瀬戸内国際芸術祭の舞台、人口800人弱の”豊島”に移住者が増えている! 「余白のある」島暮らしの魅力とは?

瀬戸内海に「豊島」という島がある。豊島と書いて「てしま」と読む。小豆島の西に位置する、人口768人(2020年国勢調査による)の小さな島だ。「瀬戸内国際芸術祭」の舞台にもなるので、アート好きには知られた島でもある。この島に9日間ほど滞在することになった。住民の高齢化が進むなか、移住者が多い島でもあると聞いて、話をうかがうことにした。

瀬戸内国際芸術祭秋会期中に施設の“助っ人”として訪れて

この島を訪れた理由は、この秋に開業した宿泊兼研修・イベント施設の「豊島エスポワールパーク」を手伝うためだ。「瀬戸内国際芸術祭」2022年秋会期と同時にオープンしたので「助っ人が必要だ」と知人から聞き、手を挙げた。

宿泊棟の全室から海が見える「豊島エスポワールパーク」。ここに助っ人として8日間通った(筆者撮影)

宿泊棟の全室から海が見える「豊島エスポワールパーク」。ここに助っ人として8日間通った(筆者撮影)

「瀬戸内国際芸術祭」とは、2010年にスタート以降3年に1度開催される、瀬戸内海の12の島と2つの港を舞台とする現代アートの祭典。会期中は国内外から多くの観光客が訪れる。豊島にも、豊島美術館や豊島横尾館などの数多くの作品が見られる。

筆者は、豊島エスポワールパークの寮に滞在したのだが、都心と違って建物が少ないからか空が大きく感じられ、空の景色も日々天候によって変わった。夜空の星もきれいに見えた。自然豊かな島ではあるが、あらかじめ「コンビニやスーパーはないので、必要なものは宅配で送るなどしてほしい」と言われていた。

島の中央にそびえる標高約340mの檀山(筆者撮影)

島の中央にそびえる標高約340mの檀山(筆者撮影)

檀山からの景色。右下に見える集落は豊島美術館のある唐櫃(からと)地区(筆者撮影)

檀山からの景色。右下に見える集落は豊島美術館のある唐櫃(からと)地区(筆者撮影)

島に雑貨店はあるが、品数は少なく欲しいものがないときも多い。「観光客お断り」の掲示がしてあるのは、地元住民の買い物を優先したいからだろう。欲しいものがあれば、通販で宅配してもらうか、船で隣の小豆島や岡山県の宇野、香川県の高松に出て買い求めることになる。ただし、船の便の本数は限られる。

一方豊島では、温暖な瀬戸内の気候のもと、米と種類豊富な野菜や果物を育てている。オリーブやミカン、イチゴなどの農園はあるが、それぞれの田畑で育てたものの多くは販売するのではなく、自給自足や物々交換で消費されるものらしい。収穫したものを自宅で食べたり近所に配ったり、そのお返しをもらったりという形だ。

東京で生まれ育った筆者には、なじみのない暮らし方だが、この島には都市部から移住してきた人が多いと聞いて、その理由を知りたいと思った。

まったく変わらない島で、念願だったコーヒーの焙煎所を開業

そこで、豊島エスポワールパーク館長の三好洋子さんに、移住者を紹介してもらった。田中健太さんは単身の45歳。島でコーヒー焙煎の仕事をしている。

「豊島焙煎所」を営む田中さん(筆者撮影)

「豊島焙煎所」を営む田中さん(筆者撮影)

以前は千葉の舞浜に住み、近くのテーマパークに勤務していた。そこを退社後、コーヒーや日本茶の仕事をしたかったので勉強を始めていたが、地域に関わる仕事がしたいと思い、倉敷市玉島の地域おこし協力隊に応募した。協力隊に採用されて担当したのは、朝市(マルシェ)活性化のプロジェクト。

協力隊として商工会議所に所属し、地域の商店とのネットワークを築くことは、将来コーヒー関連の仕事をする際にも活かされるとの思いもあって、2年間働いた。プロジェクトの成果は上がったが、倉敷市は移住するには思っていたよりも大きな街だと分かり、もっと自然の豊かな所で働きたいという思いが強くなった。

そのとき思いついたのが、テーマパーク勤務時代から観光で通っていた、瀬戸内国際芸術祭が開催される島だ。何度も芸術祭で島々を訪れていたが、多くの島がその都度にぎやかになっていくのに対し、豊島は全く変わらなかった。「この島で暮らしたい」と思って仕事を探したところ、「海のレストラン」の新しい店長として採用された。こうして、2018年に豊島への移住が実現した。

店長としてレストランの物品の仕入れなどをするうちに、地域の人たちとのつながりをもつこともでき、レストランの仕事と並行して2年前から念願のコーヒー焙煎の仕事「豊島焙煎所」を始めた。その2年後には店長を辞めて焙煎所に専念し、地元の土産販売店や宿泊施設、飲食店に焙煎したコーヒーを提供している。また、イベントに呼ばれて、屋台でコーヒーの販売をすることも多いという。

「海のレストラン」入社当初は勤務先の寮で暮らしていたが、いまは甲生(こう)地区の一戸建てを借りて住んでいる。「ぼくたちは植松チルドレンと言われているんですよ(笑)」という。なぜかというと、民泊「植松さん家」を営む植松さんが、地元の人に声をかけて移住者が住むための家を探してくれたからだという。

田中さんによると、甲生地区は、豊島の自治会のある3つの集落(ほかに家浦地区、唐櫃(からと)地区)のうち、最も小さい集落だという。人口が減るなか、移住者が増えることは歓迎したい、家の明かりがついているほうが安心できる、といった考えから家探しに協力をする植松さんがいるおかげで、この地区には移住者が多いのだとか。

甲生地区の移住者は同世代が多く、地域ネットワークができている。移住者たちで頻繁に集まって、情報共有などもしている。

田中さんが借りている住まい

田中さんが借りている住まい(筆者撮影)

純和風のお宅で、コーヒーをご馳走になった

純和風のお宅で、コーヒーをご馳走になった(筆者撮影)

妻の条件をクリアして、夫婦で移住。住み続けたいと思える島にしたい

さて、田中さんの取材を終えて、車で安岐石油まで送ってもらった。安岐石油は筆者が通う施設から滞在する寮までの往復途中にあり、レンタカーとレンタサイクルも営んでいるので、自転車を借りようと思ったからだ。店主の安岐さんは、車や自転車を借りに来た人たちに観光ルートを案内したり、開業したばかりの豊島エスポワールパークの紹介もしてくれたりしていたので、顔見知りではあった。

到着すると安岐さんに「田中さんと知り合いだったのか?」と聞かれ、記事にするために取材をさせてもらったと答えると、「それならおっちゃんが移住してきた人を紹介しちゃる」と声をかけてくれた。渡りに船と紹介してもらったのが、川端拓也(43歳)さん、亜希(39歳)さん夫妻だ。

川端さんのマイホームの前で。川端さん夫妻の間にいるのは、民泊を営む植松さん

川端さんのマイホームの前で。川端さん夫妻の間にいるのは、民泊を営む植松さん(筆者撮影)

2人が豊島に移住したのは、2019年11月。豊島移住のきっかけは、やはり「瀬戸内国際芸術祭」だ。拓也さんが旅行で来て、豊島がすっかり気に入ってしまい、知り合いをつくろうと何度も訪れるようになった。檀山に上ったら、凧揚げをしている地元の人がいて仲良くなったりといった具合だ。そのうち、高校の恩師が定年後にUターンして豊島にいると分かったこともあって、真剣に移住を考えるようになった。

問題は当時付き合っていた亜希さんだ。旅行先として豊島に連れてきて、その魅力をアピールした後、仕事を辞めて豊島に移住したいと申し出た。そのとき亜希さんが出した条件が2つある。1つは「仕事を辞めずに続けること」、もう1つが「当面の生活に困らないだけの貯金をすること」。生活の基盤を整えてからなら、移住先についていってもよいということだろう。

その条件はクリアしたものの、移住で最も大変だったのは家探しだった。川端さんは家を買おうと探したが、不動産会社はないし、空き家バンクはあっても、小豆島の物件が中心で豊島の物件はほとんどなく、家探しは難航した。ようやく家浦地区に見つけて契約という段取りになったが、契約日当日にキャンセルになった。移住事態をあきらめかけていたところで、恩師が家探しをサポートしてくれ、いまの家が見つかった。浴室の改修中には、恩師の義理の兄である植松さんの民泊のお風呂をしばらく借りるなど、お世話になっている。

増築して浴室を設けたり浄化槽を設置したりなどの大幅な改修もしたが、拓也さんが床のフローリングを張り替えたり亜希さんが壁に色を塗ったり壁紙を張り替えたりといったDIYも行っている

増築して浴室を設けたり浄化槽を設置したりなどの大幅な改修もしたが、拓也さんが床のフローリングを張り替えたり亜希さんが壁に色を塗ったり壁紙を張り替えたりといったDIYも行っている(筆者撮影)

こうして、川端さん夫妻の豊島への移住が実現した。川端さんはIT関係の仕事をリモートワークで続けているが、亜希さんは東京でのアパレルの仕事を辞め、豊島に来てからは収穫期のイチゴ農家やオリーブ農園などでアルバイトをして生活を支えている。いずれは、自身でつくった食材や島の食材を元にお店をやろうかと計画しているという。

家に併設された倉庫を改造して、拓也さんの仕事場にしている。中では干し柿をつくっていた(筆者撮影)

家に併設された倉庫を改造して、拓也さんの仕事場にしている。中では干し柿をつくっていた(筆者撮影)

川端さん夫妻は、自治会に入り、地域のお祭りや定期的に地域で行う草刈りなどに参加して、地域の人たちとの交流を深めている。自宅の庭で畑をやり始めると、近隣の農家の人たちが寄ってたかって、何をどう育てたらよいかなど助言をしてくれる。川端さんのほうでも、訪ねてくるお年寄りに、スマホの使い方を教えたり車を出したりしている。地域の人たちとは、持ちつ持たれつの関係なのだ。

いま亜希さんは妊娠中だ。今住みたいと移住した島だが、子どもが生まれた後も住み続けたい場所であってほしいと考えている。そこで、川端さん夫妻は移住者たちのネットワークを使って、地域イベントなどを積極的に開いている。例えば、ソーメン屋をたたんだ人から中力粉がたくさんあると聞いて、それを使った「うどんを食べる会」を開いたり、音楽の演奏ができる人を集めて「小さな音楽会」を開いたりして、地域の住民とのつながりを強めているのだ。

島暮らしは不便だらけ、それでも移住する魅力は?

田中さんも川端さんも、島暮らしは不便なことだらけだと口をそろえる。最も不便だと思うのは「島に病院がないこと」というのも、同じ意見だ。島の診療所に週4日、小豆島から医療スタッフが来るが、夜間診療など緊急時に困るという。ただしそれ以外は何とかなる、というのも同じ意見だ。

田中さんは「島への移住は憧れだけではできません。不便だけど、不便を楽しめる人でないと」と、川端さんは「不便だらけだけど、困るほど知恵が沸く。なければつくればよいんです」と。どうやら、豊島の移住者にはこうしたツワモノが多いようだ。

では、島暮らしの魅力は何か? 田中さんは地域の人たちとのつながりのなかで、念願だったコーヒー焙煎の仕事に就けた。店ごとにコーヒーの焙煎を変えるなどしているが、「檀山」や「硯(黄昏)」「硯(彼誰=かわたれ)」などの豊島にちなんだ名前を付けることも多く、パッケージやラベルも手づくりで用意している。以前のレストランとは繁忙期に副業として働くなど、その関係は今も続いている。

ショップ「ナミノミ」で販売されている、田中さんが焙煎したコーヒー。豊島は、瀬戸内国際芸術祭の主要な島でもあるので、芸術祭会期中はもちろん、会期外でも観光客が多く訪れる(筆者撮影)

ショップ「ナミノミ」で販売されている、田中さんが焙煎したコーヒー。豊島は、瀬戸内国際芸術祭の主要な島でもあるので、芸術祭会期中はもちろん、会期外でも観光客が多く訪れる(筆者撮影)

島暮らしの魅力について、亜希さんは「家族感」を挙げた。小さな集落だけに、住民はみな顔見知りだ。緩やかに大きな家族としてつながっているのが心地よいという。逆に「プライバシーを損なわれるのではないか」が気になったが、家族なら生活ぶりを見られても恥ずかしく思わないというので、なるほどと納得した。

そういえば、取材で川端さんの家を訪れたその場に、うわさの植松さんが近所の漁師さんが釣った魚のおすそ分けだとやってきたり、取材中にうどんの会の中力粉を提供した住民が亜希さんに子どもの産着を持ってきたりしていた。川端さんを紹介してくれた安岐さんも、灯油の配達の際に亜希さんが好きなパンを持ってきてくれたりするという。取材時間は1~2時間のことだったので、いかに頻繁に住民との行き来があるかが分かる。

一方、拓也さんは、「東京での生活には手を加えるところがなかったが、豊島での暮らしには余白があるのが楽しい」と言う。移住してきた自分たちでも、集落がよりよくなるためにできることがある。だからこそ、積極的に地域住民と交流するためのイベントを開き、お祭りなどの地域の伝統を継承しようとしているわけだ。

移住者たちは、植松さんの指導の下で棚田で米をつくっている(筆者撮影)

移住者たちは、植松さんの指導の下で棚田で米をつくっている(筆者撮影)

空き家はあるけど、買ったり借りたりできない!?

土庄町(とのしょうちょう)は、香川県の町で、瀬戸内海で2番目に大きい島である小豆島の西北部(小豆島のそれ以外は小豆島町)と豊島で構成される。土庄町は移住に力を入れており、小豆2町(土庄町・小豆島町)で「小豆島移住・交流推進協議会」を運営し、NPO法人Totie(トティエ)と連携してさまざまな移住者の受け入れ支援を行っている。「空き家バンク」や空き家リフォームの補助金なども用意している。川端さんも補助金を利用して、改修費用の一部に充てた。

ただし、空き家バンクは小豆島の物件が多く、豊島の物件はほとんど出てこない。だから、田中さんも川端さんも、家探しに苦労した。もちろん、豊島に空き家がないわけではない。島を歩けば多くの空き家に遭遇する。それでも、買ったり借りたりする家が見つからないということに、筆者はとても驚いた。

空き家はあっても、先祖代々の家を売ったり貸したりしたくないといった所有者自身の意向もあれば、所有者本人が同意したとしても、親戚筋への確認や近所の人たちとの調整などで先に進めない場合も多い。川端さんが最初に契約しようとしていた家も、それが原因で白紙になった。

だからこそ川端さんは、豊島に移住者を増やすために、「空き家を移住者に提供できるような取り組み」(家を探しやすければ移住しやすい)と「地元の人と仲良くなる取り組み」(地元に受け入れられ楽しく過ごせれば移住しやすい)を行っている。空き家を掃除しますと声をかけて所有者を探したりしているが、家の所有者が島外に出てしまい、連絡先が分からない場合も多いという。そうしたときに、地域の事情に精通した植松さんのような人がいてくれることが、とても助かるのだという。

田中さん・川端さんたちが住む甲生地区の穏やかな集落。男木島(おぎじま)が大きく見える(筆者撮影)

田中さん・川端さんたちが住む甲生地区の穏やかな集落。男木島(おぎじま)が大きく見える(筆者撮影)

甲生地区の海岸「ドンドロ浜」。大きなベンチは瀬戸内国際芸術祭の作品「海を夢見る人々の場所」(筆者撮影)

甲生地区の海岸「ドンドロ浜」。大きなベンチは瀬戸内国際芸術祭の作品「海を夢見る人々の場所」(筆者撮影)

移住者の熱意と地元のお節介さんがカギ!?

こうして豊島に移住してきた人の話をうかがって、思ったことがある。島への移住が成功するかどうかは、まずは移住者側の熱意だ。島の暮らしや時間の流れ方に溶け込み、伝統の継承を担うといった気構えも必要だ。加えて、植松さんや安岐さんのような、移住者と地域住民の間を取り持つ“お節介焼き”の存在が欠かせない。

地域住民のなかには、よそ者を嫌う人もいるだろうし、本気で定住するかどうか疑う人もいるだろう。ある意味でお節介なキーマンが間に入って取り持ってくれることで、移住者が島の生活になじみ、それを楽しんでいることが分かって多くの地域住民が歓迎するようになり、持ちつ持たれつの関係になる、というように輪が広がっていくのだろう。

島には70代・80代のお年寄りが多く、人口は減少を続けている。子どもは少なく、小・中学校はあるが、中学校は2016年に小学校に併設となり、今は校舎が空いている。一方で、豊島に移住してきた人たちに子どもが誕生し、自分の子どもに同級生が欲しいと思っている移住者も多いという。こうした移住者のネットワークが、新しい移住者を受け入れる体制を整備し、さらに大きな輪を広げようとしている。

自然豊かな景観や暖かい人との交流は変わってほしくないが、子どもの声がどこにでも聞こえる島になってほしいと思う。

大きな吹抜けがある暮らし【改装素材】

所在地:稲城市向陽台
3,180万円 / 129.28平米
京王相模原線「稲城」駅 バス6分 「向陽台三丁目」バス停 徒歩4分

緑豊かな環境が魅力の、稲城市向陽台。



東京郊外の大規模ベッドタウンとして多摩丘陵を切り開き、分譲住宅地として街づくりが始まった、多摩ニュータウン東端に位置しています。



中でも、ご紹介のマンションが立つ向陽台は、もっとも早く開発されたエリアで、駅からの距離は遠いものの、中央図書 ... 続き>>>.
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家のとなりは まちのリビング

所在地:八王子市天神町
7万3,000~7万5,000円 / 30.33平米
中央線・横浜線・八高線「八王子」駅 徒歩10分

シェアできるリビングがあるんだ!と思ったら、住人同士の枠を飛び越えて、近所の人から遠くに住む人まで、老若男女問わず関われる場にしてしまったという、なんとも風通しのいいアパートです。



シェアハウスとは違い、水まわりなど必要な設備はちゃんと家の中にあるから、自分のペースで暮らすこと ... 続き>>>.
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斬新な暮らしに挑戦!

所在地:中野区南台
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京王新線「幡ヶ谷」駅 徒歩13分

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その奥にあるトイレとバスルームにも、このエントランスから続く黒いタイルが敷かれ、スタイリッシ ... 続き>>>.
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打って、守って、走れるオフィス

所在地:渋谷区南平台町
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山手線「渋谷」駅 徒歩9分

立地、建物、そして内装。走攻守の三拍子が揃った、頼もしいオフィスで働いてみませんか?



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室内はシンプルに雰囲気良くリノベーション済み。天井は抜かれ、壁は白く塗装、床はナチュラルな色味のフローリングと隙のない仕上がり。ゴツ ... 続き>>>.
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まちとつながる三つの「間」

所在地:中野区大和町
18万円 / 41.5~41.54平米
中央線「高円寺」駅 徒歩8分

質良く、やわらかい色合いのデザインでまとめられた、心地よい時間と、人のつながりを大切にする新築のデザイナーズマンション。



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殿の隠れ家

所在地:横浜市西区浅間台
7万5,000円 / 29.52平米
湘南新宿ライン・京浜東北線・東急東横線「横浜」駅 徒歩19分

高台からの爽快な眺め。見晴らしがよく、横浜ランドマークタワーまで一望できる景色。



室内はセンスよくリノベーションされていて、シンプルレトロなデザインが清い感じ。私たちが信頼を置いている仲間の工務店が担当しています。



広くワンルームとなった空間に、無垢のフローリング、白い塗装が ... 続き>>>.
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3Dプリンター建築に新展開!複層階化や大規模化に大林組が挑戦中。巨大ゼネコンが描く将来像は宇宙空間にまで!?

大手ゼネコンの大林組が、建設業界において3Dプリンター活用の研究に本格的に取り組んでいることが話題になっている。今回取材したのは、現在建設中の、建築基準法に基づく国土交通大臣による認証取得済みの「(仮称)3Dプリンター実証棟」(東京都清瀬市・大林組技術研究所内)。3Dプリンター建築の特徴である「短納期」「曲線美」を具現化した実証棟の建設は、未来の新しい家づくりの第一歩になりそうだ。具体的にどのようなものか取材してきた。

3Dプリンター実証棟の完成は、宇宙空間での建設などまで可能性を広げる第一歩

3Dプリンターを利用した建築は、世界中の企業がこぞって参画する今最もホットな住宅分野のひとつだ。従来よりも圧倒的に工期を短縮できることや、複雑な曲線などデザイン性の高い形状を製造できるようになること、材料を現地に運ぶだけで済むため、建設時のCO2排出量の削減や現場の少人数化が期待できること、これらによって価格をおさえられることなどから、注目を集めている。

これまでSUUMOジャーナルでは、セレンディクス社やPolyuse社、會澤高圧コンクリート社が手掛ける国内における3Dプリンター建築を取材してきたが、今回紹介するのは国内大手ゼネコンの大林組の事例だ。前述の建物は10平米以下、1階建てと小規模なものだったが、大林組の「(仮称)3Dプリンター実証棟」は複数階建てへの展開を意図した延べ面積27.09平米で、新しい3Dプリンター建築の可能性を予感させるものだ。

建屋の外部に設けられた螺旋階段を上ると、屋上へ行けるようになっている(屋上未完成)。3Dプリンターを使って建設した建築基準法に準拠し、国土交通大臣の認定取得をした初の建物は来年3月完成予定だ(写真撮影/片山貴博)

建屋の外部に設けられた螺旋階段を上ると、屋上へ行けるようになっている(屋上未完成)。3Dプリンターを使って建設した建築基準法に準拠し、国土交通大臣の認定取得をした初の建物は来年3月完成予定だ(写真撮影/片山貴博)

この実証棟の完成後は、3Dプリント技術のPR施設として公開されるという(写真提供/大林組)

この実証棟の完成後は、3Dプリント技術のPR施設として公開されるという(写真提供/大林組)

大林組が基礎研究として3Dプリンター建築に乗り出したのは2014年のこと。2019年には当時の国内最大規模となるシェル型ベンチを製作するなど、技術開発を進めてきた。3Dプリンター実証棟は、地上構造部材をすべて3Dプリンターで製作する構造物として、一般財団法人日本建築センターの性能評価審査を受け、国内で初めて建築基準法に基づく国土交通大臣認定を取得した。そして、このプロジェクトは同社が今後3Dプリンター建築の可能性を広げる大事な第一歩だという。

「3Dプリンター住宅を生産したり、プリンター自体をつくったりすることがゴールではありません。ゼネコンとして、今後、3Dプリンターを建築現場で導入するためのステップであり、(3Dプリンターを使って)大規模な構造物を実現できることを、技術的にも法的にも証明することが最大の意義なんです」と大林組の技術本部技術研究所生産技術研究部の金子智弥担当部長は話す。

(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

技術本部技術研究所生産技術研究部の坂上肇副課長も、「3Dプリンターの導入によって建設時の自動化施工が実現でき、現場の省人化が期待できます」と続ける。通常の建築現場では、鉄筋を組み、型枠をつくり、さらにそこにコンクリートを流し込むなどの複数の工程を必要とするが、3Dプリンター建築なら、ロボットアームをつけたプリンターを設置し、プリンターへプリントデータを指示するだけで、あっという間に建築物を組み上げていくことができる。

SUUMOジャーナルの取材に対応してくれた大林組の技術本部技術研究所生産技術研究部、坂上肇副課長(写真撮影/片山貴博)

SUUMOジャーナルの取材に対応してくれた大林組の技術本部技術研究所生産技術研究部、坂上肇副課長(写真撮影/片山貴博)

将来的には3Dプリンターによる宇宙空間での建設も想定しているといい、今回の実証棟は、今後の3Dプリンター建築の可能性を大きく広げてくれそうだ。

鉄筋や鉄骨を使用しない、独自の技術を開発

大林組は3Dプリンター建築に取り組むにあたり、鉄筋や鉄骨を使用せず、3Dプリンター用の特殊モルタルや、超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート」による構造形式を開発した。

印刷には、コンパクトで汎用性の高い市販の安川電機製「産業用ロボットアーム」を使用。3Dプリンターといえば直線だけでなく曲線も実現できることが大きな特徴だが、曲線に沿って壁の厚みを一定に保つ必要があるため、材料の出力をコントロールできるようにすることでクリアしている。

中央に位置するのはロボットアーム(青色)と、大林組が開発した架台部分(緑色の機材)(写真撮影/片山貴博)

中央に位置するのはロボットアーム(青色)と、大林組が開発した架台部分(緑色の機材)(写真撮影/片山貴博)

3Dプリンターが一層一層積み上げてつくり出す壁は、独特の凹凸のある模様が浮き出る(写真撮影/片山貴博)

3Dプリンターが一層一層積み上げてつくり出す壁は、独特の凹凸のある模様が浮き出る(写真撮影/片山貴博)

曲線と直線の厚みの違いにも、材料の吐出量をコントロールできるようすることで厚みの調整をすることによって対応(写真撮影/片山貴博)

曲線と直線の厚みの違いにも、材料の吐出量をコントロールできるようすることで厚みの調整をすることによって対応(写真撮影/片山貴博)

屋上のリブスラブは、分割して出力してあり、後ほど1枚の大きいスラブに。屋上のリブスラブを1階から見上げると、曲線美と機能性を追求したリブの形状が天井として見える(写真撮影/片山貴博)

屋上のリブスラブは、分割して出力してあり、後ほど1枚の大きいスラブに。屋上のリブスラブを1階から見上げると、曲線美と機能性を追求したリブの形状が天井として見える(写真撮影/片山貴博)

屋上のリブスラブは、工場内でプレキャストされ、工事現場へと運ばれる(写真撮影/片山貴博)

屋上のリブスラブは、工場内でプレキャストされ、工事現場へと運ばれる(写真撮影/片山貴博)

配管ダクトを随所に配置することで、冷暖房設備も完備できるようにするという。左下は今後ベンチになる(写真提供/大林組(写真撮影/片山貴博)

配管ダクトを随所に配置することで、冷暖房設備も完備できるようにするという。左下は今後ベンチになる(写真提供/大林組(写真撮影/片山貴博)

勾配の比較的に急な外階段。2階の象徴となる曲線が多く使われている階段部分は3Dプリンターならではの造形(写真撮影/片山貴博)

勾配の比較的に急な外階段。2階の象徴となる曲線が多く使われている階段部分は3Dプリンターならではの造形(写真撮影/片山貴博)

また、今回の実証棟は、単純な円形でも、直線でもない最適化された複雑なフォルムで、前述の技術が、より重要になってくる理由でもある。

同社の設計本部設計ソリューション部 アドバンストデザイン課のカピタニオ・マルコ主任は、こう話す。

「1階でピーナッツ状、2階でラグビーボール状は、3Dプリンター印刷の範囲で平面的に最もコンパクトな形で、材料の経済性と、強度の両方を実現する形状なのです。また、『リブスラブシステム』から着想を得ました。複雑な曲面を描き出せる 3D プリンターの特性を活かして天井を未来的なフォルムにしたことで、2階の床の強度補強も同時に叶えるデザインを実現できました」

「リブスラブシステム」は、イタリア人エンジニアのピエール・ルイージ・ナルヴィが 1950年代に発表した先駆的な床のシステムで、材料の経済性と形状による剛性、強度を両立できるとされたデザインですが、従来の施工方法では建てにくいです。今回、「最小限の建材で、最大の空間を覆える 形態」を追求する中で、このリブスラブシステムを採用するに至ったという。

1階の天井を見上げるとこのように見える(写真撮影/片山貴博)

1階の天井を見上げるとこのように見える(写真撮影/片山貴博)

1階の天井(2階の床)部分は、14のパーツに分割して工場で印刷され、後から架設される。写真は14分割されて印刷された天井の一部(写真撮影/片山貴博)

1階の天井(2階の床)部分は、14のパーツに分割して工場で印刷され、後から架設される。写真は14分割されて印刷された天井の一部(写真撮影/片山貴博)

3Dプリンターによる建築物の複層階化、大規模化の実現性を追求

この実証棟の広さは、延べ面積27.09平米(畳約17畳分)。1階部分が完成した後は、その上にプリンターを移動して屋上の腰壁をプリントすることで、複数階への展開の可能性を証明するという。高さ4mの建物になる予定だ。

「計算上では、プリンターを移動させながら出力し続ければ、現在の技術でも2階以上の建物をつくることは可能なんです」と金子さんは説明する。ゆくゆくは3Dプリンターで高層階の建築物を建てることも夢ではなさそうだ。

また、少ない材料で最大限の空間が得られるようにし、壁を複数層としてケーブルや配管ダクトを配置することで、水回りや空調設備も備えられるようにするなど、通常の建築物と同様に利用することを想定したデザインになっているのも特徴。ただ建物の規模を追求するだけでなく、実用性も考慮されていることも特筆すべき点だろう。

配管ダクトを随所に配置することで、冷暖房設備も完備できるようにするという(写真提供/大林組)

配管ダクトを随所に配置することで、冷暖房設備も完備できるようにするという(写真提供/大林組)

3Dプリンター実証棟模型。建物の壁は2層になっており、壁と壁の間に断熱材を入れることで、温度調整機能も高めるようにするという。黄色い部分に断熱材が入る(写真撮影/片山貴博)

3Dプリンター実証棟模型。建物の壁は2層になっており、壁と壁の間に断熱材を入れることで、温度調整機能も高めるようにするという。黄色い部分に断熱材が入る(写真撮影/片山貴博)

複層階、大規模建築の課題は、3Dプリンターの制御と温度対策

「3Dプリンター実証棟」によって複数階、複雑な形状への対応も証明しようとしているが、課題になってくるのが材料の温度管理。3Dプリンター建築の魅力は工期の短期化だが、規模が大きくなれば、その分工期も長引く。

5月に着工し、8月から印刷を開始し約4カ月。前述の坂上さんは、「現在、3Dプリンターを1日5時間稼働していますが、季節や時間帯によって外気温が変わってしまうのです。3Dプリンター用の材料は外気温によって固まるスピードに変化が出てしまいますから、外気温に変化があっても安定してプリントできるように材料の調整が必要になります」と話す。

今後、3Dプリンターによる大規模建築が現実のものとなる上で、この問題は避けられない。この実証棟を通じて、課題や解決策が見えてきそうだ。

いよいよ大林組が複数階を意図した3Dプリンター建築に着手した。耐震面で厳しい日本の評価基準をクリアした技術が日本のゼネコンから登場することで、今後、本格的に建設現場での3Dプリンターの導入が進むだろう。「すでに国内外で受注しているプロジェクトから、3Dプリンター利用に積極的な声も上がっている」と話す金子担当部長の言葉は、まさにその証だ。

建設業界全体で危惧される人手不足問題は、そのまま製品の価格上昇と質への問題へ転嫁されてしまう可能性がある。3Dプリンターの導入が、こうした問題解決に好影響を与えることは、建設時のCO2排出といった環境配慮対策と同じくらい重要な効果なのではないかと取材を通じて感じられた。

●取材協力
株式会社大林組

行灯のような光とリバーサイド

所在地:横浜市西区北幸
28万円 / 71.41平米
東海道線・東急東横線「横浜」駅 徒歩9分

横浜西口の川沿い、オフィス街を抜けた所にある物件です。



いかにもなオフィス街に立地するでもなく、雑多な飲食店があるエリアでもなく。程よい住環境。建物はピシッとした造りになっているので、良いギャップかもしれません。



エレベーターに乗る為にセキュリティを解除します。そうすると行き ... 続き>>>.
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寿は開かれた

所在地:台東区寿
23万1,000円(税込) / 57.85平米
都営大江戸線「蔵前」駅 徒歩5分

蔵前の盛り上がりの影響はじわじわと、三筋や小島、鳥越、そしてここ寿にも広がってきており、築古物件を素敵に改装した路面店が増えてきています。今では御徒町から蔵前にかけてを「カチクラ」と呼び、ものづくり産業の盛んなエリアとして注目されています。



そんな「カチクラ」に含まれる台東区寿 ... 続き>>>.
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キャプテン・イケジリ号

所在地:世田谷区池尻
6万9,000円 / 25.08平米
東急田園都市線「池尻大橋」駅 徒歩10分

「キャプテン・イケジリ号」と名付けたくなるような、船をモチーフに改装された部屋。既存の照明はマリンランプで、リビングと洋室の間の壁には丸い窓がついています。この窓は「舷窓(げんそう)」というもので、本来は船体につけるもの。開閉が可能で、採光と換気の役割があります。



マンションは ... 続き>>>.
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緑を眺めて日向ぼっこ

所在地:港区三田
12万5,500円 / 44.99平米
南北線「麻布十番」駅/都営大江戸線「麻布十番」駅 徒歩10分

港区の閑静な住宅街にある、緑に囲まれたヴィンテージマンション。

年季が入っていますが、日当たり良好でほっこり過ごせるお部屋です。



麻布十番、赤羽橋、三田、田町の4駅が徒歩圏内。

大使館や庭園の多い三田綱町エリアにそのマンションはあります。



お部屋の魅力はなんといっても日当たり ... 続き>>>.
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DIYと仲間たち

所在地:八王子市打越町
4万~5万円 / 18.42平米
京王線「北野」駅 徒歩12分

八王子市の、のどかな環境にあるワンルームマンションで、なかなか面白い活動が行われています。



DIYがOKな床と一枚の壁。好みに合わせて、塗装をしたり、棚を付けたり自由な発想で好みの空間をつくっていただけたらと思います。



今回の募集の部屋はいずれも前の住民がつくった部屋を引き継 ... 続き>>>.
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小さな戸建が改装スタンバイOK!

所在地:世田谷区等々力
17万5,000円 / 46.44平米
東急大井町線「尾山台」駅 徒歩2分

大井町線の尾山台駅から徒歩2分。お向かいは野菜直売所で、駅近なのになんだかほっこりする場所にある小さな戸建。改装OKの物件として、オーナー側で使えない床や設備を解体したこの状態でお引渡しいたします。



用途は、住居だけではなく、住居兼店舗や住居兼事務所で使用が可能です(業種などは ... 続き>>>.
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円柱とコンクリート

所在地:千代田区神田小川町
35万円 / 82.91平米
半蔵門線・都営新宿線・都営三田線「神保町」駅 徒歩4分

どーんと吹き抜けた共用廊下は神聖さすら感じます。

しかも室内もコンクリート打ちっぱなし、天高は最大約5.3mのため、美術館みたいなお部屋です。



神保町駅もしくは御茶ノ水駅から歩いて10分もかからないこちらの物件。

マンション外観はガラス張りになっており、1階にはスポーツショップ ... 続き>>>.
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錦糸町に刮目せよ!

所在地:墨田区太平
3,998万円(税込) / 50.25平米
半蔵門線「錦糸町」駅 徒歩5分

寝室をグルっと囲むカーキ色の壁と白っぽいフローリングを、ドアや工業用ソケット、ライティングレールの黒を差し色にして引き締める色合いがカッコいい1LDK。



オーク材やチーク材、グレーやブラックなど、様々な家具をカラーコーディネートしやすいことや、壁の一面が有孔ボードになっているこ ... 続き>>>.
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収穫お手伝いで食事・宿を無償提供!? 国内外からサポーター集う「オキオリーブ」関係人口の起点に 高松市

香川県高松市にあるオリーブ農園「オキオリーブ」。「一粒ずつ丁寧に手摘みで収穫したオリーブから、収穫4時間以内で抽出する」という手法でつくられるオリーブオイルは、なかなか手に入らない幻の逸品だとか。そして、この「オキオリーブ」では、「収穫サポーター」なる、ちょっと変わった試みをされていると聞き、現地へ。元・証券マンという異色の経歴を持つ、オキオリーブ代表園主の澳敬夫(おき・たかお)さんにもお話を伺った。

地元・全国から無償で収穫を手伝うサポーターが参加

高松空港から車で約15分、秋晴れの空の下、丘の上のオリーブ畑に到着。すると幅広い世代の男女が、一粒ずつオリーブを収穫し、腰に付けたバスケットに入れている。実はこの方たち、スタッフはほんの一部で、多くは「収穫サポーター」と呼ばれる方々。無償で手伝ってもらう代わりに、園が食事や宿を提供するというもの。地元・香川県だけでなく、県外からやってくる人も多いとか。
「互いに特別の恩恵をはかりあう“互恵”という考え方です。参加される方の理由はさまざま。オリーブという食材、オーガニックなものや農作業に興味を持つ人、この温暖な気候に惹かれた人、旅の一つの選択肢として参加した人、観光では得られない体験を求めている人など。年齢も幅広いです」(澳さん)

それぞれがバスケットを腰に付け、リズミカルに両手で収穫していく。収穫シーズンは10月で、中でも前半がピーク(写真撮影/内田伸一郎)

それぞれがバスケットを腰に付け、リズミカルに両手で収穫していく。収穫シーズンは10月で、中でも前半がピーク(写真撮影/内田伸一郎)

すべての実をひとつひとつ手摘みしていくことで、実を傷つけることなく収穫できるだけでなく、余計な葉や軸を取り除くことができる。その分、余計な雑味や苦みがなくなるのがメリット(写真撮影/内田伸一郎)

すべての実をひとつひとつ手摘みしていくことで、実を傷つけることなく収穫できるだけでなく、余計な葉や軸を取り除くことができる。その分、余計な雑味や苦みがなくなるのがメリット(写真撮影/内田伸一郎)

(写真撮影/内田伸一郎)

(写真撮影/内田伸一郎)

県外からの参加者は、通常は1日1組限定のゲストハウスとして使われている「澳邸」を宿泊施設として利用可能。男女別の相部屋で、まるで合宿所のような雰囲気だとか。「寝食を共にしつつ、農作業の中でも最も楽しい、収穫の喜びも共有してもらえたらと思っています」(澳さん)

オキオリーブガーデンのある丘を下った場所にある古民家をリノベーションしたゲストハウス「澳邸」(写真撮影/内田伸一郎)

オキオリーブガーデンのある丘を下った場所にある古民家をリノベーションしたゲストハウス「澳邸」(写真撮影/内田伸一郎)

世界的木工デザイナーのジョージナカシマの「コノイドチェア」やイサムノグチの「AKARI」など、高松ゆかりのアーティストの家具が並ぶ「澳邸」の室内(写真撮影/内田伸一郎)

世界的木工デザイナーのジョージナカシマの「コノイドチェア」やイサムノグチの「AKARI」など、高松ゆかりのアーティストの家具が並ぶ「澳邸」の室内(写真撮影/内田伸一郎)

「オキオリーブ」代表園主・澳 敬夫さん。 元は証券会社勤務。高松支店に赴任中の香川県で農業のファンドビジネスに携わる。「お金も出資者もなかなか集まらない。それなら自分で始めてみよう」と、オリーブ園を始めてしまったという経歴の持ち主(写真撮影/内田伸一郎)

「オキオリーブ」代表園主・澳 敬夫さん。
元は証券会社勤務。高松支店に赴任中の香川県で農業のファンドビジネスに携わる。「お金も出資者もなかなか集まらない。それなら自分で始めてみよう」と、オリーブ園を始めてしまったという経歴の持ち主(写真撮影/内田伸一郎)

澳さんが目指したのは「とことん和食に似合うオリーブオイル」。今年の2022シーズンオイルは、すでにオンラインでの販売は完売(画像提供/オキオリーブ)

澳さんが目指したのは「とことん和食に似合うオリーブオイル」。今年の2022シーズンオイルは、すでにオンラインでの販売は完売(画像提供/オキオリーブ)

収穫サポーターに参加した、ぞれぞれの理由とは? 

撮影当日は今年初めて&2度目という方が多かったが、中にはほぼ毎年訪れている人もいるとか。
そこで、撮影当日に参加されていた方にどうして参加したのか、お話を伺ってみた。
大阪からやってきているというカップル。「もともと2人とも飲食系の仕事をしていて、収穫を自分でできるのはすごく面白いなって。いずれは自分たちのお店をやってみたいという夢もあって、国産オリーブの食材そのものにも興味がありました」

元は同じ高校の同級生。以前参加したことのある彼の誘いで、彼女は今回、初参加。「オリーブを摘むのも面白かったし、普段なら接点のない人と出会うのも良い経験でした」(写真撮影/内田伸一郎)

元は同じ高校の同級生。以前参加したことのある彼の誘いで、彼女は今回、初参加。「オリーブを摘むのも面白かったし、普段なら接点のない人と出会うのも良い経験でした」(写真撮影/内田伸一郎)

ドイツから訪れたという彼の職業はシェフ。「日本の美味しい食材について学びながら日本全国旅をしたいと思っています。まだ日本に着いたばかりで、最初がココなんです」

彼はその後、澳さんの紹介で、地元の和食料理店で修業中だとか(写真撮影/内田伸一郎)

彼はその後、澳さんの紹介で、地元の和食料理店で修業中だとか(写真撮影/内田伸一郎)

「WWOOF」というシステムを利用して、訪れている人も多い。これはオーガニックな農作物をつくる農家がホストとなり、お金のやりとりなしで、「食事・宿泊場所」と「力」そして「知識・経験」を交換するというもの。中には、こうした働き方をしながら全国旅をしている人も多く、他の現場で顔見知りになっている人もいるそうだ。なかには、耳が不自由ながら、みんなで筆談しながらコミュニケーションをとり「ココの楽しい雰囲気が気に入って、今回は2回目なんです」という方もいた。

「奈良に一応自宅はありますが、これを利用して日本全国旅をしています。こうやって、自分の性に合う場所はないかな、と新しい拠点を探している最中です」という方(写真中央)(写真撮影/内田伸一郎)

「奈良に一応自宅はありますが、これを利用して日本全国旅をしています。こうやって、自分の性に合う場所はないかな、と新しい拠点を探している最中です」という方(写真中央)(写真撮影/内田伸一郎)

すでに拠点を持たず、「日本全国、都道府県を制覇したい」という方も(写真撮影/内田伸一郎)

すでに拠点を持たず、「日本全国、都道府県を制覇したい」という方も(写真撮影/内田伸一郎)

生活環境、属性も違う面々が非日常を味わいに集う場所

東京、大阪、名古屋といった都市に暮らしながら、年に1回は収穫シーズンに合わせて参加している方もいる。「普段はパソコンに向かっているばかりの毎日だけれど、この環境で身体を動かしてひとつひとつ実を摘んでいく作業はすごく心地いいんです」という声も。何度か訪れているうちに、観光地を訪れるより少し深く、濃く、この場所が特別になっていくのも、この取り組みのメリットだろう。

東京、横浜からそれぞれ初参加した会社員のお2人。初心者でも澳さんが手摘みの仕方を教えてくれる(写真撮影/内田伸一郎)

東京、横浜からそれぞれ初参加した会社員のお2人。初心者でも澳さんが手摘みの仕方を教えてくれる(写真撮影/内田伸一郎)

もちろん、香川県在住の方も多い。「地元がここだけれど、普通の会社員だから、こんな場所、こんな取り組みがあるとは知らなくて。私たちが何も知らないのはどうかと思って参加してみたら、楽しくて今回が2回目の参加です」という方もいれば、「もともとは併設のカフェの客だったんです。で、収穫体験できるんだ、と一度経験したら、楽しくて。今回はお友達を誘ってみました」と地元民ならではの気軽さで参加している方もいる。

地元の香川県の方々。「彼女は、仕事で今は地元を離れているんだけど、帰省している間にちょっと誘ってみたの」と和気あいあい(写真撮影/内田伸一郎)

地元の香川県の方々。「彼女は、仕事で今は地元を離れているんだけど、帰省している間にちょっと誘ってみたの」と和気あいあい(写真撮影/内田伸一郎)

撮影当日は、以前オキオリーブを取材したことのある記者さんが、朝イチの飛行機で東京から参加していた。こうした縁が広がっていくのも面白い。住まい、環境、年齢、属性の違うさまざまな人たちが、同じ空の下、作業をして、休憩して、語らう。美しい光景だ。

朝イチの作業の後、休憩時間。お茶を飲んだり、お菓子を食べたり。初対面同士の自己紹介も(写真撮影/内田伸一郎)

朝イチの作業の後、休憩時間。お茶を飲んだり、お菓子を食べたり。初対面同士の自己紹介も(写真撮影/内田伸一郎)

(写真撮影/内田伸一郎)

(写真撮影/内田伸一郎)

最初は海外からの旅行者が中心。コロナ禍で変化が

澳さんが、こうした農業サポーターを始めたのは5年前。当初は前述の「WWOOF」で、多くの外国人を受け入れたのがスタートだ。
「最初は、正直いうと、シンプルに収穫に人手がほしかった部分もありました。しかし、ホストファミリーとして、海外の方々を受け入れているうちに、ああ、これは、労働の対価として宿や食事を提供するという単純なものではないなぁと思いました。世界中からいろんな方が来ましたよ。オックスフォードの大学生、医者の卵、建築家、弁護士。お金じゃないんですよね。暮らすように旅をする、日本の食文化を知る、人と人とが繋がる、そういう数字には換算できないものを求めて彼らは来てくれているんだと思いました」(澳さん)

(画像提供/オキオリーブ)

(画像提供/オキオリーブ)

しかしコロナ禍で海外からの渡航者が激減。海外のサポーターの代わりに増えたのが国内の大学生の参加だ。「コロナ禍で学校が休校になったから、と参加してくれるようになったんです。また、海外を旅することはできないから、と国内からの参加も増えましたね」(澳さん)

海外から国内へとシフトする中で、変化も。
「海外の方だと、基本的には1回限り。ココはたくさん旅をする場所のひとつにしか過ぎなかったでしょう。しかし、地元の人やリピーターが増えていくと、少し関わり方も変わってきました。自然と顔見知りは増えますし、リピーターの人が初参加の人に摘み方を教えてあげたり、居住地が近い参加者同士で後日、交流していたり、この場が継続的な、もっと濃い交流の場となっている気がします」(澳さん)

継続的に関わることで生まれる、特別な「場」という意識

そこで、5年前からほぼ毎シーズン参加しているIさんにお話を伺った。最初は娘の秋休みに合わせて親子で参加できる農作業はないか探していたところ、オキオリーブ収穫サポーターを知り、参加したという(現在、収穫サポーターは16歳以上)。

「全国、いや世界中を放浪している若い方たちがいっぱいいたんですよ。娘はお兄さんお姉さんにいっぱい遊んでもらいました。彼らは本当に自由でオープンマインド。私は普通の人生を歩んできた人間なので、ああ、そんな生き方があるんだ、と目からウロコでした」(Iさん)

また、地元の農家さん、澳さんの友人などが顔を出し、一緒にお酒を飲むこともある。そうして何の縁もなかった高松の地が「特別な地」になった。
「地名をいえば、そこで一緒に過ごした方の顔が浮かぶ。子どもにとっても私にとっても繰り返し訪れる地は特別。1回限りの観光で訪れる土地とは、やはり愛着は違います」(Iさん)

子どもなりにできることをやる。今は地元の小学生を除けば、受付年齢は16歳以上となっている。(画像提供/Iさん)

子どもなりにできることをやる。今は地元の小学生を除けば、受付年齢は16歳以上となっている。(画像提供/Iさん)

音楽やアート。この場でこそ味わえる経験をシェアしたい

ここでの関わり方は収穫などの農作業だけではない。
「大工仕事をやってもらうこともありますし、“こんなことをしてみたい”と提案されることもあります。以前、フランス人のアーティストが、農作業の合間に、壁にオリーブの木を描いてくれたこともありました。あ、こちらのカラフルな壁は地元の大学生の作品。こうした作品も、この青空の下、風を感じる丘の上、といったロケーション込みでアートになるんだなと思っています」(澳さん)

併設されたカフェ(現在はメンテナンス休業中)。その横には、オリーブの木のシルエットを壁に描いた小屋がある(写真撮影/内田伸一郎)

併設されたカフェ(現在はメンテナンス休業中)。その横には、オリーブの木のシルエットを壁に描いた小屋がある(写真撮影/内田伸一郎)

単なるコンクリート壁だった貯水槽を、カラフルにペインティング。緑の中に唐突に現れ、楽しい気持ちにさせてくれる作品は地元大学生の手によるもの(写真撮影/内田伸一郎)

単なるコンクリート壁だった貯水槽を、カラフルにペインティング。緑の中に唐突に現れ、楽しい気持ちにさせてくれる作品は地元大学生の手によるもの(写真撮影/内田伸一郎)

また、現在このオリーブ畑はキャンプ場、グランピングの場としても利用可能。農作物の栽培という枠組みを超えて、さまざまな人が「関わる余地のある場」となっている。
さらに、敷地内にある小屋のなかには、澳さんの友人の職人による「Sanuki Tekki」の工房があったり、知り会いのミュージシャンによるジャズライブや、地元のシェフを呼んだイベントなども開かれたりしている。

職人・槇塚登さんの手による鉄のフライパンは、注文して手元に届くまで1年はかかるといわれる人気とか(写真撮影/内田伸一郎)

職人・槇塚登さんの手による鉄のフライパンは、注文して手元に届くまで1年はかかるといわれる人気とか(写真撮影/内田伸一郎)

フラメンコが披露されるイベントが開催されたことも。青空の下、オリーブ畑に囲まれた場所で音楽が奏でられる、特別な時間(写真提供/オキオリーブ)

フラメンコが披露されるイベントが開催されたことも。青空の下、オリーブ畑に囲まれた場所で音楽が奏でられる、特別な時間(写真提供/オキオリーブ)

場所の力は大きい。オンラインでさまざまなことが可能になったからこそ、その場所に足を運ばなければ体験できないことは特別な意味を持つだろう。それが継続的な体験になり、まったく縁のない人に、この地が特別な所になっていく。
「ゆくゆくは、ギャラリーもつくって、音楽、アート、食、さまざまなカルチャーを媒体に、さまざまな人が交わる場所になったらと思っています。どうしても地方創生というと、移住や住んでもらおうとしがちだけれど、そうではなくて、この土地のサポーターを増やしていけたらいいですよね」(澳さん)

●取材協力
オキオリーブ

収穫お手伝いで食事・宿を無償提供!? 国内外からサポーター集う「オキオリーブ」関係人口の起点に 高松市

香川県高松市にあるオリーブ農園「オキオリーブ」。「一粒ずつ丁寧に手摘みで収穫したオリーブから、収穫4時間以内で抽出する」という手法でつくられるオリーブオイルは、なかなか手に入らない幻の逸品だとか。そして、この「オキオリーブ」では、「収穫サポーター」なる、ちょっと変わった試みをされていると聞き、現地へ。元・証券マンという異色の経歴を持つ、オキオリーブ代表園主の澳敬夫(おき・たかお)さんにもお話を伺った。

地元・全国から無償で収穫を手伝うサポーターが参加

高松空港から車で約15分、秋晴れの空の下、丘の上のオリーブ畑に到着。すると幅広い世代の男女が、一粒ずつオリーブを収穫し、腰に付けたバスケットに入れている。実はこの方たち、スタッフはほんの一部で、多くは「収穫サポーター」と呼ばれる方々。無償で手伝ってもらう代わりに、園が食事や宿を提供するというもの。地元・香川県だけでなく、県外からやってくる人も多いとか。
「互いに特別の恩恵をはかりあう“互恵”という考え方です。参加される方の理由はさまざま。オリーブという食材、オーガニックなものや農作業に興味を持つ人、この温暖な気候に惹かれた人、旅の一つの選択肢として参加した人、観光では得られない体験を求めている人など。年齢も幅広いです」(澳さん)

それぞれがバスケットを腰に付け、リズミカルに両手で収穫していく。収穫シーズンは10月で、中でも前半がピーク(写真撮影/内田伸一郎)

それぞれがバスケットを腰に付け、リズミカルに両手で収穫していく。収穫シーズンは10月で、中でも前半がピーク(写真撮影/内田伸一郎)

すべての実をひとつひとつ手摘みしていくことで、実を傷つけることなく収穫できるだけでなく、余計な葉や軸を取り除くことができる。その分、余計な雑味や苦みがなくなるのがメリット(写真撮影/内田伸一郎)

すべての実をひとつひとつ手摘みしていくことで、実を傷つけることなく収穫できるだけでなく、余計な葉や軸を取り除くことができる。その分、余計な雑味や苦みがなくなるのがメリット(写真撮影/内田伸一郎)

(写真撮影/内田伸一郎)

(写真撮影/内田伸一郎)

県外からの参加者は、通常は1日1組限定のゲストハウスとして使われている「澳邸」を宿泊施設として利用可能。男女別の相部屋で、まるで合宿所のような雰囲気だとか。「寝食を共にしつつ、農作業の中でも最も楽しい、収穫の喜びも共有してもらえたらと思っています」(澳さん)

オキオリーブガーデンのある丘を下った場所にある古民家をリノベーションしたゲストハウス「澳邸」(写真撮影/内田伸一郎)

オキオリーブガーデンのある丘を下った場所にある古民家をリノベーションしたゲストハウス「澳邸」(写真撮影/内田伸一郎)

世界的木工デザイナーのジョージナカシマの「コノイドチェア」やイサムノグチの「AKARI」など、高松ゆかりのアーティストの家具が並ぶ「澳邸」の室内(写真撮影/内田伸一郎)

世界的木工デザイナーのジョージナカシマの「コノイドチェア」やイサムノグチの「AKARI」など、高松ゆかりのアーティストの家具が並ぶ「澳邸」の室内(写真撮影/内田伸一郎)

「オキオリーブ」代表園主・澳 敬夫さん。 元は証券会社勤務。高松支店に赴任中の香川県で農業のファンドビジネスに携わる。「お金も出資者もなかなか集まらない。それなら自分で始めてみよう」と、オリーブ園を始めてしまったという経歴の持ち主(写真撮影/内田伸一郎)

「オキオリーブ」代表園主・澳 敬夫さん。
元は証券会社勤務。高松支店に赴任中の香川県で農業のファンドビジネスに携わる。「お金も出資者もなかなか集まらない。それなら自分で始めてみよう」と、オリーブ園を始めてしまったという経歴の持ち主(写真撮影/内田伸一郎)

澳さんが目指したのは「とことん和食に似合うオリーブオイル」。今年の2022シーズンオイルは、すでにオンラインでの販売は完売(画像提供/オキオリーブ)

澳さんが目指したのは「とことん和食に似合うオリーブオイル」。今年の2022シーズンオイルは、すでにオンラインでの販売は完売(画像提供/オキオリーブ)

収穫サポーターに参加した、ぞれぞれの理由とは? 

撮影当日は今年初めて&2度目という方が多かったが、中にはほぼ毎年訪れている人もいるとか。
そこで、撮影当日に参加されていた方にどうして参加したのか、お話を伺ってみた。
大阪からやってきているというカップル。「もともと2人とも飲食系の仕事をしていて、収穫を自分でできるのはすごく面白いなって。いずれは自分たちのお店をやってみたいという夢もあって、国産オリーブの食材そのものにも興味がありました」

元は同じ高校の同級生。以前参加したことのある彼の誘いで、彼女は今回、初参加。「オリーブを摘むのも面白かったし、普段なら接点のない人と出会うのも良い経験でした」(写真撮影/内田伸一郎)

元は同じ高校の同級生。以前参加したことのある彼の誘いで、彼女は今回、初参加。「オリーブを摘むのも面白かったし、普段なら接点のない人と出会うのも良い経験でした」(写真撮影/内田伸一郎)

ドイツから訪れたという彼の職業はシェフ。「日本の美味しい食材について学びながら日本全国旅をしたいと思っています。まだ日本に着いたばかりで、最初がココなんです」

彼はその後、澳さんの紹介で、地元の和食料理店で修業中だとか(写真撮影/内田伸一郎)

彼はその後、澳さんの紹介で、地元の和食料理店で修業中だとか(写真撮影/内田伸一郎)

「WWOOF」というシステムを利用して、訪れている人も多い。これはオーガニックな農作物をつくる農家がホストとなり、お金のやりとりなしで、「食事・宿泊場所」と「力」そして「知識・経験」を交換するというもの。中には、こうした働き方をしながら全国旅をしている人も多く、他の現場で顔見知りになっている人もいるそうだ。なかには、耳が不自由ながら、みんなで筆談しながらコミュニケーションをとり「ココの楽しい雰囲気が気に入って、今回は2回目なんです」という方もいた。

「奈良に一応自宅はありますが、これを利用して日本全国旅をしています。こうやって、自分の性に合う場所はないかな、と新しい拠点を探している最中です」という方(写真中央)(写真撮影/内田伸一郎)

「奈良に一応自宅はありますが、これを利用して日本全国旅をしています。こうやって、自分の性に合う場所はないかな、と新しい拠点を探している最中です」という方(写真中央)(写真撮影/内田伸一郎)

すでに拠点を持たず、「日本全国、都道府県を制覇したい」という方も(写真撮影/内田伸一郎)

すでに拠点を持たず、「日本全国、都道府県を制覇したい」という方も(写真撮影/内田伸一郎)

生活環境、属性も違う面々が非日常を味わいに集う場所

東京、大阪、名古屋といった都市に暮らしながら、年に1回は収穫シーズンに合わせて参加している方もいる。「普段はパソコンに向かっているばかりの毎日だけれど、この環境で身体を動かしてひとつひとつ実を摘んでいく作業はすごく心地いいんです」という声も。何度か訪れているうちに、観光地を訪れるより少し深く、濃く、この場所が特別になっていくのも、この取り組みのメリットだろう。

東京、横浜からそれぞれ初参加した会社員のお2人。初心者でも澳さんが手摘みの仕方を教えてくれる(写真撮影/内田伸一郎)

東京、横浜からそれぞれ初参加した会社員のお2人。初心者でも澳さんが手摘みの仕方を教えてくれる(写真撮影/内田伸一郎)

もちろん、香川県在住の方も多い。「地元がここだけれど、普通の会社員だから、こんな場所、こんな取り組みがあるとは知らなくて。私たちが何も知らないのはどうかと思って参加してみたら、楽しくて今回が2回目の参加です」という方もいれば、「もともとは併設のカフェの客だったんです。で、収穫体験できるんだ、と一度経験したら、楽しくて。今回はお友達を誘ってみました」と地元民ならではの気軽さで参加している方もいる。

地元の香川県の方々。「彼女は、仕事で今は地元を離れているんだけど、帰省している間にちょっと誘ってみたの」と和気あいあい(写真撮影/内田伸一郎)

地元の香川県の方々。「彼女は、仕事で今は地元を離れているんだけど、帰省している間にちょっと誘ってみたの」と和気あいあい(写真撮影/内田伸一郎)

撮影当日は、以前オキオリーブを取材したことのある記者さんが、朝イチの飛行機で東京から参加していた。こうした縁が広がっていくのも面白い。住まい、環境、年齢、属性の違うさまざまな人たちが、同じ空の下、作業をして、休憩して、語らう。美しい光景だ。

朝イチの作業の後、休憩時間。お茶を飲んだり、お菓子を食べたり。初対面同士の自己紹介も(写真撮影/内田伸一郎)

朝イチの作業の後、休憩時間。お茶を飲んだり、お菓子を食べたり。初対面同士の自己紹介も(写真撮影/内田伸一郎)

(写真撮影/内田伸一郎)

(写真撮影/内田伸一郎)

最初は海外からの旅行者が中心。コロナ禍で変化が

澳さんが、こうした農業サポーターを始めたのは5年前。当初は前述の「WWOOF」で、多くの外国人を受け入れたのがスタートだ。
「最初は、正直いうと、シンプルに収穫に人手がほしかった部分もありました。しかし、ホストファミリーとして、海外の方々を受け入れているうちに、ああ、これは、労働の対価として宿や食事を提供するという単純なものではないなぁと思いました。世界中からいろんな方が来ましたよ。オックスフォードの大学生、医者の卵、建築家、弁護士。お金じゃないんですよね。暮らすように旅をする、日本の食文化を知る、人と人とが繋がる、そういう数字には換算できないものを求めて彼らは来てくれているんだと思いました」(澳さん)

(画像提供/オキオリーブ)

(画像提供/オキオリーブ)

しかしコロナ禍で海外からの渡航者が激減。海外のサポーターの代わりに増えたのが国内の大学生の参加だ。「コロナ禍で学校が休校になったから、と参加してくれるようになったんです。また、海外を旅することはできないから、と国内からの参加も増えましたね」(澳さん)

海外から国内へとシフトする中で、変化も。
「海外の方だと、基本的には1回限り。ココはたくさん旅をする場所のひとつにしか過ぎなかったでしょう。しかし、地元の人やリピーターが増えていくと、少し関わり方も変わってきました。自然と顔見知りは増えますし、リピーターの人が初参加の人に摘み方を教えてあげたり、居住地が近い参加者同士で後日、交流していたり、この場が継続的な、もっと濃い交流の場となっている気がします」(澳さん)

継続的に関わることで生まれる、特別な「場」という意識

そこで、5年前からほぼ毎シーズン参加しているIさんにお話を伺った。最初は娘の秋休みに合わせて親子で参加できる農作業はないか探していたところ、オキオリーブ収穫サポーターを知り、参加したという(現在、収穫サポーターは16歳以上)。

「全国、いや世界中を放浪している若い方たちがいっぱいいたんですよ。娘はお兄さんお姉さんにいっぱい遊んでもらいました。彼らは本当に自由でオープンマインド。私は普通の人生を歩んできた人間なので、ああ、そんな生き方があるんだ、と目からウロコでした」(Iさん)

また、地元の農家さん、澳さんの友人などが顔を出し、一緒にお酒を飲むこともある。そうして何の縁もなかった高松の地が「特別な地」になった。
「地名をいえば、そこで一緒に過ごした方の顔が浮かぶ。子どもにとっても私にとっても繰り返し訪れる地は特別。1回限りの観光で訪れる土地とは、やはり愛着は違います」(Iさん)

子どもなりにできることをやる。今は地元の小学生を除けば、受付年齢は16歳以上となっている。(画像提供/Iさん)

子どもなりにできることをやる。今は地元の小学生を除けば、受付年齢は16歳以上となっている。(画像提供/Iさん)

音楽やアート。この場でこそ味わえる経験をシェアしたい

ここでの関わり方は収穫などの農作業だけではない。
「大工仕事をやってもらうこともありますし、“こんなことをしてみたい”と提案されることもあります。以前、フランス人のアーティストが、農作業の合間に、壁にオリーブの木を描いてくれたこともありました。あ、こちらのカラフルな壁は地元の大学生の作品。こうした作品も、この青空の下、風を感じる丘の上、といったロケーション込みでアートになるんだなと思っています」(澳さん)

併設されたカフェ(現在はメンテナンス休業中)。その横には、オリーブの木のシルエットを壁に描いた小屋がある(写真撮影/内田伸一郎)

併設されたカフェ(現在はメンテナンス休業中)。その横には、オリーブの木のシルエットを壁に描いた小屋がある(写真撮影/内田伸一郎)

単なるコンクリート壁だった貯水槽を、カラフルにペインティング。緑の中に唐突に現れ、楽しい気持ちにさせてくれる作品は地元大学生の手によるもの(写真撮影/内田伸一郎)

単なるコンクリート壁だった貯水槽を、カラフルにペインティング。緑の中に唐突に現れ、楽しい気持ちにさせてくれる作品は地元大学生の手によるもの(写真撮影/内田伸一郎)

また、現在このオリーブ畑はキャンプ場、グランピングの場としても利用可能。農作物の栽培という枠組みを超えて、さまざまな人が「関わる余地のある場」となっている。
さらに、敷地内にある小屋のなかには、澳さんの友人の職人による「Sanuki Tekki」の工房があったり、知り会いのミュージシャンによるジャズライブや、地元のシェフを呼んだイベントなども開かれたりしている。

職人・槇塚登さんの手による鉄のフライパンは、注文して手元に届くまで1年はかかるといわれる人気とか(写真撮影/内田伸一郎)

職人・槇塚登さんの手による鉄のフライパンは、注文して手元に届くまで1年はかかるといわれる人気とか(写真撮影/内田伸一郎)

フラメンコが披露されるイベントが開催されたことも。青空の下、オリーブ畑に囲まれた場所で音楽が奏でられる、特別な時間(写真提供/オキオリーブ)

フラメンコが披露されるイベントが開催されたことも。青空の下、オリーブ畑に囲まれた場所で音楽が奏でられる、特別な時間(写真提供/オキオリーブ)

場所の力は大きい。オンラインでさまざまなことが可能になったからこそ、その場所に足を運ばなければ体験できないことは特別な意味を持つだろう。それが継続的な体験になり、まったく縁のない人に、この地が特別な所になっていく。
「ゆくゆくは、ギャラリーもつくって、音楽、アート、食、さまざまなカルチャーを媒体に、さまざまな人が交わる場所になったらと思っています。どうしても地方創生というと、移住や住んでもらおうとしがちだけれど、そうではなくて、この土地のサポーターを増やしていけたらいいですよね」(澳さん)

●取材協力
オキオリーブ

野毛坂を超えて

所在地:横浜市西区戸部町
14万1,000円 / 44.02平米
京浜東北線・横浜市営地下鉄ブルーライン「桜木町」駅 徒歩10分

パキッとした外観が特徴のマンションのご紹介です。



駅から野毛山公園に向う途中を曲がり、少し進んだところ、丘の中腹に位置しています。裏側は山になっていて、緑いっぱいです。



室内はフローリングに、コンクリート打ち放しの壁・天井。シンプルなつくりになっています。一部、白い壁になって ... 続き>>>.
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野毛坂を超えて

所在地:横浜市西区戸部町
14万1,000円 / 44.02平米
京浜東北線・横浜市営地下鉄ブルーライン「桜木町」駅 徒歩10分

パキッとした外観が特徴のマンションのご紹介です。



駅から野毛山公園に向う途中を曲がり、少し進んだところ、丘の中腹に位置しています。裏側は山になっていて、緑いっぱいです。



室内はフローリングに、コンクリート打ち放しの壁・天井。シンプルなつくりになっています。一部、白い壁になって ... 続き>>>.
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多摩川リバーサイド

所在地:川崎市中原区丸子通
12万8,000円 / 23.56平米
東急東横線「新丸子」駅 徒歩9分

多摩川にかかる丸子橋のすぐかたわらに立つ、リバーサイド物件のご紹介です。今回募集の住戸は多摩川に面してない、南向きになります。



間取りは広めのLDKにロフト付きで、LDは1.5層分くらいの吹抜けになっています。天井が高く、上から下まで一面の大きな窓になっているので、かなり気持ち ... 続き>>>.
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多摩川リバーサイド

所在地:川崎市中原区丸子通
12万8,000円 / 23.56平米
東急東横線「新丸子」駅 徒歩9分

多摩川にかかる丸子橋のすぐかたわらに立つ、リバーサイド物件のご紹介です。今回募集の住戸は多摩川に面してない、南向きになります。



間取りは広めのLDKにロフト付きで、LDは1.5層分くらいの吹抜けになっています。天井が高く、上から下まで一面の大きな窓になっているので、かなり気持ち ... 続き>>>.
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オーソドックス+αでいい

所在地:大田区雪谷大塚町
6,780万円(税込) / 75.88平米
東急池上線「雪が谷大塚」駅 徒歩2分

リノベーションしました!と主張するほどの強い個性は求めないものの、いわゆるリフォーム済み物件や新築の内装には今ひとつピンとくるものがない。



余計なアクセントとかツヤツヤした建材を使わずに、嫌なデザインがないオーソドックスな空間がほしいだけなのに、それすら探すの難しいんですよね… ... 続き>>>.
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畑付きのエコアパートで暮らそう!

所在地:足立区六町
11万8,000円 / 57.7平米
つくばエクスプレス「六町」駅 徒歩7分

こだわりが詰まった畑付きのエコアパートで、コミュニティを楽しみながら暮らしませんか?



今回募集するのは全6区画あるうちの1区画。



野菜づくりや子どもとの土いじりをしたい方、ご近所でわいわいしたい方、将来は田舎暮らしを考えている方に、ぜひおすすめしたい物件です。



広い敷地の中 ... 続き>>>.
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アップダウンを楽しんで!

所在地:練馬区土支田
10万5,000~11万円 / 31.02~37.53平米
都営大江戸線「光が丘」駅 徒歩18分

建築家によって設計され、2022年10月に完成したデザイナーズの新築集合住宅。



床レベルがアップダウンさせることで、天井高を3m確保したり、空間を仕切ったり、ロフトをつくったり、腰掛けられる小上がりになったり。



リズミカルな感じが面白く、差別化しづらいコンクリート打ちっぱなし ... 続き>>>.
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猿楽町、ど真ん中につき。

所在地:渋谷区猿楽町
35万円(税込) / 74.52平米
東急東横線「代官山」駅 徒歩6分

渋谷区猿楽町の、ど真ん中。通りから1本入った区画の中に位置し、代官山駅から徒歩4分という好立地ながらも、静かな住宅街の中に建物はあります。



建物はこれまで住宅として使われていて、内装は住居仕様のまま。店舗使用に際し、内装は基本的にほとんど手を加えていただく必要があります。



居 ... 続き>>>.
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大改造の下町戸建て

所在地:墨田区立花
15万円 / 68.73平米
東武鉄道亀戸線「東あずま」駅 徒歩1分

大胆に減築しリノベーションされた木造戸建。外からは想像できない、立体的でユーモアのある空間が広がっていました。



2階の1部屋をなくし、リビングに大きな吹抜けをつくっているのが特徴的。上部から柔らかな光が降り注ぐ感じがきれいで、開放感もあります。大きな白い壁には、プロジェクターを ... 続き>>>.
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都心居住に極振りしてみる?

所在地:豊島区西池袋
14万4,000円 / 36平米
山手線・湘南新宿ライン・埼京線・丸ノ内線・有楽町線・副都心線・西武池袋線・東武東上線「池袋」駅 徒歩7分

◆ 賃料が下がりました! ◆



若い女性に住んでもらうための施策や、国際化、サブカル化などの施策に区をあげて取り組んだことにより、近年急激なイメージアップをした街、池袋。



ルミネやパルコ、西武百貨店、東武百貨店、家電量販店から様々な飲食店、NYのセントラルパークにも例えられる南 ... 続き>>>.
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昭和の6畳間のソノサキ

所在地:世田谷区北沢
6万5,000円 / 20平米
小田急線・井の頭線「下北沢」駅 徒歩12分

昭和のレトロさが残る一室ですが、今回新しくチークの無垢フローリングに貼り代わり、かわいらしく生まれ変わりました。



日当たりがよく、陽な空気が流れる室内。1階ですが建物が道よりも高い位置に立っているので、通りからの視線にさらされることはありません。窓辺でまったり過ごすのもいいです ... 続き>>>.
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代官山のエアポケット

所在地:目黒区中目黒
18万5,000円 / 36.41平米
東急東横線「代官山」駅 徒歩4分

中目黒駅・代官山駅の間という好立地にあるこのマンション。都心にもかかわらず、建物の前はぽっかり抜けていて、部屋には眩しいほどの光が差し込んできます。



窓の外に見えるのは、少し離れた先にある中目黒のビル群、左手には緑、そしてその上に広がる爽やかな青空。日当たりと眺望は文句なしの気 ... 続き>>>.
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土間や軒下をお店に! ”なりわい賃貸住宅”「hocco」、本屋、パイとコーヒーの店を開いて暮らしはどう変わった? 東京都武蔵野市

「なりわい賃貸住宅」、「暮らしの町あい所」として話題になった「hocco(ホッコ)」。13戸の賃貸住宅のうち5戸は居住者がなりわいとしてお店を開ける店舗兼用住宅だ。誕生から1年が経過し、「グッドデザイン賞」も受賞した。いま、そこに住む人はどんな暮らし方をしているのだろうか? 再び、訪れることにした。

2022年度グッドデザイン特別賞を受賞した「hocco(ホッコ)」は今?

2021年10月に筆者は「武蔵野市に店舗兼用の『なりわい賃貸住宅』が誕生!住宅街に顔の見える交流拠点を」という記事を書いた。東京都武蔵野市に、小田急バスが自社のバス折返場に建設した複合施設「hocco(ホッコ)」を取り上げたものだ。

hoccoは2022年10月に、2022年度グッドデザイン特別賞・グッドフォーカス賞[地域社会デザイン]を受賞した。「住宅地の真ん中にあるバスターミナルを地域交流拠点として開発した新しい取り組み」として評価されたものだ。審査員のコメントを見てみよう。

「駅から離れた立地のバスターミナルに店舗併用の賃貸住宅を建てることで、住む人の『なりわい』が地域の人々の新しい交流を生む魅力的な場となっている。中庭に面して店舗が並び、店舗は土間と軒先の空間を通じて中庭へと繋がる。軒下があることで人は気持ちよくお店の前でたたずみ、住む人とその『なりわい』に出会うことができる。個性あふれる『なりわい』が魅力となり、地域の人が自然に集まれる場ができている」

1年前、hocco誕生の際には、その仕掛けが面白いと思い、取材して記事にした。それが、入居が始まって1年経った今、実際にはどんな「なりわい」や「地域の人との出会い」が生まれているのだろうか? hoccoの建築設計・賃貸管理をしているブルースタジオの広報・平尾美奈さんに案内してもらった。

全13戸の賃貸住宅『hocco』(撮影/片山貴博)

全13戸の賃貸住宅『hocco』(撮影/片山貴博)

hocco配置図(画像提供/ブルースタジオ)

hocco配置図(画像提供/ブルースタジオ)

hoccoは、13戸の賃貸住宅が中庭を囲むように建ち、バスターミナルに近い5戸が店舗兼用住宅となっている。その特徴は、中庭に開かれた土間だ。「土間」と玄関前の「軒下」で“なりわい”を行うことができる。

04S号室「rn press + RIGHT NOW BOOKSTAND」(撮影/片山貴博)

04S号室「rn press + RIGHT NOW BOOKSTAND」(撮影/片山貴博)

※04S号室の間取り(画像提供/ブルースタジオ)

※04S号室の間取り(画像提供/ブルースタジオ)

現在は、次のような店舗が営業されている。
01S号室「l’atelier de nature(ラトリエ ド ナチュール)」:パンと焼き菓子の店
03S号室「玉草屋」:庭・外構・室内観葉のデザイン施工の店で、店舗で植物を販売
04S号室「rn press + RIGHT NOW BOOKSTAND」:新書古本を扱う書店
05S号室「オーブン屋」:オーブン料理のテイクアウト専門店。弁当販売も
13S号室「The Pie Hole LA 小金井公園」:パイとコーヒーの店

店長は猫のモリオ。本を買うためだけでないコミュニケーションが生まれる店

なりわい賃貸の居住者の一人、株式会社rn press代表取締役の野口理恵さん(41歳)が切り盛りする、書店「RIGHT NOW BOOKSTAND」(04S号室)を訪れた。この書店の店長は猫のモリオだ。

エキゾチックショートヘアのモリオ(1歳10カ月)。人懐っこいので、店長に任命された!?(撮影/片山貴博)

エキゾチックショートヘアのモリオ(1歳10カ月)。人懐っこいので、店長に任命された!?(撮影/片山貴博)

そもそもここに入居を決めたのは、猫のモリオが発端だった。コロナ禍で野口さんとパートナーが家にいるようになってから二人とも外出すると、高齢の猫・うなぎが鳴くようになり、新しく子猫のモリオを飼うようになった。元気がよすぎるモリオのために、ペットが飼える階段のあるメゾネットの賃貸住宅を探していた時に出合ったのが、hoccoだ。土間を自由に使ってよいと聞き、編集の仕事を長くしていることから、土間を書店にしたらどうかと思いついた。

04S号室「rn press + RIGHT NOW BOOKSTAND」1階の事務所。2階がプライベート空間。テーブルの上の籠の中にいるのが6歳のうなぎ。ここに引越してから生後10カ月のマニも飼い始めた(撮影/片山貴博)

04S号室「rn press + RIGHT NOW BOOKSTAND」1階の事務所。2階がプライベート空間。テーブルの上の籠の中にいるのが6歳のうなぎ。ここに引越してから生後10カ月のマニも飼い始めた(撮影/片山貴博)

自分がセレクトした本を置けたらよいと思い、いろいろな本屋のレイアウトをリサーチしたが、最終的には知り合いの元木大輔さん主宰のデザインスタジオDaisuke Motogi Architecture (現DDAA)に本棚の造作を依頼した。本のサイズはそのジャンルによっても変わるので、どんなジャンルの本を何冊ほど置きたいとイメージを固め、それに合わせて本棚をつくってもらった。

野口さんのご自慢の“本が浮いているように見える”ようデザインされた本棚(撮影/片山貴博)

野口さんのご自慢の“本が浮いているように見える”ようデザインされた本棚(撮影/片山貴博)

本業の編集の仕事を続けながら、副業の本屋の仕事も加わり、かなり大変ではないかと心配になったが、「むしろ本業がはかどるようになった」という。月曜~水曜は本屋を休んで本業に充て、木曜~日曜は本屋を営業するスタイルを取っている。本屋の営業日は1階の事務所にいる必要があるので、事務作業や執筆業務を集中してでき、以前よりメリハリがついてはかどるのだとか。本屋営業日に編集の仕事が入ることもあるので、営業は不定期となるが、インスタグラムやツイッターで営業時間を告知している。

では、本屋の営業状況はどうだろう? 以前の賃貸住宅の家賃との差額分を稼げればいいという程度に考えていたが、それを十分に超える収入になっているという。よく売れるのは「料理本」と「絵本」だ。近くに小さな子どものいる家庭が多いからだが、子どもたちは本よりも猫のモリオやマニがお気に入りだ。閉店時でもガラス越しにモリオを呼ぶ子どもの声が聞こえることもあるという。

年配の方が多いのもこの地域の特徴だ。縄文文化の研究をしていたというように、得意分野をもつ高齢者がその分野の本についていろいろ教えてくれることもある。読んだ本の感想を教えてくれる人もいて、野口さんのほうでも、この作家が好きならこちらの作家も好きだと思うと、本を紹介することもある。知的な会話を楽しみたいために通ってくる常連さんもいるとか。

地元の街の小さな本屋さんは、単に本を買いに来る場所ではなく、本に関する会話を楽しんだり、店長猫たちと遊んだりできる、交流の場になっているようだ。

なりわいの入居者は商店街ではなく、地域の人とふれあえる場所での開店を選んだ

次に訪れたのが、「The Pie Hole LA 小金井公園」。2022年7月にオープンしたパイとコーヒーの店だ。この店のY・Hさんが入居を決めたのは、バスターミナルからOPENの看板がよく見える13S号室だ。

13S号室「The Pie Hole LA 小金井公園」(撮影/片山貴博)

13S号室「The Pie Hole LA 小金井公園」(撮影/片山貴博)

The Pie Hole LAは、ロサンゼルス発の焼き立てパイとオーガニックコーヒーを提供するブランドだ。西麻布、軽井沢に店舗があり、期間限定で百貨店などに出店することもある。

東京都武蔵野市にずっと住んでいるHさんは、開催されていたhoccoのイベントに訪れて、地域の人たちと交流できる場所であること、なりわいができることを知った。もともと地域の人たちとのコミュニティーを作ることに興味があったHさんはhoccoに魅力を感じた。

店内にはハンドメイドのパイが並べられたショーケースやエスプレッソマシンが並んでいる(撮影/片山貴博)

店内にはハンドメイドのパイが並べられたショーケースやエスプレッソマシンが並んでいる(撮影/片山貴博)

ハンドメイドのパイは、Hさん自身が工場で手づくりしたものを、店に運んで販売している。13S号室は角地なので軒下が広く、椅子とテーブルを置くことができるが、店舗兼用住宅の中では土間が狭いので、レイアウトに苦労したという。

中心に据えられたショーケースには、おいしそうな総菜パイとデザートパイが並ぶ。パイはグランドメニューに加えて季節ごとのパイの展開もしているので、常に新しいパイに出合える。

人気のパイは、奥の「シェパーズパイ」(挽き肉とポテトを使ったミートパイ)と手前の「マムズアップルクランブルパイ」(りんごとクランブルのデザートパイ)。筆者も買ってみた(撮影/片山貴博)

人気のパイは、奥の「シェパーズパイ」(挽き肉とポテトを使ったミートパイ)と手前の「マムズアップルクランブルパイ」(りんごとクランブルのデザートパイ)。筆者も買ってみた(撮影/片山貴博)

名物のアップルパイには、長野県産のりんごを使っている。東京では購入できない、その農家より仕入れる珍しい品種のりんごの販売や、近所の農家と共同して野菜の販売もはじめた。近所の農家の野菜を使ったおかずなどの商品を今後考えていきたいという。

地域の農家の野菜の販売も試している(撮影/片山貴博)

地域の農家の野菜の販売も試している(撮影/片山貴博)

パイやコーヒーは、hoccoの居住者はもちろん、地域に暮らす人や近くの小金井公園に訪れる人が買いにきてくれる。開店してからまだ5カ月なので、いまは店を知ってもらうために火曜の定休日以外は毎日オープンしているという。

地域の交流拠点を目指して、定期的にイベントも開催

「なりわい賃貸住宅」では、野口さんの本屋や「玉草屋」(03S号室:庭・外構・室内観葉のデザイン施工の店)のように、本業とは別に店舗を営業している入居者もいれば、Hさんのパイとコーヒーの店や「オーブン屋」(05S号室:オーブン料理のテイクアウト専門店)のように、本業として店舗を営業している人もいる。どちらも成り立つのがhoccoの魅力だろう。

03S号室:玉草屋(画像提供/玉草屋)

03S号室:玉草屋(画像提供/玉草屋)

建築設計・賃貸管理をするブルースタジオによると、店の業種が重ならないように配慮しているという。店舗だけでなく、キッチンカーなども呼び込むようにしているので、取材した日には移動販売の花屋「ena to nico(エナトニコ)」がクリスマス用の商品も並べて営業をしていた。

クリスマス向けの商品も数多く用意されていた(撮影/片山貴博)

クリスマス向けの商品も数多く用意されていた(撮影/片山貴博)

店主の林実和さんは、2022年2月からhoccoに毎週(現在は毎週金曜)出店している。毎週出店しているのは、hoccoの環境がとても気に入っているからだ。hoccoの住民で毎週花を買っていく人もいるし、周辺の住民がランチを買いにきたときや犬の散歩の途中で寄って花を買っていく。林さんは、常連さんがいるので市場で花を選ぶ際にとても悩むという。

「ena to nico」はフラワーカーによる移動販売専門の花屋だ(撮影/片山貴博)

「ena to nico」はフラワーカーによる移動販売専門の花屋だ(撮影/片山貴博)

ほかにも、年に1~2回は、地域に開かれたイベントを開催している。2022年は桜咲く4月と10月にイベントを開催した。最新の10月10日に開催した「hoccoの秋祭り」では、hoccoの住民が主体となり、入居者の知り合いやなりわい賃貸店舗が出店し、当日限定の商品などを販売したり、ワークショップを行ったりした。

入居者がハロウィーンのデコレーションを行い、「玉草屋」とその知り合いの「アトリエ自作自演」が、カボチャのペイントなどのワークショップを行い、ハロウィーンムードを盛り上げた。取材をした野口さんは知り合いの「大福書林」に、Hさんは知り合いの「cafe247」に出店を呼び掛けた。

2022年10月に「秋祭り」を開催。時期的にハロウィーンの飾りつけで盛り上げた(画像提供/ブルースタジオ)

2022年10月に「秋祭り」を開催。時期的にハロウィーンの飾りつけで盛り上げた(画像提供/ブルースタジオ)

手芸用品の販売を行った「アトリエ自作自演」。デコレーションパーツは玉草屋のワークショップにも使われた(画像提供/ブルースタジオ)

手芸用品の販売を行った「アトリエ自作自演」。デコレーションパーツは玉草屋のワークショップにも使われた(画像提供/ブルースタジオ)

05S号室「オーブン屋」は特別メニューを提供(画像提供/ブルースタジオ)

05S号室「オーブン屋」は特別メニューを提供(画像提供/ブルースタジオ)

この地域には、古い団地もあれば新しいマンション群もあり、年配の人や子育て家族が多く住んでいる。こうしたイベントは、hoccoの常連客だけでなく、地域の人たちに広くhoccoを知ってもらい、地域交流の場となるようにという狙いがある。イベントには小田急バスやブルースタジオもスタッフを派遣して、当日の設営・片付けや交通整理などを行ったが、いずれは入居者たちだけでイベントが開催できるようになるとよいと考えているという。

現在、hoccoに入居募集中の住戸はないが、店舗兼用住宅への関心は高く、入居待ちの人もいるという。暮らしの延長でなりわいができること、地域の人たちの顔が見えるコミュニケーションができることなど、ほかにはない魅力を感じてのことだろう。新時代を感じさせる拠点だと思う。

●関連サイト
hocco物件専用WEBサイト

JR中央線(東京都内)、家賃相場が安い駅ランキング 2022年版

JR山手線と並んで東京を代表する路線といえるJR中央線。そのうち東京都内に位置する駅は、東京駅から高尾駅まで全32駅ある。沿線には大学のキャンパスも多く、東京駅や新宿駅といった都心のビジネス街もあるため、学生やビジネスマンの一人暮らしにも人気の路線だ。そんなJR中央線のシングル向け物件(専有面積10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場を調査! 東京都内32駅の家賃相場が安い駅ランキングを見ていこう。

JR中央線(東京都内)の家賃相場が安い駅ランキング

順位/駅名/家賃相場(駅の所在地)
1位 高尾 4.60万円(東京都八王子市)
2位 西八王子 5.10万円(東京都八王子市)
3位 日野 5.30万円(東京都日野市)
4位 西国分寺 5.50万円(東京都国分寺市)
5位 国立 5.60万円(東京都国立市)
6位 東小金井 6.00万円(東京都小金井市)
6位 豊田 6.00万円(東京都日野市)
8位 国分寺 6.10万円(東京都国分寺市)
9位 八王子 6.30万円(東京都八王子市)
9位 武蔵小金井 6.30万円(東京都小金井市)
11位 武蔵境 6.70万円(東京都武蔵野市)
12位 三鷹 7.10万円(東京都三鷹市)
13位 阿佐ケ谷 7.15万円(東京都杉並区)
14位 吉祥寺 7.60万円(東京都武蔵野市)
14位 西荻窪 7.60万円(東京都杉並区)
16位 立川 7.70万円(東京都立川市)
16位 荻窪 7.70万円(東京都杉並区)
16位 高円寺 7.70万円(東京都杉並区)
19位 中野 8.20万円(東京都中野区)
19位 東中野 8.20万円(東京都中野区)
21位 大久保 9.40万円(東京都新宿区)
22位 御茶ノ水 11.00万円(東京都千代田区)
22位 東京 11.00万円(東京都千代田区)
24位 四ツ谷 11.30万円(東京都千代田区)
25位 代々木 11.49万円(東京都渋谷区)
26位 市ケ谷 11.70万円(東京都千代田区)
27位 水道橋 11.80万円(東京都千代田区)
28位 神田 11.90万円(東京都千代田区)
29位 信濃町 12.10万円(東京都新宿区)
30位 新宿 12.40万円(東京都新宿区)
31位 飯田橋 12.50万円(東京都千代田区)
32位 千駄ケ谷 13.25万円(東京都渋谷区)

ランキング上位は東京西部の駅がずらり。都内最西端の高尾駅が1位に

JR中央線は「中央本線」と呼称を変えながら東京都から神奈川県、山梨県、長野県……と続く長い路線。東京駅~高尾駅間の東京都内だけでも走行距離は53km以上におよび、沿線の家賃相場もさまざまだ。シングル向け物件(専有面積10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)の家賃相場が最も安かったのは、八王子市に位置する高尾駅で家賃相場は4万6000円だった。

高尾駅(写真/PIXTA)

高尾駅(写真/PIXTA)

1位・高尾駅はJR中央線のうち東京都内の最西端。しかし通勤特快に乗れば新宿駅まで4駅・約47分、東京駅まで8駅・約1時間1分と、思いのほか早くたどり着く。ほとんどの便が高尾駅始発なので、座りやすい点も魅力だ。高尾駅には京王高尾線も乗り入れており、駅にはスーパーや書店、飲食店などを抱えるショッピングモールが併設されている。駅南口を出て東に進むと、100円ショップやスーパー、ホームセンターがあり、さらにその先には多彩な店舗がそろうショッピングモール「イーアス高尾」も。ファストフード店やリーズナブルな食堂など、一人でふらりと入りやすい飲食店が駅周辺に点在している点もうれしいところ。駅の南口側と北口側を行き来するには大きく迂回する必要がある点がネックだが、南北を通り抜けできる自由通路の整備計画もあるそう。当初計画より進ちょくは後ろにずれ込んでいるようだが、完成すればより便利になるだろう。

2位は高尾駅の1駅隣にある西八王子駅で、家賃相場は5万1000円。駅には「セレオ西八王子」が併設され、食料品店やドラッグストア、飲食店が営業中。駅の北口側と南口側どちらにも複数のコンビニが点在し、南口から徒歩3分ほどの場所にはスーパーや100円ショップなどを備えた「コピオ西八王子駅前」がある。一人暮らしの日常の買い物には十分な環境と言えるだろう。また、駅周辺はファストフード店や居酒屋など気軽に行ける飲食店も充実しているうえ、「ラーメン激戦区」とも言われるラーメン店の密集地域でもある。刻み玉ねぎのトッピングが特徴的な「八王子ラーメン」の人気店をはじめ個性豊かなラーメン店が豊富なので、休日ごとに食べ歩いても楽しそうだ。

西八王子駅前の風景(写真/PIXTA)

西八王子駅前の風景(写真/PIXTA)

3位は家賃相場5万3000円の日野駅がランクイン。かつては甲州街道の宿場町として栄えた街で、現在は日野市を代表する駅の一つでもある。南北に走る線路の東側と西側に複数のスーパーやコンビニ、ドラッグストアがあり、日常使いできる飲食店も。バス乗り場やタクシープールがある駅前には交番もあり、安心感を高めてくれる。大型商業施設はないものの、ショッピングモールや家電量販店、映画館もある立川駅(16位・家賃相場7万7000円)まで1駅。平日は自然を感じられる多摩川の河川敷にも近くて落ち着いた街並みの日野で過ごし、休日はお隣の立川で遊ぶ……という暮らし方もいいだろう。JR中央線の快速と通勤特快を乗り継げば、日野駅から新宿駅まで約36分、東京駅までは約50分で行くことが可能だ。

日野駅前(写真/PIXTA)

日野駅前(写真/PIXTA)

都心に近いほど家賃は高め。安く住むには「人気駅の近隣駅」に注目!

JR中央線沿線には都内でも知名度の高い駅が数々あるが、なかでも住む街として人気なのは武蔵野市に位置する14位・吉祥寺駅だろう。リクルート住まいカンパニーが毎年調査する「SUUMO住みたい街ランキング(首都圏版)」では、2018年~2021年は3位、2022年は2位に輝いている。商業施設が充実し、少し歩けば緑豊かな井の頭恩賜公園もある吉祥寺は人気なのも納得だ。しかし家賃相場は7万6000円と、ランキングトップ3に比べるとやはり高め。そんなときは便利な街の恩恵にあずかりつつも家賃が抑えられる、吉祥寺にほど近い駅に住むのも一案だ。たとえば吉祥寺駅から高尾方面へ2駅目、武蔵境駅などいかがだろう。

武蔵境駅前(写真/PIXTA)

武蔵境駅前(写真/PIXTA)

武蔵野市にある武蔵境駅は、家賃相場が6万7000円で11位にランクイン。吉祥寺駅まではJR中央線快速で約5分、自転車でもほぼ平坦な道を走って15分ほど。さらに新宿駅まで約24分、東京駅までは約37分で行くことができる。そんなアクセスのよさだけではなく、武蔵境駅周辺の街並みも魅力的。駅にはスーパーやドラッグストア、飲食店が店を構える「nonowa 武蔵境」が併設され、駅西側高架下の「ののみちサカイ」にも店舗が軒を連ねている。また、武蔵境駅には西武多摩川線も乗り入れており、そちらの駅側には飲食店やスーパーを備えた「エミオ 武蔵境」がある。さらに南口にはショッピングモール「イトーヨーカドー武蔵境」、北口には武蔵野市役所の出張所や屋上にグランピングBBQ施設が入った官民連携の複合施設「QuOLa」も。個人商店が並ぶ商店街も広がる暮らしやすい環境でありながら、家賃相場は吉祥寺駅より9000円も低いのだ。

さて「人気の駅の近くに住み、家賃を抑えつつ便利に暮らす」方式を新宿駅にも応用してみよう。新宿駅は30位にランクインしており、家賃相場は12万4000円。ここからなるべく近くて家賃相場が低い駅としては、19位・東中野駅をピックアップしたい。家賃相場は8万2000円で、新宿駅よりも4万2000円も安いとの調査結果が出ている。新宿駅まではJR中央・総武線(各駅停車)で2駅・約4分、自転車なら12分ほどでたどり着く。この程度なら、ぶらりと出かけやすい距離感と言えるだろう。東中野駅には都営大江戸線も通っており、駅から北へ5分ほど歩くと東京メトロ東西線・落合駅を利用することも可能だ。

東中野駅周辺(写真/PIXTA)

東中野駅周辺(写真/PIXTA)

東中野駅にはスーパーやカフェ、書店などが入った駅ビル「アトレヴィ東中野」が併設されている。駅西口には再開発により2015年に誕生した駅前広場が広がり、27階建てのマンションがそびえ立つ。そして東口側に見えるのは、2005年に誕生した再開発エリア「ユニゾンスクエア」にある高層マンションだ。駅前には高層ビルばかり建ち並ぶかというとそんなことはなく、昔ながらの親しみやすい商店街もあるのが東中野の魅力。あれこれとまとめ買いできるスーパーも点在しているが、フランス料理の惣菜店など個性豊かな個人商店をめぐるのもおすすめだ。映画やテレビのロケ地にもなった昭和レトロな飲食店街「東中野ムーンロード」で、ちょっとディープな夜を過ごすのも楽しそう。そんな新旧の街が融合した東中野にはここ数年でも大型マンションが複数誕生しており、2024年にも25階建てマンションが竣工予定。今後も魅力ある街として、さらに発展していきそうだ。

●JR中央線(東京都内)の家賃相場が安い駅ランキング ※駅の並び順
JR中央線(東京都内)の家賃相場が安い駅ランキング

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている中央線沿線(東京都内)の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2022/8~2022/10
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

この青空を引き込んだかのような

所在地:世田谷区池尻
13万5,000円 / 42.31平米
東急田園都市線「池尻大橋」駅 徒歩8分

まるで、ここから見える青空と雲を引き込んだかのような、青のアクセントクロスと、まろやかな白でまとめられた室内。



9階からの眺めはどこまで見えているか分からないほどで、ゆったりとしたこの16畳の部屋に、日の光がたっぷりと差し込んできます。



ベランダも少しゆとりのあるサイズ感。イ ... 続き>>>.
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イチョウ並木とアパルトマン

所在地:港区白金台
26万円 / 53.46平米
南北線・三田線「白金台」駅 徒歩7分

統一感がある内装が美しい部屋からは、プラチナ通りのイチョウ並木がまるで森のように映える部屋。パリのアパルトマンのようなゆったりとした時間が過ごせそうです。



パリのアパルトマン風、とかいう物言いはかなり危険なことはわかっていますが、あえて申し上げましょう。このテイストがお好きな方 ... 続き>>>.
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雪見 障子(44歳)

所在地:板橋区大谷口
16万8,000円 / 89.16平米
有楽町線・副都心線「千川」駅 徒歩6分

千川の住宅街にある一見普通な築44年の木造戸建の2階部分をリノベーションし、外観からはまったく想像のつかないカッコいい内装に変貌した物件をご紹介します。



オーク材無垢フローリング床のLDが、toolboxのガラス建具で軽やかにつながり、ダイニングは既存を生かした天井の装飾により ... 続き>>>.
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眺めのよいバルコニーさえあれば

所在地:目黒区大橋
9万円 / 30.36平米
東急田園都市線「池尻大橋」駅 徒歩8分

最上階のペントハウスで街を一望できます。

家賃がお手頃な分、譲れないことと諦めることをハッキリさせて、潔く暮らしていただきたいお部屋です。



魅力のひとつはなんと言ってもルーフバルコニー。

眺めよし、広さありのバルコニーが渋谷徒歩圏内にあるとは、なかなか貴重な特徴だと思います。

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住み継ぐ、心地よい家

所在地:大田区西嶺町
2,380万円 / 42.1平米
東急多摩川線「鵜の木」駅 徒歩6分

夫婦ともに建築士のオーナーが、自ら基本計画を行いリノベーションした物件。家族の快適な暮らしを求めて設計された空間に、工夫とこだわりが垣間見える、居心地良い住宅です。



間取りは、ゆるくつながるLDKと寝室1部屋。



キッチンとダイニングには、作業台兼テーブルや、小上がりが造作され ... 続き>>>.
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奏でる暮らし -楽器演奏可-

所在地:文京区音羽
21万9,000円 / 65.95平米
有楽町線「護国寺」駅 徒歩3分

窓の外に広がる青空、そして陽当たりの良さが楽しめる上に、雰囲気良くリノベーションされたこの物件。



抜かれた天井や、色味の良いフローリング、光を取り込むための壁窓と、部屋の至るところに素敵なディティールが散りばめられています。



そしてよく目を凝らして図面を見てみると、はっきりと ... 続き>>>.
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紅葉坂を越えて【ワンルーム】

所在地:横浜市西区伊勢町
7万9,000円 / 23.2平米
京浜東北線・横浜市営地下鉄ブルーライン「桜木町」駅 徒歩10分

桜木町駅から向かうと、途中に「紅葉坂」という素敵な坂があって、それを過ぎて少し行くと、キリっとした顔立ちのマンションが姿を現します。



竣工して11年経ちますが、専有部も共用部もキレイに保たれています。



室内は無垢のフローリングが敷かれ、壁は白、天井はコンクリート打ち放しになっ ... 続き>>>.
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軽やかな部屋

所在地:横浜市栄区笠間
8万3,000円 / 33.12平米
東海道線「大船」駅 徒歩10分

駅から少し歩いた住宅街の一角に立つ、顔立ちのスッとした物件。



建物は4つの住戸の短辺を連続させた細長い形状になっていて、各住戸のアプローチは道路側から奥に向って延びています。



室内の構成は凄くシンプル。水回りが1カ所に配置されていて、それ以外の部分が広いワンルームになっていま ... 続き>>>.
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マンション住民の高齢化で防災どう変わる? 孤立を防ぐ「つつじが丘ハイム」の取り組みが話題 東京都調布市

全国で、マンションの築年数の経過とともに、居住者の高齢化が進んでいます。管理組合役員の担い手が不足し、運営がままならなかったり、管理が消極的になったりするほか、コミュニティの衰退による高齢者の孤立も問題になっています。東京都調布市のつつじが丘ハイムは、コミュニティの再構築と自主防災力の強化に取り組み、その活動が「マンション・バリューアップ・アワード2021」防災部門の部門賞に加えグランプリを受賞しました。管理組合に取り組みの経緯や成功のポイントを伺いました。

高齢化が進むマンションで、自主防災活動が機能する組織をつくる!敷地内の植栽スペースはきれいに掃き清められ、管理が行き届いていることがうかがえた。「ゴミひとつないきれいなマンション」と近隣で評判だという(写真撮影/田村写真店)

敷地内の植栽スペースはきれいに掃き清められ、管理が行き届いていることがうかがえた。「ゴミひとつないきれいなマンション」と近隣で評判だという(写真撮影/田村写真店)

高台に立つつつじが丘ハイムの屋上からの眺め。富士山をはじめ箱根や丹沢の山々が一望でき、晴れた日は、榛名山や赤城山、筑波山も見える(写真撮影/田村写真店)

高台に立つつつじが丘ハイムの屋上からの眺め。富士山をはじめ箱根や丹沢の山々が一望でき、晴れた日は、榛名山や赤城山、筑波山も見える(写真撮影/田村写真店)

調布市郊外にあるつつじが丘ハイムは、1972(昭和47)年に建設された、築50年の大規模分譲マンションです。

受賞理由となったコミュニティの再生と自主防災体制の構築に奮闘したのは、第49期の理事会メンバーです。自主防災会を組織し、活動内容をまとめた自主防災会組織活動マニュアルと、居住者用の防災マニュアルの作成に取り組みました。当時、理事長を務めた久保田潤一郎さんと現理事長の大谷浩彦さんに伺いました。

左は、マニュアルの原案を起草し、活動を率いた49期理事長の久保田さん。50期の理事長大谷さん(右)は、調布市の防災安全課と協力して自主防災会規約の制定に尽力した(写真撮影/田村写真店)

左は、マニュアルの原案を起草し、活動を率いた49期理事長の久保田さん。50期の理事長大谷さん(右)は、調布市の防災安全課と協力して自主防災会規約の制定に尽力した(写真撮影/田村写真店)

つつじヶ丘ハイムには4棟に443世帯が入居している。コミュニティの再生と自主防災体制の構築のための取り組みは、49期の22名の理事会メンバーを中心に行われた(写真撮影/田村写真店)

つつじヶ丘ハイムには4棟に443世帯が入居している。コミュニティの再生と自主防災体制の構築のための取り組みは、49期の22名の理事会メンバーを中心に行われた(写真撮影/田村写真店)

理事会が最初に取り掛かったのは、先代の理事長が発案した「安否確認マグネット」の配布です。「安否確認マグネット」は、大規模地震の発生時に、居住者の安否状況を把握するための表示板で、マグネットの表面には「無事です」、裏面には「救助求む」と書かれています。

「居住者がドアに貼ることで安否を知らせるものですが、配っただけでは機能しないのでは? と理事会で議論になったんです。安否確認マグネット以前にも防災の備えはしてきましたが、それらをつなぐ方針や活動マニュアルがありませんでした。自主防災組織と支援組織をつくり、安否確認マグネットと連動させようと取り組みがスタートしました」(久保田さん)

居住者は、家族全員の安全確認ができた段階で、玄関ドアの外側に「安否確認マグネット」を貼って状況を伝える(写真撮影/田村写真店)

居住者は、家族全員の安全確認ができた段階で、玄関ドアの外側に「安否確認マグネット」を貼って状況を伝える(写真撮影/田村写真店)

防災対策と同時に課題となっていたのは、つつじが丘ハイムのコミュニティの衰退です。1990年代までは、住民サークルや子ども会などのコミュニティ活動が盛んでしたが、2010年代から高齢化が進み、住民同士の交流が減少。久保田さんも、顔見知りが少なくなり、敷地内で挨拶しても名前がわからない人が増えたと感じていました。

「支援活動を継続させるには、居住者が共に支え合えるコミュニティの再構築が必要でした。お互いに困ったとき声をかけあうハイムに戻したいという思いでした」(久保田さん)

しかし、居住者名簿の情報は、ほとんどが入居時に提出されたまま。そこで、2020年9月に、安否確認マグネットの配布と共に、組合情報誌「ハイムエコー」で、居住者名簿を更新することを告知。10月に居住者名簿の整備を行いました。

「結果は、75歳以上の占める割合が18.4%と予想以上に高齢化が進んでいました。同時に、災害時に支援が必要か確認したところ、支援要望が115件あり、災害時の支援が重要課題になったんです。募集した災害支援ボランティアには、18名が登録してくれて、居住者が共に支え合うコミュニティづくりの第一歩となりましたが、登録してもらっただけでは機能しませんから、支援活動組織をつくり、マニュアルづくりを開始しました」(久保田さん)

自主防災会を設置し、支援活動マニュアルを作成

2021年4月から、久保田さんは、災害時の支援活動マニュアルと居住者用のマニュアルの原案を作成し、検討会のメンバーと議論を重ねました。

「毎月3回ほど、皆の知恵を集めて話し合いました。東京都や調布市の防災マニュアルを参考にしようとしましたが、当マンションは、支援を受ける方もする方も高齢者。対応が難しい人命救助活動や、細分化した班分けは、当マンションの実情に合わないので、そのままは使えません。支援活動に携わる人たちの安全を確保しながら居住者を1~2週間ケアできる体制づくりに努めました」

6月に理事会の合意を経て、自主防災会を設置。原案に理事会での意見を加えた自主防災会支援活動マニュアルが完成しました。組織は、自主防災会本部のほか安全確認グループ、物資グループ、情報グループの4班で構成されています。

「つつじが丘ハイム自主防災会組織活動マニュアル」。平常時の活動をはじめ、震災発生時から復旧時までの各グループの活動内容が書かれている(資料提供/つつじが丘ハイム管理組合)

「つつじが丘ハイム自主防災会組織活動マニュアル」。平常時の活動をはじめ、震災発生時から復旧時までの各グループの活動内容が書かれている(資料提供/つつじが丘ハイム管理組合)

居住者名簿をもとに、被災時に支援メンバーが各戸を見まわり、確認シートに安否を記入。緑色は、名簿更新時に支援を要望した住戸で、特に丁寧に確認することになっている(写真撮影/田村写真店)

居住者名簿をもとに、被災時に支援メンバーが各戸を見まわり、確認シートに安否を記入。緑色は、名簿更新時に支援を要望した住戸で、特に丁寧に確認することになっている(写真撮影/田村写真店)

苦労したのは、管理組合として前例のなかった災害ボランティア保険への加入です。

「マニュアルを作成する過程で、災害支援メンバーが安心して活動するためには、傷害保険は不可欠と判断して加入を検討しましたが、大変苦労しました。まず、東京都社会福祉協議会のボランティア保険に問い合わせましたが、マンションの管理組合は対象外。次に、複数の保険会社に該当する保険を調べてもらいましたが、天災時のボランティア保険はないという回答でした」(久保田さん)

それでも管理事務所を通じて粘り強く複数の損害保険会社と交渉を重ね、その中の1社と特約で「災害ボランティア保険」に一人当たり400円で加入することができました。この保険加入で、支援メンバーに安心して支援活動に参加してもらえるベースができました。

災害対応自動販売機の設置や防災用品、備蓄品の見直しを行う

自主防災会の設置や支援活動マニュアル完成後、理事会で進めたのは、災害対応自動販売機(※)の設置です。2020年度の理事会でも議題に上がっていましたが、「空き缶やペットボトルが散乱するのではないか」「居住者以外の利用者が敷地内に入るのは物騒では」と否定的な意見が多く、設置が見送られていました。

※別名「ライフライン自動販売機」ともいわれ、災害や緊急事態で停電になった場合でも、一定の操作により、被災者に飲料を無償提供することができる。

「2021年度は、とにかく居住者の声を聞いてみようと。お試し設置期間を設けて、居住者の意見を募ることにしました。期間中にアンケートを実施したところ、91名から回答があり、『設置してもよい』が87%で、理事会メンバーが想定していた否定的な意見はほとんどありませんでした。この結果をもとに総会に提案し、設置の承認を得ることができました。また、ハイムエコー(組合情報誌)には、賛成・反対両方の意見を掲載し、設置に至るまでの過程を知ってもらえるように工夫しました。普段は普通の自動販売機ですが、災害時には、管理事務所にある鍵で開けられるようになっており、内蔵している600本の飲料を居住者に無料で配布します」(久保田さん)

利用率は高く、電気代はまかなえている。「敷地内にあり便利」という声のほかに「夜間の灯りが防犯上いい」という予想外のメリットも(写真撮影/田村写真店)

利用率は高く、電気代はまかなえている。「敷地内にあり便利」という声のほかに「夜間の灯りが防犯上いい」という予想外のメリットも(写真撮影/田村写真店)

さらに、防災用品と防災備蓄品の見直しを行い、自主防災会組織用の防災用品と、全居住者用の防災備蓄品を購入し保管しました。

「防災用品には、被災時に携帯電話やメールが使用できない状況を想定して、800m先まで声が届くメガホンを加えました。『支援のボランティアができる人は、集まってください』、『飲料水と食料を配ります』とメガホンで知らせます。居住者用には、2Lの保存飲料水3本とアルファ米2食分、羊羹1箱を用意しました。買い替えは、賞味期限前に行い、古いものは、全戸に配布して災害時の支援活動内容をPRして理解を深めてもらう計画です」(久保田さん)

自主防災会組織用の防災用品20品目。ソーラ発電機・バッテリーのほか、800m通達できるメガホンや支援メンバーが見回りの際使用するハンディメガホンも用意(写真撮影/田村写真店)

自主防災会組織用の防災用品20品目。ソーラ発電機・バッテリーのほか、800m通達できるメガホンや支援メンバーが見回りの際使用するハンディメガホンも用意(写真撮影/田村写真店)

倉庫に保管されている飲料水と携帯トイレ。A棟B棟の倉庫で2Lのペットボトルをそれぞれ600本ずつ備蓄(写真撮影/田村写真店)

倉庫に保管されている飲料水と携帯トイレ。A棟B棟の倉庫で2Lのペットボトルをそれぞれ600本ずつ備蓄(写真撮影/田村写真店)

既存の防災用品を検討する中で、新たにわかったこともありました。つつじが丘ハイムには、敷地内の洗車場3カ所に井戸水が給水されていますが、井戸が掘られた理由は誰も知りませんでした。ところが調べてみると、「阪神・淡路大震災が起きた後、1996年に水道停止時の給水用として井戸が掘られた」という記録があったのです。その際購入された井戸水給水用の非常用発電機も見つかりました。

「20年以上も前に諸先輩が用意してくれた財産がすぐそばにあったんだと皆で感謝しました。非常用発電機を整備し、井戸水が水質検査に合格していることを確認して、被災時の生活水として利用することにしました」(久保田さん)

ポータブルの非常用発電機。停電時は、非常用発電機に切り替え、井戸から水をポンプアップする(写真撮影/田村写真店)

ポータブルの非常用発電機。停電時は、非常用発電機に切り替え、井戸から水をポンプアップする(写真撮影/田村写真店)

非常用発電機で送水した井戸水を非常用浄水器に通して浄化し、生活水として支給する(写真撮影/田村写真店)

非常用発電機で送水した井戸水を非常用浄水器に通して浄化し、生活水として支給する(写真撮影/田村写真店)

防災設備の見直しで新たにAEDを2カ所に設置した(写真撮影/田村写真店)

防災設備の見直しで新たにAEDを2カ所に設置した(写真撮影/田村写真店)

自助・共助の活動が見開きでわかる居住者向けの防災マニュアルが完成

その後、2021年6月から、「つつじが丘防災マニュアル」の作成に着手し、10月に居住者が自らの命を守る行動(自助)と自主防災組織の支援活動(共助)をまとめた冊子が完成。全戸に配布されました。

防災活動の要となる居住者用の「つつじが丘ハイム防災マニュアル」と支援者用の「自主防災会組織活動マニュアル」(写真撮影/田村写真店)

防災活動の要となる居住者用の「つつじが丘ハイム防災マニュアル」と支援者用の「自主防災会組織活動マニュアル」(写真撮影/田村写真店)

大規模地震発生時の初動活動は、次のように想定しています。

・自主防災会本部を立ち上げ、理事会メンバーと災害支援ボランティアメンバーを招集。
・安全グループの支援メンバーが、ドアに貼られた安否確認マグネットを確認し、被害状況や支援依頼内容を把握する。
・情報グループは、安全確認グループから受けた被害情報、支援内容などをまとめ、本部へ報告する。
・本部の指示の下に、要支援者に支援を行い、飲料水や非常食などの配分や配布を行う。

「つつじが丘ハイム防災マニュアルには、被災状況や支援依頼内容を把握するための『支援依頼シート』『お困りごとシート』『留守宅への連絡依頼シート』が切り離して使えるようになっています。マグネットに挟んでもらい、安否確認時に回収し、居住者全員の状況を把握します。また、危険な支援活動や二次災害を防ぐために、支援可能な活動と支援が難しい活動を明記しています。例えば、消火器で対応できない規模の消火活動や倒れた家具に挟まれた住民の救出活動は、支援が難しいと明記しています。居住者からは『どんな支援があるのかわかりやすい』、支援ボランティアからは『支援活動時にどう対応すればよいか理解できた』という声が寄せられました」(久保田さん)

時系列で、居住者が自らの命を守るための行動(自助)と自主防災組織の支援活動(共助)が見開きでわかりやすく書かれている(写真撮影/田村写真店)

時系列で、居住者が自らの命を守るための行動(自助)と自主防災組織の支援活動(共助)が見開きでわかりやすく書かれている(写真撮影/田村写真店)

災害支援ボランティアメンバーについては、防災マニュアル配布時に2回目の募集をして合計28名の方が登録されました。そして、登録者を対象とした説明会を開催した際の参加者の声が今後の支援メンバーを募るうえで発想の転換になりました。

「高校生の娘さんがいる50代の男性から、『娘は、ボランティア登録や説明会の参加は苦手だけど、災害時には手伝うよと言ってくれていますよ。そういう若い人はもっといるのでは』という意見をいただいて、なるほどと思いました。現在の登録メンバーに加えて、被災時には、広く支援活動に参加できる人を募るつもりです。実際、昨年雪が降った際、若い人たちがスコップを借りて自主的に除雪をしてくれたんです。つつじが丘ハイムのコミュニティも捨てたものではないなあと思いました。被災時にメガホンで『支援活動が可能な人は、ぜひ集会室に集まってください』と呼び掛けてみます」(久保田さん)

「マンション・バリューアップ・アワード」の受賞をきっかけに、ほかのマンションの管理組合から、これらの資料や取り組みノウハウを活用したいという問い合わせが多数寄せられています。メール以外にも、滋賀県から飛び込みで話を聞きにやってきた人もいたそうです。「防災組織やマニュアルが整備されていないマンションで、つつじが丘ハイムの防災マニュアルが、ひな形として役立ててもらえたら嬉しいですね」と久保田さん。大谷さんは、頷きながら、「今後は、マニュアルを検証していきたい」と続けます。

11月にはコロナ禍で中止していた防災訓練が再開され、46人の居住者が参加。いずれは、避難訓練を行い、被災時の動きをシミュレーションしたいと考えています。

自主防災力の強化を行い、組織づくりを通じて、コミュニティが再生しつつあるつつじが丘ハイム。はじまりは、「自分たちの住むマンションをより良くしたい」という思い。理事会からのトップダウンではなく、居住者のニーズに真摯に向き合うこと、活動を継続していくことが、コミュニティを育んでいくのだと痛感しました。

●取材協力
マンション・バリューアップ・アワード

トラッドな壁に恋して

所在地:文京区根津
16万2,000円 / 49.77平米
千代田線「根津」駅 徒歩2分

グループサイト、toolboxの商品をふんだんに使ってリノベーションしたこちらの部屋。淡い色味を基調とした空間を、ウッドパネルや無骨なモルタルの壁がキュッと引き締めてくれていて、とてもいい塩梅です。



まず最初に目線を集めるのは、どっしり存在感のある、リビングのクラシックリブパネ ... 続き>>>.
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コンクリート直線美

所在地:千葉県市川市八幡
11万5,000円 / 41.54平米
都営新宿線「本八幡」駅 徒歩8分

都営新宿線の始発駅のため、座って通勤できる可能性が高い「本八幡駅」にある、建築家により設計された、シュッとしたデザインが特徴的なこちらの物件。



まず本八幡駅についてご存知ない方のためにご説明しますと、総武線利用で錦糸町まで17分、秋葉原まで23分、新宿まで41分。都営新宿線利用 ... 続き>>>.
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ナチュラルな空気とワイドなリビング

所在地:千葉県松戸市常盤平
1,990万円(税込) / 63.33平米
新京成電鉄「常盤平」駅 徒歩5分

ワイドなリビングと抜けた眺望が自慢のレトロマンションの一室。



2022年12月にリノベーションされたばかりで、古い建物ながらも室内はピカピカ。気持ちよく過ごせる状態で次の住まい手が現れるのを待っています。



フローリングはカバザクラの無垢材。色味が良く、足触りも優しくて、はっき ... 続き>>>.
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家賃債務保証会社の強引な「明け渡し条項」に使用差し止め判決。裁判で争われたポイントは?

ニュースメディアで数多く報道された、家賃債務保証会社の強引な明け渡し条項の使用差し止めという、最高裁判所の判決。住宅業界に身を置くものとしては気になる判決だ。どういったことが争われ、どういった判決になったのだろう。筆者なりに分析してみたい。

【今週の住活トピック】
家賃債務保証会社の「追い出し条項」は無効の判決/最高裁判所

家賃債務保証会社とは?国の登録制度とは?

最高裁まで争われることになったこの訴訟で、訴えられたのは家賃債務保証会社だ。裁判の話の前に、まず「家賃債務保証会社」とは何かを説明しておきたい。

通常、賃貸住宅を借りるときには、借主が家賃を支払わなかったり、住宅の設備機器を壊したりした場合に、代わりに家賃や修理費を負担する「連帯保証人」が求められる。多くは親などの家族が連帯保証人になるが、何らかの事情で連帯保証人を立てられない借主もいる。家賃債務保証会社(以降、保証会社)は、借主の家賃を貸主に保証する会社で、保証会社に保証を依頼することで、連帯保証人を立てなくても賃貸住宅を借りることができるようになる。

借主が保証会社を利用するには、家賃の0.5カ月~1カ月程度の保証料を払い、入居後も定期的に「更新保証料」を払うことになる。保証料を払っているからといって、滞納した家賃を払わずに済むわけではない。保証会社は貸主に対して家賃を肩代わりするが、滞納した家賃は保証会社が借主に請求することになる。

保証会社は肩代わりした家賃を回収する必要があるので、保証会社によっては、強引な取り立てをするといったトラブルが発生することもあった。そこで2017年10月に、国土交通省は保証会社の登録制度を設けた。一定の基準を設け、その基準を満たす保証会社が登録することで、適正な家賃債務保証の業務を行う事業者として情報を公開するものだ。ただし、任意の登録制度なので、登録しなくても保証会社として業務を行うことはできる。

「家賃債務保証業者登録制度」の登録業者であることを示す「登録家賃債務保証業者シンボルマーク」(出典:国土交通省のサイトより転載)

「家賃債務保証業者登録制度」の登録業者であることを示す「登録家賃債務保証業者シンボルマーク」(出典:国土交通省のサイトより転載)

また、2020年4月の民法改正では、連帯保証人が保護される改正が行われた。連帯保証の契約で連帯保証人が個人の場合は、極度額(保証する金額の上限額)を書面で合意することが求められるようになった。この改正により、貸主側が借主に、連帯保証人ではなく保証会社の利用を求めるケースが増えている。

保証会社が消費者に不利益のある契約をするのは×

では、判決の内容を見ていこう。といっても、筆者は法律の専門家ではないので、その点はご容赦いただきたい。筆者が理解したのは次のようなことだ。

まず、ポイントとなるのは、家賃債務保証会社が賃借人(借主)と交わす保証に関する契約書の中の特定の条項の使用を差し止めることを求めたもの。定型の契約書に、こうした条項があるのは消費者が不利益になるので、使ってはいけないのではないか?ということが争われたわけだ。

次に、どういった条項かというと、2つある。
ア)借主が家賃などの支払いを怠り、その額が家賃の3カ月分以上に達したときは、借主に催促することなく賃貸借契約を解除できる
イ)借主が家賃などの支払いを2カ月以上怠り、保証会社が合理的な手段を尽くしても借主と連絡が取れず、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況などから相当期間住んでいないと認められ、かつ、もうこの部屋を使う意思がないと客観的に見て取れる場合、借主が異議を述べないなら、賃貸住宅を明け渡したとみなす

最高裁はア)について、家賃滞納を理由に催促なく賃貸借契約を解除することは、あながち違法とはいえないが、貸主ではなく保証会社が、合理的な事情がある場合などの限定もなく、催告なしに解除できるのは、消費者に不利益を与えかねない。

イ)については、家賃滞納、連絡不能、利用実態なし、利用する意思が認められないといった条件で明け渡したとすることは、あながち違法とは言えないが、賃貸借契約が終了してない場合に保証会社の一存で明け渡したとみなすのは不当だし、利用の意思がないと客観的に見て取れるという要件は明確ではなく、意義を述べる機会が確保されているわけでもないので、消費者に不利益を与えかねない。

よって、消費者契約法に基づき「ア)イ)の条項がある契約書を使ってはいけない」と判断した、という判決だと筆者は理解した。

最高裁は、地裁、高裁とは異なる判断をした。いわゆる保証会社の「強引な明け渡し条項」に対して、適正な法的手続きを踏まない条項に歯止めをかける形となった。

強引な明け渡し条項は不当とされたが、家賃を滞納すると、賃貸借契約が解除されたり保証会社から家賃に遅延損害金などが加算された額を請求されたりといったことも起こりうる。家賃が払い続けられる額かどうか、しっかり見極める必要がある。

賃貸借契約時の保証会社を選ぶのは、貸主や仲介会社、賃貸管理会社などの貸主側だ。そうはいっても、保証契約は借主自身が保証会社と結ぶもの。契約解除や明け渡しに関する契約内容については、事前に確認しておくべきだ。トラブルは事前に回避したいものだ。

●関連サイト
裁判所の最高裁判所判例集

主役級のオマケつき

所在地:目黒区大橋
12万円 / 34平米
東急田園都市線「池尻大橋」駅 徒歩7分

兎にも角にもこの物件の主役は庭。バルコニーから続く階段を下った先に、パラダイスが待っています。



今は植栽のツツジが植えてあるだけの素朴な庭なので、お気に入りの鉢をたくさん並べて緑あふれる場所にしたり、机や椅子を出してくつろげる場所にしたりと、工夫しながら快適にお使いいただけたら ... 続き>>>.
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求む!看板テナント@虎ノ門

所在地:港区虎ノ門
65万1,662円(税込) / 103.08平米
銀座線「虎ノ門」駅 徒歩2分

虎ノ門のメインストリートともいえる桜田通りに面した路面区画。2021年に一棟まるごとリノベーションしたビルの顔となる部分です。



設計はOpenA/東京R不動産チーム+山野井靖建築事務所/KIRI ARCHITECTSで担当しました。



エントランスは大きなガラスとスチールの戸。 ... 続き>>>.
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JR中央線(東京都内)、中古マンション価格相場が安い駅ランキング 2022年版

JR山手線と並んで東京を代表する路線といえるJR中央線。中央線自体は「中央本線」と呼称を変えながら東京駅を出てから神奈川県、山梨県、さらに長野県へとつながる長い路線だ。そのうち東京都内に位置する駅は、東京駅から高尾駅の全32駅。そんなJR中央線・東京都内32駅の中古マンションの価格相場はどんなものか? 専有面積50平米以上~80平米未満の中古マンションの価格相場ランキングをご紹介しよう。

中央線(東京都内)沿線の中古マンション価格相場が安い駅ランキング

順位/駅名/価格(駅所在地)
1位 西八王子 2730万円(東京都八王子市)
2位 日野 3930万円(東京都日野市)
3位 八王子 3939万円(東京都八王子市)
4位 豊田 3998万円(東京都日野市)
5位 国立 4725万円(東京都国立市)
6位 立川 4880万円(東京都立川市)
7位 東小金井 4980万円(東京都小金井市)
8位 武蔵小金井 5390万円(東京都小金井市)
9位 西国分寺 5580万円(東京都国分寺市)
10位 国分寺 5680万円(東京都国分寺市)
11位 武蔵境 5980万円(東京都武蔵野市)
12位 三鷹 5990万円(東京都三鷹市)
13位 阿佐ケ谷 6698万円(東京都杉並区)
14位 高円寺 6880万円(東京都杉並区)
15位 西荻窪 6980万円(東京都杉並区)
16位 荻窪 7130万円(東京都杉並区)
17位 大久保 7190万円(東京都新宿区)
18位 中野 7380万円(東京都中野区)
19位 東中野 7494.5万円(東京都中野区)
20位 新宿 8080万円(東京都新宿区)
21位 御茶ノ水 8199万円(東京都千代田区)
22位 神田 9140万円(東京都千代田区)
23位 代々木 9180万円(東京都渋谷区)
24位 信濃町 9480万円(東京都新宿区)
25位 水道橋 9830万円(東京都千代田区)
26位 四ツ谷 1億480万円(東京都千代田区)
27位 千駄ケ谷 1億500万円(東京都渋谷区)
28位 市ケ谷 1億980万円(東京都千代田区)
29位 飯田橋 1億1000万円(東京都千代田区)
※東京、吉祥寺、高尾の各駅は調査対象物件数が10件以下のためランク外

TOP3には自然も感じられる多摩地域の3駅がランクイン

リクルート住まいカンパニーが毎年調査する「SUUMO住みたい街ランキング(首都圏版)」では、JR中央線は2018年から5年連続で「住みたい沿線ランキング」の4位に輝く人気の路線。人気が高いと沿線にある物件の価格もアップしがちだが、広範囲にわたる路線だけあって駅ごとの価格相場の開きが大きいことが調査により判明した。

最も安かったのは八王子市にある西八王子駅で、価格相場は2位より1200万円も安い2730万円だった。中央線の都内最西端の駅である高尾駅の一つ手前に位置し、JR中央線の快速と通勤特快を乗り継ぐと新宿駅まで約48分、東京駅までは約1時間2分で到着する。

西八王子駅(写真/PIXTA)

西八王子駅(写真/PIXTA)

1位・西八王子駅には生鮮食料品を扱う「市場館」と飲食店やドラッグストアなどが並ぶ「生活館」からなる「セレオ西八王子」が併設されている。駅周辺には多彩な飲食店が点在し、深夜1時まで営業するスーパーがあるのも便利なところ。また、駅南口から徒歩3分ほどの場所には、スーパーをはじめ100円ショップやドラッグストア、ベーカリーやクリニックなどを備えた「コピオ西八王子駅前」が2021年10月にオープンした。駅北口から7~8分も歩けば、南浅川の河川敷へ。川沿いには散策やサイクリングにぴったりな「浅川ゆったりロード」が整備され、春は桜並木が沿道を美しく彩ってくれる。日常の買い物に便利な施設がそろい、自然も身近に感じて暮らせるうえに価格相場も安い西八王子は、穴場の駅と言えそうだ。

2位は日野駅で、価格相場は3930万円。日野市を代表する駅の一つであり、駅の約15分圏内には市役所や市立図書館、広々とした「市民の森スポーツ公園」、トレーニングジムを備えた「市民の森ふれあいスポーツホール」といった市の施設が点在している。かつては甲州街道の宿場町として栄え、駅から10分ほど歩くと都内に現存する唯一の本陣である「日野宿本陣」の見学も可能だ。また、新選組の副長・土方歳三の出身地としても知られ、「新選組のふるさと歴史館」もあるなど歴史好きにはそそられる街だろう。

日野宿本陣(写真/PIXTA)

日野宿本陣(写真/PIXTA)

日野駅前に目を向けると飲食店が並んでいるほかスーパーやドラッグストアも複数あり、日常の買い物にも困らない。駅から北へ10分ほど歩くと、のどかに流れる多摩川が見えてくる。土手には緑が茂り、西方を見ると遠くに奥多摩の山影も見える。休日にぶらりと散歩をして、自然あふれる風景を眺めつつ気分転換するのもいいだろう。

3位には、1位・西八王子駅よりも1駅東京方面にある八王子駅がランクイン。価格相場は3939万円だった。八王子市はもちろん東京多摩地域を代表する駅であり、町田・横浜方面と結ばれたJR横浜線も乗り入れている。八王子駅から徒歩5分ほどの場所には京王線・京王八王子駅もあり、駅周辺は大にぎわい。JRと京王線の駅舎ともに商業施設が入った駅ビルがあるほか、ショッピングモールをはじめとした大型商業ビルが駅前に建ち並んでいる。一方で駅前の喧騒を離れると、西八王子駅周辺から「浅川ゆったりロード」が延びる浅川や、湧水が流れる谷や森と遊具広場を備えた「小宮公園」も。都市部の便利さと多摩地域らしい自然が共存する街並みと言える。JR中央線の通勤特快の停車駅なので、新宿駅まで約40分、東京駅まで約54分で行ける点も魅力だ。

八王子駅北口(写真/PIXTA)

八王子駅北口(写真/PIXTA)

浅川ゆったりロード(写真/PIXTA)

浅川ゆったりロード(写真/PIXTA)

再開発で街が様変わりしつつある、あの駅は何位?

続いて4位以下の注目の駅も見ていこう。まずは3998万円で4位にランクインした、日野市に位置する豊田(とよだ)駅。先行して再整備された駅北側に続き、現在は駅南側で街の再整備が進行している。駅の南側を流れる浅川手前までの約87haにわたる土地の区画整理を行い、歩道の幅を広げるなどの生活主要道路の整備や、公園の整備などが行われている状況だ。

豊田駅周辺(写真/PIXTA)

豊田駅周辺(写真/PIXTA)

豊田駅南の土地区画整理事業の完了は2028年度の予定だが、すでに整然とした街並みへと変化がみられ、2023年度には南口駅前広場の本整備も予定されるなど着々と生まれ変わりつつある。現状でも駅北側に「イオンモール多摩平の森」や市立の総合病院があって暮らしやすいが、今後はより魅力的な街になると期待できそう。

もう1駅、18位にランクインした中野区の中野駅をピックアップ。中野駅は「SUUMO住みたい街ランキング2022(首都圏版)」で「住みたい街」19位、「穴場だと思う街」22位に選ばれている。価格相場は7380万円とトップ3に比べるとグッとアップ。しかし「穴場=街の利便性のよさを考えると物件価格が割安に思える」として名前が挙がるだけに、住みやすい様子。どんな街か見てみよう。

18位・中野駅はJR中央線快速の停車駅で、朝8時台はほぼ2~3分間隔で東京方面行きの快速が発車。新宿駅まで約5分、東京駅までは約19分で行くことができる。また、東京メトロ東西線の始発駅でもあり、飯田橋駅や大手町駅、葛西駅へもアクセスしやすい。駅周辺には個性的なテナントが軒を連ねる「サブカルの聖地」として知られる商業施設「中野ブロードウェイ」や、220m以上続くアーケード商店街「中野サンモール」などの商業施設が豊富で、生活する街・遊ぶ街として愛されてきた。

中野ブロードウェイ(写真/PIXTA)

中野ブロードウェイ(写真/PIXTA)

また、ここ10年ほどは働く街としての注目度も上昇。2012年に駅北西側に再開発エリア「中野四季の都市(なかのしきのまち)」が街びらきを迎え、オフィスビルの中野セントラルパークや大型公園、大学のキャンパスなどが誕生した。そして駅周辺の再開発はまだまだ進行中だ。中野四季の都市の一角では区の新庁舎が建設中で、2023年度内に完成予定。駅北側に建つ街のランドマーク「中野サンプラザ」は2023年7月に閉館の後、オフィスやホテルなどの複合施設に建て替えが予定されている。さらに駅南側でも駅前広場の整備、業務・商業・住宅の複合ビルの建設などを計画。2029年度の完了を目指す街づくり事業により、中野駅周辺は一大転換期を迎えているのだ。

中野サンプラザ周辺(写真/PIXTA)

中野サンプラザ周辺(写真/PIXTA)

さて、今回のランキングを振り返ってみると、東京駅から近い順に神田駅~代々木駅の9駅が21位~29位、新宿駅~武蔵境駅の10駅が11位~20位、東小金井駅~西八王子駅の10駅が1位~10位にランクインしている(※調査条件を満たさない東京、吉祥寺、高尾の各駅を除外)。「東京駅から遠いほど価格相場が安い」という、大方の予想を裏切らない結果と言えるだろう。

ちなみに東京駅に最も近い22位・神田駅は価格相場9140万円で、ランキング中で最も遠い1位・西八王子駅は2730万円と、その差は6410万円。しかし遠いと言っても西八王子駅~東京駅は1時間少々で、前述の通り西八王子駅周辺の生活環境も整っている。都心部への近さばかりにとらわれないほうが、自分の暮らしにあった住まいが見つかるかもしれない。

●駅順の価格一覧
※東京、吉祥寺、高尾の各駅は調査対象物件数が10件以下のためランク外

※東京、吉祥寺、高尾の各駅は調査対象物件数が10件以下のためランク外

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている中央線(東京都内)沿線の駅掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ、専有面積50平米以上80平米未満
【データ抽出期間】2022/8~2022/10
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している

葉山の築90年の洋館「旧足立邸」を子育て一家が住み継ぎ。大隈講堂を手がけた建築家の優雅な世界に、子ども達が駆け回るぜいたくな日常

「近所に素敵なお屋敷があったのに取り壊されてしまった……」。そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。現代日本では建物に歴史的、建築的価値があっても、継承していくことが難しいものです。では、どうすれば歴史ある建物を継承し、住み継いでいくことができるのでしょうか。神奈川県葉山町の旧足立邸を購入し、子育てをしているご夫妻に話を聞きました。

1933年築の旧足立邸。2022年夏には国登録有形文化財に旧足立邸の外観。見た人の心をわしづかみにする美しさ(写真提供/旧足立邸)

旧足立邸の外観。見た人の心をわしづかみにする美しさ(写真提供/旧足立邸)

旧足立邸は神奈川県葉山町にある1933年に建てられた西洋式別荘、いわゆる洋館です。王子製紙取締役だった実業家・足立正氏が、自身の家族と夏を過ごすための別荘として建て、今も「旧足立邸」と呼ばれています。この旧足立邸の設計を手掛けたのは、早稲田大学の大隈講堂、日比谷公会堂の設計などを手掛けた佐藤功一氏。ハーフティンバー様式による美しい外観の佇まいはまさに圧巻のひとことで、2022年夏には、その歴史的価値が認められ、国登録有形文化財(建造物)として登録されました。

旧足立邸の内観。ご家族が暮らしているとは思えないのですが、4人家族のお住まいです(写真撮影/桑田瑞穂)

旧足立邸の内観。ご家族が暮らしているとは思えないのですが、4人家族のお住まいです(写真撮影/桑田瑞穂)

ここで暮らしていらっしゃるのが、柴田夫妻とそのお子さんたちです。「よく、本当に住んでいるの?と聞かれるんです」と妻の結さんは微笑みます。確かに、クラシカルかつ優美な世界観で統一された室内は、生活感が溢れ出てしまう暮らしとはほど遠く、にわかには信じ難いもの。ですがご家族は、確かにこの住まいで暮らし、日々を過ごしていらっしゃいます。

POLYPHON社のオルゴール。アンティークの品々と洋館の組み合わせで、まるで別の世界にいるようです(写真撮影/桑田瑞穂)

POLYPHON社のオルゴール。アンティークの品々と洋館の組み合わせで、まるで別の世界にいるようです(写真撮影/桑田瑞穂)

何気ないインテリアが美しく、ため息がでます(写真撮影/桑田瑞穂)

何気ないインテリアが美しく、ため息がでます(写真撮影/桑田瑞穂)

資金面に建築法規。住宅の継承を阻む難題は山積み!

ただ、歴史的にも建築的にも価値のあるこの建物も、継承者がなかなか見つからず、一時期は取り壊しの危機にありました。歴史的な建物の継承が困難なのにはいくつか理由がありますが、主なものとして
(1)相続などにより売却、現金化の必要がある
(2)継承者そのものを見つけるのが難しい
(3)建物が現在の建築基準を満たさない
(4)購入するにしても住宅ローンが利用しにくい
(5)現在のライフスタイルにあわず、建て替えたほうが使い勝手がよい
(6)保守・維持にも人手、金銭面での負担が大きい
といった点が挙げられます。そのため、第三者が思っている以上に継承は容易ではなく、やむを得ず取り壊されてしまうのが実情のようです。

では、この旧足立邸は、どのようにして継承されたのでしょうか。ご夫妻に住まい探しについて伺ってみました。

応接室。現在、アンティークギャラリーになっています※住まいのため非公開(写真撮影/桑田瑞穂)

応接室。現在、アンティークギャラリーになっています※住まいのため非公開(写真撮影/桑田瑞穂)

「そもそも住まい探しの思い立ちは、よくある話です。結婚して、夫婦で都内の賃貸住宅に暮らしていましたが、妻が妊娠したので住まいを買おうか、というもの。ただ、東京都内のマンション、一戸建てを見学していたものの、なかなかよいものがなくて」と夫が振り返ります。販売されている住まいを見学すればするほど、2人の「なにか違う」という違和感が大きくなっていったのだといいます。

玄関入ってすぐの吹抜け。ドール用の椅子がお出迎えしてくれます(写真撮影/桑田瑞穂)

玄関入ってすぐの吹抜け。ドール用の椅子がお出迎えしてくれます(写真撮影/桑田瑞穂)

「もともと私がアンティークショップに勤務していて、味わいのある古いもの、本物を大切にしたいという価値観だったんです。学校も横浜の山手に通っていたので、本物の洋館を目の当たりにしてきましたし、できるならお城か教会に住みたいと思っていたほど(笑)。だから日本の住まいを見ても、『○○風』だと物足りなくて……、もちろん輸入住宅も見学しましたが、どうも違う。海外の建物を移築してこようかと一時は本気で考えました」(結さん)

夫も「私自身も学生時代から古い建物が好きで、年月とともに味わいを増す、本物の建物で暮らしてみたいという思いがありました」といいます。そんなときにたまたま見つけたのが、売りに出されていた旧足立邸でした。2018年夏のことです。

「すぐに見学して申し込みをしたものの、金額面で折り合わなかったんですね。ただ、前の所有者さんとしては建物を壊さずにここで暮らしてほしいという意向を強くお持ちでした。他の購入希望者は法人が多く、建物を取り壊して開発する話もあったそうです」(夫)

玄関ホール。タイル張りはモダンであり、クラシカルであり。室内の壁材は調湿作用のある繊維板「トマテックス」が使われています(写真撮影/桑田瑞穂)

玄関ホール。タイル貼りはモダンであり、クラシカルであり。室内の壁材は調湿作用のある繊維板「トマテックス」が使われています(写真撮影/桑田瑞穂)

旧足立邸だけではありませんが、古い建物は敷地にゆとりがあることが多いもの。経済合理性を考えれば、取り壊して土地活用を考えるのがもっとも王道といえるでしょう。それでも、建物を残したいという前所有者の意向もあり、他の購入希望者へすぐに売却という運びにはなりませんでした。

階段をあがった2階。吹抜けに重厚な手すり。フォルムも完璧(写真撮影/桑田瑞穂)

階段をあがった2階。吹抜けに重厚な手すり。フォルムも完璧(写真撮影/桑田瑞穂)

一方、ご夫妻も旧足立邸の購入はいったん保留とし、その後約1年半、住まい探しを続けていましたが、2019年が終わろうとするころ、ついに敷地の開発を計画する法人相手に売却が決定したという話を聞いた不動産会社が「旧足立邸の購入は諦めますか?」と夫妻に声をかけたのだといいます。

「他にもたくさん見学しましたが、洋館ってないんですよね。あったとしても、古いだけでボロボロだったり、場所が神戸などの首都圏外だったり。海外からの移築となれば予算も時間も想像以上にかかる。今後、子どもが大きくなれば、どんどん制限も出てきて、理想の住まいと出合えそうにない。だとしたら、ここで腹をくくろうと判断したんです」。予算を超えて高額とはなりましたが、ついに夫妻は購入を決断しました。

のちに聞いたところ、法人との契約はほぼ最終段階で、あとは判子を押すだけ、というところまできていたそう。「建物を残したい」という夫妻と不動産会社の思いがギリギリの展開を引き起こしたのです。

2階の児女室。今でいう子ども部屋でしょうか。ここは洋室&ベッドのスタイルです(写真撮影/桑田瑞穂)

2階の児女室。今でいう子ども部屋でしょうか。ここは洋室&ベッドのスタイルです(写真撮影/桑田瑞穂)

ゼネコンや建築関係者、金融機関の熱意で難題を乗り越える

そうして購入を決断したものの、今度は建物の復元と暮らしにあわせたリノベ、さらに住宅ローンの問題が立ちはだかります。

「まず、洋館を買ったといっても、周囲に経験のある人がいない(笑)。完成当時の姿に復元すべきなのか、何からどう手をつけたらいいのか。困って会社の先輩に相談したところ、いい人を紹介してあげる、といわれて、大手ゼネコンで歴史的建造物の改修と活用を手掛ける専門家と出会うことができました。そこから住宅継承を手掛けている『住宅遺産トラスト』につないでもらい、古い建物の修繕やリノベについて情報をもらいました」

詳細を専門家に調査してもらったところ、建物の主要構造部に腐食や劣化はなく、耐震性や断熱性などは厳密には解体しないと詳細はわからないものの、まずは問題ないだろうという結論に至ったといいます。

また、歴史ある旧足立邸は戦後の一時期、GHQに接収され、その後も複数の所有者の手に渡っていました。そのため、キッチンやお風呂などは都度、リフォームされていたといいます。ただ、設計当時の建築図面が散逸していることもあり、完成当時の姿に復元することはあきらめ、お風呂は現在の家族が暮らしやすいデザインへと変更。さらに下水がきていなかったため敷地内に下水道を引き込む工事、食堂の壁紙と建具の修繕などのリノベーションを実施し、当面の家族の暮らしやすさを実現しました。

暮らしやすさを考慮しリノベーションした浴室(写真撮影/桑田瑞穂)

暮らしやすさを考慮しリノベーションした浴室(写真撮影/桑田瑞穂)

脱衣所からみたところ。どこを撮っても美しい(写真撮影/桑田瑞穂)

脱衣所からみたところ。どこを撮っても美しい(写真撮影/桑田瑞穂)

洗面はツインボウルを採用。家族が多く、忙しい朝でも便利ですね(写真撮影/桑田瑞穂)

洗面はツインボウルを採用。家族が多く、忙しい朝でも便利ですね(写真撮影/桑田瑞穂)

こうしたリノベーション費用は夫妻の貯蓄から捻出したものの、想像以上に費用はかかったといいます。
「本当ならキッチンや和室も手を入れたかったのですが、まずはすぐに暮らせることを優先しました。ただ、暮らしてみると思ったより和室はしっくりきてなじみますし、子育てもしやすいですね」と結さん。

2階の和室はお部屋からの眺めも良好。和と洋の塩梅が絶妙です。昭和を舞台にした小説などの舞台にもなりそう。ふらっと探偵さんが出てきそう(写真撮影/桑田瑞穂)

2階の和室はお部屋からの眺めも良好。和と洋の塩梅が絶妙です。昭和を舞台にした小説などの舞台にもなりそう。ふらっと探偵さんが出てきそう(写真撮影/桑田瑞穂)

窓側から室内をみると完全に和室。視線の切り替えによってまったく異なる世界になる設計の妙(写真撮影/桑田瑞穂)

窓側から室内をみると完全に和室。視線の切り替えによってまったく異なる世界になる設計の妙(写真撮影/桑田瑞穂)

住宅購入費用は住宅ローンを利用し、現在、返済しているといいます。
「ただ、大半の金融機関には断られました。まず、住宅ローンの融資条件が上限1億円という金融機関が多く、そこで半分くらいお断り。次に建物ですね。当然ですが(住宅ローン審査に必要な)検査済証などもないので、そこでさらに金融機関に断られるんです。また、『ほんとに住むんですか?』とも聞かれました。この建物は女中部屋も含めると、なにしろ11部屋もあるので(笑)」(夫)

ただ、金融機関のなかでも、古い建築物を残していくことに理解のある大手金融機関の担当者と出会えたことで事態は好転。「ここで夫妻が住宅ローンを組めなければ、旧足立邸が解体されてしまう」と熱意をもって上長に掛け合ってくれたことで、なんとか融資を受けることができたそう。
「ドラマさながらの、熱い金融マンの世界ですよね。いい人に巡り会えました」といい、建築関係者と金融の担当者、それぞれの力と熱意があり、無事、「継承」が行われたようです。

照明などでも残されたものはできるだけ使う一方、絵画などは夫妻の好みでセレクト。世界観に合い過ぎる(写真撮影/桑田瑞穂)

照明などでも残されたものはできるだけ使う一方、絵画などは夫妻の好みでセレクト。世界観に合い過ぎる(写真撮影/桑田瑞穂)

良い建物は人を集め、暮らしを豊かにする

現在、家族が暮らしはじめて2年と少しの月日が経過。建物の一部を撮影場所として貸し出していることもあり、ロケハン(下見)や撮影スタッフ、建物の調査研究者、文化財登録のための行政担当者など、日々、多くの人が住まいと関わり、つながりをもたらしてくれるといいます。

「とにかく庭が広いので、子どもたちは庭でよく遊んでいます。私のきょうだいの子どもたち、つまりいとこたちですが、この建物が大好きでよく遊びにきています。コロナ禍で思うように外出できなかったときも、庭があるので、息が詰まるようなこともありませんでした。日に日に移りゆく、草木の変化も本当に愛おしくて。ただ、庭も理想の姿とは遠いので、もう少し手入れをしたいのですが」と結さん。

夫は現在もテレワークのため、週2日ほど自宅で仕事をしていますが、サンルームに書斎、庭など、仕事をする場所に困ることはありません。
「修繕にかかわった大手ゼネコンの人に言われたのが、『この家は力があるから、何もしなくても人が集まるよ』と。確かに毎週末、誰かが来ていて、話がつきることもないし、子どもたちは常に遊んでもらっています。リノベーションを担当してくれた人も含めて、多くの人が同年代で、価値観も似ている。この住まいに携わらせてほしい、という人もいるほど。東京で、単に不動産を買うだけだったら、こうはならなかったでしょうね」といいます。

経年の味わいを感じられる廊下。傷も唯一無二だと思うと愛着すら感じます(写真撮影/桑田瑞穂)

経年の味わいを感じられる廊下。傷も唯一無二だと思うと愛着すら感じます(写真撮影/桑田瑞穂)

建物の維持・管理を、お金と時間がかかる「義務」ではなく「趣味」として捉えると、こんなにも豊かな考え方ができるのだ、と気付かされます。また、結さんは洋館での暮らしを、「心の支えでもある」と話します。ともすれば子育てや現実に追われがちな日々だからこそ、大切なもの、美しいものが心の支えになるというのです。多くの人の願いと思いによって無事、継承されたこの建物、さらに50年、60年と豊かな時を紡いでいってほしい、そして願わくば次の世代へ……。洋館や古い建物が好きな一人として、そう願ってやみません。

●取材協力
旧足立邸
Velvet Knot /Antiques・洋館暮らし

陽だまりのアトリエ戸建

所在地:立川市若葉町
4,350万円 / 96.04平米(建物) 121平米(敷地)
中央線「国立」駅 バス7分 「西町四丁目」バス停 徒歩1分

遊び心が詰まった、個性的な戸建。この家の引継ぎ手を募集です。



建物が新築されたのが、1998年。ダークブラウンのナラ材と、オリジナルのアイアンパーツをたくさんあしらい、ブリティッシュ調の雰囲気につくられたのが、この建物の始まり。



2007年に2階をメインに大胆にリノベーション ... 続き>>>.
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階段を上ったご褒美空間

所在地:中央区新川
24万円 / 73.72平米
東西線・日比谷線「茅場町」駅 徒歩6分

はじめにお伝えしますと、階段しかない5階のお部屋です。でも、階段を上ったご褒美にこの空間が待っています。約32畳のLDK、窓からは緑多めの公園VIEW、大きなキッチンは幅が4m、窓際は造作のデスクが端から端まで。もちろん、内装もばっちり。シンプルですが素材にこだわったデザインが施 ... 続き>>>.
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UENO New Nation

所在地:台東区東上野
12万1,000円(税込) / 30.43平米
山手線「上野」駅 入谷口改札より 徒歩3分

いつもR不動産にクオリティの高いリノベ済売買物件を提供してくれている、僕らの仲間の工務店さんの本社ビルの3階の「ワンフロアの一角」を募集します。



「ワンフロアの一角」と書いたのは、「シェアオフィス」や「シェアアトリエ」などという従来のワードでは定義できない、なんとも自由でざっく ... 続き>>>.
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まるで要塞

所在地:武蔵野市吉祥寺南町
12万円 / 28.38平米
中央線・井の頭線「吉祥寺」駅 徒歩8分

吉祥寺に佇む赤レンガの集合住宅。入居者がゆるやかに繋がる共用部の吹き抜けは、息を呑む光景です。共用部だけではなく、室内は無垢材が多用された温かみある魅力的な空間なのがポイントです。



駅前の喧騒を抜けた閑静な住宅街に現れる赤レンガの建物。

エントランスの先には吹き抜けの中庭があり ... 続き>>>.
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団地×リノベ×高円寺

所在地:杉並区高円寺北
14万1,000円 / 52.04平米
中央線「高円寺」駅 徒歩7分

気になるキーワードが並ぶ住まいの紹介です。

場所といい、昔懐かしい建物といい、刷新された室内といい、絶妙なバランス感を気に入ってくれる方も多いのではないでしょうか。



舞台は高円寺、元社宅だったしっぶい団地をテーマに、設計を担当したのはR不動産の馬場正尊率いるOpenA。2棟ある ... 続き>>>.
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世界の名建築を訪ねて。ザハ・ハディドによる“熔融した建築”「オウパスMEドバイ・ホテル(ME Dubai Hotel at the Opus)」/ドバイ

世界中の建築を訪問してきた建築ジャーナリスト淵上正幸が、世界最先端の建築を紹介する連載2回目は、国際的な女性建築家として知られたザハ・ハディド(Zaha Hadid)によるホテル「ME Dubai Hotel at the Opus(オウパスMEドバイ・ホテル)」(ドバイ)を紹介する。

建築が熔融した形態美学

2021年10月から2022年3月まで、ドバイ国際博覧会が開催された。アラブ首長国連邦(UAE)切っての経済都市ドバイ。周知のように現在世界最高の828mの高さを誇るタワー「ブルジュ・ハリファ」があり、一説によれば1,700億円ほどの建設費と聞く。ドバイは中近東エリアでは有数の観光地であることはいうまでもないし、近くのアブダビもリッチな国で「ルーブル・アブダビ」という名建築がある。

国際的な女性建築家として知られたザハ・ハディドは、2004年に世界的に権威あるプリツカー賞を、女性で初めて受賞するという名誉に輝いた。彼女の流麗な曲線美を表現した作風は、世界の建築界を広く席巻してきた。

(Photo by Masayuki Fuchigami)

(Photo by Masayuki Fuchigami)

彼女が設計した「オウパスME ドバイ・ホテル」は、ドバイ・ダウンタウンとドバイ・ウォーター・カナルのビジネス・ベイに近いブルジュ・ハリファ地区にある。ということは上述のタワーの名前はこのエリアの地名にもなっているのだ。ザハ・ハディドが2007年にデザインしたこのホテルは、彼女が建築とインテリアを一緒に設計した唯一のホテルとして有名である。それはソリッド&ヴォイド(固体&空洞)、不透明&透明、インテリア&エクステリアというハイブリッドのバランスをコンセプトとしてデザインしたものである。

ホテルはかなり広く、延床面積が84,300m2もある建物は別個のふたつのタワーとしてデザインされ、それらを合体することで、キューブ形の全体として誕生した。ザハ・ハディドによれば、キューブの中心部は熔融し、建物デザイン上の非常に重要なボリュームである自由な形態の空間を創造しているという。建物両サイドの塔状部分は、地上レベルでは4層吹抜けのアトリウムで連結され、地上71mの位置では非対称な幅38mの空中ブリッジで連結されている。

(Photo by Laurian Ghinitoiu)

(Photo by Laurian Ghinitoiu)

ガラス・キューブとなっている建物の直覚的な幾何学形態は、その中央にある8層吹抜けのヴォイド空間の流動性とは、ドラマティックな対照をなしている。またキューブの二重ガラス・インシュレーション・ファサードは、UV(紫外線)コーティングと鏡面フリット・パターンによってソーラー・ゲインを減少させている。建物全体に応用されたこのフリット・パターンは、建物の矩形フォームの明るさを強調している。他方、絶えざる反射と透明の変化による光の戯れを通して、建物全体のボリューム感を減少させている。 
 
ヴォイド空間のファサードは6,000m2もあり、4,300枚の一重もしくは二重のカーブしたガラス・ユニットで覆われている。高効率のガラス・ユニットは非常に複雑な構成となっている。8mm厚のロウ・アイアン・ガラス(内側にコーティング)、16mmの間隙、および6mm厚の二重クリア・ガラスに1.52mmPVC樹脂をラミネートしたもので構成されている。ヴォイド空間のカーブしたファサードは、3Dデジタル・モデリングでデザインされたもので、強化ガラスを必要とする部分にも使用されている。

四角い形の建物のガラス張りファサードは、昼間は空をはじめ、太陽、周辺の都市景観を映し出す一方、夜間のヴォイド空間は個々のガラス・パネルに装備されたアジャスタブル(調節できる)なLEDライトのイルミネーションがダイナミックに輝いている。

(Photo by Laurian Ghinitoiu)

(Photo by Laurian Ghinitoiu)

ホテルのインテリアに目を向けると、ザハ・ハディド自身がデザインした家具がホテル全域にわたって使用されている。ペタリナス・ソファとオットマンがロビーに配されている。これらは長いライフサイクルをもつ材料からできており、その構成部材はリサイクル可能というサステイナブル・デザイン。ベッドはオウパス・ベッドが使用され、デスク付きのワーク&プレイ・コンビネーション・ソファはスィートルームなどに置かれている。そのほか、彼女が2015年にデザインしたヴィターエ・バスルームが各客室に使用されている。つまりこのホテルは、全てがザハ・ハディドのデザインで埋め尽くされた貴重な建築作品なのだ。

(Photo by Laurian Ghinitoiu)

(Photo by Laurian Ghinitoiu)

「オウパスMEドバイ・ホテル」には74の客室と19のスィートルームがある。そのほか「ザ・オウパス・ビル」全体では、オフィス、サービス付きレジデンス、レストラン、カフェ、バーなどがある。また有名な日本の炉端焼きレストランのROKAや、MAINEランド・ブラッセリーなどが入っているようだ。

「ザ・オウパス」ビルでは建物全域にあるセンサーが、省エネのためにホテルの混雑具合を判断して換気と照明を自動的に調節する。他方「オウパスMEドバイ・ホテル」は、インターナショナルME(メリア)ホテル群のサステイナブル・デザインと同じシステムを踏襲している。

ゲストは滞在中にホテル内でステンレス・スティールのウォーター・ボトルを受け取り、ホテル中に配置されたウォーター・ディスペンサーから飲料水を得る。客室にプラスティック・ボトルは一切なく、プラスティック・フリー・ホテルとなっている。ホテルではさらに食品廃棄を減らすためにビュッフェをサービスせず、食べ残した食品をリサイクルする生ゴミ処理機を用意しているという。サステイナブル・デザインの先端を疾走する世界的なSDGsホテルでもある。

世界中で先端的な建築を数多くデザインしてきた彼女が、2012年に開催された東京スタジアム・コンペで1等賞となり、来日した時の記者会見で会ったことがある。その時の彼女の晴れやかな佇まいが印象的だった。その後2016年にマイアミの病院で他界してしまったが、今でも彼女がデザインした未完の「東京スタジアム」に憧憬の念を抱いている人は少なくない。

●関連サイト
ME Dubai Hotel

部屋も屋上も、溢れる開放感

所在地:世田谷区奥沢
19万5,000円 / 73.53平米
東急東横線・東急大井町線「自由が丘」駅 徒歩12分

光と風をしっかりと感じることが最重要だと考える方に、強くおすすめしたいのがこちらの物件。



部屋は4階最上階で、この区画以外に他の区画はありません。東西南北から光と風が入り込み、開放感のあるとても気持ちのいい環境。特に窓が多いリビングは、晴れた日の日中は照明いらずの明るさです。

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もっと暮らしを楽しむために

所在地:荒川区西日暮里
9万1,000円 / 32.5平米
山手線・京浜東北線「西日暮里」駅 徒歩9分

玄関を開けた瞬間、目に飛び込んでくるなんともクリエイティブなワンルーム。



躯体現しにした天井高約2.7mのL字型の居住スペースに、こちらもL字のバルコニー。そのあいだに水回りをまとめた、ブロックピースがキレイにハマったような間取りです。



コンクリート打ち放しに白塗装の壁に、幅 ... 続き>>>.
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すてきな大人の住む家は

所在地:世田谷区玉川田園調布
25万~32万円 / 59.28~67.15平米
東急東横線「田園調布」駅 徒歩10分

またひとつすてきな場所が生まれました。

町に開けたコモンスペースとショップ区画を1階に構え、地域に根差した暮らしをじっくり楽しめそうな大人の上質住宅です。



住宅は建物内に5区画だけ。どの部屋も賃貸用にと割り切られた仕様ではなく、使い勝手と質のバランスが丁寧に見極められている印象 ... 続き>>>.
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特等席はステージ

所在地:世田谷区成城
19万3,000円 / 63.52平米
小田急線「成城学園前」駅 徒歩分

成城の街にどっしりと腰を下ろす、コンクリート造のコーポラティブハウス。



ところどころむき出しになったコンクリート打ち放しの壁面と、さらっと質感の良い無垢フローリングのコントラストにはそそられるものがあります。



今回の区画は1階に玄関と洋室、そして地下1階にLDKと水回りという ... 続き>>>.
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南青山に吹くブルックリンの風

所在地:港区南青山
23万7,000円 / 51.83平米
銀座線「外苑前」駅 徒歩2分

昭和の趣残るヴィンテージマンション最上階の角部屋。

床から天井に至るまで、素材の味わいにこだわってフルリノベーションされました。



60年代に建設され、白い外壁に青い屋根の貫禄ある外観のマンション。

お部屋は2015年に改装され、設備も内装も現代的になりました。

なんだかブルック ... 続き>>>.
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中目黒でほっこり【最上階】

所在地:目黒区中目黒
18万5,000円 / 57.3平米
東急東横線「祐天寺」駅 徒歩15分

築51年のレトロなマンション。小道のアプローチを抜けた先に待っている感じが隠れ家的でそそられます。



お部屋は南西向きで日当たり良好。リビングの窓が大きく、眺めもいいので、とにかく気持ちいい。



今回募集にあたり、扉の塗装をし直し、なんとも言えないニュアンスカラーにしています。キ ... 続き>>>.
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神社の麓で再生する -シェアハウス-

所在地:神奈川県鎌倉市長谷
5万9,000~6万5,000円 / 9.7~10.2平米
江ノ島電鉄線「長谷」駅 徒歩5分

鎌倉最古の歴史を誇る甘縄神明宮のすぐ隣。世界中をバックパッカーとして回り続ける「旅する大家さん」が、昭和13年築の古民家を平成28年に2年の歳月をかけて再生させ、週末だけのカフェを営みながら手掛けるシェアハウスの募集です。



大家さん自身が海外で街をぶらぶらと散策していたところ、 ... 続き>>>.
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ここから一緒にはじめよう

所在地:世田谷区池尻
16万円 / 50.76平米
東急田園都市線「池尻大橋」駅 徒歩1分

数人規模の事務所にいかがでしょう。

池尻大橋駅から徒歩1分、渋谷にも約10分でアクセスできるお部屋です。



黒板として使える壁や有孔ボードなど、所々にDIY精神を感じる内装。

ドラマや映画で観るスタートアップ企業は、だいたいこんな部屋からはじまっていますよね。



ワンルームですが ... 続き>>>.
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要介護者を減らす「儲かる”大東元気でまっせ体操”」って? 95歳も躍動する大阪府大東市の自主サークルの輪

お揃いの白いポロシャツに身を包み、元気よく記念写真に収まるお年を召した方々。彼らは大阪府大東市の赤井地区の公民館に集まった老人会。背筋は伸び、血色も良いその姿から、95歳を筆頭に全員が74歳以上の高齢者とは思えない。実は彼らは、大東市が考案した「大東元気でまっせ体操」の愛好者だ。なにも彼らだけが特別なわけではない。大東市では毎週133箇所の拠点で、高齢者が自主的に集い、この体操を行っている。17年以上続くこの取り組みにより、まちに変化が生まれたという。どのように変化を遂げたのか、現地へ足を運んでみた。

体操が生まれたきっかけは、増え続ける高齢者の介護サービス

介護保険制度が始まったのは2000年。その数年後には、大東市でも介護や支援が必要な高齢者が急増した。特に増加したのは介護の必要度が低い「要支援者」。「重度の要介護者の増加率はそれほどでもなかったですが、軽度の要支援者数が急増していることに疑問を感じました」と振り返るのは、当時大東市のリハビリテーション課に勤務していた逢坂伸子さん(現・大東市保健医療部高齢介護室課長)

市役所前で「大東元気でまっせ体操」を披露してくれた逢坂さん。全国に先駆けリハビリ専門員を雇い、誰もが住みやすいまちを目指す大東市の姿勢に共感しこの仕事に就いた(写真/藤川満)

市役所前で「大東元気でまっせ体操」を披露してくれた逢坂さん。全国に先駆けリハビリ専門員を雇い、誰もが住みやすいまちを目指す大東市の姿勢に共感しこの仕事に就いた(写真/藤川満)

2003年ごろ、逢坂さんは増え続ける要支援者の相談を受けるうちに、あることに気付いた。「相談者の身体の不具合の原因は、ほとんどが不活発な生活による筋力低下ということが分かりました」。そこで理学療法士の資格をもつ逢坂さんは、運動指導員と共に、主に下半身の筋力強化に繋がる体操を考案する。2005年、単に負荷を与えるだけでなく、脳のトレーニングにも繋がる動きも加え、「楽しさ」を重視した「大東元気でまっせ体操」が誕生する。

筋力強化に必要なのは、継続して取り組むこと。現在は全国各地で類似の体操はあるものの、大東市のように毎週市内各所で、高齢者のグループが自主的に取り組んでいるところは、少なくほぼない。「年一回程度のイベントなどで体操を教えても続かない、というのは過去の事例からも分かっていました」と逢坂さん。

そこで逢坂さんは、高齢者が集う特殊詐欺防止セミナーやカラオケ大会など、およそ200回の地域の集いに出向き、こう説いた。「今の不活発な生活のままでは、将来必ず介護サービスを受ける。すると年間数十万の出費になります。この体操を続ければその出費がなくなり、浮いた分でハワイ旅行に充てることもできます」。つまり「健康でいること」=「儲かる」と強調したことで、高齢者の目の色が変わった。「皆さんお金には興味があるのです(笑)」と逢坂さんも笑う。この提案が功を奏し、参加団体はみるみる増えていき、2022年の時点で、その数は133にものぼっている。

その効果は統計にも表れた。かつて約1100人いた市内の介護予防サービス利用者は、2018年度末には約300人に激減。現在もその数は減り続けているという。またこの体操に取り組む高齢者は、およそ3000人。大東市の高齢者人口の約10%にものぼっている。

各地域のグループは福祉委員会や老人会が中心になっている。赤井自治会老人会では年に一度市内の体操グループが集まる交流会への参加を機に揃いのポロシャツを作った(写真/藤川満)

各地域のグループは福祉委員会や老人会が中心になっている。赤井自治会老人会では年に一度市内の体操グループが集まる交流会への参加を機に揃いのポロシャツを作った(写真/藤川満)

体操を続けることで交流が生まれ、地域も元気になっていく

大東元気でまっせ体操に、15年前の誕生当時から取り組んでいる赤井自治会の老人会。毎週土曜日10時に公民館に20人以上が集まり、モニターの前で身体を動かす。体操は椅子に座って身体を伸ばす「座位ストレッチ」に始まり、立って行う「立位体操」、床に横になる「臥位体操」など6つのプログラム、約40分の構成だ。実際にやってみると、ぽかぽかと身体が温まり、空腹を覚えるほどカロリー消費を実感する。

出席者はまず血圧を測って記入する。健康状態の観察と出席簿の両方を兼ねている(写真/藤川満)

出席者はまず血圧を測って記入する。健康状態の観察と出席簿の両方を兼ねている(写真/藤川満)

この日の参加者の最高齢者は高橋シナヱさん95歳。「元気でいられるのは、この体操のおかげ」と、かくしゃくたる受け答え。さすがに立って行う体操は難しいものの、椅子に座ってメニューをこなす。「地域の人の輪が広がりました」と肉体的効果以外を語るのはリーダー的存在の田口組子さん75歳。これまで近所に住みながら、話を交わしたことがない間柄でも、この体操を通じて交流が生まれ、地域の仲間意識が高まっているという。

動作はあくまでゆっくりながら、普段あまり使わない筋肉を動かす動きが多い(写真/藤川満)

動作はあくまでゆっくりながら、普段あまり使わない筋肉を動かす動きが多い(写真/藤川満)

片足立ちやカンフーの動きを取り入れたりと、高齢者でなくともよろめきそうになる(写真/藤川満)

片足立ちやカンフーの動きを取り入れたりと、高齢者でなくともよろめきそうになる(写真/藤川満)

発案者である逢坂さんも「体操をして元気になれたからこそ、子ども見守り隊に参加したり、地域の民生委員になったりと、参加者が自然とその地域で活躍するようになっています」と変化を実感している。さらに体操に出向くことで、高齢者同士の健康チェックにも繋がっているという。また欠席者の様子を見に行くなど、一人暮らしの高齢者の支えとなる「見守り」も生まれつつある。

大東元気でまっせ体操のDVDは市内の10人以上の体操継続グループには無料、個人・事業所には300円(市外は1000円)で提供している(写真/藤川満)

大東元気でまっせ体操のDVDは市内の10人以上の体操継続グループには無料、個人・事業所には300円(市外は1000円)で提供している(写真/藤川満)

2007年からは口の筋肉を強化する「健口体操」もスタート。現在、大東元気でまっせ体操の拠点づくりと同様に、この普及にも力を入れている。「筋肉を作る赤身の肉など、良質なタンパク質を摂るには噛む力が必要です。口の健康・栄養・体操のトライアングルを完成させてこそ効果が高まります」と逢坂さんも意気込む。

誰もが安心して暮らせるまちを目指して

「体操の拠点を今の133箇所から250箇所くらいまでに増やして、市内高齢者人口の1割を参加者にするのが目標です」と抱負を語る逢坂さん。実際、市内の僻地では、会場が遠くて通えない高齢者もいるという。拠点を増やせば、その問題を解消する一助となる。「高齢者が通える場所ができることで『見守り』が生まれ、高齢者を含む誰もが安心して暮らせる環境になってほしい」と逢坂さんはこれから先を見据える。

そのひとつのツールとして、大東市の地域包括支援センターが、2022年11月「ドキドキドッキョ指数」なるホームページを開設した。このアンケートに答えることで、特に独居高齢者が「一人で暮らしていく力があるか」の度合いが分かる仕組みになっている。

主に独居の高齢者向けの質問内容だが、一人暮らしの若い世代でも自らの生活改善の指針となる構成となっている(写真/(株)コーミンHPより)

主に独居の高齢者向けの質問内容だが、一人暮らしの若い世代でも自らの生活改善の指針となる構成となっている(写真/(株)コーミンHPより)

質問の内容は「自炊ができる」などの<生活維持力>、「運動をしている」などの<心と身体の健康状態>、「まちのことをよく知っている」などの<住んでいるまちとの関係性>という3つのカテゴリーがあり、本人はもちろん、家族や支援者と共に答えることで、自らの状況を把握し、生活改善に役立てることができる。

「大東元気でまっせ体操に参加している人は、おのずとハイスコアを叩き出すはずです」とこれまでの取り組みに自信をのぞかせる逢坂さん。質問は大東市外の住民にも共通するものなので、高齢者の親族をもつ人はもちろん、自分自身の孤立や孤独の危険度を測ってみてほしい。もし結果が危険水域なら、ご近所の仲間を集めて、体操を始めてみてはいかがだろうか。そうすればこれから将来に渡って、きっと元気でまっせ!?

●参考
ドキドキドッキョ指数

風と光を楽しむ最上階

所在地:目黒区中央町
10万円 / 31平米
東急東横線「学芸大学」駅 徒歩3分

気分がぐぐっと上がる魅力的な立地の最上階、角部屋のワンルーム。



学芸大学駅から徒歩3分、高架下のたのしい学大横丁を歩いてすっと鮫洲大山線へ。がっしりとしたタイル張りで渋みがある外観、存在感ありです。



室内は、真っ白に塗装された壁と天井に、濃い茶色のフローリングのシンプルな組み ... 続き>>>.
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はじめる平屋ライフ

所在地:杉並区天沼
15万円 / 59.49平米
中央線「阿佐ヶ谷」駅 徒歩12分

なんだか楽しく暮らせそうなエリアに、ちょうどいい平屋。あの子とはじめるふたり暮らしは、この場所からかもしれません。



リビングが8畳の和室とつながるので、いっそドデカい18畳LDKと、寝室の1LDKとして使うのが楽しそう。友達も呼びやすいし、ゴロゴロするならやっぱり畳が楽ちんです ... 続き>>>.
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自然に囲まれた、素朴の家

所在地:町田市山崎町
4,680万円 / 91.6平米(建物) 441.18平米(敷地)
横浜線・小田急線「町田」駅 バス13分 「今井谷戸」バス停 徒歩11分

★価格が下がりました★



小高い丘に立つ、自然素材を貴重とした素朴で心地のいい戸建て。隣は雑木林で緑が茂り、あたりは自然豊かな環境。傾斜地に建ち、周辺が開けているので開放的です。



建物は2021年に建てられた戸建て。素材にこだわった注文住宅を手掛けている、神奈川の建築設計+工務 ... 続き>>>.
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淡島通りに点をうつ

所在地:世田谷区代沢
12万1,000~14万3,000円(税込) / 25.55~26.11平米
井の頭線「池ノ上」駅 徒歩12分

町の新たな起点となるようなビルが、仲間の募集を開始しました。



場所は、「下北沢」「三軒茶屋」「駒場東大前」のちょうど真ん中あたり。新たに打たれた点が、人と場所を繋いで線を成していく。そんな少し先の未来が目に浮かびます。



1棟まるごとリノベーションされたビルの今回の募集は、10 ... 続き>>>.
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古い市営住宅が街の自慢スポットに変貌! 周辺地価が1.25倍になったその仕掛けとは? 「morineki」大阪府大東市

大阪市中心部から電車でおよそ20分。JR四条畷駅から住宅街を東へ歩くと、飯盛山を背に広がる芝生広場に面して、垢抜けたカフェやショップが並ぶ複合施設に辿り着く。芝生では子どもたちが駆け回り、カフェの客席は若い女性客を中心に埋まっている。よく見れば、周囲に馴染む外観の木造低層住宅も近くに並んでいる。実はここは、大阪府大東市の市営住宅エリア「morineki」の一角だ。ここは今、住民だけでなく市内外からも人が集う画期的な市営住宅として注目を浴びている。

古い市営住宅を民間主導で地域のために開発する

かつてこの一体には昭和40年代に建設された市営住宅「飯盛園第二住宅」があった。しかし2010年代に入り、同団地は老朽化が進み、大東市役所では建て替えが議論されていた。「当時は古びた建物とほとんど使われていない公園があり、活気のある場所とはいえなかった」とその頃の様子を語るのは、現在morinekiを運営する(株)コーミン 代表取締役の入江智子さん。

当時の飯盛園第二住宅の様子(写真提供/(株)コーミン)

当時の飯盛園第二住宅の様子(写真提供/(株)コーミン)

当時、入江さんは大東市役所で建築技師として勤務していたこともあり、市営住宅の建て替えに直接関わることになる。「これまでのような市営住宅ではなく、住民の生活の向上に加え、近隣住民も喜ぶような施設、そしてエリア全体の価値が上がるものにしたい」と入江さんは自らの考えを上司へ訴えた。幸いにしてその考えは当時の部長や市長からも理解を得られ、新たなプロジェクトとして進み出す。

ちょうどその頃、岩手県紫波町では、町が保有する駅前の土地を民間企業が再開発して、年間約80万人が訪れる場所へと変貌させた「オガールプロジェクト」が注目を集めていた。入江さんは、同プロジェクトから再開発のヒントを得るため、2016年に9カ月間現地で研修を受けることにした。

そこにあったのは、かつて塩漬けされていた土地に、体育館・図書館、産直マルシェやカフェ、さらにホテルや住宅分譲地などが並び、多くの人が行き交うまちの賑わいだった。「町有地を公と民が連携して開発し、運用して儲けていくというオガールプロジェクトで学んだ手法を、大東市にも活かすことにしました」と入江さん。

写真(上)は現在のmorinekiの全景。地図(下)を見ると民間事業エリア、公園エリア、住宅エリアの3つに分かれているのがわかる(写真・画像提供/(株)コーミン)

写真(上)は現在のmorinekiの全景。地図(下)を見ると民間事業エリア、公園エリア、住宅エリアの3つに分かれているのがわかる(写真・画像提供/(株)コーミン)

市営住宅借り上げとテナントリーシングで融資元から信頼を得る

2016年、大東市が出資した「大東公民連携まちづくり事業株式会社(現(株)コーミン)」が設立され、入江さんは出向という形で翌年から籍を置き、プロジェクトを推進していく。社長は当時の市長ながら、民間企業事業ゆえ事業資金は税金に頼らず、銀行などの金融機関から融資してもらわねばならない。「住宅を市営住宅として大東市が借り上げること、さらにテナントを先付けすることで、銀行の信用度が上がったと思います」

縁あって、北欧のライフスタイルをテーマにしたアパレル会社「(株)ノースオブジェクト」が、大阪市からの本社移転という形でテナントに決まったのが、大きかった。同社にとっても本社機能だけでなく、ライフスタイルショップ、レストラン、ベーカリーなどの直営店を営業することで、自社をPRするショールーム的な使い方ができるメリットがあった。

テナント入居と融資のメドが立った2018年、入江さんは大東市役所を退職。市長に代わり、大東公民連携まちづくり事業株式会社の代表取締役に就任する。そして2021年3月、「大東に住み、働き、楽しむ、ココロとカラダが健康になれるまち」をコンセプトにした「morineki」がオープン。名前は近くの飯盛山の「森」と河内弁で「近く」を意味する「ねき」をつなぎ合わせた。それには「自然のそばで暮らしを営むことに愛着を感じて欲しい」という思いを込めた。

1階はノースオブジェクト直営のベーカリーなどが入り、2階は本社事務所がある(写真/藤川満)

1階はノースオブジェクト直営のベーカリーなどが入り、2階は本社事務所がある(写真/藤川満)

ノースオブジェクト直営のレストランと(株)ソトアソが運営するアウトドアショップも入居している(写真/藤川満)

ノースオブジェクト直営のレストランと(株)ソトアソが運営するアウトドアショップも入居している(写真/藤川満)

「もりねき住宅」と名付けられた住宅エリア、2~3階建の低層木造住宅だ(写真/藤川満)

「もりねき住宅」と名付けられた住宅エリア、2~3階建の低層木造住宅だ(写真/藤川満)

賑わいが生まれることで住民の意識も変化する

かつての市営住宅は144戸に80世帯が暮らしていた。現在の住宅エリアには1LDK44戸、2LDK30戸の74戸に60世帯がそのまま移り住んだ。新規入居者は14世帯。その後、市外からの転入者も含め5~6戸の入居者が入れ替わったという。

住宅棟はゆとりをもって配置され、広い中庭部分には芝生や木々が植えられ、ゆったりとした散歩道のよう。「以前よりも住民みんなでキレイにしていく意識が高まった」と語るのはとある住民。実際、建物のセミプライベート空間は、住民によって、思い思いの花々が飾られ、景観に彩りを与えている。「パン屋が近くにできて、早速行きつけになりましたよ」とうれしそうに語る高齢女性にも出会った。

また芝生広場で子どもと遊んでいた女性は「以前は暗い感じだったけど、今は子どもとよく遊びに来ます。同世代も多く、この広場で子ども同士が一緒に遊ぶことで交流が生まれました」とも語る。市外から友達を訪ねてmorinekiに食事に来た夫婦は「こんなにおしゃれな住宅が市営住宅と聞いて驚いた。子育て世代にはいい環境だと思う」とうらやましがる。

「かつての住民に加え、子を持つ若い夫婦の姿も増えました。それにより住民同士の緩やかな『見守りあい』も生まれつつあります。子育て世代のステップアップのための舞台にしてほしい」と入江さんは、もりねき住宅の活用方法を示す。

住居前は住民が使い方を考えられるセミプライベート空間(写真/藤川満)

住居前は住民が使い方を考えられるセミプライベート空間(写真/藤川満)

企業とタッグを組むことが新たなまちづくりの一助となる

ノースオブジェクトのスタッフの一人は「大阪市内からさほど遠くない。取引先のお客様も商談だけでなく、ショップやレストランにも足を運ばれ、滞在時間が長くなることで、商品や会社への理解を深めてもらえるようにもなりました。また、ここで月一回のイベントを開催することで、直接お客様の声を聞くことができるようになったのは貴重です」と本社移転による効果を実感しているようだ。

広々としたノースオブジェクトのオフィス。取引先が家族を連れてmorinekiに足を運ぶこともあるという(写真/藤川満)

広々としたノースオブジェクトのオフィス。取引先が家族を連れてmorinekiに足を運ぶこともあるという(写真/藤川満)

「元々この周辺は、住民だけで外からの交流人口がゼロでした。morinekiができたことで、わざわざ訪れる人が増えました。近隣にある中学・高校・大学の学生たちもアルバイトやイベントに足を運んでくれ、新たな人の流れになっています。さらに近隣の既存施設が改装したり、新たなショップが開店したりと、まち全体が活性化しつつあります」と手応えを感じている入江さん。実際、周辺地価はかつてより1.25倍になったという。

月一回のノースオブジェクト主催のイベントのほか、エリア全体でのイベントも開催している(写真提供/(株)コーミン)

月一回のノースオブジェクト主催のイベントのほか、エリア全体でのイベントも開催している(写真提供/(株)コーミン)

高度成長期に次々と建てられた公営団地。それからおよそ50年経ち、各地で建て替えが議論されている。また公営住宅の中に公園がある施設も多いが、誰もが足を運べるような開放感はなく、さらに人が集える地域の場所としても機能していないところが多い。その成功例としてmorinekiにも全国各地から多くの自治体が視察に訪れる。しかしmorinekiのような新たな公営住宅は、なかなか誕生していない。
「自治体によって民間が公営住宅を建てることは、難しさもあると思います。ただ戸数を減らして公園スペースを確保したり、その公園に面してテナントを入居させ収益を上げるなどは、工夫をすればできないことはないはず。morinekiの場合は本社移転がプロジェクトに加わりましたが、ほかにも新業態の出店候補地として提案したり、企業に掛け合ってみれば可能性が見えてくるはず」と入江さんは自らの経験に基づいたアドバイスをする。

公民連携という手法で、公営住宅の新たな姿を示してくれたmorinekiが、今後どのように発展していき、周辺を含めた大東市がどのように変化をしていくのか、興味深く見守っていきたい。

(株)コーミン 代表取締役であり、morineki住宅の大家さんとして住民の声に耳を傾ける入江智子さん(写真/藤川満)

(株)コーミン 代表取締役であり、morineki住宅の大家さんとして住民の声に耳を傾ける入江智子さん(写真/藤川満)

●取材協力
(株)コーミン
(株)ノースオブジェクト

ほがらかな暮らし

所在地:世田谷区玉川
10万3,000円 / 30.24平米
東急田園都市線「二子玉川」駅 徒歩6分



二子玉川駅からほど近く。共用部を含め、2016年にまるっとフルリノベーションされた、のんびりとひとり暮らしにちょうどいいサイズのワンルームのご紹介。



無垢のフローリングにざっくりと上がった天井、壁紙ではない塗装の壁に味わいを感じる室内。質感のある内装に加えて、南向きの窓から入 ... 続き>>>.
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ドラマチックな最上階

所在地:台東区三筋
1億2,980万円 / 158.66平米
都営大江戸線「新御徒町」駅/つくばエクスプレス「新御徒町」駅 徒歩4分

最上階のワンフロアをまるっと独り占め!

上空は視界良好で、サンサンと降り注ぐ光を浴びながらゆったり過ごせる大空間。おまけに遊び心いっぱいのすてきな設えで彩られ、ドラマの舞台ではないかと思うような世界観を見せてくれます。



リノベーションは7年ほど前。R不動産内ではおなじみの工務店 ... 続き>>>.
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ドラマチックな最上階

所在地:台東区三筋
1億2,980万円 / 158.66平米
都営大江戸線「新御徒町」駅/つくばエクスプレス「新御徒町」駅 徒歩4分

最上階のワンフロアをまるっと独り占め!

上空は視界良好で、サンサンと降り注ぐ光を浴びながらゆったり過ごせる大空間。おまけに遊び心いっぱいのすてきな設えで彩られ、ドラマの舞台ではないかと思うような世界観を見せてくれます。



リノベーションは7年ほど前。R不動産内ではおなじみの工務店 ... 続き>>>.
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愛しの隠れ家

所在地:世田谷区若林
4,250万円 / 44.1平米
世田谷線「松陰神社前」駅 徒歩2分

一切の妥協なく、細かなところまでこだわり抜かれてつくり上げられた空間に、度肝を抜かれてしまいました。



最上階の角部屋、東と南の2面採光という好条件を生かして2014年にリノベーションされた空間。なるべく既製品を使わずに、手作業で作りあげられたパーツを使って構成される空間はまさに ... 続き>>>.
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縁側から眺める大きな庭

所在地:世田谷区代田
25万円 / 169.76平米
小田急線・井の頭線「下北沢」駅 徒歩6分

1964年築。広くて緑豊かな庭を持つ、大きな戸建ての1階部分。もともとは2世帯住宅のところを、室内の階段を塞ぎ、上下階を分けて賃貸物件として生まれ変わりました。



下北沢駅から徒歩6分という好立地にもかかわらず、これだけの庭を目前に暮らせることなどそうはないでしょう。縁側で大きな ... 続き>>>.
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森と一体化する平屋

所在地:長野県安曇野市穂高有明
3,120万円 / 88.65平米(建物) 659平米(敷地)
JR大糸線「安曇追分駅」 徒歩44分

建築家が設計した、森の中の上質な平屋建て。



晩秋も終わりそうな安曇野の山中、凛とした佇まいをもちつつ、自然に溶け込むこの建物は、2013年にオーナーと建築家が共創したものになります。



敷地内、建物の四方八方には、ヤマモミジ、ハウチワカエデ、オオカメノキ、ヤブツバキなどが植えら ... 続き>>>.
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路面を楽しむ4軒長屋

所在地:横浜市神奈川区六角橋
13万6,000~14万2,000円 / 42.44~48.74平米
東急東横線「白楽」駅 徒歩7分

アフターコロナの日常に寄り添うような、新しいスタイルの長屋が完成しました。住むことの周辺にあるちょっとした願いを叶えられる場として、4区画それぞれに個性あふれる活用を楽しんでもらえそうです。



住居といえば1階部分は 隠す/閉じる が定番ですが、この家は違います。ギザギザと波を打 ... 続き>>>.
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昭和街角の情緒を伝える名物賃貸群「大森ロッヂ」。コロナ禍経て深まる住人同士の“ゆるやかなつながり” 東京都大田区

昭和の趣が残る「大森ロッヂ」(東京都大田区)は、住む人や地域の人がゆるやかにつながり、コミュニティが醸成される場所です。2009年以降に順次リノベーションされた8棟の住宅のほか、長屋式店舗兼用住宅「運ぶ家」が竣工・営業開始したのが、2015年6月。当時の様子はSUUMOジャーナルでも紹介しました。今年(2022年)4月には、新たに、一戸建てをリノベーションした「笑門の家」(しょうもんのいえ)が完成。コロナ禍を経て変わったこと、時流が変化しても変わらない思いについて、住民の皆さんや大家さんに伺いました。

石畳の路地の脇に黒壁の長屋が並ぶ。ドアやサッシは一部差し替えたが、中にはもう手に入らない昭和のガラス戸もある(画像撮影/桑田瑞穂)

石畳の路地の脇に黒壁の長屋が並ぶ。ドアやサッシは一部差し替えたが、中にはもう手に入らない昭和のガラス戸もある(画像撮影/桑田瑞穂)

縁台に飾られた鉢植の草花。緑が黒壁に映える(画像撮影/桑田瑞穂)

縁台に飾られた鉢植の草花。緑が黒壁に映える(画像撮影/桑田瑞穂)

コロナ禍に深まる閉塞感への疑問から生まれた、人とつながる「笑門の家」

京急線・大森町駅から歩いて2分、にぎやかな往来から一本入ると、右側に懐かしい佇まいの木塀と木戸でできた大森ロッヂの「ともしびの門」が見えてきます。前で迎えてくれたのは、大家の矢野一郎さんと住民で管理人もしている山田昭二さん。木戸を開けてもらうと、敷地内には昭和の風情を感じる路地があり、路地を挟んで、黒壁の長屋が並んでいます。昭和30~40年代に建てられた木造アパート群の古いものを活かしてリノベーションした賃貸住宅です。

矢野さん(左)と山田さん(右)。大森ロッヂの玄関口である「ともしびの門」の前で(画像撮影/桑田瑞穂)

矢野さん(左)と山田さん(右)。大森ロッヂの玄関口である「ともしびの門」の前で(画像撮影/桑田瑞穂)

大森ロッヂに新しく加わった「笑門の家」は、通りに面したところにあり、温室のような吹抜けの窓が特徴的です。

通りから見える「笑門の家」。古谷デザインに依頼し、木造2階建ての古い住宅をリノベーションした(画像撮影/桑田瑞穂)

通りから見える「笑門の家」。古谷デザインに依頼し、木造2階建ての古い住宅をリノベーションした(画像撮影/桑田瑞穂)

「笑門の家」の計画は、2020年春、コロナ禍ではじまりました。

「コロナ禍では、人の自由が奪われて非常に孤立化してしまったという印象を受けました。テレワークもはじまりましたが、感染流行が拡大するなかで、世の中がどんどん閉鎖的になっていくことに疑問を感じていました。人間が生活する上でいちばん大切なものは、社会の状況に影響されない根源的な部分にあるはずです。それは、家に帰ったらリラックスしてゆったりした気持ちでいたいこと。必要なのは、家族や職場以外の誰かとのふれあいだと思いました。高気密で狭いところへ人を押し込めずに、誰かと接しようとすれば接することのできる機会を提供したいという思いがありました」(矢野さん)

「ゆるやかに人と交流できる家に」というコンセプトで、敷地に立っていた昭和の民家をリノベ―ション。設計を担当した古谷デザインから提案されたのは、一部をガラス張りの吹抜けにして半外部化するアイデア。「開いていく・創造していく場所にふさわしい」と考えた矢野さんは採用を決め、2022年4月に「笑門の家」が完成しました。

建物の一部が吹抜けのガラス張りで温室のような構造になっている(画像撮影/桑田瑞穂)

建物の一部が吹抜けのガラス張りで温室のような構造になっている(画像撮影/桑田瑞穂)

人を招きよせる「笑門の家」。地域とつながる交流拠点に

「笑門の家」に入居し、事務所兼住居として使っているのは、デザイン会社「グラグリッド」の三澤直加さんと尾形慎哉さんです。もともと恵比寿を拠点に仕事をしてきましたが、会社の移転を考えていたころ、新型コロナウイルス感染症の流行が重なりました。

「笑門の家」に引越して「地に足がついた生活ができている」という三澤さん(左)の言葉に頷く尾形さん(右)(画像撮影/桑田瑞穂)

「笑門の家」に引越して「地に足がついた生活ができている」という三澤さん(左)の言葉に頷く尾形さん(右)(画像撮影/桑田瑞穂)

「笑門の家」に引越して「地に足がついた生活ができている」という三澤さん(左)の言葉に頷く尾形さん(右)(画像撮影/桑田瑞穂)

古い欄間や梁を活かしてリノベーション。アール型の小上がりを見たとき「どう使うかワクワクしました」と三澤さん。すぐにワークショップのイメージが膨らんだ(画像撮影/桑田瑞穂)

「コロナ禍の影響で、人と繋がりたくてもリモートワークが増えて、知っている者同士しか会えなくなってしまいました。恵比寿のオフィスビルから離れて、大きく生活を変えたいと思うようになったんです。面白い場所に住み替えたいと探していたところ、『笑門の家』に出合い、『これだ!』と思いました」(三澤さん)

「笑門の家」で生まれたアイデアの数々。「関わりしろはどこまで大きくできるのか?」という発想からオープンなザクロ収穫祭の企画へとつながった(画像撮影/桑田瑞穂)

「笑門の家」で生まれたアイデアの数々。「関わりしろはどこまで大きくできるのか?」という発想からオープンなザクロ収穫祭の企画へとつながった(画像撮影/桑田瑞穂)

「ビルの四角い部屋では出ない発想ができるかもしれないと感じたんです。大森ロッヂにコミュニティがあることを知り、住民の方や地域とのつながりで、ワークショップをするなどして、一緒にデザイン活動ができるのではないかというイメージが湧いて。交流(ワークショップ)ができる温室と、集中して仕事ができる2階があり、ほしかった条件がそろっていました。地域の人とつながりあって、実験しながら、やりたいことを実現できるのではないかと思いました」(尾形さん)

2022年6月に引越してから、庭にあったザクロを収穫し、ジュースをつくるイベントを開催。大森ロッヂに住んでいる人や近隣の子ども達も参加しました。尾形さんが非常勤講師を務める専修大学の学生たちと、大森に昔からある産業の廃材を使ってランタンをデザインするワークショップも行い、手ごたえを感じた二人は、いずれテーマを決めて語り合う「笑門の会」をつくりたいと夢を語ってくれました。

引越したとき、庭の隅に咲いていたザクロの花が実ったので催した収穫祭(画像提供/グラグリッド)

引越したとき、庭の隅に咲いていたザクロの花が実ったので催した収穫祭(画像提供/グラグリッド)

「見たことのなかった赤い花がザクロの実に変わっていくのに感動しました」と三澤さん(画像撮影/桑田瑞穂)

「見たことのなかった赤い花がザクロの実に変わっていくのに感動しました」と三澤さん(画像撮影/桑田瑞穂)

ルビーのような実を取り出し、つぶして、ジュースに(画像提供/グラグリッド)

ルビーのような実を取り出し、つぶして、ジュースに(画像提供/グラグリッド)

ふすま屋さんの廃材を使ったランタンづくりのワークショップ(画像提供/グラグリッド)

ふすま屋さんの廃材を使ったランタンづくりのワークショップ(画像提供/グラグリッド)

ふすま紙などを再利用して独創的なランタンが生まれた(画像提供/グラグリッド)

ふすま紙などを再利用して独創的なランタンが生まれた(画像提供/グラグリッド)

「『笑門の家』というネーミングが絶妙なんですよね。人を招くような、不思議な言葉の力があります。名を体現するような使い方ができればいいな。我々のつながりから、周辺の人もつながって、集まった人の話の中から、プロジェクトやイベントのアイデアが自然に発生する。新しいことが生まれるエンジンとしてこの場所を使っていきたいです」(尾形さん)

ワークショップのあとは、小上がりが語らいの場になる(画像提供/グラグリッド)

ワークショップのあとは、小上がりが語らいの場になる(画像提供/グラグリッド)

アトリエ付住宅「ひらめきの家」や店舗兼用住宅「運ぶ家」のその後

大森ロッヂには、長屋群のほか、通りに面したアトリエ・中庭付の2階建て集合住宅「ひらめきの家」や前回の取材時(2015年)に新築された店舗兼用住宅「運ぶ家」があります。

「ひらめきの家」は、店舗として使えるアトリエが通りに面してあり、奥が住居になっている(画像撮影/桑田瑞穂)

「ひらめきの家」は、店舗として使えるアトリエが通りに面してあり、奥が住居になっている(画像撮影/桑田瑞穂)

「旅する茶屋」を訪ねると、吹抜けの明るい空間に、茶香炉から良い香りが漂っています。オーナーで日本茶ソムリエの津田尚子さんは、もともと大森ロッヂに住んでいましたが、「ひらめきの家」に空室が生じることになり、住み替えをして、店舗を構えました。

中庭の緑が見える店内でお茶を淹れる津田さん(画像撮影/桑田瑞穂)

中庭の緑が見える店内でお茶を淹れる津田さん(画像撮影/桑田瑞穂)

美しい茶器に注がれるのは八女の白折という日本茶。体調に合わせたおすすめ茶をオーダーすることもできる(画像撮影/桑田瑞穂)

美しい茶器に注がれるのは八女の白折という日本茶。体調に合わせたおすすめ茶をオーダーすることもできる(画像撮影/桑田瑞穂)

「『旅する茶屋』という名前のとおり、店舗を持たず旅先でお茶をたてるワークショップをメインに活動していたのですが、まわりの人に勧められて、タイミングも合ったのでやってみようと思いました。近くの小学生が『ただいま』と声をかけてくれたり、旅で留守にしていて帰ると『閉まっていたけど、どうしていたの?』近所の人が心配してくれたり。地域の風景になりつつあるのかな」(津田さん)

「旅する茶屋」のお隣さんは、2020年から絵画工房と絵画教室を営む「アトリエウォボ」。講師を務めるのは、写実絵画の描き手である油彩画家の宮原俊介さんです。

「住居と一体でありながら、居住スペースとは別に絵を描く場所がほしかったので、条件に合う物件を探して『ひらめきの家』にたどり着きました。教室には、年代も職業もさまざまな人が通ってきます。いずれ、大森ロッヂのギャラリーで生徒たちのグループ展をしたいです」(宮原さん)

写真のように見たまま描いている印象のある写実絵画だが、宮原さんは「見た時の印象を誇張して表現しているので印象画だと思っています」と語る(画像撮影/桑田瑞穂)

写真のように見たまま描いている印象のある写実絵画だが、宮原さんは「見た時の印象を誇張して表現しているので印象画だと思っています」と語る(画像撮影/桑田瑞穂)

壁にかけられた宮原さんの作品。描かれた人物や動物の目力に圧倒される(画像撮影/桑田瑞穂)

壁にかけられた宮原さんの作品。描かれた人物や動物の目力に圧倒される(画像撮影/桑田瑞穂)

「アトリエ ウォボ」の中庭から隣にあるタイル工房「fuchidori」の作業風景が見えていた。クリエイター同士の距離が近いのもお互いの刺激になるのかもしれない(画像撮影/桑田瑞穂)

「アトリエ ウォボ」の中庭から隣にあるタイル工房「fuchidori」の作業風景が見えていた。クリエイター同士の距離が近いのもお互いの刺激になるのかもしれない(画像撮影/桑田瑞穂)

タイルでつくった「fuchidori」の看板がかわいい。「世界の街角を彩る装飾タイルの楽しさを多くの方と共有したい」という思いから、絵付けワークショップを不定期で開催している(画像撮影/桑田瑞穂)

タイルでつくった「fuchidori」の看板がかわいい。「世界の街角を彩る装飾タイルの楽しさを多くの方と共有したい」という思いから、絵付けワークショップを不定期で開催している(画像撮影/桑田瑞穂)

前回の取材時(2015年)に建築された店舗兼用住宅「運ぶ家」は、その後、どのように使われているでしょうか。「運ぶ家」は、貸駐車場借主の退去で空いたスペースに新築されましたが、「ただ建てるのではなく、住む人と建築家とみんなで一緒につくりあげたい」という矢野さんの思いが強く反映された建物です。

「運ぶ家」の2階で蚤の市(不定期)が開かれたときの様子(画像提供/大森ロッヂ)

「運ぶ家」の2階で蚤の市(不定期)が開かれたときの様子(画像提供/大森ロッヂ)

「借主は、建築費や設計料がいくらかわからないまま、家賃が決められていますよね。事業収支をオープンにして、設計段階から入居者、設計者、施主が、あたかも自宅を建てるようなプロセスを踏んだら、きっと場所への愛着も増すのではという気持ちもありました」(矢野さん)

「運ぶ家」に建築当時から関わった入居者のうち、コムロトモコさんはカフェ兼カバンのギャラリー「yamamoto store」を、もうひとりは、「たぐい食堂」を営んでいます。入居者が職住一体でなりわいをもつことができる「ひらめきの家」と「運ぶ家」。「地域に開かれた場所になって、街や大森ロッヂの活性化につなげたい」という矢野さんの思いを体現する場所になっています。

「運ぶ家」1階の「たぐい食堂」では、和定食やおにぎりが食べられる(画像提供/大森ロッヂ)

「運ぶ家」1階の「たぐい食堂」では、和定食やおにぎりが食べられる(画像提供/大森ロッヂ)

日替わりのプレートランチなどを提供するyamamoto store。店内には、店主が手掛けるカバンブランド「aof-kaban-shop」も営業している(画像提供/大森ロッヂ)

日替わりのプレートランチなどを提供するyamamoto store。店内には、店主が手掛けるカバンブランド「aof-kaban-shop」も営業している(画像提供/大森ロッヂ)

場が人を呼び、人とのつながりが価値になる門を入った路地に面してあるノスタルジックなポスト(画像撮影/桑田瑞穂)

門を入った路地に面してあるノスタルジックなポスト(画像撮影/桑田瑞穂)

大森ロッヂの案内図。住居のなかに「かたらいの井戸端」や「はぐくむ広場」など交流できる場所が設けられている(画像提供/大森ロッヂ)

大森ロッヂの案内図。住居のなかに「かたらいの井戸端」や「はぐくむ広場」など交流できる場所が設けられている(画像提供/大森ロッヂ)

現在、大森ロッヂには、15世帯が暮らしています。入居者募集に関しても、矢野さんは、不動産会社任せにするのではなく、自分で入居希望者に会って話を聞くことにしています。入居基準は、「大森ロッヂが好きな人」。長屋の家賃は新築並みで設備も古いですが、納得してくれる人が集まっています。矢野さん主催のイベントは、餅つきや新酒を楽しむ会など年2回ほどですが、住民発案で路地の広場で飲み会が催されることも。イベントは、コロナ禍のため中断していましたが、この11月にやっと再開することができました。

「借りて住む価値はひとりではつくり出せないものなんですよ。お金さえあれば、家は買えますが、周辺は買うことができません。人とのつながりが価値になる。場が人を呼び、自然と街に開かれていけばいいと思っています」(矢野さん)

大家業を通じ、入居者の人生に関わってきた矢野さん。「この仕事は、人間を愛する気持ちが大事」と話す時の優しいまなざしが印象に残っています。これからも、大森ロッヂは、古き良きものを活かしながら、新しいものを生み出す場として育まれていくのでしょう。

●取材協力
・大森ロッヂ
・株式会社グラグリッド
・旅する茶屋
・アトリエウォボ
・fuchidori
・たぐい食堂
・yamamoto store

ペットも車も諦めたくないあなたへ

所在地:大田区田園調布
15万円 / 39.6平米
東急東横線「田園調布」駅 徒歩6分

大きすぎない犬や猫、ウサギなどが相談可能です。

駐車場が月額1万円なのも嬉しいポイント。(幅約2.1m、奥行約3.3mのため、車種によっては入り切らないものもあります。ご注意ください)



緩やかな坂道の中腹にある緑豊かなマンション。

オレンジに色づくメタセコイアの木々やヒマラヤ杉 ... 続き>>>.
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ペットも車も諦めたくないあなたへ

所在地:大田区田園調布
15万円 / 39.6平米
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イチョウ並木と本棚を愛でる西荻窪

所在地:杉並区桃井
12万7,000円 / 38平米
中央線「西荻窪」駅 徒歩13分

壁一面を切り取る大きな窓と存在感ある本棚。

間接照明の灯りでほっこり過ごせるお部屋に暮らしてみませんか。



ワンルームならではの広々した開放感を保ちつつ、本棚やキッチンの小上がりなど、緩やかに空間が区切られた間取りの物件です。



中央にある棚を境に、リビングダイニングと寝室スペー ... 続き>>>.
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団地×リノベ×高円寺

所在地:杉並区高円寺北
13万8,000円 / 52.04平米
中央線「高円寺」駅 徒歩7分

気になるキーワードが並ぶ住まいの紹介です。

場所といい、昔懐かしい建物といい、刷新された室内といい、絶妙なバランス感を気に入ってくれる方も多いのではないでしょうか。



舞台は高円寺、元社宅だったしぶーい団地をテーマに、設計を担当したのはR不動産の馬場正尊率いるOpen A。2棟あ ... 続き>>>.
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“人口減少先進地”飛騨市、移住者でなく「ファン」を増やす斬新な施策!お互いさま精神で地域のお手伝いサービス「ヒダスケ!」

岐阜県の最北端に位置する飛騨市は、アニメ映画『君の名は。』のモデルとしても知られる景観が美しいまち。一方で、人口減少率が日本の30年先を行く、まさに「人口減少先進地」でもある。そんな人口減少の状況を「止められないもの」として真正面から受け止め、取り組んでいる。

令和4年度に、「地域を越えて支え合う『お互いさま』が広がるプロジェクト『ヒダスケ!』」が見事、「国交省まちづくりアワード」第1回グランプリを受賞! 飛騨市役所の上田博美さんと、飛騨市地域おこし協力隊の永石智貴さんにお話を聞いた。

飛騨市を推す人たちを“見える化“するファンクラブが原点

2004年に2町2村が合併して誕生した岐阜県飛騨市。飛騨高山が観光地として知られる高山市や、合掌造りで有名な白川村と隣接し、人口は2万2549人(2022年12月1日現在)、高齢化率は40.05%となっている。

「ヒダスケ!」誕生の前には、「人口減少先進地」としての課題解決のために、「飛騨市に心を寄せてくださる方を見える化しよう」と設立された「飛騨市ファンクラブ」の存在があった。

飛騨市役所の上田さんは話す。「飛騨市は、2015年からの30年で、全国平均の倍のスピードで人口減少すると予測される過疎地域です。現在、すでに2045年の日本の高齢化率を上回っているという現状があります。一方で、2016年に公開されたアニメ映画『君の名は。』で、聖地巡礼に来てくれる人たちが増えました。それ以外にも、スーパーカミオカンデで知られ、古川まつりはユネスコ無形文化遺産に登録されています。これまでも、観光などで飛騨市に来てくださる方などの存在に気づいていましたが、名前などがわからず、連絡を取ることができませんでした。そこで、飛騨市に心を寄せてくださるファンの方を見える化して、直接コミュニケーションが取れる仕組みを構築しようと考え、2017年1月に『飛騨市ファンクラブ』を立ち上げました」

飛騨市ファンクラブ「ファンの集い」の様子。前列中央は都竹淳也飛騨市長(写真提供/飛騨市役所)

飛騨市ファンクラブ「ファンの集い」の様子。前列中央は都竹淳也飛騨市長(写真提供/飛騨市役所)

「飛騨市ファンクラブ」の入会金や年会費は無料で、入会すると会員証や、希望者にはオリジナル名刺がもらえる。さらに、市内の対象施設で利用できる会員限定の宿泊特典や、市内の協力店舗でおトクに飲食や買い物ができるクーポンの配布も。また、飛騨のグルメを味わいながらのファンの集いやバスツアーなどに参加できることも大きな魅力だ。現在、会員は1万200人を突破している。

イベントを開催しながら会員と交流すること約3年。
「『スタッフとしてイベントをお手伝いさせてください!』と、わざわざ遠方から飛騨市へ足を運んでくださる会員さんが何人も現れたのです。そこで、この方達は、地域と関わる“関係人口”だといえるのではないか?と気がつきました」と上田さん。

「このような方達はどのようにして生まれ、またどのくらいいるのか」を検証するために、1年がかりで実験や研究を実施。その中で、「関係人口に関わるアンケート」を全国5000人を対象に行った。

「するとアンケートの結果から、関係人口と移住への興味は、必ずしもイコールではないことがわかりました。また、関係地となる地域へは、長期的な滞在よりも、1度訪れたことがあるかどうかが重要であることや、その地域で『嬉しかった・楽しかった』、また『役に立った』という経験が、愛着度を高める要因であることもわかりました」
その結果や実験を踏まえて誕生したのが、「飛騨市の関係案内所 ヒダスケ!」だった。

飛騨市+お助け=「ヒダスケ!」。困りごと解決のマッチングサービス「飛騨市の関係案内所 ヒダスケ!」のトップ画像

「飛騨市の関係案内所 ヒダスケ!」のトップ画像

2020年に誕生した「ヒダスケ!」は、飛騨市内にあるさまざまな困りごとを交流資源として、その困りごとに対して地域内外の人の力を借りて、楽しく交流しながら課題解決し、支え合いを生み出すというマッチングサービスだ。

ヒダスケとヌシの関係図(画像提供/飛騨市役所)

ヒダスケとヌシの関係図(画像提供/飛騨市役所)

「ヒダスケ!では、プログラム主催者を“ヌシ“、参加者を“ヒダスケさん“と呼んでいます。“ヌシ“のお困りごとを、事務局と“ヌシ“が相談しながらプログラム化していき、ネットで参加者を公募します。“ヒダスケさん“は自分が関わりたいプログラムに申し込み、現地またはオンラインで“ヌシ“を助けて、“ヌシ“は“ヒダスケさん“に“オカエシ“します。例えば、農作業を手伝ってもらったら、終わってからお茶菓子を一緒に食べて交流したり、オカエシに農産物を差し上げたりします。また、飛騨市や高山市、白川村で使える“さるぼぼコイン “という電子地域通貨500円分もお渡ししており、ヒダスケ!が終わった後も、飛騨のお店でお買い物や飲食を楽しむことができます。ボランティアや体験ツアーとの違いは、オカエシがもらえるということ以上に、地域の人と楽しく交流し、つながる体験ができることが大きいと思います」と上田さん。

2020年4月から2022年10月までに162プログラムを行ってきた「ヒダスケ!」。ホームページの「プログラム一覧」を見ると、たとえば「稲刈り」や「棚田の草取り」など、飛騨市の「困りごと」が並ぶ。毎年11月ごろには、雪が降る前に、街中の川にいる約2千匹の鯉を溜池に引越しさせるプロジェクトもある。

関わることができるジャンルもさまざまで、「農業編」や「景観保全作業編」、オンラインで参加できるプログラムなどがあり、興味や特技を生かして参加できそうだ。

川にいる鯉を網などですくい、水槽に移して、軽トラックで溜池へ運ぶ(画像提供/飛騨市役所)

川にいる鯉を網などですくい、水槽に移して、軽トラックで溜池へ運ぶ(画像提供/飛騨市役所)

農作業のオカエシに、トマトを受け取るヒダスケの人達(画像提供/飛騨市役所)

農作業のオカエシに、トマトを受け取るヒダスケの人達(画像提供/飛騨市役所)

飛騨市を愛し、交流を求めて「ヒダスケ!」する参加者たち

もともと、前身の「飛騨市ファンクラブ」に入っていて、その流れで「ヒダスケさん」になった人も多いという。

参加者は、東京都や愛知県、石川県など各地から訪れる。多くは40代から60代で、長期の休みには、高校生や大学生も訪れるという。遠方では、ベルギーから日本へ働きに来ていた人が、休日を利用して参加し、ビニールハウスを建てる作業を楽しんだこともあるという。また、コロナ禍と重なり、一時期は岐阜県内からの参加者を募った時期もあったそう。

地元の高校生が発案した、高校生×ヒダスケのコラボ企画。池田農園で薪割りとミニトマトの収穫(画像提供/飛騨市役所)

地元の高校生が発案した、高校生×ヒダスケ!のコラボ企画。池田農園で薪割りとミニトマトの収穫(画像提供/飛騨市役所)

池田農園で薪割りのお手伝いをする高校生(画像提供/飛騨市役所)

池田農園で薪割りのお手伝いをする高校生(画像提供/飛騨市役所)

「ヒダスケ!」は現地集合・現地解散。それでも、「そこまでして飛騨市を愛してくれる方々が、ヒダスケさんになってくれています」とのこと。

「交流を求めて参加する皆さんは、『農作業が好きだから楽しかった』とか、『ヌシから、自分の生活範囲では聞けないような話が聞けてよかった』と言ってくれます。一緒に農作業したヌシの熱い思いに触れて、ヌシや飛騨市のことが好きになり、その人から農作物を買うなど、ヌシへの応援を続けてくれるヒダスケさんもいますし、参加者同士が仲良くなって連絡を取り合い、次回は一緒に参加するなど、輪を広げているというケースも耳にします」

「けさ丸りんご園」では、りんごあめのラベルやリーフレット作りのプログラムも実施(画像提供/飛騨市役所)

「けさ丸りんご園」では、りんごあめのラベルやリーフレット作りのプログラムも実施(画像提供/飛騨市役所)

「楽しく交流しながら支え合いを生み出す」という当初の理念通り、全国各地に助け合いの輪が広がり始めている。

魅力維持の原動力に繋がった、ヌシ側の心の変化

それでは、迎えるヌシ側の心境はどうなのか。ヌシになる人を探したり、ヌシと一緒にプログラム内容を考えたりする、飛騨市地域おこし協力隊の永石さんにお話を聞いた。

「ヒダスケ!のプログラムは、工夫次第でどんな内容でもつくることができますが、しばらくは、ヌシになることに対して敷居の高さを感じている人が多かったようです。飛騨市の人はおもてなしの精神が強いだけに、『自分でできることなのに手伝ってもらうのは申し訳ない』と思ってしまったり、オカエシをプレッシャーと感じてしまったりしていたのです。そこで、僕たちが住民の皆さんと直接話し、雑談の中からお困りごとを見つけるようにしました」

子どもたちもお手伝いした障子張り(画像提供/飛騨市役所)

子どもたちもお手伝いした障子張り(画像提供/飛騨市役所)

「各地から人を呼んで、わざわざ日常のことを頼んでいいのか」と躊躇してしまう住民たちに寄り添い、根気強く話し、推進してきた。

「もちろん、外の人を受け入れるヌシ側も、ヒダスケさん達をただの労働力だと思っていては意味がありません。取り組みを理解してもらうまでには、時間がかかると思いますが、住民が外の人と交流しながら作業することで、関係人口についても考えてもらえればいいですね」

自然と共存する飛騨市では、農作業を含め、数限りない大小の困りごとがあるものの、ちょっとしたことであれば「頑張れば自分でできる」と踏ん張る高齢者が多いという。そんな時、永石さんは「できなくなってから手伝ってくれる人を探しても遅いから、今から始めよう」と伝えているという。

収穫期の稲刈りは人気のプログラムの一つ(画像提供/飛騨市役所)

収穫期の稲刈りは人気のプログラムの一つ(画像提供/飛騨市役所)

例えば『高齢になり、大きな荷物を捨てに行くことができない』というようなお困りごともOKです。農家の畑の雑草取りを“エ草サイズ“と名付けて、参加者にエクササイズ感覚で作業してもらったこともあります」

飛騨市役所の上田さんも話す。「地域外の方を受け入れる人たちの気持ちにも、ヒダスケ!などの取り組みを通して変化が現れてきているように思います」

好例が種蔵(たねくら)地区だ。全国的にも珍しい、石積みの棚田が広がる種蔵地区では、80代のお年寄りも鍬(くわ)を担いで急勾配を上り下りし、農作業を行っている。

ヒダスケ!によって青々としたミョウガ畑が復活した種蔵地区(画像提供/飛騨市役所)

ヒダスケ!によって青々としたミョウガ畑が復活した種蔵地区(画像提供/飛騨市役所)

種蔵地区はミョウガが特産品の1つだが、高齢化により休耕地となってしまう農地もある。そこでヒダスケ!を活用し、「myみょうが畑」としてオーナーを募集。ミョウガ畑の草刈りや間引き、収穫などを行った。それにより、これまでに953平米ものミョウガ畑が復活することになった。

「ヒダスケ!に限らず、さまざまな人や団体が種蔵地区と関わり、景観の維持ができただけでなく、そこに住む人々の気持ちにも前向きな変化が現れています」

飛騨市を愛するヌシたちを助け、交流するために参加する人も多い(画像提供/飛騨市役所)

飛騨市を愛するヌシたちを助け、交流するために参加する人も多い(画像提供/飛騨市役所)

また、ヒダスケ!をきっかけに、地域の内外での往来や助け合いが自然と生まれるようになったという。さらに、プログラムに参加した移住者と地域の人がつながる仕組みとしても機能しているとのこと。

困りごと解決から魅力を発掘し、地域力アップ

2022年12月時点のヒダスケ!人数は1487名。
「来てくれたからには、ヒダスケ!参加者に楽しんでほしい」と話す永石さん。内容により、参加者の集まりにばらつきがあるので、今後はどんな企画を用意して、どのように広報していくかが課題だという。

「今後は、古民家の修繕や改装などを考えています。地域の人が困っていることは、募集していること以外にもいろいろあるので、内容は何でも、その都度合わせていければ。また、これまでは日にちを指定して、参加者に申し込んでもらっていましたが、これからは『この1カ月で作業できる日は?』と幅を持たせて呼びかけ、人が集まりやすい日にプログラムを実施するなど、やりたい人に合わせていく方法も考えています」と永石さんは計画を語る。

20代から60代までが三又鍬を使って「田おこし」を実施(画像提供/飛騨市役所)

20代から60代までが三又鍬を使って「田おこし」を実施(画像提供/飛騨市役所)

上田さんも話す。
「関係人口を形成する方達との関わりは、地域の人を元気にするチカラがあると思います。地域の人にとっては当たり前に感じていたことも、ヒダスケ!を通して魅力だと認識できるので、ここに住んでよかったと思い、守り続けようという気持ちにも繋がっていくはずです。これからも、飛騨市でまだ眠っている困りごとと共に、魅力を掘り起こして、関係人口を増やしていきたいです」

また、「こういった助け合いは、飛騨市だからできることではなく、どの地域でもできること」と上田さん。すでに「ヒダスケ!」を参考に、島根県で「しまっち!」というマッチングシステムが運用されている。

島根県のマッチングシステム「しまっち!」のロゴ

島根県のマッチングシステム「しまっち!」のロゴ

「最終的には、ヒダスケ!のようなシステムがなくても、助け合いが自然と生まれるような社会になれば。人口が減っていく中でも、関係人口との関わりで地域が元気になることが理想です」と上田さんは結んだ。

移住する「定住人口」とも観光に来た「交流人口」とも、違う形で地域と関わる“関係人口“。興味を持った地域があれば、誰でもいつでもどこからでも、関係を深めにいくことができるはずだ。

農作業のオカエシで、「さるぼぼコイン」500ポイント分をゲット!(画像提供/飛騨市役所)

農作業のオカエシで、「さるぼぼコイン」500ポイント分をゲット!(画像提供/飛騨市役所)

筆者の父の郷里も飛騨地域。オンラインでの取材後、映画『君の名は。』を見直すと、祖父母も使っていた飛騨弁が懐かしかった。そういえば祖父母が他界して以来、飛騨を訪れる機会や理由は減ってしまった……。

そこで考えたのは、「生まれた場所に関わらず、多くの人が、全身でリフレッシュできるような心のふるさとを持ちたいものでは」ということ。とはいえ、どの地域を選んだらいいかわからない。こちらが勝手に「心のふるさと」に決めていいものか……!? そんな迷いを、お互いさまであるヒダスケ!の仕組みが払拭してくれそうだ。

全国のヌシたちは、あなたとの関係づくりを、きっと待っている。

●取材協力
・ヒダスケ!
・飛騨市役所

小さな空間、豊かな暮らし

所在地:墨田区錦糸
7万~7万2,000円 / 13.92~18平米
半蔵門線「錦糸町」駅 徒歩3分

超コンパクトな空間ながら、極限まで空間を立体的に使い切るリノベーションにより、まさかのリビングとワークスペースまで確保した凄腕物件。



1階には2022年7月に、美味しいコーヒーと焼き菓子があるカフェ『私立珈琲小学校』がオープンしたばかりですが、錦糸公園まで徒歩1分ということもあ ... 続き>>>.
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最上階ひとり占め -自分だけの屋上付き-

所在地:港区白金台
18万5,000円 / 58.72平米
南北線・都営三田線「白金台」駅 徒歩10分

最上階のワンフロアをひとり占め。しかもルーフバルコニーと、専有スペースからのみ出入りできる屋上付き。弱点はいくつかありますが、なかなかおもしろそうじゃないですか。



屋上からのパノラマはもちろんステキなのですが、まずは弱点から。

・西側の隣地にて5階建てマンションを建設中のため、 ... 続き>>>.
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日々のくらしにアトリエを

所在地:新宿区赤城下町
14万6,000円 / 38.47平米
東西線「神楽坂」駅 徒歩4分

のんびりと神楽坂で暮らしながら、自宅の一部をアトリエとして使う。そんな姿がはっきりと目に浮かぶ空間です。



おまけに小型犬か猫1匹までであれば、ペット飼育も可能。大切な相棒と、こんなにすてきな空間で暮らせるなんて・・・



2021年3月にリノベーションされたばかりの、今回の区画。 ... 続き>>>.
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光降り注ぐ、コンクリートの家

所在地:世田谷区弦巻
38万円 / 103.84平米
世田谷線「世田谷」駅 徒歩9分

建築士のオーナーが自ら基本計画をしたコンクリートの戸建て。天井高約4mの吹き抜けリビングへ大きな窓から光が降り注ぐ空間に、うっとりしてしまいました。



地下1階は寝室、1階にリビング、2階はダイニングとキッチン、3階は仕事場、といった具合に、各フロア異なる用途に分けられるつくり。 ... 続き>>>.
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自然を満喫、レトロ好きに贈る部屋

所在地:横浜市青葉区美しが丘
9万8,000円 / 54.77平米
東急田園都市線「たまプラーザ」駅 徒歩11分

たまプラーザ駅。言わずと知れた、東急の再開発によるベッドタウン。駅前の華やかさが好きか嫌いかは個人差がありますが、ご安心ください。人工的な香りは一瞬にして通り過ぎて、広大な団地に迷い込んだら、信号の必要がない自然豊かな環境が広がります。



団地の昭和な雰囲気を上手く残しながら令和 ... 続き>>>.
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シンプルでグッドな箱

所在地:港区南青山
17万2,546円(税込) / 33.48平米
銀座線「外苑前」駅 徒歩1分

外苑前駅から徒歩約1分!ほぼ駅の目の前と言っても過言ではない便利な立地に、ざっくりとラフなコンクリートの質感を楽しめる空間が完成しました。



天井は抜かれて約2.65mと高め。壁や天井は塗装で仕上げてあり、これぞクリエイティブ系のオフィスといった雰囲気。シンプルで無駄のない空間は ... 続き>>>.
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ゆとりが効いたデザイナーズ

所在地:杉並区松ノ木
17万9,000円 / 61.65平米
丸ノ内線「新高円寺」駅 徒歩6分

植栽にぐるりと囲まれた、まるで要塞のような重厚感のある建物。エントランスを抜けると待っているのは、緑と水の中庭。室内に入る前から期待感が高まります。



約2.6mの天井の高さと無垢床の質感が、コンクリートの重さを感じさせず、デザイン性の高さが感じられる部屋。南側の窓から入る日の光 ... 続き>>>.
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あの名作が見たくなる!?【賃貸】

所在地:台東区台東
8万9,000円 / 25.05平米
日比谷線「仲御徒町」駅 徒歩5分

■賃料が下がりました!■



近未来の荒廃した世界を描く『マッドマックス』という映画を見たことはありますか?



広大な砂漠で、改造したゴツい車やバイクを走らせるモヒカン頭の荒くれ集団に、さすらいの一匹狼が立ち向かうという物語で、独特の世界観を持つ作品です。



まるで少年が夢見る格好 ... 続き>>>.
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屋根裏気分のミニ戸建

所在地:練馬区関町東
9万9,000円 / 37平米
西武新宿線「武蔵関」駅 徒歩6分

まだありました、久々の50's!

こんなところに?という小道の奥で出会えたのは、屋根裏に秘密部屋を得てしまった気分になれる、ワクワク感がある小さな平屋です。



オーナーは戸建暮らしが大好きなご夫婦。ご自身も戸建ばかりを住み替えながら手入れや工夫を楽しく実践されていて、そんな中で出 ... 続き>>>.
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眺めの良いワンルームを書斎に

所在地:港区赤坂
10万7,000円 / 21.33平米
千代田線「乃木坂」駅 徒歩7分

自宅とは別に、眺めの良い書斎をもってみませんか?

赤坂・乃木坂・青山一丁目の3駅にアクセス可能なお部屋の紹介です。



玄関を入って目に入るのは大きな窓。青山方面の街並みを一望できます。

北向きですが窓の面積が広いので光がよく入り、時間による日差しのムラもありません。パソコン作業の ... 続き>>>.
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ひと味違うリノベーション

所在地:横浜市港北区菊名
8万5,000円 / 25.3平米
横浜線・東急東横線「菊名」駅 徒歩9分

丁寧につくられたものは、時間が経っても価値を失わない。そんな風に思える、ひと味違う空間にリノベーションされた気品の感じられるワンルームのご紹介。



設計を手掛けたのは、グループサイト「toolbox」にて。あえて天井までの壁では仕切らない、ゆるく仕切られた室内は、どうしても出てし ... 続き>>>.
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山形住みます芸人・ソラシド本坊元児さん「東京の8年間は罰ゲームみたいだった」。都会を捨て、農業や”まともな生活”で得た充足感

吉本興業の芸人さんが全国47都道府県に暮らす「あなたの街に”住みます”プロジェクト」。お笑いコンビ「ソラシド」の本坊元児さんは、指名を受けて2018年に山形県へ移住、テレビやラジオ出演のかたわら農業を営んでいます。本坊さんのように地方へ移住をしてみたいと願う人も最近は増えていますが、不安や迷いも多くて足踏みしてしまうことも。そんな迷える人に向けて教えてください。本坊さん、移住について本当のところはどう思っているんですか?

手探りで始めた農業は、ご近所の人から教わった

現在山形市内に居住しながら、西川町にある畑や竹林、平屋の古民家を借りて通いで農業に勤しむ本坊さん。日本テレビのTV番組「人生が変わる1分間の深イイ話」では、本坊さんの暮らしぶりに密着するコーナーもあり、注目をされています。実際に目にしたことがある人もいるのでは?芸人仲間で仲良しの「麒麟」川島明さんも、本坊さんの山形暮らしについて、メディアでたびたび話しています。2022年4月には、山形暮らしのことを綴った『脱・東京芸人 都会を捨てて見えてきたもの』(大和書房)を上梓しました。

山形での暮らしぶりを赤裸々に綴った、本坊さん二冊目の著書(画像提供/大和書房)

山形での暮らしぶりを赤裸々に綴った、本坊さん二冊目の著書(画像提供/大和書房)

それにしても、芸人さんが農業? 一体どんな生活をしているのでしょうか。私たちは東京から飛行機で1時間、さらに車に乗り換えて1時間ほどかけて、西川町に到着しました。

本坊さんの畑がある場所は、山々に囲まれた自然豊かな環境(写真撮影/土田 貴文)

本坊さんの畑がある場所は、山々に囲まれた自然豊かな環境(写真撮影/土田 貴文)

広大な畑をせっせと行き来する本坊さん。「こんにちは」と近くに行くと、10月上旬のこの日は大根の葉の間引きや、里芋の収穫作業をしていました。

大根の葉の間引き作業をする本坊さん(写真撮影/土田 貴文)

大根の葉の間引き作業をする本坊さん(写真撮影/土田 貴文)

(写真撮影/土田 貴文)

(写真撮影/土田 貴文)

作付けをしている畑は約400平米ほどの広さ。ここでは現在里芋、大根のほか、玉ねぎやジャンボニンニクなど1シーズンで8種類近くの農産物を育てています。

「実は、里芋の収穫は作付けしてから初めての作業なんですよね、一体どうやるのかなあ」と笑いながら手探りの作業が続きます。

ドキドキしながら里芋収穫の作業をする(写真撮影/土田 貴文)

ドキドキしながら里芋収穫の作業をする(写真撮影/土田 貴文)

掘り起こした根元を見てみると、たっぷり里芋が!(写真撮影/土田 貴文)

掘り起こした根元を見てみると、たっぷり里芋が!(写真撮影/土田 貴文)

「農作物の育て方も、農機具を使うことも、ここにきて初めて知ったこと。何も知らないことばかりで、試行錯誤です。あまりに何もわからないから、ご近所の人たちや、地主であるシゲルさんから教えてもらいながら育ててきましたよ」(本坊さん)

本坊さんの農業の先生、地主のシゲルさんとの出会いは、2020年のコロナ禍、趣味である沖縄三線を通じてだったそう。

家主シゲルさんとの共通の趣味、沖縄三線を楽しむ(画像提供/吉本興業株式会社)

家主シゲルさんとの共通の趣味、沖縄三線を楽しむ(画像提供/吉本興業株式会社)

「それまでは少しずつメディアの仕事が増えていってたのが、コロナになって全てパー。アルバイトすらままならなくなったんですよ。そこで、以前から思っていた”何かやりたい、ここでしかできないことをしたい”を実行に移す時だと、農業を始めることに。そのタイミングでシゲルさんとSNSを通じて知り合い、空き家になっていた古民家と竹林、畑を月100円で借りられることになったんです」(本坊さん)

借りている平屋には、家主シゲルさん一家の生活の名残が感じられます(写真撮影/土田 貴文)

借りている平屋には、家主シゲルさん一家の生活の名残が感じられます(写真撮影/土田 貴文)

右も左もわからない状態で始まった山形暮らしですが、現在は毎日が大忙し。作った農作物を道の駅などで販売するほか、今年は近隣の食品会社から400本の大根の注文を受けたのだとか。「社長が、『本坊くんの作っている大根をうちで買わせてくれないか』って言ってくれて。大根を使って、漬物を作ってくれるんですって。ありがたいですよね。だから期待に応えられるようにしっかり作らないと、と思っているんです」(本坊さん)

農作物の生産や販売だけではありません。この日は取材の前に、西川町の名産品であるさるなし・こくわの商品PRショーを行っていたそう。農業を経験したことで、農産物のPRや商品開発にも携わることへと広がり、本気で農業と向き合っているそうです。
一方芸人としての仕事に始まり、東北地方でのメディア出演も増えているとのこと。現在テレビ6本、ラジオ2本へのレギュラー出演と2本の連載、そのほか講演活動にも勤しんでいます。「先日は小学校から講演依頼があったんですけど、テーマが『SDGs』で依頼をもらって。むずいテーマだなって思いながらも、17のテーマの中から農業とゲームで結びつけて話しました。こういう形で、芸人と農業が生きています」(本坊さん)

東京にいることが苦しくて、移住を決意

今でこそ多忙な毎日を送っている本坊さんですが、「それまで僕は20年間、今よりもずっと売れてなくて、月に5日も芸人の仕事があればいいほうでした」と話します。
「それ以外の時間は、日雇いの工事現場での仕事をしていたわけで。明日の予定さえよくわからない毎日だったんです。でも、おかげさまで今はやりたいこと、やらなくてはならないことが常にタスクとしてたまっている日々。そんな日々を走っているってことが嬉しいですね。忙しいことは、暇なことよりもストレスにならないです」(本坊さん)

東京時代のことを振り返る本坊さん(写真撮影/土田 貴文)

東京時代のことを振り返る本坊さん(写真撮影/土田 貴文)

会社からの指令で山形へ移住することに抵抗はなかったのでしょうか。

「そりゃあ、抵抗はありましたよ。2011年にも一度移住の話を持ちかけられたんですが、その時は断っています。だって僕らは芸人になりたくて吉本に入っているんであって、地方を目指したいわけではない。大都会のてっぺんで頑張りたいって思うわけです。その時は即答で断りました」(本坊さん)

その後東京で芸人活動を続けますが、次第に本坊さんは都会での暮らしに疲弊していったのだと振り返ります。

イチから始めた山形の生活も、四の五の言わずに淡々と楽しんでいる(写真撮影/土田 貴文)

イチから始めた山形の生活も、四の五の言わずに淡々と楽しんでいる(写真撮影/土田 貴文)

「とにかくバイト生活から脱したかった。ほとんどずっと工事現場で働いていて、『この生活は何の罰ゲーム?東京におる意味ってあるんか?』と思いながら過ごしていました。僕にとっての暗黒の8年間。仕事も辛かったけれど、それ以上に人や街の空気に酔ってしまい疲れていたんだと思います。年齢も30過ぎてて、住めるわけでもない大都会の真ん中へ、仕事のためだけに毎日電車に揺られて通う。しんどい以外の何ものでもなかった。そう思っている大人、他にもいるんちゃうかな。だから2回目の移住指令に応じたのは、正直なところ都会の苦しさから逃げたくてラクを選んだところもありました」(本坊さん)

移住をするからって、ずっと住むわけではない

移住してから初めのころは仕事を介した地元の人との付き合いが中心だった本坊さん。その後「芸人じゃない友人」である宅配便配達員・ジンくんとの出会いがきっかけで、仕事以外の地元の友達がたくさんできたといいます。

仲良しの友達ジンくん一家と、馬場園梓さんとの一コマ(画像提供/吉本興業株式会社)

仲良しの友達ジンくん一家と、馬場園梓さんとの一コマ(画像提供/吉本興業株式会社)

「芸人じゃない人たちの生活がとにかく新鮮でしたね。起きて布団を干して、洗濯をする。きちんと靴もそろえられていて、献立表とかが冷蔵庫に貼ってあるんですよ! 何もかもがまともな生活。ああ!こういう生活が普通の生活なんやって、40年近く生きてきて今さら知ったという。遅いんだけど(笑)。そのことがいちいち面白かったです」(本坊さん)

山形の人にとって当たり前の風景や気候も、本坊さんには何もかもが新鮮だったという(写真撮影/土田 貴文)

山形の人にとって当たり前の風景や気候も、本坊さんには何もかもが新鮮だったという(写真撮影/土田 貴文)

休みの日ともなれば友人たちと釣りへ行き、麻雀をし、食事を共にしては時には友人宅に寝泊まりするほど本坊さんは山形の暮らしに馴染んでいきます。これほどに仲良くなれるって珍しいのではないでしょうか。

「”地元を盛り上げたくて”みたいな、なんかうわついたこと言って構えて移住してきても、”あんた何言ってんの?”みたいに思うじゃないですか。大そうなことをしようとなんて思っていないし、正直に嘘をつかないで過ごすことが大事だと思うんです」(本坊さん)
本坊さんが徐々に人脈を広げて、そして仕事へと広がりを見せていったのは、無理な姿をつくらないこと、そして高すぎる志を掲げなかったことが多くの人との距離感を縮めていたのかもしれません。

この地区では一番若いという本坊さん。元気な年長者たちに助けてもらいながら、過ごしているそう(写真撮影/土田 貴文)

この地区では一番若いという本坊さん。元気な年長者たちに助けてもらいながら、過ごしているそう(写真撮影/土田 貴文)

「だから移住の理由も本音を話すんです。本当は”山形に来たくて、移住しました”っていう方がみんな喜ぶでしょうし、それを期待しているんでしょうけれど。”住みます芸人で指名されたから来ました”が僕の本音。嘘は言わない。でも、住むからにはその土地で文句を言わずにできることを一生懸命やる。これが僕のできることです」(本坊さん)
これだけ仲の良い人間関係が出来上がると定住しそうにも思えますが……。

「でもね、住んでる家は賃貸ですしね。一生家を買わない方向を考えているから、またどこかに引越すことになるかもしれません。その時になってみないとわからない。今は今で楽しいけれど、先はもしかしたらまたどこかに移住するかもしれない。そういう話をすると、山形の人たち寂しそうな顔するんですけどね。移住したからといって、移住先に一生住み続けなければならない。ってことはないんですよね」(本坊さん)

迷っている人がいたら、自分が斜に構えないこと

「移住をしたら、ずっと住み続けなければならないってことはない」ーーその一言にハッと目を覚まさせられた気持ちになります。なぜならば、移住を願う人たちの多くは、その土地に住むならば「失敗したらどうしよう・人間関係がうまくいかなかったらどうしよう」と、先々ずっと続く心配をしがちだからです。移住を先に経験している本坊さんは、そこをさらに突いてきます。

「いや、不思議に思うんですけど……。皆なんでそんなにトラブルがありき前提で家や土地探しに行くんですかね。確かに隣の人たちの顔が見えないっていう状況が怖いのはわかるんですけれど。でも正直、自意識過剰な気がします。相手にだって相手の生活があり、彼らにとっても知らない人が移住してくるのは不安や未知がある。見えない情報に翻弄されず、斜に構えないで、目の前の人たちのことをしっかり見ることが大事なんじゃないですかね」(本坊さん)

工事現場での作業経験を活かしながら、廃材を利用してDIYでつくった農作業庫(写真撮影/土田 貴文)

工事現場での作業経験を活かしながら、廃材を利用してDIYでつくった農作業庫(写真撮影/土田 貴文)

確かにその通りですね。自分のことばかりではなく、相手の立場に立って考えることで、不安や心配は和らぐのかもしれません。誰だって未知なる世界に不安が膨らむのは当然のことなのですから。

「僕も移住前に、空き家バンクなんかをネットで調べたりしました。今は手軽に情報が調べられるけれど、こと移住となると、ネットはやっぱり嫌なことしか情報として出てこないんですよ。でもそれを自分の実生活に当てはめてみると、ネットに上がっている情報が全てではなくて。鵜呑みにしない方がいいなって思いますね。半分ゴシップだと思えばいいんです」と語る本坊さん。

移住に対しても一歩俯瞰的に見ているところに芸人さんらしさを感じます(写真撮影/土田 貴文)

移住に対しても一歩俯瞰的に見ているところに芸人さんらしさを感じます(写真撮影/土田 貴文)

本坊さんがおっしゃるように、SNSやインターネットでの情報が手軽に入るようになったからこそ、不安の面積が広がっているというのはあるのかもしれません。

「だって、世の中には嫌な奴もいるし、一方ではいい人もたくさんいる。それは東京でも山形でも同じでしょう? だからパソコンやスマホを指先だけでいじって調べてないで、嫌なことも楽しいことも変化を面白がる。そのくらいの気持ちを持って、体ごとぶつかっていけば、“住めば都”になるかもしれないですね」(本坊さん)

実直な気持ちで、いいも悪いも変化として面白がる。そして失敗したと思っても引き返せばいいし、移住した先に住み続けることが必須ではない。その気持ちと行動が、移住を実現するには何よりも大切なのかもしれません。

東京から遊びに来てくれた「おかずクラブ」と大根の収穫作業を楽しむ(画像提供/吉本興業株式会社)

東京から遊びに来てくれた「おかずクラブ」と大根の収穫作業を楽しむ(画像提供/吉本興業株式会社)

「本音を言うとまた東京にいる芸人さんたちと一緒に仕事をしたいですよ、特に昔の仲間たちと」とぽつりと語してくれた本坊さん。しかし「東京の暮らしをまたしたいとは思わない、なんだかんだ楽しんでいるんだと思う」とも続けてくれました。

最近は芸人仲間も、本坊さんの山形暮らしにとっても興味を持っている様子。実際に「天津」の木村卓寛さんや、「おかずクラブ」の二人などが、遊びに来てくれたそうです。東野幸治さんはなんと地方移住に興味を持っているのだとか。こうして芸人さんにも、山形や移住のことを自分ごととして感じてもらい、更には街の人たちとの交流が増えるという流れをつくること。それが本坊さんにとってのこれからやりたいことだそう。ますます関係人口が広がっていきそうで、とても楽しみですね。

泥臭く大変な作業ですが、楽しそうに話す姿が印象的でした(写真撮影/土田 貴文)

泥臭く大変な作業ですが、楽しそうに話す姿が印象的でした(写真撮影/土田 貴文)

●取材協力
・吉本興業株式会社
・よしもと住みます芸人
・ソラシド
・本坊元児

ざくっと明るく!

所在地:神奈川県川崎市高津区溝口
8万円 / 31平米
東急田園都市線「高津」駅 徒歩8分

ざくっとしてます。



見た感じ男性好みなのかと思いきや、意外と女性の入居者も多いんだとか。



室内も本当にざっくりしてて、無垢で使い古した感のあるフローリングと塗装の壁。窓が多くて全体的に明るいし、えんじと緑の建具もアクセントが効いてます。



水周りはごくごく、簡易的。なので水周 ... 続き>>>.
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下北沢に鎮座する

所在地:世田谷区代田
11万1,000円 / 35平米
小田急線・井の頭線「下北沢」駅 徒歩4分

年季の入ったコンクリートの外観に風格を感じる、重厚なレトロマンション。かなりカッコいいほうのレトロマンションだということは、お好きな方にはすぐに分かるはずです。



建物があるのは下北沢駅から徒歩4分。駅近の好立地にもかかわらず、周囲は静かな環境が広がっています。



写真の撮影日は ... 続き>>>.
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「ホッ」と安心する住まい

所在地:渋谷区南平台町
6,980万円 / 71.23平米
井の頭線「神泉」駅 徒歩9分

■価格が下がりました!■



リノベーション物件の普及に伴い、驚くような内装を見かけることもありますが、やはりこういったフローリングと白塗装といった王道の内装には、個人的にどこかホッとするものがあるようです。



広いLDKは仕切ることもできるため、子供部屋としても使用可能。そんな機 ... 続き>>>.
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無垢材に包まれる家

所在地:文京区千駄木
12万円 / 29.75平米
千代田線「千駄木」駅 徒歩3分

いわゆる谷根千エリアと呼ばれる一帯のちょうど真ん中くらいの好立地。



千駄木駅から団子坂を上る途中の一見すると普通のビルの半地下部分に、無垢材とビスだけしか使わず、オーナーさんが一人でコツコツと、一年以上に渡るDIYですべてを作り上げた、個性全開の物件が完成しました。



オーナー ... 続き>>>.
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障がい者と健常者がともに働き、助けあう草分け的存在「わっぱの会」。街のパン屋から多事業展開へ40年の軌跡

「障がいをもつ人も、もたない人も共に生き、働ける場を」というコンセプトを掲げ、1971年から活動を開始したわっぱの会。その事業の一つである「わっぱん」は共働事業所で働く人たちがつくる無添加のパンです。
わっぱの会が障がいのある人とない人が共に生きていく世界を目指し、活動を続ける理由やその取り組み、住まいに関わる支援について、わっぱの会の斎藤縣三さんに話を聞きました。

障がいのある人たちがつくる、無添加国産小麦のパン「わっぱん」って?

「わっぱん」とは、名古屋を拠点に展開しているパン屋さんです。手作業を重視し、材料にはなるべく添加物を使用せず、遺伝子組換えではないものなど、自主基準を設けこだわっています。

もちろん、使用するカスタードクリームやジャム、つぶあんなどもすべて手づくり。自分たちが信頼できるもの以外は入れない、お手ごろな価格で安心安全なおいしいパンを届ける。そんなパンに込めるつくり手の姿勢は、わっぱんの事業を開始して以来、地域の人々に支持され、愛され続けています。

体に悪いものは入れない。安心でおいしい「わっぱん」のパンは地域の人に長く愛されている(画像提供/わっぱの会)

体に悪いものは入れない。安心でおいしい「わっぱん」のパンは地域の人に長く愛されている(画像提供/わっぱの会)

わっぱんのもう一つの大きな特徴は、障がい者と健常者が一緒に働くパン屋であること。今ではそのような業態はたくさんありますが、わっぱんの事業を開始した1984年当時としては大変珍しく、先駆けでした。わっぱんの誕生について、経営母体である「わっぱの会」の斎藤さんはこう話してくれました。

「わっぱんの事業を始めるまでは内職や移動販売などの仕事をしていましたが、収入は限られたものでした。事業として成立する形で障がいのある人に仕事を提供したいと考えたとき、手作業を活かせて、自立して生活できるだけの収入を得られる仕事として行き着いたのがパン屋だったのです。当時は全国で初めて障がい者と健常者が一緒にパンをつくって地域の人たちに買ってもらうという、時代に先駆けた取り組みでした」

手仕事にこだわった丁寧なパンづくり(画像提供/わっぱの会)

手仕事にこだわった丁寧なパンづくり(画像提供/わっぱの会)

地域の中で地域と共に。「ソーネおおぞね」の誕生

わっぱの会では、これまでの福祉サービスの域を超えて、地元の人たちとの交流や社会参加を重視した、地域に根付いた取り組みを大切にしています。その一つのモデルケースとなる施設が「ソーネおおぞね」です。リサイクルセンター、ショップ、ダイニングカフェ、フリースペース、住まいをはじめ小さなことから相談できる「相談所」の五つの機能をもつ複合施設になっています。

ソーネおおぞね内のショップ。わっぱんのパンや愛知の特産品、有機野菜などの幅広い品揃え(画像提供/わっぱの会)

ソーネおおぞね内のショップ。わっぱんのパンや愛知の特産品、有機野菜などの幅広い品揃え(画像提供/わっぱの会)

大曽根団地の中にあったスーパーの跡地を利用してつくられたソーネおおぞね。団地の過疎化が進み、空き部屋がたくさんある状況下で、団地の荒廃を食い止め、地域の人たちも参加できる施設にしたいという思いがあった(画像提供/わっぱの会)

大曽根団地の中にあったスーパーの跡地を利用してつくられたソーネおおぞね。団地の過疎化が進み、空き部屋がたくさんある状況下で、団地の荒廃を食い止め、地域の人たちも参加できる施設にしたいという思いがあった(画像提供/わっぱの会)

ソーネおおぞねでは、地域と連携して、団地内の空き部屋を借り受けて改修を行い、住宅弱者に貸し出したり、障がい者のグループホームの運営も行っている(画像提供/わっぱの会)

ソーネおおぞねでは、地域と連携して、団地内の空き部屋を借り受けて改修を行い、住宅弱者に貸し出したり、障がい者のグループホームの運営も行っている(画像提供/わっぱの会)

地域住民が一緒に参加する夏祭りを開催したり、キッズスペースをつくって子育て世帯も気軽に訪れることができるようにしたりと工夫を凝らしました。リサイクルセンター「ソーネしげん」での資源の買取にはポイント制を導入し、敷地内のダイニングカフェでそのポイントを利用できるようにしたりしたところ、ソーネしげんの会員は現在4000人を超えるまでに増えています。遠くからも車でやってくるほど、地域を超えて多くの人に受け入れられるようになりました。

ソーネおおぞね内にあるリサイクルセンター「ソーネしげん」。分別した資源を持ち込んで買い取ってもらうことができる(画像提供/わっぱの会)

ソーネおおぞね内にあるリサイクルセンター「ソーネしげん」。分別した資源を持ち込んで買い取ってもらうことができる(画像提供/わっぱの会)

リサイクルセンターとカフェにポイント制を取り入れた仕組み(画像提供/わっぱの会)

リサイクルセンターとカフェにポイント制を取り入れた仕組み(画像提供/わっぱの会)

障がい者と健常者の共生・共働を目指し、「一人で暮らしたい」「働きたい」に寄り添う

障がい者の「自立して暮らしたい」「社会の一員として働きたい」という想いに寄り添いつつ、障がい者と健常者のスタッフの生活を成り立たせていくのは簡単ではありません。現在、わっぱの会は事業による収入のほか、寄付や助成金などで運営を持続している非営利法人組織となりました。展開する事業の数は33に及び、年間の事業高は15億円にのぼります。それらは全て、今困っている人たちには何が必要かを考えて、発展していった取り組みです。

ほかにも、企業への就労支援や職業訓練、生活支援、居住支援なども積極的に行ってきました。年間に200名以上の就職を実現し、その実績が評価されて、ハローワークから就職先を探す依頼を受けることも多いそう。

「障がい者は『働きに行く』という意識が芽生え、お金を稼ぐ実感を得られるようになり、一緒に働く健常者は、新たな気づきや生きがいを見出している人が多いようです」

障がい者と健常者がともに働く場はパン屋、リサイクルセンター以外にも多岐にわたる。障がいがあっても働けることを理解してもらい、就職先を開拓する取り組みも行っている(画像提供/わっぱの会)

障がい者と健常者がともに働く場はパン屋、リサイクルセンター以外にも多岐にわたる。障がいがあっても働けることを理解してもらい、就職先を開拓する取り組みも行っている(画像提供/わっぱの会)

生活・仕事・福祉のお悩みも気軽に相談できる地域の相談所を運営(画像提供/わっぱの会)

生活・仕事・福祉のお悩みも気軽に相談できる地域の相談所を運営(画像提供/わっぱの会)

障がい者だけにとどまらない、わっぱの会の居住支援

2010年代の後半には居住支援法人制度の認定を受け、住まい探しの専門センターを設立。障がい者以外の生活困窮者からも多くの相談が寄せられています。

児童養護施設を18歳で退所した若者や、家族関係によって自宅が安心できる環境にない学生に寮として提供している建物(画像提供/わっぱの会)

児童養護施設を18歳で退所した若者や、家族関係によって自宅が安心できる環境にない学生に寮として提供している建物(画像提供/わっぱの会)

「最初は住まいを紹介するだけでしたが、障がいのある人の入居は大家さんも二の足を踏むことが多く、今は連帯保証人がいても保証会社がつかないとなかなか貸してもらえません。そこで私たちは、債務保証会社と協定を結び、わっぱの会が支援する人には、保証会社を付けられるようにしました」

それでも、家賃の滞納や近隣へのトラブルがあるのではないかなど、障がい者への偏見から部屋を貸したがらないオーナーは未だ多く存在するそうです。対策として、わっぱの会がオーナーから部屋を借り受けてリフォームし、貸し出すことにも取り組んでいます。また、わっぱの会が間に入って身元の保証や定期的な安否確認、死後事務まで行うことで、オーナーさんの不安を軽減しているのです。

障がい者やサポートを必要とする人たちへの事業は多岐にわたっている(画像提供/わっぱの会)

障がい者やサポートを必要とする人たちへの事業は多岐にわたっている(画像提供/わっぱの会)

わっぱの会が目指すもの。地域共生の未来とは

斎藤さんが学生だった1970年ごろ、障がい者は山奥の施設など、まちなかとは離れて社会と接しにくい場に置かれるれることが多くありました。その現実に疑問と憤りを覚え、健常者も障がい者も共に暮らし、働ける場所をつくろうと立ち上げたのが、わっぱの会です。

「共生・共働という考え方は、以前と比べて普通に使われるようになってきました。しかし、世の中で広く使われている言葉の意味は、私たちが考えるものとはズレがあるように思います。介護福祉事業への企業参入も増えてきましたが、障がい者に寄り添うことが目的ではなく、行政から補助金を得たり、利益を生み出すための手段として利用しているのではと疑わざるを得ないケースが増えています。

私たちの地域相談窓口に来る人には、障がい者以外の人たちも増えていて、かつては地域の中の支え合いで解決していたことも回らなくなって、今まで以上に地域が疲弊していると感じます。障がい者、健常者、生活困窮者といった枠を超えた福祉が今こそ必要で、そのためには地域をつなぎながら新しく地域を再編していく覚悟が欠かせません」

わっぱんでは、健常者と障がい者合わせて70名近くが同じ仲間として働いている(画像提供/わっぱの会)

わっぱんでは、健常者と障がい者合わせて70名近くが同じ仲間として働いている(画像提供/わっぱの会)

わっぱの会では職員と利用者といった、提供する側と享受する側に分けるような、従来の福祉サービスからの脱却を目指しています。障がい者もただサービスを受けるのではなく、関わる誰もが等しく会費を負担し、共同運営していく、生活と共働を支えるような組合のような組織。そして、成果主義ではなく、みんなで成果を分かち合っていく関係の構築を考えているそうです。

さらに、今後も支え合いを実践しながら活動を持続していくには、障がい者も健常者も生活できる事業として成立するだけのお金が巡る仕組みも欠かせません。枠にとらわれない支援の仕組みづくりと普及が急務とされるなか、わっぱの会の取り組みは一つのモデルケースになりそうです。

●取材協力
わっぱの会
わっぱん
ソーネおおぞね

そう!この空気感

所在地:杉並区浜田山
12万4,000円 / 36平米
井の頭線「西永福」駅 徒歩3分

毎回退去前に申し込みがあり、早急に募集が終了してしまう、東京R不動産でもおなじみのこのマンション。



とはいっても、もちろん契約前に必ず下見をしていただきますので、ご安心を。以下お読みいただいて、気に入っていただけたようであれば、申し込みフォーム(WEB入力)を送らせていただきま ... 続き>>>.
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秘密の洋館

所在地:港区白金台
18万円 / 45.57平米
南北線・都営三田線「白金台」駅 徒歩7分

都会のオアシスのような、緑にあふれた、ちょっと非現実的な空間。



シェラトン都ホテル、明治学院大学、覚林寺に3方向を囲まれ、それぞれの敷地の緑の借景を楽しめるうえ、こんな場所に建物があったのかとワクワクするような立地。



古い洋館っぽさを感じる外観や内装も、少し個性的な物件を求め ... 続き>>>.
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ひっそり山小屋暮らし

所在地:杉並区成田東
10万1,000円 / 31.47平米
丸ノ内線「南阿佐ヶ谷」駅 徒歩9分

ひっそりとした住宅街に佇む、まるで山小屋のような三角屋根の家。



その天井高は高いところで約4mと見上げるほど高く、実に開放的です。



角部屋という恩恵を受け、四方に窓があり、そのうえ天窓まで設けられているため、明るい光やフレッシュな風もたっぷりと取り込めます。



はしごを上った ... 続き>>>.
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奥渋の異世界へようこそ

所在地:渋谷区富ヶ谷
21万2,000円 / 53.8平米
千代田線「代々木公園」駅 徒歩4分

「奥渋」こと神山通りを少し脇に入り、小ぶりな門をくぐると目に飛び込んでくる小さな異世界。樹齢100年を超す大きなクスノキを中心に、緑豊かな植栽に囲まれた、すてきな中庭が出迎えてくれます。



ところ狭しと住宅が立ち並ぶエリアですが、緑と抜け感ある眺望を確保するため、どの住戸も中庭を ... 続き>>>.
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公園そばでまったり暮らそう

所在地:世田谷区大蔵
12万4,000円 / 43.9平米
小田急線「成城学園前」駅 バス10分 「NHK技術研究所」バス停 徒歩3分

歩いてすぐの公園は春に桜、秋に紅葉を楽しめます。

収納多めの暮らしやすい1LDKです。



内装は無垢フローリングと白壁のシンプルイズベストな組み合わせ。どんな家具にも合わせやすそうなお部屋です。



どの部屋にもクローゼットや壁棚など収納が多めに用意されています。見せる収納と隠す収 ... 続き>>>.
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駅遠&崩壊寸前の空き家6棟を兄妹3人の力で「セレクト横丁」にリノベ! 地元のいいものそろえ、絆も再生 「Rocco」埼玉県宮代町

地方都市や都市郊外で、古い平屋の一戸建てが並んでいるのを見かけたことはありませんか。築年数が経過しているうえに空き家だったりすると、なんとなく不気味な存在、なんて感じたことがある人もいるかもしれません。ところが、その建物の特性を見事に活かしてリノベーションし、地元ならではの「セレクト横丁」にした家族がいます。埼玉県宮代町に「ROCCO」を誕生させた、長年続く建設会社とその家族、出店した地元のみなさんに取材しました。

きっかけは父の病。建築、設計、デザインに携わる3人の子どもたちが地元に集う

高度経済成長期、日本のあちらこちらで、大量に木造賃貸住宅が建設されました。築50年、60年となった建物たちは、今のライフスタイルに合わずに借り手がつかず、放置され空き家となっていることも少なくありません。このまま放置が続けば、倒壊や害虫・害獣の住処になる可能性が出てくるなど、地域にとってはリスクにもなってしまうことも。そんな、日本のあちらこちらにある建物を、地域ならではの“セレクト”横丁として再生させたのが、埼玉県宮代町の「ROCCO」です。

今回取材した「Rocco」のリノベーション前の姿(左)。1970年の2Kの平屋は、全国各地で多数建築されました(写真提供/ROCCO)

今回取材した「Rocco」のリノベーション前の姿(左)。1970年の2Kの平屋は、全国各地で多数建築されました(写真提供/ROCCO)

平屋を“セレクト横丁”として生まれ変わらせた「ROCCO」。「なんということでしょう!」という声が聞こえてきそう。衝撃のビフォアアフターです(写真撮影/栗原論)

平屋を“セレクト横丁”として生まれ変わらせた「ROCCO」。「なんということでしょう!」という声が聞こえてきそう。衝撃のビフォアアフターです(写真撮影/栗原論)

リノベーションを手掛けたのは、埼玉県宮代町にある建設会社、中村建設の中村家の3きょうだいです。長男が会社を継ぎ、次男は都内で設計事務所を共同設立、長女はグラフィックデザイナーとしてそれぞれ活躍しています。

中村建設の中村家の3きょうだい。建設と建築、デザイン。それぞれの道に進みました(写真提供/ROCCO)

中村建設の中村家の3きょうだい。建設と建築、デザイン。それぞれの道に進みました(写真提供/ROCCO)

「はじまりは、ほんとに雑談だった」と振り返るのは、次男で一級建築士でもある中村和基さん。「飲みながら、あそこにお店があったらいいのに、って話したのがはじまりだったんです」と話すのは、末っ子の妹の中村幸絵さん。長男は父から会社を継ぎ、宮代町で暮らしていましたが、当時、2人は都内で暮らしていました。(次男は現在宮代町在住)

会話もきょうだいならではの気軽さ。大人になってからも仲の良い家族っていいですよね(写真撮影/栗原論)

会話もきょうだいならではの気軽さ。大人になってからも仲の良い家族っていいですよね(写真撮影/栗原論)

「父は地域に代々続く建設会社を営んでいました。今は長男が経営を継いでいます。2019年、その父が大病を患っていることがわかり、家族が交代で看病や介護をして支えようと、久しぶりに地元の宮代町に帰ってきたんですね。スーパーに買い物に来たら、平屋の空き家が並んでいるのが目について。『あの空き家、コピペ(コピー&ペースト)したみたいで(同じデザインの外観が並んでいる様子が)かわいいよね』『地元で気軽に寄れる場所やちょっとお酒を飲める場所がほしい、あそこは手を加えたらちょうどいいのでは?』と話していたんです」と幸絵さん。ちょうどコロナが流行りはじめ、リモートワークができるようになり、たびたびこの建物の話題があがっていたといいます。

周辺にはスーパーやドラッグストアがあるが、空き家だったころは周囲も暗い雰囲気だったそう。平屋は放置された状態が続いていた(写真撮影/栗原論)

周辺にはスーパーやドラッグストアがあるが、空き家だったころは周囲も暗い雰囲気だったそう。平屋は放置された状態が続いていた(写真撮影/栗原論)

「そんなある日、突然、長男が『あの建物の所有者と話してきた』と言うんです。実は、もともと建物の建築を請け負ったのが祖父の代だったということがわかり、売却してもいいよと言ってくださったんです。(書類を取り出して)これが建築当時の昭和45年の書類です。築52年、1戸当たり10坪の2K。戦後によくある建物だったんですね」と和基さん。

空き家問題でよく聞くのが、「大家さんは家賃収入があってもなくても生活には困らないので、知らない人には売ったり貸したりしたくない」という意向です。そのため、宙ぶらりんになってしまうことも多いのですが、このROCCOの場合、大家さんが地元企業の先代、先々代からの付き合いがあるということもあり、建物と土地を快く売却してもらえたそう。

契約書を見せてもらいながら、お話を聞かせてくれるお二人(写真撮影/栗原論)

契約書を見せてもらいながら、お話を聞かせてくれるお二人(写真撮影/栗原論)

春日部市、杉戸町、宮代町、地域に眠っている才能を掘り起こす

そうして土地と建物を売却してもらったものの、長年、空き家になっていたためか、建物はボロボロ。特にお風呂やトイレの状態は悪く、耐震性や断熱性など、現在の建築基準を満たすものではなかったといいます。

空き家になっていたためか、建物のあちこちが傷んでいたそう(写真提供/ROCCO)

空き家になっていたためか、建物のあちこちが傷んでいたそう(写真提供/ROCCO)

「かけられる費用のバランスをみながら、大規模リノベをしました。私が建築図面を引いて、妹がサイン等のデザインをして、現場の職人さんたちが作るというような流れで、距離感が近くて、判断が早いんですね。そのあたりのスピード感が内部でできる強みだと感じた」と和基さん。

とにかくこだわったのは、外観。清潔感があり、どんな業種の店舗が出店してもらっても馴染むだろうということから、白を基調にしました。
「完成してから気がついたんですが、白と青空ってすごく『映える』んですね。宮代町の大きな空とあっていて、みなさん写真を撮っていかれます」(幸絵さん)

建物は白を基調に。木材をふんだんに使い、やさしい印象に仕上げています(写真撮影/栗原論)

建物は白を基調に。木材をふんだんに使い、やさしい印象に仕上げています(写真撮影/栗原論)

「建物のリノベーション、契約などと同時進行で、出店してもらうテナント探しをはじめました」と和基さん。注力したのは、テナントもできるだけ「地元の人」「地元のモノ」「長く続けてもらう」ということ。

「東京で仕事をしてきて、家族の病気やコロナもあって、宮代町で過ごすようになって、その良さがわかった点は大きいですね。仕事柄、東京の飲食店ともつながりがあり、お願いすれば出店してもらうことは可能なんでしょうが、知名度・ブランド力のある店舗に出店してもらうのではなくて、地元でがんばっている人で作る、地元に愛される場所にしたかったんです」といいます。

そのため、隣の杉戸町の「わたしたちの3万円ビジネス」を手掛けるchoinacaさんに出向き、起業を希望する人たちがいるのか、どうすれば盛り上がる場作りができるかを相談したそうです。

「地域で起業したいと考えている人、場所があれば自分のお店にしたいと思っている人は、意外と多いんですね。このROCCOが、そんな人達の受け皿になったらいいなと思っています。地元の人がお店やっているとなれば応援したくなるし、地元だからこそ、何度も行きたくなる、そんな場所を目指したんです」(幸絵さん)

宮代町近郊で頑張っている人を探していたころ、隣の春日部市出身で、日本のバリスタコンテストで2冠を果たし、世界大会で準優勝という畠山大輝さん、地元で名物になっているおかきをつくる牧野邦彦さんなどと出会いました。人と人って、こうやってつながっていくんですね。

「宮代もち処 Jファーム」。もともとは米づくりを行っていた社長が手掛け、あげもちやおこわ、餅などを販売(写真撮影/栗原論)

「宮代もち処 Jファーム」。もともとは米づくりを行っていた社長が手掛け、あげもちやおこわ、餅などを販売(写真撮影/栗原論)

名産品として人気の宮代あげもち(写真撮影/栗原論)

名産品として人気の宮代あげもち(写真撮影/栗原論)

週末限定で餅を販売しているが、なんと1000個以上つくっても完売するのだとか(写真撮影/栗原論)

週末限定で餅を販売しているが、なんと1000個以上つくっても完売するのだとか(写真撮影/栗原論)

施工は長年付き合いのある職人。つながりと活気が戻ってくる

ROCCOは全6棟ありますが、コーヒーを扱う「Bespoke Coffee Roasters」、ギリシャヨーグルトとお茶を扱う「M YOGURT」、「宮代もち処 J ファーム」、サカヤ×ビストロ「FusaFusa」、「シェアキッチン棟」など、魅力的な店舗が並んでいます。どれもこれも、きょうだいで力をあわせて見つけてきた、よりすぐりの、熱意があるこだわりのお店ばかりです。

ちなみに、ギリシャヨーグルト専門店「M YOGURT」を運営するのは、春日部市でお茶の販売などを行う、おづづみ園の尾堤智さん。
「母が宮代町の出身ということもあり、今回、ギリシャヨーグルトの店を出すことになりました。私自身が北海道で製法を学んだ、生乳と乳酸菌しか使っていないギリシャヨーグルトを販売しています。正直、高価なので、どこまで売れるか不安だったんですが、杞憂でしたね。宮代町の方に愛されて、製造が追いつかないくらいの人気です」と話します。

ヨーグルトのほかに、日本各地の美味しいものを販売。お茶やヨーグルト、美と健康のセレクトショップを目指すといいます(写真撮影/栗原論)

ヨーグルトのほかに、日本各地の美味しいものを販売。お茶やヨーグルト、美と健康のセレクトショップを目指すといいます(写真撮影/栗原論)

店内で手作りしているヨーグルト。試食するとその濃厚さにびっくりします(写真撮影/栗原論)

店内で手作りしているヨーグルト。試食するとその濃厚さにびっくりします(写真撮影/栗原論)

ギリシャヨーグルトは1つ550円。ほかにもデザートヨーグルト650円などと決して安価ではないが、「美味しい」と好調に売れているそう(写真撮影/栗原論)

ギリシャヨーグルトは1つ550円。ほかにもデザートヨーグルト650円などと決して安価ではないが、「美味しい」と好調に売れているそう(写真撮影/栗原論)

濃厚な味わいで、おやつにもお酒のお供にもよさそう(写真撮影/栗原論)

濃厚な味わいで、おやつにもお酒のお供にもよさそう(写真撮影/栗原論)

酒屋さんがはじめたビストロ「FusaFusa」。東欧のワインを中心に扱っています(写真撮影/栗原論)

酒屋さんがはじめたビストロ「FusaFusa」。東欧のワインを中心に扱っています(写真撮影/栗原論)

カウンター席のみの店内。これはお酒とおしゃべりがはずみそう(写真撮影/栗原論)

カウンター席のみの店内。これはお酒とおしゃべりがはずみそう(写真撮影/栗原論)

ランチメニューの岩中豚ロースのとんかつ。開店前から行列ができる日もある人気ぶりです(写真撮影/栗原論)

ランチメニューの岩中豚ロースのとんかつ。開店前から行列ができる日もある人気ぶりです(写真撮影/栗原論)

棟と棟の間には、宮代町にある日本工業大学の学生の作品をディスプレイ(写真撮影/栗原論)

棟と棟の間には、宮代町にある日本工業大学の学生の作品をディスプレイ(写真撮影/栗原論)

シェアキッチン棟(左)とあずまや(右)。暗い雰囲気で、ひと気の少なかった場所が、地域に開かれ、人が集う場所に(写真撮影/栗原論)

シェアキッチン棟(左)とあずまや(右)。暗い雰囲気で、ひと気の少なかった場所が、地域に開かれ、人が集う場所に(写真撮影/栗原論)

シェアキッチン棟。期間限定ショップやイベント、誕生日会など、さまざまな用途に対応します(写真撮影/栗原論)

シェアキッチン棟。期間限定ショップやイベント、誕生日会など、さまざまな用途に対応します(写真撮影/栗原論)

今回、建物の施工には、先代、先々代から付き合いのある職人さんたちが参加してくれました。外観はROCCOチームが決定し、内装に関しては店舗側の要望にあわせて1棟ずつフルオーダーメイドで作成。職人さんから見ても、幼いときから付き合いのある中村きょうだいが力をあわせた「地域の建物再生プロジェクト」に気合いも入っていたといいます。

「工事期間中、周辺の住民から『ここ何ができるの?』って聞かれたら、職人さんが手をとめて、ここにコーヒー、ここにおかきって、案内までしてくれていたんですよ。みんなの思い、つながりが再生されていく感じでしたね」(和基さん)

残念ながら、きっかけとなったお父さまはROCCOの竣工を見ることなく逝去されたそうですが、きょうだいで力をあわせたプロジェクトに目を細めているに違いありません。
「完成していたら、毎日、それぞれのお店の品を買って周囲に配って、毎日、ビストロで飲んでいたと思います。豪快な人だったから」と幸絵さん。

ともすれば、「負の遺産」になりそうだった建物を、きょうだいの力で再生し、地域のシンボル、新しい場所としていく。工事を手掛けた人も、店舗を運営する人も、訪れたお客さんも地元のよさを再発見する。再生したのは単なる建物だけではなく、地域の人たちのつながりなのかもしれません。

●取材協力
ROCCO