
29万7,000円 / 92.5平米
銀座線「田原町」駅 徒歩3分
雰囲気の良い内装に、ダイナミックな空間構成。窓も大きく開放的で、日当たりも良好。ワクワクするような大空間でどんなコトをしようか、次々とイメージが湧いてきませんか。
そんな空間が広がるのは、台東区寿の大通りに立つレトロマンションの3階。建物は銀座線田原町駅から徒歩3分、都営大江戸 ... 続き>>>.
圧倒的に不動産情報が多いですが。。。。
「まほうのだがしやチロル堂」は、貧困や孤独といった環境にある子どもたちを、地域みんなで支える魔法の駄菓子屋さん。子ども食堂など食べ物を通じた取り組みが話題になるなかで駄菓子を通じた新しい取り組みです。この仕組みを支えているのは地域の大人の寄付。2022年にグッドデザイン大賞を受賞しており、理由は、大人が飲食を楽しむことで、代金の一部が寄付され、子どもたちはチロル堂のカプセルトイに投じた100円で、100円以上の価値のある駄菓子や食事をすることができる仕組みが評価されたことから。発起人のひとり、石田慶子さんにチロル堂の魔法の仕掛けを伺いました。
子どもたちに金銭での支援以上に価値のある食べ物を支援できる仕組み奈良県生駒市の大通りから一本入った路地に「まほうのだがしやチロル堂」(以下、チロル堂)はあります。学校帰りの子どもたちが暖簾(のれん)をくぐると、そこは懐かしい駄菓子屋さん。入口にあるカプセルトイには、魔法がかけられています。100円を入れて出てきたカプセルには、チロル堂だけで使える店内通貨「チロル札」が入っています。子どもたちは、このチロル札でお菓子を買ったり、カレーを食べたりすることができます。カプセルに入っているチロル札は1枚100円以上のものと交換でき、しかも枚数は1枚から3枚と運しだい。ドキドキ感は昔からある駄菓子屋の醍醐味と同じです。
暖簾が目印。やって来た子どもは最初に入口のガチャガチャを回す(画像提供/一般社団法人無限)
表情は真剣そのもの。「チロル札何枚出てくるかな」(画像提供/一般社団法人無限)
カプセルには、1~3枚チロル札が入っている(画像提供/一般社団法人無限)
近隣の幼稚園児や小学生でにぎわう(画像提供/一般社団法人無限)
魔法を可能にしているのは、地域の大人たちの寄付。このチロル堂には、大人も利用可能なチロル食堂やチロル酒場が併設されており、大人が飲食を楽しむことで、代金の一部が寄付され、子どもたちはチロル堂のカプセルトイに投じた100円で、100円以上の価値のある駄菓子や食事を食べることができるのです。例えば「チロルこどもカレー」は一般価格500円、これを子どもは1チロルで食べることができます。大人には日常のなかで気軽に寄付を行う機会、子どもたちにはそれを受け取る機会を、ともに1つの場所で生みだしているのです。
「チロルこどもカレー」を食べに来た仲良し二人組(画像提供/一般社団法人無限)
チロル堂をつくったのは、生駒市で放課後デイサービスを行う石田慶子さん、子どものためのアートスクールを開いている吉田田タカシ(ヨシダダ・タカシ)さん、デザイナーの坂本大祐さん、地域子ども食堂「たわわ食堂」を運営する溝口雅代さんの4人。発起人の石田さんに解決したかった地域の課題と、チロル堂が地域の子どもや大人たちに与えた影響を伺いました。
2021年8月にオープンしたチロル堂には、平日には30~40人、休日には200人の子どもたちが訪れます。多いときは、大人も含めると、ひと月で2500人が暖簾をくぐります。
カウンターでお絵描きや宿題をしたり、カレーや駄菓子を食べたり(画像提供/一般社団法人無限)
「当初は、お母さんと来たり、コソっとひとりで来て帰る子どもが多かったんですが、運動会の休憩時間中に、『チロル堂って知ってるか?』って子どもたちのうわさ話が学校中に広がって、運動会の振替休日に驚くほど多くの子どもたちがやってきたんです。そのうち、『上がっていいらしいよ』となり、子どもたちだけで待ち合わせしてカレーを食べに来たりするようになって。私たちも、チロル堂のスタートは、子どもたちの居場所になることだと思っていたので、よかった!と思いました」(石田さん)
子どもたちからどんな悩みが寄せられていますか? という質問に、石田さんは首を横にふります。
「子どもたちが、今困っているか困っていないかは、重要じゃないと思うんです。提供しているのは駄菓子や食事ですが、今貧困の子どもだけを対象にしているわけでもありません。今来ている子がいつ困るかわからないですよね。ずっと困らない子、問題を抱えない子はいないのではないでしょうか。困ったときにヘルプが出せるように、ここが開き続けることが大事だと思っています」(石田さん)
「放課後チロルに集合ね」と待ち合わせ場所に(画像提供/一般社団法人無限)
子どもの問題は、大人や社会の問題につながっている日本では、子どもの約7人に1人が貧困状態にある(厚生労働省国民生活基礎調査)といわれています。無料や安価で栄養のある食事や団らんを提供する「子ども食堂」が全国的に広がってはいますが、石田さんは複雑な思いや疑問を感じていました。
「子ども食堂があることはもちろん良いことですが、必要なこと自体がそもそも問題だと感じていました。子ども食堂ができることで、『困ったときはあそこに行けばいいよ』という大人が増えるとしたら、どうなんだろうと。隣の困っている子どもを地域の大人が助けるという責任を放棄しているように思うのです。おなかを空かしている子どもがいたら、大人がごはんをおごってあげるのは自然なこと、地域の子どもたちを大人が支えるのは当たり前のことではないでしょうか。困っている人は、行政や福祉が助けるべきだと大人が考え、自分たちの問題と切り離してしまうことで、子どもたちが誰にヘルプしたらいいかわからない社会をつくってしまっているんです」(石田さん)
石田さん(右)と子どもに誘われてやって来たお母さん(画像提供/一般社団法人無限)
石田さんが子どもの課題を社会の課題と考えるようになったのは、10年前から行ってきた障がいのある子どもの療育支援でした。子どもの抱える問題によって窓口が異なるなど、福祉支援があまりに縦割りで、横のつながりが薄いと痛感したと言います。
「子どもが困っていることの多くは、本人の障がいなどでなく、大人の問題や社会の問題だと気づいたんです。貧困や虐待、無理解や差別。問題は複雑に絡み合っているし、支援の縦割りで切り離されてしまうと解決できない多くの問題に直面し、福祉支援だけでは限界を感じていました」(石田さん)
アートや街づくりなど異なる経験をもつ4人が力を合わせるそんなとき、石田さんが出会ったのが、子ども食堂「たわわ食堂」の溝口さんでした。子ども食堂は、多くは子どもだけが利用する場所になっていますが、たわわ食堂が、子どもや大人、おじいさん、おばあさんが集い、支援する側、される側を超えた多様な人が集まる場所を実現していることに感銘を受けたのです。「課題を解決するのは、こういう場所なのかもしれない」と考えた石田さん。溝口さんと多様な世代、カテゴリーの人が集まる場所をつくろうと2019年ころから動き始めました。
次に石田さんが声をかけたのが、吉田田さんと坂本さんでした。
「福祉の人間が地域活動を行っても、福祉の場にしか刺さらなくて、自分たちの表現する力が足りないことはわかっていました。多くの人に届けるためには、もっと伝わる表現力、デザイン力が必要と考えました。吉田田さんは、子どものアートを通じた教育、坂本さんは、街づくりに携わっていて、“人間”に興味あるふたり。デザインをしていて人も見えている人は、ふたりの他にいないと思いました」(石田さん)
建物のデザインも手掛けた吉田田さん。暖簾は、坂本さんのデザイン会社が担当(画像提供/一般社団法人無限)
吉田田さんも坂本さんも石田さんの思いに即座に賛同。プロジェクトが大きく動き出したのは、吉田田さん発案の「寄付を『チロ』と呼ぶ」「この場所だけの通貨『チロル』を使って子どもたちが通貨以上の飲食ができる」という仕組みが生まれたとき。坂本さんによってロゴやチラシのデザインが決定。溝口さんは、週に1回、チロル堂で、運営費のサポートを受けながら子ども食堂を開くことになりました。チロル食堂のカレーやお弁当は、石田さんが運営する障がいのある人の就労支援のお仕事としてつくっています。
楽しみながら寄付ができる大人の居場所「チロル酒場」「子どもたちが抱えている問題は多様ですが、いちばん課題だと感じているのは、孤立、孤独です。都会・田舎に関係なくどこでも起こっている問題で、今の時代を象徴する、子どもに限らない日本の課題だと思っています。地域の大人が子どもを支える構造をつくるために必要なのは、子どもだけでなく、大人の居場所をつくること。それがチロル酒場です。昼間の駄菓子屋を見て、子どもの場所でしょ?と思っていた大人たちが、酒場がスタートしてから多くの方が訪れてくれるようになりました」(石田さん)
チロル酒場では、おいしい料理やお酒が提供され、子どもたちの親だけでなく、地域の大人でにぎわいます。店主との会話を楽しんだり、日頃の愚痴で盛り上がったり、大人たちは、飲食や場を楽しみながら、自然と寄付ができます。
水・木・金・土の18時30分から営業するチロル酒場。地元のインフルエンサーが店主を務めることも(画像提供/一般社団法人無限)
ドリンク・フードすべての代金に、子どもたちへの「チロ」が含まれている(画像提供/一般社団法人無限)
「地域の大人が子どもを支えていると意識することが大事だと思っています。といっても、難しいことを議論する場所だとはできるだけ言いたくないんです。誰と出会うか、どんな話がはじまるかは自然に任せていきたいです。運営側が方針やルールを設定した瞬間に入る人が限定的になってしまう。それは子どもたちも同じ。ここは100円でカレーが食べられる場所という事実だけでいいんです」(石田さん)
現金で寄付をした人は、壁に名前入りのシールを貼れる(画像提供/一般社団法人無限)
広く寄付を募り、全国からお菓子や野菜、お米などの寄付も寄せられている(画像提供/一般社団法人無限)
はじめてチロル堂に関わるには、どうしたらいいですか? と尋ねると、「チロル食堂やチロル酒場においしい食事やお酒を飲みに来ていただけるとうれしいです。昼間はただのお店ですが、夕方になると子どもたちがワーッと集まってきます。その空気を味わいに来ていただくのがいちばんいいかな」とほほ笑む石田さん。
大人用の「ツキノワ・OTONA CURRY」は、コーヒー付き1200円。代金の一部が子どもたちへの寄付になる(画像提供/一般社団法人無限)
子どもたちが困っていることの要因は大人たちの問題につながっていると考え、共に解決しようと考えられたチロル堂の仕組み。金沢に2号店が、大阪に3号店がオープン。そのほか4カ所が準備中です。石田さんたちがかけた小さな魔法が、少しずつ全国へ広がっています。
●取材協力
まほうのだがしやチロル堂
東日本不動産流通機構(以下、東日本レインズ)の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」の結果を見ると、築20年以下の中古マンションのニーズが底堅いことが分かる。詳しく見ていくことにしよう。
【今週の住活トピック】
「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」を発表/(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)
データ元の東日本不動産流通機構について、説明しておこう。まず、指定流通機構とは、国土交通大臣指定の組織で、各地域の主な不動産会社が会員となっているもの。会員の不動産会社は、REINS(レインズ)と呼ばれるネットワークシステムに、不動産の情報を登録することで情報を共有している。東日本レインズは、全国のうち東日本地域を管轄している。
今回のデータは、東日本レインズが2022年の1年間において、REINSに新規に登録されたり成約の情報を得たりした、首都圏の中古マンションと中古一戸建ての物件を“築年数”の観点から分析し、市場動向をまとめたものだ。
今回の首都圏の市場動向の特徴の1つが、築年数の古い中古マンションの市場に占める比率が高いことだ。
中古マンションの市場を見ると、「築31年超」の物件が占める比率は、新規登録物件(新たに売り出した物件)で2021年44.7%→2022年46.9%に拡大し、成約物件(契約が成立した物件)で2021年29.7%→2022年31.5%に拡大している。その分、築年の浅い「築5年以内」や「築11~15年」が縮小している。
新規登録物件・成約物件ともに、「築5年以下」の比率が拡大している中古一戸建て市場と比べると、対照的な結果だ。
築20年以内の中古マンションの売買は好調?特に注目したいのが、築20年以内の中古マンションの状況についてだ。
まず、築年帯別の平均価格を見ていこう。
売り出す側はできるだけ高く売りたいので、まずは希望価格で売り始める。一定期間で売れない場合は、価格を下げることになるし、買う側はできるだけ安く買いたいので、不動産会社を通じて価格交渉を行う。このため、新規登録価格よりも成約価格のほうが下がるというのが一般的だ。
中古マンションの平均平米単価と中古一戸建ての平均価格を見ると、新規登録物件と成約物件で、常に一定の開きがあるのは、このためだ。そして、それぞれ築年帯が古くなるほど下がっていく傾向が見られる。
上が中古マンションの築年帯別平均平米単価、下が中古一戸建ての築年帯別平均価格(出典:東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」)
次に、築年帯別の新規登録件数に対する成約件数の割合=「対新規登録成約率」を見ていこう。
中古マンションでは、「築6~10年」が最も対新規登録成約率が高く(35.2%)、「築0~5年」「築11~15年」「築16~20年」がおおむね28~30%程度となり、築20年を超えると下がり続けることが分かる。
これに対して、中古一戸建て市場の対新規登録成約率では、築6~築25年以内ではおおむね30~32%で横ばいとなっており、中古マンションに比べると築年帯別による対新規登録成約率の差が小さくなっている。
築年帯別の取引動向「対新規登録成約率(成約件数/新規登録件数)」(出典:東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」から一部データ抜粋)
「対新規登録成約率」(出典:東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」から一部データ抜粋)
中古マンションのカギは、広さ&築年か?中古マンションには、「築年帯別平均価格」のデータもある。実はこちらを見ると、築20年以内までは新規登録件数と成約件数の平均価格がかなり近いことが分かる。
中古マンションの築年帯別平均価格(出典:東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」)
具体的に平均価格を見ていくと、次のようになっている。「築6~10年」では、成約平均価格が新規登録平均価格を上回っている。
○成約平均価格○新規登録平均価格築0~5年:6638万円6777万円築6~10年:6193万円6053万円築11~15年:5543万円5616万円築16~20年:5250万円5578万円ではなぜ、築20年以内の平均価格では両者が近くなっていたのか。これは平均面積を見ると分かる。築20年以内までは、新規登録物件の平均面積は約55~65平米であるのに対し、成約物件の平均面積は約63~70平米と開きが大きくなっている。
中古マンションの築年帯別平均面積(出典:東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」)
したがって、築20年以内の中でも、面積が広いもののニーズが高く、その結果として成約物件の平均価格が高くなっていると考えられる。対新規登録成約率が最も高くなっている「築6~10年」は、「築年数×面積×価格」のバランスがよいということだろう。
そうはいっても、築20年以内の中古マンション平均価格は5000万円を超える高額となっている。平均価格が2000万円台となる「築26~30年」、「築30年超」の価格的訴求もあり、築年数の古いものへの需要も高いのが実態だ。
おそらく、築年数が浅いものの中でも面積が広いもの、築年数が古いものの中でも利便立地や管理状況のよいもの、などが選ばれて成約に結び付いているのだろう。築年数の浅いものの市場シェアが少ないからといって、それだけで売れるわけではなく、広さと価格とのバランスが大事だと理解しておきたい。
●関連リンク
「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ)
全30駅を環状に結んで走るJR山手線は、東京の大動脈とも言える路線。都心の主要エリアを囲むように線路が続き、東京駅や新宿駅をはじめ東京を代表する駅がずらりと並ぶ。都心から各方面へと向かう路線に接続するターミナル駅も多く、JR山手線沿線に住む便利さはピカイチ。そのぶん、沿線の物件価格が高いことでも有名だ。では実際、その物件価格はいかほどのものなのか? JR山手線30駅それぞれの中古マンションの価格相場を調査してみた。専有面積20平米以上~50平米未満の「シングル向け」と、専有面積50平米以上~80平米未満の「カップル・ファミリー向け」について、価格相場が安い駅ランキングを発表しよう。
JR山手線の中古マンション価格相場が安い駅ランキング※有楽町(千代田区)は調査対象物件数が11件以下のためランク外
※東京(千代田区)、有楽町(千代田区)は調査対象物件数が11件以下のためランク外
JR山手線内でもリーズナブルに住みたいなら「中央線より北側」に注目!(写真/PIXTA)
「シングル向け」中古マンション(専有面積20平米以上~50平米未満)の価格相場が最も安かったのは、北区に位置する田端駅。最も安いとはいえ価格相場は3095万円であり、JR山手線沿線の物件価格の高さがうかがい知れる。「カップル・ファミリー向け」(専有面積50平米以上~80平米未満)の価格相場は5780万円で、2位にランクインした。
(写真/PIXTA)
田端駅の北口は線路を覆うように橋上駅舎が建ち、駅ビル「アトレヴィ田端」を併設。3フロアにわたりスーパーやドラッグストア、飲食店などが並んでいる。この田端駅は武蔵野台地の東端部に位置し、起伏にとんだ台地と平坦な低地で構成された高低差のある街並みが特徴だ。北口とは一転して小ぢんまりとした無人駅舎がある南口も、出てすぐに階段道路があるような造りとなっている。台地のふちに沿って続く線路の東側、西側共に繁華街といった印象ではなく、静かな住宅地が広がる。スーパーなどの買い物環境が整っているのは、線路の東側の様子。しかし駅北東部はJRの車両基地に広い面積を取られ、山手線と少し間を開けて東北本線の線路も通っているため、線路東側の住宅街は駅から少々離れたエリアが中心だ。
「カップル・ファミリー向け」の1位は田端駅から1駅目、荒川区にある西日暮里駅で価格相場は5680万円。「シングル向け」では3位で価格相場は3580万円だった。JR京浜東北線も停車するほか、東京メトロ千代田線が通っているため赤坂駅や表参道駅にもアクセスしやすい。JRの駅舎から少し離れた場所には、東京23区北東部へ延びる日暮里・舎人ライナーの駅もある。駅東側は狭い路地に面してさまざまな飲食店が立ち並び、その先が住宅街。駅の西側には日暮里・谷中の総鎮守「諏方神社」が鎮座し、例年8月の大祭には多数の露店が並んで大いににぎわう。
西日暮里駅(写真/PIXTA)
諏方神社(写真/PIXTA)
この諏方神社の横を通って7~8分も歩くと、隣駅の日暮里駅にたどり着く。西日暮里駅~日暮里駅間は山手線内では最短距離、500mほどしか離れていないのだ。そんな立地関係もあってか日暮里駅の価格相場は西日暮里駅と大きくは違わず、「シングル向け」は3665万円、「カップル・ファミリー向け」は5990万円で共に4位にランクインした。さて、西日暮里駅を出て諏方神社前を南下していき、交差点を左折すると日暮里駅へ、右折すると谷中銀座商店街にたどり着く。ここは約170mの間に60店舗ほどがひしめき、日々の買い物はもちろん食べ歩きにも人気の商店街だ。日暮里駅からも西日暮里駅からも訪れやすいので、このエリアに住んだらぜひ愛用したい。
谷中銀座商店街(写真/PIXTA)
ここまで見てきたように、田端駅、西日暮里駅、日暮里駅……と「シングル向け」「カップル・ファミリー向け」共にランキング上位には近接した駅が並んだ。さらにランキングを見ていくと、上位つまり価格相場が安い駅は、環状に走るJR山手線の北側半分に集中していることが判明。JR山手線を時計に見立てると、3時の位置に秋葉原駅、9時の位置に新宿駅があり、両駅を結んでJR中央線が走っている。JR山手線内でもリーズナブルに住める街を探すなら、JR中央線で南北に分かれる円(JR山手線)の北側半分に注目するといいだろう。
沿線30駅は街の特徴もさまざま。大規模再開発が進行中の駅も多数ランキング上位には北側半分の駅が並んでいる、と話したが例外もある。それは「シングル向け」の価格相場が4095万円で10位にランクインした、港区の高輪ゲートウェイ駅だ。立地としてはJR中央線よりも南側、JR山手線の南側半分にある。JR山手線では最も新しく、開業は2020年。有名建築家・隈研吾氏が設計を手がけた駅舎や、駅構内の無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」などで話題を集めたこの駅は、周辺エリアで行われている再開発事業の一環として誕生した。同事業の第I期として「高輪ゲートウェイシティ」の街づくりが進められており、駅と3棟の複合棟、文化創造棟と住宅棟を建築中。2024年度末には2棟の複合棟の開業と、高輪ゲートウェイ駅の全面開業が予定されている。
高輪ゲートウェイ駅(写真/PIXTA)
そんな再開発の過程にある高輪ゲートウェイ駅の東側は臨海部の埋め立て地で、その先は東京湾。駅西側には赤穂義士のお墓がある泉岳寺の敷地と再開発エリアが大きな面積を占め、駅周辺で今現在、住宅地となっているスペースは意外と大きくはない。加えて50平米未満の中古マンションはあまり市場に出ていない様子。シングル向け物件数が限られるなか算出された価格相場(中央値)なので、今回は「カップル・ファミリー向け」の価格相場(9580万円)と比較して割安な結果が出たが、揺れ幅が大きい面はあるかも。また、街の再開発が進むと中古物件相場の底上げも考えられるので、よい物件を見つけたら今のうちに押さえておくのが吉かもしれない。
さて、JR山手線が都内の主要エリアを結んで走っていることは確かなのだが、北側半分に価格相場がリーズナブルな駅が集中するなど、路線を1周する間に通る街の特徴は多彩だ。時計で言うと6時あたりに位置する、新幹線の停車駅でもある品川駅を出て外回り(時計回り)に進んでいくと、まずは近年の再開発でビジネス街としても大きく発展した大崎駅が、そして、繁華街と住宅地が共存する五反田駅、閑静な住宅街が広がる目黒駅、恵比寿駅を過ぎると「100年に一度」といわれる大規模再開発が進む渋谷駅へ。若者にも人気の街、原宿駅や代々木駅の先には、世界屈指のターミナル駅・新宿駅。商業施設が林立する中を北上すると、韓流カルチャーで賑わう新大久保駅に着き、その先は大学など学校も多い高田馬場駅、目白駅へと続く。そして渋谷と新宿に並ぶ繁華街と言われる池袋駅を過ぎると、大塚駅、巣鴨駅、駒込駅と住宅街の様相が色濃くなってくる。
田端駅まで来ると時計で言う12時の位置に。ここからは環状線の東側半分に入り、ランキング上位の西日暮里駅~鶯谷駅へと南下していく。そして新幹線駅でもある上野駅、問屋街が広がる御徒町、サブカルと電化製品の街として外国人にも知られた秋葉原駅あたりは、どこか下町らしさも残る街並み。その先の神田駅~東京駅~有楽町駅~新橋駅は東京都心の中でも中心部、ビジネス街と官公庁街が整然と続く。さらに南下すると東京湾岸の臨海エリアへ。羽田空港とモノレールで結ばれた浜松町駅は、海外から東京を訪れる際の玄関口の機能をもつ街になるべく大規模再開発が進められている。そしてビジネス街と学生街を抱える田町駅を過ぎると、JR山手線最新の駅・高輪ゲートウェイ駅に到着。さらに隣駅の品川駅に行けば、これで1周約1時間だ。
車窓を流れる街並みは特徴さまざまで、若者やビジネスマンなど乗り降りする人のタイプも駅により違う様子。沿線には高台も低地もあって勾配が感じられるなど、変化に富んだプチ電車旅が楽しめる。都内に住む人も意外と30駅を一気に制覇したことがある人は少ないだろうが、沿線に住みたいと考えているなら、まずはぐるりと1周して街の変化を肌で実感するのもおすすめだ。
●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されているJR山手線沿線の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ
シングル向け:専有面積20平米以上50平米未満
カップル・ファミリー向け:専有面積50平米以上80平米未満
【データ抽出期間】2022/1~2022/12
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
2022年11月、京都市中心部に点在する近代建築を公開する一斉公開イベント、「京都モダン建築祭」が開催されました。京都や大阪を拠点に研究活動を行う建築史家らが選定する文化的価値の高い建築物が公開されるとあり、初開催にもかかわらず3日間でのべ3万人の参加者を数える注目イベントとなりました。現役の庁舎建築や教会、レストラン・商店など民間の建築、長い歴史のなかでもともとの用途から転用された文化施設など、さまざまなバリエーションが楽しめる36軒が参加しました。
京都で開催の建築公開イベント。「モダン建築」をテーマにした理由京都市役所本庁舎 市会議場。普段から一般公開されているエントランスホールや屋上庭園に加え、通常非公開の市会議場と正庁の間が公開された(写真撮影/筆者)
建築を見ることを趣味とする筆者にとって、普段は中に入れず、外観を眺めるしかない建築の内部を見学できる機会はありがたく貴重です。また数ある名建築の中から興味を引く建築物を探し、その見学方法まで調べて見に行くのとは異なり、気軽に楽しめるのも人気の理由。地域に住む人びとが地元文化の魅力に触れる機会にもなり、こうした建築公開イベントは各地に広がりを見せています。
今回参加したのは、近現代建築と呼ばれるもの。社会が近代化していく時代以降につくられたもので、日本における時代区分としては概ね明治維新以降の時期を指します。一般的には社寺建築や町家など、より古い年代の建築のイメージが強い京都において、近現代建築をテーマにしたのはなぜなのでしょうか?
聖アグネス教会。教会建築は普段から見学者を受け入れているところも多いが、信者でないとなかなか入るのはハードルが高い(写真撮影/筆者)
祭壇。実際に使用されている状態そのままを知ることができるのも、建築公開イベントの醍醐味(写真撮影/筆者)
「建築史の研究者からすると、京都は優れた近代建築の宝庫なんです。けれどそのことはあまり知られていません。存在と認識のギャップが最も激しいのが京都なのではないかと。われわれとしてはごく自然に、京都の近代建築の素晴らしさを知っていただきたいという思いが出発点となっています」
今回お話を伺ったのは、大阪公立大学教授で京都モダン建築祭の実行委員に名を連ねる建築史家の倉方俊輔氏。2021年に京都市京セラ美術館で開催された「モダン建築の京都」展でも、アドバイザーを務めました。
入場待ち列ができるほど人気となったフォーチュンガーデン京都。島津製作所の旧本社ビルがレストランに転用されている(写真撮影/筆者)
(写真撮影/筆者)
(写真撮影/筆者)
「京都市の美術館で行う展覧会だから、京都市民のためになる建築の展覧会にしようと。公立の美術館で京都の近代建築をまとめて紹介するのは初めての試みでした。展覧会で紹介した建築は、実際に京都市内に建っているもの。せっかくなら展示だけでなく実物も見てもらおう、ということで建物所有者の方に掛け合って建築見学ツアーを実施したり、会期終了後もオンラインサロンを継続するなど活動が広がっていきました」
こうした展覧会を機に生まれた動きが、京都モダン建築祭につながっていったといいます。今回公開された建築も、展覧会で生まれた縁があってこそ公開できたものも多いそうです。
倉方さんは、大阪で10年続く建築公開イベント「イケフェス大阪」でも長年実行委員を務めてこられました。2019年からは、東京都品川区の名建築を公開する「オープンしなけん」の企画にも携わり、優れた建築の魅力を広めていく活動に力を注いでいます。大学で教鞭を執る傍ら、こうした活動も大切にしている倉方さん。どのような思いで取り組んでいらっしゃるのでしょうか?
「私自身は、ライトな層、専門的なことに詳しいわけではないけれど建物を見るのが好きとか、自分が描いている漫画の背景のヒントにしたいとか、そういう方々を大切にしたいです。もちろん建築の専門家であったり、普段から建築を見に行くことを趣味にしているような人も大切なんだけれど、こういうイベントを通して、建築を使った楽しみが世の中に増えていくといいなと思っています。
例えば今回取り上げているようなモダン建築だと、大正時代や明治時代の、建てられた当時の生活がそのまま残されていたりするわけですよね。そこから何か想像を広げたり、受け取り手次第で新しい見方ができることで、その人にとっての楽しみが増える。新しい楽しみが増えていくことは、世界を豊かにしていくことにつながると思っているので、建築の楽しみ方を増やしていくことで貢献していきたいですね」
参加建築マップ。京都市中心部の36軒が、11月11~13日の3日間に参加した(写真提供/京都モダン建築祭実行委員会)
ビギナーから建築通まで、誰もが楽しめる多彩なプログラム京都モダン建築祭では建物の公開のほかにも、専門家のガイドツアーをはじめとするさまざまなプログラムが用意されました。日々の運営に携わる方が、建物の歴史や運営面での工夫も交えて案内してくれるツアーや、倉方さんや実行委員長である笠原一人さんをはじめ建築史家の方が街歩きをしながら建物ひとつひとつのデザインの特徴を解説してくれるツアーなど盛りだくさん。なかにはツアーでしか見学ができない建築もあり、高い抽選倍率となりました。ライトな建築好きから専門家まで、各々の知識レベルによって違った楽しみ方ができるラインナップです。
任天堂旧本社社屋をリノベーションしたホテル丸福樓。京都モダン建築祭の特別ツアー参加時に撮影(写真撮影/筆者)
2022年のリニューアルの際、建築家の安藤忠雄による新棟(ガラス張り部分)が増築された(写真撮影/筆者)
筆者も参加させていただいた、笠原一人さんによる三条通の近代建築ツアーでは、三条通に建ち並ぶバリエーション豊かな近代建築の鑑賞ポイントが紹介されました。一括りに近代建築といっても、手掛けた建築家によってまったく異なる表現になるのが面白いポイント。また同じ建築家であっても、ほんの少し建てられた時期が違ったり、建物の用途の違いによって表現が変えられていて、その背景を知ることで一気に身近に感じられます。
見学する建物が通り沿いに連なっているのも重要で、金融関係の施設が集中するエリアから商業エリアへと歩みを進めることで、街の発展の歴史も同時に学ぶことができます。近世以前の社寺建築のイメージが強い京都で、なぜモダン建築を取り上げるのか。ひとつには「市の中心でまさに今人々の生活と密接に結びつくモダン建築は、役目を終えたら壊されてしまう可能性がある。今のうちから親しんでもらうことでこうした建築が街に必要なんだと感じてほしい」と笠原さん。建築史家として古い建物を残していきたい思いをもちつつ、ツアーでは純粋に個々の建築の面白さを紹介してくれました。
ツアー前はどれも似たような様式建築に見えていた建築群が、ツアー後はひとつひとつのデザインが際立って見えてくる。こうした機会を通じて建築の魅力が広まっていくことで、優れた建築が街に残り豊かな景観が維持されていくのだなと感じます。
講義室でレクチャーを聴くのとは違い、実際に街へ出て現物を見ながらそのデザインに込められた意図を聞く体験は、知識が体に染み込んでいくような充実感を得られました。京都モダン建築祭ではこうしたツアーのほかWEBサイト上でも、建築を解説する音声コンテンツが用意され、建物を見ながら建築の知識を同時に学ぶための工夫が伺えました。
三条通界隈の近代建築群。観光客でにぎわうルートに、バリエーション豊富なモダン建築が建ち並ぶ(写真撮影/筆者)
それは実行委員の方々自身が建築をどのように楽しんでいるのか、その姿勢から来ているのではないかという気がします。倉方さんは、建築を見る楽しみについてこのように語ってくれました。
「あっちからやってくる感じ、それが建築ならではの面白さですね。こちらから理解しようとか楽しもうとか思わなくても、建築の中に入れば空間に包まれるし、いろんなスケールのものが目に入ってきて、向こうから楽しみがやってくる感覚があります。
それに知識があればあったで、これがつくられた年に戦争が始まったんだなとか、これをつくった人が後にあの建築をつくったんだなとか、その関係を読み解いたり、前に見たものと目の前のものが頭の中でつながって、何かひらめきが生まれたりとか。そうやってあっちからやってくるものをいかに捉えるか、というのが真の『鑑賞』なんじゃないかと思います。繰り返し訪れている建築でも、行くたびに自分自身の知識や経験が増えているから、また新しいものが見えてきますし、それこそ見に行く対象も無限にあるので、とにかく飽きないです。その感じをみんながもてるようになるといいですね。結構いい趣味だと思いますよ、交通費くらいしかかからないですし(笑)」
大規模な近代建築が集まる岡崎エリアに建つ、京都市武道センター(旧武徳殿)(写真撮影/筆者)
旧武徳殿内部。西洋由来のトラス構造が屋根を支えているため木造の大空間が可能となっている。西洋の技術が近代の木造建築を支えている例(写真撮影/筆者)
祇園祭と肩を並べる一大イベントに。実行委員長の思いイベントに一番力を尽くしている実行委員の方々自身が、こうした純粋な建築の面白さにのめり込んでいるからこそ、このようなイベントが開催できるのだなと実感させられます。
笠原さんはこの京都モダン建築祭を、「ライバルは祇園祭」と位置づけています。京都の街なかを舞台に繰り広げられる祇園祭には、調度品や美術品を飾った町家などを公開する「屏風祭」と呼ばれる行事があります。普段は見ることのできない京都の文化に親しむ機会を設けることで次の世代につないでいこうとする思いは、今も昔も変わらないということなのかもしれません。
1000年の歴史をもつ祇園祭と開催1年目のモダン建築祭とでは1000倍の歴史の差があります。しかしモダン建築祭が100年続けば差は10分の1に、1000年続けば差は2分の1へと縮まっていく。いつか祇園祭に並ぶ京都を代表するイベントになってほしいと語る笠原さんの言葉には、建築という数千年の歴史をもつ文化と長年向き合ってきた重みが見え隠れするように思いました。
日頃は古建築に目が行きがちな京都の知られざる魅力に触れる建築祭、ぜひ長く続いていってほしいですね。
●取材協力
京都モダン建築祭 実行委員会
お隣さんとはうまくやっていきたいもの。お隣さんの樹木などが自分の敷地に入り込み、通行の邪魔になったり美観を損ねたりした場合には、何とかしてほしいと伝えたい。とはいえ、世の中いろいろな考え方のひとがいる。無用なトラブルをさけるためには、ルールが必要になる。民法にも隣家との関係を調整する規定がある。「相隣関係(そうりんかんけい)」と呼ばれるものだ。この相隣関係の規定の一部が改正され、2023年4月より施行となる。(1)隣地使用権、(2)竹木の枝の切除・根の切取り、(3)ライフライン設備の設置・使用権、の3つだ。今回はそのうちの(2)竹木の枝の切除・根の切取りについて解説する。
隣地から侵入する竹木の根は自分で切れるが、枝は切ってもらうのが原則「隣地の木の枝が越境している時は木の所有者に切ってもらう。一方、根が越境している時は自分で切ってしまってOK」。これはわりと有名ルールなので、聞いたことがあるかもしれない。枝と根で扱いが違うのだ。なんで?と思う人もいるだろう。
枝や根も含めて竹木(樹木)といえども財産だ。所有者以外は勝手に切除できない。これが原則だ。「他人の土地に越境している方が悪いんだろう!切っちゃえ」というのはダメなのだ(自力救済の禁止、といいます)。明らかに向こうが悪いと思うような違反行為があった場合にもその竹木の所有者に対応してもらうことになる。
つまり、枝に関するルール=他人のものなのだから勝手には切除できない、というのが法律的には普通の発想なのだ。では、なぜ根は隣地所有者が切ることができるのか。民法の解説書などを読むと次のような説明がある。
①枝切りは、竹木の所有者が敷地内で切除できるが、根は伸びている隣地に入って作業する必要がある(隣地所有者に切ってもらった方が、作業が容易)。
②枝は、果実などがついている場合など、財産的価値があることもある。一方、根には価値がない。
うーーん、根菜などは根にも価値があるのでは、という気もするが……。それはともかく、「枝は切れない。根は自分で切れる」が原則なのだ。この点は2023年4月以降も変わりはない。
隣地の所有者がわからない、というのも珍しいことではないところがこのルールには一つ問題がある。越境している木の枝を隣地所有者に切ってもらうおうとしても、空き地など隣地の所有者がわからない、連絡が取れないという場合だ。そんな時はどうすればよいのか?
実は日本には「所有者不明の土地」が少なくない。有識者で構成される「所有者不明土地問題研究会」の報告によれば2016年時点の調査で所有者不明率は20.3%。この割合を全国に適用すると約410万ヘクタールの土地が所有者不明、ということになる。…と言われてもぴんとこないが、なんと九州本島より広いのだそうだ。土地の所有者が不明、ということは決して珍しいことではないのだ。
隣から枝が越境していて美観を損ねたり、庭の利用の邪魔になっている。しかも所有者が不明。となると…。まぁ、普通は勝手に枝を切っちゃいますよね。でもさきほど説明したように、法律上は勝手に切ることは許されない。私もいちおう大学の教員なんで、「勝手に切っちゃいましょう」などと無責任なことはいわずに法律の解説を続けることにする。
所有者不明の場合にはどうすれば?話を戻す。土地の所有者が不明と聞いて、登記を見ればわかるのでは?と思ったかもしれない。しかし、相続が発生した際に登記がされない、ということも珍しくはない。相続登記が義務ではないことがその理由だ。登記はお金もかかるし、面倒なのでつい放っておかれてしまう。実は、この点も法改正され、来年、令和6年4月より相続に伴う登記が義務化される。とはいえ、現状すでに、登記上の所有者が死亡している、連絡先が不明などということも少なくない。土地の所有者を探すのがなかなか大変ということになる。
また、所有者が分かっていても、枝を切ってくれない、ということもあるだろう。高い木の枝などは業者に依頼しなければ切るのも難しく、お金もかかるだろう。枝は所有者に切ってもらえ、と言われても所有者がわからない、わかっても切ってくれない、では困ってしまう。
「こんな状況なら、自分で切ってしまっても相手も文句は言わないでしょう」と思うかもしれないが、個人間のケースばかりではない。例えば、所有者不明の土地から道路に伸びた枝や葉が信号を見えにくくしている、公園の美観をそこねている、というケースもある。道路や公園を管理する市町村としては、勝手に切断するという違法行為を犯すわけにはいかないのだ。
(写真/PIXTA)
枝を自分でも切ってもよい場合とはそこで今回の法改正だ(やっと本題に入る。前置きが長いのが大学教員の悪い癖)。以下3つのいずれかに該当する場合は、越境した枝を切ることが法律上も可能になった。
①枝を切ってくれ、と催告したのにいつまでも切除されない。
②竹木の所有者が不明。または所有者はわかっているが連絡先が不明
③急迫の事情があるとき
①。まずは、竹木の所有者(通常は土地の所有者か使用者だろう)に枝を切ってくれ、と催告する。それでも「相当の期間」切除されないのならば、越境された側が枝を切ってもかまわない、と改正された。なるほど。でも「相当の期間」って…。いったいどのくらい我慢すればよいのだろう??
2週間が目安!?これは「個別の事情を踏まえて判断」される。要はケースバイケースなのだ。ここらあたりが法律の頼りになるような、ならないような点と思うかもしれない。竹木の位置や大きさや枝の越境状況、土地の利用状況、竹木自体の財産的価値など様々な事情があるだろうから、一概には線を引けないのだ。
とはいえ、目安となるものがないわけではない。法案を審議した参議院法務委員会では、「竹木の所有者に枝を切除するために必要な時間的な余裕、時間的な猶予を与えるという趣旨からすれば、基本的には二週間程度は要することになるのではないか」という説明が政府参考人からあった(「第204回国会 参議院 法務委員会 第9号 令和3年4月20日」と検索すれば誰でも議事録を読むことができます)。「相当の期間」を判断する材料のひとつになるかもしれない(2週間経過すれば勝手に切ってよい、ということではないですよ。念のため)。
所有者を探さなければならない!?また、②にあるように所有者が不明ならば、自分で枝を切ってしまってもかまわない。放っておくと伸び続けてしまうから、これはありがたいルールだ。とはいえあくまで「所有者が不明」「所有者がわかっても連絡が取れない」という場合の話だ。所有者を探す努力をしなければダメなのだ。
空き地や空き家など住んでいる人がいない場合では「所有者を探すのが面倒だな」と思うかもしれない。登記で所有者を調べるにもお金がかかる。登記に記載された土地の所有者が死亡している、住所が変わっている、ということもありうる。そのため根の場合と同様、自分で切れる、という案も検討されたようだが、それは採用されなかった。竹木所有者の権利を守るためだ。
③は差し迫った危険があるときだ。時間的余裕がないのであれば、枝を切って構わない。具体的には、「地震により破損した建物の修繕工事用の足場を組むために、隣地から越境した枝を切る」といった場合などを想定している。
費用は誰が負担するのか(写真/PIXTA)
竹木の枝や根の切り取りに専門業者に依頼しなければならない場合、当然、タダではない。この費用は誰が負担するのか。
枝や根の越境は、不法行為(他人の権利を侵害する行為)に該当し、損害賠償請求権が発生するから、竹木の所有者が負担することが筋だろう。法改正について議論した衆議院法務委員会でも政府参考人からそのような回答があった。しかし、費用負担については改正法でも明文化されていない。事案ごとに協議や調整を行う、ということになっている。
(このあたりの議論も国会の議事録を読むことができる。興味のある方は「第204回国会 衆議院 法務委員会 第6号 令和3年3月23日」で検索を)。
今回の法改正によって、個人の宅地だけでなく、道路や公園など公共用地に、隣接地の竹木が越境してきた場合、新しいルールに基づいて枝を切り取ることが可能となった。
とはいえ、それは隣地所有者が切除しなかった場合の話だ。そもそもは、空き家となった実家などで近隣に迷惑をかけるようなことのないよう、所有者が管理すべきものなのだ。今は利用する予定がないから、といって放っておく、隣地に枝が伸びている、枯れ葉もたくさん落ちている、という事態も珍しくない。土地の所有者である以上、責任をもって管理しなければならない。さらに言えばお隣さんと良好な人間関係を築いておくことも大切だろう。円満な人間関係があれば、法律など持ち出す必要はないのだから。
電気代の値上がりが続き、住まいの省エネ性能に関心が高まっています。そんななか、施主がプロの力を借りつつ、「断熱性の高い施工方法を学びながら、自分たちで省エネで環境にやさしい住まいをつくる」というワークショップが開催されました。子どもたちや周辺住民も加わりつつ行われた、楽しい模様をレポートします。
ハーフビルドで断熱等級6相当の省エネ住宅を建てる!……って、できるの?高騰が続く光熱費を背景に、住まいの断熱性能、省エネ性能が急速に注目を集めています。そんなさなか、プロの力を借りて施主が自邸を建てるという「ハーフビルド」方式で、あたたかい家をつくるというワークショップが開催されました。その住まいの舞台となったのは、神奈川県相模原市緑区、旧藤野町の里山。東京と神奈川、山梨の県境にあり、東京駅まで1本でアクセスできるものの、のどかな環境です。
断熱ワークショップの舞台となる住まい。神奈川県内とはいえ、里山ののどかな雰囲気(写真撮影/桑田瑞穂)
この住まいの施主は、30代の森川夫妻。妻は会社員、夫は今、退職して家づくりに全力投球しています。設計と施工を担当するのはHandiHouse projectのみなさん。SUUMOジャーナルでも、「施主も“一緒に”つくる住まい」という連載を続けていましたが、今回はその試みがバージョンアップし、「5地域の断熱等級6」(※1)相当の住まいをつくるのだといいます。相模原市は6地域にあたりますが、お住まいのある山間部は山梨にも近く、冬にはマイナスになることも多々あるため、山梨市と同等の5地域の断熱性能を求めることにしたといいます。
※1 日本は地形の気候に合わせて省エネ基準地域が8区分されています。数字が小さいほど寒い地域で、首都圏の都市部は多くが6地域に該当します。その地域区分によって、等級の評価基準が異なるので、同じ等級6の評価でも、6地域より、5地域の方がより高いものが求められます
「住宅省エネルギー基準」による地域区分(一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターHPより)
断熱等級6と7は2022年10月に新設されたばかりですが、等級6はこれからの日本の住宅が目指すべき断熱のスタンダード暮らす、等級7は世界基準のトップクラスに相当します。とはいえ、今までは最高等級が4だったことを考えると、ハーフビルドでつくるには十分にハイレベルな水準でもあります。では、どのようにしてこのプロジェクトがはじまったのかを、施主の森川夫妻に聞きました。
「家をつくるにあたり、まずできる限り、自分たちの手でつくりたいという希望がありました。また、夫妻ともに寒がりで、一方で化石燃料や石油エネルギーをできるだけ使いたくない、減らしたいとの考えから、高断熱・高気密の家がいい。加えて、私たちには2人の子どもがいるのですが、現在、深刻化する気候変動に対し、未来の世代に自分たちなりの『解』を示しておきたい。加えて、地域の建材や廃材を使いたい、また太陽光パネルを搭載、将来的に電気自動車を購入してV2H(※2)にしてほぼすべてのエネルギーを太陽光で賄うプランを考えていたんです。そんな理想もりもりの家づくりがはたしてできるのか、依頼先を探していたところ、設計事務所HandiHouse projectの中田さん夫妻を紹介されて。コレだ! とすぐに決まりました」とその理由を明かします。
※2 V2H 自動車(Vehicle)から家(Home)へという意味。電気自動車に蓄えられた電力を、家庭用に有効活用する考え方。
「パーマカルチャー」(持続可能な循環型の農業をもとに、人と自然がともに豊かになるような関係性を築いていくためのデザイン手法)に加えて、地域や将来の環境のことを考えて家づくりをしたいと考えていた夫妻と、共感できる設計事務所の出合いは、まさに奇跡&運命ともいえるものでしょう。それが、今回のワークショップ開催の運びとなりました。
ワークショップ参加者やご近所さんの見学も。断熱への関心は高い2023年1月中旬、断熱ワークショップが開催されました。2022年のうちに家づくりのプランが確定し、地鎮祭と基礎工事、棟上げ、屋根の防水や外壁張り、窓設置が完了しているので、見た目はほぼ「家」になっています。また、天井や床には発泡プラスチック系の断熱材10cmがプロの手によってすでに入っている状態です。
ワークショップ前には準備体操。本日もご安全に!(写真撮影/桑田瑞穂)
施工する前にまず住まいの断熱性能についての説明、使う断熱材やその理由、性能をHandiHouse projectメンバーから説明してくれました(写真撮影/桑田瑞穂)
今回ワークショップを開催したHandiHouse projectの中田りえさんは、この試みについて、「施主だけでなく、参加者、ご近所の方などに、住まいの断熱の大切さを知ってもらえるいい機会になりますよね。あと、住まいの建築のプロセスにはいろいろとありますが、断熱って特別なスキルはいらず、ていねいに施工することが大切なんです。ウレタンスプレーで吹き付けるのも楽しいし。それこそお子さんやママ、パパも参加しやすいし、もっとこの輪を広げていけたら」と話します。
ワークショップの開催はHandiHouse projectのフェイスブックページや施主の森川さんがブログで告知したこともあり、筆者のSUUMOチームとはまた別に4名の取材チームがいらっしゃいました。ハーフビルドのワークショップは何度も参加しているという人もいれば、初めてという人も。いずれにしても「断熱や気密に関心がある」「DIYで家づくりがしてみたい」と、住まいそのものへの関心の高さが伺えます。
森川邸の断面図。断熱材を10.5cm入れる図面になっています(写真撮影/桑田瑞穂)
まずは施工する建物の前にて、自己紹介とあいさつ、そして準備体操をします。楽しそうではありますが、やはり事故や怪我をするわけにはいきません。その後、場所を建物内にうつし、「なぜ、今、断熱が大事なのか」「高気密が大切な理由」「今日の作業手順」を説明してもらいました。ここで断熱等級6は外皮性能レベル(いわゆるUA値)では0.46で、省エネ等級4の北海道と同水準あること、施工しやすさから発泡系断熱材を使うこと、断熱材は価格と性能がほぼ比例すること、住まい完成時には気密測定を行い、住宅の隙間総量を表すC値は実測で0.4をめざすという話が出ていました。ちなみに、C値は数値が低いほど気密性にすぐれるというもので、現時点で一般的な住まいでは1以下、世界基準のパッシブハウスで0.6以下だといわれています。0.4というのは、細部にわたって隙間なくていねいな施工が求められる水準のため、ハーフビルドでこの数字を本当に実現できるの?と筆者は驚きが隠せません。
ちなみに断熱ワークショップの作業そのものはとてもシンプルで、間柱(まばしら)に合わせてあらかじめカットされている断熱材(発泡プラスチック系)をはめこんでいくというもの。
断熱材を入れる前の壁の様子。柱と間柱(まばしら)の間は38cm(写真撮影/桑田瑞穂)
柱と柱の間に、断熱材(発泡プラスチック系)を埋め込んでいます。手で押すだけで施工できるので、めちゃくちゃシンプル(写真撮影/桑田瑞穂)
断熱材は幅に合わせてカットされていますが、さらに現場で長さをカットします。カットするのは施主の森川さん(妻)。ちゃんとまっすぐサイズに合わせてカットできるか、ドキドキします(写真撮影/桑田瑞穂)
カットした断熱材を埋め込んでいきます。隙間があってはいけないので、最後は押す力が必要です(写真撮影/桑田瑞穂)
手で押すと凹んでしまうため、木槌と板を使ってはめていきます(写真撮影/桑田瑞穂)
隙間を見つけては、発泡ウレタンスプレーで埋めていきます。金具の周辺も同様に行います(写真撮影/桑田瑞穂)
説明をうけると、みんな夢中になって断熱材を加工したり、はめていく作業に入りました。また、発泡ウレタンスプレーで隙間を埋めていくのも楽しいよう。パズルがぴったりはまってく感覚、プチプチをつぶすのにも似た、おもしろさがあります。
森川さん(夫)の仕上げによって、壁一面に断熱材が入りました(写真撮影/桑田瑞穂)
県産材を施主が用意する。文字通り地域に根ざした家づくりワークショップは午前10時にはじまりましたが、途中、森川夫妻と中田さんのお子さん、ご近所のお子さん、近隣の方も顔を出すなど、なんともにぎやか。あっという間に終わった印象です。家のなかに資材を置かずに安全には十分配慮し、断熱材を充填する作業そのものは釘などをほとんど使わないので、部屋の片すみで子どもが遊んでいました。なんとも幸せで楽しげな施工風景です。家づくりってこんなにも楽しいんですね。
HandiHouse project中田さん夫妻のお子さんたち。断熱材を机にして、ぬり絵をしています(写真撮影/桑田瑞穂)
今回の住まい、床のフローリングや外壁などに使う木材は、すべて神奈川県内の地元のものを使っているとのこと。また自身の手で製材所に運び、なんと自身で製材も行った森川さん。インターネットでクリックひとつで海外のものも安く手に入る時代ですが、「輸送にかかる環境負荷を考えたら、地域の木材を使う方がいい。今回、使っているのはこの近郊、家からなるべく近い山で採れた木材です」と言います。
住まいの広さは4人家族にはコンパクトな60平米ほどの平屋。自分たちで施工をすることもあり、躯体は凸凹がなく、シンプルな長方形です。ロフトがありますが、それ以外のところは将来に仕切りを自由に変更できるなど、可変性のある間取りにしています。窓は樹脂サッシでトリプルガラスを採用、断熱や窓など、住んでから手を入れにくい箇所にお金をかけているのがわかります。
施主である森川夫妻とご両親、さらにはご近所のお子さんたちと一緒に(写真撮影/桑田瑞穂)
ちなみに、森川夫妻、妻は出産をして現在育休中、まだ頻回授乳もある時期です。また、夫はこの住まいづくりに合わせて会社を退職し、現在はフルタイムの大工見習いをしているとのこと。まだまだ手のかかるお子さんがいるのに、このチャレンジ精神と取り組み、夫妻ともにパワフルすぎる!
「ほぼ毎日、現場に来て家づくりに携わっているので家のつくりを理解できています。将来、多少の不具合が出ても自分たちで修正していけます。この家づくりで身につけたことを、これからの家族の変化に合わせた家づくりにも活かしていきたい」と夫。本当の意味で、「持続可能な家づくり」をめざしているんですね。
そしてこのワークショップ、何よりの特色は楽しいこと!!
「この前ね、子どもに『お父さんとお母さんは、家ができるたびに友達が増えている』って言われたんですよ」と中田りえさん。施主も一緒につくるという価値観に惹かれて依頼するので、施主と工務店・建築士という間柄ではなく、友達になるのは当たり前といえば当たり前かもしれません。
お昼にはほうとうをつくって食べます。みんなで食べるともっと美味しい(写真撮影/桑田瑞穂)
ちなみに、午前に断熱材がひと通り充填されたところで、午後は焼き杉づくりに挑戦。焼き杉とは、杉の表面を焼き焦がして、耐久性や耐火性を高めたもの。知識としては知ってはいましたが、実際に焼く作業なんてめったにない貴重な機会なので、体験させていただくことに。
神奈川県産材の杉。3枚の板を三角形にして紐で固定します(写真撮影/嘉屋恭子)
下の七輪に火を入れて焼いていきます。右のように煙と火が上がったら完成!(写真撮影/嘉屋恭子)
できた焼き杉は、外壁材として使用するため、全部で200枚以上焼く計算(写真撮影/嘉屋恭子)
冒頭に紹介した通り、今年は電気代が高くなっていること、寒さが厳しいこの地域では、建物の高断熱化はとても注目度の高いトピックスになっています。ふらりと立ち寄ったご近所の方からも「高気密・高断熱の家って~?」「窓はトリプルサッシで~?」と会話が盛り上がっていました。そもそも、人って楽しそうにしていると集まってきますよね。もちろん、森川夫妻の人柄もある気がしますが、家って単なる建物ではなくて、人と人とをつなぐ特別なものなのだなと実感します。
森川家の住まいは今年3月、竣工の予定です。汗と思い出がつまった住まいは、一見すると小さな、普通の家に見えるかもしれません。ただ、断熱性や持続可能性、つくり手と住まい手のつながりなどは今までにない「新しい家」への試みがつまった住まいでもあります。これからの住まいは、コンパクトであたたかく、長持ち、地域や自然と一体となっている。こんな「森川さんち」のような家が増えていったらいいなあと思います。
●取材協力
森川家
ハンディハウスプロジェクト
●参考サイト
「住宅の省エネルギー基準」一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター
ニューヨーク人情酒場へようこそ!これは、ブルックリンにある小さな酒場(レストラン)で起こったいろんな出来事。
大都会の夜、一杯の酒から始まる人間模様。作者はこのお店で今お寿司を作っているよ。
にわかに信じがたいドリンクSake Bombですが、これが意外なほど浸透しています。しかも、お箸の上に載せた日本酒入りのおちょこはテーブルを手で叩きまくった振動でビールの中に落とすという野蛮極まりない手順で完成します。挙げ句の果てにビールと日本酒を混ぜたものを飲むというのだから日本人としては目も当てられないといったところですが、アメリカのパリピにはSake Bomb好きが多い印象があります。でも、そもそも日本酒を置いているバーでないとできない遊びなので、条件的には厳しいです。(アジア人経営でないアメリカのバーで日本酒・焼酎を置いているところは少ない。)
アメリカのパリピのやるドリンキング・ゲーム的な遊びは、私のようなオタクの日本人には経験がないほど原始的なものが多く(球をコップに投げ入れて外れたらショットを飲むやつとか)ちょっと困惑してしまいます。でも、あんまり知らない人と距離を詰めるにはちょうどいいのかも!?
日本でサラリーマンを経験した人間といたしましては、「ちょっと飲みに行く」のイメージは仕事終わりの居酒屋での一杯だったんですが、パーティー好きなアメリカ人やラテンアメリカ人にとってはちょっと違ったようです。
とくにラテンの人々はサルサミュージックが流れ出すと自然に腰が動き出し、週末はどこでも構わずに踊り出してしまいます。上司も部下も関係なく、踊ってるときはみんなハッピー。おおらかで優しい心を持った人が多い印象で、ダンスが下手な私にも踊りを教えてくれたりなど。
でも、この日はかなり激しかったな。次誘われたら参加してみようと思います。絶対浮くと思うけど……。
作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。ブルックリンのレストランで週4で寿司ローラーをやっています。
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2月22日は「猫の日」だったのニャー。「猫の日」にちなんで、ゼロリノベを運営するgroove agentが、東京都在住の猫を飼っている20~40代の男女1000人を対象に、猫と暮らす家に関してアンケート調査を実施した。それによると、猫と暮らす家にはお悩みがいろいろあるのだという。どんなことだろうか?
【今週の住活トピック】
「猫と暮らす家のお悩みランキング」を公表/groove agent
筆者はかつて「ペットは犬より猫? 散歩、しつけの手間が犬人気下落の要因か」という記事を書いたが、ペットフード協会の調査によると、飼育されるペットの頭数は、2014年以降ずっと猫が犬を上回っている。それほど、ペットとして猫の人気は高いのだ。
家族同様の愛猫でも、猫と暮らす家についてはお悩みも多いようだ。ゼロリノベの調査によると、お悩みの3位は「家具や壁で爪をとぐ」、2位は「毛が抜けて敷物や洋服につく」、そして1位は「猫飼育可能な物件が少ない」という結果だった。
猫と暮らすうえで、家の中のことは対応方法を自身で工夫できたとしても、住める家自体が見つけにくいことが最大の悩みごとというわけだ。
猫と暮らすために住み替えるなら、新築戸建て?調査対象者が現在猫を飼っている家は、「賃貸」が51%、「持ち家」が49%とほぼ同じだ。ただ、「猫と暮らす家」として満足しているのは全体の44%で、その内訳は「持ち家」が57%を占めたので、持ち家のほうがやや満足度が高いようだ。賃貸に不満を感じる理由としては、家が狭いことなどが挙がっているという。
では、「猫と暮らすために購入・住み替えするなら」どんな家がよいのだろう。結果は「新築戸建て」が最多の32%だった。「中古戸建て」の14%と合わせると戸建てが46%になり、マンション(新築マンションと中古マンションの合計で39%)より戸建てのほうが猫と暮らしやすいと思っている人が多いようだ。戸建てに住み替えを検討している人のコメントに、「管理組合などの規定に縛られない戸建てに住み変えたい」とあるように、マンションでは「管理規約」などでペット飼育に関する細かい制限があるからだろう。
猫の爪とぎ用のボードを壁に張ったり、こまめにブラッシングしたりと、猫を飼ううえでの工夫などはいろいろあるだろうが、ここでは、猫が飼える物件を探すときに注意したいことを説明しよう。
まず、賃貸物件について。はじめから「ペット可」で入居者を募集している物件を選びたい。その場合でも、ほかの入居者とのトラブルを避けるために、ペット飼育のための建物になっていたり、飼育のルールがあったりするほうがよいだろう。賃貸物件の中には、エントランスに足洗い場があったり、室内の壁のクロスを上下に分けて下の部分だけ張り替えできるようになっているものもある。また、一般的には、退去の際にはペットによる臭いや損傷について原状回復が求められるので、室内の仕様設備や契約書の内容などもしっかり確認したい。
次に、新築や中古のマンションの購入について。マンションには「管理規約」などの規則がある。必ず「ペット飼育可能」になっているか確認し、ペット飼育の条件としてどんなルールがあるかを詳しく調べよう。ペットの大きさや頭数に制限がある場合がほとんどなので、自分の希望通りに猫が飼えるか確認したい。ほかにも、ペット委員会などの飼育者の組織があり、予防接種を義務づけるなどの会則が整っているほうがよいだろう。ペット対応型マンションとして、ペット飼育のための共用設備や設計がなされているものもある。
新築か中古かについては、いろいろな考え方があるだろう。先ほどの調査結果では、猫と暮らすために購入・住み替えをするなら新築戸建てに住みたいと回答した人のなかには、「注文住宅にすれば自分たちにも猫にも住みやすい家が設計できるかもしれないから」とコメントした人もいて、分譲の新築物件ではなく注文住宅を建てるイメージをもっている人もいるようだ。同じ理由で、中古住宅を買ってリフォームやリノベーションをしたいと回答した人もいるだろう。
猫の安全や健康を守るには、滑りにくい床材やペットドア・キャットウォークの設置など、通常の住宅にはない仕様や設備を採り入れる必要がある。そういう意味では、中古住宅を買ってすぐに、あるいは一定期間が経ってからペット対応のリフォームをするという選択肢も有効だ。
最後に指摘したいのは、猫を飼っている人との情報交換も大切だということ。戸建てのほうが規制を受けることなく猫を飼える側面もあるが、マンションの場合には飼育仲間と情報交換ができるという側面もある。何を重視するかをよく考えて、詳しく調べたうえで物件を選ぶのがよいだろう。
さて、本連載の筆者の担当編集者は犬派らしいが、SUUMOジャーナルの記事で「猫」のテーマは人気だという。丸まって寝たり猫じゃらしで遊んだりする姿を見れば、癒やされて家事や仕事の疲れも解消されることだろう。室内で飼いやすいこともあって、猫人気は今後も続くと思われる。飼い主にとっても愛猫にとっても、暮らしやすい家が増えることを期待している。
●関連サイト
「猫と暮らす家のお悩みランキング」(ゼロリノベ調べ)
東京都内に住む際、交通面や買い物など生活の利便性から23区内を候補に考える人が多いだろう。ただ問題は、家賃相場が高いこと……。なるべく家賃を抑えられる住まいを探すなら、どの駅がいいのか? 23区内でも特に家賃相場が低めな区はどこだろう? そこで今回は、東京23区内に位置する駅それぞれの、徒歩15分圏内にある賃貸物件(専有面積10平米以上~40平米未満のワンルーム・1K・1DK)の家賃相場をランキング。家賃相場が安い駅TOP20をチェックしていこう。
東京23区内の家賃相場が安い駅TOP20(21駅)順位/駅名/家賃相場(主な路線/駅の所在地)
1位 葛西臨海公園 5.60万円(JR京葉線/江戸川区)
2位 一之江 6.40万円(都営新宿線/江戸川区)
2位 新柴又 6.40万円(北総線/葛飾区)
4位 京成小岩 6.50万円(京成本線/江戸川区)
4位 京成金町 6.50万円(京成金町線/葛飾区)
4位 江戸川 6.50万円(京成本線/江戸川区)
7位 竹ノ塚 6.55万円(東武伊勢崎線/足立区)
7位 金町 6.55万円(JR常磐線/葛飾区)
9位 小岩 6.60万円(JR総武線/江戸川区)
9位 柴又 6.60万円(京成金町線/葛飾区)
9位 瑞江 6.60万円(都営新宿線/江戸川区)
9位 篠崎 6.60万円(都営新宿線/江戸川区)
13位 堀切菖蒲園 6.70万円(京成本線/葛飾区)
13位 小菅 6.70万円(東武伊勢崎線/足立区)
13位 船堀 6.70万円(都営新宿線/江戸川区)
16位 谷在家 6.75万円(日暮里・舎人ライナー/足立区)
17位 上井草 6.80万円(西武新宿線/杉並区)
17位 五反野 6.80万円(東武伊勢崎線/足立区)
17位 喜多見 6.80万円(小田急線/世田谷区)
20位 梅島 6.85万円(東武伊勢崎線/足立区)
20位 青井 6.85万円(つくばエクスプレス/足立区)
※22~44位は記事末
1位は家賃相場がトップ20で唯一の5万円台、5万6000円だったJR京葉線・葛西臨海公園駅。駅高架下には2021年1月、アウトドアブランドのショップをはじめ飲食・物販エリアやイベントスペースを備えた複合商業施設「Ff(エフエフ)」がオープンしてる。開業3年目を迎えた現在はリニューアル工事中で休業区画も多い状態だが、今後は新たなショップのオープンも見込まれるので楽しみにしたい。
葛西臨海公園駅(写真/PIXTA)
そんな1位・葛西臨海公園駅は江戸川区の南端に位置し、駅南側の出口を出ると「葛西臨海公園」が目の前に。東京湾に面した園内には水族館や大観覧車があり、海も一望できる。一方の駅北側には青果と花を扱う都の中央卸売市場と、物流倉庫街が広がっている。そのため駅付近に住宅はさほどなく、住宅街らしくなるのは駅から徒歩15分以上のエリア。そのあたりまで出ると、幹線道路の環七沿いにファミレスが点在していたり、住宅の合間にスーパーやコンビニがあったりと日常使いできる商店も。駅から徒歩35分ほど離れるとショッピングセンターやホームセンターがあるので自転車や車が使えると生活の幅が広がるだろう。交通の面を見てみると、東京駅までJR京葉線1本で5駅・約13分の近さ。東京駅とは逆方面に乗ると1駅目が舞浜駅で、ディズニー好きにはたまらない立地でもある。
葛西臨海公園(写真/PIXTA)
2位は同じく江戸川区にある、都営新宿線・一之江駅で家賃相場は6万4000円。両隣は9位・瑞江駅(家賃相場6万6000円)と13位・船堀駅(家賃相場6万7000円)で、瑞江駅の1駅先は家賃相場6万6000円で同額9位の篠崎駅、という位置関係だ。この4駅では最も家賃相場が安かった一之江駅の様子はというと、4階建ての駅ビルにスーパーや持ち帰り弁当店、中華レストランがあって便利そう。2021年9月に東口駅前広場の正面に誕生したスーパー「マルエツ」をはじめ、駅周辺にもスーパーやコンビニ、ハンバーガーや牛丼などの気軽に入れる飲食店があり、一人暮らしに嬉しい環境だろう。都営新宿線に乗ると、神保町駅まで約23分、市ケ谷駅まで約27分、新宿駅までは約33分だ。
一之江駅前(写真/PIXTA)
一之江駅よりもやや家賃相場が高い、両隣の瑞江駅と船堀駅はどんな街だろう? 9位・瑞江駅の駅前にはディスカウントストア「ドン・キホーテ」やスーパー、100円ショップが入った商業ビルがある。ほかにも多彩な飲食店やコンビニなどが立ち並び、一之江駅よりもにぎわっている様子。また、13位・船堀駅の駅前には、都内を見渡す展望塔や映画館を備えた江戸川区のシンボルタワー「タワーホール船堀」が立っている。さらに船堀駅前では再開発が計画され、2028年度の供用開始を目指す地上20階建ての区の新庁舎と、地上27階建ての複合ビルの建設が発表された。駅周辺地区はほかにも開発計画が目白押しで、今後の船堀駅は江戸川区の中心エリアとしての存在感を高めていくだろう。
さて、2位には同額6万4000円で葛飾区にある北総線・新柴又駅もランクインした。柴又と聞くと9位の京成金町線・柴又駅(家賃相場6万6000円)を思い浮かべる人もいるだろう。映画『男はつらいよ』の主人公・寅さんの生まれ故郷としてロケ地にもなった柴又駅周辺は観光地としてもにぎわっているが、そこから歩いて10分ほどの新柴又駅周辺は静かな住宅街。スーパーやドラッグストア、コンビニはあるが繁華街といった雰囲気ではないので、落ち着いた生活ができそうだ。北総線は京成本線~京成押上線~都営浅草線~京急本線へと直通運転されているため、新柴又駅から乗り換えずに日本橋駅や新橋駅に行けるのも魅力。品川駅までも電車1本、約45分で到着する。
新柴又駅(写真/PIXTA)
TOP20には東京23区東部の江戸川区、足立区、葛飾区の駅がずらり2位・新柴又駅と9位・柴又駅のように、名称が似通った駅は4位以下にもランクインしている。4位・京成小岩駅と9位・小岩駅、同じく4位・京成金町駅と7位・金町駅だ。
4位・京成小岩駅は京成本線の駅で家賃相場6万5000円、9位・小岩駅はJR中央・総武線(各駅停車)の駅で家賃相場6万6000円。駅名が似ていてどちらも江戸川区内、そして住宅街にある点は同様だが、両駅間は徒歩20分弱ほど離れている。4位・京成小岩駅前はスーパーやコンビニ、飲食店があり、暮らしやすそうな街並み。2駅先の青砥駅から都営浅草線直通の京成押上線に乗り換えられるので、浅草駅や新橋駅にも行きやすい。また、京成小岩駅から京成本線で約21分の日暮里駅に出ると、山手線や常磐線などJR各線に乗り換え可能だ。
そんな京成小岩駅以上に駅前がにぎわっているのが9位・小岩駅だ。JR中央・総武線(各駅停車)に乗ると、秋葉原駅や市ケ谷駅を経由しつつ新宿駅まで約38分。隣の新小岩駅でJR総武線快速に乗り換えれば、東京駅まで約19分で行ける。駅にはショッピングセンター「シャポー小岩」が直結され、食品関係のお店や飲食店が営業中。改札を挟んだ千葉側エリアは改装工事中で、3月下旬にリニューアルオープンを予定している。改札直結の1階部分は約100mの通路沿いにファッション雑貨店やカフェなどが並ぶアーケード街に、地下1階部分は生鮮食料品街になるという。
小岩駅(写真/PIXTA)
小岩駅を出ても、約170店舗がひしめき区内最大の商店街と言われる「小岩フラワーロード商店街」をはじめ、線路の北側にも南側にも活気ある商店街が広がる。さらに注目は、駅周辺で大規模再開発が進行中ということ。北口側には住宅や商業の複合ビルと駅前広場が2031年度に完成予定。南口側にはすでに再開発エリア「ファスタ小岩」の商業施設棟とマンションが誕生しており、さらに地上33階建ての商業・住宅複合ビルも2026年度中に竣工予定だ。
小岩フラワーロード商店街(写真/PIXTA)
名前が似ているもう1組の駅、葛飾区にある4位・京成金町駅と7位・金町駅もチェックしてみよう。この2駅は駅前広場をはさんで南側に京成金町線の京成金町駅、北側にJR常磐線の金町駅が位置し、周辺住民は2路線が利用できる環境。家賃相場が京成金町駅は6万5000円、金町駅は6万5500円と若干の違いが出たものの、「どちらの駅により近いか」という点にはあまりこだわる必要はないだろう。東西に走るJR常磐線の線路をはさんで、北側のほうに飲食店が多く、南側のほうがより住宅街らしい街並みではあるが、どちら側にも日常生活を支えるスーパーやコンビニは備えている。
ここまで紹介してきた通り、トップ20には近接しあう駅も多くランクインしている。改めて見てみると、トップ20全21駅の所在地は、江戸川区が8駅、足立区が6駅、葛飾区が5駅。いずれも東京23区の東部に位置しているため、リーズナブルな賃貸物件を探したいならまずこのエリアをチェックするとよさそうだ。とはいえ江戸川区をはじめ東部エリアも近年は再開発が進められ、街の様子も変わりつつある。住みやすい街として人気が高まると、家賃相場も上昇しがち。来年、同様の調査を行った際は違った顔ぶれの駅がランキングに並ぶかもしれない。
■22-44位
●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている東京23区内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2022/1~2022/12
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
東京都内に住む際、交通面や買い物など生活の利便性から23区内を候補に考える人が多いだろう。ただ問題は、家賃相場が高いこと……。なるべく家賃を抑えられる住まいを探すなら、どの駅がいいのか? 23区内でも特に家賃相場が低めな区はどこだろう? そこで今回は、東京23区内に位置する駅それぞれの、徒歩15分圏内にある賃貸物件(専有面積10平米以上~40平米未満のワンルーム・1K・1DK)の家賃相場をランキング。家賃相場が安い駅TOP20をチェックしていこう。
東京23区内の家賃相場が安い駅TOP20(21駅)順位/駅名/家賃相場(主な路線/駅の所在地)
1位 葛西臨海公園 5.60万円(JR京葉線/江戸川区)
2位 一之江 6.40万円(都営新宿線/江戸川区)
2位 新柴又 6.40万円(北総線/葛飾区)
4位 京成小岩 6.50万円(京成本線/江戸川区)
4位 京成金町 6.50万円(京成金町線/葛飾区)
4位 江戸川 6.50万円(京成本線/江戸川区)
7位 竹ノ塚 6.55万円(東武伊勢崎線/足立区)
7位 金町 6.55万円(JR常磐線/葛飾区)
9位 小岩 6.60万円(JR総武線/江戸川区)
9位 柴又 6.60万円(京成金町線/葛飾区)
9位 瑞江 6.60万円(都営新宿線/江戸川区)
9位 篠崎 6.60万円(都営新宿線/江戸川区)
13位 堀切菖蒲園 6.70万円(京成本線/葛飾区)
13位 小菅 6.70万円(東武伊勢崎線/足立区)
13位 船堀 6.70万円(都営新宿線/江戸川区)
16位 谷在家 6.75万円(日暮里・舎人ライナー/足立区)
17位 上井草 6.80万円(西武新宿線/杉並区)
17位 五反野 6.80万円(東武伊勢崎線/足立区)
17位 喜多見 6.80万円(小田急線/世田谷区)
20位 梅島 6.85万円(東武伊勢崎線/足立区)
20位 青井 6.85万円(つくばエクスプレス/足立区)
※22~44位は記事末
1位は家賃相場がトップ20で唯一の5万円台、5万6000円だったJR京葉線・葛西臨海公園駅。駅高架下には2021年1月、アウトドアブランドのショップをはじめ飲食・物販エリアやイベントスペースを備えた複合商業施設「Ff(エフエフ)」がオープンしてる。開業3年目を迎えた現在はリニューアル工事中で休業区画も多い状態だが、今後は新たなショップのオープンも見込まれるので楽しみにしたい。
葛西臨海公園駅(写真/PIXTA)
そんな1位・葛西臨海公園駅は江戸川区の南端に位置し、駅南側の出口を出ると「葛西臨海公園」が目の前に。東京湾に面した園内には水族館や大観覧車があり、海も一望できる。一方の駅北側には青果と花を扱う都の中央卸売市場と、物流倉庫街が広がっている。そのため駅付近に住宅はさほどなく、住宅街らしくなるのは駅から徒歩15分以上のエリア。そのあたりまで出ると、幹線道路の環七沿いにファミレスが点在していたり、住宅の合間にスーパーやコンビニがあったりと日常使いできる商店も。駅から徒歩35分ほど離れるとショッピングセンターやホームセンターがあるので自転車や車が使えると生活の幅が広がるだろう。交通の面を見てみると、東京駅までJR京葉線1本で5駅・約13分の近さ。東京駅とは逆方面に乗ると1駅目が舞浜駅で、ディズニー好きにはたまらない立地でもある。
葛西臨海公園(写真/PIXTA)
2位は同じく江戸川区にある、都営新宿線・一之江駅で家賃相場は6万4000円。両隣は9位・瑞江駅(家賃相場6万6000円)と13位・船堀駅(家賃相場6万7000円)で、瑞江駅の1駅先は家賃相場6万6000円で同額9位の篠崎駅、という位置関係だ。この4駅では最も家賃相場が安かった一之江駅の様子はというと、4階建ての駅ビルにスーパーや持ち帰り弁当店、中華レストランがあって便利そう。2021年9月に東口駅前広場の正面に誕生したスーパー「マルエツ」をはじめ、駅周辺にもスーパーやコンビニ、ハンバーガーや牛丼などの気軽に入れる飲食店があり、一人暮らしに嬉しい環境だろう。都営新宿線に乗ると、神保町駅まで約23分、市ケ谷駅まで約27分、新宿駅までは約33分だ。
一之江駅前(写真/PIXTA)
一之江駅よりもやや家賃相場が高い、両隣の瑞江駅と船堀駅はどんな街だろう? 9位・瑞江駅の駅前にはディスカウントストア「ドン・キホーテ」やスーパー、100円ショップが入った商業ビルがある。ほかにも多彩な飲食店やコンビニなどが立ち並び、一之江駅よりもにぎわっている様子。また、13位・船堀駅の駅前には、都内を見渡す展望塔や映画館を備えた江戸川区のシンボルタワー「タワーホール船堀」が立っている。さらに船堀駅前では再開発が計画され、2028年度の供用開始を目指す地上20階建ての区の新庁舎と、地上27階建ての複合ビルの建設が発表された。駅周辺地区はほかにも開発計画が目白押しで、今後の船堀駅は江戸川区の中心エリアとしての存在感を高めていくだろう。
さて、2位には同額6万4000円で葛飾区にある北総線・新柴又駅もランクインした。柴又と聞くと9位の京成金町線・柴又駅(家賃相場6万6000円)を思い浮かべる人もいるだろう。映画『男はつらいよ』の主人公・寅さんの生まれ故郷としてロケ地にもなった柴又駅周辺は観光地としてもにぎわっているが、そこから歩いて10分ほどの新柴又駅周辺は静かな住宅街。スーパーやドラッグストア、コンビニはあるが繁華街といった雰囲気ではないので、落ち着いた生活ができそうだ。北総線は京成本線~京成押上線~都営浅草線~京急本線へと直通運転されているため、新柴又駅から乗り換えずに日本橋駅や新橋駅に行けるのも魅力。品川駅までも電車1本、約45分で到着する。
新柴又駅(写真/PIXTA)
TOP20には東京23区東部の江戸川区、足立区、葛飾区の駅がずらり2位・新柴又駅と9位・柴又駅のように、名称が似通った駅は4位以下にもランクインしている。4位・京成小岩駅と9位・小岩駅、同じく4位・京成金町駅と7位・金町駅だ。
4位・京成小岩駅は京成本線の駅で家賃相場6万5000円、9位・小岩駅はJR中央・総武線(各駅停車)の駅で家賃相場6万6000円。駅名が似ていてどちらも江戸川区内、そして住宅街にある点は同様だが、両駅間は徒歩20分弱ほど離れている。4位・京成小岩駅前はスーパーやコンビニ、飲食店があり、暮らしやすそうな街並み。2駅先の青砥駅から都営浅草線直通の京成押上線に乗り換えられるので、浅草駅や新橋駅にも行きやすい。また、京成小岩駅から京成本線で約21分の日暮里駅に出ると、山手線や常磐線などJR各線に乗り換え可能だ。
そんな京成小岩駅以上に駅前がにぎわっているのが9位・小岩駅だ。JR中央・総武線(各駅停車)に乗ると、秋葉原駅や市ケ谷駅を経由しつつ新宿駅まで約38分。隣の新小岩駅でJR総武線快速に乗り換えれば、東京駅まで約19分で行ける。駅にはショッピングセンター「シャポー小岩」が直結され、食品関係のお店や飲食店が営業中。改札を挟んだ千葉側エリアは改装工事中で、3月下旬にリニューアルオープンを予定している。改札直結の1階部分は約100mの通路沿いにファッション雑貨店やカフェなどが並ぶアーケード街に、地下1階部分は生鮮食料品街になるという。
小岩駅(写真/PIXTA)
小岩駅を出ても、約170店舗がひしめき区内最大の商店街と言われる「小岩フラワーロード商店街」をはじめ、線路の北側にも南側にも活気ある商店街が広がる。さらに注目は、駅周辺で大規模再開発が進行中ということ。北口側には住宅や商業の複合ビルと駅前広場が2031年度に完成予定。南口側にはすでに再開発エリア「ファスタ小岩」の商業施設棟とマンションが誕生しており、さらに地上33階建ての商業・住宅複合ビルも2026年度中に竣工予定だ。
小岩フラワーロード商店街(写真/PIXTA)
名前が似ているもう1組の駅、葛飾区にある4位・京成金町駅と7位・金町駅もチェックしてみよう。この2駅は駅前広場をはさんで南側に京成金町線の京成金町駅、北側にJR常磐線の金町駅が位置し、周辺住民は2路線が利用できる環境。家賃相場が京成金町駅は6万5000円、金町駅は6万5500円と若干の違いが出たものの、「どちらの駅により近いか」という点にはあまりこだわる必要はないだろう。東西に走るJR常磐線の線路をはさんで、北側のほうに飲食店が多く、南側のほうがより住宅街らしい街並みではあるが、どちら側にも日常生活を支えるスーパーやコンビニは備えている。
ここまで紹介してきた通り、トップ20には近接しあう駅も多くランクインしている。改めて見てみると、トップ20全21駅の所在地は、江戸川区が8駅、足立区が6駅、葛飾区が5駅。いずれも東京23区の東部に位置しているため、リーズナブルな賃貸物件を探したいならまずこのエリアをチェックするとよさそうだ。とはいえ江戸川区をはじめ東部エリアも近年は再開発が進められ、街の様子も変わりつつある。住みやすい街として人気が高まると、家賃相場も上昇しがち。来年、同様の調査を行った際は違った顔ぶれの駅がランキングに並ぶかもしれない。
■22-44位
●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている東京23区内の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2022/1~2022/12
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンション)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している