”自宅サウナ”約1平米からマンションでも設置可! 水風呂、ととのいスペースの動線のコツ、DIYの問題点は?

サウナを愛してやまない“サウナー”たちの夢といえば、自宅にサウナを設置する「プライベートサウナ(自宅サウナ・おうちサウナ・ホームサウナ)」ではないでしょうか。今回は、プライベートサウナ・業務用サウナを取り扱う株式会社メトスの佐野貴司さんに、サウナの最新事情や、サウナーの夢をかなえるプライベートサウナ設置のための価格と工期、注意点などを伺いました。

“自宅サウナ”を設置したい! どうしたらいいか聞いてみた

年齢や性別などを超えて、サウナを満喫する人が増えています。ただ、コロナ禍でサウナブームが加速したこともあり、温浴施設のサウナが密になるのが気になったり、時間制/抽選制になったりして、思う存分楽しめない、もっと自由にサウナを楽しみたい、と考えている人は多いことでしょう。

そんなストレスが無用なのが、“自宅サウナ”です。このところ、サウナがついている物件やサウナを導入した人のご自宅などを紹介しましたが、今回はよりつっこんで、サウナを設置するにはどうしたらいいか、サウナ市場の動向について聞いてみました。

日本のサウナ実態調査2022

サウナ愛好家の推定人口推移。世の中の動向に左右されず、コアなサウナラバーがいることがわかります(画像出典/日本サウナ・温冷浴総合研究所)

「日本のサウナ実態調査2022」(一般社団法人 日本サウナ・温冷浴総合研究所調べ)より。2021年はコロナ禍で気軽に楽しむ「ライトサウナー」は減りつつあるものの、ヘビーサウナー、ミドルサウナーのコアな「サウナラバー」は減ってはいません。

予算は135万円(別途工事費)。約1平米から設置でき、施工は1~2日で完了!

サウナブームといわれる今、自宅サウナの事情はどのようになっているのでしょうか。株式会社メトスの佐野貴司さんはこう話します。
「サウナは2000年代よりずっとブームといわれているんですが、コロナ禍により温浴施設の自粛や時短営業が続出。また、昨今は電気代などの高騰により温浴施設は苦境が続き、閉鎖するところもでてきています。そのため、温浴施設でサウナを楽しんでいた人が、『プライベートサウナ』の導入を考えることとなり、ニーズが激増している状況です」

メトスの小規模なサウナ「クリマ」。自宅で一人サウナに入るって、ぜったい至福のひととき!!(写真提供/メトス)

メトスの小規模なサウナ「クリマ」。自宅で一人サウナに入るって、ぜったい至福のひととき!!(写真提供/メトス)

「弊社のサウナでは、灼熱したサウナストーンに直接水を注ぎ、爽快なロウリュの醍醐味を味わうことができます。ストーブはコンパクトな設計ながら、熱の対流を促進させるよう工夫されています。ベンチレイアウトも[ストレート][対座][L型]など多彩なものがあります。今や自宅サウナは特別なものではありません。必要な予算、スペースや設備ですが、もっとも小さい一人用であれば、本体代135万円~、広さは約1平米、電源は単相200V、100Vがあれば設置できます。施工そのものは、1~2日で終わりますよ」とのこと。

サウナといえばもっと大掛かりなものを想像していましたが、拍子抜けするほど「できそう」な感じがしてきました。ちなみに、これは一戸建て、マンションともに共通だといいます。

自分好みのロウリュ(ストーブの上で温められたサウナストーンに水やアロマ水を掛けて蒸気を発生させる入浴法)ができるのもプライベートサウナの楽しみ(写真提供/メトス)

自分好みのロウリュ(ストーブの上で温められたサウナストーンに水やアロマ水を掛けて蒸気を発生させる入浴法)ができるのもプライベートサウナの楽しみ(写真提供/メトス)

一人用サイズのサウナ・クリマ。コンパクトで設置しやすいのも魅力(写真提供/メトス)

一人用サイズのサウナ・クリマ。コンパクトで設置しやすいのも魅力(写真提供/メトス)

ランニングコストは電気代で1カ月あたり数千円台。カギは冷水浴と“ととのい”スペース!

気になるプライベートサウナのランニングコスト、メンテナンスについても聞いてみました。

「お風呂とサウナのエネルギーコストを比較した場合、サウナのエネルギーコストはすごく少なくて済むんです。お風呂は水をお湯にしますが、そのエネルギーと比較して、サウナは使うエネルギーが約3分の1で済むといわれています。サウナの場合、壁面からくる輻射(ふくしゃ)熱が8割となるため、省エネでもあるんです。地域ごとに電気代も違うので、一概には言えませんが、一般のご家庭で毎日のようにサウナに入られている方でも、サウナの電気代は月々3,000円程度しかかかっていないとおっしゃる方がほとんどです。温浴施設の利用料金として考えると、2回分くらいでしょうかね。また、使用後は使用部分を拭いておき、扉をあけておけばOK。換気や消毒などのお手入れは特に不要です」となんとも心強い回答です。

同社のサウナを導入している人には、一般家庭はもちろん、スポーツ選手や俳優、有名企業幹部など、多忙を極めていそうな人も多くいるそうです。ちなみに、メトスのサウナ愛用者には、浴槽を導入せずにシャワー&サウナというご家庭もあるのだとか。

(写真提供/メトス)

(写真提供/メトス)

余談ですが、筆者はお風呂の掃除が大の苦手で、浴槽のお手入れの大変さを考えると、シャワー&サウナの選択肢も十分「アリ」な気がします。ちなみに、サウナ設備の寿命は20年~30年ほど。「10年に一度は電気点検が必要ですが、20年ご愛用いただいているご家庭もあります。問題なく使えています」と佐野さん。点検の必要性も含め、システムバスと同じような耐用年数ですね。

一方で、自宅で“ととのい”をかなえるために、「サウナの設置以上に大切になる」のが「ととのいスペース」だといいます。
「プライベートサウナを設置するのは難しくないのですが、サウナの近くに冷水浴や外気浴・休憩ゾーンがなければ、交互浴ができず、ととのわないんですよ……。ご家庭の場合、脱衣所に扇風機と椅子を置く、お風呂に冷水を入れて交互浴をするなどで対応する人が多いでしょうか。サウナ単体だけでなく、『冷水浴』『ととのいスペース』も含めて考えてほしいですね」(佐野さん)

調光式LED照明。間接照明になっているので柔らかい光がじんわりと広がります(写真提供/メトス)

調光式LED照明。間接照明になっているので柔らかい光がじんわりと広がります(写真提供/メトス)

また、「ととのいスペース」は、水滴が落ちるため、こちらのほうが掃除やお手入れが重要になるかもしれません。個人的にはととのいスペースで「空が見たい」と思い描いていましたが、今の家の動線を考えると現実的ではないかな……。ただ、自宅の庭やバルコニーを「ととのいスペース」にうまく活用できれば、きっと理想のサウナができることでしょう。

「PSEマーク」をチェック、ノウハウのある施工会社に

一方で、メトスの佐野さんは、加熱するサウナブームでぜひ注意してもらいたいことがあるといいます。

「近年、さまざまな企業や個人が『プライベートサウナ』『DIYサウナ』を取り扱うようになりました。なかには『●万円でできる』と価格を全面に訴求しているところ、法令についてよくわかっていないのではないかと不安になる企業も参入しています。ただ、サウナはその性格上、裸で熱源にあたります。もし火が出てしまったら大やけど、漏電・火災になれば、自分だけでなく周囲にお住まいの人の生命・財産にも関わります。電気用品安全法上、認可された『PSE』マーク付きのサウナであるか確認することをお勧めします。
設置・施工の際にも、技術的知見はもちろん、関係法令や地域ごとの条例にも精通している企業にお願いすると安心ですね」(佐野さん)

サウナを選ぶときには、PSEマークを確認して(画像提供/メトス)

サウナを選ぶときには、PSEマークを確認して(画像提供/メトス)

●取材協力
メトス

あなたは「ヒートショック予備軍」? 予防する方法は?

リンナイが、入浴習慣の実態について調べるために、「ヒートショック危険度チェックシート」を用意した。このチェックシートで、自分はヒートショック予備軍かどうかが分かるという。あなたは危険度の高い“予備軍”に当てはまらないだろうか?【今週の住活トピック】
「入浴」に関する意識調査を公表/リンナイ危険度を判定!あなたはヒートショックを起こしやすい?

まずは、次のチェックシートに挑戦して、あなたのヒートショック危険度を判定してみよう。

ヒートショック危険度 簡易チェックシート
□ メタボ、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、心臓・肺や気管が悪い等と言われた事がある
□ 自宅の浴室に暖房設備がない
□ 自宅の脱衣室に暖房設備がない
□ 一番風呂に入ることが多いほうだ
□ 42度以上の熱い風呂が大好きだ
□ 飲酒後に入浴することがある
□ 浴槽に入る前のかけ湯をしない、または簡単にすませる
□ シャワーやかけ湯は肩や体の中心からかける
□ 入浴前に水やお茶など水分をとらない
□ 1人暮らしである、または家族に何も言わずにお風呂に入る
リンナイが公開した、入浴科学者・早坂先生監修 ヒートショック危険度チェックシート(出典/リンナイ「入浴」に関する意識調査のリリースより転載)

チェック数が5個以上ある方はヒートショックになる可能性が高い『ヒートショック予備軍』だという。
筆者はチェック数が3つだったが、1つでも当てはまればヒートショックの可能性はあるのだそうだ。油断大敵ということか。

ちなみに、全国の2350人のチェック結果は以下のようなものだった。脱衣室や浴室に暖房設備のない家庭がとても多いことが分かる。

危険度チェックシートの回答結果(出典/リンナイ「入浴」に関する意識調査のリリースより転載)

危険度チェックシートの回答結果(出典/リンナイ「入浴」に関する意識調査のリリースより転載)

ヒートショック対策で、どんなことをすればいい?

この調査で「ヒートショック対策について何か習慣化していることがあるか」を聞いたところ、習慣化している人は18.3%と2割に満たなかった。

また、習慣化していると回答した人の具体的な対策としては、次のような結果になった。
入浴前に脱衣所や浴室を暖かくしておくほかに、入浴前後に水分をとったり、湯船につかる前にかけ湯などで体を温めたり、ぬるめのお湯にして長湯を避けたりといった予防対策が取られている。

ヒートショック対策の回答(出典/リンナイ「入浴」に関する意識調査のリリースより転載)

ヒートショック対策の回答(出典/リンナイ「入浴」に関する意識調査のリリースより転載)

ちなみに、筆者の家の浴室には「浴室乾燥機」がある。「乾燥」「換気」「暖房」「涼風」の機能があるので、浴室内を冬には暖房機能で暖めたり、夏には涼風機能で涼しくしたり、入浴後は換気機能で湿気を排出したりといったことができるので重宝している。

浴室乾燥機がない場合でも、入浴前にシャワーで温水を浴室の壁にかけるなどして、浴室を暖めておくという方法もある。脱衣所に小型のヒーターなどを設置して暖めたり、脱衣所の扉を開けておいて近くのエアコンを使って居室間の室温差を無くしておいたりなどの方法も有効だろう。

また、リンナイのリリースには、ヒートショックを予防する「入浴前準備呼吸」を紹介しているので、試してみるのも良いだろう。 

なお、全国健康保険協会によると、国土交通省はヒートショックを防ぐための住宅環境として、部屋の温度は15℃以上28℃以下、洗面所・浴室・トイレの温度は冬季で20℃以上といった温度条件を紹介しているという。

入浴中だけでなく、住まいの中で急激な温度差にさらされることで起きる可能性もあるのがヒートショックだ。起きて布団から出たときや寒い廊下に出たときにもリスクはつきまとう。住まい全体の暖房器具を上手に活用したり、断熱対策グッズを利用したり、住まいの断熱改修を実施したりといった、住まいの工夫でヒートショック対策を取ることも大切だ。

普段の何気ない生活行動で急激な温度差を感じ、それが命を脅かすヒートショックを生み出すこともあるのだから。

親子で一緒に入浴するのは何歳まで? 親子コミュニケーションにぴったりのバスルーム教えます

私たちの生活に欠かせないお風呂。東京ガス株式会社(東京都港区、以下「東京ガス」)の社内シンクタンク「東京ガス都市生活研究所」は、都市生活レポート「浴育のすすめTM」(※)シリーズの「親子入浴のすすめ」を発表しました。そこからは、日本ならではの親と子のコミュニケーションの形が見えてきました。今回は「親子入浴目線で選ぶ住宅」のアドバイスもいただきましたよ。そもそも、東京ガスが提唱する「浴育のすすめTM」とは一体どんなものなのでしょう。ご担当者に詳しく聞いてみました。

「入浴が好きな人は約8割、お湯につかるのが好きな人も約8割と、日本人はお風呂好きです。しかし、忙しい共働き世帯や、『お湯をためるのがもったいない……』という一人暮らしの世帯が増加しているからか、お湯につからず、シャワーで体を洗うだけという、簡易な入浴で済ませる方が増えています。そこで、改めて、お風呂の効果的な入り方、安全な入り方、楽しい入り方を知っていただき、みなさんのお風呂の時間をより豊かに過ごしていただくために、「浴育のすすめTM」シリーズを始めました」

画像提供/東京ガス株式会社

画像提供/東京ガス株式会社

東京ガスの「浴育のすすめTM」内の「親子入浴のすすめ」によると、9歳以下の子どもがいる母親も父親も共に、約9割が「親子で入浴する時間は貴重な時間だ」と答えたそうです。それにも関わらず、9歳から10歳の間に一緒に入浴する親子が半数以下になってしまうのだとか。親子で一緒に入浴できる時期は、思ったよりも短いのかもしれませんね。
そして「親子コミュニケーションをいつ行っているか」という質問には、「夕食をとりながら」に続いて「一緒にお風呂に入りながら」という回答が2番目に多い結果になりました。やはりお風呂は親子交流の場になっているのですね! では実際にどんなコミュニケーションをとっているのかというと、まだ話せない年齢のころは、あやしたりおもちゃで遊ぶ程度。成長するにしたがって、その日の出来事や悩みごとの相談などもするようになるそうです。
そしてここで、東京ガス都市生活研究所では、あることに気が付いたそう。

「お風呂で行われている親子コミュニケーションで、お風呂ならではのコミュニケーション内容を探ろうとしました。しかし、特別な内容だけではなく、『その日の出来事を話す』という、リビングなどでも話せそうな、日常よくある内容も多く挙がりました」(同)とのこと。確かに、話すだけならお風呂ではなくてもできそうです。けれど、そこには意外な理由が隠されていたのです。

実は、「親は仕事、子どもは習い事で忙しく、リビングではTVやゲームに集中し、お風呂以外の場所では会話する時間が多くとれないという理由」(同)だったのだそう。

湯船につかっている間は会話しかすることがないという状況が、コミュニケーションを促進するということですね。ただ、いくら話が弾んでも、長時間お湯につかるとのぼせてしまうこともあるのでご注意を。
そして子どもの皮膚は大人よりも敏感なこともあり、浴槽のお湯は38度から40度のぬるめのほうがいいのだそう。ぬるめにすることでリラックスでき、のぼせにくくもなるのだとか。

そして最後に、「親子入浴目線で選ぶ住宅」のアドバイスをいただきました。

「お風呂で親子のコミュニケーションを充実させるためには、手法や会話内容に関心が向きがちですが、環境も重要です。親子で入浴する場所が、寒い、汚い、狭い……という過ごしにくい環境では、せっかくのコミュニケーションの場が台無しです。住宅を選ぶ際、リビング、ダイニング、キッチン、子ども部屋などで過ごすことをイメージして選ぶのと同じように、毎日のお風呂を親子で過ごすこともイメージして、寒くないか、清掃しやすそうか、狭くないかなど、浴室や脱衣室にも目を向けてみてください。お風呂という環境を通して、親子のコミュニケーションがより促進されればと願っています」(同)

親子コミュニケーションという観点からも、浴室まわりは物件選びの重要なポイントになるとのこと。お部屋探しの際は参考にしてみて下さい。

※「浴育のすすめ」は東京ガスの登録商標です。

仕事や役職でお風呂の好みが丸わかり!? 出世した人の湯加減は「※※い温度」

寒暖差が激しい今日この頃ですが、日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (東京都港区)がお風呂に関するアンケートデータを発表。しかも何やら、仕事と好みの湯加減の関係まで見えてきたのだそう。いったいどんな結果なのかご紹介したいと思います。
そもそも一般的に、お風呂タイムはどのように利用されているのでしょうか。しっかり入浴派? それともシャワー派? アンケートでは、ふだんどのように入浴することが多いかを、春・夏と秋・冬のシーズンごとに分析しています。最も多かったのは、春・夏、秋・冬ともに「湯船につかる」だったのだとか。やっぱり日本人は、お風呂好きなんですね!しかし、春・夏では44.2%、秋・冬では68.8%と、秋・冬のほうが24.6%も高くなっています。一方、「シャワーのみ(湯船にはつからない)」は、春・夏では28.4%、秋・冬では14.4%と、春・夏のほうが14%高くなっていました。つまり、「暖かい季節はシャワーで済ますけど、寒いシーズンには、湯船につかる」という方が多いのですね。

「ふだんどのように入浴することが多いですか(シーズンごと)」についての回答/インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチ「DIMSDRIVE」実施のアンケート「入浴」(画像提供/ネットリサーチ)

「ふだんどのように入浴することが多いですか(シーズンごと)」についての回答/インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチ「DIMSDRIVE」実施のアンケート「入浴」(画像提供/ネットリサーチ)

こちらのアンケートによれば、なんと職業や会社の役職ごとに「好みのお湯加減」がはっきり分かれたというのです。

「ふだん何度くらいのお湯に入っていますか」についての回答(秋・冬 全身浴の職業別)/インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチ「DIMSDRIVE」実施のアンケート「入浴」(画像提供/ネットリサーチ)

「ふだん何度くらいのお湯に入っていますか」についての回答(秋・冬 全身浴の職業別)/インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチ「DIMSDRIVE」実施のアンケート「入浴」(画像提供/ネットリサーチ)

「43度以上(熱め)」の湯に入っている割合が最も高かったのが「会社役員・経営者」で22.3%。「38度以下(ぬるめ)」と答えた「会社役員・経営者」はなんと0%でした。「経営者」にはあつ湯好きの人が多いようです。「会社役員・経営者」になったからあつ湯好きになったのか、あつ湯好きだから出世できたのか。順番は分かりませんが、あつ湯好きの人は出世の可能性が高いかもしれませんね! そして「39から40度くらい」のややぬるめを一番好んだ(学生を除く)職業は公務員だったそうです。

「湯船につかる時間は、入浴一回につき平均してどれくらいですか」についての回答(秋・冬 全身浴の職業別)/インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチ「DIMSDRIVE」実施のアンケート「入浴」(画像提供/ネットリサーチ)

「湯船につかる時間は、入浴一回につき平均してどれくらいですか」についての回答(秋・冬 全身浴の職業別)/インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチ「DIMSDRIVE」実施のアンケート「入浴」(画像提供/ネットリサーチ)

さらに、湯船につかる時間も職業ごとに見ることができます。比較的長い「20から30分くらい」が最も多かったのは、「自由業」の16.9%。時間のペース配分を自分でできるので、湯船にも長めに入ることができるのかもしれません。さらに上をいく「30分以上」が最も高かったのが、「会社役員・経営者」の7.4%でした。じっくりとお湯につかって、仕事のことでも考えているのでしょうか?

アンケートを実施した株式会社プラネットの担当者も『会社役員・経営者』は、あつ湯好きな上、入浴時間が長いのは驚きました。唯一の、一人になれる時間なのでしょうか?」との感想。
出世や職業ともかかわりがあるかもしれないバスタイム。家選びの際も、バスルームのチェックは欠かせませんね。

日本人は多機能型のバス・トイレが好き? 欧米との違いはどこにある?

Houzz Japanがバスルーム(バス・洗面・トイレ)のリフォームについて、国際比較の調査をした。北米やヨーロッパの各国と比べて、日本の回答が大きく異なる点もいくつか見られた。どんな点が異なるのか?詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
「バスルーム リフォーム市場調査 2017年」を公表/Houzz Japan多機能好きの日本。世界各国との違いが鮮明に

調査対象の世界各国とは、北米2(アメリカ、カナダ)、アジア・太平洋地域3(オーストラリア、ニュージーランド、日本)、ヨーロッパ9(フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ロシア、スペイン、デンマーク、スウェーデン、イギリス)の計14カ国※で、それぞれ過去1年から今後3ヶ月の間に「バスルームのリフォーム・リノベーションを行った」または「行う予定がある」人に、Houzzが調査をした。
※デンマークとスウェーデンの数字は合算

リフォームによる「バスルームの広さの変化」を聞くと、ほとんどの国がバスルームを拡張した割合よりシャワースペースを拡張した割合のほうが多かった。一方、バスルームを拡張した割合のほうが多かったのは、14カ国中、日本とロシアの2カ国のみ。日本では、浴槽の外で体を洗って浴槽につかる生活習慣があるからだろう。寒さの厳しいロシアも、バスタブに湯をためて身体を洗う習慣があるようだ。

【画像1】リフォーム・リノベーションによるバスルームの広さの変化(出典:Houzz Japan「バスルーム リフォーム市場調査 2017年」より転載)

【画像1】リフォーム・リノベーションによるバスルームの広さの変化(出典:Houzz Japan「バスルーム リフォーム市場調査 2017年」より転載)

また、日本人の多機能好きも明らかになった。「多機能トイレ」の採用割合は日本が突出して高く93%にも達した。2番目に採用率が高いアメリカとドイツではわずか29%と、その差は圧倒的だ。「多機能浴槽」の採用割合でも、日本が最も高い20%だが、次ぐカナダは15%。「多機能トイレ」の採用率と比べるとその開きは小さくなる。「多機能シャワー」の採用割合になると、イタリアの21%が最も高く、シャワー習慣の歴史が浅い日本はわずか8%で欧米各国より採用割合が低くなっている。

【画像2】リフォーム・リノベーションの内容:多機能設備(出典:Houzz Japan「バスルーム リフォーム市場調査 2017年」より転載)

【画像2】リフォーム・リノベーションの内容:多機能設備(出典:Houzz Japan「バスルーム リフォーム市場調査 2017年」より転載)

ほかの傾向についても簡単に紹介しておこう。

●アルコーブ浴槽(三辺を壁に囲まれた浴槽)の採用割合は、日本(72%)が飛びぬけて高い。
●一方で、2人用のサイズの浴槽の採用割合は、デンマーク、スウェーデン(43%)、ドイツ(41%)が高く、日本(17%)は真ん中あたり。
●大小の水流が選べるトイレの採用割合が高いのはもちろん日本(78%)だが、オーストラリア(70%)も高い。低いのはアメリカ(15%)、フランス(32%)、カナダ(33%)。
●洗面ボウルが2つ並んでいるダブルボウルを採用する割合が高いのは、アメリカ(48%)、フランス(35%)、カナダ(33%)。日本(14%)は下から3番目で、最も低いのはロシア(6%)。

掃除のしやすさは優先するが、照明の良さは気にしない日本

さて、バスルームをリフォームする際の機能的な優先事項を聞くと、「掃除がしやすい」ことを優先する傾向がどの国でも強いことが分かった。掃除のしやすさを優先する回答はニュージーランドの68%からイタリアの44%の間に分布しているが、ニュージーランドの68%、アイルランドの67%に次いで日本は66%と3番目の位置にいる。

これに対して、「照明がよい」を優先するという回答では、ほかの国がロシアの53%からイタリアの29%の間に分布しているのに対し、日本はわずか17%で最も少なかった。日本の照明への関心の低さが際立つ結果だ。

【画像3】バスルームのリフォーム・リノベーションにおける機能的な優先事項(出典:Houzz Japan「バスルーム リフォーム市場調査 2017年」より転載)

【画像3】バスルームのリフォーム・リノベーションにおける機能的な優先事項(出典:Houzz Japan「バスルーム リフォーム市場調査 2017年」より転載)

日本人は住宅の照明への関心度が低いと言われている。しかし最近では日本でも、間接照明やダウンライトなどを上手に利用した室内、光の明るさを段階的に調節できる調光機能付き照明をつけた浴室など、照明への関心も高まっている。海外の事例などを参考にして、照明にこだわったリフォームをするという視点も面白いと思う。

また、筆者が面白いと思った調査結果は、バスルームリフォームの依頼先だ。日本を含め14カ国中9カ国が「最も多く設計の仕事を依頼した専門家カテゴリ」は「建築家」となっているのに対し、アメリカ、カナダ、ドイツ、ロシア、イギリスはバスルームデザイナーやインテリアデザイナーとなっている。バスルーム専門にデザインしたり、インテリアと統一してデザインしたりする専門家が、これらの国では比較的身近な存在だということが分かる。

Houzzは、家づくりを考えている人と住宅の専門家が交流できる国際的なプラットフォームだが、専門家について、建築家やビルダーなどのほか、キッチン&バスデザイナー、インテリアデザイナー&デコレータ、ランドスケープアーキテクト&ランドスケープデザイナーといったカテゴライズをしている。水まわりなどの特定範囲専門のデザイナーに依頼することが、世界標準になっているということだろう。

どのようなリフォームをするかは、各国の生活習慣や住環境への関心度の違いなどが強く影響するものだ。しかし、日本のスタンダードにとらわれずに、思い切って浴槽を大きくしたり、装飾したり、あるいは洗面所を多機能にしたりといった、自分の暮らしに応じたリフォームを考えてみてはいかがだろう。

※なお、記事では国際比較の調査結果を使用しているが、日本についての詳細結果も公開されている。
協力:Houzz Japan