赤い屋根のお家と、そこで暮らす動物の家族たち。小さいけど精巧で、愛らしくて、大人も夢中になって遊んでしまう。そんな魅力を持つのが、今年で発売から35周年を迎える「シルバニアファミリー」(エポック社)です。今回は、家で過ごす時間を豊かで楽しくしてくれる、動物たちの世界とその進化をご紹介します。
人形の累計出荷数は2億2000万体以上。世界で愛されるおもちゃ
発売当初の「赤い屋根の大きなお家」。このログハウス風の住まい、味わいがあっていいですよねえ(写真提供:エポック社)
「シルバニアファミリー」と聞いてピンと来ない人でも、この家と人形の写真を見れば、「知ってる!」「友だちの家で遊んだ~」などと懐かしく思い出す人もいるのではないでしょうか。1985年、エポック社から発売された「シルバニアファミリー」は、現在60以上の国・地域で販売されていて、実に人形の累計出荷数は2億2000万体以上、ハウスほか大型商品累計出荷数は3000万棟・個以上にものぼるそう。ちょっと規模がすごすぎてピンときませんが、言われてみれば家とウサギやクマの動物のモチーフって、国境や言語に左右されず、世界共通ですものね。現在では日本のみならず、世界中で愛されているおもちゃなのです。

懐かしの初代の人形たち(写真提供:エポック社)
ちなみに、日本の次に歴史の長いイギリスでは認知度も高く、「英国の玩具」であると認識されているとか。では、あのシンボリックな「赤い家」はどこかモデルがあるのでしょうか。英国というより、どちらかというと米国のカントリー調のように見えますが……?
「赤い屋根の住まいは、1900年代初頭のアーリーアメリカンをイメージしてデザインされたものです。お家、家具、人形のサイズ感は発売当初から変わっていません。お母さんが子どものころに遊んでいたものとミックスして、親子2代で遊ばれる方も増えています」(エポック社)
時代に左右されず、ずっと愛さるのは本物のおもちゃの証ですよね。また、発売当時から現在までいちばん定番で人気なのがあの「赤い屋根の大きなお家」確かにシルバニアファミリーといえばあの赤い屋根のお家のイメージがあります。
カーテンや照明、壁紙もカスタマイズOK! 細部も緻密にできているSUUMOジャーナル的には、やはり気になるのは家のこと。人形たちにオリジナルの洋服をつくっている人はいるようですが、もしかして、家もリフォームというか、リノベできたりするのでしょうか。
「カーテンや天井付の室内灯を取り付けてアレンジを楽しむことができます。また、シルバニアファミリーの専門店、『シルバニアファミリー森のお家』では、カスタマイズ用の壁紙の取り扱いがあります」(エポック社)
なんと、照明や家具だけでなく、壁紙を張り替えられるとは。やっぱり家ってリフォーム・カスタマイズするとそれだけ愛着がわきますよね。あと、シルバニアファミリーの家は腰壁(床から腰高程度に張る別仕上げの壁)がかわいいし、窓のデザインもドラマチックというかすごく素敵な印象です。

窓まわりや壁・床もリアルで見ていてあきません(写真提供:エポック社)
「シルバニアのお家は、美しい外観や間取りと、おもちゃとしての遊びやすさや安全性の両立を常に意識して開発に取り組んでいます。また、お子様はもちろん、大人が見ても納得するリアルさを追求しています。例えば、キッチンの流し台や洗面台の下の扉を開くと、本物と同じように配管があります。見えないところにもこだわるシルバニアファミリーの家具の象徴と言えるでしょう」(エポック社)
まさか配管があるとは……。今度、シルバニアのお住まいにお邪魔したら、ぜひ洗面台下をのぞいてみたいと思います。

写真左/製氷機付きから実際に氷が出てくる、切ることができるアップルパイなどもめちゃくちゃリアル(写真提供:エポック社)

トイレも蛇口も水が出てきたりと自然なリアル感があります(写真提供:エポック社)
また、子どもたちが遊んで違和感がないよう、家具や家電は現代風に進化しているそう。
「例えば洗濯機であれば昔は二層式洗濯機でしたが、現在販売されているのは、ドラム式洗濯機です。また、掃除機や冷蔵庫なども、現代の子どもたちが生活の中で触れている仕様に合わせた形になっています」(エポック社)
そりゃあ、今のお子さんたち、二槽式洗濯機なんて見てもなんだか分からないですよね……。小さくても説得力があるよう、たゆまぬ改良を重ねているのが分かります。
SNS人気を支えているのは大人のファン。大人が家遊びしても楽しい!ちなみに、2020年には35周年を記念してシルバニアファミリー総選挙を実施しています。先日5月1日には中間発表がありましたが、TOP3には筆者の予想を裏切るキャラクターがランクインしていました。定番のショコラウサギファミリーやネコファミリー、カワウソファミリーが強いと思っていたのに……。もちろん最後まで結果は分かりませんが、これだけでもファン層の幅広さが伺えます。
「今回の総選挙はグローバルでの展開となり、各国のSNSアカウントでも告知をしていることもあり、想定以上の反響と投票数をいただいております」というので、エポック社さん自身も予想していなかったのかもしれません。

キャラクターが大集合したところ。パンダ、コアラ、ハリネズミ、リス……。どの家族もかわいい(写真提供:エポック社)
また、予想していなかったといえば、SNSでの活躍です。インスタグラムやTwitterでは、日常のあるあるを再現した(はかどらない大掃除とか、お酒を飲んでいるとか)シルバニアファミリーの人形たちの写真・動画がバズっていることもありますよね。エポック社さんはご存じなのでしょうか……?
「今は子どもや親子だけでなく、SNSでの人気を支えているのが特に大人のファン層です。シルバニアファミリーの世界観は、写真映えすることも功を奏し、日々の生活の中での、ちょっとした癒やし効果にもなっているのではないでしょうか」(エポック社坂井さん)
分かります、すごく……。特に連日の新型コロナ騒動で、気分が詰まるというか、情報で疲れていると、SNSに流れてくるシルバニアの人形たちの写真ってすごーく癒やされるというか、ピュア(死語)な気持ちになるのです。
本来、「家で遊ぶ」「家のことを考える」のは、とても豊かなこと。SNSで検索するのも楽しいですが、いろんな端末の電源・スイッチをオフにして、今度は本物のシルバニアのお家で人形たちと遊んできたいと思います。
●取材協力エポック社