
82万5,000円(税込) / 99.97平米
東急東横線「中目黒」駅 徒歩6分
天井を走る鉄骨やライティングレール、白壁とアジの出た無垢素材の床はもうすでに完成されたギャラリーのよう。
南側に目黒川を望む、新規で内装工事をしなくても十分使用できる質のよい空間が募集中です。
前テナントはアパレルの店舗でした。個人的に買い物をしたこともあったのでちょっと感慨 ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
ここ数年、「池袋」のまちが劇的に変わっていることに気がついている人も多いのではないでしょうか。2016年の南池袋公園のオープンを機に、4つの公園を核として、継続的にマルシェなどのイベントが行われるようになることでまちのイメージが変化してきました。そして今、イベントだけでなく日常的に屋外でリビングのように過ごすような動きが始まっています。
ポストコロナの新しい暮らし方に伴い、まちなかの風景はどのように変化していくのか、池袋グリーン大通り・南池袋公園を中心に「IKEBUKURO LIVING LOOP」というプログラムの企画運営を担っているnestの飯石藍(いいし・あい)さんに話を聞きました。また、取材陣も存分に楽しんだ当日の様子を画像とともに紹介します。
2017年から池袋駅の東口にあるグリーン大通りをメイン会場として年に1回開催されてきた「IKEBUKURO LIVING LOOP」。2021年は「スペシャルマーケット」という形で、11月5日から7日の3日間で開催されました。開始時刻となる午前11時、隣接する南池袋公園に私たち取材陣が着いたときには、すでに多くの人たちが秋空の下、思い思いに楽しんでいる姿が見られました。
当日午前中の南池袋公園の風景。取材が終わった午後にはさらに人が増えていた(写真撮影/相馬ミナ)
当日は音楽隊が街を練り歩き、路上ライブなども開催され、音楽もまちを彩っていた(写真撮影/相馬ミナ)
訪れる人が、まるで自宅のリビングのようにくつろいだり、食事や会話を楽しむ風景を新しい日常にしていきたい。その想いで今年から『IKEBUKURO LIVING LOOP』という名前を、イベントの名称からプロジェクト全体のコンセプトへと昇華させる形で変更したそうです。
「毎年、このイベントを開催するなかで生まれてきた、まちで過ごすことの居心地の良さや、まちなかのあちこちでくつろぐ風景がとても印象的でした。こんな風にまちなかでの過ごし方を年に1度のイベントの時だけではなく、日常的なものにしていきたい、今年はそんな想いで企画をしてきました」(飯石さん、以下同)
実際にイベントの開催期間中だけではなく、10月から来年の1月まで、電源付きのストリートファニチャーをグリーン大通り内の3カ所に設置するという実験を行っています。飯石さんによれば、スーツを着た人がパソコンを開いて座っていたり、子どもを連れたお母さん同士がおしゃべりをしていたりと、少しずつ日常的に使われつつあると言います。
日常的に使われつつあるストリートファニチャー(写真提供/株式会社nest )
「何をしてもいい、ただいるだけでもいい、そんな風に感じられる空間の余白がまちの中あるといいな、と思っています。思い思いに過ごせる自分の居場所がある、ということがまちに暮らす人にとって大切なことなのかなと思うんです」
IKEBUKURO LIVING LOOPの看板の脇にはかわいいワーゲンバスのキッチンカー(写真撮影/相馬ミナ)
屋外リビングの家具の一つにはハンモックも。当日は多くの子どもたちが競い合って座っていた(写真撮影/相馬ミナ)
ストリートファニチャーには電源も設置。雨対策にコンセント部分には蓋がついている。区のWi-Fiも利用できるため、仕事中と思われる会社員風の人が利用する姿もよく見られるのだと言う(写真撮影/相馬ミナ)
ここ数年で池袋が変わった!何がどう変わった?このような風景は、数年前に多くの人が描いていたと思われる“池袋のイメージ”とはちょっとギャップがあるかもしれません。今回のIKEBUKURO LIVING LOOPの会場にもなっている南池袋公園の魅力的な風景やその使われ方は、全国の自治体の中でも、民間と連携して取り組む公民連携事業のお手本としてたびたび紹介されるほど。
この数年で一体、池袋に何が起きたのでしょうか?
池袋を中心に位置づける豊島区に大きな衝撃が走ったのは、2014年5月のこと。東京23区内で唯一の「消滅可能性都市」に豊島区が選ばれてしまったのです! これは将来推計人口において、2040年には20~39歳の若年女性が半減し、人口を維持することができないということ。これを受け、豊島区は翌年の2015年には「豊島区国際アート・カルチャー都市構想」を策定、若い世代にも訴えるまちづくりがスタートしたのです。
2015年に策定された「豊島区国際アート・カルチャー都市構想」の図(資料/豊島区)
以降、2019年にはサンシャイン通りに大型シネコン「グランドシネマサンシャイン」を擁する「キュープラザ池袋」が、11月には「東京建物ブリリアホール(豊島区立芸術文化劇場)」と「としま区民センター」がオープンしました。同年にはこれらのスポットを巡る「イケバス」も運行を開始。2020年7月の「ハレザタワー(オフィス棟)」と新ホール棟の開業により、8つの劇場を有するハレザ池袋として完成し、目覚ましく発展しました。
ハレザ池袋のオフィス棟(左)と新ホール棟(中央)、としま区民センター(右)(写真/PIXTA)
そして、もう一つの目玉が池袋駅周辺にある東西合わせて4つの公園の再整備事業です。
2016年の南池袋公園のリニューアルオープンを皮切りに、2019年には中池袋公園、劇場公園として生まれ変わった旧池袋西口公園もリニューアル。2020年には造幣局地区防災公園(IKE・SUNPARK(イケサンパーク))が完成し、4つ全ての公園がそれぞれ個性を持った公園として多くの人を惹きつける魅力を持った場所になったのです。
世界中から人を惹きつける国際アート・カルチャー都市のメインステージ(資料/豊島区)
「オールとしま」でまちに関わっていくという想い飯石さんが豊島区のまちづくりに関わるようになったのもそのころでした。
「2016年に南池袋公園がオープンするときに、公園内のカフェ『racines farm to park』を運営するグリップセカンドから相談をいただき、オープニングイベントを企画したのがこの公園に関わるようになった最初のきっかけです。
グリップセカンドが南池袋公園の活用提案をした際の企画書に「オールとしま」をコンセプトに掲げていて、まさにその空気が伝わるような1日にしたいと考えました。公園が完成したことがゴールではなく、これからこの場所がどう変わっていくかを提示できるイベントをやろう、この場所を起点にチャレンジが出来るような場所にしたいという思いを込めて、オープニングイベントを企画しました」
2016年のオープン時から南池袋公園とグリーン大通りの活性化に注力をしてきたnestの飯石藍さん(写真撮影/相馬ミナ)
飯石さんによれば、まちに人が集まるためのきっかけづくりのために、多様な過ごし方、楽しみ方ができるような仕掛けを作っています。
「2021年の取り組みとして、このエリアにくると何らかのアクティビティが継続的にある状態を意識してラシーヌでは週1回、お花や野菜のマルシェ、月に1回はたくさんの出店者が集まるマルシェを開催、そして年に1回、大規模なスペシャルマーケットを開催しています。それに加えて、イベントがない時でも日常的に過ごせる場所を、というテーマでストリートファニチャーを数ヶ月の間設置しています。」
「池袋文化圏」のハブとしての役割改めて飯石さんに池袋はどんなまちかと尋ねると、「乗降客数が世界でも上位に来るほどのターミナルシティである一方、池袋から1駅離れると、個性のあるお店が立ち並び、お店の人と会話が始まるような下町っぽさがあります。暮らしがすぐそばにある町ですね」という答え。ぐるっとまちをめぐり、屋台を覗いてきましたが、たしかに今回のスペシャルマーケットに出店をしている人たちもそんな池袋の面白さを表現しているような、個性にあふれた、明るく気持ちの良い方ばかりでした。
雑司が谷と早稲田に店舗がある「都電テーブル」の梶谷さん。「外で食事を提供することは提供側も本当に楽しい」と語る(写真撮影/相馬ミナ)
南池袋公園内にはけん玉の専門店「KENHOL(ケンホル)」が出店しており、多くの家族連れが体験中。定期的にけん玉ワークショップを開催しているそう(写真撮影/相馬ミナ)
「マルシェへの出店について、出店要項にはマルシェをはじめとしたグリーン大通りでの取り組みで大切にしていること等を記載しているのですが、そこにはこのまちを一緒に面白がってくれるか、ということが出店の条件になるという案内をしています。単純に売上を上げられるかどうかということだけではなく、池袋東口というエリアを一緒に盛り上げていくという視点を持つ方と一緒にマルシェを育てていきたいと思っています。
池袋は多くの路線のハブになっている駅です。1駅行けば住宅街があり、さらにその沿線には練馬・埼玉のまちとつながり、そこにも個性的な農家やお店がたくさんあります。私たちは池袋をハブとした周辺エリアを「池袋文化圏」と呼んでいて、それぞれのエリアから面白い出店者が集まることで、沿線やエリアの情報をより多くの人に届けることができると考えています。池袋単体が盛り上がるということではなく、周辺エリアの人たちとも一緒に盛り上げていきたい。例えば池袋文化圏では『食の循環』を生み出せないかと考えています。池袋には畑がないのでできませんが、近郊の練馬や草加などには農地も多いし農家さんも多い。顔の見える人から作られたものを買うという循環が生まれてくると、関わる人がもっと豊かな暮らしを実感することができるんじゃないかなと考えています。」
草加市で農園を営む「Chavi Pelto(チャヴィペルト)」で働く山北泰功さん。地元産の安心で、おいしい採りたて野菜を販売している(写真撮影/相馬ミナ)
その可能性を広げることに、豊島区とも密に連携しながら進めています。
腰ほどの高さがあった均一的な植栽を、背の低い寄せ植えに変更することで雰囲気のある一角に(写真撮影/相馬ミナ)
消費する側も提供する側も、もっと役割が溶け合っていいいま池袋では、この南池袋公園やグリーン大通り周辺に限らず、至るところでこのようなまちを盛り上げるイベントや取り組みが行われるようになったといいます。実際、このスペシャルマーケット開催期間中も、「サンシャインマルシェ」や「ひがいけマルシェ」「美久仁小路バル」「ファーマーズマーケット」「Visca!! IKEBUKURO -KAKULULU 7.5th Anniversary Live-」といったイベントが行われていました。
今年度は、nest、racines farm to parkほか数店舗を経営するグリップセカンド、良品計画、サンシャインシティの4社共同パートナーとして事業を進めています。このまちを地元とする会社が、それぞれの得意なことを持ち寄りながらまちに関わることが、まち全体としての広がりにつながっていくはず。そしてその取り組みがまた別の人たちに緩やかにつながっていくと感じています」
2021年にリニューアルしたIKEBUKURO LIVING LOOPのホームページ内でも、主催のイベントだけでなく、周辺のさまざまなイベントや取り組みを紹介できるような形にしました。
さらには、池袋にやってきてこれらの取り組みに触れて楽しんだ人が「自分もお店を出店してみたい」とマルシェ応募したり、近所に暮らす人がcast(ボランティア)として参加してくれたり、出店していた人が運営にも関心を持ってcastに回ったりと、利用する側、提供する側、どちらか一方ではないことも大切なポイントのようです。
IKEBUKURO LIVING LOOPには多くのロースターが出店しており、屋外リビングでゆったりとコーヒーを楽しむことができる(写真撮影/相馬ミナ)
この日はお得な料金で複数のロースターのコーヒー、ティーを飲み比べできるチケットを1000円で販売(写真撮影/相馬ミナ)
「特に都会だとサービスの提供と消費って役割が明確に分かれていますよね。でもその役割が曖昧で、溶け合っていていいと思うんです。そうすることで関わりの余地が増えていく。それがまちへの愛着の高まりにつながると思います」
関わりの余地が広がっていくことを体感できた池袋のまち。これからももっと気持ちのいいまちになる予感(写真撮影/相馬ミナ)
コロナ禍で一時イベントができなくなった時に、飯石さんはかつてのマルシェ出店者の販路を少しでも支えるためのオンラインマルシェやトークイベントの開催などを積極的にやっていたと言います。全国各地でマルシェをやっている人たちとも話し合いを重ねることで気づいたことが、「イベントとして大きく人を動かしたり大量消費をさせたりするようなものよりも、私たちがずっと大切にしてきた日常・暮らしの延長線上にあるもの、顔の見える関係性を構築していくことで、有事の時に支え合えるんだなぁと改めて気づけたし、そういった場やコミュニティを育みたいんだ」ということだったそう。
コロナで改めて屋外の価値が見直され、公共空間の活用の仕方にも注目が集まっていますが、屋外空間が多くの人にとって自分の居場所として過ごしやすい場所になれば、まちは魅力的になるでしょう。まさに住まいにおけるリビングのような空間が屋外にある、それが日常になっていく流れの発端を感じた1日でした。
●取材協力
・IKEBUKURO LIVING LOOP
・nest