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リクルート住まいカンパニーが「移住」「二拠点居住」に焦点を当てて、その大票田となる東京都在住者に対して、どのエリアに拠点を持ちたいかを聞いた。票を集めたエリアをランキングした結果、意外に近いエリアがトップになった。詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「東京都民が移住・二拠点居住したいエリアランキング調査」を公表/リクルート住まいカンパニー【東京都】八王子・奥多摩エリア と【神奈川県】鎌倉・三浦エリアが2トップ
東京一極集中が指摘されるなか、新型コロナウイルスの影響で東京都からの転出超過が続いている。また、働き方の変革が急速に進み、テレワークを導入する企業が増えたことで、地方への「移住」や都心と地方の二地域に拠点を持って行き来する「二拠点居住」がしやすくなり、いま注目が集まっている。
リクルート住まいカンパニーの調査では、東京駅から50km以上離れたエリアを「地方」と定義して、東京都在住の20代~60代に居住したいエリアを聞き、希望する順位に応じた得点を算出して、ランキングした。その結果は次のようになった。
「移住したい」「二拠点居住したい」エリアランキング 上位10(出典:リクルート住まいカンパニー「東京都民が移住・二拠点居住したいエリアランキング調査」より転載)
「移住したい」「二拠点居住したい」ランキングでは、順位は異なるが、「【東京都】八王子・奥多摩エリア」 と「【神奈川県】鎌倉・三浦エリア」が1位と2位になった。いずれも首都圏のエリアだ。
3位以降は顔ぶれが少し変わり、「移住したい」ランキングでは、3位「【北海道】石狩エリア」、4位「【沖縄県】離島・諸島エリア」 、5位「【福岡県】福岡エリア」といずれも東京から離れたエリアとなった。
一方、「二拠点居住したい」ランキングでは、3位「【神奈川県】湘南エリア」、4位「【静岡県】伊豆エリア」と東京から行き来しやすい距離のエリアが続き 、5位の「【沖縄県】那覇エリア」以降に遠方のエリアが入る結果となった。移住と違って、二拠点居住のほうが東京と行き来する頻度が多くなるからだろう。
さて、移住支援などを行っている「ふるさと回帰支援センター」への窓口相談者が選んだ移住希望地ランキング(2021年3月5日公表)では、「1位:静岡県 2位:山梨県 3位:長野県」となっている。調査対象者が同センターを訪れて相談をした人なので、積極的に情報提供や窓口相談を行っている自治体が上位に挙がる傾向がある。
そのため、リクルート住まいカンパニーの調査と結果に違いはあるが、リクルート住まいカンパニーの調査でも、静岡県の伊豆エリアの人気が高いことに加え、「移住したい」ランキングで18位~20位は長野県のエリアが占め、「二拠点居住したい」ランキングで7位と18位に長野県と山梨県のエリアが入るなど、その人気ぶりがうかがえる。
都民に身近な八王子・奥多摩エリアが人気なのはなぜ?さて、筆者は東京生まれ・東京育ちのバリバリの東京都民だ。「都民の日」の10月1日は全国どこでも学校が休みだと思っていて、大学に入学して休みじゃないことに驚いたほどだ(小中高が公立だったので休みなだけだった)。そんな筆者にとって「八王子・奥多摩エリア」は、通勤圏の範囲でもあり、遠足やキャンプに行く場所でもある。そんな身近な場所が、移住や二拠点居住の場所として上位になるのはなぜか、筆者は疑問に思った。
この疑問をSUUMO副編集長の笠松美香さんにぶつけたところ、その謎が解明された。
SUUMOでは、2019年のトレンド予測キーワードとして「デュアラー=デュアルライフ(二拠点生活)を楽しむ人」を挙げた。この際の調査で、全国を対象に二拠点居住したい場所を選んでもらったところ、おおむね6割~7割が自分の住む都道府県を挙げた。この結果を笠松さんは、「近くて愛着があり、イメージしやすい場所に二拠点目を持って行き来したいというニーズが強いのではないか」と分析したという。
また、今回の調査では、「地方移住または二拠点居住を検討している・強い関心がある」層と「関心あり」層が対象になるように調査対象者を絞っているため、なんとなくというより、具体的に移住先や二拠点目を考えてエリアを選択した人が多いという背景もある。
その結果、住むイメージがつきやすいエリア、家族が住んでいたりレジャーなどで何度も行ったりしたエリアが上位に挙がったというのだ。「八王子・奥多摩エリア」や「鎌倉・三浦エリア」、「湘南エリア」、「伊豆エリア」はまさにそうしたエリアなのだろう。
ほかにも、遠方でありながら、札幌を擁する「【北海道】 石狩エリア」や「【福岡県】 福岡エリア」などの地方の大都市や、「【沖縄県】 離島・諸島エリア」などの人気リゾートエリアが上位に入るのも理解できる結果だ。
レーダーチャートで分かる、エリアが人気な理由さて、調査では地図を示すなどして具体的な自治体名を挙げているが、「八王子・多摩エリア」に含まれるのは「八王子市、青梅市、あきる野市、日の出町、奥多摩町、檜原村」だ。またリリースでは上位エリアのレーダーチャートを紹介している。これを見ると、そのエリアがどう見られたかがよく分かる。
「八王子・多摩エリア」では、車の移動がしやすく、住居費が安いこと、子育て環境が良いことが高く評価されている。高尾山や秋川渓谷、奥多摩湖などの豊かな自然が評価を上げる要因のようだ。都心部に行きやすい点も安心材料になっているのではないか。
【東京都】八王子・奥多摩エリア(八王子市、青梅市、あきる野市、日の出町、奥多摩町、檜原村)(出典:リクルート住まいカンパニー「東京都民が移住・二拠点居住したいエリアランキング調査」より転載)
一方、古都鎌倉や海のイメージが強い「鎌倉・三浦エリア」のレーダーチャートを見ると、「エリア内に賑わいがある街がある」点が特出して高い。エリアのイメージの良さや街に個性があることが人気を集めた要因だ。
【神奈川県】鎌倉・三浦エリア(鎌倉市、逗子市、横須賀市、三浦市、葉山町)(出典:リクルート住まいカンパニー「東京都民が移住・二拠点居住したいエリアランキング調査」より転載)
さらに、「【沖縄県】 離島・諸島エリア」では、自然の豊かさが高く評価され、「【北海道】 石狩エリア(札幌市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村)」では、医療施設の充実と食べ物がおいしいことなどが、「【静岡県】 伊豆エリア」では、気候の穏やかさやエリアの発展性などが、それぞれ高く評価されている。
60代の1位は「【静岡県】伊豆エリア」。リタイア後にはリゾート地が人気次に、回答者の年代による違いを見ていこう。
20代、30代、40代、50代が「移住・二拠点居住したいエリアランキング」で1位と2位に「【東京都】八王子・奥多摩エリア」 と「【神奈川県】鎌倉・三浦エリア」を挙げたのに対して、60代では「【静岡県】伊豆エリア」、2位「【神奈川県】鎌倉・三浦エリア」、3位「【神奈川県】箱根・足柄エリア」と、静岡県・神奈川県のリゾート・温泉地が上位を占めた。リタイア後の生活を想定して選んだ場合、八王子・奥多摩ほど近くなくていいが、東京近郊でリラックスできる場所を選んだということだろう。
さて、笠松副編集長は、移住・二拠点居住の「子育て環境が良いから」ランキングにも注目していた。1位「【栃木県】宇都宮エリア」、2位「【香川県】高松エリア」など、適度に都市圏で生活と教育環境のバランスが取れている街が上位になったと言う。テレワークの普及で親たちの働く場所の自由度は広がったが、次は子どもの学ぶ場所の自由度が広がることを期待したい。
2021年3月、リクルート住まいカンパニーより「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」が発表された。関西圏(大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県)に居住している人を対象に、「今後、住んでみたい街(駅)」を調査する毎年恒例のこのランキングは、今回で12回目に。その結果も気になるが、上位になった人気の街の物件はいくらくらいなのかも知りたいところ。そこで、それぞれの街の中古マンションの価格相場も調べてみた。住みたい街ランキングの結果および、各街の価格相場を一挙にご紹介する。●「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」TOP30の駅の中古マンション価格相場
順位 駅名 価格相場(沿線/駅所在地)
1位 西宮北口 4585万円(阪急神戸線/兵庫県西宮市)
2位 梅田 5090万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市北区)
3位 神戸三宮 3880万円(阪急神戸線/兵庫県神戸市中央区)
4位 なんば 4330万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市中央区)
5位 天王寺 4380万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市天王寺区)
6位 夙川 3880万円(阪急神戸線/兵庫県西宮市)
7位 千里中央 3965万円(北大阪急行電鉄/大阪府豊中市)
8位 岡本 3185万円(阪急神戸線/兵庫県神戸市東灘区)
9位 京都 3980万円(JR東海道本線/京都府京都市下京区)
10位 江坂 3380万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府吹田市)
11位 草津 3480万円 JR東海道本線/滋賀県草津市)
12位 宝塚 2980万円 阪急宝塚線/兵庫県宝塚市)
13位 芦屋川 3580万円(阪急神戸線/兵庫県芦屋市)
14位 大阪 5830万円(JR大阪環状線/大阪府大阪市北区)
15位 京都河原町 5130万円(阪急京都線/京都府京都市下京区)
16位 桂 ※(阪急京都線/京都府京都市西京区)
17位 嵐山 ※(阪急嵐山線/京都府京都市右京区)
18位 御影 3880万円(阪急神戸線/兵庫県神戸市東灘区)
19位 新大阪 3280万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市淀川区)
20位 高槻 4780万円(JR東海道本線/大阪府高槻市)
21位 神戸 3130万円(JR東海道本線/兵庫県神戸市中央区)
22位 本町 5295万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市中央区)
23位 高槻市 4540万円(阪急京都線/大阪府高槻市)
24位 烏丸御池 5780万円(京都市営地下鉄烏丸線/京都府京都市中京区)
25位 烏丸 5340万円(阪急京都線/京都府京都市下京区)
26位 姫路 2639万円(JR山陽本線/兵庫県姫路市)
27位 明石 2880万円(JR山陽本線/兵庫県明石市)
28位 南草津 2939万円(JR東海道本線/滋賀県草津市)
29位 心斎橋 4980万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪府大阪市中央区)
30位 豊中 2480万円(阪急宝塚線/大阪府豊中市)
30位 西宮 3698万円(JR東海道本線/兵庫県西宮市)
※桂駅(16位)と嵐山駅(17位)は中古マンション価格相場の調査条件(下記)を満たさなかったため価格相場算出せず
※複数路線が乗り入れている駅は、「住みたい街ランキング」回答時に選択された路線のうち最も多い得点を獲得した路線名を表示
今回調べたのは、「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」のトップ30の駅それぞれから徒歩15分圏内にある、専有面積50平米以上~80平米未満の中古マンションの価格相場。人気の街の価格相場はいかほどなのか、さっそく見ていきたい。
西宮北口駅周辺の風景(写真/PIXTA)
「住みたい街」トップ4は4年連続で同じ顔ぶれという結果になっている。なかでも1位に輝いた阪急神戸線・西宮北口駅は、2013年より連続で1位という不動の人気ぶり! 中古マンションの価格相場は4585万円とトップ30の中でも高めで、手が届きやすいわけではない様子。それでも支持される理由はどこにあるのだろう。西宮北口駅は大阪の中心地である梅田(阪急電鉄・大阪梅田駅)まで約15分、神戸の中心地である神戸三宮駅まで特急で約14分、という好立地。家族で大阪方面と神戸方面に分かれて通っている人や、関西圏内で広く転勤の可能性がある人にとっても好都合だ。しかも駅周辺自体も栄えており、西日本屈指の規模を誇るショッピングモール「阪急西宮ガーデンズ」をはじめ「アクタ西宮」「プレラにしのみや」など、大型の商業施設や、商業施設とマンション、公共施設の複合ビル、さらには「兵庫県立芸術文化センター」などの文化施設などが集結している。
梅田駅(写真/PIXTA)
2位は大阪メトロ御堂筋線・梅田駅。大阪を代表する駅だけあり、中古マンションの価格相場は1位・西宮北口駅よりもさらに高い5090万円だった。梅田駅のすぐ近くにはJR大阪駅や、阪神電鉄と阪急電鉄の大阪梅田駅、大阪メトロの谷町線・東梅田駅と四つ橋線・西梅田駅、さらにJR東西線・北新地駅もあり、さまざまな方面にアクセスしやすい環境だ。駅周辺には大型の商業施設やオフィスビルが林立し、働く街としても遊んだりショッピングしたりする街としても人気が高い。かねてからの再開発に加え、「阪神百貨店梅田本店」の建て替えプロジェクトも着々と進行中で、今年の秋には百貨店ゾーンがグランドオープン予定。オフィスゾーンを含む「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」としての全面開業は2022年春を予定しており、「梅田圏」はますます拡大中。今後も梅田の注目度は高まっていきそう。
三宮の街並み(写真/PIXTA)
3位は阪急神戸線・神戸三宮駅で、価格相場は1位や2位と比べるとややリーズナブルに思える3880万円。神戸高速線と阪神本線の「神戸三宮駅」もあるほか、駅名が微妙に異なるものの神戸市営地下鉄西神・山手線とポートアイランド線の「三宮駅」と、JR東海道本線の「三ノ宮駅」、神戸市営地下鉄海岸線の「三宮・花時計前駅」もほぼ同じ場所にあり、神戸の鉄道網の要と言える街だ。駅周辺は多彩な商業施設が建ち並ぶ都市の様相を見せつつ、駅南側には神戸港、駅北側には山並みを背にした北野異人館街が広がり、海や山も身近に感じられる点も魅力だろう。また、今年4月には神戸三宮駅に直結する「神戸三宮阪急ビル」が開業予定。地上29階建ての同ビル内にはホテルやオフィス、商業施設「EKIZO神戸三宮」がオープンするそうで、ますます多くの人でにぎわう駅となるだろう。
なんば駅前(写真/PIXTA)
続いて4年連続で4位となった、大阪メトロ御堂筋線・なんば駅も見てみよう。価格相場は1位・西宮北口駅よりやや低い4330万円。大阪メトロの御堂筋線のほかに四つ橋線と千日前線、南海電鉄の南海本線と高野線が通り、さらに近鉄難波線と阪神なんば線の「大阪難波駅」、JR関西本線の「難波駅」も近隣しており、1位~3位の駅と同様に交通の便がよい環境。駅周辺には「ミナミ」と呼ばれる大阪でも屈指の繁華街が広がっており、観光客にもよく利用される駅の一つ。華やかな商業施設ばかりではなくマンションも数多く建ち並び、日常使いされるスーパーやコンビニ、大衆食堂も。活気ある繁華街であると同時に、暮らす街としても親しまれている。
「住みたい街」として人気が高いほど価格相場が高いとは限らない「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」は、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県に位置する駅から住みたい街(駅)を選択してもらっている。しかし1位~4位をはじめ、トップ30にランクインしたのは兵庫県、大阪府、京都府の駅がほとんどだった。そうしたなかで滋賀県の駅も2駅ランクインを果たした。それは11位・草津駅と28位・南草津駅。両駅はJR東海道本線の隣り合う駅で、直線距離だと2.5kmほどしか離れていない。ではこの草津駅とは、どんな街なのだろう。
草津駅前(写真/PIXTA)
草津駅を含む区間のJR東海道本線は「琵琶湖線」の愛称でも呼ばれており、草津駅の約4km西側には琵琶湖が広がっている。駅東口側には「近鉄百貨店」や、飲食店街やスーパーも備えたショッピングモール「Lty932・ガーデンシティー草津」があり、南草津駅へ向かう中間地点には市役所も。草津駅の西口側にも大型ショッピングセンター「エイスクエア」があるなど、草津市の中心地と言える活気ある街並みだ。JR東海道本線の新快速に乗れば京都駅までは約22分で行くことが可能。大津市や草津市など滋賀県内で働く人に加え、京都、大阪に通勤する人にとっても住む街として支持されている。
さて今回記載したランキングは「住みたい街」の人気順であり、いつもの中古マンションの価格相場の安い順ではない。ではトップ30の駅のうち、価格相場が最も低い駅はどこかを見てみよう。それは30位にランクインした、阪急宝塚線・豊中駅で価格相場は2480万円。先述したトップ4の駅とは違って同駅を通る路線は1本のみで、この点が価格相場の低さにつながっているとも考えられる。交通の便で言えば複数路線を利用できる駅にかなわないかもしれないが、駅に直結して飲食店や服飾・雑貨店、スーパーなどを備えた複合施設「エトレ豊中」があるなど、暮らしやすそうな街並み。また、駅の約2km西側には大阪国際空港(伊丹空港)があり、飛行機を利用しやすい環境でもある。
豊中駅前(写真/PIXTA)
一方で最も価格相場が高かったのは、14位にランクインしたJR大阪環状線・大阪駅で5830万円。1位の梅田駅とほぼ同じ立地ながら、大阪駅を中心にした徒歩15分圏内の価格相場で比較すると梅田駅よりも740万円価格は高くなった。物件の駅からの徒歩分数を算出する方法は、駅のどこかの出口から80mで1分。梅田駅、大阪駅それぞれに出口はたくさんあり、徒歩15分圏内と言える範囲も異なっているため両者に差が出たようだ。とはいえ、梅田駅も大阪駅も同じ「梅田圏」、どちらの駅も利用可能な駅として表示している物件がほとんどなので、この広い圏内で見たときに、存在している物件の広さや価格にも幅があるということだろう。つまり梅田駅~大阪駅周辺の中古マンションは、幅広い選択肢があるので、物件を探す際は築年数や、立地条件など一つ一つ丁寧に見比べよう。
今回「住みたい街」の価格相場を調べてみたところ、必ずしも人気上位の街(駅)ほど価格相場が高いわけではないことが分かる。例えば「住みたい街」8位の阪急神戸線・岡本駅は、1位の西宮北口よりは神戸方面寄り、神戸三宮よりは手前の東灘区にあり、閑静な住宅街として人気だ。上位にランクインしている商業地域を多く含む街に比べ、住宅として選ばれる分、価格は控えめ。今回紹介したトップ30のうち8番目に低く、人気の高さの割にはリーズナブルに感じられるだろう。「人気の街だからきっと物件も高いだろう……」と決めつけず、気になる街があるなら一度はどんな物件があるのか、価格帯はどれほどなのかを調べてみたほうがよさそうだ。
●調査概要「春から我が子が新入学」という人は、今、悩んでいるのではないだろうか。コロナ禍でおうち時間が長くなる中、子どもの生活リズムが変わり、勉強が始まり、持ち物が増える……。家庭内で気になるのは、学習環境をどう整えるべきか?ということ。そこで今回、「一生モノの学び体質を作る戦略的メソッド」である「かおりメソッド」を展開する岩田かおりさんにお話を聞いた。
子どもたちも期待と不安でいっぱい。親はゆったりと構えて
コロナ禍での新入学。気をつけるべき例年との違いは?
「保護者や先生といった大人が、新型コロナウイルスに関して過剰に反応することが、子どもの心的負担に影響するように感じます。これらは学校への行き渋りや不登校につながりかねません。ただでさえ、コロナ禍での子どもたちは『初めまして』でマスクをしているという状態。口元が隠れて表情が分かりづらく、意思疎通がしにくいのです。また本来であれば、1年生の担任の先生はハグなどのスキンシップをして、コミュニケーションをとってくれることが多いもの。コロナ禍でそれがなくなったことも、まだ幼い1年生にとってはストレスなのでは。昨年1年生になった受講生のお子さんでも、『学校が怖い』と言って行き渋りをした子がいました」(岩田かおりさん・以下同)
昨春はすでにコロナ禍で、入学式の後、初登校が6月ごろだった小学校も多い。低学年ではうまく言語化できないものの、不安な気持ちが積み重なり、スタートがうまく行かないケースが見られたそう。
「対応としては、親が過剰に反応しすぎないことです。親が不安な様子を見せると、子どもも不安を感じてしまうもの。コロナ禍での新入学という現状を大げさに捉えすぎず、子どもから違和感を感じ取ったときにだけ、寄り添うために動きましょう」
岩田かおりさん 株式会社ママプロジェクトJapan代表取締役 子ども教育アドバイザー 1男2女の母。幼児教室勤務を経て、「子どもを勉強好きに育てたい」との思いから独自の教育法を開発。ガミガミ言わず勉強好きで知的な子どもを育てる作戦「かおりメソッド」を全国へ展開中(画像提供/かおりメソッド)
まずは学習場所の確保を。低学年にはリビング学習がおすすめ子どもが小学校に入学すると、生活にどのような変化があるのだろう。
「まず、子どもと過ごす時間の長さが変わります。幼稚園児だったのであれば、小学生になると学校で過ごす時間の方が長くなり、保育園児だったのであれば、園時代より早く帰宅するようになります」
小学校に入学すると勉強が始まり、宿題もある。そこで大切なのは学習場所の確保だ。
「1年生は、まだまだ1人で勉強することが難しいので、リビング学習が中心になると思います。持ち物は格段に増え、ランドセルや教科書、ノートのほかに、使うとその都度持ち帰る絵の具セットなどもあります」
子ども用に個室があれば別だが、個室がない完全なリビング学習派にとって困るのが、増えた物の置き場所だ。
「リビング学習派の受講生におすすめしているのが、子ども用にキッチンワゴンを1つ用意して、持ち物をまとめる方法です。ホームセンターなどで販売されているキッチンワゴンに、ここは宿題、ここは習字道具を置くなどと決めさせます。本人がやる気になったら、宿題に取り掛かることができるよう、取り出しやすくしておくことが大事なのです。宿題が終わったら片付けて、自分でワゴンを定位置に移動させます」
子どもが好きな色のキッチンワゴンを選べば、やる気もアップしそう。リビング学習派は、リビングやテーブルに子どものモノが置きっぱなしになりやすいが、その問題も解決してくれる。
3人の子を持つ母である岩田さん宅も、モノが多くなりがちだという。成長した上の子たちは学習机を使わなくなったといい、各自がリビングをはじめ好きなところで学習し、勉強用具は使用後自室に持ち帰る。「子どもたちがリビングに持ち込んでいいモノは、その場でよく使う“一軍”のアイテムだけと決めています」とのことだ。
親も子もストレスなく、おうち時間を過ごすためにコロナ禍で外出の機会が減少し、親も子も家の中で過ごす時間が長くなった。
「今はステイホームがスタンダード。だからこそ、家の中で快適に過ごそうと考えるご家庭はとても増えました。受講生も、室内のレイアウトを変えたり、おうち時間のためにカードゲームやボードゲームを購入したりといったご家庭が多いですね。保護者の在宅勤務も増えたので、スケジュールボードに『この時間、お母さんは仕事中』などと書き入れ、子どもが大声を出していい時間とそうでない時間を“見える化”したという工夫も聞きました」
また、子どもが小学生になると、子どもの友達が自宅に遊びにきて、にぎやかに過ごすということがある。筆者にも経験があるが、我が子のためには無下に断りたくはないものの、オンライン会議をはじめ在宅勤務を思うと悩ましい。
「親は住まいの中に自分の仕事スペースを確保しましょう。その上で、仕事がある時間はこちらの都合に合わせてもらうといいですね。子どもたちに『3時までは公園や児童館で遊んでね。帰ってきたらおやつにしましょう』などと提案を」
おうち時間が増えると、子どもがゲームやインターネットに触れる時間が増えることも心配のタネだ。
「自室があってもデバイスを持ち込ませないことです。時間を区切るためにも、使うのはリビングなど親の目が届く場所で。これはオンライン学習でも同様です。勉強が終わった後のパソコンやタブレットでネットサーフィンをしてしまう子も多いので、時間が来たら、電源を切って片付けることを習慣にしましょう」
「住環境や家族構成は人それぞれです。ある程度の枠組みを整えたら、ぜひ“我が家流”をつくってみてください」と岩田さん
枠組みづくりの導入におすすめなのは、「モノの住所を決めること」だそう。
「文房具ならここ、ハサミはここ、学校からのお便りはここ……とモノを収納する場所を決めて、それぞれラベリングを。文房具などが、すぐ手が届く場所に分かりやすく配置されていると、勉強へのハードルが下がるものです」
家庭用のラベルプリンターなどを使えば、手軽にラベルづくりができる。子どもと一緒にラベリングするとさらに効果的だ。
「学習環境にはこれが正解という答えがありません。私は“ノマド派”を推奨しています。今日は自室で勉強をしよう、今日は階段で座って本を読もう……など、家の中であれば、どこで学習してもOK。『必ずここに座って勉強しなさい』『終わったら見せに来て』などと締め付けると、子どもはヤル気を失ってしまいます。我が家ではその子の気分によって、フリースタイルで学習していいことにしています」
子どもの学習机を買うべきかどうかも悩むところ。
「置くスペースがあればいいのですが、余裕がない方もいると思います。我が家も上の子たちが小2と小4の時に学習机を買いましたが、二人が高校生になった今では使っていません。今は、安価で小さいテーブルも売られているので、子どもの学習意欲が上がるのなら、期間限定で楽しんでもいいと思います」
また、子どもが主体的に学習に取り組むよう、受講生には「家の中に仕掛けを」と伝えているとか。
「例えば壁に日本地図を貼って、親が興味を持たせるような会話やアプローチをしてみるなど、勉強は楽しいものだと思わせましょう。特に小学校低学年であれば、学習に遊び感覚を取り入れると効果的です」
新入学前、先輩ママのレイアウト変更例ここで、受講生が実践した、住まいのレイアウト変更例をご紹介しよう。
・Kさん 小学2年男子の母
「学習用品を収納するスペースが欲しい」と考えていたことから、小学校入学後1カ月で新しい生活スタイルを把握し、5月に子どもスペースのリフォームを実施。家具職人によるオーダーメイドで、壁面2面に収納をつくった。「元から本好きでしたが、大きな本棚をつくったことでますます読書に夢中に。また、自分で身支度するのが得意になりました」
Kさん宅のビフォア・アフター。側面の白い収納を開けると、学習用のポスターなどが貼ってあるが、閉めるとスッキリ(写真提供/Kさん)
・Mさん 大学1年男子、高校2年女子、小学6年男子、小学1年女子の母
二女の小学校入学にあたり、学習スペースをつくることに。リビングにあるMさんの仕事スペースのすぐ隣に、切り離した絵本棚の上部分を設置。棚にラベリングし“モノの住所”をつくった。「ちょうど住み替えのタイミングでもあったので、先生のアドバイスで、同じ学区中で、より人通りが多い場所へ引越しました。そのおかげで友達が訪ねて来てくれ、1年生を楽しくスタートすることができました」
食卓のすぐ側の仕事場兼学習スペースで、Mさんと二女が机を並べる。飽きないよう学習ポスターは随時貼り替える(写真提供/Mさん)
・Tさん
小学2年女子、幼稚園年中女子の母
1SLDKの間取りで収納スペースが少なく、カラーボックスを並べるなどして対応していたが、この年末年始に模様替え。夫の部屋にあった本棚をリビング移動させ、長女用に。辞書などが見たいときに、すぐに手が届くようにした。「自分でしまう場所ができたことで、より主体的に学びやすい環境に。長女がリビング学習していると、二女も自然と並ぶので、良い相乗効果が生まれています」
教材などを貼ってリビング学習(写真提供/Tさん)
トランポリンと鉄棒はステイホーム期間に購入した(写真提供/Tさん)
親のサポートで、子どもに柔軟性と成功体験を岩田さんの上の子たちの現在の学習スペースは、リビングや図書館、カフェなどだそう。
「塾に行くのであれば塾の学習室も利用できます。逆に『静かな自分の部屋でないと勉強に集中できない』というのでは困ってしまいますよね。主体的に自分をマネジメントして取り組むのが勉強です。『ここではやりにくい』と感じるのであれば、場所を変えて勉強する柔軟性も必要です」
子どもの柔軟性を育むためには、親が柔軟に考えることが大切だという。
「住まい方は、ライフスタイルや家族の成長に合わせて変えていけばいいと思います。学習机を買って失敗だったのなら、近所の人に声を掛けたり、フリマアプリなどを活用したりして誰かにお譲りしては」
「子育ては、常に更新を」と岩田さんは力を込める。
「年に一度は住まいのレイアウトを見直してみてください。昨今はコロナ禍で状況に変化があったので、より見直しのタイミングだといえるかもしれません。例えば小学生のころは、手が届きやすい低めの位置に持ち物を配置するといいのですが、中高生では使いづらいこともあります」
「子どもが小さい時にこそ、住まいについて一緒に考えてみてください。自分で『ここに置く』と決めたレイアウトがうまく機能すれば、成功体験になります。親のサポートのもと、子どもがやりたいことを実現していく過程が、主体的に学ぶ子を育てることにつながります」
春から小学5年になる筆者の娘に、新入学の時に心配だったことを聞くと、「友達ができるかどうかと、先生が優しい人かどうかが気になった」とのこと。
実際に小学校が始まってから困ったことは、「宿題を家に置き忘れたり、時間割を間違えたり、プリントをなくしたこと」……。学習スペースや収納について、親が深く考えていなかったからだと反省した。
そんな娘は小学校が大好き。いよいよ高学年という成長を感じながら、一緒に学習スペースをアップデートしようと思った。
●取材協力先日発表された「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」で総合2位に輝いた人気の街・梅田。支持される理由は「生活に便利」「遊ぶ場所がある」などさまざま考えられるが、「職場へのアクセスがいいから」という理由を挙げる人もいるはず。しかし近ごろはテレワーク化が一気に世間へ浸透し、職場までの所要時間をあまり気にする必要がなくなった人も増加中。例えばこれまでは梅田駅周辺で住まい探しをしていたとしても、通勤の機会が減るならもう少し梅田から離れた、物件相場が安いエリアに住む選択肢も出てくるわけだ。そこで今回は梅田駅まで「60分圏内」にある、中古マンションの価格相場が安い駅を調査した。●梅田駅まで60分以内の価格相場が安い駅TOP10
順位/駅名/価格相場(沿線/駅所在地/梅田駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 丸山 640万円(神戸電鉄有馬線/兵庫県神戸市長田区/51分/2回)
2位 和泉大宮 1065万円(南海本線/大阪府岸和田市/45分/2回)
3位 九条 1098万円(近鉄橿原線/奈良県大和郡山市/54分/2回)
4位 南生駒 1109.5万円(近鉄生駒線/奈良県生駒市/48分/2回)
5位 富田林西口 1150万円(近鉄長野線/大阪府富田林市/52分/1回)
6位 川西 1175万円(近鉄長野線/大阪府富田林市/54分/1回)
7位 石津川 1200万円(南海本線/大阪府堺市西区/33分/2回)
8位 大和高田 1220万円(近鉄大阪線/奈良県大和高田市/48分/2回)
9位 高見ノ里 1230万円(近鉄南大阪線/大阪府松原市/40分/1回)
10位 光明池 1290万円(泉北高速鉄道/大阪府堺市南区/47分/1回)
今回は梅田駅まで60分圏内にある、ファミリー向け(間取り3K、3DK、3LDKタイプ(2sLDKを含む)以上)の中古マンションの価格相場が安い駅を調査した。調査の基点にした梅田駅は大阪メトロ御堂筋線が通っているほか、ほぼ同じ場所にJRの一大ターミナルである大阪駅、阪急電鉄と阪神電鉄の大阪梅田駅、大阪メトロの谷町線・東梅田駅と四つ橋線・西梅田駅、さらにはJR東西線の北新地駅が密集している。交通の利便性が高いうえに、大型商業施設や多数の企業オフィスも林立する人気の街だ。そんな梅田駅周辺にある、上記ファミリー向けの中古マンションの価格相場は4680万円。これが「梅田駅まで60分圏内」にまで範囲を広げると、価格相場はぐっと安くなることがランキングトップ10を見るとよく分かる。
神戸電鉄(写真/PIXTA)
最も安かったのは神戸電鉄有馬線・丸山駅で、価格相場は640万円。2位以下と比べても群を抜いて安く、梅田駅よりも4040万円も価格相場がダウンするという驚きの結果だ。一体どんな駅かというと、兵庫県神戸市に位置しており、1日平均乗車人員は2018年度時点で約559人と少なめ。駅北側には山が広がっており、「ひよどり展望公園」の山頂部からは遠くに瀬戸内海が眺められる。そして駅南側には山頂に「高取神社」がたたずむ高取山がそびえるという、自然に包まれたハイキングコースにこと欠かない環境だ。
住宅は山の狭間のすり鉢状になった斜面に広がっている。日常の買い物は丸山駅から歩いて10分弱の「コープこうべ」やコンビニが頼りだ。昭和初期までは旅館や温泉場、桜の名所だった遊園地があり、「神戸の奥座敷」としてにぎわった面影も今はない。しかし駅周辺に小学校や幼稚園があるので、静かな環境で子育てをしたいという人にはいいだろう。梅田駅までは約51分だが、JR神戸駅近くの神戸高速線・高速神戸駅までは約10分なので、神戸まで足を延ばせば買い物にも困らない。
2位は南海本線・和泉大宮駅で価格相場は1065万円。1位と比べると高く感じるが、それでも梅田駅よりは3615万円も低い結果となっている。駅が位置するのは大阪府岸和田市で、岸和田駅の1駅隣にある。和泉大和駅周辺には飲食店が点在するほか、日用品や衣料品も取り扱うスーパーや、100円ショップ、ドラッグストアも徒歩10分圏内に。小学校や保育所を通り過ぎつつ駅から15分ほど歩けば、広大な「岸和田市中央公園」へ。春は桜が美しい広場や、ジャンボ滑り台や木製遊具を備えた子ども広場もあるので、家族で休日に訪れるのも楽しいだろう。また、駅から20分ほど歩いた沿岸部には大型のショッピングモールやホームセンターも。日ごろの買い物も息抜きも、遠出しなくても駅周辺で済ませられそうだ。
岸和田市中央公園の桜(写真/PIXTA)
3位は近鉄橿原線・九条駅で価格相場は1098万円。こちらは奈良県大和郡山市にある駅で、梅田駅までは約54分で到着する。奈良時代、平城京には朱雀大路を挟んで東と西に商業の中心地である市場が設けられており、そのうち西の市があったのが現在の九条駅あたりなのだとか。そんな歴史ある街に位置する九条駅の現在の様子は、駅前に出るとロータリー越しに一戸建てや集合住宅が見える静かな住宅地。駅から北へ徒歩3分ほどの場所では、新鮮な野菜や果物などを販売する「九条朝市」が毎週土曜の朝に開かれている。スーパーは一番近くても駅から徒歩20分ほど離れているが、駅の約2km圏内に複数点在しているので車があるならそれほど困らないだろう。また、駅前から市のコミュニティバスに乗って約10分、そこからバスを降りて5分も歩けば飲食店に衣料品店や雑貨店、映画館も備えた「イオンモール大和郡山」に行くこともできる。
梅田駅まで乗り換え1回や所要時間33分の駅もランクイントップ3にランクインした駅はいずれも梅田駅より価格相場がぐっと下がるとは言え、乗り換えが2回必要。安いほうがいいけど、せめて乗り換えは1回にとどめたい……。そんな場合は価格相場が1150万円で5位にランクインした、近鉄長野線・富田林西口駅という選択肢もある。近鉄南大阪線直通の近鉄長野線(準急)に乗って大阪阿部野橋駅へ、そこから歩いて4分ほどの天王寺駅に行って大阪メトロ御堂筋線に乗り換えれば、計約52分で梅田駅に到着する。また、6位の川西駅は富田林西口駅の1駅隣なので、同様の経路で梅田駅に行くことができる。
富田林西口駅(写真/PIXTA)
さて富田林西口駅があるのは大阪府富田林市。市の商業施設の中心地は隣の富田林駅だが、市役所や警察署などの官公庁施設は富田林西口駅の周辺に集まっており、落ち着きのある街という印象。駅周辺には保育園や幼稚園、小中学校、高校も点在し、徒歩15分圏内に複数のスーパーも。駅の西側を流れる石川の河川敷は公園として整備されており、のんびり散歩したり芝生広場で遊んだりと、子どもと暮らす街としてもいいだろう。
ちなみに実は1位の丸山駅も、経路によっては乗り換え1回で梅田駅に行くことが可能。その場合は丸山駅から神戸高速線(南北線)直通の神戸電鉄有馬線で新開地駅に行き、阪急神戸本線直通の神戸高速線(東西線)に乗り換えて大阪梅田駅へ。大阪梅田駅と梅田駅はほぼ同じ立地なので、上記ルートなら乗り換え1回、計約55分で梅田駅にたどり着く。
梅田駅までの所要時間の短さを優先するなら、7位の南海本線・石津川駅に注目したい。最短時間を目指すなら、石津川駅から南海本線の普通列車と区間急行を乗り継いで難波駅に行き、そこからなんば駅まで歩いてから大阪メトロ御堂筋線に乗り換える……という経路で乗り換え2回、計約33分で梅田駅に到着。さらに多少時間は増えるが、石津川駅から南海本線の準急1本で難波駅まで行って大阪メトロ御堂筋線に乗れば、乗り換え1回、計約34分で梅田駅に行くことも可能だ。それでいて価格相場は梅田駅よりも3480万円も低い、1200万円となっている。
石津川駅があるのは大阪府堺市西区の湾岸部。駅西側は工業地帯で、その先には大阪湾が広がっている。駅から徒歩5分ほどの「石津太(いわつた)神社」には17世紀中期建築と言われる本殿2殿が現存しており、見応えがある。例年12月には神事「やっさいほっさい」が行われ、年男を担いで「ヤッサイホッサイ」の掛け声と共に火の中を渡る奇祭として評判だ。古くからの神社があるばかりでなく、大阪府初の世界遺産となった、仁徳天皇陵古墳をはじめとする百舌鳥古墳群も駅から車で10分ほどだ。
歴史好きならそそられる土地柄だが、日常生活を送るにはどうなのだろう。タクシー乗り場を備えたロータリーがある駅西口には、居酒屋や全国展開するチェーン店の飲食店が点在し、さらに西側へ行くと湾岸の工業地帯へ。駅東口を出るとコンビニやベーカリー、菓子店がある以外は住宅街といった雰囲気。徒歩5分ほどの場所には小学校や幼保連携型認定こども園があり、子育て世代も住んでいることがうかがえる。駅から10分ほど歩くとスーパーがあるほか、徒歩約15分の隣駅・諏訪ノ森駅前にはスーパーや衣料品店、100円ショップなどを備えたショッピングモールも。暮らすにも不自由のない街のようだ。
ランキングトップ10の駅を振り返ってみると、神戸市や奈良県の駅あり、梅田駅まで30分少々で行けて価格相場は梅田駅より3480万円も安い駅あり……とバラエティ豊かな顔ぶれ。「梅田駅まで60分圏内」にエリアを広げて探すと、選択肢が多彩に広がる様子。ここからさらに「乗り換え1回」「1100万円台まで」といった自分なりの条件を付け加えて絞り込めば、好みに適う物件と出合えるだろう。
●調査概要2011年の東日本大震災、いわゆる「3・11」からちょうど10年。各地域で防災への関心が高まり、取り組まれるようになった。いま「地域の防災」はどうなっているのだろうか。
第4回にご紹介するのは、東京都渋谷区の「渋谷おとなりサンデー」。2017年から毎年6月を中心に開催される交流機会で、“ふだん話す機会の少ない近隣の人ともっと顔見知りになる”ことを目的にしている。こうした地域コミュニティの活性化は防災時にも役立つだろう。
ヒントにしたのは1999年にパリで始まった「隣人祭り」。高齢者の孤独死を防ぐために住民たちがアパートの中庭に集まり、ワインやチーズを持ち寄って交流するというものだ。現在ではヨーロッパ29カ国、約800万人が参加する市民運動となっている。
渋谷区役所・区民部地域振興課の山口啓明さん(53歳)は言う。
「渋谷版の『隣人祭り』を開催しようと発案したのは現・長谷部健区長。渋谷区議時代から地域のいろんなコミュニティで“仲間を増やしたい”という共通課題があることを感じていたなかで、パリの『隣人祭り』を知り、地域内で交流の輪を広げる機会として導入したようです」
他の都心部のまちと同様、渋谷区も人口・世帯数が増加する一方で核家族化が進んでいる。転入者の多くは20代~40代で、そのほとんどが集合住宅(賃貸マンション・アパート)で暮らす。
出典:東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計
いわば、周囲との繋がりがない状況で、結果として「家と会社との往復だけで身近に知り合いがいない若者」や「周りに相談できる知り合いがおらず、子育てに悩む夫婦」のような人々が増えているという。
「『渋谷おとなりサンデー』は、孤独死という悲しい出来事が起きる前段階の、孤独・孤立している人、もしくは孤独・孤立のリスクの高い人に向けて、まずは“誰かと知り合うきっかけを提供する”ことを目的に実施しています」(山口さん)
初年度は、6月第一日曜日にカフェでボードゲーム、公園でピクニック、オフィス前の道路でチョークアート、地域の清掃活動など、区内の39カ所で交流機会が開かれた。その後、年を経るごとに交流機会の数は増えている。
(写真提供/ファイヤー通りバーチャル町会)
(写真提供/渋谷区役所・区民部地域振興課)
防災面では、東京消防庁や陸上自衛隊の協力のもとで災害体験や消化体験などをVRで体験できる「渋谷防災フェス」と連動する形で、「渋谷おとなりサンデー~防災編~」を開催。2019年度は非常食のリゾットを食べながら防災について学んだ。
(写真提供/渋谷区危機管理対策部防災課)
しかし、2020年度は新型コロナウイルスの影響で人が集まるイベントは軒並み中止。代わりに、オンライン会議ツールZoomを通じて、子育て、高齢者福祉、グルメなどについての情報交換が行われた。
マルシェの開催を機に地域の飲食店を救う動きもなお、渋谷区が主催するのは6月のみ。その他は「おとなりサンデー」の旗印さえ掲げれば誰でも自由に交流機会を主催できる。山口さんが強く印象に残っているのは、2019年度に開かれた「代々木深町フカマルシェ」だという。
(写真提供/代々木深町フカマルシェ実行委員会)
「富ヶ谷の代々木深町小公園で、生産者とつながりを持つ地域のお店が出店し、住民が集うというマルシェで、子育て中の母親たちが『身近な地域でつながりをつくりたい』という思いから、地域のお店、子育てサークル、企業、町内会などに声をかけて実現した交流機会です」
渋谷区が行ったのは、企画内容の相談対応と、保健所や公園使用許可の申請サポートのみで、それ以外は主催者任せだ。
(写真提供/渋谷区役所・区民部地域振興課)
さらに、このマルシェの開催で“知り合いの輪“が広がり、コロナ禍で苦境に立たされている地域の飲食店を支えるための、代々木・富ヶ谷・上原エリアのテイクアウト・デリバリーMAPの立ち上げにもつながった。さまざまな意味で「渋谷おとなりサンデー」のモデルケースだと山口さんは振り返る。
「渋谷おとなりサンデーを実際に始めてみて、一番関心が高かったのが小さな子どもを持つ世帯。子育て世帯を中心に、いかに参加しやすい仕組みにしていくかが今後の課題ですね」
今年の6月はコロナを巡る状況を見ながら、リアルとオンライン両方の交流機会の開催を呼びかけるそうだ。いずれにせよ、集まって交流することがためらわれるなか、各地で「人とのつながりの希薄化」や「関係性の分断」が起きているのも事実。
「生活や子育ての悩みなどを誰にも相談できず、不安や孤独を感じる人がいる一方で、新しい生活様式に合わせて新たな活動を始める人もいます。『渋谷おとなりサンデー』では、コロナ禍におけるそのようなコミュニティ活動を引き続きサポートしていく予定です」
なお、今年で5年目を迎える「渋谷おとなりサンデー」だが、全国の自治体から問い合わせが来ている。その中のひとつ、長崎市では昨年から「ながさき井戸端パーティー」という長崎版「隣人祭り」を始めた。こうして、地域のコミュニティづくりのノウハウは広がっていく。
山口さんによれば、「渋谷区は意外と町内会の活動が盛んで、笹塚、初台、千駄ヶ谷あたりはイベントやお祭りがすごく盛り上がる」という。とくに千駄ヶ谷は商店街と町内会のタッグが強力で、オンラインで盆踊りを開催するなど、柔軟な思考でコロナ禍を乗り切ろうとしている。
(写真提供/千駄ヶ谷大通り商店街振興組合)
渋谷区のような都心部はマンションに住む単身者や核家族が多く、人が孤立しやすいイメージがある。しかし、一方でつながりづくりへの感度も高いことが伝わってきた。どこに住んでいても、災害時に頼りになるのは“隣人”。自分が住む街でのつながりも、関わり方ひとつで見え方が変わってくるかもしれない。
●取材協力三井不動産リアルティが三井のリハウスを通じて、6年以内に持ち家を購入して住み替えた首都圏在住の45歳以上を対象に調査を実施したところ、65歳より前の住み替えと後の住み替えでは、住まい選びの条件が異なることが分かった。どう違うのか見ていこう。【今週の住活トピック】
「中高年層の住みかえ等に関する調査」を実施/三井のリハウス(三井不動産リアルティ)65歳以上では、家の広さをよりコンパクトに
調査対象者を住み替え時の年齢によって「45歳以上65歳未満」と「65歳以上」に分類し、「住み替え理由」を聞いて比較してみると、まず、家のサイズ感などに違いがあることが分かった。
「65歳未満」の人では最多の29.0%が「より広い家に住みたかったため」と回答した。これに対し、「65歳以上」の人では最多の24.4%が「自身の高齢化による将来に対しての不安」と回答し、次いで「子供や孫との同居または近居」(20.0%)、「バリアフリーの設備が整った住まいへの住みかえ」(19.3%)と、高齢化をより意識した理由が上位に挙がる結果となった。
住みかえの理由として当てはまるもの(複数回答)(出典:三井のリハウス「中高年層の住みかえ等に関する調査」より抜粋転載)
では、実際に住み替えた物件の広さは違うのだろうか?「住み替えによる広さの変化」を聞くと、「65歳未満」では広くなった人が過半数であるのに対し、「65歳以上」では狭くなった人が過半数となった。住み替え理由の違いは、実際に購入した家の広さの違いに表れていることが分かる。
「65歳以上」で住み替える場合、住まいはよりコンパクトなものを選ぶ傾向が強まるようだ。
住みかえにより家の広さに変化はあったか?(単一回答)(出典:三井のリハウス「中高年層の住みかえ等に関する調査」より転載)
65歳以上では、立地選びで買い物や通院の利便性を重視次に、住み替え先の立地について見ていこう。
さきほどの「住み替え理由」では、
・「交通利便性が高いエリアへの住み替え」65歳未満:15.2%、65歳以上:14.1%
・「生活利便性が高いエリアへの住み替え」65歳未満:13.3%、65歳以上:18.5%
と、交通アクセスや生活面での利便性向上を理由にする人が、多い結果となっている。
なお、通勤から解放されると考えられる65歳以上のほうが、交通アクセスよりも生活面の利便性をより求める傾向がうかがえる。
さて、立地に関する調査結果を見ると、住み替えによって「駅からの距離」が近くなった人はいずれも40%程度と変わらないが、65歳以上の人が近くなったとより多く回答したのは、「総合病院など大きな病院」や「商業施設」だった。
住み替えによる住環境の変化(単一回答)(出典:三井のリハウス「中高年層の住みかえ等に関する調査」より転載)
リタイアして在宅時間が長くなると、食料品や日用品を買う頻度も多くなる。こまめに買い物しやすい「商業施設」の近くを求めるというのは納得できる選択だ。また、若い時には意外に見落としがちなのが、「総合病院などの大きな病院」だ。高齢になると多くの診療科を受診することになるので、一カ所で受診できる総合病院が近くあるメリットが高まる。65歳以上(40.0%)と65歳未満(27.7%)で選択に違いがあるのはそのためだろう。
さて、45歳以上65歳未満の住み替えでは、リタイア前であったり子どもが独立前であったりして、通勤や子どもを優先しがちということも。でも、いずれは通勤から解放されたり子どもが独立したりするので、65歳以上の重視点も考慮して住まい選びをすると、シニアライフが快適になるのではないだろうか。
また、65歳以上の住み替えでは「より狭い家」を志向しているが、いずれは2人あるいは1人になることを考えて、より思い切ったダウンサイズをしてはいかがだろう。予算的にはその分だけ立地を重視できるので、コンパクトな暮らしを実践することをお勧めしたい。
関西最大の駅といえば、大阪の梅田駅。ビジネスからエンタメまでほとんどの拠点となっているとも言えるほどの巨大ターミナルで、3月17日に発表された「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」では総合2位にも輝き、生活の場としても親しまれている。今回は、梅田駅まで電車で30分以内で行ける、ワンルーム・1K・1DKを対象にした家賃相場が安い駅ランキングTOP10を分析。それぞれの駅の魅力を紹介する。梅田駅まで30分以内の家賃相場が安い駅TOP10
順位/駅名/家賃相場(代表的な路線名/駅の所在地/所要時間/乗り換え回数)
1位 萱島 3.75万円(京阪本線/寝屋川市/22分/1回)
2位 寝屋川市 3.80万円(京阪本線/寝屋川市/25分/1回)
3位 大和田 3.90万円(京阪本線/門真市/27分/2回)
4位 大日 4.23万円(大阪メトロ谷町線/守口市/24分/0回)
5位 だいどう豊里 4.30万円(大阪メトロ今里筋線/大阪市東淀川区/27分/1回)
5位 香里園 4.30万円(京阪本線/寝屋川市/28分/1回)
5位 上新庄 4.30万円(阪急京都線/大阪市東淀川区/18分/1回)
5位 瑞光四丁目 4.30万円(大阪メトロ今里筋線/大阪市東淀川区/29分/1回)
9位 河内小阪 4.35万円 (近鉄奈良線/東大阪市/27分/1回)
10位 守口 4.50万円(大阪メトロ谷町線/守口市/21分/0回)
10位 相川 4.50万円(阪急京都線/大阪市東淀川区/19分/1回)
10位 津守 4.50万円(南海高野線/大阪市西成区/25分/2回)
10位 平野 4.50万円(JR関西本線/大阪市平野区/30分/0回)
ランキング上位に目立ったのは、京阪本線。1~3位までは京阪本線の沿線駅だった。京阪本線は大阪市中央区の淀屋橋から京都市東山をつなぐ路線。梅田駅は複数路線が集まる巨大ターミナル駅だが、京阪本線自体は梅田駅には直通していない。また梅田とならぶ大阪の商業の中心地である「難波」にも直通しておらず、乗り換えが必要なことが安さの理由のひとつかもしれない。
1位は、寝屋川市にある萱島駅。京阪本線の準急の停車駅で、通勤準急は同駅から、大阪市の主要繁華街のひとつである京橋駅まで停車せずに運行する。寝屋川市は大阪府の東北部に位置するベッドタウン。大阪府で初めて小学校高学年と全中学生を対象にした無料の塾「寝屋川スマイル塾」や、新型コロナウイルス下でリモートワークのできない共働き世帯などをサポートする自主登校園制度の実施など、子育てや教育環境対策にも力を入れている。
萱島駅(写真/PIXTA)
萱島駅付近は下町の雰囲気の残る住宅街。緑も多く、自然豊かな環境でもある。「近畿の駅100選」に選ばれている萱島駅は高架駅だが、ホームの真ん中を推定樹齢700年もの大きなクスノキが貫いているという珍しい駅として知られている。このクスノキは、駅の下にある萱島神社の御神木で、駅の高架化工事の際に伐採される予定であったのが、木を惜しんだ市民による保存運動により残されたもの。駅を利用するたびに、地域の人情が感じられそうだ。
2位の寝屋川市駅は、寝屋川市の中心駅。大型商業施設が数多く、市役所や警察署などの公共施設へ行くのにも便利だ。大阪電気通信大学の寝屋川キャンパスや、大阪府立大学工業高等専門学校への最寄駅であり、摂南大学の寝屋川キャンパスも近いため、ベッドタウンであると同時に学生街でもある。
駅前へ至る道路は現在は道幅が狭く歩道もないが、2024年度末を目標にした都市計画で地下電線など景観に配慮された環境に生まれ変わる予定。今後が楽しみな地域でもある。
4位大日駅は梅田駅まで乗り換え不要4位の大日駅は守口市にあるが、梅田駅のエリア内にある東梅田駅まで乗り換えの必要がない。大阪メトロ谷町線の始発駅のため、座って通勤や通学できるのは大きな利点だろう。10位の守口駅とは隣駅だが、大日駅は大阪モノレールも利用できるため、出張などで伊丹空港を利用する人にとっても心強い。
大日駅前(写真/PIXTA)
駅付近にはタワーマンションが目立ち、周辺には大きなスーパーや商業施設が充実。中でもイオンモール大日は、映画館や室内遊園地、行政サービス、家電量販店なども入る大規模なもので、たいていの用事は地元で済ませられそうだ。
5位の香里園駅は、2位の寝屋川市駅の隣駅。寝屋川市駅と同じく、商業施設が多いことが特徴だ。駅前は再開発が進み、歩道やロータリーが整備されている。また関西医科大学香里病院とは、駅から直結している。来年には駅の高架化工事の着手が予定されており、さらに暮らしが快適になりそうだ。
駅周辺はタワーマンションも多い。国際社会で活躍できる日本人を育成していると評価の高い同志社香里中学校・高等学校や香里ヌヴェール学院小学校・中学校・高等学校などがあり、文教地区の顔も持つ。
また、千葉県にある成田山新勝寺の別院である、成田山大阪別院明王院も近い。節分の季節には風物詩である芸能人による豆まきが行われ、関西中から参拝者が集まる。
成田山大阪別院明王院(写真/PIXTA)
同率5位の上新庄駅は、梅田駅までの所要時間が一番短い阪急京都線の快速、準急、普通の停車駅。大阪メトロ堺筋線と直通しており、大阪の主要ビジネス街である北浜へも乗り換えなしで利用が可能だ。10位の相川駅は隣駅だが、スーパーやコンビニなどは、上新庄の方が豊富な印象を受ける。付近には大阪経済大学や大阪成蹊大学・短期大学などがあるため、学生や単身者には心強い味方となる飲食店も充実している。
梅田駅のある梅田エリアは昨年末、再開発の第二期が着工した。コロナ禍で世の中の空気も停滞したように感じてしまうが、季節は春、そして引越しのシーズンでもある。新しい部屋にはきっと明るい未来が待っている。そう信じて、素敵な部屋が見つかることを期待したい。
●調査概要日差しが温かくなり、すっかり春を感じるようになりました。新しい年度に向け、気持ちも新たになる季節です。SUUMOジャーナルで2月に公開した記事では、「コロナ禍で高まる移住熱。『田舎暮らしの本』編集長が注目する地域と特徴って?」「商店街を百貨店&シェアハウスに!? 北九州『寿百家店』がつくる商店街の新スタンダード」などが人気TOP10入りしました。詳しく紹介します。
2021年2月の人気記事ランキングTOP10はこちら!
1位 コロナ禍で高まる移住熱。『田舎暮らしの本』編集長が注目する地域と特徴って?
2位 山手線30駅、家賃相場が安い駅ランキング! 2021年版
3位 熱海をまるごと“家”に!? 高齢化と人口減少進む観光地で「まちごと居住」始まる
4位 多拠点生活ブームで賃貸物件が変わる? 家賃を下げられるものも
5位 商店街を百貨店&シェアハウスに!? 北九州「寿百家店」がつくる商店街の新スタンダード
6位 コロナ禍の2020年、首都圏の中古住宅市場はどう動いた?
7位 コロナ禍でクリエイターが石巻に集結?空き家のシェアハウスで地域貢献
8位 「山手線」沿線、中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2021年版
9位 不動産屋さんが家事代行!? 電球交換、虫駆除などのお悩みに5分100円で
10位 【空間デザイナー×SUUMO編集長対談】これからの時代のLDK 4つの変化とトレンド
※対象記事:2021年2月1日~2021年2月28日までに公開された記事
※集計期間:2021年2月1日~2021年2月28日のPV数の多い順
1位 コロナ禍で高まる移住熱。『田舎暮らしの本』編集長が注目する地域と特徴って?
(画像提供/豊後高田市)
地方への移住先は、どうやって選べばいいのでしょうか。人気の移住先の特徴や考えるポイント、また移住・定住支援施策に力を入れる豊後高田市の担当者と、実際の移住者からも話を聞きました。
2位 山手線30駅、家賃相場が安い駅ランキング! 2021年版
(写真/PIXTA)
山手線全30駅の単身者向け物件の家賃相場ランキング最新版。1位は同路線で唯一北区に所在する田端駅。繁華街の近くに住みたい人にとってねらい目なのは目白駅で、ともに8.50万円でした。新駅の高輪ゲートウェイ駅は9.90万円で、港区にある駅では最安でした。
3位 熱海をまるごと“家”に!? 高齢化と人口減少進む観光地で「まちごと居住」始まる
(写真提供/若月ひかる)
移住先としても注目を集める静岡県熱海市は、空き家率の高さや市街地の空洞化、高齢化など、地方都市の抱える「課題先進地」でもあります。街の再生と活性化のため、まちを1つの大きな家に見立て、熱海ならではの生活を満喫するライフスタイル「まちごと居住」を探りました。
4位 多拠点生活ブームで賃貸物件が変わる? 家賃を下げられるものも
(画像提供/Unito)
新しい暮らし方として需要が高まっている多拠点生活ですが、家賃や光熱費が余分にかかることや家具などが複数必要なことなど、デメリットも。そんな課題に対して、家に帰らない日にホテルとして貸し出せたりする新しいサービスが次々と生まれています。
5位 商店街を百貨店&シェアハウスに!? 北九州「寿百家店」がつくる商店街の新スタンダード
(写真撮影/加藤淳史)
福岡県北九州市の商店街「寿通り商店街」で新しいスタンダードをつくる「寿百家店」プロジェクトは、商店街の物件をテナントとアーケードシェアハウスに。シャッター街を、街灯ではなく住宅の明かりをともすことで、まちの活性化を目指しています。
6位 コロナ禍の2020年、首都圏の中古住宅市場はどう動いた?
(画像提供:PIXTA)
2020年の住宅市場の動向が、相次いで公表されました。好調だった中古住宅市場も新型コロナウイルスの影響で、首都圏の中古マンションの成約件数は前年を下回りました。一方、中古戸建ての成約件数は微増、在宅勤務で仕事のスペース確保のため、広さへのニーズの高まりがうかがえました。
7位 コロナ禍でクリエイターが石巻に集結?空き家のシェアハウスで地域貢献
(写真提供/みち草工房、写真撮影/Furusato Hiromi)
宮城県石巻市で行われている、コロナ禍で困窮したクリエイターに、住む場所と発表の場を提供するプロジェクト「Creative Hub」。東日本大震災のボランティアが宿泊するためにリノベした物件を活用するもので、地域の活性化にも影響を与えています。
8位 「山手線」沿線、中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2021年版
(写真/PIXTA)
山手線全30駅の中古マンション家賃相場ランキング最新版。シングル向け、カップル・ファミリー向けで1位はともに日暮里駅で、それぞれ2870万円と4880万円。今回は上位の順位にほぼ差がない一方、田町駅はシングルとカップル・ファミリーでランキングに大きな差がありました。
9位 不動産屋さんが家事代行!? 電球交換、虫駆除などのお悩みに5分100円で
(イラスト/てぶくろ星人)
家の中のちょっとした困りごとで、誰かの手を借りたいとき……。神奈川県相模原市の東郊住宅社が始めた家事代行サービス「ゴーヨーキーキー」は、地域に密着した「地元の不動産屋さん」だからこそできること。人と人との関係の温かみを感じさせるサービスへの思いを聞きました。
10位 【空間デザイナー×SUUMO編集長対談】これからの時代のLDK 4つの変化とトレンド
年々変化するリフォームのトレンド。従来はテレビ配置ありきだったLDKに、ワークスペースの設置が増えています。仕事のスタイルなどにより、オープンスタイルか独立型にするか。これからのLDKは「自己流」「自分本位」が重要になりそうです。
ランキングで目立ったのは、1位の「コロナ禍で高まる移住熱」や3位の「熱海へのまちごと居住」、7位の「石巻のシェアハウス」など、地方居住に関係する記事への注目の高さ。地方移住が現実的な選択肢として関心を集めていることをうかがわせました。年度の変わり目は、ライフスタイルについて振り返るのによいタイミングでもあります。自身の快適な生活のために、最適な選択肢は何か。改めて考えてみたいと思います。
新生活が始まる人も多い春。なかでも、産休や育休が明け、職場復帰を控えた園児の保護者は、期待と不安で胸がいっぱいなのではないだろうか。今回は、鹿児島県鹿児島市の繁華街・天文館の商店街にある、総菜店を併設した保育園「そらのまちほいくえん」の取り組みを紹介。「あったらいいな」を実現した保育園の副園長・柳元正広さんにお話を聞いた。
変化の時代を生き抜くために。根本の力を身につける保育園
総菜店が併設されたユニークな企業主導型保育園「そらのまちほいくえん」。どのような背景で立ち上げられたのだろうか。
「そらのまちほいくえん」の外観。向かって左側が総菜店、右側が保育園の入り口で、真ん中は身長計(写真提供/そらのまちほいくえん)
「『そらのまちほいくえん』は、今年3年目を迎えた保育園です。僕たちはその前に、霧島市で『ひより保育園』という保育園を立ち上げました。ここは郊外の自然豊かな地にあり、広い園庭でのびのびと園児たちが遊べる保育園です。食育などの取り組みでも注目され、首都圏からも視察に来る人がいました」
「ひより保育園」はいわゆる“のびのび系”の園。給食には地域の農家の野菜を使い、おやつも手づくり。広い園庭があるほか、高齢者施設も隣接しており、幼少期に親以外の多くの大人と関わることができる。園児は包丁を握って料理し、お客さんをもてなすこともある。
「視察をした人たちからは度々、『理想的だけれど、この場所だからできることだよね』という声が聞こえてきました。でも僕たちは、『この場所じゃなくてもその土地ならではのやりかたで人が育つ園がつくれるはずだ』と思っていました。だから都市部に『そらのまちほいくえん』をつくることは、自分たちにとってもチャレンジだったのです」
(写真提供/そらのまちほいくえん)
両保育園は、「保育業界の外にいた人が同じ考えに共鳴し合い、集まってつくった」という園だ。柳元さん自身も以前は関西で小売業をしていて、そらのまちほいくえんの立ち上げで鹿児島にUターンしてきた。
「仲間には、ビジネスの世界で活躍していた人もいれば、新卒者向けのコンサルタントをしていた人もいます。今は変化が求められている時代。生きにくさや閉塞感を感じる人が多く存在します。コンサルタントをしていた仲間は、『働くことの意味が分からない』という若者の声を耳にしました。現代社会が抱える問題を、自分たちでどう変えていくかを考えたときに、会社の前に大学があり、高校、中学校、小学校、そして幼児期がある。0歳から5歳までの時期に、人としてしっかり生きる力を身につけるという、根本が大事なんじゃないかという思いがあって、これに対する一つの方法が、保育園をつくるというものでした」
商店街にある「天文館まちの駅 ゆめりあ」前をお散歩で通過。産地直送の野菜や花が並ぶ(写真提供/そらのまちほいくえん)
保育園の立ち上げで、人と街へ2つの問題解決天文館という都市部の商店街に保育園をつくるにあたり、柳元さんたちは、大きく2つの目標を定めた。
「1つは、都市部でも郊外と同じように、現代の子どもたちがこれからの社会を生き抜いていく力を育むこと。もう1つは、今寂しい状況にある地方都市の商店街に、にぎわいを呼び戻すということです。保育園が起点となった街づくりができないかと考えました」
柳元さんたちは、「幼少期に、親以外の大人とどれほど多く、どれほど深く関われたかということは、その子の人生に大きな影響を与える。地域の人たちと日常的に交流することで、より充実した園生活を送ることができる」と考えている。
そんなそらのまちほいくえんの特色の一つが、総菜店が併設されているという点だ。
仕事帰りに保育園へ子どもを迎えに行き、それから夕飯の準備のために、空腹の子どもを連れてスーパーへ行くのは、日々のことながら辛い。
「僕も小学生と年長児の父親ですし、子育て中のスタッフも多いです。これまで、保育園へ迎えに行った帰り、その場でお総菜が買えたら便利だなと考えることがよくありました。時間がなく疲れているからといって、毎回スーパーやコンビニでお弁当を買うのは子どもに対して罪悪感がありました。保育園の食事と同じように、地元農家さんが育てた旬の野菜を使って、丁寧に調理したおかずやお弁当が買えたら安心なのではと考えました」
見て触れて「食べることを楽しむ」ため、小さな子も離乳食から陶器の食器を使っている(写真提供/そらのまちほいくえん)
誰もが「罪悪感なく」買って帰ることができるお総菜を3階建てのビルの1階から3階に入居している「そらのまちほいくえん」は、1階に入り口が2つあり、向かって右側が保育園、左側が「そらのまち総菜店」になっている。
ショーケースに並ぶのは、園の給食で出しているおかずもあれば、店頭オリジナルの総菜もある。近郊の農家による旬の野菜を豊富に使い、季節を感じられるラインアップだ。「見た目も楽しくなるように」と調理法もアイデアを凝らしているという。園児の親子にとっては、「これおいしいよ」という共通の話題もできるし、入園前の幼児を持つ近隣の保護者にとっては、園の給食の試食感覚で購入することもできる。
保育園の1階スペースに、総菜のショーケースと地元野菜の販売コーナーがある(写真提供/そらのまちほいくえん)
総菜は「春巻き」や「菜の花の入ったオムレツ」など、300円~600円の価格帯が常時12種類ほど。ほかに、650円~850円の価格帯のお弁当を4~5種類そろえている。園児に人気のメニューを聞いてみると、「今なら季節野菜の白和えですね」とのことだ。
「コロナ禍の影響もあって、お弁当を買う人は増えています。お昼は商店街にあるお店で店番をしている人が買いに来られることが多いです。『同じ釜の飯を食う』と言いますが、街の人と園児が同じものを食べているということには意味があると思います。また、園児の保護者の中にも、日常的にリピートしてくださる方がいて、やはり『園の帰りに子どもを別の場所に連れていかなくていいのが助かる』と喜ばれますね」という。保育士やスタッフも子育て世代なので、仕事が終わると総菜や野菜を購入して帰っていくそうだ。
「鹿児島の郷土料理である『がね』も好評です。これはサツマイモやニンジンなどのパリッとしたかき揚げで、昔はどの家でもつくられていた家庭料理ですが、今はつくる人が減っているようです」と柳元さん。
若い世代へ、地元に伝わる味や旬の豊かさを伝える役割も果たしている。
彩りも鮮やかなお弁当。姉妹園のひより保育園の食育から生まれたレシピ本も出版している(写真提供/そらのまちほいくえん)
家族や地域の人も園児と同じおかずがたべられることで、地元に伝わる味や旬を知り、一体感が育まれる(写真提供/そらのまちほいくえん)
子育て世帯が行き来し、寂れかけた商店街に変化が天文館商店街はどう変わったのだろうか。
「そらのまちほくえんは、元は本屋だった空きビルを使っていますが、柳元さんたちがこの場所に保育園をつくることを検討しはじめたころは、ここの前の通りは人通りがありませんでした。路面に10以上の空き店舗があって目立つような、寂しい通りだったんです。でもそこに、約50人の園児がいる保育園が入ることにより、朝夕、50組の子育て世帯が通ることになります。0から、少なくとも50×2往復の人通りが生まれたわけです。すると、そこをターゲットにしたお店もできてきます。今はほとんどのテナントが埋まっている状態になりました」
「周辺のお店の方から『人通りが増えて街に活気が出てきた』と喜ばれたり、『飲み屋が多く夜のイメージが強かったが、保育園ができてからは明るい昼のイメージに変わった』と言われたりすることも。地域の方に、『街が子どもを育てるとよく言うが、ここは子どもが街を育てているね』と言われたのはうれしかったですね」
商店街での買い物の様子(写真提供/そらのまちほいくえん)
(写真提供/そらのまちほいくえん)
クッキングの食材を園児が「くださいな」(写真提供/そらのまちほいくえん)
街なかの保育園だから分かる「持たないことの豊かさ」「豊かさってなんだろう」。保育園をつくるにあたり、柳元さんたちスタッフは改めて考えたという。
「郊外型の保育園であれば、自然の豊かさを感じることができる。でもそれだけじゃなくて、街には街の豊かさがあるはずです。さまざまな世代や立場の人と日常的に関わり、交流できることが、街の保育園で得られる豊かさなんじゃないかと考えました」
八百屋に花屋、団子屋、美容室……。園児たちが商店街を散歩すると、いろいろな店の人たちとのふれ合いが生まれる。かわいらしい園児たちの姿を見に、店先へ出てくる人も多い。
3年目を迎え、0歳で入園した子も3歳に。「みなさん、子どもたちに『大きくなったね。もう歩けるの?』などと声を掛けてくれます。核家族が増えた時代に、家族や同年代の子だけに関わるのと、日常的に商店街のいろんな世代の人たちと話すのとでは、関わる人の幅が全く違います」
食育の一環で子どもたちが料理をするために、子どもたち自身が保育士と買い物へ行き、店の人と話して、使用する野菜を選んで買うこともある。
「選んだジャガイモをマッシュポテトにするかコロッケにするかなど、どうやって食べるかも子どもたちが決めます」と柳元さん。ちなみに、こちらの園児たちは包丁で根菜を切り、火や油を使って玉子焼きを巻き、唐揚げも揚げる(!)。園児は年齢を問わず参加し、手掴みができる子なら、1歳前後からプチトマトを洗ったり、しめじをほぐしたりして役割をこなす。
練習してうまく巻けるようになった玉子焼き。食育スタッフが吟味した調味料を使う(写真提供/そらのまちほいくえん)
商店街のビルの中にある「そらのまちほいくえん」には園庭がない。
「街なかでは子どもが遊ぶところがないのでは?と言われることがあります。でも、近くには公園がいくつもあるので、『今日は芝生がきれいな公園に行こうか、それともジャングルジムで遊べる公園にしようか』と、子どもたちが話し合って行き先を決めます」
1番大事なのは、子どもたちが生きていく力を身につけることだと柳元さんは強調する。
「子どもたち自身が『今日は走りたいから広い公園に行こう』などと自分で考えて、自分で行動することができています。園庭を持たないからこそ、目的に合わせて行き先を選ぶことができる。持たないことの豊かさもあるんじゃないでしょうか」
子どもたちは、近くにある水族館まで歩いて、イルカのトレーニングの様子を見るのも大好きだという。
「これらも、街なかにある保育園の特権ですね。郊外型保育園ではなくても、子どもたちが色々な経験をすることはできます」と柳元さん。
保育スタッフのほかに食育スタッフがクッキングに立ち会う(写真提供/そらのまちほいくえん)
地域交流が防犯や防災の役割も担う商店街での交流が、地域の防犯や防災の面でも機能していると感じるという。
「子どもたちは商店街のみなさんと顔なじみなので、連れ去りなどの犯罪も未然に防ぐことができると思います。その子の様子が何か違うということは、街の人が普段の様子を知っているからこそ分かるものですから。
以前、火災報知器が誤作動で鳴ってしまったことがあるのですが、近所の人たちがタオルを持って駆けつけてくれました。体格のいいお兄さんが、子どもたちを抱っこしてすぐに避難させてくれて……。何事もなくホッとしましたが、あの時は、街の皆さんに守られているなと感じました」
園でも、地域の備蓄品として常温で長期保存できる焼き芋をストックしているほか、非常時に給食室で炊き出しができるようにと考えている。
「たくさんの方にお力を借りているので、私たちも地域に貢献したいと思っています」
「食べ物を大切にする」「毎月、街のゴミ拾いをする」など普段の活動が評価され、2019年12月に第3回ジャパンSDGsアワード特別賞を受賞(写真提供/そらのまちほいくえん)
今後は、保育園と関わる人や店舗に地域全体で子どもが育つ場をつくっていることが可視化できるステッカーなどのツールを配布し、街との関わりを見える化することで、より関係性を深めていきたいという。
また、いずれは系列の小学校や中学校の設立も視野に入れているそう。「そらのまちほいくえん」と同じように、軸はもちろん、子どもが生きる力を育むことだ。
「学校設立となるとハードルはグッと上がりますが、注目していただいている以上、応えていきたい。さまざまな方の知恵やお力を借りながら、実現に向けて動いていきたいですね」というから楽しみだ。
保育園へ迎えに行き、給食と同じお総菜を買って帰ることができるなんて理想的!
筆者も保育園児の母を経験した。仕事帰りの疲れた体で迎えに行くと、我が子の園では「今日の給食」が展示されていて、「お昼においしそうな魚の竜田揚げを食べたなら、夕飯は簡単でも大丈夫」などと思ったもの……。
バタバタな日々の中、子どもの1日のうちの1食を保育園が担ってくれることで、どれだけ気持ちが救われたことか。総菜店がある「そらのまちほいくえん」なら、さらに親子で夕飯を素早く囲める幸せも付いてくる。
保育園に総菜店を併設する。小さくも思える日々の問題を解決することが、街を変えるほどの大きなパワーに繋がっていた。
●取材協力食料品や日用品をそろえるスーパーマーケットは、老若男女問わず人が行き交い、実は公共施設以上に公共的な存在です。そんなスーパーマーケットの軒先に「誰もが自然と居られるコミュニティスペース」をつくる取り組みが千葉県千葉市のスーパーマーケット、マックスバリュおゆみ野店ではじまりました。誕生までのエピソードと変わりはじめたスーパーマーケットと地域との関係について聞いてきました。
スーパーマーケットの広い軒先を人が居られる場に再生
「大型商業施設」「スーパーマーケット」の軒先と聞いて、思い浮かべるのは、店舗の外壁と使い終わった買い物カート置き場、自転車置き場のような空間ではないでしょうか。お世辞にもおしゃれとは言い難い空間ですし、滞在する、ましてやくつろぐ場所だとは思えない人がほとんどでしょう。
そんなスーパーマーケットの軒先空間にヒューマンスケールのパーゴラ(棚)を建て、その中にベンチやテーブル、カウンターや屋台、黒板や水場なども配置した「Cafe&Dine(カフェダイン)」というスペースが誕生しました。屋台ではコーヒーが販売されていますが、買い物に来た人も、通りがかった人も、誰もが自由にくつろげる場所です。
改装前(左)と改装後(右)。通りがかる人々が、フラッと腰をかけていき、スーパーマーケットの軒先にはいつも人の気配があります。以前の姿はもう想像できません(写真提供/グランドレベル)
軒先からのアングル。ガランとしていた空間が、誰もが気軽に立ち寄りたくなる場所に(写真提供/グランドレベル)
軒下の中央に新たに設置した黒板。子どもたちが落書きをしはじめると、スタッフとの会話が自然とはじまります(写真提供/マックスバリュ関東)
コーヒーを移動式の屋台で販売しています。黒板をしつらえた屋台の側面にも子どもたちが集まります(写真提供/マックスバリュ関東)
ビフォー・アフターの写真を見ただけでも、「これがスーパーマーケットの軒先……?」と驚くことでしょう。コーヒーもサービス価格で、利益を生み出す場所とは言いにくそうですが、なぜこのような場をつくることになったのでしょうか。このプロジェクトの責任者・マックスバリュ関東株式会社の黒田覚さんと、企画・デザイン監修を行った株式会社グランドレベル代表の田中元子さんに話を聞いてみました。
スーパーマーケットを買い物だけでなく、人々にとって価値ある場所に「今までのスーパーマーケットのイートインスペースは、店舗運営の内側からの発想でつくられてきたものでしたが、それでも優先順位が高いものではありませんでした。今回、店舗を大きく改装するにあたり、弊社ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(以下、U.S.M.H)は、『1階づくりはまちづくり』をモットーに人々のためのさまざまな居場所を手がける会社・グランドレベルの田中元子さんにアドバイスをいただくなかで、軒先に買い物目的の人だけではなく、まちに暮らす誰もが気軽に訪ねたくなる場所をつくるべきだという提案をいただきました。それがすべてのはじまりでした」と黒田さんが舞台裏を明かしてくれます。
近年、スーパーマーケットは価格競争が激化し、そのブランド、あるいは店舗ならではの魅力、価値が厳しく問われているようになってきているといいます。その新しい価値のひとつとして、地域に暮らす人々にとって、スーパーマーケットをもっと愛される、豊かな場所にできないか、その答えが、ただのイートインスペースではない、人々が自由に思い思いに過ごせる場所(コミュニティスペース)だったというわけです。
小さな子どもから、お年寄りまで、まちに暮らす誰もがさまざまに利用しています。スーパーで買ったご飯を食べる人もいれば、コーヒーで一息つく人、ただ座って休んでいるだけの人も(写真提供/グランドレベル)
広い軒先は、地域の人たちが自由に予約をして借りることもできます。この日は地元の人が教えるパンフラワー(粘土細工)教室が開催されていました(写真提供/マックスバリュ関東)
犬用のフックも設置して、犬の散歩の人も温かく迎え入れてくれます。犬の散歩で通りがかる人も増えているそうです(写真提供/グランドレベル)
改装後のオープンは2020年10月16日でしたが、すぐに自然と人々が利用しはじめ、狙い通り、軒先でくつろぐ姿が増えていったといいます。これは奈良県生駒市の「ごみ捨て」を切り口に地域のコミュニティを活性化させる「こみすて」(設計アドバイス:グランドレベル)でも感じたことですが、それまで殺風景だった場所もきちんとデザインの手が加えられれば、人が自然と集まりやすい場所を再生できる。そして、興味深いのは、そこにアクセスし、関わる人たちは、はじめは戸惑っていても、その表情はどんどん柔らかくなっていくということです。
スタッフが変わり、お店とお客さんとの関係も変わっていく「カフェダインの運営には、店舗のサービスカウンターで働いていた人たちに担当してもらうことになりました。周辺で暮らしている主婦が多く、学校や町会など地域の事情にも精通しているスタッフです。ただ、今までのマニュアルがあるサービスとはまったく異なりました。グランドレベルさんが提唱する『自由なくつろぎを提供する』といわれてもイメージがわかなかったようで、最初は戸惑いや不安もありました。その後、グランドレベルさんが運営する喫茶ランドリーに研修へうかがうことになりました」と黒田さん。
大手スーパーに限らず、多くのサービス業にはマニュアルがあり、それを憶えて実行することが良しとされてきました。しかし、「カフェダイン」が目指した市民の誰もが自由にくつろぐ場所は、それまでのような画一的なオペレーションではつくり出すことができません。
カフェダインを通じてスタッフのマインドにも変化が(写真提供/マックスバリュ関東)
「自然と知らない人同士が出会ったり、コミュニケーションを取りはじめる場を運営していくには、空間などのハードのデザイン、何をする場所か、何が許される場所かというソフトのデザインと同じくらい、どのように人と接するかというコミュニケーションのデザインが大切になります。そこを学んでいただくために、私たちはプロジェクトに関わる人には必ず、『喫茶ランドリー』でのスタッフとしての研修をお願いしています。喫茶ランドリーは、奥に洗濯機やミシンを備えた「まちの家事室」を備えたまちの喫茶店です。スタッフは、店員とお客さんという関係ではなく、“○○さん”という一人の人間として立ち、誰にも人間らしく自分らしく接しています。そうすることで、誰もが自由に過ごせる空気を生み出せます。オープンから数週間後、マックスバリュおゆみ野店を訪れると、黒田さんもサービスカウンターの皆さんも、確実に変わりはじめていることが分かりました。お客さんからのアイデアを柔軟に受け入れながら、また自分たちのアイデアも次々と実現させていて、想像以上に手ごたえを感じました」とグランドレベル田中さん。
黒田覚さん自身も、大きな変化や手ごたえを感じていました。
「先日、カフェダインに小さなお子さんを連れたお父さんがいらっしゃったんです。お子さんは店内を走り回っていたのですが、スタッフが声をかけて絵本の読み聞かせをしたところ、自然と立ち止まって、目を輝かせて聞いてくれて……。今までだったら『注意』して終わっていたと思います。それを、あえて本を読むという行動に変えただけで、私たちとお客さんとの関係が変わり、それが小さな出会いと思い出になりました。こういうことが積み重なっていけば、地域の中におけるスーパーマーケットの存在価値は、変わっていくなと思いました」と感慨深い様子です。
リニューアルオープンが、コロナ禍の2020年10月となりましたが、感染予防対策をしながらも、クリスマスや年越し、節分やバレンタインなど、さまざまなイベントが開催されていったそう。すべてスタッフの発案によるものだったそうです。
コロナ禍で、さまざまな制限があるなかでも、常に自分たちでその距離感を考えながら、さまざまなイベントを開催しています(写真提供/マックスバリュ関東)
スタッフやお客さんたちの好きなモノの写真であふれていた室内側の掲示板は、お正月には一新し、お客さんたちが書いた『私の一文字』でいっぱいに。この多様さが、また人を引きつけていったといいます(写真提供/マックスバリュ関東)
「カフェダインの半分は、半屋外の軒先にあるので、コロナ禍においては密室が避けられるので良いというお声もいただいています。公民館などの施設が閉まっていることが多いので、カフェダインの場所を借りたいというお声も多くいただいています。実際、フラワーアレンジメント教室や英会話教室など、さまざまにご利用いただくことも増えてきました」と黒田さん。
一方、新型コロナウイルスの流行によって在宅勤務が増えたことで、「自宅以外の、『気楽にいられる場所への需要』が高まっている」と田中さんは別の側面も指摘します。
「特に働き盛りの世代や独身の世帯は、自宅以外に地域の居場所を持っていない人が少なくありません。こうやってスーパーの軒先が、買い物目的でなくても立ち寄れる、まちに暮らす多様な人が居られる場所になれれば、孤独な人でも、何かの拍子に知らない人と顔見知りになったり、話しかけられる状況も生まれやすくなったりします。スーパーマーケットは公共的な存在だからこそ、そうやって小さなコミュニティを生み出せる場所になるべきだと思います」」と田中さん。
実際のところ、カフェダインのスタッフとお客さんとの間には、これまでにない新しい関係が生まれていて、「アレ、今日は●●さんは?」という会話もよく交わされているそう。新型コロナウイルスの流行で失われた、「約束もなく自然と人と会って、何気ないことを会話する」を埋める場所として、また、これからのスーパーマーケットのあり方として、カフェダインは大きな存在価値を発揮するに違いありません。
●取材協力関西屈指の主要駅と言えば梅田駅。3月17日に発表された「SUUMO住みたい街ランキング2021 関西版」で総合2位になった駅でもある。「梅田駅」自体は大阪メトロ御堂筋線1本しか通っていないが、ほぼ同じ場所にJRの一大ターミナルである大阪駅、阪急電鉄、阪神電鉄の大阪梅田駅、大阪メトロの谷町線・東梅田駅と四つ橋線・西梅田駅、さらにはJR東西線の北新地駅が密集しており、さまざまな方面へアクセスしやすいロケーションだ。そんな梅田駅周辺は多彩な商業施設がそろう繁華街でもあり、暮らすには便利だけど物件価格が高い点は気になる。そこで梅田駅から30分圏内にある、中古マンションの価格相場が安い駅を調査した。さっそくトップ10を見ていこう。●梅田駅まで30分以内の価格相場が安い駅TOP10
順位 駅名 価格(主な沿線/駅の所在地/所要時間/乗り換え回数)
【シングル向け】
1位 西大橋 1580万円(大阪メトロ長堀鶴見緑地線/大阪市西区/11分/1回)
2位 天王寺 1585万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪市阿倍野区/16分/0回)
3位 南方 1590万円(阪急京都本線/大阪市淀川区/10分/0回)
4位 西中島南方 1600万円(大阪メトロ御堂筋線/大阪市淀川区/4分/0回)
5位 谷町四丁目 1687.5万円(大阪メトロ谷町線/大阪市中央区/12分/0回)
6位 阿波座 1690万円(大阪メトロ中央線/大阪市西区/11分/1回)
7位 摂津本山 1740万円(JR東海道本線/兵庫県神戸市東灘区/26分/1回)
8位 大阪上本町 1780万円(近鉄奈良線/大阪市天王寺区/17分/1回)
8位 谷町九丁目 1780万円(大阪メトロ千日前線/大阪市天王寺区/15分/1回)
8位 天満橋 1780万円(大阪メトロ谷町線/大阪市中央区/10分/0回)
【カップル・ファミリー向け】
1位 出来島 1580万円(阪神なんば線/大阪市西淀川区/20分/1回)
1位 千船 1580万円(阪神本線/大阪市西淀川区/13分/0回)
3位 伝法 1680万円(阪神なんば線/大阪市此花区/21分/1回)
4位 住道 1739万円(JR片町線/大阪府大東市/25分/1回)
5位 尼崎センタープール前 1750万円(阪神本線/兵庫県尼崎市/21分/1回)
6位 河内小阪 1780万円(近鉄奈良線/大阪府東大阪市/27分/1回)
7位 福 1824万円(阪神なんば線/大阪市西淀川区/22分/1回)
8位 住之江公園 1834万円(大阪メトロ四つ橋線/大阪市住之江区/23分/1回)
9位 大和田 1839万円(京阪本線/大阪府門真市/27分/2回)
10位 千鳥橋 1880万円(阪神なんば線/大阪市此花区/19分/1回)
今回は梅田駅から30分圏内にある、「シングル向け(専有面積20平米以上~50平米未満)」と「カップル・ファミリー向け(専有面積50平米以上~80平米未満)」の中古マンションの価格相場が安い駅を調査した。梅田駅のすぐ近くには他路線の駅も複数あると先ほど述べたが、「梅田駅からまず徒歩で大阪駅や東梅田駅に行き、そこから列車に乗車(して30分圏内にある駅)」といった経路も今回の「梅田駅から30分圏内」という判定に含まれている。
そうして調査した結果、まずは「シングル向け」のトップ10からチェックしていこう。最も安かった駅は、梅田駅から約11分の大阪メトロ長堀鶴見緑地線・西大橋駅。「キタ」と呼ばれる繁華街の中心地である梅田まではタクシーでも15分弱、「ミナミ」と呼ばれる道頓堀や心斎橋、難波も歩いて20分圏内、という好立地に位置している。繁華街の近くながら西大橋駅周辺はゴミゴミとはしておらず、街路樹が彩る大通りを外れて裏道に入ると静かな住宅街。駅に近い北堀江エリアはしゃれたカフェや雑貨店が多いとの評判もある。日々の暮らしに欠かせないスーパーやコンビニも点在しており、快適に暮らせそうな街と言える。
西大橋駅近くの風景(写真/PIXTA)
2位は大阪メトロ御堂筋線・天王寺駅。梅田駅からは乗り換え不要、約16分で到着する。地下鉄のほかにJR各線も通っており、阪堺電気軌道上町線・天王寺駅前停留所と近鉄南大阪線・大阪阿部野橋駅もほぼ同じ場所にあるため多数の路線が利用できる。駅ビル「天王寺ミオ」をはじめ駅周辺には大型商業施設が建ち並んでおり、高さ日本一のビル「あべのハルカス」があるのもここ。キタ、ミナミに次ぐ大阪市内屈指の繁華街とも言える天王寺エリアが、2位というのは驚きだ。ただ、天王寺駅の北西部は大阪市立美術館や天王寺動物園を有する「天王寺公園」が大きな面積を占めており、商業施設も多いために駅周辺の中古マンションの物件数はあまり豊富ではなさそう。気に入る物件を見つけたら、早めに確保したほうがいいかもしれない。
天王寺公園とあべのハルカス(写真/PIXTA)
3位は阪急京都本線・南方駅で、すぐそばに4位の大阪メトロ御堂筋線・西中島南方駅がある。南方駅から阪急京都線で大阪梅田駅にでて梅田駅に行くのも、南方駅から西中島南方駅に歩いて向かい、そこから大阪メトロ御堂筋線に乗り梅田駅に行くのもどちらも乗り換え0回だが、ランキング表ではシミュレーション上での時間が短い前者の所要時間で記載している。さて、南方駅や西中島南方駅の周辺の様子に目を向けると、駅の南側に淀川が流れており、橋を越えると梅田エリア。淀川の河川敷は「淀川河川公園」として整備されており、駅近くの一角には春から秋に利用できるBBQ広場も。例年の夏に河川敷で開催される「なにわ淀川花火大会」も楽しみだ。コンビニなどの商店は駅の北側のほうが多い。10分ほど歩くと、目玉商品の「1円」特売があるなど激安スーパーとして知られる「スーパー玉出」の淀川店にたどり着く。このエリアに住んだ際には、お世話になることだろう。
さて今回の調査の基点にした梅田駅の「シングル向け」中古マンションは、残念ながらSUUMO掲載物件数が調査条件(掲載11件以上)に満たなかったため価格相場を算出できていない。しかしほぼ同じ立地にある「大阪梅田駅」の価格相場は2780万円だったため、梅田駅もそれとさほど違いはないと思われる。
一方でトップ10にランクインした駅の価格相場は1位が1580万円で、最高値の駅(同額8位)でも1780万円となっており、大阪梅田駅と比べて1000万円以上も低い。また、トップ10の梅田駅までの所要時間は、7位のJR東海道本線・摂津本山駅は約26分かかるものの、それ以外の駅は15分前後。「シングル向け」の物件なら梅田駅からそれほど離れずとも、梅田駅よりも大幅に安い物件を見つけやすいことがランキング結果から判明した。
「カップル・ファミリー向け」は梅田駅の西方、淀川周辺が狙い目「カップル・ファミリー向け」ランキングの1位は、阪神なんば線・出来島駅。大阪市の北西部に位置し、駅北側を流れる神崎川(中島川)を越えると兵庫県尼崎市へ。駅南側には淀川が流れており、南北を流れる川は駅の西側で合流して大阪湾へと注がれる。大阪湾に面した駅西側の一帯には工業地帯や小学校、公園などがあり、住宅は駅の東側のほうが多い。大型マンションよりもどちらかというと一戸建て住宅や小規模な集合住宅が目立つ昔ながらの住宅地で、駅周辺には複数のスーパーが点在している。1駅隣にある7位の福駅は歩いても15分ほどで、福駅前にあるユニクロや総合病院も生活圏内と言えるだろう。また、出来島駅の南方にある「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」まで車なら約15分。年間パスを買って、家族で通いつめるのも楽しそう。
出来島駅(写真/PIXTA)
出来島駅と同額1位の阪神本線・千船(ちふね)駅は、出来島駅と直線距離で1kmほどしか離れていない。出来島駅の北に浮かぶ、神崎川と左門殿川に囲まれた中洲にある駅だ。この中洲一帯は古くから「佃」という地名で呼ばれており、江戸時代にこの地から移住した人々によって開かれたのが東京都中央区の佃島なのだとか。そんな歴史ある千船駅周辺エリアの現在はというと、左右2.5kmほどの中洲内に交番や郵便局あり、小学校2つと中学校1つ、保育園もあり……とさまざまな施設がそろっている。100円ショップや複数のコンビニも点在しているが、スーパーは川を越えていく必要がある。とはいえ駅から歩いて10分ほどなので、利用しやすいだろう。
3位は阪神なんば線・伝法駅。この駅を含めて阪神なんば線沿線から4駅がトップ10にランクインしており、出来島駅(1位)~福駅(7位)~伝法駅(3位)~千鳥橋駅(10位)、という順に連続している。1位の出来島駅と7位の福駅の南側を流れる淀川を越えると、3位の伝法駅という位置関係だ。伝法駅の周辺には小中学校や幼稚園が点在し、子ども用品店「西松屋」もテナントに入った「イオン 高見店」など複数のスーパーやショッピングセンターも。子どもがいるファミリー層も暮らしやすそうな街並みだ。駅から5分ほど歩くと、645年の創建と伝わる「西念寺」がたたずんでいる。門前には「大阪道 右てんま 左あまがさき」と記された石柱の道しるべがあり、かつてここを通っていた尼崎方面と大阪を結ぶ重要な街道、尼崎街道の面影をしのばせている。
さて専有面積20平米以上~50平米未満の中古マンションを対象にした「シングル向け」トップ10の駅は大半が梅田駅から15分前後の立地だったが、専有面積50平米以上~80平米未満の中古マンションを対象にした「カップル・ファミリー向け」のトップ10はどうだろう。梅田駅から約13分の千船駅以外は、20分以上かかる駅が多かった。専有面積50平米以上の物件の場合は、シングル向け物件を探すエリアよりも梅田駅から離れたほうが安い物件が見つけやすいようだ。
また、出来島駅(1位)~福駅(7位)~伝法駅(3位)~千鳥橋駅(10位)が連続する駅であり、さらに千船駅(同額1位)は出来島駅と近い立地のため、トップ10のうち5駅は密接したエリアにあることになる。梅田駅に近くて安い「カップル・ファミリー向け」の中古マンションを探す際はこの5駅が位置する、梅田駅西方の淀川近くのエリアに注目するといいだろう。
ちなみに梅田駅周辺の「カップル・ファミリー向け」中古マンションの価格相場は5135万円。10位の駅と比べても2.7倍以上も価格相場が高い。「カップル・ファミリー向け」トップ10は「シングル向け」よりは梅田駅から離れた駅が多いとはいえ、いずれも30分圏内。これほど価格相場が下がるなら、トップ10の駅周辺に住むという選択肢はアリだろう。
関東住みからするとうらやましい!? 梅田の近隣は意外と安く住める中古マンションの価格相場を紹介する当連載は東京都内の駅を基点にすることが多いが、今回は大阪屈指の繁華街・梅田駅を基点に調査した。すると都内と比べ、基点とした主要駅から30分圏内の価格相場が意外と安い印象を受けた。そこで過去の記事を見返したところ、「新宿駅まで30分圏内」の中古マンション価格相場ランキング(2020年7月~9月調査)は「シングル向け」が1位・2080万円~10位・2399万円、「カップル・ファミリー向け」が1位・2485万円~10位・2880万円。「渋谷駅まで30分圏内」の同ランキング(2020年4月~6月調査)だと「シングル向け」が1位・1990万円~10位・2499万円、「カップル・ファミリー向け」が1位・2380万円~10位・3490万円だった。
価格相場を算出した調査時期が異なるため一概には比較できないとはいえ、都内の新宿や渋谷から30分圏内で探すよりも、やはり梅田駅から30分圏内のほうが広さは同じ物件でも価格相場が安い様子。また、基点にした駅の価格相場を比べてみると、「シングル向け」物件は今回調査の大阪梅田駅が2780万円で、過去に調査した新宿駅が3980万円、渋谷駅が4590万円。同様に「カップル・ファミリー向け」物件は梅田駅が5235万円で、新宿駅が6580万円、渋谷駅に至っては8490万円! 「大阪は便利な都市部であっても、東京よりもだいぶ安く住めるらしい」というウワサは関東民の間でも語られ、うらやまれてきたことではある。今回の調査は、それは単なるウワサではなく本当のことなのだと証明していると言えるだろう。
●調査概要東日本大震災から10年。2021年2月にも大きな余震があり、巨大地震への不安をぬぐえないでいる。そんななか、木耐協が耐震診断結果の調査データを公表した。建築基準法の耐震基準が大きく変わると、耐震診断の結果も連動して変わる結果となっている。そこで、建築基準法と耐震診断の耐震性について掘り下げたいと思う。【今週の住活トピック】
「木耐協 調査データ(2021年3月発表)」を公表/日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)耐震診断をした木造一戸建ての9割が現行の耐震基準を満たしていない
木耐協の耐震診断の調査は、1950年~2000年5月までに着工された「木造一戸建て(在来工法・2階建て以下)」が対象となる。今回の調査データは、2006年4月~2021年2月に行われた耐震診断の結果に基づいている。
木耐協が耐震診断結果を把握している2万7929棟で見ると、現行の耐震基準を満たしているのはわずか8.5%。残りの91.5%は耐震基準を満たしていない(大地震で倒壊する可能性がある/倒壊する可能性が高い)。住宅が倒壊してしまうと、そこに暮らす人々の命を守れないことになる。
なお、調査対象の一戸建ての平均築年数は37.15年とかなり古い。耐震補強工事をする場合は、おおよそ150万円かかるという。
建築基準法の耐震基準と耐震診断の診断基準の考え方は?ここで、建築基準法の耐震基準と耐震診断の判定方法について、整理しておこう。
まず、建築基準法は、生命や財産、健康を守るために建築物について最低の基準を定めた法律だ。地震から身を守るための基準も含まれている。耐震基準については、「1981年6月」に大幅に改訂され、それより前を「旧耐震基準」、それ以降を「新耐震基準」と呼んでいる。
木造一戸建ての耐震基準は、さらに「2000年6月」にも大きな改訂があった。つまり、2000年6月以降に建築確認申請を受け付け、着工された木造一戸建てが、現行の耐震基準で建てられた住宅とみなされる。木耐協の耐震診断の調査は、1950年~2000年5月までに着工された住宅なので、旧耐震基準の住宅と、現行より劣る新耐震基準の住宅(木耐協では「81-00木造住宅」と呼んでいる)が対象ということになる。
(作成/SUUMO編集部)
建築基準法と耐震診断の考え方の違いについて、木耐協のリリースで詳しく説明されているので、それを紹介しよう。
まず、建築基準法では、耐震計算する際に想定する地震を次の2段階に分けている。
・大地震:建物が建っている間に遭遇するかどうかという極めてまれな地震(数百年に一度起こる震度6強クラスの地震)
・中地震:建物が建っている間に何度か遭遇する可能性のある地震(震度5強程度)
つまり、「大地震時には人命を守ること」、「中地震の場合には建物という財産を守ること」を目標とするのが、建築基準法の考え方だ。
これに対して、耐震診断では人命を守ることに重点を置き、「大地震時に倒壊しない」ための耐震性確保を目標としている。したがって、耐震診断では大地震への対応という1段階のみで考えている。
木耐協の「耐震性の評価方法」は、(一社)日本建築防災協会の一般診断法に基づいて行った耐震診断で、診断結果(評点)により次の4段階で判定している。(1)と(2)が現行の耐震性を満たしている住宅となる。
(1)倒壊しない
(2)一応倒壊しない
(3)倒壊する可能性がある
(4)倒壊する可能性が高い
さて、さきほどの耐震診断の結果を再度見てみよう。「旧耐震基準住宅」と「81-00木造住宅」に分けて見たところ、現行の耐震基準を満たすとみなされる住宅((1)と(2)の合計)は、旧耐震基準住宅では2.7%しかないが、81-00木造住宅では増加して14.1%になるものの、85.9%には倒壊のリスクがある。
※築年が1950~1980年を旧耐震住宅、1981~2000年5月を81-00木造住宅に分類
つまり、1981年6月以降に着工した新耐震基準の木造一戸建てであっても、2000年5月までに着工したものの大半が倒壊するリスクがある、という結果だ。
政府は、地震による住宅の倒壊を防ぐために、旧耐震基準の木造一戸建ての耐震化に力を入れている。そのため、ほとんどの自治体で、耐震診断の診断員を派遣したり、耐震診断や耐震改修設計、耐震改修工事の費用の一部を助成したりする制度を用意している。特に巨大地震の可能性が高いとされる地域の自治体ほど、助成制度の内容を手厚くする傾向が見られる。
原則として、旧耐震基準住宅の現行基準への耐震化が助成の対象となるが、中には81-00木造住宅の場合でも費用を助成する自治体もある。また、「現行の耐震基準まで補強する」という改修工事の条件だと、改修工事費用の自己負担額が払えないからと工事そのものを断念する人もいるため、より低い耐震工事のレベルでも助成する自治体も一部にはある。
とはいえ、木耐協の調査データによると、81-00木造住宅でも倒壊リスクが高いため、補助金等の助成の有無にかかわらず、自宅をリフォームする際や中古一戸建てを購入する際には、ぜひ耐震診断を受けてほしい。
予算に応じた補強工事を検討して、リスクを軽減しよう木耐協は、「予算内で可能な『減災設計』も視野に」入れることも勧めている。住宅の築年数が長くなるほど、住む人の高齢化も進むため、長期のローンを組んだりすることもできず、耐震改修工事の費用負担が大きな問題となる。であれば、予算に応じた範囲でも耐震補強をしたほうがよいというわけだ。
もちろん、耐震診断の「(1)倒壊しない」に引き上げるまで補強工事をするのが理想だが、諦めて何もしないよりは、捻出できる費用でできるだけ補強することのほうがリスク軽減になる。
例えば、耐震補強で効果が大きい工事はいくつかある。
・構造上の柱などの接合部に金物を取り付ける
・耐力壁を追加したり、筋交いなどを補強したりする
・腐朽や蟻害で弱くなった柱や土台を強化する
・土瓦の屋根を軽量なものにふき替える
すべて実施するだけの費用を負担できないとしても、建築士と相談して最も効果の高い工事を選んで実施するということも、視野に入れるとよいだろう。
また、中古一戸建てを買う場合は、耐震改修工事は住み始めてから工事することが大変になる(壁を剥がす工事が多く仮住まいが必要になるなど)ので、住む前に実施しておくのが効率的だ。まず耐震診断を受けて、これから住む住宅の耐震性を把握することがきわめて大切だ。
住宅はそこに住む人の命や財産を守る箱でもある。自治体の助成制度や耐震リフォーム減税・グリーン住宅ポイント制度などの優遇制度を利用したり、高齢者であればリバースモーゲージを利用したりと、費用負担を軽減する方法もある。東日本大震災後10年の節目に、地震に対してどう備えるのか、長い目でよく考えてほしい。
総武線西千葉駅から徒歩10分、一戸建て中心の住宅街のこぢんまりとした3階建てビル1階にある「西千葉工作室」。ここは、ものづくりのためのスペースと道具をシェアする場所で、西千葉を拠点に地域活性を行う企業が6年前から運営しているもの。 “ものづくり×地域活性”について、店長の高橋鈴佳さんにお話を伺った。
モノづくりの必要な場所と道具をシェアする「まちの工作室」
西千葉工作室のコンセプトは、「生活に根ざすものづくり」にチャレンジする、まちの工作室。例えば、「壊れてしまったから直そう」「今あるものを自分好みにつくりかえてみよう」「こんなものがほしいからつくろう」という生活に根差したニーズに合わせて、スペースを提供、工具類の貸し出しもしている。必要とあらば、専門知識のあるスタッフのアドバイスを受けることもできる。
料金は2時間までは500円(大人会員)、1カ月フリーパスは5000円だ。レーザー加工機、3Dプリンターなどの専門機材も10分単位で利用可能(有料)(写真提供/西千葉工作室)
基本的にはスペースを貸し出し、各自個人で作業をするが、ワークショップなどのイベントも行う。夏には子どもの自由研究向けの相談室を開催、2・3月には入園グッズを作成するママたちの姿が多い。自分でデザインしたものを3Dプリンターを使って形にする人もいる。
イベント「家電をなおす会」でスタッフに聞きながらオイルヒーターを直すお客さん(写真提供/西千葉工作室)
外部の専門家を招いて、手持ちの服を持参しての藍染めイベントも(写真提供/西千葉工作室)
ごはんをつくるようにものをつくり、直す。あたり前の人の営みに気づく場所にしかし、ものづくりが最終目的ではない、と高橋さん。
「例えば、私たちスタッフが代行してものづくりや修理をすることはありません。いわゆる先生が生徒に教える教室でもありませんし、最終的にクリエイターを育成したいと思っているわけでもないんです」
そもそも、この西千葉工作室ができたのも、運営会社であるマイキーの”自分の暮らしを自分で創る”という企業理念の延長線上にあるもの。
(写真提供/西千葉工作室)
「今は多くのモノが溢れているので、何か手に入れたいものがあると、ついつい“買う”という選択肢に偏りがちですが、場合によっては、『今あるものを“なおす”方が自分の暮らしにフィットするかもしれない』『値段も形も理想ぴったりのものがないものを妥協して買うのではなく、“つくる”ことで、より理想に近い暮らしが手に入るかもしれない』。そういう発想とスキルが得られる場を提供しようと思っています」
例えば、園準備のため子どもの名前判子を手づくりしたママ、木製のおもちゃをつくる親子、木材に加工して看板をつくった八百屋さんetc.この工作室がなかったら、自分でつくるではなく、“買う”を選択しただろう人達だ。「もちろんものづくりが趣味という方もいらっしゃいますが、ここではじめてつくってみたら、案外つくれるんだと気付いて、必要になったら足を運んでくださる方も多いんです」
結婚を機に近所に引越してきた20代のIさん夫妻は、工作室で相談しながら、自作のクローゼットを完成。その後、何度か足を運ぶように。「粉塵が出るやすりがけは工作室、塗装は家のベランダでなど、工作室と家での作業を使い分けて効率的に使っています」(Iさん)。
木材パネルとパイプを組み合わせてAさん夫妻がDIYしたクローゼット。「ほかにもトイレットペーパー収納もつくりました。今後は暮らしの中で必要な小物をつくってみたいと思っています」(Iさん)(写真提供/西千葉工作室)
卓球の配球マシーン。中学校に入学して卓球部に入った男の子が、レギュラー選手になることを目指して、自宅で練習するためにつくった(写真提供/西千葉工作室)
最初は試行錯誤。今は幅広い属性を持つスタッフと利用者にただ、最初からうまくいっていたとは言えなかったという高橋さん。2013年のオープン当初は、ちょうど若者向け、クリエイター向けのスペースのムーブメントが起きていて、同様の場所と思われていたという。
「店内にかけるBGMを誰もが違和感を持たないラジオにする、フラットな接客にする、内輪の感じを出さないなど、細かな軌道修正をしました。また、スタッフも幅広い世代に。すごくスキルのある60代のエンジニアの方、建築やデザインを専攻する大学生、パタンナーだった主婦の方、フリーランスのデザイナー、独学で洋裁を習得した会社員の方、家具デザインの専門知識がある土日だけの会社員の方など、さまざまな得意分野を持つスタッフがいます」
そうした軌道修正や、スタッフの充実度に伴い、今、利用者は小学生から90代までと幅広い。
「ちょっとだけ使う人も利用しやすいよう、機材は10分単位で100円、300円の価格設定に。たくさん使う人からすればコスパが悪いかもしれませんが、うちには少しだけ使う人が多いので、10分単位の価格設定がちょうどいいんです。置いてある機材も当初はデジタル系が中心でしたが、ミシンを増やすなどアナログなものも増えてきました」
ミシンが得意なスタッフに質問をすることもできる。マンツーマンでのアドバイスや専門知識がかなり必要なサポートは事前予約制(有料)(写真提供/西千葉工作室)
地域活性=コミュニティではない。大切なのは一人ひとりの暮らしの豊かさでは、ものづくりの拠点ができることで、どのように地域が活性化するのだろうか。
ココで地域とのつながりができ、コミュニティができるということだろうか、という質問に、高橋さんは「実はそれが目的ではないんです」と回答。
「もちろん、何度も通ううちに、顔見知りにはなりますが、内輪のコミュニティができることで、もしかしたら他の誰かを排除しているかもしれない。なるべく特定のコミュニティがベースにならないような場をつくりたいなと思っています。地域活性とひとことで言っても目的はさまざま。人が集まってにぎわいを生み出すのもひとつですが、もともと西千葉は郊外のベッドタウンで人は多い。私たちは、この工作室があることで、一人ひとりの暮らしを豊かに、楽しくなれば、その集合体である”街”も豊かに、楽しくなり、街のカルチャーが形づくられるはず。それが、私たちの目指す地域活性だと思っています」
例えば、主婦業の傍ら、趣味を活かして、地域のイベントに焼き菓子屋として不定期に出店していたKさん。せっかくなら、お店の看板をつくろうと、工作室で自作。その後、オリジナルのクッキー型、子どもの自由研究工作、オリジナルTシャツと、次々と自分で手掛けるように。
Kさんが手掛けたクッキー型は3Dプリンターで制作(写真提供/Kさん・西千葉工作室)
オリジナルの木の看板も、自分で手掛ければ、リーズナブルに(写真提供/Kさん)
「こんなものがつくりたいと頭の中で想像だけして終わっていたものを自分の手で創作できるようになり、オリジナルを形にする楽しみが増えました。またつくるだけではなく、壊れてしまったものを直すこともできるので、諦めて捨ててしまっていたものを再生できることも、新しい発見です」(Kさん)
コミュニティが目的ではないとはいえ、この場でしかありえないつながりも生まれている。例えばお互い名前を知らなくても、利用者同士でちょっと教えあったりして、手を差し伸べたりしているそうだ。なかには素敵なエピソードも。
「プログラミングなどのデジタル知識が豊富な小学生の男の子がいまして。多分、彼は同い年の友達とでは、そうした部分を持て余しているんですよね。工作室でベテランのエンジニアのスタッフからサポートを受けたことで、彼の頭の中にあった点と点の知識が一気につながったようで、とても楽しそうでした。そこは、年齢差を超え、共通の言葉を持つ者同士のフラットな関係性が、とても素敵で……。なんだか胸が熱くなりました」
毎年、自分で電話をかけてきて自由研究の相談に来る男の子。共通の趣味を持ち、共通の言語があることで、年齢も性別など属性を超え、共感を得られる場であることも喜び(写真提供/西千葉工作室)
今後は比較的利用の少ない高校生向けにオンラインでの「進路相談会」をする企画も進行中だ。「ものづくりを仕事にする面白さを伝えたり、普段はなかなか出会えない、社会に生きる親や先生以外の等身大の大人と接点を持つきっかけの場になったらと考えています」
コロナ禍のため席数を減らしたため事前予約制にしたところ、新規の利用者が増えたそう。「ああ、決してここは不要不急の場ではなかったんだ、こうしたモノづくりの場所をみんな求めているんだなと実感しました」
例えば、図書館のように、誰もが自由に気軽に訪れることができ、知的好奇心を、想像力と創造力を、生きる術を手に入れる場所として、街の至るところにあるような存在に「工作室」がなったら素敵だ。――西千葉工作室がそのモデルケースになるかもしれない。
新型コロナウイルスの影響で移動が制限されるようになり、早1年が経過しようとしています。一方、マンションの入居者向けに次世代モビリティサービス「MaaS(マース)」事業や、マンションの敷地や多種多様なスペースにさまざまな移動商業店舗がやってくるサービスなど、「移動」をカギにした暮らしをより豊かにする取り組みもスタートしようとしています。今回は、2021度中にこれらのサービスの本導入を予定している三井不動産に話を聞きました。
お出掛けを楽しく便利にする「MaaS(マース)」、近所にお店が来る「移動商業店舗」
「駅徒歩●分」などと言われるように、不動産と移動は密接な関係にあります。ところが、テクノロジーが発達したことで「働く」「学ぶ」「買い物」も自宅でできるようになりつつあり、「移動」そのものの考え方が大きく変わりそうです。 そんななか、“不動産デベロッパー”である三井不動産が、今、モビリティ構想を掲げています。不動産事業はいわば、出発地となる「住まい」や目的地となる「オフィスビル」「商業施設」などの開発が主な領域のはず。なぜ、モビリティ構想を掲げるのでしょうか。
「弊社は不動産会社ですが、時代が大きく変化、変貌している昨今、不動産という『箱』を提供しているだけでは、競争力を維持できないのではという危機感があります。マンションと商業施設、あるいは勤務先を結ぶ『移動』の新サービスを提供することによって、住む人や働く人に新たな価値を提供できればと思っています」と話すのは三井不動産 ビジネスイノベーション推進部の門川正徳さん。
「弊社のモビリティ構想は街と人、サービスをつなぐものです。お出かけ、つまり“行く”の『MaaS』サービス、お店が自宅近くに“来る”の『移動商業店舗』は、いわば“行く”と“来る“のセット、分かりやすく2本柱といってもよい存在です」とビジネスイノベーション推進部の後藤遼一さんも続けます。
なるほど、不動産まわりの“行く”と“来る“を楽しくするということですね。
20年9月から、柏の葉をはじめ日本橋、豊洲でMaaSの実証実験を実施。手応えは?まず、“行く”の「MaaS」について解説してもらいましょう。
「MaaSは移動のために必要な検索、予約、決済をひとつのアプリケーションで完結する仕組みです。移動の利便性が格段にあがり、ライフスタイルに大きな変革をもたらすと言われています。今回、私どもの実証実験では、月額定額制(サブスクリプション)サービスで、カーシェアリングやシェアサイクル、バスなどを自由に組み合わせて簡単に利用できるようにしました。マンションから身近な目的地へのお出かけが手軽に、かつ楽しくなることを狙っています」門川さん。
三井不動産が始めたMaaSの実証実験のサービス概要。カーシェアリング、シェアサイクル、バス等の検索・予約・決済がまとめてできるというもの(図版提供/三井不動産)
MaaSによって、移動手段の検索、予約、決済ができ、なおかつサブスクだとしたら相当、便利&おトクですね。今回の実証実験では、カーシェアリングだけでなく、シェアサイクルやバス、タクシーと移動手段が多岐に渡っているため、時間や目的、気分にあわせて、サクサク選べるようになっているといいます。個人的には、子どもや高齢者などを連れての移動って、検索と下調べ、決済の一つひとつが大変なんですよね……。こうしたアプリが普及すれば、移動のストレスが軽減され、お出かけを楽しむ余裕もできそうです。
このMaaS、アプリの開発は数年前から行い、2020年9月から千葉県の柏の葉キャンパス、東京の日本橋、豊洲で実証実験を実施しています。新型コロナウイルスの影響下ではありますが、現在のところ、ポジティブな声が集まっているとか。
(写真提供/三井不動産)
「日本橋は都心、豊洲は準都心、柏の葉キャンパスは都市近郊と、それぞれ利用者層が異なるのですが、概ね好評をいただいています。一番うれしいのは『下車したことのないバス停で降りて発見があった』『気軽に移動できるようになった』という声でしょうか」と門川さん。
エリアによって利用状況は異なるそうですが、日本橋や豊洲エリアではタクシーを利用する人が多かった一方で、柏の葉キャンパスではカーシェアリングの利用頻度が高く、「自分の車のように使える」と好評だったとか。確かに、移動で公共交通機関を利用するのは感染症対策を考えると少しナーバスになるもの。タクシーにしてもカーシェアリングにしても、気楽に利用できるのであれば「使ってみたい」という需要にマッチしているのでしょう。課題はあるのでしょうか。
マンションに住民専用のカーシェアリングやシェアサイクルを導入。稼働率が高く好評だったそう(写真提供/三井不動産)
「MaaSという言葉や仕組みがまだまだ知られていないので、知ってもらい、利用してもらって次につなげることが課題だと思っています。また今回の実証実験で得られた知見を活かして、他のエリアでどう展開するかは、今後の取り組みになりますね」と率直に教えてくれました。
リアルなお店があなたの近くに「来る」!移動商業店舗の実験とはMaaSが住まいから移動するための“行く”試みであれば、住まいの近くに“来る”試みといえるのが、もうひとつのモビリティ構想の取り組みである「移動商業店舗」です。
移動商業店舗のプロジェクト概要。みなさんが生活する近く(住宅・ビル・公園等)に新しい店舗やサービスが来たら、楽しくなりますよね(図版提供/三井不動産)
移動商業店舗は購入率も高く、「また出店したいです!」と事業者、利用者ともに好意的な反応が多かったとか(写真提供/三井不動産)
12月に、掲載した記事、マンション×キッチンカーでは飲食を中心としたフードトラックがマンションに行くという試みをご紹介しましたが、この「移動商業店舗」は飲食に限らず、物販やサービスなどの全ての店舗を車両に乗せて、人々の身近な生活圏内に“来る”というものなのです。ちなみに展開するエリアは三井不動産が手がける施設や敷地内に留まらず、社外も含めた多種多様なスペースも活用し出店場所を広げていく予定。なぜまた、“来る”だったのでしょうか。
「社会の変化するスピードが早くなったことで周辺のニーズと提供コンテンツにギャップが生まれたり、人々の価値観も多様化しています。、さらに、利用者って時間帯や曜日によって、異なる買い物やサービスのニーズを抱いているはずなんです。だからこそお客さんのところに、週替りや日替わり、時間帯ごとに必要なリアル店舗が“来る”ようにすれば不動産では提供しきれなかった幅広く変化するコンテンツを提供できるのではないかと思ったのがはじまりです。これまで不動産会社は動かない床を貸してきましたが、今回は動く床を貸します。つまり『移動産』と言っています」(ビジネスイノベーション推進部の後藤遼一さん)
「不動産」ならぬ「移動産」! 確かに利用者から見れば、利用したい店は時間によって異なりますし、お店が「近くに来てくれるのであれば行きたいな」という店舗は多いもの。また、店舗事業者から見れば「出店コスト」がぐっと抑えられて、集客が見込めるのであれば、これはうれしいマッチングですよね。ちなみに、20年9月~12月に東京都の豊洲、日本橋、晴海、板橋、そして千葉市という5エリアで10業種11店舗の事業者とともにトライアルイベントを実施したそう。
マンション下にマッサージ店舗が来てくれたら行きたいですよね(写真提供/三井不動産)
包丁研ぎのお店も(写真提供/三井不動産)
「今回は包丁研ぎ、健康器具や雑貨、コスメ、お香、オーダースーツなどさまざまな店舗にご出店いただきましたが、特に包丁とぎやマッサージなどは予想通り好評で、色んな店舗で手ごたえを感じましたね」と話します。一方“移動”“屋外”ならではの大変さもあったとか。
「お天気がいい日は良いのですが、秋の台風シーズンだったものですから(笑)、屋外は大変で、これは今後の課題でもあります。自分もほぼ、イベント会場にいたので、テナントさんのスタッフとも仲良くなって、乗り切った達成感がありました」と振り返ります。
ちなみに、子育て世代は夕飯づくりが落ち着いてから自分の時間があるようで、物販のアクセサリーが夜7~8時に売れるなどの予想外の出来ごともあったとか。思わぬ時間帯に思わぬモノが売れたりするんですね……。今後は、こうした時間帯や曜日によって異なる店舗やサービスのマッチング精度を高めていきたいと思っているそう。
なんと缶詰の専門店も登場。確かに今、缶詰っておいしくておもしろいですもんね! (写真提供/三井不動産)
利用者からは、「共働きや子育てで忙しい日常の楽しみができた」「コロナ禍のなか、店舗が来てくれるのが便利」という声が寄せられているとか。それは、そうですよね。お店ってやっぱり単なる商売じゃなくて、コミュニケーションの場でもあるので、気持ちが落ち込みがちな時期だからこその「楽しみ」になったのではないかと推察します。
今回の「行く」と「来る」によって促されるのは、人やモノ、風景との「出会い」だと思っています。モビリティ構想というとなかなかイメージしにくいですが、人の「行く」とモノ・サービスの「来る」を楽しくする試みだというと、とても分かりやすいですよね。思うように出会えない・移動できないコロナ禍だからこそ、より価値ある実験となるのではないでしょうか。
●取材協力