
12万円 / 34平米
東急田園都市線「池尻大橋」駅 徒歩7分
兎にも角にもこの物件の主役は庭。バルコニーから続く階段を下った先に、パラダイスが待っています。
今は植栽のツツジが植えてあるだけの素朴な庭なので、お気に入りの鉢をたくさん並べて緑あふれる場所にしたり、机や椅子を出してくつろげる場所にしたりと、工夫しながら快適にお使いいただけたら ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
JR山手線と並んで東京を代表する路線といえるJR中央線。中央線自体は「中央本線」と呼称を変えながら東京駅を出てから神奈川県、山梨県、さらに長野県へとつながる長い路線だ。そのうち東京都内に位置する駅は、東京駅から高尾駅の全32駅。そんなJR中央線・東京都内32駅の中古マンションの価格相場はどんなものか? 専有面積50平米以上~80平米未満の中古マンションの価格相場ランキングをご紹介しよう。
中央線(東京都内)沿線の中古マンション価格相場が安い駅ランキング順位/駅名/価格(駅所在地)
1位 西八王子 2730万円(東京都八王子市)
2位 日野 3930万円(東京都日野市)
3位 八王子 3939万円(東京都八王子市)
4位 豊田 3998万円(東京都日野市)
5位 国立 4725万円(東京都国立市)
6位 立川 4880万円(東京都立川市)
7位 東小金井 4980万円(東京都小金井市)
8位 武蔵小金井 5390万円(東京都小金井市)
9位 西国分寺 5580万円(東京都国分寺市)
10位 国分寺 5680万円(東京都国分寺市)
11位 武蔵境 5980万円(東京都武蔵野市)
12位 三鷹 5990万円(東京都三鷹市)
13位 阿佐ケ谷 6698万円(東京都杉並区)
14位 高円寺 6880万円(東京都杉並区)
15位 西荻窪 6980万円(東京都杉並区)
16位 荻窪 7130万円(東京都杉並区)
17位 大久保 7190万円(東京都新宿区)
18位 中野 7380万円(東京都中野区)
19位 東中野 7494.5万円(東京都中野区)
20位 新宿 8080万円(東京都新宿区)
21位 御茶ノ水 8199万円(東京都千代田区)
22位 神田 9140万円(東京都千代田区)
23位 代々木 9180万円(東京都渋谷区)
24位 信濃町 9480万円(東京都新宿区)
25位 水道橋 9830万円(東京都千代田区)
26位 四ツ谷 1億480万円(東京都千代田区)
27位 千駄ケ谷 1億500万円(東京都渋谷区)
28位 市ケ谷 1億980万円(東京都千代田区)
29位 飯田橋 1億1000万円(東京都千代田区)
※東京、吉祥寺、高尾の各駅は調査対象物件数が10件以下のためランク外
リクルート住まいカンパニーが毎年調査する「SUUMO住みたい街ランキング(首都圏版)」では、JR中央線は2018年から5年連続で「住みたい沿線ランキング」の4位に輝く人気の路線。人気が高いと沿線にある物件の価格もアップしがちだが、広範囲にわたる路線だけあって駅ごとの価格相場の開きが大きいことが調査により判明した。
最も安かったのは八王子市にある西八王子駅で、価格相場は2位より1200万円も安い2730万円だった。中央線の都内最西端の駅である高尾駅の一つ手前に位置し、JR中央線の快速と通勤特快を乗り継ぐと新宿駅まで約48分、東京駅までは約1時間2分で到着する。
西八王子駅(写真/PIXTA)
1位・西八王子駅には生鮮食料品を扱う「市場館」と飲食店やドラッグストアなどが並ぶ「生活館」からなる「セレオ西八王子」が併設されている。駅周辺には多彩な飲食店が点在し、深夜1時まで営業するスーパーがあるのも便利なところ。また、駅南口から徒歩3分ほどの場所には、スーパーをはじめ100円ショップやドラッグストア、ベーカリーやクリニックなどを備えた「コピオ西八王子駅前」が2021年10月にオープンした。駅北口から7~8分も歩けば、南浅川の河川敷へ。川沿いには散策やサイクリングにぴったりな「浅川ゆったりロード」が整備され、春は桜並木が沿道を美しく彩ってくれる。日常の買い物に便利な施設がそろい、自然も身近に感じて暮らせるうえに価格相場も安い西八王子は、穴場の駅と言えそうだ。
2位は日野駅で、価格相場は3930万円。日野市を代表する駅の一つであり、駅の約15分圏内には市役所や市立図書館、広々とした「市民の森スポーツ公園」、トレーニングジムを備えた「市民の森ふれあいスポーツホール」といった市の施設が点在している。かつては甲州街道の宿場町として栄え、駅から10分ほど歩くと都内に現存する唯一の本陣である「日野宿本陣」の見学も可能だ。また、新選組の副長・土方歳三の出身地としても知られ、「新選組のふるさと歴史館」もあるなど歴史好きにはそそられる街だろう。
日野宿本陣(写真/PIXTA)
日野駅前に目を向けると飲食店が並んでいるほかスーパーやドラッグストアも複数あり、日常の買い物にも困らない。駅から北へ10分ほど歩くと、のどかに流れる多摩川が見えてくる。土手には緑が茂り、西方を見ると遠くに奥多摩の山影も見える。休日にぶらりと散歩をして、自然あふれる風景を眺めつつ気分転換するのもいいだろう。
3位には、1位・西八王子駅よりも1駅東京方面にある八王子駅がランクイン。価格相場は3939万円だった。八王子市はもちろん東京多摩地域を代表する駅であり、町田・横浜方面と結ばれたJR横浜線も乗り入れている。八王子駅から徒歩5分ほどの場所には京王線・京王八王子駅もあり、駅周辺は大にぎわい。JRと京王線の駅舎ともに商業施設が入った駅ビルがあるほか、ショッピングモールをはじめとした大型商業ビルが駅前に建ち並んでいる。一方で駅前の喧騒を離れると、西八王子駅周辺から「浅川ゆったりロード」が延びる浅川や、湧水が流れる谷や森と遊具広場を備えた「小宮公園」も。都市部の便利さと多摩地域らしい自然が共存する街並みと言える。JR中央線の通勤特快の停車駅なので、新宿駅まで約40分、東京駅まで約54分で行ける点も魅力だ。
八王子駅北口(写真/PIXTA)
浅川ゆったりロード(写真/PIXTA)
再開発で街が様変わりしつつある、あの駅は何位?続いて4位以下の注目の駅も見ていこう。まずは3998万円で4位にランクインした、日野市に位置する豊田(とよだ)駅。先行して再整備された駅北側に続き、現在は駅南側で街の再整備が進行している。駅の南側を流れる浅川手前までの約87haにわたる土地の区画整理を行い、歩道の幅を広げるなどの生活主要道路の整備や、公園の整備などが行われている状況だ。
豊田駅周辺(写真/PIXTA)
豊田駅南の土地区画整理事業の完了は2028年度の予定だが、すでに整然とした街並みへと変化がみられ、2023年度には南口駅前広場の本整備も予定されるなど着々と生まれ変わりつつある。現状でも駅北側に「イオンモール多摩平の森」や市立の総合病院があって暮らしやすいが、今後はより魅力的な街になると期待できそう。
もう1駅、18位にランクインした中野区の中野駅をピックアップ。中野駅は「SUUMO住みたい街ランキング2022(首都圏版)」で「住みたい街」19位、「穴場だと思う街」22位に選ばれている。価格相場は7380万円とトップ3に比べるとグッとアップ。しかし「穴場=街の利便性のよさを考えると物件価格が割安に思える」として名前が挙がるだけに、住みやすい様子。どんな街か見てみよう。
18位・中野駅はJR中央線快速の停車駅で、朝8時台はほぼ2~3分間隔で東京方面行きの快速が発車。新宿駅まで約5分、東京駅までは約19分で行くことができる。また、東京メトロ東西線の始発駅でもあり、飯田橋駅や大手町駅、葛西駅へもアクセスしやすい。駅周辺には個性的なテナントが軒を連ねる「サブカルの聖地」として知られる商業施設「中野ブロードウェイ」や、220m以上続くアーケード商店街「中野サンモール」などの商業施設が豊富で、生活する街・遊ぶ街として愛されてきた。
中野ブロードウェイ(写真/PIXTA)
また、ここ10年ほどは働く街としての注目度も上昇。2012年に駅北西側に再開発エリア「中野四季の都市(なかのしきのまち)」が街びらきを迎え、オフィスビルの中野セントラルパークや大型公園、大学のキャンパスなどが誕生した。そして駅周辺の再開発はまだまだ進行中だ。中野四季の都市の一角では区の新庁舎が建設中で、2023年度内に完成予定。駅北側に建つ街のランドマーク「中野サンプラザ」は2023年7月に閉館の後、オフィスやホテルなどの複合施設に建て替えが予定されている。さらに駅南側でも駅前広場の整備、業務・商業・住宅の複合ビルの建設などを計画。2029年度の完了を目指す街づくり事業により、中野駅周辺は一大転換期を迎えているのだ。
中野サンプラザ周辺(写真/PIXTA)
さて、今回のランキングを振り返ってみると、東京駅から近い順に神田駅~代々木駅の9駅が21位~29位、新宿駅~武蔵境駅の10駅が11位~20位、東小金井駅~西八王子駅の10駅が1位~10位にランクインしている(※調査条件を満たさない東京、吉祥寺、高尾の各駅を除外)。「東京駅から遠いほど価格相場が安い」という、大方の予想を裏切らない結果と言えるだろう。
ちなみに東京駅に最も近い22位・神田駅は価格相場9140万円で、ランキング中で最も遠い1位・西八王子駅は2730万円と、その差は6410万円。しかし遠いと言っても西八王子駅~東京駅は1時間少々で、前述の通り西八王子駅周辺の生活環境も整っている。都心部への近さばかりにとらわれないほうが、自分の暮らしにあった住まいが見つかるかもしれない。
●駅順の価格一覧
※東京、吉祥寺、高尾の各駅は調査対象物件数が10件以下のためランク外
●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている中央線(東京都内)沿線の駅掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ、専有面積50平米以上80平米未満
【データ抽出期間】2022/8~2022/10
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
「近所に素敵なお屋敷があったのに取り壊されてしまった……」。そんな経験がある人もいるのではないでしょうか。現代日本では建物に歴史的、建築的価値があっても、継承していくことが難しいものです。では、どうすれば歴史ある建物を継承し、住み継いでいくことができるのでしょうか。神奈川県葉山町の旧足立邸を購入し、子育てをしているご夫妻に話を聞きました。
1933年築の旧足立邸。2022年夏には国登録有形文化財に旧足立邸の外観。見た人の心をわしづかみにする美しさ(写真提供/旧足立邸)
旧足立邸は神奈川県葉山町にある1933年に建てられた西洋式別荘、いわゆる洋館です。王子製紙取締役だった実業家・足立正氏が、自身の家族と夏を過ごすための別荘として建て、今も「旧足立邸」と呼ばれています。この旧足立邸の設計を手掛けたのは、早稲田大学の大隈講堂、日比谷公会堂の設計などを手掛けた佐藤功一氏。ハーフティンバー様式による美しい外観の佇まいはまさに圧巻のひとことで、2022年夏には、その歴史的価値が認められ、国登録有形文化財(建造物)として登録されました。
旧足立邸の内観。ご家族が暮らしているとは思えないのですが、4人家族のお住まいです(写真撮影/桑田瑞穂)
ここで暮らしていらっしゃるのが、柴田夫妻とそのお子さんたちです。「よく、本当に住んでいるの?と聞かれるんです」と妻の結さんは微笑みます。確かに、クラシカルかつ優美な世界観で統一された室内は、生活感が溢れ出てしまう暮らしとはほど遠く、にわかには信じ難いもの。ですがご家族は、確かにこの住まいで暮らし、日々を過ごしていらっしゃいます。
POLYPHON社のオルゴール。アンティークの品々と洋館の組み合わせで、まるで別の世界にいるようです(写真撮影/桑田瑞穂)
何気ないインテリアが美しく、ため息がでます(写真撮影/桑田瑞穂)
資金面に建築法規。住宅の継承を阻む難題は山積み!ただ、歴史的にも建築的にも価値のあるこの建物も、継承者がなかなか見つからず、一時期は取り壊しの危機にありました。歴史的な建物の継承が困難なのにはいくつか理由がありますが、主なものとして
(1)相続などにより売却、現金化の必要がある
(2)継承者そのものを見つけるのが難しい
(3)建物が現在の建築基準を満たさない
(4)購入するにしても住宅ローンが利用しにくい
(5)現在のライフスタイルにあわず、建て替えたほうが使い勝手がよい
(6)保守・維持にも人手、金銭面での負担が大きい
といった点が挙げられます。そのため、第三者が思っている以上に継承は容易ではなく、やむを得ず取り壊されてしまうのが実情のようです。
では、この旧足立邸は、どのようにして継承されたのでしょうか。ご夫妻に住まい探しについて伺ってみました。
応接室。現在、アンティークギャラリーになっています※住まいのため非公開(写真撮影/桑田瑞穂)
「そもそも住まい探しの思い立ちは、よくある話です。結婚して、夫婦で都内の賃貸住宅に暮らしていましたが、妻が妊娠したので住まいを買おうか、というもの。ただ、東京都内のマンション、一戸建てを見学していたものの、なかなかよいものがなくて」と夫が振り返ります。販売されている住まいを見学すればするほど、2人の「なにか違う」という違和感が大きくなっていったのだといいます。
玄関入ってすぐの吹抜け。ドール用の椅子がお出迎えしてくれます(写真撮影/桑田瑞穂)
「もともと私がアンティークショップに勤務していて、味わいのある古いもの、本物を大切にしたいという価値観だったんです。学校も横浜の山手に通っていたので、本物の洋館を目の当たりにしてきましたし、できるならお城か教会に住みたいと思っていたほど(笑)。だから日本の住まいを見ても、『○○風』だと物足りなくて……、もちろん輸入住宅も見学しましたが、どうも違う。海外の建物を移築してこようかと一時は本気で考えました」(結さん)
夫も「私自身も学生時代から古い建物が好きで、年月とともに味わいを増す、本物の建物で暮らしてみたいという思いがありました」といいます。そんなときにたまたま見つけたのが、売りに出されていた旧足立邸でした。2018年夏のことです。
「すぐに見学して申し込みをしたものの、金額面で折り合わなかったんですね。ただ、前の所有者さんとしては建物を壊さずにここで暮らしてほしいという意向を強くお持ちでした。他の購入希望者は法人が多く、建物を取り壊して開発する話もあったそうです」(夫)
玄関ホール。タイル貼りはモダンであり、クラシカルであり。室内の壁材は調湿作用のある繊維板「トマテックス」が使われています(写真撮影/桑田瑞穂)
旧足立邸だけではありませんが、古い建物は敷地にゆとりがあることが多いもの。経済合理性を考えれば、取り壊して土地活用を考えるのがもっとも王道といえるでしょう。それでも、建物を残したいという前所有者の意向もあり、他の購入希望者へすぐに売却という運びにはなりませんでした。
階段をあがった2階。吹抜けに重厚な手すり。フォルムも完璧(写真撮影/桑田瑞穂)
一方、ご夫妻も旧足立邸の購入はいったん保留とし、その後約1年半、住まい探しを続けていましたが、2019年が終わろうとするころ、ついに敷地の開発を計画する法人相手に売却が決定したという話を聞いた不動産会社が「旧足立邸の購入は諦めますか?」と夫妻に声をかけたのだといいます。
「他にもたくさん見学しましたが、洋館ってないんですよね。あったとしても、古いだけでボロボロだったり、場所が神戸などの首都圏外だったり。海外からの移築となれば予算も時間も想像以上にかかる。今後、子どもが大きくなれば、どんどん制限も出てきて、理想の住まいと出合えそうにない。だとしたら、ここで腹をくくろうと判断したんです」。予算を超えて高額とはなりましたが、ついに夫妻は購入を決断しました。
のちに聞いたところ、法人との契約はほぼ最終段階で、あとは判子を押すだけ、というところまできていたそう。「建物を残したい」という夫妻と不動産会社の思いがギリギリの展開を引き起こしたのです。
2階の児女室。今でいう子ども部屋でしょうか。ここは洋室&ベッドのスタイルです(写真撮影/桑田瑞穂)
ゼネコンや建築関係者、金融機関の熱意で難題を乗り越えるそうして購入を決断したものの、今度は建物の復元と暮らしにあわせたリノベ、さらに住宅ローンの問題が立ちはだかります。
「まず、洋館を買ったといっても、周囲に経験のある人がいない(笑)。完成当時の姿に復元すべきなのか、何からどう手をつけたらいいのか。困って会社の先輩に相談したところ、いい人を紹介してあげる、といわれて、大手ゼネコンで歴史的建造物の改修と活用を手掛ける専門家と出会うことができました。そこから住宅継承を手掛けている『住宅遺産トラスト』につないでもらい、古い建物の修繕やリノベについて情報をもらいました」
詳細を専門家に調査してもらったところ、建物の主要構造部に腐食や劣化はなく、耐震性や断熱性などは厳密には解体しないと詳細はわからないものの、まずは問題ないだろうという結論に至ったといいます。
また、歴史ある旧足立邸は戦後の一時期、GHQに接収され、その後も複数の所有者の手に渡っていました。そのため、キッチンやお風呂などは都度、リフォームされていたといいます。ただ、設計当時の建築図面が散逸していることもあり、完成当時の姿に復元することはあきらめ、お風呂は現在の家族が暮らしやすいデザインへと変更。さらに下水がきていなかったため敷地内に下水道を引き込む工事、食堂の壁紙と建具の修繕などのリノベーションを実施し、当面の家族の暮らしやすさを実現しました。
暮らしやすさを考慮しリノベーションした浴室(写真撮影/桑田瑞穂)
脱衣所からみたところ。どこを撮っても美しい(写真撮影/桑田瑞穂)
洗面はツインボウルを採用。家族が多く、忙しい朝でも便利ですね(写真撮影/桑田瑞穂)
こうしたリノベーション費用は夫妻の貯蓄から捻出したものの、想像以上に費用はかかったといいます。
「本当ならキッチンや和室も手を入れたかったのですが、まずはすぐに暮らせることを優先しました。ただ、暮らしてみると思ったより和室はしっくりきてなじみますし、子育てもしやすいですね」と結さん。
2階の和室はお部屋からの眺めも良好。和と洋の塩梅が絶妙です。昭和を舞台にした小説などの舞台にもなりそう。ふらっと探偵さんが出てきそう(写真撮影/桑田瑞穂)
窓側から室内をみると完全に和室。視線の切り替えによってまったく異なる世界になる設計の妙(写真撮影/桑田瑞穂)
住宅購入費用は住宅ローンを利用し、現在、返済しているといいます。
「ただ、大半の金融機関には断られました。まず、住宅ローンの融資条件が上限1億円という金融機関が多く、そこで半分くらいお断り。次に建物ですね。当然ですが(住宅ローン審査に必要な)検査済証などもないので、そこでさらに金融機関に断られるんです。また、『ほんとに住むんですか?』とも聞かれました。この建物は女中部屋も含めると、なにしろ11部屋もあるので(笑)」(夫)
ただ、金融機関のなかでも、古い建築物を残していくことに理解のある大手金融機関の担当者と出会えたことで事態は好転。「ここで夫妻が住宅ローンを組めなければ、旧足立邸が解体されてしまう」と熱意をもって上長に掛け合ってくれたことで、なんとか融資を受けることができたそう。
「ドラマさながらの、熱い金融マンの世界ですよね。いい人に巡り会えました」といい、建築関係者と金融の担当者、それぞれの力と熱意があり、無事、「継承」が行われたようです。
照明などでも残されたものはできるだけ使う一方、絵画などは夫妻の好みでセレクト。世界観に合い過ぎる(写真撮影/桑田瑞穂)
良い建物は人を集め、暮らしを豊かにする現在、家族が暮らしはじめて2年と少しの月日が経過。建物の一部を撮影場所として貸し出していることもあり、ロケハン(下見)や撮影スタッフ、建物の調査研究者、文化財登録のための行政担当者など、日々、多くの人が住まいと関わり、つながりをもたらしてくれるといいます。
「とにかく庭が広いので、子どもたちは庭でよく遊んでいます。私のきょうだいの子どもたち、つまりいとこたちですが、この建物が大好きでよく遊びにきています。コロナ禍で思うように外出できなかったときも、庭があるので、息が詰まるようなこともありませんでした。日に日に移りゆく、草木の変化も本当に愛おしくて。ただ、庭も理想の姿とは遠いので、もう少し手入れをしたいのですが」と結さん。
夫は現在もテレワークのため、週2日ほど自宅で仕事をしていますが、サンルームに書斎、庭など、仕事をする場所に困ることはありません。
「修繕にかかわった大手ゼネコンの人に言われたのが、『この家は力があるから、何もしなくても人が集まるよ』と。確かに毎週末、誰かが来ていて、話がつきることもないし、子どもたちは常に遊んでもらっています。リノベーションを担当してくれた人も含めて、多くの人が同年代で、価値観も似ている。この住まいに携わらせてほしい、という人もいるほど。東京で、単に不動産を買うだけだったら、こうはならなかったでしょうね」といいます。
経年の味わいを感じられる廊下。傷も唯一無二だと思うと愛着すら感じます(写真撮影/桑田瑞穂)
建物の維持・管理を、お金と時間がかかる「義務」ではなく「趣味」として捉えると、こんなにも豊かな考え方ができるのだ、と気付かされます。また、結さんは洋館での暮らしを、「心の支えでもある」と話します。ともすれば子育てや現実に追われがちな日々だからこそ、大切なもの、美しいものが心の支えになるというのです。多くの人の願いと思いによって無事、継承されたこの建物、さらに50年、60年と豊かな時を紡いでいってほしい、そして願わくば次の世代へ……。洋館や古い建物が好きな一人として、そう願ってやみません。
●取材協力
旧足立邸
Velvet Knot /Antiques・洋館暮らし