
3,180万円(税込) / 35.84平米
都営大江戸線・都営三田線「春日」駅 徒歩3分
「仕事は会社で、家ではくつろぐ。」の切り分けが当たり前だったのは昔の話。今では家は、仕事とくつろぐ、の両方に適応することが求められています。
「新しい時代のワークとライフをどのように35㎡の空間に同居させるか?」をテーマにリノベーションされた、この物件。その仕掛けをいくつかご紹 ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
実は貴重な水資源である「雨」を活用する方法として、じわりと広がりつつあるのが雨水タンクです。話を聞いた墨田区だけでなく、さまざまな自治体で購入補助などの助成制度を設けています。今回は雨水活用の方法と水資源、住まいでの導入方法について取材しました。
30年以上前から雨水活用に取り組む東京都墨田区。その理由は?乾燥して寒~い冬が終わり、空気がゆるみはじめると雨の日が増えます。「春の長雨」といわれるように春、そして梅雨になれば雨の日が続くことも少なくありません。近年では、「ゲリラ豪雨」のように短時間に激しく降ることも珍しくなくなりました。そんな身近な雨を、官民挙げて「水資源」として活用をしているのが墨田区です。でも、なぜ墨田区なのでしょうか。特定非営利活動法人「雨水市民の会」の笹川みちる理事に聞きました。
「雨水市民の会」の笹川みちる理事。墨田区の取り組みは世界中から視察が来るそう(写真撮影/片山貴博)
事務所では淹れたてのコーヒーを楽しめる「雨カフェ」も営業中。※現在は不定期営業のため営業日については雨水市民の会にお問い合わせください(画像提供/雨水市民の会)
「墨田区は海抜ゼロメートル以下の場所が区内のあちこちにある地帯なんです。また、40年以上前から豪雨と水被害に悩まされてきました。錦糸町駅前なども一面、水びたしになったこともあったとか。都市で起きる浸水には、降った雨が河川に排水できずに発生する『内水氾濫』、河川から水が堤防をこえて発生する『外水氾濫』があります。下水道は都市に降った『内水の排除』という役割を果たしていますが、近年では、この下水道の排水能力を超えてしまうゲリラ豪雨が頻発しています。浸水被害を防ぐために、貯留浸透施設、つまり小さなダムを街なかに造る必要がある。その小さなダムこそ、『雨水タンク』なんです」とその背景を教えてくれました。
墨田区の公園では海抜のマイナス表記が。ひとたび河川が氾濫すれば被害は甚大(写真撮影/片山貴博)
東京の下水道は、高度経済成長期の急速な都市化に伴って整備されたもの。現在のような人口密度や豪雨、コンクリート化が想定されておらず、昨今のゲリラ豪雨に見舞われると下水道では処理しきれないといいます。そのため、ダムのように一時的に雨水を貯め、ゆるやかに流す取り組みが必要なのです。雨水処理のバッファを大規模なダムだけでなく、地上のあちこちにつくると思うとイメージがつかみやすいかもしれません。
「現在、墨田区では条例を制定し、大規模な建造物やマンションなどには雨水タンクの設置を義務付けています。例えば、両国国技館、墨田区役所、東京スカイツリータウン®、オリナス錦糸町などにも大規模な雨水タンクが設置されていますし、大規模な分譲マンションにも地下に雨水タンクが設置されているはず。現在、区内には大小あわせて731カ所のタンクがあるんですよ」
こうしてタンクで雨の流出抑制を行うことで、下水道への負荷を軽減し、内水氾濫を防いでいるのです。また、墨田区では、一般家庭が雨水タンクを設置する際にも助成金(価格の半分まで、最大5万円)を出しているそう。言われてみないと気がつきませんが、街を守るための地道な取り組みがなされてきたんですね。
墨田区の路地にある路地尊(ろじそん)は、建築家の隈研吾氏が「新・東京八景」として選んだ、風景のひとつ。隣接する建物の屋根に降った雨を地下タンクに貯め、災害時の水資源として手押しのポンプと組み合わせている。地域のシンボル(写真撮影/片山貴博)
貯めた雨水は散水、洗車や掃除、打ち水、非常時のトイレ用水にでは、貯めた雨水はどのようにして活用できるのでしょうか。
「貯めた雨水は、木々に散水したり、洗車などに使ったり、トイレ用水として活用する人が多いですね。規模の大きい建物ほど水も貯まりますので、マンションでは緑地の散水に使ったり、スーパーではトイレ用水として活用しているところもあります。また災害発生時には初期消火に役立ちますし、生活用水、手を加えれば飲水としても活用できるんですよ」
なるほど、日常、災害時と雨水が利用できる幅は思ったより広いようです。一般家庭で設置しやすいサイズは140~200L程度、金額にして5万~6万円程度で、さらに自治体によっては助成金を設けていることもあるとか。ただ、日本の水道代は非常に安いだけに、コスト面だけでメリットがあるかというと悩ましいところだそう。一方で、近年、災害が頻発していることや、普段の掃除に使えるとあれば、導入を考える人も多いことでしょう。
「洗車に使うのであれば、車庫やカーポートの屋根の雨を集められる場所、ガーデニングに使うのであれば庭に近い竪樋にタンクを接続すると使いやすいでしょう。ただ、タンクで貯めた水をトイレ用水にする場合は、屋外からだと配管やポンプの設置が必要だったり、雨水が足りなくなったときには水道水を補給する設備が必要なので、かなり大掛かりなリフォームになります」
市販されている外付けの雨水タンクはドラム缶程度の大きさです。トイレ用水に使用する場合はさらに容量の大きなものがオススメです。雨水タンクを置きたい場合は、新築時やリフォーム時にあらかじめ設置場所を考えておくのがよさそうです。
一般的なサイズ(200L)の雨水タンク。通常の色は紺色ですが、外壁にあわせて色を塗れば目立ちません(写真撮影/片山貴博)
とある軒先の雨水活用の例。雨樋と鉢を組み合わせることで、貯水機能を果たしています。雨水タンクの貯水量は80L~500Lと幅がありますが、一戸建てでは120~200Lがひとつの目安に(写真撮影/片山貴博)
気になるのは雨水タンクを設置すると虫、特にボウフラなどが湧きそうなことです。注意点などはあるのでしょうか。
「虫対策としては、(1)フタをすること、(2)竪樋から直接雨水を取水すること、(3)雨水を日常的に使って回転させること、を徹底すれば問題ありません。雨水は純水に近いため栄養分が少なく、もともと虫が湧きづらいですしね」。どうやら虫は十分に対策できそうです。
公園に設置された雨水タンク(左)。上部にあるフタをはずしたところ(右)。竪樋から直接雨を貯めているため不純物が入りにくく、虫が湧くことはありません(写真撮影/片山貴博)
成熟した都市に必要なのは雨水タンクのようなグリーンインフラ一つ、気になるのが雨のきれいさです。飲料として活用することはできるのでしょうか。
「雲から降る雨って、天然の蒸留水ですごくきれいな状態なんです。ただ、混じり気の少ない超軟水なので大気中の窒素化合物などの汚れを吸収して大地に降りてきます。よく雨水は汚いといわれますが、汚れているのは都市の空気なんです。ただそうやって汚れを吸収して降ってくるため、残念なことにそのままでは飲み水には適さないといわれています」
雨上がりの空がきれいなのは、雨が大気中の汚れを拭ってくれるからだそう。また、もともと空気がきれいなエリアでは、雨を飲水としている地域は少なくないそうで、オーストラリアでは「ピュアレインウォーター」として発売しているところもあるといいます。都市だからこそ、雨が飲水にならないというのは少し寂しい気もしますが、仕方がないことなのかもしれません。
雨水タンクの水は見た目は驚くほどきれいで生活用水には十分。汚れているのは都市の大気……(写真撮影/片山貴博)
ここまでの話を整理すると、雨水タンク普及のカギとなりそうなのは、費用というより認知拡大や設置場所といえそうです。では、なぜ今、雨水活用なのでしょうか。
「日本は水道料金も安いですし、降雨量も多いので、水資源が豊かな国という印象の人は多いと思いますが、1人あたりの水資源は、世界平均よりも少ないんです。都市部に人口が密集している、川の勾配が急で滝のように流れていく、というのがその理由です。また、高度成長期に整備された上下水道のインフラは老朽化しつつあり、かつてのように大規模なダムや、貯水池をつくるということも難しくなっています。自然の持つ機能を活用して、地域の魅力・居住環境の向上や防災・減災につなげる取り組みを『グリーンインフラ』といいますが、雨水活用はその一つ。災害が頻発する今こそ大切な取り組みだと思っています」
確かに高齢化が進み、人口が減り始めている現在の日本では、今までの上下水道や貯水ダム、貯水池のような巨大なインフラを新たにつくるどころか、維持するのが精一杯でしょう。ただ、ゲリラ豪雨が頻発していることを考えると、既存にある住まいの一部に工夫を加えて対応するのがいちばんリアルで、有効な対策なのかもしれません。
「いきなり大きな雨水タンクを導入する必要はないので、少しずつ、できることからやってみよう、の精神で始めてみるのがいいと思います。雨水タンクがあると、雨が降るのも楽しみになりますし、台風がくるからタンクを空にしておこう、など意識するようになります。何より雨が貯まるのは楽しいですよ」と話します。
白鬚神社にも雨水タンクがありました(写真撮影/片山貴博)
そういえば、神社仏閣など、昔ながらの日本建物には、鎖樋(くさりとい)と水鉢といった工夫があります。雨水を排水しつつ、水の流れを風景として楽しみ、貯まった水は打ち水として使う。日本の暮らしになじみ、受け継がれてきた智慧、それが雨水活用。今こそ、取り入れてみてはいかがでしょうか。
●取材協力
雨水市民の会
2021年度グッドデザイン賞を受賞した「吉祥寺かるた」。「中央特快とまってよ~」「吉祥寺というお寺はありません」の吉祥寺あるあるネタに加え、「どれだけあるの?三舟のメニュー」「漬物バーでうずらのキムチ」など、SNSで集まった、地元民しかわからない読み札が大きな話題に。今回はその仕掛人に「吉祥寺かるた」が生まれた経緯や目的、新たな試みについてお話を伺った。
自分たちがつくるラブレター。送る相手は慣れ親しんだ「吉祥寺」「吉祥寺かるた」の仕掛け人、徳永健さん。本業はクリエイティブディレクターだ。
吉祥寺のデザイン会社・クラウドボックスの代表でもある徳永さん。「吉祥寺かるた」は2021年度グッドデザイン賞を「コミュニティづくりの取り組み・活動」カテゴリーで受賞。写真は吉祥寺駅北口のサンロード前にて(写真撮影/片山貴博)
「長年、僕たちは多くのお客様の広告をはじめとした、“表現”のお手伝いをしてきました。それを僕たちは“ラブレターの代筆屋”と呼んでいて、ユーザーに思いを届けることを念頭においています。吉祥寺にオフィスを構えて10年経ったタイミングで、“自分たちのラブレターを書こうよ。その相手は吉祥寺がいいよね”という話になったんです」
吉祥寺に関するプロダクトはどんなものがいいか考えていた2019年の秋、たまたまご当地かるたで遊ぶイベントを開催。
「ご当地かるたをすると、そこに旅したくなるよね、だったら吉祥寺を題材にしたかるたもいいんじゃない、って話になったんです。そこに地元のタウン新聞の編集長がいて、“来年の正月号の見開きで特集しましょうか?”って言ってくれたことで、急遽、制作スケジュールが決まりました(笑)」
「吉祥寺の魅力」「吉祥寺の名所・名物」「吉祥寺あるある」などを46枚の言葉とイラストで表現した、吉祥寺の「ご当地かるた」(2200円 送料・税込)(写真撮影/片山貴博)
読み札はSNSで募集。偏愛にあふれたネタが300超集まるご当地かるたは読み札が肝心だ。
「吉祥寺のみんなでつくって、みんなで遊びたい」という思いもあり、広くSNSで募集することに。応募方法は「#吉祥寺かるた」をつけるだけでOK。匿名で良し、とした。
「かるたって日本人なら誰でも知っているゲームじゃないですか。だからひと言”かるたの読み札を考えて”っていうだけで説明できちゃうのが強かったですよね。文字数のイメージもつきやすい。ネタは300以上集まりました。これがもう面白くて。めちゃくちゃニッチだけど絶妙に面白い“それ君だけの経験だろ”みたいな投稿もあって(笑)。これって、採用された人には謝礼とか、大賞に賞金、という設定にしてしまうと誰もが正解を書こうと狙ってしまうから、ここまでバリエーション豊かなネタにならなかったと思うんです。とにかく参加のハードルを下げたことで、偏愛に満ちたネタがいっぱい届きました」
また「かるたの札を考えること」は自分のなかにある地域愛に向き合うこと。それを言語化することで、その愛がはっきりして、深まっていく。「46の読み札によって、街の姿が46面体で浮かび上がってくる。他にはない、リアルで個性的な街のガイドブックになるんです」
(写真撮影/片山貴博)
選ぶときに気をつけたのは、取り上げる対象に優劣をつけず、偏愛を大事にすること。そして自虐はあってもいいが、それを読んで傷つく人がいないことだ。
「例えば、吉祥寺からかなり離れた場所に住む人も『吉祥寺在住です』と言いがち、というネタを描いた”ええじゃないか関町南も吉祥寺”という読み札があるんですが、これがもし”関町南は吉祥寺とは呼べないでしょ”みたいな札だったら、そこに住む吉祥寺大好きな人はがっかりするじゃないですか。そういうところは誰でも笑える表現になるよう気をつけました」
さらに選定した読み札は、内容が真実かどうかの検証実験も。
例えば「サンロード 猛ダッシュしたら60秒」は、早朝の誰もいない商店街を走って検証。「まゆげスワンが一羽だけ」は実際に井の頭池まで行き、スワンボートを確認。「闇太郎のシメは大将がくれるリンゴ」は、実際のお店で飲み食いをして実証した。
採用するネタは可能な限り、調査、実証。「ただし商店街ダッシュは真似しないでください」(写真撮影/片山貴博)
吉祥寺好きなら一度は疑問に思うアレコレも読み札に(写真撮影/片山貴博)
ハモニカ? ハーモニカ?(写真撮影/片山貴博)
誰もがルールのわかる「かるた」は、世代を超えて遊べる強みそうして2019年の年末に「吉祥寺かるた」が完成。翌年にはイベントも開催した。
「かるた」は、老若男女問わず参加できるのが強みだ。かるたで遊ぶと、世代を超えて「吉祥寺が好き」という共通の感情で場が盛り上がり、ある意味「ファンミーティング」状態が生まれる。また、吉祥寺をよく知らない人が参加しても問題はない。「これってどういうこと?」「へー、面白い」と会話のきっかけにもなるからだ。
吉祥寺のスペインバル「PEP」で開催された新年会の様子。吉祥寺在住の人も、ほとんど吉祥寺を知らない人も、かるたによって吉祥寺の話題で盛り上がっていたそう(画像提供/吉祥寺かるた製作委員会)
しかし、すぐにコロナ禍になってしまい、予定していたイベントはほとんどが中止になった。
「残念ですが、なかなか会えないので、かえってリアルで早く会ってしゃべりたい、まるで“早くライブに行きたい”みたいな高揚感が生まれています。ステイホームで大好きな吉祥寺に行けないから、日めくりカレンダーのように毎日かるたをめくって楽しんでいるという方もいらっしゃいました」
さらに、この「吉祥寺かるた」の大きな特徴は変化すること。例えば閉店する飲食店がでたら、その場合はその札だけ変えられるよう、読み札と取り札のペアを1音分だけでも販売している。そのネタも再度SNSで募集した。
「街が変わるのは当たり前。だったら街の変化に合わせてかるたも進化していくべきかなと。人によっては”ゆ”の札は2セットあるわけです。こうした上積みが街の時間軸になっていくのもいいなと思っています」
吉祥寺かるた進化パック2021 ゆの札セット400円(送料・税込)。「でも実はまた閉店してしまったお店もあるので、また募集しなきゃいけないんですよね……」(写真撮影/片山貴博)
「吉祥寺かるた」の手法を活用した「企業かるた」も手掛けている。写真は、ナッツ&ドライフルーツの「小島屋かるた」。ECで人気を集めるショップが、3万件のショップのレビューとメルマガ会員の応募、店員のウンチクをもとにかるたをつくった。ファンの愛が集まるところならなんでも「かるた」になりうる(写真撮影/片山貴博)
新たな試み「まちカタルカ」。初対面同士のトークを手助け一方で、「『住みたい街ランキング』(リクルート)で毎年1位、2位を争う吉祥寺みたいな街だからファンがいて、ネタが集まるんでしょ?うちの街じゃとても」といった意見も多く聞こえてきた。
それに対する答えのひとつとして新しく手掛けたのが「まちカタルカ」。「まち」についておしゃべりする「トークテーマカード」だ。
はじめにどこの「まち」についておしゃべりをするかを決めて、「〇〇(街の名前)で~」といいながらカードを引き、そこに書かれたトークテーマでおしゃべりするというもの。いわば「お題」カード。カードに書かれているのは「いちばんよく行くお店」「美味しいパンが食べられるところ」などのスポット情報や「このまちに住んだ(来た)理由」などパーソナルなこと、さらには「市長(町長・村長)になったらこれをやる!」などちょっと想像力が必要なものなど多岐にわたる。
「まちカタルカ」1520円(送料・税込)。トランプとしても使え、ババ抜きでひと組揃って捨てるときに、そのカードのどちらかのテーマについてひと言話してから捨てるなど、トランプとトークテーマを組み合わせることもできる(写真撮影/片山貴博)
想定しているシチュエーションは、はじめましての保護者会、プレママ学級、移住を考える人と地元民の交流の場、大規模マンションの入居時のウェルカムパーティ、学校の寮に入るときの歓迎会、地元のスナック、同窓会など「地域」を共有するさまざまなコミュニティ。
「いきなり初対面の人にあれこれ質問するのって難しいでしょう。でもこのカードを引くことで、半ば強制的にトークテーマが決められるので、お互いはじめましての場面でも自然と会話が生まれます。地域の情報交換の場になるし、知らない者同士でも地域を共有しているという実感がもてて連帯感が生まれるんです。これなら吉祥寺以外でも展開できます」
「まちカタルカ」のカードを使って、それぞれ「自分ならどう答えるか」を付箋に書いて貼ってもらうという参加型イベントを開催。暮らす街、好きな街なら、おのずと自分なりの答えをもっているもの (画像提供/吉祥寺かるた製作委員会)
「吉祥寺かるた」も「まちカタルカ」も、共通するのは地域に対する「愛」だ。
「このフォーマットはあらゆる街で対応可能ですよね。例えば、街づくりのワークショップで自己紹介を兼ねて「まちカタルカ」で遊んでもいいし、自分が暮らす街や働く会社でかるたの読み札を考えるのも面白い。一見何の特徴がないように感じる街や会社でも、かるたひとつ分くらいの語れることはあるものです。ただ条件は、そのコミュニティに対して愛があること。まあ実は、愛憎入り混じってる感情のほうが面白かったりもするんですが(笑)」
どんな街でも、そこに暮らす人にはなにかしら理由、愛着があるはず。そして世代や性別、属性も違う人々が、かるたやカードというプラットフォームの上で「地域愛」を語り合える世界は、きっと多幸感に満ちているはず。そんな幸せな「場」が生まれる街には、きっと誰もが住み続けたいと思うはずだ。
●取材協力
株式会社クラウドボックス
ぺろきち商店(「吉祥寺かるた」販売サイト)
吉祥寺かるた製作委員会 公式ツイッター
リクルートが、 首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)に居住している20歳~49歳の1万人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2022」を発表した。コロナ禍の影響がうかがい知れる結果となった。さて、ランキング上位の街は?
【今週の住活トピック】
「SUUMO住みたい街ランキング2022 首都圏版」を発表/リクルート
では、2022年の住みたい街(駅)ランキングの結果を紹介しよう。TOP3は、「横浜」が首位を堅持し、「吉祥寺」が3位から2位にランクアップ、「大宮」が3位に食い込み、「恵比寿」が2位から4位にダウンする結果となった。
住みたい街(駅)総合ランキングトップ10(首都圏全体/3つの限定回答)(出典:リクルート)
※1、※2 本年度より「新宿」は新宿、西武新宿、新宿西口を、「船橋」は船橋と京成船橋を合算している
TOP20に注目して見てみると、恵比寿だけでなく、目黒、品川、中目黒、表参道といった都心部の人気の街が順位を下げている。これに対して、大宮(埼玉県)に始まり、浦和(埼玉県)、鎌倉(神奈川県)、船橋(千葉県)、流山おおたかの森(千葉県)が順位を上げた。都心の人気エリアが低迷し、郊外の街が上昇する構図となった。
なかでも、昨年のTOP20圏外から今回TOP20入りしたのが「船橋」「流山おおたかの森」「北千住」だ。
さらに、TOP50の中で大きくランクアップした街を見ると、有楽町(52位→34位)があるものの、神奈川県の藤沢(30位→25位)、埼玉県の川越(46位→30位)、千葉県の新浦安(46位→42位)、神奈川県の辻堂(50位→46位)と東京都以外の郊外の街のほうが目立つ。
これはコロナ禍の影響が出ていると考えられる。在宅時間が長くなり、利便性に優れた都心だけでなく、郊外の住環境などにも目が向けられた結果ではないだろうか。
ランキング上昇の陰に、街の活性化や新しい人の流れありいくつか注目したい街を挙げていこう。
まず、「横浜」は年代別(20代・30代・40代)でも、ライフステージ別(シングル男性・シングル女性・夫婦のみ・夫婦+子ども)でも1位になり、人気の高さを見せつけた。神奈川県民の圧倒的な支持に加え、東京都・千葉県・埼玉県・茨城県の住民からも一定の支持を集めているのが特徴だ。
ランキングTOP10の居住都道県別内訳(出典:リクルート)
次に3位に食い込んだ「大宮」を見ると、シングル女性の8位を除き、すべての年代、その他のライフステージ別でいずれも3位以内に入った。「住みたい理由」で急増したのは、「雰囲気やセンスのいい、飲食店やお店がある」(10.9%→25.1%)だという。
いずれも共通しているのは、歴史のある街ではあるが、再開発が進んでおり、新しい店舗や文化娯楽施設などが増えるなどで街が活性化し、新しい人を呼び込んでいる点だ。
TOP20にランクアップした「船橋」も、駅周辺に大規模商業施設があるのだが、それに加えて、バスケ人気の高まりで「千葉ジェッツ」(船橋市をホームタウンとする、Bリーグのプロバスケットボールチーム)愛が、地元に愛着を深めたという見方もできる。活性化や新しい人の流れは、こうしたことでも生まれるものだ。
「流山」はなぜ大きくランクアップしたのか?さて、「流山」である。なぜここまでランクアップしたのだろうか?
実は、流山市は子育て家族の流入に力を入れていることで知られている。「住みたい自治体」のランキングでも、流山市が55位から29位へと大きくランクアップした。その投票率が高かったのが、30代女性と共働き・片働きの子育て夫婦だというので、「子育てのしやすさ」が功を奏した結果だろう。
SUUMO編集長の池本洋一さんによると、子育てに関する自治体サービスなどが充実していることに加え、「流山おおたかの森駅」の駅前に多くの施設が集結していることで、駅周辺であらゆることが完結する時間効率性も、子育て夫婦に評価されているという。駅周辺には大規模な商業施設だけでなく、子育て施設や医療施設、運動場などがあり、子育てには嬉しい環境が整っている。
この結果、流山市は人口の増加率が全国1位となるほど、新しい住民を呼び込むことができているのだ。
個性のある街はやっぱり強かったランクアップした街を見て個人的に思ったのは、個性のある街はやっぱり強いということだ。
以前は「利便性」や「知名度」などの影響が大きく、都心部の中でも“おしゃれな”、“先進的な”イメージがある街がランキング上位を占めていたが、今回は子育てしやすい「住環境」や「自然豊か」などの影響が大きいランキングとなった。ランクアップした街で見ると、例えば「海に近い街」(鎌倉、藤沢、新浦安、辻堂)、古都の街並みが残るなど「文化的背景のある街」(鎌倉、川越)、「文教地域」で知られる浦和、夢の国にも近くて「新しい街」の新浦安など、もともと他の街よりも明確な個性のある街が、評価を高めたという印象を持った。
さて、筆者が好きな三谷幸喜さんの『鎌倉殿の13人』(NHK大河ドラマ)が始まった。関連番組を見て、鎌倉の街の成り立ちなどについて多くの知見を得ることができた。自身では武力を持たず、血筋で棟梁となった源頼朝は、街づくりで権威を示す必要があったというのだ。こうした情報を知ると、来年のランキングで鎌倉が急上昇するような気がしてくる。それはそれで楽しみだ。
●関連サイト
調査先へのリンクを入れてください(編集部で分かり次第)
ビッグデータやICTを活用したまちづくりで注目されるスペイン・バルセロナ。データを活用して、市民と行政がともにまちづくりへの意見交換をして、さまざまな政策実現に結びつけているという。20年前からバルセロナで都市計画に携わった経験を持つ、東京大学特任准教授の吉村有司さんに話を聞いた。
デジタルテクノロジーを市民生活の向上に役立てる(写真提供/吉村さん)
吉村有司
東京大学先端科学技術研究センター特任准教授
愛知県生まれ、建築家。2001年より渡西。ポンペウ・ファブラ大学情報通信工学部 博士課程修了。バルセロナ都市生態学庁、マサチューセッツ工科大学研究員などを経て2019年より現職。ルーヴル美術館アドバイザー、バルセロナ市役所情報局アドバイザーを兼任
バルセロナ(写真/PIXTA)
――先生はアーバンサイエンスというデジタルテクノロジーやビッグデータを都市計画・まちづくりに活用するという研究に取り組まれています。
吉村 バルセロナでは、デジタルテクノロジーをうまく活用して、市民生活を向上させよう、公共空間の再生を図ろうという試みを行っています。データを公開することによって、市民一人ひとりに街の現状を認識してもらって、街をどのように変えていったらよいか考えてもらおうとしています。
バルセロナ市では、Decidim(デシディム)という、参加型のプラットフォームをオープンソースで開発して、運用しています。まちづくりの分野に、市民参加を積極的に促すための仕組みです。市民に気軽に意見を書き込んでもらって、対話や議論をしてもらい、都市の施策に反映しようというものです。
このDecidimについては、市役所では大々的に広告するなどして、市民の認知度も高く、PCやスマホなどから、高齢者などのデジタルが苦手な人達でも、できるだけ使いやすくし、書き込みや投票など誰もが参加しやすくしています。また、オンラインだけでなく、実際の対面でのグループディスカッションでの話し合いで補完もしています。
選挙による市長や議員の選出、議会での議論の末の予算執行という間接的な民主主義から、地域の市民一人ひとりが意思決定のプロセスに参加できる「民主主義のアップデート」と言えるでしょう。つまり、市民自身が、提案を行い、議論し、優先順位を決め、決断を下すのです。
Decidimは実験的な段階ですが、2016年から2019年にかけて行われた第1段階では、約4万人の市民が参加して、約1500の施策に落とし込まれました。
また2020年からの第2期の取り組みでは、住民からの提案について議論され、2021年6月に投票が行われました。これには、参加型予算として、市の予算のうち3~5%に当たる使い方を、Decidimで得られた市民の意見をもとに決めようというものです。
(写真/PIXTA)
Decidimは、バルセロナ市以外では、ニューヨーク市やヘルシンキ市など、300以上の公的機関や団体などで使われています。日本でも、兵庫県加古川市や東京都渋谷区などで取り組みがはじまっています。
―― まちづくりへの市民参加は、日本の自治体などでもこれまでさまざまに取り組まれてきました。ICTなどデジタルツールを用いて、市民の意見を採り入れ、議論し、決断までしていくという仕組みは画期的と思いました。ただ、公の場で個人の意見を表明することが苦手だったり、文化的な背景も違う日本でもDecidimを使いこなすことができるのでしょうか?
吉村 昨年(2021年)、渋谷でDecidimによる「ママチャリプロジェクト」を行いました。電動自転車の利用者が街を移動するGPS情報や環境情報などで、危険な箇所などを探り、快適なママチャリのための環境整備を行おうというものです。
ここでは、行政が行うワークショップは平日の昼間で時間的にキビシイ……、まちづくりの会合は男性ばかりで発言しづらい……。子育て中のママさん、パパさんたちからは、オンラインだと時間に縛られない、デジタルツールであれば家で子どもと居ながら参加できるといったメリットがあるという声が聞かれました。
(画像/渋谷区「親子にやさしいまちづくり」HPより)
19世紀半ばからデータに基づく都市計画に先鞭をつける――バルセロナ市が、世界に先駆けてデジタルを駆使した取り組みに挑戦しているのはどうしてなのでしょうか?
吉村 スペインでは1930年代に始まった内戦、1975年までの長い独裁体制が敷かれた暗い歴史があります。一方で、独裁体制の後、1978年に新憲法を制定して以降、市民の民主化や自治に対する意識がとりわけ高いことが挙げられるかもしれません。
さらに、データを用いた都市計画・まちづくりについての取り組みは、実は19世紀にまでさかのぼります。
1850年代、イルデフォンソ・セルダ(1815~76年)という、土木技師がバルセロナの近代都市化に重要な役割を果たしました。セルダは、住戸一軒一軒を訪問調査し、人々の暮らしや家族構成などに関するデータを集め、それを分析することで、これをバルセロナの都市拡張の都市計画に活かしたと言われています。セルダが示した都市計画案は、1859年に承認されました。直感ではなく、データという根拠をもとに理論を構築して、バルセロナの都市づくりに応用したのです。つまりアーバンサイエンスという考え方が150年前からあったわけです。
―― 先生の経験を通して、バルセロナの都市計画・まちづくりのあり方ついて教えてください。
吉村 バルセロナには2001年に渡り、バルセロナ都市生態学庁やカタルーニャ先進交通センターなど行政系の機関に所属していました。モノ、ヒト、クルマなどの動きを通して、都市の分析をする仕事をしてきました。
都市生態学庁には、建築家や都市計画家だけでなく、数学者や物理学者など多様な専門家が集まっていて、都市のデータをもとに議論を行い政策に反映させていました。
また、市民の意見を聞くことも大切です。バルセロナには自分の街に愛着とプライドを持っている住民が多く、建築家・都市計画家なりがデザインをトップダウンだけで決めていくことには抵抗がある市民が多いと感じました。
ただし、いまの都市は大きくなりすぎました。また多様な人が暮らしていて、そうした状況で市民の意見を聞くことはたいへんです。そこで、市民にデータを公開しながら、デジタル技術を活用して意見を聞く仕組みを整備していきました。
スーパーブロック(歩行者空間化)を市民と自治体担当者が輪になって議論している様子(写真提供/吉村先生)
スーパーブロック(歩行者空間化)された街路の現在の使われ方(写真提供/吉村先生)
吉村さんが2005年に担当していたグラシア地区の歩行者空間化(スーパーブロックの実証実験)の現在の姿。死んでいた街が蘇った(写真提供/吉村先生)
歩いて楽しい街には経済波及効果があることが分かった――ビッグデータの分析から、人々が歩いて楽しめる都市空間が街の経済に効果があることが分かったそうですね。
吉村 都市においてクルマ中心の道路空間を、歩行者に解放する動きが世界的に進められています。また、新型コロナによって、道路空間をオープンカフェなどに転用することが注目を集めています。
(写真/PIXTA)
ところが、道路に面する小売店や飲食店の店主などから「これまでクルマで買い物に来ていたお客さんが来なくなって、売上げが落ちる」という言い分がありました。
都市計画に関わるわれわれは、歩行者数が増えると、売上げは上がるはずだと考えていました。ただ、これを経済学的に裏付けるデータや論文は見当たりませんでした。
そこで、バルセロナ市やスペイン全土の都市の歩行者空間にされている道路をオープンストリートマップ(OSM)から自動抽出して、個人情報などに十分に注意しながらもその道路に面している事業者の売上情報との比較を行いました。すると、レストランやカフェなど飲食店については、歩行者空間にした後には、売上増に結びついているという結果が出ました。(*)データサイエンスにもとづく、まちづくりの可能性を示した成果と言えるでしょう。
*:東京大学先端科学技術研究センター+マサチューセッツ工科大学+ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行の共同研究
バルセロナ等の都市で歩行者空間の分布(画像/東京大学先端科学技術研究センター)
日本でもデータ活用によるまちづくりの可能性が広がる――ビッグデータの解析や研究が、まちづくりのあり方やその効果検証に使えるのですね。
吉村 日本においても、国にはデジタル庁が創設され、東京都でも昨年4月にデジタルサービス局ができ、ビッグデータの収集や公開などの環境整備がはかられつつあります。
東京都の「デジタルツイン実現プロジェクト」は、センサーなどから取得したデータをもとに、建物や道路などのインフラ、経済活動、人の流れなど様々な現実空間の要素を、コンピューターやコンピューターネットワーク上の仮想空間上に「双子」のように再現しようというものです。
これまでの平面の地図上だけでなく、3次元空間の中で、従来は重ね合わせることが難しかったデータを可視化し、AIによって高度な分析・シミュレーションが可能になるでしょう。まちづくりや防災、交通、エネルギーなど、様々な分野で活用が期待されています。
東京都が行う「デジタルツイン実現プロジェクト」ウェブサイト(画像/東京都ホームページ)
これからのまちづくり・都市計画は、トップダウン型の一人のヒーローではなく、市民を中心としたボトムアップ型の取り組みが求められると考えています。
そのために、データはとても重要です。そのデータに基づいて、みんなで議論することが可能になります。
市民や行政、専門家を含めて、自分たちの街をみんなで良くしていける時代が訪れることを期待しています。
――市民も身近にまちづくりに参加できる時代が訪れているということですね。今日はありがとうございました。
●取材協力
・東京大学先端科学技術研究センター
●関連サイト
・デジタルツイン実現プロジェクト
・渋谷区「親子にやさしいまちづくり」
もうすぐ3月、春もすぐそこですがまだまだ寒い日々が続いています。SUUMOジャーナルで1月に公開した記事では、「知的障がい者の一人暮らしをサポート。24時間体制の介助『パーソナルアシスタンス』とは?」「『ひばりが丘団地』50年の歴史に新展開! マルシェなど住民主体の新しいエリアマネジメント」などが人気TOP10入りしました。詳しく紹介します。
1位 知的障がい者の一人暮らしをサポート。24時間体制の介助「パーソナルアシスタンス」とは?
2位 「ひばりが丘団地」50年の歴史に新展開! マルシェなど住民主体の新しいエリアマネジメント
3位 家を建てるなら知るべき8年後のリスク。ZEH基準未満の住宅は市場価値が下がる!?
4位 木造住宅や建築が地球を救う!? 法改正で住まいの潮流は変わる?
5位 「この8年が地球温暖化を食い止める正念場」。COP26や海外から見る脱炭素の最新事情
6位 リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021受賞作に見る、最新トレンド18選
7位 京都らしい街並みが消えていく…。1年に800件滅失する京町家に救世主?
8位 テレワーカーの5割が住宅購入に意欲!在宅勤務による市場の変化を検証
9位 慶應義塾大学(日吉&三田キャンパス)学生の一人暮らしにオススメの街2022年! 家賃相場ランキングも
10位 省エネ住宅に50万円の助成金も!東京都が脱炭素化に本腰
※対象記事とランキング集計:2022年1月1日~2022年1月31日に公開された記事のうち、PV数の多い順
1位 知的障がい者の一人暮らしをサポート。24時間体制の介助「パーソナルアシスタンス」とは?
(写真撮影/田村写真店)
ハンディを負う当事者が主体性をもって生活するべく、アシスタントを育ててサービスを利用していく「パーソナルアシスタンス」。重度の知的障がいと自閉症をもちながら24時間体制で介助者の力を借り、自立した生活を送る男性の一日に同行し、地域で暮らすための土台の築き方を聞きました。
2位 「ひばりが丘団地」50年の歴史に新展開! マルシェなど住民主体の新しいエリアマネジメント
(写真撮影/片山貴博)
旧ひばりが丘団地エリア(東京都西東京市)でのUR都市機構と民間事業者間の垣根を超えた住民主体のエリアマネジメントに注目が集まっています。まちづくりからエリアマネジメントまで取り組む日本初の事例として団地再生事業を機にスタートし、現在では住民主体の活動に。その足取りから現在を紹介します。
3位 家を建てるなら知るべき8年後のリスク。ZEH基準未満の住宅は市場価値が下がる!?
(写真/PIXTA)
脱炭素社会の実現を目指し、住宅環境も今後10年で激変するかもしれません。1年間で消費する一次エネルギー量をおおむねゼロ以下にするZEH基準の義務化へ向けた、今後の住宅に関する施策のポイントと、家の買い方やリフォームなどでの注意点を解説します。
4位 木造住宅や建築が地球を救う!? 法改正で住まいの潮流は変わる?
香南市総合子育て支援センター「にこなん」(写真提供/ウッドデザイン賞運営事務局)
2021年10月に木材利用に関する法律が改正され、官民あげて木材の利用が推進されています。脱炭素社会の推進や、地域経済を活性化やその目標などの背景とともに、木材利用を進めた事例の紹介や、コスト増といった課題などを解説します。
5位 「この8年が地球温暖化を食い止める正念場」。COP26や海外から見る脱炭素の最新事情
(写真提供/堅達京子)
住宅業界の脱炭素の動きはどうなっていくのか。温暖化現象について国際社会で話し合う会議「COP26」での取材や世界で進む新しい取り組みなどについて、気候変動やSDGsをテーマに数多くの番組を手がけてきたNHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサーの堅達京子さんに最新事情を聞きました。
6位 リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021受賞作に見る、最新トレンド18選
(写真提供/株式会社タムタムデザイン)
1年を代表するさまざまなリノベーション作品の受賞作から見えてきた最新事情を紹介。エントリ―作品は新型コロナウイルスの流行以降、つまりアフターコロナにプランニングされた作品がほとんど。グランプリ作品は、「コロナの逆風が吹いた分野でのリノベーション」の評価を受けました。
7位 京都らしい街並みが消えていく…。1年に800件滅失する京町家に救世主?
京町家等の不動産情報ポータルサイト「MATCH YA(マッチヤ)」サイト
古都・京都の風情を残し、文化的価値を持つ「京町家」。しかし、管理や用途の面で持て余すオーナーも増え、空き家率も高まっています。保全や継承を目指す活動のひとつとして、京町家の所有者と活用したい人とのマッチングをする不動産情報ポータルサイトが活躍しています。サイト公開に至る経緯とともに、京町やの保全活動も紹介します。
8位 テレワーカーの5割が住宅購入に意欲!在宅勤務による市場の変化を検証
(写真/PIXTA)
「生活価値観・住まいに関する意識調査」が発表されました。住宅未購入者のうち、「住宅を購入したい」と回答した人は 36%。テレワークを経験したことがある「テレワーカー」に限定すると51%で、検討する場所は「都心」派が58.9%と、「郊外」派を上回りました。
9位 慶應義塾大学(日吉&三田キャンパス)学生の一人暮らしにオススメの街2022年! 家賃相場ランキングも
慶應義塾大学 三田キャンパス(写真/PIXTA)
慶應義塾大学三田キャンパス、日吉キャンパスに通いやすく家賃相場が安い駅を調査。三田キャンパスの1位は東京モノレール昭和島駅で、田町駅まで19分で7.2万円。日吉キャンパスの1位は東急東横線の白楽駅で、乗り換えなしの11分で5.7万円でした。
10位 省エネ住宅に50万円の助成金も!東京都が脱炭素化に本腰
(写真/PIXTA)
東京都では令和3年度の補正予算でZEH住宅に対する助成事業の拡充などを進めていますが、敷地の狭い住宅が多いゆえに太陽光発電などのスペースも十分に確保しにくいため水準に達するのは難しいのが現状。そこで独自の省エネ基準「東京ゼロエミ住宅」を設けています。まだ間に合う補助金などが支給される助成制度などを紹介、解説します。
ランキング入りしたトピックで目立ったのが、「脱炭素化社会」です。地球温暖化対策の「脱炭素」というと、遠い世界のことのように思えますが、生活と住宅に密接した身近な課題。期限の限られた助成金の存在もしっかりチェックし、うまく活用しながら、地球と自分の生活に優しく、そして賢く生きていきたいものです。
部屋探しの際、利便性や交通アクセスの良さを重視するなら、東京23区内はぜひ候補に入れたいもの。家賃との兼ね合いを意識するなら、押さえておくべき街はどこだろうか。東京23区内の家賃相場が安い駅の最新ランキングから、ワンルーム・1K・1DKの物件を対象にリサーチしてみた。
東京23区内の家賃相場が安い駅TOP34駅ランキング10位までに、江戸川区の駅が6つ入っている。江戸川区は23区の東の端にあたり、東京湾に面した比較的自然が豊かなエリア。近年は夏になると猛暑が話題になることが多いが、江戸川区は豊かな水自然の影響もあり、23区内では最高気温の平均値が低い。
葛西臨海公園駅(写真/PIXTA)
1位だったのは、JR京葉線の葛西臨海公園駅。23区と千葉県の境界の駅だが、東京駅や新橋駅、秋葉原駅などのビジネス街や繁華街へ電車で30分以内へ行くことができ、交通利便性は高い。駅の目の前には東京湾が広がり、駅と同名の葛西臨海公園や葛西海浜公園といった、バーベキューなどができる広々とした敷地の公園があるため、ドライブなどで訪れたことのある人もいるかもしれない。また、隣駅の舞浜駅は、東京ディズニーリゾートの最寄り駅だ。
ただ葛西臨海公園駅は、駅の南側はほぼ公園で北側は倉庫などが多く、住宅街は駅から離れている。徒歩10分圏内にはほとんど物件はなく、15分圏内まで広げると多少見つかる程度。本記事の相場は徒歩15分以内の物件を集計しているが、実際に多いのは、駅から20分以上や、ほかの駅からのバス便物件のようだ。駅からの利便性を求める人にはあまりおすすめしないが、車を利用する人には、だからこそ穴場な街、といえるだろう。
篠崎駅前(写真/PIXTA)
同じ江戸川区にある篠崎駅は昨年のランク外から急上昇して4位に。付近は静かな住宅街で、ファミリー向けのマンションも多い。24時間営業のスーパーなどもあり、落ち着いた生活がおくれそうな雰囲気がある。
駅から少し行くと野球のグラウンドやテニスコート、ドッグランなどがある広大な篠崎公園がある。また、江戸川区花火大会の会場になっている江戸川の河川敷も近い。河川敷は普段から散歩やジョギングをする人でにぎわっており、スポーツが趣味のアウトドア派には魅力的だろう。
再開発が進む金町駅の周辺エリア、住みやすさ向上も期待2位の金町駅、3位の京成金町駅を含む6駅がランク入りした葛飾区は、23区の中でも野菜の生産が盛ん。区内では、とれたての野菜を手軽に購入できる野菜の直売所をあちこちで見かけることができる。
金町駅と京成金町駅は、路線こそが違うが約150mと至近距離にあり、ほぼ同じエリアといえる。金町駅のJR常磐線は東京メトロ千代田線と直通運転しているため実質3路線が利用可能。日比谷駅や大手町駅などのビジネス街へ、30分ほどで乗り換えなしで行けるのはポイントが高いだろう。
金町駅周辺(写真/PIXTA)
駅周辺は商店街のほかスーパーも充実しており、単身者には心強い飲食店も数多い。下町風情の漂う街だが、近年は再開発が進められており、2021年には駅前に図書館やワーキングスペース、商業施設などが入った新しい高層複合施設も開業。今後は道路の拡張や混雑解消なども計画されており、住みやすさや街の魅力の向上も期待できそうだ。
お手ごろな家賃と交通利便性の両立が狙える竹ノ塚駅と梅島駅ランクインした駅の所在地が一番多かったのは足立区だった。最上位にきたのは、12位の竹ノ塚駅だ。東武伊勢崎線の普通列車のみの停車駅だが、同線は東京メトロ日比谷線や東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線と直通している。日比谷線は六本木駅や恵比寿駅などのおしゃれな街や、美術館や博物館の多い上野駅や歌舞伎座と直結している東銀座駅などの文化的なエリアも沿線にあり、半蔵門線は東京を代表する繁華街のひとつである渋谷駅がある。どこへ遊びに行くにも便利で、休日の充実度が増しそう。18位の小菅駅、19駅の梅島駅、22位の五反野駅も同様だ。
中でも竹ノ塚駅と梅島駅は、東武伊勢崎線の急行や区間急行などすべての列車が停車する西新井駅のそれぞれ隣駅になる。ちなみに西新井駅は6.9万円と家賃が一段高くなるので、こういった急行停車駅の周辺に着目するのはお手ごろな物件を探すテクニックだ。
竹ノ塚駅付近は歓楽街の存在が取りざたされることもあるが、そのぶん深夜や24時間営業をしているスーパーなども多く、帰宅が遅くなる多忙なビジネスパーソンでも買い物に不自由することはなさそう。地元密着の味のある飲食店なども数多いので、にぎやかな空気の好きな人には楽しいエリアだろう。
ベルモント公園(写真/PIXTA)
一方、梅島駅は、少し行くと落ち着いた住宅街が広がっている。駅近くの梅島駅前通り商店街は町中華などの飲食店や総菜屋などが並ぶ。駅から徒歩5分ほどにあるベルモント公園は、オーストラリアのベルモント市との友好親善のシンボルとしてつくられ、1.3haの敷地の中に同市から贈られた工芸品などが展示されている瀟洒な赤レンガの陳列館などがある。
勉強に打ち込めそうな学生街と、昭和風情満喫な街もランクイン22位には同率で7駅がランクインしているが、目を引くのは杉並区にある西武新宿線の上井草駅。各駅停車のみの駅だが、東京を代表する繋華街のひとつである新宿まで直通で約20分なのは便利だ。
西武新宿線内でターミナル機能をはたす高田馬場駅が最寄り駅である早稲田大学を筆頭に、沿線の学校に通う学生向けのリーズナブルな物件が充実しており、落ち着いた学生街の顔を持つ。付近は閑静な住宅街で目立った商業施設などはないが、プールやジム、アーチェリー場などが備えられた上井草スポーツセンターがあり、プロサッカークラブのFC東京による教室が開かれることも。浮かれず勉強にも運動にも打ち込める街、ともいえそうだ。
上井草駅(写真/PIXTA)
同じく22位の大泉学園駅は、練馬区に位置している。練馬区は23区で一番新しい区で、江戸川区と同じく自然が豊か。また区の特産品である練馬大根の存在で知られるように、葛飾区同様、野菜の生産も盛んだ。もっとも、現在最も生産されているのは大根ではなくキャベツとのこと。
大泉学園駅は西武池袋線の各駅列車のみの停車駅だが、東京メトロ有楽町線や副都心線、東急東横線などと直通。吉祥寺や阿佐ヶ谷などへ一本で行けるバスも充実している。駅直結の商業ビルなどがあり、買い物施設も数多い。付近の住宅街が整備されたのは実は戦前からで、区画もすっきりしている。その中を、おしゃれな飲食店が点在している。
大泉学園駅前(写真/PIXTA)
また、人気アニメ漫画『ワンピース』などを手がける東映アニメーションのスタジオは、大泉学園駅が最寄り。そのため、「ジャパンアニメーション発祥の地」とも呼ばれている。
同率29位で6駅ランクインしているうち、京成本線沿線の堀切菖蒲園駅もチェックしたい。上野駅まで約15分で、下町の雰囲気が色濃く残るエリアだ。駅付近は大型スーパーもあるが、お手軽価格の惣菜などが売っている商店街や個人経営の飲食店、また焼き肉の食材を売る直売センターといった個性的な店なども点在。昭和の風情が好きな“大人”には、散策だけでも楽しい街でもある。
堀切菖蒲園駅前(写真/PIXTA)
少し行くと、落ち着いた住宅街。また駅と同名の花菖蒲園があり、見ごろを迎える6月には多くの人出でにぎわう。梅や藤など、四季折々で楽しめる花も植えられており、季節の変化が待ち遠しくなりそうだ。
堀切菖蒲園(写真/PIXTA)
新型コロナウイルス禍でテレワークやリモートワークが普及し“都心離れ”もささやかれていて「家賃や距離だけで生活の質は決まらない」と考える人も増えてきているように感じられる。しかし東京23区はなににつけても便利で、依然として人気が高い。そんななかで、自分のスタイルにあった部屋を見つけることは、充実した日々への近道であることは間違いない。23区内の部屋といえば、とかく高額な点が気になってしまうが、範囲も広い。その中にはきっと、自分にフィットする部屋があるはずだ。
●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている東京23区内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2021/10~2021/12
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している