ナイスビューを手に入れろ!

所在地:横浜市中区根岸加曽台
19万円 / 85.64平米
京浜東北線「山手」駅 徒歩15分

目前に迫る木々の緑、そしてさらに向こうには青い空、広い海が見える、ナイスビューなアパートメント。



そしてそんな景色を楽しむための、横長のバルコニーも。椅子と机を置けば、そこはこの部屋の住人の特等席。昼でも夜でもふとした時に腰掛けて、読書したり、ビールを飲んで物思いに耽ったりと、 ... 続き>>>.
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のんびり港町暮らし、スタート!

所在地:宮城県気仙沼市常楽
5万9,000円 / 98.97平米
大船渡線「気仙沼」駅 徒歩24分

海と山に囲まれ、遠洋漁業の基地として栄えた港町、宮城県の気仙沼。


宮城県の最北端に位置するこの街には、今もなお世界中を旅する船が停泊するそうです。



沿岸を少し離れれば、海を一望できる安波山や美しい田園風景もあり、手に入る食材は魚も野菜もとれたてが当たり前。



おまけに、一年を ... 続き>>>.
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卵の中からこんにちは

所在地:新宿区弁天町
19万8,000円 / 51.7平米
都営大江戸線「牛込柳町」駅 徒歩6分

なんと不思議な間取りなのでしょう。リビングには卵のような曲線を描く間仕切りが鎮座。



この卵型の間仕切りの中には、スペースが三つ。収納やベッドスペース、書斎など、試行錯誤しながらベストな使い道を探していただければ。



床には色味の良いアカシアの無垢フローリング。素足で歩いた際、足 ... 続き>>>.
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選ぶならオモシロ!

所在地:調布市国領町
7万2,000円 / 35.64平米
京王線「国領」駅 徒歩15分

飽きたらいつでも替えがきくのが賃貸の醍醐味。

だとしたら、ワンルームアパートと同じ予算で一軒家に住めて、ついでにオモシロまで手に入れられるこの機会は見逃せません!



意表をつくプロポーション、目立ちたがり屋のバルコニー、ほかにも突っ込みどころは満載ですが、7万円ちょっとで一軒家の ... 続き>>>.
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美術館のような住宅

所在地:東京都目黒区自由が丘
33万円 / 69.06平米
東急東横線・東急大井町線「自由が丘」駅 徒歩9分

「日本のガウディ」と呼ばれる建築家、梵寿綱氏による設計の集合住宅。自由が丘から少し歩いた通りの裏手に、まるで美術館のような佇まいでひっそりと立っていました。



敷地に足を踏み入れると、鍛造工芸による大きな黒い鉄格子がお出迎え。建物の雰囲気に圧倒されつつも、考える隙もなく、建物に施 ... 続き>>>.
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ジャンクに整える

所在地:渋谷区恵比寿
14万9,600円(税込) / 32平米
山手線「恵比寿」駅 徒歩5分

恵比寿駅から程近い昭和48年築のマンション。空いたとこからあえてのジャンクに仕上げています。



簡潔にこの物件のポイントを。



まず、事務所想定で改装しているのでマンションタイプの事務所にありがちな生活感がありません。キッチンは邪魔にならないステンレス製のもの、浴槽は取っ払って収 ... 続き>>>.
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上原の路面で風まかせ

所在地:渋谷区上原
59万9,500円(税込) / 115.7平米
小田急線・千代田線「代々木上原」駅 徒歩7分

以前は、医院だったこの路面区画。店舗、事務所にどうぞ!



診察室、レントゲン室など部屋が細かく分かれています。躯体以外は壊してもいいのですが、東から南側にかけての個室の壁は貫けません。ここが貫けたらな、という声が聞こえてきそうですが、なりゆきに任せて細かく分かれたこの空間をうまく ... 続き>>>.
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名建築で時をつなぐ

所在地:大阪府大阪市阿倍野区
1億9,800万円 / 145.58平米(建物) 280.99平米(敷地)
南海高野線「帝塚山」駅 徒歩7分

■価格が下がりました■



安藤忠雄氏によって設計された初期住宅「帝塚山の家」(1977年竣工)



場所は大阪。全国的にも初期に住宅開発された帝塚山周辺は、大阪の代表的な邸宅が並ぶ、高級住宅街として知られている街。



余裕のある敷地に対して低層な住宅と樹々が植えられた個人邸が多く、 ... 続き>>>.
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思いもよらない眺め

所在地:港区赤坂
29万5,000円 / 71.05平米
千代田線「乃木坂」駅 徒歩3分

最寄りのスーパーが徒歩5分の東京ミッドタウン内と聞けば、紛れもない超都心! ですが、部屋からは思いもよらない眺めが広がっていました。



というのも、お隣の敷地は教会。この立地にありながら、朝は小鳥のさえずる声で目を覚ますなんてことも珍しくなかった、とオーナーさんは話してくれました ... 続き>>>.
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居心地重視のオフィスからは公園VIEW

所在地:中央区日本橋小舟町
43万7,800円(税込) / 52.06平米
銀座線・半蔵門線「三越前」駅 徒歩6分

窓から公園VIEW、1階にはカフェベーカリー、ラウンジやシェアキッチンも利用可能。ソリッドな内装にリノベーションされた空間だけが魅力ではない、総合点高めオフィスのご紹介です。



ご紹介のオフィスは、建物の最上階。ワイドな窓から公園の大きな木々が見え、遊具で遊ぶ子どもの声が聞こえて ... 続き>>>.
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飾り棚の魔力

所在地:目黒区碑文谷
7万7,000円 / 20.96平米
東急東横線「学芸大学」駅 徒歩9分

好きなものを飾りまくれる、楽しいタイプのワンルームです。さすがに棚がこれだけあれば、ご満足いただけるのではないでしょうか。



壁一面が可動式の棚。自分の部屋は好みのものだけで埋め尽くしたいし、それがいつでも眺められる状態、個人的には理想的な形かも。



これだけオープンな棚があれば ... 続き>>>.
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円庭のある名建築

所在地:江戸川区松島
20万円 / 99.86平米
総武線「新小岩」駅 徒歩8分

★賃料下がりました★



住宅街を歩いたその先に、ポッと開けた広場が出現します。丸くくり抜かれた庭を囲むように建つ、見慣れないその雰囲気。彫刻的な滑らかな曲線と、存在感を感じない窓から入る光が美しい、六角鬼丈氏設計のテラスハウスです。



建物は大きくみると右と左に分かれていて、今回 ... 続き>>>.
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スッキリ暮らす

所在地:川崎市高津区末長
10万9,000円 / 37.62平米
東急田園都市線「梶が谷」駅 徒歩3分

落ち着いた街並みが広がる梶が谷駅から歩いて3分の、駅近マンションをご紹介します。



建物はコンクリートの外壁が印象的な、いわゆるデザイナーズ。エントランスホールも一面コンクリートに覆われ、無機質な空間に外からの光がうっすらと差し込む、落ち着いた雰囲気です。



約37㎡のワンルーム ... 続き>>>.
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横浜でキメる

所在地:横浜市西区北幸
17万円 / 47.64平米
東急東横線・湘南新宿ライン・東海道線「横浜」駅 徒歩11分

横浜駅西口から徒歩11分。



ビル群を抜け、運河沿いをゆく頃には、ぽっかりと見える空に気持ちも少しゆるみます。そこにすっきりと決まったこの建物。



室内は大きな開口部から差し込む光をナラの無垢フローリングが受け止めて、スタイリッシュでありながら優しい表情。天井が高めの、仕切りのな ... 続き>>>.
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バランス重視のひとり暮らし【コンパクトタイプ】

所在地:世田谷区若林
8万3,000円 / 22.8平米
世田谷線「若林」駅 徒歩8分

立地や間取り、内装、眺望など、さまざまな要素のバランスが個人的に◎。しかもこの部屋は最上階で眺望が抜けています。もし僕がひとり暮らし用の部屋を探していたとしたら、この部屋を選びそう。そんな物件のご紹介です。



最寄り駅は世田谷線の若林ですが、渋谷駅行きのバスも利用可能です。バス停 ... 続き>>>.
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草樹とあそぶ家

所在地:鎌倉市西御門一丁目
35万円 / 105.37平米
JR横須賀線「鎌倉」駅 徒歩23分

【賃料を変更しました】



Haluta(ハルタ)設計の注文住宅。それだけで説明は十分かもしれません。暑い日も寒い日も快適な室内空間から山の緑や庭の植物たちを愉しめる家です。



Haluta(ハルタ)といえば北欧ヴィンテージ家具をイメージする人が多いかもしれません。元々はデンマーク ... 続き>>>.
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白く跳ね返るメゾネット

所在地:杉並区高円寺南
14万円 / 40.58平米
丸ノ内線「東高円寺」駅 徒歩4分

白を基調とした、スッキリとしたメゾネット。



窓の外にはゆったりとしたルーフバルコニー付きで、部屋の延長のような感覚で気軽に利用できます。ペットの飼育も可能なので、一緒に過ごすこともできちゃいます。



お先にお伝えですが、この物件は青梅街道沿いに立っています。昼夜問わず交通量は多 ... 続き>>>.
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高円寺レトロのドン

所在地:杉並区高円寺北
10万円 / 35.1平米
中央線「高円寺」駅 徒歩7分

青と白が眩しい、壮大なレトロマンション。このシリーズのファンが多いのも納得です。



ご紹介する部屋は、西向きの5階。室内はレトロな内装がそのまま残った懐かしい雰囲気。木製ガラス戸はかなり渋い見た目をしています。貴重な存在です。年季が入っている分、動かしにくい引き戸もありますが、ご ... 続き>>>.
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シンプルと個性を兼ね揃えて

所在地:渋谷区千駄ヶ谷
23万6,830円(税込) / 39.55平米
中央線「千駄ヶ谷」駅 徒歩5分

引っ越して片付けが終われば、その日から雰囲気の良いオフィスとしてのスタートが切れるこちらの空間。



なめらかなモルタルの床に、壁一面に張り巡らされたブリックタイル。天井は抜かれて白く塗装と、シンプルな中にも個性があって、クリエイティブな雰囲気をかもし出しています。



メインの執務 ... 続き>>>.
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「内窓DIYで室温10度も断熱できる省エネ対策」「温泉付きリゾートマンションを98万円で購入してみた」【4月人気記事まとめ】

今年の4月は例年よりも全国的にも気温が高く、暑い日が続いていました。すでにエアコンを使い始めた方も多いのではないでしょうか。SUUMOジャーナルで4月に公開した記事では「内窓DIYで室温10度も断熱できる省エネ対策。ホームセンターで買えるお手軽キットでも可能」「温泉付きリゾートマンションを98万円で購入してみた! 『別荘じまい』が狙い目、Airbnbで宿泊内見など物件選びのコツ満載」「温泉付きリゾートマンションを98万円で購入、200万円でリノベ&DIY!築75年をレトロかわいいセカンドハウスに大変身」などが人気TOP10入りしました。本稿では、バラエティー豊かな記事の見どころをご紹介します。

2024年4月公開の人気記事TOP10は?

TOP10はこちらの記事となりました!

1位:内窓DIYで室温10度も断熱できる省エネ対策。ホームセンターで買えるお手軽キットでも可能

2位:温泉付きリゾートマンションを98万円で購入してみた! 「別荘じまい」が狙い目、Airbnbで宿泊内見など物件選びのコツ満載 小説家・高殿円さん 伊豆

3位:温泉付きリゾートマンションを98万円で購入、200万円でリノベ&DIY! 築75年をレトロかわいいセカンドハウスに大変身 小説家・高殿円さん 伊豆

4位:キャンピングカーをリノベで「動く別荘」に! 週末バンライフで暮らしながら家族と九州の絶景めぐり

5位:「SUUMO住みたい街ランキング2024」横浜が全世代で1位に!抜群の生活環境と市の取り組み強化で「子育て世代に選ばれる街」へ

6位:「0円空家バンク」等で転入者170人増! 家を手放したい人にもメリットあり、移住者フォローも手厚すぎる富山県上市町の取り組みが話題

7位:話題の3代目大家・石井さん、マンションに”庭”を作ったら街の人が集まりはじめた。みんなの「やってみたい」に応え地域に開いたスペースを次々と 神奈川県川崎市

8位:「SUUMO住みたい街ランキング2024」秋葉原が20位も急上昇! 空前のエンタメブームにおしゃれ・個性派店舗の充実で「暮らせる街」大進化

9位:いま”所沢LOVE”が爆発中! 若手クリエイターや地元の店を発掘・魅力を発見できる「歩きたくなるまちづくり」進行中 埼玉

10位:”おせっかい”が高経年マンション問題の危機を救う!? 京都市の行政と民間の関わりがユニークすぎる管理の解決策とは
※対象記事とランキング集計:2024年4月1日~30日に公開された記事のうち、PV数の多い順

1位:内窓DIYで室温10度も断熱できる省エネ対策。ホームセンターで買えるお手軽キットでも可能

2024年も大注目の窓。断熱ワークショップでDIYに挑戦、驚きの効果とは?

(写真撮影/嘉屋恭子)

「夏は暑く、冬は寒い」「結露ができて不快」。こうした住まいの問題を解決するためには、近年「窓」の改修が良い対策になる、ということが知られるようになりました。とはいえ、どのくらい効果があるのか?DIYで手軽にできないのか?などの疑問はつきないはず。そういった疑問や悩みを解決してくれる「断熱改修はじめの一歩」ワークショップが長野県で開催されるということで行ってきました。子どもも参加OK、ホームセンターで買える簡易的な内窓キットと最低限の工具だけを使った内窓のDIY。完成した内窓をつけたところ、お手軽な内容にも関わらず、なんと10度もの温度差が生まれるという驚きの結果に。その様子を、具体的なDIYの方法と併せてお伝えします。

2位:温泉付きリゾートマンションを98万円で購入してみた! 「別荘じまい」が狙い目、Airbnbで宿泊内見など物件選びのコツ満載 小説家・高殿円さん 伊豆

温泉付きリゾートマンションを98万円で購入してみた! 小説家・高殿円さんが送る二拠点生活 神戸&伊豆

(撮影:曽我美芽)

『トッカン』シリーズ(早川書房)などが代表作の小説家・高殿円さん。なんでも最近、伊豆(静岡県)の築75年のリゾートマンションの1室を98万円で購入したのだとか。この時の話を、2024年4月に発行した同人誌『98万円で温泉の出る築75年の家を買った』に綴っています。自分だけのMY温泉を楽しむ日々。自宅を神戸に持つ高殿さんが、2拠点生活を始めたきっかけや、リゾートマンションを購入した経緯をはじめ、物件選びのポイントを伺ってきました。

3位:温泉付きリゾートマンションを98万円で購入、200万円でリノベ&DIY! 築75年をレトロかわいいセカンドハウスに大変身 小説家・高殿円さん 伊豆

98万円で買った温泉付きリゾートマンションを約200万円でリノベーション・DIY。小説家・高殿円の夢のセカンドハウス

(撮影:曽我美芽)

2位の記事に引き続き3位にランクインしたのも、小説家・高殿円さんのリゾートマンション購入体験記事。もともと広さ3Kだった和室を、約200万円かけて40平米1Rへとリノベーションし、DIYにも挑戦。築古リゾートマンションのリノベーションで注意した点や、DIYでレトロかわいいセカンドハウスに仕上げたコツを伺ってきました。

4位:キャンピングカーをリノベで「動く別荘」に! 週末バンライフで暮らしながら家族と九州の絶景めぐり

キャンピングカーをリノベで「動く別荘」に! 週末バンライフで暮らしながら家族と九州の絶景めぐり

(写真提供/ASTER 中川さん)

キャンプが流行り始めたのと同時に、ここ数年ではキャンピングカー、バンライフなど、車と住まいが一体化したライフスタイルが注目を集めています。記事で紹介しているのは、「リノベーションオブ・ザ・イヤー2023」で特別賞を受賞したキャンピングカーをリノベした「動く家」。キャンピングカーをリノベーションすることで、一体どのような住まいになるのでしょうか。施主と設計を担当した建築士にリノベーション時の注意点やポイントを伺いました。

5位:「SUUMO住みたい街ランキング2024」横浜が全世代で1位に!抜群の生活環境と市の取り組み強化で「子育て世代に選ばれる街」へ

「SUUMO住みたい街ランキング2024」横浜が全世代で1位に!抜群の生活環境と市の取り組み強化で「子育て世代に選ばれる街」へ

(撮影/榎並 紀行)

リクルートが、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女9335人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2024」を発表しました。記事ではその中でも、7年連続の総合1位に加え、「男女別・年代・ライステージ」など全てのカテゴリーで「住みたい街」1位に輝いた「横浜」(神奈川県)にフォーカスし、街の魅力を探ってみました。市を挙げて「子育てしたいまち」を目指す横浜の注目ポイントもご紹介します。

6位:「0円空家バンク」等で転入者170人増! 家を手放したい人にもメリットあり、移住者フォローも手厚すぎる富山県上市町の取り組みが話題

「0円空家バンク」で転入者170人増! 家を手放したい人にもメリットあり、移住者フォローも手厚すぎる富山県上市町の取り組みが話題

(写真提供/上市町建設課)

「地方に空家があるなら、移住希望者に住んでもらえばいいんじゃない?」空家問題の解決策として、誰もが思うであろう取り組みを実行に移し、大成功している自治体があります。富山県上市町です。どのようにして成功させたのでしょうか。上市町0円空家0円バンクが誕生した経緯をはじめ、成功の秘訣を探るべく現場を見学してきました。空き家の所有者が得られるメリットや、地方への移住後に気掛かりとなる近隣コミュニティの打開策とは?

7位:話題の3代目大家・石井さん、マンションに”庭”を作ったら街の人が集まりはじめた。みんなの「やってみたい」に応え地域に開いたスペースを次々と 神奈川県川崎市

街をまるごとコミュニティ化作戦 所有23物件にコミュニティスペース併設・武蔵新城

(写真撮影/桑田 瑞穂)

JR南武線、各駅停車駅の「武蔵新城」。低層住宅が立ち並ぶのどかな街です。駅周辺にある、穏やかな雰囲気の商店街のなかに、最近ゆるやかな人のつながりが生まれつつあります。その中核を担うのが、このエリアで多くの土地を引き継いで管理をしてきた石井家の3代目、石井秀和(いしい・ひでかず)さんです。彼は、この街に人との繋がりを生むための1つとして、コワーキングスペースや、シェアスペースなど大小さまざまな仕掛けをつくり、地域で暮らす人たちの接点を広げようと動いています。その仕掛けとは一体どのようなモノなのでしょうか。マンションに「庭」を作ろうと思ったきっかけをはじめ、現在どのような形になっているのか取材しました。

8位:「SUUMO住みたい街ランキング2024」秋葉原が20位も急上昇! 空前のエンタメブームにおしゃれ・個性派店舗の充実で「暮らせる街」大進化

「SUUMO住みたい街ランキング2024」秋葉原が20位も急上昇! 空前のエンタメブームにおしゃれ・個性派店舗の充実で「暮らせる街」大進化

 

リクルートが発表した、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)在住の20歳~49歳の男女9335人を対象に実施した「SUUMO住みたい街ランキング2024」。記事では、49位から29位へと脅威のジャンプアップを果たした「秋葉原」に焦点を当て、街の魅力を探ってみました。なぜ、過去最高位の29位までランクアップしたのか、最も支持されている年代、そして注目されているポイントをご紹介します。

9位:いま”所沢LOVE”が爆発中! 若手クリエイターや地元の店を発掘・魅力を発見できる「歩きたくなるまちづくり」進行中 埼玉

いま”所沢LOVE”が爆発中! 若手クリエイターや地元の店を発掘できる「歩きたくなるまちづくり」進行中 埼玉

(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

テレワークが進み、都内中心部で暮らしていた若いファミリーが郊外に移り住み始めました。その波は、埼玉県の「所沢」にも訪れています。その背景の一つとして、街の活性化も影響しているようです。近年、市内では再開発が進み、駅前に大型商業施設や、アミューズメント施設が次々オープンしました。また、長年の住民たちは街を愛する人たちを増やすために、シビックプライド(地域への誇りと親しみ)を醸成するイベントを開催。その流れを加速させているのが「TOKOROZAWASTREET PLACE」です。理想的な街づくりの実現に向けた社会実験とは、いったいどのような試みなのか。関係者のみなさんに話を聞きながら、実際に街を歩いてみました。

10位:”おせっかい”が高経年マンション問題の危機を救う!? 京都市の行政と民間の関わりがユニークすぎる管理の解決策とは

「おせっかい」で高経年マンションの危機を救う、行政が民間マンションの管理にタッチする京都市の「おせっかい型支援」

(写真撮影/吉村智樹)

マンションの老朽化は周辺住民の命にかかわる問題です。そんななか、京都府京都市が取り組むユニークな支援制度「おせっかい型支援」が注目を集めています。劣化が進むマンションを見つけだし、飛び込みで訪問する独特な後方支援ゆえに「よけいなお世話だ」と門前払いされる場合もしばしばだといいます。ハードルは高く、厳しく見えるこの支援を、いったいどのように運営しているのでしょうか。「おせっかい型支援」がスタートしたいきさつなども含め、京都市都市計画局住宅室住宅政策課にお話を伺ってきました。

4月の人気記事ランキングでは、気候やライフスタイルに合わせた、生活の変容に関する記事のランクインが目立ちました。そのほか、地元の魅力を伝える記事、地元の人々を助けるための新たな支援制度など、人々の生活に寄り添う内容の記事も。ライフスタイルによって求められる住宅のカタチもかわってくるもの。だからこそ、選ぶポイントを知っておくのは大切なことです。理想的なライフスタイルや住まいを模索しているという人は、ぜひ参考にしてみてください。

休日のウッドバルコニー

所在地:横浜市西区北幸
11万円 / 34.72平米
東海道線・東急東横線「横浜」駅 徒歩9分

横浜駅西口から高島屋とシェラトンホテルの前を通り過ぎ、川沿いを歩くこと9分。右手に見えてくる小さな緑道を抜けると、今回ご紹介する物件に到着です。



6階建てのこのビルは1階が店舗、ビル内も事務所として使用されている部屋があり、程よくキリリとした雰囲気が漂います。



室内はコンクリ ... 続き>>>.
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ウメガオカの長屋

所在地:東京都世田谷区代田
9万円 / 22.34平米
小田急線「梅ヶ丘」駅 徒歩4分

駅前の商店街を抜け、路地を一本入ったところに立つ三軒長屋が、今回の物件です。パッと見た感じ、いわゆる普通のアパートではなく、一戸建てのような印象を受けますが、ちゃんと玄関が3つあって、各住戸1・2階が専有部になっています。



道路から建物を見て左側に通路があり、その通路に沿って、 ... 続き>>>.
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6月使用分から電気料金引き下げ措置がなくなる!?電気代高騰について、みんなどう思っている?

電気代が6月使用分から高くなる。値上げではなく、経済対策による値引きの終了だ。一条工務店の調査によると、このことを7割以上が「知らなかった」と回答している。物価高に加え、生活インフラともいえる電気代の値引き終了で、家計を圧迫することになりそうだ。消費者は、どう思っているのだろうか?

【今週の住活トピック】
「家庭の電気料金に関する意識調査 2024」結果を発表/一条工務店

「電気・ガス価格激変緩和対策」により2024年5月まで電気料金が値引き

さて、電気料金が値引きされていた理由は「電気・ガス価格激変緩和対策」が実施されていたからだ。

まず、ロシアによるウクライナ侵略などの世界情勢により、燃料価格が上昇したことなどの影響を受けて、電気・ガス料金の単価から一定額を値引きする措置を、2023年1月の使用分から12月の使用分まで行っていた。この措置の継続が2023年11月に閣議決定され、2024年4月の使用分まで継続、5月の使用分については激変緩和の幅を縮小して実施されていた。つまり、5月使用分ですでに値引き幅が縮小されていたわけだ。

■電気・ガス価格激変緩和対策による値引き単価(沖縄電力を除く)

適用期間電気(低圧)電気(高圧)都市ガス※2024年1月使用分(2月検針分)から3.5円/kWh1.8円/kWh15円/m32024年4月使用分(5月検針分)まで2024年5月使用分(6月検針分)1.8円/kWh0.9円/kWh7.5円/m3※家庭及び年間契約量1,000万m3未満の企業等が対象
電気・ガス価格激変緩和対策事業について/資源エネルギー庁 より筆者作成

手元にある筆者の自宅の「電気・ガス使用料のお知らせ」に、たしかに「請求金額は政府支援ガス15円/m3電気3.5円/kWhを値引きしています」と記載されていた。

請求金額は、5月使用分で上がり、6月使用分以降はそれがさらに上がるということだ。筆者は自宅で仕事をしているので、電気をたくさん消費するため、特にこれからの電気代の請求金額が気になるところだ。

7割以上が、電気料金の引き下げ措置が終了することを知らない!

一条工務店が、2024年3月に全国の男女897名を対象に「家庭の電気料金に関する意識調査」を実施した。「政府が実施している『電気・ガス価格激変緩和対策事業』による電気料金の引き下げが2024年5月使用分で終了することを知っていますか?」と聞いたところ、実に72.9%が「知らない」と回答した。

出典:一条工務店「家庭の電気料金に関する意識調査2024」

出典:一条工務店「家庭の電気料金に関する意識調査2024」

知らないという人たちは、6月以降の電気代やガス代を見て、驚くことだろう。この調査で、「電気料金の引き下げが行われなくなる2024年6月以降、家計に不安を感じていますか?」と聞いたところ、「とても感じる」が60.1%、「やや感じる」が34.3%で、合わせて9割以上が家計に不安を感じるという結果になった。

家計を圧迫する電気代の高騰、節電はしているけれど…

実は、一般家庭で値上がりによる家計の影響を最も受けているのは、ガス代よりも電気代だ。調査で「物価上昇によって、家計で最も影響を受けているのは何ですか?」と聞いた結果を見ると、ガス代の7.5%よりも、食費の36.8%よりも、電気代の42.3%が一番多いのだ。

出典:一条工務店「家庭の電気料金に関する意識調査2024」

出典:一条工務店「家庭の電気料金に関する意識調査2024」

その結果、「冷房や暖房を使うのを我慢」したり(「とても我慢する」10.9%「やや我慢する」49.6%)、「日常的に節電」したり(「している」70.0%)、しているのだ。

具体的には、過半数の人が「照明をこまめに切る」、「衣類で温度調節をする」、「エアコンの設定温度・角度を調整する」といったことをしていた。

出典:一条工務店「家庭の電気料金に関する意識調査2024」

出典:一条工務店「家庭の電気料金に関する意識調査2024」

電気代を節約するために、住宅でできることとは?

節電のためのさまざまな工夫をしている家庭が多いことが分かったが、工夫だけではなかなか節約できない場合もあるだろう。一時的に費用はかかっても、住宅のほうを変えることで、より多くの節電ができる場合もある。

まずは、「省エネ住宅」や「ゼロエネルギー住宅」への改修だ。住宅を断熱材でしっかり覆い、熱の出入りが激しい窓まわりの省エネ性を高めると、エアコンの冷暖房の効果が高まる。さらに費用はかかるが、太陽光発電などの設備を搭載し、それを蓄電池に溜めるなどして、電力会社の電気にあまり頼らない生活をするという方法もある。

調査結果でも、「省エネ住宅」(70.1%)、「太陽光発電」(67.7%)、「蓄電池」(67.9%)のそれぞれにとても興味があると回答していた。

もっと手軽にできるのが、家電を省エネ性の高いものに買い替えることだ。実は筆者もエアコンの買い替えを検討している。なぜいま検討しているかというと、補助金が出るからだ。

たとえば、東京都では、省エネ性の高いエアコン、冷蔵庫、給湯器、LED照明器具に買い替えた都民にポイントを付与する「東京ゼロエミポイント」を実施している。現行のゼロエミポイントは、2024年9月30日までが対象だが、10月以降はさらに拡充される予定となっている。ポイント付与から、登録店舗で直接購入額から値引きされる形になり、使い勝手も変わる予定だ。

現行の東京ゼロエミポイント(2023年4月~2024年9月対象)では、対象商品であれば、エアコンで9000ポイント~2万3000ポイント、冷蔵庫で1万4000ポイント~2万6000ポイント、給湯器で1万2000ポイント、LED照明器具で4000ポイントなどが付与される。ポイントは、商品券とLED割引券に交換できる。

こうした補助金は東京都に限ったことではない。ヤマダ電機の「省エネ補助金制度対象市区町村一覧」というサイトを見ると、多くの自治体で、省エネ家電の買い替えに対する補助金の制度があることが分かる。今はカーボンニュートラルが求められているので、家電だけでなく、太陽光発電などの発電設備、エネファームなどの家庭用燃料電池、節水トイレや節水シャワーヘッドなどの節水設備、処理場の焼却時の省エネになる生ごみ処理機などに対する補助金などもあることが分かる。

補助金の制度は、予算枠に達すると申請受付が打ち切りになったり、制度内容が変わったりするので、自分が住む自治体に省エネに対するどんな補助金があるか、自分で調べることをおススメする。

古い家電を使い続けるよりも、省エネ性の高いものに買い替えたほうが、電気代が削減できることも多いし、新しいものほどさまざまな機能が搭載されているので、使い勝手もよくなる。同様に、古い住宅に住み続けるよりも、省エネ性を高める改修をするほうが、省エネでかつ快適に過ごせることも多い。

一時的に費用がかかるうえ、家電販売店やリフォーム会社に行って詳細を決める手間がかかったりはするが、長期的に節電になるという効果もあるので、電気代高騰への対応策として一度検討してはいかがだろう。

●関連サイト
一条工務店「家庭の電気料金に関する意識調査2024」結果を発表
東京都「東京ゼロエミポイント」
ヤマダ電機「省エネ補助金制度対象市区町村一覧」

秘密のアトリエ店舗を清澄白河に

所在地:江東区平野
11万円(税込) / 25.3平米
半蔵門線・都営大江戸線「清澄白河」駅 徒歩7分

すぐ近くに東京都現代美術館、BBQ広場のある木場公園。清澄白河駅から徒歩7分の住宅街にあるビルの一角が今回ご紹介する物件。



1階には自家醸造ビールと海外ブルワリーのクラフトビールが楽しめる「Folkways Brewing」。建物前の置かれたベンチで開放的に飲むことができます。 ... 続き>>>.
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限りある、この景色

所在地:目黒区目黒
23万円 / 76.2平米
山手線・東急目黒線「目黒」駅 徒歩18分

スカッと抜けた気持ちの良い眺望に「ここ、いいなぁ」と、思わず漏れるひとりごと。



近くに建物がなく、目線が気にならないので、カーテンをあけたまま過ごせそう。窓によってはその先に緑が広がります。



ただ、まず最初にお伝えしておきたいのは、3年間の定期借家契約で再契約はできないこと。 ... 続き>>>.
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公園前で暮らす、働く

所在地:新宿区高田馬場
9万5,000円 / 30平米
東西線「高田馬場」駅 徒歩2分

公園の前に立つレトロマンションの2階部分のご紹介です。用途は住居または事務所として。



室内はリフォームされたばかりのため、設備類などはほとんど新品です。バルコニーに出れば、ほっこりした雰囲気の公園が見え、なんだかホッとします。



ピスタチオのような緑の壁は、室内からもチラッと見 ... 続き>>>.
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西池袋の谷に住まう

所在地:豊島区西池袋
15万7,900円 / 65.97平米
山手線「池袋」駅 徒歩7分

「西池袋(ニシイケ)」のビル群にある「谷(バレイ)」という意味で「ニシイケバレイ 」と名付けられたこの場所は、飲食店やシェアキッチン、コワーキングスペースなど、多様な空間とサービスが集積する場所です。



その一角に立つのが、今回ご紹介する全84戸からなる14階建のマンション。10 ... 続き>>>.
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美しき丘の上-天高5m-

所在地:品川区上大崎
227万2,727円 / 395.45平米
山手線・南北線・東急目黒線「目黒」駅 徒歩8分

大使館や高級住宅が並ぶ花房山エリア。都内でも指折りの高台に位置する、美しい建物。周辺は豊かな緑に恵まれ、遠くまで見晴らすことができる眺めもまた優雅。



室内はどこをとっても上品で美しく、それぞれの個室にテラスが設けられているので、居心地の良さと安心感が得られます。



その中でも特 ... 続き>>>.
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グレイッシュに魅せられて

所在地:世田谷区玉川
9万9,000円 / 30.24平米
東急田園都市線・東急大井町線「二子玉川」駅 徒歩6分

二子玉川駅のほど近く。2016年にリノベーションされた、ひとり暮らしにちょうど良さそうなワンルームです。



ピンクがかったグレーに塗装された壁や天井にイタヤカエデの無垢フローリング。グレーの壁からはクールな印象を受けることが多いのですが、絶妙な色のバランスが主張しすぎず、ナチュラ ... 続き>>>.
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「神山まるごと高専」企業70社以上の支援受け”奇跡の田舎”に開校。支援者や地元民「町のダイバーシティが拡大」「他校の生徒にも影響」など刺激に 徳島県神山町

「神山まるごと高専」(理事長・寺田親弘/Sansan(株))が、徳島県神山町に開校して1年が経った。「モノをつくる力で、コトを起こす人」の育成をミッションに掲げ、各界からも注目されている新設の高等専門学校だ。全寮制であるがゆえ、現在(2024年2月)一期生約40人が神山に暮らしながら学んでいる。さまざまなまちおこしの取り組みを経て「奇跡の田舎」と呼ばれる神山町に、この学校の存在と学生たちはどのような刺激を与え、まちにどのような変化を生み出しているのだろうか。学校に出資・寄付した起業家や街の人など、学校周辺の人々に話を聞いた。

海外との交流をベースに「よそもの」を受け入れる素地を醸成

徳島市西部と隣接しているとはいえ、ベッドタウンとは言い難い自然豊かなまち、徳島県神山町。2023年3月、このまちに「神山まるごと高専」が開校した。まちおこしの好モデルとして知られる地に、また新たな話題が生まれた背景には、これまでの取り組みで築き上げてきた、しっかりとした土台があるようだ。

神山まるごと高専の講義・研究棟「OFFICE」。町産材「神山杉」をふんだんに使用している(画像提供/神山まるごと高専)

神山まるごと高専の講義・研究棟「OFFICE」。町産材「神山杉」をふんだんに使用している(画像提供/神山まるごと高専)

大講義室(写真撮影/藤川満)

大講義室(写真撮影/藤川満)

1955(昭和30)年の市町村合併で生まれた神山町は、当時人口約2万人。その後全国の地方同様に人口が減り続け、現在は約4700人(2024年3月1日時点)。それでも2011(平成23)年度には町政始まって以来、転入者が転出者を上回る社会増となった。同町ホームページによると、その後高齢化による自然減は続いているものの、今でも年によっては社会増になり、町外との交流が活発であることが分かる。

その要因となったのは国内外のアーティストを招き町内で創作活動をしてもらう「神山アーティスト・イン・レジデンス(以下、KAIR)」と大都市にある企業のサテライトオフィス進出による起業家の転入の影響が大きい。

最大のきっかけは、1997(平成9年)に始まり、99年から恒例となったとは、毎年8月末から2カ月間、国内外3~5名のアーティストが神山に滞在。あくまで住民との交流や滞在して創作することに重点を置く。

今や全国各地で行われているアーティスト・イン・レジデンスだが、単に有名アーティストを招待するだけのものも少なくない。KAIRの場合、予算もなかったため、「お遍路の<お接待精神>でアーティストの満足度を高めること」に照準を合わせたのが功を奏した。

その後、2001年の招聘アーティスト2名が神山町に移住する。それ以外のアーティストもアンケートで「条件さえ整えば、自費でも神山に来たい」という意見があり、2004、2005年には試験的に自費滞在を実施。2009年には本格的に自費滞在プログラムを開始する。これにより「よそもの」が神山に足を運び、根付いていく流れが加速。そして2004(平成16)年、神山国際交流協会を母体に「NPOグリーンバレー」が誕生する。

神山アーティスト・イン・レジデンスの様子。Luz Peuscovich《The Cloud》KAIR2022作品展覧会アートツアー(画像提供/NPOグリーンバレー)

神山アーティスト・イン・レジデンスの様子。Luz Peuscovich《The Cloud》KAIR2022作品展覧会アートツアー(画像提供/NPOグリーンバレー)

アーティストから起業家の移住を後押ししたデジタル化

2005(平成17)年、神山町に光ファイバーの高速インターネット回線が整備され、その3年後にグリーンバレーが主体となりウェブサイト「イン神山」を開設。同サイトに「神山で暮らす」という空き家の物件情報を紹介するコンテンツを設けたことも大きかった。それは単なる物件紹介ではなく、「この物件は〇〇屋さん向き」など、神山町にこれから必要となる仕事と結びつけた移住者を募集したのだ。

この発信が見事に当たり、移住者が徐々に現れてきた。「神山に移住したいけど仕事がない」を逆手に取り「仕事やスキルを持っている人に神山へ移住してもらう」という考えを「ワーク・イン・レジデンス」と名付け、クリエイターが安価に滞在できるオフィス開設などにも着手していき、企業誘致の土壌も整えていった。

そして2010年(平成22年)、神山に名刺管理のクラウドサービスを行うSansan(株)が、サテライトオフィス第1号となる「Sansan神山ラボ」を開設する。その後も働き方改革やコロナ禍の影響もあり、神山町にサテライトオフィスを開設する企業が増え、現在16社が稼働している。

前置きが長くなったが、神山町がこれまで辿ってきた道を紹介した。まず海外との交流を経て、よそものアレルギーを緩和し、デジタル化の波に乗りターゲットを絞った移住の情報発信。移住者にも抵抗のない環境とデジタルインフラの存在は、サテライトオフィス進出を後押しした。その一連の流れの延長線上に高専開校が浮かび上がってきた。

元縫製工場をリノベーションし2013年にオープンした「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」。サテライトオフィスやコワーキングスペースとして利用できる(写真撮影/藤川満)

元縫製工場をリノベーションし2013年にオープンした「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」。サテライトオフィスやコワーキングスペースとして利用できる(写真撮影/藤川満)

高専により神山のダイバーシティが更に拡大している

「これまで神山には、移住したアーティストやクリエイターたちはたくさんいましたが、高専ができたことで、さらにこのまちのダイバーシティが広がっているように感じます」と語るのは、(株)プラットイーズのサテライトオフィス「えんがわオフィス」の代表・隅田徹さん。配信や放送に関わるシステムなどを提供する同社は、2013年に神山へ進出してきた。

隅田さんは町内にある築100年の古民家を改装しサテライトオフィスとしてリノベーションし活用している(写真撮影/藤川満)

隅田さんは町内にある築100年の古民家を改装しサテライトオフィスとしてリノベーションし活用している(写真撮影/藤川満)

神山にオフィスを開設するにあたって、決め手となったのは「地域のゆるさ」。他に候補となった自治体よりも神山町は補助金も少なく、経済的メリットはあまりなかった。とはいえ補助金は、いつかは打ち切られるもの。長期的な視野で見ると、働く若者が居心地よく過ごせる環境があるかが重要だった。

「開設を検討していた当時、例えば地域の行事への参加義務などを課した自治体もありました。神山町の場合、それらはすべて自由参加。びっくりするほど田舎の掟がゆるい。『ここに骨を埋めろ』というような、若者にプレシャーになることは言われなかった」

そんななか高専ができるという話を聞き、「大手スポンサーには及ぶまでもないが身の丈にあった」寄付をした。「私達の仕事からすれば、教育というのは最も縁遠い存在かも知れません。ただ中身より『なにか新しいことをやってやろう』というポジティブな人たちが、このまちには圧倒的に多い」。高専に強い期待を抱いていたわけではないものの、チャレンジを後押しする思いが寄付につながった。

開校を機に目に見えて起きた変化のひとつに、ダイバーシティの広がりを挙げた隅田さん。学生はもちろん、教員やスタッフなど県内外から新たな人たちが、このまちのメンバーになった。そして学生の親も少なくとも一度は神山を訪れる。「共同経営している宿の稼働率も上がりましたよ(笑)」と経済効果も実感しているようだ。

「全国から来た学生が神山で生活しているのを見ると、時代の変化を感じますね」。実際、学生たちと触れ合い、驚くことも多いという。「部活でロボットコンテストに出場する600万円の資金を、チーム一丸となって集めようとする姿勢はすごいと思いましたよ」

かつての部活は、学校からの予算や寄付の中でやりくりしてきた。その枠を越えた取り組みに、隅田さんは資金調達や組織運営のノウハウをアドバイスしているという。

一方では、「なにもない田舎なので、かつてのゲームセンターが不良のたまり場だったような、危険な場所や危ない人に触れることが少ない。危機察知能力も磨く必要があるのでは」と優秀で純粋な学生たちに危惧を抱くこともあるという。「そんな場所をあえてつくる必要はないけれど(笑)」と笑いながら語る姿から、この一年を概ね肯定的に捉えていることが感じられた。

神山まるごと高専の学生が主催する町民報告会で地元住民と意見を交換し合う(画像提供/神山まるごと高専)

神山まるごと高専の学生が主催する町民報告会で地元住民と意見を交換し合う(画像提供/神山まるごと高専)

他校にも影響を与え、「教育のまち」の横顔が加わりつつある実感

神山に生まれ育ち、町内で金物店を営む佐藤英雄さんは1991年以降、30年以上神山の活性化に取り組んできた一人だ。現在は金物店の経営と共にグリーンバレーの理事や地元商工会の会長を務める。そんな佐藤さんに、生粋の神山っ子としての一年を振り返ってもらった。

金物だけでなくプロパンガスの配達や日用雑貨まで扱う佐藤英雄さんは、神山町内の隅々まで知り尽くしている(写真撮影/藤川満)

金物だけでなくプロパンガスの配達や日用雑貨まで扱う佐藤英雄さんは、神山町内の隅々まで知り尽くしている(写真撮影/藤川満)

「高専ができる以前、神山にある徳島県立城西高校神山分校(旧徳島農業高校)の統合、路線バスの撤退の話が進んでいました。これは神山にとって大打撃になる。町として学校がなくなることは、なんとしても避けたかった」とかつての危機的状況を振り返る佐藤さん。町や町民の努力で幸いにして分校消滅は免れ、教育への関心が高まっていた前後に、新しい高専設立構想を耳にした。

「アートとテクノロジーの融合というコンセプトは、これまでのKAIRの経験から『できないことはない』と思いました。批判的な意見がなかったとは言えませんが、私は『神山のために面白いことをやろう』と考えがあったので」

その後、寮の改装や校舎建築が始まると、住宅設備などさまざまな備品を納品する業者としても関わった佐藤さん。しかも神山に精通するために、教員やスタッフの住居の確保や整備など、生活面での相談にのることも多かったという。

隅田さんと同じく、開校後のまちを若い人が闊歩する姿を喜ぶ佐藤さん。直接的な学生との交流はさほど多くないものの、自分よりも若い教員やスタッフとの交流は「楽しい」と微笑む。もちろん学生主催の報告会やイベントには足を運ぶようにしている。

高専だけでなく、佐藤さんにとっては城西高校神山校も大切な存在。「存続が決まってから、環境デザインや食農プロデュースなどが新設され、地域の人との交流などユニークな取り組みを始めました。それが評価され、今や町外から進学する学生が9割と聞きます」

高専開校と神山分校の影響により、教育に関心のある人の移住者が増えた印象を受ける佐藤さん。神山町はアートやサテライトオフィスだけでなく「教育のまち」という側面も加わりつつあるようだ。

もうひとつ佐藤さんが目を細めるのは、高専生と分校生の交流が生まれつつあるということ。「去年の地域のお祭では、両校の生徒が一緒になって参加しました。分校生も高専に刺激を受けて、パワーアップしているようですね」

神山で暮らす高専生はまだ一期生のみ。高専が注目を集めたことで、それが学生たちにプレッシャーとなっていないかを憂慮する佐藤さん。やや過熱気味だった周囲の環境が落ち着く2年目以降が、佐藤さんには気がかりだ。つまり神山が故郷である佐藤さんにとって、ここで5年間暮らして、その後どう神山と関わるのかが、関心事のひとつでもある。

「授業の内容は詳しくわかりませんが、アーティストやクリエイターだけではなく、神山には知られざる名人がたくさんいます。例えば魚捕りの名人とか。そんな人達との交流をもっと深めて、卒業後は神山を『第2の故郷』と言ってもらえるよう、大好きになってもらいたい」

移住者と地元を代表する二人の話を聞いた限りでは、高専開校は神山にとって好ましい影響を与えているようだ。しかし、背景の異なるさまざまな人が暮らしていくと、いろいろと問題が起こることもあるだろう。それを乗り越えることで、さらにより良き方向へ進むことに期待するべきと考えたい。そして卒業生が活躍し始める頃、神山町の存在感はどれほど大きくなっているのだろうか。

●取材協力
神山まるごと高専
NPO法人グリーンバレー
株式会社えんがわ

ウッドデッキとリノベーション

所在地:世田谷区給田
15万6,000円 / 50.74平米
京王線「千歳烏山」駅 徒歩9分

雰囲気良くリノベーションされた空間に、ゆとりあるウッドデッキという、うれしいオマケがついてくる部屋。



まずはこの物件の注意点から。1階で目の前の道路はある程度車が通るため、窓を閉めていても車の通行音が聞こえます。たまにトラックが通るときはそれなりに音がするので、あまり音に抵抗が ... 続き>>>.
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ゆったりのんびり木々(もくもく)と

所在地:千葉県松戸市新松戸
2,199万円 / 78.44平米
武蔵野線・常磐線「新松戸」駅 徒歩17分

★価格が下がりました★



部屋に入るとまず目に飛び込むのは、リビングの窓からの印象的な緑。



そう、物件自体は総戸数508戸のビッグコミュニティ。A〜Dまで4棟からなるマンションですが棟と棟の間に距離があって、そこには大きく育った木々たちが立ち並び豊かな空間が広がります。お部屋は ... 続き>>>.
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東長崎パーマカルチャー

所在地:豊島区長崎
14万7,000円 / 46.5平米
西武池袋線「東長崎」駅 徒歩3分

多国籍な来客でいつも賑わう大人気カフェ「MIA MIA」や、イタリアンレストラン「Cadota」、チョコレート専門店の「カカオ工房トリビュート」、アパートの一室でオープンした「こころの本屋」など、近年ユニークなショップのオープンが続く、東長崎。



八百屋、魚屋、惣菜屋など昭和の懐 ... 続き>>>.
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太子堂の顔になる -路面店舗-

所在地:世田谷区太子堂
11万円(税込) / 15.4平米
東急田園都市線・世田谷線「三軒茶屋」駅 徒歩7分

三軒茶屋駅から茶沢通りを北上して、商店街脇を曲がった先の角地にある、木製の外観とウッドデッキが印象的な小さな路面店舗。太子堂の街の一角の雰囲気を素敵なものにしてくれる方を募集します。



せっかく木製サッシが大きく開口することで道路とつながった印象のある空間なので、事務所ではなく、 ... 続き>>>.
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北海道移住は上士幌が最熱! 人口約5000人にV字回復。新しい人生見つけた3組のストーリー

北海道にある人口約5000人の町、上士幌町。2016年以降人口V字回復に成功し、半世紀ぶりの奇跡と話題になった十勝エリア北部に位置する小さな町です。
注目なのは「道外」からの転入者が多いこと。縁もゆかりもない地域で、仕事や住まいのあてはどうしたのか、決断の背景に何があるのか? 東京都、岡山県、静岡県と各地から同町へ移住した3組にインタビューしました。

道内移動が多いエリアで“道外”移住者が続々と集まる北海道・上士幌町(画像提供/渥美俊介さん)

北海道・上士幌町(画像提供/渥美俊介さん)

2023年の十勝全体の転入は、道内からが5294人に対し、道外からは2702人。道内の人口移動が倍近く多いことがわかります。(北海道人口ビジョン改訂版のオープンデータより)
一方、その十勝エリアにあって、上士幌町は道外からの移住者が道内からを上回る年があります。町勢要覧2022年版(取材時点で最新)では、道内転入者が138人に対し、道外転入者は148人でした。

上士幌では、これまでふるさと納税で確保した財源を「子育て」に集中して充てることで、子育て世帯に魅力あるまちづくりを推進しており、その施策が奏功したことは間違いありません。

■関連記事:
育休中の夫婦、0歳双子と北海道プチ移住! 手厚い子育て施策、自動運転バスなどデジタル活用も最先端。上士幌町の実力とは?

一方、今回インタビューした移住者のうち、子育て中の方は1組のみ。ほかの2組は移住した時点で子育て施策の恩恵を受けられるというわけではありません。なぜ、上士幌町に惹かれたのでしょうか。

妻子と移住した金澤さん。きっかけは、東京で偶然出会った「上士幌の人」だった

インタビュー1人目は、東京23区内から家族3人で移住した金澤一行(かなざわ・かずゆき)さん(43歳)。金澤さんは大学院を卒業後にシンクタンク、大手情報サービス企業を経て起業しています。

東京から移住した金澤さん(写真撮影/米田友紀)

東京から移住した金澤さん(写真撮影/米田友紀)

都内でシェアオフィスに入居していた際、2つ隣のブースを借りていて「ご近所さん」だったのが、上士幌町役場でした。都内で役場の職員と出会ったことが、上士幌へ足を運ぶきっかけになりました。

上士幌では地方創生プランの中で「人の都市・地方循環による地域活性化」を柱の一つに掲げ、都市と地元の人的交流による新しいつながりをつくることに積極的に取り組んでいます。金澤さんと役場職員の出会いは、上士幌が戦略的に設けた施策でもあったわけです。

町はNPO法人上士幌コンシェルジュと連携し移住総合案内窓口を開設。コンシェルジュが常駐し、いつでも相談ができる環境を整えるなど移住施策に10年以上取り組んできました。
さらに多くの地域で活用される地域おこし協力隊制度のほか、若者層には1カ月滞在型プログラム「MY MICHIプロジェクト」、都市部人材が働きながら宿泊し周辺地域と関わる「にっぽうの家」、地元企業と都市部人材をマッチングする「かみしほろ縁ハンスPROJECT」、ワーケーションで町に訪問した人の子どもも活用できる「保育園留学」など、幅広い世代が町との接点を持ち、人との出会いを生む仕組みをつくっています。

実際に町に訪れた金澤さんは、眼前に広がる十勝平野に魅了されます。

牛2000頭が放牧されるナイタイ高原牧場では大パノラマで十勝平野を見渡すことができます(画像提供/金澤一行さん)

牛2000頭が放牧されるナイタイ高原牧場では大パノラマで十勝平野を見渡すことができます(画像提供/金澤一行さん)

「十勝の風景は多くの人がイメージする北海道のイメージそのものです。それでいうと、移住先が絶対に上士幌でないとダメだったわけではなく、北海道のどの町でもよかったわけです。北海道で偶然に最初に足を踏み入れたのが上士幌だった。そこで農業や酪農をしている友達ができて、ここに住めたら最高だなと思うようになりました」(金澤さん)

金澤さんが移住したのは2022年。前述したようにその6年前ほどから町の地方創生戦略により移住者が増えていた上士幌では、新しい人を受け入れる風土が培われていました。過度に干渉されることはなく、和やかな人間関係が築けているといいます。

「北海道への憧れ」という道内全体のブランド力を上手に活用し、子育て世帯、若者、シニアなど北海道に関心があるさまざまな層と「北海道の上士幌」として接点をつくる。そして地域の自然の豊かさで心をわしづかみにし、交流や関係構築のチャレンジを続けることで地道に人を地域に呼び寄せています。

オフィスワークを中心とする仕事に従事する人が利用する、かみしほろシェアオフィス。畑に面した眺望は設備投資なくオフィス緑化効果が得られるようなもので、ストレスとは無縁に働けそうです(画像提供/金澤一行さん)

オフィスワークを中心とする仕事に従事する人が利用する、かみしほろシェアオフィス。畑に面した眺望は設備投資なくオフィス緑化効果が得られるようなもので、ストレスとは無縁に働けそうです(画像提供/金澤一行さん)

(画像提供/金澤一行さん)

(画像提供/金澤一行さん)

多様性は田舎にある

金澤さんが移住してきた当時、お子さんは小学5年生。都内で暮らしていれば中学受験の選択肢が挙がってくる年齢です。
「育児」に焦点をあてると、田舎のアドバンテージは幼少期にあると感じる人が多いです。7都府県・指定都市・中核市に比べて待機児童数が少なく保育園等が利用しやすい点、また自然豊かな地域でのびのびと子育てすることに魅力を感じるためです。

馬や牛と至近距離で暮らせる地域でもあります(画像提供/金澤一行さん)

馬や牛と至近距離で暮らせる地域でもあります(画像提供/金澤一行さん)

一方、育児から教育に保護者の関心事が移行してくるのが、小学校高学年を迎えるころ。進路を検討しはじめる時期になると、都市部での進路選択肢の多さが魅力に感じるようになってきます。
お子さんの教育環境が気になる時期にあえて地方へ向かった金澤さん。そこにはどのような理由があったのか聞きました。

「僕は田舎の環境の方が、多様性が育まれると感じているんです。都市部の学校では人数が多いクラスの中で仲が良い子ども同士で小さなグループができて、クラス替えがあればまた同じように気の合った者同士だけのグループができていくでしょう。さらに一定数は小、中学受験で別のグループに所属していく。保護者の所得などで格差が発生した結果であり、僕の経験上ではどうしても同質になりがちなのではないかと感じていました」(金澤さん)

地方では受験は高校からが一般的であり、小・中学受験で地元の公立学校を離れる人はごく少数です。しかも限られた児童数のため、さまざまな個性がチームとなる濃い人間関係が築かれやすいといえます。

「田舎は家庭環境や価値観が似てる似てない関係なく、まぜこぜで過ごさざるを得ない。やんちゃな子もいるし、大人しい子もいる。陰キャも陽キャも、学校に集まれば一緒に活動する。自分と個性が違う相手を尊重することが経験として積めるのではないでしょうか」(金澤さん)

上士幌では町に小学校が1校で1学年が40人前後。1学年2クラス編成が多くクラスメンバーが入れ替わりながら、教員や保護者の目が行き届く規模感で数十人の子どもたちが一緒に学んでいきます。

金澤さんのお子さんはやってみたかった乗馬など新しいチャレンジもしているそうです(画像提供/金澤一行さん)

金澤さんのお子さんはやってみたかった乗馬など新しいチャレンジもしているそうです(画像提供/金澤一行さん)

すみかの決め手はコスパじゃない

現在、上士幌は人口増加に伴い、住居が供給不足気味で賃貸物件の家賃が高めだといいます。金澤さんは移住を決めてからの物件探しが大変だったそう。SUUMOで毎日更新情報をチェックし、条件に合う空室が出たところで、ネットで即申し込んだといいます。どうやら田舎は住居費が安いというイメージは必ずしも当てはまらないようです。

「仕事上の合理性で考えたら新幹線で都内へアクセスしやすく、家賃も安い本州の地方エリアも選択肢でしょう。でも、暮らす場所とはコスパやスペックで解決するものではない気がしています。関わるうちに町が好きになり、自分にとって唯一無二の大切な町になっていきました」(金澤さん)

金澤さんは現在、小中学生向けの無料学習会を開催しています。偶然の縁から暮らすことになった上士幌で自分が役立てることは何かを考え、教育面で貢献したいと行動しています。
2年前に引越してきた金澤さんですが、上士幌を「わが町」と言い、町民としての意識が芽生えている姿が印象的です。

じゅうたんを敷きつめたような牧草地の風景。たしかに理屈ぬきに見惚れてしまいます(画像提供/金澤一行さん)

じゅうたんを敷きつめたような牧草地の風景。たしかに理屈ぬきに見惚れてしまいます(画像提供/金澤一行さん)

中野さんは「まず行ってみよう」と単身、岡山からやってきた

インタビュー2人目は岡山県倉敷市から移住してきた中野可南子(なかの・かなこ)さん(28歳)。
中野さんは岡山県で保育士をしていた25歳の時に転職を検討し、上士幌町の地域おこし協力隊としてやってきました。転職=移住と、住む場所を変えてみたいと考えていた中野さん。望んでいたのは自然豊かな場所だったそうで、瀬戸内地方の離島なども候補に挙げ、実際に訪れていました。
上士幌は姉が地域おこし協力隊として先に移住をしていたことで、何度か遊びに来ていて縁ができたそうです。

岡山から移住した中野さん(写真撮影/米田友紀)

岡山から移住した中野さん(写真撮影/米田友紀)

「北海道への憧れが強く、住んでみたい気持ちがありました。小学生のころにサマーキャンプで道内を訪れた原体験があり、ペンション、馬、景色とどれも印象に残っていたからです。転職するなら北海道がいいなというなんとなくの希望はありましたが、絶対に上士幌がいいと思っていたわけではなくて。でも地域おこし協力隊として移住すれば、住居面はサポートしてもらえるという点は大きかったです」(中野さん)

インタビュー1人目で金澤さんが住まい確保の難しさを語っていましたが、中野さんの場合は地域おこし協力隊として着任することで住居を紹介され、家賃補助があったそう。仕事が決まる=住まいが決まるという点で、スムーズに進んだようです。
中野さんは金澤さんと同じように、町に住む人との出会いが魅力だと話します。
「移住した人、元から住んでいた人にかかわらず、すぐに仲良くなってくれます。地域の飲み屋さんでも祭りでも、どんどん話しかけてくれて、打ち解けることができました」(中野さん)

移住者、ワーケーション中の人たちとの焼肉。北海道で「焼肉」というとバーベキューを指します(画像提供/中野可南子さん)

移住者、ワーケーション中の人たちとの焼肉。北海道で「焼肉」というとバーベキューを指します(画像提供/中野可南子さん)

20代の中野さんは仕事や住まいを変えるという面では身軽であるともいえます。それでも知り合いがほとんどいない北海道の田舎町に単身やってくることに不安はなかったのか。質問すると、こんなことを教えてくれました。
「海外へ飛び立つような感覚だったのかもしれません。国内ですが、北海道はまったくの異世界に来られる感覚がありました。温泉もサウナも、美味しい食べ物も。盛りだくさんに楽しめる新しい世界に、ワクワクしてやってきました。やってみたいと思う仕事がある、住まいもある。まずは行ってみようと、勢いで決めましたね」(中野さん)

マイナス20度にとまどう

岡山から上士幌へ引越して驚いたのは、「寒さ」。北海道の中でも雪が少ないエリアであり暮らしやすそうだと感じていたものの、冬にはマイナス20度まで気温が下がることがあります。

マイナス20度という数字だけを聞くと恐れおののきますが、足を踏み入れたら案外何とかなるもの。想像より体験してみると自分の世界が広がりそうです(画像提供/中野可南子さん)

マイナス20度という数字だけを聞くと恐れおののきますが、足を踏み入れたら案外何とかなるもの。想像より体験してみると自分の世界が広がりそうです(画像提供/中野可南子さん)

想像以上の極寒に初めの冬はとまどったものの、町で暮らして3年が経ち、中野さんは今年3月に地域おこし協力隊の任用期間を満了。4月から子どもや親子向けアクティビティ、キッチンカー営業など町内に住みながら起業する計画です。

異国へ足を踏み入れるような強い好奇心と勢いで町にやってきて3年。助けてくれる人が町の中に多くいるのでなんとかなっている、といいます。中野さんはこの町で次なる挑戦に踏み出しています。

気球に乗っているのは中野さん。冬に乗せてもらった貴重な体験だったそう(画像提供/中野可南子さん)

気球に乗っているのは中野さん。冬に乗せてもらった貴重な体験だったそう(画像提供/中野可南子さん)

県庁勤務だった渥美さん妻。夫は会社を辞めてやってきた

最後に話を聞いたのは2年前に静岡県浜松市から移住した渥美俊介(あつみ・しゅんすけ)さん(35歳)、緑(みどり)さん(35歳)夫妻です。夫の俊介さんは現在配送業に従事し、妻の緑さんは地域おこし協力隊としてまちづくり業務に携わっています。

静岡から移住した渥美さん夫妻(写真撮影/米田友紀)

静岡から移住した渥美さん夫妻(写真撮影/米田友紀)

静岡在住時、俊介さんは建築関連の仕事に従事し、緑さんは県庁に勤める公務員でした。二人にとって地元であった静岡での安定した仕事を辞め上士幌にやってきました。
もともと「移住してみたい」と話していたという二人。希望していた移住先は、似たような街並みが続く地方都市ではなく、自然豊かな土地でした。
金澤さん、中野さんと同様に、北海道に良いイメージを持っていたという渥美さん夫妻。転機となったのは2021年8月に初めて十勝エリアに旅行にいった時のことでした。

「宿泊した帯広のホテルのダイニングバーで地元の人が向こうから話しかけてくれて、心地よかったんです。当時はまだコロナ禍による制限を気にする時期だったので、“よそ者”であることに遠慮しながら旅していたのに、すごく気さくに話してくれて。十勝、いいな!と思っていたところで、オンラインで上士幌への移住セミナーがあり、参加したことが上士幌への入り口になりました」(緑さん)

(画像提供/渥美俊介さん)

(画像提供/渥美俊介さん)

県庁に勤めていたことからまちづくりに関心があったという緑さん。移住セミナーで紹介された地域おこし協力隊としてのミッションに強く惹かれました。しかも、協力隊ならば住む家もサポートされます。「いいじゃん、やってみよう」と、俊介さんも賛成し、2人で移住を決めました。

妻の緑さんは協力隊としての仕事が決まっていましたが、俊介さんは会社を辞めて次の仕事は決めずに上士幌へ。当時勤めていた建築会社からリモートワークで継続して業務にあたる提案もあったといいます。
「生計を立てる面で勤め先からの提案は大変ありがたかったのですが、一度リセットして自分のやりたいことを見つめ直したいと思いました。この町で自由に考えて、行動するなかで、これからの仕事で自分は何を軸にしたいのか、考えたかったんです」(俊介さん)

10年勤めた県庁を先に退職した緑さんを俊介さんが家計面で支えたこともある。二人で生きるからこそお互いやってみたいことに挑戦しながら、協力できる体制だといえます(画像提供/渥美俊介さん)

10年勤めた県庁を先に退職した緑さんを俊介さんが家計面で支えたこともある。二人で生きるからこそお互いやってみたいことに挑戦しながら、協力できる体制だといえます(画像提供/渥美俊介さん)

地元の友人たちは、今生の別れモード

俊介さんは上士幌でキャリアを見つめ直し、現在は惣菜店の開業を目指し今年度中に起業する準備を進めています。もともと好きだった料理やお菓子といった食分野の仕事をしたいと考えたことと、町には自分たちのように働く若い世代が増えているけれど、仕事帰りに気軽にお弁当や総菜が買える店があまりないことから地域の課題を解消したいという思いがありました。

「自然豊かな土地でもうちょっとゆったりとした生活になるのかとイメージしていましたけど、やりたいことをゼロから仕事にしていこうとすると、本当に毎日忙しいです。でも、大変でも苦痛ではないです。
仕事って合理性を考えて最短に突き進む方法が優先されがちですが、この町にはさまざまな可能性があるので合理性優先で最速で進めることは不向きです。自分たちが役立てることで試行錯誤しながら働いています」(緑さん)

配送業と掛け持ちで惣菜店開業に向けたイベント出店や限定カフェも営んでいる(画像提供/渥美俊介さん)

配送業と掛け持ちで惣菜店開業に向けたイベント出店や限定カフェも営んでいる(画像提供/渥美俊介さん)

2人は上士幌にきて2年。脂がのるように地域での仕事に力を注いでいる真っ最中です。
とはいえ、立ち上げようとしている事業に失敗したら……など不安がないのか聞いてみました。
「仕事は2足、3足とわらじを履くパラレルキャリアで進めています。また夫婦でそれぞれ仕事をしていれば、どちらか上手くいかなくても、どちらかが支えればいいという後ろ盾があります。あと、静岡を離れるときは友人たちが、もう会えなくなるけど……と今生の別れモードでしたが、自分たちは重い覚悟で移住を決めたわけではなくて。ちょっと住みにいってみます、というくらいな感覚でした。浜松も好きで、自分たちにとっては帰れる場所があると思っています」(俊介さん)

将来的には浜松との二拠点暮らしも視野に入れたいという二人。2足、3足のわらじでパラレルキャリアを積み、二人で暮らしを支え合い、帰れる場所もある。多くの後ろ盾、お守りのようなものが挑戦を後押ししています。

50年続くバルーンフェスティバル。気球が飛ぶ町というのもワクワクします(画像提供/渥美俊介さん)

50年続くバルーンフェスティバル。気球が飛ぶ町というのもワクワクします(画像提供/渥美俊介さん)

頭の中で勘定しすぎるより、心から願うことを

渥美さんたちに移住を検討している人に伝えたいことを聞きました。
「移住したとしても、しなかったとしても、自分で選択したならそれでいいのではないでしょうか。人に決めてもらうとだれかのせいにしてしまうでしょう」と緑さん。

何か困ったことがあっても十勝の景色を見れば、心満がたされるという(画像提供/渥美俊介さん)

何か困ったことがあっても十勝の景色を見れば、心が満たされるという(画像提供/渥美俊介さん)

「今がタイミングでないなら、整理できてからでもいい。人生は自分のものなのだから、何歳からでも何回だってやってみればいいと思うんです。心から願っていることというのは行動する上でとても大切なことです。頭でそろばん勘定して損得で考え過ぎなくても、案外どうとでもできるものではないでしょうか。直感でもいい、なんとでもなる。だってここは国内で日本語が通じるんで。働きながら、いかようにも暮らしはつくれます」(俊介さん)

ワクワク総数が増え続ける地域

インタビューした3組はさまざまなきっかけを経て上士幌へやってきました。
「きっかけ」は三者三様ですが漠然とした「北海道が好き」な人々を地域に呼び寄せるために、移住策に本腰を入れ、多様なチャレンジを続けてきた地域の必然ともいえる成果なのかもしれません。

上士幌では移住策で投じた取り組みから、ZEH型住宅建設支援や太陽光発電設備導入支援など再生可能エネルギーの普及促進、自動運転バス・ドローンなど次世代高度技術の活用など次なるチャレンジへとコマを進めています。
十勝平野を一望できる牧場「ナイタイテラス」に加え、「道の駅 かみしほろ」が北海道じゃらんの道の駅満足度ランキング2024で1位になるなど、観光分野でも魅力を増やしています。

先端技術や観光に直接関わりを持つ住民ばかりでなくても、ワクワクする取り組みの総数が多いことは、小さな町の誇れる魅力だと住む人たちが感じることができます。
北海道の中でも上士幌に移住者が続々と集まる背景には、こういう地域ぐるみでワクワクの総数を増やし続ける試みがされていることがあるのでしょう。

●参考サイト
北海道 上士幌町

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色を楽しむ -ハーフペイントの家-

所在地:文京区本駒込
12万3,000円 / 31.28平米
山手線「駒込」駅 徒歩8分

ハーフペイントされた壁を、ブルックリンのペイントショップ「ベンジャミンムーア」の塗料で塗り替えしたうえで引渡しを受けられるこの物件。



お住まいいただく前に、数百色もある膨大なカラーチップの中から、お好きな色を決めていただけます。海外製の塗料なので、微妙なニュアンスのスモーキーな ... 続き>>>.
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時代が求めるアウトドアテラス

所在地:杉並区阿佐ヶ谷南
11万5,000円 / 31.61平米
中央線「阿佐ヶ谷」駅 徒歩6分

阿佐ヶ谷の閑静な住宅街に建つ、全2戸の小さな集合住宅の1階部分。



玄関から居室までは階段を数段下がる作りになっているため、居室は2.7mと高めの天井高があり、開放感があります。



リビングの窓の先にはウッドデッキのテラスが広めにとられているため、1階でもプライバシーが保たれてい ... 続き>>>.
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素材が彩るメゾネット

所在地:渋谷区恵比寿南
33万円 / 67.25平米
山手線「恵比寿」駅 徒歩5分

白く塗られたコンクリートの箱に散りばめられた、ガラスや木、ステンレス。多様な素材をふんだんに使いつつ、バランスの取れたデザインにグッとくる部屋です。



恵比寿駅からは徒歩5分ほど、代官山駅からは徒歩7分ほどという好立地にありながら、静かな環境のレトロマンションの一室。



普段多く ... 続き>>>.
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趣味人の欲張りな戸建

所在地:川崎市高津区北見方
17万8,000円 / 63.34平米
東急田園都市線・東急大井町線「二子新地」駅 徒歩16分

車2台分の大きなガレージがつき、ペットも飼える。部分的にリノベーションはしていますが、DIYで更なる改装も可能。そんな欲張りな戸建が募集です。



玄関周りやリビングをグループサイト「toolbox」で3年前にリノベーション。垂れ壁や袖壁をとり、ひとつながりの開放的なリビングになり ... 続き>>>.
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すてきな間借り

所在地:川崎市多摩区栗谷
6万9,000円 / 19.04平米
小田急線「生田」駅 徒歩8分

高台に立つ建築家の自邸。そこへピッタリ寄り添うかわいらしい賃貸部分で気ままに暮らしてみませんか。



山小屋をイメージしてデザインされた空間は、天井高約4.8mと、なかなか普通の賃貸住宅では味わえない高さ。



通りからの視界を遮りながら、光や風を取り込めるように外壁が開口されている ... 続き>>>.
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ニューヨーク人情酒場 寿司職人が攻略対象の乙女ゲー状態な職場! サイケデリック神絵師ヤスさんの琴線に触れたのはあのアーティスト

一見華やかな大都会、ニューヨークでの暮らし。しかし、生活にはお金がかかる!
生活を維持するために多くの移民が働く場所、それは飲食店。
単身やってきたニューヨークで飛び込んだ先は大衆酒場。愉快な同僚と寿司との出会い、そして別れ。
仕事って、生活って、幸せってなんだろう?そんなことを考えながら寿司を巻く日々のこと。

漫画漫画漫画漫画

寿司職人だらけの乙女ゲーみたいな職場

パラグアイ人のオーナー・ルイスが職場に抱えている日本人寿司職人は3名。みなさんとても優しくて話しやすい方ばかり、そして全員が職歴30年以上の大ベテラン。
そんな偉大な方々にもかかわらず、かなりフランクでお互いを思いやっており、職場はとても和やかな環境です。それにしても個性のベクトルが全く違う方向に行き過ぎて、見方によっては乙女ゲーじみた環境ですね(ただし全員60代以上)。

NYにおける日本人コミュニティはとても狭く、同じ業種や年代でお互いを助け合っている節があります。
一度業界に入ると繋がりができるので、仕事を一旦離脱してもその後また同じ業界で何か紹介してもらえるということが大いにあります。
逆に、すごく狭いコミュニティなので噂話は一瞬で広がってしまうともいえるため、日頃の行いには注意が必要です。
まあ、目立った悪いことをしない限りは生きていけると思いますが。

サイケデリック寿司職人ヤスさん

NYで寿司一筋40年以上のヤスさんをブルピジジイとして紹介してきましたが、絵描きなこともあってか、そこはかとなくサイケデリックです。主な議題は宇宙、自然、そして新しい学校のリーダーズ。新しいものに目が向いていますね!

寿司職人さんはみんながみんなトシさんのようにフレンドリーな印象というわけではありませんが、あらゆる意味でヤスさんの存在はかなり稀有(けう)だと思います。それにしても前の職場で一緒に働き始めた時はこんなに長い付き合いになるとは思っていなかったなぁ。

ヤマモトレミ

作者:ヤマモトレミ
89年生まれ。福岡県出身。2017年、勤めていた会社の転勤でニューヨークに移住。仕事の傍ら、趣味でインスタグラムを中心に漫画を描いて発表していたところ、思った以上に楽しくなってしまい、2021年に脱サラし本格的に漫画家としての活動を開始。2022年にアメリカで起業し個人事業主になりました。アメリカで食っていくために寿司をやっていくことを決意し、週4ブルックリンで寿司をつくっています。

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歴史を紡ぐフラット

所在地:港区麻布台
28万5,000円 / 44.3平米
南北線「六本木一丁目」駅 徒歩8分

賑やかな六本木の街からは少し距離を置いた、閑静な住宅街にひっそりと佇む趣きのあるフラット。



1936年に建てられ、2019年に登録有形文化財指定された歴史ある建物の一室を、一部のみ店舗利用も可能な住居として募集させていただけることになりました。



時間の経過によってしか得られな ... 続き>>>.
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そっと寄り添うように

所在地:渋谷区幡ヶ谷
11万5,000~13万円 / 25.05~26.97平米
京王新線「幡ヶ谷」駅 徒歩4分

空へとつながる中庭を中心に、緑に守られているような安心感のある共用部のデザイン。ここで暮らす住人の呼吸が自然と整えられ、植物にも人にも居心地の良さが生まれるよう設計された空間が最大の特徴です。



中長期滞在型のマンションを、豊かな緑に包みこまれた共用部をはじめ、ワークスペース、フ ... 続き>>>.
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気持ちよくて叫びたくなる

所在地:品川区上大崎
14万5,000円 / 44.2平米
南北線・都営三田線「白金台」駅 徒歩7分

気持ちよすぎて叫びたくなりますが、グッとこらえてください。



抜け感ある広いルーフバルコニーに加え、日を遮るものがなく、ぽかぽかと太陽の光が降り注ぐ部屋。明るく心地よい空間にクラクラしてしまいそうです。



部屋はこのマンションの特等席でもある、最上階の角部屋。コの字型のバルコニー ... 続き>>>.
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心地よさが回遊中

所在地:豊島区北大塚
16万円 / 56.81平米
山手線「大塚」駅 徒歩9分

あたたかく降り注ぐ太陽の光、通り抜けていく高台の風。そんな心地よさの「素」が室内を回遊していくように、玄関からぐるっと室内を一周できる間取りにしたのが、この空間のポイント。



2015年に建築家と相談しながらリノベーションした、こだわりの部屋。



家族でゆったりくつろげるようにと ... 続き>>>.
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開放感に、身を任せて

所在地:世田谷区三軒茶屋
12万6,000円 / 36.51平米
東急田園都市線「三軒茶屋」駅/世田谷線「三軒茶屋」駅 徒歩9分

高さ約5.3mの吹抜けに、スケルトン階段。南向きに開いた2層分の窓からは、たっぷりの光が入ってきて、実に気持ちがよく開放的な空間です。



建物の周りは植栽が植えられ、2階の窓からは目の前の樹木が眺められるといったように、緑を身近に感じる生活。バルコニーはこの樹木のおかげで、道路か ... 続き>>>.
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クリエイティブオフィスin青葉台

所在地:目黒区青葉台
36万1,900円(税込) / 62平米
日比谷線・東急東横線「中目黒」駅 徒歩9分

★賃料下がりました★



こんなオフィスで働きたい。そう思わせてくれるかっこいい一室。ラフさと上質さがミックスされた、程よいバランスのデザインです。



荒々しいコンクリート剥き出しの天井に、木のフローリングや扉たちが上品。鮮やかなタイルがエントランスを彩り、ブラックで引き締めた落ち ... 続き>>>.
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【東京駅30分以内】家賃相場が安い駅ランキング2024年。1位・2位はどちらも千葉の商業施設充実の駅

東北や北陸、東海・関西方面に向かう新幹線をはじめ、JR各線や東京メトロ丸ノ内線も通る東京駅は、名前通りに東京都の玄関口。駅周辺は一大ビジネス街として発展しているうえ複数の再開発事業も進行し、いまなお進化し続ける街と言える。仕事にもおでかけにも便利なターミナル駅だけあり、周辺の家賃相場は高め。駅徒歩15分圏内にある一人暮らし向け物件(10平米以上~40平米未満、ワンルーム・1K・1DK)であっても、家賃相場は11万4000円となっている。東京駅に近いほうがいい、でももっとリーズナブルな物件を探したい……という人もいるだろう。そこで、東京駅から30分圏内にまで範囲を広げ、同条件の一人暮らし向け物件の家賃相場を調査! 東京駅にアクセスしやすく、家賃相場が安い駅のランキングを見ていこう。

東京駅まで電車で30分以内にある家賃相場が安い駅TOP15

順位/駅名/家賃相場(主な路線名/駅の所在地/東京駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 南船橋 6.4万円(JR京葉線/千葉県船橋市/30分/0回)
2位 津田沼 6.55万円(JR総武線快速/千葉県習志野市/30分/0回)
3位 一之江 6.6万円(都営新宿線/東京都江戸川区/27分/1回)
3位 扇大橋 6.6万円(日暮里・舎人ライナー/東京都足立区/30分/1回)
3位 瑞江 6.6万円(都営新宿線/東京都江戸川区/30分/1回)
3位 蕨 6.6万円(JR京浜東北・根岸線/埼玉県蕨市/29分/1回)
7位 松戸 6.68万円(JR常磐線/千葉県松戸市/27分/0回)
8位 六町 6.7万円(つくばエクスプレス/東京都足立区/27分/1回)
8位 小岩 6.7万円(JR総武線/東京都江戸川区/19分/1回)
8位 新子安 6.7万円(JR京浜東北・根岸線/神奈川県横浜市神奈川区/30分/1回)
11位 下総中山 6.75万円(JR総武線/千葉県船橋市/26分/1回)
12位 五反野 6.8万円(東武伊勢崎線/東京都足立区/27分/1回)
12位 小菅 6.8万円(東武伊勢崎線/東京都足立区/25分/1回)
12位 西新井 6.8万円(東武伊勢崎線/東京都足立区/27分/1回)
15位 梅島 6.85万円(東武伊勢崎線/東京都足立区/29分/1回)
※16位以降は巻末に掲載

1位&2位は、どちらも商業施設が充実した千葉県内の駅南船橋駅(写真/PIXTA)

南船橋駅(写真/PIXTA)

1位はJR京葉線・南船橋駅で家賃相場は6万4000円。千葉県船橋市に位置し、西船橋・新松戸方面に向かうJR武蔵野線も乗り入れている。東京駅までは、JR京葉線に乗って10駅・約30分だ。南船橋駅の北側には船橋競馬場やショッピングモールの「ららぽーとTOKYO-BAY」と「ビビット南船橋」が広がり、その先に住宅街が続く。住宅街を通りつつ、駅から20分も歩くと京成本線・船橋競馬場駅へ。こちらの駅前に来ればホームセンターが利用できる。

南船橋駅に戻って南側を見てみると、駅に直結して2023年11月にオープンしたショッピングモール「ららテラスTOKYO-BAY」、駅南西側には「IKEA Tokyo-Bay」がある。さらにその隣接地には、収容人数1万人規模の大型多目的アリーナ「LaLa arena TOKYO-BAY」が2024年4月17日に竣工したばかり。プロバスケチーム「千葉ジェッツ」のホームアリーナとして使用されるほか、7月にはこけら落とし公演となるMr.Childrenのコンサートが予定されている。このように駅周辺には大型商業施設が豊富にあり、買い物に便利な環境。そのぶん、駅の徒歩15分圏内の住宅の選択肢は多くはないので、徒歩20分圏内くらいに範囲を広げて探すのもいいかもしれない。

津田沼駅(写真/PIXTA)

津田沼駅(写真/PIXTA)

2位には家賃相場6万5500円でJR総武線・津田沼駅がランクイン。JR総武線の快速に乗って7駅・約30分で東京駅に到着する。JR総武線の各駅停車に乗ると、4駅目が11位・下総中山駅(家賃相場6万7500円)、7駅目が8位・小岩駅(同6万7000円)という位置関係だ。津田沼駅は千葉県習志野市にあり、1位・南船橋駅とは直線距離で2.5kmほどしか離れていない。さらに津田沼駅から5分も歩けば新京成線の新津田沼駅があり、西南方面へ徒歩20分少々で京成本線・谷津駅、東南方面へ徒歩15分ほどで京成本線・京成津田沼駅にも行けるという、駅が密集するエリアに位置している。

習志野市の中心地と言える津田沼駅には、改札の内外に飲食店や食品系ショップなどが並ぶ駅ビル「ペリエ津田沼」が併設されている。南口側にはショッピングモール「モリシア津田沼」や、どちらも大型スーパーを核とする複合商業施設「Loharu津田沼」と「奏の杜フォルテ」、北口側にもショッピングモールの「津田沼ビート」や「ミーナ津田沼」、さらにイオンモールやイトーヨーカドーも。駅周辺には飲食店も多く、食事にも買い物にも困らないだろう。

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・【2024年】東京23区の家賃相場が安い駅ランキング 。トップ3はすべて江戸川区で6万5000円以下!

東京駅からたった19分離れるだけで、家賃相場は4万7000円ダウン!

3位には家賃相場6万6000円となった4駅がランクインした。都営新宿線の隣接駅である一之江駅と瑞江駅、日暮里・舎人ライナーの扇大橋駅、JR京浜東北・根岸線の蕨(わらび)駅だ。この4駅のうち、東京駅までの所要時間が最短である一之江駅をピックアップしよう。

一之江駅(写真/PIXTA)

一之江駅(写真/PIXTA)

東京都江戸川区に位置する都営新宿線・一之江駅から東京駅に向かうには、まず馬喰横山駅に出てから徒歩で馬喰町駅へ行き、JR総武線快速に乗り換える必要がある。しかし、都営新宿線1本で、市ヶ谷駅まで約28分、新宿駅までは約34分で行くことができるのは魅力だろう。地下にある駅から直結するビルでは、コンビニや持ち帰り弁当店が営業中。東口側にはスーパーや100円ショップがあるほか、バスロータリーを囲むようにハンバーガーや中華料理などの気軽に入れる飲食店やコンビニも。東口側と環七通りをはさんだ西口交通広場の周辺には、スーパーやドラッグストア、日常遣いできる飲食店があり、暮らしやすそうな街並みだ。

小岩駅(写真/PIXTA)

小岩駅(写真/PIXTA)

続いてトップ15で東京駅までの所要時間が最短の駅を見てみよう。それは東京駅よりも4万7000円低い家賃相場、6万7000円で8位にランクインしたJR総武線・小岩駅。JR総武線の各駅停車で新小岩駅へ行き、快速に乗り換えると約19分で東京駅に行くことができる。駅の高架下には、地上1階~地下1階にまたがるショッピングセンター「シャポー小岩」がある。1階部分は改札をはさんで千葉側と東京側に分かれており、千葉側は2023年3月に、東京側は2024年3月にリニューアルされた。今春のリニューアル完了により、飲食やスイーツ、ファッション、雑貨のお店など30店舗が加わり、千葉側の地下1階には生鮮市場もあるので日々の買い物に役立つだろう。

小岩フラワーロード商店街(写真/PIXTA)

小岩フラワーロード商店街(写真/PIXTA)

小岩駅から南に約800mも続く「小岩フラワーロード商店街」をはじめ、駅周辺にも複数のスーパーやコンビニ、飲食店があり、にぎやかな雰囲気。また、小岩駅の北口側・南口側ともに大規模な再開発事業が段階的に進められており、2021年には複合商業ビル「FIRSTA Ⅰ」が、2022年には店舗や住宅からなる「FIRSTA Ⅱ」が誕生。今後もさらなる発展が見込まれている。

新子安駅(写真/PIXTA)

新子安駅(写真/PIXTA)

さて、トップ15にはさまざまな街の駅が並んでいるが、東京駅の北側~東側に集中していた。唯一、東京駅の南側に位置しているのが、小岩と同じ家賃相場6万7000円で8位になったJR京浜東北・根岸線の新子安駅。神奈川県横浜市神奈川区にあり、川崎駅に出てからJR東海道本線に乗り換えると計約30分で東京駅にたどり着く。JR京浜東北・根岸線1本でも、東京駅まで40分弱だ。駅の南側すぐ近くには歩道橋で結ばれた京急本線・京急新子安駅があり、さらに南側の臨海部には工業地帯が広がる。住宅街は駅北側が中心。駅前には商業・オフィス・住宅の複合施設「オルトヨコハマ」があり、スーパーやドラッグストア、100円ショップと飲食店が営業している。駅から5分ほど歩いた場所にもスーパーがあり、日々の買い物には困らないだろう。また、駅前に大型商業施設がある川崎駅(家賃相場8万5000円)や横浜駅(同8万7500円)までそれぞれ2駅というロケーションの割に、家賃相場がリーズナブルな点も魅力だ。

トップ50にまで範囲を広げて見てみると、千葉、東京、埼玉、神奈川の各方面にある駅が並んでいる。そのうちランクインした駅が最多となった街は、東京都足立区。トップ15には6駅、16位~50位にも6駅が選ばれている。以下に一覧表を掲載するので、どの駅がランクインしたのかチェックしてみてはいかがだろう。

●16位~50位

16位~50位

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている東京駅まで電車で30分以内の駅(掲載物件が20件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】駅徒歩15分以内、10平米以上~40平米未満、築年数35年未満、ワンルーム・1K・1DKの物件(定期借家を除く)
【データ抽出期間】2023/8~2024/2
【家賃の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された賃貸物件(アパート/マンションのうち普通借家契約の物件のみ)の管理費を含む月額賃料から中央値を算出(3万円~18万円で設定)
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2024年3月25日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載

にやける誤算

所在地:世田谷区羽根木
15万5,000円 / 46.79平米
井の頭線「東松原」駅 徒歩6分

羽根木の閑静な住宅街に溶けこんだ一見普通の戸建。玄関を入ってすぐに現れる階段を上がり室内へ。嬉しい誤算に思わずにやけました。



剝き出しにされた梁と柱に、一番高いところで3メートルを超す天高。ガラス戸で空間を仕切ることで建物の奥行きが活かされていて、実際の面積以上に開放感がありま ... 続き>>>.
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いちばん大切なものは何

所在地:荒川区東日暮里
9万4,000円 / 35.25平米
山手線「日暮里」駅 徒歩10分

【セット割あり〼】

この部屋は自然光がほぼ入りません。日中でも灯りが必須になると思います。めちゃくちゃ人を選びますが、自然光が入らないことを長所としてとらえられる方に届いてほしい部屋です。



例えば日に焼けて欲しくないたくさんの蔵書だったり、大切な洋服だったり。世の中には「太陽は ... 続き>>>.
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住宅購入検討者の4割近くが将来的な売却や賃貸を検討!柔軟に住み替えるスタイルが広がるか?

リクルートのSUUMOリサーチセンターが「『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)」を公表した。この調査では、住宅の買い時感や住宅検討状況、住宅に関する意識などを聞いている。調査結果の推移を見ると、消費者の意識の変化がうかがえるので、詳しく見ていくとしよう。

【今週の住活トピック】
「住宅購入・建築検討者』調査(2023年)」公表/リクルート

検討している一戸建てとマンション、新築と中古が同率に

調査は、2023年12月に、首都圏、東海圏、関西圏と政令指定都市のうち札幌市、仙台市、広島市、福岡市に住む、20歳から69歳の男女で、過去1年以内に住宅の購入・建築、リフォームについて具体的に検討した人を対象に行われた。

検討している住宅の種別(複数回答)は、「注文住宅」が過半数の56%で、「新築一戸建て」31%、「中古一戸建て」31%、「新築マンション」30%、「中古マンション」30%、「リフォーム」16%となっている。一戸建てもマンションも、経年で見ると中古検討率がじわじわと上がっており、新築と中古が同率となっているのが、今回の特徴だ。

「一戸建てか、集合住宅(マンション)か」を聞く(単一回答)と、「ぜったい」と「どちらかといえば」の合計で、「一戸建て派」が58%、「集合住宅派」が22%と一戸建て派が優勢に。「どちらでもよい」は20%だった。

48%が「買い時と思っていた」と回答、その理由は?

さて、住宅購入環境にさまざまな変化が生じている。都心部のマンションを中心に価格が上昇していることに加え、長期固定型の住宅ローンの金利がじわじわと上昇している。集計対象数6007人のうち、住宅購入・検討者は4240人(賃貸検討者が1767人)。この人たちは、「買い時」と思っているのだろうか?

調査で「買い時だと思っていたかどうか」聞いたところ、48%が「思っていた」(とてもそう思っていた12%+ややそう思っていた36%)、20%が「思っていなかった」(まったくそう思っていなかった6%+あまりそうは思っていなかった14%)となり、買い時の割合が前年(2022年調査)の44%から48%に増加した。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

ちなみに、「買い時だと思った理由」については、「これからは、住宅価格が上昇しそう」がTOPの45%だった。2位は「いまは、住宅ローン金利が安い」の33%、3位は「いまは、いい物件が出ていそう」の30%だった。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

買い時と思う理由について、少し考えてみよう。2024年3月に日銀がマイナス金利を解除するなど、調査時点よりも金利のある時代が近づいている。金利について、いま調査をしたら、「金利が上がりそうだから」といった理由が上位に入るのかもしれない。また、住宅価格が高くなっているので、住宅の売り時と判断している人が多いと考えられる。中古の物件が市場に出回ることで、「いい物件が出ていそう」という環境になるかもしれない。

では、今後の住宅価格についてはどうだろうか?価格が上がり続けているのは都心部の住宅なので、それほど上がっていない地域と上がり続けている地域がある状況なのだが、残業時間を規制する2024年問題が拍車をかけて、建設業界の人手不足による建設費の上昇が続いている。流通業界も同様なので、建築資材を運送する費用も上がるなど、住宅の建設費用に下がる要因が見当たらない。したがって、「住宅価格が上昇しそう」な環境は、まだ続くといえるだろう。

住み続けるよりも柔軟に住み替える考え方に変化?

今回の調査の特徴といえるのが、「買い替え」層が増えていることだ。「初めての購入、建築」が63%と最も多いものの、持ち家を売却して新しい家を購入、建築する「買い替え」が年々増えて、2023年調査で29%に達した。もちろん、住宅価格が高くなっているため、売りやすい市場になっていることもあるが、どうやらそれだけではないようなのだ。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

次に特徴的なのが、「将来的に売却を検討している」層が増えたことだ。「永住意向」が44%と半数近くを占めるものの、売却を検討したり、賃借を検討している層が合わせて38%になっている。購入、建築を検討しているときから、いずれキャッシュ化しようと考えている人が増えているわけだ。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)※2021年以前は調査なし

では、そう考えている人たちが、売却や賃貸に出すタイミングをどう考えているのだろう?
「土地や不動産の価格が上がったら」、「家が老朽化したと感じたら」、「他に欲しい物件が出たら」といったタイミングを想定している人が増えた一方、「定年退職」などは減っている。

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)

出典:『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)※2021年以前は調査なし

かつては、マイホームが老朽化したらリフォームして住み続け、家族構成の変化など状況が変わったときに売却するという流れだったが、近年は、価格が上がったり、欲しい物件が出たりしたタイミングや、老朽化でリフォームをする前のタイミングで、売却するという考え方に変わっているようだ。

住宅購入を取り巻く環境にも変化が生じているが、住宅を購入、建築する消費者側の意識にも変化が生じている。住み続けることにこだわらず「柔軟に住み替える」スタイルが広がりつつあるので、住宅の流通市場をより整備して、売り買いのしやすい環境をつくっていくことが求められるだろう。

●関連サイト
リクルート「『住宅購入・建築検討者』調査(2023年)」

景色を切り取るホワイトルーム

所在地:世田谷区奥沢
11万2,000円 / 28.47平米
東急東横線・東急大井町線「自由が丘」駅 徒歩10分

★ 賃料が下がりました! ★



白が基調で、優しい雰囲気のお部屋。

窓から見える大井町線はなんだか1枚の写真みたいです。



場所は世田谷区奥沢。

道路の反対側に大井町線が走る立地です。募集するのは、立派な松を残しながら建て替えられた2棟の建物の内の一部。ちょうど大井町線と同じ高さ ... 続き>>>.
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どんなときも。

所在地:世田谷区瀬田
20万円 / 62.3平米
東急田園都市線・東急大井町線「二子玉川」駅 徒歩8分

働きながら住まう、趣味に没頭する、ペットと暮らす。オーナーと設計士の信頼関係があるからこそ生まれた、多様なライフスタイルに寄り添うお部屋です。



数十年と賃貸されていたレトロなマンションの一室。売却するつもりで物件を訪れたオーナーのお孫さんが想像以上に気持ちの良い空間にポテンシャ ... 続き>>>.
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だって、西荻だもの

所在地:杉並区西荻北
5,980万円(税込) / 53.57平米
中央線「西荻窪」駅 徒歩5分

53㎡のファミリータイプ?リビング18.5畳で寝室2.7畳?部屋の面積の半分もある庭?



間取図を見るだけでクエスチョンマークが多く、一口で飲み込めない凹凸な特徴のあるこの物件があるのは、個性的なお店が多く、人を魅了する不思議な引力をもつ街、西荻窪。



駅徒歩5分という駅近立地に ... 続き>>>.
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「東京建築祭」18の名建築を無料で特別公開! 東京駅や三越日本橋本店などの普段は見られないエリアも開放。実行委員長・倉方俊輔さんが見どころ語る

今年、2024年5月、東京の日本橋、丸の内、銀座エリアを中心に、「東京建築祭」なるイベントが開催されることをご存知でしょうか。建築の祭りと聞いてすぐにイメージが湧かない方も多いのではないかと思いますが、その実態は普段関係者しか中に入れない建築を一般公開し、自由に見学ができるようにするというもの。過去にSUUMOジャーナルでも取り上げた、京都・神戸の「モダン建築祭」や約10年の歴史がある大阪の「生きた建築ミュージアムフェスティバル」で行われてきた建築公開イベントが、5月25日・26日を中心に待望の東京初開催となります。
どのような建築が公開されるのか、そしてイベントの見どころを、実行委員長の倉方俊輔さんにお聞きしてきました!

建築空間に身を置く、だけでいい!?東京建築祭のプログラム一覧(提供/東京建築祭実行委員会)

東京建築祭のプログラム一覧(提供/東京建築祭実行委員会)

■京都モダン建築祭、神戸モダン建築祭のレポートはこちら
参加者3万人「京都モダン建築祭」を建築ライターがめぐってみた! 明治・大正時代の名建築の内部を限定公開
「神戸モダン建築祭」港湾都市の名建築を一斉に公開! 建築ライターが歩いて触れる街のアイデンティティ

東京建築祭では専門家や建物の運営に携わる”中の人”による有料ガイドツアーも用意されていますが、注目したいのが東京を代表する18の建築が無料で特別公開されるプログラム。
知る人ぞ知る名建築や、東京駅や三越日本橋本店といった誰もが知る建築の、普段は見ることのできない姿を見ることができます。この期間だけの特別公開、どうせなら目一杯楽しみたいですよね。倉方さんに、建築を見学する際に注目すべきポイントをお聞きしました。

スクラッチタイルの立面が美しい、堀ビル。1階の共用ラウンジが見学できる(写真提供/東京建築祭実行委員会)

スクラッチタイルの立面が美しい、堀ビル。1階の共用ラウンジが見学できる(写真提供/東京建築祭実行委員会)

三越日本橋本店では、ふんだんに装飾が施された「三越劇場」が公開される(写真提供/東京建築祭実行委員会)

三越日本橋本店では、ふんだんに装飾が施された「三越劇場」が公開される(写真提供/東京建築祭実行委員会)

「特別な知識や経験は必要ありません。とにかくその空間に身を置いて、自分がどう感じるか、それが第一です。歴史や設計者の意図を知りたければ、本を読めば済むわけですから」

なんと、大学で建築史を教えている建築史家とは思えない意外な答え。でもそれくらいの気持ちで臨んで良いのであれば、無料かつ事前の申し込みも不要なイベントでもありますし買い物のついでに少し寄ってみようかなと気楽に参加できそうです。

「好奇心を働かせて、隅々まで観察したり、なぜそのようなデザインになっているのか、自分なりに考えてみたり。優れた建築の優れた空間で、ゆったり時を過ごしてみる、そんな楽しみ方もおすすめです。建築祭で特別公開となる建築も、エントランスホールなど普段から一般に開かれた建築の通常非公開部分が公開されるものも含まれています。これをきっかけに、東京のお気に入りスポットを見つけてみる、そんな機会としても活用してほしいです」

倉方さんがその代表的な例として推すのが築地本願寺。かまぼこ型の屋根が特徴的な寺院建築ですが、本堂には普段から自由に出入りできること、ご存知でしたか? 宗教建築ということもあり、足を踏み入れることに抵抗があるという方もいらっしゃるかもしれません。これを機会に訪れてみて、その不思議な魅力に触れてみてはいかがでしょうか。東京建築祭では通常非公開の貴賓室や講堂、本堂裏の廊下が公開されます。

築地本願寺外観。古代インドの仏教寺院、西洋建築、日本を含むアジア各国の要素を複雑に組み合わせたここでしか見られない独特な建築(写真提供/東京建築祭実行委員会)

築地本願寺外観。古代インドの仏教寺院、西洋建築、日本を含むアジア各国の要素を複雑に組み合わせたここでしか見られない独特な建築(写真提供/東京建築祭実行委員会)

「築地本願寺は設計者の伊東忠太による独創的な装飾や空間が注目されがちですが、実はあの時代に複合ビルとして建てられた点が革新的なんです。当時の寺院建築では分棟で建てられていた本堂、講堂、貴賓室といった各機能が統合されてひとつの建築としてつくられています。従来の木造ではなく、鉄筋コンクリートが登場したからこそ可能になった形式ですね。
今回の特別公開で、本堂以外の空間も一度にひとつの建物の内部で経験することで、その前提知識がなくても伝統的なお寺とは違う面白さを感じてもらえるのではないかと思います。加えて、ここがすごいのは結婚式や法事など、宗教的な行事が行われているときでも変わらず一般の参拝者を受け入れているというところです。本堂で催事が行われている後ろを仏教徒でもない一般人が出入りしている様子はほかではなかなか見られない大らかさがありますね。ここまで場を開くことに意識的な建築は、宗教建築でも珍しいと思います」

革新的な寺院建築の形式は、施主である西本願寺の決断なくしては実現し得なかったアイデアです。関東大震災を経て木造から鉄筋コンクリート造の建物に転換していった社会状況も、構造形式の選択に影響しているでしょう。そうした要件の上に、建築家が心血を注いで設計された建築が、その時々の状況に応じて手を加えながら90年近くも使われ続けている。個人の才能だけでは実現しない、社会との関わりによって初めて成立する創作物である点が、建築ならではの面白さだと倉方さんは言います。

築地本願寺内部。手すり部分をはじめ、随所に動物の像が据えられている(写真提供/東京建築祭実行委員会)

築地本願寺内部。手すり部分をはじめ、随所に動物の像が据えられている(写真提供/東京建築祭実行委員会)

(写真提供/東京建築祭実行委員会)

(写真提供/東京建築祭実行委員会)

建築を介して人や社会とつながる

「建築の面白さは、人の面白さに尽きます。面白い建築の裏には、それを必要としたクライアントがいて、クライアントの要求に応えた建築家がいて、そのアイデアをかたちにした技術者がいて、工夫しながら使っている人たちがいて、その皆が面白い。今回、ガイドツアーをいろいろな立場で建築に関わっている方々にお願いしています。建築を支える人たちとの出会いも楽しんでほしいです」

建築を見学する上でのポイントとなる情報は、オーディオガイドでも提供される予定です。
ただ、それもあくまで取っ掛かりとして使ってもらえれば、と倉方さん。

「面白い、という心の動きの基本は、自分が今まで知らなかった、新しいものに出合うことだと思います。それまで外観は見たことがあったけれど内部がどうなっているか知らなかった建物に、入ってみるだけでワクワクしたり、楽しいと思えるのではないでしょうか。知らないものと出合う喜びは、旅にも通ずるところがありますね。建築を面白がれるようになると、普段の街歩きから旅をしているような体験を得られるようになりますよ」

オフィスビルをリノベーションした「安井建築設計事務所 東京事務所」。改修プランは社内コンペによって案が選ばれた(写真提供/東京建築祭実行委員会)

オフィスビルをリノベーションした「安井建築設計事務所 東京事務所」。改修プランは社内コンペによって案が選ばれた(写真提供/東京建築祭実行委員会)

また、建築祭で建築を楽しむことを知った人に、ぜひその楽しみを一歩進めてほしいといいます。

「楽しい、という気持ちを自分のなかで留めずに、なにかアクションを起こしてもらえたら嬉しいですね。面白い建築を使ってお店を開いているところがあれば訪れてみるとか、自分が興味深かったことをSNSでシェアするとか。誰かの感想を見ることで、そういう見方もあるのかと楽しみが広がっていきます。そのようにして建築を気にする人が増えていくと、せっかく建てるなら今までにないものにしようとか、今ある貴重な建築を大切に使っていこうとか、人びとの想いが街を豊かにすることにつながっていくと思うんです。面白い、という感情はそれだけで社会的行為につながっていくんだということは、これまで建築公開イベントの運営に携わるなかで実感することですね。一人の熱い想いが社会を変えていく原動力になるんだ、社会は変えていけるものなんだ、ということは僕自身がこのイベントを通して皆さんに共有したいことでもあります」

東京建築祭は、5月25日(土)26日(日)を中心に開催されます。有料のガイドツアーの申し込みは締め切っていますが、25日・26日の特別公開はどれも無料・申し込み不要で見ることができますので、ぜひ公式のWEBサイトで詳細をチェックしてみてください!

●取材協力
東京建築祭実行委員会

高い空と、高い天井

所在地:世田谷区下馬
19万5,000円 / 40.21平米
東急田園都市線「三軒茶屋」駅 徒歩11分

マンションがあるのは池尻大橋駅と三軒茶屋駅のちょうど間といった場所。すぐ近くには緑溢れる『世田谷公園』もある、充実した周辺環境で、開放的に暮らしませんか。



部屋は思わず見上げるほどの天井の高さ。3.6mの天高に合わせた大きな窓の、スケール感の大きな空間が広がっています。



キッ ... 続き>>>.
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空を楽しむカラフルハウス

所在地:新宿区中落合
5,800万円 / 62.48平米
都営大江戸線「落合南長崎」駅 徒歩7分

岬のようにせり出た、ルーフバルコニー。



そこには東・西・北に開けた眺望と、広い空。東の方角に見える朝日。西へ沈んでいく夕日。

 

一日の始まりと終わりを楽しめるお部屋のご紹介です。



場所は、新宿区中落合。都営大江戸線「落合南長崎」駅から徒歩6分の、新目白通りに面したマンション ... 続き>>>.
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広々と、納まりよく

所在地:国分寺市南町
13万5,000円 / 57.27平米
中央線「国分寺」駅 徒歩7分

すっきり広々とした空間がシンプルで使いやすい。備え付けの収納家具の納まりもきっちりとしています。この納まり具合に惚れる方もいるはずです。



南側一面は窓で、自然光がたっぷりと入り込みます。ただ残念な点は、窓の外は建物が立っていて景色がよくないこと。ロールスクリーンがついていますが ... 続き>>>.
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1LDKとワンルームの良いとこどり

所在地:目黒区中根
16万5,000円 / 46.44平米
東急東横線「都立大学」駅 徒歩9分

ワンルームだと空間の使い分けが難しく、1LDKだと窮屈。そんなジレンマを解決してくれる、嬉しいお部屋を見つけました。



ミニマルなステンレスキッチンに白タイルやコンクリート打ちっぱなしの壁。シンプルでありながら細部まで心遣いのある設計です。



お部屋の特徴は仕切り壁。緩やかに部屋 ... 続き>>>.
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天高約4.5mの開放感

所在地:杉並区松庵
13万2,000円 / 43.68平米
中央線「西荻窪」駅 徒歩15分

一般的な住居物件の約2倍の天井高があります。住居としてはなかなか体感できないスケール感です。



閑静な住宅街に突如現れる無機質な外観のテラスハウス。鋼板と大きなガラスで構成された特徴的な外観です。



リビングの天高は最大で約4.5m。南向きの壁は一面が窓になっており、空が広く見え ... 続き>>>.
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まちとつながる三つの「間」

所在地:中野区大和町
18万円 / 41.5平米
中央線「高円寺」駅 徒歩8分

質良く、やわらかい色合いのデザインでまとめられた、心地よい時間と、人のつながりを大切にするデザイナーズマンション。



このマンションの設計を手掛けたのは「空間研究所」。和の空間デザイン、というポイント以外にも、高効率機器を採用して実現した、高断熱・高気密な住まいは、省エネや環境へ ... 続き>>>.
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間取り王選手権 in 駒沢

所在地:世田谷区駒沢
6,280万円(税込) / 65.49平米
東急田園都市線「駒沢大学」駅 徒歩9分

過去に何度かご紹介している、いい間取りが作りやすい区画をしているリノベ向きマンション。今回も見れば見るほどいい間取りだなぁと、ジワジワきます。



玄関入ると、普通はすぐに靴棚から始まりそうなところを、あえて靴棚の右側に余白を設けたことで生まれたベビーカーを置けそうなスペース。



... 続き>>>.
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間取り王選手権 in 駒沢

所在地:世田谷区駒沢
6,280万円(税込) / 65.49平米
東急田園都市線「駒沢大学」駅 徒歩9分

過去に何度かご紹介している、いい間取りが作りやすい区画をしているリノベ向きマンション。今回も見れば見るほどいい間取りだなぁと、ジワジワきます。



玄関入ると、普通はすぐに靴棚から始まりそうなところを、あえて靴棚の右側に余白を設けたことで生まれたベビーカーを置けそうなスペース。



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街を見渡す読書室

所在地:新宿区上落合
14万1,000円 / 40.34平米
東西線「落合」駅 徒歩1分

約3.5mの天高と大きな本棚。街を見渡しながら読書や仕事ができる、開放的なお部屋です。



ひんやりしたコンクリートと淡い色味の木材が組み合わされた空間。縦(天高)にも横(抜けた景色)にも開放感があり、窮屈さを感じずに過ごせそうです。



備え付けの棚には本や書類をたっぷり収納可能。 ... 続き>>>.
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美しき2トーン

所在地:豊島区雑司が谷
18万円 / 56.46平米
副都心線「雑司が谷」駅 徒歩8分

住宅街にあらわれる、まっしろでビッと気が引き締まるような建物。随所に建築家の心くばりを感じる物件です。



1、2階のメゾネットでも室内の階段は邪魔にならない、無理のないつくり。個室の仕切りは引き戸になっていたり、壁面かと思った部分が大容量のクローゼットだったり。下見中に数度、発見 ... 続き>>>.
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築30年賃貸マンションの地下に”秘密基地”をつくった!地元を愛する大家兄弟が入居者や地域住民と相模大野で住み続けたい街めざす キチカ「パークハイム渋谷」神奈川県相模原市

楽しそうな人の輪ができていたり、行列ができていたりすると、何があるんだろうと気になるもの。にぎわいは、人と人との出会い、会話、つながりをもたらしてくれます。今回は、賃貸物件を親と2世代で運営している渋谷洋平さん、純平さん兄弟が、相模大野駅近くににぎわいの場・コミュニティスペースをつくり、人の輪を生み出したストーリーをご紹介します。

地下のコミュニティスペース「キチカ」がマルシェに古本市の場に

新宿駅から約30分、小田急小田原線と江ノ島線の分岐で、交通の要衝(ようしょう)の相模大野駅。駅周辺には商業施設が集まり、現在進行型で大規模マンションが建設されている人気の街です。この相模大野駅から徒歩2分、公園に隣接した「パークハイム渋谷」の地下にあるのが、コミュニティスペース「kichika(キチカ)」。週末に古本市やマルシェなどが開催されていたりで、その際は多くの人が足を留めて集まり、会話や交流が生まれています。

相模大野北口公園に隣接。写真中央の11階建ての建物が「パークハイム渋谷」(写真撮影/相馬ミナ)

相模大野北口公園に隣接。写真中央の11階建ての建物が「パークハイム渋谷」(写真撮影/相馬ミナ)

その「パークハイム渋谷」の地下、階段を降りたところにコミュニティスペース「キチカ」があります(写真撮影/相馬ミナ)

その「パークハイム渋谷」の地下、階段を降りたところにコミュニティスペース「キチカ」があります(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

取材時には青木純さんの新刊『PUBLIC LIFE』の出版記念イベントが開催されていました(写真撮影/相馬ミナ)

取材時には青木純さんの新刊『PUBLIC LIFE』の出版記念イベントが開催されていました(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

「キチカ」にはキッチンもあるので、イベント時にはドリンクやフードの提供もできます(写真撮影/相馬ミナ)

「キチカ」にはキッチンもあるので、イベント時にはドリンクやフードの提供もできます(写真撮影/相馬ミナ)

「キチカ」には、イベントスペースのほか、大きな本棚があります。腰掛けスペースもあり、心地よい空間。空間づくりはプロのサポートを受けつつ、兄弟と地域の人や入居者などでつくったものです(写真撮影/相馬ミナ)

「キチカ」には、イベントスペースのほか、大きな本棚があります。腰掛けスペースもあり、心地よい空間。空間づくりはプロのサポートを受けつつ、兄弟と地域の人や入居者などでつくったものです(写真撮影/相馬ミナ)

本棚の一角には住人の本のスペースもあります(写真撮影/相馬ミナ)

本棚の一角には住人の本のスペースもあります(写真撮影/相馬ミナ)

駅前のいわば一等地をひらき、街にあたたかなにぎわいをもたらしているのは、この物件を管理する(有)ミフミの渋谷洋平さん、純平さん兄弟。ともに青木純さんが2016年に開校させた「大家の学校」の一期生です。この賃貸物件のほかに、駐車場、都市農地と遊休不動産の活用実験「畑と倉庫と古い家」などを手掛けています。では、どうして管理している賃貸物件の地下にコミュニティスペースをつくったのか、まずはそのきっかけから聞いていきましょう。

■関連記事:
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親とともに経営する大家業。青木純さんがこぼした「人がいないね」に衝撃を受ける

「兄弟ともに別の会社で仕事をしていましたが、2012年に私が、2013年に弟が、ミフミに参画しました。大家業や賃貸業はこれからどうすべきか試行錯誤していたとき、賃貸のイベントで出会ったのが青木純さんでした。全体的に真面目な雰囲気だったのに、青木さんがいる一角だけくだけた雰囲気で、服装もカジュアルで、すごく印象に残っています。そのとき、勇気を振り絞って話しかけたところ、初対面にも関わらず気さくにお話ししてくださいました。

その後、青木純さんが「大家の学校」という学びの場を始めると知り、さっそく一期生として参加させてもらいました。
その際に、思い切って自分たちの物件のサイトを見てもらったら、『人が居ないね』とすぐにひと言、返されて。……今思うと、デザイン性を意識するというか、やっぱりカッコつけていたんでしょうね(笑)」と振り返る洋平さん。

大家業とはなにか、地域や次世代の景観、子どもたちにむけ自分たちはなにができるのか、青木純さんのアドバイスを受けつつ、兄弟で模索がはじまります。

「まず、手掛けたのが、小学校に隣接している自分たちが生まれ育った家。『畑と倉庫と古い家』と名付けて、ちょっとだけ地域にひらくこと。ここは、周囲に畑、倉庫があり、開発と変化が著しい相模原の原風景をかろうじてとどめています。草木生い茂って畑があって、道端でちょっとおしゃべりをして……。何気ない風景ですが、『すごくいいよね』と青木さんにも言ってもらって、とても貴重な場であることに気づきました。次世代に残していくにはどうしたらいいかと思い、周囲になじむように畑を軸に耕していったんです」(純平さん)

畑と倉庫と古い家で話す、青木純さんと渋谷兄弟(写真撮影/相馬ミナ)

畑と倉庫と古い家で話す、青木純さんと渋谷兄弟(写真撮影/相馬ミナ)

小学校に隣接する、渋谷さん兄弟が生まれ育った実家にある畑と芝生。緑が心地よい、ご近所のみなさんの貴重な憩いの場になっています(写真撮影/相馬ミナ)

小学校に隣接する、渋谷さん兄弟が生まれ育った実家にある畑と芝生。緑が心地よい、ご近所のみなさんの貴重な憩いの場になっています(写真撮影/相馬ミナ)

畑の手入れは、渋谷兄弟とはたけ部として携わってくれている知人、地域の知り合いでやっています。メンバーにはパークハイム渋谷の住人もいます(写真撮影/相馬ミナ)

畑の手入れは、渋谷兄弟とはたけ部として携わってくれている知人、地域の知り合いでやっています。メンバーにはパークハイム渋谷の住人もいます(写真撮影/相馬ミナ)

まずはじめたのが、私有地を示す境界物・看板の撤去です。ただ、母屋ではご両親が今も暮らしているので、誰も彼もが入ってきていいわけではありません。

「なので、プランターを置いたり、畑の畝のデザインで、ここからはなんとなく入らないでね、というあいまいな線をつくることで、ゆるやかな区切りを設けています。あくまでも、畑をとおして、周囲や住民さんとゆる~くつながる。ときどき集まり、食べたりできたらいいな、という場にしていければ」(純平さん)

渋谷純平さん。奥の桜が咲いているのが小学校。敷地はプランターでゆるく境界であることを示しています(写真撮影/相馬ミナ)

渋谷純平さん。奥の桜が咲いているのが小学校。敷地はプランターでゆるく境界であることを示しています(写真撮影/相馬ミナ)

つくり込みすぎずに余白をつくることで、愛犬家や子どもたちの憩いの場になるように。するとこれが人と人をつなげ、思わぬ出会いにつながることもありました。

「今、うちにはウサギがいるんですが、このコはもともと隣の小学校で飼育されていたんです。学校で、小屋を取り壊すことになってうちで引き取ることに。そのため、小学校の子どもたちがウサギに会いに来てくれることも多いんです。また、私の同級生が親になり、子どもといっしょに会いに来てくれることもありました」(純平さん)

小学校から引き取られたウサギちゃんはみんなのアイドル(写真撮影/相馬ミナ)

小学校から引き取られたウサギちゃんはみんなのアイドル(写真撮影/相馬ミナ)

年齢を重ねていますが元気そのもの。見ているこちらが幸せになります(写真撮影/相馬ミナ)

年齢を重ねていますが元気そのもの。見ているこちらが幸せになります(写真撮影/相馬ミナ)

味わいがある古屋。青緑瓦(せいろくがわら)がたまりません(写真撮影/相馬ミナ)

味わいがある古屋。青緑瓦(せいろくがわら)がたまりません(写真撮影/相馬ミナ)

母屋のワークショップから「さがみはら100人カイギ」へ。つながりの輪がさらに広がる

次に行ったのが、マンション一室のリノベーションです。プロの力を借りつつ、パークハイム渋谷の住民、地域の人とでワークショップでリノベーションしました。人が集まるのだろうかと心配していたものの、予想以上に集まったそう。こうして畑の活動もしながらワークショップを繰り返していると、思いがけないところから声がかかりました。

リノベーション前(写真提供/ミフミ)

リノベーション前(写真提供/ミフミ)

リノベーション後(写真提供/ミフミ)

リノベーション後(写真提供/ミフミ)

リノベーションのワークショップ中リの様子(写真提供/ミフミ)

リノベーションのワークショップ中リの様子(写真提供/ミフミ)

「地元の相模女子大学教授から『100人カイギ』というのがあるから、相模原でもやってみませんか?と声をかけてもらったんです。どうしようかなと思ったんですが、地元のつながりがほしいと、主催者として関わることになったんです」(洋平さん)

「100人カイギ」とは、「毎回、地元で面白い活動をしている5名のゲストのプレゼンを聞き、ゲストが100名に達したら解散する」というコミュニティ活動のこと。今でこそ日本各地で展開されていますが、そのころはまだ、2箇所目の渋谷区ではじまったばかりでした。

「大変なことも多かった」というさがみはら100人カイギ(写真撮影/相馬ミナ)

「大変なことも多かった」というさがみはら100人カイギ(写真撮影/相馬ミナ)

「2017年だったかな、相模原のシビックプライドが多くの項目で最下位になっていたことを知りました。相模原って広くて、なかなか街の歴史や人のことを知らなかったり、つながりが限定的だったり。自分たちはもちろん、住んでいる人が愛着を持つにはどうしたらいいのか、というのがはじまりです。運営は大変でしたが、ここでかなり知り合いが増えました。ただ、もっと人が集まれる場所があればいいのに……という思いが芽生えてきたんです」(洋平さん)

渋谷家は従来からある大地主ではなく、祖父が曳家業(※)をしていて、少しずつ土地や建物を買い増していたのがはじまりだそう。渋谷兄弟の父の代になり曳家業はたたみ、不動産賃貸業へと形をかえましたが、兄弟ともに地元・相模原への愛着があり、なにか地元のためにしたい、という思いがあったそう。

※建築業の一種。建物を解体せずにそのまま移動する仕事

「2019年の6月末で、『パークハイム渋谷』の地下に入っていた飲食店が撤退することになったんです。かなり迷ったんですが、『地域に開くスペースがほしいよね』『人が集まれ気軽にチャレンジできる場があれば!!』『100人カイギでなかよくなったメンバーと、これからもつながっていきたい。それには場所が必要だよね』という結論にいたりました」(純平さん)

ここまで決めた二人は、パークハイム渋谷の居住スペースと同様、地下スペースもワークショップでリノベーションを実施。ついに「キチカ」が誕生したのです。

本棚だけでなく、腰掛けられるスペースも設置。手を動かすワークショップのなかで入居者から出てきたアイデアだそう(写真撮影/相馬ミナ)

本棚だけでなく、腰掛けられるスペースも設置。手を動かすワークショップのなかで入居者から出てきたアイデアだそう(写真撮影/相馬ミナ)

コロナ禍ということもあり、なかなか人が集めにくい時期もありましたが、大きな達成感はあったそう。
「とにかく場が持てたことで。広がりができたのがうれしかったですね。自分たちだけじゃなくて、いろんな人がいろんな使い方をしてくださる。するとそのことで縁が広がっていく。昔、こうしたらいいねという話をしていたのがこの2~3年でわっと形になっていった感じ。それはすごく感じます」(洋平さん)

穏やかな雰囲気の二人、急がず焦らず、慌てずだからこそ、周囲が助けたくなる、いっしょに何かをしたくなるのかもしれません。こうしてできたコミュニティスペース「キチカ」は、現在、「パークハイム渋谷」の入居者が主催するボードゲームのイベント会場になったり、マルシェになったり、地域の活動場所として活用されています。

英会話学校からマルシェまで。相模原のタテとヨコのつながりをつくる

では、「パークハイム渋谷」の入居者は、どのように感じているのでしょうか。現在、「パークハイム渋谷」で暮らし、ワークショップを開催していることもあるYさんご夫妻、同物件で英会話教室を開いているご夫妻にインタビューしてみました。

まずは、ワークショップを開催したり、畑のお手入れにもよく参加するというご夫妻に話を聞いてみました。

ご夫妻が暮らしている住まいもリノベのお部屋。無垢床なので、はだしで歩くのが気持ちいいそう(写真提供/ミフミ)

ご夫妻が暮らしている住まいもリノベのお部屋。無垢床なので、はだしで歩くのが気持ちいいそう(写真提供/ミフミ)

「二人で暮らすための新しい住まいを探していたところ、渋谷兄弟に出会いました。私が不動産が好きで、リノベしたお部屋とキチカの構想を聞いて『おもしろそう!』と感じたんです。利便性が高い立地とほどよい住民同士の交流が心地よく、入居後も楽しく過ごしています。今はキチカで、『さがみはら一箱古本市』を開いています。一箱古本市とは、箱1つ程度の古本を持ち寄り、交流しながら販売するというもの。コーヒースタンドも出店するほか、まちあるきのイベントも行っています。地域に輪が広がっていく感じがよいですね」(妻)

「さがみはら一箱古本市」開催時の様子(写真提供/ミフミ)

「さがみはら一箱古本市」開催時の様子(写真提供/ミフミ)

(写真提供/ミフミ)

(写真提供/ミフミ)

「自分は東海大学出身で、相模大野の雰囲気の良さは以前から印象にあり、こちらに引越してきました。また、地域のコミュニティ活動にも興味があって、キチカでボードゲームのイベントを実施したり、『畑と倉庫と古い家』の畑のお手入れにも時々携わらせていただいています。
そんな感じで渋谷兄弟との関わり方も程よい距離感となり、ますます相模大野が気に入りました。それが私たち夫婦の今後の人生を変えるきっかけとなりまして、このたび相模大野に家を買うことにもなりました。ですので残念ですが部屋を退去することも決まっています。でも、これからも渋谷兄弟との関係やアクティビティは、ここ相模大野でずっと続いていくと思っています」(夫)

古本市のイベント告知。キチカのイベントはいつも「パークハイム渋谷」のエントランスに貼っておきます(写真撮影/相馬ミナ)

古本市のイベント告知。キチカのイベントはいつも「パークハイム渋谷」のエントランスに貼っておきます(写真撮影/相馬ミナ)

もう一組、一部屋でTSE ACADEMYを営むマーフィートラビスさん、美紀さんご夫妻にも話を聞いてみました。

「TSE ACADEMY」のお二人(写真撮影/相馬ミナ)

「TSE ACADEMY」のお二人(写真撮影/相馬ミナ)

「相模大野駅近くのレンタルスペースで英会話教室をしていたのですが、突然、閉鎖することになり、教室の場所を探していたんです。もともと渋谷兄弟のお父様を存じ上げていたので、『パークハイム渋谷』が居住スペースというのはわかっていたんですが、ダメ元でお願いし、1部屋お借りして、今、教室を開いています。英会話の生徒さんには地元の未就学のお子さんから年配の方もいらっしゃいます。

実は『キチカ』でマルシェも開いているんです。幼稚園のバザーをした時にすごく楽しくて、『キチカ』でもマルシェをやろうと思ったんです。2023年夏と2024年春に開催しました。子どもたちがつくったお店だけでなく、ケータリングカーを誘致したり、ワークショップを実施したり。びっくりするほど人が集まってくれて、こんなにもワクワクできる場所ってほかにないって感動しています」と美紀さんは話します。

マルシェ開催時の様子(写真提供/ミフミ)

マルシェ開催時の様子(写真提供/ミフミ)

賃貸や大家業についてアドバイスをしていた青木純さんはこう話します。
「兄弟二人が自分たちのペースで、少しずつ賃貸を変化させたこと、入居者さんたちの楽しそうな様子を見ていてとてもあたたかな気分になりました。これは予言といってもいいんですが、次は自分たちの賃貸物件にとどまらず、パブリック、外の場所をもっと面白くしていくんじゃないかな、そう思っています」

渋谷兄弟はもともと、「新しい大家業のスタイルを確立する」というような大望を抱くタイプではないと言います。「自分たちが大家として、住民さんと心地よく暮らしていけるにはどうしたらいいか」「住んでいる相模原を好きになるにはどうしたらいいか」を考え、ちょっとずつ、ちょっとずつ試みを行い続けた結果、自分たちも住民たちも、心地よい今があります。まるで渋谷家が代々営んできた「曳家」のように、「ゆっくりと、力強く、着実に」が二人のDNAに刻まれているからかもしれません。

●取材協力
ミフミ
Instagram
さがみはら100人カイギ
大家の学校 ※第11期の締切は5月31日(金)まで。定員に達し次第終了

【東京駅30分以内】中古マンション価格相場が安い駅ランキング2024年。シングル向け、カップル・ファミリー向け、それぞれ1位は?

東京を代表する駅と言えば東京駅。東海道新幹線や東北新幹線をはじめ、山形・秋田・上越・北陸・北海道に向かう新幹線、JR各線に加えて東京メトロ丸ノ内線も発着する一大ターミナル駅だ。駅周辺は日本最大と言えるビジネス街でもあり、通勤客から旅行客まで日々多くの人が利用している。さらに複数の再開発事業が進行中でもあり、今後もますますの発展が見込まれる。そんな東京駅まで電車で30分以内の近さでありつつ、リーズナブルな中古マンションがそろう街はどこだろう? 徒歩15分圏内にある「シングル向け(専有面積20平米以上~50平米未満)」と「カップル・ファミリー向け(専有面積50平米以上~80平米未満駅)」それぞれの、中古マンションの価格相場が安い駅ランキングをご紹介しよう。

東京駅まで電車で30分以内にある中古マンションの価格相場が安い駅ランキング

【シングル向け トップ11(16駅)】
順位/駅名/価格相場(主な路線名/駅の所在地/東京駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 西馬込 2790万円(都営浅草線/東京都大田区/28分/2回)
2位 方南町 2980万円(東京メトロ丸ノ内線/東京都杉並区/30分/1回)
2位 鶴見 2980万円(JR京浜東北・根岸線/神奈川県横浜市鶴見区/25分/1回)
4位 板橋区役所前 3180万円(都営三田線/東京都板橋区/28分/0回)
5位 大山 3200万円(東武東上線/東京都板橋区/27分/1回)
6位 京急川崎 3240万円(京急本線/神奈川県川崎市川崎区/30分/0回)
7位 南千住 3280万円(JR常磐線/東京都荒川区/15分/0回)
8位 川崎 3330万円(JR東海道本線/神奈川県川崎市幸区/18分/0回)
9位 雑司が谷 3380万円(東京メトロ副都心線/東京都豊島区/25分/1回)
10位 王子神谷 3385万円(東京メトロ南北線/東京都北区/29分/1回)
11位 三ノ輪 3480万円(東京メトロ日比谷線/東京都台東区/19分/1回)
11位 三河島 3480万円(JR常磐線/東京都荒川区/12分/0回)
11位 亀戸 3480万円(JR総武線/東京都江東区/12分/1回)
11位 板橋本町 3480万円(都営三田線/東京都板橋区/30分/0回)
11位 王子 3480万円(JR京浜東北・根岸線/東京都北区/22分/0回)
11位 赤羽 3480万円(JR東北本線/東京都北区/17分/0回)
※17位以下は記事末に掲載

【カップル・ファミリー向け トップ14(15駅)】
順位/駅名/価格相場(主な路線名/駅の所在地/東京駅までの所要時間/乗り換え回数)
1位 松戸 3380万円(JR常磐線/千葉県松戸市/27分/0回)
2位 六町 3399万円(つくばエクスプレス/東京都足立区/27分/1回)
3位 堀切菖蒲園 3480万円(京成本線/東京都葛飾区/29分/1回)
3位 蕨 3480万円(JR京浜東北・根岸線/埼玉県蕨市/29分/1回)
3位 青井 3480万円(つくばエクスプレス/東京都足立区/24分/1回)
6位 西船橋 3523万円(JR京葉線/千葉県船橋市/29分/0回)
7位 五反野 3540万円(東武伊勢崎線/東京都足立区/27分/1回)
8位 四ツ木 3580万円(京成押上線/東京都葛飾区/30分/1回)
9位 下総中山 3650万円(JR総武線/千葉県船橋市/26分/1回)
10位 小菅 3665万円(東武伊勢崎線/東京都足立区/25分/1回)
11位 西川口 3690万円(JR京浜東北・根岸線/埼玉県川口市/26分/1回)
12位 扇大橋 3740万円(日暮里・舎人ライナー/東京都足立区/30分/1回)
13位 綾瀬 3755万円(東京メトロ千代田線/東京都足立区/25分/1回)
14位 梅島 3880万円(東武伊勢崎線/東京都足立区/29分/1回)
14位 鐘ケ淵 3880万円(東武伊勢崎線/東京都墨田区/28分/1回)
※16位以下は記事末に掲載

東京駅までわずか約12分の駅も「シングル向け」上位にランクイン

「シングル向け」の1位は東京都大田区の都営浅草線・西馬込駅で価格相場は2790万円。都営浅草線で新橋駅に出て、JR東海道本線に乗り換えると東京駅に到着する。最短所要時間の約28分を狙う場合は、新橋駅より手前の泉岳寺駅で途中下車して行き先違いの都営浅草線へと乗り継ぐため「乗り換え2回」と記載したが、新橋駅まで1本で行ってJR東海道本線を利用する「乗り換え1回」のルートでも、東京駅まで30分以内に行くことが可能だ。

西馬込駅周辺(写真/PIXTA)

西馬込駅周辺(写真/PIXTA)

1位・西馬込駅は都営地下鉄の駅では最南端に位置し、都営浅草線の始発駅でもあるので混雑する朝も座って乗車しやすいのがうれしいところ。地下にある駅から地上に向かうと、国道1号・第二京浜沿いに出る。大通り沿いにスーパーやコンビニ、ドラッグストアが点在し、脇道に入れば飲食店や和菓子店、ベーカリーなどがあるのどかな商店街も。静かな住宅街を通って駅から南へ13分ほど歩けば、五重塔がシンボルの「池上本門寺」へ。その隣には緑豊かな「本門寺公園」があり、住民の憩いの場として親しまれている。

■関連記事:
大田区「池上」が進化中!リノベで街の魅力を再発掘

続く2位には価格相場が同額2980万円となった、東京メトロ丸ノ内線の方南町駅とJR京浜東北・根岸線の鶴見駅がランクイン。方南町駅は東京都杉並区、鶴見駅は神奈川県横浜市鶴見区に位置している。

方南町駅前(写真/PIXTA)

方南町駅前(写真/PIXTA)

方南町駅から東京駅まで30分以内で行く場合は、東京メトロ丸ノ内線で新宿駅に出て、JR中央線快速で東京駅を目指すため「乗り換え1回」となる。しかし丸ノ内線に乗ったままでも東京駅まで31~32分ほどなので、実際は乗り換え0回のルートを利用する人も多いだろう。沿線の新宿駅や東京駅に行きやすいアクセス性のよさに加え、駅周辺の買い物環境が整っている点も魅力の一つ。方南通りと環七通り沿いにスーパーやドラッグストア、ホームセンターなどの大型店舗が点在しているほか、ファミレスやファストフード店、ラーメン店など気軽に利用できる飲食店も豊富にそろっている。

JR鶴見駅(写真/PIXTA)

JR鶴見駅(写真/PIXTA)

鶴見駅から東京駅までは、JR京浜東北・根岸線で川崎駅に出て、JR東海道本線に乗り換えるルートだと約25分。もう少し時間がかかっても構わなければ、JR京浜東北・根岸線1本でも東京駅まで約34分でたどり着く。東京駅とは反対方面に乗車すれば、横浜駅まで3駅・約9分で行くことが可能だ。また、鶴見駅前には京急本線の急行停車駅である京急鶴見駅もあるので、横須賀や三浦半島方面に行く際はこちらを利用すると便利だろう。そんな鶴見駅は駅ビル「シァル鶴見」に直結。生鮮食品やフード、ドラッグストアのフロアから、ファッション、雑貨、飲食店のフロアまでそろい、気軽に食事や買い物が楽しめる。駅周辺にもスーパーや飲食店、ディスカウントストアなどの商店が充実し、暮らしやすそうな街並みだ。

4位以下にも東京都または神奈川県にある、さまざまな路線の駅が並んだ。トップ11(16駅)のうち東京駅までの所要時間が最短だったのは、価格相場が同額3480万円で11位にランクインしたJR常磐線・三河島駅とJR総武線・亀戸駅。両駅から東京駅までは、約12分という近さだ。三河島駅から東京駅は、JR上野東京ライン直通の常磐線を利用すると乗り換え0回で行ける。亀戸駅から東京駅までは、JR総武線の普通列車と快速を乗り継いで向かうため乗り換え1回だ。

三河島駅周辺の様子(写真/PIXTA)

三河島駅周辺の様子(写真/PIXTA)

三河島駅は東京都荒川区にあり、JR常磐線の日暮里駅と南千住駅に挟まれた立地。1つしかない駅改札を出るとすぐ前を尾竹橋通りが南北に走っており、駅から南下していくと商店街が続いている。牛丼や回転寿司などのチェーン店から、ネパール料理やグルメバーガー、イタリアンなど個性豊かな飲食店も豊富なので、ぶらぶら歩きながら店選びをするのも楽しそう。また、駅の北側地区では再開発が進行中。住宅と商業施設、多目的アリーナからなる地上43階建てのビル建設が計画されおり、着工は2024年12月、竣工は2028年3月の予定だそう。

亀戸駅周辺の様子(写真/PIXTA)

亀戸駅周辺の様子(写真/PIXTA)

亀戸駅は東京都江東区に位置し、JR総武線のほかに東武亀戸線が乗り入れている。三河島駅と同様に駅周辺に飲食店が豊富なほか、地下1階から8階屋上まで多彩な店舗が並ぶ駅ビル「アトレ亀戸」が駅北口側にあるのも便利なところ。同店舗は2024年秋の完成を目指して、大規模増床リニューアルが進められているのも楽しみだ。また、駅東口側には2022年に複合商業施設「カメイドクロック」がオープンしている。大型スーパーを核とする食のマルシェや、下町のにぎわいを感じる飲食店横丁と9店舗が並ぶフードコートなどがあり、近所に住んだ際はぜひ訪れたい。

「カップル・ファミリー向け」トップ15のうち4駅は東武伊勢崎線松戸駅前(写真/PIXTA)

松戸駅前(写真/PIXTA)

「カップル・ファミリー向け」の1位は千葉県松戸市にあるJR常磐線・松戸駅で、価格相場は3380万円。JR上野東京ライン直通の常磐線に乗ると、約27分で東京駅に到着する。駅周辺は江戸時代から水戸街道の宿場町として栄えた歴史があり、現在は松戸市の中心地。駅ビル「アトレ松戸」や複合商業施設「キテミテマツド」をはじめ大小の商店がひしめく、にぎわいある街並みだ。また、新京成線も乗り入れる松戸駅は現在、駅改良工事が進められている。東西通路の拡張や改札口周辺の改良は2026年春ごろに完成予定で、2027年春ごろには駅南側に駅ビルも誕生予定だそう。

六町駅(写真/PIXTA)

六町駅(写真/PIXTA)

2位には東京都足立区にある、つくばエクスプレス・六町(ろくちょう)駅が価格相場3399万円でランクイン。東京駅までは、まず南千住駅に出てからJR上野東京ライン直通の常磐線に乗り換える。すると1位・松戸駅と同じ所要時間の約27分でたどり着く。駅周辺に大型商業施設はなく、落ち着いた住宅街。ただ、駅の出入口すぐ近くに24時まで営業のスーパーがあるほか、周辺にはコンビニやホームセンターもあるので日々の買い物には困らないだろう。また、駅から南へ10分ほど歩いた環七通り沿いに出ると、うどんや回転寿司、ラーメンなどの飲食店も利用できる。

3位には価格相場3480万円となった3駅が並んだ。京成本線の堀切菖蒲園駅、JR京浜東北・根岸線の蕨(わらび)駅、つくばエクスプレスの青井駅だ。東京都足立区にある青井駅は、2位の六町駅から乗り換え駅である南千住駅方面に向かって1駅目。東京駅まで約24分という所要時間は、トップ15の駅では最短だ。駅は都営住宅・都民住宅の団地に囲まれたような立地で、住宅街だけあって徒歩10分圏内に複数のスーパーやドラッグストアが点在している。サッと食べられるような飲食店が駅の近くには見当たらないものの、北へ10分ほど歩くと六町駅の紹介部でも記述した環七通りに出るので、そのあたりで食事をしてもいいだろう。

堀切菖蒲園(写真/PIXTA)

堀切菖蒲園(写真/PIXTA)

青井駅の2.8kmほど南には、同額3位の京成本線・堀切菖蒲園駅がある。東京都葛飾区に位置するこの駅は、駅名からわかるように「堀切菖蒲園」の最寄り駅。駅から南に10分ほど歩いた荒川近くに広がる園内では、例年6月上旬~中旬にハナショウブが美しく咲き誇る。駅周辺にはスーパーやコンビニのほか、飲食店も多彩。実は町中華を含めてラーメンが味わえる店が多い街でもあるので、自分好みの一杯を探し歩くのも楽しそうだ。東京駅までは、まず日暮里駅に出てからJR上野東京ライン直通の常磐線快速に乗り換えると計29分で到着できる。

蕨駅周辺の様子(写真/PIXTA)

蕨駅周辺の様子(写真/PIXTA)

3位に入った残る1駅、JR京浜東北・根岸線の蕨駅についても見てみよう。赤羽駅に出てからJR上野東京ライン直通の高崎線に乗ると、東京駅まで約29分。JR京浜東北・根岸線1本でそのまま向かっても、東京駅まで約37分だ。蕨駅の所在地である埼玉県蕨市は、面積がわずか約5.1平方キロと全国の市のなかで最も狭く、人口密度は最も高い市として知られている。そんな市の玄関口である蕨駅の西口側では、2024年1月に再開発事業が着工。駅前広場の再整備とともに、商業施設や公共公益施設、住宅として利用される地下1階・地上28階建てのビル2棟の建築が進められている。竣工は2027年7月の予定だ。現在の駅周辺の様子はというと西口・東口のどちらにも多彩な飲食店があり、スーパーやドラッグストアも複数。東口から自転車で10分ほど走ると、「ニトリ」や「ユニクロ」など160店舗以上が営業する「イオンモール河口前川」もある。

さて「カップル・ファミリー向け」のトップ15を見てみると、千葉、東京、埼玉の各地にある駅が並んでいる。路線もさまざまだが、東武伊勢崎線が最多で4駅ランクイン。そのうち最も価格相場が安いのは、3540万円で7位になった五反野駅だ。

7位・五反野駅は東京都足立区に位置し、北千住駅に出てからJR上野東京ライン直通の常磐線に乗り換えると計約27分で東京駅にたどり着く。五反野駅にも停車する東武伊勢崎線の普通列車は東京メトロ日比谷線との直通運転が行われており、上野駅や銀座駅、中目黒駅にも1本で行ける点も便利だろう。駅周辺には住宅街が広がり、複数のスーパーが点在。駅前通りの商店街にはファストフード店や個性的な飲食店、精肉店に青果店、持ち帰りおでんのお店まで約50店舗が連なっている。駅から南へ15分ほど歩くと、荒川の河川時にへ。のどかな川辺の景色を眺めながら、ジョギングや散歩をしてリフレッシュできる環境なのも魅力だろう。

●「シングル向け」17位~48位

「シングル向け」17位~48位

●「カップル・ファミリー向け」16位~50位

「カップル・ファミリー向け」16位~50位

●調査概要
【調査対象駅】SUUMOに掲載されている東京駅まで電車で30分圏内の駅(掲載物件が20件以上ある駅に限る)
【調査対象物件】
駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数40年未満、敷地権利は所有権のみ
シングル向け:専有面積20平米以上50平米未満
カップル・ファミリー向け:専有面積50平米以上80平米未満
【データ抽出期間】2023/8~2024/2
【物件相場の算出方法】上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
【所要時間の算出方法】株式会社駅探の「駅探」サービスを使用し、朝7時30分~9時の検索結果から算出(2024年3月25日時点)。所要時間は該当時間帯で一番早いものを表示(乗換時間を含む)
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
※ダイヤ改正等により、結果が変動する場合がある
※乗換回数が2回までの駅を掲載

世界の名建築を訪ねて。圧倒的売れっ子建築家ビヤルケ・インゲルス設計の高層集合住宅「イコン集合住宅タワー(Iqon Residential Tower)」/エクアドル・キト

世界中の建築を訪問してきた建築ジャーナリスト淵上正幸が、世界最先端の建築を紹介する連載16回目。今回は、エクアドルの首都・キトにある高層集合住宅「イコン集合住宅タワー(Iqon Residential Tower)」(設計:ビヤルケ・インゲルス)を紹介する。

「ウーブン・シティ」などを手掛ける世界的建築家・ビヤルケ・インゲルス設計「イコン集合住宅タワー」

ビヤルケ・インゲルスといえば、ニューヨークをベースに活躍する建築家で、現今の世界建築分野では圧倒的なパワーでデザイン活動をしているスター・アーキテクトとして知られている。

その話題の建築家ビヤルケ・インゲルスがデザインした「イコン集合住宅タワー」(Iqon Residential Tower)が、南米エクアドルの首都キトに完成し、話題となっている。建物はキトのカロリーナ公園近くにできた高層ビルで、インゲルス初の南米建築となった。

カロリーナ公園とストリートを挟んで向かい合う32階建ての「イコン集合住宅タワー」は、ファサードがカスケード状になったバルコニーが特徴の建築だ。キトでは最高の高さを誇るタワーで、220戸のアパートメントを擁し、コマーシャル・スペースやオフィス群も併設されている。

(c) copia

(c) copia

“生物多様性”を建築で表現した

高さ133mのスカイスクレーパー(摩天楼)は特異な外観で、キトのスカイラインに君臨している。ファサードは、現地の樹木や草花を植えこんだコンクリート・ボックス群で覆われている。こうしたデザインにより、キトの都市景観や有名なピチンチャ火山を展望することができる。また時間の経過に連れてグリーンが生育し、カロリーナ公園のグリーンと連携することを目指している。

(c)BICUBIK

(c)BICUBIK

インゲルスが考えたのは、キトのアイコニックな地理学的な条件、すなわち、地球上で最もバイオ・ダイバーシティ(生物多様性)のある国のひとつであるということ。さらに人間や植物にとっては常にエネルギッシュな状態にある赤道直下の国という特徴を、垂直的な形態にデザインしたという。

インゲルスによれば、キトの全てのアイコニックな性質を引き出すことにより、個人住宅群の垂直的コミュニティである「イコン集合住宅」を生みだした。これはカロリーナ公園を建物の頂上まで伸び上がらせた増築というコンセプトをベースにして完成させた。

「イコン集合住宅」は、キトにあるふたつのランドマーク的集合住宅のひとつとしてデザインされたものである。もう一方は、 やはりアメリカのモシェ・サフディ・アーキテクツのデザインによる、彼らの南米初の集合住宅である「コーナー・ビルディング」(Qorner building)である。

インゲルスによる「イコン集合住宅」と、近隣にあるサフディ・アーキテクツの「コーナー・ビルディング」は、キトにおける現代建築ブームを反映しているようだ。ふたつの建物は、キトという都市が、建築、デザイン、イノベーションなどの試金石となり、変貌していくプロセスを表現しているとも言われている。

最初の住民が入居しはじめて、建物内部でのビジネスがスタートし、両ビル間での相互作用により、近隣界隈の繁栄のドライビング・フォース(推進力)になることが期待されている。

先端的なアーバン・ライフを享受できるぜいたくな集合住宅

「イコン集合住宅」は延床面積が55,000平米もあり、220戸のアパート、5店舗の商業施設、36社のオフィスが入居している巨大ビルディングである。住居は1ベッド・ルームから3ベッド・ルームがあり、その中にはキト市街のパノラミックな景観をエンジョイできる、ゴージャスな9戸のペントハウスが含まれている。

(c)Pablo Casals Aguirre

(c)Pablo Casals Aguirre

住戸、オフィス、商業施設に加えて、建物にはパブリック・プラザ、ショップ、野菜ガーデンが併設された大きなグラウンド・フロア・プラザがある。その他のアメニティとしては屋上プール&テラス、スポーツ&スパ施設、ボウリング場、ミュージック・ルームなどがあり、同市における先端的なアーバン・ライフを享受できる施設でもある。

増加する空き家、政府が不動産売買の仲介手数料上限の一部改正に向けてパブリックコメントの募集をスタート

5年ごとに日本の住宅とそこに居住する世帯の居住状況などを調べる、「住宅・土地統計調査」の令和5年版が公表された。日本の住宅数は増える一方で、空き家の数も過去最多を更新するという結果だった。空き家の実態とその対策について、考えていこう。

【今週の住活トピック】
「令和5年住宅・土地統計調査」結果を公表/総務省

放置されている可能性の高い空き家は全国に385万戸

調査結果によると、日本の総住宅数は6502万戸で過去最多となった。常に居住していない「空き家」の数は、全国で900万戸に達し、空き家率は13.8%にまで上昇した。日本の総人口が減少する一方で、住宅の数は増え、空き家も増えているのが実態だ。

ただし、空き家の中には、売却予定で住んでいない住宅や賃借人の入れ替わりで空いている賃貸住宅など、いずれ居住される予定の住宅も含まれている。さらには、別荘や二次的住宅として、常に居住はしていないが必要な時に利用しているものも含まれる。

空き家すべてが問題なのではなく、居住予定や利用予定のない、“放置された空き家”がさまざまなトラブルの元になる。放置されている可能性の高い「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」に限定すると、385万戸、空き家率は5.9%になる。むしろ、この部分が増えていることが問題だろう。

出典:「令和5年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

出典:「令和5年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

ちなみに、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家率」(全国平均5.9%)が10%を超えるのは、北から順に秋田県(10.0%)、和歌山県(12.0%)、島根県(11.4%)、山口県(11.1%)、徳島県(12.2%)、愛媛県(12.2%)、高知県(12.9%)、鹿児島県(13.6%)だった。

放置された空き家はなぜ問題になるのか?

適切な管理をしないで空き家が放置されると、建物は急速に老朽化し、庭木も伸び放題となる。そうなると、建物が倒壊する危険性が高まるだけでなく、周囲の景観を乱したり、害獣や害虫による衛生面の問題が生じたり、犯罪の温床になったりといったトラブルを引き起こす原因になりかねない。

ただし空き家といえど、住宅は個人の財産なので、国や自治体が勝手に立ち入ったり、取り壊したりすることはできない。だからと言って、政府も手をこまねいているわけではない。

「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特措法)」によって、自治体が空き家に立ち入って実態を調べたり、空き家の所有者に適切な管理をするよう指導したり、空き家の跡地の活用を促進できるようにした。放置されて問題となる空き家を「特定空家」に指定したり、その危険性のある空き家を「管理不全空家」に指定することで、自治体が強く関与できるようにもしている。

空き家が放置される原因ひとつひとつに手を打っているが……

空き家を放置する原因のひとつが、売っても値が大してつかないといったことや、住宅が建っていた方が更地にするよりも減税になるといったことがあった。そこで、政府は「特定空家」や「管理不全空家」に対しては、固定資産税の減額措置を解除したり、逆に空き家を売却した場合には、譲渡所得から最大3000万円を差し引ける特別控除の適用を認めたりする措置を取っている。

また、さらに問題を大きくしているのは、所有者が分からない場合だ。相続を繰り返す際に登記をしないことで、所有者が判明しないという事例も多い。そのため、相続登記の申請を義務づける改正を行い、2024年4月から施行されている。

住宅価格の高い都市部では、譲渡所得の特別控除などの対策が効果的に働くものの、過疎地域、郊外型団地、木造住宅密集地などによって、空き家が発生する経緯や解決すべき課題、対応方法などが異なる。空き家に対する相談窓口を強化するなどの対策も講じているが、空き家の課題解決は一筋縄ではいかない。

新たな解決策につながるか?仲介手数料の上限規制を緩和?

2024年5月2日に、「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の一部改正案に関して意見募集がされた。いわゆるパブリックコメントだ。

背景にあるのは、不動産会社が不動産の売買などを仲介した際の手数料に規制があることだ。売買では、価額が400万円を超える場合に「売買価格×3%+6万円+消費税」といった速算式がある。なお、200万円以下の場合は売買価格の5%が上限なので、200万円の取引なら仲介手数料は最大で10万円+消費税しか受け取れない。

放置された空き家はこうした低価格な取引にしかならないことが多いため、地方の空き家を仲介しても経費を差し引くと手元に残らないといったことが起こる。同じ時間を都市部の高額な住宅の売買に向けたほうが効率的なので、不動産会社が仲介に積極的に取り組みづらいということになる。

こうした背景を受けて改正案では、低価格な取引となる空き家の売買などの仲介をした場合、価額が800万円以下であれば仲介手数料を従来の規定より多く受け取ることができるようにするという趣旨になっている。ただし、「30万円の1.1倍に相当する金額を超えてはならない」などの制限を設けている。また、長期間空き家の賃貸借の仲介についても、仲介手数料の上限を緩和する案となっている。

これによって、空き家が仲介市場に出回るようになることを期待しているわけだ。

資産である住宅が空き家として放置されるのには、さまざまな理由がある。政府もかなり踏み込んだ対策を打ってはいるが、急速に増加する空き家に追いつかない状況だ。負動産を後世に残さないために、今後も空き家に対する対策をさらに検討する必要があるだろう。

私たちにできることは、空き家にならないように早めに対処したり、しっかり予防することだ。住まないことが想定される親の住まいや別荘などをどうするか、きちんと話し合って準備をしておきたいものだ。

●関連サイト
総務省「令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果」
パブリックコメント「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」の一部改正案に関する意見募集について

銭湯前で始めよう!【ニューニュータウン】

所在地:荒川区西尾久
8万8,000円(税込) / 34.8平米
都電荒川線「小台」駅 徒歩6分

商売は銭湯前で! かねてからそう心に決めている方がいたらドンピシャですが、おっとウチの商売にちょうどいいかも!と、たったいま気付いた方がいるならば見過ごすべからず。



運命の出会いと信じて、ここは一歩前に進んでみるチャンスだと思います。



場所は都電荒川線が走り懐かしさが残る町、 ... 続き>>>.
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孤独を癒す地域の食堂、ご近所さんや新顔さんと食卓を囲んでゆるやかにつながり生む 「タノバ食堂」東京都世田谷区

5月は「孤独・孤立対策強化月間」。「孤独ですか?」と聞かれたら、あなたは何と答えるでしょうか。現在、働いていても、家族がいても、友人がいても、内心、孤独を感じている人、将来、孤立するのではという怖れを抱いている人は多いことでしょう。今回はそんな「孤独の解消」を目的に掲げて活動する「タノバ食堂」の講演会と食事会に参加してきました。

地域ですれちがったときに会釈できる。ゆるやかなつながりが孤独を救う

TanoBa(タノバ)合同会社は、「望まない孤独をなくす」を目的に、2023年3月にヤフー・ジャパンの卒業生3名が共同出資してできました。事業の1つ「コミュニティ事業」として毎月、実施しているのが、食事をともにすることでゆるくつながりをつくる「タノバ食堂」です。タノバ食堂が実施されるのは、東京都世田谷区にある野沢龍雲寺の別館・龍雲寺会館。完全予約制で、2023年10月より毎月最終土曜日に行われており、通算5回、約100人の参加があったといいます。料金は参加者が思い思いの金額を支払う自由価格制をとっています。

左から宮本桃子さん、宮本義隆さん、多田大介さん(写真撮影/内海明啓)

左から宮本桃子さん、宮本義隆さん、多田大介さん(写真撮影/内海明啓)

2024年3月30日、TanoBa合同会社の設立を記念して、「望まない孤独を解消するための処方箋~自己責任社会からの脱却~」というイベントが開催されました。
トークイベントに先立ち、まず、TanoBa代表社員である宮本義隆(みやもと・よしたか)さんが、日本の社会の変化や孤独の背景にあるもの、タノバの設立と活動について紹介。誰もが起こり得る身近な問題「孤独」の解決の処方せんになり得ると話すのが「道端ですれ違ったときに会釈できる程度のゆるいつながり」だといいます。そこをつなぐのが、タノバ食堂の役割です。

宮本義隆さんの挨拶(写真撮影/内海明啓)

宮本義隆さんの挨拶(写真撮影/内海明啓)

確かにごはんをいっしょに食べると、「知らない人」から「見たことがある人」「話したことがある人」になります。そうしたゆるいつながりこそが、孤独を癒やし、生きやすい社会をつくってくれる、とのこと。また、この「タノバ食堂」で得た経験値を全国に広げて還元していきたいと話してくれました。

お寺の本堂に約70名の参加者がいます。なかなか見慣れない光景のようにも思えますが、お寺本来の使われ方なのかなとも思います(写真撮影/内海明啓)

お寺の本堂に約70名の参加者がいます。なかなか見慣れない光景のようにも思えますが、お寺本来の使われ方なのかなとも思います(写真撮影/内海明啓)

孤独問題の第一人者と名物編集者の対談は、笑いあり、学びあり、気づきあり

続いて開催されたのが、トークセッションです。登壇者は、24時間365日、無料かつ匿名で相談を受け付けているNPO法人「あなたのいばしょ」の理事長・大空幸星(おおぞら・こうき)さんと新潮社の名物編集者でもあり、出版部部長(現執行役員)中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)さんという異色かつ豪華な2人。会場となった龍雲寺の本堂に老若男女約70名が集まりました。

中瀬ゆかりさん(左)と大空幸星さん(右)(写真撮影/内海明啓)

中瀬ゆかりさん(左)と大空幸星さん(右)(写真撮影/内海明啓)

2020年に相談開始してから、多い時で1日に3000件、累計100万件近く、多くの人の相談に乗ってきた大空さんが、なぜ孤独が問題なのか、その背景にある風潮や思想を紹介します。

「日本では『孤独を愛せ』などというように、孤独が肯定的な文脈で使われることがあります。もちろん望んで孤独になっているという人もいますが、望んでいないのに孤独に陥っている人もいます。問題なのは、この望まない孤独・社会的な孤立です。また、孤独で苦しい、助けて、と言い出せない背景には、新自由主義的な考え方、どこか懲罰的な自己責任論、自業自得的な考え方があるように思います。非正規雇用が増え続けたこの30年間、コロナ禍を経て、ますます人々が置き去りにされ、追い詰められているのではないでしょうか(大空さん)

望まない孤独の背景には、自己責任論、新自由主義的価値観の影響があるという大空さん(写真撮影/内海明啓)

望まない孤独の背景には、自己責任論、新自由主義的価値観の影響があるという大空さん(写真撮影/内海明啓)

続けて、メディアにもたびたび登場する中瀬ゆかりさんが、文学と孤独、人との関係について話します。

「文学と孤独は切っても切れない関係です。陽気で“ウェーイ!”という人に向けての本はあまりなくて(笑)、なにか人によりそう、生きにくさや孤独を抱えた人によりそうのが本であり、文学なんですね。「人生論ノート」などで知られる哲学者・三木清は『孤独は山にない、街にある。一人の人間にあるのではなく、大勢の人間の「間」にあるのである。』といいましたが、つながっているように見えても誰にでも孤独は訪れます。自己責任論で片付けるにはあまりにも創造力がないし、短絡的だなと思います」(中瀬さん)

自身の体験を交えながら、孤独や食事、文学について話す中瀬さん(写真撮影/内海明啓)

自身の体験を交えながら、孤独や食事、文学について話す中瀬さん(写真撮影/内海明啓)

そのうえで二人は、孤独の解消に必要なのは、ゆるいつながり、おせっかい、聞く力だといいます。

大空さん「孤独は普遍的な問題で、みなが経験するもの。対処法はひとつではないですし、それぞれの立場でできることをすればいいと思います。ただ、やっぱり、おせっかいも大事なんですね。『どうした?困っている?』という地域の人の声がけられるのは、大きいですよね。また、できることでいうと、私達はとにかく相手の話を聞くこと。肯定すること。ほめてあげることを徹底しています。予防という意味では、やはりゆるいつながりをたくさんもっているのがいいですよね。
また、『僕は本気の他人事』という提唱をしていて。とにかく、人を助けたいという人はがんばりすぎて、自分を犠牲にしてしまうことが多いんです。すると自分の人生を大事にできなくなってしまう。自分を大事にして、余白ができたら手を貸す。その姿勢でよいと思います」

中瀬さん「私自身、パートナーの喪失、愛猫の介護などが押し寄せ、地獄のような日々を送っていました。特にパートナーを失ってからの2年間は、毎日、誰かとご飯を食べる約束をしていたんです。誰かと食事をするとその日、1日は生きていくことができる。こうして2年くらい過ごしたら、生きている人同士だけでなく、死者ともつながりをもてるんだなということに気がついて。遺骨をネックレスにしていたんですが、パートナーの好きだった競馬場にこのネックレスを身に着けていき、競馬を見ていたらつながっているなあと実感しました。
あと、下ネタは話題や人にもよりますが、最強なのではないかと(笑)。すごいラクなんですよ、聞いているほうも話しているほうも。笑った分は救われるではないですが、しょーもない話をしていることで、気持ちがラクになる。難しく追い詰めずに笑うのが力になると思います」

時折、笑いも交えたトーク内容に、多くの人がうなずき、そしてメモをとっていました。

住職からみた「寺」とまち、孤独、つながり。普遍的な宗教の役割とは

トークイベントの最後は、タノバ食堂の場所を提供し、サポートしている野沢龍雲寺 の住職・細川晋輔さんの話です。

人へのあたたかくやわらかなまなざしが印象的な細川住職(写真撮影/内海明啓)

人へのあたたかくやわらかなまなざしが印象的な細川住職(写真撮影/内海明啓)

「タノバ食堂の取り組みというのは、寺院や私たち僧侶にとっても、とても大事な問題だと捉えています。孤独で、苦しみのただ中にいると『死』という選択が光・希望に見えるというお話がありました。そうでなくて、タノバ食堂が提供するようなつながり、孤独でないという思いが『光』になれたらいいなと思います。つらく悲しい選択をしなくてよいように、私たちができることからコツコツと笑顔になっていければと思います」とやさしく語りかけます。

実は、このタノバ食堂、創業者の多田大介さんが野沢龍雲寺のご近所に住んでいたこと、多田さんのいとこが細川住職と知り合いだったことから、「場所を提供する」という話がまとまったといいます。トークイベント終了後、その経緯と手応えを細川住職に聞いてみました。

「タノバ食堂のお話を聞いたときに、まず1回やってみようという話になりました。場所は無料でお貸し出ししていますが、お願いしたことはただ一つ、場所を来たとき以上にキレイにしてください、ということだけです。
本日、参加者が通算100人を超えるということでしたが、まず何千人という数の話ではなく、ムリのない範囲で背負わない程度にやっていけたらいいですよね。これを10カ所でやったら1000人になりますし、100カ所でやったら1万人になりますよ。そうしてゆっくりと、孤立の解消につながればいいですね」といい、できるペースで続けていくことが大切だと話します。

そして、寺院を広く開放するようになった背景をこう話してくれました。

「私が京都の修行を終え、お寺に戻ってきた時のことです。雪の日に子どもたちが雪だるまをつくっていたんですが、声をかけようとしたら子どもは怒られると思ったようで、話ができなくて。お寺には入っていけないと言われているし、声がけをしたら怪しまれる。時勢柄、今の社会はよいようで、やはりこれではよくない。そこで境内にベンチを置いて、花見とライトアップ、盆踊り、ヨガや座禅会なども行っています。昔のお寺にあった地域に開かれた場所というのを今、意識的に行っているんです。みなさんもカフェを訪れる感覚で、お寺を訪れてもらえたらうれしいです。東京にもたくさん寺院はありますので」(細川住職)

寺院、お寺、宗教というと、閉ざされた神聖な場所をイメージしますが、もともとは行政や病院、学校、裁判のような多数の人に開かれた場所でもありました。細川住職が理想として思い描くのは、やはり開かれて、ゆるくつながる場所としての「寺院」の存在です。

トークイベント終了後には参加者と記念撮影(写真撮影/内海明啓)

トークイベント終了後には参加者と記念撮影(写真撮影/内海明啓)

「タノバ食堂さんが目指すように、やはりご近所さんとは会ったら挨拶できる関係がよいかなと思います。散歩している人には結構、喋りかけることも多いですね。もちろん返してくれない人、嫌がる人もいますけど(笑)。この根底にあるのは、『まわりに迷惑をかけていけない』という考え方なんでしょう。でも、いいんです、迷惑をかけて。生きるっていうことは迷惑をかけることなんです。迷惑をかけてもいいと思えば、みなさん少しラクになるのではないでしょうか」と、細川住職。

私たちの多くは、小さなころから何度も「まわりに迷惑をかけるな」といわれて育ちます。だからこそ、迷惑をかけずにひっそりと暮らさなくてはいけない、苦しくても助けてといえない、「静かな圧力」になっている側面もあるのでしょう。ご住職の「そもそも人は迷惑をかけるもの」という捉え方に、肩の力が抜ける思いがします。

老若男女が食事を楽しむ。会話が苦手な参加者も自然になじむ

トークイベント終了後、場所を「龍雲寺会館」に移し、「タノバ食堂」が17時30分から開店しました。今回は常連さんから初参加者に加え、大空さんと中瀬さんを含め、老若男女で食卓を囲みます。メニューはちらし寿司など春を感じさせるもので、今回はアルコールはなしですが、アルコールが飲めることもあります。

ボランティアの料理人さんを紹介。海外出身の方もおり、会場からは驚きの声が上がっていました(写真撮影/内海明啓)

ボランティアの料理人さんを紹介。海外出身の方もおり、会場からは驚きの声が上がっていました(写真撮影/内海明啓)

タノバ食堂の約束をまとめた「タノバ食堂の憲章」。9番目の「来た時よりも美しく、残すものは感謝のみ」は、会場を提供する細川住職の唯一のお願い(写真撮影/内海明啓)

タノバ食堂の約束をまとめた「タノバ食堂の憲章」。9番目の「来た時よりも美しく、残すものは感謝のみ」は、会場を提供する細川住職の唯一のお願い(写真撮影/内海明啓)

今回の献立は、ちらし寿司に筑前煮など。「取り分け」があるので、コミュニケーションのきっかけにもなります(写真撮影/内海明啓)

今回の献立は、ちらし寿司に筑前煮など。「取り分け」があるので、コミュニケーションのきっかけにもなります(写真撮影/内海明啓)

「いただきます!」の挨拶をしたら、参加者は思い思いの会話をし、盛り上がっていました。参加していたのは40人ほどで、年齢性別、属性も異なり、講演会に参加していた人からさらにバラエティー豊かな顔ぶれに。その様子はまるで古くからの友人のよう。初対面の人に話しかけたり、名前と顔を覚えたりするのが苦手な筆者からすると、「みなさん、コミュニケーション能力高すぎでは?」と思っていました。ただ、食事会にも参加した大空さんによると、そうでもないようです。

食事会の様子。年齢・性別もばらばらですが、会話が弾んでいます(写真撮影/内海明啓)

食事会の様子。年齢・性別もばらばらですが、会話が弾んでいます(写真撮影/内海明啓)

発起人である多田さんも、もちろん参加します(写真撮影/内海明啓)

発起人である多田さんも、もちろん参加します(写真撮影/内海明啓)

食事会にも参加した大空さん。箸を進めつつ、会話をしていきます(写真撮影/内海明啓)

食事会にも参加した大空さん。箸を進めつつ、会話をしていきます(写真撮影/内海明啓)

「僕と同じテーブルになった方は、実はコミュニケーションが苦手で今日、ここに来るかどうかもすごい迷ったらしいんです。ただ、ここは食べるのがメインだから、あんまり重く受け止めなくていいと言っていました」と大空さん。会話が苦手な人はおかずを取り分けたり、会話の聞き役にまわったりとなじんでいるよう。みなさん会話が得意な人というわけではなく、あくまでも「食事メインだから」というのがよいようです。

途中、今回が2回目の参加という30代女性に話を聞きました。
「前回が楽しかったので、2回目の参加です。1カ月に一度というペースもちょうどよいですし、孤独というテーマにも興味があって。手づくりの食事を食べて盛り上がるだけなので、がんばらずに参加できるのがいいなと。リアルのつながりと、オンラインのつながり、どちらも大切。居場所があるといいなと思います」と感想を教えてくれました。

にこやかな中瀬さん。昔からの友人かのように盛り上がっていました(写真撮影/内海明啓)

にこやかな中瀬さん。昔からの友人かのように盛り上がっていました(写真撮影/内海明啓)

会話が苦手という人もいて、勇気をふりしぼって参加したという方も。みんながみんな会話上手、盛り上げ上手というわけではないようです(写真撮影/内海明啓)

会話が苦手という人もいて、勇気をふりしぼって参加したという方も。みんながみんな会話上手、盛り上げ上手というわけではないようです(写真撮影/内海明啓)

また、地元町内会で、毎回、「タノバ食堂」に参加しているという70代女性によると、この世田谷区野沢という地域は「まだつながりが残っている」とのこと。

「ご住職さんともつながりがあるし、近隣での声がけもまだ残っている地域です。ただ、この数年、コロナ禍で人と会えなくなり、だいぶ寂しかったですね。高齢だと人と会わず、話さなかったことで、気持ちも足腰も弱まり、元気を失ってしまった人もたくさんいるんです。タノバ食堂のように、地域の人、そして普段会わない人が集えるのはとてもいい。いつものメンバーだと会話もあきてしまうでしょ(笑)。新鮮な気持ちになるし、元気をもらえる。続けて参加して応援できたらと思います」といい、地域の協力・理解も得られているようです。

第二次世界大戦後から高度経済成長期、バブル経済崩壊などを経て、家族のあり方、ご近所付き合い、親戚づきあい、自治会や町内会、学校やPTA、会社の社員同士など、今まであったつながりも急速に衰えてしまいました。助けて、と言えない「孤独」「孤立」は、まさに誰もが陥るのだと思います。ただ、一方で、「ご近所と仲良くなりましょう」「助け合い」「絆」といわれてしまうと、「合わない人がいるかも」と気が引けてしまいます。「月1度、ご飯を食べるだけ」そんな気楽な会であれば、きっとつながれる人もいることでしょう。

仏教に由来する言葉のひとつに、「袖振り合うも多生の縁」という言葉があります。「多生」は仏教語で前世を意味し、袖が触れ合うようなちょっとした出会いも、過去の縁によって起きるという考え方です。自分も大事にしながら、人や人との縁を大事にしていけたら。そう考えれば、未来は今より少しだけ生きやすいものに変えていけるのかもしれません。

●取材協力
タノバ食堂

まちを住み継ぐ、家をつくろう【建築条件付き土地】

所在地:東久留米市学園町
6,750万円 / 176.27平米(土地)
西武池袋線「ひばりヶ丘」駅 徒歩12分

場所は東久留米市学園町。住宅街ながら10mを超えるような木が茂り、そよそよと揺れる木漏れ日、方々から聞こえる鳥のさえずり。



数ある東京郊外の住宅地のなかでも、これはちょっと違うぞ…!と感じる環境です。この地域は自由学園を中心に緑豊かな住宅街が広がっています。



そんなまちの一角 ... 続き>>>.
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東中野でコンパクトなアトリエを

所在地:中野区東中野
11万円 / 32.43平米
都営大江戸線・中央線「東中野」駅 徒歩7分

ガラス張りの外観が美しく、共有部もコンクリート打ちっぱなしのクールなデザイン。そんな存在感のあるビルの一室にコンパクトで個性的なお部屋を発見。



レイアウトの一番の特徴である5.8畳のワークスペースは、シンプルな四角い空間で使い勝手が良さそう。白タイルの床がお部屋を明るく見せてく ... 続き>>>.
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五反田の空中庭園【ルーバルと絵になる部屋】

所在地:品川区東五反田
7,480万円 / 74.02平米
山手線・都営浅草線「五反田」駅 徒歩5分

なんてぜいたくなこの眺め! 



約42㎡の広々としたルーフバルコニーの目前に広がる、あふれんばかりにモサモサな緑。都心とは思えないのんびりとした雰囲気に、しばらくボーっとしてしまいました。



ここは五反田駅からほど近く。レトロなマンションの最上階です。訪れた方はみんな「こんな場所 ... 続き>>>.
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【京都】再建築不可の路地裏の長屋が子育てに理想すぎる住まいに! 子育て家族の家賃優遇、壁に落書きし放題など工夫もユニーク

都市部に多い路地物件は再建築不可とされているものが多い。リフォームはできても新築ができず、利便性の良い土地なのにうまく活用されていない場合がある。その問題に官・民・専が一体となって取り組み、子育てファミリーに向けて新しく建築した、京都の長屋プロジェクトを取材。実際に路地裏で子育てをしているファミリーにも話を伺った。

再建築不可の物件は実はポテンシャルが高い

再建築不可物件とは、建っている建物を解体して更地にしてしまうと、新たに建物を新築することができない土地のこと。主に建築基準法上の道路と2m以上接道していない場合や、路地や通路(非道路)のみにしか接していない場合も、原則、再建築不可となる。全国的にいうと総戸数6240万7400戸のうち、道路に接していない住戸は129万5500戸、幅員2m以内が292万3600戸あり(総務省統計局 平成30年度調査)、約7%近くが更地にしてしまうと新たに建物を建てることができない。

再建築不可物件の概念

再建築不可物件の概念

路地裏(写真/PIXTA)

路地裏(写真/PIXTA)

ところが基本的に再建築不可物件があるのは都市計画区域内、しかも昔から人々が暮らしていた都市部が中心で、今も人気の高いエリアが多い。再建築不可の物件を上手に活用することは、そのまちの魅力を保つ大きな要素になるはずだ。

東京では、一帯を大規模開発して、まったく違う景色にしてしまう手法が中心だが、京都では路地文化を活かしたまま再構築している例が見られる。リノベーションの技術が進み、どんなに古くても柱や梁など必要な建物の基礎さえ残っていれば、修繕・改修することは可能だが、火事などで建物自体が残っていない場合は、この手法が使えない。

しかし、乗り越えなければならないハードルも高い。京都では、この問題に官・民・専が三位一体となって取り組んでいると聞いた。一部が火事で焼失してしまい残されていた路地(袋路)を他の物件と一緒に再建することを可能にした例は、非常に興味深く、同様の課題に悩む街にとっても参考になると思う。

官・民・専が三位一体となって進める路地再生プロジェクト

京都の魅力の1つに、幅員の狭い細街路と約4,300本以上もあるといわれる行き止まりの通路、袋路(ふくろじ)の存在がある。もともとは人々の生活のために誕生した路地だが、隠れ家のような雰囲気と、京都のローカルな生活を感じられて、最近では、わざわざそういった場所に店舗を持つ場合も増えている。

門や扉がある路地も多い(画像提供/八清)

門や扉がある路地も多い(画像提供/八清)

ところが安全面や市場性という点では、課題を抱えていることが多い。路地奥の家は再建築不可の場合が多く、リフォームはできても、原則建て替え・増改築はできない。プロジェクトを進めるにあたり、山積する問題をひとつずつ解決していく必要がある。

現在、京都市では再建築不可物件の再生を図るために「路地カルテ」という取り組みを行っている。いわゆる再建築不可の敷地であっても、建築基準法の許可を受けることで建て替え等ができる場合があるが、接道許可を受けるまで許可の可否は判断できない。そのため「路地カルテ」を発行すれば事前に許可が可能な路地であることが確認でき、流通の促進になり、早い段階から住宅ローン審査にも応じてもらえる環境づくりを目指せるというものだ。

くわえて驚くことに、京都では「路地の再活用」という取り組みに、官・民・専が三位一体となって一緒に取り組んでいる。1994年に誰もが住みやすい京都のまちづくりをめざしてスタートした建築、不動産、建築行政等専門家のネットワークで構成する「都市居住推進研究会(都住研)」の存在が大きい。

30年以上、まちづくりの観点から路地再生に取り組んできた都市居住推進研究会

都市居住推進研究会(以下、都住研)が主体として「袋路内子育て支援住環境事業」に取り組んできたのが、下京区中堂寺前田町路地長屋再生プロジェクトだ。

今回お話を伺った都住研のメンバーは、京都美術工芸大学教授・京都大学名誉教授の髙田光雄氏(会長)、京都光華女子大学准教授でスーク創生事務所代表の大島祥子氏(事務局)、不動産会社 八清の会長の西村孝平氏(以下、運営委員)、京都女子大学准教授の是永美樹氏、京都美術工芸大学教授の森重幸子氏だ。

(前列左より)運営委員の西村孝平氏、会長の髙田光雄氏、(後列左2番目より)運営委員 森重幸子氏、事務局 大島祥子氏、運営委員 是永美樹氏(画像提供/八清)

((前列左より)運営委員の西村孝平氏、会長の髙田光雄氏、(後列左2番目より)運営委員 森重幸子氏、事務局 大島祥子氏、運営委員 是永美樹氏(画像提供/八清)

「もともとは2014年ごろに京都市から『20 数年前の火災で空き地になっている土地の焼け跡の始末・撤去に持ち主の相談に乗ってほしい』と相談されたことから始まりました。すでに消失しているのでリノベーションで再生するという手法は使えません。問題の解決には、周辺の建物の所有者との協働、さらに行政と一緒になった取り組みが不可欠でした」(運営委員 西村氏)

空き家化が進んでいた袋路内の6区画の土地を集約し、長屋建て住宅4戸を供給する取り組み。4戸の住宅は子育て世帯が快適に住めるように、住戸内、路地空間をその仕様で計画・デザインした。

「2016年から行政も交えて研究を重ね、2018年から国のモデル事業に採択。2方向避難が確保できるなら、特例許可により建設が可能ではないかという話になりました。子育て空間として再生・継承することが、都市課題を緩和することもできるとモデル事業として実施、その知見を他の路地の再生でも使えるようにしたいと考えました」(事務局 大島氏)

しかし、プロジェクトを進めるにあたり、山積する問題をひとつずつ解決していく必要があった。

「所有者が不明になっている土地や国有地(水路跡)も含まれていました。行政との協働なしには進められなかったと思います。また特例許可に必要な『路地・まち防災まちづくり整備計画』の作成や近隣の方々の通路の維持に関するご理解も必要でした。そのために新しく居住する子育て世帯、そして近隣住民が安心して快適に暮らせるための協定書も締結しました」(事務局 大島氏)

このような路地裏がどのように変身するのか(画像提供/八清)

このような路地裏がどのように変身するのか(画像提供/八清)

なぜ路地空間が子育てに適しているかも聞いてみた。

「もともと日本の都市ではいろいろな生活行為が道空間で行われてきました。道がコミュニケーションの場だったのです。私が子どものころだって道で遊ぶのはあたりまえでした。モータリゼーションが進んだ現在、路地は子育ち、子育てという点からも極めて重要な存在だと思っています」(会長 髙田氏)

建築行政というのは自治体がそれぞれカスタマイズしていることが多いが、京都では再建築不可物件を含めすべての建物に手を入れられる可能性がある状況だそう。

「行政の手も届き始め、うまく住みこなす人たちも増えてきました。その人たちに聞くと『路地空間に住んでみたら、結構いいと感じる』と評価が高いのです。子どもが家の前で遊べるのは、目が届くし、他の人にあいさつもできる、意外に使い勝手がいいという意見も聞かれました」(運営委員 森重氏)

「2012年に東京から京都に引越してきて、まず驚いたのは、路地の再活用という取り組みに、行政だけでなく研究者や建築家といった専門家と不動産業者が一緒に取り組んでいることです。東京ではあまり見られない気がします。一般的に路地を活かした事業は大規模にならないので、そんなに収益性がいいわけではありません。八清さんのような地元密着型の事業者さんだからこそ可能となる期待感があります」(運営委員 是永氏)

■関連記事:
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・京都の元遊郭建築をリノベ。泊まって、食べて、働いて、が一つになった宿泊複合施設に行ってみた!

完成した「あさひ長屋」は子育てに適した工夫がいっぱいの空間あさひ長屋。LDKと路地が一体になる設計。格子の扉が美しい(画像提供/八清)

あさひ長屋。LDKと路地が一体になる設計。格子の扉が美しい(画像提供/八清)

下京区中堂寺前田町路地長屋再生プロジェクトは「あさひ長屋」として、2024年完成した。そこで路地空間がどう活かされているか見せてもらった。入口はまったく目立たないが、小さな通路をくぐると驚くほど開放的な空間が広がっている。もともと6軒の家が建っていたという場所は、各住戸が建っていた位置から大きくセットバックしたことで3mの幅員を確保した明るく開放感のある路地に生まれ変わった。

あさひ長屋の敷地配置図(画像提供/八清)

あさひ長屋の敷地配置図(画像提供/八清)

外観は4棟の長屋として設計されているが、それぞれの柱は独立しているので、柱を共有している長屋と比べると強度と防音性が高い構造。これはリノベーションではなく新築物件だから実現した大きなポイントだ。

一角には、住人用の駐輪スペースが設けられているうえに、宅配ボックスも設置され、現代生活に対応した設備も整えられている。

あさひ長屋のA号地。LDKから見た路地空間(画像提供/八清)

あさひ長屋のA号地。LDKから見た路地空間(画像提供/八清)

あさひ長屋のB号地。LDKはタイル貼りで床下暖房が設置されている(画像提供/八清)

あさひ長屋のB号地。LDKはタイル貼りで床下暖房が設置されている(画像提供/八清)

各住戸の間取りは、引戸による大開口が用意されていることがまず第一の特徴だ。1階には風通しが良く路地に開けたLDK(DK)があり、家族だけではなくご近所とのつながりが生まれやすい設計になっている。

1階部分の床はA・C号地が暖かみのある木のフローリングで設えられ、B・D号地がスタイリッシュなタイルと2パターンで仕上げられている。タイルの場合は床暖房を設置しており、冬の底冷え対策もされている。

また2階は和室と洋室を要したプライベートな空間、和室のふすま紙は各戸によって色を変えており、個性を楽しめるようになっている。

更に全戸モニター付インターフォンにすることで、安心して子どもと過ごすことができるように防犯性にも配慮している。

B号地の2階の和室。襖の色は各住戸で異なる(画像提供/八清)

B号地の2階の和室。襖の色は各住戸で異なる(画像提供/八清)

C号地の2階。ロフトスペースもあり、季節外のものなどを置ける(画像提供/八清)

C号地の2階。ロフトスペースもあり、季節外のものなどを置ける(画像提供/八清)

子育て家族には家賃を安くするシステム。実際に路地空間で子育てをしている方に話を伺った

「路地が子育てに向いている」というテーマで開発された中堂寺前田町の「あさひ長屋」。同じように八清プロデュースで路地奥を改修した「さらしや長屋」で暮らしているSさんに、路地でのくらしについて聞いてみた。

さらしや長屋に設置された黒板ボード。子どもたちが思いきり落書きできる(画像提供/八清)

さらしや長屋に設置された黒板ボード。子どもたちが思いきり落書きできる(画像提供/八清)

さらしや長屋の路地にはパーゴラ(※)のあるスペースも(画像提供/八清)※ツタや籐などのつる植物をからませるためにつくられた、棚形あるいはトンネル形の構築物のこと(画像左奥)

さらしや長屋の路地にはパーゴラ(※)のあるスペースも(画像提供/八清)
※ツタや籐などのつる植物をからませるためにつくられた、棚形あるいはトンネル形の構築物のこと(画像左奥)

さらしや長屋は入口の扉をリノベーション後も残している(画像提供/八清)

さらしや長屋は入口の扉をリノベーション後も残している(画像提供/八清)

「マンション住まいのときには経験できなかったような、ご近所とのおつきあいができました。路地の入口には扉があり、そのため用事のない人は立ち入ることはありません。中に入ると顔見知りの人しかいないので、子どもも安心して遊んでいます。子育てを一人でしているのではない、という気持ちになれました。自分の家族だけでなく、周りの方に見守られながら子どもたちが育つのはいいことだと思いますし、私自身、以前よりストレスを感じなくなりました。」

路地裏の長屋には、入口に扉があることもある。リノベーションで取り払ってしまわずに残している。子育て中の家族には、毎月の家賃を抑えるシステムもオーナーの協力で導入している。

「うれしいシステムですね。路地部分には、子どもたちが好きに落書きしてもいいお絵かきスペースがあって、のびのびと落書きができます。賃貸でこんなに子育てのことを考えて作られた物件は他にないと思い、すぐに入居を決めました」

Sさんは入居から約7年、路地空間での子育てに満足して暮らしているようだ。

路地に多い再建築不可物件は、都市部の利便性のいい場所に存在することが多い。その隠れた価値に日を当ててて再活用することは、京都だけではなく全国的に必要とされているはず。今回のプロジェクトは地域に合ったカタチでの解決策を探す、いいきっかけになると思う。

パンやろうぜ! -G&Vo、B、D急募-

所在地:台東区東上野
15万円(税込) / 20平米
山手線「上野」駅 徒歩3分

「当方パン屋、完全プロ志向、G&Vo、B、D急募。気合いの入ったやつだけ求ム。」



ということで、毎度おなじみ僕らの仲間の工務店が、台東区東上野で新しい世界をつくりはじめて、はや数年。



人通りのなかったはずの場所に、気づけばオシャレな人々がひっきりなしに行き交う場所になった、1 ... 続き>>>.
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いきなりキッチン

所在地:世田谷区上野毛
9万円 / 24.8平米
東急大井町線「上野毛」駅 徒歩8分

〈フリーレント1ヶ月、敷金礼金なし〉



約25㎡の部屋にこれほど広いL字型キッチンを置くとは。小さな空間を斬新にデザインした、遊び心あるメゾネットです。



今回ご紹介するのは角部屋。建物エントランスから緑あふれる通路を歩いた一番奥にあります。



まず、玄関=キッチンという不思議な ... 続き>>>.
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青山の秘密基地

所在地:港区南青山
41万8,000円(税込) / 82.7平米
銀座線「表参道」駅 徒歩8分

★賃料が下がりました★ 



青山の路地の奥にひっそりと立つ建物。最上階のこの物件は、ひと癖もふた癖もあるけれど、うまく使いこなせる人には、とっておきの空間になるかも……という予感。



それを裏付けるように、この区画は建物ができたときから35年ほど、ずっと同じテナントが使っていまし ... 続き>>>.
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図書館のあるシェアハウス。ご近所さん、夢追い中の人、疲れた人などが多様に学び・癒やされる場所「Co-Livingはちとご」管理人・板谷さんに聞いた 茨城県水戸市

茨城県水戸市に、「Co-Livingはちとご」(以下「はちとご」)という小さな図書館を併設した住み開きシェアハウスがある。「住み開き(すみびらき)」とは、住居などのプライベートな空間の一部を開放し、さまざまな人が集う場所として共有する活動や運動、それらに使用される拠点のこと。「はちとご」や、まちに開いたコミュニティスペース「はちとご文庫」には、近隣の人だけでなく、遠方からも、多様な人が集う。「はちとご」の何が人を引き寄せるのか。この場を立ち上げ、現在も管理人として運営する板谷隼(いたや はやぶさ)さんに、話を聞くため現地を訪れた。

部屋の一部をまちに開いたシェアハウス「Co-Livingはちとご」「はちとご」誕生後、初めて住民全員が集合した日(画像提供/板谷隼さん)

「はちとご」誕生後、初めて住民全員が集合した日(画像提供/板谷隼さん)

2022年当時の「はちとご文庫」(画像提供/板谷隼さん)

2022年当時の「はちとご文庫」(画像提供/板谷隼さん)

筆者が「はちとご」の存在を知ったのは、とあるプラットフォームの「はちとご」に通う大学生の投稿だった。彼が「心あたたまる空間」と表現した「はちとご」でインターネット検索をすると、関わった人たちがさまざまに語っていた。長野と東京で二拠点生活をする女性、多拠点で活動する映像クリエイター、「はちとご」在住の大学生……。共通するのは、「はちとご」が、「大切な場所」であり、「生き方に影響をもたらす場所」だったこと。

現地を訪ねると、「はちとご」は、住宅地の中にあった。「はちとご」を立ち上げた板谷隼さん(以下隼さん)は、自らシェアハウスに住みながら「はちとご」を運営している。「はちとご」が今の場所に引越してきたのは、2023年12月。もともと、「はちとご」は、同じ水戸市内の住宅で始まった。そこが手狭になり、引っ越し先を探し始め、近所のゲストハウスオーナー宮田悠司さんの紹介で、現在の物件に出会う。木造2階建ての一軒家には、かつて診療所として使われていた建物が隣接していた。「ここも使えるかも!」と一目ぼれした隼さんだったが、「もう誰にも貸す気持ちはない」と大家さんに断られてしまう。そこで、大家さんに「はちとご」を見に来てもらうことで理解を深めてもらい、宮田さんの頑張りもあって、無事承諾を得ることができた。今では、大家さんは、隼さんの良き理解者だ。

初代「はちとご」の住居で行われた絵本と短編をテーマにした「はちとご文庫」「(画像提供/板谷隼さん)

初代「はちとご」の住居で行われた絵本と短編をテーマにした「はちとご文庫」「(画像提供/板谷隼さん)

引越し作業では、「はちとご」住民や仲間で庭の草刈りやDIYもした(画像提供/板谷隼さん)

引越し作業では、「はちとご」住民や仲間で庭の草刈りやDIYもした(画像提供/板谷隼さん)

板谷隼さん。「はちとご文庫」のお店番もする(写真撮影/内田優子)

板谷隼さん。「はちとご文庫」のお店番もする(写真撮影/内田優子)

住宅部分をシェアハウス「はちとご」が使い、旧診療所の一部を私設図書館「はちとご文庫」として地域に開放している。シェアハウスには、現在、板谷さんを含む大学生や社会人ら住民6人が暮らしている。そのほか、「月5日住民」「月10日住民」など短期で暮らす住民が4人。足しげく通ってきて時にリビングに泊まっていく人もいる(2024年5月5日現在)

花見弁当づくりの真っ最中。キッチンの窓越しに「一緒におにぎりにぎってよ」と声がかかる(写真撮影/内田優子)

花見弁当づくりの真っ最中。キッチンの窓越しに「一緒におにぎりにぎってよ」と声がかかる(写真撮影/内田優子)

料理長は、普段はカメラマンとして活動している石川大地さん。「はちとご」住民ではないがふらっと来て、お掃除やお料理をしてくれる(写真撮影/内田優子)

料理長は、普段はカメラマンとして活動している石川大地さん。「はちとご」住民ではないがふらっと来て、お掃除やお料理をしてくれる(写真撮影/内田優子)

「はちとご」に暮らすことで広がった生きる選択肢

大学2年生の時、引越し前の「はちとご」を知った熊谷真輝さん(大学生・22歳)は、「はちとご」で、「自分がこれから進むであろうと思われる道の外で生きている」大人たちに出会い、最初は驚いたという。

「学校生活の枠組みで生きてきたから、大人の印象は、親か先生ぐらいでした。知識を教えようとする大人が多い中、『はちとご』で出会った大人たちは、ぼくらの意見を汲み取って話を聞いてくれました」と熊谷さん。
「いろんな大人がいたんですけど、理学療法士や調理師の資格があるのにあえて定職に就いてない人だったり、大学を4年間で卒業しないで休学して自分と向き合っている先輩がいたり。大人も意思を持って、道を模索しているんだなと。何歳になってもチャレンジする姿勢を『はちとご』の12畳のスペースから、感じ取ることができて、住人になろうと思いました」(熊谷さん)

以前の「はちとご」の「はなれ」と呼ばれていた12畳ほどのコミュニティスペースで本を読む熊谷さん(画像提供/板谷隼さん)

以前の「はちとご」の「はなれ」と呼ばれていた12畳ほどのコミュニティスペースで本を読む熊谷さん(画像提供/板谷隼さん)

「隼さんは、見返りを求めない人。人に施すことに生きがいを感じている人だなと思います」(熊谷さん)(写真撮影/内田優子)

「隼さんは、見返りを求めない人。人に施すことに生きがいを感じている人だなと思います」(熊谷さん)(写真撮影/内田優子)

「はちとご」に暮らして約2年になる菱田えりかさん(大学生・22歳)さんが、大学へ入学したころはコロナ禍の真っ最中で、授業のほとんどはオンラインだった。

「一人暮らしで寂しい思いをしたので、2年生からは人と関わりたいなと思って。友達から『はちとご』を教えてもらいました」(菱田さん)

しかし、当時、シェアハウスには、男性しか住んでいなかったこともあり、親に反対されてしまった。「それまで周りの期待に応えようとしてきた」という菱田さんだが、気持ちは揺るがなかった。

「どうしても住みたかったので親を説得しました。『はちとご』の人たちは、自分のやりたいことをどんどんやっていて刺激を受けられたし、自分もやってみたいという気持ちがあって。ここに住んだら、わくわくすることが起きるんじゃないかって思えたんです」(菱田さん)

「隼さんは、シェアハウス全体のことを考えている人。気が付くと、誰もやってくれない家事とかゴミ出しとか、掃除をしているのは隼さん」(写真撮影/内田優子)

「隼さんは、シェアハウス全体のことを考えている人。気が付くと、誰もやってくれない家事とかゴミ出しとか、掃除をしているのは隼さん」(写真撮影/内田優子)

忘れられない思い出は、鍋パーティのこと。寒い日に「鍋が食べたい。誰かつくってくれないかな」とつぶやいた菱田さんに、隼さんは、「自分で声かけてやっちゃえばいいんだよ、そういうのは」と声をかけた。

「今までやってもらうのが当たり前だったので、周りの人を巻き込んで、何かをやったのは初めて。新しいことをやるハードルが低くなった感覚はありました。今は、ちゃんと周りを説得して、努力をすれば、全て叶えられるわけじゃないけど、返ってくる分もあるのかなと思っています」(菱田さん)

「はちとご」の住民でお祝いした菱田さんの誕生日パーティ(画像提供/板谷隼さん)

「はちとご」の住民でお祝いした菱田さんの誕生日パーティ(画像提供/板谷隼さん)

学びや気づきがあって回復できる場所でありたい

「はちとご」には、地元の大学生や社会人らが暮らし、近隣の人のほか、隼さんを訪ねてさまざまな年代の人がやってくる。

子どもたちとつくった段ボールハウス「はちとご」(画像提供/板谷隼さん)

子どもたちとつくった段ボールハウス「はちとご」(画像提供/板谷隼さん)

隼さんがどんな思いで「はちとご」を立ち上げたのかをたずねると、意外な答えが返ってきた。

「地域活動と見られることもありますが、自分としての軸は『地域』というより『人』。ただその人が地域にいるから、結果的に地域活動っぽく見えるのかもしれません。また、『はちとご』は僕にとって『やりたいこと』ではなく『見たい景色』だと思っています。みんなが楽しげにしていて、学びや気づきがあって、回復できる場所。誰かが自分から何かを『やってみたい』と言って、それが形になるのを見ているのが好きです。その景色を作るのに、ぼくが手を出す必要があるなら喜んで!というスタンスです」(隼さん)

Instagramの写真は、ほとんどが隼さん撮影。「見たい景色なので僕がその中に入ってなくていい」と隼さん(画像提供/板谷隼さん)

Instagramの写真は、ほとんどが隼さん撮影。「見たい景色なので僕がその中に入ってなくていい」と隼さん(画像提供/板谷隼さん)

引越し前の「はちとご」で行われた絵本イベントの風景(画像提供/板谷隼さん)

引越し前の「はちとご」で行われた絵本イベントの風景(画像提供/板谷隼さん)

勝手に楽しんで勝手に学べる状態を構築する

隼さんの本業は、サッカークラブ「水戸ホーリーホック」のアカデミーコーチ(子どもたちのコーチ)。日々、一緒にボールを蹴りながら、子どもたちに向き合っている。

「場づくりをするときの理想は、ぼくがいなくてもいい状態にすること。『自分で考えさせたいんですけど、どうすればいいですか?』と聞かれることがあるんですが、それだと、自分で考えているって言わないですよね。何もしなくても子どもたちが勝手に学んで勝手に楽しんでいる状態を構築するにはどうしたらいいんだろうっていつも考えています」(隼さん)

現在の「はちとご」。木造2階建て部分がシェアハウス(写真撮影/内田優子)

現在の「はちとご」。木造2階建て部分がシェアハウス(写真撮影/内田優子)

「はちとご」に暮らす人、通ってくる人の、なんてことのない日常の風景(写真撮影/内田優子)

「はちとご」に暮らす人、通ってくる人の、なんてことのない日常の風景(写真撮影/内田優子)

隼さんが「場づくり」や「まちづくり」にはじめて触れたのは、筑波大学大学院生のころ。大学のサッカー部のコーチをしたり、スポーツ心理学の研究室で活動する傍ら、大学の近くにできたコワーキングスペースに通うようになった。

「さまざまな背景を持つ人が来ていて、仕事をしたり、休憩したり、遊んだり。勉強している中学生の横で、お酒を飲みながらギターを弾いているおとながいて、それぞれが居心地よさそうにしている。ぼくにとって、コワーキング(Co-working)じゃなくて、コリビング(Co-Living)でした」(隼さん)

その後、2020年の春に水戸に引越してきたものの、コロナ禍の真っ最中。「このままでは街に友達ができないかも」と焦った隼さんは、もともと水戸で催されていた「あさみと!」というイベントを引継いで、運営することにした。

毎週月曜に開催していた朝活イベント「あさみと!」(画像提供/板谷隼さん)

毎週月曜に開催していた朝活イベント「あさみと!」(画像提供/板谷隼さん)

「あさみと」は、毎週月曜日の朝、コミュニティスペースやカフェに集まって、隼さんが淹れたコーヒーを飲みながらおしゃべりする会。そこで、イラストレーターのふじのさきさんに出会った。転勤で横浜に引っ越すことになったふじのさんから、『水戸の地を離れがたい』という思いを聞いた隼さん。以前よりシェアハウスの暮らしに興味があったので、「これは自分でつくれということか」と直感。ふじのさんが二拠点目として使えるようなシェアハウスを構想した。家を探し始めてほどなく茨城大学そばに5LDKの物件と出会う。そこが、「Co-Livingはちとご」のはじまりだった。

誕生してから引越しまでの2年間、たくさんの人が訪れた(画像提供/板谷隼さん)

誕生してから引越しまでの2年間、たくさんの人が訪れた(画像提供/板谷隼さん)

シェアハウスやコミュニティ運営する上で苦労したり、時には傷ついたり、怒りを感じることはないのだろうか。

「生活をしていて、あまり人に怒るってことがないんです。寛容でいたいと思っています。例えば台所が散らかっていてイライラが湧いたらふと『誰かがなんとかしてくれると期待してたんだな』と気づいたりしますね。そもそも気になったんなら自分でやるなり、なんとかしようよって自分から発信すればいいんです。そんな雰囲気をつくりたいなと思って、はちとごでは僕のこだわりで掃除当番を決めていません。当番をつくると、掃除しなかった人が責められるんですけど、当番をつくらなかったら、掃除した人が褒められるんじゃないかと思って。立ち上げた頃から当番を作らずどこまでいけるかなと実験しているところです」隼さん)

ただし、その場にいる人が困ってしまうような人が現れた場合、隼さんが間に入って「チューニング」をすることもあるという。

「例えば、年上というだけでえらそうにしたり、自分の話をしゃべり続けたりする人には、ぼくから言います。『いつも自慢話するんだからー』って。ぼくを生意気だと思う人は来なくなるし、それでも来てくれる人はそのうち馴染める人なんだろうなと。自分の力不足で誰かが傷ついたり、悲しい思いをすると、ひどく落ち込みますね」(隼さん)

「もやっとしてそうだなって顔をできるだけ見つけるようにしたい」(隼さん)(写真撮影/内田優子)

「もやっとしてそうだなって顔をできるだけ見つけるようにしたい」(隼さん)(写真撮影/内田優子)

回復には、ふらっと入れて、距離を保てる場所が必要

まちライブラリーの仕組みを使った私設図書館「はちとご文庫」は、引越し先で再開し、今では、訪れた人が持ち寄った本で少しずつ蔵書が増えている。

隼さんのお気に入りは、田尻久子さん、塩谷舞さんのエッセイ(写真撮影/内田優子)

隼さんのお気に入りは、田尻久子さん、塩谷舞さんのエッセイ(写真撮影/内田優子)

「本があると、来る言い訳にはなっているんじゃないかな」(隼さん)(写真撮影/内田優子)

「本があると、来る言い訳にはなっているんじゃないかな」(隼さん)(写真撮影/内田優子)

常連さんがお店番することも(写真撮影/内田優子)

常連さんがお店番することも(写真撮影/内田優子)

ある時、はちとご文庫に、近所の引きこもりの女性がふらっと訪れた。隼さんや他の人が思い思いに作業したり、本を読んでいる空間で、3~4時間ソファでひとり本を読み、「また来ます」と帰っていく。ふとしたきかっけでおしゃべりするようになり、次第に打ち解け合い、ついには「はちとご文庫まで歩く日記」というZINEを発行。今では、はちとご文庫の常連さんのひとりだ。

「地域活性化の取り組みって、元気な人が集まるのが前提なのかな、と時々思います。でも、まちには元気じゃない人ももちろんいて、そういう人にも開いた場でありたいと思っています。ここにはちょっと元気じゃない人も来たりしますが、僕が躍起になってどうこうしようとはあまりしませんね。相談されたら一緒に考えるけど、こちらからは。元気がなくてもふらっと入れて、人といい距離感でいて、徐々に、自分の本来のありように戻っていけるような場になればいいなと思っています 」(隼さん)

「書き手の姿が表れているものが好き」と隼さん(写真撮影/内田優子)

「書き手の姿が表れているものが好き」と隼さん(写真撮影/内田優子)

本をたくさん持っていたので、「自分の本棚をオープンにする感じ」で始めたという(写真撮影/内田優子)

本をたくさん持っていたので、「自分の本棚をオープンにする感じ」で始めたという(写真撮影/内田優子)

「はちとご」は、元気じゃなくても居られる場所

「はちとご」がスタートした時から隼さんと一緒に暮らしてきたむらたゆうきさん(映像クリエイター・24歳)も、「はちとご」で「回復」したひとりだ。

「『はちとご』は、一般的な世間のシェアハウスのイメージと乖離がある気がします。シェアハウスっていわゆるパーティ好きみたいな人がいっぱいワーッていそうなだと思っている人もいると思うんですが、『はちとご』の場合は、一見そうは見えなくても寂しそうな人、人生に疲れている人が多いような気がしてます」(むらたさん)

「『はちとご』に住んだことで、対人関係がより滑らかに進められるようになったと思います」(むらたさん)(写真撮影/内田優子)

「『はちとご』に住んだことで、対人関係がより滑らかに進められるようになったと思います」(むらたさん)(写真撮影/内田優子)

むらたさんは、インターンのため、茨城から東京に出て、合わない仕事を続けたことで、落ち込んでしまい、とても辛い時期があったという。東京から帰って、ふさぎこんでいたむらたさんを心配した隼さんたちは、ある日、むらたさんの部屋に勝手に乗り込んで餃子を焼き始めたという。

「弱ってるときって、きっかけがあると、精神的にすごく距離が縮まると思うんです。それで、家族に近い感覚が上がりました。弱い面も見せていいんだって。ここは、すごく居心地がいいです。2年間ぐらい、全然、違和感なく暮らしています。実家にいるのとあまり変わらないし、隼さんは、親っていうよりは兄弟が増えたみたいな感じです。役職的には管理人なんですけど、お兄ちゃんが一番イメージ近いのかなと思ってますね」(むらたさん)

部屋にこもって動画編集することも。リラックスできるように間接照明にこだわっている(写真撮影/内田優子)

部屋にこもって動画編集することも。リラックスできるように間接照明にこだわっている(写真撮影/内田優子)

隼さんが、「最近、優しくなったと思うよ。より人のために動けるようになった。本当に頼りにしてるよ」と言葉をかけると、むらたさんは、「あまり褒められないんで。毎月取材に来てください(笑)」とはにかんだ。

隼さんからむらたさんに相談したりお願いすることも増えた(写真撮影/内田優子)

隼さんからむらたさんに相談したりお願いすることも増えた(写真撮影/内田優子)

場と人をつなぐと自然と交流が生まれる

「はちとご文庫」に滞在していると、ふらっと訪れる人がいる。必ずしも一緒に何かするわけではなく、思い思いの場所で、本を読んだり、パソコンを開いたりしている。

目線の高さが変わるように椅子やテーブルを配置しているから、一人一人お気に入りの場所が見つかる(写真撮影/板谷隼さん)

目線の高さが変わるように椅子やテーブルを配置しているから、一人一人お気に入りの場所が見つかる(写真撮影/板谷隼さん)

座敷のスペースには絵本が置かれている。隼さんのイチオシは、「うどんのうーやん」(写真撮影/板谷隼さん)

座敷のスペースには絵本が置かれている。隼さんのイチオシは、「うどんのうーやん」(写真撮影/板谷隼さん)

プラットフォームに文章を投稿した横山黎さん。「はちとご」は、「きっかけと思わないきっかけをくれる場所」(写真撮影/内田優子)

プラットフォームに文章を投稿した横山黎さん。「はちとご」は、「きっかけと思わないきっかけをくれる場所」(写真撮影/内田優子)

玄関から見える窓辺に隼さんが灯したライト。「ここにいるよ」と伝わるように(写真撮影/内田優子)

玄関から見える窓辺に隼さんが灯したライト。「ここにいるよ」と伝わるように(写真撮影/内田優子)

隼さんは、「人と人を繋いでるんですね」と言われると「少しもやっとする」という。

「意識しているのは、場と人をどう繋ぐか。それぞれが場と繋がってリラックスすれば、自然と交流が生まれると思っています。『居場所づくり』とも言わないようにしています。通ってくれる人が『ここは自分の居場所だ』と思ってもらう分にはいいんですが、そう思う人が増えてくると初めての人に優しくない場になると思っていて。『居場所づくり』ではなく『場づくり』として、人の流動性が生まれればいいなと思っています」(隼さん)

隼さんは、2024年4月に、新しいチャレンジを始めた。地域の人が自由に利用できる私設図書館とコワーキングやイベントに使えるシェアリビングとを合わせた複合施設の計画だ。私設図書館には、「一箱本棚オーナー」という自分専用の本棚を借りて本を並べる仕組みを取り入れる予定。シェアリビングは、イベントやワークショップを開催できる場所に。それには、地域の人や友達の「ちょっとやってみたい」を応援したいという隼さんの思いがある。物件の改修費用に充てるため、4月10日~5月13日に初めてのクラウドファンディングに挑戦中だ。

「はちとご」住民だったイラストレーターふじのさきさんが描いた私設図書館の利用イメージ(画像提供/板野隼さん)

「はちとご」住民だったイラストレーターふじのさきさんが描いた私設図書館の利用イメージ(画像提供/板野隼さん)

その場所の名前は、「シェアベースmigiwa」。汀(みぎわ)とは、水際や波打ち際のこと。隼さんは、この場所にやってくる人やモノ、情報を、波や風に例えた。

「migiwa」の名は、田尻久子さんのエッセイ集「みぎわに立って」から頂いた(写真撮影/内田優子)

「migiwa」の名は、田尻久子さんのエッセイ集「みぎわに立って」から頂いた(写真撮影/内田優子)

「流動性の中で、訪れる人に学びや回復のきっかけが生まれればいいなと。『あまねく人』が入れる場所が理想ですが、人がやっていることなので相性もありますし、合わない人もいるはずです。だけど、ぼくみたいなことをやる人が地域に増えていけば、その数だけ多くの人をカバーできるんじゃないかと。場を地域にひらく時に理想だと思っているのは、その場に来る人と近隣住民の属性の比率が近くなることですね。私設の公民館を作りたいのかもしれません。将来何か問題が起きても、『ここ大事だから維持しようよ』と皆で話せるといいですね。しかもそれが僕を介さずに起きたら最高です」(隼さん)

取材後に届いたお花見の風景(画像提供/板谷隼さん)

取材後に届いたお花見の風景(画像提供/板谷隼さん)

隼さんが見ている景色を見つめ、思いを辿る中で、コミュニティは、「みんな」の場所である前に、「ひとり、ひとり」の場所なんだと感じた。コミュニティでは近づこう近づこうとしてしまうが、大切なのは距離感。「はちとご」は、コミュニティに「関わりたい人」「つくってみたい人」双方に気づきと学びを与えてくれる。

●取材協力
・はちとご
・クラウドファンディング「水戸で私設図書館&シェアリビング『migiwa』をつくりたい!」

路地裏レトロ暮らしのすゝめ

所在地:台東区千束
14万円 / 59.5平米
日比谷線「三ノ輪」駅 徒歩10分

■賃料改定■



下町の昭和レトロな木造戸建。古き良き趣は残しつつ、設備は現代的に、壁や床は心地良い素材に取り替えられました。



とある家族が数十年と長きにわたって暮らしていた一軒家。少し前に現在のオーナーさんの手に渡り、改装を経てはじめての入居者募集となります。



畳だった床は足 ... 続き>>>.
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清澄白河のお花見部屋

所在地:江東区平野
15万5,000円 / 38.9平米
 

川沿いに立つ築53年のマンションが、まるっと一棟リノベーションされています。



南側の窓の先には運河と桜並木。春は特等席なこと間違いなしです。年に一度の桜のシーズンが楽しみになります。



まずはじめに、ネックとしてはエレベーターなしの5階の部屋ということ。日常の運動として!とポジ ... 続き>>>.
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妄想掻き立てる、+αな暮らし

所在地:墨田区業平
13万5,000円 / 36.83平米
半蔵門線・都営浅草線・東武伊勢崎線・京成本線「押上」駅 徒歩5分

スカイツリーのふもとで2020年に誕生した、シェアオフィスとシェアキッチン付きの集合住宅。上階の居住部分で住みながら、たまにはカフェ営業、お菓子製造、なんていう妄想が掻き立てられる物件です。



今回は、2階の1LDKの住居部分を募集しています。



建築後、築年数も浅いため状態もま ... 続き>>>.
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世界一周して感じたこと

所在地:渋谷区代々木
6,980万円 / 67平米
山手線「代々木」駅 徒歩2分

「結局、代々木だった。世界一周したからわかる。世界一周した人が選ぶところ、それが代々木。」その言葉が印象的すぎて。



この場所から出発して世界を一周し戻ってきた売主さん曰く、世界で有数に便利な場所。それがこのマンションだそうです。



「代々木」駅徒歩2分、「新宿」駅徒歩4分という ... 続き>>>.
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13代続く湘南の地主・石井さん、地域の生態系や風景まもる賃貸住宅で”100年後の辻堂の風景”を住まい手とつくる 「ちっちゃい辻堂」神奈川県藤沢市

コミュニティ賃貸のはしり、賃貸住宅に革命を起こしたといわれる「青豆ハウス」の誕生から10年。タネが芽吹くように、ゆるやかな人と人、人と地域がつながりを持つ個性的な賃貸が静かに増えつつあります。では、どんな人が共感し、どのような暮らしが行われているのでしょうか。湘南にある「ちっちゃい辻堂」を訪ね、その暮らしぶりを取材しました。

13代続く地主の石井光さん。100年後の辻堂の風景をつくりたい

2016年、青豆ハウスをつくった青木純さんは、「大家の学校」を開校しました。これは、日本全国の大家さんや希望者を対象に、「大家業」の実践と学び、出会いの場です。「愛のある大家さんになるにはどうしたらいいか」という視点にたち、「選ばれる場づくり」「関係性のデザイン」を学びつつ、「大家という仕事を描き直す地図」を手に入れる。今までにない学校といっていいでしょう。

■関連記事:
賃貸住宅に革命起こした「青豆ハウス」、9年でどう育った? 居室を街に開く決断した大家さん・住民たちの想い 東京都練馬区

「大家の学校」校長である青木純さんは、「大家として大切にしている6つの向き合い方(①そこにいる、②愛し続ける、③決めすぎない、④気を遣わせない、⑤一人ひとりの居心地を大切にする、⑥場が育つ触媒になる)というのがあるのですが、そのすべてをていねいに実行している方です」と話すのが、大家の学校1期生の、石井光さん。湘南・辻堂で13代続く地主の家系で、現在、小さな村のような賃貸住宅「ちっちゃい辻堂」のほか、コミュニティ農園の代表や田んぼにも携わり、「半農半大家」をしています。

「ちっちゃい辻堂」の大家である石井光さん(左)とお母さま(右)(写真撮影/相馬ミナ)

「ちっちゃい辻堂」の大家である石井光さん(左)とお母さま(右)(写真撮影/相馬ミナ)

ちっちゃい辻堂は、JR東海道線辻堂駅から海側に徒歩13分、平屋3棟と二階建て1棟、集合住宅、畑やみんなで使うコモンハウス「shareliving縁と緑」で構成されています。駅からも近いながら、敷地内にはふんだんに緑が植えられており、鳥のさえずりが心和ませてくれる、サンクチュアリのよう。住民はみな、口をそろえて「とにかく気持ちがいい」と話します。

手前が平屋、右奥には二階建て。建築設計はビオフォルム環境デザイン室(写真撮影/相馬ミナ)

手前が平屋、右奥には二階建て。建築設計はビオフォルム環境デザイン室(写真撮影/相馬ミナ)

取材時はまだ少なかった緑も、5月はこのように(写真提供/石井さん)

取材時はまだ少なかった緑も、5月はこのように(写真提供/石井さん)

竣工は2023年春、相場の賃料より高めの設定ですが、半年かけて満室に。2024年には少し離れた場所にできる第二期の募集をはじめますが、すでに15件ほどの問い合わせが寄せられているといい、着実に注目を集めているのがわかります。

大学では景観生態学を学んでいた石井さんは、地域の生態系や風景、生き物を大切にしたいとの思いを持っていたそう。そのため、プロジェクトのコンセプトは「ゆるやかに集まってつくる土とつながった暮らし」としました。建物には神奈川県産木材を使っているほか、敷地内には井戸が2カ所(どちらも手掘り)、さらに雨水タンク、コンポスト、サウナ、にわとり小屋があり、駐車場と通路はコンクリートではなく、微生物舗装(有機物や炭、石などの資源でつくる舗装の手法のこと)、敷地内の植栽は博覧会開催のため伐採予定だった木々を貰い受けて植えるなど、とにかくエピソードが満載です。

奥が雨水タンク、手前にあるのが井戸。草木や野菜の水やりや防災にもつながります(写真撮影/相馬ミナ)

奥が雨水タンク、手前にあるのが井戸。草木や野菜の水やりや防災にもつながります(写真撮影/相馬ミナ)

コモンハウスの室内。こたつが心地いいですね(写真撮影/相馬ミナ)

コモンハウスの室内。こたつが心地いいですね(写真撮影/相馬ミナ)

敷地内を散歩するメスのにわとりたち。産んだ卵は住民と分け合っているそう。奥には黒いテントサウナ(写真撮影/相馬ミナ)

敷地内を散歩するメスのにわとりたち。産んだ卵は住民と分け合っているそう。奥には黒いテントサウナ(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

完成から1年、住民たちと実験のような遊びを繰り返しながら現在のかたちに。つくり込み過ぎないのも魅力のひとつです(写真撮影/相馬ミナ)

完成から1年、住民たちと実験のような遊びを繰り返しながら現在のかたちに。つくり込み過ぎないのも魅力のひとつです(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

もともとは、築約60年の平屋4軒(最後は2軒)とアパートが立っていましたが、祖父に代わって光さんが経営を担うことになり、この「ちっちゃい辻堂」が誕生しました。他になかなかないコンセプトですが、家族からの理解はすぐに得られたのでしょうか。

「この地域は古くからの地主さんたちが土地を持っていて、相続が発生するごとに、土地が切り売られていき、また相続対策としてのマンション建設もあり、どこにでもある風景になっていっているような気がしていました。それと同時にまちから緑が少なくなり、生き物の居場所も減っていると感じていました。。わが家も相続対策をしないといけなかったのですが、先代にあたる祖父がとにかく借金が嫌だ、何もしない、と意地になっていて、どうにも話が進まない。そのため、ちっちゃい辻堂のコンセプトはできたものの、数年ほどお休み期間もありました」と光さん。

ただ、祖父が年齢を重ね、転倒が続くなどしたことから遺言書と家族信託を急いで作成。祖父の見送りなどもあり、当初の構想から7年ほど時間はかかってしまったものの、「ちっちゃい辻堂」は完成しました。

一方で、光さんのお母様は、先代の娘でもあります。世代的にも立場的にも板挟み、新しい価値観との出合いで、やや複雑な思いで見守っていたそう。

先代の娘でもあり、光さんの母でもある。心配しつつも「ちっちゃい辻堂」を見守り、応援しています(写真撮影/相馬ミナ)

先代の娘でもあり、光さんの母でもある。心配しつつも「ちっちゃい辻堂」を見守り、応援しています(写真撮影/相馬ミナ)

「私の父がしてきた『大家業』と、光のすることはイチから十までぜんぶ逆。父は昔ながらの感覚で、とにかく強烈な人。土地を守っていくことが第一、家は建てたらあとは管理会社にまかせておけばいい。でも光は、住民の引越しの手伝いから、段ボールをまとめて軽トラで公民館に持って行ったり……。よくやっているなあと思っています。ただ、事業にともなって借金をしていますし、不安はありました。そこである時、聞いたんです。『本当に大丈夫なの』って。そしたら光が『ここまでやってうまくいかないなら、この世界は生きている意味がない』ということを言ったんです。ああ、ここまでの覚悟ならもう支えるしかないと腹が決まりました」といいます。

光さんは光さんで、自分にしかできないことを、という覚悟を持っていました。

「地主の家系に生まれ、引き継いだ土地は都市部でも田舎でもなく、しかも離婚していて父親がいないので一代飛ぶ。このポジションにあるので、人が住めば住むほど生態系が回復していくというモデルを社会に広めやすい、そういうお役目があると思っています」(光さん)

大学で生態学を学び、コミュニティデザインやパーマカルチャーなどにも興味があり、コミュニティ農園の代表をしていて、しかも実家は地主業。確かにここまでの条件はなかなかそろわないもの。石井光さんらしいミッション、それが「ちっちゃい辻堂」なんですね。

虫や鳥、植物、微生物を含めた多様な生き物を守るため、除草剤や殺虫剤は基本使用しません。ふかふかの土が心地いい(写真撮影/相馬ミナ)

虫や鳥、植物、微生物を含めた多様な生き物を守るため、除草剤や殺虫剤は基本使用しません。ふかふかの土が心地いい(写真撮影/相馬ミナ)

昔からあった平屋は1棟残し、光さんと大工さんの手でリノベし、共用スペースにしています。2週間に1回の住民の食事会、ヨガ教室、来客の宿泊などに使われています(写真撮影/相馬ミナ)

昔からあった平屋は1棟残し、光さんと大工さんの手でリノベし、共用スペースにしています。2週間に1回の住民の食事会、ヨガ教室、来客の宿泊などに使われています(写真撮影/相馬ミナ)

続いて、実際に暮らしている人に話しを聞いてみましょう。

「住体験を創造したい」。50歳を過ぎて見つけたノイズのない暮らし

浦川貴司さんは、現在、夫妻とお子さん3人の5人家族で「ちっちゃい辻堂」にお住まいです。住民でもありますが、現在は仕事としても「ちっちゃい辻堂」プロジェクト全般に携わっています。

浦川さんの、引越しと転職という大きな変化のきっかけは、子ども達が成長し、賃貸/分譲/注文住宅などのくくりにとらわれず、「次の暮らし、住体験の創造をしたい」と漠然と思い描いていたことにはじまります。

「SNSで『ちっちゃい辻堂』を知り、前に住んでいた家も近くなので、ふらっと行ってみたら光さんがいて、立ち話をしたんです。そこで出た言葉が『100年後の辻堂の風景をつくる』というフィロソフィー(哲学)でした。これは、この1年で聞いた話でいちばんいい話だなと感銘をうけて、2023年秋に引越してきました。ついでにいうと転職もしました(笑)」

浦川さんと石井光さん。ちっちゃい辻堂には、「どこよりも楽しい体験と人生がある」(浦川さん)(写真撮影/相馬ミナ)

浦川さんと石井光さん。ちっちゃい辻堂には、「どこよりも楽しい体験と人生がある」(浦川さん)(写真撮影/相馬ミナ)

「前の住まいを手放すと言ったら、家族はまさに青天の霹靂(へきれき)で『何を言っているんだ』という感じでした。以前の住まいに比べると広さは3分の2 程度、モノもだいぶ処分しましたが、結果からいうと、家族全員ハッピーで満足していますね。朝起きてから就寝するまで敷地内には視界にノイズを感じず気持ちがいい。人との関係、あり方なども含めて、本当に心地いいです」

浦川さんのお住まい。土間と続くリビングを上手に住みこなしています。大人が憧れる空間です(写真撮影/相馬ミナ)

浦川さんのお住まい。土間と続くリビングを上手に住みこなしています。大人が憧れる空間です(写真撮影/相馬ミナ)

「今まで自身の事業のなかでも自分自身も何度も 住宅をつくってきましたが、住まいを買う事は目的ではなく、賃貸でも分譲でも、住まい手の美意識や自己表現を通してどんなライフスタイルを過ごしたいのかという事に向かい合うことがより大切。コロナ禍を経て、新しい、本質的な人生の豊かさに向かい合った住まい方、価値観の変異が起き始めているように思います。美しい暮らし、生き方のセンスというのかな、大きな転換期がはじまっているように思います。

一方で、現在進行系で『ちっちゃい辻堂』で得られた知見というのはとても貴重なものですし、『100年先の辻堂の風景』のためには、より多くの地主さんや大家さんに知ってもらわないといけない。賃料が相場よりプラス設定だとしても、豊かな体験がある住宅には人が集まりエリア相場以上に収益を出していけることを知ってもらいたいですね」

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

浦川さんの書斎スペース。庭に面しているので、自然光が入ってくる設計。当初は小さな商いもできる前提(写真撮影/相馬ミナ)

浦川さんの書斎スペース。庭に面しているので、自然光が入ってくる設計。当初は小さな商いもできる前提(写真撮影/相馬ミナ)

家賃ではなく、新しい暮らし方への投資、共同出資のような感覚

20代のKさんは、デザイナーのパートナーと二人暮らし。前は都内の賃貸住宅で暮らしていましたが、オーナーの事情で退去を迫られ、新たな住まいを探していたそう。

“個”を保ちながら会話が生まれる。ちょうどよい距離感(写真撮影/相馬ミナ)

“個”を保ちながら会話が生まれる。ちょうどよい距離感(写真撮影/相馬ミナ)

「家と仕事をともに振り回されることが続いて、これから”どこに住むか(where to live)を考えるよりどのように生きるのか?(how to live) “ を話し合いこの物件に出合いました。マイクログリッドなどにも興味がありましたが、自分たちでイチからつくるにはムリがある。この物件は、2人で話していた『生き方の実験』にドンピシャなところがいっぱいあって、ゆるくつながりながら、東京にもアクセスできる、それに共鳴したという感じです」(Kさん)

Kさん(左)とYさん(右)の住まい。「ちっちゃい辻堂」の第一印象である、「とにかく心地いい」という言葉が印象的です(写真撮影/相馬ミナ)

Kさん(左)とYさん(右)の住まい。「ちっちゃい辻堂」の第一印象である、「とにかく心地いい」という言葉が印象的です(写真撮影/相馬ミナ)

パートナーのYさんは、以下のように話します。
「建物、敷地の第一印象はすごく気持ちがいい、ということ。光とか風とか、五感に働きかけるところがあって。建築・ランドスケープデザインの人と話しをしたら、すべて理由があって納得しました。コミュニティや共有という概念は、正直、苦手だなと思っていたんです。でも、実際、暮らしてみると誰も何も強制しないし、自発的な交流が生まれる仕掛けがあって、居心地がいい。庭の手入れをしていたら、ワイン片手に食事がはじまったりしてね。住まいは独立しているけれど、それぞれの境界線から色がにじみでる感じ。また新しい色ができているのが、未来的といえるかもしれません」

中央のペンダントライトは浦川さんが持っていたもの。よいものがないか探していたところ、「借してあげるよ」といわれ、借りているのだそう。これもシェアのひとつですね(写真撮影/相馬ミナ)

中央のペンダントライトは浦川さんが持っていたもの。よいものがないか探していたところ、「借してあげるよ」といわれ、借りているのだそう。これもシェアのひとつですね(写真撮影/相馬ミナ)

「自分は3DプリンターやDIYツールをたくさん持っているんですけれど、それを光さんのスペースに置かせてもらう代わりに、他の住民にも使っていいよ、としています。所有ではなく完全な共有でもない。モノや知恵をシェアする暮らし、所有すること、私有と共有についてもよく二人で話あっています。ほかにも、なんでお金が必要なんだっけ、なんの仕事をしたいんだっけなど、豊かさや暮らし、都市やアートについて考え直すことが多く、あらためて人生を見つめ直している感じです」(Kさん)

花やアートのあしらいが上手なお二人。「ちっちゃい辻堂」の暮らしは触発されることが多く、話し合うことも多いのだそう(写真撮影/相馬ミナ)

花やアートのあしらいが上手なお二人。「ちっちゃい辻堂」の暮らしは触発されることが多く、話し合うことも多いのだそう(写真撮影/相馬ミナ)

「引越してきて3~4カ月ですが、得られたものが大きいですね。親には家賃の割には空間は狭いよね、と言われることがあったんですが、単純に空間に家賃を払っているわけではない。生きることやつながりに対しての対価ですよね。暮らしのなかでも、畑をつくる、みそをつくるなど、動詞がすごく増えました。自然との共存という大きな挑戦や、可能性という、大きなものにお金を払っている。そんな感覚があります」(Yさん)

室内にもたくさん自然光が入ってくる間取りです(写真撮影/相馬ミナ)

室内にもたくさん自然光が入ってくる間取りです(写真撮影/相馬ミナ)

アーティストカップルだからこそ、コミュニティに助けられる

もう一組、フラワーアーティストのお二人にも話を聞きました。以前は東京都立川市在住、こちらも引越して半年になります。パーマカルチャー講座で光さんと知り合い、SNSで入居者募集を知ったのがきっかけでした。アーティストである二人にとって、この「ちっちゃい辻堂」はプラスしかない、といいます。

フラワーアーティストのお二人の住まい。写真左の花のオブジェが作品(写真撮影/相馬ミナ)

フラワーアーティストのお二人の住まい。写真左の花のオブジェが作品(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

「まずは、土間があって創作活動の作業がしやすい、水が使いやすい。そして外も緑が多くて気持ちがいい。軒先にドライフラワーを飾ってもいいし、使いきれなかったお花は、まわりのお宅に渡すと喜ばれます。周囲に大工さん、デザイナー、エンジニアがいるので相談できるし、さらに道具まであって。自分が表現したい世界や幅が広がるので、アーティストとしてはプラスしかないです。

アーティスト二人で暮らしていると、それはぶつかることもありますから。でも縁側にいて、誰か来るとおしゃべりして、すっと気が晴れることもあります」

土間があり、水をたくさん使える間取り、そういえばなかないですよね(写真撮影/相馬ミナ)

土間があり、水をたくさん使える間取り、そういえばなかないですよね(写真撮影/相馬ミナ)

「あと、人同士の距離がね、ほんとうに心地いいんです。光さんの考えや価値観を理解したうえで暮らしているので、違和感がないというか。濃密過ぎず、薄いわけでもない。これが新しい暮らしというものなのかな、と思います」

どこを切り取っても絵になります(写真撮影/相馬ミナ)

どこを切り取っても絵になります(写真撮影/相馬ミナ)

縁側のドライフラワー。さり気なくつるしてあるのがかわいい(写真撮影/相馬ミナ)

縁側のドライフラワー。さり気なくつるしてあるのがかわいい(写真撮影/相馬ミナ)

定例の食事会。顔の見える距離感ってこんなに心地いいんですね(写真撮影/相馬ミナ)

定例の食事会。顔の見える距離感ってこんなに心地いいんですね(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

(写真撮影/相馬ミナ)

最後に、2週間に1回、開催されている食事会に少しだけお邪魔しました。訪れてみると、住民のみなさんはそれぞれのおうちでつくったご飯とアルコールを持ち寄り、すでに盛り上がっていました。出会って数カ月とは思えないほどですが、とにかくムリなく、自然に、ゆるりと背伸びしない関係ができているようです。石井光さんと仲間たちが耕しはじめた、未来の暮らしはまだまだはじまったばかり。時間がたつほどに味わいを増して、「みんなの居場所」として心地よくなっていく気がします。

●取材協力
ちっちゃい辻堂
大家の学校 ※第11期の締切は5月31日(金)まで

実家じまい、母の民芸コレクション数千点の譲渡会を父が設計した自宅で開催。新しい物語を次世代につなぐ 二部桜子さん

多くの人が気になる「実家の片づけ」。挿花家でエッセイストの母と建築家の父のもとに生まれた料理家の二部桜子(にべ・さくらこ)さんは、両親が世界中で集めた膨大な民芸品などのコレクションを次世代につなごうと、実家を開放して譲渡会を実施。遠方からも人が訪れて盛況に! 実家じまいとしてはもちろん、自身の今後についても多くの気づきが得られたというその経験について、二部さんにお話を伺いました。

暮らしも注目された母・二部治身さん。世界を旅して集めた民芸品が大量に

コンクリート打ちっ放しの天井の高い建築。広大な空間を埋め尽くすように、おびただしい数の器や古道具が並ぶ。「ちょっとした骨董市の物量ですよね」と二部桜子さんも笑うが、一家庭のコレクションとは思えないスケールだ。

フリマ形式の譲渡会「Recollection - 回想の記録 -」の様子(画像提供/鮫島亜希子さん)

フリマ形式の譲渡会「Recollection – 回想の記録 -」の様子(画像提供/鮫島亜希子さん)

ここは桜子さんが育った東京都八王子市郊外の家。母である挿花家でエッセイストの二部治身(にべ・はるみ)さんは、建築家の夫・誠司(せいじ)さんとともに桜子さんと弟を育てながら、約100坪もの敷地で花と野菜をつくり、四季の草花を愛でてきた。「暮らし系」という言葉が生まれるずっと以前の80年代後半から、自然とともに生きる治身さんのライフスタイルは数々の女性誌や著作で紹介され、全国に多くのファンを生んだ。

二部桜子さん。アメリカの大学で美術を学んだのちアパレル企業に勤め日米を行き来する。2017年、東京都台東区蔵前に「SHUNNO KITCHEN」スタジオを開設し、旬の野菜を軸とした料理教室やケータリング、レシピ開発を行う(写真撮影/片山貴博)

二部桜子さん。アメリカの大学で美術を学んだのちアパレル企業に勤め日米を行き来する。2017年、東京都台東区蔵前に「SHUNNO KITCHEN」スタジオを開設し、旬の野菜を軸とした料理教室やケータリング、レシピ開発を行う(写真撮影/片山貴博)

「母は高校生のころから骨董を集めていたほど器や雑貨が大好き。タイへの新婚旅行を機にアジアの魅力に目覚め、さまざまな国を訪れては現地の民芸品を山のように持ち帰っていました」と桜子さんは振り返る。「アジアやアフリカの民芸品が持つ、素朴でどこか不完全な美しさが好きだったようです。父も収集癖があり、夫婦で好みも一致していたので、二人で競うようにものを集めていました」

生活道具のみならず、イスなどの家具や壺などもコレクションしていた(画像提供/鮫島亜希子さん)

生活道具のみならず、イスなどの家具や壺などもコレクションしていた(画像提供/鮫島亜希子さん)

アジアやアフリカのオブジェやマスクも(画像提供/鮫島亜希子さん)

アジアやアフリカのオブジェやマスクも(画像提供/鮫島亜希子さん)

治身さんが現役のころは雑誌などの撮影用小道具のリース業も少なかった時代。仕事に使えるようにと集めていた部分もある。1999年に建て替えられたこの家も、治身さんの仕事の撮影にも使えるようにと誠司さんが設計したもの。「だからデザイン性は高いんですけれど、底冷えするように寒かったり、段差が多かったり。敷地も広すぎて、高齢の夫婦が暮らすには厳しくて」

両親とも実家を手放して小さく暮らすことを検討していたが、2021年に誠司さんが他界してしまう。治身さんは桜子さん夫妻と暮らすことになり、いよいよ実家じまいを行うこととなった。

仲間の力を借りながら、楽しんで準備した自宅での譲渡会が大反響

そうして始まった二部家の実家じまいだが、当初は明らかに不要なものも膨大にあったという。
「まずは不要品を処分するのがいちばん大事だと思います。体力の必要な作業ですが、海外に住む弟も帰国時にやってくれました。とはいえあまりに物量が多かったので、この最初の段階ですべてを要・不要に分けたわけではないんです。判断に迷うグレーゾーンを残しつつも、明らかな不用品やゴミを処分できたことで気持ちにゆとりができ、友人にも手伝いに来てもらいやすくなりました」

残されたのは、大量の民芸コレクション。業者に買い取りを依頼することも頭をよぎったが、せっかくなら友人に譲りたいと桜子さんはひらめいた。「アパレル業が長かったこともあり、器やインテリアが好きな友人が多いんです。話してみたら“おもしろそう!”と言ってくれて」。そうしてまずは友人知人限定で、フリマ形式の譲渡会を行うことにした。

治身さんが高校時代から集めていたデッドストックの器たちも販売された(画像提供/鮫島亜希子さん)

治身さんが高校時代から集めていたデッドストックの器たちも販売された(画像提供/鮫島亜希子さん)

フリマで難しいのが値付けだろう。「母も値段までは覚えていなかったので、骨董屋さんに出かけて値ごろ感を確かめたり、画像検索で由来や価格を調べたり。通常の骨董品店よりはかなりお得な値段に設定しました」

友人の手も借りながら準備を進め、2022年8月と9月の4日間で「Recollection – 回想の記録 -」として譲渡会を実施。「告知はInstagramの個人アカウントのみで、友人とその友人のみの予約制に。中には影響力のある友人もいたので拡散力がすごくて」。予想以上の反響があり、約1500点が新たな持ち主のもとに旅立った。

世界各国からかごやザルを背負って持ち帰った治身さんは「かご長者」とあだ名されたほどのかご好き(画像提供/鮫島亜希子さん)

世界各国からかごやザルを背負って持ち帰った治身さんは「かご長者」とあだ名されたほどのかご好き(画像提供/鮫島亜希子さん)

好評を受けて、10・11月には一般客にも予約枠を開放することに。「リテールビジネス(BtoCのビジネス)に携わっている友人たちがいろいろアドバイスをくれて。当初は“この引き出しの中はいくら”みたいな値付けでしたが、知らない人への販売なら一つひとつ値段を書いたほうが会計がスムーズだよとか。”このコーナー売れ行きがよくないね”と友人がささっとディスプレイを直してくれたとたん、驚くほど売れたりも」

明治~昭和の和食器もセンスよくディスプレイして販売(画像提供/鮫島亜希子さん)

明治~昭和の和食器もセンスよくディスプレイして販売(画像提供/鮫島亜希子さん)

手伝ってくれた友人たちとはいつしか“実家フェス”の通称が定着。「”せっかくならお茶ができたらいいよね”と、友人が和室で抹茶を立てて、私のお菓子とお出ししたり。そうやって仲間とアイデアをふくらませるのが楽しかった」。まるで学園祭のような自由さをベースに、ビジネススキルと創造力を持ち寄って準備したこのイベントには、北海道や石川県など遠方も含めのべ数百人が訪れ、総計5000点ほどを譲渡できたという。

2023年10月には「Recollection-回想の記録-エピローグ」として、治身さんの著書のレシピを再現した食事会も実施。「譲渡会で、父が建てた建築をみなさんに見ていただけたのも嬉しかったんです。せっかくだから記録に残そうと、母の料理をつくって父と母が元気だった頃の二部家を再現して、友人である写真家の鮫島亜希子さんに撮ってもらいました」

和気あいあいと和やかな食事会の様子。このときのコレクションは"お気持ち"価格で譲渡し、ウクライナの動物支援団体に寄付も行った(画像提供/鮫島亜希子さん)

和気あいあいと和やかな食事会の様子。このときのコレクションは”お気持ち”価格で譲渡し、ウクライナの動物支援団体に寄付も行った(画像提供/鮫島亜希子さん)

顔の見える使い手へ譲る喜びが、愛したものを手放す寂しさを和らげる

業者の買い取りより手間や時間はかかっても、ものの行く末がわかるのが嬉しいと桜子さん。「友人のおうちに遊びに行ったら、うちで活躍していたものにまた出合えたり。おうちで使う様子をInstagramに上げてくれる人もいて、両親の愛したものたちの新しい物語が始まるのだと実感できました」

来場した友人たちが購入物をインスタにアップ。「みなさんのセレクトが見ていて楽しくて」と桜子さん(画像提供/左から、@hirokoinabaさん、@mamimori8さん)

来場した友人たちが購入物をインスタにアップ。「みなさんのセレクトが見ていて楽しくて」と桜子さん(画像提供/左から、@hirokoinabaさん、@mamimori8さん)

治身さんもイベントの様子に感激。「ものを手放すから、と悲しむ様子が全くなくて。自分のコレクションがお店みたいにキレイに並べられて“やっぱりこれ素敵よね”なんて喜んだり。自分が好きで手に入れたものを、みなさんが楽しそうに選んで譲り受けていく姿がすごく嬉しかったようで、いい親孝行ができました」

もちろん治身さん自身が手離したくない宝物はキープ。桜子さんも、手元で大切にしたいものたちを自宅やスタジオで愛用している。

水屋箪笥はクリーニングして、桜子さんの「SHUNNO KITCHEN」スタジオで愛用(写真撮影/片山貴博)

水屋箪笥はクリーニングして、桜子さんの「SHUNNO KITCHEN」スタジオで愛用(写真撮影/片山貴博)

風格あるベンチも実家からスタジオに。桜子さんの愛犬・アズキちゃんも心地よさそう(写真撮影/片山貴博)

風格あるベンチも実家からスタジオに。桜子さんの愛犬・アズキちゃんも心地よさそう(写真撮影/片山貴博)

古い実験用漏斗をランプシェードに。「たまたま訪れたアンティークショップで、こんなふうに漏斗を照明にしているのを発見。そのお店にお願いして照明にしてもらいました」(写真撮影/片山貴博)

古い実験用漏斗をランプシェードに。「たまたま訪れたアンティークショップで、こんなふうに漏斗を照明にしているのを発見。そのお店にお願いして照明にしてもらいました」(写真撮影/片山貴博)

買い手がつかなかったランプシェードもスタジオで活躍(写真撮影/片山貴博)

買い手がつかなかったランプシェードもスタジオで活躍(写真撮影/片山貴博)

これからの“もの”との付き合い方を考えるきっかけにも

二部家の実家じまいは、かなり特別なケースかもしれない。でも桜子さんのアイデアと行動力があったからこそ譲渡会は実現でき、成功につながった。「思いついたら後先考えず突っ走るタイプ。料理の仕事もずっとやりたいと言っていたけれど、この物件との運命的な出合いがあって、会社を辞めるより先に契約したことで現実化したんです。今回のイベントも、アイデアを周囲に伝えることで現実のものになりました」

窓の前に咲く満開の桜に、自分の名前との運命的な符合を感じて契約したスタジオ。「譲渡会で知り合った人たちが一緒に料理教室に来てくれたりと、嬉しいご縁も生まれています」(写真撮影/片山貴博)

窓の前に咲く満開の桜に、自分の名前との運命的な符合を感じて契約したスタジオ。「譲渡会で知り合った人たちが一緒に料理教室に来てくれたりと、嬉しいご縁も生まれています」(写真撮影/片山貴博)

周囲の人を巻き込んだのも成功の秘訣。
「一人では絶対に無理でした。最初に不要品処分を弟がやってくれたことが突破口になったし、アパレルの仕事の友人や、料理の仕事を通してつながった暮らしに関心の高い友人が助けてくれたからこそ実現しました」

また、今回のイベントを経験して学んだこともある。
「次の世代が使いたいと思える“いいもの”だからこそ譲ることができたんですよね。自分がものを選ぶ際にも、単に便利で安価だからというのではなく、次の世代にも引き継げるものを選ぶことが大切だと痛感しました」

両親が愛用していたハンス・J・ウェグナーデザインの「Yチェア」もそのひとつ。「実家で使い込まれて、かなり傷んでいたんですが、クリーニングに出したらいい味わいを残しつつきれいになって。いいものだからこそ、こうして修繕しながら長く使えるんですよね」

二部家のダイニングで活躍していたYチェア。脚ががたつき、ペーパーコードの座面もボロボロだったが家具のクリーニングに出して風格ある姿に(写真撮影/片山貴博)

二部家のダイニングで活躍していたYチェア。脚ががたつき、ペーパーコードの座面もボロボロだったが家具のクリーニングに出して風格ある姿に(写真撮影/片山貴博)

高齢になり、広すぎる家や多すぎるものの扱いに困っていた両親の姿を見て、年齢に応じてものとの付き合い方を見直す必要性にも気づいたという。
「70歳くらいになったら新たなライフステージの準備として、またフリマをやろうかと仲間と話しているんです。そのためにも“20年後、次の使い手に引き継げるか”を、もの選びの指針として大切にしていきたいです」

桜子さんが陶芸作家の久保田由貴さんと一緒に考案した器のセット。これも大切に使って次世代につなぎたいと考えているもの(写真撮影/片山貴博)

桜子さんが陶芸作家の久保田由貴さんと一緒に考案した器のセット。これも大切に使って次世代につなぎたいと考えているもの(写真撮影/片山貴博)

桜子さんのご両親が美しいと思えるものだけを集めていたからこそ、次の使い手につながるという幸せな展開は実現した。特別なケースだと思われがちな二部家の実家じまいだが、サステナビリティが重視される時代に、“次の使い手に引き継げるか”は、誰もが実践したいもの選びの基準と言えるだろう。また次の使い手へ引き継ぐための自宅フリマや譲渡会も、新しい実家じまいのアイデアとして参考になるはずだ。

●取材協力
「SHUNNO KITCHEN」主宰 二部桜子さん
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素材を感じる暮らしを-ルーバル付き-

所在地:目黒区自由が丘
20万5,000円 / 43.25平米
東急東横線・東急大井町線「自由が丘」駅 徒歩4分

スカッと気持ちよく抜けた眺望と日当たり、こだわりを感じる手の込んだ内装、おまけに程よいサイズのルーバルまでついた、うれしい三拍子の揃った物件です。



内装については、床はカーペットとフローリング、壁は麻の壁紙とタイル、天井は木張りと異素材ミックスですが、まとまりがあって落ち着いて ... 続き>>>.
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物語のあるリノベーション

所在地:豊島区雑司が谷
4,780万円(税込) / 56.05平米
副都心線「雑司が谷」駅 徒歩1分

★価格が下がりました★



ぱっと見だけではなかなか内容が紐解けない、語ることがたくさん詰まった物件が誕生しました。



こちらはグループ会社のtoolboxがつくった実験的リノベーション。既存をなるべく活かしながら、もともとの設備やマンションの個性を素材として捉え、長い時間向き合っ ... 続き>>>.
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削ぎ落としの美学

所在地:世田谷区瀬田
9万7,000円 / 28.24平米
東急田園都市線「用賀」駅 徒歩10分

見ているこっちが気持ち良くなるくらいに、一般的な住宅にある要素を削ぎ落とした空間。



これがなかったらな〜なんて内見に行くたびに思ってしまうそこのあなた!部屋を自分の世界観で埋め尽くしたいそこのあなた!とにかくストイックにあれもこれも削ぎ落とした、こんなミニマルな空間いかがでしょ ... 続き>>>.
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リノベビルの1階路面

所在地:中央区新富
54万6,840円(税込) / 91.3平米
有楽町線「新富町」駅 徒歩4分

路面に面して大きな間口。2面のガラス面に囲われて開放的で視認性がいいつくりです。



建物のファサードやエントランスを2018年にリノベーション。オリエンタルな植栽に、木や真鍮をつかったデザインが素敵な雰囲気で歩いていて目に止まるようなビルになっています。



今回の区画の脇にはオリ ... 続き>>>.
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ニューヨークのおうち訪問。米仏クリエイター夫妻が子ども達と暮らす、本に囲まれたブルックリンの築140年アパートメント

アメリカ・ニューヨークのマンハッタンからイースト川を越え、南東部に広がるブルックリン。ゆったりとした自由な空気が流れ、モノづくりも盛んで、クリエイターやアーティストが多く移り住んでいる場所です。ギャラリー、壁画、若手起業家が興したブルワリーやウイスキー醸造所など、クリエイティブでおしゃれなものがあふれています。ブルックリン美術館や植物園、森のように広くて緑豊かなプロスペクトパーク(Prospect Park)など自然や文化的施設にも恵まれ、閑静な住宅街はファミリー層に人気です。プロスペクトパークから目と鼻の先にある、3階建ての築140年になる歴史的なアパートメントビル最上階に住むクリエイター一家のお宅を訪れました。

フランス人はブルックリンがお好き?

市民の憩いの場であるプロスペクトパークの隣に面する閑静なパークスロープ地区の一角に、クリエイターのファミリーが暮らすアパートメントがあります。写真史家&インディペンデント・キュレーターとして活動するポリーヌ・ベルマール(Pauline Vermare)さんと、夫でビデオ・プロデューサーのマーク・レッサー(Marc Lesser)さん、10歳の長男サムくん、そして猫のウーディーくん(16歳)&犬のアーチーくん(4歳)が仲良く暮らす明るいお部屋です。

リビングルームは窓が多くて明るく、大きなカウチを置いてもまだスペースが余りあるほどゆったりと広いスペース。右側にもさらに小部屋が続く。築140年のアパートメントだが、室内はリノベーションされしているので年月や古さはまったく感じない(写真撮影/Masao Katagami)

リビングルームは窓が多くて明るく、大きなカウチを置いてもまだスペースが余りあるほどゆったりと広いスペース。右側にもさらに小部屋が続く。築140年のアパートメントだが、室内はリノベーションしているので年月や古さはまったく感じない(写真撮影/Masao Katagami)

ポリーヌさんはICP(ニューヨークの有名な写真博物館)の元キュレーターで、現在はブルックリン美術館の写真キュレーター。夫マークさんと長男サムくんとこの家で暮らし始めて6年。「アーチー(犬)は4年前にテキサスからアダプト(保護)。16歳のウーディー(猫)はフランス出身のフランス人よ」 (写真撮影/Masao Katagami)

ポリーヌさんはICP(ニューヨークの有名な写真博物館)の元キュレーター。夫マークさんと長男サムくんとこの家で暮らし始めて6年。「アーチー(犬)は4年前にテキサスからアダプト(保護)。16歳のウーディー(猫)はフランス出身のフランス人よ」 (写真撮影/Masao Katagami)

「光がふんだんに差し込む明るいお部屋でとても気に入りました」。ポリーヌさんは夫と家探しをしていた際、この家に足を踏み入れた時の印象をそう振り返ります。「あとは細部の内装ね。レトロなモールディング(※)やガラスの柄などのディテールが昔ながらの技法で芸術的でとても繊細なデザインなんですよ」

※モールディング…壁や天井、ドアや家具など内装の細部に施した帯状の装飾のこと。床と壁の継ぎ目の巾木など枠どりを装飾したり、部材の接合部を美しく魅せる効果がある

ところどころにあるモールディング、白壁にかけられた絵画や写真、暖炉や観葉植物などの配置やバランスが絶妙。「このお家を気に入った理由は明るさとレトロな装飾なの」(ポリーヌさん)(写真撮影/Masao Katagami)

ところどころにあるモールディング、白壁にかけられた絵画や写真、暖炉や観葉植物などの配置やバランスが絶妙。「このお家を気に入った理由は明るさとレトロな装飾なの」(ポリーヌさん)(写真撮影/Masao Katagami)

キッチンとリビングの間のダイニングスペース(写真撮影/Masao Katagami))

キッチンとリビングの間のダイニングスペース(写真撮影/Masao Katagami)

ダイニングスペースのドアのガラス窓の柄。ほかにもモールディングやステンドグラスなど細部のディテールが美しい(写真撮影/Masao Katagami)

ダイニングスペースのドアのガラス窓の柄。ほかにもモールディングやステンドグラスなど細部のディテールが美しい(写真撮影/Masao Katagami)

「公園、子どもの学校、地下鉄の駅これらすべてが2、3ブロック圏内でとても便利な場所なんです。迷いなくこの家は運命だと思いました」(ポリーヌさん)

アパートからすぐそばにある大自然豊かな市民の憩いのプロスペクトパーク 。マンハッタンのセントラルパークと同じ設計者、フレデリック・ロー・オルムステッド(Frederick Law Olmsted)とカルバート・ヴォー(Calvert Vaux)によるもので、どこかセントラルパークと似ている。子育てや犬の散歩にも適した環境 (写真撮影/Masao Katagami) 

アパートからすぐそばにある大自然豊かな市民の憩いのプロスペクトパーク 。マンハッタンのセントラルパークと同じ設計者、フレデリック・ロー・オルムステッド(Frederick Law Olmsted)とカルバート・ヴォー(Calvert Vaux)によるもので、どこかセントラルパークと似ている。子育てや犬の散歩にも適した環境 (写真撮影/Masao Katagami) 

フランス出身、日本育ち→NY在住

運命の出逢いはこれだけではありません。

フランス・パリで生まれ、リヨンで育ったポリーヌさん。家庭の事情で10歳から14歳まで東京の笹塚で、さらに14歳から17歳まで香港で育ったそうです。ニューヨークに住むようになったきっかけは2009年、MoMA(モマ=ニューヨーク近代美術館)で開催されたフランスの写真家アンリ・カルティエ-ブレッソン(Henri Cartier-Bresson)のショーで、アシスタント・キュレーターを務めたことでした。

キッチンとリビングの間にあるダイニングルーム。キッチンの奥はベッドルームと子ども部屋が広がる(写真撮影/Masao Katagami)

キッチンとリビングの間にあるダイニングルーム。キッチンの奥はベッドルームと子ども部屋が広がる(写真撮影/Masao Katagami)

渡米3週間が経ったころ、道端であるアメリカ人男性とひょんなことから出会いました。2人には写真家のソール・ライター(Saul Leiter)の下で働いている共通の友人がいることがわかり、意気投合したそうです。この男性(マークさん)こそがポリーヌさんの未来の夫となる人でした!2人の出会いのきっかけになったということで、結婚の際はライター氏から結婚祝いが贈られたそうです。

そうやってファミリーとなった今、ブルックリンに住むようになった理由を尋ねると、ポリーヌさんはこのように説明します。

「冷蔵庫も作業用カウンターも大きくて料理がしやすく気に入っている」と言うキッチン。家族のためにスタッフド・ベジタブル(野菜の詰め物)などフランス料理をつくることも多いという(写真撮影/Masao Katagami)

「冷蔵庫も作業用カウンターも大きくて料理がしやすく気に入っている」と言うキッチン。家族のためにスタッフド・ベジタブル(野菜の詰め物)などフランス料理をつくることも多いという(写真撮影/Masao Katagami)

「フランス人ってなぜだかブルックリンが好きなんです。たぶん少しフランスに似たヴィンテージな街の感じとか、交通の便も良くておいしいバゲットも買えるところとか、そういう理由からだと思うんです。素朴な『小さな村』のようなこの街の雰囲気もフランス人が好きなところなんですよ」

ポリーヌさんとマークさんが結婚して住んだアパートメントは、地下の暗い部屋だったそうです。そこで数年暮らし、息子のサムくんを出産。2017年に新居探しをはじめました。

「ニューヨークで良い家に出合うのは簡単なことではないのです。どの物件もとても高額だし、競争率が高くて良い条件のものはキャッシュ払いが可能な客にすぐに買われてしまいます。そんな事情もあり、この家に出合った時、不動産ブローカーに『気に入ったのなら今すぐ決めないと、すぐに取られてしまいますよ』と言われ購入を決めました。そしてこの決断は大正解でした」

小部屋から見たリビングルーム(写真撮影/Masao Katagami)

小部屋から見たリビングルーム(写真撮影/Masao Katagami)

1886年(推定)に建てられた光がふんだんに降り注ぐ素敵なレトロ・アパートメントは、まさにやっと出合えた物件でした。

この日はちょうどサムくんの友人も遊びに訪れていた。天井の高さを生かし、子ども部屋はハイタイプのロフトベッドを配置。下のスペースを有効活用している(写真撮影/Masao Katagami)

この日はちょうどサムくんの友人も遊びに訪れていた。天井の高さを生かし、子ども部屋はハイタイプのロフトベッドを配置。下のスペースを有効活用している(写真撮影/Masao Katagami)

子ども部屋からの景色。「今の季節、ここからの景色が大好きなの」とポリーヌさん(写真撮影/Masao Katagami)

子ども部屋からの景色。「今の季節、ここからの景色が大好きなの」とポリーヌさん(写真撮影/Masao Katagami)

ニューヨーカーらしく、本にあふれた暮らし

コロナ禍以降リアル書店が次々に復活するほど本好きな人が多いことで知られるニューヨーク。ポリーヌさんが日本育ちということも影響し、部屋のところどころに配置された日本の小物に加え、ニューヨーカーらしく本棚には本がぎっしり並んでいるのも特徴です。

リビングルームの横にあるスペースを生かし、ここにも本棚とカウチが置かれている(写真撮影/Masao Katagami)

リビングルームの横にあるスペースを生かし、ここにも本棚とカウチが置かれている(写真撮影/Masao Katagami)

ポリーヌさんが専門家としてコメントを寄せてきた書物。そして愛着のあるそろばん。そろばんは10歳から4年間、教室に通っていた時に使っていたもの。「3級を取ったわ。息子にもたまに教えているんですよ」(写真撮影/Masao Katagami)

ポリーヌさんが専門家としてコメントを寄せてきた書物。そして愛着のあるそろばん。そろばんは10歳から4年間、教室に通っていた時に使っていたもの。「3級を取ったわ。息子にもたまに教えているんですよ」(写真撮影/Masao Katagami)

いつも家族のそばにいる犬のアーチーくん。この街ではペットも歴とした家族の一員(写真撮影/Masao Katagami)

いつも家族のそばにいる犬のアーチーくん。この街ではペットも歴とした家族の一員(写真撮影/Masao Katagami)

本好きであることが伝わってくる家づくりですが、なんと彼女自身が今年6月に新書を出版するそうです!これまでソール・ライター、また日本の写真家・川田喜久治氏が2022年に発売した写真集『ヴォルテックス』についてのエッセイ本をいくつか出版してきた彼女ですが、6月に発売される新書は彼女自身が本の共同編集を初めて手掛けたそう。

ポリーヌさんが出版するのは『I’m So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now』($75)という本です。1950年代以降に活躍した原美樹子、野村佐紀子など約100人の日本人女性フォトグラファーを考察し紹介するものです。この本はアメリカのみならず、日本とフランスでも、それぞれの言語の翻訳版の出版が決まっています(こちらのタイトルや表紙デザインは現在制作中)。

なぜフランス出身である彼女が日本人女性写真家に興味があるのかと尋ねたところ、「日本で育ったから」というのが大きな理由の一つでした。ただ、そのほかの理由も興味深いです。

「日本では19世紀以降すばらしい写真作品がたくさん生み出されたのに、海外では日本の森山大道やアラーキー(荒木経惟)など男性写真家が知られているだけで、女性写真家についてはほとんど知られていないのが現状です。それで私はすばらしい日本人の女性写真家の歴史を世界に紹介したいと思いました。それがこの本づくりのきっかけでした」

ポリーヌさんによれば、日本のみならず自身の出身地・フランスや現在住んでいるアメリカでも、男性写真家に比べて女性写真家に脚光が当たることは少ないとのこと。「私はその壁をぶち破り、日本人の女性写真家の活躍や表現力を示したかったのです」

『I’m So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now』 (写真提供/Pauline Vermare)

『I’m So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now』 (写真提供/Pauline Vermare)

ほかにも、夫マークさんとコラボして制作した短編ドキュメンタリー映画が、今年4月から7月までアイルランド写真美術館(Photo Museum Ireland)で上映されます。これは日本人写真家・岡村昭彦氏のアイルランドでの人生と仕事を紹介した作品です。

岡村昭彦氏関連は、「『I’m So Happy ~』の編集後、本の編集も手掛けました。こちらは4月に出版しました」とポリーヌさん。

『Akihiko Okamura, Les Souvenirs des Autres 』 (写真提供/Pauline Vermare)

『Akihiko Okamura, Les Souvenirs des Autres 』 (写真提供/Pauline Vermare)

ブランド物から道で拾ったアンティークまで

クリエイターとして忙しい日々を過ごすポリーヌさんとマークさん。最後に、夫妻のお気に入りのお店やブランドを教えてもらいました。

「たくさんあるけど、家のすぐ近所にあるミシュラン星を獲得したイタリア料理店のフローラ(Flora)は共にコロナ禍を乗り越えた今、私たちにとって家族のような存在で、大好きなお店です。家具のお気に入りのお店で言うと、リビングにあるランプはブルードット(Blue Dot)、カーペット(ラグ)はサファビア(Safavieh)のもの。カウチはABCカーペット&ホーム(ABC Carpet & Home)のもので、来週配達予定の新しいカウチはボーコンセプト(Bo Concept)で購入しました。探せば良いものがたくさんある街ですが、ストリートにも素敵な年代物の家具が落ちていることがあるんですよ。これらもストリートでたまたま見つけたものです」と言って、年代モノの素敵なアンティークの鏡とサイドテーブルを見せてくれました。

「サイドテーブルと鏡は道で見つけたものなんです」(ポリーヌさん)。路上にお宝がよく落ちているニューヨーク。引越しの際に人々が不要な物の処分のためにストリートにわざと置いて行き、必要な人がそれを勝手に持って行く(写真撮影/Masao Katagami)

「サイドテーブルと鏡は道で見つけたものなんです」(ポリーヌさん)。路上にお宝がよく落ちているニューヨーク。引越しの際に人々が不要な物の処分のためにストリートにわざと置いて行き、必要な人がそれを勝手に持って行く(写真撮影/Masao Katagami)

ストリートで見つけたという鏡(写真撮影/Masao Katagami)

ストリートで見つけたという鏡(写真撮影/Masao Katagami)

ブランドも好きだけど、ブランドものだけで固めず抜け感も楽しむ。そんな自然体でフレンドリーで優しい雰囲気の彼らを体現したお家とインテリアでした。

取材/文:安部かすみ、撮影:形上将夫

ポリーヌさん&マークさんお気に入りのお店
Blu Dot
SAFAVIEH
abc carpet & home
BoConcept
Flora

世界観に魅せられて

所在地:渋谷区千駄ヶ谷
22万5,000円 / 48.8平米
副都心線「北参道」駅 徒歩3分

時を重ねてきたコンクリートが美しく生かされ、まるで写真集の1ページのように切り取られた、すてきなワンシーンがそこにあります。



建築家の手によってリノベーションされた、ざっくりと武骨な雰囲気と、どこかにクリーンさを感じる空間。



入居者がいかようにも使えるように、白い間仕切りで空 ... 続き>>>.
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町の社交場 憩いの店舗

所在地:大田区大森西
9万9,000円(税込) / 21平米
京急本線「梅屋敷」駅 徒歩3分

路面の角地に顔を出す、手ごろな店舗の紹介です!



駅の近場にありながら、商店街をほんの少し外れた住宅街というのが絶妙で、どこかほっとする佇まいが、地元民のオアシスとして生かされるときがくるのではと、秘めたる可能性にワクワクしています。



通りすがりについふらっと顔を出したくなる窓 ... 続き>>>.
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自由に人が集まる場所で

所在地:世田谷区奥沢
30万円(税込) / 29.1平米
東急東横線・東急大井町線「自由が丘」駅 徒歩3分

自由が丘駅徒歩3分。様々な理由で人々が訪れる賑やかな複合施設の2階に、「オフィス」「ラウンジ」「カフェ」の要素を持つクリエイティブなエリア、「tefu jiyugaoka」がオープンしたのは2022年11月のこと。



施設に訪れるのは1階の飲食店に食事にくる人、日常的に開催される ... 続き>>>.
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なにもせず、今を

所在地:武蔵野市境
15万円 / 77.42平米
下から駅名で検索するか目印を直接入力して下さい 徒歩5分

古きよき木造戸建てのほっこりとする雰囲気が残る、クリーム色の戸建て。レトロな空気感がお好きな方へご覧いただきたい物件です。



リビングの前には小さな縁側と小さな庭。遊んだりリラックスできる広さはありませんが、部屋から見える緑が癒しを与えてくれます。まず雑草を手入れして、お好きな植 ... 続き>>>.
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中古マンションをリノベーションでZEH水準に!買取再販物件の広告では初の「省エネ性能ラベル」を表示

2024年4月から、新築住宅などを広告する際に「省エネ性能ラベル」を表示する制度がスタートした。新築住宅および事業者が再販売などをするリノベ物件に対して、ラベルの表示を努力義務としている。すでに、新築住宅ではSUUMOなどのポータルサイトでも、省エネ性能ラベルの表示をしている事例が増えているが、リノベ物件でも表示する事例が登場している。

【今週の住活トピック】
積水化学工業とリノベるが協業するすべての ZEH 水準リノベ物件にて「省エネ性能ラベル」の表示をスタート

2024年4月から努力義務となった「省エネ性能ラベル」とは?

「省エネ性能ラベル」の目的は、「販売・賃貸事業者が建築物の省エネ性能を広告などに表示することで、消費者が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにする」ためだ。

例えば、家電製品を買おうとするときに販売店に行くと、パンフレットや店頭商品に、省エネ性能が★の数などで表示されるラベルが掲示されている。同じように、新築住宅やリノベ物件を販売するか賃貸するときに、その事業者が省エネ性能表示ラベルを掲示することで、住宅の検討者が省エネ性を比較しやすいようになる。

住宅の省エネ性能表示ラベルの特徴は、次の3つを表示して性能の違いが分かるようになっていることだ。
(1)エネルギー消費性能が星の数で分かる
(2)断熱性能が数字で分かる
(3)目安光熱費が金額で分かる (任意項目なので表示されない場合もある)

このほか、太陽光発電などの「再エネ設備の有無」と「ZEH水準」、「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー)」に該当するかが表示される。

住宅の省エネ性能ラベルについては、このサイトの「2024年4月スタートの新制度は、住宅の省エネ性能を★の数で表示。不動産ポータルサイトでも省エネ性能ラベル表示が必須に!?」に詳しく説明しているので、合わせて見てほしい。

住宅(住戸)の省エネ性能ラベルに記載される内容(国土交通省の資料より)

住宅(住戸)の省エネ性能ラベルに記載される内容(国土交通省の資料より)

また、「省エネ性能ラベル」が表示されている物件は、合わせて「エネルギー消費性能の評価書」が発行される。この評価書は、省エネ性能ラベルの内容を詳しく解説した書類だ。

「ZEH水準」と「ZEH」の違いは?

積水化学工業とリノベるが協業するのは、「ZEH 水準リノベ」だ。また、省エネ性能ラベルにも、ZEH水準やZEHのチェック欄がある。では、どこが違うのだろうか?

ZEH(ゼッチ)は、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を略した呼び方で、住宅で消費するエネルギーをゼロにしようというものだ。そのためには、(1)住宅の骨格となる部分を断熱化して、エネルギーを極力使わないようにし、(2)給湯や冷暖房などの設備を高効率化して、エネルギーを効率的に使う。ただし、消費するエネルギーをプラスマイナスゼロにするには、(3)太陽光発電設備などでエネルギーをつくり、消費したエネルギーを補う必要がある。

ところが、太陽光発電設備については、雪国では太陽光を十分に得られなかったり、マンションなどの高層住宅では、戸数が多いわりに屋上の面積が広くなくて、必要な数の太陽光発電設備を設置できないといった制約を受ける。

「ZEH水準」は、地域や住宅の形状によって制約を受ける(3)の再エネ設備を必須としない基準で、(1)と(2)については、住宅性能表示制度の「断熱等性能等級5」かつ「一次エネルギー消費量等級6」という基準を設けたものだ。

既存のマンションでZEH水準のリノベーションを実現

このように、政府は住宅の省エネ化を加速させている。2025年4月にすべての新築住宅で、現行の省エネ基準の適合を義務化するとともに、その省エネ基準を遅くとも2030年までには「ZEH水準」に引き上げようとしている。

一方で、既存のマンションの多くは現行の省エネ基準の水準を満たしておらず、それをZEH水準にまで引き上げるのはハードルが高いと思われてきた。ところが、いくつかの事業者が、既存マンションのZEH水準リノベを実現するようになってきた。

今回の積水化学工業とリノベるの協業もそのひとつで、どうやってZEH水準にリノベーションをするかは、当サイトの「既存のマンションでもZEH水準にリノベが可能に!?国が推進する省エネ性能「ZEH水準」についても詳しく解説」で紹介している。

両社によるZEH水準リノベの省エネ性能ラベルの表示、第1号が「東急ドエル・アルス千住」だ。

「省エネ性能ラベル」の発行・表示1号案件「東急ドエル・アルス千住」 

「省エネ性能ラベル」の発行・表示1号案件「東急ドエル・アルス千住」 

不動産ポータルサイトでも「省エネ性能ラベル」を表示

この制度のスタートに合わせて、主要な不動産ポータルサイトでも、省エネ性能ラベルの表示ができるようになっている。今回の物件についても、例えばSUUMOでは次のように表示されている。

「SUUMO」に表示された、東急ドエル・アルス千住の省エネ性能ラベル(2024年4月25日時点)

「SUUMO」に表示された、東急ドエル・アルス千住の省エネ性能ラベル(2024年4月25日時点)

なお、「ネット・ゼロ・エネルギー」にチェックがついているが、厳密にいうと「ネット・ゼロ・エネルギー」ではなく、「ZEH Oriented」であると記載されている。

国土交通省の「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度 ガイドライン」では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)について、「ZEH 水準以上の省エネ性能を有し、さらに再生可能エネルギーなどの導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅について、その削減量に応じて、(1)『ZEH』(100%以上削減=ネット・ゼロ)、(2)Nearly ZEH(75%以上100%未満削減)、(3)ZEH Oriented(再生可能エネルギー導入なし)」と、定義されている。

なお、マンションの住棟に関するラベルでは、ZEH-M、Nearly ZEH-M(75%以上100%未満削減)、ZEH-M Ready(50%以上75%未満削減)、ZEH-M Oriented(再生可能エネルギー導入なし)の4種類になる。

この物件は、(3)ZEH Orientedを満たす住宅であり、かつ、自社による「自己評価」ではなく、「第三者評価※」を取得して、第三者評価機関からZEH水準よりも高い性能を有することが確認できた場合という条件を満たしたことで、「ネット・ゼロ・エネルギー」にチェックがついている。

※第三者評価機関が、省エネルギー性能に特化した評価・表示制度である「BELS(ベルス)」を使って評価するもの。

一般ユーザーには、理解が難しいところなので、販売している事業者に詳細を確認しよう。

平成30年(2018年)の総務省「住宅・土地統計調査」で、全国の住宅総数(持ち家、借家、空き家含む)は約6241万戸とデータがある。その大半が現行の省エネ基準を満たしていない一方、新築住宅の省エネ性能はZEH水準に向かっている。性能格差は広がるばかりだが、既存の住宅でもZEH水準への改修が進めば、良質な住宅ストックになっていく。健康で快適な暮らしにもつながるものなので、さらなる増加に期待したい。

●関連サイト
積水化学工業とリノベるが既存マンションのZEH水準リノベーションを提供開始

オーナーが頑張った部屋

所在地:狛江市元和泉
6万円 / 19.15平米
小田急線「和泉多摩川」駅 徒歩3分

この部屋、オーナーの愛着が詰まってます。



天井の解体や屋根裏のボード貼りなどは職人さんに依頼していますが、天井の塗装や棚の造作などは、オーナーが休日に少しずつ作業をしてつくり上げているのです。



物件があるのは多摩川のほとり。ギリ東京住所の小田急線「和泉多摩川駅」。駅徒歩3分の ... 続き>>>.
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ナチュラルに心地よく

所在地:目黒区碑文谷
22万円 / 53平米
東急東横線「都立大学」駅 徒歩11分

学芸大学駅と都立大学駅の中間点くらいにある最上階角部屋。無垢フローリングが心地よい2LDKです。



リノベーションほやほやの新登場。どの部屋も広さにゆとりがあり、モノが多いひとり暮らしだったり、在宅勤務の多いふたり暮らしにも重宝しそうです。



LDKは約11.8畳でソファとテーブ ... 続き>>>.
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レトロで素朴な心地よさwithペット

所在地:板橋区蓮根
10万5,000円 / 41.62平米
都営三田線「西台」駅 徒歩10分

レトロな雰囲気を活かしてリノベーションをした一室。杉板のフローリングや、光を通すポリカーポネートの軽やかな扉など、クラフト感のあるアイテム達は、オリジナリティがあり、素朴さがいい感じです。



水回りはシンプルですが清潔感のある形。浴室は数年前新たに交換されたものなので、きれい。追 ... 続き>>>.
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露天気分

所在地:東京都港区白金
29万円 / 108.7平米
南北線・都営三田線「白金高輪」駅 徒歩8分

港区で露天気分を味わえる、毎日旅館に帰るような生活はいかがでしょうか。



この物件の主役は、信楽焼の浴槽に伊豆若草石仕上げのお風呂なのですが、魅力はお風呂だけではありません。



ビルの最上階にオーナーのペントハウスとして作られたメゾネット。

玄関開けたら敷石とズドンと抜ける正面の ... 続き>>>.
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55名でつくるシェア型本屋「城南書店街」で日常から一歩踏み出す体験を。建築家に便利屋、うどん屋、郵便局員など職業も多彩 香川県丸亀市

自分の暮らしている地域で何か面白いことをしたい。でも何から始めてよいかわからないという人も多いだろう。それが「小さな本棚」の店主になることで、ほかの店主と知り合い、みんなで何か新しいことを始められると聞いたらどうだろう。
丸亀にはオープンなコミュニティスペースが少ないと感じた藤田一輝さんは、2023年シェア型本屋「城南書店街」を始めた。
藤田さんはもともと自宅の裏庭で「地域に出会う商店 ふじたしょうてん」という、小さなアンテナショップを営んでいた方。どんな思いからシェア型本屋をオープンしたのだろう?現地を訪れて聞いた。

丸亀市内にある城南書店街(撮影/Fizm加藤真由)

丸亀市内にある城南書店街(撮影/Fizm加藤真由)

短パンTシャツの藤田さんと秘密基地のような店へ

まずは「ふじたしょうてん」へ向かう。
細い路地に入り、住宅街の中を進む。こんなところに店があるのか…と不安になりかけた頃、道脇に小さな看板を発見した。

藤田さんの実家の前に出ていた小さな看板。謎めいた「FUJITA」のロゴが暗号のようだ。この裏庭に「ふじたしょうてん」がある(撮影/Fizm加藤真由)

藤田さんの実家の前に出ていた小さな看板。謎めいた「FUJITA」のロゴが暗号のようだ。この裏庭に「ふじたしょうてん」がある(撮影/Fizm加藤真由)

藤田一輝さん。ふじたしょうてんの店主であり、「城南書店街」の発起人でもある。学生時代にはリヤカーの荷台に小屋を立てて各地をめぐりコーヒーを淹れるなど面白い活動をしてきた方(撮影/Fizm加藤真由)

藤田一輝さん。ふじたしょうてんの店主であり、「城南書店街」の発起人でもある。学生時代にはリヤカーの荷台に小屋を立てて各地をめぐりコーヒーを淹れるなど面白い活動をしてきた方(撮影/Fizm加藤真由)

迎えに出てくれた藤田さんは、丸刈りに黒縁メガネに黒のTシャツに短パンという格好がよく似合う、ニコニコして人当たりが良さそうな方だった。
「こちらです」と案内され、藤田さんちの駐車場を通り抜けた先の裏庭に「ふじたしょうてん」はあった。子どものころに憧れた秘密基地のような雰囲気が漂っている。

ふじたしょうてんの外観。ほんとに物置!(撮影/Fizm加藤真由)

ふじたしょうてんの外観。ほんとに物置!(撮影/Fizm加藤真由)

もとは物置だったという3坪の建物を改装し、コーヒーの飲める小さなアンテナショップとしてオープン。中に入ると壁沿いの棚には藤田さんが企画を手がけたプロダクトが並んでいて、向かいにはドリッパーなどのコーヒーグッズ。右手奥にカウンターがあり、そこで藤田さんがコーヒーを淹れてくれる。
藤田さんがカウンターに座ると、そこはまさに「藤田さんのための場所」だった。

コーヒーを淹れるシーンを演出するためにつくられたというカウンター。藤田さんが座るとしっくりハマっている(撮影/Fizm加藤真由)

コーヒーを淹れるシーンを演出するためにつくられたというカウンター。藤田さんが座るとしっくりハマっている(撮影/Fizm加藤真由)

「地域に出会う商店 ふじたしょうてん」

店に並ぶ品は、藤田さん自身が企画して、香川県内のつくり手とともに商品化したものがほとんどだ。
「地域に出会う商店」と店名に付したのも、自身が「香川で出会った面白い方々を紹介したい」との思いからだった。

(撮影/Fizm加藤真由)

(撮影/Fizm加藤真由)

たとえば、香川の風景としてお馴染みの「おむすび山」の形をしたカスタネット、郷土料理である「しょうゆ豆」の形をした木製の「歯がため」、藤田さん自身が使いやすいように開発したコーヒーのメジャースプーン、香川の手島にある「てしま島苑」と共同開発したカップなど。近隣で縁があって出会った人たちの「ものづくりの力」を伝えたいと、藤田さん自身が企画したり、メーカーから仕入れてこの店に置いて紹介しているものばかりだ。
中には、ここでしか買えないものもある。

おむすび山の形をしたカスタネット(撮影/Fizm加藤真由)

おむすび山の形をしたカスタネット(撮影/Fizm加藤真由)

コーヒー関連のグッズも多い(撮影/Fizm加藤真由)

コーヒー関連のグッズも多い(撮影/Fizm加藤真由)

「これも面白いんですよ」と見せてくれたのは「FUJITA」のロゴが刺繍で入った布製のバッグ。
「この辺りに看板も出ていないけど、すごい刺繍屋さんがあるんです。ずっとおばあちゃんが一人で足踏みミシンで刺繍していて、30~40年ずっと丸亀の小中高校の体操服の名前などを刺繍してきた方で、丸亀市民1万人以上が知らないうちにお世話になっている方なんです。刺繍マシンより手が早いので、一人で毎年、1000人以上分の苗字などを縫ってらっしゃる」

ご近所の刺繍屋さんに縫ってもらった布製バッグ(撮影/Fizm加藤真由)

ご近所の刺繍屋さんに縫ってもらった布製バッグ(撮影/Fizm加藤真由)

そんな風に、藤田さんが「面白い、すごい」と思った人に依頼をして新しい商品をつくる。友人の出産祝いにつくった木製の歯がためなどの木工製品は、香川の「讃岐おもちゃ美術館」などでも販売されている。 

コーヒーと本は人とつながるツールになる

地域で出会ったものを商品にするという発想は、藤田さんが東京にいたころに働いていた「シュウヘンカ」で学んだことだった。シュウヘンカとは、国分寺で「つくし文具店」を営んできたプランナー萩原修さんの会社で、西東京を中心にさまざまなコミュニティスペースの企画運営を行っていた。
当時、藤田さんは武蔵野美術大学で建築を学びながら、地域づくりや、まちの拠点の運営に関心があり、萩原さんの営む国立本店(くにたちほんてん)というコミュニティスペースに出合う。

その後、数年間はシュウヘンカで働きながら、自身もコミュニティスペースの立ち上げや運営に携わってきた。
「この時に学んだことがたくさんあります。場の自由度を高くすると大人同士でも揉め事が起こるし、ルールを厳しくしすぎると楽しくないし。
何より、ここでコーヒーをふるまう機会をもらったことで、本とコーヒーが人と人をつなぐきっかけになることを知りました」
ほかにも自転車にリヤカーをつないで各地でコーヒーをふるまう自主活動や、軽トラの荷台に小屋を建てて各地へ出向く「ポイトラ」という活動を友人たちと行ったり。こうした体験が、ふじたしょうてんやシェア型本屋の構想につながっていく。

ポイトラの活動写真。藤田さんのポートフォリオより(撮影/Fizm加藤真由)

ポイトラの活動写真。藤田さんのポートフォリオより(撮影/Fizm加藤真由)

まちを見る解像度が変わると、つながる相手も変わる

10年以上にわたりコーヒーについて勉強し続けているという藤田さん。豆もこだわって仕入れる。
「はじめは、ふじたしょうてんではコーヒーは売り物ではなくて、店で買い物してくれた方にサービスで提供しようと思っていたんです。わざわざここまで来てくださったお客さんとゆっくり話したかったので」

ドリッパーや珈琲グッズにも並々ならぬこだわりが(撮影/Fizm加藤真由)

ドリッパーや珈琲グッズにも並々ならぬこだわりが(撮影/Fizm加藤真由)

だが藤田さんがこの店を始めたのは2020年の春、コロナ禍真っ只中だった。遠方からの客は期待できない。そこで、ご近所さんが何度も来やすいようにと片手鍋でコーヒー豆を焙煎し、販売を始めたのだという。すると、予想外のことが起こり始める。
「東京にいたころから香川に帰省するたびにいろんな方に会いに行っていたので、香川の面白い人とはもうつながり尽くしたかなと思っていたんです。でも店を始めてみると、この地域にもまだまだ面白い人がたくさんいることがわかってきて。都会の有名な焼肉店で腕を振るっていた人や、家業の民宿を継ぐために全国に店を持つホテルグループで修行されていた方とか、少年院の法務教官なんて方もいらして」
地域に対する距離感が変わると、地域の見え方が変わった。これまでとはまた違った解像度で、地域の人たちに出会うことができた。
「いまは遠方から来られるコーヒー好きのお客さんも多くて、僕もしゃべりたいし相手も話したいしで滞在時間が1時間から1時間半と、結構長くなります」
それでも、店主とじっくり話すことができたら、お客さんの満足度は高いのではないだろうか。いま藤田さんの仕事のなかで、コーヒーの淹れ方講座や研修など、コーヒー関係の仕事も多い。
「コーヒーの味は、豆7割、焙煎2割、抽出1割で決まると言われていますが、僕はそれぞれの要素が掛け算になると思っているんです。いい豆を使っても抽出がだめだと美味しくないし、同じ豆でも、焙煎、抽出でいくらでも味が変わります。たとえば、レモンティーのようなフレーバーの、軽い飲み心地のコーヒーを淹れるので、飲んでみませんか?」
ぜひとお願いすると、まさに見た目もレモンティーのようなコーヒーを淹れてくれた。

コーヒーを淹れる様子

ふわっと爽やかに香り、飲み心地がさっぱりしている。初めて飲むコーヒーの味だった(撮影/Fizm加藤真由)

ふわっと爽やかに香り、飲み心地がさっぱりしている。初めて飲むコーヒーの味だった(撮影/Fizm加藤真由)

地域の人に出会うための書店ならぬ、書店街。シェア型本屋への挑戦

その藤田さんが2023年に新たに始めたのが、地域の人たちと共にシェアする本屋「城南書店街」だ。
「始めた理由はいくつかありますが、多くの人にこの地域に来てもらいたいと思ったとき、ふじたしょうてんだけではなくて、2つ以上面白そうな場所があれば、遠くからでも遊びに来てくれるんじゃないかなと思ったんです。また、ふじたしょうてんではつくり手が見えるモノを扱っていますが、本屋のほうは、“人”とつながるきっかけをつくれたらいいなと」

城南書店街の入り口外から中をのぞきこんだときの様子(撮影/Fizm加藤真由)

城南書店街の入り口外から中をのぞきこんだときの様子(撮影/Fizm加藤真由)

2023年の5月からクラウドファンディングを始めたところ、132人から1,639,611円が集まった。ここで“ショーテンシュ”と呼ばれる書店の棚主を募集。46名が集まった。8月には、無事に店をオープン。
城南書店街へさっそく移動する。ふじたしょうてんから自転車で2分、歩いても10分ほどのヴィンテージビルの1階にある。
ただの「書店」ではなく「書店街」をイメージした店内は、壁一面に本棚。

壁一面の本棚。店主ごとに棚がある(撮影/Fizm加藤真由)

壁一面の本棚。店主ごとに棚がある(撮影/Fizm加藤真由)

室内の反対側にはコーヒースペース。ここにもこだわりのコーヒーメーカーが設置してあった(撮影/Fizm加藤真由)

室内の反対側にはコーヒースペース。ここにもこだわりのコーヒーメーカーが設置してあった(撮影/Fizm加藤真由)

本を買ってくれたお客さんには、コーヒー1杯が無料でサービスされる。日替わりの売店や、コミュニティスペースにもなる。
いま棚主は、15~69歳の55名。職業も実に幅広い。建築家に便利屋、編集者、郵便局の職員、司法書士、理学療法士、自転車屋、Vtuberの書店員、教員、うどん屋さん、高校生、不動産屋、小説家、タクシードライバー……。そう聞くだけで面白そうだ。どんな場所に暮らしていても、それほどいろんな職業の人たちと知り合う機会は滅多にないだろう。
「入っていただく前に僕が一人一人と面談するようにしています。漠然と何かしたいと思っている方が多いですね。仕事が変わるタイミングとか、人生の過渡期にある人もいるし、出会いを求めている人、場づくりを勉強したい人。学校関係者とか」
それを反映するように、本棚のテーマもさまざまだ。小説家自身が手がけた本を並べている棚もあれば、餅屋兼食堂を営む人が「本読む餅屋」と命名した本棚も。
「たとえば、この餅屋さんは近所で有名なうどん屋さんでもあるのですが、この棚から本を買った人にうどん屋さんにもぜひ行ってみてくださいと紹介したら、その人がうどん屋さんのお客さんとして来てくれる。そんな出会い方が街のなかで増えたら面白いんじゃないかと思うんです」

各本棚には、店主、ショーテンシュの自己紹介カードがついている(撮影/Fizm加藤真由)

各本棚には、店主、ショーテンシュの自己紹介カードがついている(撮影/Fizm加藤真由)

加盟できるコースは2つあり、3カ月に一度店番を担う月額2500円のコースと、店番はしなくていい3800円のコース。加えて、3%ちょっとのシステム利用料がかかる。
それとは別に、本が一冊売れるごとに100円を店に入れてもらうが、その分はコーヒーの豆代に充填される。
コーヒー1杯170円の原価がかかっていて、藤田さんの儲けにはならない。ただやはりコミュニケーションツールとして“美味しいコーヒー”は欠かせないと思っている。

「何とか生きていければいい」

藤田さんのやっていることは、まちに風穴を開けるような行為かもしれない。人と人の関係が新たにできたり、シャッフルされたり、ほぐされたりして、風通しがよくなっていく。
そのほとんどが、藤田さんの「楽しそうだから」で成り立っている。
どれが主に生計になっているんですか?と尋ねると、「ねぇ、一体どうやって生きてるんでしょうねぇ」と呑気な答えが返ってきた。

「ふじたしょうてんは実家の庭ですし、コストがかからないんですよね。焙煎した豆の販売と、店の売上と。あとはコーヒーを淹れる研修や講座なんかで呼んでいただく機会も多くて。城南書店街のほうは家賃がかかりますが、赤が出ないようにはしています。儲けは多くないですが、何とか死なない程度にやれればいいかなと思ってるんですよね」

城南書店街の入る雑居ビルの向かいにはお洒落な洋服屋も(撮影/Fizm加藤真由)

城南書店街の入る雑居ビルの向かいにはお洒落な洋服屋も(撮影/Fizm加藤真由)

今年に入ってから城南書店街では、ゲストを招いてのトークイベントなども次々に行われている。この4月からはFMラジオ(西日本放送ラジオ)で隔週月曜に、城南書店街のコーナーも始まった。店主さんたちと一緒にイベント企画なども行っていきたいという。

地域のつくり手を知ってもらうためのプロダクトを紹介する店「ふじたしょうてん」と、地域の面白い人たちを知ってもらうための「城南書店街」。

2店舗こうした店があることで、近くに暮らす人同士が知り合うきっかけにもなり、文化の発信地になり、そして訪れる人たちのほっとできる憩いの場所にもなっていくのだろう。
人と人の小さな出会いが積み重なる場所があれば、生活圏はより豊かになっていく。

城南書店街の入る雑居ビルの向かいにはお洒落な洋服屋も(撮影/Fizm加藤真由)

城南書店街の入る雑居ビルの向かいにはお洒落な洋服屋も(撮影/Fizm加藤真由)

●取材協力
ふじたしょうてん
城南書店街

奥ゆかしき家(1年限定賃貸)

所在地:世田谷区等々力
10万円 / 92.4平米
東急大井町線「尾山台」駅 徒歩7分

残念ながら契約開始日から1年間限定の賃貸募集となります。(更新できません)



閑静な住宅街に、立派な石塀が目を引く戸建。その離れとして、昭和60年に建てられた物件。道路からは見逃してしまうような小さな階段を数段上った先に、ひっそりと奥ゆかしく存在します。



道路からは奥まった場所 ... 続き>>>.
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1年間だけ、、、

所在地:世田谷区等々力
11万5,000円 / 109.38平米
東急大井町線「尾山台」駅 徒歩7分

残念ながら契約開始日から1年間限定の賃貸募集となります。

駐車場付きでこの賃料。



等々力(尾山台駅)の高級住宅街にあり、環境が素晴らしい。

車通りが少なく、犬の散歩をする人、庭の手入れをするお母さん、洗車するお父さん、目につくのはそんな穏やかな光景です。

実際、前入居者さんもご ... 続き>>>.
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もみじの山と共に暮らす

所在地:神奈川県中郡大磯町大磯
2,680万円 / 62.79平米(建物) 174.23平米(敷地)
東海道線「大磯」駅 徒歩14分

■価格が下がりました!■



マンションよりも自由度高く、魅力的な庭付き戸建。
余白を残したリノベーション済みです。



広めの庭は、バーベキューをしてみたり、犬を遊ばせたり、日当たりの良い縁側で昼寝したり。家庭菜園で野菜やハーブを育てたり、好きな花を植えるのも良いと思います。



1 ... 続き>>>.
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代田の新しい顔になる!【事務所可】

所在地:世田谷区代田
26万円 / 56.12平米
小田急線「世田谷代田」駅 徒歩2分

世田谷区代田。まだ環状七号線が通っていない頃は、一番多い時で200程の店舗が建ち並んでいたとされる中原商店街があった街です。



残念ながら環状七号線の道路計画で商店街は無くなってしまいましたが、そんな場所で、2022年に今回の集合住宅が誕生しました。



募集するのは、2階+3階+ ... 続き>>>.
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駅前のギャップ2

所在地:千葉県市川市行徳駅前
13万2,000円 / 52.1平米
東西線「行徳」駅 徒歩1分

駅、目の前、目と鼻の先。



しかも、礼金0は、引っ越しのハードルを越えやすくしてくれます。

初期費用を抑えて引っ越しが出来るのは嬉しい限り!



駅前立地につき、ガヤガヤ感は否めませんが、落ち着いた環境よりも利便性を優先される方にとっては、多くの飲食店やドンキホーテや西友が至近距離 ... 続き>>>.
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