美しい光の陰影

所在地:世田谷区桜
11万円 / 29.16平米
世田谷線「上町」駅 徒歩13分

海外と日本を行き来するオーナーが自らディレクションを行いリノベーションした、家で過ごす時間が愛おしくなるような素敵な住まい。セルフリノベがあたりまえなヨーロッパのアパートを彷彿とさせる、優しい光で満たされた印象的な住空間です。



光の陰影が美しい、モールディングが部屋中に施された ... 続き>>>.
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タイニーハウス暮らしを体験できる村が八ヶ岳に誕生。小屋ブームを広めた竹内友一さんに聞く「HOME MADE VILLAGE」の可能性

消費や時間に捉われることなくシンプルに暮らす選択のひとつとして提示されている「タイニーハウス(小さな小屋)」。現在の日本では、所有者がそれぞれの場所で使用するにとどまっているが、コミュニティも含めた暮らし体験を目的としたタイニーハウス専用の村「HOMEMADE VILLAGE(ホームメイド ビレッジ)」が八ヶ岳(山梨県北杜市)の麓に誕生した。手掛けたのは、日本におけるタイニーハウス文化の先駆者である竹内友一さん。どんな場所なのか、話を聞いた。

小さい家でエネルギー削減。必要なモノを外にも求めることで暮らしがシンプルになる(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

タイニーハウスが広まったのは、2008年の欧米でのリーマンショックを経験して“所有することが豊かである”という価値観に疑問を持つ人が増え、暮らしを見直す動きが起きたことから。やがて日本にも伝わり、最低限の持ち物でシンプルに暮らすミニマリストが話題に。その後、東日本大震災をきっかけに2012年ころからタイニーハウスも注目されるようになった。

このタイニーハウス(小さな家)の日本における伝道師とも言える存在が、株式会社ツリーヘッズを主催する竹内友一さんだ。

竹内友一さん。アメリカ西海岸のタイニーハウス居住者にインタビューしたロードムービーを制作、上映するなど日本のタイニーハウスの先駆者的存在(写真撮影/嶋崎征弘)

竹内友一さん。アメリカ西海岸のタイニーハウス居住者にインタビューしたロードムービーを制作、上映するなど日本のタイニーハウスの先駆者的存在(写真撮影/嶋崎征弘)

木の上の小屋「ツリーハウス」を手がけていた竹内さんが初めてタイニーハウスに触れたのはWEB情報だった。重い心臓病を経て本当にやりたい暮らしを求めた女性がタイニーハウスを選択したというエピソードを目にし、その生き方に強く共鳴したという。すぐさま渡米して話を聞き、2014年には彼女を日本に招いてワークショップを開催。すっかりファンになり、タイニーハウスで暮らすアメリカ西海岸の人々にインタビュー、自主映画制作につながった。それ以来、日本各地での上映会やワークショップでタイニーハウスの普及を行ってきた。

SDGsの広がりも後押しとなり、竹内さんは個人や企業の求めに応じて21棟のタイニーハウスを作成(2022年7月現在)。農場でのダイレクトな自然体験を家族や友人と楽しめる、音楽プロデューサー・小林武史さんプロデュースの「木更津クルックフィールズ」の宿泊用タイニーハウスも、竹内さんの作品だ。

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

HOMEMADE VILLAGE敷地内に置いてある3棟のタイニーハウスは、すべて竹内さんが手掛けたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

HOMEMADE VILLAGE敷地内に置いてある3棟のタイニーハウスは、すべて竹内さんが手掛けたもの(写真撮影/嶋崎征弘)

「小さな家」という概念のもと、タイニーハウスにはさまざまなタイプがある。小屋タイプ、トレーラーで牽引するタイプ、キャンピングカーやバンなども含まれ、最近では、日本でも無印良品やスノーピークなどさまざまな企業が特色を打ち出して提供している。

竹内さんが主に提供しているのは、オーダーメイドで依頼者の理想に寄り添いつつクリーンエネルギーの活用・循環を図る移動型。「アメリカ西海岸で取材したタイニーハウスは、どれも個性的でした。キッチンやシャワーを共同利用できるコモンハウスを中心にしたタイニーハウス用スペースも各地にあって、移動も自由。ゆるやかなコミュニティで繋がるシンプルな暮らしがとても魅力的でした」(竹内さん)


simplife – a tiny house film from simplife on Vimeo.電灯やミニ冷蔵庫、クーラーなどの電気はソーラーパネルでまかなう。屋根に載せると躯体に負担がかかり、駐車場所によっては太陽光を集められないため、日のあたる地面に置くのが最良。移動するときはハウス外付けの収納スペースに収納(写真撮影/嶋崎征弘)

電灯やミニ冷蔵庫、クーラーなどの電気はソーラーパネルでまかなう。屋根に載せると躯体に負担がかかり、駐車場所によっては太陽光を集められないため、日のあたる地面に置くのが最良。移動するときはハウス外付けの収納スペースに収納(写真撮影/嶋崎征弘)

荒地を自ら整えて、タイニーハウス用工場と土地を八ヶ岳に

2018年、竹内さんは念願だったタイニーハウス用の工場と土地を八ヶ岳の麓、山梨県北杜市に得た。
「知人から紹介してもらって所有者から譲り受けることができました。もともと植物エキス抽出工場だった建物は崩壊寸前、空き地には木や雑草が繁ったまま。現況取引を条件に、安く買うことができました」と竹内さん。

工場機械などの廃棄や建物リノベーション、土地の整備を自分たちで行うのは予想以上の大変さだった。「土地はタダ同然でしたが、整備や修復にはかなりお金がかかりました」(竹内さん)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

古い工場を改装したタイニーハウス工場。設計士や職人はプロジェクトごとに仲間に声をかけるのだそう (写真撮影/嶋崎征弘)

古い工場を改装したタイニーハウス工場。設計士や職人はプロジェクトごとに仲間に声をかけるのだそう(写真撮影/嶋崎征弘)

ワークショップ開催で課題が見えてきた

4年ほど地道な整備を続けて、現物のタイニーハウスを見て学んでもらうワークショップを開催できるようになったのが2019年。

「この場所を『HOMEMADE VILLAGE』と名付けて、タイニーハウスの住民たちが集い手づくりの生活を営む、お手本の場所になることを目指しました」(竹内さん)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

「ワークショップは好評で、毎回20人くらいが集まってくれました。小さくても暮らすことができそう、小さいからこそインテリアにもこだわれるしエネルギー消費も減らせる、と気に入ってくれる人が多かったです」(竹内さん)

初回参加者からはタイニーハウスをオーダーする人も現れたが、「課題も見えてきました。見るだけではなかなか小さな暮らしに一歩踏み出しにくい。そして、他人とのコミュニティに飛び込むという不安の解消も難しかった」(竹内さん)

そしてコロナ禍。ワークショップの試みは中断せざるを得なかった。

変化に合わせて暮らし方をもっと自由に。タイニーハウスビレッジの広がりを期待

一方で、八ヶ岳エリアには都市部からの移住者や2拠点居住者が増加。空き物件が一気になくなり、タイニーハウスへの問い合わせも増えて、その役割も強く感じるようになったのだそう。
「インテリアなどのこだわりを諦めず、そのときどきの自分に合う住居として、タイニーハウスは最良の提案のひとつだと再認識しました」(竹内さん)

「宿泊して暮らしを体験できるようにここをアップデートする」と決意を固めた竹内さん。「外に求められるものは外に求めて小さく暮らす」タイニーハウスの原点を実現するべく、今はモデルハウスとして展示しているタイニーハウスを宿泊用に、事務所で使っている建物はコモンスペースにするため、資金や賛同者を募るクラウドファンディングに挑戦することにしたのだ。

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

廃材を利用してオールドアメリカンテイストに仕上げたタイニーハウス室内。ロフトに布団を引いて快適に眠ることができる(写真撮影/嶋崎征弘)

廃材を利用してオールドアメリカンテイストに仕上げたタイニーハウス室内。ロフトに布団を引いて快適に眠ることができる(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

都内在住の女性が暮らしていたタイニーハウス(写真撮影/嶋崎征弘)

都内在住の女性が暮らしていたタイニーハウス(写真撮影/嶋崎征弘)

家具類は病院の建て替えで不要になったもの。近所の温浴施設を利用できたためシャワーをなくし、その分居住スペースを広くしている。5年ほど住んだ後、今は別住宅に居住。「暮らしの変化に合わせやすいのもタイニーハウスの魅力」と、竹内さん(写真撮影/嶋崎征弘)

家具類は病院の建て替えで不要になったもの。近所の温浴施設を利用できたためシャワーをなくし、その分居住スペースを広くしている。5年ほど住んだ後、今は別住宅に居住。「暮らしの変化に合わせやすいのもタイニーハウスの魅力」と、竹内さん(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

微生物の力で排泄物を分解して堆肥にするコンポストトイレ。災害時にも利用できることから普及が進んでいるという(写真撮影/嶋崎征弘)

微生物の力で排泄物を分解して堆肥にするコンポストトイレ。災害時にも利用できることから普及が進んでいるという(写真撮影/嶋崎征弘)

こちらは八ヶ岳でのワーケーションを想定したモデルハウス(写真撮影/嶋崎征弘)

こちらは八ヶ岳でのワーケーションを想定したモデルハウス(写真撮影/嶋崎征弘)

高性能の断熱材や木製サッシを使うなど省エネを追求。明るく温かみがある空間だ(写真撮影/嶋崎征弘)

高性能の断熱材や木製サッシを使うなど省エネを追求。明るく温かみがある空間だ(写真撮影/嶋崎征弘)

「数日間滞在してもらうことで本当に自分に必要なものがわかってくるはずです。共用のスペースの利用についても、いろいろなアイディアが湧くのではないでしょうか」(竹内さん)

「HOMEMADE VILLAGE」は、あくまで宿泊体験やモデルハウス展示としての場所だ。
「ここでの宿泊体験や勉強会で出会った人たちが仲間になって土地探しを始めたり、事業として考える企業が出てきたり、さまざまなことを期待する場所です。移動可能なタイニーハウスならではの自由な発想で、新たなタイニーハウスビレッジが各地にできることが理想です」(竹内さん)

事務所として利用している建物にはキッチン、シャワー、トイレも完備されている。クラウドファンディングで集まった資金で事務所機能を移転し、ここは宿泊体験者のコモンハウスにする予定(写真撮影/嶋崎征弘)

事務所として利用している建物にはキッチン、シャワー、トイレも完備されている。クラウドファンディングで集まった資金で事務所機能を移転し、ここは宿泊体験者のコモンハウスにする予定(写真撮影/嶋崎征弘)

荒地を開墾して無農薬野菜を栽培。ワークショップでは収穫体験も(写真撮影/嶋崎征弘)

荒地を開墾して無農薬野菜を栽培。ワークショップでは収穫体験も(写真撮影/嶋崎征弘)

場内で刈った草や生ゴミなどを堆肥化。臭いは全くない。畑があってこそ堆肥が活きる(写真撮影/嶋崎征弘)

場内で刈った草や生ゴミなどを堆肥化。臭いは全くない。畑があってこそ堆肥が活きる(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

(写真撮影/嶋崎征弘)

竹内さんが手がけるタイニーハウスの本体価格は500万円くらいから。一般住宅に比べると安価ではあるが、すぐに決断できる金額でもない。
しかし、タイニーハウスの需要が高まれば基本部分の量産ができ、価格改定に繋がる。「規格化したタイニーハウスの販売を予定しています。家を手づくりしたい人が多いのもワークショップでわかっているので、内装のDIYができる場所としての活用も考えています。宿泊体験中に技術を学べば手づくりパーツできる部分が増える。コスト削減になりますね」(竹内さん)

外寸法で4.5m×2.5m。自動車としての登録が可能なため固定資産税は不要(写真撮影/嶋崎征弘)

外寸法で4.5m×2.5m。自動車としての登録が可能なため固定資産税は不要(写真撮影/嶋崎征弘)

「僕も自分の子どもたちが自立したら妻と自分のタイニーハウスを持って住みたいなと思っています。何度も家族に提案しているのですが、『4人は無理!』と今は反対されていて」と笑う竹内さん。

家族構成は変化していく。自分を取り巻く環境も日々変わるなか、そのときどきで最適な暮らしを選べた方がいい。
「仲良くなった友人と離れても、また別の場所に家ごと移動してコミュニティの輪を広げていける、そんなタイニーハウスビレッジを増やしていきたい」
竹内さんの夢も広がっていく。

●取材協力
・株式会社ツリーヘッズ 
・HOMEMADE
・simplife

節電するという人9割超!住宅に自然の力を取り入れ省エネできる「パッシブデザイン」への関心も過半数超える

LIXIL住宅研究所では、異例の早さの梅雨明けとなった6月末に、全国の一戸建て居住者を対象に「今夏の家庭での節電」などについて調査を実施した。その報告書を見ると、節電に取り組むのは、電気料金の高騰が大きな理由となっているが、節電を社会的な課題を解決するために必要なことと見ていることもうかがえる。“パッシブデザイン”への関心度も調査しているので、結果を詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「今夏の家庭での節電に関する調査結果報告書」を公表/LIXIL住宅研究所

電気代や電力不足は気になるが、節電はそれだけの理由ではない?

猛暑が続くと、エアコンなどの冷房を使わざるを得ない。となると、電気料金の高騰も気になるところだ。LIXIL住宅研究所の調査結果によると、「今年の夏、電気料金の高騰は、自宅の家計費に影響があると思うか」という問いに、あるという回答が84.7%(深刻な影響がある:34.0%+若干影響がある:50.7%)だった。

次に、「今年の夏、自宅での節電に取り組もうと思うか」を聞くと、93.4%(徹底的に:11.9%+できるだけ:54.8%+最低限は:26.7%)が取り組もうと思うと回答した。では、取り組もうと思った人たちが、節電に取り組む理由は何だろう? その理由は次の通りだ。

出典:LIXIL住宅研究所「今夏の家庭での節電に関する調査結果報告書」

出典:LIXIL住宅研究所「今夏の家庭での節電に関する調査結果報告書」

電気代の負担減や電力不足への懸念などが理由として挙がる一方で、「節電に協力すべき」「無駄なことはしたくない」「脱炭素社会の実現のため」など、家計や生活へ支障があるからとということだけではなく、社会のために必要なこととして節電に取り組む前向きな姿も浮かび上がってくる。

エアコンの効率的利用のほかに、日差しや風を意識した節電対策も

では、自宅で節電に取り組もうと思っている人たちは、どんな節電対策を考えているのだろうか?

「扇風機を使用する(買う・増やす)」(55.1%)や、「冷房の設定温度を高めに設定する」(49.8%)、「家族が集うリビングなどを集中的にエアコンで冷やす」(30.3%)、「省エネタイプの家電(エアコンや照明器具など)に買い替える」(18.3%)といった対策が、上位に入っている。これらの対策は、一般的によく言わることだが、筆者は別の項目に注目してみた。

出典:LIXIL住宅研究所「今夏の家庭での節電に関する調査結果報告書」

出典:LIXIL住宅研究所「今夏の家庭での節電に関する調査結果報告書」

「日差しが直接部屋に差し込まないように、すだれやよしずを置く」(34.6%)
「窓際やベランダなどに水盆をおいたり打ち水して、温度が下がった風が入ってこさせる」(13.6%)
「植物による緑のカーテンを育てて日差しを和らげる」(12.0%)

これらに共通するのは、夏の暑い日差しを遮ったり、涼しい風を室内に通したりと、自然のエネルギーを上手にコントロールして、節電しようとする取り組みだ。

さて、今回の調査結果で興味深いのは、「省エネ性に優れたパッシブデザインの住宅(一戸建て住宅)について興味があるか」と聞いている点だ。どうやら興味があるという人が多いようだ。
「既にパッシブデザインの住宅に住んでいる」(4.7%)
「パッシブデザインの住宅にとても興味がある」(13.6%)
「どちらかというと興味がある」(40.7%)

「パッシブデザインの住宅」ってどんな住宅?

では、そもそも「パッシブデザイン」とは何だろう?

パッシブ(passive)とは英語で「受動的」という意味で、反対は「積極的、能動的」のアクティブ(active)となる。「アクティブデザイン」を先に説明すると、太陽光発電や冷暖房機器などの最新の設備を効率的に組み合わせることで、快適な居住空間を確保することを目指す設計手法のことだ。

これに対して、「パッシブデザイン」は自然エネルギーを有効に利用して、快適な居住空間を確保することを目指す設計手法だ。いずれの場合も、住宅の断熱性や気密性を高くして、夏の暑さや冬の寒さの影響を受けにくくするという点は共通する考え方だ。

パッシブデザインを具体的に見ていこう。夏涼しくするには、熱を遮り、室内に風を通すことが重要になる。かたや冬暖かくするには、冷気を遮断したうえで、熱を取り込んで蓄えることが重要になる。そのためには、主に次のような設計上の工夫が求められる。

○日差しを遮蔽する
夏の日差しは室内の温度を上げてしまうので、深い軒をつくって遮ったり、夏は葉を茂らせ冬は葉を落とす落葉樹を窓のそばに植えたりすることが有効になる。

○日差しを採り入れる
夏は太陽の位置が高いので深い軒が日差しを遮ってくれるが、冬は太陽の位置が低いので室内に日差しが届き、熱や光を室内に採り入れることができる。熱を壁や床にためることで蓄熱され、暖かさを保つこともできる。

軒

※軒とは:屋根の下部の突き出している部分のこと。屋根の延長上にある軒によって、雨や強い日差しから建物を守ることができる。(写真/PIXTA)

○風を取り込む
窓から風を取り込むことは、換気のためだけでなく、室内の熱を外に出す効果もある。暖かい空気は天井近くに上昇し、涼しい空気は床近くに留まるという特性があるので、高窓などから暖かい空気を外に出し、住宅の下の方にある窓から空気を取り込んで、住宅内に風の流れをつくることができる。

このほかにも、いろいろな設計上の工夫があるが、自然エネルギーを利用するには、日照時間や日差しの入る角度、窓の向きや大きさ・配置、その地域の風の通り道や時間帯の風の変化など、さまざまな設計上の計算が必要となる。
 
さて、もともと日本の住宅は、深い軒や庇(ひさし)、多くの窓、吹き抜けなどを上手に使って、夏涼しい家になるよう工夫していた。パッシブデザインは、以前から研究されてきたものなのだが、最近は、オフィスの設計手法として注目されている、「バイオフィリックデザイン」というものも登場している。

バイオフィリックデザインとは、植物や木材、自然光や自然音など、自然を感じさせる要素を採り入れることによって、そこで働く人の幸福度や生産性などを高めようとするものだ。日本でも、いくつかの企業が取り組んでいるほか、実証実験を行っている自治体もあり、職員のオフィスに対する満足度や主観的な作業効率の向上などを調べているという。

四季のある日本では、気候の変化に対応しなければならないのだが、自然の変化を身近に感じることもできる。自然と上手に付き合ってきた我々なので、節電についてもできる範囲で、自然エネルギーを活用したいものだ。

●関連サイト
LIXIL住宅研究所「今夏の家庭での節電に関する調査結果報告書」