
12万5,000円 / 39.27平米
山手線・南北線・東急目黒線・都営三田線「目黒」駅 徒歩11分
窓のすぐ先には、目黒川の桜・桜・桜。春になれば美しい桜の花、花が散れば新緑の緑が楽しめる、目黒川最前列のマンション。
桜が楽しめる意外にも、推しのポイントがいくつかあります。
まずは間取りのバランスの良さ。2人暮らしでもしっかりと、お互いの好きな時間を楽しめるような間取り。自 ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
他殺や自殺などがあったいわゆる“事故物件”は、いつまで告知が必要なのか。国土交通省がそのガイドライン(案)を発表した。現時点では、パブリックコメント、つまり広く一般に意見を求めている段階なので、今後変更もありうるが、賃貸物件に関しては告知期間を3年間とするなど、具体的な内容に踏み込んだ興味深いものだ。その概要を見てみよう。
何をいつまで告知すべきなのか
事故物件は、いつまで告知が必要なのか。これは実はなかなか難しい問題なのだ。まず人によって受け止め方が違う。自殺があった部屋は何年経っていても嫌、という人もいれば、リフォームされているのなら気にしないという人もいるだろう。
それに加え、事故自体も個別性が強い。同じく部屋で自殺があったとしても、縊死(いし/首をくくって亡くなること)や刃物を使用した場合と睡眠薬を大量に飲み2週間後に病院で亡くなったというのでは、部屋の状態もその後に入居する人の心理的負担感もまったく違ってくる。室内で亡くなっていた場合は発見までの時間や室温等の諸条件によっても変わってくるはずだ。
(写真/PIXTA)
心理的嫌悪感は希薄化していく事故物件を嫌がる人の声として「事故物件であることを周囲の人にいろいろ言われそう」というものがある。物件を購入・貸借する本人が気にしなくても、風評を気にしてためらってしまう、というのは十分起こりうる話しだ。周囲の人がいろいろ言うとしても、時の経過はとともに減っていくと考えられる。
事故物件とは知らされずに購入したとして損害賠償を求めた裁判例を見ても、時間の経過により嫌悪感は薄れていく、と判断している。ただしその期間は一定ではない。「事業用物件か居住用物件か」「シングル向けかファミリー向けか」「都市部の物件なのか地方のものなのか」といった違いにより、心理的嫌悪感の希薄化が早く進行することもあれば、時間がかかることもあるとしている。事故の内容だけでなく、物件の属性や存する地域によっても告知すべき期間は異なってくるのだ。
「事故があったのであれば何年経っていたとしても教えて欲しい」という考えもあるかもしれないが、いつまでも告知し続けることは希薄化する期間を伸ばしてしまう要因にもなる。事故物件を気にしないという人も、告知されることで「賃料や価格を下げてもらわないと損」という気持ちになることもあるだろう。そもそも時間が経過し、物件の所有者や周辺住民が替わっていくと事故の調査も困難になる。
また、亡くなった理由が何であっても告知しなければならない、という誤解から、貸主や管理会社が単身高齢者の入居を敬遠するという事態も指摘されている。さらには「事故物件」として扱われることで賃貸できない期間が生じたり賃料が下がることから、遺族に対する損害賠償請求という深刻な問題も起きている。告知を続けることによる弊害もあるのだ。
東京都福祉保健局東京都監察医務院「東京都23区内における一人暮らしの者の死亡者数の推移」(内閣府の資料より引用)
では何を、いつまで告知すべきなのか。物件を仲介する宅建業者、賃貸物件の管理業者の間でも判断が分かれていた。そのため、国土交通省は令和2年2月「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」を設け、宅建業者の説明義務、調査義務について議論を重ねてきた。その結果をまとめたものが今回のガイドライン(案)だ。
自然死は告知しなくてもよいのが原則今回のガイドライン(案)では、「買主・借主が契約締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるもの」が告知の対象となっている。そのため老衰、病死など自然死は、原則として告知する必要はないとしている。自宅の階段から転落や入浴中の転倒事故、食中誤嚥(ごえん)など、日常生活の中で生じた不慮の事故も告知不要だ。人は亡くなるものであり、死亡したという事実だけでは「住み心地のよさを欠く」とは言えない、ということだ。
もっとも「人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置された」ことに伴い、いわゆる特殊清掃が行われた場合については、自然死などであっても原則として告知が必要としている。
(写真/PIXTA)
隣接住戸や前面道路での事故、事件は対象外また今回のガイドライン(案)では居住用不動産、つまりマンションや一戸建てなど住宅を対象としている。これに加え「ベランダ等の専用使用が可能な部分」「共用の玄関・エレベーター・廊下・階段のうち、買主・借主が日常生活において通常使用すると考えられる部分」も対象となる(そこで起きた事故は告知が必要になる)。
つまり、隣接住戸や前面道路での事故、事件があっても、告知の対象とはしていない。だからと言って隣接住戸であった事故について、一切言わなくてもよい、ということではないだろう。そこは従来通りケースバイケース、ということになる(ガイドライン(案)では「取引当事者の意向を踏まえつつ、適切に対処する必要がある」としている)。
では、何がいつまで告知されるのか。ガイドライン(案)では、告げるべき内容として「事案の発生時期、場所及び死因」を挙げている。死因とは、他殺・自殺・事故死の別だ。死因が不明な場合には、不明と説明される。
気になる期間だが、賃貸借については「宅地建物取引業者が媒介を行う際には…事案の発生から概ね3年間」は借主に告げる、としている。また自然死であっても特殊清掃が行われた場合は、特別の理由がない限り3年間は借主に告げるとしている。
一方、売買に関しては期間を明示していない。「考え方を整理するうえで参照すべき判例や取引実務等が、現時点においては十分に蓄積されていない」というのがその理由だ。今後も検討を続けていく、ということであろう。
繰り返しになるが、今回発表されたのは、パブリックコメント(意見公募)のためのガイドライン(案)だ。2021年6月18日までは、読者のみなさんも意見を述べることができる。
その後は、6月下旬~7月上旬にかけてパブリックコメント結果の報告・追加討議が行われ、秋ごろにはガイドラインが公表される予定だ。
今回のガイドライン(案)について、心理的嫌悪感についての論文執筆もされている明海大学不動産学部准教授の兼重賢太郎(かねしげ・けんたろう)先生にコメントをいただいた。
(写真提供/中村喜久夫)
「大家族で家で看取ることが当たり前だった時代と違い、現代の日本社会では、人びとの死が日常の生活空間から不可視化されています。その一方で、2019年の年間の死亡者の数は出生者の数を50万人以上、上回っています(「令和元年(2019)人口動態統計の年間推計」厚生労働省)。いわゆる事故物件の問題も、決して特殊な問題ではないと考えます」(兼重先生)
死を忌むべきものとしてタブー視し続けることはできない、ということだろう。兼重先生は持続可能性という観点も指摘される。
「事故物件の処理に関しては、これまでは賃貸住宅管理会社が法を援用しつつ、一種の『現場知(ノウハウ)』を駆使しながら多面的に対処してきました。これからはそのような『現場知』の蓄積を活かしつつ、持続可能な仕組みを社会的に構築していくことが必要です。その契機として、今回の『ガイドライン(案)』は一定の意義をもつのではないでしょうか」(兼重先生)
住宅ストックの長期利用という観点からも欧米と比べ日本の住宅の寿命が短いと言われて久しい。今年3月に閣議決定した新たな住生活基本計画でも、「脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成」が掲げられた(住生活基本計画 目標6)。住宅を適切に管理し、長期にわたって使用していくことが求められている。そして住宅を長期に利用する過程では、人が亡くなるということも当然に起こりうる。
嫌な場所に無理に住む必要はないが、きちんとリフォームされているにもかかわらず、過去の事故を引きずり続けるのは、合理的とはいえないだろう。その意味において、賃貸住宅の告知期間は原則3年間、という線引きがされようとしていることの意義は大きいと考える。
●関連サイト
・ガイドライン(案)
・「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)に関するパブリックコメント(意見公募)を開始します
・住生活基本計画
キッチン、リビング、机まわり、お風呂や洗面所……。どの家にもひとつはあるであろう、100円ショップで販売されている収納グッズ。そんな100円ショップの収納グッズを集めたサイト「MONO SIZE」が今年3月に誕生し、話題となっています。サイトを運営しているぱんくまさんに収納グッズのおもしろさ、活用法について取材しました!
全額自腹購入! 800点以上の100円ショップの収納グッズを掲載
コロナ禍の影響で、お家で過ごす時間が増え、家の整理・収納を見直した人は多いのではないでしょうか。そんな「ちょっと整理したいな」ときに役立つのが100円ショップの収納グッズです。近年ではデザインやサイズ感も洗練され、「コレが100円なの!?」というグッズが増えています。
そんな100円ショップの収納グッズを813点も(※2021年5月14日時点)網羅し、分かりやすいカタログとして一覧できるようにしているウエブサイトが「MONO SIZE」です。今年3月にできたサイトですが、オープン直後から、その網羅性と使い勝手のよさから「こんなサイトがほしかった…」「凄すぎる…」と収納好きを中心に話題を集めています。
(写真提供/MONO SIZE)
「セリア」のFITバスケットシリーズ。自宅にある人、ショップで見かけたことがある人も多いはず(写真撮影/MONO SIZE)
「ダイソー」の積み重ね収納ボックス(写真撮影/MONO SIZE)
このサイト、運営しているのは、ぱんくまさんという個人です。なんとご自宅近くのダイソー、セリア、キャンドゥの店舗をめぐり商品購入、撮影、採寸、原稿作成、アップまでお一人でやっているとか……。掲載している商品は、現在のところセリアの商品が一番多いそう。確かにセリアは収納用品が充実している印象があります。
「家にあるアレ、収納するとこうなる」がひと目で分かる!MONO SIZE、何がすごいかを語ると長くなりますが、1つ目は、モノをいれた状態が撮影されていること。しかもこの収納した状態写真は複数パターンあり、あまり収まりがよくない場合なども紹介されているのです。100円ショップの収納は勢いよく買ったものの、家に帰ったら「思っていたのと違う……」ということが起こりがちですが、これは写真で確認できるのでそうした失敗がありません!
FITバスケットシリーズにモノを入れ、カラーボックスにいれたところまで撮影。自宅に置くとどんな感じになるのか、非常~に参考になります(写真提供/MONO SIZE)
手間のかかりそうな記事作成ですが、1本の記事にかかる日数は、すぐに購入できた商品だと約3日(購入→撮影→掲載)ほどだそう。掲載予定の商品がスムーズに購入できるかによって所要時間が異なり、商品をシリーズでそろえて紹介する記事の場合は1~2カ月ほどかかるとか。モノをそろえて掲載するのも誠実さというのでしょうか、ぱんくまさんの真摯なお人柄が伝わってくるようです。
複数のメーカーのファイルボックスをシリーズでそろえ、比較した記事。商品の購入に時間がかかり、掲載までに1カ月かかったそう(写真提供/MONO SIZE)
ちなみに、サイトを計画してからオープンまでにかかった時間は7カ月! 途中、くじけそうにならなかったのでしょうか。
「当初は本当に使ってもらえるサイトなのだろうかと心配になったりしましたが、自分自身で使えそうだから、きっと誰かの役に立つはずと思い、オープンまで進めることができました。制作を始めて3カ月目くらいになるとサイトのベースができていたので、途中でくじけそうになることはありましたが、ここまできたらサイトをオープンさせたいと強く思っていました」とのこと。いやあ、収納愛のなせるわざですね。
ちなみに製作工程でいちばん時間がかかるのは購入で、作業自体が大変だったのは撮影だとか。特に筆者も大興奮した「モノをいれた状態の収納写真」は手間がかかっているようで、「収納グッズを出し入れして撮影するので、前かがみで撮影することが多く腰が痛くなった点も大変でした」。それは……満身創痍ですね。ちなみに腰痛は整体に通ってだいぶ落ち着いたといいます。
人の数だけ収納方法がある! 収納の魅力とは膨大な労力をかけて作成・運営なさっていますが、そもそも、なぜこのサイトをつくったのでしょうか。
「100円ショップの収納グッズはブログやインスタグラムで取り上げられることが多く、新商品の情報もすぐに知ることができます。とても便利ですが、商品情報(JANコード・サイズなど)の掲載状況がバラバラのため、必要な商品を探しにくい状況だと思いました。商品情報を統一したフォーマットで掲載することで、欲しい収納グッズを探しやすくなるのではと思い、サイトを立ち上げることに。ブログやインスタグラムの強みである速報性とは異なり、カタログサイトでは検索性や情報の統一感を意識しました」
「フタがとまるケースS」を紹介したページ。サイズなど商品情報が統一されているので、どこを参照すればよいのか、一目瞭然(写真提供/MONO SIZE)
収納の外寸から探す機能も実装。これを参照すれば、スペースにちょうど収まる「収納用品」を探せます。神ががってる……(写真提供/MONO SIZE)
その狙い、めっちゃ刺さっています。すべてのアイテムにおいて統一性があるので、必要な情報にすぐたどりつけます。しかも内寸も外寸もすぐに分かるという……。JANコードがあるから店でも探しやすいですよね。
ちなみに、ぱんくまさんに100均収納の魅力について聞いてみました。
「100均で販売している収納グッズは110円~330円の商品がほとんどです。そのためサイズが大きい収納グッズは少なく、小物収納グッズが中心でした。商品点数が多いので、収納する小物の形やサイズにあった収納グッズを見つけやすいです。さらにシリーズで展開されている商品も多く、組み合わせて使いやすい点が良いところだと思います」とのこと。
小物の収納に役立つSIKIRIシリーズ。我が家でも重宝しています(写真提供/MONO SIZE)
一方でやはり価格の制約があるため、耐久性は気になることがあるそう。それは100円ショップの商品という性格上、致し方ない面もありますよね。大変きっちりしていらっしゃるぱんくまさん、収納上手とお見受けしました。片付けや収納のおもしろさってどこにあるのでしょうか。
「もともと、SPOONHOMEというインテリアグッズや食器全般をご紹介しているブログを運営していましたが、収納アイデアやグッズを紹介する記事を書くのが楽しくなり、その時から収納グッズが好きなことを自覚しました。子どものころから紙箱に文房具を入れて整理するのが好きだったので、もともとそういうことに楽しみを感じるタイプだったのかもしれません」といいます。
ぱんくまさんが自宅のデスクで使用している収納グッズ(写真提供/ぱんくまさん)
クリアケース「2」「8」(写真上方にあるもの)を仕切りを使用して引き出しへ収納(写真提供/ぱんくまさん)
見事に収まっている様子。気持ちも整いそうです(写真提供/ぱんくまさん)
いいなあ、お片付け上手って、憧れます! 最後に、収納グッズのそのものの魅力について教えてもらいました。
「仕切りの位置がちょっと違うだけで収納できるものが変わったり、使ってみると意外のものが収納しやすかったり、いろいろと試すことができる点が魅力です。ツイッターなどSNSを見ていると、自分ではまったく思いつかなかった収納方法が紹介されていることが多く、そんな時に収納っておもしろいなぁと思います」
なるほど、人の数だけ収納の使い方があるということなのですね。MONO SIZEのページはこれからも増えていく予定なのだとか。みなさんも「家にあるアレ、しまえるかな?」と収納用品のサイズ探しで迷ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。
●取材協力
MONO SIZE
家族が家で過ごす時間が長くなり、家庭ごみの量は増える一方。なんとかならないものだろうか。鹿児島県曽於(そお)郡大崎町は、ごみの焼却施設を持たず、ごみのリサイクル率日本一の記録を更新しているという画期的な自治体だ。世界的に見てもゴミ分別の最先端をいく、「大崎リサイクルシステム」を取材し、ごみ問題を考えた。
焼却施設がない町で、埋立処分場がピンチに!
人口12,831人、世帯数6,720世帯、面積は100平方キロメートル。農業が主幹産業の美しい町、それが鹿児島の東南部に位置する大崎町だ。日本有数のシラスウナギ漁の産地で、うなぎやマンゴー、パッションフルーツの生産が盛ん。市町村別のふるさと納税で日本一に輝いた実績もある。そんな「凄いけど大人しいまち」を自負する大崎町だが、何よりすごいのが、ごみのリサイクル率が83.1%! このリサイクル率は2006年以降12年連続日本一で、2020年度も見事13回目の日本一に輝いた(2021年3月31日環境省発表)。
7kmに及び美しい松林が続く大崎海岸。潮干狩りができ、競走馬の調教も行われている(写真提供/大崎町役場)
大崎海岸は、産卵のためウミガメが上陸することでも知られる(写真提供/大崎町役場)
「大崎リサイクルシステムの始まりは、焼却施設がなかったことでした」と話してくれたのは、大崎町役場職員の松元昭二さんだ。大崎町のリサイクル事業を前任者から引き継ぎ、牽引している。
「それまでごみは全て、大崎町と志布志(しぶし)市で管理している埋立処分場へ集まっていました。日本の他の地域では焼却場が増えていった時期ですが、大崎町では燃やせるごみの概念がないため、家庭で排出されたごみの全てが混載で、埋立処分場に運び込まれていたんです」
平成2年から29年までの、大崎町と志布志市のごみの埋立処分量(画像提供/大崎町役場)
高度経済成長期を経て、日本の廃棄物は増大の一途を辿る。1995年に政府により容器包装リサイクル法が制定され、1997年に一部施行。2000年に完全施行となった。
このタイミングで、多くの自治体は国の補助金を受け、焼却場を建設した。
「当時、1990年から2004年まで使用する計画だった大崎町と志布志市の埋立処分場は、急ピッチで埋まりつつありました。分別が始まった1998年の数年前から、『このままでは計画期間内までもたない』という状況に。これを打開するため、大崎町では3つの選択肢の中から方法を選ぶことになりました」
計450回の説明会で住民と危機感を共有3つの選択肢とは、1.焼却炉の建設、2.新たな埋立処分場の建設、3.既存の埋立処分場の延命化だった。
「焼却場の建設には、建設費と維持費がかかります。大崎町と志布志市(合併以前)の人口から見ると、建設コストは30億~40億円。それが国からの補助でなんとかまかなえたとしても、大崎町の維持管理費が約1億5000万円ほどかかる計算になります。これは、それまでのごみ処理にかかっていた金額の1.5倍でした。それに、焼却炉は建設したら30年は使い続けなければなりません。次世代への負担を考えると、この選択肢は諦めることになりました」
新たな埋立処分場の建設には、住民が反対。
「当時は生ごみからプラスチックまで全てのごみが、黒いビニール袋に入れられて埋立処分場へ集まっていたわけですから、ニオイがすごかった。ガスが発生していたので、その場へ行くと服にニオイがついてしまい、しばらく食欲がわかないほど。空はカラスの大群で黒く、一度車を降りたら、次はハエが数匹は一緒に乗り込むという状況でしたから」
3つの選択肢の中から、必然的に「既存の埋立処分場の延命化」が選ばれた。具体的には、住民総出のリサイクルで、ごみを大幅に減量するしかない。
分別スタート時の、大崎町役場の担当者による説明会の様子。現在も年に1度、150の地域のリーダーへの研修会を行っている(写真提供/大崎町役場)
分別スタートにあたり、最も重要な役割を担う地域のリーダーからなる「大崎町衛生自治会」を設置した。それから当時の大崎町役場の担当者たちは、大崎町衛生自治会と協議しながらリサイクルのシステムを整備し、分別品目を定め、収集したゴミの出口となる最終処分先を確保していった。
「大崎リサイクルシステムは、住民主導。住民の皆さんと、説明や指導する行政、ごみを回収する企業の三者による協働と連携、信頼によって成り立ちます。住民の皆さんが分けてくれないと始まりません」と松元さん。
「大崎町衛生自治会は、地域の有識者に理解をいただき、以前から地域活動などで信頼を集めていた方々の賛同を得て組織しました」という。小学校区ごとに数名ずつ理事を決め、合計15名をメンバーとして、それぞれの地域の住民と連携をとってもらった。
「埋立場が、せめて計画当初の2004年までもつように」と、まずは3品目のごみの分別がスタート。その後1998年から2年ほどの準備期間を経て、2000年には、分別品目は16品目に。
準備期間には、役場担当課で大崎町内約150の集落を回り、1カ所につき3回ずつ、計450回もの説明会を行った。
「焼却場の維持管理費なども皆さんと情報共有しました。行政だけの課題でなく住民の課題として、危機感を持ってもらったのです」
当然ながらさまざまな意見が噴出したが、住民が納得して協力しないことには、16品目ものごみの分別は成り立たない。話し合いを重ね、ようやく住民主導の「大崎リサイクルシステム」がスタートした。
大崎町と志布志市の埋立処分場。分別開始前の1998年には、計画期間内の2004年までもたない状況に。ニオイなども酷かったという(写真提供/大崎町役場)
27品目を、住民が家庭内とごみ収集場で分別大崎町のごみ分別品目はさらに細かくなり、現在では27品目に。ビンであれば「生きビン(リターナブルビン)」「茶色ビン」「無色透明ビン」「その他のビン」で4品目。紙類は8品目、蛍光灯類で1品目、陶器類で1品目などといった具合だ。
ホームページ内で調べられる「大崎町の分別ルール」(画像提供/大崎町役場)
大崎町のホームページ内「大崎町の分別ルール」を見ると、27品目1190種類のモノについて、例えば「ボールペンは何ごみになるか」といった分類と、資源として出すための洗い方などが、日本語、英語、ベトナム語で詳しく書かれている。
かつては黒くて中身が見えなかったごみ袋は、半透明で赤が「資源ごみ」、青が「一般ごみ」の2種類となり、さらにそれぞれには各家庭の名前を書く必要がある。
「記名式にしたのは16品目にして間もない時期です。すると分別の精度がグンと上がりました。自分で出したごみに自分で責任を持つ。ごみの出し方を間違えたら、その人が持ち帰り再度分別をし直すという“排出者責任”の考え方です」
大崎町の家庭でのごみの分別の様子。赤の袋が資源ごみ(写真提供/大崎町役場)
写真はある家庭で、紙以外のごみを仕分けている分別の様子。「一般ごみ」である青の袋は使用済みティッシュや肌着、ガラスの破片など、リサイクルできずに埋立処分場へ持ち込まれるもので、「これをできるだけ減らすために分別しています」と松元さん。
生ごみの回収は週3回、一般ごみの回収は週1回、資源ごみの回収は月1回だ。
住民は衛生自治会に入会し、各収集場に一世帯500円で登録。収集場では管理者の指示に従い、共同で分別を行う。
月に1度、ステーションでの資源ごみ回収の様子。青いカゴに住民が自ら仕分ける(写真提供/大崎町役場)
上は月に1度の資源ごみ回収の様子。一時保管した使用済みの乾電池や割り箸、蛍光灯など、微量な資源ごみは、各自がこの日に持っていき、青いカゴに仕分ける。奥に見えるのは資源ごみの赤い袋だ。
また、生ごみは生ごみ回収容器へ。この後、家庭から出る草木剪定くずと混ぜて、約5カ月かけて堆肥をつくり、一般家庭向けに販売している。
生ごみは十分に水切りを行い、ビニール類の異物混入がないか確認した後、収集場の生ごみ回収容器へ(写真提供/大崎町役場)
「分別開始当初は、職員が研修を受けてから各自治会に割り当てられ、分別指導を行いました。それでも、想定していないものが捨てられることがあります」といい、分類が分からないものは職員が持ち帰り、担当課に行って調べてから、「これは何ごみになります」と返答。「それらを繰り返して、今の27品目になりました」とのことだ。
こうして回収された資源ごみは、町内に誕生した民間企業の「有限会社そおリサイクルセンター」で仕分け、検査され、「商品」としてリサイクル事業者へ出荷される。
「大崎町の資源ごみは常にAAA評価。住民の皆さんが各家庭で汚れを洗い、乾かし、素材を間違えずに分別できているからです。評価が高いと有価物はより高く売れ、処理費のかかるものは費用が安くなります」とのこと。
ほかにも「菜の花エコプロジェクト」の一環として、家庭で使用後の食用油を回収。これらは不純物を取り除いて生成され、「そおリサイクルセンター」でゴミ収集車のリサイクル燃料などに生まれ変わらせている。これらの売買益金も町の歳入となる仕組みだ。
ごみのリサイクル率83.1%のまちは、すごかった。
「そおリサイクルセンター」の誕生で、住民の雇用も生まれた(写真提供/大崎町役場)
さまざまな思いで住民が協力し、大きなメリットを生んだ想像するだけで手間が掛かると分かる「大崎リサイクルシステム」。住民の反応を尋ねると、「メディアのインタビューでも『最初は大変でしたが、今では慣れてそうでもないですよ』という声が返ってきます」と松元さん。
住民と行政の頑張りなしでは成り立たないが、得られるものも大きい。
「メリットの1つ目は、当初の目的である埋立処分場の延命化です。始める前の1998年と2018年の比較では、埋立ごみは85%減っていて、当初は2004年まで使用の計画でしたが、現状まだ使っている状況です。あと35年から45年は大丈夫という状態になりました。また、埋立処分場に有機物が捨てられることがなくなったため、かつてのようなニオイはなく、視察に来た人をご案内できるようになりました。
大幅なごみの削減により、当初の目的であった埋立処分場の延命化を達成(画像提供/大崎町役場)
2つ目は、1人当たりにかかる焼却や埋立て、リサイクルといったごみ処理事業経費の大幅な削減です。2018年度のごみのリサイクル率の全国平均は19.9%ですが、大崎町では83.1%。国民1人当たりのごみ処理事業経費が年間1万6400円であるのに対して、大崎町では1万500円です(一般廃棄物処理実態調査結果/環境省)。すると、大崎町では年間約7700万円を節約できていることになり、その分を財源として、教育や福祉など他の分野に使えているともいえます。これは焼却場を持たないことと、住民の皆さんの分別によって、行政コストが下がったという結果です。
大崎リサイクルシステムによる、1人当たりのごみ処理経費の削減率(画像提供/大崎町役場)
3つ目は、大崎町にそおリサイクルセンターという企業が生まれたことで、約40人の雇用が生まれたことです。ここで働く人たちは地元から採用しています。
4つ目は、分別で資源を商品にしたことで、2000年から今までで、1億4000万円もの益金が発生したことです。これを町の子どもたちのための基金として積み上げ、『大崎町リサイクル未来創生奨学金制度』をつくりました。大崎町には大学がないので、進学する子は外に出て一人暮らしをすることになります。そこで奨学金を借りた子たちが、卒業後、大崎町に帰ってきて居住したら、奨学金の返済と同額のお金を支援するというプロジェクトで、大崎町と鹿児島相互信用金庫、慶應義塾大学SFC研究所の連携により生まれました。これにより、優秀な子どもたちが大崎町に戻り、故郷の活性化を担う“人財の循環”ということができれば、大きなメリットとなります」
子どもたちも「大崎リサイクルシステム」に取り組む。写真は大崎小学校の全校生徒が校区のごみを拾い、学校に持ち帰ってごみの分別や洗浄を行った「大崎ピカレンジャー大作戦」の様子(写真提供/大崎町役場)
世界標準で、人材も資源も循環型の社会へ鹿児島大学とインドネシア大学の学術交流の際、大崎町が紹介されたことをきっかけに、2012年度から大崎町では、インドネシア・デポック市のごみ問題にも取り組んでいる。
「インドネシアは世界的に見ても海洋プラスチックごみが多い国です。また、焼却炉がなく、埋立処分場のひっ迫という点で大崎町と似ていました。そこで、インドネシア・デポック市の要請を受けて、廃棄物の減量化と環境教育を支援しました」
支援はJICA(国際協力機構)の「草の根技術協力事業」として3 年間行われ、デポック市の生ごみの堆肥化施設を指導。分別収集やごみの資源化によって埋立処分場の減量化に貢献した。このデポック市の支援が評価され、現在はバリ州でも同様の支援を進めており、ジャカルタ特別州では「ジャカルタリサイクルセンター」の設置を目指している。
「焼却場がなく埋立処分場がひっ迫している、アジアの国の大半は同じ問題を抱えています。住民が協力してくれれば、それらの国でも大崎リサイクルシステムは実現できます」
「今、大崎リサイクルシステムはフェーズ2(第2段階)に入りました」と松元さんは言う。
2018年12月には「第2回ジャパンSDGsアワード」内閣官房長官賞を受賞。2019年には「SDGs未来都市」と「自治体SDGsモデル事業」にも選定された。
「第2回ジャパンSDGsアワード」でSDGs副本部長(内閣官房長官賞)を受賞し、東靖弘町長が授賞式に出席(写真提供/大崎町役場)
2020年には「リサイクルの町から、世界の未来を作る町ヘ」を合言葉に、「大崎町SDGs推進協議会」の設立を発表。大崎リサイクルシステムを事業化して、企業や団体、学校、研究機関とも連携し、世界に発信している。
プラスチックごみの増加など地球規模の問題に対しては、大手メーカーと一緒に、ごみを出さない商品づくりに取り組んでいく。日本政府にも、「途上国に焼却炉を販売する際は、大崎リサイクルシステムとのパッケージ化を」と提言しているという。
また、大崎町で埋立てられているごみの約1/3を占める紙オムツに関しては、大崎町と志布志市、ユニ・チャーム株式会社、有限会社そおリサイクルセンターで協力して、再生オムツをつくるプロジェクトの実証実験をしているところだ。
「今、『世界標準。大崎町』というキャッチフレーズを使っています」と話す、松元さんの表情は明るかった。
「いつか大崎町に、世界中から人々がリサイクルを学びに来れば、街全体が国際大学のようになるかもしれません。留学生たちが大崎町を行き交い、人々が国際交流をする。それを見て子どもたちの国際感覚が磨かれ、海外で活躍するようになる。そしていずれは地元に帰ってきて、大崎町をよりよくしてくれる…。人も町も、循環する町。大崎町はサーキュラーヴィレッジ構想を実践します」とのことだ。
大崎町のサーキュラーヴィレッジ構想(画像提供/大崎町役場)
今すぐ、ごみ袋に名前を書いて出せるか?と問われたら、正直ドキッとしてしまう。分別品目が多ければ、手間はもちろん、家の中にごみ袋やごみ箱の数も増えるだろうし……。自分ごとに置き換えて考えるほど、住民主導の「大崎リサイクルシステム」には胸を打たれる。
小さな町だからできたのでは?と思われるかもしれないが、京都市でも、ごみの減量化により5基あった焼却処分場を3基に減らしているとのこと。「大都市の京都でできることなら、どの地域でもできるはず」と松元さんは力を込めた。
ごみの出し方、リサイクルや買い物への日常的な意識など、一人ひとりにできることがまだまだあるはず。可能性を感じ、思いを新たにした。
●取材協力
大崎町役場
引越しをするタイミングで多いのは、進学や就職など新生活を始めるとき。この春から大学に進学し、初めての一人暮らしをスタートさせた人もいるだろう。一方でコロナ禍によるオンライン授業の多さから、大学の近くに引越すかどうかまだ悩み中という人もいるのでは? そんな新入生や、これから入学を目指す人の参考になるように、今回は早稲田大学・早稲田キャンパスの最寄駅である高田馬場駅にアクセスしやすく、家賃相場が安い駅を調査。さらに不動産会社の方から、早稲田キャンパスに通う学生が住む街としておすすめの駅について教わった。ではさっそく見ていこう。
●高田馬場駅まで電車で15分以内の家賃相場が安い駅TOP10(11駅)
順位/駅名/家賃相場(主な路線名/駅の所在地/所要時間/乗り換え回数)
1位 千川 7.0万円(東京メトロ有楽町線/東京都豊島区/12分/1回)
1位 野方 7.0万円(西武新宿線/東京都中野区/12分/0回)
3位 下井草 7.1万円(西武新宿線/東京都杉並区/15分/1回)
3位 小竹向原 7.1万円(東京メトロ有楽町線/東京都練馬区/15分/1回)
5位 都立家政 7.3万円(西武新宿線/東京都中野区/14分/0回)
6位 十条 7.4万円(JR埼京線/東京都北区/15分/1回)
6位 沼袋 7.4万円(西武新宿線/東京都中野区/8分/0回)
8位 東長崎 7.5万円(西武池袋線/東京都豊島区/15分/1回)
8位 阿佐ヶ谷 7.5万円(JR総武線/東京都杉並区/11分/0回)
10位 落合南長崎 7.7万円(都営大江戸線/東京都新宿区/15分/1回)
10位 西荻窪 7.7万円(JR総武線/東京都杉並区/15分/0回)
2022年に創立140周年を迎える早稲田大学を代表するキャンパスと言えば、国の重要文化財に指定された大隈記念講堂が建つ東京都新宿区の早稲田キャンパス。6つの学部生が通うキャンパスは、JR山手線と西武新宿線、東京メトロ東西線が通る高田馬場駅から東へ歩いて20分ほど。すぐ近くにはサークル活動の拠点である学生会館を備えた戸山キャンパスがあるほか、高田馬場駅から徒歩15分ほどの場所には西早稲田キャンパスも。各キャンパスの近くには東京メトロ東西線・早稲田駅や東京さくらトラム(都電 荒川線) 早稲田駅、東京メトロ副都心線・西早稲田駅もあり、そちらを利用する学生も少なくない。
高田馬場駅から早稲田キャンパスに向かう通りは「早稲田通り」と呼ばれている。数多くの飲食店に加えて古書店も建ち並んでいる点は、さすが大学お膝元の街といった趣だ。またこの一帯には早稲田大学のほかに学習院女子大学もあるほか、高校や専門学校、学習塾も多いので、学生らしき若者の姿もよく見かける。
高田馬場駅前(写真/PIXTA)
そんな高田馬場駅から徒歩15分圏内にあるシングルタイプの賃貸物件(10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK。以下同)の家賃相場は8万9000円。同じくキャンパス最寄りの早稲田駅と西早稲田駅はどちらも9万円。都心部だけあり学生にとっては手ごろとは言いがたい金額だが、早稲田大学の学生たちは実際、どんな場所に住んでいるのだろう……? 早稲田の学生にも利用されている、「ハウスメイトショップ新宿店」店長の大堀智史さんにお話を伺った。
「特に早稲田大学の方は、大学周辺で物件を探していらっしゃるように感じます」と話す大堀さん。「どこに住むとよいかは人それぞれで、例えば学業に専念したいなら移動時間を極力減らすために早稲田駅周辺、大学以外にもアクセスしやすいほうがよければJR山手線も通る高田馬場駅周辺や、高田馬場駅まで1駅のターミナル駅・新宿駅周辺などがよいでしょう」。早稲田駅の周辺は高田馬場駅ほどの繁華街ではないので、落ち着いて暮らせる住環境のよさを求める人にもおすすめだそう。
通学時間を短く、家賃も抑えたい場合はランキングがお役立ち通学時間をなるべく短縮するなら大学の近くに住むのがいいし、実際にそうしている学生も多い様子。とはいえ家賃が自分の予算と合わなければ、近さだけを重視して住まいを決めるのは難しい。そんな場合は、今回調査した高田馬場駅から15分圏内にある家賃相場が安い駅のランキングを参考にするのもいいだろう。ランキングトップ10の駅は家賃相場が7万円台なので、家賃相場が9万円前後だった早稲田キャンパスの徒歩圏内と比べるとだいぶ負担を抑えることができる。
最も家賃相場が低かったのは東京都豊島区に位置する東京メトロ有楽町線・千川駅の7万円だ。千川駅は東京メトロの有楽町線に加えて副都心線も通っている。副都心線に乗れば早稲田大学の最寄駅の一つである西早稲田駅まで、4駅・約9分で行くこともできる便利な立地。駅前にはチェーン店の飲食店やコンビニ、100円ショップといった学生も利用しやすい店舗が並んでいる。スーパーも駅の近くにあり、大通りを離れると静かな住宅街が広がっている暮らしやすそうな街並みだ。有楽町線または副都心線に乗って2駅・約5分で都内屈指の繁華街である池袋駅に行くこともでき、遊びに出かけやすい点も魅力だろう。
野方駅前(写真/PIXTA)
同じく家賃相場が7万円だった西武新宿線・野方駅は東京都中野区に位置。1駅下り方面に5位の都立家政駅、1駅上り方面には6位の沼袋駅があり、いずれも西武新宿線1本で高田馬場駅に行くことができる。野方駅を出ると北口側の北原通り、南口側の駅前通りをはじめ5つの商店街が続いている。通りに並ぶ商店は飲食店からスーパー、食料品関係の個人商店、雑貨店など約190店! 大学帰りや休日に商店街をめぐるのも楽しそうだ。
トップ10の駅で高田馬場駅までの所要時間が最も短かったのは、東京都中野区にある6位の西武新宿線・沼袋駅で家賃相場は7万4000円。前述の通り1位の野方駅の隣に位置し、高田馬場駅へは4駅・約8分で到着する。沼袋駅周辺の商店は駅北側に多く点在しており、駅前にラーメン店などの飲食店やベーカリー、さらに北へ進むと100円ショップやドラッグストアも。大型スーパーは見当たらないが、小型のスーパーやコンビニはあるので、学生の一人暮らしなら日常生活に必要なものはそろえられそう。駅南口から2分も歩くと、中野区立平和の森公園へ。広大な園内は緑豊かで、池や滝のある水辺の広場や草地広場、林間を通るジョギング・ウォーキングコース、バーベキューサイトなどがあるので、友達と遊びに訪れるのもいいだろう。
高田馬場駅から25分前後の東武東上線沿線なら家賃相場は5万円台~6万円台にトップ10にランクインした駅の家賃相場は早稲田キャンパス周辺に比べると下がってはいる。だけど「さらにもっと安く住める街はないか?」と考える学生もいるだろう。そこで「ハウスメイトショップ新宿店」店長・大堀さんに、家賃を抑えたい人向けのおすすめの街を教わった。
「東武東上線の和光市駅がいいでしょう」と大堀さん。和光市駅から東武東上線で池袋駅に出て、そこからJR山手線に乗れば高田馬場駅までは計約23分で行ける。「東武東上線の急行に加えて快速急行の停車駅でもあり、快速急行なら池袋駅まで1駅・最短約12分です。さらに和光市駅は東京メトロの有楽町線・副都心線の始発駅でもあり、副都心線1本で早稲田大学近くの西早稲田駅までも約24分で到着できます」
和光市駅(写真/PIXTA)
そんな和光市駅は埼玉県和光市にあり、東京メトロの駅としては最北端かつ最西端に位置している。2020年3月には駅ビル「エキア プレミエ和光」が全館開業した。改札階である地下1階から地上3階にかけてレストランや食料品店、さらにユニクロなど多彩な店舗がずらりと並び、4階~7階部分は東武ホテルとなっている。また、駅南口には書店やファストフード店などが並ぶ専門店街を併設した「イトーヨーカドー和光店」もあるなど、大型のスーパーも点在している。暮らしやすそうな街並みながら、埼玉県という立地からか家賃相場は6万4000円。ランキングトップ10の駅と比べてもだいぶリーズナブルになっている。
さらに家賃を抑えたい人に向け、大堀さんは和光市駅と同じ東武東上線の沿線で、埼玉県朝霞市にある朝霞台駅と朝霞駅もおすすめしてくれた。
朝霞台駅前(写真/PIXTA)
朝霞台駅は東武東上線の急行停車駅で、家賃相場は5万4000円。
「急行なら池袋駅まで3駅、最短約17分で到着。東京メトロ副都心線直通の東武東上線に乗れば、乗り換えせずに西早稲田駅まで約32分で行くことができます。また、朝霞台駅の駅前ロータリーをはさんでJR武蔵野線の北朝霞駅があり、2つの路線を利用できる点も便利ですよ」
高田馬場駅までは池袋駅からJR山手線に乗り換え、計約27分で行ける。朝霞台駅は改札前コンコースにファストフード店やベーカリー、書店などがあり、駅前には複数のコンビニや気軽に入れる飲食店も。すぐ近くにスーパーもあるので、日常の買い物には困らない環境だ。池袋など都内へのアクセスのよさから、首都圏のベッドタウンとして人口を増やしている。
朝霞駅(写真/PIXTA)
朝霞駅は朝霞台駅の隣に位置しており、家賃相場は5万5000円。「こちらは準急が利用でき、池袋駅まで3駅・最短約16分です」と大堀さん。朝霞台駅と同様に池袋駅で乗り換えて、高田馬場駅までは約26分。また、副都心線直通の東武東上線に乗ると、西早稲田駅まで約29分だ。朝霞駅には駅ビル「エキア朝霞」が併設されており、ラーメン店やハンバーガー店、カフェといった飲食店に、服飾雑貨店、書店やドラッグストアなど23店舗が利用できる。駅前にも複数の飲食店が点在するほか、安さを売りにしたスーパーもあるのは自炊派で食費を節約したい人にもうれしいポイントだろう。
大堀さんおすすめの3つの駅は高田馬場駅まで25分前後ほど離れている半面、家賃相場は5万円台~6万円台におさまっている。一方で早稲田キャンパスの徒歩圏内にある、高田馬場駅や早稲田駅、西早稲田駅は家賃相場が8万円台後半~9万円だ。そして今回調査したランキングトップ10の駅は高田馬場駅まで15分以内、家賃相場は7万円台という結果だった。都心にあるキャンパスに近いと家賃は高く、離れると安くなるものの通学に時間がかかる、と一長一短である。冒頭で大堀さんがアドバイスしてくれた通り、「どこに住むとよいかは人それぞれ」。何よりも通学時間が短いことを重視するか、家賃の安さをとるか……。まずは自分がどんな学生生活を送りたいのかをよく考えてから、住む街を選ぶことが大切だろう。
●取材協力
ハウスメイトパートナーズ
●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている高田馬場駅まで15分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2021/1~2021/3
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2021年3月31日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が1回までの駅を掲載
コロナ禍で在宅時間が長くなり、住宅内の暑さや寒さが気になりだした、という人も増えているのではないだろうか。ヒノキヤグループが全国の一戸建てに住む20代~40代に調査をしたところ、室内の暑さ寒さへのストレスについて、興味深い結果が出た。【今週の住活トピック】
「一戸建て住宅の室温に関するアンケート」結果を公表/ヒノキヤグループ
まず、画像1の結果を見てほしい。
出典/ヒノキヤグループ「一戸建て住宅の室温に関するアンケート」から転載
一戸建てに住む人で、「夏の暑さ」や「冬の寒さ」について、「不安・心配」と思う人、「不満・ストレス」を感じる人は、いずれもおおよそ8割いる。
この結果を年代別に見たのが、画像2だ。
出典/ヒノキヤグループ「一戸建て住宅の室温に関するアンケート」から転載
調査対象の20代・30代・40代で比較すると、明らかに20代が最も「不安・心配」や「不満・ストレス」を感じる比率が高く、40代が最も低いことが分かる。
この結果を、ヒノキヤグループでは「上の年代には『家の中に室温差があることは当たり前』という考えが定着していると見受けられる」と分析している。
冷暖房設備があって当たり前の世代は?筆者は40代よりさらに上の年代だが、子どものころは家にも学校にも冷房設備がない暮らしをしていた。学校で試験を受けるのも、夏場はハンカチで汗をふきながらという状態だった。たしかに、夏は汗をかき続けるほど暑いのが当たり前だった。
この調査の上の年代といっても、40代のことだ。20代と40代でそれほど環境が変わるものだろうか。
そこで、学校の冷房設備の設置状況を調べてみた。文部科学省が公立の小学校・中学校等の2020年9月1日時点における冷房設備の設置率を調べたところ、普通教室では93.0%に達していた。夏でも冷房不要な涼しい地域があるので、かなり高い比率と言えるだろう。
3年ほど前の2017年4月では設置率が52.2%と過半数の水準だったので、近年急速に設置率が上がっている。地球温暖化の影響もあって熱中症のリスクが高まるなか、公立学校の冷房設備の設置率を高めるように誘導した結果だ。
また、約11年前の2010年10月では、普通教室の冷房設置率は19.3%だった。例えば25歳の人で考えると小学校を卒業した年は2009年だから、学校での設置率は2割以下だったということになる。20代でも、学校では冷房のない教室だった人が多いことに驚いた。
文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備の設置状況について」(令和2年9月時点調査)
次に、内閣府の「消費動向調査」で最新の「主要耐久消費財の普及率の推移」(二人以上の世帯)から、ルームエアコンの普及率を調べてみた。思ったとおり、エアコンの普及率は次第に増加しており、最新の2021年3月では92.2%になっている。ここでは、それぞれの年代で生まれた年の普及率を見ていくことにしよう。
年代 (生まれ年)/ エアコンの普及率
●40代(1972年~1981年)/ 9.3%~41.2%
●30代(1982年~1991年)/42.2%~68.1%
●20代(1992年~2001年)/69.8%~86.2%
内閣府「消費動向調査」令和3年3月実施調査結果よりSUUMO編集部グラフ作成
ルームエアコンの普及率では、20代と40代ではかなり開きがある。やはり、冷房のない住宅で子ども時代を過ごした人は、40代より20代のほうが少ないと見てよいのだろう。
加えて、1997年に京都で開催されたCOP3で採択された「京都議定書」で、先進国の温室効果ガスの排出量削減が定められた。これを機に、住宅の断熱性能を引き上げることが求められるようになり、住宅の省エネ性が高まったという影響もあるだろう。外気の影響を受けにくく冷暖房効率の良い住宅の普及によって、20代は子ども時代を、暑さ寒さを感じにくい住まいで過ごした人が多いのかもしれない。
暑さ寒さを感じにくい高齢者は特に注意をさて、40代より上の世代、特に高齢者は、体温調節機能が低くなるといわれている。若い世代に比べて、汗をかきにくくなったり、夏は体内の熱を逃がしにくく冬は体内の熱を逃がしやすくなったりするからだ。また、皮膚の温度センサーが衰えて、暑さ寒さを感じづらくなる。その結果、夏は「熱中症」、冬は「ヒートショック」の危険性が高くなるので、注意が必要だ。
高齢者は、古い一戸建てに住んでいる場合も多いので、住宅は外気の影響を受けやすく、節約志向が強いので冷暖房を使わないこともある。不満やストレスを感じても、「夏は暑いもの、冬は寒いもの」という認識から、我慢してしまうとさらにリスクは高まる。
これから気温が高くなっていくので、高齢者の家族は、室温に注意したり、高齢者に冷房を使うように促したりなどして、気を配ってあげてほしいと思う。
若い世代ほど暑さ寒さへのストレスを感じやすいという結果だったが、今の10代は、家でも学校でも冷暖房設備による安定した室温の環境で過ごすことがさらに多いのだろう。彼らが大人になると今の20代よりも暑さ寒さにストレスを感じるようになるのではないかと思うと、それはそれで心配な気もする。
東京の繁華街は数多い。近年はあちこちで再開発が進み、新しい顔をみせているが、池袋もそのひとつ。2020年には、ミュージカルや伝統芸能などが上演できるホールやサブカルチャーを楽しめる空間など8つの劇場を備えた複合商業施設「ハレザ(Hareza)池袋」などが開業。ほかにも大規模なオフィスビルの建築などが予定されている。そんな池袋駅の、徒歩15分圏内の家賃相場は9.1万円。では池袋へのアクセスが良く、もっとお手ごろ価格で住める場所はどこか。池袋駅へ電車で30分以内で行ける、ワンルーム・1K・1DKを対象にした家賃相場が安い駅ランキングを分析してみた。
池袋駅まで電車で30分以内、家賃相場の安い駅TOP10駅
順位/駅名/家賃相場/(主な沿線名/駅の所在地/池袋駅までの所要時間(乗り換え時間を含む)/乗り換え回数)
1位 東久留米5.20万円(西武池袋線/東京都東久留米市/21分/0回)
1位 柳瀬川 5.20万円(東武東上線/埼玉県志木市/24分/0回)
1位 清瀬 5.20万円(西武池袋線/東京都清瀬市/24分/0回)
4位 志木 5.30万円(東武東上線/埼玉県新座市/21分/0回)
5位 朝霞台 5.40万円(東武東上線/埼玉県朝霞市/18分/0回)
5位 鶴瀬 5.40万円(東武東上線/埼玉県富士見市/29分/0回)
7位 みずほ台 5.50万円(東武東上線/埼玉県富士見市/26分/0回)
7位 北朝霞 5.50万円(JR武蔵野線/埼玉県朝霞市/22分/0回)
7位 朝霞 5.50万円(東武東上線/埼玉県朝霞市/17分/0回)
10位 所沢 5.60万円(西武池袋線・新宿線/埼玉県所沢市/27分/0回)
池袋駅は、JRのほかに東京メトロ、東武鉄道、西武鉄道の4社計8路線が乗り入れている。ランキング上位は西武池袋線と東武東上線の沿線駅が目立った。
1位の東久留米駅も西武池袋線の沿線駅。通勤急行や快速、通勤準急などの停車駅で、所在地である東京都東久留米市の玄関口だ。駅前には、漫画家の故・手塚治虫が晩年に同市に住んでいた縁から、代表作のひとつ『ブラック・ジャック』の主人公らの像が立っている。
東久留米駅(写真/PIXTA)
都心へのベッドタウンである東久留米市は、落ち着いた住宅街が広がり、豊かな自然と豊富な湧き水にも恵まれている。市内の「落合川と南沢湧水群」は、都内で唯一「平成の名水百選」に選ばれており、そうした恵まれた環境を活かした農業も盛ん。駅周辺にも農家が多く、無人直売所があちこちで見られるほか、定期的に青空市が開かれており、新鮮な野菜の購入場所や機会には事欠かない。
南沢緑地(写真/PIXTA)
東久留米市のメイン駅であることから、商業施設も充実しており、公共機関が集中。また付近には商店街も多いため、便利さとのどかな環境の両方が得られそうだ。
同じく1位の清瀬駅は、東久留米駅と西武池袋線の隣駅。こちらは快速、通勤準急、準急、各駅の停車駅だ。所在地は東京都清瀬市になるが、同市も東久留米市と同様、都内でありながら緑に恵まれている。
清瀬駅前の様子(写真/PIXTA)
駅前は再開発が進み、近年は高層マンションも建てられている。23時まで営業しているスーパー(※)のほか、お手ごろ価格のお惣菜などが豊富な商店街があるが、比較的のんびりとした印象があるのは、一戸建て住宅が目立つ閑静な住宅街だからだろう。
駅から少し行くと畑もちらほらと見かける。駅からは少々距離があるが、同市最大の都市公園「清瀬金山緑地公園」では、整備された広場でバーベキューやピクニックが楽しめる。園内の池ではホタルも飼育されており、清瀬の緑と水資源の豊富さを満喫できそうだ。
また清瀬市は、古くから大規模な医療施設があり、いまでも医療機関や研究施設が数多い。国立看護大学校も清瀬駅が最寄駅で、「医療のまち」の顔も持っている。
東武東上線有数の繁華街もランクイン4位の志木駅は東武東上線の急行や快速の停車駅。東武東上線は東京メトロ副都心線や東京メトロ有楽町線が乗り入れているため、池袋だけでなく、渋谷などへも乗り換えなしで利用できる。所在地は名前通りの埼玉県志木市ではなく、お隣に位置する同県新座市。また同県朝霞市との境界にも接している。
志木駅(写真/PIXTA)
駅周辺はマルイや、カルディなどが入る「EQUiA」などの商業施設がある。東武東上線の沿線でも有数のにぎやかなエリアだ。少し行くと24時間営業(※)の安売りスーパーもあり、帰宅が遅くなった時や自炊が難しい日も心強いだろう。
また志木駅は、慶應義塾志木高校や、立教大学新座キャンパスなどの最寄駅。付近で学生の姿を目にすることも多い。こうした学校を目指す子どもたちのための学習塾なども充実しており、文教エリアの顔も持つ。
5位の朝霞台駅は志木駅の隣駅。反対側の隣駅は7位の朝霞駅だ。東武東上線の駅だが、同率7位のJR武蔵野線の北朝霞駅とは徒歩約1分の距離で、実質2路線が利用できる。
北朝霞・朝霞台 駅前広場(写真/PIXTA)
周辺は深夜2時まで営業しているスーパー(※)などがあるが、少し行くと静かな住宅街が広がる。陸上自衛隊の朝霞駐屯地があり、一般開放日などのイベントで地域の人たちにも親しまれている。少し行くと、広大な芝生の公園「朝霞の森」があるが、これはかつての米軍キャンプの跡地を活用したもの。ボール遊びやバーベキューなどをすることもでき、定期的にプレーパークなども開催されている。
いずれも都心への交通の便の良さがありながら、豊かな環境や日常生活の便利さも兼ね備えた駅がそろう。自身のライフスタイルに合わせた最適な部屋探しが、きっとかなうことだろう。
※コロナ禍で営業短縮の場合あり
●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている池袋駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2020/1~2021/3
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2021年3月31日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載