想いを詰め込んで

所在地:渋谷区恵比寿
24万5,000円 / 52.67平米
山手線「恵比寿」駅 徒歩2分

「恵比寿」駅から徒歩2分。数年前にスケルトンからリノベーションされた部屋は、オーナー夫妻の想いが沢山詰め込まれた、あたたかな空間でした。



そもそも自分たちの住まいとして、駅近の利便性を備えながらも居心地の良い空間になるように、考え抜いてつくられた部屋。



限られた床面積を最大限 ... 続き>>>.
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「0円空家バンク」等で転入者170人増! 家を手放したい人にもメリットあり、移住者フォローも手厚すぎる富山県上市町の取り組みが話題

「地方に空家があるなら、移住希望者に住んでもらえばいいんじゃない?」そんな誰もが空想する取り組みを実行に移し、大成功している自治体があります。富山県上市町です。では、どのようにして成功させたのでしょうか。現場を見学してきました。

0円空家バンクに希望者殺到。能登半島地震の被災者も受け入れ

富山県上市町は、富山駅から電車で約25分の約2万人の町(令和6年1月31日時点)です。町内の多くは山岳地で、名峰・剱岳があるほか、映画『おおかみこどもの雨と雪』(細田 守監督)の舞台になった町でもあります。以前、SUUMOジャーナルでは、「古民家をイメージした公営住宅が誕生!」という記事でもご紹介しました。

この上市町で2022年にはじまったのが「上市町0円空家バンク」(空家解消特別推進事業)です。仕組みとしてはとてもシンプルで、空家所有者の依頼・要望を受けて、行政が建物や土地の現地調査を行い、0円空家バンクに登録します。0円空家バンクを見て取得を希望する人を募集し、内覧会を実施したうえで、空家所有者が取得希望者を選定し、契約を締結、譲渡という流れになります。

上市町0円空家バンクの仕組み(資料提供:上市町役場)

上市町0円空家バンクの仕組み(資料提供:上市町役場)

空家所有者は無償で建物や土地を譲渡できるほか、相続手続き・不用品の処分費用として最大10万円の補助が受けられます。また、取得希望者は住宅が0円で手に入るだけでなく、定額50万円(所有権移転登記費用が発生する場合には贈与税など)の補助があり、さらに該当すれば移住定住の助成金を受け取れます。一方で上市町は空家の指導や特定などに人手を割く必要がなくなり、人口減少どころか定住者の増加、税収増も見込めます。

まさに三方良しの取り組みとあって、2022年度の制度スタートからすぐに人口増へとつながり、その年度のうちで転入者数が前年度より77人、2023年度にはさらに170人まで伸びています。なかでも県外転入者数は、2022年度に前年度の4.4倍となり、2023年度には2021年度の5.9倍まで増加しています。

また、今年1月に発生した能登半島地震の被災者も、2月にこの「0円空家バンク」を利用して移住につながりました。建物の所有者が「被災者の力になりたい」ということで、譲渡が決まったといいます。空き家が住まいという資源として活用できている、好事例といってよいでしょう。

空家を持つと“詰む”!? 所有者にも補助金を出す理由とは

「空家バンク」そのものは全国各地にありますが、ここまで成果が出ている自治体はなかなかありません。上市町の取り組みにはどういった特徴があるのでしょうか? 上市町建設課の金盛敬司主幹に話を聞きました。

上市町建設課の金盛敬司主幹(左)と企画課の盛一紗弥子係長(撮影/SUUMO編集部)

上市町建設課の金盛敬司主幹(左)と企画課の盛一紗弥子係長(撮影/SUUMO編集部)

「以前は、私は固定資産税を担当する部署にいたのですが、空家の所有者から、実家が空家になっているので手放したいという相談を受けていました。その後、現在の建設課に異動になったところ、できるだけ安く住まいを手に入れたい、空家を紹介してもらいたいというニーズがあることに気づきました。副町長からも大胆な取り組みを、という後押しもあり、不動産業者が取り扱わない『無料』の物件に絞って、町が紹介すればいいんじゃないか、という仕組みを思いつきました」と解説します。

0円空家バンク誕生の経緯(資料提供/上市町建設課)

0円空家バンク誕生の経緯(資料提供/上市町建設課)

不動産は売却額が200万円以下の場合、不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限は「成約価格× 5%」+消費税と決められています。ただこの手数料では事業として利益を出すことができず、事実上、扱うことはほとんどありません。そのため、「0円でもいいから引き取ってほしい」という要望があっても流通することはなく、空き家として放置されてしまうのです。国は対策として、2023年より「相続土地国庫帰属制度※」をはじめましたが、手放すにも20万円もしくはそれ以上の「負担金」や各種手続きが発生するので、「手放すのにもお金がかかる……」と二の足を踏む人がいるといいます。

※相続土地国庫帰属制度/相続または遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部または全部を譲ること)によって土地を相続した人が、土地を手放し、国庫に帰属させることを可能にした制度

空家・農地に十分な市場価値がない、売却に必要な図面や書類がない、国庫に帰属させようにもお金がかかる、建物を解体したくても解体費用が出せない、家庭や健康状態によっては家財や荷物の片付けができない。さらに思い入れのある家だからこそ、譲渡する相手は誰でもいいわけではない。経済面はもちろん、感情面も入り交じり、より問題を複雑にしています。「上市町0円空家バンク」では、こうした所有者の事情を考慮して空家所有者にも費用を助成し、譲渡先の決定権も所有者が決める制度です。

「空家所有者には、食器や仏壇、寝具、壊れた家電などは処分していただくことと、権利や担保は整理・抹消と相続してから登録していただくことを説明しています。一方で、タンスなどの大型家具に関しては利活用できることもありますので、そのままでよいですよとお伝えしています。間取図は法務局と固定資産税担当の部署で閲覧し、私が図面を作成します。写真も撮影して、0円空家バンクに登録。複数の応募者のなかから、基本的には直接会っていただき、この人なら、という方に譲渡を決めていただきます」(金盛さん)

空き家に残された立派な家財箪笥。まだまだ使用可能(撮影/SUUMO編集部)

空家に残された立派な家財たんす。まだまだ使用可能(撮影/SUUMO編集部)

これは、金盛さんが一級建築士でもあるからこその機動力です。ちなみに前述の映画監督の細田守さんとは中学の同級生で高校進学時に先生がこの2人を呼んで、美術の道を目指すように勧めたとか。出てくるエピソードにまたまたびっくりします。

<「上市町0円空家バンク」の空家所有者のメリット>
・家財の処分費用助成がある
・譲渡相手を見つけてもらえるが、最終決定は自分たちで行う
・譲渡に必要な物件写真撮影や間取図作成、応募者募集は行政が行う

移住希望者にも助成。不動産会社だけでなく、周囲の企業にも好影響

一方で、取得希望者にも安全な住まいを用意するよう、配慮しています。

「どんな建物でも0円空家バンクに登録できるのか、というとそうではありません。われわれが現地調査を行い、損傷度や危険性に応じて1から4ランクまで判定します。居住するには危険がないと判断でき、なおかつ不動産会社が取り扱わないものを0円空家バンクに登録し、希望者を募るのです。一方で100万円~500万円など価格がつきそうなものは、不動産会社を紹介し、扱ってもらっています。逆に不動産会社から行政に相談して、といわれることもあり、お互いに補い合っている関係です」(金盛さん)

また、0円空家バンクで上市町を知り、内見に来て土地を気に入り、中古住宅を購入して引越してくることもあるよう。

「上市町は、富山駅まで富山地方鉄道も利用できますし、行政や病院、学校、商業施設などもまとまっています。建物が0円というのでどんな山奥・へき地かと思ったら、コンパクトで便利そう、気に入ったとのお声を聞きます。0円空家バンクの住宅取得者には50万円が助成されますが、ほかにも若者・子育て世帯定住促進事業などの他の助成制度を使えば、住宅取得補助費用として最大360万円までもらえます」(金盛さん)

上市町移住・定住ポータル「かみスイッチ」(写真提供/上市町建設課)

上市町移住・定住ポータル「かみスイッチ」(写真提供/上市町建設課)

「上市町0円空家バンク」は、充実した移住定住ポータルサイトをもっているほか、YouTubeでも情報発信をしており、首都圏はもちろん、関西、沖縄、海外からはアメリカやオーストラリア・ドバイなどからも申し込み・反響があったとか。基本は現地で内見しますが、難しい場合はオンラインで建物のルームツアーを行い、紹介しています。こうした「かゆいところに手が届く」あたりも成功の秘訣といえそうです。

こうした情報発信がうまくいき、一時期、不動産会社からは「上市町から売る土地・不動産がなくなった」とまでいわれたほど。もちろん、移住者が来てくれれば、家具や家電、リフォーム、カーテンなどの家財を購入する必要があり、地元企業にも還元されていきます。民間の不動産会社で利益が出せるものは民間で行い、行政にしかできないことに絞って行うというのも大きなポイントのようです。

移住者が近隣コミュニティと打ち解けるため、LINEを活用

上市町のこの0円空家バンクでは、今まで17号まで登録され、うち16物件が契約済みとなっています。(令和6年3月18日時点)そのなかには、建物の雑草対策としてヤギの飼育をはじめ、それをきっかけに子どもたちや近所の人とのつながりもでき、地域コミュニティにもすっかりと打ち解けたという移住者もいるそう。

赤ちゃんや動物ってそれだけで打ち解けますよね(写真提供/上市町建設課)

赤ちゃんや動物ってそれだけで打ち解けますよね(写真提供/上市町建設課)

ヤギと飼い主さん。これは人の輪がひろがります(写真提供/上市町建設課)

ヤギと飼い主さん。これは人の輪が広がります(写真提供/上市町建設課)

「この制度を利用して移住してきた方からは、可処分所得と時間が増えたということをよく聞きます。通勤時間が短くなったり、テレワークをしたりすることで、家族といっしょに過ごす時間が増えた、また、住宅ローンや家賃に縛られずに使えるお金が増えたという声もありますね。水、お米、魚、野菜がおいしい、山が美しいと、改めて上市町の良さを教えてもらえることも多いですね」(金盛さん)

また、移住者がスムーズに地域コミュニティに打ち解けられるよう、LINEオープンチャット「ウェルカミ」を開設し、地域の情報を発信していて、住民情報交換、交流の場をつくっているとか。年1回にオフ会も行い、リアルとSNSの両方で移住支援を行っています。

上市町オンライン交流コミュニティ「WELKAMI」(写真提供/上市町企画課)

上市町オンライン交流コミュニティ「WELKAMI」(写真提供/上市町企画課)

<「上市町0円空家バンク」の移住者側のメリット>
・0円で土地、建物などが入手できる
・国内外の遠方、オンライン内見も可能
・移住後は地域コミュニティに打ち解ける仕組みも

「これが0円!?」 取材陣も驚愕(きょうがく)の0円空家の状態とは?

では、0円空家とはどのような物件なのでしょうか。実際に2物件を見学させてもらいました。まず、向かったのは上市駅近くの121平米、1962年(一部1972年)築の建物です。こちらは能登半島地震で被災された方が住むことが決定しています。店舗付き住宅だったようで、道路に面して建物がひらかれているのが特徴で、2階は和室となっています。建物全体に古さは感じるものの、キッチン、バス、トイレといった水回りをリフォームし、窓は二重窓にすれば、ぐっと住みやすくなるのが素人目にもわかります。

上市町駅近くの0円空家(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

上市町駅近くの0円空家(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

玄関をあけるとたたき、その奥に浴室。窓ガラスもレトロかわいい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

玄関を開けるとたたき、その奥に浴室。窓ガラスもレトロかわいい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

一階の和室は、畳もキレイ状態です。大きな姿見がありかつては美容室だったのかな、と推測できます(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

一階の和室は、畳もキレイな状態です。大きな姿見がありかつては美容室だったのかな、と推測できます(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

そして、もう一軒の0円空家を見学させていただきました。こちらは建物内部ではなく、外側から。土地と私道をあわせて約800平米、住宅220平米で間取り10DK、車庫と物置で50平米超になります。建物はいちばん古いもので1971年築、増改築を重ねていますが、まだまだ住めるというか、こんな立派な家が0円!?と驚きを隠せません。これが0円で住めるのであれば、私はなんのために都会で生きているのか、人生の価値基準が揺らぐ音がします。

こちらが220平米・10DKの住まい。晴れていると美しい山々の景色を望めます(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

こちらが220平米・10DKの住まい。晴れていると美しい山々の景色を望めます(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

こちらは離れ。もちろん0円。ここをリノベしてサウナにしたい。目の前の土地はととのいスペースなどにしたいと、妄想が止まりません(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

こちらは離れ。もちろん0円。ここをリノベしてサウナにしたい。眼の前の土地はととのいスペースなどにしたいと、妄想が止まりません(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

電動シャッター付きの車庫。2階は倉庫になっています。っていうかここに住めるのでは?(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

電動シャッター付きの車庫。2階は倉庫になっています。っていうかここに住めるのでは?(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

現在も取得希望者・空家登録者を募集中!制度はよりブラッシュアップして継続へ

この取り組み、以前から上市町に暮らす住民たちからも好評だとか。
「やはり隣家が空家だと、火事や、動物が住み着く、台風や雪などの自然災害での倒壊の危険など、不安が募るようです。若い世代に住んでもらえてうれしい、ほっとしたという声を聞きます」(金盛さん)

家は人が住んでいないとあっという間に劣化していきます。新しい人が入居し、手入れをしながら住んでもらえたら、これほどに幸せな出会いはありません。また、今回のような震災があった場合、被災者支援にも有効であることがわかりました。

上市町には、誰も居住していない、売買市場にも取引されていない空家が、現在、336戸ほどあるといいます(令和6年1月取材時点)。これを単なる「空家」だと思うと負債になりますが、この仕組みでマッチングが成立していけば、立派な「資源」であり、「伸びしろ」ということになります。金盛さんは、「まずは空家の所有者の方に登録してもらいたい」といい、今ある制度をよりブラッシュアップし、次世代につなげていくと意気込んでいます。

取材をしたあとには、制度そのものもすばらしいですが、「空家を所有する人」「移住を考えている人」のお困りごとを一つずつ解決していく、「ていねいさ」「人柄のよさ」が心に残りました。制度をつくるのも人ですが、運用するのも人。良い町を次世代に残していきたい、そんな思いが「上市町0円空家バンク」成功の秘訣だと思いました。

●取材協力
上市町移住・定住ポータルサイト
富山県上市町公式ホームページ

「0円空家バンク」で転入者170人増! 家を手放したい人にもメリットあり、移住者フォローも手厚すぎる富山県上市町の取り組みが話題

「地方に空家があるなら、移住希望者に住んでもらえばいいんじゃない?」そんな誰もが空想する取り組みを実行に移し、大成功している自治体があります。富山県上市町です。では、どのようにして成功させたのでしょうか。現場を見学してきました。

0円空家バンクに希望者殺到。能登半島地震の被災者も受け入れ

富山県上市町は、富山駅から電車で約25分の約2万人の町(令和6年1月31日時点)です。町内の多くは山岳地で、名峰・剱岳があるほか、映画『おおかみこどもの雨と雪』(細田 守監督)の舞台になった町でもあります。以前、SUUMOジャーナルでは、「古民家をイメージした公営住宅が誕生!」という記事でもご紹介しました。

この上市町で2022年にはじまったのが「上市町0円空家バンク」(空家解消特別推進事業)です。仕組みとしてはとてもシンプルで、空家所有者の依頼・要望を受けて、行政が建物や土地の現地調査を行い、0円空家バンクに登録します。0円空家バンクを見て取得を希望する人を募集し、内覧会を実施したうえで、空家所有者が取得希望者を選定し、契約を締結、譲渡という流れになります。

上市町0円空家バンクの仕組み(資料提供:上市町役場)

上市町0円空家バンクの仕組み(資料提供:上市町役場)

空家所有者は無償で建物や土地を譲渡できるほか、相続手続き・不用品の処分費用として最大10万円の補助が受けられます。また、取得希望者は住宅が0円で手に入るだけでなく、定額50万円(所有権移転登記費用が発生する場合には贈与税など)の補助があり、さらに該当すれば移住定住の助成金を受け取れます。一方で上市町は空家の指導や特定などに人手を割く必要がなくなり、人口減少どころか定住者の増加、税収増も見込めます。

まさに三方良しの取り組みとあって、2022年度の制度スタートからすぐに人口増へとつながり、その年度のうちで転入者数が前年度より77人、2023年度にはさらに170人まで伸びています。なかでも県外転入者数は、2022年度に前年度の4.4倍となり、2023年度には2021年度の5.9倍まで増加しています。

また、今年1月に発生した能登半島地震の被災者も、2月にこの「0円空家バンク」を利用して移住につながりました。建物の所有者が「被災者の力になりたい」ということで、譲渡が決まったといいます。空き家が住まいという資源として活用できている、好事例といってよいでしょう。

空家を持つと“詰む”!? 所有者にも補助金を出す理由とは

「空家バンク」そのものは全国各地にありますが、ここまで成果が出ている自治体はなかなかありません。上市町の取り組みにはどういった特徴があるのでしょうか? 上市町建設課の金盛敬司主幹に話を聞きました。

上市町建設課の金盛敬司主幹(左)と企画課の盛一紗弥子係長(撮影/SUUMO編集部)

上市町建設課の金盛敬司主幹(左)と企画課の盛一紗弥子係長(撮影/SUUMO編集部)

「以前は、私は固定資産税を担当する部署にいたのですが、空家の所有者から、実家が空家になっているので手放したいという相談を受けていました。その後、現在の建設課に異動になったところ、できるだけ安く住まいを手に入れたい、空家を紹介してもらいたいというニーズがあることに気づきました。副町長からも大胆な取り組みを、という後押しもあり、不動産業者が取り扱わない『無料』の物件に絞って、町が紹介すればいいんじゃないか、という仕組みを思いつきました」と解説します。

0円空家バンク誕生の経緯(資料提供/上市町建設課)

0円空家バンク誕生の経緯(資料提供/上市町建設課)

不動産は売却額が200万円以下の場合、不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限は「成約価格× 5%」+消費税と決められています。ただこの手数料では事業として利益を出すことができず、事実上、扱うことはほとんどありません。そのため、「0円でもいいから引き取ってほしい」という要望があっても流通することはなく、空き家として放置されてしまうのです。国は対策として、2023年より「相続土地国庫帰属制度※」をはじめましたが、手放すにも20万円もしくはそれ以上の「負担金」や各種手続きが発生するので、「手放すのにもお金がかかる……」と二の足を踏む人がいるといいます。

※相続土地国庫帰属制度/相続または遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部または全部を譲ること)によって土地を相続した人が、土地を手放し、国庫に帰属させることを可能にした制度

空家・農地に十分な市場価値がない、売却に必要な図面や書類がない、国庫に帰属させようにもお金がかかる、建物を解体したくても解体費用が出せない、家庭や健康状態によっては家財や荷物の片付けができない。さらに思い入れのある家だからこそ、譲渡する相手は誰でもいいわけではない。経済面はもちろん、感情面も入り交じり、より問題を複雑にしています。「上市町0円空家バンク」では、こうした所有者の事情を考慮して空家所有者にも費用を助成し、譲渡先の決定権も所有者が決める制度です。

「空家所有者には、食器や仏壇、寝具、壊れた家電などは処分していただくことと、権利や担保は整理・抹消と相続してから登録していただくことを説明しています。一方で、タンスなどの大型家具に関しては利活用できることもありますので、そのままでよいですよとお伝えしています。間取図は法務局と固定資産税担当の部署で閲覧し、私が図面を作成します。写真も撮影して、0円空家バンクに登録。複数の応募者のなかから、基本的には直接会っていただき、この人なら、という方に譲渡を決めていただきます」(金盛さん)

空き家に残された立派な家財箪笥。まだまだ使用可能(撮影/SUUMO編集部)

空家に残された立派な家財たんす。まだまだ使用可能(撮影/SUUMO編集部)

これは、金盛さんが一級建築士でもあるからこその機動力です。ちなみに前述の映画監督の細田守さんとは中学の同級生で高校進学時に先生がこの2人を呼んで、美術の道を目指すように勧めたとか。出てくるエピソードにまたまたびっくりします。

<「上市町0円空家バンク」の空家所有者のメリット>
・家財の処分費用助成がある
・譲渡相手を見つけてもらえるが、最終決定は自分たちで行う
・譲渡に必要な物件写真撮影や間取図作成、応募者募集は行政が行う

移住希望者にも助成。不動産会社だけでなく、周囲の企業にも好影響

一方で、取得希望者にも安全な住まいを用意するよう、配慮しています。

「どんな建物でも0円空家バンクに登録できるのか、というとそうではありません。われわれが現地調査を行い、損傷度や危険性に応じて1から4ランクまで判定します。居住するには危険がないと判断でき、なおかつ不動産会社が取り扱わないものを0円空家バンクに登録し、希望者を募るのです。一方で100万円~500万円など価格がつきそうなものは、不動産会社を紹介し、扱ってもらっています。逆に不動産会社から行政に相談して、といわれることもあり、お互いに補い合っている関係です」(金盛さん)

また、0円空家バンクで上市町を知り、内見に来て土地を気に入り、中古住宅を購入して引越してくることもあるよう。

「上市町は、富山駅まで富山地方鉄道も利用できますし、行政や病院、学校、商業施設などもまとまっています。建物が0円というのでどんな山奥・へき地かと思ったら、コンパクトで便利そう、気に入ったとのお声を聞きます。0円空家バンクの住宅取得者には50万円が助成されますが、ほかにも若者・子育て世帯定住促進事業などの他の助成制度を使えば、住宅取得補助費用として最大360万円までもらえます」(金盛さん)

上市町移住・定住ポータル「かみスイッチ」(写真提供/上市町建設課)

上市町移住・定住ポータル「かみスイッチ」(写真提供/上市町建設課)

「上市町0円空家バンク」は、充実した移住定住ポータルサイトをもっているほか、YouTubeでも情報発信をしており、首都圏はもちろん、関西、沖縄、海外からはアメリカやオーストラリア・ドバイなどからも申し込み・反響があったとか。基本は現地で内見しますが、難しい場合はオンラインで建物のルームツアーを行い、紹介しています。こうした「かゆいところに手が届く」あたりも成功の秘訣といえそうです。

こうした情報発信がうまくいき、一時期、不動産会社からは「上市町から売る土地・不動産がなくなった」とまでいわれたほど。もちろん、移住者が来てくれれば、家具や家電、リフォーム、カーテンなどの家財を購入する必要があり、地元企業にも還元されていきます。民間の不動産会社で利益が出せるものは民間で行い、行政にしかできないことに絞って行うというのも大きなポイントのようです。

移住者が近隣コミュニティと打ち解けるため、LINEを活用

上市町のこの0円空家バンクでは、今まで17号まで登録され、うち16物件が契約済みとなっています。(令和6年3月18日時点)そのなかには、建物の雑草対策としてヤギの飼育をはじめ、それをきっかけに子どもたちや近所の人とのつながりもでき、地域コミュニティにもすっかりと打ち解けたという移住者もいるそう。

赤ちゃんや動物ってそれだけで打ち解けますよね(写真提供/上市町建設課)

赤ちゃんや動物ってそれだけで打ち解けますよね(写真提供/上市町建設課)

ヤギと飼い主さん。これは人の輪がひろがります(写真提供/上市町建設課)

ヤギと飼い主さん。これは人の輪が広がります(写真提供/上市町建設課)

「この制度を利用して移住してきた方からは、可処分所得と時間が増えたということをよく聞きます。通勤時間が短くなったり、テレワークをしたりすることで、家族といっしょに過ごす時間が増えた、また、住宅ローンや家賃に縛られずに使えるお金が増えたという声もありますね。水、お米、魚、野菜がおいしい、山が美しいと、改めて上市町の良さを教えてもらえることも多いですね」(金盛さん)

また、移住者がスムーズに地域コミュニティに打ち解けられるよう、LINEオープンチャット「ウェルカミ」を開設し、地域の情報を発信していて、住民情報交換、交流の場をつくっているとか。年1回にオフ会も行い、リアルとSNSの両方で移住支援を行っています。

上市町オンライン交流コミュニティ「WELKAMI」(写真提供/上市町企画課)

上市町オンライン交流コミュニティ「WELKAMI」(写真提供/上市町企画課)

<「上市町0円空家バンク」の移住者側のメリット>
・0円で土地、建物などが入手できる
・国内外の遠方、オンライン内見も可能
・移住後は地域コミュニティに打ち解ける仕組みも

「これが0円!?」 取材陣も驚愕(きょうがく)の0円空家の状態とは?

では、0円空家とはどのような物件なのでしょうか。実際に2物件を見学させてもらいました。まず、向かったのは上市駅近くの121平米、1962年(一部1972年)築の建物です。こちらは能登半島地震で被災された方が住むことが決定しています。店舗付き住宅だったようで、道路に面して建物がひらかれているのが特徴で、2階は和室となっています。建物全体に古さは感じるものの、キッチン、バス、トイレといった水回りをリフォームし、窓は二重窓にすれば、ぐっと住みやすくなるのが素人目にもわかります。

上市町駅近くの0円空家(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

上市町駅近くの0円空家(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

玄関をあけるとたたき、その奥に浴室。窓ガラスもレトロかわいい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

玄関を開けるとたたき、その奥に浴室。窓ガラスもレトロかわいい(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

一階の和室は、畳もキレイ状態です。大きな姿見がありかつては美容室だったのかな、と推測できます(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

一階の和室は、畳もキレイな状態です。大きな姿見がありかつては美容室だったのかな、と推測できます(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

そして、もう一軒の0円空家を見学させていただきました。こちらは建物内部ではなく、外側から。土地と私道をあわせて約800平米、住宅220平米で間取り10DK、車庫と物置で50平米超になります。建物はいちばん古いもので1971年築、増改築を重ねていますが、まだまだ住めるというか、こんな立派な家が0円!?と驚きを隠せません。これが0円で住めるのであれば、私はなんのために都会で生きているのか、人生の価値基準が揺らぐ音がします。

こちらが220平米・10DKの住まい。晴れていると美しい山々の景色を望めます(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

こちらが220平米・10DKの住まい。晴れていると美しい山々の景色を望めます(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

こちらは離れ。もちろん0円。ここをリノベしてサウナにしたい。目の前の土地はととのいスペースなどにしたいと、妄想が止まりません(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

こちらは離れ。もちろん0円。ここをリノベしてサウナにしたい。眼の前の土地はととのいスペースなどにしたいと、妄想が止まりません(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

電動シャッター付きの車庫。2階は倉庫になっています。っていうかここに住めるのでは?(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

電動シャッター付きの車庫。2階は倉庫になっています。っていうかここに住めるのでは?(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

現在も取得希望者・空家登録者を募集中!制度はよりブラッシュアップして継続へ

この取り組み、以前から上市町に暮らす住民たちからも好評だとか。
「やはり隣家が空家だと、火事や、動物が住み着く、台風や雪などの自然災害での倒壊の危険など、不安が募るようです。若い世代に住んでもらえてうれしい、ほっとしたという声を聞きます」(金盛さん)

家は人が住んでいないとあっという間に劣化していきます。新しい人が入居し、手入れをしながら住んでもらえたら、これほどに幸せな出会いはありません。また、今回のような震災があった場合、被災者支援にも有効であることがわかりました。

上市町には、誰も居住していない、売買市場にも取引されていない空家が、現在、336戸ほどあるといいます(令和6年1月取材時点)。これを単なる「空家」だと思うと負債になりますが、この仕組みでマッチングが成立していけば、立派な「資源」であり、「伸びしろ」ということになります。金盛さんは、「まずは空家の所有者の方に登録してもらいたい」といい、今ある制度をよりブラッシュアップし、次世代につなげていくと意気込んでいます。

取材をしたあとには、制度そのものもすばらしいですが、「空家を所有する人」「移住を考えている人」のお困りごとを一つずつ解決していく、「ていねいさ」「人柄のよさ」が心に残りました。制度をつくるのも人ですが、運用するのも人。良い町を次世代に残していきたい、そんな思いが「上市町0円空家バンク」成功の秘訣だと思いました。

●取材協力
上市町移住・定住ポータルサイト
富山県上市町公式ホームページ

入谷の街を最上階から

所在地:台東区竜泉
19万円 / 42.68平米
日比谷線「入谷」駅 徒歩6分

青空をめいっぱい感じるルーフバルコニーと、開放感のある部屋。ルーフバルコニーから少し東に目をやると、スカイツリーが見えます。



部屋はマンションの最上階、12階。ルーフバルコニーはもちろん、部屋の中からでも空が見える、開放感がたまりません。リビングは南西向きの角部屋で日当たりも良 ... 続き>>>.
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既存生かしのリノベーションアパート – 最上階 –

所在地:品川区南品川
13万4,000円 / 32.13平米
京浜東北線・東急大井町線「大井町」駅 徒歩4分

大井町駅からほど近く。既存のタイルや塀を残し、古いアパートを丸ごとリノベーションした物件です。



今回の募集は、気持ちいいルーフバルコニー付き最上階。建物の3階部分をまるごと使える、実質ペントハウスのような区画です。



用途は住居と事務所どちらでも。エレベーターがなく階段のみのた ... 続き>>>.
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静けさを保つテラス

所在地:杉並区浜田山
23万円 / 73.07平米
井の頭線「西永福」駅 徒歩6分

浜田山の静かな住宅街にある、テラスが付いた2LDK。心の静けさが保たれるような、そんなイメージの部屋を想像してください。



リビングからそのまま繋がっているようなテラス。部屋から見えるように植物を並べたり、外の風に当たりながらリラックスできるようにイスとテーブルを用意したりと、生 ... 続き>>>.
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スカイブルーに魅せられて

所在地:渋谷区上原
18万5,000円 / 37.3平米
小田急線・千代田線「代々木上原」駅 徒歩9分

秋晴れの空を思わせるようなブルーの壁!

床には無垢フローリングが張り込まれ、コンクリートの無機質だった箱が、素材感と温かみを感じられる空間にリニューアルされました。



部屋の入口になっているテラスは、室内から見ると部屋の一部にも感じられ、コンパクトな部屋に開放感と広がりを与えて ... 続き>>>.
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開放的コンパクト

所在地:新宿区横寺町
14万円 / 30.62平米
東西線「神楽坂」駅 徒歩3分

部屋はぎゅぎゅっとコンパクトなサイズ感。コンパクトながらも2面採光にルーフバルコニー付きと開放感のインパクトがあるこの部屋。



すっきりと四角いコンクリートの外観が目を引くマンションの最上階。部屋は南西向きの角部屋で、光と風が部屋を満たします。すっきりと空が見える景色が爽快です。 ... 続き>>>.
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団地×リノベ×高円寺

所在地:杉並区高円寺北
15万円 / 52.04平米
中央線「高円寺」駅 徒歩7分

気になるキーワードが並ぶ住まいの紹介です。

場所といい、昔懐かしい建物といい、刷新された室内といい、絶妙なバランス感を気に入ってくれる方も多いのではないでしょうか。



舞台は高円寺、元社宅だったしっぶい団地をテーマに、設計を担当したのはR不動産の馬場正尊率いるOpenA。2棟ある ... 続き>>>.
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賃貸大家ユニット・半田兄弟、老朽化アパート再生のカギは「家庭菜園とDIY」! 入居率も30%アップまでの軌跡 福岡県久留米市

福岡県久留米市東櫛原町にある「H&A Apartment(ハンダアパート)」は、半田啓祐さん(兄)と満さん(弟)からなる大家ユニット「H&A brothers」が管理運営する賃貸アパートです。築古ですが、家庭菜園や飲食事業者の誘致、マルシェの開催などの工夫で、入居者と近隣の人との交流を促し、新たな繋がりを地域にもたらしています。従来の「大家さん」のイメージを覆す、「コミュニティデザイナー」とは? 豊かな暮らしができる場づくりを地方都市で行うふたりに話を聞きました。

親が管理するアパートが老朽化、DIYと家庭菜園付きアパートで再起

西鉄久留米駅のひとつ隣の小さな櫛原駅前にある「ハンダアパート」。敷地内には、「半田ビル」と「アベニール櫛原」の2棟のほか、菜園広場やデッキがあります。1階にあるパン屋さんやカレー屋さん、コーヒースタンドなどのお店やアパートで開催する駅前マルシェには、近所の人も多く訪れます。

菜園で育てた野菜で近所の人と食事会。そうめん流しの時の写真。「ハンダアパート」を中心に人が緩やかに繋がる(画像提供/H&A brothers)

菜園で育てた野菜で近所の人と食事会。そうめん流しの時の写真。「ハンダアパート」を中心に人が緩やかに繋がる(画像提供/H&A brothers)

左から半田啓祐さん(45歳)と満さん(44歳)(画像提供/H&A brothers)

H&A brothersのふたりが、両親の管理していたアパートを引き継いだのは2013年ごろ。10年の月日をかけて、住民参加型のワークショップや地域イベントを通じて入居者さん、ご近所さんが繋がり合う場を育てていきました。現在は、「コミュニティデザイナー」として、職人シェアオフィス「BASE」の運営、リノベーション設計施工、DIYワークショップの企画・運営、空き家対策や移住定住支援など行政や大学と連携した幅広い街づくりプロジェクトに取り組んでいます。

アパート敷地内で、不定期に、マルシェを開催(画像提供/H&A brothers)

アパート敷地内で、不定期に、マルシェを開催(画像提供/H&A brothers)

コアメンバーを務める久留米移住計画のオンラインイベント。うきは市・大川市・大木町・小郡市・久留米市・大刀洗町の6市町が集まり、筑後エリアの魅力や移住のリアルを発信(画像提供/久留米移住計画)

コアメンバーを務める久留米移住計画のオンラインイベント。うきは市・大川市・大木町・小郡市・久留米市・大刀洗町の6市町が集まり、筑後エリアの魅力や移住のリアルを発信(画像提供/久留米移住計画)

もともと東京の飲食チェーン店で働いていた啓祐さんが、不動産業界に関わりはじめたキッカケは、両親が管理していた古い貸家を取り壊した後に、新築アパートを建てるタイミングでした。ところが、建築会社が倒産し、数百万の資金が戻らない事態に。「このまま何も知らないで不動産業に関わるのは怖い」と考えた啓祐さんは、地元の不動産会社に転職して経験を積みました。

家業であるアパート経営に関わりはじめたのは、2010年ごろ。当時、両親が管理していた半田ビル(1981年築9戸)が老朽化し、空室が増加。苦労するふたりを見て、空室対策や入居者募集に取り組むことになったのです。

「何か手を打たなければと焦る気持ちでしたが、長年アパート経営をしていた家族の危機感は薄く、父の賛同を得られず、予算もありませんでした。業者に頼めないなら自分でやるしかないと、ぼろぼろの外観を修繕するため、ひとりで、外壁を塗ったり、花壇をつくることからはじめました」(啓祐さん)

そのころ、大学で建築を学んだあと、東京のディベロッパーで働いていた満さん。遠隔で啓祐さんの相談に乗っていましたが、ある日、父から連絡が入りました。

「『啓祐が壁を塗っているから止めてほしい』と(笑)。久留米に戻って兄に話を聞くと、お金をかけられない現状がよくわかったんです。家賃が4万円まで落ちていて、何百万円もかけてリフォームしても、せいぜい5万円に上げられるかどうか。資金を全然回収できないんですね。それだったらもう自分たちでやろうって、DIYを手伝うようになりました」(満さん)

満さんは、仕事を辞め、ディベロッパーでのプランニングや設計の経験を活かし、3部屋をリフォーム。啓祐さんは、「アパートの敷地内に家庭菜園をつくってみよう」と思いつきます。

「敷地にあった古い木造アパートを取り壊した空き地がありました。家庭菜園は自分も興味があったし、入居者さんに聞いてみたら、やりたいという子育て世代の方がいました。そこで、土を入れ替えて、区画をつくり、小規模に期間限定のお試しでやってみることにしました」(啓祐さん)

そうして、菜園付き賃貸アパートが誕生。啓祐さんが内覧に立会い、入居希望者に説明すると好評で、次第に入居者が増え、家賃もアップし、経営が上向きに。入居率は、約60%から90%に、家賃は4万円から5万円になりました。築古のぼろぼろだった半田ビルとアベニール櫛原の2棟は、「ハンダアパート」として息を吹き返したのです。

手づくりで始めた「家庭菜園」から"アパート再生物語"は始まった(画像提供/H&A brothers)

手づくりで始めた「家庭菜園」から”アパート再生物語”は始まった(画像提供/H&A brothers)

現在の菜園と広場。入居者の子どもさんの要望でチャボを飼うことに。応援する入居者が交代でお世話(画像提供/H&A brothers)

現在の菜園と広場。入居者の子どもさんの要望でチャボを飼うことに。応援する入居者が交代でお世話(画像提供/H&A brothers)

パン屋さん誘致や駅前マルシェ開催で、街に開いたアパートへ

「ハンダアパート」の経営が回復したころ、意外にもふたりは、転職を考えていました。「当時は地元への思い入れはそんなに強くなかった」といいます。

「中学・高校と県外の学校に進学したので、地元の友人との繋がりも薄くて。改めて久留米を知ろうと、観光プログラムや街歩きに参加してみると、同世代の人たちが面白いことをやっていることがわかったんです。久留米市内の交流会などにも参加し、久留米絣(がすり)の伝統工芸を活かして着物のプロデュースを行っている人など街で活動する人達と繋がることができました」(啓祐さん)

一方、「経営も良くなったし、好きな仕事をしよう」と、東京で転職活動をしていた満さんは、面接の際、思いがけない言葉をかけてもらいました。

「家庭菜園付きアパートの話をすると興味を持ってもらえて、『自分でやってみたら』と言われることが結構ありまして。電話で兄に、こういった評価があると伝えました。東京で、ビンテージビルをプロデュースしている(株)スペースRデザインの吉原勝己さんや、住民同士が交流する賃貸住宅などを手掛ける青木純さんが登壇した勉強会に参加したことで、どんどん街を意識するようになっていったんです」(満さん)

「新しいことをやれる可能性が地方にはあるんじゃないか」と考えたふたり。転職活動をやめ、2014年から、本格的に、「ハンダアパート」の経営に乗り出します。家庭菜園の次に手掛けたのは、「DIYできる賃貸」でした。

壁を好きな色に塗装したり、好きな壁紙を張れるDIY賃貸は、店舗や事務所としても入居可能(画像提供/H&A brothers)

壁を好きな色に塗装したり、好きな壁紙を張れるDIY賃貸は、店舗や事務所としても入居可能(画像提供/H&A brothers)

新住民の入居前のDIYには、入居者もお手伝い。子どもたちはすぐに仲良しに(画像提供/H&A brothers)

新住民の入居前のDIYには、入居者もお手伝い。子どもたちはすぐに仲良しに(画像提供/H&A brothers)

「東京では、リノベーションして家賃を上げていきますが、久留米でやろうとしたとき、ぼくたちには当初、かけられるお金がなかった。かけたとしても家賃は2万円も上げられない。最初は費用対効果の面から始めたDIYでしたが、自分たちでつくった部屋に愛着が湧くようになり、入居者さんにも壁に色を塗ったり、棚をつけたりとお部屋作りに参加してもらうようにしました。費用に関しては、部屋の状態で違いますが、基本改修工事や原状回復程度は大家負担。それ以上超える部分は入居者さん負担です。DIYに参加することで入居者さんも愛着のある好きな空間で暮らせます」(満さん)

また、大家さんの交流会や勉強会で、「社会課題をビジネスで解決するソーシャルビジネス」について学んだことで、「自分たちのビルを使って地域の課題解決ができないか? 自分たちの敷地や建物だけじゃなくて、エリアで見るとどうか?」と考えるように。「家庭菜園付きアパート」から「街と繋がるアパート」への転換点になりました。

通りに面した駐車場のフェンスに設けた掲示板。近所の小学校の卒業式の日に六年生へお祝いのメッセージを書く子ども達(画像提供/H&A brothers)

通りに面した駐車場のフェンスに設けた掲示板。近所の小学校の卒業式の日に六年生へお祝いのメッセージを書く子ども達(画像提供/H&A brothers)

アートイベントで遊具を置いた菜園広場。ドッジボールやシーソー、ブランコで遊び放題(画像提供/H&A brothers)

アートイベントで遊具を置いた菜園広場。ドッジボールやシーソー、ブランコで遊び放題(画像提供/H&A brothers)

「2014年から街の人が参加できるイベントをはじめました。DIYした部屋の見学会や、アパートに置くベンチづくりなどのワークショップを開催したり、以前から入居者の交流のために開いていた食事会にご近所さんを招いたり。アパート前で行っていた小さなマルシェを「くしわら駅前マーケット」と名付け、『こんな駅前になったら良いな』という思いで続けています」(満さん)

アパート1階に店舗出店者を募り、今では、カレー屋さん、パン屋さん、コーヒースタンド2つ、料理教室の5店舗ができました。居住者、店舗経営者、近所の人の参加を通じて、「自分たちの暮らしをつくる」コミュニティが生まれています。

「入居者同士が仲良くなったとしても、いずれ引越していなくなってしまうんですよね。イベントの核になっていた入居者さんがいなくなると途絶えてしまう。近所の方に参加してもらうことで、活動や人の繋がりが維持できるのだと思います」(啓祐さん)

店舗のお客さん、入居者さん、ご近所さん、さまざまな人が行き交うアパート1階の日常の風景(画像提供/H&A brothers)

店舗のお客さん、入居者さん、ご近所さん、さまざまな人が行き交うアパート1階の日常の風景(画像提供/H&A brothers)

近所にファンも多いコーヒーショップやカレー屋さん(画像提供/H&A brothers)

近所にファンも多いコーヒーショップやカレー屋さん(画像提供/H&A brothers)

2020年にアパート1階にオープンしたパン屋さん(画像提供/H&A brothers)

2020年にアパート1階にオープンしたパン屋さん(画像提供/H&A brothers)

DIYワークショップなどで地域の職人さんや住民が繋がる「コーポ江戸屋敷」

次に、H&A brothersが手掛けたのは、西鉄久留米駅から約2km半ほど南下した住宅地にあるコーポ江戸屋敷です。約1000坪の広い敷地に3棟があり、昭和の団地のような雰囲気でした。現在は、スペースRデザインとH&A brothersが協働で建物管理をしています。

2016年に団地再生プロジェクトに加わったH&A brothersは、当初、3室のリノベーションを担当しました。

「入居者がDIYで完成させる、『育てる』をコンセプトにした部屋と、棚などを設けて、好きなものを『飾る』お部屋、2タイプつくりました。入居者はすぐ決まったのですが、家賃が思ったほど上がらなかったり、全部で48室あるので、このままリノベーションをするとものすごくお金がかかることがわかり、違うやり方を探すことになりました」(満さん)

鉄筋コンクリート造4階建の「コーポ江戸屋敷」リノベーション前(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

鉄筋コンクリート造4階建の「コーポ江戸屋敷」リノベーション前(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

H&A brothersが手掛けた232号室「ほんのりサクラ~飾る暮らし~」(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

H&A brothersが手掛けた232号室「ほんのりサクラ~飾る暮らし~」(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

転機となったのは、建物や敷地の特徴や周辺環境を活かしたコミュニティデザインを学ぶビンテージ団地カレッジの開催でした。

「プロにお金を払って管理していくのではなく、コミュニティで維持管理する方向にしないと続かないだろうと。最終的には入居者が自発的に動いてくれて、隣人同士ちょっとしたお世話をし合うようなコミュニティにしたいねと話し合いました。それから、花の種まきのワークショップなど入居者さんを巻き込んだDIYイベントを開催。とても好評で、楽しみながら積極的に参加してくれる人が増えていきました」(啓祐さん)

また、団地の一室に、ビンテージ団地カレッジに参加したメンバーを中心に、久留米の職人さんのシェアオフィス「BASE」が完成しました。

「職人同士が交流して新しいことを始めたり、若い世代の人が職人の仕事に興味を持ってもらえる場をつくろうと。現在参加しているのは13人で、大工、電気、水道、塗装、クロス、鉄工、硝子、造園など幅広い職種の職人が集まっています」(満さん)

入居者さんと一緒にゴーヤの苗植えワークショップ(中央)(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

入居者さんと一緒にゴーヤの苗植えワークショップ(中央)(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

BASEの完成見学会で行った餅まき。入居者さんが集まって一緒に盛り上がった(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

BASEの完成見学会で行った餅まき。入居者さんが集まって一緒に盛り上がった(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

「BASEは、住民の食事会の会場にもなっていて、入居者さんとの繋がりが生まれています。そうめん流しのイベントがあったときは、職人さんが竹を割って、そうめん流しの台をつくってくれたことも。入居者さんから相談があった部屋の修理や建物のメンテナンスもBASEの職人さんが対応してくれています。入居者さんも顔見知りの職人さんが工事に入ってくれる安心感があるそうです」(啓祐さん)

2019年には、1階に大きなウッドデッキが完成し、パン屋「江戸やしきパン工房」がオープン。2020年には、カフェ「ツキシマコーヒー」が出店し、入居者や近隣の人の憩いの場になっています。

共用部のウッドデッキから直接店内へ入れるためご近所さんも利用しやすい(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

共用部のウッドデッキから直接店内へ入れるためご近所さんも利用しやすい(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

2016年に発行を開始したニュースレター「コーポ江戸屋敷だより」。現在の編集者は啓祐さん(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

2016年に発行を開始したニュースレター「コーポ江戸屋敷だより」。現在の編集者は啓祐さん(画像提供/ビンテージのまち株式会社)

「場ありき」ではなく「やりたいこと」を応援する場をつくりたい

アパートから街への活動を続け、関係人口を生み出し、人と人を繋いできたH&A brothers。現在は、移住定住支援など行政や大学と連携した取り組みにも参加。今年は久留米大学そばで空き家を活用した学生シェアハウスの開業準備を進めています。

「ハンダアパートもコーポ江戸屋敷も、自分たちが関わらなくても、つながりが自然に増えていけるようにしたいですね。例えば、入居者に動画クリエイターの方がいて、入居している店舗のプロモーションムービーをつくるなどお互いの仕事に繋がるようなことが起きています。このように自発的な動きがどんどん起こる場所にしたいです」(啓祐さん)

コモンルームで、毎週末に営業中の「半畳コーヒーさん」。同じくコモンルームを利用している「満月としょかん」とのコラボ企画も開催(画像提供/H&A brothers)

コモンルームで、毎週末に営業中の「半畳コーヒーさん」。同じくコモンルームを利用している「満月としょかん」とのコラボ企画も開催(画像提供/H&A brothers)

2023年11月に開催した「くしわら駅前リトルマーケット」は、近所の公園や神社のイベントと同日に開催し、3カ所をつなぐスタンプラリーとまち歩きツアーを実施(画像提供/H&A brothers)

2023年11月に開催した「くしわら駅前リトルマーケット」は、近所の公園や神社のイベントと同日に開催し、3カ所をつなぐスタンプラリーとまち歩きツアーを実施(画像提供/H&A brothers)

「ますますアパートから街に広がる活動が増えています。ハンダアパートでは、お店をやってみたい人に、コモンルームという共用スペースをレンタルしてきました。行政と行っている空き家調査も、周辺にお店を出したい人に繋げたいという思いで取り組んでいます。空き家があるから何かするのではなく、何かしたい人を応援する場所をつくっていきたいと思っています」(満さん)

入居者同士からご近所さん、地元の職人さん、移住者……ハンダアパートやコーポ江戸屋敷から、コミュニティの輪が、波紋のように街じゅうに広がっています。手探りで始まったH&A brothersの物語は、「地方だからできること」がまだまだあると気づかせてくれました。

●取材協力
・H&A brothers
・H&A Apartment
・久留米移住計画

知る人ぞ知る、小空間

所在地:港区西麻布
19万8,000円(税込) / 39.2平米
日比谷線・都営大江戸線「六本木」駅 徒歩9分

西麻布の裏路地にかっこいいコンクリート造の戸建。その建物の一角、道路からアプローチしやすい階段を降りた先に、遊び心のあるスペースが潜んでいました。



個人の事務所や美容サロンで使うのに程よい広さのスペース。日中は階段がドライエリアのように機能するので、地下といえども太陽光が入るつ ... 続き>>>.
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ああ、軽井沢よ

所在地:長野県北佐久郡軽井沢町大字茂沢字海付
4,480万円 / 76.64平米(建物) 1,020平米(敷地)
北陸新幹線「軽井沢」駅 13㎞

■土地所有権付きで再募集になりました!■



冬は雪化粧された森が美しく、夏は避暑地として有名な軽井沢。別荘はもちろん、定住にもいかがですか?



軽井沢の別荘地にある、建築時所有者の家族の建築家の設計により建てられた素敵な建物のご紹介です。



まず、室内に入って最初に視界に入るのは ... 続き>>>.
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巣ごもる家

所在地:調布市深大寺東町
5,200万円 / 91.26平米(建物) 128.25平米(敷地)
京王線「つつじヶ丘」駅 バス6分 「深大寺東町一丁目」バス停 徒歩3分

設計事務所「SUEP.」による一戸建て住宅。



隔てのない広い空間の中に、L型と丸型の「窪み」が配置されたような1階。かなりユニークな空間です。



L型はリビングダイニングスペース、丸型は小さなスタジオのようなスペースとして、家族や友人が集まり楽しむ場として設計されています。



... 続き>>>.
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やりたいことやりきった集合住宅

所在地:杉並区久我山
13万4,000円 / 35.56平米
井の頭線「久我山」駅 徒歩2分

4・5階にオーナーが住む集合住宅。自宅の内装はもちろん、1~3階の賃貸部分でも、オーナーがやりたかったことを、しっかりやりきってます。



賃貸部分は間取りや内装がさまざま。さらに中庭に「SOLSO FARM」で選んできた植物を植えたり、1階に24時間無料で使えるトレーニングルーム ... 続き>>>.
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外苑レトロではじめよう

所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷
20万円 / 52.2平米
JR総武・中央線「千駄ヶ谷」駅 徒歩4分

新宿御苑や明治神宮外苑も徒歩圏内。大都心でありながら豊かな自然を感じることができる千駄ヶ谷エリアにレトロなマンションを見つけました。



建物を囲むように植物が植えられて、パーラーのような青いひさしに白のロゴが可愛くあしらわれています。都心でここまでレトロな趣を感じられる建物も珍し ... 続き>>>.
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太陽の光を浴びて、のびのびと

所在地:港区高輪
20万円 / 56.16平米
都営浅草線「泉岳寺」駅 徒歩2分

太陽の光を目一杯に浴びて大きな伸びをしたくなるルーフバルコニー。54.9㎡のこの広さをどう遊ぼうか、考えるだけでワクワクしますね。



間取りも18.8畳の広々としたリビングに洋室。造り付けの収納は少ないのでご自身でご用意頂く必要はありそうですが、二人暮らしでもゆとりのある生活空間 ... 続き>>>.
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知られざるサンクチュアリ

所在地:杉並区成田東
12万8,700円(税込) / 55.42平米
丸ノ内線「新高円寺」駅 徒歩11分

区画のほとんどが屋外。アンバランスを愛せる挑戦者に捧ぐ、最上階占有のお部屋です。



主役はやはり約38㎡のルーフバルコニー。日当たり良好で、遠くまで見渡せる眺望が魅力です。



室内部分は約17㎡とコンパクトですが、広いバルコニーと組み合わせることで多様な使い道を見出せそう。外部用 ... 続き>>>.
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御苑の緑で、冴える

所在地:新宿区新宿
14万3,000円(税込) / 25.42平米
丸ノ内線「新宿御苑前」駅 徒歩3分

御苑の緑を眼前に、清潔感のあるオフィスで働いてみませんか。



部屋は南向きで日当たりがよく、窓を開ければ木々が揺れる音とともに爽やかな風が吹き込んできます。気持ちのいい環境に頭が冴え、いきいきと仕事ができそうです。



仕事の休憩はベランダで。目に優しい緑を眺めて、心も体もサクッと ... 続き>>>.
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問屋街に潜む

所在地:中央区日本橋横山町
8万850円(税込) / 9平米
総武快速線「馬喰町」駅 徒歩1分

馬喰町駅の近く、問屋街の路地裏にある、隠れ家のような雰囲気のアトリエ・ワークスペース。もとは倉庫だった建物がリノベーションされ、クリエイターが集まる面白い建物になっています。



その中にある9㎡の区画が募集中。窓先にはバルコニーがついているので、息抜きもしやすいつくりです。



区 ... 続き>>>.
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おしゃれ空間が作れると人気の「ハイドア」厚くて高いと何がいい? 注文住宅の最新トレンド

このところ編集部では家を建てるメンバーがあらわれ、プランや設備についてさまざまな相談が上がっています。その中で注目されているのが、「ハイドア」。注文住宅では、室内に設置する床から天井まで2mを超えるドアが人気を集めているといいます。「ハイドア」そのものは珍しくありませんが、なぜ、今、注目を集めているのでしょうか。室内建具専業メーカー「フルハイトドア®」を製造する神谷コーポレーションで話を伺いました。

室内ドアは空間を大きく、広く、明るく見せる重要パーツだった

家探しをするときに、「室内ドア」の形状やデザインを意識したことがないという人がほとんどでしょう。

下の写真は、ごく一般的な日本の建物で、天井高が2m40cm、室内ドアの高さは2mほどで上部に壁(下がり壁といいます)があることがほとんどです。

2mの一般的な室内ドア。ドア上部に下がり壁があります(写真提供/神谷コーポレーション)

2mの一般的な室内ドア。ドア上部に下がり壁があります(写真提供/神谷コーポレーション)

床から天井まで高さのあるハイドア。ドアの高さが違うだけですが、室内の雰囲気が異なる(写真提供/神谷コーポレーション)

床から天井まで高さのあるハイドア。ドアの高さが違うだけですが、室内の雰囲気が異なる(写真提供/神谷コーポレーション)

対して上の写真はハイドアといい、床から天井の高さまである大型のドアです。高さは天井にもよりますが2m40cm、大きいものだと2m70cm近くなります。こうした大型のハイドア、近年、より人気が高まっているといいますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

「ひと言でいうなら、ハイドアは部屋を広く開放的に、明るく見せてくれるんです。ドアが大きくなることでスタイリッシュに見せる効果があります。また、下がり壁がなくなるためドアを開けると光が部屋いっぱいに広がり、自然光で部屋を明るくしてくれるのです」と話すのは神谷コーポレーション、ハイドアに特化した会社で営業部長を務める長尾謙介さんです。

こちらは別の角度から見たドアの比較。下がり壁があるドアに対し、ハイドアのほうが採光にすぐれ室内を明るく見せる効果がある(写真提供/神谷コーポレーション)

こちらは別の角度から見たドアの比較。下がり壁があるドアに対し、ハイドアのほうが採光にすぐれ室内を明るく見せる効果がある(写真提供/神谷コーポレーション)

同社では、通常の「ハイドア」と違い、目に見えるドア枠がなく、クロスの中に埋め込まれているため「枠レス」と認識されているそう。ほかにも、室内の自動ドア、引き手やハンドルのないタイプ、天然レザー張りなど、実に個性的な室内ドアをそろえています。室内建具は枠が大きいほど立派だといわれてきましたが、今や「ほぼ見えない」のもトレンドになっています。確かにないと洗練されているように見えます。

こちらもハイドアですが、上下左右にドア枠がありません。すっきりとした見た目で、海外の家のような仕上がりに(写真提供/神谷コーポレーション)

こちらもハイドアですが、上下左右にドア枠がありません。すっきりとした見た目で、海外の家のような仕上がりに(写真提供/神谷コーポレーション)

SNSで家づくりが当たり前。だからこそ室内ドアの存在感が高まる

現在、神谷コーポレーションでは売上推移の詳細は明らかにしていませんが、ハイドアをリリースしてからの売上は10年間で7倍にも伸びているといいます。新築住宅着工数そのものには大きな変化がないなかで、施主から「わざわざ」選ばれるようになっているといってもいいでしょう。でも、なぜ今、ハイドアなのでしょうか。

「ひとつはSNSです。通常、友人や知人以外の家は、なかなか見学することはないですよね。でも、インスタやルームツアー動画などで、気軽によそのお住まいのインテリアを見られるようになりました。そうして家づくりの実例をたくさん見ていくうちに、なんかかっこいいなという家がハイドアだった、当社のフルハイトドア®だった、という流れで採用されています」と長尾さん。

なるほど、SNSで家づくりやインテリアの勉強をする→タグを見る→ハイドアを知るという流れのようです。そのため、長尾さんのチームの日課は「エゴサーチ」。#ハイドアと#フルハイトドア®とタグのついた投稿を探し、自社の商品がどのように採用されているか、日々、見てまわっているそう。

「今から20年前、家づくりをした人に『自宅でこだわったパーツ30アイテム』を調査したところ、室内ドアはなんと27番目でした。それくらい『室内ドアは優先順位の低いパーツ』だったのですが、今ではハイドアやフルハイトドア®とタグをつけて投稿してもらえるように。特にコロナ禍で、家への意識、プライオリティは高まっているのを感じます」(長尾さん)

また、先日、「注文住宅トレンド2024! 注目は、平屋・ヌック・タイパ・省エネ・ランドリールームなど7キーワード」という記事で解説されていましたが、建物面積を抑える傾向にある今、ハイドアでできるだけ室内を広く、大きく、明るく見せたいというトレンドにもマッチしています。こうしてみると、ハイドアが採用されるのは時代の流れに沿っているんですね。

引き戸タイプのハイドア。枠がほとんどなくすっきりとおさまり、空間の広さと高さを感じられる(写真提供/神谷コーポレーション)

引き戸タイプのハイドア。枠がほとんどなくすっきりとおさまり、空間の広さと高さを感じられる(写真提供/神谷コーポレーション)

室内ドアが「厚い」とどんなメリットがあるの?

一方で、神谷コーポレーションでは単なる室内ドアの高さだけなく、「厚み」も大切だといいます。

「日本の室内ドアは3cm台であることがほとんどですが、当社の室内ドアは厚さ4cmです。数ミリ程度と思うかもしれませんが、実物を見るとかなり違います。そもそも室内ドアは西洋の文化で、欧州では厚さは4cm以上あることが一般的。厚みがあることのメリットは、やはり重厚感と高級感、安心感ですね。欧州では室内ドアが、命と財産を守る最後のパーツという位置づけなのです」と長尾さん。

ただ、室内ドアは木製。大きくなるほどに必然的に「ソリ」が生まれてしまうそう。すると開閉がスムーズに行えずに音がする、閉まらないなどの「立て付けが悪い」という状態になってしまうわけです。それを防ぐべく、建材メーカー各社は試験設備で性能試験を繰り返しています。ただ、加熱しての耐久試験はクリアが難しく、実施しているのは神谷コーポレーションのみだといいます。ちなみに神谷コーポレーションの伊勢原工場ではこうした試験の様子などを「KI-LABO」として限定公開しており、施主の方や契約しているビルダーの人が希望すれば見学できます(要予約)。

室内ドアの厚さ見本。ショールームで実際に見てみると、厚みのある安心感を体感できる(写真提供/神谷コーポレーション)

室内ドアの厚さ見本。ショールームで実際に見てみると、厚みのある安心感を体感できる(写真提供/神谷コーポレーション)

よく外国の家と日本の家を比較して「すべてが小さく、軽い」といわれますが、こうした「天井高や厚み」の差にあるような気がします。

一方でハイドアを採用するうえでの、注意点、デメリットはないのでしょうか。

「ひとつは価格ですね。一般的な高さの室内ドアと比較すると、どうしても価格は高くなってしまう。目安としては1.5倍とお伝えしています。本当は全室採用したかったけれど、リビングのみフルハイトドア®にしたというお声はよく頂戴します。ただ、メーカーが製造しているドアであれば、多くがソフトクローズ機能がついており、他の室内ドアと比較して重い、操作しにくい、歪みやすいといったことありません」(長尾さん)

一方で、建築士や工務店が設計してハイドアを造作してもらうとやや重かったり、経年にともなってやソリ、歪みがうまれてしまうこともあるとか。そのあたりは注意して選ぶとよいでしょう。

こちらは引き戸タイプのハイドア。横幅110cm~135cmでオーダーできるとか。通称「動く壁」(写真提供/神谷コーポレーション)

こちらは引き戸タイプのハイドア。横幅110cm~135cmでオーダーできるとか。通称「動く壁」(写真提供/神谷コーポレーション)

室内ドアで日本の家はまだまだかっこよくなる!?

神谷コーポレーションによると、ハイトドアで一番人気の色は白だそう。ほかにもグレーやグレージュ、天然木、鏡、デニム張りなど、さまざまな色やバリエーションがあり、幅広いインテリアの好みに対応しています。白やベージュが中心だった壁紙は、今はさまざまな色が選ばれているのと同様、ドアとの組み合わせも楽しめそうです。

こちらも引き戸タイプで空間を広く使える。天井のおさまりの美しさに注目。金具もなく、スリットに手をいれて開閉する。用の美の極地(写真提供/神谷コーポレーション)

こちらも引き戸タイプで空間を広く使える。天井のおさまりの美しさに注目。金具もなく、スリットに手をいれて開閉する。用の美の極地(写真提供/神谷コーポレーション)

「家に求める価値観が多様化しているなか、インテリアのトレンドも年々、変化していますし、居室の天井高もより高くなっていて、海外のような抜け感、スタイリッシュさを求める人は年々増えているように思います。当社のドアの枠がない、完全な壁面化はこうした時代のニーズに即していると自負しています。また現在、ドアの高さは最大3mまで対応していますが、まだ一部のシリーズのみなので今後すべてが3m対応になるよう挑戦したい」と意欲的です。

また、「KI-LABO」では、商品開発時に行う試験の様子を見学できるのですが、その内容がスゴイ! 前述の通り、室内ドアは「ソリ」が問題になるといいましたが、その「ソリ」を抑えるために、徹底して商品試験を行っており、その様子を見学できるのです。

限定公開されているKI-LABO(写真提供/神谷コーポレーション)

限定公開されているKI-LABO(写真提供/神谷コーポレーション)

照射加熱試験の様子。初めて見るテストに興奮します(写真提供/神谷コーポレーション)

照射加熱試験の様子。初めて見るテストに興奮します(写真提供/神谷コーポレーション)

(1)照射加熱試験…8時間ほど熱を加えて強制的に曲げたあとに、16時間ほど冷まし、これを5回繰り返す試験。一般的には外壁材で行われる。
(2)二室反狂環境試験…部屋間の湿度差による変化を試験する。湿度90%の部屋と50%の部屋を用意し、曲がらないか試験する。
(3)開閉繰り返し試験…10万回の開閉に耐えられるか。機械が実際に動かし、ドアだけでなく金物が壊れないかも試験する。
(4)衝撃剥離試験…30キロの袋をぶつけてドアが壊れないか試験する。子どもやモノがぶつかることを想定している。動画で最終的にバールでガラスを破壊する様子も視聴できる。

他にも、塗装とシートの違い、新商品の遮音ドアによる生活音の聞こえの「差」なども体験できます。個人的には、印象に残っているのは色や素材の違いや美しさ! 引き手のデザインの豊富さ、白の違いの美しささ、ベージュやグレージュとの違いなどに感動します。マニアックな施設だと思われがちですが、ここを見学したいと、関東だけでなく日本全国から見学希望があるとか。ハイドアは、大変失礼ながら見た目の美しさ、かっこよさ重視でここまで流行しているのかと思っていましたが、機能面や安全面でもすぐれていますし、ここまで広く公開しているのは、専業メーカーとしての自信があるからなのでしょう。

取材を終え、日本の室内ドアはこんなにかっこよくなるんだ……と一人で感激に打ち震えていました。よく考えてみれば、日本の室内建具といえば、基本的には障子と襖だったわけで、日本のドア、室内ドアの歴史はまだはじまったばかり。西洋のものを取り入れて、改良するのは日本の十八番です。「室内ドア」から、日本の住まいがもっと美しく快適で、安全になっていけばいいなと思います。

●取材協力
神谷コーポレーション

天高重視デポ 【路面区画】

所在地:台東区今戸
60万円(税込) / 154.74平米
銀座線・東武伊勢崎線「浅草」駅 徒歩13分

ファサードの高さにワクワクして見に行った印象的な立ち姿のレトロビル。



天井高3.5mオーバー、床面積150㎡オーバーの開放的なの路面区画のハコ。残念ながら室内の写真はありませんが天井や壁、床面はコンクリートむき出しの状態に部分的に壁が造作されています。



用途は店舗または事務所 ... 続き>>>.
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フィットするギザギザ

所在地:中野区上高田
26万円 / 90.55平米
中央線「東中野」駅 徒歩7分

まずは下の図面をご覧ください。ギザギザとした全体像から、奇抜な間取りに感じられますよね。実際に足を運んでみて驚いたのですが、意外と生活にフィットするような心地よさを感じるお部屋でした。



心地よく感じたポイント1つ目は、窓の大きさと数。広々としたLDKには天井から床まで続く大きな ... 続き>>>.
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ルーバルで心置きなく

所在地:練馬区富士見台
9万5,000円 / 37.4平米
西武池袋線「富士見台」駅 徒歩6分

30㎡を超えるルーフバルコニーから見えるのは、スカッと爽快な空。マンションの最上階で付近に高い建物もありません。視線を気にすることのない、気ままなルーバルライフを送ってください。



マンションがあるのは練馬区富士見台にある線路沿いの商店街の中。部屋からすぐそこに線路が見える距離感 ... 続き>>>.
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そう!この空気感

所在地:杉並区浜田山
12万5,000円 / 36平米
井の頭線「西永福」駅 徒歩3分

毎回退去前に申し込みがあり、早急に募集が終了してしまう、東京R不動産でもおなじみのこのマンション。



とはいっても、もちろん契約前に必ず下見をしていただきますので、ご安心を。以下お読みいただいて、気に入っていただけたようであれば、申し込みフォーム(WEB入力)を送らせていただきま ... 続き>>>.
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路地裏で平屋シェア!-学生限定-

所在地:墨田区京島
5万円 / 7.9~8.3平米
半蔵門線「押上<スカイツリー前>」駅 徒歩12分

通称「サボテンの家」と呼ばれるシェアハウスのご紹介。こちらは、学生かつ29歳以下限定の物件です。ワイルドにリノベーションされた戸建てで、仲間や地域住人とも交流する楽しげな生活が目に浮かびます



共用のLDKに個室が4部屋。平屋の戸建てを4人でシェアするような間取りです。さすが京島 ... 続き>>>.
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クールなリビングとつながる庭

所在地:北区中里
15万6,000円 / 59.52平米
山手線「駒込」駅 徒歩10分

目玉はリビングとキッチンの窓から出られる専用庭。ガーデニングや家庭菜園を楽しんだり、子どもやペットとの遊び場にしたり。環境重視の方におすすめです。



晴れた日に洗濯物を干して、夕焼けのきれいな日には、空を眺めて。周りに迷惑がかからないよう配慮は必須ですが、自由に使い倒しましょう。 ... 続き>>>.
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クールなリビングとつながる庭

所在地:北区中里
15万6,000円 / 59.52平米
山手線「駒込」駅 徒歩10分

目玉はリビングとキッチンの窓から出られる専用庭。ガーデニングや家庭菜園を楽しんだり、子どもやペットとの遊び場にしたり。環境重視の方におすすめです。



晴れた日に洗濯物を干して、夕焼けのきれいな日には、空を眺めて。周りに迷惑がかからないよう配慮は必須ですが、自由に使い倒しましょう。 ... 続き>>>.
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都心でプチホテルな暮らし

所在地:千代田区岩本町
11万2,000円 / 35平米
山手線・総武線・京浜東北線・日比谷線・つくばエクスプレス「秋葉原」駅 徒歩8分

都会的な場所なのに、どこか落ち着く海外のプチホテルのような、そんな雰囲気の物件です。



場所は千代田区岩本町、秋葉原と神田が徒歩圏で、どこに行くにもとても便利です。大きな通りに面していますが交通量はそこまで多くなく、日当たりも良好。



一棟まるごとリノベーションされた4階建ての小 ... 続き>>>.
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都心でプチホテルな暮らし

所在地:千代田区岩本町
11万2,000円 / 35平米
山手線・総武線・京浜東北線・日比谷線・つくばエクスプレス「秋葉原」駅 徒歩8分

都会的な場所なのに、どこか落ち着く海外のプチホテルのような、そんな雰囲気の物件です。



場所は千代田区岩本町、秋葉原と神田が徒歩圏で、どこに行くにもとても便利です。大きな通りに面していますが交通量はそこまで多くなく、日当たりも良好。



一棟まるごとリノベーションされた4階建ての小 ... 続き>>>.
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いま”所沢LOVE”が爆発中! 若手クリエイターや地元の店を発掘・魅力を発見できる「歩きたくなるまちづくり」進行中 埼玉

テレワークが進み、都内中心部に暮らしていた若いファミリーが郊外に移り住み始めており、埼玉県の「所沢」にもその流れが訪れています。背景の一つとして、街の活性化も影響しているようです。近年、市内では再開発が進み、駅前に大型商業施設や、アミューズメント施設が次々オープン。そして、長年の住民たちは、街を愛する人たちを増やすために、シビックプライド(地域への誇りと親しみ)を醸成するイベントを行ってきました。その流れを加速させるのが「TOKOROZAWA STREET PLACE」。いったいどのような試みなのか、関係者のみなさんに話を聞きながら、実際に街を歩いてみました。

埼玉の玄関口・所沢に、シビックプライドを生み出す

埼玉県の南西部に位置する所沢市。市内には西武池袋線、西武新宿線、JR武蔵野線が走り、人口も約34万人と一大規模の街です。古くは鎌倉街道の宿場町で、商店や市場などが集う、商慣習の強い街並み。とはいえ、後継不足による地場商店の衰退や、人口減少も影響して、街の様子は様変わり。2000年以降は、複合再開発に踏み出し、駅前に高層マンションが続々と建設されます。さらに商業施設の開発が続き、この20年近くをかけて見違えるような変化を遂げました。変化に合わせて新しい住民も増えていったのです。

商店街の一角に残る、古き良き飲食店街「盃横丁」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

商店街の一角に残る、古き良き飲食店街「盃横丁」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

そこで市は、「新旧関わらず、多くの人が共感できる街づくりのビジョン」として「所沢駅周辺グランドデザイン」を策定。古くから地域で暮らす住民や商店街の店主をはじめ、市内で個性的な取り組みをする人々が意見交換を行いました。

昔ながらの一戸建てや低層住宅と、新たに建つタワーマンションのコントラストが印象的(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

昔ながらの一戸建てや低層住宅と、新たに建つタワーマンションのコントラストが印象的(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

こうして理想的な街づくりの実現に向けた社会実験は、まず2022年度に「TOKOROZAWA STREET PLACE」としてスタート。「歩きたくなる、過ごしたくなる、住み続けたくなる」エリアを創り出すための実験が行われました。市内に点在する個性的なお店などを歩きながら、居心地の良い空間づくりや、歩きたくなる街なかづくりとはどんなものか、を考える試みです。実際に歩いてみることで、それまで知らなかった街の風景を知ることができるきっかけにもなりました。

「こんな所沢にしたい!」を形にして、街歩きしながら社会実験

2年目である2023年度は、晩秋にさしかかった2023年11月18日・19日に、所沢駅周辺エリアのパブリック空間を活用して開催されました。こちらを導くのは、所沢のまちづくりに想いをはせたRFA・公共R不動産・ハートビートプランの3社。市民と共に、グランドデザインをベースに、この日までプログラムをつくり上げてきました。

実験を牽引する公共R不動産の飯石 藍さん(写真左)RFA主宰の藤村 龍至さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

実験を牽引する公共R不動産の飯石 藍さん(写真左)RFA主宰の藤村 龍至さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

東京藝術大学准教授であり建築設計事務所・RFAを主宰する建築家、藤村 龍至(ふじむら・りゅうじ)さんは、「私たちは、まず第一として住民がこの街の原石を発掘し、暮らしを楽しむことを大切にしています。さらに、眠ったパブリック空間を生かすことと、街中のプレイヤーを発掘するというのも大きな目的です。地域でこの街をよくしていきたいと思うプレイヤー同士が手を組み、連携していくことは、今後大きな意味があるのではと思っています」と話します。

当日はグランドデザインで設定した重点エリアの10箇所のうち、タワーマンション街の一角にある「元町コミュニティ広場」、昔ながらの街並みエリアにある「旧市役所前」、街の守神である「所澤神明社」を中心会場にして、マーケットやワークショップ等のプログラムを実施しました。

元町コミュニティ広場で開催されていた、マーケットの様子。若手のクラフト作家さん、農家さんが出店、にぎわいをつくり出していました(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

元町コミュニティ広場で開催されていた、マーケットの様子。若手のクラフト作家さん、農家さんが出店、にぎわいをつくり出していました(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

フラワーアーティストや、野菜生産者、小さな書店や、クラフト作家など、所沢周辺エリアで活動する魅力的なお店やマーケットが各所に構えていました。

飯能を拠点にしたクラフト作家さんの作品(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

飯能を拠点にしたクラフト作家さんの作品(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

また、重点エリアでは、サウンドインスタレーションによる空間演出を実施。道ばたやパブリックスペースには、歩いたら休むことができるストリートファニチャーも設置し、歩き・休み・憩いを順繰り味わうことができる仕掛けが出来上がっていました。

 所澤神明社には印象的なモニュメントも。歩き回る人たちの目印になっていた(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

所澤神明社には印象的なモニュメントも。歩き回る人たちの目印になっていた(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

コーヒーやおやつを片手に、家族や友人と語らう人もいれば、時にはその場でワークショップを行う人も。ローカルの作家やアーティストの方と商品を片手に会話や笑顔がそこかしこに飛び交う姿は、日ごろの街中からはみてとれないほどの熱気でした。

地元、狭山茶の生産者さんと会話を交わすお客さん。生産者さんにとっても、こうした試みへの出店は新たな取り組みだったようです(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

地元、狭山茶の生産者さんと会話を交わすお客さん。生産者さんにとっても、こうした試みへの出店は新たな取り組みだったようです(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

公共R不動産の飯石 藍(いいし・あい)さんは「新しく住みはじめた方は、街のことを知る機会がなかなかないんです。地元で生産されたり、地元の作家さんのものを知ることができたら買いたいという思いがある。こういった熱意をローカルで循環できるような、きっかけをつくりたいと思いながら実験を積み重ねていますね」とこれまでの思いを話してくれました。

訪れる人たちが、自分のお気に入りスポットを付箋でマーキング。知らない店、知っている店、気になるスポットがマップ上に点在しています(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

訪れる人たちが、自分のお気に入りスポットを付箋でマーキング。知らない店、知っている店、気になるスポットがマップ上に点在しています(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

マーケットに訪れた住民に聞いてみると「今日、マーケットをやっていると知って街中を歩いてみたのですが、初めて知ったお店もあって楽しかった。また買ってみようかなと思いました。こうして地元のつくり手を知ることができるのは嬉しいです」と新鮮な気持ちを抱いていたよう。

故郷が西埼玉エリアで、旧来の街並みを知る筆者にとっても、じっくり歩き回ってみると、これまで知っていた所沢とはまた違う姿を目にすることができ、新しい風が吹いているな、と心くすぐられました。

新旧の地元プレーヤーが集う

試みはそれだけにとどまりません。同日開催された7つの実験との連携も、今回の注目ポイント「TOKOROZAWA DESIGN WALK」です。「思わず”歩きたくなる”ストリートに!」を合言葉に、参加者が所沢市内をぐるっと一周できる仕掛けを用意。所沢駅周辺に限らず、市内主要駅各地周辺で、地域プレイヤーの主催による実験も同時に開催されました。

市内7箇所で実験が同時開催(画像引用元/所沢市ホームページ)

市内7箇所で実験が同時開催(画像引用元/所沢市ホームページ)

「そもそもこの実験の発起は、街のプレーヤーたちです」

藤村さんはそう話します。

2015年より航空公園エリアで開催している、地元若手クリエイターや作家たちが集う「暮らすトコロマーケット」。主催する岡田一(おかだ・はじめ)さんは「いつか、長野・松本のクラフトフェアのように、来場者がマーケットのみならず、街中をゆっくり歩きつくす、あの感じを再現したい」と、当初から「TOKOROZAWA DESIGN WALK(以下「TDW」)」のイメージを描いていたそうです。地元のプレーヤーが集まる席で胸の内を話すと、各々が”いいね”と共感しあい立ち上がったのが、今回実施した同時開催の実験なのです。

市内をはじめ、近郊エリアのクラフト作家 やアーティストなど、104件の出店(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

市内をはじめ、近郊エリアのクラフト作家 やアーティストなど、104件の出店(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

出店者の選定は岡田さんを中心に実施。今年は新たに18件の新規出店者が発掘された (写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

出店者の選定は岡田さんを中心に実施。今年は新たに18件の新規出店者が発掘された (写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

これまで9回にわたってマーケットを開催してきた岡田さんは、

「暮らしや生き方、街のデザインとひとのつながりをモザイク模様のように紡ぎあげたいと思ってこれまで開催してきましたが、ここ数年で作家も、来場者もずいぶん若い方が発掘されているように思います。さらに、今回、試みを同時開催したことで、ぐるりと周回してきた人も感じられました。街を歩くことで何かを考え感じているようにも思います。暮らし方を問い直している方が増えているのではないでしょうか」と思いを話してくれました。

「暮らすトコロマーケット」主催者の岡田 一さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「暮らすトコロマーケット」主催者の岡田 一さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

同時開催にあたっては、岡田さんが話すように、若手のプレーヤーの活躍が目立ちました。これまで市内ではあまり注目されなかったエリアでも、新たな活動家やクリエイターによる試みが開催されてきているのです。

所沢駅周辺西新井エリアには、「理想的な公共トイレ」を具現化した、インフラスタンドを囲む「KAWAYA市」や、西所沢エリアでは地域のクリエイターが中心となって開催したアートや音楽のイベント「西とこ文化祭」が開催されました。

「西とこ文化祭」実行委員のまえはら あさよさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「西とこ文化祭」実行委員のまえはら あさよさん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

およそ公共トイレには見えない美しいフォルムのインフラスタンド(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

およそ公共トイレには見えない美しいフォルムのインフラスタンド(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「トイレの概念を覆していきたい」と、理想の公共トイレの姿を追求する、有限会社石和設備工業の小澤 大悟(おざわ・だいご)さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「トイレの概念を覆していきたい」と、理想の公共トイレの姿を追求する、有限会社石和設備工業の小澤 大悟(おざわ・だいご)さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

若手の活躍の場が広がったことは、「地元・西所沢の不動産会社である吉祥建設の岡川拓之社長との出会いが大きい」と、西所沢で古書店「サタデーブックス」&「西埼玉暮らしの編集社」を運営する大竹 悠介(おおたけ・ゆうすけ)さんは話します。

古書店サタデーブックス&西埼玉暮らしの編集社の大竹 悠介さん。小さなスペースにぎゅうぎゅうになるほど人が訪れていました(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

古書店サタデーブックス&西埼玉暮らしの編集社の大竹 悠介さん。小さなスペースにぎゅうぎゅうになるほど人が訪れていました(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「岡川さんは、お金も実績もないけれど、熱意とビジョンのある若者の声に、耳を傾けてくださいます。この場所も、吉祥建設さんの所有する物件を貸していただいています。先輩方が耕した土壌があってこの街で活動ができていますし、私もまた次の世代が活躍できる文化的な土壌を作っていきたいですね」(大竹さん)

サタデーブックスなどが入る「きちじょう荘」。蔦のからまる雰囲気たっぷりな木造建築。吉祥建設さんからの紹介で入居した(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

サタデーブックスなどが入る「きちじょう荘」。蔦のからまる雰囲気たっぷりな木造建築。吉祥建設さんからの紹介で入居した(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

個人も企業も。力を合わせて街をつくり上げる

そして特筆すべきことは、地元企業である西武鉄道やKADOKAWAの2社が参加をしたことです。現在彼らは街のプレーヤーと目線もあゆみもともにそろえて活動をしています。それまでは、「何かをしたい」と思っていても、きっかけがつくれなかったようです。

2020年に東所沢エリアに移転したKADOKAWA。本社の横には、アミューズメント施設「角川武蔵野ミュージアム」が併設され、一体の街「ところざわさくらタウン」としてにぎわいを見せています。これまでは倉庫街、住宅街としての印象が強かった東所沢エリアに、多くの人が訪れるようになりました。しかし、地元の住民とのつながりを持つ機会がなかなか見出せず、いつか地域と手を組んで街を盛り上げたいと思っていたようです。そんな中で出会ったのが地元のオーガナイザーである角田テルノさん。彼をきっかけに、同社はTDWに参加することになります。

特徴的なフォルムをした「角川武蔵野ミュージアム」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

特徴的なフォルムをした「角川武蔵野ミュージアム」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

この2日間、ところざわさくらタウンでは、KADOKAWA主催で、「武蔵野回廊文化祭」を実施。そのうちの一つのコンテンツ「奇天烈縁日」は角田さんがプロデューサーとして関わるというコラボレーションが生まれました。また、現地ではコスプレイベントも開催。アニメの聖地ここにありを印象付ける催しとなり、所沢に多くの若者が足を延ばしたのです。

この日はコスプレイヤーが集うイベントが開催され、タウン内の各所でお気に入りのコスチュームを身につけ撮影を楽しむ姿が見られた(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

この日はコスプレイヤーが集うイベントが開催され、タウン内の各所でお気に入りのコスチュームを身につけ撮影を楽しむ姿が見られた(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

これら7箇所の回遊を生み出すために力を貸したのが西武鉄道。各地を歩き回る仕掛けの一つとして、西武線アプリスタンプラリーを実施しました。西武鉄道株式会社 事業創造部 沿線深耕担当の今成瞬(いまなり・しゅん)さんは、これまで街のキーパーソンやプレーヤーのことはずっと知っていたけれど、つながるきっかけがなかったことに、もどかしさを感じていたそうです。

東所沢公園内にある武蔵野樹林パークのライトアップ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

東所沢公園内にある武蔵野樹林パークのライトアップ(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「駅を中心としてまちを活性化するため、行政やまちのプレイヤーの方々と連携し、一体感を持って駅やまちの特徴を表出していきたい。規模や組織は関係なく、互いにフラットな思いで街をよくしていきたいと行動しています」(今成さん)

社会実験はまだまだ続く

こうして街を挙げて壮大な仕掛けをつくり上げた社会実験。私たちが地域のプレーヤーの話に耳を傾け、市内を歩き尽くした時には、とっぷり日もくれていました。これほどに所沢の街を歩き尽くしたことは未だかつてないというほど。30代前後の若いプレーヤーたちが新たに街を動かし始めていることに驚きを感じ、すっかりイメージは一新されたのでした。
若い世代がゆるくつながり合いながら街を盛り上げている姿っていいですね。新しい街のつくり方だと体感した1日でした。

●取材協力
・RFA
・公共R不動産
・西武鉄道
・暮らすトコロマーケット
・西とこ文化祭
・KAWAYA市
・武蔵野回廊祭

好みのテイストでどうぞ

所在地:渋谷区神宮前
21万円(税込) / 55.49平米
半蔵門線・東急東横線・東急田園都市線「渋谷」駅 徒歩7分



ワイドに取られた窓から抜けが感じられる、なんだか落ち着ける部屋。



住居っぽい印象の室内は、白塗りの壁天井に踏み心地のしっかりとしたフローリング。天井を抜いてラフに仕上げられた内装は凝りすぎず、シンプルなつくり。収納多めで使い勝手が良さそうです。



オーナーは改装にも寛容で、好 ... 続き>>>.
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「両手に花」なレトロ

所在地:目黒区青葉台
16万8,000円 / 44.6平米
東急東横線「代官山」駅 徒歩5分

代官山と中目黒を結ぶ「目切坂」の中腹に、ポツンと立つレトロマンション。この坂を通るたび気になる存在でした。



14畳のリビングと4.5畳の洋室の1LDK。レトロながら素朴でクセのないシンプルな内装で、インテリアの邪魔をしない素朴な雰囲気です。



リビングは南向きで日当たりがよく、 ... 続き>>>.
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残価設定型の住宅ローンってどんなもの?メリットや注意点などをわかりやすく解説

パナソニックホームズが、一般社団法人移住・住みかえ支援機構が開発した長期優良住宅対象の残価設定型住宅ローンについて、楽天銀行との提携を経て、返済期間が最長40年の「楽天銀行オプション付加型残価設定住宅ローン」の取り扱いを開始すると公表した。残価設定の住宅ローンとは、一体どんなものなのだろう?

【今週の住活トピック】
楽天銀行と返済期間最長40年の残価設定型提携住宅ローン取り扱いを開始/パナソニック ホームズ

住宅ローンにおける残価設定のローンとは?

住宅ローンでは耳慣れないローンだが、カーローンではよく耳にする「残価設定型ローン」。車の購入の際に、あらかじめ将来の下取り価格を設定して、車両価格から下取り価格(残価)を差し引いた金額に対してローンを組む方法のことだ。

では、住宅版ではどうなるのか?
パナソニックホームズの残価設定型住宅ローンは、移住・住みかえ支援機構(以下「JTI」)が提供する「残価設定型住宅ローン」を利用するもので、通常の住宅ローンに、「返済額軽減オプション」と「買取オプション」という二つのオプションを付ける形になる。

大雑把に言うと、通常のローン返済をする途中で、あらかじめ決められたオプションが行使できる時点で、返済額は大幅に減るが終身でローン返済を続けるか、住宅ローンの残高と同額で買い取ってもらうかを選べる、といったものだ。残価設定時期などはJTIが決める。

したがって、JTIが大きな役割を果たすことになるので、JTIが残価設定型住宅ローンの仕組みを提供する背景について見ていこう。

JTIが残価設定型住宅ローンを提供する背景は?

JTIは国土交通省の支援を受けて設立した、持ち家を長く活用してもらうことを目的とした一般社団法人。シニア層が使わなくなった住宅を子育て世代に向けて転貸する「マイホーム借上げ制度」などを提供している。

2021年に住生活基本計画の見直しが行われた際に、「ライフスタイルに合わせた柔軟な住替えを可能とする既存住宅流通の活性化」のため、残価設定ローンを含む多様な金融商品を活用することが盛り込まれた。これを契機に、JTIが、維持管理体制の充実した事業者が施工する認定長期優良住宅について、将来の残価を保証する仕組みを開発した。これが、残価設定型住宅ローンだ。

したがって、残価設定型住宅ローン対象となるのは、国の認定を受けた「長期優良住宅」で、施行する事業者も指定されたハウスメーカーに限られるので、対象は一戸建てになる。また、取り扱いができる金融機関も、現時点で指定されているのは、日本住宅ローン、三菱UFJ銀行、楽天銀行だ。

※長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅。長期に使用するための構造及び設備を有していること、維持保全の期間や方法を定めていることなどが求められる。

残価設定型住宅ローンの仕組みをもっと詳しく

残価設定型住宅ローンについて、下の概念図でもう少し詳しく見ていこう。

例えばJTIが残価設定月を20年後に設定した場合、通常の住宅ローンの返済をしていくが、30歳で借りて50歳で残価設定月に達したら、リバースモーゲージ(死亡時に担保不動産を処分して残債を返済する住宅ローン)の仕組みを使った「返済額軽減オプション」を選ぶ(左側)か、その時点のローン残高の額で買い取ってもらう「買取オプション」を選ぶ。また、「返済額軽減オプション」を選んだ場合でも、途中で「買取オプション」を行使することもできる(右側)。

出典:パナソニック ホームズのリリースより

出典:パナソニック ホームズのリリースより

まず、「返済額軽減オプション」について見ていこう。「1」では通常の住宅ローンの返済となるが、残価設定月以降にオプションを行使すると、元金の返済額をJTIの保証する残価に合わせることで返済額を大幅に軽減する「新型リバースモーゲージ」に切り替わる。借り入れから50年経つと元金の返済がなくなり、51年目以降は利息のみの返済となる。そのため、「2」、「3」と段階的に返済額が減る形になる。

次に、「買取オプション」について。残価設定月に行使した場合は、その時点の住宅ローン残高と同額で、また返済額軽減オプション選択後に行使した場合は、新型リバースモーゲージの残高と同額で、JTIが買い取る形となる。

残価設定型住宅ローンのメリットやデメリットは?

残価設定型住宅ローンのメリットは、長期間返済する中でいくつかのリスクを回避できることにある。例えば定年後に想定したよりも収入が減ってしまった場合でも、「返済額軽減オプション」によって、返済額を抑えることができる。

また、一定期間住んでから売却しようとしたとき、住宅市況が悪化して売却額では住宅ローンの残債を返せないといったときでも、残債と同額で売却できるので、ローンから解放される。住宅市況が良好で高く売れるときは、自身で売却した額で住宅ローンを完済すればよい。

このように、住宅ローンによって自由な住替えを妨げられることがなくなるのだが、注意点もある。

「返済額軽減オプション」を行使した場合、当初の住宅ローンに付帯した団体信用生命保険は終了し、以降は団体信用生命保険に加入できない。また、終身で返済することになり、当初の住宅ローンよりも利息を多く払う場合もある。

なお、認定長期優良住宅は、長期使用ができるように認定計画に沿ったメンテナンスを継続的に行うことが求められる。そのため、一般的な住宅よりも点検や補修費用などがかかってしまうことも、理解しておきたい。

社会的に見ると、残価設定型住宅ローンを利用した住宅は、いずれのオプションでも、最終的にはJTIに帰属するので、良質な住宅が空き家になることはない。こうしたメリットもある残価設定型住宅ローンだが、利用できる住宅(事業者)や金融機関が限られるので、どの住宅でも利用できるわけではない。とはいえ、ローンを利用する側にとって、多様な選択肢の一つになるので、こうした住宅ローンがあることを知っておいてほしい。

●関連サイト
パナソニック ホームズ「楽天銀行と返済期間最長40年の残価設定型提携住宅ローン取り扱いを開始」
移住・住みかえ支援機構「残価設定型住宅ローン利用者フォーラム」

手軽にはじめる山小屋ライフ

所在地:山梨県北杜市高根町東井出字上手原
2,800万円 / 65.41平米(建物) 250平米(敷地)
「長坂」I.C. 6.4㎞(車約12分)

★価格が下がりました★



南アルプス、奥秩父、八ヶ岳といった名のある山々に囲まれ、大自然が身近に感じられる北杜市。



昨今若者の移住者が増え、大型のアートスペース「GASBON METABOLISM(ガスボン メタボリズム)」や人気のクラフトビール「宇宙ブリューイング」や「万珍醸 ... 続き>>>.
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三軒茶屋モダニズム!

所在地:世田谷区太子堂
36万3,000円(税込) / 68.49平米
東急田園都市線「三軒茶屋」駅 徒歩7分

三軒茶屋駅から徒歩7分。茶沢通りの商店街から少し横道に入った住宅街に、レトロなデザイナーズマンションを発見しました。



小さな四角い看板や共用部のレイアウトなどのあしらいが美しく、外観から建物の持つ個性を感じます。



室内はピート・モンドリアンを彷彿とさせるアートな仕上がり。床材 ... 続き>>>.
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豊かな暮らしのフレーム

所在地:大田区上池台
12万2,000円 / 32.08平米
東急池上線「洗足池」駅 徒歩3分

1階には雰囲気のよいカフェや花屋、そして2階以上では住居や事務所、サロン系店舗も可能。さらにはイベントに使えるスペースや屋上もあるという、可能性にみち満ちた物件です。



今回の募集は4階の部屋。1LDKタイプで、サイズ的にスペースに余裕のあるひとり暮らし用かな、というところ。



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”おせっかい”が高経年マンション問題の危機を救う!? 京都市の行政と民間の関わりがユニークすぎる管理の解決策とは

京都市が取り組む「おせっかい型支援」が注目を集めています。劣化が進むマンションを見つけだし、飛び込みで訪問する独特な後方支援ゆえに「よけいなお世話だ」と門前払いされる場合もしばしば。ハードルが高いこの支援、どのように運営しているのでしょう。京都市都市計画局住宅室住宅政策課に話を聞きました。

マンションの老朽化は周辺住民の命にかかわる問題

「『おせっかい』という言葉は、『もう、こちらから押しかけていこう』という気持ちの表れなんです」

「おせっかい型支援」の陣頭指揮を執る京都市都市計画局住宅室住宅政策課の企画担当課長、神谷宗宏(じんや ・むねひろ)さんはそう語ります。リーダーの神谷さんは、建築の技術職です。そして神谷さんをはじめ、同課係長の鈴木裕隆さん、武田あゆみさん、野上智也さんの計4名と、NPO法人「マンションサポートネット」から「おせっかい型支援」は成り立っています。

では、「おせっかい型支援」は、どのようないきさつでスタートしたのでしょう。

京都市都市計画局住宅室住宅政策課の企画担当課長、神谷宗宏(じんや むねひろ)さん(写真撮影/吉村智樹)

京都市都市計画局住宅室住宅政策課の企画担当課長、神谷宗宏(じんや むねひろ)さん(写真撮影/吉村智樹)

「外壁が崩壊等した事例(滋賀県野洲市)」(写真提供/京都市役所)

「外壁が崩壊等した事例(滋賀県野洲市)」(写真提供/京都市役所)

発足のきっかけは、国の「マンション管理適正化法」の制定を受け、2000(平成12)年から始めたマンションの実態調査にあります。

マンション管理に問題が生じていると、築年が古くなるにつれて、居室の賃貸化など非居住化が進みやすく、管理組合の高齢化も相まって、組合活動自体が難しくなり、行政に助けを求めることも難しくなる場合もあります。ひとたび管理不全に陥ると居住者の努力だけでは機能回復が難しくなるため、老朽化がさらに深刻になる実態が幾度の調査から浮き彫りになりました。

神谷「マンションの廃墟化は、京都の景観への影響も大きく、もはや私有財産の問題ではないことにいち早く気づいたのです。当初はマンションの管理に行政が踏み込む法的な根拠はありませんでした。しかし、廃墟化を待つわけにはいかない。マンションに長く快適に住み続けてほしい。だから頼まれてもないのに管理組合の支援を始めたのです。これが京都発“おせっかい型”支援の所以です」

全国でマンションの管理不全に注目が集まるきっかけとなったのが、かつて滋賀県野洲市に存在した「廃墟化マンション」です。このマンションは2010年(平成22年)に建築基準法に基づく外装材の落下防止措置などが勧告されたにもかかわらず放置状態が続き、2020(令和2)年、遂に行政代執行による解体工事が着工。その費用はなんと1.18億円にものぼりました。このように管理組合が正常に機能していない場合、問題を抱えたマンションは放置され、解体費用などで財政を圧迫してしまうケースがあるのです。

神谷「野洲の廃墟化マンションの行政代執行の件は、京都も関心を持っていました。行政代執行にかかった金額は相当ですが、何より危険です。マンションは私有財産ですが、管理不全に陥って老朽化したときに、景観だけではなく周辺の住環境やコミュニティに与える影響がひじょうに大きい。放っておくと住民の命にかかわるんです」

2020(令和2)年に国が「マンション管理適正化法」を改正し、同法に基づく指針のなかで、マンションは民間資産であり社会的資産でもあると初めて位置づけられました。行政のマンション管理への関与が位置づけられたことを機会に、近年京都の“おせっかい型支援”が注目され、全国にも広がっています。

それにしても「おせっかい型支援」とは、わかりやすい、大胆なネーミングです。

神谷「いきなり“要支援”と言葉にすると、どうしてもネガティブイメージを払拭できない。いやがる人もいるでしょう。そこで『おせっかい』という、くだけた表現を使いました」

老朽化したマンションの外壁のイメージ(画像/PIXTA)

老朽化したマンションの外壁のイメージ(画像/PIXTA)

建築のプロの目視で発見する「要支援マンション」

では、「おせっかい」が必要なマンションは、どのように発見するのでしょう。

神谷「第一歩は、各マンションの管理組合へのアンケート調査です。アンケートの回答を参考にしますが、組合活動がしっかり行われていない場合、回答をいただけないことが多い。 回答がないことが、管理不全に陥っている可能性を示唆しているんです」

アンケートの回答がないのも、一つの調査結果です。管理不全状態に陥っている可能性をより明確化するため、新たに加わったもう一つの方法が、専門家による外観目視の調査。視察するのはマンション管理士、建築士、弁護士など複数業種のエキスパート約15名によって運営されているNPO法人「マンションサポートネット」。築20年以上が経ったマンションの外壁の剥がれ具合、金属製の柵が錆びた様子などから異常がないかどうかを彼らが判断し、要支援マンションの候補とします。

ヒアリングと外観調査の双方向に指標も設け、基準7項目のうち4項目に該当していると、要支援の対象に。NPO法人「マンションサポートネット」のメンバーと、神谷さんを筆頭とした京都市都市計画局住宅室住宅政策課4名による「おせっかい」が始まるのです。マンションサポートネットはマンション管理組合が「主体的によいマンション管理ができる」ように現地へ赴き、「建物や設備の点検」「大規模修繕工事」「長期修繕計画の作成や見直し」「管理規約の改正」「委託管理の見直し」などのコンサルタント業務を行う、言わば実行部隊なのです。

要支援マンションなどの判断基準(表1)と定義(表2)(京都市役所資料を基にSUUMO編集部作成)

要支援マンションなどの判断基準(表1)と定義(表2)(京都市役所資料を基にSUUMO編集部作成)

神谷「外観から『もしや?』と感じた場所へ実際に出向き、棟内や部屋を視察すると、配管設備がボロボロだったり、ひどく漏水していたりする場合もあります。外観に傷みが見受けられると、内部もかなり劣化が進んでいると考えられるので、一刻も早い対策が必要です」

建築の技術職である神谷さん。街を歩いていても、マンションを見て「ピンとくる」場合があるのだそうです。

京都市の街のイメージ(画像/PIXTA)

京都市の街のイメージ(画像/PIXTA)

投資型マンションに多く見られる「管理不全」

要支援マンションが現れる背景には「管理不全」があります。「マンションを維持する母体となるはずの管理組合がうまく機能してない」「管理組合の実態が確認できない」など、管理責任の在り処があいまいなのです。そのようなケースでは、「おせっかい型支援」として、「管理組合の規約を立ち上げる」という根源的な部分から介入するといいます。

その管理不全に陥る一つの大きな要因に、「非居住化が進んでいる」という傾向が挙げられます。

神谷「例えば区分所有者が投資や事業を目的としてマンションを購入している場合、ご自身は住んでおられないことが多いんです。部屋を賃貸されている場合、借主である居住者には管理組合に参加する義務がない。賃貸されていなくても区分所有者が倉庫や事務所として利用されている場合もある。つまり、区分所有者は現地に住んではおられない。建物に少々の不具合があってもご自身がお住まいになっているわけじゃないので、お金を出してまで修繕するかというと、どうしても無関心になってしまうんですよね」

マンションの利用形態が複雑多様化するなか、区分所有者と居住者が異なるため、管理に関する合意形成ができず不行き届きになってしまう。非居住化が進んでいるマンションの支援は難航し、長期化します。今後の「おせっかい型支援」の大きな課題の一つです。

投資系マンションが管理不全に陥るという傾向が多いという(画像/PIXTA)

投資系マンションが管理不全に陥るという傾向があるという(画像/PIXTA)

「いらぬお世話だ」と追い返されるケースも

マンションの管理体制を立て直し、より長く使ってもらおうと立ち上がった「おせっかい型支援」。とはいえ、誰しもがやすやすとは受け入れてくれません。おせっかいと銘打つわけですから、「いらぬお世話だ」と追い返されるケースもあるのです。

神谷「話を聞いてくださる方にたどり着くのが大変ですし、たどり着けても、まずは警戒されます。いきなり押しかけてこられて、自分たちの私有財産、台所事情を探られるわけですから。たとえマンションの関係者が話を聞いてくれたとしても、管理組合が機能していない内情を簡単には明かしてくれません。根気のいる作業なんです」

「おせっかい型支援」のイメージ図(画像/PIXTA)

「おせっかい型支援」のイメージ図(画像/PIXTA)

このように、サポートに辿り着くまでに幾つもの壁があるといいます。

神谷「マンションサポートネットはその点、さすが経験豊富な専門家の集団です。さまざまなパターンに対して、対応のノウハウを蓄積されておられます。大きな声で怒鳴られるなど、危険な目に遭う可能性もあるわけですから、誰でもできるわけではない。豊富な経験に裏付けられた知見を持っている彼らは頼りになる存在です」

そうして幾度かの説得の末、申し出を受け入れたマンションと、やっと話し合いへと駒を進めることができるのです。

マンションと住民の「二つの老い」

マンションが抱える問題は、大きく二つあるといいます。一つは「マンション自体の高経年化」。二つ目が「区分所有者の高齢化」です。そしてこの二つの問題は、セットでもあるのです。

神谷「“二つの老い”と呼ばれています。昔はマンションに永住するという考え方は、あまりなかったようです。一時期はマンションに住んで、ゆくゆくは戸建てに移住する。それが一般的な暮らし方とされていました。しかし近年はマンションを終の棲家とする人たちも増えてきた。しかし管理費が計画的に積み立てられていない場合、マンションが高経年化すると修繕箇所が増えるにもかかわらず積立金が不足しているために適切な対応ができない。積立金額を上げたくても高齢化が進み、上げられない。そうしていっそう管理不全化が進んでしまうんです」

マンションの高経年化の進行(京都市役所作成)

マンションの高経年化の進行(京都市役所作成)

マンションの修繕積立金は、年数が経つにつれてだんだんと金額が上がっていく「段階積立方式」をとっている場合が多い。しかし計画的な管理ができていない場合、必要な積立金額がわからず、必要額がわかったとしても「時すでに遅し」なのです。そういった事態をできるだけ避けるため、京都市では積立方式について議論している検討会に参加しています。

京都のマンションは6割が小型

京都のマンションには、一つの顕著な特徴があります。それは「小規模マンションが多いこと」。50戸以下の小さなマンションが全数の約6割を占め、さらに21~30戸のマンションは350棟を数えます(2020年調べ)。京都市は小規模な土地が多いことや、厳しい景観政策を実行しており、建築物の高さに制限が設けられている地区があります。それゆえに高層マンションが建ちにくく、小規模化するのです。そして小さなマンションほど「支援を要する場合が多い」のだとか。

京都市住戸別マンション数(京都市役所作成)

京都市住戸別マンション数(京都市役所作成)

老朽化の兆候が見られるマンション(京都市役所作成)

老朽化の兆候が見られるマンション(京都市役所作成)

神谷「大きなマンションには、管理会社が入っていることが多いです。小規模な高経年マンションも管理会社が入っていたり、管理会社を入れずに自主管理されていたりするところは少なくありませんが、大中規模以上に比べて人材面、資金面ともに脆弱になってしまう傾向がありますね」

国土交通省も注目する「おせっかい型支援」の成功事例

では「おせっかい型支援」は、どのような実績があるのでしょう。成功事例を二つ、紹介します。

一つ目は1974(昭和49)年竣工、築50年 の「真如堂マンション」。左京区岡崎地域の静かな住宅地に立つ13 戸の小型マンションです。

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入前

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入前(写真提供/京都市役所)

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入前(写真提供/京都市役所)

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入後

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入後(写真提供/京都市役所)

真如堂マンションの「おせっかい型支援」介入後(写真提供/京都市役所)

真如堂マンションは理事長と居住区分所有者の数名で自主管理を行ってきたものの、建物の老朽化が進みました。そこでマンションサポートネットの協力のもと、2013(平成 25 )年度に外壁塗装、鉄部の塗り替えなどの維持工事、受水槽の撤去、遮音や断熱性能の高い玄関ドアへの交換、水道管直結などを着工。資産価値のアップを図ったのです。

工事が始まる前にはマンションサポートネットのメンバーのアドバイスを仰ぎながら管理組合を立ち上げ、規約改正を行いました。そうして長期修繕計画に基づく資金計画を検討した後、修繕積立金を適正に値上げし、工事費に充てました。それでも足りない分は住宅金融支援機構の融資を活用。専門家の助言を受け、帳簿を作成し、融資の条件を満たすことができたのです。

このように多角度的な支援の甲斐があり、築50年を経ながら現在も特段に古びた様子は見受けられません。

もう一つが1971(昭和46)年竣工、築53年 の「京都グランドハイツ」。平安神宮や琵琶湖疎水など京都の歴史的建造物に囲まれた左京区聖護院にあります。7階建、総戸数91戸という中型マンションです。

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入前

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入前(写真提供/京都市役所)

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入前(写真提供/京都市役所)

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入後(写真提供/京都市役所)

京都グランドハイツ「おせっかい型支援」介入後(写真提供/京都市役所)

昭和のオイルショックのさなか、管理会社から委託費用の大幅値上げを要求され、これをきっかけに1976(昭和51)年には自主管理へと移行。外壁塗装、屋上防水ほか小修繕を実施し、活発な管理が行われてきました。

しかし高経年マンション実態調査において、建物の劣化が進行していると判明。役員の高齢化が進んだなどの理由で必要な改修ができていなかったのです。京都市役所は2013(平成25)年よりマンションサポートネットを派遣。専門家の助言を契機に役員が熱心に管理業務に取り組むようになり、規約の改正、資金の調達のうえ、2018(平成30)年、遂に大規模修繕工事の実施にこぎつけました。

現在は建物の劣化や管理不全の問題が解消され、良好なマンション組合の運営が行われています。2023(令和5)年10月の国交省主催の事例報告会では好例として取り上げられたほどの事例なのです。

なかには『維持していくことすらも非現実』という物件も

管理不全に陥ったマンションのなかには、管理体制の見直しという観念ではもはや収束できない、危険な状態にある例もあるのだとか。

神谷「この建物を安心安全な状態まで修繕するには何千万、いや何億かかる。たとえ修繕積立金等を切り崩して修繕しても、老朽化は進行するので次の修繕が必要になる。重なる修繕に多額の費用がかかるであろうが修繕積立金の目途が立たない。そのように『維持していくことすらも非現実』という物件も実は幾つか見つかっています。そうなるともう、『売却すれば、今ならこれぐらいのお金は戻ってきますよ』という方向にしか話を持っていきようがない。言わば“マンションの終活”ですね。今後マンションはどんどん高経年化が進みますから、マンションの終わり方を考える支援はこれから増えていくでしょう」

マンションを支援する形も、今後は除却も視野に入れて提示するなど、選択肢が増えていくようです。

要支援状態から脱しても油断はできない

こうして京都市都市計画局住宅室住宅政策課とマンションサポートネットの尽力により、マンションにしっかりした管理組合が設立されたり、大規模修繕工事が実施されたり、長期修繕計画ができたり、管理費や修繕積立金の適切な徴収が可能となったりし、47棟あった要支援マンションは、半数がその状態を脱することに成功しました。

しかし、「そこで終わりではない」と神谷さんは言います。

神谷「専門家が入っているあいだは支援がうまくいっていたけれども、いったん専門家が外れてしまうと元に戻るケースもありました。『やっぱり、どうしていいかわからない』『うまく回せない』という例があるんです。そのためにも、支援を要しなくなったあとも、常に状況を把握しておくことが大事だと考えます」

「一度介入して終わりではなく、継続的な支援が必要だ」と語る神谷さん(写真撮影/吉村智樹)

「一度介入して終わりではなく、継続的な支援が必要だ」と語る神谷さん(写真撮影/吉村智樹)

次に取り組むのが「マンションの管理状態の“見える化”」

改正マンション管理適正化法は2022(令和4)年4月に施行されました。この法律は、マンション管理業者の業務を規定する内容が主でしたが、今回の改正で、管理組合に向けた内容が追加されました。行政が管理組合に対し、助言や指導を行うといったことも盛り込まれています。「行政もマンションの管理をしっかりやらなければならない」と国ぐるみの議論が加速化するなか、京都市役所の先進的な取り組みは他都市からも注目されています。

神谷「他の自治体さんからも高い評価をいただき、『おせっかい型支援の方法論を教えてほしい』『どのように実態を把握するのか』という問い合わせをけっこういただいています。プッシュ型支援という言い方で、全国に取り組みが広がっているんです。京都市としてはとても喜ばしいことと受け取っています」

高経年マンションが増え、新しい支援のスタイルとして全国のモデルケースとなった京都市役所。そんな京都市役所はさらに未来へ向け、次の一手を打とうとしていました。

マンションの管理の見える化のイメージ図(画像/PIXTA)

マンションの管理の見える化のイメージ図(画像/PIXTA)

神谷「現在、取り組んでいるのがマンションの管理状態の“見える化”です。2022(令和4)年に改正されたマンション管理適正化法のなかに『管理計画認定制度』という、マンションの管理状態を行政が認定する制度が作られたんです。この制度の最大の意義は、マンションの管理状態を図る物差しができたことだと考えています。マンションの広告などに『法律に基づく行政機関の認定を受けました』などと記載していただく。そうすると市民のマンション購入の目安になり、中古マンションであっても『しっかりしたマンションなんだな』と考えてもらえるでしょう。金融機関も認定によって管理状態を推し量ることができるので、『長期修繕計画もしっかりしているし融資をつけてみようか』という展開に持っていきたい。そうなると、マンション側も『うちも、どうせなら認定を取ろうか』という発想になっていきますよね。認定マンションを増やすことによって、管理に対する意識がどんどん高くなっていくと思うんです」

経過年数が長いマンションは不安視されがちです。しかし、管理計画認定がされているのならば購入を検討するなかでの安心材料となります。昨今、若い子育て世帯の流出が問題になっている京都市。マンションの認定制度が普及し、マンション全体の管理水準を上げることが、流出を食い止めるカギの一つになるでしょう。

国土交通省の発表によると、2022(令和4)年末の段階で、築40年以上のマンションは日本に約125.7万戸が存在し、20年後(2042年末)には445万戸にまで増加するのだそうです。
人間ともに高齢化するマンション。高経年による事故や悲劇を防ぐのは、どんなに時代が進んでも、「おせっかい」という古きよき人情なのだと、取材を通じて感じました。

●取材協力
京都市都市計画局住宅室住宅政策課

トンガリ屋根の家

所在地:武蔵野市吉祥寺北町
18万円 / 43.06平米
中央線「吉祥寺」駅/井の頭線「吉祥寺」駅 徒歩10分

「FARO DESIGN」による設計の、とんがった屋根が愛らしい一戸建。



暖かみあるパイン材の床やレッドウッドの梁、経年変化した鉄製の手摺など、上質な内装仕上げ。設備類も食洗機までついていて、快適に暮らすことができそうです。



特筆すべきは、2階部分の天井高。最大約4.5mもあ ... 続き>>>.
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普段着のアパルトマン【ペット可】

所在地:目黒区大岡山
9万2,000円 / 29.92平米
東急大井町線・東急目黒線「大岡山」駅 徒歩10分

飾りすぎない部屋で、肩肘張らない生活を。猫はもちろん小型・中型犬程度までペットと一緒に暮らせます(体高40cmまで)。



1DKみたいなワンルームです。ダイニングと寝室が装飾柱で緩やかに区切られています。ヨーロッパ風の趣があり、猫足バスタブやアンティーク調の扉など、暮らすほどに愛 ... 続き>>>.
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内窓DIYで室温10度も断熱できる省エネ対策。ホームセンターで買えるお手軽キットでも可能

「夏暑く、冬寒い」「結露ができて不快」、こうした住まいの問題を解決するには、どうやら「窓」の改修がいいらしい、ということが知られるようになりました。とはいえ、どのくらい効果があるの?DIYで手軽にできない?などの疑問はつきないはず。そうした疑問や悩みを解消してくれる「断熱改修はじめの一歩」ワークショップが長野県で開催されました。子どもも参加OK、ホームセンターで買える簡易的な内窓キットと最低限の工具だけを使って内窓のDIYをしよう! という一見お手軽な内容にも関わらず完成した内窓をつけたところ、なんと10度も表面の温度差が生まれるという驚きの結果に。その様子をレポートします。

内窓をDIYで自作してみたい!長野県全域から希望者殺到!

「断熱改修はじめの一歩」という講演会とDIYワークショップが開催されたのは、長野県上田市。二部構成で、一部は断熱推進イニシアチブ合同会社の木下史朗さんによる講演、現役の建具職人でもある有限会社クボケイの窪田智文さんのミニレクチャー、二部は市販されている内窓キットを使ってのDIYワークショップというもの。主催は長野県上田地域振興局で、運営にあたるのがNPO法人上田市民エネルギーです。

近年、内窓をDIYで作成できる「内窓キット」がホームセンターなどで購入できるようになっています。今回のワークショップではこの「内窓キット」を用いて、建具職人を講師に招いて、内窓を実際につくるという試みです。ちなみに、必要な道具は差し金や鉛筆、カッターなどの身近なものばかり。DIYの心得がなくとも誰でもできるといいます。

一部の講演会には上田市在住の方だけでなく、長野県内各地から約60名が参加し、二部のワークショップの定員20名はわずか数日で満員になったとか。想像以上の関心の高さに圧倒されますが、長野県上田市は冬の寒さはもちろん、夏はびっくりするほど暑くなるそう。

「全国的に暑かった2023年ですが、上田では全国最高の38.4度を記録したこともあるほど。とにかく夏は暑いんです。さらに冬は寒いため、二酸化炭素削減にも健康面でも、建物の省エネ性能向上が必須なんです」と話すのは上田市民エネルギーで理事長を務める藤川まゆみさん。

長野県はこうした自然の厳しさを背景に、住まいや建物の省エネルギー性向上を推進しており、上田高校や白馬高校など複数の県立高校で高校生が企画運営する断熱ワークショップを支援しています。また、こうした学生の断熱に関する取り組みがニュースになることも多く、それを見聞きした保護者をはじめ、一般世帯にも関心が広がっているようです。すばらしい流れですね。

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断熱改修の初心者に向けて。講演会でしっかりと知識を身に付ける!

まず一部は「断熱改修はじめの一歩」と題して、断熱推進イニシアチブの木下史朗さんが、自宅のサーモグラフィ画像をあげつつ、自宅や軽井沢の高性能賃貸「六花荘」を建てたこと、軽井沢の空き家を性能向上リノベさせたエピソードを紹介。

木下さんが断熱に目覚めるきっかけとなった家の寒さ。室内だが窓枠の表面温度は1度(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

木下さんが断熱に目覚めるきっかけとなった家の寒さ。室内だが窓枠の表面温度は1度(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

高性能賃貸「六花荘」をサーモグラフィカメラで撮影。もっとも冷たいのは牛乳。室温は20度程度に保たれており、裸足でも大丈夫な暖かさに(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

高性能賃貸「六花荘」をサーモグラフィカメラで撮影。もっとも冷たいのは牛乳。室温は20度程度に保たれており、裸足でも大丈夫な暖かさに(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

木下さんが実際に性能向上リノベをした物件。改修前はUa値0.94でしたが改修後は Ua値0.28と大幅に性能向上(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

木下さんが実際に性能向上リノベをした物件。改修前はUa値0.94でしたが改修後は Ua値0.28と大幅に性能向上(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

加えて、日本の既存住宅のうち、1999年の省エネ基準(2025年義務化予定)に達しているのがわずか1割程度しかないこと、建築物が断熱されていないため多くのエネルギーを無駄にしていること、断熱性能をあげるにはまず「窓」が大切であることを説明していきます。実体験+データを交えての話はリアリティがあるうえ、建築士ではなく、ひとりの住まい手としての体験から得た話となっており、非常にわかりやすいものとなっていました。

また、現在は「先進的窓リノベ事業」「長期優良住宅リフォーム推進事業」「信州健康ゼロエネ住宅(リフォーム)」といった助成制度があること、省エネ性能が高いものほど補助額が高いこと、今ある窓の内側にもう一枚窓をつくる工法、今ある窓枠を壊さず新しい窓に交換する工法があることなども紹介されていました。

上田高校の断熱改修ワークショップの施工前

上田高校の断熱改修ワークショップの施工前と施工後(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

上田高校の断熱改修ワークショップの施工前と施工後(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

断熱材を入れたところはオレンジで15度になっているが、入っていないところは紫色で7.6度。表面の温度差7.4度!(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

断熱材を入れたところはオレンジで15度になっているが、入っていないところは紫色で7.6度。表面の温度差7.4度!(画像提供/断熱推進イニシアチブ)

参加者には子育て世帯が多いのかと思いきや、年配世代も多数参加していました。築年数が経過した住まいは無断熱、または断熱性の低い住まいが多いので、当たり前といえば当たり前かもしれません。講演のあとには、断熱材の主な材質とその特徴の違いについての質問が飛び出すなど、講演者・参加者のみなさんの本気度合いに圧倒されます。

建具職人によるDIYのコツ。成否の鍵を握るのは採寸と裁断

その後、二部でも登場する現役の建具職人・窪田智文さんが登壇し、ホームセンターで販売されている内窓キットを使って内窓を作成するコツを話してくれました。窪田さんは2012年の技能五輪全国大会家具部門で銅メダルに輝き、現在でも建具と家具を担当する現役の建具職人です。今までも上田高校などの断熱ワークショップを手伝っているそうですが、地元にこうしたトップクラスの職人さんがいて、協力を得られるのは大変貴重です。

窪田さんによるDIYのミニレクチャー。みなさん熱心にメモをとっていらっしゃいます(写真撮影/嘉屋恭子)

窪田さんによるDIYのミニレクチャー。みなさん熱心にメモをとっていらっしゃいます(写真撮影/嘉屋恭子)

窪田さんによると、ホームセンターでも内窓のDIYキットの取り扱いは増えているとのこと。DIYキットの内容は(1)窓枠に貼るレール、(2)サッシにあたるフレームのセットで、価格は2000~4000円程度。これに加えて、窓ガラスに相当するポリカーボネートを購入し、1窓約1万円程度でできるそう。

既存の窓に加えて、内窓を1枚つけると空気層ができます。空気は熱を伝えにくい性質をもっているため、冬は暖かく、夏は涼しくなる、これが内窓での断熱性が向上する理由です。
内窓のDIYを成功させるにはいくつかコツがあるそうですが、要約すると以下になります。

(1)既存の窓枠をしっかり採寸する
・定規はしっかりした材質で、まっすぐ良いものを使う
・レーザー計測器もあるが、自分でもしっかり確認を
・幅や高さだけでなく、真ん中の高さ、斜めもしっかり測る
(築年数が経過した物件はたわんでいることがあるため、たわんでいたら要補正)

(2)窓にあたるポリカーボネート板をまっすぐ裁断する
・ポリカーボネート板を、計測したサイズどおりに、まっすぐ切ること
・一度に切ろうとするのではなく、表面に筋をつけていき、徐々に裁ち落とす
・自分で切るのが難しい人はホームセンターのカットコーナーで依頼するとよい(ホームセンターにもよるが、1カット100円以内)

また、窓が大きいほど採寸・裁断が難しくなるため、まずは小さな窓からはじめてみて、成功したら次の窓をすすめるとよい、とアドバイスしていました。

温度差10度! 部屋の体感はぐっと暖かくなった

そしていよいよ二部のワークショップへ。今回は上田地域振興局が入る上田合同庁舎3階の会議室の内窓合計14枚を作り、その後も使っていく計画です。市民参加で公共建築物の断熱性が向上できるのは、とても有意義な取り組みですよね。何しろ(1)ワークショップの場として活用でき、(2)設計施工費用を抑えることができる、(3)建物の省エネ性能が高まる、(4)内窓を知らなかった人も目にすることができ、興味が湧く、など一石四鳥にもなるからです。

講師となる窪田さんに加え、木下さん、小さなお子さんはもちろん、高校生、大人など幅広い世代の参加者がいっしょに作業をしていきます。まずは安全のためにラジオ体操を行いますが、同じ空間で体操をするとぐっと気持ちの距離が縮まり、和やかな雰囲気になります。

また、SUUMOジャーナル編集部員も人生初のDIY体験で参加しましたが、「取材じゃなければ、人生で一度もDIYをしないと思う」というタイプだそう。興味はあるものの、なかなか腰が重い。これは、多くの人が同じ気持ちになるのではないでしょうか。

そんなDIYスキルも事情も異なる参加者が力を合わせ、完成したのが14枚の内窓です。まずは完成したところからご覧ください。下の写真でいうと、右の白枠が設置した内窓、左の結露しているのが既存の窓です。

窓にさわって温度の違い感じるお子さん。既存の窓は冷たく結露していますが、内窓はひんやりとせず温かい!(写真撮影/嘉屋恭子)

窓にさわって温度の違い感じるお子さん。既存の窓は冷たく結露していますが、内窓はひんやりとせず温かい!(写真撮影/嘉屋恭子)

完成した14枚の内窓をはめこんだ様子。内窓と既存の窓、その表面温度差10度にも(写真撮影/嘉屋恭子)

完成した14枚の内窓をはめこんだ様子。内窓と既存の窓、その表面温度差10度にも(写真撮影/嘉屋恭子)

内窓をつけたところ。サーモグラフィカメラで撮影すると17度と温かくなっています(写真撮影/嘉屋恭子)

内窓をつけたところ。サーモグラフィカメラで撮影すると17度と温かくなっています(写真撮影/嘉屋恭子)

既存窓を撮影するとなんと7度。そばによるとひんやりとした冷気を感じます(写真撮影/嘉屋恭子)

既存窓を撮影するとなんと7度。そばによるとひんやりとした冷気を感じます(写真撮影/嘉屋恭子)

取材日は最高気温5度、外はみぞれ交じりの天気でしたが、内窓はつけるとその表面温度は17度に。手のひらでさわるとより温かさを実感します。約2時間でここまででき、さらに直後で冷やされていないとはいえ表面温度にこんな変化があるとは。まさに感動!のひとことです。

内窓DIYするなら、ホームセンターのカットサービスを活用すると簡単に!

ここであらためて、どのようなプロセスで進められていったのか紹介します。

<使う道具>
内窓キット 14枚分
ポリカーボネート板 14枚分
軍手、差し金、鉛筆、カッターなど

<ワークショップの流れ>
(1)窓レールにあたるパーツの切り落とし
(2)窓レールにあたるパーツを貼る
(3)フレームパーツを切り落とし
(4)ポリカーボネート板を切り落とす
(5)フレームをはめ、フィルムを剥がす
(6)完成した窓を窓枠にはめる

こうしてみると、特別な道具は使わず、材料を切断して貼ったり、枠にはめていったりと、難しい作業はしていません。ただ、やっぱりそこは初対面の人との共同作業になるので、談笑しつつ手探りで作業を進めていきます。

(1)指示にしたがって窓枠になるパーツを指定のサイズに裁ち落とす(写真撮影/嘉屋恭子)

(1)指示にしたがって窓枠になるパーツを指定のサイズに裁ち落とす(写真撮影/嘉屋恭子)

(2)カットした窓枠を両面テープで貼って固定しているところ(写真撮影/嘉屋恭子)

(2)カットした窓枠を両面テープで貼って固定しているところ(写真撮影/嘉屋恭子)

既存の窓枠の手前、白い樹脂が貼り付けた内窓のレール部分になります(写真撮影/嘉屋恭子)

既存の窓枠の手前、白い樹脂が貼り付けた内窓のレール部分になります(写真撮影/嘉屋恭子)

(4)ポリカーボネート板を規定のサイズに裁断していきます(写真撮影/嘉屋恭子)

(4)ポリカーボネート板を規定のサイズに裁断していきます(写真撮影/嘉屋恭子)

カットできたポリカーボネート板にフレームをはめこんでいきます(写真撮影/嘉屋恭子)

カットできたポリカーボネート板にフレームをはめこんでいきます(写真撮影/嘉屋恭子)

最後にフィルムを剥がして完成(写真撮影/嘉屋恭子)

最後にフィルムを剥がして完成(写真撮影/嘉屋恭子)

白いフレームがDIYで作った内窓です。1面ですが、達成感と充実感が湧き上がります(写真撮影/嘉屋恭子)

白いフレームがDIYで作った内窓です。1面ですが、達成感と充実感が湧き上がります(写真撮影/嘉屋恭子)

参加されたみなさんに感想を聞きましたが、「実際にできるか不安だったが、楽しかった」「プロの技がすごいなと思った」などの感想が。なかには「DIYはあきらめてプロに依頼しようと思いました」「ホームセンターで切断してもらって、はめるだけならできるかも」との声も。確かにホームセンターで「裁断」までしてもらえていれば、ぐっと家庭でも取り入れやすいと思いました。

筆者は窪田さんのキズをつけないコツ、四隅のサイズを少しずつ調整していく仕事の確かさ、身のこなしなどが印象に残りました。なかなか見られない建具職人の仕事ぶりは、まさに眼福です。

さらに今回、DIY初体験だった編集部員はDIYに開眼したらしく、黙々とポリカーボネート板を切り落としていました。「無心になれていい。モノをつくる達成感がふつふつと湧いてくる」とのこと。DIYは無縁と思っていても、目の前で一つの形になっていく、クリエイトする喜びはやっぱり人の心に訴えかけるものがあるようです。

主催した長野県上田地域振興局環境課の上原さんによると、企画の背景を「地球温暖化対策として、やはり窓がよいということを聞いて、今回のワークショップを企画しました。想像以上に反響があり、関心の高さを実感しました。また、実際に手を動かすなかで得られたものは大きいですし、何よりみなさん進むとにこにこしてらして。身近なところから環境負荷を減らすとともに、住まいが快適になればうれしいですね」と話していました。

今回の講演とワークショップ、大きな反響もあったようなので今後、上田だけでなく、長野県全域に広がっていくかもしれません。こうした「断熱改修」の流れが、日本全国の津々浦々に広がっていったらいいのに、そう願わずにはいられません。

●取材協力
・長野県上田地域振興局環境課
・NPO法人上田市民エネルギー
・断熱推進イニシアチブ
・有限会社クボケイ

階段先の天国【事務所可】

所在地:目黒区祐天寺
19万8,000円 / 54.47平米
東急東横線「祐天寺」駅 徒歩2分

頑張って階段を4階まで上がりきった先には、ご褒美のような素晴らしい空間が待っていました。



ガラスブロックやタイルが印象的な、1970年築のレトロマンション。エレベーターがなく、急な階段を登り部屋を目指します。



真っ白な玄関扉を開け飛び込んでくるのは、息をのむほど素敵な空間。広 ... 続き>>>.
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