・壁・床に断熱材を隙間なく充填し、気密シートで密閉すること。ただ断熱材を敷き詰めるだけでは足りず、室内と外部の空気をしっかり遮断することが求められる。いくら性能の良い断熱材を用いても、気密性が悪ければその性能は発揮できず、断熱と気密は必ずセットで考えることが重要なのだそう。

(写真提供/大城さん)

(写真提供/大城さん)

(写真提供/大城さん)

(写真提供/大城さん)

今回の実証対象となった2部屋は、北海道・東北地方の次世代省エネ基準と同等の性能を確保するため、UA値0.46(九州地区の次世代省エネ基準を大きく上回るHEAT20 G2グレード相当)を基準とし、温熱計算によって断熱材の種類や厚みを選定した結果、天井には60mm、壁には30 mm、床には45 mmの厚みの高性能断熱材(熱伝導率0.02W/(m・k))を採用した。(実際の温熱計算によって出された本物件のUA値は0.41と、目指していた0.46より高い省エネルギー性を示した)。
施工後、断熱施工を行った部屋と同じ間取りの無断熱既存空室を対象に、同一機種のエアコンを用いた温度測定と電気使用量のデータ測定を鹿児島大学の協力の下で行った結果、無断熱の部屋は外気からの影響を大きく受け室内温度の低下が見られたが、断熱施工された部屋の室内温度は外気に左右されることなく、体感温度は3.1度上昇。電気使用量は30%減というデータを得た。この実証実験で、暖かく快適に過ごしながらも電気代は今までよりも30%程度安くなるということが証明されたのだ。

(写真提供/大城さん)

(写真提供/大城さん)

今回の試み『鹿児島断熱賃貸~エコリノベ実証実験プロジェクト~』は高い評価を受け、1年を代表するリノベーション作品を価格帯別に選別するコンテスト、リノベーション・オブ・ザ・イヤー2019 総合グランプリを受賞。
南国に「断熱」は必要ないというこれまでの間違って広がっていた意識を大きく払拭する事例となった。

“断熱リノベ”の今後の動き

賃貸マンションで実証した「性能向上リノベーション」が日本一(リノベーション・オブ・ザ・イヤー2019 総合グランプリ)の称号を得たことは、周囲に大きなインパクトを与えた。
「『断熱が大事なのは分かるけど、コストも掛かるしなかなか踏み出せない』と言っていた同業種の仲間たちも、『今回の実証実験を機に断熱について真剣に取り組んでみたいと思うようになった』と声を上げ始めてくれた」(大城さん)
実証実験の結果を示すことができたおかげで、“高断熱施工は暮らしに必要なもの”と理解してもらえるようになったそうだ。 他にも断熱DIYワークショップの相談を受ける機会が増え、着実に南国鹿児島にも断熱の輪が広がっていると手応えを感じているそうだ。

(写真提供/頴娃おこそ会)

(写真提供/頴娃おこそ会)

「このような取り組みが全国的に広がることを祈りつつ、今後の既存住宅、建物の活用の一つの事例となればと願っています。断熱は、“特別なもの”ではなく、“当たり前のもの”と定着するよう、これからも活動していきたい」と話してくれた。
これまでの住宅は、デザイン性を一番に求められがちだったが、大城さんのように、冬は暖かく夏は涼しい快適な住まいの提案を行う工務店が増えることで、目に見えない性能価値を求められる時代へと移り変わっていくのではないだろうか。

●取材協力
大城

そびえ立つ名作 -プチサイズ-

所在地:文京区関口
8万円 / 23.13平米
有楽町線「江戸川橋」駅 徒歩6分

言わずと知れたヴィンテージマンション、目白台ハウスの最も小さいワンルーム。



最近では見られないスチールサッシからはお隣の江戸川公園の緑VIEW!



4階という高さがとてもちょうどよく、目線の高さには緑、少し上を見れば空、左右には眺望の抜け感が楽しめます。人の視線はまったくありま ... 続き>>>.
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家の中でも気分を変えて

所在地:世田谷区上用賀
9,980万円 / 118.86平米(建物) 106.24平米(敷地)
東急田園都市線「用賀」駅 徒歩10分

3つのフロアそれぞれが異なる雰囲気に包まれた、

気分転換の楽しみがある家です。



3階全体を使ったリビングダイニングは、まるで木で作られたトンネルのよう。アシンメトリナーな三角屋根がそのまま形に表れた、愛嬌たっぷりの長い筒状空間で、壁床天井を覆う木は淡い色味が使われ、軽やかであた ... 続き>>>.
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収納上手 ~秘密の床下&トランクルーム~

所在地:渋谷区円山町
16万5,000円 / 40.72平米
山手線・銀座線「渋谷」駅 徒歩9分

おもむろに洋室下の収納を開けるオーナーさん、「もともとあった収納の仕切り板を抜いたんです」



何と、そこは5.5畳の空間が!大人は屈まないと入れませんが、ちゃんと電気までつきました。面積として表記できない床下収納が5.5畳+専用トランクルームが1畳ほど付いてきます。この上と下とい ... 続き>>>.
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こもって広がる天高長屋

所在地:世田谷区奥沢
12万5,000~12万8,000円 / 28.48~31.77平米
東急東横線・東急大井町線「自由が丘」駅 徒歩10分

約3.8mとかなり高めの天高と13㎡以上もあるロフトのおかげで、表記面積から想像する広さをいい意味で大きく裏切られる開放的な長屋。



2012年に竣工してまだ築浅といえる物件ですが、大家さんのこだわりで今回、+αのリノベーションが施されました。



オーク無垢材のフローリングの床材 ... 続き>>>.
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赤坂スケルトンオフィス

所在地:港区赤坂
59万4,000円 / 113.47平米
丸ノ内・銀座線「赤坂見附」駅 徒歩6分

なんと!メトロ7路線が徒歩圏。



青山通りから一本脇に入ると、空気が変わるのを感じます。

とても穏やかという言葉がしっくりくる立地です。

赤坂見附交差点の喧騒とのギャップに驚かされます。



何十年も同じ会社がずっと借りてくださっていたそうです。その利便性や環境の良さが離れられなく ... 続き>>>.
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問屋街の名物ビルにて

所在地:中央区東日本橋
18万1,500円(税込) / 46.94平米
都営浅草線「東日本橋 」駅 徒歩1分

ほどよいサイズ感で、内装がいい感じのオフィスが欲しい!そんな方へオススメしたい、こちらの物件。



東京R不動産では空室が出るたびに紹介している、思い入れのある建物です。



繊維会社の倉庫だったビルを、2003年にR不動産のディレクター馬場正尊率いるOpen Aが一棟丸ごとリノベー ... 続き>>>.
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凝縮アパートメント

所在地:川崎市多摩区登戸新町
6万5,000円 / 23平米
小田急線・南武線「登戸」駅 徒歩4分

「旅する大家」として世界中をバックパッカー旅行で回り続ける大家さんのエネルギーがギュッと凝縮されたようなこちらの物件。



1階に日本茶×オーガニック×プラントベース×グルテンフリーのカフェ「余珀」が入居する建物の2階部分にあるこの空間は、和洋折衷という表現では収まらない独自のスタ ... 続き>>>.
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蔵前アトリエ暮らし

所在地:台東区蔵前
19万8,000円 / 65.78平米
都営大江戸線「蔵前」駅 徒歩5分

◯賃料が下がりました◯ 



いわずと知れた、ホットなエリア蔵前。蔵前駅から約5分のところにある、ころんとした戸建てのご紹介。



住みながらアトリエや小商いをするのにぴったりです。職住近接にチャレンジしてみませんか?



1階の半分はアトリエや事務所などの小商いに向いた土間のスペース ... 続き>>>.
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そそる立ち姿

所在地:世田谷区代田
12万8,000円 / 44.7平米
小田急線「世田谷代田」駅 徒歩8分

静かな住宅街の一画に、気になる小さな戸建てを発見!



ちょこんと控えめに立つ姿はかわいらしく、窓が南と東と北に設けられていて、日当たりも風通しもなかなか良さそうです。



残念ながら室内写真はないのですが、2018年に浴室やキッチン、フローリングがリフォームされ、新しくなっていると ... 続き>>>.
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シンプルに気持ちいい!

所在地:世田谷区池尻
23万円 / 90.5平米
井の頭線「池ノ上」駅 徒歩11分

ワイドなリビングからは、すこーんと抜けた眺望。おまけに角部屋で、南と西の窓からさんさんと、明るい太陽の光が降り注ぎます。



淡島通り沿いに立つ、きれいに手入れされたレトロなマンション。高台に立っているので6階とは思えない景色が楽しめます。



ゆったりとくつろげそうなリビングに加え ... 続き>>>.
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京都の“近所付き合い”を現代に。生活の一部をシェアするコレクティブハウスの暮らしって?

ご近所づきあいが希薄になりつつある一方で、シェアハウスや定額で多拠点に宿泊可能なサブスクリプション住居など、違う形でのコミュニティが活発化している昨今。京都の八清(ハチセ)が運営するコレクティブハウスは、一人暮らし以外に、子育て世代や高齢者にも注目されている。京都の特性を活かした住まいとはどのようなものか。その住まい方を紹介したい。
コミュニケーションのさじ加減。人との距離感は自分で調整路地でひと際目立つ2トーンの外観。大きなガラス戸が「ウェルカム」の意思表示に(写真提供/八清)

路地でひと際目立つ2トーンの外観。大きなガラス戸が「ウェルカム」の意思表示に(写真提供/八清)

京都の賀茂川近く、車も通れないような路地を入ると、古い街並みのなかに、板張りの塀に囲まれた、グレーと白の2トーンの外観が目を引く。ガラス戸を開けると、テーブルとキッチンカウンターのあるカフェのようなスペース。隣には中庭が広がり、そのまわりに5つの玄関が並んでいる。ここが、新築コレクティブハウス「coco camo」だ。そもそも、コレクティブハウスって?

「水まわりやLDKを共用するシェアハウスとは違い、それら生活に必要なスペースは専用でありながら、みんなで使ういくつかの共用スペースもある。生活の一部を共同化しながら生活する住まいのことです」と、コレクティブハウスを運営する株式会社八清の小山由美さん。

八清がコレクティブハウスを運営するのは、これで4つ目。これまでの3棟は、既存のワンルームマンションの一部を共用部に改装し、「面白い暮らしがしたい!」という人たちが好んで集まったという。共用部にはソファや広いキッチンを完備。それぞれの生活を送りながら、ひとたび集まれば、仕事が生まれたり、イベントを開催したり、山登りサークルができたり。集まったときのポテンシャルが高く、とにかく楽しそう!

シェアハウスとの一番の違いは、「人との距離感を自分で調整できることではないでしょうか」と小山さんは教えてくれた。「基本的に、コレクティブハウスはそもそも独立した住宅なので、個人の生活が確立しています。その上で、自分のスタンスに応じて、共用部をうまく使いながら、人と交流するイメージです。また、シェアハウスは年齢やライフスタイルの違いによる価値観の違いから起きるトラブルを回避したいと、年齢制限を設けたり、一人暮らしに限定していたりといった制限があることも多いのですが、コレクティブハウスはシェアハウスの楽しいところはそのまま、カップルや子どものいる世帯、高齢者など多様な人が住まえるところにも魅力があります」

自然素材に囲まれた2号室。ステンレス×木のキッチンはミニマルなシンプルデザイン(写真撮影/出合コウ介)

自然素材に囲まれた2号室。ステンレス×木のキッチンはミニマルなシンプルデザイン(写真撮影/出合コウ介)

床はオーク、土壁風クロスやシナベニヤなどを使って落ち着いた雰囲気に。アンティークな建具を再利用しているあたりは、町家リノベの実績の多い八清ならでは(写真撮影/出合コウ介)

床はオーク、土壁風クロスやシナベニアなどを使って落ち着いた雰囲気に。アンティークな建具を再利用しているあたりは、町家リノベの実績の多い八清ならでは(写真撮影/出合コウ介)

遠方からの移住者とコレクティブハウス。実はとても相性がいいシンボルツリー「ソヨゴ」があるコモンテラス。このテラスに面して各戸の玄関が配置されている。玄関のライトがコロンとしてかわいい(写真提供/八清)

シンボルツリー「ソヨゴ」があるコモンテラス。このテラスに面して各戸の玄関が配置されている。玄関のライトがコロンとしてかわいい(写真提供/八清)

「coco camo」はワンルームマンションからの発展形。「コレクティブハウス」を目的として建てた、一戸建てのような集合住宅だ。これまでの3棟は、ワンルーム=一人暮らしを想定していたが、「coco camo」の各住戸は初のメゾネットタイプ。一人でも、カップルでも暮らせるフレキシブルさがある。自然素材に囲まれた住戸は落ち着いた雰囲気で、住まう人の色に染められるよう、限りなくシンプルにデザインしている。これまでに手掛けたコレクティブハウスは内部の共用部のみだったが、中庭=コモンテラスという外部にある共用部は、本を読んだりお茶したりと自分の庭として使えるのが最大のメリット。バーベキューなどアウトドアを通してよりオープンに人とつながれる魅力も増えた。

入居者みんなが利用できるコモンリビングには団らんできるようカウンターを設置(写真撮影/出合コウ介)

入居者みんなが利用できるコモンリビングには団らんできるようカウンターを設置(写真撮影/出合コウ介)

入居者が飲んだビールの空き瓶もオブジェのようにズラリ。エントランスホールの可動棚とピクチャーレールはみんなと共有したいものを置いて、住まう人たちの情報交換の場に(写真撮影/出合コウ介)

入居者が飲んだビールの空き瓶もオブジェのようにズラリ。エントランスホールの可動棚とピクチャーレールはみんなと共有したいものを置いて、住まう人たちの情報交換の場に(写真撮影/出合コウ介)

実はこのコロナ禍の影響で、完成前の現地見学会をオンラインで行うことを余儀なくされた「coco camo」だが、逆にそれが功を奏して遠方の方とつながることができ、コレクティブハウスの特徴とマッチした。

「単身でお住まいの60代女性は、埼玉からの移住者です。セカンドライフは京都に住みたいと賃貸から探し始めたところ、八清のHPを発見。オンラインイベントに2回参加し、入居を決められました。知らない土地に住むには不安もあったようですが、コレクティブハウスというスタイルは、入居者同士での交流が大前提。遠方から移住=コレクティブハウスがぴたりとハマりました」と小山さん。

ソーシャルディスタンスを保ちつつ交流できる。時勢にマッチした住まい方株式会社八清 プロパティマネジメント部の小山由美さん。八清は京町家・中古住宅をリノベーションにより上質な空間へとプロデュースする京都の不動産会社(写真撮影/出合コウ介)

株式会社八清 プロパティマネジメント部の小山由美さん。八清は京町家・中古住宅をリノベーションにより上質な空間へとプロデュースする京都の不動産会社(写真撮影/出合コウ介)

一方、30代のご夫妻は、立地と共用部を見て決めた例。「このご夫婦は、コーヒーを入れるのがお好きなようで、共用部でコーヒーイベントやフリーマーケットなどをやりたいとおっしゃっていました」。入口が共用部というオープンなつくりから、内部との交流はもちろん、外部との交流も可能。住まう人次第で、可能性が広がるのが面白い。

友達以上、家族未満。近所付き合いを大切にする京都では、地蔵盆など地域のコミュニティも活発で、家と家との距離も近く、路地も生活の一部。顔を合わせたら挨拶をし、井戸端会議に花を咲かせる。だけど、互いの「距離感」は大切に。信頼はするけど、パーソナルスペースには踏み込まない。

コレクティブハウスは、そんな京都独特の住まい方の延長線上にある。要は、大人なさじ加減。そしてまた、面白いコミュニティをつくることができるコレクティブハウスは、密なイメージがあるかもしれない。しかし、独立した住居スペース+共用部という生活スタイルは、外出を自粛しがちになる中でソーシャルディスタンスを保ちつつコミュニケーションが図れる、この時勢にぴったりな、次世代の住まい方ではないだろうか。

こちらは広いタイプの5号室。1回は中庭=コモンテラスと大きなガラス戸でつながっている(写真撮影/出合コウ介)

こちらは広いタイプの5号室。1回は中庭=コモンテラスと大きなガラス戸でつながっている(写真撮影/出合コウ介)

2階は屋根の形状そのままの天井なので、天井高も高く、とても開放的(写真撮影/出合コウ介)

2階は屋根の形状そのままの天井なので、天井高も高く、とても開放的(写真撮影/出合コウ介)

●取材協力
株式会社 八清

ジャンクな古家で住む働く

所在地:台東区日本堤
17万5,000円 / 94.39平米
常磐線・日比谷線・つくばエクスプレス「南千住」駅 徒歩7分

木部が渋くかっこいい、古家らしさを生かしてリノベーションされた戸建て。



住みながら事業をするのに、ベストなつくり。1階2階の動線が分かれているので、プライベートと仕事のオンオフがしっかりできるようになっています。



改装も柔軟に相談できるので、建物入口の扉を交換したり、事業用途 ... 続き>>>.
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大口通の温かみワンルーム

所在地:横浜市神奈川区大口通
6万9,000円 / 21.1平米
京浜急行本線「子安」駅 徒歩4分

京急子安駅とJR大口駅を結ぶ、大口通商店街と大口通一番街は、横浜市内屈指の規模を誇る商店街。



昔ながらの店から、コアな店、怪しげな雰囲気の店など、いろんな店があり、スーパーもあります。



最近は徒歩3分のところに石窯pizzaのバルとスペインバルが開店したので、夜も楽しめそう。 ... 続き>>>.
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コンパクトでも遊び心を

所在地:目黒区中目黒
13万円 / 36.21平米
日比谷線・東急東横線「中目黒」駅 徒歩7分

キュッとコンパクトに、無駄のない生活空間と遊び心あるデザインが散りばめられた部屋。



廊下の壁沿いにずらっと並ぶ可働棚や暖かみのある木に囲まれたキッチン回りは、収納力もさることながらお気に入りの物をたくさん並べたくなるデザインも魅力です。



約9畳のリビングの凹み部分にはライトや ... 続き>>>.
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「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2020」に見る最新キーワード3つ。コロナ禍の影響も?

1年を代表するリノベーション作品を決める「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」。その授賞式が2020年12月10日に開催されました。この1年、新型コロナウイルス感染拡大が暮らしや経済を直撃し、リノベーション業界も多大な影響を受けました。そんな状況下にありながらも、今回の受賞作品からはリノベーションが持つ力、多様性を垣間見ることができました。注目作品とともに今年の傾向を紹介します。
【注目point1】コロナ禍の影響で、職と住の見直しが加速

日本中で人々の行動が制限されるという厄災下で開催されたリノベーション・オブ・ザ・イヤー2020。リノベーション業界でも住まいづくりの全ての過程で大きな制約を受けたため、盛り上がりが心配されましたが、エントリー作品は前年とほぼ同程度をキープし、さまざまな作品が出そろいました。

今回の大きな傾向は、何といっても「コロナ禍が住まいに及ぼした影響」。コロナ禍の影響を受けていない作品も多い中、リモートワーク、職住融合など、近年の潮流が一気に加速されたことで、審査の場では「リノベーションはいかにコロナ禍の影響を受け止めたのか」という観点で見ざるをえなかったそうです。

「毎日会社に出社する」という今まで当たり前だったことが、職場や職種によってそうではなくなりました。働き方改革の一環で以前からリモートワークを推進する企業は増えつつありましたが、半ば強制的に、暮らす場所と働く場所のボーダーレス化が一気に進んだ形となりました。それを最も象徴するのが、総合グランプリ受賞作品です。

職住融合のミニマルな形
総合グランプリ:『リモートワーカーの未来形。木立の中で働く。住まう。』株式会社フレッシュハウス

森の中にたたずむ小さな住まいを、仕事と暮らしの場として再生させました(写真提供/フレッシュハウス)

森の中にたたずむ小さな住まいを、仕事と暮らしの場として再生させました(写真提供/フレッシュハウス)

長年、別荘地で放置されていた60平米に満たない小さな家。オーナーは一人暮らしのプログラマーで、元は祖母の家でした。築50年という建物の耐震・断熱改修を行い、間取りの変更などを施して、自宅兼職場に。シンプルな空間に床の高低差でメリハリを付け、目線の位置を低く抑えることで、森の風景に入り込むような臨場感をもたらしています。

「リモートワークによる職住融合」というウィズコロナ時代のニューノーマルを示すだけではなく、郊外&地方移住、実家の空き家問題、古家の性能向上、お一人様社会といった、「今」を象徴するテーマや、問題解決の手法が詰まっていることが高く評価されて、総合グランプリ受賞となりました。

総合グランプリ受賞作のほかに、「ウィズコロナ時代」を象徴するのが次の作品。「職と住」を見直して、魅力ある場に仕立て上げている作品です。

立地を活かした職住融合
審査員特別賞(ニューノーマル・ライフスタイルデザイン賞):『山と渓谷、エクストリーム賃貸暮らし。』株式会社ブルースタジオ

見せる収納で登山ギアが整然と。室内にいてもアウトドアが身近に感じられるしつらえ(写真提供/ブルースタジオ)

見せる収納で登山ギアが整然と。室内にいてもアウトドアが身近に感じられるしつらえ(写真提供/ブルースタジオ)

山へのアクセスが比較的便利な地に立つ賃貸住宅。気持ちの良い朝、山に足を運び、自然の力を浴びてパワーチャージしてから仕事に取り組むという「エクストリーム出社」が増えている現状に合わせて、アウトドア派のための部屋として設計されました。住む場所の選択肢が広がる状況に対し、「山が好きなら山の近くに住んでしまえばいい」といった新しいライフスタイルを簡潔に提示している点が評価されました。

アウトドアという“地域ならではのプラス要素”を賃貸住宅に付加することで、オーナーの空室不安を解消する物件にもなっています。

多拠点な職住の場
審査員特別賞(ニューノーマル・ワークスタイルデザイン賞):『働く場所から、自由になろう。』株式会社LIFULL

現在、全国に8拠点。テレワークの浸透で利用者が急増しています(写真提供/LIFULL)

現在、全国に8拠点。テレワークの浸透で利用者が急増しています(写真提供/LIFULL)

廃校や閉鎖した企業の保養所などの遊休不動産を再生し、多拠点居住&労働の場及びコミュニティの場として定額制で提供するプロジェクト「LivingAnywhere Commons」。近年、多拠点居住という新たなライフスタイルが確立されてきましたが、このプロジェクトは各拠点でのコミュニティづくりにも取り組んでいるのが特徴。滞在者のコミュニティづくりをサポートするマネージャーがいることで、共創型プロジェクトに容易に参画できたり、快適な空間になるよう利用者がDIYやルールづくりをしたりと、手を掛けて育てていくことが可能です。

【注目point2】コロナ禍の影響で「おうち時間」の質向上に注目

「おうち時間」が否応なく長時間化することで、暮らしの場の質を高めたいというニーズが高まっています。リノベーションはそもそも家の質を高めるために行われるものなので、「おうち時間の質が高まっている」のはすべてのエントリー作品に当てはまるのでしょうが、そのなかでも、次の作品は充実したライフスタイルが垣間見られるとして、審査の場で注目されていました。

充実の家族時間
1000万円未満部門 最優秀賞:『日曜漁師』株式会社オレンジハウス

勝手口から魚を持ち帰り、食卓にという豊かな暮らしぶりが垣間見えます(写真提供/オレンジハウス)

勝手口から魚を持ち帰り、食卓にという豊かな暮らしぶりが垣間見えます(写真提供/オレンジハウス)

ダイニングキッチンとリビング、廊下を隔てていた壁を取り払い、勝手口からシンクへダイレクトに魚を持って入れる動線に。日曜大工ならぬ“日曜漁師”の夫が獲ってきた魚を家族で調理するというストーリーが、リノベーション空間の中に見て取れる作品です。「家族時間の一つのあり方を提示している点に好感が持てる」「生活ファーストの穏やかなワークスタイルを自然体なリノベーション空間が演出している」といった観点で評価されました。

2つのワーキングスペース
審査員特別賞(ユーザービリティリノベーション賞):『この先もつづく日常に根差した家』株式会社grooveagent

家の各所に本棚を設け、大量にある本を収納。2つのワーキングスペースを離れた場所に配置しました(写真提供/grooveagent)

家の各所に本棚を設け、大量にある本を収納。2つのワーキングスペースを離れた場所に配置しました(写真提供/grooveagent)

夫婦とも在宅での仕事が多いという住まいのリノベーション。2つのワークスペースを離れた場所に配置して、就業中の距離の問題をうまく解いています。「おうち仕事時間」の質を高めた作品です。

【注目point3】「性能向上リノベ」の合理的手法が示される

断熱性・耐震性などの性能を高めるのはリノベーションの使命です。ここ数年、「性能向上リノベ」のさまざまな手法が示されてきましたが、昨年来、「性能向上リノベを、合理的で経済性のあるプランにまとめて商品として普及させることが重要」という観点が審査の現場で上がっていました。その流れを受けて今回は、全国の中規模ビル、古民家、中古マンションなどの性能を向上させる、ひとつの指標となるような取り組みが登場しました。

ビルのゼロエネルギー化
審査員特別賞(先進的省エネビルリノベーション賞):『未来への贈り物~地中熱ヒートポンプにより生まれ変わるZEB社屋』棟晶株式会社

自社の中規模オフィスビルをまるごと省エネビルに改修(写真提供/棟晶)

自社の中規模オフィスビルをまるごと省エネビルに改修(写真提供/棟晶)

中規模のオフィスビルをZEB(「ゼブ」。ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディングの略称)にリノベーション。NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の支援を得て北海道大学工学部と共同開発した地中熱ヒートポンプシステムを採用し、壁面ソーラーパネルと合わせて102%の創エネルギ−を実現。イニシャル・ランニングの両面で誰もが導入しやすい低コスト化に成功しています。全国の中規模ビルのゼロエネルギー化に一つの指針を示した点で高く評価されました。

エリア断熱で性能アップ
1000万円以上部門 最優秀賞:『Old & New 古くて新しい・古民家のカタチ』株式会社ラーバン

風景に溶け込む外観にプラスされた、空間を切り取ったような「縁側」が印象的(写真提供/ラーバン)

風景に溶け込む外観にプラスされた、空間を切り取ったような「縁側」が印象的(写真提供/ラーバン)

築150年という代々受け継がれてきた古民家に、現代のデザイン要素を付加。古家特有の断熱性・省エネ性能の低さについては、断熱パッシブの施工エリアを決めることで、国が定める省エネ等級4を大幅に上回る数値を達成。デザイン、性能の両面をバージョンアップさせる部分改修の手法は、古民家活用のお手本となるのではないでしょうか。

新築以上の断熱性をスタンダードに
審査員特別賞(次世代再販リノベーション賞):『THE NEW STANDARD』株式会社リアル

フレンチシックなリビング。「こんな家に住みたい」と思われるデザインを目指したそう(写真提供/リアル)

フレンチシックなリビング。「こんな家に住みたい」と思われるデザインを目指したそう(写真提供/リアル)

「買取再販リノベーション(リノベ会社が購入した中古物件をリノベーション後、販売する手法)のスタンダードにしたい」という意気込みのもと、築38年の中古マンションに新築以上の断熱性能を実現させ、性能とデザインの両面で魅力を高めているプランです。

“今”の時代を表すこんな作品にも注目!

今回は、「コロナ禍をリノベーションはどう受け止めたのか」「性能向上リノベの合理的手法」という観点の作品に注目が集まりましたが、他にも“今”という時代性を宿している作品もあります。筆者が注目した2作品を紹介します。

廃棄物を最小まで削減
500万円未満部門 最優秀賞:『サスティナブルにスマートハウス』株式会社シンプルハウス

壁紙を剥がしただけの壁が空間のアクセントに(写真提供/シンプルハウス)

壁紙を剥がしただけの壁が空間のアクセントに(写真提供/シンプルハウス)

既存の建具や建材を徹底して選別し、リユース、リサイクル。同時に無駄な解体をせず、廃棄物を最小限とする。新しく用いるものも間伐材、地産地消の素材にする。こうすることで、約70平米の住戸のフルリノベーション が税込498万円という低コストで実現した作品です。単なるコストダウンに留めるのではなく、リユース等による廃棄物削減、環境に優しい素材の採用といった、サスティナブル(持続可能性)なリノベーション方法を確立しています。

三密回避の旅行に最適
審査員特別賞(公共空間リノベーション賞):『予約殺到のトレーラーホテル。PFIによるビーチリノベーション。』9株式会社

全室オーシャンビュー。テラス付きの独立型ホテル(写真提供/9)

全室オーシャンビュー。テラス付きの独立型ホテル(写真提供/9)

客室とテラスはともに37.4平米の広さ。テラスにジャグジーとバーベキュー設備が付いており、他の宿泊客と顔を合わせることがないそう。移動可能なトレーラーハウスのため、工期が短くて済み、将来的な移設が可能で、暫定利用地での活用に向いています。

まだある! お手本にしたいこだわり空間リノベや空間伝承リノベ

ほかにも、空間美が光る作品や、古き良き時代を継承したリノベーションも。いくつかご紹介します。

審査員特別賞(エスセティック空間リノベーション賞):『熊本城をのぞむ望楼の住まい。清正に倣う、永く愛される建築の教え。』株式会社ヤマダホームズ

自然素材の経年進化や味わいを活かし、落ち着きある上質な雰囲気に(写真提供/ヤマダホームズ)

自然素材の経年進化や味わいを活かし、落ち着きある上質な雰囲気に(写真提供/ヤマダホームズ)

審査員特別賞(借景空間リノベーション賞):『心を掴むストック 都住創を継ぐ』株式会社アートアンドクラフト

施主の「美しいと思えるかどうか」という判断基準でつくられた空間(写真提供/アートアンドクラフト)

施主の「美しいと思えるかどうか」という判断基準でつくられた空間(写真提供/アートアンドクラフト)

無差別級部門 最優秀賞:『SWEET AS_スポーツを中心に地域コミュニティが生まれる場所』リノベる株式会社

3100平米のも巨大な鉄工所を、カフェレストランやバー、観覧スペース付きの多目的スポーツコートへコンバージョン。地域の新たな拠点に(写真提供/リノベる)

3100平米のも巨大な鉄工所を、カフェレストランやバー、観覧スペース付きの多目的スポーツコートへコンバージョン。地域の新たな拠点に(写真提供/リノベる)

審査員特別賞(地域創生リノベーション賞):『旧藩医邸を癒しの温泉宿に再生 城下町アルベルゴディフーゾへの挑戦』paak design株式会社

官民一体のプロジェクトとして、伝統ある建物を癒やしの宿に改修(写真提供/paak design)

官民一体のプロジェクトとして、伝統ある建物を癒やしの宿に改修(写真提供/paak design)

審査員特別賞(古民家再生リノベーション賞):『「おばあちゃんの家みたい!」が一番の褒め言葉』G-FLAT株式会社

格子の美しい古民家の広い玄関土間が、魅せるガレージに(写真提供/G-FLAT)

格子の美しい古民家の広い玄関土間が、魅せるガレージに(写真提供/G-FLAT)

審査員特別賞(コンパクトプランニング賞):『団地育ちの原風景』grooveagent

「家族みんながわいわい過ごしている“あの感じ”」と、幼少期の団地暮らしのイメージを再現(写真提供/grooveagent)

「家族みんながわいわい過ごしている“あの感じ”」と、幼少期の団地暮らしのイメージを再現(写真提供/grooveagent)

変革の時代にリノベーションは力を最大限発揮する

2020年はコロナ禍に揺れ、それを抜きには語れない1年となりました。リモートワーク、密を避ける、不要不急の外出を控える、ときにはオンライン会食などが求められる新しい生活様式は、住まいに与える影響も大きく、働き方だけでなく、仕事そのものや暮らす場所までも一気に転換させていく人も少なからず見られました。

コロナ禍でそうした動きが一気に加速したのは事実ですが、そもそも以前から、リモートワークや多拠点居住での田舎暮らし、移住、通勤混雑回避などは社会的なニーズとして存在しており、それらに対してリノベーションは常に、多様な解決策をさまざまな形で示してきました。

今回の受賞作品はコロナ禍に立ち向かう可能性を提示してくれましたが、影響が住宅市場に本格的に出始めたのは下半期以降で、現在も進行中です。そのため、コロナ禍の影響が色濃く抽出されたリノベーション作品が出そろうのは2021年になると予想されます。

社会的・意識的変革が求められる時代に、リノベーションという技術は力を最大限発揮して、新しい暮らし方、住まい方、働き方の可能性を提案してくれるはず。授賞式を終えて、リノベーション業界にはそんな期待を抱かずにはいられませんでした。次回のエントリー作品、受賞作品に出合える日を今から楽しみにしています。

赤絨毯にタキシードが決まっている受賞者のみなさん。2021年も、日本を明るくさせてくれる作品が登場するのを期待しています!(写真提供/リノベーション協議会)

赤絨毯にタキシードが決まっている受賞者のみなさん。2021年も、日本を明るくさせてくれる作品が登場するのを期待しています!(写真提供/リノベーション協議会)

●取材協力
リノベーション協議会「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2020」

碑文谷ラビリンス

所在地:目黒区碑文谷
45万円 / 187平米
東急東横線「学芸大学」駅 徒歩16分

サレジオ教会近くに重厚に構える、コンクリートの塊のような要塞系テラスハウスをご存知でしょうか?



外から見ている限りは住居というより教会か美術館に見える、全5棟からなるこの物件ですが、実は15年程前から空室が出る度にクリエイティブな感性をお持ちのR不動産のお客様に住み継いでいただ ... 続き>>>.
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異国の情緒

所在地:目黒区碑文谷
50万円 / 136.16平米
東急東横線「学芸大学」駅 徒歩15分

敷地に一歩足を踏み入れた瞬間に空気が変わる感じ、とでもいいましょうか。



ここが目黒区碑文谷という都心立地であることを忘れ、日本じゃないどこかに来たような不思議な感覚にさせてくれるこの建物は、旧・二期倶楽部で有名な建築家、渡辺明氏により設計され、日本建築学会賞を受賞した作品です。 ... 続き>>>.
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ジャンクに整える<305>

所在地:渋谷区恵比寿
14万9,600円(税込) / 30平米
山手線「恵比寿」駅 徒歩5分

恵比寿駅から程近い昭和48年築のマンション。空いたとこからあえてジャンクに仕上げてます。



簡潔にこの物件のポイントを。まず事務所想定で改装しているので、マンションタイプの事務所にありがちな生活感がありません。キッチンは邪魔にならないステンレス製のもの、浴槽は取っ払って収納スペー ... 続き>>>.
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いいなぁこういうレトロ

所在地:渋谷区千駄ヶ谷
13万円 / 40平米
山手線「原宿」駅 徒歩7分

「こういう外観のレトロマンション好きだなぁ」と思い、上にいった目線を下ろしてみると、1階にはカフェと食材のセレクトショップ。「はぁお洒落だなぁ」と思いながら、4階まで上がって行きました。



室内はフローリングに白い壁紙のシンプルな内装。南向きで日の入りも心地よいです。目の前は交差 ... 続き>>>.
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スタンバイOK! <賃貸>

所在地:杉並区永福
8万円 / 25.84平米
京王線・井の頭線「明大前」駅 徒歩3分

いますぐ始められます、新生活!



オーナー自身が住んでいた10年ほど前、スケルトン状態から手を動かして作り上げたというこの部屋は、床や壁のざっくりとした仕上げが心地よく、白で統一された家具まで準備されています。



さすがに体ひとつとは言いませんが、あとは家電さえ持ち込んでもらえれ ... 続き>>>.
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どうなる2021年の住宅市場??住宅トレンドは都心か、郊外か?

コロナ禍で、静かな生活を送ることになった2020年。2021年には明るい話題に多く触れたいものだが、住宅市場は今後どうなっていくのだろう?いくつかの調査結果を確認しながら、見ていくことにしよう。【今週の住活トピック】
「第2回 生活価値観・住まいに関する意識調査」を実施/カーディフ生命コロナ禍で住まい選びに大きな変化

2020年はコロナ禍で住まい選びに大きな変化が見られた。
●おうち時間が長いから気になる、住宅の基本性能。
●コロナ禍で普及する在宅ワーク、あなたは個室派?LD派?
●駅距離よりも家の広さが欲しい?コロナ禍で変わる住まい選び
●2畳だけでも個室がほしい!コロナ禍で変わる、間取り意識
●新型コロナの影響で、お出かけ先は自宅周辺へシフト
など、筆者も何度か住まい選びの変化について記事にしてきた。

コロナ下の「在宅時間の長期化」と「在宅勤務の普及」が大きな影響を与え、住まい選びが変化しているが、住宅の広さや部屋数へのニーズ、自宅周辺の環境を重視する傾向が強まり、「郊外志向」の増加も指摘されている。

テレワークの頻度によって、郊外か都心かが変わる?

では、2021年は、郊外に人気が集中するのだろうか?カーディフ生命が実施した「第2回 生活価値観・住まいに関する意識調査」で分かりやすい結果が出ている。

住宅未購入者全体の住宅購入意向率は35%だったが、テレワーク経験者に限ってみると52%とかなり高くなった。また、購入したい場所は郊外か都心かを聞くと、住宅購入意向者のうち約54%が「郊外派」で、「都心派」は約46%だった。

一方、テレワーク経験者で見ると、テレワークの頻度によって違いがあり、テレワークの頻度が高い「半分以上テレワーク」は「郊外派」が、「テレワーク半分未満」は「都心派」が多いという結果になった。

テレワーク経験者の住宅検討場所(住宅購入意向者)(出典/カーディフ生命「第2回 生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)

テレワーク経験者の住宅検討場所(住宅購入意向者)(出典/カーディフ生命「第2回 生活価値観・住まいに関する意識調査」より転載)

逆に言えば、通勤する頻度が高いほど都心を志向し、通勤頻度が低いほど郊外を志向する傾向が見られるといってよいのだろう。

また、郊外志向の高まりは、戸建ての住宅市場には追い風となるだろう。

矢野経済研究所が12月16日にリリースした「戸建て住宅市場に関する調査を実施(2020年)」によると、「従前からの職場や都心へのアクセスの良さといった利便性に対するニーズはある一方、リモートワークの普及による在宅時間の長期化から、広さや快適性を求めるために郊外へ戸建て住宅を求めるニーズも増加しており、特にハウスビルダーが供給する建売住宅は値ごろ感とも相俟って販売増加につながっているなどの傾向もみられる。」と分析している。

新築マンションの供給は都市部に多い?

一方、新築マンションの販売動向では、相変わらず都市部への供給が続くと見られている。

不動産経済研究所が12月21日に公表した「首都圏・近畿圏マンション市場予測2021年」を確認しよう。
2021年の新築マンションの供給戸数は、首都圏で3万2000戸、近畿圏で1万8000戸と予測している。2020年はコロナ禍で供給が減ったが、2021年は奈良県を除く全エリアで前年を上回り、コロナ前の2019年並みに回復すると見ている。

エリアについては、首都圏では「引き続き都区部の大規模案件が市場をけん引、近郊エリアも注目タワーが始動」、近畿圏では「大阪市部の超高層物件は2021年も継続の見通し」などと、都市部のタワーマンションの供給が続くとしている。

一方、新築マンションの価格については、2020年(1~11月)の平均価格は、首都圏で6254万円(95.9万円/平米)、近畿圏で4249万円(69.8万円/平米)だった。いずれも2019年の首都圏5980万円(87.9万円/平米)・近畿圏3866万円(68.0万円/平米)を上回る結果となった。

コロナ下で一時的に住宅市場が縮小したが、2021年は従来通り好調維持か?

筆者は、2020年上半期の住宅市場について「緊急事態宣言の発令前~解除後、首都圏の住宅市況はどう動いた?」という記事を書いた。この記事では、新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言が出された3・4・5月については、住宅の営業を停止した事業者も多かったことから、住宅市場は一時的に大きく縮小したが、6月以降回復基調にあると分析した。

7月以降の東日本不動産流通機構の中古マンションや中古戸建てのデータ(2020年7~11月)を見ると、成約件数は元に戻り、特に10月でいずれも大幅に上昇、成約平均価格も上昇をしている。一方で、新規に売り出される物件数は以前より少ないことから、市場の在庫戸数が減少している。つまり、新築マンションの供給数が減っていた影響もあって、中古住宅市場はこれまで好調に推移していると言えるだろう。

また、コロナ禍による地価への影響については、ホテルやオフィスなどの商業地で大きく下がっているものの、住宅地の下がり方はそれほど大きくはない。住宅購入の意欲も、新しいニーズが発生したこともあって、減退しているわけではない。

こうしたことから、総じて2021年の住宅市場に出回る戸数や価格などに大きな変動はなく、従来通りの傾向が続くと見てよいだろう。

ただし、これまでも二極化が指摘されており、全ての住宅に需要があるのではなく、特長のある住宅に人気が集まる傾向は続くだろう。通勤をする人たちは都心部へのアクセスがよいなど利便性がよい住宅を求め、テレワークが業務の多くを占める人たちは住環境がよく、わが街が充実している、手ごろな価格と広さの郊外の住宅を求めるなど、それぞれに住みやすい条件がそろう住宅が好まれるだろう。

さらに、「住宅ローン減税」が継続され、新たに「グリーン住宅ポイント制度」が設けられるなど、政府は住宅取得を促進する政策をとっている。住宅ローンの金利も低金利が続くと予測される。住宅を購入する環境は整っているので、住み替えを検討している人は不安視せず、自分たちが暮らしやすい住宅を探すとよいだろう。

待ち望んだざっくり感

所在地:港区北青山
28万6,000円(税込) / 35.37平米
銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」駅 徒歩7分

こんなざっくり感を待ってました!壁や天井はコンクリートむき出しで白く塗装、床はなめらかにモルタル土間仕上げ。



ラフな空間ながらも、細部までこだわりが詰め込まれています。トイレ、キッチンスペースの建具は、ネイビーブルーに塗装。インダストリアルな雰囲気の、ドアハンドルもいい感じ。床 ... 続き>>>.
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田園調布の風

所在地:東京都大田区田園調布
13万円 / 39.6平米
東急東横線「田園調布」駅 徒歩6分

伝統と歴史のある「田園テニス倶楽部」の目の前。

クラブハウスをイメージしたような雰囲気の外観。

テニスコートを見下ろすような高台に位置し、北から南へ抜ける風が本当に気持ち良い。



メゾネットタイプで、2階がリビング、3階がベッドルーム2部屋。

テレワークに一部屋使ってもよさそうで ... 続き>>>.
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スタンバイOK! <売買>

所在地:杉並区永福
1,080万円 / 25.84平米
京王線・井の頭線「明大前」駅 徒歩3分

いますぐ始められます、新生活!



オーナー自身が住んでいた10年ほど前、スケルトン状態から手を動かして作り上げたというこの部屋は、床や壁のざっくりとした仕上げが心地よく、白で統一された家具まで準備されています。



さすがに体ひとつとは言いませんが、あとは家電さえ持ち込んでもらえれ ... 続き>>>.
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ていねいな仕事

所在地:大田区南千束
7万9,000円 / 28.8平米
東急大井町線「北千束」駅 徒歩5分

古い木造アパートも、ていねいな仕事を経ればここまで蘇るのか!と、部屋をたくさん見ている僕たちから見ても、ちょっとした感動がある物件です。



味の出た柱と、新しく入れ替えられた部分が、美しく調和しています。



もとはよく見る和室の2DKでした。床を畳からパイン材の無垢フローリングに ... 続き>>>.
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「ゴミには人間の本性が出る!」ゴミ清掃芸人・マシンガンズ滝沢さんインタビュー

賃貸でも分譲でも、住まい探しのときには「共用部のゴミ置き場をチェック」という話を聞いたことはありませんか? その大切さを多分、日本で最も痛感している芸人さんが、マシンガンズの滝沢秀一さんです。今回はゴミ清掃芸人の滝沢さんにコロナ禍のゴミと住まい、街のコミュニティのあり方まで聞いてきました。
ゴミ置き場は“伝染”する? ゴミ収集の目線で見た街と人の関係

お笑いコンビ・マシンガンズで活躍している滝沢秀一さん。2012年、妻の妊娠をきっかけに、「出産費用を稼ぐため」としてゴミ収集会社の仕事に携わり、そこで見た風景・人間模様を『このゴミは収集できません~ゴミ清掃員が見たあり得ない光景~』(白夜書房)にまとめて出版し、これが大ヒット。ゴミ清掃員の日常をつぶやき風にしたり、ゴミからみるお金もち世帯とそうでない世帯の違い、物件の見分けかた、回収できるゴミとそうでないゴミなど、おもしろくてためになる内容がぎっちりとつまっています。現在も芸人活動の傍ら、週2日のゴミ収集の仕事、著作の執筆に大忙しの日々を送っています。

緊急事態宣言下で何が起きたのかをまとめた、滝沢さんの最新の著作『やっぱり、このゴミは収集できません~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと~』(白夜書房)(写真撮影/片山貴博)

緊急事態宣言下で何が起きたのかをまとめた、滝沢さんの最新の著作『やっぱり、このゴミは収集できません~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと~』(白夜書房)(写真撮影/片山貴博)

「2020年、コロナ禍で緊急事態宣言が出されたときは、本当にすごい量の家庭ゴミが出されて大変でした。通常、年末年始は大量のゴミが出るんですが、それが2~3カ月続く感じです。ゴミ収集はインフラなので行わないわけにはいきませんし、休めない。キツかったですね」と振り返ります。滝沢さんによると、ゴミ出しには住まいや街、人間の暮らしそのものが反映されるのだといいます。

「ゴミって、人間の本性が出るんですよね。人が見ていないと思うと、人は“なんでもアリ”になるんだなって思います。そうですね、ゴミ置き場のなかでも、目安になるのがペットボトル資源です。ペットボトル資源がキレイに出されている集積場はいつもキレイ。ペットボトル資源が荒れているところは、可燃・不燃ともに汚れています」と驚きの事実を教えてくれます。

たしかにペットボトルは中身を出してゆすぎ、キャップをはずして、ラベルを剥がし、分別すると手間がかかります。「めんどくさいし、ま、いっか」と時には分別もせずに捨てたくなる気持ち、身に覚えがありますよね。また、ゴミ集積所には「ある法則」があるのだとか。

「清掃員同士でよく話題になるんですが、ゴミ置き場の美しさ・汚さって、伝染するんですよ。汚い集積所があるとだんだん汚くなっていくし、反対にキレイな集積所があると周囲もキレイになっていく。これってつまり人の目やコミュニティがあるからなんだと思います」(滝沢さん)

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『やっぱり、このゴミは収集できません~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと~』(白夜書房)より(画像提供/白夜書房)

『やっぱり、このゴミは収集できません~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと~』(白夜書房)より(画像提供/白夜書房)

よい街はみんなでつくる。人とのつながりが街を、地域を変えていく

滝沢さんは、ゴミ置き場が荒れているところは、人の目の行き届かないため、街に無関心な人が多くなって乱雑になる。一方、ゴミ置き場がキレイなところはご近所同士が助け合い、美しさを保っているのではないか……と長年の観察から推測します。そのため、ある程度、ご近所付き合い、地域への関心が必要だと考えるようになりました。

「人の目があると、やっぱり『○○班のゴミ』のように特定されるので、あまり乱雑にはできないのが人情ですよね。あと、ゴミの分別は、面倒くさいだけでなく、知らない・分からないという人も多いんです。そのため、自治体もチラシ類をつくってPRしているんですが、やっぱり人同士の会話・コミュニケーションにまさるものってないんですよ。教えてもらえれば、みんな分別するようになりますから。地域によっては清掃員に声をかけてくれる人がいたり、やっぱりよい街はみんなでつくるものだなあと思うようになりました」(滝沢さん)

(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

まさかゴミの話から地域コミュニティの話まで行くとは、すごい展開です……。でも、ゴミの分別って分かりにくいですもんね。もちろん、行政からの告知も大事ですが、やはりご近所同士のなかで、聞ける・教えてもらえるのが一番であり、ゆるやかなコミュニティがあるほうが、人は住みやすいのではないでしょうか。

ただ、清掃の仕事をはじめたばかりのころは不燃ゴミのなかにアイスピックや包丁、かみそりが入っていて、怖い思いをしたこともあるそう。
「それに比べたら包丁や刃物をくるんで捨ててくれるなど、今はだいぶよくなりました。分別やゴミがひどいという話をしょっちゅうしているんですが、実は2000年以降、ゴミはゆるやかに減っていて、2001年度には5210万トンあったものが、直近では4272万トンにまで削減されました。分別も浸透し、若い世代は環境教育が浸透しているからだと思います」(滝沢さん)

環境省のゴミ総排出量のグラフの変化。こうして見ると、じわじわとゴミの排出量が減っているのが分かります(出典/環境省)

環境省のゴミ総排出量のグラフの変化。こうして見ると、じわじわとゴミの排出量が減っているのが分かります(出典/環境省)

今、気になるのは食品ロス。分別も家族全員で取り組むように

ゴミだけに限りませんが、小さなことだからいいや、1人くらいならいいやと軽く考えがちです。
「いやいや1人ひとりの積み重ねってすごいことですよ。可燃ゴミの中にビン・缶などの不燃ゴミが混ざっていると投入口の燃やす所が詰まってしまい、焼却炉の火を消して、詰まりを解消しなくちゃいけないんです。焼却炉の再点火にはなんと350万円もかかる。再点火の費用は、もちろん税金です! 小さな行動が大きく影響する例ですよね」といいます。今は一人ひとりの行動が街や地域を変えていくんだなと実感しているそうです。

2020年はコロナウィルス感染症、そしてレジ袋有料化と、ゴミ界隈にも大きな変化がありましたが、それ以上に今、滝沢さんが気になっているのが、「食品ロス」の問題です。

(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

「お米とか、魚、野菜……。ほんとにびっくりするほど、食べものが捨てられているんです! 食品ロスの46%は家庭からって言われているんですが、その実感はありますね。大型連休明けやお中元やお歳暮の時期に手つかずの食べ物を回収するのはやっぱりつらいです……。足りないから買おうではなく、冷蔵庫にあるものでつくる、賞味期限や消費期限をチェックするなど、まだまだ、家庭でできることはあると思うんです。ぜひ、みなさんには知ってほしいですね」と力説します。

そのため、滝沢さん自身も今では自宅の冷蔵庫を小まめにチェックするようになり、消費期限・賞味期限を確認し、手元にある食材で調理するというスタイルに変わったそう。
「家族はチームなので、冷蔵庫を誰かがチェックすればいいわけです。『今日は○○の料理をつくろう』ではなくて、小松菜とたまごからできるものを考えるほうがよいでしょう。食材がなくても、お味噌汁とごはんだって立派な献立です。あと、子どもって大人や親の姿をよく見ていて、マネをするんですよね。だから、大人が分別していれば、子どもは自然と真似するようになる。うちの子どももしっかり分別できように育ちました(笑)」

家庭ゴミは1回3~4袋を目安に!

「年末年始は、大掃除・片付けしたゴミなどがでると思いますが、家庭から出せるのは1回3~4袋が目安です。それ以上出すなら、有料になる地域もあるので注意してください。ゴミ収集車の回収できる量は決まっているんです! あと、ゴミ袋の口はしっかり縛ってくれるとうれしいです! なぜか、“オレ流”を貫いて閉じてくれない人がいるんですよ……。口を縛ってないと、そこら辺にゴミが散乱して大変なんですよ、ぜひしっかり縛って出してください!」と、ゴミのネタはつきない滝沢さん。

ゴミ問題は教科書のような内容になりがちですが、そこはプロの芸人のトークで「宅配ピザのダンボールは油を吸っているから燃えるゴミです」「ごま油の容器に串を入れて燃えるゴミに捨てている人がいた。あれはさすがだった!」「永久保存版のビデオが捨てられていた。永久保存じゃないんかいっ」と自然と盛り上がります。そして現在、引越しを検討している人は、やっぱりゴミ置き場をチェックしましょう。滝沢さんのアドバイスだと「ペットボトルの日」のゴミがよさそうです。ぜひ、役立ててくださいね!

『やっぱり、このゴミは収集できません ~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと』(滝沢秀一 著、白夜書房刊)●取材協力
滝沢 秀一さん
ゴミ清掃員、お笑い芸人
1976年、東京都生まれ。1998年に西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。「THE MANZAI」2012、14年認定漫才師。2012年、定収入を得るために、お笑い芸人の仕事を続けながらもゴミ収集会社に就職。ゴミ収集中の体験や気づきを発信したツイッターが人気を集め、話題を呼んでいる。
Twitter
『やっぱり、このゴミは収集できません ~ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと~』(滝沢秀一 著、白夜書房刊)

パリの暮らしとインテリア[8] 壁のカラーリングで狭くて暗い部屋が大変身! 建築家のアパルトマン

女性の建築家、カミーユ・エチヴァンさんは、パリによくある陽の光があまり入らないアパルトマンに住んでいます。部屋ごとに壁の色や壁紙を変えることで、見事に明るい印象のアパルトマンに変身させました。壁に手を加えることでここまで素敵になるというお手本のようなおうちです。連載【パリの暮らしとインテリア】
パリで暮らすフォトグラファーManabu Matsunagaが、フランスで出会った素敵な暮らしを送る人々のおうちにおじゃまして、こだわりの部屋やインテリアの写真と一緒に、その暮らしぶりや日常の工夫をご紹介します。人気が出ることを予想して20年前に20区に引越し

パリの住宅価格の高騰のため、今では「パリで家が買えるとしたらもうこのあたりしかない!」と注目度のとても高いカルチェ(地区)の19区と20区。カミーユさんのアパルトマンは20区の坂の多いメニールモンタン地区にあります。
パリ中心部へのアクセスはメトロで10分程度、それなのに20年前は、とても静かで、お店もそれほどありませんが、特に物価が安くて住みやすい地域でした。しかしカミーユさんは、きっとここは人気になるだろうと予想してアパルトマンを探し始めたそう。
近くには大きなベルヴィル公園があったり、あまり知られていないパヴィヨン・ボードインという18世紀の美しい石造りの邸宅もあり、散歩をしたり、くつろいだりすることができる場所がたくさんあるのも、この地区でアパルトマンを借りる決め手となったとか。
最初は友人と共同でアパルトマンを借り、今はカミーユさんと11歳と14歳の息子さん、雄の子猫“SUN”という家族構成で暮らしています。

年に3回描き変えられるパヴィヨン・ボードイン邸宅の壁のストリート・アート。壁の向こう側には、公園と、今はミュージアムになっている邸宅がある(写真撮影/Manabu Matsunaga)

年に3回描き変えられるパヴィヨン・ボードイン邸宅の壁のストリート・アート。壁の向こう側には、公園と、今はミュージアムになっている邸宅がある(写真撮影/Manabu Matsunaga)

20年前は静かだった通りも、色々なお店ができてにぎわっている。このパン屋&サロン・ド・テがカミーユさんのお気に入り(写真撮影/Manabu Matsunaga)

20年前は静かだった通りも、色々なお店ができてにぎわっている。このパン屋&サロン・ド・テがカミーユさんのお気に入り(写真撮影/Manabu Matsunaga)

壁紙で部屋を明るい印象に

「このあたりに住みたいと漠然と思っていた時、たまたま通りかかった建物の管理員が”アパート貸します”と、張り紙をしていたんです」とカミーユさん。そのころは子どももいなかったので、65平米で寝室2部屋、サロン、ダイニングのあるこのアパルトマンは、友人と2人で住むのにちょうどよかったそうです。
「契約者が2人で連名契約ができる、パリでも珍しい物件でした。何年か後に友達が出ることになったので、通常の1名契約に切り替えて住んでいます」
仕切りなどは入居当時のままで、自分と子どもたちだけになったことを機に大改装をしたそう。フランスでは、賃貸物件でも引越す時に元に戻せば自由に壁に色を塗ったり、壁紙を張ったりしてもいいというのもお国柄。パリではありがちな光のあまり入らないアパルトマンを、建築家の専門知識を活かして明るい雰囲気に仕上げました。

3人暮らしになった事を知人に知らせるポストカード。改装前の部屋の写真を見るとやはり暗いアパルトマンだったことが分かる(写真撮影/Camille Etivant)

3人暮らしになった事を知人に知らせるポストカード。改装前の部屋の写真を見るとやはり暗いアパルトマンだったことが分かる(写真撮影/Camille Etivant)

「この壁紙を貼っ他ことによって、部屋の雰囲気がガラッと変わりました」とカミーユさん。これによって部屋を変えていくアイディアがつぎつぎと浮かんできたそう(写真撮影/Manabu Matsunaga)

「この壁紙を張ったことによって、部屋の雰囲気がガラッと変わりました」とカミーユさん。これによって部屋を変えていくアイデアがつぎつぎと浮かんできたそう(写真撮影/Manabu Matsunaga)

まずはアパルトマンの部屋の中で一番目を引く植物柄の壁、「通路の壁で家具を置くことができなかったところを、植物の雰囲気のある“強い”パターンの壁紙を張りました」とのこと。

ペリカンのクチバシの黄色に合わせて、寝室の扉と壁の一部を黄色にしようと思いついたそう。これによって、ただの白壁だった空間が奥行きのあるものになり、アパルトマンの印象が大きく変わりました。

ハビタ(Habitat)で見つけた籐ランプ。アームチェアはイームズ。チェストの上には植物を欠かさない(写真撮影/Manabu Matsunaga)

ハビタ(Habitat)で見つけた籐ランプ。アームチェアはイームズ。チェストの上には植物を欠かさない(写真撮影/Manabu Matsunaga)

ブルーの壁のダイニングはペンキ選びにこだわった

「L字型のサロンには大きなテーブルが置けるスペースがあり、ダイニングとしてどうにか活用したかったのです」とカミーユさんは言います。もともと陽の光が入らない間取りだったけれど、この空間を心地よいものにしたかったそう。
そこで一面だけ壁をブルーに塗ることで空間にメリハリが出るのでは?と思いついたそう。自分でペンキを塗ったという壁は、フランスのペンキの高級ブランドRessourceのSarahLavoineという色を選びました。
フランスでは、ペンキの色だけではなくブランドにこだわる人が多いのです。
このブランドのブルーは、微妙な風合いの“強い”色。ブルーは冷たい印象になりがちだけれど、逆に温かみも持ち合わせているそう。それによって開放感も出て、明るいイメージになったようです。
ここに置いたテーブルで、食事をするだけではなく、子どもたちは勉強をしたり、時にはゲームをしたりするそうです。

「ブルーの壁で動植物の宇宙をつくりたかった」とカミーユさん。ドライフラワー、ゼブラの写真、サボテンなどの観葉植物で演出 (写真撮影/Manabu Matsunaga)

「ブルーの壁で動植物の宇宙をつくりたかった」とカミーユさん。ドライフラワー、ゼブラの写真、サボテンなどの観葉植物で演出 (写真撮影/Manabu Matsunaga)

ダイニングとサロン。左にあるチェストはバタフライ式で、机を広げるとカミーユさんの仕事場になるこだわりのミッドナイトブルーのペンキで自分で塗り替えた(写真撮影/Manabu Matsunaga) 濃紺なので黒に見えてしまいますが、これがミットナイトブルーのチェストです。

ダイニングとサロン。左にあるチェストはバタフライ式で、机を広げるとカミーユさんの仕事場になるこだわりのミッドナイトブルーのペンキで自分で塗り替えた(写真撮影/Manabu Matsunaga)
濃紺なので黒に見えてしまいますが、これがミットナイトブルーのチェストです。

家族が多くを過ごすサロンは飾るための部屋

「サロンはこの家で唯一白い壁にしています」とカミーユさん。サロンはくつろぐための部屋であると同時に、飾るための部屋でもあります。壁には絵が飾られ、チェストの上の壁には小さな鏡が数個吊るされています。
カミーユさんはソファからダイニングのブルーの壁を眺めるのが好きなのだとか。ダイニングでも家族は集うけれど、サロンで過ごす時間が一番多く、子どもたちも自分の部屋にいるよりも大好きだそう。
「このサロンで自分の好きなものに囲まれながらくつろいでいると幸せを感じます」と言います。
このサロンも陽の光があまり入らないので、窓際には大きな鏡を置き、光を部屋の中に取り込む工夫をしています。

ソファとローテーブルをグレーで統一。通路の壁紙がインパクトあるので家具は抑えめの色をチョイス(写真撮影/Manabu Matsunaga)

ソファとローテーブルをグレーで統一。通路の壁紙がインパクトあるので家具は抑えめの色をチョイス(写真撮影/Manabu Matsunaga)

60年代につくられた本棚は、無垢材に丁寧にニスが塗られた良いものをeBay(個人間売買サイト)で購入。 彼女の祖母が使っていたアームチェアをフランスの生地メーカー『ピエール・フレイ』の生地で再装飾(写真撮影/Manabu Matsunaga)

60年代につくられた本棚は、無垢材に丁寧にニスが塗られた良いものをeBay(個人間売買サイト)で購入。
彼女の祖母が使っていたアームチェアをフランスの生地メーカー『ピエール・フレイ』の生地で再装飾(写真撮影/Manabu Matsunaga)

祖母からゆずり受けた鏡はleboncoin(個人売買サイト)で購入したレコード入れの棚の上に(写真撮影/Manabu Matsunaga)

祖母からゆずり受けた鏡はleboncoin(個人売買サイト)で購入したレコード入れの棚の上に(写真撮影/Manabu Matsunaga)

小さい棚も取り付けた。左から、インドの旅で見つけた写真、昔の写真機に使われていた鏡、50年代のビーチの写真、サイン入りのイタリア人作家のリトグラフ、パリの小さいギャラリーで出会った写真。ここでも鏡が効果的に飾られている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

小さい棚も取り付けた。左から、インドの旅で見つけた写真、昔の写真機に使われていた鏡、50年代のビーチの写真、サイン入りのイタリア人作家のリトグラフ、パリの小さいギャラリーで出会った写真。ここでも鏡が効果的に飾られている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

フランス人デコレーターのピエール・グアリッシュのキャビネットの上には、3つの鏡のほかにフランス人デザイナーのイオナ・ヴォートリンによるゴールドのランプや、デンマークの家具ブランド「フリッツ・ハンセン」の「IKEBANA JAIMEHAYON(花瓶)」が飾られている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

フランス人デコレーターのピエール・グアリッシュのキャビネットの上には、3つの鏡のほかにフランス人デザイナーのイオナ・ヴォートリンによるゴールドのランプや、デンマークの家具ブランド「フリッツ・ハンセン」の「IKEBANA JAIMEHAYON(花瓶)」が飾られている(写真撮影/Manabu Matsunaga)

子ども部屋と寝室は壁を2色に塗り分けることで、広々とした印象に

子ども部屋にも彼女の職業の知識がふんだんに活かされています。天井が3mくらいと高かったので、メザニン(中二階)をつくって息子たちのベットを配置しました。以前はとても狭かった床が広々としたそう。
「自分で設計して、できるだけお金もかけないようにしたから、木の素材はむきだしのまま。そのかわり、壁はペンキにこだわって自分たちで塗りました」
下の方は明るいブルーに、メザニンの高さより上と天井は白にすることによって、さらに広々と明るい空間を演出しました。

メザニンのベッドは「秘密基地みたいでうれしい」と二人。それぞれのベッドの間は薄い板で仕切られているのでプライバシーを保つことができる(写真撮影/Manabu Matsunaga)

メザニンのベッドは「秘密基地みたいでうれしい」と二人。それぞれのベッドの間は薄い板で仕切られているのでプライバシーを保つことができる(写真撮影/Manabu Matsunaga)

シングルベッドを2台置くと狭いけれど、メザニンをつくってからは子ども部屋が広く使えるようになり、子どもたちも満足している(写真撮影/Manabu Matsunaga)

シングルベッドを2台置くと狭いけれど、メザニンをつくってからは子ども部屋が広く使えるようになり、子どもたちも満足している(写真撮影/Manabu Matsunaga)

「私の寝室は白と薄いグレーのツートーンにして落ち着いた雰囲気に仕上げました。壁の2色とカーテンの薄い紫のグラデーションが好きです。季節によってベッドカバーを変えると、部屋の印象が変わるんです」
家具は中古品を個人で売買するwebショップのleboncoin(個人売買サイト)やブロカント市(アンティークまで古くない物を売る露天市)で購入。新しい物よりも古い物の方が味があって、人と違った空間をつくることができるから好きなのだそう。

サロンから見た寝室「この全ての色のバランスが私にとってパーフェクトなんです」と語る(写真撮影/Manabu Matsunaga)

サロンから見た寝室「この全ての色のバランスが私にとってパーフェクトなんです」と語る(写真撮影/Manabu Matsunaga)

寝室の窓際に置くことによって光が拡散して明るくなる。鏡は古い洋服ダンスから鏡だけを外したもの(写真撮影/Manabu Matsunaga)

寝室の窓際に置くことによって光が拡散して明るくなる。鏡は古い洋服ダンスから鏡だけを外したもの(写真撮影/Manabu Matsunaga)

サロンに置いてあるバタフライ式の仕事机と同じミッドナイトブルーのペンキを塗ったチェスト。鏡の近くにランプを置くことによって光が広がる(写真撮影/Manabu Matsunaga)

サロンに置いてあるバタフライ式の仕事机と同じミッドナイトブルーのペンキを塗ったチェスト。鏡の近くにランプを置くことによって光が広がる(写真撮影/Manabu Matsunaga)

「このアパルトマンにバルコニーがついていたらパーフェクトなんですけどね。でも、このカルチェ(地区)から離れたくないという気持ちの方が今は上です」とカミーユさん。20年間でこの地区が変わっていくのを目の当たりにして、よりいっそう愛着が湧いたと語ります。

カミーユさんのアパルトマンは壁の色使いや、鏡の効果が最大限に活かされていました。部屋に入ったときに暗いとは感じず、むしろ生き生きとした空間が広がっていました。そして、建築家の知恵が散りばめられた一つの作品のようにも思えたのです。
今ではないけれど、引越すとしたら陽の光がたくさん入るアパルトマンを選びたいとのこと。このカルチェを始め、パリが大好きなので田舎や郊外で住むことはないと話していました。
外出制限が続くパリ。だれもが太陽の光を求めています。

(文/松永麻衣子)