高騰続く新築マンション、2024年は買いやすくなる? 価格・金利上昇から見る買い時や注目の「省エネ性能」を解説

「新築マンション」とインターネットで検索すると「高騰」「億ション」など、景気の良いワードがずらりと出てきます。とはいえ、多くの世帯で収入が価格上昇に追いついていません。このまま新築マンションは高嶺の花になってしまうのでしょうか。2024年の新築マンション市場はどのように動くのでしょうか。SUUMO編集長・SUUMOリサーチセンター長の池本洋一氏に、市場動向と買うべきときに見ておいてほしいポイントのほか、新築マンションの設備などについての最新事情について聞きました。

都心部好立地と郊外、立地で価格動向が異なる

一般的に、新築マンションの買いやすさの指標は、
(1)物件価格
(2)金利
(3)供給戸数
で見ることができます。池本氏によると、都心・好立地と郊外、供給されるエリアで新築マンション価格の動き方が異なるといい、「都心好立地の物件であれば価格は上昇、金利と供給戸数は横ばい、他方で郊外エリアの物件であれば価格はやや上昇、金利、供給戸数は横ばい」で推移するのではないかとのこと。気になる都心・好立地の物件の特徴から伺っていきましょう。

「2024年も価格上昇が予想されるのが都心部・好立地の新築マンションです。こうした物件を購入しているのは、金融資産が1億円以上ある日本の富裕層です。所得は伸び悩んでいると言われていますが、実は日本でも富裕層が増えています。購買意欲が旺盛で、マンション価格が高騰する中でも売れ行きは好調です。金額としては安いものではないので、物件のエントランスは高級感があり品質感や品格あるデザインが好まれています。また、物件の設備面、たとえばキッチンや洗面化粧台の仕様をワンランク上にし、一部高層階では天井高を高くして、共用設備では眺望ラウンジ、高級感あるゲストルーム、フィットネスジムなどがあることが多く、上質な暮らしを感じられるのが特徴です」と解説します。

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのグランドエントランス完成予想CG(写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのグランドエントランス完成予想CG(写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのエントランスラウンジ完成予想CG(写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのエントランスラウンジ完成予想CG(写真提供/東京建物、東栄住宅)

「今、マンションを買う人達は、新築マンションの価値である、立地や眺望という点を非常に重視します。かつては南向きがよしとされてきましたが、部屋からの景色や抜け感が重視されるようになり、海外と同様の価値観になってきましたね。床材や壁材、インテリアで好まれる色合いもグレージュのような落ち着きがあり、上質感が感じられるもので世界のトレンドに近づいてきました」(池本氏)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのワーキングラウンジ完成予想CG (写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスのワーキングラウンジ完成予想CG (写真提供/東京建物、東栄住宅)

また、海外と同様という意味では、超富裕層向けの「プレミアム住戸」が珍しくなくなったそうです。
「通常の住戸と比較して、海外のように、洗面、トイレ、バスルームを複数持たせたり、床から天井までの階高が3m~6mあったりと、世界の富裕層向け物件と同クラスのものが出てきています。商品企画、建築も世界のラグジュアリー物件を参考にしているので、世界と比較しても見劣りしません」と池本氏。

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスの住戸一例(写真提供/東京建物、東栄住宅)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスの住戸一例(写真提供/東京建物、東栄住宅)

東京、大坂、京都、福岡、マンションが供給される立地の特色は?

こうした夢のあるマンションの話もいいですが、実際に買うとなれば話は別です。これから先、新築マンション価格はどうなると予測しているのでしょうか。

「マンションの価格は
(1)土地価格
(2)人件費
(3)資材費
の3つで決まります。このうち3つともに下げの要因はなく、むしろ高騰しています。これは新築マンションだけに限らず、すべての建築物を含めた資材の話となりますが、なんとこの2年半で、資材費は27%上昇、マンションの骨組みとして使われるH形鋼に至っては約70%も上昇しています。職人不足から人件費も値上がりしているほか、今まで建築業界など一部の業界で特例延期されていた、労働基準法に基づく労働時間の適正化が2024年からは実施されます。そのため人件費も上昇すると予測されます。
つまり、新築マンション価格が『上がる』要因はあっても、『下がる』要因はないんです」

今、価格が高いからといって将来に先延ばしをしても、新築マンション価格とリンクしやすい株価の暴落などが起きないかぎり、劇的な下落は考えにくいようです。

H形鋼(写真/PIXTA)

H形鋼(写真/PIXTA)

では、新築マンションを買うのであれば、どんな立地を狙うといいなど、買い手が立てられる戦略はあるのでしょうか。

「東京だけでなく、郊外都市や地方の主要都市部にもマンションに適した土地はあまり残っていません。利便性を重視しつつ、価格帯もとなると、冒頭に申し上げた『郊外』に目を向けるとよいでしょう。価格・供給数ともに横ばいで動くと予想しています。主要駅の周辺、具体的にいうなら立川や大宮、船橋、町田など首都圏の主要ターミナル駅とその一駅二駅隣の駅近物件であれば、買いやすい価格帯で供給されています。また、関西、地方主要都市の福岡や札幌、仙台、金沢、広島の中心部でも都心部や好立地は高く、郊外は買いやすい価格帯で落ち着くことでしょう」(池本氏)。

こうした郊外で供給されるマンションでも、生活の質をあげる設備が導入されていることが一般的です。
「保温性の高い浴槽、電子キーなどは標準装備となっていることが多いですね。共用設備では華美なものは少なく、スタディスペースやワークスペース、EV充電スタンド、カーシェアなど『実用性ある施設』が導入されています。また、郊外でも『南向きにこだわらない』動きがでてきていますね」(池本氏)。

なるほど、新築マンションを探すのであればまずは供給数が限られていることを理解し、広域で見て、選択肢を広げ、優先順位をつけていくという戦略が有効なようです。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

要チェックは省エネ性能。各社のZEH、木造新築マンションにも注目

池本さんが、今、新築マンションを買いたいと考えている人に、ぜひ押さえてほしいポイントがあるといいます。

「全ての新築住宅において、2025年4月からは、省エネ基準への適合が必要となります。2030年にはその基準がZEH水準(※)となるため、それ以降はZEH水準を満たさないと既存不適格(※)と見られることもあるでしょう。ですから今から買うなら、ZEH水準もしくは、マンションではZEH Orientedという水準以上を買うことをおすすめします」と力説します。

※断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6の性能をもつ省エネ性能の水準(詳しくはこちら)。

※既存不適格とは、建設時には適法だったが、以降の法改正などで法不適合になった状態のこと。そのことに法的な問題はないが、例えば、1981年に耐震基準が変わり、それより前の物件が旧耐震(既存不適格)と言われるように、市場で競争力が劣ってしまう状態が想定される。

■関連記事:
2024年4月スタートの新制度は、住宅の省エネ性能を★の数で表示。不動産ポータルサイトでも省エネ性能ラベル表示が必須に!?

当然、各社もZEH化には注力しており、タワーマンションでも「ZEH」相当の物件も出てきています。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

「国も建築物の省エネ性能向上、断熱性能の向上に注力していますし、住まいの高性能・省エネ性については、暮らす人のメリットもとても大きいのでぜひ重視してほしいポイントです」といいます。

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスの省エネにつながる設備・システムの一例(同マンションのHPより)

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラスの省エネにつながる設備・システムの一例(同マンションのHPより)

同じく、環境性能という面では、木造や木材を使ったマンションにも注目しているそう。
「国の方針や建築基準法の改正などの要因がありますが、中高層木造マンションや、中高層の木造、コンクリート、鉄骨のハイブリッドマンションも一つのトレンドです。先程の鉄鋼と比較すると中高層建築で使う木材は、今後、供給が増えてくればコストが下がっていく可能性も十分にあり、建築費の抑制といった意味でも注目しています。もちろん耐震性など性能面では従来の鉄筋コンクリート造の物件と同等の性能で建てられています」(池本さん)

木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」(三井ホーム/東京都稲城市)は、総戸数51戸、間取り2LDK~3LDK、専有面積は50平米~96平米。1階はRC(鉄筋コンクリート)造で、2~5階に木造枠組壁工法を採用(写真撮影/片山貴博)

木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」(三井ホーム/東京都稲城市)は、総戸数51戸、間取り2LDK~3LDK、専有面積は50平米~96平米。1階はRC(鉄筋コンクリート)造で、2~5階に木造枠組壁工法を採用(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

(写真撮影/片山貴博)

■関連記事:
マンションも木造の時代に! 耐震性や遮音など住みごこち満足度98%のお墨付き 「MOCXION INAGI」東京都稲城市

また、環境性能や心地よさから内装、インテリアの木質化も大きな流れになっているよう。確かに木を多用したインテリア、SNSでもよく見かけます。賃貸ではありますが木造マンション、「MOCXION INAGI」で入居者の98%が住み心地に満足と回答したというデータもあり、今後もひとつの潮流となっていくことでしょう。

これから買う人は自分たちの価値を大事に。気になる物件は1期で決断

最後に新築マンションを買いたいと思う人に、アドバイスをもらいました。

「まずは、自分たちの暮らしの軸を大切にしてください。世にいわれている大人気物件が必ずしも“買い”とは限りません。冷静に自分たちが大切にしたい暮らし、求める価値を見極めて、それで物件と合っているなら決断していいと思います。投資用に買うなら、買った価格より高く売れるかを意識すべきとだ思いますが、自宅として買うならば、その街、そのマンション、間取り空間で暮らしたいのかが家探しの軸になるべきです。どこで、だれと、どのような生活を送りたいのか、そこを見誤らないでください」。

その上で、マンション価格として「下げ要因」がない以上、気になる物件が出て、期分け販売をする物件であれば、期を追うごとに価格が上昇する可能性があるため、思い切って「1期で買い」だといいます。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

そして、もうひとつ、要注意な点として「金利動向です」とアラートをあげます。

「長期固定金利がじわりと上がってきています。今、みなさん住宅ローンを変動金利で借りていますが、変動金利が上昇する可能性もありそうです。そのため、借りられる金額の上限まで借り入れるのはおすすめしません。変動金利だけではなく、変動金利と固定をあわせるミックスなどを比較検討してください」(池本氏)

住まいは住む人の暮らしの基盤であり、幸せな暮らしを営むための器です。自分たちが「新築マンション」に求める価値はなにか、どんな暮らしがしたいのか、それは新築でなければ叶わないのか……。
一つずつクリアにしていくことが、2024年のマンション購入正攻法といえそうです。

●取材協力
SUUMO編集長・SUUMOリサーチセンター長
池本洋一氏

ブリリア聖蹟桜ヶ丘ブルーミングテラス
物件ページ
公式HP

タワマン節税にメス!? 国税庁のマンション相続税評価額見直しを解説

以前から、タワーマンションを節税目的で購入する事例が多いことが指摘されていた。すでに、固定資産税については、高さ60m以上のマンションで高層階の税率を引き上げる“補正率”が採用されている。今回は、相続税の評価方法について、市場価格に近づける見直し案が公表された。

【今週の住活トピック】
マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議が見直し案を公表/国税庁

「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」で見直しを検討

そもそも相続税では、相続した財産の価額はその財産を取得したときの時価によるとされている。いわゆる時価主義といわれるものだ。不動産の評価方法は、国税庁の「財産評価基本通達」で定められている。マンションについては、この通達の内容を見直そうと、2023年1月30日に第1回有識者会議が開かれた。

昨年末に公表された政府の「令和5年度税制改正大綱」で、マンションの相続税評価が、市場での売買価格と通達に基づく評価額が大きく乖離しているケースが見られるとして、「時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と記載された。これを受けて、適正化のための有識者会議が動き出したわけだ。

第3回の有識者会議で見直し案の要旨が提示され、6月30日に国税庁のホームページに有識者会議の資料が公表された。

なぜ、タワーマンションの高層階が相続税の節税になる?

現状のマンションの相続税の評価額は、どのように計算されるのか?

マンションの1つの住戸を相続した場合、建物の価額(かがく※)と敷地の価額をそれぞれ計算し、足し合わせたものが相続税評価額になる。建物の価額は「固定資産税評価額」が用いられ、敷地の価額は敷地全体の価額のうち持ち分割合で計算される。つまり、同じマンションで同じ面積の住戸を所有する場合、1階の住戸も20階の最上階住戸も同じになる計算方法だ。

※売り手が品物に対して設定するのが「価格」に対し、品物の値打ちに相当する金額が「価額」

ところが、実際に市場で売買されるときには、同じマンションの同じ面積の住戸であっても、1階と最上階では、価格にかなりの開きが出る。タワーマンションでは、住戸からの眺望がウリになるからだ。つまり、実際に売れば高く売れるものが、相続税評価額では価額を抑えることができるので、高層階ほど相続税の節税効果が大きいということになる。

また、元になる敷地全体の価額は、路線価が用いられる。路線価は地価公示の8割程度になっているので、市場価格より低くなるのが一般的だ。もともと相続財産を不動産にすれば、現金より相続税評価額が抑えられるといったこともあり、不動産は節税対策に用いられることが多い。加えて、タワマンでは高層階住戸でより大きな節税効果を生むというわけだ。

マンションと一戸建てでは、市場価格との乖離率に大きな開き

有識者会議の資料(画像1)によると、近年はマンションの市場価格は相続税評価額の2.3~2.4倍にまで開いているという。

マンションの相続税評価額と市場の乖離率の推移

【画像1】国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する第3回有識者会議について(令和5年6月)」より転載

市場価格との乖離率を一戸建てと比べてみる(画像2)と、平成30(2018)年の平均で、マンションは2.34倍まで開いているが、一戸建ては1.66倍にとどまっている。0.68倍の開きがあるが、例えば市場で同じ1億円で売れるマンションと一戸建てがあった場合、相続税評価額はマンション(約4273万円)と一戸建て(約6024万円)で、約1751万円の差が生じるという計算になる。10億円というタワーマンションの最上階住戸もあるだろうから、この場合は評価額を5億円以上も大きく下げることができるという構図になっているわけだ。

(上)マンションの乖離率の分布、(下)一戸建ての乖離率の分布

【画像2】国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する第3回有識者会議について(令和5年6月)」より転載

相続税の評価方法が定められた頃には、タワーマンションのような不動産は市場になかっただろう。ところが、好立地で高額のタワーマンションが数多く供給されたいま、マンションでは評価額が市場価格の半分以下になる事例が約65%もあるというのが実態のようだ。

マンションの相続税評価額はどう見直される?

有識者会議の資料を見ると、マンションの評価額が市場価格と乖離する要因として、マンションの総階数や所在階、築年数などが加味されていないうえ、タワーマンションのように立地条件が良好で地価の高い場所であっても、多くの住戸で持ち合うために敷地の持ち分が狭小になる度合いが大きいといったことを挙げている。

そこで見直し案は、この「築年数」「総階数(総階数指数)」「所在階」「敷地持分狭小度」の4つの指数に基づいて、市場価格との乖離率を予測し、評価額が市場価格理論値の60%に達しない場合は、60%になるまで価額を補正するというものになった。

60%というのは、一戸建ての乖離率にマンションを近づけようというもの。マンションの市場価格との乖離率を一戸建て並みにすることで、税負担の公平を図るという考え方だ。

この見直し案では、築浅や高層階で評価額がこれまでよりも引き上がるので、相続対策としてタワーマンションの住戸を購入し、相続後に売却するという方法での節税効果は薄れるだろう。

政府は、2024年1月から見直したいとしている。有識者の中には、「今後のマンション市況の変化には適切に対応していく必要があるので、新しい評価方法が適用された後においても、重回帰式の数値等については定期的に実態調査を行い、適切に見直しを行うべきではないか」と、継続的な見直しを求める声があった。

税金は国民が相応に負担するものなので、公平であってほしいものだ。

●関連サイト
マンションに係る財産評価基本通達に関する第3回有識者会議について(令和5年6月)

湾岸エリアのタワマン “横のつながり” をスポーツで。自治会問題も解決?【全国に広がるサードコミュニティ2】

東京オリンピック・パラリンピックに向けて再開発され、選手村として活用される予定の東京・湾岸エリアのマンション群。実施の延期は決まったものの、オリンピック・パラリンピック以降、このエリアに新しい住民がどっと押し寄せることが見込まれるなか、防災の観点からも新住民と旧住民をつなぐ仕組みづくりが求められています。
「第三のコミュニティ」のありかを探る連載第2回目は、タワーマンション同士でつながるコミュニティを紹介します。連載名:全国に広がるサードコミュニティ
自宅や学校、職場でもなく、はたまた自治会や青年会など地域にもともとある団体でもない。加入も退会もしやすくて、地域のしがらみが比較的少ない「第三のコミュニティ」のありかを、『ローカルメディアのつくりかた』などの著書で知られる編集者の影山裕樹さんが探ります。 湾岸エリアのタワーマンションの横のつながりをつくろう

築地から移転してきた豊洲市場を擁し、ららぽーと豊洲など大型のショッピングモールもあり、東京の新たな居住エリアとして人気を集めている中央区、江東区の湾岸エリア。タワーマンションが多数立ち並び、オリンピック・パラリンピック以降に多数の住人が押し寄せることが見込まれます。

一方で、新住民と旧住民とのつながり、新住民同士のつながりがまったくないところで生活がスタートすることは、防災や防犯の面からも問題だと思われます。そんななか、マンションとマンションをつなぎ、湾岸エリアに暮らす子育て世代をターゲットとした「マンション対抗フットサル大会」などスポーツイベントを開催する有志のグループがあります。それが「湾岸ネットワーク」です。

マンション対抗親子大運動会「湾岸ピック」の様子(画像提供/湾岸ネットワーク)

マンション対抗親子大運動会「湾岸ピック」の様子(画像提供/湾岸ネットワーク)

タワーマンションが立ち並ぶ湾岸エリア(画像提供/湾岸ネットワーク)

タワーマンションが立ち並ぶ湾岸エリア(画像提供/湾岸ネットワーク)

湾岸ネットワークを立ち上げたのは、ITコンサルを専門とする会社を経営する浅見純一郎さん、普段は外資系銀行で働くサラリーマンの石原よしのりさん、スポーツ関係の会社を経営をする星川太輔さんの3名の住民たち。それぞれ40代で、家族を養う働き盛りの世代。

メンバーの浅見さんは2008年に浦安から豊洲に移住し、パークシティ豊洲の自治会長や近隣の小学校のPTA会長などを兼任。地域コミュニティに深く関わっています。星川さんも自宅のある有明のブリリアマーレ有明の管理組合理事長を、有明自治会の自治会長をそれぞれ5年ほど務めていました。当時、湾岸エリアで先進的な活動をしていた自治会の自治会長だった浅見さんと星川さんに、2014年に晴海のタワーマンションに移住してマンションの自治会長を務めていた石原さんが声をかけたのがきっかけ。

「6年前のことです。僕が暮らすマンションの管理会社の人に、管理会社の横の繋がりで、豊洲のタワーマンションの自治会長を紹介してくださいとお願いしたんです。そこで紹介されたのが浅見さんでした。その後星川さんとも出会い、3人ともタワーマンションに暮らす同世代で、自治会活動の中でマンション同士の横のつながりの必要性を感じていたので、すぐに意気投合しました」(石原さん)

マンション対抗親子大運動会「湾岸ピック」の様子(画像提供/湾岸ネットワーク)

マンション対抗親子大運動会「湾岸ピック」の様子(画像提供/湾岸ネットワーク)

子育て世代が多いからこそできる、親子で楽しむ運動会

最初は湾岸ネットワーク立ち上げメンバーの3人を中心に他の湾岸マンションとの親睦会を重ねていたのですが、ネットワークをより形あるものに発展させようとの思いから、「マンション対抗シリーズ」(最初はフットサル大会)を始めました。スポーツをキーワードとした理由は、子育て世代が多いこと、未就学児のお子さんがいる親御さんも午前中に気軽に参加して帰れること、など。また、マンション対抗とすることで競争意識が芽生え、かつ同じマンションの住人同士の結束が高まると考えたからです。実際、午前中のスポーツイベントから帰り、マンション内のパーティルームで参加メンバー同士で親睦会を行う人たちもいるそう。

今年は新型コロナウィルス感染症の影響で中止がよぎなくされていますが、具体的には毎年5月に開催する「湾岸マンション対抗フットサル大会」、9月開催の「湾岸マンション対抗親子大運動会 湾岸ピック」、そして11月には「湾岸マンション対抗マイルリレー大会」を開催しています。

マンション対抗フットサル大会の様子(画像提供/湾岸ネットワーク)

マンション対抗フットサル大会の様子(画像提供/湾岸ネットワーク)

湾岸エリアにも当然、幼稚園や小学校などがあり、PTAなどの親御さん同士のつながりももちろんあります。ただ、それも幼稚園や小学校といった括りでしかつながることができないので、マンション住人同士の子育て世代がつながる機会は現状、なかなかありません。そのなかで、湾岸ネットワークは一つの選択肢になると浅見さんは言います。

「私個人もそうなんですけれど、みなさんマンションを購入して、地域に何かしら貢献したいと思っている人は多い。けれど仕事が忙しくてなかなか地域活動に参加できないんですね。私たちとしては、地域に関わりたいけれどどうすればいいか分からない住民の方に、なるべく敷居を低くして関わっていただけるといいなと思っています」(浅見さん)

「従来の町内会などの自治会だと、年1回のお祭りを本気でやる、みんなで一生懸命つくる、というところが多い。でもそこまでコミットするのは働き盛りの世代にはなかなか難しい。そういった方々が気軽に参加できて、体験できるイベントが必要だと考えたんです」(星川さん)

給水所のカギをもらえない? 顕在化するタワマンの脆弱さ

既存の自治会の問題というのは、とにもかくにも高齢化。さらには、江東区、中央区と行政区ごとに分かれていて、タワーマンションが同じ課題を抱えていても、住人同士が関わることが少ない、という課題がありました。

「区内の自治会長たちの集まりに行くとご高齢の方が多い。また、それぞれ独自の運営をしているケースがありそうで、なかなか新しい人が入っていくのに抵抗があるのではないかと思われます」(浅見さん)

一方で、タワーマンションに移り住んでくるのは30~40代の若い世代が中心。再開発によってまちに暮らす新旧住人の割合が大きく変わる中、旧住人の代表である既存の自治会と、タワーマンションに暮らす新住人のニーズとはかけ離れていくばかりです。

左から石原さん、浅見さん、星川さん(画像提供/湾岸ネットワーク)

左から石原さん、浅見さん、星川さん(画像提供/湾岸ネットワーク)

ちなみに、タワーマンションはチラシ投函が禁止されているところがほとんで新聞購読率も20%程度という話は聞いたことありますか? そうなると当然近隣のイベント情報がなかなか入ってこない。子育て世代が多いのにこれでは致命的でしょう。

「自治会って、つくる義務はないんです。自治会のないタワーマンションも多い。だから自治会がないタワーマンションは情報が行き届かない。僕も経験したのでよく分かりますけど。防災とか子育ての情報に関して、タワーマンションに住んでいる人と従来から住んでいる人との間には格差がある」(石原さん)

「有明にはそもそも自治会がなかったんですけれど、つくって分かったことがあります。お台場の水の博物館近くに給水所があるんですけれど、給水所の存在とそこの鍵の暗証番号を自治会をつくったことによって行政から連絡が来て初めて教えてもらえたんです。役所の方に聞いたらそういう仕組になっていると。自治会をつくらないと給水所が使えないって、災害時のときに住民は大変困りますよね」(星川さん)

防災といえばバケツリレーなどのイベントが開催されることが多いですが、タワーマンションでバケツリレーをしても意味がない。ポンプ車での放水訓練もマンションでは現実的ではない。行政にタワマンの防災ナレッジがないため、もしマンションで火事が起きたら大変。大きな台風が来てマンションの電源が喪失してしまった場合、どうすれば電力を確保ことができるか、などのノウハウ共有も大切です。

現時点で導入可能な非常時の電源確保手段として、水路を使った重油共有ネットワークやEV(電気自動車)の電池を使ったエレベーター稼働のしくみ、LPガスを動力とした非常用発電機など、それぞれの企業から専門家を呼んで、各マンションの防災担当者向けの講演会を開催しました。

「防災行政は従来の戸建てが並ぶ街の防災拠点を想定して、防災訓練を行っていますが、タワーマンションの住民は自宅待機での「自助・共助」が推奨されています。しかし、従来の防災訓練はタワーマンション住民の火災時の行動をミスリードする恐れがあり、現在多くのタワーマンションではそれぞれの環境に合った防災訓練を独自に行い、行政との連携については試行錯誤している段階です」(石原さん)

新旧住民の情報格差を解消するには?マンション同士のノウハウ共有が課題(画像提供/湾岸ネットワーク)

マンション同士のノウハウ共有が課題(画像提供/湾岸ネットワーク)

マンション対抗スポーツ大会などの敷居の低いイベントが、潜在的に地域に関わりたい人の接点を生み出すことも重要ですが、このように、タワーマンションならではの課題を解決するための機能も果たしているように思います。例えば、資源ゴミの回収ルールはマンションごとに決まっていて、委託業者の言い値で決められているところが多いそう。しかし、異なるマンションの管理組合の人どうしで、「資源ごみ回収はどの会社に委託している?」という会話が生まれることで、買取価格が3倍以上になったエピソードもあるそう。そこで増えた収入は他の住人向けイベントに回すこともできます。

他にも自宅をAirbnbに使った場合、法的にどんな問題があるか? を学び合ったり、管理組合の財務的なコストダウンの方法を話し合ったりなど、マンション同士のつながりがあることで享受できるメリットは多数あります。セキュリティがしっかりしているからこそ、住人同士のつながりが薄いマンションにおいて、住人同士のつながりをつくっていく団体の役割は大きいと感じました。

「現在はあくまで任意団体として活動していて、加盟金も徴収しておらず、有志のメンバーで続けています。、しかしイベントの規模が徐々に大きくなり、参加世帯数が増えスポンサーからの協力を得られやすくなった半面、リソース不足等の問題にも直面しています。湾岸地区の発展に追いつくために、団体をより一層成長させるべく法人格の取得を検討しています。でも、参加を強制するのではなく、参加したいから参加する、というイベントであることは守っていきたいと思います。街と住民自身が一緒に成長していく、そんな過程を共有できる地域は他にはなかなかないと思います。湾岸に住む大きな価値の一つだと思います」(石原さん)

今回のインタビューで、タワーマンションに対する見方が変わりました。便利で快適というイメージがあるタワマンも、既存コミュニティとの情報格差が存在するということが分かりました。その理由は、自治会のないタワマンと行政が接点を持つ仕組みが、まだまだ未発達だから。または、新しい場所に移住してくる人たちの多くが、ご近所付き合いの面倒臭さを避けてしまうことも大きいかもしれません。「しがらみがなさそうだからタワマンに入居した」という人もいることでしょう。

ですがやっぱり、災害が起きたときに、地域のつながりがなければ混乱が生じるのは明白です。可能な範囲で住人同士、そして住人と行政のつながりを維持していくことは不可欠。もちろん、しがらみがないからこそ、自分たちで街の未来をつくっていく醍醐味を味わうことができます。変化が日常である湾岸エリアでは、そこで育つ子どもたちが「ふるさと」と感じられるような風景が残らない代わりに、「コミュニティ」のつながりこそが唯一の「ふるさと」になりうるのかもしれません。

実際、マンション対抗フットサル大会を通じマンション内にフットサルクラブが発足し、マンションフットサルクラブ同士の交流戦が行われるなど、湾岸ネットワークから派生した新たなコミュニティが育ちつつあります。ゆるやかに参加でき、強制力がない有志のつながりこそが、再開発され新住民であふれる「新しいまち」には必要なのかもしれません。

●取材協力
・湾岸ネットワーク

タワマンに「魅力は感じない」34%

(株)MayLightはこのたび、マンションの購入・売却に関するアンケート調査を行った。調査時期は2019年5月。20代から70代の男女300名を対象に行った。それによると、今後マンションの購入を検討していますか?では、最も多かった回答は「考えていない」で37.3%。次いで「金額次第では検討する」が29.5%。購入に否定的な人がやや多かった。売却を検討していますか?(マンション所有者限定)では、約半数である50.9%が「考えていない」と回答。「金額次第では検討する」が17.5%だった。

マンションに住むなら賃貸と所有どちらが良いと思いますか?では、半数以上の54.8%が「所有の方が良いと思う」と回答した。「賃貸の方が良いと思う」は14.6%。現時点では「所有したい」と考えている人の方が優勢と言える。

タワーマンションに魅力を感じますか?では、34%が「魅力は感じない」と答え、32%が「不安があるので好まない」と回答している。大都市では人気が高いと言えるタワーマンションだが、そこまで大きな支持は得ていないようだ。

マンションの資産価値に対して不安に感じる点は?では、「大規模修繕にかかる費用」「資産価値の減少」「地震や災害による被害」が、それぞれ30%程度。マンションを購入する条件としてもっとも優先度が高い回答は「立地」で、49%と約半数の人が回答している。

ニュース情報元:(株)MayLight

名古屋のタワマンでママが「子ども会」をつくってみました

多くの人の子ども時代の記憶に残る「子ども会」の活動。近所の子と一緒に、夏の朝はラジオ体操、秋はお祭りやスポーツ大会……。筆者も楽しく参加した思い出がある。その子ども会は今、少子化などの影響により減少の一途をたどっているという。そんな中、名古屋市の都心部にあるマンションで「子ども会がなかったから、自分で立ち上げました」という人に、立ち上げの経緯や理由、子ども会の良さを取材した。
少子化や指導者不足…、子ども会は減少傾向

はじめに、全国の子ども会や指導者、及び連合組織を会員とする「公益社団法人 全国子ども会連合会」に子ども会の現状を聞いてみた。山本哲哉常務理事によると、「マンション単体での子ども会の立ち上げは、全国的にも希少な例でしょう」という。「現在、全国の子ども会が直面している最大の課題は会員減少です。少子化による、人口の自然減少以上の加速度的な会員減少に、歯止めがかけられていません」

子ども会とは、「基本的には、小学生から中学生までの子どもたちによる地域密着型の団体。異年齢の子どもたちが、その地域になじんだ活動へ主体的に取り組むことが、地域における子ども会の本質であり意義であると考えています」と山本常務理事。

データから見ても子ども会の会員数減少は明らかだ。子ども会の会員数(全子連共済加入者数で、カウントは就学前3年の幼児から中高生までの構成員)の推移表を見せてもらうと、筆者が10歳だった昭和63年は、子どもの会員数が604万3228人、大人の会員数が155万5429人で、合計759万8657人。一方、平成29年の調査では、子どもの会員数が247万2960人、大人が102万9157人で、合計350万2117人。合計人数が2分の1以下になり、大幅に減少しているのが分かる。

令和元年5月に総務省統計局から公表された平成30年12月の確定値では、15歳未満の総人口は1538万7000人。一方で政府統計によると、昭和63年は15歳未満の総人口が2398万5000人となっている。
確かに、子どもの人口減少以上に、会員数の減少が目立つ。

また、「少なくとも都市圏では子ども会の組織そのものが減少しています」と山本常務理事。「子どもの減少で活動が思うようにいかなくなった近隣の数カ所の子ども会が合併し、新たな名称の子ども会をつくったという場合や、児童数の減少により、今まであった単体の子ども会を、校区全体で1つの子ども会にしてしまった例なども聞いています」という。

さらに、「会員減少は、役員や指導者の後継者不足という、大人側の問題ともつながっています」と話す。核家族や多忙な共働き世帯、シングルマザーやシングルファザーの世帯も増えている現代では仕方がない面もあるのかもしれない。「指導者を含む人材不足による行事のマンネリ化、子ども会の魅力のなさが、会員減少の根本的な問題であることはいうまでもありません」

会員減少、そして子ども会の減少により、「子どもの体験不足やコミュニケーション能力不足を引き起こす可能性があるのでは」と懸念しているという。

越してきたマンションが「子ども会に入っていない」!

今回取材した「子ども会立ち上げママ」は、名古屋市在住のUさん。3歳・8歳・10歳の3児の母で、約100世帯が住むタワーマンションに住んでいる。日中は自宅でPCを使って仕事をする兼業主婦だ。子ども会を立ち上げるきっかけは偶然だった。

「関東から名古屋市内のマンションに引越してきた最初の夏休みに、近所の広場でラジオ体操をしているのを見かけて、子どもと出かけると、『そこのマンションは子ども会に入っていないから』と説明され、参加できませんでした。
小学生の夏休みといえば、ラジオ体操があって早起きをするというイメージがあったので、自分のマンションが子ども会に入っていないことに驚きました。マンションの世帯数が多いので、子ども会に加入したいのであれば、よその子ども会に入るのではなく、自分たちで子ども会をつくらなければならないのだとその際に知りました」

数年後、順番が回ってきてマンションの役員になったUさん。
「役員になり、さらにクジ引きで理事長に就任しました。理事長として、小学校区の連絡協議会で子ども会の現状について報告する機会があり、人から『どうしてそこのマンションには子ども会がないの?つくればいいのに』と言われて。それもそうだと気がつき、さっそく区役所に行って、子ども会のつくり方を調べてみました。すると、会則と会員名簿を作成して区役所に申請すれば、子ども会を立ち上げて、助成金をもらうことができると知って、思ったより簡単だなと感じました」

ちなみにUさんの自治体では、会員数が10~34人までの場合、年間約2万円(申請時期により異なる)の助成金を受けることができるそうだ。

Uさんがパソコンで制作した新規会員募集のチラシは、管理組合を通してマンションの掲示板に掲示(写真提供/Uさん)

Uさんがパソコンで制作した新規会員募集のチラシは、管理組合を通してマンションの掲示板に掲示(写真提供/Uさん)

マンションの住民にアンケートを実施し、子ども会が発足

「立ち上げにあたり、事前に、マンションの住民に『子ども会が必要かどうか』というアンケート調査を実施しました。すると、子どもを持つ世帯の半数以上から『子ども会をつくってほしい、あれば参加したい』という回答をもらったことがモチベーションに。さっそく会則と会員名簿を作成して申請し、人数に応じた助成金をいただけるようになりました。
役員については、1年目なので、顔見知りのお母さんたち数名にお願いして引き受けてもらうことに。マンションの住民に対しては、立ち上げに関しての説明会も実施し、アンケート結果などの資料を配りました」

現在は14世帯、子どもは30名ほどがマンションの子ども会に在籍。子ども会を立ち上げて最初の夏休みであった昨年、さっそく近所の広場でラジオ体操を実施した。

「町内の子ども会に共催という形で入れてもらい、スタンプカードを分けてもらうなど、進め方を教えてもらいながら同じ広場で開催しました。子どもたちは元々同じ校区の仲間なので、夏休み中もクラスメイトたちと会うことができ、喜んで参加していたようです。マンション内では、ラジオ体操の当番表をつくり、役員ではない保護者にも持ち回りで当番をしてもらいました」

そのほか、小学校の長期休みの日中に「子ども映画鑑賞会」を実施して好評を博した。
「マンションの集会室にプロジェクターとスクリーンがあるので、権利関係を確認してDVDを用意し、映画を上映しました。その際、助成金で買ったお菓子やジュースを食べられるようにして、好評でした。子ども会会員以外の住民のお子さんも、100円を持って来れば参加可としました」

子ども会行事についての連絡は、管理組合の許可を得て、マンションの掲示板にチラシを掲示している。
「ただ、なかなか掲示物を見ない人もいるので、会員の保護者には子ども会のLINEグループに参加してもらい、ダイレクトにお伝えもしています。春休みなどの長期の休みでも、親が仕事だったり、子どもたちの習い事があったりと、なかなか日程がそろわないので、LINEの予定表で、参加者が一番多い日に開催するようにしています」

助成金を活用して、子ども会を卒業する6年生に図書カードを配布した(写真提供/Uさん)

助成金を活用して、子ども会を卒業する6年生に図書カードを配布した(写真提供/Uさん)

親も子も安心できる、共用施設でのイベント開催

マンション単体で子ども会を立ち上げたことに、メリットを感じているというUさん。

「集会場など、マンションの共用施設で映画鑑賞会などのイベントを開催することで、子どもだけでも気軽に参加できるのは大きなメリットだと感じました。例えば、夏休みや春休みなどの長期休み中に、親が仕事で、一人で留守番をしなければならない子も、マンション内であれば、エレベーターで降りるだけで友人や知り合いがいて、安全に参加できます。これは大型マンション単体の子ども会ならではのメリットだと考えています」

エントランスの出入口には管理員も常駐しているので、大人の目は多い。それまで空いている時間が多かった集会室や、プロジェクター設備の活用につながっていて良いという、住民からの声も聞かれた。

Uさんは「自分自身、役員としてイベントに付き添ってみて、顔と名前が一致したり、新たに知った子もいたりして、マンション内や近所でも、会うと挨拶したり話をする機会が増えました。普段はなかなか会わないので、親子にとってよかったと思います」と感じている。

「イベントに関しては『映画鑑賞会で、友達と一緒に映画を観たのが楽しかった』と言った子がいて、小さな子が、初めて友達と一緒に映画を観るいい機会にもなったようです」と振り返る。「ただ、ラジオ体操は『習ったことがないので難しかった』という声があり、今は小学校で習っていないのだと気がつきました。今年は練習会などを考えています」

今後は、どの程度の規模のイベントを企画していくかを検討中だという。
「引率者の問題もありますが、よりイベントの幅を広げることも考えていきたいです。自治体が開催する既存のイベントに、子ども会ごと参加するのもいいかもしれません。費用の面では、助成金だけでなく会員から会費を集めるのか、自治会(町内会)とも交渉して助成金をもらうようにするのか……と考えているところです。自分たちのマンションで、まだ回収していない古雑誌などの資源を集めるというアイデアもあります。もちろん、安心・安全なマンションの共用部は、これからも活用する予定です」

マンションの集会室に講師を招いて、親子で参加できるようなワークショップを行うことなども検討しているという。

“気張らない活動”でも、子どもと大人に大きなメリットが

現在、まだ遠出するイベントなどは実施していないというUさん。マンション内を中心としたあまり気張らない活動がメインながら、子どもたちは楽しみ、刺激を受けているようだ。

一人っ子家庭も多い現代では、異年齢や異性と関わり、遊びながら社会性を身に着けられる場としても意義は大きい。Uさんのマンションの「映画鑑賞会」のイベントでも、年上の子が率先して集金し、小さな子にお菓子やジュースを配るなど、自然とリーダーシップを発揮している場面が見られたという。

前出の全国子ども会連合会の山本常務理事も話す。「子ども会の理想は、大人は見守るスタンスで、子どもが主体となり成功体験につながるような活動です。でも現実は、限られた時間の中、少子化や共働きなどの現代の状況下での活動になりますから、各自が負担にならないように運営することが大切です」

Uさんのように、マンションで子ども会を立ち上げた場合、子ども会の存在によってコミュニケーションが生まれ、活動がない日もマンション内での見守り効果が高くなるというメリットもあるだろう。キッズルームやライブラリーを備えたマンションなら、活動はさらに広がり、共用施設の有効活用にもつながりそうだ。

この数年でマンションが増加している名古屋の街並み(写真/PIXTA)

この数年でマンションが増加している名古屋の街並み(写真/PIXTA)

かつては地域単位だった子ども会が、マンション単位で実施されるのは現代的。子ども会の発足を機に、マンションが1つの街のようにまとまり「みんなで子どもを育てよう」という住民の意識が高まるかも。

働く女性が増えて忙しい世の中だからこそ、子ども会の活動をきっかけにして、もしものときに助け合えるママ友や、子どものコミュニティが増えたらいいなと感じた。

できる人が、できることから。ゆるやかに始めてみるのも、令和時代の子ども会のスタイルにマッチしているかもしれない。

●取材協力
・公益社団法人 全国子ども会連合会

タワマンストック数、全国で1,371棟・359,001戸

(株)東京カンテイはこのほど、全国における超高層マンションの供給動向&ストック数について調査・分析し、その結果を発表した。それによると全国でのタワーマンション(最高階数が20階以上の分譲マンション)のストック数は1,371棟・359,001戸だった。タワーマンションの供給実績が確認できた37都道府県のうち、ストック棟数が最も多かったのは東京都の441棟で、全国シェアの3割以上を占める。首都圏では神奈川県(137棟)が全国で第3位、千葉県(80棟)と埼玉県(79棟)がほぼ同数で第5位や第6位となるなど、東京都以外でも比較的多くのタワーマンションが存在している。

また、全国で最多のタワーマンションストック数を誇る東京都だが、その9割以上は東京23区内に位置し、中でも“タワーマンションのメッカ”である湾岸エリアを有する港区と江東区の2行政区が突出している。

全国で2番目にストック棟数が多かったのは大阪府の243棟で、近畿圏に占める割合が68.1%と著しく高い。近畿圏では兵庫県(94棟)が全国で第4位に入ったものの、京都府や和歌山県ではストック棟数が10棟にも達していない。また、奈良県に至っては供給自体が為されていないように、同じ圏域内においてもタワーマンションの供給状況には大きな違いが認められる。

中部圏を見ると、中心的な地域である愛知県が57棟で第7位に入った。静岡県でも25棟とまとまったストック棟数が存在している。一方、岐阜県では3棟のみ、三重県では皆無だった。中部圏におけるタワーマンション供給は、一極集中するエリアとほとんど為されないエリアが極端に分化している。

地方圏では、北海道(27棟)や宮城県(35棟)、広島県(24棟)や福岡県(37棟)といった地方中枢4都市を有する地域で比較的まとまったストック棟数が存在している。また、東京都心部への通勤者が居住するベッドタウンを中心に、茨城県でも合計12棟のタワーマンションが供給されている。

ニュース情報元:(株)東京カンテイ

宅配物の増加と再配達問題に対応。タワーマンション内に「物流センター」を導入

トイレットペーパーのような日用品や食品まで、ネットショッピングで購入するのが珍しくなくなった昨今、宅配物の増加とそれに伴う再配達が社会問題として知られるようになりました。特に多くの世帯が暮らすタワーマンションでは、大規模マンションならではの課題があるようです。そこで、現在の課題を宅配事業者に取材。さらに一部のマンション内に「宅配スタッフが常駐する物流センター」をつくる取り組みや今後の動きについて、三井不動産レジデンシャル 開発室の大熊さんに話を伺いました。
宅配物の増加が住民や宅配事業者、管理面の負担に

このところ関心を集めている宅配物の増加とそれに伴う再配達問題ですが、大規模マンション、特に住民が多いタワーマンションなどでは、以下のようなストレスがあるといわれています。

(1)インターホンが鳴ってから住戸に届くまでに時間がかかる
(2)宅配ボックスが埋まっていて受け取れないことがある
(3)宅配ボックスから自宅まで荷物を持ち運ぶのがおっくう

特に(1)の住戸に届くまでに時間がかかる、については配達先の住戸数が多いと宅配事業者がエントランスのインターホンから各住戸に連絡をしてから、実際に配送されるまで数十分かかることもあり、その間に住民が外出してしまい、再配達になるというケースもあるといいます。

従来のインターホンの呼び出しから荷物が配達されるまで(画像提供/三井不動産レジデンシャル)

従来のインターホンの呼び出しから荷物が配達されるまで(画像提供/三井不動産レジデンシャル)

また、宅配事業者で現場スタッフとして働く方に大規模マンションでの配達の宅配事業者としての悩みを聞いてみたところ、複数の宅配事業者同士で宅配タイミングが重なると、トラックの駐車場所を確保するのが難しいほか、運ぶ荷物の個数が多く、午前・午後・夕方・夜間と一日のうちに何度も訪問する必要性から、スタッフを重点的に配置しているとあかしてくれました。

さらに、宅配事業者が駐車場や、エレベーター、エントランスのインターホンを長時間使用することは共用部の清掃などを担う管理会社の業務に影響する懸念がありそうです。

住民、宅配事業者、管理側から見た「宅配物増加と再配達問題のストレス」。大規模物件ならではの悩みだ(住民、宅配事業者の取材をもとに筆者作成)

住民、宅配事業者、管理側から見た「宅配物増加と再配達問題のストレス」。大規模物件ならではの悩みだ(住民、宅配事業者の取材をもとに筆者作成)

とはいえ、共働き世帯が増え、在宅時間が減るなかで宅配ニーズは高まるばかり。そこで、これらの問題を解決すべく、いっそのこと「物流センター」をマンション内につくってしまおう、という動きがでてきたのです。

今回、マンション内に物流センターを設ける予定となっているのは、現在建設中で2020年に竣工予定のタワーマンション「ザ・タワー横浜北仲」です。では、なぜここまで注力するのでしょうか。

「三井不動産レジデンシャルではこれまでも武蔵小杉等のタワーマンション内にも物流センターを設けて、宅配物をよりスムーズに受け取れるよう、取り組んできました。これはネットショッピングの普及などにより宅配物が増加していることを考慮してのことです。

今回、物流センターに加えて、宅配スタッフの携帯電話から各住戸内インターホンに連絡できるシステムなどを導入し、より配達効率を上げようという試みを始めました」と話すのは、三井不動産レジデンシャル横浜支店開発室の大熊麻祐子さん。

物流センターには宅配スタッフが常駐。インターホンと宅配ボックスも改良

では、具体的にはどのようなシステムになるのでしょうか。

「3つの施策を考えております。まず1つ目はマンションの共有部に物流センターを設け、そこに宅配スタッフが常駐します。複数の宅配事業者から荷物をいったん預かり、まとめて各住戸に配達します」(同)

住民からみると、宅配事業者に関係なく、複数の荷物が一度に受け取れるのはうれしいところでしょう。いつも同じスタッフが届けてくれるので安心感もあり、エレベーターの混雑緩和にもつながるはずです。一方で宅配事業者からみれば、マンション内の物流センターに荷物を届けるだけでよいので、住戸ごとに配達する必要がなくなり、大幅に効率化ができます。

物流センターと配達までのイメージ(画像提供/三井不動産レジデンシャル)

物流センターと配達までのイメージ(画像提供/三井不動産レジデンシャル)

今のところ常駐の宅配スタッフは、日中に配置され、およそ2~4名程度で運用する予定だといいます。

2つ目の施策は、マンション内物流センターに常駐している宅配スタッフの携帯電話から直接住戸内のインターホンに連絡ができるシステムを構築したこと。携帯電話から直接、在宅確認ができるようになるので、「インターホンを鳴らしてから自宅到着までタイムラグがある」「宅配事業者がエントランスのインターホンを長時間使い続けている」ということもなくなりそうです。

インターホンシステム改良後のイメージ(画像提供/三井不動産レジデンシャル)

インターホンシステム改良後のイメージ(画像提供/三井不動産レジデンシャル)

3つ目は、同じ届け先であれば同一の宅配ボックスに、追加で荷物を預け入れられるようにしました。これにより「一つの住戸が複数の宅配ボックスを占有する」「宅配ボックスが足りなくなる」ということも少なくなり、宅配ボックスに余裕が生まれるため、それだけ多くの住民が荷物を受け取りやすくなります。

宅配ボックス追加預け入れのイメージ(画像提供/三井不動産レジデンシャル)

宅配ボックス追加預け入れのイメージ(画像提供/三井不動産レジデンシャル)

物流センターの運営費は一部を管理費から捻出。他の大規模物件での展開も

気になる物流センターの場所は地下1階にあり、倉庫と事務所の機能を備えた空間になるといいます。また、費用ですが、一部を管理費からまかない、運営するといいます。

今回の物流センターは、1200戸弱の大規模なタワーマンションだからこそできたともいえます。今後の展開はどうなるのでしょうか。
「今後も、大規模物件に、物流センターを設ける可能性は出てくると思います。またインターホンシステム・宅配ボックスは、物流センターとは別に物件ごとに採用できるので徐々に増えていくかもしれません」とのこと。

ネットショッピングの拡大によって、課題となっていた宅配物の増加と再配達問題。これを宅配事業者の問題と見るのではなく、デベロッパーはもちろん宅配ボックスメーカーなど複数社が現在のシステムを見直すことで、住民と宅配事業者、管理会社、みなが助かる仕組みに変えていけるのだなと思いました。こうした地道な取り組みや改善こそが、実は「住み心地」に直結するのかもしれません。

●取材協力
・三井不動産レジデンシャル

超高層マンション、2018年以降予定は10.9万戸

(株)不動産経済研究所は4月24日、「超高層マンション市場動向 2018」を発表した。それによると、全国で建設・計画されている超高層マンション(20階建て以上)が10.9万戸に達することが分かった。
2018年以降に完成を予定している超高層マンション(2018年3月末現在)は294棟、10万8,757戸で、前回調査時(2017年3月末時点)に比べて54棟・1万6,471戸の増加。首都圏は181棟・8万303戸で、全国に占めるシェアは73.8%(前回調査時78.6%)、前回調査時よりも19棟・7,784戸の増加。そのうち東京23区内は123棟・5万5,570戸で、全体の51.1%(前回53.6%)を占めている。

近畿圏は47棟・1万3,811戸で、前回調査時に比べ13棟・3,238戸の増加。近畿圏のシェアは12.7%(前回11.5%)。大阪市内は30棟・8,737戸(シェア8.0%、前回7.4%)。その他地区では福岡県20棟・5,262戸(シェア4.8%、前回4.2%)、北海道10棟・2,560戸(シェア2.4%、前回1.7%)、愛知県11棟・1,530戸(シェア1.4%、前回1.5%)、広島県2棟・855戸(シェア0.8%、前回0%)、宮城県4棟・738戸(シェア0.7%、前回0.08%)だった。

ニュース情報元:(株)不動産経済研究所

タワーマンション、 あえて“低層階”という選択肢

タワーマンションのウリは、立地のよさ、そして何と言っても眺望。高層階から見下ろす景色は、やはりタワーマンションならではですよね。しかし、あえてタワーマンションの低層階を選択する人も。低層階ならではのメリットや住み心地を、実際に住んでいる人々と、タワーマンションに詳しい専門家に聞いてみました。
低層階に住む住人にインタビュー! リアルな住み心地ってどう?

それでは、実際にタワーマンションの低層階に住む人は、その住み心地についてどのように感じているのでしょうか?

Iさん(30代後半、女性)は、3年前に結婚して現在40階建てのタワーマンションの9階に居住中です。バルコニーからは海とレインボーブリッジが望める環境に暮らしています。実はIさん、結婚前にも同エリア内の別のタワーマンションの28階に住んでいたとか。

今回話をしてくれたIさん。0歳の子をもつママで現在育休中、港区ベイエリアのタワーマンションに家族3人で暮らしている(写真撮影/スパルタデザイン)

今回話をしてくれたIさん。0歳の子をもつママで現在育休中、港区ベイエリアのタワーマンションに家族3人で暮らしている(写真撮影/スパルタデザイン)

「確かに28階のほうが眺望はよかったのですが、窓が開けられないので開放感を感じにくいというデメリットもありました。マンションによるかもしれませんが、今の低層階のほうが、水面が近くてリラックスできて、開放感という意味では満足しています。今のマンションは目立たない程度なら洗濯物を干してもOKですし、レインボーブリッジを眺めながらバルコニーでランチやお茶をすることもできます。夜景を見ながら夫とお酒を飲んで語り合う時間は格別ですよ」(Iさん)

Iさん宅、9階バルコニーからの眺望(写真提供/Iさん)

Iさん宅、9階バルコニーからの眺望(写真提供/Iさん)

高層階と低層階の両方に住んでみて、低層階のいま、デメリットを感じることはほとんどないとIさんは続けます。高層階に住んでいたときに、反対に大変だったのはやはり災害時。

「東日本大震災のとき、ちょうど28階に住んでいました。ハイヒールで階段を上り下りしなければならなかったことが無茶苦茶きつかったんです。独身のあのときでもかなり大変だったのですが、子どもが生まれた今となっては、子どもを抱えて28階を階段で上ることは考えられないですね」

タワーマンション低層階には、こんなメリットが!

「眺望や高層階に住むというステータスにこだわりがなければ、タワーマンションの低層階はかなりお勧めできる物件だと思います」と話すのは住宅アドバイザーの高江啓幸さん。

住宅アドバイザー・高江啓幸さん(写真撮影:スパルタデザイン)

住宅アドバイザー・高江啓幸さん(写真撮影:スパルタデザイン)

実際にタワーマンションを購入予定の人が住みたい階の一番人気は、10~14階というデータもあります。

参考:憧れのタワーマンション!購入検討者に聞いた「住みたい階」は意外な結果に!? タワマン調査[1]

「『低層階』といっているものの、実際は10~14階も普通のマンションなら十分に高層階です。さえぎる建物が少ないため、タワーマンションに期待する眺めの良さも十分に満喫できるでしょう」(高江さん、以下同)

眺望面以外にも、タワーマンションの低層階に住むメリットがある、と高江さんは続けます。

「特に東日本大震災以降に建てられたタワーマンションは、最新の免震技術の導入やセキュリティ、共用施設の充実など、資産価値が高いと感じます。ゲストルームやスポーツジム、プールといった共用施設は居住者なら誰でも利用できます。低層階の区分所有者は高層階よりも割安に購入できるのが一般的ですが、タワーマンションライフは十分に堪能できるでしょう。
 
また、通常のマンションよりも維持費が高いと思われがちな施設管理費に関しては、世帯数が多いので、1戸当たりの金額を見ると、それほど高くないケースが多いようです」

低層階に住むのが合っている人の特徴とは?

それでは、タワーマンションの低層階に住むのが合っている人というのは、どんな人なのでしょうか?

「多くの人が一番心配しているのは、きっと災害時のことだと思います。地震などの災害によりエレベーターが止まったときのことを考えると、子どもがいるファミリーや高齢者の方が、あえて低層階を選ぶというのは大いに理にかなっていると思います」

写真/PIXTA

写真/PIXTA

また、資産としての効率を重視する人にも、低層階はおすすめだと高江さんは言います。

「タワーマンションの立地の多くは駅前で利便性も高く、ほかの一般的な物件と比べて知名度もあるため、たとえ低層階であっても、購入時の金額と比較して資産価値が落ちにくい傾向があります。急な転勤や生活環境の変化から早く売りに出したい場合に、売却しやすいのも大きなメリットになるでしょう。買いたい人が多いということは売りやすいということでもありますから」

部屋へのアクセスが楽で、エレベーター待ちが少なく、災害時も避難しやすい……。タワーマンションの低層階に住むことのメリットは、思った以上にたくさんありそうです。

限られた予算で自分の住みたいマンションを見つけることはとても難しいことです。マンションを購入する際には、家族構成やライフスタイルなどによって、求める条件は変わります。住む階数もそうですが、住環境や利便性、安全性などを考慮しながら、心地良く過ごすために優先したいポイントを考えてみましょう。

●取材協力
・住宅アドバイザー 高江啓幸さん

タワマン上層階で被災したらどうするの? 気になる災害対策を聞いてみた 

住宅にブランドやステータスを求めるとき、有力な選択肢のひとつとなるのがタワーマンションだろう。人気を集める最大の理由は眺望の良さだが、高層建築ならではのその魅力は災害に遭遇したときには不安の種ともなりうるもの。タワーマンションの災害対策はどうなっているのか、タワーマンションが多数立っているエリアで地震災害を担当している東京都中央区・総務部防災課の早川紀行(はやかわ・のりゆき)課長に聞いてみた。
タワーマンションで被災するとどういうことが起きるか

そもそもタワーマンションは、比較的大災害に強いといわれている。1981年に適応された新耐震基準の建物は震度6強から7程度の地震でも倒壊しないような構造基準に設定されているが、タワーマンションでは免震や制震構造などの最新の建築技術を用いた建物も多く、倒壊などの心配はほとんどないといっていいだろう。

高層建築ならではの被害は、電気やガス、水道など生活する上で欠かせないライフラインのひとつ、エレベーターだ。

「ほとんどのエレベーターは、震度4以上の地震が発生すると緊急停止します。エレベーターが復旧するまでの移動手段は、原則徒歩。高層階になればなるほど上下の移動が困難になり、備蓄品が不十分だと生活を継続することが難しくなります」(早川課長、以下同)

自宅にいて被災し部屋自体が無事であっても、停電やエレベーターの運転再開のための復旧作業には時間を要することから、建物の外に出ることすら大変になる。救援物資の配布を受けても、水など重いものは部屋へ持って帰るだけでも低層階住宅に比べてはるかに労力が必要になってしまう。

また、地震の揺れの力を逃す免震構造により、上層階ほど大きく長く揺れる可能性もある。高層建築物と共振しやすい長周期地震動では「震源地が遠方の場合でも、影響を受ける場合もあります」

もしも建物や設備に修繕が必要になった場合、居住者数が多いタワーマンションは、建て替えなどの合意を住民から得るのに時間がかかるであろうことも課題だそうだ。

もしものとき、マンションや自治体はどう対応するのか

被災時には、近隣住民同士の協力は欠かせないものだ。玄関から出ても建物内であり、住民の様子を外からうかがうことのできないタワーマンションの災害時マニュアルは、住民同士での安否確認の手順が記載されている。

「災害発生直後には、各住戸の安全確認をはじめ各フロア単位での安否確認・救助活動を行い、各階の情報を対策本部に集約するという流れになっています」。マニュアルには、被災生活を送る際にマンションが備蓄している防災用品の一覧表や食料品の配布方法などのルールも記載されている。

災害時マニュアルの作成は居住者や管理組合が行うが、中央区では防災アドバイザーがアドバイスすることも(※写真はイメージです)(画像提供/PIXTA)

災害時マニュアルの作成は居住者や管理組合が行うが、中央区では防災アドバイザーがアドバイスすることも(※写真はイメージです)(画像提供/PIXTA)

マニュアルの作成は居住者や管理組合が主体となって実施されているが、中央区では、防災アドバイザーとともに高層住宅に赴き、資料の用意や必要なアドバイスなどをする支援も行っている。「防災アドバイザーは、防災訓練などの相談や助言も行っています」

また中央区では、防災対策の推進と地域とのつながりを一層高めるため、防災組織の設置や震災時活動マニュアル作成などの一定の条件を満たすマンションを「中央区防災対策優良マンション」と認定。優良マンションに認定されると、防災資器材などの助成を受けることができるという。

タワーマンションに住む個人や家庭で備えておくべきことは

いざというときの危険や不便さを少しでも軽減するべく、高層住宅に住む家庭や個人が普段から備えておくべきことも教えてもらった。

長周期地震動では上層階になるほどマンションは大きく揺れるため、室内の家具が転倒したり棚から食器が飛び出したりする危険性は高くなる。しかしながら、地震の種類によっては階層にかかわらず、大きな揺れが起こる可能性があるため、全ての家庭において家具の固定は重要だ。

備蓄の目安は住居のタイプにかかわらず、最低3日分の水・食料・簡易トイレを家族の人数分、が基本であり、内閣府では1週間分を推奨している。だが、前述のとおり、タワーマンションの高層階の場合、外に出ることが難しい場合もある。

「高層階になるほどエレベーターが停止中の移動が困難となるため、備蓄数を増やす必要があります。日常生活で使う食料や水を多めに用意して消費した分を補充するローリングストック法なら、日ごろから無理なく行うことができます」

中央区のホームページでは、缶詰や乾物など家庭にある食材を火を使わずに調理するレシピを掲載した「災害時簡単料理レシピ」も掲載しているので、普段からチェックしておくのも良いだろう。

被災時を想定して火を使わずに調理する方法も覚えておきたいところ(画像提供/PIXTA)

被災時を想定して火を使わずに調理する方法も覚えておきたいところ(画像提供/PIXTA)

また、災害時にはエレベーターが利用できなくなることの周知の徹底も大切だ。「エレベーターが緊急停止した際には最寄り階で停止するため、速やかに降りることの周知も混乱を避けるために重要です。高齢者やけが人などを下の階に運ぶための非常用階段避難車といった資器材の配備を検討することも、対策のひとつです」

日ごろの備えが大切なのは、どんな住居に住んでいても同じこと。災害の規模が大きければ大きいほど、重要な一線を分けるのは、住民同士で助け合えるかどうかだ。「そのために、自らの命は自分で守り共に助け合う、地域ぐるみでの防災体制の構築が重要です」。自分の住んでいる建物の特質と起こりうると想定される被害を知ることで、最適な備えを心がけたいものだ。

●取材協力
東京都中央区防災課普及係

タワーマンションに住んでいる人の8割以上が満足と回答!その理由は?

憧れのタワーマンションを購入して現在住んでいる人に、購入金額や間取りとその満足度、住んでみて良かったところ、悪かったところなどの本音を聞いてみました。これから購入を検討している人は要チェックな内容です!
購入金額は3000万~5000万円がトップ。半数が3LDKを購入

前回タワーマンションを購入予定の人に行った調査では、購入予定金額のトップは3000万~5000万円未満(34.0%)でしたが、実際に購入した人はどのくらいの価格で購入しているのでしょうか。

結果は3000万~5000万円未満が1位。全体の約半数(46.9%)を占め、購入予定者調査の34.0%よりも多い結果となりました。2位は5000万~7000万円未満で全体の3割強(34.6%)、3位は7000万~1億円未満(8.6%)でした。購入予定者で「7000万~1億円未満」と回答した人は21.0%だったので、購入予定の段階では高価格物件に目がいっていたけれど、実際に購入したのは希望より低めの価格帯の物件という人が多そうです。

【画像1】3000万円~7000万円未満を購入した人が8割を超えた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】3000万円~7000万円未満を購入した人が8割を超えた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

ちなみに今回調査の対象者の世帯年収を見ると、400万円~600万円未満と1000万円~1500万円未満がそれぞれ全体の2割(20.0%)、800万円~1000万円未満が19.0%と僅差で並びました。

【画像2】400万円~600万円未満と1000万円~1500万円未満がそれぞれ全体の2割を占めた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】400万円~600万円未満と1000万円~1500万円未満がそれぞれ全体の2割を占めた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

また、購入物件の間取りは3LDK(K・DK)が半数。続いて2LDK(K・DK)(28.0%)でした。3位は購入予定者調査では4LDK(K・DK)でしたが、今回は1LDK(K・DK)がランクイン(15.0%)しました。

【画像3】実際に購入した間取りは3LDK(K・DK)が一番人気(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像3】実際に購入した間取りは3LDK(K・DK)が一番人気(出典/SUUMOジャーナル編集部)

購入者の家族構成は、夫婦と子どもの世帯が38.0%、夫婦のみの世帯が36.0%、本人のみ(一人暮らし)は17.0%。一人暮らしの割合は前回よりも減ったものの、1LDK(K・DK)の間取りを選択した人は増加しました。

【画像4】夫婦のみ、または夫婦と子どもの世帯を合わせると7割を超える(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】夫婦のみ、または夫婦と子どもの世帯を合わせると7割を超える(出典/SUUMOジャーナル編集部)

住んでいる階はタワーマンションならではの20~24階が人気

一般的に、タワーマンションというとおおよそ20階以上の高層住宅を指します。高層階になるにつれ、景観も広がり眺望が抜群になります。実際に憧れのタワーマンションを購入した人は何階を選んだのでしょうか。

結果は1位が20~24階(21.0%)でした。2位は購入予定者調査で一番人気だった10~14階(19.0%)。購入予定者調査で2位だった40階以上はわずか4.0%でした。
実際に購入した階を見ると、1階~24階までを購入している人が8割。30階以上の超高層階を選ぶ人は少なかったようです。災害時の心配のほか、間取りや購入価格などを検討した結果、高層マンションであっても低層階を選ぶ人が多かったのかもしれません。

【画像5】1階~24階を購入した人が8割。40階以上を購入した人はわずか4%(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像5】1階~24階を購入した人が8割。40階以上を購入した人はわずか4%(出典/SUUMOジャーナル編集部)

住んでみてよかったのはセキュリティの充実や眺望、虫が出にくいところ!

次に、実際に住んでみてよかったところを聞いてみました。
1位は「セキュリティが充実している」で、半数の人が回答。タワーマンションは、エントランスのオートロックがあるのはもちろん、鍵を差し込むだけでエレベーターを操作できるなど、多重オートロックがあるマンションがほとんどです。ほかにも防犯カメラ、24時間有人管理システムなど、セキュリティは通常のマンションとは比較にならないほど充実しています。

2位は「眺望が抜群」(49.0%)、3位は同率で「景観、見晴らしの良さ」「上層階は虫(ゴキブリや蚊、ハエ等)が出にくい」でした。
「眺望が抜群」と「景観、見晴らしの良さ」は、満天の星空を自分のものにしたような気分にさせてくれたり、混雑する花火大会を自宅から鑑賞できる優越感や、カーテンを開けたままにしていても誰にも見られない開放感などを与えてくれます。
「虫が出にくい」では、夏でも蚊が家の中に入ってこない、ハエやゴキブリが出ないなどが挙げられます。小さなことかもしれませんが虫嫌いには安心ですね。

【画像6】5位以下は「周辺環境が良い」「冬は暖かい」「施設が整っている」などが続く(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像6】5位以下は「周辺環境が良い」「冬は暖かい」「施設が整っている」などが続く(出典/SUUMOジャーナル編集部)

一方、住んでみて悪かったところを聞いてみると、トップは「管理費が高い」(37.0%)、続いて「災害時(停電、地震、火事など)にはエレベーターがストップ」(34.0%)、「エレベーターの待ち時間が長い」(28.0%)でした。

「管理費が高い」は、マンションの修繕の際には最新機器や共用スペースの広さなどから修繕費が高くなることはありますが、管理費に関しては世帯数も多いのでそれほど高くない場合もあります。共用設備やサービスを利用する頻度が少ない人の場合には、管理費が高いと感じることがあるかもしれません。

「災害時(停電、地震、火事など)にはエレベーターがストップ」は、デメリットとして挙げる人が多い項目です。高層階に住めば住むほど、災害時にエレベーターがストップすると身動きが取れなくなり、不便を感じることが多そうです。

「エレベーターの待ち時間が長い」は、特に朝の通勤時間帯に感じるよう。低層階エレベーターと高層階エレベーターが分かれているマンションも多いですが、それでも朝は各駅停車のように各階に停まることにストレスを感じる人が多数です。

【画像7】4位以下は「地震のときに不便」「強風、洗濯物が干しにくい」「共有施設は思ったほど使う用事がない」が続く(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像7】4位以下は「地震のときに不便」「強風、洗濯物が干しにくい」「共有施設は思ったほど使う用事がない」が続く(出典/SUUMOジャーナル編集部)

最後に、住んでみての満足度ですが、「満足(している)」(44.0%)と「やや満足(している)」(38.0%)を合わせると82%。心配ごとはあるものの、全体の8割以上の人が購入したことに満足していました。

【画像8】「不満(である)」はなんと0%!(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像8】「不満(である)」はなんと0%!(出典/SUUMOジャーナル編集部)

実際にタワーマンションを購入した人を対象に行った今回の調査。購入金額は3000万~5000万円がトップでした。

住んでみてよかった点は、セキュリティが充実していること、眺望、景観や見晴らしの良さ、そして虫が出ないことを挙げる人が多く、悪かった点は、管理費の高さ、災害時にエレベーターがストップすること、エレベーターの待ち時間が長いなどが挙げられました。

実際に住んでみた満足度は8割超。「不満(がある)」が0%だったのにも注目です。エレベーターの待ち時間が長くても、管理費が高いと感じても、それを上回る魅力がタワーマンションにはあるようです。

●調査概要
・[タワーマンションに関する調査]より
・調査期間 2017年9月26日~28日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:東京都・大阪府・名古屋市のタワーマンション(20階建て以上)に住んでいる方
・有効回答数:100名

憧れのタワーマンション!購入検討者に聞いた「住みたい階」は意外な結果に!? タワマン調査[1]

都市部を中心に増えているタワーマンション。そこに住むことに憧れをもつ人も多いですが、実際に3年以内にタワーマンションを購入する予定の人に、購入予定金額や間取り、住みたい階、購入する際に心配なことなどをズバリ聞いてみました。
購入予定金額トップは3000万~5000万円。間取りは3LDKが人気

駅近で設備が充実しており、人気エリアの物件には優雅な生活を送る富裕層や成功者が住んでいるイメージがあるタワーマンション。その購入予定金額は気になるところです。

結果は3000万~5000万円未満(34.0%)がトップでした。2位は5000万~7000万円未満(28.0%)、3位は7000万~1億円未満(21.0%)でした。
人気エリアにあるタワーマンションは高額ですが、都市周辺部など立地を選べば、同じクオリティでも人気エリアに比べると手が届く価格のよう。また、同じマンションでも、低層階は高層階に比べて価格がおさえられており、狙い目かもしれません。

【画像1】1億円以上の物件を購入予定の人は全体の1割程度(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】1億円以上の物件を購入予定の人は全体の1割程度(出典/SUUMOジャーナル編集部)

ちなみに、今回の調査回答者の世帯年収で最も割合が大きかったのは1000万円~1500万円未満(23.0%)、続いて600万円~800万円未満(19.0%)、400万円~600万円未満(17.0%)でした。

【画像2】1000万円未満の世帯年収が半数を超えた(51%)(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】1000万円未満の世帯年収が半数を超えた(51%)(出典/SUUMOジャーナル編集部)

また、購入予定物件の間取りは3LDK(K・DK)が45.0%と人気。続いて2LDK(K・DK)が30.0%、4LDK(K・DK)が16.0%でした。今回は夫婦と子どもの世帯が39.0%、本人のみ(一人暮らし)29.0%、夫婦のみの世帯が23.0%だったので、夫婦と子どもで住む、または今は夫婦2人だけだが将来子どもが生まれることを見据えて子ども部屋を確保できる3LDK(K・DK)を選ぶ人が多いのかもしれません。

【画像3】3LDK(K・DK)、4LDK(K・DK)のファミリー向けの間取りを購入予定が6割(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像3】3LDK(K・DK)、4LDK(K・DK)のファミリー向けの間取りを購入予定が6割(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】本人のみ(一人暮らし)で購入する人も約3割いる結果に(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】本人のみ(一人暮らし)で購入する人も約3割いる結果に(出典/SUUMOジャーナル編集部)

住みたい階は意外にも10~14階が1位

タワーマンションというと眺望の良い高層階に住むイメージがありますが、実際に購入予定の人が住みたい階は何階あたりなのでしょうか。

一番人気は10~14階(20.0%)。続いて40階以上(18.0%)でした。タワーマンションに抱いているイメージとして「眺望が良い」という回答が7割を超えていたので、高層階が一番人気かと予想していましたが、意外にも10~14階がトップに。これは、高層階になるにつれ購入価格が上がるほか、後で触れる災害時の心配が理由としてあるのかもしれません。

【画像5】20階以下を購入予定の人が全体の4割を占める(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像5】20階以下を購入予定の人が全体の4割を占める(出典/SUUMOジャーナル編集部)

とはいえ、通常のマンションなら10~14階も高層階です。さえぎる建物が少ないため眺めも良く、タワーマンションに抱いているイメージにある「駅から近い」(66.0%)、「アクセスが良く出かけやすい」(61.0%)、「通勤に便利」(44.0%)、「共有施設で休日を楽しめる」(39.0%)などを備えており、タワーマンションの良さを堪能できそうですね。

【画像6】眺望、駅近、アクセスの良さがそれぞれ6割を超えた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像6】眺望、駅近、アクセスの良さがそれぞれ6割を超えた(出典/SUUMOジャーナル編集部)

購入する上で心配なのは、災害時、維持費、購入時の価格

良いイメージが先行するタワーマンションですが、購入する上で心配なことはあるのでしょうか。

多くの人が一番心配しているのは「災害時」のこと(61.0%)。例えば地震。高層階になるにつれ、その揺れは大きくなります。実際の揺れよりも大きく感じることもあるようで、高層マンションならではの心配といえるでしょう。また、地震などの災害によりエレベーターが止まることもあり、特に高層階に住んでいる場合にはその上り下りが大変なよう。20階に住む筆者の友人は、子どもに留守番をさせて買い物に出た際に地震が起こり、重い荷物を持ちながら階段を上るのに時間がかかり、自宅に着くまでの間子どもが心配だったと話していました。このような災害時の不安から、子どもがいるファミリーがあえて低層階を選ぶということもありそうです。

2位は「維持費が高い」こと(49.0%)。タワーマンションは、ゲストルームやキッズルーム、コンシェルジュサービスなど共有施設やサービスが充実していることが多く、通常のマンションよりも維持費が高いと思われています。確かにマンションの修繕の際には最新機器や共用スペースの広さなどから修繕費が高くなることはありますが、管理費に関しては世帯数も多いのでそれほど高くない場合もあるかもしれません。

3位は「購入時の価格が高い」こと(44.0%)。高層階になるにつれ眺望も良く、価格は上がります。憧れのタワーマンションに住むからには高層階に住みたいという希望はあるものの、購入金額を検討した結果、低層階に落ち着くというケースもあるようです。

【画像7】一番の不安は「災害時」で6割以上が回答。「維持費が高い」「購入時の価格が高い」も5割近い人が支持(出典/SUUMOジャーナル編集部)

【画像7】一番の不安は「災害時」で6割以上が回答。「維持費が高い」「購入時の価格が高い」も5割近い人が支持(出典/SUUMOジャーナル編集部)

セレブのイメージが強いタワーマンション。今回の調査では、購入予定額のトップは3000万~5000万円未満、住みたい階の一番人気が10~14階と、予想よりも低価格、低層階に落ち着く結果となりました。この結果を見て、少し頑張れば手が届きそうな印象を受けた人も多いのではないでしょうか。
災害時の心配や維持費の高さへの不安などはあるようですが、購入前に知っておけば、「こんなはずではなかった!」ということが少なそうですね。
眺望が良く、防犯上安全であったり、共用設備が充実していたり、24時間管理が安心といったメリットも多いタワーマンション。新たな家探しの候補に入れてみてはいかがでしょうか。

●調査概要
・[タワーマンションに関する調査]より
・調査期間 2017年9月26日~28日
・調査方法:インターネット調査(ネオマーケティング)
・対象:東京都、大阪府、名古屋市のタワーマンション(20階建て以上)を3年以内に購入する予定がある方
・有効回答数:100名