惹かれるアプローチ -1LDK-

所在地:大田区山王
15万円 / 54.45平米
京浜東北線「大森」駅 徒歩10分

山王の住宅街に一際目を引く建物が。コンクリート平板と砂利の引き込まれるようなアプローチに、ポツポツと配置された石が雰囲気をつくっています。奥に進むと爽やかな芝の中庭が広がり、入口とのコントラストが素敵です。



今回のお部屋はゆったりした広さの1LDK。3方角部屋で、窓が多いのが魅 ... 続き>>>.
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にやける誤算

所在地:世田谷区羽根木
15万円 / 46.79平米
井の頭線「東松原」駅 徒歩6分

羽根木の閑静な住宅街に溶けこんだ一見普通の戸建。玄関を入ってすぐに現れる階段を上がり室内へ。嬉しい誤算に思わずにやけました。



剝き出しにされた梁と柱に、一番高いところで3メートルを超す天高。ガラス戸で空間を仕切ることで建物の奥行きが活かされていて、実際の面積以上に開放感がありま ... 続き>>>.
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心地いい組み合わせに浮かれて

所在地:目黒区中根
13万5,000円 / 44.47平米
東急東横線「都立大学」駅 徒歩8分

緑が茂るウッドテラスと、ガラスブロックの壁が生み出す光。心地のいい組み合わせに気分が浮かれてしまいます。



シンボルツリーが突き抜けたテラスには驚き。日差しの強い夏の日でも、木陰でゆっくりとくつろげるのが魅力的です。窓が大きいので、テラスは室内からでもしっかりと見えます。



南側 ... 続き>>>.
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美術館のような

所在地:新宿区二十騎町
19万円 / 50.55平米
東西線「神楽坂」駅 徒歩10分

architecture WORKSHOPによる、美術館のような端正なデザインの集合住宅。



玄関がある前面部分は大きなガラス張りで、吹き抜けの高さは約4.6mという規格外の高さ。水が流れる共用部や、橋を渡る玄関までのアプローチを目の当たりにすると、これから住宅に入室するとは思え ... 続き>>>.
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びっくりビッグなバトンタッチ!

所在地:神奈川県川崎市高津区溝口
88万円(税込) / 281.6平米
東急田園都市線・東急大井町線「高津」駅 徒歩3分

大きめのオフィスをお探しだった方へ!都心から離れるという選択ができるなら、こんなにビッグで良い雰囲気に整えられたオフィスを引き継ぐことができるチャンスです。



これまでコワーキングスペースとして利用されてきた大空間。うれしいことに、空間に合うようチョイスされたり造作されたデスクや ... 続き>>>.
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住みひらく、ガモウの村【戸建タイプ】

所在地:埼玉県越谷市蒲生茜町
18万円 / 57.97平米
東武伊勢崎線「蒲生」駅 徒歩5分

アーティスト、フリーランスの方が集まる集落や村をテーマにした集合住宅。住みながら仕事をしたり、趣味を生かした生活をしたい方のための賃貸物件です。



カフェやショップなど、入居者の趣味や生業が外にひらかれ、和気あいあいと賑わう景色があるのは、埼玉県越谷市の蒲生(がもう)という場所に ... 続き>>>.
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100年先の社会を考えた大家さんが、ご近所や友人みんなの力をあわせて小さな家をつくる理由。人の力で大槌を上げ下ろし地固めする伝統構法・石場建ての現場にヨイトマケが響く 世田谷区

都会のなかにある農地が、ある日、マンションや駐車場となっているのを見かけたことはありませんか? 日本全体で人口が減り始めているのに、どんどん住宅をつくって大丈夫なのだろうか、他人事ながら心配になる人もいることでしょう。そんな都市や住まいのあり方に一石を投じるプロジェクトが、世田谷区大蔵の「三年鳴かず飛ばず」です。しかも石場建てという昔ながらの工法を使うとか。開催された「ヨイトマケ」ワークショップの様子とともにご紹介します。

はじまりは相続と都市計画道路の建設。分断された土地をどうする?

都市部はもちろん、地方であっても、農家さんの家の跡地や農地がアパートや駐車場に変わっていくのは珍しい光景ではありません。背景には、
(1)土地所有者が農業だけで生計をたてるのは厳しく、現金収入の必要がある
(2)相続税を含めた納税のため、土地を売却して現金化する必要がある
(3)不動産会社は建物を建設し、金融機関は融資をし、活用をすすめたい
(4)建物を建てることで固定資産税を減らしたい
といった背景があり、アパートや駐車場建設が積極的にすすめられてきました。

人口が増え続けた高度成長期であれば、この方法は有効でしたが、時代は変わり、地方はもちろん、都市部でも人が減り始めています。すると、駅から距離のある物件、バス便などの物件はたちまち不人気となり、空室となってしまいます。このプロジェクトの仕掛人である安藤勝信さんは、そんな入居者募集に苦労する祖父母の姿を見てきました。

今回のプロジェクト仕掛人であり、施主でもある安藤勝信さん(写真撮影/片山貴博)

今回のプロジェクト仕掛人であり、施主でもある安藤勝信さん(写真撮影/片山貴博)

「この周辺は1950年代の人口増加にともない団地建設の計画があり、都市農家だった私の家族は団地開発に明け渡し、結果農地がバラバラに点在した経緯があります。単独で農業ができない面積になってしまった家族は残地に事業として賃貸住宅を建てていったのですが、徐々に時代のニーズに遅れ空室を増やしていきました。
都市農家は、ある時はこれからは住宅や道路が必要だと言われ、ある時は農地は大切だから守れと、時代に翻弄されてきたのです」

畑とその奥は道路予定地(写真撮影/片山貴博)

畑とその奥は道路予定地(写真撮影/片山貴博)

祖父母がなくなったあと、安藤さんは土地や不動産事業を引き継ぐことになりましたが、その土地はすでに都市計画道路予定地として収用が決定されていました。祖父母が住んでいた建物は取り壊しとなるほか、継承した土地も2つに分断されることに。冒頭に紹介したように、定番であれば、「アパート建設」か「駐車場」ですが、安藤さんはそうは考えませんでした。

100年続く風景をつくるにはどうしたらいい? 答えは時代とともに「変われる家」

「母屋を壊したときに、建物をつくった当時のいろいろなものが出てきて、長い間置物だと思っていた物の後ろに“初代のお家の大黒柱の一部”と彫ってあるものがありました。現代の住宅は、30~40年経ったら取り壊して建てるサイクルになりがちですが、昔のひとの時間軸は個人を超えた100年スパンのものなのだと気がつきました。
とはいえ、これから先、人口も減るし、時代はもっと大きく変わっていく。不確定な世の中で大きくて立派で、変わらないものをつくることにも一定の不安やリスクを感じていました。では変えずに守るのではなく変えながら守ろうと。世代や周辺の風景の変化にあわせて、その時代を生きる人が変えていったらいい、変えながら守っていくしかない。そんな計画を立てました」と安藤さん。

そもそも安藤さんは、アパートをコンバージョン(用途変更)して、デイサービス施設にしたり、賃貸の1室をシェアスペースにしたりして認知症の人を見守るといった、新しい賃貸のあり方を模索してきました。

関連記事:
・高齢の母が住む賃貸の1室がシェアスペースに? 住人の交流や見守りはじまる
・駅遠の土地が人気賃貸に! 住人が主役になる相続の公募アイデアって?

そのため、以前から知り合いだったビオフォルム環境デザイン室と一緒にプロジェクトをつくり、1カ所を「長屋プロジェクト」、1カ所を「小屋プロジェクト」とする計画を立てました。長屋プロジェクトは、子育て世代向けの賃貸シェアハウス。1階は地域にひらいているので、気軽にいろんな人が立ち寄れて、子育てや暮らし、毎日のできごとをシェアできます。名前の通り、昔ながらの「長屋」に現代の快適さを組み込んで懐かしくも新しい暮らしを思い描いています。

建築模型図。中央に道路があり、右奥が「長屋プロジェクト」、画面の左手前が「小屋プロジェクト」(写真撮影/片山貴博)

建築模型図。中央に道路があり、右奥が「長屋プロジェクト」、画面の左手前が「小屋プロジェクト」(写真撮影/片山貴博)

そして、かつて安藤さんの祖父母宅があった場所に計画されているのが、「小屋プロジェクト」です。左上にシェアスペース機能のある真四角なお家(母屋)、隣接する小屋はまず1棟つくり、今後3棟程度を少しずつつくっていきます。この母屋、子どもたちと環境教育活動をしている地域住民が引越してくる予定。住人みずからが住みびらきをすることで、シェアスペース兼1階は地域の人や子どもたちが集える場所となる予定です。

画面の右奥に建てられているのが、母屋。1階は地域にひらかれた場所になります(写真撮影/片山貴博)

画面の右奥に建てられているのが、母屋。1階は地域にひらかれた場所になります(写真撮影/片山貴博)

母屋の脇には、4棟の小屋が建つ予定です。一方はトイレ・キッチン付きで、主にシングルの住まいとして使われます。可変・移動が可能なので、将来、小屋が不要になっても移動ができるほか、ユニット設計なので増築も可能です。小さく建てて、空いた敷地に緑や畑をのこす。まさに「変えながら守る設計」になっているんです。ちなみに最初の住人は高齢一人暮らしの女性が住む予定です。

大蔵小屋図面

一方で、小屋であっても住まいですから、地面と建物をつなぐ「基礎」はつくらなくてはいけません。一般的には一戸建てをつくる場合、コンクリートで基礎を打設し、建物と基礎はしっかりとつながっています。が、この現代の工法では、家の移動や可変は難しくなりますし、取り壊す時にも時間・手間がかかります。もちろん、環境への負荷は少なくはありません。

そこで、小屋の基礎を昔ながらの「石場建て」という工法を用いることにしたのです。寺社仏閣、あるいは民家園などに残る家を思い浮かべてもらうとわかりますが、みな立派な石の上に柱を建てる伝統構法の「石場建て」で建てられています。石の上に柱を載せている構造になるので、移動や増改築も容易です。しかも建物と石をどかせば畑や森に戻すことができる。環境への負荷も少なく、都市農業との組み合わせも良い。そんなメリットを考え、今回、「石場建て」のうえに「小屋」をつくることになったのです。伝統的な工法と現代の技術がミックスされた小屋の家、というわけです。

すべては人の暮らしと信頼から。建物や約束はあとからついてくる

「石場建て」にはもうひとつのメリットがあります。それは、地域の共同作業になるということ。石の基礎をつくる「ヨイトマケ」はごく平たくいうと、約100kgの重しで、基礎になる石を大地に打ち据えていく作業です。作業自体は単純ですが、人手と労力が必要になります。そのため、昔は “ヨイトマケ”の歌にあわせて縄でひっぱり、打ち据えていく重労働だったといいます。安藤さんは、昔の重労働も、今となっては地域の人たちの参加と交流の機会と考え、2023年3月のある土曜・日曜、このワークショップ形式で「ヨイトマケ」を開催することに。

石場建てと歌で作業する「ヨイトマケ」を告知する看板。コミュニティアーティストによるイラストが目を引きます(写真撮影/片山貴博)

石場建てと歌で作業する「ヨイトマケ」を告知する看板。コミュニティアーティストによるイラストが目を引きます(写真撮影/片山貴博)

当日、参加者は安藤さんの知人や友人、近隣の住民とビオフォルム環境デザイン室の友人知人、合計100名が集まりました。SNSなどで広く参加者を募るのではなく、「プロジェクトに関心を持ってくださる地域内外の知人友人と散歩ついでにふらっと寄ってくれる地域の方々」にしぼったそう。「同じマルシェに行くのなら、ただ美味しいものを買って帰るより、知り合いがいたほうが楽しくすごせたりしますよね」と安藤さんは例えます。

今回、石場建ての指揮を執るのは、伝統構法を行う杢巧舎(もっこうしゃ)。コンクリートの基礎が当たり前になった今、「石場建て」ができる貴重な工務店です。

参加者はそれぞれ好きな食べ物を持ち寄り、各自あいさつをしながら談笑していました。自然に交流できる仕掛けをつくるあたり、安藤さんの気配りが光ります。「あの◯◯さん、お会いしたかったんです」「初めまして」といいながら会話がはずんでいました。

肝心のヨイトマケの作業ですが、各日の朝からはじまり、昼ごはんやおのおの歓談をしながら、夕方まで、計2日間で行われました。会話ははずんでいますが、一歩間違えば事故になりかねないことから、作業がはじまるとどこかピリッとした緊張感が漂います。これは、棟梁の声のなせる技でしょう。

ヨイトマケで地固めする石は約30カ所。おもりは100kgほどで、数え唄にあわせながら、みんなで綱をひいていきます(写真撮影/片山貴博)

ヨイトマケで地固めする石は約30カ所。おもりは100kgほどで、数え唄にあわせながら、みんなで綱をひいていきます(写真撮影/片山貴博)

作業中にくちずさむ数え歌。言葉遊びになっていて、遊び心を感じます(写真撮影/片山貴博)

作業中にくちずさむ数え歌。言葉遊びになっていて、遊び心を感じます(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

紐をひくのは全員で10人ほど。人数がいるので1人1人はそんなに力が必要ではありません(写真撮影/片山貴博)

紐をひくのは全員で10人ほど。人数がいるので1人1人はそんなに力が必要ではありません(写真撮影/片山貴博)

地域の老若男女、なかにはお子さんも参加していました(写真撮影/片山貴博)

地域の老若男女、なかにはお子さんも参加していました(写真撮影/片山貴博)

地固めした石、水平かどうか調べています(写真撮影/片山貴博)

地固めした石、水平かどうか調べています(写真撮影/片山貴博)

畑の片隅には、この土地の土からつくったアースオーブン(ピザ窯)も。このオーブンも移動可能です(写真撮影/片山貴博)

畑の片隅には、この土地の土からつくったアースオーブン(ピザ窯)も。このオーブンも移動可能です(写真撮影/片山貴博)

オーブンで焼かれたピザも来場者にふるまわれました。美味しい!(写真撮影/片山貴博)

オーブンで焼かれたピザも来場者にふるまわれました。美味しい!(写真撮影/片山貴博)

自分のできることやりたいことを持ち寄る。コーヒーをふるまってくれる人もいました(写真撮影/片山貴博)

自分のできることやりたいことを持ち寄る。コーヒーをふるまってくれる人もいました(写真撮影/片山貴博)

筆者もヨイトマケに参加しましたが、作業自体それほど力は必要としません。ただ、食事をして歌を歌いなら労働をしていると、なんともいえない高揚感と一体感が湧いてきます。参加しているみなさんも本当に楽しそうで、子どもも大人も、高齢の方も、みなさん飽きずに綱をひいていました。

実は、今回参加した近隣住民には工事の音を心配していた方がいたそうです。ところが、なんと当日、ヨイトマケ作業に飛び入り参加し、安藤さんや周辺のみなさんと交流を深めていました。工事を騒音、意見をクレームとみなすこともできますが、お互いの顔が見えることで関係性が生まれ、暮らしをつくる人同士だと思うと、見える風景が変わって見えるのかもしれません。

地域で活躍するコミュニティアーティストも参加し、ヨイトマケの様子をスケッチ。貴重な様子を残していきます(写真撮影/片山貴博)

地域で活躍するコミュニティアーティストも参加し、ヨイトマケの様子をスケッチ。貴重な様子を残していきます(写真撮影/片山貴博)

絵という形で、地域の記憶、記録を残していきたい、と話してくれました(写真撮影/片山貴博)

絵という形で、地域の記憶、記録を残していきたい、と話してくれました(写真撮影/片山貴博)

杢巧舎(もっこうしゃ)の棟梁による締めのあいさつ。不思議と背筋が伸びる気持ちになります(写真撮影/片山貴博)

杢巧舎(もっこうしゃ)の棟梁による締めのあいさつ。不思議と背筋が伸びる気持ちになります(写真撮影/片山貴博)

母屋に住む人、小屋に住む人1名はすでに決まってます。ただ、賃料はまだ未定で、契約書もまだだとか。何事も契約、契約という現代ルールを考えると、驚きしかありません。

「これまでにもいくつかのプロジェクトをやってきましたが、ひとの暮らしを先に、構造をあとにすることで関係性に流れが生まれて、続いていきます。今回設計のビオフォルム環境デザイン室さん、頼んでいないのに実物大のモックアップをつくったんです。やりたいひとがやりたいときにやりたいことができる。状況を上位下達でコントロールするよりも不確実な中でともに考える。そんなことを繰り返してきました」(安藤さん)

休日に労働したのに、なんともいえない達成感が湧いてきます。共同作業って尊いですね(写真撮影/片山貴博)

休日に労働したのに、なんともいえない達成感が湧いてきます。共同作業って尊いですね(写真撮影/片山貴博)

多くの住まいは条件で検索され契約したのちに、暮らしがはじまります。思いや暮らしの一部を共有することはありません。でも本来、人がいて地域の暮らしがあり、必要があるから家を建て、そして地域の人と家をつくる順番だったんだよな、と思い知らされます。

プロジェクト名の「三年鳴かず飛ばず」は、「将来の活躍に備えて行いを控え、三年間鳴かず飛ばずにいる鳥は、ひとたび飛ぶと天まで上がり、ひとたび鳴けば人を驚かす」という故事成語に由来します。あちこちで再開発が進む大都市東京にあって、この開発規模、戸数は小さなものかもしれません。人によっては「鳴かず飛ばず」、つまり、活躍することもなく、人から忘れられたようにみえることでしょう。ただ、日本の賃貸や住まいのあり方、100年後のまちづくりや開発に必要なものとは何か、とても大きな問いかけ、挑戦をしているのではないか、私にはそう思えてなりません。

●取材協力
ビオフォルム環境デザイン室
安藤勝信さん
三年鳴かず飛ばずプロジェクト

100年先の社会を考えた大家さんが、ご近所や友人みんなの力をあわせて小さな家をつくる理由。人の力で大槌を上げ下ろし地固めする伝統構法”石場建て”の現場にヨイトマケが響く 世田谷区

都会のなかにある農地が、ある日、マンションや駐車場となっているのを見かけたことはありませんか? 日本全体で人口が減り始めているのに、どんどん住宅をつくって大丈夫なのだろうか、他人事ながら心配になる人もいることでしょう。そんな都市や住まいのあり方に一石を投じるプロジェクトが、世田谷区大蔵の「三年鳴かず飛ばず」です。しかも石場建てという昔ながらの工法を使うとか。開催された「ヨイトマケ」ワークショップの様子とともにご紹介します。

はじまりは相続と都市計画道路の建設。分断された土地をどうする?

都市部はもちろん、地方であっても、農家さんの家の跡地や農地がアパートや駐車場に変わっていくのは珍しい光景ではありません。背景には、
(1)土地所有者が農業だけで生計をたてるのは厳しく、現金収入の必要がある
(2)相続税を含めた納税のため、土地を売却して現金化する必要がある
(3)不動産会社は建物を建設し、金融機関は融資をし、活用をすすめたい
(4)建物を建てることで固定資産税を減らしたい
といった背景があり、アパートや駐車場建設が積極的にすすめられてきました。

人口が増え続けた高度成長期であれば、この方法は有効でしたが、時代は変わり、地方はもちろん、都市部でも人が減り始めています。すると、駅から距離のある物件、バス便などの物件はたちまち不人気となり、空室となってしまいます。このプロジェクトの仕掛人である安藤勝信さんは、そんな入居者募集に苦労する祖父母の姿を見てきました。

今回のプロジェクト仕掛人であり、施主でもある安藤勝信さん(写真撮影/片山貴博)

今回のプロジェクト仕掛人であり、施主でもある安藤勝信さん(写真撮影/片山貴博)

「この周辺は1950年代の人口増加にともない団地建設の計画があり、都市農家だった私の家族は団地開発に明け渡し、結果農地がバラバラに点在した経緯があります。単独で農業ができない面積になってしまった家族は残地に事業として賃貸住宅を建てていったのですが、徐々に時代のニーズに遅れ空室を増やしていきました。
都市農家は、ある時はこれからは住宅や道路が必要だと言われ、ある時は農地は大切だから守れと、時代に翻弄されてきたのです」

畑とその奥は道路予定地(写真撮影/片山貴博)

畑とその奥は道路予定地(写真撮影/片山貴博)

祖父母がなくなったあと、安藤さんは土地や不動産事業を引き継ぐことになりましたが、その土地はすでに都市計画道路予定地として収用が決定されていました。祖父母が住んでいた建物は取り壊しとなるほか、継承した土地も2つに分断されることに。冒頭に紹介したように、定番であれば、「アパート建設」か「駐車場」ですが、安藤さんはそうは考えませんでした。

100年続く風景をつくるにはどうしたらいい? 答えは時代とともに「変われる家」

「母屋を壊したときに、建物をつくった当時のいろいろなものが出てきて、長い間置物だと思っていた物の後ろに“初代のお家の大黒柱の一部”と彫ってあるものがありました。現代の住宅は、30~40年経ったら取り壊して建てるサイクルになりがちですが、昔のひとの時間軸は個人を超えた100年スパンのものなのだと気がつきました。
とはいえ、これから先、人口も減るし、時代はもっと大きく変わっていく。不確定な世の中で大きくて立派で、変わらないものをつくることにも一定の不安やリスクを感じていました。では変えずに守るのではなく変えながら守ろうと。世代や周辺の風景の変化にあわせて、その時代を生きる人が変えていったらいい、変えながら守っていくしかない。そんな計画を立てました」と安藤さん。

そもそも安藤さんは、アパートをコンバージョン(用途変更)して、デイサービス施設にしたり、賃貸の1室をシェアスペースにしたりして認知症の人を見守るといった、新しい賃貸のあり方を模索してきました。

関連記事:
・高齢の母が住む賃貸の1室がシェアスペースに? 住人の交流や見守りはじまる
・駅遠の土地が人気賃貸に! 住人が主役になる相続の公募アイデアって?

そのため、以前から知り合いだったビオフォルム環境デザイン室と一緒にプロジェクトをつくり、1カ所を「長屋プロジェクト」、1カ所を「小屋プロジェクト」とする計画を立てました。長屋プロジェクトは、子育て世代向けの賃貸シェアハウス。1階は地域にひらいているので、気軽にいろんな人が立ち寄れて、子育てや暮らし、毎日のできごとをシェアできます。名前の通り、昔ながらの「長屋」に現代の快適さを組み込んで懐かしくも新しい暮らしを思い描いています。

建築模型図。中央に道路があり、右奥が「長屋プロジェクト」、画面の左手前が「小屋プロジェクト」(写真撮影/片山貴博)

建築模型図。中央に道路があり、右奥が「長屋プロジェクト」、画面の左手前が「小屋プロジェクト」(写真撮影/片山貴博)

そして、かつて安藤さんの祖父母宅があった場所に計画されているのが、「小屋プロジェクト」です。左上にシェアスペース機能のある真四角なお家(母屋)、隣接する小屋はまず1棟つくり、今後3棟程度を少しずつつくっていきます。この母屋、子どもたちと環境教育活動をしている地域住民が引越してくる予定。住人みずからが住みびらきをすることで、シェアスペース兼1階は地域の人や子どもたちが集える場所となる予定です。

画面の右奥に建てられているのが、母屋。1階は地域にひらかれた場所になります(写真撮影/片山貴博)

画面の右奥に建てられているのが、母屋。1階は地域にひらかれた場所になります(写真撮影/片山貴博)

母屋の脇には、4棟の小屋が建つ予定です。一方はトイレ・キッチン付きで、主にシングルの住まいとして使われます。可変・移動が可能なので、将来、小屋が不要になっても移動ができるほか、ユニット設計なので増築も可能です。小さく建てて、空いた敷地に緑や畑をのこす。まさに「変えながら守る設計」になっているんです。ちなみに最初の住人は高齢一人暮らしの女性が住む予定です。

大蔵小屋図面

一方で、小屋であっても住まいですから、地面と建物をつなぐ「基礎」はつくらなくてはいけません。一般的には一戸建てをつくる場合、コンクリートで基礎を打設し、建物と基礎はしっかりとつながっています。が、この現代の工法では、家の移動や可変は難しくなりますし、取り壊す時にも時間・手間がかかります。もちろん、環境への負荷は少なくはありません。

そこで、小屋の基礎を昔ながらの「石場建て」という工法を用いることにしたのです。寺社仏閣、あるいは民家園などに残る家を思い浮かべてもらうとわかりますが、みな立派な石の上に柱を建てる伝統構法の「石場建て」で建てられています。石の上に柱を載せている構造になるので、移動や増改築も容易です。しかも建物と石をどかせば畑や森に戻すことができる。環境への負荷も少なく、都市農業との組み合わせも良い。そんなメリットを考え、今回、「石場建て」のうえに「小屋」をつくることになったのです。伝統的な工法と現代の技術がミックスされた小屋の家、というわけです。

すべては人の暮らしと信頼から。建物や約束はあとからついてくる

「石場建て」にはもうひとつのメリットがあります。それは、地域の共同作業になるということ。石の基礎をつくる「ヨイトマケ」はごく平たくいうと、約100kgの重しで、基礎になる石を大地に打ち据えていく作業です。作業自体は単純ですが、人手と労力が必要になります。そのため、昔は “ヨイトマケ”の歌にあわせて縄でひっぱり、打ち据えていく重労働だったといいます。安藤さんは、昔の重労働も、今となっては地域の人たちの参加と交流の機会と考え、2023年3月のある土曜・日曜、このワークショップ形式で「ヨイトマケ」を開催することに。

石場建てと歌で作業する「ヨイトマケ」を告知する看板。コミュニティアーティストによるイラストが目を引きます(写真撮影/片山貴博)

石場建てと歌で作業する「ヨイトマケ」を告知する看板。コミュニティアーティストによるイラストが目を引きます(写真撮影/片山貴博)

当日、参加者は安藤さんの知人や友人、近隣の住民とビオフォルム環境デザイン室の友人知人、合計100名が集まりました。SNSなどで広く参加者を募るのではなく、「プロジェクトに関心を持ってくださる地域内外の知人友人と散歩ついでにふらっと寄ってくれる地域の方々」にしぼったそう。「同じマルシェに行くのなら、ただ美味しいものを買って帰るより、知り合いがいたほうが楽しくすごせたりしますよね」と安藤さんは例えます。

今回、石場建ての指揮を執るのは、伝統構法を行う杢巧舎(もっこうしゃ)。コンクリートの基礎が当たり前になった今、「石場建て」ができる貴重な工務店です。

参加者はそれぞれ好きな食べ物を持ち寄り、各自あいさつをしながら談笑していました。自然に交流できる仕掛けをつくるあたり、安藤さんの気配りが光ります。「あの◯◯さん、お会いしたかったんです」「初めまして」といいながら会話がはずんでいました。

肝心のヨイトマケの作業ですが、各日の朝からはじまり、昼ごはんやおのおの歓談をしながら、夕方まで、計2日間で行われました。会話ははずんでいますが、一歩間違えば事故になりかねないことから、作業がはじまるとどこかピリッとした緊張感が漂います。これは、棟梁の声のなせる技でしょう。

ヨイトマケで地固めする石は約30カ所。おもりは100kgほどで、数え唄にあわせながら、みんなで綱をひいていきます(写真撮影/片山貴博)

ヨイトマケで地固めする石は約30カ所。おもりは100kgほどで、数え唄にあわせながら、みんなで綱をひいていきます(写真撮影/片山貴博)

作業中にくちずさむ数え歌。言葉遊びになっていて、遊び心を感じます(写真撮影/片山貴博)

作業中にくちずさむ数え歌。言葉遊びになっていて、遊び心を感じます(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

紐をひくのは全員で10人ほど。人数がいるので1人1人はそんなに力が必要ではありません(写真撮影/片山貴博)

紐をひくのは全員で10人ほど。人数がいるので1人1人はそんなに力が必要ではありません(写真撮影/片山貴博)

地域の老若男女、なかにはお子さんも参加していました(写真撮影/片山貴博)

地域の老若男女、なかにはお子さんも参加していました(写真撮影/片山貴博)

地固めした石、水平かどうか調べています(写真撮影/片山貴博)

地固めした石、水平かどうか調べています(写真撮影/片山貴博)

畑の片隅には、この土地の土からつくったアースオーブン(ピザ窯)も。このオーブンも移動可能です(写真撮影/片山貴博)

畑の片隅には、この土地の土からつくったアースオーブン(ピザ窯)も。このオーブンも移動可能です(写真撮影/片山貴博)

オーブンで焼かれたピザも来場者にふるまわれました。美味しい!(写真撮影/片山貴博)

オーブンで焼かれたピザも来場者にふるまわれました。美味しい!(写真撮影/片山貴博)

自分のできることやりたいことを持ち寄る。コーヒーをふるまってくれる人もいました(写真撮影/片山貴博)

自分のできることやりたいことを持ち寄る。コーヒーをふるまってくれる人もいました(写真撮影/片山貴博)

筆者もヨイトマケに参加しましたが、作業自体それほど力は必要としません。ただ、食事をして歌を歌いなら労働をしていると、なんともいえない高揚感と一体感が湧いてきます。参加しているみなさんも本当に楽しそうで、子どもも大人も、高齢の方も、みなさん飽きずに綱をひいていました。

実は、今回参加した近隣住民には工事の音を心配していた方がいたそうです。ところが、なんと当日、ヨイトマケ作業に飛び入り参加し、安藤さんや周辺のみなさんと交流を深めていました。工事を騒音、意見をクレームとみなすこともできますが、お互いの顔が見えることで関係性が生まれ、暮らしをつくる人同士だと思うと、見える風景が変わって見えるのかもしれません。

地域で活躍するコミュニティアーティストも参加し、ヨイトマケの様子をスケッチ。貴重な様子を残していきます(写真撮影/片山貴博)

地域で活躍するコミュニティアーティストも参加し、ヨイトマケの様子をスケッチ。貴重な様子を残していきます(写真撮影/片山貴博)

絵という形で、地域の記憶、記録を残していきたい、と話してくれました(写真撮影/片山貴博)

絵という形で、地域の記憶、記録を残していきたい、と話してくれました(写真撮影/片山貴博)

杢巧舎(もっこうしゃ)の棟梁による締めのあいさつ。不思議と背筋が伸びる気持ちになります(写真撮影/片山貴博)

杢巧舎(もっこうしゃ)の棟梁による締めのあいさつ。不思議と背筋が伸びる気持ちになります(写真撮影/片山貴博)

母屋に住む人、小屋に住む人1名はすでに決まってます。ただ、賃料はまだ未定で、契約書もまだだとか。何事も契約、契約という現代ルールを考えると、驚きしかありません。

「これまでにもいくつかのプロジェクトをやってきましたが、ひとの暮らしを先に、構造をあとにすることで関係性に流れが生まれて、続いていきます。今回設計のビオフォルム環境デザイン室さん、頼んでいないのに実物大のモックアップをつくったんです。やりたいひとがやりたいときにやりたいことができる。状況を上位下達でコントロールするよりも不確実な中でともに考える。そんなことを繰り返してきました」(安藤さん)

休日に労働したのに、なんともいえない達成感が湧いてきます。共同作業って尊いですね(写真撮影/片山貴博)

休日に労働したのに、なんともいえない達成感が湧いてきます。共同作業って尊いですね(写真撮影/片山貴博)

多くの住まいは条件で検索され契約したのちに、暮らしがはじまります。思いや暮らしの一部を共有することはありません。でも本来、人がいて地域の暮らしがあり、必要があるから家を建て、そして地域の人と家をつくる順番だったんだよな、と思い知らされます。

プロジェクト名の「三年鳴かず飛ばず」は、「将来の活躍に備えて行いを控え、三年間鳴かず飛ばずにいる鳥は、ひとたび飛ぶと天まで上がり、ひとたび鳴けば人を驚かす」という故事成語に由来します。あちこちで再開発が進む大都市東京にあって、この開発規模、戸数は小さなものかもしれません。人によっては「鳴かず飛ばず」、つまり、活躍することもなく、人から忘れられたようにみえることでしょう。ただ、日本の賃貸や住まいのあり方、100年後のまちづくりや開発に必要なものとは何か、とても大きな問いかけ、挑戦をしているのではないか、私にはそう思えてなりません。

●取材協力
ビオフォルム環境デザイン室
安藤勝信さん
三年鳴かず飛ばずプロジェクト

ひとり暮らしにぴったりな

所在地:世田谷区宮坂
6万8,000円 / 23.46平米
世田谷線「宮の坂」駅 徒歩3分

レトロなマンションの3階でひとり暮らし。周辺は住宅街で何もないですが、その分のんびりとした環境です。



ベランダの外は戸建てが並び、3階からは少し抜けた眺めで、日の光もしっかりと入ってきます。



7畳の居室に収納はなく、キッチンの背面に押し入れがあります。その分居室側に家具を多め ... 続き>>>.
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夢に見た暮らし

所在地:杉並区井草
10万4,000円 / 41.53平米
西武新宿線「井荻」駅 徒歩3分

爽やかな風が抜ける部屋で、天井から吊るしたハンモックに揺られ読書をする。いつか夢に見た暮らしが出来そうな物件のご紹介です。



建物は2012年に建築家であるオーナー設計にて、全体をリノベーション。室内はもちろん、外壁や共用部も生まれ変わりました。今では2012年に植えた草木がいい ... 続き>>>.
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共働き夫婦が建てた67平米コンパクト平屋。エアコン1台で夏冬も家中快適なアメリカンハウス

家を建てるとなれば、かつては「2階建て3LDK以上」が一般的でしたが、最近では約70平米前後のコンパクトな平屋の需要が見られるようになりました。子どもが巣立ったのをきっかけに2LDK・約67平米の平屋を新築したTさんご夫妻の住まいの事例から、“コンパクト平屋”の魅力を探ります。

子育てを終えたのをきっかけに、夫婦2人の家づくりをスタート

賃貸住宅に住んでいたTさんご夫妻(夫30代・妻40代)は、お子さんが巣立ち、2人だけの生活になったのを機にマイホームを検討しはじめます。

大きな壁になったのは資金計画。2人は新築のために貯蓄してきたわけではなかったため、当初は「無理かもしれない」と思っていたそう。しかし偶然、依頼した建築会社が不動産業も営んでいたため、「夫の年齢であれば十分な融資が下りること」「収入に見合った予算の立て方」などのアドバイスを受け、家づくりが現実のものになります。

Tさんご夫妻(写真撮影/片山貴博)

Tさんご夫妻(写真撮影/片山貴博)

家を建てるにあたり、Tさん(妻)にはある譲れない思いがありました。

「私が思春期のとき、実家が2階建てで、2階の子ども部屋にこもりがちになっていました。それもあって、家のつくり次第で家族の過ごし方が変わることを、身をもって知っていたのです。現に子育て期間を過ごした賃貸アパートはワンフロアだったので、子どもたちと料理をしたり気さくに会話したり、コミュニケーションが取れて本当によかったなと。夫婦2人にはなりますが、こうした背景から“コンパクトな平屋”にすることは外せませんでした」

年齢を重ねて体が思うように動かなくなったとき、平屋であれば負担が少ないはず。また、夫は車いじりが大好きで、ガレージでメンテナンスをするほか、屋外で食事や庭づくりをしたいとも思っていました。建坪を抑えれば、庭のスペースを最大限に確保できる。さまざまな点で小サイズの平屋は理にかなっていたと言います。

妻の意見に夫は大賛成。
2年かけていくつかのエリアを見て回り、埼玉県内にある約120坪の土地を購入しました。

ブルーを利かせたリラックス感あふれるアメリカンハウスが完成

夫が元来、車好きだったことや、妻のインテリアの嗜好から“アメリカンハウス”に惹かれていた2人。2021年10月に2LDK・約67平米の平屋を完成させました。

本体価格1000万台前半。2LDK・約67平米。竣工年月2021年10月(画像提供/デザインハウス・エフ)

本体価格1000万台前半。2LDK・約67平米。竣工年月2021年10月(画像提供/デザインハウス・エフ)

アメリカンハウスの世界に忠実に屋根やポーチをデザインしたT邸。敷地は農地転用されたばかりで周辺が静かだったことが決め手に。植樹したヤシの木もこだわり。外構、ヤシの木の植樹はヤシの木を販売している会社「ザルゲートガーデン」に依頼(写真提供/Tさん)

アメリカンハウスの世界に忠実に屋根やポーチをデザインしたT邸。敷地は農地転用されたばかりで周辺が静かだったことが決め手に。植樹したヤシの木もこだわり。外構、ヤシの木の植樹はヤシの木を販売している会社「ザルゲートガーデン」に依頼(写真提供/Tさん)

照明もこだわり。夜は昼間と違った趣に(写真提供/Tさん)

照明もこだわり。夜は昼間と違った趣に(写真提供/Tさん)

「今まで子育てに忙しくて暮らしにあまり手をかけられなかったので、新居には理想を込めました」(妻)

室内はブルーや白の壁・ブラウンの床を基調にした明るく穏やかな空間。LDKを吹き抜けにし、窓を大きく取ったことで、ミニマムな平屋とは思えない開放感が広がります。
リビングのソファに腰掛けると、窓の外にはやさしく葉を揺らすヤシの木が。まるでアメリカ西海岸を訪れたかのようなムードです。

T邸では将来、体が思うように動かせなくなったときに備えて床をフラットにしていますが、部屋ごとに床に異なる素材を使い、アクセントウォールを取り入れるなどして、各スペースの印象が変わるようにしています(写真撮影/片山貴博)

T邸では将来、体が思うように動かせなくなったときに備えて床をフラットにしていますが、部屋ごとに床に異なる素材を使い、アクセントウォールを取り入れるなどして、各スペースの印象が変わるようにしています(写真撮影/片山貴博)

庭を望むリビングのソファは、とくに夫が気に入っている場所(写真撮影/片山貴博)

庭を望むリビングのソファは、とくに夫が気に入っている場所(写真撮影/片山貴博)

高低差をつけてバランスよく配された植物が、くつろぎのムードを演出。スペースごとの色調に合わせ、ダイニングには木製ブラインド、リビングにはブルーのカーテンを採用しました(写真撮影/片山貴博)

高低差をつけてバランスよく配された植物が、くつろぎのムードを演出。スペースごとの色調に合わせ、ダイニングには木製ブラインド、リビングにはブルーのカーテンを採用しました(写真撮影/片山貴博)

関連記事:2023年住宅トレンドは「平屋回帰」。コンパクト・耐震性・低コスト、今こそ見直される5つのメリットとは?

別々のことをしていても近くに感じられる心地よさは平屋ならでは

T邸では玄関に入るとすぐに洗面室・トイレ・脱衣室があります。とくに洗面室には直接、玄関からアクセスできる通路が設けられていて、帰ってきてすぐ手洗い・うがいをし、そのまま脱衣室で汚れた服から着替えることが可能。もちろん、LDKには掃き出し窓があるので、こちらからも屋外に気軽に行き来することが。
庭でたくさんの時間を過ごす2人ならではの間取りと動線です。

「家中を滞りなく動き回れるよう、2つの個室以外は極力、区切りをなくしました。どこでもつながりを感じられて、逃げ場がないのがよいところ。喧嘩しても、いつまでも口を利かないわけにはいきませんから(笑)」(妻)

「2階建てよりは関わりを持ちやすいと感じている」と語るご夫妻。
休日はソファでくつろぐ夫の傍らで、妻がダイニングのテーブル席で副業のアーティフィシャルフラワーの作品づくり。別々のことをしながらひとつの空間で過ごす心地よさを、この平屋に住むようになってますます実感していると言います。

玄関に入ると右手に洗面室への出入口とシューズクローク。向かいの2つのドアは、右がトイレで左が脱衣室。畑仕事などの後、LDKに入る前に汚れを落とせます(写真撮影/片山貴博)

玄関に入ると右手に洗面室への出入口とシューズクローク。向かいの2つのドアは、右がトイレで左が脱衣室。畑仕事などの後、LDKに入る前に汚れを落とせます(写真撮影/片山貴博)

身支度の時間が重なると洗面台が取り合いになるため、カウンターを長めに取って鏡を2人分配置。「玄関のすぐ近くに洗面台を配したプランは、とくにコロナ禍で役立ちました」(妻)(写真撮影/片山貴博)

身支度の時間が重なると洗面台が取り合いになるため、カウンターを長めに取って鏡を2人分配置。「玄関のすぐ近くに洗面台を配したプランは、とくにコロナ禍で役立ちました」(妻)(写真撮影/片山貴博)

風が強い日が多い地域のため、脱衣室(兼ランドリールーム)を広めにしてたくさん部屋干しをできるよう工夫(妻)(写真提供/デザインハウス・エフ)

風が強い日が多い地域のため、脱衣室(兼ランドリールーム)を広めにしてたくさん部屋干しをできるよう工夫(妻)(写真提供/デザインハウス・エフ)

アーティフィシャルフラワーの作品は、妻が試しに手づくりしたことから虜になり制作しているもの。将来は家のガレージで教室を開きたいと考えています(写真撮影/片山貴博)

アーティフィシャルフラワーの作品は、妻が試しに手づくりしたことから虜になり制作しているもの。将来は家のガレージで教室を開きたいと考えています(写真撮影/片山貴博)

作業部屋もつくりました(写真撮影/片山貴博)

作業部屋もつくりました(写真撮影/片山貴博)

屋内外をつなぐミニマムな平屋は、ご近所づき合いにも好影響

引越してきて約1年半、ドライガーデンに挑戦したり、庭で食事をしたり、自分たちらしく暮らしを満喫している2人。アメリカンハウスの外観が目を引くこともあってか、その光景を見てよく道行く人が声をかけてくれるのだそう。

「子どもがいないと地域に溶け込みにくいイメージがありましたが、そんなことはまったくなくて、BBQに飛び入りで参加してもらって仲良くなり、プライベートでご飯を食べに行ったり、古くから住むお年寄りに家庭菜園で育てた野菜をおすそ分けしてもらったり。豊かな交流を広げています」(夫)

庭から玄関・LDKそしてまた庭へ。屋内外を行き来しやすい“コンパクト平屋”だからこそ、人との距離が縮まっていく――。その好循環も、ここに住む魅力のひとつと言えるでしょう。

軒先には英字の標識を立てた愛らしいドライガーデンが。手前の花壇には、季節ごとに異なる花々を植えています(写真撮影/片山貴博)

軒先には英字の標識を立てた愛らしいドライガーデンが。手前の花壇には、季節ごとに異なる花々を植えています(写真撮影/片山貴博)

フラットな床で将来の備えも万全。一方で防犯対策は念入りに

Tさん(妻)は長年、看護師をしてきたことから、さまざまな介護の現場を見てきたそう。そのため「将来の万一のときに備えて」というのも、平屋を選んだ大きな理由です。仮に車椅子になったとき、平屋だと上り下りがない分、2階建てより負担が少ないと言えますが、床の段差をなくし、さらにスムーズに移動できるようこだわりました。

キッチンの壁は掃除しやすい人造大理石を採用。現在ゴミ箱を収めているカウンター下の空洞は、将来、車椅子を入れて座ったまま料理ができるようにするためのアイデア(写真撮影/片山貴博)

キッチンの壁は掃除しやすい人造大理石を採用。現在ゴミ箱を収めているカウンター下の空洞は、将来、車椅子を入れて座ったまま料理ができるようにするためのアイデア(写真撮影/片山貴博)

「過ごしやすさの話で言うと、エアコンはLDKに1台備えただけ。部屋数を最小限にとどめた分、光熱費を抑えられていますし、掃除もラクにできます。また、意図的に収納スペースを少なくし、ものを目に届きやすくし、管理しやすくする工夫もしました」(夫)

平屋のメリットを享受しているご夫妻ですが、懸念している点がひとつあると言います。

「『平屋は防犯面で気をつけた方がいい』と聞くため、セキュリティサービスに入るほか、窓に防犯フィルムを貼る、フェンスを装備するなどして対策を徹底しています」(夫)

平屋は今後の2人の暮らしを魅力的なものにする、ベストな選択

「屋外との一体感を得られ、家中を移動するときに負担が少なく、ご近所ともつき合いやすくて。これ以上ないくらい自然体でいられるのが、平屋のよさかなと。
今後はガレージとウッドデッキを完成させたいです」(夫)

「何か地域のために役立つことができたらとも考えている」と笑顔を見せる2人。
妻は、幸運にも迎えられた新しい日常をこう話します。

「思えば私の小さいころからの夢は、看護師になって平屋を建てることでした。それが実現したのは夫のおかげ。とても感謝しています。
今は子どもが手を離れ、時間的なゆとりができていますが、そのことと平屋とが融合し、いい状態で過ごせていると感じます。
リビングからヤシの木を眺めては、夫婦で『いいね、うちは』と話しているんです(笑)」(妻)

2人だけの生活になってたどり着いたTさんご夫妻の平屋。
自分たちらしい解である小さな住まいからは、予想を上回る幸せが生まれているようです。

あたたかい季節は週1・2回、庭に出て音楽やお酒を楽しんでいるご夫妻。「夜、家から見る庭があまりにきれいで、自宅にいることが信じられない気持ちになります」と話します(写真撮影/片山貴博)

あたたかい季節は週1・2回、庭に出て音楽やお酒を楽しんでいるご夫妻。「夜、家から見る庭があまりにきれいで、自宅にいることが信じられない気持ちになります」と話します(写真撮影/片山貴博)

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・50代人気ブロガーRinさんがコンパクト平屋に住み替えた理由。暮らしのサイズダウンで夫婦円満に

●取材協力
デザインハウス・エフ

世田谷区でも高齢者世帯増の波。区と地元の不動産会社が手を組み、安否確認、緊急搬送サービスなど入居後も切れ目ない支援に奔走

住宅確保が難しい人の住まい探しやその後の生活をサポートするため、行政をはじめ、NPO 法人や企業など、さまざまな団体・組織が連携をとりながら支援を行う動きが見えつつあります。問題に対して本質的な解決を行うためには、包括的なサポート、主体的なアプローチ、関係組織との連携は欠かせません。そこで各所で新しい動きが見られる東京都世田谷区の取り組みについて、連携する不動産会社の1社であるハウジングプラザの対応も含めて紹介します。

あらゆる人が気軽に相談できる場を。「住まいのサポートセンター」の開設

「SUUMO住みたい街ランキング首都圏版」(リクルート調査)の住みたい自治体ランキングでは2018年から先日発表された最新の2023年までずっと2位にランクインしていて、東京都23区の中でも人気の高い街の世田谷区。しかし、区内在住の高齢者の割合は、2020年が20.4%なのに対し2042年は24.2%になる見込みで、全国平均よりは低いものの、高齢化が進んでいます。高齢者のみの世帯も増加傾向にあり、ほかにも障がい者やひとり親など、住宅選びの際にサポートを必要としている人も多くいます。

世田谷区が行った2017年の調査によると、区内の高齢者数は増加傾向にあり、高齢者のみの世帯も同様に増える見込み(画像提供/世田谷区)

世田谷区が行った2017年の調査によると、区内の高齢者数は増加傾向にあり、高齢者のみの世帯も同様に増える見込み(画像提供/世田谷区)

一方で、このような住宅確保要配慮者に対し、賃貸物件のオーナーや管理会社が入居を拒むことも少なくありません。近隣住民等とトラブルが起きるのではないか、という不安や万が一の際の残置物処理の負担への懸念があるからです。区では、住宅の確保に配慮が必要な人向けに区営住宅も提供していますが、戸数には限りがあるため、民間の賃貸住宅を活用していくことが必要です。

このような状況を見越して、世田谷区では2007年4月に住まいの確保が困難な人を支援する「住まいのサポートセンター」を開設。民間の組織と協働して住宅の確保や入居を円滑に進めていくことを目指して、高齢者、障がいのある人、ひとり親世帯など住宅の確保に配慮が必要な人たちの支援を行っています。

センターが提供する「お部屋探しサポート」は、区と不動産店団体とが連携協定を結び、区内の民間賃貸住宅の空き室情報を提供する事業です。センターに来訪する人に約1時間、センターの職員と不動産会社の担当者が一緒に相談に乗り、物件探しや内覧の手配など、相談者のサポートにあたります。

住まいのサポートセンターは、企業やNPO法人と連携して、家探しに困っている人を支援する区の窓口。世田谷区在住の高齢者・障がい者・ひとり親世帯・LGBTQ・外国人が利用できる(画像提供/世田谷区)

住まいのサポートセンターは、企業やNPO法人と連携して、家探しに困っている人を支援する区の窓口。世田谷区在住の高齢者・障がい者・ひとり親世帯・LGBTQ・外国人が利用できる(画像提供/世田谷区)

世田谷区によると「相談者は、建物取り壊しのため立ち退きを余儀なくされたものの、高齢を理由に転居先が見つからない人や、体調を崩して働けなくなり、生活保護を受給するにあたって賃料の安い住宅に引越す必要が生じた人など、さまざま」だと言います。多様な背景を抱えながら住まいの確保に困難を感じる人が窓口を訪れ、2021年度は261名の人がお部屋探しサポートを利用したそうです。

関連記事:百人百通りの住まい探し

生活保護を受給する人の住まいの選択肢を広げた、地域の不動産会社ハウジングプラザの取り組み例

住まいサポートセンターで職員と一緒に窓口相談を担当する不動産会社の一つ、ハウジングプラザ 福祉事業部の波形孝治さんと小林慶子さんは、月に1回、3~4人の相談を受けています。区から「生活に困っている人に部屋を紹介してほしい」と相談を受けるようになったのがおよそ7~8年前。以来、ハウジングプラザでは住まい探しに困っている人、特に生活保護を受けている人への支援に注力するようになり、2021年8月に社内に福祉事業部を設置しました。

「当社では『入居を希望する全ての人のお部屋探しをお手伝いする』ことを不動産会社の社会的使命としています。同時に『困っている人のニーズに応える』ことは企業が収益を上げていくための当然の営業活動でもあります。福祉事業部を設置したことで、時間やノルマなどにとらわれず、より積極的な支援活動が可能となりました」(ハウジングプラザ波形さん)

ハウジングプラザ福祉事業部の小林さん(左)と波形さん(右)(画像提供/ハウジングプラザ)

ハウジングプラザ福祉事業部の小林さん(左)と波形さん(右)(画像提供/ハウジングプラザ)

相談に来る人は、これまでの経緯から心を閉ざしたり、メンタル的に疲れてしまったりしている人も多いといいます。

「オーナーさんに安心して入居者を迎え入れていただくためにも、ご相談を受ける際には『どのような事情で支援を必要としているのか』など、いろいろな話を伺いながら、一人ではなく私たちも一緒に住まい探しをしていくことを理解していただき、信頼しあえる関係を築いていくことを大切にしています」(ハウジングプラザ波形さん)

また、2021年12月からは家賃保証会社と業務提携して、生活保護を受けている人を対象とした独自の家賃保証プランを提供しているそうです。

「当社と業務提携をしている家賃保証会社と契約してもらうことで、生活保護を受けている人が入居審査を通る幅は大きく広がりました。区役所からの代理納付ができれば家賃保証会社の審査はほぼ通りますし、その仕組みによって家賃の未払いが発生するリスクをかなり減らすことができます」(ハウジングプラザ小林さん)

それでも、生活保護を受給している人が入居可能な物件はまだまだ少なく、1件ごとに入居を希望する人の背景や家賃保証会社の審査が通っていることを説明して、オーナーに働きかける努力は欠かせません。

問題は「入居困難」だけじゃない!「住んだ後」も必要になるサポート

住まいの確保が困難な人に必要なサポートは、住まい探しだけにとどまらず、入居中や入居後にも及びます。特に高齢者や障がいのある人は、住んだ後の生活においても支援の手が必要となるからです。

「物件が見つかったとしても、それで支援が終わりというわけではありません。その後も住まいサポートセンターの職員が相談された方に連絡し、住まい探しの状況確認や相談に乗るなど、アフターケアをしています」(世田谷区)

また、高齢者や障がいのある人の入居で不安視されるのが、孤立による事故や孤独死です。そこで世田谷区は、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、公的なサービスの充実や支えあい活動など、住民や企業と協働した多様な取り組みを積極的に行なっています。

例えば、希望する高齢者や障がい者には、見守りサービスや救急通報システムを、認知症や障がいで福祉サービスの利用が困難な人にはサービスを利用するときの援助や日常的な金銭管理の支援サービスを提供しています。

高齢者の見守りサービスを提供するホームネットとの連携による「見まもっTELプラス」は、入居者の見守りと万が一のときの補償がセットとなったサービス。世田谷区はサービス利用者が要件を満たす場合には初回登録料を補助している(画像提供/世田谷区)

高齢者の見守りサービスを提供するホームネットとの連携による「見まもっTELプラス」は、入居者の見守りと万が一のときの補償がセットとなったサービス。世田谷区はサービス利用者が要件を満たす場合には初回登録料を補助している(画像提供/世田谷区)

これらの包括的なサポート体制は、住居の確保に配慮が必要な人への支援であるとともに、孤独死や死後の残置物処理、近隣住民等とのトラブルなどを懸念するオーナーや管理会社に対する配慮でもあるのだそう。

「入居中・退去後等のサービスを充実させ、居住支援事業を積極的に紹介することで、オーナーさんの不安を和らげ、住宅の確保に配慮が必要な方が入居を拒まれることを減らす一助となれば、と考えています」(世田谷区)

「みんなに安心できる住まいを」各分野のプロが連携しながら地域全体で支える

高齢者などが入居を拒まれない民間の賃貸住宅を増やすため、区では国のセーフティネット制度を活用して一定の条件を満たした住宅を“居住支援住宅”として認証し、オーナーに補助金を出しているそうです。

また、前述した「見守っTELプラス」などの高齢者の見守り・生活支援サービスの提供を行うホームネットとの包括連携協定も民間企業と連携した取り組みの一つ。一定の条件を満たす利用者には区が初期登録費用を全額補助しています。

さらに不動産会社やオーナーへの働きかけも欠かせません。住宅セーフティネット法に基づいて世田谷区が設置した居住支援協議会には2023年度から、都が指定するNPOや民間企業などの居住支援法人のうち、区内に拠点のある5法人と、協定を結んでいる1法人からなる6社が参画するように。専門的知見をもとにした意見をもらったり、居住支援協議会セミナーに登壇してもらったりしています。

「民間の賃貸住宅の活用には、不動産会社、オーナーさんたちの協力と理解をいただくことも欠かせません。居住支援協議会では、不動産団体やオーナーへ向けた情報提供なども積極的におこない、居住支援法人である民間組織の方が具体的にどんな取り組みをおこなっているのかを紹介してもらいました」(世田谷区)

各分野の専門家との連携も不可欠です。区役所内の福祉部門や生活困窮者自立相談支援センター「ぷらっとホーム世田谷」、地域包括支援センター「あんしんすこやかセンター」などの外部機関と連携して、互いの知識の向上のための講習会などを開催しながら包括的な支援を目指しています。

高齢者向けの見守りサービス。高齢福祉課や保健福祉課などの福祉部門をはじめ、さまざまな企業や団体と連携して、包括的な支援を行なっている(画像提供/世田谷区)

高齢者向けの見守りサービス。高齢福祉課や保健福祉課などの福祉部門をはじめ、さまざまな企業や団体と連携して、包括的な支援を行なっている(画像提供/世田谷区)

独自の補助金制度の設計など、事業者とともに「これから」をつくる

世田谷区にこれからの取り組みについて聞いたところ、第四次住宅整備方針の重点施策として上げているのは「居住支援の推進による安定的な住まいと暮らしの確保」だといいます。

その一例として、2013年に区が実施した「ひとり親家庭アンケート調査」で、回答者の約半数が「家計を圧迫している支出」として上げているのは「住居費」でした。

ひとり親世帯の家計を圧迫している費用

2013年に世田谷区が実施した「ひとり親家庭アンケート調査」では、家計を圧迫している費用として、住宅費が育児・教育費に次いで多くなっている(資料提供/世田谷区)

2013年に世田谷区が実施した「ひとり親家庭アンケート調査」では、家計を圧迫している費用として、住宅費が育児・教育費に次いで多くなっている(資料提供/世田谷区)

そこで区は、ひとり親世帯に対して対象となる住宅に転居する場合に、国の住宅セーフティネット制度を活用して家賃の一部を補助する「ひとり親家賃低廉化補助事業」を実施しています。また、対象住宅を増やす策として、制度に協力したオーナーに1戸あたり10万円の世田谷区独自の協力金制度を設けているそう。

家賃補助だけでなく、世田谷区は、ひとり親世帯家賃低廉化事業の対象住宅を増やす方策として、制度に協力した賃貸人に対する協力金制度を独自に設置している(資料提供/世田谷区)

家賃補助だけでなく、世田谷区は、ひとり親世帯家賃低廉化事業の対象住宅を増やす方策として、制度に協力した賃貸人に対する協力金制度を独自に設置している(資料提供/世田谷区)

「支援をさらに押し進めていくには、単独で行うのではなく、居住支援協議会の場で、区・不動産団体・オーナーさんの団体・居住支援法人などの協力を得て進めることが大切です。今後も居住支援法人などが提供するサービスの利用促進や効果的な支援策について連携しながら検討していきたい」と世田谷区はいいます。

住宅セーフティネット法によって、各地方自治体が住宅の確保に配慮が必要な人たちへの支援に試行錯誤する中、世田谷区は、民間との連携がうまくいっている例ではないでしょうか。

居住困難の問題を解決するには、オーナーや不動産会社も安心して取り組める状況をつくり出し、理解と協力を得ることが大事です。しかし民間でできること、行政だけでできることには、それぞれ限界があります。実際に現状に即した施策を進めていくには、行政が、住民からどのような居住支援を必要とされているかを知る努力と、支援を実施するために必要な知識やノウハウを民間と共有することに躊躇しない姿勢が大事だと感じました。

住まいの確保が困難な人への取り組みは、地方自治体によってもかなり違いがあります。自分の住む自治体の制度や取り組みに興味をもち、見直してみることも、これらの取り組みを推進する一つのきっかけになるかもしれません。

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・シングルマザーの賃貸入居問題、根深く。母子のためのシェアハウスで「シングルズキッズ」が目指すもの
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●取材協力
・株式会社ハウジングプラザ福祉事業部
・世田谷区「住まいに関する支援」

渋谷の隠れ家 ビラモデルナ

所在地:渋谷区渋谷
20万9,000円(税込) / 35平米
山手線「渋谷」駅 徒歩7分

渋谷と表参道のちょうど中間に佇む、大人の隠れ家 ビラモデルナ。



竣工当時のモダンな設えやもてなしの気配が色濃く残り、その渋さをいまもなお保ち続ける姿は、ひととき渋谷にいることを忘れさせます。



ホテルのようなロビーや有人のフロントサービス、中庭のシンボルツリーとそれを見下ろす渡 ... 続き>>>.
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シンプル+断熱+余白=理想

所在地:世田谷区駒沢
6,380万~7,280万円(税込) / 70.8~87.76平米
東急田園都市線「駒沢大学」駅 徒歩9分

「デザイン性の高さをアピールする物件より、嫌なデザインがない物件の方がいい。」

「リノベーションしました!という個性的な間取りより、シンプルな間取りが好き。」

「築年の古い物件は、気密性が低そうなサッシの古さが気になって躊躇してしまう。」



こんなニーズやお悩みをお持ちの方にとっ ... 続き>>>.
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育休中の夫婦、0歳双子と北海道プチ移住! 移住体験住宅は畑付き、スーパー代わりの産直が充実。豊頃町の暮らしをレポート

長期の育児休業中に、移住体験の制度を活用して北海道へのプチ移住を果たした私たち夫婦&0歳双子男子。
約半年間の北海道暮らしでお世話になったのは、十勝エリアにある豊頃町(とよころちょう)、上士幌町(かみしほろちょう)という2つのまち。
人口がそれぞれ約3000人、5000人という規模が小さなまちですが、実際に暮らしてみると、都会とは全然違うあんなことやこんなこと。田舎暮らしを検討されている方には必見⁉な、実際暮らした目線で、地方の豊かさとリアルな暮らしをレポートします! 今回は、豊頃町編です。

写真撮影/小正茂樹

(写真撮影/小正茂樹)

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北海道・十勝は大きい!そして雪は案外降らない!

みなさん、北海道と言えばどのようなことを思い浮かべるでしょうか。「のんびりした大平原」「夏は涼しく、冬は雪にまみれて身動きが取れない」「とにかく自然が多くて、温泉やグルメ三昧」などなど、さまざまなイメージがわくと思います。今回私が移住体験を行った北海道・十勝エリアの面積は約11,000平方kmで、東京都の約5倍。この広大な敷地におよそ35万人が暮らしていて、驚くのは、食料自給率。日本全体で約38%(カロリーベース)のなか、十勝エリアでは約1100%と言われています。およそ29倍です。まさに日本の食糧基地と言えるエリアとなります。

大平原地帯

十勝と言えば大平原地帯。大きな平野部を生かした大規模農業が盛んなエリアが多いです(写真撮影/小正茂樹)

一方で、誤解しがちなのが、気候。近年は北海道でも夏は最高気温が30度を超える日も珍しくなくなり、内陸部などでは35度を超えたり、日本の観測地点で1位の気温だったという日があったりするくらい。一方、冬については、「寒い」ことは間違いなく、1日中氷点下の日も少なくないのですが、実は、私たち家族が降り立った「十勝エリア」は、ほとんど雪が降らないエリア。雪への耐性がない都会暮らしの人にとっては過ごしやすいともいえると思います。
十勝エリアの気候の特徴としては、「晴天率が高い(いわゆる十勝晴れ)」「雪が少ない(年に数回ドカ雪が積もりますが……)」「寒暖の差が激しい」ということが挙げられます。晴れの確率が高く、雪が少ないのは、移住者からするとすごく助かる特徴かなと思います。ただし、路面凍結は当然ありますし、天気によっては地吹雪などで前が全く見えないホワイトアウトになることもあります。私も冬の凍結した道路を運転するのはあまり経験がなく、安全第一で移動していましたが、車を運転される方は、とにかく安全運転を心がけましょう。

真冬の十勝の夕暮れ時

真冬の十勝の夕暮れ時。辺り一面が真っ白で、空気が澄んでいて、とにかく凛としています。気温はすごく低いですが、晴れた日が多いため、心地よい風景を楽しめる日が多かったです(写真撮影/小正茂樹)

雪かきの様子

滞在中、2回だけドカ雪が降り、雪かきも。移住体験中に2回雪かきをする朝を体験出来たのはすごくテンションが上がると共に、冬の暮らしの厳しさを体感することが出来ました(写真撮影/小正茂樹)

また、田舎暮らしをするときに特に気になるのが、人間関係。私の個人的な感想としては、北海道、特に十勝エリアの方々は、明るく朗らかな方が多く、ご近所づきあいも付かず離れず、くらいの気持ち良い関係性になるのかな、と感じました。ゴミ出しの時のご挨拶、散歩のときの世間話、特にプライバシーに踏み込まれたと感じるようなこともなく、よくテレビなどで言われるご近所づきあいが大変、というようなことを感じることはない移住体験でした。
これには、十勝エリア特有の理由があるのかなとも思います。北海道は「屯田兵制」を活用した国主導の開拓の歴史がほとんど。しかし、実は十勝エリアだけは、当初民間の開拓から始まったと言われています。それが、今回私たちがお世話になった豊頃町の大津港エリアというところが起点になったそうです。開拓の歴史としては140年。十勝には、この「開拓者精神」というものが宿っているということで、「チャレンジ精神」に満ちあふれていると十勝にお住まいの方はよくおっしゃいます。新しいモノコトヒトに対しても、受け入れてくれる土壌があるんではないかと感じました。私の出身の大阪では、「やってみなはれ」文化という、とりあえずやってみたら、という考え方がありますが、根底の考え方は似ている気がします。これが、私が十勝エリアにウマが合う人が多い理由なのかもしれません。

豊頃町は十勝エリアの東側にある十勝開拓の祖のまち!

北海道に来て最初に滞在したのは、豊頃町(7月上旬~9月上旬)。豊頃町は、十勝エリアの東側に位置する人口約3000人ほどの小さなまち。北海道民でも、ここ!と指させる人はそこまで多くないかもしれません。とはいえ、海があり、汽水湖があり、十勝エリアを代表する河川「十勝川」の河口部分を有していて、森林面積は約6割。平地部には大規模農家さんが多く、100haを超える耕作面積を持つ農家さんも複数いらっしゃいます。また、海沿いの漁港もあるため、十勝では珍しく、農林水産業すべてがそろっており、十勝開拓の祖となる「大津港エリア」がある歴史あるまちでもあります。

大津港エリアにある開拓の記念碑。ここから十勝エリアの開拓140年の歴史が始まりました(写真撮影/小正茂樹)

大津港エリアにある開拓の記念碑。ここから十勝エリアの開拓140年の歴史が始まりました(写真撮影/小正茂樹)

観光資源としては、「ジュエリーアイス」と「ハルニレの木」という自然系のものが2つ。あと、グルメでは、「アメリカンドーナツ」が有名な「朝日堂」さんや、国道沿いの常連さんに愛されている「赤胴ラーメン」さん。暮らしてみると、面白いものはちょこちょこあるのですが、分かりやすい観光資源というのはそこまで多くないのが、あまり知られていない要因なのかもしれません。

十勝川河口部付近で見られるジュエリーアイス。真冬の一定期間しか見られないのですが、早朝から多くの観光客のみなさんが見学に来られています(写真撮影/小正茂樹)

十勝川河口部付近で見られるジュエリーアイス。真冬の一定期間しか見られないのですが、早朝から多くの観光客のみなさんが見学に来られています(写真撮影/小正茂樹)

移住体験住宅から1kmちょっとのところにあるハルニレの木。川沿いの抜け感のある景色のなか、大きな木が河川敷に。レストハウスでは写真家さんの四季折々のハルニレの木が展示されています(写真撮影/小正茂樹)

移住体験住宅から1kmちょっとのところにあるハルニレの木。川沿いの抜け感のある景色のなか、大きな木が河川敷に。レストハウスでは写真家さんの四季折々のハルニレの木が展示されています(写真撮影/小正茂樹)

また、私が暮らした移住体験住宅は、国道38号線から近く、JR豊頃駅も徒歩10分。そして、徒歩3分で北海道の生活インフラコンビニ「セイコーマート」があり、日常の生活は特に支障ありませんでした。また、色々と買い物に出かけるときは、車が必要なものの、渋滞が起こることはなく、買い物施設は車で20~30分、帯広空港にも30分程度、帯広市内のショッピングモールなどの大きな買い物施設にも40分程度で行くことができます。景色が良いところをドライブがてら行くことができたため、正直、そこまで不便を感じることはありませんでした。車の運転が好きな人なら、おすすめできる立地です。また、帯広空港から車で30分圏内というのは、首都圏との2拠点居住などを考えるうえでも大きなメリットになるのではないかなと感じました。

国道38号線沿いも気持ちいい風景が広がり、気持ち良いドライブを楽しめます(写真撮影/小正茂樹)

国道38号線沿いも気持ちいい風景が広がり、気持ち良いドライブを楽しめます(写真撮影/小正茂樹)

豊頃町での暮らし。家の居心地はもちろん、人があったかい!

豊頃町の移住担当窓口は、企画課さん。移動当日は2022年7月10日(日)で、選挙(我々は期日前投票してからフライト!)と重なっていたのですが、役場で到着をお待ちいただいて、無事鍵を受け取ることが出来ました。当日は日曜日ということもあり、対応いただけないかなと当初は近くで宿を取ろうと思っていましたが、宿泊代ももったいないからと休日対応をいただけました。幼い子ども達を連れての移動は極力ないほうがありがたく、すごくポイントが高かったです。

私たちは空路で北海道入りしましたが、大阪で使っていた車を会社の後輩たちが旅行がてらフェリーで北海道まで乗ってきてくれました。移動当日の夜、十勝の友人と共に記念撮影!(写真撮影/小正茂樹)

私たちは空路で北海道入りしましたが、大阪で使っていた車を会社の後輩たちが旅行がてらフェリーで北海道まで乗ってきてくれました。移動当日の夜、十勝の友人と共に記念撮影!(写真撮影/小正茂樹)

豊頃町役場のみなさんは、意見交換も兼ねて、歓迎会BBQを企画してくださいました。企画課のみなさん、本当にフレンドリーで、課長さん始め、フランクにお話が出来たのはありがたかったです。嬉しかったのは職員の方で双子の方がいらしたこと。双子の成長のあれこれを伺うことも出来て、まちのことはもちろん、豊頃町さんのあたたかさを存分に感じることができました!

豊頃町の高台にある茂岩山自然公園の一角にあるBBQハウスにて。大きさも複数あり、敷地内には宿泊できるバンガローと、友人を集めてのパーティなどにも使い勝手がよさそうでした(写真撮影/小正茂樹)

豊頃町の高台にある茂岩山自然公園の一角にあるBBQハウスにて。大きさも複数あり、敷地内には宿泊できるバンガローと、友人を集めてのパーティなどにも使い勝手がよさそうでした(写真撮影/小正茂樹)

そういえば、豊頃町に来て、まだ右往左往している頃、家に来てくださった方もいらっしゃいました。農家のKさんご家族。ちょうど僕が不在にしているタイミングだったのですが、お母さま、息子さんご夫婦&0歳児娘ちゃんがピンポーン! 豊頃町で地域おこし協力隊をされていた友人が気を利かせてくれて、我々家族を紹介してくださったのです。その後、改めて、お家の方にお招きいただき、焼肉(北海道で焼肉、というと屋外BBQのことを指すことが多い)パーティをしていただきました!!そこには、Kさんご家族4世代、お向かいの農家さんにイケメンエゾシカハンターまで、たくさんの方が集まってくださいました。ハンターさんにはその後、エゾシカ狩りに同行させていただいて、本当に人の繋がりには感謝です。

Kさん宅のガレージで。ガレージというか、ものすごく大きく天井の広いスペースで、音楽をかけながら、みんなでBBQ! Kさんは4世代が勢ぞろいして、にぎやかな食事を楽しめました(写真撮影/小正茂樹)

Kさん宅のガレージで。ガレージというか、ものすごく大きく天井の広いスペースで、音楽をかけながら、みんなでBBQ! Kさんは4世代が勢ぞろいして、にぎやかな食事を楽しめました(写真撮影/小正茂樹)

また、豊頃町の移住体験住宅は、とにかくキレイ! 築10年以上は経過しているものの、木のぬくもりがしっかり感じられると共に、1LDK100平米以上というすごく贅沢な一戸建てだったため、妻はもちろん、我が家に遊びに来てくれた友人・知人もみんなびっくりしていました。土間があり、暖炉があり、憧れののんびり郊外生活のイメージそのままで素晴らしい環境。大阪の狭い住宅で暮らしていた私たちは持て余すほどの状況でしたが、非常に気持ちよく生活することができました。また、夕方から夜にかけてはぐっと気温も下がり、寝苦しい夜とは全く無縁の生活が送れました。

吹き抜け空間で天井が高く、気持ちいい日差しが入ってきてくれるステキな移住体験住宅(写真撮影/小正茂樹)

吹き抜け空間で天井が高く、気持ちいい日差しが入ってきてくれるステキな移住体験住宅(写真撮影/小正茂樹)

ただし、要注意なのが、真夏の昼間。北海道もここ数年で一気に気温が高い日が増えてきているものの、まだ移住体験住宅の多くではエアコン設置ができていないのです。豊頃町も最高気温が30度を超える日も年間数日はあり、自由に外に出回りにくい0歳児双子を連れている我々は、結構困ったこともありました。町役場の方には、涼める場所をいくつもご紹介いただいて事なきを得ましたが、夏場の日中はどこか涼しい場所にお出かけした方がいい日もあるかと思います。それを差し引いたとしても、おしゃれですし、何せゆったりした空間が屋内外に広がっているので、妻とも、「こういう場所で暮らせるのはいいよねぇ」とよく話していました。夜になると涼しく過ごせて、窓を開けて寝ると寒いくらいで、ホンマに星がきれいでよく星空を眺めていました。

移住体験住宅2階にある寝室からの景色。朝起きると本当に気持ち良い景色が広がっていて、心地よく過ごせました(写真撮影/小正茂樹)

移住体験住宅2階にある寝室からの景色。朝起きると本当に気持ち良い景色が広がっていて、心地よく過ごせました(写真撮影/小正茂樹)

そして、屋外がのんびりしているだけではなく、なんと、この豊頃町の移住体験住宅は畑付き。それも、きちんとサポートもしてくださいます。サポートしてくださるおじさまが、すごく親切で、我が家の場合は、ほとんどおんぶに抱っこ。ほとんど収穫しかしてないので、偉そうなことは言えませんが、ジャガイモ、トウモロコシ、ズッキーニ、カボチャなどなど。とれたて新鮮な野菜たちが食卓に並んでいくのは本当に贅沢なひとときでした。

植え付けまでしてくださっていて、私の方は水やりと収穫だけで、畑仕事を満喫した良い気分を味わえました(笑)(写真撮影/小正茂樹)

植え付けまでしてくださっていて、私の方は水やりと収穫だけで、畑仕事を満喫した良い気分を味わえました(笑)(写真撮影/小正茂樹)

さらに、この住宅での思い出といえば、ホームパーティです。合計30名ほどの方にお越しいただいて、持ち寄りパーティをしました。遠くは東京、札幌から。近くは十勝エリアのあちこちや豊頃に住まわれている方々。お昼から夜まで、のんびりした空間で様々な人の交流ができて、楽しいひとときを共有できたのはすごくよかったです。十勝エリアにお住まいの方でも、豊頃町にはなかなか来ることがないという方も多かったのですが、このパーティでは、参加者の皆さん全員に、豊頃町の名物の切り干し大根をお土産に、地元でも人気の朝日堂のアメリカンドーナツなども準備して、豊頃町をしっかり楽しんでいただけるように工夫しました。

ホームパーティは基本屋外の広いお庭をメインに。友人が持ってきてくれたキャンプ用品が大活躍し、大人たちは飲み食べ、子どもたちはプールで遊んだり。心地よい空間で過ごせました(写真撮影/小正茂樹)

ホームパーティは基本屋外の広いお庭をメインに。友人が持ってきてくれたキャンプ用品が大活躍し、大人たちは飲み食べ、子どもたちはプールで遊んだり。心地よい空間で過ごせました(写真撮影/小正茂樹)

まちにスーパーがない! リアルな生活はどんな感じに?!

豊頃町には、実はスーパーがありません。と言われても、都会暮らしをしている人には徒歩圏内にスーパーがないということ自体あまりないでしょう。どこで買い物するんだろう。でも、その不安は行ってみてすぐに解消されました。その大きな理由としては、町内(移住体験住宅からは車で5分ほど)には「とよころ物産直売所」なる都会に住んでいる身としてはあり得ないたくさんの新鮮なお野菜が並んでいる産直市場があったこと。

国道38号線すぐ近くにある「とよころ物産直売所」。金・土・日の営業ですが、朝からどんどん車で買い物に来られるお客さんが。並びには、蕎麦屋さんや、アイスクリーム屋さんなども(写真撮影/小正茂樹)

国道38号線すぐ近くにある「とよころ物産直売所」。金・土・日の営業ですが、朝からどんどん車で買い物に来られるお客さんが。並びには、蕎麦屋さんや、アイスクリーム屋さんなども(写真撮影/小正茂樹)

豊頃町は大規模農家さんが多く、4大品目と呼ばれる、「小麦」「ジャガイモ」「豆類」「ビート」を大量につくられている農家さんがほとんど。そういった農家さんが家庭菜園(と都会の人が思うレベルではない広さのようですが)的につくったお野菜がいろいろ並んでいるのです。これがめっちゃおいしくて安い。金・土曜の品ぞろえがいいよ、とうわさで聞いたため、毎週、オープンすぐにお野菜を買いに行っていました。また、直売所がお休みのときや、お野菜以外のものは車で15~20分程度の隣町のスーパーに買い出しに行きます。

いろんなお野菜を毎週まとめてゲット! 季節限定(おおむね4月末~11月中旬の営業)の営業になりますが、イキイキとした採れたて野菜が並んでいて、選ぶのも楽しい(写真撮影/小正茂樹)

いろんなお野菜を毎週まとめてゲット! 季節限定(おおむね4月末~11月中旬の営業)の営業になりますが、イキイキとした採れたて野菜が並んでいて、選ぶのも楽しい(写真撮影/小正茂樹)

また、まちの中心部には、社会福祉協議会さんが経営されるカフェ「喫茶ふわり」もあり、すごくお世話になりました。スタッフの方々には双子のお世話もしてくださって、ゆっくりご飯&お茶ができる貴重な時間を過ごすこともできました。
更に、2022年8月下旬には、すっごいおしゃれなカフェ「B&B丘」さんもオープンし、10月には、地元ジビエ料理が楽しめる宿泊機能付きレストラン「エレゾエスプリ」もオープンしたそうで、どんどんおしゃれなお店もまちに生まれています。

豊頃町の中心地にある喫茶ふわり。のんびりした雰囲気でリーズナブルにご飯が食べられます(写真撮影/小正茂樹)

豊頃町の中心地にある喫茶ふわり。のんびりした雰囲気でリーズナブルにご飯が食べられます(写真撮影/小正茂樹)

B&B丘のガパオライス。お店の人がタイに長らくお住まいだっただけに本格的で美味!(写真撮影/小正茂樹)

B&B丘のガパオライス。お店の人がタイに長らくお住まいだっただけに本格的で美味!(写真撮影/小正茂樹)

すごくアットホーム感あるほっこり&手つかずの可能性がたくさんのまち!

2カ月の滞在となった豊頃町。空港からもほど近く、買い物施設は車で20分圏内にいくつもあり、車の運転をする方にとっては、まさに郊外ののんびり暮らし!が満喫できると感じました。
また、まだまだ6次産業化なども進んでおらず、まちにも、産業にも手つかずの可能性というのをたくさん感じました。豊頃団志なる男性の若手グループを農家さん、酪農家さん、役場職員などが集まってつくられていて、実は色々地域の活動をされる横のつながりもあったりします。町役場も若手の方が多くて、アットホーム感ある暮らしを楽しみながら、新しいモノコトづくりなどに興味がある方にはすごくお勧めなまちだと思います。
豊頃町に名残惜しさを感じながら、9月上旬からは同じ十勝エリアの北部にある上士幌町へ。果たして次なるまちの暮らしはどんなものになるのか。乞うご期待!

関連記事育休中の双子パパ、家族で北海道プチ移住してみた! 半年暮らして見えてきた魅力と課題

●関連サイト
豊頃町移住計画ガイド
ジュエリーアイス
ハルニレの木
とよころ物産直売所
B&B丘

求ム!足袋蔵の再活用

所在地:埼玉県行田市佐間
19万8,000円(税込) / 132.48平米
高崎線「行田」駅 3.4㎞(車約9分)

推定築90年程。行田市の日本遺産構成文化財にも登録された、木造2階建ての足袋蔵。



もともと穂国足袋(ほこくたび)の商標で知られた、荒井八郎商店の足袋原料倉庫で、昭和初期に建設されたものと思われます。



荒井八郎商店の手を離れた後、この場所に曳家され、現在に至るようですが、もとも ... 続き>>>.
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